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  1. 東京都議会 1961-03-08
    1961-03-08 昭和36年第1回定例会(第3号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後二時二十四分開議 ◯副議長(加藤千太郎君) これより本日の会議を開きます。      ━━━━━━━━━━ ◯副議長(加藤千太郎君) まず議事部長をして諸般の報告をいたさせます。    〔田中議事部長朗読〕 一、議案送付通知 二、議案誤植訂正通知 三、特別区執行委任予算に関する監査結果報告(葛飾区より三件)      ━━━━━━━━━━ 三六財主議第七〇号   昭和三十六年三月八日                           東京都知事  東     龍  太  郎  東京都議会議長 村 田 宇 之 吉殿    議案の送付について  昭和三十六年第一回東京都議会定例会に提出するため、下記議案を送付します。    記 第百三十七号議案 昭和三十五年度東京都競走事業歳入歳出追加予算      ───────────── 三六財主議収第八九号   昭和三十六年三月八日
                              東京都知事  東     龍  太  郎  東京都議会議長 村 田 宇 之 吉殿    議案の誤植訂正について  昭和三十六年第一回東京都議会定例会に提出した議案について、下記のとおり訂正方お取り計らい願います。    記 一、第百号議案 東京都立病院条例付則第三項中「この条例による東京都立墨田病院」を「この条例によるる東京都立墨東病院」に、 一、第百十一号議案 東京都中小企業施設改善資金貸付条例の一部を改正する条例中、「一千万以内」を「一千万円以内」にそれぞれ訂正する。      ─────────────    特別区執行委任予算に関する監査結果報告(葛飾区より三件) 昭和三十五年例月出納検査    十 月分  葛飾区    十一月分  葛飾区    十二月分  葛飾区   (報告書省略)      ━━━━━━━━━━ ◯副議長(加藤千太郎君) この際日程の追加について申し上げます。本日知事より第百三十七号議案、昭和三十五年度東京都競走事業歳入歳出追加予算が提出されました。これを本日の日程に追加いたします。      ━━━━━━━━━━ ◯副議長(加藤千太郎君) あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。  昨日に引き続き質問を行ないます。二十八番坂本重次郎君。    〔二十八番坂本重次郎君登壇〕 ◯二十八番(坂本重次郎君) きのう大方の質疑が終わりましたが、私の考えています点で知事並びに建設局あるいは首都整備局、清掃局、教育庁、警視庁の五つの問題でお尋ねしたいと思います。  きのうの答弁で知事が東は東京の知事であり、日本の知事だという力強いお言葉をちようだいしたので、私は三十六年度の予算の消化について、非常に安心感を持つたのでありますが、その一つ一つについてはお尋ねいたしません。総括的にお聞きしたいと思います。  あれだけの膨大な予算を消化していくのに、現在の職員ではたして足りるかどうかという問題であります。私は今の知事のきのうのお言葉のように、運命の年であり生涯をかけた事業でありますけれども、その知事の情熱がはたして一般職員に徹しておるかどうかということであります。私は現在の職員の状態を見ますと、最もすぐれた優秀な職員だけであるが、この東京都の雰囲気の中に入ると、いつの間にか慢性的になつて、その最初の緊張味を欠いておる、こういうことを痛感します。知事は就任当時に各局をおまわりになられたようですが、その後の職員の勤務ぶりを見ておるかどうか、私は一昨年知事の立候補に対して全面的に推しました。そして知事自身がいつでも、明るい東京都、住みよい都を作るんだ、こういつておりますが、知事の気持が職員全体に通つておるかどうかということは疑わしい。  一つの問題を取り上げましても、今度の都市計画そのものが、きのうもお話がありましたが、都市計画を遂行していくんだ、こういいますが、その目途がどこにあるか、なるほど都市計画は推進されております。ただ現実にこういうものを作るんだということは出ていない。たとえていうと、戦災を受けた東京都が、前知事の安井さんが大きな構想の下にやられた、あの戦争中強制疎開をやつた大きな面積をあのまま取り入れて都市計画をやつたら、立派な東京都ができあがつたんじやないかと思いますけれども、現在は強制疎開を受けた以外の者が再び都民の、あるいはそういう関係者にそのまま使用されているような状態である。しかも戦災復興、土地区画整理を政府の下にやつたんですが、安井さんはこの区画整理は五ヵ年で完成するんだということでありましたが、十五年たつた今日、まだこれが完全に行なわれていない。しかも残つておる。残つているばかりじゃない。その事業のある程度を打ち切らなければいけない。これは打ち切る方はいいでしよう。都合で予算関係、あるいは仕事の遂行上できないからといえばいいかもしれませんが、おかれた都民がどれだけ苦しむかをお考えになつたかどうか。こういう点を考えてみると、知事が三十六年度に膨大な予算を計上して、オリンピック知事とはいいませんが、東京都の都市計画を進めていくんだといいますが、はたしてそれが消化できるかどうかということであります。これをまずお尋ねしたい。  それから知事に直接関係がありますからお尋ねしますが、先般オリンピック組織委員会で埼玉県の朝霞村に選手村が決定されたことであります。ところが東京都内にも渋谷区を中心としての選手村設置に対しての猛烈な陳情、あるいは請願がありました。先般ローマへ行かれた方々がローマの選手村についても、十分ご視察になつて帰られた。最初の計画は相当郊外に置かれた。しかしそれでは選手そのものの疲労が非常な犠牲を与えるので、すぐ隣りのところに選手村を作つたと聞いております。こういうことを考えると、一面予算消化の不安もありますが、東さんは東京都知事であるんだから、埼玉県の知事とは違う、東京都にそういう優秀なものがあつたら、少なくもここにある程度の関心をもたれてはどうか。知事の立場から組織委員会に対して強力に推し進めるべきじやなかろうかと考えます。これについて知事は、渋谷のワシントンハイツを選手村としてのお考えがあるかないか、そういう構想があるかないかということをお尋ねいたします。  先ほど触れた職員の問題でありますか、私は今東京都を一つの営利会社とたとえてみたならば、あらゆる会社が最新の科学的基基礎の下にどこでもタイムレコーダーを置いておる。東京都でも各局にタイムレコーダーをつけたらどうか。課長なり係長なり部長、局長の時間なんてのはほとんどでたらめなんだ。これではたして知事の情熱が浸透しているかどうか疑わしい。どうでしようか。各局にタイムレコーダーをつけて、はつきり出勤、退庁を表わし、そして仕事のしつぷりを見る。先年教職員組合に対して勤評をやるときには反対したんですが、職員自体に勤評をつけたらよかろう。そうして優秀な人をどんどん抜擢していつたらよかろう。そして新しい都知事の情熱を傾けていくのが当然じやないかと思いますが、そういう考えをおもちになるかどうか、これから実現する可能性があるかどうか。知事でなくとも、担当理事者でけつこうであります。そういうことをお聞きしたい。  もう一つは、私は三十年に当選して以来ずつと見ておりますが、各局から年々相当の外地の視察に参つております。先般私が知事にあなたの考えている通りの何か文字を書いてほしいといいましたら、「厳然自隶」という四つの文字を書いて下さつた。本当に私は知事がああいう考えをもつていると思いますが、しかしやつていることはそうじやない。むだな費用をどれだけ費しておるか。一年に何十人やつているかわからぬ。しかも近い例が、先般やめられた武田下水本部長あたりがあります。外地へ行つてきてすぐやめてしまう。そういう人を遊山半分にやつてどうなるかということです。もつと適材を重点的に視察をさしたらどうか。この前も私が安井知事のときに清掃局の三木局長にそういつたことがありますが、三木局長自体が欧米を回つてきましたけれども病気にたおれた。その施策を今の清掃局がやつておるかやつていないか。おそらくやつていないと私は思う。やつておればもつと能率があがる、都民が安心して台所のゴミなんかを全部おまかせできると思うんだが、惜しいことにその域に達していないということであります。  清掃局の問題になりましたからもう一つ申し上げますけれども、石神井に作つた塵芥焼却場が東洋一と呼称している。私は局長にもしぼしぼいつている。あれを外国の焼却場に比べうと、子供のオモチヤみたいだ。これをもつて東洋一と安心しているようでは、知事がいう明るい清い東京都はできないと思う。清掃局の予算を見ましても、三十二年度以来大した増額をされていない。こういう面を見ても、はたして知事がいう明るい東京都ができるかどうか、安心ができない。  東京都の状態を見ますと、昨年も問題になりましたが、河川の清掃、あのどぶのような隅田川、あるいは大小幾つもの河川がある。ところが東京都内の河川はほとんどどぶと同じ、下水と同じ状態になつておる。一つの例が、私が渋谷川の問題を四年前に取り上げて、この川にフタをしよう。暗渠にしようということを申し上げた。そのときの河川部長が、渋谷川だけではない。東京都内にたくさんの川があります、これを一々暗渠にするには大へんなことだ、しかもこれが一つの見本になつて全国右へならえになりますから、河川法を改正しない限りはなかなかできません、こういう。それじや河川法を改正する意思があるかどうかといつたら、これは都市河川法というのを立案して、政府に進言して、そしてやるぞといつたんだが、かわつちやつたら全然やらない。渋谷川は準用河川でありますが、どぶと同じです。夏はあの上を通れない。こういうのは単に渋谷川だけではなく、太田区にもあれば世田ヶ谷区にもある。至るところにある。こういうことは、無責任な職員がおつては東知事がいかに情熱を傾けてもどうも安心ができないということを心配するのであります。もう少し職員全体が責任をもつてやるのでなければ知事が期待するような立派な都市計画は遂行できなかろうと考えます。  もう一つは首都整備局長にお尋ねしたい 旧東京の十五区はほとんど問題ありません しかし一歩十五区以外の新しい地域を考えてみますと、局長の下に建築指導部には監察課がある。あの状態をごらんなさい。毎日何十人という人が陳情、請願に押しかけておる、みな違反建築なんです。これをどう考えておられるか。この前も私局長に話しましたら、地元から陳情、請願してくると、それによつてこれを処理するという。そんな不親切なことはなかろうと思う。二十八年に出したあの法律、あれによつていくつかに分かれて布かれております。困るのは住宅地域であります。専用住宅が少しでも建つと、みな違反で処罰される。あれは少くも親心を持つて、なるほど二十八年から今まで見ると相当変つておるんだ、これはこういう工合に地域を変えていこうじやないか、変えてやろうじやないかという気持がなければ、新しい東京都はできないと私は思うんです。都民はみな知らない、こういうことをいうのです。これに対して局長がどういう考えを持つているか、これをお尋ねします。  それから教育庁の問題でありますが、これはきのう同僚の荒木君が触れたからやめますけれども、学校建築のことであります。最近中学校、小学校、あるいは高等学校の鉄筋校舎がどんどんできております。しかしこれを考えてみますと、一期にでき上がるべきものを一期、二期、三期と大てい分けている。そうすると一期の工事請負人と、二期、三期とみな違つてくる。そのためにここに非常なむだがある。さつきの外地の視察の問題と同じように、まず知事自体がむだを省くということに重点を置かれてほしい。今の学校建築に対しても、そのような意味で一期、二期、三期と分けてやると、ことし予算をやると、翌年、翌々年も予算をやることになる そういうことをやらないで、一ぺんにてきるような方法を考んられないかどうか。こういうことを教育長にお尋ねします。  それから警視総監にお尋ねします。昨年は皆さんご承知のデモに明け、デモに暮れたような年だつた。しかも私は労働組合の方々、指導者の方々に申し上げたいんだが、集団暴力、こういいたい。あの天下の公道をデモ行進をやつて、ジグザグをやつて、あらゆる交通を止めてしまうということです。こういうことでは口には平和国家を作る、平和憲法を守る、こういいながら、陰ではそういうことをやらしている。こういう組合のあり方、こういう労働組合の行き方がどんな影響を与えているか。単に都民だけではない。日本国民全体に与えている影響です。これをどう処置するか。これは総監にお聞きしたい。早い話が先だつて私は新島へ三回参りました。そして、あの共産党、社会党、総評のオルグが行つている状況を見ると、何にも知らないんです。ミサイルの正体というものはどういうものか知らない。知らずに騒いでいる。よく私どもがことわざに、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」といいますが、枯れ尾花にあわててやつておる。純心な島民をあおつておる。そうしてあんな騒ぎをやつている。きのうも梅津君がミサイルの基地といつているが、あれは基地じやないということがはつきりいつているのだな。ミサイル、飛翔体というものはどんなものか。これはここで同僚諸君にお伝えすることも一つの責任じやなかろうかと思う。むしろ新島のミサイル試射場を反対するならば、秋田県のあの海岸で糸川博士がやつているカツパー八号になぜ反対しないのか。あの半分のものを新島に持つてくるのだ。秋田県でやつている糸川博士のなには長さ十メートル六です。防衛庁のやつは六メートル二よりない。しかも中に何にも入つていない。先頭に電子計算機が入つているだけ。パラシユートと水上に浮くフロートをつけている。それを飛ばして落ちるところを観測する。それだけなんです。それをいかにも核弾頭を備えたミサイルを発射するのだということで、あの純心な島民をやつておるのです。こういうことも相当に考えなきやならないと思う。まあとにかく私は日本の労働組合の方々は指令一本で通つておるということをはつきりいい得る。これはぼくがいうんじやない。参考に読んで聞かせましようか。(梅津議員「自衛隊は警察予備隊といつたんだよ。君の方が知つているじやないか」と呼ぶ)まあ梅津君、君もね、中共なりソ連へ行つたんだから、向うのあり方を見ればそんなことはいえないわけだよ。黙つて聞けよ。──二月の十一日の朝日新聞の夕刊にこういうことが書いてある。──労組の指令。「外国の労働組合には、指令というものがない。せいぜい、勧告ていどだ。それも、よくよくの場合でないと出さない」イギリス、フランス、イタリアなどの労働組合を視察して、このほど帰国した総評の太田議長の談話である。──これなんです。向うではそういうものは全然出ない。最初は勧告する。組合員の一人々々が自分は組合の役員であるという立場からそれを検討し、そして団交に付し、それでいけなければストをやる。ところがご承知のように日本は指令一本でずつとやる。指令第何号でストライキをやる。もう春の闘争を始めようとしている。そういうことでははたして日本の国はどうなるかということを私は憂うる。従つて総監がそれに対してどういうお考えを持つているか、お尋ねします。  それから昨年幾多のデモがありましたが、過激な勤務、とにかく少数の警察官で全部が都民の治安を守つておる、この警察官のあの労苦に対して、現在の制度ではたして警察官諸君が満足しているかどうか。それに対して総監はどういう考えを持つておるか。これをお尋ねします。  もう一つは先般新しい道路交通法ができて、現在はどうか。あの当時は非常によくなつた。ところが最近またそれ以上の混雑を来たしておる。私は先年、警務消防委員をやつております。その委員会の席上で交通部長に幾多の問題を申し上げた。今のタクシーの空車で走る流しを禁止することはできないか。あるいはフランスのパリのように至るところに駐車場を設け、二台でも三台でも置かれる。そこへ行けば乗れるのだというものを置いて、流しを止めたらどうかということをいつた。パリあたりでは空車の流しは一つもない。ぼくは三月もおつたんだからよく知つている。駐車場以外で空車で乗せた場合は響られる。これがパリの実情です。そういうことをやる意思があるかないか、こういうことです。最近新道路交通法で処罰される者が幾らあるかわからない。おそらく駐車違反、スピード達反、もう毎日のように違反者が出ている。これは警視庁の責任じやない。この道路交通法を作つた審議会、あるいは政府がこういうものを押しつけて無理に都民を苦しめている。郊外、地方の農村ならかまわないが、都内に駐車する場所がない。その自動車の置き場所のない法律施行されて、都民が困る。これを今の陸運局あたりにまかしておかないで、総監が交通規制の一元化をはかる意思がないか。これをお尋ねいたします。  まだたくさん申し上げたいが、あとは自分の意見になりますからよしますが、以上の点に簡単でよろしゆうございますからご回答願います。それによつてまだやるかも知れませんが。(拍手)    〔知事東龍太郎君登壇〕 ◯知事(東龍太郎君) まず最初に三十六年度の予算、特にオリンピックを控えての大きな建設予算を含んでおります。そのような予算がはたして消化できるだけの体制が整つておるか。実際にそれを消化するに必要な人の数と質が、そのような消化を可態するということをはつきり示すような状態であるかというのがご質問の趣旨だろうと思います。もちろんこの消化にあたりましては、現在の人員数で十分だとは思つておりません。昨日もお答えの中に申し上げましたが、この大きな建設事業と、特に必要な用地の取得というふうなものにつきましては、今後必要にして十分だと思われるだけの人員と、そうしてまたそういう仕事に適した、質においても十分なような職員を増強いたしまして、そうして事に当るつもりでおります。またそれらを含めまして、都庁の職員全般の、一方においては服務規律、他方においては職務の能率、そういう点につきましては、これも率直に申しまして今現在の状態が最上であるなどとは私は申し上げません。幾多の欠陥、欠点がございます。そうしてすべての職員が現在のところ全部私と同じ気持で同じ方を向いて働いてくれているとも私は思つておりません。これはこのような多数の中におきますこういうような組繊においてはやむを得ぬことだと思うのでありますが、しかし私はすべての職員が私と同じ心で動いてもらいたいということを念願いたしまして、就任以来今日まで、私としてはできる限りの努力を尽しております。その結果、これは多少私のうぬぼれかも知れませんが、漸次その私の意図のように向かつてきておると思うのでありまして、それにはやはり相当の時間をかさなければなりません。私自身もでき得る限りの忍耐と寛容の精神で、都庁の職員があらゆる点において公務員、公僕として第一級のものであるということになるように、今後も努力して参りたいと存じております。それにつきまして、服務の点で、タイム・レコーダーを備えつけるのはどうか、あるいはまた職員の海外派遣等についてむだがあるではないかというご指摘でございます。これに対しましては私も今後十二分に配慮いたします。また注意もいたします。  それと関連と申しますか。オリンピック村の決定についての私の態度についてお尋ねがございましたが、オリンピック村が朝霞に決定ということに相なりましたのは、最終的にはつきりとこれが確認せられましたのは、昨年の十二月七日の第十三回の組織委員会でございます。これに至りますまですでに朝霞を第一の候補地と申しますか、選手村は朝霞に設置せらるべきものであるというふうな意思表示がせられ、またそれが印刷物として国際オリンピック委員会の委員の手に入りましたのは、三十四年五月のミュンヘンにおける総会の際でございます。それ以前から選手村の候補地につきましてはいろいろな組織において各方面から検討いたして、結論として三十四年の五月にそれが推薦せられたわけでありますが、もちろんその場合に考慮せられましたのはワシントン・ハイツと朝霞の二つてございます。その他にも幾多の候補地と称せられるものの推薦はございましたが、真剣に取り上げられましたのはこの二個所であります。この二個所につきましていろいろな角度から、たとえば土地の広さ、あるいは環境、あるいはまたワシントン・ハイツと申せ、朝霞と申せ、いずれも米軍の現在使用している場所であるということから、それらの土地の返還の見込み、あるいはその返還についての条件の有無、それから現在利用し得る施設がどの程度にあるか、また選手村として使用いたしましたあとの利用計画、もう一つは村から競技場へ選手を送り迎えする輸送の便、少くともこのような観点から両者についてそれぞれ研究がなされまして、その結果は一長一短と申しますか、どちらも文句なしにこの方がいいというようなほどの差はございません。ただしかしながら、選手村としてのいろいろな施設の点、すなわち広さの点、そしてまた将来の利用計画というふうな点から見ますと、朝霞の方がすぐれているということで、組織委員会の総会におきまして朝霞をもつて最適ということに相なりましたが、その決定に至るまでの相当の時間を要しましたその理由は、今の輸送の問題でございます。これにつきましては現在の道路網をもつてしてはとうてい所定の時間内に、所定の数の人を運ぶことは不可能である。もしも現在東京都が持つております道路計画、具体的に申せば放射七号、環状七号、放射四号、高速四号、それらの道路が完成するならば理想的な選手村になるということであります。その点について直接責任のあります東京都のこれに対する意見が最後まで尊重せられたわけであります。東京都がこの道路網を完成いたしますという最終的の回答をいたしましたので、昨年の十二月に朝霞村に決定いたしたわけであります。  以上がワシントン・ハイツと朝霞との間におけるオリンピック村としての決定の経緯でございますが、従つて形式的に申しますならば、東京オリンピック招致の当初から今日まで、オリンピック村として公式に候補地となりましたのは朝霞村だけでございまして、ワシントン・ハイツは常にその陰にあつて有力な候補地として論議をせられていた、そのような状態でございます。以上簡単ではございますが、私に直接お尋ねになりましたと思います点についてお答えを申し上げた次第であります。    〔首都整備局長山田正男君登壇〕 ◯首都整備局長(山田正男君) 十五区以外の周辺区の都市計画、主として用途地域あるいは空地地区の改訂の意思があるかどうかというご質問と存じます。都市計画の改訂につきましては、ご指摘の通り、この都市計画が改定されましてから相当の年月を経過いたしておりますので、社会情勢にも相当な変化がございます。そこで現在の社会情勢にマッチいたしますように、必要な個所について計画を改訂するために準備を進めております。十五区内につきましては現在具体的な改訂計画を立案いたしておりまして、近く結論に到達いたしたいと思つております。しかし周辺の区につきましては、今後その改訂計画立案に入るという順序になつております。いずれにいたしましても特に周辺の区におきましては、建築違反の行為が非常に多いのでございます。しかし法律があります以上は私どもといたしましてはこの法律をぜひ守つてもらいたい。そこで法律を守つていただくにつきましては、従来の建築基準法の適用の仕方が場合によりましては必ずしも妥当でない。少し規制がきつすぎやしないか、こういう面もございますので、私どもといたしましては謙虚な気持で従来の用途地域あるいは空地地区、そういうものの改訂をいたした上で、その後は取締りを特に厳重に進めていきたいと、こう考えるのであります。また法律の面につきましては建築基準法は非常に市民にはわかりにくい法律でありまして、たとえて申しますならぽ、同じ住居地域については建蔽率の六割という制限がございますが、その上に空地地区とかあるいは準防火地域とか、そういう適用がございますとまた二重に建蔽率の制限が出てくる、こういう制度でございます。この際建築基準法を改正いたしまして、大都市向きな容積的な建築基準法を作つてもらいたい、こういうことで実は目下国と協議いたしておりまして、できうれば今国会に提案され可決されることを期待いたしておるのであります。いわゆる容積制度でございます。周辺区の住居地域について申しますならば、従来は建蔽率の制限が二重にかぶつております。こういうことを改めまして、容積制度にいたしまして、一定の容積の範囲の中では各人のお好みによりまして、平家をお建てになりたい方は平家、二階をお建てになりたい方は二階、こういうふうになるようにいたしたい。容積制度にいたしますと、一定の幅をもつてその中に住む人の自由な建築ができるということになるのでございます。こういうような措置によりまして、極力都民の皆さまにわかり易い制度に改訂していきたいと、こう考えておるのでございます。    〔警視総監原文兵衛君登壇〕 ◯警視総監(原文兵衛君) お答えいたします。  第一の点でございますが、昨年のいわゆる安保闘争のデモでもつて交通等が非常に麻痺して都民が非常に迷惑をこうむつたが、今後どうするかということでございます。警察といたしましては、もちろんデモが合法的に行われる限り、これにどうこうという考え方は持つておらないのでございます。ただしかしながら、現在の東京の交通というものはすでに麻痺寸前の状況でありますので、大きなデモ等がありますと、その混乱、交通の麻痺というようなものはますますその度合を増していくと思いまして、デモを計画し主宰する側とよく話合いまして、デモの自由といいますか、それと都民の足の自由、交通の混乱麻痺を防止するという両方を兼ねあいながら、その時間なり場所なり路線というようなものについて、あるいはお互いの話合いでまとまらない場合に条件をつけるというようなことによつて、今後もこの問題にあたつていきたいと思います。違法的行為に出る限り警察としてはこれはもちろん取締りをするのであります、同時にまた私どもとしましては、デモの主宰者においてもこの東京の現実の交通状況というようなものを十分ご認識の上、その計画なりあるいは実施にあたつての統制なりご協力をいただきたいし、最近また非常に協力をしていただいているつもりでございます。今後もこの点でもつてスムーズに行くように希望しているわけであります。  第二番目はいわゆる新島のミサイル試射場に対する反対、賛成の問題のご質問かと思いますが、もちろん警察はだれが反対しだれが賛成するかということには関係ありません。また反対運動、賛成運動ともに、それが反対運動であり賛成運動であるという範囲においては警察の関するところではございませんが、そこから違法な行為、あるいは暴行であるとか傷害であるとか、あるいはその他の違法行為が往々にして起きがちであります。従いまして警察としましてはその目的を達成するために、犯罪の予防の措置あるいはまた起きた犯罪の捜査というような意味合いにあいて、十分この新島問題についての警備警戒をやらなければならないという状況でございます。ご承知のように村民にも賛成派、反対派といろいろと抗争をしておりますし、また新島に居住されている以外の方が賛成派、反対派ともに東京から多数押しかけていつて、すでに数回のトラブルがあつたわけでございます。従つて警察といたしましても現在新島署員にさらに機動隊その他の応援を加えまして、約百数十名の警察官でもつて警備をして、遺憾な状況が起きないようにその処置をしている次第であります。  三番目に警察官の処遇が現在十分ではないんじやないか。ことに昨年の安保デモ反対闘争における連日連夜の警備等に警察官があれだけやつておる。それに対して報われるところが少なくて非常に不平不満の声もあるんじやないかというお問いでありますが、現在警察官の給与その他の待遇というものは私どもも十分とは考えておりません。ことに警視庁の場合にはいわゆる超過勤務手当というものが、他の五大府県に比較してその率が非常に低いというのが現実であります。私どもとしましては関係方面にお願いしまして、できるだけ適正な給与まで引き上げていただくように努力を続けているわけであります。昨年の安保闘争の警備にあたりましては、関係方面でも非常にご理解いただきまして相当額の追加予算も見てもらつたのでありますけれども、しかしながらだからといつて決してまだ十分だとは考えておりません。ただ警察官自体はやはり十分でないと思つておりましようけれども、それに対する不平のゆえに、不満のゆえに活動を鈍らせるというようなこともなく、歯を食いしばりながらもみんな一生懸命やつてもらつているのでありまして、私どもは幹部としてこれに感謝するとともに、今後警察官はそういうものについて何といいますか、いうべき口がないわけでありますから、われわれとして警察官のためにできるだけ待遇を改善するように、皆さまのご協力を得まして関係筋にもお願いして参りたいと思つているわけであります。  最後に交通問題でありますが、都内のタクシーの流しを禁止したらどうかというお話、確かに一つのご見識でありまして、そういうようなことができる状況に東京都の交通事情というものが、これは道路の整備とかあるいはまた駐車場の増設とか、そういうものにからまつてきて、諸外国のように流しタクシーがなくても不便を感じない、都民のほうも不便を感じないし業者のほうでも流さなくても十分やつていけるという状況になることを、私どもとしても望んでいるのでございますけれども、現在におきましては、特定地区、たとえば銀座界隈とかいうようなところについての流しの禁止という措置は取り得ますけれども、全部一帯に全面的な流し禁止ということは一つの考え方であろうと思いますが、現実にそれをやることができるか、これは駐車場所の整備というようなこと、その他いろいろなことに関連しますので、なお検討してみたいというふうに考えております。