• "金子善次郎"(/)
ツイート シェア
  1. 埼玉県議会 1988-02-01
    02月29日-02号


    取得元: 埼玉県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-06
    昭和63年  2月 定例会二月定例会第七日(二月二十九日)昭和六十三年二月二十九日(月曜日)第七日  議事日程 一 開議  午前十時 二 諸報告  (1) 人事委員会意見回答報告     第二十二号議案、第二十三号議案、第三十三号議案及び第四十六号議案  (2) 再照会した請願の処理結果  (3) 地方自治法第百八十条第二項の規定に基づく専決処分  (4) 埼玉県公営競技事業特別会計弾力条項適用 三 請願(議請第一号)の紹介議員追加 四 知事追加提出議案の報告、一括上程    第五十七号議案~第六十九号議案 五 知事の提案説明 六 知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問(代表)    八十三番  佐久間 実君     九十番  染谷 薫君 七 次会日程報告    三月一日(火) 午前十時間議、質疑質問(代表)続行 八 散会          ----------------本日の出席議員   九十三名       一番  渡辺利昭君       二番  遠藤俊作君       三番  町田潤一君       四番  石田勝之君       五番  神保国男君       六番  永野庫吉君       七番  持田謙一君       八番  秋谷昭治君       九番  天野清一君       十番  黒田重晴君      十一番  森戸由祐君      十二番  岡 真智子君      十三番  青木俊文君      十四番  船津 弘君      十五番  福岡友次郎君      十六番  諏訪善一良君      十七番  新井弘治君      十八番  並木利志和君      十九番  伊利 仁君      二十番  利根田康年君     二十一番  佐藤輝彦君     二十二番  浅古 登君     二十三番  穂坂邦夫君     二十四番  吉田政雄君     二十五番  荒井藤次君     二十六番  岡本富夫君     二十七番  田村朝雄君     二十八番  秋元安紀君     二十九番  高橋幸寿君      三十番  藤原幸朗君     三十一番  大沢立承君     三十二番  小島敏男君     三十三番  瀬山 賢君     三十四番  井田恵夫君     三十五番  井上新一郎君     三十六番  中野 清君     三十七番  大川修司君     三十八番  田代甲子雄君     三十九番  大石忠之君      四十番  谷古宇勘司君     四十一番  福田 実君     四十二番  高橋正平君     四十三番  秦 哲美君     四十四番  熊野 巌君     四十五番  西村 暁君     四十六番  田村さわ子君     四十七番  金子圭典君     四十八番  武田春太郎君     四十九番  深井 明君      五十番  野村輝喜君     五十一番  星野謹吾君     五十二番  相川宗一君     五十三番  秋本昌治君     五十四番  片貝光次君     五十五番  岡野義一君     五十六番  秋山 清君     五十七番  丸山正幸君     五十八番  小泉 信君     五十九番  藤井俊男君      六十番  和田清志君     六十一番  西村広行君     六十二番  沢田恒二君     六十三番  大山敏夫君     六十四番  栗原 稔君     六十五番  斎藤 博君     六十六番  小沢喜之君     六十七番  松下 誠君     六十八番  本木欣一君     六十九番  永沼正吉君      七十番  玉田共瑞君     七十一番  美田長彦君     七十二番  山口仁平君     七十三番  宮崎守保君     七十四番  斎藤大丈夫君     七十五番  小山行一君     七十六番  栗岡宏太郎君     七十七番  坂斎栄次君     七十八番  石井多計志君     七十九番  野本陽一君      八十番  佐藤泰三君     八十一番  奥ノ木徳二君     八十二番  宇津木清蔵君     八十三番  佐久間 実君     八十四番  野口卓爾君     八十五番  堀口真平君     八十六番  宮田守夫君     八十八番  丸木清美君     八十九番  斎藤正次君      九十番  染谷 薫君     九十一番  阿部錦弥君     九十二番  関根永吉君     九十三番  小見喜代治君     九十四番  吉野良司君地方自治法第百二十一条の規定により説明ため出席した人   知事       畑  和君   副知事      関根秋夫君   副知事      立岡勝之君   出納長      小林 実君   企画財政部長   金子善次郎君   総務部長     堀 和哉君   県民部長     下崎忠一郎君   環境部長     竹内克好君   衛生部長     鈴木忠義君   商工部長     鈴木行雄君   農林部長     高瀬一太郎君   労働部長     奥山昌美君   土木部長     池田平八郎君   住宅都市部長   村上貞夫君   公営企業管理者  黒澤幸久君   教育委員会委員長 伊藤政子君   教育長      荒井修二君   警察本部長    石瀬 博君            発言(質問)通告書  二月二十九日(月)議席番号 氏名     要旨 答弁者八十三番 佐久間 実君 1 昭和六十三年度予算編成について 知事            2 行政改革について 知事            3 生活基盤整備について 知事            4 福祉対策について 知事            5 産業振興と雇用対策について 知事            6 農政について 知事            7 警察行政について 警察本部長            8 教育行政について 教育委員会委員長 教育長            9 知事の公社等理事長兼職及び整理統合について 知事            10 ゴルフ場汚職について 知事            11 行政組織機構について 知事 九十番 染谷 薫君  1 知事選出馬の決意について 知事            2 十六年間の実績と今後の課題について             (1) 下水道 知事             (2) 無担保無保証人融資制度 〃             (3) 高校進学者減少対策 教育委員会委員長             (4) 心身障害者小規模授産事業 知事            3 新年度予算について 知事            4 地価対策について 立岡副知事            5 新長期構想について             (1) 地域別構想の具体化 知事             (2) 交通管理システム 警察本部長             (3) リニア・モータ・カー 知事             (4) テクノグリーン構想 知事 公営企業管理者            6 国予算の導入について             (1) 水辺都市構想 知事             (2) 不老川浄化事業 〃             (3) 秩父リゾート地域整備 〃             (4) 職業教育先端機器の導入 教育長            7 文化行政について  関根副知事             (1) 文化振興財団             (2) 県民芸術劇場            8 婦人問題について 知事             (1) パートバンク、婦人の職業サービスルームの充実             (2) 女性対象の高等技術専門校等             (3) 婦人の能力開発、雇用機会の確保等            9 衛生行政について 関根副知事             (1) 精神医療総合センター             (2) 県立循環器センター             (3) 看護婦確保対策            10 環境行政について 知事             (1) 都市地域の緑化対策             (2) 緑のトラスト運動            11 農業行政について 知事             (1) 本県農業の将来の方向             (2) バイオテクノロジーの研究推進             (3) 新種苗の供給体制            12 教育行政について 教育長             (1) 普通科高校への先端機器の導入             (2) 普通科高校への推薦入学の導入             (3) 新・県民体育大会          ----------------午前十時三十六分開議  出席議員   九十三名   一番   二番   三番   四番   五番   六番   七番   八番   九番   十番   十一番  十二番   十三番  十四番  十五番  十六番   十七番  十八番  十九番  二十番   二十一番 二十二番 二十三番 二十四番   二十五番 二十六番 二十七番 二十八番   二十九番 三十番  三十一番 三十二番   三十三番 三十四番 三十五番 三十六番   三十七番 三十八番 三十九番 四十番   四十一番 四十二番 四十三番 四十四番   四十五番 四十六番 四十七番 四十八番   四十九番 五十番  五十一番 五十二番   五十三番 五十四番 五十五番 五十六番   五十七番 五十八番 五十九番 六十番   六十一番 六十二番 六十三番 六十四番   六十五番 六十六番 六十七番 六十八番   六十九番 七十番  七十一番 七十二番   七十三番 七十四番 七十五番 七十六番   七十七番 七十八番 七十九番 八十番   八十一番 八十二番 八十三番 八十四番   八十五番 八十六番 八十八番 八十九番   九十番  九十一番 九十二番 九十三番   九十四番  地方自治法第百二十一条の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(関根) 副知事(立岡)   出納長      企画財政部長  総務部長   県民部長     環境部長    衛生部長   商工部長     農林部長    労働部長   土木部長     住宅都市部長  公営企業管理者   教育委員会委員長 教育長     警察本部長 △開議の宣告 ○議長(宮田守夫君) ただ今から、本日の会議を開きます。          ---------------- △諸報告 △人事委員会意見回答報告(第二十二号議案、第二十三号議案、第三十三号議案及び第四十六号議案) ○議長(宮田守夫君) この際、諸般の報告をいたします。 まず、本定例会に提出された議案のうち、第二十二号議案、第二十三号議案、第三十三号議案及び第四十六号議案について、人事委員会に意見を求めておきましたところ、回答がありましたので、お手もとに配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(二六〇)ページ〕          ---------------- △再照会した請願の処理結果 ○議長(宮田守夫君) 次に、議会において採択された請願のうち、昭和六十一年十二月定例会から昭和六十二年九月定例会までの未処理のものについて再照会をいたしましたところ、回答がありましたので、お手もとに配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(二四九)ページ〕          ----------------地方自治法第百八十条第二項の規定に基づく専決処分 ○議長(宮田守夫君) 次に、知事から専決処分の報告がありましたので、お手もとに配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(二五一)ページ〕          ---------------- △埼玉県公営競技事業特別会計弾力条項適用 ○議長(宮田守夫君) 次に、知事から昭和六十二年度埼玉県公営競技事業特別会計について弾力条項の適用の報告がありましたので、お手もとに配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(二五七)ページ〕          ---------------- △請願(議請第一号)の紹介議員追加 ○議長(宮田守夫君) 次に、議請第一号の請願者から、お手もとに配布しておきましたとおり、紹介議員を追加されたい旨の申出がありましたので、追加することに御異議ありませんか。        〔「異議なし」と言う人あり〕 ○議長(宮田守夫君) 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。〔参照-(二三三)ページ〕          ----------------知事追加提出議案の報告 ○議長(宮田守夫君) 知事から議案の追加提出がありましたので、報告いたします。 議事課長に朗読いたせます。        〔議事課長朗読〕財第六百十五号  昭和六十三年二月二十九日 埼玉県議会議長  宮田守夫様                    埼玉県知事  畑  和        県議会付議議案について  本議会に付議する議案を次のとおり提出いたします。 第五十七号議案 昭和六十二年度埼玉県一般会計補正予算(第三号) 第五十八号議案 昭和六十二年度埼玉県証紙特別会計補正予算(第二号) 第五十九号議案 昭和六十二年度埼玉県災害救助事業特別会計補正予算(第一号) 第六十号議案 昭和六十二年度埼玉県中小企業近代化資金特別会計補正予算(第二号) 第六十一号議案 昭和六十二年度埼玉県用地事業特別会計補正予算(第二号) 第六十二号議案 昭和六十二年度埼玉県県民ゴルフ場事業特別会計補正予算(第一号) 第六十三号議案 昭和六十二年度埼玉県流域下水道事業特別会計補正予算(第二号) 第六十四号議案 昭和六十二年度埼玉県県営住宅管理事業特別会計補正予算(第一号) 第六十五号議案 昭和六十二年度埼玉県病院事業会計補正予算(第一号) 第六十六号議案 昭和六十二年度埼玉県工業用水道事業会計補正予算(第二号) 第六十七号議案 昭和六十二年度埼玉県水道用水供給事業会計補正予算(第二号) 第六十八号議案 昭和六十二年度埼玉県土地開発整備事業会計補正予算(第二号) 第六十九号議案 損害賠償の額を定め、和解することについて ○議長(宮田守夫君) ただ今報告いたしました議案は、お手もとに配布しておきましたから、御了承願います。〔参照-(一七三)ページ〕          ---------------- △第五十七号議案~第六十九号議案の一括上程 ○議長(宮田守夫君) 知事から追加提出された第五十七号議案ないし第六十九号議案を一括して議題といたします。          ----------------
    △知事の提案説明 ○議長(宮田守夫君) 知事の説明を求めます。 知事 畑  和君        〔知事(畑  和君)登壇〕 ◎知事(畑和君) ただ今御提案申し上げました諸議案につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、第五十七号議案「昭和六十二年度埼玉県一般会計補正予算(第三号)」について申し上げます。 今回の補正予算は、事業の年度内執行見込みに基づく事業量の増減、あるいは国庫支出金などの確定、並びに公共用地の買戻し等に伴いまして、所要の補正を行うものであります。 以下、主な事項について申し上げます。 まず、水源地域対策といたしまして、水源地域の生活環境を整備し、地域の振興を図るため、合角ダム及び浦山ダムに係る水源地域整備事業の実施に伴う所要額を措置することといたしました。 次に、重度心身障害者の医療費助成につきましては、対象人員の増加に伴う補正を行うとともに、小児慢性疾患対策につきましても所要の措置をお願いいたしております。 また、用地事業特別会計及び土地開発公社におきまして先行取得いたしております公共用地の一部につき、買戻しを行い、今後の.公共用地取得の円滑化を図ることといたしました。 さらに、職員の退職手当につきましては、年度末退職予定者の増加が見込まれますので、所要額を措置いたしております。 以上のほか、国庫支出金の確定並びに対象事業の確定などにより不用額が見込まれるものにつきまして、それぞれ減額補正を行うことといたしました。 また、県税につきまして、法人二税を中心に増収が見込めることになりましたので、財政調整基金等の取り崩しを中止しますとともに、県債管理基金等の積立てを行い、今後の財政需要に対処することといたしました。 この結果、一般会計補正予算の総額は、三百二十六億八千六百三十万四千円となり、補正前の予算額との累計額は一兆二百七十七億六千五百四十一万七千円となります。 なお、補正予算の財源といたしましては、 県税        四百五十一億五千九百万円 地方譲与税         五億五千四百万円 地方交付税       六十九億円 使用料及び手数料      六億二千六百十八万六千円 財産収入        二十一億六千八百四十五万四千円 寄附金           三億六千九百万六千円 繰越金         二十六億四千七百九十四万七千円を充てることといたしましたほか、分担金及び負担金、国庫支出金、諸収入などにつきまして減額補正をさせていただいております。 また、用地取得が困難であることなどから、年度内に完了する見込みが立たなくなった事業につきましては翌年度へ繰り越して執行いたしたく、繰越明許費の補正についてもお願い申し上げております。 第五十八号議案ないし第六十八号議案は、特別会計及び公営企業会計について、事業量の増減に伴う補正を行うほか、用地事業特別会計におきまして土地開発基金の積立て等の措置をお願いするものであります。 第六十九号議案は、損害賠償の額を定め、和解することについて、御議決をお願いするものでございます。 以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なにとぞ慎重御審議のうえ、御議決を賜りますようお願い申し上げます。          ----------------知事提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問(代表) ○議長(宮田守夫君) これより、提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を行います。 発言通告がありますので、順次これを許します。 自由民主党代表、八十三番 佐久間 実君        〔八十三番 佐久間 実君 登壇〕(拍手起こる) ◆八十三番(佐久間実君) 八十三番、自由民主党の佐久間 実でございます。 私は、自由民主党所属議員六十三名を代表し、今次定例会に提案されました「昭和六十三年度一般会計予算案」をはじめとする各議案並びに当面する県政の重要課題等について、その問題点を順次ただしてまいりたいと存じます。 さて、昭和六十三年度政府予算は、当初比四・八パーセント増と、昭和五十七年以来の六年ぶりの国の地方財政計画の高い伸びとなり、従来の歳出削減を中軸とする緊縮型予算から、久しぶりに積極型予算へと転換が見られたところであります。 地方財政収支によると、地方税のうち、都道府県税が十一兆六千七百三十億円、一三・七パーセントの増が見込まれているところであります。当然、この中には、利子所得の一律分離課税方式の創設に伴う利子割が含まれているところであります。 ところで、埼玉県の場合、この利子割はどのくらいになるのか、その概算を伺いたいと思います。 我が郷土埼玉県は、今や人口六百万を超える全国有数の大県に成長し、日々着々と進展の一途をたどりつつありますことは、県議会に席を持つ者として、誠に御同慶にたえないところであります。しかし、埼玉県政全般にわたって、それぞれの行政分野ごとに点検し、他の都道府県と比較してみた場合、誠に遺憾に存じますが、多くの分野で相当の遅れと隔たりを感じるところであります。例えば、一人当たりの都市公園面積、市町村道の改良率、あるいはまた舗装率は全国平均を大きく下回り、全国順位が四十位台、公営住宅にいたっては、一千世帯当たりの戸数が二〇パーセント台で全国最下位、そして下水道普及率にしても、公民館の数にしても、全国の中クラスであります。 知事は、先日、本会議で行われた提案説明で、「二十一世紀を埼玉の時代に」と申され、二十一世紀に向けて、経済的、社会的、文化的にも雄県としての地位を確立するため、その基礎づくりをたゆむことなく、かつ力強く推し進めてまいりたいと述べられました。 大目標は大目標として、大いに結構なことでありますが、山積されている幾多の問題解決を急がれている問題等々、県民の要求を十分に満たすための施策の展開こそ最優先されるべきであると考えます。県民が納得し、県民から信頼される県政の確立こそ重要であります。 以下、発言の通告に基づき、ただしてまいります。 昭和六十三年度予算編成について。 今回提案されました昭和六十三年度埼玉県予算案について、基本的な編成方針と基本的施策の展開要領等について伺いたいと存じます。 さて、昭和六十三年度県予算における財源見積りについて、私なりに見解を申し上げ、知事の所感をお伺いいたします。 その前に、まず、昭和六十三年度予算の編成の実態について、特に県税収入の把握の仕方、計上の技術論について言及してみたいのであります。とりあえずの問題提起といたしまして、六十二年度の当初予算の県税収入見込額が、その年の景気の動向や各種経済見通しとの関連で妥当な額と言えるのかどうか。また、年度途中の追加補正額が、その都度少額に過ぎはしないかと思われたが、その時期の経済動向にふさわしい額であったのか、そして、最終補正として今議会に提案された巨額な税収見込みは、ぎりぎりの額と言えるのか、それとも、まだ追加計上されるのか、さらには、年度の終わるこの時期での計上は、財源の有効利用の点から見てどう考えるべきかなど、私には、いずれも率直には理解しにくい問題点と思われるのであります。 そこで、議会に提案された予算という事実に着目し、その間の経済見通しなどを引用しながら、私見を述べて、議員各位並びに県民の皆様方の率直な批判を仰ぎたいと思います。 昭和六十二年度県税の当初計上額は四予百四十六億円で、対前年度当初比〇・九パーセントの伸び率と見込まれて、そして九月補正では、県民税などの増収を理由として九十九億一千二百万円、さらに、十二月には不動産取得税等を中心に五十二億八千八百万円か追加されました。 この間、法人関係税の増収見通しについては、何の説明がなかったところであり、そして、今回の二月最終補正では、何と過去におそらく例のない、四百五十一億五千九百万円の巨額な税源が突如として追加計上されたのであります。この間の三回に及ぶ補正総額は六百三億五千九百万円に達したわけであります。 地方自治法第二百十条、総計予算主義の建前から、本来、県税収入は的確な見積りのもと全額が当初に計上されることが最も望ましいが、経済事情の変化等も考慮すれば、途中の補正もある程度までは許容されなければならないでしょう。それも、予算の年度内執行を考えるとき、よくても、せいぜい九月補正予算への提案が限界とみるべきであり、それ以降は、万やむを得ない場合の微調整にとどめるのが財政上の常識と思料されるところでもあります。 もし仮に、六百三億余円が的確に見積もられて九月議会に計上できていれば、一般財源に対し特定財源(県債、国庫補助金等)二の割合、すなわち三倍の一千八百億円程度の予算支出が可能とされ、遅れている生活基盤整備を中心に、大いに県経済の活性化、県政進展に役立っていたはずであります。 さて、六十二年度の埼玉県経済の見通しは、権威のある調査機関の調査でも、年当初から回復基調にあり、年度の途中には上昇傾向に転ずることがある程度までわかっていたはずであります。公平を期するために、私は、あえて県の委任先である埼玉総合研究機関、つまり、シンクタンクの発表資料にて説明いたしますが、その見通しの中でも、「我々の予測では、六十一年度に引き続き、円高調整過程の中での厳しい状況は今のところ杞憂に終わりそうで、六十二年度の県経済は、予想を超えた力強い景気回復に向かっており、恐らく年度後半も回復基調が続き、年度の成長率は、名目、実質とも、近年にない八パーセント前後の高いものとなろう」と早くから推計していたところであります。 このように、県のお膝元が明言している確かな景気動向があるにもかかわらず、税収見込みを小出しにしてきて、最終的には、どうにもならないこの時期に四百五十一億五千九百万円余の巨額な財源を追加し、そのあげくが、長年据え置いた用地等の債務の返済にしか充てられないことは、公共投資が著しく遅れている本県社会資本の整備のため、また、財源の有効活用の面から見て大きな損失であると思うが、これらの点について、知事の見解をお伺いしたいのであります。 