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  1. 東京都議会 1994-09-21
    1994-09-21 平成6年_第3回定例会(第13号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時四分開議 ◯議長(奥山則男君) これより本日の会議を開きます。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(奥山則男君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(奥山則男君) 昨日に引き続き、質問を行います。  八番中山義活君。    〔八番中山義活君登壇〕 ◯八番(中山義活君) 私は、大きく分けて二つの質問をいたします。  まず、知事選について伺います。  九月十五日の読売新聞一面に、後継に石原官房副長官という記事が出ました。次の日に緊急記者会見が行われ、個人的な考えとして、石原官房副長官を後継人として推すことを関係者に表明、そして、五選は出馬しないことを示唆したと報道されました。  何事にも筋を通し、議会を大切にするきちょうめんな知事の発言としては、唐突過ぎたのでびっくりいたしました。また、他の新聞社の記事によっては、五選の含みも残しておりますし、今までの経緯からいっても、知事の決意が固まっているかは、大いに疑問の残るところであります。  事実「都政新報」などにも、通常、選挙の年は、予算も骨格予算的な組み方が普通にもかかわらず、知事は、平成七年度予算の見積もりについて副知事依命通達を出し、その中でマイナス一五%という過去最大のシーリング枠を示し、財政の立て直しのため、年間総合的な予算を組むという積極的なものであると書いてありました。また、九月五日の日本経済新聞によると、「聞きましたこのテーマ」という見出しで、知事は世界都市博覧会開催のねらいは、首都改造ともいえるものであり、臨海副都心開発の起爆剤とする、世界博は、オリンピックのように都市建設を推進する原動力とするという積極的な発言をしています。同じ手法が未来の首都改造で効力を発揮するかどうかは別としても、まさに、自分の手で世界博を成功させるという意欲にあふれたものでありました。  また、知事の高齢からの体力は心配ないという格好の場をつくった、八月四日の軽井沢での大東京ゴルフコンペ、奥山議長や菅沼都議会自民党選対本部長河合社会党党本部書記長、両知事選対責任者との知事選絡みかと思うような意味ありげなパーティーに加え、新聞記事によると、炎天下の中、ティーグラウンドから河合書記長のショットが、社会党政策大転換のように大きく右に曲がったのに対して、知事のショットは、百八十ヤードフェアウエーど真ん中、スコアは百二回という好成績で、まさに高齢は心配ない、健康であるという最高のパフォーマンスであり、知事はやる気ありと見ていたのは私だけではないと思います。  しかし、読売新聞の記事は、スクープのオフサイドかフライングだったのでありましょうか。なぜか、知事自身の進退に関しては、一切言及を避けたまま後継者を指名するという、実に奇妙でミステリアスな内容でありました。しかし、後継者を指名したと報道されたことは、結果、自分自身の出馬はないことを表明したことになるわけで、後継者に石原官房副長官という新聞の見出しは、知事が正式に発言した、しないにかかわらず、今後既成の事実として、これからも確固たるものになっていくでしょう。  評論家の見方としても、石原氏は七代の総理大臣を支えてきた実績や、あらゆる官庁にも顔がきく、いわゆるミスター官僚であり、また、どの政党ともやっていける方であり、政界の再編流動化が進む状況下でも、首都東京の知事として手腕を発揮するであろうといわれており、加えてこの時期に、知事の後継者と一面トップで報道されれば、強力な候補予定者になることは間違いないと思います。  また、知事は、前回選挙のようなねじれで血で血を洗うような選挙はやりたくないと発言し、各党相乗りを望んでいるような感じがします。昨日の自民党の代表質問でも、中央の政治を持ち込まず、安定を強調しております。しかし、無風選挙で果たしてよいのでしょうか。無風選挙は選ばれる側の論理で、選ぶ側、つまり都民には選択の余地は与えられません。  確かに、四年前の選挙は、中央の政治が持ち込まれ、ネガティブキャンペーンに終始した感もあり、地方自治の点からも、好ましからざることもありましたが、都民にとっては、激しい選挙によるお互いの政策、方法論の違いが都民の前に明らかになり、特に新都庁舎の問題、臨海副都心開発など、激しく論議されたことは有意義なことでありました。都民に大いに都政の関心を喚起させたのであります。ここにいらっしゃる議員諸公も、それぞれの陣営で応援する側として、自分たちの理念、政策を信じ都民に訴えたはずです。それは、都政に活力を与えるためにも、我々議会人の義務であり、仕事であります。あの四年前の選挙は、以前と違って、五五年体制のイデオロギーの対立ではなく、都政を運営する方法論と手法の違いがぶつかり、やがて来る二大政党の新たな枠組みをほうふつさせる選挙でありました。  今回、もう一度選挙によって都政の問題点が浮き彫りになり、山積した問題を抱える都政に関心を持ち、大いに都民が論議をし、そして都民の審判を受けることこそ、議会制民主主義の原点であると思います。また、無風選挙後のオール与党体制も、議会のチェック機能を初め、議会本来の権限が機能するか心配であり、時には政治家として、みずから政策を掲げ、二本の対立軸をもとに激しく戦うことは、都民のため、議会制民主主義のために絶対必要なことであると思いますが、いかがでありましょうか。  たとえ、今回の後継者指名が、鈴木俊一氏個人の思い入れであったとしても、今後記事がひとり歩きをし、あの財政破綻寸前の美濃部都政から財政を再建した、そしてまた数々の実績を上げた権威ある鈴木都知事の後継者は石原官房副長官だと、この時期に既に決まったような印象を与え、候補者として他を圧倒し、政策と政策がぶつかり合う二本の対立軸のもとでの選挙の余地はなくなる可能性があり、選挙自身が無風選挙となることは、結果として都民の選択肢を奪うことになり、問題はありはしないかと思うのです。この時期、このような形で自分の去就を発表した真意を、知事ご本人からの答弁として、明快にお聞きいたしたいと思います。
     続いて、ごみの減量化と再利用についてお尋ねいたします。  都は、かねてよりごみの減量化、または資源循環型のごみ処理体制を理想として取り組んできたはずです。今定例会の知事発言でも、七月の清掃審議会の中間答申について報告がありました。ごみ減量化の具体策について、生産者、流通、販売業者による取り組みの促進、技術開発など、貴重な提言があったとし、また、年内にも最終答申をいただき、ごみの減量化を推進する施策にも、一層強化していくとの報告がありました。  しかし、知事発言の中に、消費者並びに住民という言葉が出てきていないのはなぜでしょうか。一層の減量化は、発生源でごみを減らす方式が重要であり、これまでの住民のライフスタイルの変更や意識の変革こそが絶対に必要であります。にもかかわらず、ごみ問題に関して東京都は、今まで清掃事業の移管に伴う法的な問題や、都と自治体との、また労働組合との話し合い、つまりお互いの立場上の主張に終始し、議論の中心も、最終処分場や清掃工場、清掃車の駐車場など、ハード中心に終始してきました。車内中づりのごみ移管に関する広告などを見ても、住民不在で、一般区民などにはとても理解のできるものにはほど遠いものであります。  私たち新生・友愛クラブは、本来、二十三区への事務移管は、区の自治権拡充だけでなく、より身近な自治体で、より地元住民との深いかかわりの中で、意識改革を持って知恵を出し合い、資源循環型、環境保護的なごみの減量に努めるためのものとして支持をしてきたのであります。  発生源でのごみ減量化を進めるためには、より地域に密着した取り組みが必要であり、東京都においても、将来の清掃事業の区移管もにらんで、減量、リサイクルにかかわる新しい技術について、猛烈な意欲を持って調査、研究、評価し、その成果を区に引き継いでいくこと、つまりハードの移管からソフトの移管が重要な課題と思います。この際、少しでも可能性があれば、意欲的に研究する姿勢が欲しいのであります。  我が会派でも、現在、ごみ減量、リサイクルに関して多くの技術を調査し、研究をいたしております。一例を挙げれば、生ごみの資源化に関し、いわゆるEM菌などの微生物を用いた方法があり、岐阜の可児市、香川の高松市などが大変大きな成果を上げています。  清掃審議会中間答申にもあるように、東京都においては、生ごみについてはほとんど資源化がされていないとの報告があり、大規模施設内の食堂や飲食店などの生ごみの減量化、資源化は、事業系ごみの減量化のかぎであるともいっています。  以上のことからも、我々は、特にEMなどの微生物を利用した生ごみ処理に注目し、調査を続けてきました。この場では、時間の関係もあるので、その調査結果の詳細な報告は別の機会としても、要点だけを申し上げると、EMとは、約八十種類の微生物から成る溶液で、実際の生ごみ処理には、ぼかしといわれるEMをもとにつくられた粉末状のものが用いられます。このぼかしを生ごみに振りかけることにより、中の微生物が、アンモニア、メタンガス等の汚染物質をアミノ酸や有機酸など動植物の栄養素に分解し、生ごみを良質な肥料へと変えるのであります。  EMがすぐれている理由は、一つに、生ごみであったものが肥料として再利用され、後に、有機農産物として消費者の口に戻るという循環、つまりリサイクルが住民生活の中で行われること。二つ目に、コンポストによってつくられた良質の肥料を農村部へ提供することにより、安価な有機野菜を都市部に供給できること。もちろん、このシステムを実現するには、採算性などいまだクリアすべき問題がたくさんありますが、都市と地方間とのリサイクルの有効性を考えると、実験、研究に値するものであります。  このような方法は一例であり、ほかにも各家電メーカーで開発が進んでいる事業用のコンポスターや生ごみ処理器など、いまだ減量、資源化には多くの研究の余地が残されています。  今日、ごみ問題及び環境問題は、さまざまな社会問題と複雑に絡み合っているだけに、大都市問題の中でも最も困難なものであり、また根幹をなす問題であります。それだけに、東京都が今まで同様に清掃工場、最終処分場を初め、ハードばかりの論議に終始するならば、ごみ問題の根本的な解決は望めないのであります。  清掃事業区移管についても、清掃工場などの施設の引き継ぎ同様に、調査研究の成果や管理運営などのノウハウ、つまりソフトの引き継ぎ、真に住民と向き合い、知恵を出し合った施策こそが、移管に当たっては最重要課題と考えますが、知事のご所見を伺います。  以上です。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 中山議員の一般質問にお答えいたします。  まず、都知事選挙と私の進退についてのお尋ねであります。  私は、かねがね自分の進退につきましては、現在編成作業中の平成七年度予算や長期展望の策定など、都政の重要案件について見通しを立てた上、まず第一に、都議会の場で私の意見を申し上げるつもりでおりました。  ただいまは、都知事選挙のあり方などにつきまして、るるご高見を承りましたが、私としては、大きな関心を持って拝聴させていただきました。  次に、清掃事業の区移管についてのお尋ねであります。  ごみの減量、資源化を推進するためには、ご指摘のように、技術開発の動向やその活用方法を探るとともに、都民の意識を変革することが重要であります。区移管後、特別区が清掃事業を円滑に実施するためには、都が移管の前の段階から、地域の実情に応じたごみ減量、資源化のソフトの施策を充実するとともに、厳しいごみ問題の現状を踏まえ、レジ袋の使用抑制など、東京独自のルールや手法を積極的に展開し、その成果を引き継いでいく必要があると考えております。      ───────────── ◯議長(奥山則男君) 四十八番小林多門君。    〔四十八番小林多門君登壇〕 ◯四十八番(小林多門君) 通産省、資源エネルギー庁長官の私的懇談会のサマータイム制度懇談会は、去る七月の最終報告で、日照時間の長い四月初旬から九月末までの半年間、時計の針を一時間進める、いわゆるサマータイム制度を九六年度までに導入することを提言いたしました。現在、サマータイムは、世界七十三カ国で実施されており、北緯三十度以北の先進国で実施されていないのは、韓国、アフガニスタン、そして我が日本であるといわれております。漏れ承りますと、政府は、国民への周知活動を経て、来年度までに法案提出を目指すと極めて積極的であるとのことであります。  そこで、何点かお伺いをいたします。  第一点は、仮に、我が国でサマータイムを導入した場合、年間、原油並びに円に換算して、どのくらいのエネルギー節約効果があるのか、お伺いをいたします。  第二点は、国民生活及び都民生活に与える内需拡大効果を初めとするメリット、あるいはデメリットはどのようなものが考えられ、円に換算すると、どのような数字になるか、お尋ねをいたしたいと思います。  第三点は、我が国で、近い将来サマータイム制度を導入する場合には、政府は、恐らく各地方自治体や経済、労働団体等の意見を聞き、法案の作成に当たられるものと思いますので、都庁舎を初め、膨大なエネルギーを消費する我が東京都においては、いち早く各界各層の代表者から成る、例えば東京都サマータイム制度懇談会、あるいはサマータイム検討会なるものを設けて、その準備に取りかかる必要があると思いますが、知事のご所見をお聞かせをいただきたいと思います。  次に、医療行政についてお伺いをいたします。  八王子市における総合病院の誘致についてであります。私は、過去の本会議において、都民の最大関心事の一つでもあり、都民が安心して生活を送るために不可欠な施設として、医療施設の整備充実を再三訴え続けてまいりました。しかし、都民生活の実態を見るとき、残念ながら多摩都民の期待には十分こたえられていないと申し上げざるを得ないのであります。  現在、八王子市においては、中央高速道八王子インターチェンジの近くに総合病院を建設するために、用地も既に確保し、都立病院、もしくは大学病院を誘致したいとの計画を持っております。  そこで私は、この八王子市の病院計画に関連して、都立八王子小児病院の整備拡充問題について、一つの提案をしながら質問を進めてみたいと思います。  それは、八王子市の病院計画と都立八王子小児病院の移転拡充を一挙に実現させるために、この両者を併合して考えられないかということであります。つまり、地元八王子市と都が連携して、例えば、現在の都立八王子小児病院をも取り込んで、総合病院として整備することができないかということであります。  知事は、都立八王子小児病院に関する私の本会議での質問に対し、近年の少産傾向等の状況を踏まえ、小児専門病院及び総合病院小児科のあり方、並びに民間医療機関との連携など、都立病院の小児医療について総合的に検討してまいりたいと答弁をされております。このことは、まさに私の提案する総合病院小児科の実現であり、小児救急医療体制の充実にもつながるものであります。  私は、この際、多摩出身知事として、三百六十五万多摩都民の要望と期待にこたえていただきたいのでありますが、知事のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。  次に、病院内学級の増設についてお伺いをいたします。  昨年三月、私は、この壇上で、都立八王子小児病院長期入院児童生徒の学習体制について要望をいたしました。一年後のことしの四月、同病院には、小学生、中学生それぞれの病院内学級が開設され、大きな成果を上げておりますことは、打てば響くような、知事を初め関係者のご努力に対し、心から敬意と感謝を申し上げるものであります。  しかし、教育関係者の話によりますと、現在、この広い国際都市東京において、病院内学級を設置しているところは、二十三区においては、都立梅ケ丘病院の一院のみで、多摩地域にあっても、武蔵野日赤病院日野市立病院、そして都立八王子小児病院のたった三院だけであります。  私は、このような病院内学級は、児童生徒や保護者の願いにこたえるためにも、なお一層の拡充が必要だと思いますが、教育長の前向きの答弁を期待するものであります。  あわせて、この問題について、国はどのように考えているのか、お聞かせをいただきたいと思います。  次に、多摩ニュータウン内にある百貨店柚木そごうの撤退問題についてお伺いをいたします。  平成四年六月、多摩ニュータウン西部地区の住民にとっては、文字どおり、一日千秋の思いで待ちに待った、待望の大型商業施設、百貨店柚木そごうが華々しく営業開始、オーナーである株式会社多摩ニュータウン開発センターも、あたかもおとぎの国でもできたかのように大々的にPR紙を発行したのであります。  しかし、あれからわずか二年後の去る九月一日、百貨店柚木そごう、「事実上の撤退」と、大きな見出しで新聞報道されました。私は、もしこれが事実とするならば、まことに残念なことであり、極めて重要問題であろうと思うのであります。これらの事実関係について、まず、ご説明を願いたいのであります。  次に、仮に柚木そごうが撤退ということになりますと、多摩ニュータウン西部地区の住民にとっては、まさにやみ夜にともしびを失ったような思いであり、オーナーの株式会社多摩ニュータウン開発センターにとっても、経営基盤を揺るがしかねない大問題となることは、容易に想像できるのであります。  そこで、何点かお伺いをいたします。  第一点は、株式会社多摩ニュータウン開発センターの設立目的はどこにあったのか、都や同開発センターの経営見通しに甘さがあったのではないか、第二点は、柚木そごうの撤退理由はどこにあったのか、第三点は、同開発センターと柚木そごうとの契約期間、契約面積、月額家賃、撤退に当たっての協議事項についてお聞かせをいただきたいと思います。第四点は、何とか話し合いで、円満に柚木そごうの営業継続という方法は考えられないものかどうか、第五点は、仮に柚木そごうが撤退ということになると、その後の核テナントの進出は考えられるのかどうか、これらの問題について、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。あわせて、知事のご所見をお伺いをいたしたいと思います。  次に、川口リサーチパークの建設についてお伺いをいたします。  一九八五年七月、国は、首都改造計画で八王子市を業務核都市に指定、翌年の八六年十一月、東京都は、第二次東京都長期計画で多摩の心に位置づけ、八九年四月、八王子市は、八王子21プランで、先端技術産業の研究開発機能を誘導した工業団地、いわゆる川口リサーチパークの建設を発表いたしました。  しかし、本年七月二十一日、住宅・都市整備公団と川口地区オオタカ生態調査検討会は、川口リサーチパークの造成予定地内で、オオタカのひな、三羽が巣立ったことを確認したとの中間報告を明らかにいたしました。  そこでお伺いをいたします。  第一点は、昨年四月、国は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律を施行し、オオタカは、その貴重種、いわゆる保護鳥に指定されました。開発か自然保護かの論議がされる中、知事は、このオオタカの保護に向けて、国や八王子市に積極的に働きかけられ、保護政策をとるべきであると思いますが、ご所見を賜りたいと思います。  第二点は、川口リサーチパークの建設は、先ほど私が申し上げたように、いわゆるバブル経済崩壊前に、国、東京都、八王子市が協議して計画したものであり、先ほどの柚木そごうの撤退問題を見るまでもなく、現在の内外の経済情勢は大きく変化をしており、極めて深刻であります。私は、この際、改めて関係者で十分調査、検討し、計画の見直しをする必要があるのではないかと思いますが、知事のご所見を賜りたいのであります。  次に、温泉法改正と、八王子温泉福々の湯についてであります。  去る五月二十三日、多摩ニュータウンにほど近い、八王子市上柚木で、いろり焼き、ひな鳥山を経営する高橋一成社長が、三十年来の夢がかない、四十度を超える温泉を掘り当てたと、NHKを初め民間テレビ各局も、先を争うように一斉に放映し、五大新聞各社も筆をそろえて、「八王子に温泉が出た『肌ツルツル』都内最高の泉質」と、大きな見出しで大々的に報道されたのであります。  ことしの夏は、猛暑のせいであったからでしょうか、それとも何か特別の理由があったからでしょうか、なぜか異常に疲れた私は、去る八月十五日の終戦記念日の午後、親しい友人に誘われるままに、疲れた心、疲れた体をいやそうと、バスタオルと浴衣を小わきに抱えて、八王子温泉福々の湯と命名された、ひな鳥山へ車を走らせました。  オーナーの高橋社長は、突然の訪問に、おえびす様のような笑顔で迎えていただき、ようこそお越しをいただきました、それでは早速ご案内いたしましょうと足早に案内されたところは、何と二十メートル四方に青いコンクリートが打たれ、その真ん中に直径約二十五センチほどの丸太のような鉄管が一本立っているだけでありました。私が思わず、社長、温泉はどちらでしょうかと尋ねると、いや、まだ千五百メートル下の地下なんです、東京都から正式に許可をいただかなければ、ただの一滴の温泉も出すわけにはいかないんですと、高橋社長のやりきれない複雑な胸の内が伝わってくるような説明でありました。  そこでお伺いをいたします。  第一点は、オーナーである高橋一成氏が東京都に掘削の申請をされてから、去る五月二十三日、温泉が出るまでとられた法手続と、それに要した期間をお聞かせをいただきたいと思います。  第二点は、東京都から正式な許可がおりるまでには、これからどのような法手続と期間が必要なのか、お伺いをいたします。  第三点は、この機会に、八王子温泉福々の湯の温泉分析結果、いわゆる泉温、湧出量、成分、効能等をご説明願いたいと思います。  第四点は、温泉を掘るには、温泉法という法律があり、その許可が必要であることは、法治国家の我が国においては、至極当然とは思いますが、高橋さんのように、掘削のためのすべての法手続を終え、一億五千万円余の財産をなげうつ覚悟で、文字どおり命がけでようやく掘り当てた温泉を、三カ月たっても、四カ月たっても、まだ使ってはいけない、まだ使ってはいけないという法律があるとするならば、これはまさに前近代的な法律であり、宇宙時代にふさわしくない規制法であると思うのであります。  現在の温泉法は、十年一昔という言葉が生まれた時代の昭和二十三年七月に施行されたものであり、残念ながら、スピード時代にマッチした法律、条文になっておらないのであります。  私は、特に第二十条は、国に働きかけ、早急に見直し、温泉法そのものも、もう少しスピーディーに許可できるよう改正する必要があると思いますが、知事のご所見をお伺いして、質問を終わります。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 小林議員の一般質問にお答えいたします。  まず、サマータイムについてのお尋ねであります。  サマータイム制度は、現在、通産省において、導入に向けての検討を行っているところであり、都といたしましても、実施された場合の都民生活への影響や都の諸施設の対応など、研究する課題があると考えますので、国の動向等を見きわめつつ、ご指摘の点も踏まえ、今後、十分検討してまいります。  次に、八王子地域における総合病院の整備についてのお尋ねであります。  八王子市の属する南多摩保健医療圏は、既存病床数が必要病床数を下回る保健医療計画上の病床非過剰地域となっております。  都といたしましては、これまで多摩南部地域病院の建設等、地域医療の確保に努めてきたところでありますが、今後、新たな都立の総合病院を建設することは予定しておらず、このような状況の中で、八王子市が総合病院の誘致計画を立てておられるということは、地域医療を確保する上で極めて有意義なことだと考えております。  地元自治体が、非過剰地域解消のために医療機関の整備に主体的な役割を果たしていく場合、都としても適切な支援策を講ずる必要があると認識しており、今後とも、地元自治体などと緊密な連携を図り、地域医療の確保に努めてまいりたい。  なお、都立八王子小児病院のあり方については、現在、都立病産院小児医療検討委員会において、都立病院と民間医療機関等との小児医療に関する機能連携の進め方も含め、論議しているところであり、ご提案の趣旨をも考慮に入れ、幅広い視点から総合的に十分検討してまいります。  次に、多摩ニュータウンにある百貨店柚木そごうの撤退問題についてのお尋ねであります。  多摩ニュータウンにおいては、多摩の心の一つとして、住宅のほか、商業、業務、文化等、都市施設を積極的に誘致してきたところであります。  このたびの柚木そごうの撤退問題は、百貨店業界の長期的不況を背景とした売り上げ不振に端を発していると思われますが、まちづくりを進める観点からは、極めて残念なことであります。  今後、地域住民に影響がないよう、後継テナントを早急に確保し、地域の利便性、まちの活性化のため、都市機能の充実に全力を傾けてまいりたい。  次に、八王子川口リサーチパーク予定地内のオオタカの保護についてのお尋ねであります。  オオタカは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律において、国内希少野生動植物種として指定されており、捕獲、殺傷が禁止されているものであります。  都としては、開発に当たって、オオタカの保護に十分留意するよう関係者に働きかけてまいります。  八王子川口リサーチパークの建設計画の見直しについてのお尋ねであります。  八王子市は、本年四月に策定した基本計画の中で、先端技術産業等の集積を図る川口リサーチパーク建設事業を推進することといたしております。  また、当事業については、既に都市計画及び環境影響評価の手続が進められているところでありますが、経済情勢の変化など、ご指摘の趣旨を踏まえ、今後、事業関係者間で協議し、適切に対処してまいります。  次に、温泉法に係る許可手続についてのお尋ねであります。  温泉法の目的は、自然資源の一つである温泉を保護し、その利用の適正を図り、もって公共の福祉の増進に寄与することであります。したがって、温泉の掘削などの許可に当たっては、東京都自然環境保全審議会に諮問し、十分な審議を経ることが必要であると考えております。今後とも、事務処理の迅速化に努めるなど、手続に要する期間の短縮に努めてまいります。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔生活文化局長竹尾格君登壇〕 ◯生活文化局長(竹尾格君) サマータイムについてのご質問にお答えいたします。  まず、サマータイム制度導入によりますエネルギー節約効果についてのお尋ねでありますが、資源エネルギー庁長官の私的諮問機関であるサマータイム制度懇談会がことし七月に出した報告書によりますと、サマータイム制度を導入した場合の直接的エネルギーの節約効果につきましては、全国で、原油換算で約五十五万キロリットルと見込まれるとされております。これを仮に一キロリットル当たりの原油価格を一万五百八十円といたしますと、約五十八億円の節約効果となります。  次に、サマータイム制度導入による国民生活及び都民生活に与える影響についてのお尋ねでありますが、サマータイム制度懇談会報告書によれば、サマータイム制度導入によるメリットとしては、日照時間の有効活用を通じて、省エネルギー効果のほかに、勤務時間後の余暇の拡大が期待されるとしております。そして、余暇関連の経済効果につきましては、一兆二千億円程度の内需拡大が見込まれると試算されております。一方、デメリットといたしましては、時間の切りかえによる社会生活の一時的な混乱や、労働強化につながる可能性などが指摘されております。都民生活におきましても、同様のメリット、デメリットがあるものと考えられます。    〔教育長市川芳正君登壇〕 ◯教育長(市川芳正君) 病院に長期に入院している児童生徒のための病院内学級の拡充についてのお尋ねでございます。  都教育委員会といたしましても、長期に入院している児童生徒に教育の機会を保障することは重要なことと考えておりまして、本年度、学識経験者、教育、医療関係者から成る病院内教育等検討委員会を設けまして、病院入院児等の教育的課題について、検討を進めているところでございます。  ご指摘の病院内教育の充実の問題につきましては、この検討結果を踏まえまして、区市町村教育委員会や医療機関と連携を図りながら、今後とも努力してまいりたいと存じます。  また、この問題についての国の動向でございますが、国におきましても、現在、病気療養児の教育に関する調査研究協力者会議を設置いたしまして、これらの教育のあり方について検討しているところでございます。    〔多摩都市整備本部長石橋清治君登壇〕 ◯多摩都市整備本部長(石橋清治君) 多摩ニュータウン西部地区柚木そごうに関する五つのお尋ねにお答えいたします。  まず、株式会社多摩ニュータウン開発センターの設立目的及び経営見通しについてであります。  都が施行する多摩ニュータウン西部地区の本格的な開発に伴い、多摩ニュータウンの自立化、活性化を図るため、商業・業務施設等を建設し、運営する事業主体として、この会社を設立いたしました。会社経営に当たっては、多摩ニュータウン開発事業の進捗状況と長期的見通しのもとに施設整備を行ってきましたが、主要な核テナントである柚木そごうの撤退問題が生じ、このため、今後の経営計画について再検討を進めているところであります。  次に、柚木そごうの撤退理由についてでありますが、百貨店業界における長期的不況を背景とした売上不振と、あわせて、そごうグループにおける経営計画の一環によるものと聞いております。  第三点は、柚木そごうとの主な契約内容であります。
