栃木県議会 2023-12-07
令和 5年度栃木県議会第398回通常会議-12月07日-04号
令和 5年度栃木県議会第398回通常会議-12月07日-04号令和 5年度栃木県議会第398回通常会議
(1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名
12月7日(木曜日)
出席議員 50名
1 番 土 屋 晃 子
2 番 渡 邉 典 喜
3 番 大久保 ゆ み
4 番 大 谷 弥 生
5 番 大 木 英 憲
6 番 佐 藤 晴 彦
7 番 杉 田 光
8 番 沼 田 邦 彦
9 番 池 上 正 美
10 番 小 池 篤 史
11 番 湯 澤 英 之
12 番 星 雅 人
13 番 横 田 誠
14 番 石 坂 太
15 番 岡 部 光 子
16 番 加 藤 雄 次
17 番 金 子 武 蔵
18 番 小 菅 哲 男
19 番 小 林 達 也
20 番 平 池 紘 士
21 番 塩 田 ひとし
22 番 中 屋 大
23 番 あ べ ひろみ
24 番 野 村 せつ子
25 番 横 松 盛 人
26 番 西 村 しんじ
27 番 野 澤 和 一
28 番 高 山 和 典
29 番 池 田 忠
30 番 琴 寄 昌 男
31 番 白 石 資 隆
32 番 関 谷 暢 之
33 番 中 島 宏
34 番 早 川 桂 子
35 番 日向野 義 幸
36 番 渡 辺 幸 子
37 番 保 母 欽一郎
38 番 松 井 正 一
39 番 山 田 みやこ
40 番 青 木 克 明
41 番 山 口 恒 夫
43 番 阿 部 寿 一
44 番 佐 藤 良
45 番 山 形 修 治
46 番 岩 崎 信
47 番 神 谷 幸 伸
48 番 五月女 裕久彦
50 番 螺 良 昭 人
51 番 木 村 好 文
52 番 板 橋 一 好
(2)説明のため出席した者の職氏名
地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者
知事 福 田 富 一
副知事 北 村 一 郎
副知事 天 利 和 紀
総合政策部長 笹 川 正 憲
経営管理部長 仲 山 信 之
生活文化スポーツ部長
野 原 恵美子
保健福祉部長 岩 佐 景一郎
環境森林部長 小野寺 一 行
産業労働観光部長
石 井 陽 子
農政部長 熊 田 欽 丈
県土整備部長 坂 井 康 一
危機管理防災局長 渡 辺 順 一
会計管理者会計局長
中 谷 一 彦
企業局長 北 條 俊 明
総合政策部次長兼総合政策課長
小 林 宣 夫
財政課長 岩 田 知 也
教育長 阿久澤 真 理
代表監査委員 森 澤 隆
人事委員会事務局長
萩 原 英 樹
労働委員会事務局長
桐 渕 ゆ か
警察本部長 難 波 健 太
(3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
事務局長 柏 瀬 仁
次長兼総務課長 菊 池 薫
議事課長 大 野 光 二
政策調査課長 横 山 泰 治
議事課課長補佐 小田部 秀
課長補佐 小 材 忠 宏
副主幹 山 﨑 里 香
係長 手 塚 英里子
主査 長谷川 寛 和
主査 桐 原 毅 充
主査 榎 本 和 也
◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は50名であります。
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午前10時 開議
○佐藤良 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
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○佐藤良 議長 日程第1 第1号議案から第9号議案まで及び第12号議案から第18号議案までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。高山和典議員。
(28番 高山和典議員登壇)
◆28番(高山和典議員) 皆さん、おはようございます。とちぎ自民党議員会、高山和典です。私は、さきの10月24日から29日までの6日間、海外行政調査団の一人としてオーストラリアに行かせていただきました。今回は、調査で感じたことを中心に質問させていただきます。知事をはじめ執行部の皆様には前向きなご答弁をお願いいたしまして、早速最初の質問に移らせていただきます。
まず初めに、世界から選ばれるとちぎを目指して、と題し先々を見据えた国際戦略の展開について、知事にお伺いします。知事は先日、ベトナムとシンガポールにおいてトップセールスを行ってこられました。
新型コロナウイルス感染症が落ち着く前、知事はとちぎ型大使館外交を積極的に進め、成果を上げたと記憶しておりますが、直接現地に赴くことで、また違った成果が出たのではないでしょうか。
一方、私たち議員5名は、10月下旬、海外行政調査のためにオーストラリアを訪問し、視察テーマの一つ、県産品の輸出拡大に向けた課題と対応について調べるため、ジェトロ(日本貿易振興機構)のシドニー事務所と大手食品卸会社であります
JFCオーストラリアを視察させていただき、意見交換等をしてきました。ジェトロは、国内のほか海外拠点55か国、76事務所を持ち、世界中に張り巡らされたネットワークを駆使して、農林水産物をはじめとする食品の輸出、さらには日本企業、特に中堅・中小企業の海外進出支援等に取り組んでいます。また、JFCは大手食品メーカーのグループ企業で、海外における日本食市場において世界を代表する企業であり、こちらも世界中に拠点を持ち、そのネットワークにより、日本食品取引において
オーストラリアナンバーワンの企業です。今回の視察全般において、現地に赴き、相手方と直接お話をし、空気感や匂いを感じ、自分の目で見て相手方のニーズを把握することが大変重要であると改めて強く感じました。この2つの視察先とも、現地訪問を重ね、熱意を見せること、自分の目で確かめることが重要だとおっしゃっていました。
また、オーストラリアは移民の国でもあり、今なお世界中から多くの方が移住しております。3年ごとに人口が約100万人、これは仙台市と同じぐらいの人口ですが100万人ずつ増えております。出生率は、日本よりは高いのですが、ずば抜けていい数字ではなく、これはひとえに社会増が多い。言い換えれば、それだけ他国の人々を引きつける魅力のある国だと言えると思います。そのオーストラリアは、多民族国家ゆえに何でも受け入れる、取りあえず試してみる傾向が強く、また、様々な背景を持つ人々が集まっている国でもありますから、効率的な
テストマーケティングをするにも適しているとも伺いました。さらに、現地は日本ブームで、日本酒をはじめとする加工品は十分に進出するチャンスがあると思います。実際に、JFCの協力を得て日本酒などを輸出している県内企業もあります。ビッグビジネスにつながるチャンスも大きいのではないでしょうか。
とちぎ国際戦略では、オーストラリアは県産品の販路開拓先としては、3段階ある取組ステージのうち2つ目、「拓く」のステージに位置づけられていますが、先々を見据えた県産品の輸出拡大のためにも、この機を逃さないよう取組をスピードアップすることを考えるべきだと思います。
そこで、ベトナム、シンガポールでのトップセールスにおいて、現地に赴くことの意義についてどう感じ、今回の訪問の成果をどう捉えているのか、知事にお伺いします。
また、県議会で調査を行いましたオーストラリアを含むオセアニア地域を輸出対象国としてどのようにお考えか、併せて伺います。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの高山和典議員のご質問にお答えいたします。県におきましては、とちぎ国際戦略に基づき、県内企業の海外展開等を支援し、本県経済のさらなる成長を図るため、県議会と共にベトナム及びシンガポールを訪問し、トップセールスを実施してまいりました。実際に現地に赴き、投資環境を調査する中で、シンガポールでは先進的な企業支援策に関する理解を深め、ベトナムでは成長を続ける国の強靱さを体感いたしました。また、両国において、政府要人やバイヤー等とじかに意見交換を行うことで相互理解の深化等が図られたほか、今回の訪問が現地メディアに取り上げられ、本県の認知度のさらなる向上につながったものと考えております。
今般のトップセールスにより、シンガポールでは、本県の誇る牛肉、イチゴ、日本酒等の県産品の販路開拓やインバウンド誘客の促進について、今後の取引拡大につながる確かな手応えをつかむことができました。また、ベトナムでは、同国全域を支援対象とする計画投資省との覚書締結に加え、高度外国人材の確保等に向けた現地大学との意見交換等により、経済交流を新たな段階へと前進させることができたと考えております。
次に、オセアニア地域の特にオーストラリアは、人口増とともに経済も上昇傾向にあり、現在の日本ブームも相まって、日本酒など県産品の販路開拓先として魅力あるマーケットの一つとして捉えております。
このため、県におきましては、ジェトロの協力の下、加工食品の市場調査を実施しており、今般の
県議会海外行政調査の結果はもとより、県内企業のニーズ等を踏まえながら、今後の取組について検討してまいります。
今後とも、私自らが先頭に立ちまして、関係機関等と連携し、世界から選ばれるとちぎに向けて全力で取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 高山和典議員。
(28番 高山和典議員登壇)
◆28番(高山和典議員) ただいま知事からご答弁いただきました。かなり成果を出してお戻りいただいたと、心強く感じております。お忙しいとは思いますが、これからも現地に赴き熱意を見せることで、販路拡大につなげていただきたいと思っております。オーストラリアは、固有の動植物の保護や環境維持のために、とても厳しい検疫措置を実施しております。そのため、本県特産のイチゴや梨などはもちろん、お米なども日本よりはるかに厳しい生産管理や残留農薬基準が設定されているなど、農産物の輸出は一筋縄ではいきません。しかしながら、知事もおっしゃっていましたように、日本酒や納豆などの加工品を輸出している県内企業も多数あります。右肩上がりの経済成長を続けているオーストラリアです。放っておくのはもったいないと思います。市場規模だけでなく、学ぶところもたくさんあります。ぜひスピード感を持って取り組んでいただきたいとお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。
海外から人を呼び込むための環境整備について、産業労働観光部長にお伺いいたします。先ほども述べましたが、オーストラリアは移民の国です。先日、中屋大議員の質問にもありましたが、英語を母国語としない生徒へ集中的に英語を教育する高校がありまして、英語が話せなくても、違う文化からやってきて文化が違っても安心して不安なく移住できる環境が整っているなど、世界中から人が集まるには、やはりそれなりの理由があったのだなと感じました。
同時に、キャッシュレス化がかなり進んでいる、これも大きいと感じます。キャッシュレス化は、このコロナ禍の中、非接触ということで一気に進んだと説明を受けました。ある視察先の方は、赴任して半年過ぎたらしいのですが、まだ現金を一度も使ったことがないとおっしゃっていました。私は、今回の調査に現金を持っていきましたが、なじみの少ない20ドル札など、そのようなものに戸惑い、また、どんなに小さなお店でも
キャッシュレス決済が使えましたので、現金は要らなかったなとつくづく実感したところです。
本県でも、コロナ禍前はインバウンド対策の一つとして、外国人観光客に栃木県を選んでもらうために、キャッシュレス化のための補助金を出すなどして進めていたと記憶しております。現在のIT導入補助金は、キャッシュレス化はしたいけれども、小規模で経営基盤の弱いお土産屋ですとか、飲食店にとっては、使い勝手や費用の面で課題があり、少しハードルが高いように感じます。また、リースの決済端末では、初期費用がかからないものもありますが、その代わり毎月システム利用料がかかったり、実際の入金までにタイムラグがあったりと、小さなお店にとっては本当に大きな問題で、何かしらの支援が必要だと感じております。コロナ禍もあり、高齢化や後継者がいないために閉店せざるを得なかったり、インボイス制度への対応等、小さなお店にとってまだまだ厳しい時代が続いていますが、これはどんなに有名な観光地でも、お土産屋さんや食事どころが本当に少なかったりしますと、どんなに風光明媚な場所でも魅力は半減してしまうのではないかなと思います。
今や、観光目的のみならず、ビジネスなどで日本に来られる方など、世界の人々に栃木県を選んでもらうには、キャッシュレスは当たり前の、最低限の条件になっているのではないかと思います。インバウンドなど海外の方に栃木県を選んでもらうことは、いずれ何らかの形で人口減少対策にもつながっていくと思います。まずは、観光による交流人口の増加を図ることも重要だと考えております。
そこで、海外から観光客を呼び込むためには、小規模事業者も含め、キャッシュレスをはじめとするストレスフリーな環境整備が必要だと考えますが、産業労働観光部長の所見をお伺いいたします。
○佐藤良 議長
石井陽子産業労働観光部長。
(
石井陽子産業労働観光部長登壇)
◎石井陽子 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。インバウンド誘客を推進するためには、観光地等においてストレスなく滞在できることが重要でありますが、本県を訪れた外国人を対象にした令和元年度のアンケートによりますと、外国語対応や
インターネット通信環境などと並びまして、
キャッシュレス決済についても総じて満足度が低い結果でございました。
キャッシュレス決済は、インバウンド消費を促進する手段としてはもちろんのこと、生産性の向上や売上データ等を活用した収益向上にもつながりますことから、県ではこれまで、商工団体と連携して、小規模事業者等を対象とした利用に向けたセミナーの開催や専門家による無料相談を実施してまいりました。また、県内観光地における外国人観光客とのコミュニケーションを円滑に行うため、観光関係事業者に対し、スマートフォンによる
多言語音声翻訳アプリの利用を促進しておりまして、さらに、翻訳機能を有するウェブマップにおける観光施設情報の充実促進等にも取り組んでおります。
引き続き、市町や関係事業者等と連携して、外国人旅行者がストレスなく快適に旅行を満喫できる環境整備を促進し、インバウンド誘客の推進を図ってまいります。
○佐藤良 議長 高山和典議員。
(28番 高山和典議員登壇)
◆28番(高山和典議員) 産業労働観光部長からご答弁いただきました。これからも引き続き、満足度が少しでも上がるように積極的なご支援よろしくお願いいたします。先ほどもお話ししましたキャッシュレスは一例です。ぜひ、本当にストレスフリーな環境をいち早く整え、世界から選ばれるとちぎを目指していただきたいと要望しまして、次に移らせていただきます。
国体のレガシー継承について、知事にお伺いいたします。今回の海外行政調査では、2000年に開催された
シドニーオリンピック後の施設活用計画やレガシーとしての活用、継承について調査し、施設を含めた本県の国体のレガシー継承をいかに実り多いものとするかも目的の一つでした。
現地では、競技施設がスポーツだけでなく、有名アーティストのライブや南半球最大級の
ファミリーイベント等のエンターテインメントにも利用され、大きな経済効果を生み出しているほか、環境に配慮したオリンピックの象徴として、雨水の再利用や自然光の積極的な取り込み、施設周辺に多数の太陽光パネルを設置するなど、グリーンゲームと呼ばれたオリンピックの有形レガシーを確認することができました。また、約7万人にも及ぶ運営ボランティアの方々の名前が刻まれたポールをアート作品として設置しており、聖火台とともに金、銀、銅全てのメダリストの名前がプレートとして埋め込まれた公園が市民の憩いの場所になっているなど、様々なレガシーを感じ取ることができました。
昨年開催されましたいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会も、スポーツのすばらしさを広く伝えるとともに、環境というテーマを幅広く共有し、県民、企業、団体、行政が一体となったオール栃木によって様々な場面で環境に配慮した大会を実現した点においても高く評価され、大会に関わった一県民としましても誇りに思っております。
本県では、今年7月に
スポーツコミッションを設立し、スポーツイベントや大会、合宿の誘致など、スポーツを活用した地域活性化に積極的に取り組んでおり、今後の展開を大いに期待しているところですが、国体開催後の県内各市町のレガシー継承に向けた取組状況を見ますと、市町によって温度差があるように感じられるのが少し気がかりでございます。
そこで、今や各種イベントを実施する際には当然のこととなっております環境への配慮を含め、県の強みを最大限に生かし、
各種スポーツイベントの誘致や県内各地における
スポーツツーリズムなどを推進する中で、県として国体の有形無形のレガシーをどのように継承し、新しいとちぎづくりにつなげていくのか、知事にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会のレガシーを継承し、スポーツを活用した地域活性化に向け、
スポーツツーリズムを推進しておりますが、この取組が評価され、先月、「スポーツ庁のスポーツ・健康まちづくり」優良自治体表彰を受賞することができ、改めてスポーツを通じた地域づくりへの思いを強くしているところであります。
スポーツツーリズムの推進に当たりましては、両大会の特色であった日本一のおもてなしや環境配慮に加え、地域に密着した多様な
プロスポーツチームや充実したスポーツ施設、温泉や食、歴史、文化など本県ならではの強みを最大限活用してまいりたいと考えております。このため、本年7月に設立いたしました栃木県
スポーツコミッションを構成する25市町と連携し、それぞれの特性を生かしながら、大規模大会や合宿等の誘致に取り組み、県内に広く
スポーツツーリズムの推進の効果が波及するよう努めております。
また、栃の葉国体におけるホッケーやレスリングのように、各市町で実施された競技が地域に根差したスポーツとして定着するよう支援しているほか、両大会でボランティアに参加された方が引き続きスポーツに参画できるよう、支える人材の活躍の場の提供にも努めております。さらに、インバウンド需要の回復も踏まえまして、現在推進しているサイクルツーリズムやアウトドアツーリズムに加え、外国人のニーズの高い武道など、本県の多様な地域資源を生かした新たな
テーマ別スポーツツーリズムについて検討を進めているところであります。
今後とも、両大会で培われた有形無形のレガシーを確実に継承し、活力ある新しいとちぎづくりに全力で取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 高山和典議員。
(28番 高山和典議員登壇)
◆28番(高山和典議員) 知事からご答弁いただきました。いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会は、県内全ての市町で何かしらの競技が開催され、大きな盛り上がりを見せました。県はもちろんですが、各市町におきましても、当時の熱が冷めないよう、また、しっかりと有形無形のレガシーを継承できるように、多種多様な幅広い支援をお願いいたします。
次の質問に移ります。次に、
カーボンニュートラルの実現について、一人一人の行動変容を促す取組について、環境森林部長に伺います。私たちは、今回の海外行政調査におきまして、シドニー市や市内の
環境先進地区グリーンスクエアを視察してまいりました。シドニー市では、2035年までに
カーボンニュートラルを達成するという高い目標を掲げて各種施策に取り組んでおり、グリーンスクエアでは、公共施設への
再生可能エネルギーの導入や環境に配慮した建物の建築など、様々な取組が計画的かつ積極的に進められており、市民生活にも浸透している様子でした。取組が成功している要因としまして、行政がしっかりとした絵姿を描き、それを広く公表するなど、官民挙げて取り組む体制を構築し、施策を牽引していることもありますが、何よりそのような取組を理解し、支持している市民の存在が大きく、市民の環境に関する意識は、本県の10年先、20年先を進んでいると感じた次第です。
本県においても、令和4年3月に策定した2050年とちぎ
カーボンニュートラル実現に向けたロードマップにおいて、2030年度までに
