茨城県議会 2022-09-12
令和4年第3回定例会(第6号) 本文 開催日: 2022-09-12
〔8番
村本修司議員登壇、拍手〕
5 ◯8番村本修司議員 公明党の村本修司です。
私自身、5回目の一般質問となりますので、よろしくお願いを申し上げます。
まず、これまでに、
新型コロナウイルスでお亡くなりになられた方や罹患された方に衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
さて、現在も新型コロナやロシアの
ウクライナ侵略による大きな危機が世界を覆っています。これらの危機があらわにした課題に正面から向かい合い、個人の努力では抱えきれない困難を克服するために、これからの基盤とすべき社会の在り方を紡ぎ直す必要があると思います。
こうした観点に立ち、通告に従い、質問をいたしますので、知事並びに教育長、関係部長は具体的な答弁をお願いいたします。
まず、初めに、新
産業廃棄物最終処分場建設における地域振興と地域との関わりについてお伺いをいたします。
日立市では、令和3年8月に、処分場はどこかに必要、循環型社会を日立市が担うと苦渋の決断として受け入れを表明し、その後、県では、新
産業廃棄物最終処分場基本計画を策定し、本年4月に公表しました。
また、県は、これまで、住民の意見を踏まえた新設搬入道路の整備、交通安全対策、地域振興策の実施など、「生活環境の向上に必要なインフラ整備や諏訪梅林などの地域資源を活用した周辺地域の整備など、地域振興につながる取組を進めていきます。」と表明しています。
私としても、地域振興策は大変重要な課題であると考えておりますが、県は、
一般財団法人茨城県
環境保全事業団と日立市の3者で構成する会議体を設置して協議を開始し、その中で、住民の要望を
地元コミュニティ推進会に照会していると伺っています。
地域振興策を取りまとめるに当たっては、ぜひとも住民の要望を反映していただきたいとお願いをいたします。
一方、現行の
エコフロンティアかさまでは、県、茨城県
環境保全事業団及び笠間市の3者に住民も加えて4者協定を締結しています。このように、住民が協議に直接加わることは大変に重要であり、新
産業廃棄物最終処分場でも早急に必要であると考えますので、ぜひ県主導で進めていただきたいと思います。
これに加え、地域振興策以前の課題として、建設工事で工事車両が往来する県道37号線の交通安全対策についても、危険除去の重要な課題であることから、県の責任として、その全容を早急に住民へ提示し、安心してもらうことが肝要であると思います。
さらに、前述の基本計画でも、併設施設として環境学習施設の整備を検討するとされています。住民に対して、もっと開かれた処分場とするために、地盤が強固であることも本地に最終処分場が設置される理由の一つであることや、非常用発電機や
再生可能エネルギー発電も備える計画となっていることなどから、
フェーズフリー、つまり、平常時と非常時両用で活用できる施設として、災害対応型の体育館なども併設してはいかがでしょうか。いざというときに住民が安心して避難できるような頼りがいのある施設とすることが可能であると確信いたします。
新たな処分場では、現処分場と同様に、多重の遮水構造に加え、
漏水検知システムを設置する計画となっています。現処分場において、漏水異常検知が発生したことはないと聞いていますが、万が一、漏水異常検知が発生した際の対策についても検討して、マニュアルに反映させることが住民の安全性向上につながります。
また、施工管理における品質管理や工事中の地域の安全確保も大変に重要であり、その対応方針等、住民の不安にきちんと答えるなど、最終処分場を設置・運営するに当たっては、地域における
リスクコミュニケーションが大変重要と考えます。
以上を踏まえ、新
産業廃棄物最終処分場建設における地域振興と地域の関わりについて、知事にお伺いいたします。
次に、県北地域におけるものづくり力を活かした産業振興についてお伺いいたします。
県北、特に日立市は、企業城下町として製造業の事業所が数多く立地しており、2017年の製造品出荷額は、県内で神栖市に次いで2位、全国で64位と、県北の強みとなっております。
私は、カーボンニュートラルによる新しい事業の創出も大変重要であると考えておりますが、今ある中小製造業の再興が県北活性化にとっても近道だと思っております。
茨城県において、これまでも、大手企業依存からの脱却、人出不足、後継者不足などの課題意識から、技術力向上のための研修会、創業支援、技術伝承支援など様々な形で中小製造業を支援してきました。例えば、大学や研究機関の研究成果と県内企業を結びつけた技術力・
開発力向上支援や、医療や介護などの分野における研究開発から販路拡大までの一貫した支援のほか、さらには、IoTやAIなどデジタル技術を活用した新たな
ビジネスプラン構築支援などが挙げられます。
また、現在では、
県北地域牽引産業・
中核企業創出事業として、県北の中小製造業の企業連携体による成長分野進出に向けた取組や、産学官連携による新技術・新製品開発を支援していると承知しておりますが、こういった取組は、県北地域の中小製造業の再興には不可欠であります。今後は、この事業をより一層選択と集中により短期間で製品化に結びつけられるよう、拡大・拡充をお願いいたします。
さらに、企業の経営資源を確保するためには、受注機会の増大などを支援するための積極的なマッチングが重要と考えております。
県内では、つくば地域を中心とする
ベンチャー企業や大学・研究機関などが研究・技術シーズを有しております。これらを具現化・製品化するために有効な手段の一つとして、高度なものづくり力のある県北の中小製造業とのマッチングがあります。
科学技術や産業の集積等を活用し、これらを積極的につなぎ、県内において好循環をつくることにより、将来を担う産業の創出へと大きく貢献できるのではないでしょうか。このために、県北の中小製造業と
ベンチャー企業・学術機関をおせっかいなくらいにつなぐ取組が必要であると考えます。
また、日立市とつくば市は直線距離で約75キロメートル離れており、単に紹介するだけではマッチングのハードルは超えにくいかもしれません。そこで、マッチングが成立した場合には、試作費用の一部を補助するなどのインセンティブを設けることも将来への投資として有効ではないでしょうか。
そこで、県北地域におけるものづくり力を活かした産業振興について今後どのように取り組んでいくのか、産業戦略部長にお伺いいたします。
次に、高齢者の移動手段確保のための
未来型交通システムの構築についてお伺いいたします。
高齢化社会における移動手段の確保は、社会全体で高齢者の生活を支えるために大変重要な課題です。令和2年に実施された国勢調査によると、本県の65歳以上の高齢者人口は83万9,907人と、総人口の約3割に上り、65歳以上の世帯員がいる世帯のうち、単身世帯と夫婦のみ世帯が占める割合は5割を超えております。
このような世帯では、年齢を重ねて、身体機能や認知機能の低下が進み、自動車の運転が困難になると、気軽に移動して知人との交流や生活を維持するための買い物などが難しくなってしまいます。
一方、交通事業者としても、採算性や人手不足の問題から、地域のバスなどの公共交通は年々便数や路線が減少し、利便性が悪くなり、利用者がさらに減少するという悪循環に陥っており、県や国もその重要性は認識しつつも、移動環境が十分整っているとは言えない状況です。
高齢者の移動手段がなく、家に閉じこもりがちになると、さらに身体機能や認知機能低下が進み、高齢期の幸福度や安心度を引き下げ、ひいては要介護や認知症のリスクが高まると言われております。
このような高齢者の不自由な状況を解消することこそが、現役世代に希望の持てる未来を指し示し、将来不安を解消する方法であり、このような課題に対しては、格段に進歩しているデジタル技術を活用する以外には解決方法はないのではないかと考えています。
県内の先進事例として、境町では、2020年11月に自動運転バスを実用化し、定常運転を開始していますし、高萩市では、時刻表にとらわれず、AIを活用して利用客の待つ場所に応じてルートを変えながらバスを走らせる
呼出型最適経路バスの実証実験を実施しており、ともにすばらしい成果を上げつつあります。これからの高齢者の移動手段には、自動運転による人手不足やコスト低減などの課題解決とともに、
呼出型最適経路バスのような利便性が求められます。
現在、国で推進しております
スマートシティ関連事業、
デジタル田園都市国家構想の一環として、国の
地方創生推進交付金等を活用して、先ほどのように、自宅から目的地まで、利用したいときに自由に利用できる自動運転バスと鉄道事業やタクシーとも組み合わせた複数市町村による
広域交通ネットワークとして、未来型の交通システムを県主導で構築してはどうでしょうか。
このようなアイデアを含めて、高齢者の移動手段の確保に対するビジョンを県民に示し、実現することで、不安を解消し、
県民幸福度ナンバーワンの高齢者が住みやすい茨城県を目指していただきたいと思います。
以上を踏まえ、高齢者の移動手段確保のための
未来型交通システムの構築について、政策企画部長にお伺いいたします。
次に、
デジタル化社会を推進するためのデジタル人材の育成についてお伺いいたします。
世界の潮流は大きくデジタル化へかじが切られておりますが、我が国においては大きく出遅れているとの見方があります。
雇用の環境についても、経済産業省において、デジタル人材が2030年に最大79万人不足すると試算をしており、増加するデジタル分野の雇用ニーズに対応するには、茨城県においても、デジタル分野の業務で役立つスキルや知識の習得を促進するべきであると思います。
デジタルに関するスキルは1種類ではなく、デザイン、クラウド、アプリ、データベース、
サーバーセキュリティ、システム等多種多様であり、そして、初級者、中級者、上級者別等のラインナップを設けるなど、企業が求めるスキルニーズに応じた職業訓練が必要です。
県では、県立IT短大における高度な訓練によりIT人材の育成を図っており、近年では定数増やカリキュラムの見直しを行ったと伺っております。
開校以来、就職率100%を誇り、企業からも必要とされていることとは思いますが、
デジタルスキルは日々進化しています。企業のニーズをいち早く取り入れ、即戦力を排出し続けられるようにカリキュラムを設定していただきたいと考えております。
また、デジタル分野は、製造、サービス等に比べると、
リモートワークなど柔軟な働き方がしやすく、ICTによって、時間や場所を問わないテレワークは、
ライフステージや生活スタイルに沿った柔軟な対応ができるため、女性の就労機会創出にも適したものであります。
長引くコロナ禍で女性が大きく影響を受けていると言われており、国も、今年4月に
女性デジタル人材育成プランを策定し、官民連携した取組を開始しており、茨城県においても、内閣府の
女性活躍推進交付金等を活用した
女性デジタル人材の育成にぜひ先駆的に取り組むべきと考えております。
さらに、
産業技術専門学院や生涯学習センターにおいては、再就職を目指す方々向けの職業訓練としてデジタル分野のコースも設定をしており、女性が多く受講していると聞いております。しかし、育児や介護などの理由で家を空けるのが困難な方、決まった時間に出席できない方などにも受講しやすいものでなくてはなりません。例えば、受講者にPCなどのデジタル機器を貸与する、もっとリモートやeラーニングでできる講座を設けるなど、利用者の目線に立ち、多様性のあるコースを設定することにより、効果が増大し、裾野が広がるのではないでしょうか。
そして、職業訓練の最終的な目標である就職をしてもらうために、
キャリアカウンセリングや企業とのマッチングなど、最後まできめ細かなサポートを行う就職支援は絶対に必要ではないでしょうか。
デジタルは今後ますます伸びていきます。企業の視点を考慮した講座を充実させていくことで、地域の産業をデジタルで底上げする必要があると思います。
以上を踏まえ、
デジタル化社会を推進するためのデジタル人材の育成について、今後どのように取り組んでいくのか、産業戦略部長にお伺いいたします。
次に、大人の発達障害の支援についてお伺いいたします。
発達障害という障害が世に知られ始めて20年ほどが経過しました。その間に研究が進み、診断方法が進歩してきました。
こうした中で、幼少期は発達障害に気づかず、大人になってから様々な不適応が表面化して初めて発達障害であると診断され、社会からドロップアウトするケースも多くなってきました。
大人の発達障害では、一人暮らしや就職における環境変化などで大人になってから生きづらさを感じて初めて認識される方が多いと聞いています。
なお、診断基準を満たすほど特性が強くないことから、発達障害と診断されないグレーゾーンと呼ばれるケースもあります。このため、発達障害かグレーゾーンかにかかわらず、なぜうまくいかないのかなど、生きづらさの原因や対処方法が分からず、そもそも発達障害のことが分かっていない状態が多く見られることに大人の発達障害特有の困難さがあります。
現在の大人の発達障害支援は、生活訓練、就労移行支援が多くを占めております。法定雇用率の引上げもあって、障害者の雇用数は年々増加しておりますが、職場への定着が課題となっております。これは、働く意欲や能力があるにもかかわらず、企業や本人の理解不足によって生じている課題です。これを解決するため、自分の特性をよく理解して、できれば周囲にも分かってもらう「自分・支えられ方マニュアル」を作成することで、幾らか生きづらさを軽減する取組を行っている民間企業もあります。
また、長野県にあるNPO法人では、発達障害支援として、大人でも参加できる生活訓練と就労移行支援を組み合わせた18歳以上の発達障害者が利用できる施設を設置して、利用者本人が自己理解を深めるための振り返りシートの運用やコミュニケーションアプリを活用して、利用者、近親者、施設運営者との間で近況を共有する支援を行っています。
これらには、知らなかった自分を知り、可視化することで、自身のことを具体的に表現できるようになったり、自分の特性を、家族、友人、同僚などの身近な存在に理解してもらえることで、関係性がよくなり、そして、自分に合った就業ができるなどの効果が見込まれます。
茨城県においても、大人の発達障害で苦しむ方のために、発達障害者の自己理解を深める支援ツールの導入を提案いたします。
また、本人に加え、職場での理解が重要であることから、グレーゾーンを含む大人の発達障害の特性や支援内容の啓蒙活動を県として実施していただきたいと思います。
以上を踏まえ、県における大人の発達障害支援の取組について、福祉部長にお伺いいたします。
次に、
特別支援教育に関わる教員の更なる質の向上についてお伺いします。
私の地元にある
日立市立日立特別支援学校は、県内唯一の市立の
特別支援学校であることから、小中学校の教諭が配置されています。
一方、県立の
特別支援学校は、
特別支援学校の教諭として、一般の教諭免許に加え、大学や研修会で特別に取得した
特別支援教諭免許の所持が条件として採用されています。
このため、県立と日立市立では教諭の
特別支援教諭免許の保有率に差があり、令和元年第2回定例会の一般質問において、
日立特別支援学校の
特別支援学校教諭普通免許状の保有率の向上をはじめとした
特別支援教育に関する教諭の資質向上への今後の取組についてお伺いをいたしました。
その結果、現在では、
日立特別支援学校の教諭における
特別支援教諭免許の保有率は100%としていただくことができました。
その後、ある保護者の方から、教諭の免許保有率は確かに向上したけれども、
臨時的任用職員である講師の方も一定数おられ、その方々の免許保有率は決して高くはないとの御指摘をいただきました。
日立特別支援学校の教員78名のうち、講師は28名で、全体の38.9%であり、また、講師の免許保有率は、県立の67.5%に比べ、7割程度の50.0%であること、さらに、年齢構成も随分と違いがあることが分かりました。
県には、これまでも十分に
日立特別支援学校の教育の質の向上に努めていただいており、教諭の免許保有率の劇的な向上はその一つであります。講師についても、県立と市立で教育の質に差が出ることがないよう、対応していただきたいと考えております。
国でも、全ての教諭が
特別支援教育への理解を深め、専門性を持つことが重要であるとしています。このため、これまで進めていた
特別支援学校の教諭の免許保有率の向上に加え、全ての教員が採用からおおむね10年以内に
特別支援教育を経験することが望ましいとの案が示されました。
県では、これまでのように、国の方針に従って、教諭の
特別支援教諭免許取得を奨励していただくことはもちろんのこと、人事異動の際には、免許保有を条件にしたり、特別支援教諭の採用の際には、
日立特別支援学校への配属もあり得ることを記載するなど、県立と同等レベルとなるような配慮をお願いしたいと思います。
以上を踏まえ、
日立特別支援学校を含めた
特別支援教育に関わる教員の更なる質の向上について、今後県としてどのように取り組むのか、教育長にお伺いいたします。