     賃貸借の契約期間は開店日から二十年間、面積は約二万四千平方メートル、月額賃料は約四千六百六十万円であります。  四点目は、柚木そごうの経営継続についてであります。  これまで営業が継続できる条件等について精力的に協議を進めてきたところであります。しかしながら、柚木そごうからは、ここ二年間の売上実績に基づき、これ以上の営業継続は極めて困難であり、十月三日をもって店舗を閉鎖したいという申し出がありました。  最後に、柚木そごうが仮に撤退した場合の対応についてのお尋ねでありますが、後継テナントとして大型商業施設を確保することは、百貨店業界等の現状から見て難しいと思われます。したがって、都としては、現時点において、地域住民の利便性に配慮し、柚木そごうとも協議しながら、食料品、家具等の専門店を対象に出店要請を鋭意進めているところであります。    〔衛生局長渡辺能持君登壇〕 ◯衛生局長(渡辺能持君) 温泉にかかわります三点の質問にお答えを申し上げます。  まず、温泉法に基づく温泉掘削許可申請が出されましてから許可されるまでの法手続と、それに要した期間に関するお尋ねでございますが、お話の温泉につきましては、平成五年六月十四日に温泉法に基づきます土地の掘削許可申請書を受理し、六月二十二日に東京都自然環境保全審議会に諮問したところでございます。その後、同審議会の温泉部会の審議を経、九月九日の自然環境保全審議会での許可相当との答申に基づき、平成五年九月十六日に温泉掘削許可を行ったところであり、申請受理から許可までに要した期間は、約三カ月でございます。  次に、その後の法手続と期間についてのお尋ねでございますが、掘削の許可の後、九カ月ほどを経まして、平成六年六月末、温泉の湧出が確認されたものでございます。その後、七月二十六日に動力装置の設置許可申請書が提出されまして、八月二十二日に審議会に諮問し、九月十三日の温泉部会で審議されたところでございます。今後、十月四日に開催が予定されております審議会の答申を受けて、許可等の処分をいたすこととなります。  最後に、当該温泉の成分等についてのお尋ねでございますが、泉温は摂氏四十一・三度、湧出量は一分間当たり百七十五リットル、泉質はナトリウム塩化物・炭酸水素塩温泉、また、浴用の適応症といたしましては、神経痛、筋肉痛等でございます。      ───────────── ◯議長(奥山則男君) 六十四番岩舘衛君。    〔六十四番岩舘衛君登壇〕    〔議長退席、副議長着席〕 ◯六十四番(岩舘衛君) まず、新海面処分場の問題と清掃事業について伺います。  新海面処分場については、現在、環境影響評価手続が進められ、平成八年には供用開始の予定ということです。今後のスケジュールの中で最大の課題ともいうべき地元区の意見を求める点、また千葉県との都県境問題について伺います。  まず、地元区の了解については、知事はこれまで、全庁挙げて取り組み、理解を得られるよう努力すると再三答弁しております。また、検疫錨地の移転も千葉県と交渉を続けているわけですが、いずれも解決を見ないでいると聞きますが、今日の時点でどのような状況にあるのでしょうか。さらに、新海面処分場の供用開始が平成八年を前提とするならば、埋立免許申請の提出タイムリミットはいつなのでしょうか。恐らくあと二、三カ月というわずかな期間しか残されていないのではないかと考えます。いずれも長年にわたり努力を続けてきて理解が得られなかったという経緯があるだけに厳しい状況と考えます。知事のご所見を伺います。  次に、中央防波堤外側処分場の安全性について伺います。  最近のマスコミ報道によれば、処分場の護岸にひびが入ったり、汚水が海域に漏れているのではないかと報道されましたが、汚水漏れと護岸の実態について伺います。  この護岸は、相当堅固につくられていても、当初の埋立予定量以上のごみが搬入された経過もあり、そのための圧力によって護岸の亀裂のおそれはないのか、厳重に護岸の安全性についてチェックする必要があると考えます。また、この護岸を築造してからの年数に比例して管理を強化すべきではないのかと考えますが、ご所見を伺います。  次に、清掃事業移管の都区合意内容について伺います。  まず第一に、新海面処分場の供用開始、平成八年予定がおくれた場合、区側の合意に足並みの乱れが生ずるおそれはないのかという懸念があります。今回の合意は、処理、処分までの移管であり、平成八年供用開始が前提の合意ですから、区側にとって処分先が決まらないままでは、移管そのものに合意できない条件となってしまう。また、移管時期の後退すら予測されますが、ご所見を伺います。  第二に、区間対立のないよう都側の調整について伺います。  まず、移管時に清掃工場未整備の区は余裕のある隣接区と協定の上、可燃ごみを処分するとなっておりますが、どの区とどの区が処理協定するのかは検討課題として残されております。  また、不燃ごみの中間処理施設は、都には今後二カ所の新設計画があっても、区側においては計画を持たない区もあるという実情です。こうした不安材料を残したままの合意ではスムーズな移管がなされないばかりか、逆に二十三区相互のごみ戦争にもなりかねません。都としては一層きめ細かな調整を行うべきではないかと考えますが、知事のご所見を伺います。  次に、清掃事業の中間処理施設と、リサイクルの推進について伺います。  現在、中防と京浜島の二カ所に処理施設が建設中ですが、今後の区移管を考えますと、現清掃工場に併設してこの施設を建設、また、工場のない区にも中間処理施設だけは計画されなければならないと考えますが、いかがでしょうか。  また、リサイクルについては平成四年よりごみ排出量が減少傾向となったことは関係者の努力に敬意を表するところであります。しかしながら、リサイクルの現状は、都が推進を始めてから十年以上になりますが、ごくわずかであります。品川、足立区等の実績努力を高く評価いたしますものの、全量からは微々たるものではないでしょうか。  そこで、ごみ減量化行動計画等がかけ声だけで終わることのないよう実効性のある対策として、第一に、資源ごみの分別すべき種類の統一と分別回収制度の条例化、第二には、製造販売事業者の自主回収制度と無回収製品の再利用への開発可能を義務づける、第三に、回収された資源が、再生品化、販売、需要までの各段階での着実な取り組み等が、基本となる決め手ではないかと考えますが、ご所見を伺います。  次は、ごみ処理手数料について伺います。  このたび清掃審議会答申に基づき、事業系ごみの有料化が検討されていると聞きますが、有料化の意義について伺います。  また現在、都が処理するごみのうち約六割が事業系ごみで、都が収集している事業系ごみの九割が無料で収集されていると聞きます。ごみ量、コストともに全国一高い東京では、ごみ減量の最も有効な施策は、事業系ごみの全面有料化であり、その早期実現が強く求められていると思いますが、ご所見を伺います。  次に、世界都市博覧会と臨海開発関係について伺います。  世界博の事業ガイドを見ますと、展示内容など大分わかりやすくなってきたようです。ところで、前売り券の出展企業割り当てについての報道がありましたが、それはそれとして、集客性を高めるため、一層の創意工夫が大事であります。二百日で二千万人を集めるためには、希少動物カモノハシ以外にも内外より宝物ともいうべきものを誘致するなど、目玉事業の充実が重要と考えますが、いかがでしょうか。  また、展示施設パビリオンは会期終了後にすべて取り壊されると聞いておりますが、でき得る限り存続利用が図られないものでしょうか。例えば、横浜博の場合、アミューズメント施設は会期後も利用され、みなとみらいをにぎわしております。世界博のこの場所が都民に残された貴重な水辺空間のまちであれば、会期後の副都心のにぎわいを創出する観点から、土地利用が図られるまで有効活用する方策を検討すべきであると考えますが、ご所見を伺います。  次に、臨海部に導入される新交通システムの延長について伺います。  過日、新車両の試乗式が行われ、フロンティア開催までに開通の運びとなったことを高く評価するものであります。この新交通システムは、昭和五十七年の第一定において、私が導入の提案を行ったのでありますが、多くの都民がスポーツ・レクリエーション等で、埋立地が活用されるための交通機関として推進された経過があります。そうした立場からも、この路線の延長を主張するものであります。具体的には、乗車効率と採算の上からも、ひとまず豊洲駅までの免許取得を申請すべきではないかと考えるのでありますが、ご所見を伺います。  次に、臨海副都心の隣接地にある辰巳の森海浜公園の整備について伺います。  この公園は、このたび国際水泳場などが整備され、水域を含め四十四ヘクタールあると聞きますが、水域部分が未整備であります。ここは砂浜、磯浜などの自然環境の回復を図るべきではないかと考えます。また、貯木場としての機能を廃止するためのいかだ関連業者との調整について、どのような状況にあるかをあわせてお答えください。  次に、下水道事業としての江東・墨田デルタ地帯の浸水対策について伺います。  ここ数年、神田川を中心に床上浸水等の被害が多発しておりますが、これに対して東部地域は、大雨がなかったことから、幸いにして近年は浸水被害は出ていない状況にあります。しかし、この地域は低地帯のため、一度浸水が発生すると多大な被害が予想される危険地帯であります。そこで、この地域の浸水対策について、どのような計画を持っておられるのか。また、昭和五十八年に江東、墨田両区にまたがる新大橋通りを中心に大変な被害に遭ったことから、その対策として仮排水機場の設置など応急工事が実施されたが、抜本策としての両国ポンプ所等の整備の進捗状況はどのようになっているのか、また、この地域の浸水対策を早急に行うべきではないかと考えますが、ご所見を伺います。  次に、合流方式についてでありますが、多量の降雨の際には、汚水と雨水が混合して河川などに入り、公共用水域の水質保全に悪影響を与えております。そこで、合流式下水道の改善事業に取り組んでいると聞きますが、その改善策と効果及び進捗状況について伺います。  内河川のある地域では快適な水辺環境の創出を求める声が強く、これに向けた一日も早い事業促進をお願いするところでございます。  次に、隅田川の環境整備について伺います。  緩傾斜型堤防が推進され、川べりを散策することのできるテラスも両岸で十四キロメートルの完成を見ております。また、水辺ラインの運航、著名橋ライトアップ等、こうした環境整備の施策を高く評価するものでありますが、せっかく完成したテラスの脇にはしけや回漕船がいまだに係留されております。景観にそぐわないばかりか、付近住民より係留取り締まりの要望も提出されておりますが、これらの船舶の係留について結論を出す時期ではないかと考えます。また、隅田川両岸の一般道からテラスへの案内標示板を適所に設置して、都民の水辺散策と憩いに多く活用されるよう望むものでありますが、ご所見を伺います。  次に、江東区内の都立公園について伺います。  夢の島公園東側地区の全面的改修計画があると聞きますが、再整備に当たっては、野外ステージ、フィールドアスレチックのほか、多様な利用にこたえられるよう、多目的広場を中心とした考え方で整備されるよう望むものであります。また、木場公園に都市緑化植物園の計画についてでありますが、この植物園が、東京の都市緑化推進の役割を果たす意味での総合緑化の可能な限りの植栽形態、例えば道路緑化の多様な事例や、壁面緑化、屋上緑化、河川堤防の植栽などの事例を取り入れた植物園の創出を考えるのでありますが、ご所見を伺います。  質問の最後に、放射一六号線都道建設と撤去予定の都営住宅について伺います。  この路線は、二十年以上の長きにわたり待たれた都市計画路線でありますが、この路線の出発点にある南砂三丁目のアパートの四棟は、現在、建築後三十九年になります。十年前より雨漏り等の老朽化が始まったわけでありますが、住民は、これが撤去となれば一括移転できるからと、補修工事で我慢を続けてきたわけであります。ところが現在は、水道管の腐食による赤水は、躯体構造上の大改修でなければ改善されないという状況で、居住者の方々は困り果てております。早急に改修を行うか、または移転あっせんの善処方を強く求める次第であります。  また、この都道建設は、環状四号線の拡幅、南砂駅付近の整備、老健施設の建築等、多くの事業が関連するため、早期事業化を望むものでありますが、ご所見を伺いまして、質問を終わります。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 岩舘議員の一般質問にお答えいたします。  まず、新海面処分場整備にかかわる地元区及び千葉県との協議状況等についてのお尋ねであります。  まず、地元区に対しましては、都としてこれまで、新海面処分場の必要性について、機会あるごとに説明をしてきましたが、今後も引き続き理解が得られるよう、なお一層の努力をしてまいります。  また、千葉県との協議状況についてでありますが、新海面処分場予定水域は、検疫錨地等として利用されており、新海面処分場の整備のためには、代替水域の確保が必要であります。このため、新海面処分場整備の重要性、緊急性にかんがみ、港域の拡張により事業の進展が図られるよう、鋭意協議を行っているところであります。  次に、埋立免許の申請時期についてでありますが、新海面処分場は平成八年中には供用開始の予定でありますので、平成六年中には公有水面埋立免許の申請を行う必要があります。  次に、新海面処分場整備にかかわる厳しい状況をどう考えるかとのお尋ねであります。  新海面処分場の整備につきましては、関係者等との調整や、事業実施にかかわる法令上の手続に要する期間等を考えますと、ご指摘のとおり極めて厳しい状況にあります。しかしながら、新海面処分場の整備事業は、大都市東京の都民生活、都市活動を支えていく上で極めて重要な施策でありますので、国及び関係機関を初め関係者のご理解をいただき、計画どおり事業が実施できるよう最善を尽くしてまいります。  次に、都区制度改革について、清掃事業の移管に関する特別区側の合意と、新海面処分場の供用開始時期との関係についてのお尋ねであります。  新海面処分場については、平成八年の供用開始に向けて、関係者及び関係機関が、現在最大限の努力をしているところであり、清掃事業の移管に支障が生じることはないと考えております。  次に、清掃事業の区間調整に関するお尋ねであります。  特別区が清掃事業を行うに当たっては、各区の円滑な事業の執行を図るため、地方自治法に基づく協議会を設置し、可燃ごみの地域処理に関する調整を行うことといたしております。また、不燃ごみについては、施設が少なく偏在しているため、一部事務組合を設置し、共同処理を行うことといたしております。今後、移管時までに具体的な運営のあり方について、都区間できめ細かな調整を行い、支障のないよう対応してまいります。  また、事業系ごみの有料化についてのお尋ねであります。  事業系ごみは、区部におけるごみ量全体の約六割を占めており、その減量対策は、清掃事業の重要な課題と認識いたしております。東京都清掃審議会の中間答申において、事業系ごみの減量化を図るためには、事業者処理責任の原則を徹底し、早急に全面有料化を進めるべきであると提言されております。事業系ごみの有料化は、ごみ処理に関するコスト意識を醸成するとともに、負担の公平性を確保し、ごみの排出抑制や再利用を促進するなど、減量化への効果的な方策であり、今後の東京のごみ問題を解決する上で重要な意義を持つものと考えます。都といたしましては、この答申を十分尊重し、事業系ごみの有料化について速やかに対応してまいります。  なお、その他のご質問につきましては、東京都技監及び関係局長から答弁申し上げます。    〔東京都技監村田恒雄君登壇〕 ◯東京都技監(村田恒雄君) 下水道事業における江東・墨田デルタ地帯の浸水対策についてのお尋ねでございます。  当地域は低地帯であることから、雨水はすべてポンプにより強制的に公共用水域に排出しております。一方、これらの状況に加え、近年の都市化の進展により、雨水流出量が増大していることから、現在これに対処すべく、下水道幹線十七幹線、ポンプ所四カ所など基幹施設の能力増強を図っているところでございます。今後は、都の総合治水対策における目標値であります一時間七五ミリの降雨に対応できるよう検討してまいりたいと思っております。  次に、両国ポンプ所等の進捗状況と、江東区、墨田区にまたがる新大橋通り付近の浸水対策についてのお尋ねでございます。  両国ポンプ所につきましては、周辺施設等による厳しい工事施工上の制約から、その完成には長時間を要しているところでございます。一方、両国ポンプ所に流入いたします両国幹線につきましては、現在鋭意工事を進めておりまして、平成八年度には完成する予定でございます。  このようなことから、お尋ねの新大橋通り付近については、両国ポンプ所が完成するまでの間、両国幹線を暫定的な雨水貯留管として活用することにより、早期に浸水対策の効果が上げられるよう努力する考えでございます。  次に、合流式下水道についてのお尋ねでございます。  まず、合流式下水道の改善策といたしましては、処理場へ導く雨天時の下水量を、これまでの晴天時の汚水量の二倍量から三倍量に引き上げるため、管渠やポンプ所の能力増強を図っておりますが、さらに降雨時の初期雨水を貯留する施設や、これを簡易処理する施設の建設を現在進めているところでございます。合流式下水道は、これらの改善策を実施することによりまして、大幅な水質保全効果が期待できるものでございます。  次に、この事業の進捗状況についてでございますが、平成五年度末で、幹線管渠百六キロメートル、貯留施設二十四万立方メートルを整備したところでございます。今後とも快適な水辺環境を創出するため、本事業の一層の推進を図る所存でございます。    〔港湾局長植野正明君登壇〕 ◯港湾局長(植野正明君) 新海面処理場に関連いたしまして、中央防波堤外側廃棄物処理場の護岸の実態につきましてご答弁申し上げます。  外側廃棄物処理場は、鋼管矢板で二十メートルの幅をもって二重に締め切り、その間には土砂を詰め込んでおりますので、海とは完全に遮断されております。また、処理場から生ずる汚水は、排水処理施設に集められ、中間処理した後下水処理場へ送っておりますので、汚水が海に流れることはございません。さらに、護岸のひび割れについてでございますが、このコンクリート部分は、鋼管矢板のさびどめと、海からの波よけのために設けられたものでございまして、直接汚水漏れの原因となることはございません。  次に、護岸の安全性のチェックなどについてのお尋ねでございますが、廃棄物処理場は、護岸に圧力が及ばないように、護岸から百メートル離れたところからごみの埋め立てを行っておりますので、安全性が損なわれることはないと考えております。  なお、今後の安全性のチェックや管理の強化については、ご指摘のとおり、護岸上部のコンクリート部分だけではなく、鋼管矢板の水中部分も含めて健全度の調査を早急に行うとともに、適切な補修計画を立てるなど、護岸管理の強化に努めていく所存でございます。  次に、臨海開発に関連いたしまして、東京臨海新交通の延伸についてのお尋ねでございます。  東京臨海新交通は、現在の終点有明駅から、将来、豊洲、晴海、勝どき方面への延伸を予定しております。ひとまず豊洲駅まで免許申請すべきであるとのご提案につきましては、利用者の利便性や経営採算の上から、事業化の有効な方法として十分考えられますので、今後関係機関と検討してまいりたいと存じます。  次に、辰巳の森海浜公園の水域部分の整備についてのお尋ねでございます。  辰巳の森海浜公園の整備につきましては、陸域の部分は順次整備を進めてきたところでございます。未整備の水域部分につきましては、今後、ご指摘のように、砂浜、磯浜など自然環境の回復が図れるよう、関係者と調整を進め、整備計画の事業化を検討してまいりたいと存じます。  最後に、辰巳の七号地貯木場におけるいかだ関連業者との調整の状況についてのお尋ねでございます。  当水域において海浜の整備事業を推進するためには、貯木場機能の廃止について、関係者との調整が必要でございます。このため、本年二月に、都といかだ関連業者とで構成している貯木場運営協議会におきまして、この水域の整備計画を説明し、その際、貯木場の廃止については、今後同協議会で協議していくこととして、現在調整を進めているところでございます。    〔清掃局長小豆畑孝君登壇〕 ◯清掃局長(小豆畑孝君) 区移管に向けた不燃ごみ中間処理施設の整備についてお答えいたします。  不燃ごみにつきましては、処理施設が極端に少なく、かつ偏在しているため、当分の間、移管時の施設を利用して共同処理することとしております。将来的には、ごみの発生状況、既存施設の耐用年数などを見ながら、清掃工場と同様に各区に施設を整備する必要があると考えております。その際、敷地に余裕のある清掃工場に不燃ごみの中間処理施設を併設することは有効な方策であると思っております。  次に、リサイクル推進に当たっての実効性ある取り組みについてでございます。  都は、オフィスビル等に対する再利用、資源化の指導、再利用しやすい製品を製造するためのガイドラインの作成、回収を促進するためのデポジットモデル事業などに取り組んでいるところでございます。さらに、リサイクルを実効性あるものとするためには、ご提案のように、分別の徹底、事業者による自主回収の促進、再生品の利用促進など積極的に取り組む必要があると考えております。  都としては、今後、生産、流通、消費のすべての段階で、ごみ減量化行動計画を着実に推進するため、都民、事業者と一体となって、ごみの減量化とリサイクルに一層努めてまいります。    〔東京フロンティア推進本部長今沢時雄君登壇〕 ◯東京フロンティア推進本部長(今沢時雄君) 世界都市博覧会についてお答え申し上げます。  まず、出展についてのお尋ねでございます。  世界都市博覧会におきましては、内外諸都市の参加を得て、それぞれの都市の魅力ある文化や都市づくりに関する展示などを展開することとしておりまして、現在、参加招請及び具体的出展内容について協議しているところでございます。世界の諸都市のいわば宝物ともいうべき魅力あふれるものを誘致いたしますことは、各都市の文化を理解する上でも、また、博覧会の集客性を高めます上にも極めて重要でございますので、ご提案を踏まえまして、今後とも積極的に出展要請に努めてまいります。  次に、博覧会施設の有効活用についてのお尋ねでございます。  世界都市博覧会の施設は、国際展示場などの恒久施設を除きまして、博覧会終了後撤去することとしておりますが、ご提案の、臨海副都心のにぎわいを創出する観点からの施設の有効活用につきましては、基盤整備及び処分時期などとの兼ね合いもございますので、十分な調査を行いまして、その可能性について検討してまいりたいと存じます。  以上でございます。    〔建設局長木内孝藏君登壇〕 ◯建設局長(木内孝藏君) 最初に、隅田川におけるはしけ等の係留についてのお尋ねにお答えいたします。  係留の許可を与えておりますご指摘のはしけ等は、河川事業を実施する上でも必要な船舶でございます。一方、近年レジャー用船舶等の係留が急激に増大し、河川の適正な利用を妨げているため、都は現在、国等とその対策を検討しているところであります。はしけ等の係留のあり方については、これらの動向を踏まえるとともに、隅田川沿いの地域特性を考慮し、関係区と調整を図りながら検討してまいります。
     次に、隅田川テラスへの案内表示板の設置についてのお尋ねでございます。  緩傾斜型堤防やテラスは、都民の憩いの場や水辺の散策路として、多くの人々に親しまれております。今後、これらの施設がさらに一層利用されやすくなるよう、関係区とも調整を図り、案内表示板の設置を前向きに検討してまいります。  次に、夢の島公園東側地区の改修計画についてのお尋ねでございます。  現在、西側地区も含め、公園全体の再整備計画を進めているところでございます。その中で、この公園の広大なスペースが、避難広場や種々のイベント空間として有効に機能するとともに、多様なニーズにこたえられるよう、ご指摘の趣旨を踏まえて対応してまいります。  次に、木場公園内に建設予定の都市緑化植物園についてでございます。  この植物園では、都市緑化に関するさまざまな展示を行う計画であり、地下鉄十二号線木場車庫の工事完了を待って、道路緑化、壁面緑化など、ご提案の趣旨を踏まえて整備してまいります。  次に、放射一六号線の整備についてのお尋ねでございます。  この路線は、千代田区大手町から江東区、江戸川区を経て千葉県境に至る延長約十二キロメートルの主要な幹線道路でございます。このうち、ご質問の明治通りから船堀街道までの約二・九キロメートルの区間については、南砂町駅付近のまちづくりにとっても重要な都市計画道路でございます。本区間については、平成五年十二月に都市計画変更を行い、近々現況測量を実施する予定であります。今後とも関係機関と調整を図り、地元住民の理解と協力を得て、できるだけ早い時期に事業に着手してまいりたいと存じております。    〔住宅局長中嶋文雄君登壇〕 ◯住宅局長(中嶋文雄君) 都市計画道路放射一六号線の計画区域内にある都営住宅の修繕等についてのお尋ねにお答え申し上げます。  ご指摘の水道の赤水については、居住者の日常生活に支障を及ぼすものでございますので、今年度、既に屋外給水管の改修に着手しているところでございます。今後、この工事の結果を踏まえまして、必要な屋内給水管等の改修も実施してまいります。      ───────────── ◯副議長(萩谷勝彦君) 四十六番矢部一君。    〔四十六番矢部一君登壇〕    〔副議長退席、議長着席〕 ◯四十六番(矢部一君) まず初めに、都区制度改革についてお尋ねをいたします。  都区制度改革に関する都の最終素案に対し、九月九日には、特別区側から正式回答があったとのことであります。今回の都区合意により、長年にわたる都区の重要課題が大きく前進することを期待するものであります。  ところで、清掃事業の移管に当たっては、都の職員を当初派遣することとしておりますが、この措置は自治権の侵害とはならないのでしょうか。  また、清掃事業の移管は、経過期間五年という法律案になることから、平成七年四月の法改正が危惧され、その実現について、区側から強い要請があったようでありますが、法改正から施行までの経過期間で長期の例はないのでしょうか。また、平成七年四月の法改正の実現の見通しについて、知事にお尋ねをしておきたいと思います。  次に、この七月に、東京都清掃審議会から、ごみ減量化のための方策について中間答申がなされました。答申は、ごみ量の多くを占める事業系ごみについて、事業者の自己処理責任を明確にするとともに、具体的な施策について、事業系ごみの全量早期有料化を取り上げるなど、大胆な取り組みを示唆しております。現処分場の延命化を図り、新海面処分場への埋立処分量を減ずる方策を探ることは、都における緊急の課題であり、ごみ減量を中心に据えた今回の答申は、まことに時宜を得た重要な提言であると考えます。この答申について、都はどのように受けとめているのでしょうか。  最初に、知事に基本的な考え方をお伺いをいたします。  都は、これまで長い間、事業系ごみについて、一部は有料収集してきたものの、大部分を無料で収集してきた経緯があります。また、事業系ごみと家庭系ごみの区分が明確でないということもあり、今回仮に有料化に踏み切った場合には、事業者から強い反発が起こることも予想されます。都は、昨年の袋出し騒動の教訓を生かし、まず何よりも都民の理解と協力を得ることが重要と考えますが、ご所見をお伺いをいたします。  事業系ごみ有料化の具体的実施に当たっては、家庭系ごみとの区別や料金徴収の方法などについて多くの課題があると思われます。今後どのような検討をしていくのか、お伺いをいたします。  年内に最終答申が出されるようでありますが、今後、どのような手順を経て実施することになるのか、また、いつごろを有料化の目途としているのか、お伺いをいたします。  次に、固定資産税についてお伺いをいたします。  平成六年度固定資産税の土地の評価替えの結果、固定資産税評価額は、都内の住宅地の平均で約四・一倍、商業地の平均では約五・七倍に引き上げられたところであり、これは昭和三十九年度の評価替えにおいて、都内平均約七・七倍に引き上げられ、その後六年間評価額が据え置かれたとき以来、実に三十年ぶりの大幅な上昇であります。  しかしながら、これまでの評価替えは、地価が上昇局面において実施されたのに対し、今回の評価替えは、本年一月一日の地価公示価格が都心部商業地を中心として三〇%を超える下落率を示すなど、地価の大幅な下落局面において実施されたものであり、このため固定資産税評価額が地価公示価格を上回ってしまう、いわゆる逆転現象が生じたのであります。  二十三区では、これを不服とする納税者から、これまでの七十倍に当たる二千二百件の審査申し出が出され、その約七割までが都心五区に集中しているのであります。  都心部は、昭和六十年代の地価高騰以降、定住人口が減少し続けておりますが、その中で、建設当初、一階が店舗や事務所であり、大部分が住宅として建設され、その住宅がほとんど区分所有で分譲されたマンションの例を引きたいと思います。  築後徐々に居住者が減り、居住割合に応じて一部住宅用地として課税され、今回の評価替えに際して居住部分が四分の一を割っていると判断されたため、現在でも住宅ローンを払いつつ、実際に住居として使用しているにもかかわらず、非住宅として課税され、課税額が一挙に四倍になってしまった人がいるのであります。都心部に居住する都民にとって、結果として住むことを否定するような税制になっているといわざるを得ないのであります。  さらに、区によっては、住宅附置義務を制度として採用していますが、これらの住宅も全体の面積に対する割合が四分の一未満のときは、区の政策であるにもかかわらず、非住宅の扱いになってしまうという矛盾を秘めているのであります。これらのことについて、まず、知事のお考えをお聞かせをいただきたいと存じます。  次に、昨日公表された基準地価によりますと、その下落率のトップは、渋谷区広尾の商業地、四三・三%とあります。また、今回の不服審査の申し出もトップが渋谷区の六百十五件であり、善良な納税者がこれまでしなければならなかったのはなぜなのか。一物四価論に端を発した評価額の決め方に問題があり、さらに三年に一度の評価替えが地価の下落が進む中で行われたためであります。  そこでお伺いをいたします。  一、三年に一度の評価替えのとき、三十日間しか申し立てができない。今回のように既に逆転現象があり、さらに基準地価の下落傾向が続くときには、毎年審査申し出ができるようにすべきではないか。  二、地方税法上、三十日以内に答弁書が出されるべきであるのに、ほとんどの人がいまだに何の連絡もないのは、公平を欠くのではないか。  三、答弁書を受け取った人には、答弁に対して意見のあるときは一カ月以内に弁駁書を東京都固定資産評価審査委員会に提出するよう求めるとともに、取り下げについても記述があり、さらには取り下げ書が同封されているのは行き過ぎではないか。  四、この審査委員会の人選、あるいは連絡文書のあて先など、審査委員会の審査の中立性に対し、申し出人が誤解を抱きかねないとの指摘がありますが、どうお考えでありましょうか。  以上、四点について、それぞれお答えをお願いを申し上げます。  次に、地方消費税についてお伺いをいたします。  昨日、大蔵大臣、自治大臣の間で、地方消費税の創設について合意がなされました。知事は、税制改革における地方独立税源の充実確保について、国に対し積極的に働きかけてこられましたが、今回の合意をどのように受けとめているのか、ご所見をお伺いをいたします。  次に、環境問題についてお伺いをいたします。  特定フロン等、オゾン層を破壊する物質について、一九九二年のオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第四回締約国会合では、一九九五年末までに全廃することとなっております。  フロンは、この半世紀間、私たちの生活の中のあらゆる分野で使用されてきました。冷蔵庫、冷凍機、エアコン用の冷媒、スプレー、発泡材、半導体や電気部品などの洗浄用溶媒など、私たちの生活の奥深くまで行き渡っており、フロンと決別することは容易ではありません。  都においても、家庭用廃冷蔵庫の冷媒用フロンの回収を行うなど、フロンの排出抑制に努力しているほか、セメント焼成炉によるフロン破壊実験を手がけるなど、破壊技術の開発にも取り組んでおり、その対応については評価するものであります。  セメント焼成炉によるフロン破壊実験は大変よい結果が得られていると聞いていますが、今後、実用化に向けてどのような取り組みをされるのか、お尋ねをしておきます。  しかし、廃冷蔵庫には、冷媒用よりも保温用により多くのフロンが使われているわけでありますし、冷媒用を回収したことは、一歩前進ではありますが、根本解決ではありません。諸外国では丸ごと高温炉にて燃焼破壊をしているようでありますが、都のお考えをお伺いをいたします。  ある大手企業が、その所有車両について、エアコンの冷媒を代替フロンに全部交換した、大変よいことであったわけでありますが、今までのフロンを大気中に放出し、代替フロンを注入したのは問題ではないかとの指摘がありました。企業イメージを先行させた本末転倒の事例ではありますが、笑い話では済まされない現実の問題であります。  ドイツでは、自治体が中心になってフロン回収車を巡回している例もあるようであります。日本における政府の対応が極めて不明確な中、都での限界はあるとしても、最大の消費地として対策を講ずる必要があると考えます。いかがでございましょうか。  次に、未利用エネルギー問題についてお伺いをいたします。  ことしの夏の暑さは、記録的でありました。散歩しているペットの足がやけどをしたというニュースが出るくらいでありますから、極めて大変でありました。この太陽エネルギーを捨てておく手はないのではないでしょうか。  もし日本の全電力需要を太陽電池で賄うとしたら、電気への変換効率を一〇%として計算しても、琵琶湖と同じ面積に敷き詰めればよい計算になるようであります。本当の意味でのクリーンエネルギーに目を向ける必要があると考えます。  太陽エネルギーの発電コストも、八〇年代には一ワット当たり四千円かかっていたものが、九一年には六百三十五円まで下がってきていますし、二十一世紀には今の電力会社の電力価格により近づくであろうと予想されています。各家庭の屋根がわらを太陽電池にかえて、その家庭の電気を賄うというのも夢でなくなりつつあるのであります。  本年より資源エネルギー庁で住宅用太陽光発電システムの普及促進のための予算が計上され、現在、モニター希望者の募集をしているところであります。十三社あるといわれていますが、その各社への問い合わせは数多くに上っているようでありますし、今回のモニター対象が七百件ということ、さらには平均家庭用の三キロワットシステムで六百万円を要し、これに対する補助は一キロワット当たり九十万円にすぎず、また、この経費を回収するには三十年以上かかるという状況であるにもかかわらず、環境を守ることに参加をしたいという意識の高さがうかがえるのであります。  そこで、お尋ねをいたしますが、この通産省の事業に都として援助をする気持ちはないでしょうか。さらに、新築のときに設置をすると割安になるわけでありますけれども、改築をするときには取り入れたいというようなアンケート結果も出ているようであります。そこで、住宅の建設資金融資の中に太陽光発電設備を追加することはできないでありましょうか。さらに、都の施設でも試験的に採用されていますが、その動向と今後の普及についてのお考えをお伺いをいたします。  ここ十年近く、年に二、三回発生する集中豪雨により神田川流域において水害が発生しております。とりわけ下水道、十二社幹線の排水地域では甚大な浸水被害をこうむっております。この地域における総合的治水対策として、都においては、神田川の護岸整備を初め、環状七号線の地下調節池、さらには第二・十二社幹線の整備を、また、区においても、各地に雨水貯留施設や雨水浸透施設の整備など、これまで対策が講じられてまいりましたが、ことしも既に二回の浸水があったわけであります。集中豪雨のシーズンともなりますと、おちおち家を留守にすることができないという人もおります。浸水の中を見上げると、そこに都庁舎が目前に迫っている、何とも不つり合いな光景であります。一日も早い解決を願う立場から、何点か質問をいたします。  まず、環状七号線の地下調節池事業のシールド工事が終わったと聞いておりますが、この事業の進捗状況と完成時期についてお伺いをいたします。  また、神田川の護岸整備の進捗状況はどうでございましょうか。  さらに、第二・十二社幹線の取り組み状況と今後の見通しについてお尋ねを申し上げます。  最後に、弾丸道路についてお尋ねをいたします。  さきの第二・十二社幹線の延伸のルートは、弾丸道路と競合するとのことであり、幻のような弾丸道路計画が下水道幹線整備の阻害要因としてあらわれるようでは困るのであります。弾丸道路の実現の可能性、その取り組み状況について、今日までの経過、そして、知事の決意のほどを含めてお答えをお願いを申し上げます。  以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 矢部議員の一般質問にお答えいたします。  まず、都区制度改革に関するお尋ねであります。  法改正から施行までの期間が長い法令としては、昭和四十九年に改正された消防法で約五年の例があります。ほかにも五年以上の期間を設けている法令が数例ございます。  