令和 4年度栃木県議会第390回通常会議-12月07日-04号令和 4年度栃木県議会第390回通常会議
(1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名
12月7日(水曜日)
出席議員 43名
1 番 小 池 篤 史
2 番 湯 澤 英 之
3 番 石 坂 太
4 番 岡 部 光 子
5 番 加 藤 雄 次
6 番 金 子 武 蔵
7 番 あ べ ひろみ
8 番 中 屋 大
9 番 塩 田 ひとし
10 番 野 村 せつ子
11 番 相 馬 政 二
12 番 西 村 しんじ
13 番 小 菅 哲 男
14 番 小 林 達 也
15 番 平 池 紘 士
16 番 高 山 和 典
18 番 池 田 忠
19 番 琴 寄 昌 男
22 番 横 松 盛 人
23 番 加 藤 正 一
24 番 松 井 正 一
25 番 保 母 欽一郎
26 番 青 木 克 明
27 番 野 澤 和 一
28 番 山 口 恒 夫
29 番 白 石 資 隆
30 番 関 谷 暢 之
31 番 中 島 宏
32 番 早 川 桂 子
33 番 日向野 義 幸
34 番 渡 辺 幸 子
35 番 阿 部 寿 一
36 番 佐 藤 良
37 番 山 形 修 治
39 番 山 田 みやこ
40 番 一 木 弘 司
43 番 岩 崎 信
44 番 小 林 幹 夫
45 番 五月女 裕久彦
46 番 螺 良 昭 人
47 番 三 森 文 徳
50 番 木 村 好 文
51 番 板 橋 一 好
欠席議員 1名
17 番 吉 羽 茂
(2)説明のため出席した者の職氏名
地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者
知事 福 田 富 一
副知事 北 村 一 郎
総合政策部長 鈴 木 英 樹
経営管理部長 國 井 隆 弘
県民生活部長 野 原 恵美子
環境森林部長 小野寺 一 行
保健福祉部長 仲 山 信 之
産業労働観光部長 辻 真 夫
農政部長 青 栁 俊 明
県土整備部長 坂 井 康 一
国体・
障害者スポーツ大会局長
橋 本 陽 夫
会計管理者会計局長
小 川 俊 彦
企業局長 北 條 俊 明
総合政策部次長兼総合政策課長
笹 川 正 憲
経営管理部次長兼財政課長
小 林 宣 夫
教育長 阿久澤 真 理
代表監査委員 森 澤 隆
人事委員会事務局長
清 水 正 則
労働委員会事務局長
桐 渕 ゆ か
警察本部長 難 波 健 太
(3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名
事務局長 大 橋 哲 也
次長兼総務課長 菊 池 薫
議事課長 大 野 光 二
政策調査課長 横 山 泰 治
議事課課長補佐 小田部 秀
課長補佐 谷 平 正 治
係長 手 塚 英里子
主査 君 島 義 人
主査 長谷川 寛 和
主査 荒 川 尚 子
主任 榎 本 和 也
◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は43名であります。
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午前10時 開議
○山形修治 議長 ただいまから本日の会議を開きます。
日程第1 第2号議案から第12号議案まで及び第14号議案から第23号議案までを一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) おはようございます。山形議長の許可をいただきました、とちぎ自民党議員会、小菅哲男でございます。
初めに、長引くコロナ禍に際し、県民の命と健康を最前線で守り抜いていただいている医療従事者をはじめ、各種対策に尽力、ご協力いただいている県民の皆様に、まずもって感謝を申し上げます。ありがとうございます。
本日は、県議会議員として、これまで歩いて見聞きしてきた県政の現状や地元住民の方々からの声などを踏まえながら、8つの項目にわたって質問させていただきます。知事をはじめ執行部には、明快かつ前向きなご答弁をお願いいたします。
それでは初めに、人口減少問題の克服に向けて、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)に掲げる施策の展開について、知事にお伺いいたします。本県の総人口は、2005年には過去最高の201万6,631人に達していましたが、その後、減少に転じており、2022年10月1日現在の総人口は190万8,380人となっております。今後も少子化や県外への転出超過の傾向が継続すると、人口減少は加速度的に進行し、本県の人口は2060年には約130万人まで大きく減少すると予測されております。人口が減少するということは、労働力人口も減少し、経済が停滞するだけでなく、働く人よりも支えられる人のほうが多くなってしまうことから、社会保障制度にも大きな影響を及ぼします。加えて、サービスに必要な人口規模を割り込むと、地域からサービス産業が撤退し、生活に必要な商品やサービスを入手することが困難になるなど、日々の生活が不便になるおそれがあります。
本県が将来にわたり活力ある社会を維持していくためには、安定した人口構造を確保する必要があり、出生率の向上や、若者を中心とした転出超過の解消に向けて、早期に対策を講じなければなりません。県においては、令和2年3月にとちぎ創生15(いちご)戦略の第2期戦略を策定し、産業の振興による地域経済の活性化、東京圏からの移住・定住の促進、結婚や子育て支援の充実、公共交通の維持・確保、デジタル技術の活用など、人口減少問題の克服に向けて、様々な事業に取り組んでいるところであります。
一方で、近年の社会情勢の変化を見ると、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、地方での就職や移住を考える人が増え、テレワークの広がりなども背景に、地方回帰へと意識の変化が生じており、令和2年以降、本県でも転出超過が改善傾向に転じているということでございます。しかしながら、この傾向がいつまでも続くとは限らず、東京圏からの移住・定住の促進、出生率の低下防止に向けた結婚や子育て支援の充実といった、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)で掲げる取組を基本として、テレワークや
サテライトオフィス設置等の多様な働き方が可能となる環境の整備など、本県の取組が県内外の方に評価されることが必要であり、さもなければ、コロナ禍が収束するのに伴い、再び東京圏への人口流出が拡大しないとも限りません。
加えて、ロシアの
ウクライナ侵攻に端を発する資源価格の高騰や、円安に起因した生活用品全般の価格高騰など、戦略の策定時には想定していなかった社会情勢の変化にも対応していかなければならず、これらを踏まえた総合的な取組を実施していく必要があると思います。
そこで、県は、このような社会情勢の変化を踏まえ、人口減少問題の克服に向け、今後どのようにとちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)に掲げる施策を展開していくつもりなのか、福田知事にお伺いいたします。
○山形修治 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの小菅哲男議員のご質問にお答えいたします。地域の活力を将来にわたり維持していくためには、持続可能で安定した人口構造を確保していくことが重要でありますことから、県では、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)に基づきまして、各種施策に取り組んでいるところであります。
合計特殊出生率に改善の兆しが見られない一方で、コロナ禍を契機とした地方移住への関心の高まりや、テレワークの普及等によりまして、令和3年度の移住相談件数が過去最多となるとともに、人口の転出超過が大幅に改善されてきております。こうした本県への人の流れを確実なものとするためには、東京圏への近接性や、暮らしやすく働きやすい住環境などの本県の強みを生かしながら、ポストコロナを見据えた地方創生の取組を強力に推し進めていく必要があると考えております。このため、働き方等に関する若者や女性のニーズを的確に捉え、希望に応じた就労が実現できる環境を整備してまいりますとともに、結婚、妊娠、出産、子育て支援のさらなる充実を図るなど、魅力ある地域づくりに取り組んでまいります。また、雇用の受皿となる県内企業が原油価格・物価高騰等の社会情勢の変化にも柔軟に対応できるよう、新技術開発や新たなビジネス展開を図る取組を支援するほか、産業人材の確保・育成や、インバウンドのV字回復に向けた取組等を進め、強靱で稼ぐ力のある本県産業の基盤強化を図ってまいります。
今後とも、時代の潮流を的確に捉えながら、本県の強みを生かした施策を積極的に推進し、とちぎ創生の実現に全力で取り組んでまいります。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 知事からご答弁いただきました。
ここで保健福祉部長に再質問させていただきます。人口減少対策のためには、若者や女性を中心とした転出超過の解消に加え、出生率の低下に歯止めをかけることが重要だと思います。とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)においても、結婚や子育て支援の充実がうたわれているところですが、コロナ禍が人と人との距離を遠ざけるとともに、円安に起因する物価の高騰や、ロシアの
ウクライナ侵攻などの世界情勢の緊張感の高まりが、安心して子供を産み育てられる社会の形成に大きな影響を与えていると私は感じております。
そこで、出生率の低下対策という側面から、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)でうたわれている結婚や子育て支援の充実について、今後どのような取組を進めていくつもりか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○山形修治 議長
仲山信之保健福祉部長。
◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。まず、結婚に関しましては、結婚を前向きに捉える意識の醸成が必要でありますことから、今年度、新たにタレントの大島美幸さんをふたりの
未来応援アンバサダーに任命しまして、婚活世代に向けました情報発信に取り組みますほか、とちぎ
結婚支援センターでは、
マッチングシステムのオンライン化を進めるなど、コロナ禍や若い世代のニーズを踏まえました幅広い出会いの機会を提供しております。また、子育て支援につきましては、
