令和 4年 12月 定例会十二月定例会 第十三日(十二月十四日)令和四年十二月十四日(水曜日)第十三日 議事日程 一 開議 午前十時 二 監査結果報告(埼玉県川口県税事務所ほか三十一か所) 三 陳情の報告 四
知事追加提出議案の報告、上程 第百七十一号議案 五 知事の提案説明 六 知事提出議案(第百七十一号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問 四十八番 飯塚俊彦議員 七 知事提出議案(第百七十一号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問(続行) 三十五番 美田宗亮議員 八十二番 高橋政雄議員 八 第百七十一号議案及び議第三十五号議案に対する質疑 九 第百三十八号議案~第百七十一号議案及び議第三十五号議案並びに請願の各委員会付託 十 次会日程報告 十二月十五日(木)、十九日(月)、二十一日(水) 議案調査 十二月十六日(金)、十九日(月)、二十日(火) 委員会 十二月十七日(土)、十八日(日) 休日休会 十二月二十二日(木) 午前十時開議、委員長報告、質疑、討論、採決 十一 散会
----------------本日の出席議員 八十五名 四番 柿沼貴志議員 六番 石川誠司議員 七番 小川直志議員 八番 杉田茂実議員 九番 深谷顕史議員 十二番 秋山もえ議員 十三番 金野桃子議員 十四番 岡村ゆり子議員 十五番 平松大佑議員 十六番 中川 浩議員 十七番 阿左美健司議員 十八番 高橋稔裕議員 十九番 逢澤圭一郎議員 二十番 千葉達也議員 二十一番 渡辺 大議員 二十二番 松井 弘議員 二十三番 高木功介議員 二十四番 橋詰昌児議員 二十六番 白根大輔議員 二十七番 守屋裕子議員 二十八番 八子朋弘議員 三十番 松坂喜浩議員 三十一番 宮崎吾一議員 三十二番 関根信明議員 三十三番 木下博信議員 三十四番 藤井健志議員 三十五番 美田宗亮議員 三十六番 吉良英敏議員 三十七番 松澤 正議員 三十八番 宇田川幸夫議員 三十九番 浅井 明議員 四十番 安藤友貴議員 四十一番 町田皇介議員 四十二番 辻 浩司議員 四十三番 前原かづえ議員 四十四番 浅野目義英議員 四十五番 石川忠義議員 四十六番 井上 航議員 四十七番 岡 重夫議員 四十八番 飯塚俊彦議員 四十九番 内沼博史議員 五十番 岡田静佳議員 五十一番 細田善則議員 五十二番 永瀬秀樹議員 五十三番 日下部伸三議員 五十四番 小久保憲一議員 五十五番 立石泰広議員 五十六番 新井 豪議員 五十七番 権守幸男議員 五十八番 萩原一寿議員 五十九番 山根史子議員 六十番 秋山文和議員 六十一番 村岡正嗣議員 六十二番 醍醐 清議員 六十三番 鈴木正人議員 六十四番 荒木裕介議員 六十五番 岡地 優議員 六十六番 小川真一郎議員 六十七番 齊藤邦明議員 六十八番 武内政文議員 六十九番 須賀敬史議員 七十番 新井一徳議員 七十一番 梅澤佳一議員 七十二番 横川雅也議員 七十三番 白土幸仁議員 七十四番 塩野正行議員 七十五番 蒲生徳明議員 七十六番 水村篤弘議員 七十七番 山本正乃議員 七十八番 柳下礼子議員 七十九番 中屋敷慎一議員 八十番 諸井真英議員 八十一番 神尾高善議員 八十二番 高橋政雄議員 八十三番 田村琢実議員 八十四番 本木 茂議員 八十五番 宮崎栄治郎議員 八十六番 齊藤正明議員 八十七番 小島信昭議員 八十八番 小谷野五雄議員 八十九番 長峰宏芳議員 九十番 石渡 豊議員 九十一番 西山淳次議員 九十二番 木村勇夫議員 九十三番 田並尚明議員 欠席議員 一名 二十九番
江原久美子議員地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人 大野元裕 知事 砂川裕紀 副知事 高柳三郎 副知事 山本悟司 副知事 堀光敦史 企画財政部長 真砂和敏 県民生活部長 三須康男
危機管理防災部長 目良 聡 環境部長 金子直史 福祉部長 山崎達也 保健医療部長 板東博之 産業労働部長 小畑 幹 農林部長 北田健夫 県土整備部長 村田暁俊 都市整備部長 宍戸佳子 会計管理者 北島通次 公営企業管理者 今成貞昭
下水道事業管理者 高田直芳 教育長 鈴木基之 警察本部長 発言(質問)通告書 十二月十四日(水)議席番号 氏名 要旨 答弁者四十八番 飯塚俊彦議員 1 資源循環の取組について (1)
サーキュラーエコノミーの推進について 知事 (2) 下水汚泥の肥料化とその農業現場における普及について
下水道事業管理者 農林部長 (3) 循環型の国産肥料の普及促進について 農林部長 2 証紙制度廃止後の
キャッシュレス化について 会計管理者 3 県立高校の統合後における魅力ある学校づくりについて 教育長 4 誇るべき本県の養蚕業について 農林部長 5 医師不足地域における地域医療を担う人材の育成について 保健医療部長 6 障がい者・健常者のスポーツ振興について 県民生活部長 (1) パラスポーツの支援について (2) スポーツ行政の一元化について (3) スポーツによる共生社会の実現について 7 国道一七号本庄道路の整備について 県土整備部長三十五番 美田宗亮議員 1 県の雇用労働政策の方向性について 知事 2 学校における安全対策について 教育長 (1) 学校現場における研修内容の徹底について (2) 特別支援学校における対策の充実について 3 中高一貫教育校の設置について 教育長 (1) これまでの検討状況について (2) 今後の方向性について 4 高齢者施設・障害者施設の業務継続計画(BCP)策定について 福祉部長 (1) 県の積極的な支援について (2) 施設への働きかけについて 5 介護人材に係る新たなビジョン「埼玉デザイン」について 福祉部長 (1) 介護ロボットやICTの活用について (2) 今後の推進体制について 6 心臓弁膜症の周知について 保健医療部長 (1) 普及啓発について (2) 医療機関を対象にした調査の実施について 7
都市計画道路三郷流山線について 県土整備部長 (1)
三郷流山橋有料道路の進捗状況と開通見通しについて (2)
三郷流山橋有料道路でのETCの導入について (3)
三郷流山橋有料道路西側の事業中区間の整備状況について (4)
都市計画道路三郷流山線の延伸について八十二番 高橋政雄議員 1
グローバル有能人材の育成 知事 2 文化芸術の埼玉県・人づくり 知事 3 大学附属病院の建設 知事 4
埼玉スタジアム線の延伸 知事 5 発達障害への理解 福祉部長 6 みぬま緑地と新見沼大橋 県土整備部長
----------------午前十時開議 出席議員 八十五名 四番 六番 七番 八番 九番 十二番 十三番 十四番 十五番 十六番 十七番 十八番 十九番 二十番 二十一番 二十二番 二十三番 二十四番 二十六番 二十七番 二十八番 三十番 三十一番 三十二番 三十三番 三十四番 三十五番 三十六番 三十七番 三十八番 三十九番 四十番 四十一番 四十二番 四十三番 四十四番 四十五番 四十六番 四十七番 四十八番 四十九番 五十番 五十一番 五十二番 五十三番 五十四番 五十五番 五十六番 五十七番 五十八番 五十九番 六十番 六十一番 六十二番 六十三番 六十四番 六十五番 六十六番 六十七番 六十八番 六十九番 七十番 七十一番 七十二番 七十三番 七十四番 七十五番 七十六番 七十七番 七十八番 七十九番 八十番 八十一番 八十二番 八十三番 八十四番 八十五番 八十六番 八十七番 八十八番 八十九番 九十番 九十一番 九十二番 九十三番 欠席議員 一名 二十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人 知事 副知事(砂川) 副知事(高柳) 副知事(山本) 企画財政部長 県民生活部長
危機管理防災部長 環境部長 福祉部長 保健医療部長 産業労働部長 農林部長 県土整備部長 都市整備部長 会計管理者 公営企業管理者
下水道事業管理者 教育長 警察本部長
△開議の宣告
○中屋敷慎一議長 ただ今から、本日の会議を開きます。
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△監査結果報告(埼玉県川口県税事務所ほか三十一か所)
○中屋敷慎一議長 この際、報告をいたします。 監査委員から、埼玉県川口県税事務所ほか三十一か所に対する監査結果の提出がありましたので、報告いたします。〔参照-(二〇九)ページ〕
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△陳情の報告
○中屋敷慎一議長 次に、前定例会から今定例会までに提出された陳情につきましては、一覧表をお手元に配布しておきましたので、御了承願います。
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△
知事追加提出議案の報告
○中屋敷慎一議長 知事から議案の追加提出がありましたので、報告いたします。 議事課長に朗読させます。 〔議事課長朗読〕 財第五百十二号 令和四年十二月十四日 埼玉県議会議長 中屋敷慎一様 埼玉県知事 大野元裕 県議会付議議案について 本議会に付議する議案を次のとおり提出いたします。 第百七十一号議案 令和四年度埼玉県
一般会計補正予算(第六号)
○中屋敷慎一議長 ただ今報告いたしました議案は、お手元に配布しておきましたので、御了承願います。〔参照-(一二九)ページ〕
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△第百七十一号議案の上程
○中屋敷慎一議長 知事から追加提出された第百七十一号議案を議題といたします。
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△知事の提案説明
○中屋敷慎一議長 知事の説明を求めます。 大野元裕知事 〔大野元裕知事登壇〕
◎大野元裕知事 ただ今御提案申し上げました議案につきまして、御説明いたします。 去る十二月二日に、国において「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を受けた補正予算が成立したところであります。 この国の補正予算の一部に迅速に対応した今回の補正予算案は、妊娠期から出産・子育てまでの切れ目のない支援や子供の安心・安全を確保するための対策に要する経費に加え、
観光応援キャンペーンによる観光関連事業者への支援など、当面対応すべき事業に係る経費を計上するものでございます。 以下、補正予算の主なものにつきまして、御説明いたします。 まず、妊娠期から出産・子育てまでの一貫した支援についてです。 妊婦や子育て家庭の孤立感、不安感の解消を図るため、伴走型の相談支援の拡充と併せて、妊娠や出産の届出をした妊婦等に対し出産育児関連用品の購入費等への経済的支援を一体的に行う市町村に補助いたします。 次に、子供の安心・安全対策の強化についてです。 送迎時の子供の安全確保を図るため、幼稚園、小学校、中学校、特別支援学校、
障害児通所支援事業所等の設置者に対して、送迎用バスの安全装置や
登園管理システムの整備などに要する経費に補助等をするものでございます。 次に、エネルギー価格・物価高騰等の影響を受ける事業者への支援についてです。 高齢者施設、障害者施設、児童養護施設、保育所等の物価高騰による影響の激変を緩和するため、緊急的措置として食材料費の高騰分に対して補助を行います。 また、国の全国旅行支援を引き続き活用して県内観光の需要喚起を図るため、本県を目的地とする旅行に対して、旅行代金の最大二〇パーセントの割引や、地域観光クーポンとして最大二千円分を配布し、観光関連事業者を支援します。 次に、
埼玉高速鉄道線延伸に向けた取組の推進についてです。
埼玉高速鉄道線延伸に向けた鉄道事業者への事業実施要請を令和五年度中に円滑に実施するため、債務負担行為を設定し、さいたま市と共同で行う建設費等に関する調査の前倒しを図るものでございます。 この結果、一般会計の補正予算額は百二十九億一千六百四十二万八千円となり、既定予算との累計額は二兆四千三百三十億三千八百八十三万円となります。 以上で私の説明を終わりますが、何とぞ慎重審議の上、御議決を賜りますようお願い申し上げます。
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△知事提出議案(第百七十一号議案を除く。)に対する質疑並びに県政に対する質問
○中屋敷慎一議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。 発言通告がありますので、順次これを許します。 四十八番 飯塚俊彦議員 〔四十八番
飯塚俊彦議員登壇〕(拍手起こる)
◆四十八番(飯塚俊彦議員) 議席番号四十八番、自由民主党県議団、飯塚俊彦であります。遠路、地元本庄・児玉郡市より傍聴にお越しいただきました皆様、また、インターネットで御覧の皆様、ありがとうございます。 中屋敷慎一議長のお許しを頂きましたので、通告に従い、順次質問させていただきます。 まず、一、資源循環の取組について伺います。 今回は、「資源を循環させる」という切り口から質問を始めたいと思います。 徳川幕府時代の江戸の町は、極めて高度な循環型社会であったと言われております。十八世紀の江戸は人口百万人を数え、当時のロンドンやパリをしのぎ、世界一の人口を誇っていました。鎖国政策により資源の出入りがなく、化石燃料へ依存することのできなかった日本において、これだけの人口を支える経済活動を維持できた理由は、衣食住のあらゆる場面にリサイクル、リユースが浸透し、少ない資源を徹底して使い回す循環型社会の知恵と工夫にほかなりません。 近年、気候変動を背景に、輸入化石燃料への依存を減らし、太陽光などの
再生可能エネルギーの利活用を増やす取組が、私たちの日常に浸透しつつあります。これに加え、コロナ禍を経て、危機管理の観点からサプライチェーンの海外依存を見直し、国内で調達できる仕組みの構築が各業界で模索されています。 さらに、ウクライナ侵攻に端を発する燃料、食料価格の上昇は、円安もあいまって物価の高騰という形で私たちの暮らしを圧迫し続けております。十月の
消費者物価指数上昇率は三・六パーセントとなり、実に四十年八か月ぶりの伸びだそうです。安価な資源を外国から調達し、国内の消費型経済を維持するという長く続いた我が国の経済モデル自体が、大きな見直しを迫られております。 外国に依存した大量生産・大量消費型のライフスタイルを改め、国内調達、再生可能な原料・製品の割合を増やしていく、埼玉県がこのようなイノベーションの先駆けになってほしいという思いで質問をさせていただきます。 まず、(一)
サーキュラーエコノミーの推進についてです。 少し耳慣れない言葉かもしれませんが、近年、EUを中心に
サーキュラーエコノミー、日本語に訳すと循環経済という概念が広まりを見せています。これは、使い終わった製品に手を加え、新しい製品の素材の一部とするリサイクルや修理、リユースにより長期間製品を活用できるようにすることなど循環利用を促進する経済活動のことで、廃棄物の発生や資源の採掘を抑制することができます。
サーキュラーエコノミーの考えに基づいた製品は、一度使用された後も価値を失うことなく、再度使用されたり、回収して別の製品の素材として使用されたりします。このため、資源回収やリサイクルのビジネスを最初から視野に入れた設計で取り組まれていることになります。環境に優しいだけでなく、持続可能な経済成長につながり、新たな事業の創出も期待されるゆえんであります。 例えば、地元本庄市には、食品の包装材やレジ袋などのプラスチックについて、ほかのごみと混ざり合っている状態では焼却するしかなかったものを、選別、加工して商売としている事業者があります。
サーキュラーエコノミーの循環の一端を担っていくビジネスと言えるでしょう。しかし、このような事業者はまだ少なく、企業や県民に
サーキュラーエコノミーが十分に認知されているとは言えません。 折しも、資源や原材料価格の高騰による物価高が続き、抜本的な経済対策が求められているところであります。まずは、我が県から環境問題への対応と経済成長を両立させる
サーキュラーエコノミーへの転換を強力に進めていくべきではないでしょうか。 そこで、知事に伺います。こうした
サーキュラーエコノミーを進めることについて、知事の御所見をお聞かせください。 次に、(二)下水汚泥の肥料化とその農業現場における普及について伺います。 国土が狭く、天然資源が豊富とはいえない我が国が国内調達の割合を増やすためには、何よりも物を無駄にせず、使い尽くすことが重要です。こうした考えが昨今、社会経済の様々な部門において少しずつ尊重されるようになってきました。 下水道事業は言うまでもなく、それ自体も汚水を処理し、きれいになった水を川や海に流す、水の循環の機能を持つものであります。この下水道事業について、今年三月、国土交通省の小委員会から、社会の脱炭素・循環型への転換を主導する
グリーンイノベーション下水道を目指すべきとの報告が出されました。方針の一つとして、下水道が有するポテンシャルの最大活用が示されています。 そこで期待されるのが、本県の下水道事業です。流域下水道における処理水量の全国第一位の
荒川水循環センターを有していることなどから、日本国内において、とりわけ大きなポテンシャルを持つものと言えるのではないでしょうか。
下水道事業管理者に伺います。本県の下水道事業では、これまでどのような資源循環の取組を行い、今後の取組についてはどのようなことをお考えになっているのでしょうか。 また、私は、下水道に係る資源循環の取組の一つとして、昨今話題になっております下水汚泥の肥料化に注目しております。 江戸時代、百万人を超える大都市江戸を支えるため、近隣農村の農家は野菜を運んできた帰りに糞尿や生活ごみを購入して持ち帰り、堆肥にして畑にまくということで野菜の生産力を上げていたそうです。その結果、江戸では清潔な町が保たれ、近隣農村は生産力が向上し、ウィン・ウィンの関係が成立し、社会全体が発展しました。 こうした日本の下肥農業は、農芸化学の父と称される十九世紀ドイツの
科学者リービッヒに、土地を永久に肥沃に保ち、その生産性を人口の増加に応じて高めていくのに適した無類の方法と絶賛されております。下水汚泥の肥料化は、正に現代版下肥農業であり、農業の持続的発展を可能にするものではないでしょうか。
