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  1. 東京都議会 1994-07-08
    1994-07-08 平成6年住宅港湾委員会 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時五分開議 ◯中山委員長 ただいまから住宅港湾委員会を開会いたします。  初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。  当委員会室の定員は二十名でありますが、傍聴希望者が定員以上でございますので、さらに十二名を追加いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯中山委員長 異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ━━━━━━━━━━ ◯中山委員長 本日は、住宅局関係の付託議案の審査を行います。  これより住宅局関係に入ります。  初めに、理事者の欠席について申し上げます。  田子建設推進担当参事は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。  これより付託議案の審査を行います。  第百八十七号議案、東京都営住宅条例の一部を改正する条例及び第百八十八号議案、東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例を一括して議題といたします。  本案については、いずれも既に説明を聴取しております。  その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。  資料について、理事者の説明を求めます。 ◯大賀総務部長 去る六月二十四日の当委員会におきましてご要求のありました資料につきまして、ご説明申し上げます。  お手元にございます住宅港湾委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。  表紙をお開きいただきまして、目次をごらんいただきたいと存じます。  ご要求のありました資料は、1の都民の定住意向と持ち家取得の意欲外二十一件でございます。
    順を追ってご説明申し上げます。  一ページをお開きください。1は、都民の定住意向と持ち家取得の意欲に関する都の世論調査の結果でございます。  (1)は定住意向についてでございますが、東京に今後もずっと住みたいと思う都民は、約七八%となっております。  (2)のグラフでは、その過去十年間の推移をお示ししてございます。  二ページに移らせていただきます。2は、都民の持ち家取得の意欲に関するものでございます。  (1)の問いでは、都民の約七四%が持ち家を持ちたいと思う、と答えております。さらに、持ち家取得の可能性についての問いには、約四一%の方が持てると思う、約五三%の方が持てないと思う、と答えております。  三ページに移らせていただきます。2は、イギリスにおける公営住宅の払い下げ事例でございます。  海外の公営住宅の払い下げ事例として、イギリスの公営住宅購入権に基づく払い下げ制度の概要と払い下げの戸数を示しております。この払い下げ制度は、持ち家取得の促進と公営住宅維持に係る財政負担の軽減を目的としており、払い下げの実績につきましては、(2)をごらんいただきたいと存じます。一九八一年から九〇年までの各年の戸数と住宅の種類を記してございます。  3は、都民住宅の応募状況でございます。特定優良賃貸住宅供給促進制度を活用して建設した都民住宅で、同制度施行日以降に新築公募したものについて、募集時期ごと、供給方式別に区分して、募集戸数、応募状況及び辞退者数を記載しております。  なお、募集戸数を団地数と戸数に、応募状況を応募者数と倍率にそれぞれ区分してございます。 平成五年十月の欄をごらんいただきますと、公社施行型を一団地十戸を募集しましたところ、七百八十七人の応募者があり、応募倍率は七十八・七倍でありましたが、当選した方のうち三人の辞退者がございました。  以下、平成五年十月、公社借り上げ型以下についても同様にごらん願います。  五ページに移らせていただきます。4は、優良民間賃貸住宅の供給実績でございます。  区市町ごとに平成四年度、五年度各年度末現在の供給実績を記載してございます。区部計欄をごらんいただきますと、四年度では七百二十七戸、五年度では四千三百十六戸の供給となっております。市町別につきましては、四年度七百八十八戸、五年度四千二百七十二戸となっており、全体の合計で四年度一千五百十五戸、五年度八千五百八十八戸となっております。  六ページに移らせていただきます。5は、優良民間賃貸住宅(認定型)の家賃でございます。  区部、市町部ごとに区分し、平成四年度、五年度末現在の供給戸数と戸当たり平均の専用面積及び家賃を記載してございます。  なお、家賃につきましては、最高、最低、平均に区分して記載してございます。区部四年度の欄をごらんいただきますと、戸数六百七戸、専用面積六十三平方メートル、家賃(月額)の最高三十一万二千円、最低十万五千円、平均十七万一千円となっております。区部五年度以下についても、同様にごらん願います。  七ページに移らせていただきます。6は、都営住宅の新築募集戸数(都公募分)でございます。  区市部の都営住宅管理戸数を、平成三年度から五年度までの三カ年につきまして、種別ごとに記載してございます。  一番下の合計欄をごらんいただきますと、平成三年度は一種、二種合わせまして三百八十八戸、平成四年度は同じく四百七十七戸、平成五年度も一種、二種合わせまして五百七十七戸でございまして、平成三年度から五年度までの三カ年の合計は、一種、二種合わせて一千四百四十二戸でございます。各区市欄とも、同様にごらんいただきたいと存じます。  なお、下のにございますように、各年度とも十月の新築公募の状況でございます。  八ページに移らせていただきます。7は、公営住宅における高額所得者の収入基準の推移でございます。  昭和四十四年度以降の高額所得者の収入基準の推移を、国の基準、東京都の基準別に記載してございます。  国の基準は、昭和四十四年六月十一日以降の入居者と、四十四年六月十日以前の入居者とに分けて定められており、昭和四十四年から四十七年までの間で見ると、その間所得月額十一万円、十五万円となっております。以下、改正の推移をあらわしております。  また、東京都の高額所得者制度は、昭和四十九年度から実施しており、昭和五十一年度までの間、その収入基準は二十六万六千円となっております。  以下同様に、収入基準の推移をお示ししてございます。ごらんいただきたいと存じます。  九ページに移らせていただきます。8は、都営住宅入居者の所得月額五万円以下の世帯数及び一般減免世帯数でございます。  平成五年度の収入調査等により把握しております所得月額五万円以下の世帯数と、平成六年三月三十一日現在の一般減免世帯数を記載してございます。所得月額五万円以下の世帯数は、五万四千百八十八世帯でございます。一般減免世帯数は減額世帯五千三十六世帯、免除世帯二万四千七百三世帯、合わせて二万九千七百三十九世帯でございます。  なお、一般減免世帯とは失業、疾病等による所得月額五万円以下の低所得のため、収入に応じて減免を受けている世帯でございます。  一〇ページに移らせていただきます。9は、都営住宅等団地の敷地面積及び財産価額でございます。  平成六年三月三十一日現在の区部、市町村部別の団地数、敷地面積、公有財産現在額を記載してございます。  一番下の計の欄をごらんいただきますと、団地数は一千三百三十九団地、敷地面積は一千九百四十万二百九十・六五平方メートル、公有財産現在額は二兆三千四百六十八億七百万円でございます。区部、市町村部欄も、同様にごらんいただきたいと存じます。  なお、下のにございますように、この表では借地等は除いてございます。  一一ページに移らせていただきます。10は、都営住宅の分譲の経緯でございます。都営住宅の分譲の経緯とその実績についてでございます。  1の経緯についてですが、都は昭和二十七年七月、東京都営住宅分譲条例を制定し、都営住宅の分譲を実施しました。その後、大都市における公営住宅用地の深刻な取得難から土地の効率的利用、地域の環境整備、不燃化の推進等を図るための建てかえを促進することとし、昭和三十九年三月、東京都営住宅分譲条例を廃止しております。  次に、2の分譲実績でございますが、区部では二十区、八十六団地、二千五百三十六戸、市部では十五市、三十二団地、一千七百二十三戸、合わせて百十八団地、四千二百五十九戸を分譲しております。  一二ページに移らせていただきます。11は、都営住宅等の管理に要する経費の推移でございます。  平成元年度から六年度までの六カ年につきまして、管理戸数と管理経費と、それぞれの平均を記載してございます。平成元年度の欄をごらんいただきますと、管理戸数は二十四万四千八百二十戸、管理経費は、決算額で三百二十九億八千万円でございます。二年度以降、同様にごらんいただきたいと存じます。  なお、下のにございますように、都営住宅等には民生住宅、母子住宅、引揚者住宅、小笠原住宅、地域特別賃貸住宅及び特定公共賃貸住宅を含み、管理戸数は、平成元年度から五年度までは各年度末の戸数、平成六年度は年度末の推計戸数でございます。  また、管理経費には、都営住宅等の管理に要する経費及び住宅供給公社への営繕等委託費などを含み、平成元年度から五年度までは各年度の決算額、平成六年度は予算額でございます。  なお、括弧内の数字は、それぞれ対前年度伸び率でございます。  一三ページに移らせていただきます。12は、都営住宅使用料の現行制度と新しい制度との比較でございます。  都心、中間、郊外の区分に分けまして、それぞれの地域における昭和四十年度、五十年度、六十年度のそれぞれ第一種住宅、第二種住宅別の現行使用料及び新しい使用料の平均を記載したものでございます。  都心の昭和四十年度建設の欄をごらんいただきますと、第一種住宅では、現行使用料が二万五千二百五十円、新しい使用料が四万五千四百円、第二種住宅では、現行使用料が一万六千九百円、新しい使用料が三万円となっております。以下、同様にごらんいただきたいと存じます。  なお、下のに記載してございますように、各区分は、都心欄は中央区、渋谷区に、中間欄は台東区、北区、中野区、杉並区、江東区、武蔵野市に、郊外欄は稲城市、町田市、東村山市、清瀬市、日野市、八王子市にそれぞれ所在する都営住宅の使用料月額の平均を表示したものでございます。  一四ページに移らせていただきます。13は、都営住宅における建設原価から算定した使用料、現行使用料、使用料限度額及び新しい使用料の比較でございます。  昭和五十五年度、五十八年度、六十一年度、平成元年度に建設した都営住宅につきまして、建設原価から算定した使用料と現行使用料、使用料限度額、新しい使用料を記載してございます。  昭和五十五年度建設の欄をごらんいただきますと、建設原価から算定した使用料は八万七千六百六十四円、現行使用料は三万七千七百五十円、使用料限度額は六万九百四十三円、新しい使用料は四万四千八百四十五円でございます。以下、同様にごらんいただきたいと存じます。  なお、下のにございますように、各欄の金額は、それぞれ第一種中層住宅の平均値でございます。  一五ページに移らせていただきます。14は、都営住宅の法定限度額の総額と使用料の総額の比較でございます。  全住宅の法定限度額の総額は一千二百六十八億円、全住宅の使用料の総額は七百五十四億円、差し引き五百十四億円となってございます。  なお、下のにございますように、この表は、平成六年三月三十一日現在の都営住宅管理戸数に基づくものでございます。  一六ページに移らせていただきます。15は、現行制度と新しい制度の都営住宅使用料負担決定の仕組み(平均的な使用料の第一種住宅の例)でございます。  左側の図は収入区分をあらわしており、下の減免階層から上の高額所得者まで、標準四人世帯の総収入月額で、収入階層区分を表示してございます。括弧内は公営住宅法上の収入月額であります。  真ん中の図は、現行制度の使用料負担の決定の仕組みに関するものでございます。図中ほどの使用料三万一千円は、平均的な住宅使用料の例でございます。これは、その左に記載してございます基準使用料五万九百円に応益調整指数を乗じて得た住宅使用料の平均でございます。その上段の各金額は、それぞれの収入超過者、高額所得者の各収入区分に対応する付加使用料を加算した住宅使用料でございます。付加使用料の額は、図にございますように、〇・一から〇・四までの付加率を使用料に乗じたものでございます。  右側の図は、新しい制度の使用料負担の決定の仕組みに関するものでございます。新しい使用料制度においては、第一種住宅の収入区分を二つに、第二種住宅の収入区分を三つに、計五つに細分化した上で、左端の図の第一種収入基準階層のうちの上段の区分の三十五万七千三百三十四円から四十万八千六百六十六円までの中間の値に一六%を乗じて得た六万一千円を基準使用料として応益調整して、個別住戸の使用料を算出いたします。  右端の図をごらんいただきますと、応益調整後の平均的な住宅使用料は三万九千円でございますが、左端の収入区分に対応した形で右端の図の使用料の下に示す負担額を設定し、入居者がどの収入区分に属するかにより負担額を決定する仕組みをあらわしてございます。  また、使用料の上に示す収入超過者につきましては、〇・一から〇・三までの付加率を使用料限度額の平均である五万円に乗じた付加使用料とし、加算使用料基準限度額の範囲内の使用料負担といたします。最上段の高額所得者については、使用料限度額を使用料として、それに付加使用料を加算する仕組みとなっております。  一七ページに移らせていただきます。16は、現行制度と新しい制度の収入階層別都営住宅使用料負担率比較(平均的な使用料の第一種住宅の例)でございます。  縦軸が収入に対する使用料の負担率をパーセントであらわし、横軸が入居者の収入階層をあらわしております。折れ線は、点線が現行制度における使用料負担率をあらわしており、実線が新しい制度における使用料負担率をあらわしてございます。  現行制度の点線グラフをごらんいただきますと、収入の低い第二種住宅収入基準階層では負担率が高く、収入が高くなるほど負担率が低くなっております。新しい制度の実線グラフをごらんいただきますと、減免階層を除く第二種住宅収入基準階層では負担率が九%台、第一種住宅収入基準階層では一〇%前後、収入超過者で一〇%前後、高額所得者でおおむね一二%台となってございます。  一八ページに移らせていただきます。17は、現行制度と新しい制度の収入階層別の都営住宅使用料負担と負担率の状況(第一種住宅の例)でございます。  収入階層ごとの現行制度と新しい制度の使用料負担の最高額、最低額、平均額と平均額の負担率を記載してございます。  高額所得者の欄をごらんいただきますと、現行制度では最高額八万四千二百八十円、最低額一万二千百八十円、平均額四万四百七十九円で、負担率は四・九%となってございます。これに対しまして、新制度では、最高額十四万二千八百円、最低額二万一千百円、平均額六万四千二百六十七円で、負担率は七・八%でございます。以下、同様にごらんください。  なお、下の1にございますように、この表は平成五年度の収入報告に基づいて試算したものでございます。  また、それぞれの平均額の負担率は、各収入階層の収入の中間値に対する負担率として算定してございます。各収入階層の中間値は、3に記載してございますので、ごらんいただきたいと存じます。  一九ページに移らせていただきます。18は、受給年金別現行制度と新しい制度の都営住宅使用料の比較でございます。  厚生年金と共済年金の例で、現行制度と新しい制度の使用料負担月額について、第一種住宅の平均的な使用料の例で記載してございます。  厚生年金の勤続二十年以上百八十万円の年金額の場合で申し上げますと、現行では三万一千円の使用料負担となりますが、新しい制度では一万四千円の使用料負担となります。以下、同様にごらんいただきたいと存じます。  二〇ページに移らせていただきます。19は、都営住宅の現行使用料と新しい使用料負担の例でございます。  現行使用料及び新しい制度の基準負担額区分別の使用料を記載した図でございます。上段に第一種住宅を、下段に第二種住宅を、それぞれ建設年度別、立地の区分を都心、中間、郊外別にそれぞれ記載してございます。  第一種住宅の昭和三十年度建設の都心の欄のケースをごらんいただきますと、現行使用料が二万一千百円で、新しい制度の負担額は、基準負担額の五つの区分と一般減免とに区分し、上から縦にそれぞれ四万二千六百円、三万六千三百円、三万七百円、二万七千九百円、二万五千八百円、一万六千円となります。以下、同様にごらんいただきたいと存じます。  なお、下のにございますように、表中の網かけの欄は、現行使用料よりも減額となる区分でございます。また、一般減免の欄は、新しい制度による減免階層の負担額一万四千円、一万六千円、一万八千円の平均として一万六千円としてございます。  二一ページに移らせていただきます。20は、都営住宅の使用料制度改善に伴う激変緩和のための経過措置でございます。  使用料制度改善に伴う激変緩和のための経過措置は、まず、(1)といたしまして、現行制度の使用料負担に比べ新しい制度の使用料負担の増額が大きい場合には、新しい負担額をそのまま直ちに負担していただくものではなく、毎年一定の額を増額の限度として必要な年数をかけて、新しい使用料負担に到達する仕組みとしております。  また、(2)といたしまして、毎年の増額の限度額の例でございますが──以下、これを単年次増額限度額と称しますが──入居者の収入階層に応じ設定いたします。また、高額所得階層につきましては、収入によりまして一般高額所得階層特別高額所得階層の二つに区分し、右端の欄の単年次増額限度額に差を設けることにいたします。  中ほどに、単年次増額限度額の設定例として、収入階層ごとに収入区分と単年次増額限度額を記載してございます。例えば、表の一番下の第二種住宅収入基準階層の欄をごらんいただきますと、収入区分は、公営住宅法上の収入月額ではゼロ円から十一万五千円、標準世帯の総収入月額ではゼロ円から三十万四千九百九十九円でございますが、この場合の単年次増額限度額は四千円となるということでございます。  この設定例の考え方でございますが、単年次増額限度額の設定は、各収入階層の収入の中間値に対応する基準負担額または収入超過階層の場合は、加算使用料基準限度額の約一割に相当する額といたしました。ただし、一般高額所得階層については、収入の中間値の二〇%に相当する額の約一割、特別高額所得階層については、収入下限値の二五%に相当する額の約一割の額といたしました。  二二ページに移らせていただきます。21は、都営住宅の使用料制度改善による使用料負担額の増額住戸及び減額住戸の戸数(収入階層別)でございます。  収入階層別に戸数と、そのうちの減額住戸と増額住戸の戸数、そして増額住戸の内訳を概数で記載してございます。なお、増額住戸の内訳欄は、上段が増額幅を、下段がその戸数を記載してございます。また、高額所得階層の欄は、ただいま激変緩和のための経過措置の中でご説明いたしましたように、特別高額所得階層一般高額所得階層の二つに区分してございます。  表の一番上の特別高額所得階層の欄をごらんいただきますと、全体戸数は六千戸で、減額住戸はゼロ戸、増額住戸は六千戸でございまして、増額住戸の内訳はゼロ円から二万円が三千九百戸、二万一円から四万円が一千八百戸、四万一円から六万円が三百戸、六万一円以上がゼロ戸でございます。  次に、表の一番下の第二種住宅収入基準の欄をごらんいただきますと、全体戸数は十一万戸で、減額戸数は七万七千戸、増額戸数は三万三千戸でございまして、増額戸数の内訳はゼロ円から四千円が一万六千百戸、四千一円から八千円が一万二千五百戸、八千一円から一万二千円が三千六百戸、一万二千一円以上が八百戸でございます。そのほか、同様にごらんいただきたいと存じます。  二三ページに移らせていただきます。22は、都営住宅の使用料限度額及び固定資産税評価額相当額の例でございます。  区市別、住宅種別ごとに建設年度、使用料限度額及び固定資産税評価額相当額を代表的パターンにより記載してございます。  港区の欄をごらんいただきますと、第一種住宅では、昭和三十六年度建設で使用料限度額が四万七千八百円、固定資産税評価額相当額が一平方メートル当たり二十万円から二十五万円の例と、四十三年度建設で使用料限度額が六万五千四百円、固定資産税評価額相当額が四十万円から五十万円の例をお示ししてございます。  他の各区市及び第二種住宅の欄につきましても、同様にごらんいただきたいと存じます。  なお、下のにございますように、区市の欄は、応益調整をする際の指数である区市町村係数の大きい順に並んでおります。  以上、簡単でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。 ◯中山委員長 説明は終わりました。  ただいまの資料とあわせて、本案に対する質疑を行います。  発言を願います。 ◯曽根委員 今回の都営住宅の家賃に応能応益的家賃制度を導入する問題については、私も既に住宅政策審議会以来、何度か議論してきましたが、きょうはいよいよ議会での最終決定を控えての審議ですから、改めて基本的な問題を含めて質問したいと思います。  最初に、この家賃改定案を提出するまでの経過についてなんですが、平成四年の十一月に住宅政策審議会に諮問がされ、一年余りでこの家賃制度の改定案が答申としてまとめられるまでの間、ほとんどの期間を通じて東京都または住宅政策審議会、これは都民にはもちろん、都営住宅居住者にさえ、ほとんどその内容を秘密にして家賃制度をつくり上げてきました。  そこで、この間に都営住宅の居住者またはその団体の代表者などに、家賃制度についての意見を聞く機会をどれぐらい持ってきたのか、その点について、まずお聞きします。 ◯村上住宅政策担当部長 都営住宅の家賃制度につきましての諮問を行いまして後、住宅政策審議会におきまして入居者の代表の方、あるいはその他の参考人の方から、審議会の場でご意見の拝聴を行って、そのご意見を踏まえて、審議会ではご答申をいただいたものと理解しております。 ◯曽根委員 いつ、何回ぐらい居住者の意見、またはこれに関する関係者の意見を聞いたんですか。 ◯村上住宅政策担当部長 この審議の過程におきましては、住宅政策審議会におきまして行政部会というのが設けられておりますが、この行政部会の第二回の審議の際に、これは平成五年の一月二十七日でございますが、参考人の方四名からご意見を伺っておりまして、その中で、公営住宅の入居者の関係の方にもご意見をちょうだいしているところでございます。 ◯曽根委員 昨年の一月二十七日、住宅政策審議会の行政部会、ここではまだ、今回の応能応益的家賃制度についてのたたき台を含めて具体的なプランは何も出ていない段階で、とにかく都営住宅家賃制度についての意見を聞きたいという一般論の聴取にとどまっている。それが一回だけ行われただけなんです。その後昨年の秋ごろ、住宅政策審議会の行政部会に小委員会からの素案が出されて以後は、一番大事なとき、具体案が出て以後は、全く意見を聞かないどころか、その中身すら居住者には何ら伝わっていないという事態の中で、二月三日のことしの本審議会まで来てしまったというのが実際の経過です。そして審議会は、その日一日だけ四十分の審議で打ち切られて、採決が強行され、答申が出されたという経過であります。  とにかく審議会で検討しているんだから、居住者の意見も、都民の意見も聞く耳は持たないといわんばかりのやり方、私はどうしても納得できない。こんなやり方で答申をつくるから、現にこうやって提案をしてみると、都営住宅や、そこに住んでいる人の実情を無視したとんでもない答申が出てきて、またそれが大きな批判の声を受けることになると思うんです。住宅政策審議会の今後のあり方の、私はこれは教訓にすべき問題だと思う。このことは繰り返しになりますけれども、先日の二月二十一日の委員会のときにもいいましたが、これは強調しておきたいと思います。  ところで、この間の二月二十一日の当委員会で答申の報告が出たときに、私は、これは審議会のあり方はいろいろありますけれども、問題もありますが、いよいよ当局がこれをもとにして家賃の改定案をつくるということで、責任は当局がこれから負っていくわけだから、改めて居住者を含めた関係者の意見も聞き、十分にそれらの意見を反映した改定案をつくるべきだということを私は要望したわけです。また、委員会での答弁でも、居住者の意向を反映させた家賃制度にするという趣旨のお答えもあったと思います。これについては、この改定案についての評価、特に答申に対する評価、居住者に対してお聞きになる機会を持ったのか、それをまた反映をされたのか、その点についてお聞きしたい。
    ◯吉田参事 今回の使用料制度は、ただいまも申し上げましたように、住宅政策審議会が関係者からの意見聴取を含め、幅広い見地から検討し、ご答申をいただいたものでございます。今回実施案を作成するに当たり、その答申を踏まえましてご提案申し上げているものでございますので、ご理解賜りたいと存じます。 ◯曽根委員 私が聞いたのは、この家賃の改定によって影響を直接受けるのは都営住宅に住んでいる方、それからさらにこの家賃が変動することによって、近隣の民間賃貸住宅も含めて、東京都内の賃貸住宅の居住者にとって大きな影響を及ぼす問題だということから、当然それらの方々の意見をくみ上げていくべきだというふうに申し上げたはずです。しかし、東京都は、これまで結構期間は長かったわけですが、その間居住者の方々にはもちろん、そのほかの都民の意見というものをほとんどくみ上げることはしないで、答申に沿ってだけ具体化をしてきたということじゃないかと思うんですね。  私は、今度議会に提案がなされた冒頭の委員会のときにも、これは大事な問題ですから、二十五万世帯に及ぼうとしている都営住宅、さらには都民全体に及ぶ問題ですから、この議会としても、参考人を呼んで意見を聴取する聴聞会を開くべきだということで動議を提出いたしましたが、これは残念ながら、ほかの会派の方、すべての反対によって実現できませんでした。これも非常に残念なことですけれども、きょうの委員会の審議だけで決めてしまうというのは、私は極めて早計だというふうにいわざるを得ないと思います。  それで、実際に出てきた提案を見ますと、やはりこれは居住者にとっては納得のできない内容が多々含まれているというふうに思うんですが、これに対して、先ほどお話のあった、昨年の一月に居住者の代表として意見を聞かれたという東京都公営住宅協議会の代表の方、この代表の方を筆頭人にするこの改定案に対する撤回を求める請願並びに陳情、それからそのほかの居住者の方々の団体、都民団体含めて四百以上の団体の方が、この議会に撤回せよという意見を寄せています。また請願、陳情も出されています。結局意見を聞き、反映したというけれども、そういう意見をいった本人が、今度の案は撤回せよといっているんですから、これは居住者の方々にとって願いがかなうどころか、願いとは全く逆行したものが出てきたという評価が出されているんではないでしょうか。これについて、当局はどのように受けとめておられるのか、これを聞きたいと思います。 ◯吉田参事 お話のとおり、幾つかの居住者団体から請願等が出されておることは十分承知してございまして、それぞれの立場からのいろんなご意見があることについては、真摯に承っているところでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、この今回の新しい家賃制度は、住宅政策審議会の審議を経ていただいたものでございますので、都としては、引き続きこの新しい制度につきまして、理解を求めていきたいと考えてございます。 ◯曽根委員 一部居住者というふうにいいましたけれども、これは東京都生活と健康を守る会連合会からは四万人以上の署名が寄せられて、これは議会じゃなくて、都知事あてで直接要請が行っているはずです。それから、この議会にも既に一万人を超える請願、陳情も出ている。これがどうして一部ですか。じゃ、この改定案について、賛成の陳情、請願というのはあったんですか。私は、一つもないと思うんですよ。そういう点で、こういう居住者の意見、それからその願いというものを積み残したまま具体化をしていこうとする姿勢は、かつての東京都政では考えられなかった事態だと思います。  それから、これに関連して住宅政策審議会にも、民間賃貸住宅の団体の代表の方が出ていました。その方は私と同様、審議会の答申には反対の態度をとったというふうに記憶していますが、その方も含めて民間賃貸住宅にお住まいの方の、この改定案についての意見はどうなんですか。東京都は盛んに民間居住者との家賃の格差を問題にして、今回の都営住宅の改定案を出してきました。しかし、民間の方は、これを歓迎しているんでしょうか、どうなんでしょうか。 ◯吉田参事 個別個別の一般都民からではございますが、しばしば電話等でご意見は寄せられているところでございます。一応反対の意見は少ないと受けとめてございます。 ◯曽根委員 今、賛成の方はいるとはさすがにいえなかった。私は反対の意見は少ないというのは、それは当局の受けとめだと思うんですが、当局もさすがに賛成の方がたくさんいるとはいえないという状況だと思うんですよ。私、改定案が出てから、改めて東京借地借家組合の代表の方にご意見を伺いました。そしたらば、民間の居住者にとって、都営住宅の家賃が上がるということは何のメリットもない、それはそうですよ。今度の改定でもって、東京都の増収分百五十億円といわれていますが、このお金でもって民間の賃貸居住者に何か還元するような政策をやるというようなことがあるわけじゃないわけですから。  しかも、今バブルがはじけた後、土地の価格が下がってきた。バブル時代にはね上がった民間賃貸住宅の家賃を、値下げによって是正するチャンスが生まれている。これは戦後初めてだそうです。民間の賃貸の家賃が下げられる機会があるということで、裁判闘争を含めて、今運動が始まっている。しかし、そういうときに公営住宅の家賃が、一部は民間賃貸住宅を追い越すぐらいにどんどん上がってくるとすれば、これはそういう裁判闘争を含めた民間の居住者の家賃是正運動に、まさに水をかけることになる、障害になる。そういう点では、非常に困ったことだというふうに受けとめているというお話でした。私は、東京都はそこをきちんと考えなければならない問題だと思います。  これが二月の委員会でも、高額所得者の家賃が十万円を超えるところが続々出てくると、その近隣で民間賃貸住宅が、それ以下のアパートがいっぱいあるときに、これを引き上げる要因になってしまうというおそれを、私指摘しましたけれども、現実にそういう問題が起きてくるということをいわざるを得ないと思います。  それで、竹内部長だと思いましたが、この間の二月の委員会のときに、この答申について具体化をする中で、新しい家賃制度への移行に当たっては、何よりも入居者を初めとする広範な都民の理解と協力を得る必要がある、そのための周到なPRを欠かしてはならない。とりわけ入居者に対しては、新しい家賃制度を周知徹底することに十分配慮をしていく、私の質問にわざわざこのように答弁をしておられます。ところが、いまだに居住者には、自分のうちの家賃が上がるのか下がるのかさえわからない。これで何が周到なPRかと私はいいたい。一軒ごとの家賃が、もし収入報告が出てからでなければ決定できないというのであれば、せめて自分の住んでいる団地の応益調整率が幾らになるのか、上がるのか下がるのか、それから使用料限度額が幾らと設定されていくのか、どういう予定をされているのかぐらいは、資料として提供すれば、自分の収入をはめ込めば計算ができるわけですから、それぐらいの資料、それぐらいの考える材料を──周知徹底というならば、議会で決める前に、どうして居住者の方に提供できないのか。私は十分時間はあったはずだと思うんですが、これがなぜ行われなかったのか、なぜこれがPRとして、周知徹底といいながらやれなかったのか、その点をお聞きしたい。 ◯吉田参事 居住者への新しい家賃制度のお知らせにつきましては、「すまいのひろば」におきまして、これまで四回、その答申の内容をお伝えしてございます。特に第一回目は、なるべくご理解いただけるようにということで、答申の資料にございました、いわゆる各六つのパターンの家賃の変動を掲げさせております。そのとき、かなり電話等で反応がございまして、私ども説明して、なるほどわかったというご意見等も受けておるところでございまして、確かに個別家賃につきましては、確定の家賃につきましては、これは議会のご審議を経なければ告示、あるいはまたご通知できないわけでございますが、どのような形になるかということにつきましては、極力ご理解いただくように努力をしてきたつもりでございます。 ◯曽根委員 家賃というのは個別にかかっているんですよ。