放課後児童クラブや認定こども園などの整備を促進しますほか、
こども医療費助成制度の拡充などによりまして、子育て環境の充実に努めてまいりたいと考えております。
今後とも、結婚、妊娠、出産、子育て、各段階に応じました切れ目のない支援を行うことによりまして、結婚の希望を実現し、安心して子供を産み育てることができる環境をつくってまいりたいと考えております。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 保健福祉部長からご答弁いただきました。労働力という視点で考えますと、特定技能制度を活用した外国人労働者の採用や、定年延長による活躍人口の増加にも期待するところでありますが、労働力の問題としてだけでなく、地域全体の活性化という視点から考えた場合、やはり出生率の低下に歯止めをかけることが最も重要であると考えます。地域の担い手を増やし、先人からつないできた日本古来の伝統や優れた文化を次の時代につないでいき、持続可能な社会を構築するという意味でも、出生率の低下対策については、栃木県ならではの強みを生かして、新たな時代の力を取り入れながら、中長期的な視点を持って課題を克服していただきたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。障害のある子供に対する一貫した支援体制の構築について、教育長にお伺いいたします。特別支援教育の対象となる子供は全国的に増加傾向にあり、県内の小中学校の通常の学級において、個々の児童生徒の実態に応じた指導を行うために、個別の教育支援計画を作成している児童生徒数は、令和3年度で2,589名と平成30年度に比べて889名増加しております。また、発達障害の疑いのある子供の保護者がどこに相談すればよいか分からずに困っている事例も増えていると聞いております。
障害のある子供が生涯にわたり自立し、社会参加していくためには、就学前から学校卒業後までの一貫した支援が重要だと思います。各学校における一人一人の教育ニーズに応じた支援のほか、県や市町、支援機関による相談体制の充実や療育機関等の周知、障害のある子供についてより多くの人に理解してもらうための普及啓発も重要と考えます。
このような中、本県議会では、
文教警察委員会において、令和2年度に
インクルーシブ教育システムの推進についてを特定テーマとして調査研究を重ね、通常の学級における発達障害等のある子供への支援について、様々な提言を行ってきたところです。今年度、提言に関する県の取組状況を調査した結果、おおむね適切に実施されており、一定の効果を上げていると報告を受けております。
しかし、県教育委員会が行った調査によると、県内の小学校、中学校、高等学校において、個別の教育支援計画を活用して支援情報の引継ぎを実施した割合については、令和4年5月1日時点で、小学校から中学校への引継ぎ実施率は98.4%と高い状況ですが、中学校から高校ですと実施率が74.3%と下がっている状況です。実施率のさらなる向上が必要だと思われます。そのためには、就学前から学校卒業後までの一貫した個別の教育支援計画が引き継がれる仕組みづくりが重要だと思います。
そこで、障害のある子供に対する一貫した支援体制の構築について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。
○山形修治 議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。障害のある子供たちが生涯にわたり自立した生活を送るためには、一人一人に応じたきめ細かな指導・支援を行う必要があります。このため、個別の教育支援計画に記載した支援情報の進路先への円滑な引継ぎを推進しており、特に中学校から高等学校につきましては、各学校が行うべき内容や実施時期を示した引継ぎモデルを作成し、教職員への研修会や高等学校への巡回相談を通じて活用促進を図ってまいりました。今後は、大学等の
障害支援担当者や、障害のある生徒の雇用を検討している企業担当者に対し、高等学校から引き継がれた情報を活用した支援につきまして理解促進を図るなど、高等学校から進路先への引継ぎの取組をさらに強化していくこととしております。
引き続き、市町や福祉関係機関、さらには産業界などとも十分に連携しながら、障害のある子供に対する一貫した支援体制の構築に努めてまいります。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 教育長からご答弁をいただきました。個別の教育支援計画を活用した支援に必要な情報の共有について、保護者や教育現場からもしっかりとした対応が求められておりますので、取組を丁寧に進めていただくよう、よろしくお願いしたいと思います。また、通級指導を利用する子供が増えていることから、全ての教員が特別支援教育に関する一定の知識、技能を持つことができるよう、発達障害等に関する研修内容を充実させ、教員の専門性のさらなる向上と教員間での知識の標準化を図っていただきますよう、これは要望とさせていただきます。よろしくお願いします。
ここで保健福祉部長に発達障害のある子供たちへの支援に関して再質問させていただきます。以前に比べれば、発達障害への認知度、理解度は少しずつ上がっているように思いますが、支援の窓口や療育機関については、まだまだ知られていないように私は思います。私の周りでも、発達障害の疑いのある子供のご家庭がどこに相談すればよいのか分からずに困っていたという事例も聞いております。
そこで、県や市町、支援機関による相談体制の充実を図り、発達支援を行う療育機関等を周知することが重要と考えますが、どのように進めていこうとしているのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○山形修治 議長
仲山信之保健福祉部長。
◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。県では、市町における相談を担います
発達障害者相談支援サポーターを養成するほか、臨床心理士等を市町に派遣いたしまして助言を行うなど、市町の相談支援体制の強化に取り組んできたところです。また、療育機関の利用につきましては、市町の相談窓口を経由して調整しておりますことから、相談窓口について県や市町の
ホームページ等で周知を図っているところでして、啓発グッズ等の2次元コードからも簡単にアクセスできる工夫もしているところでございます。また、県発達障害者支援センターふぉーゆうでは、県民向けのセミナーを開催しまして、発達障害の特性や必要な支援のポイントなどについて理解促進を図ってきたところです。
今後とも、市町等を通じまして、必要な療育機関に適切につながりますよう、相談窓口の強化とその周知に努めてまいりたいと考えております。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 保健福祉部長からご答弁をいただきました。児童発達支援や
放課後等デイサービスなどの療育機関については、まだまだ認知度が低いのが現状のようです。これらのような施設があることに気づいたときには、子供がもう随分大きくなっていたという話も伺っております。分かっていれば、もっと早くから通わせたかったという保護者の声も聞かれております。誰もが互いに尊重し合える共生社会の構築を目指すために、児童発達支援や
放課後等デイサービスなどの療育機関等のさらなる周知を図るなど、全ての子供を取り残さない、あらゆる施策を推進していただくことを要望し、次の質問に移ります。
特別養護老人ホームなどの介護サービスの基盤整備について、保健福祉部長にお伺いいたします。我が国では、総人口や現役世代の人口が減少に転じている中、高齢者数は今後も増加し、高齢化はますます進展しております。本県においても、団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年、あと2年半後にはおよそ3人に1人が高齢者になると見込まれております。さらに、いわゆる
団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年頃には、高齢者人口がピークを迎えるとともに、介護ニーズの高い85歳以上の人口が急速に増加することが予想されております。
本県の
高齢者単独世帯は、2015年には約7万2,000世帯でしたが、2025年には約9万2,000世帯となり、2015年の約1.3倍になると予測されております。また、世帯主が高齢者の夫婦のみの世帯は、2015年には約8万3,000世帯でしたが、2025年には約9万6,000世帯に増え、2015年の約1.2倍と予測されております。このように、高齢者の独り暮らしや高齢者夫婦のみの世帯の増加や、認知症がある方の増加も見込まれており、地域の高齢者を支える介護サービスの充実・強化が喫緊の課題になっております。
中でも、
特別養護老人ホームについては、高齢化のさらなる進展や、家族の高齢化に伴う介護力の低下等により、入所需要が依然として高いことから、入所が必要な高齢者を的確に把握した上で、必要な数を整備することが求められております。私の周りの方々でも、私立の介護ホームには空きはあるが、地元の
特別養護老人ホームは入所希望者が定員を上回っているため、入所できず順番待ちや、地元ではない遠くの
特別養護老人ホームを紹介されてしまったなどというような不満や不安の声が度々聞かれているところでございます。住民のニーズに応じたきめ細かな対応ができているとはまだまだ言い難いという感を持っております。
そのため、今後、独り暮らしの高齢者が増えていくことが見込まれる中で、私は、地元の施設に入居できない高齢者がさらに増えていくことを危惧しており、県として、高齢者が1人になっても安心して地元で生活できる環境づくりを一層推進していくためにも、住民のニーズを的確に把握していただいて、
特別養護老人ホームなど介護サービスの基盤整備をさらに進めていく必要があると考えます。
そこで、県は、
特別養護老人ホームなどの介護サービスの基盤整備について、今後どのように進めていくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
○山形修治 議長
仲山信之保健福祉部長。
(
仲山信之保健福祉部長登壇)
◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。介護が必要になりましても、できる限り住み慣れた地域で暮らしていくためには、地域の実情に応じた介護サービスの基盤整備が重要でございます。このため、県では、栃木県
高齢者支援計画はつらつプラン21(八期計画)におきまして、
入所申込状況調査の結果に加え、将来の要介護高齢者数や在宅サービスの普及見込み等を勘案し、待機者解消も視野に入れながら、