次に、県立博物館に求められる役割と収蔵スペースについてお伺いいたします。
本年4月に、博物館に求められる役割が多様化・高度化していることに対応することを目的として、70年ぶりに博物館法が改正され、博物館の事業に博物館資料のデジタル・アーカイブ化が追加されるとともに、新たな役割として、文化観光推進に取り組むことが努力義務となりました。
茨城県は、近代美術館や
ミュージアムパーク茨城県自然博物館をはじめ、6館の県立博物館を有しています。
これまでも、各博物館において、地域との連携・協力の取組は行われてきたと承知しておりますが、さきの博物館法改正の趣旨にのっとり、今後、博物館が
文化観光拠点施設としての役割をどう果たしていくのか、大変期待しているところであります。
県立博物館においては、法改正を機に、収集・保管、展示・教育、調査・研究の本来の基本的機能に加え、文化観光推進などの新たな役割や、博物館資料のデジタル・アーカイブ化や、外国人への対応策について、各館で規定し、ビジョン、目標とアクションを明確にして計画的に取り組むべきと考えます。
また、博物館の現状抱えている課題に収蔵庫不足があると言われております。
日本博物館協会の調査によれば、2019年時点で全国の6割の博物館の収蔵庫がほぼ満杯状態とのことでした。収蔵資料は公共の財産であり、博物館をつくった以上、永続性・継続性を担保するのは県民との約束であり、至急、本県における状況を調査し、中長期計画を立案して、収蔵スペースの確保を図るべきであると思います。
今年春に県立博物館で開催した
コレクション展におけるアンケートでは、回答者880名のうち、「標本の大切さについて理解できましたか」や、「標本を未来に残すため、収蔵庫を増築する必要性を感じますか」という問いに対して、95%以上がポジティブな意見を回答しており、ほぼ全員が収蔵スペースの必要性を理解している状況が明確になりました。
私も、先日、実際に現地を見せていただきましたが、通路や棚の天板と天板の間に板を渡して収蔵品を置いたりと、現場で大変な苦労をされていました。毎年定期的に増加する収蔵品もあり、物理的に収蔵容量を超えるのは時間の問題ではないかと感じました。
収蔵庫の増設には十分な予算も必要となりますが、優先度の低いものは、近くの廃校跡などを活用するなどの知恵を盛り込むことも必要であると思います。
以上を踏まえ、これからの県立博物館に求められる役割を果たすために、県としてどのように対応するのか、また、収蔵スペースをどのように確保していくのか、教育長にお伺いいたします。
最後に、日立市周辺地域の道路の現状及び今後の整備についてお伺いいたします。
まずは、国道6号大和田拡幅、
日立バイパスII期、仮称桜川道路による市内の渋滞緩和についてです。
大和田拡幅、山側道路及び鮎川停車場線、
日立バイパスII期工事の整備と国道6号の常陸多賀駅入口交差点から諏訪五差路までのルートは、日立市内を背骨のように縦断する幹線道路として整備されていると承知しております。
この中で、山側道路は供用が開始され、渋滞対策に大きく寄与しているところです。
その前後で、大和田拡幅、鮎川停車場線、
日立バイパスII期工事は、日立中心部から
常磐自動車道日立南太田インターチェンジまでの所要時間の短縮が見込まれ、市民からも期待する声が多く聞かれています。
一方、山側道路と鮎川停車場線の間の国道6号の常陸多賀駅入口交差点から諏訪五差路までの区間は、都市計画で計画されているものの、いまだに2車線のままとなっており、前後の道路が整備されても、渋滞対策としての効果が半減するのではないかと懸念されており、県から国へもこの区間の4車線化を含む仮称桜川道路の早期事業化が要望されていると承知しています。まずはこの区間の事業化に向けて一歩踏み出すべきだと考えています。
そこで、国道6号の大和田拡幅、
日立バイパスII期、仮称桜川道路について、進捗を、土木部長にお伺いいたします。
最後に、国道245号や国道293号をはじめとした日立港区周辺道路の整備について伺います。
日立市内の産業拠点である日立港区周辺には、南北軸となる国道245号と東西を結ぶ国道293号が幹線道路として大きな役割を果たしております。
国道245号については、日立港拡幅の4車線化が完了し、現在、日立港区北拡幅として4車線化が進められており、地元でも早期の整備が大変期待されております。
4車線化の工事は、日立港区周辺の渋滞を緩和するとともに、安全性の確保、地域の健全な発展と将来のまちづくりに大きく寄与する事業であると考えます。
また、日立港区から
常磐自動車道日立南太田インターチェンジを結ぶ国道293号は、国道6号の大和田交差点付近で交通量が非常に多いことから、国道245号への迂回路としての機能拡充や、付近の産業立地に向けた地域の健全な発展の観点から、道路の4車線化が求められております。これについても事業化に向けて一歩踏み出すべきと考えています。
そこで、日立港区周辺道路の整備について、土木部長にお伺いします。
以上で、私の一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
6
◯伊沢勝徳議長 村本修司議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。
大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
7 ◯大井川和彦知事 村本修司議員の御質問にお答えいたします。
新
産業廃棄物最終処分場建設における地域振興と地域との関わりについてお尋ねをいただきました。
産業廃棄物最終処分場の整備及び運営を円滑に進めていくためには、地域住民の理解と協力が不可欠であると認識しております。
そのため、施設周辺の生活環境の改善や地域の振興を目的とした事業を日立市と連携して実施していくこととしており、本年6月には、県、日立市、茨城県
環境保全事業団の3者による新
産業廃棄物最終処分場整備に伴う地域振興等推進会議を設置し、地域振興事業の事業主体や、財源、事業内容等について、検討、調整を進めているところです。
7月には、地元であります諏訪、大久保、成沢、油縄子の4学区コミュニティの代表者等に対し、地域振興事業の考え方や今後の進め方についてご説明をさせていただきました。
今後、地元4学区からの要望内容を丁寧にお聞きした上で、事業実施の可否を検討し、年内をめどに地域振興事業をまとめてまいります。
また、処分場の整備に当たり、地域住民の皆様の理解を得るためには、施設の安全性とともに、施設整備・運営の透明性を確保することが重要であります。
現処分場の
エコフロンティアかさまにおいては、茨城県、茨城県
環境保全事業団、笠間市、地元住民組織の4者により、地域振興及び環境保全に関する協定を締結し、その協定に基づいて、施設の維持管理の記録を公表するとともに、学識経験者や地元住民代表者などで構成する環境保全委員会へ報告し、意見交換を行うなど、透明性の確保を図っております。
新処分場においても、施設運営や環境保全に関する責任の所在や、地域振興事業の実施を明確にするため、協定等を締結する必要があると考えております。今後、関係者の意向を踏まえ、内容等について調整してまいります。
また、処分場の工事期間中の交通安全対策については、今後の事業進捗に合わせ、周辺の生活環境に極力配慮した工事計画を検討し、お示ししてまいります。
処分場の整備については、安全を第一に考え、多重の遮水工を設けるなど、十分に配慮することとしておりますが、平常時に加え、緊急時にも、施設の管理や運営において万全な対応が図れるよう、取り組んでまいります。
あわせて、施工段階の品質管理につきましても、専門家に検証いただきながら、しっかりと対応していきたいと考えております。
県としましては、事業主体である茨城県
環境保全事業団と連携して、施設整備の進捗に応じて情報公開を行うとともに、モニタリングの手法など、環境保全対策の検討過程に地域住民の代表の方にも参画いただき、地域との
リスクコミュニケーションを図りながら、安全で信頼性の高い最終処分場の整備に全力で取り組んでまいります。
8
◯伊沢勝徳議長 次に、榊原産業戦略部長。
〔榊原産業戦略部長登壇〕
9 ◯榊原産業戦略部長 県北地域におけるものづくり力を活かした産業振興についてお答えいたします。
AIやIoT、ロボットなどの活用によるデジタル化の進展をはじめ、サプライチェーンの多元化、カーボンニュートラルへの対応など、本県産業を取り巻く環境は急速に変化してきております。
こうした中、県北地域の中小製造業がさらなる発展を遂げるためには、企業自らがビジネスチャンスをしっかりと捉え、強みの源である固有の技術力を基に、新たなビジネス展開に向けて果敢に挑戦していくことが大変重要であると考えております。
このため、県では、県北地域のものづくり企業が連携し、成長が見込まれる宇宙や医療分野のビジネスに進出できるよう、展示会への出展や大学などとの共同研究への支援、新製品開発に向けた産業技術イノベーションセンターによる技術支援などに全力で取り組んでいるところでございます。
その結果、超小型人工衛星のフレーム製作や、体に負担の少ない外科手術用の医療用器具の開発など新たな取組が進んでおり、今後も、実用化・製品化に結びつけられるよう試作品開発の支援などを行いながら、企業の挑戦をしっかりと後押ししてまいります。
また、優れた技術力を有する県北地域のものづくり企業と、独創的なアイデアを持つ
ベンチャー企業、さらには最先端技術を有する研究機関等とのマッチングの機会を設け、新分野への進出や新製品の開発につなげていくことは、県北地域の産業振興を図る上で大変重要であると考えております。
このため、県では、今年度から、新たに、つくば研究支援センターやひたちなかテクノセンターなど地域の産業支援機関と連携し、ものづくり企業と
ベンチャー企業や研究機関が直接マッチングできる場を設けることにより、参加企業間での事業提携や新製品の共同開発、さらには受注の確保などを促進してまいります。
特に、議員の地元である日立市を中心としたものづくり企業は、電機や機械などの分野で高い技術力を有しており、
ベンチャー企業等との協業が大変期待されますことから、マッチング会への参加を積極的に呼びかけてまいります。
これらの取組に加え、県の制度融資やチャレンジ基金等により、企業の設備導入や新製品の開発、販路拡大のための商談会出展などに対し支援するなど、企業のニーズに応じた支援を積極的に展開してまいります。
県といたしましては、こうした取組により、県北地域のものづくり企業のさらなる成長を促進し、県北地域の産業に全力で取り組んでまいります。
次に、
デジタル化社会を推進するためのデジタル人材の育成についてお答えいたします。
デジタル技術の活用は、業務の効率化にとどまらず、新たな付加価値を持った商品・サービスの創出やビジネス機会の拡大につながるなど、本県産業の発展に欠かせないものであり、これを担うデジタル人材の育成は大変重要であると考えております。
そのため、県立IT短大では定員を80名から120名に増員するとともに、情報セキュリティなど専門性の高い訓練を実施し、卒業生の9割以上が県内企業で活躍するなど、着実な人材の輩出につながっております。
また、広く県内のデジタル人材を育成するため、昨年度から、茨城大学と連携し、基本情報技術者の資格取得を目指す講座を実施していることに加え、今年度、新たに、企業のニーズに応じてカリキュラムを設定する短期間の集中講座を設置し、企業在職者のスキルアップを支援してまいります。
このようなIT短大の取組は県内企業から高い評価をいただいておりますことから、今後、さらなる機能強化に向けた検討を進めてまいります。
加えて、県では、より高度なデジタル人材として、いわゆるデータサイエンティストの養成にも取り組んでおります。画像分析技術を生かし、商品の不具合を検出するシステムの開発などの事例も出てきておりますことから、今後も、こうした高度デジタル人材の育成を着実に進めてまいります。
一方、我が国が直面している労働力不足を解消するためには、女性をはじめ、多様な人材の活躍が不可欠でございます。
そのため、働く意欲や能力がありながら、育児や介護などで就労を諦めている女性の活躍を後押しするため、今年度、新たに、議員御指摘の国の交付金を活用し、テレワーカーとして在宅で働くための知識やデジタル技術の習得を目指す講座を開設いたします。
また、女性の再就職支援といたしまして、就職支援センターの相談員によるきめ細やかなカウンセリングのほか、スキルアップが必要な方には職業訓練を実施しております。特に、育児などに携わっている方が受講しやすいよう、託児サービスやeラーニングコースなどを設け、昨年度は、介護やOAなど94コースを実施し、修了者の約7割が就業に結びついております。
このうち、デジタル分野では、基礎的なパソコンスキルの習得に加え、今年度は、ウェブクリエイター等を養成する高度な訓練を17コース設置しており、今後も訓練内容の充実に努めてまいります。
県といたしましては、時代の変化や企業のニーズに対応したこうした取組を充実させていくことで、本県産業を支えるデジタル人材の育成にしっかりと取り組んでまいります。
10
◯伊沢勝徳議長 次に、北村政策企画部長。
〔北村政策企画部長登壇〕
11 ◯北村政策企画部長 高齢者の移動手段確保のための
未来型交通システムの構築についてお答えいたします。
本格的な人口減少・少子高齢社会において、高齢者の暮らしを支える移動手段をいかに維持・確保していくかは大変重要な課題であり、その解決手段の一つとして、デジタル技術を活用した公共交通の利用環境の整備が期待されるところであります。
現在、国において、自動運転技術の実用化に向け、全国各地で様々な実証実験が進められておりますほか、日立市や境町など県内の市町村においても、デジタル技術を活用し、地域公共交通の活性化や利便性の向上等を目指す先進的な取組が展開されております。
また、県におきましても、デジタル技術導入により、公共交通の利便性向上に取り組む市町村を支援するため、令和3年度に新たな移動サービス導入等支援事業を創設したところであり、高萩市のAI技術を活用した
呼出型最適経路バス「マイライドのるる」の導入に対し支援を行っているところでございます。
こうした中、特に自動運転の技術革新は、公共交通におけるドライバー不足や移動手段の確保など、地域課題を抜本的に解決する手段として大きな期待が寄せられているところであります。
本年4月には道路交通法が改正され、限定地域において、運転者がいない状態で自動運転ができる特定自動運行が今後解禁となるなど、自動運転実現に向けた環境整備が着実に進められております。
一方、将来の自動運転の本格的運用に向けては、車両の安全対策基準や事故発生時の責任範囲の明確化など、多くの課題があると認識しております。
このことから、県といたしましては、事業者が安心して自動運転車両を運行するために必要となる、より具体的な基準の作成など、技術運用面の環境整備について国に働きかけてまいります。
また、デジタル技術を活用した新たな交通サービスを持続的なものとしていくためには、これまでの実証実験で得られた成果を分析し、それぞれの地域の実情を踏まえた最適な交通サービスの導入を図るとともに、MaaSを活用し、鉄道やバスといった既存のネットワークとを結びつけて、シームレスに移動できる環境を構築することなどにより、利用者のさらなる利便性向上につなげていくことが大変重要であると考えております。
このため、県といたしましては、県内外の実証実験などを通じて得られた知見を関係者間でしっかりと共有するなど、市町村や交通事業者等との一層の連携の下、デジタル技術も活用しながら、高齢者の移動手段の確保に取り組んでまいります。
12
◯伊沢勝徳議長 次に、飯塚福祉部長。
〔飯塚福祉部長登壇〕
13 ◯飯塚福祉部長 大人の発達障害の支援についてお答えいたします。
県では、県内2か所に設置した発達傷害者支援センターにおいて、本人や家族からの相談対応をはじめ、障害傾向を見極める検査の実施や就労支援、発達障害に関する普及啓発活動など総合的な支援を行っておりますが、今年度7月までの相談者数の半数以上が19歳以上の方であり、大人の発達障害が課題となっております。
大人の発達障害の方には就労支援が大きな役割を果たしますので、発達障害が疑われる方に対しては、発達障害者支援センターにおける相談、検査等を通じて、精神障害者保健福祉手帳の交付の対象になる場合には、障害者手帳の取得を促し、障害者枠での就労につなげております。
あわせて、県内の各企業・団体等に対しては、障害者の法定雇用率の達成に資するとともに、トライアル雇用助成金などの各種支援措置を受けられるメリットもあるため、発達障害者の雇用について積極的に働きかけをしております。
なお、手帳を取得した方の中には、日常生活を送る上で支援が必要となる方もおりますので、県内9か所に設置された障害者就業・生活支援センターにおいて、職業準備訓練に加え、金銭管理や健康管理など、就業面と生活面の一体的な相談・支援を実施しております。