しかも、今までのように、大体一律の計算でもって、家賃改定のときに、自分の家賃がどれぐらい上がるか、率はそんなに違いませんから、わかるという形とは、今回制度改定ですから、全然違うわけですよね。それだけに、個別に自分の家賃がどうなるかわからなければ、理解のしようがないじゃありませんか。まず、その家賃の負担はどうなるのかというところから始まるわけでしょう。それがわからない。それで納得をしてくれ、議会ではもう決めてしまいます。これで、私はその中身がどうあれ、結果がどうあれ、入居者に理解を得るのは難しいと思うんですよ、この方法では。  しかも、この四月というのは、使用料限度額を決める、大体半分ぐらいの決定要因になっている固定資産税評価額が、宅地でいえば平均四倍に上がったわけですね。これが使われるのか使われないのか、それによって使用料限度額が大幅に違ってきてしまう。また、それが家賃の応益調整率にも入ってきて、これが使われる使われないではとんでもない違いが出てくるという時期に、わざわざぶつけてこの改定案が出されてくる。こういうときに、殊さらに居住者の不安をかき立てるようなやり方、これはもうどなたが見ても、やっぱり自分のうちはどうなるのかと不安にならざるを得ないというふうに思うんです。しかも、私が大変不可解なのは、いまもって都知事の本会議答弁、それからこの間の提案説明を聞いていますと、これが全体としては東京都の都営住宅家賃の値上げになるんだということを都知事も当局も認めていない、家賃制度の改善だというふうにいっているという点であります。  そこで、まず本当に初歩的な問題からお聞きしますが、今度の家賃改定で、二十四万数千戸にわたる都営住宅にお住まいの方の中で、実際に自分が払う使用料、家賃負担、これが上がる方は、全体の中で戸数幾つで、何%になるんですか。また、その増額の平均額はどれぐらいになるんですか。 ◯吉田参事 今回の使用料制度におきまして、使用料負担が増となりますのは、平成五年度の収入報告等に基づく推計でございますが、全世帯の四〇%に当たる収入超過層及び二五%に当たる収入基準内階層、合わせて六五%、十六万一千世帯が負担増になると推計してございます。  増額の平均額は、高額所得階層が一万六千九百円ほどの増で、新しい負担が五万七千二百円ほどになります。また、収入超過階層が約一万七百円増で、新しい負担が四万五千二百円ぐらいが平均でございます。一種住宅収入基準階層につきましては八千二百円ほどの増で、新しい負担の平均が三万三千四百円ほどになります。また、二種収入基準階層は約四千七百円の増で、新しい負担の平均が二万三千三百円ほどと推計してございます。 ◯曽根委員 全体の六五%、半分以上が値上げになる。それで、今細かく分けて、収入超過層とか一種、二種、基準内の階層に分けて平均額を出されましたが、丸めて六五%の戸数で全体の増額分を割ると、一世帯平均幾ら月々上がることになるんですか。 ◯吉田参事 全階層平均いたしますと、増額幅の平均が約一万一千六百円でございます。 ◯曽根委員 上がる人が六五%で、しかも、上がる月々の金額が一万円を超える家賃の増額というのは、都営住宅家賃の改定が何度かありましたけれども、これはかつてないことですよ。大体もともと東京都は、一万円台の家賃の都営住宅が四割もあるというふうにいってきたが、それに対して一万円を超える家賃の値上げがあるわけですから、もう半分か半分以上値上げというのが軒並み出るということですよ。こんなかつてない値上げをやる。それで東京都は、減額が一部あるとしても、差し引き百五十億円の増収だと。前回の改定のときには、せいぜい四十億円ぐらいですから、増収分だけ見たって、だれが見たって値上げじゃないですか。この点で、これは実質値上げなんだということをきちんとまず認めるところから話は始まると思うんですが、この評価についてはいかがですか。 ◯吉田参事 今回の新しい家賃制度は、現在の使用料制度におきましていろいろと課題になっております応益調整についての改善、あるいはまた、これは収入基準内階層の負担の逆転現象を解消する措置でございますが、応能減額の導入、さらに収入超過層の負担の是正、このような制度改善によって都営住宅入居者の適正かつ公正な家賃負担の実現を図るということで、今回実施をお願いしているものでございます。 ◯曽根委員 都民も、それからもちろん入居者の方々も、それから今はほとんどのマスコミ、新聞などの扱いを見ても、七割近くは値上げになる、それも大幅な値上げだ、全体としては値上げだという評価をもうしているんですよ。これは、都民全体の世論になっている。当局だけが、いまだに家賃の改善だ、是正だと居直っているわけにいかないという状況だと思うんですが、その辺の評価について、どう思っていらっしゃるのか、もう一回お聞きします。改善が値上げだったんなら、値上げは改善だといってください。 ◯吉田参事 今回いただきました住宅政策審議会での答申にもございますが、答申をちょっと読み上げさせていただきますけれども、現行制度を抜本的に改善する新しい仕組みの導入により、都営住宅入居者のうち、相対的に収入の低い階層の負担は従来よりも下がる場合があると予想されるが、相対的に収入の高い階層、特に収入超過層の負担は相当の変動が予想されるところである。しかし、これは都営住宅の家賃の適正化とその上での入居者の公正な負担の実現を目指す結果であり、十分な理解が求められるべきである、と書いてございます。私どももこのように受けとめて、今回のこの実施案を提案しているところでございます。 ◯曽根委員 断固として値上げだと認めない、それでこれは改善なんだと。六五%の値上げで、残り三五%は減額なんだというふうに東京都は説明している。これは、私はごまかしがあると思う。 実際にこの制度の導入で減額になるのはどれぐらいかということを、もう少しはっきりさせておきたい。  今度、家賃改定の中で減免の対象になっている方、これはきょう資料でもいただきましたが、認定月額で五万円以下の方です。これが今、対象階層が五万四千人ぐらいいるという資料が出ているんですが、今度これを月額六万五千円に引き上げるというのがありますね。この引き上げというのは、どのような理由で、どのような基準に基づいて行われるのですか。 ◯吉田参事 生活保護におきます最低生活費保障水準、いわゆる保護基準に対応して引き上げを図るものでございます。 ◯曽根委員 これはこれまでの家賃改定でも、家賃改定のときには、そのときどきの生活保護基準というのは年々上がっていきますので、それに準じて、東京都はそれに見合う形での減免対象の基準を引き上げているわけですね。ですから、これは今回の応能応益的家賃負担制度の導入とは区別して、ふだんの改定と同じやり方で行われているというふうに考えるべきだと思います。  それで、月額五万円から六万五千円に引き上がって、対象となる世帯数というのは何軒ぐらいふえるんですか。 ◯吉田参事 約四千世帯ふえるものと考えてございます。 ◯曽根委員 今、五万四千百八十ぐらいある。六万五千円まで基準が上がれば、それに四千世帯ふえるだろうというのが当局の推定のようですが、そうすると五万八千余の世帯は通常の家賃改定、今までの家賃改定と同じやり方による減免の対象となって、この拡充によって減免が受けられる資格が得られる。これは自分で申告しなきゃ受けられないのはご存じのとおりですが、その部分は、応能応益的家賃負担制度の導入による減額ではありませんから、これは抜いて考える必要がある。  それで先ほどの資料で、今度の制度の家賃の改定で減額になる世帯数が、二二ページの資料には八万六千世帯と出ているんです。そこから五万八千世帯減免対象となる方を引きますと、二万八千世帯。結局応能減額とか、それからたまたま応益調整指数が下がって、それによって家賃も下がる方が一部出たとしても、二万八千世帯だというのが正確なところじゃありませんか。今度の応能応益的家賃負担制度の導入に伴う減額というのは、どうでしょうか。 ◯吉田参事 減額世帯、増額世帯につきましては、答申のときの資料におきましても注でお断りしておりまして、一般減免の対象階層も含みましてご説明を申し上げているところでございまして、今回も増額戸数、減額戸数につきましては、一般減免対象も含めて記載してございます。  なお、五万八千世帯でございますが、このうち使用料免除の方は、前後、当初とも新しい負担もゼロ負担で、いわゆる同額でございますが、その他につきましては、千円ないしは二千円の負担減ということで、減額の住戸の方にカウントしているわけでございますので、ご理解賜りたいと存じます。 ◯曽根委員 東京都は、都合のいいところだけ一緒くたにしてまとめて考えていますが、これはふだんの改定でもやっているわけですから、私は今度の制度の導入によって、その方々が家賃が減ったんだというふうにいうのは、これはもう全く当たらないと思うんです。結局は応能減額、新しく制度が導入されました。それとか、応益指数が今回変動して、都心の方はがあんと上がるけれども、郊外は下がるという中で、一部家賃が減額される方が出てくる。それは正確に詰めていえば、二万八千戸だと。二十四万七千世帯のわずか一一%だけですよ、この制度で、いわば家賃が下がって助かるなというのは。片や六五%は、間違いなく上がるわけです。これを対比してみても、上がる方が下がる方の六倍いるわけですから、どう考えたって全体値上げじゃないですか、百五十億円の増収。  それで、国がこの間、公共料金値上げ年内凍結を決めましたよね。そのときに、東京都など自治体にもそれに同調するよう求めてきている。それに対して、鈴木知事もいろいろ意見をいっていましたが、都営住宅家賃の改定実施時期は、年内十二月を予定していたものを来年の四月にするとか、一部報道されましたし、また最終的にきょう出されているものでは、一月実施だと、年内実施というふうにならなかった。それは、結局は国が公共料金、なかんずくその中でも公団住宅家賃の定期的な見直し、家賃値上げ、これを凍結せざるを得ないというところに追い込まれたのに対して、東京都もやはり最小限一カ月おくれただけですけれども、同調せざるを得なかったのは、事実上、この都営住宅の家賃改定を値上げだと認めたということじゃないですか。そうじゃなくて、どういう理屈で一カ月延ばしたんですか。 ◯竹内管理部長 今回、国の方から公共料金の凍結についての依頼があったわけでございますが、今回の使用料の制度の改善につきましては、内容的には制度改善であるので、十二月実施が適当であるというふうに考えたわけでございますが、しかし国の方の要請もあり、また一方では、応能減額という減額制度がとられるということで、早期の実施が望まれるということもございまして、一月実施を考えたものでございます。 ◯曽根委員 国の要請があったから、この実施をおくらせたということは、国の公共料金凍結という方針に従わざるを得なかった。つまり、これが実際値上げであるということを認めたに等しいと思います。  実際、この公団住宅の値上げ計画と比べても、都営住宅のこの家賃改定の影響というのははかり知れないものがあります。公団住宅は、値上げ幅がせいぜい九%ですから、それも古い団地に限って。都営住宅はそうじゃない。もう六五%が一万円以上の値上げになるんですから、この影響は全然違うわけですよ。公団住宅は定期的な見直しですから、事実上値上げだということを認めて、政府も凍結した。これで東京都だけが、いや制度の改善だ、是正だと居直って、上げるわけにはいかないという状況に陥ったわけでしょう。だからこそ十二月に実施すれば、定期的な収入超過者に対する割り増しの付加使用料の改定などが十二月にありますので、この間も本会議で、社会党・市民ネットワークの代表の方が、わざわざ十二月に一回付加使用料を改定して、現行制度で改定した上で、一月にさらにまた改定がある、実務上極めて煩雑だという指摘をしていました。  私も、実務上はそのとおりだと思います。その意見が、じゃ、値上げを繰り上げて、十二月にやれという意味かどうかは私は知りませんけれども、それを実務上の煩雑さを冒してまで一月に延ばしたのは、結局は値上げだということを認めたんじゃないですか。これをちゃんと都民に対して、これが正々堂々たる値上げであれば、それを堂々とPRして、値上げだけれども、制度改善になるんだよというふうになぜいえないのか。それは中身について、都民の理解を得られる自信がないからじゃないですか。私は、この点を強く指摘しておきたいと思うんです。  それで、今回の制度改定の中で非常に罪が深いというふうに思うのは、一つの問題として応益調整率の改定がある。これが立地条件を重視するということで、今回大幅に見直しになりました。大変大きな不安が広がっているわけです。私は住宅政策審議会の審議の過程で、その段階では、まだ具体的な団地名を挙げての資料を求めたら、当局も出してくれたんです。その段階で、都心にある北青山の昭和三十八年建設の都営住宅について、ここがかなり大幅に応益調整の関係で上がりそうだということで資料をお願いした。その時点では、団地名入りで資料を出していただきました。その後、全く団地名入りの資料は出なくなったんですが、その資料に基づくと、ここは応益調整が最高の立地条件で一・五、市区町村係数でも、それから固定資産税評価額相当額係数でも一・五、それによって応益調整は最高の〇・六がかかるということで、それだけで一種住宅では〇・六の指数がありますから、三万七千円ぐらいの家賃、それでもう決まりになるわけですね。その上に、さらに家屋便益指数が乗るわけですが、結局は、今二万二千円ちょっとの家賃が四万七千円ぐらいになって、二倍以上に上がってしまうということになったわけです。  大体応益調整で、そんなに立地条件がいいというのは、どういうところかと思って、北青山一丁目、私見に行きましたよ。隣が赤坂離宮ですよ。それで、その向かい側に広い道路があって、オフィスビルが林立しているわけです。その間に挟まれているんです。何かもう時代が、一時代前に戻ったような感じ、その一角だけが。それで、専用面積が三十八平方メートル、おふろがない。三十年以上たっているわけです。もう見るからに老朽化していました。見るからにというと失礼ですけれども。これが応益調整が一番高い、立地条件高いというところなんです。  住んでいる方にも、お話もお聞きしました。買い物どうしていますかと。近くじゃ、高くて物が買えない。結局、生鮮食料品などは地下鉄に乗って上野とか、それから築地まで買い出しに行かなくちゃならないといっていました。おふろも近くになくなっている、一軒だけ残っている。この銭湯がなくなったら、おふろに行くのも電車で行かなきゃならない。これが立地条件が極めていい、ランクAの住宅なんですよ。東京都によって、こういう応益調整がかけられている。  この立地条件の評定というか、評価というのは一体何なんですか。生活のための住宅でしょう。 それで、最高のAランクがこういう状況というのは、一体どうしてこういうものが出てくるんですか、その点をお聞きしたい。 ◯吉田参事 応益調整指数、応益調整のうちの立地調整につきましては、審議会でもいろいろとご意見があったところでございまして、いわゆる立地便益、立地応益の受けとめ方につきましては、居住者の生活条件あるいはまた勤労条件等々でかなり異なるということで、なかなか一面的な見方はできないというお話がございました。また、当然ながらそのような生活便益、あるいはまた経済便益のみならず、環境面、これら等の配慮も必要であるといったご議論もいろいろございました。  しかしながら、それらをやはり総合した指標で測定、判定するということが必要でございまして、いわゆる固定資産税評価額、ある意味でその土地の時価でございますが、そういったものはそれらを反映した総合評価、総合指標であるという面を持っておる。したがって、これを一つの代表的な指標として用いることが現実的であるという意見がございまして、そのような答申、応益調整指数の設定に至ったものでございます。 ◯曽根委員 総合的に判断すると、結局そこに住んでいる生活実態に全く合わない結果というのが出てくる。そういう総合評価というのは、私は総合評価じゃなくて、偏った評価だと思うんです。  私は、住宅政策審議会でそのことを指摘しました。特に北青山の場合は、非常に端的なケースとして、近隣の目黒にある平成二年入居ぐらいの新しい住宅、ここは広さも広い、家賃も既に基準家賃に近いか、それ以上の家賃がかかっている、ここと比べて、新しい制度が適用されると、家賃が同じぐらいになって、一割程度の差しかない。そうすると、片や三十八平方メートルの専用面積、片や六十五平方メートルぐらいある。一平方メートル単位で見ると、北青山のあの古い住宅の方が、目黒の──同じ都心ですよ──住宅よりも、単位面積当たりが二倍ぐらいになってしまう。これはあんまりひどいじゃないかということを指摘したら、さすがに部会長も、これはやっぱり問題があるということで是正が行われました。  この点について、これは答申に盛り込まれたわけですが、東京都の方でもこの是正の中身をそのまま使って、一定の係数の変更をやったわけです。当局としてのこの是正を行った理由、そして是正の中身について教えてください。 ◯吉田参事 応益調整のうち立地指数につきましては、答申あるいはまたその実施に至るまで幾つかご意見がございまして、一つは、住宅政策審議会の答申に至る過程で、ただいま曽根委員からお話がございましたように、固定資産税評価額相当額係数につきまして、当初、係数の最高が一・七までございましたものが、一・五に引き下げられた経緯がございます。もう一つ、区市町村係数につきましても、これは係数の幅は変わってございませんが、中に各区市町村の配分をしてございますが、その配分につきまして、平成六年の公示地価のデータを用いまして、一部改めさせていただいてございます。 ◯曽根委員 今の是正を行った当局としての理由は何ですか。 ◯吉田参事 若干細かいお話になりますが、立地指数の区市町村係数は、これは国土庁の公示地価の各区市町村の平均地価の配列を基本にしてございますが、六年度公示地価の平均地価の配列を、この答申の表と見比べ、比較考量いたしまして、その順位について、答申の枠組みを前提としながら、新しいデータで微調整をさせていただいたものでございます。 ◯曽根委員 今、新しい公示地価、これで微調整をしたというふうな話なんですが、細かいことは抜きにしますが、例えば北青山の固定資産税評価額相当額係数を一・七から一・五に下げた。これは、別に根拠があってやったわけじゃない。とにかくこれは高過ぎるというんで、〇・二下げた。 それによって、北青山は団地の個別家賃が五万二千円になるところが、四万七千円になった。それでも二倍以上上がってしまうわけですが、もうこれはさじかげんですよ。今回の微調整にしても、いろいろ厳しい評価が上がってくる、反対の声が強いというんで、細かく見ると、別に理由がないところもいろいろと下げている。このさじかげんで適当にやられてしまうというところは、私は非常に恐ろしいと思うんですよ。それによって応益調整指数が〇・一変われば、月の家賃が六千百円変わるわけですからね。年間にすれば、七万円以上の家賃が変わってきてしまうんですよ、調整指数が〇・一変わるだけで。こういうさじかげんが、どんどんできてしまう。固定資産税評価額の、今回四倍になったものがどう影響するかという問題は、後から、また指摘されると思いますけれども、そういった点に、今回、応益調整の中で立地条件を重く見た、このことによる影響があらわれていると思うんです。もう一つ、反面、立地条件を重く見た一方で、家屋便益指数といわれる広さとか何年たったのかというものが、相対的に軽くなったわけです。軽くなった影響、私出ると思うんです。  一つのこれから起こり得るケースとして質問したいんですが、今、東京都も、型別供給というのをそろそろ本格的に始めようとしています。したがって、今までは各年度ごとに建てられる都営住宅は大体ファミリータイプで、その一つの年度であれば、大体広さは同じだったわけですね。昭和三十八年、三十九年、今から三十年ぐらい前には、大体三十七、八平方メートルの面積が、その当時の都営住宅の一般的な面積なんです。これが今回の基準面積七十五平方メートルの、ちょうど半分程度。ところが、これから新築でも、同じぐらいの広さの型別供給の狭い新築住宅というのがつくられる道が開かれてきた。そうすると、三十七、八平方メートルの新築の、例えば高齢者世帯向け住宅というのができてくる可能性がある。これはありますよね、白書にも載っているし、新しい報告が出ています。そうした場合、平均的な立地条件の団地で、片や三十年たった三十七・五平米で、ちょうど標準面積の半分の面積の住宅と、片や新築で型別供給で供給された同じ面積の新しい都営住宅ができた場合に、家賃はどれぐらい違うんですか。 ◯吉田参事 新築がおよそ四万二千七百円、築後三十年が三万八千百円と推定されますので、差がおよそ四千六百円でございます。 ◯曽根委員 したがって、新築の四万二千円に対して、三十年たった住宅でも一割ちょっとしか差がないということです。これは実際には、住宅としては全然違います。北青山へ行けばわかりますけれども、本当に三十年たってしまうと、建物が古いだけじゃなくて、中の設備が、これはおふろがあるという条件ですけれども、やっぱり時代おくれになっているんですよ。専門用語でいえば、設備が陳腐化しているわけです。それに対して、今から建てられる型別供給の高齢者向け住宅というのは、バリアフリーになっているし、それに配慮したトイレも、おふろも、いろんなことが今技術的にはできるようになっている。そういうものができるんです。この違いがわずか四千六百円、今度の制度では一割の違いしかないんです。これだけ経年変化というものが軽くなってしまっている、応益調整の中では。これは、私は新たな不公平を生みかねないと思うんです、こういう家賃制度は。このこともあえて指摘をしておきたい。  それから、今度の家賃改定案、もう一つ罪が深いと思うのは、収入超過者、高額認定者に対する扱いの問題です。これは、私も繰り返しいってきました。高額認定者が、今一万人をはるかに超える人数になってきている。これは、私たちは入居基準が余りにも低過ぎる、明け渡し基準も低過ぎるからだというふうに考えていますが、それに対して、実際には昨年も千二百名余りしか明け渡し実績がない。そうすると、明け渡す数よりも、高額認定になっている数の方が多いわけですから、高額認定者がどんどん膨らんでいく。これは、都営住宅に住むお一人お一人が、みずから働いて収入をふやしていくことが悪いんじゃなくて、それに合っていない都営住宅の入居基準、明け渡し基準の方が私は問題だと思うんです。しかし、扱いはどうなるかといえば、基準を超えたからということで、あなたは都営住宅に住む資格がない。収入超過の方に対しては、明け渡しの努力義務が課せられて、それから高額認定になると、いよいよ明け渡し義務ということで出てください、こういうことになるんです。  それで、かつて東京都はこうした事態に対して、しゃくし定規ではなくて、基準を自治体として見直して、それで都営住宅に住んでいる人が安心して住めるようにするという点で、高額認定者に対する扱いを独自に決めていた時期があります。これは国の法律設定時に、国会決議があって、これに基づいて東京都はやったというふうに私は聞いているんです。昭和四十四年ごろですが、明け渡し基準が公営住宅法に盛り込まれたときに、衆参両院で国会の附帯決議というのがあったと思います。この内容についてお答えいただきたい。 ◯竹内管理部長 昭和四十四年の公営住宅法の一部を改正する法律案に対しまして附帯決議がありましたが、その内容でございますが、まず衆議院の要旨でございます。高額所得者に対する関係でございますが、高額所得者の明け渡し請求制度の実施に当たっては、収入額の的確な把握、配偶者以外の収入について相当額の控除、定年等により収入が激変する者に対する明け渡しの猶予、公的資金による住宅への優先入居、収入基準の適時改定等の措置をし、運用の適切を期すことでございます。  次に、参議院の要旨でございますが、明け渡しの収入基準等については適切に定めるとともに、適時改正すること、収入超過者等に対し他の住宅をあっせんするとともに、強制的な明け渡しは極力避けることとなっております。 ◯曽根委員 公営住宅法の第二十一条そのものも、明け渡し義務が発生すると同時に、住宅をつくっている事業者である東京都に対して、自治体に対しては、明け渡しが容易になるように公的な住宅のあっせんなど、または融資など特別な配慮をすることというふうに法律上も書かれています。 ですから、当然国会での何らかの議論があったんだろうというふうに思ってお聞きしたわけですが、参議院でも衆議院でも附帯決議はついているわけです。  この中にありますように、収入超過者または明け渡し請求を受けた者に対する他の住宅等のあっせんについては、それらの者の希望が入れられるよう、その受け入れ体制を十分に整えるとともに、強制的な明け渡しは極力避けること、これは参議院の附帯決議、それから衆議院でも、間もなく定年等で収入が下がることが予想される者については、明け渡しを猶予するように配慮することというふうな決議もされているわけです。それを受けて、東京都は住宅対策審議会に、この高額所得者の明け渡し問題についての諮問をしていると思いますが、どういう諮問が行われ、どういう答申が出されて検討されましたか。 ◯竹内管理部長 昭和四十七年五月の東京都住宅対策審議会に、高額所得者に対する明け渡し請求について諮問をしてございます。十分な議論の後、昭和四十九年七月に、同審議会の答申をいただいてございます。  答申の中身でございますが、高額所得者に対する明け渡し請求についての主な内容は、東京の住宅事情では、明け渡し後の住宅の確保が極めて困難であるので、住宅の明け渡しに当たっては、生活不安を生じないよう配慮すること、高額所得者に対する明け渡し請求に当たっては、生活実態に応じた弾力的運用を行うため、収入の実施基準等を含め、個別的運用について公正な機関を設け、その機関に諮問するよう措置していく必要がある、などでございます。 ◯曽根委員 こうした答申が出されて、全国の中でもとりわけ東京では、大都市問題の一つとして住宅難の問題があり、明け渡しを請求して義務づけたとしても、その後に入る住宅が、公的にも民間でもきちんと用意されていない。家賃が高過ぎるという問題があるために、特段の配慮をし、柔軟にやれというふうに答申されている。これに基づいて、当局はどのような措置をとりましたか。 ◯竹内管理部長 この答申を踏まえまして、昭和四十九年第三回定例会に、東京都営住宅条例の一部を改正する条例案をお諮りしたわけでございますが、大都市における市民の生活の実態や高物価を配慮するとともに、高額所得者が都営住宅を明け渡しても、無理なく公団公社住宅に入居できる水準として、政令基準より五割増しの基準を都営住宅条例の附則に、当分の間として例外的に設けたというふうに、詳細についてはつまびらかではございませんが、このような形で設けられたと聞いております。 ◯曽根委員 こういう事態を当時も予測して、やはり東京都では、独自に五割増しという明け渡しの基準の上乗せをしなければならないだろうという判断に立ったわけなんです。それで、私驚いたんですが、この当時は高額認定者、国の基準に従ったとしても、数百名しかいなかったんです。七百名ぐらいしかいなかった。それが東京都の独自基準を設定したことによって、百数十名まで減らされたといいますか、猶予がされた。ところが、国の基準ですから、その後続々とそれをオーバーする人が出てきて、当時一番多くなったのが、昭和五十七年から九年にかけて、毎年、国の基準でいう明け渡し義務となる対象者が一万人を超えた時期があります。  この昭和五十七年から五十九年の三年間で、延べ何人ぐらいの方が、政令に基づく明け渡し基準を超えて、そのうち東京都の独自基準で猶予された人が何人で、東京都の基準も超えた人が何人ぐらいあったのか、この三年間についてお聞きします。 ◯竹内管理部長 三年間合わせまして、政令基準による高額認定者の方は三万二千五百四十七人でございます。都の条例基準によります高額認定者の方は、六千六百二十五人となってございまして、その差が二万五千九百二十二人でございます。 ◯曽根委員 このようにこの年は、先ほど資料でもいただいたわけですが、国の基準に対して、東京都は、月々の認定月額で約八万円の上乗せをしていたために、年間にしますと、これは百万円近い上乗せをしている。十年以上前ですから、この当時としては、かなり大きな上乗せをしていて、そのために三万二千五百四十七人、三年の延べですから、年平均一万人近くの高額所得が発生したところを、東京都の独自基準によって、平均二千人ちょっとに抑えることができた。現在も、ほぼ同じような状況になっているんですが、独自基準がないために、現在、一万人を超える高額所得が、そのまま国の基準で発生してしまっている。これに対して東京都は、そのまま、基本的には一律に明け渡しを請求しているわけです。  私は都営住宅のあり方、特に収入がどんどん上がっていく方に対する適正な管理のあり方として、当時東京都がとっていた方法、これはやはり居住者の立場に立って考えて、行われていたんじゃないかと思います。ところが、今は全くしゃくし定規、法律をそのままはめ込むだけというやり方になってしまっている、非常に残念なことだと思うんです。  現在、明け渡しの際に、事業者に課せられている公的な住宅の供給、あっせん、それから融資、こういうものについて、どの程度の実績があるのか。昨年について、明け渡した千名余の方に対して、新規にあっせんされた公団公社の住宅の戸数、また、そのために割り当てとして、どれぐらいの受け皿としての公団公社住宅が用意されていたのか、その戸数を教えてください。 ◯竹内管理部長 平成五年度の高額所得者への公社公団賃貸住宅のあっせん実績でございますが、新築住宅で五十二戸、空き家住宅で百五十四戸で、合わせまして二百六戸でございます。また、公社公団賃貸住宅の割り当て戸数でございますが、新規住宅では三百四十一戸、空き家住宅で二百七十三戸、合わせまして六百十四戸でございます。 ◯曽根委員 このように、一万人をはるかに超える認定者が出てしまっているのに対して、公共住宅のあっせんに出せる戸数というのは六百戸ちょっとしかないんですよ。そのうち、実際に本人の希望が入れられて、それを利用した方が、その三分の一の二百六戸しかない、あとは自力転出で千人近い方が出ていっているわけです。  私は都営住宅のあり方、かつて東京都がやっていた制度を今適用すれば、五割増しとはいわないまでも、その辺に近い上乗せ基準を設ければ、今高額認定とされている方の大多数は助かるだろう、猶予される。また、それが同時に、東京都が用意できる公的な住宅の数にも匹敵するところまで認定者を事実上下げることにもなるだろうし、東京都の扱い方も、これに対する扱い方だって是正することができるという道は私はあると思うんです。  そういう点、非常に残念なんですが、実際に高額認定になっている人たちの世帯主の年齢というのは、働き盛りで、定年間近いという人が多いと私は思うんです。これは、高額認定者全部について統計をとるのは難しいんで、私の地元の北区の都営住宅にお住まいの方で、高額認定の収入額に達している方、二年連続になると認定になりますが、一年目の方も含めて、この収入額に達している方の世帯主の年齢構成、五十歳から五十九歳の、この十年間の年齢の中に、どれぐらいの割合の方が入っていますか、高額の認定の金額の中に。 ◯竹内管理部長 北区所在の都営住宅の場合でございますが、高額所得階層全体が二千四百四十五人でございまして、うち五十歳から五十九歳の方は千二百六人で、比率は四九・三%であります。 ◯曽根委員 ちょうど半分、五十歳から五十九歳、勤労者でいえば、もう定年が目の前にぶら下がっているわけです。そういう段階に来て、大体高額という基準にぶつかるんです。それで高額、明け渡し義務ですから、もう出なきゃならない。しかし、目の前に定年がある。収入が激減することは、もうわかり切っているわけです。定年になって、年金暮らしになって、それで再就職も不況で難しい。そういうときに、子供に仕送りしてもらったりしないで、自立して暮らしていける住宅制度、家賃制度というのは都営住宅しかないわけです。ほかの公団住宅も含めて、年金だけで暮らし続けられる住宅はないわけです。しかし、明け渡し義務はかかってくるというところで苦境に立っているわけです。それが四九・二%、北区──大体都内も同じだと思いますが、半分こういう年齢の中にいるわけです。  皆さんも勤めていらっしゃるからわかると思いますが、老後の不安を何とか解消するために蓄えてきたものを、今回高額認定で、もし高い家賃をかけられたら、ここを崩すしかないといっているんです。ほかに出しようがないんです、生活費の中から。それで結局は、老後のための蓄えを取り崩しながら、高額所得の、この青山でいえば十七万円という家賃を払わなきゃならない。これがこの人たちの実態なんです。  こういうのに対して、少しでも人間的な気持ちを持った行政マンならば、この高額所得で、出るに出られない人に対して追い打ちをかけるようなことは、私はできない。しかし、東京都はこれをやっていこうというんです。適正管理として、どちらが本当に行政としてとるべき道なのか。居住者の立場、都民全体の立場を考えたとしても、私はやはりやるべき道があるはずだと、かつての東京都はそれをやっていたじゃないかというふうに声を大にしていいたい。  