特別養護老人ホームなどの整備目標を定めております。現在、市町と緊密に連携を図りながら、
地域医療介護総合確保基金等を活用し、計画的な施設の整備促進に努めており、あわせて、
サービス付高齢者向け住宅などの多様な住まいの確保も推進しているところであります。
今後とも、はつらつプラン21に基づき、計画的に施設整備を進め、高齢者のニーズに即した適切な介護サービスを確保できるよう取り組んでまいります。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 保健福祉部長からご答弁をいただきました。
特別養護老人ホームなどについては、住民のニーズに応えていくため、ぜひさらなる整備を検討していただくようお願いいたします。
ここで保健福祉部長に再質問させていただきます。2021年に公表された第8期
介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数の推計では、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、2019年度の介護人材数に加え、全国で約32万人、本県では5,800人が必要とされております。介護現場における人手不足感は依然として高い状況にあり、また、様々な要因によって参入と定着が困難な状況だと聞いております。増大する介護ニーズに対応するため、介護サービスの安定的な提供体制を構築し、質の高い人材の確保を図る必要があると思います。
そこで、県は介護人材の育成・確保に今後どのように取り組むのか、保健福祉部長に伺います。
○山形修治 議長
仲山信之保健福祉部長。
◎仲山信之 保健福祉部長 再質問にお答えいたします。県では、介護人材の育成・確保に向けまして、参入促進、資質の向上、労働環境・処遇の改善の3つの柱で取組を進めております。参入促進では、県内各地域において就職フェアを開催するほか、介護福祉士等の届出制度や就職支援金貸付制度等を活用しまして、潜在的な介護人材の再就職や他分野からの参入を促進しております。また、資質の向上につきましては、質の高い介護職員を確保する必要がありますことから、各種研修を実施しておりますほか、介護支援員の研修に対する受講費用の一部助成を行っております。また、労働環境・処遇の改善につきましては、介護職員の身体的な負担軽減や業務効率化を図るために、介護ロボットやICT機器の導入に対する助成を行っております。
今後とも、介護現場のご意見も伺いながら、関係団体と連携し、介護人材の確保・育成に取り組んでまいります。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 介護サービスの基盤整備としては、施設整備などのハード面の取組はもちろんのこと、現場で働く介護人材の確保が最も重要だと思います。2025年、日本では介護の需要爆発が起きると言われております。1947年から1949年生まれの団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となるからであります。その数はおよそ600万人とされ、その前の3年間の1.5倍のスピードで後期高齢者になる人が増えることが見込まれております。何も手を打たないと、介護サービスを利用できない人が大量にあふれ出てしまう未来も予想されてしまいますので、県には、高齢者が人生の最後まで地元で暮らし、長生きしてよかったと思える栃木県の実現を目指して、必要な対策をしっかりとお願いして、次の質問に移らせてもらいます。
原材料価格の高騰等の影響を受ける中小企業・小規模事業者の支援について、
産業労働観光部長にお伺いいたします。長引くコロナ禍の影響により、地域経済は深刻な打撃を受けております。国においては、これまで行ってきた
新型コロナウイルス感染症対策を踏まえ、行動制限の緩和や観光振興施策等の各種経済対策により、地域経済の再建を図ってまいりました。国民の意識も、ワクチン接種の浸透や、
新型コロナウイルス感染症の症状の軽症化傾向などから、消費マインド等が上昇し、徐々に経済活動が活発化してきたと感じていたところだと思います。
しかしながら、国際情勢の変化等により、原油、原材料の価格が高騰し、さらに急激な円安が進行するなど、回復の兆しが見えかけたところで、地域経済は再び深刻な影響を受けているところでございます。実際に民間の調査会社の調べによれば、2022年度の業績で減益を見込む県内企業は3割を超え、このうち8割以上が原材料価格の高騰を理由としており、こうした影響により厳しい経営環境に置かれている中小企業・小規模事業者への支援は急務であると考えております。
そこで、県は、原材料価格の高騰等の影響を受ける中小企業・小規模事業者等の支援についてどのように取り組んでいくのか、
産業労働観光部長にお伺いいたします。
○山形修治 議長 辻真夫
産業労働観光部長。
(辻 真夫
産業労働観光部長登壇)
◎辻真夫
産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。コロナ禍の影響を受けた県内経済は持ち直しの動きが見られたものの、原材料価格の高騰や円安の進行の影響を受け、県内中小企業・小規模事業者の経営環境は引き続き厳しい状況にあると認識しております。
このため、県では、県制度融資におきまして、運転・設備資金に加え、借換えも対象とした原油・原材料高騰等緊急対策資金を創設いたしますとともに、利子補給や保証料補給を行いまして資金繰りを支援しておりますほか、原材料価格の高騰などにより売上げ等が減少した事業者に中小企業者物価高騰等対策支援金を支給することなどによりまして、中小企業等の経営の下支えに努めております。さらに、厳しい経営環境の中にあっても経営改善に取り組む中小企業等に対しましては、中小企業診断士等の専門家を派遣いたしますほか、国の事業再構築補助金の円滑な活用等を支援しております。
今後とも、県内経済や国の動向を注視しながら、市町や商工団体等の関係団体と連携し、中小企業等の事業継続と持続的成長に向けまして全力で取り組んでまいります。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員)
産業労働観光部長からご答弁いただきました。厳しい経営環境に置かれている中小企業・小規模事業者がこの厳しい状況を乗り越えられるよう、年が越せるよう、有効な支援を行っていただきますよう切にお願いし、次の質問に移ります。
農業資材等の価格高騰への対応について、農政部長にお伺いいたします。私の地元は、農業に適した平たんな農地と緩やかな丘陵が広がっており、米を中心に園芸や畜産が盛んな地域であります。現在、米の収穫が一段落し、実りへの喜びと来作への期待が膨らむ時期だと思います。
しかし、地元の農業者からは、期待の声より不安の声が多く聞こえてきております。不安の声の多くは、ロシアの
ウクライナ侵攻などの世界情勢の変化や円安等の影響により、肥料や燃油などの農業資材等の価格が高騰し、農業経営を圧迫しており、大変厳しいと聞いております。実際に価格が高騰する前の令和元年と直近を比較すると、肥料が約46%、燃油は約20%、飼料は約41%上昇しております。特に畜産に関しては、経営費の約半分を飼料費が占め、そのほとんどを輸入に頼っていることから大きな影響を受けております。また、米などの土地利用型の農業に関しても、作付面積が大きいほど肥料費や燃料費がかさみ、経営が苦しいと聞き及んでおります。今後もこうした情勢が続けば、担い手が減り、農地が荒廃してしまうなど、本県の基幹産業の一つである農業が立ち行かなくなるのではと心配しているところです。
このような中、国においては、農業者に対し、肥料高騰分の7割を補填する事業等を創設するとともに、県においては、コスト削減を図るための技術対策を推進しているほか、飼料購入費の高騰分の一部支援や省エネルギー機器への助成など、独自の予算を編成するなど対策を進めており、農業者の経営安定の一助となることを感じているところであります。しかしながら、地元の農家からは、支援策があるのは知っているが、詳しいことが分からないとか、事務手続が難しいとか、不慣れで書類作成ができないなどの声も聞こえております。
今般の危機は、農業を営むために不可欠な原材料等に関わるものであり、私は、まず支援策を個々の農業者にしっかりときめ細かく伝えていただき、活用してもらい、農業経営への影響緩和を図るとともに、今後、見通しがつかない情勢に対し、将来を見据え、低コスト生産の技術がきちんと農業者に根づき、安心して農業を継続できるような取組を進めていくことが重要だと考えております。
そこで、県は、農業資材等の価格高騰により影響を受けている農業者の経営安定に向け、今後どのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。
○山形修治 議長 青栁俊明農政部長。
(青栁俊明農政部長登壇)
◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県ではこれまで、国や県の支援策を農業者が漏れなく活用できますよう、説明会の開催や、品目別に分かりやすく整理したリーフレットの配付を行うなど、周知に努めてきておりまして、今後とも、農業振興事務所に設置している窓口において個別相談への対応など、きめ細かく支援してまいります。また、情勢の変化に対応できる持続可能な農業の実現に向けて、新たに農業経営の安定に向けた対策の推進方針を策定しており、農地の土壌診断の実施による肥料投入量の削減や、施設園芸における保温効果の高い被覆資材やヒートポンプの導入などによる燃油使用量の削減などを推進してまいります。あわせて、全国有数の畜産県であり、広大な水田を有する本県の特徴を生かし、輸入に頼らない県産飼料の生産拡大や、家畜排せつ物を堆肥化し、水田に投入して有効活用する耕畜連携の取組を一層進めていくこととしております。
引き続き、農業への影響を十分に把握し、市町や農業団体と一体となって経営の安定が図られますよう、農業者の取組を支援してまいります。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 農政部長からご答弁いただきました。価格高騰の影響を緩和する国や県の対策が幾つかあるのです。農業者が知らなかったということがないように、引き続き、関係機関への周知を徹底していただきたいと思います。
