栃木県議会 2023-12-06
令和 5年度栃木県議会第398回通常会議-12月06日-03号
令和 5年度栃木県議会第398回通常会議-12月06日-03号令和 5年度栃木県議会第398回通常会議
(1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名
12月6日(水曜日)
出席議員 50名
1 番 土 屋 晃 子
2 番 渡 邉 典 喜
3 番 大久保 ゆ み
4 番 大 谷 弥 生
5 番 大 木 英 憲
6 番 佐 藤 晴 彦
7 番 杉 田 光
8 番 沼 田 邦 彦
9 番 池 上 正 美
10 番 小 池 篤 史
11 番 湯 澤 英 之
12 番 星 雅 人
13 番 横 田 誠
14 番 石 坂 太
15 番 岡 部 光 子
16 番 加 藤 雄 次
17 番 金 子 武 蔵
18 番 小 菅 哲 男
19 番 小 林 達 也
20 番 平 池 紘 士
21 番 塩 田 ひとし
22 番 中 屋 大
23 番 あ べ ひろみ
24 番 野 村 せつ子
25 番 横 松 盛 人
26 番 西 村 しんじ
27 番 野 澤 和 一
28 番 高 山 和 典
29 番 池 田 忠
30 番 琴 寄 昌 男
31 番 白 石 資 隆
32 番 関 谷 暢 之
33 番 中 島 宏
34 番 早 川 桂 子
35 番 日向野 義 幸
36 番 渡 辺 幸 子
37 番 保 母 欽一郎
38 番 松 井 正 一
39 番 山 田 みやこ
40 番 青 木 克 明
41 番 山 口 恒 夫
43 番 阿 部 寿 一
44 番 佐 藤 良
45 番 山 形 修 治
46 番 岩 崎 信
47 番 神 谷 幸 伸
48 番 五月女 裕久彦
50 番 螺 良 昭 人
51 番 木 村 好 文
52 番 板 橋 一 好
(2)説明のため出席した者の職氏名
地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者
知事 福 田 富 一
副知事 北 村 一 郎
副知事 天 利 和 紀
総合政策部長 笹 川 正 憲
経営管理部長 仲 山 信 之
生活文化スポーツ部長
野 原 恵美子
保健福祉部長 岩 佐 景一郎
環境森林部長 小野寺 一 行
産業労働観光部長
石 井 陽 子
農政部長 熊 田 欽 丈
県土整備部長 坂 井 康 一
会計管理者会計局長
中 谷 一 彦
企業局長 北 條 俊 明
総合政策部次長兼総合政策課長
小 林 宣 夫
財政課長 岩 田 知 也
教育長 阿久澤 真 理
代表監査委員 森 澤 隆
人事委員会事務局長
萩 原 英 樹
労働委員会事務局長
桐 渕 ゆ か
警察本部長 難 波 健 太
(3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
事務局長 柏 瀬 仁
次長兼総務課長 菊 池 薫
議事課長 大 野 光 二
政策調査課長 横 山 泰 治
議事課課長補佐 小田部 秀
課長補佐 小 材 忠 宏
副主幹 山 﨑 里 香
係長 手 塚 英里子
主査 長谷川 寛 和
主査 荒 川 尚 子
主査 榎 本 和 也
◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は50名であります。
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午前10時 開議
○佐藤良 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
日程第1 第1号議案から第9号議案まで及び第12号議案から第18号議案までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 皆様、おはようございます。とちぎ自民党議員会の星雅人です。春の統一地方選挙で当選させていただき、初の一般質問となります。
今年は栃木県誕生150年の年です。冒頭ですが、これまで県の発展に尽くしてこられた多くの県民の皆様、福田知事をはじめといたします執行部の皆様、職員の皆様、そして県議会議員の先輩方に心から感謝を申し上げます。我々が享受するこの豊かさは、一日にして成ったものではなく、多くの先人たちの汗と涙の結晶であることを胸に刻み、私もまた、次の世代へさらに豊かな社会を渡していくため、全力を尽くしていく覚悟です。
また、私は現在、県議会最年少の議員でもあります。今、社会に求められている若者の声、子育て世代の声を拾い上げ県政に反映し、誰一人取り残さない持続可能な栃木県を目指し、県政の発展に努めてまいります。
それでは質問に入ります。
まず初めに、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトのさらなる展開について、知事にお伺いします。今の日本における一番の課題は、何といっても人口減少と少子化です。急激な人口減少と高齢化が同時に進み、支えなければならない人の数は増えますが、社会を成り立たせるための働き手や社会保障の担い手が急激に減ってしまい、また、消費性向の高い現役世代の数が少なくなるため、経済が縮小していきます。少子化は、今すぐにそのダメージが私たちに来るのではなく、20年ほどの時を経て、後世の社会をじわじわと締めつけていくことになります。今後、若者の数が急激に減っていくため、今が人口減少の下り坂を緩やかにするためのラストチャンスとも言われております。
そのような現状を受け、今年の4月にはこども家庭庁が設置され、6月には次元の異なる少子化対策と経済成長実現との両立を図り、若者・子育て世代の所得を伸ばすための
こども未来戦略方針が策定されました。安心して子供を産み育てることができる社会へと、国を挙げての大きな取組が始まったところです。少子化は複雑多様な要因によって起こるものですが、まずは今の社会や家族に合わなくなってしまった制度を更新し、社会全体の意識を変えていくべきときです。
栃木県におきましては、2022年の合計特殊出生率が1.24となり、過去最低となってしまいました。それを受け、栃木県ではとちぎ
少子化対策緊急プロジェクトを策定し、結婚、妊娠、出産、子育てといったライフステージに応じた切れ目のない支援を積極的に行うという方針が打ち出されました。9月補正による第1弾の実施事業が始まり、
結婚支援センターの登録促進、とちぎ
男性育休推進企業奨励金の交付などが始まっております。
しかし、私は、出生率を上昇させ、人口減少を克服するためには、これらの事業だけでは十分とは言えず、取組のさらなる展開が必要と考えております。今年9月の通常会議において、とちぎ自民党議員会の山形修治議員の代表質問に対し、知事から、令和6年度当初予算に向け、さらなる施策の充実・強化を図るとの答弁がありました。今後も国の動向も踏まえながら、栃木県特有の課題を捉え、効果的な政策を打ち、下降トレンドを食い止めていかねばなりません。
また、現在、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトにおける具体的な取組には、9月補正予算以降の新規事業のみ記載している状況となっています。私は、今年度から新たに始めた取組であるとちぎ
結婚支援コンシェルジュを活用した
企業間交流イベントの実施や、
こども医療費助成制度の拡充、新生児の
先天性代謝異常等検査の対象疾患を拡大する取組など、本県として特徴的な結婚・子育て支援策についても、このプロジェクトの取組とともに、より分かりやすい形で県内外に発信し、オール栃木体制で結婚・子育て支援を進めていくことが重要と考えています。
そこで、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトのさらなる展開について、知事の所見をお伺いします。
○佐藤良 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの星雅人議員のご質問にお答えいたします。人口減少・少子化問題の克服に向け、県ではとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)に基づき各種施策を推進しておりますが、なお深刻さを増す少子化の現状に強い危機感を抱き、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトを打ち出したところであります。
プロジェクトにおきましては、若年層の未婚率の上昇や家事労働負担の不均衡等を本県の課題と捉え、第1弾実施事業として、結婚を望む若者への支援、理想のとも働き・とも育ての実現に向けた環境整備等に取り組んでおります。また、プロジェクトの一環として、経済団体等と、
男性育児休業取得に向けたとちぎ共同宣言を行ったほか、本県独自のとも家事の日を制定し、市町、企業等と連携してキャンペーンを実施するなど、オール栃木で各種取組を展開しているところであります。さらに、来年度当初予算による第2弾実施事業としましては、若者の結婚の希望をかなえる環境づくりや、子育て世帯の負担軽減等について充実・強化を図るとともに、中小企業における男性の育児休業取得を引き続き促進するほか、子供の健やかな成長を社会全体で後押しするため、子供の権利擁護に係る施策等を推進してまいります。これらの取組につきましては、子育てや移住関連の
ポータルサイト等を活用し、充実した
こども医療費助成制度や
妊産婦医療費助成制度など、県や市町の先進的な取組と併せて発信すること等により、安心して結婚し、子供を産み育てることのできる栃木県を積極的かつ丁寧に伝えてまいります。
今後とも、国のこども・子育て政策と連携を図りながら、プロジェクトを強力に推進し、人口減少問題の克服に向け、全力で取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 知事から力強いご答弁をいただきました。第2弾の実施メニューが来年度予算に含まれてくるということで期待を申し上げるところです。
ここで、こども施策に関するこどもの意見反映について、保健福祉部長に再質問いたします。とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトの第2弾実施事業に、「こども施策に関するこどもの意見反映」という項目があります。11月27日から、県は、小学生、中学生、高校生、大学生、専門学校生等の子供や若者、また子育て中の方を対象としたアンケートを行っていますが、これは令和7年度から計画期間が始まる次期子ども・
子育て支援プランに、子供や若者、子育て中の方々の意見を反映するためのものであり、子供の声を聞く県政の一環であると感じています。一方で、子供の声を聞くということはとても難しいテーマでもあります。子供は、まだ自分の気持ちやニーズを言語化することや自分の置かれている状況を把握することなどが難しいため、意見を聞く、酌み取る大人の側、政治の側の姿勢が問われることになります。
そこで、こども施策に関するこどもの意見反映について、今後どのような取組を行っていくのかを、保健福祉部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。子供施策の効果を高めるためには、これまで大人目線で考えられていた子供施策を、当事者であります子供等が社会をつくるパートナーであると捉えまして、その意見も聞きながら進めることが重要であると考えてございます。
今後は、来年度実施予定の
緊急プロジェクト第2弾としまして、子供の権利擁護の推進などにも取り組むこととしておりまして、子供の意見を県政に反映できるよう、効果的な意見聴取の手法等について検討してまいりたいと考えております。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) ただいま保健福祉部長からご答弁をいただきました。当事者の意見聴取を行っていく手法を検討していくということで、ここで要望がございます。子供の声を聞くためには、幼稚園教諭、保育士、学校教職員、
放課後児童支援員など、子供の身近にいる専門職が多くの子供の声を聞いてもおりますので、そういった人たちから子供たちの代弁者としてヒアリングするなどの方法も有効かと思いますので、ご検討いただけたらと思います。
少子化対策は、若い世代の結婚したいという願いや、理想の子供数を持ちたいという願いをかなえることで、かなりの改善が見込めます。結婚をしないことや、子供を持たないことの自由を尊重するのと同様に、結婚して家庭をつくり、子供を育てていこうという、若い世代の当たり前の希望がかなえられる社会を目指していくべきです。
ここで要望いたします。国が来年度予算で行っていく若い世代の所得向上、子育ての負担軽減のための各種取組に合わせ、県独自の施策を位置づけ、しっかりアピールし、若い世代に現在ある制度を有効に利用してもらえるよう周知啓発の取組を進めていただけますよう要望いたします。
また、結婚支援に関しましては、今、力を入れている企業間交流の取組を力強く進めるとともに、今、とちぎ
結婚支援センターを中心に行っている交際支援をより広げていっていただきたいと思います。例えば若者に対して、県の施設や県内商業施設に無料あるいは割引価格で入場できるカップルデーをつくるなど、もっと若い世代全体に波及するような出会い、交際の支援をして、そのムードを県全体で盛り上げていただけるような空気をつくっていってもらえますよう要望いたします。
次の質問に移ります。
こどもまんなか社会の実現についてのうち、教員の働き方改革について、教育長に伺います。日本は、識字率や高等教育機関への進学率が非常に高い国であり、子供の乳幼児死亡率は低く、乳幼児健診や予防接種が多くの国民に行き届いており、子供の周りの教育、健康、衛生水準が非常に高い国の一つと言えます。一方、高い学力水準の裏側には、子供たちへの過剰な習い事や多過ぎる宿題など学習面での負荷があり、自由時間や自由に過ごせる居場所、子供集団や子供同士の縦のつながりや斜めの関係が社会からどんどん失われていっており、子供の精神的な健康度は低くなってしまっている現状がございます。
2020年のユニセフの子どもの幸福度調査によると、生活に満足していると感じている子供の割合が低く、子供の自殺率や子供の貧困率が高いことは一刻も早く改善に取り組んでいかなければならない大きな課題です。
先ほどの質問でもこども家庭庁の設立の話をしましたが、子供、若者の声を聞き、子どもの権利条約にある子供の最善の利益を考え、今までばらばらだった子供施策を一体的に推進し、
こどもまんなか社会を目指していくという、こども家庭庁の設立の理念に私は強く賛同しています。栃木県においても、
こどもまんなか栃木を目指し、各種政策を一体的に進めていくべきと考えます。
こどもまんなか社会をつくるためには、まず、子供が多くの時間を過ごす学校、そして教育の在り方を子供中心となるように変えていくべきと考えます。
そこで、教員のこれまでの働き方を見直し、長時間労働を是正することが子供たちへのよりよい教育につながるものと考えることから、教員の働き方改革について伺います。
これまでも多くの議員が質問でも指摘しているように、教員の長時間労働は大きな社会課題として認知されるようになりました。このような中、栃木県教育委員会においては、平成31年1月から学校における働き方
改革推進プランを策定し、全県的な取組を開始し、令和元年度から令和3年度までの第1期計画に続き、令和4年度から令和8年度までの第2期計画を進めているところであります。これまでの成果を見ると、緩やかにではありますが、教員の長時間労働は改善に向かっていると認識しております。しかし、令和6年度栃木県
公立学校新規採用教員選考試験への応募者は、過去10年で最少となってしまっています。全国的にも教員採用試験の応募者は減っております。これから社会に出ていく子供たちを育て、国や社会をつくっていくという崇高な仕事である教職を若い人たちが選ばなくなってしまっているのです。
このことから、私は、
こどもまんなか社会の実現に向けたよりよい教育を目指すためには、教員を志す人を増やしていく必要があり、教員が時間と心の余裕を持って働ける環境を一刻も早くつくり上げていくことが重要と考えます。今年度は、学校経営から考える働き方改革推進研修やICTを活用した業務改善として
教員業務負担軽減DX事業等の事業が行われており、モデル校や指定校で新しい取組が始められていると聞いています。
そこで、これまでのモデル校や指定校における取組と、その成果を踏まえた教員の働き方改革の展望について、教育長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。教員の健康を守ることはもとより、教員が新しい知識、技能等を学び続け、よりよい教育を行うことができるよう、教員を取り巻く環境を整えることは重要であります。このため、働き方改革のモデル校におきましては、各校の実情に応じまして業務分担の見直しや行事の簡素化を図るなど、業務改善の取組を進めております。また、
教員業務負担軽減DX事業の指定校では、
採点支援システムや
グループウエア等のICTの活用に取り組んでおり、採点時間の大幅な削減や職員会議等の効率化などの効果が見られたところであります。これらの成果につきまして、全公立学校対象の報告会を開催するなど各校に周知徹底を図り、業務改善の取組をさらに加速していくこととしております。
引き続き、実効性のある働き方改革を推進し、教員がやりがいを持ちながら、子供たちと向き合い、より一層充実した教育活動を行えるよう努めてまいります。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 教育長より答弁をいただきました。モデル校での取組を水平展開し、業務改善の取組を力強く進めていただければと思います。
ここで教育長に再質問いたします。夏に、教職員団体からこのような話をお伺いいたしました。妊娠が分かった教員が、現状を察して校長にその事実を申し出ることをちゅうちょしており、2か月ほど家族と相談し、泣きながら妊娠の話を校長に伝えたということです。子供に関わる仕事に就く人が、自分の出産を管理職に伝えるのがはばかられるような環境は改善していかなければならないと感じています。現在、栃木県では、産休、育休の取得が増えており、また、男性の育休取得も増えているとのことですが、2か月未満の短期間の取得だと臨時教員は配置されにくく、そういった場合には、既に膨大な業務を抱えている管理職である教頭や教務主任がそこを埋めることになってしまうと聞いています。
そこで、産休・育休代替の人員の補充についてどのように取り組んでおられるのか、教育長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長
阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。教員の補充につきまして、あらかじめ計画的な対応が可能な育休代替等の補充につきましては、おおむね補充ができていると考えておりますけれども、産前産後の休暇でありますとか、突発的な傷病休暇への対応などにおいては迅速な対応ができていないケースがあるということは承知しております。現在、臨時の募集につきまして、県の広報媒体などを活用したり、そのほかに、採用試験のときに結果通知と併せて
臨時採用教職員への登録などの呼びかけなど、幅広く今教員の免許を持っている人を含めて呼びかけなどを行っているところです。ぜひそういった制度を活用して適切な補充ができますよう、これからも努めてまいります。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 教育長から答弁をいただきました。今お話にあったように育休は前もってある程度予測がつくということから、ほぼ配置されているということで、現場の先生方には上司に伝えるのをはばかることなく、安心して育休、産休を取ってくださいということをお願いしたいと思っています。ですが、一方で、自分が産休や育休を取ったときに、場合によっては上司である教頭や教務主任に負担がいく状況ではあるわけです。また、幾ら働き方改革を学校でやろうといっても、教頭や教務主任もしていながら、担任も兼務しているような物すごく忙しい上司がいる学校で、ほかの教員たちが早く帰れますかということもあると思います。やはり
こどもまんなかの教育のためには、教育現場に十分な人的配置が必要だと思います。
ここで要望いたします。教員が子供と向き合う時間をつくれるよう、さらなる少人数学級の取組を進めるとともに、教員の配置を増やすこと等の改善を引き続き県からも国に要望していただきますようお願いいたします。また、
教員業務支援員やスクールソーシャルワーカー、
部活動指導員等、外部人材の配置拡充を含む教育現場の人的な拡充を要望いたします。その上で、ICTなどを活用した教員の業務改善や学習環境の整備が進むようお願いいたします。また、中学校における働き方改革の本丸は、部活動の地域移行だと思っています。子供のニーズや地域に合わせて、部活動に代わるスポーツ・文化活動の環境をつくり、丁寧な移行をお願いしたいと思います。