その際のお話しにありました交通行政の一元化という問題につきましては、これはもう私どもも全面的に賛成でありまして、現在警視庁としましては交通の事故の防止あるいは交通の円滑化をはかろうと思つていろいろなことを考えましても、あらゆる方面に壁がありまして、なかなか思うようにも参りません。その点につきましては関係方面においても皆さんお考えになつているところであつて、内閣に交通対策本部があり、あるいは首都交通対策審議会というようなものもできて、いろいろと協議機関的なものはふえてきているのでありますが、もつと強力な一元的な組織になるということは私どももちろん全面的に希望しているところでありまして、今後もわれわれの力でできる限りそういう方向に行くべきであると、努力したいと思つております。    〔教育長小尾乕雄君登壇〕 ◯教育長(小尾乕雄君) 学校建築を何回かに分けてやることについてのご質問でございますが、実情を申し上げますと、危険校舎などを何回かに分けてやることがございます。しかしこれはあまり一度にやりますと、生徒の授業に差支えるという点もあるわけでございます。それからまた増築でございますが、これも分けてやることがございますが、実は当該年度にのみ国の補助金がつきますので、次の年までやつてしまいますと、その分だけは国庫補助金がつかないわけであります。そういう関係がございまして、当該年度に必要な分だけをやるということでございます。ご趣旨の通りなるべくまとめてやつたほうがよろしゆうございますので、三教室以下の建築はいたしておりません。これは何年かまとめてそれ以上の大きな工事にいたします。それから増築と改築もなるべく一緒にやるようにいたしております。ご趣旨の点はよくこれから注意いたしたいと思います。 ◯副議長(加藤千太郎君) 百十七番佐野進君。    〔百十七番佐野進君登壇〕 ◯百十七番(佐野進君) 私は知事の施政方針中、首都圏事業に関運いたしまして都市交通対策、住宅対策、労働対策について知事、副知事、警視総監並びに関係局長に質問をいたします。  まず交通対策についてでありますが、この面につきましては二点に分けまして、第一点は都市計画並びに建設に関してであります。第二点は交通規制についてご質問をいたしたいと思います。  知事はその方針の中でこれら首都圏事業の中における特に交通対策を実施する際、その執行の最大の難関は用地の確保である、このように述べられておるのであります。特にこの問題に関連いたしましては都民各位に対する協力をお願いする、こう申しておられます。用地確保の困難が事業執行の最大の難関であることはだれしもがひとしく認めておるのでありまするけれども、ではこの問題の解決をどうするのかという具体的な問題に関しましては昨日来の討議の中におきましてもいまだ具体的な表明がなされておらないと断じても差しつかえないと思うのであります。すなわち具体的な対策を立て、積極的に対処して問題の処理をいたそうとするのではなくして、ともすれば法律や諸制度の整備をはかり、この中から事業を強行しようとする態度が今まで都側において一貫してとられているように印象づけられ、そのことが用地確保の問題をますます困難にしておる場合が多いということを私どもは数多く見開ききしておるのであります。法制的ここの問題を解決しようとする政府が答申を求めた公共用地取得に関す別措置を認めんとする調査会において、冒頭、まずなすべきことは調査不十分や地元住民の反対の内容に、地元住民の意見を聞いて事業計画をきめるべきだと述べておるのであります。しかるにいわゆる政府が事業執行上における用地問題の確保として答申を求めた調査会においてすら、このような見解を冒頭表示しておるにもかかわらず、都の執行者たちはこのような問題についてはことさら目をそむけ、計画の段階においてすでにこの精神を否定する事実を私どもはあまりにも多く見、あるいは聞かされておるのであります。公共事業特に道路建設の執行は、その結果として都民に限りない利益を与えるものであります。従つてこの事業が成功した場合受ける都民の利益を考えた場合においては、われわれはどんな困難があつても道路の拡張整備という問題につきましては真剣に取り組まなければならないと思うのであります、しかるにその反面、この道路拡張事業予定者に該当せられた方々を犠牲者たらしめてはならないと思うのであります。一部特定の人の犠牲の上に多くの人たちが利益を得るということではなく、全都民ひとしく利益を得るという形の中で事業を執行していかなければならない。すなわちこれら犠牲たらんとする都民に対して、温かい思いやりと積極的な熱意を持つて協力を求めるということでなければならんのであつて、一片の法律と権力によつて目的を達しようとすることは、今日民主憲法下において個人の基本的人権が確立されておるときにおいては、およそ不可能であろうと思うのであります。以上の見地から私は四点にわたり具体的にご質問を申し上げたいと思います。  昨年十二月二十六日開かれました東京都市計画地方審議会は、補助二十四号線の変更と環状三号の変更並びに環状四号の計画と事業決定を行なつたのであります。これに対して該当する渋谷、港両区民より激しい非難が出て、ついに補助二十四号線は原案に帰つたのでありますが、環状三号並びに環状四号は強い地元の要望があるにもかかわらず、何らこれに対して積極力な努力を払わず、今まさに告示を強行しようとしている事実であります。だれが見てもだれが考えても不合理な面がある。誤りがあると考えられておるのにかかわらず、その事実を指摘し、この事実について説明を求め、その結果が明らかにされるまで告示を待つてもらいたいという区議会をはじめとする区民の強い要望があるにもかかわらず、話合いは告示が出てからにいたしましよう、こういうような態度はまさに官僚的、独善的な態度といわざるを得ないのであります。告示の直接的な責任者たる建設省の田村建設政務次官は、都の要請があれば告示は待つてよろしい、こういうように地元区民に対して説明しておるにもかかわらず、都側が問答無用の態度で事業を今後執行するのだというようなことであるとするならば、この面からする反対が地元の中においてほうはいとしてまき起こり、事業の実施を遷延させる重大な素因たらざるを得ないと思うのであります。知事はこの際、先ほど来申し上げましたような趣旨に基きまして、告示をできるだけ延ぼす借置を講ぜられるとともに、今からすみやかに関係住民との間に、その話し合いをする機会を設けるべきだと思うのでありますが、その所見をお承りしたいと思うのであります。  第二点は、建設を阻む原因がどこにあるかということであります。道路建設の最大のガンは用地確保にあるといわれているのであります。これについて知事は、特定事務所にベテラン担当官を配置する、これによつて用地問題は解決されるのだというがごとき印象を与えております。いかに有能な職員といえども、都側における基本的な方針とその権限を付与せずしては、何ら問題の解決に当り得ないということは、火を見るより明らかであります。基本的な方針を示し、職員が努力すれば必ず報われる、効果があがるような素地を、まずもつて作つてやらなければならないと思うのであります。  私は、道路建設の最大の隘路は、計画街路上における予定者が犠牲者としての恐怖心から不安な気持ちになり、何かしなければ毎日々々の生活を行なつていくことができないような状態にしておくことかその一つであると思うのであります。さらに一つは、役所がこういうような住民の気持を理解せず、道路は必要なんだから作るのだ、それに協力しないことはいけないのだ、こういうような態度で十分理解と納得を求める努力、説明も行なわず、協力を求めるための行為も行なわない、そういうところに隘路があろうかと思うのであります。裸でぶつかり合う熱意と、犠牲者を犠牲者たらしめないで協力せしめる制度を確立すべきが、用地確保に対する前提条件であると思うのであります。すなわち官僚的、権力的な態度を改め、全都民のため愛情と理解による協力を求めるべきであると思うのでありますが、これについての知事の決意をお伺いしたいと思うのであります。  さらにこの際お伺いしておきたいことは、この話し合いの精神に基づき二年数ヵ月前に告示され、いまだ建設に着工でき得ない首都高速道路公団に関係する高速二号線の問題でございます。この点につきましては一昨年第二回の協議会を持つたのみで、地元住民と十分なる接触をとり得ずして今日に至つているのでございますが、この協議会において都議会付帯決議の精神に基づき構造と線形の変更を含む話し合いにおいてすみやかなる結論を出そうとしているのでございますが、この第二回協議会においては、この点について都議会付帯決議の精神と若干違う表現を関係局長がしておられるようでございますが、その点について、この席上明確なるご答弁を賜わりたいと思うのであります。  第三点は、機構の統一と責任制の確立であります、昨年首都整備局の発足に対して最も心配されたのは計画部門と建設部門の分離によつて、意思の疎通を欠くことによつて生ずる混乱の発生であつたのであります。この心配はすでに補助二十四号線並びに環三、環四の決定によつて示されているのでありまするが、さらに高速道路二号線の協議会において、大衆の面前において露呈されたのであります。この際機構の整備を行ない、建設担当者に対しても計画策定に対し、もつと強い意思を反映させるべきであろうと思うのであります。線を引くのはおれの勝手だ、どんな骨が折れてもやらなければならないのであるから、できないのは建設担当者が無能力なんだ。こういうようなことでは話にならないのであります、建設当局者は、地元との交渉において不合理の点が明らかになつたときは、すみやかに是正する措置をとられるよう、計画の変更と補償の決定に権限を有するようにすべきだと思うのであります。その際計画より建設が優位に立つことを認めなければならぬことは当然であろうと思うのであります。  なおこの際、明らかにしてもらいたいことは、地元協議会等を今後も建設に関して地元で作られると思うのでありますが、この責任者は、責任局は一体首都整備局になるのか、建設局になるのか、どちらがその責任局になるのかということを、この席上で明らかにしてもらいたいと思うのであります。  第四点は、都市計画を公正に行なつてもらいたい、公正に行なわなければならないということであります。補助二十四号の変更は、グラビヤ印刷のためといわれ、環三はことさらアルゼンチン大使館等を避けるため、むりに変形した道路を作る、環四は空地があるにもかかわらず、むりに宅地を通る等、都民はその決定に疑いを抱いているのであります。この際都市計画の公正のために明らかにしていただきたいと思うことは、都民が都市計画に対して信頼を持たなければ事業の進行がむずかしいという観点から、新橋駅前広場建設に関連し、犠牲者を収容するために作られた高速道路路下室の利用に関する問題であります。  昭和三十三年の暮れ、都の建設局は私弦ども地元都議会議員を招いて、新橋の土橋から延長される高速道路については、東京高速道路株式会社に対して不当な利益を与えないよう、これを地元住民の意見に基づき、その利益になるような形において建設したい、従つて高速道銘株式会社、高速道路対策委員会並びに都側、さらに犠特者の四者において合理的な運営をはかり、これが利用をいたしたいということを申し述べ、われわれも了解をいたしたのであります。しかるにこの路下室利用の問題に関しましては、現在いわゆる犠牲者のためのものではなくして、犠牲者に直接関係のない京浜電鉄、京成電鉄の勢力争いから、京成電鉄側がその勢力争いに勝ち、実害者の意見ないし要望が無視され、一部特定の人たちの利益のためにこれが供されようとしているのであります。そうしてまたこのことは、多くのその周辺にある都民が明らかに事実として受け取つているということであります。だれがための都市計画であり、だれがための路下室利用であるかといわなければならないという声があがつているのであります。すなわち高速道路路下室の利用については保証金として、この路下室に入る場合、坪当たり地下室が五十八万円、一階が七十七万四千円、二階が六十九万七千円取られ、家賃が月に地下で一万八百四十円、一階で一万一千三百五十円、二階が一万二千二百円、さらに、敷金として家賃の十ヵ月分を払わなけれぼ、一坪の路下室も利用できないというがごときことで、都市計画によつて犠牲にされる人たちがこのような多額の金を払つて、はたして入ることができるかどうかということであります。しかも東京高速道路株式会社は、すべての権利を放棄したのでありまして、全有効面積に対して、家賃を毎月坪三千円を取ろうというがごときは、まことにもつて悪どい限りであると断ぜざるを得ないと思うのであります。こんな不当な値段ではもうだれも入る人がない、こういう結果を待つて京成のデパートをここに作り、あるいはバス・ターミナルを作るようになるだろうということが巷間流布されているのでありますが、そのことがもし事実てあるとするならば、大へんな問題だと思うのでございまして、都はこれら路下室の利用については、犠牲者を収容するために確固たる信念を持つて、この問題に対処する決意があるかどうかということについてお伺いいたしておきたいと思うのであります。  次に私は都市交通対策の中における交通規制の問題についてお伺いをいたしたいと思います。十二月六日に開かれた首都交通対策審議会は、知事に対して第一回の答申案として交通の規制について決定したのであります。この決定に至る経過については、現在最も緊急を要する交通問題の解決をはかるため発足した審議会だけに、次の諸点について知事並びに警視総監、太田和男副知事にご答弁をお願いいたしたいと思うのであります。  第一は、答申された内容について知事はいかに具体的に対処したかということであります。巷間伝うるところによれば今回の予算に対し、十二月六日に開かれたこの首都交通対策審議会の結論はわずかしか盛られておらない、かようなことを聞いているのであります。そのような形式的な審議会であるならば、私は何をかいわんと思うのでありますけれども、昨年の予算都議会を通じて知事がしばしばこの壇上から言明せられ、かつその問題解決のために表明せられた決意は、決してそのような弱い意味を持つ審議会ではなかつたと思うのであります。従つて私は、この審議会の第一回答申案に対する知事の態度並びに今後この審議会に対しまして、どのような努力をするかという決意について、冒頭お伺いをいたしておきたいと思うのであります。  第二点は、審議会の構成と権限の問題に対してお伺いをいたしておきたいと思います。十二月六日開かれた審議会は、首都の交通事情解決と規制について重大な決定をいたしたのであります。この決定によつて、もしこのことがそのまま実行されたといたしますならば、交通事情、交通規制の問題に関して一歩前進したことは間違いないと思うのでありますけれども、しかしその中に含まれる幾多の要因については、首都交通対策審議会そのものだけでなくして、東京都政に対して重大な影響を与える要素を含んでおりますので、その点についてご審問いたしたいと思うのであります。すなわちこの日の議事録によりますれば、議題に上程された交通規制に関する小委員会報告について、ラッシュ時における交通指導の強化について公共交通機関に対するトラック、タクシー等の不当な交通妨害を指導せんとすることに対し、この原案作成者である飯沼小委員長は、原案を作成するに際し、山田首都整備局長から大へんお叱りを受けたと報告しておるのであります。小委員長である飯沼氏を山田首都整備局長がいかなる意味で叱りつけたかどうかはわかりませんけれども、都知事の部下である局長が、知事が委嘱したところの単識経験者であり小委員長である飯沼氏を叱りつけるということは、よもあるまいと思うのでございますけれども、議事録においてはそのように表現されているのであります。そしてこの山田首都整備局長のお叱りから端を発して、小委員会報告は欠席中である小倉警視総監の名前において──当日出ておられない小倉警視総監の名前において修正案が提出され、この種審議会としては異例の採決によつて九対七でこの案を修正いたしているのであります。しかもその際、幹事は委員であるかどうかわからないのでございますが、幹事たる交通部長が採決に加わつているという事実があります。すなわち公正であるべき幹事たる山田局長並びに富永部長の行為は、この審議会の権威と委員の自主牲を制約したものと断ぜざるを得ないのであります。以上の事実に基づき知事はこの審議会の結論をいかに考えられるか、お伺いをいたしたいと思うのであります。  次に警視総監にお伺いをいたしたいと思います。交通規制に対する警視庁の基本的な考え方でございます。近時ラッシュ時におけるといなとを間わず、路面交通の混乱は昨日来ご指摘のあつた通り、今や麻痺寸の姿にあり、いかに道路網を整備しようとも、四年後には百万台になろうとするところの自動車の増加に対して、強力なる解決策を講じなければどうにもならないと思うのであります。その際警視庁は平等の名の下に特定の人々と組み、大衆輸送期間に対して圧迫を加え、目的のためには手段を選ばないといわれる今の交通部長方式を今後も続けて、いわゆる大衆的な立場に立つ交通規制を行なう気持ちはないかどうかということについて、一点お伺いをいたしておきたいと思うのであります。  第二点は、昨日来論議されている交通局の財政逼迫の原因は、不採算路線その他いろいろありますが、その最大の原因は滞留による減収であるといわれているのであります。今日もし警視庁当局の積極的協力があるならば、料金収入の増大は確実であることは識者のひとしく認めるところでありますが、最も低廉な料金で、今日なお二百七十万をこえる都民を運び続けている都電を初めとする公共輸送機関に対する警視庁の考え方を、この際警視総監より明らかにしていただきたいと思うのであります。  次に十二月六日とつた富永交通部長幹事の問題でありますが、富永部長が警視総監の名によつて修正案を提出し、採決に加わるがごとき積極的行動は正しいと考えられているか、今後も引続きこのような行動をとらせるお考えであるかどうか、この際お聞きしたいと思うのであります。  なお最後に太田和男副知事は公共企業担当副知事として、この交通滞留問題の解決策として、どのような処置をしてきているか、さらに今後どのように処置をなきるおつもりか、これを明らかにしていただきたいのであります。  さらに私は住宅対策並びに労働対策について質問をする予定でございましたが、時聞が経過をいたしておりますので、この点についいては要望だけを簡単に申し上げたいと思います。  まず第一に知事の方針の第五に示されました市街地再開発並びにその次の加えられました住宅対策についてでざいます。私は知事が前年度の九項目に、新たにこの市街地再開発の一項目を設けられた理由の意図がどこにあるかよくわからないのでありますが、都市改造並びに区画整理は、すでに実施しつつあるのであります。強いて求めればこれは建物の不燃化促進にあると思うのであります。  近来都心地域におけるところのビルラッシュは、基本的な対策に基づかず、関係の諸法令等の整備も行なわず、自然発生的なビルの建設を容認しておるところからくる幾多の矛盾が露呈せられつつある現状が、都市行政の混乱を招いているといつても過言でないと思うのであります。このような事情の中で、さらに不燃化を無制限に促進するがごときことは、百害あつて一利なしと思うのでございますが、この点については計画的に人口の是正、あるいはまた事業体の是正その他からくる総合的な対策の中から促進していただきたいということを要望するものであります。  第二点は市街地再開発の重要な一環である不良住宅の改良であります。人口の増加と事務所としてのビルの増加は、住宅地域の平面的な広がりを余儀なくさせ、ここからくる弊害は通勤都市としての東京都のいろいろな面に対して弊害を招いているのでございます。しかしなおこの状況の中におきまして、都心地坊の中において取り残されている老朽木造家屋が密集している地域が、民生局の調べによると七十数ヵ所にわたつて存在しているといわれているのであります。すなわち単に不燃化建物を建設する、都市を平面的に広がらせるということだけでなくして、これら老朽住宅を不良住宅改良地域として、数多く指定し、その地域の中で、これらの人口の散逸をはかり、近代的都市作りをすると同時に、さらにまたこれらの問題に関しましては、現存する建物を改築してビルを作る場合におきましても、人口の問題と関連した施策を講ずべきであると思うのであります。  以上の点については私は不良住宅の改良に関しましては密集地域のスラム街の解消と同時に、さらにまた公共事業等のために立ち退きを余儀なくされる人たちに対しましても、積極的にこの規定をいたしまして対処していただきたいと思うのであります。  最後に首都圏整備に関連する失業対策事業でございます。これは昨日来それぞれ要望がございましたので、ただ単に知事は努力するということだけでなくして、積極的に賃金の問題、待遇の問題に取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。    〔知事東龍太郎君登壇〕 ◯知事(東龍太郎君) ただいまのご質問の第一でございました用地取得についてのご意見をまじえてのご質問でございましたが、私はこの用地の取得が一片の法律やあるいはまたいわゆる権力というふうなものにたよつてできるとは思つておりまん。要するにこれは人間と人間との関係でありまして、いわゆる話し合いの精神というものによつて解決するよりほかはないのでございます。従いまして新しくいわゆる特建を設けて、そして重要な緊急を要する道路の建設に対する用地の取得に当たらせておりますが、それらの職員に対しましては、その仕事が建設事務所とは申せ、建設それ自身の仕事よりも、目下のところはいわゆる対人関係の打開が主たるものであります。従つてこれは対人間の関係でありますから、お互いにお互いの心が通じ合うような、そういうふうに話し合いを重ねて参らなきやならぬ。従つて一回、二回、三回ではとうてい話がつかぬ。十回も十五回も足を運ぶということが必要でありましようし、また人に会うのでありますからお役所の時刻のように午前十時というふうなことで話のつくものではない、日曜であろうが、あるいはまた日が暮れてからであろうが、向こうの指定される時間に足を運んで、とにかく納得をしてもらつて話をつける、しかもそれはなるべく早く話がつくようにしなければならぬ。そういうことをやるのに適当と思えるような資質の職員を必要な数だけその仕事に当てたいというので、目下着々、人員の増強をいたしているわけでございます。決して一方的に押しつけに、あるいはまた法律をたてに取つて、あるいはまた権力をもつてそういうことをいたさせようとは思つておりません。先般の施政方針の説明の中にも申しましたが、たとえその仕事が公共のための仕事であるとは申せ、そのために都民の方々が個人としての自由を侵され、あるいは平和を乱されるというふうなことになるのはまことに私としても忍びないところである。そういうことを根本の精神といたしまして話し合いを円満に進めてもらいたい、私はあくまでもさように考えておる次第であります。私はすでに各事務所を回りまして、そこに働いている職員の方々に私の考えを率直に申し述べてございます。今後も時期を見ましてなるべくひんぱんにそれらの現地に参りまして、私自身が先頭に立つてその仕事に当たるつもりでおります。その際にも申しましたが、私は決して都庁の中におつて職員のしりをひつぱたいて前へ出ろといつているのでなくて、私が前におつて私についてきてくれるというつもりで仕事をやつてもらいたいというふうに指示をたしておる次第でございます。ただいまの佐野議員のご質問並びにご意見に対しましては、全く同様の考えを持つているということを申し上げたいと思うのであります。  それから計画と実施が分かれたがために、その間に摩擦、相剋があつてよくないというようなお話もございましたが、あるいは事実問題としてさようなことが過去においてあつたのでございましよう。しかしながら私がこのような首都整備局、建設局というふうに分けましたのは、決してそういうことのあることをあらかじめ予知しながら、それでよろしいということで分けたのではないのでありまして、それぞれの計画と実施が、局は分離いたしておりますが、しかしながら事を行ないます場合には、両部門が十二分によく協調してお互いに機能を強化し得るようにというつもりでございますので、将来ともその方針で両局問の仕事を進めさせたいと思つております。  また都市計画を立てるにあたつては公正でなければならない、いろいろと例をあげてお話がございました。個々の具体的の問題につきましては、関係の番外からお答えをいたさせますが、要するに信頼をいただきませんことには計画は実施ができないことは申すまでもございません。この点あくまでも公正にそうしてまた信頼を得られるように進めたいと存じます。  首都交通対策審議会について、その答申を一体どういうふうに心得ているかというご質問だと思いますが、私はこの審議会の発足当初から申しておりますように、この交通審議会の答申は、私は一片の答申というふうな印刷物に終らせるつもりはない。これを具体化することによつて実際の交通規制に役立たせたい。その考えは少しも変つておりません。三十六年度予算の面に現われたところではその金額が十分でない。従つて答申を軽んじているのではないかというふうなご質問の真意だろうと思いますが、私は決してそういうふうなつもりではございません。この答申に盛られておりますような項目につきましては、すべて予算の中に取り入れております。金額の点につきましては、私はとにかく早く実績を見たいのでありまして、実績が上がつて参りますれば、それに従つて今後また追加の機会もあろうかと存ずるのでありまして、十二分にこれは将来も考慮いたします。  またただいまお話がございました委員会における小委員長と局長との間のことがございます。私はその席におりませんので、どういうふうな雰囲気で、あるいはどういうふうな顔色でお互いが話をされたのかはわかりませんが、私が推察いたしますところでは──すなわち飯沼小委員長は四十年来の友人でありまるからその性質もよく存じておりますし、山田局長は、私の部下でありますから当然その性格はよく承知いたしております。おそらくおしかりを受けたといわれましたのは、いわゆる飯沼小委員長の一種のユーモアをこめた──その中に多少の不満がありましようが、ユーモラスな表現ではないかと思うのであります。決して局長をしかり飛ばす、ないし局長が小委員長をしかり飛ばすというようなことは、あり得べからざることであります。もしそういうふうな性格のものであれば、おそらく今まで私もしかり飛ばされるというようなこともしたかもしれませんが、私に対しては、いまだ一度もそういうふうな態度は見せておりません。また富永幹事がと仰せられましたが、実は私もその席におりました。おそらくは富永部長は総監の代理として採決に加わつたものかと存ずるのであります。当時は大蔵副会長が主宰をいたされまして、そしてその結果についての答申を正規の手続を経て私が受領いたしました。その答申に基づいて至急にその実現を期しますということを、その席でお答えをしてお別れをしたのでございます。    〔警視総監原文兵衛君登壇〕 ◯警視総監(原文兵衛君) お答え申し上げます。最初に交通規制についての基本的な考え方はどうかということでございますが、これは過般の治安状況の説明のときにも申し上げましたが、現在の東京の交通はすでに麻痺寸前でございます。もちろん警察の行ないます交通規制だけによつてこの難局はとうてい打開できません。あるいは道路構造の改造とか、あるいは道路の増設とか、あるいは駐車場の増設とか、いろいろな問題はあろうかと思います。それぞれの関係機関にもいろいろとお願いをしているところでありますが、当面の問題として適正なる交通規制によつて、今ある道路をより有効に使うということは、私ども基本的に考えているところでございます。たとえば一方交通道路の増加、あるいは右折等の禁止、あるいは時間帯、ある車種の通行を制限するというようないろいろな交通規制の方法があろうかと思います。本年なるべく早い期間にこれらについての検討の結果を得まして、しかも事が重要でありますので、関係する各方面、あるいはまたこの道路を利用される方々のご意見も聞きながら、適正な交通規制を大幅に、またやる以上は強力にやつていきたいというふうに基本的には考えているわけでございます。  なお次に公共輪送機関に対する考え方はどうかということでございましたが、おそらく路面電車あるいはバスというようものに対して、交通規制上あるいは交通整理上どういうふうに考えているかということであろうかと存じます。