清掃事業は、都民生活に極めて関係が深いものであり、事業の円滑な移管を図るため、必要な体制整備を図った上で移管することとしたものであります。  今後は、国に対して経過期間の必要性を十分に説明し、理解を得られるよう、最大限の努力をしてまいります。  次に、東京都清掃審議会中間答申に対する都の基本的考え方についてのお尋ねであります。  中間答申では、東京のごみをめぐる状況は依然として厳しく、ごみの一層の減量化を推進していかなければならないという認識のもとに、減量化のための具体的施策として、ごみの有料化や発生抑制のためのシステムづくりなど、多岐にわたる貴重な提言がされております。  都としては、この中間答申の趣旨を十分尊重し、今後、ごみ減量化方策の実施に向けて、早急に具体的な検討を進めてまいります。  次に、固定資産税についてのお尋ねであります。  住宅とオフィスとが混在する建物の敷地に対する固定資産税については、現在、地方税法によって、居住部分の割合が四分の一未満であるときは、非住宅用地として課税すべきこととされております。  お尋ねの事例については、住宅部分の割合が年々減少し、四分の一未満となった結果、住宅に対応する敷地についても非住宅用地として扱われることとなったものであり、これらについては、その居住の実態が変わっていないにもかかわらず、結果としてご指摘のような税負担となったものであります。  このような事態に対しては、相応の配慮をすべきであるとの観点から、制度の改正を国に対し働きかけるとともに、都としての対応についても鋭意検討を重ねているところでございます。  次に、地方消費税についてのお尋ねであります。  ご指摘のとおり、昨日、今回の税制改革の一環として、地方独立税である地方消費税が都道府県税として創設されることについて、自治、大蔵両省間で合意されたところであります。  私は、これまでも税制改革に当たっては、全国知事会会長として、また、都知事として、住民税減税等による減収は、地方独立税により完全に補てんするとともに、地方消費税を創設するなど、地方独立税源の充実、確保を図るよう国に対し強く要望してきたところであります。したがって、地方消費税の実現に向けて前進を見たことは、地方分権の推進や地方税源の充実確保の観点から評価できるものであると考えております。今後ともその具体化に向けて努力してまいります。  次に、フロンの破壊実験についてのお尋ねであります。  フロン対策を進めるためには、フロン破壊技術の開発が急務でありますので、東京都環境科学研究所は、本年七月、民間企業の協力を得て、我が国で初めての試みとして、セメント焼成炉を使った破壊実験を実施し、その効果の確認を行ったところであります。  その結果、破壊効率が大変高いこと、フロンの分解により発生する塩化水素などの有害ガスがセメントに吸収され、ほとんど大気中に排出されないことなど、極めて良好な結果が得られ、実用化の可能性が高いと判断されました。今後、さらに実用炉による実証試験を行うなど、実用化に向けて積極的に取り組んでまいります。  次に、都市高速道路都心新宿線、いわゆる弾丸道路についてのお尋ねであります。  本路線は、平成三年に首都圏整備計画、平成五年に第十一次道路整備五カ年計画に、それぞれ計画路線として新たに位置づけられ、都としても、これまで国、首都高速道路公団等とともに、ネットワークとしての位置づけやルート、構造、事業採算性等について検討を行ってきたところであります。  第三次東京都長期計画では、本路線の臨海部及び多摩方面への延伸が構想され、このうち臨海部については、高速晴海線として、平成五年七月に都市計画決定を行ったものであります。本路線につきましては、今後とも導入空間や事業採算性等の検討を引き続き行ってまいります。  なお、その他のご質問につきましては、東京都技監及び関係局長から答弁申し上げます。    〔東京都技監村田恒雄君登壇〕 ◯東京都技監(村田恒雄君) 第二・十二社幹線の取り組みと今後の見通しについてのお尋ねでございます。  既に完成いたしました上流部千五百メートルにおきましては、豪雨時の雨水貯留施設として現在活用し、浸水被害の軽減を図っているところでございます。  一方、未完成の下流部約二千百メートルにつきましては、上流部同様、シールド工法での施工を予定しており、工事着手には立て坑用地の確保が不可欠でございます。このため、これまで用地の確保に努めてまいりましたが、このたび地元区の協力によりまして、区立新宿中央公園の一部を使用する協議が調いまして、現在立て坑工事の準備作業に着手したところでございます。  本工事は、大変深いものでございまして、五十メートルの大深度シールド工法となることから、これを円滑、安全に行うために、関係機関と協議を進めておりますほか、新技術の導入を図るなどいたしまして、早期完成に向けて鋭意努力してまいる所存でございます。    〔総務局長瀬田悌三郎君登壇〕 ◯総務局長(瀬田悌三郎君) 都区制度改革に係る清掃事業の職員派遣に関するお尋ねでございますが、移管事務に従事する職員の身分の取り扱いにつきましては、特別区職員へ身分を切りかえるのが基本でございます。しかしながら、今回の清掃事業の移管に際しましては、事業の継承性、安定性を人的側面から確保することにより、清掃事業の移管を円滑に進める措置として派遣を行うこととしたものでございます。  なお、実施に当たりましては、特別区と十分協議してまいりたいと存じます。    〔清掃局長小豆畑孝君登壇〕 ◯清掃局長(小豆畑孝君) 事業系ごみ有料化に関する都民の合意形成についてお答えいたします。  清掃事業は、都民の日常生活に最も身近な行政の一つでありまして、事業の円滑な推進に当たりましては、ご指摘のとおり、都民の理解と協力をいただくことが不可決であります。事業系ごみ有料化を実施する場合には、昨年からの袋出しについての経験も生かし、有料化の目的、意義等について、都民、事業者の十分な理解と協力をいただくために、でき得る限りの努力を傾注してまいります。  次に、事業系ごみ有料化の具体化についてのお尋ねでございますが、事業系ごみ有料化を全面実施する場合には、ご指摘のとおり、家庭ごみと区別する方法や料金徴収の方法など、多くの課題がございます。  清掃審議会の中間答申でも、事業系ごみ有料化に際しては、公正で簡易かつ効果的な方法を十分検討するよう、提言されております。有料化を具体的に実施する場合の方法等につきましては、中間答申をいただいた後、直ちに設置いたしましたプロジェクトチームで、鋭意検討を進めております。  次に、有料化実施の手順と時期についてのお尋ねでございます。  事業系ごみ有料化の実施手順といたしましては、どのようにして事業系ごみと家庭ごみを区別するか、料金徴収はどんな方法にするのか、その具体案を策定いたしまして、幾つかの地域においてモデル実験等を行った上で、有料化の具体的手法を確定したいと考えております。  事業系ごみ有料化の時期につきましては、これらの手順を経た後、答申の趣旨を踏まえまして、都民、事業者の十分な理解を得た上で、速やかに実施に移りたいと考えております。
       〔主税局長竹内敏君登壇〕 ◯主税局長(竹内敏君) 固定資産評価審査委員会に対する審査の申し出に関連する四点のご質問にお答えいたします。  まず、地価が下落傾向にあるときは、毎年審査の申し出ができるようにすべきではないかとのお尋ねであります。  固定資産の価格は、三年に一度の基準年度において評価替えを行い、原則として、その価格を、第二年度及び第三年度の価格とすることとされております。このため、審査の申し出は、基準年度においてのみ行うことができることとされておりまして、基準年度以外の年度におきましては審査の申し出ができないこととなっておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。  次に、審査の申し出後三十日を経過しても、いまだ何の連絡もないのは公平を欠くのではないかとのお尋ねであります。  ご指摘のとおり、審査の申し出に対する決定は、申し出後三十日以内に行うこととされております。しかしながら、このたびの評価替えに伴う審査の申し出は、これまでになく多数に上ったこと、また、その過半が申し出期間の最終日近くに集中したこと、さらに記載事項について補正をお願いすべき案件が相当数あったことなどから、審査のための事前の準備に予想外の日数を要したため、ご指摘のような事態が生じたものであります。  このため、事務処理の促進を図るべく、当局内に審査申出臨時対策室を設置いたしまして、答弁書の早期作成を行うなど、審理の早期実現に向けて最大限の努力を重ねてきたところであります。今後もその努力を続けてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。  次に、答弁書の送付とあわせて、審査の申し出の取り下げについての案内と取り下げ書が同封されているのは行き過ぎではないかとのお尋ねであります。  審査委員会が、処分庁である都税事務所長の答弁書を審査の申し出をされた方々に送付するに際しまして、その答弁書に対し意見があるときは審査委員会に弁駁書を提出できること、また、答弁書により納得したとする場合は取り下げができること、その際には同封の取り下げ書によるものであるとするご案内をさせていただいたところであります。  このことにつきまして、一部の方々に取り下げを慫慂するかのような誤解を招いたことにつきましては、まことに遺憾であると考えております。  次に、固定資産評価審査委員会の中立性についてのお尋ねであります。  審査委員会の委員の人選及びその事務処理に際しましては、これまでも適正、公平を期するとの立場から、十分配慮を重ねてきたところでありますが、今後におきましても、審査の申し出をされた方々に誤解を与えることのないよう、細心の注意を払ってまいりたいと存じます。    〔環境保全局長中島正剛君登壇〕 ◯環境保全局長(中島正剛君) まず、冷蔵庫の保温用フロン、つまり断熱材部分に含まれるフロンでございますが、その保温用フロンの処理についてのお尋ねでございます。  ご指摘のとおり、ヨーロッパにおきまして、冷蔵庫をそのまま、つまり丸ごと焼却炉で燃焼破壊している例があることは承知しております。我が国におきましても、民間企業によりまして、産業廃棄物焼却炉で冷蔵庫をそのまま燃焼処理する方法、あるいは冷蔵庫の破砕をしながら保温材からフロンを回収する方法など、技術開発が進められております。  国におきましても、これらの技術について検討に着手する予定と聞いております。今後ともこれら技術開発の動向を踏まえまして、国とも連携を図りつつ、対応を検討してまいります。  次に、カーエアコン用のフロン回収についてのお尋ねでございますが、カーエアコンの冷媒用フロンの回収は、現在、自動車販売業者が中心となって行っており、その回収率は、現時点では約二〇%にとどまっておりますけれども、二年後には、これを七五%まで引き上げることを目標としております。  今後、これらの動向を踏まえまして、国、地方自治体、事業者等の役割分担を明確にするように国に要望するとともに、都としてもその対応を検討してまいります。  次に、本年度から開始されました通商産業省の住宅用太陽光発電システムモニター事業についてのお尋ねでございますが、一般住宅に太陽光発電が導入されるということは、未利用エネルギーの有効活用が図られるという点から、省エネルギー対策としても大変有意義な施策と考えます。  都としましては、この事業がモニター事業として本年度開始されたものでございますので、今後、このモニターの意向調査結果などを見ながら、対応を検討してまいりたいと考えております。  それから太陽光発電の都有施設への普及についてのお尋ねでございますが、今年度から、新エネルギー・産業技術総合開発機構、こういうところと共同で、水道局の東村山浄水場におきまして、発電能力七十キロワットの大規模な太陽光発電装置を設置しまして、フィールド実験を実施する予定でございます。  今後この実験結果などを見ながら、他の都有施設への普及について検討してまいります。    〔住宅局長中嶋文雄君登壇〕 ◯住宅局長(中嶋文雄君) 太陽光発電設備を設置する新築住宅への建設資金融資についてのお尋ねにお答え申し上げます。  一般家庭の消費電力の一部を太陽光発電により賄うことは、省エネルギー対策を進める上で有意義なことであると考えております。住宅金融公庫においては、昨年度から、一般家庭を対象とした太陽エネルギーを活用するソーラー住宅工事に対する融資制度を設けたところでございます。  今後は、この制度の利用状況の推移や、通産省の住宅用太陽光発電システムモニター事業による機器の性能開発の状況等を踏まえまして、都としての対応を検討してまいります。    〔建設局長木内孝藏君登壇〕 ◯建設局長(木内孝藏君) 治水対策についてのご質問にお答えいたします。  まず、環状七号線地下調節池についてでございますが、地下調節池の第一期工事は、昭和六十三年度から発進立て坑工事に着手し、現在、トンネルの掘削を終え、シールド機械の解体作業を行っております。また、神田川から洪水を取り入れる取水施設については、物件の移転が完了し、立て坑工事に着手したところでございます。  今後、鋭意本工事の進捗に努め、平成八年度には完成させる予定であります。  また、第二期事業は、平成五年七月に事業承認を得て、現在、発進立て坑の用地取得を進めているところであります。  今後とも、速やかに工事に着手できるよう最大限の努力をしてまいります。  次に、神田川の護岸整備についてでございますが、神田川の淀橋から新橋までの一・四キロメートルの区間は、平成五年十一月、国の河川激甚災害対策特別緊急事業として採択され、現在、鋭意事業の進捗を図っているところであります。  そのうち、淀橋から長者橋までの約七百メートルの区間については用地取得がおおむね完了し、今年度から順次工事に着手する予定であります。また、長者橋から新橋までの約七百メートルの区間については、本年八月、事業承認を得て、用地取得に着手したところであります。  今後とも、水害の早期解消を目指し、事業の促進に努めてまいります。      ───────────── ◯議長(奥山則男君) 二十八番大澤昇君。    〔二十八番大澤昇君登壇〕 ◯二十八番(大澤昇君) 初めに、東京都の入札制度の改正についてお伺いいたします。  公共工事をめぐる大手ゼネコンの不祥事が相次いで発生し、国民の政治に対する信頼が大きく揺らいでいる中、国において、中央建設審議会の建議を受け、五十年に一度という入札制度の改正が、本年六月に決定されたところであります。  東京都においては、工事希望制度をすべての工事に導入することなど、開かれた入札制度のため意を注いでいることは高く評価されるところであります。現行の入札制度の運営実態を第三者の立場から検討し、今後のあり方について提言を求めるため、東京都入札制度等検討委員会を昨年十一月に設置し、先般その答申が出されたところであります。  答申は、公正性、透明性の確保など四点を検討の視点に据え、改善策として、公正性、透明性に最もすぐれた制度として制限つき一般競争入札を挙げ、大型工事を対象に導入することを提案するとともに、新しい制度として公募制指名競争入札の導入もあわせて提案しています。  また、新たな入札参加基準を制定し公表すること、不正行為に対するペナルティーを強化するとともに、入札参加資格停止基準を制定し公表することなども提案されております。  このように答申は、東京都の実情を踏まえ、入札制度全般にわたって具体的な提言を行っており、その趣旨を尊重し、速やかに実現に移していく必要があると考えます。  そこでお伺いいたします。  今回の入札制度の改正の大きな柱の一つが、制限つき一般競争入札の本格導入であると考えますが、対象工事を五十億円以上としたのはいかなる理由からか、お伺いいたします。  国においては七億三千万円以上、他府県や政令指定都市では国の要請の二十四億三千万円以上とする例が多いにもかかわらず、なぜ東京都は国や他府県と異なる取り扱いを決めたのか、お伺いいたします。  また、東京都は、二十五億円以上五十億円未満の工事に対して、公募制指名競争入札を導入することにしております。この新しい入札制度は、従来の希望制指名競争入札とはどこが異なるのでしょうか、制度の概要とあわせてお伺いいたします。  また、地方自治体が発注する公共工事は、安全で快適な都市生活を営む上で不可欠の社会資本を整備するもので、住民の生活を支える重要な役割を担っております。それゆえ、その施工に当たっては、種々の法令を遵守するとともに、安全管理、履行の確保に万全を尽くす必要があります。公共工事を監督する者の責務は大変重いものがあると考えますが、そこで、東京都では、現在どのような監督制度を採用し、適正な施工確保に努めているのか、お伺いいたします。  次に、外国企業の参入問題について伺います。  ガットの新たな政府調達協定が、平成八年一月から発効します。これにより、東京都でも、物品、建設、サービス等の分野で、一定金額以上の契約について、外国企業が競争に参入する事態が予想されますが、検討すべき問題には何があるのか、お伺いいたします。  次に、路上生活者問題についてお伺いいたします。  都は、区と共同して、この二月に、路上生活者の緊急越冬対策事業を行うとともに、四号街路の環境整備事業を実施しましたが、半年を経過した今日、四号街路を初めとした新宿駅周辺の状況はほとんど変化しておりません。また、山谷や新宿の福祉相談窓口での相談件数は著しく増加していると聞いており、長引く不況等の影響により、ますます事態は深刻になっているのではないかと憂慮しております。  世界の大都市の例では、数万を超える路上生活者が存在し、その対策に苦慮している現状があります。東京における状況は、現在、そこまで行っているとはいえませんが、今後ますます大都市東京にとっての重大な問題になってくるとも考えられ、先行的な対応が求められております。  この問題への対応の視点は、第一に、路上生活者の増加そのものが、さまざまな社会的要因が複雑に絡み合って引き起こされていることと考えられ、それを踏まえた多面的、総合的な対策が求められると考えます。  第二に、路上生活者は、さまざまなきっかけによってそうした生活に入っているとはいえ、本人の自立を促進するような対策が基本であり、重要であります。  第三に、路上生活者の生活する近隣商店街や一般通行者への影響もあり、これへの対策も重要であると考えます。  これらの取り組みは、大都市問題として、都区一体となって取り組むことは当然のことでありますが、それだけではなく、さまざまな社会的背景、要因によることや、他の大都市とも共通の問題であることなどから、国や他の都市との連携協力による対応が必要であると考えます。  そこでお伺いいたします。  まず、路上生活者問題の対応の視点についてはどのようにお考えか、お伺いいたします。  次に、都は区と共同で、先ごろ路上生活者問題に対する都区検討会の結果を取りまとめたと聞いておりますが、その内容はどのようなものか、また、この検討結果を踏まえて今後どのように施策を展開していくのか、お伺いいたします。  次に、東京港の長期構想についてお伺いいたします。  東京港は、首都東京を中心とする東京圏三千万人の住民生活と都市活動を支える物流基地として、極めて重要な役割を果たしております。今後、海外からの輸入物資の増大とともに、省エネルギー及び環境重視の観点から、海運利用促進の機運が高まり、東京港の役割はますます重要になるものと思われます。  知事は、昨年十一月に、東京港の振興発展を図る観点から、港湾審議会に対して、東京港の長期構想について諮問され、同審議会から、去る七月二十六日に最終答申が提出されました。今回答申がなされたことは、まことに時宜を得たものと評価しております。  そこで、この答申の基本的な考え方についてどのように受けとめているのか、知事のご所見をお伺いいたします。  次に、この答申において提言されている施策の取り組み方についてであります。  答申には、増加する輸入貨物とコンテナ船の大型化に対応するために、大井コンテナふ頭を再整備すること、中央防波堤外側地区や新海面処分場にコンテナふ頭を新設すること、また、国内輸送の海運への転換を促進するために、中央防波堤内側地区に内貿ふ頭を新設すること、都民に開かれた港づくりのための客船ふ頭や海上公園の充実、さらに中央防波堤外側地区と新海面処分場の土地利用構想など、多くの施策が示されております。この貴重な提言を実現するため今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  次に、今日、行政のあらゆる分野で、地方分権と規制緩和を推進していくことが重要であります。地域の実情や特殊性及び社会経済情勢の変化に柔軟に対応していくためには、港湾においても、計画、財政、管理の各分野で地方分権を推進していくとともに、物流の効率化と合理化のための運輸サービスにおける諸規制の緩和を図る必要があります。  答申では、港湾経営の自主性を高めるとともに、規制緩和が必要であると提言しておりますが、ご所見をお伺いいたします。  次に、世界都市博覧会についてお伺いいたします。  この博覧会は、世界で初めて都市をテーマとして開催するもので、内外の諸都市を初め国連、国、企業が一体となって、二十一世紀の都市づくりと市民生活のあり方を考えようという趣旨のイベントであります。先般、博覧会の全体像と個別の事業内容を明らかにした事業ガイドが発表され、博覧会で繰り広げられるイベントが示されたところであります。これからも、事業内容を一層充実していくことを期待しておりますが、私は、事業展開に当たって、副都心開発の始動期に建設される施設の十分な活用が極めて重要であると考えるものであります。  そこでまず、この博覧会で、特設開場や隣接、連携会場の恒久施設をどう活用していくのか、お伺いいたします。  また、今回の事業ガイドを見ますと、博覧会の目玉事業も幾つか明らかにされております。テーマ館における宇宙をテーマとした大型立体映像劇場や、宇宙ステーションの実物大の模型展示を初め、世界各地の古代の都市と住居を再現し体験させてくれるオイコスパーク、美術や音楽、映画や演劇などが多彩に繰り広げられるアートシティなど、創造性に富むものも確かに少なくありません。  しかし、博覧会を成功に導くためには、これだけではまだ十分ではありません。開幕へ向け、各事業の一層の具体化を進めるとともに、さらに魅力あふれるイベントや展示をふやしていくことなど、計画の充実を図っていくべきであると考えますが、ご見解をお伺いいたします。  次に、江東区における南北交通対策についてお伺いいたします。  江東区を含む区部の東部地域は、主に工業を中心とした産業の町として、震災や戦災に見舞われながらも、これまで東京の経済発展に貢献してまいりました。しかし、工場立地規制などによる工場転出や工場跡地の土地利用が生じ、徐々に工業地域から住居、商業機能も混在した多様な地域へと変わってきているのが実態であります。  一方、区部の臨海地域では、住商機能をあわせ持つ臨海副都心開発や大規模な公園整備が進められております。この地域の将来の発展を考えますと、旧来の市街地と臨海部を一体化させるとともに、新たな土地利用の変化に柔軟に対応していくことが重要であります。このためには、都市基盤の整備が不可欠であり、特に交通基盤施設の整備が最重要課題であります。  この地域における交通網の現状を見ますと、都心に向かう東西方向の鉄道は比較的整備されておりますが、南北を結ぶ鉄道は未整備であるために、旧来の市街地と臨海部間の移動など南北方向の移動は、バスか自動車に頼らざるを得ない状況であります。既に江東、江戸川、葛飾の三区では、地域内の南北方向の鉄道整備推進のために、鉄道新線誘致の協議会を昭和六十一年に組織しており、昭和六十三年には協議会は鉄道新線建設計画調査を実施した経過があります。その中で、江東区砂町地区を経由して荒川東岸を南北に結ぶ交通軸が提案されておりますが、それについて都としてはどのように考えているのか、まずお伺いいたします。  次に、東京都は、江東区の要望を受け、江東地域の公共交通について、平成四年度以降、調査検討を行ってきておりますが、その進捗状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。  さらに、臨海部の開発と既成市街地との地域的な結びつきを強化していくためにも、この地域の南北を結ぶ路線を早期に誘致すべきであると考えます。このためには、地下鉄八号線の早期着工、あるいは既存の貨物線である越中島線の活用、また、環状四号線を経由する新交通システムの計画化などが考えられますが、都として、こうした計画に対するご見解をお伺いいたしまして、以上で私の質問を終わらせていただきます。  ご清聴ありがとうございました。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 大澤議員の一般質問にお答えいたします。  東京都港湾審議会答申の基本的な考え方について、どのように受けとめているのかというお尋ねでございます。  今回の答申は、おおむね三十年先を展望した東京港の長期ビジョンと施策の基本的方向を明らかにし、その中で東京港の物流基地としての役割の重要性について再確認するとともに、東京港は、東京の消費生活や活力を支える大都市生活港湾として整備充実していくことが提言されております。  私は、これを大変有意義なものと考えており、今後、この提言の実現に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔財務局長桧垣正已君登壇〕 ◯財務局長(桧垣正已君) 入札制度についてのご質問にお答え申し上げます。  まず、制限つき一般競争入札についてのお尋ねでございますが、一般にこの制度は、透明性、公正性の点で非常にすぐれておりますが、その反面、競争力のある業者の独占的受注等の可能性や、参加資格の確認など事務の増大が指摘されております。  都におきましては、他の団体に比べまして大型工事の発注が多く、これらの問題が多く発生する事態も予測されるため、円滑な導入を図るため、当面の措置として、対象工事を五十億円以上とし、今後、段階的にその範囲を拡大することとしたものでございます。  次に、今回導入する公募制指名競争入札制度と従来の希望制指名競争入札制度の違いについてでございますが、両制度とも工事概要を事前に公表し、工事の希望者を募るという点では変わりはありませんが、希望制指名競争入札制度では、十者を超える希望者があった場合でも、十者に絞り込むのに対しまして、公募制指名競争入札では十者に絞り込むことをせず、原則として適格者はすべて入札に参加できるという点が異なるところでございます。  したがいまして、今回導入する公募制指名競争入札制度は、透明性、公正性の確保という点では、制限つき一般競争入札制度と同様の効果を上げるものということができます。  次に、公共工事の監督制度についてでございますが、公共工事の監督につきましては、契約の適正な履行と、工事における安全性を確保することを目的とするもので、地方自治法に基づき、東京都工事施行規程及び工事監督基準等を定めております。  工事を施工するに当たりましては、これらの規定に基づきまして、総括責任者である工事主管課長を初めとする監督員を選任し、厳正な指導監督を行っているところでございます。  次に、外国企業の参入についてでございますが、ガット政府調達協定の発効に伴う国内市場への外国企業の参入によって、いかなる影響、問題が生じるかにつきましては、国におきまして、本年七月に設置した都道府県、政令指定都市の契約担当者をメンバーとする政府調達問題等連絡会におきまして検討しているところでございます。  予想される問題といたしましては、外国企業の適切な評価方法をどうするか、商慣習の相違による契約手続に要する時間、経費の増加、中小企業への影響などがございまして、今後、国等との連絡を密にしながら、都としても適切に対応してまいりたいと存じます。    〔企画審議室長谷口晴康君登壇〕 ◯企画審議室長(谷口晴康君) 路上生活者問題についてお答え申し上げます。  まず、路上生活者問題への対応の視点についてのお尋ねでございますが、この問題は、都と特別区が協力して取り組むべき大都市問題でございまして、景気の動向を初め、さまざまな社会的要因を踏まえた、多面的、総合的な対策が必要でございまして、また国、他の都市との連携、協力が重要であると考えております。
     また、ご指摘のように、本人の自立を援助し、助長していくための対策が基本でございますが、あわせて、道路や地域の環境、衛生などにも配慮した、きめ細かな対応が必要であると考えております。  次に、路上生活者問題に関する都区検討会の検討結果の内容及び今後の施策の展開についてのお尋ねでございますが、路上生活者の中には、高齢者や病弱者等、保護を要する人もいるため、検討会におきましては、急を要する福祉対策を先行して検討いたしました。報告では、本年度内に実施すべき緊急対策とともに、主に来年度以降に実施する居宅保護促進対策及び中長期的対策が必要であるとしております。緊急対策といたしましては、冬季の臨時宿泊事業や、要保護者のための更生施設を整備することなどでございまして、これにつきましては、早急に都区共同で実施案を検討してまいりたいと考えております。  引き続き、居宅保護促進対策等の具体化の検討を行いますとともに、労働、保健衛生、環境整備等の関連分野を含めた総合的検討を進めていく予定でございます。    〔港湾局長植野正明君登壇〕 ◯港湾局長(植野正明君) 東京都港湾審議会の答申において提言されている施策の取り組み方につきまして、お答え申し上げます。  今回の答申におきましては、おおむね三十年後の東京港のビジョンを明らかにするとともに、船舶の大型化に対応した外貿コンテナふ頭の整備や、内貿ふ頭の新設、海上公園の充実など、おおむね十年後までに行うべき施策の基本的内容が提言されております。  今後、この答申を踏まえ、平成七年中に東京港第六次改訂港湾計画を策定してまいります。  次に、港湾経営の自主性と規制緩和の必要性についてのお尋ねでございます。  ご指摘のとおり、都民生活を支えるための効率的な物流機能を確保していくためには、港湾経営の計画、管理などの面で自主性を高めるとともに、港湾利用における諸規制が緩和される必要があると考えております。このため、他の港湾管理者とも連携を図りながら、国に働きかけるなど、改善に向けて取り組んでまいりたいと存じます。    〔東京フロンティア推進本部長今沢時雄君登壇〕 ◯東京フロンティア推進本部長(今沢時雄君) 世界都市博覧会についてお答え申し上げます。  まず、恒久施設の活用についてのお尋ねでございます。  世界都市博覧会では、特設会場におきまして、国際展示場をテーマ館や日本の都市館などとして活用いたしますほか、臨海給水所や共同溝などの施設を公開してまいります。  また、隣接会場では、クリーンセンターやテレコムセンター、あるいはモデルビルなど、臨海副都心に建設される恒久施設を展示、催事の場として活用いたしますとともに、都庁舎、江戸東京博物館、若洲海浜公園、東京辰巳国際水泳場などの連携会場におきましても、展示やスポーツイベント等を展開してまいりたいと考えております。  次に、事業展開についてのお尋ねでございます。  世界都市博覧会につきましては、さきに発表いたしました事業ガイドによりまして、その全体像や個別の事業の具体的内容を明らかにしたところでございます。  今後、開催に向けまして、この事業ガイドに沿って事業を進めてまいりますが、ご指摘のように、博覧会を成功させるためには、各事業の一層の具体化を図りますとともに、魅力あふれる展示や楽しいイベントを積極的に展開していくことが重要でございますので、今後とも、事業内容の充実に全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。    〔都市計画局長長裕二君登壇〕 ◯都市計画局長(長裕二君) 江東区など三区による鉄道新線の調査についてのお尋ねでございますが、三区で構成されております鉄道新線誘致促進連絡協議会により、江東区扇橋から江戸川区内を経由し葛飾区水元方面に向かう複数のルートが提案されていることは承知してございます。  都としては、既に運政審に答申されております計画路線であります地下鉄八号線、十一号線と競合することなどから、これらについては今後の長期的な課題であると考えております。  次に、江東地域に東京都の行っております公共交通の調査の進捗状態についてのお尋ねでございますが、ご指摘の調査につきましては、平成四年度に対象地域の公共交通課題の整理を行いまして、また五年度には、南北方向の公共交通の基本的考え方について検討を行ったところでございます。現在、東京都と地元江東区、JR東日本、及び帝都高速度交通営団の四者で検討会を設け、これまでの成果を踏まえ、今年度の調査内容について検討を行っているところでございます。  この地域の南北交通路線の計画についてのお尋ねでございますが、地下鉄十一号線の水天宮前から押上間につきまして、本年六月に都市計画決定を行ったところでございますが、地下鉄八号線の豊洲から四ツ木、亀有方面への延伸につきましても、その早期実現に向けて努力してまいります。  また、ご指摘の、越中島線や環状四号線などの活用による新たな路線につきましては、現在実施中の調査の中で検討しているところでございまして、この結果を踏まえて対処してまいります。 ◯議長(奥山則男君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。    午後三時三十分休憩      ━━━━━━━━━━    午後三時五十五分開議 ◯副議長(萩谷勝彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  質問を続行いたします。  