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令和 元年度栃木県議会第362回通常会議-02月26日-04号

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  1. 栃木県議会 2019-02-26
    令和 元年度栃木県議会第362回通常会議-02月26日-04号


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    令和 元年度栃木県議会第362回通常会議-02月26日-04号令和 元年度栃木県議会第362回通常会議 (1)出席及び欠席議員の議席番号及び氏名 2月26日(水曜日)  出席議員 50名   1 番      小 池 篤 史   2 番      湯 澤 英 之   3 番      石 坂   太   4 番      岡 部 光 子   5 番      加 藤 雄 次   6 番      金 子 武 蔵   7 番      中 屋   大   8 番      塩 田 ひとし   9 番      野 村 せつ子   10 番      早 川 けいこ   11 番      相 馬 政 二   12 番      西 村 しんじ   13 番      小 菅 哲 男   14 番      小 林 達 也   15 番      西 川 鎭 央
      16 番      平 池 紘 士   17 番      高 山 和 典   18 番      吉 羽   茂   19 番      阿 部 博 美   20 番      池 田   忠   21 番      琴 寄 昌 男   22 番      横 松 盛 人   23 番      加 藤 正 一   24 番      斉 藤 孝 明   25 番      松 井 正 一   26 番      保 母 欽一郎   27 番      青 木 克 明   28 番      野 澤 和 一   29 番      山 口 恒 夫   30 番      白 石 資 隆   31 番      関 谷 暢 之   32 番      中 島   宏   33 番      日向野 義 幸   34 番      渡 辺 幸 子   35 番      阿 部 寿 一   36 番      金 子   裕   37 番      佐 藤   良   38 番      山 形 修 治   39 番      山 田 みやこ   40 番      一 木 弘 司   41 番      五十嵐   清   43 番      岩 崎   信   44 番      小 林 幹 夫   45 番      五月女 裕久彦   46 番      相 馬 憲 一   47 番      早 川 尚 秀   48 番      螺 良 昭 人   50 番      三 森 文 徳   51 番      木 村 好 文   52 番      板 橋 一 好 (2)説明のため出席した者の職氏名  地方自治法第121条の規定による出席要求によって出席した者   知事       福 田 富 一   副知事      北 村 一 郎   副知事      岡 本 誠 司   総合政策部長   阿久澤 真 理   経営管理部長   茂 呂 和 巳   県民生活部長   石 﨑 金 市   環境森林部長   鈴 木 峰 雄   保健福祉部長   森 澤   隆   産業労働観光部長 小 竹 欣 男   農政部長     鈴 木 正 人   県土整備部長   熊 倉 一 臣   国体・障害者スポーツ大会局長            石 松 英 昭   会計管理者会計局長            沼 尾 正 史   企業局長     矢 野 哲 也   総合政策部次長兼総合政策課長            鈴 木 英 樹   経営管理部次長兼財政課長            仲 山 信 之   教育長      荒 川 政 利   代表監査委員   平 野 博 章   人事委員会事務局長            入 野 祐 子   労働委員会事務局長            松 崎 禎 彦   警察本部長    原 田 義 久   事務局長     篠 﨑 和 男   次長兼総務課長  大 橋 哲 也   議事課長     伊 藤 美智雄   政策調査課長   中 村 陽 一   議事課主幹兼課長補佐            村 田 浩 子   副主幹      小 川 元 子   係長       関 根   透   係長       秋 澤 和佳子   係長       羽 鳥 光 雄   主査       青 木 和 之   主査       君 島 義 人 (3)職務のため議場に出席した事務局職員の職氏名 ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は50名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前10時 開議 ○早川尚秀 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  日程第1 第1号議案から第63号議案まで及び議第22号を一括して議題とし、質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います。発言通告者に対し、発言を許します。阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) とちぎ自民党議員会の阿部寿一でございます。この質問も、今通常会議最終日ということになりまして、そのトップバッターを務めるわけでございますけれども、今回の質問が2年5カ月ぶりということでございまして、久しぶりの登壇になります。また、昨年のちょうど改選の前に病に冒されまして、これは現役復帰が難しいかなとも心配したわけでございますが、おかげさまで何とか無事復帰ができまして、こうしてこの場に立てることに感激しております。  感激ついでに、執行部の答弁によってどんなふうに感激ができるのか大いに期待しながら、発言通告に従いまして、順次質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  初めに、「とちぎの星」のブランド力強化と販路拡大についてであります。平成から令和へと時代が移り変わり、日本中が新しい時代の幕あけに希望と期待を抱いております。このような中、皇位継承に伴う重要祭祀である大嘗祭の悠紀地方に本県が選ばれ、昨年9月に知事出席のもと、県農業試験場が開発した栃木県オリジナルの米「とちぎの星」が収穫され、11月の大嘗祭に供納されたことは栃木県民にとってまことに名誉なことでありました。平成の大嘗祭を振り返りますと、秋田県の「あきたこまち」が使われ、農林水産省のデータでは平成2年から「あきたこまち」の作付面積が一気に拡大し、現在までそのシェアを維持し続けているとともに、数ある米の品種の中で人気が高いブランド米としての地位を保持しているとのことであります。  本県が開発した「とちぎの星」は、耐暑性にすぐれ、多収性であり、大粒で冷めても極めて良好な食味を維持できる米で、平成30年産食味ランキングでは「なすひかり」「コシヒカリ」とともに、最高位の特Aに輝いております。この「とちぎの星」が令和の大嘗祭に供納されたことは、本県産米の実力をアピールする、まさに千載一遇のチャンスであり、このチャンスを生かして「とちぎの星」を全国に誇れるブランド品として価値を高めていくことが必要と考えております。  また、「とちぎの星」が全国的に有名なブランド米として認知されることで、栃木県の知名度向上にもつながっていくものと考えます。県は、昨年11月に農業団体と連携して栃木の米をPRするイベントを開催し、大嘗祭に使われた米として消費者やマスコミから多くの注目を集めました。ことし1年がまさに正念場とも言え、さまざまなアイデアで「とちぎの星」のPRに全力を挙げて取り組み、ブランド力を高めていくべきと考えます。  そこで、県は「とちぎの星」のブランド力強化や販路拡大について今後どのように取り組んでいくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 鈴木正人農政部長。    (鈴木正人農政部長登壇) ◎鈴木正人 農政部長 ただいまの阿部寿一議員のご質問にお答えします。「とちぎの星」は、平成27年の品種登録の後、暑さに強く、食味がすぐれていることなどが評価されまして、年々生産量は増加しており、また大嘗祭に供納されたことで関心が高まり、販売店などからの引き合いも強まっております。新年度はこの好機を捉え、より一層の認知度向上を図り、販路の拡大につなげていくため、発信力の高いブロガーやマスコミを対象としたPRイベントを開催しますとともに、「とちぎの星」を取り扱う県内外の飲食店で統一キャンペーンを展開してまいります。また、米の購入量が多い子育て世代を中心に、「とちぎの星」の魅力を有名シェフが紹介する動画広告を配信しまして、レシピや販売店名を掲載したホームページに誘導するなど、デジタル技術を活用して戦略的にプロモーションを展開してまいります。あわせまして、ブランド力の向上には需要の増加に対応できる生産体制の強化が重要でありますことから、来年の田植えになりますが、令和3年産の作付に向け種子の生産量を倍増させてまいります。  今後とも農業団体と十分に連携しまして、「とちぎの星」が全国に誇れるブランド米となるよう全力で取り組んでまいります。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) ただいまの答弁を聞きまして、少しは安心できたかなと思うのですが、当初このPRに関する予算案が非常に少ない金額でございまして、我々とちぎ自民党議員会の政務調査会では、これでは足りな過ぎるということで、相当大幅アップの上乗せをしていただいたところでございまして、それらを受けてしっかりと販路拡大並びにPRに取り組んでいただきたいと思うわけでございます。お聞きしますと、さまざまなマスコミを対象とした形でPRするとか、県内外の飲食店を取りまとめていろいろPRする、あるいは戦略的なプロモーションも展開するということでございます。悠紀斎田に選ばれた高根沢町では、当然地元でございますので、「とちぎの星」の町としてプロモーション事業を予定して、大々的にPRすると言っておりますので、こういったところとも連携して努めていっていただければと思います。  ここで、知事に再質問したいと思っております。「とちぎの星」という名称は、知事の思いがすごく反映されたと聞いております。知事の「とちぎの星」への思い入れというのもひとしおだと思っております。まさに名前のとおり、本県を代表するようなスターになってほしいということではないでしょうか。  そこで、「とちぎの星」のPRにかける知事の意気込みを、改めてお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 福田富一知事。
    ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。「とちぎの星」の強力な応援団を務めていただきまして、まことにありがとうございます。  悠紀地方に選ばれた栃木県の代表の一人といたしまして、大嘗祭の一連の行事に参列させてもらいました。天皇陛下を初め参列者全員が「とちぎの星」を食する場面を目の当たりにいたすこともできました。「とちぎの星」を、本県を代表する米として後世まで語り継がれるようしっかりと取り組んでいかなければと決意したところでもあります。  「とちぎの星」は、気候変動あるいは病虫害などの困難にも打ちかって、さん然と輝く栃木の星となってほしいという期待を込めまして命名したものでございますが、供納米に選ばれるまでは、東日本の各県から、「とちぎの星」は暑さに強い、そしてまた収量も多くておいしいお米だということから、うちの県でも、私のところでもつくりたいという申し出が何件かあったらしいんですけれども、残念ながら破談になってしまっているケースが多いと。それは「とちぎの星」のとちぎが支障を来しているということが現実にありましたが、今は大嘗祭への供納ということになりまして、県民一人一人の大きな励みとなったこの慶事をこの上ない契機と捉えて、全力を挙げて「とちぎの星」を、日本あるいは世界のブランド米に仕立てていきたいと思っておりますので、栃木が世界に羽ばたく絶好のチャンスにしていければと考えているところであります。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) ただいま知事の並々ならぬ強い思いをお聞きしたわけでございますが、栃木県のお米の生産者というのは本当に頑張っておりまして、この「とちぎの星」に限らずいろいろな米をしっかりとつくっているのがわかるのでございますが、ちょっと一例を挙げたいと思いますけれども、ことし1月に人気の純米酒「獺祭」という、山口県の旭酒造という蔵元が、原料となる酒米である「山田錦」の品質を競うコンテストを実施したということで、何と本県大田原市の農家が最高賞のグランプリを受賞した。相場の25倍に当たる1俵50万円、それを50俵買い取ってもらえる。これだけで2,500万円です。第3位に輝いたのも、何と大田原市の農家が選ばれておりまして、こちらは1俵10万円ということで、50俵ですから500万円です。すごい金額ですよね。それだけ優秀なお米もつくっているということでございます。  また、話は変わりますが、私の住む那須地域では、地元の那須という名前を使った「なすひかり」というお米があります。これも特Aに輝いておりますが、実は「とちぎの星」の親品種に当たるんですね。ここに来て、「とちぎの星」が大分脚光を浴びまして、そちらに話がどうしても行ってしまいますので、一抹の嫉妬心を覚えることもあるのでございますけれども、子供の成長を願わない親はおりませんので、したがって、「とちぎの星」のブランド力の向上によって、親品種である「なすひかり」を初め、栃木の米全体のブランドの向上にもつながるものと考えております。  「とちぎの星」は栃木のお米全体の星であります。ぜひ「とちぎの星」を戦略的に、そして力強く大々的にPRしていただくことをお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  日光国立公園の名称変更について、環境森林部長にお伺いいたします。私がこの質問をするのは今回で3度目となります。しつこいなと思われるかもしれませんが、前回は上皇陛下のお考えを踏まえて、那須御用邸用地の一部を宮内庁から環境省に所管がえし、那須平成の森として日光国立公園に編入されたことを契機に、名称変更の質問を行いました。今回は、令和という新しい時代になったことを契機に、日光那須国立公園の名称変更に向けて質問を改めて行います。  日光国立公園は、昭和9年に日光及び奥鬼怒地区等が指定された後、那須地区についても、昭和25年に那須甲子地区が、さらに平成20年には那須平成の森が区域に編入されておりますが、その名称からは那須をイメージすることはできません。日光国立公園の面積を地域別でみると、日光地域が66%、那須甲子・塩原地域が34%を占めております。また、平成30年の公園内の市町村別観光客入り込み数につきましては、日光地域である旧日光市、旧足尾町、旧栗山町、旧藤原町でおよそ909万人であるのに対し、那須地域の矢板市、旧黒磯市、旧塩原町、那須町で約712万人と、決して遜色のない状況であります。  全国的に見ますと、日光国立公園を含め、当初指定された12カ所の国立公園のうち、地名を併記していたのは富士箱根と吉野熊野の2つだけでありましたけれども、残りの10公園のうち6公園が後に地名が追加され、連称となりました。時代を経るに従い、魅力ある地域の発見が続き、核心地が多極化していくのは当然であり、国立公園の名称の連称化は、むしろ自然な流れと言うべきであります。  直近では、平成29年に阿寒国立公園が阿寒摩周国立公園に名称変更いたしましたが、観光客の関心が高く、私が北海道庁の観光局に確認したところ、観光客入り込み数は名称変更前の356万人に対して、変更後は363万人にふえたということであります。また、那須町は御用邸があることから、ロイヤルリゾートとしてPRしておりまして、那須という名称は御用邸のある町として全国にも認知されているブランドであります。日光国立公園の名称に那須ブランドが加わることにより、日光及び那須どちらにとっても相乗効果が見込まれ、ひいては栃木県全体のブランド力アップにも寄与すると考えられ、ぜひ名称変更に取り組むべきだと考えております。  国立公園の名称変更につきましては、私が過去に質問した際、県から、関係県及び市町村への動向や合意形成の状況を踏まえて研究していく旨の回答を受けましたが、その後、県は日光国立公園の名称変更についてどのように取り組み、また今後どのように取り組んでいくのか、3度目の正直を期待して、環境森林部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 鈴木峰雄環境森林部長。    (鈴木峰雄環境森林部長登壇) ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。国立公園の名称につきましては、大幅な区域の拡張を行う場合や、1つの地名だけでは公園の特徴をあらわせなくなった場合に、国が中央環境審議会に諮問し、変更が認められることとなります。一方で、議員ご指摘のとおり、那須ブランドの向上は日光国立公園、ひいては栃木県の魅力アップにつながるため、県ではこれまで、第2回山の日記念全国大会in那須を開催し、那須の魅力を全国に発信するとともに、国立公園満喫プロジェクトにより、園地や遊歩道の整備、修景伐採など那須地域の魅力の磨き上げに取り組んできたところでございます。また、満喫プロジェクト地域協議会においては、今後、那須ブランド向上のための効果的な方策についても改めて検討していくこととなりますが、この検討の中で国が推奨しております国立公園那須といったような通称を用いてPRを進めることなど、那須の名称の積極的な活用について、日光国立公園の関係者の皆様のご意見を伺いながら議論を深めてまいります。  今後も那須の名称を積極的に活用しながら、国立公園の魅力発信を行うことで、那須地域はもとより、本県国立公園全体のブランド力のアップにつながるよう努めてまいります。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) 3度目の正直にふさわしい答弁には、ちょっとほど遠いようでございます。国立公園那須という名称はいいですよとおっしゃっておりましたけれども、それは便宜上、語るような話であって、正式な名称にあるのとないのでは、やっぱり違うんですね。通常、口頭で呼称のために国立公園那須というイメージと、日光国立公園の那須というのでは全くイメージが違うわけでございまして、これはちょっと要望するしかないとは思うのですが、私の地元であります那須地区では、御用邸の老朽化が著しく、今後も継続して天皇・皇后両陛下を初め皇族の方々に来町していただくために、建てかえを求める署名活動が那須町を中心に広域的に民間レベルで行われているなど、地域住民の那須ブランドにかける思いというのは格別なものがあるのですね。  国立公園の名称変更については、関係市町の理解を得ることになりますけれども、那須が名を連ねることにより、波及的に周辺の甲子も、塩原、板室にも好影響が広がると考えられます。折しも県は、先ほどもお話にありましたけれども、国立公園満喫プロジェクトの中で、日光国立公園の魅力度をさらに高め、世界水準のナショナルパークへ押し上げようと取り組んでおりますけれども、まだまだ国立公園のポテンシャルが十分に引き出されていない感があります。いろいろと手を尽くして、今度こそ順位を上げようとしても、思うように結果の出ない都道府県魅力度ランキングをアップさせるためにも、日光国立公園に那須の名称を追加することに取り組んでいる姿を力強く内外にアピールし、県全体のイメージアップを図るために、ぜひ取り組む価値はあると思います。  県は粘り強く関係県及び市町村への調整を行って、しっかりと了解を得て、そして環境省への手続を実現してほしいと強く要望いたしまして、次の質問に入ります。  自転車先進県栃木のさらなる発展を目指してについて、県土整備部長にお伺いいたします。本県は、1つの県の中で国際自転車競技連合、いわゆるUCIに、那須ブラーゼン宇都宮ブリッツェンの2つの自転車プロチームが登録しているという国際的にも大変珍しい県であります。また、県内各地において、国際的ロードレースであるジャパンカップを初め、さまざまな自転車関連イベントが開催されるなど、県は自転車先進県づくりを進めております。本県は、地形的にも関東平野や那須高原、日光連山など起伏に富んでおりまして、かつ豊かな自然や観光資源等に恵まれており、サイクリングロードとしてさまざまなコースが楽しめ、自転車を楽しむには非常に魅力的な県であります。また、自転車の活用はサイクルイベントサイクルツーリズム等、観光面における誘客効果だけではなく、環境面や健康面等においても非常に有効な手段であると考えるところであります。このような中、県は平成29年5月に施行された自転車活用推進法に基づき、ことし3月に自転車施策に関する基本計画である自転車活用推進計画を策定予定でありますが、私は、観光客はもちろん地域の住民も日常生活の中で利用できるエリアごとのサイクリングロード、いわゆるモデルルート等を整備していくことが、県が進める自転車先進県のさらなる発展につながると考えるものであります。  そこで県は、今後どのように自転車を活用した施策を進めていくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 熊倉一臣県土整備部長。    (熊倉一臣県土整備部長登壇) ◎熊倉一臣 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、自転車の利用環境の創出、健康づくり、観光振興及び安全・安心を目標といたしまして、栃木県自転車活用推進計画を今年度内に策定することとしております。この計画をもとに、来年度からは本県のすぐれた自然環境や地域資源を活用し、国内外に誇れるモデルルートの整備を進める予定であります。モデルルートは県全域を網羅できますよう設定いたしますほか、県、市町、観光事業者等で構成いたします地域ごとの協議会におきまして、具体なルートの検討、さらには受け入れ環境の整備を行ってまいります。あわせて、県は走行環境の整備やルートマップなどによります情報発信の取り組みを進めてまいります。  自転車の活用は、県民の健康づくりはもとより、観光振興や環境負荷低減等さまざまな効果が見込まれますことから、引き続き関係部局と連携しながら、各種の施策を積極的に進めてまいります。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) ただいま県土整備部長から答弁いただきましたけれども、自転車競技のプロの方々にお聞きしますと、自転車の走行環境というのは栃木は本当にすばらしいと異口同音で言っております。そこに道路の整備がしっかりとなされれば、ほかの方々からも羨望の的になるのはもう間違いないという潜在能力を秘めた県だということの認識があるようでございます。ぜひ走行環境の整備についても、しっかりと意を尽くしていただきたいなと思うわけでございます。  ここで再質問させていただきますけれども、自転車の楽しみ方が広がる観光地においてのシェアサイクルやレンタサイクルの導入、それから公共交通機関と連携した駐輪場の整備も必要だと思いますし、さらに、できれば鉄道車両内に自転車を持ち込めるサイクルトレインの導入などは夢の話ではございますけれども、全国には例が結構ありますから、そういったことも取り入れることによって、観光客のみならず地域住民にも生活に便利な仕組みでありますので、ぜひ進めていただきたいと思います。  それから、先ほど説明のありましたモデルルートの整備に関連いたしまして、県が新たに計画している自転車関連イベントでありますサイクルイベントについて、今度は総合政策部長に再質問させていただきます。2016年度から開始いたしましたツール・ド・とちぎがことし3月で終了となり、県は新たなサイクルイベントとして、ファミリー層から上級者まで楽しめるコース等を設定し、地元の食べ物やさまざまな体験事業など地域資源と結びつけたイベントを予定していると聞いております。私は、サイクルイベントを契機として設定されたコースを、一過性で終わらせることなく、観光客が何度でも足を運びたくなるようなさまざまな体験と結びつけた仕組みづくり、またあわせて、プロだけではなく、地域住民も日常生活の中で親しみを持って利用できるコースづくりが、自転車先進県を本当に進める上で重要なことだと考えております。総合政策部では、コース設定については県土整備部が進めるモデルコースを参考にすると言っています。しかし、宿泊コースは独自に決定していくんだとも言っております。  そこで、県が新たに計画しているサイクルイベントについてどのように取り組んでいくのか、総合政策部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 阿久澤真理総合政策部長。 ◎阿久澤真理 総合政策部長 再質問にお答えいたします。新しいサイクルイベントにつきましては、参加者のレベルに応じて複数のコースを設定するとともに、栃木の魅力を満喫していただくためのおもてなしなどを充実してまいりたいと考えております。コースの設定に当たりましては、県土整備部で検討を進めているモデルコースの活用をベースにしつつ、自転車関係団体初め、民間の方の意見も伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。  今後とも関係団体の皆様と緊密に連携しながら、内容の充実を図って、本イベントをきっかけに、観光、それから地域の振興につなげていけるよう、自転車先進県栃木の推進を図ってまいりたいと考えております。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) ただいま答弁いただきましたが、私、この質問の冒頭に申し上げましたけれども、本県は自転車に関しまして国際的にも大変珍しい、そして周りの関心が非常に高い県なんですね。したがって、計画の推進に当たっては、この2つのプロチームのご意見なども十分参考にしながら、そして、さすが栃木県と言われるような内容に仕上げていってもらいたいと要望するところであります。  ここで改めて要望させていただきますが、今説明のありました総合政策部で新たに計画しているサイクルイベントにおけるコース、宿泊コース、日帰りコースの設定に当たっては、先ほど総合政策部長の答弁にもありましたが、県土整備部の自転車活用推進計画において整備予定のモデルルートとしっかり連携して、そして効率的な整備を行ってほしいと思っております。そして、せっかくモデルルートを整備するのですから、将来的には国のナショナルサイクルルートの指定を受けるようなことを念頭にしっかりと整備を進めていただきたいと思うのであります。また、そのモデルルートに名称をつける際には、やはりみんなに親しみやすく、かつ一目でどこを走っているのかわかるような内容のものを公募するなど、工夫してほしいと考えます。  全国の例でいきますと、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶしまなみ海道サイクリングロード、あるいは滋賀県の琵琶湖を1周するビワイチ、それからお隣、茨城県のつくば霞ヶ浦りんりんロードなどいろいろ名称があるわけでございますが、どうぞ工夫して名称を公募でもしてつけてもらいたい。また、情報発信をする際は、ルートを動画で発信するなど工夫して、あわせて自転車に関する情報だけではなく、周囲の観光スポットやグルメ情報など関連部署と連携して地域の魅力を強力に発信していくことが非常に有効だと考えております。そして、外国の方々にも見てもらえるように、ユーチューブやツイッター等のSNSで配信し、ぜひともインバウンドにもつなげていただきたいと思います。なお、モデルルートを整備する際は、通常の標識だけではなくて、自転車に乗っているライダーが運転しながら見やすいようライダー目線で路面に標識やコース案内を書くなど考慮してもらいたいと思います。また、昨年12月から、2人乗りのタンデム自転車の公道走行が解禁となりました。障害者の方も安全・安心に自転車を楽しめるよう、警察本部と十分に連携するようにお願いしたいと思っております。  最後に、栃木県と言えば自転車の県と言われるように、さらなる自転車先進県を目指し、ひいては栃木県のブランド力向上に寄与するよう、ぜひ頑張ってほしいとエールを送りまして、次の質問に入ります。  地域包括ケアシステム構築の推進について、知事にお伺いいたします。我が国においては、2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者に達し、高齢者人口が3割を超えると言われており、医療費及び介護費など社会保障費の急増はもとより、深刻な介護人材の不足や高齢者施設の不足が懸念されております。昨年10月に県が発表した県政世論調査の報告書によれば、「病気等で長期療養が必要になった場合には、自宅で療養したい」と答えた人が約6割に上る一方、「自宅での療養が実現可能かどうか」という問いに対しては、家族の負担や病状が悪化したときの対応への不安、往診してくれる医師や看護師が見つからない等の理由で、希望した回答者のうち約7割が「実現困難」と回答しております。  医療や介護が必要になっても自宅で可能な限り過ごしたいという県民の希望をかなえるためには、地域における医療、介護、生活支援等を包括的に確保する地域包括ケアシステムの構築が重要でありますが、県内においては施設や人材の不足に加えて、地域における施設等の偏りや高齢化の状況により、地域間の格差が生じている状況であります。地域包括ケアシステムについては、地域の実情に応じ市町が主体となって取り組むものでありますが、県民が地域において安心して暮らし、県内のどこの地域に住んでいても必要なサービスが提供されるためには、広域的な調整や専門的な助言を担う県の支援は欠かせないものと考えております。  2025年は目前に迫り、早急な対応が急務である中、地域包括ケアシステム構築に係る進捗状況はどの程度なのか、また、県は今後どのように取り組みを進めていくのか、知事にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。後期高齢者が急増する2025年を見据え、地域包括ケアシステムの構築を着実に進めるため、県ではこの3年間、全市町との意見交換を重ねながら構築状況の把握ときめ細かな支援に取り組んでまいりました。その結果、市町の積極的な取り組みはもとより、医療・介護関係機関や地域住民のご尽力によりまして、地域包括ケアシステムを推進するための基盤は、おおむね整備されたと認識しております。  具体的に申し上げますと、地域では自治会や老人クラブ、NPO等の多様な団体が通いの場を運営し、体操などの介護予防の取り組みが積極的に展開されており、コミュニティーの再生にもつながっております。また、各市町において、医療・介護関係者の顔の見える関係構築が進み、特に認知症の取り組みでは、認知症疾患医療センターを中心とした連携体制が構築されるとともに、認知症サポーターも順調に増加しております。一方で、外出支援や見守りなどの生活支援体制整備につきましては、地域により社会資源や住民意識等が異なりますことから、進捗状況に差が生じているところであります。県といたしましては、こうした状況を十分に踏まえ、引き続き市町の課題に寄り添いながら、アドバイザーの派遣等により、地域の実情に応じた支援に努めるとともに、広域的見地からの関係機関の連携調整や計画に基づく施設等の整備の支援に着実に取り組んでまいります。さらに、新年度は人生100年時代を見据え、フレイル対策を全市町で展開し、介護予防と健康寿命の延伸に取り組むとともに、地域の元気な高齢者の参入促進等により、介護人材の裾野の拡大を図ってまいります。  今後とも、人と人、人と社会がつながり、一人一人が生きがいや役割を持って助け合いながら暮らしていくことのできる地域共生社会の実現に向けて、市町を初め、関係者や県民とともに地域包括ケアシステムの一層の推進に取り組んでまいります。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) ただいま知事から答弁をいただいたわけでございますけれども、平成30年度から、市や町が取り組むことになったわけでございます。そういう中では基盤の整備が進んできたというお話でございましたが、しかしながら、一方で、やはり地域間の格差というのは依然としてあると。それから、施設別に見ればまだまだ足りないと思われる内容もあると私は認識しているのでございますけれども、この施設の充実については、改めて保健福祉部長に再質問したいと思います。  24時間の往診や訪問看護が必要な在宅療養支援病院については、県内に7施設しかなくて、昨年4月1日現在、人口10万人当たりの施設数は全国最下位であります。また、入院希望患者のリストに基づいて、必要に応じ緊急入院できる在宅療養後方支援病院は県内に4施設しかなくて、同じく全国40位ということであります。さらに申し上げるならば、訪問歯科診療を行う在宅療養支援歯科診療所は同じく全国45位と低迷しているわけでございます。これらの数値を見ますと、本当に県民が在宅での療養ができないという不安を生じるのもやむを得ないのではないかなとも思うところであります。  また、訪問看護ステーションにつきましては、昨年4月1日現在、県内に106施設で、同じく全国最下位となっておりまして、かつ、施設は宇都宮市に集中する一方、4町ではまだ施設がなく、地域における偏在が課題となっているということでございます。加えて申すならば、訪問看護ステーションは毎年新設されている一方、看護職員の退職により常勤換算数値に満たず休廃止となる施設もあり、看護師の確保等、経営を継続させることが非常に難しい状況がうかがえるわけであります。  そこで県は、地域における施設の充実についてどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 森澤隆保健福祉部長。 ◎森澤隆 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。まず、在宅療養を続けていくためには、もしもの急変時に対応していただける医療機関を確保しておくことが重要でございます。このため、後方支援病院だけではなくて、現在それぞれの地域におきまして、診療所と病院の連絡会が開催されておりまして、一定の連携体制が構築されつつあるものと認識しております。今後とも郡市医師会等と連携しながら、医療提供体制の充実に取り組んでまいりたいと考えております。  それから、歯科医療につきましては、訪問診療で使用するポータブル機器の貸し出しでありますとか、あるいは在宅診療の相談等に応じる在宅歯科医療連携室を県歯科医師会の中に設置しておりますが、ここの運営を支援いたしますほか、在宅歯科医療の従事者を対象とした資質アップのための研修を開催するなどによりまして、在宅歯科医療を推進してまいりたいと思います。  3つ目の訪問看護ステーションでございますが、これは今までも、未設置あるいは訪問看護職員の少ない市町における新規開設を支援してきたところでございますが、議員ご指摘のとおり、小規模の看護ステーションというのはどうしても事業の継続が難しいという傾向がありますので、新年度は訪問看護ステーションの安定的な経営の継続を促進するために、一定の規模の職員を有して、しかも、重症度の高い患者のケアもできるという機能強化型訪問看護ステーションにステップアップするための支援を行ってまいりたいと考えております。  こうした取り組みによりまして、在宅医療を担う施設等の充実に努めてまいりたいと考えております。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) 急変時の医療機関の確保、あるいは訪問看護ステーションの部分については機能強化型に切りかえていく、そちらを伸ばしていくということでございます。  ここで要望いたしますけれども、地域包括ケアシステムの構築を進めるためには、それを支える医師、看護師、介護福祉士等、多職種の人材の育成・確保が急務であると考えます。今般、新聞にも出ましたけれども、真岡市では県内で初めて、来年度介護福祉士資格の受験料等を助成する制度を創設するというニュースも流れております。市や町では、やはり人材不足を非常に気にしておりまして、こういった対策も講じているというところになるのだろうと思います。県内どこに住んでいても、県民が同じように医療、介護のサービスが受けられるように、地域バランスを考慮した医療、介護の体制整備の強化、地域における医師会等との連携、市町への情報提供など、やはり県の支援というのは必要ではないかと思います。2025年は、もう本当に目の前でございます。県民の混乱を来さないように、ぜひフルスピードで取り組みを進めていただきたいと強く要望いたしまして、次の質問に入ります。  障害者の雇用促進について、教育長にお伺いいたします。国の行政機関等において障害者の雇用数が水増しされていた問題については、本県で、教育委員会において国の指針に沿わない算定を行ってきたことが平成30年度に判明し、その後、教育委員会では、障害者雇用に関する取組方針に基づき、障害者雇用の拡大に向けて対策を進めていると承知しております。しかし、昨年6月1日の障害者雇用率は、前年度の約1.6%から1.8%へとやや改善したものの、いまだに法定雇用率の2.4%は未達成であり、全国順位は32位と低迷しております。さらに、県教育委員会における法定雇用率は、来年度末までに2.5%に引き上げられる予定であり、今後、法定雇用率を達成するためには、さらなる対策が必要になると考えております。  そこで、県教育委員会は、障害者雇用の促進について今後どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 荒川政利教育長。    (荒川政利教育長登壇) ◎荒川政利 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。県教育委員会におきましては、障害者雇用に関する取組方針に基づき、今年度から新たに県立学校における非常勤職員の募集枠を設けるなど、積極的に障害者雇用を推進しているところであります。しかしながら、昨年6月1日時点において、障害者雇用数は前年比54.5人増となったものの法定雇用率の達成には至っておらず、今後一層の取り組みが必要であると認識しております。このため新年度に向けましては、県立学校における教員業務支援員や労務職員、事務職員などについて障害者の採用数を大幅にふやすとともに、労働局等の関係機関と連携して募集強化に努めているところであります。  引き続き、障害者の配置箇所の拡大をより一層進めるとともに、働きやすい環境づくりを通してその定着に努めるなど、法定雇用率をできるだけ早期に達成できるよう取り組んでまいります。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) ただいま教育長から答弁いただいたわけでございますが、私どもも過去に再三この件については質問いたしまして、なぜ達成できないんだと、むしろ全国の先進地を十分参考にしてやってはどうかと申し上げたのでありますが、その参考にした先進地が水増しをしていたなどということがあって、私も言った以上、なかなか気持ちの整理がついていないのですけれども、全国といいますか、国のほうでは関係省庁は12月で全部達成したという報道も載っておりました。しかし、達成はしたんですが、どうもミスマッチがあるような話も聞いております。要は障害者の方々が本当に生き生きと輝いて職場に臨めるのか、どうやら時間が足りない、時間が多い、職種が違う、そういったことがいろいろとあるようでございます。  ここで、この件については要望して終わりたいと思うのですが、やはり障害者の雇用は、障害者が社会の一員として自立する一助となり、障害者が自信を持って輝いて暮らしていくことができるすばらしい取り組みだと考えております。しかし、実際の雇用の現場では、仕事内容と障害の程度とのミスマッチがあると聞いております。教育委員会には、数字を追いかける余りに、本来の障害者雇用の目的から逸脱するようなことのないように対策に取り組んでいただきたいと思います。  そして、そもそも設定された法定雇用率が、教育の現場に余りにもそぐわないのではないか。教員免許を持っている障害者が公募したら来ますかといったら来ない。また、障害者の方で教員免許を持っている方も非常に少ない。そういうことになれば、教育委員会現場においてはなかなか障害者の雇用率を達成するのは難しいわけですよね。なので、知事部局と合算方式にするとか、そういう方式で判断を国にしてもらうことを踏まえて知事会などで取り上げてもらって、国に対して雇用率の考え方を検討してもらうことも念頭に置いて対策を進めていただければと思うのであります。時間がないので先に進みます。  続いて、民間企業における障害者雇用の促進について、産業労働観光部長にお伺いいたします。県内の民間企業における障害者雇用率については昨年6月1日時点で2.07%であり、年々雇用率の最高を更新しているものの、法定雇用率の2.2%を下回っており、全国順位は前年と変わらず43位であります。その内容を見てみますと、対象企業の約4割である547社が法定雇用率を達成しておらず、そのうちの328社、約6割が障害者を1人も雇用していない実態が浮き彫りとなっております。法定雇用率を達成していない企業は、障害者雇用納付金を納付することが義務づけられておりますけれども、その制度が、障害者を雇用しない場合はお金を払えばよいというような安易な考えで捉えられることのないように、まずは企業側に、障害者が地域の一員としてともに生活できる社会の実現という社会的意義をしっかりと認識してもらう取り組みが必要であると考えます。  また、障害者を雇用するに当たっては、障害の特性や程度と仕事内容のマッチングが重要となりますが、障害者を1人も雇用していない企業にとっては、どの程度の仕事内容を任せたらよいのか、職場の対応はうまくいくのかなど、障害者の雇用にためらう声も聞き、私は民間企業に、まずは最初の1人を雇用してもらうための取り組みが重要だと考えております。  そこで県は、民間企業における障害者雇用の促進についてどのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 小竹欣男産業労働観光部長。    (小竹欣男産業労働観光部長登壇) ◎小竹欣男 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県内の民間企業が、1社でも多く法定雇用率を達成し、障害者を含めた多様な人材が活躍する社会を実現していくためには、障害者雇用に対する企業の理解を深め、実際の雇用につなげていくことが重要であります。このため県では、昨年度、障害者雇用の進め方等をまとめたパンフレットを作成し、企業等へ配布しますとともに、今年度はさらに障害の種別ごとに特性や留意点をまとめた企業向けガイドブックを作成し、企業への啓発を推進してまいりました。また、企業の人事や実務担当者を対象に、実際の雇用に役立つ知識や具体的な事例の紹介等を行うセミナーを開催したところですが、新年度は今年度の県央地区に加え、県北・県南地区においても実施するなど拡充を図ってまいりたいと考えております。このほか、企業に対するコンサルティングや障害者の就業体験を受け入れる事業所の募集等を通じて、障害者雇用に取り組む企業の増加につなげてまいります。  今後とも、障害者就業・生活支援センター等の支援機関や栃木労働局等と連携しながら、民間企業における障害者雇用を一層促進してまいります。