何かかつて一部に、警視庁は路面電車全廃論を唱えているというふうに報道されたことがあつたように思いますが、警視庁といたしましては、それぞれの道路につきまして、路面電車が現実に公共用の役目を果す以上、むしろ交通の混乱、あるいはまた交通渋滞の原因になつている、しかもその場所は路面電車以外の方法によつて公共輸送を確保した方がよろしいというようなところにつきましては、なるべくすみやかに路面電車を撤廃していただいて、そして他の方法によつて公共輸送は確保するし、それによつて交通の混乱を少しでも少なくするということを、それぞれの具体的なケースに従つて研究した結果を、それぞれ関係方面に進言申し上げているというわけでありまして、どこもかしこも現在の路面電車は全部はずすべきだとか、あるいはバスはどうしろというようなことでなく、現実の交通状況に従いまして、現実の問題として少しでも解決の方向に、よりよい方向に研究の結果をそれぞれの方面にご連絡しているということでございます。何といいますか公式的な一方的な割り切り方で考えておるのではございません。現実に路面電車が非常な役割を果たしている道路も確かにあるのでございます。しかし今申し上げましたように、むしろじやま者になつているという道路もございます。それぞれの実情に従つた検討の結果を連絡するという方針をとつております。バスにつきましても同様であります。バスも非常に発達して、大体において非常な役割を果たしておりますが、ある道路、非常に狭い道路に大型のバスが通ることによつて、むしろ交通を渋滞させたり、あるいは人身事故のもとになつたりというような場所もございます。現在バス路線を設定するについては、公安委員会の意見を聞くということになつておりますが、そのような場合に公安委員会といたしましては、公共用輸送機関としてのバスの使用と、それから現実に交通事故が、狭い道路に大型のバスが走るというようなことによつて起きるかどうか、いろいろな点を考慮しながらお答えをしているということでありまして、実情に沿つて少しでもよくしていくということを基本的な考え方としているものでございます。  最後にただいま知事からご答弁のございました十二月六日の首都交通対策審議会における富永部長の発言、あるいは表決の問題でございますが、この日は、小倉前総監がやむを得ざる所用のために欠席せざるを得なかつたので、富永交通部長に特に総監の代理として出席をさせたのでございます。従いまして富永部長がこの日に発言をし、あるいはまた表決に加わりましたのは、委員である小倉前総監の代理として加わつておるのでございます。この席でおそらく答申案の中のラッシュ時における交通指導の強化の項目が問題になつたのだろうと思いますが、ご承知のように昨年十二月二十日から施行になりました新しい道路交通法では、──軌道車の優先通行権というものが、前の道路交通取締法でははつきりとその十六条できまつておりましたのを、新道路交通法ではことさらにこれをはずしているのでございます。警視庁といたしましては、ラッシュ時における交差点の整理、交通指導というような場合におきましては、現実の問題として交通整理の技術上から、どれを優先してどれをあとまわしにするということは、実際問題としてできるものではない。その場所においてどういうふうに──目の前にじやまものがあつたらそれを先に通してあとのものをどんどん通すというような、現実に即した考え方てやつていかなければならぬだろうということを、富永部長が小倉総監の代理としてるる説明して、修正案を申し上げたという事情でございますので、ご了承願いたいと思います。    〔副知事太田和男君登壇〕 ◯副知事(太田和男君) 都内の交通事情の現状から見て、この交通の滞留と申しますか、渋滞を現在どういうふうにして措置をし、将来どういう対策を持つているかというお尋ねでございます。端的に申し上げまして、私は、道路は確かに万人が公平に自由に使うべきだという考え方には、その通りであつて別に異存を申す余地はございません。ただしかしこの道路というものを何かの交通機関を使つて大衆が使う場合になつて参りますと、やはり交通機関を使うという形においては、大衆が最も使い得る余地のあるような使い方をすることが必要ではないか。こういうことから先ほど来ご指摘のあつた公共大衆交通機関の優先とかというふうな問題が起きてくると思うのでございますが、そういう観点から申しまして、私はやはりただいま総監もいわれたように、現在の状態では、まずなすべきことは交通規制だろうというふうに考えております。大衆輸送をいかにするか、公共交通機関と申しますから、何か都電とか都バスというふうな感じを受けますけれども、あくまでも大衆を最も多く効率的に安全に運ぶ機関をまず最初に考えるべきではないかというふうに私は考えております。そういう観点から申しまして、都電が非常にじやまになる、実際において都電で運ぶことの効率よりも、自動車その他の交通を阻害する方が多いというふうなご議論があるのでありますが、確かにそういう点がありますれば、都電にかわる代替機関を至急に整備いたしまして、これにかわる大衆交通機関というものを一日も早く整備する必要があると考えます。従いまして現実の問題としては交通規制を一つ──警視庁の方に先ほどお話があつたような首都交通対策審議会の答申も出ておりますので、これを早急に立てようじやないかということ。これとあわせて都といたしましては、地下鉄あるいはバス等の代替機関を早急に整備する必要があるだろうというふうに考えております。ただ問題は、この代替機関を作りましても、これを大衆が交通料金の負担において、過重と感ぜずに利用し得るような料金体系というものを当然考えなければならぬと思います。そういう観点から申しますと、交通事業、公営企業の基本理念でありまする経済性ということと、公共性ということの調和の問題が、今後代替機関を考えた場合には大きな問題として出てくるはずであります。  公共性と申しますことは、具体的に申せぱ、社会政策的な考え方と、産業的な考え方と、もう一つは東京都としての都市政策的な考え方、この三つの観点から公共性というものを考え、合わせて企業体自体の経済というものとの調和を考えて、料金体系を考えなければならない。そうしますと、現状のように東京都内の交通機関というものが多元的な形で運営されておるということが、この問題を将来解決するためにも大きな支障になろうかと存じます。  そこでこの大衆交通機関を整備する考え方から、地下鉄もしくはバスというふうなものを効果的に将来整備して参りますためには、どうしてもこの都内の交通運営を一元的にやるような方向に考えていかなければ、この問題も解決がむつかしい。そういうことで、この点は当然東京都の都市交通対策審議会においてご答申を得られる問題と考えまして、そのご研究を待つておりまするが、私どもといたしましても交通局を中心にして世論にこたえて、この問題を考えてみる必要があろうかと考えまして、目下各方面において研究いたしておるところでございます。  大体以上が私どもの考えておりまする現状並びに将来に対する考え方であります。    〔首都整備局長山田正男君登壇〕 ◯首都整備局長(山田正男君) 第一に高速道路の二号線の地元との協議の問題につきましてお答えを申し上げたいと存じます。  高速道路の事業計画を決定いたしました際に都議会におきまして付せられました付帯意見につきましては、私ども従来同様、今後もその趣旨に沿いまして極力努力をいたしたいと存じます。この付帯意見は高速道路の線形、構造等につきまして、地元とよくお話し合いをしまして、よりいい案があるならば、それに沿い得るようにしろ、こういう意味であります。  ただこの線形、構造とございますうちの構造という意味の解釈の問題でございますが、たとえば高速道路の大部分は高架構造でございます。私どもはこの高架構造をある場所においては二階の高さにするとか、三階の高さにするとかという構造の設計上の問題と解釈いたしておるのでございまして、高架の構造物を地下道にするというようなことまで、この意味に含まれておるとは必ずしも解していないわけでございます。  いずれにいたしましても、この付帯意見の趣旨に浴いまして、極力今後もお話し合いを進めていきたい、こう思いますが、しかしこのお話し合いも、あるいは付帯意見を付せられました趣旨も、いつまでも際限なく協議を続けろ、こういうことではないと私は存ずるのであります。この逼迫いたしました都内の道路交通事情にかんがみまして、一定の目標、行程をもちまして、お話し合いをいたしていきたいと存ずるのであります。  この意味におきましても、もし地元とのお話し合い、あるいはきょうぎが特定の一部の方々の意見によつてのみ支配されまして、そのために協議に応じようとする方々との協議が阻止されることがもしあるといたしまするならば、事業進行上きわめて残念なことでございまして、私ども今後また協議の方法を変更いたしまして、極力移転をお願いする方々と個々に直接に意見の交換をし円満に事業が進行できるように努力をいたしたい。こう考えるのでございます。  次に高速道路の路下室の利用の問題につきましてお答えを申し上げます。首都高速道路公団法が制定される際、あるいは首都高速道路の事業計画を決定いたします際に東京の都市高速道路のうち、土橋から蓬莱橋に至る区間、京橋川の城辺橋から新京橋に至る区間につきましては、東京高速道路株式会社が道路運送法の免許を得まして、この都市高速道路を建設するのが適当である、こういうことになつているのであります。  なお東京高速道路株式会社が建設いたします道路運送法の道路はご承知のように通行料が無料でありますから、この部分につきましては都との契約に基づきまして、路下室を店舗あるいは事務所等に使用することによりまして、その建設費を償還する建前になつておるのであります。  一方におきまして別途新橋駅前広場事業を実施する案を立てまして、この案につきましては目下都市計画審議会におきまして慎重にご審議をたまわつておるのでございますが、この新橋駅前広場事業によりまして移転をお願いすると予想されます関係者の方々から、土橋下流の高速道路の路下室に入居したいという旨の申し入れがあつたわけでございます。そこで、この土橋から蓬莱橋に至ります区間につきましては、東京都が公有水面埋立免許を得、目下埋立事業を実施しておるのでございますが、埋め立てをいたしました土地の一部が高東京道路株式会社の建設経営する道路の土地になるわけでございます。その審議の際に特に路下室の利用につきましては、公正な手段により、実費をもつて賃貸が行なわれるように都が十分指導するようにという付帯の意見を付せられておるのであります。  そこで、都といたしましては東京高速道路株式会社と協議いたしまして、路下室を個々の店舗にバラバラに貸しますと、これは管理も困難になりますし、あるいはまた資金の授受も困難になるということになりまして、路下室を一括第三会社が借り受けるという形をとることにいたしました。東京高速道路株式会社も、第三会社も、建設実費をもつて、新橋駅前広場事業のために移転をされる方々の中でここに入居を要望される方々に最優先的に使用させるという話し合いができまして、そういう意昧の協定を取り交わしたのでございます。ただその後建設費あるいはこれを償還するための入居に要する費用、これは実際にあるいは保証金、あるいは家賃というような形で現われておるようでございますが、これが非常に高いという意見が地元にあるのでございます。実はこの路下室につきましては、単なる建築物ではないのでありまして、道路構造物でございますから、道路構造物としての設計であり、また道路の上に橋梁をかけます、そういう橋梁の建設費まで償還する必要がございますから、これが入居費用にかかつてくるということで、必ずしも通常の建築物よりは安くならないわけでございます。それにいたしましても、目下関係者の間におきまして極力入居に要する費用を軽減するように調整中でございます。そういう次第でございますから、今後とも極力両者間の調整をいたしまして、建設実費に類する費用の負坦によりまして入居できるように努力をいたしたい、こう考えるのでございます。
     なお、この第三会社は新橋センターという名称でございますが、バス・ターミナルを将来経営するつもりであるというようなお話しでございますが、この点につきましては、私どもは全然存じておりません。バス・ターミナルにつきまして、これは都市計画として決定することに関係各省の間では話し合いがついております。本地点はバス・ターミナルとして都市計画として決定するにつきましては、きわめて不適当な土地でござますので、さようなことは将来ともないつもりでございます。以上でございます。 ◯副議長(加藤千太郎君) 三十一番中島喜三郎君。    〔三十一番中島喜三郎君登壇〕 ◯三十一番(中島喜三郎君) 都知事は、運命の年とご決意のほどを示されたのでありますが、私もまた今年こそは都政の運命をかけてと考えておるのであります。だが同じ決意におきましても、その目的がどうなのかということにつきまして、私は都知事のご所見をお伺いしたいと思うのであります。  しかし目的がどうありましても、現実に見る都政の行き詰り、特に都市計画関係や住宅問題に対しましてのお互いの見る目は、またその思いも同じだと思うのであります。ではどうしてこんな結果を来たしたかと申しますならば、率直に申し上げまして私は民主都政が動道を踏みはずしたから、こんなことになつたといわざるを得ないのであります。古い日本は戦象で焼き払われまして、灰の中から新しく立ち上がつた日本、私どもも、あの廃墟と化した東京、一望千里の焼野原に立ちまして、文化の都東京の建設はこれからだと大地を力強く踏んで立ち上がつた、あのときの決意をもう一度心によみがえらせてみたいのであります。心新たに生まれかわつた文化の都東京、それは民主主義と地方自治の二本の軌道に乗つて再出発いたしましたが、それをいつどこで踏みはずしたのかを考えてみたいと思うのであります。  第一に考えられますことは、地上に建築物のなかつた焼あとに九千万坪もの膨大な都市計画が立てられたのでありまして、戦災復興、区画整理がその計画であります。きのうも名古屋の話が出ましたが、同じ条件の下で、同じ決意で計画されました名古屋があの通りりつぱにできておりますのに、どうして東京がこんなみじめなざまにならなければならぬのか、このことにつきましては、まず、お互いに反省してみなければならぬ問題だと思うのであります。  次は、アメリカから税制使節団がきて、民主主義の徹底、そのためには地方自治の確立がまず第一である、それには独裁への道である過去の中央集権を廃して地方分権と切りかえよということでありました。そのための税制改革といたしまして、今まで隷属的であつた付加税の制度を廃し、目的税をやめ、税金でなすべき仕事を寄付金でやつていたような悪い習償はやめて、そして、地方団体がなさなければならぬ仕事に必要な費用は、もし国がきめた方法で得た収入で足りないときは、その分は平衡交付金で国から交付するということになつたのでありまして、これを見ただけでは、実にりつぱな税制改革案だと思つたのであります。だが後日になりまして、その平衡交付金制度こそが、せつかく芽生えた民主政治を乱し、地方自治の方針を根底からくつがえすことに相なつたのであります。他からの干渉も援助も受けることなく、独自の熱意と力で住みよい町を建設する、これが地方自治の精神でありまして、地方自治の確立、そのためには何と申しましても自主財源の確立をはからなければならののであります。それは単に国と都との関係だけでなく、都と区の関係におきましてもまた同じことなのであります。地方自治の力を弱めようとたくらむ人たちは、こういうお話をいたしますと、いつも税収入の不均衡をどうするのかということになりますけれども、それは一体だれがやつておるのか、市町村税も都道府県税もまた国税もそして直接、間接税と区別されましても、その賦課徴収の方法がそれぞれ異なりましても、それを納める国民は皆一つなんであります。そしてともに公共の福祉こそが納税者の目的なのであります。一人の者が一つの目的で納めている税金であります。要は行政の便をはかるためにこそいろいろな税金の割振りが、配分がきめられておるのでありますから、それが行政の上におきまして不便でありますならば、改めてどうして悪いかということであります。都知事は施政方針の中で、住民の日常生活に直結する道路はこれを区に委譲するということをいわれておるのでありますが、私は道路はもちろんのこと、事務配分もその通りであります。だが、都民の望んでおるものは、そういうことよりも、自分たちで納めた金がどこでどんな働きをしているか、常にこれが一番見張りたい問題なのであります。私は、アメリカの国民性は行つていませんから知りません。だが日本の国民性からいいますならば、目的税の方がまだよかつた、付加税ももう少し合理的だつた、このようにも考えられるのであります。何と申しましても、まず自主財源の確立をしなければなりません。それなしでは都民の手による都民の都政ということはできないのであります。それは理想であつて、東京だけではできないことだと、あるいはいわれるかもしれませんけれども、私は、今年の正月都知事が先頭に立たれまして、関係都道府県とともに出身代議士の方々をお招きして実情を訴え、予算要求の復活に努力をされました。あの英気をさらに盛り上げて、もう一度やつてみたらどうなのかということであります。運命の年と決意されました都知事に、そのご所見をお尋ねしたいのであります。  第二は同じ問題についての内部関係でありますけれども、今までの都政の運営は、特に都市計画関係にありまして、とかく秘密のうちに計画されまして、案がまとまると提案して、一挙に議決されてしまうくせがあつた。これも多数決ということになりますから、民主政治の行き方には相違ないかもしれませんけれども、見方によりましては、こういうやり方は民主政治の形式による独裁政治と非難されてもまたやむを得なかつただろうと思うのであります。感情的な対立まで発展いたしまして、理解できるまで反対するのも民主政治だろうということで、場合によつては実力行使まで出てくるというような場合も間々あつたのであります。人によりましては、いつまで話しても平行線ではないかというようにおつしやる方もありますけれども、お互いに誠意をもつて話し合えばそんなことはないと私は信じております。特に地方政治にありましては、わかりやすい問題であり、しかも日常生活に直結する問題が多いのでありますから、お互いにこの危機を打開するためには、おのおのの立場乗り越えて、協力一致していかなければならぬと思うのでありますが、それにつきましては、都知事はどうか東京の知事であつていただきたい。そういう意昧において、都知事の日本の知事ということは、何とか考えなおしていただきたいという感じがいたすのであります。(拍手)だが、どうでありましようか。過去のことは参考といたしまして、私はちよつと夢のような話になるかもしれませんけれども、こんなことをやつたらどうか。三十六年度でなくて、三十七年度を目標に話してみますと、理事者も、私ども議員も都政の上では夫婦関係にあるのでありますから、また理想だけでは、政治も空回わりになりますし、現実だけでは今のように進歩も発展もない行き詰まりの政治ができるのでありますから、理想と現実、これもまた政治の上では夫婦関係にあるのであります。こういうようなことをお互いが理解し合いまして、お互いの夢を八月ごろまでに全部出し合つてみたらどうか、そうしてゆつくりとひとつ話し合つて、十二月ころまでにその実現性を考えてみようじやないか。そうして、確実となつたものが三十七年度の当初予算できめられるということも、一つの方法ではないでしようか。そのためには、何と申しましても、都民の声を聞くことに努めなければなりません。都民からの理解ある協力を得ずして、どうしてどんなことができたでありましよう。私は今さらこれを思うのであります。どうも近ごろは、首都圏整備だとか、公社の設立であるとか、ことごとに都市計画が、都民の手から離れていきたがつておるのであります。「都民は家族、都は一家」これはたしか都の標語であります。その一家を立てるために、本家のおじさんにばつかりすがりついて、家族のものとは、何も相談もしない。だまつて人をすつぽかすようなやり方をして、どうしてこれで円満な家庭が保てるかということも考えてみなければならぬのであります。まあ大へん悪口になりまして、申しわけありませんが、さらに悪口を続けますと、都心部における道路の混乱にいたしましても、大都市集中人口にばかり罪を負わせていますけれども、人口の増加というものは決して洪水のような天災ではありません。戦後高層ビルのできたことでは、東京が世界一だといわれております。では一体どれだけの建物ができたか。それを知つているのは東京都じやありませんか。建築を許可しているのですから。それにビルというものは、工場なんかと違つて、事務所や大きな商店ばかりでありますから、いわゆる昼間人口に属する人であつて、非常に動きの激しい多くの人の集まりなのだ。大きな建物になりますと、一日に何万人も人が集まる。その人たちの乗り回す自動車がどれだけあつて、そのために道路がどれだけ、いつになつたら混乱するか、そこへ通勤する人たちがどこに住んでいて、そこから交通機関をどうたどつてくるので、交通機関の状態はどうなるのか。それくらいの予想ができないはずはありません。もしこの予想に基づいて、計画がその通りに進められておりましたならば、何で今、この苦難をしなければならぬかということなんであります。まああんまり、机の上だけで利口ぶつていないで、もう少し都民のために都民の声も聞くべきだと私は思つております。都知事も、都民から選ばれました。だが私どもも、同じ都民から期待をかけられて選ばれておるのであります。ともに責任は同じであります。ほんとうに東京都が地方自治の精神に基づいて、都独自の責任で、自由な立場で計画をして、都民とともにやつて参りましたならば、こんな行き詰まりはなかつたと思うのであります。それに衛星都市の計画でありますが、大都市への集中人口、その将来を考えますと、夢としてはけつこうだと私は思う。だが現実に東京都の混乱がこんなことで緩和できると思いますか。衛星都市が発展すればするほど、東京都は、特に都心はますます混乱が増しても、断じて緩和されるものではないと私は断言しておきます。ほんとうに都民のための都市計画でありますならば、なぜ東京都内において、徹底した具体的な未来像、文化都市としての大計画図を作らぬのかということなのであります この点につきまして、都知事のご所見をお尋ねいたしたいと思います。  では、参考までに、あんまり人様の悪口ばかり申しましたが、私はどんな夢を見ておるかということを簡単に申し上げてみますと、きのうからよくお話があるのでありますが、今どき二十三区の中で、農地があるなんというたことは、とんでもない間違いです。昔は麹町に山林が多くあつて、これはよく問題を起くしたものだが、まあ大体そんな程度なんです。それに二千四百万坪も、きのう聞いたのですが、緑地帯がきめられたという。おそらくこんなばかげたことをいつまでもやつていたら後世のもの笑いになるから、今のうちに、都政の名誉のためにこういうことは早く改めた方がいい、私はそう思つております。このようにいたしますと、おそらく二十三区と北多摩の全地域を含めたならば四千万坪くらいの土地があるのじやないでしようか。だから私は、二十三区と北多摩を含めまして一つ、かりの名前でありますけれども、市街地計画とでもいいますか、そういうような計画を立ててみたらどうか。それによつて、農地、緑地あたりから四千万坪の土地ができて参りますし、さらに東京港の水深五メートル程度まで、全海域を埋めますと、これも一千万坪以上の土地が新しくできるばずであります。これによりまして、新しい市街地として使える土地が五千万坪もできるのでありますから、それに高層足貸住宅の建築をこれから考え参りましたならば、土地の立体使用によつて、これまた相当の坪数が生み出されるのではないでしようか。このようにお互いに考えて参りますならば、まだまだ都の人口がこれから二百万や三百万ふえたつてどこにその心配することがあるかというのであります。何よりも、私は重視しなければならぬと思いますのは、土地の値上がりを押えることだと思うのであります。都市における土地がなぜ値上がりをするか。これは土地が一番投機の対象とされておるからなのであります。だからもし土地の値上がりを押さえようとするならば、それは土地をして投機の対象からはずすということなんであります。投機の対象にならぬということを考えますならば、必ず土地は値下がりします。ではどうしたらいいのか。それは簡単であります。今までの政治は、土地の値段をつり上げることのみに努めてきたのでありまして、その方針を逆に改めていけば何でもない。そうでしよう。農地と称して高率な課税をのがれ、緑地と称して売り借しみをさせ、あるものをみなないことにして、需要と供給の関係を巧みに利用して、土地の値段をつり上げたのは誰なんです。政治の力じやありまんか、土地をこのようにしてだんだん価値づけていくのは誰か。都市計画です。都民がみんな金を出して作いていつて、高くなつて売つたときの所得税は国がとつてしまう。こうことを、都の都知事だということになると私は考えていただきたいと思う。国の知事でないとするならば。とにかく四、五千万坪の空閑地が市街地計画に含まれることになりますと、換地も大へん自由になつてきますから、どんなことの施設でも楽に行なわれると思うのであります。その構想で見て参りますと、まず骨格としての丸の内を中心とする現在の都の中枢部、これを取り巻く大商店街、その外は隅田川から東の方、荒川あたりが大体工場地帯、山手方面は住宅地帯というように、大体骨組みをしてみたらどうか、もちろん住宅地域におきましての商店街との組み合わせなんということは、これはどうにでもまた考えられることでありますが、工場地帯は、さらに地の利や水陸の運輸の便を考えまして、業種別、あるいは大工業地帯、重工業地帯、軽工業地帯等に分けまして、なおそれに備える設備をしていく、道路やその他のことはもちろん、たとえば今問題になつております工業用水等にありましても、あまりべからず主義ばかりとつていないで、たとえば荒川や中川の上流からきれいな水をその地域へ導入してきて、原水のままで工業用水にでもするということになりますと、いきおい大量の水を使うという工場はそこへ集つてくるということになり、そうなるというと、そこから排出される多量のきたない水も、共同浄化槽を作つて浄化し放流せしめるということも、これまた簡単なんだ。また小工場や零細業等につきましても、それぞれ業種別に一つの町を作りまして、その中で作業の工程の細分化をはかりまして、できた部品を総合して一つの製品とする。つまり、一つの町が一つの工場となるというような共同体の町を作り、これに指導、援助の手を差しのべて、中小企業の人たちを助けて参りますなら、これは大企業にも劣らぬ仕事ができるようになるのじゃないでしようか。こうした計画が一挙にでき上がるのは容易でありませんけれども、こういう基本方針が確定いたしまして、それに伴う施設を都がよろしく指導いたしますならば、自然の間にでき上がると私は思つておるのであります。  もう一つ、ぜひこれは知事にお尋ねしておきたいことがある。私文書質問で先般住宅問題を質問いたしておるのでありますが、その中で、公営住宅建設の目的は「家賃地代の統制令の及ぼす影響を考慮してだと思うが」と私は質問申し上げた。ところが都知事は、それに対しまして、「公営住宅の建設は、統制令の及ぼす影響とは全く関係がない」と答えておるのであります。そこで私は、東さんをお医者さんと見込んで、一つお尋ねしてみたいのでありますが、薬には副作用がある。だから売薬の許可条件は、効能のあるなしよりも、副作用に重きが置かれておると聞いておるのであります。それと同じように法にも副作用があります。インフレに便利な課税は、デフレのじやまをするのであります。あの統制令も、あの当時といたしましては当然の処置であつたのでありますが、しかしあの統制令が布かれた限りにおいては、民間の貸家住宅は断じて建たぬということも、これは明らかな事実であります。そうなりましたら、住宅のために法は作つたが、法のために住む家がなくなつたという結果が出てくるのであります。そこにおいてこそ、公営住宅の建設が考えられた。それこそ法の精神に基づいて、その責任を明らかにした新しい措置だ、私は法はすべてこうあるべきだと感謝いたしておつたのであります。しかるに、法の及ぼす影響は考えなくてもいいんだ──こういう無責任な法を無視する態度をどんどんとられたら国民は一体どうなるのか。まさか都知事がそんなことをおつしやつたのではないと、私は今でも思つておりますが、しかし部下の中にはそういう人がおるから、そういう答えをさせると私はいわざるを得ない。そんなざまだから、住宅政策がここまで行き詰まつた。しかも行き詰つたとすら考えていないのですから、私は困つたことだと思う。この問題は、単なる住宅だけの問題ではありません。特に最近の混沌たる世相の中におきまして、相次ぐ暴力的行為は日に日に増していくだけであり、都民は安心して法に守られていることができるのかどうかということに心を痛めておるのであります。しかるに、その取り締りの任にあります立場の人たちが、この心がけで都民に接しておりましたならば、都政への信頼はさることながら、もし法にのみ頼つていたのでは、身の安全が保てないとまで国民が思いつめましたときに、法治国と信じておりました日本は、一体どうなるのかということをはつきり考えて、ご答弁願いたいと思うのであります。(拍手)    〔知事東龍太郎君登壇〕 ◯知事(東龍太郎君) ただいま、民主主義と地方自治の関連から、いろいろの点についてご質問があり、またご意見、お話をいただいたのでありますが、申すまでもなく、都民が、私ども都政の担当者に対して、強く期待をされ、また要望されておりますことは、すなわち、最も関心を持つておられることは、その納めた税が、一体どのような形になつて、都民のために役立つておるかということでございます。