次に、子供の学びの保障について、教育長に伺います。昨年度、30日以上の欠席があり、不登校と報告された小中学生の人数は、全国の
国公私立小中学校で29万9,048人、県内の小中学校で5,137人となり、過去10年で最多となってしまいました。平成24年度からその数は増え続け、特にここ5年間ではおよそ2倍となってしまっています。今年の3月に文部科学省が取りまとめた誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(
COCOLOプラン)では、不
登校児童生徒等を対象に、特別の教育課程を編成して教育する学校である学びの多様化学校を早期に全ての都道府県に設置することや、
校内教育支援センターの設置を促進すること、教育委員会と
フリースクール等との連携強化の取組などを通し、不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることが目指されています。
また、
新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に変更される前には、家族が順番に感染すると半月以上も学校に登校できないということがあったため、タブレット等のICT機器を活用してオンラインで学校とつなぎ、家にいながら授業に参加できるようにするなど様々な工夫が徐々に広がっています。そして、今は
インフルエンザ等が県内で流行していますが、子供たちは元気になっても熱が下がってからの数日間は学校に登校することができないため、学校の授業への遅れが発生してしまうことが懸念されます。私は、家庭や
教育支援センター、
フリースクール等、学校以外の場でも子供の学習権が保障されることが必要であり、家庭や地域、社会の変容に合わせて教育の在り方も変わっていくべきと考えます。
そこで、今後、不登校や病気の子供に対する学びの保障にどのように取り組んでいく考えか、教育長にお伺いします。
○佐藤良 議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。全ての子供の学びを保障するためには、学校と関係機関との連携した取組やICTの効果的な活用など、児童生徒一人一人の状況に応じた多様な支援を講じることが必要であります。不登校児童生徒への学びの保障につきましては、
教育支援センターや
フリースクール等との連絡会を通して、学校と関係機関が学習状況を共有して学びを支援できるよう、連携の在り方につきまして様々な事例を基に協議しており、引き続き支援体制の強化に努めてまいります。また、不登校や病気療養等により学校に通うことができない児童生徒への支援につきましては、各学校でオンラインによる学習指導に対応できるよう、今年度、遠隔授業のマニュアルなどを掲載したポータルサイトを開設したところであり、さらなる周知により活用を促していくこととしております。
今後とも、誰一人取り残すことなく学びを保障することができるよう、児童生徒一人一人の状況に応じた支援に努めてまいります。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 教育長から答弁をいただきました。私は、不登校や病気の子供たちへの学びの保障を進めることで、今学校にいる子供たちへの学びの在り方も、より一人一人の子供に合うものへと変化していくと考えています。
校内教育支援センターの設置拡充と、学びの多様化学校の設置検討を進めるとともに、
フリースクール等の学校以外の場で学ぶ子供を持つ家庭への経済負担の軽減を図ること、また、学校以外の場での学びの質を向上させるための支援を行うことを要望して、次の質問に移ります。
次に、県営都市公園の充実について、県土整備部長に伺います。
こどもまんなか社会を考えたときに外せないのが、子供たちが伸び伸びと過ごせる居場所です。私たちが子供だった頃は、まだ、小学生は放課後になると当たり前に学校や公園に集まり、学区内を自転車で走り回り、川や森、空き地など地域全体を遊び場にして、暗くなる直前まで自由に遊んでいるというのが当たり前でした。また、中学生、高校生がいられる居場所も多く存在していたと思います。ですが、今はどうでしょうか。町で見かける子供の数が少なくなり、子供が外を1人で歩いていると何となく心配になってしまうような、そんな時代です。ここ数十年の間に週休2日制が導入されたものの、授業時間は増加し、子供たちの平日の下校時間が遅くなってしまいました。また、子供が被害に遭う痛ましい事件・事故が大きく報道されるため体感治安が悪化し、子供を1人で歩かせることすら難しい社会になってしまいました。
私は、学童保育の
放課後児童支援員として14年にわたり子供たちのそばで働いてきましたが、子供たちから一番受け取ってきた思い、メッセージは、もっと遊びたい、この一言に尽きると思っています。子供たちは、自分がやりたいことを思いっ切りやる時間の中で、生きることの充実を感じ、体力や筋力をつけ、積極性や粘り強さを育てていきます。また、友人との時間の中から、他人の痛みや気持ちを知り、協調性を学び、自制心ややり抜く力を身につけ、世の中をたくましく、しなやかに生きていくための力をつけていくのです。
こどもまんなか社会の実現のためには、もっと遊びたい、学びたい、何かをやりたいというごく真っ当な子供たちの声に応えるため、様々な遊びや活動、学びの場を子供たちが自由に選び、利用できるようにすることが必要です。具体的には、国、県、市町が一体となり、子供たちの居場所となる公園や児童館を整備するとともに、公民館やスポーツ施設などを子供が利用しやすい場所に変えていくべきであると考えています。
県としては、現在、県内唯一の大型児童館である子ども総合科学館の大規模改修を進めており、県民から大きな期待が寄せられています。私は、それと同時に、
こどもまんなかという視点に立って、県営都市公園をより一層充実させていくことが重要と考えております。遊具の更新時期に合わせたインクルーシブ遊具の導入や、子供たちがチャレンジできるような冒険的要素のある遊び場を設置することなど、子供たちの発達やニーズに合わせたより魅力的な公園としていくことが必要です。
そこで、
こどもまんなかの視点に立った県営都市公園の充実のため、県営都市公園の遊具の更新についてどのように取り組んでいく考えか、県土整備部長に伺います。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県営都市公園は、自然との触れ合いやコミュニティの形成などとともに、県民のレクリエーション活動を目的とした施設であり、7公園に様々な遊具が設置され、多くの子供たちに利用されております。遊具の更新に当たりましては、公園利用者等の意見も踏まえながら、公園施設長寿命化計画に基づき計画的に進めているところであります。子供たちの発達やニーズに合わせた遊具の設置につきましては、様々な場面で要望が出ておりますことから、既存の遊具を更新する際に、これまでの取組に加え、関係市町と連携し、近隣の小学校等に意見を聞くなど幅広い視点から検討してまいります。
引き続き、子供たちを含め、多くの県民に選ばれる魅力ある県営都市公園となるよう遊具の更新に努めてまいります。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 県土整備部長からご答弁をいただきました。今の答弁の中にありましたように、地元の小学校の声を聞く、このようなことも含めて子供の声を聞く県政ということを各分野において進めていただけることは、非常にありがたいと思っております。都市公園は各市町にもありますけれども、ぜひ県に
こどもまんなかの都市公園づくりをリードしていただきたいと思います。
栃木県には、自然豊かな都市公園があることも子育て世帯に向けての大きな魅力になっています。豊かな自然環境を生かした遊び場の充実を要望するとともに、那須野が原公園のアスレチックを含む各種公園の遊具等の更新につきましても、公園施設長寿命化計画に合わせ、更新や事後保全、予防保全を進め、安心・安全で楽しい公園環境を守っていただきますようお願いいたします。
また、私は、公園だけでなく、児童館などをさらに整備するとともに、公民館やスポーツ施設などを子供が利用しやすい場所に変えていくべきと考えています。とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトの第2弾実施事業の中にも、こどもの居場所の更なる充実についての項目がありますことから、県土整備部だけではなく、県庁全体で子供が伸び伸びと過ごせる居場所づくりに取り組んでいただきますよう要望いたします。
次に、県民の医療・福祉の緊急相談体制の充実と周知の強化について、保健福祉部長に伺います。県民の医療や福祉の向上のために、県や市町において様々な支援を行っていますが、そのことが県民にまで届いておらず、行政の支援に行き着かないことが多々発生していることは大きな課題です。また、案件によっては、行政機関や病院等が閉まっているという時間帯における事柄のため、すぐに相談ができないこともあります。
県では現在、#7111にて救急医療電話相談を行っておりますが、これは夜間や休日に急な病気やけがにより救急医療を受診するか迷ったときに電話をすると、看護師が家庭での対処方法や救急医療受診の目安などをアドバイスしてくれるものです。また、夜間と日曜、祝日に子供が発熱や蕁麻疹などの症状やけがに遭った場合など、深夜にでも対応している#8000の子ども救急電話相談はその認知が広がっており、令和4年度には2万4,220件もの相談を受けています。これらの相談窓口は、県民の安心の確保と救急医療の逼迫防止に対して大きな成果を上げており、今後もより一層の周知の強化を図っていくべきと考えています。
また、こころの相談@とちぎでは、不安やストレスを抱えた方に対しLINEを利用した相談を行っていますが、令和4年における県内の自殺者数は367人であり、コロナ禍以前に比べると女性や若年層の自殺者が増加している状況でありますことから、このような心の健康の相談体制についても、相談時間の延長などのさらなる充実が必要と考えています。加えて、予期しない妊娠等に関する相談窓口として開設しているにんしんSOSとちぎでは、24時間受付のメール相談と週2日の電話相談を行っておりますが、ターゲットである若い世代がより相談しやすいようにするため、電話相談時間の延長に加え、LINE等のSNSを使用する方法へと切り替えるなど工夫を凝らし、併せて周知啓発を図るべきと考えます。
そこで、県は、これらのような県民の医療・福祉の緊急相談体制の充実と周知の強化についてどのように取り組んでいく考えか、保健福祉部長に伺います。
○佐藤良 議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
(岩佐景一
郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。時代の変化に伴い、人々の価値観やニーズが多様化する中、不安を抱える県民が適切な支援につながるよう、県や市町、関係機関におきまして、保健、医療、福祉の幅広い分野で相談窓口を開設し、ホームページやSNSなど様々な手段で周知を図っております。特に専門性や緊急性が高く、全県的な対応が必要な救急医療電話相談、にんしんSOSとちぎ、こころの相談@とちぎ等につきましては、県が専門機関等に委託して窓口を開設するなど相談体制を強化しているところでございます。こういった相談窓口の開設や運営に当たりましては、支援に携わる人材等が限られている中、ライフスタイルや相談ニーズ、通信手段の多様化などを踏まえ、より効果的な支援ができるよう、時間の延長やツールの拡充等を図ってきたところでございます。
今後とも、これら窓口のさらなる周知に努めるとともに、相談者のニーズ等を把握しながら、より適切な相談支援ができるよう、必要に応じて対応を見直すなど、県民が安心して相談できる環境づくりに取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 保健福祉部長から答弁をいただきました。ここで要望いたします。救急医療電話相談や、こころの相談@とちぎ、にんしんSOSとちぎのようなサービスがあることが認知され、必要な人に届くように、相談の内容に合わせた周知、例えば商業施設や行政施設のトイレに貼れるステッカーを作成するなどし、市町と連携した周知啓発をお願いいたします。また、望まない妊娠から誰にも相談することができず、一人きりで出産し乳児を殺害してしまうという痛ましい事件が県内でも起きてしまっています。何とか送ることができた1本のメッセージが支援につながり、一つの命を守れるということもあり得ます。若い世代がより相談しやすいよう、困ったそのときに相談の窓口があるよう、にんしんSOSとちぎの相談のLINE化や24時間化等さらなる拡充を要望し、次の質問に移ります。
獣害対策について、環境森林部長に伺います。私は、栃木県の豊富な自然と、そこにある動植物や鳥や虫たちが織りなす生態系が私たちの豊かな暮らしの源泉であると考えています。生態系を守りつつ、暮らしや農林水産業への被害を軽減し、人と野生鳥獣が共生することのできる地域環境をつくっていくことが必要です。今年は、全国的に熊やイノシシなどの野生動物の出没や被害が頻繁に報道されており、本県においても、今年4月から10月までの熊の目撃件数は100件を超え、例年より30件以上多い状況ということです。今年10月から11月にかけては、宇都宮市の中心部でイノシシの目撃情報が複数回あったほか、今年11月には那須町で散歩中の女性が熊に襲われて軽傷を負う被害がありました。
県ではこれまで、地元市町や警察署、猟友会等と連携しながら出没情報の早期把握、周辺住民への注意喚起やパトロール等を実施し、必要に応じて追い払いや捕獲等の対策を講じているということであり、さらに来年1月から2月には市町職員や猟友会等を対象に、市街地出没対応訓練を実施すると聞いています。獣害対策の担い手である狩猟者が高齢化している中、効果的な対策を行っていくためには、地域ぐるみで獣害対策に取り組んでいかなくてはなりません。市町職員や猟友会に加えて、さらに多くの方が地域を守る担い手となれるよう、獣害対策の担い手の確保・育成も強化していくことが重要と考えています。
そこで、県は、野生動物の出没が相次いでいる中、獣害対策についてどのように取組を強化していくのか、環境森林部長に伺います。
○佐藤良 議長 小野寺一行環境森林部長。
(小野寺一行環境森林部長登壇)
◎小野寺一行 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、野生鳥獣からの農林業被害軽減などを目的として、捕獲と防護、環境整備の取組をバランスよく組み合わせながら獣害対策に取り組んでいるところであります。昨今、熊やイノシシなど野生動物の出没が増加する中、農林業被害対策はもとより、地域住民の安全な生活を確保していくためには、住民自らも獣害から地域を守る担い手となり、市町や猟友会等と連携しながら対策を強化していくことが重要であると考えております。
このため、県では、鳥獣管理士をアドバイザーとして集落に派遣し、収穫予定のない柿などの果実の除去や、隠れ場所になるやぶの刈り払いなどの環境整備を地域住民が主体となって行えるよう支援するとともに、研修会の実施等により、地域における獣害対策の指導者となる人材を育成してまいります。また、新たに実施する市街地出没対応訓練では、現場における手順の確認や、追い込み、捕獲等の訓練を行うことで現場対応力の向上を図ってまいる考えであります。
今後とも、人と野生鳥獣が共生する環境づくりに努めながら、地域ぐるみの獣害対策に積極的に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 環境森林部長からご答弁をいただきました。つい昨日の下野新聞に載っていた記事ですけれども、4日の午前2時頃、那須塩原市のアパートで、熊1頭が木製の玄関ドアの一部を壊したとのことです。熊はドアに穴を開け、室内に向けて鼻先を入れており、室内にいた方が物音に気づき笛を吹いたところ熊は立ち去ったと言います。大きな被害になってもおかしくなかった事例だと思います。また、本日の下野新聞にもありましたが、県内でシカの定着が進んでしまっています。八溝山でのシカの定着が進むと、県東部の森林へと南下していくおそれもございます。新たに策定されるニホンジカ管理計画に基づき取組を力強く進めていただきますよう要望し、次の質問に移ります。
先端技術を活用した農業の推進について、農政部長に伺います。昨今、デジタル化の波は急速に進んできており、様々な分野においてICTやIoT、AIといった先進技術が導入され、私たちの生活の中に溶け込んできています。一方、農業はというと、体を使って地道に取り組む産業というイメージがまだ強く残っておりますが、こういった話も一昔前までで、今は世の中のデジタル化の流れに乗って少しずつ変わり始めているようです。
私の地元である大田原市は、平たんな農地に広大な水田が広がり、米や大豆のほか、ネギやウドなどの露地野菜や、イチゴやトマト、アスパラガスなどの施設野菜、さらには酪農や肉用牛等の畜産など、県内でも農業が盛んな地域の一つです。地元農家の皆さんから話をお聞きしますと、若い農業者を中心に、スマートフォンを活用してハウス内の管理や水田の水管理をしたり、牛の分娩を監視する装置を導入したりするなど、新しい技術を取り入れる方が増えてきていることが分かります。また、ICTやIoTの知識や技術を持っている農家ですと、自前で簡易的なロボットをつくり、プログラミングを行い、作業の簡略化を図ったり、自作でセンサーの設置を行い、スマートフォンから農地の状態を把握したりするなど、身近なところから工夫を重ねていっています。もはや生活必需品となっていますスマートフォンやパソコンを使って、また、加えて少しの機械や技術を取り入れることで、農作業の負担が軽減されることや、よりよい農作物を作れることが徐々に広まってきていることもあり、多くの農業者がデジタルを活用した新しい農業技術に関心を寄せるようになってきています。
国では、生産性の向上を図り、農業を発展させていくために、農業分野へのAIやIoTなどの先端技術の導入を進めています。また、デジタル技術を活用し新しい価値を生み出す農業版DXの取組も進めているようです。本県においても、生産性や収益力向上に向け、本県のスマート化やDX化を進めることとしております。農業は、高齢化や労働力不足など多くの課題を抱えておりますが、IoTなどの先端技術を普及させ、生産や流通分野での効率化を一層進め新しい農業を確立していけば、しっかり稼げる職業として農業に夢を抱く後継者や新規参入者が増え、さらなる発展が可能になっていくのではないでしょうか。
そこで、県は、先端技術を活用した農業の推進にどのように取り組んでいくのか、農政部長に伺います。
○佐藤良 議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。農業の生産性向上を図るためには先端技術の導入が大変有効でありますことから、スマート農業とちぎ推進方針に基づきまして、フェア等の開催による普及啓発のほか、ドローンや環境制御装置などの導入支援を行いました結果、取組が年々増加し、導入した農家数は令和4年度末の目標をおおむね達成している状況でございます。今後、県内に広く波及させていくためには地域の指導者を育成していく必要がありますことから、農協の営農指導員や農業士を対象とした全国の優良事例や導入効果、具体的な活用方法等を学ぶ研修会の開催を支援してまいります。さらに、デジタル技術により農業の生産や流通の変革を促す農業DXを推進するため、とちぎ食肉センターや、現在、農業団体が整備を進めております広域集出荷施設において、出荷、販売等のデータを収集・分析し、農業の生産性や品質向上を図る仕組みづくりを支援してまいります。
今後とも、関係機関・団体と連携しながら、先端技術の導入を一層促進し、収益性の高い農業を目指して取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 農政部長から答弁をいただきました。こういった分野は、やはり中心となる1人が育つことが周りへの波及効果を大きく広げると思います。研修会を通じて人材の育成を図っていただきますようお願いいたします。高齢化が進み、農業者が減っている中、先端技術の導入により、生産性の向上や流通の効率化を進め収益を上げていくことが重要であるため、ぜひ整備中の広域集出荷場の支援と併せ、取組の推進をお願いします。
ここで農政部長へ再質問します。現在整備中の広域集出荷場において、先端技術を活用した流通の取組を進めることは、園芸分野における生産性の向上などにもつながり、大変重要なことだと思いますが、現在、トラックドライバーの労働時間が制限されることにより物資の輸送能力が不足する、いわゆる2024年問題が間近に迫っており、農作物の輸送への影響が心配されるところです。関東は大消費地である首都東京に近いということもあり、九州や関西ほどの影響はないと想定しておりますが、この状況に甘えていると対策の努力をしている地域から後れを取り、栃木県の農産物に影響が出てしまうのではないか、有利な販売ができなくなってしまうのではないかと懸念しております。