また、このような実態は過去にも多く見られましたが、その要因として、県税を所管するのは総務部、財源全体を所管するのは企画財政部という、機構からくる縄張り意識や責任逃れなど組織機構上からくる欠陥ではないかと憂うるものでありますが、この点についてもいかがか、併せてお伺いいたします。 次に、六十三年度予算における県税見込額の妥当性について伺いたいと存じます。 県税収入は、当初予算の比較で見る限り、七百九十億円増の一九・一パーセントの伸びとなっております。一方、地方財政計画の府県税の伸びは一三・九パーセントで、県分はこれを若干上回った伸び率となっているが、御案内のように地財計画は通年ベースで見込んでおり、本県の場合は、あくまでも対前年度当初比較でありますので、これを実績ベースで推定してみる必要があるのであります。 現段階では、六十二年度決算数値は不明でありますので、やむを得ず、今回提案されました二月補正を含む最終予算ベースで見ますと、県税収入最終見込みは四千七百四十九億五千九百万円であり、これを昭和六十三年度当初計上の四千九百三十六億円と比較してみると、その伸び率は、わずかに三・九パーセントに過ぎない低い伸び率にとどまっているのであります。 これに対し、通年ベースの地財計画は一三・九パーセントの伸びであり、そして、私の手もとでは残念ながら六十二年度の対前年度の最終予算ベースで伸び率さえ不明でありますが、常識的にも、かなりの伸長は見込めると思われるところであります。 適当な資料がないので、見方を変えて、六十二年度における年度間の補正税源総額の当初計上額に占める割合を見ましても、一四・五パーセントという大きなウェイトであり、これをあてはめてみても、六十三年中の税収見込みは、今後なお相当の額が期待できる計算となるのであります。 さらに言えば、今年度は、官民を問わず、各種の経済見通しは、先行きの明るさが保証されており、景気の回復、上昇については、常識的にも無理がないと判断をされております。 そこで伺いますが、通年予算という今回の予算では、税財源が可能な限り目いっぱい見積ったと見てよいのか、それとも、財源を保留した予算であるのか、この点について明確な答弁をいただきたいと存じます。 一方、歳出においては、その新規事業は、調査事業とセレモニー的色彩の濃い事業も多見され、総花的な調和のとれた、たこ足配線的な予算と受け止められるところでもあります。 県としては、県民生活の安定と福祉の向上及び将来のための基礎づくりに必要な諸施策の推進に努めるとともに、内需拡大の要請にも積極的に対応するとして本予算を編成したと解説しておりますが、当初予算である以上、重点的政策にポイントを絞って編成してもよかったのではないかという声も耳にいたすところであります。 さらに、本日、昭和六十二年度一般会計補正予算(第三号)が追加提案されました。昨年の十二月定例会における企画財政総務委員会において、我が党議員が予算案件について質疑した際、厳しい財政事情にもありうんぬんとの答弁がありました。 県の財政事特等については、我々としても理解しておりますが、問題は、国と県との連携策をもっと強固なものにすべきではないか、国政と県政との連携による発展策を追求していく方策に欠けている面があるのではないか、国と協力しあって県政のレベルアーフを図る意欲に欠けているのではないか、とも懸念するところであります。 我々、自由民主党議員団は、従前から大規模プロジェクトの導入を強く主張し続けてまいりました。国、県、市町村とが一体となってまちづくりに汗を流し、そして郷土の活性化を図り、地域社会の連携を深めていくという政治姿勢を貫くことが肝要であると考えます。大型プロジェクトの導入、そして、国との協力関係を進める上で、今後どのように対処されるお考えか、承りたいのであります。 次に、計画行政に関して伺います。 新長期構想、中期計画をはじめ、多くの県計画並びに地域計画が策定されております。いずれの計画も、将来を展望しつつ現況を改善する上で貴重な計画でありますが、なかでも第五次中期計画は、当面する諸問題を解決していく上で、いわばコンパス的役割を果たす主要な計画であります。 そこでお伺いいたしますが、今回提案の当初予算をもって、現行の中期計画に盛られている総事業の約何パーセント程度を消化することが可能であるのか。併せて、中期計画そのものに新たに盛り込むべき事業、あるいは政策等はないのか。さらに、変更を余儀なくされる事業等はないのか、承りたいと存じます。 次に、当初予算の編成方針と基幹的施策等について伺います。 知事の提案説明を拝聴いたしまして、誠にきらびやかな予算であります。もちろん、六百万県民のニーズに的確に応えていくためには、各行政分野ごとにつぶさに検討を加えつつ、必要とする施策をチェックしつつ、要約し、それを土台に積み上げて、とりたててできた予算とは存じますが、一つ、魅力に欠けている、目玉商品とも言うべきものがないというのが実感であります。 各部局のバランスも考慮されたものと理解いたしますが、反面、端的に表現して、こなしやすいものだけ並べたとも受け止められる予算編成ではなかったのかと懸念をするところであります。 今回の予算編成に当たっての基本的な編成方針並びに基幹的な施策は何か、また、それが施策の展開に当たっての方針等を、この際承りたいのであります。 次に、県の行政改革について伺います。 新時代を展望し、活力ある社会、活力ある経済の基盤を築き、来るべき高齢化社会の到来に対応し、国際的責務等を果たしていくためには、高度成長以来拡大した行政のあり方を抜本的に見直し、財政の対応力の回復を図っていくことが、現下の緊要な施策課題であります。ここにおいて、当面、地方自治体においても、組織機構の合理化の推進、あるいは事務事業の徹底した見直し等を行うことにより、地方行政の簡素効率化を進め、地域住民の多様な行政需要に適切に対応して、良質な行政サービスを効果的に行うことが肝要であります。 県においては、五十九年度以降、機構の改革等順次作業を進めてきたところでありますが、さらに検討を加え、抜本的かつ効率的な行政改革を推進されたいものと強く望むところであります。 特に、国で発表された折、四週六休の問題については、経済の成長とあいまって、国際的にも日本人の働き過ぎが指摘され、円高問題を含めて、早急な対応が迫られているところであります。 県では、この四週六休については、実施する考えがあるか。あるとすれば、その実施時期はいつからか。また、国では閉庁方式を考えているようでありますが、この点についてはどう考えているのか。その実施の場合、県内の中小企業者との兼ね合いから問題点は惹起しないか。国では、病院等の現場は、この対象からはずす考えのようでありますが、埼玉県の場合はどうか。四週六休又は閉庁方式を実施した場合、特に、病院等現場部門の職員の増はないのか、お伺いしたいのであります。 現状維持の中で、県民サービスを減退させないで四週六休を実現することこそ、行革の目玉ではないかと思いますが、この点についても所見を伺いたいのであります。 次に、県の高度情報化対策についてお伺いしたいのであります。 我が国は、二十一世紀前半に高度情報化社会が実現すると言われております。特に、ニューメディア元年と言われた昭和五十八年から五年間に、中央各省から発表された地域情報化関連構想は、郵政省のテレトピア構想、通産省のニューメディア・コミュニティ構想、建設省のインテリジェント・シティ構想、農水省のグリーントピア構想及び運輸省のメディア・ターミナル構想と、ニューメディア構想が目白押しであります。加えて、ケーブルテレビ、LAN等、情報化のあらゆるものが披れきをされております。 また、近年、ビデオテックス・システムの利用が叫ばれておりますが、これは、電話とテレビとコンピュータの組合せによるものと言われております。県では、この双方向性の伝達方式であるビデオテックス・システムを検討したことがあるのか、お伺いしたい。 近年の情報化の問題は、常に先見性をもって検討しなければ、遅れをとる時代であります。このビデオテックス活用について、併せて御所見を承りたいのであります。 また、県として検討中の事項を含めて、行政改革に取り組む方策等について明らかに願いたいと存じます。 なお、中央においては、税制改革に関する論議が熱っぽく飛び交っておりますが、税制改革に対する知事の所見も、この際承りたいのであります。 次に、生活基盤の整備について伺いたいと存じます。 まず、第一点として、第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総と埼玉県政のかかわりについて伺いたいと存じます。 四全総では、多極分散を前面に押し出し、均衡のとれた国土づくりに視点を合わせ、一極集中型政策を改善することを柱とした各種の提言がなされております。そこで、国の昭和六十三年度政府予算案が緊縮型から内需拡大の積極型に変わり、ふるさとづくり特別対策事業等、多極分散型の予算が組まれております。特に、まちづくり特別対策事業が創設されたのは、昭和五十九年度と聞いております。県では、今までにこの事業に合致した事業を実施したことがあるのか、お尋ねをいたしたいのであります。 この事業には、アメニティ対策をはじめ、教育、文化、地域活性化対策等々、幅広い分野となっております。こういう国の事業を有効に利用することこそ、埼玉の活性化を図り、埼玉のオリジナリティを十分に発揮できる道ではないかと思います。 そこで、県の本年度予算において、内需拡大を基調とした予算は何か、お示しいただきたいのであります。 既に神奈川県では、みなとみらい横浜二十一、あるいはまた、東京都の副都心構想、千葉県の幕張メッセ等、首都圏内各県は、各々に特色のある構想を打ち出し、活性化を図っております。埼玉県においては、中枢都市圏構想のソニックシティただ一つであります。コロシアム構想にしても、用地取得に見通しが立たず、首都圏域の県では一歩も二歩も後れをとっているのではないか、この点について所見をお伺いしたいのであります。 次に、下水道の整備の問題であります。 県は、四十八年度の県中期計画で、県南、県東部の流域下水道の完成を昭和六十五年においていたはずであります。しかし、それが五十七年の中期計画では、突然計画を十年遅らせ、目標年次を七十五年に修正しております。確かに、人口急増による学校や道路の整備に追われたのはわかりますが、下水道計画の十年の遅れは、住環境の整備を最優先に考え、緑と清流をスローガンにした畑県政の施策に逆行するものではないのでしょうか。何としても下水道の強力な推進を願うのみでありますが、知事の御所見を伺いたいのであります。 次に、廃棄物の処理の問題であります。 人がそこに住む以上は、廃棄物は必然的に排出されるものであります。埼玉県は平地にあるため、廃棄物の処分は最も困難なものと思います。しかし、この処分を完全にしないことには、文化的な生活は成り立たないと思います。 知事は、寄居町三ケ山に大規模埋立地を造成しておりますが、これも十四年ぐらいしかもたないと言われております。そこで、県は、国のフェニックス計画に期待を寄せているようでありますが、当面、自前の処分場はまだ必要なはずであります。 一方、当然に廃棄物の減量化や再資源化、焼却施設の整備などの対策がすぐにでも必要なのであります。発生する廃棄物は時を待ちません。早急な県の受皿づくりを計画する必要があると思いますが、今後の計画と対策をお伺いしたいのであります。 次に、水資源の対策についてであります。 近年、慢性的に水不足が発生しており、近代的な生活が脅かされております。県では、ダム建設計画を進めておりますが、どれも完成が遅れ、渇水は例年のごとくになっております。県の水対策は十年遅れていると言われておりますが、この点どうなのか。生活が快適になるにつれ、水の使用が増え、洗濯機の急増、トイレの水洗化も急激に増加しております。 今までの県の水の対策を見ると、何一つとして抜本的な対策を見出していない。安定的な水の供給対策を伺いたいのであります。 水が不足しているとすれば、当然、水資源の再利用として、雨水又は雑排水の再利用を公立の建物で利用する等、考えるべきでありますが、その所見をお伺いしたいのであります。 次に、河川についてお伺いいたします。 知事は、緑と清流を提唱し、生活環境の浄化に努めてきていることと思います。しかし、特に河川の状況を見るに、我が県の河川は、今もってどぶ川となり、人の生活に悪影響を及ぼし、生活悪化の根源となっております。 特に、知事は最初の選挙で、県内百三十五河川に清流を取り戻すと公約しました。この公約は、当時としては誠に斬新的で、県民は、知事の公約を信じ、知事に一票を投じたものと思われます。 しかし、現実は、坂戸市の飯盛川、川越市の新河岸川、そして不老川、伝右川、綾瀬川は、日本一汚れた川の烙印を押されております。これらの汚水の原因は家庭雑排水がその主要であると言われております。また、夏になると、蚊、ユスリカの発生を促し、生活環境は誠にひどいものがあります。この点について、県は、知事の提案どおり、緑と清流を戻すという努力はどのようになされてきたのか、特に清流のあふれるまちがあるのか、伺いたい。また、いくら人口だけ六百万を超えた県だと威張ってみても、このような現実では、名実ともに首都圏の近代的な住みよいまちと、どこで言えるのか、その所見を伺いたいのであります。 次に、道路、鉄道の整備についてお伺いいたします。 知事は、提案説明の中で、国の第十次道路整備五箇年計画と連動して道路整備計画を図ると明言しております。我が党は、常に、道路の整備は郷土の発展を促する最大のものであると主張してきたところであります。特に埼玉県は、東西の交通路が皆無に近く、我々県民は常々大いに不便を来しているところであります。県土の発展を促すために、県単独でもネットワーク構想を持ち、東西交通の要路を計画実施すべきであります。我が党の従来から主張してきた東西幹線道路の整備を早急に着手すべきと思うが、その点についてお伺いいたします。 また、我が党は、今まで、県単独の県内道路整備計画を策定すべきと申し上げてきておりますが、この点についてもどうなっているのか、お尋ねをいたします。 また、鉄道の整備計画も急がれるところでありますが、どのようになっているのか、この点も併せてお伺いしたいのであります。 次に、福祉対策について、県の指針をただしてまいりたいと存じます。 変転し続ける社会情勢、また、厳しい経済情勢の中にあっても、いかにして県民の福祉を高めていくか、その方途を構想し、工夫し、設計をしていくことは、政治の重要な責務であり、政治の究極の目的であると考えます。 本県は若い県であると申しましても、今、日本は、過去の諸外国に例をみないスピーディーな高齢化社会への移行が進んでおります。来るべき本格的な高齢化社会に備えた長期的展望に立った施策の展開を急がなければなりません。 そのため、県民の健康づくり、お年寄りのための保健対策の充実、地域医療対策、がん等成人病対策、精神障害者対策など幅広い行政分野での充実した施策の展開が強く望まれるところであり、さらには、社会福祉施設の整備あるいは食品の安全対策等々、バランスのとれた総合的な福祉施策の確立が要求されるところであります。 今回、県において高齢化社会における施策のあり方を確立するための調査を行い、高齢化社会対策ビジョンの策定に取り組むとのことでありますが、まず、その策定に当たっての基本的な構想をお示し願いたいと存じます。 また、当然のことながら、複数の部局にわたっての幅広い計画等が盛り込まれるであろうと予想いたすところでありますが、現時点で公表可能な素案等についてもお聞かせ願いたいのであります。 次に、老人福祉対策についてであります。 やがて訪れる高齢化社会に対応し、その諸対策を講じていくことは肝要なことでありますが、今日的課題として、生きがい対策、寝たきり老人対策等々多くの問題が輪峡し、一方、核家族化が進行する中での、一人暮らし老人対策等も主要な課題となりつつあります。特に、痴呆性老人の場合、徘徊、幻覚、妄想といった諸症状は、介護に当たる家族の心労は深刻なものがあります。 そこで、県では、要介護老人対策について、その対策と、家族負担の軽減、支援体制の確立はどのように図るのか、お伺いしたいと存じます。 次に、老人保健施設についてでございますが、この施設につきましては、制度的にまだ新しいものでありますが、従来の特別養護老人ホームと機能分担などを積極的に進めると同時に、病院併設等も必要と思われます。この老人保健施設が機能を十分に果たすために、県の基本的整備方針及び開設に当たっての許可方針の所見を伺いたいのであります。 次に、産業振興と雇用対策についてお伺いいたします。 今日、内外から要請されている産業構造の転換について、新前川レポートの提言は、日本経済は世界最大の債権国にまで成長しながら、低い居住水準、高い生計費、長い労働時間に象徴されるように、これまで経済成長の成果が国民生活の質的向上に必ずしも十分に反映されてこなかったと言っております。しかし、我が国の労働市場は必ずしも楽観できる状況ではありません。特に、若年層は別にして、人生八十年代となり、定年もかつての五十五歳から六十歳に移行しつつあるとき、五十五歳以上の雇用は厳しいものがあります。 ちなみに、西暦二〇〇〇年には、五十五歳以上の労働力は約千四百六十万人と見込まれ、労働人口の比率も約二三パーセントになろうと見込まれているのであります。 したがって、中高年者の能力の有効活用が経済成長と国民福祉向上の前提条件と言うべき時代がきていると言えましょう。 そこで、中高年者の再就職は必ずしも確保されていない現状の中で、公共職業訓練校における中高年者の再訓練体制の充実が要望されるところでありますが、県の実態と、中高年者に対する再訓練についての所見をお伺いいたします。 また、高年齢労働者の自立的自己啓発を促進するため、昭和六十二年度に初めて制度化された有給教育休暇制度すなわち自己啓発援助措置の県内の活用状況はどうなっているのか、お伺いしたいのであります。 一方、今、日本経済は、昨年後半からの国の内需拡大政策によりまして、その効果が出始め、建設業をはじめ内需型の製造業などにおいて、景気上昇の気配が見られるところでありますが、三年続きの円高不況の中で、各企業ともかなりの打撃を受けているのも一方にあります。特に中小企業にとりましては、経済の国際化が進展する中で、円高の定着、さらには、アジアNICS等の追い上げによりまして、厳しい状況に追い込まれている現状もあります。 このため、二十一世紀にかけて、エレクトロニクス、バイオ、あるいは新素材などを中心とする技術革新のうねり、また、高度化、情報化が進む中で、快適な生活を求める国民の欲求に引っ張られ、更に産業構造は大きく変貌していくことが確実であると考えます。 これは、本県においても例外ではなく、本県の企業が今後安定的に発展していくためには、産業構造の変化への対応は、ぜひとも越えなければならないハードルでもあります。 そこでお尋ねしますが、現在、本県の産業構造はどのように変化しているのか。 次に、県南部においては、既存の地場産業が人口急増の進展の中で、今日の社会経済の変化に対応した企業経営は大変なことであります。YOU And Iプランの中にも、産業文化センターの建設や、県北地域のテクノグリーン構想など、新しい視点に立った産業政策が見られますが、県内企業の産業構造の変化に対する施策も積極的に展開することが、今日の大きな課題であると存じますが、県はどのように施策を講じていくか、お伺いいたします。 次に、商業の振興についてお伺いいたします。 今日の商業環境は、消費者ニーズの多様化、生活様式の変化、また、大型店の出店などにより、厳しい状況にあります。県南の商業にとりましては、難しい局面に立たされております。 これを裏書きするかのように、先般の中小企業庁の発表による商店街実態調査によりますと、商店街として繁栄していると回答したのが二パーセントであったのに対し、停滞もしくは衰退していると回答した商店街は八九パーセントと、いわゆる現状悲観派が圧倒的に多くなっております。 商店街は、生活に必要な商品の販売、サービスの提供の場としてではなく、今日では、これらの機能に加えて、地域住民の暮らしの場、コミュニティの活動の場としての機能が強く求められており、まちづくりにとりましては必要不可欠の役割となっております。 そこでお伺いいたしますが、本県の商店街の実態はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。 また、都市部での市街地改造が行われる中で、県は、商店街活性化のため、ライブタウンさいたま運動、ショッピングモールの整備促進などの施策を打ち出しておりますが、その施策の現状と今後の具体的な対策についてお伺いいたします。 次に、農政についてお伺いいたします。 第一点、我が国の農業を取り巻く諸情勢は、大きく変転する兆しを見せております。すなわち、さきのガットにおける十二品目問題、諸外国からの市場開放を求める圧力が高まるなど、農政改革に一層拍車がかかるものと懸念をされるところであります。 国際社会における日本の役割が強調される中で、経済、金融、産業等、各分野での国際化傾向は一層進展するであろうと予想され、国内農業においても、市場原理の貫徹や、農業そのものの体質強化、換言すれば、農業構造の再構築を求める声が更に強まることも予想されるところでもあります。 このような情勢の中にあって、まず考えなければならないことは、いかにして生産性の高い農業を確立していくかということであります。我が国の農政全体が価格政策から精神政策への大きな転換期を迎える中で、国においても、新たに、土地利用型農業経営の改善促進に関する立法措置を講ずる等、構造政策の積極的な推進を重点施策として位置付け、その推進を図ることとしておりますが、一方、本県の状況を見ると、施設園芸等土地節約型の農業の発展や安定的な就業機会にも恵まれていることから、農地の利用集積の素地は十分あると考えられる、今後、国際化の進む中で、土地利用型農業の生産性向上は緊急の課題となっております。県としては、いかなる方策をもってこの課題に取り組まんとしておられるのか、まず伺いたいのであります。 二点としまして、個性ある埼玉農業の確立という問題について伺いたいと存じます。 大都市圏の中にあって、膨大な都市人口を集積させながら、野菜の生産で全国第五位、畜産は全国第十五位の粗生産額を誇るなど、立地を生かした多彩な農業が本県で展開されております。しかし、消費者の食生活に関する関心が多様化する中にあって、その生活局面に応じて、簡便化、手作り等、様々な嗜好を使い分けるという消費行動の複合化現象や、健康・安全性志向、ふるさと志向等、様々な動きも見られるところでもあり、一方、フライト農業に代表されるように、輸送手段の変化により、遠隔産地からの出荷が活発になる等、今後ますます産地間競争が激化するものと予想されるところでもあります。 このような状況の中で、本県農業の競争力をつけていくために、本県農業の個性を確立していくことが肝要であると考えますが、その基本的な施策をお示し願いたいと存じます。 次に、警察行政について、警察本部長に伺います。 全国有数の大県として発展しつつある我が埼玉県でありますが、その発展の基盤を支えますのは、申すまでもなく、安全で住みよい県民生活を守り続ける上で欠かせぬものは、治安維持対策の充実であると思料するところであります。 すなわち、県民生活のあらゆる分野において安全が保たれ、また、心のゆとりを保てる快適な生活環境が確保されてこそ、郷土、地域の発展へとつながるものと思うのであります。 と申しましても、治安情勢を見るとき、複雑多様化する社会情勢を反映してか、全国的にも、事件、事故は増加する傾向にあり、さらに、その事件、犯罪等は、広域叱、スピード化、また国際化しつつあります。 このような傾向は、本県においても例外ではなく、ここ数年、減少傾向にある刑法犯の発生が、昨年は一転して増加し、さらには、交通事故についても、死者数において四年連続減少したとはいえ、事故総件数は依然増加を続けているところでもあります。加えて、最近では、高齢者、主婦等、社会的に弱者と言われる県民に対する悪質商法事犯が社会問題となっているところでもあります。 このような治安情勢に的確に対応するため、県警察においては、組織の改編、事務の簡素化、効率化等の改善を推し進め、全国一の高負担の中で、職員が一丸となって治安維持のため努力を重ねられておりますことは、県民の一人といたしまして、心強く感じているところであります。 ところで、本定例会に県警察本部総務部を新設するための条例の一部改正案が上程されました。今日の社会事情に対応するための方策であろうと理解いたしますものの、新設する総務部の役割、また、新設に伴って、いかなる効果を生み出せるとお考えか、新設の構想等を含め、警察本部長の所見を承りたいのであります。 第二点として、いわゆる極左暴力集団等の取締対策について伺います。 いつ、どこで何が発生するかもしれないといった県民の不安は、今日も根深いものが残っております。汗を流して築き上げた財産も、はては生命とともに一瞬のうちに失ってしまうことは、爆破、テロ行為は断じて許すことのできないことであります。 県警察におかれては、少ない警察職員を効率的に配置する等、治安維持に全力を傾けておられますが、今後における極左暴力行為等の取締対策について、その方針をお聞かせ願いたいと存じます。 