下水道事業管理者は、九月定例会における安藤友貴議員の質問に対し、本県でも肥料需要が大きいと想定される県北地域の流域下水道において、肥料化の試験製造を実施してまいりたいと答弁されました。 そこで、当該肥料化事業が県北地域の活性化につながることを期待して伺います。本県の下水汚泥の肥料化事業は具体的にどのように進めていくのでしょうか。 一方で、肥料化事業で下水汚泥がすばらしい肥料になっても、有効に使われなければ意味がありません。資源循環を確立し、なお農業の持続的発展を目指すには、肥料を作りましたが使い手がいませんというのでは困ります。肥料の受け手である農業者が是非使ってみようというふうにならないと普及はしません。 下水汚泥を活用した肥料を農業の現場で普及させていくにはどのようなことが必要なのでしょうか、農林部長に伺います。 次に、(三)循環型の国産肥料の普及促進について伺います。 さきの九月定例会では、肥料原料の輸入価格高騰の影響を受けにくい栽培体系へと転換を促すため、化学肥料の使用量の二割低減に向けた支援として、必要な機械等の導入経費への補助が予算化されました。化学肥料の価格は高騰を続けており、農家にとって大変に厳しい状況です。輸入化学肥料への依存度を低下させていくことは、我が国の農業の持続可能性を高める上で重要な課題であると考えています。 政府は、十月二十八日に閣議決定した新たな総合経済対策において、危機に強い食料品供給体制の構築として、肥料について「堆肥や下水汚泥資源等の肥料利用拡大への支援、土壌診断・堆肥の活用等による化学肥料の使用低減、肥料原料の備蓄に取り組む」としたところであります。危機への対応をきっかけに構造的な体質改善を進める国の戦略的な狙いが見てとれます。本県においても、彩り豊かで特色のある埼玉農業を守るために、
輸入化学肥料低減の取組を進めてもらいたいと思います。 既に一つ一つは小さくとも、新しい取組の芽は既に県内各所に見られます。下水汚泥の肥料化についてはさきに述べたとおり。県土整備部では街路樹をせん定した際に発生する枝をチップ化し、河川や道路の除草で発生する刈草と混合して堆肥を生産し、無料で配布しています。また、環境部が所管する彩の国資源循環工場には、食品残さなどを堆肥化する民間事業者の集積があります。これらは全て資源の使用と廃棄物の発生を最小限に抑える
サーキュラーエコノミーの発想に通じ、SDGsを強力に推進する知事の方向性に一致するものですが、それぞれが単発の取組で終わっては効果が限られます。 そこで、伺います。 こうした芽吹き出した循環型肥料の取組を踏まえ、本県農業生産者のために、輸入化学肥料への依存割合を低減させる取組を総合的に推進するべきと考えますが、農林部長の御所見を伺います。 次に、二、証紙制度廃止後の
キャッシュレス化について伺います。 証紙制度については、今年二月の予算特別委員会にて中屋敷議長が廃止について取り上げ、知事から「令和五年度中の廃止を目指す」との答弁がありました。そして、今定例会において埼玉県証紙条例を廃止する等の条例が提案されたことは、歓迎するところであります。 証紙制度の廃止は県民の利便性を高め、県民サービスの向上を目的としたもので、実際にクレジットカードや電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス決済は非常に便利なものです。しかし、必ずしも全員が使いこなしているわけではありません。近年、本県のキャッシュレス決済比率は確実に増加はしていますが、いまだ二六・九パーセントで、支払いのおよそ四回に三回は現金という状況があります。 実際に、家畜へのワクチン接種の手数料を支払う機会がある地元の養豚農家からは、「これまでは近くのコンビニや市役所で証紙をあらかじめ購入し、貼って申請をしていたが、証紙が廃止されたら今後はどのように払えばよいのか」といったような戸惑いや心配の声を聞きます。 証紙による収納は、昭和三十九年から長く続いてきた制度であります。現在、五百四十五種類の手数料が証紙による収納をしており、中には運転免許証の更新手数料、県立高校の受検料、パスポートの申請手数料など、多くの県民が利用する手数料が含まれています。 今回の制度改正は、県民に非常に大きな影響を与えるものであります。証紙制度の廃止に当たっては、県民が混乱しないように、特に、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス手段を持たない高齢者など、いわゆるキャッシュレス弱者を取り残すことなく、しっかり対策を講じていただきたいと思います。 そこで、今後どのように
キャッシュレス化を進めていくのか、会計管理者に伺います。 次に、三、県立高校の統合後における魅力ある学校づくりについて伺います。 魅力ある県立高校づくり第二期実施方策が十月二十七日に策定され、十二校を六校に再編する方針が示されました。私の地元本庄市でも、第一期実施方策に基づき、児玉高校と児玉白楊高校の統合が進められています。 両校とも百年以上の歴史を誇る伝統校であります。県立高校の統合は、中学校卒業者が減少する中で県立高校の活性化、特色化を図るためにはやむを得ないと思いますが、統合により高校がなくなってしまう側の人々にとって、歴史があり、地域に根付いた学校であればあるほど、その喪失感は大きいものとなります。第一期の児玉や飯能の事例は同一市内の学校同士でしたが、秩父高校と皆野高校の統合などは市町をまたいだ再編であり、地域に与える影響の象徴的な事例になるのではないでしょうか。 県には、このなくなってしまう側の学校の歴史や地域に与えてきた影響を重く受け止め、周辺住民や卒業生、在校生、教員の思いをくみ上げて、今後の再編を進めていってもらいたいと考えますが、教育長の御見解を伺います。 また、これまでの地域における県立高校のプレゼンスの大きさに鑑みれば、再編により教育活動が充実、強化された後の各高校に期待される役割も一層大きなものとなります。 教育局では、島根県教育委員会と高等学校教育に関する連携協定を締結し、島根県立隠岐島前高校に教員を派遣し、その取組を学んできたと聞いております。隠岐島前高校は、生徒減少により閉校寸前の状態から奇跡の復活を遂げた学校であり、この事例に学ぶところが多いのではないでしょうか。 隠岐島前高校では、学校、行政、地域住民が協働し、地域課題にチームで協働的に取り組む課題解決型の探求学習の構築などに取り組んでいます。私が実際に隠岐島前高校に派遣されていた教員の方に聞いた話の中では、島を丸ごと学校として捉え、地域資源を活用した教育を行っていることが強く印象に残っております。隠岐島前高校の事例から見えてくるのは、地域を重視する姿勢ではないでしょうか。 このことを踏まえ、生徒にとっても、地域にとっても魅力ある学校づくりを進めてほしいと考えますが、教育長に取組の方針を伺います。 次に、四、誇るべき本県の養蚕業について伺います。 埼玉県北部地域は群馬県南部と境を接し、古くから養蚕業が盛んな地域であります。私の地元本庄市は、富岡製糸場と絹産業を支えた養蚕農家の建物が多くありました。児玉町小平地区では、屋根の上に温度と湿度を調整する小屋根が取り付けられた高窓の家と呼ばれる養蚕住宅が、現在でも数棟残っております。 また、本庄市児玉町には、埼玉県の有形文化財に指定されている競進社模範蚕室があります。これは蚕種の改良、そして養蚕飼育の指導等を行った由緒ある歴史的建物であります。この競進社は、木村九蔵先生が明治十年に児玉郡で周辺の若者たちと結成した養蚕改良競進社を始まりとしており、幾多の変遷を経て、過日統合が決まった県立児玉白楊高校に至っています。 日本国内ではほとんど知られていない話ですが、一九九〇年前後までヨーロッパのファッション業界のシルク製品といえば日本産でした。生糸、絹糸、生地などの様々な形態で輸出され、エルメスのスカーフやネクタイ、英国王室御用達のクレッグのシルク傘、初期のジョルジオアルマーニなどヨーロッパのファッション業界の屋台骨を日本のシルク、養蚕業が支えていたのです。 しかし、皆さん御存じのとおり、養蚕は時代が進むにつれて衰退していきました。ナイロンの普及、輸入絹織物の増加、後継者不足や円高も重なり、絹製品の需要は落ち込みましした。これに伴い、養蚕農家は次第に姿を消し、県内では十一軒、本庄地域では三軒にまで減りました。 皆さんは、蚕が桑の葉を食べて成長して、幼虫のときに繭を作り、その繭から絹糸を作り出しているということは御存じかと思います。その桑の栽培にもいろいろ難しいノウハウがあり、栽培に一番適しているのは小石が混じった土壌なんだそうです。これによって厚い桑の葉が育つとのこと。 また、蚕の卵から生まれて繭を作り出すまでの飼育が非常に難しいということも御存じでしょうか。この過程、蚕がある程度大きくなるまでの飼育を専門的に行う施設として、稚蚕共同飼育所という施設があります。令和三年まで本庄市児玉町に本県唯一である金屋稚蚕共同飼育所が稼働し、養蚕農家の減少、高齢化の中で、本県の養蚕業を支えていました。 蚕の卵は極めて小さく、僅か一ミリしかないそうです。こんなに小さな生き物を、孵化を経て順調に生育させていくためには、相当な技術、技能を要するものと伺い、我が地元にこうしたすばらしい養蚕業があったことを改めて誇りに思います。 養蚕業や絹産業が往時の隆盛を取り戻すことは、現代の社会の中にあっては難しいことであると思います。しかし、地域の貴重な農業における財産として、本県養蚕業のこうした技術について、いつの日か日本の絹産業が復活するために、有用なアーカイブとして後世にしっかりと残していく必要があるのではないでしょうか。 本県養蚕業の現在の状況及び県が行っている支援と併せて、本県養蚕業のアーカイブ化について、農林部長にお伺いいたします。 次に、五、医師不足地域における地域医療を担う人材の育成について伺います。 令和二年九月の定例会において、県北における救急をはじめとする地域医療については、県境を越えた群馬県との連携が極めて重要であることを取り上げました。国の調査によると、私の地元の北部医療圏では、令和二年末の人口十万人当たりの医師数が百五十・八人であり、県平均の百七十七・八人を下回っています。そのため、越境して群馬県の医療機関を受診することが日常的となっております。 そのような中、埼玉医科大学と群馬大学が十一月四日に協定を締結し、埼玉県及び群馬県において将来の地域医療に貢献できる医療人の育成に取り組むことが発表されました。このプロジェクトは、文部科学省が募集したポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業に選定されたものであります。この国の事業は、大学医学部における養成課程の段階から、医師の地域遍在及び診療科遍在や高度医療の浸透、地域構造の変化等の課題に対応するため、地域にとって必要な医療を提供することができる医師を養成する教育プログラムの開発、実施を行う教育拠点を構築することを目的として公募されました。 全国から十八件の申請があり、特に優れた十一件が選定されました。今年度から令和十年度まで七年間実施され、初年度の事業費は約七千万円とのことです。このようなプロジェクトが県北地域で展開されることは、非常に喜ばしいことであります。 プロジェクトの具体的な内容は、ポストコロナ時代に対応する地域感染症対応人材の養成、幅広い疾患を診ることができる総合診療医の育成、両県の県境地域の医療機関で実施する利根川プログラムなど五つの教育プログラムを両大学で開発し、将来の地域医療に貢献できる人材を育成しようとするものであり、大いに効果が期待されます。 また、県では、地域枠奨学金を活用して医師確保対策を進めておりますが、埼玉医科大学には毎年十九人の地域枠学生が入学しています。今後、多くの医学生に医師不足地域で活躍してもらうために、このプロジェクトは有用であると考えます。 なお、地域枠奨学金については、先般、秩父や児玉郡内の医療機関から奨学金返還免除要件の変更についての提言があり、改善の余地がありそうであります。 話が少しそれましたが、県としてもこのプロジェクトを後押ししていくことが、医師不足地域の地域医療の充実につながると考えますが、どのようにサポートしていくのか、保健医療部長に伺います。 次に、六、障がい者・健常者のスポーツ振興について伺います。 まず、(一)パラスポーツの支援についてです。 先日、ロービジョンフットサルの日本代表である岩田朋之選手から直接話を聞く機会がありました。ロービジョンフットサルは、パラリンピックの競技種目であるブラインドサッカーのような派手さはありませんが、弱視の選手一人一人の異なる視力・視野を生かし、お互いを補い合いながらプレーする競技であります。弱視の選手がアイマスクを装着せず、音の出ないボールを用いてプレーをします。弱視でも持てる視力・視野を最大限生かして、自分らしくスポーツを楽しみます。 しかしながら、ロービジョンフットサルは、パラリンピックの競技となっているブラインドサッカーに比べ知名度が低い競技であります。また、岩田選手の奥様もチームをサポートする団体の運営に携わっており、吉川市を中心に活動、選手だけでなくロービジョンの子供たちがスポーツの楽しさを知り、安心・安全にスポーツを続けられるように、盲学校や弱視通級指導学級への出前授業など地道な活動を行っています。来週の月曜日に塙保己一学園にも行くそうであります。 草の根でパラスポーツの活動を支援することは、障がい者の社会参加の促進にもつながります。身近なところで障がい者がスポーツをできる機会を作る団体に対し、県ではどのように支援をしていくのか、県民生活部長にお伺いいたします。 次に、(二)スポーツ行政の一元化について伺います。 パラスポーツについては、国は、平成二十六年度に厚生労働省から文部科学省に移管し、スポーツ行政の一元化が図られました。令和三年度に開催された東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックでは、継承されるレガシーとして「パラリンピックを契機とする人々の意識改革・共生社会の実現」が掲げられました。このように共生社会の実現に向けての行政の姿勢として、スポーツ行政の一元化が強く求められています。 本県においても、令和四年度に福祉部から県民生活部に障がい者スポーツ部門を移管し、スポーツ振興課内にパラスポーツ担当が創設されたところでありますが、どのようなメリットがあったのか、県民生活部長の御所見をお伺いいたします。 次に、(三)スポーツによる共生社会の実現について伺います。 スポーツは年齢、性別、国籍、人種や文化や障がいの有無にかかわらず、全ての人が分け隔てなく親しむことができるものであります。スポーツを通じて他人への理解、共感、敬意を育んでいくことが心のバリアフリーや地域住民の支え合いを推進し、スポーツが共生社会の実現に貢献することが期待されているところであります。 県は、共生社会の実現に向けてスポーツをどう活用していくのか、県民生活部長にお伺いいたします。 次に、七、国道一七号本庄道路の整備について伺います。 国道一七号は、東京都から本県を通過し新潟県に至る、首都圏と上信越地方を結ぶ重要な役割を担う道路であります。 この国道一七号には、熊谷バイパスや深谷バイパスなど既にバイパスが整備されている区間がありますが、本庄市や上里町を通る区間はバイパスがない県内唯一の二車線区間です。このため、慢性的に交通渋滞が発生し、渋滞を避ける車が市街地の生活道路に入り込むなど、地元の皆様の生活に大きな影響を及ぼしております。そこで、一七号のバイパスである本庄道路の一日も早い整備が求められております。 我が自民党県議団で組織していただきました自由民主党国道一七号バイパス(本庄道路)建設促進懇話会の一員として、国土交通省や財務省に本庄道路の必要性を強く訴え、早期整備を何度も要望してまいりました。現在、国土交通省大宮国道事務所において、国道四六二号から西の群馬県境までの延長七キロメートル区間で事業を推進していただいております。 今月三日、上里町と高崎市の間の神流川に架かる新しい橋が完成し、本庄道路で初めて一部の区間が開通いたしました。これまでの活動が実を結んだと、地元の皆さんとともに喜びを分かち合っております。本当にありがとうございました。 また、長年この地域を支え、いろいろな思い出のある旧神流川橋に対しても、お疲れさまでしたと言いたい。解体した古い橋の一部をモニュメントとして残している事例もありますので、何らかの形で旧橋の記憶を後世に伝えることができたらよいと思います。 さらに、令和四年度からは、地元の悲願である四六二号から東側の残り六・一キロメートル区間も新たに事業化となり、事業が進展しているところであります。地元の期待も更に大きくなっております。 しかしながら、先日開通した区間は全体延長十三・一キロメートルのうちのほんの一部であり、新しく開通した区間と現道の国道一七号とのスムーズな交通や現道の渋滞解消のためには、このバイパス全線の早期整備が不可欠であります。そこで、本庄道路の現在の進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。 私の質問は以上であります。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる)
○中屋敷慎一議長 四十八番 飯塚俊彦議員の質問に対する答弁を求めます。 〔大野元裕知事登壇〕
◎大野元裕知事 飯塚俊彦議員の御質問にお答え申し上げます。 資源循環の取組についてのお尋ねのうち、
サーキュラーエコノミーの推進についてでございます。 大量消費・大量廃棄型の社会は、最終処分場のひっ迫や不法投棄の要因となっているほか、天然資源の枯渇や海洋プラスチックごみ問題など地球環境にも影響を及ぼしております。資源の供給制約や原材料価格の高騰といった現在のような経済情勢においては、環境政策のみならず、廃棄物を資源に変えて有効利用し、持続可能な経済へ転換させていくという観点が必要だと考えています。 昨年度来、県としても
サーキュラーエコノミーを推進しており、この手法は環境と成長の好循環をもたらす極めて有効なものと考えています。古来より物を大切にし、「もったいない」の精神を持つ日本人にとって、
サーキュラーエコノミーは親和性が高く、新しい資源循環型のビジネスが拡大する可能性は高いと考えております。 県では、昨年六月、企業や市町村などで構成する埼玉県プラスチック資源の持続可能な利用促進プラットフォームを設立し、まずは環境面で課題となっているプラスチック資源循環の分野で取組を始めました。この十一月からは、衣装ケースなど家庭の使用済みプラスチックを回収して再商品化を行い、その過程を消費者に発信する実証実験を実施しております。来年二月には再商品化した商品にQRコードを印刷し、スマートフォンなどで資源循環の過程や、それに伴うCO2排出量の削減を見える化する予定であります。この取組により消費者の購買意欲の変化を調査し、リサイクル商品の付加価値をどのように生み出すかを検証してまいります。 さらに、プラスチック以外の分野にも幅広く推進していくため、関係部局に指示をし、