そこで、県は、農産物の2024年問題への対応についてどのように考えているのか、農政部長へ伺います。
○佐藤良 議長 熊田欽丈農政部長。
◎熊田欽丈 農政部長 再質問にお答えいたします。物流の2024年問題に伴います輸送能力の不足によりまして、農業分野では鮮度が重視される青果物を中心に影響が出ることが懸念されますことから、他産地に遅れることなく対策を講じていく必要があると考えております。
県といたしましては、先ほども答弁でも申し上げました、今、農業団体が整備を進めております広域集出荷施設において、トラックの配車の効率化による物流合理化対策や青果物の生産流通のDX化の取組を支援しているところでございます。また、既に農業団体と様々な情報交換を行っているところでございますが、今後、関係機関、団体と2024年問題に関する対策会議を開催しまして、県内の各産地における現状、課題の共有、それから今後の物流対策等について検討を行い、適切に対応してまいりたいと考えております。
○佐藤良 議長 星雅人議員。
(12番 星 雅人議員登壇)
◆12番(星雅人議員) 農政部長からご答弁をいただきました。ぜひ農産物においても2024年問題に対応するとともに、東京都に近いという立地条件を生かし、新鮮さを前面に出した販売を推進するなど、本県の農業がさらに発展していくような取組を進めていっていただければと思います。
ここで要望いたします。2024年問題への対応や流通の合理化の取組は、カーボンニュートラルなど環境への配慮にもつながる取組です。今年は異常な暑さが続き、農業にも温暖化の影響が出つつあるのではないかと思います。このような中ですので、農業においても環境に配慮していくことが必要です。県では、とちぎグリーン農業推進方針を策定し、堆肥を活用するなど有機農業の推進などに取り組んでいるとのことですが、先日、とちぎ自民党議員会の政調会の農林・環境部会、商工・建設部会の合同視察で、佐賀市下水浄化センターにて下水汚泥堆肥化事業の調査を行ってまいりました。事業化がなされてから汚泥の全量が堆肥化され、その堆肥は安い値段で販売され、廃棄物として処分されるはずのものが田畑に返っています。栃木県は酪農が盛んであり、牛ふん堆肥も豊富ですが、下水汚泥を堆肥化し活用を進めることは地球環境への負荷低減にもなりますし、海外に依存しているリンや窒素等の資源を確保することにもなり、国際情勢の不安定化による肥料価格高騰対策にも寄与でき、また、循環型社会をつくる一歩にもなると思います。ぜひそのような取組も進めていただきますようお願い申し上げます。
以上で予定しておりました私の質問は全て終了いたしました。冒頭で、先人の皆様への感謝を申し上げましたが、多くの先輩方も、前の世代の人たちが生み出してきた豊かさとともに、積み残してきた課題も引き受けてきたのだろうと思います。我々の世代は、人口減少や気候変動などとても大きな課題を引き受けなければいけない世代です。多くの方が、ここから日本は難局を迎えることになるだろうことを感じていると思います。しかし、暗い顔をしていても何も解決はしません。新たな発想を大切にし、遊び心を忘れず、人の持つ可能性を信じ、誰一人取り残さない持続可能な社会に向けて、県民の皆様と共にこれからも歩みを進めてまいります。
以上をもちまして私の全ての質問を終了いたします。
○佐藤良 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午前10時58分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は49名であります。
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午前11時15分 開議
○関谷暢之 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。
ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) えがおの会の青木克明でございます。今回の質問は、県政の課題、5つのテーマ、6つの項目にわたって質問させていただきます。
まず最初に、地方財政について、知事に伺います。本県において、財政は、高齢化の進行などにより医療福祉関係費の増加が続いています。また、災害への対応、公共施設の長寿命化対策のため県債残高が増加傾向にあり、厳しい状況にあります。令和5年2月に公表した中期財政収支見込みでは、令和9年度まで、各年度において70億円台から80億円台の財源不足が見込まれ、原油価格や物価高騰の長期化などにより景気の下振れリスクもあり、財源不足がさらに拡大する懸念があるとしています。県は、行政コストの削減、歳入確保に全力を挙げて取り組むとしています。
しかし、新たな自主財源確保は大変困難な課題であります。私は、地方消費税の税率を引き上げることを国に要望すべきと考えます。消費税10%のうち、2.2%が地方消費税として県や市町の財源になっています。地方消費税の税率2.2%を0.1%でも引き上げることを国に要望し、自主財源の確保に取り組むべきです。県職員の試算では0.1%引上げで約24億円の税収増になるということです。
地方消費税は、地方分権の推進、地域福祉の充実などを目的として平成9年に導入されました。少子化、高齢化の進行により社会保障費が増大したため、消費税率の引上げと併せて、地方消費税の税率が引き上げられました。税率引上げの際には、社会保障関係費のうち地方負担分に対応するため、地方消費税の占める割合を増加してきた背景があります。自主財源確保のため、私は、福田知事が全国知事会において地方消費税の税率を上げる提案をされて、全国知事会として国に要望してはどうかと考えます。知事の考えを伺います。
○関谷暢之 副議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの青木議員のご質問にお答えいたします。高齢化の進行等による医療福祉関係経費の増加が続いている中、頻発する災害への対応や県有施設の長寿命化など、今後も増嵩する財政需要に適切に対応していくためには、自主財源である地方税の充実確保は極めて重要であります。このため、県におきましては、国に対し、社会経済情勢や企業の事業活動等を的確に反映した地方税制度への見直しを要望するほか、全国知事会を通じて、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系の構築を図るよう提案してきたところであります。
ご質問の地方消費税のうち、平成26年からの税率の引上げ分につきましては、社会保障給付における国と地方の役割分担に基づき配分が決められていることから、税率の変更に当たりましては、国と地方の役割分担の見直しが前提になるものと理解しております。また、社会保障関係費の増加が今後も見込まれる中、地方に過度な負担がかかることなく、必要な住民サービスを十分かつ安定的に提供していけるよう、国におきましては、必要な財政措置を確実に講じていただきたいと考えております。
県といたしましては、引き続き、企業誘致や経済成長を促す施策を通じて税収増につなげるとともに、県税収入未済額の縮減等に取り組むほか、必要な税制措置を国に継続して要望するなど自主財源の確保に努め、持続可能な財政基盤の確立を図ってまいります。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) 知事から答弁では、自主財源確保のために最大の努力をする、国にもしっかり要望するというお話がございました。まさにそれしかないし、精いっぱい頑張っていただくしかないと私は思っています。今回、この地方消費税の税率を上げることを提案したらいいのではないかというお話をしたのは、ただいま、知事からも答弁の中にありましたが、国の役割と県の役割があって、2.2%の財源をいただくことによって社会保障の県の負担分をしっかり行うということの中で、こういった数字が支給されてくると認識しているのでありますけれども、この地方消費税の金額を清算するときに計算する根拠となるデータが、過去においては、商業データとして75%、人口として25%であったものを、奈良県知事の提案において、人口50%、商業データ50%に改革することを国に提案し、その結果、それが実現しているのです。栃木県190万人、奈良県、今の現状でいくと129万人、栃木県よりも少ない人口のところで人口に重きを置いて欲しいというその思い、気持ち、それだけ地方財源を少しでも豊かにしたいという都道府県は、私は多いのではないかなと思っています。
知事も5期目です。全国知事会ではリーダーです。やはり日本のリーダーとして、日本を牽引する、引っ張っていく、そういうパワーが僕は必要だと思っています。知事にはぜひそれを、私は応援の気持ちで言っているのですよ、出して頑張っていただきたいという思いで今回は質問させていただきました。知事もいろいろ努力して、いろいろなことに取り組んできて今日まで課題を乗り越えてきた、これは誰もが知っていることです。しかし、もっとさらにハードルの高い、障害が大きいそれを乗り越えていくことは大事だと思います。今まで知事を経験してきて、様々な課題を乗り越えてきた知事にとって、この課題、もし自主財源を少しでも高めるという課題を乗り越えることができるような結果を出せたら、私は日本国民全てが大変な喜びの中にあると思っていますので、知事にはぜひとも頑張っていただきたい。
そういう意味で、もう一度ご質問申し上げますけれども、知事、一度そういった地方消費税ではないものでもいいのですけれども、自主財源確保のために国を動かす、そういう気概を持って取り組んでいただきたいと思うのですが、何か所見がありましたらお聞かせください。
○関谷暢之 副議長 福田富一知事。
◎福田富一 知事 10%に消費税を最終的に上げた段階で、先ほど申し上げましたように、国と地方の社会保障費、社会保障の役割分担を決めて、それに応じて全体の2.2%という数字に落ち着いたという経緯があります。その見直しをした段階と今で、乖離が相当発生しているという状況にあるとするならば、これは国に対して物を言うことは十分あり得ると思いますが、その検証を経てどうあるべきかを考えていくことが必要だと思います。
この話を国にぶつければ、唐突に何を言っているのかと、こういう話で一蹴されてしまうと思いますので、内容を精査した上で、果たして我々の知事会としての意見が国に物を申す立場にあるのかないのかという判断が必要だと思いますので、それらを考えて対応してみたいと思います。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) 日本経済新聞にこういう記事があったのです。九州大学の浦川邦夫教授です。「自主財源を高める措置としては、税収の地域間格差が比較的少ない地方消費税の税率引上げなどが検討に値する」というコメントを新聞に投稿しているのです。それだけ地方消費税は、私が提案、お話し申し上げたような可能性を持っていると私は思っているので今回申し上げました。ぜひとも可能性を追求し、知事がおっしゃったように、しっかり検証していただいて、国を動かす力を持って頑張っていただきたいと思いますので、お願い申し上げて、次の質問に移ります。
2つ目の質問は、地方経済についてであります。人々が生活していく場所として魅力ある地方都市が求められています。地方では、情報技術の発達により都市部と同じように海外とつながることができるとともに、自然と親しみ、時間にゆとりを持ちながら、創造的な仕事ができる環境にあります。こうした環境を生かし、活力があって、持続可能な地域産業や地域社会を実現させるためにはどうするのか。深刻な人口減少と高齢化、地球温暖化、カーボンニュートラルへの移行が求められる中、こうした状況を地方自治体にとって改革のチャンスと捉えて、持続可能な地域社会の発展と経済成長を目指していくべきであり、魅力あるとちぎを創造していくために、経済力を高める取組が重要であると考えます。
地方創生の戦略で稼ぐ力の向上が図られてきました。それは県外からのマネー獲得であります。これには企業誘致が近道であり、同時に雇用も増えるとしています。私は、県内の25市町に企業誘致を実現するために、サプライチェーンの強化に取り組み、県内生産体制の強化を図り県内経済を高めていくこと、25市町に企業誘致が可能となる産業団地の造成などにより、県内の市町が均衡ある経済力を向上させる取組として重要であると考えています。そのためには、まず、サプライチェーンの充実に取り組んでいくべきであります。本県では、基幹産業となる自動車、航空、産業用等の輸送用機器、医薬・医療関係が集積し、これらの産業などの成長により、本県経済の今日までの発展に貢献してきたと思います。
こうした中、県では、2050年カーボンニュートラル実現を目指し、とちぎグリーン成長産業振興指針を定め、脱炭素を契機とした県内企業の競争力と本県産業の力強い成長、つまりグリーン成長につなげ、持続的発展を図るとしています。そして、このグリーン成長を実現するために、指針に定めた機運醸成・環境整備、技術開発等への支援、新産業の創出・育成、企業誘致・定着の強化の4つの柱の取組を目指すとしています。栃木県において高付加価値の地域産業の集積を促進させていくため、県内取引の拡大を図り、製造業等のサプライチェーンの強化に取り組むことが重要と考えますが、知事の考えを伺います。
また、県と企業が連携したリスキリングの取組についてです。デジタル化の進展と地球温暖化の進行など社会が急速に変化し、個々のスキルを向上させ、キャリアの自立を促し、一人一人の希望に合わせた育成が重要な時代となっております。人材投資が成長を左右する人生100年時代とも言われています。こうした時代に合わせて必要な知識やスキルを再習得するリスキリングはミドルシニアにとっても重要であり、これらに取り組む企業を増やしていくことで、県内企業の生産性向上や新たな付加価値創出を促進することが可能となると考えます。人材開発、人材育成に支援する取組が重要であると考えます。
そこで、個人や県内中小企業に対してリスキリングを支援する制度を設けて、県内のリスキリングの機運を高め、産学官による取組など栃木県に適したリスキリングを実現し、成長する人が輝くとちぎの実現に向けて取り組んでいくべきと考えます。今がチャンスと捉えて、経済力を高めていくための具体的な戦略は重要と考えますが、知事の考えを伺います。
○関谷暢之 副議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。人口減少、少子高齢化の進行、カーボンニュートラルの実現など、社会経済環境が大きく変化する中、本県経済が将来にわたり持続的に発展していくためには、基幹産業等のさらなる集積と関連企業の連携に加え、これらを支える人材の育成が必要と考えております。産業の集積と企業の連携を図るためには、本県の強みを生かしながら、今後の成長が見込まれる産業分野を重点的に支援し、その集積、連携を促進するなど県内におけるサプライチェーン全体の強化を図ることが効果的であります。このため、県では、とちぎグリーン成長産業振興指針におきまして、国のグリーン成長戦略に掲げられた今後成長が期待される14分野について、新産業の創出・育成や関連企業の誘致等、施策の展開を図っております。また、県内企業の連携強化に向けましては、本県の戦略3産業である自動車、航空宇宙、医療福祉機器産業において、産学官金の連携の下、ネットワーク形成や販路開拓を支援しているところであり、引き続きサプライチェーンの強化に取り組んでまいります。
人材の育成につきましては、リスキリングを通して産業構造の変化に柔軟に適応できる人材を育成し、労働生産性の向上につなげていくため、現在、とちぎビジネスAIセンターや産業技術専門校においてデジタル人材の育成に取り組むなど、企業における産業人材の育成を支援しているところであります。今後は、本県の実情に応じたリスキリングを推進できる環境づくりと機運醸成のため、労働団体、経済団体、行政等から成るとちぎ公労使共同会議等におきまして議論を深めながら、企業におけるリスキリング導入の支援などを検討してまいります。
引き続き、社会経済情勢の変化に的確に対応しながら、本県経済の持続可能で力強い成長に向け全力で取り組んでまいります。
なお、先ほどの前の質問での再質問の中で、10%のうちの2.2%の分け前を増やせという議論の意見を申し上げましたが、それも自主財源の確保には一つの重要なテーマだとは思いますが、それよりも我々がやっていくべきものは、栃木県が県民全体で稼いで栃木県を豊かにする、そこに注力していくべきだと考えております。農林業の振興や輸出のさらなる拡大、そしてまた企業誘致での雇用の確保など自主財源の確保につながるようしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) 知事から稼ぐ力が栃木県として少しでも大きくなるような取組をしていきたいというお話を最後にいただきましたけれども、最も大事なことだと私も思っておりますので、そのための一つの取組としてサプライチェーン、もう一つ、リスキリングというお話をさせていただきました。
先ほど、答弁の中にもありましたが、とちぎグリーン成長産業振興指針に基づいて、当然カーボンニュートラルが前提ということになるのですけれども、この産業を成長させていくためには、再生可能エネルギーをどう活用していくかが重要なテーマになってくると思います。再生可能エネルギーでつくった部品をサプライチェーンで供給していくことによって、初めて脱炭素化が実現できるのです。今、日本は火力発電が80%近くを占めているわけですから、できている部品は、再生可能エネルギーを使用していない中でつくられた部品が供給されているという現実があって、この状況を、このサプライチェーンの中で、具体的にきちんと再生可能エネルギーを使った部品や製品を供給していく体制を確立していくために、県として何らかの戦略が必要だと考えます。
産業労働観光部長に再質問ですけれども、今後の取組を含めた何か具体的な戦略や考えがあるのかどうなのか、お聞かせください。
○関谷暢之 副議長 石井陽子
産業労働観光部長。
◎石井陽子
産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。カーボンニュートラルの実現に向けましては、大企業のみならず、サプライチェーンを構成いたします中小企業等も含めて、製造工程の脱炭素化を図る必要があると認識しております。このため県では、中小企業を対象に、製造工程の脱炭素化を促進するため、そのようなものの促進に向けたセミナーや相談会の開催等によって機運醸成を図りますとともに、専門アドバイザーの派遣や生産ラインの改善などのモデルの創出支援、それからその横展開などを図っております。
また、環境森林部の事業にはなりますが、ガイドブックによる普及啓発ですとか、自家消費型の太陽光発電設備の導入といったものにも取り組んでいるところでございます。こういった様々な観点からの事業を投入いたしまして、今後も県内の企業における製造工程の脱炭素化につきまして、積極的に支援してまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) 国内回帰という、今まで海外でつくっていたものを日本に戻ってつくるという考え方がかなり増えてきたと言われています。中小企業と中堅企業に対して、サプライチェーン強靱化枠という5億円までお金を支援する国の支援対策があるのです。5億円というのはかなりのお金ですから、外国でつくっているものをそのままにして例えば栃木県に工場を持ってくれば、栃木県の工場の建物代を含め、土地も含めて応援する金額が5億円です。そういったものを利用して、先ほども少し申し上げましたが、再生可能エネルギーを使い、新たな生産工場をつくるという仕組みを栃木県で、そういう国の予算などもうまく活用してやっていくことが大事だと思いますので、これは要望としておきますが、ぜひいろいろ研究して、いろいろなものをうまく使いこなして、成長する活力のある産業を実現していただきたいと思います。
次の質問に行きます。少子化対策についてであります。2020年の本県の合計特殊出生率は、前年比0.07ポイント減少し1.24、出生数は1万518人で前年から975人減少し、県内の少子化は加速しています。また、県内の婚姻数も減少傾向にあり、晩婚化、未婚化が進んでいます。こうした状況を踏まえると、これまでの少子化対策や子育て支援を続けても、出生率や出生数が上昇することは考えられません。県は大規模なアンケートを実施するとしています。これまでの事業も含めて、少子化・子育て対策の検証が必要であると思います。徹底した検証を行って、政府が検討している次元の異なる少子化対策とともに、検証に基づいた本県にとって最も望ましい少子化対策を打ち出していくべきと考えます。