それはもう間違いのない事実であります。従いまして、私どもとしては、そのような点について、十二分な資料を提供し、またそれを都民の方々が消化し得るような、つまりわかりやすい形において、これを示す。そのような責任があると思うのであります。その点につきましては、私どもとしては、主として広報を通じまして、あらゆる広報手段を活用して、そういう努力を続けて参つておりますし、なおそれに、不十分な点も多々ござざいますので、今後も十二分に、これは改善いたしたいと存じます。  最初に、地方自治の確立は要するに、地方の自主財源の確保にあるということ、これはその通りでございます。従いまして、私ども、各府県の知事とも力を合わせて、自主財源を確保するために、悪戦苦闘いたしておるのであります。東京都は、ご承知のように、いつも年々の、いわゆる財源調整の目標になりまして、われわれの財源がいろいろな理由をもちまして削減されるような傾向にありますことは、まことに遺憾でございます。私どもといたしましては、今のところでは、全力を尽して、そのことのないよう、防戦に努めているというような次第でありまして、まことに、これは国の政治の形としてもおもしろくないのであります。こんなことで、毎年々々、いたずらに時間と労力と相当の費用を使つておるということは、まことにおろかなことでありますので、私は機会がありますごとに、政府の首脳部に対しましても、もつと筋道の立つた方法で、国と地方自治体との間の、少なくとも、財政的のつながりを、確立してもらいたいということを要望いたしておるのであります。従いまして、今後におきましても、この点については、私の微力を尽して、東京都のために、少しでも有利な状態におきますよう、すなわち東京都の地方自治体としての活動が、十分にできますようにいたしたいと思います。  また都市計画につきまして、いろいろな計画が、いわゆる官僚独善というふうな形であつて、そういうのでは、都民のご協力が得られないといいますか、都民の手から離れるのじやないかというようなご忠告がございました。確かに、こういうふうな都政というものは、都の理事者が一方的に行なつたり、押しつけたりするものではございませんので、これは理事者と、そしてまた、都民との間の相互作用と申しますか、その両方の中だちとなるべきものが、都民の選出せられました民主的な議会の議員と、議会であるというふうに、私は理解しております。従いまして、私どもの立てますいろいろな計画につきましても、先ほども佐野議員にもお答えいたしましたが、いわゆる話し合いと申しますことは、われわれと都民との間の直接の話し合いによつて、この大きな計画を遂行して参りたいというのが、私の基本的な考え方でございます。  また東京都が立てますいろいろな都市計画に見通しがないではないか。たとえば衛星都市というふうなものを考えても、あれが人口なり、産業なりが、東京都に集中するのを抑制するということにならずに、むしろその反対の結果になつておるのではないか。と同時に、何もいたずらに、人が東京都に集ることを心配しなくてもいいのじやないか。どんどん集つてきても差しつかえないように、新しい都市を造設したらいいではないかというお考えで、人が東京へ集まることを心配しなくてもいいじやないか、どんどんどんどん集まつてきても差しつかえないように新しい都市を造成したらいいじやないかというお考えで、これは先ほど仰せになりました一つの将来の理想であり、現在の現実とはおよそ離れた形でございますが、しかしそのようなお考えは、その他にもございます、新しい東京の建設の新構想と同じように、私どもが十二分に耳を傾け、また思いをいたさなければならない問題として伺つた次第でございます。  最後に、私が医者であるから、薬というものは作用があると同時に、副作用があるので、むしろ副作用の方がこわいんじやないかというふうなお話でございました。これはその通りでございます。つまり薬というものは何と申しますか、私の専門にいたしておりました薬理学という学問は、薬というものはいかに効くかということを研究するのではなく、薬はいかに効かないかを研究する学問だといつたことがございますが、つまりそれは副作用もない代りに作用もないというのが、世の中の薬の大部分だという意見でございます。  最後に仰せになりました現在の世相に対する、いわゆる法治国でありながら法が常に無視されるという状況に対するご意見であります。私もそれは全く同感で、その点につきましては私もそのような事態になりませんように、東京都知事としてのできます範囲の仕事はやつて参るつもりでございます。 ◯副議長(加藤千太郎君) 八十四番金子二久君。    〔八十四番金子二久君登壇〕 ◯八十四番(金子二久君) 主として警視総監並びに知事にお伺いします。わが国が民主主義国家になつてから、もう十五年にもなりますが、いまだ専制政治時代の気分が大いにあるような気がするのであります。警察官と学校の先生だけは無偏不党、いかなるものにも偏しないでやるというのが、その正しい姿であると思うのであります。しかるに今日の世の中は、青少年が悪化して毎日のように殺人事件が起こつておる。きのうの新聞にもあるが、国民全体が常に不安で、歩けないような今日の時代であります。銀行から金を出してくれば跡をつけられて途中でぶつ殺される。運転手がちよつと金を持つていると見れば、小づかい銭が欲しいというので簡単にぶち殺す、そういうような事態が常に今は起こつております。ところが一方今の世の中は民主国家で、権威者というものはだれもおりません。われわれ国民が全権利者であります。この一般国民の平等の権利の中にあつて、それが昔のように、ちよつとえらいと、その人のために国をあげて騒がなければならぬ。そのために警察行政はおるすになつてしまう。これは真の民主国家の警察というもののあり方ではないと私は思うのであります。警視総監としても常にお考えになつておるでしようが、私は小倉総監がおつたならほめてやろうと思つたが、もうよしたからこれはやむをえない。一人やそこらのもので、ましてや警視総監は任命をされた人であります。知事とは違います。知事は都民全体の信を受けて、そうして自分が都政をやるところの全責任があります。ところが警視総監はその職責担当者として最高であるというだけで、都政に対する全責任を負わなければならぬということはありません。都知事は都政運営の上においては全責任を負わなければならぬ義務を背負わされております。そういう点から考えましても、私は今の警視庁のあり方を考えまして、はなはだ残念に思うのであります。  尾関雅樹ちやんは誘拐されて四日目に殺されましたが、あれは誘拐と同時に新聞にも出、また、犯人から電話もかかつた。あるいは一般の都民からいうと、隣りのおばさんから、こういう怪しい子供が隣りにおるというような電話まであつたということが、新聞に出ておりました。ところがそのことに対して一般の人がなぜ騒がないか。それは浅沼さんは大事でしよう。けれどもただ代議士だつたということだけじやありませんか。そのために国をあげて、何でそう騒がなければならぬか。  しかし一方においては常にそういう犯罪が起こつているに拘わらず、周囲から何らの抗議もない。それは今の民主主義をはき違えて大いに間違つている。また聖徳太子は、あんな大昔の時代でありながら民主主義を体した、りつぱな人であつた。なぜならば、まいないをもつて政治を行なうのは一番いけない、賄賂を取つて政治をやつてはいけない。それから大なる者の届け出は石を池に投ずるがごとく、小なる者の届け出は石に水をかけるがごとく、こうあつてはならないとおつしやつたが、今はそれをやつているじやないか。えらい人に何か起きて届け出をすると、池に石を投げたようになるから、小さな石を投げこんでも池一ぱいに波を打つて大騒ぎをする。小さい人だとどんな大きな届け出をしても、それは石に水をかけるがごとしで、びくともしないような政治のあり方であつてはならない。それが今日の行き方は昔の時代の行き方と比べると、全然間違つている。この民主主義の時代にたつた一人のために護衛の人間をつける。しかしながらものごとが起きるときには必ず原因があるから、その原因をなくさないで、自分の意思通りにこれを統御しようとすることはなかなか不可能であります。そういう点から考えてみましても、これは何が原因であるかといいますと、一番大切なのは教育であると思います。  その大切な教育が曲がつているから、こういう問題が起こつてくる。この間からの新聞を見ましても殺人事件が多いし、また岐阜の学校の先生が宮中に関するところの「御璽」という作品を出して問題になつたが、その先生が岐阜県の警察本部で新聞記者と会つたときの話によりますと、今の時代において、人がりつぱにならないということは、人が人を戒めて、そして讃えることを知らない、これが一番人間を悪くする根本であります。われわれが今、家に帰つても、ああ兄貴がぼやぼやして来やがつた、また選挙があるのかなということで、われわれのような者も人間のように扱わない。(笑声)それはだれが悪いか、共産党は自民党を悪くいうし、自民党は、共産党はほんとうに悪いから悪いというし、(笑声)そういうことでお互いが信をおくところがない。われわれが見ても、たれ一人えらい人がいない だから国民は頼るところを知らないから、どうせ議員には満足なやつがいない、こういうことになつたのが今日の世の中の破れた一因であると思う。  しかし警視総監はりつぱな警視総監ができて、庁内でもみな喜んでおるようです。われわれも点数を採るとすると九十点以上だというから、まあ最高のできでしよう。そういう点から考えたら、警視総監も民主主義を身につけられて、たとえどんな人であつても人命に変わりはありません。その変わりのない人命を脅かす一方の右翼のテロというやつは、これは教育のしようによつては変わるものであります。一つの問題が起こると、その問題に惑わされておる人間なんです。ところが泥俸や何かというものは、これは何ら教育のしようがない。物が欲しければ人を殺すことなどは問題にしていないやつだ、今はそういう者を取り締まることこそが、警察官の一番大切な任務だと思います。  今度の事件は、印刷屋のおやじの所に泥棒が入つたのとちつとも変わりはない、そうして女中が殺されたからいつて、それらの人に護衛をつけるなんて飛んでもないことだ。警察官はわれわれの税金で、国民全体を守るための警察官じゃないか。代議士が何だ。悪いことさえしなければ、またよけいなことをいわなければ人にねらわれることはない。おれなんか知事を幾ら悪くいつても、知事はおれに危害を加えようとはしない。そういうことで理屈の通つたことをやれば何もしやしない。それをそういうことを自己反省することなくして、ただ取り締まる者だけに責任を負わせるというような政治であつてはなりません。どうか悪い者が自己みずから、反省するようにやつていただきたい。  あの学校の先生の何といつたか(「交番で聞いて来て下さい」と呼ぶ者あり)大丈夫だ、朝日新聞に書いてあるから。この人が取り消した。どうも皇室にご迷惑をかけるようだから取り消すという。ところが終いの方が気に食わない。校長に私の身をまかせている。右翼の人から私に脅迫状などがくる。それから子供に影響を与える。私があの作品の取り消し声明を出さなければならなかつた私の心境をご了解していただきたい。取り消さなければならなかつたとは何だ。私が悪いから取り消したというならりつぱなことだが、私が取り消さなければならぬようになつたこの理由をご了解を願いますという、そんなばかな態度はない。自分が悪くて取り消すのに、何の理由があるか。「私が悪かつたから取り消しました」なら、これはりつぱだ。ところが取り消さなければならぬ理由を判断してくれということは、これは取り消しを強要せられたことを指すもので、これではまだ彼れ自身が目が覚めていない。学校の先生がそんなことでりつぱな教育ができるか。その点について、今学校の先生は任命はできるけれども、これを罷免することはなかなかできないんだから、教育長も大へん骨だ。だからうつかりおかしなやつを入れちやあだめなんだ。(笑声)この間のストのときの文京区のデモのときも、教員組合の委員長が、警察官にデモをやつたんで、それを止めようとしたがなかなか承知しないで、押したもんだするうちに、警察官を上から手でなぐると写真にとられるから、下からばつと腹をけ上げた。それで現場を捕まえられた。  ところがああいうことは報道陣の人にも、もう少し目を覚ましてもらいたい。小さい新聞はどうでもいいけれども、五大新聞というような名のついた新凹で、日本の政治に対する論評を背負つて立つ人たちが、この間座談会を開いた記事を見て、はなはだ残念に思つた。アメリカにその方が行つてきた。私は常識上特に名前を省きますが、そのときにフルシチョフ首相が来るというので、みんながそこへ出ておるところに、一市民がフルシチョフ反対のプラカードをかついできた。すると警察官が飛んでいつてそのプラカードを叩き取つて、ぶつ壊して捨ててしまつた。そうしたら市民が全部して喝釆をした。私はこれを見てアメリカ市民とアメリカの警察官の強さに感心した。どうして日本の警察もしつかり力を入れないか。そのときに私だつたら、しめた、ではハガチーが来たときに、警察官が止めようとしても全学連なんか千何百も来て、しかもハガチーの自動車の上に乗つてガラスをぶつ壊し、おまけに飛行場までぶつ壊した。それを取り締まれるようにやりたいが、日本の警察はそれだけの権限が与えられていない。だから、そういうことをいうが、どうもその人の論理を聞くと、共産党かぶれがしている。フルシチョフ首相のところに行つても、直接日本の今日の労働組合のやり方などについては、何ら批判をしていない。これじやだめだ。そういう人が最高の報道陣におつたとしたなら、わが国がだんだん悪くなるのもしようがない。だから昔ならそんな新聞はすぐ取り消したから、何でもないが、今「金子二久の馬鹿」といつてもどうにもならない。そういうふうに時代が変わつたんだから、せめて警察官だけは民主主義的に大衆化した取り締まりをしてもらいたい。それでなかつたら、今日の悪化した青少年はどうもなりません。  それと先生が、もう少し目覚めて、自分たちは子供を教育するのが目的なんだ。人間というものは古いものでもいいものがある。ところがその古いいいものを捨てている。これは自分というものがいかに大事なものか、それは先生が一番わかる。今教育勅語はむろんよさしているが、「君が代」は、わが国に四年先にオリンピックがあつたら、「君が代」を一回でも早く吹奏してもらいたいようになるのが、本来の日本人の常だと思う。いわんや学校の先生はみなそうであろうと思うが、今、卒業式のときに「君が代」を吹奏する学校はそう幾つもありません。だけれども、「仰げば尊し」先生のありがたさは絶対に忘れられない、幼稚園でもやつている。だから自分というものはいかにも大切だが、自己とともに人の幸福を祈るこそ、真の民主主義でなければならない。それが自己だけえらくて、ほかの者は全部いけないという学校の先生があるのだから、日本の教育というものは実に惨たんたるものである。これをどうかするには、幸い小尾教育長がしつかりしているからいいんだけれども、これにはやはり委員会の委員は知事が任命するんだから、委員にももう少し強い人があつて、そういうものがないように、日本はもつと日本人らしい教育の仕方をしてもらいたいと思うのであります。以上が警視総監に対する私の質問であります。  それから今度は知事に申し上げます。東京都は幸いにオリンピックという一つの目途があるために、今回、道路計画あるいは橋梁その他の計画が大へん大きく組まれておりますが、これは非常にいいことです。いいことだが、鵜でもあまり丸呑みをすると、餌さを取られてしまう。自分は半分しか食えない。ところが丸呑みにして吐き出してしまうと何回でも呑むことができる。呑んでこなさないで吐き出すのを鵜呑みという。だから鵜呑みをしちやいけない。というのは、計画を立てるのに私のところにくる七号線を考えてみても、これはおそらく半分できません。川越街道、これは選手村が朝霞にできればいやでも応でも長命寺坂の立対交差をやらなければならぬ。ところがまだ場所の交渉がついていない。東京都の今までの仕事を見てみますと、着工してから二年かからないで、大きな事業ができたためしがない。巣鴨の駅のところの拡幅、あれがちようど七年かかつております。七年目にようやく広がつた。それでどんなところでも、鉄道の下を通るのでもつて、一年や二年でできたためしがない。そういうことを考えたときに、今第一、朝晩私も通るけれども、あの江戸川の川さらえが、こちらの方はまだできないんだけれども、飯田橋から向うを今江戸川の停留所のところまで川をさらえている。もう一年以上かかりますよ。半分しかできない。向うもあきらめちやつてのんきにやつて、人夫が舟の中に住まいをこしらえている。その中で寝て飯を食いながら子供も夜こしらえて、それからぼつぼつやろうというんだから容易なことじやない。そんなにのんきにされたんじや、仕事は冗談ごとじや済みません だいたいにおいて三十八年度までにやるとするならば、もうすでに着工していなきやなりません。それでないと、今のうちに警視庁と相談して、選手をどうして競技場まで送るか。それには仕方がないから一般の車は端の方を通して、朝三十分なら三十分間をずつと競技場まで通すようにして、他の急ぐ車を横つちよから逃げるところだけでもこしらえておけばいい。そうして帰るときはちよつと遅れてもかまわないから、朝来るときだけ、間違つても一時間選手だけが一方交通のようにしてくれれば、恥をかかないで済みますけれど、ただ考えだけしてみても、考えだけなら私でも今ごろは知事どころじやない、総理大臣になるつもりだつた。だから考えをしてもそれが実行できなきや何にもならない。その意味で今日のような事業のあり方からしますと、肌に粟を生ずるようです。実際もうじつとしていられませんよ。よく私どもに人が、金子さん、今度ここの道路ができる、私のところはかかるようになつたんだけれども、いつかかるでしようか、と聞く。まだ設計ができないでしよう。設計だけ一つやるのに半年かかります。これは他に注文して頼んでもいいけれども、それは容易なことじやない。だから冗談ごとじやない。諸外人を寄せて日本の文化というものを見てもらうというのにはよほど力を入れなければどうにもなりません。むろん人間の足りないことも申すまでもありませんけれども、とにかく漏れ聞くところによりますと、今度の衆議院でもつて収用法が強化せられるということを聞いておりますけれども、それは空地や畑ならいいですよ。ところが人の住んでおるところに、その人が承知しなければ、あなたの損害はゆつくり民法で争いましよう、私の方は必要だからとにかく道路だけはこしらえますよといつても、民主国家である今日、人のおるものを外へおつぽり出すわけにはいきません。どんなことをしても最低生活はそこで認めなきやならん、またそんな残酷なことをしたら、それこそテロじやないけれども東知事の首はなくなつてしまう。(笑声)また警視総監に頼まなきやならん。そういうことをしないように、やはり土地の人のうなずけるような仕事をするには、ずつと前からの努力が必要です。見通しが必要なんです、そういう意味において、学校の先生も、これは今のところしようがないでしよう、一応任命した以上は、お前はちよつとこの間デモに行つたから首だというわけにはいかないから、これは仕方がないが、せめて今後はそういうことのないように、先生も元のように仰げば尊しということがよかつたら、やはりいいことだけはとつて、そして日本国民としてのりつぱな人間を育てる責務があるんだから、そのことを再確認してもらつて、りつぱな国民を育てると同時に今日のような腐敗した政治から、正しいところの日本民族の誇りとなるような政治になるようにしてもらいたいと思う。以上。(拍手)    〔知事東龍太郎君登壇〕 ◯知事(東龍太郎君) ご質問と申しまするよりは、まことに適切なご鞭撻をいただきまして、十分事態の重大なこと、また仕事の困難のことは覚悟をいたしておりまして、私も全力をあげて努力をいたしますが、ただ金子議員にお願いいたしたいのは、金子議員のようなベテランがどうしてもできませんよというふうな事前の判決をお下しになりませんように、今後地元におきます建設事業が円滑に進みますように、何とぞこの上とものご支援をお願い申し上げます。(拍手)    〔警視総監原文兵衛君登壇〕 ◯警視総監(原文兵衛君) お答え申し上げます。ご承知のように警察は人の生命、身体、財産の保護を任務としているものでございます。最近におきます国会議員等に対する警護も、一連のテロ事件の発生に伴いまして相当な情報を根拠として事故の未然防止のためにとつた措置でございます。ただしこのために一般の犯罪の予防態勢が崩れないよう、弱化しないように、この点につきましてはもちろん警視庁といたしましても十分な配慮をしていろのでございます。ご説のように少年の兇悪犯罪、特に何かというとすぐ人を殺すとか刺すとかいう兇悪犯罪が非常にふえてきたことはまことに憂慮にたえません。このことにつきましては、お話にありましたような教育の分野あるいは政治の分野、その他いろいろな分野に遠因、近因があろうかと思います。私も最初の治安状況の説明におきまして、これらの遠因、近因につきましては関係方面の協力と対策を心から望むという趣旨のことを申し上げたのでございます。しかしながら警察といたしましては、犯罪に対してはそのよつて来たる原因のあるなしにかかわらずこれを予防し、取り締らなければならないのでございまして、法律に違反するかどうかということをめどにいたしまして今後も犯罪の予防あるいは取締りに当たつて参りたいというふうに考えているのでございます。なお今後一そう民主警察に徹しまして、あらゆる暴力を一掃し、市民警察にもまた徹して、市民の平穏な生活を守つて参りたいということを申し上げたいと思います。 ◯副議長(加藤千太郎君) 都合により三十分間休憩いたします。    午後五時八分休憩      ━━━━━━━━━━    午後五時四十六分開議 ◯副議長(加藤千太郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより質問を続行いたします 三十六番加藤清政君。    〔三十六番加藤清政君登壇〕 ◯三十六番(加藤清政君) 知事は先般の施政方針演説に当たりまして、十一項目にわたり重点施策を出され、強く推進することを約束され、都民の協力を求めたのであります。その中で青少年対策と島嶼振興対策を強調されたのでありますが、私は青少年対策と離島振興について、知事並びに関係局長、警視総監にお尋ね申し上げたいと存じます。  東京も戦後十六年をけみし、今や終戦時の混乱期に比し、形の上では経済成長の見通しも一応明かるく、都民は物価倍増にあえぎながらも、生活の向上はやや期待できるようになつたのであります。しかるに、世相は必ずしも平穏とはいえないのでありまして、ある面ではむしろ悪化しているという悲しむべき現実にぶつかつておるのであります。その最たるものが、青少年問題であります。最近における嶋中事件、昨年の浅沼事件等の超兇悪犯罪は、外紙をして無警察国家のレッテルを張らせるに至つております。統計の示すところによりますれば、青少年の犯罪傾向は数においてふえておるばかりでなく、その内容においても遂次兇悪化し、また年令の面から見ましても、漸次低年層に及ぶ傾向を示しておるのであります。  青少年の育成について、本当初予算の中に、総務局関係にありましては、青少年対策として地区青少年対策運営助成、海外派遣、青少年問題調査、匁物を持たない運動、また民生局におきましては児童健全育成、福祉保護等、さらに労働局におきましては勤労青少年の福祉等、さらにまた経済局におきましては農村青年の生活改良化を目的とする団体の育成指導、建設局におきましては児童公園の整備等、さらに衛生局におきましては深夜前の食品衛生対策等、さらにまた教育庁におきましては青少年教育の振興など、さらにはまた警視庁におきましては青少年不良化院止対策、盛り場の浄化、匁物を持たない運動等、それぞれ予算を計上して対策を立てておられるが、何かそれぞれのセクショナリズムに陥つて、有機的一体性が欠けておろように思われるのであります。  たとえば、地区協議会の中で協議された問題が、それぞれの団体の中でどう消化されていくか、協議会それ自体が行動する団体でないだけに、協議された事項をさらに消化して、どれをどのような工合に世論を組織し、発展させていくか。また青少年の育成には学校教育、社会教育、家庭教育の三本の鼎立が相まつて完成されていくのでありますが、とりわけ家庭教育は青少年問題の根源とされ、青少年にとつて最後のとりでとされております。アメリカのクリップ博士は、青少年の犯罪の要因を五つに分けて立証しておるのでありまして、ご承知の通り第一に父親の愛情、第二に母親の愛情、第三に父親のしつけ、第四に母親の監督、第五に家族の結合状況と集約いたしまして、その重要性を訴えております。幾らやつても、反響を示し、乗つてくるところはよいのでありますが、何ら反響もない、乗つてもこない家庭を捕捉していくことは非常にむずかしいわけでありまして、それを推進していくためにはボランティア活動を育成して、都民が自分たちの住まつているところをよくすることに自覚を高めていかなければなりませんが、どのようなお考えをお持ちか。  山梨県では、愛の鐘を県内に二百何十ヵ所も作り、町から村へ、おとなに反省を与え、青少年に希望を持たせる目的で作られ、知事を本部長として、青少年対策推進本部を作つて、青少年対策に力点を置いておると聞いておりますが、東知事は重点施策に青少年問題を取り上げて、さらに昨年、青少年問題協議会補導連絡代表者合同会議の席上におきましても、青少年こそは国家と民族のために汲めども尽きざる新鮮の泉であり、国の次代をになう青少年の問題は重要な問題であつて、一致協力して社会環境の浄化をはかり、青少年のために福祉社会の実現に努力することを誓つて、青少年を激励しておるのであります。知事の青少年対策に対するお考えには心から敬意を表するものでありますが、現在八局余にまたがる青少年対策の予算にゆだねられたままでよいのでありましようか。昭和三十五年度当初予算における都議会の付帯決議におきましても、青少年対策の重要性にかんがみ、すみやかに総合的機構に整備し、一元化された組織のもとに強力に推進すべきであると決議されております。青少年対策に対する理解ある知事の考えとこの議会側の強い決議に対して、この際思い切つて背少年対策本部を設置して、有機的一元的機構のもとに集中させて青少年対策と取り組むお考えありや、お尋ねを申し上げたいと存じます。  次に警視庁においても、匁物を持たない運動を展開しておりますが、皮肉にもこの運動中に、今回の嶋中事件が引き起こされたのであります。当局はもつと街頭に進出して実のある積極的な運動を展開すべきではなかつたでありましようか。昨年十一月から始まつたこの運動は、二月で第一期を終えることになつておるが、三月の卒業期を間近に青少年の心は解放感にあふれ、気候の軟化と相まつてその生活は緊張を欠くおそれありとして、この時期こそ危険信号の出る、最も重要なときであると思うが、かかる時期においてその余暇を利用できるような施設を作ることは、当局の責務であると思います。青少年は心身の成長期にあるとともに感受性の強いことは、その特質としてあげられておるのでありますが、大正から昭和の戦前までは、青少年は少なくとも将来は何になるかという一つの目標を持つて努力していたということができるのであります。ところが今はこれにかわるものが何にもないのでありまして、青少年は体力もあるし元気もいい、遊んで勉強するぐらいではおさえられない、従つて、何らかによつてこのはけ口を見つけることになるわけであります。希望なき希望いわゆるばく然とした中にせつな的なスリルを追いまして享楽主義に走るようになり、そこに転落へのコースが待ちかまえておるのであります。健康的な施設が少ないために勢いのおもむくままに遊戯施設、刺激的な娯楽施設、飲酒飲食にふける悪へのわだちを未然に防止し、健康な建設的な意欲に燃える青少年を育成するために、施設を作ることは刻下の急務であるとともに、家庭や地域社会の人々の協力、両親の子供に対する再認識などいわゆる社会教育の必要性が強く要請されるのであります。問題を起こした、手がつけられない、指導のしようがないというようなことから警察に持ち込むのでは仕方がない、その以前に社会全体として未然に防がねばならない問題が多々あるはずであります。それがために社会教育のあり方を根本的に検討し、形式的な面から実質的な面へと重点を指向すべきであります。これについて教育長はいかなる具体策を持つておるか。  さらに社会教育振興の一つとして地区青年館の建設を三ヵ年計画としてやつておられますが、これは大体三百坪ぐらいの土地に百坪くらいの建物で青年館の建設を計画され、土地については三万円、建物については坪当り七万五千円、初度調弁費といたしまして五十万円を入れて千七百万円の予算で、あとは各区の自由財源でりつぱなものを作るようにとのことであります。大へんけつこうなことでありますが、しかし反面全く立地条件を無視していると思われるのであります。たとえば都心部にありましては、坪当り三十万から五十万ぐらい、そうすると土地だけで精一ぱいでありまして、建物、初度調弁はできないことになるという矛盾に対してあとは区でまかなえばいいというような片手落ちであつてはならないわけでありまして、これに対してどう考えておられますか。  