• "武部勤"(/)
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  1. 埼玉県議会 2005-09-01
    10月05日-06号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    平成17年  9月 定例会九月定例会 第十日(十月五日)平成十七年十月五日(水曜日)第十日 議事日程 一 開議  午前十時 二 監査結果報告(秘書課ほか百八十一か所) 三 陳情の報告 四 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問    三十三番  鈴木義弘議員    四十一番  近藤善則議員    六十八番  井上直子議員 五 第百五十九号議案~第百八十九号議案及び第百九十二号議案並びに請願の各委員会付託 六 決算特別委員会の設置、第百九十号議案及び第百九十一号議案の付託、同議案の継続審査決定 七 決算特別委員の選任 八 次会日程報告    十月六日(木)、十三日(木) 議案調査    十月七日(金)、十一日(火)、十二日(水) 委員会    十月八日(土)~十日(月) 休日休会    十月十四日(金) 午前十時開議、委員長報告、質疑、討論、採決 九 散会             -----------------本日の出席議員    八十八名       一番  鈴木正人議員       四番  松本恒夫議員       五番  小菅健夫議員       六番  梅澤佳一議員       七番  松沢邦翁議員       八番  相馬宏雄議員       九番  小林哲也議員       十番  中村 健議員      十一番  諸口高男議員      十二番  塩野正行議員      十三番  久保田厚子議員      十五番  本木 茂議員      十六番  藤本正人議員      十七番  宮崎栄治郎議員      十八番  荒川岩雄議員      十九番  清水勇人議員      二十番  鈴木 弘議員     二十一番  清水寿郎議員     二十二番  石田 昇議員     二十三番  渋谷 実議員     二十四番  中村興夫議員     二十五番  小島信昭議員     二十六番  鈴木聖二議員     二十七番  蒲生徳明議員     二十八番  石渡 豊議員     二十九番  吉田芳朝議員      三十番  森田光一議員     三十一番  黒田重晴議員     三十二番  北堀 篤議員     三十三番  鈴木義弘議員     三十四番  逢澤義朗議員     三十五番  本澤安治議員     三十六番  岡部三郎議員     三十七番  島野 直議員     三十八番  神山佐市議員     三十九番  島田正一議員      四十番  細田徳治議員     四十一番  近藤善則議員     四十二番  西山淳次議員     四十三番  西田矩子議員     四十四番  田口禎則議員     四十五番  山川百合子議員     四十六番  守屋裕子議員     四十七番  佐久間 実議員     四十八番  成塚常吉議員     四十九番  小谷野五雄議員      五十番  峯岸光夫議員     五十一番  長峰宏芳議員     五十二番  樋口邦利議員     五十三番  竹並万吉議員     五十四番  田中千裕議員     五十五番  鹿川文夫議員     五十六番  白石孝一議員     五十七番  田中龍夫議員     五十八番  森泉義夫議員      六十番  村上明夫議員     六十一番  当麻よし子議員     六十二番  河村勝子議員     六十三番  吉田 弘議員     六十四番  奥ノ木信夫議員     六十五番  長沼 威議員     六十六番  石渡 勲議員     六十七番  滝瀬副次議員     六十八番  井上直子議員     七十一番  丸木清浩議員     七十二番  大山 忍議員     七十三番  斎藤正明議員     七十四番  福永信之議員     七十五番  矢部 節議員     七十六番  神杉一彦議員     七十七番  高橋 努議員     七十八番  角 靖子議員     七十九番  古寺五一議員      八十番  神谷裕之議員     八十一番  奥田昌利議員     八十二番  大沢立承議員     八十三番  遠藤俊作議員     八十四番  秋谷昭治議員     八十五番  谷古宇勘司議員     八十六番  大石忠之議員     八十七番  深井 明議員     八十八番  秋山 清議員     八十九番  野本陽一議員      九十番  山本晴造議員     九十一番  笠原英俊議員     九十二番  松本安弘議員     九十三番  秦 哲美議員     九十四番  山岸昭子議員  欠席議員   三名     五十九番  畠山清彦議員     六十九番  蓮見昭一議員      七十番  田島敏包議員地方自治法第百二十一条の規定により説明のため出席した人   上田清司   知事   都筑 信   副知事   齋藤 健   副知事   田村健次   出納長   橋本光男   総合政策部長   坂口 護   総務部長   飯島和夫   危機管理防災部長   飯島正美   環境部長   大津 晄   福祉部長   中村健二   保健医療部長   馬場竹次郎  産業労働部長   杉田勝彦   農林部長   小沢 隆   県土整備部長   樋口和男   都市整備部長   島村和男   公営企業管理者   伊能 睿   病院事業管理者   稲葉喜徳   教育長   加地正人   警察本部長             発言(質問)通告書  十月五日(水)議席番号 氏名      要旨 答弁者三十三番 鈴木義弘議員  1 目標とハードルについて 知事             2 組織の在り方について 知事 総合政策部長             3 NPO法人の監督指導について 総務部長             4 新エネルギーとバイオマスについて 知事 齋藤副知事             5 医療コストの削減について 保健医療部長             6 市町村国保の経営安定について 保健医療部長             7 介護保険制度について 福祉部長             8 小中学校の学校経営と単位制導入について 教育長             9 新たな街づくりについて 都市整備部長             10 地元問題について 県土整備部長              (1) 都市軸道路について              (2) 常磐自動車道三郷料金所スマートインターチェンジについて四十一番 近藤善則議員  1 知事の政治姿勢について 知事              (1) 首長の多選禁止について              (2) 公職兼任制の導入について             2 少子化対策について 産業労働部長 保健医療部長             3 子供たちへのより充実した教育の実現について 教育長              (1) 少人数学級編制の実施について              (2) 半ドンの復活について              (3) 県立高校の大学への進学状況について             4 安心・安全な環境づくりについて 警察本部長              (1) 侵入盗及び街頭犯罪の傾向と対策について              (2) 交通安全対策について              (3) 地元商店会行事と道路規制について             5 土地区画整理事業について 都市整備部長             6 地元問題について 県土整備部長              (1) 県道東大久保大井線の拡幅事業の進ちょく状況について              (2) 県道さいたま上福岡所沢線の交差点改良事業及び歩道整備について              (3) 川崎橋の架換えに伴う歩道整備について六十八番 井上直子議員  1 身近な緑の保全と創造について 知事             2 大型研究施設誘致への助成について 知事             3 指定管理者制度について 総合政策部長             4 埼玉農業の振興について              (1) 今後の農業振興の方向について 知事              (2) 農業生産基盤の整備について 農林部長             5 健康診査と生活習慣病対策の在り方について 保健医療部長             6 自主防災組織の充実について 危機管理防災部長             7 県立高校の再編整備について 教育長             8 子ども会を育て教育力の向上を 教育長             9 利根川・江戸川のスーパー堤防化について 県土整備部長             -----------------午前十時一分開議  出席議員   八十名   一番   四番   五番   六番   七番   八番   九番   十一番   十二番  十三番  十五番  十六番   十七番  十九番  二十番  二十二番   二十三番 二十四番 二十五番 二十六番   二十七番 二十八番 二十九番 三十一番   三十二番 三十三番 三十四番 三十五番   三十六番 三十七番 三十八番 三十九番   四十番  四十一番 四十二番 四十三番   四十四番 四十五番 四十六番 四十七番   四十八番 四十九番 五十番  五十一番   五十三番 五十四番 五十五番 五十六番   五十七番 五十八番 六十番  六十一番   六十二番 六十三番 六十四番 六十五番   六十六番 六十八番 七十一番 七十二番   七十三番 七十四番 七十五番 七十六番   七十七番 七十八番 七十九番 八十番   八十一番 八十二番 八十三番 八十四番   八十六番 八十八番 八十九番 九十番   九十一番 九十二番 九十三番 九十四番  欠席議員   十一名   十番   十八番  二十一番 三十番   五十二番 五十九番 六十七番 六十九番   七十番  八十五番 八十七番  地方自治法第百二十一条の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(都筑) 副知事(齋藤)   出納長      総合政策部長  総務部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  公営企業管理者   病院事業管理者  教育長     警察本部長 △開議の宣告 ○長峰宏芳副議長 ただ今から、本日の会議を開きます。               ---------------- △監査結果報告(秘書課ほか百八十一か所) ○長峰宏芳副議長 この際、報告をいたします。 監査委員から、秘書課ほか百八十一か所に対する監査結果の提出がありましたので、御報告いたします。〔参照-(一二三)ページ〕               ---------------- △陳情の報告 ○長峰宏芳副議長 次に、前定例会から今定例会までに提出された陳情につきましては、陳情文書表としてお手元に配布しておきましたら、御了承願います。               ---------------- △知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問 ○長峰宏芳副議長 これより、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。 発言通告がありますので、順次これを許します。 三十三番 鈴木義弘議員       〔三十三番 鈴木義弘議員登壇〕(拍手起こる) ◆三十三番(鈴木義弘議員) 三十三番、三郷市選出、自民党の鈴木義弘でございます。 埼玉県で最初に朝日が昇る三郷市から大勢の方が傍聴に駆け付けていただいております。前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。 まず初めに、目標とハードルについてお伺いいたします。 知事は、昨年、県庁自体のスリム化を図るとともに、県民の視点から施策の選択と集中を進め、埼玉県を優れた経営体、最大のサービス産業に変える好機であると考えを示し、着実に改革を実行する三か年の行財政改革プログラムを今年度スタートさせました。この中で述べられているとおり、財政運営を進めていく上で、数値目標、また中長期での計画が必要不可欠なものになってくるわけですが、これらのベースとなる数値の設定方法について、まずお伺いをいたします。 様々な中長期計画における目標とする数値は、今後の施策を決定し、また、遂行していく上での土台になる非常に重要なものであります。しかし、特別養護老人ホームの二万床、県内食料自給率の一五パーセント、NPO法人の目標件数一千二百五十件など、現在、知事が掲げられている計画や目標とする数値がなぜこの件数やパーセンテージになったのか、一般県民にとっては分かりにくいのが現状ではないでしょうか。 例えば、今、例に挙げましたNPOでは、なぜ一千二百五十件なのでしょうか。民間の方々が設立する団体がNPOであり、県が主体的に設置するものでないのに、なぜこの数値が出されたのか、その根拠がはっきりいたしません。それでも、NPO関連の予算や計画、施策は、この数値目標を基にして決定されるわけですから、非常に重要なものであります。私は、このように県が行う施策のベースとなる目標値を掲げることは、きっちりした成果を上げるためにも大切であり賛成するものでありますが、これらの数値が決められる過程を県民に対して公表すべきであり、また、なぜその数値になったのかを説明すべきであると思います。また、現在使われている各種の数値についても、社会の変化に対応した見直しを図るべきでありますが、いかがでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。 さらに、先ほどの例示の中で挙げました県内食料自給率の指標についてでありますが、これはカロリーベースに基づき算出しているものであります。海のない埼玉県で魚の自給率は上げられませんし、野菜についても、物によってはカロリーがゼロのものもあります。このように、カロリーベースの指標よりは、金額ベースや他の指標を使用した方が、より県民に分かりやすく実効性があるものと考えます。来年度は五か年計画の見直しの年になりますので、併せて知事にお伺いいたします。 次に、所得制限についてお伺いいたします。 現在、県が行っている助成、補助事業については、法律に基づくもの、県単独事業として行われるものなど、その事業の性格によって異なりますが、多くの事業にいわゆる所得制限が条件として設定されております。家庭によって年収は異なるのですから、県が行う行政サービスを受けなくても、現在の年収で十分に生活が送れる家庭にまで補助をする必要がないのは当然のことだと思います。その一方で、行政の事業の中には、高額の収入がある高齢者においても、七十歳を超えると老人保健が適用されるので、医療にかかっても所得の少ない高齢者の方々と同額の金額で済んでしまう、これは、国の施策であり、県の事業ではありませんので、ここでは問題として提起できませんが、しかし、先ほどの数値の質問と同様に、県が行っている事業であっても、その所得制限の額がどのように決定されているのか疑問に思うのは私だけでしょうか。 私立学校父母負担軽減事業費補助事業では年収八百九十七万までの家庭が対象となり、勤労者制度融資事業では前年の収入が一千万円以下、特定優良賃貸住宅供給促進事業では五百十万から六百八十九万までとなっております。なぜ事業によって所得制限の額が異なるのでしょうか。確かに事業の性格により、所得制限の額が変わるのは理解できます。しかし、県民に直接影響する事業でありますから、所得制限の額をどのように決定し、その根拠はどこにあるかを示す必要がやはりあると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 さらに、早急に各種事業における所得制限の基準を一つにまとめ、県民から分かりやすい基準づくりに着手したらと考えますが、知事に併せてお伺いいたします。 次に、組織の在り方についてお伺いいたします。 今年度、部局再編がスタートして、はや半年が過ぎようとしております。総合政策部では、所管している市町村振興事業特別会計の埼玉県ふるさと創造資金の交付を、地域機関である各地域創造センターへの権限委譲がなされたと伺っております。一方、まだまだ内部的にも再編の可能性がありそうな部署があります。例えば、総合的な交通安全対策の観点から見ますと総務部の「交通安全課」と警察本部の「交通企画課」を、業務整理と思われる事例としては人権問題をテーマに総務部の「人権推進課」と教育局の「人権教育課」、子育て支援の福祉部の「子育て支援課」と「こども安全課」など、確かに知事部局と教育局、警察本部など、組織としての問題点があることは理解できますが、所管事項がオーバーラップしているような部署が見受けられるのも確かであります。その時代の要請と県民ニーズに対応するため、改革や組織の再編がなされるのは当然でありますが、今回の部局再編により、実際に仕事の内容はどのように変わったのでしょうか。再編によるメリットやデメリットはあったのでしょうか。さらに、権限が地域機関にどのぐらい委譲されたのでしょうか、総合政策部長にお伺いいたします。 また、県組織が何年かに一度再編されますが、一県民から見ますと大変分かりづらいものがあります。知事が提唱されております「3S」の一つであるスピードが組織としてどの程度アップしたのか、さらには、部局横断的政策課題が解消されたのか、具体的にどこまで効率化が図られたのか、県のホームページなどで公開して県民に分かりやすく説明をしたらいかがかと考えますが、併せて総合政策部長にお伺いいたします。 次に、職務のスピードアップのため、組織のフラット化をどうするかについてお伺いいたします。 現在、県庁の全体の職員数は年々減少の傾向にあります。その一方、県庁職員のうち、役付職員の占める割合を見ますと、平成十六年四月現在の役付職員は全体の五二・九パーセントであったものが、平成十七年四月現在では五三・六パーセントと、若干ではありますが増加しております。副部長級も〇・一パーセントの増加、副課長や主幹級では〇・六パーセントの増加となっております。これは、新規採用職員等が減少したことにより、役付職員の占める割合が増加したのかもしれませんが、役付職員が増える傾向にあるのは間違いないようです。 そこでまず、現在の役職を維持した場合、主査級以上のいわゆる役付職員が今後どのように変遷するのでしょうか。役付職員の占める割合が最大になるのはいつごろで、どの程度の割合になるのでしょうか、総合政策部長にお伺いいたします。 現在、行政に求められているものは、知事の言うスピードであります。つまり、県の抱える課題や、何か問題が起きたときに必要となる人員を配置し、迅速な対応に当たることが大変重要なのであります。そのためには、例えば、現在県の組織にある主事、技師から主任、主査、主幹といった役職を廃止し、現在の課長クラスの管理職とチームリーダーを配置し、そのチームに何人かの担当職員が構成メンバーとして所属するというような、本当の意味でのグループ制、チーム制を導入し、県が直面する課題に対処していくというものが理想であると考えます。そして、この課題解決型組織が機能するためにも、年数にとらわれた人事異動ではなく、必要があれば半年での異動があっても良いし、グループの構築と解散が年度内に何度行われても良いと私は考えます。