温室効果ガス排出量を2013年度比で50%削減するという目標を掲げ、様々な対策を講じておりますが、家庭分野においては、高い削減目標に対し、削減がなかなか進んでいない状況にあると思います。腰が重いという意味で課題になっていると考えられるのは、県民一人一人の意識改革、行動変容だと思います。
県では、
個人住宅用太陽光発電設備等の導入支援やゼロ
エネルギー住宅導入支援等、これまでも県民への様々な働きかけを行ってきたことは承知しております。しかし、近年の大型台風や線状降水帯による大雨、暴風等による災害の頻発に加え、今年のような異常とも言える猛暑を経験し、もはや地球温暖化を超えて地球沸騰化という言葉も使われている状況であり、人々の危機感が高まり、それが行動につながることを期待したいところですが、目標の2030年度まで残りもう7年を切ってしまいました。
県は、今年4月から栃木県
カーボンニュートラル実現条例を施行し、オール栃木で取り組むこととしておりますが、目標達成に向けてはもう1段ギアを上げ、これまで以上にインパクトのある働きかけをするなど、県民意識を向上させ、行動変容を促す必要があるかと思いますが、今後の取組について、環境森林部長にお伺いします。
○佐藤良 議長
小野寺一行環境森林部長。
(
小野寺一行環境森林部長登壇)
◎小野寺一行 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。2050年
カーボンニュートラルの実現に向けましては、県民一人一人が温室効果ガスの排出削減に向けて具体的な行動を実践していくことが重要であります。県では、これまで「COOL CHOICE とちぎ」県民運動の下、ガイドブックや啓発動画の作成、太陽光発電設備等の導入や省エネ家電への買換え支援など、県民の行動変容を促す各種施策を展開してまいりました。一方で、昨今の国や県の調査結果では、脱炭素という用語の認知度は一定程度あるものの、具体的な行動に結びついているとは言えない状況がうかがえ、また、7月に開催したロードマップ評価・検証委員会では、県民等に対し強い方針を打ち出すべきとの意見が出されたところであります。このため、県といたしましては、より豊かで快適、健康な新しい暮らしにつながる脱炭素の取組を見える化することにより、県民の行動変容を強く後押しし、ロードマップに掲げた目標の達成につなげていく新たな県民運動を展開してまいりたいと考えております。
今後とも、脱炭素の取組に対する県民一人一人の理解促進、意識向上を図りながら、
カーボンニュートラルの実現に向け積極的に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 高山和典議員
(28番 高山和典議員登壇)
◆28番(高山和典議員) 環境森林部長からご答弁いただきました。本当にこの問題は後々、私たちの子供、孫まで関係してくる問題ですので、積極的に力を入れて取り組んでいただきたいと思います。オール栃木で取り組む上で欠かせない、県民一人一人の意識を高めるためには、県の果たす役割はとても大きく重要だと思います。今まで以上に取り組む姿勢を県民皆様に示していただき、率先して進めていただきたいとお願いしまして、次に移らせていただきます。
グリーンスクエアに関連しましてもう1問、「文化と知」の創造拠点の整備について、総合政策部長にお伺いします。グリーンスクエアの中心部に図書館があります。ガラス張りの三角形の特徴的な建物で、グリーンスクエア全体のシンボル的な存在であります。実は、地上に出ている三角形の部分は入り口で、図書館本体自体は地下にあります。地下に図書館を設けることで、冷暖房の効率を上げ環境に配慮すると同時に、図書館中央には大きな吹き抜けをつくり、地下にあるとは思えない明るさと開放感を確保し、さらに、ゆったりとしたスペース、至るところにソファーを配置し、本棚と本棚の間に1人分の机を設置し、集中して読書ができるのはもちろん、勉強やパソコン作業と、視察した日は平日だったにもかかわらず、学生をはじめ、子供から高齢者まで、世代を問わず多くの人たちが集う、とても居心地のいい素敵な空間となっておりました。図書館を中心としたグリーンスクエア全体が、多くの人たちが自然と集う、しっかりとしたコンセプトのある場所で、今で言う映える建物、映えるエリアとなっていたのがとても印象的でした。
県は、県立美術館、図書館、文書館を再整備する栃木県「文化と知」の創造拠点整備事業を進めています。先日開催されました2回目の検討委員会では、整備地や基本理念について議論され、県体育館跡地を整備地とすることで了承されたと伺っております。今までも多くの議員が質問されていますが、私は本事業のコンセプトについて質問させていただきます。
先ほど、グリーンスクエア図書館を紹介させていただきました。これからは、環境配慮は当然のことであり、コミュニケーションが取りやすい開放感、さらに、映えることも意識する必要があるのではないでしょうか。県体育館跡地という限られた敷地の中で、3つの施設の機能を持ち、なおかつ人々を引きつける魅力ある複合施設をつくるには、しっかりとしたコンセプトがとても重要だと思います。3施設の機能を併せ持つことで相乗効果を最大限に高めるのはもちろんのこと、世代を問わず、目的を問わず、多くの方が自然と集まってくるような場所、思わず写真を撮りたくなるような場所、先々まで栃木県の顔となるような場所が求められています。十分な計画期間を設け、大型プロジェクトとして取り組むのですから、世界に誇れるようなインパクトのあるものにしてほしいと思っております。
そこで、コンセプトについては、これから検討会で議論されることと思いますが、県としてはどのようにお考えか、総合政策部長に所見を伺います。
○佐藤良 議長 笹川正憲総合政策部長。
(笹川正憲総合政策部長登壇)
◎笹川正憲 総合政策部長 ただいまのご質問にお答えいたします。「文化と知」の創造拠点整備につきましては、将来にわたり県民に愛され、誰もが誇りに思える栃木県ならではの施設を目指し、検討委員会におきまして、整備地等に続き、現在コンセプトについてご議論いただいております。前回の委員会では、コンセプトにつながる視点として3点、誰でも気軽に利用し、参加できる「開く」、拠点を通じて交流が図られ、「文化と知」が将来に伝えられる「つなぐ」、新たな担い手を育成する「生み出す、育む」という案をお示しし、委員からは、様々な人々に活用される施設である必要があり、これらの視点はとても有用だなどのご意見をいただいたところでございます。コンセプトは、まさしく今後の施設整備及びその後の運営の指針となる非常に重要なものでありますことから、拠点の機能や役割、デジタル化など時代の潮流なども踏まえながら、引き続き丁寧に検討してまいりたいと考えております。
今後とも、県内はもとより、国内外からも多くの人々が集い、交流しながら、新たな「文化と知」を生み出す拠点、できますればグリーンスクエアにも負けないと言っていただけることを目指して整備構想の策定を進めてまいります。
○佐藤良 議長 高山和典議員。
(28番 高山和典議員登壇)
◆28番(高山和典議員) 総合政策部長から、グリーンスクエアにも負けないようなものというご答弁をいただきました。グリーンスクエアもそうなのですが、今、JR宇都宮駅東口にはLRTが開通しましたが、西口にも整備計画があります。ここだけではなく、それらを一体として私たちの子や孫にも誇れるエリアにしていただきたいと思います。そのためには、本当に50年先にも通用する、ぶれないしっかりとした明確なコンセプトが必要となりますので、よろしくお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。
2024年問題への県としての対応について、労働者の働き方改革の推進に向けた取組についてという全体的な視点から、産業労働観光部長にお伺いいたします。長時間労働の是正や柔軟な働き方の実現などを目指して2018年に制定されました働き方改革関連法は、2019年4月から順次適用され、まだ課題は残っているものの、多くの産業において労働環境に重要な変革をもたらし、社会全体の労働環境を質的に向上させています。
一方、これまでも慢性的な人材不足や長時間労働の常態化が大きな問題となっておりました自動車運転業務、いわゆる物流、それに建設業や医師等の業務については、それらの業務の特性や取引慣行等の課題があるとされ、5年間の猶予期間が設けられていましたが、いよいよ来年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されることとなります。それぞれの分野で県民生活や地域経済の維持等に大きな影響が出ることが懸念され、いわゆる2024年問題とされ、その対応が社会的な課題となっております。各分野とも5年間の猶予期間中にコロナ禍もあり、さらに燃料高、物価高の影響など、時間外労働の上限規制に対する十分な準備ができておらず、頭を抱えている事業者等も多いのではないかと心配しております。
医師に関しましては、この後の質問で保健福祉部長に伺いますが、人々の生活に不可欠な商品の運搬、梱包、保管、荷役を行う物流は、生活や経済を支える重要な社会インフラであり、物流が止まれば私たちの暮らしも止まってしまいます。また、建設業の場合も、生活を支える社会基盤である道路や河川などインフラをしっかりと整え、安全・安心な暮らしを提供する上でも、また激甚化、そして頻発化する自然災害への備え、災害発生時の対応時における様々な協力においても、地域の守り手として不可欠な存在であります。
そこで、生産年齢人口が減少し、社会全体の人手不足が深刻な中で、長らく労働環境の厳しさが指摘されたこれらの分野を含め、労働者の働き方改革の推進に向け、県としても何らかの取組を行う必要があるのではないかと考えますが、産業労働観光部長の見解をお伺いします。
○佐藤良 議長
石井陽子産業労働観光部長。
(
石井陽子産業労働観光部長登壇)
◎石井陽子 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。時間外労働の上限規制は、過度の残業をなくし、労働者の健康を確保するために必要であり、自動車運転業務等の適用猶予業種につきましても、働き方改革が急務となっております。このため、国では、適用猶予業種特有の事情を踏まえ、特設サイト等により国民や発注者等への意識改革を図るとともに、労働時間の削減に向けた取組を行う企業に対しては助成金による支援を行っております。県におきましても、公共事業における週休2日制工事を推進するほか、企業向けの働き方改革セミナーの中で運輸業の好事例を紹介するなど、業務の特性を踏まえた労働環境の改善を引き続き支援してまいります。
今後とも、栃木労働局や関係団体と緊密に連携しながら、物流や建設など適用猶予業種の企業が時間外労働の上限規制に円滑に対応できるよう、より一層働き方改革を推進してまいります。
○佐藤良 議長 高山和典議員。
(28番 高山和典議員登壇)
◆28番(高山和典議員) 産業労働観光部長にご答弁いただきました。言うまでもありませんが、物流も建設業も私たちの生活を支える本当になくてはならない仕事であります。労働者不足は以前から大きな問題となっております。労働者の働き方改革がスムーズに進むようしっかりと支援することが、住みよい栃木、選ばれるとちぎにつながっていくと思います。しっかりと取り組んでいただきますようお願いいたします。また、この問題を解決するためには、適正な料金や無理のない納期など、発注者や利用者の意識改革も必要不可欠だと思います。県が先頭に立ち積極的に旗を振り、意識改革に向けた取組もよろしくお願いいたしまして、次の質問に移ります。
地域医療における対応について、保健福祉部長にお伺いいたします。地域医療の現場においては、医師の確保は長い間の大きな課題の一つであり、これまでも、県も修学資金の貸与による医師の養成や、その医師たちを公的医療機関等へ派遣するなど、様々な取組を行ってまいりました。現在、県全体の医師数自体は増加しており、また、医師偏在指標による評価では医師少数都道府県を脱するなど、医師確保の取組については一定の効果はあったものと受け止めております。
しかし、一方で、現場におきましては、地域間や診療科間の偏在は依然として存在しており、十分な医師確保がなされているとは言えない状況だという声も聞いております。そうした中、来年、2024年度から本格施行となる医師の働き方改革により、勤務医にも時間外労働の上限規制が適用されます。これは、いわゆる医療現場における2024年問題です。各病院では、医師から他の職種へのタスクシフト、業務をシフトするなどの取組を進めているようですが、1人当たりの時間外労働が管理される中、特に24時間体制での対応が求められる救急科や産婦人科、小児科などの体制維持が厳しくなることが見込まれます。地域医療維持のためには、より一層の医師確保に取り組むことが必要だと思います。
また、県内医師の高齢化も進む中、特に若手の医師を確保していくことも重要と考えます。さらに、来年4月から適用される原則年間960時間という時間外・休日労働時間の上限のほか、地域医療の確保等のために、県に申請の上、指定を受けることで、特例的に上限時間が何と倍の年間1,860時間まで規制が緩和される暫定措置が用意されています。毎日の通常勤務時間以外に1,860時間もの時間外・休日労働。これはお休みなし、休日も10時間働いて、そして、毎日4時間の残業、トータル12時間の仕事、休みなしで毎日10時間働くという計算になります。これはあくまで暫定措置であって、今後、廃止や縮小が行われることを踏まえ、中長期的な医師確保について計画的に進めるべきだと思います。
そこで、地域の医療を守るためにも、医師確保をさらに強化していく必要があると思いますが、県としてどのような対策を講じていくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。地域において持続可能な医療提供体制を確保していくためには、地域医療構想の実現等とともに、医師の確保と働き方改革の取組を三位一体で進めていくことが重要であると考えております。県では、これまで地域枠制度を活用した県養成医師の育成、派遣のほか、来年度の働き改革の本格実施に向け、労働時間短縮計画の策定や勤務環境改善に取り組む医療機関への相談支援、助成等を行ってきたところでございます。引き続き、これらの対策に取り組みつつ、本格的な労働力人口の減少を見据え、地域の医療ニーズを踏まえながら、将来の地域医療を担う若手医師の確保、定着に向けて必要な対策をしっかりと検討していきたいと考えております。
今後とも、関係機関と連携しながら、地域の医療から高度専門的な医療まで幅広い知識や技術を習得することができる等、魅力のあるキャリア形成が可能となる環境づくりに向け、さらなる検討を行いつつ、一層の医師確保に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 高山和典議員。
(28番 高山和典議員登壇)
◆28番(高山和典議員) 保健福祉部長から答弁いただきました。医師の充実は、栃木県が本当に住みよいところだと、選ばれるとちぎに直結してくる問題であると思いますので、よろしくお願いいたします。
ここで要望させていただきます。青森県は、医療・福祉職の資格を持つ子育て世帯やそれらの資格取得を目指す子育て世帯で、医療・福祉分野への就職を検討している世帯を積極的に呼び込もうと、今年度、新たな移住支援金制度、青森県医療・福祉職子育て世帯移住支援金を設け、募集を開始しました。専門人材の確保と少子化対策を組み合わせた取組で、市町村と連携し、子供と共に移住する世帯に基本額100万円と子供1人につき、さらに100万円を支給、独り親の世帯は、さらにプラス100万円を上乗せするそうで、医師や薬剤師、看護師等のほか、保健師、助産師、保育士、介護福祉士等を確保し、医療、福祉の現場の人手不足と人口減少という2つの課題の改善につなげることを目指すと聞いております。社会的な複数の課題を1つの支援金で改善しようという意欲的な事業であり、すばらしいアイデアだなと思いました。同じような取組をといいましても、すぐには難しいかもしれませんが、本県でもこのような取組ができないものか、検討する価値はあるかと思います。要望させていただきまして、最後の質問に移らせていただきます。
自動運転実証実験と本格導入に向けた今後の展開について、県土整備部長にお伺いします。今後、人口減少や少子高齢化が進む中、地域の移動手段を確保することが求められており、運転手不足や公費負担の増加など、公共交通を取り巻く状況は様々な課題が山積しております。とりわけ運転手不足は深刻であり、全国で路線バスの減便や廃止が相次ぐ中、公益社団法人日本バス協会が行った調査の結果によりますと、2023年度は全国で12万1,000人の運転手が必要なのに対し、実際の運転手は11万1,000人で1万人不足しており、さらに7年後の2030年度には、不足する運転手が3万6,000人に上る見通しがなされております。運転手不足を解消するため、運送業界を挙げて運転手の確保に取り組んでいるものの、やはり人口減少・少子高齢化により、そもそもの就労人口が減少していることから、運転手の確保が困難になっており、公共交通の維持も難しい状況にあります。
このような社会情勢の中で、運転手不足解消の一つの手段として、自動運転移動サービスの導入については、全国的にも期待が高まっております。本県では、令和7年度、県内バス路線の一部におきまして、自動運転バスの本格運行を目指すために、令和2年度から令和5年度までの4か年を計画期間とする栃木県ABCプロジェクトに取り組んでいるところであり、これまでに県内8市町、延べ87日間で約8,600人、約2,800キロメートルの実証実験を積み重ねてきたと聞いております。私も何度か乗せていただきました。今後、今年度中に、私の地元下野市でも実証実験が行われると聞いております。本格運行に向けての新たな課題も見えてきたところだと思っております。
そこで、栃木県ABCプロジェクトも最終年度となります。県内の自動運転実証実験のこれまでの進捗状況と、今後実用化に向けてどのように進めていくのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、運転手不足解消の一助として期待される自動運転技術に着目し、その実装に向け、県内の実情に応じた課題を検証するため、令和2年度から実証実験を進めてきたところでございます。その結果、地域の実情に応じた必要な自動運転技術に係る知見や、利用者や地域の理解、協力といった社会的受容性の醸成など、一定の成果が得られたところであります。今後、持続的な運行を実現するためには、バス事業者などの交通事業者が主体となって課題を検証する必要がありますことから、下野市におきまして、バス事業者や関係行政機関等で構成する協議会を設置し、来年1月に営業バス路線で実証実験を行うこととしたところであります。
今後とも、国、市町、交通事業者、地域の関係者等と連携し、令和7年度の無人自動運転移動サービス導入に向けた取組を進めてまいります。
○佐藤良 議長 高山和典議員。
(28番 高山和典議員登壇)
◆28番(高山和典議員) ただいま県土整備部長からご答弁いただきました。下野市での実証実験が来年1月ということで、私も楽しみにしております。さらには、下野市での実証実験が本格運行につながればいいなと心から期待しております。
さて、ここで公共交通ということで関連して要望させていただきます。今、各市町では免許返納をした高齢者や公共交通空白地における移動手段の確保、健康的で豊かな生活を送るための公共交通の充実など、地域住民の声に耳を傾けながら、限られた予算、人員の中で各種交通施策を実施してきているところであるかと思います。
しかしながら、昨今の燃料費、人件費の高騰など、やむを得ない社会情勢の影響による運行経費の増加は、デマンド交通など生活交通の収支を悪化させており、特に利用者の現状維持ですら難しい過疎地域を有する市町の財政状況は確実に厳しさを増しております。人々の生活に密接に関わる地域の足をなくさないため、各市町であの手この手で策を講じているところでありますが、県による市町への支援の強化が必要不可欠であると考えます。
現在、県では地域公共交通計画策定に合わせて、市町村生活交通への補助制度の見直しを検討していると聞いております。市長会、町村会からも要望が出ていると思いますが、デマンド交通等を運行する市町への財政支援が図られるよう強く要望させていただきます。よろしくお願いいたします。