知事は、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトの推進について、男性の育児休業取得に取り組むことや、若者の結婚の希望をかなえる環境づくり、子育て世代の負担軽減などプロジェクトの一層の充実・強化に取り組んでいくとしています。こうして打ち出した県としての取り組むべき対策と、国の対策に呼応して県が取り組む事業などを実施していく場合、県の財政負担はかなり大きくなると考えます。私は、少子化、子育てのための基金を創設して、財政の充実化を図り、県が掲げるとちぎ
少子化対策緊急プロジェクトを充実した結果の出せるプロジェクトにしていくべきと考えます。また、子育て世代への支援、子育てには経済的な不安を抱えていると言われている若者世代への支援を行い、出生率を増加させていく取組を具体的に実施していくべきと考えます。知事の考えを伺います。
○関谷暢之 副議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、合計特殊出生率の低迷など深刻さを増す少子化の進行に歯止めをかけるため、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)に加え、とちぎ
少子化対策緊急プロジェクトを打ち出したところであります。プロジェクトでは、国による全国一律の施策と、本県の実情に応じてきめ細かに行う施策とを組み合わせ、ライフステージごとの切れ目ない支援を行うこととしており、速やかに対応すべき施策として、9月補正予算で議決をいただいた第1弾実施事業を鋭意進めているところであります。プロジェクトの推進に当たりましては、外部有識者から成るとちぎ創生15(いちご)戦略評価会議においてご意見を伺いながら、PDCAサイクルにより施策の検証、改善を図るとともに、若者等のニーズやデータ分析による本県の課題の把握を通じ、来年度当初予算に盛り込む第2弾実施事業において、理想のとも働き・とも育ての実現に向けた環境整備や子育て世帯の負担軽減など、プロジェクトの一層の充実・強化に取り組んでまいりたいと考えております。また、少子化対策を強力に推し進めていくため、引き続き、国庫補助金の積極的な導入や、既存基金の効果的な活用を図るほか、歳入歳出全般にわたる事務事業の見直し等により必要な財源を確保してまいる考えであります。
今後とも、国のこども・子育て施策に適切に呼応しながら、若者や子育て世帯等への支援策の充実・強化を図り、少子化問題の克服に向け積極的に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) 私が質問でも申し上げましたが、少子化の対策の検証が非常に重要だと思っているのですが、福井県では人口減少の分析を大学と一緒に行って、人口減少がどうして起きるか、女性の婚姻年齢を1歳下げると希望する出生数が0.14増えるという研究もされたということが新聞に載っておりました。要するに、どこまで掘り下げて研究するかということはとても大事だと思います。今回、大規模なアンケートを行って、ざっくりとしたことは分かるかもしれませんが、本当の真髄というか、若い人たちの本当の思いというか、そのようなものが、何が要因となっているのか。経済的な不安だけではなくて、地域の活力なども含めて、いろいろなものが複雑に絡み合っているのだろうと思いますので、そういった研究がまず必要だと私は思っています。
それで、ある方が言うのには、少子化というのは静かな有事だと、こう言っています。地域の活力がなくなる、社会保障費の医療費の負担も増えていく、だから、デジタルトランスフォーメーション戦略やグリーントランスフォーメーション戦略、インバウンド戦略、成長戦略、そういった戦略と一緒に包括的に子育て支援を行うことが、先ほどお話もしましたが、地域の稼ぐ力や活力をつくっていくことによって少子化対策をクリアしていくことも十分あり得るというようなことを言っている方もいらっしゃいます。
何がいいかは分かりませんが、私が思っているのは、上辺だけ、表面だけのアンケートや調査だけでは多分見抜くことのできない、しっかりと捉えることのできない結果になってしまう気がするのです。ですから、これは質問ではなくて要望ですけれども、ぜひ、今度のアンケートも重要だと思いますが、追求する、研究する機関をつくっていただいて、そのような機関があるのだったらそのようなところに委ねて、徹底的に少子化対策、子育てに貢献できる、その基となる原因を掘り出して、探し出して、探求して、追求して、その対策に取り組んでいただきたいと思いますので、これはこの質問の私からの要望とさせていただきます。
次に、物価高騰対策について質問させていただきます。まず、生活困窮者への支援についてであります。
新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した世帯への日常生活の支援として、無利子で貸し出す緊急小口資金等の特例貸付が実施され、その返済が令和5年1月から始まっています。生活が困窮している世帯では、コロナ禍で経済的な影響を受けている中で返済が始まり、加えて、物価高騰により日常生活の厳しさが増していると言われています。実際に数値を見ると、令和4年9月末、貸付額の総額は212億3,000万円となりました。生活苦により返済が困難となる中、自己破産に至るケースもあると聞いており、大変厳しい状況にあると考えます。
こうした中、先月閣議決定された国の総合経済対策において、住民税非課税世帯等の低所得世帯に対し、電気・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を基に、市町から給付が開始されている3万円に加えて7万円を追加し、合計10万円を給付することが盛り込まれました。こうした生活困窮者への支援は県としても取り組んでいくべきであると思います。一人一人の生活状況に丁寧に対応することが必要であると考えます。私は、生活支援物資の配付などに取り組むことや支援金を給付することなど、生活困窮者へ向けた、できる限りの支援に取り組むべきと考えますが、保健福祉部長の考えを伺います。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
(岩佐景一
郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。長引く物価高騰は、あらゆる生活者に影響を及ぼしているところでございますが、低所得者ほど家計を圧迫されているものと認識しております。こういった中、国は、今般の総合経済対策におきまして、低所得世帯への給付金を盛り込んでいるところでありまして、県としましても、迅速な給付が実現するよう各市町を支援してまいります。また、県では、これまでも生活困窮者に対しまして、市町や関係団体と連携して、就労の状況、住まいの確保など生活困窮者の抱える課題に応じたきめ細かな支援に取り組むとともに、適切な支援ができるよう相談員の増員や資質向上のための研修を実施してきたところでございます。
引き続き、一人一人に丁寧に寄り添いながら生活再建の支援に取り組んでいくとともに、今般の国の総合経済対策に呼応しまして、生活困窮者への物価高騰の影響を最小限にとどめるため必要な支援を行ってまいります。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) 総合経済対策の資金を使って、何らかの支援を考えていただけるというお話であったと思います。県として、全ての県を調べたのではありませんけれども、山梨県、山形県、群馬県、長野県など、そういった支援をしている県の取組を幾つか見てみました。食料等の提供といったところもあります。多くの方の話を聞いたわけではありませんが、食料を提供していただくことによって家計に少しゆとりができる。今まで参考書や洋服やシューズを買うことができなかったけれども、食料を提供されることによって少し家計にゆとりができたから、そのようなものを買ってあげられるようになった、とても助かるし、ありがたいし、とてもうれしかったという声を私は聞きました。報道ですから数多くを聞いたわけではありませんけれどもそのような支援というのは、今大変な人に対して、国からある程度の支援があるから県として何もやらなくていいと考えていることを私は言っているのではないのです。何となく後手後手になっているような状況にある気がするので、少し言い回し方がおかしかったかもしれませんけれども、県として積極的に生活困窮者に対して寄り添って支援していくという形が私は大事だと思っているのです。そこをやはり県民に県として訴えていく、県としてこういうことを応援して、しっかり支えていくのだよということを伝えていく、そういう姿が必要だと思いますが、保健福祉部長、何か所見があったら教えてください。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。県としましては、やはり生活困窮者も含めまして、県民の生活にしっかりと寄り添って対応していくことが必要だと考えてございます。そういった中で、繰り返しにはなりますけれども、今般の国の総合経済対策に呼応しまして、生活困窮者への物価高騰の影響を最小限にとどめるため必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) 県民に寄り添う形で、県が様々な、できる限りの支援でいいと思うのですけれども、頑張っていただきたいと思います。ぜひ支援をしていただくようお願い申し上げて、次の質問に行きます。
高齢者介護施設への支援についてです。厚生労働省の調査によると、2022年度の特別養護老人ホームと介護老人保健施設の利益率がマイナスとなり、介護保険制度が始まって以来、初めて赤字になりました。また、光熱費や物価の高騰による影響とともに、介護人材不足と賃金の上昇による負担の増加など、介護施設の経営環境が悪化しています。こうした中、2024年には診療・介護報酬が改定となり、医療、介護の連携向上や費用に関する効果も期待されています。また、介護報酬の増額決定が実施されることで、安定財源が確保されることも期待されています。
しかしながら、今コロナ禍において厳しい環境に耐えてきた介護施設にとって物価高騰は大きな負担となり、県は、今年5月の補正予算により、介護施設等エネルギー価格等高騰対策支援事業として、介護施設などに光熱費及び車両燃料費の高騰分を補填する補助を実施しています。しかし、介護施設においては、とても厳しい環境にあります。このような介護施設へのさらなる支援が必要であると考えますが、保健福祉部長の考えを伺います。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
(岩佐景一
郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。介護を必要とする高齢者が安心して介護サービスの提供を受けるためにも、特別養護老人ホームや介護老人保健施設をはじめとした介護施設等の安定的かつ継続的な運営は欠かせないものであり、物価高騰等の影響が経営環境を悪化させるということは避けるべきと認識しております。このため県では、まず来年の介護報酬改定に向けまして、物価高騰等の影響が適正に評価されるよう、国に対し要望を行っているところでございます。また、国の地方創生臨時交付金を活用しまして、昨年度から3回にわたり、介護施設等に対して光熱費や車両燃料費の高騰分を補填する補助を行ってきたところでございます。
今後、介護施設等での物価高騰等による影響を最小限にとどめるため、国の総合経済対策も踏まえながら必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) この介護施設支援について、ある特別養護老人ホームの方に少しお話お聞きしてきました。地域限定という特別養護老人ホーム、御存じだと思いますけれども、29床で、ショートステイが10床という施設ですけれども、そこの方にお聞きしましたらば、電気代が30%以上、食料費が約10%高騰したと言っていました。高くなった分を施設の運営や努力によって赤字分を処理することができる体制はないのか、そのようなことが何か工夫によってできないのかというお話をさせていただきましたらば、29床の人たちへの介護サービスと、10床のショートステイの人たちへの介護サービスの中で、例えば入浴サービスなどいろいろなサービスがあると思うのですが、そのようなものを増やしていくこと自体が、絶対量が少ないので、そこで新たな何かの事業に取り組んで収益を上げることが難しいのだという話をされました。その話を私はお聞きしましたので、この質問をしてみようかなと県としては行っていないから、こういうお話をさせていただいたらいいかなと思ってこの質問をしたのです。
私は介護施設を全て掌握してはいませんが、そういう施設はたくさんあると思うのです。これから超高齢社会が進んでいく中で、今度の介護報酬改定が大きく県からもいろいろ提案していただいている、答弁の中にもありましたけれども、そういった働きがけをしていく中で、よりよい方向に改善され、安定財源が確保されて、しっかりと運営されていくことができるということが一番望ましいのですから、財源が確保されて安定していくためまでの取組として、県としてどう考えていくのか、保健福祉部長の考えをお伺いしたいと思います。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず、先ほど申し上げたように、来年の介護報酬改定に向けた評価ということを適正に実施いただくよう依頼しているところでございますけれども、そこに至るまでの期間のものにつきましては、この介護施設等での物価高騰等による影響を最小限にとどめるため、国の総合経済対策等も踏まえまして、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) ぜひ支援をしていただきたいと思います。具体的に介護施設をいろいろ調査していただいていると思うのです。ある程度分かっていると思いますが、それぞれの介護施設にそれぞれの課題が多分あると思います。しかし、それをみんな乗り越えて、我慢して耐えて取り組んでいただいていると私は思っていますので、ぜひそういった調査、検証、そういうことも含めて取り組んでいただいて、これから迎える超高齢社会を乗り切るために必要な施設をやはりきちんと育成していく、きちんと維持していくための取組を、保健福祉部としてもぜひ積極的に取り組んでいただきますようお願い申し上げて、最後の質問に行きます。
成長する農業を目指してについてお聞きしたいと思います。農業は生活していく上で必要不可欠な食料を供給し、地域経済やコミュニティを支え、国土保全といった多面的な機能を有する地域経済、社会において極めて重要な役割を果たしております。農業を取り巻く情勢は、農業従事者の減少や高齢化をはじめ、後継者や担い手不足、遊休農地の増加、異常気象に伴う自然災害等による農作物などへの被害など極めて憂慮すべき状況にあります。また、ロシアによるウクライナ侵略などを起因とした原油価格や肥料、飼料、農業資材などの価格高騰など、農業者への負担は増すばかりです。本県農業は、東京圏の大消費地に近く、米麦中心から園芸、畜産へ生産構造の転換が進み、着実に成長してきました。
2024年4月、トラック運転手等の労働時間規制が強化される働き方改革により物流人材が不足することが、いわゆる2024年問題であり、農作物等の輸送が滞る懸念があると言われています。一方で、遠距離運搬にはコストがかかるとともに、カーボンニュートラルに貢献できないという視点で考えれば、2024年問題は本県農業を大きく成長させ、東京圏に売上げを伸ばすチャンスと捉え、生産拡大に向けて取り組んでいくべきと考えます。
このため、農業の担い手確保、特に農業を副業としている農家の育成、新規就農者の増加を目指すとともに、園芸作物の生産者を増やすことで生産規模を拡大し、産地としてブランド化し、付加価値を高め利益を上げていくこと、つまり有名産地化することが重要であると考えます。また、新規就農者への支援は国の支援もあります。県としてできる支援に取り組むことによって新規就農者を増やしていくことや、スマート農業をきめ細かく支援し、コストカットや効率化を図ることのできる農業を実現していくことも重要です。さらに、サプライチェーンの構築を目指す産地を支援し、生産力を高め、販路拡大を図ることで販売力の強化を実現できる取組が必要であると考えます。
私は、2024年問題を栃木県の農業を大きく成長させるチャンスと考え、担い手の増加により生産力やブランド力を高め、稼げる農業、魅力ある農業へ転換し、成長産業として持続可能な農業の実現を目指すべきと考えますが、農政部長の考えを伺います。
○関谷暢之 副議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。担い手の高齢化やデジタル化の進展、資材等の価格高騰、さらにはいわゆる2024年問題など農業を取り巻く情勢が大きく変化する中、本県農業を持続的に発展させていくためには、とちぎ農業未来創生プランを着実に推進しながら、新たな課題にも対応していくことが重要であると考えております。このため、プランに基づきまして、将来を担う担い手の確保・育成をはじめ、園芸大国とちぎづくりやスマート農業の推進、ブランド化などによる稼げる農業の展開や農村地域の活性化など、各種施策に取り組んでいるところでございます。加えて、農業資材等の価格高騰に対しましては、今般の総合経済対策も含めた国の事業などを活用し、農業経営の影響を緩和しますとともに、自給飼料の増産や、堆肥と飼料の地域内流通などにより影響を受けにくい経営の転換を進めてまいります。さらに、物流の2024年問題に対しましては、農業団体が整備を進める広域集出荷施設における物流合理化対策を支援しますとともに、関係機関・団体と対策会議を開催し、今後の対応について検討を進めてまいります。
今後とも、関係機関・団体と連携しながら、本県の農業・農村の振興を図ってまいります。
○関谷暢之 副議長 青木克明議員。
(40番 青木克明議員登壇)
◆40番(青木克明議員) この2024年問題を最大に活用して、栃木県の農業を大きく成長させましょうという提案なのですけれども、やはりチャンスはそんなにたくさんないと思っているのです。栃木県も生産の規模を見てみますと、お米も園芸作物も全国10位ぐらいの順位で、農業生産性も非常に高いと思います。しかし、可能性はもっと高い、ポテンシャルはもっとあると私は思っているんです。そのポテンシャルを最大に具現化し、実現する、この取組が今まさに私は必要だと思っています。今、様々な取組をされていると思いますけれども、先ほど質問した県内のサプライチェーンの話も含めて、農業のサプライチェーンについても具体的に県も取り組んでいるという状況、実にすばらしいし、そのサプライチェーンを実現することによって運送業も一緒に巻き込んでいくことで、栃木県も含めた、関東が15.6%不足すると言われている労働力をクリアすることが可能になってくると思っております。ぜひサプライチェーンも含めたネットワークをつくって、生産拡大を図るためのもう一歩踏み出す取組が必要だと私は思っています。
時間もありませんから、福井県の話を1つだけ申し上げますと、福井県の新規農業者は60人から120人です。栃木県は新規参入者が約30人から60人です。栃木県も頑張っているけれども、もっと頑張っているところがある。ぜひ栃木県の農業をもっと発展させていただくこと、頑張っていただくことをお願い申し上げて、私の全ての質問を終わります。
○関谷暢之 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時15分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後0時16分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は47名であります。
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午後1時15分 開議
○関谷暢之 副議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) とちぎ自民党議員会の横田誠です。まずは、質問に当たり、いつの時代も未来を切り開いてきたのは人であると考えます。誰もが自らの意思で将来の豊かさをつかみ取ることができ、人と人が手と手を取り合い、共に生かし合う、そんな人が中心の社会をつくる、これが私の目指す政治の中心をなすものであります。
私の地元佐野市の田沼地区には、栃木県の未来を、地元の未来を切り開いてきた人がいます。元県議会議員でありました島田文男議員、亀田清議員です。人生の師と仰ぐ先輩方が、目まぐるしく変わる時代の中で、幾多の困難を乗り越えた礎の上に今の栃木県の豊かさがあるものと感謝するとともに、少しでも先輩方の背中に追いつき、私も栃木県の明るい豊かな未来を切り開く人へと成長ができますよう、誠心誠意、政治と向き合ってまいります。これまでの先輩方のご努力に思いをいたしつつ、県政壇上へと若輩者の私を送り出してくださった多くの県民、地元の市民の皆様からの負託に応えられるよう、至誠天に通ずの思いで、新人として初の質問に臨みます。福田知事をはじめ執行部の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは早速、最初の質問に入らせていただきます。