これは要望ですが、価格高騰は今後も続くことが予想され、農業者自身の自助努力にも限界があると思います。私の地元の農業者から聞こえる声は、経営が苦しい、廃業するしかないなど、切実な方もおります。こうした現場の声に耳を傾けていただき、必要な支援対策を検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは次に、県産農産物の輸出拡大について、農政部長に伺います。今般の国際情勢の不安定化により、世界的なインフレが大きな問題となっている一方で、安全・安心な日本産食品に対する海外ニーズはより依然として高まっており、令和4年1月から10月までの農林水産物・食品の輸出額は既に1兆1,218億円と昨年より1か月早く1兆円に到達したと、二、三日前の新聞に載っておりました。国としても、令和7年までに2兆円、令和12年までに5兆円の目標を掲げるとともに、令和2年4月には農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律、いわゆる輸出促進法を制定し、輸出拡大に向けた取組を進めているところだと思います。
このような中、本県においても、単価の高い牛肉や、東南アジアで人気の高い梨「にっこり」の輸出量の増加が輸出額を大きく押し上げたことにより、令和3年度の県産農産物の輸出額は過去最高の5億3,398万円と、令和2年度の3億1,100万円から大幅な増加となったと聞いております。県は、令和7年度には、令和3年度の輸出額のおよそ2倍に相当する10億円にするという目標を掲げています。私は、大変意欲的な目標として高く評価しており、農業者が輸出に取り組むに当たり、大変勇気づけられる目標ではないかと思っております。また、今月末には知事がベトナムやタイを訪問し、トップセールスを行うなど、精力的なPR活動により、販路の拡大、開拓ができるものと期待しております。しかし、より一層の輸出拡大を図るためには、海外で求められる品質のよい農産物を生産するほか、国別の規制に対応しなければならず、農業者にとっては負担が大きいことから、こうした取組を支援するとともに、県産農産物を海外に向けて積極的にPRしていくことが重要だと思います。
そこで、県は、令和7年度の目標額達成に向け、県産農産物の輸出拡大に今後どのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。
○山形修治 議長 青栁俊明農政部長。
(青栁俊明農政部長登壇)
◎青栁俊明 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県産農産物のさらなる輸出拡大を図るためには、ターゲットとする国や地域、品目を明確にした上で、戦略的に販路を拡大しますとともに、需要に対応した産地づくりを進めていくことが重要であると考えております。そこで、近年、輸出が伸びているベトナムとタイにおきましてトップセールスを行い、県産農産物の魅力を発信し、認知度の向上を図りますとともに、農業団体と連携し、現地バイヤーとの商談を通じて、青果物や牛肉の取引拡大を図ってまいります。また、グルテンフリー食品の需要が伸びているEUにおきましては、10月にパリで開催された国際見本市で新たに引き合いのあった米粉やパックご飯につきまして、取引の円滑な開始に向けて、生産者と輸入事業者とのマッチングを支援してまいります。さらに、本年2月に輸入規制が緩和された台湾におきましては、台北市や高雄市での食品見本市で取引希望のあった梨とイチゴにつきまして、商業施設においてプロモーションを行いますとともに、検疫規制に対応できますよう、生産者団体と連携し、病害虫の防除法の実証を通じた産地づくりを進め、速やかな輸出再開につなげてまいります。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 農政部長から、トップセールスやプロモーションを行っていくとの説明をいただきました。やはり現地を訪問し、相手先と直接対話することが交渉事では大変重要だと思います。また、輸出に当たっては、クリアしなければならない条件もあるということですので、農業者自らがやりがいや自信を持って輸出に取り組むことができるよう、農業者へのサポートをぜひこれからもお願いいたします。
輸出目標額10億円はかなりハードルが高いと思いますが、ぜひ目標を達成することができますよう、前向きにしっかりと取り組んでいただくことをお願いし、次の質問に移ります。
橋梁の長寿命化対策について、県土整備部長にお伺いいたします。諸先輩、同僚議員からご理解をいただき、私が県土整備委員会の委員長を務めさせていただいてから8か月余りが過ぎました。県内各地における社会資本の整備状況を見聞きする中で、これらを維持管理していくことは、県民の生命と財産を守るために極めて重要であることを改めて認識させていただきました。
日本のインフラの多くは高度成長期に建設されており、建設後50年以上が経過する社会資本ストックが今後加速度的に増加するため、持続可能なインフラメンテナンスの実現に向けた取組が重要となっております。中でも橋梁については、数も多く、経済産業活動や私たちの身近な生活を支えるために適切な維持管理を行っていくことが重要であると考えております。国土交通省が今年8月に公表した道路メンテナンス年報によりますと、現在、全国で橋梁は約73万あり、そのうち建設後50年以上を経過する橋梁の割合は、本年3月時点では約34%でありましたが、10年後には約59%に増加するということでございます。県が管理する橋梁についても、今後、ますます長寿命化対策の必要性が高まる見通しだと思います。
しかし、全国的に対策が進んでいるのは一部にとどまっており、全ての道路管理者は、2013年の道路法改正等を受け、2014年から5年に1回の頻度で近接目視による点検を実施していると聞いております。2014年度から2018年度における1巡目点検で修繕が必要とされた全国7万橋の橋梁のうち、対策が完了した橋梁は半数に満たないということであります。このまま老朽化が進めば、近い将来、私たちの安全が脅かされるとともに、生活に悪影響が出ることが予測されます。限られた財源の中であっても、必要な対策を講じなければなりません。
そこで、県が管理する橋梁の長寿命化対策について、今後どのように進めていくのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○山形修治 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。老朽化する橋梁の修繕等につきましては、栃木県橋梁長寿命化修繕計画に基づき、事後保全から予防保全への転換や、修繕費等の縮減、平準化を図りながら、対策を推進しております。県では、平成30年度までに県が管理する約3,000橋の1巡目法定点検を実施しまして、早急に修繕が必要な186橋につきまして、令和3年度までに156橋の対策を完了させ、令和5年度内に残り30橋の対策を完了させることとしております。令和元年度からは2巡目法定点検を実施中でありまして、新たに確認された早期に修繕が必要な橋梁につきましては、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に呼応し、対策の加速化を図っております。
今後は、DX技術等の活用による点検効率化やコスト縮減を図りながら、橋梁の長寿命化対策を着実に推進してまいります。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 県土整備部長からご答弁をいただきました。各自治体からは、次々に補修が必要な施設が出てくるのに、予算も人手も足りないという声も聞こえてきております。しかし、今からちょうど10年前、2012年12月に起きた笹子トンネル天井板落下事故や、2021年に起きた和歌山県の水管橋崩落事故など、インフラの老朽化による大きな事故が相次いでおり、早急な対策が求められていると思います。
こうした中、求められるのは、維持管理にかかるコストを減らす努力です。例えば、ドローンを使った省力、少人数の点検や、AIを使った画像診断など、新しい技術を活用して低コストで効率よく早期に老朽化を検知することができれば、限られた予算の中で、一つでも多くのインフラを延命させることができると思います。
また、対策に必要な予算の確保についてですが、12月2日に国において、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を含む令和4年度第2次補正予算が成立したところであります。本県においても、先日、我がとちぎ自民党議員会の螺良昭人議員会長の代表質問に対し、知事から答弁がありましたように、防災・減災、国土強靱化の推進などの取組については、補正予算を編成し、今通常会議に追加で提出するということであります。ぜひ、国の予算に積極的に呼応し、県土の強靱化を強力に推進していただくことをお願いし、最後の質問に移りたいと思います。
先ほども申し上げましたが、私は県土整備委員会の委員長として、今年8か月間やらせていただいております。その中で、各市町の首長から、少子高齢化社会による人口減少への危機感、そして、地域が生き残っていくために何が必要なのか、社会資本整備の切り口から切実な要望を伺ってまいりました。その中で感じたことは、人や物の流れを活発化させ、地域と地域の連携をより強固なものにする道路整備の果たす役割は非常に大きく、また、これに対する期待感も非常に高いということであります。
そこで、地域の活力を維持し、地方創生を強く推進する道路整備、具体的には、さくら市と高根沢町間の連携強化に寄与する道路ネットワークの強化について、県土整備部長にお伺いいたします。さくら市・高根沢町地域は、国道4号が南北軸、国道293号や県道宇都宮那須烏山線が東西軸として市街地を形成しております。JR東北本線の氏家駅や宝積寺駅は宇都宮駅まで17分から12分ということで、都心へのアクセスも可能な、交通の利便性に富んだ立地であります。このため、本地域から宇都宮市中心部や鬼怒川左岸地域の工業団地群などに通勤されている方々が数多くおられます。両市町とも子育て世帯の支援に力を入れており、さくら市では、全人口に占める15歳未満の人口比率が県内でも最も高く、高根沢町では婚姻率が県内のトップクラスであるなど、今後の発展の可能性が高い地域でございます。
県では、さくら市氏家地区の国道4号と国道293号が交差する川岸交差点において慢性的な渋滞が発生しているため、この交差点を迂回して宇都宮方面に交通を分散させる県道上高根沢氏家線のバイパス事業、前に質問させてもらいました、いわゆる櫻野工区に着手したところであり、地元の方々の期待が高まってきているところでございます。そのような中で、地元では、早くもこの櫻野工区から南側、すぐ高根沢町大谷なのですが、国道4号に連絡する新たな計画について、方針がいつ頃示されるのか、私自身が聞かれる機会が数多くなっているところでございます。