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) ただいま産業労働観光部長から答弁いただいたわけでございますけれども、いろいろと手を尽くしていることは私も承知しておりますが、なかなか実績が上がってこないというところです。障害者雇用率は、企業規模別に見ると、従業員100人未満の中小企業の雇用率1.75%と極端に低い状態にあると言われています。何でこの小さい企業で雇用が進まないのかという課題を明確にして、その対策に取り組んでいくことが、法定雇用率を引き上げるために重要であると考えます。この法定雇用率も来年4月までに2.2%から2.3%に引き上げられることになっておりますので、しっかりと取り組んでもらう必要があると思いますので、よろしくお願い申し上げ、最後の質問に参ります。  障害者の工賃向上について、保健福祉部長にお伺いします。障害者が社会の中で生き生きと暮らし、輝いていくためには、本人の意思と能力を発揮して働くことができる機会を確保し、自立した暮らしができるよう所得をふやす取り組みが必要と考えます。県は一般企業への就労が困難な障害者の福祉的就労について、工賃向上を図るため、平成30年度に栃木県障害者工賃向上計画(第四期)、いわゆるとちぎナイスハートプランを策定し、事業所の販路拡大、工賃向上等の取り組みを支援していると承知しております。  これらの取り組みの結果、就労継続支援B型事業所で働いている障害者の平均工賃月額は年々微増しておりますが、平成30年度で1万6,948円と、令和2年度の目標額である2万円には依然として開きがある状況であります。こういったことを考えますと、やはり工賃が目標を上回ったという事業所が全体の3割しかないということでございますので、工賃向上のためには仕事を発注する側である民間企業等に対して、発注を促すための取り組みが必要であると思いますが、そこで県は、障害者の工賃を向上させるためどのように取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 森澤隆保健福祉部長。    (森澤 隆保健福祉部長登壇) ◎森澤隆 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では工賃向上計画に基づきまして、ナイスハートバザール等の販売会の開催、施設管理者の経営意識の醸成、また民間企業等との協働による商品開発への支援などさまざまな取り組みを行っております。さらなる工賃向上を図りますためには事業所への安定的な発注の確保が重要でありますことから、一層多様な分野におきまして、公的機関の優先調達の推進や民間企業等からの発注拡大を進める必要があるものと考えております。そこで、新年度、とちぎセルプセンターのスタッフを増員いたしまして、企業や商工団体、農業団体等と情報交換を定期的に行いながら、受注側、発注側双方のニーズを把握しながらマッチングにつなげるなど、共同受注の拡大を図ってまいります。  今後とも関係機関と広く連携し、工賃向上に向け積極的な取り組みを推進してまいります。 ○早川尚秀 議長 阿部寿一議員。    (35番 阿部寿一議員登壇) ◆35番(阿部寿一議員) ここで、時間もありませんので要望したいと思いますけれども、平成25年施行の障害者優先調達推進法に基づいて策定した県や市町の調達推進方針の取り組みなどによりまして、県全体の調達額は、平成29年度時点で8,600万円と年々増加しているということでございますので、ここについては、さらに活用していただければと思うのと、とちぎ自民党議員会を初め各県議会の会派でも、この工賃向上に協力するために、議会事務局も含めてお弁当をとっております。少しでも協力できればということでございますが、先ほどもありましたように、とちぎセルプセンターの受注確保や販売拡大の取り組みをしっかりとまた進めていただいて、工賃拡大に努めていただければと思いまして、私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。 ○早川尚秀 議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午前11時 休憩             ―――――――――――――――――――――――――――――
    ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は48名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午前11時15分 開議 ○金子裕 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) 民主市民クラブの松井正一です。質問に入ります前に、新型コロナウイルス感染症対策について一言申し上げます。  昨日、知事及び議長より、現状の説明をいただくとともに、政府も基本方針を決定し、公表いたしました。我が会派といたしましては、代表質問において、山田みやこ議員から万全の対策を講じるよう要請させていただきました。引き続き、国や関係機関相互の情報共有に努め、早期終息に向けてご尽力賜りますようお願い申し上げます。  さて、久しぶりの質問登壇となりました。今回の質問テーマは、自然環境保全と防災・減災対策、土地利用の今後のあり方についてです。本県の54%、35万ヘクタールを占める山林に着目し、治山、治水のあり方、森林整備の担い手確保に向けた取り組み、そして台風第19号がもたらした甚大な被害を受けての今後の備え、さらには、土地利用に関する課題解決や今後の展望などにつきまして、私なりの視点から一問一答方式で質問してまいります。既に先発の議員の皆さんから類似した質問により一定程度見解を確認できたものもありますが、さらに深掘りしてまいりたいと思います。知事初め執行部の皆様には明快な答弁をお願い申し上げ、質問に入ります。  まず最初の質問は、台風第19号災害を教訓とした今後の防災・減災のあり方について伺います。改めまして、台風第19号の甚大な被害により被災された全ての皆様にお見舞い申し上げます。県では昨年の県議会臨時会議での議決を経て、620億円を超える補正予算を執行中と伺っており、さらには新年度予算等でも新たに対策予算案を計上しております。気候変動が著しく、これまでの災害発生確率など当てはまらなくなった今日、いつゲリラ豪雨が襲来するかわからないといった危機感を常に持ちながら、今後の対策を担っていく必要があります。  昨年の台風第19号災害を振り返りますと、本県各地の山間部を中心に500ミリを超える降雨により、県内主要河川や至るところの中小河川が決壊や氾濫を起こし、各地で大規模浸水被害をもたらしました。特に水源地域や上流部では、山林から立ち木や林地残材の流出、沢を初め各地での土砂崩れや土砂流出、護岸崩落等、原形をとどめることのないほどの大きな被害を受け、景色が変わりました。さらに、県内全域で住宅を初め、中小企業や小規模事業所、農用地や取水堰などの農業用施設にも大きな被害が発生しました。河川においては、水源から河川上流部、中流部が本県内を流下するわけですが、台風第19号災害を教訓に、主要河川の被害状況を受けて、今後は繰り返される災害に対して整備方針の検討や、流域内の中小河川対策について、ソフト、ハード両面から備えていく必要があると思います。ソフト関連では、中小河川にも、監視カメラの設置やハザードマップの整備を行うべきとの要望も、連合栃木政策協議会の場でも出されておりました。この災害を教訓に、抜本的な対策が求められています。このように、挙げれば切りがないほど、今回の台風第19号災害は多くの分野に甚大な被害をもたらしました。県と市町、関係業界の皆様のご尽力により早期復旧を目指していただきたいと考えています。  そこで、台風第19号災害を教訓として、今後の河川の防災・減災についてどのように取り組んでいく考えか、知事に伺います。 ○金子裕 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの松井議員のご質問にお答えいたします。台風第19号に伴う豪雨は、河川の氾濫等により県内全域にわたり甚大な被害をもたらしました。私は官民が一体となり復旧・復興に総力を挙げて取り組み、県民生活やなりわいの再建を図っていくことが最重要課題であると考えております。公共土木施設の復旧に当たりましては、可能な限り改良復旧を導入するほか、被災箇所周辺の堆積土砂の除去や堤防の強化をあわせて行うなど、再度災害の防止に向け整備効果を最大限高める対策を実施してまいります。また、特に今回の災害では、避難の途中におきまして4名のとうとい命が奪われました。このことを重く受けとめ、きめ細かな情報発信を行い、逃げおくれによる人的被害ゼロを目指すことが急務であると、改めて認識したところでもあります。このため、小規模な河川におきましても浸水想定区域図を作成し、市町の行うハザードマップ整備を支援するとともに、水位計やカメラを設置してまいります。さらに、4月からは新たに緊急速報メールを活用したスマートフォン等への洪水情報のプッシュ型配信を行うなど、逃げおくれによる人的被害の防止に積極的に取り組んでまいります。  堤防等の施設では防ぎ切れない洪水は必ず発生するとの考えを改めて県民の皆様と共有し、命を守ることを最優先とした防災・減災の取り組みを全力で推進してまいります。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) 知事から答弁をいただきました。非常に前向きといいますか、具体的な施策も、予算も含めて反映していただけるということがわかったところであります。  ここで何点か再質問させていただきたいと思っています。まずは、県土整備部長にお伺いさせていただきます。今、知事の答弁でもありましたように、被災中小河川対策、例えば市町のハザードマップの作成支援、こんな言及もありましたが、調査によりますと、国土交通省におきましては中小河川の水害リスク評価に関する技術検討会が設置されていると伺いました。全国1万9,000河川ございまして、これまでの水防法においては浸水実績の公表がなされていたわけでありますが、残念ながら、一部の自治体にとどまっているということが原因で、中小河川の浸水想定範囲の周知が進んでいないということが課題として列挙されておりました。このため国土交通省では、中小河川における簡易的な水害リスク情報作成の手引きを作成するとともに、国土地理院の保有するLPデータ活用による中小河川向けの浸水想定範囲を評価、公表するなどとしています。  そこで、本県におきましては、このような国土交通省の検討会の動きを踏まえてどのような方針で臨まれるのか、県土整備部長に伺います。 ○金子裕 副議長 熊倉一臣県土整備部長。 ◎熊倉一臣 県土整備部長 再質問にお答えいたします。台風第19号では、中小河川におきましても多数の浸水被害、溢水等が発生いたしましたことから、知事からの答弁にもありましたとおり、県では今後、これらの河川につきましても浸水想定区域図を作成してまいります。  対象とする河川につきましては、今後開催を予定しております栃木県減災対策協議会の場で各市町と相談いたしまして、優先順位等を考慮しながら順次選定し、進めていきたいと考えております。また、作成に際しましては、議員の御指摘がございました国が公表いたしました中小河川における簡易的な水害リスク情報作成の手引きを参考にいたしますほか、本年1月に設置されました中小河川の水害リスク評価に関する技術検討会の動向等も踏まえつつ、積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) 続いて再質問させていただきます。今度は山のことについて聞きます。環境森林部長に伺わせていただきます。台風第19号は、本県山林にも甚大な被害をもたらしたということは本質問で述べたとおりです。その中で特に気になったのは、私の地元鹿沼市下粕尾地内、粕尾小学校の裏手でも実は大変な被害になったんですけれども、いわゆる山腹崩壊に伴って発生した立ち木や林地残材が下流に大きな被害を与えたという事例です。  このような災害は平成29年の九州北部豪雨、さらには平成30年7月豪雨、これは西日本を中心に大変大きな被害を受けたわけでありますけれども、こうした全国的な事例でも発生しているわけでありまして、事前の防災・減災に向けて流れ木対策ということについてもぜひとも取り組んでいくべきと考えますが、今後の対応について環境森林部長に伺います。 ○金子裕 副議長 鈴木峰雄環境森林部長。 ◎鈴木峰雄 環境森林部長 再質問にお答えいたします。山腹崩壊などの山地防災を防ぐためには、まず何より適正な森林整備が重要だと考えております。また、森林資源をフル活用することによりまして、なるべく林地残材をそこに残さないという取り組みも必要だと考えております。この取り組みを進めていきたいとまずは思っております。さらに、流れ木といたしまして、最近ですと、流れ木を捕捉するタイプの治山ダムも出てきておりますので、こういったものも活用しながら、流れ木対策についても十分に進めてまいりたいと考えております。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) ありがとうございます。森林整備や森林資源のフル活用ということまで環境森林部長から言及がありましたが、これは後ほどの質問で再度触れていきたいと思っています。また、具体的な治山ダムの効果的な取り組みなど、よろしくお願いしたいと思います。  もう1点、再質問させていただきます。今度は農地関係ということで、農政部長に伺います。農業用取水堰の復旧という視点で伺わせていただきます。今回、ヒアリングによりますと、県内では99カ所の農業用取水堰に被害が及んだと伺いました。私の地元鹿沼市でも多くの取水堰が被害を受け、事業主体の市町や土地改良区からは、工事の発注に向けて人手が足りないということも聞いています。2月も下旬に入りまして、間もなく次の作付に向けた準備が始まろうとしていますが、各地の取水堰が被災しているため作付の見通しが立たないなど、農家の皆様の耕作意欲の減退が心配されます。昨年は水田耕作者にとっても、先ほど阿部寿一議員が質問されましたが、「とちぎの星」が天皇陛下即位に伴う大嘗祭の献上米選定などもあったわけでありまして、まさに農家の方々にとっては、弾みが出るはずの年であったわけでありますが、そうした視点からも早期復旧が求められると思っています。  そこで県では、農家を初め市町や土地改良区に対し、次期作に間に合うように取水堰の復旧についてどのように支援しているのか、農政部長に伺います。 ○金子裕 副議長 鈴木正人農政部長。 ◎鈴木正人 農政部長 再質問にお答えします。農地それから農業水利施設等は、事業主体が市町村、土地改良区ということになりますので、やはり人手不足というものが課題になってくると思っております。そのため県では、今まで延べで農政部の職員2,500名になりますが、災害査定のお手伝い、それから実施設計の作成に市町村等を支援しているところでございます。  お尋ねのありました農業用取水堰でありますが、これについては河川協議の調整、それから工事内容への助言など、できる限り次期作に間に合わせるよう復旧工事の支援を行っておりますが、田植えに間に合わないということもありますので、その場合にも仮設工事や応急ポンプの活用などによって、可能な限り農業用水が確保できるように努めてまいります。  また、工事の進捗によりましては、例年どおり田植えができないところも生ずる場合があります。水稲の苗づくり、さらには大豆やソバ、飼料用作物などの代替作物、こういった経営面での支援も引き続き行ってまいりたいと考えております。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) ぜひともよろしくお願いしたいと思います。今、答弁でも言及いただきましたように、いろいろなケースがあるかと思うんです。大変残念ながら、農業用地そのものも今回被災に遭ったところも、鹿沼市エリアだけで見ても大変多くございました。いろいろ国の働きかけ、さまざまな動きも既に起きておりますけれども、引き続き早期復旧に向けてご尽力賜る、そんなお願いをしていきたいなと思っています。  何よりも今、3つの部局にご質問させていただいたとおり、大変幅広い甚大な被害があった台風第19号ということでありまして、再質問はしませんでしたが、中小企業対策とかいろいろな面も大変お世話になっています。さまざまな部局横断で、この台風第19号の早期復旧に向けまして執行部もご尽力賜りますようお願い申し上げながら、2番目の質問に移ってまいりたいと思います。  前日光県立自然公園の自然環境保全についてお伺いいたしたいと思います。今、伺いました台風第19号災害を教訓とした検討に関連いたしまして、私の地元でもあります前日光県立自然公園の自然環境保全について伺ってまいります。  前日光県立自然公園は風光明媚な山々や豊かな自然の宝庫でありまして、県民を初め多くの来訪者に感動を与えてきたかけがえのないスポットであります。いにしえの時代、日光修験道の聖地として勝道上人が日光開山を行うために通った道でもあり、まさに歴史的な聖地でもあります。現在の土地利用は、前日光牧場として牛の放牧が行われているほか、県立自然公園の大半が保安林として指定されておりまして、中でも水源涵養保安林の指定地域は岩塊を有する広大な地形に豊かな森林が形成されていることから、昨年の台風第19号災害に際しましても、緑のダムとして治水効果があったことと推察しております。  そこで、前日光県立自然公園の自然環境保全、特に水源涵養保安林指定による土地利用は大いなる防災・減災対策につながるものと考えますが、環境森林部長に所見を伺います。 ○金子裕 副議長 鈴木峰雄環境森林部長。    (鈴木峰雄環境森林部長登壇) ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県立自然公園は、景観や自然風景の保護を目的に指定されるものであり、土地利用や開発等について厳しく規制する特別地域と、さまざまな土地利用との調整を図る普通地域から構成されております。また、水源機能の安定化や洪水の緩和などを目的とした水源涵養保安林に指定されると、立ち木の伐採や他の用途への転用などが制限されることとなります。前日光県立自然公園については、希少な動植物の宝庫となっている井戸湿原などが特別地域に指定されており、また渡良瀬川、思川の上流に位置していることから、公園内の森林の多くは水源涵養保安林に指定されているところであります。一方で、過去に開拓農地であった区域や転用の計画があった森林については普通地域であり、保安林の指定も行われていないため、林地開発等の法令手続を経て開発することが可能となっております。  今後とも、栃木県立自然公園条例や森林法等の関係法令の趣旨を踏まえながら適切な運用に努めてまいります。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) 答弁いただきました。1点だけ再質問させていただきます。水源涵養保安林に指定することによってさまざまな土地利用の制限があることなど、具体的な答弁をいただきました。いわゆる水源涵養保安林の指定については、土地所有者の同意が仮にいただけるのであれば指定が変更可能だと思うんですが、その辺についてはどんな考え方でしょうか。 ○金子裕 副議長 鈴木峰雄環境森林部長。 ◎鈴木峰雄 環境森林部長 再質問にお答えいたします。水源涵養保安林につきましては、農林水産大臣の指定ということになります。これにつきましては指定によりまして私的財産の制限が生じることから、森林所有者、あるいはその土地に対して権利を有している者の意見を聞くということになっております。このような手続を経て、適正な審査のもと指定を行うという形になると考えております。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) それでは、次の質問に入らせていただきます。前日光県立自然公園の自然環境保全を脅かすメガソーラー建設に関する動きにつきまして、足尾町横根太陽光第一、第二、第三発電所に関する法令手続について伺います。  今、水源涵養保安林等の指定については一定答弁を受けたわけでありますが、先ほど答弁の中でもありましたように、残念ながら開拓農地など指定になっていないところがあります。いわゆるその場所に、残念ながら2015年、経済産業省はメガソーラー建設に関する事業計画認定をしております。3カ所の発電所の延べ面積は102ヘクタールにわたり、発電出力は3万6,000キロワットと巨大な発電所計画となっており、東京電力と募集プロセスに伴う接続契約を2018年10月10日に行っております。過日、経済産業省資源エネルギー庁再生可能エネルギー推進室担当者と調査、協議をさせていただきましたが、その際に、事業計画認定の事実関係及び法的解釈について調査させていただきました。特にFIT法の改正によりまして、運転開始期限3年ルールについては、この横根高原のケースの場合、電力会社との接続契約から起算することとなりまして、2021年10月9日が期限となり、その後は運転開始がおくれるごとに電力調達期間が、いわゆる20年ということなんですが、月単位で短縮されるルールとなっているということであります。しかし、残念ながら、事業者が計画を断念し、撤退しない限り事業計画認定を取り消すことはできず、本計画はそのまま進行することとなるので、さきに述べた防災・減災を意識した水源涵養保安林等の指定も困難であると言えると思います。今後は法令手続として、土地利用に関する事前協議や林地開発許可申請も必要となり、また、今通常会議に上程されました環境影響評価条例改正案が成立した場合の、いわゆる環境アセスメントなどの手続も必要となることと思います。  そこで、今後、横根地区太陽光発電所に関する法令手続をどのように進めていく考えなのか、環境森林部長に伺います。 ○金子裕 副議長 鈴木峰雄環境森林部長。    (鈴木峰雄環境森林部長登壇) ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。新たに太陽光発電を行う事業者は、まず国による事業計画認定や東京電力との接続契約の手続を行うことが必要となります。