安心して子供を産み育てることができる栃木の実現について、保健福祉部長にお伺いいたします。厚生労働省の人口動態統計によりますと、2022年に栃木県内で生まれた低出生体重児の割合は10.6%で、全国で4番目に高い割合となり、全国平均の9.4%を大きく上回っています。低出生体重児は、成人後も含めて健康リスクが大きいとされることから、県は市町と連携するなどして各種対策に取り組んでいます。生まれたときの体重の分類で2,500グラム未満を低出生体重児、その中で1,500グラム未満を極低出生体重児、1,000グラム未満を超低出生体重児と定義しており、発育の遅延や障害のリスクなどもあるため、家族は不安や育児上の困難を抱えやすい傾向にあるようです。例えば県では、小さく生まれたお子さんとご家族のためのとちぎリトルベビーハンドブックを作成するなど、子育ての支援に取り組んでおります。
このような細やかな取組とともに、重要なことは医療体制の整備であると考えます。高度な医療管理を必要とするリスクを抱える妊婦、いわゆるハイリスク妊婦の妊娠・出産にも対応できる周産期医療機関や搬送体制の整備が求められており、これに応えるべく、県の保健医療計画(7期計画)では、周産期母子医療センターの整備、運営支援等による周産期医療体制の充実を掲げ、栃木県内に総合周産期母子医療センターを2つ、地域周産期母子医療センターを6つ整備し、自治医科大学附属病院及び獨協医科大学病院の総合周産期母子医療センター内に設置した周産期医療連携センターを中心に、各医療機関の連携強化に取り組んでいます。一方で、近年、分娩数が大きく減少してきており、1病院当たりの症例数も減少していることから、医療の質の維持や産科医不足等による分娩取扱医療機関の減少などの課題が生じ、本県の周産期医療を取り巻く環境は厳しい状況にあります。
そこで県は、このような状況下において、将来にわたって安全・安心な出産や質の高い医療が受けられる体制を構築するためどのように取り組むのか、保健師福祉部長に伺います。
また、中山間地域など、居住地によってはハイリスク妊婦に対応できる周産期医療機関から遠い状況にあり、アクセス支援が必要な妊婦にも安心・安全な妊娠・出産の診察が提供できるよう、支援の一つとして、総合周産期母子医療センターが地域の産科医療機関の胎児診断をネットワーク経由でサポートする遠隔胎児診断支援システムを導入している事例が他県にあります。この遠隔胎児診断支援システム導入について研究の有効性は高いものと考えますが、併せて所見をお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
(岩佐景一
郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまの横田誠議員のご質問にお答えいたします。県では、修学資金を活用した産科医の確保や、ハイリスク妊産婦等に対応する総合周産期母子医療センターの運営費助成等により、周産期医療提供体制の充実・強化に努めてまいりました。近年、分娩件数の減少や産科医の高齢化等によりまして地域の分娩取扱医療機関が減少する中、周産期医療の質を維持するには、医療機能を集約しつつ役割分担を明確化し、連携を強化していくことが極めて重要であると考えております。また、連携強化のツールの一つとしまして、ご指摘の遠隔胎児診断支援システムが有効である可能性はありますが、その導入につきましては、人材確保等の課題も想定されるため、まずは関係者の意向を踏まえつつ、さらに情報を収集していく必要があると考えてございます。
これらの課題につきましては、地域で求められる医療機能を踏まえた医療機関の将来ビジョンなどを医療機関間で共有しながら解決に向けて議論を進めることが不可欠でありまして、今後、協議の場を設け、持続可能な周産期医療提供体制の整備に向けて取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) 保健福祉部長からご答弁をいただきました。さらなる連携強化にしっかりと臨んでいただけたらと思います。私は、医療体制を構築する上では、分娩機能を一定程度集約するとともに、限られた医療資源を適切に配置し、各医療圏の状況に応じて、ハイリスク分娩、ローリスク分娩、妊婦健診を、それぞれ担う病院や診療所が適切に役割分担し、連携を行う体制を整備していくことが重要であると考えます。そこで、保健医療計画にもうたわれていますが、適切かつ円滑に周産期医療が提供されるために、医療機関相互の協力・連携をより一層強化していただきたいと思います。
ここで保健福祉部長に再質問いたします。今後、医師不足を起因として分娩機能の集約化が進むと、先ほども問題提起しましたとおり、中山間地域など居住地から総合または地域周産期母子医療センターまでの移動距離が長い、通院が困難なケースも出てくると思います。そのようなケースの支援策として、青森県や岩手県などにおいては、交通費等を助成するハイリスク妊婦アクセス支援事業を市町村と連携して実施しております。
そこで、本県としても、同様または独自に新たなアクセス支援に関する何らかの施策を検討すべきと考えますが、所見を伺います。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。ハイリスク妊産婦のアクセスを支援する事業につきましては、県と市町の役割や県民ニーズの把握、さらには厳しい財政事情の中、費用対効果の検証など検討すべき事項があるものと認識してございます。県としましては、こうした検討事項に加えまして、国の動向を見つつ、他都道府県の取組状況を研究するなど県民が安心して出産、子育てできる環境づくりに取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) 保健福祉部長からご答弁をいただきました。国の動向を注視していただくのも大切かと思いますが、先ほどご答弁にもありましたとおり、ニーズをしっかりと捉えていただきたいと思います。
ここでご要望を申し上げます。先ほども申し上げましたが、本県の周産期医療を取り巻く環境は厳しい状況にあります。今後、出産年齢の高齢化によってハイリスク妊婦の割合が増加する一方で、医師の減少に伴う施設数の減少は、より地域の医療格差を大きくするだけではなく、妊婦の施設へのアクセスにも影響を及ぼします。これらの現状と将来予測を踏まえ、安心して子どもを産み育てることができるとちぎの実現を目指す上で、増加するハイリスク妊婦への対応と、中山間地域など医療過疎地域への安定した周産期医療の供給という点において、遠隔システムを含め、ICTを活用し、各医療機関のさらなる連携強化によって、妊婦の早産リスクの早期発見による母体、胎児の生命の危機の回避、また家族の不安や育児上の困難を少しでも軽減できるように、安全・安心な出産や質の高い医療が受けられる体制の構築とアクセス支援の充実を要望いたしまして、次の質問に入ります。
誰もが住み慣れた地域で暮らし続けるための看護人材の確保について、保健福祉部長にお伺いいたします。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年が間近に迫り、今後ますます医療ニーズが増加していく状況下、医療ニーズの増加を病院だけで受け止めることは非常に困難と言えます。今後は病院以外での医療、すなわち自宅等における在宅医療を充実させていく時代背景にあります。誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、地域包括ケアシステムの充実を図る上で、訪問看護ステーションなどの在宅医療に関わる分野への看護師確保も推進していかなくてはなりません。
そのような中、栃木県では、栃木県保健医療計画(7期計画)に基づいて、看護師確保に向けた取組を行っています。慢性的な看護師不足が叫ばれており、栃木県の新卒看護師の離職率は全国平均よりも高い値で推移しております。また、看護師全体の離職理由を見ますと、離職の個別理由は千差万別ではありますが、職場での人間関係によるメンタル不調といったネガティブなものや、反対にスキルアップやキャリアアップなどポジティブなものなど多岐にわたっています。
そこで、病院勤務の看護師のみならず、在宅医療に関わる広い分野で活躍できる看護師を確保するために、キャリアパス支援や働く場、業務の違いに応じた支援のさらなる充実を図るべきと考えますが、保健福祉部長の所見を伺います。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
(岩佐景一
郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。急速な高齢化の中、在宅医療分野も含めまして、看護師の役割はさらに多様化していくものと考えておりまして、幅広い分野に看護師が配置されるよう看護師全体の数の確保が必要と考えてございます。このため、県では、新規養成、離職の防止、再就業の促進の3本の柱を掲げまして、修学資金の貸与、新人看護師等を対象とした研修、また現在就業していない看護師に対する職業紹介等の施策を実施してございます。また、幅広い分野への参入促進のため、栃木県ナースセンターの専門相談員による個々のキャリアや働き方に応じたきめ細かな就業相談を実施するほか、経験者の採用ニーズが高い在宅医療分野での就業促進のため、訪問看護の職場体験や、在宅医療の基礎技術習得に関する研修等を実施してございます。
今後とも、関係団体と連携しながら、キャリアプランに応じた多様な働き方を支援することで、様々な場で幅広く活躍できる看護師の確保に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) 保健福祉部長からご答弁をいただきました。ご答弁にもありましたとおり、複数のきめ細やかな支援の取組にさらなる力を注いでいただきますようにお願いしたいと思います。
ここで保健福祉部長に再質問いたします。住民により近い場所を拠点として、地域づくり、健康づくりをミッションに活躍するコミュニティナースという看護師の新しい働き方、コンセプトがあります。コミュニティナースが看護師の一つの魅力として、看護師を目指す人や再就業を目指す人に認識されることは、将来的に看護師がさらに活躍できる領域を広げることになり、キャリアパス支援の充実にも貢献できるものと考えます。また、重層的な医療体制の充実になるものと考えますと、看護師養成や再就業研修の機会を活用し、コミュニティナースについて積極的に周知すべきと考えますが、保健福祉部長の所見を伺います。
○関谷暢之 副議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。先ほどもお答えさせていただいたとおり、県では、看護師資格を有する方が訪問看護などの多様な分野において、その資格を最大限に生かせるようナースセンターなどの各種事業を展開してございます。こうした取組は、結果としまして、県民が地域でその能力に応じて自分らしい生活を続けることができる地域社会づくりに貢献しているものと考えておりまして、いわゆるコミュニティナースなど、地域で活躍する人材の確保にもつながるのではないかと考えてございます。
今後とも、市町や関係団体と連携・協力しながら、誰もが安心して生活できる地域社会の実現に向けて取組を進めてまいります。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) 保健福祉部長からご答弁をいただきました。看護師は、私たちが健康に生活していく上でなくてはならない存在です。しかしながら、職場の人間関係やストレスにより、仕事を続ける上で悩みを抱えてしまったり、結婚や出産、育児、介護など様々なライフイベントに直面したとき、働き続けることが難しい状況に置かれてしまいます。看護師が離職してしまう背景にはその他にも様々な理由があろうかと思いますので、看護師が自身のキャリアデザインやライフステージに合わせてできる働き方、自分らしい働き方ができる職場であったり、環境といった選択肢を増やしていくべきかと思います。個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択でき、看護師が自分らしく働くための支援策の充実を図り、看護師の確保に臨んでいただきますよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
新たな産業分野における人材の育成について、
産業労働観光部長にお伺いいたします。4日に行われました代表質問におきまして、日向野義幸議員が産業成長戦略について質問されました新たな産業育成、半導体産業の誘致につきまして、本県産業の持続的かつ、さらなる発展のためにも取組の推進が必要との思いから、新たな産業分野における人材の育成について伺います。
世界的な半導体の供給不足が続き、日本国内での安定調達が課題となる中、今後、日本の半導体産業復活を目指す上での最大の課題は人材の確保とされています。近年、半導体産業のグローバルプレーヤーによる日本への投資が活性化していることを受け、全国各地に半導体コンソーシアムと言われる共同事業体が相次ぎ設立され、人材確保の取組が推進されています。台湾の半導体大手TSMCの熊本県への工場建設を好機とし、高度経済成長期から半導体産業が盛んな九州地方では、シリコンアイランド九州の復活に向かうとともに、コロナ禍で打撃を受けた経済の再生のために、産学官連携による九州半導体人材育成等コンソーシアムを2022年3月に組成し、半導体人材の育成・確保、サプライチェーンの強化など、半導体産業のさらなる発展に資する取組を強力に推進しています。
一方、本県では、地理的優位性や隣県に半導体企業の研究機関があることなど、一定の誘致に有利な条件が備わっている環境にあります。優れた技術と産業集積を強みとする自動車産業、航空宇宙産業、医療福祉機器産業を戦略3産業と位置づけ、ものづくり企業の競争力強化や新産業の創出・育成に向けた施策を重点的に取り組んでいます。現在の半導体関連の人材不足が懸念される状況下において、県として注力している戦略3産業の振興を図る上でも、半導体分野やデジタル産業分野における人材育成に取り組むことは、産業全般にわたり効果が高いものと考えます。
そこで、将来に向けた半導体分野やデジタル産業分野などの新たな産業に対応できる人材の育成に取り組むべきと考えますが、
産業労働観光部長の所見を伺います。
○関谷暢之 副議長 石井陽子
産業労働観光部長。
(石井陽子
産業労働観光部長登壇)
◎石井陽子
産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県産業の持続的な発展のためには、半導体分野やデジタル産業分野をはじめとする新たな産業分野の振興を図ることはもとより、それを支える人材を育成していくことが重要であります。このため、県では、ニーズの高いデジタル分野につきまして、とちぎビジネスAIセンターにおいてデジタル技術に関するセミナーや研修を行うほか、産業技術専門校において先端技術やデジタル技術等に対応できるよう訓練設備を充実させるとともに、指導員のスキルアップを図っているところでございます。
また、半導体分野などの先端技術につきましては、企業、大学、支援機関等が連携して人材育成や研究開発を行っておりますとちぎ未来技術フォーラムにおきまして、今年度から半導体分野もテーマに加えまして、半導体関連技術等について理解を深めるための講演会や県内研究機関と企業のマッチングを図る交流会を開催するなど、県内企業の技術や人材の高度化に向けた支援の充実・強化に努めております。
今後とも、産業振興の取組と併せまして、企業のニーズを踏まえながら大学や研究機関等とも連携し、新たな産業分野で活躍できる人材の育成に取り組んでまいります。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員)
産業労働観光部長からご答弁をいただきました。半導体産業への理解促進に努めているということで、ぜひそういった観点から、人材育成を通して誘致に向けた環境整備に積極的に臨んでいただき、さらにその取組を加速させていただきたいと思います。
我々とちぎ自民党議員会は、福岡県の半導体産業振興の取組に着目し、過日、県外調査を行ってまいりました。まず、福岡県では、半導体人材育成・確保の課題解決に向け、福岡半導体リスキリングセンターを設立し、半導体分野と半導体周辺分野の2つを系統立てて、受講者のレベルに応じた講座を提供し、福岡県をはじめ、九州、全国で活躍する人材の育成を支援する取組を始めています。また、技術者を目指す人材確保に向け、県内中高生を対象としたテクノロジー人材創生塾の開催や、半導体関連企業の工場見学をはじめ、最先端の半導体研究を行う大学のフィールドワークなどの機会の創出により、進路・進学先について考えるきっかけを提供しています。
加えて、県内外の理工系大学生や高専生徒を対象にオープンカンパニーツアーを開催し、半導体関連企業や自動車関連企業などの技術系企業の見学会を通して各企業への就職を促進しています。さらには、DX推進を目指す中小企業及び中小企業を支援する支援員等に対し、講座、ワークショップなどを組み合わせたプログラムを提供し、中小企業に関わる中核人材、支援人材の育成に取り組んでいることに合わせて、新たな事業展開に必要となる技術開発、販路開拓、海外展開などに精通した即戦力となる人材の確保を支援しています。
こうした福岡県の先進的取組から、これから半導体産業の誘致に取り組むに当たって人材確保・育成は欠かせないという、ものづくり県としての持続的発展を目指している本県にとって意義深い気づきを得ることができました。産学官の連携による人材の確保・育成に関する一連の取組内容は、本県でも取り入れる価値のあるものと思います。ぜひ施策の推進の参考としていただくことを要望しまして、次の質問に移ります。
地域の未来を担う人材を育む探究学習について、教育長にお伺いいたします。総務省の人口移動報告によりますと、本県の2022年の都道府県間人口移動数、日本人の数ですが、転出者が転入者を上回る転出超過が1,621人となり、前年の711人の約2.3倍に拡大しています。
新型コロナウイルス感染症が5類に移行となったことで、今後も東京圏への回帰の動きに拍車がかかるものと予想されます。人口減少対策は待ったなしの状況にあり、地方は若い世代が自らの希望に沿って地方で生活し、結婚、出産、子育てができる環境の整備をはじめとした施策を積極的かつ強力に講じる中にあり、人の奪い合い競争は激化する一方にあります。
人口減少の課題克服に当たり、外から人を獲得するといった増やす考え方も重要と考えますが、この質問では、外に人を出さないといったとどめる考え方に立ち、自分の生まれ育った町をよりよい場所にするために自分自身が関わっていくとか、自分が生まれ育った町の未来を自らがつくっていくという当事者意識を伴うマインド、つまりシビックプライドを携えた若者を育てて、県内定着に結びつけることが重要との観点から、高等学校における総合的な探究の時間の授業を軸とする探究学習に着目してお尋ねいたします。
高等学校の学習指導要領の改訂では、これまでの総合的な学習の時間が、総合的な探究の時間に名称が変更となりました。名称を変更して特質を持たせた背景としては、社会への出口に近い高等学校が、初等・中等教育の縦のつながりにおいて総仕上げの段階として、自己の在り方や生き方に照らし、自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら、自ら課題を発見し解決していくための資質、能力を育成することが社会からの要請として学校教育に求められているからであり、以前にも増してキャリア教育と強く結びつけることが明確に示されています。
また、総合的な探究の時間において、生徒自らが設定する探究課題としては、地域との連携・協働という学びの方向性が示されており、社会や環境、地域課題などを自己の課題として意識させながら、生徒自らが主体的に地域に出て探究活動を継続していくことが重要視されておりますので、総合的な探究の時間を指導する教員の資質、能力の向上を図るためのさらなる取組や支援の在り方を考えていかなくてはなりません。とちぎ未来創造プランにおける、とちぎの未来を担う人材育成プロジェクトにおいても、キャリア教育、職業教育を推進しており、今年度の主要な取組として探究活動の取組支援がうたわれていることからも、総合的な探究の時間を軸とした探究学習に向けた取組をさらに充実させていただきたいと思います。
そこで、地域の未来を担う人材を育むため、キャリア教育につながる探究学習にどのように取り組むのか、教育長に伺います。
○関谷暢之 副議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。総合的な探究の時間は各教科で培った力を活用し、社会とのつながりの中で課題を発見し、解決できる資質、能力を育成するものであり、自己の在り方や生き方を考えるキャリア教育の充実を図る上で重要であります。このため県教育委員会では、未来を創る高校生地域連携・協働推進事業におきまして研究校を指定し、生徒が地域課題を発見し解決する探究学習を実施するなど、高校生に地域の未来を自らの生き方と結びつけて考えさせ、社会参画意識の向上に努めております。