サーキュラーエコノミーに取り組もうとする企業の支援や、県内中小企業の稼げる力の向上につながるモデルの構築などについて、部局横断で検討をさせているところであります。 資源の有効活用により、持続可能な社会を将来世代に引き継ぐとともに、県内企業の成長にも寄与する
サーキュラーエコノミーを引き続き積極的に推進してまいります。 〔今成貞昭
下水道事業管理者登壇〕
◎今成貞昭
下水道事業管理者 飯塚俊彦議員の御質問一、資源循環の取組についての(二)下水汚泥の肥料化とその農業現場における普及についてお答え申し上げます。 まず、これまでどのような資源循環の取組を行い、今後の取組についてどう考えているのかについてでございます。 県下水道局では、これまで汚泥の有効活用など様々な資源循環の取組を行ってまいりました。平成三年度には下水汚泥焼却灰れんがの製造に、平成二十六年度末からは汚泥の固形燃料化に取り組んでいます。 近年では、桶川市の元
荒川水循環センターと三郷市の中川水循環センターに汚泥消化発電システムを導入いたしました。これは、汚泥の発酵によって発生したバイオガスを民間事業者に売却し、民間事業者がそれを利用して発電し、その電力をFIT制度により売却するという
再生可能エネルギー創出の取組でございます。特に、国内最大級の中川水循環センターにおける取組は、健全な水循環・資源エネルギー循環を生み出す優れたものと評価され、本年九月、国土交通大臣賞グランプリを受賞いたしました。 今後は、同様の取組を更に広げるため、久喜市の古利根川水循環センターに導入する消化タンクの基本設計を進め、令和七年の着工を目指してまいります。また、汚泥焼却時の廃熱によって発電する機能が付いた次世代焼却炉への改築を順次進めています。令和五年度から戸田市の
荒川水循環センターで、令和六年度からは元
荒川水循環センター及び和光市の新河岸川水循環センターで稼働を予定しております。 次に、下水汚泥の肥料化事業を具体的にどのように進めていくのかについてでございます。 この事業も資源循環の取組の一環として進めるものでございます。昨今の化成肥料価格の高騰などを受け、国は本年十月に下水汚泥の肥料利用の拡大に向けた官民検討会を立ち上げました。下水汚泥肥料の利用促進のための補正予算も計上されるなど、汚泥の肥料化に向けた機運はますます高まっております。 こうした追い風を受けまして、県下水道局では短期と長期の二つの視点で下水汚泥の肥料化に取り組んでまいります。 まず、短期的な視点では、安全性への不安など汚泥肥料に対する抵抗感の払拭に取り組んでまいります。平成二十九年度に汚泥肥料を試作した際、重金属含有量が基準値内で、かつ低濃度であるということを確認しておりますが、更に検証を深めてまいりたいと考えております。具体的には、御質問にございました試験製造のための設備を桶川市の元
荒川水循環センターに導入し、県北地域で発生する汚泥で肥料を製造するとともに、その安全性を検証していく予定でございます。この試験製造肥料と民間事業者が販売している下水汚泥を含む肥料を使って、効果の検証や農家へのアピールを行ってまいります。 並行して、肥料製造プラント導入の可否や事業スキームなど、長期的な視点から本格的な製造に向けた検討を進めてまいります。 下水汚泥の肥料化は、正に時代のトレンドとなりました。この十一月に立ち上げました農林部、環境部、下水道局で構成する下水汚泥肥料情報共有会議を通じまして、関係部局間の連携を更に強化し、スピード感を持って取り組んでまいります。 〔小畑幹農林部長登壇〕
◎小畑幹農林部長 飯塚俊彦議員の御質問一、資源循環の取組ついての(二)下水汚泥の肥料化とその農業現場における普及についてのうち、農業の現場で普及させていくにはどのようなことが必要なのかについてお答え申し上げます。 化学肥料の高騰が続く中、下水汚泥を活用した肥料への期待が高まっており、実際に試してみたいと関心を示す農業者も出てきました。一方で、汚泥という言葉のイメージから肥料として使用することをためらう農業者も少なくありません。 こうしたことから、農業現場で普及させるためには、安全性や品質について農業者や消費者に理解していただく必要があります。また、使用する農業者の立場に立ち、運搬、散布時に手間が掛からないよう粒状にするなどの改善や、作物ごとに適した肥料の量や散布の時期を明らかにするなどの情報提供に努めることも大切です。 このため、県では、令和四年度から農業技術研究センターで汚泥肥料による作物や土壌への影響について研究を開始したところです。また、農業大学校や生産者のほ場で汚泥肥料の試験的な利用を始めており、化学肥料使用時との生育の違いや使い勝手など、得られた情報を下水道局にフィードバックすることとしています。 農業現場で下水汚泥肥料を活用できるよう、関係機関と連携をして取組を進めてまいります。 次に、(三)循環型の国産肥料の普及促進についてでございます。 議員御指摘のように、化学肥料の高騰が続く中、輸入原料に依存する化学肥料の使用量を低減し、地域資源を活用した肥料を普及させていくことは、農業経営の安定のために有効であると考えます。地域資源の堆肥利用などに係る方針として、県では農山村バイオマス利活用推進計画に基づき、家畜排せつ物や稲わら、事業系食品残さなどの活用を促進しています。 これまでの取組の中では、例えば、県内の家畜排せつ物については、堆肥の成分分析や耕種農家への情報提供などを行い、一〇〇パーセント利活用されています。事業系食品残さについては、リサイクル事業者が農業者の要望に応じてオーダーメードで堆肥を生産する取組なども展開されています。また、本県ならではの循環型農業の取組としては、三富地域で江戸時代から続く落ち葉堆肥農法などの好事例もあります。 地域資源を活用した肥料の普及を拡大するためには、議員お話しのような取組を含め、化学肥料の使用量低減に資する様々な手法を総合的に推進し、農業者に選択肢として示していくことが重要と考えています。関係部局との連携を強化し、農業者への普及啓発内容の充実を図るなど、地域資源を活用した肥料の普及促進に取り組んでまいります。 次に、御質問四、誇るべき本県の養蚕業についてお答え申し上げます。 現在、本県の養蚕農家数は十一戸、繭の出荷量は三トンであり、出荷先のJA等で構成する埼玉県優良繭生産推進協議会を通じて長野県の製糸会社に出荷しています。県では、協議会への助言や一般財団法人大日本蚕糸会の助成事業の活用の支援、繭の品質鑑定などを通じて養蚕業を支援しており、今後も養蚕農家の皆様が安心して生産を続けられるよう取り組んでまいります。 また、アーカイブ化については、県が所有する養蚕の貴重な技術資料や用具、記録について、平成十二年に国内有数の製糸業者であった片倉工業株式会社に寄託する覚書を交わしました。現在、これらの資料は、片倉工業の熊谷工場跡地にある片倉シルク記念館で一括して保存、展示され、本県養蚕業と製糸業の歴史とともにその技術について伝えています。さらに、既に寄託している資料以外にも桑の栽培管理や蚕の飼育技術を取りまとめた資料、飼育映像、写真などを県で収集しています。 今後も、本県養蚕業への支援とともにその技術を将来に引き継ぐことができるよう、養蚕業のアーカイブ化を進めてまいります。 〔宍戸佳子会計管理者登壇〕
◎宍戸佳子会計管理者 飯塚俊彦議員の御質問二、証紙制度廃止後の
キャッシュレス化についてお答え申し上げます。 証紙による収納からキャッシュレス決済への全面移行は、およそ六十年ぶりの大きな変革といえます。そのため、まずしっかりと広報していくことが重要であり、キャッシュレス手段を持たない高齢者などに対しても、様々な広報媒体を通じて分かりやすい広報を行っていく予定です。特に、SuicaやWAON、nanacoなど比較的身近で入手しやすい電子マネーでも支払いが可能であることについても周知してまいります。 また、キャッシュレス決済の際に使用する端末につきましては、収納方法や使用頻度を考慮の上、整備したいと考えております。例えば、県民の方が多く来られる窓口や複数の課所の手数料を集約する窓口では、POSシステムを導入し、また、議員御指摘の養豚農家など出張先では、モバイル型キャッシュレス端末を導入すること等により効率的に収納ができるよう端末の整備を検討いたします。 今後は、高齢者も含めた県民の方が利便性の向上や将来に向けたデジタル化の恩恵が感じられるよう、
キャッシュレス化に向け万全の整備を進めてまいります。 〔高田直芳教育長登壇〕
◎高田直芳教育長 飯塚俊彦議員の御質問三、県立高校の統合後における魅力ある学校づくりについてお答え申し上げます。 まず、周辺住民や卒業生、在校生、教員の思いをくみ上げて、今後の再編を進めることについてでございます。 議員お話しのとおり、高校の再編に伴って校舎を閉じる学校のこれまで積み上げてきた歴史や地域への貢献、関係する方々の思いを受け止めることは大変重要です。これまで学校が培ってきた地域とのつながりや伝統を受け継ぎ、更に発展させることで、地域の皆様に今後も支えていただけるような新しい学校をつくっていかなければなりません。 例えば、令和五年四月に新たに開校する児玉高校では、地域課題解決に取り組むこだま学を展開し、地域のことを深く理解し、地域に愛着と誇りを持った人材の育成を目指してまいります。具体的には、現在の児玉高校で実施しているスポーツ交流や、児玉白楊高校で先行実施している市民ポプラサロンでの高齢者との交流などについて、地域との連携をより一層充実させていきたいと考えております。 今後とも、県立高校の再編整備に当たりましては、これまでの学校の伝統をしっかり引き継ぐとともに、生徒、保護者、教員、地域の皆様の思いを受け止めながら丁寧に進めてまいります。 次に、生徒にとっても、地域にとっても、魅力ある学校づくりを進める取組の方針についてでございます。 魅力ある県立高校づくりを進めるに当たり、地域を重視する姿勢は何より大切なことと考えます。議員お話しの島根県教育委員会とは、平成三十年に連携協力協定を締結し、教員や生徒の相互交流、研修などを通じ、島根県の地域資源を活用した探究学習の取組などを参考にしながら、本県の教育活動の充実に取り組んでまいりました。 令和八年度に開校を予定している新校六校においても、それぞれの特色に応じて地域と連携しながら、地域を深く理解し、地域に貢献する学びを取り入れてまいります。例えば、秩父高校と皆野高校を統合する新校は、グローバル人材を育成する高校として秩父地域全体の観光資源の海外発信につなげるなど、地域社会への貢献も目指してまいります。 再編により開校する新校におきましては、地元中学生との意見交換会や新校準備委員会などを通して地域の方々の声を丁寧に伺いながら、生徒や地域にとって魅力ある高校となるよう努めてまいります。 〔山崎達也保健医療部長登壇〕
◎山崎達也保健医療部長 飯塚俊彦議員の御質問五、医師不足地域における地域医療を担う人材の育成についてお答え申し上げます。 議員お話しの協定については、埼玉医科大学、群馬大学のほか、埼玉県、群馬県、埼玉県医師会、群馬県医師会、埼玉県立大学が参加しております。県には、医学生の地域医療に対する意識が醸成されるための取組への協力を期待されています。具体的には、事業を統括し方針を決定する連携推進会議や、年次計画を策定し事業を推進する運営会議への参加、県の地域医療を理解するための動画教材作成などであり、これらに積極的に協力してまいります。 また、県では、埼玉医科大学の地域枠医学生に対し、奨学金を貸与するだけでなく、新入生オリエンテーション、医学生からの決意表明に対する知事からの激励、地域枠卒業医師との懇談会を通じて地域医療に対する意識のかん養に関わっています。さらに、地域医療を担う人材となるためのキャリアコーディネーターによるキャリア形成支援、医師不足地域の病院見学バスツアーも実施していますので、本プログラムと連携し相乗効果を高めていきたいと考えます。 この事業がより効果の高いものとなり、地域医療体制が充実するよう、しっかりとサポートしてまいります。 〔真砂和敏県民生活部長登壇〕
◎真砂和敏県民生活部長 飯塚俊彦議員の御質問六、障がい者・健常者のスポーツ振興についてお答え申し上げます。 まず、(一)パラスポーツの支援についてでございます。 本県では、パラスポーツの裾野を広げるため、県内に拠点を置く団体の活動に上限十万円の助成を行っております。 令和四年度は、義足のアスリートと競争するイベントや車椅子バスケットボール選手との練習会、ボッチャなどのパラリンピック種目の体験会などに支援を行いました。また、アスリートとの出会いがスポーツを始めるきっかけづくりとなるよう、議員お話しの岩田選手のようなパラアスリートに御協力を頂き、講演会や体験会を開催しております。さらには、県内で開催される大会やイベントに対し、県が後援するほか、SNSを活用した広報などの支援も行っております。 引き続き、地域で活動するパラスポーツ団体の支援を通じ、障がい者が身近なところでスポーツをする機会の充実を図ってまいります。 次に、(二)スポーツ行政の一元化についてでございます。 県では、スポーツ行政を一元化したことにより、健常者と障がい者双方の支援の特性や違いについて理解を深め、広範囲で多面的なスポーツ振興の取組や施策の検討を行っております。例えば、県の競技力向上支援に関しまして、パラアスリートには健常者アスリートに実施している発掘や育成ができていない実態があります。今後、パラアスリート選手を発掘するためのノウハウや、専門家によるサポート体制について共有化してまいります。 他方、健常者アスリートには、パラアスリートに比べて国際大会での経験が乏しい実態がございます。そのため、経験豊富なパラアスリートやその指導者から、競技本番に最高のパフォーマンスを発揮した方法や、大会に向けてコンディションを高めるサポートをした経験など、国際大会での知見を共有する機会を作ってまいります。 また、十一月に公募により実施しましたボッチャ交流大会では、障がい者からも健常者からも定員を超える多数の応募がございました。ボッチャなどのパラスポーツは、障がいの有無にかかわらず誰もが気軽に楽しめるスポーツであるということを実感したところでございます。 県では、このような一元化のメリットを生かし、アスリートの競技力向上の支援や、誰もが気軽にスポーツができる環境づくりに取り組んでまいります。 次に、(三)スポーツによる共生社会の実現についてでございます。 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会におきまして、パラ競技やパラアスリートに対する社会の理解や認知度が高まりました。それらを一過性のものとはせず、共生社会の理念を根付かせる必要があると考えております。そのため、県では、新しい試みとして日本代表選手が所属するゴールボールチームの御協力を頂きまして、公募の健常者と障がい者に加えて、女子サッカーやハンドボールの選手にもゴールボール体験をしていただくイベントを開催いたしました。 ゴールボールとは、視覚障がい者がアイシェードで目隠しをし、鈴の入ったボールを相手ゴールにシュートして得点を競う競技です。参加者は、「音だけでボールの位置や速さを予測するのは難しく、ゴールボールの選手はすごい」と驚いておりました。また、サッカーやハンドボールの選手は、自分たちがいかに視覚に頼ってプレーしていたか、認識を新たにされておりました。他方、ゴールボールの選手は、「参加者の方からリスペクトされ、アスリートとして自信を持つことができた」と胸を張っていらっしゃいました。 この体験イベントは、障がいに対する理解が深まるとともに、パラアスリートの技術の高さやパラスポーツの魅力を体感する絶好の機会となりました。 このように、スポーツには他者への理解、共感、敬意を育み、心のバリアフリーを推し進める力があります。県では、今後ともスポーツの力を活用し、全ての人が分け隔てなく活躍することのできる共生社会の実現を目指してまいります。 〔北田健夫県土整備部長登壇〕
◎北田健夫県土整備部長 飯塚俊彦議員の御質問七、国道一七号本庄道路の整備についてお答え申し上げます。 本庄道路は、深谷市から高崎市に至る延長十三・一キロメートルの国道一七号のバイパスであり、国が整備を進めています。 本庄市内の国道四六二号から高崎市までの延長七キロメートルの一期区間の進捗状況ですが、令和四年三月末の用地買収率は八六パーセントです。本年十二月三日には、神流川橋の架換えを含む延長一・四キロメートルの区間が暫定二車線で開通しました。 今後の見通しですが、残る用地の取得及び忍保川や御陣場川に架かる橋りょうの工事等を進めると聞いています。また、令和四年度に新規事業化された深谷市内の国道一七号深谷バイパスから国道四六二号まで延長六・一キロメートルの二期区間については、測量や設計を行うと聞いています。 県といたしましては、引き続き、本庄道路の早期完成が図られるよう、国に要望してまいります。 〔四十八番
飯塚俊彦議員登壇〕
◆四十八番(飯塚俊彦議員) 御答弁ありがとうございました。 四番目の誇るべき本県の養蚕業について、農林部長に一つ再質問させていただきたいと思います。 この養蚕業なんですけれども、なぜ衰退してしまったのか、いろいろな時代背景がありました。その中で、先ほど教育長からもお話出ましたけれども、児玉の高校が統合されていくその中で、これからの先、こだま学というふうなものも取り入れていくというふうなお話が出ました。結局、そのこだま学ということになると、その競進社であったり、この養蚕業という話にいやでも多分なります。ならざるを得ないと思う、歴史がそうしてきたんですからね。 その中で、やはり、例えば新聞にあったんですけれども、NPO川越着物散歩とかというグループが着物の良さを皆さんにお話をする。そうすると、いろいろやっている中で、歴史的建造物の保存ですとか、維持管理ですとか、あとは鉄道とシルクは切り離せない関係だったとか、歴史的ないろんなものが出てくるわけです。 今、熊谷の片倉工業さんのところでシルクの関係を展示しているとはいうんですけれども、でも、さっき私が質問の中で言っていたように、小さいお蚕さんを育てていったりとかするという、その本当の現場での大変さ、そういうものをきちんと保管しておかないと、やはり次やりたいと、若い人たちが養蚕業やりたいといって移住してくる、そういうものも秩父なんかにもあります。 ですので、そういうところも踏まえて、県としてどのようにもっともっとPRをしていくのか。いかないと言われればそれまでですけれども、PRしていくのか。例えば、本庄には大正院に蚕蛹供養奉賛会という会があって、この大正院さんというところにお蚕の供養をする記念碑が百年も前から建っているんです。 そんなふうに我々の地域ではお蚕さんを大切にしながら、供養しながら、現代あるというところが大いにあるもんですから、もう少し県においても養蚕の関係に対してのアピールというか、PRというかをしてほしいと思うんですけれども、その辺、本当は各部局横断的にいろんなところも含めての話なので答えてほしいと思うんですが、その点、農林部長にお伺いさせていただきます。 以上です。(拍手起こる)