その後、県におきましては、森林法や農地法等の関係法令を整理するなど土地利用に関する事前協議を実施し、その結果を踏まえて、関係法令に基づく審査及び許認可等の手続を行うこととしております。また県では、これらの手続と並行して、事業計画段階から国のガイドラインや県の独自の指導指針に基づき、事業者に対して適切な用地を選定し、地元関係者の理解を得るよう指導しているところでございます。一方で、今回の環境影響評価条例の改正案では、50ヘクタールを超える太陽光発電事業に対して新たに周辺環境に与える影響の調査、予測、評価の実施と必要な措置の検討を求めるものでありますが、横根高原につきましては、県立自然公園の普通地域になりますことから、改正案では配慮地域に該当し、15ヘクタールを超える事業が対象となるものでございます。  引き続き、県内で太陽光発電を計画する事業者に対しましては指導指針等に基づく指導を適切に行うとともに、関係法令等の諸手続に遺漏がないよう努めてまいります。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) ただいま答弁いただきましたが、確認の意味での再質問をさせていただきます。今、環境森林部長の答弁の中にありましたように、土地利用の事前協議、いわゆる関係法令等を整理して進めていくということ。私が以前ご指導賜った際には、栃木県の現在の許認可の流れといたしましては、2018年4月にできました太陽光発電施設に関する指導指針が1つのルート、それから土地利用に関する事前協議、事前相談、それから林地開発許可と進むわけでありますが、今回改正条例で出ている、いわゆる環境アセスメント、環境影響評価と3つのルートで、それらが林地開発許可の許認可の最終的なよりどころになると伺っているわけでございます。  ただ問題は、経済産業省の事業計画認定を受けている今回のケースであっても、その具体的な協議がどのような進捗になっているかによって、環境影響評価条例が該当するかどうかという問題が出てくると思うのですが、ずばり伺いますけれども、今回の横根の案件についは、今回の改正条例案は適用になる可能性があるのかどうか、環境森林部長に伺います。 ○金子裕 副議長 鈴木峰雄環境森林部長。 ◎鈴木峰雄 環境森林部長 再質問にお答えいたします。現在この事業計画については詳細が不明でありまして、事前協議の前の段階に当たると考えております。事業計画が明らかになった段階で環境アセスメントに該当するかどうかを確認いたしまして、その後、適正な手続に努めてまいりたいと考えております。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) ありがとうございました。そうしますと、いずれにしても現在、事業計画そのものの詳細が不明ということでありますから、これからの事業者の進め方いかんということになるかと思うのですが、この件については、ある意味、適正な土地利用に向けた規制誘導のあり方として望ましいかなと私は思っているところであります。  なぜかといいますと、そもそも2018年4月に、この指導指針をつくっていただく前段で、先ほど阿部寿一議員の質問でもあった国立公園とか県立自然公園、これは普通地域、特別地域にかかわらず具体的に規制誘導を図るべきということに対して、栃木県は栃木県の姿勢として「立地を避けるべきエリア」という指定をしていただきました。ただ残念ながら、ご案内のとおりFIT法等がありまして、この事業計画認定がその指導指針や条例等ができる以前に認定になっている場合は、いわゆる法令の不遡及の法則ということがありますから、残念ながら、そこが難しいということだと思っています。この件につきましては、今回私なりに前日光県立自然公園の自然環境保全ということで着目させていただきましたが、大変深い意味があるんだと思っています。  1つは先ほど例示申し上げましたように、水源涵養保安林、これは、いわゆる緑のダムになるのではないかというご提起、それから自然環境保護そのものについては、横根高原というのは、例えば先ほど井戸湿原のご答弁もいただきましたが、環境省の補助を受けて井戸湿原の保全活動が現在でも行われているという状況です。環境森林部にも力をいただいて、シカの防御ネットも張ってあるわけでありますが、そうしたことから勘案しましても、それほどにまで自然環境を守っているその目の前に、民間開発とはいえ、102ヘクタールの太陽光発電が来るということ自体には、私はいささか賛同できないという立場であります。なぜかといいますと、具体的な土地利用方針というものは、各自治体自治体が持っている方針とも当然合致させなければいけないと思いますし、例を挙げれば、最近の例ですと、那須塩原市のように、工場跡地につくるかつくらないかという議論を事業者にしっかり申し出ていくと。それは力強い土地利用の方針があるから、そういうことであって、そのことを県の指導指針は、ある意味打ち出しているということを鑑みれば、そのことをそのとおりに進めていくことが私は必要なのではないかと思っています。  しかるがゆえに、ここ最近の動きを見ましても、例えば地元の民意については、鹿沼市も、日光市も、両市議会が反対陳情に賛同しているという現実もありますし、地元も大反対。そして、つい最近の動きですと、横根高原メガソーラー建設計画に反対する市民連絡会もできてきているという状況です。私も現地に何回も赴いているわけですが、日光市所有の共同墓地が計画地にあったり、東京大学の地震計が設置されてあったり、またつくろうとする場所は花崗閃緑岩の岩塊でありまして、とても掘削できる状況にない。そんなことも鑑みますと、まさに先ほど答弁でもいただきましたが、厳格な法令手続、または環境アセスメントの実施を強く申し上げて、これは私の要望とさせていただきます。  次の質問に入らせていただきたいと思います。3つ目でありますが、栃木県の林業担い手確保に向けた取り組みについて、2点お伺いさせていただきます。まず、林業の産業としての社会的価値を高めることについて伺います。  本県の森林面積は県土64万ヘクタールの54%、35万ヘクタールを占めておりまして、林業就業者数はおおむね横ばいの630人程度で推移していると伺っております。県では2020年度当初予算において、元気な森づくり県民税や森林環境譲与税などの財源を活用し、皆伐、再造林、獣害対策、次世代森林技術の検証や森林経営管理制度に基づく事業、木造・木質化、そして林業人材の確保・育成のあり方についての検討などを視野に予算案を提示しておられます。しかしながら、予算案に沿った事業促進を図るためには、中長期的に本県の林業就業者をふやしていく必要があることから、林業そのものに関心を持ち、林業に関する仕事をしてみたいと思う若者を初め、幅広い就業希望者を獲得するためにも、林業という産業に対する社会的価値を高め、本県の林業就業者の安定した確保を目指すべきと私は考えます。  そこで、林業の産業としての社会的価値を高めるということについて、知事はどのようにお考えなのか、所見を伺います。 ○金子裕 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。林業は地域産業として雇用を生み出し、地域経済に寄与するとともに、その生産過程において森林を守り育てることにより、豊かな水を育み、私たちの生命や財産を土砂災害から守るなど公益的機能の発揮に重要な役割を担っております。また、台風第19号により、県内各地で山腹崩壊や河川の氾濫などの被害が生じたことから、森林の有する公益的機能を高度に発揮させる取り組みを一層強化し、災害に強い森づくりを進めていくことが重要であると考えております。こうしたことから、森林の荒廃を防ぐための間伐や高齢化した森林の伐採、再造林による森林の若返りなどの森林整備に取り組んでおりますが、これらの取り組みを着実に進めていくためには、高度な知識や技術を有する林業従事者の確保・育成にも取り組んでいく必要があります。しかしながら、これらを担う林業従事者につきましては、給与水準を含めた雇用環境の厳しさや、労働安全性の確保などの課題から、その離職率は高く、高齢化も進んでおります。このため林業の収益性の向上と雇用の安定を図り、誰もが誇りと希望を持ち、生涯を通じて働き続けることのできる環境を整備し、林業の成長産業化を進めてまいります。  今後とも、私たちの豊かな暮らしの確保に寄与するなど重要な役割を担っている林業につきまして、その成長産業化を進めることにより、林業に誇りを持って働きたいという方々をふやし、林業の社会的価値が高まるよう取り組んでまいります。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) 知事から答弁いただきました。公益的機能を高めるということに伴って、大変重要なんだということと、しかしながら、具体的に申していただきましたが、給与水準の問題とか離職率が高いとか、いわゆる処遇改善に値するようなことが課題ではないかということが例示されました。私も全くそのとおりだと思っています。そのことをこれからどう打ち破りながら、産業としての林業の社会的価値を高めるべきなのかということ、ぜひとも、今後も追求していきたいと思いますし、県執行部といたしましても、予算や政策の拡充などを追求していただきたい。これは要望にとどめておきたいと思っております。  次の質問に入ります。栃木県の林業担い手確保に向けた取り組みについて、昨年12月に関谷暢之議員が質問されました林業大学校に関する新年度の取り組みについて伺います。この件につきましては、昨日の中島宏議員の再質問に対する答弁でも執行部の見解が示されましたが、大変ありがたい限りです。私も同じ視点ではありますが、会派県外調査などを受けての提言も交えて深掘りしてまいります。  昨年12月の通常会議で、知事は「林業大学校について有識者等から意見を伺い、今後の人材育成・確保のあり方を含めて検討する」と答弁されました。本県の林業担い手確保に向けて、新たな取り組みを力強く打ち出されたものと高く評価いたします。私は昨年の統一地方選挙の際、鹿沼市が輝く5つの提言と題して、林業大学校の整備を提案いたしました。全国47都道府県で唯一「木」という漢字が用いられている栃木県。農業大学校はありますが、林業大学校はありません。県では新年度予算案において、人材確保・育成に関する調査・検討事業費を計上いたしましたが、ぜひとも積極的な検討をしていただきたいと思っています。  さて、林業大学校については全国に18校あり、そのうち専修学校が6校となっています。我が会派民主市民クラブでは、先日、長野県と群馬県を訪れ、両県の林業大学校について調査を行ってまいりました。いずれも専修学校でしたが、そのメリットは大学3年からの編入が可能であることなどが挙げられておりました。  40年の歴史を誇る長野県は、林業大学校を通じて700人もの就業者を輩出し、しかも、卒業生の県内就業率が70%から80%に上るなど、人材確保に向けて確かな実績を上げております。今後は人材育成、研究開発拠点として、木曽・伊那フォレストバレーの形成を目指し、全国トップクラスの人材育成や研究活動、そしてオーストリアだったと思いますけれども、海外との交流も含めまして、産学官連携などを目指していると伺っております。一方、群馬県は、農業大学校に昭和58年、林業部門を加え、県立農林大学校としてスタートしております。森林組合などの関係団体からの強い要望もあり、森林コースは実習中心のカリキュラムとなっております。このように、他県の先進事例を研究することや、本県の教育分野における林業学習実態の検証、さらには私の地元鹿沼市を初め、日光市を含む上都賀地区の業界団体からの林業大学校誘致要望など、今後の人材確保・育成に関する調査・検討を行うに当たっては、幅広い視点での検討を行い、本県ならではの林業大学校をつくっていただきたいと考えています。群馬県でも県有林での実習のために、宿泊可能な施設整備も行いながら、農林大学校生徒の実習の場の確保をしておりましたが、鹿沼市にも21世紀林業創造の森がありまして、こうした地域森林資源も大いに有効活用を図ってほしいと考えます。  そこで、林業大学校の新年度の取り組みについて今後どのように進めていく考えなのか、環境森林部長に伺います。 ○金子裕 副議長 鈴木峰雄環境森林部長。    (鈴木峰雄環境森林部長登壇) ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県の新規林業就業者の大半は転職者でありますが、就業には一定の技能を要することや労働環境の厳しさなどから離職率は高い状況にあり、新規就業者が安心して林業に従事できるような環境の整備が求められております。一方、林業事業体からは、業務等の都合上、就業後に技能取得のための長期研修への派遣は困難だ、あるいは即戦力が必要だなどの声を多く伺っており、林業事業体にとっては林業の現場を理解し、基本的な知識や技術等を習得した新規就業者の確保が課題となっております。また、特に若者が林業に魅力を感じ、就業先として林業を選び、定着していくためには、給与水準を含めた雇用環境の改善、労働安全の確保などの課題にも同時に取り組んでいく必要があります。  このため新年度においては、有識者による検討会を設置して、ご意見を伺いながら、このような課題を整理し、本県における林業経営の目指すべき姿や、その実現のために林業従事者が取得すべき知識や技術を明確にすることにより、本県の実情に即した教育研修のあり方について議論を深めてまいります。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) 答弁いただきました。先ほど私も質問で触れましたが、昨日、中島宏議員の再質問でも、ほぼ同じようなニュアンスで聞いていただいていますから、その域を超えることはできないと思っております。ご案内のとおり、いろいろな角度で検討するということは私も提案をさせていただきましたので、何点か再質問させていただきます。  まず、教育長に伺わせていただきます。先ほども教育に関してちょっと触れたのですけれども、先日会派で調査に行った長野県の林業大学校においては、長野県内の林業関連の高等学校と林業大学校の連携が大変顕著でありました。例えば林業の高等学校から林業大学校に入りたいという生徒にどんどん積極的に声をかけたりとか、具体的なカリキュラムなども事前に交流をするなど、そういう取り組みがあったわけであります。
     そこでお尋ねは、本県の高等学校における林業に関する科目の設置状況、さらには具体的な取り組みはどうなっているのか、教育長に伺います。 ○金子裕 副議長 荒川政利教育長。 ◎荒川政利 教育長 再質問にお答えいたします。林業に関する科目につきましては、農業科のある県立高校、現在7校あるわけですが、その中で4校に設置されております。授業ではキノコの栽培実習といった林産物の利用とか、森林保全といったことについて学んでいるところでございます。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) 今、教育長から答弁はあったのですけれども、私が把握している限りでは、いわゆる林業を専門とする学科が、残念ながら栃木県はないと伺っているんですね。普通科とかいろいろな学校においては、林業に関する教育カリキュラムはあると。しかしながら、その部分がどうなのかということでありますが、なぜお尋ねしたかといいますと、先ほど1つ目の質問の中で、林業を産業としての社会的価値を高めるということともつながるんですが、例えば小学校段階では、いわゆる学習指導要領に林業という言葉は出てこないんですね。そういったことも鑑みますと、比較的低年齢から林業そのものを学ぶ機会というものを、栃木県は54%も山があるわけですから、つくっていく必要があるのかなということで、現状を確認させていただいたということでございます。  もう1点、再質問させていただきます。これはこのタイミングで聞くのは大変おこがましいかもしれませんが、先ほど質問の中で、ある意味勇気づけられるんですが、鹿沼市や日光市の林業関係団体の皆さんから、林業大学校の上都賀地区誘致という声が上がったということで、ちょっと早いタイミングだと思っています。しかしながら、大変うれしいのは、そういう業界の方々がみんなで頑張っていこうという一つの意気込み、これは受けとめる必要があろうかと思っていまして、これはずばり知事に、この動きに対してどのような受けとめかを再質問で伺います。 ○金子裕 副議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。鹿沼、日光両市長等から誘致に関する要望書を頂戴いたしました。古くから上都賀地区は林業が盛んで、県内における優良木材産地の一つであると認識しております。林業従事者が知識、技術を習得できるような教育の機会を充実させていくことが重要でありますことから、本県における目指すべき林業経営の姿を整理し、その実現のために必要な人材教育研修システムのあり方等について、今、所管部長からも答弁がありましたけれども、有識者等による検討会で議論を進めてまいりたいと思います。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) わかりました。いずれにいたしましても、これから2020年度、次期プランの策定ということもありますから、こういった具体的施策についても、我々も引き続き研究しながら、提案、提言できればなと思っておりますので、再質問はいたしませんが、意見表明させていただきます。  先ほども申し上げましたように、林業の産業としての社会的価値を高めるということについては大変必要だけれども、いろいろな課題があるということが確認できたと思います。それと同様に、これから具体的に林業大学校的なシステムをつくるに当たって、さまざまな視点で検討していくということも確認ができました。私個人的には長野県の事例は非常に勉強になりまして、40年の歴史ということもあったかと思いますけれども、さまざまなつながりが構築されているということもありますので、今後の参考にしていただきたいと思っています。  しかしながら、本県の林業就業者の実態を鑑みますと、スピード感を持って検討していただきたいということに尽きると思っていますので、そのことを強く申し上げながら、次の質問に入らせていただきます。  市街化調整区域の未利用公共施設の利活用促進について伺います。本県では昨年度、市街化調整区域内の廃校舎を初めとした市町などが所有する未利用公共施設の利活用促進に向けた用途変更を認める開発許可基準を創設し、運用を行っています。この基準は、市町の公共施設等総合管理計画において未利用公共施設利活用として位置づけられており、あわせて、市街化を促進するおそれのないなど市町の都市計画の観点から支障がなく、地域再生等に寄与するものとして、市町が認めた場合には用途変更することができるとされております。  また、やむを得ない事由がある場合においては、既存建築物の1.5倍を上限とする増改築なども認められるなど、市町の計画に基づく有効活用が図られるようになりました。幾つかの市町では、民間事業者等に対するサウンディング調査などを用いて、建築物等の用途変更内容を募集し、廃校等の優先使用評価等も行いながら、具体的な用途変更の手続に臨んでいると聞いています。私は、創設されたこの基準は人口減少・超高齢社会が進展する中で、市街化調整区域における地域活性化に大きく資するものとして歓迎しておりまして、民間事業者の力もおかりしながら、市町において大いに活用してほしいと考えております。  そこで、これまでの許可実績を初めとする市町における基準の活用の状況や、今後この基準が市町においてどのように活用されていくと考えているのか、県土整備部長に伺います。 ○金子裕 副議長 熊倉一臣県土整備部長。    (熊倉一臣県土整備部長登壇) ◎熊倉一臣 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。市街化調整区域内にあります廃校舎等の未利用公共施設の利活用につきましては、平成30年5月に栃木県市長会からのご要望を受けまして、既存コミュニティや地域活力の維持・向上を図る目的から、施設の用途変更を可能とする開発許可基準を昨年1月創設いたしたところでございます。これまでに当該基準を活用して用途変更した事例が1件ございますほか、現在でも複数の市町で具体的かつ実現性ある計画が検討されているところです。また、当該基準は、まちづくりの主体であります市町がみずから用途を設定できるなど、自由度は高いものとなっております。  おのおのの市町におきまして、地域の実情を踏まえ、創意工夫を凝らして当該基準を活用していただきたいと考えておりますので、県といたしましても引き続き必要な助言を行ってまいります。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) 答弁いただきました。今、県土整備部長からもありましたとおり、直接的には市町の取り扱いということもありまして、県からは規制緩和の一つの開発基準を大いに利用していただくような具体的な助言、さらには情報等の啓発などということになっていくんだと思います。少子化の進展ということもありまして、残念ながら、学校等においては児童生徒の数が減少していくという動きもございまして、実は比較的耐震化工事などは速やかに行われた経過がありますが、残念ながら、当該地域の学校があいてしまうというケースが、特に調整区域等においてもこれから顕著になってくるんだと思っています。  開発基準の見直しという面で、先ほど私は歓迎という話もしましたが、一方で許認可段階での具体的な課題も出ているということを、例えば連合栃木議員懇談会の地域研究会とか、いろいろな場で私も数多く聞きました。ご案内のとおり、校舎として使っている用途を別の用途に変えるわけですから、その別の用途がいかなる用途になるかによって、しかるべき施しが法令手続として出てくるということになると思います。例えば給排水設備とか空調設備とか浄化槽とかいろいろなことが考えられますが、そのことが結果として、当初考えていた事業計画に対して資金計画面でちょっとかかり過ぎてしまうとか、そういうことがネックになるようなケースもあるんだと思います。