また、知事より、六月十三日及び六月二十日付で、本
定例会に提出するため、議案五十八件の送付がありました。
また、
地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき
専決処分した
東京都都
税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について依頼がありました。
次に、知事及び
東京都人事委員会委員長外五
行政委員会より、先般の
人事異動に伴う
東京都議会説明員の変更及び
説明員の
委任変更について、
地方自治法第百二十一条及び
東京都議会会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。
次に、知事より、平成六年度
東京都一般会計予算外五件の
明許繰越について、平成六年度
東京都一般会計予算外二件の
事故繰越について及び平成六年度
東京都中央卸売市場会計予算外六件の繰り越しについて、それぞれ報告がありました。
次に、知事より、
地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の
指定議決に基づく
専決処分について、報告が二件ありました。
内容は、警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例の報告について、並びに訴えの提起、
損害賠償額の決定及び和解に関する報告についてであります。
次に、
監査委員より、平成六年度各会計第一回
財務監査、平成六年度第三回
工事監査及び
例月出納検査の結果について、それぞれ報告がありました。
最後に、特別区に執行委任した事務に関する監査結果の報告が、北区外十五区より、二十一件提出されました。
(
別冊参照)
━━━━━━━━━━
◯議長(
奥山則男君) 次に、先般の
人事異動に伴い、異動のありました
説明員の方々をご紹介いたします。
東京都技監建設局長事務取扱木内孝藏君、
企画審議室長佐々木克己君、
情報連絡室長篠木昭夫君、
東京フロンティア対策本部長今沢時雄君、
総務局長渡辺能持君、
財務局長西念晃司君、
主税局長辰川弘敬君、
生活文化局長小久保久君、
都市計画局長木宮進君、
福祉局長奥典之君、
衛生局長原山陽一君、
労働経済局長高村袈裟茂君、
消防総監小宮多喜次君、
教育長市川正君、
住宅局長石橋清治君、
港湾局長石川雅巳君、
清掃局長喜多沢秀行君、
水道局長川北和徳君、
下水道局長曽我部博君、
都立大学事務局長井川信行君、
養育院長茅野祐子さん、
多摩都市整備本部長柳澤英治郎君、
中央卸売市場長番所宏育君、
選挙管理委員会事務局長海老江成治君、
人事委員会事務局長大日方勇二君、
地方労働委員会事務局長畠中勇君、
監査事務局長横田廣忠君、
収用委員会事務局長西澤秀樹君。
〔
理事者あいさつ〕
◯議長(
奥山則男君) 以上をもって
説明員の紹介は終わりました。
━━━━━━━━━━
◯議長(
奥山則男君) 次に、閉会中の
常任委員の
所属変更について申し上げます。
衛生労働経済委員高野之夫君から、
総務生活文化委員へ
常任委員の
所属変更の
申し出がありましたので、
委員会条例第五条第三項ただし書きの規定により、六月九日付をもってこれを許可いたしました。
お諮りいたします。
本件は、議長の許可のとおり承認することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(
奥山則男君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、
議長許可のとおり承認することに決定いたしました。
━━━━━━━━━━
◯議長(
奥山則男君) この際、日程の追加について申し上げます。
知事より、第百九十八
号議案、平成七年度
東京都一般会計補正予算(第一号)が提出されました。
これを本日の日程に追加いたします。
━━━━━━━━━━
◯議長(
奥山則男君) 会期についてお諮りいたします。
今回の
定例会の会期は、本日から七月五日までの十六日間といたしたいと思います。
これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(