一方、手帳の取得までには至らないものの、発達障害の特性により、就労支援が必要な方については、自分自身で障害特性を理解することが就労に向けての第一歩になります。
このため、発達障害者支援センターでは、コミュニケーション面や作業遂行面から、働く上での自分の特徴を客観的に整理するツールとして、厚生労働省が医学的知見や就労支援機関の意見を踏まえて作成した就労パスポートを活用し、ハローワーク等の就労支援機関と協力しながら支援を行っております。
なお、議員からは、発達障害者の自己理解を深める支援ツールの導入について御提案がありましたが、この就労パスポートを活用し、障害者手帳の取得に至らない方も含め、就職や職場定着につなげてまいります。
また、発達障害者の就労や自立に向けては、本人の自己理解はもとより、周囲の方々や雇用する企業側の正しい理解が必要となりますので、県民向けセミナーや企業向け講演会の開催を通じて、発達障害者が社会の中で配慮を受けやすい環境づくりを進めてまいります。
県といたしましては、発達障害者の方々が生きづらさを解消し、就労の希望や自立した生活が実現できるよう、支援の充実・強化に努めてまいります。
14
◯伊沢勝徳議長 次に、森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
15 ◯森作教育長
特別支援教育に関わる教員の更なる質の向上についてお答えいたします。
日立市立日立特別支援学校については、県内唯一の市町村立の
特別支援学校であり、他の市町村立の学校と同様に、小中学校教員として採用された教諭が配置されております。
特別な支援が必要な児童生徒一人一人のニーズに応じた教育の質を高めるためには、
特別支援教育に関わる教員が、障害の特性に応じた支援方法等の専門性の向上を図ることが何より重要であると考えております。
県といたしましても、
特別支援学校教諭免許状取得のための講習会や
特別支援教育に関する研修を充実し、
特別支援教育に関わる教員のさらなる質の向上に努めているところでございます。
日立特別支援学校においては、令和元年度以降、
特別支援学校教諭免許状の取得が促進され、
日立特別支援学校に勤務する教諭全員が
特別支援学校教諭免許状を保有しております。
あわせて、県立、市町村立双方の教員の質の向上を目的として、県立
特別支援学校と
日立特別支援学校の人事交流を積極的に推進しており、現在、11名の県立
特別支援学校教員が
日立特別支援学校に勤務しているところです。
一方で、教員の年齢構成について、30歳代以下は、県立
特別支援学校が39.5%であるのに対し、
日立特別支援学校は22.8%であり、県立
特別支援学校と比較して、若手の教諭が少ない状況にあります。
このため、
特別支援学校教員選考試験合格者を新規採用教員として
日立特別支援学校へ配置することや、現在、県立
特別支援学校に勤務している教員を
日立特別支援学校へさらに異動させることについて検討してまいります。
また、議員御指摘のとおり、講師の
特別支援学校教諭免許状の保有者が半数となっていることから、免許状の取得や研修等への積極的な参加を促し、資質の向上が図られるよう、取組を強化しているところでございます。
今後も、講師を志願する者のうち、
特別支援学校教諭免許状保有者については、優先的に
日立特別支援学校に配置できるよう配慮し、免許状保有率の向上を図ってまいります。
令和4年3月に取りまとめられた国の検討会議の報告において、
特別支援教育に関する知見や経験は教育全体の質の向上に寄与するものであり、
特別支援教育の専門性を担保しつつ、携わる教師を増やしていくことが必要との方向性が示されました。
県といたしましては、こうした国の動向を踏まえつつ、引き続き、
日立特別支援学校を含め、
特別支援教育に関わる教員のさらなる質の向上を図ってまいります。
次に、県立博物館に求められる役割と収蔵スペースについてお答えいたします。
本県では、6つの県立美術館・博物館において、基本大綱や中長期計画を策定し、個々の特色を生かしながら、資料の収集・保管、展示・教育、調査研究等、博物館の基本的役割の充実に努めてまいりました。
また、今般の博物館法改正を受け、今後は、文化観光推進など新たな役割についても担っていく必要があると認識しております。
文化観光推進につきましては、県立歴史館や陶芸美術館において、これまでも、梅まつりや陶炎祭に合わせ、それぞれ魅力ある企画展を開催したり、自然博物館では、県内外から年間約40万人が来館し、休日は多くの親子連れでにぎわうなど、
文化観光拠点施設として一定の役割を果たしております。
今後は、地域や関係団体との連携・協働をさらに深め、茨城デスティネーションキャンペーンでは博物館の資源を生かした特別企画を計画するなど、観光振興や地域活性化等の幅広い役割を担ってまいります。
また、博物館資料のデジタル・アーカイブ化につきましては、所蔵作品や資料の一部を各館のホームページ上で公開するとともに、コロナ禍を機に、展示風景や作品解説等の動画配信を行っているところでございます。
今後は、資料のデジタル化をさらに進め、資料や展示室の3D映像化・高画質化、展示解説の多言語化なども検討し、デジタル・アーカイブ化事業の充実に取り組んでまいります。
これらの取組につきましては、今年度、近代美術館と陶芸美術館で改訂作業を進めている基本大綱の中で、運営の基本姿勢や活動の基本方針等に盛り込むとともに、他館においても、順次、見直しを図ってまいります。
次に、収蔵スペースについてでございますが、自然博物館をはじめ、各館の収蔵庫の空きスペースに余裕がなく、収蔵スペースを早急に確保する必要があります。
各館では、基本大綱等に収集方針を定め、資料の購入や寄附の受入れに際しては、専門家の意見を聴取しながら計画的に収集してまいりました。
しかしながら、自然科学の分野では、調査資料を継続的に収集・分析する必要もあり、特に自然博物館の資料が増大しております。
このため、速やかに収蔵庫内や館内の空きスペースの実態を把握し、収納棚の増設や空きスペースの収蔵庫への転用等を進めてまいります。
このほか、廃校等を収蔵庫として活用している事例を研究し、温湿度管理や害虫対策の必要性の低い資料については、館外の施設に保管するなど、新たな収蔵スペースの確保につきましても検討してまいります。
県といたしましては、博物館の基本的役割の充実はもとより、法改正の趣旨にのっとり、これからの博物館に求められる役割をしっかりと果たしてまいります。
16
◯伊沢勝徳議長 次に、田村土木部長。
〔田村土木部長登壇〕
17 ◯田村土木部長 日立市周辺地域の道路の現状及び今後の整備状況についてお答えいたします。
まず、国道6号大和田拡幅、
日立バイパスII期、仮称桜川道路による市内の渋滞緩和についてでございます。
国道6号は、東京都を起点として、県内を南北に縦断し、宮城県へと至る首都圏と東北地方の経済圏を結ぶ大動脈として、地域の産業と経済活動を支えるとともに、災害時には、円滑な救援活動及び復旧活動に資する緊急輸送道路としての役割も担う大変重要な幹線道路でございます。
このうち、日立市内の区間におきましては、朝夕の通勤時間帯を中心に慢性的な渋滞が発生するなど、円滑な交通に支障を来たしておりますことから、現在、大和田拡幅と
日立バイパスII期の2つの事業が国により進められているところでございます。
大和田拡幅につきましては、常磐道日立南
太田インターチェンジから大みか町6丁目交差点までの延長3.3キロメートル区間の拡幅事業で、昨年度末までに約7割の用地が取得済みとなっており、茂宮川に架かる橋梁工事やその前後の道路改良工事が順次進められております。
また、
日立バイパスII期につきましては、都市計画道路鮎川停車場線と国道6号日立バイパスの供用区間を結ぶ延長3キロメートルのバイパス整備で、昨年度末までに約6割の用地が取得済みとなっており、海岸の埋立て工事などの実施に先立ち、必要となる関係者との協議が進められているところでございます。
いずれの事業につきましても、事業推進のため、県土地開発公社が国からの委託を受け、地元日立市と連携して国の用地取得を支援しているところでございます。
また、現在、国におきましては、事業中の大和田拡幅と都市計画道路鮎川停車場線を結ぶ延長約7キロメートル区間につきまして、仮称桜川道路として、慢性的な渋滞解消のため、関係者と計画の具体化に向けた協議の準備が進められております。
このうち、常陸多賀駅入口交差点から諏訪五差路までの区間につきましては、議員御指摘のとおり、今後、都市計画道路鮎川停車場線の整備が完了いたしますと、これまで以上に交通が集中することが想定されますことから、早期の4車線化が必要であると認識しております。
県といたしましては、引き続き、地元日立市と連携しながら、大和田拡幅と
日立バイパスII期の事業推進及び仮称桜川道路の早期の計画の具体化について、国に強く働きかけてまいります。
次に、国道245号や国道293号をはじめとした日立港区周辺道路の整備についてでございます。
茨城港日立港区周辺において、交通の円滑化が図られることは、県北臨海地域のさらなる発展に大きく寄与するものと考えており、国道245号をはじめとした周辺道路の整備を進めているところです。
まず、国道245号について、日立市内においては、久慈川を渡河する久慈大橋から国分町の都市計画道路鮎川停車場線までの10.6キロメートル区間につきまして、慢性的な渋滞や茨城港日立港区などへのアクセス向上を図ることを目的として、4車線で都市計画決定されており、これまでに国道293号と交差する留町交差点から日立港入口交差点までの2.5キロメートル区間の4車線化整備が完了しております。
これに続く北側の1.9キロメートル区間につきましては、平成27年度より、日立港区北拡幅事業として4車線化の整備を進めているところであり、これまでに用地の取得や一部工事にも着手しており、現在は、水木町の擁壁工事や道路改良工事を進めているところでございます。
また、南側の久慈大橋につきましては、平成31年度から4車線の橋梁に架け替える事業に着手し、これまでに橋梁や取付道路の詳細設計を実施し、現在、関係機関との協議などを進めているところでございます。
次に、国道293号について、日立市内においては、国道245号と交差する留町交差点から市境の大和田町までの3.9キロメートル区間が昭和42年度に2車線の道路として都市計画決定され、昭和55年度に整備が完了しております。
議員御案内の国道293号の4車線化につきましては、茨城港日立港区や常磐道日立南
太田インターチェンジ周辺において新たな土地利用も期待されていることから、日立市と連携しながら、まちづくりの視点も含めた検討が必要と考えております。
県といたしましては、まずは、現在整備を進めております国道245号の日立港区北拡幅事業及び久慈大橋の架け替え事業について、地元日立市と連携しながら整備の推進を図っていくとともに、周辺道路のさらなる機能強化につきましては、現在事業中の区間の進捗状況や周辺道路の交通の推移などを勘案しながら検討してまいります。
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◯伊沢勝徳議長 暫時休憩いたします。
なお、会議再開は、午後2時15分を予定いたします。
午後2時1分休憩
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午後2時16分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
19 ◯舘静馬副議長 休憩前に引き続き会議を開き、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
この際、申し上げます。
次の質問・質疑は、分割方式により行われます。
また、質問補助者が同席をいたします。
なお、傍聴人の皆様に申し上げます。
傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意願います。
設楽詠美子議員。
〔22番設楽詠美子議員登壇、拍手〕
20 ◯22番設楽詠美子議員 立憲いばらきの設楽詠美子です。
ウィズコロナ社会の中、命を落とされた全ての皆様に心よりお悔やみ申し上げます。
現在治療中の方、後遺症に苦しんでおられる方々にお見舞い申し上げます。
また、医療の最前線で働いてくださっている皆様、多忙を極める執行部の皆様、保健業務に従事されておられる皆様に深く感謝申し上げます。
それでは、通告に従い、質問してまいりますので、知事はじめ教育長、関係部長の皆様の前向きな御答弁をお願いいたします。
初めに、医師確保と医学部新設について、知事にお伺いいたします。
本県では、人口当たりの医師数が全国平均を大きく下回っており、10万人当たりの医師が下位から2位の状況は20年以上、それ以上変わらない状況が続いております。最下位は埼玉県、3位は千葉県と、下位3位の変化がありません。
地域枠も2009年から事業が始まり、10年以上が経過しますが、国が暫定的に算出した医師需給推計に基づく2036年時点の本県の医師不足数を補うためには、さらなる定員増が必要であるとされています。
私が筑波大学で行っている医師偏在の研究では、最下位の3県のうち、医師の地理的偏在が拡大しているのは茨城県だけであり、2012年以降に偏在の増加率は緩やかになるものの、医学部の新設は妥当な方向性ではないかと考えております。
今後、茨城県の医師確保に向けた取組は重要であり、また、県の新たな総合計画において、医学部の誘致等の調査検討も進めるとのことであります。
国では、大学の医学部の新設を認めない方針を取っておりますが、茨城県の医療人材不足と医療体制の脆弱性を鑑みますと、医学部の新設に向けた取組は重要だと考えております。
そこで、今後、医師確保や医学部の新設に向けてどのような方針で取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
この項目についての質問は、以上です。
21 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。
大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
22 ◯大井川和彦知事 設楽詠美子議員の御質問にお答えいたします。
医師確保と医学部新設についてお尋ねをいただきました。
まず、医師確保につきましては、単に医師の総数を増やすだけでなく、将来、確実に地域医療を担う医師を増やすことが不可欠であるため、県では、地域枠等の修学資金貸与制度を活用し、将来、本県の医師不足地域で一定期間勤務する医師を養成しております。今後も着実に増加する見込みとなっております。特に、地域枠は、本年度に定員を61名まで増やしたところですが、来年度はさらに6名を増員し、10大学の合計67名まで拡大する見込みとなっております。
国の試算によれば、本県は地域枠のさらなる増員が可能であり、今後も県外大学への新増設に取り組むことにより、国が全国の医師需給均衡の目標とする2036年には、本県の必要医師数の目安である7,800名を上回ることが可能であると考えております。
また、県民の安心・安全を守るためには、救急医療等の政策医療を担う地域の中核病院の医療提供体制を確保することが最も重要であることから、現在、最優先の医療機関・診療科の第2次目標を掲げ、重点的な医師確保対策に取り組んでいるところです。
これまでに、目標の7.5名に対し、4.2名を確保したところであり、引き続き、目標達成に向け、全力で取り組んでまいります。
なお、議員の研究では、茨城、埼玉、千葉のうち、医師偏在が拡大しているのは本県のみとの御見解ですが、国の統計等において、そのようなデータは見当たりませんでした。
次に、医学部の新設についてでございます。
国では、2029年頃に全国の医師需給が均衡すると推計し、医学部の総定員数を減らしていく方針を示しておりますことから、現状、医学部の新設を認めておらず、実現のハードルは極めて高いと認識しております。
しかしながら、本県としては、医師の働き方改革など、今後、医師を取り巻く環境が大きく変化していく中で、都道府県間での医師の奪い合いとならないよう、医師数全体の底上げが必要であると考えております。
そのため、これまでも、中央要望や知事会等を通じ、国に対して、医師需給推計の見直しと医学部新設を可能とすることを要望しておりますが、令和2年度からは、新たに本県を含む12の医師少数県で連携し、国への要望活動に取り組んでいるところであり、引き続き、本県の単独要望はもとより、医師不足を課題とする他の県とともに国に働きかけることにより、まずは規制そのものの見直しを目指してまいります。
23 ◯22番設楽詠美子議員 再質問します。
24 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
25 ◯22番設楽詠美子議員 医学部の新設の部分に関して再質問させていただきます。