そうした面では、市町に対する指導という域は超えられないと思うんですが、よりこの規制緩和が進んだことを有効活用していただく意味で、具体的な事例をお互いに共有していくような場とか、また県のほうでじかにご指導いただく場においても、このように考えてやったほうがいいよみたいな意味での前向きな助言指導を、ぜひともこの場ではお願いしておきたいと思います。  いずれにいたしましても、市街化調整区域そのものは本来、市街化はあってはならないということは言うまでもないのですが、当該地域が集落形成や小さな拠点事業や、いろいろな具体的な動きの中でその地域をよみがえらせていくという方針が市町にあるならば、この基準はしっかりと生きていくと思いますので、引き続きの助言指導をお願い申し上げまして、最後の質問に入らせていただきます。  鹿沼市新産業団地の整備促進について伺います。鹿沼市新産業団地につきましては、令和元年8月に鹿沼市が産業団地開発の整備に関する要望書を県に提出し、同年9月には基礎調査地区に決定し、企業局が担当することとなりました。産業団地開発の基本方針にもあるとおり、地域経済の核となるような成長性に富んだ優良企業の立地促進は地域促進に不可欠であるため、その受け皿となる鹿沼新産業団地の整備促進を図ることが緊要だと思っています。  そこで、鹿沼新産業団地の整備促進に向けて、新年度のスケジュールも踏まえた整備方針について、産業労働観光部長に伺います。 ○金子裕 副議長 小竹欣男産業労働観光部長。    (小竹欣男産業労働観光部長登壇) ◎小竹欣男 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。鹿沼市の産業団地につきましては、昨年9月に基礎調査地区として決定し、現在、調査主体の企業局が事業採算確保の見通し等、基本的事項について調査を進めております。また、鹿沼市におきましても役割を分担し、地権者同意の取りまとめ等、地元調整を行っているところでございます。当該事業候補地は、既存の鹿沼工業団地に隣接しますとともに、鹿沼インターチェンジに近接し、首都圏等への接続も容易でありますことから、交通利便性にすぐれ、企業の進出先として高いポテンシャルを有しておりますので、新年度、基礎調査が終わり次第、速やかに事業採択の手続へと進められるよう、関係部局と緊密に連携し取り組んでまいりたいと考えております。  今後とも、鹿沼市を初め、開発に意欲的な市町と連携・協力しながら、スピード感を持って産業団地の整備に努めてまいります。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) 産業労働観光部長からは、現在の進みぐあいについてということと、県と市の役割分担などについても細かく答弁いただきました。  先ほど質問の中で、基礎調査等については企業局が担当していると私も述べましたが、ここで企業局長に再質問させていただきます。鹿沼市の新産業団地、先ほどスピード感を持って事業採択に向けてと産業労働観光部長も答弁されたのですが、仮に事業採択された場合、スピード感を持って事業を実施してほしいというのは私も同感でありますが、企業局の新年度予算での対応についてはどのようにお考えになっているのか、企業局長に伺います。 ○金子裕 副議長 矢野哲也企業局長。 ◎矢野哲也 企業局長 再質問にお答えいたします。現在基礎調査を実施しております鹿沼市の産業団地候補地に係る新年度予算での対応といたしましては、用地取得費や物件補償費に加えまして、実施設計等の委託費につきまして、あらかじめ所要額を計上しております。当該候補地が事業実施地区に決定された際には速やかに事業着手ができますよう、鋭意取り組んでまいります。 ○金子裕 副議長 松井正一議員。    (25番 松井正一議員登壇) ◆25番(松井正一議員) わかりました。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。議会の中で予算案が提示されましたし、同僚の議員によりまして委員会などでも確認していただく機会もまだありますから、これ以上は触れないでおきたいと思っています。  いずれにしましても、当該地域は鹿沼市にとってもいろいろな課題がありました。かつて都市計画道路を抜く際に、有料道路方式というものを使いまして、現在さつきロードとして具体的に道路整備が進められました。30年間の償還ということを前提に料金徴収で道路をつくっているわけで、この料金徴収の期限は、あと残り6年ぐらいで満了期限が来るとも伺っております。その前段として、その道路を宇都宮市と鹿沼市が連携しながら県のお力をおかりして抜いてきたということになりますが、その沿線の具体的な土地利用については課題であっただけに、先ほど産業労働観光部長のご答弁でもありましたように、現在の既存の鹿沼工業団地の隣接にあるということや道路事情、または鹿沼インターチェンジに近接しているということからも、非常に高いポテンシャルがあるという、私も全くそのとおりだと思っています。ぜひともこれからの進捗に当たっては、鹿沼市としっかり連携をとっていただきながら、スピード感を持ってお進めいただきたい、そのことを強くお願いしておきたいと思います。  以上で私の通告した質問は全てということとなりました。今回の質問テーマは、冒頭にも申し上げましたが、自然環境保全と防災・減災対策、土地利用の今後のあり方についてということでありました。昨年後半に発生しました台風第19号災害はとても甚大な被害でありましたし、この災害対策を通じて、気候変動が著しい中、新たな危機感を私は覚えております。この対策も次期プランなどでもどのように行っていくか、そんなことも求めるべきかと考えております。  加えてでありますが、栃木県が首都圏の水源であるということなども含めますと、水源地域の環境保全を通じて、治水能力をどう保持していくかということも重要ではないかと思っています。今回の質問の中では、その具体的な事例を述べるとともに、それらを阻害するようなメガソーラー計画には断固反対だと私も申し上げておきたいと思っているところであります。こういった課題をこれからもしっかりと考えながら進めていくということでありますが、栃木県は栃木県の役割を、栃木県の内外を含めて考えていくことになるんだと思っています。したがいまして、この質問を通じて、また私なりに調査研究を深めながら、今後の県勢発展のために、引き続き提言ができますよう努力していきたいと思っているところであります。  以上をもちまして、全ての私の質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。 ○金子裕 副議長 この際、休憩したいと思います。午後1時15分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後0時13分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は49名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午後1時15分 開議 ○金子裕 副議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 皆さん、こんにちは。とちぎ自民党議員会の西川鎭央でございます。昨年4月に初当選した1期目の議員の中で最後の質問者でございます。10カ月間考え、熟成した実りのある質問をできるよう尽くしてまいります。知事を初め執行部の皆様におかれましては、誠実かつわかりやすいご答弁のほどよろしくお願い申し上げます。  それでは、早速質問に入ります。初めに、指定廃棄物の処理について、環境森林部長にお伺いします。福島第一原子力発電所事故から間もなく9年を迎えます。この間、関係各位の解決に向けた努力には敬意を表したいと思います。しかしながら、まだ県内160カ所に保管されている約1万4,000トンの指定廃棄物の処理については、指定廃棄物の長期管理施設を県内に新たに整備して1カ所に集約し、安定的に長期保管するという国の方針に基づき、塩谷町が詳細調査の候補地に選定されたという状況から変わっておらず、見通しが立たない状態が続いております。本県と同様に長期管理施設の整備を求められた4県のうち、群馬県と茨城県は、1カ所に集約するのではなく分散保管を継続して段階的に処理することで県内の市町が合意し、長期管理施設は整備しない方針と伺っています。もちろん廃棄物の量や濃度などが本県とは大きく異なり、単純な比較はできませんが、地域住民の不安や現在の膠着状況を鑑みれば、あらゆる可能性を検討し、何とか打開策を見出したいというのが私の考えであります。  本県の場合、公共施設のみならず、農家個人の敷地に指定廃棄物が長期間にわたって保管されており、農家の皆様は相当な不安と負担を感じているところであります。また、さきの台風第19号など近年大規模な自然災害が頻発する状況を見れば、このままの状態で指定廃棄物の保管を継続することは、飛散、流出などの大きなリスクにもなり得ます。そのような中、農家に一時保管されている指定廃棄物約3,000トンについては、国が提案した市町単位での暫定集約に市町が合意し、昨年7月には暫定集約を進めるための放射能濃度の再測定に係る実施方針が示されました。保管農家の負担軽減に向けた取り組みがようやく見えてきました。指定廃棄物の処理責任は国にあることは承知しておりますが、長期に及ぶ保管農家の負担や自然災害のリスクを考えれば、既に合意を得ている市町単位での暫定集約を一日も早く実施するべきであり、それが地域住民の不安を解き、現在の膠着状況から脱出するための第一歩となると考えております。  そこで、農家が保管する指定廃棄物を対象とした放射能濃度の再測定の進捗と結果公表の時期並びに暫定集約に向けた検討状況について、環境森林部長に伺います。 ○金子裕 副議長 鈴木峰雄環境森林部長。    (鈴木峰雄環境森林部長登壇) ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまの西川議員のご質問にお答えいたします。現在国では、県内123名の全保管農家を対象に放射能濃度の再測定を実施しており、当初の予定どおり、年度内には結果を取りまとめて公表できる見込みとなっております。環境省が平成28年に実施した再測定の結果においても、放射能濃度は減衰傾向が見られるなど科学的には濃度が低下することから、今回も指定申請時の数値とは一定程度異なってくることが予想されるため、公表に当たりましては、関係市町はもとより、保管農家の皆様に対しても正確な情報を丁寧に説明するよう国に求めてまいります。また県では、今回の調査と並行して、国も交え関係6市町とのワーキンググループを3回開催し、農家保管の指定廃棄物について、暫定集約の場所の選定方法や今後の集約の進め方などについて議論を重ねているところでございます。  今後は再測定の結果を踏まえ、各市町の実情に応じた暫定集約が速やかに実施できるよう、国と市町の間に入り、保管農家の負担軽減の早期実現に向け、しっかりと調整してまいります。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) セシウム134は2年で半減期、137は30年で半減期となっており、セシウム134と137が1対1の割合で放出されたとすると、1キログラム当たり8,000ベクレルを超える指定廃棄物は、平成28年の調査時点の推計値7,373トンをさらに下回る量になっていると予測されます。廃棄物処理法に定められているとおり、指定廃棄物は国の責任において処理するべきものでありますが、現地の皆さんの意見をよく聞き、実情に合わせた対応が行われますよう、県が積極的に関与していくことを強く要望し、次の質問に入ります。  広域連携行政の推進について、総合政策部長に伺います。本県は豊かな自然に恵まれ、産業や教育、医療などの面で県全体としては発展していると思います。しかし、道路や上下水道、公共交通機関などの社会基盤や地域の雇用を創出するための産業基盤、医療や介護サービスの提供、教育の質やスポーツ施設の整備などさまざまな面で地域によって格差が生じているのも事実でございます。一方で、人口減少・少子高齢化が進行し、人的資源も限られる中、全ての自治体が同規模の社会基盤を有し、同程度の行政サービスを提供することは難しく、今後、自治体間の連携がますます重要になってくると考えております。  こうした中、国の第32次地方制度調査会では、人口減少が深刻化し、高齢者人口がピークを迎える2040年ごろから逆算し、複数の自治体で構成する圏域単位によるまちづくりを促進するための法整備も視野に入れた審議を行っております。昨年7月にまとめられた中間報告では、基礎自治体の人口減少はさらに加速、地方圏だけでなく、県庁所在地や三大都市圏も含め全国的に進行して、基礎自治体による行政サービス提供の持続可能性にも影響を及ぼすとしております。また、行政サービスの提供に必要な経営資源をどのように確保していくのか、地域の枠を超えて、長期的な視点で必要な対応を選択すること、地域の枠を超えた連携が重要であるとされております。  既に本県では定住自立圏の形成が一部で行われ、医療や産業振興の分野での市町間の役割分担による生活機能の強化や地域公共交通などの分野でネットワークの強化の取り組みが進んでおります。国では、今後議論を本格化させ、ことしの夏までに答申をまとめるとしております。私は、答申を待つことなく県内の基礎自治体がさらなる地域連携を図り、行政サービスの維持に向け努力していくことが必要と考えますが、今後どのように対応していくのか、総合政策部長に伺います。 ○金子裕 副議長 阿久澤真理総合政策部長。    (阿久澤真理総合政策部長登壇) ◎阿久澤真理 総合政策部長 ただいまの御質問にお答えいたします。人口減少や少子高齢化が深刻化する中、福祉、衛生、消防防災等の行政サービスについて、市町の単独での提供が困難になることが危惧されています。このため県では、これまで定住自立圏の形成を促進するなど市町の広域連携の取り組みを支援してまいりましたが、これらの取り組みは、市町が地域の実情を勘案し、自主的、主体的な判断により行われることが基本と考えております。現在、国の地方制度調査会では、ことしの夏の最終的な答申に向けて、圏域における地方公共団体の協力関係等について議論を深めております。  県といたしましては、今後の調査会の議論を注視するとともに、引き続き市町の広域連携の取り組みを支援し、行政サービスの維持に支障が生じることがないよう努めてまいります。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 総合政策部長に再質問いたします。私たちの生活に欠かせない水道事業について、国は昨年1月、市町村の区域を越えて水道広域化推進プランを策定するよう各都道府県に求める総務省通知を発出しました。それに対する県のこれまでの取り組みと今後の対応について、総合政策部長に伺います。 ○金子裕 副議長 阿久澤真理総合政策部長。 ◎阿久澤真理 総合政策部長 再質問にお答えいたします。水道広域化推進プランの策定につきましては、これまで県と市町で組織する検討会におきまして、記載すべき事項、県と市町の役割分担などを検討してまいりました。県といたしましては、これらの結果を踏まえ、広域化のパターンごとのシミュレーションなどを行いながら、来年度から3カ年かけて、各市町の水道広域化を促進するためのプランを策定してまいります。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 住民の活動範囲が市町の区域を越えて広がる中、より効率的に行政サービスを提供できる分野がまだまだほかにもあると思います。これまで以上に積極的な取り組みをお願いしたいと思います。  少し連携のスケールは異なりますが、関西の府県と政令指定都市により構成された特別地方公共団体関西広域連合がございます。府県よりも広域的な行政体が担うべき課題に対応するため、防災、観光、産業、医療、福祉、環境などの分野で連携し、事業に取り組んでおります。私が将来に期待するイメージは、この規模、このレベルまでは行かないまでも、市町が課題を共有し連携する姿であります。行政サービスのみでなく、限られたインフラの有効活用や公共交通のネットワーク化、地域連携による災害復旧拠点などの分野でも連携が進んでいくことを期待して、次の質問に移ります。  避難所のあり方について、県民生活部長にお伺いします。今回の台風第19号では、ピーク時で、県内の25市町の延べ384カ所の避難所に約2万3,000人が避難し、最も長い方は2カ月以上を避難所で過ごしました。避難所は、住まいを失い、地域での生活を失った被災者の生活のよりどころであり、できるだけ避難者の不安を抑え、安心して過ごすことができる避難所のあり方が求められているところであります。しかし、実際には仕切りがなく、プライバシーが確保されない空間、寒さの中を毛布1枚で過ごす避難者、トイレを心配して余り水分をとらない避難者など、これまでと同じような光景。過ごしにくい、どちらかといえば劣悪とも言える環境が数多く報道されました。  本県では、政府のプッシュ型支援により、段ボールベッドや枕、布団類などが避難所に提供されましたが、その数は十分とは言えず、一部の避難所への配布にとどまりました。また、今回の災害では、避難所周辺の浸水や土砂崩れのおそれなどの理由から、県内でも佐野市や鹿沼市などで再避難がありました。そのほかにも、ペットの受け入れや、ひとり暮らしの高齢者や障害者などの要援護者の移動支援、十分なトイレの確保や非常用電源の確保など避難所をめぐる課題は多様なものがあります。災害時に避難所への移動をちゅうちょして自宅にとどまり、その結果、被災してしまうケースも多々あります。私は、避難所の快適性や安全性というものが住民の避難を左右する一因になっていると思います。今回被災した県内の市町では、指定避難所の数や場所について点検、見直しを行う意向と伺っていますが、この際、本県においても避難所のあり方について、快適性や過ごしやすさという観点も含め検討してはどうかと考えます。  そこで、市町が行う避難所の点検、見直しをどのように支援していくのか、県民生活部長に伺います。 ○金子裕 副議長 石﨑金市県民生活部長。    (石﨑金市県民生活部長登壇) ◎石﨑金市 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、避難された方々が良好な環境のもとで避難所生活を送れるよう、国が示した避難所の環境確保に関する指針等に基づき、必要な物資の備蓄と運営体制の整備を図るよう市町に助言してまいりました。しかし、今回の災害では、一部の避難所において、プライバシーの確保やバリアフリーの対応などに課題があったほか、毛布や段ボールベッド等、国や県から送られた支援物資が避難所において十分に活用されていないといった事例が見られました。そこで県では、市町に、住民のニーズに沿った避難所運営マニュアル及び物流マニュアルの作成、あるいは見直しを強く働きかけていくとともに、快適性や安全性を重視した避難所運営の研修などにも一層力を入れてまいります。  今後とも、県民が安心して避難できる避難所の確保とその質の向上に向けて、適宜適切に助言や人材育成を行うなど、市町を支援してまいります。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 先日、共同通信社が行った全国アンケートによると、県内では全市町、全国では市区町村の95%の避難所について「改善が必要」との認識を持っているとのことです。県内外の優良事例を収集、分析して、本県においても市町と連携し、過ごしやすい避難所、そして避難しやすい避難所を目指していただきたいと思います。  県民生活部長に再質問いたします。避難所では高齢者、子供や女性、乳幼児などいろいろな方が過ごします。以前から言われていることですが、女性や子育て家庭に配慮した避難所運営がなされていないとの指摘が、今回の台風第19号でもありました。国では、新たに検討会を発足させ、女性や子育て家庭の視点も踏まえた課題を検証し、現行の男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針を改定するとしています。  避難所のあり方を考える上では、女性目線という視点も必要と思いますが、県民生活部長の所見を伺います。 ○金子裕 副議長 石﨑金市県民生活部長。 ◎石﨑金市 県民生活部長 再質問にお答えいたします。避難所に避難された方々が安心して避難所生活を送れるようにするためには、男女共同参画の視点というものは重要であり、それに立った避難所の開設と運営が重要であると考えております。このため県では、女性特有のニーズに配慮した避難所のレイアウトの例示や備えておくべき物資、女性が参画した避難所の運営、そういったことについて詳しく記載しました防災ハンドブックを作成しますとともに、このハンドブックを活用した避難所運営体験研修を平成30年から男女共同参画センターで実施しているところです。現在国では、平成25年に策定しました男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針の見直し作業を進めておりますので、今後はその結果を防災ハンドブックや体験研修等に反映していきますとともに、市町が避難所運営マニュアルの作成、見直しを行う際には、この指針を十分に反映して改定するように働きかけてまいりたいと考えております。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 平成29年に発生した熊本地震では、地域住民の手によるべき避難所の運営が行政職員頼りとなってしまい、本来中枢で災害対応に当たるべき人材が不足し、災害対応に支障を来したとも言われました。県が年1回行っている大規模な防災訓練も大切ですが、小規模な地域レベルでの訓練を行うことで、より関係者の意識も高まり、関係も強固なものになっていくと思います。こうした訓練が地域レベルでも数多く実施できるような支援をお願いいたします。また、避難所は指揮系統がしっかりしていないと運営に支障が生じて、過ごしやすい避難所とはなりません。避難所運営に中心的な役割を担う人材の育成も重要になります。県にはそういったところにも配慮していただくよう要望し、次の質問に入ります。  県内水産業の振興について、農政部長にお伺いします。本県は豊かな漁業資源を有する河川や湖沼に恵まれ、県内外からたくさんの釣り人が訪れるなど、全国屈指の内水面漁場となっております。また、豊富な地下水や河川水を利用した養殖漁業も県内各地で営まれ、地域の特色ある食材として提供されております。中でもアユの漁獲量や収穫量は全国でも上位に位置しており、本県水産業を支える魚種であるとともに、栃木が全国に誇る重要な観光資源であると考えております。しかしながら、県内河川のアユの漁獲量は近年減少傾向にあり、冷水病やカワウによる捕食などがその原因の一つと考えられております。特に放流アユに頼っている鬼怒川については、毎年釣り客が見られない場所さえある状況です。放流したアユの多くが冷水病で死んでしまったり、生き残ったアユもカワウに食べられてしまう、そんな状況が釣り券を買っている釣り人を長い間悩ませ続けてきました。