百二十六番藤田十四三君。    〔百二十六番藤田十四三君登壇〕 ◯百二十六番(藤田十四三君) 今議会に提案された国保調整条例改定案に関連して、病院給食有料化や付添看護廃止などについては、昨日の代表質問で一定のやりとりがありました。そこで、私は、国会で関連法案に我が党が賛成していることや、我が会派や国保委員会での私の提案に沿う内容で、知事が都独自の助成案を条例改定案として提案していることでもありますので、手前みそで恐縮でございますが、医師八名を含む五十名の職員とともに、訪問看護事業をみずから積極的に進めている地域医療生協の経験を踏まえ、代表質問に関連して、なお一歩踏み込んでただしたい幾つかの課題に絞って、知事並びに関係局長に質問をいたします。  まず、今回の健保法改定の大きな柱である在宅医療の推進に関連してお尋ねをいたします。  私は、長年、大都市東京の医療の実情を見聞する立場にありますから、人件費、施設建設費など、いずれも他県と比較して東京が高いことを知るにつけ、全国一律の診療報酬のみで賄うことは無理だということを実感してまいりました。その点で、本年四月、初めて入院環境料に地域加算が創設されたことは、国もようやく全国一律の診療報酬制度の限界を認識したものと評価をいたします。しかし、その額が少なく、かつ二十三区十八点、市町村十五点と、格差があります。その上、国家公務員給与の地域調整手当の地域区分を機械的に当てはめ、単純計算していることや、その対象を入院に限定し、無床診療所の外来に適用しないなど、問題が少なくありません。  本年三月、衛生局が公表した「訪問看護・訪問診療のあり方について」は、これがその冊子でありますけれども、(冊子を示す)訪問診療を実施している経営形態は、小規模診療所が多く、全体の四割を占めていることを明らかにし、にもかかわらず、この三年間で、その四五%が前の年と比べて訪問診療を減らしている傾向を挙げ、その理由の一つに、現在の診療報酬が努力を十分評価しているかどうか疑問であると指摘をしております。  衛生局の指摘を待つまでもなく、個人開業医や無床診療所が、金も人手もかかる在宅医療を、厳しい医療情勢の中で、胸の熱くなるような願いを込めて懸命に推進してきている。私は、みずからの経験を通じ、医療の第一線で頑張っているこのようなひたむきな実践に、もっと目を向けてもらいたいことを心から訴えたいのであります。  今回の診療報酬の改定は、訪問看護、寝たきり老人総合診療科、二十四時間診療の加算、個人開業医や無床診療所の役割評価など、いずれをとっても不十分であります。  私は、以上の観点から、都として大都市の立場から、診療報酬の地域加算を拡大拡充すべく国に強く要求すべきだと考えますが、知事の所見を伺います。  ところで、この冊子は、在宅ケアの課題として、訪問看護、訪問診療等の在宅医療や、ホームヘルプサービス、ショートステイなどを含む、在宅ケアサービスの提供体制を整備することが重要だと強調し、さらに、訪問診療をめぐる体制上の問題として、医学的見地に立った診療行為だけでは、在宅での医療効果を十分達成することは困難であり、他の保健福祉サービスとの連携が必要になることを提案をしております。私は、みずからの体験からも、この提案に賛成であります。  しかし、現状では、在宅福祉サービスは質量とも不十分であり、医療保健福祉サービスを総合的に提供する仕組みもでき上がっておりません。新たな負担をお願いするこのときにこそ、直ちに在宅福祉サービス供給体制の抜本的拡充策を講ずるべきと思うが、知事の決断を伺います。  関連して、この際、痴呆性高齢者の介護について伺っておきます。  私は、ささやかな経験ですけれども、百世帯の訪問看護を通じて、日々痴呆性高齢者の介護の実情を目の当たりにいたしております。労働組合ナショナルセンターの連合の実態調査でも、介護十二時間、睡眠五時間と、重い家族負担が改めて浮き彫りにされました。  高齢化社会到来を目前にして、痴呆性高齢者の介護にかかわる課題は深刻かつ切実であるにもかかわらず、率直に申し上げて、都の対応は、痴呆性高齢者の実態とニーズを医療と福祉の両面からより綿密に把握した上で、きめ細かい対策を講じているとは私には思えないのであります。実態調査ぐらいは直ちに行うべきじゃありませんか。  また、痴呆性高齢者並びに家族の切実な実情と要求をくみ上げ、ショートステイ事業における痴呆性高齢者の受け入れ促進などを早急に行うべきと考えますが、ご所見を伺います。  次に、病院給食有料化に関連して、二、三点質問いたします。  厚生省保険局は、今回の病院給食有料化を手始めに、今度の診療報酬改定をてこにして、順次、部屋代、布団、寝具などの入院環境部分や、ビタミン剤、風邪薬、漢方薬、パップ剤など医療周辺部分を、保険給付の対象から外していく方向を明らかにしております。  さらに重大なことは、今回の診療報酬の改定で、看護料と介護料を別建てとし、将来はこの介護料部分を介護保険の対象にするなど、患者負担にすることが厚生省介護対策本部で検討されているということであります。  厚生省首脳は、夏の医療関係セミナーで、予約診療や時間外の特定医療費の拡大、将来的には、初診料、再診料、手術料など技術料差額を認め、医療機関の経営経費の二、三〇%は患者に負担を求めるシステムに脱皮させるとすら明言しています。  病院給食有料化を機に、こうした方向に医療情勢が展開するならば、新たな患者負担が増大するのみならず、医療にとって重要な病院と診療所の不断の連携、すなわち、病診連携に重大な支障を招きかねず、状況展開によっては、中小病院や有床診療所の整理や淘汰が進むなど、都立病院の運営とともに、東京全体の医療行政をつかさどる衛生局、福祉を担う福祉局が、容易ならざる事態と切り結ばざるを得なくなることを私は憂慮いたします。  私は、このことを村山総理にも進言をする決心であります。  私は、率直に私自身の所見を述べました。その上で、病院給食有料化以後の医療情勢の展開についていかなる見通しと認識を持っておられるのか、まず知事のご所見を伺っておきます。  さて、病院給食有料化の財政措置を分析すると、有料化で算出される総原資三千億円、このうち、病院給食の改善に充当する額は二百億円、総原資のわずか七%であります。これを診療報酬の内容で見ると、新設は、食堂加算五十円、選択メニュー加算五十円のみであります。仮にすべての都立病院で食堂を設置し、選択メニューを実施をしたとしても、増収は二億円そこそこでありましょう。こんな実態で一体どんな改善ができるのでしょう。新たな負担をお願いする以上、まず都としてみずから積極的に病院給食の内容改善に取り組むこと、その上で、食堂加算の大幅引き上げを含め、病院給食改善にかかわる診療報酬の引き上げを国に強く求めるべきと思うが、見解を伺います。  ところで、今回、国はこうした不十分な措置と抱き合わせて、入院時食事療養制度の中で、特別の材料による給食という差額導入措置を採用いたしました。千九百円の基準給食はランチでいえば並み、もっと質の高い松、竹、梅のメニューを決め、差額を徴収すれば助かる、これが厚生省のいい分であります。つまり、患者負担は、標準負担額プラス、この差額ということであります。裏を返せば、同じ病院の同じ病室で、患者同士お互いの懐ぐあいによって給食に差がつけられるということであります。  どうでしょう、衛生局長、せめて都立病院の中ではこんなせつないことにならないよう、あとう限りの努力をすべきだと思うが、いかがでしょう。  最後に、今回条例として提案された都独自の助成策は、その努力を多といたします。しかし、私の調べでも、規則や要綱にまで心配りを広げれば、さらに助成策は拡大できるはずであります。今後とも、助成策の拡大に向かって引き続き努力をすべきだと思うが、決意のほどをお伺いをして、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 藤田議員の一般質問にお答えいたします。  まず、診療報酬の地域加算拡充に関する国への働きかけについてのお尋ねであります。  本年四月の診療報酬改定により、医療機関の経費における地域差に配慮した、入院環境料の地域加算の制度が創設されたところであります。しかし、地域加算の額が少ないこと、市町村地域が特別区に比べてさらに少額なこと、対象を入院に限っていることなど、必ずしも十分とはいえない面もあります。  都としては、大都市の立場から、地域加算の拡充について、機会をとらえて国に要望してまいります。  次に、在宅福祉サービスの抜本的な拡充策についてのお尋ねであります。  高齢者などが安心して自宅で療養生活を送るためには、保健、医療、福祉の連携のもとに、充実した在宅福祉サービスの供給体制を整備することが重要かつ緊急の課題であると認識しております。このため、都は、福祉を初めとして、保健、医療、住宅などの関連施策を総合化した地域福祉推進計画を策定し、高齢者在宅サービスセンター事業や、ホームヘルプサービスなどの施策を進めることにより、在宅福祉サービスの供給体制の充実を図ってきたところであります。  今後とも、ご指摘の点を踏まえ、実施主体である区市町村と連携して、在宅福祉サービスの一層の充実強化に努めてまいります。  次に、今後の医療情勢についてのお尋ねであります。  本格的な高齢社会の進展に伴い、高齢者の慢性疾患や成人病の増加傾向は依然として継続し、医療費も増高の一途をたどるものと予測されます。また、保健、医療、福祉が連携した総合的サービスの提供や、多様なニーズに対応する患者サービスの向上がますます必要になると思われます。  都としては、こうした医療情勢に適切に対応するため、医療機能連携の強化、在宅医療、介護の推進などを積極的に推進してまいります。  今後とも、ご指摘の医療をめぐる動向などにも留意しつつ、これら施策の一層の充実に努めるとともに、国に対しては必要な診療報酬の改善を求めるなど、都民医療の確保に努めてまいります。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔福祉局長中嶋理君登壇〕 ◯福祉局長(中嶋理君) 痴呆性高齢者に対する施策についてのお尋ねにお答えをいたします。  痴呆性高齢者を介護する家族の負担は非常に深刻であり、痴呆性高齢者に対する施策の充実は重要な課題であるというふうに考えております。このため、都は国に先駆けまして、痴呆性高齢者の短期入所事業や、デイホーム事業を実施するなど、施策の充実に努めてきたところでございます。  ご指摘のように、今後ますます増加が予想される痴呆性高齢者に対します施策を総合的に展開するためには、その実態とニーズを、医療と福祉の両面から一層綿密に把握する必要がありますので、平成七年度に予定をしております高齢者の生活実態調査の一環として、痴呆性高齢者の実態調査を実施できますように検討してまいります。  また、ショートステイ事業における痴呆性高齢者の受け入れにつきましても、区市町村や社会福祉法人等と協議をし、その受け入れ促進策を講じてまいりたいと存じます。    〔衛生局長渡辺能持君登壇〕 ◯衛生局長(渡辺能持君) 三点についてお答え申し上げます。  初めに、病院給食の改善等に関するお尋ねの件でございますが、入院時の食事サービスの質の向上は、今回の健康保険法改正の趣旨でもあり、都立病院等におきましても、これまで以上の食事サービスの質の向上に努めていきたいと考えております。  また、食堂加算等につきましては、新たな制度でもありまして、都内医療機関での食事環境の改善状況等を見守り、必要に応じ、ご指摘のように診療報酬の改善を国に要望してまいります。  次に、都立病院入院時の給食にかかわる差額についてのお尋ねでございますが、都立病院におきましては、その基本的役割に加えまして、患者ニーズの実態等から、現時点におきましては、ご指摘の趣旨も踏まえ、特別メニューの食事を提供し、費用負担を求めることは考えておりません。  次に、入院時食事療養費の自己負担分の助成拡大についてのお尋ねでございます。  都は、心身障害児や乳幼児など、都や区市町村の条例に基づき医療費の助成を実施している方々の自己負担分を、本年十月以降も助成の対象とすることとしたところでございます。さらに、都独自の医療費助成実施要綱等により助成をしております特殊疾病、小児精神病、妊娠中毒症等の方々、合わせまして約三万一千人につきましても、国の公費負担制度における取り扱いなどとあわせ、入院時食事療養費の自己負担分につきまして助成をすることといたしております。  今後とも、医療費公費負担制度の一層の充実に努めてまいります。      ───────────── ◯副議長(萩谷勝彦君) 四十二番下村博文君。    〔四十二番下村博文君登壇〕    〔副議長退席、議長着席〕 ◯四十二番(下村博文君) まず初めに、我が国の重要課題でもある地方分権の推進についてお伺いいたします。  第三次行革審答申において、国の行政は外交、防衛を初め国の基幹にかかわる課題に全力を注ぐべきであり、国民生活にかかわる権限は、できる限り責任ある地方自治体へ移管すべきである、と提言しております。  東京都においても、ことし四月に、地方分権研究会の報告である地方分権推進についての提言を発表しました。私はこれを高く評価する者の一人であります。  この提言が指摘しているように、これからの地方分権論は、我が国の社会全体の仕組みの変革という大きな潮流の中に位置づけられるべきであり、そのために、単に、従来の地方自治制度改革論議の延長線上に、個別の事務権限をさらにどれだけ国から地方へ移譲できるかといった、部分的見直しを行うのではなく、地方自治の今日的意義の明確な確認を前提に、制度の枠組み自体のあり方を根本から問い直す必要があると思います。  その意味で、東京都はまさに全国三千三百自治体の先頭に立って、能動的立場から、あるべき地方分権の推進に全力で取り組むべき絶好の時期に来ていると考えますが、鈴木知事の時代的節目としてのお立場での認識と、東京都のこれから取り組むべき意義と方向性について伺います。  さて、地方分権について、まず先決すべきは、税財政制度改革であります。中でも、地方税であります固定資産税について、都民の不信感がきわまっておりますので、地方分権の問題として提案申し上げたいと思います。  平成六年度の土地の評価替えにおいては、評価の均衡化、適正化を図る観点から、地価公示価格の七割程度を目標に、固定資産税評価額の引き上げが行われたところです。  しかし、大幅な地価の下落を示し、都心を中心に固定資産評価額が地価公示価格を上回るという逆転現象が生じ、納税者から二千二百件もの膨大な不服審査の申し出がありました。不服申請に対しては、固定資産評価審査委員を大幅に増員して対応するということが今議会に提案されていますが、それだけではもちろん本質的対応にはなりません。  税制というものは、まず、納税者に信頼を持ってもらうことが第一の条件であります。消費税問題については、国会という開かれた場で議論されているので、国民には情報はよくわかる。ところが固定資産税等土地税制は、国民が知らないうちに決まってしまっている。地方税であるにもかかわらず、だからといって東京都が独自に決めているわけではない。固定資産税に対し東京都ができることは、せいぜい今後三年間負担緩和措置を図れるだけであるといった現実があるだけであります。  固定資産税については、都民の理解と信頼を得るためには、私は、税率を下げて急激な税額アップとならないようにするか、あるいは、地価公示価格の七割を都の現状に応じて下げるかの方法が考えられると思います。  固定資産税の問題は、東京都だけでなく、全国の不服申請においてもほとんど都市で出されており、これは根本的に都市政策としての問題であります。特に都市の中心たる東京において、都民感情としても、国に対し東京都は主体性を持って都市独自の土地税制を考え、行動してほしいという願望があります。そのために、東京都は具体的に国に対し、独自の固定資産税制について全国自治体の先頭に立って働きかける必要があると考えますが、今後の方針についてお伺いいたします。  自民党東京都連としても、都民の切実なる要望である都市の問題として、都市政策として積極的に取り組む方向であり、もう一つの大きな課題として、土地利用規制である都市計画法や建築基準法の問題があります。  ふるさと東京と呼べるまちづくり、私たちの子供たちや孫たちが安心して住み続けることができるまちづくりにするためには、地方自治体の主体性の確立とともに、住民一人一人がこれに積極的にかかわることが重要であります。  しかし、この都市計画法、建築基準法が全国一律基準であるため、地域の実情を踏まえた土地利用ができません。用途地域の規制を基本として、容積率、建ぺい率、斜線制限、高さ制限、敷地境界線からの壁面規制などをセットに、全国一律にきめ細かく定められているため、硬直性が強く、東京都が工夫する余地がないのが実情であります。  土地利用規制については、国の承認権まで含め一切の権限を地方にゆだね、東京においては独自の都市政策を早急に策定し、一極集中のマイナスの部分を解決するために、東京都は国に対し積極的に働きかける必要があると考えます。これまでの経緯を含め、今後の取り組みについて伺います。
     さらに、先ほどの固定資産税のような地方税の工夫とあわせ、地方自治体は、その自主性、自律性を確保するために、課税自主権を明確に行使していく必要が、地方分権の推進に当たって不可欠であると考えます。地方自治体はこれまでも、一定の範囲内での税率の自主決定や、許可を得て行う法定外普通税の新設が可能でありましたが、実際は国の財源等に依存するなど、必ずしも十分行使されておりません。  その一方で、地方自治体は、みずから標準税率以下で税率を決定した場合には起債制限を受け、また法定外普通税の新設に許可制がとられるなどにより、地方自治体の努力による自主財源の確保の道が閉ざされております。課税自主権回復のための東京都の今後の取り組みについて伺います。  次に、教育問題について伺います。  現代の教育のゆがみとして、小中学生として登校拒否、高校生として中途退学の問題があります。  不登校児童生徒は毎年ふえ、全国で平成五年度には、小学生で一万四千七百六十三人、中学生で五万九千九百九十三人に達し、十年前に比べ、小学生で三倍、中学生で二倍という急増ぶりです。東京都においても、平成五年度、小学生で千五百七十七人、中学生で四千九百二十五人と、同様の伸びを記録しております。  一方、中途退学は、平成四年度で全国で十万人を超えておりますが、この傾向はここ十年ほど続いております。東京都においても、平成四年度で一万九百二十一人に達しております。これまでも都教委はいろいろな努力を重ねながら対策を講じてきたことは承知しておりますが、減少していないのが実態であり、これは東京都だけでなく、全国的傾向でもあります。そういう意味では、これまでの対症療法的対策では抜本的改善にはならないということであります。  登校拒否については、学校不適応委員会等を設置し、事例の分析、原因や背景の究明、対応策等検討をされているとのことですし、中途退学についても同様の努力がされております。  しかしながら、中途退学者についても、平成四年度、都立高校全日制で五千九十五人、定時制で二千六百二十九人、私立高校で三千百九十七人、合計一万九百二十一人もの生徒がいながら、その後の再入学者数はなかなか厳しいものがあります。平成六年三月の都立高校転入編入入学受け入れ実績は、全日、定時制合計でわずか一千七十八名であります。単位制高校である都立新宿山吹高校の、中退者である生徒の受け入れも、平成六年度でわずか百七十名であります。  いずれにしても、登校拒否の生徒も、近年、二千人を超える生徒が自動的に中学校を卒業し、かなりの生徒がそのまま社会に送り出され、高校中途退学者、毎年、一万人の大多数がやはりそのまま社会に出ている現状であります。  ここで、都教委に対する提案があります。  第一に、登校拒否児、中途退学者のその後の進路調査をし、実態を把握すること。  第二に、既に学校内の努力だけでは一〇〇%の解決は不可能であり、教育の規制緩和ともいえる教育の自由化に一層の努力をすること。そのための一つとして、小中学校の選択の自由としての通学区域の緩和をすること。  第三に、都立高校もさらなる多様化教育として、毎年数千人の中途退学者を受け入れることが可能な、新しいタイプの高校のあり方を早急に検討すること。  第四に、これまでの、いかに登校拒否、中途退学者を減らすかという対策の視点とともに、それぞれの後のフォロー体制を組み、いかにそのまま生徒をドロップアウトさせないかの対策を講ずること。  以上の点につきまして、都教委としての積極的な姿勢をお聞かせください。  次に、東京都現代美術館について伺います。  待望久しい現代美術館が、今月末には建物が完成し、来年三月十八日に開館の運びとなったことは、まことに喜ばしいことであります。この際、今後の運営について、三点お伺いいたします。  現代美術館は、大規模な常設展、企画展並びに美術情報センター機能を有し、建設費四百四十億円という日本最大級の美術館であります。そこでまず、現代美術館開館記念の企画展はどういうものを予定されているのか。また、今後の企画展についてはどのような計画があるか、伺います。  次に、作品の収集について伺います。  今議会で初めて二億円以上という議会案件ものとして、ポップアートの代表的作家であるロイ・リキテンシュタイン作「ヘア・リボンの少女」の買い入れについてが提案されております。この作品は、グッゲンハイム美術館でミュージアムグッズとして使用されるなど世界的にも高い評価を受けている作家の代表的作品であり、話題性を提供でき、入場者アップを期待できることからも、我が党がこれまで核になる作品を購入するよう申し上げてきたことが実現できる、このように評価しております。これからも作品の充実を図っていくことは、極めて重要なことであります。  そこで、教育委員会としては、今後とも議会案件になるような優れた作品を購入すべきと考えますが、この点についてどのような方針であるか、伺います。  第三は、作品購入に関しての情報についてであります。  美術館としては、購入事務を円滑に進めること、並びにプライバシー保護の観点から、作品価格、収集委員会、評価員会の委員の氏名等は公表しないということであります。しかしながら、本日発売の週刊誌でも、「現代美術館が七十五億円で集めた作品の『怪』」という見出しで特集が組まれており、都民の不必要な不信感を消すためにも、また情報公開制度上からも、今後は明らかにすべきではないかと思いますが、教育委員会の方針を伺います。  最後に、都庁舎展望室の夜間延長についてお伺いします。  本日、私の一般質問を傍聴し、その後は展望室でビールを飲みながら夜景を楽しむということを多くの支持者の方が期待をしておりましたが、残念ながら展望室の夜間延長は今月十五日までということで、本日の私の傍聴者も激減してしまいました。(笑声)  聞くところによれば、平日で午後五時半、週末、休日で七時半までだった展望室を、要望に押されて九時まで延長して一カ月。また南展望室は、アルコール禁止だった喫茶コーナーにビールや枝豆を用意したとかで、期間中一カ月間の入場者総数は約二十四万人。延長時間帯だけでも約四万人が列をつくったそうであります。  日本第二位の高さを誇る都庁舎が夜間延長を実現したのは、猛暑と水不足で高まった利用者の不快指数にこたえたものとのことですが、わずか一カ月というのはまことに残念であります。今後の予定も、再開は早くても来年以降とのこと。夜間延長も費用がかかることはわかりますが、いうまでもなく都庁は役人のものだけでなく、都民のものであります。再開の答弁を期待し、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 下村議員の一般質問にお答えいたします。  まず、地方分権に関する認識と、都の取り組むべき方向性についてのお尋ねであります。  二十一世紀を目前に控え、真に豊かさが実感できる社会を構築するには、現在の中央集権的な行財政制度を改め、地方分権を実現することが不可欠であります。このため、国と地方自治体の役割分担を抜本的に見直すとともに、地方自治体の側でも、これまで以上に主体的な地域行政を確立していくことが重要であります。今月十六日には、地方六団体において地方分権推進要綱が取りまとめられ、地方自治体としての考え方が明らかにされたところであります。  これを踏まえ、都としても現在、全庁的な体制のもとで、都の取り組むべき具体的方策等について検討を進めているところであります。地方分権の推進には、世論の強い支持と、全国の自治体挙げての取り組みが不可欠であり、今後とも、他の自治体と協力しつつ、その早期実現に向けて全力を傾けてまいります。  次に、固定資産税についてのお尋ねであります。  都はかねてより、土地にかかわる税負担の問題については、異常な地価高騰とそれに続く大幅な下落という大都市特有の地価事情に起因するものであるとの観点から、その緩和策について鋭意取り組んできたところであります。  今後とも、都民負担の適正化を図り、また、地方分権を推進するとの立場から、大都市の実態に即した固定資産税制、とりわけその評価のあり方などについて種々検討するとともに、国に対し働きかけるなど、適切に対処してまいります。  次に、課税自主権についてのお尋ねであります。  地方分権を推進するためには、国と地方の役割分担を見直すとともに、住民の選択と負担のもとに、自律的で責任ある地方自治を実現できるような税財政上の仕組みを構築することが不可欠であります。また、地方団体が標準税率によらず課税する場合等に、国は関与してはならないとするなど、地方団体の課税自主権を強化していくことが必要であると考えております。  都としては、今後とも、こうした観点から、地方分権の推進に即応した税制のあり方について種々検討するとともに、国に対し働きかけるなど、積極的に取り組んでまいります。  なお、地方財政法第五条による起債制限については、起債の前提として、確保すべき税収についての努力義務を示したものとされており、財政運営上は理解できる面もありますが、地方分権を推進し、財政自主権を確立する観点からは、改善すべき課題があると認識しております。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔都市計画局長長裕二君登壇〕 ◯都市計画局長(長裕二君) 土地利用規制について、権限を地方にゆだねるよう国に働きかけるべきだとのお尋ねでございますが、土地利用規制などの都市計画につきましては、昭和四十三年の都市計画法の全面改正により、それまですべて建設大臣にゆだねられておりました決定権限が、知事及び区市町村に移譲されたところでございます。また、平成四年の都市計画法等の改正に伴い、建設大臣の認可を要しない範囲が拡大されるなど、都市計画決定権限の移譲がなされてきたところでございます。  都としては、地方分権を推進する観点から、広域的調整を必要とするものを除き、より一層の権限移譲について、国の理解が得られるよう努力してまいりたいと存じます。    〔教育長市川芳正君登壇〕 ◯教育長(市川芳正君) 教育問題など七点のご質問にお答えいたします。  初めに、中途退学等にかかわる四点のご質問でございます。  まず、中途退学者等の実態把握についてでございますが、ご提案の、中学校等の登校拒否生徒や高校中途退学者のその後の実態について的確に把握することは、登校拒否や中途退学問題に対応していく上で重要なことであると認識をいたしております。  これまで、中途退学者全体の退学時の進路状況については把握してきておりますが、ご指摘の登校拒否生徒の卒業後の進路や、中途退学者の退学後の状況についての追跡調査は、現在のところ行っておりません。この調査の実施につきましては、調査への協力が得られるかなど、幾つかの課題が考えられますが、今後、例えば抽出による調査など、実態把握の方法について検討し、可能なものから実施してまいりたいと思っております。  次に、いわゆる教育の自由化に関連したご意見についてでございます。  新しい学習指導要領において、教育内容、方法の改善を幅広く進めてきておりまして、例えば生徒の多様な特性を生かすため、選択教科をふやすなど弾力的な教育課程の編成等に努めているところでございます。  また、具体的なご提案である小中学校の通学区域の緩和についてでございますが、現行の通学区域制度は、教育の機会均等とその水準の維持向上を図るという趣旨から行われてきたものでございまして、相当の理由があるときは指定校の変更や区域外就学が認められており、この中で、登校拒否児童生徒にも対処してきたところでございます。ご提案の、選択の自由としての通学区域の緩和につきましては、法令上の制約もあり、今後の課題としてまいりたいと存じます。  次に、中途退学者を受け入れる新しいタイプの高校についてでございます。  都教育委員会はこれまでも、中途退学への対策を視野に入れながら、各学校における弾力的な教育課程の編成や、進級、卒業認定の弾力化など指導上の改善を推進するとともに、中途退学者を受け入れやすい単位制の新宿山吹高校を設置するなどしてきたところでございます。  今後とも、生徒の多様な特性、進路希望等の実態を踏まえ、より一層指導上の改善充実を進めるとともに、履修形態の多様化、弾力化に対応した単位制の高校や総合学科の高校など、新しいタイプの高校の設置を推進してまいりたいと存じます。  この問題の終わりに、登校拒否及び中途退学への総合的な対応策についてのお尋ねでございます。  都教育委員会は、登校拒否及び中途退学について、これまで指導資料を作成、配布するなどして各学校に指導の徹底を図り、その防止に努めるとともに、都立教育研究所、就学相談所等において相談の充実を図ってきたところでございます。  特に中途退学問題につきましては、ただいま申し上げた単位制の高校の増設、総合学科の高校の設置などのほか、単位の認定や転編入学等への弾力的な対応などを含めまして、現在、高等学校改善検討協議会において総合的に検討しているところであり、その結果も踏まえ、今後さらに施策の充実に努めてまいりたいと存じます。  次に、来年三月開館予定の東京都現代美術館に関する三点のご質問でございます。  現代美術館開館記念の企画展についてのお尋ねでございますが、一九八五年以降、日本の現代美術の状況は大きく変化しており、国際的に活躍し、高い評価を得ている作家も著しく増加してきておりまして、このような状況を踏まえ、日本を代表する現代美術館としてこの十年間、すぐれた美術活動を通じ、国際的にも高く評価されている十九名の作家による「日本の現代美術」というテーマで、開館記念にふさわしい企画展を開催する予定でございます。  その後につきましても、国際的に名声の高い彫刻家、アンソニーカロ展、ポップアートの代表的作家、アンディ・ウオーホル展、海外の巨匠展など国際的な大規模展覧会を含め、我が国及び世界の現代美術を中心とした多彩な企画展を年間六本程度開催し、都民の幅広い要望にこたえてまいりたいと存じます。  次に、すぐれた作品の収集についてのお尋ねでございます。  作品の収集につきましては、昭和六十三年に美術資料収集方針を策定し、以後、現代美術館での常設展示において、我が国と海外の現代美術を体系的に鑑賞することが可能な充実したコレクションとなるよう、計画的に収集してきたところでございます。  今回ご提案申し上げているリキテンシュタイン作「ヘア・リボンの少女」は、ご指摘のとおり、ポップアートを代表する作家の最高傑作の一つであり、新しい現代美術館のコレクションとして重要なものと考えております。作品の収集は美術館そのものの評価を左右するものであり、今後とも、コレクションの中心となるようなすぐれた作品の収集に努めてまいりたいと存じます。  終わりに、作品購入に関する情報の公開についてのお尋ねでございます。  収集作品についての個別具体的な購入価格、購入先及び美術資料収集委員会、評価員会の委員名等につきましては、都民の知る権利のことを念頭に置きながらも、作家等のプライバシーを保護し、作品の収集を円滑に進めることなどのため、これまで公表を控えてきたところでございます。しかし、情報公開制度の趣旨を踏まえ、広く関係者等の意見を聞くなどして、プライバシーの保護や作品の円滑な収集にも十分留意しながら、今後前向きに検討してまいります。  以上でございます。    〔財務局長桧垣正已君登壇〕 ◯財務局長(桧垣正已君) 都庁展望室の夜間延長についてのお尋ねでございますが、今回、展望室から東京の夜景を楽しみたいという都民の要望にこたえまして、いろいろな制約がある中で、とりあえず夏休み期間を含みます八月十六日から九月十五日までの一カ月間ということで試行に踏み切ったわけでございます。  現在、試行の結果を分析し、問題点を整理しているところでございますが、非常に好評でございましたので、展望室の今後のあり方につきましては、都民サービスの向上という観点から、関係部署と協議しながら、ご提案の趣旨も踏まえまして前向きに検討してまいりたいと存じます。      ───────────── ◯議長(奥山則男君) 五十八番松村友昭君。    〔五十八番松村友昭君登壇〕 ◯五十八番(松村友昭君) まず、ことし三月、全区市町村で出そろった老人保健福祉計画、いわゆるゴールドプランについて伺います。  今、各自治体で共通して問題になっているのは、計画にそれぞれ不十分さはありながらも、実態調査の上で立てた目標を本当にそのとおり遂行できるのかということです。東京都においても、九一年に策定した地域福祉推進計画の達成状況は、ヘルパーの配置や特養ホーム、老人保健施設の建設など、いずれも半分程度で、計画から大幅におくれています。それは、実施主体である区市町村への都の支援策に問題があることも一つの要因となっています。  例えば、在宅介護を支えるヘルパー派遣では、都は在宅サービスセンターのヘルパーを増員することによって進める計画ですが、実際には、都の今年度までの目標百五チームに対して、まだ二十五チームしかできていません。  