東京都は、この明け渡し基準の都の独自基準、これを復活することはどうしてできないんですか。 ◯竹内管理部長 高齢者の定年退職につきましては、退職後再就職する場合や再雇用する場合など、個々の事情によりまして対応はさまざまでございます。したがいまして、これらの方々の明け渡し事業につきましては、個別の相談が大切であると考えてございます。この相談に応じる中で、個々の世帯の事情等をきめ細かく把握しながら対応しているところでございますが、都が政令基準を超えまして、再び独自の基準を設けることについては、高額所得者制度の定着、社会的公平、国の強い指導等から極めて困難でございます。 ◯曽根委員 東京都は住宅の問題に関しても、本当に冷たくなったと思います。百五十億円も増収して、こういう方々から搾り取って増収をして、そして居住者の方々を実際上、こうやって痛めつけるような政策を私はもう撤回すべきだというふうに思います。  しかも、今回、明け渡し基準も入居基準も建設省、国の基準が変わったわけではありません。この基準が変わらないけれども、東京都の家賃制度の変更によって、今回改定が行われるわけですね。前回の建設省の入居基準、明け渡し基準の改定はいつあったのか、そして次はいつごろ行われる見通しなのか、わかりますか。 ◯吉田参事 前回の入居収入基準等の変更は平成三年の四月でございましたが、次にいつあるかということは定かでございません。 ◯曽根委員 大体三年ごとにというのがめどになっているんですが、三年ごとだったら、もう過ぎている。前回の建設省の基準変更は、東京都の家賃改定の直後にありましたから、その基準変更に基づく東京都の基準を全部変えると、また家賃値上げになるというふうになったわけですが、実際には家賃値上げが行われませんでした。  前回の建設省の基準変更のとき、家賃についてはどのような適用の仕方をしましたか。 ◯吉田参事 平成三年四月の入居収入基準等の変更に際しましては、その新しい収入基準に基づく新しい基準家賃、これは平成三年四月以降公募の新築住宅の家賃に、現在まで適用されてきているものでございます。 ◯曽根委員 つまり、平成三年四月以降新築されて入居する住宅については、当時新しい基準の五万七千円の基準家賃を適用し、それ以前に建てられたものについては、それまでの五万九百円の基準家賃をそのまま適用させる、二重構造で来たわけですね。ですから、今大半の住宅は、建設省の基準が決まる前の基準のままできているわけですね、その後建ったのは数が少ないですから。こういう二重構造の家賃制度というのは、もし今度改定が行われてから、建設省の基準が変わった場合、これは方法としてとることができるんですか。 ◯吉田参事 新しい制度、特に応能的負担という考え方からすれば、入居収入基準が変更された場合、いわゆる基準家賃というものは、新しい収入区分に対応して設定されますが、今回は従来の制度と異なりまして、それぞれの収入区分に応じて、現在、新しい制度では、いわゆる基準家賃と対応する基準負担額が設定されてございます。これらにつきましても含めて、すべての住宅について基準家賃及び基準負担額を設定いたしますが、ただ基準家賃の方は新しい金額に変更されますが、基準負担額自体は、それぞれの収入区分に対応した金額でございますので、これ自体は変更されないで続くというような形になろうかと考えてございます。 ◯曽根委員 そうしますと、収入基準が、今度建設省の基準改定で変わった場合、いずれにしても基準家賃のところ、団地の個別家賃もそうですが、それに基づいて基準家賃の変更に伴う応益調整全部かけて、全部変更になるわけですね。ですから、収入基準が上がった分だけ、基準のところは全部上がっていくというわけで、今までのような二重構造はできないということですよね。そういう点でも、これはいつになるかわかりませんが、建設省の基準改定がもし近々行われるならば、再び家賃改定がすぐ来るというふうに考えなければならない。こういう点でも、いままでの制度と大きく違うという点を指摘しておきたい。  今回は傍聴者の方も大勢見えておられますが、私は、結局居住者の立場に立って、最初から最後まで全く考えていないというふうにいわざるを得ない。特に一番問題なのは、居住者に対して堂々と、家賃改定はこうなりますということをきちんとわかるように説明しないまま、もう近々議決をしようとしている。決めたものを押しつけるというやり方、こういうやり方は、一般の民間の賃貸住宅じゃ到底考えられないと思うんです、借地借家法でもって守られておりますので。公営住宅だからといって、しかし私は、こんな理不尽が通っていいはずはないと思うんです。  そういう点でどうですか、借地借家法との関係で、民間賃貸住宅ではこういうやり方は私はあり得ないと思うんですが、東京都の今度の改定のこの決め方について。 ◯吉田参事 住宅の家賃につきましては、確かにお話のように、民間の場合には、民法及び借地借家法に基づきまして、家主さんからの変更通知、あるいはまた当事者間の協議が定められているところでございます。  しかしながら、公営住宅につきましては、公営住宅法及び事業主体の条例に、その家賃の変更要件あるいはまた手続が定められている場合には、それらの手続によるというのが判例等でも明らかにされているところでございます。
    ◯曽根委員 私は東京都が家主であり、都営住宅の居住者はたな子であるという関係というのは、公営住宅法の位置づけは別にして、そういう都営住宅居住者であり、都民である方々と東京都との関係は、やはり信頼関係をきちんとつくっていかなければ、公営住宅を事業者としてやっていくことは私はできないと思います。  そういう点で、今回の改定のやり方、もちろん中身も大問題ですが、やはりたな子の心を知らないで、冷たくやっていく大家の姿が私は見えてくると思うんです。そういう点で、東京都がもうこれ以上、こうした都民いじめのやり方を続けることに対して、私は本当に怒りと憤激を禁じ得ません。今回の家賃改定について撤回することを強く求めて、質問を終わります。 ◯大澤委員 私は、簡潔に何点かご質問させていただきます。  今回提案されました都営住宅の応能応益的家賃負担制度には基本的に賛成するものでありますが、導入に当たり、多くの都民が納得し、支持する制度として定着させるためには、この制度の実施に当たって、十全の注意を払って運用をしていかなければならないと私は考えております。また、都営住宅の管理面におきましても、今まで以上の努力を払い、改善すべき点は改善をし、都営住宅居住者と一般都民との間の公平感を確保しなければならないものと私は考えております。今回の制度が効果を発揮する──先ほどもいいましたように、一般都民の方との公平感、これを最重要課題にしていただき、今後のご努力をお願いしたいと思います。  また、今問われているのは、まさに都営住宅の適正管理のあり方であり、私はこの以下の観点から、幾つかのご質問をさせていただきます。  まず第一に、都営住宅の高額所得者についてでありますが、平成五年の新築都営住宅の公募では、平均倍率七十・四倍にも上ることが明らかなように、都営住宅に入居したくても入居できない、そういう都民がたくさんいます。その都民が、所得に対して高い割合を占める家賃を支払っている一方で、一万人も超える高額所得者が引き続き都営住宅に入居していることなど、社会的に見ても不公平な状態が、現実の今の都営住宅には存在していると、またこれもいえると思います。今定例会で我が党の代表質問で、上島議員がこの点を質問いたしましたが、鈴木都知事は、高額所得者には厳正に対処するとの答弁でありました。  そこで、改めてお伺いいたしますが、今回の家賃制度の改善が実施された場合は、この高額所得者への明け渡し指導はどのようになるか、お聞かせください。 ◯竹内管理部長 高額所得者への住宅明け渡し指導でございますが、今回の制度改善におきましても、この高額所得者への住宅明け渡し指導につきましては、公営住宅法及び都営住宅条例に基づいて、従来から実施していた内容で、高額所得者の個々の事情を配慮しつつ、適正かつ厳正に対処してまいりたいというふうに考えてございます。 ◯大澤委員 厳正に対処していただくようお願いを申し上げるところでございますが、実際には、この高額所得者に明け渡しを求めても、出ていく先がないのであれば、この実効性というのは甚だ疑問であります。そこで、この高額所得者が住宅を明け渡すとしても、移転先はさまざまであろうと思いますが、この明け渡しの現状について詳しくご説明いただければと思います。 ◯竹内管理部長 平成四年度におきましては、明け渡しの実績が九百六十一人でございます。また、平成五年度におきましては、千二百三十九人となってございます。四年度から五年度にかけまして、高額所得者明け渡しの数がふえてございますが、五年度におきまして、執行体制の強化を図りまして、高額所得者個々の面談による相談、指導を充実いたしましたことの結果と考えられます。  また、移転先でございますが、平成五年の例によってお答えいたますと、千二百三十九人のうち、持ち家を取得するなど自力で転出された方が九百三人、都の住宅建設資金融資を利用された方が百七十八人、公団の賃貸住宅へ転出された方が八十五人、公社住宅へ転出なされた方が七十三人となってございます。 ◯大澤委員 今のお答えを聞いていても、明け渡し者のうち自力で転出する方々が圧倒的であり、また同じ公共住宅である公団公社住宅への移転先が少ないと感じます。今後、この高額所得者の住宅明け渡しを促進していくためには、公団公社へのあっせんをさらに都が充実すべきであると思いますが、この点についての見解をお聞かせください。 ◯竹内管理部長 高額所得者の住宅明け渡しに当たりましては、公団や公社の賃貸住宅及び分譲住宅を、昭和四十六年の国の通達に基づきまして優先的にあっせんしております。あっせんに当たりましては、希望を聴取するとともに、随時あっせんに関する相談を実施しているところでございますが、現在の状況は、公団公社へのあっせんを希望する高額所得者のすべての需要を満たすことは困難であるという事実がございますが、従来から公団公社に対しまして、住宅局、公団、公社の三者で構成いたします公共住宅管理連絡協議会の場などで、あっせん枠の拡大を要望してまいっているところでございます。今後とも、あっせん枠の拡大に努めてまいりたいと考えてございます。 ◯大澤委員 次に、都営住宅使用料の滞納整理についてお伺いいたします。  都営住宅は、都民全体の貴重な財産でもあり、またこれを公平、公正に管理する必要があると考えております。その観点からいえば、都営住宅家賃の滞納問題ほど、一般都民との間の公平感を阻害するものはないと私は思っております。都営住宅に入りたくても入れない多くの都民の目から見れば、相当膨大なものと受けとめるところであると私は感じております。  そこで、滞納額はどのぐらいあるのか、また、滞納整理としての法的措置をどのぐらい実施しているのか、お伺いいたします。 ◯竹内管理部長 まず、滞納額でございますが、平成四年度末におきましては四十九億円でございました。平成五年度におきましては決算がまだでございますが、見込みといたしましては、四十一億円台に縮減できるかと考えてございます。  次に、法的措置でございますが、昭和六十二年度から平成五年度までの措置状況については、法的措置の対象として扱いました滞納者は八千四百三十三人で、そのうち法的措置をとる前に完納、即決和解、自主退去をされた方が三千十九人で、この方を除いた五千四百十四人──六四・二%に当たる数でございますが──に対しまして訴訟を提起いたしました。さらに、建物明け渡しの判決を受けても退去していただけない方、それから和解成立後も支払いの約束をお守りいただけないケースにつきましては、強制執行を申し立ててございますが、その数は二千二百五十七人でございます。 ◯大澤委員 既に発生した滞納の整理も大切でありますが、また発生防止のための施策が必要であると私は思います。  そこで、今後都は、何か新しい滞納発生防止に対しての取り組みを努力しているのか、お伺いいたします。 ◯竹内管理部長 滞納整理につきましては、鋭意進めてまいりました結果、四十一億円近くになるというふうになりましたが、滞納期間が長く、金額の大きい滞納につきましては大幅に減ったのとは逆に、十二カ月未満の滞納額はふえる傾向にございます。ご指摘のとおり、滞納をなくすためには、既に発生しました滞納整理はもちろんのことでございますが、滞納を出さない工夫も大切であるかと考えてございます。  そこで、平成五年度におきましては、三カ月から五カ月の短期滞納者を重点対策といたしまして、昨年の十一月から、都営住宅居住者に対する広報誌でございますが、「すまいのひろば」に滞納防止に関する記事を四回特集いたしまして、全居住者に配布いたしました。また、滞納防止啓発ポスターを一万枚刷りまして、団地等公社営業所に配布いたしてございます。それから夜間、休日に、職員が電話による納付期限確認とか督促を行いました。それから、入居者相談会を公社営業所で開催いたしまして、滞納発生の防止のための納入相談、あるいは減免相談に応じまして、積極的に対応してまいったところでございます。今後も、滞納を出さないためのこうした努力を引き続き続けてまいる所存でございます。 ◯大澤委員 最後に、都営住宅の建てかえの際の取り扱いについて、何点かお聞きしておきます。  特に、高齢者の家賃負担についてお伺いいたします。今度のこの使用料制度においては、都心の古い住宅の使用料が大幅に上がるといわれておりますが、この家賃でございますが、民間の賃貸住宅とのバランスから考えてみましても、決して不当なものとはいえないこともないとは私は思うんでございます。しかし、少しばかりの懸念があると思います。それは都心の古い住宅が建てかえられた場合、この建てかえ後の新しい住宅の使用料が、これまでの制度に比べ大幅に上がるとしたら、この高齢者の世帯にとっては、都心に住み続けられないような施策になってしまうと私は考えております。  そこでお伺いいたしますが、この都心の古い住宅の例で、現行の使用料と新しい使用料はどのぐらいになるんでしょうか。 ◯吉田参事 まず、現在のお話の例で、現在古い住宅のままあったものとして、その現行家賃、新制度での家賃の例でございますが、都心の一種住宅のおおむね三十八年ごろの建設、三十数平米ぐらいの場合の例示をいたしますと、今回の制度では、先ほどもお話がありましたような形で、現行二万四千円ぐらいのものが、新制度では四万七千円ぐらいの家賃になるところでございます。 ◯大澤委員 それでは、その古い、先ほどのおふろもないような住宅の建てかえ後の使用料は、現行と新制度ではどのようになるのか、お聞かせください。 ◯吉田参事 現行制度のまま、先ほどの例示の住宅が建てかえられた場合、おおむね規模が五十数平米程度になったものとして、現行の制度での新しい家賃を算定いたしますと、おおむね五万九千円、六万円近い金額でございます。新しい制度におきましても、新築の住宅の家賃は、都心でもさほど変わるものではございませんので、新しい制度でもおおむね六万二千円、現行制度と新制度で、新築の住宅の場合は都心におきましても二千円程度の差でございます。 ◯大澤委員 それでは、古い住宅に住んでいる収入の低い高齢世帯について、例えば年収百五十万円としますと、建てかえ後の負担は、現行制度の場合と新しい制度の場合とではどう違いますか、お聞かせください。 ◯吉田参事 先ほどのご質問、ちょっとご説明が不十分でございましたが、新しい制度におきましては、新築の住宅が六万二千円程度でございますが、さらにこの金額から応能減額されるということがございます。したがいまして、当然六万円以下の家賃負担ということに相なりますが、年収百五十万円のお話でございますと、減免対象ということで八千円の負担ということに相なります。 ◯大澤委員 最後に意見として述べますが、新しい使用料金制度は、応能減額の導入や収入超過層の負担の是正など、使用料負担の適正化の点で評価できる点もございます。建てかえに当たっても、高齢者など低所得者に配慮されたものとなっており、うなずけるものでもございます。都はこの制度の内容を十分にPRし、住居者が不安に感じることのないよう配慮すべきであり、この点を要望し、また、都はむやみに収入超過者を出すものではなく、この地方分権を推し進める立場からも、東京都側も公営住宅制度における収入基準の改正を国に働きかけることもあわせて要望し、私の質問を終わらせていただきます。 ◯佐々木委員 最初に、今回の家賃制度の改定についての当局側の、この問題に対する理念についてお伺いをしたいと思うわけです。  今回の応益応能制度の導入は、家賃制度に対する基本的な部分を含めた改定というものが含まれているというように私は認識をするわけであります。そういう意味におきまして、都営住宅の家賃は、法第一条の目的に基づいて、生活対応を基本として決定されていると今日の家賃制度を考えているわけであります。その延長線上において、応益応能制度の導入というものは考えられているのか。この考え方に立つものと制度的には考えられるわけでありますけれども、今回の答申の流れというものは、都民の住宅費負担との比較において、制度改定が行われるというように受けとめる部分が見られるわけであります。今回の新たな制度導入の理念について、考え方を示していただきたいと思います。 ◯吉田参事 今回の新しい都営住宅の使用料制度は、まず基本的に現行制度と同様、入居者の収入に対応した負担ということを基本としてございまして、これは、今お話の生活対応と申しますか、そういう公住法第一条の趣旨に合致するものと考えております。その上で、改めて入居者間の負担の逆転の是正とか、あるいはまた、住宅の応益性の適切な反映などによりまして、より公正な住居費負担の実現を図ろうとするものと受けとめております。  確かに答申には、都民の負担との比較ということが見られますが、これはあくまでも相対的なバランスの視点であると考えてございまして、都営住宅、公営住宅の家賃としてそれを、いわゆる都民並みの負担まで引き上げるというような考え方は、今回の制度にはないと考えてございます。 ◯佐々木委員 今回の改定の制度の内容は、生活対応を基本としてこの家賃制度を考えている、これまでの制度の理念というものが踏襲されている、そして、いわゆる市場家賃に対応する家賃制度の導入というものが含まれているとは考えられていない、こういうようなお話であったわけです。 事実、そのような状況であるのかどうなのか。そして、家賃とそれぞれ都民の生活に関する住宅費負担の問題について、現状と、この答申の内容との関連性の問題について質問をしていきたいと思うわけでありますが、答申の前文、いわゆる「はじめに」という文章を読ませていただきますと、ここは総論部分といえるわけであります。この「はじめに」という項は、よくまとまっていると私は思うわけであります。この中で、この法定限度額を家賃とする原価的家賃設定ではなくて、入居者対象者の負担が、収入に対応した適切な水準になることを家賃設定の基本的仕組みとしてきているというように、これまでの考え方を位置づけているわけであります。そして、法定限度額との差を都民の税負担で賄う。そのためには、都民の理解と支持が前提であると指摘しているわけであります。そして、今、吉田さんおっしゃっておりましたが、今回の議論の中での一番問題点、それは税負担と都民の理解と支持、この対応のあり方が、新たな家賃制度の政策理念として問われていると思うわけであります。  そこで伺いますが、住宅困窮とはどのような状態を指しているのか。どのような状況を低額所得者として認識しておられるのか、具体的に示していただきたいと思います。 ◯吉田参事 答申そのものは、公営住宅法の引用ではございますが、例えば今先生お話の住宅困窮というものにつきまして、確かに量的な問題は、もうかなり少なくなっているというふうにいわれておりますが、やはり質、狭い、あるいはまた遠い、家賃が高い、そういったふうないろいろな問題がございまして、特にその家賃負担というものにつきましてこれからは重視しなきゃいけないし、ただそれはあくまでも、ただ単に低額だからよいというものでなくて、適切な水準に見合った適切な負担と申しますか、そのような形が得られる、そういうものが得られないということが、やはり住宅困窮の最大の課題じゃないかと考えてございます。  また、低額所得者でございますが、これも基本的には公営住宅法の問題でございますので、公営住宅法の入居収入基準、一種住宅でございますと年収四百九十万円以下、これは四人世帯でございますが、二種住宅ですと三百六十六万円以下ではございますが、やはりこれにつきましても、ただ金額だけでとらえるのじゃなくて、将来的な推移と申しますか、高齢化等、あるいはまた年金生活に移っていく、そういった推移も見まして、低額所得というものをとらえなければいけないと認識してございます。 ◯佐々木委員 今、吉田さんの方からお話があったのは、国の基準の中における住宅困窮状態の公営住宅法の施行分の内容、さらには低額所得者に対する認識、それが時代と対応して変化してきているというような部分が今示されたと思うわけであります。それはそれで、私は吉田さんの見解は、時代に対応した認識の変化というものについてはいいと思うわけであります。しかし、この公営住宅施行令の内容に示されて適用している部分というものが、まだ多く存在しているという現状認識も、しっかりとしていかなければいけない。それは、ポイント制に基づく応募者が殺到しているという状況を見ても、あわせて現状認識をしっかりしておいていただきたいと思います。  そこで、先ほども質問がありましたけれども、現状認識について、幾つかお伺いをしたいと思うわけであります。  都営住宅の建築年代別の入居状況とその階層の問題についても、資料その他に出ているわけでありますが、六十歳以上の世帯主の入居の割合について示していただきたいと思うわけでございます。  さらには、収入超過者の職業別割合、勤労者はどのぐらいに位置しているのかということについても示していただきたい。  そして、今日、東京都内における住宅困窮戸数、低所得者の世帯数、これらの基準は、先ほど吉田さんがおっしゃった視点からでは、最後の部分はなかなか出ないと思うわけでありますが、法の基準に照らし合わせたときに、どのような状況になっているのか、お知らせ願いたい。 ◯吉田参事 まず、都営住宅居住者の高齢世帯の割合でございますが、六十歳以上の世帯主の入居割合につきましては、都営住宅の半分ほどのサンプルでのデータでございますが、おおむね三二%が六十歳以上の世帯主でございます。なお、住宅統計調査によりますと、やはり公営住宅の方が、普通世帯の平均年齢よりも高いという結果が出てございます。  次に、収入超過者の職業別割合でございますが、これはサンプル数は若干少のうございますが、千三百件ほどの抽出調査によりますと、勤労者が約九割近い八九%、自営業者が七%、その他四%、勤労者が大多数を占めておるところでございます。 ◯村上住宅政策担当部長 都内における全世帯を対象とした住宅困窮世帯数あるいは低額所得世帯数につきまして、お答え申し上げます。  住宅に困窮している世帯というお尋ねでございますが、私ども住宅行政の目標としております最低居住水準未満世帯の解消、これは世帯構成に応じた住宅の広さを確保するということで、速やかにその最低居住水準未満世帯の解消を図ろうというふうに考えておるものでございまして、具体的に申し上げれば、四人世帯であれば、五十平方メートルというような広さの住宅を確保していただこうということを目標としておりますが、この最低居住水準未満の世帯につきましては、昭和六十三年の住宅統計調査によりますと七十六万二千世帯ございます。これは、都内の全世帯に対する割合といたしますと、約一七・七%というふうになっております。なお、このうち民営の借家に居住いたしている世帯は四十八万二千世帯でございまして、全民営借家世帯の二八%が最低居住水準未満世帯、こういうような状況になっております。  次に、低額所得の世帯ということでございますが、同じく住宅統計調査によりまして、法律の基準に照らしてというお尋ねでございますが、おおむね公営住宅の入居収入の階層に相当いたします世帯数は、単身世帯を除きますと、約八十八万世帯ございます。そのうち民営借家に居住いたします世帯は約三十二万世帯、こういうように推計されるところでございます。 ◯佐々木委員 今、政策部長の方からお話がありましたように、今の都営住宅の供給戸数は二十五万弱、そして住宅困窮戸数、それから低額所得者、いわゆる都営住宅に入居可能な世帯数といってもいいわけであります。これらの人たちが三十万から四十万、五十万に近い世帯が存在しているということになれば、それらの人たちは、おおむね、特に民間の住宅に入っている人たちは、都営住宅を希望しているといっても過言ではないわけであります。そういう面から見ますと、今の都営住宅を三倍にふやしていかなければ、本当の住宅困窮世帯に対する公営住宅の提供ということにはなっていかない。そのぐらい、今東京都内における住宅困窮状況があるという認識の上に立って、今回の家賃制度問題をどのように考えていくのかということだろうと思うわけであります。  そこで、次の質問でありますが、今回の家賃改定の中で、基準収入の居住者への新制度の導入によって、家賃負担というものはどのようになっていくのか、総額において示していただきたい。 ◯吉田参事 答申時点での試算でございますが、入居収入基準内の世帯につきましての家賃負担は、総額で現行制度では三百三十億、これが新しい制度では三十億減で三百億、約九%の減と推計してございます。 ◯佐々木委員 要するに、基準収入内の居住者への今回の家賃制度導入によって、高い低いは別にして、総額的にはこれまでの家賃収入よりも三十億円減少するということです。トータルとしては、この基準外収入の人たちを含めれば、その部分を含めて、百五十億円強の収入増になるわけでありますから、百八十億円が基準外を中心とした居住者からの収入増というように、逆にいえばなっていくということですね。 ◯吉田参事 今回、百五十億増と全体の姿で申し上げていますが、今先生がおっしゃったとおり、収入基準を超えている、いわゆる収入超過層のご負担百八十億、それと、先ほどお話し申し上げました基準内の三十億の減、それでの百五十億でございます。 ◯佐々木委員 資料の一三ページのところに、都営住宅の使用料の現行制度と新しい制度との比較ということで出ておりまして、都心、中間、郊外という三つの分類の中で、新しい使用料の平均的な家賃の額が出ているわけでありますが、これを見てみれば、やはり入居者全体に対する家賃の平均ということで出ているわけでありますから、これだけ見れば、基準内居住者の家賃が下がるとだれも思わないと思うんですね。こういう資料の提出の仕方というものは、一般的に見て親切だと思いますかね。 ◯吉田参事 一三ページの資料につきましては、これは確かに現行制度と新しい制度の比較ということでお出ししておりますが、この資料の視点は、お時間をかりて若干ご説明申し上げますと、例えばこれは都心と郊外の家賃が、現行制度では余り開きがない。例えば現行の四十年、二万五千二百五十円と、郊外の四十年、一万八千六百六十四円、これがほぼ数千円の開きでございますが、これが新しい制度では、都心では四万五千四百円、郊外が二万二千円、二万円ちょっとの開きが出る。今回のいろいろな制度改善の内容をお示ししようということで、お出ししたものでございます。 そういうふうな資料の構成になってございます。  今のお話につきましては、二〇ページ、19、都営住宅の現行使用料と新しい使用料負担の例ということで、多少大きな表でございますが、そこに先生の今のご趣旨のデータをお示しさせていただいていると考えてございまして、これでごらんいただきますと、例えば第一種住宅の場合、昭和四十五年を大体境目として、それ以前の古い住宅につきましては、いわゆる減額、この網かけが多少少なくなってございますが、四十五年以降の住宅に関していえば、大体二種階層につきましては、ほとんど減額になるということが読み取れようかと思いますので、そのようにご理解いただきたいと存じております。 ◯佐々木委員 次に、低額所得者に対する、先ほどの東京都内における世帯数、状況についてお話があったわけでありますが、低額所得者と都内生活者の生活必要額、要するに、都内で生活する人たちの生活経費にかかわる必要額というものがやはりあると思うわけですね。この都内で生活するに当たって、最低限度といってもいいと思うわけでありますが、法の内容によれば、健康で文化的な生活を営むに必要な住宅の提供、そして国民生活の安定と社会福祉の向上という視点、そういうような言葉があるわけでありますけれども、そういう視点の上に立って、都内生活なら、生活の必要額という問題についてどのような認識に立っているのか、所得金額で、三人世帯を基準にして示していただきたいと思います。 ◯村上住宅政策担当部長 都内での生活必要額、最も少なく見積もってどのぐらいの必要額になるかということかと思いますが、ご質問のご趣旨に的確に対応した数値かどうか、若干的確なものでないかもわかりませんが、生活に困窮する方に対して、最低限度の生活を保障するという趣旨で生活保護制度がございます。これによりますと、六年度の最低生活の生活費につきましては、地域あるいは世帯構成等に応じて積み上げて額を算出するものでございますけれども、福祉局の関係資料におきまして、具体例として掲げられているものをご紹介申し上げますと、三十三歳の男性、二十九歳の女性夫婦と四歳のお子様の三人世帯の場合で、一カ月当たり約二十五万円、年間にいたしまして約三百万円というようなものが例示されております。ちなみにその内訳の中に、住居費は月額六万一千五百円、こういうふうになっております。 ◯佐々木委員 今の数字は、福祉局が試算している生活保護世帯の三人家族の生活基準、要するに生活保護世帯に対する資金を出している金額ですね。今、村上さん、二十五万円といいましたけれども、十五万五千七百十八円の間違いじゃないですか。二十五万円なら、二十五万円で結構です。 そういうように出していただければ、それは皆さん、助かるわけですから。 ◯村上住宅政策担当部長 二十五万円の内訳につきまして、若干詳しくご説明させていただきますと、生活扶助費といたしまして、ご指摘の十五万五千円、さらに住宅扶助費といたしまして六万一千五百円、それから、そのほか労働組合費あるいは保険料等といったものが実費で加えられることになろうかと思いますけれども、そういうようなものを合わせまして、一世帯当たり合計二十四万九千三百七十七円というような例が示されております。 ◯佐々木委員 今、村上さんのおっしゃった点は、もう少し実態的な対応でいけば、この住宅費の六万一千五百円は、知事が認定したものに対する支出なんですね。現在、二十三区の中では、実質的には生活保護世帯に対する住宅費の支出の上限は、四万七千三百円になっているわけです。それに対して特別の状況のときに、知事の認可を得て六万一千五百円ということになるわけでありますから、生活に必要な最低限度の費用としては、十五万五千七百十八円というところが、日常的に使用し得る生活の必要な経費というような認識ではないですか。 ◯村上住宅政策担当部長 生活扶助費十五万五千七百十七円と申し上げましたが、これはさらに内訳がございまして、第一類、十万三千五百六十円、これは食費とかそうしたものでございまして、それから第二類、これは家具等、そうした家族全員で共通して使うもの、これが五万二百五十円、そのほか冬季加算の平均月割り額が千九百七円、これらを合わせまして、暮らしていく食費、家財、そうしたものについて十五万五千七百十七円、その外に住宅扶助として、例えば家賃、間代等ということで六万一千五百円というのが、概数としてあるというふうに理解しております。 ◯佐々木委員 今、私が申し上げましたように、この六万一千五百円というのは、すべての生活保護世帯が、上限として必ずもらえる金額ではないわけですね。要するに二十三区の中の生活者は、共通しているところは四万七千三百円を限度にして、住宅費の費用が十五万五千七百十八円にプラスされる。都営住宅に入っている場合には、都営住宅の住居費が、十五万五千七百円にプラスされて入って来るということですね。その限度額が現在四万七千円である。しかし、それでもこの住宅費の問題について、特に知事が認めた場合には、この六万一千五百円までは住居費が支払われる、こういうような制度に私はなっていると思うわけであります。しかし、これは一般の生活者の何%に位置づけられているんですか。 ◯村上住宅政策担当部長 まことに申しわけございませんが、こういった最低生活の保護を受けておられる方々が、都内にどれぐらいいらっしゃるかということについて、今直ちに手元には資料を持ち合わせておりません。 ◯佐々木委員 そういう質問じゃない。要するにこの十五万五千七百十八円という金額は、どういう基準に基づいて算出されているか。それは一般生活者のところが、最低限度の生活保護を受けていない人たちの、東京都内において生活するに当たっての必要な生活経費を一〇〇としたときに、何%に見積もって十五万五千幾らになっているのかということを聞いているんです。 ◯村上住宅政策担当部長 まことに申しわけございませんが、今直ちにお答えできるような資料を持ち合わせておりません。 ◯佐々木委員 私の聞いたところによれば、七〇%に計算の基礎を置いて、十五万五千七百十八円というものを算出をしていると聞いているわけであります。そうしますと、一〇〇%に直しますと、二十二万二千四百五十円になるわけであります。生活実感としてはさまざまな状況があると思いますけれども、今、公的な立場の中で基準を引いている、東京都民が三人世帯で生活するに当たって、住宅費を除いた必要な費用というものは、月当たり二十二万二千四百五十円である、そういう計算になる。そうしますと、そこの部分に食い込むような家賃ということになれば、最低限度の東京都民としての生活に必要な経費というものが、住宅費の中に食い込まれていってしまうということになるわけであります。  政策的に見れば、それ以下の人たちに対しての住宅費というものは、やはり全面的に支援をするということをやらなければ、最低限度の東京都内における生活というものは維持できないというようなことになるわけでありますけれども、その点について論理的には、今、私が申し上げましたような状態であるというように認識してよろしいですか。 ◯村上住宅政策担当部長 生活費の総額と住居費との関係になろうかと思いますが、私ども適切な住居費負担のもとで、世帯構成に応じた居住水準を確保するということを、住宅政策の基本的な課題と考えておるわけでございますが、ただ適切な住居費負担、あるいは各家庭の住居費負担といいますのは、個人の価値観あるいは家計収入の状況、世帯構成、ライフスタイル等に応じて相当に幅のあるものというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で、一人一人の方々の住居費負担をどうこうするというようなことは、住宅政策としては、直接的には対応がなかなか困難な問題であろうかと思います。  ただ、都民の方々が適切な住居費負担のもとに、世帯構成に応じた居住水準を確保するというような考え方でもって、先ほどご答弁申し上げました最低居住水準未満世帯の早期の解消といったようなことなどを掲げて、各種の住宅施策を展開しているところでございます。 ◯佐々木委員 私は、この新しい制度の導入の問題についての、実態論の問題でいくより、住宅局の認識している住宅政策、家賃政策の問題についての基本的な対応の理念といいますか、そういう問題についてどう考え、それから具体的な生活実態、または東京における状況に対応して、家賃制度を導入しようとしているのかということについてお聞きしたいということで質問をしているわけでありますが、論理的にいえば、東京都内で生活をするに当たっての必要な経費というのは、公的な立場での物差しというものは、最低限三人世帯で二十二万円が必要だと公的に出ているわけです。しかし、その中でやりくりできるかできないか、これは別の問題です。論理的に見れば、その部分に住宅費が入り込んでしまえば、この東京都内で生活するに当たっての最低限の生活に対して、住宅費が入り込んでしまうということになってしまうのではないか。  ですから、最低限度の生活を保障するということになれば、住宅費負担というものは、それ以下の人たちに対して支援策というものは当然とられてくるというように、理論的にはなってくるだろうというように思うわけです。その部分についての認識を聞いているわけです。どうやるかやらないかということは、村上さんおっしゃったことです。理論的にそうなるんじゃないのかということをいっているわけです。 ◯村上住宅政策担当部長 基本的な考えとしては、ご指摘のようなことかと考えております。 ◯佐々木委員 そこで伺います。生活保護世帯の人たちも多く都営住宅の中で暮らしをしているわけでありますけれども、同時に、この生活保護世帯の人たちの収入基準を一つの基準にして、月額二十二万円以下の収入を持っている人たちも、その人たちの大半は二種住宅という中で、都営住宅に住んでいる人たちも多いと思うわけでありますけれども、基本的にその人たちから、都営住宅費が、今回の応益応能制度を導入したとしても、家賃を取るということは、やっぱりその部分に対して食い込んでくる、生活に対して食い込んでくる。それがたとえ一万円であっても、七千円であろうとも、食い込んでくるということは変わりないわけですよね。そういう人たちに対して、今回の家賃制度の改正によって、どういうように影響を及ぼしていくのか。それらの人たちに対する将来的な、今回の制度の導入によって対応しようとしているのかということについて、お伺いしたいと思うわけであります。  この点について、先ほど曽根さんの方から、それは減免措置の枠の中だから、応益応能制度とは別の問題だ、こういうように質問もあったわけでありますけれども、これらの人たちに対する家賃制度の問題を、今回の応益応能制度を導入することによって、さらに進んだ状況の中での家賃制度の改正と、都側の低額所得者に対する、家賃に対する支援策について示していただきたい。 ◯吉田参事 都営住宅の新しい家賃制度に即しまして、ただいま先生のお話の対応を申し上げますと、先ほどから申し上げましたように、今回の新しい制度におきます、特に応能減額並びに一般減免の対象拡大、それによりまして、特に収入基準内の過半が減額ということでございますが、特に先生お話しの低所得層、公営住宅階層で申し上げますと、二種基準につきましては、おおむね七割が同額も含めての減額、七割がそのような形になるというふうに推計してございます。 ◯佐々木委員 私は、この家賃制度改正をしていくということの基本的な原点というものは、生活する人の、所得の中における適切な住居費負担というものが基本になければならないというように思うわけであります。その基本は、やはり日常生活を脅かすということがあってはならない。そういう面から見れば、この家賃制度を改正するに当たっては、より低額所得者、住宅困窮者に対して優しい家賃制度というものがしっかりと位置づけられているということでなければ、家賃制度の改正というものは問題があると思うわけであります。そういう制度であるとするならば、やはりこの制度は改正していくべきである。  と同時に、反面、この都営住宅の入居の基本的な考え方というものは、低所得であり、住宅困窮ということでありますから、一定の基準以上の人たちに対しては、それ相応の家賃を負担していただくという論理形成が、今度は逆の立場に成り立つわけであります。ですから、一方の立場だけが成り立っていって、一方のところできちっと位置づけられていなければ、今回の家賃改定、応益応能制度の基本的な問題が問われてくるというように考えるから、私はその部分について、特に収入基準内の人たちに対して、今回の家賃制度に対する当局側の基本的な考え方というものについて、実情に対応して、この考え方をただしたわけであります。  そこで、先ほど村上さんの方から、収入超過者との関係の問題について、勤労者が圧倒的に、九〇%がこの収入超過者の階層というものがあるということをいわれたわけであります。勤労者はなぜそうなってくるのかということは、源泉徴収で所得が明らかだから、現実の問題としては、そういうことになっているんだろうと思います。  そこで、今日、勤労者の所得の状況という問題について、全国的なレベル、さらには東京におけるレベルについて、どのような所得状況にあるのか、教えていただきたい。一つは事務技術職、そしてその他一般というように二つに分けたときに、都内の勤労者と全国の勤労者の年間所得、それを月割りにすると、どのぐらいの状況になっているのかということについて教えていただきたい。 ◯村上住宅政策担当部長 勤労者の方々の所得でございますが、平成四年の東京都生計分析調査によりますと、これは今ご指摘ございました事務技術職というような形でのあれにはなっておりませんけれども、住宅関係で申し上げれば、持ち家に住んでおられる勤労者の方も、借家に住んでおられる方も合わせてでございますが、勤労者全体の平均収入は、平成四年で月額六十四万六千円、こういうふうになっております。 ◯佐々木委員 全国レベルで……。 ◯村上住宅政策担当部長 失礼いたしました。全国におきましては、平成四年の家計調査の年報でございますが、これで全国の勤労者世帯の平均収入は、月額五十六万四千円、こういうふうになっておりまして、東京の場合、生計分析調査と家計調査ということで、直ちに比較できないかとは思いますけれども、この数字の上で見れば、東京の場合は、勤労者の世帯の収入は若干高くなっておるところでございます。 ◯佐々木委員 村上さんの持っている資料、調査統計というのは、やはり東京都内の場合には月六十四万円というのは、高い数字だろうというふうに思うわけです。金額が高い。私の持っている数字は、もっと十万円ほど、都内並びに全国的には、平成五年の四月段階の所得状況から見て少ないわけでありますが、ことしの春闘で三・一%しか上がっておりませんから、そんなに上がっていないわけでありますけれども、全国レベルと都内レベルとの勤労者の所得の割合とすると、約何%ぐらい格差がありますか。一二、三%ですかね。それは一〇%前後の所得格差がある。私の統計では、二〇%近い格差があるわけであります。だからこそ、公務員と地方公務員の段階における都市調整手当が、二十三区においては一二%ついているということが論理的に成り立つわけでありますが、それらの勤労者の、東京都内で民間の借家を借りているとするならば、平均的にどのぐらいになっているのかということを、平均的なものを私は持っているわけじゃないんですけれども、皆さん方から出された資料の中で見れば、私の住んでいる練馬区石神井公園あたりが勤労者の住み得る地域ということになりますと、不動産屋さん、その他いろいろと調べてまいりますと、五十五平米ですか、三DKで約十三万円前後ということになります。  そうしますと、私の持っている資料の中では、月額約五十一万六百十二円が都内の勤労者の平均賃金というようにあります。そうしますと二五%。村上さんの数字ですと、二〇%前後に下がるんですかね。やはりそれだけ今勤労者が、住宅費負担をかけているわけです。これが今回の制度改正の中で、先ほど青山の問題とか赤坂の問題とか、品川の問題とかあるわけでありますが、五反田あたりでの三DKの家賃は、約十八万円から十九万円になっている。それを勤労者の平均所得にしてみると、三五%から四〇%ぐらいになってしまう。とてもじゃないけれども、勤労者はそういうところに住める状況じゃないというふうになるわけであります。そういうことになってまいりますと、やはりそこに今日の低所得者並びに住宅困窮世帯というものが、今の入居基準四百九十万円という基準から比べてみると、実情に合っていないということがいえてくると思うわけでございます。  そこで、次に移るわけでありますが、今、東京において一種住宅、二種住宅での法定基準に基づいて都営住宅の家賃を引き直してみますと、幾らぐらいになりますか。 ◯吉田参事 平成元年度建設あたりで試算いたしますと、第一種住宅では、いわゆる法定限度額の月額家賃が約十一万円程度でございます。二種住宅につきましては、若干それを下回る、九万円程度になろうかと考えております。 ◯佐々木委員 二種住宅で九万円ぐらい、一種住宅で十万円か十一万円が、今の東京における都営住宅を法定基準に合わせて提供したときの家賃だといわれているわけです。  それでは、全国的な状況との関係でちょっとお伺いするわけでありますけれども、例えば十八坪の三DKのマンションということを想定をしていったときに、全国的な主要な都市において、幾らぐらいの状態で分譲価格が出されているのか。それを賃貸住宅として借り受けたときには、どのぐらいの状態になっているのか示していただきたい。 ◯村上住宅政策担当部長 全国の主な都市の民間借家の家賃のお尋ねでございますが、平成四年の小売物価統計調査年報というのがございまして、こちらの方で、三・三平方メートル当たりの幾つかの都市の月額家賃が出ております。これを、今お示しの十八坪、三DKぐらいを念頭に置きまして、六十平米に換算をいたしてみたわけでございますが、そういたしますと、横浜市は十一万一千円、大阪市は八万四千円、札幌市は五万八千円、広島は六万三千円、福岡は六万九千円、仙台は六万九千円、こういうような状況になっております。なお、ちなみに東京都区部は十四万三千円、こういうような状況でございます。 ◯佐々木委員 三DKの賃貸住宅にしますと、横浜で十一万円、それから政令都市であっても、地方といういい方が正しいかどうかわかりませんけれども、あえていわせていただければ、仙台とか福岡とか、そういうところでは五万円から六万、七万円台ということですね。前回住宅港湾委員会の中で熊本に視察に行かせていただきましたときに、熊本市の職員からもお伺いいたしますと、市営の住宅は三DKで四万五千円、民間の家賃が五万五千円ということで一万円の格差しかない。一万円の格差しかないから、競争率は市営は三倍であるということですね。三倍であるという根拠は、民間の家賃と市営の家賃との格差がないということだろうと思うんです。東京の場合に、都営住宅に殺到していくということは、東京の民間の家賃がほかの都市、ほかの地域と比べて、膨大な負担を強いられているというところに問題点があると思うわけでございます。  そこで、不思議に思うわけであります。例えば、先ほど仙台で六万九千円、また福岡でも六万三千円といいましたか、大体六万円か七万円台、何で福岡で六万円か七万円で民間の住宅が賃貸ができて、都営住宅のところで、法定基準家賃として設定したときに十万円、九万円になってしまうのか。なぜそういう格差が生まれてくるんですか。 ◯村上住宅政策担当部長 民間の賃貸住宅の家賃につきましては、その地域の住宅市場の中で需要側の数、あるいは供給量、そうしたものに合わせて決まってくるものであろうかと思います。それから、一般に賃貸住宅につきましては、新たに土地を購入して賃貸住宅を建てるというような例はまれでございまして、以前からお持ちの土地を使って賃貸住宅を建てるというのが一般的な傾向であろうかと思います。したがいまして、そういうような賃貸住宅供給の、あるいはそうした中で家賃が決まってくるというようなものと、都営住宅の家賃と直ちに比較することはできないかと思いますけれども、都営住宅の場合には、やはりまず一つは、用地費あるいは地代相当として、都民共有の財産としての地代としてどれぐらいのものが適切であるかといいますと、やはり東京都における地価水準といったようなものが絡んでくるところはあろうかと思います。  それからまた、工事費におきましても、やはり東京の活発な経済活動の中で、その他の全国の各都市と比べますと、工事費なども比較的高額にならざるを得ない、そういうようなことなどいろいろのことが重なって、そうしたことの中で国庫補助金でありますとか、あるいは都民の多くの方々の負担の中で、少しでも低額な入居者の負担になるようにということで努力をしているのが都営住宅の実態かと思います。 ◯佐々木委員 今のところの問題点、もう少し後で質問いたしますが、私の調べたところによりますと、十八坪の賃貸住宅の家賃の問題については、村上さんからもお話がありましたような家賃の状況でありますが、これを分譲マンションに引き直していくわけであります。私の調べたところによりますと、三DK、五十五平米ですから、十八坪を基準にして、東京における坪当たりの建築費用、これは私の住んでいる練馬区を基準にしますと、一坪当たりの建築費用が七十万円、これに対して、例えば、先ほども話がありました福岡ですと六十二万七千円、東京一〇〇として、福岡の指数が八九・六%、一〇%の差であります。そして、これに対する住宅地の費用負担が、東京の練馬の場合には百五十九万六千円、福岡の場合には六十一万六千円ということになります。  どのような価格で売り出されているのか、これはあくまでも私の調べた範囲内でありますから、正しいかどうかは別にいたしまして、この十八坪の分譲マンションを練馬区で売り出していったときの金額が六千二百万円、福岡の場合には三千三百五十万円、その差は約一・八四倍になっているわけであります。なぜ売り値価格が六千二百万円と三千三百五十万円になっていくのか。建坪を、七十掛ける十八、住宅地を百五十九万六千円掛ける十八、それを足しますと、東京の場合には四千百三十二万八千円、福岡の場合には二千二百三十七万四千円ということになるわけであります。そうして、売り値価格との差においては、東京は二千六十七万二千円、福岡の場合には千百十三万円ということであります。この差は、売り値価格の三分の一、三三%に相当するわけであります。
     これだけいろいろなことがあると思いますけれども、建築費用と、それから住宅費だけで見てまいりますと、それに対する付加価値が三分の一かかっている。それは建築費用の箱物のところにかかるんじゃなくて、宅地そのものにも半分付加価値がかかっているために、この六千万円という膨大な費用になっているわけであります。それに対応して、賃貸になった場合には、賃貸の家賃負担になっているわけですね。こういう状況をどのように考えるか。要するにそのことを容認した上に立って、東京都民の、一般都民の民間住宅に住んでいる人たちの住宅費用負担との対応の中で今回の家賃制度改正問題を考えるとするならば、私は問題があるというように思うわけであります。そういう東京の民間の家賃の設定の仕方の基礎的な問題、分譲マンションの価格の設定の基礎的な問題の大きな格差は、住宅費に対する付加価値を半分かけていっているというところに、いわば土地政策の抜け落ちている部分があるというように考えるんですけれども、どうでしょうか。 ◯村上住宅政策担当部長 住宅価格につきましては、それぞれの地域性がやはり相当あろうかと思います。それぞれの地域のマーケットの中での供給側、需要側の関係の中で決まってくるかと思います。そういう中で、やはりその地域差があらわれる最も大きな要素としては、建築費といったようなものもございますが、土地代といったようなもののウエートが高いのではないかというふうに考えております。  そういう中で、そうした地価水準が、東京の場合には他の都市に比べ高いわけでございまして、最近下落傾向にあるものの、やはり高い水準にあるわけでございます。これは東京の活発な経済活動などによるものであろうかというふうに考えておりますけれども、そういう中で、都民の方々の居住をいかに確保していくかというようなことが、私どもの住宅政策に課せられた大きな課題であろうかと思います。そういう意味で、いろいろと経済社会情勢あるいは条件、与えられた中で、私ども最大限の努力をしながら、住宅政策の基本的な課題に対処しているところでございます。 ◯佐々木委員 国土法の問題とか、土地政策全体の問題の中で議論しなくちゃならない問題であるわけですけれども、そこのところは、きょうのところは省いたにしても、要するに土地は取得をする、建設会社が取得するわけです。取得して、土地に対して新たなものを、資本を投入しないわけですね。投入してない土地に、付加価値が二分の一かかっている。それがやはり販売価格のコストと売り値の膨大な格差になって生まれているわけであります。そういう面で、私は東京における土地政策と住宅供給に当たっての政策的な問題を考えていかなくちゃならないというように思うわけです。そこの部分にもメスを入れなければ、やっぱり公営住宅のこれからの展開の仕方についても、今のような状況をなかなか脱却することができないというように考えるわけです。  そこで、先ほどの問題に戻ります。住宅建設費は、東京で七十万円、福岡で六十二万七千円、一〇%しか違わない。都営住宅をつくる建設素材と、例えば福岡で三DKの住宅を提供する建設素材と比べて、そんなに格差があるわけない。この格差は、一〇%の建設費の格差がある。これはある。労働賃金を含めたところがあるのでありましょう。あと、コンクリートだとか、鉄材だとか、そういう問題についても若干あるかもわからないけれども、一〇%しかない。にもかかわらず、民間の住宅の提供ですよ、民間住宅。民間の提供というのは、住宅を建設して賃貸で貸すときに、損して貸すわけないんですから、ある程度コストが補てんできるような状態で貸すわけですね。それが福岡では六万六千円ということですね。そういうものができていて、何で都営住宅のところで、一種住宅で十万円になるのか。それは先ほども村上さんが、土地代もかかっているといっている。しかし、土地代は、東京都が取得した土地は、これはもう古くから今日まであるわけ。高いとき買ったこともあるだろうし、安いとき買ったところもあるだろう。今の土地代に、今の市場価格の土地に全部比較をしているのか。取得をしたことを基礎に置いて、現在の法定家賃の制定をしているのか。ここのところはやはり解明していただきたい。そうじゃないと、理屈に合わない。 ◯吉田参事 今回の制度に則して申し上げますと、使用料限度額というものを、東京都として設定することにしてございます。これは、先ほどお話しの法定限度額と算定の基準は同じでございますが、ちょうど今お話しの地代相当額につきましては、固定資産税の評価額を、いわゆる平米単価をもちまして土地を評価し、それで地代を計算する、そういう形で統一するというふうな扱いで設定してございます。 ◯佐々木委員 計算の仕方は、まず基礎的な数字の導入によって幾らでも数字が変わるわけでございます。生活者の立場から見れば、私の収入は幾らある、それに対して住宅費用負担がどのぐらいかかっているというところから、住宅費の問題について見るわけであります。それを全国的に見れば、東京の場合には、今この住宅費は幾らかかっている、全国は幾らかかっているということで見るわけですね。そして、この福岡における三DKのマンションと東京における三DKのマンション、間取りが違うわけでもない。同じような大きさだ。同じような建設費用がかかっている。一〇%ぐらい差があるけど、かかっている。にもかかわらず、膨大な差がある。それは、この土地の問題に対して付加価値が高くかかっているから、東京は高いということはわかる。  しかし、土地代を除いたときに、福岡と東京の場合において、建設費用の格差が一〇%ですよ。 それが、今度は東京の都営住宅の場合でも、じゃ土地代を除いて建設費用でいったときに、全国的な、そういう建設費用との間において格差がないということならば、私はその部分については、この金額というのは認めることはできるけれども、もしも、それで同じだとしたならば、土地代の部分が、この法定限度額の東京都営住宅にかかっている土地代の費用というのは、余りにもかかり過ぎているんじゃないかと思うんだけれども、その辺についてもう一度。土地代の計算の仕方の問題について私がいっていることは、吉田さん、東京都が土地を取得をして、まだ建ってないところもあるわけだな。それから、建てているところもある。建てていないところも含めて全部土地代として計算をして、この法定限度額、これですといったら、これは別ですよ。建てている土地の取得した金額を総体的に総額として出して、そして土地の相当額を出しているのか、現在の市場価格というものに計算し直して土地代を出しているのか、その部分だけでいいですから、お答えください。 ◯吉田参事 若干細かい話になりますが、法定限度額自体は、これは先生お話しのとおり、最近取得したものはその取得の時価で、しかも面積も全部算入して計算する。今回の東京都として新しい家賃制度におきまして設定する使用料限度額、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、評価はすべて固定資産税評価額で統一させていただく。なお、土地の面積につきましても、これまではお話のように、実際敷地の中ではございますけれども、住宅の用途、応益の部分にかかわらない面積等も算入してございましたが、今回の使用料限度額の算定の面積におきましては、そういう部分を一定の設定で外して、純粋に個別の住宅の応益にかかわる地積を算入する、そういう形で、今お話しの趣旨に極力沿うような形で考えてございます。 ◯佐々木委員 今、吉田さんの説明で、頭の悪い私もわかりましたが、要するに今の固定資産評価額で土地代を出しているということは、取得額じゃないということだね。そうしたら、取得したよりも、今の固定資産評価額の方が高くなるわけでしょう。そうすると、さっきいった民間のところの問題との関係の中で、取得した土地を基礎にしてこの法定限度額の家賃も設定してくれば、十万円よりもっと僕は実際には安くなっていると思うんだな。じゃなかったら、福岡だとかほかと比べたときに、公的につくった住宅が利幅をつくらないで、コストを中心にして単価を出したときに、十万円なんてなるわけないんだよ。そうでしょう。要するに、公営住宅の場合には利益幅を踏まえて、入れて、この法定限度額の家賃は設定していない。要するに土地代というのは、一般的にはコスト部分の中に入るわけでしょう。建設費用とコスト部分も入る。そのコスト部分の土地代を、今、吉田さんが説明したように、東京都の場合には、現在の固定資産評価額に合わせて土地代を出しているというところに問題があるということをいっているわけです。  そこで、次の問題なんだけれども、この基準家賃の設定というものは、そういう中でどのようにつくられていっているのか、お答え願いたい。 ◯吉田参事 基準家賃につきましては、ちょうど今お話しの、いわゆる法定限度額、あるいはまた使用料限度額、いわゆるコストに基づいたものと全く離れまして、こちらの方は、今度は入居者の収入に着目して設定しているものでございます。すなわち公営住宅でございますので、それぞれ入居収入基準がございます。その収入基準の幅、これまでの制度ではその幅の中間値、いわゆる平均の収入の一六%、一種住宅、二種住宅は一五%の家賃負担ということで基準家賃を設定してございますが、これは同時に、標準的な新築の住宅の一種、二種それぞれの家賃として適用され、古いものはそれから調整される、そのような形で設定してございます。 ◯佐々木委員 今、適正な所得に対する住宅費の費用負担という問題については、さまざまな数字が出ているわけであります。今、基準家賃は一六%ということが数字としては出ているように感じるわけでありますが、あるところでは二五%、あるところでは二〇%、あるところでは一六%というふうに出ているわけですね。これは所得階層によって、その費用負担の割合というものは変化してくると思うわけでありますけれども、平均的なところで、先ほど村上さんは都内の勤労者の平均賃金が月額六十一万──六十一万なら六十一万でいいです。そこで、生活費の中で適切な住宅費というものは、今どのぐらいが適切であるのかということが、きっかりと定められていないというところに、僕は問題があると思っているわけですね。  そういう面で、今日の段階におけるさまざまに出ている数字の中で、村上さんとしては、適切な都民の住宅費負担の限界というものはどのように認識されているのか、数字じゃなくても結構ですから、あなたの理論的な見解を示していただきたい。 ◯村上住宅政策担当部長 都民の方々が、適切な住居費負担のもとで世帯構成に応じた居住水準を確保するということが、私どもの住宅政策の基本的な課題と認識しております。この場合の適切な住居費負担ということにつきましては、実際の住居費負担につきましては個人の価値観、あるいは家計収入の状況、あるいは収入のレベル、あるいは世帯構成、ライフスタイル等々いろいろの要因に応じて、相当に幅のある、個人差のあるものと考えるべきでございますけれども、私ども施策の中でどう考えるかということにつきましては、東京都住宅マスタープランにおきましては、都が直接関与して住宅供給を行うものに関しては、入居者の負担が、原則として収入の二五%以内となるようにいろいろの工夫を凝らしていく、こういうような考え方が示されております。  なお、都が直接関与する住宅総体をとらえて二五%以内、こういうふうに明らかにされておりますが、低所得者を対象といたします都営住宅につきましては、第一種の収入階層においては収入の一六%、同じく第二種の所得階層におきましては一五%を基準として、入居者の負担が適切かつ公正なものとなるようにしていこうというのが私どもの考えでございまして、今回の家賃制度の改正につきましても、そういうような考え方に基づくものでございます。 ◯佐々木委員 これは私の考え方と見解でありますけれども、住宅マスタープランの二五%について、優良賃貸住宅の提供の中での家賃設定というものを一つの基準にして、家賃が十四万円ということが決まっているわけですね。逆にいえば、さっき分譲マンションの問題についていったように、地方と同じように六万円とか七万円で東京都内の優良賃貸住宅の三DKが提供できるとするならば、その家賃は一〇%前後ですね。一〇%から一二、三%になる。それが二五%ということを設定をすることによって、実際にはもっと高い十何万という家賃が設定されるわけです。  そういう面で、それは見解の違いでありますからあれなんですけれども、やはり東京の住宅地の高騰に輪をかけて、そこに付加価値をかけているということを容認をした延長線上の中で、この所得における住宅費の費用負担というものを決めている部分がなきにしもあらずという感じを強くしているわけです。ですから、本当に所得の中における住宅費用負担ということを考えていってみれば、全国的な住宅を提供している基準というものを念頭に置いて、平均的な割合というものを目標に定めていくべきじゃないか。そうしていくと、この都営住宅の一六%というものも、私は高いような感じがするわけであります。少なくとも一〇%前後ぐらいまで下げてくるという上に立っての応益応能制度というものを考えていかなければ、論理的には矛盾が生まれていくのじゃないかという感じをするわけです。これは私の見解でありますから、後ほどそういうこともあったということを含めて、これからの住宅政策の中で検討していただきたいと思うわけであります。  今回の、今いったような面で家賃改定の判断基準、そして家賃の、今度は八百億近くになってくるわけでありますが、その使用目的というものはどういうところに、法律との関係の中で今考えられているのか、予算上含めて説明していただきたい。 ◯吉田参事 初めに、家賃改定の判断ということに関しましてお答え申し上げますが、今回は家賃制度の改善でございますけれども、通常東京都におきまして都営住宅の家賃の改定は、基本的には、まず公営住宅法に公営住宅としての家賃改定の要件がございまして、それに縛られております。 この改定の要件は、一つは物価の変動に伴って変更する必要がある場合、二番目が住宅相互間の家賃の均衡上改定の必要がある場合、三番目は増築等の改良を施した場合ということでございますが、先ほどご説明申し上げましたように、都営住宅の家賃は入居者の収入に則した設定でございますので、一番目の物価の変動ということとリンクいたしません。したがいまして、都の使用料の改定は、常に二番目の住宅相互間の均衡ということで、公営住宅法上の改定の要件で満たしておるということでございます。  今回の制度改善も、当然その家賃の変更を伴いますので、公営住宅法上の規定上、やはり同じように公営住宅と、住宅間の家賃の均衡ということで行うわけですが、先ほどから申しておりますように、いわゆる応益的な調整の改善、新旧の住宅の家賃の均衡、あるいはまた立地その他の均衡ということで今回の改定は行うものでございますが、そのほか通常の改定では、主に新旧の住宅の不均衡の是正ということで判断をしているところでございます。 ◯佐々木委員 次に、今回のこの家賃改定の中で、高額所得者などに対する緩和策というのをとっているわけであります。激変緩和の処置というものが示されているわけでありますが、数字的にいえば、先ほど質問がありましたように、あるところでは十七万になるというような数字になっているわけです。こういう制度というのは問題があると思うんですね。それはさっきいいましたように、都営住宅は今日の条例の中で見れば、スペースの大きさというものは決まっているわけです。そして、質もよくしていくということになっているわけですけれども、極端にその部分に膨大にお金をかけるということじゃないわけでありまして、そういう面から見ますと、激変緩和策をとったとしても、数字上の場合かもわからないけれども、限りなく上限の数字が出てくるということは問題があると思うんですね。そういう面で激変緩和策をとった考え方と、今回の家賃制度における上限対策の考え方があったら示していただきたい。 ◯吉田参事 今回の使用料制度改善は、先ほど来申しておりますように、現行制度を抜本的に改善いたしまして、特に応益的な調整の改善と収入超過者の負担の是正ということが、いわゆる先ほど来お話しの負担増の背景にございます。しかしながら、今回はそれぞれのバランスを考えた制度改善ということになってございますので、従前の家賃改定、通常の家賃改定では、例えば四千円でアップ額を頭打ちにするというような上限がございましたが、今回は制度改善であり、最終的にその姿に持っていくことがバランスを是正する,バランスを回復するということでございますので、そういう意味で、上限というものは設定しないというのが答申の趣旨でございます。  しかしながら、その負担の差額が非常に大きな場合には、今回の資料でもお出ししておりますように、そういう意味での激変緩和、一度に新しい負担額に到達するのではなくて、段階的に年数をかけて到達する仕組みとしての激変緩和を考えてご提案しているものでございまして、そういう意味での激変緩和が今回の内容になってございます。 ◯佐々木委員 私は数字上について、今はっきりどのぐらいが適切であるかということはいえないわけでございますけれども、一般論から見れば、東京都内で住んでいる人、地方で住んでいる人の住宅費用負担というのはあるわけです。少なくとも公営住宅というものを提供するということになれば、今日の基準が全国的レベルで基準が示されて、今の入居基準も決められているということになれば、家賃に対する設定の仕方も、全国的な状況というのは、どこが今平均的な状態で家賃が支払われているのかということを念頭に置いて、少なくともそれを超えるような家賃を公営住宅の家賃制度の中で導入するというのはいかがなものかと思うわけですよね。  そういう面で、少なくとも応益応能制度を導入をして、東京都民が住んでいて民間住宅を借りている、それとの格差がある、そういうことの中で収入超過者に対する対応処置も考えていくということになれば、限りなく東京の市場家賃に近づける制度になってしまうわけです。少なくとも公営住宅という視点というものを考えていったときに、そしてまたこの収入超過者という状況を一歩進んで考えたときでも、それは全国的に今日の住宅費がどのぐらい支払われているかということも念頭に置いて考えていけば、今回のような、実態に合っているかどうか、実情に適応しているのかどうか、適応者がいるのかどうか私はわかりませんけれども、数字上は十何万と出てくるということは、少し異常じゃないかというように考えるわけであります。  それで、私は今回の問題があったときに、私の区内の都営住宅もいろいろと訪問をして聞いてまいりました。また、赤坂の住宅等にも行って聞いてまいりました。それらの人たちについては、高額所得者も基準内収入以下の人たちも、先ほど曽根さんの方からほとんど知らされてないということがあったわけでありますけれども、それは私の家賃が幾らになるのかということについては確かに知らされていないと思いますが、家賃の改定というものがどうなっていくのか、どのぐらい上がろうとしているのかということについては、私の聞いた限りにおいては、一定の認識を示されていたわけであります。また、制度そのものについても、それぞれの立場の中で認識が示されておりました。しかし、その人たちがいうことには、東京都の住宅局なり、その関連するところから住宅を提供されているわけでありますけれども、住んでいる人に対するサービスといいますか、住んでいる人たちとの対話、住宅に対するコミュニケーションというか、それが極めて不十分だということは一様に指摘されているわけであります。  その一つは、修繕修理の問題であります。もう一つは、相談に対する対応の問題であります。そういう点は、厳しく私はいわれましたし、私自身も相談に行きますと、そういうように感じました。私の偏見かもわかりませんけれども、感じるところがあるわけであります。そういう点をしっかりと直していかなければ、やはり実際には今回の制度を導入することによって、家賃が上がる人たちが、収入超過者であるか収入基準内であるかは別にして、七割の人たちが上がるわけでありますから、その部分は供給する側の問題として体制を整え、しっかりとした入居者に対するサービス体制というものを確立をしていかなくちゃならない、そういうように考えるわけであります。  そういう面で修理修繕の現状と予算、入居者の希望と進捗状況、さらには入居者からのそういう要望に対する具体的なこたえ方、そして直ちに対策を立てるシステム、それがどうなっているのか、どういう問題点があるのか、さらには家賃改定後の修理修繕なり、また、入居者に対するサービス体制というものをどのように充実させようとしているのか、それらについてお答え願いたいと思うわけであります。 ◯小山参事 都営住宅の修繕に関するお尋ねが何点かありましたわけでございますが、ちょっと順番が前後するかとは思いますけれど、できるだけ順番に従ってお答えしたいと思います。  まず、どのようにして行っているかということでございますが、私ども修繕につきましては、営繕工事実施基準というのを定めまして実施しておりまして、具体的には建物の経年だとか老朽化を見ながらやる計画修繕、雨が漏る、水が出ない、電気がつかない、こういう緊急的なもの、それから小口の修繕、こういうものを一般修繕といっております。これは通常の修繕じゃございませんが、空き家が発生したときの後の入居者のために空き家を原状に復す空き家修繕だとか、それから台風などの災害に対応する特別修繕などに分けて実施しているところでございます。  そして平成五年度におきます実施状況でございますが、計画修繕につきましては、おおむね当初に計画したとおり実施しておりまして、主なものとしましては、二、三例を挙げますと、屋上防水が二千六百七十三戸、外壁塗装につきましては六千七百一戸、鉄部塗装につきましては一万七百六十九戸など実施しておりまして、これに要しました経費といたしましては、約百四十二億円を投入しております。一般修繕につきましては、小口の修繕でございますけれども、四万二千件余りの申し出がありまして対応しておりまして、これが約三十一億五千万円をかけております。  それから、修繕の申し込みをどういう経路でもって対応するかということでございますけれども、通常の修繕の受け付けは、この修繕業務を実施しております東京都住宅供給公社の営業所、この営業所が十二ございますが、それに大きな団地といいますか、地域的に出張所があります。大きな団地には専任管理人事務所がありますが、こういうところで電話でも結構ですし、直接出向かれまして窓口でお話しされても受け付ける、こういうことにしております。  そういう修繕のお話があったときの相談が親切丁寧じゃないというようなお話も今ございましたが、修繕に関していいますと、東京都の費用でもって修繕をする部分と、お住まいの皆さん方に費用負担していただく修繕の範囲というのがございまして、この辺の分担についての相談事で行き違いが起こるということが多いということを聞いております。  こういう修繕の申し込みを受けまして、緊急なものについて直ちに対応いたし、それから一般的な小規模なものにつきましては、ほとんどが一カ月程度で対応しております。それから外壁を塗りかえるとか鉄部のペンキを塗るとかというような計画修繕、具体的にさっき申し上げましたが、これにつきましては年次計画を立てまして、年間の予算でもって対応しておりますので、翌年度になるか、二、三年待つとかいろいろ状況がございます。  それから、修繕費が十分かどうかということでございますが、これにつきましては、十分に行われているということではないかとは思いますけれど、居住いただくための必要な水準といいますか、これは確保されているものと考えております。  大体そんなところでございましたか、大変申しわけございません。 ◯佐々木委員 約束した時間が来ましたので、あと何問か質問したかったんですけれども、取りまとめて局長の方から見解、決意などを伺いたいわけでありますが、小山さん、僕は今みたいな答弁の仕方というのは、やっぱり問題があるんだよね。最初にいったでしょう。今の進捗状況はどうかといったら、何億円かけて、これだけやっております。問題は、やられていないところが問題なんだよ。なぜやられてなかったのかということを説明してくれなかったら、やられてないところに住んでいる人は、そこのところが意見あるんだから、それから、どのくらい住んでいる人から要望があったのか、何万件ありましたといったでしょう。何万件に対してどのぐらいの要望にこたえられたかということを、件数で答えなくちゃならない。それを三十一億円かけて、この要望に対してこたえましたというのは、三十一億円というのは、一万人に対して何千人の人の要望にこたえたのかということを答えなかったらだめなんだな。そういうところに役人の答弁の仕方について、住んでいる人の側に立って、親切に答えてやるということを心がけてもらいたいと僕は思うんだよね。入居者に対して具体的な相談に行ったときの対応の仕方も問題が出てくるというのは、そういうところにあるわけですよ。自分としてはうまく論理性が合っているように思うけれども、住んでいる人の気持ちに立って対応してやるということが大切なんですよ。その点だけ注文をつけておきます。  最後に、局長に見解と決意をお伺いしたいわけでありますけれども、私がいってきたことは、東京都の家賃制度に対する、生活の中における住宅費というものは、所得に応じてどのぐらいが適切であるのかということを、まずしっかりとした指針をつくり出すということが必要なんです。要するに、今住んでいる都民の家賃負担の状況に対応して家賃制度を考えていくということじゃなくて、家賃というのは全体の所得の中における生活費の一部なんですから、その住宅費というのは少なければ少ないほどいいわけなんです。しかし、一定の、この日常生活に及ぼさない範囲内において、健康で文化的な生活を営めるような住宅が保障されていくということが必要なんですね。そのことを東京都は供給する。それに対して借りる者は、家賃を自分の所得の枠の中で支払える範囲内において支払っていくということなんですね。公営住宅はその中で特に低所得、住宅困窮ということがあるわけですから、そのことを念頭に置きながら、この所得の中における住宅費というものは、どういうように基本的な指針としてはあるべきなのかということを示していただきたい。  その部分があいまいなままに、今回の応益応能制度の問題も採用しようとしているというところに矛盾があるわけです。ですから、それをしっかりすれば、論理的に都民に対して、最初にいったように理解と支持が得られるわけです。その理解と支持は、都民が民間家賃で支払っている家賃との関係において理解と支持を得られるというんじゃないんです。所得に対する住宅費用の部分について、どのぐらいが所得の中で適切なのかということを示すことによって、それに対応して家賃制度をつくり上げていくということをやっていただきたいということを私は述べたいわけであります。  そういう中で、局長の方から、具体的な生活している人との関係の中での問題について、決意のほどを伺いたいわけであります。  まず第一に、今回の制度の導入と高額所得者対策、先ほどもご答弁ありましたが、これらの問題について、より高額所得者に対して、私が今議論やってきたようなことを含めて対応を立てようとしているのか。特に、都営住宅から出ていただきたいということを要請するわけでありますから、その受け皿の問題を中心にして考え方をしっかりとお答え願いたいと思います。  それから、今いいましたように、生活費に対する住宅費負担の指針と住宅費の支援策というものが基本でなくちゃならないわけであります。この点についての考え方を示していただきたい。  そして、住宅管理に対する、住む人への対応、修理修繕、相談体制の充実という問題について決意のほどを示していただきたい。  最後に、都営住宅に住んでいる人たちは、さまざまな人がいるわけであります。減免措置や、その他手続上の問題がいろいろあります。しかし、制度としては、手続上の問題があったとしても、その制度に対応する実質的な対応体制といいますか、それぞれの世帯なり個人の中で、それができない人に対して、制度がどんなに整って、この制度を適用すれば減免措置されるんですよといっても、そのことに対応できない人は、この制度から取り残されていってしまうわけであります。そういうことに対する実質的な制度変更の理解と対応が困難な人に対する体制整備、これをどのようにやっていくのかということを示していただきたいと思います。  余分なことですけれども、今都営住宅は、そのほとんどが住宅供給公社によって管理されているわけであります。私は、どのぐらいの世帯数以上の団地とはいいませんけれども、いわゆる大団地といわれているところの管理体制に、住宅局の職員が直接その中に配置されてないというのは問題があると思うんだな。やはり住宅政策を行う人が、現在住んでいる状況を知ることによって、初めて生きた政策が反映できるわけですよ。そのことがない中で、住宅政策は住宅局がつくります、現場対応は第三セクターの住宅供給公社ですというのは、私は問題がある。やっぱり公務員は、より直接生活している人の中に入り込んでこそ、初めて生きた政策というものが出てくると私は感じるわけであります。その第一歩としても、大きな団地の中に、中嶋さんが直接的に指揮できる職員がまず配置されて、そしてその人が、住んでいる人との間に対話が行われていく、問題が掌握できる、こういう体制を少なくたって僕はやるべきじゃないのかということを申し上げまして、局長の見解と決意をお伺いいたします。 ◯中嶋住宅局長 四点のご質問にお答え申し上げます。  まず初めに、新しい家賃負担制度の導入と高額所得者対策についてのお尋ねでございます。家賃負担能力のある高額所得者の明け渡しを促進いたしまして、住宅に困窮している低所得の都民に、より多くの都営住宅を提供していくことは、大変重要な課題であると考えております。  そこで、先ほど関係部長からご答弁申し上げましたが、明け渡しに努力を重ねました結果、平成五年度は前年度に比べまして、約三〇%増の千二百三十九件の明け渡しを達成いたしたところでございます。しかしながら、都営住宅に入居を希望する多くの都民のためにも、この明け渡し数はまだ不十分でございますので、今後、より適正な対応をしていく必要があると考えております。そのため、従来から実施してまいりました公団あるいは公社住宅へのあっせん枠の一層の拡大に努めるとともに、これまではまだその供給戸数が少ないなどの理由がございまして、都民住宅への住みかえあっせんについてはまだ実施しておりませんでしたけれども、こういったこともひっくるめまして、高額所得者の明け渡しの促進により一層努力してまいりたいと考えております。  それから第二点目は、生活費に対する住居費負担の指針とその支援策といったご質問でございますが、これも担当部長からお答え申し上げましたとおり、都民が適切な住居費負担のもとで世帯構成に応じた居住水準を確保することが、私どもの住宅政策の基本的な課題でございまして、この居住水準の確保を適切な住居費負担のもとで実現するために多様な方策、例えば具体的には都営住宅の供給を初め、都民住宅あるいは高齢単身世帯などを対象とした福祉型の借り上げ住宅、さらには、民間活力を活用した優良民間賃貸住宅などの供給を総合的に推進をいたしているところでございます。  これらの住宅の供給に当たりましては、先生のご意見に必ずしも沿い得ていないかもしれませんが、入居者の収入に応じた適切な住居費負担となるように、公共住宅において基準となる負担率を定めまして、都営住宅における政策家賃の設定や、あるいは都民住宅における初期負担の軽減のための家賃対策補助などを実施しているところでございます。今後とも、ご意見を踏まえ、検討を重ねまして、良質な賃貸住宅の供給に努めてまいりたいと思います。  それから三点目は、都営住宅の管理を行うに当たっての都営住宅入居者に対する対応についてのお尋ねでございます。都営住宅の管理業務につきましては、業務の迅速化と居住者サービスの向上を図るため、ご意見にはございましたけれども、管理業務の一部を、現在東京都住宅供給公社に委託をしてございます。  そこで、都営住宅居住者への対応とか、あるいは相談などの体制の充実についてでございますが、居住者の方々が生活していく上で修繕の申し込みとか、あるいはさまざまなご要望、相談、こういったものをする第一線の窓口において、ただいまご指摘のございましたような苦情、あるいはトラブルが出ていることはまことに残念とは思いますが、そういった事実があることは承知してございます。公社におきましては、これまでも窓口職員に対しまして、業務マニュアルの作成、あるいは研修を行ってきていると聞いておりますけれども、都営住宅の居住者には、ご指摘のように高齢者あるいは身体障害者などの方々が非常に多く、したがいまして、何よりも親切丁寧に対応することが重要であると考えてございます。住んでいる人の気持ちになってというお言葉でございましたが、今後の管理のあり方につきましては、さらに工夫を重ねてまいりたいと思います。  最後に、新制度の導入に伴いまして、自主的に制度変更の理解と対応が困難な人々に対する体制の整備をどうするのかというお尋ねでございます。本会議でもご答弁申し上げましたが、条例改正のご議決をいただいた後には、住宅の新しい使用料及び制度改正の内容につきまして、できる限り早く入居者へ周知を図るとともに、応能減額の申請につきましては、従来から行っております収入報告を応能減額の申請とみなす措置をとるなど、できる限り簡便な方法を考えまして、新使用料負担制度の円滑な実施に向けて対応してまいりたいと思います。 ◯中山委員長 ちょっと速記をとめてください。    〔速記中止〕 ◯中山委員長 速記を始めてください。 ◯熊本委員 初めに、東京都政は申し上げるまでもなく、千二百万都民全体の都政であるわけでございまして、今問題になっております住宅問題も、東京都民全体の住宅問題として考え、取り組み、対応していかなくてはならないと思います。その上に公平、公正でなくてはならないということは申し上げるまでもないと思います。  それについてお尋ねしますが、今日東京都には、住宅は全体でどのぐらいあるんでしょうか。そして、その内訳は、持ち家と借家はどのような状態になっているのか、まずお尋ねいたします。 ◯村上住宅政策担当部長 昭和六十三年の住宅統計調査によりますと、居住世帯のある住宅は、都下に約四百三十万戸ございます。そのうち持ち家は百七十八万戸、借家は二百三十三万戸というふうになっておりまして、持ち家と借家の割合は、借家がおおむね六割程度、こういうような状況でございます。 ◯熊本委員 その借家ですが、先ほどの佐々木理事の質問の中に出ましたけれども、都営住宅が二十五万戸ということであるならば、残り二百万戸というのが一般の方の借家だと思います。つまり都民の大多数の方々は、民間住宅を借りて住んでいらっしゃることだと思うんです。その大方の方々も、きっと都営住宅に入りたいという願望を持ちながら、日々の生活を送っていらっしゃると思いますけれども、その状況、最近の募集について、何かあれば教えていただきたいと思います。 ◯竹内管理部長 都営住宅への応募状況でございますが、五年十月に都が公募いたしました新築住宅の応募状況でございます。募集戸数が五百七十七戸に対しまして、申込者数が四万六百三十二名、倍率は七十・四倍でございます。また、五年五月に公募いたしました空き家住宅の応募状況でございますが、募集戸数四千六十九戸に対しまして、申込者数二万五千七百二十五名で、倍率は六・三倍となってございます。 ◯熊本委員 今ご答弁いただいたように、大変な応募者がいらっしゃるという状況です。その方たちは、申し込んでも申し込んでも当たらない、まさに宝くじを買うような思いでいらっしゃるのではなかろうかと思うわけですが、その民間の家賃ですけれども、大体どのぐらいするものでしょうか。 ◯村上住宅政策担当部長 平成四年の小売物価統計調査年報によりますと、区部の民営借家家賃は、三・三平方メートル当たり七千八百八十二円というふうになっております。先ほど、佐々木理事の方からお話がございました中で、十八坪ではどうかというお話がございましたので、その十八坪、約六十平米に換算いたしますと、今の七千八百八十二円は十四万三千円、こういうふうになります。  ちなみに区部の公共住宅、これは都営住宅のほか公社公団住宅も含むものでございますが、これは三・三平方メートル当たり二千八百八十五円、同じく六十平方メートルに換算いたしますと五万二千円、こういうような状況でございます。 ◯熊本委員 都営住宅の家賃、普通大体幾らぐらいかということ、今六十平米に合わせていわれましたけれども、何か聞くところによると、二万円台以下が七割を占めているということを聞いておりますが、間違いでしょうか。 ◯吉田参事 都営住宅の現在の家賃の金額別の分布でございますが、一万円を下回る一万円未満の住宅でも、現在約四千六百戸ございます。一万円台、すなわち二万円未満のものが三九%、二万円台のもの、いわゆる三万円未満のものを含めますと、お話のとおり全部で七割を超すというような分布でございます。 ◯熊本委員 先ほど佐々木理事からの質疑の中でいろいろ出ておりましたけれども、一万円台、二万円台、片や七万何ぼとかいう大変な開きがありますけれども、その一万円、二万円台というのは、どういう方法でそんな安くできているんだろうか、ちょっとわからないので教えてもらえませんか。 ◯吉田参事 都営住宅は公営住宅でございますので、まず一つには、国からの建設費補助等の補助金がございます。これをもって最初の全くの原価、いわゆるコスト家賃から、おおむね三割程度家賃が引き下げ効果があるわけでございます。東京都は、この国の補助金分を除いたいわゆる法定限度額家賃と申しますか、限度額家賃の範囲で、都としての家賃設定ができることになってございます。しかしながら、さらに東京都は、この国の補助金を差し引いて、原価よりも三割引き下げられたものから、さらに政策的におおむね四割程度現在は引き下げて、いわゆる政策的な家賃設定をしてございます。これは基本的には、先ほどございましたように、東京都として、公営住宅、都営住宅の入居階層の収入に着目いたしまして、一種住宅でも六万円台、二種住宅ですと四万円台、新しい住宅の場合、そのような家賃設定をしてございますが、先ほどの一万円、二万円ということは、さらにその六万円、四万円という新しいものの家賃から、さらに若干古い、狭いということで下げてくる。その下げ方が非常に大きいということで、そのような結果が出ている、その辺に着目いたしまして、今回の答申の新旧家賃の是正ということも出ておる次第でございます。  なお、本日の委員会資料にお出ししておりますように、その法定限度額の総額と全住宅、いわゆる平均三万円、あるいはまた二種住宅二万円の平均の家賃の総額が七百五十四億でございますので、差し引き五百十四億が、いわゆる都としての引き下げの所要額となってございます。 ◯熊本委員 今いわれました国からの三〇%、また都からの四〇%、それから金額的に五百十四億、これは全部税金ですよね。税金から賄われるわけですね。ですから、公営住宅というものは、いかに多額の税金によって賄っておるかということがわかるわけです。  そこで申し上げたいんですが、そうした恩恵をこうむっている住宅に入居されている方々が、先ほどのお話で、収入基準が適正か適正でないかということは論議されていましたが、これは別としましても、決められた基準を逸脱して、そこに居続けているということ、脱法行為をしているということは、まさにこれは税金を払って、しかも都営住宅に入りたいと願っている方たち、入れない方たちから見れば、どんな思いをされるかということは申し上げるまでもないと思います。そんなことからして、今いわれている収入超過者が四割、そして、明け渡し対象の高額所得者は一万三千人にも及ぶその方たちに対して、東京都は確たる処置をすべきだと思います。その入居当時は、確かに入居収入基準に合ったとしても、年を過ぎるに従ってその収入がふえ、基準を超えたということは、そしてそこに住むということは、真に住宅に困窮した方々のためにも、私は断固たる処置をとるべきだ、つまり明け渡しはしっかり申し入れるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◯竹内管理部長 高額所得者につきましては、東京都が明け渡し請求をいたしますと、明け渡しをしていただく方々でございます。これらのことにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、厳正な対応をしてまいっておりますが、今後とも、厳正な処置を講じてまいりたいと考えております。 ◯熊本委員 そのことが今回の制度改正だろうと私は理解するわけですけれども、先ほど申し上げましたように、二百万軒に及ぶ方々が民間の住宅に、しかも高い家賃を払って住んでいらっしゃる、この方たちが全員都営住宅か公営住宅に入りたいとは思いませんけれども、そうした方々のことを考えたときに、私は、現在都営住宅に生活をされていらっしゃる方々だって、そういう方たちが近所にいらっしゃるのを見れば、あの方たちも気の毒にというお気持ちを持たれるだろうと思います。そういうことを解決するためにも、その一助としてのこのたびの制度の改正は、私は遅きに失した感がなきにしもあらず、時宜を得たものだと思っております。これに取り組むことを決意した局長、今も決意を述べられましたけれども、いま一度、その決意のほどをお伺いして質問を終わります。 ◯中嶋住宅局長 やや繰り返すようになりますが、ご案内のとおり、都営住宅は公住法に基づきまして、低額所得者に対し、低廉な家賃で賃貸することを目的に設置されてございます。そしてお話のとおり、その家賃制度は、都民の多大なご負担とご理解の上に成り立っているわけでございますが、現行家賃制度の抱える問題点につきまして、これまでも都議会において、その是正方を再三にわたり要請されてきたものでございます。  そこで、このたび新しい使用料制度につきましては、住政審の答申に基づきまして、これまでの制度を抜本的に改善いたしまして、改めて都営住宅入居者の適切かつ公正な住居費負担の実現を図るものであります。したがいまして、高額所得者の明け渡しの促進をも含めまして、都議会、都民、そして入居者の方々の皆さんのご理解を得て、その実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。 ◯中山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分程度休憩いたします。    午後五時休憩      ━━━━━━━━━━    午後五時十八分開議 ◯中山委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。  発言を願います。 ◯五十嵐委員 大分審議も進んでまいりまして、重複しないように要点を絞って質問したいと思います。  今年の二月に今回の住政審の答申が出ましたけれども、それ以来、我々もいろいろ説明を受け、また勉強もさせていただきました。また、さきの委員会でも答申についての質問等もさせていただきましたが、この際、改めて今回の制度改善のねらいや改善の点について、まずお伺いしたいと思います。  また、これによって入居者の家賃負担がどのように変化するのか、また、どんな効果が期待できるのかも、あわせてお伺いしたいと思います。 ◯吉田参事 このたびの新しい使用料制度は、応能応益的家賃負担制度としてご理解をいただくものでございまして、これは入居者のご負担を収入に対応した適切な水準とすることを基本としながら、その上で応益調整の改善、応能減額の導入、収入超過層の負担の是正など、また、一般減免の拡大などを行うことによりまして、都営住宅入居者の適切かつ公正な住居費負担の実現を図るものでございます。  今回の制度改善によります家賃負担の変化でございますが、現在の都営住宅入居者の約四割を占める収入超過の方については、おおむね負担増になりますが、基準内階層の入居者につきましては、減免階層を含めまして、その四割が負担増になりますものの、六割はおおむね負担減になると推定しているところでございます。なお、負担減となりますのは、主として比較的収入の低い階層でございまして、年金生活の高齢者等を中心として、今後とも、応能減額の導入の効果が広く及ぶものと考えてございます。 ◯五十嵐委員 住宅政策、大変幅広い分野にわたってあろうかと思いますが、その住宅政策の中で、特に重要なポイントの一つであるものは、やはり家賃のあり方の問題だと思います。先ほど来、るる質問も出ておりました。先ほどの佐々木理事の、いわゆる生活の実感の中での家賃負担の割合、それがどうあるべきかというような論議もありました。まさに私も、その家賃のあり方については、今答弁がありましたように、住政審でもいわれているように、収入に応じて適正な負担ができるかどうか、これにやっぱりいわざるを得ないのかなという感じがしております。現行の制度の中では、ご承知のように若干の逆転現象もあったようでございますけれども、そんなところを視点に入れながら、今回の制度改革がなされてきたのであろうというふうに思っております。  そこで、じゃ、その適正な負担率、それぞれの収入の方たちが家賃を負担できる限度額と申しますか、どの程度が適正に負担できる額なのか。いわゆる自分が日常生活していく中で、このぐらいの負担率であれば、収入の中に占める割合であれば、生活の持続が可能な範囲、これはいろんなとらまえ方があると思うんですけれども、一応その辺が一番大事になってくるのではないかなと思います。今回の住政審でも、先ほどいったように、その辺がいろいろ論議されたと思います。  そこで、具体的にちょっとお伺いしたいんですが、現行制度でも、また新しい制度でも、基準家賃の負担率は、一種で先ほど答弁がありました一六%、二種で一五%としていると報告がありました。この負担率について、それが妥当なものであるのかというその根拠はどこにあるのか、何を根拠にして、今日までこれがとられてきたのか、まずお答え願いたいと思います。 ◯吉田参事 東京都が都営住宅の家賃制度で用いております、いわゆる負担率、一種一六%、二種一五%というのは、昭和四十三年ぐらいに、ほぼこの形をとっておるというふうになってございますが、これをある程度定義づけと申しますか、妥当なものであるということが、ある程度背景ができましたのは、むしろその後、昭和五十年の国の住宅宅地審議会の答申で、いわゆる適正な住居費負担についてのご答申がありまして、そこで、今先生がおっしゃったように、負担というものはなかなか確たる決め方というのは難しいけれども、そういう意味で弾力的にある程度考えるべきであるとしながらも、標準四人世帯の収入を低い方から五等分した第一分位、いわゆるゼロから二〇%の分位の方については、おおむね一五%程度、第二分位、二〇%から四〇%の方については負担率が一八%程度、次の第三分位につきましては、二一・五%程度の負担が妥当であるというふうな答申がございました。  これによりますと、都営住宅の二種住宅は、収入分位ではゼロから一七%を対象といたしますので、この二種住宅の負担率一五%、それから一七から三三%の分位を対象といたします第一種住宅の一六%の負担率は、五十年の国の答申の第一分位一五%、第二分位一八%を参酌いたしますと、おおむね妥当といえると私どもは考えておる次第でございます。 ◯五十嵐委員 ちょっと数字的なことで確認したいんですが、現在の段階で、この標準四人世帯の収入が、それぞれ第一分位から第五分位でどのような収入になるのか、資料等でもありますが、簡単にでも結構ですが、説明していただきたいと思います。 ◯村上住宅政策担当部長 収入分位の実際の収入がどれぐらいになっているかということを、標準四人世帯に換算すればということでございますが、私どもの方で試算しておりますものといたしまして、第一分位、一番下のところでございますが、これの上限が四百六十万円、それから第二分位が四百六十万円から五百八十三万円、第三分位が五百八十三万円から七百四十五万円、第四分位が七百四十五万円から九百九十三万円、第五分位が九百九十三万円以上、こういうふうに推計をしております。 ◯五十嵐委員 先ほど答弁がありましたように、昭和五十年の国の住宅宅地審議会で、おおむねこういう分位の分け方の基準が示されたということです。昭和五十年から今日まで約二十年近くたっておりますけれども、大変難しい話かもしれませんが、この基準のとり方が、じゃ、どうであるかが、今回の制度改正にも、非常にポイントになってくるだろうと思います。  というのは、冒頭伺いましたように、審議会でも、この国の基準をもとにしての負担率というものを決めながら、それを応能応益に合わせながらの家賃設定をしている基本的な考え方。したがって、ここがどう変わるかによって、それぞれの家賃負担も変わってくるわけでございますので、昭和五十年当時、いろいろ根拠に基づいて審議されたんだろうと思いますが、あれ以来二十年近くたっております。経済動向も変わっております。国民の生活実態も変わっていようかと思いますが、この辺の基準のとり方について、国あるいは東京都で、その辺を審議されたり、あるいは論議された経緯があるのかないのか、お伺いしたいと思います。