○中屋敷慎一議長 四十八番 飯塚俊彦議員の再質問に対する答弁を求めます。 〔小畑幹農林部長登壇〕
◎小畑幹農林部長 御質問四、誇るべき本県の養蚕業についての再質問にお答え申し上げます。 まず、資料の記録というとこでありますけれども、まず物の資料につきましては、先ほども申し上げました片倉シルク記念館の方で、こちらの方は年間を通じて無料で公開をされております。そういった中で、地域の小学生の社会科見学等にも利用されておりまして、養蚕の歴史を伝える場というふうになってございます。また、形に残らない技術ですとかそういったものにつきましては、映像化するなどして、そういったものを順次資料として収集をしてございます。 そういったものもまとめていきながらですね、こうした物の資料とともにホームページ、あるいは本県養蚕の歴史をホームページ等で本県の全体の歴史を紹介するというような形で、資料も含めて貸出し等もしていきたいというふうに考えております。 今後とも、本県養蚕業を広く県民に伝えるようにPRに努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
----------------
△休憩の宣告
○中屋敷慎一議長 暫時、休憩いたします。午前十一時十分休憩
----------------午後一時二分再開 出席議員 八十四名 四番 六番 七番 八番 九番 十二番 十三番 十四番 十五番 十六番 十七番 十八番 十九番 二十番 二十一番 二十二番 二十三番 二十四番 二十六番 二十七番 二十八番 三十番 三十一番 三十二番 三十三番 三十四番 三十五番 三十六番 三十七番 三十八番 三十九番 四十番 四十一番 四十二番 四十三番 四十四番 四十五番 四十六番 四十七番 四十八番 四十九番 五十番 五十一番 五十二番 五十三番 五十四番 五十五番 五十六番 五十七番 五十八番 五十九番 六十番 六十一番 六十二番 六十三番 六十四番 六十五番 六十六番 六十七番 六十八番 六十九番 七十番 七十一番 七十二番 七十三番 七十四番 七十五番 七十六番 七十七番 七十八番 八十番 八十一番 八十二番 八十三番 八十四番 八十五番 八十六番 八十七番 八十八番 八十九番 九十番 九十一番 九十二番 九十三番 欠席議員 二名 二十九番 七十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人 知事 副知事(砂川) 副知事(高柳) 副知事(山本) 企画財政部長 県民生活部長
危機管理防災部長 環境部長 福祉部長 保健医療部長 産業労働部長 農林部長 県土整備部長 都市整備部長 会計管理者 公営企業管理者
下水道事業管理者 教育長 警察本部長
△再開の宣告
○武内政文副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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△質疑質問(続き)
○武内政文副議長 質疑質問を続行いたします。 三十五番 美田宗亮議員 〔三十五番 美田宗亮議員登壇〕(拍手起こる)
◆三十五番(美田宗亮議員) 東第十区、自由民主党議員団、美田宗亮でございます。 議長のお許しを頂きましたので、通告に従いまして順次、一般質問を始めさせていただきます。 一、県の雇用労働政策の方向性について伺います。 政府は本年十月、日本経済を再生させるため、物価高・円安への対応、構造的な賃上げ、成長のための投資と改革を重点分野とし、新しい資本主義を前に進めるための総合経済対策を策定いたしました。この中で、「人への投資の強化と労働移動の円滑化」を大きな柱に位置付け、リスキリングから転職までを一気通貫して支援する制度を新設するほか、企業に対しては、自らの意思でリスキリングに取り組み、キャリアを形成していく社員を支援する場合には助成率を引き上げるなど、労働者のリスキリングへの支援を強化することとしています。 県でも国の動きに呼応する形で、さきの九月補正においてキャリアチェンジ促進事業を計上し、相談体制の充実や紹介予定派遣制度を活用した就業支援に取り組むとしています。これまでの県の就業支援に係る取組は、無業者や非正規雇用者への支援が中心でしたが、これは新たな機軸であると捉えています。 ところで、さきの経済対策の中で、雇用調整助成金については令和四年十二月以降、現行の特例措置を段階的に縮減していくこととし、業況の厳しい企業に配慮しつつも通常制度へ戻していくことになりました。雇用調整助成金の特例措置は、コロナ禍で甚大な打撃を被った企業及びその従業員の雇用を守るというセーフティネットとして重要な役割を果たしてきました。今回の特例措置の縮減は、構造的な賃上げにつながるリスキリングと労働移動の円滑化に力点を置くという、国の方向性が明確になったと思います。 本県の経済に目を転じると、十一月一日付けの埼玉県経済動向調査では、「持ち直しの動きが見られるが、海外情勢、物価上昇等が県経済に与える影響を注視する必要がある」とされています。実際に、県内企業の倒産件数は今年度上半期で百四十三件、前年同期比一三・四パーセントの増で、上半期では五年ぶりに増加に転じており、先行きが不透明な状況が今後も続くと思われます。 また、厚生労働省の生活困窮者自立相談制度における新規相談件数は、令和三年度は約五十五万四千件でした。令和元年度までは多くて二十五万件程度の相談件数で推移していたのに対して一気に増加しており、新型コロナウイルスの感染拡大による雇用情勢の悪化を反映した数字であると考えます。 長引くコロナ禍に加え、円安と物価高で生活困窮者を取り巻く環境は更に悪化しています。企業の生産性・付加価値向上のためのリスキリングや労働移動円滑化について、その必要性、重要性は十分に理解しています。しかし、誰もがこの流れに乗れるわけではありません。厳しい経済情勢の中で、特に、生活困窮者や失業者は日々の生活に追われ、そういった自らを磨く環境や状況にない場合も多いのではないかと思います。労働移動の円滑化やリスキリングとは別に、生活が困窮している人たちへの積極的な雇用安定や就業支援対策に力を入れていくべきと考えます。 まとめると、国が労働移動の円滑化に向けてかじを切る中で、県は、生活が困窮している人たちも誰一人取り残すことのないよう、雇用と生活の安定に対する支援に力点を置くべきではないでしょうか。 限られた財源の中での、県の雇用労働政策の今後の方向性について、知事にお伺いいたします。
○武内政文副議長 三十五番 美田宗亮議員の質問に対する答弁を求めます。 〔大野元裕知事登壇〕
◎大野元裕知事 美田宗亮議員の御質問にお答え申し上げます。 本県における雇用情勢は、有効求人倍率が令和四年十月現在で一・一八と、一月の〇・九九から改善しているものの、失業状態が長期化している求職者がコロナ禍以前に比べ、依然として多い状況でございます。議員御指摘のとおり、雇用情勢が回復し切れていない情勢の下、県民の生活安定のために就業支援を充実させることは大変重要であります。 一方、生産年齢人口の減少やDXの進展などによる産業構造の変化を見据え、企業の生産性向上を人材面から支えていくために、デジタル人材の育成などにも取り組まなければなりません。このことは、働く方々にとっても、今後求められる職業能力を身に付け、就職の選択肢を増やすことにより、言わば自らの雇用を守ることにつながると考えています。 県の雇用労働政策の基本姿勢は、県民の皆様が自らの意欲や希望に合わせて雇用の安心と働きがいを感じながら働けるよう、幅広い世代の就業を支援することであります。近年は、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用不安が広がったことから、コロナ禍で離職した方がより早く就職に結び付くような取組を行っています。例えば、コロナ禍においても積極的に人材を必要とする企業を集めての面接会を県内各地域で開催し、二週間から一か月以内の就職決定につなげております。 県では、国に対し、これまでも労働移動ができずに固定化されている状況を改めるよう求めてまいりましたが、その結果、国も労働移動に力を入れるようになりました。引き続き、幅広い世代の方々が自らの意欲や希望に合わせて就業できるよう、埼玉しごとセンター等において個々の求職者の状況に合わせた就業支援をしっかりと継続してまいります。 私は、年齢や性別などにかかわらず、働く意欲のある方が生き生きと働くことにより、生活の安定を実現するとともに、その能力の発揮によって産業が更に発展し、新たな雇用を生むという産業と雇用の好循環を生み出していきたいと考えております。誰一人取り残すことがないよう、社会経済情勢の変化も踏まえ、多様な人材が能力を発揮できる社会を目指してまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) この問題はですね、長期的に、まず知事の姿勢を伺いたいというところから発想を得ました。今の幅広い就業支援という一言で大体網羅されてしまうので、再質問はちょっとしづらいんですけれども、ただ、自分のキャリアを築こう、また、意欲を持って動き出せる人はいいと思うんです。国もそういうメニューを用意しています。 ただし、そうじゃない人たち、又はそういう状況ではない人たちに対して、地方自治が手を差し伸べなければ誰が差し伸べるんだという思いでこの問題を作りましたので、是非、知事はそういう思いを持っていただいて、また、労働雇用状況について改善を求めて動いていただきたいと思っております。 次の質問に移ります。 二、学校における安全対策について伺います。 平成十三年六月八日に発生した大阪教育大学教育学部附属池田小学校の児童殺傷事件から二十一年が経過しました。小学一・二年生の児童八人の命が奪われ、教員二人と児童十三人が重軽傷を負う、誠に痛ましい事件は日本中を震撼させました。 事件を受けて県教育委員会では、危機管理マニュアルや緊急措置事例集を各学校に配布するなど、児童生徒等の安全確保と学校の安全管理を図ってきたとのことです。しかし、学校への不審者等侵入事案は近年も毎年のように報告されており、直近では今年十月、日高市の中学校に竹刀を持った男が侵入し、三人の生徒が頭などをたたかれてけがをするという事件が起きています。安心して楽しく学ぶはずの学校において、子供たちの安全が脅かされることがあってはなりません。 しかし、事件から時間が経過し、対応が形骸化しているのではないかと危惧しております。県教育委員会及び学校においては、初心に返って学校の安全対策を見直す必要があると考えます。 そこで、二点伺います。 (一)学校現場における研修内容の徹底について伺います。 県教育委員会では教員向けの研修を実施し、各学校では児童生徒等を対象とした防犯教室を実施しているとのことです。研修内容については、受講した教員が各学校にフィードバックし、学校全体で情報共有を図っているとのことですが、学校現場で研修内容が徹底され、実行性のあるものになっているか、県教育委員会として把握する必要があると考えます。特に、緊急時に子供たちをいかに安全に、迅速に逃がす誘導ができるか、日頃の訓練の実施が非常に重要です。 本当に緊急事態になったとき、人間は動けなくなるものです。定期的な訓練をはじめとする研修内容の学校現場における徹底について、教育長にお伺いいたします。 〔高田直芳教育長登壇〕
◎高田直芳教育長 美田宗亮議員の御質問にお答え申し上げます。 学校において不審者の侵入等が発生した場合、児童生徒等の安全確保のため、教職員一人一人が的確な対応を行うことが必要です。各学校では、緊急事態の際に組織的な対応が行われるよう、防犯に関するマニュアルを踏まえた校内研修を実施し、防犯体制の確立に努めています。 こうした研修は議員御指摘のとおり、日頃から訓練を実施するなど、実際に児童生徒を安全かつ迅速に避難誘導できるか、その実効性を確保する内容であることが重要と考えます。これまでも警察等の協力を得て、実演による刺股の使用や不審者対応の訓練を行うなどの実技研修を実施している学校もございます。 県といたしましては、改めて、効果的な訓練方法なども含め、校内研修で実施すべき内容をまとめて各学校や市町村教育委員会に周知し、実効性ある研修の徹底を図ってまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 御答弁ありがとうございます。 再質問させていただきます。 私が先ほど申したとおり、本当に緊急事態になったとき、人はなかなか動けなくなってしまうと思います。私がちょっとヒアリングしたところでも「刺股で対応したり」という文言が出てきまして、しかし、実際問題、暴漢を目の前にして果たして戦う意味があるのか、また、実際に戦えるのかという疑問があります。 それならば、先ほども最初に申し上げたとおり、迅速に逃がす誘導、とにかくその場から立ち去って危機から回避できるような訓練をしていただきたいと最初の質問で申し上げていましたので、ちょっとその辺について再度御答弁いただきたいと思います。 〔高田直芳教育長登壇〕
◎高田直芳教育長 再質問にお答え申し上げます。 子供たちが学校にいる間は教員がそばにいるということもございますので、迅速な避難誘導に教員が適切に動くということはできるかと思いますが、登下校中のことも当然のことながら考えなければなりませんので、学校では危険を察知したときには、とにかく子供たちに大声を出して助けを求めると。あるいは、防犯ブザーなどをランドセルのところに今付けていますので、そうしたものをきちんと操作できるような習慣をつけることも大事だというふうに思っておりますので、学校の対応、登下校中の対応も含めて、子供たちが危険な目に遭わないように取組を進めてまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 次の質問に移ります。 (二)特別支援学校における対策の充実について伺います。 現在、県内の小・中学校、高校、特別支援学校では、不審者侵入の対策として防犯カメラやセンサーなどを設置している学校もあるとのことです。その割合を見てみると、例えば、防犯カメラの設置は、小学校が七二パーセント、中学校が七三パーセントに対し、特別支援学校が一三パーセント。センサーの設置は、小学校が二四パーセント、中学校が三五パーセントに対し、特別支援学校は一一パーセントとなっており、特別支援学校における設置の割合が非常に低くなっております。侵入者が入ってきた際にいち早く児童生徒や教員に知らせるためのセンサーや警報機というのは、大変重要なものであると思います。 また、特別支援学校の児童生徒たちの中には、危機を瞬時に察知することが難しい子供たちも当然おります。そのような子供たちの安全確保のため、特別支援学校における対策をより充実させるべきだと考えますが、今後改善するお考えがあるのか、教育長にお伺いをいたします。 〔高田直芳教育長登壇〕
◎高田直芳教育長 御質問にお答え申し上げます。 特別支援学校の児童生徒に対しましては、障害の状況等に応じて、より丁寧な指導や支援が必要であり、日頃から校門を常時閉めるとともに、教職員が少人数の児童生徒を担当して授業を行っており、児童生徒を身近で見守っております。その上で、議員御指摘のとおり、教職員が瞬時に危険を察知し、未然に事故を防ぐとともに、危険の察知が難しい児童生徒の安全を速やかに確保する対策を講じていくことが重要です。 県といたしましては、各特別支援学校における安全対策の現状について検証を行いながら、センサー等の設置の検討を含め、安全対策の充実に向けて必要な改善を図ってまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) しっかりと検証を徹底していただいて、より良い環境になることを期待しております。 次の質問に移ります。 三、中高一貫教育校の設置について伺います。 県立高校の志願倍率は低下傾向にあり、令和四年度入試では募集人員を満たさなかった全日制の学校が五十九校あったとのことです。県立学校により一層の活性化、特色化を図るため、県教育委員会は今年十月、新たに十二校を六校に統合する魅力ある県立高校づくり第二期実施方策を策定しました。国際科や情報科といった新しい学科や、アニメーション・美術に関する学科、実践型のビジネス教育に取り組む学科を設置するとのことです。 公教育を担う県立高校は、様々な生徒や保護者、地域のニーズに応えて教育を提供することが求められており、今回の統合がこれらのニーズに応える魅力ある高校づくりにつながることを期待する一方で、統合、廃校だけではいずれ同じことを繰り返すのではないかという懸念が残ります。 このような状況を踏まえて他県を見てみますと、全国では特色ある学校づくりとして、令和三年度時点ですが、公立の中高一貫教育校が百三十五校設置されています。現在、最も多いのは茨城県の十三校で、この三年間で県内各地域に十校を新設し、どの地域からも選択できるようにしています。また、愛知県では、令和七年度に四校、令和八年度に五校を新規開校することを決定し、その中には不登校や外国にルーツがある子供たちが六年間学べるような学校をつくるなど、地域課題に対応した中高一貫教育校も導入するようです。 翻って本県の中高一貫教育校は、平成十五年に中学校が開校した伊奈学園中学校・伊奈学園総合高等学校の一校のみであり、時代や地域のニーズに対応し切れていないのではないでしょうか。中高一貫教育は、六年間の学校生活の中で生徒の個性や創造性を伸ばすことが期待できるということから、本県においても魅力ある学校づくりの一つとして、中高一貫教育校という選択肢を増やしていくべきではないかと考えます。 そこで、二点伺います。 (一)これまでの検討状況について伺います。 令和四年二月定例会の文教委員会において、県立中学校設置に係る附帯決議が見直され、新たな中高一貫教育校の設置検討を行うことになりました。それから十か月を経て、これまでの検討状況について、教育長にお伺いいたします。 〔高田直芳教育長登壇〕