また、これと並んで実施しているSTEAM教育推進事業の研究校におきましては、テクノロジーを活用して、身近な課題から世界規模の課題まで、幅広い社会課題の解決に向けた探究学習を推進することで、よりよい社会づくりを目指す意欲や能力の育成を図っております。
これらの成果につきましては、今後も発表会等を通じて全ての県立高校に普及し、キャリア教育につながる探究学習の充実を図り、地域の未来を担う人材の育成に努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) 教育長からご答弁をいただきました。研究校を指定して探究学習に取り組んでいる、また、STEAM教育を通して総合的に子供たちの指導を行っていただいているという状況を確認させていただきました。
ここで教育長に再質問いたします。高校の総合的な探究の時間は、目指すべき栃木県の未来を切り開く人材の育成と、今後の高校の特色ある学校づくりにも寄与する取組だと考えます。一方で、高校生の約7割が普通科に在籍しているという状況でありますが、普通科高校においては大学等への進学のための学習に重きが置かれ、探究学習などを通して地域や社会とのつながりを実感する機会が少ないところに、キャリア教育の課題があるのではないかなと考えます。このような課題を踏まえ、普通科における総合的な探究の時間の在り方についてどのように考えているのか、教育長の所見を伺います。
○関谷暢之 副議長
阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。これから探究学習を行っていくという中にありまして、普通科高校でどのように取り組んでいくかというのは非常に重要な課題であります。先ほどお話がありましたように高校生の7割は普通科に通っているという状況もあります。普通科高校は、基本的に大学進学等を目指していく中で、やはり学びのスタイルというか、自ら学んで自ら課題を見つけて社会で生かしていく、そのような学びのスタイルをしっかりと身につけていくという意味からも、普通科の中で探究学習をしっかりと定着させていくことが重要だと思っております。このため、今回4校をSTEAM教育モデル校として選びましたけれども、全て普通科の高校を選んでおります。今回このモデル校を通して様々な検証を行いながら、そこで得られた好事例などをよく分析しまして、これから全ての学校に広げていきたいと考えております。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) 教育長からご答弁いただきました。モデル校の現状をお伺いすることができました。総合的な探究の時間で、生徒が主体的に学習に取り組むことができるようにするため、探究の課題設定で生徒がつまずかないようなテーマ選定の方法や、テーマを決定後、生徒が適切な調査や分析の手法により学習が進められるような探究活動の進め方、情報の整理方法など正しい手法を生徒に指導するなど、探究の時間を成功させるための取組支援及び教員への研修も必要と考えますので、教員の資質向上につながるさらなる取組をお願いしまして、次の質問に入ります。
部活動の地域移行について、教育長に伺います。部活動の地域移行は、学校が担っていた部活動の指導を地域のスポーツクラブや民間事業者に移行し、教員の負担を軽減するとともに、子供たちの運動や文化活動に参加する機会への選択肢を増やす取組です。令和4年12月にスポーツ庁と文化庁の両庁名で、学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインが策定されました。地域移行は既にモデル校で試行的に取り組まれていますが、公立中学校の休日の部活動については、令和5年度から令和7年度までの3年間を改革推進期間として、地域移行に段階的に取り組み、可能な限り早期の実現を目指すとの国の方針を踏まえ、本県ではとちぎ部活動移行プランを策定し、令和7年度までに全ての公立中学校の休日の部活動を1つ以上地域クラブ活動にすることを目指し、部活動改革を推進しています。このような背景を踏まえ、部活動の地域移行の受皿となる総合型地域スポーツクラブの運営に携わった経験から得た課題意識に基づき質問させていただきます。
部活動の地域移行は、教職員の働き方改革につながることを目的として始まってはいますが、日本社会が抱える課題である少子化が進展する中で、学校内では確保が困難となる子供たちのスポーツ環境をいかに整えていくのかが大前提です。さらに、学校が地域と連携することで、専門性、競技力の向上などが期待される一方で、部活動の教育的意義を継承、発展させ、価値の高い取組につなげていくことが重要であると感じています。今般の部活動の地域移行の課題は、学校だけではなく、スポーツを所管する行政や地域、競技団体、家族等も含めて幅広く理解を深め、全ての関係者が共に協力しながら、地域の実情に合ったよりよい部活動の形をつくり上げていかなくてはならないものと認識しています。
地域移行の形態には、行政が関係団体と連携して運営する形態、行政が任意団体を設置し、任意団体が運営する形態、総合型地域スポーツクラブ運営型や体育・スポーツ協会運営型、または民間スポーツ事業者が運営する形態といった具合に様々な運営主体が想定されており、地域事情により、あまりにも大きな違いが出てくることが予想されます。
こうした環境の下で、第一義とすべき目的は何なのか、教員の働き方改革なのか、子供たちのスポーツの環境を整えることなのか、スポーツを通して教育的指導を進めることなのか、学校と地域の連携強化のためなのか、しっかりと捉えて関係者間で共有すべきであり、部活動の地域移行に関して一定の基準を設けなければ様々に格差が生じるのではないかと懸念をしております。
現在は部活動地域移行の黎明期、様々な課題があるものの、子供たちのスポーツや文化活動の選択肢を増やし、未来への可能性をより広げるためには、部活動の地域移行を進めることは不可欠であると考えます。現在は実証事業が5市で行われている状況にあります。部活動の地域移行を円滑に進めていくためには、学校や保護者の理解を促進するとともに、指導者確保の観点からも、今後も子供たちを指導したいと考えている教員が、地域移行後も指導者として活動しやすい環境づくりが重要だと考えます。
そこで、県教育委員会は、部活動の地域移行にどのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。
○関谷暢之 副議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。部活動の円滑な地域移行に当たりましては、指導者の確保に加え、学校や保護者の理解が重要であります。このため、県教育委員会では、競技指導者に加え、今年度から地域クラブ活動の指導を希望する方も登録できる人材バンクを設置するとともに、登録を条件とする指導者資格取得の助成を開始いたしました。また、地域移行後も、地域クラブ活動での指導を希望する教員が円滑に許可を得られるよう、兼職兼業に係る制度の具体的な運用方法につきましても検討を進めております。さらに、国のガイドラインを踏まえ、適正な活動時間や休養日の基準等を示す、本県における部活動と地域クラブ活動の在り方に関する方針を年度内に策定し、市町教育委員会と連携して、この方針に基づく考え方等を学校や保護者に分かりやすく周知していくこととしております。
今後とも、持続可能で多様なスポーツ・文化芸術活動が展開できる環境づくりに努めてまいります。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) 教育長からご答弁をいただきました。教員の兼職兼業のお話がございました。様々にいろいろな課題があると思いますけれども、やはり指導者確保の観点から、先生方も地域の指導者たるそういった立場もありますので、ぜひ前向きな検討をお願い申し上げます。
質問しました課題のほかにも、地域クラブ活動として地域移行を進める中で、地方ならではの様々な問題が顕在化しています。保護者が送迎、指導者が送迎、それとも行政所有のバスを活用した送迎といった子供たちの移動手段に関する課題。次に、子供や保護者負担となる入会金や月謝、保険、または受皿側の運営費といった費用面の課題。そして、受皿主体と学校の調整役となるコーディネーター的人材の配置に関する課題。最後に、これらの課題を地域の実情として移行に対する考え方や方針を十分に浸透させ、学校と地域が足並みをそろえるための情報共有など、移行に向けた調整に関する体制整備に係る課題。このような課題がどこの地域にも少なからずあります。
もろもろの課題がある中、実施主体となる地域の受皿団体などにとって、国や県の強力な後押しは心強いサポートとなります。国や県の掛け声にいち早く呼応して取組を始めた市町、民間団体ほど多大な困難が生じるといったことがないよう、また、子供たちが不利益を被ることがないよう、県には強いリーダーシップを発揮していただくことを強く要望しまして、次の質問に移ります。
農福連携の推進について、農政部長に伺います。近年、年齢や性別、障害の有無にかかわらず、誰もが参加したり、実践できる農の取組であるユニバーサル農業に関心が寄せられており、その取組である農の福祉力に着目した農業と福祉の連携に関心が高まっています。それがいわゆる農福連携です。農福連携は、障害のある人が農業分野で活躍することにより、農業の現場における貴重な働き手になることが期待できるとともに、福祉の視点からは、働く場の確保や工賃の向上、社会参画の実現等が期待される重要な取組です。
国では、令和元年に農福連携の一層の推進を図るため、農福連携等推進ビジョンを取りまとめました。その農福連携等推進ビジョンでは、農業経営の発展と、障害のある人がやりがいと生きがいを持って農業分野で活躍する場をつくり出すことにより、農福連携の裾野を広げていく必要があるとして、認知度の向上、取組の促進、取組の輪の拡大の3つのアクションに取り組むとしております。県においても、とちぎ農業未来創生プランに農福連携の取組を位置づけ、農業者と障害者福祉施設のマッチングに取り組んでいると聞いております。
現在、農業においては、農業従事者の高齢化や就農者の減少により労働力が不足していると聞いており、障害者に農作業の一部を担ってもらえることは、経営の効率化につながるのではないかとも思います。また、障害者にとって、農業は定植や除草、収穫、箱詰めなど作業内容や工程が分かりやすいことから取り組みやすく、賃金を得る喜びにもつながり、ひいては自信や生きがいにもつながっていくと思います。農業者がより福祉施設と連携すれば、農業経営の発展にもつながり、福祉施設にとっても就労や生きがいづくりの場にもつながるため、お互いにウィン・ウィンの関係が築けるはずです。
しかしながら、現状では、農業者は福祉の知識が不十分で、障害のある人にどのような作業をお願いできるのか分からない、受け入れるに当たってどのように環境を整備したらよいのか分からないといった意見が聞かれます。また、障害者福祉施設などでは、スタッフを含め農業の知識や経験が不十分であることから一歩踏み出せずにいるといった状況があるようです。農業者と障害者福祉施設をマッチングさせる農福連携を推進するためには、農業者側、障害者福祉施設側双方がお互いのことを知り、農福連携のメリットについて理解することが大切だと思います。
そこで、県は、今後どのように農福連携の推進に取り組んでいくのか、農政部長に伺います。
○関谷暢之 副議長 熊田欽丈農政部長。
(熊田欽丈農政部長登壇)
◎熊田欽丈 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。農福連携を一層推進するためには、何よりもまず農業者と障害者福祉施設との相互の理解を深めていくことが重要であると考えております。このため、県では、農福連携ガイドブックを作成し、農業振興事務所を通じまして、農業者と福祉施設の双方に対し周知を図っているところでございます。また、農業者への理解促進に向けましては、地域で普及を担う市町などの関係者を集めた研修会を開催しまして、取組事例やノウハウの共有を行いますとともに、福祉施設に対しましては、農業の専門家の派遣や障害者が農作業を試行的に体験できるインターンシップ等を実施しまして、取り組みやすい環境づくりを進めております。これらの取組を通じまして、具体的な実践活動につなげていくため、農作業受委託の窓口でありますとちぎセルプセンターによるマッチングを進めますとともに、農作業に必要な資材等の購入、さらには、農福連携により生産された農産物や加工品の付加価値を高めるための商品開発や販売促進活動等を支援してまいります。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) 農政部長からご答弁をいただきました。とちぎセルプセンターが様々にコーディネートをしてくださっており、マッチングが推進されている、そのような確認をさせていただきました。県内には、いまだ農福連携に取り組んでいない農業者や障害者本人、その家族、また、障害者福祉施設がまだまだ多数存在していることを鑑みますと、今後のユニバーサル農業のさらなる推進に当たっては、農福連携に取り組んでみようと考えている関係者のきっかけになるようなモデルケースの構築や周知活動に加えて、障害者に対して技術を指導できる人材、いわゆる農業版ジョブコーチなどの養成などにより、さらに連携を深化させる必要があろうかと思います。農業と福祉をつなげるマッチングシステムのさらなる強化を要望いたしまして、次の質問に移ります。
都市計画道路3・5・303号唐沢公園線の整備について、県土整備部長にお伺いいたします。本路線は、北関東自動車道佐野田沼インターチェンジに直結する県道佐野田沼線と県道築地吉水線を東西に結ぶ都市計画道路です。現在、田沼地域においては、東武佐野線を越えて東西に横断する道路が脆弱な状況にあります。特に本路線と並行する県道田沼唐沢公園線は狭隘で歩道も未整備な上、踏切による交通障害や近隣地区の人口増加に伴い交通流入も増加するなど、通学路として利用する児童生徒をはじめとした歩行者、自転車利用者が危険な状況にもあります。本路線を整備することにより、利用者の安全が確保されることをはじめ、周辺道路の交通が分散されるとともに、近隣の田沼工業団地や国指定史跡唐沢山城跡、佐野市が県立田沼高校跡地に整備した国際クリケット場などへのアクセス向上が図られます。
振り返りますと、本路線の整備実現に向けて、島田文男元議員、亀田清元議員をはじめ、地元佐野市選出の先輩議員が様々に力を尽くしてくださいました。過日、その取組を後押しするかのような吉報が届きました。それは、2028年夏のロサンゼルスオリンピック追加競技にクリケットが採用決定との知らせです。世界のクリケット競技人口は3億人以上に上り、サッカーに次ぐ世界第2位と言われています。日本における日本クリケット協会の本部は佐野市に置かれていることから、佐野市で開催される国際試合の様子や、日本代表チームの一挙手一投足が佐野市から、この栃木県から世界へと発信されることになり、クリケットをきっかけとして、佐野市から栃木県全体へと訪れる人の流れが加速していくものと考えています。まさに本路線は佐野市国際クリケット場の近くにアクセスすることから、その整備による文化振興、経済効果はさらに大きくなるものと期待をしております。
また、さらには県道築地吉水線と接続することにより、葛生地域から佐野田沼インターチェンジへのアクセスの向上や、災害時の道路ネットワーク確保にも期待が寄せられています。本路線の一部区間につきましては、土地区画整理事業により既に用地が確保されており、事業への市民の理解も比較的得やすい状況にあります。このような状況を踏まえ、佐野市における道路網研究会において、市と共に本路線に関する検討を進めていると伺っております。
そこで、都市計画道路3・5・303号唐沢公園線の整備について、県土整備部長の考えをお伺いいたします。
○関谷暢之 副議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。都市計画道路3・5・303号唐沢公園線は、佐野市田沼地域におきまして、東武佐野線により分断されている東西地域の連携や、佐野田沼インターチェンジへのアクセス強化等に資する重要な路線であります。本路線の整備につきましては、これまで佐野市と県で構成する道路網研究会におきまして、本地域の道路網の在り方や、県、市の役割分担などについて検討を進めてきておりますほか、交通量推計を踏まえた整備に伴う周辺道路の交通流動の変化等について検証を進めてきたところであります。今年度は、道路構造や東武佐野線との交差構造等の技術的課題などについて検討を進めるところであります。
引き続き、市と連携し、佐野市における通路網研究会を通して整備方針等について検討してまいります。
○関谷暢之 副議長 横田誠議員。
(13番 横田 誠議員登壇)
◆13番(横田誠議員) 県土整備部長からご答弁をいただきました。ただいま様々な取組が推進されているということを確認させていただき、その進捗が期待されるところです。本路線の重要性を認識している旨のご答弁もございました。現在、岩崎バイパスをはじめとし、県道佐野田沼線と県道築地吉水線など工事に着手いただいている路線があり、これまで完工した路線を含めますと、市の南北を結ぶ道路網の整備は着々と進んでいます。今後、佐野市の経済振興、観光振興、災害対策など整備が進む縦軸路線の効果をより拡充するためにも、縦軸を結ぶ横軸が重要です。そこで、都市計画道路3・5・303号唐沢公園線は、それらの縦軸を連結し、東西に結ぶ横軸として重要な路線となることから、早期整備に向かって進めていただきますことを強く要望いたします。よろしくお願いいたします。
以上をもちまして、私の通告しました全ての質問は終了いたしました。最後に、栃木県誕生150年の節目に登壇の機会をいただき、福田知事をはじめ執行部の皆様と質問のやり取りを通して様々な県政課題と向き合い、市議会の頃とは違ったスケールの大きさに戸惑いもありましたが、課題解決への道筋を考えたときに、議員として、これまで以上に多角的かつ広域的な視点で課題を捉え、未来思考を身につける大切さを感じました。
世界はSDGsにおいて、未来の世界のあるべき形が示されており、各地域でSDGs達成に向けた特色ある取組が行われています。本県も、各種計画にある未来の栃木県のあるべき形を標榜し、その実現に向かうに当たっては、全国共通の県政課題がある中で、いちご王国・栃木と称する栃木県らしさを取り入れたメードイン栃木モデルの本県だからこそできる特色ある政策や対策を講じていくことが肝要であり、加えて、人を中心とした未来を開くことにより、栃木県の持続可能性をより高めていけるものと改めて感じております。今通常会議開会に先立ち行われました議事堂ホールコンサートでの音色の調和のように、行政と議会が一体となって奏でた県民福祉の向上という音色が県内にあまねく広がり、栃木県のよりよい未来が開かれますことを念願し、全ての質問を終了とさせていただきます。
○関谷暢之 副議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後2時12分 休憩
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◎柏瀬仁 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は48名であります。
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午後2時30分 開議
○佐藤良 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) とちぎ自民党議員会の平池紘士でございます。本日4人目ということで、大分お疲れのことと思いますけれども、執行部の皆様には熱意あるご答弁を期待申し上げまして、早速質問に入りたいと思います。
まず初めに、eスポーツの推進について、
生活文化スポーツ部長にお伺いいたします。コンピューターゲームなどのテクニックを競い合うeスポーツは、コロナ禍において対面での活動が制限される中、巣籠もりでも楽しめるコンテンツとして、若年層を中心に高い人気を集めております。世界のeスポーツの競技人口は年々増加傾向で、約1億3,000万人と言われております。先ほどの横田誠議員の質問の中にもありましたクリケットの競技人口が約3億人、そのほか、バレーボール、バスケット、さらには卓球、そしてサッカーと、それらに次いで多い種目となってまいりました。
また、世界のeスポーツの市場規模も2021年10億ドルを超えました。2025年には18億ドルにまで成長すると推計され、拡大傾向にあります。さらに、今年の10月には国際オリンピック委員会がeスポーツ大会の新設を表明するなど、eスポーツを取り巻く環境は大きく変化しております。