     こうした中、県水産試験場では、冷水病に対して有効な魚病被害軽減技術の確立に向けて取り組んでいますが、養殖所での治療技術は確立できてきましたが、河川においてはなかなか有効な手段が見出せない状況と伺っています。また、種アユの研究については、水産試験場で人工的に交配したアユよりも、天然河川で捕獲した稚アユのほうが冷水病に強いとの研究報告があります。一方で、天然河川のアユは人工的に交配させたアユよりも成長がやや遅く、解禁当初のアユ釣りシーズン初期には釣れにくいため、釣り人や漁業関係者に受け入れられにくく、なかなか解決策が見つからないと聞いております。そんな中、アユの冷水病対策として効果的な耐病性付与のための加温技術が開発されつつあると伺っており、大いに期待しているところであります。  いずれにしても、このようなアユの減少に伴って釣り人が減少していけば、結果として、漁業関係者や漁業組合の活気も失われてしまいます。鬼怒川漁業協同組合の状況を見ましても、遊漁料収入が減少し、また福島第一原子力発電所事故に伴う漁業補償の終了などもあって、組合の収支は厳しくなりつつあると思います。このままでは県内の魅力的な釣り場や漁場の維持にも影響が及ぶものと懸念しております。釣り人口が減っているとは言っても、全国的に見ればアユ釣り人口はまだまだ多く、東京からほど近い栃木県でアユが釣れるということは大きなセールスポイントであると思います。  そこで、貴重な観光資源であるアユをどのように再生させ守っていくのか、また、鬼怒川を初めとする漁場のにぎわいをどのように取り戻していくのか、農政部長にお伺いします。 ○金子裕 副議長 鈴木正人農政部長。    (鈴木正人農政部長登壇) ◎鈴木正人 農政部長 ただいまのご質問にお答えします。本県の貴重な観光資源であるアユを守っていくためには、ご質問にありましたように、近年被害が深刻化している冷水病への対策が重要であります。このため釣り人に対して、防疫対策の基本である道具の消毒や、おとりアユの移動自粛等を引き続き強く呼びかけてまいります。また県では、栃木県漁業協同組合連合会と連携しまして、これまで放流してきた釣れやすい系統と冷水病に強い系統を交配したハイブリッドの系統を開発し、これを一昨年から放流することで釣り人から一定の評価を得ているところでありますが、今後は冷水病に強い天然河川由来の那珂川系統を活用し、さらに冷水病に強く、釣れやすいアユを開発してまいります。一方、漁場のにぎわいを取り戻すためには、水温が低く冷水病が発生しにくい時期にアユ釣りの解禁日を設定することが有効でありますので、昨シーズンには鬼怒川において5月への解禁日の前倒しを行い、多くの釣り人を呼び込むことができたと考えております。  今後とも、県内各漁業協同組合に対しまして、内水面漁業振興基金を活用したアユ釣り講座や釣り道具の貸し出しなど、釣り人の裾野拡大につながる取り組みを促しまして、県内水産業のさらなる振興を図ってまいります。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 農政部長に再質問いたします。本県のアユ復活には劇的な改革が必要と考えます。冷水病対策にはワクチン接種が有効とされていることから、栃木県もワクチンの開発に積極的にかかわっていく、または国に要望していくべきと考えますが、農政部長の見解を伺います。 ○金子裕 副議長 鈴木正人農政部長。 ◎鈴木正人 農政部長 再質問にお答えいたします。冷水病のワクチンにつきましては、県の水産試験場におきまして、平成13年から平成14年にかけまして開発試験を行いました。冷水病の原因となる病原菌に多くのタイプがあるということで、財源に限りのある県レベルでは効果的なワクチンの作成ができず断念した経過がございます。このようなことから、国に対して開発を要望してきたところでありまして、国においては開発試験に取り組んでいると聞いております。  引き続き、早期に開発、そして販売がされるよう、機会を見つけて、機会あるごとに国に対して要望してまいりたいと考えております。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) もう1点、農政部長に再質問いたします。カワウ対策については、漁業協同組合において、追い払いや駆除などさまざまな対策を試みておりますが、河川への飛来は余り変わらない状況と聞いております。  そこで、カワウ対策を今後どう進めていくのかお伺いします。 ○金子裕 副議長 鈴木正人農政部長。 ◎鈴木正人 農政部長 再質問にお答えいたします。今、議員からのご質問にありましたように、漁業協同組合が行います追い払い、それから捕獲に対して支援しているところでありまして、やはりカワウ対策は県境がありませんので、広範囲で対応する必要があるということで1都10県で構成します関東カワウ広域協議会、この各都県と連携しまして一斉追い払いを行うなど、引き続き対策を行ってまいりたいと考えております。また、最近ですと鬼怒川漁業協同組合がドローンを使いまして、新たなことをいろいろとやられているということで、例えばドローンに小さいスピーカーをつけて、それで追い払いをするとか、また、卵のある巣にドローンで上からドライアイスを落としてふ化を抑制するとか、またはねぐらがある木にビニールひもを張ってカワウの飛来を防止するとか、そういったことで成果を上げていると聞いております。国では、このような成果をまとめたマニュアルをつくっておりますので、そのマニュアルを活用しまして、ほかの漁業協同組合の取り組みにもつなげていきたいと考えてございます。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) さらなる積極的な対応をお願いしたいと思います。以前、釣り客の増加対策で県内共通遊漁年券の導入の検討がありましたが、漁業協同組合間の調整がつかず進まなかったと聞いております。また、他県では禁漁期間にキャッチ・アンド・リリースの特例区間を設けて収益を上げ、その果実をアユの冷水病対策に活用している例もあります。県内外に鬼怒川のアユを楽しみにしている方が今もたくさんおります。アユの復活に向けてあらゆる努力をお願いし、次の質問に入ります。  公共交通の充実に向けた取り組みについて、県土整備部長にお伺いします。本県は全国有数の車社会で、自動車への依存度が高い反面、バスを初めとする公共交通機関の利用者が年々減少しており、公共交通の衰退が懸念されております。人口減少、高齢化のさらなる進行、運転免許証の返納者の増加等により、日常の移動を制約される交通弱者がさらに増加することが見込まれる中、地域から交通手段が失われてしまうと、若者が流出して人口はさらに減少、そして高齢化が進んだ地域のまちづくりにも大きな影響を及ぼします。  そのため、医療機関や商業施設などをつなぐような市町をまたぐ広域交通の充実や、電車やバスがほとんどなく、デマンド交通も充実していないなど、日常生活を支える公共交通サービスが行き届かない地域、いわゆる公共交通空白地域の解消がますます重要になります。こうした中、昨年10月には、県南の1市2町による広域連携バスの運行が始まりました。また、今月からは、町内の約5割の地域が公共交通空白地域とされる塩谷町で、デマンド交通の運行が試験的に始まりました。さくら市では温泉バスが走っておりますが、民間のバスと競合する路線上では途中下車ができません。高根沢町では、デマンド交通を早い時期に導入し、その機動力と低価格が知られています。しかし、いずれの制度も地域の全部をカバーできるものではありませんし、その運営費用のほとんどは、市町の予算によって賄われているなどの課題もあります。  私は、本県の公共交通の目指す姿として、地域の特性や需要に応じた交通手段を多様な形で構成していくことが極めて重要であると考えますが、県内の公共交通の充実に向けた取り組みを今後どのように進めていくのか、県土整備部長にお伺いします。 ○金子裕 副議長 熊倉一臣県土整備部長。    (熊倉一臣県土整備部長登壇) ◎熊倉一臣 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。人口減少・超高齢社会におきましても、将来にわたり豊かで活力ある社会を実現していくために、公共交通の果たす役割は大きく、その確保・充実のためには、何よりも国、県、市町及び交通事業者との連携が重要であります。そのため県では、これら関係者間の合意形成の場であります地域公共交通会議等を通じまして、各地域の公共交通のあり方等を定めた地域公共交通網形成計画の策定を支援することに加え、その計画の実現に向けた技術的な助言、さらには財政的な支援を行ってまいりました。さらに、地域の実情に応じたさまざまな取り組みが進められますよう、地域共助型生活交通導入ガイドラインや、とちぎ公共交通広域ネットワークガイドラインを策定したところであります。  今後とも、これらのガイドラインも活用しながら、公共交通の確保・充実に向けまして、関係者と連携し、積極的に取り組んでまいります。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 県土整備部長に再質問いたします。例えばさくら市喜連川地区では幹線道路はバスが走っていますが、ニーズがあるのは幹線道路から少し奥に入った住宅地や農村地域に住む方々です。また、塩谷町はデマンドタクシー1台でカバー率が100%になっています。公共交通のカバー地域内であるということで、カバー率の数字は上昇いたしますが、実際には不便な地域があると思うのですが、その点についてどのようにお考えになっているか、県土整備部長にお伺いします。 ○金子裕 副議長 熊倉一臣県土整備部長。 ◎熊倉一臣 県土整備部長 再質問にお答えいたします。ご指摘のございましたデマンド交通等新たな公共交通の導入に際しましては、いわゆるバスやタクシー等の既存の公共交通事業者との役割分担と、その合意形成がまず必要となります。このため、地域ごとのさまざまな課題に対応いたしました公共交通の運行ができますよう、先ほどの答弁でも申し述べましたが、関係者の合意形成の場でございます地域公共交通会議でさまざまな議論を進め、県もこの議論に参加し、その調整を進めているところです。一方で、合意形成に向けてはさまざまな課題があることも承知しておりますが、今後とも交通事業者の方々のご意見、お声をよくお聞きするほか、各市町とも緊密に連携しながら公共交通の確保・充実に向け、さらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 高齢者の皆さんが、たとえ免許を返納しても安心して暮らせる社会、そして公共交通が充実していない地域でも、お年寄りが買い物や通院ができ、子供が通学できる社会を実現するため、あらゆる交通手段を検討していくことを要望し、次の質問に入ります。  災害に強い県土づくりに関する3つの項目について、県土整備部長にお伺いいたします。まず、予防伐採の取り組みについてお伺いします。昨年は、今までに経験したことのないという言葉が何度も聞かれました。9月の台風第15号では、千葉県において山林や道路脇の樹木が倒れて電線が切断され、また道路も塞がれて、電気の復旧に約3週間もかかりました。そして、関東や東北を襲った10月の台風第19号では、多くの河川があふれ、たくさんの家屋が浸水するなど栃木県内でも甚大な被害が発生したほか、倒木により道路が通行どめとなりました。近年の気候変動により災害の頻発化、激甚化がますます顕著となり、災害リスクも増大する中、これまでにも増して災害に強い県土づくりを推進していくべきと考えております。これからも大きな災害は来るものと想定し、過去の災害から得られた教訓や効果のあった取り組みを生かした対策をとっていくことが重要であります。  静岡県では、台風第15号や第19号での被害を受け、倒木による電線などのライフラインの被害を未然に防止するため、電線の近くの木を計画的に伐採する、いわゆる予防伐採を県管理道路において試験的に実施し、災害時の停電リスクの削減や早期の道路復旧へとつなげる取り組みを行っております。予防伐採は、より低コストで災害時の停電リスクを抑えることができる先進的な事例であると私は評価しております。  そこで、本県においても、樹木の予防伐採に取り組み、災害時の被害拡大防止につなげてはどうかと考えますが、県土整備部長の所見を伺います。 ○金子裕 副議長 熊倉一臣県土整備部長。    (熊倉一臣県土整備部長登壇) ◎熊倉一臣 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。台風第19号の際には、本県でも宇都宮市や鹿沼市などにおきまして、道路沿線の倒木等により電線の損傷による停電、さらには通行障害が発生いたしたところでございます。このような状況下、昨年12月には電線管理者などから予防伐採や被害情報の共有、さらには被災後の復旧に向けた支援などにつきまして、これまで以上に県との連携を強化したい旨、要望いただいたところでございます。このうち、県管理道路におけます予防伐採につきましては、本年1月から電線管理者と個別協議を開始したところであります。今後、役割分担や優先区間の選定などにつきまして調整を進めてまいります。  倒木による被害を未然に防止し、災害時におきます円滑な物資等の輸送経路を確保するため、関係機関と緊密に連携を図りながら、予防伐採の取り組みを含めまして積極的に推進してまいります。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 最近の台風で電柱や電線が被害を受けていることから、無電柱化への関心が高まっていると聞いております。県でも推進計画を策定して無電柱化に取り組んでいると思いますが、どうしてもコストのかかる取り組みであります。予防伐採は低コストで行うことができ、効果も速やかにあらわれる取り組みだと思いますので、前向きに取り組んでいただきたいと考えております。  1点、再質問いたします。台風第15号や第19号の被害を受けて設置された国の大規模災害時の停電対策に関するワーキンググループでも、電線沿いの樹木の計画的な伐採を進める必要性について指摘しております。千葉県では、山間地での倒木が相次ぎました。本県では、森林面積が約35万ヘクタール、県土の約54%が森林となっており、千葉県のように台風が直撃すれば、特に山間地では大きな被害が出ることも懸念されます。  そこで、山間地における予防伐採にも県として取り組んでいくべきと考えますが、環境森林部長の所見を伺います。 ○金子裕 副議長 鈴木峰雄環境森林部長。 ◎鈴木峰雄 環境森林部長 再質問にお答えいたします。国におきまして、新年度、道路、鉄道、それから送電線などの重要インフラ施設の周辺につきまして森林整備事業を支援することによって、倒木による被害を予防する仕組みが新たにできたと聞いております。県といたしましても、この国の動きに呼応しながら、市町あるいは森林組合等の林業事業体、インフラ施設の管理者、それから森林所有者と連携協議しながら、危険箇所を抽出し、この予防伐採に向けた取り組みを検討してまいりたいと考えております。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) ぜひとも前向きに取り組んでいただきたいと思います。また、市町における取り組みも重要であります。災害対策基本法では、市町の責務として、住民の生命、身体及び財産を災害から保護するための取り組みを実施しなければならないとされております。一方、県の責務についても、この区域内の市町村が処理する防災に関する業務の実施を助けなければならないとしております。他県においては、予防伐採について予算を確保し、市町を支援している事例もあります。こうした部分についても、本県としても積極的に検討していくことを強く要望し、次の質問に入ります。  河川の治水対策について、県土整備部長にお伺いいたします。昨年の台風第19号では、県内において多くの河川が越水の被害を受けました。芳賀地区や二宮地区の五行川流域では、川沿いに設けられた遊水地群が洪水調節効果を発揮して、水位が上昇した五行川の水の受け皿となり、氾濫を防ぐことができました。その結果、流域の芳賀町や真岡市では目立った浸水被害はなかったと伺っております。今後の河川の治水対策に当たっては、こうした遊水地や水田などを活用し、ピークカットの考え方に立って、逆らわずにいなす力を高めていく必要があると考えております。これからは河川という線だけではなく、遊水地などの面も活用した治水対策が重要になってくると思いますが、県ではどのように取り組んでいくのか、県土整備部長にお伺いします。 ○金子裕 副議長 熊倉一臣県土整備部長。    (熊倉一臣県土整備部長登壇) ◎熊倉一臣 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。河川整備には、河道を拡幅する、いわゆる広げる、ダム・遊水地等のためる、それから放水路等の迂回する等の手法がございまして、これまでも各河川の状況や条件等を勘案いたしまして、最も効果的な手法を選択し、またはこれらを組み合わせまして整備を行っているところでございます。本県の河川は、鬼怒川など直轄河川に全て流入しておりますので、河川の上下流バランスの関係から、下流への受け渡し流量に制限を受けます。このため河道拡幅等によります整備が困難な場合には、ご指摘のとおり、遊水地は有効な整備手法と認識しております。一方、遊水地などの整備には広大な用地を必要とするなど課題もございますことから、沿川の土地利用状況や費用対効果等を勘案しながら、いわゆる田んぼダム等を含めまして、幅広く検討してまいりたいと考えております。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) 近年、自然環境が持つ機能をさまざまな課題解決に活用するグリーンインフラの考え方が用いられ始めております。台風第19号では、同じ五行川流域で、水田の排水口に排水量を抑える装置を設けて、田んぼに降った雨水を一時的に水田にとどめ、排水の時期をおくらせることで、河川や用水の流量を抑制し水害を軽減させる、いわゆる田んぼダムが氾濫防止に寄与したと聞いております。遊水地や田んぼダムもグリーンインフラの一つであります。昨年7月には、国がグリーンインフラ推進戦略を策定し、グリーンインフラの活用を推進していく方針を示しました。河川の整備計画を見直して新たに遊水地を設けることはもちろんですが、田んぼダムを圃場整備事業の実施に合わせて導入するやり方もあると思います。関係部局が協力し、さまざまな手法を検討して水害対策に取り組まれるよう要望し、次の質問に入ります。  最後に、荒川の河川整備についてお伺いします。昨年の台風第19号では、県内の多くの河川で堤防が被害を受けました。私の地元さくら市喜連川地区でも、増水した荒川の濁流が連城橋に当たり、また護岸が一部削られ、水位があと10センチほどで堤防を越えそうな勢いでありました。今回は県の管理者の皆さんが尽力し、何とか洪水を防ぐことができましたが、もし上流で雨が降り続き、ダムが緊急放流を行っていたら、濁流が市街地をのみ込んでいた可能性もありました。周辺の住民には、市の災害情報アラームをスマートフォンに配信しておりましたが、独居老人や体の不自由な方など、要支援者でまだ避難が完了していない方もいたと聞いております。今回は何とか関係者の努力と協力で乗り切れましたが、毎年、大雨のたびに不安な生活を強いられている周辺住民の皆様の気持ちも考えなければなりません。荒川の連城橋付近においては橋梁部分の川幅が狭くなっており、堤防幅が不足している区間もあるなど課題があります。県の計画上、流下能力が確保されているとしても、昨今の気候変動を鑑みれば、これから頻発すると予想される豪雨に対し対策を講じていく必要があると考えております。  そこで、河川幅が狭まり増水時の弱点となっている荒川の連城橋付近については、大胆に川幅を拡幅する等の取り組みを進めるべきと考えますが、県土整備部長の所見を伺います。 ○金子裕 副議長 熊倉一臣県土整備部長。    (熊倉一臣県土整備部長登壇) ◎熊倉一臣 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。荒川の連城橋付近は、上下流と比べて川幅が狭くなっており、台風第19号の際には橋脚に流木がひっかかるなどして、溢水は免れたものの周辺の護岸が被災いたしました。今回の災害では、県内多数の箇所におきまして、橋梁の上流部や河川の屈曲部が構造上の弱点となったことを確認しており、連城橋付近につきましても、これまでの整備で計画流量が確保されているものの、計画を上回る出水に対しても一定の対策が必要と考えております。  このため、次期出水期に備えまして、堆積土除去を最優先で行いますほか、上流の西荒川ダム、東荒川ダムにおきまして、今後、利水者と協議を進めることにより、洪水調節機能を高める事前放流が実施できるよう調整してまいります。また、連城橋付近におけます整備のあり方につきましても、今後さくら市の意見も伺いながら検討してまいります。 ○金子裕 副議長 西川鎭央議員。    (15番 西川鎭央議員登壇) ◆15番(西川鎭央議員) ぜひ原因の根本的な解決に向けて努力をお願いしたいと思います。