次に、教育行政に対して、若干承りたいと存じます。 自由民主党は、教育が国の運命を決する基本であるとの認識に立ち、政策綱領において、自立と責任の国民精神を掲げ、祖国愛、歴史と伝統の尊重、高い道義と礼節、自由の尊さの理解、人道主義、広い国際感覚を持った新しい世代の育成を目指し、そのため、教育の政治中立を徹底し、教育改革を推進すると宣言しております。 その基本は、教育基本法の精神の遵守であり、真理と正義を愛し、個人の価値を尊び、勤労と責任を持ち、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民を育成するという目的を着実に遂行し、達成することが、教育政策の根幹であると確信するからであります。 今日、我が国は、経済社会の飛躍的な発展に支えられ、国民の生活水準も向上し、優れた人材に恵まれて、国際社会の中でも確たる地位を占めるに至りました。しかしながら、新時代に向かって、我が国がより創造的で活力ある社会を築いていくためには、今後ますます進展するであろう国際化や情報化など、我が国の社会の一層の変化や文化の発展に対応する教育の実現が強く求められているところでもあります。 このような意味から、教育改革に対する国民の期待と関心は、誠に大きなものがあると考えます。 そこでまず、教育委員会の活性化について、教育委員長の所見を承りたいのであります。 申すまでもなく、教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家、社会を担う人間を育成することにあります。県教育委員会はもとより、市町村教育委員会においては、この自覚のもとに、教育諸条件の整備を図るなど、地域地域の実情に即した教育行政の円滑な推進に努力を重ねてこられました。 ところが、さきに申しましたとおり、近年においては、情報化、高度技術化、国際化、そして高齢化、成熟化など、社会情勢、社会環境の変化や教育の量的拡大等は、教育のあり方に大きな影響を与え、多くの問題が指摘されております。 これら教育における今日的直面する様々な課題を踏まえつつ、新時代に向かっての教育のあり方を探究することは、何よりも肝要な県政の課題でもあると受け止めるところであります。 ご承知のとおり、臨時教育審議会から四次にわたる答申がなされました。その中で、地域の教育行政全般に責任を負う教育委員会のあり方についても、「教育委員会の使命の遂行と活性化」と題して、第二次及び第四次答申において提言がなされたところでもあります。 学校教育の充実はもとより、生涯学習体制の整備を図ること、社会の変化や関連する行政課題へ積極的に対応することなど、教育委員会の果たすべき役割については、県民から大きな期待が寄せられているところであります。臨時教育審議会のこれらの提言について、県教育委員会としてはどのように受け止めておられるのか、また、今後における教育行政の推進に当たって、どのような方策を講じられるお考えか、この際、教育委員長の基本的な御所見を伺いたいのであります。 第二点として、教育政策の推進、特に変化への対応について、教育長にお伺いいたします。 臨時教育審議会の最終答申の中で、教育改革推進のための基本的な考え方として、「個性重視の原則」、「生涯学習体系への移行」と併せ、「変化への対応」を掲げております。 我が国が新しい国際化へ移行しつつある今日、創造的で活力のある社会を築いていくためにも、この変化への対応は、教育が担う重要課題であると存じます。教育課程審議会も、昨年十二月、教育課程の基準の改善の狙いの一つとして、「自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視すること」を掲げておりますが、県教育委員会は、これらの答申をどのように受け止めておられるのか。併せて、特に学校教育において進みゆく情報化や国際化に今後どのように取り組んでいかれるのか、伺いたいのであります。 第三点として、教員の資質の向上を図るための方策並びに教員の現職研修について伺います。 まず、教員の資質の向上についてでありますが、教育職員養成審議会は、昨年十二月、「教員の資質、能力の向上方策について」と題する答申を文部大臣に提出しました。この答申は、昨年五月、文部大臣の諮問を受け、関係団体の意見等を聴取した上で結論が出されたものと聞き及んでおりますが、答申では、教員の養成、免許制度の改善及び現職研修の改善等を内容とする資質向上方策が提言され、その中で、学校教育の直接の担い手である教員の活動は、人間の心身の発達にかかわるものであり、児童生徒の人格形成に大きな影響を与えるものであるとうたっているのであります。 申すまでもなく、教員に優れた人材を得、その資質向上を図ることは、最重要な課題であります。文部省においては、これが答申を受けて、今通常国会に関連法案を提出するやに聞いておりますが、問題点として、教員の養成、免許制度の改善策等があります。 改善内容の基本的なものとして、児童生徒の状況や社会の進展に対応した学校教育の内容を改善していくこと、より広く人材を学校教育に導入するための社会人の活用、あるいは、より深い学識を備えたものが積極的に教職に就くことができるようにすることなど、幾つかの観点に立って答申がなされております。 これらの諸点について、教育長の所見を承りたいと存じます。 次に、教員の現職研修についてであります。 本県においては、初任者研修の試行が実施済みでありますが、教員の資質、能力は、教員養成制度の改善のみならず、教職員生活を通じての、絶え間なき研究と修行を積み重ねてこそ、初めて形成されるものと信じます。県教育委員会は、初任者研修の成果、そして、この研修の問題点等をどのように分析しておられるのか、また、来年度の試行に当たって、本年度の成果等をどのように反映させていくのか、伺いたいと存じます。 次に、知事の公社等の理事長兼職等の整理統合について、お考えを承りたいと存じます。 知事の公社理事長兼職については、漸次解消の方向で検討してまいりたいと、さきの議会等においても答弁をされているところであります。私の調査では、県出資法人七十七法人中、十六法人の理事長を、現在なお知事が兼務しておられますが、これはいかなる理由によるものか、この際承っておきたいと存じます。 また、各法人の中で、機能的に整理統合し、業務を遂行したほうがより効率的と判断いたしますが、この点についてもお伺いいたします。 次に、ゴルフ場汚職についてお伺いいたします。 昨年、六百万県民にとって最大の衝撃的出来事は、ゴルフ場開発許可問題に絡んで、汚職事件の容疑によって我が県民の城であるべき埼玉県庁が、司直の手により二回にわたる家宅捜査を受け、県幹部をはじめとする方が逮捕され、刑に服するという、極めて遺憾な事件が発生したことであります。 この事件は、逮捕、取調べののち起訴され、東京裁判所における有罪の判決が下され、検察、弁護側の双方が控訴を断念したので、一審の判決どおりに確定したのは、御案内のとおりであります。 我が党は、昨年の二月議会、六月議会、九月議会、十二月議会におきましてただしてきたところであります。特に、判決文の中で、量刑の理由の中で「本件以外にも、被告人栗田氏や、ほかの県職員に対し安易に金品を贈り」うんぬんと明記されております。他の職員とはだれか、明らかにすべきとの今までの質問に対して、知事は、「全容解明の公判に関する資料が手に人らない状況でもあり、今後におきまして、検事調書等を含む公判記録の入手に努める、」などとうんぬん、判決文の、「栗田氏以外の県職員に対しましても安易に金品を贈った。」との記述については、「検事調書等の公判記録の閲覧が許されておらないところでございますが、今後におきましても、必要な資料の入手に努めていきたいごという答弁をされております。 そろそろ資料が出て、その全容を明らかにすべきと思いますが、その御答弁を願いたいと思います。 このことは、埼玉県政に対する県民の信頼度を著しく失墜させる結果となったことでありますが、かかる不祥事は二度と起きぬように、この機会に一方では祈るものであります。 次に、行政の組織機構について。自治法第十四条、第十五条において、条例及び規則の制定、さらに、罰則の委任が明記され、それは、双方とも、普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて、都道府県において条例、規則等を制定することということにあいなっております。さらに、都道府県の局、部、課の設置は、地方自治法第百五十八条に明記されております。我が埼玉県の部課設置条例も、この地方自治法の規定を受けて制定されておりますことは周知のとおりであります。 そこでお伺いいたします。まず、部課設置条例の中で、三、県民部、(三)の中で、広聴及び広報に関する事項が明記され、明らかに、組織機構の中で、広聴広報部門は、名実ともに県民部の所管となっております。しかし、なぜか、行政組織規則の中では、知事室長の職務の中に規定されております。これは、部設置条例に規定されたものが規則で変更されているということは、大変おかしいものであります。 県執行部では、まず、基本的に、条例と規則が、どちらが優先するとお考えなのか、お伺いしたいのであります。 もし、条例より規則が優先するとしたら、その根拠を伺いたいと思います。一方、誤りとするならば、今までの指揮監督命令はどうなるのか、伺いたいのであります。この点につきまして明確な答弁を承りたいと存じます。 私は、以上、県政重要課題を軸として、それぞれの問題点をただしてまいりました。言及せざる諸間題につきましては、同志議員の今後の質問に委ねたいと存じます。 六百万県民の輝かしい未来を切りひらく上で、我々自由民主党議員団六十三名は、自由社会の擁護、自由経済の繁栄を目指し、また、県民福祉の向上、地方自治のなお一層の確立のために、その尖兵となり、議会活動を通じて県民の痛みのわかる政治、県民の手となり足となり、心地よい汗を流して、県民のための政治、にまい進してまいりたいと存じます。 最後に、我が埼玉県の限りない発展と県民皆様方の御健勝を切にお祈りいたしまして、私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手起こる)        〔知事(畑  和君)登壇〕 ◎知事(畑和君) 佐久間議員の、自由民主党を代表されましての御質問に順次お答えを申し上げます。 まず、御質問第一の、昭和六十三年度予算編成についてのうち、本県の県民税利子割の概算についてでございますが、国の地方財政計画に示されました利子割の税収見込み、二千六百三億円を基に、本県内の金融機関等における預貯金残高等を参考として積算いたしました結果、本県の県民税利子割の概算額は八十八億九千五百万円が見込まれますので、この額を予算に計上したところでございます。 次に、昭和六十二年度当初予算での県税の把握の仕方と計上の考え方についてのうち、まず、景気動向の見方が甘かったのではないかとのことでございまするが、県税収入の見積りの基礎となります景気動向の見方につきましては、大変難しいものがございまして、昭和六十二年度の経済成長率につきましても、政府は、年の初めにおきましては、名目で四・六パーセントの成長を見込んでいたところでございまするが、民間経済研究機関は、名目で二パーセント台から三パーセント台の低い成長を見込むものが大半でございました。 このような経済見通しを背景といたしまして、国の租税収入も、昭和六十一年度当初予算に対し一・六パーセントの伸長を見込むことにとどまり、また、地方財政計画上の税収見込みも、昭和六十一年度に対して一・五パーセントの減となると見込まれたところでございます。 昭和六十二年度当初予算の県税収入は、これらの見通しを参考といたしまして、各税目ごとに積算を行い、昭和六十一年度当初予算に対しまして〇・九パーセント増の税収を見込んだところでございます。 その後、我が国経済は、昭和六十二年五月の政府の緊急経済対策による内需を中心とした景気の積極的な拡大策などによりまして、消費と住宅投資を中心に、昭和六十二年初めの予測を超えまして、年度の後半にかけて尻上がりに回復基調から拡大局面へと移行してまいったことは、御案内のとおりでございます。 この結果、県税収入は、景気を敏感に反映いたします法人二税を中心として、当初の見込額を大幅に超えた増収を見るに至ったところでございます。 いずれにいたしましても、県税収入の的確な把握は、県財政運営の基本でございますので、今後とも、一層の努力をしてまいりたいと存じます。 次に、昭和六十二年度における県税の補正と財源の効果的な活用についてのうち、今回の県税収入の補正額についてでございますが、これは、昭和六十三年一月末の課税実績を基に、確実に収入の見込まれる額を計上いたしたところでございますので、特別の事情がない限り、大きな違いはないものと考えております。 次に、財源の効果的な活用についての御指摘でございますが、昭和六十二年度は、年度途中におきまして法人関係を中心とした税の増収が見込まれたところではありまするが、その段階では、経済情勢に流動的な要素も見られ、的確な把握に困難さがあったところでございます。さらに、昨年九月には、国の方針を受けまして大型の公共事業費の追加補正を行ったところであります。 それを超える補正段階での措置につきましては、事業執行上におのずと一定の限界が考えられますところから、法人関係税を中心とした増収分につきましては、最終的な財源の見通しを踏まえた上で、年度間の財源調整による財政運営の安定化、健全化に役立てることといたしまして、このたび御提案申し上げましたように、財政調整基金等の取り崩しの中止や、基金への積立てを行うほか、先行取得用地の買戻し等の措置を講じることといたしたところでございます。 しかしながら、財源の効率的な活用につきましては、御指摘のとおり、極めて重要なことでございますので、今後とも的確に財源を把握しながら、その効率的な活用に一層努めてまいりたいと存じます。 なお、今回の、前例のない、二月補正に四百五十一億円余もの補正が計上されたのは、税は総務部が所管し、財政運営については企画財政部で所管するという、組織構造上の欠陥ではないかというような御指摘がございましたが、予算編成に当たりましては、従来から、税務部門と財政部門に緊密な連携をとらせているところでございますので、組織上の問題は全くございません。 次に、昭和六十三年度の県税の見込額の妥当性についてでございますが、まず、昭和六十三年度県税収入見通しの基礎となります景気の動向につきましては、為替相場等に流動的な要素がありますものの、引き続きゆるやかに拡大傾向が続くという見通しに立っておるところでございます。 このような見通しのもとに、各税目ごとに、昭和六十二年度の課税実績を基礎といたしまして、国税の収入見込みや地方財政計画上の税取見込み、さらに、経済研究機関等の各種資料並びに会社情報誌や主要法人の訪問調査に基づく企業収益の予測などを参考といたしまして収入見込額の算定を行い、さらに、税制改正による減収を盛り込みまして、現時点で確実に見込み得る額を計上いたしたところでございます。 この結果、昭和六十三年度の県税収入は、昭和六十二年度当初予算に対しまして一九・一パーセント、また、昭和六十二年度最終予算に対しまして三・九パーセントの伸びとなっております。 今後の経済見通しから見まして、この三・九パーセントの伸び率は低過ぎないかとの御指摘でございまするが、昭和六十三年度地方財政計画の税収見込額の伸びも、昭和六十二年度の計画ベースとの比較では一三・九パーセントでございますが、実績ベースとの比較では一パーセント程度の伸びと聞いております。したがいまして、実績ベースでも、地方財政計画の伸びを二・九ポイント上回っております。 さらに、関東近県の実績ベースに対する伸び率を見ますると、神奈川県が二・八パーセント、茨城県が三・八パーセント、千葉県が五・一パーセントでありますので、本県の三・九パーセントは、必ずしも低くはないと存じます。 次に、昭和六十三年度予算の全体の姿についてでございますが、私は、知事に就任いたしまして以来、一貫して人間尊重、福祉優先の基本理念のもとに、埼玉に生活し働くすべての県民のしあわせを願いまして県政を担当してまいったところでございます。昭和六十三年度予算編成に当たりましても、こうした基本姿勢を堅持しながら、県民各界各層からの御要望に十分応えるとともに、県政に課せられた諸課題に的確に対応すべく努めたところでございます。 また、大型プロジェクトの導入と今後の対応についてでございますが、お話にもございましたように、地域整備や産業振興、さらには基幹的な交通網の整備など、各種プロジェクトの推進に当たりましては、国、県、市町村が一体となって取り組んでまいる必要があると考えております。こうした考えのもとに、従来から、例えば、首都圏中央連絡自動車道や東京外郭環状道路の整備など国の事業はもとより、秩父リゾート地域の整備、新都市拠点整備事業、さらにはレイクタウン整備事業の推進につきましても、地元市町村とも緊密な連携を図りながら、国に対し積極的に働きかけを行ってまいったところでございます。 今後とも、本県が首都機能を適切に分担しながら、首都圏における雄県として発展してまいりますためにも、国をはじめとする関係機関への積極的な働きかけを行い、各種事業の導入とその効果的な推進により一層努めてまいりたいと存じます。 次に、中期計画との関係についてのうち、まず、計画施策の予算化の状況についてでございますが、昭和六十三年度の予算編成に当たりましては、中期計画の積極的な推進に配慮いたしたところでございます。その量的な達成状況をすべての事業について計測することは難しいところでございますが、中期計画に掲げております主要施策のおおよそ九六パーセントの施策について予算措置をすることができ、県民の期待に応え得る予算編成ができたものと考えております。 次に、新たに計画に盛り込むべき施策などについてでございますが、来年度予定しております中期計画のローリングに際しましては、高齢化、高技術化、情報化、国際化などの新しい時代の潮流を展望するとともに、二十一世紀を目指した埼玉の確固たる基盤づくりを行うための事業の見直しを行いまして、新規選定を行ってまいりたいと存じます。このたびの予算案におきましても、こうした観点から、科学技術振興施策、痴呆性老人等在宅ケアパイロット事業、テクノグリーンセンター構想基礎調査、水辺都市構想の策定、単位制高等学校の開設準備などの新規施策の計上に努めたところであります。 また、計画のローリングに当たりましては、事業実施の条件整備が当面見込みがたいものや、社会経済情勢の変化などから、当初の計画の変更が適当と考えられるものにつきましては、今後の進め方について十分検討の上、適切に対処してまいりたいと考えております。 次に、当初予算の編成方針と基幹的政策及びその展開方針についてでございますが、昭和六十三年度の予算編成に当たりましては、限られた財源の効率的、効果的配分に努めながら、中期計画に基づく施策の推進や県民生活を充実するための施策を拡充するとともに、二十一世紀に向けて新しい埼玉の基礎づくりに必要な施策の推進に努めることといたしたところでございます。 特に、県民生活に密着した、道路、河川、下水道など、生活基盤の整備充実をはじめといたしまして、教育、福祉、医療施策の拡充、国際化、高齢化対策の充実、中小企業対策の充実強化、地域整備の推進につきましては、重点的に配慮したところでございます。 これら施策の推進に当たりましては、実施段階におきまして更に工夫を凝らすとともに、県民各層の御理解、御協力を得ながら、所期の効果が発揮できまするように努めてまいりたいと存じます。 次に、御質問第二の、行政改革についてのうち、四週六休についてでございますが、本県におきましては、昭和六十二年一月四日から四週六休の試行を実施し、問題点の検証を行ってきたところでございます。その結果、各所属ともおおむね順調に試行は実施され、本格実施の見通しが得られたところでございます。 このため、昭和六十二年十月十六日付けで人事委員会から出されました要請に鑑み、今議会に、四週六休制の実施に伴う職員の勤務時間に関する条例の一部を改正する条例案を御提案申し上げているところでございます。 実施時期につきましては、他県の動向等を見極めながら、国に準じて、できるだけ早期に実施する方向で検討してまいりたいと存じます。 また、病院などの現場の対応でございますが、病院部門や福祉施設におきましては、県民サービスの低下を来さないように、昨年来の試行を通じまして、応援体制の確保等、種々工夫を凝らしましてまいりました結果、四週六休が本格的に施行されましても、円滑に実施できるものと考えております。 次に、閉庁方式の考え方についてでございますが、開庁方式と比較いたしまして、公務能率等の面や職員の勤務条件の改善が図られるなどの面から、基本的には、導入することが望ましいと考えております。しかしながら、県といたしましては、県民に密接した業務を多く抱えておりまする窓口や病院等を閉庁することは、県民生活にも大きな影響を与えますので、その導入に当たりましては、県民の理解を求めながら進めることが必要であると考えております。 したがいまして、今後、行政サービスのあり方や、法令等の整備、閉庁の範囲、県民感情等につきまして、国等の動向も参考にしながら、多角的な視点から検討してまいりたいと存じます。 次に、閉庁方式といたしたときの中小企業に与える影響でございますが、社会一般では、官公庁が閉庁になりますれば、中小企業も含めまして、社会一般、週休二日制が普及し、個人消費も伸び、商店等の売上げの増加にも貢献するなどの効果が予測されております。しかし、長年社会に定着いたしておりまする官公庁の執務日を変更するものでありますので、各方面への影響を勘案しながら、慎重に検討する必要があると存じております。 さらに、閉庁方式を導入したときの増員でございますが、このたびの週休二日制の制度化に当たりましては、行政サービスの維持と公務能率の向上に留意の上、予算、定数の範囲内で実施することといたしておりますので、閉庁方式を導入する場合にも、原則として同様な条件で行うべきものと考えております。 次に、高度情報化対策についてでございますが、お話にもございましたように、近年の情報処理や通信技術の発展は目覚ましいものがございまして、県といたしましても、それらを効果的に活用し、行政のOA化の促進や地域社会の情報化に向けまして取組を強めてまいってきているところでございます。 御指摘の、ビデオテックス・システムにつきましては、電話回線を利用した簡便な画像情報システムとして、全国的にもその活用が図られておるところでございまして、本県でも、その全国システムへの情報提供を行っているところであります。 これに加えまして、六十三年度には、テレトピア事業の指定を受けております YOU And I圏域を対象として、(仮称)埼玉中枢都市圏情報センターを設立し、ビデオテックスの事業化を進めることといたしております。将来的には、県下全域を対象として、県民に対し、生活、文化、生涯学習などの情報提供を行うシステムづくりを進めるとともに、ビデオテックス・システムが持っておりまする双方向のデータ通信機能を踏まえた、より迅速で簡便なオンライン通信システムとしての活用方策につきましても、鋭意研究してまいる所存でございます。 次に、今後の行革に取り組む方針についてでございますが、本県では、昭和五十六年以来今日まで、行財政改革に積極的に取り組みまして、時代の要請に応え得る簡素で効率的な行財政運営を図ってまいったところでございます。 本年度は、昭和六十年度から始めました第二次埼玉行革の最終年度となっておりまするが、私は、常々、行財政改革は終わりのない不断の課題であると考えております。また、地方行革の真の狙いの一つは、地方分権の確立にあると信じております。したがいまして、今後におきましても、この地方分権の確立を基本にいたしまして、時代の変化に即した機敏かつ柔軟な行財政運営、そして県民ニーズに的確に対応した簡素で効率的な行財政を進めるため、組織機構の合理化やOA化による事務処理の改善、さらには、民間活力の活用や財政運営の健全合理化等に努めるとともに、地方への権限移譲等につきましても、国への働きかけを引き続き図ってまいりたいと存じます。 次に、税制改革に対する私の所見についてでございますが、現行税制に対しまして、国民の間に、不公平感や重税感の高まりが見られるところでありまして、税制に対する国民の理解と信頼を確立していくためには、税制全般にわたる見直しを行うことが必要かと存じます。 現在、御案内のように、政府税制調査会におきまして、税制改革について、幅広く国民の声に耳を煩けるため、全国各地で公聴会を開催いたしており、また、国会の場を中心に種々議論が行われておりまするが、いずれにいたしましても、税制改革を進めるに当たりましては、不公平税制の是正や所得税減税を実施した上で、国民の税負担のあるべき姿について十分慎重な論議を尽くし、国民の理解と納得を得て行うことが必要であろうと考えております。 次に、御質問第三の、生活基盤整備についてのうち、まず、まちづくりと内需振興についてでございますが、現下の経済情勢や今後の国土政策を考えますとき、生活環境施設を中心とした社会資本の整備や全国的なまちづくりの振興対策の充実が極めて重要な課題となっております。