都の補助制度は、常勤ホームヘルパーを一チーム一人しか認めず、あとは全員非常勤で介護に当たれというものです。しかし、高齢者を抱える家庭からは、人が頻繁にかわってしまうのは困る、初めて来た非常勤の方に排せつの介助まで頼めないという声が出ています。在宅サービスセンターの現場からも、常勤一人では非常勤ヘルパーの手配で手いっぱいで、直接介護を担えないという意見が強いのです。  そこで、ある区では、センターでの常勤者によるバックアップ体制を区の独自の財政支出でつくり、また、私の住む練馬区でも、併設される在宅介護支援センターの三名の常勤職員と一体となったチームにする工夫によって、初めてこのヘルパー派遣の具体化ができるようになったのです。  常勤を一人しか認めないという都の制度のままでは、進まないことは明白です。在宅サービスセンターからのヘルパー派遣制度を常勤者を中心としたチーム編成に改めるべきと考えますが、答弁を求めます。  老人保健施設の建設でも、都の保健福祉計画は、区の独自の努力があって初めて進み始めるというのが実情です。東京都の老人保健施設の整備率は全国最下位ですが、高い用地費がおくれの原因となっています。  都は一床当たり四百万円の建設費補助を設けたことを自慢にしていますが、ある区の試算では、五十床で用地費、建設費総額二十数億円のうち都の補助はわずか二億円にしかならず、特養ホームの場合では用地費助成を含め十億円近くになる補助との差は歴然です。  この間、二十三区で整備が始まったところのほとんどは、区が都を上回る額を追加するなど独自に財政支援を行ったところであり、都の補助だけでは進まないことは明らかです。用地費を含め、大幅に整備のための助成を増額すべきです。答弁を求めます。  保健福祉計画の遂行の上で、国の側にある障害を取り除くことも重要です。特別養護老人ホームの建設では、今後、地域の隅々まで整備を進めて計画を達成していくためには、小規模特養の制度化が不可欠です。厚生省は来年度予算で、都市部での小規模特養を新たに可能にする概算要求を出していますが、一昨年、大蔵査定で落とされた経緯もあり、どうしても今回実現させるために特別の運動が必要です。この認識から、今、政府に対し、小規模特養制度化の緊急要望を行う必要があると思うが、答弁を求めます。  今、全国の自治体では、毎年の保健福祉計画に基づいて厚生省に補助金を申請したら、計画数が予定を上回ったなどの理由で翌年度への先延ばしや計画の精査を逆に求められるなど、大きな問題となっています。特にことしはホームヘルパー、デイサービス、ショートステイの在宅三本柱の事業までに予算の抑制が国から通知されてきており、都内、区市町村への最終的な予算配分でも大きな影響が出ることが予想されます。  知事は、国に対し、自治体の申請した予算を全額支出するよう申し入れるとともに、仮に国からの予算配分額が区市町村からの申請に対して不足した場合、都の責任でこれを補てんし、各自治体の計画遂行に支障のないようにすべきと考えますが、答弁を求めます。  次に、骨粗鬆症対策について伺います。  骨がもろくなって骨折しやすくなる骨粗鬆症は、特に女性に多く、高齢者の寝たきりにつながりやすい病気です。定期的な骨密度測定などで早期に発見されれば、生活や食事などの改善で十分防げることから、検査体制の整備が求められています。既に都内十二区三市で独自に検診を開始し、さらに身近な場所での実施を求める運動も広がっています。  都は、今年度から国のモデル事業の開始に伴う負担金を予算に計上しましたが、利用できる自治体の数はわずかです。すべての区市町村の身近な場所で骨密度測定器を設置できるよう、都の独自の補助を設けるとともに、必要なすべての年齢層が利用できる制度とすべきであります。また、パンフや手引の作成など、普及啓発活動に取り組むとともに、測定結果を必要な方への生活指導につなげることができるように、各区市町村でのフォローアップ体制の確立のため助成を行うべきです。答弁を求めます。  次に、パート労働者の問題です。  長引く不況のもとで、女性パート労働者、とりわけ中高年の女性パート労働者の生活はますます深刻になっています。都内の各大企業は人減らしの調整弁として、真っ先にパート労働者の大量解雇を行いました。各経営者の中には、リストラばやりの中で、パートなどいつでもやめさせられるとする風潮が強まっています。  こうした中で、パート労働者は深刻な無権利状態にさらされ、まともな理由も示さず、暇だから来なくてよいと一方的に解雇されたり、言葉がきついとか、気に入らないからなどの解雇がまかり通っています。離婚後子供を育てながらコンビニエンスストアで働く女性がある日突然、勤務を深夜にかえると、本人が到底のめないような条件を突きつけられ、自己退職に追い込まれました。こうした場合のほとんどが退職金や予告手当などはもらえず、ほうり出されてしまうのです。  都はまず、リストラを口実にパート労働者の解雇や雇用調整を行っている大企業に対して、労働基準法やパート労働法を遵守するように申し入れ、指導すべきです。また、経営困難な中小企業に対しては、教育、啓発、条件整備への支援をあわせて行うべきであります。答弁を求めます。  さらに、明らかに法に違反する悪質な企業、経営者に対しては、あっせん不調の打ち切りで終わるのではなく、都が相談を受けた内容にふさわしい情報提供を行い、労働基準監督署との連携を強めるなど、行政指導を強力に行うべきです。また、パート労働法の権利擁護の規定が義務規定となっていないことは重大です。都は国に対して、パート労働法の抜本的改定を求めるべきであります。あわせて答弁を求めます。  パート労働者の多くは、雇用契約も文書ではなく口頭によるものが七割に及ぶなど、契約内容も知らずに働かされている人も少なくありません。違法な解雇や労働条件を改善させる上でも、当然の権利や制度、パート労働法の内容などについての啓発、教育が急がれています。ところが東京都は、都内で九十万人ものパート労働者がいながら、パートキャリア手帳の発行部数はわずか一万部、普及啓発資料の経費は、経営者に配られる解説パンフレットを含めても四百万円にすぎません。  知事、パートキャリア手帳を全パート労働者に配布すべきであります。世界都市博覧会の宣伝のためなら、わずか二週間のテレビスポットで三億円も使っているではありませんか。テレビ、ラジオなどを通じてのスポットや新聞での広告宣伝など、パート労働者のための啓発、普及の予算を大幅にふやすべきであります。答弁を求めます。  パート一一〇番など相談活動もさらに充実が必要です。パート労働者のうち、パートの収入を生活の主たる収入とする人は三割に及びます。こうした家庭では、突然の解雇や賃金切り下げが直接生活破壊につながります。都として、労政事務所の体制を強化するとともに、住宅、福祉、教育など生活全般にわたる総合的な相談に応じられるようにすべきであります。答弁を求め、質問を終わります。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 松村議員の一般質問にお答えいたします。  小規模の特別養護老人ホームの設置についてのお尋ねであります。  用地の取得が困難な大都市において、特別養護老人ホームを身近な地域に設置していくために、小規模な特別養護老人ホームは有効な手法の一つと認識しています。その実現については、これまでも国へ制度化を要望してきたところでありますが、今後とも引き続き強く要望してまいります。  次に、老人保健福祉計画関連事業の国庫補助金についてのお尋ねであります。
     都は、従来から国に対し、高齢者福祉事業の国庫補助金の充実確保について要望してきたところであります。平成六年度事業についても、区市町村の事業執行に支障のないよう、今後の事態の推移を見ながら、必要に応じ、国に対し強く要望してまいります。  次に、大企業に対し、パートタイム労働法等を遵守するよう申し入れ、指導すべきではないかとのお尋ねであります。  都としてはこれまでも、パートタイム労働者の雇用管理の改善を図るため、経営者団体に対し、さまざまな機会をとらえ、関係法規遵守の指導を行うとともに、企業を対象に使用者向け講座やパートシンポジウムを開催してきたところでございます。  また、パートタイム労働法の権利擁護の規定を義務規定にするよう国に対して働きかけるべきではないかとのお尋ねであります。  いわゆるパートタイム労働法については、昨年十二月に施行されたものであり、当面は法の周知徹底が急務であると考えております。  なお、その他のご質問につきましては関係局長から答弁申し上げます。    〔福祉局長中嶋理君登壇〕 ◯福祉局長(中嶋理君) チーム方式によるホームヘルプ事業についてのお尋ねにお答えをいたします。  チーム方式は、チームリーダーである常勤ヘルパーと複数の非常勤ヘルパーとの組み合わせにより、派遣時間の弾力化や介護に重点を置いたきめ細かいサービスの提供を行うことによりまして、ホームヘルプサービスの一層の充実を目指すものでございます。このため都は、チームリーダーの常勤ヘルパーに対しまして、国の基準を大幅に上回る助成を行っているところでございます。  今後とも、このチーム方式によるホームヘルプ事業につきましても、その普及拡大に努めてまいりたいと存じます。    〔衛生局長渡辺能持君登壇〕 ◯衛生局長(渡辺能持君) 二点についてお答え申し上げます。  初めに、老人保健施設の整備についてでございますが、都としてはこれまで、老人保健施設の整備促進を図るために、一床四百万円の施設整備費補助、リハビリ機器等の購入費に対する補助及び建設に伴う借入金に対する利子補給などの措置を講じた結果、着工数といたしましては、平成六年度末でほぼ計画数を達成すると見込まれております。また、この十月からは、大都市における整備促進を図るため、国の補助制度の充実が予定されておりまして、さらに整備が進むものと期待をいたしております。今後とも、こうした支援策を通じまして、老人保健施設の整備促進を図ってまいります。  次に、骨粗鬆症対策についてでございます。  骨折による寝たきり高齢者を増加させないために、骨粗鬆症予防対策の充実が必要であると認識をしております。そのため、平成六年二月に設置いたしました東京都骨粗しょう症対策検討委員会におきまして検討を進め、七月に、骨密度測定の実施、フォローアップ体制の整備や予防マニュアルの作成等を内容といたします意見具申をいただいたところでございます。  今後、都といたしましては、今年度から国が骨密度測定を取り入れて実施することといたしました女性の健康づくり推進事業と連携を図りながら、本委員会の意見具申に基づき、その施策化について検討してまいります。    〔労働経済局長小久保久君登壇〕 ◯労働経済局長(小久保久君) パートタイム労働者問題についてお答えをいたします。  まず、中小企業に対し、パートタイム労働について教育、啓発等を行うべきではないかとのお尋ねでございますが、これまでも中小企業に対しまして、パートタイム労働法等の普及啓発を図りますため、パートアドバイザーによる企業の巡回指導を中心にいたしまして、労働講座の開催、あるいは電話相談の実施、啓発資料の提供などを行ってきたところでございます。今後とも、これらの施策を通じまして、さらに中小企業に対します普及啓発に努めてまいります。  次に、法を遵守させるための行政指導を強力に行うべきではないかとのお尋ねでございますが、都では、これまでもパートタイム労働者の解雇や賃金不払い等に関します相談、あっせんなどを行ってきたところでございますが、これらの過程において必要があると思われますケースにつきましては、労働基準監督署と連携を図り、問題の解決に力を尽くしているところでございます。  次に、パート労働者のための啓発、普及の予算を大幅にふやすべきではないかとのお尋ねでございますが、都におきましては、パートタイム労働に関する正しい知識の普及を図りますため、先ほど申し上げましたパートアドバイザーによる巡回指導などのほかに、パートキャリア手帳の発行、あるいは公共職業安定所が開催いたします雇用研究会の場での啓発などを行っております。今後とも、あらゆる機会を通じ、さらにはさまざまな手法によりまして普及啓発に努めてまいります。  最後に、労政事務所の体制を強化するとともに、生活全般にわたる総合的な相談に応じられるようにすべきではないかとのお尋ねでございますが、労政事務所におきましては、厳しい雇用情勢を踏まえまして、パート労働者に対し、常設のパート一一〇番に加えまして、パート講座あるいは相談会、夜間電話相談など多様な方法によりまして、全力を挙げて労働相談を実施しております。  また、労働相談に関連する福祉などの相談につきましても、これまでにも増して社会保険事務所や区市町村等関係行政機関との連携を密にして対応してまいります。      ───────────── ◯議長(奥山則男君) 三十七番石川芳昭君。    〔三十七番石川芳昭君登壇〕    〔議長退席、副議長着席〕 ◯三十七番(石川芳昭君) 私は、高齢者福祉、良好なまちづくりに関連する諸問題について、知事及び関係局長に質問いたします。  初めに、高齢者福祉に関連して伺います。  長寿福祉社会の到来によって、特別養護老人ホームなど施設建設の促進、在宅介護支援策の拡充など、急がなければならないことは周知の事実であります。  そこで伺います。第一に、老人保健施設についてであります。  この施設は、寝たきりの状態にある要介護高齢者を対象に、リハビリテーションや看護、介護などの医療ケアと日常サービスをあわせて提供するもので、都の計画では、平成十二年度までに一万四千五百六十床を整備することとしています。ところが、平成五年度の着工ベースで実績を見ると、目標をやや下回っており、その地域配置は、老齢人口の少ない市町村部に多く、老齢人口の多い区部には整備がおくれているのであります。  その理由としては、土地確保の難しさが指摘されています。そのため、今後、国公有地などが活用できるよう関係機関と協議するなどし、土地確保の支援策を拡充すべきと考えますが、所見を伺います。  第二に、在宅福祉の中核を担うホームヘルパーの就業対策についてであります。  都は、平成四年度に福祉人材開発センターを開設してホームヘルパーなどの養成講習を実施していますが、平成五年度については多くの都民の応募があり、養成計画三千二百人に対して、大幅に上回る五千六十七人を養成しております。  しかしながら、直近の調査によると、養成講習修了者のうち、受講時に職についていなかった人のうち、ホームヘルパーなどに就業した割合は四〇%にとどまっているのであります。そこで、養成講習を修了し働く意欲を持つ人が一人でも多く就業できるよう、その促進策を拡充すべきであります。  第三に、人材養成されたホームヘルパーの供給組織の拡大についてであります。  現状は、公務員ヘルパーもおりますが、家政婦が大部分であり、このままでは、ますます増大するホームヘルプサービスに結びつけるのは困難であります。このため都は、平成三年度からチーム方式の導入を図っておりますが、この方式がなぜ進まないのか伺うとともに、地域で適切かつ迅速なサービスが受けられるようにするためには、区市町村に非常勤ホームヘルパーとして登録させるなど、身近な地域の中にもっとホームヘルパーの供給組織をつくっていく必要があります。所見を伺います。  この問題の最後に、本格的長寿社会を控え、福祉サービスの絶対量を飛躍的に充実させることが不可欠であります。同時に、福祉サービスが従来の救貧的なサービスから普遍的なサービスに転換した現在、だれもが多様で質のよい福祉サービスを適切な費用負担で利用できるような制度をつくっていくことがこれからの大きな課題であります。  これまでの福祉サービスは、行政が措置という形で一律に決まったサービスを提供してきましたが、これからはサービスの利用者が、自分の望むサービスを選択できるような仕組みにしていく必要があるのではないでしょうか。それとともに、だれもが相当程度の確率で介護を必要とするような状況になり得ることから、その場合の介護費用が過大な負担とならないようにしていくことも重要であります。  これらの観点から見ていくと、このたび、国の社会保障審議会・社会保障将来像委員会の報告は、措置制度の見直しや公的介護保険制度創設の提唱など、今後に向けて興味深い内容になっております。  そこで、このように公的介護保険制度の創設が提唱されるなど社会福祉の新たな展開が見られる中で、都として、今後の福祉サービスのあり方を検討すべきであると考えますが、知事の所見を伺います。  次に、骨粗鬆症予防対策について伺います。  人生八十年代の到来に伴い、疾病等による寝たきり高齢者が増加し、医学的、社会的に大きな問題となっています。また、この予防対策に関しては、平成六年一月に都が実施した健康に関する世論調査においても、骨粗鬆症について約六割の都民が関心を持っていると答えており、行政に対してさまざまな施策の実行を強く要望しているのであります。  国では、平成二年以降、老人保健事業の重点健康教育として骨粗鬆症予防のための健康教育を実施しているほか、ことしから婦人の健康づくりの一環として骨密度測定が検査項目に加えられるなど、骨粗鬆症予防対策を始めています。  そこで都においても、骨粗鬆症予防対策を早急に進める必要がありますが、以上の点を踏まえ質問いたします。  第一に、今年度、国が行う骨密度測定を取り入れた婦人の健康づくり事業とはどんなものなのか。また、都の実施状況はどうなっているのか。  第二に、都においては、骨粗鬆症予防対策に関する検討委員会を設置し、七月に意見具申をまとめたと聞いておりますが、その内容を示していただくとともに、今後、都は具体的にどんな施策を行っていこうとしているのか、明らかにしていただきたい。  第三に、予防対策を実効あるものとするためには、国の施策との連動、区市町村との連携、そして都の積極的な支援がぜひとも必要でありますが、この問題に対する知事の所信を伺います。  次に、良好なまちづくりに関連して、風致地区について伺います。  風致地区は、大正十五年の明治神宮の指定以降、区部には十四地区二千六百七十四ヘクタール、多摩を含めると二十七地区三千五百六十ヘクタール余が指定されています。しかも、その大半は昭和三十年代までに指定されたもので、長年の歳月が経過しているのであります。  この間、都市の風致の維持に一定の役割を果たしてきたことは認めるものの、土地利用の変化により、守るべき風致が失われている地区も見られます。特に区部では、宅地の細分化や狭小化が進み、風致地区条例による建ぺい率、壁面後退の規制が住民の合意を得にくい状況にあります。また、商業系用途地域が指定されている地区では、建ぺい率の乖離が大きく、都民の不満が募っているのであります。  以上のことを踏まえながら質問いたします。  第一に、都市計画の見直しはおおむね五年を単位に考えられているのでありますが、風致地区については昭和五十六年以降行われていない状況であります。指定以降、長年の年月を経過している現在、土地利用も大幅に変化し、風致地区のあり方は再検討すべき時期に来ていると考えますが、所見を伺います。  第二に、宅地の細分化等により、現行の条例の規制では建物を建築することが困難となり、ややもすると地域として風致は守られなくてもよいとの風潮をつくり出しかねない状況に対して、どう対処するかということであります。  風致地区条例による建ぺい率、壁面後退の規制を一律に行うのではなく、きめ細かな規制の中で都市環境を改善するよう誘導すべく、実態に即した風致地区制度の運用の見直しを検討すべきでありますが、所見を伺います。  第三に、市街化区域にある風致地区は、その土地がいつまでも樹林地や畑のままの状態で保存、凍結されているわけではありません。現在、地区計画制度の充実や緑地保全地区制度の改正など、地域の計画的な市街地形成や環境保全の手法、制度が整備されてきています。  そこで、地域内の現状が大きく変化し、都市基盤整備が求められている地域は、土地区画整理事業などの実施に合わせて区域の見直しを行うなど、実態として都市環境が保全できるようにすべきであります。所見を伺います。  第四に、これまで述べたような課題を抱える具体的な地区として、私の地元練馬区に大泉風致地区があります。当地区は、良好な住宅地、農地地区、既に密集市街化された地区、商店街となっている地区、土地区画整理によって良好な住宅地の形成を目指す地区などさまざまであり、さらに本年三月には、高速道路外郭環状線が完成したのであります。  この大泉風致地区については、昭和六十一年第一回定例会でもその見直しを提案したところでありますが、これまでの検討状況と、今後の見直しを含めた検討方向について具体的にお答えいただきたいのであります。  次に、都市基盤整備に関連して伺います。  初めに、西武池袋線の連続立体交差事業についてであります。  この事業については、これまで関係者のご努力によって、環境側道の計画を追加決定されるなどして、緊急度の高い箇所から順次事業化が進められてきました。現在事業中の桜台駅-練馬駅間については、第一期工事が進み、来る十月八日から下りの電車が高架線を走るようになり、また十二月上旬には、地下鉄有楽町線の練馬駅までの乗り入れが開始される予定であります。さらに、練馬駅西側から富士見台駅間についても、本年一月に事業認可され、平成十二年の完成を目指して工事が本格化しており、大いに評価しているところであります。しかしながら、残る石神井公園駅付近については、都市計画決定がなされているものの、いまだ事業の見通しが明らかになっていないのであります。  そこで、この箇所の事業化に当たって、課題と取り組みについて伺い、また今後のスケジュールについて明らかにしていただきたいのであります。  第二に、区部の幹線道路である環状八号線について伺います。  環状八号線は、大田区羽田空港から北区岩淵町までの広域的な環状道路であり、都心部へ集中する交通を分散し、交通の円滑化を図るための最も重要な路線の一つであります。  この環状八号線の最後の事業化区間である練馬区南田中二丁目から高松一丁目までの二・六キロメートルは、地元区及び住民の要望を反映し、掘り割り構造や環境施設帯の設置など、さまざまな環境保全対策を行う計画となっており、これまでいろいろと対策を行ってきたことについては高く評価するものであります。  しかし、一般的に交差点部分は、大気汚染濃度や自動車騒音が高いと聞いております。本線と補助一三四号線笹目通りとの合流部の環境対策はどのように取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いします。  第三に、都市計画道路補助二三〇号線のうち、補助一三五号線付近から補助一三四号線までの整備についてであります。  この区間については、地下鉄十二号線の導入空間として予定されていることなどから、練馬区、住民、議会、こぞって早期整備を強く要望したところであります。これに対し、都は、補助一三五号線付近から都道土支田通りまでの二・一キロメートルは街路事業で、その先、補助一三四号線までの一・一キロメートルは土地区画整理事業によって整備する方針を明らかにし、練馬区との協議に入っているところであります。  そこで伺います。整備手法が街路事業と区画整理事業になぜ分けられたのか、整備手法選定の基本的考えについて明らかにしていただき、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 石川議員の一般質問にお答えいたします。  まず、公的介護保険制度の創設が提唱されるなど、社会福祉の新たな展開が見られる中で、今後の福祉サービスのあり方を検討すべきではないかとのお尋ねであります。  本格的な高齢社会を目前に控えて、だれもが、いつでも、どこでも、必要とするサービスを利用できる社会福祉のシステムをつくっていくことは重要な課題であります。また、それに伴う負担のあり方についても検討が必要であります。  現在、社会福祉審議会において、社会の変化に対応する地域福祉の展開とその基盤整備についてご審議をいただいているところであり、年内にも答申が出される予定であります。  都としては、この答申なども踏まえ、これからのあるべき社会福祉のシステムの実現に向けて努力してまいります。  なお、国の社会保障制度審議会において検討されているご指摘の公的介護保険制度の創設などは、今後の福祉のあり方に大きな影響を与えるものでありますので、その動向については、都としても十分見守っていく必要があると考えております。  次に、骨粗鬆症予防対策を実効あるものとしていくための方策についてのお尋ねであります。  今後、高齢化がますます進展する中で、健康で明るく豊かな長寿社会を築くためには、高齢者の寝たきりを防止することが必要であり、骨粗鬆症の予防対策は極めて重要であると認識しております。  都としては、骨粗鬆症に関する老人保健対策事業や女性の健康づくり推進事業など国の施策との連携を図り、また住民ニーズを反映した区市町村の意向などを踏まえながら、骨粗鬆症対策の一層の充実に努めてまいります。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔衛生局長渡辺能持君登壇〕 ◯衛生局長(渡辺能持君) 三点につきましてお答え申し上げます。  初めに、老人保健施設の整備についてでございますが、ご指摘のとおり、五年度までの整備実績は目標をやや下回っているところでございますが、都は、これまで一床四百万円の施設整備費補助、リハビリ機器等の購入費に対する補助及び建設に伴います借入金に対する利子補給などの措置を講じました結果、着工数では平成六年度末累計で約二千六百床となる予定でございまして、地域的な問題はありますが、計画数はほぼ達成できる見込みでございます。  また、この十月からは、大都市におきます整備促進を図るため、国の補助制度の充実が予定されており、さらに整備が進むものと期待をいたしております。  今後とも、区市町村等関係機関に対し、公共用地の有効活用や他の施設との複合化などを含めまして、その設置促進を図るよう働きかけますことなどにより、一層の整備に努めてまいります。  次に、骨粗鬆症対策に関する女性の健康づくり推進事業についてのお尋ねでございますが、女性の健康づくり推進事業は、都民の健康づくりの一環といたしまして、特に健康診査の機会に恵まれていない十八歳から三十九歳までの家庭の主婦や自営業の女性を対象に、健康診査や健康指導等を実施するものでございます。  国は、平成六年度から、骨粗鬆症の早期予防、早期発見のため、本事業に骨密度測定を取り入れた健診を区市町村で実施することといたしておりまして、都におきましては、三区一市で実施が予定されているところでございます。  次に、東京都骨粗しょう症対策検討委員会の意見具申に関するお尋ねでございますが、意見具申の基本的な考え方といたしましては、骨が弱くなって骨折しやすくなる骨粗鬆症は高齢者の寝たきりにつながりやすい疾病であり、今後、骨折による寝たきり高齢者を増加させないために、その予防対策の充実が必要であるとしております。  具体的な対策といたしましては、第一に、主に四十歳以上六十五歳までの女性を対象に、五歳程度の節目に骨密度測定を行うこと、二番目といたしましては、栄養、運動などの日常生活の指導体制や医療機関との連携方法等、骨密度測定と一体となったフォローアップ体制の整備を図ること、第三に、測定データの集計、解析評価を行い、判定基準や指導方法等へ反映させること、四番目といたしましては、指導者向け予防指導マニュアル及び都民向けのマニュアルを作成することについて提言をされております。  今後、都といたしましては、この意見具申に基づきまして、その施策化について検討を進めてまいります。    〔福祉局長中嶋理君登壇〕 ◯福祉局長(中嶋理君) ホームヘルプ事業に関する二つのご質問にお答えをいたします。  まず、ホームヘルパー等養成講習修了者の就業促進策についてのお尋ねでございますが、都は、養成講習修了者の就業を促進するため、これらの人々に対しまして、介護の仕事の内容や、高齢者在宅サービスセンター、福祉公社、社会福祉協議会などにおけるホームヘルパーの雇用形態など、就業に必要な情報を詳しく紹介した冊子を講習修了時に配布をいたしております。また、希望者につきましては、養成講習修了者名簿に登載をしまして、これを各区市町村に送付してその活用を図るなど、就業の促進に努めているところでございます。  今後とも、就業についての情報提供を積極的に行うとともに、区市町村とも協力をして、就業の機会の拡大を図ってまいります。  次に、ホームヘルプ事業の供給形態などについてのお尋ねでございます。  チームリーダーであります常勤ヘルパーと非常勤ヘルパーが、家事や介護サービスを組織的に行うチーム方式は、在宅の要介護高齢者等に対しまして、在宅介護支援センターとの連携のもとに、継続的、安定的なサービスを提供しようとするものでありまして、ホームヘルパーの派遣形態の一つとして重要なものでございます。このチーム方式の設置促進を図りますためには、この方式の効果などにつきまして、実施主体であります区市町村の理解が必要でございます。  今後とも、区市町村と十分協議しながら、身近な地域の中に、チーム方式や区市町村に登録するヘルパーなど、多様な供給形態の普及拡大に努めてまいります。    〔都市計画局長長裕二君登壇〕