さらにまた社会教育の一環として青年学級の充実をはかつておるが、働く人たちにでき得る限りの学習の機会を与える重要な役割を果している青年学級は、事実はその予算では雀の涙であります。一学級年間都よりは一般学級にありましては二万円、職業学級にありましては三万円で予算的に行き詰まつて、学級生の定着性を持たない原因になつておるのであります。一学級当たり年間二十万程度を要するのでありますから、青年学級の必要性を痛感するならば、この予算では充実はとうてい期待できないわけでありまして、これをふやしていく考えはないかどうか、お伺いいたします。  さらに社会教育は元来行なうものにあるといわれ、その行なうものに対して指導助言し、さらに各種団体の会合の企画さらにはボランティア活動を推進する社会教育主事の強化拡充こそ望まれるのでありますが、その考えはないか。  さらにまた社会教育費として本年度五億三千万余を計上され、本年度教育費四百七十五億に比べますと約一・一%に過ぎないが、この予算をもつて社会教育の充実が期待できるかどうか、お伺いいたしたいと存じます。  次に、警視庁と右翼のつながりについて、世間では誤解ならよいが疑惑を抱いております。一月十八日付の毎日、読売の報道によれば、六・一五事件で新劇人などになぐり込みをかけ、暴力行為処罰違反で起訴された維新行動隊の石井一昌という人は東京地裁の四十二号法廷で、その発言の中で、私は保釈中だつたので事件を起こせば拘置され、二度と保釈を許されないことを十分知つていた、それなのにあえてやつたのは警察と事前に了解がついていたからだ、警察に指導されてやつているのに、今われわれだけを処罰して警察は知らぬ顔をしている。それだからきようは真相を発表するんだと述べております。この問題を追及された当局は、警察官がなぐり込みをそそのかした事実を否定しながらも、警察官が事件の前日被告の家でビールを飲んだ事実と翌日の右翼団の行動がその中で話題になつたことを認めております。いまだ、公判継続中でありますが、このことは一体何を物語るか、これこそ右翼と警察との深い結びつきと解されてもやむを得ないと考えられるのであります。暴力に対して都民を守る任務を持つ警察がなぐり込みを示唆ないしは黙認するようでは社会秩序は成り立たないのでありまして、被告の供述は氷山の一角にすぎないという疑惑か都民の間に広まつております。  さらに私はこの目で見た事実に基づいて論及いたしたいと存じます。去る二月十日新島本村七番地肥田徳松方の前庭でミサイル反対同盟村民及び支援団体百七十名が抗議大会を開催中、約三十名の防共隊員、独立青年行動隊が来てビールびん、投石、木刀を持つて暴れ込み、二十三名の負傷者を出したのであります。直ちに反対同盟、支援団体はこの暴力行為に厳重に抗議して加害者の逮捕を要求したのでありますが、新島署はそのまま調査中とのことで糊塗しておりました。さらに二月十五日午前中から村内にビラ張りをするために前日十四日新島署に連絡した。新島署は警察が責任を持つから、暴力行為は絶対させないから、いたずらに相手を刺激することのないよう、こん棒類は持たないでやつてもらいたいとのことで、翌十五日十時三十分ごろから村内にビラ張りを始めました。ところが十一時三十分ごろ新島本村役場前において支援団体三十二名が整然と素手でビラを張つていたところへ防共隊員七名がなぐり込みをかけて参りました、支援団体は四列に並びまして、前の一列ははしごを持つて防いでおりましたが、何せ素手であるのでどうすることもできないで、なぐられるままになつて前列のはしごは折れ、その折れたはしごで胸を突かれ、かぶつていた鉄かぶとにはひびが入つた、ようやく十分ぐらいたつて警察の注意でやつと引き揚げたのであります。見ていた支援団体の人たちも村民もあきれて、一体暴力はさせないと約束をした警察はどうしたのだと非難が起こつたのであります。負傷者十三名それぞれ診断書を出して告訴しております。こんな警察の片手落ちがテロへの誘発を招き、テロ行為を教唆、扇動、幇助した憎むべき背後関係をうやむやにしてテロ行為を助長するものであります。私はこの際匁物を持たない運動を強力に推進し、青少年対策に積極的努力を誓つた警視総監に対してい新島署の当日の報告をどのように受けたか、つまびらかにしていただきたいと存じます。さらには右翼と警察への疑惑を一掃し、テロ行為に対する確固たる所信を承りたいと存じます。  次に離島対策についてご質問申し上げます。知事も重点対策の中に島嶼振興を取り上げたことは、まことに適切であると存じます。もとより離島振興の本旨は、本土より隔絶せるりとうのとくしゅせいよりくる後進性を除去するため、基礎条件の改善並びに産業基盤を育成し、その経済力の培養、島民の生活安定及び福祉の向上をはかることはいうまでもないのでありまして、私は離島振興に対する知事の所見と、さらに新島の問題についてお尋ねいたしたいと存じます。  私は新島本村の臼井総務課長と反対同盟の大沼清氏との対談の中で、新島本村──若郷間の都道工事について、都でやつたなら十年かかる、それを防衛庁の工作隊がやつたから、三月ほどで一応通れるようになつたことを島民は心に銘記しているといつたことと、さらにミサイル試射場誘致賛成派の人たちは、港の建設整備にしても、黒根の突堤にしても、都の計画ではいつの日整備されるかわからない。都は島に対して何もしてくれないのだときめつけている。その反面、心の底から港がほしい。道路が作りたい、島の産業開発がしたい、予定地の端端までの道路工事に要する防衛庁の千六百万円の工事による仕事にありつけると、ミサイル試射場設置の条件に入つていることを知りながら、貧しき島の現状に賛成せざるを得ないのであります。  また一方反対派の人たちは、わしらのふるさとはこの青草の中にあるのだ、わしらのたつきは海につながるものだという限りない土地への愛着を示して、しよせん海を生命として生きる漁師の素朴な願いは、試射場によつての魚族の変化をおそれているのでございます。さらにはまた、戦時中全島をあげて強制疎開させられた母と子が、夫や父を新島に残して、見知らぬ山形へ疎開して、血のにじむ思いで過ごした、いわゆるウンバア、ウンジイ、オンバア、オンジイと呼ばれる老人層で占めておるのであります。この人たちは、ミサイルが来るならば死んだ方がいいといい訴えておるのであります。  不安と焦燥につながる賛成派も反対派の島民も、ともに都民であります。村の自主性にゆだねるということだけで放置して、流血の惨事を見、島全体が血縁関係にあつて、父と子が、夫と妻がいがみ合い、憎しみ合う悲しさと苦しみをどう考えておられるか。小学生の児童さえ、賛成派と反対派に分かれて、幼い心を痛めておるのであります。都民の悩みと不安に対して、ともに分かち合い、適切な行政指導をすべきであると考えるが、この新島の問題について、いかなる所存であるか、知事のお考えをお伺いいたしたいのであります。  さらに、黒根の突堤にしましても、産業構造から見まして二百トン級の船舶接岸で、六十メートルまでは離島振興で国が見ておりますが、防衛庁は五百トンつけるためには、もう五十メートルまで延ばしてやろうといつております。防衛庁にやらせるところに、島民の不安と対立があるのでありまして、都費をもつて、海流、水深の技術面を考慮して、突堤を延ばす考えがあるかどうか、港湾局長にお尋ねいたしたいと存じます。  なお昭和三十六年度の離島振興対策事業費といたしまして、国の負担四億三千万円、これが補助金に伴う都の義務負担として一億三千万円を予定されておると聞いております。さらに都の単独事業として、道路、清掃、空港、村道、治山、漁港、砂防、海岸保全として、一億二千五百万円を計上しておるが、総合開発の中に占める比率はきわめて低いが、この程度の予算で離島振興の実が期待できるのでありましようか。  私は、離島振興について知事は国の離島振興に便乗して、何ら都としての具体策が見られない感なきにしもあらずでありまして、都政の行政範囲にあつてともに都民でありながら、自然的、社会的諸条件の制約によつて、今なお島内に未開発の部面が多く、しかも文明の恩沢に浴することがはなはだ薄いのでありまして、経済面にも想像以上のみじめな状態が取り残されておるのであります。同じ都民であり、都政全般の行政水準を高めていくためにも、海を隔てた悪条件を克服しつつ、都政の中で離島の開発のために基礎条件を整備し、産業振興の施策を推進して、離島の後進性を除去し、島民の生活向上をはかる振興策について、知事のご決意のほどをお伺い申し上げ、私の質問を終りたいと存じます。    〔知事東龍太郎君登壇〕 ◯知事(東龍太郎君) まず青少年問題に対するご質問にお答えいたします。青少年対策に関係のあります機関は、ただいまご指摘にもありました通り、まことに広範でありますし、また多岐にわたつております。しかし申すまでもなく、その対象となります青少年というものは、これは同一の実体であることを考えますと、青少年対策が統一のとれたものでなければ十二分の効果を期し得ない、これはその通りであります。このような観点から、青少年問題の総合施策を調査、審議いたしますことと、関係機関の相互間の連絡を円滑にいたしますために、東京都青少年問題協議会というものが設置されたのでございますが、昨年の七月、この青少年問題協議会の事務局といたしまして、総務局に青少年対策課を設けまして、総合的な施策の調査、企画、連絡、調整等を進めることをはかつたわけでございます。しかしながら、ただいまご指摘のございましたのは、このような今までの措置、あるいは組織、機構をもつてしては不十分ではないか、なお一歩進んで、青少年対策の本部のようなものを設置する考えがあるかというご質問でございます。ご承知のように、この青少年問題に関する予算を統合して、この問題を本部において統一的に措置をいたしますことは最上の策だと存じます。ただ現在におきましては、各局の事務であるいは都外の事務などとの関連もこざいますので、十二分に、慎重に検討いたしまして、成案を得ましたならばそのような方向に持つて参りたいと存じます。(「それではおそい」と呼ぶ者あり)  それから離島対策についてお尋ねがございました。私は知事就任の当初から、同じ東京都と申しましても非常に広い区域にわたつております関係上、また今までの歴史的経過によりまして、その間の住民の幸福、福祉の状態に非常な差のあることは、まことに遺憾なことと存じます。理想といたしましては、東京都のどのようなへんぴな山の中にあつても、あるいはまた離島の端にありましても、同じような生活上の安定とそして安寧と幸福とが得られるということが理想でございます。従いまして、そのような方向に一歩でも近づくような施策をとつて参りたいと思つておるのでありまして、そのような考え方から、三十六年度の重点施策の中にこの離島という一項目を加えまして、ともいたしますと私どもの都政の中から見落されがちなこのような離島につきましても、絶えず注意の目を向けて参りたいというのが私どもの考え方でございます。なるほど現在までのところ、離島のために東京都が支出いたしております予算は決して多くはございません。一方これは国の離島振興法に依存して参つておる関係もございますが、しかし少なくとも現在の離島振興法に基づいて、離島に対して行なつております東京都以外の部分の施策と比べまして劣つておるとは考えておりません。しかしながら、ただいまもお話しにありましたように、この問題につきましては、逐次、離島に対する予算的措置を厚くして参る所存でございます。  以上で青少年間題並びに離島対策についての私の基本的な考え方だけを申してお答えにいたします。    〔警視総監原文兵衛君登壇〕 ◯警視総監(原文兵衛君) お答え申し上げます。最初に青少年犯罪の問題でございますが、青少年犯罪の趨勢はお説の通りでございまして、私どもとしてもいろいろ対策は講じております。匁物を持たない運動は、都民の皆様、各方面のご協力によりまして非常に成功をおさめつつあると考えております、二月をもつて、これは第一期でございますが、実は少年警察としての本年度の重点を、刄物を持たない運動の推進、少年暴力グループの補導強化、年少少年の非行防止といつ三つにおきまして、さらに強力に推進するつもりでございます。少年問題につきまして、今後も一そうの努力をしていきたいと思いますので、ご了承願いたいと思います。  次に、右翼と警察とのなれ合いというか、昨日もご質問があつたのでございますが、くされ緑があるのじやないかということであります。昨日もいわゆるくされ縁というものはございませんとご答弁申し上げたのでございますが、維新行動隊の隊長石井一昌の証言については、昨日も申し上げましたように、公正に調べていただくために、検事によつて、石井一昌と会つておりました佐立巡査につきましても、石井自身につきましても調べてもらつたのであります。その結果は昨日も申し上げましたように、いわゆるなぐり込みというか、暴力行為を起すようなことをそそのかしたり、あおつたということはもちろん全然ございません。だだ防犯のために、いわゆる右翼の情報をとるというために接触していることは当然でございます。だだ当日、その接触の間において、あるいは情報をとるためにお茶を飲み、ビールを飲むということも、これはないとは私は申しません。ただ、当日なぐり込みを黙認したのではないかということにつきましては、これは佐立巡査としても石井ないし維新行動隊にそのような乱暴を働くことのないように何回も警告をしておりますし、また当日国会周辺に行かないようにということもいつておるのであります。ただ維新行動隊におきましては六・一五の当日に、それではあそこにたくさんの労組員、デモ隊員、あるいは全学連等がいわゆる国会請願ということで来ている、あれは一体許可を受けているのか、あれはみんな無許可じやないか、われわれも賛成の請願をすることは自由じやないかということに対して、佐立巡査としてはそれをとめる権限はないので、ただそれに対して、乱暴なことなどは決してしないようにということを警告しておるというのが事実でございます。  次に新島の右翼に関連すろ傷署事件でございます。これは先ほど来新島のことも若干申し上げましたが、残念ながら現在までに数件のいわゆる傷害あるいはトラブルが起きているのでございます。警察としましては、反対、賛成ということで、どちらを取り締まるということでなくて、ただ暴行とか傷害とか違法事件を未然に防ぎ、あるいは起きた事件を厳正に取り締まるという目的で相当数の応援警察官も派遣しているのでございますが、ご質問のありました二月十日には、反対派の方の庭で、島民の反対派及び支援オルグ団百数十名のものが、新島ミサイル試射場設置反対総決起大会というものを開いておりました。その隣接する産研本部というのでございますが、そこに徒党しておりましたいわゆる右翼の一派と賛成派の者が、その集会を見ておりましたところが、そこにこん棒にプラカードをつけたようなものがあるということを現認したようでございます。ちよつとさかのぼりますが、一月三十一日と二月一日、新島の署長が賛成派にも反対派にも、あるいは支援のオルグ団にも右翼にも、トラブルを起こさないように、こん棒とかプラカード等を持つていると、ついそこに暴行傷害等の事件も起きやすいから、そういうものは一切島内で持つて歩かないようにという警告を発しまして、両者ともにこれは了解しておつたのであります。ところが二月十日のときに、隣りの家におりました右翼関係者並びに賛成派の者が、こん棒様のものにプラカードをつけているのは協約違反だといつて騒ぎ出したのであります。何か騒ぎが大きくなりそうなので、警察官が相当数中に入りまして未然に防止しておつたのであります。その後この総決起大会が終わりまして、反対派の者が村当局、並びに警察署に陳情に行くというので自動車に乗つたところが、賛成派及び右翼の者が道にふさがつてこれを通さなかつたので、警察力をもつてこれを排除して通したのでございます。そうしますと右翼の者が、これは一方的に反対派の方に加勢するんだということで、いきなり協定違反だというような叫び声をあげて、集会場に数名の者が飛び込んで行つたところが、最初に入つた者が、オルグ団の方がもちろん数も非常に多いのですから、それに取り囲まれて、そこでもつてヘルメツトをちぎられ、傷を受けだというような事件があつたようであります。それに対して右翼の方から、へい越しにあきびんを投げたり、棒切れを投げたりというような事態があつたと私は報告を受けております。従いまして事後におきまして、あきびんあるいは棒切れを投げましても、負傷したところを現認しておりません限り、これは傷害罪として、証拠として何もないのに直ちに検挙するわけには参りませんので、オルグ団に対して負傷の状況を報告し、あるいはまた診断書を添えて持つてきてもらいたい、それによつて捜査をするということを署長として申したところが、その問題につきましては、いまだに負傷の程度がわかりませんので捜査に手がつかないという状況だそうでございます。そのように報告を受けております。  また二月十五日の事件は、これは防共挺身隊の一人が外に出たときに、ただいまご質問にありましたように、数十名のオルグ団が確かにこれは何もせずにというか、何も持たないでビラを張つていたようでございますが、今までの感情的な対立もあつたのでしようが、その防共挺身隊の一人の者がオルグ団の前を通るときに、何か自分がやられるんじやないかという危険を感じて、自分の派の方に引き返して行つて、今やられそうだと、どういうふうにいつたかわかりませんが、そういう意味のことでしよう そこで防共挺身隊員等が数名、これは確かにこん棒その他を持つてなぐり込みに行つたようでございます。警察としてそれを未然に防ぎ得なかつたのはまことに残念でございますが、その事実がありましたので、直ちに防共挺身隊員等七名の者を緊急逮捕いたしまして、取り調べの上、検察庁に送致しておるというのが実情でございます。以上、私どもといたしましては決してどちらの肩を持つとか、どちらとなれ合うとかということではない。ご承知のように、これも離島で警察官を派遣するにも非常な困難を冒してやつておるのでございますが、とにかくトラブル、犯罪というものを未然に防虚し、あるいはまた起きた犯罪に対して厳正に捜査を進めなければなりませんので、そういう考え方のもとに今警備に当たつている次第でございます。ご了承願います。    〔教育長小尾乕雄君登壇〕 ◯教育長(小尾乕雄君) お答えいたします。地区青年館の土地購入費が坪三万円では安すぎるというお話し、まことにごもつともでございます。これは五ヵ所の総予算のワク内で調整をいたしております。つまり、あるところでは区有地に建てるために土地の購入費は要らないとか、あるいは他の施設と一緒に、たとえば図書館と一緒に建てるために土地の購入費が非常に安くつくというところもございますので、高いところがありましても、全体としてある程度融通がついているわけでございます。本年度の場合におきましてもそうでしたし、三十六年度の予算のワク内で五ヵ所建設が可能でございます。しかし予定の百坪より多少坪数が減るというような必配もございますので、ご指摘の線を十分考えまして、三十七年度以降におきましては実情に即して処理いたしたいと存じます。  それから青年学級の経費も非常に少ないというお話しでございましたが、来年度は本年度よりも二百万円ばかり増加いたしております。これもお説の通り増額いたしたいと思いますが、ただこの経費は国から補助金が参りまして、国と都と区、市町村とか三者同額ずつ負担する建前になつております。従いまして国の補助金の増額をはかることが一つの重要な線でございますので、この点についても努力をいたしたいと思います。なお東京都におきましては区の負担分まで都で負担いたしておりますので、国の負担金の二倍を都費で計上いたしております。  社会教育主事でございますが、これも現在各区に主事が一名おりますが、今後人口数に応ずる定員を考えまして、三年計画で逐次増員をしたいと考えております。社会教育は住民の相互教育活動でありまして、基本的には行政庁はこれに対しましてあくまでも援助育成の立場でございます。この基本に立ちまして今後効果のある施策を進めたいと思いますが、現在の社会教育関係は、お説のごとく非常に僅少でございまして、都民一人当たり四十四円にしかすぎません。今後よき施策と相待つた経費の増額につきまして努力いたしたいと存じます。    〔港湾局長小宮山紀元君登壇〕 ◯港湾局長(小宮山紀元君) 防衛庁の五十メートルの突堤の問題でありますが、新島の突堤の問題につきましては、離島振興といたしまして、昭和三十三年から三十七年まで約九千八百二十万円の予算をもつて六十メートルの突堤をやる、こういうことで現在進んでおりまして、三十六年度では二千万円を計上いたしまして、従来やつております四十二メートルにプラス六メートルを竣工させたいと考えております。従いまして六十メートルから約十二メートルが残るのでありますが、防衛庁は自分の方の五十メートルと、離島振興でやる十二メートル、これを合わせて突堤を自分の方でやりたいと、こういう話でありますが、元来私どもは離島振興の立場から、現在二百トンの船が接岸できるようにこれを九千八百二十万円で五ヵ年計画で計画したのでありますが、新島は坑火石が非常にできまして、これは建築用の資材、産業開発にも必要でございますので、この六十メートルができましたらばさらに産業開発のために突堤を作ることは必要であると考えておるのであります。従いまして、もしこれが早くできるならば、島民の産業振興に役立つと思われますが、現在防衛庁が私どもに話しておるこの突堤計画の技術の問題と管理上の問題について十分検討いたしまして、この問題を決定いたしたいと思いますのでご了承願います。 ◯副議長(加藤千太郎君) 三十番吉田秀英君。    〔三十番吉田秀英君登壇〕 ◯三十番(吉田秀英君) 昨日来各党代表と先輩議員によりまして 都政の一般的な問題についての十分な質問がなされ、またそれぞれ答弁もありましたので、私は次の二点について、知事並びに関係局長に質問をいだしたいと存じます。質問の第一は、都市計画道路工事の施行について、第二は都有地の管理についてであります。  道路工事施行についてお伺いいたしますと、都行政の最も大きな問題点は、道路交通対策を中心とした市得改造の問題であります。なかんずく昭和三十九年に迎えるオリンピックに対処する都市計画街路の推進は、今後における交通激化を緩和する対策としても、きわめて重大であるといわなければなりません。このことは昨日来の各議員の質問の中にも、知事、副知事初め、関係局長の答弁にも明らかにされた通りであります。  首都整備局の発表によりますると、オリンピック関連一般道路は二十二路線、総事業費六百五億九千七百万円を三十八年度までに完成、高速道路七路線、事業費六百五十四億五千万円を三十八年度までに完成、高速道路関連街路四路線、事業費二百八十四億三千万円を三十八年度までに完成しなければなりません。これらはオリンピック一般道路中、五、六の審議中のものを除き、全部事業決定がなされておりまして、その合計延長は十三万七千五百七十九メートルで、総事業費千五百四十四億七千七百万円という膨大な額であります。  首都圏整備に基づく都市計画の推進、放射四号線、環状七号線を初め、オリンピックに関連をする道路の建設は、その立ちのき補償、工事の施工等、種々な困難と隘路が随所に発生しておりますことは、ご承知の通りでございます。都民の大きな理解と協力なくしては、一定期間における達成は困難といわなければなりません。そこで私は知事並びに建設局長に工事施行にあたつて、一つの注意を喚起しておきたいと思うのであります。  ご承知の通り、最近、会社、工場、アパート等の建築で、ビル・ラッシュの状況でありますが、このため地盤沈下、騒音、交通妨害、家屋の被害、営業不振等の問題が続出しておるが、この苦情を適切に処理することがなかなか困難で、被害者は泣き寝入りするの状況でございます 都市建築高層化に伴う大きな犠牲だといわなければなりません。これと軌を同じくするものに地下鉄工事と道路工事とがあります。その影響はさらに深刻なものがあります。これは公共事業でありますので、都民もこれを理解し、がまんをしている実情であります。しかしながらこれら被害の解消や対策を怠つてはなりません。  これについて一例をお話しいたしますと、最近路盤を迅速にかためるために、ローラーのかわりにエンジン操作による振動で輾圧力を増大するヴァイブレイティング・ソイル・コンパクターを使用しております。これはご承知の通り約十倍のローラーに匹敵する圧力を持つて路盤をたたきかためますので、道路建設の機械化としてすぐれた効力を発揮しています。住宅地域でない建設工事にはきわめて適切な方法と思います しかしながら住宅稠密した路盤の弱い地域におきましては十分注意を要する点があると考えるのであります。現在放射四号、渋谷上通り付近の道路工事に使用しておりまするが、この工事に面した商店街の居住者の中に数人の病人が現在おります。この地域の工事期間は昨年十一月から少くとも今年三月いつぱいまでの長期工事であります。この工事の被害の一端について申しますと、昨年十二月より心臓病にて高熱続きで、工事振動のため病気が長引いている者、工事着手前より病床の老母が振動に悩まされている者、八十余りの高齢で脳軟化症で数年間病床にあり、工事着手後たびたび発作を起こし、病気に苦しんでいる者、八ヵ年にわたる狭心症のため病床に臥しており、この振動に悩まされ、呼吸困難となり、医師よりも見放され、親戚一同参集して、現在二人の医師にかかつている、こういう病状悪化の者、また脳軟化症で療養中の婦人が振動に悩まされながら、昨年十二月末死亡した、等々という重病人の実例がわずか四十世帯前後の中に見られます。これはこの工事の被害実情調査でありまして、その調査表は近日建設局長のもとに提出するつもりでありますが、十分検討を要する問題だと考えますので、今後のご参考にもしていただきたいと思うわけでございます。  もちろんこの振動によりまして、家屋の被害、営業不振、建具の開閉不能、商品の毀損等の被害は申すまでもありません。使用中は全く強度の地震と同様で、長時間にわたり連続使用されると、健康な者でもノイローゼにならざるを得ない状況であります。とはいいましても、重量自動車を運行する主要道路は路盤の硬度を高めねばならんし、道路構造令の基準にマッチした支持力を持たなければならんので、これらの機械を使用することが最善の方法であろうかと考えられまするが、その操作の方法については考究する必要が十分あると思うわけでございます。都市公害防止の立場から、工場の騒音、煤煙、河川の汚染等に防止条例を制定して、都民に対してその制限と防止を強要しているにかかわらず、都の事業で人身に被害を及ぼすこれらの振動音に対しては、何ら適切な対策を持たないということは不都合きわまる問題であるといわなければなりません。いわゆる民法でいう無過失の損害を与えてはならんということでございます。かかる工事の施行について、建設局長の技術的な面についてのご意見と処置についてお伺いいたしたいと思います。  さらにこれらの問題のうち、最も切実な点は病人への影響であります。特に脳あるいは心臓病の患者に影響することは甚大なものがあります。これは人道、人権上の問題でもございます。今後オリンピックを三年後に控えまして、都市計画道路線は急速に完成を急がなければなりません。この工事量もまた膨大であります。工事の施工にあたつては事前の調査をなし、病者対策について工事契約、経費とは別に、都の最高理事者は親切と愛情を持つて対処すべきであると考えるのでございます。できればその工事期間中都立病院に収容するとか、自宅においても十分の看護ができるような処置を講じるとかして、今後長期にわたる大幅の道路工事に対する、別な角度からの建設に関連した対策を樹立すべきだと思うわけでございます。幸いにいたしまして知事は病者に対してはきわめて理解のある医師の職にもあり、医は仁術とか申します、かつ医療行政の権威でもありますので、愛情ある積極的な対策を講じてもらいたいと思いまするが、そのご意思を伺いたいと思います。私があえてこの質問をするゆえんは、都民の生命を尊重するということはすべての都政に優先する問題であり、人道と人権に関する問題だからであります。都知事のご答弁をお伺いいたします。  次に都有地の管理についてであります。年度予算の審議にあたつて、その歳出と歳入が合法的かつ合理的であり、適切であるかいなかということを検討することは、最も必要であることはもちろんでありますが、現に所有する資産の実態を知り、その管理の状態を知ることは決して等閑視してはならない重要な問題であります。私は都有地の管理というまことに重大な問題を質問するにはまだ非常に準備も不足であり、具体的な問題点の取り上げが不十分であると思つておるのであります。そこで今回の質問は、私の目に映した数点をお伺いして、その答弁を基礎にして、他日具体的な問題の中からさらにお尋ねしていきたいを存じております。従つて多少ささいな問題をお尋ねするかも知れませんが、後日の参考にしれませんが、後日の参考にしておきたいと思いますので、こまかい数字の点につきましては後日文書をもつてお答えを願うことといたしまして、それらご了承の上ご答弁をお願いいたしたいと思います。  昭和三十五年九月三十日現在におきまして、東京都財産表によりますと、都有財産中一般財産の土地数量は一千五十八万六千五百三十三坪、公営企業用財産の土地数量は六千八百九十一万二百六十四坪で、計七千九百四十九万六千七百九十八坪であります。この都有地は果たして適切に管理されているか、あるいは都有地の払い下げが明朗になされてきたであろうかを十分検討する必要があろうと思います。