奥山則男君) ご異議なしと認めます。よって、会期は、十六日間と決定いたしました。
━━━━━━━━━━
◯議長(
奥山則男君) この際、知事より発言の
申し出がありますので、これを許します。
知事青島幸男君。
〔
知事青島幸男君登壇〕
◯知事(
青島幸男君) 平成七年第二回
都議会定例会の開会に当たり、私の
都政運営に対する所信を申し上げ、都民並びに
都議会の皆様のご理解とご協力をお願いいたしたいと思います。
初めに、去る五月十六日、都庁舎内で発生した
爆発物事件について申し上げます。
このたびの事件は、
都政史上前例のない、まことに卑劣きわまりない犯罪であり、私は断じて許せません。重症を負われた
内海正彰課長並びにご家族の皆様に、心からお
見舞いを申し上げますとともに、一日も早いご回復をお祈りいたします。都民の皆様や
都議会を初め、各方面の方々から数多くの励ましやお
見舞いをいただきました。この場をおかりして厚く御礼申し上げます。現在、当局による懸命な捜査が続けられておりますが、事件の真相が早期に究明され、このような痛ましい事件が二度と起こらないことを切に願うものであります。
この事件も含め、長野県松本市や東京の地下鉄における
サリン事件、
警察庁長官狙撃事件など、最近発生した一連の犯罪は、これまでの私たちの常識をはるかに超え、都民のみならず、国民全体にいい知れぬ
不安感が広がっております。私は、こうした犯罪に強い憤りを覚えるものであり、一千二百万都民のかけがえのない生命と財産を守り、社会不安を払拭すべく全力を尽くす決意であります。
私が知事に就任して、早くも二カ月が過ぎました。日々の仕事に取り組む中で、都政がいかに
都民生活に深くかかわり、広範かつ膨大な業務を抱えているかを改めて認識し、責任の重さを肝に銘じているところであります。
特に、
世界都市博覧会の中止か開催かという決断に逡巡し、悩みに悩み抜いた就任後の一カ月間は、今振り返りましてもまことに長く、そして苦しいものでありました。五月三十一日、
東京都として、
世界都市博覧会の中止を正式に決定いたしました。この間、私は、
都議会における議論や決議を初め、都民の声、職員の意見などを踏まえ、熟慮に熟慮を重ねてきました。最終的に、
都市博は撤回という都民との公約を守ることの意味を改めて世間に問うことが今必要であるとの結論に至り、中止の決断をしたところであります。
まずもって、決定までに1カ月余りを要したことで、各方面の方々に多大なご迷惑をおかけし、また、結果として
都議会の意思と相反することになったことを深くおわび申し上げます。今後の
都政運営に当たっては、
都議会の皆様方と誠意を尽くして十分な話し合いをさせていただき、深い
信頼関係を築いてまいりたいと考えております。
私は、参加の決定をいただいていた政府各省庁、
国際連合、内外諸都市、
民間企業、
市民団体などの関係各方面に対し、
開催都市としての責任のもとに、十分な説明と誠実な対応に努め、今後とも、
事情説明のための訪問を行うなど、中止に伴う影響を最小限にとどめるため、職員の先頭に立って最善の努力をしてまいります。
また、
都市博中止に伴う対応については、庁内に
世界都市博覧会中止に伴う
対策会議を設置し、都政に対する信頼の回復を初め、
中小企業対策、
雇用対策、損害の補償など、広範な分野にわたって具体的な
対応策の検討を進めております。
とりわけ、緊急に必要な対応として、
東京フロンティア対策本部及び
東京フロンティア協会に
都市博総合相談窓口を設置し、中止に伴って影響を受ける方々のあらゆる相談に対応するとともに、昨日、適正な補償を実施するため、
世界都市博覧会中止に伴う損害の補償に関する
委員会を設置いたしました。また、
都市博の中止に伴い影響を受けた
中小企業者等を対象とする
特別対策緊急融資などを実施したいと考えております。このほか、準備を進めてきた
市民団体に発表の場を提供するなど、これまで準備してきた成果を活用する方策について検討を進めてまいります。
都議会初め、都民の皆様のご理解とご協力をぜひともお願い申し上げます。
次に、私の
都政運営に臨む基本的な認識について申し上げます。
ことしは、戦後五十年を刻む歴史的な節目となる年であります。この半世紀に東京の姿は一変し、廃墟と化したまちは、活力にあふれる都市へと変貌いたしました。この間、東京は、経済、文化を初め、さまざまな分野で世界でも有数の