総合研究の中で調査研究をしていくという内容が盛り込まれておりますが、先ほどの答弁の中にその調査研究の具体性が述べられておりませんでした。具体的にどのような調査研究を計画し、その研究はどのようなスケジュールで実行していくのか、茨城県の計画を教えてください。
以上です。
26 ◯舘静馬副議長 大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
27 ◯大井川和彦知事 再質問にお答えします。
現時点で、医学部の新設に対して、具体的な検討項目を述べることは難しい状況です。まず規制をどう緩和するか、そういうことについての要望、それから、広範囲にどういう医師が必要になるか、そういうことを見ながら、医学部の新設についても、可能性の一つとして検討していきたいと、そういうふうに考えています。
28 ◯22番設楽詠美子議員 再々質問します。
29 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
30 ◯22番設楽詠美子議員 今の知事の御答弁では、医学部の新設を目指そうという強い意志を感じることができませんでした。「意志(医師)あるところに道は開ける」、私はこの言葉が大好きです。
今、規制緩和が必要という御説明でしたが、具体的に茨城県立でできるのか、もしくはどこかの大学にお願いしなくてはいけないのか、今できることを最大限に検討し、前に進めていくことが重要だと考えております。
知事の御所見をお聞かせください。
31 ◯舘静馬副議長 大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
32 ◯大井川和彦知事 再々質問にお答えいたします。
まず、医学部新設の議論の前提として、医師需給推計の見直しを政府が行わない限りは、2030年に向けて医師は余るという前提での議論では、医学部の新設など到底難しいということでございますし、設楽議員のおっしゃるような広範囲な、具体的な推計というのはまさしく現実性を欠くものというふうに考えております。
33 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
〔22番設楽詠美子議員登壇〕
34 ◯22番設楽詠美子議員 知事の御答弁の中で、現実的には欠くというような御答弁がございましたが、これから医師の働き方改革など様々な取組が始まる中で、医師不足の茨城県において、医学部新設においてはとても重要な課題だと思いますので、引き続き、しっかりと調査研究を進めることを要望して、次の質問に移ります。
次に、県職員の副業の推進についてお伺いいたします。
地方公務員の副業については、公務の能率の確保や職務の公正の確保、職員の品位の保持等のため、地方公務員法により許可制が採用されております。そのため、営利団体の役員を兼ねることや自ら営利企業を営むことは許可なく行うことができません。
総務省の調査によりますと、地方公務員の副業の許可について、2018年度には4万件を超えるなど、人手不足を背景に地方公務員の副業が広がっている現状であります。
茨城県では、5,000人いる県職員のうち、副業をしている方は39名と伺っておりますが、まだまだ少ないのではないかと感じております。
2020年に、総務省が副業の環境整備を促進するため、全国の自治体に許可基準をつくるよう求める通知を発出したとのことではありますが、本県では、その通知を受ける前から副業に関する許可基準を定めていると伺いました。
一方で、副業の制度について、茨城県職員の間でもまだ十分に理解が進んでいないと感じております。副業をちゅうちょすることがないよう、制度の周知を図っていただきたいと考えております。
政策を担う行政職員が、現場の中に入り、体験することは深い学びになり、さらに政策が磨かれ、好循環が生まれると思います。職員の特性が生かせる分野、人が不足する分野の副業ができるようにするなど、職員が副業をしやすい環境を整備していくことが必要です。
そこで、県職員の副業を推進することについて、県としてどのように考えているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
この項目についての質問は、以上です。
35 ◯舘静馬副議長 大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
36 ◯大井川和彦知事 県職員の副業の推進についてお答えいたします。
職員が営利企業等に従事する場合、地方公務員法第38条に基づき許可が必要となります。
私は、知事就任当初から、副業は職員の育成や活躍の場をより拡げる上で大きなメリットがあると考え、平成30年度末に、国や他県よりも踏み込む形で、副業許可の運用を原則禁止から原則許可へと転換し、職員に公務内では得られないスキルや経験、人脈を獲得させることで、チャレンジ精神に富み、従来の公務員の枠にとらわれない新たな発想を持った「人財」育成につなげることといたしました。
現在、予測困難な非連続の時代にあって、職員は変化に即応した的確な政策を立案し、いち早く県民サービスの向上を実現することが求められており、副業などにより、外部での業務経験を積むことで、民間的な発想やスピード感を持って業務を進めていくスキルを身につけることができると考えております。
また、職員が持つ専門知識や資格等を副業先で有効活用し、医療や農業など人手が不足する分野への人材供給や地域活動への支援にもつなげることで、地域社会への貢献もできると考えております。
これまでの職員の副業の具体例としては、医師の資格を生かし、医師不足地域の病院で非常勤医師として診療や検査を行う事例などが代表事例でありましたが、最近は、執筆などの創作活動を行う事例や、地域活性化に関する講演会の講師を行う事例など、その幅が拡がってきております。
ここ数年は、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う社会活動の制限などにより、職員の副業許可件数は大きく増えておりませんでしたが、非接触・非対面などの感染症対策を進める中で、社会全体の就業環境が変化し、テレワークや在宅勤務、時差出勤などの多様な働き方が定着するなど、副業に取り組みやすい環境が整ってきていると認識しております。
このような機会を好機と捉え、意欲ある職員が自らの特性を生かし、積極的に副業に取り組み、多方面で活躍できるよう、制度や許可事例の周知を徹底し、職員の活躍の場を拡大することで、地域社会への貢献にもつなげてまいります。
県といたしましては、今後とも、民間的な感覚やスピード感を持ち、新たな発想で積極的に挑戦し、困難な政策課題に的確に対応できる「人財」が重要であるとの考えの下、引き続き、副業の推進をはじめとする様々な手法により、多様な「人財」の育成と確保に取り組んでまいります。
37 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
〔22番設楽詠美子議員登壇〕
38 ◯22番設楽詠美子議員 副業に対する前向きな御答弁がいただけたと思います。
次に、茨城県の子どもたちの未来についてお伺いいたします。
まず、子どもたちの育みのための森のようちえん、ピアサポート、性暴力根絶のための生命の安全教育の視点から質問いたします。
昨年10月に国が発表した調査によりますと、不登校の小中学生は約19万6,000人と、前年度から1万5,000人多く増え、過去最多になりました。また、2020年度の児童生徒の自殺者数は415人と、前年度から98人増え、過去最多と、大変悲しい気持ちです。
茨城県においても、同様の傾向にあるのではないかと懸念しております。
子どもたちが悩みや不安を抱えているとき、あるいは、ストレスがかかったときに、カウンセラーに相談に乗ってもらうこともとても重要ですが、カウンセラーにいつもすぐに相談に乗ってもらえるとは限りません。
したがって、子どもたちが、自分自身で悩みや不安、ストレスを乗り越える力を育み、困ったとき、仲間で支え合い、互いに学び、学校生活を楽しく過ごしてほしいと考えます。
幼児期の教育において、子どもたちには、自分は大切にされる存在であり、自分はこれでよいという自分に対するポジティブな感情、つまり、自己肯定感を育むことは非常に重要で、これは子どもたちの生きる力になっていきます。
この生きる力を育むために、幼少期から自然環境の中で自由な遊びを通した体験は非常に重要です。
子どもたちは、遊びを通した自然体験を通して、自分は大自然の中の一員であることを確認し、生きていることを実感します。
このような自然体験を実施する保育所や、幼稚園等への支援、さらには、森のようちえんの茨城県独自の認証が必要です。
森のようちえんでの自然体験は、子どもたちの自己肯定感を育み、ストレスや困難を乗り越える力を育むことにつながると考えます。
学童期には、現在、2022年度の改訂に向けて検討が進められている生徒指導提要で、児童生徒の予防・開発のための教育に活用できる手法として示されたピアサポートの学校教育への導入も必要です。
茨城県では、つくば市内の中学校でピアサポートの取組が約10年間継続して実施されており、7月の視察の際には、子どもたちの支え合いの雰囲気、生徒間、教師と生徒間の信頼関係が育まれていることを感じることができました。以前は子どもたちの人間関係が悪く、いじめや心ない言葉が飛び交うなどの課題があり、筑波大学のヒューマン・ケア科学の研究室と連携して、いじめ撲滅、人間関係づくりのピアサポートを行ってきたと聞きました。
私は、このピアサポートは、仲間が仲間を受け入れ、仲間と仲間が支え合う取組であり、学校生活、ひいては将来にわたり生きていく上での基礎になると考えます。
さらに、このピアサポートは、2023年度から実施される性暴力根絶のための生命の安全教育の性的同意を理解するための基本になります。ピアサポート並びに性暴力根絶のための生命の安全教育を充実させるためにも、予算の確保は必須です。
あわせて、性暴力の根絶のためには、座学による教育に加えて、護身術等、自身を守れる力を身につけることも重要です。
私は、茨城県の子どもたちには、森のようちえん、ピアサポート、生命の安全教育を通して、自己肯定感を持ち、お互いの多様性を認め、お互いを思いやり、助け合い、お互いの命を大切にし、乗り越える力、支え合う心を育んでほしいと考えております。
そこで、茨城県では、茨城県で生まれた子どもたちをどのように育み、育てていこうと考えているのか、教育長の御所見をお伺いいたします。
次に、県西地域の県立高校の再編統合についてお伺いいたします。
県立高等学校改革プランの計画期間は、2020年度から2026年度になります。
人口減少により、募集定員も2020年に1万8,790人であったものが、2022年には1万7,750人と減少し、さらに入学志望者も定員を割っていることが現状です。
こうした中、今後の再編統合は避けられない状況でありますが、県立高等学校の魅力を発信していくことが重要だと考えます。
本年5月に、県立高等学校の統合に関する新聞掲載がありましたが、これについては県が正式に決定したものではなく、検討中の案の一部が報道されたと伺っております。
今回の報道を受けて、私の住む筑西市の皆様からは、心配する声や様々な意見が届いております。例えば、鬼怒商業高等学校は、下館第一高等学校の商業科から分かれたものであるために、再編統合するのであれば、下館第一高等学校の商業科に、また、新しく建物を必要とするならば、筑西市民病院跡や旧市役所跡に建設をお願いしたいという御意見が聞かれます。
県立高等学校の再編統合に当たっては、地域の声を聞いて計画していくとお聞きしております。
そこで、具体的に2026年度までにどのように地域の声を聞き、集約し、県立高等学校改革プランを立てるのか、教育長にお伺いいたします。
この項目についての質問は、以上です。
39 ◯舘静馬副議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
40 ◯森作教育長 茨城県の子どもたちの未来についてお答えいたします。
まず、子どもたちの育みのための森のようちえん、ピアサポート、性暴力根絶のための生命の安全教育についてでございます。
子どもたちの育みのための森のようちえんについてでございますが、自然体験活動をはじめ、様々な体験を通して、子どもの主体性や協調性、自己肯定感といった非認知的能力を育成していくことは大変重要でございます。
このため、県内の多くの幼稚園等では、自然体験のほか、多文化交流やインクルーシブ教育、音楽教育など様々な体験活動に取り組んでいるところでございます。
また、県立青少年教育施設では、施設の特性を生かしながら、自然体験活動や宿泊体験活動、創作体験活動などを実施し、子どもたちに様々な体験活動の機会を提供しております。
このように、様々な活動を通して子どもたちの非認知的能力の育成が図られておりますことから、議員から自然体験活動に特化した支援や認証制度の創設について御提案いただきましたが、県教育委員会といたしましては、新たな制度を創設するよりも、現在の取組をしっかりと継続していくことが肝要と考えております。
次に、ピアサポートについてでございますが、議員御指摘のつくば市内の中学校においては、生徒が学級、学年の枠を超えて互いに支え合い、いじめを未然に防止できるよう、教育心理学を専門とする大学教授の協力の下、聞くスキルを中心としたコミュニケーション能力の向上に取り組んでおります。
今後は、教職員を対象とした研修において、ピアサポートをはじめとした各学校の取組を共有するとともに、道徳や特別活動等において、互いを思いやる気持ちを育むことで、児童生徒の豊かな心の育成に努めてまいります。
最後に、生命の安全教育についてでございますが、子どもたちを性暴力の加害者や被害者、傍観者にさせないためには、発達段階に応じて、自分や他者が尊重されるべき存在であることや、生命の尊さについて学ぶことが重要でございます。
このような中、各学校が教育課程内外の様々な活動を通じて活用できるよう、文部科学省が生命の安全教育に関する資料や動画を作成いたしました。今後は、学校における活用事例等を共有し、保健体育や特別活動、ホームルーム等、学校の教育活動全体を通して、生命の安全教育をさらに推進してまいります。
これからの子どもたちの育成には、命を尊ぶ心や他者への思いやり、規範意識や自主性、自己肯定感などを育成することが重要であると認識しております。
県といたしましては、子どもたちの未来のために、豊かな心の育成にしっかりと取り組んでまいります。
次に、県西地域の県立高校の再編統合についてでございます。
県では、中学卒業者数の減少や科学技術の進展といった社会の変化などに適切に対応するため、県立高等学校改革プランを策定し、活力と魅力ある学校づくりを進めております。
この改革プランでは、県立高校の適正配置について、中学卒業者数の変動に対しては、原則、学級数の調整により対応し、その結果、学校の小規模化が著しい場合には、教育内容を維持・充実させるため、遠隔授業や学校行事の合同実施等、共同の学びを推進するほか、統合や分校化についても検討することとしております。
こうした中、令和4年度入学者選抜では、全日制高校における募集定員1万7,750人に対し、欠員数が1,391人、全日制高校で定員に満たない学校が54校と全体の半数を超え、さらに、本県の中学卒業者数は、今後2030年までに約2,800人減少する見込みとなっております。
県では、プラン策定に当たり、全県を1)から12)のエリアに分けており、そのうち、県西地域の筑西市、結城市、下妻市、桜川市のエリア11)において、全日制高校10校のうち7校で定員を満たさず、中学卒業者数は2030年までに約400人減少する見込みであります。また、古河市ほか4市町のエリア12)においても、定員に満たない学校が多い状況にあり、2030年までに約300人減少する見込みでございます。
このような状況から、県西地域の県立高校においても、統合等について検討する必要があると考えております。
このため、県では、一昨年から、より教育効果を発揮できる共同の学びの仕組みや、将来の高校の配置などを検討するため、学校や市町村教育委員会とのエリア別意見交換会を開始したところであります。その中では、再編整備を進めるべきとの意見がある一方、学校存続を優先すべきなど、様々な御意見をいただいております。
また、県教育委員会が学校を訪問したり、校長面談を行うことにより、学校や地域の現状を把握して、学校と共に魅力づくりに取り組んでいるほか、次期計画である令和6年度から令和8年度までの実施プランII期の策定に向け検討を進めてきたところでございます。
そうした中、今年5月の新聞報道において、発表する段階にない内部での検討中の案が何らかの形で出てしまったことは、県としても大変遺憾に思っております。
県立高校の再編計画の策定に当たっては、地域ごとの中学卒業者数の減少の度合いや県立高校の置かれている状況が異なることなどを勘案し、地域の意見に十分配慮しながら検討する必要がございます。