このため本県の昭和六十三年度予算におきましては、国の公共事業予算の拡充と地方財政計画における地方単独事業への積極的な取組の方針を受けまして、身近な生活基盤の充実を期するため、県単独事業を大幅に伸ばすなど、公共事業費の拡大を図るとともに、各種の地域整備計画の推進につきまして特に力を入れることといたしたところでございます。 これに関連いたしまして、お話にもございました、まちづくり特別対策事業でございまするが、本県におきましては、五十九年度にこの制度おできまして以来、毎年積極的な活用を図っておるところでございまして、六十二年度までに延べ百八十五件の市町村事業と、五十五件の県事業が採択されております。 例えば、六十二年度の県事業では、農林公園や川越公園の整備事業、県民活動総合センター(仮称)や埼玉シンボルロード整備事業等に広く導入を図っているところであります。 今後とも、六十三年度に創設されまするふるさとづくり特別対策事業と併せまして、その積極的な活用を図り、地域の活性化と魅力あるまちづくりに役立ててまいりたいと存じます。 次に、他県における主要プロジェクトと中枢都市圏構想に関連してのお尋ねについてでございますが、今後の県土整備のあり方を展望いたしますると、本県が二十一世紀に向けて首都圏の雄県として名実ともに飛躍するためには、それぞれの地域の特性を踏まえると同時に、県下のバランスある発展を期する上からも、各地域ごとに特色のあるプロジェクトを推進していくことが、ぜひとも必要であると考えております。 このため中枢都市圏の形成、ネットワークシティ構想の推進、テクノグリーン構想の具体化、秩父リゾート地域の整備など、各種事業の展開を図ってきたところであり、六十三年度予算におきましても、それぞれの進展に対応しながら、積極的な予算計上に努めたところでございます。 さいたま YOU And Iプランにつきましては、御案内のとおり、プランのリーディングプロジェクトであるソニックシティがこの四月にオープンし、また、主要プロジェクトの一つであるニューメディアの活用につきましても、その具体化を図るため、第三セクター設立の準備を進めておるところでございます。 本県におきましては、YOU And Iプランに限らず、主要プロジェクトを進める上で、他県での臨海部の開発事業とは異なりまして、内陸県としての特性上、用地の確保が大きな課題となることは避けがたいところでございます。御指摘の、コロシアム等の予定地である大宮操車場跡地につきましては、資産処分審議会におきます土地利用計画の策定を急ぎ、用地取得のめどが早期に得られますよう、関係機関への働きかけを積極的に行っているところであります。 次に、下水道の整備についてでございますが、私は、中期計画の中でも、下水道を県政の主要施策として位置付けまして、その整備推進に取り組んできたところでございます。その後、社会経済情勢の変化に対応すべく見直しを進めてまいりましたが、お説のように、昭和五十四年八月の都市計画中央審議会におきます、今後の下水道整備のあり方についての答申や、国の指導等もございましたので、下水道整備の長期目標年度を昭和七十五年度と新たに設定した次第でございます。 御案内のとおり、本県の下水道普及率は、昭和六十一年度には、全国平均と同率の三七パーセントに達したところでございます。下水道は、生活環境の改善、河川等公共用水域の水質保全の上で必要不可欠な基盤施設でございますので、処理開始区域の拡大に重点を置きまして、各流域下水道事業の整備を進めております。 昭和六十三年度は、新たに市野川流域下水道事業に着手することといたしましたが、引き続き公共下水道実施都市の拡大を図りまして、中期計画の早期達成に向けて最善の努力をしてまいりたいと存じます。 次に、廃棄物問題についてでございますが、御承知のように、廃棄物の処理と処分につきましては、原則として産業廃棄物は排出事業者、一般廃棄物は市町村がそれぞれの責任で行うこととなっております。県も、これらを補完する立場から、全国に先駆けまして、寄居町に県営の広域処分場を建設いたしますとともに、排出事業者や市町村に対し、施設の整備を指導いたしておるところでございます。 廃棄物問題につきましては、環境保全と産業活動の健全な発展を図る見地から、本県としての廃棄物処理基本計画を策定し、これに基づきまして廃棄物行政を積極的に推進してきたところでございまするが、今後とも、変動する社会経済情勢に対応し、廃棄物の発生量や処理能力の見直しを行うとともに、廃棄物の減量化や再資源化に一層意を用いてまいりたいと存じます。 また、県内各地に点在いたしております大規模な荒れ地の改良に、安全無害な廃棄物を活用するなどの方策も研究してまいりたいと存じます。 次に、水資源対策についてでございますが、水資源の確保は、本県を含む一都六県が関係いたしまする「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画」によりまして、その開発を進めていくことになっております。私は、本県の水需要が、人口の増加、生活水準の向上、経済社会の高度化などによりまして増加の一途をたどっていくことを考えまして、県内におきましては、秩父三ダムをはじめ荒川調節池、それから、農業用水合理化対策事業の早期完成を目指して、強力にその促進を図ってまいりました。また、奈良俣ダム、渡良瀬遊水池など、県外における水資源開発施設の建設につきましても積極的に参加し、安定した水供給体制の確保に努めてまいったところでございます。 一方、国におきましても、本年の二月二日に、第四次の「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画」が決定されたところでございます。この計画の中には、二十一世紀初頭を見通しました水需要量と供給目標量が本県の見込みどおり盛り込まれておりまして、また、それを確保するための水資源開発施設につきましても、ほぼその位置付けがなされておるところでございます。 今後とも、本県に関係のある水資源開発施設の建設促進に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 併せまして、限りある水資源を有効かつ合理的に使用するため、広く県民の皆様の御理解と御協力を得ながら、節水型社会の形成にも努めてまいりたいと存じます。 また、雨水、それから雑排水の公共の建物での再利用についてでございますが、雨水につきましては、既に二、三の公共施設におきまして、グランド散水用などとして採用しているほか、現在施工中の鳩ケ谷高等学校(仮称)では、トイレの洗浄水として利用するよう計画をいたしております。 さらに、雑排水の再利用につきましては、本年四月にオープンいたしまする産業文化センターをはじめ、既設の小児医療センターや伊奈学園総合高等学校などで、三次処理を行った上、洗浄水として利用しております。 今後、水はますます貴重な資源となりますので、再利用のための施設設備に多少経費がかさむなどの問題がございまするが、新しい施設を計画する際には、可能な限り取り入れてまいりたいと存じます。 なお、市町村に対しましても、この趣旨を踏まえて指導してまいりたいと考えております。 次に、緑と清流についての取組についてでございますが、私は、就任の翌年、環境部及び住宅都市部を設置をするなど、体制の整備を図りつつ、清流を取り戻すため、工場、事業所の排水指導の強化及び下水道の建設を進めてまいったところでございます。その結果、伝右川を例にとりますると、水質の汚れの代表的指標である生物化学的酸素要求量(BOD)が、昭和四十六年度には一リットル当たり四百七十ミリグラムであったものが、昭和六十一年度では七十一ミリグラムと大幅な改善が見られたところでございます。また、河川の中の有害物質についても年々改善されまして、昭和六十一年度では、すべての項目で環境基準を達成したところでございます。 しかしながら、人口の増加、生活様式の変化に伴いまして、汚濁原因も複雑多様化してまいりましたので、今後は、これまでの対策のほか、生活難排水に対する措置として、小型合併浄化槽の普及奨励を図りますほか、新たに今月十五日発足いたしました県南都市河川浄化対策推進協議会の活用を図るなど、総合的かつ計画的な河川浄化対策の実施に努めてまいりたいと存じます。 次に、本県の道路整備の推進についてでございまするが、道路は、交通機能に加え、公共公益施設を収容し、また、防災等のための空間機能を有するなど、あらゆる社会経済活動を支える根幹的な社会資本と考えております。このため道路整備を進めるに当たりましては、道路の持つ基本的な役割を踏まえ、他の社会資本整備あるいは地域振興計画等と連携を図りながら、長期的展望に基づきまして、県土の骨格をなす自動車専用道路から日常生活に密着した生活道路まで、体系的に整備を進めることが肝要と常々考えております。 こうした視点から、増大する地域間の交通に対処いたしますとともに、地域連携を高める東西道路の整備や、交通混雑している国県道のバイパスの建設などの幹線道路の整備、また、生活基盤の整備として、狭あい道路の解消や歩道の設置を進めるなどの事業を推進しているところでございます。 体系的な道路網整備の計画策定に当たりましては、道づくり懇談会やアンケート調査を実施するなどいたしまして、広く一般の方々からの提言を踏まえまして、また、国との関連につきましては、首都圏幹線道路協議会や埼玉県広域幹線道路協議会を通じまして策定を進めてきたところでございます。 特に、次期五箇年計画の中でも課題となっておりまする東西道路の整備につきましては、現在進めておりまする外郭環状道路は、昭和六十六年度完成を目指しておりまして、また、首都圏中央連絡自動車道は、事業中の区間は昭和七十年を完成目途として、未着手の区間につきましても、早期着手を目指しております。 核都市広域幹線道路につきましても、首都高速大宮線として、与野市円阿弥から浦和市三浦までの間の事業着手を計画いたしております。 これら自動車専用道に加えまして、国道一六号、一二五号、一四〇号の整備促進、また、浦和越谷線、松戸草加線、堀兼根岸線等、幹線県道の整備を図ることといたしております。 国の第十次道路整備五箇年計画では、投資規模は五十三兆円とし、長期的計画として、おおむね二十一世紀初頭である昭和八十五年から九十年を目標として、高規格幹線道路につきましては一万四千キロメートルを完成し、一次改築におきましては、国県道、幹線市町村道合わせた整備率を九四パーセントと定めております。 本県におきましては、道路事業は、国、公団との関連が極めて密接であるため、国との緊密な連携を図りながら推進してまいることといたしております。 今後におきましても、二十一世紀に向けまして、自立的な都市構造への転換を目指し、魅力と風格のある地域づくりを進める本県にとりまして、道路整備の推進は重要かつ緊急の課題でございますので、その一層の推進に取り組んでまいる所存でございます。 また、鉄道整備計画の策定についてでございますが、県といたしましては、五十九年度に実施いたしました埼玉県総合交通体系調査をもとに、新長期構想や中期計画に整備目標を定め、地下鉄七号線の導入をはじめ、その実現に向けまして各関係機関に要望活動を展開するとともに、東西交通システムなど県独自のプロジェクトにつきましても調査研究を行っているところでございます。 今後とも鉄道網の整備につきましては、国及び鉄道各社と連携をとりながら努力してまいる所存でございます。 次に、御質問第四の福祉対策についてのうち、まず、高齢化社会対策ビジョンの策定についてでございますが、本県は過疎と過密の問題を抱えながら、今後、長期的には、県全体として見ると、都市化の中での急速な高齢化に直面いたしていくという基本的な考え方に立ちまして、県としての長期的なビジョンを立てようとするものでございます。 具体的には、初年度でありまする昭和六十三年度には、いわゆる福祉分野にとらわれない幅広い分野にわたる基礎的調査を行い、昭和六十四年度には、この調査結果を踏まえまして、県としての総合的ビジョンを策定してまいりたいと存じます。 次に、要介護老人対策についてでございますが、要介護老人対策の重要性に鑑みまして、これまでにも高齢者総合相談センターの開設をはじめ、デイ・サービスや短期保護事業の実施や、特別養護老人ホームの整備を図るなど、在宅及び施設の両面にわたって各種の施策を実施してきたところでございます。 こうした施策を踏まえまして、今回、高齢者保健・福祉・医療調整会議を設置するとともに、在宅における痴呆性老人の介護負担の軽減を図るべく、痴呆性老人等在宅ケアパイロット事業費を計上したところでございます。今後とも要介護老人及びその家族のニーズの把握に努め、より効果的で総合的な対策を推進してまいりたいと存じます。 次に、老人保健施設の整備方針についてでございますが、施設の適正配置の観点から、さきに告示されました地域保健医療圏との整合性を図りながら、計画的な整備に努めてまいりたいと存じます。 また、開設許可方針につきましては、国において、施設基準の大枠が示されたところでございまするが、首都圏に位置する本県の実情を十分勘案いたしまして、昨年の十一月に設置をいたしました老人保健施設検討委員会の御意見をいただきながら、早急に確立してまいりたいと存じます。 次に、御質問第五の、産業振興と雇用対策についてのうち、雇用対策についてでございまするが、産業構造の転換や労働力の高齢化が進展する中で、中高年齢者の能力を有効に活用し、雇用の確保を図ることは、当面する重要な課題でございます。 このため県立高等技術専門校に、中高年齢者向けの訓練科目といたしまして、ビル管理科、造園科等、延べ二十七科目を設置いたしまして、公共職業安定所と連携を図りながら、能力再開発訓練の推進に努めておるところでございます。 その実施状況についてでございますが、六十一年度は百五十六名、六十二年度は現在までに百九十七名の方に対しまして訓練を実施いたしたところでございます。 また、自己啓発助成給付金の活用状況でございますが、六十二年度では七十四社でございまして、三百七十一名の方を対象に、一千六百十二万円余を助成することといたしております。今後とも、中高年齢者の能力の有効活用を図るため、施策の充実に努めてまいりたいと存じます。 次に、産業振興対策についてでございますが、まず、本県の産業構造は、昭和四十年代半ばにおきまして、第一次産業が四・三パーセント、第二次産業が五四・六パーセント、第三次産業が四一・一パーセントと、第二次産業が過半数を占めておりましたけれども、昭和六十年台に入りますると、第三次産業が五六・一パーセントとなりまして、第一次、第二次産業の合計をはるかに凌駕いたしまして、産業構造がサービス化時代に移行している傾向が顕著になってきております。 しかし、こうした中でも、本県工業の中心を担っているものは、何としても製造業でございまして、とりわけ電気機械、輸送用機械、精密機械等の先端技術産業は、内需、輸出ともに活発な企業活動を展開し、地域経済に大きく貢献しているところでございます。 しかしながら、最近における円高の定着化等によりまして、これらの業種につきましても、大きな転換期を迎えまして、大幅な内需型へ転換、あるいは、より一層の高付加価値分野への進出が求められているところでございます。 県といたしましては、こうした現状に十分配慮いたしまして、今後、団地化による技術の高度化、コンピュータ関連等の都市型産業への誘導策を積極的に講じまして、時勢に合った産業構造を構築することが必要であると存じております。 具体的には、産業構造の調整を促進するための研究開発型企業支援施設の整備に関する調査、及び新分野進出資金の創設、さらには、経営、新製品、人材等の情報を提供するための産業情報センターの設置、あるいは人材育成のための中小企業研修センターの設置等の施策の展開によりまして、積極的な産業の振興に努めてまいりたいと考えております。 次に、商業の振興対策についてでございまするが、最近の調査によりますると、県内には約一千五十の商店街がございます。このうち、好調又は比較的好調であるとする商店街は約二二パーセントであり、一方、不振又はどちらかと言えば不振であるとする商店街が七八パーセントで、大型店の出店や消費者ニーズの変化により地域商業は厳しい対応に迫られている状況にあることは御指摘のとおりでございます。 この傾向は、全国的なレベルから見ますると、若干良い結果になっておりまするが、商店街の活性化は、本県にとりましても極めて重要な課題と受け止めておるところでございます。 次に、商店街活性化のための施策の現状と今後の具体的な対策についてでございまするが、商店街の活性化対策として、昭和六十年度から商業ルネッサンスとも言えまするライブタウンさいたま運動を積極的に展開いたしまして、商業者の自主的な意識と行動の改革のための普及啓発に努めているところでございます。 おかげをもちまして、最近では、このライブタウン宣言をする商店街が現れるなど、県内各地域におきましてこの運動が徐々に普及し、それぞれの地域に即した取組が見られるところでございます。 具体的には、川口市、春日部市、岩槻市、浦和市などでショッピングモール化が進められまして、逐次その成果があらわれてきておるところでございます。 さらに、川越市に見られますように、地域の歴史や文化などと連動させながら、コミュニティづくりにも視点をおいたコミュニティマート構想モデル事業なども進められております。 また、県下全域の商店街活性化事業といたしましては、地元市町村や商店街と共同いたしまして商業環境の整備に努めているところでございます。 今後におきましても、こうした施策を組み合わせながら、ライブタウンさいたま運動の趣旨を柱とした商店街の活性化に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。 次に、御質問第六の、農政についてのうち、生産性の高い農業構造の確立についてでございますが、我が国の農業構造の現状を見ますると、単位当たり生産量では、世界の主産国と比較いたしまして遜色のない成果を上げておりますものの、経営規模につきましては、一部の部門を除きまして極めて零細でございまして、特に米麦等の土地利用型農業については、規模拡大による生産性の向上が強く求められているところでございます。 本県におきましても、野菜や花植木につきましては、全国に誇り得る生産を上げておりますが、米麦等土地利用型農業におきましては、規模拡大等の構造改善が遅れているのが現状でございます。 このため本県では、全国に先駆けまして、大規模米麦農業育成事業を実施いたしまして、二十一世紀を目指しまして、大規模経営のモデルとなる農家の育成に着手したところでございます。今後とも、本県の特徴を生かした農地の流動化を促進し、担い手農家の育成に努めるとともに、土地基盤の整備などを進めまして、生産性の高い農業構造の確立を図ってまいりたいと存じます。 次に、個性ある埼玉農業の確立についてでございますが、本県の農業は、現在、米、約二五パーセント、野菜で三〇パーセント、畜産が二五パーセントと、バランスのとれた生産を挙げているところでございまするが、この十年間の推移を見ますると、特に野菜、花植木等が大きく進展いたしておるところでございます。このような傾向は、今後の消費動向等から見まして、都市近郊としての本県農業の確立を図る上で極めて好ましいものであると考えております。 しかしながら、今後、フライト野菜に代表されますように、全国的に産地間競争が激化をいたしますと、都市近郊という本県の有利性が必ずしも維持できなくなることも懸念されるところでございます。このため県といたしましては、本県独自の魅力を備えた個性のある銘柄品の確立等を通じまして競争力を高めるとともに、野菜につきましては、従来の栽培方法の見直しや、新品目、新技術の導入等を図るとともに、産地のイメージアップを図るさいたま野菜ブランド化推進事業を実施してまいったところでございます。 今後は、畜産物につきましても、食肉や手作りチーズのブランド化を推進するなどいたしまして、個性ある埼玉農業の実現に努めてまいりたいと存じます。 次に、御質問第九の、知事の公社等理事長兼職及び整理統合についてでございますが、公社等の理事長につきましては、その専任化が望ましいところでございまするが、新設間もない法人、それから、経営基盤がまだ不安定で、特に調整を必要とする法人、県及び市町村の共同出資の法人等と設置者としての責任上必要のあるものにつきましては、私が理事長を兼職しているものでございます。 今後におきましても、適宜見直しを行いまして、専任化を進めてまいりたいと考えております。 また、私の理事長兼職が増えておりますのは、新たな県民のニーズに対応するため、シルバーサービス情報公社等を新設したことによるものでございます。 次に、公社等の整理統合につきましては、行財政改革を進める中で、類似性の高い業務を行っている公社等につきましては、整理統合を含め検討しているところでございまして、県といたしましては、今後も引き続き必要な指導を行ってまいりたいと存じます。 次に、御質問第十の、ゴルフ場汚職についてでございますが、公判の判決書において指摘されておりまする県職員への接待問題につきましては、公判記録の閲覧申請や関連する公判における事実の確認など、可能な限りの方法で調査を行ってまいりましたが、公判記録の閲覧が認められない等の状況がございまして、そのような事実を確認するに至らなかったところでございます。 その後、関連する公判も結審し、その判決書においても、県職員への接待がうかがえる旨の記載がございましたので、供述調書等を含む公判記録の閲覧について再度東京地方検察庁に申請いたしておるところでございますが、現時点では閲覧が許可されていない状況でございます。 しかしながら、県といたしましても、可能な限り調査を進めまして、判決書に記載されているこのような事実が確認された場合には、早期に厳正な処分を行ってまいる所存でございますので、御了承賜りたいと存じます。 次に、御質問第十一、最後の項でございますが、行政組織機構についての御質問でございますが、私は、県政運営に当たりまして、広く県民の意見を聴かせていただき、より早く県政に反映させるとともに、県政の動向を県民の皆様にお知らせする、いわゆる開かれた県政に配慮いたしてまいったところでございます。こうした観点から、県民部の分掌事務として決められておりまする広聴広報事務を、スタッフとして設置いたしました知事室長の職務の一つとしたところでございます。このことは、直ちに条例違反とは考えておりませんが、しかしながら、いろいろ議論もございますので、今まで検討させてまいったところでございます。今回の組織改正に合わせまして、御質問の御趣旨を踏まえて前向きに対応してまいりますので、御理解を賜りたいと存じます。        〔警察本部長(石瀬 博君)登壇〕 ◎警察本部長(石瀬博君) 御質問七の、警察行政に関する御質問に順次お答えいたします。 まず、総務部設置の構想と、その効果についてでありますが、御所見にもございましたように、本県は、人口の増加等に伴い、事件、事故の発生件数が全国的に見て常に高水準で推移し、その内容も複雑多様化しておりますし、また、警察職員数も全国上位にあるなど、警察事象及び職員規模のいずれを見ましても、いわゆる指定府県並みのレベルに達しております。 しかしながら、警察官一人当たりの人口負担が全国最高という状況の下にありまして、本県警察が首都圏警察として必要な警察力を保持していくためには、執行部門の組織体制の整備に加えまして、管理部門の組織体制の整備を図り、もって警察総合力を一段と発揮させるようにしていくことが何よりも必要でありますし、そのことが、ここ十年来の本県警察の懸案であったことは御案内のとおりでございます。 このため、かねてから管理部門の組織体制の整備につきましても、警務部を分割いたしまして新たに総務部を設置すべく、関係向きに強力に要望してまいったわけでございますが、現在、これが容認される方向で、中央におきましても所要の手続が進められておりますので、本県におきましても、今議会に、埼玉県警察本部組織条例の一部を改正する条例を議案として御提案申し上げているものであります。 総務部設置の構想でありますが、現在六部あります中の警務部が十課一室と大きな組織となっておりまして、組織管理上、必ずしも好ましい状態にはなっておりません。そこで、警察運営に関する総合的な企画調整の事務と職員の人事配置、教養、福利厚生等の人事管理に関する事務を警務部に残しまして、その他の、予算、施設、装備等の物的管理に関する事務と、広聴広報等の事務を、新たに設置する総務部に所掌させることにいたしたいと考えております。 この組織改正に伴いまして、警察行政全般にわたる総合的な企画調整機能の強化と、きめ細かな人事管理、効率的な物的管理及び県民のニーズに応えた警察運営が図られまして、これらを通じて本県警察の基本指針であります「県民とともにある警察」を、より一層具体化できるのではないかと考えております。御理解をいただきたいと思います。 次に、極左暴力集団対策についてでありますが、これも御所見にありましたように、近年、極左暴力集団をめぐる情勢は極めて厳しいものとなっております。昨年一年間に敢行されたゲリラ事件は、本県での二件を含めまして、全国で三十七件も発生しています。本年に入りましてからも、一月十八日に、新東京国際空港の管制塔を狙って爆発物を発射したゲリラ事件と、同じく一月二十二日に、横浜防衛施設局長宅を時限式発火装置により放火したゲリラ事件の二件が発生いたしております。