県民の視点を原点として現場主義に立脚し、迅速性と柔軟性を備え、それぞれの職員の能力が生かされ、一人一人が何をなすべきか自ら考え、実行する組織へと変革するためには、更なる組織のフラット化が必要であると私は考えますが、知事の御所見を伺います。 次に、人事権を各部に委譲してはどうかについてお伺いいたします。 東京都庁は、基本的には採用時の部局内で異動いたします。例えば、最初が福祉部ならば、その後もほとんどは福祉部で、出先と本庁の行き来はいたしますが、部局外への異動はほとんどありません。職員としては、希望しない仕事をずっと担当することになりますので、仕事に対するモチベーションの低下という問題が気になります。しかし、長い間、同じ部局の仕事をするので、福祉のプロ、税金のプロといった人たちが育ちます。あるデパートでも、紳士服を担当する人は家具や食料品の部門に異動したりしないというような人事を行っているそうです。ですから、この担当者はほとんどがその道のプロです。お客様にとっては良いことではありませんか。私も、たまにデパートに行きますが、こちらは品ぞろえや店舗スペースのつくり方にしても、他のデパートとは一線を画していると思います。県庁は、もちろん民間企業とは違う面がありますが、希望する人にはその部局の仕事を五年から十年単位で引き続きやってもらうということがあっても良いのではないでしょうか。ただし、どの分野でもということではなく、土木建築、税金、福祉、IT関係など、スペシャリストを特に必要とする分野に限定したら良いと考えます。 そこで、例えば、職員の採用時に専門性の高い分野を経験した人を最初から限定して採用しその道のプロとして育てていくことや、人事異動の年数の上限は設けず、その道のプロとして認められたら違う部署に配置を認めるなど、人事課の権限をある程度各部局に移管し、スペシャリストを育てていってはどうかと考えますが、総合政策部長の考えをお聞かせください。 次に、NPO法人の監督指導についてお伺いいたします。 先日、NPO法人について調べておりましたところ、少し古い話でありますが、二〇〇二年二月、「環境保護団体を装い営業禁止区域で店舗型テレホンクラブを営んでいたNPO団体が、条例違反の疑いで兵庫県警が家宅捜査」との記事がありました。また、今年六月には、NPO法人やまびこ会の代表が架空の焼却炉事業への出資金を募るという詐欺容疑で逮捕されたとの記事もありました。これらの例に見られますように、NPOの名をかたって詐欺に近い行為や寄附金を強制的に募る行為、非営利団体と称して実体は営利目的の団体など、少しずつ県民生活の中でNPO法人に関する問題点が顕在化していると思われます。 内閣府は、二〇〇二年四月から今年六月までに計十回、三十七のNPO法人に対して、NPO法に基づく改善命令を出し、その結果、二〇〇五年三月までに七NPO法人が認証を取り消されております。埼玉県では、平成十七年八月三十一日現在、NPO法人設立受理件数が七百七十五件、そのうち認証が七百十五件、不認証がゼロ件、解散が九件、認証取消が二件と聞いておりますが、この認証取消の二件は、埼玉県のホームページにも、どのような内容で取り消しになったものなのか、また、認証取消しや団体名も公表されておりません。さらに、インターネット上には、営利目的としか思えないようなNPO法人の設立をサポートする営業広告が当たり前のように掲載されております。NPO法の目的は、法人格を付与することなどにより、ボランティア活動をはじめとする、市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し公益の増進に寄与することです。 そこで、県内NPO法人の実態を県はどのように把握し、監督指導をどのように行っているのでしょうか。私は、せめて認証取消しや改善命令が出るような団体であれば、速やかに県民に公表すべきであると考えますが、総務部長の御見解をお尋ねいたします。 次に、埼玉県における新エネルギーとバイオマスについてお伺いいたします。 大きなつめ跡を残した台風十四号の上陸、また、アメリカにおけるハリケーン・カトリーナやリタによる記録的な被害など、地球温暖化が原因による様々な気候問題は深刻化し、この防止は喫緊に取り掛からなければならない重要な問題の一つであります。そのため、今年二月十六日に京都議定書が発効し、地球温暖化防止の歴史的な一歩を踏み出すことになりました。しかし、京都議定書の削減目標である日本の六パーセント削減は、決して容易ではありません。本県では、知事が「日本一の環境にやさしい県づくり」に向けて、今年度から温暖化対策課を設置し、温室効果ガス排出量六パーセント削減の目標に向けて、官民挙げて様々な取組がなされておりますが、この目標達成には太陽光発電やバイオマス発電、更には小規模な分散電源向けの可能性のある、二世紀前に発明された幻のエンジン、スターリングエンジン等、新エネルギーの積極的な利活用も重要な施策の一つであると考えます。 本県では、新エネルギービジョンを現在検討しているとのことでありますが、新エネルギーの現状や今後の取組と効果について齋藤副知事にお伺いいたします。 既に国では、地球温暖化防止や持続的発展可能な社会をつくろうと、バイオマス・ニッポン総合戦略が閣議決定されております。その新エネルギーの中でも、家畜排せつ物、食品廃棄物等の廃棄物系バイオマス、稲わら、もみ殻、林地残材等の未利用バイオマスを利活用していくことは、埼玉県の地域特性からも今後非常に重要になっていくことは疑いのないところであります。しかし、本県におけるバイオマス利用の位置付けがいまだ明確になっておりません。地域の特性を生かしながら様々なエネルギー源や製品を総合的かつ効果的に利活用していくことが、バイオマスエネルギーの成功につながると私は思います。 そこで、今後の本県におけるバイオマスの利活用についてどのように考えるのか、また、組織的な面においても、目に見えるような形でバイオマスを推進する特命課室を早急に設置すべきと私は考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。 次に、医療コストの削減についてお伺いいたします。 先日、新聞の見出しに「医療費七十兆円、二〇二五年の悪夢」という記事が掲載されていました。今後、高齢化が更に進み、国民医療費が現在の二倍強の約七十兆円に膨らむと言われております。このままでは、国民皆保険制度の破たんが避けられない状況にあるのではないでしょうか。 民間からの強い要望で、厚労省は、二〇〇一年に、病院が出すレセプトの七割以上を電子化する計画を策定しましたが、二〇〇四年度における中間目標で五割であるのに対して、二〇〇五年度現在の実績で約二割にとどまっていると聞いております。一方、埼玉県では、レセプトを電子媒体により提出している医療機関数は、平成十七年八月一日現在で医療機関全体の六・七パーセント、平成十四年十月現在で電子カルテの導入医療機関数は三百六十七病院中、〇・八パーセント、三千五百九十の診療所中、二・三パーセントと、ほとんど整備が進んでいない状況であります。電子媒体によるレセプトに変更することにより、レセプトを一枚ずつ点検する非効率な作業からの解消が図られ、過去の医療記録を容易に照合することが可能になり、医療機関等による不正請求が解消される可能性もあります。また、全国の診療データを蓄積、分析すれば、個々の医療機関の質や効率も比較できるようになり、医療に掛かる間接的なコストの削減につながるものと考えます。さらに、個人の基本情報や過去からの病歴が電子化されれば、家庭での健康管理や緊急時のデータとして活用が可能になり、過疎地の遠隔診療や緊急医療にも大いに役立つし、医療費の透明性を確保して、全体の費用抑制に努められると私は考えます。 電子政府や電子県庁の掛け声が県庁内部のもので終始することなく、県内の医療機関にどのように働き掛けをし、今後、どのようにレセプトの電子化や電子カルテの普及を図るお考えなのでしょうか、保健医療部長にお伺いいたします。 次に、市町村国保の経営安定についてお伺いいたします。 平成十三年度の国保決算における人口一人当たりの一般会計からの繰入額が、埼玉県内で一番多いのが当時の名栗村で一万四千五百四十四円、一番少ないのが鳩山町で一千二百九十一円、私の地元である三郷市が六千九百四十円でありました。これが三年後の平成十五年度では、一番多いのが神泉村で二万七千九百九十二円、一番少ないのは川島町で二千百十円、三郷市が九千二百九十七円でありました。この例で分かりますように、三年間で繰入額が急増し、市町村財政を圧迫しており、今後もこの増加は変わらないものと考えます。 国は、医療保険制度体系等に関する基本方針を平成十五年三月二十八日に閣議決定し、市町村国保の広域化や政府管掌健康保険の運営の都道府県単位への切替えなど、地域の医療費が増えれば増えるほど、保険加入者の保険料負担が増える仕組みにつくり直し、支出削減の努力を促すとしております。平成十七年度からは都道府県内の市町村の国民健康保険に関する財政調整権限の一部が国から都道府県に委譲され、この九月定例会で都道府県財政調整交付金制度の設立に係る条例案が上程されております。 そこで、今後、県としては、この条例を踏まえ、市町村国保の経営安定化に関してどのような取組をしていくのか、保健医療部長にお伺いいたします。 次に、介護保険制度についてお伺いいたします。 平成十六年度末現在、県内における介護保険の市町村給付費準備基金残高は、市町村全体で約百三十二億三千万円となり、一番多いさいたま市が約十七億八千万円、一番少ない神泉村で八十一円であります。また、平成十七年八月現在における県内市町村の中で十七年度に介護保険財政が赤字となる市町村は七市町あり、中には、約二億五千七百万円、次いで約一億五千万円もの赤字になる市町もあるとのことであります。介護給付費の前年度との対比推移を見ますと、平成十五年度では一四・四パーセントの増加、さらに、今年度は一八・七パーセントもの増加が見込まれております。これを金額ベースに直してみますと、平成十五年度の約一千七百二億五千万円から今年度は約二千三百十億七千万円と、給付費が約一・三倍に増加している状況下にあり、今後、介護保険財政が赤字となる市町村が更に増加するものと懸念されております。現在、若いと言われている埼玉県の平均年齢も、今後は加速度的に増加傾向にあります。国の制度的な制約があることは理解しておりますが、県として、国民健康保険と同様に情報の開示をすることにより、高齢者の方々が介護にならないような啓発や予防策の推進の強化、制度の広域化を図りコスト縮減に努めていかなければ、介護保険制度そのものの維持が困難になります。ハード整備やソフトの充実も大切でありますが、今後、介護保険制度のシステムをどのように維持していくお考えなのか、お伺いいたします。 次に、改正介護保険制度の内容についてお伺いいたします。 この改正法の柱は、予防重視型システムへの転換であると考えますが、十八年度からスタートする地域包括支援センターの運営が、介護保険給付費の抑制と更には医療費の抑制につながらなければならないと考えますが、福祉部長に、県としての今後の取組をお伺いいたします。 また、ショートステイの拡大や在宅支援の改修費枠の拡大、特別養護老人ホームの整備見込みと民間参入の可能性はあるのか、施設経営の中で今後の人件費増加に対する問題の解消策はどのように改正されるのか、福祉部長に併せてお伺いいたします。 次に、小中学校の学校経営と単位制導入について伺います。 県内の高校進学率が九七パーセントを超える時代の中で、先日、ある新聞に、大学進学率が四七パーセントに達したとの記事が掲載されました。大学の定員から逆算して、今は二人に一人が大学に行ける時代です。その一方で、高校の現場の声を聞くと、高校生で九九を教えたり小学生の算数のドリルをやったりして学力の遅れを取り戻しているという話を聞かされ、仰天するのは私一人でしょうか。社会において必要となる知識というものは、行き着くところ、小学校や中学校の勉強であると考えます。 ある国際調査によりますと、社会人の科学的な知識を国際比較した場合、先進諸国の中で日本は最低レベルだったという結果が出ました。その調査結果の分析によれば、日本は大学の理系進学者が少ないため、国民の科学力はほぼ高校の授業によって決められ、したがって、高校がサイエンスの世界に通じなければ、国民全体の科学レベルの向上にはつながらないと言われておりました。しかし、高校で小学校の数学を教えているような現状では、推して知るべしであります。小中高校生が集うアメリカンスクールでは、例えば高校生でも小学校四年生で学ぶべき単位のものが分からなければ、そこまでさかのぼって単位を取らせるという話を聞いたことがあります。現在の高校への進学率を見ても、義務教育と何ら変わらない状況であれば、社会に出る生徒に最低限の学力を身に付けさせて卒業させる必要があると考えます。現在、引きこもりや不登校など、学校にほとんど来ない児童生徒であっても、ある年齢に達すれば卒業させているのが実情ではないでしょうか。私は、もう少し厳格に学校教育の運営を行う必要があるのではないかと思いますが、教育長の御所見を伺います。 また、教育立県彩の国さいたまを標榜する我が県でありますから、特区を使ってモデル的にでも小中一貫教育を実施する中で、単位制を取り入れた新しい制度の取組を導入していただけないでしょうか、併せて教育長の御所見を伺います。 次に、新たな街づくりについて伺います。 ある新聞の記事に「人口減の地方都市」の見出しで、このような現象の解析記事が掲載されていました。空洞化や衰退の背景には次の二つがある。一つは、高度成長時代の拡大路線をいつまでも続けて市街地を膨張させたこと、人口規模と市街地は大きいほど地域は発展していくと誰もが考えそれを見直さなかった当然の帰結であるとのことです。二つ目は、東京マネーが流れ込み、全国展開する様々な業種に地方都市が席巻され、地域内の経済循環が弱まり、人々が町や農村で働いて得たお金が地域で循環せずに、大型店などの消費を通じて東京に還流してしまい、しかも、地域経済を支えてきた農業自体も浸食される結果を招いたことが原因であるとのことです。 その解決方法として、人口減少と超少子高齢社会を迎えた今、地方都市は美しい縮み方を見つけなければならない。そのための有力な都市計画の思想が、一九七〇年以降、ヨーロッパでも様々な形で議論されてきたコンパクトシティであります。住も含めた職・学・遊などの機能を都市の中心部にコンパクトに集積することで、中心市街地活性化等相乗効果を生もうとするもので、都市の拡大により可住地を増やし続け、人口を増大させる方策をとってきた従来の都市計画に対して見直しを迫る考え方であります。市街化区域内の未利用地の有効活用といった都心部の土地の高度利用により、職住近接による交通渋滞の緩和、環境の改善が見込まれるだけでなく、近郊の緑地や農地の保全が図られるとされております。従来のような人口増大が見込めない状況下で、都市の活力を保持する政策として注目されております。 私の地元である三郷市の例になりますが、都市計画施行前から調整区域に数百戸近くの家が建ち並び、この地域では下水道も入らなければ救急車も入れない狭あいな道路の中で生活を営んでおります。都市計画法施行から三十五年近くが過ぎ、もう既に建替えが済んでいる家もあります。 そこで、今後の埼玉県の都市計画をどのように進め、さらに、コンパクトシティの概念を取り入れることについてどのように考えるのか、都市整備部長にお伺いいたします。 最後に、地元問題についてお伺いいたします。 私の地元は、東西を一級河川の江戸川と中川に挟まれ、都県境の境に位置しており、交通量の大変多い地域であります。そのため、主要な道路の橋りょう付近では常に交通渋滞を引き起こしており、経済的損失は計り知れないものがあります。中でも、江戸川に架かる流山橋の交通渋滞の混雑緩和は、三郷市は言うに及ばず、埼玉県の東南部の発展にとりまして大変重大な政策課題であります。しかし、十年にわたる県当局をはじめ関係者の御努力で、多くの課題を解決できる高規格道路、都市軸道路の計画の道筋が見えてきたやに聞いております。この道路は、この八月、三郷市及び吉川市の都市計画審議会で審議がなされ、十月の埼玉県都市計画審議会に諮問される手はずになっていると伺っています。都市計画決定後速やかに事業に着手していただきたいと考えておりますが、今後の見通しについて県土整備部長にお伺いいたします。 また、渋滞緩和の施策の一つとして、今年度、三郷市から常磐自動車道の三郷料金所におけるスマートインターチェンジ社会実験について国に要望いたしておりますが、県としての取組について県土整備部長に併せてお伺いいたします。 長い間、御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○長峰宏芳副議長 三十三番 鈴木義弘議員の質問に対する答弁を求めます。       〔上田清司知事登壇〕 ◎上田清司知事 鈴木義弘議員の御質問にお答えします。 順序は異なりますが、県内食料自給率の指標について目の覚めるような御提案をいただきました。正に、我が意を得たりであります。カロリーベースで計るのではなくて金額ベースではどうだとか、新しい指標を考えろという、この御指摘、大変意義のあるものだと思いますので、早速来年度の新五か年計画の策定については、御指摘の点を踏まえて検討していきたい、このように思います。 さて、目標とハードルについてのお尋ねのうち、数値目標が決められる過程の公表・説明が必要でないかという御質問でございます。正にそのとおりだと思います。御質問の中で、目標設定の根拠がはっきりしていないという御指摘もございました。ただ、重要な中長期計画では、原則根拠の説明もしております。彩の国五か年計画二一では、四十の政策指標について、計画の中に指標の選定理由、数値目標の根拠を明示しております。食料・農業・農山村ビジョンにおいても、達成目標三十一についてすべて説明がついております。行財政改革プログラムも、目標や行程表そして根拠を示しております。子育てコバトンプランも、目標やその根拠について説明をしております。例示されました特別養護老人ホーム二万床の根拠についても、この議会を通じて、小谷野議員あるいは西山議員の意義のある鋭い御指摘もございましたし、都合十七回、この議論をしておりますので、これで説明がされていないと言われたら、議会とは一体何なのか、こういう思いも私は率直に思わざるを得ません。十分な説明が、私はされているものだと思います。 ただ、御指摘のように、NPOについて、なぜ一千二百五十なのかということについては十分な説明がされているとは思いません。御承知のとおり、埼玉県は人口の割にはNPO認証数が極端に少ない、そういう状況がございましたので、私はこれではいけないと思いまして、昨年度NPO基金あるいはNPOプラザオフィス、こういったものを設立し呼び掛けを多くしたところ、一気に増えてまいりました。そういうベースを含めて目標を掲げたところでございます。確かに、民の主体でありますNPOの目標を県がつくるのはいかがかなという御指摘ももっともでもあると思います。しかし、職員も、どの程度を目安に我々も頑張ろうか、窓口でどれだけサービスができるだろうかと、そういうことも含めて目標も立てさせていただいておりますので、この点についても御理解を賜りたいと思っております。 いずれにしても、御指摘は本当にすばらしいものでございます。今申し上げました主要なる行政計画は根拠や数値目標がはっきりしておりますが、そうでない部分に関しては、かなり御指摘のように数値や目標がはっきりしておりません。したがいまして、今後、そうした数値目標そして説明、こうしたものをできるだけ多く挿入させていただきたい、このように考えております。 次に、現在使われている各種の数値についても、社会の変化に対応して見直しを行うべきではないかという御提案であります。全くそのとおりだというふうに思っております。徐々にそうした見方を含めて、チャンスがあればどんどん社会の変化に対応して、数値の見直し、根拠の見直し、そうしたものを図っていきたい、このように思っております。 