そのため、今後、県では、検討案の段階から、対象となる学校や市町村教育委員会を通じて、PTAや同窓会、地元関係者などに丁寧に説明を行い、地域の意見を幅広く聞きながら、十分な理解を得た上で決定してまいりたいと考えております。
県といたしましては、より一層充実した教育が展開できるよう、教育条件の整備を図り、引き続き、時代の変化や地域のニーズに対応した、特色と魅力ある学校づくりを進めてまいります。
41 ◯22番設楽詠美子議員 再質問します。
42 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
43 ◯22番設楽詠美子議員 まず、大きく3点、再質問いたします。
茨城県独自の森のようちえんの認証制度においては、今までの事業を継続することが大切ということで、この要望には賛成していただけませんでしたが、この理由に関してはどういうことであったのか、また、この独自の認証制度が必要ないと結論づけた理由をお聞かせください。
2つ目に、ピアサポート、生命の安全教育に対する予算の確保は不可欠という質問をさせていただきましたが、この予算の確保の部分に対しての御答弁がございませんでしたので、御説明をお願いいたします。
最後に、県立高等学校の再編統合で、エリア別の意見交換を教育委員会等と行ってきているという御説明でしたが、地域の声の集約の部分に関して、どのように集約し、そのスケジュール等、どのようになっているか、教えてください。
以上、3点です。
44 ◯舘静馬副議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
45 ◯森作教育長 再質問にお答えいたします。
先ほどもお答えいたしましたが、県内の多くの幼稚園等では多様な体験活動に取り組んでおり、また、県でも、青少年教育施設の特性を生かして様々な体験活動の機会を提供しております。
県教育委員会といたしましては、現在の取組により、自己肯定感といった非認知能力の育成が図られており、現在の取組をしっかりと継続することが重要であると認識しており、自然体験活動に特化した支援や認証制度を創設することについては考えておりません。
続きまして、ピアサポートについてでございますが、教員研修等について、ピアサポートを含め、各学校のよりよい取組を共有することにより、子どもたちの豊かな心の育成に努めてまいりたいと思います。
予算措置につきましては、その必要性も含め、慎重に検討してまいります。
続きまして、実施プランII期の公表のところでございますけれども、今後、地元関係者などの十分な理解を得た上で決定・公表することになりますので、現段階では、いつ公表ということは言いませんが、生徒募集の時期なども考慮し、計画期間内に実施できるよう、適切な時期に公表してまいりたいと考えております。
46 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
〔22番設楽詠美子議員登壇〕
47 ◯22番設楽詠美子議員 森のようちえんに関しては、特に森林湖沼環境税を持っている茨城県にとって、自然体験に特化した箇所を支援するというのは決して間違った方向ではないと思っておりますので、改めての検討を要望して、次の質問に移ります。
次に、茨城版オーガニック学校給食の実現に向けてお伺いいたします。
まず、学校給食への有機農産物の導入についてです。
私たちは、有機農産物を学校給食への導入を実現するために、茨城県で活動する11団体・2事業者の皆様と茨城オーガニック学校給食プロジェクトを結成し、約1年が経過いたします。
オーガニックとは、化学的に合成された肥料、農薬を使用しないなど、有機JASの基準に従って生産された農作物のことで、有機農産物と言っており、それを学校給食に導入してほしいということが私たちの一つの目標です。
2021年12月には、茨城県教育庁と農林水産部とシンポジウムを開催し、オーガニック学校給食の実現に向けて、それぞれの立場から御意見をお聞かせいただきました。
その中では、有機農産物を給食に導入するに当たり、有機農産物の不足、価格の課題等が明らかになりました。
以上を踏まえ、今年1月21日に、小野寺副知事並びに小泉前教育長に対して、1,531名の署名を約10日間で集め、要望書を提出したところ、茨城県としては、有機農業の推進県として歩みを進めること、学校の栄養教諭への有機農業の理解を深めるために講習会を行う等、前向きな御答弁を受け、2022年第1回定例議会より、市町村を支援するオーガニックビレッジ事業や、農業者が機材を購入する際の支援事業等がスタートいたしました。
一方、地域のお子さんを持つ保護者をはじめ、有機農業実践者の皆さんと県内の各市町村へ出向き、要望活動を行いましたが、有機農産物を学校給食に導入することに関しては温度差を感じました。要望活動後にすぐにスタートした市町村がある一方、なかなか足踏みしている自治体もあります。
今から10年前は、学校給食への地場産物の活用率が4割にも満たなかったのですが、現在は7割程度まで伸び、さらに市町村別で見ても、活用割合が50%を超える市町村が現在は9割にもなり、県目標100%まであともう一歩です。まずは地産地消から有機農業へ、月に1回から開始できるように、農業サイドと教育サイドの歩みよりが必要です。
以上から、学校給食において、より安心・安全な有機農産物を子どもたちに提供してほしいと考えます。
文部科学省は、来年度予算の概算要求で、自治体における有機農産物を使った学校給食を支援する予算を要求しました。
そこで、農業県茨城が、全国に先立ち、学校給食で有機農産物を取り入れる方向性を示し、さらに丈夫で健康な子どもたちを育むことは重要と考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
次に、有機農業の推進についてお伺いします。
今年6月に、国は、2050年までに、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%、規模にして100万ヘクタールに拡大することを目標としております。
私は、コロナ禍において、新しい産業の創出の一つとして、有機農業を位置づけるのは重要であると考えます。
有機農業の取組は、SDGsに合致しており、持続可能な肥沃な農地を育み、その農作物は医食同源を実現し、さらに丈夫で健康な体づくりに役立つと考えます。
また、有機農業の生産拡大に向けて、県の農林水産部と筑西市の経済部、そして、農業者の皆様との意見交換を行い、その後のアンケート結果では、筑西市197経営体を対象にしたもので、現在取り組んでいる方が14経営体、今後取り組みたい方が4件でした。また、約8割の経営体の皆さんは、病害虫・雑草等の駆除対策が難しい、慣行栽培よりも労力がかさむ、収量や品質が不安定であるなどの理由から、取り組むことは難しいと考えていました。
こうした状況を踏まえ、県は、新しい事業として、市町村が主体となって有機農業の産地を育成するときの支援のほか、有機JAS認証取得に向けた支援や機材購入時の支援などを示し、多くの農業者が申し込みをされていると聞いております。
また、有機農業実践者からは、販路先の確保が大きな課題だとも聞いております。
有機農業の県内の全体の底上げを図っていくためにも、販路の候補の一つとして、学校給食に求めていくことは重要です。茨城版オーガニック学校給食を茨城県として推進することは、魅力ある茨城県の発信にも役に立つと思います。
そこで、茨城版オーガニック学校給食実現に向けて、本県の有機農業の推進について、県としてどのように取り組んでいくのか、農林水産部長の御所見をお伺いいたします。
この項目についての質問は、以上です。
48 ◯舘静馬副議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
49 ◯森作教育長 茨城版オーガニック学校給食の実現に向けてについてお答えいたします。
学校給食への有機農産物の導入についてでございます。
学校給食において使用する食材は、文部科学省の学校給食衛生管理基準を満たした安全な食材を選定しているところでございます。
こうした中、化学肥料や農薬を使用しない有機農産物を学校給食に使用することは、さらなる安全・安心な食材の提供とともに、食育を推進する観点から、意義のあることと認識しております。
加えて、児童生徒が本県の農林水産物に関する知識を身につけ、地域の食文化や生産・流通・消費の仕組みについて理解を深め、食料の生産に関わる人々への感謝の心を育むため、学校給食を生きた教材として活用することは、教育上、有用なことと考えております。
昨年度、給食における有機農産物につきましては、つくばみらい市でニンジン、潮来市でコマツナなど、6つの市と村において、地域の農業関係者の協力を得て導入しております。
なお、地場産物の活用につきましては、議員の御質問にもありましたとおり、活用率が50%を超える市町村の割合が平成28年度に66.7%であったものが、令和3年度は90.7%となるなど、成果が出ておりますことから、そのノウハウを生かし、有機農産物の活用に向けて取り組んでまいります。
しかしながら、学校給食は保護者負担で賄っておりますことから、低廉な価格で供給することも重要です。生産量が少なく、割高な有機農産物は、現状のままでは学校給食に安定的に供給することは難しい状況にございます。
こうした課題がある中ではございますが、有機農産物の理解を深めてもらうよう、先月、初の試みとして、学校給食の献立を担当する栄養教諭等を対象に有機農業の意義や効果について研修会を行いました。参加者からは、学校給食に取り入れてみたい、有機農産物のことや農家の方の苦労を子どもたちに伝えていきたいなど、前向きな回答もいただいております。
一方で、虫などの異物混入を防ぐための処理に時間と手間がかかる、給食で使用するには量の確保と費用面で心配がある、地域で有機農産物を生産している方とのつながりがなく、どこで購入できるかわからないなどの意見も出されたところです。
そのため、今後は、さらに有機農産物への理解が深まるよう、学校給食で有機農産物を活用している市町村での実践事例を紹介するとともに、農林水産部と情報交換し、各地域における有機農産物の生産者などの情報を市町村に提供するなど、活用策を研究してまいります。
なお、文部科学省においては、有機農産物を使った学校給食を提供する自治体への支援について、来年度予算の概算要求がされていることから、国の動向を注視してまいります。
県といたしましては、生産者や関係機関と連携し、有機農産物を含め、安全で安心な学校給食を提供することで、健康な子どもたちの育成に努めてまいります。
50 ◯舘静馬副議長 次に、上野農林水産部長。
〔上野農林水産部長登壇〕
51 ◯上野農林水産部長 有機農業の推進についてお答えいたします。
化学的に合成された肥料や農薬を使用しない有機農業は、環境負荷軽減に資する農業であるとともに、その生産物は、付加価値の高い有機農産物として、通常の農産物よりも高値で取引されることから、農業の持続的な発展や儲かる農業の実践のため、大変重要な取組であると認識しております。
このため、県では、令和元年に、いばらきオーガニックステップアップ事業を創設し、有機農業が中山間地であることや、経営規模の大小にかかわらず他地域との差別化が図れることなどを踏まえ、県北地域を対象として有機モデル団地の創出などの取組を進めてまいりました。
その結果、常陸大宮市において、地域外から参入した3つの法人が有機農業を開始するとともに、その動きに触発され、地元法人も有機農業に新たに取り組むなど、有機モデル団地の取組が着実に進展しております。
また、同市では、市内で生産された有機農産物を学校給食に供給する取組を進めることとしており、地元自治体が産地づくりや販路拡大にも積極的に関わることで、地域活性化の動きにもつながっているところです。
一方、本県における有機JAS認証ほ場の面積は、ここ数年、300ヘクタール程度にとどまっており、今後、本県が有機農業大県としての地位を確立していくためには、県北地域以外の地域においても、スピード感を持って面積を拡大し、供給能力の向上を図っていくことが重要です。
また、供給面のみならず、有機JASの認証を受けた有機農産物の価値を適切に評価し、高価格で取引できる販売先をしっかり確保していくことも重要であると考えております。
このため、さきの6月補正予算では、今般の肥料価格高騰等の状況を本県農業の競争力強化の機会として捉え、従来型の農業から化学肥料を使用しない有機農業への転換を推進するいばらきオーガニック生産拡大加速化事業を創設したところであります。
本事業では、有機農産物の供給能力の向上を図るための機械・資材の導入支援や、有機JAS認証の取得支援のほか、販路開拓に向けたプロモーション等を実施してまいります。
また、本年3月に立ち上げた生産者、販売・流通業者、消費者等で組織するいばらきオーガニック推進ネットワークにおいて、需要側と供給側双方の課題解決に向けた検討を進めるとともに、この場を通じて実需者と生産者との交流を促進し、有機農産物の供給先の一つとして学校給食も選択肢に入れながら、販路拡大につながるよう、ネットワークの取組を後押ししてまいります。
県といたしましては、今般の肥料価格が高騰する状況を、本県農業の差別化を図る機会と捉え、有機農産物の供給力の向上と販売先の確保に向けて、有機農業の振興に全力で取り組んでまいります。
52 ◯22番設楽詠美子議員 再質問します。
53 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
54 ◯22番設楽詠美子議員 2点の再質問をいたします。
まず、初めに、教育長に対して、先ほどの御答弁で、前向きに理解を進めていくという御答弁をいただきました。
私は、地産地消の目標を定めたときのように、もう一歩進めて、オーガニック学校給食においても、明確な目標を、先ほど、私は、月に1回ということを申し上げましたが、県としての目標をしっかりと示してほしいと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。
あわせて、農林水産部長には、有機農産物を学校給食の販路の一つにするという前向きな御答弁をいただきました。最初の説明で、儲かる農業、価格が高いという御説明もございましたが、学校給食側としては価格がいつも課題になります。この部分の課題のクリアに関しては、具体的にどのように考えているか、お示しください。
以上です。
55 ◯舘静馬副議長 森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
56 ◯森作教育長 再質問にお答えいたします。
学校給食において、少しずつでも有機農産物を活用できるよう、県立学校や市町村に対し、研修会を通して働きかけてまいります。
57 ◯舘静馬副議長 上野農林水産部長。
〔上野農林水産部長登壇〕
58 ◯上野農林水産部長 再質問にお答えします。
学校給食をはじめ様々な有機農産物の需要に対応していくためには、まずは有機農産物を安定供給できる体制を整えていくことが重要です。
このため、さきに申し上げた各種施策を最大限活用し、有機農業の供給能力の向上を図ることがまず大事だと思います。
また、いばらきオーガニック推進ネットワークによって得られた有機農産物や生産者の状況について、市町村や教育庁をはじめとする関係機関に前広に情報提供しながら、学校給食への有機農産物の活用方策の検討に積極的に協力してまいりたいと考えております。
59 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
〔22番設楽詠美子議員登壇〕
60 ◯22番設楽詠美子議員 茨城版オーガニック学校給食の実現は私たちの大きな夢でもあります。ぜひ前向きに実現していくことを強く要望し、次の質問に移ります。
安心して一生涯を暮らせる茨城県づくりについてお伺いします。
この質問は、2014年第1回定例会においても実施し、とても重要なことですので、今回はその後の進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。
私は、誰もが住み慣れた環境で最後まで暮らせることはとても幸せなことであり、重要なことだと考えております。
知事の示す日本一幸せな県を実現するためにも必要と感じます。
コロナ禍の影響により、多くの御家族が、入院している家族に最後まで会うことができずに家族を亡くしていった話も伺っており、大変悲しい気持ちになりました。
こうした中、本県では、高齢者が自分の住み慣れた地域で生活できるよう、2013年度から2015年度にかけて在宅医療・介護連携拠点事業が実施され、3年間で実に1億9,000万円もの予算が投じられました。
私の地元筑西市もモデル地域となり、県内の延べ44事業者により、安心して老後が送れるような仕組みづくりに着手しました。
こうした取組を通じて、2018年4月からは、県内の全市町村において、在宅医療・介護連携をさらに推進するために、地域住民への普及啓発等が進められております。