その手口につきましても、多数の人命を奪いかねない危険な爆発物を使用したり、その被害も、特定の施設や個人に限らず一般市民にまで及ぶなど、一段とエスカレートしているのが現状であります。 こうした情勢を踏まえまして、本県警察では、昨年四月に、極左対策を専門に担当する公安第三課を新設するとともに、部内の各部門にまたがる総合的な対策委員会を設置し、併せて、本県警察の重点推進事項に昨年に引き続き本年もテロ、ゲリラの防圧、検挙を掲げ、県民各層の幅広い御協力も得ながら、一つには、指名手配被疑者の検挙、二つには、未解決重要事件の捜査の徹底、三つには、非公然軍事アジトの発見摘発、四つには、重要施設の警戒等の諸対策を強力に推進しているところであります。 特に、成田闘争等各種闘争の節目には、重要施設等の警戒警備や捜査体制を強化するなどして、テロ、ゲリラの未然防止に努力しております。 また、こうした事件の検挙やテロ、ゲリラの根絶には、県民の皆様の幅広い協力がぜひとも必要でありますところから、チラシや県広報テレビ番組、各駅前の電光ニュースなどを活用しまして、広範な広報活動を展開してきておりますほか、警察本部内に「極左暴力集団一一〇番」を設置いたしまして、県民の皆様から寄せられます不審情報等を二十四時間体制で受け付けております。 県警察といたしましては、県民の皆様の一層の御支援を賜りながら、今後とも、極左暴力集団対策を更に強化してまいりたいと考えております。よろしく御理解をいただきたいと思います。        〔教育委員会委員長(伊藤政子君)登壇〕 ◎教育委員会委員長(伊藤政子君) 八、教育行政についてのうち、私に対する御質問にお答えいたします。 お説のとおり、臨時教育審議会において、二十一世紀に向けた教育改革の提言がなされましたが、これらの改革を進めていく上で、教育委員会の使命の遂行と活性化は非常に重要なことであり、責任の重大さを痛感しております。 県教育委員会におきましては、これまでも、情報化、国際化に対応して、新しいタイプの学校を設置するなど、学校教育の充実に努めるとともに、高齢化社会に対応して、生涯学習を推進する諸施策を行ってまいりました。また、地域の教育行政をあずかる教育委員会の使命の重さに鑑み、教育委員の研修や市町村教育委員会との連携を深めるために、移動教育行政会議、教育長研究協議会など実施し、さらに、県民の意見をお聞きするため、教育懇談会を開催してまいりました。 さらに、今年度から新たに市町村新任教育委員研究協議会を開催して、教育委員会の活性化についての提言の趣旨の徹底を図っているところでございます。 今後、教育の今日的諸課題に的確に対応していくため、これらの施策を一層拡充するとともに、教育長の専任化や任期制など、国における制度上の改革の動向に留意しつつ、教育委員会の活性化を図り、「創造性と豊かな心をはぐくむ埼玉教育」の実現を目指して、県民の負託に応える教育行政の推進に努めてまいりたいと存じます。        〔教育長(荒井修二君)登壇〕 ◎教育長(荒井修二君) 八、教育行政についてのうち、私に対する御質問にお答えいたします。 御指摘のとおり、臨時教育審議会は、二十一世紀に向けて、社会の変化等に対応する教育の実現を目指して教育改革のための具体的方策を提言いたしました。これを受けまして、教育課程審議会も、社会の変化に自ら対応できる心豊かな児童生徒を育成することなどを狙いとして、教育課程の基準の改善について答申しております。 この答申については、特に、幼稚園から高等学校までの教育の一貫性を重視し、人間としてのあり方、生き方に関する道徳教育の充実、多様な選択科目を導入して個性を重視する教育の推進を図ることなどを提言されております。 なお、国は、本年秋に学習指導要領を告示する予定でありますが、県教育委員会といたしましては、これらの提言に速やかに対処するため、六十三年度に、新たに埼玉県教育課程審議会を設置しまして、本県の新しい教育課程編成要領の作成に着手してまいりたいと存じます。 このような一連の改善の中で、特に情報化への対応につきましては、情報処理科の新設やパソコン等の情報機器の整備に努め、生徒のコンピュータ活用能力や情報処理能力の育成をしたいと存じております。また、国際化への対応につきましては、姉妹州県の関係にありますクイーンズランド州や山西省に生徒や教員を派遣しまして、国際交流を深めてまいります。 さらに、昭和六十三年度は、英語指導助手、AETでございますが、三十五人に増員しまして、国際理解に欠くことのできないコミュニケーション能力の育成を図るなど、二十一世紀に向かって、国際社会に力強く生きる日本人の育成に努めてまいる所存でございます。 次に、教員の資質向上方策についてでございますが、御指摘の教育職員養成審議会の答申は、教員の養成・免許制度について、第一に、普通免許状を三段階にすること、第二に、大学における教職専門科目等の修得単位数を引き上げること、第三に、学校教育に社会人の活用を図るため特別免許状制度を創設すること、などを提言しております。 お説のとおり、この答申は、児童生徒の状況や社会の進展に対応して学校教育の内容を改善していくこと、また、より広く人材を学校教育に導入することなどの観点からなされているものと考えております。 このうち、教職専門科目等の単位数の増加については、教員の資質、能力の向上につながるものと考えております。また、特に、社会人の活用については、教育内容の多様化に対応した教育を展開する上で大きな効果があるものと考えられます。このことにつきましては、本県では、全国に先駆けまして、既に現行制度の中で新座総合技術高校や大宮光陵高校などで、デザイナー、また調理師、声楽家、ピアニスト等、その道のエキスパートを非常勤講師としまして約三十人を現在お願いし、成果を上げているところでございます。 いずれにいたしましても、このたびの免許法の改正は、今後の教員免許制度に関する重要な事柄でございますので、国の動向を注視してまいりたいと存じます。 次に、教員の現職研修についてでございますが、お説のとおり、教員の資質、能力は、教職生活を通じ、絶えざる研究と修業により向上するものと考えております。このため、県教育委員会といたしましては、これまで教員採用後五年目、十年日に行う年次研修など、各種研修会を開催しまして、教員としての実践的指導力や使命感を高める努力をしてまいりましたが、これに加えて、六十二年度は初任者研修の試行を実施したところでございます。 この試行も間もなく終了いたしますが、現在設置してございます試行実施協議会等から、初任者研修試行の結果について報告を受けております。それによりますと、試行実施校においては、初任者の養成に対する共通理解や協力体制が整って、学校全体が主体的に研修に取り組むようになった、あるいは、宿泊研修や民間企業等での研修を通して、教師としての自覚とともに教育を幅広くとらえることができるようになったなどの報告を受けております。 一方では、問題点といたしましては、指導力のある非常勤講師の確保が難しい、さらに、文部省が実施する洋上研修は、夏期休業中に実施することが望ましいなどの要望がございました。 昭和六十三年度の試行につきましては、本年度とほぼ同規模、同内容で実施したいと考えておりますが、本年度の成果や問題点を踏まえまして、その充実を図り、教員の資質向上に努め、より一層、本県教育の推進に努力してまいりたいと存じます。        〔八十三番 佐久間 実君 登壇〕(拍手起こる) ◆八十三番(佐久間実君) まず、昭和六十三年度予算編成についての中で、先ほどお尋ねしましたけれども、補正の中での財源の効果的な活用、これは、まあ、知事の今の答弁によりますというと、大変難しい経済情勢の見通しがつかなかったという結果だと思いますが、財政運営の中で、もう少し効果的な活用があったのではないかというように考えるところであります。 それは、私どもが十二月の企財総務委員会の中でも、この財源の関係につきましてはただしたところでございますが、その当時においても、約三百数十億の財源が、総務部の見解で明らかになっているところであります。 私は、先ほど、角度を変えまして、この見解の活用につきまして、特定財源であるならば、県債等の活用するならば、三倍ぐらいの、約六百三億円の一千八百億円ぐらいが活用できたのではないかという角度で質問をしてきたところであります。 一千八百億円、膨大な数字でありますが、これを生活基盤の中で県政に動かしたならば、大変充実されました生活基盤整備が行われたんじゃないかという角度で指摘したところでございますが、もっと具体的に言うならば、約四百億円、最終的には四百五十一億円ばかりでございますが、この四百億円という大変膨大な金額で、土地の買戻しが十二月の時点でなぜ行わなかったのか。十二月の時点で行うとするならば、その土地買戻しの中でも、約、まあ、いろいろのシンジケートの中で、金利が違うと思いますけども、七パーセントといたしまして……〔何ごとか言う人あり〕七パーセントで運用したならば、四百億円で約二十八億円、十二月、一月、二月、三月の中で見ましても、約八億五千万円ばかりの、これは損失になるわけですね、金利自体でも。こういうことになるわけです。 ですから、このへんについても、もう少し効果的な財政の運用については、できなかったのか、こういうことをお尋ねしているわけでございますので、先ほどの、見通しが大変甘かったんだということになれば、それなりに考えもございます。ただ、地方自治法第二百十条の総計予算主義の建前からすると、当初予算の中には、あらゆる角度から、経済関係からあらゆる諸条件を把握した中で、全部その当初予算に編成し、財源に計上するのが建前でございますから、あえて、いま一度聞きたいというふうに考えております。 それを受けまして、本年度のこの当初予算の関係につきまして、大変、先ほど知事のほうから、経済事情など、あるいはまた、政府のこの経済見通しなどを見ますというと、まあ、三・九パーセントは妥当であるんだということのお話でありますが、私はそのように感じていないのであります。 それは、先ほど申し上げましたとおり、この昭和六十二年度の当初予算額は四千百四十六億円に対しまして、この二月末の最終予算については七百九十億円、一九・一パーセントの伸びがありまして、地方財政計画によると一三・九パーセントということに相成っております。県の今回の取り方は、その四千七百四十九億円に対しまして百八十七億円だから、三・九パーセントであるという取り方をしているわけであります。実質四千七百四十九億円というのは、四千百四十六億円の当初予算の額を言いますと六百三億円、つまり一四・五パーセントぐらいの、この六十二年では伸びているわけでございます。 そして、国の政府経済見通しによりますと、名目成長率が六十二年度では見込みが大体四・一パーセント、本年度の見通しの中については四・八パーセントぐらいということが予測をされているわけでありますから、そういうことを数えますと、三・九パーセントというのは、大変、見込みが少ないんじゃないか。 つまり、もっと、七パーセントなり八八パーセントも見てもいいんじゃないか。また同じように、本年と同じような中で九月なり十二月の予算の中で、数百億円という巨額な財源の計上がなされてくるんじゃないか、ということを懸念いたしまして、見込みが少し甘いんじゃないかという考え方を持っておりますので、このへんついて再度お尋ねをいたしたいのであります。 それから二点目は、この行政組織の機構につきましてお尋ねをいたしたところでございますが、知事のほうでは条例違反ではない、そういう中におきまして、前向きに組織改正を検討したいということであります。 私の聞いているのは、基本的に、条例と規則のどちらが優先するとお考えなのか、ということをお尋ねしているわけでございますので、率直にお答えいただきたいというように考えております。 なお、答弁の中で、今申し上げたとおり、組織改正を前向きに検討したいということでありますが、これは、直ちに、この四月を含めて改正条例を議会に出してくるのか、そのへんについてもお答えをいただきたいと思います。 以上でございます。(拍手起こる)        〔知事(畑  和君)登壇〕 ◎知事(畑和君) 佐久間議員の再質問にお答えをいたします。 まず、最初の、質問第一の、昭和六十三年度予算編成についての関係での再質問にお答えいたします。 先ほど御答弁申し上げましたように、景気の見方は大変難しい面がございまして、本県だけでなくて、国でも、他の都道府県でも税収の見積りには非常に苦労しておるようでございます。特に、先年度、六十二年度のような具合で、初めのうちは、どうも調子が悪い調子が悪いという声が多かったんですが、途中になってから景気が回復してきて、さらに、それが回復からさらに拡大へという、急歩調で変わってきたものですから、単に我々のところの県だけではなくて、ほかの都道府県も、また国のほうでも、同じように見込み違いをいたしておると、結果的にそういうことになっていることは、どこでも同じような傾向であると思います。 しかし、昭和六十二年度は、当初見込みに対しまして、例年になく、先ほど申し上げましたように、増収が生じたことで、結果的にはそういった見積誤りと言えないこともないというふうに思います。県税収入の的確な把握は、県財政運営の基本でございますので、今後、より一層的確な見積りに努めてまいりたいと存じますので、さよう御了承いただきたいと思います。 こういう状況の中で、九月補正では、歳出面でも大型な経済対策に伴う補正を行ったことも考慮いたしまして、今後の追加財政需要及び財政運営の健全化など、総合的に勘案いたしまして、法人関係税の増収分につきましては補正を見送ったものでございます。 なお、用地の買戻しにつきましては、お話しのとおりでございますので、昨年の十二月定例会におきましても、法人関係税以外の増収分で一部実施したところでございまするが、法人関係税につきましては、ただ今申し上げましたようなことから、年度の収支を見極めまして、財政運営の健全化を図る必要もございましたので、今定例会に御提案申し上げました措置をとらせていただいたところでございますので、御了承願いたいと存じます。 なお、六十三年度予算については、これが限度かと、もう少し保留があるのではないのかという話でございますが、その点について御答弁申し上げますと、昭和六十三年度の県税収入予算につきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、現時点で確実に見込み得る額を全額計上したところでございまして、しかしながら、今後の景気動向によっては、税収に変動が生じてまいることもございます。先ほど、いろいろ御卓見をお伺いいたしましたが、確かにそういう考え方もあろうかとも思いますけれども、私のほうではこういう案で提案いたしておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 それから、御質問の第十一の関係でございますが、この件につきましては、条例と規則のどちらが優位なのかということになりますと、これはまあ、条例がだいたい優位であるということが普通定説でございまして、条例のもとに規則があるというのが、本来、一般的にはそう言いますけども、まあ、県の場合におきましても、なかなかそのとおりにはまいりませんで、そのために職制を設けましてですね、それで知事室長という職制を設けまして、それによって所掌させておるというようなことで、全責任はやっぱり私が負うわけでございますので、そういうことでひとつ御了解願いたいと思います。 また、状況によりまして、いろいろと、また、委員会等で、さらに御議論いただければ幸いだというふうに思います。        〔八十三番 佐久間 実君 登壇〕(拍手起こる) ◆八十三番(佐久間実君) 先ほど、一般会計、六十三年度の予算編成についての関係については、知事のほうの今の答弁の中で、大変見込みも甘いというようなことのないようなこともございますから、まあ、以後、そういうことの角度では、ひとつ十二分に把握のできるような財政の中の組立てをお願いしたいということを要望しておきます。 先ほど知事は、まあ、なかなか、この経済事情の中には、見通しがつかないんだということでございますけども、先ほど、最初に私が質問したとおり、実は、これは埼玉県企画財政部企画調整課が発行している、先ほどの埼玉県経済機構つまり、シンクタンクの資料なんですが、ここにおいては、もう、六十二年度の中については、名目、実質ともに八パーセント前後、そういう基調があるだろうということが書いてあるんです。 ですから、県が出している資料を無視して組んできたというのは、ちょっと問題点があるんじゃないか。これを読んでいないのか、読まなかったのかという問題、企画財政部のほうで出している資料ですから、総務部の、税を扱うところでは、これは見なかったのかというふうな、そして、計算をしなかったのかというふうな疑問があるわけであります。 それで、まあ、そういう点でひとつ、これから考慮していただきたい、このことを要望しておきます。これは要望で結構です。 ただ、先ほど、最後の、行政組織の機構の関係で再質問をした中での知事の答弁、これは、埼玉県政は県政の中で、私が任命権者だから、ひとつ、私の自由にやらしていただくんだと、まあそういうふうなことまでは言いませんけれども、そのような内容の答弁でございますが、これはちょっと違うんじゃないかというように考えております。 これはあくまでも、やはり、特に、憲法をくらしに守る知事でございますかち、法律の、この地方自治法の第十四条及び第十五条の関係について、条例、規則等については、これは明記されています。普通地方公共団体においては、条例を法律に違反しない限りにおいて制定することができる。違反をすれば、罰則規定まで条文に出ているわけでございます。埼玉県のこの条例、部局の部課設置条例におきましても、その法の精神を受けてこの組織条例ができているわけですから、その組織条例にあって、規則が、先ほどお話しのとおり、なされてきている。それが、組織について条例と違った規則になっていると。 しかし、そういう中にあっては、埼玉県は埼玉県政、県政はまあいろいろあるから、私が任命権者だからうんぬんのような話がございました。これはちょっと違うんじゃないかと思いますので、これは、間違っているのなら間違っているらしく、先ほど、素直に、直すというようなことの中でやっていってもらわないといけません。 これは、私としては、この、条例に違反している規則は無効だと思います。無効の中で十億六千万円ばかりの広聴広報費関係の支出をなされているということは、これは不当な支出でございます。これはそういうことに断ぜざるを得ません。当然ですよ。そういうことに断ぜざるを得ないんです。 そういうことですから、やはり、条例を直すんでしたら直すんだということを、はっきりひとつ、明言していただきたい。県政は県政だと、任命権者だからうんぬん……これは、そうなりますと大変なことでございますので、ひとつ、いま一度の答弁を知事にお願いいたしたいと思います。(拍手起こる)        〔知事(畑  和君)登壇〕 ◎知事(畑和君) 再々質問がございましたので、お答えをいたします。 条例と規則との関係でございますけれども、この関係につきましては、条例が優位ということは論をまたないと思います。広聴広報事務は、開かれた県政の推進のためにも、全庁的な対応をしなくてはならない事務でございまして、特に県民サービスにかかわりあいのある県民部で所掌させておるのでございますが、トップセールスなどの点から、知事室とのかかわりあいも強い点もございますので、それらの事務を担当させているところでございます。 しかしながら、先ほども申し上げましたように、論議もございますので、ひとつ、また、いろいろ御議論していただきまして、それに対して適切に対応させてまいろうというふうに考えておりますので、また御教示を賜りたいと存じます。ありがとうございました。          ---------------- △休憩の宣告 ○議長(宮田守夫君) 暫時、休憩いたします。午後一時四分休憩          ----------------午後三時四十六分再開  出席議員   八十八名   一番   二番   三番   四番   五番   六番   七番   八番   九番   十番   十一番  十二番   十三番  十四番  十五番  十六番   十八番  十九番  二十番  二十一番   二十三番 二十四番 二十五番 二十六番   二十七番 二十八番 二十九番 三十番   三十一番 三十二番 三十三番 三十四番   三十六番 三十七番 三十九番 四十番   四十一番 四十二番 四十三番 四十四番   四十五番 四十六番 四十七番 四十八番   四十九番 五十一番 五十二番 五十三番   五十四番 五十五番 五十六番 五十七番   五十八番 五十九番 六十番  六十一番   六十二番 六十三番 六十四番 六十五番   六十六番 六十七番 六十八番 六十九番   七十番  七十一番 七十二番 七十三番   七十四番 七十五番 七十六番 七十七番   七十八番 七十九番 八十番  八十一番   八十二番 八十三番 八十四番 八十五番   八十六番 八十八番 八十九番 九十番   九十一番 九十二番 九十三番 九十四番  欠席議員   五名   十七番  二十二番 三十五番 三十八番   五十番  地方自治法第百二十一条の規定により説明のため出席した人   知事       副知事(関根) 副知事(立岡)   出納長      企画財政部長  総務部長   県民部長     環境部長    衛生部長   商工部長     農林部長    労働部長   土木部長     住宅都市部長  公営企業管理者   教育委員会委員長 教育長     警察本部長 △再開の宣告 ○議長(宮田守夫君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。          ---------------- △佐久間議員の再質問に対する知事の答弁の一部訂正 ○議長(宮田守夫君) この際、知事から発言を求められておりますので、これを許します。 知事 畑  和君        〔知事(畑  和君)登壇〕 ◎知事(畑和君) 先ほどの佐久間議員の行政組織機構に関する再質問に対する私の答弁につきまして、一部適切を欠く点がございましたので、訂正の上、改めて答弁をさせていただきます。 条例と規則の関係につきましては、条例のもとに規則があると考えております。 いずれにいたしましても、今般の組織改正に合わせて、御質問の趣旨を踏まえまして、早急に対応してまいりたいと存じますので、御理解を賜りたいと存じます。          ---------------- △質疑質問(続き) ○議長(宮田守夫君) 質疑質問を続行いたします。 日本社会党・護憲共同代表、九十番 染谷 薫君        〔九十番 染谷 薫君 登壇〕(拍手起こる) ◆九十番(染谷薫君) 六十三年度当初予算を審議をいたします議会に当たりまして、日本社会党・護憲共同議員団を代表いたしまして、県政の主要な課題について順次質問をしてまいりたいと思います。 まず、今年の夏、知事選挙が施行されます。畑知事は、去る一月十四日、県民連合の幹部と同道して、知事選出馬の決意を声明されました。爾来、県農協関係四団体、婦人関係各団体、県医師会、建設協会等々、数多団体の推薦が寄せられていると聞き及んでおります。 畑知事は、過去、四期十六年、県民本位、福祉優先、憲法をくらしに生かす諸施策に嚇々たる成果を挙げて今日に至りました。六十年三月には、県民各界の代表の御参加をいただき、大きな節目であります二十一世紀を目指して、「緑と清流、豊かな埼玉」をキャッチフレーズに、埼玉県長期構想を策定し、なお、その実施プログラムであります中期計画に取り組んで、県民の先頭に立ち、病気で一日も休むことなく、まれに見る強靭な体を駆使して、着々目標に向かい、施策を進展させておりますことは、誠に御同慶にたえないところでございます。 この夏、施行される知事選には、中央官庁を卒業した有力なライバル候補も決まりました。畑知事の、過去十六年の数々の業績と、二十一世紀を埼玉の時代にしようとする情熱と施策を県民の前に明らかにして、その真を問う絶好の機会であります。 政策で争う理想の選挙を展開をして、県民の信託を受けますことは、県政進展上、誠に意義深いことだと思います。知事は、どのような基本姿勢をもって選挙に臨まれるのか、その決意をまずお尋ねいたします。 畑知事が初当選をいたしました四十七年当時は、日本経済の高度成長期の末期でありました。人口の急増は年間二十万人を超える勢いで、人口は四百六十万人に達しました。昭和三十五年の二百四十三万人と対比して、約二倍の人口にふくれあがっておりました。当時の状況は、急速な都市化に行政の対応が追いつかず、数々のひずみが露呈をしておりました。 畑知事は、就任直後、支持者の言に耳を傾け、各界の方々や県庁職員の意見をも聴取し、そして、その秋までには数々の新しい事業を開始いたしました。そしてその多くが今日まで連綿と続けられております。畑知事を知る多くの人々が、県民の意向を洞察しての決断力と、四十八年、五十四年の二度にわたる石油ショックを契機にする経済の低成長や、国の予算の肩代わりによる県予算の窮乏等、数々の難問を乗り越えつつ、継続して実施してきた畑知事の計画性と強い信念に対し、高く評価してくれております。 