気候変動により、大きな災害は毎年のように各地で発生しております。今までの常識にとらわれず、人命を第一に考え、必要な対策を積極的に実施することを強く要望いたします。  本日用意した質問は以上でありますが、その一つ一つが県民の皆さんからいただいた意見であり、長い間解決できずに悩んできた課題であります。質問の作成に当たっては、関係各位や先輩方からもさまざまなご意見やご指導をいただきました。私のモットーは、「できない理由を探すのではなくできる方法を考える」であります。  僭越ながら、執行部の皆様にも今まで以上に常識にとらわれることなく、あらゆる可能性を検討し、慎重かつ大胆に関与していただくことを改めて要望し、私の質問を終了いたします。ありがとうございました。 ○金子裕 副議長 この際、15分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。     午後2時11分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎篠﨑和男 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は50名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――     午後2時30分 開議 ○早川尚秀 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) とちぎ自民党議員会の山形修治でございます。今通常会議本会議の質問、最後の登壇者となりました。やっと回ってきたという思いもありますけれども、今回の質問では、栃木の未来を切り開くをテーマに掲げながら質問させていただきます。ぜひ知事を初め、執行部の皆様におかれましては、未来につながる希望あふれる答弁をお願いして、早速質問に入らせていただきます。  初めに、次期地方創生総合戦略について、知事にお伺いいたします。新年度とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)がスタートしますが、第1期の戦略の一つである栃木への人の環流の推進における県による総合評価を見ると、栃木への人材還流、移住・定住の促進の項目では、県による移住・定住促進策の推進に加え、市町による移住相談窓口や空き家バンクの設置、移住体験するツアーの実施などの結果として、若者や女性を初めとする本県の転出超過傾向は改善されておらず、本県の日本人の転入超過数は2019年がマイナス3,518人となっております。また、第2期においては、都道府県間人口移動数の成果指標の目標値を2024年でマイナス1,759人としておりますけれども、第1期の目標値からは後退した形となっています。国では地方における人口流出について、高水準の教育や好待遇の求人を求める若者が東京圏に吸い寄せられていると分析しています。一方で、県内における各市町の状況を見ますと、県内市町人口の社会動態は自治体間で大きな開きがあり、JR宇都宮線の停車駅がある市などに比べ、県東部、県西部においては県内の市町に人口が流出している状況であり、大きな格差が生じています。県の第2期戦略を見ても、本県の独自色のある施策がなかなか見えない中、県内の市町においてもこれまでと同様に、第2期の地方創生総合戦略を策定し、新たな人を呼び込む施策などに取り組むのでは、とちぎ創生は実現できないとも危惧しています。地方創生を成功させるためには、市町の戦略も鍵を握りますので、市町とこれまで以上に密に連携し、地域の実情に応じた取り組みをさらに支援していくことが必要であります。  そこで県では、東京圏への転出超過の要因と県内の人口動態の現状について、どのように分析し、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)にどう挑むのか、知事にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの山形議員のご質問にお答えいたします。県ではこれまで、とちぎ創生15(いちご)戦略に基づき各種施策に積極的に取り組んでまいりましたが、若者や女性の県外への流出に歯どめがかからない状況が続いており、これは東京圏に進学や就職先の選択肢が多いことが主な要因であると考えております。また、県内市町における人口の社会動態では、JR宇都宮線沿線の市町に近隣市町からの人口が流入する状況が継続していることも認識しております。そこで、とちぎ創生15(いちご)戦略(第2期)におきましては、若者や女性にとって魅力的でやりがいのある仕事を県内につくり出すため、サービス産業の振興やベンチャー企業等の成長、定着に取り組むほか、IoTやロボット等の未来技術を活用し、次世代産業の創出を図ってまいります。また、デジタルマーケティングの手法を用いて、栃木で働くこと、暮らすことの魅力を効果的に発信するとともに、地域の特色を生かした移住セミナー等を市町と共同して開催するなど、若者や女性の県内定着とUIJターンのさらなる促進につなげてまいります。  加えて、本県への新たな人の流れをつくり出すには魅力ある地域づくりが重要でありますことから、地域資源を生かした6次産業化や観光地づくりの推進、公共交通ネットワークの確保・充実など、地域の実情に応じた取り組みを積極的に進めていく考えであります。人口減少問題は県政の喫緊かつ重要課題でありますことから、第2期戦略を全庁を挙げて推進するとともに、県内のどの地域に住んでいても安心して暮らし続けることができるよう、これまで以上に市町や企業等と緊密に連携協働し、栃木の未来創生の実現に向け全力で取り組んでまいります。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 知事からは、第1期計画におけるさまざまな取り組みを行ってきたけれども、なかなか成果は達成することができなかったということで、若者の東京圏への人口流出、特に若い女性、若者が東京圏にどんどん出ていってしまっている状況があるというようなお話がありました。また、第2期戦略では、魅力ある多彩な雇用を確保するために、ベンチャー企業、サービス産業、IoTやAIなどの未来技術のお話もありました。ぜひ私は、知事からあった未来技術を活用したとちぎ創生に大きく期待しているところでもあります。  全国を見ますと、2017年から5Gの総合実証実験が行われております。本県でも1件開催されたと伺っておりますけれども、通信事業者による5Gの運用とともに、通信エリアを限定したローカル5Gの免許を自治体自体が取得して、医療や福祉を中心に活用しようとする動きもあるんです。ぜひ本県においても、未来技術を栃木の確かな力とするため、県がローカル5Gの免許を取得して、より多くの課題を有する中山間地域などに整備することをご検討願いたいと思います。未来技術の活用を促進することで、より多くの課題を有する市町の地方創生につなげていただきたいと思います。  また、とちぎ創生を実現するためには、長期的な視点を持つことも重要だと考えています。県独自の施策を次期プランに書き込むことや、新たな計画づくり、そして地方創生戦略推進本部などを立ち上げることも必要なのかもしれません。さらに県には、栃木県の地方創生、県内の一極集中を是正するということを、ぜひ強く意識していただいて、全ての市町が地方創生を実現することができるように、県の積極的な支援をお願いいたします。  次に、農村地域におけるとちぎ創生の推進について、農政部長にお伺いいたします。地域の特産品が食べられる、地元でのとれたての野菜や加工品を購入できるなど、そこならではの食や特産品を楽しめる農村レストランや農産物直売所の利用者は年々増加し、平成30年度には約1,968万人と過去最高となり、農村部には多くの人が訪れてくれています。このように農村部を訪れる都市住民の数は増加傾向にあるものの、その多くが農産物直売所の利用者で、新鮮な野菜や特産品を購入していただけるものの、農村の持つ四季折々の景観を楽しむことや、農業体験を通じた自然や農業者との触れ合いなど、農村の地域資源を生かした地域との関係性が深まるような交流には十分至っていないと考えています。  また、豊富な地域資源を有する農村部は、高齢化や人口減少に伴い、集落機能の低下や耕作放棄地の増大など多様な問題が顕在化しています。今後、農村の持つ国土や自然環境の保全などの公益的な機能や文化などを後世につなぐためには、都市住民などの地域外の人材の活用も視野に入れながら、農村にかかわる人口をふやしていくことが重要であり、これらの実現なくして、とちぎ創生の実現はないと考えています。  そこで、県では農村地域におけるとちぎ創生にどのように取り組むのか、農政部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 鈴木正人農政部長。    (鈴木正人農政部長登壇) ◎鈴木正人 農政部長 ただいまのご質問にお答えします。人口減少が著しい農村地域を活性化するためには、農村を繰り返し訪れる都市住民等のファンをふやすとともに、祭りの運営や耕作放棄地の解消などの地域活動への参画を促進しまして、将来的な移住・定住にもつなげていくことが重要であります。そのためには、まず農村の魅力を高め、来訪者をふやす必要がありますことから、地域資源を有機的に結びつけ、四季を通じて新たな発見や体験を都市住民に提供できる地域組織を県内各地に育成してまいります。さらに、農村の地域活動に、より多くの都市住民の参画を促すため、農村ならではの食や景観、地域住民からのメッセージなどを内容とします訴求力のあるデジタル広告を効果的に配信してまいります。これらの取り組みによりまして農村への関心が高まり、より深いかかわりを希望する都市住民に対しましては、人手を求める農村地域とのマッチングを進めてまいります。
     今後とも、市町と緊密に連携しながら、農村への新しい人の流れを創出し、農村地域の活力の維持向上を図ってまいります。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 農政部長から答弁いただきました。まずは、農村の魅力を高めて、地域の組織をつくって、受け入れ体制を強化していくということであります。また、デジタル広告を配信することによって、より農村ファンが活躍できるモデルづくりにもご支援いただけるということで、ぜひ期待しています。また、農政部長からあったように、まずは関係人口の創出、拡大を図る事業は大切なことだと思いますけれども、目標とするところは、将来的に移住につなげて農村の人口をふやすことでありますから、長期的な視点に立って、また継続的に、さらに新たな視点を追加しながら取り組むことが重要であると思います。  ここで再質問させていただきます。農村地域の中でも、特に中山間地域では小規模な農家が地域を支える重要な役割を担っておりますが、平場と比べて生産条件が不利なため、地域の草刈りや農薬散布などの作業には大きな労力を要しています。農村地域におけるとちぎ創生を実現するためには、関係人口の創出拡大はもとより、こうした作業の効率化、自動化を推進することで、農村の暮らしの質的向上を図ることも大変重要だと私は考えております。  そこで、農家の作業労力を軽減するため、スマート農業を取り入れるべきと考えますが、農政部長の考えをお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 鈴木正人農政部長。 ◎鈴木正人 農政部長 再質問にお答えします。高齢化が進行して、そして人口減少にもあるという中山間地域において、議員ご質問のとおり、スマート農業、ICTやロボット技術の活用というのは非常に効果があると考えております。今年度は、ラジコン草刈り機の操作実演会を県内3カ所で実施いたしました。農業者からは、機械化、機械を導入することによって草刈りが非常に楽になるという評価も得ておりますが、一方において、傾斜がきついところではうまく動かないとかいろいろと課題もあります。このため、新年度におきましては、中山間スマート農業実証重点地域を設定しまして、農業用のドローン、さらにはラジコン草刈り機などにつきまして、急傾斜地や狭い農地などへの適応性、さらには費用対効果も検証しまして、それぞれの地域に合った機械の導入に向けた提示をしてまいりたいと考えております。導入に当たりましては、条件不利地であります中山間地域に特化した県単事業の魅力ある中山間地域づくり事業、または農業者の負担なしで導入が可能となる中山間地域等直接支払交付金がありますので、こういったものの活用も促しまして、中山間地域でのスマート農業の推進に努めてまいりたいと考えてございます。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 農政部長からご答弁いただきました。今年度ラジコンを使った草刈り機、これは実証実験を行ったということで、私も伺っておりますけれども、確かに傾斜地ではなかなかローラーが回らなくて、実用化までには少し改良する必要性もあると思いますけれども、新年度、重点地域を設定してドローンや草刈り機の導入をいただける、さらには農村の負担もなくしてできるような取り組みをしっかり進めていただけるということで、ぜひお願いしたいと思います。  また1点、スマート農業の技術も発展途上にあって、いろいろあるんですが、アスパラの自動収穫機というものがあるんです。ある農家さんが導入しようとしたんですが、メーカーさんの都合でなかなか導入できない状況にあるんです。アスパラは、イチゴ、トマトに続く主力品目に位置づけられておりますし、アスパラの夏場の収穫が大変で、農家の大きな負担となっているわけです。県がこういうところにしっかりと支援して、ロボットの導入ができれば農家の負担は軽減されて、規模の拡大、そして新規参入にもつながり、本県が目指す園芸大国とちぎづくりにもつながるものと考えますので、ぜひ県の積極的な支援をお願いさせていただきます。  次に、国際戦略の推進について、知事にお伺いいたします。人口減少社会において、国内市場の縮小が懸念される中、本県経済の発展、地方の活性化を図っていくためには海外の需要を積極的に取り込んでいくことが重要であり、TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定の発効、あるいは外国人材の受け入れ拡大、訪日外国人の増加など、日本を取り巻く国際環境の大きな変化に的確に対応していくことが一層求められています。県ではこれまで、知事による海外でのトップセールスを初め、食品見本市への出展、農産物プロモーションの実施、食品バイヤーの招聘など、企業の海外展開支援や多言語案内板の設置、海外エージェントの招請など、インバウンド対策の強化を図ってきたところであります。今年度は、知事を本部長とする国際戦略推進本部を立ち上げ、これまで各部ごとに取り組んできた事業に部局横断的に取り組むことといたしております。日EU・EPAを契機とした欧州での食品見本市や、ベトナム、タイにおけるとちぎ魅力発信事業を展開し、一定の成果を得たことは評価させていただきますが、課題も多くあったと伺っております。新年度は国際戦略推進本部のもと初めての予算編成がなされ、事業を展開していくことになりますが、今年度のベトナムやタイでの事業を検証しながら、継続的に事業に取り組むことが必要でありますし、戦略性を持ってエリアを選定し、事業展開を図っていくことに大きな期待をしています。  そこで、新年度、戦略的にどのような視点を持って国際戦略を推進していくのか、知事にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。本県の国際化施策につきましては、これまで主に地理的優位性や経済成長等を勘案し、東アジアや東南アジアにおいて事業を展開してまいりました。TPP11、日EU経済連携協定が発効する中、今年度設置した国際戦略推進本部におきましては、日々変化する情勢にスピード感を持って対応することとし、昨年12月に、早川議長を初めとする県議会や県内企業、関係団体の方々とともに、ベトナム及びタイに趣き、本県が世界に誇る観光地や食などの魅力を私みずからも発信してきたところであります。  ベトナムでは、ビン筆頭副首相やダナン人民委員会のトー委員長と会談を行いまして、経済や観光分野における交流を深めていくことを確認いたしました。また、タイでは、着任直後の梨田大使から、今後の魅力発信について全面的な協力が得られることになったほか、消費者から本県観光地や農産物に高い評価をいただくなど、今後のインバウンド強化や農産物等の輸出拡大に向け意を強くしたところであります。新年度は今回の両国訪問で構築した関係をより一層確かなものとするため、現地プロモーションの実施や、バイヤー等の招聘など、東アジアや東南アジアにおいて切れ目なく事業を展開してまいります。また、東京2020大会の開催や、日米貿易協定の発効を好機と捉え、本県への宿泊者数や県産農産物の輸出額、日本酒輸出数量が多いなど、市場として有望なアメリカへの取り組みを強化することにより、インバウンドの促進や県産品等の輸出拡大につなげてまいります。  さらに、現国際化推進プランの最終年度であることから、これまでの成果や課題等について検証を行い、県議会を初めとする有識者のご意見を伺いながら、国際化推進の戦略となる新たなプランの策定を進め、世界に選ばれるとちぎづくりに全力で取り組んでまいります。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 知事から答弁いただきました。ベトナム、タイでは、より一層確かなものとするために、現地プロモーション、そしてバイヤーの招聘も行うということもありましたし、また、最終年度を迎える国際化推進プランについても、検証作業をしっかりと行いながら、新たなプランについてもしっかり取り組んでいくというようなお話がありました。ぜひ本県経済に効果が上がるように、戦略的に取り組んでいただきたいと思います。また、国際戦略を推進するためには、文化や言語の異なる生活者の多様なニーズといった海外市場で待ち受けるさまざまな困難に立ち向かうことのできる体制、そして人材を確保することが重要であります。  ここで再質問させていただきます。今後5Gなどの導入とともに、世界情勢はさらに加速して変化することが予想されております。その流れを的確に捉え、戦略的に取り組むことができる人材を確保し、体制を強化する必要があると考えますが、国際戦略推進本部の体制強化について、産業労働観光部長に所見をお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 小竹欣男産業労働観光部長。 ◎小竹欣男 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。国際化に関します課題は、企業の海外進出、県産品の輸出拡大、インバウンド、そして、さらには本県に在住します外国人の生活の問題と広範多岐にわたっており、所管課も幅広い状況となっております。そうした課題の解決に当たりましては、推進本部を核といたしまして関係課が連携し、それぞれの解決に向けた情報交換、それから対応の検討を機動的に行っていくことで、庁内におけます推進体制の充実・強化を図って、実効ある取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) なかなか人事に関することについては産業労働観光部長から答弁いただくことはできないのかもしれませんけれども、国際課の体制について調べさせてもらいました。課長以下8名体制で従来の国際化施策に対する総合的な企画・調整、そして県内企業の海外進出・輸出入の支援など、業務を担当しながら国際戦略推進本部の事務局として、部局横断的な事業も行っております。私は、やはり体制を改める必要があると考えています。(議場で発言する者あり)新年度予算には、これは経営管理部の予算でありますけれども、国際戦略を推進するためのグローバル人材を確保するための予算も計上されておりまして、私は大変期待しています。ぜひこの事業を通して、意欲と実力を兼ね備えた人材を確保して、国際戦略推進本部に特化した専任の部署の設置についてもぜひご検討いただいて、設置されるようお願いさせていただきます。  また、新年度は、知事からも答弁があったように、アメリカでの知事のトップセールスが予定されております。知事が行くのですからしっかり準備して、確実に成果の上がる取り組みとしていただきたいと思います。さらに、昨年度、両知事が相互に訪問し、友好を深めたロシア・カルーガ州との関係についても、県内企業の効果的な海外展開につなげるよう、今後の交流がさらに発展することを期待させていただきます。  次の質問に移ります。いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催に向けた取り組みについて、知事にお伺いいたします。いちご一会とちぎ国体本大会及びとちぎ大会の開催まで3年を切り、冬季大会の開催まで2年弱となりました。これまで県では、両大会の成功に向け、競技会場の整備を初め、イメージソングの普及、広報ボランティアによるPR活動など、両大会の認知度向上や機運醸成を図る取り組みを進めてきましたが、これからは今まで以上に加速して準備する必要があります。  とちぎ自民党議員会では、開催県として優秀な成績を上げるため競技力の向上を推進するとともに、来訪者をお迎えするおもてなしの準備、そしてリスク管理などしっかりと準備する必要があると考えております。また、多くの来訪者に本県の魅力と実力を感じていただき、栃木のイメージアップにつなげる必要があり、これまでの取り組み以上に県民を含めたオール栃木体制を整備する必要があると考えています。例えば今般、通常会議に栃木県プラスチック資源循環推進条例案を議員提案で上程させていただいておりますが、本条例は、豊かな環境の恵みの享受と将来の世代への継承、そして人と自然とが共生し、環境への負荷の少ない持続的に発展する社会の構築、さらには全ての者の参加による環境保全の取り組みなどの栃木県環境基本条例で示した基本理念にのっとったものであります。