    ◯都市計画局長(長裕二君) 風致地区に関しまして、三点お答え申し上げます。  まず、風致地区のあり方についてのお尋ねでございますが、風致地区は、都市の自然的景観や樹林に富んだ良好な住宅地を保全するなどのために指定するもので、都市の風致の維持に一定の役割を果たしてきたと認識しております。しかし、市街化の進展に伴う狭小宅地の増加や土地の高度利用への要請によって、土地利用が当初の目的に合わないところも生じております。  そのため、現在、風致地区見直しのための基本方針の検討を行っているところでございます。  次に、土地区画整理事業等の実施に合わせた風致地区の見直しについてのお尋ねでございますが、土地利用状況が大きく変化している区域におきまして、土地区画整理事業等に合わせ、地区計画、緑化協定等の活用により、良好なまちづくりが実施されている箇所につきましては、区域の見直しを含めて検討してまいりたいと存じます。  次に、大泉風致地区についてのお尋ねでございますが、ご指摘のように、この地区は土地利用の変化が著しく、地元区と協議しながら風致地区の見直しを検討してきたところでございます。  今後、地区内の土地利用の特性に応じ、地区計画等を活用して良好なまちづくりを進めるとともに、現在行っております風致地区の見直しの基本方針の検討結果を踏まえて、区域の見直しを図ってまいりたいと存じます。    〔建設局長木内孝藏君登壇〕 ◯建設局長(木内孝藏君) 四点ございますが、初めに風致地区制度の運用の見直しについてのお尋ねにお答えいたします。  風致地区については、市街化の進展や宅地の細分化などにより、ご指摘のようなさまざまな問題が生ずる心配がございます。このため、現在、風致地区の現況調査を行っているところでありますので、その結果を踏まえ、学識経験者や地元区市の意見を聞きながら、それぞれの地区の実態に沿った許可基準のあり方について検討してまいります。  次に、西武池袋線石神井公園駅付近の連続立体交差化事業の課題などについてのお尋ねでございます。  この箇所の事業化に当たっては、鉄道の線増計画、交差する道路との調整、沿線のまちづくりなどが課題となっております。今後、これらの課題について鋭意関係機関と協議を進め、早期解決に努めるとともに、国の事業採択に向け、努力してまいります。  次に、環状八号線の環境対策についてのお尋ねでございますが、この路線のうち、練馬区南田中二丁目から高松一丁目までの区間の事業計画の策定に当たっては、当該道路の重要性、沿道の土地利用状況及び地元区の要望等を総合的に勘案して、掘り割り構造の採用や環境施設帯の設置などの環境対策を講じているところであります。  ご質問の笹目通りとの合流部についても、環状八号線の外回り本線の地下化を図るとともに、地上部には遮音壁や植樹帯を設置する計画となっております。今後とも、できる限り沿道の環境対策を実施してまいります。  次に、補助二三〇号線の整備手法選定の基本的考え方についてであります。  補助二三〇号線を含む練馬区北部のこの地域は、土地区画整理事業を施行すべき区域として昭和四十四年五月、都市計画決定をしているところでありますが、現況の土地利用状況等から見て、おおむね二つの地域に分けられます。  補助一三五号線から土支田通りまでの大泉北部地区は、既に土地区画整理事業等により町並みが整備され、あるいは相当程度宅地化が進んでいる地域であります。  一方、土支田通りから笹目通りまでの土支田・高松地区は、生産緑地と宅地化する農地とが全域にわたり散在しており、また、将来、地下鉄十二号線が延伸された場合、土地利用の大幅な転換が予想されることから、面的な整備の必要性が求められている地域であります。  このようなことから、補助二三〇号線の整備に当たっては、両地域の現状を勘案し、それぞれの地域に最もふさわしい整備手法を導入するため、国、地元区等関係機関と協議してまいりました。  その結果、大泉北部地区は街路事業で、土支田・高松地区は土地区画整理事業で施行すべきと判断したものであります。  今後とも、地下鉄十二号線の延伸という地元住民の強い要望を踏まえ、その導入道路となる補助二三〇号線の街路事業及び土地区画整理事業による整備が円滑に推進できますよう努力してまいります。      ───────────── ◯副議長(萩谷勝彦君) 六番黒須隆一君。    〔六番黒須隆一君登壇〕    〔副議長退席、議長着席〕 ◯六番(黒須隆一君) 通告に従いまして、初めに多摩地域の振興についてお伺いいたします。  昨年四月に答申されました第二十三次地方制度調査会の提言に基づき、本年六月、国会で地方自治法の一部を改正する法律が成立し、中核市制度が創設されました。昭和三十一年の政令指定都市発足以来、実に三十八年ぶりの画期的な改正として、まことに意義深いものと考えます。  中核市は、規模能力が大きな都市について政令市に準ずる権限、具体的には民生行政における養護老人ホームの設置認可、監督等、また、都市計画に関する市街化区域、あるいは市街化調整区域内の開発行為の許可等、まちづくりに関する事務の権限を付与されるものであります。中核市の指定には、人口三十万人以上、面積百平方キロメートル以上、人口五十万人未満の場合は、昼夜間人口比率が一〇〇を超えること、という三つの要件を満たす必要があります。  また、中核市は政令で指定されますが、その指定の申し出は、当該市の議会の議決を経た上で、都道府県の同意を得て行うこととされており、都道府県議会の議決が必要とされております。現在のところ、中核市指定にかかわる財源措置が明らかになっておりませんが、この制度は、自主的ポリシーに基づいたまちづくりを目指す上で、大きな意味を持つものと考えられます。東京都内で中核市の要件を満たしている市は現在のところありませんが、八王子市は現在の昼夜間人口比率が九九・九と一〇〇にわずかに及びませんが、人口は四十八万人を超え、平成七年の国勢調査時点では要件を完全にクリアするものと考えます。  そこで、知事にお伺いいたします。  都は、このたび創設された中核市制度をどのように評価されておられるのでしょうか。  また、八王子市がすべての要件を満たし、中核市指定の申し出があった場合、都はどのように対応されるお考えでしょうか。中核市に対する財源措置を含めてお伺いいたします。  さらに、八王子市は、均衡のとれた国土形成を目指す多極分散型国土形成促進法に基づき、自立都市圏多摩の核となる業務核都市として育成することとされております。あわせて、都の第三次長期計画においても、自立都市圏の中心となる多摩の五つの心の一つに位置づけられており、現在、具体的な整備指針等の検討が行われているやに伺っております。  そこで、業務核都市基本構想の申請状況並びに多摩の心整備指針の検討状況についてお伺いいたします。  一方、この地域においては、都心や他の業務核都市との交通体系の充実に向け、首都圏中央連絡道路、JR中央線の複々線化、八高線の電化複線化など都市活動を支える基幹的な道路、公共交通体系の整備が進められております。こうした条件の中で、八王子市は二十一世紀に向け各種の都市機能がバランスよく配置され、快適で利便性に富んだ多摩地域のまちづくりの核として、ますますその役割を大きくしていくものと考えるものであります。八王子市が、今後こうした役割を担っていくためには、都としても広域的視点から、圏央道の促進、多摩都市モノレールの延伸、南北都市計画道路の整備、多摩大橋の早期かけかえ、流域下水道等おくれている都市基盤整備をさらに一層促進することが必要と考えるものであります。  そこで、こうした多摩地域を一つの自立都市圏とした都市基盤整備についての考え方をお伺いいたします。  次に、個性豊かな地域づくりについてお尋ねいたします。  地方分権が叫ばれている今日、全国各地でそれぞれの地域の個性や特性を生かした魅力ある地域づくりが積極的に展開されております。国においては、いわゆるふるさと創生一億円事業を契機として、最近ではまちづくりのあらゆるニーズにこたえることを目的に、町並み、まちづくり総合支援事業を創設し、極めて小規模なまちづくりにまで支援の手を差し伸べ、地域の活性化施策を推進しております。  都においても、こうした国の動きに呼応して、ふるさとと呼べるまちづくりにふさわしい市町村独自の事業に対し、平成元年度から財政援助を行っていると承知いたしております。こうした都の支援を受けて実施された事業は、いずれも地域の活性化やまちづくりに大きな成果を上げ、地域の人々のふるさと意識の高揚に多大な貢献をしていると伺っております。これからは住民みずからが住む地域に誇りを持てるような地域をつくることが、まちづくりのコンセプトとなってまいるでしょう。東京都としても、二十一世紀に向け、地域の資源や特性を生かし、創意工夫あふれる自主的、主体的なまちづくりを支援していくことがより一層重要であると考えます。  こうしたまちづくり事業に対する支援をさらに拡充していくことは、多摩、島しょ地域の振興の観点からも極めて重要であると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。  次に、大規模施設の運営並びに建設についてお伺いいたします。  今定例会冒頭、知事は所信表明の中で、平成五年度普通会計決算に触れ、都税収入が史上初めて二年連続して前年度実績を下回り、昭和六十二年度の水準近くまで低下したと述べておられます。さらに、平成七年度予算を編成するにつき、既定の事務事業についても、その必要性などの観点から徹底した見直しを行うと発言されました。過日、景気の回復宣言が出されましたが、実感とはほど遠く、今後急速に回復する見込みは極めて薄く、都税の低迷によって都財政は依然として厳しい状況が続くことは、改めて申し上げるまでもないところであります。  一方、平成二年度以降、都においては東京芸術劇場、江戸東京博物館など大規模施設が次々にオープンし、今後も現代美術館、東京国際展示場、東京国際フォーラムなどのオープンが予定されております。しかし、厳しい財政状況のもとでは、このような大規模施設のランニングコストが都財政に少なからぬ負担を与えております。主な施設のランニングコストを見てみますと、江戸東京博物館、現代美術館、東京国際フォーラムのわずか三施設で年間百億円を超えると予測されます。  一方、収入については、江戸東京博物館、現代美術館はいずれも数億円程度であります。もとより、公共施設でありますから、税金の投入によって広く都民に開放することを否定するものではありません。しかし、たとえ地方自治体が運営する公共施設といえども、その管理運営に当たっては、民間企業と同様な経営感覚を持ちつつ、マネジメントを行っていくことが必要ではないでしょうか。  特に、財団など民間セクターが管理運営する施設については、一層そのことが求められると考えるものでありますが、経営努力を促すため、それら民間セクターにどのような指導をしておられるのか、お伺いいたします。  同様の問題意識からか、都は国際フォーラムについては普通財産と位置づけ、民間並みの経営を目指しているとお聞きしております。これは今後の経営の一つのモデルケースになると思いますが、その経営見通しと効率的な経営の取り組みについてお伺いいたします。  次に、平成六年度予算で凍結した新たな大規模施設の建設についてであります。  平成七年度予算の見積もりに関する依命通達において、十四の新たな大規模施設について引き続き調査検討にとどめたことは、現在の財政状況を考えれば、賢明な判断であったと考えるところであります。これらは東京の文化の振興などを目的に設置されるものでありますが、その多くは都財政が多分に余裕のあった時期に発想されたものとして、問題点を含んでいることは否定できません。今後予定されている十四施設の建設費等は、現在の試算によると四千億円にも上ると見込まれ、あわせてランニングコストの大幅な増大も予想されており、将来の財政負担が懸念されるところであります。  これらの施設については、文化、福祉、産業などの課題に応じてその必要性を判断し、また、都全体の施設配置のバランスや地元要望等を考慮して計画されたものと考えますが、今日の社会経済環境激変のもとでは、施策のプライオリティーを再度検討し、その一部については、他の重要な施策との比較均衡を考慮するなどして、都民福祉の充実を図ることも、この際検討に値する事項ではないでしょうか。  少なくとも多摩都民フォーラム等、必要性、緊急性を認められるものについても、施設計画を社会状況に合ったものとするとともに、緊急性が低いと考えられるものについては、明確に先延ばしを行う等、検討すべき時期と考えます。本来、ご所見をお伺いしたいところでありますが、あえてお答えを求めません。私の考え方を述べさせていただき、強く要望いたしておきます。  次に、学校教育における国旗、国歌の取り扱いについてお伺いいたします。  私は、この春、小学生による日米そろばん大会に出席して、少なからぬ衝撃を受けました。日米両国の国歌が演奏された際、アメリカの子供たちは、自国の国旗に向かい、胸に手を当て、整然と注目しておりました。一方、我が小学生諸君は、国旗への注目もなく、静粛にするどころか、落ちつかないそぶりに終始したため、アメリカの少年たちはそれらの態度にけげんさと不可解さを隠しませんでした。  児童生徒が国際社会で尊敬され、信頼される日本人として成長するためには、学校教育において、国際社会における日本人としての自覚を培うとともに、国旗、国歌に対する正しい認識を持たせ、尊重する態度を養うことはいうまでもなく、極めて大事なことであります。(「そのとおり」と呼び、その他発言する者あり)  ここに二枚のビラがあります。(実物を示す)これは八王子市内の某都立高校の卒業式、入学式において、教員たちが生徒並びに父母に対し、学校の門前で配布していたものであります。内容は、いずれも東京都高等学校教職員組合名で、教職員の賛同のないまま、卒業式並びに入学式に日の丸掲揚が東京都教育委員会の指導で行われたこと、また、日の丸、君が代に関しては国民の間にもさまざまな意見が存在するので、学校に義務づけるのは行き過ぎであることなどであります。要するに、国旗、国歌は教育委員会より強制されたものであり、教員は認めていないというものであります。  こういったビラを希望と期待に胸膨らませ入学式に臨む新入生及び父母に教員みずからが手渡すことは、その思いに水を差す行為であり、門出を祝うこととはほど遠いものとして、受け取った一人として私は強い憤りを感じました。このような不当行為があったことを、教育長はご存じかどうか、また、どうお考えになられるか、お伺いいたします。  あわせて、年々公立離れ、私立指向の傾向が強くなっておりますが、こういった公立校の体質がその要因の一つに数えられると私は考えますが、ご見解をお伺いいたします。(「そのとおり」と呼び、その他発言する者あり)  次に、去る三月十八日、八王子市立石川中学校における卒業式の際、四十三歳の女性教員が、国旗を掲揚しようとする校長の前に立ちふさがる等妨害し、あげくの果てに、二度にわたって校長の掲げた国旗を引きおろすという事件がありました。  事のてんまつを関係者よりお聞きしましたが、問題なのは、その際、生徒の中に国旗を破った者、また、女生徒の中から、国旗をおろせ等の声を上げた者がいた点であります。国旗を破った生徒は、日の丸の赤は血の色だと主張したそうであります。どこの国にそのような教育をする教員がいるでしょうか。あえて不幸な戦争と国旗に因果関係があるとするならば、責められるのは時の為政者であるはずです。国旗は被害者でこそあれ、加害者では絶対にないはずであります。  その後、この女性教員は、減給十分の一、一カ月との処分に不服の申し立てをしているそうでありますが、この行為によって旅立ちへの厳粛なはずの卒業式に大きな傷跡を残したことを考えますと、この処分は余りにも軽過ぎると考えるものでありますが、ご見解をお伺いいたします。(発言する者あり)  村山内閣の支持率が大幅に上昇中との報道がありました。最大の要因は、社会党の政策転換にあるといわれております。とりわけ、国旗、国歌容認は、村山内閣最大のヒットだとの声もあるくらいです。責任ある立場に立つならば、きちんとした現状認識を持たざるを得ないことのあらわれではないでしょうか。  一部の偏向した教師による教育を排除し、国旗、国歌が正しく教育の場で取り扱われるためには、一校長にその責任のすべてを押しつけて解決する問題では決してないはずであります。教育の根幹にかかわる問題として、文部省、東京都教育委員会の姿勢いかんだと考えますが、今後の対応とあわせて、教育長のご所見をお伺いいたします。  以上で私の質問を終わります。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 黒須議員の一般質問にお答えいたします。  最初に、中核市制度についてのお尋ねであります。  この制度は、規模能力が比較的大きな市に都道府県の権限の一部を移譲するものであり、地方分権の推進を図るという点では必ずしも十分なものではありませんが、できる限り住民の身近で行政を行うことを可能とする点で意義があると考えております。  将来、八王子市から中核市指定の申し出があった場合には、多摩自立都市圏形成の観点から、市の意向を十分尊重しつつ、都議会に諮っていく考えであります。  また、中核市に係る財政措置については、地方交付税上、所要の措置がとられるものと聞いております。  次に、多摩、島しょにおける地域づくりについてのお尋ねであります。  地方分権が重要な課題とされる今日、市町村が広く住民の参加のもとに、個性豊かで魅力あふれるまちづくりに取り組んでいくことは、極めて意義があるものと認識しております。  都としても、多摩、島しょ地域において、こうした主体的なまちづくりをさらに展開していけるよう支援していくことが必要であると考えます。今後とも、多摩、島しょ地域の振興に向けて、市町村の地域づくりを引き続き支援してまいります。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔都市計画局長長裕二君登壇〕 ◯都市計画局長(長裕二君) 業務核都市基本構想及び多摩の心整備指針の策定状況についてのお尋ねでございますが、第四次首都圏基本計画に位置づけられました業務核都市と、都の長期計画に位置づけられました多摩の心は、いずれも多心型都市構造の形成を基本方針としており、その考え方はともに軌を一にするものでございます。  八王子、立川の業務核都市基本構想につきましては、地元市等との調整を図りつつ、既に国土庁へ予備調査の原案を提出し、事前調整に入ったところでございます。正式な承認申請は、多摩の心整備指針の策定とあわせて、平成六年度中を目途に行っていく予定でございます。  次に、多摩地域を一つの自立都市圏とした都市基盤整備についてのお尋ねでございますが、都は、従来から、多摩地域を自立性の高い都市圏として育成することを目指してきたところでございます。今後とも、多摩の心や地区中心などの整備を進めるとともに、広域的な視点から首都圏中央連絡自動車道や、JR中央線の線増連続立体交差化、多摩都市モノレール、南北方向の幹線道路など、都市基盤の整備を積極的に推進していく所存でございます。    〔総務局長瀬田悌三郎君登壇〕 ◯総務局長(瀬田悌三郎君) 都の施設の管理運営を行う財団等に対する指導についてのお尋ねでございます。  財政支出監理団体は、事業の効率的、弾力的な運営などのメリットを生かしつつ、都行政を代行、補完し、都民サービスの向上に寄与しているものでございます。  都といたしましては、コストの削減など、団体自身による効率的な運営が確保されるよう、都独自に定めた財政支出監理団体指導監督基準等に基づき、団体を指導しているところでございます。今後、ご指摘の点も踏まえ、団体に対する関与のあり方を見直すなど、より適切な指導に努めてまいりたいと存じます。    〔生活文化局長竹尾格君登壇〕 ◯生活文化局長(竹尾格君) 東京国際フォーラムの運営についてのお尋ねにお答えいたします。  東京国際フォーラムにつきましては、ご指摘のように、財団法人東京国際交流財団に施設を貸し付けることを予定しております。このような方法をとることによりまして、独立採算を目指した自律的な運営を行うことが可能となり、ひいては、利用者本位の運営につながるものと考えております。  また、将来の経営見通しについてでありますが、積極的な誘致活動やさまざまな経営努力を行うことによりまして、現時点での試算では、ビル管理費や光熱水費などの支出を、ホール等の貸し館施設の利用料金収入、飲食、物販施設の運営収入等により賄いまして、おおむね収支の均衡が図れるものと考えております。    〔教育長市川芳正君登壇〕 ◯教育長(市川芳正君) 国旗、国歌にかかわる四点のご質問にお答えいたします。  初めに、卒業式、入学式において、国旗掲揚、国歌斉唱に反対する行為があったことについてのお尋ねでございます。  遺憾ながら、ご指摘のように、卒業式、入学式当日、校門等において国旗掲揚、国歌斉唱に反対するビラを配布する行為が都立高校の一部にあったことは、校長の報告により承知いたしております。生徒、保護者にとって記念すべき行事の当日においてかかる行為が行われたことは、教育上極めて好ましくないことと考えております。今後、このような行為が繰り返されることのないよう、校長を通じて強く指導してまいりたいと存じます。  次に、公立学校の体質、教員等にかかわるお尋ねでございます。  ご指摘のように、教員の資質が課題であるとして公立学校に対する信頼が問われているとするならば、大変遺憾なことであります。児童生徒、保護者にとって魅力ある公立学校であるためには、一人一人の教員が人間性豊かですぐれた指導力を身につけることが大切であります。  都教育委員会といたしましては、今後とも、公立学校が都民の信頼を一層得られるよう、教員の資質向上に努めてまいる所存であります。  次に、八王子市内の中学校での、本年三月の卒業式における国旗掲揚妨害行為に対する処分内容についてのお尋ねでございます。  この教員の行為は教育公務員としてあるまじき行為であり、極めて遺憾であります。  市教育委員会、校長を通じて調査するとともに、本人の事情聴取を含め、事実関係を十分確認した上で、法令等に照らして厳正に処分したところであります。  終わりに、国旗の掲揚や国歌の斉唱指導についての今後の対応についてのお尋ねであります。  日の丸が国旗、君が代が国歌であるということは国民の間に定着していると認識しており、これを尊重してまいりたいと存じます。都教育委員会は、本年一月、臨時に全都立学校長を招集して、国旗掲揚等に関する教育長名の通知を示し、あわせて関係資料を配布して強く指導し、今春の卒業式、入学式における都立高等学校の国旗の掲揚については、実施率の向上を見たところであります。  都教育委員会といたしましては、各学校において国旗の掲揚や国歌の斉唱指導が適切に行われるようさらに指導するとともに、今後とも、教員一人一人が教育公務員として信頼を損なうことのないよう、服務について厳正に対処してまいりたいと存じます。  以上でございます。 ◯議長(奥山則男君) この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。    午後五時五十八分休憩      ━━━━━━━━━━
       午後六時三十四分開議 ◯副議長(萩谷勝彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  質問を続行いたします。  十一番寺山としお君。    〔十一番寺山としお君登壇〕 ◯十一番(寺山としお君) 木々の葉を支える枝、枝を支える幹、幹を支える根、根は見えない。  都政を幹に例えるならば、その幹を支えている多くの方々──都政に参画させていただいて一年が過ぎました。その方々のご苦労される姿に接して、負けてはならないと、微力ではありますが、誠心誠意これまで取り組んでまいりました。私は小さな一本の根にすぎないかもしれません。しかし、これまでご指導いただいた先輩議員の皆様、また、知事を初め職員の皆様に御礼申し上げ、そして、私が一歳半のときに他界した父、それから女手一つで育ててくれた母、これまで私を支えていただいた多くの方々に感謝申し上げ、質問に入りたいと思います。  初めに、青少年施策についてお伺いをいたします。  二十一世紀は高齢化社会の時代であるといわれますが、高齢社会の問題は高齢者だけの問題ではなく、高齢社会を生きるすべての人々の問題であり、とりわけ、その解決には次の時代を担う、二十一世紀を担う若者に大きな期待が寄せられているところです。  東京都青少年基本調査「大都市青少年の生活・価値観に関する調査」によれば、知事が就任されて以来、東京は住みやすいと評価する若者が着実にふえていましたが、前回、平成三年の調査では、住みやすいと答える若者がやや減少しているのが気がかりであります。  また、今日の若者が他人との関係を避ける、社会的関心の低下、無気力で自己埋没型の傾向を強めていて、青少年の地域社会への参加意欲が極めて低いことがさまざまな統計やあるいは調査で指摘されています。「週刊とちょう」の「テロップ」で述べられているとおり、生まれながらに豊かさの中に育ってきた若者たちが、そのような環境の中で情熱とエネルギーをぶつける対象を見失ってしまっているとしても不思議ではない。生活の質や生きがいなど、若者の心の満足の選択にこたえられるシステムをいまだ社会が持ち合わせてはいない。若者たちに生きる勇気と喜びを持ってもらうために社会は何をすべきなのか真剣な取り組みを問うている、ということではないでしょうか。  知事が推進しているマイタウン東京づくりは、子供たちの明るい声が絶えることのない、生き生きとした地域社会を維持、形成していくことであると思います。今日、青少年を取り巻く環境は、近年の社会経済の発展に伴って大きく変貌しつつあり、特に家庭、地域社会にあって、青少年の育成機能が十分に果たし得なくなっている状況が見られます。例えば、青少年の人間形成が行われる最初の場である家庭においては、核家族化、あるいは少子化等の進行によって、兄弟、その間ではぐくまれるべき思いやりやあるいは自立心がうまく育たなかったり、親の過保護や、あるいはほったらかし、そのことによって青少年が健やかに成長する上で大きな問題が生じています。  また、地域ではどうでしょうか。子供同士が遊ぶ機会が減ってきました。さまざまな生活体験や多様な人々との交流を通じて自己形成を促してきた教育力が低下してきているのではないでしょうか。子供たちの地域のメンバーとしての役割意識も弱まってきています。さらに、情報化の進展の中で過剰ともいえる情報が、青少年の自分で考える力あるいは直接体験の機会の減少をもたらして、受け身的な傾向や社会への関心の低さ、これを引き起こしているとも指摘されています。  まさに二十一世紀は現在の青少年が担うものであり、この青少年が活力と意欲にあふれ積極的に社会へ参加していく、未来へ希望を持って生き生きと成長していくために、青少年育成施策こそ都政の重大な課題であると思います。  そこで、知事の青少年施策に取り組む基本姿勢と、今申し上げたような、青少年問題の現状にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いします。  次に、青少年問題協議会意見具申の具体化についてお伺いします。  さて、今日の青少年は、社会の経済的発展の中で物質的には豊かさを享受しているといえますが、他方では、偏差値や知識を重視する風潮と、どんどん加熱していく受験競争に直面して、学業やあるいは塾通いに多忙で、みずから主体的に行動できる自由時間を十分に確保できない状況にあります。一昨年九月からは、月一回の学校週五日制が導入され、青少年のゆとりの確保に向けて新たな一歩が踏み出されました。  この三月には、都の青少年問題協議会から、自由時間の中での成長と題する提言がありました。提言は、学校に代表される課題のある時間に対し、子供の健やかな成長にとって遊びに代表される自由な時間の重要性を指摘した極めて示唆に富んだ内容であると思います。青少年の生活にゆとりを広げていくとともに、それを活用して青少年が人や社会とのかかわりを持つ機会や場を社会全体として設けていくことが、今後重要な課題になっていくと思われます。  提言は、二十一世紀における青少年健全育成施策上の新しい視点として、自由時間の中での成長を保障する必要性を強く訴えるもので、その多くは、家庭、学校、地域へ向けて長期的に取り組んでいくべき方向性を示したものと考えますが、行政においても施策の中に積極的に生かし、家庭や地域へも働きかけていく必要性があると思いますが、ご所見をお伺いします。  次に、青少年センターの充実についてお伺いします。  今日、家庭や地域社会が従来持っていた育成機能を十分には果たし得なくなってきた、このような状況の中においては、これを意識的に補充し、また充実していくシステムが必要と思われます。社会教育活動を初め、行政の事業展開の各場面において青少年の参加を促すという視点が大事であると思います。  先日、私も視察させていただきました都の青少年センターのようなところが、今日青少年の置かれている社会状況を的確にとらえ、青少年の社会参加の先駆的事業を展開していくべき場所として、重要な役割を果たしていくべきであります。センターの事業でも、ボランティアリーダー養成事業やあるいは外国の青少年との交流を図る日本語教室など、大変盛況です。今後とも、高齢者との交流、外国青少年との討論や障害者との交流体験等の機会と場を積極的に整備していくことが必要であると実感しました。しかし残念なことに、現在の青少年センターの利用者、若者からは、施設の利用度が高いにもかかわらず、狭く、あきがないとの声が多く聞かれます。  青少年センターの役割が今後ますます重要になってくる今日、これが充実の方途についてお伺いいたします。  次に、在宅サービスシステムの充実についてお伺いします。  いつでも、だれでも、みんな同じように大事にされる権利がある、同じ太陽の下に住む者同士なんだから。  過日、高齢社会への理解と認識を深め、世代を超えた連帯と交流を進める、東京都シルバーフェスティバルの表彰式典に列席させていただきました。その中の小学生作文コンクールで、高学年の部都知事賞を受賞された葛飾区の平賀めぐみさんの作文は、いつでも、だれでも、みんな同じように大事にされる権利があるという、おじいちゃんのいつもの口癖を書いています。雑草のような花を大切に手入れするおじいちゃんの姿や、広島、長崎の原爆のニュースを見て、暗く悲しいおじいちゃんの横顔に接して、めぐみちゃんは、おじいちゃんの口癖の意味がわかってきます。さらに、めぐみちゃんは、お年寄りと触れ合うことにより、私たちは人間として大切な何かを得られるような気がするといっています。  私は、ことしの二月と六月に続けて父方の祖父母を亡くしました。そのとき、めぐみちゃんと同じことを考えさせられました。私の父が他界してから島根県で夫婦二人で生活してきた祖父母は、足腰が弱くなり痴呆症が進行する祖父の面倒を祖母は一人で介護してきました。九十二歳と九十三歳でした。痴呆の進行とひとりで立つことが困難になったとき、祖父は老人病院へ入院しました。その後数年祖母はひとり暮らしでした。九十三歳の祖母はひとり自宅で亡くなり、その四カ月後、後を追うように祖父は病院で息を引き取りました。死の間際まで祖父母の生活を支えていたのは、近所に住む叔父夫婦と週二回訪れていただいたホームヘルパーの方、献身的に介護していただいた老人病院の看護婦さんたちです。祖父母に対して、東京にいて何もしてあげられなかった自分の非力を思い、また、老いて健康を損なっても安心して安らかに暮らせていける社会づくりの必要性を強く思い知らされました。  東京では、一般病院はいうに及ばず、老人病院に入院するにもなかなかベッドのあきがありません。特別養護老人ホームの待機者数は一万人を超えています。在宅福祉サービスの利用状況などをまとめた、八月二十九日に厚生省が発表した、平成五年版老人保健福祉マップによれば、東京都における六十五歳以上人口百人当たりのホームヘルパー派遣事業の年間利用日数は七十八・六日となっています。  利用日数は着実に伸びてはいますが、在宅福祉のおくれは否めません。例えば、ひとり暮らしの要介護高齢者が在宅で生活していくためには、二十四時間のホームヘルプサービスの派遣体制などが不可欠です。しかし、週一回程度のヘルプサービスの現状を見てみると、一体いつになったらきちんとした整備ができるのか大変危惧されるところです。また、要介護高齢者のニーズは、介護サービスに限らず、保健医療サービスをもっと必要とする場合が多いのですが、現状では、介護サービスと保健医療サービスの連携は必ずしも十分うまくとれておらず、ばらばらに提供されているのが現状です。  今後、在宅福祉を基調とした地域福祉を推進していくためには、在宅サービスの基幹ともいえるホームヘルプサービスを飛躍的に充実するとともに、訪問看護や訪問医療などとの連携システムを構築していく必要があります。そのためには、二十四時間派遣も視野に入れたホームヘルプサービスの充実強化や、保健医療システムとの連携システムの構築などについて積極的な検討が強く求められています。  そこで都は、在宅サービスの基幹を担うホームヘルプサービスを充実するために、今後どのような対応をとられるのか。また、ホームヘルプサービスや訪問介護サービスを初めとする保健、医療、福祉の連携をどのように図っていかれるのか、お伺いいたします。  次に、私自身が学生時代から活動し、取り組んできた福祉ボランティア振興策について質問いたします。  さきに取り上げた高齢者福祉の問題をとっても、公的施策を充実させることはもちろん重要ですが、地域における多様なボランティア活動が今後大きな役割を果たしていくものと考えます。今日、人々の意識も大きく変わりました。自分自身の生活の中でゆとりや生きがいを大切にするとともに、地域社会へのさまざまな行事や活動へ関心を持つなど、社会参加の意欲も高まってきています。平成五年版の厚生白書あるいは国民生活白書を見ると、ボランティア活動への参加意欲のある人が四人に一人の割合であり、ボランティア活動への関心が大きくなっていることを取り上げています。しかし一方では、残念ながら、東京のような都市部においてはボランティアが少ないというデータも示されています。  人々のボランティア活動への参加を促進し、活動を支援するためにその活動基盤の整備は大変重要です。東京においても、東京ボランティアセンター、区市町村ボランティアセンターが設置され、ボランティアの相談窓口、情報の提供、研修など、ボランティア活動充実のための重要な役割を果たしています。さらに、地域においては、さまざまな特色を持ち独自に活動を展開している数多くのボランティア団体があります。これらの団体は地域の神経となりあるいは血管となって、地域福祉の向上に大きく貢献しているといっても過言ではないと思います。このような団体に対して積極的な援助策を提供すべきと思いますが、ご所見をお伺いいたします。  さらに、ボランティア活動の内容を見てみると、近年、国際交流のための活動に関心が高まり、その活動の割合が増加しています。また、ボランティア活動をコーディネートするリーダーの育成も必要と考えます。今年度の新たな施策として、ボランティア活動に参加する人たちを海外に派遣し、ボランティア活動を活発に展開している欧米諸国等で実地研修を行い、その結果を地域社会の活動の中で生かすことはまことに有意義であることと思います。  そこで、二点お伺いいたします。  まず第一点目は、東京ボランティアセンターや地区ボランティアセンターに登録していない団体等であっても、地域で活躍しているボランティアについては、この事業に積極的に参加できるようにできないかということです。  第二点目は、今後、東京からの派遣ばかりではなく、海外からもボランティアを受け入れ、相互交流の機会を持つことができないかということですが、ご所見をお伺いします。  最後に、今回提案された資産公開条例についてお伺いします。  日本新党は、昨年九月の第三回定例会に資産公開条例が提出されて以降、今日まで一年間の議論を踏まえるならば、対象範囲を副知事、出納長まで当然含めるべきだと思いますが、ご見解をお伺いします。  次に、公文書開示条例を中心とした都の情報公開制度の中で、知事の資産報告書等は当然公開の対象となる公文書に該当すると思われます。この制度に基づいて都民から開示請求があった場合に写しの交付が認められるとしたら、知事の報告書は写しができ、議員のものはできないという食い違った事態が生じることになります。このことは都民にとって理解しにくいことであり、議会としても条例施行前に写しの交付を制度化する必要が生じます。  そこでお尋ねいたしますが、閲覧に供する資産報告書等の写しの交付を認めるかどうか、ご見解をお伺いいたします。  これで質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 寺山議員の一般質問にお答えいたします。  最初に、青少年施策に取り組む基本姿勢についてのお尋ねであります。  最近の青少年をめぐる状況は、ご指摘のように、家庭や地域社会の教育力が低下するなど、青少年の健全育成上見過ごすことのできない問題が生じており、その解決のためには、家庭、学校、地域や関係機関が一体となって取り組む必要があるものと認識しております。  都は、これまでも、自立した青少年の育成を目指した青少年健全育成のための新東京都行動計画を策定し、総合的、計画的に施策を推進してきたところであります。今後とも、青少年がすぐれた環境の中で十分な自己形成を遂げられるよう、施策の充実に積極的に取り組んでまいります。  次に、在宅サービスにおける保健、医療、福祉の連携についてのお尋ねであります。  保健、医療、福祉の連携を図り、利用者のニーズに即したサービスを総合的に提供することは、重要な課題であると認識しております。このため、現在、保健所、福祉事務所、医師会の代表などから成る高齢者サービス調整チームなどにより対応しているところであります。  今後、これらの組織を活用するほか、利用者のニーズに照らして、保健、医療、福祉の各分野の連携を図り、在宅サービスの一層の充実に努めてまいります。  次に、知事の資産公開条例の適用対象者についてのお尋ねであります。  