今後も、なお県民生活向上のために施策を継続していくことを期待しながら、具体的に、二、三、所信をお尋ねいたします。 その第一は、下水道事業の促進でございます。 下水道事業が、四十六年までは、先進的な二十の市町でそれぞれ単独で公共下水道を開始をいたしておりました。処理が開始されておりましたのは、わずかに七市で、普及率八・七パーセントでありました。一方、河川の汚濁は急激に進行しておりました。畑知事は、就任直後、河川に清流を取り戻すためには、県の事業として、流域下水道の建設に本格的に取り組まねばならないと決意をいたしまして、四十七年後半より今日まで、次々に六つの流域下水道事業を着工いたしました。 先ほど、佐久間議員さんから、下水道事業が遅れているとのお話もございましたが、県の事業としては、当時ゼロに近い状況から開始を知事はいたしてまいったところなのであります。 今日までの投資額は三千七百五十八億八千三百万の巨額にのぼりました。この額が、国庫補助金の対比の上で、大阪府と毎年一、二を争い、他の都道府県を大きく凌駕をするものでございました。ようやく六十一年度末で全国平均の普及率、先ほどもお話がありましたが、三七パーセントに追いつき、今年度末には四〇パーセントの普及が見込めるとのことでありますが、緑と清流は知事のモットーであり、六十五年度までには五〇パーセントぐらいにまで到達してほしいと思うところであります。 このためには、市町村の公共下水道の促進指導と援助が必要と思いますが、知事の所信をお聞かせいただきたいと思います。 第二は、無担保無保証人の融資制度でありますが、銀行に見放された県民に無担保無保証人で信用貸しをする制度を、これまた四十七年十一月に創設し、今日に至りました。開始に当たって、一部の人たちからは、畑知事は金を貸す常識を知らない、これでは県費を捨てるようなものだと言われもいたしましたが、六十一年度末までの利用合計が五万四千八十四件で、八百九十二億八千四百八十八万余円の貸付が大過なく行われ、利用した県民からは、助けられたとの好評を得て今日に至っております。貸付限度額が特別資金三百万円、緊急資金五十万円でありますが、物価高の昨今でありますので、今後、増額してほしいと思いますが、お尋ねをいたします。 第三は、高校の新設です。 当時は、急激な人口増に伴う高校入学者の激増に対応する高校新設ができず、深刻な社会問題と化しておりました。畑知事は、知事選挙の公約に「十五の春は泣かせない、五年間で三十校の高校新設」を掲げました。当選後の初議会では、幾人かの人から、「五年間で三十校。できもしないことを公約し、県民の歓心を買い、そして当選し、できませんでしたではすみませんぞ。」と言われたこともあります。知事は、「実現に努力をいたします。できなかったらシャッポを脱ぎます。」と、これはいまだに耳に残る問答でございます。 当時でも、一校新設で二十二、三億はかかったのですから、公約実現は不可能だろうと思うのは、一般的な常識論であったとも思います。ですが、五年後の五十二年度の高校新設は、ドンピシャ三十校目の新設ができたところであります。そして、来年度開校の鳩ケ谷高校で八十校目の新設高校の誕生となりました。伊奈学園を三校分と見ますと、八十二校の新設です。公立、私立の約束による六五パーセント対三五パーセントの収容方針に基づく計算どおりの高校新設ができたわけで、関係県民からは、畑知事の誠実さ、計画的な行政が高い評価を受けておるところでございます。 ところで、高校進学者は、来年四月をピークに減少に転じ、やがて激減の時を迎えます。専修学校とか六年制中等学校とか、うわさもいろいろ聞くところでありますが、県教育委員会におかれても、その減少対策を種々御検討のことと思います。この際、教育委員会教育長より、その方針を承りたいと思います。 第四は、身体障害者の養護学校の建設と小規模授産事業についてでありますが、畑知事就任当時の養護学校が、盲・ろうの学校を除くと、三枚しかありませんでした。文部省からは強い要請を受け、関係父母からは極めてきついお小言が出されておりました。知事は、早速調査を命じ、そして漸次建設を進めてまいりました。来年四月開校の越谷西養護学校と、来年度建設する宮代養護学校を含めますと、二十一校の建設になります。また、父母の要望の強かった高等部の新設が、病弱養護の二校を除き全校に完了し、六十二年度末には体育館も二十二校に建設が終わり、目下、プールの建設にかかり、十五校にできる等、関係父母からは高い評価を受けていますが、困っているのが、養護学校の卒業後の授産施設が不足していることであります。 これまた、そのことに対して強い要請が父母の間から出されているところであります。知事は、県単独で小規模授産事業運営費補助事業を制定いたしまして、市町村に授産事業を開始していただき、気の毒な身障者を救ってほしいと呼びかけておるわけでありますけれども、それに応じて、小規模授産事業を開始してくださったのは、三十一市で三十六事業所であります。町村では四町で四事業所の状況であります。したがいまして、空白なのは、九市と四十八町村ということになるわけでありますが、本人はもとより、父母の悩みは深刻でございますので、施設を持たない市町村にお願いをして、授産事業を開始していただくよう、更に努力すべきだと思いますが、知事の所見を承りたいと思います。 さて、次には、六十三年度当初予算についてお伺いをいたします。 六十三年度の地方財政は、いろいろ話がございましたように、従来からの国庫補助率の引下げ、さらには国民健康保険制度の見直し等による負担転嫁に伴いまして、本県においても二百九十一億の負担増が見込まれ、六十二年度に引き続き、極めて厳しい財政状況にあるわけでありますが、本県におきましては、一兆三百六十二億と、初めて一兆円を突破する予算が計上されました。 前年対比一〇・二パーセントの伸び率は、国の地方財政計画、六・三パーセントを大幅に上回るばかりでなく、東京を除く関東各県、千葉八・五、神奈川六・二、群馬六・二、茨城六・一、栃木五・六と対比をいたしまして、まさに六百万を擁する大県にふさわしい予算の計上となり、誠に喜ばしい限りに存ずるところであります。 積極大型予算を編成されるに当たりましては、種々御苦労があったであろうと推察をいたしております。六十三年度当初予算編成に当たっての基本的な考え方と、特に重点を置かれた事項について、まずお伺いをいたします。 第二点は、予算財源についてでありますが、歳入合計、前年度対比一〇・二パーセント、九百六十一億余円の増加となっております。そのうち県税の伸び率は、先ほどもお話がありましたように、一九・一パーセント、七百九十億円の増収となっています。増加分のうちの県税の増加分が、その八二パーセントに当たります。つまり、一兆円を超える大型予算が組めたのは、その主たる原因が、県税の伸びに起因しておるわけであります。 県税の三本柱であります法人事業税、法人県民税、個人県民税が、それぞれどのような伸長とお考えになっておられるのか、また、県税収入の確保の見通しについてお伺いをいたします。 三点目は、県債についてでございますが、六十三年度の県債発行額は、国の公共事業の拡大もあって、九百二億七千二百万円となっており、前年度に比べ、実に二六・八パーセント増加をしております。歳入総額に占める県債の割合は八・六パーセントで、前年度の七・六パーセントに比べて、一・一パーセントの上昇になっております。県債の効果的活用は、公共投資を積極的に進める上で必要なことではありますが、一方において将来の財政運営の硬直化をもたらすことが懸念されるところでもあるわけであります。 そこで、県債の活用に関する基本的な考え方と、今後の財政運営のあり方について御所見を承りたいと思います。 次に、地価対策について、担当副知事にお尋ねをいたします。 地価対策が、今や全国的に政治課題となっております。東京都心部の異常な地価高騰が本県にも波及し、県当局においては、土地取引規制制度の監視区域に既に十六市二町を指定し、昨年十二月二十日から、届出面積の引下げ、さらに、四月一日からは監視区域を十四市八町追加すると発表いたしております。 地価問題の根は深いものがある、力をゆるめるようなことがあれば高騰が再燃する恐れが多分にあると考えられます。そのため、現在以上に実効ある対策を総合的見地から推し進めてほしいと思うのであります。規制の監視には人手もかかると思いますが、どのような監視体制をとっておられるのか、また、監視区域を指定した地域の一部においては、鎮静化の傾向があるとも聞いて、おりますが、具体的にどのような変化が出てきているのか、立岡副知事より、所見を含めお聞かせをいただきたいと思います。 第二点は、地価の安定策でありますが、宅地や営業所を求める国民の願いに呼応した一部の土地取引業者の暗躍が地価高騰の一つの引金になっているとも考えられます。昨年十月、政府からも緊急土地対策要綱も出されました。勤労者が良好な宅地を取得することが困難な現状を打開すること、宅地供給を促進することこそが、地価安定に通ずる道だとも思いますが、県はどのような対策を考えておられるのか、具体的に、併せてお答えをいただきたいと思います。 一昨日のNHKの報道では、首都圏内で一時間程度の周辺でのマンションの価格が、平均年収五百九十五万円の八倍を超えたとも報道しておるのであります。五倍を超えた現状は、家の買替え以外には買えなくなったと報じておるところでもありまして、重大なことだと思うのであります。 次に、埼玉県新長期構想に掲げる地域別構想の具体化についてお伺いをいたします。 国においても、四全総では、東京一極集中を是正するため、多極分散型の国土を形成することとし、交流ネットワーク構想の推進による首都圏機能の地方への分散を提唱いたしております。本県が、首都圏の一員として、首都機能の一翼を担うことが期待されておるところであります。このような状況の中で、県では、新長期構想の中に地域別構想を掲げ、県内の各地域にはそれぞれの特性と課題があり、これらの特性や課題に応じて地域づくりの計画を立て、これに基づき総合的に展開するといたしまして、知事は鋭意努力をしておるところでありますが、来年度予算の中にも、ネットワークシティ構想推進費が計上されました。まず、この予算の内容をお伺いをいたします。また、地域別構想の具体化を知事はこれまでどのように進めてこられたのか、今後どのように具体化を図っていかれるのか、国との関連も含め、具体的に御所見を承りたいと思います。 次に、県内都市間道路における交通の円滑化対策について、県警本部長にお伺いをいたします。 埼玉県では、中、長期計画を策定し、それぞれ地域の特性を生かし、しかも調和のとれた地域開発を推進するために、中枢都市圏構想、テクノグリーン構想及び総合リゾート地域の開発などの計画を着々と進め、しかもこれに県内主要都市と結ぶネットワークシティ構想を連動させて、二十一世紀を目指して理想の埼玉づくりに努力をいたしております。 そして、それぞれの地域から、これは大きな期待が寄せられているところでありますが、これらの構想を真に機能的に展開させるためには、中枢都市圏と地域の拠点都市、居住地とリゾート地、あるいは生産地と消費地が安全かつ円滑に結ばれる道路交通網の整備が不可欠の条件でありますが、当面、交通の円滑化が必要だと思うのであります。 しかしながら、県内の交通情勢を見ますと、運転免許人口は既に二百六十九万余、車両保有台数は原付を含めますと三百万台を突破しているとのことで、このため県内道路は過密化、混雑化の度を深め、特に都市部を中心にした交通渋滞が年々増大しているのが実情であります。 そこで、せめて県内主要都市を結ぶ幹線道路の円滑化を図っていくことは、単に交通の安全と円滑化をというだけでなく、地域の活性化や社会経済活動の面からも重要な施策であると思います。 埼玉県警察では、これらの諸情勢を踏まえ、また、県において推進している新長期構想に基づくネットワークシティ構想その他各種の施策に呼応して、幹線道路を対象に信号機の系統システムを構築する等され、各方面から好評を博していますので、この制度の拡充を含め、都市間道路の円滑化対策の推進状況と今後の整備計画についてお伺いをいたします。 次に、リニア・モータ・カーの導入促進についてお伺いをいたします。 来月十九日より、「躍動する未来の創造」をテーマといたしまして、さいたま博覧会が開催されますが、そのシンボルの一つといたしまして、日本航空の研究による浮上式高速リニアと、モノレール協会の手による鉄輪式低速リニアの本物が敷設され、県民を試乗させてくれるとのことでありますが、畑知事が全国に先駆けてリニアの特性に着目し、県庁内にプロジェクトチームを編成して調査研究を進める等、極めて熱心な取組や各方面への働きかけが、「リニアと言えば埼玉」と異名をとるほど有名になったことによるものと思い、知事が時代を先取りした熱心な努力に敬意を表しているところであります。 さて、去る二月十九日、国土庁主催による核都市連絡環状リニア検討委員会の初会合が開催されたとのことであります。これは、横浜、立川、本県の大宮、そして筑波、成田等を浮上式リニアで結び、首都圏の業務核都市を育成するのが狙いだと新聞は報道いたしております。また、千葉県当局が六十一年十月、リニア導入について埼玉県からの呼びかけをいたしました当時は、成田高速鉄道がはっきりしないうちは何とも言えないと、消極的な態度をとっていたが、最近はリニア熱が高まり、国土庁の呼びかけには積極的だと、これまた千葉の県版が報道をいたしておるのであります。 次々に壁が取り除かれ、リニアの早期実現の見通しが出てきた感じで喜びにたえませんが、国土庁の主催のリニア検討委員会の内容はどのようなものだったのか、また、これに対する知事の見解と、本県では今後どのように調査研究を進めていくのか、抱負をお聞かせいただきたいと思います。 次に、埼玉県長期構想の一つの柱としてテクノグリーン構想が樹立され、商工部内に構想推進室を設け、鋭意検討し、基本計画並びに実施計画を策定し、既に現在、工場団地造成が開始されている等、着々進行をいたしております。そのことは、誠に私ども喜びにたえないところでありますが、該当地区、五十キロ以北の四十市町村の多くは、過疎に悩む地区であります。その地区が一転して、世界に誇る先端産業が林立する地区と化すのでありますから、ふるさとを捨てた若者たちも帰郷してくるでありましょうし、地区住民の喜びはひとしおのものと思います。 また、県の方針に対応して、理工系大学や技術系及び情報処理あるいはハイテク、園芸等の専門学校の開校、あるいは進出予定の学校があるとお聞きいたしております。 また、おいでになる先端産業の立場からも、緑豊かな大自然に囲まれた中での操業でありますし、土地基盤も強固だし、先端産業立地の場所としては、まさにふさわしいと考えられると思います。 県におきましては、これらの進出企業に対する奨励援助の予算も計上し、真摯に取り組んでおられますことに敬意を表する次第であります。 豊かな県民生活を支える基盤としての先端産業の誘致は、県行政上、喫緊の課題でもあります。したがってこの計画は、まさに一石二、三島の善政であります。成功させていただきたいと思います。知事より、実施計画と事業の現状、また見通し、並びに進出予定の学校と内容、及び進出企業への援助内容について承りたいと思います。 次に、関連をして、公営企業管理者にお尋ねをいたします。 現在造成を開始している七か所のうち、五か所は企業局が実施主体となっているとお聞きをいたしております。もちろん、民間活力の導入を図る必要があるとは思いますが、地元市町村においては、土地利用、売買や、あるいは企業導入等の面で、企業局に期待する向きが大であるものがあるとお聞きをいたしております。重要な施策でありますから、今後、円滑に促進していくためにも、多少の困難を伴いましても、企業局が積極的に実施していくべきものと思いますが、管理者の御所見を承りたいと思います。 この際、現在企業局が造成中のもの、造成を予定しているものの場所と規模、民間が造成中のもの、予定しているものも、わかりましたら承りたいと思います。 次に、六十三年度の国の新規事業についてでございますが、知事並びに関係職員の真摯な努力により、本県に幾つも導入することができました。このことは、県行政が県民福祉向上のために国の動向をキャッチし、国に積極的に働きかけ、県政進展のために国の事業、あるいは予算を引き込もうとする県行政の姿勢が他県を凌駕する状態を生んでいます。改めて、知事並びに関係職員に深甚なる敬意を表す次第であります。 最初に、レイクタウンの構想でありますが、本県名で、水辺都市構想でございます。これは、建設省の新規事業で、埼玉県だけ採択されたものだとのことであります。中川と元荒川の合流点付近の越谷地内と、新河岸川流域の富士見市内の二か所に、国の予算で高額な計画策定費が計上されたと聞きます。最近注目をされているロサンゼルスの南、ダラスの西のレイクタウンを参考に、遊水地の中に、水辺を生かした住宅地を造成していく、その規模は、本県の、建設省の予定におきましても、おおむね三百ヘクタールに及ぶと聞いておることでありまして、素晴らしいことだと思うのであります。構想の全容をお聞かせをいただきたいと思います。 次に不老川の浄化と水の再利用事業についてでありますが、これまた埼玉だけの採択で、国の事業の第一号となるわけであります。聞くところによりますれば、当初は、近畿の某県も候補に挙がったとのことでありますが、脱落したとのことであります。意欲と姿勢にかかわることだとも思うのでありますが、いずれにいたしましても、この浄化事業は、浄化した水を上流に上げて流し、清流を取り戻すものだとのことでありますが、事業の概要についてお聞かせいただきたいと思います。 また、浄化処理水の再利用は、先ほども話がございましたように、ビルの雑用水、あるいは水洗トイレや公園のせせらぎその他、これからの重要な行政課題であります。この際、これらのことも含めて、この事業を通して研究すべきだと思っておるのでありますが、御所見を承りたいと思うのであります。 次に、秩父リゾートについてでありますが、大規模な保養基地を整備し、地域の活性化を図るという、いわゆるリゾート法が施行されて八か月を経過いたしました。県では五十九年、民間活力の導入を狙いとして、秩父公園周辺整備構想を策定し、秩父長尾根丘陵整備推進委員会を設置し、推進をしてまいりました。昨年十月、国よりリゾート法の整備計画が示されました。このリゾート法に対応すべく、長尾根整備を拡大し、秩父地域とし、昨年十二月一日、第三セクター秩父開発機構として設立し、具体化への第一歩を踏み出しました。そして、新年度予算に秩父リゾート地域の整備推進費千五百万余円、秩父ミューズパーク整備費二十億二千三百四十八万円か計上をされました。産文センターを国内初めての民間活力の導入で完成をさせた畑知事のアイデアを、今度は秩父リゾートに存分に発揮し、山並みの緑の中に長い歴史と文化を包んだ秩父の地に、教養、文化の向上など多様な活動の場、憩いの場を完成させていただきたいと思うのであります。次の事項について、その内容を承りたいと思うのであります。 一、秩父リゾート地域整備構想の推進方策の基本的な考え方について、 二、秩父ミューズパークの内容について、 三、秩父公園整備の構想について、 四、地域の道路網の整備について、であります。 次に、職業高校の先端技術機器の整備についてでありますが、昨年九月補正で、職業高校に植物生産工場、産業用ロボット、ミニコン等々の先端機器、技術機器が十四億二千万の予算で整備されたところであります。まさに画期的な職業教育の振興だと思います。 これまた、聞くところによりますと、文部省が産業教育の振興を願い大蔵省に要求をした、大蔵省は、文部省の要求以上の四十八億円を予算化してくれたとのことであります。この事業が、国三分の一、県三分の二の負担割合で、文部省では、これが消化をできなければと不安を抱いていた矢先、埼玉から五億の要求が出て、愁眉を開いたとのエピソードを聞いておるところであります。 教育局の教育振興への真摯な努力、追加予算でぽんと十億を承諾してくれた知事の教育への情熱、また、知事が積極的に国の予算を導入し、県行政を推進していかれていることに対し、関係者からは、高い敬意が表されているところであります。 そして、どんな機器が職業高校各校に配備されたのか、この際、教育長から具体的に承りたいと思います。 次に、文化行政について、二点、関根副知事にお伺いをいたします。 本県におきましては、埼玉会館を筆頭に、文化会館が七館設立されました。また、市町村には、県費補助によるコミュニティセンターが五十館建設をされました。また、来る四月八日には、県の中心的施設となりますソニックシティが大宮にオープンいたします。また、伊奈町には県民活動センターが着工され、与野市には県民芸術劇場の建設が予定されている等、文化の拠点が着々と整備されつつありますことは、誠に喜ばしいことであります。 このように、多くの文化施設が建てられているのは、他県に例を見ないところであり、県民生活に潤いを与えてきた知事の施策を高く評価をするところであります。 一方、県民生活の質も高まり、人々の価値観は多様化し、音楽や美術への文化志向も強まってきております。これらに対応し、知事は、文化振興財団設立の調査検討を指示いたしたとのことでありますが、その概要と構想をお聞かせいただきたいと思います。 また、県民の文化振興施策の一環として、「地域に根ざす埼玉文化の創造」を掲げ、県民芸術劇場の設置に積極的に取り組まれ、既に建設用地も先行取得されたと聞いております。一日も早い建設を望むところでありますが、県民芸術劇場の計画内容と、どの程度進んでいるのか、進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。 また、次に、婦人問題についてお伺いをいたします。 昭和五十年の国際婦人年以降、世界の動きに合わせて、我が国においても取組の姿勢が前進いたしております。本県におきましても、五十二年四月、婦人問題企画室の設置、婦人団体との連携のもとに婦人問題協議会を設ける等して、行政面での積極的な取組が行われてきました。 「婦人の地位向上に関する県計画」や、「男女平等社会確立のための県計画」等の策定がなされ、さらに、庁内には婦人関係行政推進会議を設置し、総合的施策の推進を図ってこられました。また、婦人の国際的視野を広げ、かつ国際交流の輪を広げるために、五十四年以降、毎年婦人指導者を海外に派遣したり、国際婦人年世界会議には、婦人代表団をナイロビに派遣する等、全国屈指の婦人行政推進県として高く評価をされております。 さて、情報化、国際化の進展に伴い、婦人の活動分野も広くなり、就労希望者も増加しつつありますので、パートバンクや婦人職業サービスルームなどの一層の充実を願ってやみません。また、十一校の高等技術専門学校の中に婦人向けと思われる科目があまりありません。各校に女性向けの学科の増設か、女性の高等技術専門学校の新設はできないものかどうか、お伺いをいたします。 さらにまた、婦人の能力開発及び職域の拡大と雇用機会の確保について、今後の施策展開に当たっての基本的な考え方をお伺いをいたします。 次に、医療行政の推進についてお伺いをいたします。 知事は、就任以来、五十年度にはがんセンター二百床の建設、五十八年には小児医療センター三百床の建設、六十年度にはがんセンター百床の増床、また、六十年度、六十一年度には小原療養所、寄居保養所の全面改築を実施される等、県立医療機関の整備充実に努力をされてこられました。さらに、現在、精神医療総合センターの建設に努力をされるとともに、県内公的病院への県費援助や、民間の医療機関の充実促進等にまで努められておりますことに対しまして、私たちは高く評価をするとともに、今後も引き続いて、六百万県民の生命を守るために御尽力なさることを希望し、担当であります関根副知事に二、三お伺いをいたします。 その第一は、精神医療総合センターの推進についてでありますが、複雑多様化した現代社会の中では、精神的緊張が強いられ、精神保健対策の中核となる精神医療総合センターの必要性は言を待たないところであります。早期実現を願ってやみません。 でありますが、地元住民の中には反対があるとも聞きます。地元の状況はどうなっているのですか、また、予定地に埋蔵文化財があるやに問いておりますが、建設に支障があるのかどうか、お伺いをいたします。 第二は、県民に約束している循環器センターについてでありますが、食生活の関係から、成人病のうち循環器疾患による死亡は、全死亡数の三九・〇パーセントの高率であり、病院における疾病の構成割合は一七・九パーセントで、第一位にランクされているとのことであります。今後ますます増加するだろうとも聞いております。 先に立地が決定をした自治医科大学並びに国立埼玉病院では、ともに循環器センターを主体とする構想と聞いております。これらは、いずれも県南地区でございますので、県立のセンター設立は、県南以外の地、数箇所に適正配置する必要があると思うのでありますが、御所見を承りたいと思います。 第三は、看護婦確保対策であります。 本県では、従来から看護婦の確保が大きな課題となっております。さらに、今回、県地域保健医療計画の公示にからんで、本年から来年度にかけて六千床を超える病床増が見込まれ、さらに重要な課題になっておるわけであります。県はどのように考えておられるのか、ここらへんの事情をお聞かせをいただきたいと思うのであります。 