今回、大きく6問質問させていただきましたが、そのうちの4問は、オーストラリアに実際に行ってきまして、見て、触れて、感じたことを基に質問させていただきました。オーストラリアにおいても、日本文化はブームというより、もう既に定着しておりました。しかし、残念なことに、栃木県は本当に知名度が低かったです。これはほかの県も同様でした。日本という国は、オーストラリアにおきましてかなりメジャーではありますが、では、どの県がということに関しましては、今現状、横並びの状態だと思います。我が県は、言うまでもなく、日光や那須をはじめとした世界に誇れる観光資源がたくさんあります。今がチャンスだと思います。他県に先んじて世界から選ばれるとちぎを目指して頑張っていただきたいと強く要望させていただきます。
また、オーストラリアの海外行政調査報告書にもありますが、今回の視察に当たり、事前に関係団体や所管部局から説明を受け、また、個人的にもいろいろ調べてから調査に挑みましたが、やはり直接現地に赴き話を聞くこと、見て、触れて、感じることが大切だと実感して帰ってまいりました。とてもすばらしい経験をさせていただいたと感謝しております。
IT技術の進化は日進月歩。近い将来、現地に行かなくても温度感や匂い、空気感を感じられるようになるのかもしれませんが、まだまだ先の話だと思います。百聞は一見にしかず、これからも今回学ばせていただいたことを基に、世界から選ばれるとちぎに向け、県民のため、栃木県のために仕事をさせていただきたいと思っております。やらない理由、できない理由、これらを並べるのではなく、どうやったらできるのか、どうやったら突破口を開けるのかを考え、実行に移していくのが私たちの仕事ではないでしょうか。先頭に立ち、突破口を開き、県民を導くのも私たちの仕事だと思っております。共に頑張りましょう。よろしくお願いいたします。
最後に、今回質問するに当たりまして全面的にご協力いただいた方並びに関係者の皆様に心より感謝申し上げ、全ての質問を終わりとさせていただきます。
○佐藤良 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午前10時59分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は48名であります。
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午前11時15分 開議
○関谷暢之 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。
ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。大谷弥生議員。
(4番 大谷弥生議員登壇)
◆4番(大谷弥生議員) とちぎ・織姫の会の大谷弥生です。発言通告に基づいて質問してまいります。
初めに、子供の読書活動の推進についてのうち、まずは不読率の改善について、教育長にお伺いいたします。子供たちに本を読んでほしい、そのように思うようになり、そのための活動を始めたきっかけは、小学校のPTA役員を務めたことが始まりです。当時、学校で人手が足りずに困っている場所が学校図書館であり、学校図書館の整備をすることは、学校から喜ばれること、また、学校図書館でのボランティア活動を通して、子供たちが読書をすることは、子供たちの学びや生きる力の基礎となり、子供たちのコミュニケーション能力の向上や話す、聞くといった言語活動が充実し、思いやりの心を育てることができるのではと感じるようになりました。
さらに、私には、子供たちに本を読んでほしいという思いで一緒に活動する仲間がいます。その多くの仲間と一緒に足利市内の小中学校の図書館でボランティア活動をしたり、足利市立図書館と連携をしながら、家庭において読書活動を推進する家読(うちどく)や、本の魅力を紹介し合うビブリオバトルの大会やコンクールを開催するなどし、どうしたら子供たちに本を読んでもらえるのだろうという問いかけをその仲間と共に考えてきました。このような活動を繰り返していくたびに、1か月に1冊も本を読まない児童生徒の割合、いわゆる不読率、その改善を望む声は大きいと感じています。
特に高校生の不読率を減少させるには、小中学生から読書習慣を身につけること、そのためには、子供たちの身近にある学校図書館が毎日開館していること、授業で活用できるようNDCという基本的なルールで本を並べること、また、子供たちが本選びに悩んだ際はアドバイスをしてくれる存在が必要である、そのように考え、公立小中学校にも学校司書を全校配置する必要があると考えるようにもなりました。また、高等学校の学習指導要領によりますと、読書は多くの語彙や多様な表現を通して様々な世界に触れ、これを疑似的に体験をしたり知識を獲得したりして、新たな考え方に出会うことを可能にするものであり、言語活動を向上させる重要な活動の一つであると記されています。
しかしながら、令和5年1月及び2月に実施された令和4年度子どもの読書活動に関する実態調査結果を見てみますと、年齢が上がるにつれ不読率は高くなりました。特に高校生においては、令和3年度には49.6%だったものが、令和4年度では54%、栃木県の高校生の不読率は前年度を上回る結果となり、全国学校図書館協議会が行った調査結果では、全国的には中学・高校生の不読率は43.5%と大きく改善を見せています。
そこで、この調査結果をどのように捉え、今後、不読率の改善に向けどのように子供たちの読書活動を推進していこうと考えているのか、教育長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。
(阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまの大谷弥生議員のご質問にお答えいたします。今般の調査結果で示された不読率の状況は、改善すべき課題であると認識しており、引き続き読書への関心を高める機会を増やしていくことが必要であると考えております。このため、県教育委員会では本が好きな高校生を読書コンシェルジュに任命し、同世代へのお薦めの本を紹介するなど、子供たちに読書の楽しみを伝える取組を推進しております。また、今年度はこれまでの取組の成果や課題を踏まえ、公立図書館と学校等との連携強化による読書機会の確保や、デジタル技術を活用した読書環境の整備などにより、読書に親しむ機会を広げることを目指す新たな読書活動推進計画の策定を進めております。
今後とも、市町教育委員会等と連携し、子供の読書習慣の形成や定着を図り、幅広い知識や考え方に触れ、豊かな心を育めるよう、読書活動の一層の推進に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 大谷弥生議員。
(4番 大谷弥生議員登壇)
◆4番(大谷弥生議員) ただいま教育長からご答弁をいただきました。教育長のご答弁の中にあったとおり、栃木県教育委員会では第5期栃木県子どもの読書活動推進計画を策定中でありまして、現在、策定に伴う会議が開催されていることは私も承知しております。その議事録を拝見しますと、委員からの意見としまして、市立や町立の小中学校に学校司書の配置を望む意見ですとか、既に配置している市立の学校からは、配置の成果などが挙げられていました。私も公立小中学校に学校司書を専任配置することは重要と考えていますので、県教育委員会は県内の全公立小中学校に学校司書を専任配置できるよう財政的支援をはじめとした後押しをお願いいたします。今は学校図書館に学校司書を専任で常駐させることで、不登校児童生徒の居場所として学校図書館を活用している事例もありますので、ぜひともお願いいたします。
さて、今回、子供の読書活動について質問するに当たり、私は栃木県内の公立の小中高校4校と茨城県内の小中学校4校、そして県立の高校2校、公立図書館などを視察してきました。視察を行い一番驚いたことは、県立高校での学校図書費の金額があまりにも違い過ぎたことです。県立学校の図書費は、平成29年から令和3年度の1校当たりの平均額は14万9,000円です。茨城県立水戸第二高校では、昨年度140万円、今年度は120万円でした。栃木県は桁が1つ違うという状況とPTAに図書費を依存している、このような状況は改善すべきです。このことを最後に強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
子供の読書活動の推進についてのうち、県立高校における学校図書館の充実について、教育長にお伺いいたします。私は、子供たちの不読率を改善していく取組の一つとして、子供たちの身近に存在している学校図書館を充実させていく必要があると考えます。学習指導要領の解説によりますと、学校図書館は学校教育においては欠くことのできない基礎的な設備であり、児童生徒の読書活動や児童生徒の読書指導の場である読書センターとしての機能、児童生徒の学習を支援したり授業の内容を豊かにして、その理解を深めたりする学習センターとしての機能、児童生徒や教職員の情報ニーズに対応したり、児童生徒の情報の収集・選択・活用能力を育成したりする情報センターとしての3つの機能を有しています。
先ほどもご紹介した子どもの読書活動に関する実態調査では、高校生の1か月の平均読書量は、漫画や雑誌を除くと1.41冊、全国は1.9冊となっておりますが、この結果から、せっかく県立高校に学校司書を全校に配置しているのにも関わらず、読書センターとしての機能が十分に果たされていないと感じてしまい、これまで以上に読書センターとしての機能を充実させる必要があると考えています。さらに、学校図書館には、読書センターとして本を読む場所だけではなく、授業で使用しながら勉強する場所、課題を解決する場所としての学習センター、情報センターとしての役割もあります。
今回質問するに当たり視察させていただいた茨城県立水戸工業高校の学校図書館では、授業での活用が活発に行われていました。昨年度の授業としての活用は、延べ261クラス、8,647名、国語科のみならず、美術、工業化学、保健体育や地理、家庭、情報などの授業でも活用されています。また、学校図書館で授業が行われる際は、学校司書が教科担任と生徒をサポートします。学校司書は、授業が行われる前には授業で使う基本的な資料を抜き出しておき、授業中、生徒が必要な本にたどり着けなかった場合や、より深い資料を探している場合には、個別に選書のアドバイスなどを行っています。さらに、茨城県立水戸工業高校では、学校司書と連携しながら探究学習も行われており、学習センター、情報センターとしての機能が果たされていました。
このように、視察してきた茨城県立高校では、学校図書館を授業で多く利用しており、学校司書が教科担任と一緒に授業に参加しています。しかし、栃木県では、学校司書が授業に参加している学校はないと伺っています。学校司書が担っている役割に大きな差を感じ、栃木県を何とかしなければと思うようにもなりました。
さらに、学校図書館の学習センター、情報センターとしての機能を充実させる必要があると考える2つ目の理由として、探究的な学習で図書館を活用することが必須と考えているからです。高校では新しい学習指導要領が全面実施されました。その目玉の一つが総合的な探究の時間です。総合的な探究の時間などにおける探究学習は、興味のあるテーマを見つけ、問いを立てることからスタートし、それを自分なりに解決していくために調査、分析したり、周囲の人と意見交換した後に発表する、これらのことを繰り返して行っていくのが探究学習でありまして、学校図書館に学習センター、情報センターとしての機能を持たせなければ、生徒の主体的かつ深い学びにはつながっていきません。
さらに、学習センター、情報センターとしての機能を充実させる必要があると考える理由として、大学入試の変化があります。ある新聞社の調査によりますと、受験生の2人に1人が年内入試で大学進学をしているという調査結果があります。年内入試には総合型選抜、学校推薦型選抜の2種類があり、学校推薦型選抜は、さらに指定校制と公募制に分かれています。いずれも志望理由書や活動報告書などの書類選考、面接や小論文などを課すことが多い試験となっています。これらは大学入学の目的意識を問う試験であり、探究学習は生徒が自分の興味や学びたいことを見つけるきっかけとなり、大学への進学動機につながり得るものと私は思っています。この探究学習が始まったことで、今後、年内入試が拡大していくというのが専門家たちの共通した見解であると言われています。私は、年内入試を希望する高校生が増えている現状もあることから、今後、探究学習を充実させる必要があり、そのためにも探究学習も行える学校図書館に整備し直す必要があります。
そこで、私は、県立高校において読書センター、学習センター、情報センターとしての3つの機能を有する学校図書館をさらに充実させていく必要があると考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。
(阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。学校図書館は、生徒の想像力や豊かな心を育み、自発的、主体的な学習活動を支援するとともに、情報の収集・選択・活用能力を育成する上で重要であります。このため、県立高校におきましては、読書会や生徒が本の魅力を紹介し競い合うビブリオバトルなど読書意欲を喚起する取組のほか、調べ学習や新聞を活用した学習など、生徒の知的好奇心を醸成する探究的な学びを支援する取組などを行ってまいりました。学校図書館のセンター機能の充実に向けましては、今後、県立高校の全ての教員が参加する研修会を通しまして、各教科における効率的な利活用を促すとともに、高い専門性と豊富な蔵書を有する県立図書館との連携をさらに進めていくこととしております。
今後とも、学校全体で組織的に取り組むことを通じまして、県立高校における学校図書館の充実に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 大谷弥生議員。
(4番 大谷弥生議員登壇)
◆4番(大谷弥生議員) 教育長からご答弁をいただきました。ビブリオバトルについて触れていただいてありがとうございます。また、今後、組織的に学校図書館を見直していただけるという答弁もいただきました。
ここで再質問をさせていただきます。私は、県立高校の学校図書館をさらに充実させていくための一つの方策といたしまして、学校司書の担う役割を拡大し、見直す必要があると考えています。現在、県立高校全59校に学校司書は配置されています。再任用9校、会計年度任用職員50校、うち障害者雇用が18校と伺っています。県立高校に現在配置されている学校司書は、特に資格の有無が問われることもなく採用されておりますので、学校事務のような業務内容であると私は認識しています。主に読書センターとしての基礎的な業務内容となっており、そもそも学校司書に学習センター、情報センターとしての知識がないことや、学校司書の業務内容に学習センター、情報センターが含まれていないこと、学校司書と生徒との関わりが薄いようにも感じています。
しかしながら、新しい学習指導要領で総合的な探究の時間が始まりました。生徒一人一人が興味のあるテーマを見つけて、問いを立て、それを自分なりに解決していくために調査をしたり分析して発表していきますが、教科担任がそれらを1人で担いながら、生徒一人一人の可能性を伸ばすことができているのか、私は疑問に感じています。生徒が調査分析をする際、必要な本や資料にたどり着けなかった場合や、より深い資料を探している場合には、教科担任が個別にアドバイスが行えているのでしょうか。生徒がインターネットからの情報を得る際に、正しい情報源から情報を取ることができているのでしょうか。さらには、参考文献や引用、著作権について一人一人チェックができているのでしょうか。探究学習を行う際の教科担任は、生徒一人一人にアドバイスをしたり、チェックをしていく必要があり、私は学校司書に教科担任をサポートしてほしいと思っています。
そこで、新学習指導要領が全面実施され、探究学習が開始されたことを機に、学校司書が担う役割を見直して拡大する必要があると考えます。教育長の所見を伺います。
○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。ただいまの学校司書が担う役割の拡大につきましては、まずは学校司書の専門性を向上させていくというのが必要だと思いますが、あわせて、役割を拡大していくためには、司書1人ではなかなかできないこともありますので、教員と一緒になって、授業の中でどのように図書館を活用していくのか、その辺のところを考えていくということが重要になってくると思います。全国、県内外、様々な先進的な取組も行われておりますので、そういった事例を共有しながら、学校と学校司書が一体となって、有効に図書館が活用できるような方法をこれからも考えていきたいと思います。
○関谷暢之 副議長 大谷弥生議員。
(4番 大谷弥生議員登壇)
◆4番(大谷弥生議員) 教育長から前向きな答弁をいただきました。本当に専門知識の向上につきましては、現在も研修会などをやっていただいておりますが、また、先ほど茨城県の事例をご紹介しましたが、埼玉県でも学校図書館につきましては先進的な事例もあると伺っておりますので、ぜひともいろいろな学校、他県の学校を見学等していただければ、本当にありがたいと思っております。
私が、学校司書が担う役割を見直して、役割を拡大してほしいと願っている理由は、実はほかにもあります。多忙化する司書教諭の業務を軽減してほしいと思っているからです。これは、高校の司書教諭からの話ではありませんが、ある公立学校の司書教諭からお聞きしたことをお伝えします。「教員が資格を持っていることは、自分で自分の首を絞めることになっている。書道が得意な先生には賞状を書く仕事が任されたり、司書の資格を持っている教員は図書館主任や司書教諭となる。本来、教員が資格を持っていることは、児童や生徒にとってもよりよいことだが、小中学校では学級担任を持ちながら、高等学校においては授業時数が減らされることもない。そのような背景もあり、司書の資格を教員が隠すようにもなっている。企業であれば、資格を持っている従業員は優遇される。教員にとって、資格を持つことがマイナスとなっている。」そのようにおっしゃっていました。また、11月24日の下野新聞には、県内公立学校に勤務する教員の時間外勤務が国の上限、月平均45時間を超えた割合が52.8%に上回ったとの記事もありました。私は、司書教諭の業務の負担を減らしてあげたいと思っておりますので、ぜひともお願いいたします。
また、先ほど教育長が司書の資格を見直したり、研修などを行ってくださると言っても、学校司書は、先ほども申し上げたとおり、司書の資格は法律上必須条件とはなっておらず、現在資格がない方でも務めることはできますので、学校司書に対する研修会等をこれまで以上に充実させる必要があると私も思っています。これまでも総合教育センターなどで学校司書に向けた研修会を開催しているようですが、司書教諭と学校司書が一緒に受けられるように改善したり、日数を増やしたり、参加人数を拡大する必要性も感じています。
また、先ほど教育長から、県立図書館と連携をしていくとお答えをいただきましたので、その部分について再質問させていただきます。現在、栃木県立図書館は、学校図書館との連携のため学校支援図書セットを用意したり、テーマ別のブックリストを提供し、授業で使えるようにリスト化してあったり、研修会の企画や講師派遣も行っていて、大変充実した内容となっています。
そこで、これらのサービスの活用はもちろんのこと、知識や経験の豊富な県立図書館にいる司書から学ぶことも県立高校の学校図書館の充実に必要ではないかと考えます。学校図書館と県立図書館の連携についてどのように進めていくのでしょうか、教育長のお考えを伺います。
○関谷暢之 副議長 阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。県立図書館と学校図書館の連携ということだと思いますが、今お話がありましたように、県立図書館では学校の授業を支援するための様々な取組、メニューをたくさん用意してあります。そのようなものを学校の現場がどこまで周知できているのか、その辺りのところも含めまして周知をしっかり図って、実際に活用することによってその有益性を理解していく、体験することが重要だと思いますので、そのような取組が進むように努めてまいりたいと思います。
○関谷暢之 副議長 大谷弥生議員。
(4番 大谷弥生議員登壇)
◆4番(大谷弥生議員) 私も実は教育長と同じ思いでいまして、県立図書館から近い学校は、県立図書館と連携している県立学校も見られますが、やはり足利市のように遠くなってしまうとなかなか連携ができていない状況もあります。せっかく県立図書館では学校図書館を支援するためのメニューを用意していますので、十分にご活用いただきたいと思っています。