    ◯村上住宅政策担当部長 ご指摘のとおり、昭和五十年の国の住宅宅地審議会の答申を参考にいたしまして、今、全国的に公営住宅につきましては、第一種は一六%、第二種は一五%というようなことで、国の公共団体に対する補助制度などもつくられておるところでございまして、今日のところ、安定的に運用されているというふうに理解しておるところでございます。  ただ、先生ご指摘のとおり、五十年の答申でございまして、その後の経済社会情勢いろいろ変化しているということから、相当な年数がたっているのではないかというご議論はないわけではないのかもわかりませんが、私どもが承知しているところとしましては、これについて直ちに改める必要があるのではないかというようなお話は、今のところは、私どもは承っておりません。 ◯吉田参事 ただいま、国の方の動向をお話し申し上げましたが、都におきますこの負担率につきましては、今回の新しい使用料制度のご答申をいただきました住宅政策審議会におきまして、やはりこの答申をまとめる段階におきまして、負担率は当然ご議論がございました。しかしながら、確かに五十年のときの設定ではあるけれども、その後、国の方も今お話ありましたように、たびたび取り上げてはございますが、引き続き、それに変わる形のものは出していない。また、都の審議会における専門の委員の方のご検討においても、なかなかそれにかわる確たるものというのは出せないということで、またほかの団体も、この一五、一六というのはかなり普及して定着してございます。そういうこともございまして、今回の新しい制度におきまして、負担率につきましては、引き続き一五、一六を採用する、そういう経過になってございます。 ◯五十嵐委員 現段階で、そのことをどうのこうの、これ以上いってもしようがないと思いますが、やはりこれからの基本的な考え方、コンセプトとして、住宅家賃のあり方をいろいろ考えていく上で、国でも、あるいは都でも、この辺の負担率のあり方というのを、もう一回研究、論議してもいいんではないかなという個人的な感想を持っております。ぜひそういうこともひとつ参考にしていただいて、今後の論議の中で、しかるべきところで研究していただければありがたいと思いますし、我々もそういう立場で提言もしていきたいと思っております。  そこで、今回のこの制度改革は、現行制度の、今、国基準に見合っての基本にしながら、いかに適切な応能応益の範囲内での負担率を決めるかということの改正だというふうに受けとめております。今回の委員会資料の一七ページに、現行制度と新しい制度の収入階層別都営住宅使用料負担比較が出ております。この使用料制度では、負担率の逆転現象が大幅に解消されていることが示されております。ただし、これは平均的な使用料の例でありますので、念のため、最高位がどのぐらいの負担率になるのか、数字を挙げてご説明いただきたいと思います。 ◯吉田参事 現存する現行の第一種都営住宅の最高の家賃は、現行の算定で六万七千三百円でございますので、この収入階層に対する負担率は一七・六%でございます。また、新しい制度におきます、やはり一種住宅の最高の使用料は六万七千八百円でございまして、これの場合の負担率は一七・七%でございます。 ◯五十嵐委員 そうしますと、現在の目安としている一六%、一五%というのからはみ出している部分があるわけですけれども、これはいろいろなとらまえ方の中で、条件のいい住宅環境といいますか、新築の新しい基準の平米における割合等、今回の改正で変わってくるわけですけれども、この辺の限度がどのぐらいであったら妥当なのか、一七%という、一部上の方は超えているわけですけれども、じゃ、どこまでが妥当と考えているのか、その限度についてお伺いしたいと思います。 ◯吉田参事 先ほどお話し申し上げました国の五十年の宅地審議会におきましても、この負担率につきましては、住宅の水準を無視して住居費負担を定めることに、なかなか問題があるというようなコメントもついてございます。しかしながら、私どもやはり一五、一六、確かに条件のよい住宅の場合、若干変動するわけではございますが、一応の目安としては、先ほどの国の答申の第二分位の負担率一八%に着目いたしまして、おおむね一八ないし一九程度が上限の目安、少なくとも第三分位の二一・五に近づくことは適当でないと考えて、おおむね設定してございます。 ◯五十嵐委員 現行の制度と新しい制度との第一種住宅における収入超過者、その最高使用料とその負担率はどのぐらいになりますか。 ◯吉田参事 収入超過層の最高のご負担は、現行制度では、一種住宅で八万四千五百円でございまして、負担率は一七%でございます。新しい制度におきます最高の使用料の負担は十万五千六百円で、負担率は二一・三%でございます。  なお、第一種住宅におきます、先ほどの収入超過者でございますが、高額所得者の場合には、現行では八万四千三百円ほどで、負担率は一〇・二%、新しい制度におきます最高の使用料は十四万二千八百円でございまして、負担率は一七・三%となってございます。 ◯五十嵐委員 ところが、新しい制度で、収入超過者が二一・三%。この二一・三%というのは、先ほど説明のあった収入分位でいくと、どのぐらいの分位に当たりますか。 ◯吉田参事 これは収入分位でちょうど八〇%、年収九百九十三万円としての計算になってございます。 ◯五十嵐委員 そうすると、収入超過者の最上限の負担額ということですね。もう一回、ちょっとその点。 ◯吉田参事 失礼いたしました。ここの場合の階層は、収入超過の三つに分けております一番上の階層でございます。 ◯五十嵐委員 そうしますと、委員会資料要求で資料をお願いした平均で、収入超過者の負担率が一二・二%の数字が出ておりますけれども、一番高い例では二一・三%もあるということで理解してよろしいですね、もう一回確認しておきます。 ◯吉田参事 おおむねそのとおりでございます。 ◯五十嵐委員 いわゆる基準収入の一種、二種階層では一五%、一六%を目安とした家賃負担率ということで設定されている。しかし、収入超過者は、それぞれの収入に見合った負担をする状態が出てくる。いわゆる応能に従った家賃の負担率、そういう意味では、まさに応能の原理だと思うんですけれども、この収入超過者、いわゆる高額所得者認定になるぎりぎりのところ、九百九十三万円ですか、その収入分位は、今いわれている中間所得階層、いわゆる都民住宅、あるいは優良民賃等の地域特賃ですか、都営住宅を超えた収入階層の分位に入る人たちの収入基準というふうにとらまえてもよろしいんでしょうか。 ◯吉田参事 公営住宅、都営住宅のいわゆる収入階層は、第一種の収入超過のところが三三%ございますが、高額所得層、年収標準四人世帯で申し上げますと五十七万五千円、年収六百九十万円ですが、そこがちょうど六〇%になります。なお高額につきましては、今回、そこにさらに八〇%の分位、それが年収、ちょうど九百九十三万円になりますが、その八〇%の分位をつくりまして、先ほど資料でご説明いたしました激変緩和のところの特別高額と一般高額、そこを八〇%で線をしてございます。なお、そういう意味では、六〇%、八〇%以下が都民住宅の階層ということになります。 ◯五十嵐委員 今、基準内家賃、それから基準を超えた収入超過者、高額所得者等々その収入に合わせた、それぞれの立地の、それから収入と応益部分では、住宅の経年数や、あるいは平米数によって変わってこようかと思いますが、その上位の高額認定者のところでは、いわゆる中間所得階層の人たちが現状都営住宅の中で収入超過者、あるいは高額認定者という位置づけの中で住まわっているという実態があるというふうに確認できようかと思います。  これが、これから高額所得者の方たちの、いわゆる都営住宅明け渡し等の問題にもつながってこようかと思いますが、一番いわれているのは、都営住宅低所得階層から中堅所得階層、あらゆる階層の人たちが、適正な家賃で負担可能な住宅をいかに供給していくことが大事かということの論理で、今まで我々も住宅政策については取り組んでまいりました。そういう意味での、特に近年、土地が異常高騰する中で、中堅所得階層がなかなか東京都内の中で民間住宅に住み続けることが不可能になってきた。非常に高額な家賃負担になってきたという中で、適正な家賃で住める住宅を目指しての、いわゆる中堅所得階層の制度として、都が新たに国に先駆けて都民住宅制度をスタートし、ことしになって優良民賃制度、特優賃制度等ができながら、国もそういう制度を追いかけてきた。これは大変喜ばしいことだと思うんです。その中での、いわゆる高額認定者が、いかにこれからスムーズに住宅の住みかえができるか、これが一番大事なところになってくるのではないか。そういう意味では、先ほども質問がありましたけれども、公団住宅や公社住宅等のあっせん等を含めながら対応していくという話がありましたが、いかんせん、大変対象戸数が少ない。そんな中で我々主張している都民住宅、優良民賃、あるいは特優賃の住宅等々の住宅戸数をいかにふやして、建築を進めていくかということが大変重要な政策の課題になろうかと思います。  すべての人が住みかえが可能になり、適正な家賃で住める住宅制度を確立していくことが大変重要かと思います。そういう点での、今後の住みかえ対象として、いわゆる都民住宅や地域特賃等の住宅も、先ほど局長の答弁もありましたけれども、この辺を視野に入れながら対応していくことが大変重要になってこようかと思いますが、再度、この辺のこれからの局としてのとらまえ方、住みかえに対する住宅供給のあり方について、もう一回ご答弁願いたいと思います。 ◯竹内管理部長 高額所得者に対しまして、他の公共住宅への住みかえのあっせんということでございますが、私どもとしては、従来、公団公社に対しましては、公団公社との連絡協議会を通じまして、住宅あっせん枠の拡大について要望してまいったところでございますが、何分にもなかなか数がふえないということもございます。  そういうことから、都民住宅についても検討をすべきだというふうに考えてございますが、前にもご答弁申し上げたかと思いますが、都民住宅については、まだ十分な供給戸数に達していないという点もございまして、今のところは対象にしてございませんが、今後、供給戸数も増加していくということから、都民住宅への住みかえのあっせんについても検討をしてまいりたいというふうに考えてございます。 ◯五十嵐委員 次に、今回の条例改正で、経過措置としての激変緩和措置がとられると、先ほどお話がありました。委員会の要求資料にもありますけれども、改めてこの激変緩和のための経過措置の考え方と具体的な内容について、ご説明願いたいと思います。 ◯吉田参事 激変緩和のための経過措置でございますが、本日の委員会要求資料の二一ページ、20に資料を提出させていただいております。これにつきまして、再度ご説明申し上げますが、今回の使用料制度の改善に当たりまして、現行制度の使用料負担が新しい制度によりまして増額が大きい場合、その増加につきましては、毎年一定額を限度とした増額にとどめまして、年数をかけて新しい使用料負担に到達する仕組みとさせて考えてございます。すなわち、先ほどもちょっと申し上げましたように、従前の家賃改定の場合には、一年間だけの措置で頭打ちでやってございましたが、そのような形の激変緩和は好ましくないというのが、今回の答申の内容でございました。  毎年一定額を限度とする、いわゆる単年次増額限度額と称してございますが、これにつきましては、今回の新しい制度が、いわゆる応能的な負担の考え方が非常に前提になってございますので、単年次増額限度額も、それぞれ入居者の収入階層に応じた額を設定するのが適当であるということで、この二一ページの表の一番右にございますように、収入階層を五つに分けてそれぞれ設定してございます。特に今回は、この高額所得層につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、八〇%分位のところで一般高額と特別高額と二つに分けまして、特に収入超過階層から高額所得階層に入り始めた、年収ベースでいいますと、六百九十万円を超し、九百九十万円のあたり、その一般高額につきましては、それ以上の方と負担増額限度額に差をつけるという考えを示してございます。  なお、この二万円、一万四千円、九千円、六千円、四千円につきましては、先ほどもお話し申し上げましたように、下の設定例のところにございますように、それぞれのいわゆる基準負担額の一割相当という形でおおむね設定しているものでございます。 ◯五十嵐委員 この激変緩和、単年次の増額限度額を設定して、四千円から二万円までの間に分けてという案が出されております。これはこの資料にもありますように、案というふうに出ております。これはどうなんでしょうか、実際、この条例が通った後、施行段階では、この案どおりの額を想定されたことなのか、このとおりの数字でいくのかどうか、また別な数字が出てくるのか、その辺確認をさせていただきたいんです。これは一つの例にすぎないのか、あるいはこの額でこれからいこうとして考えられているのか、お伺いしたいと思います。 ◯竹内管理部長 単年次増額限度額につきましては、委員会資料でご提案した例としてお示ししました内容で実施したいと考えてございます。 ◯五十嵐委員 それでは、この数字が、そのまま実施される段階で対応されるというふうに確認させていただきます。  最後になりますけれども、先ほど来いわれている今回の増収分、約百五十億円以上あるといわれておりますが、この増収分に対しては、当然家賃負担増につながる形でもあります。住宅政策全体の平均としても、やはり家賃の増収分に対しては、今までも居住者の住環境の整備等にいろいろ使われてきたと思いますが、これからこの予算上のいろいろな措置があろうかと思います。住宅局だけでは判断できない問題もあろうかと思いますが、私は、やはり都営住宅の住環境整備は、これからもますます重要になってくるし、必要になっていることは間違いないと思います。この際、この増収分に対する利用の仕方、対応の仕方について、基本的な考えをお伺いしたいと思います。 ◯竹内管理部長 今回の制度改善につきましては、いわゆる物価上昇等による改定という従来の使用料改定とは異なりまして、この負担増という中身につきましても、修繕費に直接的に充てられる内容ではございません。  現在、修繕費相当として私どもで行っておりますのは、国で示しております法定限度額で計算しまして、目いっぱいの修繕費を充てているという状況でございますので、今回の制度改善によりまして、改めて百五十億円が仮に増収となりましても、直接的にはその修繕費に充てられるという形ではございませんが、答申でも、環境整備等にできるだけ還元すべきであるということがございます。答申に盛られた内容もございます。そういう点では、極力私どももそのように努力してまいりたいというふうに考えております。 ◯五十嵐委員 家賃のあり方については、いろんな考え方がそれぞれあろうかと思いますが、今回、今までの現行家賃制度の中でも、基本的に考えて、冒頭の質問で確認しましたように、いわゆる二種住宅負担率一五%、一種住宅で一六%というその負担が適正であるかは別として、今まで二十数年間続けられてきたこの基準をもとにしながら、それぞれ居住者に、負担の限度としながら家賃を考えていくという形での結果であろうと思います。その結果、一種で五段階、あるいは二種で三段階にそれぞれ応能を導入することによって、逆転現象が解消されたり、あるいは一部家賃が減額される部分も出てくる。当然増額の部分も出てこようかと思いますが、要は居住者が生活していく上で、無理な負担で、それ以上の負担が、大変厳しい状況を超えてまで負担を強いることは、これは絶対あってはならないと思います。  先ほど冒頭申し上げたように、この一五%、一六%の負担率が適正であるかは、私も即答はできませんけれども、この負担率を超えないで、それぞれの範囲の中でさらに自分の能力に応じた負担をしていく制度改正ということでございますので、さらに徹底した、それぞれの力に合わせた負担の制度を、今後も模索していくことが重要かと思います。  家賃の改定制度というのは、これからもいろいろ論議していかなければならない課題をたくさん抱えていると思いますけれども、今回の新しい制度のスタートとしていく、新しい制度改革です。 私どもも長年、応能家賃制度、応益家賃制度を導入すべきであるという論理でまいりました。今回の制度を、きちっと対応できるように見守っていきたいと思います。  以上で質問を終わらせていただきます。 ◯西田委員 それでは、質問させていただきます。  先ほど曽根委員の方からも質問がありました。今回の制度改正といわれますけれども、これ自体が、とにかく七割の方々の居住者の値上げになる。しかも、かなり大幅な値上げになる。これは先ほどのご答弁からでも、もう明らかに家賃改定であり、値上げであるという問題ははっきりしたんだろうというふうに思うんですね。とにかく、今大変深刻な不況ですね。都営住宅に入居していらっしゃる方々、昨年と比べてことしの生活はどうなんだろうか。この数年の不況の中で、かなり大変な状況というのが生まれているのではないだろうかというふうに思わざるを得ないわけなんですけれども、そういう中での大幅な家賃の値上げというのは、これは本当に景気回復を一刻も早くと願っている都民や国民や、そういう立場に立ったということからも、私たちは逆に足を引っ張るものであって、これは許せない、このように代表質問でも申し上げましたし、今定例会最大の都民生活にかかわる重大な問題だということで、そういう立場からも今回の家賃値上げ、そして制度改善と、そう称しておりますけれども、この家賃値上げは撤回すべきだというふうに申し上げてきたところです。  改めて、今、それぞれの各党の皆さんからも議論がございましたので、そういう問題点にも触れながら、私なりの質問をさせていただきたいというふうに思います。  先ほど来から、要するにたくさんの人が入居したいと望んでいるのに、宝くじ並みの倍率で入居ができないということがいわれておりまして、それはまさにそのとおりであります。改めて、もう一度、昨年十月の新規公募についての応募状況はどうだったのか。倍率につきまして、募集戸数と応募者数と、そして平均倍率と最高倍率についてもちょっと述べていただきたいと思います。 ◯竹内管理部長 昨年十月に都が公募いたしました新築の倍率でございますが、第一種住宅につきましては五十七・八倍、第二種住宅が百六十倍で、全体では七十・四倍でございます。内訳といたしましては、一種が五百六戸で二万九千二百七十二名の応募者がございました。二種につきましては七十一戸で、一万一千三百六十名の応募者がございまして、合わせまして四万六百三十二名の申込者がございました。  最高倍率でございますが、港区所在の住宅で、九件の募集に対して三千八百六十六名が応募してございまして、四百二十九・六倍でございます。二種の最高ですが、足立区栗原で十一戸募集に対しまして三千二百四十九名が応募いたしまして、二百九十五・四倍でございます。 ◯西田委員 先ほど熊本先生もいわれましたけれども、まさに宝くじ並みの倍率です。こういう大変な応募状況になっている原因は何か、述べていただきたいと思います。 ◯竹内管理部長 この募集戸数については、大体毎年四万件ほどが応募されているわけでございますけれども、住宅に困窮されている低額所得者の方が、大変多いということかと思います。 ◯西田委員 私どもはそういう状況の中で、今、こういう都民の住宅難を解決するためには、都営住宅の大量建設がなければ、これは解決がつかないということを再三再四申し上げてきたところです。  ところで、昨年度の新規都営住宅の建設団地数と建設戸数について、それからどこの場所でそれを着工したのかということでお答えいただきたいと思います。 ◯安田建設部長 五年度の新規建設の状況でございますけれども、十九団地、千八百九十九戸でございます。  所在地につきましては、区部が八団地、九百四十七戸、市部が十一団地、九百五十二戸というふうになってございます。 ◯西田委員 その住宅は、全部建ち上がってでき上がりましたら、新規募集に回るでしょうか。もし回らない部分があるとすれば、それはどのぐらいと考えられるか、述べてください。 ◯安田建設部長 五年度に建設しました住宅につきましては、三階建て中層、あるいは超高層と種類が広くございまして、竣工時期が異なってまいります。そういうことで、現時点では公募用に何戸回す、あるいは事業用に何戸ということが確定できないわけでございますけれども、建てかえ事業の推進を勘案しながら、可能な限り公募用の住宅に回していきたいというふうに考えているところでございます。 ◯西田委員 例えば、昨年度建設着工するということになった新規住宅建設の中に、柳窪一丁目六十三戸というのがあると思うんですけれども、これについて、都の方は、地元に対してどうするというふうに説明をされておられますか。 ◯安田建設部長 柳窪一丁目につきましては、東久留米市内の都営住宅の建てかえが非常におくれているということがございまして、区に対しましては、事業用住宅として活用したい、しかし、その事業用の中で余剰が生じた場合には公募をしたいということで、ご説明を申し上げているところでございます。 ◯西田委員 市は昨年、一九九三年十二月の市議会で答弁をしておられるようですが、都は、その建てかえに使いたいといっているけれども、市としては、新規の一般募集の方に使ってほしいと文書で要望している、このように答弁されているんですけれども、市の要望についてはご存じでしょうか。 ◯安田建設部長 先ほども申し上げておりますように、平成五年度の事業でございまして、市との建設協議の過程で、公募につきまして要請されているということは存じております。 ◯西田委員 その要望について、どうされるおつもりなのか、もう一度ご答弁ください。 ◯安田建設部長 一丁目の公募についてでございますけれども、先ほどご説明しましたとおり、事業用住宅として活用するということを考えておりますが、現在、その事業用としてどのくらい使うかということで、余剰戸数がどのくらい出るかということを精査中でございまして、公募可能な数につきまして、早急に決定したいというふうに考えているところでございます。 ◯西田委員 この柳窪一丁目の都営住宅というのは、新規で土地を購入して新しい住宅ができるというので、住民の皆さん方は、もう今度は新しい都営住宅の募集があるだろうというので、地元割り当ては六十三戸だから、半分としても三十戸だと。焼け石に水だけれども、これはとっても大切な住戸だというので、物すごい期待をしていらっしゃった。そして、市の方もそういう答弁をしていらっしゃる。ところが、都の方は事業用に回すというので、住民の皆さんはがっかりしているわけですよ。もともと新規都営住宅というのは、今の計画でいえば千八百戸、年につくる計画になっていますよね。その新規住宅千八百戸というのは、都民の皆さん、だれが考えても、千八百戸できれば、それは公募に回ってきて、それは募集に回る数だと思うのは当たり前じゃないんでしょうか、その辺、どうお考えですか。 ◯安田建設部長 新規に用地を買収しまして建設するわけでございますが、その中には、建てかえ事業用として用地を買いまして住宅を建設するもの、あるいは一般公募用として住宅を建設するもの、いろいろの種類がございます。それから新規公募の中にも、新規で用地を買いまして新規の公募をするもの、あるいは建てかえ事業の中で余剰が出た場合には、建てかえ事業で生み出された住宅を新規として公募するというようなことになっております。なお、新規に用地を買った土地につきましては、特別な理由のない限り、できるだけ公募に回したいという考え方はございます。 ◯西田委員 私たちは大量建設をするべきだということで、もうずっと年来、革新都政の時代の五分の一に鈴木都知事が住宅建設計画を減らしてきたのはけしからんと、こういって、とにかく本当に大量に建設すべきだと要求してきたんですよね。そして、計画数が千五百戸から千六百戸になり、千八百戸になり、とにかくほんのわずかだけれどもふえてきて、それはそれでご努力は認めたいというふうには思うんですけれども、これは千八百戸なんていうのは、四万人から申し込むような状況の中で、本当に焼け石に水の建設戸数だというふうに思うんですよね。だけど、これまで、その千八百戸なり千五百戸なりの建設戸数──昨年度はようやく千八百戸を超えて着工できるということになったようですが──千五百戸のときだって、いろんなバブルのときの事情があったというふうに思いますけれども、千五百戸すら建設されなかったわけですよね。計画戸数を割ってしまった戸数から、また新規募集に回るのはわずかばかりだということになれば、これは幾ら申し込んだって当たらないのは当たり前ですよ。  そこで、昨年、新しい建物ができ上がりました。そして募集に回りました。その新規住宅で、公募に出された数というのはどれだけでしょうか。 ◯安田建設部長 平成五年度十月に新規公募したものにつきまして、新規の建設団地と建てかえ団地の両方のものがあるわけでございますが、お尋ねの新規建設住宅のみについて申し上げますと、六百九十七戸のうち四百八十三戸を公募したところでございます。 ◯西田委員 新規住宅では、わずかに六百九十七戸しか昨年はでき上がらない。これだって、千五百戸の計画のときだったと思うんですけれども、それが四百八十三戸しか公募に回らないということになれば、これはもう本当にどうしようもない数だというふうに思います。とにかく局の皆さんは、体制のない中で本当に頑張っておられるというふうに私は思いますけれども、都民にとっては、そうはいってもどうしようもないことなんですね。本当に悲劇なんだというふうに思うんですよ。  今、建てかえの方で、余剰戸数を新規に回すといわれましたけれども、やっぱり本来なら、千五百戸、千八百戸、ちゃんと新規ができて公募に回せて、そして建てかえの中でまた戸数がふえたものを回せれば、もっと住宅の募集戸数はふやせるわけですからね。今の鈴木都政のもとで、どうしても住宅局の皆さんが頑張っても予算がつけてもらえない、計画つくってもらえない、こういうのであれば、せめてその計画されたことぐらい、ちゃんとおやりになったらいかがでしょうかね。  そこで、総務庁の行政監察局が「公的住宅の現状と問題点」という報告書を出しております。行政監察結果から見ての報告書ということで出されておりますけれども、この中で、いろいろな監察の対象に東京都も入っていると思いますので、これはお手元にあると思うんですが、建てかえ工事着工までなかなか長期間を要しているという問題について、これを円滑に実施するためにどのようにやる必要があると指摘されておられるか、これをちょっと述べていただきたいと思います。 ◯安田建設部長 ご指摘の同報告書によりますと、建てかえ事業を円滑に実施するためには、建てかえに伴う従前居住者の仮設転用住宅に充てるための空き家や民間住宅等の借り上げを比較的近隣に確保すること、それから、移転用住宅の新規建設を公営住宅建設予定戸数の枠外において行うこと等が必要であるというふうに述べられているところでございます。 ◯西田委員 私は、まさにこの行政監察の指摘のとおりなんじゃないかというふうに思うんですね。東村山で、その建てかえが随分おくれていて、木造の建てかえがまだ何百戸か残っていて、おくれているから何とかしたいというのは、それはお気持ちはわかりますけれども、同時に、都営住宅に入りたいけど入れなくて、早くつくってもらいたいといって待っている人がいっぱいいるわけですよ。そういうのに、その新しく取得した用地を新規、しかも東久留米の場合には、市との協議の中で、協定書に入っていないところの用地だから、これは新規に回せると思いますというふうに市自身も考えていた用地でしょう。さっき、建てかえのために新しいところを買うということはありましたけれども、それはそうです。今の指摘だって、別枠で設けなさい、こういっているわけですから、そういうことはあると思いますが、この柳窪の一つの例で私は申し上げているんですけれども、そういうことでおくれている。だから、この土地に建てても、事業用で、全部公募に回すことはできないという理屈は、私は成り立たないんだろうと思うんですよ。やっぱりちゃんと本当に建てかえがおくれているということについていえば、今あったように、民間の住宅を確保するとか、いろいろの手だてをするということも含めて、その千八百戸の計画の枠の外できちんと手当てをするということがなかったら、住宅なんかふえていかないじゃありませんか。これからだって、簡易耐火、それから中層何とかというんですね。そういう建てかえが、どんどんあと残っているわけですよね。そうすると、みんなその建てかえが終わらない限り、住宅の供給戸数がちゃんと確保できないなんていうふうにいい切ることができるかどうかわかりませんけれども、そんなことになったら、いつまでたったって都民の住宅難を解消するなんていうことはできないわけでありますから、私はそういう点では、国の機関ですらそういう指摘が今あって、特に今、東京のような住宅難という問題を大きく抱えているところで、そういう努力をしなかったらいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、これについてどのようにお考えになるのか、お答えをいただきたいと思います。 ◯安田建設部長 建てかえに伴います従前居住者用の仮設住宅につきましては、なるべく近隣に確保するということが望ましいということで、地域性を配慮する必要があるというふうに考えているところでございます。従来より、建てかえ団地の余剰戸数や新規建設住宅の一部、さらには民間リロケーション住宅の借り上げ制度などの実施によりまして、仮設住宅の確保に努めてきたところでございます。  また、これに伴います新規建設住宅の公募減少につきましては、建てかえ団地の余剰戸数を公募に充てるなど、可能な限り公募戸数の確保に努めてきたところでございますが、今後とも建てかえ事業の円滑な実施と、新規住宅の供給に引き続き努力をしてまいる所存でございます。 ◯西田委員 とにかく私たちは、繰り返していいますけれども、やっぱり今の家賃の状況、それから何よりも土地の高い状況、下がったとはいいながら、まだもとに戻っていないわけですから、そういう中で都民が住むという、本当に何よりもそれが確保できなければ何一つ始まらない、こういう状況の中で、安定した生活が送れるような、本当に福祉という立場に立って、この住宅問題を考えなければいけないというふうに思っているわけですが、そういう意味でも、大量建設が必要だというふうに繰り返し繰り返し申し上げてまいりました。今、ご答弁もありましたけれども、さらに本当に計画をふやして対応するという、それに必要な職員の皆さんの体制もつくると、そういうことをぜひ私はやらなければならないというふうに思います。  次に、今度の家賃制度の改定に当たりまして、使用料限度額という言葉が新たに出てまいりました。この使用料限度額について、少し突っ込んで検討してみたいというふうに思います。  こういう使用料限度額という新しい用語が使われておりますけれども、これまでの法定限度額との関連、先ほど来から若干答弁もありますけれども、この関連について、いま一度ご答弁いただきたいというふうに思います。 ◯吉田参事 法定限度額も、また使用料限度額も、基本的には今回の制度のみならず、いわゆる住宅の使用料そのものの限度額として設定するものでございまして、ただ、これまでは都営住宅の家賃の限度額は、公営住宅法の定めるところによる法定限度額がいわゆる限度額でございましたが、今回、新しい制度におきましては、さらにこの法定限度額の範囲内で、都として使用料限度額を設定することにし、その範囲内において、使用料を設定するということになりました。  法定限度額と使用料限度額の関係でございますが、この同じ限度額の中身の地代相当額の算定に当たりまして、その基礎となる用地取得造成費、いうならば用地費でございますが、その評価が取得の形態、いわゆる時価取得したか、あるいはまた、従前から都有地として所有していたか、その辺によって大きく異なりますので、その用地費の評価を固定資産税評価額相当額で統一して、同一の基礎によって算定設定する、それが使用料限度額でございます。 ◯西田委員 その地代相当額、そこにどういうものを使うのかということですね。時価なのか、固定資産税評価額なのか、そこをとにかく統一したというところだけが違うということで、法定限度額と同じ言葉としてとらえていいというふうに理解をいたしました。  ところで、この現行の家賃、まだ改定されていない今の家賃制度というのは、この使用料限度額という考え方をとっていないというふうに思いますけれども、なぜとってこなかったんでしょうか。 ◯吉田参事 今回の制度改善に当たりまして、初めて、いわゆる使用料限度額という設定に至りましたのは、今回の制度改善におきまして、収入超過層の付加使用料の付加倍率、割り増し倍率を掛けるものに、いわゆるこの使用料限度額を設ける。また、高額所得者になった場合の家賃を使用料限度額にするというその二つの新しいご答申がございまして、改めてこの使用料限度額を設定することになりましたが、もともとこれは公営住宅法では、法定限度額をもっていわゆる付加使用料、割り増し賃料の限度、あるいはまた家賃の限度となってございます。それを今回の答申は踏まえたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、公営住宅法の定めの形で、法定限度額そのものを付加の基礎に使いますと、地代相当額が用地の取得形態によって非常に大きく異なりますので、これを使う場合には統一した基礎にしなければいけないということで、改めて都としての決め方をして、使用料限度額というものを定める、そのように至ったものでございます。 ◯西田委員 ちょっと、質問したことに答えてくれませんか。  今、私が伺ったのは、なぜそれを使用したかということを聞いているんじゃないんですよ。現行家賃制度は、なぜこの考え方を使用していないのかと聞いているんですよね。時間の関係もありますので、簡潔にお願いします。 ◯吉田参事 現行制度では、法定限度額そのものがこの機能を果たしているわけで、必要がないということでございます。 ◯西田委員 法定限度額を使ったら、東京の場合は土地が高いわけですから、都営住宅の家賃としてはとにかくなじまないということで、政策的に低廉に家賃を抑えるために、今の家賃を、政策家賃をとっているんじゃないんですか、違いますか。 ◯吉田参事 同じお答えになりますが、家賃そのものは政策家賃をとってございますが、公営住宅法との関係で、家賃は、必ず公営住宅法に定める法定限度額の範囲でなければならないということでございますので、東京都は、政策家賃をとるにしても、その公営住宅法が定める算式による法定限度額の範囲であるかどうかということで、常にそれは設定しているわけでございますが、今までの制度ではそれで済んだわけですが、今回新たにその法定限度額相当を、先ほどちょっと申し上げましたように、いわゆる収入超過層の付加使用料等の基礎に使うことになったので、改めて使用料限度額ということで、東京都として特別に設定のルールをつくったということでございます。 ◯西田委員 私の質問が悪いんでしょうかね、多分聞き方が悪いんでしょうね。ちゃんと答弁してもらえないと、次の質問が出ないんですよ。  政策家賃は、とにかく現行の家賃は、今、法定限度額と関係なく設定されているわけでしょう。 それはなぜかと聞いているんですよ。 ◯吉田参事 政策家賃は、確かに法定限度額と離れまして、いわゆる入居収入基準の収入に着目して、先ほども出ました負担率を経まして、基準家賃という形で設定しているものでございますので、もともと家賃の設定の積算基礎が異なるということでございます。 ◯西田委員 じゃ、申し上げますが、法定限度額とは関係なしに政策家賃をとられてきたというのは、とにかく家賃を低く抑えようとするためであって、入居者の負担能力や、他の住宅の家賃水準や、住宅の維持運営などを考慮して、入居者にふさわしい家賃を決めることが公営住宅法の趣旨であるから、そうやっていたということじゃないんですか、この考え方は違いますか。 ◯吉田参事 公営住宅法の、いわゆる低廉な家賃というものは、それを保障するためにこの法定限度額そのものが設定されているということでございますので、事業主体は、この法定限度額の範囲内で家賃を設定することによって、その低廉な家賃を確保するということでございます。 ◯西田委員 何で素直にちゃんとそうだと認められないんですか。東京で法定限度額を使ってこなかったというのは、よその県では、法定限度額どおりに家賃を取っているところだってあるわけでしょう。それをやらないのは、東京の地価が高くて、家賃が高くなり過ぎるからでしょう。そのために低く抑えるために、今の政策家賃をとってきたということは明白じゃないですか。何で素直にそういうことをいうことを吉田さんは拒むのでしょうか、私にはちっともわかりません。  そこで、もう一回お聞きしますが、使用料限度額というのは、何に使われますか、今度の制度改正で。 ◯吉田参事 今回の使用料限度額は、まず一つは、使用料そのものの限度として用います。第二点は、いわゆる付加使用料の付加倍率を掛ける基礎になるものでございます。三番目が、高額所得者になった場合の家賃を使用料限度額をもって家賃とする、その三つの働きが今回使用料限度額に設定されるということでございます。 ◯西田委員 そういうことで、実際にこの使用料限度額ということが導入されることで、非常に高額な家賃が生まれているということは明らかですね。  お答えいただきたいんですけれども、港区の都営住宅で、五十二年度建設、五十五・九二平米、この都営住宅の場合、使用料限度額は幾らになりますか。 ◯吉田参事 五十二年建設、五十五・九、一応あれではないかと考えてお答え申し上げますが、九万八千二百円でございます。若干補足的に申し上げますと…… ◯西田委員 聞いたことだけに答えてください。  九万八千二百円、十万円近い金額ですね。北青山の場合、私も本会議でも質問し、先ほど曽根委員も質問した問題ですが、建築後三十年、専用面積三十八・三六平米、この一種の住宅で十二万四千百円の家賃限度額になる。二種でも九万三千五百円になる。こういうものが、資料として住政審に出されていたわけですね。  収入基準内の人の家賃は、この限度内で定めるとしていますが、逆にいえば、この限度額まで取れるということですね、どうですか。 ◯吉田参事 使用料そのものの設定は、今回も従前と同じように、入居収入基準の収入に着目して基準家賃を設定し、それを調整して行うという、いわゆる政策家賃的な手法は変わってございません。