近年、中学、高校の学卒者の中に、看護婦の希望者が増加をしているのも事実であります。でありますが、県立養成所の競争率並びに程度が極めて高く、多くが断念をする状況にあります。したがって、一面として、看護婦不足は養成所不足によるとも考えられるのでありますが、御所見を承りたいと思います。 次に、都市地域における緑化対策についてお伺いをいたします。 経済の高度成長は、県南地域を中心に人口急増や急速な都市化をもたらし、市街地及びその周辺の緑は著しく減少いたしております。この都市環境を緑豊かな快適なものにしていく努力が、本県の大きな課題だと思います。本県では五十四年度に、全国にこれまた先駆けてふるさと埼玉の緑を守る条例を制定し、県の景勝地、景観地などを指定し、また、大規模開発業者と県で緑の協定を締結する等して、植栽を義務付けたり、道路や県営住宅等の植栽に努力する等、高く評価をしているところでありますが、長期的な展望に立って、都市地域の緑化について、全庁的、計画的な推進が図られるべきだと思うのでございます。知事の見解を承りたいと思います。 次に、緑のトラスト運動についてお伺いをいたします。 緑豊かな自然は、私たちに潤いと安らぎを与えてくれる県民共有の財産であります。この責重な財産を守り育て、次代の人たちに引き継いでいくことは、私たちの責務であります。県においては、これまた全国に先駆け、五十九年七月、財団法人さいたま緑のトラスト協会を設立、翌六十年四月には、さいたま緑のトラスト基金を創設をし、県民が共同して緑を守るための積立てを行っていると聞きます。既に創設をして三年が過ぎようとしております。この基金の積立ての状況はどうなっているのか。相当高額の基金が寄せられているとも聞くのでありますが、だとするならば、対象候補地の一部でも買い取り、期待に応えてほしいと思います。そうすることが、トラスト運動をますます盛んにする契機になると思いますが、御所見を承りたいと思います。 また、こうした募金運動は、県民の理解と協力を得て進めていくことが重要であると存じますが、今日、必ずしも県民の間に十分に浸透していないように思われますが、今後の普及啓発について併せてお伺いをいたします。 次に、本県農業の将来の方向についてお伺いをいたします。 本県の農業の現状は誠に厳しいものがあり、私は、二十一世紀に向けて、本県農業の活力を維持し発展をさせていくことに、このままでは大きな危ぐの念を抱くものであります。 米をはじめとする各種農産物の需給不均衡が明らかになってきており、最近は、これに加えて、ガット協議に見られますように、各国から我が国農産物に対する自由化圧力が高まってきております。今後の傾向が、牛肉やオレンジ、さらには、米にまで及んでくることが予想されるところであります。 さらに、担い手の問題については、本県の専業農家は九千戸を割り、農家戸数に占める割合は一割にも満たない状況の中で、その担い手も老齢化が急速に進んできております。まさに農業をめぐる昨今の情勢は、四面楚歌の観があると感じますのは、私一人だけではないと思います。 しかしながら、本県の農業が、県民をはじめ増大する首都圏住民に生鮮な食料を安定的に供給するという大きな使命を果たしているところであり、今後とも、これが振興は、県民の食糧基盤の確保という点からも、極めて重要な課題でありますので、これからは、マンネリの農政ではなくて、首都圏農業への思い切った手立てが必要なのではないでしょうか。 知事は、かかる状況下において、これからの本県農業の将来の方向について、どのような考えを持っておられるのか、所信を伺いたいと思います。 次に、バイオテクノロジーの研究推進についてお伺いするのでありますが、近年、科学技術の進歩が著しく農業分野においても研究推進が盛んになってきております。私は、こうした革新的な技術の活用が農業の生産性を高めたり、本県農産物の市場における優位性を確保したり、労働力の軽減など、ゆとりある農業経営の確立にとって大きな効果があると期待を寄せているものであります。県の試験場において、バイオテクノロジーや養液栽培等、先端技術の研究を最重点事項として取り組んでいただきたいと思うのであります。 県内でも、養液栽培がたくさん行われ出しましたが、これらの経営開始が県試験場の経由ではなく、各個躍進で苦労している状況が、行政上誠に寂しいことだと存じます。 県の試験場で機器の適合する種類の指導も含め、指導ができるよう、先端技術機器の導入に対して予算を多く投入することを願ってやまないものであります。 さきにも申し上げましたように、農業高校には御配慮をいただき、バイオ装置も含め、全自動の植物生産装置も付いた生産工場が設立される時代なのでありますから、配慮を願ってやまないところであります。知事の見解を承りたいと思います。 また、こうした先端的な研究の成果は、地域の農家に普及され、実際の生産に応用されて、初めてその真価が発揮されるものだと思うものであります。でありますから、試験場と農家の間に、一つの機関をつくり、試験研究の成果、バイオテクノロジーで作出した新種苗をたくさん育成して、一刻も早く農家に供給していく、そうした新しい体制を確立をすることが急務だと思うのでありますが、知事の所見を承りたいと思います。 最後に、教育関係を教育長にお伺いをいたします。 第一は、就職希望者の多い普通科高校への機器の導入についてでありますが、高校の新設が開始をされた四十八年当時は、経済の高度成長により家庭経済も上昇し、安定をいたしました。そして県民の間には、高学歴志向の風潮が高まり、高校新設も五十七年度の六十二校目の新設高校までは、すべて普通高校でありました。 しかしながら、普通科高校であっても、大学進学は狭き門で、六、七割は就職をする高校も多くあるところであります。二度にわたる石油ショックを引金による経済の低成長時代を迎え、県民の意向も、どうせ就職をさせるなら、技術を身につけさせるほうがよい、と変化をしてきました。 五十六年、本県議会におきましても、職業教育を重視するという決議を挙げました。県教委におきましても、五十八年度以降の新座総合技術高校を皮切りに、工業高、経済高等、また、普通科であっても、工業系、商業系、あるいは音楽、芸術、体育等もすべて何らかの学科を併設をし、これに関係する機器を投入をいたしてまいりました。まさに時宜を得た措置だったと思うのであります。 このことが、全国の教育関係者からは羨望の的となり、県民からも高く評価され、私たちも、知事並びに県教委の各位に敬意を表しているところでありますが、問題になりますのは、時代に適応した教具や機器に差がついてきたということであります。 五十七年以前の六十二校の新設高校のことでありますが、これらの高校においては、特に、間もなく進学者の激減期を迎えるのであります。それも考えますと、不安の色を隠せないでおるのであります。でありますので、就職希望者の多い学校の順にでも、職業教育に必要な、時代に即応した学科あるいはコースを併設したり、あるいは機器を導入してやってほしいと思うのでありますが、教育長の見解を承りたいと思います。第二は、新設普通科高校への推薦制の導入についてお伺いをいたしますが、本県は、八通学区制度をとっておりますが、残念ながら有名無実に近い状態です。逆に、民間テスト業者の介入で、学校格差、いや、学校序列が明確についてきておりますことは、教育長も御承知のことだと思うのであります。 表現が悪いですが、民間テストの指示に逆らえば、生徒を入学試験で落とす結果になるのでありますから、生徒を民間テストの偏差値に合った高校を探し、受験させねばなりません。高校も、民間テストが偏差値で格差がつけられておるのでありますから、生徒の進学も、したがって広域になるわけであります。したがって、低位に格付けされた高校には、中学の低学力の生徒が集まる結果となるのであります。自信を持たせることから教育が始まるのですから、教師の苦労は並大抵のものではありません。 さらに、底辺校を脅かしているのは、私学の巧妙な手段による生徒募集であります。そして、その結果は、成績の悪い生徒は県立へ行けという状況も生んでいるのも事実なのであります。 さらに、これで生徒激減期を迎えるのでありますから、どうなるんだろうという不安にもかられているのであります。底辺校の校長、教頭さんたちが、異口同音に、推薦制を導入してくださいと願っている状況を理解していただきたいと思うのであります。 そこで、教育長にお願いするのでありますが、各通学区の底辺校、一、二校を試験的に、地域を限定して、つまり◯◯町の中卒者は◯◯校に推薦できます、入学させますという推薦入学制をやってみていただきたいと思うのであります。 この場合の推薦入学の枠は、状況により異なるとは思いますが、六〇パーセントから七〇パーセント以上でないと意味が薄れると思います。そして、町の教育委員会、町当局、中学校並びにPTAに、町の高校を育ててください、育てましょうと、依頼、協議をする。これなら、成績のよい生徒も必ず入学してくると思います。成績のよい生徒、悪い生徒の切磋琢磨を含めてこそが、人間教育の土台だと思うのであります。 県教委がテーマとしております地域に根ざした教育を誕生させていただきたいと思うのであります。そして具合がよければ、ある程度の範囲まで拡大していったらいかがでしょうか。教育長の見解をお伺いをいたすところであります。 最後に、新県民体育大会についてお尋ねをいたします。 本県におきましては、競技力向上策が効を奏し、団体、その他の競技で、選手団の目覚ましい活躍により、スポーツ埼玉の名声を高めてまいりました。このような選手団の活躍は、県民に深い感銘を与え、県民一般のスポーツに対する意欲をかきたて、本県スポーツ活動の普及振興に大きな貢献をしておりますことは、誠に喜ばしい限りでございます。 一方、県民の健康に対する意識、価値観の多様化に伴い、自ら進んで健康、体力づくりに積極的に取り組む姿勢や、日常の生活圏におけるスポーツ、レクリエーション活動への参加率も、急速な高まりを見せておるところであります。 このような現状を踏まえ、県民総スポーツを目標に、長期的展望に立った施策を講ずることが急務であると考えておるところであります。 そこでお尋ねをいたしますが、来年度当初予算の中に、新県民体育大会開催費が計上されておりますが、従来の大会と、新しい大会との違いや、県民参加の手立て、時期、会場等について承りたいと思います。 御清聴を感謝いたします。執行部に、ひとつよろしく御答弁をお願いいたしまして、代表質問を終わります。 ありがとうございました。(拍手起こる) ○議長(宮田守夫君) 染谷議員に申し上げます。ただ今の質問の中で、二番の(2)の答弁者について、教育委員会教育長との発言がございましたけれども、発言通告書では教育委員長となっておりますが、いかがいたしますか。 ◆九十番(染谷薫君) 教育委員会委員長でございます。間違えました。 ○議長(宮田守夫君) わかりました。          ---------------- △会議時間の延長 ○議長(宮田守夫君) この際、時間の延長をいたしておきます。          ---------------- △質疑質問(続き)         〔知事(畑  和君)登壇〕 ◎知事(畑和君) 染谷議員の、日本社会党・護憲共同議員団を代表されましての御質問に順次お答えをいたします。 まず、御質問第一の、知事選出馬の決意についてでございますが、私の知事としての任期も、あと残すところ四か月余りとなりましたが、県行政は一日の停滞も許されませんので、県政発展のため日夜努力しておるところでございます。 本年夏に予定されております知事選挙への立候補につきましては、昨年来、数多くの団体や県民の方々から私に対し、引き続き県政を担当するようにとの身に余る御要請をいただき、熟慮を重ねました結果、幸い私もこのとおり健康に恵まれ、極めて元気でございますので、多くの県民の方々からの御要請にお応えできるものと考え、去る一月十四日に記者会見を行いまして、出馬を表明いたしたところでございます。 私にとりまして、引き続き県政を担当してほしいとの温かい激励の言葉は、身に余る光栄なことでございまして、このことは、私の県政運営に対しましての信頼と、これまでの実績を高く評価していただいた結果であると、深く感謝をいたしておるところでございます。 そこで、どのような基本姿勢をもって選挙に臨むのかという御質問でございまするが、私は、知事就任以来県民の生命とくらしを守るために、憲法をくらしに生かし、人間尊重、福祉優先の基本理念のもとに、一党一派に偏らない県民本位の公平な県政を推進してまいりました。この県政運営の基本姿勢は、これからも引き続き堅持し、六百万県民との信頼関係を大切にしながら、愛する郷土埼玉発展のために全力投球をしてまいる決意でございます。 幸い、私は、県民の皆さんに育てられた郷土の政治家として、幾多の荒波を乗り越えてきた実績と経験がございますので、我が埼玉が持つ若いエネルギーや創造性を結集し、埼玉に住んでよかったと言われる埼玉の新時代をつくるために渾身の努力をしてまいる所存でございます。 引き続いての出馬になりまするが、初心を忘れず、フレッシュな気持ちで六百万県民の幸せのために、持てる力と情熱のすべてを捧げる決意でございますので、今後ともよろしく御支援、御協力のほどをお願い申し上げます。 次に、御質問第二の、十六年間の実績と今後の課題についてのうち、まず、下水道についてでございますが、私は、知事就任以来、緑と清流、豊かな埼玉づくりを目指しまして、荒川左岸南部流域下水道をはじめとする六つの流域下水道の整備に努めますとともに、市町村の行う公共下水道の整備につきましても、指導、援助を行い、現在では、県内六十六の市町で実施されるまでに至りました。このため、著しい人口の増加にもかかわらず、昭和六十一年度末には、下水道普及率を全国平均と同率の三七パーセントと、大幅に引き上げたところでございます。 今後とも、流域下水道の推進はもとより、公共下水道の実施都市の拡大を図るとともに、整備対象区域を従来の市街地から周辺集落まで広げるなど、普及率の向上に努めてまいりたいと存じます。 このため、昭和六十三年度から、新たに市野川流域下水道事業に着手するほか、新市街地関連公共下水道、特定環境保全公共下水道などの積極的な導入を図るとともに、きめ細かな市町村指導や技術援助を行い、豊かな環境づくりに取り組んでまいる所存でございます。 次に、無担保無保証人融資制度についてでございますが、御案内のとおり、この資金につきましては、融資後の債権の確保を図る意味から、信用保証を付することが融資の要件となっておりますので、法律に基づく特別小口保険の限度額三百万円をもって融資を行い、今日に至っております。しかしながら、昨今の経済情勢の変動する中で、この限度額の引上げを要望する声も強く出ておりますので、国においては、今次国会に限度額引上げの法案を上程いたしておるところでございます。 本県におきましても、この国の方針に合わせまして、融資額の引上げを現在検討いたしておるところでございます。 次に、心身障害者小規模授産事業についてでございますが、養護学校卒業生が年々増加いたします中で、心身障害者が安心して地域社会において生活できるような各種施策の充実を図ってまいりますことは、極めて重要なことと考えます。そのため昭和五十三年度から、これらの方々に身近な地域で就労と訓練の場を提供する心身障害者小規模通所授産施設に対する補助事業を行うこととし、その積極的な促進を図ってまいったところでございます。 お話のありましたように、未設置の市町村もございますので、その設置促進に努めてまいりますとともに、昭和六十三年度からは、対象者が少ないために、独自では施設の運営が困難なところにありましては、近隣市町村の施設の利用が可能となるよう、制度の改善を図ることといたしたところでございます。 なお、今後におきましても、市町村や関係者の御協力をいただき、この事業の一層の充実に努めてまいる所存でございます。 次に、御質問第三の、新年度予算についてでございまするが、昭和六十三年度の当初予算の編成に当たりましては、国庫補助負担率の引下げや国民健康保険制度の見直しによる新たな負担の増加など、引き続き厳しい財政状況にはございまするが、人間尊重、福祉優先の基本埋念のもとに、中期計画に基づく施策の推進や県民生活を充実するための施策を拡充するとともにご尚齢化、高度技術化などの社会変化に対応するための諸施策についても、積極的に推進することを基本としながら予算の編成を行ったところでございます。 特に、重点的に配意いたしました事項といたしましては、 第一に、道路、街路、河川、下水道の整備など県民生活の基盤となる事業について積極的に推進すること、 第二には、次の世代を担う子供たちのために、教育施策を更に推進するとともに、県民の健康やしあわせな社会を築くために、医療、福祉施策の充実を図ったこと、 第三には、県土の均衡ある発展と魅力と風格のある地域づくりを目指しまして、YOU And Iプラン、ネットワークシティ構想、テクノグリーン構想、秩父リゾート地域整備構想など、地域整備のための施策の充実に特に配意いたしたところでございます。 次に、法人事業税、法人県民税、個人県民税の伸長と県税収入確保の見通しについてでございまするが、まず、三税目の収入見込額の積算につきましては、国の経済見通し、地力財政計画並びに企業収益予測、個人所得の伸びなどを参考にいたしまして行ったものでございます。 この結果、これら三税目につきましては、六十二年度当初予算に比較いたしまして、法人事業税については三一・二パーセント、法人県民税について二九・三パーセント、個人県民税について二・六パーセントの伸長を見込んでおります。 また、県税収入予算確保につきましては、本年の景気の動向が、為替相場等に流動的な要素はありますものの、引き続き拡大傾向にあると予想されておりますので、今後の経済情勢に特別な変化が生じない限り、可能なものとして計上したところでございます。 次に、県債活用に対する基本的な考え方と今後の財政運営のあり方についてでございますが、六十三年度の県債につきましては、国庫補助負担率の引下げによる財源不足を補てんするための特例債の発行などによりまして、その総額は九百二億余円となっております。このうち、公共事業を前倒し的に執行するための特定資金公共事業債、いわゆるNTT資金の部分を除きますると、歳入総額に占める県債の割合は七・七パーセントでございまして、六十二年度の七・六パーセントに比べて〇・一ポイント上昇いたしておりまするが、地方財政計画の地方債依存度が九パーセントであることなどを考慮いたしますると、おおむね適正なものと考えております。 県債の活用に当たりましては、後世代と負担を分かち合うことが適切であると考えられる生活基盤の整備事業や、後年度に所要の財源措置がとられるものについては、積極的に活用してまいりたいと考えております。 しかしながら、県債の多額な累積は、財政運営の硬直化の要因にもなりますので、その活用に当たりましては、地方債計画や公債費比率などの動向に十分留意いたしまして、今後とも健全な財政運営に努めてまいりたいと存じます。 次に、御質問第五の、新長期構想についてのうち、地域別構想の具体化についてでございまするが、ネットワークシティ構想推進費につきましては、新長期構想の地域別構想に基づき、中枢都市圏と有機的に連携し補完し合う地域中心都市や拠点都市等の整備を図ることにより、ネットワークシティの形成を積極的に推進するための経費でございまして、具体的には、各地域での構造解析調査や整備計画策定費の助成などを実施するほか、地域整備を進めている協議会に対しまして、支援、協力を行うことといたしております。 また、地域別構想の具体化につきましては、自立性の高い県土の均衡ある発展を目指しまして、これまでも鋭意推進してきたところでございます。具体的には、中枢都市圏の形成、テクノグリーン構想の具体化、秩父リゾート地域の整備、水辺都市構想の樹立など、各種プロジェクトの展開と、それらを結ぶ交通網の整備を着実に進めるとともに、利根地域等における地域経済活性化計画や、県南五市まちづくり構想等の推進、さらには、川越市を中心とした県南西部地域中心都市圏や、春日部市、越谷市など県南東部地域中心都市における整備構想の策定など、地域の特性を踏まえた整備計画の促進に向けまして積極的に取り組んできているところでございます。 今後も、各地域の意向を尊重するとともに、首都機能の分担など本県の地域整備にとりまして重要な四全総や首都圏整備計画等に基づく国の動向等にも十分留意しながら、県、市町村、民間等の協調による地域整備を積極的に推進してまいりたいと存じます。 次に、リニア・モータ・カーについてでございますが、本県が推進しておりまする大宮、成田間への高速浮上式リニア・モータ・カーの導入につきましては、成田空港アクセスの改善や、東日本の社会経済等の発展に大きく寄与することから、その早期実現を目指し、国をはじめ関係自治体、民間経済団体等に対し、積極的な要望、啓発活動を展開してきたところでございます。 国土庁におきましても、首都圏の業務核都市等の育成を図るため、各都市を磁気浮上式リニア・モータ・カー等の高速鉄道で結ぶことによる効果と、首都圏における高速交通機関によるネットワーク形成の可能性を検討するため、国土庁のほか、埼玉県、東京都、神奈川県、千葉県、茨城県、横浜市、川崎市の関係自治体と学識経験者からなる、核都市連絡環状高速鉄道検討委員会を設置し、調査に着手したところでございます。 このことは、私がかねてから提唱してまいりましたリニア・モータ・カーの大宮、成田間導入構想が引金となり、国のレベルでの検討課題として取り上げられたものと考えており、歓迎いたしておるところでございます。 また、運輸省でも、リニア・モータ・カーの実用実験線を新たに建設するため、昭和六十三年度予算に調査費を計上いたしておりますので、本県といたしましては、大宮、成田間ルートを、国における実用実験線として採択するよう働きかけを強めまするとともに、引き続き県独自の調査研究を進めてまいる所存でございます。 次に、テクノグリーン構想についてでございますが、この構想の推進につきましては、昨年の九月に、今後五年間に事業化を進める広域整備実施計画を策定したところでございます。現在、この実施計画に基づきまして、七か所の工業団地の造成をはじめ、学校関係では、お尋ねのとおり、芝浦工業大学が立地に向けて準備を進めておりますほか、情報処理系、バイオ系の短期大学や専門学校の開校も予定されているところでございます。 こうした中で、六十三年度は、新たに工業団地計画地区五か所の事業化調査に着手するとともに、大里エリアに、テクノグリーン構想推進の拠点とも言うべきテクノグリーンセンターの整備について、基礎調査を行うことといたしております。 また、工業団地等への新規立地企業に対しまして、敷地内緑化事業、従業員の福利厚生施設、新規地元雇用を対象とした助成制度を設けるなど、構想の早期実現に向けまして積極的に取り組むことといたしたところでございます。 次に、御質問第六の、国予算の導入についてのうち、水辺都市構想についてでございまするが、本県の南部地域は、首都東京に隣接し、地理的条件がよく、都市開発の需要が高いため、急速な都市化によりまして都市型水害が発生している状況でございます。したがいまして、総合治水対策事業として多くの調節池を計画し、その建設に努めてきたところでございまするが、調節池の建設には広大な土地を必要とするため、土地取得に当たっては莫大な費用と長い年月が必要であります。 水辺都市構想は、このような状況を踏まえまして、調節池の建設と都市開発を一体として計画的に行うことにより、流域の治水安全度の向上、及び水辺を生かしたアメニティの高い新しいまちづくりの推進を企図したものでございます。 昭和六十三年度は、新規事業として、中川・綾瀬川流域の越谷地区、及び新河岸川流域の富士見地区の二地区につきまして、計画策定のための調査に着手することといたしたところでございます。 次に、不老川浄化事業についててございますが、不老川は、元来、自己流量が少なく、現在の流量のほとんどが都市排水であるため、下水道が整備されるにつれまして、不老川の水質改善が進む一方で、河川流量が減少してまいります。そこで、川越市の滝の下処理場の処理水を不老川の上流までポンプにより圧送し、これを再び流下させ、浄化用水として有効に利用しようとするものでございます。 本事業は、昭和六十三年度に調査設計を行い、昭和六十六年度末を目途に一部供用開始を図るべく、事業を進めてまいりたいと存じます。 また、下水処理水の再利用につきましては、本県でも一部処理場内の雑用水等に利用しておりまするが、近年の水事情から、その多目的な利用が注目されてきております。 このようなことから、全国に先駆けまして、総合的な下水処理水の再利用及び管理のあり力について検討を行うため、昭和六十二年十月に、下水処理水再利用検討委員会を設置したところでございます。昭和六十三年度も引き続き調査研究を行い、下水処理水の有効利用が図られるよう努めてまいりたいと存じます。 次に、秩父リゾート地域整備についてでございまするが、まず、推進方策の基本的な考え方といたしましては、秩父地域の豊かな自然や歴史と文化の特性を生かしながら、広く英知を結集し、首都圏の身近なリゾート地域として整備を図っていくことといたしております。 構想では、長尾根、長瀞、西秩父、三峰の四つの拠点を重点整備地区として位置付けまして、そのネットワークによって地城全体を一体的なものとして利用できるよう計画しております。 