また、私は、支援メニューを活用するためには、まずは学校司書の方と県立図書館の司書がお互いのことを知ることから始めるのがよいのではないかと考えています。例えば、学校司書の研修会の講師を県立図書館の司書が務めることで、顔の見える関係性が生まれまして、何かの時には学校司書が県立図書館司書を頼るようになっていくと私は思っています。
また、現在、県立図書館の今後の在り方について話合いが行われているようですが、私は、県立図書館には正式に学校図書館支援センターとしての役割を担ってほしいと思っています。また、そのために、学校図書館を専門に担当する職員を県立図書館に配置し、県立図書館司書が学校司書に対して積極的にアプローチをしたり、フォローしたりと、指導的な役割を果たせる学校図書館支援センターとなることを最後に要望いたしまして、次の質問に移ります。
障害者の歯科診療について、保健福祉部長にお伺いいたします。宇都宮市にあるとちぎ歯の健康センター内には障害者歯科診療所が設置されており、その診療所では、心身に障害があるなど特別な配慮を要する方のための診療が行われています。栃木県歯科医師会所属の歯科医師等によって診療が行われており、足利歯科医師会の先生方も、ご自身の病院の休診日を利用して診療していただいています。令和4年度では延べ3,321名が受診されているようですが、診療を受けている方々のほとんどは近隣市町にお住まいの方と伺っており、私は遠方に居住する障害のある方が、十分に歯科診療を受けることができているのか危惧しています。
そこで先日、私は、県立足利中央特別支援学校に通う子供たちがどのように歯の治療を受けているのか、その状況を伺ってきました。学校からの説明によりますと、特別支援学校では年1回歯科健診が実施され、健診の結果によっては歯科医院に通うことになります。特別支援学校に通う児童にとって、学校で年1回行われる歯科健診を受診すること自体が容易ではなく、学校健診の中では歯科健診が一番苦手な健診であるため、学校歯科医のご理解と長年のご経験などによって、現在は健診が終わっているような状況と伺いました。
さらに、児童が歯科医院を受診することは、歯科健診を受けるよりもハードルが上がるそうで、特別支援学校に通う児童の中には、白衣を着ている先生を見るだけでも落ち着きがなくなったり、歯科医独特の匂いや治療音、そもそも口を開けることが苦手だったりと、歯科医院の環境に慣れるまでに時間がかかります。そのような状況もあり、学校での歯科健診が終わり、治療等が必要な児童には受診勧告書が渡されますが、保護者としては、歯科医院を受診しなければという思いはあるものの、子供が行きたがらない、治療を嫌がることで保護者の困り感が募るという現状もあるそうです。しかしながら、足利市にある歯科医院では、一般診療とは別に障害者用の診療時間を設けたり、落ち着いて受診ができるように個室を用意するなどの工夫がされている状況もあり、さらに、よほどのときは栃木県内の大学病院等で治療をしているそうです。
このように、障害者の歯科診療にご理解のある病院が身近にあることで、特別支援学校に通い、受診勧告書を受け取った児童の多くは、夏休み前には受診報告書を学校に提出できている状況です。これらのことから、私は、これからの障害者の歯科診療においては、身近な地域に障害者診療ができる歯科医師や歯科医院を増やしていく必要があると考えます。
そこで、障害者の歯及び口腔の健康を維持していくためにも、身近に障害者の歯科診療に理解のある歯科医院や歯科診療所を十分に確保する必要があると考えますが、保健福祉部長の所見をお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。障害の有無にかかわらず、地域で適切な歯科医療が受けられることは重要であり、障害の特性に配慮した診療等を行う栃木県障害者歯科医療協力医を登録しまして、障害者の診療体制の構築に取り組んできたところでございます。あわせて、とちぎ歯の健康センター診療所を運営しまして、障害者高次歯科医療機関等も含めまして協力医と連携するシステムを構築するなど、障害者歯科医療体制の充実を図っているところでございます。さらに、高齢化や診療実績がないなどを理由に協力医が減少傾向にあるところでございますが、障害者歯科に関連する専門の資格取得に向けた実務経験を得る機会をセンターにおいて確保するほか、研修会の開催など、新たな協力医の確保や資質の向上にも取り組んでいるところでございます。
引き続き、県歯科医師会等と連携・協力をしながら、協力医の確保に努めるほか、障害者施設等の巡回歯科相談・指導を通じた口腔ケアにも取り組むなど、地域における障害者歯科医療提供体制の充実・強化を図ってまいります。
○関谷暢之 副議長 大谷弥生議員。
(4番 大谷弥生議員登壇)
◆4番(大谷弥生議員) ただいま保健福祉部長からご答弁をいただきました。障害者歯科医療協力医を今後も増やしていけるような取組についてお話を伺ったところであります。障害者歯科医療協力医につきましては、令和5年度県民の歯及び口腔の健康づくりに関する報告書に記載されておりましたので、私も現状を確認させていただきました。県内で障害者歯科医療協力医は141名いらっしゃいまして、令和4年度の患者実数は2,437人となっていました。協力医1人当たりに換算しますと、17人の患者さんがいることになります。医療圏域別に見てみますと、とちぎ歯の健康センターがある宇都宮圏域は24人の協力医、患者実数は360人でした。協力医1人当たり平均15人の患者数となっており、県の平均を下回っています。歯の健康センターから離れた圏域を見てみますと、両毛圏域では協力医が25人いらっしゃいまして、患者実数は834人でありましたので、協力医1人当たり平均しますと33名となっています。これは、県平均の2倍以上の患者数となっています。さらに、両毛圏域は患者数が昨年度より増えている状況もありまして、両毛圏域においては協力医を減らさないようにする必要があり、さらには、センターのある宇都宮圏域では協力医を増やしていく必要があると考えています。
そこで、保健福祉部長に再質問いたします。私が、とちぎ歯の健康センターから離れた両毛圏域では協力医を減らさないように、そして、とちぎ歯の健康センターがある宇都宮圏域では協力医を増やしてほしいと思っている理由の一つとして、障害者にとっても身近な地域にある病院を選ぶかかりつけ歯科医の存在は、健常者以上に必要だと考えているからです。私は、とちぎ歯の健康センター内に障害者歯科診療所があることで、障害者の身近な地域の歯科医院ではなくセンターが選ばれているのでは、かかりつけ歯科医の考え方から離れてしまうのではと危惧しております。また、とちぎ歯の健康センターを設立した平成6年当時には、先ほどのかかりつけ歯科医や予防、オーラルケアといった考え方は、30年前はあまり聞かなかったようにも思っています。さらに、現在は訪問診療や在宅診療を行う歯科診療所も増え、患者が病院に出向くのではなく、医師が患者のところに出向く時代にもなりました。
このようなことから、平成6年度から変わらずにとちぎ歯の健康センター内で障害者の歯科診療が行われてきましたが、時代の変化に合わせて見直す必要があると考えます。保健福祉部長の所見をお伺いします。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。とちぎ歯の健康センターは、年間延べ3,000名の治療を行うなど、障害者歯科診療所として欠かすことのできないものであるとともに、協力医の登録条件であります診療実績を経験する貴重な場となっておりまして、協力医を増やすためにも欠かすことができない存在であると考えております。また、当センターと障害者高次歯科医療機関、協力医が連携しまして、栃木県障害者歯科医療システムを構築するようにしたことなど、適宜時代のニーズを踏まえまして施策の充実を図っている中で、現時点におきましては、当センターが中心的な機能を担っているものと考えております。
引き続き、障害者が住み慣れた地域で歯科医療を受けることができるよう、県内全域におきまして協力医の確保に努めるとともに、県歯科医師会と連携を図りながら、地域で支える障害者歯科医療体制の充実に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 大谷弥生議員。
(4番 大谷弥生議員登壇)
◆4番(大谷弥生議員) 先ほど保健福祉部長からご答弁をいただいた中に、協力医を増やすための研修を現在センター内で行っているとの答弁がありました。私も、そのようなセンターがないとこのような研修会などが実施できないのではないのかと思っております。治療よりも、研修の場としてとちぎ歯の健康センターを今後利用していただくことに力を入れて実施していただければいいと思っています。また、協力医を増やすには、やはり障害者診療にご理解のある歯科医師を増やしていく必要があると私は思っています。今週はちょうど障害者週間となっています。歯科医師の先生方には、こういった障害者の歯科診療について理解が広がるとよいとも思っております。
また、今回、私は日本歯科医師会のホームページにかかりつけ医について書かれていましたので、お伝えさせていただければと思います。かかりつけ歯科医につきましては、「乳幼児期から高齢期まで自分の口で食べ・話し・笑うことは国民共通の目標でもある」。「身近なかかりつけ歯科医がいることは健康寿命の延伸に資することになる」。かかりつけ歯科医が担う役割としては、「地域の関係機関や他職種と連携し、通院が困難な患者にさまざまな療養の場で切れ目のない在宅歯科医療や介護サービスを提供するとともに、地域包括ケアに参画することなどがかかりつけ歯科医の役割である。」とありました。私は、障害がある、なしに関係なく、身近なかかりつけ医の存在は重要と考えています。また、栃木県内の訪問歯科診療を行う歯科診療所の数は、令和2年度以降増加しておりますので、今後は障害者も診療ができる訪問診療所も増えてほしいと思っております。
また、先ほど保健福祉部長からの答弁の中にもありましたが、栃木県では令和4年度から在宅歯科・障害者歯科医療協力医等人材育成事業として、公益社団法人日本障害者歯科学会の認定医が不在の5つの在宅医療圏において、開業している歯科医師に対しまして、認定医の取得を推進するために助成金を支給するという新しい制度が始まっています。県南圏域に指導医が1人おりまして、令和4年度には2人の歯科医師がとちぎ歯の健康センター内にて日本障害者歯科学会の認定医の資格を取得するために経験を積まれております。1年では成果は表れにくいと思いますが、時代の変化に合わせて、身近なかかりつけ歯科医や訪問歯科診療所を増やすことに今後も力を注いでほしいと思っていることをお伝えいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
はたらくデイサービスについてを、続けて保健福祉部長にお伺いいたします。認知症啓発活動を行う市民団体であるRUN伴+足利・佐野2023は、9月のアルツハイマー月間のイベントとして、若年性認知症の当事者を講師に迎え、講演会が開催されました。その講師の方は、認知症と診断を受けてから、いつか自分も施設のお世話になる、自分が入りたいと思える施設を自分でつくろうと考えるようになり、2023年1月、高知県香南市にデイサービスを開所しました。その講師の方が入りたいと思い開所したデイサービスは、厚生労働省も勧めている社会参加や就労的活動を行う、いわゆるはたらくデイサービスです。
現在、デイサービスがある近隣の市にある企業5社と契約し、利用者が行けるときに当該企業において、収穫作業や洗車、清掃などを行い、その対価を受け取る有償ボランティアという仕組みを取り入れています。さらに、講師の方は、認知症だからと、できることまで奪われたくない、社会に貢献しているという実感を持つことが、病気の薬となり生きがいにもなる、また、はたらくデイサービスが全国に広がってほしい、とも話されていました。
今回、私は、若年性認知症の当事者の方が、はたらくデイサービスを開所したという話を例にお伝えいたしましたが、私は栃木県内にも若年性認知症の方だけではなく、要支援や要介護になっても社会参加や就労的活動ができる介護サービス事業所が開設されることで、今までのデイサービスのイメージを払拭できるとも考えています。高齢者の方が抱いているデイサービスのイメージとしては、折り紙や塗り絵をしている場所、家族が行けと言っているから仕方なく行く場所、年寄りが行くところなど、介護支援専門員さんがデイサービスの利用を促すと、そのような理由で拒否する要支援や要介護の方々もいるそうです。
私は、はたらくデイサービスが近くにあれば、このような高齢者がレクリエーション活動などで日中を過ごす場所といったイメージを払拭できるのではと考え、社会参加や就労的活動ができる介護サービス事業所が増えてほしいと思っています。現在、県内にははたらくデイサービスはない状況ですが、全国各地で広がりつつある状況です。栃木県では、はたらくデイサービスという選択肢が増えるよう周知を行っていくべきと考えます。
そこで、介護保険サービスの利用者の社会参加や就労的活動である働くことについて、どのように捉え、取り組んでいくのでしょうか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。超高齢社会を迎え、本県でも介護保険サービス利用者が増加する中で、高齢者や認知症の方が生きがいを持って自立した日常生活を営むことができるよう、就労的な活動も含めた社会活動に取り組むことは、介護予防の観点からも重要であると認識しております。市町では、地域の介護予防の拠点である通いの場において、高齢者等が支援を受けながらも、支える側として社会活動に参加する取組を実施している事例もありまして、県でも好事例の横展開を図っているところでございます。一方、県では就労の継続や経済的不安が主な課題となる若年性認知症の方に対しまして、若年性認知症支援コーディネーターや認知症地域支援推進員が中心となった就労継続のための相談支援や、県民等に対する若年性認知症に関する理解促進にも取り組んでいるところでございます。
今後とも、これらの取組を推進するとともに、介護サービス事業者等に対しましても、就労的な活動も含めた社会活動等の取組事例の周知に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 大谷弥生議員。
(4番 大谷弥生議員登壇)
◆4番(大谷弥生議員) 保健福祉部長からご答弁をいただきました。対価を払えるまでの介護サービス事業所がなかなか表れていないようですが、しかしながら、社会参加、社会と一緒になって活動している介護サービス事業所があるということで、横展開をしてくださるということで心強く思っています。また、就労的活動についても、これから周知を図ってくださるということで、今後、このはたらくデイサービスが広がりを見せることに期待しております。
今回、私は、はたらくデイサービスという聞き慣れない言葉を使いまして質問させていただきましたが、そもそもはたらくデイサービスの始まりは、先ほど保健福祉部長からのご説明もありましたとおり、若年性認知症などの認知症施策の中で行われ、当時は介護サービス事業所において、認知症の方を中心に地域の中で社会参加活動が行われておりました。その後、地方自治体から、この施設を運営するに当たり、社会参加活動を実施する場合の取扱いについて、意図するところが明瞭ではなくて、また、疑問に思う事柄が多くあったことから、厚生労働省は平成30年7月にその考え方や留意点を整理したということがありました。
その後の令和2年には、認知症としてくくられていた部分を、要支援や要介護の方々にも広がりを見せるということになっておりまして、現在は認知症のみならず、要支援や要介護の方々にも、働くですとか社会的参加の勧めをしているところであります。しかしながら、今年の9月に開設しました近隣県のある農園体験ができるはたらくデイサービスでは、開設の申請に当たりまして、前例がないと自治体の窓口で言われ、厚生労働省に確認をするという事例が身近で起こりました。
このように、いまだに一部の自治体では社会参加や就労的活動について認識されていないとのご指摘があり、また、はたらくデイサービスが広がらないそもそもの原因は、所管する行政窓口にあると言われたことがありましたが、そのとおりだと私は思いました。栃木県内ではこのようなことがないように、所管する県や市町の担当者の皆さんには、はたらくデイサービスのこともよくご理解いただいて、申請手続があった場合は、厚生労働省に確認することなくスムーズに対応していただくことを要望いたします。
また、厚生労働省からの通知からも分かるように、介護サービス利用者が有償ボランティア活動により謝礼を受け取ることは、条件付ではありますが認められています。さらには、社会参加や就労的活動は、自立支援という介護保険の本来の目的に沿ったものであり、社会参加、働くことにより、生きがいを持って生活することは自立に欠かせない要素だと私も考えています。その上、増大する社会保障費の抑制にもつながっています。このことを最後に強くお伝えいたしまして、最後の質問に移らさせていただきます。
安心安全なまちづくりにおける河川の流下能力の確保と適切な管理についてを、県土整備部長にお伺いいたします。栃木県議会では、今年度初めての試みとして、「~とちぎの未来を考える~栃木県議会県政ミーティング」を開催し、私は、佐藤議長をはじめ5名の議員と一緒に大田原高校を訪問させていただきました。大田原高校の生徒さんからのご質問の中に、会議がないときは何をしているのでしょうかとの問いかけがあり、私は、その回答として、会議がないときは県民の皆さんからのご相談を受けています、今年度、県民の方々からご相談が多かった内容としては、道路や河川の草を刈ってほしいとのご相談が多いですとお答えいたしました。
このように答えてしまうほど、5月から県議会議員となって活動するようになってからも、道路や河川の草刈り依頼は常に受けていた感じでいますし、そのたびに安足土木事務所には本当にお世話になっていました。また、安足土木事務所に依頼をする前に、必ず私は現地を確認するようにしていますが、依頼があった多くの現地を見て感じたことがありました。
現地を見て感じたこと、依頼が増えていると感じた1つ目としては、令和元年東日本台風にて被災してから4年が経過したこと、令和元年度から翌年度にかけまして、集中的に復旧作業によって川底の掘削などが行われましたが、4年が経過した現在、新たな木や草、ツル科の植物が生い茂っている状況です。さらに困ったことに、被災前には見られなかった丈夫で背丈の高い草や木が生い茂るようになり、生態系が変わってしまったのではとおっしゃる地域住民の方もいらっしゃいます。
2つ目は、やはり近年の地球温暖化の影響です。道路や河川敷道路付近の草刈りを頼まれる時期も例年より半月ほど早くなり、今年度は5月中旬から11月中旬にも依頼を受けました。また、近年の地球温暖化の影響で、道路や河川敷、そして川底に草や木が生え、成長するスピードも速まったように感じます。私は、同じ場所について2度目の依頼を受けたこともあり、そのようなご依頼をいただいたことは、議員になって初めてのことです。さらには、河川にたまった土砂が河川内にあることによって、草や木が生える原因となっているとともに、河川の断面を阻害し、河川の流下能力を低下させていると考えます。令和元年東日本台風で怖い思いをした河川沿いに住む住民の方々の多くは、河川に草や木が生い茂り、流下能力が低下した状況を見ると、そのときの恐怖がよみがえるので何とかしてほしいと強く訴えてきます。
以上のような理由から、私は近年の激甚化、頻発化する水害から県民の財産や生命を守るためには、平時からの河川の流下能力を把握し、河川の機能を維持することが極めて重要であると考えます。さらには、流下能力を高めるために、河道内の草や木を撤去することや堆積土の除去を計画的に取り組む必要があり、そうすることで安心安全なまちづくりにつながっていくと考えています。県は住民の不安を払拭するため、地域の声にも耳を傾けながら、スピード感を持って河川の流下能力の確保と適切な管理を進めていただきたい、そのように考えます。
そこで、河川の流下能力の確保と適切な管理に向けた対応や方策について、県土整備部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。河川の維持管理に当たりましては、災害の防止や河川の適正な利用、河川環境の保全などを踏まえ、河川が持つ本来の機能が十分に発揮されるよう努めていく必要があります。このため県では、河川の流下能力の確保や堤防及び護岸の維持、利用状況等の観点から、堤防の除草のほか、定期的な巡視や出水後の点検による河道内における土砂の堆積や立竹木の繁茂の状況把握等に努めております。巡視、点検の結果、流下能力の低下が見られる場合には、氾濫による影響が大きくなる箇所などにおきまして、地域の要望も踏まえながら、堆積土の除去や立竹木の伐採を順次実施しております。