大都市へと発展を遂げ、
国際社会において重要な地位を築いてきました。しかしながら、今日、時代は大きく変化し、社会のあらゆる分野でこれまでの発想や
仕組みの転換が求められています。これからの都政には、こうした新たな動向に鋭敏に対応していくことが必要となっているのです。
東京では、活発な
都市活動を支えるため、道路、
公共交通網、下水道など、
都市基盤の整備が推進されてきましたが、都民の生活に目を転じると、依然として住宅問題や
通勤ラッシュ、老後の生活や震災への不安、ごみ・環境などの問題が山積し、経済の
先行きの
不透明感もあって、都民の日々の
暮らしは、必ずしも生活の豊かさを実感できるものとはなっていません。また、近年、人々の
価値観は、家庭や地域でのゆとりある生活の重視、環境や資源への関心の高まりなど、大きく変化しています。今こそ、これまでの都政の成果を踏まえつつ、
生活者である都民一人一人の立場に立ち、
納税者や
消費者の感覚も大切にする
生活者の視点から、都政を新たに築き上げていくことが求められていると考えます。
私は、
都議会との深い
信頼関係のもと、都民と手を携えて、都民の声を都政の隅々に行き渡らせ、都民の
生活感覚を大切にする都政を実現させたい、新しい
生活都市東京を創造することによって、
民主主義のさらなる発展と住みやすい東京を築きたい、今、このことを強く決意するものであります。
私は、このような基本的な認識のもとに、都政の
一つ一つの施策を都民の身近なものとするため、都民の
生活感覚に即した、都民のための都政の改革を積極的に推進してまいります。
都民の声を都政の隅々に行き渡らせるため、私は、第一の改革として、都民に隠し事のない、開かれた都政を実現します。
都政のあらゆる分野で都民と都政の接点が拡大され、情報のパイプがより太く、より短くなるとともに、情報が
双方向に行き交わされる、そういう都政の実現を目指します。都民の意向を的確に把握して都政を遂行することは、知事の基本的な仕事ですが、都民に対してあるべき将来像を問いかけ、多様な民意を集約しながら政策を構築していくことも、知事に課せられた重要な任務であります。このような
双方向のルートを確立することにより、都民に開かれた都政が初めて可能になるのではないでしょうか。率直に申し上げて、人口一千二百万人の東京では、こうした試みは容易でないと思います。しかし、私は、次の幾つかの施策を初めとして、
最大限の努力をしたいと考えています。
まず、都政の情報をさまざまな手段によってより積極的に提供するため、具体的な手法を十分に検討したいと考えます。近年、新しい
情報通信手段の普及には目覚ましいものがあります。私は、これらを活用して積極的な広報に努めるとともに、都民と都政とのホットラインを確保してまいります。また、さまざまな
懇談会の委員や
対話集会の
出席者について、可能な場合は都民からの公募制を導入するなど、
都民参加の方法を工夫する考えです。
また、私は、
法令等に基づく複雑な事業の体系や名称、そして
行政用語を改善して、都民に理解しやすくするとともに、わかりやすく親切な窓口と手続の
明確化、
簡素化に努めてまいります。都民の皆さんが意見をいいやすくするためには、行政の
仕組みや事業をわかりやすくすることが必要であり、このことは、都政の場において
民主主義を発展させる大切な前提であると思います。
第二の改革は、自治と分権を実現した、都民が希望を持てる都政を実現することです。
私は、各
自治体がそれぞれの個性を
最大限に発揮して、地域の
活性化と住民の
暮らしの向上を競い合うこと、この点にこそ、
地方分権を実現して自治の機能を強化する今日的な意義があるものと考えます。
地方自治の原点である
住民自治をさらに
活性化させるために、まず私は、都民や
市民団体と都政の間に新しい
パートナーシップを築きます。今日、市民の自発的な活動は、災害、
地域福祉、教育、ごみ・
リサイクル、環境、
国際協力などさまざまな分野でその
重要性を高めております。また、
多様化、高度化する
都民ニーズに的確に対応するためには、
市民団体等との協力や連携による
社会的サービスの提供も必要となっています。ボランティア、NPOなど都民の
自主活動とどう連携をとるか、