また、隣の高根沢町では、石末地区において、県道杉山石末線と丁字路――これは分かりやすく言うと、高根沢消防署の丁字路です――で交差する県道石末真岡線を北側に延伸させて、県道宇都宮那須烏山線に接続させる事業について、先般、加藤高根沢町長から、今年度の県土整備委員会への重点要望箇所としても上げられてきました。高根沢町では、庁舎移転の検討が進められており、候補地の一つである町民広場に移転されれば、この路線は防災拠点となる町役場にアクセスする重要な路線になるのであります。私は、この2つの事業を別々の事業として捉えるのではなくて、両市町の連携強化を図る同じ道路ネットワークと捉えるべきと考えます。
そこで、県道上高根沢氏家線の櫻野工区の南側から国道4号に連結しながら、高根沢町石末地内の町民広場の横を通って、県道石末真岡線の延伸についてという考えがあるのですが、県では、今後、これについてどのように考えるのか、県土整備部長にお伺いいたします。
○山形修治 議長 坂井康一県土整備部長。
(坂井康一県土整備部長登壇)
◎坂井康一 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県道上高根沢氏家線は、さくら市氏家地区中心部を南北に縦断する道路であり、国道4号の川岸交差点に集中する交通を分散させるバイパスとして櫻野工区に着手し、現在、用地取得を進めております。この整備効果をより高めることが期待される櫻野工区から国道4号に連絡する道路につきましては、櫻野工区の事業進捗を見極めながら整備方針の検討を進めてまいります。また、県道石末真岡線は、高根沢町中心部と芳賀工業団地等を結び、通勤などの日常生活を支える道路であり、石末地内における延伸につきましては、町が進める新庁舎建設候補地の検討状況等を注視しながら、道路網の在り方について検討してまいります。
引き続き、さくら市と高根沢町の意見を伺いながら、両市町の連携強化が図れるよう努力してまいります。
○山形修治 議長 小菅哲男議員。
(13番
小菅哲男議員登壇)
◆13番(小菅哲男議員) 県土整備部長からご答弁いただきました。まだ両事業とも要望されてから間もないということですので、検討はこれからだということで期待しております。しかし、口開けではないですけれども、あえて取り上げさせていただきました。先ほども触れたとおり、両市町のポテンシャルは非常に高く、連携強化につながる新たな縦軸について、今から検討に着手しておくことは、地方創生の観点からも重要だと強く感じているところでございます。
◎仲山信之 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。発達障害を早期に発見し、早期療育につなげるためには、保護者をはじめ周囲の関係者の気づきが重要でありますことから、発達障害者支援センターふぉーゆうでは、関係団体と協議し作成しました啓発資料を活用し、保護者等に向けました情報発信に取り組んでおります。また、市町では、乳幼児健診等の場におきまして、家庭や集団時における行動の把握や観察により、発達に課題があると認められる場合には、早期に診断や療育につなげられるよう、保健師が必要な支援を行っております。加えて、適切な受診機会の確保のため、発達障害の診療が可能な医療機関リストを公開するとともに、かかりつけ医等の医療従事者を対象に研修を行い、地域における対応力の向上を図っているところであります。
今後は、支援を受けることによる具体的な効果に主眼を置いた普及啓発に取り組みますとともに、引き続き人材育成を行い、地域における診療体制の強化を図ってまいります。
○池田忠 副議長 あべひろみ議員。
(7番 あべひろみ議員登壇)
◆7番(あべひろみ議員) ただいま保健福祉部長から、その支援の有効性については周知をしていくということでありました。子供の未来に向けて、その支援の重要性を保護者に十分理解してもらうと。先ほど、健診等において、保健師が診断を促したり療育へつなげる支援をすると。それはそうなのですけれども、現場は実際にそのような動きにならないと感じられます。理解をされていないのです。それから、そもそもかかりつけ医に診断書を書いてくださいと言ったところ、「うちでは診断書は書けません」と。かかりつけ医がですよ。書いてもらえないという現実がある以上、診断の際に集団生活の場での様子を専門医に確認してもらうことで救われる子供たちが増えると考えます。診療可能な医療機関をリストアップして、その機関あるいはかかりつけ医等に対して研修をされているということですけれども、まず、それでは発達障害と認められない子が生まれるということは認識していただきたいと思います。その辺りを再考していただきたいと強く要望いたします。
また、支援に必要な診断書に関してでありますけれども、例えば特別児童扶養手当について、県のパンフレットを見させていただきました。手当に該当する障害の程度である1級、2級、それぞれ分かれて書かれてあります、対応する障害の内容が記載されているのですけれども、身体障害については、例えば両眼の視力がそれぞれ0.03以下の者と具体的な内容が記載されています。しかし、知的障害や発達障害が含まれる精神障害については、精神の障害であって、前各号、前各号というのは、先ほどの身体障害の要件で具体的な数字、手足が何々などと書かれているのと同程度以上と認められる程度の者という書き方をされています。前各号と同程度以上と認められる程度の者、私が読んでも分かりません。国の規定等に基づく記載であることは承知しておりますが、このような表現では、保護者は自分の子供に発達障害等の障害があることが分かっていても、障害のレベルが1級なのか、2級なのか、手当の対象になるのかさえ分からない。判断できずに、診断書もお金がかかりますから、診断書の取得を諦めているケースも少なくないと思います。
基準は国が決めるとしても、表現が曖昧なものについては、県として、保護者がその制度について案内している資料を見て、ああ、自分の子供は該当するかな、この支援を受けられるといいな、このような支援を受けて子供のために頑張ろう、そのように理解できる資料、解釈や説明を具体的に分かりやすく記載した資料を作成していただきたいと考えておりますので、併せて要望させていただきまして、最後の質問に移りたいと思います。
コロナ禍における子供の心の健康対策について、教育長に質問いたします。2020年3月、緊急事態宣言の発令により、日本中がこれまで経験したことのない状況に直面しました。子供たちも例外ではなく、学校にもその波は押し寄せ、突然の休校、卒業式、入学式の中止や縮小、6月に学校再開となるものの、マスクの着用が徹底され、会話や身体接触は禁止、給食は黙食、部活動の制限も行われるなど、何から何まで自由が奪われました。
こうした中、文部科学省が発表した児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果によりますと、2021年度の全国の国公私立小中学校の不登校児童生徒数は過去最多を更新し、また、小中高等学校などが認知したいじめの件数も過去最多となっています。自殺も増えていると聞いております。同省は、この背景には、コロナ禍の影響がうかがえると分析しており、学校行事が中止され、グループ活動も制限されたことなどが、登校意欲の低減や、ストレスに起因するいじめにつながったと見ております。
それまでとまるっきり180度違うコロナ禍における当たり前の生活を余儀なくされて3年、少しずつ学校行事も実施されるようになっていますが、いまだに終息も見えず、大人同様に子供たちにも計り知れないストレスが募り、不安の渦の中でもがいている、これが現状です。そして、当然、子供たちの心身には多くの影響が出ていることが推察されます。また、今もあらゆる場面で継続する学校内外での活動制限により、人間関係をつくる活動が十分に行えず、関係の構築がうまくいっていないことが、いじめなど各指標の増加につながったとも見られています。
加えて、国立研究開発法人国立成育医療研究センターが行った調査によりますと、小学5年生から中学3年生までの子供の1割から2割に鬱症状が見られたことが分かっております。特に2021年度までのコロナ禍で制限の多い学校生活を強いられて、学校行事も中止、しゃべっては駄目、遊んでは駄目ということで、学校は楽しくない、行きたくないと思うのも無理はないかなと思います。データにも表れているように、人との関係を築く機会を奪われて、子供たちは私たちの想像以上に大変なもどかしさやストレスを抱えて生活し、本当にずたずたではないかと思います。
つい先日、文部科学省から、適切な感染対策を取れば、学校の給食時間の会話を可能とする等々のことが言われております。テレビでも放送されておりますが、私は、子供たちへの対応はまさに待ったなしという状況で、傷ついた子供たちの心のケアに早急に取り組むべきと考えております。これ以上子供たちの心の健康に影響が生じないようにするためにも、一定の感染対策は続けながらも、教育現場の制限を緩和したり、通常の学校生活を取り戻していく必要があると思います。具体的な対策を講じる時期を迎えていると思いますが、コロナ禍における子供の心の健康対策にどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。
○池田忠 副議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動におきましては、感染対策と学びの保障を両立させることが重要であります。このため、県教育委員会では、最新の知見に基づき、部活動における活動範囲などの制限を段階的に緩和するとともに、学校祭や修学旅行などの学校行事につきましても、できるだけ通常に近い形で実施できるよう工夫を凝らしているところであります。さらに、悩みや不安を抱える児童生徒への対応につきましても、担任だけでなく、養護教諭や部活動の顧問など、より多くの教員が児童生徒一人一人の様子をきめ細かに把握するとともに、スクールカウンセラーなどの専門家も効果的に活用しながら、相談支援のさらなる充実を図ってまいります。
今後とも、国からの科学的知見に基づく情報を注視しつつ、市町教育委員会と連携しながら、
新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた子供の心の健康対策に万全を期してまいります。
○池田忠 副議長 あべひろみ議員。
(7番 あべひろみ議員登壇)
◆7番(あべひろみ議員) ただいまの教育長の答弁でありますけれども、学校行事等、修学旅行はすごく子供たちが楽しみにしていて、そのようなことがきっかけになることから、再開の意味があると思いますので、楽しみなところであります。
先ほどの答弁で、専門家等と連携していくということではありましたけれども、コロナ禍で教員の業務も増大している中、傷ついた子供たちの心のケアや心の健康対策に取り組むこと全てを現状体制の中で取り組もうとしておられるのであれば、教員のさらなる負担増大となります。適切な対策が講じられるとはどうしても思えません。現状維持では、現状体制の中だけでは適切な対策が講じられるとは思えません。そのため、児童生徒と向き合うスクールカウンセラーなどの専門人材の配置を増やしたり、状況によっては、心療内科医、あるいは精神科医等の外部の専門家の協力を得るなど、人員配置にも配慮する必要があると考えますが、教育長の考えを伺います。