今後とも、流下能力の確保をはじめとした適正な河川の維持管理に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 大谷弥生議員。
(4番 大谷弥生議員登壇)
◆4番(大谷弥生議員) 県土整備部長からご答弁をいただきました。日頃から、河川内の草ですとか木の生え方、生えている状況などを確認してくださるとお答えいただきました。私もパトロールをしてくださっている方を拝見したことがありまして、地域の方々からもパトロールをしてくださっていることを伝えていただいたこともあります。しかしながら、私にはこれまで、川の底に草が生えてしまったことによる河川の堆積土除去などのご相談は複数河川ありまして、8月下旬に安足土木事務所に依頼した堆積土除去1河川につきましては、今年度の補正予算で工事を行ってもらえるようになりました。しかしながら、それ以降にお願いした河川につきましては、予算不足が理由で来年度へと引き継がれることになっています。また、地域の方から堆積土除去を依頼された自治会長からは、数年前に1,000万円もかけて堆積土除去をしてもらった河川に、再度依頼をすることにためらいを感じると、そのように言われたときは、申し訳ない気持ちになりました。厳しい財政状況とは私も把握しておりますが、ぜひとも予算の確保をお願いしたいと思っています。
以上で、私が今回用意した質問は終了となります。今回質問させていただいた内容は、地元である足利市民の方々から私に寄せられた声がきっかけとなっています。その声を直接聞いたり、現場に出向いたり、また、関係する学校や施設などがある場合は、その施設にお邪魔して関係者から話を伺いました。内容によっては、県民の皆さんと一緒にまちづくりを行った経験を生かし、栃木県をよりよくしていくために必要なものは何か、その視点で考えていきました。そして、今回質問させていただいた内容は、私の考えとしてお伝えいたしましたが、県民の声を私が代わりに栃木県へお届けしたものと受け取っていただけるとうれしいです。足利市民の方々からすると、栃木県庁のある宇都宮市は遠いところであり、栃木県は私たちが住む足利市にも目を向けてくれているのだろうか、私たちの声は届いているのだろうかと、栃木県は遠い存在だとおっしゃる方もいます。ですから、私は栃木県や県議会を身近に感じてもらえるよう、これからも県民の近くで活動し、県民の声を栃木県に届けたいと思っております。
以上をもちまして、私の県議会議員となって初めてとなる一般質問を終了させていただきます。
○関谷暢之 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時15分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後0時15分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は48名であります。
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午後1時15分 開議
○関谷暢之 副議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) とちぎ自民党議員会、岡部光子でございます。質問最終日、午後の時間帯を頂戴いたしました。知事をはじめ執行部の皆様におかれましては、少々お疲れぎみかとは存じますが、県民の皆様のため、最後まで丁寧なご答弁をお願いいたしまして、私の最初の質問に入らせていただきます。
G7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合を契機とした県の取組について、知事にお伺いいたします。ジェンダー主流化の流れを強固にし、我が国の男女共同参画、女性活躍に関する取組の世界への発信及び一層の進展の契機とするため、今年6月、我が国が議長国を務めるG7における関係閣僚会合として、G7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合が本県の日光市において開催されました。会合においては、「コロナ禍での教訓を生かす」及び「女性の経済的自立」をテーマに議論が行われ、その成果は女性の経済的自立のほか、無償のケア、家事労働、意思決定における女性の代表性、社会の意識を変えるなどを課題として取り上げ、様々な課題の解決に向けた今後の取組方針が分野横断的かつ体系的に整理された日光声明として取りまとめられ、世界に発信されたところでございます。
この会合が成功裏に終了した後、県は9月に知事ととちぎ女性活躍応援団企業との意見交換会を実施し、また、11月には県民を対象としたG7開催記念のシンポジウムを開催いたしました。シンポジウムには私も参加いたしましたが、基調講演やトークセッションを通じ、県民の皆様がG7担当大臣会合の内容や本県の現状等を共有することができ、男女共同参画、女性活躍の機運を高めていく有意義な機会であったと感じております。こうした機運を持続させ、本県における女性活躍を一層盛り上げるとともに、男女が共に働きやすい環境づくりを推進し、女性にも選ばれる栃木県になるようにすることが今後重要であると考えます。
また、知事はさきの9月通常会議において、家族などみんなで家事を分担するとも家事の普及促進に取り組むことを表明され、11月22日をとも家事の日に制定されました。県では、とも家事の日を挟む2週間にとも家事をPRするイベントが県内各地で展開され、11月15日には、私の地元である佐野市の市役所ロビーにおいて開催されました。私も会場を訪れてみましたが、家事時間削減のための家電や食品の企業ブースの出展もあり、県民の皆様が日光声明に取り上げられた家事労働の女性への偏りという課題を身近に感じるきっかけになったものと感じました。さらなる女性活躍推進に向け、県だけが旗を振るのではなく、多くの企業などが取組に参画することのできる仕組みをつくるなど、このとも家事を社会全体に広げていくことも必要であると考えます。
そこで、女性が自信にあふれ、男女が共に輝くとちぎをつくるため、県は今後どのように取り組んでいくのか、知事にその意気込みをお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 福田富一知事。
(福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの岡部光子議員のご質問にお答えいたします。G7栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合の成果である日光声明に盛り込まれました女性の経済的自立や家事労働負担の不均衡の解消等は、将来にわたり持続可能で活力あるとちぎづくりにとりまして重要な課題であります。このため、G7担当大臣会合を契機とした男女共同参画への機運の高まりを生かしながら、9月には企業代表者との意見交換を行い、働き方改革や女性登用等に関する先進事例の周知を図るとともに、先月には様々な分野で活躍する方々を囲んで意見を交わすG7記念シンポジウムを開催いたしました。このシンポジウムにおいて、今後の行動目標となる輝くとちぎ宣言が県民の皆様と共に採択できましたことを大変心強く感じており、県といたしましても、宣言に込められた思いを受け止め、働く場における自分らしいキャリアの実現や地域における女性活躍の推進、誰もが生きやすい社会の実現に向けた各種施策に全力で取り組んでまいります。
また、家事育児の女性への偏りの解消は、女性活躍推進はもとより、少子化対策にも資する重要な取組でありますことから、11月22日のとも家事の日を中心に、市町や企業の協力を得てキャンペーンを展開いたしました。みんなで家事を分担し、家事時間の削減も図るとも家事は、思いやりを持って身近な生活における気づきを促し、固定的な性別役割分担意識などの構造的な課題の解消につながる第一歩になるものと考えており、今後は幅広い企業、団体の理解と参画を得ながら一層の推進を図ってまいります。
今後とも、我が国初となるG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合の開催県として、日光声明における課題の解決に率先して取り組むとともに、本県の女性活躍推進の加速化を図り、誰もが個性や能力を発揮しながら活躍できる栃木県の実現を目指してまいります。
○関谷暢之 副議長 岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) ただいま知事からご答弁をいただきました。ご答弁の中に、思いやり、気づきというお言葉を頂戴いたしました。様々な取組を通して、県民の皆様と共にこの機運を一層盛り上げ、男女共同参画社会を目指す栃木県となるように努力をし続けることが大切であると感じております。
先日、佐野地区県立学校合同芸術鑑賞会にお招きいただき、私の母校、旧佐野女子高校、現県立佐野東高校の皆様と共に「フットボールの時間」という劇を観賞いたしました。この作品は、2018年全国高等学校演劇大会で、日本女子サッカー発祥の地と言われる香川県立丸亀高校の演劇部が最優秀賞を獲得した作品を基に、プロの劇団が演劇化をしたものでございます。
大正時代、はかま姿の女学生らがサッカーに興じる生き生きとした姿がそこにございました。しかし、残念ながらボールは取り上げられ、サッカーが禁止となります。サッカーができなくなって、彼女たちを絶望のふちに追いやったのは、貧困でも権力でもない、そこには、女性には女性の本分というものがある、女性はしとやかな大和なでしことして男性を支え生きていくことという当時の男尊女卑の考え方そのものでございました。時代の波に押し潰されそうになりながらも、女学生は夢や希望を持ち、いつか女性も活躍できる未来に夢をつないでいきます。様々な壁や社会の理不尽さに立ち向かい、前へ進んできた彼女たちの思い、100年の時を超え、現代を生きる私たちに送られてきた力強いエールのような作品でございました。
次の100年後はどうなっているのかと想像をするのでございますが、それは今を生きている私たちの行動にかかっていると思っております。一過性で終わることなく、G7担当大臣会合の成果を今後も力強く次世代に継承し、誰もが輝く女性たちにも選ばれるとちぎとなるよう、オール栃木で取組を推進していくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
スポーツを活用した地域活性化の推進について、
生活文化スポーツ部長にお伺いいたします。我が会派の高山和典議員からも、先ほど
スポーツツーリズムなどを推進する中で、国体の有形無形のレガシーの継承と、新しいとちぎづくりについての質問がありましたが、私からは、より具体的な取組について伺ってまいります。昨年開催されたいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会では、スローガンの「夢を感動へ。感動を未来へ。」のとおり、本県はもとより、全国から参加した選手の皆さんのすばらしいパフォーマンスが私たちの記憶に残りました。これらの大会で培った有形無形のレガシーを継承し、次の世代へと引き継ぎ、スポーツの力で新しい栃木県の未来をどのようにつくっていくのかが問われております。
スポーツは、個人の体力向上や健康増進に資するだけではなく、競技や観戦により参加者の交流につながり、観光資源と組み合わせて
スポーツツーリズムを推進することで交流人口が拡大するなど、地域活性化の推進力となります。本県では、東京2020オリンピック・パラリンピックやいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の盛り上がりを受け、県民の皆様のスポーツに対する興味、関心や新しいとちぎづくりへの期待が高まっております。
今、まさにスポーツの力を活用した本気の地方創生やまちづくりに積極的に取り組む好機でございます。また、大会会場となった県民総スポーツの推進拠点である総合スポーツゾーンの完成や大会に向けた県内各市町のスポーツ施設の整備、スポーツボランティア制度の構築、県内のプロ選手や社会人、学生選手の活躍、未来の有望選手への期待感の高まりなど、スポーツを最大限に活用する環境が整いました。
このような中、県はスポーツを活用した地域活性化の推進に向け、県が取り組むべき施策の方向性を示す戦略を策定するとともに、今年4月には庁内に
スポーツコミッションチームを立ち上げました。7月には国の
スポーツツーリズム推進基本方針も踏まえ、官民連携による栃木県
スポーツコミッションが設立され、これまでに国体でも使用した栃木県ライフル射撃場への全日本学生スポーツ射撃選手権大会の誘致などの実績があったと聞いております。今後も、官民連携の下、県民の皆様の協力も得ながら、オール栃木でスポーツの活用により人を呼び込み、さらなる地域の活性化につなげていく必要があると考えます。
そこで、県はスポーツを活用した地域活性化の推進について、今後具体的にどのように取り組んでいくのか、
生活文化スポーツ部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 野原恵美子
生活文化スポーツ部長。
(野原恵美子
生活文化スポーツ部長登壇)
◎野原恵美子
生活文化スポーツ部長 ただいまのご質問にお答えいたします。多くの団体に参画いただいております栃木県
スポーツコミッションの誘致活動によりまして、本年7月からの約5か月間で、全国レベルの大会が4件、また、大学の体育会等のスポーツ合宿が10件で、延べ713人泊の開催を支援するなど、着実に実績を上げているものと考えております。また、中央競技団体を訪問いたしまして、コミッションの誘致活動のPRや国際大会などの大規模大会等に係る情報の収集を行っておりますほか、今後は、SNSはもとより、年内に公開予定の
スポーツコミッションの専用ホームページを活用いたしまして、各市町の特色あるスポーツ施設や宿泊施設、スポーツイベントなどに関する情報発信を強化してまいります。さらに、大会等の開催には運営を支える存在が不可欠でありますことから、スポーツボランティア制度を創設いたしまして、現在101名の登録があり、既に県内スポーツイベントで活動いただいているところであります。
引き続き、市町や
プロスポーツチームなどコミッションの構成メンバーと密に連携しながら、誘致活動等を戦略的に展開いたしまして、スポーツを活用した地域活性化に積極的に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) ただいま
生活文化スポーツ部長から、具体的な実績、数字、そして取組の内容等、答弁をいただきました。今後は
スポーツコミッションが主体となり、大規模大会、国際大会、イベント、合宿の誘致などの動きが活発化し、さらなる栃木県の魅力発信につながると思います。
新型コロナウイルス感染症も5類に引き下がり、行動制限も緩和し、経済も回り始めております。今後は、さらにインバウンドの需要拡大も見据え、様々な
スポーツツーリズムを活用した地域活性化の可能性を検討していただきたいと思います。
昨日の横田誠議員の質問にもございましたが、私の地元佐野市においては、クリケットを核としたまちづくりによる地域活性化を図っております。2028年に開催のロサンゼルス夏季オリンピックにおいて正式に競技種目として承認されました。国内外から今、関心が急激に高まっているところでございます。これを好機とし、佐野市に本拠地を構える日本クリケット協会は、来訪する外国人のお客様をおもてなしの心でお迎えし、機運を醸成し、様々な交流につなげていくとしております。先日、佐野市で開催されたエンバシーカップは、各国の食や文化、音楽も楽しめるインターナショナルな大会となり、まさに県が今目指すスポーツを活用した地域活性化に寄与した大会となりました。
今後も、各市町における地域の強みを生かした
スポーツツーリズムの構築をオール栃木で推進し、地域活性化につながるよう取り組んでいただきますことを要望し、次の質問に移ります。
こどもまんなか社会から考える里親制度の推進について、保健福祉部長にお伺いいたします。現在の日本において、虐待、親の経済的理由、病気など様々な理由で親と暮らせず、社会的養護が必要な子供たちは約4万2,000人と言われております。このような中、国では、今年度発足したこども家庭庁において、子供の権利を守るための子供政策に強力なリーダーシップを持って取り組むとし、親元で暮らせない子供を家庭的な環境で養育する里親制度を推進しております。
本県においては、令和2年に策定した栃木県社会的養育推進計画に基づき社会的養育の体制整備に向けた取組を進めており、令和3年10月には里親養育支援機関栃木フォスタリングセンターを立ち上げ、里親制度の普及啓発、研修、委託後の養育への様々な支援などサポート体制を組み、里親委託の推進に取り組んでおります。その活動の成果もあり、令和5年3月末現在の里親登録数は、5年前の約1.4倍の366組まで増加いたしました。
しかし、海外では身近な里親制度ですが、本県ではまだまだ認知が進んでおらず、積極的な制度の普及啓発が必要です。また、本県で虐待、親の経済的理由や病気などにより親元で暮らせない子供たちの数は、令和3月末時点で603名、そのうち里親家庭で暮らすのは116名、ファミリーホームでは3か所で11名、計127名にとどまっており、里親やファミリーホームへの委託によって養育されている児童の割合を示す里親等委託率は、前年度比1.8%増の21.1%となりましたが、ここ5年ほど全国平均には届いていない状況でございます。
その原因の一つに、虐待を受けた経験など複雑な背景がある子供たちが増加し、対応できる里親とのマッチングに時間がかかっているということでございます。もちろん数字を上げればよいというのではございませんが、私は、子供が権利の主体であることを明確化した児童福祉法の趣旨からも、里親はもちろん、当事者である子供の声をしっかりと聴き、その気持ちに寄り添いながら、子供ファースト、子供の幸せを第一に、できるだけ多くの子供が温かな家庭環境で成長できるよう、委託を受けている里親はもちろん、登録はしているものの、まだ委託を受けていない、未委託の里親の相談にもきめ細かく対応するなどしっかり支援をし、マッチングを進めていく必要があると考えます。
そこで、栃木県の子供たちの権利を守るため、県はより一層の里親制度の推進に向け、今後どのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
(岩佐景一郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、里親制度の推進に当たりまして、子供の権利を守るため、児童相談所において丁寧に里親と里子のマッチングを進めており、今年度から各児童相談所に家族や里親等の支援を専門に行う社会的養育支援チームを設置するなど、体制の強化を図っております。また、令和3年度に立ち上げましたフォスタリングセンターでは、普及啓発、里親のリクルート、養育支援等を包括的に行いまして、里親制度を強力に推進しているところでございます。今後は、この制度が子供のためにあるということを、あらゆる機会を通じてより丁寧に普及啓発を進めていきたいと考えております。さらに、同センターにおけます里親等からの相談対応や家庭訪問などの養育支援の機能につきまして、ノウハウの蓄積等により強化を図るとともに、児童相談所との連携を進め、里親のサポート体制の充実に努めてまいります。
引き続き、一人でも多くの子供がそれぞれの特性に適した里親の家庭等で生活ができるよう、里親制度を積極的に推進してまいります。
○関谷暢之 副議長 岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) ただいま保健福祉部長から、児童養護施設との連携を取りながら里親制度の推進について取り組んでいきたいという旨のご答弁をいただきました。
ここで、保健福祉部長に再質問いたします。今回の私の里親制度推進の質問はこれで3回目となります。質問に立つたびに県民の皆様からの問合せや相談が増える中で、里子さんのニーズはどんどん複雑化、多様化し、大きくなっていると感じております。もっとスピード感を持って里親制度の環境を整えていかないと、子供たちのニーズに合った里親とマッチングが整う前に、例えば、まだ子供を委託されていない未委託の里親が、委託を受けられていないのは自分たちに何か問題があるのではないかと不安になったり、里親になることへのモチベーションが保てず、登録をやめてしまう、要は気持ちが途絶えてしまう、途切れてしまうといったリスクがございます。