しかしながら、2012年度の県政世論調査では、6割もの方が自宅で最期を迎えることを希望したにもかかわらず、2020年度のネットリサーチアンケート結果では4割に減少し、7割の方が病院で迎え、1割の方が自宅で迎えるという状況は前回の調査からも変化はございません。
安心して住み慣れた環境で自分らしく一生涯暮らし、希望する最期が迎えられることは最も重要です。今までの事業の評価を実施しながら、課題を解決して前に進めることを求めます。
そこで、その後、本県全体の在宅医療・介護の連携はどこまで進んでいるのか、事業評価、現状や課題、今後の方針等について、福祉部長の御所見をお伺いします。
この項目についての質問は、以上です。
61 ◯舘静馬副議長 飯塚福祉部長。
〔飯塚福祉部長登壇〕
62 ◯飯塚福祉部長 安心して一生涯を暮らせる茨城県づくりについてお答えいたします。
自宅などの住み慣れた環境における療養や介護は多くの県民の願いでありますが、医療と介護とでは、保険制度が異なることや、各制度を支える専門職間の連携が十分でないなどの課題を踏まえ、平成25年度から3年間、医療と介護の連携体制の構築に向けたモデル事業に取り組んでまいりました。
このモデル事業では、県内21か所の市町村や地域医師会などを実施拠点とし、医師や看護師、薬剤師、介護支援専門員等の多職種による意見交換や実態調査等を行い、地域課題の抽出や課題解決に向けた方策の検討・検証を通じて、例えば、取手市医師会では、病院・診療所のグループ化を行うことで、在宅でのみとり数を大幅に増やすことができたとする成果が報告がされております。
一方、モデル事業の実施で見えてきた課題といたしましては、第1に、24時間365日の在宅医療を提供する体制や工夫が不十分であるといった在宅医療を支える医療体制の課題、第2に、多職種間での情報交換や話し合う機会が不足しているといった連携に関する課題があります。
まず、在宅医療を支える医療体制の課題に対しては、平成29年度から、郡市医師会を推進母体に、複数の診療所・病院をグループ化することで、在宅医療に従事する専門職を確保し、夜間や病状急変時の対応力の強化を図るなど、切れ目なく医療を提供できる体制づくりを推進してまいりました。
その結果、現在、県内全域で183の医療機関が参加の下、40グループが在宅医療に取り組んでいるところであります。
第2の連携に関する課題に対しましては、多職種連携等の事例を学ぶ研修会の開催のほか、市町村では確保が困難な介護予防に欠かせない理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職を、医師会等と連携し、市町村に派遣してまいりました。
こうしたモデル事業で得られた課題の解決方策の横展開に努めてきた結果、平成30年4月からは、全市町村が在宅医療・介護連携推進事業に取り組んでおりますが、在宅医療を支える医療体制や多職種間連携には新たな課題もございます。
特に、在宅での生活には、介護予防や自立支援・重度化防止の観点から、リハビリテーションの重要性が高まっております。
このため、昨年度から、リハビリ専門職が介護支援専門員に同行して自宅に伺い、助言する取組を開始したところ、利用者の御家族から好評をいただいておりますので、今後はさらなる利用促進を図ってまいります。
また、高齢化に伴い、適切な服薬管理が課題となっておりますので、ケアプランを立てる介護支援専門員と薬剤指導を行う薬剤師が連携して、在宅の高齢者の適切な服薬管理を行うモデル事業を、今年度、まずは5市町村で実施してまいります。
県といたしましては、県民の皆様が、住みなれた地域で人生の最後まで安心して暮らし続けることができるよう、引き続き、在宅医療・介護の連携を推進してまいります。
63 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
〔22番設楽詠美子議員登壇〕
64 ◯22番設楽詠美子議員 在宅で最期を迎えたいと希望する方が、その実現に向けては、在宅医療の充実、また、医師不足の対策、総合的な対策も今後必要と考えますので、この点についてもしっかり検討し、前に進めるよう要望し、最後の質問に移ります。
自動車盗への対策についてお伺いいたします。
本県の人口10万人当たりの自動車盗の認知件数は、2007年から15年連続でワーストといった状況が続いている現状で、2021年の自動車盗の認知件数は633件にも上りました。
昨年度の文教警察委員会で質問した際、茨城県の環境として、面積が広く、海に面していることが大きな要因であると警察本部長からの御答弁でお聞かせいただきました。
私自身も、自動車盗の被害に遭わないように気をつけておりましたが、今年7月4日に自動車盗に遭ってしまい、今なお見つからない状況です。まさか自分の車が自動車盗に遭うとは信じられない気持ちです。
自動車盗は、犯罪グループが組織化して犯行に及んでおり、その手口も巧妙化しており、盗まれた自動車はヤードに運ばれ、不正に解体されてから、海外に輸出されるケースもあるとのことです。
私は、大きな喪失感に襲われるとともに、同じ車種を見ると、もしかしたら自分の車なのではないかと思うようになってしまいました。ある日突然、大切な財産を奪われるような事件はなくさなくてはなりません。
そこで、県警察として、県内における自動車盗の現状をどのように認識し、今後どのように対策を講じていくのか、警察本部長の御意見をお伺いいたします。
以上で、質問は終わります。
65 ◯舘静馬副議長 飯利警察本部長。
〔飯利警察本部長登壇〕
66 ◯飯利警察本部長 自動車盗への対策についてお答え申し上げます。
県内の自動車盗の本年における認知件数は、全国と比較いたしますと、発生件数ではワースト5位、人口10万人当たりの認知件数を示す犯罪率は15年連続ワーストということで、議員が御指摘のとおり、依然として厳しい状況にございます。
また、近年の自動車盗は、犯行グループが特殊な機器を使用してドアロックを解除してエンジン始動を行うなど、犯行手口が巧妙化しており、また、犯行グループが倉庫等をヤードとして盗難自動車の隠匿、解体に利用する例も目立っております。
こうした状況も踏まえまして、県警察といたしましては、犯人検挙と被害防止の両面から諸対策を徹底してまいります。
まず、検挙対策でありますが、本年、県西地区を拠点に複数の倉庫型ヤードを抱えていた自動車盗犯罪組織を摘発するなど、粘り強く検挙活動を推進しているところであります。
引き続き、他府県警察とも連携をしながら、犯行グループの割り出し等を徹底し、あらゆる法令を駆使して被疑者の検挙に努めてまいります。
次に、被害抑止対策でありますが、引き続き、車両への対策といたしまして、バー式ハンドルロックやタイヤロックなどを複数組み合わせた盗難対策をぜひ県民の皆様に呼びかけたいと存じます。
また、いわゆる防犯カメラ、夜間照明機器の設置ということについても県民の皆様に呼びかけてまいります。
また、ヤード対策につきましては、ヤードに盗難自動車を持ち込ませないように、県ヤード条例に基づきまして、立入検査等を粘り強く推進してきておりますけれども、それに加えて、倉庫等が盗難自動車の隠匿・解体場所として悪用されないよう、引き続き、不動産業界団体等を通じた注意喚起を行うとともに、あらゆる警察活動を通じて未把握のヤードの把握に努めてまいりたいと存じます。
このように、県警察といたしましては、検挙対策と犯罪防止の両面から総合的な自動車盗対策を推進し、安全・安心を実感できるいばらきの確立に向け、尽力してまいります。
以上です。
67 ◯舘静馬副議長 設楽詠美子議員。
68 ◯22番設楽詠美子議員 前向きな御答弁、ありがとうございました。
以上で、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
69 ◯舘静馬副議長 暫時休憩をいたします。
なお、会議再開は、午後3時35分を予定いたします。
午後3時17分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後3時36分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
70
◯伊沢勝徳議長 休憩前に引き続き会議を開き、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
なお、傍聴人の皆様に申し上げます。
傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意を願います。
幡谷好文議員。
〔5番幡谷好文議員登壇、拍手〕
71 ◯5番幡谷好文議員 いばらき自民党の幡谷好文でございます。
初めに、
新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられました方々へ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
そして、罹患されました皆様方にもお見舞いを申し上げる次第でございます。
今回、県議会議員として初めて一般質問をさせていただくこととなりました。登壇の機会を与えてくださいました先輩議員、そして、同僚議員の皆様方には、心より感謝を申し上げる次第であります。
それでは、通告に従いまして、順次、質問をしてまいりますので、大井川知事はじめ執行部の皆様におかれましては、可能な限り前向きな答弁をお願いいたします。
初めに、自殺予防対策についてお伺いいたします。
警察庁自殺統計によりますと、全国の自殺者数は、平成15年の3万4,427人をピークに減少傾向にありましたが、令和2年には増加に転じております。令和3年は若干減少しましたが、本県でも454人の方が亡くなられています。
県内における39歳までの若者の自殺者数は、令和元年が112人、令和2年が138人、令和3年が148人と増加傾向にあり、若者のほか、女性の自殺者数が増えているのが特徴的であると言えます。
また、厚生労働省が実施しました令和3年度自殺対策に関する意識調査におきまして、これまでの人生の中で本気で自殺したいと考えたことがあるかと聞いたところ、自殺したいと思ったことがあると答えた人の割合は、平成28年度の23.6%から27.2%に増加しております。そのうち女性の割合が高くなっている状況です。
また、年齢別では、20歳代の割合が全体に比べて高くなっているという状況にあります。
自殺の原因・背景としては、健康問題、経済・生活問題、家庭問題などが挙げられますが、自殺の多くは、多様かつ複合的な原因、背景があり、様々な要因が連鎖する中で起きていると言われています。
令和3年の本県では、健康問題が最も多く、次いで家庭問題、経済・生活問題の順となっております。
今後も、
新型コロナウイルス感染症や物価高などの影響により、死に至るかどうかは別として、不安が募り、自殺行為に及んでしまう人が増えていくのではないかと非常に危機感を抱いております。
私の身近でも、昨年、一昨年と立て続けに知人が自ら命を絶ってしまいました。自分に何かできることがあったのではないかと今でも悔やまれてなりません。
私の知人の場合は、周りの人に一切相談はしていなかったようです。身近な人や仲のよい友人であるからこそ相談しにくい方もいらっしゃると考えますので、茨城いのちの電話やいばらきこころのホットライン、こころの健康相談統一ダイヤルといった自殺防止のための相談窓口は、そういった方をつなぎ止める手段として非常に重要であり、一助になると考えております。
県が運営しておりますいばらきこころのホットラインでは、令和2年度に平日の電話回線を1回線から2回線に、令和3年度には土日も2回線に増やしております。その結果、令和元年度は3,498件だった相談件数が、令和2年度は6,585件、令和3年度は7,695件に増加しております。
今後、いばらきこころのホットラインの電話回線を3回線に増やすことなど、さらなる相談体制の強化の検討をぜひお願いしたいと考えます。
県では、今年度から、ICTを活用した相談支援体制の強化や女性専用のオンライン相談窓口などの取組を進めていると聞いております。また、6月からは、自殺未遂者等を対象とした寄り添い型の相談支援事業が実施されているとも聞いております。
これは要望ですが、自死遺族への支援につきましても、今後、幅広く取り組んでいただけるようお願いしたいと考えます。
そこで、今後増加していく可能性のある自殺者への予防対策として、県として具体的にどのように取り組んでいくのか、福祉部長にお伺いをいたします。
次に、コロナ禍からの回復に向けた茨城空港の利用促進についてお伺いをいたします。
平成22年3月に、自衛隊百里基地との共用空港として供用開始した茨城空港は、現在、開港13年目を迎えております。
この間、順調に旅客数を伸ばし、令和元年度には旅客数が開港以来最多の約78万人に達しました。
また、空港ターミナルビルにも多くの方々が訪れ、地域のにぎわいづくりの面でも、茨城空港は大きな役割を担っております。
これも、ひとえに、知事はじめ県執行部の日頃の努力の成果であると思っております。
地元といたしましても、引き続き、茨城空港の右肩上がりの発展に大いに期待していたところではございましたが、令和2年に始まった
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大は、航空業界にも暗い影を落とすこととなりました。
茨城空港においても、国内線の減便や一部運休が発生し、国際線は現在も全路線で運休が続いております。
令和2年度の旅客数は、ピーク時の4分の1の約21万人にまで落ち込み、令和3年度には多少回復したものの、約28万人にとどまっている状況であります。
また、空港ビルの来場者数につきましても、ピーク時の平成30年度には155万人であったところ、令和2年度は約51万人、令和3年度は約67万人にとどまり、現在も
新型コロナウイルス感染症の深刻な影響を受けております。
現在、茨城空港は、国内線のみの運航となっており、現時点で国際線再開の具体的な見通しは立っていないと伺っております。
IATA(国際航空運送協会)の発表によりますと、アジア太平洋地域につきましては、一部の国において厳しい水際対策が継続されていることなどから、旅客数の回復が遅れ、2024年まではコロナ前の水準を下回るとの見通しが示されております。
このような厳しい時期であるからこそ、まず、足元を固めることが肝要であると考えます。
まずは茨城空港の全体旅客の8割を占める国内線の利用回復が喫緊の課題ではないでしょうか。
7月下旬には、
新型コロナウイルス感染症の第7波で全国的に感染者数が急増するなど、航空需要回復に向けた見通しが立てにくい状況だとは思いますが、茨城空港を北関東の空の玄関口として、また、地域振興の拠点としてさらに発展させていくために、まずはコロナ前の旅客数を回復することを目標に、定期便の一層の利用促進やチャーター便の誘致にしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、コロナ禍からの回復に向けた茨城空港の利用促進について、営業戦略部長にお伺いをいたします。
次に、農林分野におけるバイオマスの利活用についてお伺いをいたします。
バイオマスとは、動植物などから生まれた生物資源の総称でございまして、農業残渣や家畜排せつ物などの農業・畜産・水産系をはじめ、製材端材などの木質系や建築廃材系、食品加工廃棄物などの食品産業系、下水汚泥やし尿などの生活系、古紙などの製紙工場系などに分類されており、非常に多岐にわたるものでございます。
皆様御存じのとおり、茨城県は全国でも上位に入るバイオマス資源保有県であります。全国第3位の農業産出額を誇る農業県であり、県北山間地域には豊かな森林資源を有しております。また、県内には食料品製造業が多く立地していることから、発生する食品廃棄物の量も大変多くなっております。
さらに、道路実延長が全国第2位と長いことに加え、216の県管理河川を有していることから、それらの維持管理により、刈草・剪定枝も多く発生しております。そのほかにも、製材工場等の残材や建設発生木材、また、下水汚泥などを含め、それら全てがバイオマス資源であり、再生可能エネルギーとして活用できるものでございます。
その賦存量は湿潤重量で全国平均の約1.6倍となります700万トンになっておりますことから、バイオマス資源のさらなる有効活用を期待するところでございます。
その中でも、私は、特に、再生可能エネルギーの一つであるバイオマスを活用した発電に期待をしているところであります。これは、2050年のカーボンニュートラル社会の実現をさせるためにも欠かすことができないものと私は考えます。
バイオマスの利活用については、国においては、バイオマス活用推進基本計画を策定し、推進してきたところですが、県においても、これまで、茨城県バイオマス活用推進計画に基づき、バイオマス活用の推進を図り、特に農林分野のバイオマスについては、エネルギー以外にも堆肥等の利活用も広く広がっていると認識をしております。