○池田忠 副議長
阿久澤真理教育長。
◎阿久澤真理 教育長 再質問にお答えいたします。全ての公立小中学校に配置しておるスクールカウンセラーですけれども、スクールカウンセラーにつきまして、教員との連携を強化して効果的な活動ができるように、研修会、協議会などを通して、さらに指導・支援に努めてまいりたいと考えております。また、多様化、深刻化する案件に対応するために、教育事務所ごとに専門性の高い7名のスーパーバイザーを配置しておりますので、このスーパーバイザーの活用につきましても、迅速かつ的確に支援に入れるような活動体制を工夫することによって、子供の心のケアと教員の負担軽減の両立を図ってまいりたいと考えております。
○池田忠 副議長 あべひろみ議員。
(7番 あべひろみ議員登壇)
◆7番(あべひろみ議員) 全ての学校にスクールカウンセラーを投じており、あるいは専門性の高いスーパーバイザーも配置しているということでありますが、まず、各学校の子供たちの状況をしっかりと把握していただきたい。
昨日、ちょうどその特集のテレビを見まして、鬱に関しては、本当に専門性を持って対応しないと、不登校などが解消されることはなかなか難しいというお話でした。やはり先ほど言った専門的な医師のアドバイス、これは別に医師にその都度子供たち一人一人を診てもらうということではなく、ケースによって、鬱状態であるということであれば、そのようなところにつないでいく。親御さんだけにそれを託すというのは少し違うかなと思います。コロナ禍前のように、学校が楽しいなど、友達と一緒にいてうれしいと心から感じられるようになるために、やはり専門人材の活用を含めた適正な体制づくりに取り組んでいただくことを強く要望いたします。
目まぐるしい社会変化や様々な問題に追い立てられ、課題の本質を見失う、そのようなことがないように、その時々の現場の声、県民の思いをしっかり受け止め、施策に反映させていくことが求められております。今回の私のそれぞれの質問について、ぜひとも原点に立ち返り、一つ一つ的確な判断をもって検討されますよう要望いたします。
また、折しも今週4日から10日は人権週間であります。多様性が認められ、誰一人排除されることなく、一人一人の人権が尊重され、お互いに支え合う共生社会の実現に向けた積極的な取組を期待しまして、今回の私の全ての質問を終了といたします。よろしくお願いします。
○池田忠 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時15分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。
休憩いたします。
午後0時16分 休憩
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◎大橋哲也 事務局長 出席議員数を報告いたします。
ただいまの出席議員数は43名であります。
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午後1時15分 開議
○山形修治 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。板橋一好議員。
(51番 板橋一好議員登壇)
◆51番(板橋一好議員) 今通常会議における質問も私が最終となりました。県政全般、当面の課題に対する質問に対しましては、我が党の螺良昭人とちぎ自民党議員会長をはじめ、大勢の皆さんから質問がございまして、真摯な議論ができました。私は、マイペースな質問をさせていただきたい、また、ローカルな質問もありますが、答弁に対しては、ぜひひとつ真剣な答弁をお願いして、質問に入りたいと思います。
最初に、市町要望に対する対応についてであります。毎年、市町から県に対して、たくさんの要望が出されています。県は、県民の声を聞いて、それを県政に反映するのが仕事でありますが、機構上から、なかなか直接県民の声を聞く機会が少ない。その点、市町は常に県民に接している、市町の意見は県民の意見であるという認識をしてもよろしいのではないかと思っていますので、ぜひ市町の要望に対しましても、しっかりとした対応をお願いしたいのであります。
令和3年度を例に取りますと、市町単独の要望が191件、市長会あるいは町村会を経由しての要望が44件出ているようであります。その中で、きちんと対応ができたのが、市町案件で122件、63.9%、市長会・町村会経由で出た案件で23件、52.3%であります。一部対応できたものについては、市町案件で44件、23%、市長会・町村会案件で18件、40.9%、合計しますと、市町案件で86%、市長会、町村会を経由したもので93%で結構対応ができているようでありますが、問題はできなかったものでありまして、やはりそれだけに非常に難しい問題、重要な課題ではあっても、なかなか対応ができない問題が多いのであります。例えば、国の制度に合わないもの、県の制度があっても、それが要望に沿わない、あるいはそのような制度がないもの、あるいはそれを実施するのには、市町に役割の分担、費用の分担をかけることがあるもの、あるいは結構多いのですけれども、ほかの県でできていても、栃木県ではそのような制度がないので、できないものなど、いろいろ要件はあります。例えば、現物給付の問題でありますとか、派遣教員等々の定数の問題でありますとか、非常に身近で大切な問題が多いのであって、これに対しては、県としてもきちんとした対応が必要だと思いますが、それだけ難しい案件ですから、決定するのに時間がかかる、あるいは相当高度な政治判断を必要とするものがあって、なかなか対応ができないのが現況だと思っています。
知事は当選した当初に、このような問題を解決するために、市町村の3分の1以上が実施している政策案件につきましては、自動的に県がこれを支援するという、いわゆる3分の1ルールを自治基本条例を制定した中で実施したいと表明しました。ただ、その当時につきましては、自治基本条例に対する反発が非常に多かったと思いますが、異論がたくさん出ました。また、3分の1ルールについても、人口の3分の1なのか、市町村数の3分の1なのかという論議があって、なかなか結論が出なかった。庁内での論議をしたり、審議会をつくって県民の意見を聞いたり、当然、議会でもこれに対して検討はしたのですけれども、なかなか結論が出なくて現在に至っている。どちらかというと、私もその当時は反対の立場で意見を述べた記憶がありますが、なかなか実施ができなかったのであります。しかし、あの当時から比べても、最近では、いろいろな問題が山積している。決定できるものは早急に決定して、住民のニーズに応えることが必要になってきているので、改めてではありますけれども、私も3分の1ルールは有効なのではないかなと思って、質問させていただいているのであります。
自治基本条例との組合せはなくてもいいのだろうと思いますし、また、3分の1が少しハードルが低いということになれば、4割にするとか、2分の1にするとか、多少上げてもいいと思いますし、市町の数か、住民の数かについては、どちらでも対応するということでもいいのではと思います。知事としても、せっかく提案した案件、思い入れもあると思いますが、ぜひこの問題について、再度検討して取り組んでいただければ大変ありがたいと思いますので、この点について、知事のお考えをお聞きしたいと思います。
○山形修治 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまの板橋一好議員のご質問にお答えいたします。知事就任以来、現場主義の徹底を旨とし、県民中心、市町村重視の県政を推進してまいりました。3分の1ルールにつきましては、市町村、ひいては県民の声を速やかに県政に反映させる方策の一つとして、当時、導入を検討しましたし、お願いもいたしました。しかしながら、その後、市町や県議会、有識者等で構成する懇談会におきまして、条例化についてのご議論をいただいた結果、共通施策を自動的に県が取り入れることに関する市町の主体性や議会の議決権との関係などの課題があって、導入は難しいとの報告をいただいたところでございます。
一方で、人口減少、少子高齢化の進行や、自然災害の頻発・激甚化、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、社会経済環境の急速な変化に対応し、県民益の向上を図るためには、県民ニーズを的確に把握し、速やかに県政に生かすことがより重要になってきているものと考えております。このため、市町村長会議や政策懇談会等を通じまして、県民に身近な市町のご意見、ご要望を伺い、解決に向けた協議等を実施しているところでありますが、その中で、平成24年5月の竜巻災害を契機とした本県独自の被災者生活再建支援制度の創設のほか、重度心身障害者医療費助成制度や
こども医療費助成制度の対象拡大など、市町の足並みがそろわなかった施策につきましても議論を重ね、合意に至るなどの成果が生まれております。また、私が地域に直接出向き、幅広く県民との意見交換を行うとちぎ元気フォーラムやとちぎ創生アイデア会議などによりまして、現場の声を県政に反映できるよう努めているところであります。
今後とも、多くの県民の皆様との対話を重ね、市町との連携を図りながら、スピード感を持って様々な課題の解決を図り、県民誰もが将来に夢を抱き、市町が真に輝く活力あふれるとちぎづくりに取り組んでまいります。
○山形修治 議長 板橋一好議員。
(51番 板橋一好議員登壇)
◆51番(板橋一好議員) 知事が市町との協議を大切にして、それをできるだけ取り組んでいく、現在の政治姿勢については、市町からの認証があって、信頼を受けているのであります。ただ、先ほども言いましたように、いろいろな問題がどんどん次から次へと起こってくる。一つ一つを慎重に審議するのも必要でありますが、即決をして、いち早く政策に反映するのも県民にとっては大切なことだと思います。ルールの中身については、いろいろな論議もあろうと思いますが、ぜひ、名目はいずれにしましても、やはり早く結論の出る、決定できるシステムを考慮していっていただきたい、このようなことで、今すぐ答弁をお願いするというわけにもいきませんが、せっかく知事が提案したルールですから、このようなものを何とか生かしていくような方向を考えていただけると大変ありがたいということを要望して、次の質問に入ります。