◎高田直芳教育長 御質問にお答え申し上げます。 県立高校には子供たち一人一人に目配りをし、寄り添いながら、きめ細かく支援していくという公教育としての大切な役割があり、県として誰一人取り残さないという視点を大事にしながら、特色ある学校づくりの推進に努めているところでございます。 そうした公教育の役割を踏まえた上で、子供たちの様々なニーズに応える多様な選択肢の一つとして、カリキュラムに柔軟性があり、生徒の学びを豊かにする可能性のある中高一貫教育は意義あるものと考えております。現在、本県では、伊奈学園において併設型の中高一貫教育校を開設しておりますが、更なる展開に向けては、その教育内容や実施形態などについて幅広く研究する必要があります。 そのため、今年度は他県の特色ある中高一貫教育校の視察などを行い、研究を進めているところでございます。他県では、中高一貫教育校としてのゆとりを生かした探究学習や、大学、企業の専門家と連携した一般の中学・高校では体験できない実験など好奇心を刺激する学習を行い、進路実績にも結び付いている状況が見られました。 また、令和二年度から三か年で中高一貫教育校を新たに十校設置した茨城県では、生徒がより多くの見方や考え方に触れられるよう、各学校をオンラインで結んで探究学習を行うなど、複数の中高一貫教育校を設置した利点を生かす取組を進めており、示唆に富むものでございました。本県における中高一貫教育校の設置検討に当たっては、生徒の通学の利便性にも配慮したバランスの良い配置や、中高一貫教育校ならではの教育課程の検討が欠かせません。 県といたしましては、生徒や保護者、地域のニーズに応える魅力ある県立学校づくりを進める中で、引き続き本県の中高一貫教育について十分に検討してまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 次の質問に移ります。 (二)今後の方向性についてお伺いいたします。 中高一貫教育には、併設型や中等教育学校などがあり、例えば、茨城県では併設型が十校、中等教育学校が三校、また、愛知県が令和七年度に開校する四校は全て併設型となっております。 こうした形態の検討も含めて今後の方向性について、教育長にお伺いいたします。 〔高田直芳教育長登壇〕
◎高田直芳教育長 御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、中高一貫教育には、同一の設置者による中学校と高等学校を接続する併設型や、一つの学校として一体的に中高一貫教育を行う中等教育学校などの実施形態がございます。併設型は、高校からの入学も可能であることから、児童生徒の進路の選択肢が増えるほか、中学校から内部進学した生徒と高校から入学した生徒が刺激を与え合う教育効果が期待できるメリットがございます。他方、中等教育学校の場合、高校から入学する生徒がいないため、より柔軟な教育課程の編成が可能となり、学びの内容を個性化、特色化しやすいといったメリットがございます。 いずれの実施形態とするかにつきましては、中高一貫教育の長所を生かし、どのような教育内容を展開するかによって、より良い実施形態とすべきものであり、教育内容の検討はもとより、それを踏まえた教員の育成や確保、施設の整備など様々な観点からの検討が必要と考えます。議員お話しの愛知県では、探究学習重視型、地域の教育ニーズ対応型、高度ものつくり型など、バリエーションに富んだ学校づくりを進めております。 県といたしましては、他県の様々な実施形態による中高一貫教育校の取組を含め、中高一貫教育の長所や課題などを幅広く情報収集しながら、新たな中高一貫教育校の設置検討を行ってまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 他県の事情をいろいろ見ていただいて、後発ならではのよりしっかりと研究された成果を私たちに示していただけることを期待して、次に進みたいと思います。 四、高齢者施設・障害者施設の業務継続計画(BCP)策定についてお伺いいたします。 社会福祉施設等の業務継続計画(BCP)は、昨年の介護報酬改定に併せて、全ての施設で令和五年度末までの策定が義務付けられました。現在、三年間の経過措置中のうち、一年半以上が経過しております。 社会福祉施設の中でも、特に、高齢者施設や障害者施設においては、利用者の日常生活や健康管理、生命維持の大部分を施設の提供するサービスに依存している場合が多く、自然災害や感染症などの非常時においてサービスの提供が困難になった場合には、利用者の生活・健康・生命に直結します。そのため、これらの施設では、非常時においても利用者と職員の安全を確保し、業務を維持、継続することが重要であり、BCP策定の義務化は、これを制度的に担保しようというものであります。 以前、私の地元三郷市で在宅介護を行う御夫婦のことがニュースに取り上げられていました。要介護の妻と介護を行う夫が二人ともコロナ陽性になったため、直前に自宅を訪問していた施設の担当者自身も濃厚接触者で訪問できなくなってしまい、妻が丸一日介護を受けられない状態になってしまったというものです。このときはほかの施設の職員が翌日訪問し、事なきを得たとのことでしたが、改めて非常時における施設の対応力強化の必要性を考えさせられました。 本県の高齢者施設では、令和二年二月に県内で初めて感染者が確認されて以降、本年十一月二十日までに一千百四十八件のクラスターが発生しています。また、気候変動の影響で、台風や大雨などによる被害も今後ますます規模が大きく、予測が困難になると想定されます。このような状況においては、被害は必ず発生するという考えを念頭に、各施設がBCPを確実に策定し、非常時の対応力を高めていく必要があると考えます。 そこで、二点お伺いいたします。 (一)県の積極的な支援について伺います。 BCPは、自然災害対策と感染症対策の二つの計画を立てる必要がありますが、今年度、県が所管する施設や事業所に実施した調査結果によると、その両方を策定しているのは、高齢者施設では全四千六百十八施設中、七百九十七か所、未回答分を除いた策定率は三〇・六パーセント。障害者施設では全三千二百二十一施設中、六百九十八か所で、未回答分を除いた策定率は三四・五パーセントとのことです。 未回答の施設が四割程度ある中で、この策定率です。令和五年度までに全ての施設・事業所でBCPを策定する必要がありますが、本当に達成可能なのでしょうか。 例えば、東京都では、シミュレーション訓練を実際に体験する講座や、策定段階でのつまずきなどについてアドバイザーによる個別相談の機会を設けるなど、様々な支援を行っています。本県でも積極的な支援が必要と考えますが、福祉部長にお伺いいたします。 〔金子直史福祉部長登壇〕
◎金子直史福祉部長 美田宗亮議員の御質問にお答え申し上げます。 社会福祉施設等においては、感染症や自然災害が発生した場合にも福祉サービスを安定的、継続的に提供するために、業務の優先順位や手順、体制などを定めた業務継続計画、いわゆるBCPを策定することが大変重要です。 県では、各施設に対して、施設の種類ごとのガイドラインや作成事例などの情報を提供するとともに、研修や指導監査の場などを通じて早期の策定を働き掛けてまいりました。策定が進んでいない施設に話を伺ったところ、特に小規模な施設では日々の業務に追われ、計画を策定するための実務的なノウハウも不足し、研修を受けるだけでは策定が進まないといったところも見られます。 こうしたことを踏まえ、県といたしましては研修の実施に加え、アドバイザーが個々の施設に直接伺って個別に支援する方策など、これまで以上に計画策定に向けたきめ細かい支援を検討してまいります。 全ての施設・事業所等で来年度末までに計画が策定されるよう、しっかりと取り組んでまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 残りが結構ある中で大分大変な業務になってくるとは思いますが、是非、個別訪問等を活用して一〇〇パーセント計画策定できるように期待をしたいと思います。 次の質問に移ります。 (二)施設への働きかけについて伺います。 計画は策定しただけでは実効性があるといえません。実際の非常時においても迅速に行動できるよう、各施設が危機感を持ち、施設内での情報共有と平時からの研修や訓練を行うことが重要と考えます。 さらに、個々の施設内における計画とともに、地域の協力・連携体制についての計画も欠かせません。例えば、施設での事業継続が困難な事態となり、利用者を他の施設に避難させる必要が生じた場合、施設単独で避難先や避難手段を考えることは難しいと思います。周辺施設との協力・連携体制を計画するとともに、実際に日頃から地域のネットワークを構築しておくことが重要です。 また、計画を一度策定して終わりというわけでもありません。最新の知見等を踏まえた定期的な見直しが必要です。 以上の点を踏まえた実効性のある計画にするために、今後、施設に対してどのような働きかけを行っていくつもりなのか、福祉部長にお伺いをいたします。 〔金子直史福祉部長登壇〕
◎金子直史福祉部長 御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、実際に災害が発生した際に利用者や職員の安全を確保し、必要なサービスを提供できるよう、BCPは実効性があるものにする必要があります。そのためには、まず、各施設等においてBCPを全ての施設職員や利用者の方々などと共有し、災害等の発生時には共通理解の下、迅速に行動できるようにする必要があります。 先般、国が定める社会福祉施設の運営基準が改定され、各施設等においては、実際の災害や感染症の発生を想定した訓練や研修を定期的に実施することが義務付けられました。各施設において、このような訓練を実施することで、一人一人がBCPへの理解を深めることができ、課題も浮き彫りになると考えます。さらに、感染症対策などの最新の知見なども踏まえて適宜見直しを行うことで、よりBCPの実効性を高めていくことができると考えます。 今後、施設等への会議や指導監査の場などにおいて、こうしたことを適切に実施するよう徹底するとともに、その実施状況を継続的に確認し、指導してまいります。 また、県内の高齢者・障害者施設に対してBCPに関するアンケート調査を実施したところ、一部の施設では被災時に必要な人員や物資などの確保が課題となっていることが分かりました。特に、一つの施設のみを運営する法人の場合、複数の施設を運営する法人と異なり、別の施設から人や物資を調達するということができません。 こうしたことを踏まえ、新型コロナ対策で立ち上げました互助ネットワークの仕組みなどを活用するとともに、関係団体にも御協力いただきながら、特に小規模な施設などにおいて、有事における施設間での相互の協力体制が構築できるよう、積極的に取り組んでまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 前の質問でも心配した小規模施設に対して、計画すら立てられないのにその後の訓練やブラッシュアップができるのかなという疑問は持っていたんですけれども、コロナウイルスのときの互助ネットワークを活用されるという言葉が出てきたので、そこに期待をしたいと思っております。 次に移ります。 五、介護人材に係る新たなビジョン「埼玉デザイン」について伺います。 介護人材の確保については、今定例会初日に立石泰広議員から処遇改善についての質問がありました。また、私自身、令和二年十二月定例会でも質問いたしましたが、今回は違った角度から質問をさせていただきます。 団塊世代が七十五歳以上の後期高齢者となる、いわゆる二〇二五年問題を間近に控えた現在でも、介護職員の有効求人倍率は四・〇七と、他の業種の一・〇三を大きく上回って推移しており、現場の人手不足は深刻な状況が続いています。令和三年七月の厚生労働省の発表によると、本県における二〇二五年時点の介護人材の需給ギャップは約一万二千人と推定されています。ちなみに前回質問した際は、同時点での需給ギャップは推定一万六千人だったので改善傾向にはあるようですが、依然としてギャップは大きく、より一層の取組が必要と考えます。 県では、介護人材の確保のため、令和元年度に埼玉県介護人材確保・定着推進協議会と埼玉県介護人材確保対策検討委員会という二つの会議体を設置し、そこでの議論を経て、令和三年三月に介護人材に係る新たなビジョン「埼玉デザイン」を策定しています。当協議会には、県老人福祉施設協議会をはじめとした各事業者団体、介護福祉士養成校の代表に加え、経営者協会や埼玉労働局からも構成員が参加し、雇用者、被用者、マッチングを担う方など、それぞれの立場から議論がされたとのことです。 県にはもともと法令に基づく三か年の高齢者支援計画があり、介護保険事業を含む高齢者の総合計画として位置付けられています。現行計画は第八期に当たります。その上でビジョンの策定が必要である理由は、介護人材の育成・確保が三年単位で対処することのできない中長期の大きな課題であること、そして、何より行政だけでなく官民が一体となり、共通の課題、自分ごととして将来像を共有するためであると考えます。 このような認識の下で二点伺います。 (一)介護ロボットやICTの活用について伺います。 介護人材確保のためには裾野を拡大し、多様な人材の参入促進を図ること、そして、介護ロボットやICTの活用により、働く方の業務内容を改善し、負担の軽減、やりがいの更なる向上につなげていくことが重要と考えます。 「埼玉デザイン」では、目指すべき方向として「介護ロボットやICTを活用し、介護の質の向上と効率化を両立」とうたっています。策定から一年半がたちましたが、具体化した取組について、福祉部長にお伺いいたします。 〔金子直史福祉部長登壇〕
◎金子直史福祉部長 御質問にお答え申し上げます。 県では、業務の効率化を進め、介護職員が利用者に寄り添った質の高いサービスを提供できるよう、介護現場におけるICT、介護ロボットの導入を支援しております。これは、業務の効率を図ることで、空いた時間で利用者などに対してコミュニケーションをしっかり取って、処遇に生かすということが目的です。 令和三年度は介護ロボットの購入、レンタル料を補助することにより、六十三事業所に見守りベッドセンサーや移乗サポートロボットなど百九十五台の導入を支援いたしました。また、アドバイザー等を派遣して、介護記録、報酬請求事務等のICT化やロボット活用による生産性向上を進めるとともに、導入効果の横展開を図るモデル事業も実施しております。 こうした取組により、県の調査では、県内の特別養護老人ホームにおける令和三年度の介護ロボット導入率は六八パーセント、介護記録請求連動システム導入率は四八パーセントとなっております。 実際にICT化を進めた施設からは、「記録から請求まで一気通貫で処理できるようになり、事務作業に充てる時間を減らすことができた」などの声が聞かれ、効率化が図られているところでございます。また、見守りベッドセンサーを導入した施設からは、「眠りの深さを把握することで日中活動を効果的に組み立てることができる」などの声が聞かれ、介護の質の向上にも役立っているものと考えております。 今後も、業務の効率化を図ることで、介護の質の向上にしっかりと結び付くよう取り組んでまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 次の質問に移ります。 (二)今後の推進体制について伺います。 せっかく官民の参画の下、ビジョンを策定しても、その後の進捗についてフォローする体制がなければ、文字どおり絵に描いた餅になってしまいます。 さきの協議会は、ビジョンの策定とともに埼玉県介護人材確保対策検討委員会に統合されました。コロナ禍で開催が思うようにいかない期間もあったようですが、この委員会にも各施設事業者の方々の参画を得ています。介護人材確保、職場環境改善のため、今後、より積極的に官民が一体となって取り組むことが不可欠と考えます。委員会は、そのための有効な推進体制として機能させなければなりません。 特に、介護人材の観点から、ビジョンの実現に向け、今後どのように官民で連携を強化していくのか、委員会の有効活用の観点も含めて、福祉部長にお伺いいたします。 〔金子直史福祉部長登壇〕
◎金子直史福祉部長 御質問にお答え申し上げます。 議員お話しのとおり、ビジョンの実現のためには、官民の関係団体が一体となって介護人材の確保に取り組むことが重要です。 県では、これまでも関係団体の皆様と協力して介護職員合同入職式の開催や、介護の魅力PR隊によるイメージアップ活動など、様々な取組を実施してまいりました。また、介護人材確保対策検討委員会では、事業者団体や介護福祉士養成校の代表、介護労働安定センターなどの関係機関が構成員として参加し、情報交換や県の人材確保対策の検討を行っております。 令和三年度は、若者向け介護の仕事パンフレットの作成や、介護分野への就職希望者に対するポータルサイトの立ち上げなどが議論され、県の施策として実施をしております。今年度の委員会では、外国人介護職員の確保策について集中的に議論しているところです。 県といたしましては、この委員会を県の介護人材確保対策の官民の協議の場と位置付け、進捗のフォローも行いながら、一体となって効果的な施策を推進していけるよう取り組んでまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 私も会議の議事録を拝見しましたが、本当にいい議論が重ねられていると思っておりますので、是非、今後の埼玉県の政策にもしっかりと反映させていただきたいと思っております。 次に進みます。 六、心臓弁膜症の周知について伺います。 本県では、今年三月に「埼玉県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進計画」が策定されました。 循環器病は、心筋梗塞や不整脈などの心疾患と、脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患に分けられます。このうち心疾患は、高齢化に伴い発症する人の数が年々増加しています。中でも、心不全患者の急激な増加は心不全パンデミックと呼ばれ、昨年六月定例会における梅澤佳一議員の質問の中でも指摘のあったところです。 厚生労働省の統計によると、日本の令和三年度の死亡者数は約百四十四万人で、死因第一位は悪性新生物(腫瘍)の約三十八万人、第二位が高血圧性を除く心疾患の約二十一万人で、このうち約八万五千人が心不全で亡くなっております。 心不全とは、心臓の働きが悪いため息切れやむくみなどが起こり、放置すると徐々に悪化する生命に関わる病気です。原因は、心筋梗塞や高血圧など様々ありますが、その中でも二〇パーセントから三〇パーセントを占めるといわれる心臓弁膜症については、その症状が「洗濯物を干すときに息切れがする」というようなものなど、加齢に伴う体の変化と似ているため気付きにくく、受診や治療を受ける適切なタイミングを逃すことがあるとのことです。 心不全に移行する前の段階で心臓弁膜症を早期に発見し、早期の治療に結び付けることが何よりも重要であります。 そこで、二点お伺いいたします。 (一)普及啓発について伺います。 心臓弁膜症の早期発見のためには、症状があった場合は放置せず、まずはかかりつけ医に相談していただくことが大切です。また、健康診断等で心雑音が認められた方については、早い段階で循環器専門医を受診することが見過ごしを防ぐために極めて重要であります。そして、その早期受診の第一歩は、御自身の症状が病気の可能性があるのではないかと気付くことです。 心不全やその原因となる心臓弁膜症等について、県民への正しい知識の普及啓発のためには、県ホームページへの掲載やチラシ・冊子の作成等による周知も効果的だと考えますが、今後の普及啓発の取組について、保健医療部長にお伺いいたします。 〔山崎達也保健医療部長登壇〕