その趣旨を踏まえ、例えば環境配慮型のいちご一会とちぎ国体・とちぎ大会、あるいはエコ国体・大会などのコンセプトを掲げ、全国に発信することで、より力強く本県をPRできるのではないかと考えています。  そこで、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会の開催に向けて、栃木県の魅力を高め、より高くPRするためには、特色あるコンセプトを掲げて準備を進め、両大会を実施すべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会につきましては、県民が夢と希望を抱き感動を分かち合うとともに、来県者をおもてなしの心で温かくお迎えする大会となるよう、イメージソングやダンスの普及、広報ボランティアによるPR活動、さらには各種イベントの開催など、機運情勢に向けた取り組みを積極的に進めているところであります。大会開催に向け、新年度はこうした取り組みを強化するとともに、各種基本計画に基づき、さらに具体的な検討、調整を進め、実施計画や実施要領を策定してまいります。また、両大会をより強くPRするため、特色あるコンセプトを掲げることは、広報活動や機運醸成に効果的であるとともに、県内外への本県の魅力発信に大きく寄与するものと考えております。本県では昨年、県及び全ての市町が共同で栃木からの森里川湖(もりさとかわうみ)プラごみゼロ宣言を行いましたほか、今会議に、ただいまお話がございましたように、栃木県プラスチック資源循環推進条例が上程されておりますことなどを踏まえますと、環境への配慮を両大会の特色あるコンセプトとして掲げることは重要であると認識しております。  今後、各種実施計画等の策定を進める中で、昨今の環境への取り組みの趣旨を踏まえ、両大会においてどのような対応が図れるか、十分に検討してまいります。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 知事から非常に前向きなご答弁をいただきました。特色あるコンセプト、非常に効果的であるというお話もいただきました。ぜひご検討いただきたいと思いますけれども、これまで準備委員会、そして常任委員会を開催して着々と準備を進めてこられました。そして今月14日、実行委員会も立ち上げて、準備も最終段階に近づいていると思っていますけれども、これまで県内の市町を初め多くの関係者の皆さんにご協力いただいておりますので、十分ご協議いただいて進めていただくようお願いさせていただきます。  また、県内には資源循環の高い技術を持った企業があります。廃ペットボトルからつくった繊維から海外のサッカーチームのユニフォームをつくるなど、その技術は経済産業省からも注目されておりまして、数年前、環境展に出展されているところを、とちぎ自民党議員会のメンバー数名で調査を実施しております。ぜひご協力いただいて、選手のユニフォームやボランティアスタッフのジャンパー、そして各種アイテムなどをつくることで、さらにインパクトのある国体になると思います。また廃ペットボトルの回収を県内市町にご協力いただいて、オール栃木で取り組むことができれば、多くの県民が国体にかかわり、国体に対する機運の醸成もさらに上がるものと考えております。さらには、知事から答弁いただきました県と市町が取り組む森里川湖(もりさとかわうみ)プラごみゼロ宣言にもさらなる効果が期待できます。本県が全国でも有数のプラスチック資源循環が進んだ県として認知されれば、栃木県のイメージアップにもつながり、本県経済にも大変大きな貢献がなされるものと思っております。  ぜひよろしくお願いすると同時に、この要望、提案については、とちぎ自民党議員会、五十嵐政務調査会長を初めとする政務調査会メンバーを代表しての要望、提案とさせていただきます。(議場で発言する者あり)  次に、気候変動適応対策の推進について、環境森林部長にお伺いいたします。近年、豪雨や猛暑などの異常気象や、それらに伴う熱中症の増加、農作物の品質低下、栽培適地の変化など、また最近では雪が少ないことや氷が張らないことなどによる観光業での売り上げ低下など、気候変動は既に私たちの生活に影響をもたらし、今後さらに深刻化することが危惧されています。気候変動の影響は地域の特性や地理的条件、産業構造などに応じてさまざまであることから、将来起こり得る影響を予測した上での対策が重要であります。県では今年度、気候変動影響調査を行っておりまして、その調査結果を踏まえて、新年度に策定する計画では、本県の実情に応じた取り組みを進める必要があります。あわせて、県では新年度、地域気候変動適応センターを新たに設置するとしています。センターは気候変動に関する情報収集、分析を初め、県民や事業者への情報提供を行う拠点であることから、その役割は大変重要であります。センター設置を契機に、長期的、継続的な視点から気候変動対策に取り組む必要があると考えています。  そこで、栃木県気候変動適応センターの設置を踏まえ、県では今後、気候変動への適応にどのように取り組んでいくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 鈴木峰雄環境森林部長。    (鈴木峰雄環境森林部長登壇) ◎鈴木峰雄 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では現在、気候変動対策推進計画(仮称)の策定に向け影響調査を実施しているところであり、この調査におきましては、結果をもとに本県の実情を詳細に把握しながら将来予測を行い、長期的、継続的な気候変動適応策について検討していくこととしております。また、調査の中では、本県各地において、気温の上昇や大雨の頻度の増加などの影響が見られることから、今後はこれらの影響を評価し、迅速に取り組むべき具体的な適応策についても検討してまいります。一方で、自然災害の頻発化や激甚化が指摘される中、さまざまな報道でも、気候変動の実情や影響が取り上げられており、県としても気候変動に係る情報を迅速かつ正確に収集、提供することが急務となっております。このため、気候変動に関する情報基盤の強化を図ることを目的として、新年度には栃木県気候変動適応センターを設置する予定であります。  今後は国と連携しながら情報収集、発信を行うとともに、調査を通じて整理分析した結果や、センターの稼働により得られた知見などを計画に反映させていくことにより、農林業、防災、健康など各分野における気候変動適応策に取り組んでまいります。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 環境森林部長からご答弁いただきました。そして、昨年から岡本副知事を部会長とする気候変動推進部会を設置して、気候変動対策を部局横断的に検討されながら、緩和策そして適応策も計画的に推進してこられました。さらに、ワーキンググループを設置して部局横断的な調整も可能となっているとお聞きしております。そうすることによって、センターの設置に向けた準備も着々と進めてきたものと思っていますけれども、適応センターには多くの役割があります。特に市町に対する情報の提供、そして適応策の策定への技術的な助言など専門的な知識を有する部分については、今後さらに市町から大いに期待されることになると私は考えています。  ここで再質問させていただきますけれども、新年度、これまで適応計画の策定を未定としていた市町がほとんどです。そうした市町が計画策定に向けて動き出すことも考えられると私は考えています。そこで、栃木県気候変動適応センターとして来年度設置するわけでありますけれども、市町に対してどのように支援することができるのか、支援していくのか、環境森林部長に再質問させていただきます。 ○早川尚秀 議長 鈴木峰雄環境森林部長。 ◎鈴木峰雄 環境森林部長 再質問にお答えいたします。気候変動につきましては、地球規模あるいは日本全体の状況を把握しながら地域の特徴を検討していくことが必要でございます。また、栃木県内でも、山間部、農村部、都市部と分かれておるものですから、これらにつきましても、きめ細かに県として状況を把握し、これを計画に反映させ、それから将来予測、評価を行っていくということがございます。これとともに、国、他県と連携を図りながら、その情報を収集し、あるいは取り組み事例を収集して市町にセンターとして提供することによりまして、市町によるきめ細かな対策につなげてまいりたい、そのような形で支援してまいりたいと考えております。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 環境森林部長からご答弁いただきました。答弁にあったように、やはり地域の特徴をしっかりと捉えることが重要でありますので、ぜひきめ細かに各地域の状況を把握すること、そして他県との連携の話もありました。また、国の気候変動適応センターである国立環境研究所とも連携することができるということで、ぜひ科学的な知見などの支援をしていただけることによって、市町への支援も十分可能になると思っています。繰り返しますけれども、気候の変動や適応策には地域特有の状況、そして対応策が必要になるわけです。本県の適応センターが独自にその機能を十分発揮することができるように機能充実に努めていただきたいと思います。  さらに、気候変動適応センターの役割を担うには、新たなプロジェクトや普及啓発などの開催経費、さらには研究者だけではなくて、さまざまなコーディネーターなどの外部人材の活用、そして人材育成などに取り組む必要もあると思いますので、新年度しっかり予算を確保して、このようなことに取り組んでいただきますよう、要望とさせていただきます。  次の質問に移ります。土砂災害へのソフト対策について、県土整備部長にお伺いいたします。令和元年の全国での土砂災害発生件数は1,995件に達し、これまでの平均発生件数約1,000件を大幅に上回っております。栃木県に甚大な被害をもたらした台風第19号においては、既設の砂防堰堤や崖崩れ防止施設が土砂災害を食いとめた事例もあることから、土砂災害から県民の生命、財産を守るには、砂防施設整備を着実に進めることが非常に有効な対策ではありますが、整備には多くの予算と時間を要することから、ソフト対策をさらに充実させていくことが極めて重要と考えます。土砂災害は発生から被害を受けるまでの時間が短く、人的被害となる確率が高いことから、土砂災害警戒区域の住民全員をいかに安全な場所へ速やかに避難させるかが求められています。また、全国では土砂災害警戒区域以外において犠牲者が出ていることからも、避難体制の充実を図っていくことは大変重要だと考えております。  国においては、近年の土砂災害における課題等を踏まえた土砂災害対策のあり方について現在検討を進めており、県においても、今後頻発のおそれのある土砂災害から県民の生命、財産を守るための対策を早急に進めるべきと考えますが、土砂災害へのソフト対策の現状並びに今後の方針について、県土整備部長の所見をお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 熊倉一臣県土整備部長。    (熊倉一臣県土整備部長登壇) ◎熊倉一臣 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。土砂災害警戒区域につきましては、平成26年度までに、県内で対象となります全市町におきまして指定を完了させましたほか、区域内に住宅等を構えます約2万世帯の方々に対しダイレクトメールを郵送するなど、危機意識の醸成に努めているところでございます。さらに、この指定後の土地利用の変化等に対応するため、現在、より詳細な地図情報をもとにした2巡目の基礎調査を実施しております。令和3年度までに全ての調査と区域の追加指定を完了させる予定でありまして、その結果につきましては順次公表するなど、市町におけますハザードマップの整備充実を支援してまいります。このような中、さきの台風第19号では、これら区域の外でも土砂災害が発生したところであり、より充実した取り組みが必要と考えております。このため4月からは、新たに緊急速報メールを活用いたしまして、スマートフォン等への土砂災害警戒情報のプッシュ型配信を行ってまいります。  引き続き土砂災害による人的被害ゼロを目指しまして、各種取り組みを積極的に推進してまいります。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 県土整備部長からは、これまでの取り組みとして、平成26年度までに全市町の指定を完了させて、さらには2万世帯に対してダイレクトメールを送信して注意喚起を行っていること。また、現在2巡目の基礎調査を実施しており、今後新たな指定追加という形になるかと思っています。そして、新たな取り組みとして、プッシュ型配信というお話がありました。これについては気象庁から出される緊急地震速報のように携帯電話に直接通知が来れば、情報をいち早く住民が得ることができて、そして迅速な避難につながります。大変有効な取り組みであると思いますので、ぜひこうした事業をしっかり進めていただきたいと思います。  しかしながら、台風第19号での避難のあり方の課題として、レベル4の中に避難勧告と指示の2つの避難情報がありまして、非常にわかりにくいと指摘されています。ですから、こういうプッシュ型配信については、県民が正しく情報を理解することが必要なんだと思っています。あくまでプッシュ型配信による情報は、県民が主体的に避難を判断するための参考となる情報だと伺っております。ですから、県が出されるプッシュ型配信による情報と、その後、市町から発令される警戒レベル情報、この2つの情報がどのような順番で発令されるのか、そしてそれぞれがどんな意味を持つのかなど、理解促進に向けて、県土整備部のみならず、県民生活部の危機管理体制の中で、県民にわかりやすい情報となるよう、市町と連携しながら取り組むことを要望させていただきます。  また先週、内閣府から自治体に対して、危険区域の災害弱者をリストアップするよう、そしてリスクが高い災害弱者の支援をするよう要請がなされましたけれども、こうした取り組みとあわせて、県民の安全確保に努めていただきますよう、重ねて要望とさせていただきます。  最後の質問に移ります。県内企業の人材確保について、産業労働観光部長にお伺いいたします。人口減少が本格化し、製造業、建設業、農林業や医療・介護など、幅広い分野で人材不足が深刻化しています。また、今後は人口が減少するだけでなく、現役世代である生産年齢人口の減少が推計されております。また、中小企業の約7割が人材不足を実感しておりまして、県内企業を対象に行った民間調査会社の意識調査でも、回答を行った企業の約半数で「正社員が不足している」と回答しています。さらに、中小企業では人材不足を原因として廃業や倒産を起こしており、本県経済の大きな課題ともなっております。県ではこれまで、県内企業の魅力発信や学生等と企業とのマッチング支援、栃木県で就職を考える学生への奨学金の返還助成、女性・高齢者等新規就業支援事業など、高校生や大学生はもとより、女性や高齢者等の多彩な人材の就労を支援する取り組みを進めています。  このような中、平成31年3月に県内高校を卒業し、大学等へ進学した者のうち約7割の7,210人が県外の大学等に進学している一方、同じ時期の首都圏の就職促進協定締結校105校における県内企業へのUIJターン就職者数は1,033人でありまして、本県出身者3,363人に対する率にして約3割という結果であります。こうしたことを踏まえると、県内企業の人材確保を支援していくためには、東京圏など県外からのUIJターンの促進のための取り組みを一層強化していく必要があると考えます。  そこで、県は、県内企業の人材確保に向けて今後どのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 議長 小竹欣男産業労働観光部長。    (小竹欣男産業労働観光部長登壇) ◎小竹欣男 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。本県経済の活力を維持し、さらに発展させていくためには、本県へのUIJターン就職を促進し、県内企業の人手不足に対応していくことが極めて重要と認識しております。このため県では、都内のとちぎUIJターン就職サポートセンターを核といたしまして、首都圏の就職促進協定締結校の学生等を対象に、県内企業に係る情報の提供や就職に関します相談対応を行っており、年間1,000人を超える学生が県内企業に就職しております。さらに、就職促進協定締結校と県内企業の交流会等を開催して関係強化を図っておりますほか、インターンシップフェアの開催、アプリ等によります県内企業等の情報発信、とちぎ未来人材応援基金を活用した奨学金返還助成など、さまざまな角度から支援に取り組んでいるところでございます。特に今年度は、県内の産業や企業を紹介する動画等を作成いたしまして、このほど完成しましたことから、今後これらを活用し、広く情報発信を行ってまいります。  今後とも、栃木労働局などの関係機関と連携しながら、学生のニーズを的確に捉え、工夫を凝らすことにより、県内企業への就職者の増加を図ってまいります。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 産業労働観光部長から、これまでの取り組み、さまざまなものについてご紹介いただきました。とちぎUIJターン就職サポートセンターを核にして、1,000名を超える方々が栃木県に就職しているということで、実績も上がっております。さらに産業労働観光部長から、とちぎ未来人材応援事業にも取り組んでいるというお話がありました。この事業については、平成28年から事業が開始されていますけれども、ちょっと調べさせていただきました。2年間の実績でありますけれども、最終的に支給決定に至った件数は11件なんですね。なかなか十分に活用されているとは言えない状況なのかもしれません。平成30年度や令和元年度の実績についてはこれから出るというところもあるようですけれども、現在この奨学金返還助成の対象業種なんですけれども、ものづくり県であることから製造業に限定したところなのかもしれませんけれども、私は対象業種を追加する必要があるのではないかと考えています。(議場で発言する者あり)このため、やはり若者や女性、この方々に栃木県に就職していただかなければならないのですから、特に多くの女性が就職を志向する傾向にあると言われているサービス業を追加対象とすることを要望とさせていただきます。  さらに、産業労働観光部長に再質問させていただきます。県内企業の人材確保については、東京圏の大学に進学する傾向が高いことから、大学生をターゲットにしたさまざまな事業も大変重要だと考えておりますけれども、一方、県内の大学生や高校生に向けて、先ほど答弁でちょっと触れておられますけれども、本県産業の魅力・実力を知ってもらうことも大変重要だと考えています。  そこで、教育委員会と連携して、高校生に対してどのように取り組むのか、産業労働観光部長に再質問させていただきます。 ○早川尚秀 議長 小竹欣男産業労働観光部長。 ◎小竹欣男 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。先ほど答弁させていただきました新しく作成しました動画ですけれども、これにつきましては、県内の企業約20社の若者の働く姿を「Be a Tochigist」ということでDVDに作成したものでございます。これらを県内の高校に配りまして授業で活用していただいて、本県企業の魅力に触れていただきたいと思っております。また、あわせまして、高校生等が就職について相談する方は自分の親御さんが多いというデータもございますので、保護者を対象といたしました県内企業を紹介する説明会なども開催していければと思っております。  こうした取り組みを通しまして、将来のUIJターンにつながる取り組みを進めてまいりたいと思います。 ○早川尚秀 議長 山形修治議員。    (38番 山形修治議員登壇) ◆38番(山形修治議員) 新たに動画、そしてリーフレットを作成して、県内企業20社の若者の生の声、こうしたものを知ってもらうことによって、授業でも活用するというお話がありましたけれども、教育長、ぜひ有効な活用をお願いしたいと思います。また、保護者を対象とした説明会も開催されるということで、あわせてよろしくお願いしたいと思います。また、栃木県に魅力ある仕事がなければ県内企業の人材を確保することもできませんので、先ほど提案させていただいたサービス産業にも力を入れていただきたいと思いますし、また、未来技術関連産業や資源循環産業の誘致など、時代の潮流を捉えた産業振興に取り組むことをあわせて要望させていただきます。  全ての質問が終了するわけでありますけれども、今回、現在多くの県民が不安を感じている新型コロナウイルスへの対応ですが、県には感染拡大防止を図るため万全の体制で取り組みをお願いすると同時に、正確な情報を発信することで、県民の皆さんの不安解消につなげるようあわせてお願いして、全ての質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。 ○早川尚秀 議長 以上で、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問は終了いたしました。  次に、お諮りいたします。ただいま上程中の議案の委員会付託についてでありますが、お手元に配付いたしました議案付託表1に記載の議案については、予算特別委員会に付託したいと思いますが、ご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○早川尚秀 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。                              〔配付資料は巻末に掲載〕 ○早川尚秀 議長 なお、議案付託表2に記載の議案については、それぞれ所管常任委員会に付託いたします。ご了承願います。                              〔配付資料は巻末に掲載〕 ○早川尚秀 議長 以上で本日の日程は終了いたしました。3月9日は定刻から本会議を開きます。  本日はこれで散会いたします。     午後3時31分 散会...