次に、所得制限についてでございます。 大変難しい御質問でございます。県民の皆さんに対して行う補助等に所得制限をつける、大変難しい話でありますが、事業の目的や対象者はもちろんのこと、準拠する法令、他団体や類似事業の状況、過去の経緯、財政的な影響などを総合的に勘案した上で決定をせざるを得ないと思います。議員のお話にあったような助成や補助事業以外にも、例えば県立高等学校の授業料のように、生活保護法の規定による生活扶助を受けている世帯などを減免対象としているものもあり、それらの基準は事業の目的により異なったものにならざるを得ません。こうした所得制限の根拠などについて必要に応じて事業内容などにより明らかにしていくほか、私が知事に就任しましてからも予算の知事審査の資料も公開しておりますので、そういう意味で、なぜ所得制限の根拠があるのかということについて御理解をいただけるものだというふうに思います。 御提案がありました所得制限の基準を統一するということについて、確かに分かりやすいというメリットはあるな、研究しなければいけないというふうに思ってはおります。ただ、事業ごとに対象者や目的が異なっておりますし、関連の法律も違います。県民の生活実態に即した支援等が逆にかえって難しくなるような、そういう部分も出てくるのかなというふうに思っております。そういう意味では慎重に研究しなくてはいけないのかな、こんなふうに思っております。統一そのものは基本的に困難ではなかろうか、こんな思いを持っております。しかし、有意義な御指摘ですので研究させていただきたいと思います。 次に、組織の在り方についてのお尋ねでございます。 現在、行政に求められているのは、御指摘のとおりスピードであります。公務員に対する批判の多くの部分が「遅い」ということであります。時々私のところにお褒めのお手紙やメール、ファクスが入りますが、大半が「素早く対応していただいた」と、こういうお褒めでございます。つまり、なかなか早くやらないということが前提に県民の皆さんの意識の中にあるような気がいたします。そういう意味でのスピードが大事だということについては、全く同感でございます。 したがって、今回の組織改正において重要課題に、迅速かつ適切に対応するために、例えば東京事務所などでは所長の下に参事や担当部長を横並びで設置しまして組織をフラット化し、意思決定の迅速化と機動化を図っております。従来縦のラインだったものがトップは所長のみという形で、横断的に仕事をするような仕組みにさせていただいております。したがいまして、東京事務所では一定の範囲の仕事を包括的に任されている職員の自律性が高まり、あるいは、全員で情報を共有し、柔軟な協力体制を組むような、そういう組織のフラット化の実例がございます。 また、御承知のとおり、創業・ベンチャー支援センターなど、職位としてはそれぞれありますが、相談業務や支援業務を行う組織でもございますので職員そのものが全員で当たっている。したがって、基本的には職員は窓口においてほとんど--所長、副所長はおりますが職位上のものでありまして、それぞれが窓口の業務をやっておりますので、仕事そのものはフラット化している、こういう現況がございます。できるだけそうした必要に応じて、フラット化した仕事の機動力というものを重点化したい、こんな思いはございます。 ただ、一点だけ申し上げたいのは、許認可事務等でございます。これは、権限と責任を明確にし、あいまいさをなくすために、また、厳重にチェックするという必要がございますので、これはやや職位に沿った形で事務をやっていかざるを得ないのかなというふうな、そういう認識を持っております。いずれにしても、御提案の趣旨は大変意義のあることだと思いますので、より一層、簡素で効率的なスピード感のある仕事の仕組みをつくっていきたい、このように思います。 最後に、新エネルギーとバイオマスについてのお尋ねでございます。 まず、今後の本県におけるバイオマスの利活用についてでございます。 首都圏に位置する本県は、多くの人口を擁し多彩な産業が集積する一方、何よりも多量の廃棄物を排出するという現状がございます。また、緑豊かな山地や田園を持ち、大消費地を支える農業生産が活発に営まれておることも特筆することではないかというふうに思います。 議員御指摘のように、廃棄物系バイオマスや農林業から発生するバイオマスを新エネルギーの資源として利活用できないか、これは本県の温暖化防止の上でも重要な課題ではないかという御提案に賛同するものでございます。現状で申し上げますと、バイオマスエネルギーは石油に比べて経済的にまだ不利であること、広く薄く分布するバイオマスをどのように収集、集積するかという課題もございます。このため、廃棄物や農林業から発生するバイオマスの地域ごとの量や利活用に当たっての課題など、今年度策定する新エネルギービジョンの中で整理しまして利活用の促進に努めたい、このように思います。 次に、バイオマスを推進する特命課室を早急に設置すべきではないかというお問い掛けでございます。 バイオマスの利活用を促進するために、事業の内容や規模に合わせて、民間企業、地域団体が主体的にあるいは相互に協力して、それぞれ役割を果たしていくことが必要不可欠ではないかと思います。したがいまして、現在、エネルギー事業者から二名の社員を派遣していただいて専担グループを編成しております。現在、民間企業の経験と知識を結集して、新エネルギービジョンの策定を進めているところでもございます。バイオマスエネルギーのプロジェクトは、既に民間企業等が主体になって推進しておりますので、県としては、まずこれらの支援を優先していきたい。特命課室については、その状況を見てその導入については検討する、こういう順序が必要ではないかと考えております。 以上であります。       〔橋本光男総合政策部長登壇〕 ◎橋本光男総合政策部長 御質問二、組織の在り方についてのうち、私に対する御質問にお答えを申し上げます。 まず、今回の部局再編により仕事の内容がどのように変わったのかについてでございますが、今回の改正で、環境と防災という異質な業務を併せ持っていた環境防災部を、環境部と危機管理防災部に再編いたしました。このことにより、仕事がそれぞれの分野に特化され、深く掘り下げて進められるようになりました。例えば、危機管理防災部では、全国に先駆けた危機管理・防災予備員制度の創設や消防の広域化などを進めるなど、危機管理体制の整備をより積極的に進めております。 また、部局の再編に合わせ、部局を越え複数課にまたがる関係業務の整理を行い、関連する仕事を一体的に行う体制も整備いたしました。例えば、SR沿線整備の推進を図るため、総合政策部交通政策課と県土整備部市街地整備課のSR沿線地域の整備業務を、総合政策部の拠点整備推進室長に集約いたしました。また、埼玉スタジアム二〇〇二公園内の維持管理及び利用促進を浦和レッズと連携しながら総合的に推進するため、県土整備部公園課、総務部県民生活課及び国体国際スポーツ大会局青少年国際サッカー大会室長の関連業務を、都市整備部スタジアム管理室長に集約いたしました。 次に、部局再編によるメリット、デメリットについてでございますが、まず、メリットといたしましては、健康福祉部を分割した福祉部と保健医療部、県土整備部を分割した県土整備部と都市整備部では、所掌事務が軽減され、政策課題について議論する時間が十分とれ、職員の共通認識の形成や円滑な意思疎通が図られるなど効果が表れております。また、部長が積極的に地域機関に出掛け、職員の意見を聞く機会が増えたことなどにより、職場の活性化が図られております。 一方、これまで同じ部で総合的に行っていた県民サービスの連携が部を分割することによって損なわれるというデメリットも考えられますが、例えば福祉部と保健医療部では、福祉保健総合センターにおける福祉と保健医療の総合的なサービスの提供体制を維持するとともに、両部の政策企画担当を相互に兼務させ両部の連携を図っております。 次に、権限が地域機関にどのくらい委譲されたかについてでございますが、平成十七年度は、前年度が三十五件であったのに対し、NPO法人の認証など九十四件と、大幅な権限を地域機関に委譲したところでございます。 次に、効率化の成果を県のホームページなどで公開することについてでございますが、今回の再編により、部長の負担が軽減したため決裁の時間が短縮されるなど、前年度に比べ仕事の処理が速くなりました。また、部局横断的政策課題につきましては、例えば子育て支援では、庁内十二部局四十九課室長から成る部局横断的な組織の設置、企業誘致では、企業誘致推進室と企業局分譲推進課の職員の相互の併任など、部局横断的な組織や部局間の兼務、併任を積極的に活用して取り組んでいるところでございます。さらに、組織の再編により責任を持って機動的に対応できる組織体制を整備するとともに、百七十名の定数を削減することで効率化を図ったものでございます。 お話のように、組織再編に伴う成果を県民に分かりやすく説明することは大変重要なことであると認識しております。今後、組織再編の成果につきましても、ホームページで分かりやすく公表してまいります。 次に、職務のスピードアップのための組織のフラット化についてのお尋ねのうち、役付職員の割合についてでございますが、現在の役付職員数を維持した場合には、その割合は全体の職員数との関係で決まってまいります。将来の職員数につきましては、行財政改革プログラムにおきまして、今後二年間でおおむね百九十人の削減を行うこととしております。その後につきましては定数削減の計画も未定でございますので、全体の職員数を推計することは困難でございます。 したがいまして、現時点では役付職員数が変わらない場合、平成十七年四月現在の役付職員の比率五三・六パーセントが、行政改革プログラムの最終年度に当たる平成十九年度には五四・九パーセントとなり、役付職員の占める割合が最大になる見込みでございます。 なお、役付職員の総数につきましては、ここ数年減少しておりまして、平成十五年四月の四千五百十一人が、平成十七年四月には四千四百七十二人と、三十九人の減少となっております。役付職員数は全体の組織規模や業務の質や困難度により変わってくるものと考えております。 次に、人事権を各部に委譲してはどうかについてでございますが、高度かつ専門化していく行政需要に的確に対応していくためには、それにこたえていくことができる職員を確保、育成し適材適所に配置していくことが必要であります。これまでも専門知識を有する福祉職や技術系職員を計画的に採用するとともに、広範な知識や経験が求められる県税や用地買収の分野、また、技術革新の速い情報技術の分野などにつきましては、各部局の意向を尊重するとともに、職員の意向や適性を勘案し適任者を配置してまいりました。こうした専門的知識や経験を必要とする分野については、その分野に長く従事させることなどにより、専門的知識や経験などを積ませ、スペシャリストとして育成することが重要でございます。 今後、限られた人員の下で、県民の皆様に良質で効率的な行政サービスを提供していくためには、職員の専門性の確保がなお一層必要となってまいりますので、スペシャリストの育成に向けて、人事異動や人事管理における各部局の関与の在り方などについて検討してまいります。       〔坂口護総務部長登壇〕 ◎坂口護総務部長 御質問三、NPO法人の監督指導についてお答えを申し上げます。 まず、県内NPO法人の実態把握及び監督指導についてでございますが、法人設立申請時において認証申請書に添付されました定款、役員名簿、事業計画書、収支予算書等の書類を審査するとともに、県民のチェックを受けるため二か月間の縦覧を行っております。審査に当たりましては、営利を目的とする団体でないか、宗教活動や政治活動を主たる目的とする団体ではないか、また、暴力団そのものや暴力団構成員の統制下にある団体でないかなど、認証の基準を満たしているかを審査しております。また、法人設立後は毎年度提出されます事業報告書、収支計算書等の書類により法人の活動が定款に照らして適切かどうかなどをチェックするとともに、県民や関係する機関からNPO法人の不適切な活動に関する情報提供があった場合には、必要に応じて現地調査や報告徴取をするなど監督指導に努めております。その結果、これまでに、指導に当たる報告徴収一件、改善命令を行い認証取消しに至ったものが二件ございます。NPO法人は、その情報をできるだけ公開することによって、市民の信頼を得て、市民によって育てるべきであるという基本的な考え方があります。 議員御提案の認証取消しや改善命令の県民への公表についでございますが、現在行っております認証取消しの記者発表に加え、今後は改善命令についても記者発表をするとともに、両処分とも、本年七月にスタートいたしましたNPO活動に係る情報提供システムでございます埼玉県NPO情報ステーションで公表してまいります。       〔齋藤健副知事登壇〕 ◎齋藤健副知事 御質問四、新エネルギーとバイオマスについてのうち、新エネルギーについてお答えを申し上げます。 鈴木議員御指摘のとおり、京都議定書における我が国の温暖化ガス削減目標は、現時点におきまして相当高いハードルとなっておりまして、我が国としてもあらゆる努力を傾注することが必要となっております。新エネルギーの導入促進も、このような観点から積極的に取り組むべき課題と認識をいたしております。 ただ、一方で、一般に新エネルギーはコストが割高で供給の安定性や熱効率性、これに劣るという問題点もございまして、本格的な導入に向けての課題も多くございます。このため、現時点での国内での導入量はエネルギー総供給量の一パーセント台にとどまっているというのが実情でございます。 したがいまして、今後の新エネルギーの導入促進に当たりましては、国や自治体そして民間がそれぞれの強みをもとに役割分担をしながら課題解決に取り組んでいかねばならないものと考えております。 本県の現状でございますが、太陽光発電あるいは一般廃棄物を利用した発電や熱利用、天然ガスコージェネレーションシステムなどを中心に新エネルギーの導入が進展してきておりまして、平成十六年度には、県で把握しているだけでありますが、原油換算でおよそ十六万キロリットルに相当する量になっております。 今後の県の対応といたしましては、県内の地域ごとの特性に応じまして、事業の主体となる地元自治体や地域のNPOの皆さん、企業などと協力しながら、各種新エネルギーのきめ細かな導入を図っていくことが県の役割として重要であろうと認識いたしております。そういう意味では、知事の答弁にもありましたように、地域特性を生かしたバイオマスの利活用を推進していくことは、本県が努力を傾注すべき重要な政策分野であろうと考えております。 また、圏央道等の道路整備に伴いまして、今後、物流施設が集中してくることが予想される中で、あらゆる面で環境に優しい天然ガス自動車の導入も重要な課題でございますし、まだ技術的な課題があるものの、革新的技術であります燃料電池の導入も今後の検討課題だろうと思っております。 現在、本年度中の策定を目指し新エネルギービジョンの策定作業中であり、本県の場合、議員御指摘のバイオマスエネルギーの導入促進が中心課題になろうかと存じますが、この作業の中で本県の地域特性や導入上の課題を整理いたしまして、新エネルギーの利用割合を高めるよう努めてまいりたいと思います。 また、御指摘の効果につきましても、その中でできるだけ具体的に分かりやすく示す工夫をしてまいる所存でございます。       〔中村健二保健医療部長登壇〕 ◎中村健二保健医療部長 御質問五、医療コストの削減についてお答え申し上げます。 少子高齢社会の中で増え続ける医療費をどのように負担していくかは国家的な課題であり、医療機関にも医療コストの削減、医療の効率化が求められております。議員お話しのとおり、レセプトの電子化や電子カルテの普及は、膨大な医療情報が分かりやすく整理されることで診療内容の比較が容易になります。また、経営分析への活用や効率的な医療の提供により医療費の適正化にも寄与するものと期待されます。医療機関にとっても、これら情報システムの導入により情報管理の向上による医療安全の確保や、患者にとって分かりやすく、かつ効率的な医療を提供するという経営の近代化に向けて取組を加速させることができます。 こうしたシステムを普及していく際の課題としましては、レセプトの電子化については、その効果的な運用を図るための医療機関、審査支払機関及び保険者など関係機関を結ぶ一貫したオンラインシステムの構築が挙げられます。また、電子カルテシステムについては、病名などの用語の統一や患者情報の整理の仕方の規格化といったソフトウェアの標準化などが課題となっております。県といたしましては、こうした医療機関のIT化によるメリットについて医師会などを通じて各医療機関に理解を求めていくとともに、国に対しましては、医療用語の標準化やカルテ整理の規格化など、医療情報が全国的に統一されたものとなり有効に活用できるよう、その基盤整備の推進について働き掛けてまいります。 次に、御質問六、市町村国保の経営安定についてでございます。 議員御指摘のとおり、市町村国保は、高齢者や低所得者の増加、医療費の増加、収納率の低下などから、本県においても大変厳しい運営状況となっております。このような中、平成十七年四月一日に国民健康保険法が改正され、新たに県財政調整交付金制度が導入されました。県財政調整交付金は、市町村が行う国民健康保険の財政を調整するため県が市町村に対し交付するもので、普通調整交付金と特別調整交付金の二種類で構成されております。普通調整交付金については、市町村における医療費や国保加入者の所得水準などの違いを勘案して交付するものですが、市町村国保財政に与える急激な影響を考慮して、当分の間は定率国庫負担の減少に相当する額を交付いたします。また、特別調整交付金については、国民健康保険事業の健全な運営を推進する事業などに対し交付するものであります。 この条例を踏まえ、市町村国保の経営安定化にどのように取り組んでいくのかについてでございますが、国保の安定化については、生活習慣病の予防や健康づくり対策などによる医療費の抑制、そのほか、国保税の収納率向上が大変重要でございます。このため、このような事業に積極的に取り組んでいる市町村に対して特別調整交付金を重点的に交付してまいります。また、県といたしましても、健康づくりの効果的な事業の提案や経営安定化に関する研修会などを実施し、市町村を支援してまいります。 条例案の策定に当たりましては、交付のルールについて市長会や町村会の御意見を伺うとともに、担当課長会議の開催やアンケート調査を実施するなど、市町村の意見、要望を十分承っております。 今後、条例の運用に当たりましては、市町村の実情などきめ細かく配慮し、国保の経営の安定化につながるよう努めてまいります。       〔大津晄福祉部長登壇〕 ◎大津晄福祉部長 御質問七、介護保険制度についてお答えを申し上げます。 まず、介護保険制度のシステムをどう維持していくかについてでございます。 制度の持続可能性を確保し、将来にわたり高齢者の生活の安心を支えられるよう、制度全般にわたり、今回改正が行われたものでございます。このため、県といたしましては、まず、今回の改正により新たに創設された介護予防事業の積極的な展開を関係部局と連携して促進してまいります。この介護予防事業は、正に市町村の創意と工夫、熱意が試されるものでありまして、こうした市町村間の知恵比べは、結果的に介護保険制度の運営にとっても大変好ましい影響を与えるものと認識しております。しかしながら、財政上あるいはサービス提供事業者の状況により、人口規模の小さな町村では十分な制度運営が行えないことも考えられますことから、介護保険の認定事務の共同化や保険財政などを含めた制度の広域化など、市町村合併の状況を見ながら働き掛けてまいります。さらに、ケアプランチェックなど、事業者指導にも力を入れてまいります。 次に、地域包括支援センターの運営支援についてでございます。 