     なお、この使用料限度額そのものがない場合でも、その使用料の設定は、先ほど申し上げました法定限度額の範囲であれば、事業主体は設定できるということでございまして、そういう意味では、これまでは法定限度額の方がやや高うございましたので、可能性としては、法定限度額と都の家賃との差はもっとございました。しかし、今回は、使用料限度額はその法定限度額の中で天井をつくりますので、むしろその幅は狭まったとご理解いただきたいと思っています。 ◯西田委員 幅が狭まったとか、そういうことを聞いているんじゃないんですよ。取れるんですね、と聞いているんです。いいですか、考え方をお聞きしているんですよ。収入基準内の人からこの使用料限度額までの家賃を、そこまでは取れますねと聞いているんですよ。 ◯吉田参事 取れるという意味では取れます。 ◯西田委員 それだけお答えいただければいいんですよ。  全国一律で、先ほど来から議論になっておりますけれども、とにかく東京の実情に合わない入居基準ですね。そういうものに、こんなに高額な家賃ということは、私は全くおかしい、本当に矛盾があるというふうにいわざるを得ないと思います。  ところで、この使用料限度額の算出方法について述べてください。 ◯吉田参事 使用料限度額の算出方法でございますが、これは法定限度額の算出に準じてございまして、中身としては、償却費、修繕費、管理事務費、損害保険料、これはいわゆる建物にかかわる要素でございますので、工事費を基礎に算出いたします。それに、さらに地代相当額を加えて個別住宅ごとに算定するものでございまして、この地代相当額は、いわゆる用地費から補助金相当を差し引いた後の金額に地代率、これは六%でございますが、それを乗じて算出するルールになってございます。 ◯西田委員 今、算出方法をご説明いただきました。そこで、江戸川区内の都営住宅で、一種、中層、五十二年度の建設、住戸面積五十一・〇四平米、地積六十平米の住宅の場合、それらの費用がそれぞれ幾らになっているか、明らかにしてください。 ◯吉田参事 今、お話の使用料限度額五万四千七百円でございますが、これの内訳は、償却費相当一万八千百六十円、修繕費が一万百六十円、管理事務費千二百七十円、損害保険料百七十円、地代相当額が二万五千円、以上の五つの要素の合計でございます。 ◯西田委員 五つの要素の合計で五万四千七百円ということになりますね。そうしますと、これは、実は固定資産税評価額が十二万五千円というところの例なわけですけれども、今のご説明でいろいろな要素五つありますけれども、地代相当額が、その使用料限度額の五割を占めているということが明らかになりました。  ところで、もう一つ、港区の一種、中層、四十三年度建設、住戸専用面積三十六・四六平米、固定資産税評価額相当額四十四万五千円、この場合の使用料限度額に占める地代相当額の割合はどうなりますか。 ◯吉田参事 おおむね八〇%ぐらいだと推定します。 ◯西田委員 先ほど、佐々木理事さんの方の質疑がございまして、土地の要素が家賃にはね返る東京は、それが大きくて家賃負担が高くなるということが盛んにいわれましたけれども、まさに原価、コストの中に占めるこの地代相当額というのが、とにかく決定的な役割を占める。土地がだんだん高くなればなるほど、そのはね返りが大きくなるということが明らかだというふうに思います。  結局、この家賃制度というのは、これまで政策家賃で法定限度額という考え方を取り入れてこなかった。それとは全く関係のないところで、低廉な家賃にするということで家賃が定められておりましたけれども、今回、これで法定限度額、市場家賃という考え方を取り入れて、法定限度額を都営住宅に導入するということ、そうなりますと、本当に都心にはもう都民は住めない。住めるのは、減額を受けることができる方々だけということになりはしないかというふうに思うんですね。  ところが、この都心の町というのが、さっき曽根委員の方から話がありましたように、とてもお年寄りや何かが住めるような場所ではない。買い物をするところがない。そしておふろも、青山の場合は一個あったということですけれども、若い人がいてお年寄りを助けて、そしていろいろ教え合ったり、それでコミュニティをつくっていって、そういう関係がつくれない町になってしまうんじゃないかというふうに私は心配をするわけです。  ところで、今お話をいただきました、その使用料限度額を算定するに当たって使った固定資産税評価額というのは、いつの時点の評価額をお使いになったのですか。 ◯吉田参事 平成三年の固定資産税評価額をベースにしてございます。 ◯西田委員 先ほども、どなたかの質問に答弁がありましたけれども、応益調整の区市町村係数というのは、平成六年の公示地価をベースにして使っておりますね。なぜ、この固定資産税評価額については、新しいものを使わなかったのかということなんですよ。平成六年の固定資産税評価額、もう私どものところへは全部通知が来まして、固定資産税を納税をするということになっているわけですが、これをなぜ使わなかったのか、その理由を述べてください。 ◯吉田参事 一番大きな要素は、固定資産税評価額は、都有地である都営住宅の敷地にはもともと設定されてございませんので、これを使うに当たりましては、相当額を近傍類似の固定資産税評価を参酌し、特に東京都の場合は、非常に固定資産の評価は難しゅうございますので、主税局等の指導、あるいはまた、一部は主税局そのものに委託いたしまして、そもそも初めから設定をしなければいけないということで、通常主税局等の体制が六年の評価の前後は無理でございますので、今後、その作業を計画しているということでございます。そもそも設定は、現在のところございません。 ◯西田委員 そういたしますと、とにかく主税局の方の体制や何かで、今定例会に提案するには間に合わなかったということなんだと思うんです。  ところで、そうしますと、さっきもちょっと話がありましたけれども、次の家賃改定のときには、この固定資産税評価額相当額というのは、やはり平成三年度の固定資産税評価額で固定されるのでしょうか、それとも新しい固定資産税評価額相当額が使われるのでしょうか、お答えください。 ◯竹内管理部長 次の家賃改定につきましては、今回、新しく制度改善をするということでございますので、いまだ予定はございません。 ◯西田委員 今回予定がないということではなくて、私がお聞きしているのは、今、その使用料限度額の算式を説明していただきました。この仕組みを使って使用料限度額を出すということになれば、いつまでも平成三年度の固定資産税でやっているというわけにいかなくなって、いずれは、新しい固定資産税評価額相当額で入れ込んで算出をせざるを得なくなるということではないのかとお聞きしているんですが、どうでしょうか。 ◯竹内管理部長 法定限度額につきましては、いずれにいたしましても、固定資産税評価額相当額を使ってやるわけでございます。したがいまして、いずれかの時点で家賃改定がある場合には、平成六年であるのかどうかはわかりません。しかし、適当な時期の固定資産税評価額を使って行うということになります。 ◯西田委員 そこで、先ほど主税局からの、体制がなくて、新しい固定資産税評価額が出てないということでご答弁がありましたので、本当は私は、今新しい固定資産税評価額になったら、どれぐらいの家賃になるのか。今、上がるとか下がるとかという話がありますので将来の、これは仕組みの問題で今議論していますので、それをはっきりさせたいというふうに思っておりまして、その固定資産税評価額相当額、新しいものを入れて計算をしていただきたい、こう思っているわけですが、さっきの答弁の中で、それはないんだということですから、あえて皆さんにやっていただきたいというふうには申し上げないでおきたいと思います。  そこで、私ども試算をいたしました。皆さんからご指導もいただきながら若干やってみたんですが、平成六年度の固定資産税評価額というのは、ご承知のように、評価方法が変わりましたね。公示地価の七割で評価をするということになりまして、私どもに固定資産税の納税通知書が送られてきまして、あなたの土地は幾ら幾らですよ、こういうふうに書いてありまして、それを見てびっくりした人だとか、我が家はこんなしかないのかとか嘆いた人もいなくはないんですけれども、そういうものを公示地価の七割で評価をするとどういうふうになるかということで、いろいろ調べてみました。皆さんは、まだ固定資産税評価額、近傍類似の価格とかとおっしゃっていますが、路線価で出すんだというお話を伺っておりますので、私の方でも、縦覧のときにいろいろ手を尽くしまして、路線価をいろいろ調べてみました。そうしますと、その路線価で、もう大変な倍率になっているんですよね。私の住む江戸川区でも、大体どこの地点でも、路線価は四倍から五倍の範囲になっております。  そこで、私はその江戸川の路線価を使いまして、先ほど申し上げた江戸川区の五万四千七百円の使用料限度額になるというもので、その固定資産税評価額をちゃんと調べて、平均して、そこに入れ込んで計算をしてみたわけです。その際、償却率、それから修繕費、管理事務費、損害保険料というのは変わらないというふうに考えて、そっちの方は動かないというお話ですから、それを考えて、固定資産税地代相当額の固定資産税評価額というところと、それから用地費補助、国の補助金が三分の一入ってくるというふうに大体見ているというように、他のものから考えられますので、その三分の一を引くという計算をしましてやってみました。  そしたら、何とこれが江戸川区の住宅の例ですが、使用料限度額が五万四千七百円から十二万円九千七百五十五円になります。それから、北区の一種住宅で、中層、五十六年度、それから住戸面積五十九・六平米、地積が九十六平米という三年度の固定資産税評価額相当額で八万七千円というところで、北区も、都営住宅の周り四・五倍ぐらい、ほとんど路線価が上がっているんですよ。その路線価でやってみますと、使用料限度額が六万七千百円から十六万四千五百九十五円になります。二四五%、二・四五倍になります。それから、港区の一種、中層、四十三年度、住戸面積三十六・四六平米、地積三十五平米、そして固定資産税評価額相当額で、平成三年度の額で四十四万五千円というところで、大体五・五倍ぐらいの値上げ率で計算をしますと、六万五千四百円の使用料限度額が二十九万九千二十一円というふうになります。それから、板橋の一種、中層、六十一年度、六十一・五三平米、そして地積が九十九平米、八万円の固定資産税評価額だったところを四倍これが上がると計算しますと、七万四百円の使用料限度額が十四万九千六百十一円、二・一三倍になります。それから、八王子が、これも一種で中層、四十五年度建設、それから住戸面積三十七・三八平米、地積が六十平米、これが七万八千円の固定資産税評価額、これも約五倍上がっているということですから、それで計算しますと、三万円が九万二千四百六十一円に使用料限度額が上がる。  このように、それを当てはめて計算をするということになりますと、本当に大変な金額になってしまうんですね。これは、この新しい制度ですから、制度に当てはめて計算をするとそうなるということですから、こういう使用料限度額、そこまで収入基準内の人も取ることができるという額ですね。そういう家賃制度をつくるということが、果たして本当に都営住宅の家賃としてふさわしいものなのかどうかというふうに私は考えるわけですけれども、いかがでしょうか。 ◯吉田参事 六年度の固定資産税評価額を算入した相当額をどのような形で設定するかというのは、ある意味で、今後六年度の評価額を使う時点で、いろいろ考えなければいけないというふうに私どもは考えるわけでございます。と申しますのは、固定資産税そのものにつきましても、例えば負担調整ということで、評価額のアップそのものを税額にアップさせないというようなこともございます。当然、今回の固定資産税評価の変更というのはかなり大きな要素でございますので、今回の新しい制度の答申は、三年度の評価を前提にいろいろと内容が組み立てられてございますので、その辺につきましては、実際には検討しなければいけない、それが第一点でございます。  幸いにして、この使用料限度額は法定限度額と異なりまして、東京都の都としての設定を、今回の条例で法定限度額の範囲内で知事が定めるという形でご提案申し上げているものでございますので、そういうふうな余地がある、法定限度額そのものは、今試算があったような形で、明らかにそういうふうなことになろうかと思いますが、使用料限度額は、まだ工夫の余地があると考えてございます。  第二点は、先ほどからお話がございますが、この使用料限度額、確かに取ることができる額ということではございましょうが、基準内入居者の家賃ではございませんので、よろしくご理解を賜りたいと存じます。 ◯西田委員 今、私が試算をしたのは、まさに法定限度額のやり方ではなくて、固定資産税評価額を全部使った使用料限度額のやり方で計算をした額ですよ。皆さんは、平成三年度を使おうと何しようと、平成三年度を使うと検討しているときに、こういう評価額になるということはわかっていたわけですよ。それにもかかわらず、その数字だけは使って、仕組みはつくってしまったんです。 仕組みは、ちゃんと算式ができていてつくった、そういうことでしょう。だから、そこに固定資産税評価額相当額ということで、全部入れるとすれば、こういう計算にならざるを得ないわけですよ。  さっき佐々木さんがいわれたように、実際に買ったときの単価をここに入れているわけじゃないでしょう。昔買って、本当に何千円とか一万円ぐらいで買った土地だって、ちゃんと今の時点の固定資産税評価額でやり直して入れて、計算する仕組みを皆さんつくっていらっしゃるわけですよ。 これは制度の問題ですからね。今いらっしゃる皆さんが、もうそんなことはしないとかいったって、それはどんどん皆さん担当がお変わりになるわけで、制度だけはできていくわけですから、これは本当に大変な仕組みをつくったというふうにいわざるを得ないというふうに思います。  さて、今度のこの家賃制度の改定につきまして、住宅政策審議会の答申では、東京都の住宅政策懇談会の報告の今後の方向として、応能応益家賃制度の導入を図ることを期待したいとの提言を最大限に踏まえて、応能応益的家賃負担の仕組みを実現しようとするもので、最善の取り組みだ、このようにいっています。  ところで、この住宅政策懇談会報告では、応益応能家賃制度というのはどんな制度だといっているんでしょうか。 ◯吉田参事 住宅政策懇談会におきましては、今後の方向として、応能応益家賃制度の導入を図ることを期待したい。この制度は、原則として、法定限度額を契約家賃とし、入居世帯の収入に応じ、これに応益度を加味して、入居者負担額を個別に調整しようとするものであると記載してございます。 ◯西田委員 今度の改定では、先ほど来からありますように、家賃の基準を使用料限度額とは別に決めてやってますから、収入基準内の人は、必ずしもこの使用料限度額に至らない。それよりも低いところで実際には家賃を払う、このようになっているわけですけれども、住政懇答申の考え方というのは、今度は、その使用料限度額そのものを契約家賃とするということでしょう。これを契約家賃として、そこから減額をしていくという考え方ですね。だけど住政審では、住政懇の答申を受けて、本当はそれをやりたかったけれども、いろいろと法律の枠内の問題もあって、残念ながらここまでしかできなかった、これが最善の取り組みだというふうに、住政審の答申でいっているのではないかというふうに思うんですね。だから、将来はちゃんとやれ、こういっているというふうに受け取れるわけですね。  しかし、既に見てきましたように、本当に東京の高地価を反映させるような法定限度額の導入で、市場家賃を持ち込むということがどんなに実情に合わないことか。というのは、今さっき私が示した試算一つ見ても明らかだというふうに思います。それよりも何よりも、やはり今居住していらっしゃる皆さん自身が、もう毎日毎日感じておられることだというふうに思います。  先ほど、佐々木理事さんの方からも話がありましたように、熊本の視察に行きましたよね。何か設計コンペというやり方で、東京で考えたら、とにかくすごい建物が、景観も配慮して、すばらしいといっていいのかどうかわかりませんけれども、建っておりましたけれども、それでも四万五千円程度の家賃で入れるというのは、やっぱり東京と熊本の地価が全然違うということの反映でそうなっているんだというふうに思うんですね。全国一律のやり方が、いかに東京の実情に合わないものであるか、収入基準も、明け渡し基準もみんな含めて全国一律のやり方はやめるべきだ。だからこそ、東京の実情に合わないから、これまで政策家賃というやり方をとってきたんじゃないでしょうか。今度の場合も、政策家賃は外していません、こういうことですけれども、実際には法定限度額の考え方を持ち込んで、市場家賃を持ち込んできたわけですね。  前の委員会でも申し上げましたし、そして今度の代表質問でも私申し上げましたけれども、まさにこれは、都知事が「新しい都市経営の方向」という本の中で、これは知事が座長になってまとめておられるわけですけれども、公営住宅の家賃を民間並みに引き上げれば、家賃の格差がなくなって、今後は公営住宅の建設の必要がなくなるということを、本当に如実に示す例として、近々見えてきそうな感じがするというふうにいわざるを得ないと思います。このような家賃制度、市場家賃を都営住宅の家賃の考え方に持ち込んでくる、そういう制度を導入することについて、私は、この先のことを考えればふさわしくない、このようにいわざるを得ないというふうに思います。  さて、今度は別な問題というか、引き続きの問題ですが、先ほどいろいろ議論がありましたので、そういう問題についても、若干触れさせていただきたいと思います。  これまで、都は、都営住宅の適正管理ということをいってこられました。今回の家賃値上げも、適切公正な住居費負担の実現、このようにいっておられます。つまり現在の家賃制度では、収入超過者とか高額所得者、この家賃が民間と比べて低く、不公正だ、このようにいっておられるわけですね。さっき熊本先生の方から、脱法行為だというような話までありまして、私びっくりしたわけです。  そこで伺いますが、公営住宅法もしくは都営住宅条例などで、今度の条例もそうですが、こうした収入を超過した人、収入を超過したといっても、入居収入基準が非常に低いわけですから、この基準そのものが問題ですけれども、こういう人たちについて、どのように扱うことになっておりますか。 ◯竹内管理部長 高額所得者につきましては、収入基準三十三万九千円を超えた方でございますが、この方につきましては、東京都が請求をいたしました場合には、住宅を明け渡しをするという階層になってございます。 ◯西田委員 収入超過者は明け渡し努力義務があるし、高額所得者は明け渡し義務があるということだと思うんですね。  もう少し詳しく伺いたいのですけれども、よく不公正な使用ということがいわれますけれども、こういういい方をする場合、法律や条例上でいいますと、公営住宅法や都営住宅条例が不公正を認める内容を持っている。いいかえると、不公正な規定になっている、こういうことなんでしょうか。 ◯竹内管理部長 公営住宅法におきましては、収入基準三十三万九千円を超えた方につきましては、一応東京都が請求した場合に住宅を明け渡していただく、これは義務がございます、という状況でございます。 ◯西田委員 そうですね。私がいいたいのも同じですけれども、法律的には、収入超過者は明け渡すように努力しなさいということですし、高額所得者は明け渡すことが義務ですよ、こうなっているわけですね。そうすると、法律的には、いわゆる不正使用といわれる状態をなくす、排除することを定めているわけですよね。それだけのことですね。それの限りなんですよね。公営住宅法とか都営住宅条例が、不公正だなどということはできないんですよ。ですから、住宅政策懇談会でもこのことはいってないんですよね。何が不公正かといえば、収入を超えた人が、居座った人が不公平だ、こういうふうにいうんでしょうかね。法律では、そういうふうになってないわけです。その限りなんですが、収入を超えた人が居座っているから不公正だというふうにおっしゃりたいんでしょうか。  しかし、法律では明け渡し努力だとか、明け渡し義務を課すだけでなくて、一方、さっきからいろいろ議論がありますように、ちゃんと移転のための住宅のあっせんを義務づけているわけでしょう。東京都に対して、移転のための住宅のあっせんを義務づけているんでしょう。つまり、そこに住んでいるだけで、収入が超過しているということで、不公正なんていうのはないんだと思いますよ。住みかえることが経済的にも、生活の確保の上からも保障される、それによって初めて明け渡しの条件が生まれる、こういうことになっているんじゃないでしょうか。  こうして見てみますと、この条件が満たされているのかどうなのかということが、実は大きな問題になってくるわけですね。東京都は、この条件や住みかえの条件を完全に保障した上で、明け渡しが適正に行われていない、こういっているのでしょうか。先ほど来から、皆さんご質問なさっておられますように、その条件が実は整っていない、で、明け渡しだけが要求されるということになれば、これこそ不公正なんじゃないでしょうかね。  先ほど、曽根委員が伺いましたけれども、他の方もおっしゃいましたが、確認の意味でもう一回お伺いしますけれども、昨年の公団や公社のあっせんの数と融資のあっせん数、それぞれもう一回ご紹介ください。 ◯竹内管理部長 平成五年度の高額所得者への公社公団賃貸住宅へのあっせんについては、新規住宅で五十二戸、空き家住宅で五十四戸、合わせまして二百六戸となっております。  また、公社公団賃貸住宅の割り当て戸数は、新規住宅で三百四十一戸、空き家住宅で二百七十三戸、合わせまして六百十四戸となっております。 ◯西田委員 全体でも八百二十戸ということになりますよね。高額所得者の方の数というのは、先ほどお話がありましたので、あえてお伺いいたしませんが、一万三千百五十四人ということでいいんでしょうかね。そういう数になっていますね。一万三千以上の方が高額所得者で、今お話があったような公団公社のあっせんなんていうのは、たった八百二十戸ということになれば、これは明らかに条件が整えられていないということははっきりしているわけですが、こうした傾向は、去年の例だけではなくて、もうずっとそうですよね。  しかも、住宅政策懇談会では、公社公団の新築家賃の上昇に伴って、公営と公社公団のどちらにも入居できない階層が生じている、このようにも述べているわけですよ。あっせんされても、入れないという状況もあるわけですね。結局、本来行われるべきあっせんもきちんと行われない。あっせんされた公社公団家賃も高くて入れない。さりとて家を建てるには、ローン地獄で遠いところじゃなければ建てられませんから、職場を離れなければならないというようなこともあって、なかなかそうはいかない。マンションも手が出ない。これで、公営住宅を出ろ、こういわれて、なかなか出られないというのは、どなたが考えてもこれははっきりしていることじゃないでしょうか。収入があるといっても、定年を控えたサラリーマン、こういう方は、もう定年になったらダウンするわけですから、やっぱり出られないという思いになるのは、私は当然だろうというふうに思います。  さっきも曽根さんもいわれましたけれども、大体高額所得者がこんなにどんどんふえてきているというのは、やっぱり東京の一極集中が進んで、バブルが生み出されて、そして土地が高くなってきたということですよ。不公正というならば、こういう状態が不公正なんじゃないでしょうかね。 資格があっても入れない人がいる、こういいますけれども、私最初に、大量建設のところで述べましたように、本当に住宅を建てないことが一番の原因なんじゃないでしょうか。それと収入基準が低過ぎるという問題。  前回の収入基準の改定が九〇年でしたから、もう改定しなければならない時期がとっくに来ているわけですけれども、これがまだ行われていない。基準の改定があれば、今、一万人を超えるといわれている高額所得者が、三分の二ぐらいに減少することは目に見えているというふうに思います。その上に革新都政のときのように、先ほど地方分権という立場からもとおっしゃいましたけれども、そのとおりだと思うんですよ。地方分権の立場から、東京都が自主的に、東京の実情に見合って、ちゃんとそういうことも上乗せをしてやるということになれば、さらにそれが減ってしまうということは、過去の経験からも証明されていることです。  こうして本来やるべきことをやらないでいることの方が、私は不公正というのは、よっぽど不公正なんだ、都の取り組みがおくれているんだということをいわなければならないというふうに思います。その上で収入超過者や高額所得者の明け渡しが必要だというのなら、公営住宅法や都営住宅条例にのっとって行えばいいわけですからね。そうして、やっぱり行政がやるべきことをちゃんとやる、そして住みかえがスムーズに行えるようにする、この努力がまず何よりも大事なんじゃないでしょうか。  それをちゃんとやらないで、不公正の是正だとかいうことで原価家賃を押しつける、本当に民間並みの家賃になってしまいますよ、さっき民間並みの家賃じゃないというけれども。今、民間ですと、土地が下がっていますから、家賃は下げられるんですよ。ところが、東京都は法定限度額だとか、使用料限度額だとかといういろいろな算式があって、それで決めていくということになれば、逆にいったら、民間の家賃は下がるけれども、都営住宅の家賃は逆に上がっていって周りの家賃を引き上げる、そういう役割を果たす。さっきもいいましたけれども、絶好の値下げの条件があるにもかかわらず、これを引き下げることができないということだって起こってくるわけですよね。本当に、何か悪質な家主が、住民を追い出すやり方と同じやり方ではないかというふうに思えてなりません。こういうやり方は、私は、居住者の方々だけじゃなくて、都民の方だって認められないというふうにいうと思います。  次に、もう一つお聞きします。ちょっとだけ確認しておきたいんですけれども、さっきも五十嵐委員がおやりになっていたようですけれども、高額所得者といわれる方々のうち、いわゆる東京都が中堅所得層の対策として、八〇%までカバーしていますね。その方々の年収というのはどれぐらいになるんでしょうか。 ◯村上住宅政策担当部長 東京都におきましては、中堅勤労者向けに都民住宅を供給しておりますが、この都民住宅におきましては、年収が下から八〇%ぐらいまでを対象に行っております。したがいまして、今はそれが、年収で申し上げると、約九百九十三万ぐらいまでを対象に供給を行っているところでございます。 ◯西田委員 九百九十三万といいますと、約一千万近い収入の人まで入るわけですね。都は都民住宅ということで、家賃の補助も、国も都も入れるし、民間が建てる場合のさまざまな補助も入れるわけですね。前に私も取り上げたことありますけれども、あの両国シティコアの土地信託のあの建物、一戸当たり東京都が税金をつぎ込むのは、約二千万円ぐらいかけているわけですよね。ですから、当然都は八〇%の方々のためにいろんな手だてを尽くしておられる。そうすると、今高額所得者だといわれる人の数のうち、これは正確な数字かどうかわかりませんが、いただいた資料ですからいいますと、一万四百八十六人、一万三千百五十四人のうち、一万人ぐらいは一千万円程度までの人ですよ。そうしますと、この方々に出てください、こういうからには、やっぱりちゃんと公社公団あるいは都民住宅、さっきも都民住宅を検討するという話がありましたけれども、そういうところへきちんとあっせんするという手だてをとって出ていただくということがなかったら、おかしいじゃないですか。整合しないでしょう。そういう点も、一言申し上げておきたいと思います。  そこで、都民の税金が使われているということがいわれていますけれども、これも私には実は疑問なんです。税金が使われていることは事実ですよ。事実なんですけれども、疑問なところがあるので、お聞きします。  税金が使われているんだから、適正に管理することが必要だというふうにいわれていますし、適正な管理ということで高額所得者が問題だ、こういう論理のつながりになっているわけなんですね。その大もとのところに、さっきもお話がありましたけれども、都民の税金が使われている。脱法行為を許してはならぬ。脱法行為でないということは、さっきのご答弁で明らかですけれども、そういうことが本当に、ああそうかなと思うような形で簡単にいわれているんですね。このことについて、答申はどうなっているのでしょうか。都の現行家賃制度は、これは答申はこういっています。都の現行家賃制度は、法定限度額を家賃とする、いわば原価的な家賃設定とは異なり、入居対象者の負担が収入に対応した適切な水準になることを家賃設定の基本的な仕組みとしている。