これらの状況を踏まえ、農林分野におけるバイオマスのエネルギーを含めた利活用について、これまでどのように取り組んできたのか、また、県の役割としてどのように進めていくのか、今後の方針について、農林水産部長にお伺いをいたします。
次に、国道6号仮称小美玉道路の進捗状況についてお伺いをいたします。
国道6号は、茨城県の中央を縦断し、本県の産業・経済を支える本県にとって非常に大事な役割を持つ道路の一つです。
また、大規模災害時などには、常磐自動車道の代替路としての役割も担う重要な路線であり、緊急輸送道路としての機能強化が強く求められているところであります。
しかしながら、国道6号のうち、4車線化された区間は全体の3割にも満たない状況であり、私の地元小美玉市の区間は2車線であるため、朝夕を中心に慢性的に渋滞が発生をしております。
石岡市におきましては、千代田石岡バイパスの整備が進められているところではありますが、小美玉市の区間については、都市計画決定すらされていない状況であります。
現在、仮称小美玉道路として計画策定に向けた手続が国において進められていると伺っておりますが、計画策定に当たっては、地元の意見も聞き、調整を図りながら、早急に手続を進めていただきたいと考えます。
そこで、国道6号仮称小美玉道路の進捗状況について、土木部長にお伺いをいたします。
次に、水害に備えた対策についてお伺いをいたします。
まず、防災の観点からみた河川の維持管理についてお伺いをいたします。
近年では、毎年のように大規模な災害が全国のどこかで発生し、本県におきましても、平成27年9月の関東・東北豪雨や令和元年東日本台風による豪雨等により甚大な被害が発生をしております。
これらの災害時には、再度災害を防止するために実施されました河川整備などが大きな減災効果を発揮したところではありますが、このような異常な豪雨が頻発する状況におきましては、引き続き、治水安全度を向上させる対策を進めることと併せて、既存の施設を適切に維持管理することがますます重要となっていると私は考えます。
小美玉市内におきましても、県が管理する河川として、北部に巴川、南部に園部川がございますが、このうち園部川につきましては、30年以上前に発生した浸水被害がいまだ住民の記憶に深く残っております。
小美玉市内の河川改修は整備が概成し、県では、河川の維持管理として、除草や樹木伐採、堆積土砂の掘削などを行っているところと伺っておりますが、近年の気候変動などにより、頻発化する局地的な集中豪雨などの状況を考慮しますと、いつまた大規模な水害が発生してもおかしくない状況であると感じております。
沿川住民の生命と財産を守るためには、河川の整備や適切な維持管理は非常に重要であります。
また、それと併せて、水防団活動などの啓発をはじめとしたソフト対策も、住民が安心して生活するために非常に重要であると考えております。
そこで、防災の観点から見た小美玉市内の河川をはじめとした県内河川における維持管理状況や今後の進め方について、土木部長にお伺いをいたします。
次に、地域防災力の向上についてお伺いをいたします。
先ほど水防団活動などのソフト対策についてお伺いをいたしましたが、自主防災組織の活動による地域防災力の向上についても、水害に備えた対策として必要不可欠なものであると考えております。
地域防災力とは、地域の様々な担い手が連携・協働して減災に取り組むコミュニティーの力のことを言います。災害対応において行政の責任は大きいものですが、一方で、行政による対応には限界があるため、住民、企業、ボランティアなどの民間の各主体が必須の担い手として期待をされているところでございます。
災害時には、地域で住民同士が助け合い、行政とも連携しつつ、住民の協働による組織・団体が積極的に、主体的に地域を守るような社会づくりをふだんから進めていくことが大切であります。
地域の担い手として様々な防災組織がありますが、ここでは自主防災組織に焦点を当てて質問をさせていただきます。
本県において、自主防災組織が活動範囲とする地域の世帯カバー率は、県内世帯数83.9%であると伺っております。
この数値を見ると、非常に高いカバー率なのではないかと感じますが、私の地元においては、自主防災組織の中心メンバーの高齢化がとても課題となっております。この課題は県内全域でも同様ではないかと私は考えております。
組織体制を継続していくためには、防災士などのリーダーづくりが大変重要であると考えております。
そこで、自主防災組織の中核を担う防災士などの育成状況や防災訓練の実施状況など、地域防災力の向上のための取組について、防災・危機管理部長にお伺いをいたします。
次に、ICT教育の充実についてお伺いをいたします。
Society5.0という言葉がございます。これは、仮想空間、現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会のことを言います。
狩猟社会、そして農耕社会、工業社会と続き、情報社会(Society4.0)に続く新たな社会を指すもので、平成28年度から5年間を計画期間とする国の第5期科学技術基本計画において、我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱をされました。
このSociety5.0時代を生きる子どもたちが、鉛筆やノートと同じようにタブレット端末を日常的に活用できるようにと、GIGAスクール構想により、1人1台端末が整備をされました。
また、一人一人が端末を持って学習できるだけではなく、ネットワークでつながる教育スタイルの確立も進められております。
そして、令和3年度から本格的に1人1台端末の運用が始まったところであり、今や子どもたちの学びにおいて欠かせない必須なものとなっております。
このような状況の中で、GIGAスクール構想が目指す、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びのためにも、今後はソフト面でのさらなる拡充が重要であると私は考えます。
ソフト面での拡充としまして、例えば、ICTを生かした新しいコンセプトの授業の在り方が求められていくのではないでしょうか。これから社会全体がさらにICTを活用していく時代になっていきますので、社会に通じるICTの使い方を学べるような授業が必須であると考えます。
そういった授業を進めていくに当たっては、教える側である教員のスキルの差が影響してまいりますので、全体的な教員のICTスキルの向上を図っていただき、県内の子どもたちが同じレベルのICTを活用した授業を受けられるよう、平準化の取組をぜひ進めていただきたいと考えております。
そこで、ICT教育の充実について、現在、県としてどのように取り組んでいるのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いをいたします。
次に、中学校の部活動の地域移行についてお伺いをいたします。
今年6月、スポーツ庁の有識者会議は、中学校の部活動を地域のスポーツクラブや民間団体などに移すための対応策をまとめた提言を室伏広治長官に提出をいたしました。国の方針として、令和7年度末を目途に、地域への移行を完了する予定とされております。
今、中学校の部活動が大きく変わろうとしています。
中学校の部活動を取り巻く現状を申し上げますと、中学校の生徒数が、昭和61年の589万人に対し、令和3年には296万人と半減し、また、令和2年の出生数が84万人にとどまるなど、深刻な少子化が進行をしております。一つの学校でチームをつくることができず、自分が望む競技を選ぶことができないケースも出てきております。
教員に目を向けますと、平日だけでなく、土日にも部活動の指導を行うなど長時間勤務である上に、自分で経験したことがない部活を担当することになってしまうケースなどもあり、その負担はかなりのものであると感じております。
国の教員勤務実態調査の結果によりますと、土日の部活動の指導時間は、平成18年度1時間6分から、平成28年度には2時間9分に倍増するなど、データから見ても教員の大きな業務負担となっていることがうかがえます。
私の地元小美玉市では、今年4月、地域の方たちによりますNPO法人が設立され、小学5年生から中学生向けに、単一種目に限定しない地域の受皿として試験的に事業に取り組んでいるところでございます。
このような地域における部活動の受皿が増えていくよう整備していくことはもちろんのこと、部活動の地域移行に当たりましては、指導者の確保が問題になってくると考えます。
県では、部活動指導員を認定し、中学校や県立学校に派遣していると伺っております。
小美玉市では、昨年度、小川北義務教育学校に2人派遣いただいているところですが、こういった方々は地域のクラブなどの指導者にもなれる人材であると思いますので、ぜひさらに人数を増やしていただきたいと考えます。
県では、令和3年度、水戸市立双葉台中学校とつくば市立谷田部東中学校においてモデル事業を実施しており、水戸市立双葉台中学校では、生徒は主体的に取り組むようになり、部活動がとても活発化したと聞いております。
このモデル事業でのメリット・デメリットを検証し、今後につなげていっていただきたいと考えますが、地域の状況や家庭環境などによる格差などを生じないよう、県内の平準化をぜひとも図っていただきたいと考えております。
そこで、今年度、部活動のさらなる地域移行を進めるために、県としてどのように取り組むのか、また、令和7年度末に地域移行を完了するためにどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いをいたします。
最後に、県立
特別支援学校の環境整備についてお伺いをいたします。
少子化問題が年々深刻になっていく中、本県において、義務教育段階で
特別支援教育を受けている児童生徒の数は、
特別支援学校で、平成29年度2,450人が、令和3年度は2,790人、小中学校の特別支援学級では、平成29年度は8,520人が、令和3年度は1万1,312人、小中学校での通級による指導は、平成29年度1,027人が、令和3年度には2,174人と、年々増加傾向にあり、特に通級による指導を受けている児童生徒数は5年間で倍増をしております。
文部科学省が都道府県及び市区町村立の全ての公立
特別支援学校を対象に実施した教室不足調査の結果によりますと、令和3年10月1日現在で、全国で3,740もの教室が不足をしております。令和元年5月1日の調査と比較すると578教室の増加となっております。
本県におきましても、不足教室数について、令和元年度105教室、令和3年度107教室と、依然として多くの不足教室が存在している状況にあります。
県では、県立
特別支援学校教育環境整備計画(いばとくプラン)に基づき、教室不足の解消を図るための整備を行っておりますが、
特別支援教育を受けている児童生徒数の推移を見ると、今後もさらに対象となる児童生徒が増え、教室が不足していくことが想定されるのではないでしょうか。
また、県内には、国立1校、市立1校、県立23校の
特別支援学校が設置されておりますが、私の地元小美玉市の児童生徒は石岡
特別支援学校に通学しており、近隣の鉾田市、行方市の児童生徒は鹿島
特別支援学校に通学をしております。いずれも1時間以上バスに乗って通学している状況であります。
これは小美玉市周辺に限ったことではないと思いますが、障害のある児童生徒にとってどれほど大変なことか、容易に想像することができると思います。
こういった状況から、現在のいばとくプランに基づく整備の後、地域にある廃校などを活用して県立
特別支援学校をさらに別な地域にも新設することも一つの方策ではないかと私は考えております。
そこで、県立
特別支援学校の環境整備に今後どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いをいたします。
以上で、私の初めての質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
72
◯伊沢勝徳議長 幡谷好文議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。
飯塚福祉部長。
〔飯塚福祉部長登壇〕
73 ◯飯塚福祉部長 幡谷好文議員の御質問にお答えいたします。
自殺予防対策についてお尋ねをいただきました。
自殺に至る方の多くは、仕事や家庭、健康面など多くの悩みを抱えておりますので、できるだけ早期に専門の窓口に相談いただくことが重要であります。
コロナ禍で増加する様々な心の悩みに対応するため、令和2年度及び令和3年度において、いばらきこころのホットラインの電話回線を2回線に増やし、相談体制の強化を図った結果、令和3年度の電話相談件数は令和元年度の2倍以上に増加をしております。
しかしながら、近年、女性や若者の自殺者数が高い水準にあることを踏まえますと、相談体制の一層の強化が必要であり、今年度、新たに、ICTを活用した相談窓口を設置いたしました。
具体的には、この4月から、女性や若者の利用が多いSNSを活用し、夜間等の時間帯にも対応する窓口を開設したのに続き、6月からは、コロナ禍においても対面で相談できる女性専用オンライン相談を開始いたしました。
今後は、24時間365日、誰もが心の悩みや不安を感じたときに気軽に利用できるAIチャットボットを導入してまいります。
なお、これらの相談窓口は、県の広報紙やホームページなどによる周知に加え、新たに、インターネットの検索サイトで、自殺に関する用語を検索した場合に、自動で相談窓口を案内する検索連動型広告を導入いたしましたところ、4月から7月の間でアクセス件数は約1万回に上り、多くの方を相談窓口に誘導できたものと考えております。
一方、自殺の未然防止に向けては、自殺者の約2割を占める自殺未遂者など、自殺ハイリスク者への対応が重要となります。
このため、本年6月、相談対応にとどまらず、困難な課題を抱える自殺ハイリスク者に対し、精神保健福祉士や公認心理師等の専門家集団が伴走して、その解決を支援するよりそい相談支援チームを設置いたしました。
よりそい相談支援チームでは、相談窓口に寄せられた悩みの中で、特に自殺が危惧される方や自殺未遂者等を対象として、専門家によるカウンセリングや関係機関への同行などを通じて、自殺原因の解消を図る伴走型支援を実施してまいります。
さらに、8月には、自殺ハイリスク者の情報を広く把握するため、茨城県医師会、茨城県病院協会、茨城県精神科病院協会と、「誰も自殺に追い込まれることのない茨城」の実現に関する協定を締結するなど、官民一体となった自殺防止に向けた連携体制の強化を図ったところであります。
県といたしましては、市町村や自殺対策に関わる関係団体と密接に連携しながら、日本一自殺死亡率の低い県の実現を目指し、自殺対策の強化に努めてまいります。
74
◯伊沢勝徳議長 次に、高崎営業戦略部長。
〔高崎営業戦略部長登壇〕
75 ◯高崎営業戦略部長 コロナ禍からの回復に向けた茨城空港の利用促進についてお答えいたします。
新型コロナウイルス感染症の影響により、茨城空港は、現在、国際線の全便運休が続いておりますが、国内線につきましては、7月から4路線7往復の全て運航が再開されたところでございます。
茨城空港は、北関東エリアの利便性の向上や交流人口の拡大に重要な役割を担っておりますことから、県では、利用促進に積極的に取り組んでいるところでございます。
具体的には、茨城空港からの出発便の利用促進を図るため、新聞やテレビ、ウェブ等の各種メディアを活用した集中的なPRをはじめ、空港アクセス道路の開通により利便性が向上しましたことから、埼玉エリアでのイベント出展をはじめ、近隣県からの利用者確保にも努めているところでございます。
また、県内への誘客促進を図るため、就航先での大規模イベントに出展し、空港からの移動に便利なレンタカーが、県内の宿泊施設利用で、24時間1,000円から利用できることなどを広くPRしますとともに、冬の閑散期の北海道からのゴルフツアーの誘致や、新たな旅行商品造成に向けて、県内観光地への旅行会社の招聘などにも取り組んでおります。
あわせて、全国の空港の中でも先駆的な取組として、スマートフォンアプリを昨年導入し、空港内の店舗などで利用できるポイントの付与に加え、イベントやキャンペーンの情報発信など、利用者のサービスの向上にも努めております。
さらに、昨年、格安運賃で大きな反響を呼んだハッピーキャンペーンのようなインパクトのある企画をスカイマーク社に引き続き働きかけるなど、より一層の利用促進を図ってまいります。
加えて、定期便では訪れることが難しい観光地と直接結ぶチャーター便の誘致にも力を入れております。今年度も、航空会社や旅行会社へ積極的に働きかけを行った結果、稚内や広島、隠岐などと結ぶチャーター便が12便運航され、ツアー参加者からは大変好評を得ているところでございます。
こうした取組を重ねてまいりました結果、全便再開となった7月から8月の2か月間の国内線の旅客数は、コロナ禍前の8割まで回復しているところでございます。