介護予防事業の中心として地域包括支援センターが効果的に運営されていけば、介護給付費の節減につながるものと期待しております。そのため、県といたしましては、今後とも制度上認められている二年間の猶予を待つことなく早期に地域包括支援センターが設置されるよう、設置のための手引書の作成をはじめ、介護予防研修や人材の養成など、市町村への支援に努めてまいります。 次に、ショートステイや在宅支援の改修費枠の拡大についてでございます。 ショートステイにつきましては、今後とも利用定員を拡大してまいります。在宅支援の改修費枠の拡大につきましては、利用者の状態に応じ必要な住宅改修が行われることは重要であると考えておりますので、国に要望してまいります。 次に、特別養護老人ホームの整備見込みと民間参入の可能性につきましては、新生埼玉行動計画に基づく二万人分の整備を十九年度までに達成するよう努めてまいります。また、特別養護老人ホーム整備への民間参入については、平成十六年六月に株式会社による設置を認めるよう国へ特区申請いたしましたが、国において、特別養護老人ホームの目的に照らして自治体及び社会福祉法人が関与することが前提であるとの理由で認められませんでした。 次に、施設経営の中での人件費増加の問題につきましては、現在、一部屋に二人以上のベッドを有する特別養護老人ホームよりも、より人手を必要とする新型特別養護老人ホームについて介護報酬が低いという逆転現象が出ております。これにつきましては、国において、直接、施設に状況についてアンケート調査を実施し、来年四月の介護報酬改定の参考にすると伺っております。県といたしましても、適正な介護報酬となるよう国に要望してまいります。       〔稲葉喜徳教育長登壇〕 ◎稲葉喜徳教育長 御質問八、小中学校の学校経営と単位制導入についてお答えを申し上げます。 まず、学校教育の運営についてでございますが、我が国の義務教育制度では就学期間を満六歳から満十五歳までと定め年齢により進級させる、いわゆる年齢主義に立っておりまして、同年齢の子供は同学年で学習するということが原則となっております。したがって、一般的に健康上の理由などの一部を除いて、年度末に進級や卒業の認定がなされているところでございます。このような制度の下では、必要なことを十分習得することなく進級や卒業する場合もあり、御指摘のように、その後の学習に著しく支障を来している例もあると認識しております。 こうしたことから、本県では独自の取組として、平成十七年度から教育に関する三つの達成目標の取組をすべての小中学校で展開することといたしました。これは、それぞれの学年で確実に身に付けなければならない基礎的・基本的な内容を徹底して習得させることを目的としております。例えば、小学校二年生では掛け算の九九を習得させることを目標の一つとしておりまして、このため、少人数指導や習熟の程度に応じた指導などを行っております。それでもなお身に付かない場合には、放課後の時間や夏休みなどを活用し補充的な指導を行うこととしております。また、引きこもりや不登校の児童生徒に対しましても、保護者と学校との間に十分な連携・協力関係を築く中で、担任や相談員が家庭訪問し、自宅での学習活動の支援に取り組んでおります。これまで、ともすれば学力の達成状況が十分反映されることなく、進級や卒業がなされてきた嫌いがございましたが、今後は達成状況を十分検証し、必要な力を確実に身に付けさせることにより、義務教育の責任を果たす学校経営の推進に努めてまいります。 次に、単位制を導入することについてでございますが、小中一貫教育は、小学校と中学校の垣根をなくすことで、小学校の内容を中学校相当の学年で扱ったり中学校の内容を小学校相当の学年で扱うなど、柔軟で系統性のある教育を円滑に行うことが可能となります。また、単位制につきましても、学習内容の確実な習得を目指す上で一つの有効な考え方であると存じます。県内でも一部の市町村で小中一貫教育を目指した試みが見られますので、こうした課題について市町村教育長会議などにおいて取り上げ、特区も念頭に置き、研究してまいりたいと存じます。       〔樋口和男都市整備部長登壇〕 ◎樋口和男都市整備部長 御質問九、新たな街づくりについてお答え申し上げます。 鈴木議員のお話にございました人口減少社会と超少子高齢化社会の到来は、埼玉県におきましても、近い将来現実となると予想されております。 そこで、埼玉県の都市計画は、これまでの人口増の受皿としての市街地の拡大から市街地の質の向上へと、大きく転換することが必要であります。厳しい財政状況の中、より効率的な都市整備を進める観点からも、コンパクトな市街地形成が求められているところでございます。特に中心市街地におきましては、商業業務に加え、医療、福祉、文化などの多様な機能を集積させ、にぎわいを取り戻すとともに、都市サービスを享受できる町中の居住機能を充実し、誰もが、歩いて快適に暮らせるまちづくりを実現することが重要でございます。一方、都市の近郊におきましては、道路や下水道などの生活基盤が整い、豊かな緑や農地と調和したゆとりのある居住環境の実現を図っていくことが重要でございます。その実現のためには、市街地の郊外への拡大抑制や中心市街地と都市の周辺部とのめり張りのある土地利用制度の適用が考えられます。また、市街地再開発などの従来の手法に加え、さらに、民間活力を効果的に誘導するとともに地区計画制度を活用するなど、住民主体のまちづくりを進めていくことがより大切と考えております。 国におきましても、現在、都市計画の基本政策をコンパクトな都市形成へと転換する方向で法改正を視野に検討が進められておりますので、県といたしましては、その動向を見極めながら市町村との連携の下、多様な手法を有効に活用し、活力とゆとりのあるまちづくりを進めてまいります。       〔小沢隆県土整備部長登壇〕 ◎小沢隆県土整備部長 御質問十、地元問題についてお答えを申し上げます。 まず、(一)都市軸道路についてでございますが、この道路は、江戸川に架かる流山橋の慢性的な交通渋滞の解消を図るとともに、平成十七年八月に開業いたしました、つくばエクスプレス沿線地域の交流促進にも寄与する路線として計画されております。現在、三郷市彦糸二丁目地内の都市計画道路三郷吉川線との交差点を起点といたしまして、江戸川を挟んで千葉県流山市までの約五・六キロメートルの区間について、平成十七年中の都市計画決定を目指して手続を進めております。 お尋ねの今後の見通しについてでございますが、国や千葉県、地元市などの関係機関と連携を図りながら、事業効果が早期に発揮できる整備方法を検討の上、事業化に向けて検討してまいります。 次に、(二)常磐自動車道三郷料金所スマートインターチェンジについてでございますが、このスマートインターチェンジにつきましては、平成十七年六月に三郷市が社会実験候補地として国に登録申請を行っております。 お尋ねの県の取組についてでございますが、都市軸道路の計画や周辺道路の整備状況を踏まえ、現在、国・県・市で社会実験の実施に向けた検討を進めております。その主な課題といたしましては、料金徴収施設や取付道路の改良、需要の見込みなどでございます。県といたしましては、これらの課題を整理いたしまして、高速道路を管理する東日本高速道路株式会社や交通管理者などと更に協議を進めてまいります。               ----------------
    △休憩の宣告 ○長峰宏芳副議長 暫時、休憩をいたします。午前十一時十五分休憩               ----------------午後一時一分再開  出席議員   八十五名   一番   四番   五番   六番   七番   八番   九番   十番   十一番  十二番  十三番  十五番   十六番  十七番  十八番  十九番   二十番  二十一番 二十二番 二十三番   二十四番 二十五番 二十六番 二十七番   二十八番 二十九番 三十番  三十一番   三十二番 三十三番 三十四番 三十五番   三十六番 三十七番 三十八番 四十番   四十一番 四十二番 四十三番 四十四番   四十五番 四十六番 四十七番 四十八番   四十九番 五十番  五十一番 五十二番   五十三番 五十四番 五十五番 五十六番   五十七番 五十八番 六十番  六十一番   六十二番 六十四番 六十五番 六十六番   六十七番 六十八番 七十一番 七十二番   七十三番 七十四番 七十五番 七十六番   七十七番 七十八番 七十九番 八十番   八十一番 八十二番 八十三番 八十四番   八十五番 八十六番 八十七番 八十八番   八十九番 九十一番 九十二番 九十三番   九十四番  欠席議員   六名   三十九番 五十九番 六十三番 六十九番   七十番  九十番  地方自治法第百二十一条の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(都筑) 副知事(齋藤)   出納長      総合政策部長  総務部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  公営企業管理者   病院事業管理者  教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○長峰宏芳副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。               ---------------- △質疑質問(続き) ○長峰宏芳副議長 質疑質問を続行いたします。 四十一番 近藤善則議員       〔四十一番 近藤善則議員登壇〕(拍手起こる) ◆四十一番(近藤善則議員) 四十一番、西第五区選出、自由民主党の近藤善則です。 議長のお許しをいただきましたので、発言通告に従い、順次質問させていただきます。 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、まず、首長の多選禁止についてお伺いします。 今回の衆議院総選挙において、自民党は新人候補が八十三人も当選し、正に歴史的勝利でありました。埼玉県においても、三十代、四十代という、子供を育てながら親の面倒を見なければならない世代から六人も当選を果たしました。これは、この世代が中心となる新しい自民党の幕開けを国民が期待した結果ではないでしょうか。この清新な人材を育成することが大きな仕事だと、自民党の武部勤幹事長が語っていたことを思い出します。このことは、国会だけでなく、地方議会、特に埼玉県議会についても言えるのではないかと思います。今、埼玉県においても人材育成をする時期だということです。埼玉県知事の在任期間に関する条例は、知事が幅広い権限を有する地位にあることにかんがみ、知事の職に同一の者が長期、三期十二年を超えて在任することにより生ずるおそれのある弊害を防止するため、知事の在任期間について定め、もって、清新で活力のある県政の確保を図ることを目的としています。この趣旨をより推し進めていくと、三期で交代するから今から若手政治家を磨き育てなければ間に合わないのではないかという考えにつながると思います。私が知事の立場であれば、埼玉県の将来にも責任あると考え、埼玉県を背負って立つ人材の育成に精力を傾注すると思いますが、上田知事の御見解をお伺いします。 また、多選自粛条例の趣旨は市町村長にも推し進めるべきだと私は考えます。三期務めた市長と五期務めた町長が、合併後の新市の市長選に立候補したとして、どちらが当選しても清新で活力のある市政の確保を図ることができるかどうかは疑問だからです。埼玉県の政治家のトップである上田知事の忌憚のない御見解をお伺いします。 次に、公職兼任制の導入についてお伺いします。 昨年、アメリカでは大統領選挙が行われ、民主党のケリー候補を共和党のブッシュ候補が破って再選したことは御存じのことと思います。しかし、落選したケリー候補が今も上院議員として議員活動を続けていることを知っている人は少ないのではないでしょうか。これは、アメリカをはじめ先進諸国では、我が国のように別の立場に立候補するだけで当選するか否か分からないうちに現職を自動的に失うという潔癖な仕組みではなく、現職のままで立候補ができ、当選した場合に公職兼任となるため現職を失うことになるが、落選の場合には任期まで現職を続けられるという仕組みになっているからです。さらに、フランスでは、実態として公選職で幅広く兼任が行われ、中央政府の大臣や国会議員は多くの場合、同時に地方団体の首長や有力議員でもあり、地方の声を国政に反映させる機能を果たしています。 我が国のような兼職禁止の制度では、新しい立場への挑戦はリスクが大きく、青雲の志あふれる前途有為な青年政治家ですら、なかなか踏み切れない高い敷居となっているのが現実です。結局、運良く親などの地盤を引き継ぐか、マスコミの寵児であるか、よほど生活に余裕があるか、寛大な後援会など特別な資金源があるか、あるいは家族を含めて悲惨な生涯を送ることにも甘んずる悲壮な覚悟をするというものでない限り、高い志があっても挑戦すること自体を断念するしかない場合が多いのではないでしょうか。良識ある一般国民と共通した責任感や生活感覚を持った人々が政治の世界により多く参画していくようにするには、立候補のリスクを極小にした方が良いのではないでしょうか。また、志ある人々を調達し養成、訓練するには、その経験の場を広げられる新しい立場に挑戦すること自体は容易にした方が良いのではないでしょうか。公職兼任が可能になれば、若手は市町村議員から始め、能力が認められれば現職のまま県議会や国会へ挑戦できることになります。このことから、潔癖な現在の兼職禁止、すなわち立候補制限制度を見直し、当選した場合に現職を失う制度を導入すべきと考えますが、知事の御見解をお伺いします。 次に、少子化対策についてお伺いします。 先日の総務省の発表によると、全国の六十五歳以上の高齢者が総人口に占める割合は今年初めて二〇パーセントに達したとのことであります。また、二〇三〇年には三〇パーセントにまで上昇するとの予測もあります。一方、合計特殊出生率を見ると、一九七四年には二・〇五でしたが、二〇〇四年には一・二九まで低下しました。ちなみに、本県の合計特殊出生率は一・二〇で、全国で四十一番目という低さです。全国でも二番目に県民の平均年齢が若い埼玉県ですが、急速に高齢化が進行しています。現在、四・三人で一人のお年寄りを支えていますが、私が六十五歳を過ぎる二〇二五年には二・二人で一人のお年寄りを支えなければなりません。二十年後にも活力ある埼玉であるために、更に一層の少子化対策の充実が求められるところであります。 ところで、私は、少子化の大きな要因として、晩婚化、非婚化が挙げられると思います。平均初婚年齢の推移を見ると、男性、女性とも上昇傾向にあり、二〇〇二年で男性は二十九・一歳、女性は二七・四歳まで晩婚化が進行しております。また、年齢階級別の未婚率を見ると、特に二十代から三十代にかけて未婚率が著しく上昇しており、今や男性は二十代後半の約七割、三十代前半の約四割が、女性は二十代後半の約五割、三十代前半の約三割が未婚者であります。 晩婚化、非婚化の要因としては、これまで、仕事を持つ女性が増えて女性の経済力が向上したことが指摘されてきました。しかし、近年では、ニートやフリーターの増加による若者の経済力の低下も、晩婚化や非婚化の要因として指摘されています。ニートに関する詳しいデータはまだありませんが、慶応大学の樋口教授の調査によれば、二十代から三十五歳のどの年齢においても、フリーターは正社員に比べて有配偶率が低いという調査結果が出ております。経済力の弱いニートやフリーターの増加は婚姻率を押し下げ、婚姻率の低下は出生率を押し下げることになります。このため、少子化対策として、ニート、フリーター対策が重要であります。 ニート、フリーター対策のため、学校教育におけるキャリア教育の充実の必要性が叫ばれております。私は、親が子供に対し、いつまでも経済的に支援を与え、甘やかし続けたりすることが、ニートやフリーターが増加する一つの大きな要因であると考えます。そこで、私は、ニートやフリーターの若者を増やさないために保護者への働き掛けが重要であると考えますが、ニート、フリーター対策のために保護者への啓発にどのように取り組んでいるのか、産業労働部長の御答弁をお願いいたします。 ところで、少子化対策は、こうした晩婚化、非婚化に対する対策だけではなく、これから子供を産む世帯、二人目、三人目を望んでいる世帯への支援策も、より一層充実させていかなければならないことは言うまでもありません。特に、少子社会を脱却するためには、県としても、二人目、三人目の子供を持ちたいと思えるような環境を整えることが必要です。 その一つとして、私は、小学校卒業までの医療費を無料化し、子供が増えても負担は増えないような対策をとるべきではないかと考えます。二人目、三人目と子育てをしている家庭では、兄弟が学校に上がっている家庭も数多くいらっしゃいます。兄弟に病気が移ることはよくあります。子育ての大変な時期に更に医療費の負担がのしかかります。また、「小学校に入ったら医療費の助成を受けられなくなるけれども、せめて小学校の間だけでも医療費を見てもらいたい」という声もよく聞きます。子育て中、親にとって、この声は切実な願いではないでしょうか。現に、県内の市町村では、小学校卒業までの医療費無料化に取り組んでいるところがありますし、他県でも年齢の引き下げを検討しているところでもあります。当初予算からの試算によりますと、県の医療費の助成を小学校就学前までとした場合の所要額は約三十三億円、小学校卒業までとした場合の所要額は約六十二億円になります。仮に県の財政状況が厳しいので難しいと言うのであれば、本人負担を三分の一とし、残りを県と市町村が負担するという制度も考えられます。埼玉県として、乳幼児医療費助成制度の対象を乳幼児に限定するのではなく、小学校卒業までの子供を対象に事業を再構築すべきと考えますが、保健医療部長の御答弁をお願いいたします。 次に、子供たちへのより充実した教育の実現についてのうち、まず、少人数学級編制の実施についてお伺いします。 少人数学級編制の実施につきましては、県では、平成十四年度から小学校一・二年生及び中学校一年生について、一年生三学級以上で一学級当たり三十八人を超える学校を対象に少人数学級編制を実施しております。平成十六年度からは、一学年三学級以上という制限をなくすとともに、小学校一年生については一学級当たり三十五人を超える学校を対象とし、さらに、平成十七年度は小学校二年生についても三十五人を基準とすることとしました。このように、県は少人数学級編制基準の弾力化を進めてきており、この結果、平成十七年度、県における一学級当たりの平均人数は、小学校一年生では二十八・六人、小学校二年生では二十八・九人となっているとのことです。対象学年が特定の学年に限られているものの、私がこれまで主張してまいりました学級編制の弾力化が進んでおり、このことについては評価できるものと考えます。 しかし、まだまだ十分ではないところもございます。例えば、小学校三年生で一学年百十九人の場合、現在の学級編制基準では学級増ができず、一学級当たり四十人ないし三十九人の学級編制になってしまいます。四十人では児童一人一人に目が行き届かず、集団生活の中できめ細かな指導を行うことは難しくなります。また、地球温暖化によりまして、今までの七月の授業では、昔はそんな暑くなかったんですけれども、今は三十七度、八度というのが一般ですから、子供たちにとっても、人数が多いことにより過酷なところで授業を受けているわけであります。 そこで、この少人数学級編制を小学校三年生以上にも拡大し、さらには、一律の学級編制基準ではなく、学校の状況に応じた弾力的な学級編制が可能となるような制度が整備できないものか、市町村が独自に少人数学級編制を小学校三年生以上にも拡大した場合、県としてそれを支援、補助できないか、教育長にお尋ねいたします。 