市民団体が活動しやすくなるにはどうすべきかを検討してまいります。
また、私は、
地方自治における
基礎的自治体の役割を重んじます。そのために、私は、
区市町村と都の間に、これまで以上の
パートナーシップを築きます。地域の実情に即した
住民サービスや個性ある
まちづくりを進めるため、さまざまな支援に努めるとともに、住民に身近な事務をできる限り
区市町村へ移譲してまいります。
都区制度改革については、これまで特別区を初め、
関係者との間で長年にわたり努力が積み重ねられ、都は、国に対して
法改正を要請してきたところであります。さきの
通常国会での
法案提出は実現しませんでしたが、今後とも国に対し、
法改正を強く働きかけるとともに、
事務事業移管に向けての
条件整備を着実に進めるなど、
法改正のための
環境づくりに努め、
都区制度改革の
早期実現に力を尽くす決意であります。
また、多摩・
島しょ地域については、これまでの施策や成果を踏まえ、
市町村と相互に十分な調整を図りながら、新しい時代の要請にこたえ、豊かで魅力ある個性的な
地域づくりを展開してまいります。
地方分権の推進に関する法律が成立し、近く
地方分権推進委員会が発足する
見通しとなりました。私は、この機会を逃すことなく、自治と分権の主体的な
都政運営を確立する考えです。近年、
地方行政について、その
均一性を重視する
ナショナルミニマムに対して、地域の多様な選択を重んじる、
ローカルマキシマムともいうべき考え方が提起されておりますが、
地域社会の最も大きな幸せを目指す傾向は、ますます強まっていくでしょう。都が国をリードして
地方分権を推し進めるためにも、
政策形成機能の強化や
総合調整機能の充実、
都民世論の喚起などに努めてまいります。
さきの七
都県市首脳会議では、
首都機能の
あり方として、展都と分権の推進による新たな
東京圏の創造に向けて、
首都圏アピールを採択しました。今後とも、環境や
廃棄物、防災など、広域的に対処すべき
行政課題の解決に力を合わせてまいります。
第三の改革は、都民の税金をむだにしない、
生活感覚を大切にする都政を実現することです。
バブル経済の崩壊後、景気は依然として思わしくなく、今後も高い成長率は見込まれていません。
都税収も多くを期待できないなど、
都財政をめぐる環境は、引き続き厳しい状況が続くものと予測されています。こうした中にあっても、ふえ続けるさまざまな都民の要望にこたえなければなりません。そのため、施策の
重点化や
見直しを進めるとともに、簡素で効率的な
執行体制を実現するなど、同じ経費でもその効果をより大きなものとする、新しい
行財政システムを目指します。さらに、長期的な視点に立った健全な
財政運営の確保と、強固な
財政基盤の確立も急務です。
また、高齢・
少子化の進展など、
社会経済情勢の変化には、新しい発想で対応することが求められています。このため、施策の
有効性や民間との
役割分担、都民との
協働関係、
区市町村との連携などの観点から、
都民生活の質の向上を優先する方向で、施策の
見直しを行ってまいります。
都民にとって、
行政サービスの提供を効果的なものとし、また、その
仕組みをわかりやすくするため、組織の
再編整備にも取り組むほか、
外郭団体の
あり方も
見直しを行いたいと思います。
二十一世紀を展望する新たな都の
行財政の
あり方を考える
懇談会においても、近く新たな分野から委員を拡充するとともに、全庁的な
行政改革推進組織を設置する予定です。今後、この
懇談会における検討結果をも踏まえ、
行財政改革を都民の
生活感覚に立脚して進めてまいります。
私は、さきに述べた基本的な認識に基づき、施策の方向として四つの目標を掲げ、その実現に向けた諸事業を推進してまいります。
都政がなすべきことは、まず、都民が安全で安心して暮らせるまちを実現することであると考えます。そのための基本的な施策を充実させ、
都民生活の基礎を確かなものにした上で求められるのは、快適に住み続けられるまちと、活気あふれる便利なまちをつくり上げることでありましょう。さらに、都民一人一人が、伸びやかに参加、交流できるまちとすることが大切であります。私は、これらの目標の達成を目指して、
生活都市の創造に力いっぱい取り組んでまいります。