県出資法人の見直しについてであります。これは平成21年当時でありましたが、財政が相当厳しくなってきている中で、県が幾つかの法人に対して資金援助していることについて、本当に必要な出費なのか、改善の余地はないのかということで、県でも論議はしたのですけれども、議会としても出資法人の見直しをする必要があるのではないかということで、県出資法人あり方検討会を設定しました。2年近く論議をした結果、平成21年11月に検討会としては議長に答申、議長から知事に答申をして、知事はこの答申を尊重すると受け止めていただき、1年間、庁内での論議をした上で、平成22年12月だったと思いますけれども、県としての見直し方針を示しました。それから約12年近く経過しております。
途中で令和2年12月通常会議に私が質問して、その後、どうなっているかと聞いたときには、県の行財政改革大綱の中で、特定指導法人についての見直し検討をしますと返事がありましたが、現在に至っても法人の在り方に大きな変革がありません。あの当時から比べると、なお一層、最近は県の財政が厳しくなってきていますから、法人に対しましてもしっかりとした見直しが必要だと思います。答申にあった廃止をするべきだという公益財団法人栃木県環境保全公社についても現在存続していますし、統合を勧めた株式会社とちぎ産業交流センター、公益財団法人栃木県臓器移植推進協会、一般社団法人とちぎ農産物マーケティング協会についても、統合的な動きはない。また、自立する力のある団体については自立させて、県から手放しをすることが必要なのではないかということで、社会福祉法人とちぎ健康福祉協会、公益財団法人栃木県保健衛生事業団、栃木県立日光自然博物館、とちぎ建設技術センターが指摘されましたが、現在まで変化がありません。廃止、統合に当たった団体については、その後、改善がされまして統合しなくてもいいようになったのか、あるいは自立を示された団体の経営内容が悪化して自立できない状況になってしまったのか、いろいろ理由はあるだろうと思いますけれども、現実として変化がないことは事実でありますので、その辺りの事情についても、きちんとした説明が欲しいのであります。
また、存続での指定はされていましたが、公益財団法人大谷地域整備公社につきましては、その後、私以外の方々からも何件か質問がありました。公社の事業としては、埋立てを含めて幾つかの事業が示されていますけれども、現実問題として行っているのは監視業務ということですから、これは果たして公社として取り組む必要があるのか。これも宇都宮市に限った案件ですから、県と宇都宮市で別組織みたいなもの、あるいは宇都宮市役所の一部門として、別個の形で存続するなら存続させたほうがいいのではないかという意見もあるのでありますが、その辺りがどうなっているのか。
それから、県環境保全公社については、馬頭最終処分場の完成を見てということでありますが、もう間もなく馬頭最終処分場もけりがつくのですけれども、当然、馬頭最終処分場は容量に限界がありまして、始まっても何年かで使えなくなってしまうということなので、せっかくある県環境保全公社ですから、その後の栃木県内の産業廃棄物処分場の建設も含めた形で次の段階に取り組むという考えがあって残しておくのか、その辺りについて見解をお聞きしたいと思います。
○山形修治 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、議会からの提言を踏まえた特定指導法人の見直し基本方針の下、法人の見直しを進め、統廃合や県職員派遣及び財政支出の削減など、一定の成果を得てまいりました。一方、方針の策定から10年余り経過する中、国の公益法人制度改革や県民ニーズの多様化など、法人を取り巻く環境は大きく変化してきているところであり、法人の在り方や県としての指導方針を転換する時期に至ったものと考えております。このため、昨年度、県行政改革推進委員会に特定指導法人等専門部会を設け、特に廃止、統合に至らなかった法人につきましては、法人及び所管部局から部会員がヒアリングを行うなど、見直し方針に掲げられた取組の検証を行うとともに、今後の特定指導法人に対する県関与の在り方等についてご議論をいただいたところであり、今月には県に報告がなされることとなっております。
県といたしましては、報告を踏まえ、各法人の自律的かつ持続的な改革・改善の取組を県が支援することにより、両者の連携が一層強化され、県民益の増大に寄与するよう、見直し方針を改定したいと考えており、今年度内の完了に向け作業を進めてまいります。
なお、大谷地域整備公社につきましては、公共関与による安全性確保という観点から、地元と行政のパイプ役として住民の信頼を得ている公社を存続させ、県、宇都宮市、大谷石材協同組合が一体となって、採取場跡地の安全対策を効率的に実施していく必要があると考えております。
また、県環境保全公社につきましては、令和5年に県営処分場エコグリーンとちぎが稼働予定でありますことから、さらなる管理型最終処分場の設置及び公共関与の必要性を検証し、存廃を含めた組織の在り方について検討を行う考えであります。
今後とも、県出資法人等につきましては、質の高い公的サービスを効果的かつ効率的に提供していけるよう連携、指導に努めるとともに、組織体制の整備が必要な場合や、設立目的が達成された場合等におきましては、統合、廃止も含めた組織の在り方について、適時適切に検討してまいります。
○山形修治 議長 板橋一好議員。
(51番 板橋一好議員登壇)
◆51番(板橋一好議員) 前向きに検討してくださっている、間もなく方向ができることは大変結構なことだと思います。ぜひいい内容にまとめてもらいたいと思っていますが、平成21年当時のことを思い出しますと、先ほども言いましたように、32法人に対しまして、県で実施した調査は全てを存続するという結論で、我々からすると大甘の結論だった。これでは駄目だということで、議会で少しメスを入れた形になっておりますので、ぜひ、今回の見直しにつきましても、厳しい立場でしっかりと見ていただくと同時に、結果については議会にしっかりと報告していただき、また、場合によっては議会との協議を進めていっていただければ大変ありがたいと思っております。
大谷地域整備公社については、本当にいろいろ難しい課題もありますし、危険があることは事実でありますから、何らかの形で残すのは、それはそれでいいのかもしれませんが、せっかくあるのですから、監視だけにとどまらないで、もう少し事業を増やすなど、そのようなことをしていくのも必要かと思っております。
県環境保全公社につきましては、今言ったように、馬頭最終処分場の次の問題というのは、県政にとっても産業界にとっても非常に大きな課題になります。そろそろ次の問題を真剣に討議していかなくてはならない時期に来ていると思いますので、そういう意味では、次を目指して、存続させるのだったら存続させる方向をしっかりと示していただきたいと思っております。
次に、やはり議論がありました出資法人の中で、当時の栃木県体育協会、現在の公益財団法人栃木県スポーツ協会について、知事にお聞きしたいと思います。今回の国体は、知事が先頭に立ちまして、県民各位の協力を得て大成功に終わった、すばらしいことでありました。知事は、知事として陣頭に立つと同時に、県スポーツ協会の会長としても全力でこれに取り組んでくれた。本当にご苦労さまだと思います。
この国体を契機に、今後とも、栃木県スポーツ界の競技力向上に向かうというお題目はどこでも唱えているのですが、実際的に考えたときに、大きな目標、国体というものがなくなった後に、何を目標として競技力の向上を図っていくのか。ポリシーの問題といいますか、モチベーションの問題など、いろいろあると思いますので、これは本当に非常に難しい問題だと思います。
強化費につきましても、国体があったので県からも増額になりましたが、今後、県費の支出、強化費の増額は見込めませんから、これは当然、民間からの募金、自主努力をしていかなければならないのであります。
せっかくできたスポーツ医科学センターやカンセキスタジアムとちぎを高度に利用してというご意見は、これまでも多くの方からありました。本当にぜひそれは実現させてもらいたいと思いますし、できれば国際的な大会が誘致できて、これが県民の意識向上、そして、県内スポーツマンの意欲向上につながっていただくということは必要だと思いますが、そういう事業を行うことに対して、今の県スポーツ協会の体質で対応できるのかどうか。民間事業に対応できるような組織編成がやはりこれから必要になってくるのではないかという気がしてなりません。
また、話は変わりますが、過日、カンセキスタジアムとちぎの芝工事の入札について、いろいろな議題が出ました。これは法律的にといいますか、ルール的には何の問題もないので、どうということはないのですけれども、その中で、知事、管理者の立場と県スポーツ協会の会長が同じ、発注者と受注者が同じというのも少しおかしいのではないかという話題があったことは事実であります。そのような意味からしても、どうせならすっきりさせるものはすっきりさせたほうがいいという気がします。
また、今回の国体等々に関しても、私はずっと前から言ってきていたのですけれども、どうしても栃木県の場合は、スポーツに関しても県内企業の協力体制が弱い。選手の獲得ですとかそういうようなものに対しても、なかなか協力してもらえない。さっきも言いましたように、これからは、県の力だけでは成り立たないとすれば、民間事業者との協力体制というか、そういうものが必要になってくる。それには、やはり根本的に県スポーツ協会の在り方、体質というものを変えていかないと、今後の県内スポーツの強化促進に役に立たないのではないかという気もしていますので、この際、県スポーツ協会の民間委託といいますか、そういうものも考えていく必要があるのではないかと思います。
ちなみに、全国的に言うと、県スポーツ協会の会長を民間人がやっているところは、東京都、大阪府、北海道を含めた21の都道府県で、民間人が会長になっているということを含めまして、県スポーツ協会の体質改善、そして、知事も本当に多忙な中で、国体の成功を1つの大きな契機として、県スポーツ協会の体質の改善、変化を考えた上で、場合によっては会長を民間人に委託することも含めて、これからの県スポーツ協会の在り方をどのように考えているのかお聞きしたいと思います。
○山形修治 議長 福田富一知事。
(
福田富一知事登壇)
◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。県スポーツ協会は、県政と密接な関係を有する法人として、公益的、公共的な活動を展開するなど、県民福祉の向上等に貢献してきたところであります。いちご一会とちぎ国体におきましても、競技団体や栃木県選手団の統括など、重要な役割を果たしたところであり、国体終了後も高まった競技力を維持するため、指導者の養成、資質の向上や次世代アスリートの育成などに継続的に取り組む等、引き続き大きな役割が期待されると考えております。