次に、半ドンの復活についてお伺いいたします。 平成十五年九月定例会の一般質問においても取り上げたものであります。なぜ繰り返し質問するのかと申しますと、子供たちや学校の様子を見るにつけ、学校週五日制が完全に実施されてから四年目に入った現在でも、土曜日が休みになったことに伴う課題が依然として解消されていないと考えるからであります。私の子供が小学校一年生だったころ、学校週五日制のため、五時間授業の日が週に三日間もありました。学校から帰ってくると疲れて外で遊ぶ元気もなくなり、ぐったりしております。そもそも小学校一年生が集中して勉強できるのは、午前中の四時間が限度だからだと思います。疲れているのは子供たちだけではありません。学校の先生方も、それまで六日間でこなしていた仕事を五日間でやらなくてはならず、大きな負担となっていると聞いております。また、本来、五日制の趣旨は、子供たちを家庭や地域に帰して、自然体験や社会体験など様々な活動を経験させ、生きる力をはぐくむことにあったわけですが、土曜日も働いている保護者が多く、地域も、子供たちの受皿に十分なり得ていない状況にあります。さらに、子供たちに確実に身に付けさせたい学力についても、国際的な学力調査の結果などからその低下が指摘されておりまして、保護者の不安が広がっております。文部科学省が本年六月に発表した義務教育に関する意識調査では、「放課後や土曜日、夏休みに補習授業を行う」という質問に、六一・四パーセントの保護者が賛成という結果になっておりますが、これも五日制の課題に対する保護者の不安の表れではないでしょうか。このような状況を見ますと、せめて半ドンの復活を強く願うものであります。法令により六日制の復活は難しいということであるならば、法令改正を国に要望するあるいは特区を申請して六日制を行うということはいかがでしょうか、教育長の御見解をお伺いします。 次に、県立高校の大学への進学状況についてお伺いします。 私は、平成十五年九月定例会で、東大の合格者に占める埼玉県の高校生の割合が低いため、その改善のための施策について幾つか提案をいたしました。しかしながら、十七年三月の本県の東大合格者は、週刊誌によれば、公立五十人、私立十六人で、計六十六人であります。全国の高校生の数から考えても低い水準にあり、埼玉県全体としていまだに進学指導に問題があるのではないかと考えます。最近のテレビドラマで、学力の低い子供たちがすばらしい教師の指導で見事東大に合格する話がありました。これはドラマですが、外部の専門家を頼んで生徒の興味を引き出す授業をしたり、効果的で効率的な勉強をさせたりするなど、多くの点で学ぶべきところがあるのではないでしょうか。東大に代表される大学上位校を目指し、日本国内はもとより世界で活躍できる有為な人材を埼玉県から輩出することは、教育立県を目指す埼玉の使命であると考えます。 そもそも学校は勉強するところであります。文部科学省が発表した国際数学・理科教育動向調査によりますと、「我が国の児童生徒の学力は国際的に見て上位ではあるが、学ぶ意欲や学習習慣に課題がある」としています。勉強すること、まじめに生きることが格好の悪いことのように考える風潮がありますが、全くとんでもないことであります。子供たち一人一人に対し時間をかけて、英数国などの基礎科目をしっかり身に付けさせ、まじめな姿勢を奨励することが大切であります。そのことが、ある子供にとっては大学上位校に進学する足掛かりになり、また、別な子供にとっては就職後に仕事をする上での基礎になると考えます。進路指導の充実を図るためには公立高校の教員を受験のプロ集団の中で研修させたり外部の専門家を学校に招いたりして、子供たちに勉強することの意味を見出させ、積極的に勉強に打ち込めるような環境を整えることが大切であると考えます。 そこで、本県の公立高校の大学、短大への進学率はどうなっているのか、また、より良くするためにはどのような方策があるのか、教育長にお伺いします。 次に、安心・安全な環境づくりについてのうち、まず、侵入盗及び街頭犯罪の傾向と対策についてお伺いします。 歌舞伎の弁天娘女男白浪のせりふに「知らざぁ言って聞かせやしょう。浜の真砂と五右衛門が歌に残せし盗人の種は尽きねえ七里が浜」、また、「石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の種は尽きまじ」と石川五右衛門が辞世の句に残したとおり、現在においても盗人は健在であります。私は、警察委員会の委員としてお恥ずかしい話でありますが、先月二十五日、丑三つ時、自宅の事務所に盗人が忍び込んで、江戸時代の金額でいえば約百両盗まれてしまいました。しかし、幸いにも命に別状はありませんでした。 そこで、侵入盗の被害は日常茶飯事に発生していると思いますが、本県における今年度の侵入盗及び街頭犯罪の傾向とその対策について警察本部長にお伺いします。 次に、交通安全対策についてお伺いします。 県内の交通事故の特徴として自転車事故の増加が挙げられます。そして、その多くが自転車の運転者に原因があるように思われます。夜間の無灯火の自転車は以前から多かったと感じますが、最近、目にするのは自転車の右側通行であります。左側を自転車で通行していると、平然として右側、すなわち正面から自転車が走ってくるのです。その相手が衝突を避けようと左にハンドルを切れば、今度は自動車と正面衝突しそうになります。実に危険であります。私の子供のころは、自転車は車道の左側、それも、歩道がなければ一番左と教え込まれたものですが、現在ではこうしたことを教えていないのでしょうか。自転車の交通ルールを子供たちに、いつ、どのように教育、指導しているのか、警察本部長にお尋ねいたします。 また、右側通行や無灯火自転車に対する取締り方法とその処罰はどのようになっているのか、併せて警察本部長にお伺いします。 次に、地元商店会行事と道路規制についてお伺いします。 私の地元の駅前名店街という商店会は、商店会活性化事業として一方通行の道路を利用して、商店会の会員が焼きそば等の露店を出したり子供向けのゲームの遊び場を設けてお祭りなどを行ってきました。これらは道路を通行止めにして行いますので事前に警察の許可が必要となります。道路の占用は許可されるのですが、露店を出すには事前の届出が必要となる上、一店につき二千五百円の費用がかかるそうです。商店会は、大型店の進出により、ただでさえ経営が厳しい上、露店一店につき二千五百円の負担が原因で商店会活性化事業が中止に追い込まれております。確かに露天商としての本職の場合、利益が目的で店の上がりも多いでしょうから、それなりの負担は当然だと思いますが、利益を度外視する商店会活性化事業としての露店に対しては、それぞれに一律二千五百円を負担させるのは酷であると考えます。商店会が置かれている現状を考慮していただき、商店会が行う事業全体としてとらえた費用負担の方策がとられれば、商店会の皆様やお祭りを心待ちにしている子供たちの安心にもつながると思うのです。この点について警察本部長の御見解をお伺いします。 次に、土地区画整理事業についてお伺いします。 私の地元では、平成五年に開業しました東武東上線ふじみ野駅に近接した駒林地区が、平成十一年に市街化区域に編入され、その翌年に組合を設立し、土地区画整理事業に着手しております。組合設立から既に五年を経過し、現在、道路や排水の整備を進めておりますが、まだ土地の利用はできない状況であります。個々の土地に必要な道路などの整備ができるまで、土地の利用が制限されているからです。一方、ふじみ野駅の周辺では、駅の開業以降多くの建物が建ち発展しています。駒林地区の地権者は一日も早い土地利用を望んでおります。しかしながら、県内で行われている土地区画整理事業では、事業期間の長期化が進んでいると聞いております。事業の長期化は、土地の活用ができないだけでなく、事業区域内に住んでいる地権者にとって家屋の増改築が長期にわたり制限されるという事態を招きます。地権者にとっては大変重い負担となります。さらに、固定資産税の問題があります。現在、市街化調整区域から市街化区域へ編入された農地は、四年間に限り宅地並み課税が軽減されています。しかし、市街化区域に編入された後も土地区画整理事業が実施されている区域の農地は、事業の仕組みとして整備が進むまで利用が制限されます。つまり、税負担が軽減される四年間を過ぎても利用できない場合があるのです。実際、地元の駒林でも、既に編入から五年を経過し軽減措置がなくなっているにもかかわらず、まだ土地利用はできません。利用できないのに税金は重くなる、このような状況が発生してます。 そこで、区画整理事業の事業期間の長期化に対し、県はどのような取組をしているのか、また、土地区画整理事業区域内では土地の利用できるまでの間、農地の宅地並み課税を軽減すべきと考えますが、都市整備部長の御所見をお伺いします。 次に、地元問題のうち、まず、県道東大久保大井線の拡幅事業の進ちょく状況についてお伺いします。 県道東大久保大井線の道路拡幅事業は、旧上福岡市内の八幡神社前から市道二四五号線との交差点までの間では一部を除いて順調に進んでおりますが、その進ちょく状況について県土整備部長にお尋ねします。 また、市道二四五号線との交差点から東武東上線踏切までの間は、駒林土地区画整理事業と併せて拡幅事業を実施すべきだと考えます。県道の拡幅用地は区画整理事業地内に確保されていますので、県道北側の拡幅事業に着手すべきだと考えますが、今後の見通しについて県土整備部長のご見解をお伺いします。 次に、県道さいたま上福岡所沢線の交差点改良事業及び歩道整備についてお伺いします。 上福岡市と大井町が合併して、今月一日に新市ふじみ野市が誕生しました。県道さいたま上福岡所沢線は、旧上福岡市の地区と旧大井町の地区を結ぶ路線であり、新市誕生に伴い、ますます重要な路線と言えます。旧大井町の地区の市民がふじみ野市役所に行くには、この県道を頻繁に利用するからです。こうしたことから、東武東上線の踏切においては、歩道が狭いため、自動車と自転車、歩行者との錯綜による危険がこれまで以上に懸念されるところです。この事業による早期の完成は待ったなしの状況と考えます。この県道の旧りそな銀行前の交差点改良事業とこれに伴う現埼玉りそな銀行までの間の歩道整備について、一日も早い完成を市民は渇望しています。また、川越街道と交差する亀久保交差点における右折車線新設の交差点改良も、是非とも必要だと考えますが、以上の二点について、県土整備部長の御見解をお伺いします。 最後に、川崎橋の架換えに伴う歩道整備についてお伺いします。 県道並木川崎線は、上福岡駅とJR南古谷駅を結ぶ貴重な幹線道路でありますが、近年は車両の通行が増大し、歩行者や自転車利用者等が極めて危険な状況にさらされています。歩行者や自転車利用者等への安全対策の充実が求められています。川崎橋の架換えに伴い、葦原中学校入口交差点までは歩道が整備されると伺っておりますが、上福岡消防署までの歩道は整備計画外であります。この区間は、歩道の幅員が六十センチメートルと極めて狭あいであり、歩行者や自転車利用者等にとっては、通勤・通学時の安全確保に日々苦慮する状況にあります。つきましては、これらの状況を御理解いただくとともに、利用者の安全確保に向けて適切な措置を早急に講じられるよう地域住民は渇望しております。県土整備部長の御答弁をお伺いします。 以上で、私の質問を終了させていただきますけれども、少子化対策につきましては、これがいい答弁があれば、清水勇人議員も次を考えるというふうに言っておりますので、是非いい答弁を願いまして質問を終了させていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○長峰宏芳副議長 四十一番 近藤善則議員の質問に対する答弁を求めます。       〔上田清司知事登壇〕 ◎上田清司知事 近藤善則議員の私に対する、知事の政治姿勢についての御質問にお答えをいたします。 まず、首長の多選禁止についてのうち、埼玉県を背負って立つ人材の育成についてでございます。 埼玉県知事の在任期間に関する条例につきましては、知事選挙のときに一年以内にやりますという、マニフェストで県民の皆様に約束したことでございました。条例として御理解の下、具体化したものでございます。これは、議員のお話のとおり、知事の職に同一の者が長期にわたって存在することにより生ずるおそれのある弊害を防止したい、そういう趣旨で条例を制定させていただきました。お話の、若い人を養成しろというお話ですが、少なくとも埼玉県は七百万県民の人材の宝庫だというふうに思っておりますし、若い方々はそれぞれ切磋琢磨しながら自らリーダーとなるべき多くの人材が育っていくのではないかというふうに私は思っております。ただ、県内の若手議員の皆様は将来の政界を担う宝ではないかと思い、日ごろから私自身は積極的にお付合い、交流を続けているところであります。 次に、知事の多選自粛条例の趣旨は市町村長にも勧めるべきとの御質問でありますが、これは、議会でも何度も申し上げましたように、私の政治信条、政治信念として掲げてきたものでございますので、他に及ぼすべきものであるというふうに考えたことはございません。しかも、条例の適用そのものが憲法上あるいは法律上の制限もありますので、そういう限られた制限の中でどんな形で自分自身の縛りができるのかということで大変苦労をいたしました。少なくとも、後任の知事やあるいは他の首長の皆さんに任期を制限させるような趣旨にならないようなということで気を付けたつもりでございますので、あくまでこれは私自身が戒めるべき条例というふうに位置付けております。多選に関してはいろいろな議論があると思います。各政治家が自らの政治信条や政治信念によって判断すべものではないかというふうに思っております。三選の市長がおられる、五選の町長がおられる、それはそれぞれ評価をされて三選、五選をなされているというふうに私は思っております。ただ、私も知事選の際、官僚出身の方々ばかりがノミネートされておりましたので、私はそれ自体に反発して、民間の方を出すべきだということで私自身もいろいろな運動をしておりました。そういうことが災いしてというか、私自身が出ることになったという経過がございます。 次に、公職兼任制の導入についてでございます。 近藤議員御指摘のとおり、アメリカでは、昨年行われた大統領選挙で破れたケリー候補が失職することなく、現在もマサチューセッツ州の上院議員で活躍されていると。また、御紹介がありましたフランスのシラク大統領は、首相でもありパリの市長でもあったという、そうした制度がそれぞれ各国において行われているという御紹介がございました。そういう紹介の中で、現在の立候補制限制度を見直し、当選した場合に初めて現職を失うという制度の導入というのは大変魅力的であります。そういう制度があれば、私も知事選のときに、私の妻からなじられることもなかったと。「衆議院選間近だというのに、自民党の後任候補もなく次は楽勝だというのに、悲惨な状況が起こるかもしれないのに、なぜ」と。そしてなじられていたことを思い出しておりました。そういう意味で、そういう制度があれば思い切った政治への展開というのがいろいろなところでできるのかなというふうに確かに思ったりします。ただ、日本の場合は、多くの方々が選挙に出やすいようにということで、公職選挙法上で様々な候補者に対する補助制度ができ上がっております。これは、他の諸外国との比較でいえば、私は最も多くの公設の費用が出ている国であるというふうに思っております。ちなみに、今回の衆議院総選挙で、本県においても三十億円、全国では七百六十四億円、また、平成十五年に実施されました埼玉県議会議員一般選挙でも二十五億円の費用が使われていると。場合によっては、そうした立候補制限の制度がなく、既に公職を持っている方がそのまま在任できるということになると乱立することになり、この費用が更にもっとかかってくるのではないかと、こういう懸念もあるかというふうに思っております。何よりも、日本的な美質として「退路を断ってやる」という、この部分も評価される部分がありますので、この部分からの比較考量でまたいかがなものかなというふうに思います。 いずれにしても、立候補のリスクを軽減して志のある人たちを多く集めるという趣旨そのものは大変意味のあることでございますので、なかなかどちらがいいかということについて、今すぐ私もお答えができなくて大変恐縮ですが、これはそれぞれの国々の歴史や状況の中で生まれてきた制度でございますので、それを一足飛びに越えることはなかなか難しいのかなというふうに思っております。いずれにしても、この部分に関していえば、どちらかといえば、国政の場でしていただく議論なのかなというふうに現在のところ思っております。 以上であります。       〔馬場竹次郎産業労働部長登壇〕 ◎馬場竹次郎産業労働部長 御質問二、少子化対策についてのうち、私に対する御質問にお答えを申し上げます。 ニート、フリーターの問題は、家庭や学校などとともに取り組むべき課題であり、特に若者に一番身近な存在である保護者の役割は大変大きなものであると考えております。このため、県といたしましては、若年者本人に対する就職支援とともに、保護者に対する啓発にも取り組んでおります。 平成十六年度からは、高校生の保護者と教員を対象として「子供の就職のために親としてなすべきこと」をテーマとしたシンポジウムを実施しております。平成十七年度は、これに加え、中学生、高校生とその保護者を対象として親子で子供の将来や進路について考える「仕事を知るセミナー」を各地で開催し、現時点で約一千人の方に参加をいただいております。さらに、本年十二月には、NPOと連携して、ニートやフリーターを子供に持つ保護者に呼び掛けて、子供を自立させるために必要なことなどを研修する「親ゼミナール」を開催することとしております。本年七月から九月にかけて実施した若年無業者とその保護者を対象としたアンケート調査の結果では、若年無業者の約半数が「親以外に相談相手がいない」と回答しております。 こうした結果なども踏まえ、今後とも教育委員会などと連携をしながら保護者に対する啓発に取り組んでまいります。       〔中村健二保健医療部長登壇〕 ◎中村健二保健医療部長 御質問二、少子化対策についてのうち、私に対する御質問にお答えを申し上げます。 議員御指摘のとおり、少子化対策としては、経済的負担の軽減を図り、二人目、三人目の子供を持ちたいと思えるような環境を整備することが大切であると考えております。県では、平成十六年度、乳幼児医療費助成制度の通院の対象年齢を一歳引き上げて四歳までとしましたが、この結果、二十二の市町村が対象年齢を拡大し、県内の乳幼児医療水準の一定の底上げが図られたところでございます。現在、岡部町、越生町に加え、この十月から桶川市でも、入院だけでなく通院費用についても小学校卒業までの助成を始めたことを承知しており注目しております。しかしながら、乳幼児医療費助成事業の平成十七年度予算の総額は約二十四億円で、平成十六年度から対象年齢を一歳引き上げた影響額を現在約五億円と見込んでおります。対象年齢を小学校卒業まで拡大する場合、議員お見込みのように相当な額の財源を継続的に必要とすることとなります。財政状況が大変厳しい中、対象年齢の引上げにつきましては、子育て支援の施策全体の中で御提案の内容も含め検討してまいりたいと存じます。 また、少子化対策は国が取り組むべき重要な課題でもありますので、国の負担による医療費助成制度の創設について今後とも強く要望してまいります。       〔稲葉喜徳教育長登壇〕 ◎稲葉喜徳教育長 御質問三、子供たちへのより充実した教育の実現についてお答えを申し上げます。 まず、(一)少人数学級編制の実施についてのうち、少人数学級の拡大についてでございますが、現在、小学校一・二年生につきましては、生活指導面などを考慮し、学校生活のスタートを円滑に進められるよう少人数学級を実施しております。三年生以上につきましては、社会性の育成や互いに切磋琢磨する場として一定規模の集団が必要という観点や、県単独での多額の財政措置が必要となることもあり、現状では難しい面がございます。