これは、法定限度額との差額を都民の税負担で賄うものである。このように、初めのところに書いてあるんですね。  そこで、法定限度額との差額を都民の税負担で賄うということは、別のいい方をすれば、現行制度では、法定限度額の差額が都民の税金で賄われているということになるんだと思うんですね。これだけとりますと、高収入の人の住宅に税金がつぎ込まれているということが実際に行われている、実際に行われているというふうに思われてしまうんだと思います。  そこで、ちょっと突っ込みたいと思いますが、先ほど取り上げました使用料限度額、もう一度振り返るということになって恐縮ですが、この法定限度額を家賃とする、いわば原価的な家賃というのはどういうものでしょうか。住宅政策懇談会の考え方は、原価はこれだけかかったんだから、これは家賃で負担すべきだというふうにいっているようですけれども、収入の低い人には減額を行おうということなんですね。私の疑問は、本当にこれだけ原価がかかっているのかということなんですよ。どれだけ税金がつぎ込まれたのかということなんです。  そこでお伺いします。使用料限度額の根拠となる地代相当額についてですが、先ほどもいいましたけれども、これは固定資産税評価額を使っていますけれども、先ほどの江戸川の例でもう一回見てみたいと思いますが、国が行う補助額、これはどれぐらいになっているか、挙げていただきたいと思います。 ◯吉田参事 江戸川の場合の地代相当額の算出における、この地代相当額、用地に対する補助でございますが、ここの場合は、一応三分の二の補助が入っているケースでございます。 ◯西田委員 これは補助額がどれぐらいか、金額でいってくださいますか。 ◯吉田参事 二百五十万でございます。 ◯西田委員 二百五十万円ですか、これが三分の二に当たるわけですか。これは、実際にこの土地を買うのに使った費用ですか。 ◯吉田参事 先ほどから申し上げておりますように、使用料限度額の算出におきましては、用地が、例えば実際に一千万あるいはまた何千万という形で購入したものにかかわるこの使用料限度額の地代相当額は、すべてその固定資産税評価額で、改めて用地費相当を計算し直すという形で統一しているわけでございます。 ◯西田委員 ですから、この取得時の費用というのは幾らになるんですか。 ◯吉田参事 大変申しわけございませんが、使用料限度額自体の算出根拠しか手元にございませんので、実際の取得額については、また調べてわかりましたら、ご報告申し上げます。 ◯西田委員 資料がお手元にないということですけれども、とにかく前に取得したときの用地の価格、それから補助金ということで入っているわけではないわけでしょう。固定資産税評価額で全部統一して、今の時点の固定資産税評価額でやるということですから、かなり以前に買ったものや何かは、相当開きがあるんじゃないかというふうに思うんですね。ところが、そういうところに固定資産税評価額を上げることで、一挙にこの地代相当額というのがはね上がる。その差額に、税金なんて関係ないんじゃないですか。これは数字の上でしょう、計算上の話なんじゃないですか。  私の質問は、国の補助金はどういう計算で算出するんですか。 ◯吉田参事 法定限度額あるいはまた使用料限度額と、それに準じてございますが、法定限度額の算出におきましても、固定資産税評価額を使うことができるケースがございまして、そのベースが変わりましても、いわゆる当初の購入時の取得額とそれに対する国庫補助の割合、これは同率で算定がえできるということになってございます。  なお、地代相当額を当初の取得額で固定せずに、常に新しい価格で設定いたしますというのは、これは土地というものは償却するわけではございません。常に現在価格に、いわゆる利回りと申しますか、地代率をかけるのが地代の算定でございますので、その意味で法定限度額の算定は、取得時価か固定資産税評価額相当額か、いずれかその時点で高いものをベースに地代相当額を算出できるという規定になってございます。私どものこの使用料限度額は、固定資産税評価額、結果的には低い方の金額で統一するという仕組みでございます。 ◯西田委員 低いかどうかというのは、逆転現象というのも起こっていますから……。  国の補助金が、どういう計算で算出されるのかということも、今お聞きしたんですけれども、例えば江戸川の場合、二百五十万円というふうにおっしゃいましたけれども、この補助金の算出、どうやって出したかというのをお聞きしているんですが、ちょっとお答えいただけますか。定率とおっしゃったから、その率をいってくださってもいいです。 ◯吉田参事 補助率三分の一でございます。 ◯西田委員 要するに、固定資産税評価額の三分の一の定率で計算されて、二百五十万円というのが出されている。そうしますと、この固定資産税評価額が上がれば、自動的に国の補助金の額というのも、計算上は上がってくるわけですね。ですから、国の補助金は、実際にこの計算に基づいて東京都にお金が来ているということにはならないんでしょう、どうですか。 ◯吉田参事 実際の金額とはギャップがございます。 ◯西田委員 これは計算上のことなんですよね。実際には、お金の出入りはない。税金が動いているわけでも何でもない。こういう計算上のものを根拠に、どうしたら都民の税負担が、などということができるかというふうに思います。しかも、その地代相当額の算出というのは、固定資産税評価額に一定の率を掛けて、つまり利息に該当するものを充てて積算していますよね。これは公営住宅法の法定限度額の考え方であるわけですけれども、今回の江戸川だとか、いろんなのも出していただいたら、全部〇・〇六、つまり毎年六%ずつ掛けているということになっています。公営住宅に利息を掛けるというのがおかしいというふうに思うわけですけれども、公社に対して、東京都は利息分の補助を行っていますけれども、都営住宅では利息分を掛けて地代を計算する。いずれにしても、年六%ということになれば、十七年で一〇〇%を超えていってしまいます。償却しない。それは、使えばもうかるという話をさっきなさいましたけれども、実際には税金で買ったものは、その買った金額というのは、こういう形でどんどん掛けていけば、本当に十七年で一〇〇%を超えてしまうわけです。  では、それ以降のこの地代相当額というのは、一体何なんでしょうか。丸ごと収益じゃありませんか。税金で賄われている、こういわれますけれども、結局家賃で賄われているんじゃないですか。もちろん、全く税金が使われてないなんて私は申し上げる気はさらさらありませんけれども、長い間家賃を払い続けて、そういう昔買った土地の償却なんというのはとっくに終わっているという形になって、今度の減額だって、負担の多くなる人の家賃の分で減額していくという考え方だって成り立つんじゃないかというふうに思います。いつから東京都が不動産屋になったのかというふうに思いますけれども、本来自治体は、やっぱり住民の福祉の向上に責任を負っているんだと思うんですね。私どもは、「新・日本経済の提言」というものを発表いたしました。その中で、さっきもちょっといいましたけれども、住宅は福祉という立場を明らかにして、こうした立場に立てば、本当に低廉な家賃で住み続けられる公営住宅を大量に建設して、希望する人が入れて、安心して生活が送れるようにするということが基本の立場にならなければいけないんだというふうに思います。  そういう点から見ても、今回の提案というのは全く逆さまの、本当に適正管理とか都民の税金などということで、実はそのからくり、仕組みを見れば、必ずしもそうとはいえないような中身もいろいろあるわけで、結局公営住宅に市場家賃を持ち込んで、本当に住民を追い出して、市場家賃と一緒になったら、何も都営住宅じゃなくったって、民間の住宅でいいという方がいっぱいいらっしゃるわけですから、知事がおっしゃるように、そうなれば、何も都営住宅に入りたいなんという人はいなくなる、ということを目指して、今度の家賃制度の改定が行われているというふうにいわざるを得ないと思います。  そういう点で、私はこの都民の住宅問題を解決するためにも、都営住宅の大量建設をこそやるべきですし、そして残念ながら、それは一遍にできないわけですから、民間住宅に住まざるを得ない、本当は都営住宅に入居する資格があるんだけれども、民間住宅に住まざるを得ない、こういう方々に対して家賃補助を実施をすべきだということを代表質問でも申し上げましたし、これまでも繰り返し繰り返しいっているわけですけれども、そういう立場に立って、最後に再度、この制度の撤回を申し上げて、質問を終わりたいと思います。 ◯長尾委員 東京都営住宅条例の一部を改正する条例についてご質問いたします。  まず、今までも西田委員から大分公営住宅法の話が出てきたので、起承転結ということで、一番最初、基礎的な部分でいろいろ確認したい部分がございますので、それをお願いしたいと思います。  まず、公営住宅法の第一条及び今度のこの改正に出てまいります十二条及び改正のための要件としての十三条、これをちょっとお読みいただきたいと思います。 ◯竹内管理部長 公営住宅法の第一条でございますが、「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」  次に、第十二条でございます。「公営住宅の家賃は、政令で定めるところにより、当該公営住宅の工事費(当該費用のうち国又は都道府県の補助に係る部分を除く。第十三条第三項において同じ。)を期間二十年以上、利率年六分以下で毎年元利均等に償却するものとして算出した額に修繕費、管理事務費、損害保険料及び地代に相当する額(地代に相当する額については、土地の取得若しくは使用又は宅地の造成につき国若しくは地方公共団体から補助を受け、若しくは通常の条件より有利な条件で土地の譲渡若しくは貸付けを受けた場合又は国から次条第一項の規定による補助を受けた場合においては、政令で定めるところにより算出した額を控除するものとする。第十三条第三項において同じ。)」及び公課を加えたものの月割り額を限度として、事業主体が定める。  二項といたしまして、「事業主体は、前項の規定にかかわらず、収入が著しく低額であることその他特別の事情がある場合において家賃の減免を必要とすると認める者に対して、家賃を減免することができる。」  三項につきましては、「前二項に規定する家賃に関する事項は、条例で定めなければならない。」  次に十三条、「事業主体は、次の各号の一に該当する場合においては、条例で、第十二条の規定による家賃(敷金を徴収している場合においては、敷金を含む。以下この条において同様とする。 )を変更し、又は第十二条第一項及び第二項の規定にかかわらず家賃を別に定めることができる。」
     一号、「物価の変動に伴い家賃を変更する必要があると認めるとき。」、二号、「公営住宅相互の間における家賃の均衡上必要があると認めるとき。」、三号、「公営住宅について改良を施したとき。」、二項につきましては、「事業主体は、前項の規定により第十二条第一項に規定する限度を超えて家賃を定め又は変更しようとするときは、公聴会を開いて利害関係人及び学識経験のある者の意見を聴いた上、建設大臣の承認を得なければならない。」。 ◯長尾委員 二点目は、資料を要求いたしましたイギリスにおける公営住宅の払い下げ事例ということについて、イギリスのサッチャー政権が公営住宅の払い下げを積極的に行っているんですけれども、イギリスの労働党が進めてきた公営住宅の先進地であるこのイギリス、これにおいての公営住宅の基本的な考え方、これをお示し願います。 ◯村上住宅政策担当部長 イギリスにおける公営住宅に相当するものは、我が国の公営住宅制度とは大分趣を異にしておりまして、特段所得階層を限定するような考え方には立っていないようでございます。そういう上で家賃につきましては、基本的には、民間のベースで供給される家賃と変わらない形で設定されているようでございます。  それからまた、低所得の入居者に対しては、その家賃の割引という形で、収入に見合った負担になるように工夫がされているようでございます。そういうふうに、我が国の公営住宅制度は低所得者ということで限定しておりますが、イギリスの場合は、広く階層を対象にしているというような状況でございます。 ◯長尾委員 今の、最初に二つお聞きしたのをベースに質問してまいりたいと思うんですけれども、まず、イギリスが公営住宅制度二百六十万戸あるのを、サッチャーさんが一九八〇年の公営住宅法でどんどん払い下げて、今百二十六万戸ですか、払い下げている。これと、住宅政策の先進地であるイギリスにおいての住宅のあり方の基本的な考えは、今部長がおっしゃったように、全イギリスの四〇%が公営住宅といわれていますけれども、それの半分をもう払い下げている。この住宅政策と福祉に関する家賃補助制度というのを、はっきり分けているのがイギリスの特徴であると思います。今回の東京都の都営住宅というのは、基本的にこれが一緒になっている、これが東京都の家賃制度の特徴だと思います。  まず、公営住宅法で住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与するというこの福祉の方面、これをこの公営住宅法ではいっているわけなんですけれども、この部分がイギリスと一番違うことで、私は、イギリスがこういうふうにどんどん払い下げを行って、持ち家制度を行っていることに関して資料を要求したわけなんです。  実際に、資料要求の第一番の都民の定住意向と持ち家取得の意欲ということで、東京にずっと住みたいという人が七七%、あなたは持ち家を持ちたいと思いますかというので約七五%、しかし持てますかというと、持てると思うというのが四〇・七%、持てないが五二・五%、こういうことで、平成五年度における都営住宅の退去者の状況として、今資料こちらにあるんですけれども、退去者六千七十名のうち、移転先の記入のあった方のみの集計で二千八百八人の方から回答をいただいた中で、持ち家に移られた方が千四十二件,持ち家の中で中古に移られた方が七百十五件、賃貸の新築に移られた方が三百四十三件、中古に移られた方が七百八件、計二千八百八件の方、この方々が持ち家で約半分以上、千七百五十七戸移られていっているわけです。  都営住宅の基本的な考えとして、都民の共通の財産であるということで、先ほどお答えがありましたけれども、収入が増大して収入超過になった場合に、明け渡し努力義務や明け渡し義務が課せられております。また、収入超過にならないまでも、人生設計の途中で都営住宅に入居している間に貯蓄などして、持ち家や公営住宅以外に転居された方、今お話し申し上げたように二千八百八件のうち千七百五十七件の方が移られているんですけれども、東京の場合、全国と比べると大変住宅事情が厳しいんですけれども、東京の公営住宅と全国の公営住宅との管理戸数に対する空き家公募の割合、この割合がわかりましたらお願いしたい。 ◯竹内管理部長 五年度末におきます全国の管理戸数の集計がございませんので、四年度末における管理戸数で申し上げます。全国の公営住宅の管理戸数は二百六万七千百二十八戸で、これの空き家の公募戸数でございますが、十四万二千九百七十六戸で六・九%でございます。  都における管理戸数ですが、二十二万四千八百七十六戸で、空き家公募戸数は六千九百三十五戸、割合は三%でございます。 ◯長尾委員 こういうことで住宅事情が大変厳しいので、都民共有の低所得者向けの賃貸住宅としての都営住宅、これから持ち家、または中堅労働者向けの賃貸住宅への転居がなかなか行われにくい。しかし、少しでもみんなやりたいということが先ほどのデータで出ておりますけれども、中堅勤労者に対する都民住宅の供給、これが今の東京都の政策なんですけれども、都民住宅の供給は、今後どういうような形で、この住宅政策の中で位置づけていくのか、お教え願いたいと思います。 ◯廣瀬開発調整部長 都民住宅につきましては、従来から都や住宅供給公社が直接建設する方式と、公社が民間で建設した住宅を借り上げる方式によって供給を推進してきたところでございますが、昨年度はこれに加えまして、法人施行型、すなわち民間で建設した住宅を、都が指定する法人が管理する方式を取り入れたところでございます。本年度の当初予算におきましては、計画戸数を、昨年度に比べ二千五百戸増の六千二百戸と大幅な戸数増を図ったところでありまして、今後とも、多様な供給手法を活用しながら、都民住宅の供給に努力してまいりたいと考えております。 ◯長尾委員 今度、家賃の決定の問題の方にいきたいと思うんですけれども、先ほど十二条の、家賃の決定は政令で定めるところにより、当該住宅の工事費を期間二十年以上、年利六分以下で毎年元利均等に償却して算出した額に修繕費、管理事務費、損保、地代に相当する額及び公課を加えたものを月割り額を限度として、事業主体が定めることができる。先ほどから西田委員、佐々木理事から、この地代に相当する額という、ここで大分議論がございましたけれども、この地代に相当する額に関しての規定というのが、施行令にあるのでしょうか、ないのでしょうか。 ◯吉田参事 施行令の第四条の第五号に、地代に相当する額は、次に掲げる表の上欄に定める区分に応じて、それぞれ中欄に定める額から下欄に定める額を控除した額を年額とする、以下三つの表がございまして、これでほぼ算出方法が定められているものでございます。 ◯長尾委員 それで今回は、地代に相当する額が固定資産税にという部分が、今の表の三つの中に入っているということですか。 ◯吉田参事 近傍類似の土地の固定資産税評価額に相当する額に百分の六を乗じた額というケースが記載してございます。これは、法定限度額の地代相当額を算出する場合、いわゆる土地の取得そのものの時価を採用するケース、あるいはまたこのように固定資産税評価額を採用するケース、あるいはまた借地等の場合には、その借地そのものの地代をそのまま地代相当額とするケースとかいろいろございますが、法定限度額は、そのいずれかすべて高いものを必ずとるというのが法定限度額でございます。  選択の余地はないわけで、高いものをとるのが法定限度額でございますが、先ほどから申し上げておりますように、法定限度額をそのまま使いますと、例えば多摩の方は、取得した土地に都営住宅を建てたということで、最近取得した高い時価相当の用地費で地代相当額が計算される。逆に都心の、戦前から都有地として、建っていたようなものは、それは固定資産税評価額で算定される。 都心でも固定資産税評価額の方が多摩の時価よりも低いということで、いわゆる逆転が生じる。そこで固定資産税評価額に統一するということにしたわけでございます。 ◯長尾委員 固定資産税の百分の六というのは、先ほどの六%、六分ということだと思うんです。 固定資産税を充てるというのが書いてあると判断してよろしいんでしょうか。 ◯吉田参事 先ほど申し上げましたように、固定資産税評価額に相当する額ということで、この公営住宅の敷地には固定資産税はかかっていませんし、当然評価もございませんので、近傍類似の土地の固定資産税評価額に相当する額をその土地の評価額とみなして、百分の六の地代率を掛けて算出せよという定めでございます。 ◯長尾委員 今いただいた資料の一六ページに、現行制度と新しい制度の都営住宅使用料負担決定の仕組みというのがあるんですけれども、これの一番下に平均使用料限度額五万円というのが、平均的な使用料の第一種住宅の例としてあるんですけれども、現行で平均的使用料第一種住宅の例の法定限度額は幾らでしょうか。 ◯吉田参事 大変申しわけございませんが、今回の新しい制度におきましては、使用料限度額につきましては、一種五万二百五十一円、それを丸めまして、先ほどの表は五万円と記載してございますが、これにつきましては、個別個別につきましては、コンピューター上それの法定限度額と対照し、法定限度額の範囲内ということで作業してございますが、今回、その使用料限度額を正式なデータとして使いますので、法定限度額の平均額を出してございませんので、若干これを上回るものだと考えてございます。 ◯長尾委員 若干上回るというのは、現行がこの五万円よりか上回るというお答えでよろしいんでしょうか。 ◯吉田参事 さようでございます。 ◯長尾委員 すると、現行制度での平均的な第一種住宅の法定限度額が五万円、新しい場合も五万円、これで判断してよろしいですね。 ◯吉田参事 失礼いたしました。現行では──使用料限度額という概念は新制度でございますので、新制度から用いているものでございます。若干上回るというのは、法定限度額そのものは、使用料限度額を定めるに当たって、それの上限額、いわゆる公営住宅法が定めている法定限度額の範囲内において、この使用料限度額を定めるわけでございます。使用料、家賃は、この使用料限度額の範囲内でまた定めるわけでございますので、今回はこの使用料につきましては、この使用料限度額の範囲内であることを計算してやっている。  ただし、この使用料限度額そのものは、コンピューター上は、法定限度額との対応もまたしているという形になってございまして、大変申しわけない、ちょっと今手元にございませんが、平成三年の法定限度額等につきましては、今ちょっとデータを探してみたいと思います。 ◯長尾委員 それじゃ、データが出るまで、ちょっとほかの質問をしたいと思います。  次は、十三条で算出した変更の根拠として、第一が物価の変動、これには先ほどリンクしないんだというふうにお答えになって、二番目の住宅相互間における家賃の均衡上必要があると認められるというので、先ほど部長は、公営住宅の「公営」を抜いたんですけれども、公営住宅を入れた場合、今回の民間住宅との格差ということでなく、この法律上からいう公営住宅相互間における家賃の均衡が明らかに崩れていると判断してよろしいんでしょうか。 ◯吉田参事 先ほど「公営」という文字を省略で読み上げたわけで、あくまでも十三条の第二号は、公営住宅相互間の均衡でございまして、いうならば都営住宅の相互の均衡で、今回の制度改善も、過去の住宅使用料の改定も、全部その都営住宅相互の均衡でやっているわけでございます。 ◯長尾委員 この法律、あんまり詳しくは読んでないんですけれども、これは他都市の県営住宅とか、公団公社という公営住宅との比較ということじゃないですか。 ◯吉田参事 実際に、そのような運用をしているかどうかはわかりませんが、条文上はお互いの、相互の、他県の、例えば県営住宅と都営住宅を比較する、それは可能だと考えてございます。 ◯長尾委員 先ほどほかの公営住宅、公共住宅として、平均家賃が五万二千円だというようなお話に、記憶まだございますか。平米二千八百八十五円、民間が七千八百八十二円で、家賃が平均が十四万三千円、公共については、同じような場所で二千八百八十五円で、家賃が五万二千円だと先ほどお答えになったんですけれども、これと平均使用限度額五万円ということで、公営住宅相互間の家賃に均衡の必要が認められるということから考えると、先ほどの五万二千円と、今の限度額家賃との関係はどういうふうに──意味わかりますか。 ◯村上住宅政策担当部長 先ほど熊本理事のご質問にお答えいたしましたものは、平成四年の小売物価統計調査年報によるというふうに出典を申し上げましたが、この調査はサンプリング調査でございまして、そういう意味で一戸一戸の住宅の家賃なり、あるいは入居者の負担といったものをつまびらかに調査したものでもございませんで、物価の総体的な動向などをはかるために行っている調査の中で公社住宅あるいは公団住宅、これはいずれも公営住宅法にいう公営住宅ではございませんけれども、それらと公営住宅法にいう公営住宅などを一括して、公共住宅ということで調査を行ったものでございまして、あくまでもそのねらいが、物価動向などを大まかにつかまえるという意味でのサンプリング調査のデータであるということでご理解いただきたいと思います。 ◯長尾委員 それはそれとして、この法律上の十三条での住宅間相互、特に公営住宅間相互における家賃の均衡上必要があると認められていることに関しては、ちょっと私と事務当局との考え方が違うんですけれども……。  話は今度変わりまして、11、都営住宅等の管理に要する経費の推移ということで資料要求したんですけれども、管理戸数が、平成元年が二十四万四千八百二十、平成六年度、これは予定で二十五万三千四百六十、ふえた戸数が八千六百四十戸、三・五%増でございます。管理経費が、平成元年が三百二十九億八千万円から平成六年度四百四十三億四千万円、百十三億六千万円と三四%もふえている。先ほど百五十億の増収になるというんですけれども、環境整備とかいろいろ使うというお話なんですが、毎年三十億近い増加になって、先ほど佐々木理事から住宅供給公社への委託をしている、第三セクターに委託をしているということなんですけれども、普通三セクに委託すると管理経費は落ちるはずなんですが、これらの管理経費の増大、この件に関して、今後ともこういう伸びをするのかどうか、ちょっとお聞かせ願いたい。 ◯竹内管理部長 管理戸数につきましては、建てかえ等によりまして減になるもの、そして建てかえ後の増、それと新設という動きがございます。そういう意味では、古いものが新しくなるということで、家賃も上がっていくわけでございます。したがいまして、管理経費につきましては、その新しい家賃につきまして、法定限度額で修繕費等を計算いたしますので、金額が、新しい住宅がふえるごとにふえていく分が、かなり大きな要素になってございます。 ◯長尾委員 ちょっと問題提起として出しておきますけれども、先ほどのお答えが来ないようなんで、私の基本的な考え方を申しますと、先ほど都営住宅の法定限度額と総額と使用料の総額との比較のお話が出ました。それから、その前の13、都営住宅における建設原価から算定した使用料、現行使用料、使用料限度額及び新しい使用料の比較ということで、建設原価から算定した使用料、この月額が、平成元年として十三万五千六百六十四円、ここで、現行使用料が五万二千五百七十五円、使用料限度額が七万一千四百三十六円、新しい使用料が四万九千七百三十三円。現行使用料、また新しい使用料ともにこの建設原価から、約八万または九万ぐらい引いて使用料を設定しているんですけれども、私はこれが本当の政策家賃かな、こう感じております。  要するにこの法定限度額、新しい使用料の額が政策家賃であって、それから、法定限度額から総額と使用料を引いた額、すなわち全住宅の法定限度額の総額が千二百六十八億、全住宅の使用料の総額が七百五十四億、差額が五百十四億というのは、私はこれはイギリスでいう家賃補助、要するに政策家賃ということでなく、個々に対する家賃補助が、東京都として五百十四億円別枠として家賃補助している、こういう認識に立たないと、この住宅の考えは都民には非常にわかりにくい、こういうことだと思います。  私はそういう意味で、実際は製造原価というか、建設原価よりもディスカウントして設定したのよりも、その人の収入によって家賃設定をしていく今回のやり方は、反対にイギリスでいう補助金制度、各収入による補助金制度を個別にきれいに分けたんだ、私はそういう理解をしたら、今回のこの家賃改定が非常にわかりやすかったわけです。  私も市議を二期やって、都議一年目なんですけれども、今回のこれもなかなかわかりづらかったです。そういう意味でPRがへたなのか、非常に難しい算定の仕方なのか、都民には見えない。先ほど曽根さんが、居住者にはなかなかわからないんだというのは、僕はこれは確かだと思います。 そういう意味で、もっとよくPR──法定限度額が、まず政策家賃として設定されていて、それから先は個々の人に対する補助家賃という福祉の部分である、住宅は福祉だということなんですけれども、私は本当の福祉の予算は、この五百十四億のお金のような気がいたします。  それで、都営住宅の収入超過者がたくさんいらっしゃるということなんですけれども、先ほど五十嵐委員が都民住宅、これをもっとあっせんするべきだというお話をされたんですけれども、この都民住宅への優遇措置を、もうこの際はっきりと打ち出すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。 ◯廣瀬開発調整部長 都営住宅の収入超過者に対して、都民住宅への入居についての優遇措置を講ずるには、都民住宅制度の定着と一定量の供給ストックが必要でございますが、ご指摘の趣旨を踏まえまして、今後実施に向けて検討してまいりたいと考えております。 ◯長尾委員 最後に、先ほど空き家公募戸数の、全管理戸数に対する空き家が、全国が六・九に対して東京は三%である、こういうことなんですけれども、特に東京は、先ほど四十六万戸の人がこの空き家を待っている、こういうデータを出されましたけれども、東京の住宅事情は大変厳しいということで、これを考えると、公営住宅の入居収入基準が全国一律に決められていて、これが大変不合理であると佐々木理事がおっしゃいましたけれども、特に地域の住宅事情を考慮して、特に東京については、公営住宅の入居対象者の範囲の拡大を強く国に働きかけるべきだと思うんです。過去にもされていると思うんですけれども、これからも一層働きかけを行うべきだと思うんですが、最後に局長のご決意をお聞かせ願いたいと思います。 ◯中嶋住宅局長 公営住宅の入居収入基準につきましては、政令によりまして、全国一律になってございます。東京都におきましては、これまでも国に対しまして、東京における所得の水準や住居費の水準等を考慮いたしまして、地域の実情に合った入居収入基準を設定してほしい、こういう要望をしてまいりましたが、今年度もひっくるめまして、今後とも引き続き、国に対し強く働きかけてまいりたいと考えております。  それから、公住法の十三条の規定等にかかわる質疑がなされておりましたけれども、先ほど西田委員の質疑で、私、答弁に立つ機会がございませんでしたので、ちょっと補足をさせていただきたいんですが、先ほど公営住宅に入っている高額所得者を含めた入居収入基準超過者が明け渡しに応ずる、応じないが公正の問題にかかわるというような話がございまして、若干私どもの関係部長の答弁が徹底しておりませんでしたので、誤解を招く危険性がございますので、ちょっと補足をさせていただきたいと思います。  私どもはあくまで家賃負担について、公正かつ適正な家賃負担の実現を図るということをいっているわけでありまして、入居収入基準超過階層が直ちに明け渡しに応じないことをもって、公正云々といっているつもりはございません。それで特に、昨年の六月三十日に、建設省の住宅局長から都道府県知事あてに、「公営住宅の収入超過者及び高額所得者に対する措置について」、こういう通達が出されておりまして、その中で収入超過層等に対する割り増し家賃あるいは家賃の求め方について、法の趣旨をもひっくるめて述べられておりますので、若干説明をさせていただきたいと思います。  標記で、現在においてもなお、多数の低額所得者が公営住宅への入居を希望している一方で、低廉な家賃で公営住宅に入居を継続している収入超過者及び高額所得者が累増しているという状況があり、公的援助の公平性、効率性の観点から、その一層の適正化を図ることが喫緊の課題であると。公営住宅は住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃で賃貸住宅を供給することを目的として建設されているものであり、その趣旨から、公営住宅法において、収入超過者及び高額所得者に対する措置等についての規定がなされているんだと。それで、記書きの中で、適正な割り増し賃料の徴収についてということで、割り増し賃料は、公住法第十三条第三項に規定する月割り額──以下法定限度額──に割り増し倍率を乗じた額まで徴収することができることになっているが、実際には法定限度額よりも低額に設定された家賃に、単に割り増し倍率を乗じ、割り増し賃料を徴収している事業主体が多く見受けられると。ここから先が肝心なんですが、公営住宅の本来の施策対象層ではなくなった収入超過者及び高額所得者からは、市場家賃等に照らし、適切な家賃負担を求めるという法の趣旨を考えると、このような取り扱いは妥当とはいいがたいと。で、入居者の収入に応じた公平な割り増し賃料等の体系とするため、今後は原則として、次の方法により割り増し賃料等の徴収を図ることということで、各号列記の中で、私どもは、今回ご提案申し上げているような内容の割り増し賃料並びに使用料の算定方法をとるべきことが求められているわけでございます。したがいまして、あくまでそういうことで考えますと、収入超過層等については、市場家賃等に照らし、適切な家賃負担を求めるというのが法の趣旨でございますから、そういった内容になっていない現行の家賃制度は、逆にいいますと、法の趣旨から見て問題であると、こういうことでございますので、念のため発言させていただきました。 ◯中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。  本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯中山委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。  以上で住宅局関係を終わります。  これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。    午後八時十分散会...