第一の目標は、安全で安心して暮らせるまち・やすらぎの東京を実現することです。安全と安心は、都民が東京で暮らす上の基礎となるものです。私は、
自治行政の基本に立ち返り、これを都政の最
重要課題といたします。
阪神・
淡路大震災は、近代的な
大都市のもろさを露呈しました。同時に、住民の生命、財産を守るために、
自治体が果たすべき役割と責任が重大であることを痛感させました。私は、何よりもまず、
都民生活を土台から支えるため、
震災対策や
総合治水対策など、災害に強い
東京づくりに取り組むことが、すべての施策の前提であると考え、多様な施策を積極的に進めてまいります。
家族や
地域社会のありようが変わりつつある今日、高齢・
少子化へ重点的に対応し、福祉の
基盤づくりを進めることは、大きな課題となっています。
私は、
行政サービスの受け手の立場から、保健・医療、福祉の連携を強化するため、これまでの枠組みを超えて、施策を積極的に推進します。
高齢者の生活への不安は多岐にわたっています。
高齢者が住みなれた自宅で
暮らしていくためには、住宅、
福祉機器、医療、看護、介護など、諸条件が総合的に整備され、生活の
見通しが明らかになることが求められます。介護が必要な状態になっても、負担を個人や家庭に集中させず、社会全体で支える体制を整えることが必要なのです。
特別養護老人ホームや
老人保健施設の
整備促進はもとより、
高齢者世帯と地域の
在宅介護支援センターを中心とする、安心の
ネットワークシステムの構築を進めてまいります。
私たちは、安心して
子どもを産み、育てられる社会を形成していかなければなりません。子育てと仕事の両立を支援する
保育事業の拡充を初め、
少子化をめぐるさまざまな課題に積極的に取り組みます。また、あらゆる都民が自由に行動し、
社会参加のできる福祉の
まちづくりを具体化するため、
推進計画の策定や全庁的な
推進体制の整備を進めます。
従来にも増して、都民が行う自主的な
福祉活動を含め、
地域福祉の推進と
福祉人材の育成、支援に取り組んでまいります。
さらに、都民の生命と健康を守るため、
かかりつけ医の定着、
医療機関相互の連携と
機能分担による身近な
医療体制を充実するとともに、
都民生活の重要な基盤である
健康づくりを推進してまいります。
第二の目標は、快適に住み続けられるまち・うるおいの東京を実現することです。
都民の
くらし白書,95によれば、都民の過半数が東京に住み続けたいと希望しています。その一方で、
転出者のうち四人に一人は、
転出理由に住宅の問題を挙げており、
住宅事情による転出が多いことは、東京の特徴となっています。
住まいは生活の基礎であります。広い居間や静かな寝室がなければ、体も心も休まりません。また、
住まいの身近に、自由に走り回れる広場がなければ、
子どもの心身の健全な発達もおぼつかないでしょう。私は、
ファミリー向け都民住宅の供給、安全で快適な
マンション居住に向けた対策の充実などにより、広く都民が、所得や
世帯構成などに応じた、ゆとりのある居住が実現できるよう努めるとともに、
都心居住の推進を図り、東京に住み続けることのできる
住宅政策に取り組みます。
環境対策は、今まさに正念場を迎えています。今日の環境問題の多くは、かつての
産業型公害と異なり、日常の
社会経済活動、すなわち、生産、流通、消費の過程すべてが原因となっています。経済を初め、
社会全般にわたる
システムをつくりかえ、
資源循環型の
持続的発展が可能な文明へと移行することが強く求められています。私たち一人一人に対しても、物質的な豊かさや
利便性を追求してきたこれまでの
価値観や
消費生活の
様式そのものを
見直し、環境への負荷を軽くする新しい生き方を見出すことを求めています。
環境基本条例の趣旨に沿い、近く
環境白書を公表するとともに、
環境基本計画の策定に向けた準備を進めるほか、
地球規模での
環境保全について、各種の施策を積極的に推進します。また、
総合環境アセスメントについては、
検討委員会の報告を得て、
制度化に向け積極的に取り組んでまいります。
先日、私は、
中央防波堤外側の
ごみ埋立処分場を見てまいりました。
利便性を優先した
生活様式、
経済性のみを追求する
社会システムの無残な結果を見る思いでした。東京のごみ問題は、緊急な解決を迫られています。私は、
清掃工場の建設を積極的に推進するとともに、これまでにも増して、ごみの