仮に小学校三年生において三十五人学級を実施した場合、約二百四十学級の増加となり、年間おおむね二十二億円程度の費用が必要となる見込みでございます。 また、学校の状況に応じた弾力的な学級編制を行うことにつきましては、現在、国の中央教育審議会などにおいて、学校や市町村教育委員会の権限と責任を拡大する方向で検討が進められております。県におきましても、埼玉大学との共同課題として、少人数指導、少人数学級について研究いたすこととしております。今後、こうした成果を待って、より効果的な学級編制の在り方について検討してまいります。 また、市町村独自の少人数学級編制への支援、補助についてでございますが、厳しい県財政の中で財政的な支援を行うことは困難でございますが、市町村が独自に少人数学級編制を行おうとする場合には、可能な限り市町村の意向を尊重し協議に応じてまいります。 なお、少人数学級については、他の都道府県も同様の問題でありますので、都道府県教育長協議会などの席におきましても、機会を見て議論してまいりたいと存じます。 次に、(二)半ドンの復活についてでございますが、学校週五日制は、完全実施から四年が経過いたしました。平成十七年一月の県の調査では、約八割の子供たちから「土曜日が休みになって良かった」との回答が寄せられており、学校週五日制は子供たちには好意的に受け入れられております。一方、お話のような国際的な学力調査の結果などから、学力低下に対する保護者の懸念が広がっており、六〇パーセント以上の方が補習の必要性を訴えております。県では、こうしたことから、子供たちの学力の向上を図るため、習熟度別指導の充実をはじめ、学習のつまずきの発見と解消を目指す学習プログラムの開発などを進めるとともに、子供たちの学力がどのような状況にあるかを把握するために、本年度から学習状況調査を実施することとしております。 お尋ねの半ドンを復活させることについてでございますが、これまで幾つかの自治体が特区提案をいたしておりますが、文部科学省では、学校週五日制の趣旨や導入の経緯などから特例を設けることは適当ではないの判断を示しておりまして、特区のみならず、関係法令の改正につきましても難しい状況にございます。しかし、市町村によっては、学力低下や授業時間数の確保といった問題などから土曜日の補習を行っているところもございますので、県といたしましては、御質問の趣旨を踏まえ、その状況について調査を進め、市町村教育長や校長会の代表者に呼び掛け、学校週五日制の課題について検討してまいります。 次に、(三)県立高校の大学への進学状況についてのうち、大学、短大への進学率についてでございますが、平成十七年三月の本県の公立高校卒業者に対する現役進学者の割合は四〇・七パーセントとなっております。これは、ここ二十年のうち進学率が一番低かった平成二年三月に比べ、約二〇ポイント上昇しておりますが、難関校と言われる大学への進学については引き続き改善する必要があると考えております。 次に、進学実績をより良くするための方策についてでございますが、県では、平成十六年度から進学指導アドバンスプランを春日部高校など十一校で実施しております。この推進校では、難関国公立大学四十五名以上の合格などの具体的な数値目標を設定し、生徒の学習へ明確な動機付けをするための大学教員による授業、教員の指導力を向上させるため予備校と協力した進路指導研修会の実施など、進学指導の充実を図っております。また、和光国際高校など三校が英語が使える日本人を育成するスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールに、そして、浦和第一女子高校と大宮高校の二校が国際的な科学技術系人材を育成するスーパー・サイエンスハイスクールにそれぞれ文部科学省から実践研究校として指定されております。このような実践研究校では、全国的に見てみますと大学進学に優れた結果を出していると聞いておりますので、本県の研究校は指定されたばかりでございますが、今後、進学実績の向上が図られると期待しております。 かつて公立高校は最難関大学への進学において高い実績を残してまいりました。しかし、現在は私立高校におくれをとっている状況もございますので、今後、大学進学に実績のある高校による研究協議会を新たに設置し、生徒や保護者の皆様の御期待にこたえるよう進学指導の充実に一層努めてまいります。       〔加地正人警察本部長登壇〕 ◎加地正人警察本部長 御質問四、安心・安全な環境づくりについてお答えいたします。 まず、(一)侵入盗及び街頭犯罪の傾向と対策についてでございますが、本年八月末までの認知件数は、侵入盗は約一万二千件でありまして、街頭犯罪は約四万九千件ということになっておりまして、侵入盗、街頭犯罪とも、前年同期に比べまして約二割の減少を見ているところでございます。侵入盗は前年に引き続き、街頭犯罪は一昨年、前年に引き続きの減少傾向を示しておりまして、治安の悪化に歯止めがかかりつつあるかなという感じがいたしております。特徴といたしまして、侵入盗につきましては、来日不良外国人による組織的な犯行が相当数あると分析をしておりますほか、街頭犯罪につきましては、罪種によって六割から八割といった、かなり高い割合が少年の関与がある状況でございます。県警といたしましては、常習窃盗犯や来日不良外国人らによる組織的な窃盗事件に重点を置いて検挙に努めるとともに、制服警察官による街頭活動を強化してきております。また、昨年四月に防犯のまちづくり推進室を新設いたしました。県、市町村、関係機関、団体等と連携しつつ、犯罪情報の提供をするなどして、県民の防犯意識の高揚や地域防犯活動を支援してきており、県下各地で活発な防犯活動を展開していただいております。また、街頭補導活動の強化をはじめ、多角的な少年非行防止対策にも取り組んできております。県警といたしましては、県民の皆様に治安の改善を実感していただくため、今後とも、検挙と防犯を両輪とした対策に取り組み、安心・安全な環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 次に、(二)交通安全対策についてでございますが、県下の自転車事故は毎年増加傾向にありまして、人身事故総数のおおむね二五パーセントを占め、本県の交通事故の特徴の一つとなっております。自転車事故の原因といたしましては、交差点での一時不停止や信号無視など自転車側に主たる要因のある事故が約三割ほど見られるところでございます。警察といたしましては、関係機関、団体等と連携をいたしまして、小学生の段階から交通安全教室や交通安全子供自転車大会の開催を行っておりますほか、平成十六年から子供自転車運転免許制度を開設するなど、自転車の交通ルールの習熟の徹底を図っておるところでございます。また、自転車の交通違反行為に対しましては、自転車警告カードを活用いたしまして、平成十六年中は約三十五万人に安全な乗り方について指導・警告を実施いたしております。なお、指導・警告に従わない悪質な違反者に対しましては検挙するなど適切に対処してまいります。 次に、(三)地元商店会行事と道路規制についてでございますが、道路使用の許可は露店などで道路を使用する場合、道路交通法の規定に基づきまして所轄警察署長の許可を受けることとされております。法の運用につきましては、全国的な基準に基づきまして、原則一店舗一許可とした取扱いを行っております。同一の機会に複数の露店を出す行為におきまして一括許可が例外として認められますケースは、代表する責任者が定まっておりまして、その責任者が全体を掌握管理していると認められる場合でありまして、かつ、営利を目的としたものでない場合というふうにされております。申請のあったものにつきまして、この要件に合うかどうか個々具体的に検討しておるところでございます。 御質問のケースの場合は、この要件に該当しないというふうに思われますので、許可は個別にお出しすることになろうと存じます。       〔樋口和男都市整備部長登壇〕 ◎樋口和男都市整備部長 御質問五、土地区画整理事業についてお答え申し上げます。 お話しのように、土地区画整理事業は近年事業期間が長期化する傾向にあり、地権者が安心して土地の活用や生活設計を行う上で大きな問題となっております。この主な要因といたしましては、近年の地価の下落や厳しい財政状況により、保留地処分金や補助金などの事業資金の確保が困難になったことと考えております。このため、事業を促進する上では、従来の補助金のほか、平成十六年度に創設されましたまちづくり交付金の積極的な活用を図りますとともに、保留地の効率的な処分を行うため、ハウスメーカーなどの民間企業との提携が有効であると考えております。さらに、事業費を縮減するための方策といたしまして、道路計画の見直しによる移転家屋の削減などがございます。また、新たに事業化をする地区では事業区域をコンパクトにすることが、円滑な事業の推進のためにも、土地を早期に活用するためにも有効でございます。県といたしましては、市町村や土地区画整理組合が抱える課題に対し、助言、支援を行い、事業が円滑に推進できますよう引き続き努めてまいります。 次に、土地区画整理事業区域内の農地の宅地並み課税の軽減についてでございます。 県内の多くの事業につきましては、事業期間が四年を超えるため、地権者の方々にとりまして重い税負担となっております。県といたしましては、地権者の方々が予定する土地利用ができるまでの間、農地の宅地並み課税を軽減することは重要と考えております。そこで、これまで国への重点要望などで要望を行ってまいりましたが、今後とも粘り強く国に要望してまいります。       〔小沢隆県土整備部長登壇〕 ◎小沢隆県土整備部長 御質問六、地元問題についてお答えを申し上げます。 まず、(一)県道東大久保大井線の拡幅事業の進ちょく状況についてでございますが、県道東大久保大井線の旧上福岡市内の現道は幅員が狭く交通量も多いことから、市内東側のふじみ野市立さぎの森小学校付近より順次整備を進めてきたところでございます。 お尋ねの八幡神社前から市道二四五号線との交差点までの約七百六十メートル区間の整備の進ちょく状況についてでございますが、現在の用地買収率は約九〇パーセントとなっております。早期の事業効果を発現するため用地を取得した箇所から工事に着手しておりまして、平成十七年度末までには市道二四五号線寄りの約五百八十メートル区間の工事が完了する予定でございます。引き続き、残りの用地を取得し早期完成に努めてまいります。 また、その先の東武東上線踏切付近までの約八百メートル区間につきましては、現在事業中の区間の進ちょく状況を踏まえるとともに、駒林土地区画整理事業と十分に調整を図りながら、平成十八年度の事業着手に向けて積極的に取り組んでまいります。 次に、(二)県道さいたま上福岡所沢線の交差点改良事業及び歩道整備についてでございますが、平成十四年度より、埼玉りそな銀行上福岡支店から上福岡駅入口バス停付近までの約二百九十メートル区間について、歩道整備、踏切改良や交差点改良を実施し、総合的な交通安全の確保に努めております。現在の進ちょく状況についでございますが、用地買収率が約三二パーセントとなっております。この地域は、駅近傍で家屋が連たんしており権利関係が複雑になっておりますことから、今後も関係地権者の皆様の御理解と御協力をいただき、用地のまとまった区間から早期に工事が着手できますよう、引き続き用地買収を鋭意進めてまいります。 また、亀久保交差点の改良事業につきましてでございますが、現在実施しております上福岡駅周辺の整備の進ちょく状況を勘案しながら事業化に向けて検討してまいります。 次に、(三)川崎橋の架換えに伴う歩道整備についてでございますが、県道並木川崎線につきましては、お話にもありましたとおり、川崎橋の架換えと川崎橋から葦原中学校入口交差点までの歩道拡幅を進めており、現在までの用地買収率は約五六パーセントとなってございます。 お尋ねの葦原中学校入口交差点から上福岡消防署までの歩道整備につきましては、現在進めている川崎橋から葦原中学校入口交差点までの間の整備状況を見ながら、地元ふじみ野市の御協力をいただき、引き続き整備に向けて検討してまいります。               ---------------- △休憩の宣告 ○長峰宏芳副議長 暫時、休憩いたします。午後二時一分休憩               ----------------午後三時二分再開  出席議員   八十七名   一番   四番   五番   六番   七番   八番   九番   十番   十一番  十二番  十三番  十五番   十六番  十七番  十八番  十九番   二十番  二十一番 二十二番 二十三番   二十四番 二十五番 二十六番 二十七番   二十八番 二十九番 三十番  三十一番   三十二番 三十三番 三十四番 三十五番   三十六番 三十七番 三十八番 四十番   四十一番 四十二番 四十三番 四十四番   四十五番 四十六番 四十七番 四十八番   四十九番 五十番  五十一番 五十二番   五十三番 五十四番 五十五番 五十六番   五十七番 五十八番 六十番  六十一番   六十二番 六十三番 六十四番 六十五番   六十六番 六十七番 六十八番 七十一番   七十二番 七十三番 七十四番 七十五番   七十六番 七十七番 七十八番 七十九番   八十番  八十一番 八十二番 八十三番   八十四番 八十五番 八十六番 八十七番   八十八番 八十九番 九十番  九十一番   九十二番 九十三番 九十四番  欠席議員   四名   三十九番 五十九番 六十九番 七十番  地方自治法第百二十一条の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(都筑) 副知事(齋藤)   出納長      総合政策部長  総務部長   危機管理防災部長 環境部長    福祉部長   保健医療部長   産業労働部長  農林部長   県土整備部長   都市整備部長  公営企業管理者   病院事業管理者  教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○長峰宏芳副議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。               ---------------- △質疑質問(続き) ○長峰宏芳副議長 質疑質問を続行いたします。 六十八番 井上直子議員       〔六十八番 井上直子議員登壇〕(拍手起こる) ◆六十八番(井上直子議員) 六十八番、東第十五区選出、自由民主党の井上直子でございます。 議長のお許しをいただきましたので、発言通告に従いまして順次質問させていただきますが、まず、同胞議員各位の御高配により、今定例会の締めくくりとなる一般質問をさせていただく機会をちょうだいいたし、厚く御礼を申し上げます。 また、上田知事をはじめ県当局におかれましては、積極的かつ明快な答弁を賜りますよう、よろしくお願いいたします。 それでは初めに、身近な緑の保全と創造についてお尋ねいたします。 私の地元杉戸町は、中川や江戸川に沿って平地林や屋敷林など身近な緑に囲まれた農村集落が点在しており、今もなお、こうした農村集落が水田とともに典型的な田園景観を形づくっております。このような田園景観は、誰もが懐かしさを感じる、いわば埼玉の原風景とも言うべき景観であり、知事が常々言われている、埼玉県のゆとりを象徴するものと考えております。しかし、急激な人口増加と都市化の進展に伴い、水田などの農地や身近な緑は住宅地などへと開発され、大きく失われてきております。また、身近な緑は、これを維持していくための負担も重くなり、それが減少に拍車をかけています。県全体に目を向ければ、更に多くの貴重な緑が減少しているものと思われます。 こうした身近な緑の減少は、県民の皆様の生活からゆとりや潤いといったものを失わせるだけでなく、この夏もしばしば放送されましたが、ある地域の気温が周辺地域よりも数度高くなり、あたかも海に浮かぶ島のようになる、いわゆるヒートアイランド現象という環境問題を引き起こしているとも言われております。子供の時分を思い出しますと、夏場ともなれば障子を外してすだれを垂らし、うちわ差しを柱に下げ、夜は蚊帳をつって過ごしたものです。そのころ三十度といえば、かくらんを起こすほど暑いとよく言ったものでしたが、当節、猛暑ともなれば三十五度を超えるのが当たり前という有り様になっており、このことは、多くの県民も実感していることと思います。初夏には青々とした水田が広がり、畔も畦もきれいに手入れされていて、用水にはホタルが飛びました。秋になれば黄金色に染まった稲穂の波に変わり、こうした自然の営みと折り合った暮らしぶりの中には、何よりもゆったりとした落ち着きとくつろぎがあったものです。私は、緑がもたらすゆとりと潤いを守り、ヒートアイランド現象などの環境問題をやわらげていくためには、身近な緑の減少を防ぐとともに、新たにまちに緑をつくり出していくことが必要であると考えます。 そこで、日本一の環境にやさしい県づくりに取り組んでいる上田知事に、本県における身近な緑の保全と創造を今後どのように進めていくのかお伺いいたします。 次に、大型研究施設誘致への助成についてお伺いいたします。 知事は、本年一月から百件の立地を目標とする企業誘致大作戦に自ら先頭に立って取り組まれ、わずか八か月間で早くも目標の半分を上回る五十六件の立地に成功されました。このような目覚ましい成果を上げられておりますことに対し、まずもって心から敬意を表する次第であります。 知事によれば、最近は企業誘致につながる情報が加速度的に集まってきているとのことでございまして、目標とする百件の誘致はもとより、今後は地域の経済や雇用に多大な恩恵をもたらす、いわゆる大型投資案件の誘致についても、必ずや実現されるものと非常に期待しておるところでございます。とりわけ大型研究施設の誘致につきましては、高付加価値製品の生産拠点やグローバル製品の開発拠点として、将来の埼玉県産業の集積や発展に大きく寄与することが見込まれますことから、是非とも数多くの立地を成功させていただきたいと考えております。 そこで、知事にお伺いいたします。 こうした大型研究施設の誘致は、どこの県でも必死になって取り組んでいるところでございまして、誘致合戦は熾烈を極めるものと思われます。こうした激しい競争を勝ち抜くためには、本県の優位性を訴えていくだけでは、おのずと限界があるのではないでしょうか。私は、必ずしも大型助成制度が企業誘致の決め手になるとは考えておりませんが、企業が進出を決定する上で一つの重要な要素になることは間違いありません。こうした点を踏まえ、大型研究施設の誘致に向けた助成について、知事はどのようにお考えになっているのかお伺いいたします。 次に、指定管理者制度についてお伺いいたします。 官から民への流れの中で、公の施設の管理を出資法人などの公共的な団体だけでなく民間企業にも開放し、幅広い競争の中でサービスの向上、コストの削減を図る指定管理者制度が創設され、現在、各自治体においてその導入が進められています。指定管理者制度の導入による市場規模は約二兆円、潜在的市場を含めると約十兆円とも言われ、民間企業にとっては新たなビジネスチャンスとしての期待が大きいところであります。 我が埼玉県においても、去る六月十五日に、平成十八年度に指定管理者制度を導入する六十一の公の施設について公募をするのか随意で指定するのか、指定期間は何年かなどの基本方針が発表されました。その結果、二十八の公の施設が公募となり、現在、その選定作業が進められていると聞いております。この制度の導入により、公の施設の管理経費が削減されるとともに、県民サービスの向上が図られ、さらに、公の施設の管理を民間に開放することにより県内産業の振興が図られることを期待する次第であります。