都有地の管理は相当むずかしい面もありましようが、困難ではあつても都民の財産でありますので、その管理の責任者はこの財産を間違いなく守つてゆかねばならぬ責任があることは申すまでもございません。都の財産表により一例を取つてみますると、財務局所管の土地財産は四十六万六千百九十三坪であります。このうち約五万坪が不正使用されているということが、さる二十四年度の決算特別委員会の際、わが党守本又雄議員の質問に対する財務局の答弁によつて明らかにされたところであります。きわめて正直にお答え願つて非常にありがたいと思うわけであります。この点については厚く感謝いたします。所管土地面積の約一〇%余に該当する都有地が、当面の責任局である財務局においてすらかかる数量の不法使用がなされているとすれば、各局総計の都有地七千九百四十九万六千七百九十八坪のうちの不正使用となると大へんな問題であろうかと思います。このうち水道用地はご承知のように貯水池、小河内等の広大な土地がありますので、公営企業体用地は別といたしましても、一般財産の土地一千五十八万六千五百三十三坪の約一割が不正使用あるいは占拠さるれば約百万坪となります。これをかりに坪五万と評価いたしましても、五百億の都民の財産が特定の個人や団体に不法使用、占拠されているということが推定される。まことに膨大な金額といわなければなりません。他面において都は都市計画道路用地、学校用地、あるいは住宅用地、公共施設建設用地の購入等に莫大な支出をしております。そこで私は前述のごとき私の推定や憶測によつて、他を惑わすがごときことになつては当局に申しわけないと思いますので、財務局長にお尋ねしたいと思うのですが、外局等を含んだ各局別にその所管都有地の不正使用、ないし占拠された坪数と件数をお知らせ願いたいと思いますので、明映なご答弁をお願いいたします。これが第一点でございます。  第二点といたしましては、都が使用料を徴収して個人ないし団体に対して賃貸をしておりまするが、その総数量、並びにこのうち都が借地権利金を取つて貸与している総数量、及びこれらの最低使用料等についてお伺いしたい。これは予算書に出ていると思いますが、詳細に文書をもつてお答えを願いたいと思います。  第三点といたしましては、都有地のうら不正使用されているものは橋台敷、土揚敷、共同物揚場、道路法敷、旧道敷、公園緑地、小河川、下水、河岸地、及び一般都有地等、いずれにもあると思いまするが、右のうち明け渡し返還要求のもの、及び明け渡しに関し訴訟中のもの、及びそのいずれの処置をもせずに放任してあるもの、これらおのおのその件数と数量をお尋ねしたいのでございます。  第四点といたしましては、都有地は特定の個人や団体の利益に供してはならぬことはもちろんであります。私の若干の調査によりますると、都有地を占拠し、営業して利益を得たり、権利金を取つて第三者に賃貸しているもの等々種々の不正使用があります。一例をあげれば、新聞にも出ておりましたが、墨田区の中川某は河岸地約五十坪を不正使用しております。これは権利金を取つて賃貸すれば百五十万ないし二百万を都が収納することができるのに、戦後現在に至るまで返還させることが不可能になつております。どうしてこれまでこれを放置しておいたか。この理由について伺いたいと思います。なお聞くところによりまするというと、管財部で話し合いに行つてましたところが「お前たちではわからないから関係局長か都知事がこい」というようなことで追い返されたということでありまするが、まことにけしからん話であると思います、この点は事実かどうかを明快にお答え願いたいと思います。これは単なる一例でありまして、これと類似する件数は数え切れないほど多数あると思います。これに対して都は従来いかなる返還についての効果を上げ得たか、今後どうするつもりであるかということもあわせてお答え願いたいと思うのであります。  都は用地取得のために昭和三十六年度東京都用地予算におきまして、昨日知事のご答弁だつたと思いまするが、用地会計、一般会計、特別会計で合計三百二十九億の巨額に達しております。かくのごとく高額の用地取得を予算に提案しながら、他面には莫大な不正使用を回収できずにいることは、きわめて矛盾せるもので、まことに遺憾であります。都民の財産を守るのに不忠実というべきであろうと考えます。悪質の都有地不正使用者に対しては、昭和三十五年五月十六日、法律第八十三号として公布され、同年六月五日施行された刑法第二百三十五条の二の不動産侵奪罪、すなわち「他人ノ不動産ヲ侵奪シタル者ハ十年以下ノ懲役二処ス」また刑法第二百六十二条の二の境界毀損、すなわち「境界標ヲ損壊、移動若クハ除去シ又ハ其他ノ方法ヲ以テ土地ノ境界ヲ認識スルコト能ハザルニ至ラシメタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金二処ス」という法により、都民の財産を守る処置を講ずべきだと存じますが、これについてどう考えておられますか。従来はご承知のように、他人の土地に建築をするにいたしましても、建築基準法に合えば建築確認が得られ、家を建てることができましたが、この土地の不正使用に対しては民事によつて占有回収の請求、あるいは賠償の訴訟をするとかのきわめて弱いもので、侵奪された土地に対してはなまぬるい面があつたが、今度は悪質なものに対しては法により保護されるようになりました。この法施行後において、都有地の侵奪をされた件数があるかとうか あればそれに適切な法処置を講じたかどうか。さらにまたこの法以前の悪質な不法侵奪に対しては、行政代執行による措置をしていると思うが、どうしているかをお聞かせ願いたいと思うのであります。自己の莫大な利権のための不正使用や占拠者に対しては、都民の財産を守るため、徹底した処置をなすべきだと思いまするが、決意を伺いたいのであります。  第五点といたしましては、都有地の売り払い処分に関してであります。都有財産条例によることはもちろんでありまするが、その方法や契約者については明朗にしなければなりません。私が承知している一つの実例ではありまするが、都有地を侵奪して建藪率を著しく越えて不法建築をなしたる者に対し、その隣接都有地を入札、もしくは随意契約により売り払うがごときことがあれば、不正建築を合法化し、不法侵奪を解消してやる結果となります。雑種財産処分の入札参加者の資格条件等について伺いたいのであります。これは都有地管理と不可分の関係にあるのでお尋ねしておきたいと思いますから、ご答弁をお伺いいたします。  第六点といたしましては、東京都内にはいわゆる米軍基地、あるいはその機関、家族等の駐留により使用されている土地が約三百五十万坪といわれております。これは大部分国有地であると思いまするが、都有地は使用されているかいないか。もし使用されているとするならばその数量、及び内容と返還についてご説明をお願いいたします。  第七点としては、都が国から管理委任を受け、あるいは区や市町村に管理委任した土地、河川、下水、池、及びその河岸敷地等の管理状況の説明をお願いいたします。区に管理委任をしてある下水の上に住宅ないしは事務所を建築士、不正使用しておる者がありまするが、これらについて区にいかに善処方を要求しておるか、それらの実情についてもお答えを願いたいと思います。  第八点といたしましては、住宅敷地の問題について考えてみると、都は住宅用地の獲得に苦心をしておりまするが、既存の比較的広い都営住宅敷地を立体的に利用することや、あるいは他の局所管の敷地や国の所有地を話し合いで活用するということにより、まだ相当量の住宅が建設されると思います。たとえば太平南住宅は約一千坪の中に二十四戸建ち、地形的にも立体的げたばき住宅の建設が可能であり、また水神森住宅地区では、建設局の用地をあわせて約二千八百坪中二十八戸の住宅が建てられております。これらは、いずれも月額八十円という、きわめて低廉な家賃で賃貸しているものであります。これなどは、建設局との相談ができれば、相当数の鉄筋住宅が可能でございます。これも単なる一例であります、その他、港湾局埋立地、ゴルフ場等々、これらの都有地を各局総合一体となり、都民住宅の危機を解消するに使用することができまするならば、この住宅建設の隘路というものが非常に解消されることになります。企画室が、脳下垂体といわれておりまするが、こういうことの総合的な計画の中にこそ、住宅局、企画室の使命があろうかと思いまするが、住宅局長並びに企画室長のご答弁をお伺い申し上げます。  以上、都有地の管理について質問を申しましたが、最後に知事からご答弁をお願いしたいと思います。知事は、昭和三十六年度施政方針を述べた際にも、あるいは、いわゆる十一重点対策の中にも、都有財産の管理については、一言も触れておりません。いわば前に進むだけて、あとを見ない政治だといわなければなりません。都政の前面を見て、その都政の背後を見ない政治は、一面地に足のつかない都政だともいえると思います。都有財産の管理、なかんずく、都有地の不正使用されている実態、あるいは、その処分、及びその管理内容等を知ることは、計画道路の立ちのき補償、学校用地の取得等の処理、並びに代替地への転用等にも十分関連のある問題であります。都有財産は、昭和三十五年九月三十日現在におきまして、四千六十五億余円となつています。この評価についてみますると、土地一坪千六百六十二円という算出になつております。この事実から推定してみまして、きわめて低価格の評価であります。この基準に従つた四千億という都の財産評価は、実に膨大な財産額に達するといわざるを得ないのであります。この都有財産の管理、処分、不正使用等の実態を把握して、用地取得等都政の前進がなさるべきだと思いまするが、都知事はいかに考えますか、お伺いをいたします。また、都有財産管理について、都知事の基本的な考え方と、処理に対するご意見についてお伺いを申し上げます。  質問の第三点は、テロ暴力に対する知事の所見をお伺い申し上げます。知事は施政方針の中に「今日ただいま私たちにとつて必要なことは、東京に秩序と調和を与えることであります」といつておられます。これは、首都圏整備計画に基づく、首都建設の知事のアイディアだと思います。私はこの知事の考えは、都政の全面に考えていかねばならぬ問題だと存じます。外観的な首都圏整備の実現だけでなしに、都民の心の平和の上にも、秩序と調和の都政が、今日の東京におきまして、一番望まれていることでないかと考えます。浅沼事件、河上、岸、樺、嶋中事件等これらの方々は、皆都税を納めている都民であります。こういう事件に対して、防止の立場から、警備の立場から考えまするというと、その責任は、警視庁、検察庁の所管でもあります、責任でもありましようが、都民の父としての知事が、この事件、特に最近の嶋中事件の後小倉総監は辞任しましたが、こういう都民の重大な事件、あるいは新島ミサイル試射場について、いわば秩序と平和の問題について、知事がいかなる意見を述べたことがあるか、もしそういう機会かあったとするならば、どういう点であつたかということについて、知事の所見をお伺いしたいと思うわけでございます。さわらぬ神にたたりへなしというようなことであつてはならぬと思うのであります。また、警視庁当局にまかせつきりであるということにつきましては、都民は納得しない。頼りないような気持を持つものは、あえて私ただ一人ではないと思うわけでございます。警視総監の任免に同意を与える都公安委員の推挙は、知事がするのであり、都民の生命、財産を守る警視庁とは、都政の上において、特別な深い関係があることはご承知の通りであります。これらもろもろの事件について、取締当局と話し合つたことがあつたかどうか。またこれらの事件に対しましてはどういう考えを持つておられるか、こういうことが、再び起こらないようにするためには、都知事として、個人として、どういうご意見を持つておるかということも、あわせてお伺をいたしたいいと思います。  以上、三点について、それぞれご答弁をお願いを申し上げまして、私の質問を終らせていただきます。(拍手)    〔建設局長加藤清君登壇〕 ◯建設局長(加藤清君) ただいまのご質問にお答えを申し上げます。道路工事の執行につきまして、ご注意をいただきまして、まことに恐縮に存じます。実はご指摘の上通りの個所におきましては、たまたま、私どもの舗装工事のほかに、時を同じゆういたしまして、交通営団、東京電力、電電公社及び水道局がそれぞれ並行をして、工事をやつておつたのてありますが、ご注意をいただきましたのて、さつそく私どもの方の担当の責任者並びに工事の請負業者の代表者をして、地元の町会と連絡をいたしまして、各戸について、それぞれ工事の内容、目的等につきまして、十分ご説明をいたし、さらに病人のおられます家庭につきましては、さつそくご家庭の方々と協議をいたしまして、最も影響の少ない時間におきまして、つきかため工事をする等の措置を直ちに実施いたしますとともに、見舞い金を差し上げ、さらに関係事業施行者に対しましては、今後十分連絡を密にして、遣憾のないようにということを指示いたしたわけであります。なおこれを機会に、今後盛んになりまする工事の施行につきましてはできる限りあらかじめ地元の沿道の関係の皆様方と、工事方法その他について連絡をいたしますとともに、工事のやり方につきましても、最近とり入れられました無騒音の振動方法を積極的に採用いたしまして、できる限りご迷惑のかからないように、措置をいたしたいと考えておりますので、ご了承を願いたいと思います。    〔財務局長日比野七郎君登壇〕
    ◯財務局長(日比野七郎君) 都有土地の管理につきましてご質問がございましたが、数字その他詳細にわたるものにつきましては、ご発言にもありました通り、後日文書をもつてご報告申し上げたいと思います。ただ全般的な問題につきまして、二、三お答え申し上げますが、都有財産は、主として戦後、罹災地に非常に多く、いわゆる不正常使用と申しますか、不法占拠が行なわれたのでありますが、昭和二十六年ころから都におきましては、特に都有地の不正使用に対しまする措置のための課を設けまして、いろいろ調べました結果、当時大体八万九千坪くらいが不正に使用されている土地でございましたが、その後今日までに大体三万五千坪程度が解決をいたしまして、現在残つておりますのは、先ほどご発言のありましだ通り五万四千坪でございます。これは公営企業関係を除きまして、財務局関係並びに建設局等にわたるものでございますけれども、大体この半分が財務局所管の雑種財産でございまして、あとの半分のうち一番大きいのは建設局関係でございます。これらにつきましては、先ほど申した通り、発生の状況が、戦後の混乱時に起こりましたのが非常に多いのでございまして、この処置につきましては、それぞれの実情によりましていろいろまだ考えなければなりませんが、もちろん悪質ないわゆる占拠者に対しましては法令の規定するところによりまして、断固たる処置をするという方針をもちまして、今日まで十数件、この方式によりまして処理をいたしております。またそれ以外のものにつきましても、いろいろ占拠のときの事情が非常に微妙なものがございまして、本人の申すことと、あるいは都の調べることといろいろまた食い違つたりなんかしまして、なかなか実際の調査がむずかしいのでありますけれども、なるべく早くこういつたものを解決いたしまして、正常な形にいたしますために、さきに都有財産条例の特例を設けまして、罹災者等で長年土地に住みつきまして、よそに引つ越すといつても容易じやない、というような特別なものにつきましては、一定の条件のもとに特に随意契約で払い下げるというような措置によりまして、遂次先ほど申した通り、これが解決をはかつて参つたのであります。しかしながら、何と申しましても、非常にお話の通り、むずかしい問題がございますので、今後とも一そうこれの解決のために、われわれ努力する覚悟でございます。  なお不動産侵奪罪のお謡がございましたが、これの実施になりました以後におきましては、まだ不法侵奪の例はないようでございます。これ以前のものにつきましては、行政財産でございますと、これはもちろん代執行、強制執行の道がございますけれども、それ以外のものにつきましては、やはり民事関係の手続きによりまして解決をいたさなければなりませんので、非常に暇もかかりますし、困難もございますけれども、先ほど申した通り、できるだけ早期に解決しだいと考えております。  なおこれを売却処分いたします場合に、不法侵奪者に対しまして、隣地を処分するために、参加資格を認めるというようなことにつきましては、もちろんよくこれは調べまして、このような不当な者につきましては、払い下げを行なわないように、十分注意して参りたいと思つております。数字等の詳細につきましては、後ほどまた書面をもつてご報告申し上げます。    〔知事東龍太郎君登壇〕 ◯知事(東龍太郎君) 道路工事の結果として起こる苦情処理につきましては、建設局長から、一応技術的なお答えを申しましたが、特に人命尊重の意味から、病気にかかつておるような人に対する悪影響に対して、いかなる処置をとるつもりかというお尋ねであつたと思いますが、これにつきましては、少なくとも吉田議員のお調べになりましたその資料と申しますか、状況等については、いずれ書面をもつて詳しく知らせるというお話であります。そのような状況を拝見いたしまして、実情に即した、そうして愛情のある、あたたかい措置を考慮いたします。  都有財産の問題につきましては、ただいま財務局長からもお答えを申しましたが、不正につきましては、これはできる限り、厳正な処置をとるべきだと思います。また取らせるようにいたしますし、都有財産を、これは都民の財産として大切に管理する責任と義務を、われわれは持つております。そのような責任と義務を十分に果たし得ますように、一点の不正もないように、これを管理して参りたいと思います。  それから、テロについてのお話がありましたが、申すまでもなく、最近頻発いたしますテロ等の暴力事件につきましては、遺憾千万に存じますが、これらの防止対策といたしましては、このよつてきたる大本と申しますか、そのもとをただすということが肝心でございます。従いまして、その最も有力なものは、教育、特に社会教育、先ほど来もいろいろお話のございました青少年対策等を含めました、そのような教育によつて、社会全体が、あらゆる暴力を追放するというふうな、そういうムードを作り上げねばならないと思うのであります。従いまして、青少年の補導育成、あるいはまた家庭というものを対象にいたします婦人対策等を推進いたしまして、そうして、一種の何といいますか、暴力に対する、暴力を許さない、またあえて暴力にみずからが進まないというふうな基盤を作り上げると、これが、私どもとして、なすべき勤めであろうと考えております。    〔住宅局長武冨巳一郎君登壇〕 ◯住宅局長(武富巳一郎君) 住宅局所管の分について、お答え申し上げます。  一つは太平町の土地と水神森の土地についてのお尋ねでございました。太平町の土地については、仰せの通り、建てかえる方針でございますが、住んでいらつしやる方々が、建てかえよりも、むしろ払い下げてくれ、こういうようなご希望がございまして、なかなかまだ意見が一致しておりません。二十四戸というお話でございましたが、当初五十戸ございましたのを、ただいまのように、建てかえるつもりでございましたから、順次お世話を申し上げまして、今二十四戸残つております。九百坪余りで、現在は任宅局所管の土地になつております。水神森の土地も、これは建設局の公園予定の敷地でございます。従いまして、住宅局としては、これを永久に拝借するということでなくて、一時拝借をしておりまして、いずれ公園予定地にお返しをしなければならぬという土地でございます。従つて、最初五十七戸ございましたのを順次ただいまのようなことでお世話をいたしまして、目下二十八戸残つております。約二千七坪ございますが、そのうら約二千坪を公園の方にお返しすることになりまして、土盛りをしてすでにお返しをすることに相なつておりました。残りの部分だけを一時に取り払うわけには参りませんので、そこは建てかえをしてよろしい、こういうご内諾を得まして、残りのところに建てかえをする予定に相なつております。おそらくは現地ご事情ご存じのことと思いますので、何分よろしくご了承を願います。  なお木造住宅について、たくさん土地はあるんじやないか、あとどうするか、こういうお尋ねでございました。なるはど木造の都営住宅につきましては、これを全部建てかえをして不撚のものにすれば大へんけつこうでございます。それは理想でございますが、ご案内のように土地の狭いところもございますし、また地盤の悪いところもございます。また非常に形が不ぞろいでなかなか建てかえのできないというところもございます。また一面ご案内のように空地制限がございますから、一応建てかえをいたしましてもなかなか戸数がふえないという場合もあるわけでございます。そんなような事情がございますから、建てかえて不燃にするということが一つの方法、もう一つは計画修繕をしていくという方法、さらに一定の基準を設けましてすみやかに払い下げをしていくということも一つの方法かと存じます。そういう意味におきまして、ただいま三つの方針に従つて順次整備をしていきたいと思いますけれども、何分にも終戦直後あちらこちらに大急ぎで作りました小団地がたくさんでございまして、なかなか一気に解決をいたしておらんような状況でございます。ご指摘の点も多々あるかと思いますが、今後ともご指導を得まして十分整備に努めたいと思います。何分ご了承を願います。    〔企画室長原口一次君登壇〕 ◯企画室長(原口一次君) ご指名にかかります分の計画的な部分につきましてお答えいたします。  住宅用、学校用の敷地、その他公共用地の取得利用に関しましては、目下関係各局と協議会をいたしまして、その取得並びに利用の要項について検討をいたしておまして、いずれ結論が出ると思います。根本的な考え方といたしましては、総合的な土地利用計画に基づいて市街地の開発、再開発なり、衛星都市建設の立場から計画的に配慮しなくちやなりませんが、もちろん工場や学校等の分散、第二義的な官庁や事務所の移転に伴う跡地の利用等も考えなければなりませんし、また公共用地の取得難の現況にかんがみまして、都及び区が施設を建設いたします場合には、いわゆるげたばきというような形で総合的な施設の考え力も十分に進めて参らなければならないかと存じます。  なお住宅用地等につきましては、関係局と打ら合せまして、三多摩なりその他の丘陵地帯の開発利用、その他河川敷や湖沼類似地帯の利用等も考えておりますので、よろしくご指導を願います。 ◯副議長(加藤千太郎君) 三十三番嶋田繁正君    〔三十三番嶋田繁正君登壇〕 ◯三十三番(嶋田繁正君) この前の三十四年度の定例会で私は、三多摩の消防行政の一元化の問題、都立高校の増設、都市計画の問題の三点をお伺いいたしましたが、東知事は消防行政に対しても誠意を持つてこれを実行に移してくれたことは、私どもも喜んではおりますが、今年は二度目の年とあり、その負担金の問題については三多摩の中で重要なる課題になつておりますので、この点は十分留意をしてやつていただきたい、まず第一に希望しておきます。  高等学校の問題も、これで満足だというふうには思つておりません、さらにいろいろの方面からまた運動が起つて、増設を希望しているような傾向があるということも、お知らせをしておくわけであります。  今度は、首都圏にかかわる問題の中て近郊地帯に関する問題、同じく東京の農業の問題、最後には三多摩の機構と職員組織という点でお伺いするものであります。後段の方に関係がありますので、第一に、同じく三十四年にわが党の加藤清政君が第二回定例会で質問をいたしました区長公選並びに自治権の拡充の問題についてお尋ねしますが、東さんはその後どのような態度をとられたかという点をお伺いしたいと思います。この問題を議事録より見ますと加藤君はこういうふうにいつているのであります。区長公選は東知事の五つの公約の中の一つであるが、この問題はどういう形に実行するんだ、というような内容のものであります、東知事の答弁は「区長公選の問題でございますが、すでに質問の中でお話に相なりましたように、区長は公選がよい、それが筋道である、その信念は私が知事となりました今日といえども少しも変つておりません。ただ区長の選任に関する事項は、御承知の通り法律の改正を要することでございます。従つて私がどのような具体的なことをやるかというお尋ねに対しましては、必要なる順序を経まして、これの実現ができますように努力いたしたいというのみでございます。」というのであります。ところが、三十五年五月十六日の総務広報渉外委員会における答弁も一年前と大体変つていない。おもむろに順序を経て動いているが、しかし注目すべきことは、区長公選に反対をしている国会議員、都会議員がいて、この問題がいかにむずかしいかということがよくわかつた、といつております。そして、しばらく長い目で見ていて下さい、ということをいつているのですが、その後東さんはどういう形でこの問題を行政的に、あるいは政治的にお取り上げになつたか。その経過がいまだ都民の前に発表をされておらないのであります。選挙のときの公約という問題は非常に重要なものであるにもかかわらずこのような姿では都民から東さんが信頼されるということがあり得ない。従つて、すでにもう二年になるのでありますから、国に対して、あるいはこれら反対する人たちに対してどういうような働きかけをしたか、あるいは委員会、研究機関等を設置して、この間題を取り上げるべきかどうかという検討をやつているのかいないのか、その点をまずお尋ねしたい。そうしてこの責任を明らかにすべきだと思います。  第二点の問題に対しては、首都圏整備法がしかれて、ご承知の通り近郊地帯の政令が今まさに公布されようとしているのであります。東さんは都知事であり、またこの委員でもあります。従つておわかりでありましようが、この政令がいつごろ出そうなのか。これに対する見通しをお聞かせ願いたい。俗にいうグリーン・ベルトの中に予想されるものは、墓地だとか公園、学校、およそ市町村の財政にプラスになるような建設事業はないのであります。でありますからこれらに対してもグリーン・ベルト反対期成同盟が設置されて、その中でこの問題が大きく論議をされております。しかし、この方々は非常に良心的な方々でありますから、この問題に対しても都市計画促進という意味で、さらに同盟の中に都市計画部を設置いたしまして、市町村それぞれの立場から都市計画を作つているということは、東さんもご承知だろうと思います。私は、この都市計画の内容に関して、現在の首都整備局で指導しているいろいろの面に対して、市町村に不満があるという点をお伺いしたい。それは、ご承知の通りこの近郊地帯に第一種から大体第八種にわたるような市街地開発、あるいは空地地帯を設定するというところに相当問題がある。第一種の場合は俗にいう緑地帯でありますから、建蔽率は二割であります。二割になりますとなかなかうちを建てるのが困難な状況であります。これについて首都整備局においては、その範囲内に建てるならばけつこうだということをいつているわけですが、一方経済局の所管である農地の転用をする係の諸君の立場になると、同じく一種から三種に分けて、一種地帯は基本的に転用を許可しないのだといつているわけです。従つてここに二つの意見があつて不統一になつております。この点を明らかにしていただきたいと思う。  同時に、こういう形になると、市町村の財政がさらに現在よりも困るということは必然であります。従つてこれらの問題について東知事は、国に対してどういう形で保護の立法を要請しようと考えているか。また東京都自体として、どういう形でこれを援助するような条例や規則を考えているのか。この問題を考えていただきたいと思うのであります。  次に農業の問題に対してさらにお尋ねをしたいと思います。現今の農業の問題は、さきの国会における池田総理の施政演説では、多角経営に対する農業方針というのを出されましたが、これは数年前東畑博士が出した問題ですが、現在の農業のあり方というものは専業的企業に変つております。従つて東京都の考え方というものも当然、企業、すなわち経営に対して償いがとれるような生産物の販売価格、こういう点をとつていかなければ、東京の農民、あるいは日本の農民が十分なる生活を営むことがちよつと困難であるわけであります。本年度の予算の中にも予算外義務負担行為として、これらの設備に対して補助金を出そう、利子の補給をしようという、それに対しては私どもは敬意を払うものでありますが、専業的企業として経営をするには、どうしても農耕地に対する資本投下の問題、あるいは土地改良事業に対する考え方が必要であり、これらに対しては農業資本がどうしても必要になつて参るのであります。ところが、農家に対してはこれらの金融の道すら現在開かれていないわけであります。ご承知の通り農業協同組合法のみによつてこれらが行なわれているという状態でありますから、特に中小企業同様な形で土地改良事業の育成の点に対しても、あるいはまたこれらの指導をしているいろいろの協会の人件費の問題などに対しても抜本的改訂を行なつて、補助助成政策をさらに強化していただきたい。この点を第二にお伺いいたします。  次は、機構改革の問題と関連しますが、知事は昨年四月に機構改革を行ないました。あのような大きな改革のために、実際都政の機能は約半年程度混乱状態を呈したのであります。つきましては、私はここに特に北多摩の地方事務所における職員組織という問題を取り上げてみたいと思うのであります。北多摩の人口が八十七万五千余人であります。ところが地方事務所の職員定数は四百八十一人であります。