資産公開制度は、公選の職にある者が、その資産等を公開することにより、みずから襟を正すとともに、その職務遂行に当たっての公正を示すことにその中心的な役割があると考えます。政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律及び自治省が示したモデル条例においても、適用対象者を公選の職にある者に限っているところであります。このため、都といたしましても、こうしたことを総合的に勘案し、知事のみを条例の適用対象とすることにしたものであります。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔生活文化局長竹尾格君登壇〕 ◯生活文化局長(竹尾格君) 青少年施策についてのご質問にお答えいたします。  まず、青少年問題協議会の意見具申への取り組みについてであります。  去る三月にいただいた青少年問題協議会の意見具申は、青少年が豊かな自己を形成するために、自由時間の持つ重要性を強調した新しい視点に立った貴重な提言であると考えております。提言では、ボランティア活動への参加や学校での自由時間の充実など、自由時間の活用などにつきまして多面的に取り上げておりまして、これに対する具体化については、東京都青少年健全育成推進本部会議を通じて全庁的な連携を図りつつ、その実現に努めてまいります。  次に、青少年センターについてであります。  青少年センターは、昭和五十九年開設以来、十年を経過いたしまして、毎年十一万人余の青少年が利用し、青少年の交流、社会参加の促進に成果を上げてまいりました。センターでは、これまでもそのときどきの青少年の置かれている状況に対応した、さまざまな事業に取り組んできたところであります。今後とも、ご提案の趣旨を踏まえ、事業や施設の充実に努めてまいります。    〔福祉局長中嶋理君登壇〕 ◯福祉局長(中嶋理君) ホームヘルプサービス及びボランティアについてのご質問にお答えをいたします。  まず、ホームヘルプサービスについてのお尋ねでございますが、在宅の要介護高齢者とその家族を支援するためには、在宅福祉サービスの中心的事業であるホームヘルプサービスの充実を図ることは、重要な課題であるというふうに考えています。このため都は、東京都人材開発センターにおきまして、ホームヘルパーの養成、確保に積極的に取り組んでいるところでございます。また、従来のサービス供給組織に加えまして、地域の実情に応じ、福祉公社や社会福祉法人など多様な供給組織を活用した事業展開が図られますように、区市町村を支援しているところでございます。今後とも、ご指摘の点を含め、実施主体であります区市町村などと協力しながら、ホームヘルプサービスの一層の充実を図ってまいります。  次に、地域において独自に活動しているボランティア団体への援助策についてのお尋ねでございます。  地域住民や民間団体等の自主的な活動に対しましては、都と民間団体などが協力をしまして、東京都社会福祉協議会に設置をしましたボランティア基金を活用して、研修活動や器材の購入等について支援しているところでございます。さらに、都は、東京都社会福祉協議会及び区市町村社会福祉協議会が実施しておりますボランティア保険掛金助成事業に補助をいたしますなど、援助策を講じているところでございます。今後とも、ボランティア活動の自主性、主体性を尊重することを基本とし、区市町村及び民間団体との連携を図りながら、ボランティア活動がより一層活発に展開されますように、その支援に努めてまいります。  最後に、福祉ボランティア等の海外派遣及び相互交流についてのお尋ねでございます。  平成六年度、今年度から新たに開始しました福祉ボランティア等海外派遣研修事業は、都内で活動する福祉ボランティアやボランティアコーディネーターを海外に派遣をし、先進的なボランティア活動の状況を視察するとともに、体験学習や交流を通じて得られた成果を今後の活動に生かすことを目的に実施するものでございます。現在、十月八日を期限として参加の受け付けを行っておりますが、応募内容の周知等について工夫をし、広く地域において活躍しているボランティアの参加が得られるように努めているところでございます。また、海外からのボランティアの受け入れと交流につきましては、今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。    〔総務局長瀬田悌三郎君登壇〕 ◯総務局長(瀬田悌三郎君) 知事の資産公開条例に基づく資産報告書等の写しの交付についてのお尋ねでございます。  条例では、公開の方法として閲覧のみを定めたところであり、この条例による写しの交付はしないことといたしております。しかしながら、知事が作成する資産報告書等は、東京都公文書の開示等に関する条例に規定する開示対象となる公文書に該当いたしますので、同条例に基づく写しの交付請求は可能でございます。      ───────────── ◯副議長(萩谷勝彦君) 五十六番宮尾英世君。    〔五十六番宮尾英世君登壇〕 ◯五十六番(宮尾英世君) 私は、都政の抱える四つの課題についてご質問をいたしたいと思います。知事並びに関係局長のご所見をお伺いしたいと思います。  まず、都税の収入状況についてお伺いいたします。  七月末現在の都税収入は七・七%、法人事業税、法人都民税に至っては一七%の減と、厳しい財政状況が示されております。加えて、都税の平成五年度末の滞納額は、総額で二千三百五十九億円、法人都民税で四百七十六億円、法人事業税で四百二十七億円となっています。この滞納額の解消に当たっては、東京都でも大変なご努力をされていると聞き及んでいます。  そこでお伺いしますが、平成五年度における都税の滞納状況と、主税局は具体的にどのような取り組みをされてきたのか、お伺いしたいと思います。  次に、六年度の都税の見通しについてであります。六年度税収見通しについてどのようにお考えか、お伺いいたします。  また、地方団体が要望してきた独立税源としての地方消費税の創設が、昨日、大蔵、自治両省の間で合意されたと聞いております。どのようにお考えか、知事にお伺いいたします。  次に、明年は終戦五十周年を迎えます。この際、私は知事に格段のご要請とご所見をお伺いしたいと思います。  知事には、横田基地返還など、ご尽力をいただいておりますが、腑に落ちないのが硫黄島島民の帰島問題であります。政府は、火山活動による異常現象が著しいこと、産業の成立要件が厳しいことなどから、一般住民の定住は困難であるとして、島民の帰島を認めておりません。硫黄島島民が強制疎開された経緯からすれば、島民の帰島への思いは募るばかりであります。  そこで、都が国に対して、希望者だけでも帰島できる条件の整備を働きかけるべきであると考えます。それがどうしても不可能なら、せめて一週間程度の墓参ができるような宿泊施設の建設、または現在ある自衛隊施設の利用、確保ができないものかどうか、お伺いいたします。  次に、明年の東京都平和の日についてお伺いいたします。  東京都平和の日については、シンポジウムや東京空襲に関する展覧会など、多くの都民が記念行事に参加できるよう創意と工夫を凝らし、また国内外に向けて平和アピールするなど、東京空襲五十周年にふさわしいものにすべきだと思いますが、知事のご所見をお伺いいたします。  この項の最後に、平和祈念館についてご要望いたします。  平和祈念館は、既に基本計画の策定も終え、今年度においても調査費を計上するなど、前向きの取り組みは評価いたします。いよいよ建設の段階を迎えるわけですが、次年度においても積極的な予算措置をされるよう強く要望いたします。  次に、環境問題についてお伺いいたします。  六月の議会で環境基本条例が制定されたことは評価いたします。具体的な都政の環境施策は、環境基本計画の策定、庁内の調整・推進委員会での検討を受けてということだと思います。その間の環境行政は環境管理計画に基づいて行われると理解しておりますが、都内の環境問題は、大気汚染、騒音、緑地、水質汚染などなど課題が山積しております。その意味で環境基本条例の具体化が急がれておりますが、環境基本計画策定までのスケジュール、策定のめどについて知事のご所見をお伺いいたします。  二点目は、フロン対策についてお伺いいたします。  モントリオール議定書では、九五年末までに特定フロン等の製造が全廃されることになっておりますが、この時期に東京都がフロンの破壊技術の開発で成果を得たとの報道に接し、ほっとしているところであります。さて、モントリオール議定書を真に実のあるものにするためには、企業、住民、行政との一体的取り組みが求められています。  そこでお伺いいたします。フロン全廃に向けて、現在、都はどのような取り組みをしているのか、具体的にお示しいただきたいと思います。  また、スウェーデンでは、九四年にフロンの全廃を目指し、自動車、冷蔵庫などフロンの代替を行っていると聞いております。これに比べ、日本では製造が禁止されているフロンが、ガソリンスタンドでカーエアコンの補充用として販売されていると聞いています。都ではこれらの事実について把握されているのかどうか、調査も含めてどのような対応をされるか、お伺いいたします。  環境問題の最後に、建設作業に伴う騒音問題についてお伺いいたします。  都内の建設作業騒音問題に関する苦情は、近年、工場騒音を抜いて一番多い状況になっています。これらの建設作業の中には、早朝から夜遅くまで行われるケースもあり、都民の日常生活に多大な影響を及ぼしております。建設作業騒音に対する現状の規制は、特に著しい騒音を発生する特定建設作業については騒音規制法で、指定建設作業については東京都公害防止条例で規制されております。この規制内容も、音量基準で八五デシベルまたは八〇デシベル、作業時間は、工業地域以外でも午前七時から午後七時、地域の区分も一号区域と二号区域と大ざっぱなものになっております。  私は、規制法の内容そのものに疑問を持つものでありますが、これらの規制は一部見直しはあったものの不十分であり、さらに住民の環境意識も著しく変わってきております。  そこでお伺いします。騒音規制法、公害防止条例の対象となっていない未規制の建設作業についてどう対応されているのか。また、法、条例制定後の技術革新や作業環境の変化を考えてみますと、規制対象作業や騒音の音量基準、地域の区分を見直すべきだと考えますが、ご所見をお伺いします。  次に、都市計画に関連してお伺いします。  東久留米駅区画整理事業、清瀬駅北口の再開発事業は、都の支援のもと着々と進められ、町の姿も日一日と変わりつつあります。都のご支援に心からお礼を申し上げます。  ところで、都心から二十キロ余、西武池袋から二十五分の地にある秋津駅は、いまだにバスもタクシー待合所もない近隣商業地域と第一種住専の地域になっております。恐らく西武池袋線でこのような地域はないと思います。私は先般、地域活性化のため、用途地域の見直しを含めた秋津駅周辺整備をただしたところ、市と相談しつつ検討したいということでありました。秋津駅周辺は東村山市、所沢市と三市にまたがっており、少なくとも東村山市との相互協力が重要だと認識しておりますが、両市にまたがるだけに都の指導が望まれます。  そこでお尋ねしますが、秋津駅周辺整備のために市との協議はどのように行われてきたのか、また都としての対応方針はどのようなものか、お伺いいたします。
     駅前開発で留意したい点として、ひばりヶ丘駅前再開発事業があります。保谷市と地権者が共同で行ったこの再開発は、大型店舗を誘致し、住・都公団住宅を併設するという手法が行われました。ところが、住宅部分の廊下が建物からはみ出し、通行人の安全が市民から指摘され、建設終了後、住民、市、地権者、公団との話し合いの結果、都のご協力もあって、安全の面から廊下にメッシュを取りつけることにしました。この問題は、開発申請段階からチェックされるべきであり、一言要望として申し上げておきます。  次に、建築指導についてお伺いいたします。  現在、清瀬市野塩の地に大型スーパーが建設されています。ところが、建物建設に当たって、建築公示段階から、住民からの説明の要請にもこたえず、建築指導の担当には説明が終了した旨報告、建築確認がおりるや、早朝から工事に着工している状況です。問題は、大型店であるにもかかわらず、歩道もないまま道路に面して建物が建築中であるということなのです。建築指導の中で、地域の状況を考慮し、安全性、都市景観、まちづくりの視点で業務を遂行すべきだと考えます。  そこで、今述べた視点から考えると、建築基準行政事務とまちづくりを一体として推進する上から、建築基準行政事務の市への移管を行うべきだと思います。現在、多摩地区の人口十五万以上の市を対象に建築基準行政事務の移管を進めていると聞いておりますが、人口十五万未満の市においても、建築指導業務と連動して一体的にまちづくりを推進するために、建築主事を積極的に設置すべきだと考えます。市によっては前向きな取り組みも出ているやに聞いておりますが、人材確保、財源負担がネックになっていることも聞いています。都としても人的、財政的に十分配慮して移管を推進すべきであると考えます。いかがでしょうか、ご所見をお伺いし、質問を終わりたいと思います。  どうもご清聴ありがとうございました。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 宮尾議員の一般質問にお答えいたします。  まず、地方消費税についてのお尋ねであります。  ご指摘のとおり、昨日、今回の税制改革の一環として、地方独立税である地方消費税が都道府県税として創設されることについて、自治、大蔵両省間で合意されたところであります。私は、これまでも税制改革に当たっては、全国知事会会長として、また都知事として、住民税減税等による減収は地方独立税により完全に補てんするとともに、地方消費税を創設するなど、地方独立税源の充実確保を図るよう、国に対し強く要望してきたところでございます。したがって、地方消費税の実現に向けて前進を見たことは、地方分権の推進や地方税源の充実確保の観点から評価できるものと考えております。今後とも、その具体化、実現に向けて努力を重ねてまいります。  次に、東京都平和の日についてのお尋ねであります。  来年の三月十日は東京大空襲五十周年の日であり、また、来年は東京都平和の日条例制定五周年となります。平和の日記念行事につきましては、ご提案の趣旨を踏まえ、平和の日記念行事企画検討委員会のご意見をいただきながら、多数の都民が参加する多彩な行事の開催や、平和を求める都民の強い意思を国内外に広く示すなど、五十周年にふさわしいものとしてまいりたい。  次に、環境基本計画の策定スケジュールについてのお尋ねであります。  環境基本計画の策定に当たりましては、現在作成を進めている環境白書などを通じ、環境の現状や施策の実施状況等を明らかにした上で、環境保全の目標や施策の方向を十分検討していく必要があると考えております。したがって、来年度、可能な限り早期に環境白書を公表した上、環境基本計画の策定に着手してまいります。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔主税局長竹内敏君登壇〕 ◯主税局長(竹内敏君) 都税収入に関連する二点のご質問にお答えいたします。  まず、平成五年度の都税の滞納状況についてのお尋ねでございますが、バブル経済の崩壊と長引く景気低迷の影響によりまして、不動産関連事業の不振等から、不動産関連税目を中心といたしまして、ご指摘のように滞納額が累増したため、高額滞納事案、長期滞納事案に重点を置いた滞納整理計画を策定し、局を挙げてその整理促進に努めてきたところでございます。本年度におきましても、引き続き、真に納税が困難な方々に十分に配慮しながら、滞納整理の促進に努めてまいります。  次に、平成六年度の税収見通しについてのお尋ねでございますが、本年度の都税収入予算は、年度後半に景気が緩やかに回復するとの見通しのもとに算定したものでありますが、予算額の確保につきましては、今後の景気動向いかんによっては厳しいものがあると考えております。現時点では、いまだ確たることを申し上げる段階に至っていないため、年度後半の税収に大きなウエートを占める三月期決算法人の中間決算の動向なども見きわめた上で精査してまいりたいと存じます。    〔総務局長瀬田悌三郎君登壇〕 ◯総務局長(瀬田悌三郎君) 硫黄島への帰島問題等についてのお尋ねでございます。  硫黄島及び北硫黄島は、火山活動の異常現象や産業の成立条件が厳しいなどの理由により、一般住民の定住は困難であるとの昭和五十九年六月の政府決定が出され、今日においても旧島民は帰島できない実情にございます。  また、墓参のための宿泊施設の確保等につきましては、解決すべきさまざまな困難な問題がありますが、今後、関係機関と協議してまいりたいと存じます。    〔環境保全局長中島正剛君登壇〕 ◯環境保全局長(中島正剛君) フロン対策についてのお尋ねでございますが、都では、廃棄物として収集した冷蔵庫の冷媒用フロン、あるいは都有施設の空調用冷凍機のフロン、これを回収しまして再利用するなど、排出防止対策を推進するとともに、フロン破壊技術の開発を進めているところでございます。さらに、事業者等によるフロンの排出を抑制するため、代替品への転換の指導、転換促進のための資金融資、貸し付け等を行っております。今後とも、国とも連携しながら、総合的なフロン対策を積極的に推進してまいります。  ガソリンスタンドでのフロンの販売についてのお尋ねでございますが、自動車用エアコンのフロンは、使用中にその一部が漏れるため、ガソリンスタンドなどでも補充が行われているのが実態でございます。現在、代替品の開発が進められている段階でございますので、当面は、可能な限り回収したフロンを再利用する、そういうことが望ましいと考えております。今後とも、国、地方自治体、事業者等との役割分担が明確にされるように国に要望していくとともに、代替品の開発促進及びフロンの回収、再利用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、規制対象外の建設作業騒音についてのお尋ねでございます。  騒音規制法及び東京都公害防止条例によりまして、騒音規制事務は区市に委任しております。その結果、区市により必要な規制が行われているところでございます。  ご指摘の規制対象外の建設作業騒音でございますが、都は区市に対して指導の方針を示しまして、区市において適切な指導が行われるよう努めているところでございます。しかし、ご指摘のように、建設作業騒音に対する苦情が多い、そういう実情がございますので、そういう実情を踏まえまして、現在、国で検討会を設置いたしまして、規制対象作業の見直し作業を行っているところでございますので、都としても、その結果を踏まえまして対応策を検討してまいります。  なお、音量基準、あるいは地域区分の見直しでございますが、これらにつきましては、ご指摘の趣旨を踏まえまして、今後、建設作業騒音の実態、あるいは低騒音機械の開発の動向などの把握に努めるとともに、規制のあり方そのものについて研究を進めてまいりたいと考えております。    〔都市計画局長長裕二君登壇〕 ◯都市計画局長(長裕二君) 二点お答え申し上げます。  秋津駅周辺整備についてのお尋ねでございますが、当地区では、地元清瀬市により市街地再開発事業や地区計画によるまちづくりが検討され、今日まで協議を行ってきたところでございます。都としては、地域の活性化のためには、駅周辺の道路整備、市街地再開発事業や、それに伴う適切な用途地域の検討などが必要であると考えておりまして、今後とも地元市等の意向を踏まえて、まちづくりを支援してまいります。  次に、建築基準行政事務の市への移管についてのお尋ねでございますが、建築基準行政は、都市計画行政と相まって、まちづくりの根幹をなすものであり、住民に最も身近な自治体が、みずからのまちのまちづくりの一環として行うことが望ましいと考えております。こうした観点から、当面、人口十五万人以上の市と個別に協議を行い、協議の調った市から順次移管することとしておりますが、お尋ねの人口十五万人未満の市につきましても、市の意向に応じまして、移管について協議をしてまいります。  ご指摘の人的、財政的支援につきましても十分配慮いたす次第でございます。      ───────────── ◯副議長(萩谷勝彦君) 九十三番桜井武君。    〔九十三番桜井武君登壇〕    〔副議長退席、議長着席〕 ◯九十三番(桜井武君) ごみ問題について伺います。  本年八月末に発表された都政モニターアンケート、東京と都政に対する印象によりますと、特に関心を抱いた都政をめぐる出来事の第一位はごみ対策で、これは昭和五十九年の調査開始以来初めてのことと聞いております。昨年末発表の世論調査や、本年四月発表の世論調査でも上位に入っており、区部のごみ排出量が平成二年度以来四年連続で減少しているとはいえ、ごみ問題に関する都民の関心は高まっております。限りある最終処分場を延命化するためにも、ごみ問題の解決は急務であり、ごみの発生抑制、リサイクルの推進に努め、ごみ減量化を図ることが重要であると考えるものであります。そこで、都はごみの減量対策としてどのような施策を講じているのか、お伺いいたします。  次に、清掃工場建設についてお伺いいたします。  ごみ問題解決のためには、ごみ減量化対策と同時に、ごみの適切な中間処理を行うことが重要であります。ごみの発生抑制に努め、リサイクルを推進してもなお残るごみを適切に中間処理し、ごみの減容化を図ることは、現在計画中の新海面処分場に次ぐ最終処分場を東京港内に求めることが困難な現状において、極めて重要な課題であります。  都は現在、清掃工場建設計画に基づき、清掃工場未設置区を中心に、可燃ごみの中間処理施設である清掃工場の建設を推進しています。現代の科学技術の粋を集めた清掃工場は、可燃ごみの中間処理施設として現状では最もすぐれた施設であり、都がごみの減容化を目指し、積極的に清掃工場建設を進めていることは、ごみ問題の解決に欠かすことのできない施策であると考えます。しかし残念ながら、清掃工場は必要不可欠な都市施設でありながら、都民の理解を得にくいのが現実であります。そこで、都は現在どのような考え方で清掃工場建設を進めているか、お答えください。  次に、清掃工場建設の進捗状況についてお伺いいたします。  先般、長い間懸案となっていた都区制度改革について都と特別区の合意が成立し、改革の基本的枠組みを示した都区制度改革最終素案が発表されました。これによりますと、清掃工場の建設が進み、安定的な焼却体制が確立する平成十二年が、清掃事業の特別区移管の時期とされています。自区内処理の原則に立った清掃工場の整備が、区移管実現の重要なポイントとされているわけであります。  清掃事業の区移管は、特別区の自治権拡充を目指した都区制度改革の柱であります。平成十二年を目標に、最終素案に示された工場建設計画に沿って、積極的に清掃工場の建設を推進していくことが極めて重要と考えますが、現在の清掃工場建設の進捗状況はいかがでありましょうか。  次に、清掃工場建設計画の中で、具体的に進んでいる墨田地区清掃工場についてお伺いいたします。  墨田地区清掃工場は、清掃工場建設計画の中で先発三工場に位置づけられ、昨年四月に都市計画及び環境影響評価手続に入り、本年三月には都市計画決定がなされ、さきの都議会第二回定例会において工事契約議案を議決したところであります。この議決によって、今後、清掃工場の実施設計、本体工事等が始められるわけでありますが、清掃工場の建設は、地元住民の理解と協力のもとに、地域に受け入れられる施設となることが必要であり、とりわけ墨田地区清掃工場は地域の活性化に寄与し、環境改善への起爆剤となることが求められております。  そこでお尋ねします。現在、建設予定地では、建築に関する標識が設置され、工場建設がいよいよ進められようとしておりますが、墨田地区清掃工場における今後の建設の具体的スケジュールについてお伺いいたします。  次に、清掃車の通行による搬出入道路対策についてお伺いいたします。  墨田地区清掃工場は、日量六百トンの焼却能力の工場として計画されておりますので、ごみの搬入はごみ収集車で、一・二トン車に換算して一日延べ六百五十台の清掃車が運行されることになります。このうち、原則として二十台は江戸川区側から搬出入され、残りの六百三十台は墨田区内の道路を通ることになるわけですが、清掃工場の周辺道路については狭い道路が多い現況を考えますと、清掃車の搬出入路となるところは相当混雑することが予想されると思われます。地元住民の間には、清掃車による交通混雑に対して不安があり、交通混雑への対応が必要であると考えておりますが、それについてどのような対策を考えているのか、お伺いいたします。  ところで、ごみの中間処理としての清掃工場でごみを焼却することによって、当然ながら多量の熱エネルギーが発生します。清掃工場の熱エネルギーの利用も、中間処理過程における資源化の一つであり、これを有効に活用する努力が求められております。墨田地区清掃工場建設に当たって、地元住民は、清掃工場の余熱を利用した還元施設の建設に強い関心を持っております。地元墨田区が建設する還元施設の建設に当たっても、余熱利用の促進が図られるべきであると考えますが、都としてどのように考えているのか、お伺いいたします。  次に、鉄道の立体化について伺います。  東京においては、都民の活発な都市生活、都市活動に加えて、全国から訪れる人々の活動も重なって、通勤通学交通や業務交通など、大量で多様かつ広域的な交通需要が発生しております。こうした交通需要は、その規模の大きさにおいて、国内はもとより欧米諸都市にも例を見ない、東京の交通状況の際立った特徴であるといえましょう。この大量で多様かつ広域的な交通需要は、東京の地域交通と東京を起終点とする全国規模の幹線交通で構成された、一大交通ネットワークによって処理されております。  この中で、東京の地域交通における旺盛な交通需要を今日まで一貫して処理し、支えてきたのは、道路と鉄道であることは間違いありません。しかしながら、道路と鉄道は基本的には地上を平面で走る構造形式であることから、互いに干渉せざるを得ない状況にあります。こうした事態を避けるためには、道路と鉄道という基幹的な交通施設同士が平面で交差しない工夫が必要であります。  現在、東京都内には実に千三百カ所に及ぶ踏切があり、道路交通の円滑な流れに対する大きな障害となっております。このような状況を解消するために、連続立体交差事業は極めて有効な事業手法と考えます。現在、都内各地域においては、多くの箇所で立体化の要望が出されていると聞いております。そこで、まず都においては、こうした重要な連続立体交差事業をどのように位置づけているのか、また計画箇所としてはどのような路線を考えられているのか伺います。  また、最近における連続立体交差事業としては、小田急の喜多見─梅ケ丘間の六・四キロメートルや、中央線三鷹─立川間、十三・一キロメートルがあります。そうした連続立体交差事業の構造形式について、高架方式か地下方式か、いずれの方式を選択するのか、東京都においてはどのような考え方によって決定されているのでしょうか。路線ごとのそれぞれの事情によりいろいろな要素はあると思いますが、都における一般的な考え方について、わかりやすくお答え願います。  次に、京成押上駅から京成青砥駅に至る京成押上線は、京成成田線、京浜急行線、都営浅草線、北総開発鉄道等、神奈川県から成田空港を結ぶ重要な鉄道路線であります。その一方で、墨田区から葛飾区にわたる当該路線約四・五キロメートルの区間には二十カ所に及ぶ踏切があり、自動車交通のみならず、沿線地域の通学通勤などの日常生活にも大きな障害となっております。  当該区間の荒川渡河部においては、荒川堤防のかさ上げ工事に伴い橋梁のかけかえ工事が行われ、関連する区間の立体化工事が進められております。残された区間である曳舟駅付近一・五キロメートル、立石駅付近一・九キロメートルについても重要な幹線道路と平面交差しており、特に明治通り付近の立体化の早期実現がぜひとも必要であります。また、最近ではこの京成押上線の立体化についての機運が盛り上がり、墨田区で協議会が発足したとも聞いております。さらに、荒川橋梁のかけかえ工事が行われているという現状及び前後の取りつけ部付近の地形的条件等を考慮すると、構造形式としては高架構造が想定されます。  そこで、京成押上線の立体化について幾つか質問いたします。  まず、昭和四十五年に立体化の地元要望が出され、昭和六十二年、六十三年度の二カ年にわたり連続立体交差事業調査が実施されましたが、その調査概要はどのようなものであるか伺います。  その後、事業化に向けて、今日までどのような経過を経てきたのか、また現状はどのようになっているのか、あわせてお伺いいたします。  さらに、今後の見通し及び事業期間としてどのくらいを見込んでいるのか、お伺いをいたします。知事及び関係局長の答弁を求めます。  最後に、この事業の成否には、事業用地を提供してくれる方々の理解と協力が不可欠であります。移転を余儀なくされる方々にとっては極めて重要な問題であり、これらの方々への温かい配慮を切にお願いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕 ◯知事(鈴木俊一君) 桜井議員の一般質問にお答えいたします。  連続立体交差事業の位置づけ等についてのお尋ねであります。  都では、第三次長期計画において、連続立体交差事業を道路交通の円滑化及び踏切解消による安全性の向上のための主要な事業として位置づけるとともに、沿線のまちづくりに大きな効果が発揮できる事業として認識いたしております。  計画箇所としては、JR中央線、小田急線、京成押上線などを含め十路線を新規着手路線としており、今後とも、連続立体交差事業を積極的に推進してまいる考えでございます。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔清掃局長小豆畑孝君登壇〕 ◯清掃局長(小豆畑孝君) 清掃事業についてのご質問にお答えいたします。  まず、ごみの減量化施策についてでございます。  都は、これまで都民、事業者、行政が一体となって策定いたしました、ごみ減量化行動計画に基づき、減量化やリサイクルを進めるとともに、オフィスビル等に対する再利用、資源化の指導、商店街ごみ減量モデル事業、ごみ減量キャンペーンなどに取り組んでまいりました。また、生産、流通段階への取り組みとして、再利用しやすい製品の製造のための自己評価ガイドラインを作成するとともに、回収を促進するため、デポジットモデル事業を実施する予定であります。  今後、東京都清掃審議会の中間答申を踏まえ、事業系ごみの有料化、発生抑制のためのシステムづくり、技術開発など、ごみ減量化のための方策について、より積極的に取り組んでまいります。  次に、清掃工場建設の考え方についてでございます。  都は、現在、自区内処理の原則に立って、可燃ごみの全量焼却、さらに、安定的焼却体制の確立を目指し、清掃工場の建設に取り組んでおります。  近年、焼却以外の処理方法についてさまざまな試みがなされておりますが、現段階では、焼却処理が大量の可燃ごみの中間処理方法として、減量、減容の観点から最善の方法と考えております。  今後とも、清掃工場建設に当たっては、環境への影響に十分に配慮し、地域に受け入れられる施設とするよう努めてまいります。  次に、清掃工場建設の進捗状況についてでございます。  まず、新設工場について申し上げます。有明工場は、本年七月に暫定稼働を開始し、墨田地区工場は、本年七月に工事契約を締結いたしました。港地区及び豊島地区工場につきましては、都市計画決定手続、環境影響評価手続を進めております。渋谷地区工場は、用地の一部を取得したところでございます。世田谷地区及び台船式工場につきましては、残念ながら、まだ具体的な進展を見るに至っておりませんが、今後とも、地元区、周辺住民の理解がいただけるよう、一層努力してまいります。  既設工場の建てかえにつきましても、千歳、江戸川、北の各工場は建設工事中でございます。江東工場は、本年七月工事契約を締結し、いずれも順調に進行しております。  次に、墨田地区清掃工場の今後の建設のスケジュールについてでございます。平成六年第二回定例会で工事契約議案の議決をいただき、七月十四日に契約を締結いたしました。現在、実施設計を進めるとともに、工事のための準備として、測量、ボーリング等を行っております。  今後、地元区、地元住民の理解を得て十一月初旬を目途に現場着工し、掘削工事、本体工事、試運転等を経て、平成十年一月には竣工したいと考えております。  次に、清掃車による交通混雑の対策についてでございます。  清掃工場への主な搬出入道路は、一つは、明治通り、中居堀通り、中平井橋通りの経路、二つ目に、曳舟川通り、八広中央通り、補助一二〇号線の経路、三つ目に、江戸川区側から中平井橋の経路でございます。これらの経路から旧中川沿いの堤防道路を通って清掃工場に入ることとしております。  周辺道路の交通緩和のために、堤防道路は補助一二〇号線から中平井橋通りまでの区間を、中平井橋通りは都有地部分について、それぞれ拡幅することを計画しております。また、可能な限りごみ収集車の台数を減らすためにも、プレス車の導入を進めてまいります。  さらに、清掃車による新たな交通渋滞を極力生じさせることのないよう、清掃車の運行管理に十分配慮するとともに、地元区、住民の方々を初め、交通管理者等関係機関と十分な協議を行い、交通の流れの円滑化に努めてまいります。  最後に、余熱利用の促進についてでございます。  都では、これまでも清掃工場において熱供給及び発電を行い、ごみ焼却により発生する熱エネルギーの有効利用を積極的に図ってまいりました。墨田地区工場におきましても、最大出力一万二千キロワットの規模の発電を行い、熱エネルギー利用の促進を図ることとしております。  地元墨田区におきましても、清掃工場の余熱を利用した施設の設置について検討しており、さらに、既設の区施設への熱供給についても協力要請がございます。都といたしましては、地元区及び地元住民の意向を踏まえ、最大限の協力をしたいと考えております。    〔都市計画局長長裕二君登壇〕 ◯都市計画局長(長裕二君) 連続立体交差事業の構造形式の決定についての一般的な考え方についてのお尋ねでございますが、構造形式につきましては、配慮すべき三つの条件がございます。  まず、沿線の地形的な条件を基礎といたしまして、二つ目は、交差道路との立体化の可能性や駅位置などの計画的な条件、三つ目は、その事業費や工期など事業的な条件、これらを総合的に検討した上で、高架方式あるいは地下化方式のいずれかを選択しているものでございます。    〔建設局長木内孝藏君登壇〕 ◯建設局長(木内孝藏君) 京成押上線の立体化に関するご質問にお答えいたします。  まず、京成押上線の連続立体交差事業調査の内容についてでございます。  この調査は、鉄道による地域の分断や踏切の遮断状況にかんがみ、立体化の必要性、構造形式、駅前広場等のまちづくり及び事業効果などについて明らかにしたものでございます。  次に、事業化の経過と現状についてでございます。  連続立体交差事業調査に基づき、今日まで、鉄道の立体化とあわせて沿線のまちづくりを一体的に進めるべく、地元区及び鉄道事業者等との調整に努めてまいりました。