そのためには、公共の施設である公の施設の設置目的をよく理解した上で、民間のノウハウを活用し効率的な経営を行うことのできる団体が指定管理者に選ばれることが重要であると考えます。このことは、指定管理者制度が県民に信頼されるための条件と言えます。 そこで、総合政策部長にお伺いいたします。指定管理者の公募の審査はどのような選定基準を設けて行うのか、また、どのようなメンバーで審査されるのでしょうか。また、信頼ある制度となるためには、選定が終了し指定管理者が指定された後には、その選定過程が公にされ透明性を担保することが大切であると考えますが、この点につきまして併せて総合政策部長のお考えをお聞きいたします。 次に、埼玉農業の振興について、二点お尋ねいたします。 まず、今後の農業振興の方向についてでありますが、国連の推計によれば世界の人口は今後開発途上国を中心に増加し、二〇五〇年には九十一億人に達すると予想されています。加えて、開発途上国の経済成長も相まって、今後の食料需要は大幅な増加が見込まれています。一方、食料生産は砂漠化の進行や異常気象などにより多くの不安定要因を抱えており、世界の食料需給については、中長期的にはひっ迫する可能性もあると言われています。今日でも、世界には約八億人に上る栄養不足人口がいると言われますが、国民の食料を確保することは国として基本的な責務であります。主要先進国の食料自給率を見ると、オーストラリアの二三〇パーセントをはじめ、アメリカ、カナダ、フランスなどは軒並み一〇〇パーセントを超えていますが、我が国は四〇パーセントと最低の水準であり、世界最大の農産物純輸入国となっています。現在、WTOにおいて貿易自由化交渉が進められており、今後、海外からの輸入農産物が一層増える可能性もありますが、こうした世界の食料需給を考えると、しっかりと国内農業を振興することにより、農業生産力を高め、国民への農産物の安定供給、更には農産物輸出まで結び付けていくことが必要であると考えております。 翻って、本県農業に目を転じてみますと、知事は、一千万円所得の農家を一つでも多くつくり上げることを政策として掲げ、これを実現するための多様な取組により埼玉農業を元気付けておられます。しかしながら、WTO農業交渉やFTA交渉などグローバル化の進展により、国内の農産物の価格支持政策が見直しを迫られるほか、今後、一層輸入農産物が増大することが懸念されるなど、農業をめぐる環境は依然として厳しい状況にあることも事実であります。 このような中、知事は、本県の農業の更なる維持発展にどのように取り組んでいくお考えなのか、御所見をお伺いいたします。 二点目として、農業生産基盤の整備について伺います。 私は、県議会議員としてお世話になるかたわら、生業である農業にも長年携わってまいりました。そうしたことから、ただ今、知事にも、埼玉農業の元気を高める取組についてお尋ねをしたところですが、農業の振興には、何といっても生産の基礎となる農業基盤の整備が重要であると思います。 本県は、江戸時代の伊奈備前守忠次による備前渠用水の開削や、井沢弥惣兵衛による見沼代用水の開削に象徴されるように、農業基盤整備事業においては大変に歴史のある地域であります。そのような伝統から、土地改良についても全国に先駆けて事業が実施され、多くの地域でいわゆる一反区画の水田ほ場が整備されるに至りました。こうしたことが、今日の埼玉農業の発展の礎となったわけでありまして、私は、先人から受け継いだこのすばらしい水田農業を次の世代に引き継いでいく義務があると考えております。 しかしながら、収益力の高い農業を目指してトラクター等の機械の大型化が進む今日、規模の小さいほ場では効率的な経営を展開していくことが難しくなっております。加えて、農業をめぐる競争の激化から、今後更なるコスト削減が求められる中で、農地の利用集積を通じて意欲ある担い手を支援し、所得の高い企業的な経営に育てるためには、地域の営農に合わせた規模の大きなほ場が必要と考えます。本県には規模の大きなほ場はまだまだ少ないとのことでありますが、今後のほ場整備をどのように推進していくおつもりか、農林部長にお伺いいたします。 また、先人が苦労して築き上げた農業水利施設は、農業生産にとって農地と並ぶ最も大切な要素であるとともに、県土の保全や水源のかん養などにも欠かすことができない、正に県民共有の財産であります。戦後、生産性の高い農業を実現するため、県内の各地で近代的な農業水利施設の整備が進められてきましたが、時の経過や社会情勢の変化により、あるものは老朽化による機能低下が進み、また、あるものは更新時期を迎えております。既存施設の更新や補修を真剣に考えていくときが来ております。 そこで、今後の農業水利施設の適切な更新、補修についてどのように考えるのか、農林部長にお伺いいたします。 次に、健康診査と生活習慣病対策の在り方についてお伺いいたします。 これからの急速な高齢化を迎える本県において、医療や介護に要する費用の増大を考慮すれば、その大きな原因である県民一人一人の生活習慣病対策が重要であると考えます。現在、厚生労働省において健診の見直しが進められていると報道されています。基本的な方向として、毎年受ける健診は簡略化する一方で、肥満していて血圧などが高目な状態をメタボリック・シンドロームという新しい概念でとらえて、この状態に該当する人には詳細な健診を行うという二段階方式にするということであります。その上で、検査結果に応じて、食事、運動、禁煙などの生活習慣病の改善につながる保健指導を徹底するとされています。毎年すべての人が受診対象となる健診は検査項目を絞って、費用削減と時間短縮することにより受診率向上を目指すと説明されています。基本的な健診で生活習慣病になるリスクが高いとされた人は、更に詳細な健診を受けるためにもう一度足を運ばなければならず、かえって受診意欲が下がるのではないかという懸念も感じますが、健診と保健指導をより密接に結び付けようとする基本的な方向は理解できます。具体的な方法についてはこれから十分検討が必要としても、健診受診率の向上を図り、健診を通じて生活習慣病のリスクが高い人を的確に把握し、重点的に健康相談や健康指導を行うことで、生活習慣病の発症を予防することは極めて重要であると考えます。 そこで、健康診査と生活習慣病対策の在り方について、保健医療部長のお考えをお聞かせください。また、本県の健診受診率などの現状と今後の取組について、併せてお伺いいたします。 次に、自主防災組織の充実についてお尋ねいたします。 昨年発生した新潟県中越地震から間もなく一年が経過しますが、三月には福岡県西方沖で大きな地震が発生し、自然の力をまざまざと見せつけられました。七月には千葉県北西部を震源とした地震が発生し、首都圏は大きな揺れに襲われました。本県も最大で震度五弱を記録しました。さらに、八月にも、宮城県沖を震源とする地震が発生しており、地震は、いつ、どこで発生するかなかなか分からない状況にあります。改めて自然災害の恐ろしさを感じるとともに、県民がどうすれば被害を最小限に食い止めることができるのか、災害に立ち向かうための体制は万全であるのか、再確認する必要があると強く感じました。 折しも、今年は、阪神・淡路大震災からちょうど十年の節目であります。阪神・淡路大震災の発生直後は、同時に火災が発生し、倒壊した建物により道路が寸断され、消防署をはじめとする公的機関の対応も思うようにはかどらない事態となったと聞いております。このような中、倒壊した家屋や家具の下敷きから救助された人の約六割は家族や隣近所に助け出されたとの調査結果があります。個人の力では限界がありますが、一人一人が協力することにより、大きな力となります。住民同士が一致協力して行動することこそが、被害を軽減することにつながるものと思います。このためにも、地域において自主防災組織を結成し整備する必要があります。かつて地域の団結力が強く、相互扶助の観点から地域の住民が何事にも一つになって対処してまいりました。しかし、最近では、都市化の進展や地域社会の変化などにより、地域住民の結び付きも希薄になってきたと感じております。このためでしょうか、本県の自主防災組織の組織率も全国と比較して低いと聞いております。そこで、まず本県における自主防災組織の組織率はどのくらいなのか、危機管理防災部長にお伺いいたします。 また、私の地元である東部地域におきましても、自主防災組織の結成が遅れている市や町が見受けられます。私は、自主防災組織の組織率を向上すべきと考えていますが、本県はどのように取り組んでいくのか、併せてお伺いいたします。 次に、県立高校の再編整備についてお伺いいたします。 中学校卒業生の数は、平成元年三月の十一万五千六百人をピークに、本年三月には六万五千人と大幅に減少しています。県教育委員会では、このような大幅な減少の中で、時代の変化や多様化する生徒、保護者のニーズに対応し、県立高校の活性化と特色化を図り、魅力ある学校づくりを推進するため、県立高校の再編整備を推進しています。私も、少子化が進行する中にあっては、県立高校の再編整備は是非とも推進しなければならない重要課題であると思います。それだけに、単に中学校卒業生の減少や校舎の収容能力に対応するのみというような机上の数字合わせの再編整備であってはならないと考えています。教育には、中途退学や不登校、学力低下の問題など様々な課題が山積しております。生徒一人一人の資質や能力、個性や適性に応じて、すべての生徒を埼玉の将来を担うにふさわしい人材に育て上げるものであります。少子化が進行する中では、このような教育上の観点が今まで以上に県立高校の再編整備には求められていると考えます。社会に出て生きがいを持って働き、しっかりと子供を育て、能力に応じて税金を納める、このような当たり前とも言えることが、個人の生活を豊かにし、これからの少子高齢社会を支えていくのではないでしょうか。この春には平成十三年度に策定された前期再編整備計画によって、行田市内の三つの高校を統合した進修館高校など、新たに四つの高校が開校し、順調に運営されているとのことです。また、現在は、本年二月に策定された中期再編整備計画の第一期に基づき、不動岡誠和高校と騎西高校を統合する不動岡新校など六つの新しい高校の骨格を定める基本計画が検討されていると伺っています。 そこで、まず中期再編整備計画の第一期に基づく六つの新校については、どのような方向で整備しようとしているのか、教育長にお伺いいたします。 次に、県立高校の再編整備については、今後とも更に推進していく必要があると考えますが、中期再編整備計画の第二期の見通しについて教育長にお伺いいたします。 次に、子ども会を育て教育力の向上をについてお尋ねいたします。 子ども会の歴史は、江戸時代にさかのぼることができますが、戦後の子ども会は終戦直後に旧文部・厚生両省から出された通達などがきっかけとなり、戦後の混乱期の中で、不良化した少年、親を失った子供を地域で見守ろうという活動が始まり、以後、各地で子ども会が誕生してきたものであります。 さて、今日の子供の生活を見ますと、子供たちは塾や習い事などに多忙を極め、地域社会の人々との触れ合いを経験する機会が減少し、テレビゲーム、パソコン、携帯電話等のバーチャルな世界の影響を受けながら成長している状況にあります。これらのことから、子供たちに様々な体験活動の機会が不足し、子供たちが主体的に活動したり自分を見つめ思索する時間が少なくなっています。また、都市化や過疎化の進行、地域における人間関係の希薄化、モラルの低下などから地域社会の教育力も低下し、青少年の問題行動の低年齢化につながっていると指摘されております。 私は、二十五年前から子ども会活動に携わり、子供は、学校や家庭で学んだことを地域の様々な体験を通じ試行錯誤する中で社会生活において実際に生かされる実践力を獲得したり、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性をはぐくむものであるという思いで、地元の子ども会育成連絡協議会会長として、十七年間、子供の健全育成のために取り組んでおります。子ども会活動は地域に根差した子供の体験活動として自然な姿であり、子供の自主性、主体性、社会性や協調性を養うためにも大変効果的なものであります。さらに、子供の触れ合いを通じて世代間交流や大人たちの交流も深めることができ、地域社会の教育力の向上、人をはぐくむ地域の再生にも結び付く活動でもあります。子供を地域で育てることの重要性が指摘されている中で、このように子供の集団と、その集団活動を支える大人の集団で構成された子ども会のような活動こそ、地域を挙げて推進すべき活動であると考えます。しかしながら、ここ数年、全県的に見ますと、子ども会への入会者が減りつつあります。多くの皆さんが地域の教育力の必要性は認めているものの、子ども会活動が衰退している状況について教育長はどのようにお考えなのか、お伺いいたします。 終わりに、利根川・江戸川のスーパー堤防化についてお伺いいたします。 最近、国内外を問わず、世界中で大規模な自然災害が増えていると感じております。例えば、本年八月末にアメリカ南部を襲ったハリケーン・カトリーナは、メキシコ湾岸地域に激甚な被害をもたらしました。特に、ルイジアナ州のニューオーリンズ市においては、街を取り囲む堤防が数か所にわたり決壊し、街全体が水没、市民全員に退去命令が出され、多数の死傷者を出すなど大変深刻な事態となっております。改めて自然の猛威のすさまじさを見せつけられた感があります。 また、台風十三号は、中国に上陸し空前の被害をもたらしたとも伝えられております。国内、とりわけ本県においても、昭和二十二年九月にカスリーン台風により利根川の堤防が現在の大利根町地先で決壊し、その濁流は本県の東部低地全体を水没させ、東京まで達し、多くの住民が苦しむ大被害が生じましたことは御案内のとおりであります。当時の被害額は約七十億円とも言われていますが、現在、同じようなはんらんが生じた場合には、その被害額は三十四兆円と試算されていると聞いております。この額は、本県の平成十七年度一般会計予算の約二十年分に相当しますが、このような壊滅的な被害を防ぐためにも、利根川、江戸川といった本県を流れる大河川の治水対策には万全を期すべきものと考えているところでございます。 利根川の治水対策として、国により事業が進められている八ッ場ダムにつきましては、去る九月七日にダムの代替地分譲基準の調印式が長野原町で挙行されたと新聞報道で知りました。利根川の主要な支流である吾妻川で初めてのダムであり、この治水効果も大きいことから、一刻も早い完成が待たれるところでございます。 一方、堤防の整備ですが、国は、利根川、江戸川において万一堤防を越えるような大洪水が生じても、破堤することのない、いわゆるスーパー堤防事業を進めていると聞いております。県内にかかわる部分の進ちょくはいかがでしょうか。もとより国の事業でありますが、本県の壊滅的水害被害を回避するためには大変重要であると認識しております。県においても、事業の進ちょくが図られるよう、国に積極的に働き掛けるなど促進を図るべきと考えておりますが、県としての考えを県土整備部長にお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手起こる) ○長峰宏芳副議長 六十八番 井上直子議員の質問に対する答弁を求めます。       〔上田清司知事登壇〕 ◎上田清司知事 井上直子議員の質問に順次お答えをいたします。 まず、身近な緑の保全と創造についてのお尋ねでございます。 日常生活に身近な緑が、お話のとおり生活に潤いを与えていく、それだけでなく、防災や都市景観にとっても大変意義のあることだというお問い掛けでございます。そこで、残念でありますが、井上議員が御指摘のとおり、本県の平地林も減少傾向にあり、かなり厳しい状況にあるという認識については同じでございます。したがいまして、地域の身近な緑を地域ぐるみで保全していくとともに、市街地に新しい緑を創出していく、このことが本県の重要な課題ではないかというふうに思っております。特に埼玉は、東京と比較すれば二倍の面積を持ち、東京が持ち得ない緑や田園を持っておりますので、これをしっかり引き継いでいく、また、創出していく。大事なことだというふうに思っております。 このため、ふるさと埼玉の緑を守る条例を改正し、この十月一日から施行したところでございます。この条例では、他の都道府県に先駆けて、里の山守制度という新しい仕組みを導入いたしました。これにより、地域住民や市民団体の方々による緑地保全活動を県と企業などが一体となって支援し、身近な緑を地域ぐるみで保全してまいります。さらに、市街地に新たな緑をつくり出していくために新たな緑化基準を設け、事業者の方々が都市部の限られた土地を有効に活用しながら屋上や駐車場などの緑化にも取り組んでいただくことといたしました。 また、昨年十一月には、御承知のとおり、屋上緑化の普及と啓発を目的に、埼玉新都心けやき広場におきまして第一回目の屋上緑花フェアを開催いたしましたところ、延べ二万五千人の方々に御参加もいただいております。今年度も、県内の緑化や建築の関係団体が中心になって、十月八日から十日まで、造園業の盛んな川口のリリアパークで第二回の屋上緑花フェアが開催されることになっております。私も積極的に参加してアピールもしていきたいというふうに思っております。このように、関係者の方々と連携を図りながらヒートアイランド対策に効果のある屋上緑化の普及や、地場産業の振興も果たしていきたい、このように思っております。 今後とも、県民の方々がゆとりと潤いを実感できるような埼玉の貴重な緑を守るために、しっかりと取り組んでいきたい、このように考えます。 次に、大型研究施設誘致への助成についてのお尋ねでございます。 お話のとおり、研究施設を誘致することは、研究開発型企業や先端技術を活用した新たなものづくり企業の集積につながることから、地域の産業に大きなインパクトを与えていくものと考えております。このため、本年一月から開始しました企業誘致大作戦におきましても、研究施設を誘致対象の一つに位置付け、本県の立地優位性や交通利便性など、埼玉県の魅力を訴えながら積極的に誘致活動に取り組んでおります。首都圏に位置する本県は優秀な人材が集まりやすく、理化学研究所をはじめとする二百五十を超える研究施設が集積するなど高いポテンシャルがありますので、研究施設を誘致する上で他県にない優位性もあるというふうに思っております。 しかしながら、御指摘のように、実際企業が立地場所を決定するに当たっては財政支援が大きな判断材料になるということも御指摘のとおりでございます。神奈川県をはじめ、工場よりも手厚い助成制度をつくっている県もございます。この件については、去る二月定例会の中で大石議員の代表質問に対しまして、地域経済に大きな効果をもたらす大型案件で大規模な助成が誘致の決め手になる場合には前向きに取り組んでいきたい、このように御答弁をさせていただいております。当然、これはプラスマイナスのことでございますので、助成をすることによって将来の経済効果が高い、はるかに上回るということであれば、そうしたことも当然考える、このように思います。 いずれにしても、大型研究施設をはじめとする企業誘致に全力を尽くしながら、井上議員をはじめ、県会議員の皆様方の御支援、御協力の中で、私は、教育や福祉の糧になる実もしっかりつくっていくことについて留意をしていきたいと思っております。 最後に、埼玉農業の振興についてのお尋ねのうち、今後の農業振興の方向についてでございます。 今、井上議員の農業に対する熱い思いも改めて聞かせていただきました。中国が既に食料輸入国に転じておりますし、今後の気象条件等々考えながら、世界が食料問題で悩む日々が来るだろうというふうなことも予測されることではないかというふうに思っております。本県の農業を見るときに、やはり何といっても、県民七百万人、そして首都圏四千万人という、この大消費者を抱えて、なおかつ生産地が近場にあるという、このことが大変有利な地域ではないか、このように認識を持っております。