従つて北多摩の地方事務所では、都民千八百人に対して職員一人の割合で事務をやつているわけであります。西多摩郡の場合は、人口が十五万九千余人に対して定数が三百四十七人でありますから、四百六十五人に一人、南多摩においては、人口が二十九万八千人に対して定数が三百七人、従つて九百六十人に一人の割合であります。それでは西多摩郡は人員が多いのかといえば、決して多いわけではございません。林務の問題、あるいはその他を考えた中でも少ないわけであります。そして知事部局の定数を見ると、都民百八十人に対して一人の割合になつているのであります。これらの数字を見ても、北多摩の地方事務所で働いている諸君がいかに労働過重であるかということは明らかであります。従つて北多摩地区においては、職員が働いても働いても事務能率が上らないのは当然なことであります。それでは予算執行の面はどういう形になつているかといいますと、総支出が三十二億五千余万円であります。そのうち本庁で執行している分が約十六億三千余万円であります。地方事務所の執行分が十五億二千余万円、これはいずれも三十四年度でありますが、その支出のうちおもなものは、教育費が六億余円、民生が五億八千余円、住宅が八億余円、土木が四億余円、総計約二十四億余円というものがこれで押えられております。これは都全体の予算の中でみると、北多摩の予算は七%ないし八%に該当するが、人員の方は〇・九から一%未満であります。こういう面を考えても、いかに無定見な定数であるかということが一目瞭然としてわかるのであります。全く定数を定めに理由が不明であり、何の資料に基き定めたのか。今後是正をしなければならないが、どの程度ふやしたら都民に迷惑のかからない程度にできるか、その点をこの際明らかにしていただきたいと思います。  次に問題は最近新聞の報道によれば北多摩が非常に大きいので地方事務所をもう一つふやそうというような意見が出ておるとのようでございますが、地方事務所のあり方については先輩の諸君からも議論をされておることでありますし、また四十六都道府県の中にも廃止しておるところがたくさんあるわけでございます。従つて戦時中の遺物、時代物のような地方事務所をふやすというようなことは、およそ時代逆行ではないか、また北多摩はもちろん三多摩は今都市計画の問題もあり、またあらゆる角度から見ても総合的に開発あるいは整備する必要性があるのではないか。また知事の話の中においてもそういう点が一部明らかにされつつあるというのでございますが、その点もまだ明確に出ておりません。私はそういう立場から考えたときに、三多摩の人口は東京の人口の約一割以上を占めており、そうして四十六都道府県の人口単位で調べると三十番目でございます。また北多摩地方事務所の事務量は、教育行政だけを見ても山梨県と匹敵をしているといわれております。厚生の問題を見ると同じく鳥取県に匹敵するというような、まことに大きな仕事を抱え、しかもさきにいつた通り非常に定数の少ない中でやつておるという、そのために東さんが特にいつている都民へのサービスというものが行き届かないんじやないか、そうしてこの問題に対してもよく三多摩の方にはお出かけになつて調べていただいているのでございますが、この実情についてはあまりはつきりしていないようであるので、この点をお尋ねをしたわけであります。  さらにこういう見地から考えてみますと、三多摩の行政というものを総合的に一元化する必要を私は痛感するのでございます。昨年の四月以降機構改革によつて事業の執行量をずいぶんふやしましたが、これまた金額がふえたのみで、その執行は以前と同じ事務要領によつて行なわれているのでございます。職員組織の関係は総務局が所管をしておるので、これら事業のため必要として組合から出している人員の要求、あるいは都民が要望しているような窓口の切実な要求がわかつてこない。このような形で行われておるというのが事実のようであります。従つて事業執行と人事を総合的にするためには、現在の三多摩の出先機関を廃するという方法が私は一番いいと思う。それに代つて三多摩を現在の機構の中では地方局というような局制度にして、しかも副知事クラスの局長をまずそこに据えて、三多摩の行政に当らせなければ、二十三区においてみたように、膨大な都市計画予算が野放図に使用されることになるのは明らかでございます。しこうしてこの問題を解決するにはその方法をまず第一にとつていただくということが重要であると考えて私はこの点を質問をするわけでございます。  さらに三多摩の指導に対しても、人口がだんだんとふえて参りますから、このままの形の行政あるいは政治、その可否について東さんの所見がございましたら一つこの点に対してもお聞かせを願いたいと思います。  総括していうならば区長公選に対してその経過のいきさつをこの際明らかにしてもらいたい。所在市町村の財政が今非常に逼迫をしておるのであるから、特別保護立法あるいは東京都もこれに対して条例あるいはこの設定に対しての方法を考えているかどうかという点、またこの地域の中に都市計画がたてられておりますけれども、緑地の問題やあるいは市街地の開発を阻害するような行政指導方法を行なつているのであるが、これらを是正の考え方があるかどうか。  次に農業の企業の問題をさらにいいますが、さきにいつた通り専業農業企業の経営を合理化するには、どうしても特別機関の設置あるいは資金の補助、貸付金、この点を重要視しなければならないと思うが、これに対してさらに努力する意思があるかないか。また一番問題になつておる土地改良事業に対して都が補助金を出しておりますが、都単独事業の分はもつと増額すべきであると思う。またこれらの事業団体の人件費については二分の一程度補助金を出していただきたいと思うが、これに対するお考えはどうか。さらにこれらに対して中小企業と同様なる貸付制度の設定が必要であると思うがどうか。  最後には北多摩地方事務所の職員定数に対する問題。次には三多摩全域の行政を総合的に統一して事務の能率をはかるためには抜本的改革を必要とすると思うが、これに対する所感を承わりたい。  以上簡単でございますが質問を終ります。    〔知事東龍太郎君登壇〕 ◯知事(東龍太郎君) まず区長公選のお尋ねでございます。昨年委員会においてお答え申し上げましたことをただいま承わりましたが、その通りでございます。長い目をもつて見ていただきたいと申し上げた通りでありまして、私がその後どういうふうな具体的なこと、いいかえればどういう人とどういうふうな折衝をしたかということをお尋ねでありますが、私といたしましてはこれをこの席で申し上げるわけには参りません。目下機会あるごとに私の考えを述べておるという状況でありまして、それに対するはつきりとした反応と申しますかは何もございません。議論になりますけれども、私の公約をどういう工合におとりになつているかしりませんが、区長の公選は筋である、私はそうなることを非常に期待いたします。またそうなるように努力はいたしますが、私の力でできると申し上げたことはないのでございます。  それから首都圏整備計画の中における近郊地帯の問題が出ましたが、近郊地帯に関する政令がどうなつているかというお話でありますが、目下具体的に政令ができるような態勢ではございません。すなわち今のところは見込みはございません。  それから農業の将来につきましては、これはただいまお話がございました通り、東京都といたしましてもこの三多摩地域の農業というものはいわゆる専業的企業化の方向に参るべきものでございます。従いましてそれらに対する財政援助についていろいろなご要求がございました。そのいちいちに対してお答えをするわけには参りませんが、私がかねて申し上げております通り、三多摩地区につきましても、これを先ほど島嶼について申し上げましたと同じような考え方で、なるべく早く、いわゆる旧東京都のような部分に含まれております都民の生活にひとしいような生活状態と申しますか、生活の便益を得られるようにしなければならぬ。その方に進んで参りたいと思いますが、なかなかそう一挙に、一足飛びにというわけには参りませんので、私もその実情を知りますにつれて、徐々にではありますが一歩々々漸進的に進めて参りたいというつもりでおります。  北多摩地方事務所の定員につきましては、千八百人に一人ということだろうと思いますが、なるほど定員が少ない。そのような比率におきましては少ない。従つてこれを是正するという方向にはすでに今でも進んでいると思いますが、なお一そう定員の是正をいたしまして、そうして住民へのサービスも十分にできますように配慮はいたします。それにつきましてもこの地方事務所を二つに分けてすることに対していろいろご意見がございますが、とにかく問題は北多摩地区の方々に対するサービスがいかに徹底するかということが目標でありますので、それらの効果を上げ得ますように地方事務所というものもやはりだんだんと変改をしていかなければならぬと思います。いつまでも地方事務所という名前からわれわれが得ますような感覚のものであつていいとは思つておりません。だんだんとこれが進歩発展をして参りますれば役所の名前も変りましようし、また内容も組織も変つて参るべきものと存じます。なおそれから一歩進んで三多摩全域をもつて一つの地方局と申しますか、そういうものへというお考えもございますが、またそれとは全然趣きを異にした区にしたらどうだというようなお考えも私はしばしば伺います。こういうふうな点につきましては、私今これをこういう形に持つていくのが東京都の将来に最もよろしいというような確信のある腹案を持ち得ません。これはきわめて慎重に考慮し、慎重に実態をきわめて処置いたしませんと将来にまた災いを残すと存じますので、ただいまのところは従来の組織にある程度の改良を加えまして、漸進的に地方三多摩地区におけるサービス、行政サービスの徹底を期したい、そのように考えている次第でございます。    〔三十三番嶋田繁正君登壇〕 ◯三十三番(嶋田繁正君) 区長公選の問題に対しては実は不満であります。それ以上発表の段階でないというのですが、実際は何もやつてないというのが実情じやないか。従つてこういう公約は都民の前に取消した方がいい。そうして責任を明らかにすべきだと思うのです。昔は花は桜木人は武士といわれたんですが、今は花は桜木人は施政者だ。政治家である。だから東さんも今まで実に正直に物事をいつておりますが、この点になると実に残念でございます。この点責任の所在を明確にして、引くなら引く、残るなら残るという点を明らかにした方がいい。その方が私はりつぱだと思う。  それから三多摩全域の問題は区制にしようとか、いろいろ意見がある。しかし今考えてもなかなか思いつかない。一昨年出たばかりのしろうと知事さんでございますから無理もないと思いますが、それでは学識経験者その他による研究機関を設置したらどうなのですか。そうすることによつてその問題を解決する方法をみるということぐらいはこの席上で私は明らかにできるものと思いますが、この点に対してさらに答弁を求めるものでございます。    〔知事東龍太郎君登壇〕 ◯知事(東龍太郎君) 今の三多摩の行政についての問題は、改めてそのような問題についての調査会、審議会というようなことをいたしませんでも、われわれの信頼する都政調査会がございますので、そこからりつぱな答案が得られることと私も期待しております。  区長公選の問題について重ねてお尋ねがございましたが、私の認識と嶋田議員の公約に対する認識とに相合致しない点がございますので、これはこれ以上申しますと議論になります。まだ私の任期はしばらくございます。長い目で見ていただければけつこうだと思います。 ◯副議長(加藤千太郎君) 以上をもつて質問は終りました。      ━━━━━━━━━━ ◯副議長(加藤千太郎君) これより日程に入ります。  日程第一より第百三十三までを一括して議題に供します。    〔田中議事部長朗読〕 一、第一号議案 昭和三十六年度東京都歳入歳出予算外百三十二議案(巻末議案の部参照) ◯副議長(加藤千太郎君) 本案に関し執行機関の説明を求めます。鈴木副知事。    〔副知事鈴木俊一君登壇〕 ◯副知事(鈴木俊一君) ただいま上程になりました第一号議案ほか百三十二議案についてご説明いたします。  初めに第一号議案ほか十四件の昭和三十六年度予算案について申し上げます。昭和三十六年度予算の編成に当りましては経済情勢の推移と政府の財政施策に順応いたしまして、経常経費につきましては極力その増加を抑制するとともに、新規経費につきましては先般知事が申し述べましたように、首都圏整備事業をさらに強力に推進するとともに、都民生活の環境改善、中小企業の振興、社会福祉の増進、さらには来たるべきオリンピック東京大会の関連事業等、首都として、また国際都市としての体制を整備するために、十一項目の重点施策を中心として新年度の予算を編成したものでありまして、予算総額は一般会計二千三百三十億五百万円、特別会計三百七十一億八百余万円、公営企業特別会計六百九十三億八千六百余万円、合計三千三百九十四億九千九百余万円となつております。  次に各会計についてご説明いたしますと、まず第一号議案の一般会計の予算案でありますが、これを既定経費と新規経費に分けますと、既定経費は一千百二十二億六千六百万円、新親経費は一千二百七億三千九百万円となります。またこれを人件費と事業費に区分いたしますと、人件費は六百十二億六百余万円、事業費は千七百十七億九千八百余万円となり、予算額に対し人件費は二六・三%、事業費は七三・七%となつております。  これらを前年度に比較いたしますと、人件費において百六億二千九百余万円増となるのでありますが、これは教育関係、教職員、警察職員、その他事業開始等による一般職員の増員と給与改訂等の増額計上によるものであります。  また事業費におきましては四百七十七億五千七百余万円の増加となりますが、このうち既定経費において六十七億四千二百余万円の増となり、新規経費においては前に述べましたような今年度重点事業の大幅な増額などによりまして四百十億一千五百余万円の増加となつております。  次にこれに対する歳入についてでありますが、まず大宗である都税収入におきましては幸い経済の好況の持続が予想されますので、前年度の実績を勘案し、また地方税法改正案による減額を考慮いたしまして、前年度最終予算額の一六%増を計上いたしました。  次に都債収入でありますが、政府の地方債計画及び許可見込みの好転を期待いたしまして、一般事業債においては三十五年度より六十二億九千八百万円増の八十四億二千三百万円を計上いたしたのであります。  次に国庫支出金におきましては四百九億七千七百余万円で、前年度に比して百三十二億三千余万円の増加で、主として首都圏整備事業関係及び義務教育、社会保障関係経費の増高によるものであります。  このほか使用料及び手数料七十六億二千五百余万円、繰入金百二億千三百余万円、雑収入百五十七億六千百余万円、公営企業及財産収入その外で八十九億三千八百余万円を計上いたしました。  以上で一般会計の説明を終りまして、次に特別会計についてご説明いたします。第二号議案より第五号議案までの四議案は準公営企業である四つの特別会計の予算案でありまして、それぞれの事業運営に必要な経費といたしまして、病院会計十五億八千二百余万円、屠場会計二億四千八百余万円、中央卸売市場会計十二億八千百余万円、港湾事業会計六十八億八千八百万円を計上いたしております。  次に第六号及び第七号議案の二議案は特別な法律に基づく事業の予算案でありまして、母子福祉貸付資金会計で六千百余万円、農業改良資金助成会計で一千余万円を計上いたしました。  次に第八号議案は競走事業の予算案でありまして、競輪、競馬などの競走事業を実施するための経費として百六十億七百余万円を計上いたしました。なお、これに伴う益金として十九億三百余万円を見込みましたが、これは一般会計に繰り入れまして民生住宅、母子住宅の建設等に充当いたしております。  次の第九号以下四議案は、都の事務事業の効率的な運営をはかるため、三特別会計の予算案と都営住宅の保証金の収支を明確にするため本年度新たに設置する特別会計を加えたものの予算案でありまして、工場会計三億七千三百余万円、用地会計八十八億六百余万円、都営住宅保証金会計二千二百余万円、用品会計十八億二千六百余万円をそれぞれ計上いたしました。  次に公営企業特別会計であります。まず第十三号議案の交通事業会計におきましては、電車、自動車、トロリーバス及び昨年末に開通いたしました押上─浅草橋間の地下鉄の運転に要する経費と継続して実施している地下鉄建設工事などで、総額三百十三億五千三百余万円を計上いたしました。  次の第十四号議案の水道事業会計におきましては、一般経費と第二水道、江戸川系水道の拡張並びに配水管網の計画的整備をはかるほか、工業用水道の敷設工事費などで二百四十四億八千九百余万円を計上いたしました。  次の第十五号議案の下水道事業会計におきましては、一般経費のほか首都圏整備事業として計画的に下水道施設の拡張を実施することとして百三十五億四千四百万円を計上いたしました。  以上をもつて昭和三十六年度の予算案の説明をおわりまして次に第二十六号議案ほか十一件の昭和三十五年度最終予算案について申し上げます。  まず第二十六号議案は一般会計の追加更正予算案でありますが、国民健康保険関係経費、職員の退職手当などの義務的経費と国庫支出金その他の歳入の増減に伴う補正をいたすものでありまして、総額一億七千八百余万円を計上いたしました。  これを既定予算とあわせますと、一般会計の最終予算額は千九百九十四億八千余万円と相なるのであります。  次の第二十七号議案より第三十一号議案及び第三十三号議案より第三十五号議案の八議案は特別会計でありまして、おおむね一般会計と同様の整理をいたすもので、病院会計四十余万円、母子福祉貸付資金会計八百余万円、工場会計百余万円、用品会計二千百余万円を追加いたしますとともに、港湾事業会計六千七百余万円の減、農業改良資金助成会計四十余万円の減、用地会計二億五千百余万円の減を更正するものであります。  次の第三十六号議案は交通事業会計の追加予算案でありまして、帝都高速度交通営団に対する出資金として五億円を計上いたしました。  次の第三十七号議案は水道事業会計の追加更正予算案でありまして、都債の元金償還費の追加として八百余万円を計上いたしました。  次の第三十八号議案は、下水道事業会計の国庫支出金の減額に伴う歳入の更正予算案であります。  なお、このほか、以上の予算案に関連いたします起債案十件と条例案五十五件、その他事件案四十一件となつております。よろしくご審議をお願いいたします。 ◯副議長(加藤千太郎君) 本案中、第四十一号、第八十一号、第百十九号、第百二十一号及び第百二十二号議案につきましては、地方公務員法第五条第二項の規定により、あらかじめ人事委員会の意見を徴しておきましたので、議事部長をして朗読いたさせます。    〔田中議事部長朗読〕 三六人委収第一五〇号   昭和三十六年三月七日    東京都人事委員会委員長  大  野  木  克  彦  東京都議会議長 村 田 宇 之 吉殿    職員に関する条例に対する意見について  昭和三十六年三月一日付都議発第二九三号をもつて御照会のあつた左記条例案については、本委員会においては原案に異議ありません。    記 一、第四十一号議案  職員の服務の宣誓に関する条例の一部を改正する条例 一、第八十一号議案  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例 一、第百十九号議案  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 一、第百二十一号議案 学校職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 一、第百二十二号議案 東京都警察職員互助組合に関する条例 ◯副議長(加藤千太郎君) 本案中、第百三十三号議案、全国信用金庫連合会に対する資金貸付契約に関し、百十一番糟谷磯平君より発言の通告があります。これを許します。百十一番糟谷磯平君。    〔百十一番糟谷磯平君登壇〕 ◯百十一番(糟谷磯平君) たいへんおそくなつて、まことに恐縮しておりますが、非常に大きな金で、四億八千万という金は、ちよつと自動車に積んでも一台に積めない。(笑声)こういう大きな金なんです。それも一千万円ずつ入つても四十八箱あります。これを送る場含には警官が二十人くらい警備をするような重要な金なんです。  そこで、きよう私がお尋ねするのは、第一回都会の条例中、日程は百三十で、議案の百三十三号、全国信用連合会代表理事村上義之助君というのは、これは東京の人ではないんです。埼玉だと思いますが、戸籍謄本を持つてないからわからんが、たぶん埼玉の人で、東京の人ではない、なぜこんな隠れた名前を使つて東京都の四億八千万の金をカムフラージュしておるかということに異議がある。東京の信用金庫は六十四あります。たぶん六十四と思います。そのうち一つ不心得な組合があるためにこういうことを質問する。あとの六十三はみんなりつぱな紳士で資産持ちなんです。ところが、たつた一つの信用金庫の生まれを見ますと、四十七年前の震災のときに、本所復興というので十四、五焼けたところにできた信用復興建設組合、その後だんだん日がたつて、小野という今の理事長が欲が出て、自分の同僚先輩をみんな告訴したんです。その当時どうやつたかというと、二円の日当を取つた、二円の日当が定款にないというので、これを自分の同僚山田竹治君以下九名を告訴して、そこでこれを乗つ取つたのが今の中央信用金庫なんです。  生まれつきからエチオピアのオオカミによく似ておるものです。エチオピアのオオカミは、自分の気に入らないと同僚でも女房でもみんなかじつちやう。こういうような性質を持つて生まれた人がこの連合会の理事長だから、四億八千万の金を支配するというのは危険だ。財産がありませんよ。四億八千万の財産はないんです。僕より少ないんだからないんだ。(笑声)もしあるというなら小野が──金なんてものはわかりませんよ、手形書いたつて借りるんだから。日本でもアメリカでもどこでも大体の資産というものは、有価証券、その次は不動産、不動産なんてものは、買い手と売り手とによつて、女房をもらうと同じことで相手があつて、なくつてじや問題にならない。有価証券というのは、どこへ持つていつても金の価値が市場に出ておる。だからたぶん私よりはないと思つても過言でないと思う。不動産取得税、固定資産税を払うのが少ないんだから少ないと申し上げていいと思う。その人に四億八千万円の金を貸して、東京都がいつたいどれだけの金を借りられるかというと、東京都は、今交通局は貧乏で赤字だから貸し手がないんだ、金の。去年まで七分五厘であったが、今年借りる金は八分になる。金利が下がつたというのに、交通局と水道だけは金利が上がつていくんだ。ところが、この信用金庫に貸す金は、去年四分であつたのを今年三分五厘になつたから、利子計算にすると九厘六毛ちよつとだ、一銭切れるんですよ。そういうような安い金で借りて、その利息が四億八千万で一千六百八十万円。そうしてその差額を計算すると二銭八厘とすると年一割〇二二二になる。もうけが六・七七になる。その金額は三千二百二十五万六千円という差ができる。これはのこぎりと違つて前へ引く。シナののこぎりは向こうへ押すんだが、日本ののこぎりは前へ引くんだ。(笑声)こういうような金をこういう人格の尊い人、エチオピアのオオカミみたいに友だちでも何でも食つてしまう。  かつて彼が議場で、二十七奪に歳費を上げたことがある、歳費を上げるどころではない、名誉職の都会議員が歳費をもらうような者があるかと彼は広言いたしまして、ずいぶん同僚先輩には迷惑をかけた。ところが、衆議院に立ち上がつて落選して、警視庁へ引つぱられたら、差入弁当のかわりに九万六千円ばかり持つていつちやつた。こういう人格者ですよ。いやしくも議場で百二十人の議員に迷惑をかけて、百二十人の議員中で男はおれ一人だといつた、男を振つた男が、たつたものの二ヵ月たたないうちに九万六千円の金を持つていつた。どうです。これでは糟谷磯平が四億八千万を預けるのは危険だと思つても過言ではないでしよう。(「その通り」と呼ぶ者あり、笑声)  そうして、のみならず、戦災で焼けたときには勅令で臨時支払法というものを出した。こまかい金は全部郵便局でもどこでも払え。彼は何をやつたか、戦災の時には、三年の貯金を一年かけると、十万円と計算すると三万三千円になる、それをあとまだ六万六千円残つているからといつて日歩二銭の割合で取りやがつた。こういう残酷非道なことをしても、この考課状がない。載つていない。あとで経済局長にも答弁──おそいからしなくてもいい、貸しておくから。ここに載つておりません。これは監査のときに東京都で私が取つたもので、郵送してあるから、かつぱらつた書類じやない。ちやんと切手も張つてありますよ。これを私が持つておることは彼は知らなかつた。うそばかり書いておる。これは今は金庫ですから検査は大蔵省ですが、この時分は東京都で調べるべきものなんです。昭和二十二年の九月三十日、めがねをかけなくてもたいていわかる。(笑声)これによつて、彼がいまの利息、保険金は、焼けてしまつていないから相手がないんだ。ここに金融機関の人もおるけれども、十万借りて十万の保険をつけておる人はありません。十万つければ十二万か十三万、多少余分がついている。もしこれが十万円といつても、幾らか掛金しているから減つていなければならん。相手が死んでしまつたから、みんなまるもうけだ。本所では十万という人がなくなつておる。その遺体を全部私らが片づけた。失礼だが、だれも片づけた人はない。私は消防団長で一人残つておつたから、全部これを月島の軽犯者をつれてきて六百人の人を片づけたんだから、よう知つております。それをこれに書いてないんだ。だから経済局長に、いまの利息の割り戻しを取つたこと、保険を死んだ人間から取つたこと、これをごらんに入れておくが、これをなくしては困るから、これを見て、あなたの方の監督期間中だから、これをひとつ書いてもらうと、どこに私のいうことが違つていないということがわかる。こういうものは向こうで出していません。あんたにはないんだ、焼けているから。私は持つておりますから、貸しておきます、きようは答弁はこれでいいんだ。これを見ると、この人の人格がよくわかる。いう槽谷が悪いか、いわれる方が悪いか、よくわかる。  もつとひどいのは、自分の同僚に金を百万ばかり貸して、たつた五十九坪九合くらいの土地を競売していやがる。ひどいもんですよ。(笑声)二十八年の四月に競売の申立をしているんです。これは自分の一番仲よくした友だちなんです。それの不動産、しかも都会議員なんです。都会議員が不動産の競売をされて、いつたいどうなりますか。人間なら死刑の宣告を受けたと同じなんです。不動産には、競売記録に、いまだにこれは消えないんだ。登記簿が焼けない限り消えません。ここに持つているんだから、謄本を。(笑声)これだけある。彼が競売申立をした書類がこれだけある。競売申立、また貸したり、また競売したり、また貸したり。こういうようなものをして金を残している。だから、こういう人に金を預けることは危険なんです。  それで、のみならず、保険もついておつたが、自分の建物に全部しよう宅のふとん、夜具をみんな入れちやつて、火災保険料はまるもうけだ。坊さんと違う。坊主まるもうけというけれども、坊主よりうまくもうけている。建物の、自分の事務所は焼けないんだから。しよう宅のうちは焼けたけれども、全部移動してあつたから、その火災保険はまるもうけなんだ。下谷のある羅紗屋から羅紗を担保に取つて、これを売つてうんともうけていますわ。  もつとひどいのは、五千万最近金貸して、一千万の定期預金、二百万の出資金、利息一ヵ年間三銭八厘で先取りだ、あんた。五千万貸して千八百万金を取られて、一体借りた人が立つていきますか。おそらくこんなことは金庫法にないのだ。金庫では一千万円以上貸せられない。貸す場合には大蔵省の許可を得なきやならない。そうすると一年先取りをするような男に、この預託金は一年でしよう。もしこれ一年二銭八厘で先取つたら幾らかというと、約七千万円ばかり先取りだ。こういうようなひどいことをする。これはくどいようですけども、六十三の組合長──ここにも都会議員さんでおられるが、信用組合いつたつてこんな人はあまりないのだ。ところが本所には、ふしぎなことは、四十七年前にバケツで金拾つた人や、それからこの間の空襲で軍の錦糸三百棚をちよろまかした人もおるんですよ。みんあ小野君の友だちなんだ。同じ男ですよ。四十七年前にバケツで金を拾つた人も友だちなら、軍の糸三百棚この間の空襲で預けたのを棒引きしてもらつたのも、小野君がみんな指揮した。それで、ある銀行に有名無実の名前で金が預けてあつた、ヤミで売つたんだ。一棚七十一万円からに売つている。こういうような銭もうけは、ああいうような過渡期でないが、私はこう思う、一切東京でも、あるいは日本中に、あんな過渡期のないことを念願している。もつとひどいのは、東条英機さんの顔に墨塗つてある。ほんとです、見てごらんなさい。こういうことをやつている。これだから正気の沙汰とはいえませんよ。時の総理大臣、陸軍大将の顔に墨塗つてある。これです。このまん中が東条英機だ。こういうことをやるんだから、信用金庫のこの男じやあぶ……自分だけ、これ五万円で買つた赤十字社のこれは記章です。(笑声)その次は満洲皇帝の記念章。その次はだんごで、みんな何にもならない。これでよくわかりましよ。われわれもらつたつて、ちよつと格好悪くてこんなの下げて歩かれない。あの時分十万円持つていくと、五万円で十万円の受取りくれたんだ。選挙違反だとか統制違反のときに赤十字社、水難救済会、こういうところの受取り持つていくと、検察庁が勘忍してくれる時代があつた。そのときにもらつたこれは勲章なんだ。(笑声)それと東条英機さんと並んでますわ。ね、こういうふうに並んでいる。ここが東条さんだ。これは丸山鶴吉君。ここか小野孝行君(「隣りは君だろう」と呼ぶ者あり)私はいない。(笑声)そういう僕らは気違いまねはしてないのだ。陸軍の軍人でも、少将でも自分の義理の兄貴だし、参謀本部の大佐でも自分の子供だから、そう軍人はこの時分でもあんまりありがたく思つてないが、小野が東条の顔に塗つたために日本で一千万近い人が死ぬ前提なんだから、それをもつても小野が今日のやり方が悪いと思う。きようなぜいうというと、本所で十万死んだうちに、あの信用金庫に五千人近く金預けて、皆金持死んじやつたんだ。きよう私がこういえば、この預金をとられたり、保険金とられた人が、あさつての戦災記念日十七ヵ年でいたまれるから、浮かべると思つて、こういう質問をしております。これは仏のためなんだ。ね、功徳は人のためならずということはない、功徳は人のためになることだ。ですから、これ以上申し上げませんが、いずれ委員付託になることで、経済委員でも間違いない。六十四のうち一人です。本所の小野孝行という──「孝行」と書いたつて孝行じやない。親には孝行か知らないが、国と有権者に対してはこれくらい不孝な野郎はない。字が違うんだ。「糟谷磯平」なんてでたらめが書いてあつても、私は脳味噌が、額が短いから、すこしよけい入つているのだ。私の額が短いだけよけい脳味噌が入つておるそうです。(笑声)だから比べてみて、だれがいうことがほんとだということは、経済委員会の人にお聞き下さい。もし私のいうた、糸三百梱借りたという者があるなら、陸軍の経理部長がおります、九州に、これを呼んであげます。私と懇意な男なんだ。だからいつでも、どこそこに三百梱の糸を預けた、こういう理屈がつきます。まだもつとひどいのは、札にビラ貼つたでしよう、二十年に。あれをみんな一枚一円ずつで売つたんだ、百枚。だから金ができるわけですよ。百円札に一枚貼りや一円で九十九円もうかつた。こういう仕事をする人だからこういう反対をいたしましたが、大へんおそくなつたが、どうぞ誤解のないように。信用組合と信用金庫六十三軒には絶対そういう人はおりませんが、日本中でたつた一人の、男ぷりのいい、女にはよくもてる男だから、一つご紹介しておく。ご婦人の方ご注意をなさるように、どうぞ。答弁はいらない。 ◯副議長(加藤千太郎君) 以上をもつて質疑は終りました。 ◯六十八番(岡田幸吉君) 本案はいずれも各部門に分かち、当該常任委員会に審査を付託せられんことを望みます。