また、国体開催を契機に、県民のスポーツへの関心や期待が高まっている中、大規模大会の戦略的誘致等に積極的に取り組んでいくこととしており、このためには、県スポーツ協会が有する施設管理のノウハウや、競技団体等との緊密なつながりを生かすことに加え、スポーツのさらなる成長産業への発展に向け、マーケティング戦略や経営力の強化など、民間の視点を取り入れることも重要であると認識しています。
今後、県スポーツ協会が国体後における本県のスポーツのさらなる振興に向けた中核的な役割を最大限に発揮できるよう、全国的な状況なども踏まえ、会長職の在り方を検討してまいります。
○山形修治 議長 板橋一好議員。
(51番 板橋一好議員登壇)
◆51番(板橋一好議員) 県スポーツ協会というのは、本当に県内のスポーツ界におきましては非常に大きな力といいますか、役割を持っていることは事実でありますが、どうしてもトップに知事がいるせいか、お役所仕事的な感覚もありまして、本当に風通しがいい状況にあるのかと考えたときに、もう少し改革があってもいいのではないか。私も一般財団法人栃木陸上競技協会、あるいは栃木県空手道連盟、栃木県相撲連盟の会長職を幾つか歴任してきましたので、県スポーツ協会との関係はある程度理解しているのでありますが、先ほども言いましたように、国体という大きな目標を持って、みんなで力を合わせてきましたが、これから本当にそのような大きな目標がなくなってしまうのでありますから、これをどう維持していくかになってくると、根本的にしっかりとこれからの在り方を考えていかなければならないと思っております。
先ほども言いましたように、知事がトップにいることは決して悪いことではないのですけれども、やはりそのことが県スポーツ協会そのものの甘えにつながっているのではないかと感じられます。トップが誰であろうと、やはり体質の改善をしっかりやっていかなければいけないと私は思っていますので、その辺りも踏まえて、今後の県スポーツ協会の在り方をしっかりと検討していっていただきたいということを要望させていただきます。
次に、郷土の偉人についてであります。これについては、たまたま昨日、横松盛人議員が質問されましたので、少し気が抜けてしまっているのです。横松盛人議員は藤原秀郷を推薦していましたけれども、このようなことを言うと怒られてしまいますが、最近、藤原秀郷は評価があまり高くないのです。いずれにしても、郷土の偉人を大切にして、郷土のPRをするのは私と同じ考え方ですから、決してそのことは悪いことではありません。
前から言っているように、栃木県人はお国自慢をしない、それが知名度の低さにつながっていることをずっと言い続けてきました。名所や名物、おいしい食べ物など、いろいろ栃木県にはあります。また、偉人、郷土を代表する立派な方々もたくさんいますが、どちらかというと、県の雰囲気に合わせてというか、栃木県の偉人は地味な人が多いのです。そういう意味で、なかなか全国展開になりづらいところがあります。そのような中で、私は、足利尊氏を栃木県の偉人としてPRしていく、これも1つの県政のPRには必要なのではないかと思って推奨します。
確かに足利尊氏は、栃木県に在住したといいますか、ここで活動したという実績がないので、栃木県の人も栃木県と関係ないと思っている方も多いのですけれども、しかし、その勢力の基盤は足利学校や鑁阿寺をつくった足利氏の足利郷、ここが基盤であることは間違いありません。また、全国的に見ましても、足利尊氏を郷土の偉人としているところは、辛うじて京都府綾部市が、ここで生まれたらしいという程度で郷土の偉人として示しているぐらいで、どこも偉人として表明しているところはないのです。なぜかというと、一つは、ご承知のように、皇国史観の中で、いわゆる逆賊というイメージが戦前からずっと強かった。それから、足利尊氏が設立した、いわゆる室町幕府、足利幕府は、源頼朝の鎌倉幕府、あるいは徳川家康の徳川江戸幕府と比べて、権力基盤が弱いといいますか、何か少しイメージ的に弱いところがあるということで、なかなか人気が上がらないところが今まであったのであります。
しかし、近年になりまして尊氏の評価が上がってきました。結局、足利幕府の基盤が弱かったのは、頼朝や家康のように、競争相手になる者を情け容赦なく潰すという非情さがなくて、お人よしと言われるような性格だった、そういう人間味のあふれる人物であったという評価を最近は受けていますので、郷土の偉人として推奨することに対しては何も問題がない。今言った綾部市では、足利尊氏の三徳、勇気、慈悲、無欲ということを売り出しています。
足利市も過去の実績を見ますと、吉谷市長の時代でしたか、京都の時代祭に足利尊氏が歴代の行列の中に入っていないということで、これに入れようというような運動をして実現したということが、この間、下野新聞の本を見ましたら出ていましたけれども、足利市だけのPRに限られているようなので、ぜひこれは県全体として取り組んでいってもらいたい。栃木県の人は、栃木県にある名物、立派なものをなかなか理解してくれないことが、お国自慢ができない理由の一つなので、このようなものに対しましても、しっかり県民に対するPR、学校での教育に取り組んで、そして、県民全体が栃木県の偉人としての足利尊氏に認識が向くような教育の仕方、PRの仕方について、教育長にお聞きしたいと思っていますので、よろしくお願いします。
○山形修治 議長
阿久澤真理教育長。
(
阿久澤真理教育長登壇)
◎阿久澤真理 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。子供たちを含む県民の皆様が本県ゆかりの歴史上の人物や文化財等につきまして理解を深めていただくことは、郷土愛の醸成につながるものであります。尊氏に代表される足利氏につきましても、これまで県立博物館におきまして、足利尊氏像や、足利市の霊廟に安置されていたとされる大日如来坐像など、ゆかりの名宝を展示した特別企画展を開催し、その生涯や業績などを紹介してまいりました。また、テーマ別に文化財を周遊する、とちぎいにしえの回廊事業では、中世下野の武士団などの話題性のあるテーマを取り上げる中で、足利氏ゆかりの鑁阿寺を紹介しており、これらをSNSも活用しながら県内外に広く発信しております。
児童生徒に対しましては、今後、とちぎふるさと学習の中で、配備されたタブレット端末を有効に活用し、足利尊氏をはじめとする郷土の偉人につきまして理解を深めるなど、子供たちの栃木県を学ぶ機会のさらなる充実に努めてまいります。
○山形修治 議長 板橋一好議員。
(51番 板橋一好議員登壇)
◆51番(板橋一好議員) 今までのPRについては、今、説明を聞きました。先ほども言いましたように、どうしても県民自身がなかなか足利尊氏を栃木県の偉人という受け止め方がないものですから、今言ったような事業をやっても、なかなか盛り上がってこなかったのが現実だろうと思います。ぜひ、これからもっともっとPRをしていって、栃木県を代表する偉人、確かに弱体だと言われましたけれども、足かけ240年、足利幕府は日本の政治の中核にあって、国政を動かしていたのでありますから、そこの代表である足利尊氏は、少なくとも源頼朝、徳川家康に並ぶだけの偉人である、それが栃木県の足利郷の出身であることについては、もう少しPRをしていく必要があるのかなということがありますので、その点、今後のPRをぜひよろしくということで要望しておきます。
最後に、50年問題について、2点お聞きしたいと思います。ご承知のように、私が県議会議員になって52年たちます。その間、いろいろな仕事もさせていただきましたが、実は小山市には、私が県議会議員になる前からある問題で、いまだに解決していない問題が2つあります。今までも何回か質問しましたが、依然として解決していません。どちらにしても今期では目鼻がつきませんから、何とか頑張って、もう1回頑張っていこうとは思っていますけれども、果たして今後、いつになったらめどがつくのか分からないこともありますので、この際、また改めて確認しておきたいと思います。
1つは、栃木県住宅供給公社が持っています小山市粟宮の土地であります。これは私が県会議員になったときには既に買収が終わってしまって、終わってしまったというより、途中で止まってしまったのですけれども、予定をしていたところの下に古墳がありまして、住宅としては使いものにならないということでありました。以後五十数年、栃木県住宅供給公社は毎年、ここに管理費で草刈りなどをやってきていまして、年間40万円ぐらいかかっているみたいですけれども、10年で400万円、50年で2,000万円ぐらい投資しているのですが、いまだにめどが立たない。このままですと、未来永劫、負の遺産として栃木県住宅供給公社はこれを抱えていることになります。
活用策もいろいろ考えているようで、小山市には、小山市が計画しています都市計画道路を延伸、施工して、栃木県住宅供給公社の所有地につないでもらいたいという要望は過去に何回かしているようでありますが、小山市としても、その道路そのものは優先順位の低い道路でありますし、道路を造ってみても、栃木県住宅供給公社の土地を活用してくれるめどが立たないところへ道路を造るほど小山市も財政的に猶予はありませんから、今の段階では、いつになっても小山市が道路を造ってくれる見込みは立っていません。
たまたま小山市では、最近になって、キャンプブームがありまして、キャンプ場としてここを利用できないかという話が小山市にも行っているようなので、場合によっては、小山市としてキャンプ場の設定というのもあるのかもしれませんので、小山市のほうで活用計画ができれば、小山市の道路の設計も進むのでありますから、そういう意味では、小山市に栃木県住宅供給公社として無償譲渡して活用してもらう。そうすれば、少なくとも管理費は要らなくなるのでありますから、そういう意味で何らかの方向づけをする必要があります。もうとにかく50年放置しているのですから、決断する必要があるのではないかということで、栃木県住宅供給公社に聞くといっても、栃木県住宅供給公社ではとてもとてもそこまでの判断はできませんから、トップであります知事に、このことについて、小山市に対して無償譲渡するような考え方はないかどうかお聞きしたいと思っています。
それともう一つは、県道東野田古河線の小山市南和泉地内の県道についてでありますが、これも私の先輩であります当時県議会議員であった小池知明議員が担当して、とにかく道路が狭いものですから、バスも入ってこないということなので、拡張をということでスタートしました。いろいろ問題があって用地が獲得できなくて、私にバトンタッチされました。私もいろいろやってみたのですけれども、とにかく地域内の人間関係も含めてなかなか難しい。一時期、現道ではなくて、南側にバイパスを造ろうという計画もあったのですけれども、これもやはり人間関係で、用地の確保ができずに断念せざるを得ないということになりました。