◎山崎達也保健医療部長 美田宗亮議員の御質問にお答え申し上げます。 急性・慢性心不全診療ガイドラインによると、入院した心不全患者の原因疾患として多いものは、順に、虚血性心疾患、高血圧、心臓弁膜症となっております。こうした心臓病にり患した場合には、息切れや動悸といった症状が出現しますが、年のせいと思い込みそのままにしてしまい、徐々に進行し、結果として心不全に至ることもあります。こうした症状があった場合は、そのまま放置せず医療機関を受診することが、早期発見のためにも大変重要であると考えております。 虚血性心疾患である狭心症や心筋梗塞については、現在、県ホームページへの掲載やチラシ・ポスターによる早期受診を働き掛けているところでございます。 今後は、新たに心臓弁膜症についての理解を深めていただくためのホームページを作成することといたします。このホームページのほか、チラシ、県公式ツイッター、フェイスブック等の様々な媒体を通じて、心臓弁膜症についての正しい知識の普及啓発を図ってまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 非常に前向きな御答弁を頂きましたので、次に進みたいと思います。 (二)医療機関を対象にした調査の実施について伺います。 先ほども少し触れましたが、心不全の原因疾患は心臓弁膜症をはじめ不整脈や心筋梗塞、高血圧、心筋症などですが、それぞれ予防対策が異なるということです。原因疾患の内訳を明らかにすることで、初めてその特徴を踏まえた取組を進めることが可能となるのではないでしょうか。 そこで、例えば、県内医療機関の協力の下、心不全と診断された患者の原因疾患の調査を実施し、その結果から得られた知見を公表することで、心臓弁膜症・心不全予防の取組の有効性を高めることができると考えますが、保健医療部長の御所見をお伺いいたします。 〔山崎達也保健医療部長登壇〕
◎山崎達也保健医療部長 御質問にお答え申し上げます。 原因が多岐にわたる心不全について原因疾患を調査することは、予防に向けた取組に有効と考えます。こうした調査研究の重要性は国も認識しており、国は来年度から、心不全を含む循環器病全体を対象に、診療情報の把握等に関する調査を行うとともに、その課題等についての検討を開始するとのことです。 一方、県が独自に原因疾患の調査を実施する場合、例えば、心臓弁膜症などの原因疾患の発症から心不全の発症までは一般的に長い経過をたどる中で、患者が受診した全ての医療機関の診療情報を把握する必要がある、あるいは、個人情報の管理をどうするかといった課題がございます。 こうしたことから、まずは、先行して国が行う調査に関する情報収集に努めるとともに、県脳卒中・心臓病その他の循環器病対策推進協議会などの場において情報を共有し、関係者の御意見を伺ってまいります。その中で、心臓弁膜症などを原因疾患とする心不全の県としての効果的な予防の取組について検討してまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 再質問させていただきます。 個人情報保護の関係でという言及もございましたが、それは分かるんですけれども、例えば、こういう法律があります。「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」なんですけれども、こちらがですね、平成二十九年に成立しております。これは、医療情報の二次活用を促進するために、国の認定を受けた機関であれば医療情報を収集し、匿名化して研究機関等の第三者に提供することを可能とさせるものです。 また、今大きく注目を浴びている医療DXの推進という観点からも、県民に対する心臓弁膜症の予防、心不全の予防のために行政として何ができるか。特に、こういう法律を活用していただいた上で、協議会であれ、又は民間との協力体制を得て情報収集した上で、県民に対する情報開示ですとか、その結果をフィードバックするということも、県としてはやるべき問題ではないかと思っております。 こういった点を含めて、再度御答弁をお願いいたします。 〔山崎達也保健医療部長登壇〕
◎山崎達也保健医療部長 再質問にお答え申し上げます。 議員が今お話しされたように、匿名加工した上で医療情報を円滑に利活用する仕組みというのは構築されているというふうに、私も認識をしております。 一方で、個人の保健医療情報の医療機関の間での共有については、国も救急・災害時における利用等が重要であるというふうにしておりまして、この共有の仕組みを構築し、循環器病領域での活用を推進するための方策を検討するというふうにしております。 また、国は、この調査に当たりまして、どのような診療情報等が必要か、また、こうした仕組みで得られるデータ等を踏まえたデータ収集方法等を検討するというふうにしておりまして、こうした国の動向を注視し、情報を得ていく必要があるというふうに考えているところでございます。 その上で、調査も含めまして、心臓弁膜症などを原因疾患とする心不全の県としての効果的な予防の取組について、しっかりと検討してまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) こうした質問をさせていただいているわけですし、国の動向を見てとなると、やっぱりよけい時間がどんどんたってしまうというのもあります。できるところから手をつけていただきたいんですけれども、ちょっと時間の関係上、再質問はできないので、次に進みたいと思います。 七、
都市計画道路三郷流山線について。 (一)
三郷流山橋有料道路の進捗状況と開通見通しについて伺います。 埼玉県と千葉県の間を流れる江戸川を渡る
三郷流山橋有料道路は、下流の流山橋の慢性的な交通渋滞の緩和や移動時間の短縮、沿線地域の活性化などの効果が見込まれており、地元三郷市をはじめ多くの方々がその完成に期待を寄せております。私も実際に現場に足を運んで状況を確認するなど、早期の完成を心待ちにしている一人であり、平成二十七年の初当選以来、県議会のこの場で毎回質問をさせていただいております。 先日も現場を見てまいりましたが、千葉県側まで全ての橋が架け終わり、あとは仕上げの段階に入っているように見受けられましたが、料金所などはまだ目に見える形になっておりません。そのような中、これまで令和五年春としてきた開通目標に遅れが生じるという話が、先日の関係議員連盟で説明を受けました。 議会の場でも明らかにする必要があると思いますので、
三郷流山橋有料道路の現在の進捗状況と開通見通しについて、県土整備部長にお伺いをいたします。 〔北田健夫県土整備部長登壇〕
◎北田健夫県土整備部長 美田宗亮議員の御質問にお答え申し上げます。
三郷流山橋有料道路は、江戸川に架ける三郷流山橋とその前後区間を含む延長約二キロメートルの道路です。 現在の進捗状況ですが、三郷流山橋につきましては、埼玉県道路公社の施工により、舗装や照明灯などを残し完成しています。また、橋りょう取付部では道路工事のほか、料金所や管理事務所の建築基礎工事を実施中です。 開通の見通しですが、料金所や管理事務所の建築工事において二度の入札不調、資材調達の遅れが発生したことから、現時点では半年遅れとなる見込みでございます。 今後は、令和五年十月頃の開通を目指して、一日も早く開通できるように取り組んでまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 是非とも、これ以上遅れることがないように注視をしていきたいと思っております。 次の質問に移ります。 (二)
三郷流山橋有料道路でのETCの導入について伺います。
三郷流山橋有料道路におけるETCに関しては、先日、首都高速道路が提供する新たなネットワーク型ETCのサービスが導入される予定との発表があったところであり、ETCの導入を求めてきた私としても大変喜ばしく感じております。 一方で、導入予定であるネットワーク型ETCは、料金所での一旦停止が必要であり、使用可能なカードが限られるなど、通常のETCとは異なるシステムであると聞いております。 利用者の利便性の向上には使用可能なカードの増加を図る必要があると考えますが、県土整備部長の御所見をお伺いいたします。 〔北田健夫県土整備部長登壇〕
◎北田健夫県土整備部長 御質問にお答え申し上げます。
三郷流山橋有料道路へのETCの導入についてですが、高速道路で用いられる一般的なETCは整備と維持管理に多額の費用を要します。そこで、
三郷流山橋有料道路では、一旦停止が必要となるものの、設備を簡素化し費用が抑えられるネットワーク型ETCを導入することとしました。 このネットワーク型ETCは、実用化して間もないこともあり、使用可能なETCカードの会社が限られるなどの課題がございます。このため、県としても道路公社と連携し、サービスを提供する首都高速道路株式会社などとともに直接カード会社へ働き掛け、利用可能なETCカードの拡大に取り組んでいるところです。首都高速道路からは、前向きに検討していただいている会社が複数あると聞いています。 引き続き、利用者の利便性向上のため、関係者と連携して利用可能なカード会社の拡大に努めるとともに、供用開始に向け、本サービスの周知を図ってまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) そもそもこの橋は、一番の目的は近隣の橋の渋滞解消であります。例えば、議連の中でも質問が出たように、カードを入れてあるからと思ってETCに入っていって、あれ、このカードは使えないやといって止まってしまって、よけい渋滞を引き起こすなどの不都合が生じないとも限りません。利用者の利便性を更に更に向上させていただくために、より多くのカード会社と契約できるよう一層の御尽力を期待して、次の質問に移ります。 (三)
三郷流山橋有料道路西側の事業中区間の整備状況についてお伺いいたします。 この区間の近くには大型商業施設やみさと団地があり、完成後は三郷市の骨格を形成することとなります。この道路の整備により、市内道路の渋滞緩和、地域住民の利便性向上や物流の円滑化による経済活性化など、様々な効果がもたらされることを地元も大いに期待しているところです。 現在、三郷料金所スマートインターチェンジの令和六年度のフルインター化に向け事業が進捗しております。 そこで、県道三郷松伏線から県道葛飾吉川松伏線までの事業中区間における進捗状況と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いいたします。 〔北田健夫県土整備部長登壇〕
◎北田健夫県土整備部長 御質問にお答え申し上げます。
都市計画道路三郷流山線の有料道路西側では、県道三郷松伏線から県道葛飾吉川松伏線までの約三・七キロメートルのうち三工区、約三キロメートルで事業を実施しております。 県道三郷松伏線から常磐道までの五百五十メートル区間については、三郷料金所スマートインターチェンジのアクセスとなる道路の整備と併せ、令和五年春の供用に向けた工事を進めています。 次に、県道越谷流山線から市道一一一号線までの約一・四キロメートル区間については、JR武蔵野線との立体交差について関係機関と協議をするとともに、道路の詳細設計を実施しています。今後はこの設計がまとまり次第、用地測量に着手してまいります。 次に、市道一一一号線から県道葛飾吉川松伏線までの約一キロメートル区間については、用地買収率が九五パーセントとなっています。これまでに道路と交差する二郷半領用水路の構造物の詳細設計が完了するとともに、協定に基づき送電用鉄塔の管理者が鉄塔移設の施工方法について検討を行いました。今後は用水路の工事を実施するとともに、鉄塔移設に必要な測量、地質調査を進めてまいります。 引き続き、地元の皆様の御理解と御協力を頂きながら、事業を推進してまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) ここまでは順調に進めていただいておりますので、非常に感謝をしておりますが、ここから先が問題なんですね。 次の質問に移ります。 (四)
都市計画道路三郷流山線の延伸について伺います。 この質問は去年もしております。 三郷流山線は、三郷市西部の南北を走る県道葛飾吉川松伏線に丁字で接続する計画となっております。このため、三郷流山線の完成後は、接続する県道葛飾吉川松伏線の交通量増大が予想され、現在でも渋滞の激しい外環との交差点を中心に更なる渋滞の悪化を懸念しております。 そこで、本路線を東埼玉道路まで延伸し、新たな橋を中川に架けるべきであると考えますが、県土整備部長の御所見を伺います。 〔北田健夫県土整備部長登壇〕
◎北田健夫県土整備部長 御質問にお答え申し上げます。
都市計画道路三郷流山線では、JR武蔵野線との立体交差や鉄塔移設のほかにも、未着手区間の常磐自動車道との立体交差など大規模な工事が予定されており、多額の費用と時間を要する見込みです。三郷流山線の周辺地域では交通渋滞が課題であることは認識しておりますが、まずは、都市計画決定済みの三郷流山線の整備を着実に進める必要があると考えております。 また、延伸が想定される地域では三郷北部地区土地区画整理事業が進められているほか、柿木浄水場やごみ処理施設が立地しているなど多くの課題がございます。 今後も、
都市計画道路三郷流山線の進捗状況や延伸が想定される地域の課題、周辺の交通状況や土地利用の動向なども踏まえ、延伸について関係市とともに研究してまいります。
◆三十五番(美田宗亮議員) 再質問させていただきます。 関係市と研究を続けていただくというお答えなんですけれども、その関係市の議論をリードするのがやっぱり県だと思うんです。この橋からずっと延びてきたこの道が東埼玉道路まで接続することによって、埼玉県の東の玄関口が初めて完成するものだと私は考えております。 是非とも草加、八潮、三郷三市の話合いに埼玉県がしっかりとコミットしていく、しっかりとリードしていくという御決意を頂きたいと思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。 〔北田健夫県土整備部長登壇〕
◎北田健夫県土整備部長 再質問にお答え申し上げます。 先ほども申し上げたように、この延伸区間につきましては様々な課題もございます。関係市とともに更に研究してまいりたいと考えてございます。
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△休憩の宣告
○武内政文副議長 暫時、休憩いたします。午後二時十一分休憩
----------------午後三時再開 出席議員 八十五名 四番 六番 七番 八番 九番 十二番 十三番 十四番 十五番 十六番 十七番 十八番 十九番 二十番 二十一番 二十二番 二十三番 二十四番 二十六番 二十七番 二十八番 三十番 三十一番 三十二番 三十三番 三十四番 三十五番 三十六番 三十七番 三十八番 三十九番 四十番 四十一番 四十二番 四十三番 四十四番 四十五番 四十六番 四十七番 四十八番 四十九番 五十番 五十一番 五十二番 五十三番 五十四番 五十五番 五十六番 五十七番 五十八番 五十九番 六十番 六十一番 六十二番 六十三番 六十四番 六十五番 六十六番 六十七番 六十八番 六十九番 七十番 七十一番 七十二番 七十三番 七十四番 七十五番 七十六番 七十七番 七十八番 七十九番 八十番 八十一番 八十二番 八十三番 八十四番 八十五番 八十六番 八十七番 八十八番 八十九番 九十番 九十一番 九十二番 九十三番 欠席議員 一名 二十九番 地方自治法第百二十一条第一項の規定により説明のため出席した人 知事 副知事(砂川) 副知事(高柳) 副知事(山本) 企画財政部長 県民生活部長
危機管理防災部長 環境部長 福祉部長 保健医療部長 産業労働部長 農林部長 県土整備部長 都市整備部長 会計管理者 公営企業管理者
下水道事業管理者 教育長 警察本部長
△再開の宣告
○中屋敷慎一議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
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△質疑質問(続き)
○中屋敷慎一議長 質疑質問を続行いたします。 八十二番 高橋政雄議員 〔八十二番 高橋政雄議員登壇〕(拍手起こる)
◆八十二番(高橋政雄議員) 自民党の高橋政雄です。埼玉県議会議員となって十六年目、働き盛りの高齢者です。県議会議員四期生。傍聴には誰も来ておりません。でも、今の時代、ネットなどで多くの私のファンが見てくれています。視聴の皆さんへ、元気に、格好良く質問を始めます。 大野知事に四つの質問をさせていただきます。 まず、一番目、