発生抑制と資源の
リサイクルを促進し、
事業系ごみの
全面有料化についても、円滑な実施のための準備に取り組む考えであります。また、
清掃事業の特別区移管に向けた
条件整備を推進してまいります。
第三の目標は、活気あふれる便利なまち・にぎわいの東京を実現することです。安全で安心して暮らせるまち、快適に住み続けられるまちを実現していくためには、東京の経済を
活性化させるとともに、
生活関連施設や
都市基盤の整備を進めることが必要です。
申すまでもなく、
先行きが不透明な
景気低迷、急激な円高の進行といった
経済環境の中で、都内の産業は、リストラクチャリングや
生産拠点の
海外移転など、極めて厳しい
経営状況に置かれ、
産業空洞化の進行も懸念されています。特に、
中小零細企業への影響は深刻であり、都はこれまで、その対策に全力を挙げてきました。さらに、庁内に設置した
検討委員会においても、空洞化問題への
対応策等を近く取りまとめる予定であります。
今後とも東京が活力に満ちた都市であり続けるために、産業の振興は大きな課題となっています。とりわけ、東京の経済の原動力であり、また、都民の雇用の場としても欠かすことのできない
中小企業を中心として、東京の産業を
活性化することが求められているのです。私は、今後、東京の産業のあるべき姿を探り、これを実現するための施策など、東京の特性を踏まえた総合的な
産業政策の検討を行ってまいります。
また、
労働対策については、深刻な
雇用情勢の悪化に対応し、
新規学卒者の就職機会の確保、
高齢者、女性、外国人などを対象とする労働相談の充実などに努め、雇用の促進と失業の予防に力を注ぐ考えであります。
私は、
生活者の視点を重視して、都民とともに都市づくりを考え、
地域社会を大切にする住みやすい東京を目指します。都心部における定住人口の減少や職住の遠隔化、通勤混雑など、東京の都市問題を抜本的に解決して、活気あふれる便利なまち東京をつくることを基本とします。
臨海副都心については
見直しを行いますが、そのほかの区部の六つの副都心及び多摩の心については、整備指針に基づき、関係区市と十分に連携し、居住機能との調和にも配慮して整備育成に努め、多心型都市構造への転換を進める考えであります。(発言する者あり)
都民の日々の
暮らしに直結する公共交通などの
生活関連施設を重点的に整備し、交通渋滞や通勤、通学ラッシュの解消を図るとともに、空港、港湾、情報通信施設などの
都市基盤整備を計画的に進め、生活しやすい便利な都市を目指します。
第四の目標は、のびやかに参加、交流できるまち・ふれあいの東京を実現することです。
今や文化は、都民が伸びやかに暮らす上で生活の必需品であり、文化政策は、ソフト面での
都市基盤として考えなければなりません。そのために、これまでの施策の成果を踏まえ、今後の東京における文化の方向を展望する文化都市ビジョンを策定してまいります。また、歴史的建造物や地域伝統芸能の保全などにも取り組んでいく考えです。
深刻となっている子供のいじめ問題については、学校教育のみならず、社会全体の問題として、学校、家庭、地域の連携した取り組みを進めます。また、都立高校の個性化、特色化を積極的に推進するとともに、新しい生涯学習
推進計画を策定するなど、豊かな教育環境を整備してまいります。
私は、常々、人類にとって最も重要なことは、平和な世界の実現であると考えてまいりました。そのような立場から、私は、互いの市民生活により実りのある都市外交を目指し、都市間協力を拡大するとともに、都市の時代に向けて、地球環境問題などのさまざまな人類的課題にも積極的に貢献していく考えです。同時に、急速に進む国際化が東京の
地域社会に投げかけているさまざまな影響も軽視することはできません。外国人労働者の労働条件や医療の問題などを直視して、その対策を講ずるとともに、あらゆる住民がともに暮らせる
地域社会の実現に向け、定住外国人の地方参政権についても検討していくことが必要であると考えます。
また、政策決定への女性の参画促進、雇用面での平等の確保など、男女平等の社会づくりを推進することが必要です。複雑
多様化する
消費者問題については、昨年全面的に改正された
消費生活条例の理念を具体化するため、都民の自主的活動を支援し、これと連携する施策の