本県では、栃木フォスタリングセンターで里親からの相談支援等を実施し、一方で、マッチングは児童相談所が行っております。例えば、新潟市では相談から委託、その後のサポートまで専門の職員が一貫してワンストップで支援をしており、継続的で密なコミュニケーションにより、里親の様々な環境の変化にも気づき、素早くマッチングにつなげるということができているようでございます。また、岡山県では一時里親推進事業を実施しており、短期間の養育経験を通じて、未委託の里親なども関係機関との連携の在り方をイメージしながら、委託までのモチベーションを保つことができるようにしているということでございます。
このような例も参考に、本県でも子供たちのニーズに合ったマッチングが1組でも多く、より短期間で実施できるように新たな体制の構築を検討すべきと考えますが、保健福祉部長の所見を伺います。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。栃木フォスタリングセンターは設置から2年が経過したところでございますが、この間、里親に関連します普及啓発、リクルート、研修、養育支援などの業務を包括的かつ積極的に行いまして、着実にノウハウを蓄積しているところでございます。引き続き、こういったノウハウの蓄積に努めながら、国の方針、それから他県の有効な取組なども注視しながら、同センターの機能強化等につきまして検討してまいります。
○関谷暢之 副議長 岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) 保健福祉部長から、包括的にというお言葉を頂戴いたしました。今後、こどもまんなか社会を構築していく中で、未来ある子供たちのために、栃木フォスタリングセンターの活動の充実とともに、新たな体制づくりもお願いしたいと思っております。委託を承認された里親は、里子さんが委託されることを心待ちにしております。委託率からいいますと、10人中2人ぐらいしか里親さんたちは子供たちを預かることができません。おもちゃを早々に用意し、そしてお部屋を1つ用意し、毎日のようにそこのお部屋を掃除しているということを聞いております。こういった未委託の里親さんをそれぞれコミュニケーションを取りながら、そして、親を待っている子供たちのマッチングをぜひ新しい体制づくりを模索しながら、庁内の要請、それから人員、予算がいろいろあると思いますけれども、ご検討いただくように要望し、次の質問に移ります。
県産木材の利用拡大に向けた取組について、環境森林部長にお伺いいたします。栃木県は、県土の約半分を森林が占め、そのうち約3分の1が杉やヒノキなどの人工林であり、現在その約7割が本格的な利用期を迎えております。また、本県は無垢材の生産を核とした大規模な製材工場が多く立地し、優良な木材製品を生産する全国有数の木材生産県であります。
私は今年、農林環境委員長として、本年6月の全国植樹祭や11月の全国育樹祭に参加させていただきましたが、本県の林業・木材産業の成長のための、「伐って、使って、植えて、育てる」といった森林資源の循環利用の重要性について改めて強く認識したところであり、その実現に向けては、優れた県産木材、とちぎ材のさらなる利用拡大を図っていくことが必要だと考えております。
本県では、脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律、通称都市(まち)の木造化推進法の改正を踏まえ、本年7月にとちぎ木材利用促進方針の改定を行われたところでございますが、今後はこの方針に基づき、県産木材の利用拡大に向け、民間建築物の木造・木質化へのさらなる支援など、様々な施策を積極的に推進すべきと考えております。
また、現在、都市部において、公共、民間を問わず、中・大規模建築物の国産材利用が進んでおり、特に東京圏においては、全国の自治体が地元木材の新たな販路開拓を目指し、激しいPR合戦が繰り広げられておりますが、本県もこのような動きに後れを取らないよう、とちぎ材の特徴と優位性を分かりやすく発信するなど、しっかりと取り組んでいくことも重要と考えます。
そこで、県は、林業・木材産業の成長産業化に向け、どのように県産木材の利用拡大に取り組んでいくのか、環境森林部長に伺います。
○関谷暢之 副議長
小野寺一行環境森林部長。
(
小野寺一行環境森林部長登壇)
◎小野寺一行 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県産木材の利用拡大を図るため、県では、木造住宅建築への支援や公共建築物の木造・木質化、木材製品の東京圏への販路開拓など、各種施策を推進してまいりました。このような中、
カーボンニュートラルの実現に向けた取組など県産木材への関心の高まりを背景に、本年7月、とちぎ木材利用促進方針を改定し、民間建築物を含めた建築物全体におけるより一層の木材利用の促進を図っていくこととしたところであります。
県といたしましては、これまでの取組に加えまして、民間非住宅建築物の木造・木質化の促進など、新たな需要の創出に取り組んでまいります。また、製品展示商談会への出展や、東京圏の木材建築事業者等を対象としたとちぎのいい木PRツアーの開催時に、県産木材の特徴をまとめた冊子等により、優れた品質や強度性能などの強みを分かりやすく伝えることで、東京圏へのさらなる販路開拓につなげてまいる考えであります。
今後とも、関係団体等と連携を図りながら、林業・木材産業の成長産業化に向けた県産木材の利用拡大に積極的に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) ただいま環境森林部長からご答弁をいただきました。とちぎのいい木PRツアーの開催、そして東京圏での木材製品展示商談会への積極的出展ということでご答弁をいただいております。今後は、民間建築物を含めた建築物全体への木材利用の促進が重要になってくるのでございますが、ぜひ木造技術の普及を図るとともに、要望となりますが、建築士の皆様へのスキルアップ講習も、他機関との連携・協力をするなどし、中・大規模木造建築物設計の担い手となる技術者の育成にも尽力していただきたいと思います。また、木造建築物設計時に使用する木材について助言等を行う木材コーディネーターの認知度をさらに上げ、市町とも連携を図っていただき、木材利用の促進を強力に進めながら、公共施設、民間建築施設等への木材利用の推進をしていただくことも要望したいと思います。
そして、いよいよ来年4月にはオールとちぎ材を使用したすばらしい校舎を持つ林業大学校が開校いたします。意欲ある人材が集まりますように、そして、県内はもとより、県外へのPR、広報活動も積極的に行っていただきますよう併せて要望し、次の質問に移ります。
農業を支える新たな担い手の確保・育成について、農政部長にお伺いいたします。私の地元佐野市は、国道沿いを中心に商工業が栄える一方、一歩外に出ると豊かな田園風景が広がり、イチゴやトマト、梨、米など様々な農産物が栽培されており、農業も盛んな地域です。美しい景観とともに、食料生産の源である農業を今後も末永く守っていかなければならないと強く感じているところでございます。
しかしながら、昨今の不安定な国際情勢により、肥料、飼料、燃料価格の高騰が続いております。また、少子高齢化に伴う人口減少、さらには、最近あまりの暑さに地球沸騰化などとも呼ばれておりますが、地球温暖化の影響による気候変動を原因とした自然災害の激甚化、頻発化など、農業を取り巻く情勢は大きく変化しております。このような状態が続けば、農業経営を続けていくことが難しくなり、農業を諦めてしまう人が増え、地域農業の維持・発展に影響してしまうのではないかと危機感を抱いております。
本県の担い手に目を向けますと、基幹的農業従事者は、令和2年は約4万3,000人で、5年の間に1万人減少し、70歳以上が約半数を占めるなど、高齢化が一層進んでいる状況にございます。今年度は本県農業の基本計画であるとちぎ農業未来創生プランの3年目に当たりますが、豊かな環境を育む、ふるさと栃木の農業・農村を次世代に引き継ぎ、農業が成長産業として持続的に発展を続けていくためには、まず、農業を支える新たな担い手となる人材を確保・育成していくことが喫緊の課題と考えます。
今年度の農林環境委員会において、令和3年度に特定テーマとして調査研究を行った地域農業を支える担い手の確保の取組状況について討議を行いました。この検討においても、県内外から新たな担い手をさらに確保していくことが重要である等の意見が出されたところでございます。私は、新たな担い手を確保・育成していくためには、本県にはイチゴをはじめとする魅力的な農産物があることや、元気に農業に取り組んでいる若者がいること、就農しやすい環境があることなど、栃木県の農業の魅力を積極的に発信し、意欲ある若者をさらに県内外から呼び込み、定着させていくことが必要であると考えます。
そこで、県は、農業を支える新たな担い手の確保・育成に向け、どのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。農業の新たな担い手の確保・育成に向けましては、まず、本県で就農するメリットや将来の経営イメージを伝え、就農意欲を喚起することが重要であると考えております。このため、県内外の若者に対しまして、就農支援サイト「トチノ」により若手農業者の活躍する姿を動画配信しますとともに、農作業体験会や県内外での就農相談会等を開催してまいります。
また、希望者を着実に就農へと導き、定着を図るため、とちぎ農業経営・就農支援センターにおいて栽培品目や就農地域などの相談にワンストップで対応しますとともに、市町やJAなどとサポートチームを編成しまして、研修先や農地のあっせん、仲介に加え、経営開始時の費用負担の軽減や普及指導員による技術指導の実施など、個々の状況に応じた伴走型のきめ細かな支援を行ってまいります。
○関谷暢之 副議長 岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) ただいま農政部長から栃木県の農業発展のために力を尽くしていくとのご答弁をいただきました。栃木県の元気は農業から取り戻すの意気込みで、様々な施策を力強く推し進めながら、新たな担い手の確保・育成に取り組んでいただきたいと思います。私たちは、コロナ禍を経て勝ち得た教訓から、都市部からの農村回帰、不安定な国際情勢による国内回帰の社会風潮を追い風に、まさに今、栃木県の農業を前に進めるときだと思います。
ここで、農政部長に再質問いたします。最近、農業において、若者だけでなく、女性も活躍する方が増えてきていると感じております。女性ならではの視点や感性を生かすことで、農業の新たな可能性を高めてくれるものと期待しており、女性の農業への参画をより一層促進していくことが重要であると考えております。
そこで、県は、農業分野における女性の活躍促進にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 熊田欽丈農政部長。
◎熊田欽丈 農政部長 再質問にお答えいたします。県では、農業分野における女性の活躍を促進していくため、とちぎの農業・農村男女共同参画ビジョンに基づきまして、各種施策を展開しているところでございます。具体的には、女性が農業に参画しやすい環境づくりをするため、農業経営におきまして、パートナーとの役割分担を明確にしました家族経営協定の締結を推進しますとともに、農作業時のトイレや更衣室の整備などを支援しております。また、女性の視点や感性を生かした取組を促進するために設置しましたとちぎびぃなすLaboを活用しまして、女性農業者同士の交流、経営能力の向上などを支援しているところでございます。さらに、女性の農業委員や農業士が活躍する姿をウェブサイトやSNSなどで広く発信しますとともに、男性側に対しまして、女性参画の重要性について理解を深めるセミナーを開催しているところでございまして、今後とも、これらの取組を通じまして、女性のさらなる活躍促進を図ってまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) 農政部長からご答弁をいただきました。農業分野においても女性が輝ける、そういった職場になるように環境整備、そして各種セミナーの開催などお願いしたいと思います。また、先ほども農政部長から答弁がございました「トチノ」やその他SNS等の積極的PR、これも私からもぜひお願いしたいと思います。女性も農業を始めるなら栃木県というイメージを全国に発信していただければと思います。先ほど農村回帰のお話をいたしましたが、佐野市では、地域を元気にする若者の有志団体、これは女性も含まれております、が存在し、遊休農地を利用し、米だけでなく、甘茶や果実を栽培し、地域の人々を巻き込んで活動しています。彼ら、彼女たちは、地域の活力、活気を発信し、外部からの移住・定住を図ることを目標に活動し、実際に県外から移住し、一緒に活動を始めた若者がいるといううれしいお話を伺いました。また、彼らはSNSを駆使し、全国の若者、女性とつながって常に情報発信をしております。女性を含む次世代の若者を取り込みながら、栃木県の明るい農業を支えていく担い手の育成にもさらなる応援をお願いし、次の質問に移ります。
都市計画道路3・4・1号前橋水戸線の整備について、県土整備部長にお伺いいたします。都市計画道路3・4・1号前橋水戸線、これは県道桐生岩舟線になりますが、この都市計画道路は、佐野市役所を中心とした市街地における東西のシンボル軸として、まちなかの活性化を支えるとともに、災害発生時には市役所への主要アクセス路として第2次緊急輸送道路のネットワークを構成し、様々な防災拠点と接続、連絡をし合う重要な路線であります。中でも大橋町から相生町の約1,700メートルについては、まちなかであるため、通勤通学による通行が多いのにもかかわらず、歩道がない部分があることで自転車関連の事故が多発するなど危険と隣り合わせであり、住民からは、安全確保のために歩道の整備を要望する声が上がっております。また、無電柱化が進んでいないため、災害時に緊急車両等の通行のため、最低限の瓦礫処理を行い、簡易な段差修正等により救援ルートを確保する道路啓開ができないのではないかという不安の声が住民から聞こえてきております。
このような中、市役所周辺300メートル区間である高砂町工区は平成27年度に事業が始まりました。次に、令和元年東日本台風時に甚大な被害があった秋山川の改良復旧に伴う大橋の架け替えに関連する大橋工区の区間の拡幅にも令和2年度から着手され、事業が進められてきております。この都市計画道路を整備することは、市役所周辺の中心市街地における安全で災害に強い道路の構築実現に必要不可欠であるとともに、ひいては古くからの商店街、文化施設なども立地する沿道の景観の向上や、佐野ラーメン等のご当地グルメ満喫ルートとして観光復興にも寄与し、まちなかの活性化に資するものであると考えます。
そこで、現在進められている都市計画道路3・4・1号前橋水戸線の佐野市街地周辺の整備の進捗状況について、県土整備部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。都市計画道路3・4・1号前橋水戸線のうち、大橋町から相生町までの約1,700メートル区間は、佐野市が進めるまちづくりと一体となって、安全な自転車歩行者空間の確保や無電柱化による都市の景観形成、防災機能の向上に取り組んでいる路線でございます。高砂町工区につきましては、これまでに約9割の用地を取得し、道路北側の歩道及び電線共同溝の整備を完了させたところであります。今年度は、残る用地の取得と南側の歩道及び電線共同溝の整備などを進めてまいります。また、大橋工区につきましては、これまでに約8割の用地を取得し、仮橋を設置したところであります。引き続き、残る用地の取得や既設橋の撤去、橋梁の下部工事を進めてまいります。
今後とも佐野市と連携し、地元関係者の協力を得ながら事業を着実に進めてまいります。
○関谷暢之 副議長 岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) ただいま県土整備部長から、着実に進めていくというご回答をいたきもした。この都市計画道路は、まさに佐野市の顔、表玄関とも言うべき道路であり、まちなか活性化を支えるシンボルロードでもあります。また、サイクルツーリズム県南地域モデルルート、わたらせ8の一部を構成する道路でもございます。ご答弁いただいた現在事業が進んでいる工区のほか、未整備の区間の早期整備についても併せて要望し、最後の質問に移ります。
一級河川菊沢川の改修について、県土整備部長にお伺いいたします。一級河川菊沢川は、佐野市田沼地区の重要な雨水排水施設である田沼都市下水路から接続し、堀米町など市街地を流下して、渡良瀬川に合流する一級河川です。上流部においては、菊沢川放水路の完成に続き、改修工事に着手していただいているため、市街地における洪水の防止や被害の軽減につながるものと期待されております。下流部の船津川町から田島町にかけてですが、令和元年東日本台風により広範囲にわたり溢水し、渡良瀬川合流地点から国道50号の上流部、田島町にかけて浸水し、住民生活に甚大な被害をもたらしました。下流部は、河道が屈曲し狭小であるところに樹木が繁茂するなど、流下能力が不足していることが原因であると考えます。
近年、気候変動により自然災害が激甚化、頻発化していることを踏まえると、今後も同様の被害が懸念されております。地元住民の皆様の不安を払拭するためにも、この下流部についても早急に改修が必要です。また、このエリアは隣接する羽田工業団地とともに、物流、運輸系の倉庫が多く立地し、工業系用途が集積しております。菊沢川下流の改修工事が実現すれば、現在、周辺に立地する企業の水害に対する不安も払拭され、今後整備が進む産業拠点への立地を考える企業の安全・安心にもつながります。さらに、このエリアは国道50号と主要地方道佐野行田線の結節点に位置することから、東西南北への交通利便性が高いエリアでもございます。
そこで、このような状況を踏まえ、国土強靱化及び防災・減災対策として一級河川菊沢川の改修にどのように取り組んでいくのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。菊沢川の渡良瀬川合流部から市道田島橋までの5.0キロメートル区間につきましては、川幅が狭いため流下能力が低く、平成27年関東・東北豪雨及び令和元年東日本台風におきましても浸水被害が生じており、抜本的な対策が必要であると認識してございます。県では、これまで応急的対策としまして、田島地内における護岸のかさ上げなど局所的な工事を実施する一方、抜本的対策に当たっての調査及び設計を実施してきたところでございます。このような状況の中、沿川において佐野市による新たな産業団地等の整備が計画され、河川整備の重要性がさらに高まったことから、開発予定地を含む渡良瀬川合流部から国道50号の北側までの3.3キロメートル区間につきまして、整備に向けた検討を行っているところでございます。
今後とも、市と連携しながら早期に事業に着手できるよう努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 岡部光子議員。
(15番 岡部光子議員登壇)
◆15番(岡部光子議員) 県土整備部長からご答弁をいただきました。検討するということで、具体的な方向性ということにはならないと思いますけれども、ぜひとも検討をお願いしたいと思います。私が前回質問した県南西部地域における広域道路整備にも関連いたしますが、菊沢川の整備が進むことにより、田島町を横断する国道50号沿線の開発とも高い相乗効果が見込まれます。東北自動車道と連結する国道50号は、沿線沿いに工業団地、大型商業施設が立地し、その利便性から企業立地の問合せが多数佐野市にございますが、対応し切れていない状況にございます。
そのような中、昨年度末、地域未来投資促進法に基づく基本計画において、佐野市と野木町の一部が重点促進区域に設定されましたが、佐野市においては、まさにこの国道50号沿いのエリアがその区域であり、開発を予定しているところでございます。今回質問した菊沢川も開発エリアに位置することから、この開発整備により、佐野市のみならず、周辺県南地域全体の産業振興、活性化が見込まれることからも、菊沢川下流部の早期改修を重ねて要望いたします。