グローバル有能人材の育成について。 格好良く、格調高く、質問に入ります。 私は、ここ浦和の地に生まれ育って七十一年ほど。思い起こせば、今まで信じられないような体験を積み重ねてきました。その体験の中では、外国の地で人人交流などが強く印象に残っています。人人交流といっても様々でありますが、楽しかったこと、苦しかったこと、嬉しかったこと、怖かったこと、損したことや得したこと。主に人を通してたくさんのことを学んだ外国経験でした。ここ数年、新型コロナウイルス禍のせいで外国へ出掛けられないでいます。最後に出掛けたのが三年前になります。 本題に入ろう、
グローバル有能人材育成。 子供たちや社会人たちへの支援、また、県職員の
グローバル有能人材育成もある。まず、十二年前の平成二十二年に海外留学する若者向けの埼玉発世界行きグローバル人材奨学制度、これを提案させていただきました。それは現在でも形を変えながら続いております。次に、平成二十三年度にグローバル県職員の育成について提案させていただきました。さらにさらに、平成二十四年度には、米国との人人文化交流にて経済や防衛に踏み込んで、外交について発言させていただきました。 今、サッカーワールドカップ大会が中東カタールにおいて開催中であります。そこでの日本チームの活躍は、私たち多くの日本人にとって誇らしく、晴れやかな気持ちにさせてくれました。そんな日本のすばらしいサッカー代表チームも、今回突然にできたわけではありません。長い時間を掛けて広く底辺を広げ、幼児のときからサッカー教育環境づくりに取り組んできた成果であります。 外交経験豊富な大野知事に外交についてのお話をするのは釈迦に説法でありますが、国の外交に関しては国の経済力、国防力も絶対条件でありますが、グローバルな文化人、国民の力も必要ではないかと考えるのであります。 そこで、一つ、まず、グローバル思考の若者たちへの留学支援の今とこれからについて。 次に、二つ目、県職員の
グローバル有能人材の育成の今とこれからについて聞かせてください。 そして、新たに県民人材を加えたいと思います。三つ目、更なるグローバルな県民育成のこれからについてお伺いします。 以上、長々とお話をしてまいりましたが、思いは我が日本を誇れる国、豊かな国、真の文化強国にしたいのであります。そのために国をリードする形で、埼玉県から様々有能なグローバル人材を育ててまいりませんか。当然、見識の深い大野知事を先頭にですよ。知事のお考えを頂きたいと思います。 二番目の質問、文化芸術の埼玉県・人づくりについて。 過去、文化芸術に関係しての提言、質問を続けてきましたが、特に、ここ二年の質問では、文化芸術の埼玉県へ、観光資源の発掘と磨き上げ、埼玉県の魅力発信、美術館・博物館の充実、伝統芸能の保存・継承と続けてまいりました。我が国日本の将来は、文化芸術に懸かっていると結論に至ったのです。 特に、今年三月の一般質問にて、国防と文化芸術について訴えさせていただきました。我が国の西隣中国、北隣ロシア、そして東隣、遠く米国。私たちの国は、世界の三大軍事大国に囲まれています。ウクライナへの軍事侵略中のロシア、近隣への覇権を続ける中国、加えて、北朝鮮の核とミサイル開発。日本とは異質な政治体制の下にある国の軍事力を見るときに、大きな脅威を感じるんです。 そんな環境にあって、近隣諸国の人々から畏敬と羨望の眼差しを持って見詰められる国をつくることが、国の防衛につながると考えます。それには、国民一人一人の豊かな文化芸術力が必要となる。優れた防衛力は、強力な軍事力と優れた文化人です。そうですよね、大野知事。 私たち埼玉県は、今まで以上に魅力ある文化芸術の県づくり、優れた文化人、傑出した芸術家を育てていかなければならない。文化芸術づくりの素地は十分にありますよ。 埼玉県が持っている文化芸術づくりにつながる素地を考えてみましょう。 歴史行事。まず、秩父夜祭。三年ぶりに行われた祭りでは、屋台歌舞伎も行われたといいます。熊谷や川越の祭りもいいね。 歴史遺産。行田の埼玉古墳群が最高だね。 最近の観光施設。アニメ、漫画が大きく注目されるかもしれない。飯能のムーミン、所沢のサクラタウン、創意工夫で伸びるかもしれない。 音楽、美術、博物館施設。県立近代美術館の所蔵絵画が自慢できる。中央区にある芸術劇場、浦和区にある埼玉会館、大宮区にある歴史と民俗の博物館もいいね。 食、食べ物もいいものがある。深谷のねぎ、加須のうどん、川越界隈のサツマイモ、吉川のナマズ、浦和のうなぎ、ワインなどもいいかもね。 人物。今度一万円札に登場の渋沢栄一翁など。 文学。埼玉ゆかりの文学者も数多い。 埼玉県には豊かな素地、文化芸術につながる資産が多くあるのだ。県においても、各市町村においても、優良な文化芸術への取組がなされてきたものと思います。 しかし、更なる文化芸術の埼玉県・人づくりを目指す上で欠かせないのが、将来を担う子供たちへの教育投資であります。今まで音楽などの文化芸術の出前など行われてきたのを知っています。県立近代美術館、各県立博物館、芸術劇場などなど多くの施設と関係者の総合力で、子供たちへの文化芸術の教育を拡大していくことを強く望むのでありますが、知事、どう考えますか。我が国の誇り、国力であります。 大野知事の御所見をお伺いいたします。 三番目の質問、大学附属病院の建設について。 これもとても重要な事業なので、引き続き大野知事にお尋ねいたします。 さいたま市緑区の美園地区では、埼玉高速鉄道の浦和美園駅と埼玉スタジアム二〇〇二を中心に、文化スポーツ機能と商業・業務機能を兼ねた魅力ある新市街地を形成するために営々と区画整理が進められてきました。その中にあって、順天堂大学附属病院の建設は、さいたま市緑区・岩槻区の住民にとって、まちづくりの一環として期待の大きな事業であります。 しかし、建設予定地は柵で囲まれ、「建設予定地」の表示看板があるものの、いまだ建設に向けた具体的な動きが一向に見えてこない。本当に病院が建つのだろうかと心配する声とともに、諦めの気持ちすら地元のあちらこちらから聞こえてきております。 二年前の令和二年六月定例県議会にて、「いつ開業できるのか、はっきりとお答えいただきたい」と語気を強めて質問しました。この大学病院の誘致は、我々自民党県議団が国の岩盤規制である病床規制に風穴を開けて、実現に向けて進んできました。以来十年、もっと早く開業していれば、今回のコロナ禍においても陽性患者の
受入医療機関として大いに役に立ったのではないのか。いつまで日本一医師の少ない県に甘んじなくてはならないのか、本当に歯がゆい思いであります。 そんな中、前回九月定例県議会の福祉保健医療委員会において執行部より、基本設計及び実施設計が当初予定していた時期より前倒しになったとの報告がありました。一歩一歩前進しているとは思いますが、まだまだ予断を許さないと考えます。八百床の病床を有する大きな病院ですから、令和九年十一月までの開院は、実際のところかなり厳しいスケジュールのはずです。まして大学院、看護学部を併設する大きなプロジェクトであります。今後の進捗がとても気になっています。 先月公開された順天堂浦和美園キャンパス(仮称)等整備事業に係る環境影響評価調査計画書によると、新病院にはAIやロボティクス、遠隔医療、陽子線治療など最先端の医療テクノロジーを駆使した機能が整備予定であり、埼玉県民が誇りに思う高機能な医療機関を目指すとしています。また、私が日頃主張しているグローバルな人材育成にも触れています。年齢に関係なく国内外の幅広い有能な人材が集まる大学院・研究施設を併設するとしている。 私は、五年前の平成二十九年十二月定例県議会にて「県北地域にも高度医療を」を質問させていただきました。私にとっての埼玉県は、全て地元なんです。ここでは、埼玉県で不足する医師の育成、派遣が可能となる施設、機能の充実を図るとされている。正に医師派遣の拠点、キャンパスの名に値する施設であります。順天堂大学には、ここまで遅れた計画を責任を持って着実に進めていただきたい。 しかし、この壮大な計画を進めるに当たっては、さいたま市や地域の医療関係者をはじめ、様々な関係者との調整が必要不可欠とのことであります。学校法人の事業とはいえ、学校法人任せにするのは適当ではありません。県は支援する立場との言い訳は聞きたくないよ。事業の進行管理は、本県の医師不足を解消するための医師派遣の拠点として大学附属病院を誘致した執行部の責任があります。計画実現のためには、県はよほど腹を据えてかからねばいけません。 そこで、順天堂大学浦和美園キャンパス整備を今後着実に進めるために、知事の決意をお示しいただきたいと思います。 ちょうど半分の質問が終わりました。 今回のコロナ禍によって美術鑑賞やコンサートから少々遠ざかっております。海外への研修もしておりません。国内探訪もすっかり減ってしまった。そして、何より運動不足であります。頭の中の筋肉もたるんでおります。早くコロナ禍を克服して、普通の生活に戻りたいものだ。 後半も埼玉県全体を見回した質問を続けます。 知事にもう一つお伺いしますよ。元気よく続けます。 四番目の質問、
埼玉スタジアム線の延伸。 埼玉高速鉄道の延伸について、知事にお伺いいたします。 汽笛一声新橋を……、明治五年、百五十年前に新橋・横浜間に日本で最初の鉄道が開業しました。埼玉県では、十一年後の明治十六年に上野・熊谷間、明治十八年に大宮・宇都宮間が開業した。現在、県内にはJR線や東武線、西武線をはじめ、埼玉高速鉄道、つくばエクスプレスなどの鉄道網が広がっております。 現在の埼玉県域が定まった明治九年の埼玉県の人口が約八十九万人余り。今、約七百三十三万人余りとなっております、埼玉県。現在と比べると八十九万人は少ないと感じるかもしれませんが、国の十増十減で衆議院定数減となる県などはもっと少ないところがあります。そう考えると、埼玉県は百四十六年前で既に人口的に大きな県であったことが分かります。正に首都圏域に位置しているのであります。 そんな首都圏域においての鉄道や道路網は、大いに沿線の発展につながっている。さいたま市緑区などは、新たな浦和美園駅によって今でも人口急増中であります。人口が増えるということは、いろんな考えもあるんでしょうが、この土地に魅力を感じての移住者ということになると思います。この土地に住む者として、鉄道の存在はとても大きいと実感しております。 お話を
埼玉スタジアム線の延伸に入ります。 今、浦和美園駅で止まっている路線を延伸により東武アーバンパークラインとつながれば、もっとこの路線が生きてくると思う。鉄道により地域が発展して沿線住民の生活が更に豊かになります。さいたま市緑区の浦和美園地区から岩槻にかけての沿線地域には、人や企業が集まり、交流人口や定住人口の増加が期待され、地域経済の発展にもつながると思います。 また、多くの学校がある県内の中核都市へのアクセスの向上による通学圏域の拡大、災害時の救援効果など、広域なエリアに利益をもたらすはずであります。さらに、サッカーの埼玉スタジアム利用者や、先ほど質問させていただいた大学附属病院関係者・利用者などへの利便性向上も見込める、大きな大きな地域発展につながる国家百年の計、鉄道延伸であります。 さらに、埼玉高速鉄道とつながる地下鉄南北線は、品川までの延伸が予定されており、リニア新幹線や羽田空港などへのアクセスも向上する。 令和三年六月にさいたま市長は、令和五年度までに鉄道事業者へ要請すると公言しています。今定例会で、さいたま市との共同調査を前倒しする議案も追加で出されました。 そこで、お伺いしますが、要請に向けてどのような課題が残っているのか、課題を解決するために埼玉県はさいたま市とどのように連携して取り組んでいくのか、延伸実現に向けての知事の意気込みを聞かせてください。川口市も通っていますよ、ちょっと。 五番目の質問に入ります。発達障害への理解について。 言い換えれば、発達障害児と大人の発達障害に対する理解と対応についてです。 私の過去の県議会一般質問では、高次脳機能障害者・家族への支援、精神疾患への支援、そして自殺対策、自殺者をなくす取組、自殺防止対策の気付きについてたびたび質問してまいりました。みんな脳に関することです。 発達障害について、私なりに調べたことを聞いてください。この発達障害には、子供のときに親などが気付く発達障害児と、大人になり社会環境で様々な人と交わって気付く発達障害者、大人の発達障害があります。もっとも、この私たち大人の障害者の概念が認識されるようになったのは、ここ十年から二十年とのことであります。 また、発達障害には大きく四つの症状があるようです。 一つ、自閉スペクトラム症、自閉症状のことです。好きなことへのこだわりが強く、同じことを繰り返したりするようです。また、コミュニケーションなどが苦手で、相手の気持ちを読み取ることは困難という特性もあるようです。自閉症は三歳くらいまでに現れ、およそ百人に一人、男性が女性の四倍という報告もあります。原因は、遺伝的要因をはじめとして様々な要素が複雑に関与していると考えられている。発症までのメカニズムは不明だそうです。 二つ目、注意欠如・多動性障害。落ち着きがなく、感情が強く表に出やすい傾向の症状。大人になってもこの症状はおさまらず、衝動的に職場や家庭内で暴言を吐いてしまったり、時に暴力という形で出ることもあるようです。 三つ目、学習症、いわゆる学習障害です。 四つ目、アスペルガー症候群。自閉スペクトラム症に含まれる障害でありますが、対人関係の障害などの自閉症の症状はありつつ、知的発達などの遅れが見られないことが特徴とのことです。また、遠回しな表現やしぐさから相手の感情を読み取ることが困難な場合もあるようです。アスペルガー症候群の人は知的及び言語発達の遅れがないために、ほかの自閉症の課題が気付かれにくい面があるとのこと。学力的にも問題がないため、大人になるまで分からなかったという方もいるようです。 はっきり言います。私と四年前に亡くなった我が家の次男、かなりの部分でこの症状に該当すると感じています。もっとも、大人の二十人に一人がこの障害の自覚があるという。このアスペルガーの話をすると、多くの知人、友人が、「俺もそういう部分があるかも」となる。 起承転結の結に入ります。 今回の質問では、特に大人の発達障害について質問を掘り下げてまいりたいと思います。 自閉症では、鬱や不安障害を抱えることがある。大人になってから障害が顕在化することがある。私は思っている。多くの自殺がこの障害によっての不幸な結果なのかもしれないと。 障害に対する本人の工夫として、得意なことを生かす、苦手なことは避ける、困ったときの相談者をつくる、小さな成功体験を積み重ねるなどなど。周囲の対応として得意なことを生かす環境づくり、苦手なことをカバーする環境づくり、障害の特性を理解するなどなど。 こだわりが強いという特性を生かしての高度な専門知識・能力。落ち着きのない特性は、行動力があるという長所でもある。抜きんでた知力・能力を持っての世界の天才エジソン、アインシュタインなども、アスペルガーだったと言われています。私たちは発達障害児、発達障害者であっても、卓越した知力・能力を秘めた人材がいることを知りました。保育所、幼稚園、学校、社会で支援していく必要があると考える。能力を潰してはいけないんだ。 以上、県は、これまでどのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、福祉部長にお伺いいたします。私みたいな人が多くいるんですよ。 最後の質問に入ります。 六、みぬま緑地と新見沼大橋についてです。 みぬま緑地とは、以前、私が名付けたんです。見沼田圃にあって、現在ではほぼ田んぼではなく、緑地になっている首都圏最大の緑地空間であります。 この広大なみぬま緑地をどのように利用していけばいいのか、緑地保全を叫ぶ団体や昔からこの地で農業生計を立ててきた地権者たちとの団体が、様々な将来像を語っているんです。この先、道の駅設置の話、また、私自身ドイツに調査したクラインガルテンの日本版も良いと思っておりますが、先ほど触れた緑地保全を叫ぶ人々。以前にはゴルフ場開発などの話もありました。私は、農業後継者の皆さんと農業緑地公園ができないかと構想しているのであります。 本題に入ります。 そんなみぬま緑地を東西に走っているのが国道四六三号、さいたま新都心や埼玉県庁、さいたま市役所などと埼玉スタジアムや浦和美園駅、そして越谷市、埼玉県東部を通って千葉へとつながるための大変重要な幹線道路であります。その国道四六三号の新見沼大橋区間で通行料金が発生することは、利用者の心理的な抵抗となり、う回する車も多いのが現状であります。 そのう回路の沿道住民は、長年にわたり交通安全不安や環境問題に悩まされているのも実情であります。確かに、当時の国道四六三号の慢性的な交通渋滞を早期に解消するための有料道路事業により短期間で整備された経緯は理解していますが、しかし、幹線道路の効果が最大限に発揮し切れていないという思いがあるんです。 新見沼大橋の料金徴収期間は令和八年までのあと四年と伺っておりますが、この区間の無料化は県東部と県南部のアクセス強化や周辺道路の混雑緩和など大きな効果を生むことになり、埼玉県にとっても非常に重要と考えます。 そこで、新見沼大橋有料道路は計画どおりに無料化されるのか、無料化の見通しについてお聞きします。変な答弁であれば、答弁は要りませんよ。県土整備部長にお伺いします。 以上、議場の皆さん、御清聴、感謝申し上げます。高橋政雄の質問、終了しました。あっという間の三十分でした。終わり。(拍手起こる)
○中屋敷慎一議長 八十二番 高橋政雄議員の質問に対する答弁を求めます。 〔大野元裕知事登壇〕
◎大野元裕知事 高橋政雄議員の御質問に順次お答え申し上げます。 まず、
グローバル有能人材の育成のお尋ねのうち、グローバル思考の若者たちへの留学支援の今とこれからについてであります。 グローバル人材の育成は、活力ある豊かな地域づくりのために、県が腰を据えて取り組むべき重要な課題であると認識しております。 議員お話しのとおり、平成二十三年度に県が国に先んじて開始した「埼玉発世界行き」奨学金事業は、現在、県国祭交流協会にその運営を任せ、若者の海外留学支援を継続しております。平成二十九年度にはグローバル人材の育成に民間の視点を取り入れ、寄附者の意向を反映した冠奨学金制度を開始するなど、多彩な人材の育成を図っております。 事業開始から、これまでに延べ二千百人以上の若者の海外留学を支援してまいりました。これらの奨学生は、留学により身に付けたコミュニケーション力や交渉力などを発揮して、国際機関やグローバル企業、県内企業等の国内外で活躍をしております。 この間、新型コロナウイルス感染症の影響により、若者が留学を断念せざるを得ない時期がありましたが、徐々に海外との往来が再開し、再び留学の機運が高まっております。今年度の「埼玉発世界行き」奨学金事業では、百四十七人の募集定員に対し六百人近くの若者が応募し、コロナ前を上回る倍率となりました。海外留学にチャレンジする志高い若者が埼玉に多くいることは、本県の未来を担う人材が豊富なあかしであり、大変頼もしく感じております。 私は、様々な可能性に満ちた若者の味方であることを旨としており、若い頃自分がそうであったように、異なる文化や価値観の下で切磋琢磨していただきたいと考えています。県は、今後も「埼玉発世界行き」奨学金を通じ、官民一体となって社会・経済のグローバル化に対応できる視野を持ち、県の未来を託せる人材の育成に取り組んでまいります。 次に、県職員の