あり方などを検討してまいります。
ここで特に、多摩・
島しょ地域について申し上げます。
多摩地域については、豊かな自然を生かした自立都市圏としての整備を積極的に推進いたします。とりわけ、南北幹線道路や多摩都市モノレールなど、地域内外の交流を支える
都市基盤の整備を着実に進めます。また、多摩の心、業務核都市の育成整備を推進する考えであり、近く、八王子・立川の業務核都市基本構想の承認を国に申請し、業務立地の促進を図ってまいります。さらに、多摩国体の開催に向けた
条件整備にも積極的に取り組む考えです。
島しょ地域においては、豊かな海洋資源を生かした活力ある島づくりを進めていくため、観光レクリエーション産業の振興や交通ネットワークの整備に努めるとともに、小笠原空港の整備に力を尽くしてまいります。
私は、今後、こうした基本的な認識をもとにして、都民の
暮らしに立脚した
生活都市東京を実現してまいります。
都財政が大変厳しい環境にある中で、さまざまな施策を着実に実施していくためには、
都議会を初め、都民の意見を踏まえつつ、
都政運営の基本指針となる総合的な計画を策定し、施策の
重点化を図る必要があります。そのため、当面、計画期間三年程度の中期的な計画の策定に着手し、本年中にお示ししたいと考えております。また、その後、各方面の意見も踏まえ、さらに長期的な構想もしくは計画を策定していく考えであります。
次に、当面する緊急課題への対応について申し上げます。
第一に、
震災対策について申し上げます。
先ほど申し上げたとおり、私は、都民の生命と安全を守るため、
震災対策を都政の最優先施策として位置づけ、阪神・
淡路大震災の教訓を踏まえて、地震に対する都民の不安を一掃していく決意であります。
その第一歩として、去る五月、従来の
震災対策本部の機能強化を目指して、これを
東京都震災対策推進本部と改め、初動体制・情報収集伝達部会を初め、課題別に十九の部会を設けました。防災の基本計画ともいうべき
東京都地域防災計画を緊急に見直すこととし、この本部を中心に全庁を挙げて総合的に検討を進め、本年度中に修正を決定する考えです。
災害発生時における指揮命令体制の確立や被災者への支援体制づくり、建物など都市施設の耐震対策を初め、防災都市づくりを重点に、これまでの施策を一層強化、拡充してまいります。緊急時に、より速やかで現実的な対応が可能となるよう、新たな施策についても検討していく考えです。九月一日の防災の日には、自衛隊、警視庁、消防庁など関係機関との連携のもとに、これまでにない規模、内容で合同総合防災訓練を実施する運びとなっております。(発言する者多し)
第二に、臨海副都心開発について申し上げます。
臨海副都心の建設は、今後の東京の
あり方そのものを左右する一大プロジェクトであると同時に、本年第一回
定例会において、始動期後の総合的な
見直しという付帯決議が付されているところでもあり、その
見直しは、都政の最も緊急かつ重大な課題の一つであります。
この開発は、多心型都市構造への転換の推進、国際化、情報化の進展への対応、さらには、多様な機能を備えた理想的な都市の形成を開発目標とする新しい副都心づくりであります。しかしながら、地価の大幅な下落、オフィス需給の不均衡、
景気低迷の長期化、また、阪神・
淡路大震災の発生など、社会経済状況の激変による影響は、はかり知れないものがあります。
私は、これまでの成果を生かしつつ、臨海副都心が将来かけがえのない都民の財産になるという基本認識のもとに、都民にとって夢のある活用も含め、社会経済状況に適合するよう
見直しを行い、引き続き開発を進めていく必要があると考えております。
都議会を初め各方面のご協力をいただきながら、知恵と活力を結集し、多くの都民が納得できる方法により、その
見直しを進めてまいります。そのため、近く学識経験者などから成る
懇談会を設置し、開発の内容、財政収支、土地処分、開発のスケジュールなど、計画全体にわたって緊急にご検討いただき、本年中に基本的な方向性を取りまとめる考えであります。
なお、本年度を最終年度とする始動期の開発につきましては、予定どおり着実に推進してまいります。
第三に、二つの信用組合問題について申し上げます。