しかも、議員がお話しなされましたように、見沼代用水など全国的に見て先駆的な農業基盤が歴史的にもしっかりとしている、こういうものを生かすべきではないかという御提案も、全く賛成でございます。現在、都市化されたとはいえ、埼玉県の野菜の産出額は全国六位、そして、一、二位の産出額を誇っているものが十一品目もございます。こうした野菜を中心とした農産物に関していえば、決して他県に引けをとらないものがあるというふうに思っております。 私は、そもそも農業というのは、労働、資本、技術の三つ備えた正に先進型の産業だというふうに思っております。御承知のとおり、労働力と広大な農地を持った発展途上国は、必ずしも農業国ではありません。むしろ食料輸入国のところがほとんどであります。それは資本と技術が不足しているからであります。日本こそは、資本と技術と労働がしっかりとミックスされた、正に先進国型の農業が展開できる国だというふうに私は思っております。野菜等に関しては、御承知のとおり一千万からの所得の方々がもう既に五〇パーセントを超えておる、あるいは畜産関係も相当数の所得を上げておられる。しかし、米に代表される土地集約型の農業に関していえば、極めて貧弱な状態にあります。一・五ヘクタール程度の農地で米をつくっても、総売り上げがどうかすると二百五十万から三百万、肥料や様々な機械代を払ってしまえば、残りが七十万、下手すると三十万という、こういう状況が続く限り、私はだめだということを実は農林系統のいわば指導者の皆さんと話しております。十ヘクタールであろうと、あるいは十五ヘクタールであろうと、一・五ヘクタールであろうと、トラクターは一台であります。肥料もたくさん買うことによって安くなります。したがって、どうしても米麦中心の土地集約型の農業となってくれば、これは農地の集約そして拡大、これをしなければならないというふうに思っておりますので、正にほ場整備あるいはかんがい事業、こうしたものの充実が大変必要になってくる、こういうことではないかなというふうに私は思っております。 基本的には、私は、農業の未来は明るいと思っております。確かに海外の安い農産物が大量に輸入はされております。しかし、食の安全というところに多くの国民は目覚めております。したがって、味覚あるいは安全というブランドで勝負ができる時代になってまいりましたので、私は、正に埼玉県はそうした輸入農産物と十分戦える農産物をつくっていく、そのための仕組みが必要ではないかというふうに思っております。農林系統の皆様方とも、私、相当意見交換もさせていただきました。森林だけはだめかというふうに思ったこともありましたけれども、しかし、児玉森林組合はコストの相当な引き下げで健闘しております。ということは、他の森林組合も、まだまだ可能性が残っているのかと感動を覚えたこともございました。 いずれにしても、農林系統も、県信連は長い間、不良債権の処理に苦労しておりました。やっとそうした重みがとれましたし、各単位農協におかれましても、統合、再編をきちっとやってまいりまして相当足腰の強い形もつくってまいりましたから、バックアップする農業団体と、そして県と、そして多くの県民の皆様の支持があれば、私は、埼玉県の農業はこれから明るい、また、明るくしなければだめだと。大体工業でも農業でも、個人の商店もそうですが、もうかっていればサラリーマンをやっている息子はすぐ帰ってきます。後継者難というのも問題ではありません。そういう意味で、しっかりとした農業をつくって、明るい埼玉の農業の展開を一所懸命展開したい、私はそのように考えておりますので、よろしく御指導をお願いいたします。ありがとうございました。       〔橋本光男総合政策部長登壇〕 ◎橋本光男総合政策部長 御質問三、指定管理者制度についてお答えを申し上げます。 まず、審査基準でございますが、県民の平等な施設の利用を確保すること、施設の設置目的に沿い効果的かつ効率的に管理すること、県民本位の柔軟なサービスを提供すること、安定した経営基盤を有すること、管理に係る経費は適切な額とすることなどでございます。 さらに、応募の資格を、県内に事務所を置いていること又は指定管理者となった場合には県内に事務所を置くこととし、県内産業の振興を図ることといたしております。 次に、審査のメンバーでございますが、施設を所管する各部局において施設の種類ごとに選定委員会を設置し、県職員、公認会計士や大学教授などの有識者、さらには必要に応じて利用者代表などをメンバーとしております。 また、選定過程の公表でございますが、制度の信頼性や透明性を確保するためには大変重要なことであると認識しております。したがいまして、指定管理者の指定後には、公募に応募した団体数、選定委員会の委員名、審査基準、応募した団体の採点結果、選定委員の主な意見、そして指定管理者となった団体の提案の概要などを県のホームページなどを通して公表してまいります。       〔杉田勝彦農林部長登壇〕 ◎杉田勝彦農林部長 御質問四、埼玉農業の振興についての(二)農業生産基盤の整備についてお答えを申し上げます。 まず、今後のほ場整備をどのように推進していくのかについてでございますが、水田のほ場整備は収益力の高い水田農業を確立していく上で極めて重要なものであります。本県の水田の整備状況ですが、全体の水田面積に占める十アール区画の整備割合は四一パーセント、三十アール区画は四七パーセント、一ヘクタール以上の区画は二パーセントとなっております。昨年度、新たな米政策改革がスタートし、産地間競争等の激化が進行している中で、収益力の高い水田農業を実現していくためには、ほ場の大区画化により経営規模の拡大を図り、生産コストの削減を一層図ることが必要であります。米の価格が不安定な中、水田農業経営にとってほ場の大区画化は喫緊の課題でありますが、県といたしましては、工事費用の縮減及び工期の短縮を図るため、畦畔除去や既設の道路、水路を最大限利用した低コストのほ場整備に取り組んでおります。 今後は、まず、本県水田において相当な割合を占める十アール区画のほ場を大型機械が効率的に稼働できる三十アール区画以上に拡大することを基本に取り組んでまいります。さらに、地域の実情に合わせて、五十アール、一ヘクタールなど、より一層の区画拡大を進め、経営規模の拡大を通じ収益力の高い魅力ある水田農業を実現してまいります。 次に、今後の農業水利施設の適切な更新、補修についてどのように考えるのかでございますが、農業用水を取水する頭首工や用排水路等の農業水利施設は、農産物の安定生産はもとより、洪水防止機能等、地域の安全にも多大な貢献をしております。県内においては、頭首工が大小合わせて百か所、揚水機場、排水機場が合わせて九百四十か所あるほか、農業用水路及び排水路の総延長は一級河川の総延長の約四倍に当たる六千九百キロメートルに及んでおります。これら農業水利施設は土地改良区等により管理され、その機能を発揮してきたところでありますが、議員お話しのように、老朽化が進んでおり、更新や補修の必要性が高まっております。県といたしましては、これまでも農業水利施設の劣化等の機能判断を行い、老朽化の度合いに応じて必要な補修あるいは更新に努めてきたところでございます。 今後は、更に更新や補修を必要とする施設の増加が見込まれておりますので、工事完成後の維持管理コストを含めたライフサイクルコストの視点に立ち、きめ細かな機能診断を早目早目に実施し、市町村や土地改良区の意向を踏まえ、補修による施設の寿命の延長を図るかあるいは更新すべきかについて厳しく精査し、計画的に必要な対策を実施してまいります。       〔中村健二保健医療部長登壇〕 ◎中村健二保健医療部長 御質問五、健康診査と生活習慣病対策の在り方についてお答え申し上げます。 生活習慣病対策は、早期発見が重要であります。一人でも多くの方に健康診査を受けていただいて、生活習慣病になるリスクが高い方を把握し適切な治療や保健指導を行うことは、県民の健康を守るために県としても最優先の課題だと認識しております。 さきの九月七日に開催された厚生労働省の厚生科学審議会において、新しい健診の在り方を含む今後の生活習慣病対策案が提示され、大筋で了解されたと伺っております。議員のお話にありましたとおり、新しい案では、腰回りが男性で八十五センチメートル以上、女性で九十センチメートル以上の内臓脂肪型の肥満と、高血圧、高血糖などを併せ持った状態は生活習慣病のリスクが高いとしております。この考え方に基づいて、すべての人を対象とした基本健診と、明らかにリスクを有する方への詳細な健診という二段階方式とすることが提案されております。この二段階方式では、基本健診は、腹囲及び血圧の測定と採血という簡便な方法となり、短時間での実施が可能となります。これにより対象者に過度の負担をかけず、これまで受けていない人も受けやすくなり、かつ、保健指導が必要な人を見落とさず、十分な保健指導を行うことができるとされております。健診は、受診者一人一人が健診結果から自らの健康状態を正しく理解し、健康づくりに役立てていただいてこそ、その効果が最大限に発揮されるものでございます。その意味で、今回の提案は大変意義深いものと考えます。 次に、健康診査の受診率の現状についてでございます。 本県における老人保健法に基づく基本健康診査の受診率は、ここ数年、対前年度比で年間三から四パーセントの増加傾向にあり、平成十五年度では県内の全市町村平均の受診率は五三・二パーセントとなっております。これは、全国平均の受診率四四・八パーセントを上回り、都道府県別で全国第八位に当たります。 今後の取組についてでございますが、今回の国の案で示された、必要な方に必要度に応じた階層別の保健指導を行うことは、ますます重要になると認識しております。まず、一人でも多くの方に健診を受けていただくよう受診率の更なる向上に向けて新たな健診方式の研究を進め、実際に健診を担う市町村への情報提供を行ってまいります。併せて、県として、専門家による健診の精度管理の充実を図りながら、効果的な保健指導が行われますよう保健師研修を行うなど、市町村への支援を充実してまいります。       〔飯島和夫危機管理防災部長登壇〕 ◎飯島和夫危機管理防災部長 御質問六、自主防災組織の充実についてのお答えを申し上げます。 東京湾北部地震の切迫性などが指摘され、災害に備えた住民の防災意識の向上、県、市町村の災害対応能力の強化が急がれております。 住民の防災意識の向上では、住民一人一人が「自分の命は自分で守る」、「地域のことは地域で守る」という自助、共助の気持ちを持っていただくことが何より大切です。そのため、県では、市町村と協力して地域の住民が一丸となって避難や救助活動に当たる自主防災組織の育成を進めております。本県の組織率は平成十七年四月一日現在、五六・八パーセントであり、全国平均六二・五パーセントを下回っております。組織率の向上には、まず住民に一番身近な市町村において努力いただくことが肝要で、機会あるごとにその旨要請しており、市町村におきましてもその重要性を認識し取り組んでおりますが、住民同士の結び付きも弱くなっており、思うような成果を上げるに至っておりません。そのため、今年度は組織率の低い十八市町を重点地区に定め、部内でチームを編成し、市町村職員とともに、土日昼夜なく、自治会総会などに直接出向き、自主防災組織の必要性、県の助成制度などを説明し、結成を強く働き掛けております。これらにより、秩父市や美里町では既に自主防災組織の規約の検討に入るなど、結成に向けた取組が進んできております。 自主防災組織の育成は、被害の軽減、減災の要ともなるものでありますので、引き続き市町村と連携して、今年度中に全国平均の組織率六二・五パーセントを上回るよう、また、三か年で組織率八〇パーセント達成を目指し、全力を挙げて取り組みます。       〔稲葉喜徳教育長登壇〕 ◎稲葉喜徳教育長 御質問七、県立高校の再編整備についてお答えを申し上げます。 まず、中期再編整備計画の第一期に基づく六つの新校をどのような方向で整備しようとしているのかについてでございますが、現在それぞれ新校ごとに、地元関係者や学校関係者などで構成される新校準備委員会を設置し、各校の基本理念などを定める新校基本計画の検討を進めております。各準備委員会では、様々な学習歴やライフスタイルを持った生徒が学ぶ高校、あるいは不登校経験者が安心して学ぶことができるシステムを持った高校など、それぞれの理念に基づく特色ある学校とする方向で検討しております。また、いずれの準備委員会におきましても、生徒一人一人に社会で自立していく力を身に付けさせるためには、基礎的・基本的な学力の定着や向上、基本的な生活習慣や規律ある態度の養成、健全な勤労観や職業観の育成などに力を入れていくべきとの御意見をいただいておりますので、こうした点を基本計画にできる限り反映してまいります。 次に、第二期の見通しでございますが、中学校卒業生が減少を続ける現状を踏まえますと県立高校の再編整備は積極的に推進すべき重要施策でございますので、今後の中学校卒業者数の状況を十分配慮しながら、平成十八年度の早い時期に第二期の計画を策定し、県民の皆様から御意見を伺えるよう準備を進めてまいります。 次に、御質問八、子ども会を育て教育力の向上をについてでございますが、子ども会活動には、現在、県内約十八万七千人の児童生徒が参加しており、地域における祭りや行事、清掃活動やバザー、キャンプやスポーツ活動など、様々な体験をすることができる大変貴重な場となっております。また、核家族化の進行や地域における人間関係の希薄化、モラルの低下などから、地域社会の教育力の低下が指摘されている中で、地域の大人たちが手を携えて子供を育て、異世代が交流できるコミュニティの形成にも大きな役割を果たしております。 しかしながら、こうした有意義な活動であるにもかかわらず、児童生徒数の減少や子供たちの興味、関心の多様化などにより、子ども会の入会者数が減り、会の活動に後退の兆しが見えておりますことは御指摘のとおりでございます。子ども会活動を活発に継続していくためには、子供たちが参加したくなるような魅力ある行事を工夫したり、活動の中核を担うジュニアリーダーやシニアリーダーの養成、子ども会活動をより安全に実施するための安全対策の充実などが必要であると考えております。 県といたしましては、子ども会活動を支援している地域の方々に、より大きな力を発揮していただきますよう埼玉県子ども会育成連絡協議会と連携を図りながら、リーダー養成や研究機会の提供、地域で子供を育てるための優れた取組事例の紹介など積極的に支援に努めてまいります。       〔小沢隆県土整備部長登壇〕 ◎小沢隆県土整備部長 御質問九、利根川・江戸川のスーパー堤防化についてお答え申し上げます。 スーパー堤防事業は、大雨や地震による堤防の決壊を防ぎ、都市の壊滅的な被害を回避するため、堤防の高さの約三十倍の幅の広い堤防の整備を行うものでございまして、国が、利根川、江戸川、荒川等の大河川において実施しているものでございます。 お尋ねの利根川、江戸川の県内に係るスーパー堤防の進ちょく状況についてでございますが、七か所が完成し三か所において事業が進められており、整備率はスーパー堤防計画延長八十五・三キロメートルの四・二パーセントになります。この事業は、公園や土地区画整理事業等のまちづくり事業等と一体となって整備を行うもので、その整備には大変な時間を要しております。そうしたことから、国では、緊急的に堤防を連続して強化を図る必要があることから、スーパー堤防事業と並行して、平成十六年度より利根川・江戸川の右岸堤防について、堤防幅を高さの七倍に広げる、首都圏はんらん区域堤防強化対策事業を進めているところでございます。この事業は、漏水等による堤防の決壊を防ぐ目的で、深谷市の小山川との合流点から三郷市のJR武蔵野線橋りょうまでの約七十キロメートルの区間を、おおむね十年間という目標で整備を進めているものでございます。 県といたしましては、これらの事業につきまして、県民の生命・財産を守り、災害に強い県土づくりを進めるため、引き続き国への最重点要望等、あらゆる機会をとらえ国に要望するとともに、関係する市や町と連携を図りながら積極的に地域との調整を進めるなど、整備促進に最大限努めてまいります。 ○長峰宏芳副議長 ほかに発言通告がありませんので、知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問は終了いたしました。               ---------------- △第百五十九号議案~第百八十九号議案及び第百九十二号議案並びに請願の各委員会付託 ○長峰宏芳副議長 これより、議案並びに請願の付託を行います。 本定例会に提出された第百五十九号議案ないし第百八十九号議案及び第百九十二号議案並びに請願につきましては、お手元に配布しておきました付託表のとおり、各所管の委員会に付託いたします。〔参照-(八)(一一〇)ページ〕               ---------------- △決算特別委員会の設置、第百九十号議案及び第百九十一号議案の付託、同議案の継続審査決定 ○長峰宏芳副議長 次に、第百九十号議案及び第百九十一号議案につきましては、十八人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、閉会中の継続審査と決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。       〔「異議なし」と言う人あり〕 ○長峰宏芳副議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。               ---------------- △決算特別委員の選任 ○長峰宏芳副議長 おはかりいたします。 ただ今設置いたしました決算特別委員会の委員につきましては、お手元に配布しておきました名簿のとおり選任いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。       〔「異議なし」と言う人あり〕 ○長峰宏芳副議長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 ただ今選任いたしました決算特別委員会の委員の方々は、本日の本会議散会後委員会を開き、正副委員長の互選を願います。〔参照〕          決算特別委員会委員名簿 議席番号  氏名    会派名     議席番号  氏名    会派名   七番  松沢邦翁  自民       十五番  本木 茂  自民 二十一番  清水寿郎  自民      二十二番  石田 昇  自民 三十三番  鈴木義弘  自民      四十一番  近藤善則  自民 五十五番  鹿川文夫  自民      六十三番  吉田 弘  自民 六十七番  滝瀬副次  自民       八十番  神谷裕之  自民 八十七番  深井 明  自民      八十九番  野本陽一  自民  十二番  塩野正行  公明      五十八番  森泉義夫  公明  三十番  森田光一  地方主権の会  七十五番  矢部 節  地方主権の会 九十四番  山岸昭子  共産      六十一番  当麻よし子 民主党               ---------------- △次会日程報告 ○長峰宏芳副議長 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明六日及び十三日は、議案調査のため本会議は開きません。 七日、十一日及び十二日の三日間は、各委員会を開き、付託案件の審査を願います。 八日ないし十日は、休日につき休会といたします。 来る十四日は、午前十時から本会議を開き、各委員長の報告を求め、質疑、討論並びに採決を行います。               ---------------- △散会の宣告 ○長峰宏芳副議長 本日は、これにて散会いたします。午後四時八分散会               ----------------...