グローバル有能人材の育成の今とこれからについてであります。 県職員自ら、国際社会の動向を肌で感じ、グローバルな視点で施策の展開が図れるよう、県では海外に拠点を有する団体や国際ビジネスの経験が積める民間企業に職員を派遣するなど、積極的にグローバルな人材の育成を進めてきております。 例えば、現在、自治体国際化協会に派遣した職員が、シドニー事務所において姉妹友好提携を行っているクイーンズランド州との関係強化につながる業務に従事しており、来年度はシンガポール事務所に派遣する予定です。また、総合商社に派遣した職員が、来日した貿易・経済関係の要人との交流に関する連絡調整や、海外拠点とコミュニケーションを図りながら、東南アジアなど各国へのビジネス展開を支援する業務に従事しております。 さらに、民間企業などの職務経験を持つ方を対象とした採用試験において、外資系企業やNGOなどでの海外経験を有する人材を採用し、地域での外国人支援や海外ビジネス展開の支援を担う職に配置するなど、庁内においてもグローバルな知見を生かせる人事配置を行っております。 今後も、これらの取組を重ねることで、海外各国、関係機関との人的ネットワークやグローバルな視点を持つ有能な人材の育成を着実に進めてまいります。 次に、更なるグローバルな県民育成のこれからについてであります。 出入国在留管理庁の統計によると、令和四年六月末の県内在留外国人は二十万人を超え、五年前の約一・三倍となっています。県民の三十六人に一人が外国人という環境は、誰もがグローバルな交流を経験できるチャンスがあるとも言えます。 県では、県民が多文化共生の理解を深める取組を進めており、今年度は新たに身近な外国人住民を支援する人材の育成を目的として、外国人お助けボランティア育成研修を開始いたしました。高校生からシニアまで広く県民に参加いただけるこの研修では、外国人にも分かりやすい「やさしい日本語」や支援に役立つボランティアの心得などを学び、外国人住民との交流の実践につなげていただきます。ふだんの生活から一歩踏み出し、異文化を受け入れる柔軟さを育むことが、県民が自らをグローバル人材として意識するきっかけになると考えています。 こうした取組を通じ、県民を真の国際人として育成し、世界に開かれた魅力あふれる埼玉県にしてまいります。 次に、文化芸術の埼玉県・人づくりのお尋ねであります。 文化芸術は、人々に感動や安らぎを与えるものであると同時に、個人の誇りやアイデンティティを形成する心のよりどころとなるものであり、国民全体の社会的財産であります。また、創造的な経済活動の源泉であるとともに、人々を引き付ける魅力や社会への影響力を持つソフトパワーであり、我が国の国力を高めるためにも重要なものであります。 子供の頃から様々な文化芸術に触れ、その経験を重ねていくことは、正に議員お話しの人づくりにつながっていくものと思います。そのためには、家庭での経験に加えて、地域や学校などあらゆる社会の中で文化芸術に触れる機会を充実させていくことが重要だと思います。 そこで、県では、将来を担う子供たちが優れた文化芸術に出会い、触れ、体験する機会を重ねていく取組を行っております。例えば、学校の授業などに文化団体やプロのアーティスト派遣を行い、本物の芸術に出会う取組のほか、文化団体などが地域で行う子供たちの体験事業への助成を行っております。また、県内の博物館や美術館では、子供向けのワークショップを開催するなど、文化芸術を鑑賞、体験できるプログラムを提供しています。 県民一人一人の豊かな文化芸術の力を養うため、地域や学校、県内の文化施設などあらゆる場において、子供の頃から文化芸術に親しみ、参加する機会を充実させてまいります。 次に、大学附属病院の建設のお尋ねであります。 順天堂大学の新病院は当初、平成三十二年度、すなわち令和二年度末開院の予定でありましたが、令和四年四月に県が承認した計画により、現在、基本設計に着手するなど、令和九年十一月の開院を目指し、準備を進めているところであります。今後、この整備計画を遅延なく、スケジュールどおりに着実に進めるために、進行管理こそ大学が責任を負うべきではありますが、県がしっかりと進捗を把握し、関係者間の調整を行ってまいります。 例えば、砂川副知事に指示し、さいたま市副市長と毎月連絡会議を行い、病院整備計画の進捗状況について互いに情報共有することで、病院建設が計画どおり進捗するように調整をしております。また、さいたま医療圏の地域医療構想調整会議に大学をオブザーバーとして招き、現時点から開院後に提供する医療について協議していただくことにより、地域の医療関係者と調整を図り、円滑な開院につなげてまいります。 議員御指摘のとおり、地域の方はもとより、医師派遣の実現により県民の病院開院に寄せる期待は大変大きいものがあります。大学側からも、地域の方に喜んでもらえるような病院をつくっていきたいという話を伺っております。 開院に向けた整備スケジュールは大変厳しいものではありますが、このプロジェクトの実現に向け、大学に対し着実な病院整備を要請するなど、県民の期待に応えるため全力で取り組んでまいります。 最後に、
埼玉スタジアム線の延伸のお尋ねのうち、令和五年度の鉄道事業者への要請に向けてどのような課題が残っているかについてであります。 今後、都市鉄道等利便増進法に基づいて鉄道事業者に要請する際には、速達性向上事業に関する計画素案の作成が必要となり、県では、さいたま市との共同調査や、国や関係事業者との調整などの取組を進めているところです。 計画素案の策定に向け、まず、費用対効果、いわゆるB/Cが一を超える条件の実現性を確保する必要があり、コロナ禍による乗降客数の減、原材料費の高騰の中、これまで積み重ねてきた調査により、算定の精度を一層高めることが課題となっております。また、その前提として事業費を正確に把握することが必須となります。さらに、鉄道延伸の便益を確保するためには、中間駅周辺の定住人口や交流人口の増加による需要創出が非常に重要であり、中間駅周辺のまちづくりの具体化を図ることが課題となっています。 次に、課題を解決するために、さいたま市とどのように連携して取り組んでいくのか、延伸実現に向けての意気込みについてであります。 まず、B/Cと採算性の精度を高めるため、引き続き、さいたま市との共同調査により、快速や各駅停車など異なる運行パターン、新たな統計データ、最近の実績など様々な条件を加味し、算定を行ってまいります。また、より正確な事業費の把握に向け、延伸予定地周辺のボーリング調査などを実施し、その調査結果を基に高架橋の基礎杭の構造等を検討しているところであります。さらに、さいたま市の尽力もあり、ボーリング調査が当初の予定よりも早く進捗する見込みが立ったため、建設費の精査を前倒しで行うための債務負担行為を設定する補正予算を今議会に提出させていただいたところであります。 中間駅周辺のまちづくりについては、さいたま市においてまちづくり方針を令和四年度中に策定する予定であり、鉄道延伸の便益を確保するために重要となる中間駅周辺の整備内容の具体化を進めてまいります。 清水市長が表明された令和五年度中の鉄道事業者への要請を実現するためには、県と市がそれぞれ必要な役割をしっかりと果たしながら、残された課題を一つ一つ解決し、スピード感を持って取り組むことが必要であります。 今後も引き続き、県と市がワンチームとなり、延伸実現に向け全力で取り組んでまいります。 〔金子直史福祉部長登壇〕
◎金子直史福祉部長 高橋政雄議員の御質問五、発達障害への理解についてお答え申し上げます。 発達障害を抱える子供たちに対しては、なるべく早い時期から適切なサポートを行い、一人一人に即した成長を促すことが重要と考えます。このため、県では、平成二十三年度から全ての保育所や幼稚園の先生方が発達障害の特性に早い段階で気付き、適切な支援ができるように研修を行い、発達支援サポーターとして養成してまいりました。 さらに、保育所の支援を小学校へつなげるため、小学校の先生方や障害児通所支援事業所の職員等を対象に、学校生活での留意点や個別的な配慮の例などを学んでいただく研修を行い、子供たちの成長段階に応じて適切な支援が受けられる体制を整えています。 今後も、各地域の医療・保健・福祉・教育等の関係機関の相互の連携を深め、切れ目のない支援体制の拡充に努めてまいります。 また、成人後においては、発達障害者支援センター「まほろば」を中心に様々な相談に応じるとともに、県内四か所の就労支援センターにおいて、就労に関する相談から就労訓練、就職後の職場定着支援までワンストップで支援してまいりました。 議員お話しのとおり、発達障害をお持ちの方の中には、ある一つのことについて卓越した知力・能力を持っている方がいらっしゃいますが、周囲のサポートなどによって、そうした方の潜在的な強みを引き出すことができます。例えば、データの入力やチェックについて、正確かつやり続けることに無類の能力があっても、コミュニケーション能力に課題を抱えていてなかなか就職ができなかった方が、相手や場面に合わせた会話の仕方などを学んだり、職場の支援を受けることなどによって、IT業界で活躍しております。 こうした発達障害の方の一人一人の個性を社会の中で強みとして発揮して活躍していただくという視点も大切にして、誰一人取り残さない、障害をお持ちの方がその能力を最大限生かせる社会の構築に取り組んでまいります。 〔北田健夫県土整備部長登壇〕
◎北田健夫県土整備部長 高橋政雄議員の御質問六、みぬま緑地と新見沼大橋についてお答え申し上げます。 新見沼大橋有料道路は、国道四六三号バイパスの一部として平成八年十一月に開通し、埼玉県道路公社が管理しています。有料道路は、道路利用者が支払う通行料金により建設費や維持管理費を賄う、いわゆる受益者負担の原則で管理運営されています。 国の事業許可上、新見沼大橋有料道路の料金徴収期間は三十年間で、令和八年十一月に期間の満了を迎えます。したがいまして、それ以降は原則として無料化することとなります。 無料化に当たっては、本来の道路管理者であるさいたま市へ管理を引き継ぐ事務手続を終える必要があります。また、建設費などの債務が残っている場合は、その取扱いに関する検討も必要となってまいります。 このため県といたしましては、新見沼大橋有料道路の無料化に向け、道路公社と連携して有料道路の利用促進に努めるとともに、さいたま市との移管手続を進めてまいります。
○中屋敷慎一議長 ほかに発言通告がありませんので、第百三十八号議案ないし第百七十号議案に対する質疑並びに県政に対する質問は終了いたしました。
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△第百七十一号議案及び議第三十五号議案に対する質疑
○中屋敷慎一議長 これより、第百七十一号議案及び議第三十五号議案に対する質疑を行います。 発言通告がありますので、順次これを許します。 第百七十一号議案に対する質疑 四十三番 前原かづえ議員 〔四十三番 前原かづえ議員登壇〕
◆四十三番(前原かづえ議員) 四十三番 前原かづえです。日本共産党を代表いたしまして、第百七十一号議案「令和四年度埼玉県
一般会計補正予算(第六号)」のうち、
埼玉高速鉄道線延伸に向けた取組に対する質疑を行います。 一般論として、鉄道の延伸に反対する県民はいません。費用負担の問題となれば、議論があるのは当然です。埼玉高速鉄道延伸についても、地元さいたま市議会において党市議団は延伸断念を求めています。 現在、公表されている総事業費八百七十億円が膨らむ可能性が高く、一方、県とさいたま市の負担区分が決まっていないこと、国の補助が現行制度の三分の一以上は見込めないこと、以上の点から、さいたま市民に重い費用負担が生じる可能性が高いということが、市議団の反対理由の中心でございます。 そこで、質問です。 第一に、調査の結果、総事業費八百七十億円は増額するのか、見通しをお答えください。 第二に、県とさいたま市の負担割合についての考え方をお示しください。 第三に、本来、鉄道事業における国の責任は重いものです。国の助成の見通しについてお伺いいたします。 以上、三点お願いいたします。
○中屋敷慎一議長 四十三番 前原かづえ議員の質疑に対する答弁を求めます。 大野元裕知事 〔大野元裕知事登壇〕
◎大野元裕知事 前原かづえ議員の第百七十一号議案「令和四年度埼玉県
一般会計補正予算(第六号)」に対する質疑にお答え申し上げます。 まず、総事業費増額の見通しについてでございます。 原材料費の高騰など経済情勢が変化していることもあり、事業費をできる限り正確に把握することは重要であると考えております。そのため、今回お願いをしている補正予算において調査委託の形で外部の知見を活用し、建設費の精査をするものであります。この調査等を通じ事業費の精査をしてまいります。 次に、県とさいたま市の負担割合についてでございます。 自治体の負担割合につきましては、沿線市であるさいたま市及び川口市と自治体連携会議などの場において、丁寧に協議を重ねているところでございます。現在、過去の事例も参考に検討を深めているところであり、今後の協議を通じ整理してまいります。 次に、国の助成の見通しについてであります。 現時点で活用を想定している都市鉄道等利便増進法による事業スキームでは、国が事業費の三分の一を負担することとされています。ただし、個別の事業について予算が措置されるかどうかについては、国の予算編成において決定されるものであり、現時点で具体的な見通しを持つことは困難でございます。 本事業の実現のためには、国の補助を活用することが必須でございますので、その前提となる速達性向上計画の素案の作成に向けて、さいたま市との連携の上、全力で取り組んでまいります。
○中屋敷慎一議長 第百七十一号議案に対する質疑 十六番 中川浩議員 〔十六番 中川浩議員登壇〕
◆十六番(中川浩議員) 本日追加で提出されました補正予算のうち、出産・子育て応援事業について質疑させていただきます。 県内では、出産前・出産後の家庭へのお弁当の宅配などや、認可外保育・自主保育による産前産後の取組が行われており、利用しやすくするために料金は採算よりも安く設定されていて、今回の予算で利用者が増えても赤字が多くなるところがあります。妊娠・出産・幼少期に関わる地域の人材は限られていると感じています。 そこで、そういった採算の合いづらいアウトリーチ型で産前産後の支援をしているところへ、伴走型相談支援業務を委託して予算で後ろ支えをするとともに、こうしたサービスを県民に選んでいただけるようお薦めをし、そのような取組に寄附金などが集まるよう、県と市町村との連携をどのようにお考えなのか、大野知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 以上です。ありがとうございました。
○中屋敷慎一議長 十六番 中川浩議員の質疑に対する答弁を求めます。 大野元裕知事 〔大野元裕知事登壇〕
◎大野元裕知事 中川浩議員の第百七十一号議案「令和四年度埼玉県
一般会計補正予算(第六号)」に対する質疑にお答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、様々な課題を抱え支援を必要としている子育て家庭に対し、それぞれの事情に応じて丁寧できめ細かに相談対応をしたり、アウトリーチ型支援に取り組む事業者を大事な地域資源として支えていくことは重要であると考えています。 妊娠や子育て家庭と面談を行う伴走型相談支援につきましては、NPOなどの民間法人等への委託が可能とされています。アウトリーチ型で産前産後支援を行っている事業者も、面談実施者として指定の研修を受講していただくことで、市町村の委託先の選択肢の一つとなり得ると考えています。事業者選定には財務上のルールがあり、また、伴走型支援は事業者の赤字の補填が目的ではなく、一般論として予算措置がなされると赤字が増えるとの認識もございませんが、市町村に対し、子育て支援事業者が市町村の委託先の選択肢となることを周知したいと思います。 なお、子育て支援事業者の活動や、事業者が提供する様々な子育て支援サービスを子育て家庭に広く知っていただき、積極的に利用していただくことは、事業者の経験の蓄積や育成につながるとともに、事業に対する地域住民の理解を深め、寄附金などの支援も集まりやすくする効果もあろうかと思います。 そこで、市町村に対し、事業者の活動内容やサービス内容を積極的に広報し、子育て支援に努めていただけるよう働き掛けを行っていきたいと思います。
○中屋敷慎一議長 ほかに発言通告がありませんので、第百七十一号議案及び議第三十五号議案に対する質疑は終了いたしました。
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△第百三十八号議案~第百七十一号議案及び議第三十五号議案並びに請願の各委員会付託
○中屋敷慎一議長 これより、議案及び請願の付託を行います。 本定例会に提出された第百三十八号議案ないし第百七十一号議案及び議第三十五号議案並びに請願につきましては、お手元に配布しておきました付託表のとおり、各所管の委員会に付託いたします。〔参照-(一〇)(一八四)ページ〕
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△次会日程報告
○中屋敷慎一議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明十五日、十九日及び二十一日は、議案調査のため、本会議は開きません。 十六日、十九日及び二十日は、各委員会を開き、付託案件の審査を願います。 十七日及び十八日は、休日につき休会といたします。 来る二十二日は、午前十時から本会議を開き、各委員長の報告を求め、質疑、討論及び採決を行います。
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△散会の宣告
○中屋敷慎一議長 本日は、これにて散会いたします。午後三時五十九分散会
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