日本においても、政府がオリンピックでの採用を見据えている中で、関係機関や企業等との連携による選手強化支援の検討を始める動きも出てきました。各自治体においては、経済効果だけでなく、年齢や国籍などにかかわらず多様な層が楽しめることから、世代間交流等の地域活性化や、リハビリや認知症予防等の医療福祉、教育など幅広い分野の活用が進むなど、eスポーツの推進に向けた取組は日々加速しております。
本県においても、令和2年度及び令和4年度に一般質問で石坂太議員が質問項目として取り上げ、当時の総合政策部長からは、他県や民間企業の動向を調査し、eスポーツと触れ合える機会や競技環境の充実など振興に向けた基盤づくりが重要であるとし、ダイバーシティーや共生社会の実現、交流人口の増加、産業振興等につながるよう取組の具体策について検討する旨の答弁があったとおり、今年度、いよいよ高齢者や一般の方向けのeスポーツ体験会など、具体的な取組を進めているところであります。eスポーツの認知度がますます高まり普及することによって、本県の地域社会や経済など様々な活性化につながるものと大いに期待しているところでございます。
冒頭に申し上げましたように、eスポーツを取り巻く環境は今後も目まぐるしく変化していくことが予想され、本県においても、他県に後れを取ることなくスピード感を持って取組を推進していく必要があることから、県は今後さらにeスポーツの認知度を高めていくとともに、幅広い視野を持って最先端のノウハウやアイデアを持つ民間企業等と積極的に連携するなど、戦略的な取組を展開していくことが重要と考えます。
そこで、県は、これまでの取組状況や課題抽出を踏まえ、今後どのようにeスポーツを推進していくのか、
生活文化スポーツ部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 野原恵美子
生活文化スポーツ部長。
(野原恵美子
生活文化スポーツ部長登壇)
◎野原恵美子
生活文化スポーツ部長 ただいまの平池紘士議員のご質問にお答えいたします。県では、今年度、県内のeスポーツ関係団体と、とちぎeスポーツ地域活性化実行委員会を設立し、体験会やイベントの開催などを通じまして、県民のeスポーツに接する機会の創出や理解促進、機運醸成に取り組んでいるところです。高齢者向け体験会では、高齢者と若者が共にeスポーツを楽しむことで、世代を超えた交流や健康づくりにつながるなどのeスポーツの有用性を改めて認識することができたところであります。
また、今月17日に開催予定のとちぎeスポーツフェスタ2023では、全国の予選を勝ち抜いたチームによる競技大会や、一般向け体験会などを通じて、若者の交流機会や選手の活躍の場を創出いたしますほか、活用事例等のセミナーを開催するなど、eスポーツの魅力と多彩な可能性を県民や企業などが実感できる契機としてまいります。
今後とも、関係団体等と連携し、eスポーツのさらなる普及に努めまして、県内外の交流人口の拡大による地域活性化を図るとともに、ダイバーシティーや共生社会の実現につなげてまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) ここで再質問させていただきたいと思います。eスポーツの普及に向けた取組を推進すると同時に、重要なことは、それが一過性のものとならないように、今後も継続、定着させることが重要であると考えます。そのためには、今のうちから中長期的な視点も重要であり、施設整備などのハード対策、それと誰もが気軽に楽しめる環境づくりなどのソフト対策の両面から取組を進めていく必要があると考えます。特にeスポーツは場所や会場を問わず、比較的低コストで楽しむことができますが、他県においてはeスポーツ関連の機材の貸出しや、常設型eスポーツ施設の設置など、eスポーツ関連施設の整備も進んでいる状況にあります。施設整備は民間企業との連携によるものもありますけれども、身近な距離感で全世代の県民が触れる機会が生まれる環境をつくることが必要だと思います。今のうちからソフト、ハード両面から中長期的な戦略を立てていくべきと思いますが、
生活文化スポーツ部長の見解をお伺いいたします。
○佐藤良 議長 野原恵美子
生活文化スポーツ部長。
◎野原恵美子
生活文化スポーツ部長 再質問にお答えいたします。今年度につきましては、まずはeスポーツを知って理解してもらうことが重要であると考えておりますことから、高齢者向け5回、一般向け2回の体験会やとちぎeスポーツフェスタの開催に取り組んでいるところであります。私も体験会に参加してまいりましたが、eスポーツの定着に向けて体験会は有効であると実感しておりまして、継続的な実施を通じて、さらなる普及に努めてまいりたいと考えております。また、eスポーツにつきましては、オリンピックやアジア競技大会において実施種目としての採用の動きがあるなど国内外で関心が高まっております。そうした動向をしっかりと見極めながら、県としての今後の展開を検討する必要があると考えております。
さらに、県民がeスポーツを身近で楽しみ、その魅力や様々な可能性が定着するためには、民間企業や関係団体との連携・協力が不可欠でありますし、戦略性も重要であると考えております。このため、他県の状況も踏まえつつ、実行委員会も活用しながら、今後のeスポーツの普及に向けた効果的な手法について検討してまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) 要望になっていくのですけれども、先ほどご答弁の中にありました実行委員会を通して普及も進めていくということでございました。他県の状況、特に群馬県、茨城県などを見ますと庁内の中での組織化というのがされているのです。そういった積極的な組織構成の中でしっかりと取り組んでいるというのが、正直言うと、茨城県、群馬県からは感じているところでもございます。実行委員会から派生させた形で、ぜひ部局内の中でも、これは
生活文化スポーツ部長にというよりは知事にということにもなるかもしれませんけれども、そういった組織構成も今後考えていってもらいたいなというのが、まず1点ございます。
あと、イベントや大会を誘致していく中で、eスポーツ分野では特に栃木県のオリジナリティー、いわゆる独自性というものもつくり上げていくことが重要だと思います。幸い栃木県は、他県よりもeスポーツに関わる団体が多く存在しております。そういった部分では、今民間や企業のノウハウを吸い上げやすい状況にあると思います。ソフトやハードの両面で栃木県ならではの環境整備も考えていけるのではないかなと思っております。
1つ例を挙げますと、仮想空間、いわゆるメタバースも大分広がり、普及というか、認知されてくるようになりました。そういった仮想空間の中で、栃木県の観光地、例えば那須町、それから日光市、鬼怒川といった観光地をゲームの世界に落とし込んで、そしてフィールドとして使っていく、あるいは栃木県の名産や県内各地のゆるキャラ、こういったキャラクターをeスポーツの中で使用するキャラクターに落とし込んでいく、そういったことも民間企業へアイデアとして出していきながら、連携などにも取り組んでいただきたいなと思っております。
いずれにいたしましても、eスポーツに関しましては、eスポーツに関わるビジネスというものが多く存在し始めました。そういうことも踏まえて、執行部におかれましては常にアンテナを高くして情報の収集や発信、そして課題抽出などを継続して行っていただき、より多くの県民が国や世代を超えてeスポーツに親しむことができ、本県のますますの発展につながるよう取り組んでいただくことを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
医療的ケア児とその家族に関わる人材の育成・確保について、保健福祉部長にお伺いいたします。医療的ケア児は、ご案内のように、新生児特定集中治療室、いわゆるNICU等に長期入院した後、引き続き人工呼吸器の使用や、たんの吸引など医療的ケアが日常的に必要な児童のことで、令和3年では全国で約2万人と推計され、過去15年の間に2倍以上に急増し、子供全体に占める医療的ケア児の割合も増えていると言えます。
令和3年9月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、本県では、これまでも様々な取組を進める中、同法に基づく栃木県医療的ケア児等支援センターくくるんを令和4年7月25日から設置しました。この支援センターは、医療的ケア児やその家族などからの様々な相談に対応し、医療、保健、福祉、教育等の関係機関と連携しながら支援を行います。また、支援に係る情報の集約や発信を行いながら、地域における支援ネットワークの構築に取り組むとしております。今年度の生活保健福祉委員会の県内調査でそのくくるんに訪問し、1年が経過した中での成果と課題を学ばせていただきました。
今後の支援の充実が期待される一方で、福祉事業所や保育園、学校などの受皿の確保や支援に関わる人材の育成など、法律が整備されても、現場の体制が追いついていないという課題もあるとお聞きしました。特に支援に関わる人材育成については、県は適切な支援をコーディネートできる人材や医療的ケアを行う専門人材の養成などに取り組んでいるところであります。これらの取組はしっかりと成果を出すことができていると捉えていますが、私は医療的ケア児とご家族に対する支援策の最も基本的で最重要視しなければならないことは、どれだけ当事者意識で本人やご家族と向き合える人材が現場にいるかであると考えております。そうした人材の確保を最重要課題として取り組むことで、県内全ての地域において、医療的ケア児の受入れ体制が整備されていくものと考えます。
そのためには、医療的ケア児本人とご家族の状況やニーズを十分に把握し、それらニーズに応じた必要な研修の充実を図るとともに、医療的ケア児等への支援の必要性を広く周知した上で、積極的に研修の受講を促進することも重要です。
そこで、県は、医療的ケア児等の支援に関わる人材の育成・確保について今後どのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
(岩佐景一
郎保健福祉部長登壇)
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、医療的ケア児のライフステージに応じた切れ目のない支援を行うため、医療的ケア児等支援センターくくるんを設置しまして、家族や支援者からの相談に応じる体制を整備するとともに、医療的ケア児と家族に対する支援を関係者と調整するコーディネーターの養成を行ってございます。あわせて、支援に関わる相談支援専門員、看護師、保育士、教員、行政職員などを対象に、医療的ケア児の特性や各種支援策等についての研修を実施しているほか、受講できない方に対しては、研修内容を録画した動画を配信するなど、広く人材育成に努めてまいりました。
今後は、現在実施しています実態調査等により把握した支援ニーズを踏まえ、研修のさらなる充実を図るとともに、住んでいる地域にかかわらず、適切な支援を受けられる環境づくりのため、各市町がコーディネーター等を適切に確保できるよう取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) ここで保健福祉部長に再質問いたします。医療的ケア児を取り巻く課題には、医療、福祉、教育、就労など、様々な視点で対応する必要がありますが、災害時への対応も不可欠であると思います。県が平成29年に実施した医療的ケア児の実態調査では、災害時の備えについて、予備電源等の備えが「ない」と回答した数は4割を超え、また、災害時の手助けが「決まっていない」と回答した数は3割を超えており、災害時の備えが不十分ではないかと危惧しております。医療的ケア児は、自宅などで酸素ボンベなど電源が必要な医療機器を使用していることが多いため、災害時の電源の確保や専門的な食料の確保など、特別に注意しなければならない課題があると思います。
いわゆる医療的ケア児支援法の検討条項に、災害時における医療的ケア児に対する支援の在り方について検討を加えるとあるように、そうした課題に備え、当事者本人たちが安心して生活できるよう、支援に関わる人材の育成・確保に当たっては平時における家庭、事業者への啓発や、災害時における関係機関との協力体制の構築や避難支援などに対応できることも重要と考えますが、保健福祉部長のご見解をお伺いいたします。
○佐藤良 議長 岩佐景一
郎保健福祉部長。
◎岩佐景一郎 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。医療的ケア児の中でも人工呼吸器を装着している障害児に対しましては、健康福祉センター等におきまして、定期的に医療機器の電源の状況や災害時の連絡先、避難先を確認してございます。その上で、災害時における個別の支援計画を作成し、関係者と連携した訓練などを実施しているところでございます。しかしながら、計画の作成が一部にとどまるなど、いまだ十分と言えない状況であるとは認識してございまして、災害時の備えに関する実態につきましても、現在改めて調査を取りまとめているところでございます。
今後は、災害時であっても迅速かつ適切に対応ができるよう、関係者同士、顔の見える関係づくりを促進するとともに、支援者を養成する研修におきましても災害対策を盛り込むほか、コーディネーターのさらなるスキルアップに努めてまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) ぜひ今後の実態調査、こういった部分は本当に目まぐるしく環境というものが変わると私も認識しておりますので、常々意識していただきたいと思っております。
要望になりますけれども、県の医療的ケア児等支援センターくくるんを訪問した際、くくるんの運営を担っている法人の事業所も拝見させていただきました。支援に当たられている方の使命感や熱意に大変感銘を受けたところです。相談業務を担うスタッフも含め、医療的ケア児やその家族の支援に関わる方々には、我が子のように寄り添って対応してもらえる人材であってほしいと思いますので、そうした意識を持ちながら支援を行えるよう必要な環境を整えていただくことと、現在、人材育成事業は、年度計画の募集の定員というのは満たしている状況にあると思います。支援センターや事業所の数と照らし合わせた需要と供給のバランスを考慮しているというのはよく分かるのですけれども、今後、県内の地域間の格差を解消するということを考えた上では、やはり事業所や支援センターを増やしていきたいという方向性はあると思います。そして、増やしていったときに人材がそろっていないという状況は、これまた片手落ちというか、せっかく設置したのに機能しないということではもったいないことでございます。そういうことも踏まえて、今後においては少しずつでも結構ですので、その人材育成事業の中での定員の枠を増やしていただきたいということを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、インフラDXの推進について、県土整備部長にお伺いいたします。インフラDXとは、最新のデジタル技術を活用して、建設業における既存の業務プロセスなどを変革することです。近年では、大手や中小といった企業の規模を問わず、建設業界全体でのDX化が急ピッチで進められております。また、建設業に限らず、我が国においてDXが急速に推進されている背景には、いわゆる2025年の崖があります。これは経済産業省が発表しているDXレポートで提唱されたリスクであり、日本の企業がDXを実現できず、従来の業務プロセスから脱却できていなかった場合、爆発的に増加するデータを活用し切れず、デジタル競争の敗者となり、複雑化、ブラックボックス化したシステム維持管理費の高騰に加え、サイバーセキュリティー、システムトラブルなどのリスクの高まりにより、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があるという内容になります。
この年間12兆円の経済損失には、当然ながら建設業界も含まれているので、これらを背景として、インフラDXの動きが加速しているということでございます。インフラDXにおいては、計画、調査、設計の段階から三次元モデルを利用した情報共有を行うことにより、その後の施工、維持管理の各段階における生産管理を効率化させる取組である、これはBIM/CIMと言います。1つはビルディング・インフォメーション・モデリング、そして、CIMはコンストラクション・インフォメーション・モデリングということなんですけれども、これらの導入、そしてドローンを活用した建設現場の測量や点検の効率化、また、AIを活用して、建設現場の安全性の向上など様々な取組が進められております。例えば、先ほど申し上げたBIM/CIMの活用では、ミスや手戻りの大幅な減少、単純作業の軽減、工程短縮、そして施工現場の安全性向上などの効果が見込まれております。
DXに向けた動きは県も例外ではなく、今年の3月にはインフラ分野のDXを推進するため、とちぎインフラDX構想を策定し、道路、河川などのインフラ分野において、デジタル技術を活用して働き方改革や生産性の向上を図ることとしておりますが、このように建設業界においてシステムそのものが変革していく中で、県としても、国や市町、ICT企業、建設業界団体等との連携を強化し、民間のノウハウを活用しつつ、各担当部署において様々な対応をしていかなければならないと考えます。
また、中でも私が特に取り上げておきたいのは、河川図をはじめとした県が紙媒体で保存している様々な図面のデジタル化です。これにより、関係者間におけるデータの共有や新技術の導入など様々な取組に活用ができること、インフラDXの推進に大きく寄与することから、民間の動向を後押しするためにも早急に取りかからなければならない喫緊の課題であると考えます。
そこで、県におけるインフラDXの推進について、これまでの取組と今後の見通しを県土整備部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、インフラ分野のDXにおける目指す方向性や取組の内容をまとめたとちぎインフラDX構想を令和5年3月に策定し、県民目線に立った防災・減災分野の取組を重点的に進めております。今年度は、水害等における県民の早期避難等につなげるため、水防に関する情報の自動配信化を進めるとともに、被災した道路施設の迅速な復旧のため、工事履歴等をデジタル化し、一元管理する道路維持管理システムの構築等に取り組んでおります。また、河川図などの紙媒体図面のデジタル化につきましては、スキャニングによるデータ化のほか、改良工事の際に、デジタル化された設計図や工事完成図等の活用など具体的な整備手法を検討してまいります。
引き続き、建設生産プロセスのあらゆる段階における効率化、高度化に向け、インフラ分野のDXを推進してまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) ご答弁の中に、まず災害関係のところからのスタート、そして先ほど申し上げた紙媒体からデジタル化させていくのは検討中ということでございました。正直あまり時間がないのではないかなと私自身思っているところがございます。民間の動きというのが本当に日に日に拍車をかけてDX化というのは進んでおります。そういう中でも、やはり民間企業においては、一分一秒を争いながら工期を縮めて、そして利益を生んでいかなければいけない。物価高騰などのいろいろな社会状況の中で、いろいろな経営努力をされているのが現状でございます。そういったところで、公がそういったものに対応できていないということになってしまったら、そこでまたロスが出てしまうということにもつながっている。
また、紙媒体からデジタル化するのは、非常に予算もかかることではないのかなと、勉強しながら他県の状況なども伺っているところでございます。かかるのはいっときというところも多少あると思います。そういった部分ではやはりめり張りをつけて、積極的に予算化していきながら、紙媒体からデジタル化していくということを強く要望して、次の質問に入りたいと思います。
空き家対策について、県土整備部長にお伺いいたします。本県における空き家数は平成10年から20年間で約1.8倍に増加し、特に長年誰も住んでいないような利用目的のない空き家はこの20年間で約2.2倍に増加しており、今後も人口減少が進む地域を中心に住宅需要が減ることなどにより、空き家はさらに増加していくことが予想されております。空き家が増加している要因の一つには、所有者の死亡後に相続手続が行われておらず、登記上の所有者が特定できないという問題があります。また、相続したとしても、新たな所有者が遠隔地にいるため、事実上放置状態となっているという問題も耳にします。空き家が放置されると、倒壊、火災発生の危険性や、治安、衛生、景観の悪化など地域の生活環境に悪影響を及ぼす可能性があることから、空き家の発生をできる限り抑制するとともに、活用や適切な管理等を促進するための対策をさらに充実・強化していくことが重要です。