現在、当局による事件の捜査が続けられており、その結果をも踏まえつつ、都としての最終的な対応について判断しなければならないと考えております。乱脈経営によって破綻した二つの信用組合救済のための支出をしないことは、私の公約であり、現時点においてもその考えに変わりはございませんが、改めて
都議会でのご議論を含め、
関係者のご意見もよくお聞きした上で、諸事情を総合的に勘案し、慎重に対処してまいります。
第四に、新海面処分場の整備について申し上げます。
東京の切迫するごみ問題に対処するため、新海面処分場を緊急に整備することが不可欠であります。この問題につきましては、整備の前提となる条件について、
関係者との協議、調整を進めてきたところであり、私は、先月末、千葉県知事に対し、特段のご理解と協力を賜るべくお願いしたところでございます。一刻も早く
関係者との合意が調い、新海面処分場の整備に着手できますよう、今後とも全力を傾注してまいります。
第五に、宗教法人オウム真理教問題について申し上げます。
これまで都に対し、当該宗教法人の解散命令請求について、各方面から要請が寄せられております。
東京都としては、法務省、検察庁など関係機関と連携をとって、できるだけ早期に請求ができるよう準備を進めております。
次に、平成七年度補正予算の編成について申し上げます。
世界都市博覧会の中止に伴い、
中小企業の受注など、さまざまな面に影響が生じています。また、平成七年度当初予算の編成後、円高の急激な進行、景気回復のおくれ、阪神・
淡路大震災の発生など、社会経済状況は大きく変化しています。このような状況を踏まえ、補正予算を編成したものであります。
今回の補正予算では、
世界都市博覧会の事後処理対策のほか、
中小企業制度融資の拡充や道路補修の促進などによる
中小企業・景気対策、さらには、防災・安全対策として、帝都高速度交通営団への補助や首都高速道路公団への出資による施設の補強、公共建築物の耐震診断の拡充など、緊急に措置すべきものを対象として編成を行っております。
予算規模は、一般会計において総額五百億円でありますが、この予算をベースとした全体の事業規模は、一千百二十億円が見込まれます。
都民の
生活感覚を大事にする都政の実現、新しい
生活都市東京の創造には、
都議会や都民の皆様の温かいお力添えを欠かすことができないのであります。
「オネスティー イズ ザ ベスト ポリシー」、誠実であることが最良の政策、これが私の信条であります。私は、自分の考えを率直に
都議会や都民の皆様にお話ししてまいりたいと思います。皆様方には、忌憚のないご意見、ご批判をお寄せいただくことを切にお願いします。私は、皆様の声を真摯に受けとめ、精いっぱい都政に取り組んでいく覚悟であります。そうした日々を積み重ねていくことが、私の使命であると信じています。
改めて、皆様方のご理解とご協力を切にお願い申し上げる次第であります。
本
定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案一件、特別区国民健康保険事業調整条例の一部を改正する条例、あきる野市設置に伴う規定整備に係るものなど条例案三十八件、契約案十三件など、合わせて五十九件を提案しております。よろしくご審議をお願い申し上げます。
以上をもって私の発言を終わります。(拍手)
◯議長(
奥山則男君) 以上をもって知事の発言は終わりました。
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◯六十八番(大西英男君) この際、議事進行の動議を提出いたします。
本日の会議はこの程度をもって散会し、明二十一日から二十六日まで六日間、議案調査のため休会されることを望みます。
◯議長(
奥山則男君) お諮りいたします。
ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯議長(
奥山則男君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこの程度をもって散会し、明二十一日から二十六日まで六日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。
なお、次回の会議は、六月二十七日午後一時に開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後一時四十五分散会...