また、本年10月で栃木県において甚大な被害をもたらした令和元年東日本台風から4年の年月がたちました。県は、本市において台風による大規模な浸水被害などを踏まえ、秋山川、旗川、出流川、小曽戸川など河川整備を着実に進めていただいており、住民の皆様は感謝をしているところでございますが、近年の気候変動による自然災害が激甚化、頻発化しており、住民の皆様は今なお不安を抱いております。引き続きの堤防強化、河川の堆積土除去、立木伐採等を併せてお願いしたいと思います。
今回は、G7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合を契機とした県の取組についてなど7項目について質問いたしました。今年は改選の年でございました。2期目の挑戦を果たし、再び県民の皆様の負託を得ることができ、また、この県制150年という節目と重なり、私も気持ちを新たに初心に戻って、しっかりと県民の皆様の声を県政に届けていきたいと、そのように決意を新たにしたところでございます。
先ほど質問の中で、県立佐野東高校の生徒の皆さんと「フットボールの時間」の演劇を観賞したお話をさせていただきました。劇中、1人のはかま姿の女学生が先生にこのような質問をするシーンがございました。「先生、私たちが見た夢、100年後、かなっていますか」、そのまさかの100年後の2011年、サッカー女子日本代表なでしこジャパンがワールドカップで優勝を果たすとは、その時代の誰が想像していたことでしょうか。2011年は東日本大震災の大きな被害がありました。たくさんの国民の皆様に勇気と感動を与えた大会でもございました。
今から100年後、栃木県は誕生250年となります。ずっと先の話ではございますが、その頃には男女共同参画社会という言葉自体がなくなり、当たり前のようになっておりますように、そして志のあるたくさんの、たくさんの女性たちがその能力を十分に発揮し、男性も、女性も輝く栃木県になっていることを心から願い、私の全ての質問を終了いたします。
○関谷暢之 副議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後2時14分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は49名であります。
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午後2時30分 開議
○佐藤良 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。板橋一好議員。
(52番 板橋一好議員登壇)
◆52番(板橋一好議員) 今回、私は、過日の全国都道府県議会議長会で勤続50年の表彰をいただきました。続いて、栃木県議会、また栃木県からも賞していただきまして、誠にありがとうございます。心から感謝を申し上げます。もとより浅学非才の私が今日まで、こうやって何とか頑張ってこられたのは、ひとえに後援会の皆様方、そして先輩、後輩、仲間の県議会議員の皆さん、そして歴代知事の皆さん、県庁職員の皆さん方のおかげでありまして、改めて心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。
50年と一口に言いますが、いろいろやりたいこと、やったこともありましたし、まだまだ残されていることもあります。幸いにして14期目の任期をいただきましたので、この残されました3年余りを全力で仕上げに取り組んでいきたい、こんなこともありまして、今回、今までのいろいろな課題を再整理の意味で質問いたします。そういった意味では、もう言い古したことにもなるかもしれませんが、知事はじめ執行部の適切な答弁を期待して、質問に入ります。
最初に、国道4号及び新4号国道の整備促進についてであります。ご承知のように、国道4号線あるいは新4号線は、東北地方と首都圏を結び、東日本の大きな経済を支える、そして栃木県におきましても県南、県北をつなぐ東北自動車道と並ぶ大動脈であることは間違いありません。これにつきましては、ご承知のように、県南では小山市長を中心とする期成同盟会ができまして、特に昨今では、新4号国道の立体交差化について、渋滞解消の意味で頑張っておりますし、県北では那須塩原市長が中心となりました期成同盟会で、西那須野道路の早期完成、矢板大田原バイパスの着工ということで努力をしています。
国土交通省としましては、新4号国道につきましては、6車線化で一応仕事が完成をしたと見ておりまして、県北の4車線化に死力を注いでいるというようなことであります。これはこれで結構なことで、一日も早く4車線化が実現することを望んではいますが、南北を一体として見れば、4車線化が進めば車の量も増えて、当然、新4号国道に対しての乗り入れも多くなってくる、ひいては渋滞に結びつくということで、南部としては今のうちから立体化を促進していく必要がある、こういう現況になっています。
しかし、現実問題として、県南、県北とばらばらで進めていますと、なかなか国土交通省に対してのインパクトが弱い。そういった意味では、やはり栃木県の国道4号線ということからすれば、今後の改良については県が中心となって取り組んでいく必要があるのではないかと思っております。
そういった意味で、ぜひ県知事を中心とした国道4号線に対する取組を県として考えていっていただければ大変ありがたいと思っていますので、ぜひ県の考え方をお聞きしたいということで質問いたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 在職50年の金字塔を打ち立てられました板橋一好議員のただいまのご質問にお答えいたします。国道4号及び新4号国道は、首都圏と東北地方をつなぎ、東日本の物流や人流を支えるとともに、東北自動車道とのダブルネットワークを形成するなど、国土強靱化の観点からも極めて重要な広域幹線道路であります。現在進められている矢板市以北における4車線化等の国道4号の整備や、圏央道に直結する茨城県内の立体化を含む新4号国道の機能強化は、本県の輸送機能の強化や観光振興に大きく寄与するものと考えております。このため、県では、これまで国との事業連絡協議会など様々な機会を捉え、国に対する整備促進に係る要望活動を展開してまいりましたほか、県南及び県北それぞれの沿線市町で構成する両期成同盟会の取組につきまして積極的に支援してきたところであります。
このような中、沿線地域等における産業団地の整備、企業誘致の促進等による本県産業の持続的な発展や、快適で円滑な移動の実現による観光誘客の推進などのためには、広域幹線道路である国道4号及び新4号国道の整備、機能強化の重要性がますます高まっているものと考えております。このことから、県南及び県北の枠を超え、オール栃木による効果的な活動とするため、県におきまして、両期成同盟会を包括する栃木県国道4号・新4号国道整備促進協議会を新たに組織し、国への働きかけを強化したところであります。
今後とも、国道4号及び新4号国道の整備、機能強化が一日も早く実現できるよう、私が先頭に立ち、沿線市町と一体となって取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 板橋一好議員。
(52番 板橋一好議員登壇)
◆52番(板橋一好議員) 大変ありがたい答弁をいただきました。既に知事が中心となっての活動を開いていただいているということで、今後、この4号線についても本当に望みが強くなってきたということであります。今後とも、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に、エコグリーンとちぎ完成後の産業廃棄物処分の在り方について質問いたします。ご承知のように、エコグリーンとちぎが完成し、営業を開始いたしました。本当にすばらしいことだと思います。しかしながら、馬頭町に不法投棄の問題が出てから33年、栃木県における産業廃棄物処分場の原点と言われる、塩谷町の産業廃棄物処分場の問題からすると、実に42年経過しています。あの土地は、栃木県が許可した産業廃棄物処分場を、地元の反対等々により県議会が間へ入りまして、最終的に塩谷町がそれを引き取るという形で産業廃棄物処分場ができなくなったのであります。そのときに、たまたま国から来ていました廣瀬保健福祉部長が、板橋さん、これで栃木県の産業廃棄物行政は10年遅れますよと嘆きました。42年経過をしていますから、10年どころか40年遅れているのであります。そういう意味では、本当に努力に努力を重ねて今回のエコグリーンとちぎに至りましたことについては、関係者の皆さん方の努力に対しては改めて感謝を申し上げますし、県内産業界の方々も喜んでいると思っています。
しかしながら、容量的に言えば、12年という話を聞いています。12年たつと使えなくなってしまうということになれば、当然次をどうするかということが出てくるのでありまして、エコグリーンとちぎも話題になってから20年かかっているのでありますから、今から始まっても12年後にできるかどうか分かりませんが、やっておかなければ何もなりませんから、そういう意味からいえば、現在の状況についてはどうなっているかをお聞きしたい。
そして、この産業廃棄物問題については、常に公益財団法人栃木県環境保全公社の問題が関わってきていますが、今、県環境保全公社はどのような位置にあるのか、そして、今後の新しい最終処分場建設に対しては、県環境保全公社はどのような関わりを持つのかお聞きをしておきたいと思います。県環境保全公社を通しての設置になるのか、最初から今回のように民間活力を利用するのかの判断は難しいところがあると思いますけれども、県民からの信用度ということになれば県環境保全公社ということになりますし、アイデアとかスピードからいえば民間活力ということになりますので、その点について現在どのように考えているのか、知事にお聞きします。
また、今後予想される最終処分場の場所、少し早いかもしれませんけれども、そのことについて考えると、私は採石地とか鉱山、鉄鉱石のような骨材等々の採取跡地などがいいのではないかという気がしています。私の頭の中には、こういうところが適地かなと思うようなところも幾つかありますが、採取跡地については、東京都からの残土の埋立ての問題が起きているところもありますから、一概にということにはなりませんので、これについては環境森林部長に見解をお聞きしておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県営処分場エコグリーンとちぎにつきましては、おかげさまで本年9月に開業となり、県民の皆様からの信頼に応えるべく、安全・安心な運営に努めておりますが、このような管理型産業廃棄物最終処分場は、県内で排出される産業廃棄物の適正処理の推進や県内産業の持続的な発展に欠くことのできない重要なインフラであります。本来、産業廃棄物処理施設は民間設置が基本となるものの、今後の処分場に係る公共関与の在り方につきましては、様々な角度から検討していく必要があると考えております。
このため県では、今年度、全国で稼働する約40か所の公共関与型処分場を対象に、それぞれの公共関与に至った背景や運営主体、次期計画の有無などについて調査を実施し、現在、公益財団法人栃木県環境保全公社と共に分析を進めているところであります。また、今後は県内外の廃棄物排出量の推移や将来予測につきまして詳細調査を行うとともに、運営手法の在り方につきましても、全国唯一のPFI方式を採用した施設であるエコグリーンとちぎの運営状況をしっかりと見極めながら、県環境保全公社も交えて議論を深めてまいります。
今後、こうした検討をできる限り速やかに進めていくとともに、民間の動向なども見据えながら、本県における産業廃棄物処分の在り方について総合的に判断してまいります。
○佐藤良 議長
小野寺一行環境森林部長。
(
小野寺一行環境森林部長登壇)
◎小野寺一行 環境森林部長 引き続き、ただいまのご質問にお答えいたします。最終処分場の建設に当たりましては、安全性や経済性、立地の利便性など様々な観点から検証を行う必要がございます。採石場や鉱山等の採取跡地に関しましては、既に開発された地形を利用できること、周辺に住居がなく周辺環境への影響が少ないことなどから、全国ではこれらを活用した最終処分場建設の事例も見受けられるところであります。
県といたしましては、このような事例も参考にしながら、本県における産業廃棄物処分の在り方について検討を進めてまいります。
○佐藤良 議長 板橋一好議員。
(52番 板橋一好議員登壇)
◆52番(板橋一好議員) 最終処分場につきましては、今までの事例を見ましても、なかなか難しいということは承知をしていますが、それだけできるだけ事前に準備をする、検討をするということが必要だと思います。先ほども言いましたように、スムーズにいけば今回の場合のように数年で完成しますが、こじれてしまうと20年もかかってしまうということにもなりますので、ある意味では十分な事前調査等をして、問題が起きないような形で取り組むということになれば、12年間で完成することも十分考えられますので、今後の努力を心からお願いいたしますし、せっかくある県環境保全公社ですから、これを本当に活用しないのもいかぬと思いますので、ぜひ運用をよろしくお願いしたいと思います。また、先ほどの環境森林部長の答弁にもありましたように、県内にも幾つか適切だと思われるようなところもあります。ぜひ事前調査を十分にしていただいて、いざというときにはすぐに使える準備を進めていただくことを心から期待して、次の質問に入ります。
渡良瀬遊水地の県立自然公園化についてであります。ご承知のように、渡良瀬遊水地は、県南におきましては利根川水系の治水、利水の重要なポイントになるところでもありますし、ラムサール条約に登録されましたような、湿地としての周辺の自然環境を守るという意味でも重要な場所であります。最近はイノシシが入りまして問題も起きているようでありますが、いずれにしましても、地域にとりましては大変重要なところであります。この地域を保全し、有効活用していくためには、どうしても小山市、栃木市、野木町での協力体制が必要になっていきます。特に東側からの侵入につきましては、やはり野木町だけでは力が足らない、県の関与が必要だという意味も含めて、私はこれを実施するためには県営自然公園化が一番適切な道ではないかということで、過去何回か質問をしてきました。そのときの県の答弁としましては、今現在、国土交通省で渡良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画に基づいて進められている掘削工事の完成が条件ということで、これが終わらないと公園化ができない、という答弁を受けました。
しかし、本来からすると、最初は洪水調節機能を高めるための掘削ということで国土交通省は仕事をしていたのが、いつの間にか湿地保全の話に変わってしまっています。そして、湿地保全の場合に完成年度はいつになるのか、ということを聞いていただいたら、完成年度は決まっていない、いつになるか分からないという回答だという話を聞きまして愕然としました。そういうことになりますと、いつになっても自然公園化はできないということであります。
先ほども言いましたように、もう掘るべきところは掘ってしまいましたから、洪水調節の意味での掘削はほとんど効果がありません。環境保全のため、湿地保全のためだということならば、例えば県営公園になれば、湿地保全のための掘削は県が行えばいいのでありますから、国土交通省が行う必要はないのですけれども、国土交通省はなぜかそのような格好で、自分のところで掘削をすること、しかも、今言ったとおり完成年度を示さない。こういうことだと、果たして本当にこのままでいいのかということを考えざるを得ません。
河川の管理については国の権限かもしれませんけれども、土地は野木町、小山市、そして栃木市、栃木県が所有しているわけでありますから、土地所有者の意向も十分忖度をしていただく必要があるのではないか、国と県は少なくとも対等の立場でなければいけないと思っています。このようなことを言うと怒られてしまうかもしれませんが、国土交通省は今まで何度か地元との約束を破ったとは言いませんけれども、守られていない案件が幾つもあります。事例を挙げろと言われれば幾つでも挙げますが、そういう中からいえば、やはり今後のことを考えれば、しっかりとした協議の場、対話の場を持つ必要もあるのではないかと思っています。
過去においては、渡良瀬遊水地国営公園設置促進協議会とか栃木県渡良瀬遊水地開発促進協議会、あるいは最近では、渡良瀬遊水地自然保全・利用連絡協議会等の協議の場があったのですけれども、最近はこれがほとんど廃止になったり休止になったりして、その場がないということになっています。一般財団法人渡良瀬遊水地アクリメーション振興財団設立のときには県が国土交通省に協力をしたという事例もありますので、県としましては、国の掘削工事に対しての判断をどのようにしていくのか、そして、渡良瀬遊水地が県民にとって最大の利益をもたらすための方策をどのように考えているのか、そして自然公園化についての見解を、知事にお聞きします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。渡良瀬遊水地は平成24年にラムサール条約湿地に登録され、近年では、国の天然記念物であるコウノトリの自然繁殖地として期待されるなど、全国に誇れる優れた自然環境を形成しており、この貴重な環境を県民共有の財産として将来へと引き継いでいくことが県民の利益につながるものと考えております。現在、渡良瀬遊水地では、乾燥化等で悪化した湿地環境の保全、再生を図るため、国におきまして、渡良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画に基づき掘削工事が進められております。
私は、掘削地からは多くの希少植物が再生し、過去にあった水面や湿地が復元するなど湿地環境の改善が確実に図られているものと捉えており、引き続き当該工事の早期完成を国に働きかけてまいります。また、県立自然公園の指定につきましては、国や地元市町などの意向を十分に踏まえながら検討していくべきものと考えており、適宜情報共有に努めているところであります。このような中、渡良瀬遊水地は県や地元市町、関係団体等の取組として、外来種除去などによる湿地や生態系の保全活動はもとより、環境・体験学習などの教育・交流活動や、熱気球、サイクリングなどのレクリエーション等、様々な活動に利活用されております。
今後とも、こうした取組がもたらす多様な恩恵を最大化し、将来にわたり県民が享受できるよう、地元市町、自治会や関係団体で構成する渡良瀬遊水地保全・利活用協議会など、あらゆる主体と情報共有、連携しながら渡良瀬遊水地の保全と利活用の在り方について検討してまいります。
○佐藤良 議長 板橋一好議員。
(52番 板橋一好議員登壇)
◆52番(板橋一好議員) 何回も言うように、国土交通省の考え方は、渡良瀬遊水地をあくまでも自分の管轄下に置いておきたいというのが本音だろうと思います。掘削についても、過去においてはそのようなことは言っていないのですよね。20年計画で洪水調節のための掘削をやりますということで、20年では長過ぎるから10年ぐらいにしてもらいたいという話を私は議会の質問の中で正式に言いましたから、その当時は国土交通省はそのように言っていたのですよ。いつの間にか湿地保全の話に変わってきてしまった。要するに、国土交通省は仕事がなくなってしまうということを一番警戒しているのですね。ご承知のように、利根川上流河川事務所は、国土交通省の順番から言うと、宇都宮国道事務所よりも上なのですよね。そういう意味で、事業量が少なくなってしまうとランクが下がってしまうせいか分かりませんけれども、そのようなことで、なかなか手放そうとしないという原点があります。そこに対しましては、知事が今言った協議会は今のところ休止ですから、やはりきちんと再開して、常にきちんとした協議ができるようなシステムだけはしっかり取っておいていただいて、先ほども言いましたように、地域のためにはどうしたらいいか。今、野木町側からは渡良瀬遊水地へ入る道がないのですね。国土交通省の工事用の橋を使わせていただいているということなので、少なくとも、やはり栃木県としては、東側から入っていく道ぐらいはきちんと造ってあげるということにならなければ、渡良瀬遊水地を活用しているということにはなりませんから、そういう意味も含めて、今後、国土交通省としっかりとした場で話をできるように心からお願いをして、次の質問に入りたいと思います。