そのため、栃木県議会においても、過去に一般質問や委員会等で、この空き家問題は議論されてきたところでございますが、国においても、今年の6月空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律が公布され、12月13日、間もなくですけれども、施行されることとなっております。この法改正では、空き家等の活用拡大、管理の確保、周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家である特定空家の除却などを対策の柱として、特定空家等になるおそれのある空き家を管理不全空家等として新たに位置づけ、適切な管理等の促進を図るとしており、空き家対策がより一層推進することを期待しております。
一方、法に基づく空き家対策の権限の多くは市町村に委ねられていることから、県は各市町が地域のニーズや課題に応じて空き家対策に円滑に取り組めるよう積極的に支援するなど、県としての役割を十分に果たしていく必要がございます。そのため、県は、この法改正を契機に、空き家対策のさらなる充実に向け、市町や関係機関等との連携を強化し、これまでの取組に対する検証や、法改正に伴う見直しについて議論を深めるとともに、空き家所有者等を含む県民に対する積極的な情報提供や、空き家の適正管理、利活用に向けた啓発活動を効果的に行っていく必要があると考えます。
そこで、県は、法改正を受けて、今後どのように空き家対策に取り組むのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。空き家の増加が見込まれる中、対策を進めていくためには、空き家の発生抑制、活用促進、適切な管理、除却の促進などが必要であります。このような中、今般、国では対策をより強化するため、空き家の管理、活用に取り組む民間団体を空家等管理活用支援法人に指定する制度や、市町村が管理不全空家等を認定、指導、勧告できる制度を創設するなどの法改正を行ったところであります。このため、県では、空き家対策の主体である市町がこれらの制度を最大限活用し、より効果的な取組が行えるよう、管理不全空家等の認定手法を丁寧に説明する手引の作成や、市町や関係団体で構成する協議会におきまして、空家等管理活用支援法人の活用に向けた検討などを行ってまいります。
引き続き、市町や関係団体と緊密に連携して、空き家対策に積極的に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) ここで再質問をさせていただきたいと思います。今回、管理不全空家が法的に位置づけられ、特定空家と同様に、固定資産税がこれまでの6倍かかるということになるわけでございます。管理不全空家の認定基準については今後国が示すということでございますけれども、空き家所有者が適切に対応できるよう、これから市町や関係機関と密に連携を取り組んでいくことをまずはお願いしながら再質問したいのですけれども、単に空き家を維持管理する、解体する、処分するというだけでも、所有者が解決しなければならないハードルはとても高いと私は感じております。
具体的には、雑草の茂った庭の草木を管理する造園業者、倒壊を防いだり、利活用できるようにするリフォーム業者、建物を解体する解体業者、処分を仲介する不動産仲介業者、空き家の権利関係に係る相続手続や、所有者に代わって判断を下す後見人等では、弁護士、司法書士、行政書士等の士業専門家の協力が必要になってきます。つまり空き家問題はとても複雑であり、行政側としても様々な部署が横断的に取り組む必要があると同時に、専門的知識を有する人材の確保はもちろんのこと、特に今般の法改正にもあったとおり、所有者と民間業者とのマッチングを行うNPOなどとの連携が必要になると考えますが、県は、今後この支援法人の活用についてどのように取り組むのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
◎坂井康一 県土整備部長 再質問にお答えいたします。これまで空き家所有者が、その活用や管理の方法などを相談できる環境が少ないという課題があったと認識してございます。そのような中、空き家の活用や管理に関する専門的知識やノウハウを持つ空家等管理活用支援法人を活用することで、所有者により寄り添ったきめ細かな対応が可能となると考えているところでございます。このため、県では、この指定法人の対象となり得るような団体の掘り起こし、それから、国担当者を招きました市町向けの説明会などを行うとともに、市町や関係団体で構成する協議会におきまして、そういう場を活用しながら、市町と支援法人が連携しやすい環境整備に向けて取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) 要望になりますけれども、ご答弁にもありましたように、県の役割はどこまでいってもやはりバックアップ体制、県という立場はバックアップする側にあると思います。当然市町が直接的に、その空き家を所有している方、あるいは空き家を管理していく現場の第一人者ということになってくるのでございます。そういった部分では、県において、例えば県を取りまとめた各種団体の中に栃木県宅地建物取引業協会というのがございます。そういったところと密に連携を取って、各市町に属しておりますその下部団体への情報の発信を積極的に行っていただきたいと思います。各市町もそれぞれやはり現場で精いっぱいなところがあるのです。そういったところでは、人材の発掘、あるいは法人の発掘、団体の発掘ということはやはり県がしっかり補っていく、そういう補完性の原理をしっかりとつくっていってほしいと思います。それらを要望して、次の質問に入りたいと思います。
インクルーシブ教育システムの推進について、教育長にお伺いいたします。現在、教育分野では、障害の有無にかかわらず、人格と個性を尊重し合いながら、共に生きる社会、いわゆる共生社会の実現を目指し、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が共に学ぶことができる仕組みであるインクルーシブ教育システムのさらなる推進が求められております。このためには、一人一人の障害の状態等に応じたきめ細かな指導、支援を提供できるよう、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様で柔軟な仕組みを整備するなど、障害のある児童生徒に対する教育環境の充実が欠かせないと考えます。このような中、県教育委員会では、令和3年2月に栃木県教育振興基本計画を策定し、インクルーシブ教育システムの推進に向け、教員の理解促進と実践的な指導力の向上、就学前から学校卒業後までの一貫した支援体制の構築などに取り組んでいるところであります。
また、これまで議会の中で、令和2年10月には文教警察委員会において、インクルーシブ教育システムを特定テーマとして調査報告書にまとめ、令和4年10月には取組状況調査の概要の報告を受けたほか、一般質問の場においても、日向野義幸議員や関谷暢之議員をはじめ多くの議員が関心を抱き、取組に対する県教育委員会の姿勢、理念について様々な議論を重ねてまいりました。
これまでの取組は様々な指標等で実績が示されておりますが、インクルーシブ教育システムの推進に当たっては、現場の教職員と県教育委員会がインクルーシブ教育システムに関する姿勢や理念を共有するとともに、地域や各学校の保護者とも共通認識の下、連携しながら協力体制を構築していくことが重要であると考えます。
そこで、インクルーシブ教育システムの推進についてこれまでの成果をどのように認識しているのか、また、それを踏まえた今後の取組について、教育長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。児童生徒が障害の有無にかかわらず互いに多様性を認め合い、持てる力を高め、生きる力を身につけていくためには、インクルーシブ教育システムの推進が必要であります。このため、令和3年度から、小学校の通常の学級にインクルーシブ教育指導員をモデル的に配置し、児童生徒への関わり方や授業の改善を進めてきたことで教員の専門性が高まってきていると捉えております。
今後は、これらの成果を近隣の小中高等学校に広めていくため、市町教育委員会と連携した学校への巡回指導を行い、研究授業や校内研修会などを通して、教員が共通理解の下で児童生徒に対する指導、支援を組織的に行うための体制を強化していくこととしております。
引き続き、地域や関係機関と連携しながら、インクルーシブ教育システムのさらなる推進に努めてまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) 私は、先月、兵庫県へ教育と福祉の連携について視察に行って学ばせていただきました。兵庫県で行っている教育、福祉、家庭によるトライアングルプロジェクト、いわゆる3つの連携ということなのですけれども、このトライアングルプロジェクトの背景には、何よりも兵庫県内の地域間の連携がもう既に出来上がっている状況にありました。その土台の上に、教育、福祉、家庭の連携があるということでございます。そういった部分で、本当に子供を真ん中に捉えて、そして教育の枠を超えた地域と福祉の連携、そして国、県、市町村の間の連携の確立がインクルーシブ教育には必要不可欠であるということがよく分かりました。
そこの中で、いわゆる地域間がしっかりとつながっていると理解ができたのも、それぞれの立場にいらっしゃる教職員が、その各状況をしっかりと把握されているからです。そういう状況が読めたというのは、それだけ情報の共有がしっかりなされているということ、そして、これまでの議論にもありました一貫性を持った形で、福祉の考え方にもなりますけれども、しっかりと伴走型としての一貫性を持たせるということ、それは、最終的には自立というところに伝わっているのです。その道のりがあるのです。そこの部分においての様々なチェックシートの作成などは各ステージ、各フェーズにおける教職員の意識、認識といったものを、共通認識として教育委員会が把握していかなければいけないということ、ここが重要だと思っております。
要望になりますけれども、そういった部分においては、県教委におかれましては、教職員一人一人がインクルーシブ教育システムを進めていく上に当たっては、もしかしたら、さらに仕事量を増やすことにもなるかもしれませんけれども、やはり共生社会、あるいはそういった全ての子供たちを一人も取りこぼすことなく育て、育んでいくということが理念としてあるわけですから、大変だと思いますけれども、ぜひそこはしっかりと県教委がリーダーシップを取って、県内各市町の全ての教職員にその意識を持っていただけるよう、細かくチェックしていっていただければと思っています。その部分を要望しながら、次の質問に入らせていただきます。
横断歩道における歩行者の安全確保について、警察本部長にお伺いいたします。一般社団法人日本自動車連盟、いわゆるJAFが、信号機がない横断歩道で車が歩行者を優先して一時停止した割合を調べた全国調査によると、ご案内のように、栃木県は2018年は0.9%と全国最下位となりました。これまで県警察においては、「止まってくれない!栃木県からの脱却」をスローガンに、横断歩道における歩行者優先意識を啓発するためのチラシ配布や、人気キャラクターの活用による広報、インパクトのあるテレビCMの制作、横断歩道を予告する道路標示であるダイヤマークのカラー化など様々な取組を実施してきました。
このたび、JAFによる全国調査の2023年の結果が公表され、本県の一時停止率は全国平均の45.1%を大きく上回る74.8%と全国3位となり、一時停止率、順位ともに過去最高となりました。また、県警察が、同じく今年の5月から9月にかけて、ダイヤマークのカラー化の効果を測定するために行った調査では、一時停止率は以前よりも12.9ポイント上昇したということでございます。今回の調査結果は、これまでの取組の成果であり、着実にドライバーの法令遵守につながってきていると認識しております。その一方で、県内で令和4年、横断歩道で歩行者が被害に遭った事故は141件であり、うち6名が亡くなっております。こうした交通事故を未然に防ぐためには、一時停止率のみに一喜一憂するのではなく、道路交通法に規定されている歩行者優先、歩行者保護という意識をドライバーにしっかりと認識、定着させるなどの取組を継続して実施していくことが重要と考えます。
そこで、県警察は、横断歩道における歩行者の安全確保に向けた取組の効果をどのように評価し、また、その効果を踏まえて、今後どのように取り組んでいくのか、警察本部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 難波健太警察本部長。
(難波健太警察本部長登壇)
◎難波健太 警察本部長 ただいまのご質問にお答えいたします。信号機のない横断歩道における歩行者保護につきましては、先ほど議員からもございましたとおり、平成30年以降、各種取組を推進いたしまして、一定の成果が現れているところであります。しかしながら、いまだに止まらない車があるという県民の声があることも承知しているところでございます。県警察では、歩行者等の安全確保は極めて重要であると認識しておりまして、人優先の交通安全思想の普及と、横断歩行者妨害等の取締りを強化しておりますほか、本年は、ドライバーに注意を促すために、横断歩道を予告するダイヤマークのカラー舗装化にも取り組み、対策を一層進めたところでございます。
今後は、これまでの対策にも加えまして、道路管理者等との連携を図りまして、生活道路において、横断歩道とハンプを組み合わせたスムーズ横断歩道や、最高速度30キロメートル毎時の区域規制と物理的デバイスを組み合わせたゾーン30プラスなどの整備も推し進めまして、安全な交通環境の実現に努めてまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) 再質問させていただきます。先ほども申し上げましたとおり、重要なのは交通事故そのものを防ぎ減らしていくことです。そのために、ドライバーの法令遵守はもちろん重要なことでございますが、最近よく目につくというか、話にも聞くことが、歩行者の斜め横断、いわゆる横断歩道の手前から渡ってしまう横断であったり、自転車、特に学生などが多いのですけれども、横列で並走してで走っている状況もあったり、そういった危険な状況を目にすること、あるいは耳にすることが多々あります。歩行者や自転車運転の交通マナーも向上させていく必要があると考えますけれども、どのようにその辺について取り組んでいくのか、警察本部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 難波健太警察本部長。
◎難波健太 警察本部長 再質問にお答えします。歩行者に対しましては、交通ルールの周知に加えまして、手を上げるでありますとか、反射材を身につけるとかといった自らの安全を守る交通の行動を促すための安全教育も推進しているところでございます。また、自転車の利用者につきましては、自転車安全利用五則を活用いたしまして、交通ルールを遵守させるように取り組んでおりますほか、本年9月1日からは、良好な自転車交通秩序を実現するための総合対策といたしまして、広報活動と悪質、危険な違反者に対する取締りを強化しているところでございます。
引き続き、県や関係機関とも連携しながら、歩行者、自転車利用者に対しても各種の安全対策を推進しまして、交通事故全体の抑止に取り組んでまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) 本質問、再質問ともに答弁の中でしっかりと明確な取組が行われているのがよく分かりました。やはりこれも要望になってきます。例えばの話ですけれども、各市町の、各自治会の中で、様々な生涯学習であったり、様々なイベントというものが行われておりそういった機会を通して――大分高齢者の方々も自主的に免許を返納する傾向というのが強くなってまいりました。その時点で、歩行者あるいは自転車を使っていくことになるわけでございますけれども、やはり今ご答弁いただいた様々な取組がしっかりと県民一人一人に伝わらなければ意味がないというところはあると思います。そういうことも踏まえて、そういった広報活動についても意欲的に今後も取り組んでいただけるよう要望し、最後の質問に入りたいと思います。よろしくお願いします。
私の地元の関心の高いテーマの一つなのですけれども、こちらを取り上げて質問させていただきます。本日3本目となりますけれども、県土整備部長、ぜひご答弁をよろしくお願いします。都市計画道路3・3・3号小山栃木都賀線の整備について、県土整備部長にお伺いいたします。都市計画道路である小山栃木都賀線は、広域道路ネットワークの一部を構成する幹線道路として、小山市中心部から栃木市の東部を経由し北関東自動車道都賀インターチェンジに至る約16.4キロメートルの都市計画道路であり、地域間の連携や交流を支える重要な道路であるとともに、防災拠点等へのアクセス道路となる第3次緊急輸送道路に指定されているなど、防災の観点からも大変重要な路線でございます。
計画当初は、設計速度80キロメートル毎時で4車線の高規格道路を想定していたのですが、時代の移り変わりに伴う交通状況の変化や、周辺の土地利用等を考慮して道路の計画が現在の形になったと聞いております。これまで本路線は、道路事業及び街路事業により整備が進められてきており、栃木市内においては都賀インターチェンジから県道栃木環状線までについて、東武宇都宮線の立体交差化を含めバイパスが整備され、平成30年度に開通いたしました。また、そこから南の大宮町工区についても平成26年度から事業に着手いただき、来年度供用が開始されると聞いております。さらに、小山市内においても、卒島Ⅱ工区の整備が進められ、工事が目に見えて進捗するなど早期供用に期待するところでございます。
こうした中、残る栃木市今泉町工区においても、令和3年度から事業が進められているところでありますが、本工区が整備されることによって、この小山栃木都賀線の全線がつながることとなるわけでございます。これにより通勤時間帯に起こっていた朝夕の渋滞の緩和だけでなく、地域交流や交通、物流面での利便性が向上し、近隣エリアとの連携強化にもつながることから、今後のまちづくりの基盤として、早期開通を望む声も多く、一日も早い整備完了が求められております。
そこで、都市計画道路3・3・3号小山栃木都賀線の整備について、今泉町工区の現在の進捗状況と今後の見通しを県土整備部長にお伺いいたします。
○佐藤良 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。都市計画道路3・3・3号小山栃木都賀線は、小山市中心部から北関東自動車道都賀インターチェンジまでを結ぶとともに、県道栃木環状線の一部を形成する幹線道路であります。これまで県では、本路線の整備を順次進めており、卒島Ⅱ工区と大宮町工区の間の約3.7キロメートルにつきましては、今泉町工区として令和3年度から事業に着手し、設計等を実施してきたところであります。整備に当たりましては、隣接して実施している卒島Ⅱ工区の整備効果を高めるため、県道栃木小山線以南の約1.2キロメートルを優先区間とし、昨年度から用地調査を進め、今年度は用地取得に着手する予定であります。
今後とも、市や関係者の協力を得ながら事業推進に努めてまいります。
○佐藤良 議長 平池紘士議員。
(20番 平池紘士議員登壇)
◆20番(平池紘士議員) 一日でも早く、早期開通に向けて鋭意努力していただきたく、要望させていただきたいと思います。
また、もう1点、要望になるのですけれども、新たに道路が整備されることで、交通の利便性が飛躍的に高まるとともに、周辺の土地利用が大きく進展することが期待される一方で、交通量の増加や大型車両の通行など、これまでと違った道路の使用状況が多く見られる傾向がございます。新たな道路を通してより利便性が増す、これはもう間違いないことなのですが、他方、どうしても交差点、なのですけれども、交差点が形状化されたことによって、今までなかったような交通事故が起きるなど、そういうことも実際に起こっている現状があります。そういった部分も含めて、交通管理者とも十分連携を図っていただきながら、これは信号設置も含めてですけれども、万全の安全対策を図っていただけるよう要望させていただきたいと思います。
以上で私の質問は全て終了となりますが、今回の質問は、改選後、初めての登壇の機会をいただいた質問でございました。1期4年間の間で、様々な形で各先輩方が取り上げた一般質問などを参考に、今回、私は検証を含める上であえて質問として項目を出させていただきました。やはり今回取り上げた質問項目は、目まぐるしく本当に日に日に進化していく、あるいは状況が動いていくところがあるものが多かったと思います。そういったことも踏まえて、ぜひ執行部の皆様におかれましては、時事のそういった高いアンテナを持って、敏感に反応して、フットワークの軽い行政運営、そういったものを期待していきたいと思っております。
以上で私の質問を終わります。
○佐藤良 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。7日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。
本日はこれで散会いたします。
午後3時30分 散会...