そのうち、長尾根地区につきましては、複合的な機能を持った秩父リゾート地域の中心地として、他地区に先駆けまして整備を進めてまいりたいと存じます。また、事業化に当たりましては、公共的な基盤整備を行う一方、さきに発足いたしました株式会社秩父開発機構を推進母体といたしまして、構想から事業実現に至るまで、幅広い民間活力の導入を図ってまいる方針でございます。 次に、秩父ミューズパークの内容及び秩父公園整備の構想についてでございますが、文化とスポーツ両面にわたり創造的な活動が展開できる、感性と共感の公園づくりを目指すものでございまして、長尾根リゾート拠点の中核的施設として位置付けております。 面積といたしましては、現在の公園区域の百二十ヘクタールを三百ヘクタールに拡大するとともに、自然を生かした芸術、文化、スポーツ等の多種多様な活動に対応できる施設を民間活力をも導入しながら整備してまいる方針であります。 昭和六十三年度は、各種調査設計をはじめ、幹線園路としてのスカイロードや造成工事などの基盤整備に着手することといたしております。 次に、地域内の道路網の整備についてでございまするが、秩父地域の道路網につきましては、現在、国道一四〇号を中心として整備を進めているところでございまするが、さらに、長瀞地区を含め、抜本的な道路網計画策定のため、秩父地域道路交通網計画調査を建設省と共同で実施をしておるところでございます。特に、秩父リゾート地域の核であります長尾根地区と秩父駅前を結ぶ荒川の新架橋につきましては、早期に建設する必要がございますので、昭和六十三年度から着手すべく準備をしておるところでございます。 次に、御質問八の、婦人問題についてのうち、パートバンク、婦人の職業サービスルームの充実についてでございまするが、近年、出生率の低下や高学歴化などによりまして、婦人の就業意欲が高まり、婦人の職場進出が急激に進んでおります。特に、パートタイム労働者の増加が著しいため、県といたしましては、パートバンクの設置をはじめ、独自の施策といたしまして婦人の職業サービスルームを設置するなど、求人、求職情報の提供、職業相談、紹介、あっ旋等を行っているところでございます。 昭和六十三年度は、新たに、春日部市に県下七番目の婦人の職業サービスルームを開設することとし、一層の充実強化を図ってまいりたいと存じます。 次に、女性対象の高等技術専門校等についてでございますが、高等技術専門校の女性向き科目の増設につきましては、従来から実施いたしております和裁、洋裁、経理事務、トレース科等のほか、昭和六十三年度には新たにOAビジネス科、ワープロ科を増設することとし、そのニーズに応えてまいりたいと存じます。 なお、女性単独の高等技術専門校につきましては十分研究してまいりたいと存じまするが、いずれにいたしましても、婦人に対し広く職業訓練の機会が与えられるよう努めてまいりたいと存じます。 次に、婦人の能力開発ご扉用機会の確保等についてでございますが、婦人がその能力を十分発揮し、充実した職業生活を営めるようにすることは、これからますます重要になってくるものと考えられます。このため、各種能力開発訓練の一層の充実や職業安定所のオンライン化等による職業紹介機能の強化に努めるとともに、職業安定機関と学校、そして職業訓練機関との連携を一層密にいたしまして、婦人の能力開発、雇用機会の確保等に努めてまいりたいと存じます。 次に、御質問第十の、環境行政についてのうち、まず、都市地域の緑化対策についてでございますが、都市緑化の推進は、お話のありましたとおり、総合行政として取り組むことが極めて重要であると考えております。このため、副知事を委員長とする緑の環境づくり推進委員会を庁内に設置いたしまして、昭和六十年にさいたま緑の長期総合計画を策定し、都市地域の緑化を全庁的、計画的に進めているところでございます。今後とも、一層緑豊かで快適な都市環境づくりに努めてまいりたいと存じます。 次に、緑のトラスト運動についてでございまするが、緑のトラスト基金の積立につきましては、多くの県民の方々の御理解をいただきまして、本年一月末現在で三千九百六十一件で、金額といたしましては、五億四千百六万円余の基金の造成ができたところでございます。 この基金による保全の実績ができますと、今後、トラスト運動に対する県民への理解と協力が一層深まるものと思われます。そこで、県南都市部に残されました貴重な緑地であり、田圃や用水とともに最も見沼らしい景観をつくり出している浦和市の国昌寺周辺の斜面林を保全対象の候補地として調査することといたしまして、調査費を六十三年度予算案に計上いたしたところでございます。 今後、この調査の結果を踏まえまして、地域の協力を得ながら、保全の具体化に向けまして検討してまいりたいと存じます。 また、緑のトラスト運動が県民の間に定着し、一層発展してまいりますよう、今後とも普及啓発に努めてまいりますので、引き続き御支援を賜りまするようお願い申し上げます。 次に、御質問第十一の、農業行政についてのうち、本県農業の将来の方向についてでございまするが、現在我が国の農業が、国際的にも国内的にも大変厳しい状況に置かれておりますことは、お話のとおりでございます。こうした中で、本県の農業は、全国有数の高い耕地率と温暖な気候条件、さらには発達した水利等、恵まれた生産環境にあります。さらに、都市近郊という立地条件の中で、生鮮食料等の膨大な消費需要を有しておりますことや、また、近年は都市住民が自然とのふれあいを求める中で、観光型農業など、新たなニーズにも対応し得る条件を有しております。 したがいまして、本県農業の将来を考える場合、こうした有利性が十分生かされるよう、多彩な農産物の生産や、付加価値を高める高度な技術等の活用を通じまして競争力を高めるとともに、これらを実践し得る技術、経営能力に優れた担い手の育成を図ることが重要であると考えております。 このような観点から、これまでも国の対策に加えまして、大規模米麦農業の育成や、野菜のブランド化の推進をはじめ、特産の里、観光農園村の整備など、本県独自の対策に鋭意取り組んでまいったところでございます。 今後とも、特色ある新たな施策の展開に努めますとともに、将来の本県農業の担い手対策を積極的に推進し、二十一世紀に向けて活力ある埼玉農業の確立を図ってまいりたいと存じます。 次に、バイオテクノロジーの研究推進についてでございますが、バイオテクノロジーや養液栽培等の先端技術は、今後の本県農業の発展に大きな期待を寄せられているところでございます。このため、県といたしましても、園芸試験場を中心に試験研究の推進を図るとともに、特にバイオテクノロジーにつきましては、昨年来、産・学・官の研究交流を進めておるところでございます。 また、養液栽培施設につきましては、現在まで民間主導型で設置されてまいりましたが、一部において安定生産技術の面で、なお解明されていない点もあるように聞いております。このため、園芸試験場において新たな方式による施設の開発を急いでいるところでございまするが、併せて、既存の施設につきましても、民間の協力を得まして、その技術改善に努めてまいりたいと存じます。 次に、新種苗の供給体制についてでございますが、本県におけるバイオテクノロジーの研究の成果として、近い将来、新品種の開発を含めまして、幾つかの種苗についての大量増殖技術が実用化できる段階に進んできております。そこで、県といたしましても、これらの種苗を効率的に農業者に供給するための新たな体制づくりが必要であると考えております。このため、その組織体制など、今後における本県における種苗供給のあるべき方向について検討を進めさせておるところでございます。 以上で答弁を終わります。ありがとうございました。        〔教育委員会委員長(伊藤政子君)登壇〕 ◎教育委員会委員長(伊藤政子君) 二、十六年間の実績と今後の課題についてのうち、(三) 高校進学者減少対策についての御質問にお答えいたじます。 御案内のとおり、高等学校への進学者は、昭和四十七年以来増加の一途をたどっておりまして、これに対応するために、御指摘のとおり、八十校に及ぶ高等学校の新設や学級増等を行ってまいりました。 お尋ねの、生徒減少対策の方針についてでございますが、県教育委員会といたしましては、まず、臨時学級増等の臨時的措置を解消し、その後は、各地域の生徒数の減少状況等を考慮して、計画的に学級減を行ってまいります。このことによって、全県的に見た地域の均衡化を図りながら、学校規模をより適正化してまいりたいと考えております。 また、学級誠によって生ずる施設のゆとりを十分に活用して、教育内容の充実、改善を図り、各高等学校が地域に根ざした魅力ある学校として、ますます発展していくよう努めてまいりたいと存じます。        〔副知事(立岡勝之君)登壇〕 ◎副知事(立岡勝之君) 四の、地価対策についての御質問にお答え申し上げます。 まず、土地取引の監視体制についてでございますが、昨年十月一日に、県南十八市町を対象に監視区域を指定し、三十一名の職員を増員配置し、その対応に努めてきたところでございます。 発足当初は、届出件数の予測など、不確定要因も幾つかありまして、その対応に時間と労力を要したところでございますが、その後、審査事例の集積と処理体制の合理化を進めるなど、審査事務の迅速化に努めて、その実を挙げてきたところでございます。 また、この四月一日からは、新たに監視区域の拡大に伴い、約五十名の職員の増員を見込んでおりますが、これと併せまして、関係土木事務所の組織の一部について見直しを行うなど、さらに事務処理体制の充実を期してまいる所存でございます。 次に、最近における地価の動きについてでございますが、昨年の十月一日と十二月一日を基準日とする地価動向調査を実施いたしましたところ、現在の監視区域につきましては、ほぼ全域にわたり鎮静化の傾向が見られ、地価は上げ止まり状況にあることがうかがえるところでございます。 しかし、周辺地域におきましては、監視区域からのはみ出し現象も見られますので、今後とも引き続き土地取引の動向や地価の変動状況を定期的に調査するなど、監視の実を挙げるよう努めてまいりたいと存ずる次第でございます。 次に、地価の安定対策についてでございますが、地価を安定させるためには、土地取引規制、金融対策、税制、宅地供給など、各般にわたる対策を総合的に実施していくことが肝要でございます。このため、県といたしましても、現行制度の下で、取り得る対策につきましては、土地対策要綱を定め、総合的にその推進を図っているところでございます。そのうち、宅地供給対策に関連いたしましては、都市再開発の促進、土地区画整理事業や農住組合の推進、あるいは公営・公社住宅の建設の促進など、各種の事業を積極的に進めているところでございます。 また、国から要請されております県南部の市街化調整区域における住宅開発の取扱につきましては、首都圏における機能分担のあり方や、良好な市街地形成のあり方なども含め、多角的な視点に立って検討を進めておるところでございます。 いずれにいたしましても、地価の安定に向け、今後とも最大限の努力を傾注するとともに、併せて、国に対し、長期的展望に立った抜本的な土地対策を早期に確立するよう、引き続き要望してまいりたいと存じます。        〔警察本部長(石瀬 博君)登壇〕 ◎警察本部長(石瀬博君) 御質問五の、(二)の交通管理システムに関し、県内都市間道路の円滑化対策の推進状況と、今後の整備計画についてお答えいたします。 先ほどの御所見にもありましたように、本県では、運転免許人口や車両保有台数が急激に増加いたしておりまして、道路交通が過密化、混雑化の度合いを深めつつあります。 警察といたしましては、道路の交通の流れを適切に管理するという立場から、本県が中、長期構想に基づいて推進しております地域開発構想に呼応して、県内主要幹線道路を重点に、安全で快適な交通環境の整備を図っているところであります。 具体的には、昭和六十一年から幹線道路を対象に、信号機の高度化、交通規制の見直し等を含めた新しい信号系統システム、これを私どもはグリーンウェーブシステムと呼んでおりますが、その構築に着手いたしまして、例えば、県下の大幹線道路であります国道一七号につきましては、都県境から群馬県境までの七十九・四キロメートル、その他につきましても、国道四号、国道一六号、国道一四〇号、県道大宮栗橋線、県道川口上尾線など、総延長二百七十七・四キロメートルにつきまして、このシステムを構築してきたところであります。 このシステムを実施いたしました路線では、時間的、場所的に多少の差異はありますが、例えば国道一七号を例にとりますと、旅行時間で一七・八パーセント、信号機による停止回数で三五・七パーセント減少いたしまして、交通の円滑に大きな効果を挙げておりますほか、交通事故の防止の面でも、例えば、国道一七号の昨年上半期の例によりますと、交通事故の発生件数が七・八パーセントの減少という状況になっております。 また、旅行時間の短縮、信号機による停止回数の減少により、ガソリンの節約、労働時間の短縮が図られ、これも、例えば国道一七号を例にとりますと、年間百四十七億円の節約が見込まれ、御所見にもありましたように、社会経済活動面におきましても相当の効果が認められ、各方面から高い評価を受けているところであります。 次に、今後の整備計画でありますが、昭和六十三年度は、国道二五四号の都県境から東松山市間の三十九キロメートル、国道百二十五号の熊谷市から行田市間の七キロメートルにつきまして、グリーンウェーブシステムを構築することといたしまして、本会議にこれに必要な予算措置をお願いしているところでございますので、よろしく御審議を賜るようにお願いいたします。        〔公営企業管理者(黒澤幸久君)登壇〕 ◎公営企業管理者(黒澤幸久君) 五の(四) テクノグリーン構想のうち、私に対する御質問にお答えいたします。 テクノグリーン構想は、御案内のとおり、県北地域の総合的な産業の振興と地域の活性化を図ることを目的とした、県の重要施策の一つでございます。企業局におきましては、既に十二の工業団地を実施してまいりましたが、現在は、テクノグリーン構想の一環といたしまして、恵まれた自然環境を生かし、魅力ある工業団地を目指して、五か所の造成を進めておるところでございます。 また、テクノグリーン構想整備実施計画にございます工業団地予定地区につきましても、企業局において実施することが望ましいものと考えておりますので、商工部をはじめ、関係部局や市町村と十分連携を図りながら進めてまいりたいと存じます。 次に、現在、企業局が進めております工業団地の場所と規模についてでございますが、川里村に二十四ヘクタールを造成しておりますほか、大利根町で五十九ヘクタール、川本町で四十九ヘクタール、羽生市で三十八ヘクタール、嵐山町で百五ヘクタール、そのほか、同構想の区域外でございますが、伊奈町の十ヘクタールを合わせまして六か所で二百八十五ヘクタールを造成中でございます。 なお、今後造成を予定しておるものにつきましては、先ほど申し上げました工業団地予定地区を含めまして調査検討を行っておるところでございます。 最後に、県施行以外の工業団地の状況についてでございますが、加須市、桶川市、吉見町及び三芳町において、区画整理事業により、おおよそ百九十五ヘクタールについて整備を進めておるとのことでございます。        〔教育長(荒井修二君)登壇〕 ◎教育長(荒井修二君) 私に対する御質問に順次お答えいたします。 まず、六、国予算の導入についての(四) 職業教育先端機器の導入についてでございますが、県教育委員会といたしましては、かねてから先端技術教育の推進に努めてきたところでございます。 御案内のとおり、昨年九月補正におきまして、先端技術関連機器の導入について大幅にお認めいただき、今年度中には整備を完了する予定でございます。今回整備いたします先端技術関連機器でございますが、具体的に申し上げますと、杉戸農業高校等七校の農業高校に、バイオ装置を備えた実験室と植物生産工場を整備したほか、工業高校につきましては、産業用ロボットや数値制御工作機、マシニングセンターと申します、それから自動設計製図装置、通称CADと申しますが、そういうものを整備いたしました。 また、商業高校につきましては、中型コンピュータを主体とした電子計算組織を四校に、また、越谷総合技術高等学校等五校に語学演習用機器、LLでございますが、それを設置し、さらに、衛生看護科を置く常盤女子高校には、先進医療機器といたしまして、透析器械、心電図装置付監視装置を整備いたしたところでございます。 今後は、これらの先端技術関連機器を十分活用して、職業教育を一層魅力あるものにしたいと考えております。 次に、十二、教育行政についての(一) 普通科高校への先端機器の導入についてでございますが、普通科高校における生徒の多様な進路に対応するため、県教育委員会では、昭和五十八年から毎年三校程度を職業科目履修推進校に指定いたしまして、パソコン等を設置し、情報基礎教育等を進めてきたところでございます。御指摘のとおり、現在、就職希望者が多い普通科高校も多数ありますので、生徒が自己の能力、適性等に応じて主体的に学習できるよう、コース制などの導入についても検討を進めているところでございます。 当面、普通科高校への機器導入計画といたしましては、昭和六十三年度は職業科目を設けている普通科高校五校にパソコンを設置したいと考えておりまして、本定例会で御審議をお願い申し上げているところでございます。引き続き、この事業を推進、拡充いたしまして、就職希望者の多い学校から順次パソコン等を整備し、進路指導の充実に資するとともに、情報化をはじめ、社会の変化に対応した教育を進めてまいる所存であります。 次に、(二) 普通科高校への推薦入学の導入についてでございますが、これにつきましては、学識経験者、PTA代表、学校等の代表で構成されております入試改善検討会議から、専門学科における推薦入学の成果や実績を踏まえ、地域に根ざした特色ある学校づくりを進めるために、高等学校の普通科においても早い時期に実施する必要があるという趣旨の報告を受けております。 御案内のように、普通科では、本県では伊奈学園総合高校に推薦入学を既に導入しているところでございます。県教育委員会といたしましては、中高連携による、地域に根ざした高校づくりと特色ある学校づくりの観点から、他の高校の普通科への推薦入学の導入についても検討したいと考えております。 御提言の、試行の方法や推薦入学の枠などにつきましては、地域の実情及び学校の特色などに配慮する必要があるとともに、県民各位の御理解と御協力が必要でございますので、今後、まず、特色ある学校づくりを指導し、併せて、その具体策について検討してまいりたいと考えております。 次に、(三) 新県民体育大会についてでありますが、これは、従来の競技スポーツ中心であった県民体育大会を抜本的に見直しまして、いつでも、どこでも、だれでも気軽に参加できる新しい県民体育大会にしようとするものであります。六十三年度には、五十万人の参加を予定しております。 具体的な内容としましては、一つには、競技スポーツを志向する競技部門、二つ目には、民踊、フォークダンス、野外活動などを志向するレクリエーション部門、三つ目には、身近な生活圏でのスポーツやレクリエーション活動を志向するコミュニティ部門、この三部門を設けて、年間を通しまして、県下全域で開催し、参加しやすい大会を目指しております。また、競技力の向上と地域スポーツの活性化を狙いとして、競技部門では市町村対抗総合優勝制を行うことにしております。 さらに、参加者の代表約五千人が集いまして、総合開会式を年度初めに行うこととし、六十三年度は、六月ごろに上尾運動公園陸上競技場で開催を予定しております。 今後も、新しい時代を展望しまして、県民の期待に応える大会にするよう努めてまいりたいと存じます。        〔副知事(関根秋夫君)登壇〕 ◎副知事(関根秋夫君) 私に対する御質問に順次お答えを申し上げます。 まず、七の、文化行政についてのうち、文化振興財団の概要と構想についてでございますが、最近、文化に対する県民の関心と欲求は、ますます盛んになってきておりまして、文化の創造や振興を図るための企画、あるいは活動の場づくり、さらには、より利用しやすい施設の運営等が大いに期待されておるところでございます。 そこで、県といたしましても、これらの期待に応えるために、文化振興財団を設立すべく、現在、設置に当たっての検討を進めているところでございます。 その狙いといたしましては、公演事業の企画や選定、さらに事業交流、文化情報の提供、あるいは事業担当者の人事交流といったソフト面から、文化の振興を図ろうとするものでありまして、今後、各県の実施例あるいは関係者の意見等を参考にしながら、民間活力の導入を含めまして調査検討を行い、できるだけ早くその設立にこぎつけてまいりたいというふうに考えております。 次に、県民芸術劇場でありますが、近年の芸術文化や生活文化に対する県民の関心の高まり、とりわけ従来の受け身の鑑賞型から、自ら創造的活動を楽しむという参加型志向の潮流を的確にとらえた、創造する劇場として、その建設に取り組んでおるところでございます。 昨年度末に、学識経験者等を交えました県民芸術劇場基本計画策定委員会から報告を受けまして、現在、これをもとに、庁内に県計画策定検討委員会を設置いたしまして、具体化のための詳細な検討を進めておるところでございます。 これからの計画といたしましては、六十三年度中に県計画をまとめることといたしまして、これに基づいて早期開館に向けまして努力してまいりたい、そういう考えでございます。 次に、九の、衛生行政についてお答えを申し上げます。 まず、(一)の、精神医療総合センターについてでございますが、地元住民の反対につきましては、つい最近まで絶対反対、白紙撤回ということで強い反対を表明されておりました。県といたしましては、伊奈町当局の協力をいただきながら、再三にわたる住民説明会の開催、あるいは類似施設の見学会等を行いまして、今日の精神保健医療の動向、あるいは当センターの機能等について精力的に説明をし、説得に努めてまいりました。おかげさまで、漸次、住民の方々にも理解が得られまして、去る二月二十五日の第四回目の説明会の席上、全面的に納得をいただくことができたところでございます。 これによりまして、計画どおり建設に着手することができる状況になっております。 次に、埋蔵文化財につきましては、確認調査の結果、建物の予定地には存在しておりませんで、グランド予定地の一部から縄文式土器の破片や住居跡地が発見されております。これから発掘調査を行う予定でありますが、工事には支障を来さないものと考えております。 次に、(二)の、県立循環器センターについてでございますが、御指摘のように、心臓病や脳卒中などの循環器疾患は、人口構成の高齢叱や生活様式の変化などを背景といたしまして、最近増加の傾向にあり、循環器系の医療機関の整備が急がれておるところでございます。 県内におきましては、心臓病に実績のございます埼玉医科大学をはじめ、循環器病を主体とする自治医科大学大宮医療センターの新設、あるいは地方循環器病センターとして位置付けられております国立埼玉病院の整備などによりまして、これら循環器系疾患の対応が充実されるものと考えております。 しかし、県といたしましても、昨年十月に埼玉県循環器センター構想策定委員会を設置いたしまして、御提言の循環器系医療機関の地域的配置、あるいは機能充実、さらには患者の動向など、様々な条件を十分勘案しながら論議していただき、その結論を踏まえまして対処してまいりたいと考えております。 次に、(三)の、看護婦確保対策についてでございますが、昭和六十二年度現在の看護婦就業者数は一万九千人でございまして、一方、必要な看護婦数は二万二千人と見込まれております。差し引き、約三千人が不足をしておる状況にございます。 今後の病床数の増加、あるいは、一方で新規に看護婦養成所を卒業する人などの需給関係から勘案いたしまして、毎年二千五百人程度の不足の状況が続くものと考えられます。 御指摘のとおり、看護婦の養成確保は、本県の医療水準の向上を図る上で極めて重要な課題でございますので、今後、看護婦確保対策として量の問題はもちろんでございますが、量の問題ばかりではなく、目覚ましく進歩する医療技術に対応した質的な面につきましても充実してまいりたいと存じております。 なお、看護婦不足は、その養成所の不足によるものではないかとの御指摘でございますが、現在、養成所の新規卒業生は約二千二百人でございまして、看護婦不足は、養成所の不足に加えまして、結婚等による退職者が多いことによるものと思われます 幸いにいたしまして、一方で養成所への入学希望者が多くございますし、また、養成所設置の希望も十校ほどございますので、この設置計画は早期に実現するよう、その設置や運営につきまして積極的に援助してまいりたいと存じております。          ----------------次会日程報告 ○議長(宮田守夫君) 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明三月一日は、午前十時から本会議を開き、提出議案に対する質疑並びに県政に対する質問を続行いたします。          ---------------- △散会の宣告 ○議長(宮田守夫君) 本日は、これにて散会いたします。午後五時四十三分散会          ----------------...