県庁周辺整備についてであります。これも私は以前から何回か言ってきていますが、本当に県庁舎の建設というのは、知事にとりましても非常に大きな仕事であったろうと思います。経過からいえば、渡辺文雄知事のときは13階、福田昭夫知事は18階、福田富一知事は15階と、知事が変わるごとに高さが変わったような経過があって、福田富一知事になって完成した。その間においては、旧庁舎の存続の問題があって、昭和館が、ある意味では無駄な金になったというような批判もありましたけれども、25億円かかって昭和館が一部保存されたという経過もありましたから、そのような意味では、本当に福田知事が頑張ってこのすばらしい庁舎をつくってくれたということは大きな実績の一つだと思っていますが、ただ、その当時から言われている周辺整備については、なかなか思うように進まない。これが残っているということは、やはり福田知事にとっても心残りになっている一つの大きなポイントだと思いますし、このままでいくと、せっかくの県庁舎建設が画竜点睛を欠くと言ってはなんですけれども、本当にマイナスの問題も残されてしまっているということなので、何とか解決をする必要があるのではないかと私は思っています。土地、建物の処分につきましても、経済情勢の変化等もあるのかもしれませんけれども、なかなか思うように処分がされていないし、加えて、昨今は文化施設の統合の問題からいうと、県立図書館の処分の問題もここに加わってくるのではないか。そのようなことからすれば、これを何とか解決するためには、思い切ってプロジェクトチームを結成して、短期間でこの問題を解決するということも必要なのでないかということを提言したいと一つは思います。
それと、もう一つの課題としての教育委員会、そして企業局の庁舎内への収容、この問題につきましても、なかなか思うとおりにいっていないということなので、今後どのような見通しになってくるのか。原因の一つであります本庁舎の階数の削減については、当初知事が言った費用の節約相当には効果が上がっていると思いますので、そういう意味では意味があったのですから、逆に言えば、教育委員会や企業局というのは、独自性、自立性の非常に強い組織ですから、何もわざわざ入れなくてもいいのではないか、思い切って外へ置いておくという方向変換するというのも一つの考え方ではないかということで、私はこの問題を前から何回か追及しましたが、追及者の一人として提案したいと思いますので、ご回答をお願いいたします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県庁舎周辺整備につきましては、これまで県政の重要課題の一つとして位置づけ、継続的に検討を重ねてまいりました。今年度は、栃木会館跡地及び中央郵便局跡地を対象としてサウンディング型市場調査を実施し、民間事業者から利活用のアイデア等をご提案いただいたところであります。今後は、宇都宮市のまちづくりの動向等も踏まえるとともに、県議会のご意見も伺いながら、栃木会館跡地等の利活用の方向性及び課題解決に向けた効果的な推進手法について検討してまいります。
県庁組織のスリム化に向けましては、行革プラン等に基づき適正かつ柔軟に定員管理を行うほか、総務事務センターの稼働やICT活用等による業務の効率化、市町への権限移譲などに取り組んでまいりました。その一方で、複雑・多様化する県民ニーズや新たな行政課題、様々な危機事象への迅速かつ的確な対応や、効果的、効率的な執行体制の確保の観点から、本庁の機能強化が必要な状況も生じており、今年度の組織改編では、教育委員会事務局からスポーツと文化財行政を知事部局へ移管したところであります。現状といたしましては、教育委員会事務局等を本館に全て入居させるまでには至っておりませんが、今後、デジタル技術を活用したスマートワークの浸透などにより多様な働き方が可能となることから、職員の執務スペースの在り方が大きく変わっていくことも想定されるところであります。
私といたしましては、業務の効率的な執行等の観点から、でき得る限り全ての部局が同一建物内で執行することが望ましいと考えておりますので、今後のデジタル化のさらなる進展、働き方改革の動向などを見極めつつ、執務室の確保に向けて引き続き取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 板橋一好議員。
(52番 板橋一好議員登壇)
◆52番(板橋一好議員) 一生懸命努力をしているということは分かりますが、やはりなかなか効果が上がらないということになると、せっかく庁舎を建てた効果がなかなか実感として表れてこないということもあります。やはり発想の転換といいますか、思い切りというのは必要になってくる部分もあると思いますので、先ほども言いましたように、独自性というものからすれば、教育委員会についても企業局についてもそれぞれあるのですから、栃木県土地開発公社は外で動いています。そういう意味からすれば、無理に庁舎に入れる必要もないのではないかと思いますし、今言ったように、土地、建物につきましても有効活用していく、処分していくことについては、やはり専門の組織をつくっておく必要があるのではないかということで提案をさせていただきましたので、できれば今後とも、これについても検討してもらえると大変ありがたいと思っているので、要望しておきます。
次に、河川災害対策についてでありますが、これは、今回の通常会議におきましても何人から河川の整備について質問がありました。やはりそれだけ皆さんにとりまして切実な話なのだろうと思われます。そういった意味では、河川の災害は県全体の大きな課題になってくるのではないかと思っております。昨今は大きな災害が立て続けに起こっております。異常気象が異常気象でなくなった、このような話もあるぐらいであります。過去の平成27年の関東・東北豪雨、あるいは令和元年東日本台風という中で、私どもの思川も本当に堤防の天端いっぱいまで水が入ってきて、一部で越流をしたということになりますと、河川機能はいっぱいいっぱいになってしまっています。ご承知のように、河川の整備計画については、災害復旧工事は現況復旧ですが、一般の河川整備は計画規模というのが決められているそうですね。私どもはよく分からなかったのですけれども、その河川の規模によって200年に一遍の災害、100年に一遍の災害、50年に一遍の災害に対しての対応をということで、利根川が200年、渡良瀬川が100年、我々の思川は50年、県内の河川は50年の基準にもなっていないところがほとんどだという話をこの前初めて聞きました。
そういった中で、我々としては何とかランクアップをしてもらいたいということで、前にもお願いをしましたが、現実問題として50分の1の基準を100分の1にするなんていうことはとてもでき得ないということで苦慮しています。聞くところによりますと、その規模については、いわゆる確率流量か、あるいは観測史上最大流量のどちらか多いほうを採用して河川整備計画をつくるということになっているのだと聞きました。恐らく観測史上最大流量ということになれば、昨今の幾つかの台風等々からすれば相当大きな数値が出ているのではないか、そういうことからすれば、当然国の整備基準も見直しの時期に来ているのではないかと思いますので、この際、県としましても、国に対しての見直し基準の改正を強く求めていくことが必要なのではないかと思いますので、その点についての考え方を県土整備部長にお聞きします。
また、当然、県におきましても国の改正に準ずるということもあろうかと思いますし、先ほども言いましたように、県全体の50分の1にも該当しない中小河川等につきましても、改めて今の洪水の水量を基準にした整備計画等の見直しがあってしかるべきだと思いますので、今後の県内河川の整備計画の見直しについてどのように考えているのか、県土整備部長にお聞きします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。近年、全国的に水災害が頻発・激甚化しており、また、将来、気候変動の影響による降雨量の増加に伴い、洪水流量や洪水発生頻度の増加が予測されております。これらを踏まえ、国では、河川整備の目標を定めた各水系の河川整備基本方針を順次見直すこととしており、具体的には、将来の降雨量の増大を考慮し、基準となる流量を引き上げるとともに、これを超えるような規模の洪水に対しても氾濫被害をできるだけ軽減する取組を推進することとしております。このため、県といたしましては、県内を流れる利根川水系などの河川整備基本方針を早期に見直すよう国に働きかけるとともに、その見直し内容に応じて県管理河川の計画の見直しにつきましても検討してまいります。
引き続き、防災・減災対策の推進に取り組み、安全・安心な県土づくりが行えるよう河川災害対策を進めてまいります。
○佐藤良 議長 板橋一好議員。
(52番 板橋一好議員登壇)
◆52番(板橋一好議員) 本当に先ほども言いましたように、河川整備、洪水対策につきましては全県民が期待しておりますし、県も議会の提案に従って河床掘削の予算などに大幅に取り組んでいただいている、議会と執行部が協力して対応しているという意味では本当にすばらしいことだと思いますので、これからも、ぜひその意味での協力体制、そして前向きな取組を期待しております。先ほども言いましたように、県内の河川がまだ基準を満たしていない河川がほとんどだということになれば、これは本当に県がしっかりと計画を立ててやらないといけないと思いますので、今後のご努力を心から期待して、次の質問に入ります。
今回は、最初に申し上げましたように、過去に私が課題としてきたものの整理という意味を含めての質問をさせていただきました。国道4号線の体制などは、本当にいち早く知事が先頭に立って体制づくりをしていただいたということで大変ありがたく思っていますし、まだまだもう少し頑張っていただきたいなと思う問題もありますが、これからもまだ私自身は全力で残された課題に取り組んでいくつもりであります。本当にいい質問をさせていただきまして、ありがとうございました。
ただ、全体的に栃木県には残された問題がまだたくさんあります。少子高齢化、人口減少、あるいは地域格差、物価高騰等々の問題が山積しています。福田知事は就任以来いろいろな課題、東日本大震災、また平成27年の関東・東北豪雨、令和元年東日本台風などの自然災害、そして
新型コロナウイルス感染症に対する対応、また、足利銀行破綻やリーマンショックといった経済問題、こういった多くのハンディキャップを乗り越えて頑張って、県民所得の向上でありますとか県産品の販路拡大、県庁舎の建設、こういった難しい仕事もしましたし、今期におきましても、コロナ禍の中にあって、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催をしたり、国際会議のG7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合の誘致などの事業も行いました。その努力については、心から敬意と感謝を表したいと思っています。本当にご苦労さんでありましたと思う反面、本当にこのようなハンディキャップがなければ、もっともっとやりたいことがあったのではないかなと思われてなりません。
今期の問題からいえば、令和6年はいよいよ最後の1年になります。当初予算の編成で今ご苦労していると思いますけれども、後に悔いを残さないようにしっかりと努力をしてくれると思いますが、さきの日向野義幸議員の質問等にもありましたように、また、私が幾つか述べたように、県政の課題はたくさんあります。このような諸問題の解決につきまして、残りの1年は短過ぎるのではないかと思われてなりません。知事とは長年、一時は同じ県会議員として、そして、知事と議員としての関係の中でお付き合いをしてきました。私が6期のときに知事は1期の県議会議員として当選して来ました。それからもう長いお付き合いですが、本当に同志としてお付き合いをさせていただいたことは、私としても大変感謝をしておりますが、その同志の一人としても、栃木県の将来のためには今しばらく福田富一の情熱と経験が必要だと信じています。
そこで、知事の任期が残り1年となった今、福田県政の今後についてどのようにお考えになっているか、知事の所感を承りたいと思います。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。私は知事に就任以来、対話と協調、県民中心、そして市町村重視を基本に現場主義の徹底を心がけ、広く県民の皆様や市町の意見を伺いながら、今、何が求められ、何を行うべきかを見極め、県民益の最大化を判断の基準にして県政運営を行ってまいりました。この間、東日本大震災や
新型コロナウイルス感染症の感染拡大などもありましたが、小中学校全学年における35人以下学級の導入や総合スポーツゾーンの整備、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催など、これまで私が政策集で県民の皆様にお約束した施策のほとんどは実現、または実現に向けて進めることができてきております。こうした中にあって、急速に進行する人口減少・少子化問題への対応、G7大臣会合を契機とした女性活躍の推進、グローバル展開による地域経済の活性化や2050年
カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素化への取組など、令和6年度政策経営基本方針に掲げた喫緊の課題を克服していくため、新年度の当初予算編成に全力を注いでいくことが現在の私の責務であると考えております。
今後とも、県議会のご理解、ご協力を賜りながら、市町、関係団体、そして県民の皆様と幅広く連携・協力し、オール栃木体制で、未来に輝く新しいとちぎづくりに取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 板橋一好議員。
(52番 板橋一好議員登壇)
◆52番(板橋一好議員) 今の段階で知事にはっきりしたことを言えと言っても、これは無理な話だと思いますので、私は私どもの考えていることだけ申し上げたいと思います。先ほども言いましたように、問題が山積していることは事実ですから、やはりこれを解決するためには知識と経験、そしてやる気のある人でなければ、この問題は解決しないと思っております。長くやっている、こういうことに対しての批判はあるかもしれません。しかし、私は過去において、あるときに、知事が本当にクリーンな政治家であるというイメージをしっかりと受け止めた案件がありました。そういう意味では、長年やっているからといって、私はそこに問題が出てくるとは考えておりません。そして、私は自分自身の政治経験の中から言いまして、やはり政治家というのは、自分を信頼し、支援をしてくれる人のためには、それに応える必要があるのではないかと思っています。それが政治家として託された人間の務めだと思っています。これからも知事に対してはいろいろな人からいろいろな意見があるだろうと思います。しっかりとその方々の意見を聞いた上で、出処進退をしっかりと決めていただくことを心から祈念して、私の質問は全て終了させていただきます。
○佐藤良 議長 以上で上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問は終了いたしました。
この際、申し上げます。お手元に配付いたしました議案付託表に記載の議案については、それぞれ所管常任委員会に付託いたします。ご了承願います。
〔配付資料は巻末に掲載〕
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○佐藤良 議長 日程第2 請願・陳情についてを議題といたします。
今回の通常会議で所管常任委員会に付託いたします請願・陳情は、お手元に配付いたしました文書表のとおりであります。
〔配付資料は巻末に掲載〕
――
―――――――――――――――――――――――――――
○佐藤良 議長 日程第3 岩崎信議員ほか3名の議員から、大久保ゆみ議員の議第10号に対する討論のうち、一部について発言の取消しを求める動議が、お手元に配付のとおり文書で提出されております。
〔配付資料は巻末に掲載〕
○佐藤良 議長 本動議は、所定の賛成者がありますので成立しております。
なお、朗読を省略して会議録に記載することにいたします。
本動議を議題といたします。提出者の説明を求めます。岩崎信議員。
(46番 岩崎 信議員登壇)
◆46番(岩崎信議員) 提出者を代表して、議長に提出いたしました大久保ゆみ議員の議第10号に対する討論のうち一部について発言の取消しを求める動議について、その理由を説明いたします。
大久保ゆみ議員は、令和5年10月12日の本会議において、議第10号栃木
県議会海外行政調査に関する議員派遣について反対討論を行った際、「仮に可決されたとすれば、最低でも、日本維新の会は3つ、視察の詳細な行程表、現在のではなくさらに詳細なもの。そして2つ目、視察にかかる全ての領収書を提出してください。そして3つ目、視察報告書。この3点を合わせて有権者に公開していくべきだとご提案させていただき、」と発言されましたが、これは次のとおり事実の誤認があるため、当該発言の取消しを求めるものであります。
まず1点目として、報告書は、栃木
県議会海外行政調査実施要領第6において、「調査団の議員は、帰国後速やかに自ら調査等の結果をまとめ、報告書を議長に提出するとともに、各議員等に報告するものとする。また、県議会ホームページ及び議会図書室等で一般の閲覧に供する。」と規定していることから、過去に実施した海外行政調査では、帰国後速やかに議会での報告及び報告書の公開を実施しており、実際に今回行われた海外行政調査においても、既に11月30日の本会議にて詳細な報告書が提出され、団長を務めた琴寄昌男議員から報告を受けたところであります。
次に、2点目として、行程表は、報告書の記載内容に詳細な行程が含まれることから、報告書により当然に公開されるものであります。実際に今回提出された報告書にも、調査先を含めた詳細な行程が記載されております。
最後に3点目として、領収書は、栃木県議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例に基づき、費用弁償として旅費相当額の支給を受けるに当たり、我々議員は支払いの事実確認が必要なものについては領収書を議会事務局に提出し、その確認を受けた上で受給しており、海外行政調査においても同様であります。
以上のとおり、大久保ゆみ議員の発言は、これまでも本県議会では海外行政調査に係る報告書の公開を実施してきたにもかかわらず、あたかも行っていなかったかのように県民に誤解を与えるものであり、県議会への信頼を大いに毀損する発言であることから、去る10月19日にとちぎ自民党議員会、民主市民クラブ、公明党栃木県議会議員会、県民クラブの4会派が連名で、議会運営委員会において、てんまつの報告と発言の訂正を求める旨、佐藤議長宛てに申入れを行ったところであります。
これを受け、佐藤議長は申入れの内容について大久保ゆみ議員に説明を行い、大久保ゆみ議員からは、去る10月30日に回答書が提出されましたが、反対討論時点で与えられた情報が不十分だったため、海外視察を行うことの意義やその合理性について十分な判断ができないことを述べたものであるとして、4会派からの申入れにより、議長から発言訂正の機会が与えられたにもかかわらず、現在に至るまで県民の誤解を招いた発言についての訂正は行われておりません。この状況を放置し、適切な訂正が行われずに事実誤認の発言をこのまま会議録に残しておくことは、県議会への信頼をさらに損なうことにもつながるものであり、断じて見逃すことはできないと考えます。そのため、大久保ゆみ議員が発言の誤りを認めず、自らの発言を取り消す意思を示さないのであれば、我々としても議長による発言の一部取消し命令を求めざるを得ません。
以上の理由により、私のほか、民主市民クラブ、山田みやこ議員、公明党栃木県議会議員会、山口恒夫議員、県民クラブ、保母欽一郎議員と共に発言の取消しを求める動議を提出するものであります。
○佐藤良 議長 この際、お諮りいたします。本動議は、質疑及び委員会付託を省略し、直ちに採決したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○佐藤良 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。
これから本動議を採決いたします。本動議にご賛成の議員の起立を求めます。
(賛成者 起立)
○佐藤良 議長 起立多数であります。
したがって、大久保ゆみ議員の議第10号に対する討論のうち一部について発言の取消しを求める動議は可決されました。
よって、大久保ゆみ議員の議第10号の討論に係る発言のうち、本動議により取消しを求める部分について取消しを命じます。
以上で本日の日程は終了いたしました。12月21日は定刻から本会議を開きます。
本日はこれで散会いたします。
午後3時35分 散会...