    ◯副議長(加藤千太郎君) ただいまの動議にご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯副議長(加藤千太郎君) ご異議ないと認め、さよう決定いたします。議案の付託事項表はすでにお手元に配付してあります。      ─────────────    議案付託事項表    昭和三十六年三月八日付託 総務首都整備委員会 一、第一号議案    昭和三十六年度東京都歳入歳出予算中        歳 出 総務首都整備委員会所管分 一、第二十六号議案  昭和三十五年度東京都歳入歳出追加更正予算中        歳 出 総務首都整備委員会所管分 一、第四十号議案   職員の服路の宣誓に関する条例の一部を改正する条例 一、第四十二号議案  東京都建築審査会条例の一部を改正する条例 一、第四十三号議案  東京都建築士審議会委員並びに東京都二級建築士試験委員の報酬及び費用弁償に関する条例を廃止する条例 一、第四十四号議案  耐火建築促進条例の一部を改正する条例 一、第四十五号議案  東京都地盤沈下対策審議会条例の一部を改正する条例 一、第五十三号議案  所属未定地の編入について 一、第八十一号議案  雇傭員の退職年金及び退職一時金等に関する条例の一部を改正する条例 一、第八十二号議案  東京都立短期大学条例の一部を改正する条例 一、第八十六号議案  東京都立大学及び東京都立短期大学の授業料等徴収条例の一部を改正する条例 一、第八十七号議案  東京都立大学条例の一部を改正する条例 一、第九十号議案   東京都職員定数条例の一部を改正する条例 一、第九十一号議案  東京都選挙運営審議会条例 一、第九十二号議案  東京都建築安全条例の一部を改正する条例 一、第百十五号議案  東京都ユース・ホステル条例 一、第百十六号議案  東京都通称道路名設定審議会条例 一、第百二十六号議案 予算外義務の負担について 一、第百二十七号議案 昭和三十六年度私立字校振興資金貸付に関する損失補償契約 財務主税委員会 一、第一号議案    昭和三十六年度東京都歳入歳出予算中        歳 入 全部        歳 出 財務主税委員会所管分 一、第八号議案    昭和三十六年度東京都競争事業歳入歳出予算 一、第九号議案    昭和三十六年度東京都工場載歳入歳出予算 一、第十号議案    昭和三十六年度東京都用地歳入歳出予算 一、第十二号議案   昭和三十六年度東京都用品歳入歳出予算 一、第十六号議案   東京都一般会計起債について 一、第二十四号議案  特別会計設定について 一、第二十六号議案  昭和三十五年度東京都歳入歳出追加更正予算中        歳 入 全部        歳 出 財務主税委員会所管分 一、第三十三号議案  昭和三十五年度東京都工場歳入歳出追加予算 一、第三十四号議案  昭和三十五年度東京都用地歳入歳出更正予算 一、第三十五号議案  昭和三十五年度東京都用品歳入歳出追加予算 一、第三十九号議案  東京都一般会計起債について 一、第五十五号議案  第七清掃工場焼却炉設備工事請負契約 一、第五十六号議案  土地買収契約 一、第五十七号議案  土地、建物及び工作物の買収契約 一、第五十八号議案  当せん金附証票の発売について 一、第五十九号議案  大井競馬場賃貸借契約 一、第六十号議案   京王閣競輪場賃貸借契約 一、第六十一号議案  後楽園競輪場賃貸借契約 一、第六十二号議案  江戸川競艇場賃貸借契約 一、第六十三号議案  大井小型自動車競走場賃貸借契約 一、第七十四号議案  昭和三十六年度一時借入金について 一、第百二十八号議案 土地買収契約 一、第百二十九号議案 土地買収契約 一、第百三十号議案  土地買収契約 厚生文教委員会 一、第一号議案    昭和三十六年度東京都歳入歳出予算中        歳 出 厚生文教委員会所管分 一、第六号議案    昭和三十六年度東京都母子福祉貸付資金歳入歳出予算 一、第二十号議案   東京都母子福祉貸付資金会計起債について 一、第二十六号議案  昭和三十五年度東京都歳入歳出追加更正予算中        歳 出 厚生文教委員会所管分 一、第三十号議案   昭和三十五年度東京都母子福祉貸付資金歳入歳出追加予算 一、第六十四号議案  東京都医師会に対する診療設備改善資金貸付契約 一、第六十五号議案  東京都歯科医師会に対する診療設備改善資金貸付契約 一、第七十九号議案  東京都立学校の設置について 一、第九十三号議案  社会福祉法人に対する助成の手続に関する条例 一、第九十四号議案  東京都社会福祉審議会条例 一、第九十五号議案  社会福祉事業振興資金貸付条例の一部を改正する条例 一、第九十六号議案  東京都簡易洗濯所設置及び管理に関する条例を廃止する条例 一、第九十七号議案  東京都母子福祉応急小口資金貸付条例 一、第九十八号議案  東京都婦人相談所条例の一部を改正する条例 一、第九十九号議案  東京都婦人保護施設条例の一部を改正する条例 一、第百十七号議案  東京文化会館運営審議会条例 一、第百十八号議案  東京文化会館条例 一、第百十九号議案  学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例 一、第百二十号議案  学校職員の定数に関する条例の一部を改正する条例 一、第百二十一号議案 学絞職員の勤務時聞、休日、休暇等に関する条例の一部を改正する条例 一、第百三十一号議案 東京都区に民健康保険団体連合会に対する診療報酬支払運転資金貸付契約 衛生経済清掃委員会 一、第一号議案    昭和三十六年度東京都歳入歳出予算中        歳 出 衛生経済清掃委員会所管分 一、第二号議案    昭和三十六年度東京都病院歳入歳出予算 一、第三号議案    昭和三十六年度東京都屠場歳入歳出予算 一、第四号議案    昭和三十六年度東京都中央卸売市場歳入歳出予算 一、第七号議案    昭和三十六年度東京都農業改良資金助成歳入歳出予算 一、第十七号議案   東京都病院会計起債について 一、第十八号議案   東京都中央卸売市場会計起債について 一、第二十六号議案  昭和三十五年度東京都歳入歳出追加更正予算中        歳 出 衛生経済清掃委員会所管分 一、第二十七号議案  昭和三十五年度東京都病院歳入歳出追加更正予算 一、第二十八号議案  昭和三十五年度東京都中央卸売市場歳出更正予算 一、第三十一号議案  昭和三十五年度東京都農業改良資金助成歳入歳出更正予算 一、第四十六号議案  精神衛生鑑定医の費用弁償及び報酬支給条例の一部を改正ずる条例 一、第四十七号議案  保健所の設置等に関する条例の一部を改正する条例 一、第五十四号議案  じんかい焼却場の設置について 一、第六十六号議案  農業振興資金貸付契約
    一、第六十七号議案  漁業振興資金貸付契約 一、第六十八号議案  商工組合中央金庫に対する資金貸付契約 一、第六十九号議案  東部漁場不況対策資金貸付契約 一、第七十号議案   昭和三十六年度内に締結する輸出手形買取損失てん補契約及び輸出金融損失てん補契約に基いて成立する手形てん補対象金額及び金融てん補対象金額の総額について 一、第七十一号議案  東京都火災共済協同組合に対する火災共済事業に要する資金貸付の予算外の義務の負担について 一、第七十二号議案  東京都信用組合保障基金会の保障基金を担保として全国信用島同組合連合会が行う融資に対する補助の予算外の義務負担について 一、第七十三号議案  予算外義務の負担について 一、第八十三号議案  東京都家畜保健衛生所条例の一部を改正する条例 一、第百号議案    東京都立病院条例 一、第百一号議案   東京都立精神病院条例 一、第百二号議案   東京都立結核病院条例の一部を改正する条例 一、第百三号議案   東京都立母子保健院条例の一部を改正する条例 一、第百四号議案   東京都立産院条例の一部を改正する条例 一、第百五号議案   東京都消毒所条例 一、第百六号議案   東京都優生保護相談所条例の一部を改正する条例 一、第百七号議案   東京都薬事審議会条例 一、第百八号議案   東京都立伝染病院使用条例の一部を改正する条例 一、第百九号議案   東京都監察医務院手数料条例の一部を改正する条例 一、第百十号議案   がん具用煙火取締条例を廃止する条例 一、第百十一号議案  東京都中小企業施設改善資金貸付条例の一部を改正する条例 一、第百十三号議案  東京都清掃条例の一部を改正する条例 一、第百十四号議案  東京都屎尿浄化槽設置資金貸付条例の一部を改正する条例 一、第百三十二号議案 全国信用協同組合連合会に対する資金貸付契約 一、第百三十三号議案 全国信用金庫連合会に対する資金貸付契約 一、第百三十四号議案 東京信用保証協会に対する金融機関預託資金の貸付契約 一、第百三十五号議案 東京信用保証協会の保証債務の履行に対する補助の予算外の義務負担について 一、第百三十六号議案 農業設備融資利子補給の予算外の義務の負担について 建設労働委員会 一、第一号議案    昭和三十六年度東京都歳入歳出予算中        歳 出 建設労働委員会所管分 一、第二十六号議案  昭和三十五年度東京都歳入歳出追加更正予算中        歳 出 建設労働委員会所管分 一、第四十八号議案  東京都職業訓練所条例の一部を改正する条例 一、第四十九号議案  東京都労政事務所設置条例の一部を改正する条例 一、第五十号議案   東京都内職公共職業補導所条例の一部を改正する条例 一、第五十一号議案  東京都霊園使用条例の一部を改正する条例 一、第五十二号議案  東京都公園審議会条例の一部を改正する条例 一、第百十二号議案  東京都立公園条例の一部を改正する条例 住宅港湾委員会 一、第一号議案    昭和三十六年度東京都歳入歳出予算中        歳 出 住宅港湾委員会所管分 一、第五号議案    昭和三十六年度東京都港湾事業歳入歳出予算 一、第十一号議案   昭和三十六年度東京都営住宅保証金歳入歳出予算 一、第十九号議案   東京都港湾事業会計起債について 一、第二十六号議案  昭和三十五年度東京都歳入歳出追加更正予算中        歳 出 住宅港湾委員会所管分 一、第二十九号議案  昭和三十五年度東京都港湾事業歳入歳出更正予算 一、第八十四号議案  東京都港湾審議会条例の一部を改正する条例 一、第八十八号議案  公有水面埋立について 一、第八十九号議案  公有水面埋立について 交通水道委員会 一、第十三号議案   昭和三十六年度東京都交通事業会計予算 一、第十四号議案   昭和三十六年度東京都水道事業会計予算 一、第十五号議案   昭和三十六年度東京都下水道事業会計予算 一、第二十一号議案  東京都交通事業会計起債について 一、第二十二号議案  東京都水道事業会計起債について 一、第二十三号議案  東京都下水道事業会計起債について 一、第三十六号議案  昭和三十五年度東京都交通事業会計追加予算 一、第三十七号議案  昭和三十五年度東京都水道事業会計追加更正予算 一、第三十八号議案  昭和三十五年度東京都下水道事業会計更正予算 一、第四十号議案   東京都交通事業会計起債について 一、第七十五号議案  ダクタイル鋳鉄直管購入契約 一、第七十六号議案  ダクタイル鋳鉄直管購入契約 一、第七十七号議案  ダクタイル鋳鉄直管購入契約 一、第七十八号議案  両つば制水弁七点購入契約 一、第百二十五号議案 知事の承認を受けて取得及び処分をなすべき東京都公営企業の資産に関する条例の一部を改正する条例 警務消防委員会 一、第一号議案    昭和三十六年度東京都歳入歳出予算中        歳 出 警務消防委員会所管分 一、第八十五号議案  特別区の消防団員等公務災害補償条例の一部を改正する条例 一、第百二十二号議案 東京都警察職員互助組合に関する条例 一、第百二十三号議案 警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例 一、第百二十四号議案 東京消防庁職員定数条例の一部を改正する条例      ━━━━━━━━━━ ◯副議長(加藤千太郎君) これより追加日程に入ります。  追加日程第一を議題といたします。    〔田中議事部長朗読〕 一、第百三十七号議案 昭和三十五年度東京都競走事業歳入歳出追加予算(巻末議案の部参照) ◯副議長(加藤千太郎君) 本案に関し執行機関の説明を求めます。鈴木副知事。    〔副知事鈴木俊一君登壇〕 ◯副知事(鈴木俊一君) ただいま上程になりました第百三十七号議案についてご説明いたします。  本案は東京都競走事業会計の追加予算案でありまして、投票券の発売実績の急激な増加に伴う払戻金などで四億六千四百余万円を計上したものであります。よろしくご審議をお願いいたします。 ◯六十八番(岡田幸吉君) 本案は委員会の審査を省略し、原案通り可決せられんことを望みます。 ◯副議長(加藤千太郎君) ただいまの動議にご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯副議長(加藤千太郎君) ご異議ないと認めます。よつて本案は原案通り可決いたしました。      ━━━━━━━━━━ ◯副議長(加藤千太郎君) 請願陳情の託について申し上げます。本日までに受理いたしました請願及び陳情百七十六件は、それぞれ所管の常任委員会に審査を付託いたします。本件付託事項表はすでにお手元に配付してあります。      ─────────────    請願陳情付託事項表    昭和三十六年三月八日付託 総務首都整備委員会 一、第一八号   羽田空港周辺の爆音防止に関する請願 一、第一九号   北多摩地方事務所及び都出先機関総合庁舎の建設に関する請願 一、第二〇号   北多摩地方事務所及び都出先機関総合庁舎の建設に関する請願 一、第二一号   北多摩地方事務所及び都出先機関総合庁舎の建設に関する請願 一、第二二号   北多摩地方事務所及び都出先機関総合庁含の建設に関する請願 一、第二三号   渋谷区千駄谷二丁目地区補助第二十四号変更路線の反対に関する請願 一、第二四号   渋谷区原宿三丁目地区、補助第二十四号路線の建設反対に関する請願 一、第五〇号   府中市三本木土地区画整理事業に関する請願
    一、第五一号の二 新河岸川浄化に関する請願 一、第六五号   駐留軍等の離職者対策に関する請願 一、第六七号   世田谷区池尻町放射四号線拡巾による商店街移転につき用途地域変更に関する請願 一、第六八号   墨田区横網町地域公園緑地の指定解除に関する請願 一、第七六号   北多摩地方事務所・都出先機関統合庁舎を立川市に設置方に関する請願 一、第八五号   杉並区高円寺東公園の事業決定解除に関する請願 一、第八六号   港区麻布北日ヶ窪町地域都市計画街路環状三号線の計画変更反対に関する請願 一、第八七号   港区赤坂青山南町一丁目道路の拡張計画反対に関する請願 一、第八八号   北多摩地方事務所・都出先機関統合庁舎を立川市に設置方に関する請願 一、第九二号   北多摩地方事務所・都出先機関統合庁舎を立川市に設置方に関する請願 一、第八号    尾瀬の電源開発促進に関する陳情 一、第一八号   葛飾区の改良下水道計画の実現に関する陳情 一、第二〇号   旧東京府立学校書記の退職手当に関する陳情 一、第二一号   板橋区赤塚緑地帯徳丸地区の指定解除選定地区編入に関する陳情 一、第二二号   都市計画補助第二十四号路線の計画変更の徹回に関する陳情 一、第三〇号   北多摩地方事務所の移転に関する陳情 一、第三一号   渋谷区原宿駅前補助二十四号線道路の計画変更反対に関する陳情 一、第三七号   杉並区掘ノ内二丁目地域における日立なまコンクリート工場建設反対に関する陳情 一、第三八号   港区麻布北日ヶ窪町地域都市計画街路環状三号線の計画変更反対に関する陳情 一、第三九号   港区麻布材木町地域、環状三号道路の計画変更反対に関する陳情 一、第四〇号   北多摩地方事務所の移転に関する陳情 一、第四一号   江東区小名木川駅前通りの整備に関する陳情 一、第五一号   昭和通り路上高架道路建設の取止めに関する陳情 一、第五五号   杉並区堀ノ内二丁目地域における日立なまコンクリート工場建設反対に関する陳情 一、第五六号   杉並区堀ノ内二丁目附近における日立なまコンクリート工場の建設反対に関する陳情 一、第五八号   街路灯並びに増設の補助金増額に関する陳情 財務主税委員会 一、第六号    固定資産の評価額の引上げ反対及び同税の減税に関する請願 一、第一〇号   元神田川河川改修跡地の払下げに関する請願 一、第一七号   固定資産税の増脱反対に関する陳情 一、第二九号   建設工事費の適正価格による発注方に関する陳情 厚生文教委員会 一、第八号    東京世界音楽祭に関する請願 一、第九号    都立高等学校増設に関する請願 一、第一一号   東京都遺族会館建設に関する請願 一、第二五号   すしづめ学級解消等に関する請願 一、第二六号   都下全小学校に学校事務職員配置に関する請願 一、第二七号   板橋第三中学校出火焼失部分の復旧に関する請願 一、第二八号   墨田区立寺島中学校校舎鉄筋改築に関する請願 一、第二九号   北区立王子小学校の鉄筋コンクリート校舎改築ならびにプール新設に関する請願 一、第三〇号   都立高等学校増設に関する請願 一、第三一号   葛飾区立南綾瀬小学校にプール建設に関する請願 一、第三二号   品川区立大崎中学校校舎改築に関する請願 一、第三四号   精神薄弱者援護施設設置に関する請願 一、第三五号   東京都地区社会福祉協議会に対する育成助成費の補助方に関する請願 一、第三六号   民生委員、児童委員を基準定員まで整備増加方に関する請願 一、第三七号   教育予算増額に関する請願 一、第三八号   都立高等学校の養護教諭に関する請願 一、第三九号   都立高校増設に関する請願 一、第四八号   すしづめ学級解消等に関する請願 一、第四九号   墨田区立吾嬬第二中学校校舎改築促進に関する請願 一、第六二号   世田谷区立梅丘中学校校舎増改築に関する請願 一、第六三号   墨田区立中川小学校の焼失教室復旧と鉄筋校舎の建設に関する請願 一、第七七号   立川市に都立体育館建設に関する請願 一、第七八号   世田谷区立桜木中学校校舎改築に関する請願 一、第七九号   荒川区立第四峡田小学校校舎改築に関する請願 一、第八〇号   公立小、中学校及び高等学校教頭の一等級格付に関する請願 一、第八一~九〇号 アフターケア施設の在園期間延長に関する請願 一、第八二号の二 日雇労働者の待遇改善に関する請願 一、第八九号   板橋区内に生活館建設方に関する請願 一、第九四~   生活保護基準の引上げ等に関する請願     一〇二号 一、第一〇三号  荒川区内に養護学校新設方に関する請願 一、第一一〇号の三 肢体不自由児のための諸施設設置に関する請願 一、第一一一号  国分寺町に都立高等学校設置方に関する請願 一、第一一二号  荒川区立尾久宮前小学校校舎の鉄筋改築方に関する請願 一、第一一三号  荒川区立第五峡田小学校校舎の鉄筋コンクリート化に関する請願 一、第一一五号  墨田区立寺島中学校に鉄筋校舎建築方に関する請願 一、第一一六号  荒川区立第六中学校校舎の鉄筋不燃化に関する請願 一、第五号    都立工業高等学校の予算編成に関する陳情 一、第六号    都立高校定時制夜間課程における給食運営上の人件費予算化に関する陳情 一、第九号    身体障害者総合福祉センター建設に関する陳情 一、第一〇号   板橋区立第三中学校復旧に関する陳情 一、第一一号   練馬区立石神井小学校校舎改築促進に関する陳情 一、第一二号   高等学校の定時制教育充実に関する陳情 一、第一三号   中野区立小学校教室改造費交付に関する陳情 一、第一四号   中学校給食の予算計上に関する陳情 一、第一五号   中学校給食の早期実現に関する陳情 一、第二六号   中学校給食の早期実現に関する陳情 一、第二六号   教育予算大巾増額に関する陳情 一、第二七号   昭和三十六年度予算編成に対する「高校増設」「すしづめ解消」に関する陳情 一、第三四号   公立小、中、高等学校教頭の一等級格付けに関する陳情 一、第三五号   多摩地区の教育予算に関する陳情 一、第四六号   北区立十条中学校の校舎建設促進に関する陳情 一、第五四号   目黒区内に都立高等学校増設並びに学級増加に関する陳情 衛生経済渚掃委員会 一、第一号    米穀小売販売登録業者の低率マージンの増額方に関する請願 一、第一七号   都立蚕業試験場の早期移転方に関する請願 一、第四一号   保健所の早期設置に関する請願 一、第四二号   用水取入用各井堰の補強根固め工事等の早期実施方に関する請願 一、第四四号   塵芥処理場建設反対に園する請願 一、第六〇~七一号 羽田浦漁場の全面補償措置方に開する請願 一、第七三号   都下保健所に歯科衛生係設置方に関する請願 一、第一一〇号の一 肢体不自由児のための諸施設設置に関する請願 一、第一一四号  パーマネント料金値上げ反対に関する請願 一、第一号    保健所増設に関する陳情 一、第二号    保健所増設に関する陳情 一、第三号    清掃事務所増設に関する陳情 一、第三二号   阿古漁業協同組合合併漁協同加工所建設援助方に関する陳情 一、第三六号   ふぐ仲買取扱人の除毒師免許条例制定方等に関する陳情
    一、第五七号   調布市に保健所設置方に関する陳情 建設労働委員会 一、第二号    準用河川野川上流部改修工事に関する請願 一、第三号    通学道路の土盛工事並びに道路添い下水道の暗渠工事施工に関する請願 一、第一二号   都道第三〇〇号線改修継続に関する請願 一、第一三号   都市計画街路舗装に関する請願 一、第三三号   江戸川職業補導所設置に関する請願 一、第四二号の一 用水取入用各井堰の補強根固め工事等の早期実施方に関する請願 一、第四三号   夏季年末手当予算計上に関する請願 一、第四五号   土砂崩れ危険箇所の土止め工事に関する請願 一、第四六号   土砂崩れ危険箇所の土止め工事に関する請願 一、第五一号の一 新河岸川浄化に関する請願 一、第五四号   程久保川の改修方に関する請願 一、第五五号   中央通り(都道第三〇六号線)改修工事に関する請願 一、第五六号   「緑のおばさん」の身分保障完全雇用に関する請願 一、第五七号   「緑のおばさん」の日給賃上げに関する請願 一、第五八号   衛生くず入れ器設置承認に関する請願 一、第六六号   中央区内亀島川埋立跡地に勤労青少年福祉施設設置に関する請願 一、第六九号   都道第二五五号箱根ヶ崎飯能線の一部拡巾改修工事に関する請願 一、第七〇号   側溝改修工事に関する請願 一、第七二号   環状四号線建設原案の変更に関する請願 一、第八二号の一 日雇労働者の待遇改善に関する請願 一、第八三号の一 都道の舗装改修並びに改良下水道設置に関する請願 一、第八四号   石神井川を準用河川として認定に関する請願 一、第九一号   都有地払い下げに関する請願 一、第九三号   日雇事務補助員の賃金引上げ等に関する請願 一、第一〇四号  道路舗装に関する請願 一、第一〇五号  道路の硬質舗装に関する請願 一、第一〇六号  杉並区上高井戸四丁目地区道路の舗装及び側溝設置に関する請願 一、第一〇七号  杉並区西田町一丁目地区道路舗装に関する請願 一、第一〇八号  都道(旧国分寺町内補助道六号線)拡巾に関する請願 一、第一〇九号  新小岩駅端ガード変更新設工事完成促進に関する請願 一、第一一〇号の二 肢体不自由児のための諸施設設置に関する請願 一、第七号    都道八十号線(府中─国分寺)の一部拡張に関する陳情 一、第二三号   放射四号線拡巾に伴う沿道店舗集団移転に関する陳情 一、第二四号   旧四ッ木橋補強工事実施に関する陳情 一、第二五号   都道第一〇〇号線舗装工事方に関する陳情 一、第四二号   日雇労働者の賃金引上げ等に関する陳情 一、第四八号   準用河川大栗川改修に関する陳情 一、第五〇号   都市計画街路放射線第一三〇号線の高円寺三丁目より成宗三丁目善福寺川間早急着工促進に関する陳情 一、第五二号   高速道路の路下室入居条件の適正化に関する陳情 一、第五九号   世田谷郷地区に都営地下駐車場設置に関する陳情 住宅港湾委員会 一、第五三号   引揚げ者住宅赤坂住宅払下げ申請に関する請願 一、第五九号   板橋区内の大山都営住宅払下げに関する請願 一、第六一号   大田区羽田本町第二住宅の払下げに関する請願 一、第七五号   小平第六、同第十、同中宿北側都営住宅の集会所設置に関する請願 交通水道委員会 一、第四号    墨田区寺島町四丁目の水道支線送水管敷設に関する請願 一、第五号    豊島区目白町の改良下水管埋立工事施行に関する請願 一、第一四号   北区浮間地区の水道布設に関する請願 一、第一五号   地下鉄工事に伴う営業補償、精神的補償の基準確立に関する請願 一、第四〇号   杉並区高円寺一、二丁目高南地区の水道本管新設に関する請願 一、第四七号   板橋区志村中台町の水道管布設に関する請願 一、第六四号   江東区亀戸、大島町両地域の下水道完備に関する請願 一、第七四号   北区赤羽町三丁目地区の上水道布設に関する請願 一、第八三号   都道の舗装改修並びに改良下水道設置に開する請願 一、第一九号   都電吾妻橋三丁目停留所の残置に関する陳情 一、第四三号   江東区南部地域の改良下水道布設に関する陳情 一、第四四号   江東新橋架設による都バス路線の新設に関する陳情 一、第四五号   北区豊島七丁目の水道管取替えに関する陳情 一、第四九号   杉並区下高井戸二丁目七〇七七~一〇番地及び同区永福町二五四~二六〇番地の水道布設に関する陳情 警務消防委員会 一、第七号    目黒三田間周辺地区に派出所設置方に関する請願 一、第一六号   国電恵比寿駅に警察派出所設置方請願 一、第五二号   新宿区戸塚町(一丁目二九四番地一丁目四一〇番地)十字路に信号機設置方に関する請願      ━━━━━━━━━━ ◯副議長(加藤千太郎君) 以上をもつて本日の日程全部を終了いたしました。  お諮りいたします。明九日より十二日までは委員会審査のため休会とし、来たる十三日午後一時本会議を開会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯副議長(加藤千太郎君) ご異議ないと認め、さよう決定いたします。なお、ただいまご着席の方々にはあらためて十三日の開会通知をいたしませんから、さようご了承を願います。  本日はこれをもつて散会いたします。    午後八時二十八分散会...