     その結果、都、地元区及び鉄道事業者の三者は、事業化に関して基本的な合意に達し、本年六月には、事業の促進を図るため、連絡協議会を設置いたしました。また、地元墨田区の沿線の方々は、住民協議会を結成し、その決起大会が今月十九日、早期の事業化を求める多数の方々の参加のもとに開かれたところでございます。  次に、事業化の今後の見通しと事業期間についてでございます。  かねてから、事業採択については国に対して要望を行ってきたところでありますが、地元機運の盛り上がりもあり、引き続き国に働きかけているところでございます。今後、事業採択を得て、環境影響評価及び都市計画決定に向けて所定の手続を進め、事業の早期着手に努めてまいります。  また、事業期間については、まちづくりと一体的に進めるとともに、運行ダイヤを確保しながら工事を進めるため、おおむね十年程度が必要となるものと考えております。      ───────────── ◯議長(奥山則男君) 二番東野秀平君。    〔二番東野秀平君登壇〕    〔議長退席、副議長着席〕 ◯二番(東野秀平君) 初めに、外国人問題についてお伺いいたします。  現在、東京都における外国人登録者数は二十七万人に上り、ここ十年間で約二倍にふえており、全国の約二〇%の外国人が東京に集中しております。本年四月に、知事の諮問による東京都国際政策懇談会から報告書が発表され、東京が外国人を含めたすべての人々にとって住みよいまちをテーマにして取り上げ、二十一世紀に生きる新しい世界都市を目指して努力していることは評価いたします。  都は、外国人住民の地域社会への参画を図るために、今後具体的にどのような形で施策を充実させていくのか、積極的なご意見を伺います。  また、全国各自治体で機運が盛り上がっている定住外国人の地方参政権に関し、知事は現在どのようにお考えなのか、伺います。  二つには、言語や慣習等の違いに配慮した施策の充実という観点から伺います。  私は、このたび、日本での生活にかかわる問題について、外国人にインタビューしてまいりました。私たち日本人にとってささいなことと思われることが、外国人にとっては極めて重要であることを改めて認識した次第であります。  その内容は、緊急時の情報の伝達方法等についてであります。すなわち、光化学スモッグ警報、地震発生時の地域へのアナウンス、また、テレビに映される速報テロップ、病院における診察の申込書、薬の飲み方の表示等々であります。  このように、今まで表面化しなかった問題が、外国人登録者数の急増により、さまざまなトラブルを生じ、さらには人命にかかわる問題にも発展し、見過ごすことができない大きな問題となっております。  そこで伺います。  第一は、災害時における対策についてであります。  災害時の対策について、ことしの防災白書は、在日外国人の災害脆弱性を取り上げ、災害弱者と位置づけており、そして、地方公共団体においては、在日外国人との接触の機会を増し、よりきめ細やかな防災教育、防災情報の提供に努める必要があるとしていますが、外国人に対する防災対策の重要性に対する認識と、具体的な施策並びに今後の対応についてお伺いいたします。  第二は、医療の現場における対策についてであります。  先般私が訪れましたある病院で、外国人と看護婦さんとのやりとりを目の当たりにしたのでありますが、看護婦さんのいうことがなかなか伝わらず、最後は外国人の方が床に泣き伏してしまいました。もちろん、看護婦さんに責任があるわけではなく、外国人の受け入れ体制そのものにあると考えた次第であります。  そこで伺います。外国人に対する医療対策について、救急医療も含めて、現在の対応と今後の対策について伺います。  次に、住宅対策についてお伺いいたします。  目黒区は、マスコミ等のアンケート調査によると、住んでみたい区のトップクラスに挙げられます。しかしながら、残念なことに、これに反し、近年区内人口が激減し、特に中堅ファミリー層にとって暮らしにくい区となっています。また、目黒区は公的住宅戸数が千二百十一戸と、一世帯当たりの戸数割合が二十三区の中でも一番低い状況にあるところから、さまざまある公的住宅対策の中でも、都営住宅の建設を初めとする住宅政策の積極的な展開が強く要望されているところであります。  そこで伺います。都の住宅マスタープランによれば、都内木賃ベルト地帯に位置する目黒区は、都内でも木賃住宅数が多い区とされており、そのために、駒場地区を初め四カ所が重点供給地域と指定されております。  私の調査では、これらの計画は、目黒区においても達成率二〇%程度と、遅々として進んでいないように思います。家主並びに土地所有者の方々の高齢化の問題、資金調達の問題、さらに現居住者との話し合いに期間及び費用がかかる等、大きな障害があることが原因しています。地権者の事業化への意欲を高める等、事業促進へ向け、都は具体的に新たな展開をすべきであります。ご所見を伺います。  次に、都立大学跡地の活用について伺います。  かつて私の通っていた都立大学附属高校周辺は、隣接する都立大学等を中心に、文化の薫り高き地域として発展してまいりました。その後、時は過ぎ、平成三年三月、その都立大学が八王子市に移転した跡地は、区内の貴重な公的大規模未利用地であり、都立大学駅前を含めた地域のまちづくりの観点からも、さらにその利用が注目されているところであります。  現在、跡地利用について、都と目黒区で協議が行われ、都営住宅、水道局給水所と区施設の設置の基本計画案について、住民説明が行われています。その中で、住民からは、建物、特に都営住宅の高さ、区施設全体の施設規模の見直しなど、さまざまな意見、要望が出されていると聞いております。目黒区民の待望久しい公的住宅の確保と福祉施設の建設が急がれる中、早急な調整が必要と考えられます。  そこで、次の三点について伺います。  まず第一に、跡地周辺の低層住宅街の環境を考えると、住宅棟の高さを抑えることが検討課題に上っていると聞いておりますが、計画案再検討の現在の状況と見直しについて、都としての基本的考え方について伺います。  次に、都は区と住民との調整を行うことは肝要と考えますが、一方、特別養護老人ホーム、心身障害者センターなど、福祉施設の早急な建設も、住宅と同様に待望されております。建設時期や区住民との調整など、今後の対応について、都の考え方を伺います。  三番目に、跡地利用と並行して、都立大学附属高校の体育館等の改築が計画されていますが、この時期に合わせて、思い切って高校校舎改築を行うことが、周辺住民にとっても、学校側にとっても、住環境並びに教育環境を考慮する上で最良と考えますが、いかがでしょうか。  次に、ペットの飼養に関する都の取り組みについて伺います。  昨年の第三回定例会で、集合住宅におけるペット飼養についての私の提言を前向きにとらえ、都は本年七月、衛生局より集合住宅における動物飼養モデル規程を発行されました。これは、都内の集合住宅等に居住する世帯が六五%になろうとしている今日、そこに居住するペット愛好者の悩みを解決するものとして、高く評価されるものであります。  その中で特筆されるのは、飼い主の会の設置や、動物飼養の基本的要件である飼い主のモラルの向上、さらに動物のしつけの問題を具体的に取り上げているところであり、さらに、動物愛護の精神から、避妊用ホルモン剤等の使用、繁殖を制限することの大切さも明記している点であります。  そこで伺います。  第一に、このたび発行されたモデル規程を一層実効あるものにするためには、ペットを愛好する広範な都民や動物愛護団体へのPR活動をより積極的に行うべきであると思います。  また、動物を飼う上で基本的かつ重要なことはしつけでありますが、このことについて、私は犬のしつけ教室の開設を提言し、話題を呼んだところであります。都は、このしつけ教室を昨年度からスタートし、新しい展開を見せておりますが、現況と今後の取り組みについてお伺いします。  次に、カラスによる被害について伺います。  童謡七つの子で歌われるカラスは、自分の子供を慈しむ、私たち人間にとっても親しみのある鳥とされている一方、権兵衛が種まきゃカラスがほじくるといわれるように、大切な畑の作物荒らしの張本人として、人間に害を及ぼす鳥として嫌われています。  このため、人間社会とのトラブルを発生させるとともに、数がふえることにより人間に多大な被害を及ぼしているのが実情であります。その被害報告はいろいろと話題になり、繁殖期には子供や女性が襲われたり、皇居内で放し飼いにしているキジがカラスに捕食され、絶滅寸前になったとか、はたまた高圧線に巣をつくり、停電の原因となるなど、後を絶ちません。  このような状況の中、カラス害対策について何点かにわたり質問いたします。  まず最初に、かつての資料では、都心には七千羽ともいわれているカラスの数は、現在では何羽ぐらいと把握されているのか。また、その数は増加傾向にあるのか、減少傾向にあるのか、具体的にお伺いします。  次に、都に寄せられているカラスによる被害をどう掌握されているのか、ご報告いただきたいと思います。また、都民生活を守るとの立場から、カラスによる害の防止対策をお伺いいたします。  さて、夜明け間近の町中では、猫とカラスの死闘が繰り広げられています。時にはそこに野良犬もまじって、不用意に前の晩から出された残飯や生ごみを奪い合い、無残にも散らかったごみが町じゅうに散乱している光景はまことに不衛生で醜いものであり、同時に、散らかったごみを収集する清掃局の職員も大変だと同情申し上げます。  そこで伺います。  まず、二十三区内に二十四万カ所あるといわれる膨大な集積所をどのように考え、管理していこうとされているのか、基本的な考え方をお聞かせください。  次に、先ほど話しましたカラス害による苦情なり相談はこれまで清掃局にあったのかどうか。また、これに対する具体的な対策で何かお考えなのか、お聞かせください。  最後に、小さなお子さんを持つお母さん方から寄せられる悩みの中に、犬や猫のし尿による砂場の汚染の問題があります。行政の現場である区市では、砂場の大腸菌などの調査を行い、さまざまな対策を施していますが、最終的に衛生管理基準がないということで行き詰まっているところであります。都としても、都立公園や住宅団地などに多数の砂場を持ち、同様の苦情が寄せられているところであります。したがって、区市等とも連携を図り、砂場の衛生管理基準を検討すべきであります。ご所見を伺います。  以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔知事鈴木俊一君登壇〕    〔副議長退席、議長着席〕 ◯知事(鈴木俊一君) 東野議員の一般質問にお答えいたします。  まず、外国人住民の地域社会への参画についてのお尋ねであります。  都は、これまでタウンミーティングや都政モニターへの外国人の参加、審議会、懇談会への外国人の参画などを通じて、外国人住民の都政運営への参画の機会の提供に努めてきたところであります。  東京都国際政策懇談会の報告において、外国人住民が地域社会へ参画する機会を拡充する必要性について指摘されているところであり、現在、策定を進めている国際政策推進大綱の中で、既存の制度の拡充を含め、その方策について幅広く検討してまいります。  また、定住外国人の地方参政権についてのお尋ねであります。  地方自治法では、住民の選挙権及び被選挙権について、日本国民であることがその要件とされており、また、公職選挙法でも同様に定められております。したがって、外国人の地方参政権については法律の改正が必要であります。  定住外国人の地方参政権については、地域に定住する住民を前提とし、その福祉の向上を目指すという自治体の性格から、国政参政権とは異なるレベルで検討を行うべきだという見解もあります。  しかし、この問題については、国民的コンセンサスの形成を待つ必要もあり、今後、幅広い視点から検討していくべき課題であると考えております。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁申し上げます。    〔総務局長瀬田悌三郎君登壇〕 ◯総務局長(瀬田悌三郎君) 外国人に対する防災対策についてのお尋ねでございます。  外国人の多くは、一般的に日本語の理解が十分でない上に、東京の地理や災害に関する知識も乏しいと考えられるため、災害発生時には、必要な情報を迅速、的確に把握し、安全な場所に避難するなどの適切な行動がとれないおそれがございます。  このため、都では、英語、中国語、ハングル等の外国語の防災パンフレットなどにより、防災情報の提供を行うほか、英文併記の避難場所標識等の整備を進めております。また、災害時には、NHKのラジオ、テレビを通じ、英語による非常放送を行うことといたしております。  今後とも、区市町村を初め、防災関係機関と連携を図りながら、引き続き外国人向け防災パンフレット等の充実を図っていくとともに、防災訓練への参加等を通じて、外国人の防災行動力の向上に努めてまいりたいと存じます。    〔衛生局長渡辺能持君登壇〕 ◯衛生局長(渡辺能持君) 三点についてお答え申し上げます。  まず、意思疎通が十分に図れない外国人に対する医療対策についてでございますが、東京で暮らす外国人が安心して医療機関を利用できるようにするためには、医療に関する情報の提供や救急時における意思疎通の確保などが重要と考えております。  このため、都は、東京都保健医療情報センターにおきまして、五カ国語による医療機関の案内や医療機関向けの救急通訳サービスを実施しているところでございます。また、救急医療機関の利用方法などを外国語でわかりやすく解説いたしました「救急医療ハンドブック」を作成し、区市町村窓口や救急医療機関等に配布したところでございます。  なお、外国人の利用が比較的多い都立総合病院におきましては、英語による案内表示板を整備いたしましたほか、職員を対象とした英会話研修の実施、通訳協力者の確保等に努めているところでございます。  今後とも、こうした施策の一層の周知を図るなど、都内在住の外国人が、より多くの医療機関で安心して医療を受けられるよう努めてまいります。  次に、集合住宅における動物飼養モデル規程のPR活動についてのお尋ねでございます。  今回策定いたしましたモデル規程を実効あるものとするためには、その周知が大変重要であると考えております。そこで、衛生局では、このモデル規程を都の保健所、区市町村及び動物愛護団体等に配布いたしまして、その周知に努めますとともに、報道機関からも広く都民へのPRをしていただいたところでございます。  今後とも、集合住宅において人と動物が調和した潤いのある生活が実現できますよう、動物愛護週間などの機会をとらえ、より効果的な普及啓発に努めてまいります。  次に、犬のしつけ教室についてでございます。  ご指摘のとおり、人と動物が共生する上で、飼い主が動物の本能や習性を十分理解し、ペットを正しくしつけることは不可欠でございます。このため、昨年度から動物管理事務所におきまして、譲渡いたしました犬の飼い主を対象にしたしつけ教室を、また、広く一般都民を対象に、犬のしつけをテーマにいたしました講演会を実施しております。  今後は、これらの計画に加えまして、保健所におきましても、地域の飼い主を対象にしつけ教室を実施するなど、この事業の一層の充実に努めてまいります。    〔住宅局長中嶋文雄君登壇〕 ◯住宅局長(中嶋文雄君) 三点にわたるご質問にお答え申し上げます。  初めに、木造賃貸住宅の建てかえ促進についてのお尋ねでございます。  東京都は、木造賃貸住宅地区の整備を促進するために、事業主体でございます区市町村に対しまして、建築資金の利子補給や建築費の一部助成などを行っているところでございますが、現在、目黒区を含めた十五区において、この支援制度に基づきまして、木造賃貸住宅地区の整備事業を推進してございます。  しかしながら、ご指摘のように、地権者の高齢化や資金調達の困難性など、さまざまな問題がございますために、必ずしも計画どおり建てかえが進んでいないのが現状でございます。  今後、建てかえを効果的に促進するためには、地権者等の事業参加への意欲を高める開発手法や、地権者にかわって建てかえを実施する方策等の検討が必要であると考え、昨年度から、財団法人東京都住宅・まちづくりセンターと共同で、木造賃貸住宅地区更新手法の調査研究を実施しているところでございます。都といたしましては、今後とも、関係各区と連携を図りながら事業の推進を図ってまいります。  次に、都立大学跡地利用計画案再検討の状況と見直しの考え方についてのお尋ねでございます。  都立大学跡地利用基本計画案につきましては、本年の四月以降、住民への説明を行ってきたところでございますが、住民からは、建物の高さ、全体の施設規模等について意見、要望が出されてございまして、現在、目黒区等関係機関と協議を重ね、計画案の見直しを進めているところでございます。  計画案の見直しに当たりましては、地元を初め、多くの都民の公共住宅に対する熱い期待にこたえ、可能な限り住宅戸数の確保を図ることを基本としつつ、適切に対処してまいりたいと思います。  最後に、都立大学跡地利用に向けての今後の対応についてのお尋ねでございますが、公共住宅や福祉施設の建設が急がれる中、計画案に対するさまざまな意見、要望が出されている現状を踏まえまして、可能な限り早期に住民の理解が得られるように努力をしてまいります。    〔教育長市川芳正君登壇〕 ◯教育長(市川芳正君) 都立大学跡地利用に関連して、都立大学附属高校の改築計画についてのお尋ねでございます。  都教育委員会は、都立高校について、都長期計画及び総合実施計画により、現在、おおむね昭和三十年代に建築した校舎を中心といたしまして、建物の耐力度調査等の結果に基づいて改築を進めているところでございます。  ご指摘の都立大学附属高校の校舎は、昭和三十八年から昭和五十年までに順次建築されたものであり、今後の改築計画の基礎資料を得るため、今年度耐力度調査を行うことといたしております。改築の必要性及び時期等につきましては、この調査結果や跡地利用計画の進捗状況等も考慮しつつ、総合的に検討してまいりたいと思います。    〔労働経済局長小久保久君登壇〕 ◯労働経済局長(小久保久君) 都心におきますカラスの生息状況についてのお尋ねでございますけれども、生息数につきましては、民間の研究グループが明治神宮などの都心の集団のねぐらで毎年行っております調査がございますが、この調査によりますと、平成五年はおよそ一万二千羽と推定されております。また、この数は増加の傾向で推移をしております。その理由といたしましては、えさが豊富なことや、あるいはタカ等の天敵が少ないということなどが考えられているようでございます。  次に、カラスによる被害の状況とその防止対策についてでございますが、労働経済局に寄せられました被害件数は、平成五年度では八百四十件ございます。その主なものは、ごみを食い散らかすというのが三百七十八件、それから威嚇または襲われたというのが二百十件などでございます。  こうした被害に対します対策といたしましては、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律というのがございますが、この法律による所定の手続を経て行います捕獲とか、あるいは繁殖の抑制策などが考えられるわけでございますが、行動範囲の広いカラスを駆除する有効な決め手とはされていないのが実情でございます。しかしながら、今後とも、より効果的な被害防止対策につきまして、関係局と連携を図りながらさらに研究をさせていただきたいと思います。    〔清掃局長小豆畑孝君登壇〕 ◯清掃局長(小豆畑孝君) ごみ集積所の維持管理についてお答えいたします。  ごみ集積所は、収集、運搬、処理、処分という一連のごみ処理の出発点であり、また、都民と私どもが直接接する場でもございます。定められた方法でごみを出していただき、二十四万カ所のごみ集積所が清潔に維持されることが、円滑にごみを処理するために極めて大切でございます。
     ごみ集積所につきましては、そこを利用する都民が相互に協力して、清潔の維持に努めていただくことが基本であり、都としても、従来からごみ集積所の巡回パトロールを実施し、ごみの排出ルールの遵守等、集積所の改善に努めております。今後とも、都民の皆様の一層のご協力を得て、地域の生活環境の保全に努力してまいります。  次に、ごみ集積所におけるカラスの害についてでございます。  カラス等の動物によるごみの散乱の苦情、相談は、住宅地区を中心に寄せられております。都としては、この対策の一つとして、早急に防鳥用ネットの試験的使用を行いたいと考えております。  具体的には、カラスなどによる被害がある一部のごみ集積所につきまして、住民の方々に防鳥用ネットを使用していただき、その効果や維持管理の容易性等について調査を行うこととしております。都としては、この調査結果を踏まえて、今後の導入について検討し、集積所の清潔の維持に努力してまいります。    〔建設局長木内孝藏君登壇〕 ◯建設局長(木内孝藏君) 犬猫による砂場の汚染についてのお尋ねにお答えいたします。  砂場の汚染については、砂場の衛生状況や子供たちへの影響の度合いなど、判断の難しい面を含んでおります。都においては、これまでも点検や清掃など状況に応じて対応してまいりましたが、今後、ご提案の趣旨も踏まえて、関係各局や各区市と意見交換を行うなど連絡を密にして、砂場の管理のあり方について調査研究してまいる所存でございます。 ◯議長(奥山則男君) 以上をもって質問は終わりました。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(奥山則男君) これより日程に入ります。  日程第一から第五十二まで、第二百一号議案、政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例外議案五十一件を一括議題といたします。  本案に関し、提案理由の説明を求めます。  副知事牧野洋一君。    〔副知事牧野洋一君登壇〕 ◯副知事(牧野洋一君) ただいま上程になりました第二百一号議案外五十一議案についてご説明申し上げます。  初めに、第二百一号議案から第二百二十五号議案まで及び第二百三十八号議案から第二百五十二号議案までの四十議案は条例案でございまして、新たに制定する条例が一件、全部を改正する条例が一件、一部を改正する条例が三十八件となっております。  このうち、新設条例でございます第二百一号議案、政治倫理の確立のための東京都知事の資産等の公開に関する条例について申し上げます。  これは、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律第七条の規定に基づき、東京都知事の資産等の公開に関し、必要な事項を定めるものでございます。  この条例において、資産等報告書、所得等報告書、関連会社等報告書などの作成が義務づけられ、提出された報告書については五年間保存され、その間、何人も閲覧の請求ができることなどを規定してございます。  次に、全部を改正する条例であります第二百三号議案、東京都消費生活条例について申し上げます。  全部改正に当たっての基本的考え方として、まず、本条例を単に事業者規制のための条例とするのではなく、消費者に対する支援を含む総合的な条例として位置づける。また、現行条例の基本的な考え方である、消費者の権利を確立することにより、都民の消費生活の安定と向上を図ること及び都の消費者行政は都民の参加と協力のもとに推進することにつきましては、引き続き本条例の基本とすることといたしております。  次に、主な改正点でございますが、第一に、現行の五つの消費者の権利に、消費者教育を受ける権利を追加し、この権利を確立するための具体的施策として、消費者教育の推進や学習条件の整備を規定する。  第二に、消費者にわかりやすい表示として、危険性が伴う行為をした場合の結果までを示す警告表示を事業者に義務づけることを規定する。  第三に、不適正取引行為の防止強化のため、クレジット業者による不適正な取引行為の類型を新たに規定することなどでございます。  次に、一部を改正する条例でございますが、固定資産評価替えに係る審査申し出件数増に対処するため、東京都固定資産評価審査委員会の委員の定数などを変更する東京都都税条例の一部を改正するもの一件、健康保険法の改正に伴う入院時食事療養費等の助成に関し、原子爆弾被爆者等の援護に関する条例の一部を改正するものなど四件、施設の開設、管理運営等に関し、東京都写真美術館条例の一部を改正するもの、東京都立看護専門学校条例の一部を改正するものなど四件、去る平成六年一月十七日の特別職報酬等審議会の答申に沿って特別職の報酬等を改定するもの十五件など、一部を改正する条例が三十八件となっております。  次に、第二百二十六号議案から第二百三十三号議案までの八議案は契約案でございまして、中央防波堤埋立地分別ごみ資源化施設建設工事、新宿歩行者専用道第二号線整備工事などでございます。  また、第二百三十四号議案から第二百三十七号議案までの四議案は事件案でございまして、平成七年三月に開館を予定している都立現代美術館の展示用として絵画を購入するもの、多摩都市モノレールの停留所を設置することについて、道路管理者に対する意見照会に関するものなどでございます。  以上で説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 ◯議長(奥山則男君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。  なお、本案中、第二百四号議案及び第二百二十号議案については、地方公務員法第五条第二項の規定により、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきました。  人事委員会の回答は、第二百四号議案及び第二百二十号議案のうち、被服の支給及び装備品の貸与に関する部分については、いずれも異議はないとの意見であります。      ───────────── 六人委任第九六号 平成六年九月十四日  東京都人事委員会委員長 舩橋 俊通  東京都議会議長殿    「職員に関する条例」に対する人事委員会の意見聴取について(回答)  平成六年九月九日付六議事第二〇七号をもって、照会のあった議案に係る意見については、左記のとおりです。      記 ┌────────────┬────────┐ │  議  案  名   │ 意   見  │ ├────────────┼────────┤ │第二百四号議案     │ 職員団体の登録│ │ 職員団体の登録に関する│に関する条例の一│ │ 条例の一部を改正する条│部を改正する条例│ │ 例          │及び警視庁の設置│ │第二百二十号議案    │に関する条例の一│ │ 警視庁の設置に関する条│部を改正する条例│ │ 例の一部を改正する条例│のうち被服の支給│ │            │及び装備品の貸与│ │            │に関する部分につ│ │            │いては、異議あり│ │            │ません。    │ └────────────┴────────┘      ───────────── ◯議長(奥山則男君) お諮りいたします。  ただいま議題となっております日程第一から第五十二までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、各部門に分かち、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(奥山則男君) ご異議なしと認めます。よって、第一から第五十二までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。 (別冊参照)      ━━━━━━━━━━ ◯議長(奥山則男君) 日程第五十三を議題といたします。    〔渡邊議事部長朗読〕 六財主議第二一六号 平成六年九月六日  東京都知事 鈴木 俊一  東京都議会議長 奥山 則男殿    平成五年度東京都公営企業各会計決算の認定について  このことについて、地方公営企業法第三十条第四項の規定に基づき、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定方よろしくお取り計らい願います。      記 一 平成五年度東京都病院会計決算書及び同決算審査意見書 二 平成五年度東京都中央卸売市場会計決算書及び同決算審査意見書 三 平成五年度東京都埋立事業会計決算書及び同決算審査意見書 四 平成五年度東京都臨海副都心開発事業会計決算書及び同決算審査意見書 五 平成五年度東京都羽田沖埋立事業会計決算書及び同決算審査意見書 六 平成五年度東京都多摩ニュータウン水道事業会計決算書及び同決算審査意見書 七 平成五年度東京都交通事業会計決算書及び同決算審査意見書 八 平成五年度東京都高速電車事業会計決算書及び同決算審査意見書 九 平成五年度東京都電気事業会計決算書及び同決算審査意見書 十 平成五年度東京都水道事業会計決算書及び同決算審査意見書 十一 平成五年度東京都工業用水道事業会計決算書及び同決算審査意見書 十二 平成五年度東京都下水道事業会計決算書及び同決算審査意見書 (決算書等省略) ◯六十八番(大西英男君) 本件は、二十三人の委員をもって構成する平成五年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。 ◯議長(奥山則男君) お諮りいたします。  ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(奥山則男君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、二十三人の委員をもって構成する平成五年度公営企業会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。  委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長からお手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(奥山則男君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。      ─────────────    平成五年度公営企業会計決算特別委員名簿  原   環君(公 明)  三原 將嗣君(自 民)  中山 義活君(新 友)  寺山としお君(日 新)  大河原雅子君( 社 )  たぞえ民夫君( 共 )  野村 有信君(自 民)  清水清一朗君(自 民)  山崎 孝明君(自 民)  大澤  昇君(日 新)  新渡 英夫君(日 新)  土持 正豊君(公 明)  塚原 宏司君(自 民)  加藤まさ子君( 社 )
     白井 常信君(公 明)  立石 晴康君(自 民)  小山 敏雄君(自 民)  須田 耕作君(自 民)  前島信次郎君(公 明)  高木 信幸君(民 社)  中川 外行君(日 新)  高山 真三君( 社 )  木村 陽治君( 共 )      ───────────── ◯議長(奥山則男君) なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(奥山則男君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。  受理いたしました請願六件及び陳情十四件は、お手元に配布の請願陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。 (別冊参照)      ━━━━━━━━━━ ◯議長(奥山則男君) お諮りいたします。  明二十二日から二十八日まで七日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(奥山則男君) ご異議なしと認めます。よって、明二十二日から二十八日まで七日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。  なお、次回の会議は、九月二十九日午後一時に開きます。  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後八時二十七分散会...