一方、国際線につきましては、現在、国の水際対策により、羽田や成田といった一部空港への就航に限定されております。引き続き、国に対し、茨城空港の国際線受入再開について強く働きかけを行ってまいりますとともに、速やかに乗入れが可能となるよう、航空会社など関係者にも積極的な営業を続けているところでございます。
また、空港を核とした地域振興も大変重要でございます。地元小美玉市をはじめ、県内外の自治体や航空自衛隊百里基地とも連携したイベントの開催など、地域のにぎわいづくりも積極的に推進してまいります。
県といたしましては、茨城空港が、北関東の空の玄関口として地域の発展を牽引していけるよう、まずは国内線の旅客数のさらなる回復と国際線の早期再開を目指し、茨城空港の利用促進にしっかりと取り組んでまいります。
76
◯伊沢勝徳議長 次に、上野農林水産部長。
〔上野農林水産部長登壇〕
77 ◯上野農林水産部長 農林分野におけるバイオマスの利活用についてお答えいたします。
バイオマスは、再生可能な資源であり、エネルギーや堆肥等の原料として活用していくことは、カーボンニュートラルの実現に資するとともに、地球温暖化の防止や循環型社会の形成に寄与するものであります。
農林分野における代表的なバイオマスとしては、未利用間伐材や家畜排せつ物などが挙げられ、エネルギーや堆肥として利活用が期待されています。
このため、県では、平成28年度に茨城県バイオマス活用推進計画を策定し、これらのバイオマスの利活用について周知を図ってきたところであります。
まず、木質バイオマスのエネルギー利用につきましては、バイオマス発電の燃料となる木質チップの製造施設の整備への支援などに取り組み、現在、県内では、常陸太田市や大子町等で木質バイオマス発電所が稼働しており、未利用間伐材等の活用につながっているところです。
一方で、木質バイオマスのエネルギー利用については、原料となる木材の確保や発電コスト等の観点から、事業としての継続性を適切に見極めていく必要があると認識しております。
特に、現在のような県産木材の需要増加、木材価格の高騰といった状況下においては、限られた資源である木材を、まずは建材など経済的価値の高い分野で利用し、最終的にはエネルギーで利用するカスケード利用を推奨するなど、エネルギー利用を含めた木材利用の推進に取り組んでまいります。
次に、家畜排せつ物のエネルギー利用については、メタン発酵によるバイオガス発電が北海道を中心に全国各地で取り組まれておりますが、高額な施設整備や維持管理の費用負担に加え、処理過程で発生する窒素等を含む消化液の適正な処理や利用などの課題もありますことから、導入に向けては慎重な検討が必要と考えております。
一方で、昨今の肥料価格の高騰などの情勢を踏まえると、家畜排せつ物については、エネルギーとしての利用のみならず、肥料としての利活用についても、より重要性が増しているものと考えております。
このため、家畜排せつ物のエネルギー利用については、燃料として農場内の暖房等へ活用する事例もありますことから、こうした取組も推進しつつ、一方で、化学肥料の代替となる堆肥としての活用を進めていくことも重要であり、本定例会において、堆肥等の産業副産物を肥料として有効活用する事業を補正予算案として提案しているところです。
県といたしましては、社会情勢を踏まえた上で、利用者のニーズを酌み取りながら、現状の課題解決に向け、バイオマスの一層の有効活用に取り組んでまいります。
78
◯伊沢勝徳議長 次に、田村土木部長。
〔田村土木部長登壇〕
79 ◯田村土木部長 国道6号仮称小美玉道路の進捗状況についてお答えいたします。
国道6号については、国において、現在、県内7つの区間でバイパス整備や拡幅事業などが進められているところであり、小美玉市に隣接する石岡市や茨城町におきましても、国道6号バイパスとして都市計画決定され、順次、整備が進められているところでございます。
一方、議員御案内のとおり、国道6号の小美玉市区間につきましては、交通量が1日当たり約1万8,000台と多く、朝夕の通勤時間帯を中心として交通渋滞が発生しており、主要な交差点においては交通事故が多く発生している状況でございます。
また、茨城空港へのアクセス性の向上や物流機能の強化、走行性の向上による防災機能・医療連携の強化といった観点からも、国道6号の重要性が高まっているものの、小美玉市区間につきましては都市計画決定されておらず、計画の具体化が喫緊の課題となっております。
このため、県では、地元小美玉市などと連携しながら、当区間における早期の計画の具体化について国に強く働きかけ、その結果、国において、令和2年度に、仮称小美玉道路として、概略ルートや構造を検討する計画段階評価の手続に着手されました。
仮称小美玉道路の検討に当たっては、ホームページやニューズレターなどを活用して計画検討の進捗などの情報を広く発信するとともに、オープンハウスやワークショップ、ウェブアンケートや企業ヒアリングなどを通じて地域の皆様とコミュニケーションを重ね、御意見を伺いながら計画の具体化が進められているところでございます。
現在の進捗状況といたしましては、計画の複数案や、それを評価する指標案に対して、地域の皆様からいただいた御意見を国が取りまとめているところであり、今後、概略計画を決定していく予定と聞いております。
これまでに実施されたオープンハウスやワークショップ等におきましても、国道6号の渋滞解消や周辺地域へのアクセス向上に期待する声を多くいただき、県としても、改めて仮称小美玉道路の重要性、早期整備の必要性を認識したところでございます。
県といたしましては、一日も早く安全で円滑な交通が確保されますよう、今後も、引き続き、国や地元小美玉市などと連携を図りながら、早期の計画の具体化に向けて取り組んでまいります。
次に、水害に備えた対策についてお答えいたします。
防災の観点からみた河川の維持管理についてでございます。
河川を適切に維持管理することは、豪雨の際に、河川の水を安全に流下させ、水害を未然に防ぐという防災上の観点から、非常に重要であると認識しております。
小美玉市内を流れる巴川と園部川については、段階的に整備を進めてきており、一定の治水安全度を確保しているところでございます。
これらの河川につきましては、毎年出水期前に行う河川の点検や気象警報発令後のパトロールにより、現地の状況を確認し、対応を要する箇所については、緊急性や重要性の高い箇所から、護岸や堤防の補修、堆積した土砂の撤去を行うなど、適切な維持管理に努めております。
最近の対応といたしましては、平成31年度に、巴川の柴高地区において、流下阻害の要因となる堆積土砂の撤去を実施いたしました。
また、園部川においても、令和3年度に、最下流部の川中子地区において堤防の沈下が確認されたことから、堤防の補修を実施したところです。
今後も、ドローンやICTなどを活用して、堤防の沈下状態や河道内の土砂堆積状況など、河川の洪水危険度をより効率的に把握し、堤防の補修や堆積土砂の撤去など、引き続き取り組んでまいります。
一方で、近年では、気候変動の影響などにより、水害が頻発化・激甚化しており、これまでの河川管理者による取組に加え、流域全体であらゆる関係者が協働して治水対策を行う流域治水の取組が大変重要となっております。
具体的には、堤防整備や河道掘削などの河川改修や適切な維持管理により、氾濫をできるだけ防ぐ河川対策、水田やため池の治水利用の促進などによる流域対策、洪水浸水想定区域図の策定やマイ・タイムラインの作成促進、水防団活動の啓発などによる被害軽減対策など、ハード・ソフト両面からの対策を流域全体で総合的に進めてまいります。
小美玉市を含む霞ヶ浦流域においては、流域内の関係者とともに、霞ヶ浦流域治水プロジェクトを令和3年3月に策定しており、現在、これに基づき、ハード・ソフトが一体となった対策を進めているところでございます。
また、市内の河川においては、沿川住民の適切な避難を促すため、平成27年の関東・東北豪雨などの経験を踏まえ、これまでに水位計5基と監視カメラ2基を設置し、よりきめ細やかな河川情報の提供を行っております。
県といたしましては、巴川や園部川などの県内河川について、ハード・ソフトの両面から適切な管理を行うとともに、関係者と協働して流域治水を推進し、住民の安全・安心の確保に努めてまいります。
80
◯伊沢勝徳議長 次に、山崎防災・危機管理部長。
〔山崎防災・危機管理部長登壇〕
81 ◯山崎防災・危機管理部長 地域防災力の向上についてお答えします。
県では、水害からの逃げ遅れによる人的被害ゼロを目指し、市町村との連携の下、洪水ハザード内における避難行動要支援者の支援体制の整備やマイ・タイムラインの作成の支援などに取り組んでおります。
避難行動要支援者の支援体制の整備については、本格的な台風シーズンの到来を前に、県内の全ての市町村において整備が図られたところであります。
この支援体制については、今回の整備にとどまらず、その実効性を高めていく必要がありますが、そのためには、行政による支援だけではなく、地域においてあらかじめ支援者を確保しておく取組を進めていくことが必要であり、自主防災組織はその中心となることが期待されます。
このため、県では、市町村と連携して、自主防災組織のさらなる結成が特に必要と考えられる水害リスクが高い地域を中心に職員が訪問し、水害時においては、地域の住民が助け合いながら避難行動を取ることが重要であり、実際に災害時には避難の呼びかけや避難の支援、平時には訓練などを行っている自主防災組織の活動を紹介するなどして結成を働きかけているところであります。
また、自主防災組織が活動する際には、中心となるリーダーが存在することが重要でありますことから、その養成を目的として、自治会長や自主防災組織の代表を対象にしたリーダー研修会を開催するとともに、継続的に地域のリーダーとして活躍することが期待される防災士の資格取得にもつながるいばらき防災大学を開催しているところです。
自主防災組織が地域において活動するためには、地域住民の防災に関する理解と協力が必要となりますので、県政出前講座や防災啓発イベント「いばらき学ぼうさい」において自主防災組織の活動を紹介し、その重要性についても啓発を行っているところです。
さらに、災害時に市町村と自主防災組織が連携して活動できるよう、平時から防災訓練を実施することが大変重要であります。
このため、市町村と合同で開催する避難力強化訓練においては、自主防災組織が、地域の住民に対して、災害情報を伝達し、避難を呼びかけるとともに、市町村と連携して避難行動要支援者の支援の要否を確認し、避難所まで搬送する訓練なども実施しているところであり、これらの訓練の成果や課題については、訓練の視察や後日の勉強会の開催により、他の市町村とも共有を図っているところです。
県におきましては、引き続き、市町村と連携しながら、自主防災組織の充実強化に取り組み、地域防災力のさらなる向上を図ってまいります。
82
◯伊沢勝徳議長 次に、森作教育長。
〔森作教育長登壇〕
83 ◯森作教育長 ICT教育の充実についてお答えいたします。
Society5.0時代を生きる子どもたちにとって、社会に通じるICTを活用する力を身につけていくことは大変重要であると認識しております。
現在、県においては、ICTを活用した子どもたち一人一人の興味・関心・習熟度に合わせた学びや、友達と意見交流しながら考えを広げたり深めたりする協働的な学びのモデルを「新しい時代における子供たちの学びのスタイル」として教科ごとに例示し、全ての学校で活用しております。
また、1人1台端末を活用して新たな学びを創造する学びのイノベーション推進プロジェクトにおいては、昨年度から、この学びのスタイルに基づいたモデル授業を公開し、新しい学びのスタイルの実現に向けて授業方法の改善に取り組んでいるところです。
例えば、課題解決に向け、様々なウェブサイトから必要な情報を収集したり、集めた情報を学習支援システム等で共有し、グループで整理・分析したり、さらには、プレゼンテーションソフトを使って考えや解決策を発表するなど、社会の中でも通じるICTの使い方を学んでおります。
一方、このようなICTの使い方を学べる授業を効果的に実施するためには、指導に当たる教員一人一人のスキルアップが必要であります。
そこで、今年度、いばらきスタディエックス推進事業を新たに立ち上げ、国や市町村と連携し、教員のICTスキルを育成する研修を進めてまいります。
具体的には、文部科学省のGIGAスタディエックス推進チームの専門家から、全国の授業の先進事例を踏まえたICTスキルの向上の方策について直接指導を受けるとともに、市町村のニーズに応じた研修を実施してまいります。
さらに、各市町村には学校のICT活用を指導する市町村推進リーダーを、各学校には教員を指導するICT校内推進教師を配置し、各市町村や学校の実態に応じた研修を充実させることで教員のスキルアップを図ってまいります。
加えて、全ての公立学校の教員が利用できる県独自のポータルサイトを開設し、授業で利用可能な学習教材や優良事例等を共有することで、授業の質の向上に努めてまいります。
県といたしましては、こうした取組により、誰一人取り残すことのない個別最適な学びや創造性を育む学びの実現に向け、ICT教育の充実に取り組んでまいります。
次に、中学校の部活動の地域移行についてお答えいたします。
近年、少子化に伴う学校の小規模化により、チーム編成ができなくなる団体競技が生じるなど、一つの学校だけでは部活動の運営が困難となる事例が出てきております。
そのような中、国においては、令和7年度末までに、中学校における休日の部活動を地域に移行する目標を掲げたところです。
県におきましても、有識者会議からの提言を受けて、地域移行に向けた部活動改革を推進しております。
一方で、地域移行を推進していく上では、指導者の確保や、地域クラブ等を運営していく受皿となる団体の整備が重要であると考えております。
まず、指導者の確保につきましては、県では、専門的な指導ができる部活動指導員を養成し、各市町村や学校に配置しており、地域移行後も地域の指導者として活動いただけるよう働きかけております。
また、指導者には、競技技術指導だけでなく、発達段階にある生徒を指導するためのスキルも必要でございますので、今後は、有資格者の発掘・育成に加え、部活動指導にふさわしい人材として認定する研修を実施するなど、指導者の質の確保にも努めてまいります。
次に、受皿となる運営主体の整備につきましては、市町村によっては、少年団等の受皿がない場合や、広域になることで活動場所への移動が生じる場合などがございますので、それぞれの実態に応じた移行プランを提示するなど、円滑に移行できるよう支援してまいります。
これらに加え、県で実施しております地域移行のモデル事業では、指導者への報酬など、保護者の金銭面での負担を心配する声も出ております。その反面、生徒の反応を見ますと、専門的な指導により、競技力が上がったことに喜びを感じる意見が多くあり、モデル事業を進めるうちに指導の成果が表れたことで、保護者からも費用負担への理解が得られるようになってまいりました。
今後も、こうした移行のメリットを生徒・保護者に理解していただけるよう周知してまいります。
また、国では、自治体が実施する生活困窮家庭への支援に対する補助を検討しておりますので、県といたしましても、金銭的な理由により、生徒が活動を諦めてしまうことがないよう対応を検討してまいります。
このほか、地域の子どもを地域で育てるという考え方を県民の皆様に持っていただくことが重要でありますことから、地域移行による効果や将来の部活動の在り方などを丁寧に周知・啓発してまいります。
県といたしましては、国の目指す令和7年度末までに地域移行を完了させ、生徒がこれまでの部活動と同様に、安心・安全な活動が継続できるよう、環境整備に努めてまいります。
次に、県立
特別支援学校の環境整備についてお答えいたします。
本県におきましても少子化が進む一方、
特別支援学校に在籍する児童生徒数は増加する傾向にあり、複数の学校では普通教室に不足が生じているため、早期の解消を図る必要があります。
このため、県では、令和2年にいばとくプランを策定して、主に校舎の増築を行うほか、必要に応じて通学区域を見直すなど、
特別支援学校の不足教室解消のために環境整備を推進してまいりました。
具体的には、内原
特別支援学校や鹿島
特別支援学校におきまして、昨年度に校舎の増築工事を行い、併せて、内原
特別支援学校の通学区域の一部を水戸飯富
特別支援学校へ変更しております。また、つくば
特別支援学校におきましては、来年4月の供用開始に向け、校舎の増築工事を行っており、この工事が完了すれば、いばとくプランで計画していた不足教室の解消策は全て完了する見込みです。
児童生徒のスクールバスでの通学につきましては、長時間のバス乗車は心身ともに負担が大きく、その軽減を図ることが重要でありますが、議員御指摘のとおり、交通状況によりましては、長時間の乗車となる場合もございます。
このため、県では、各校の状況を把握するため、毎年8月にヒアリングを実施し、児童生徒の居住地や乗車時間を考慮しながら、学校まで最短となるようスクールバスのルートを調整するほか、途中の停留所を見直して通学時間を短縮するなど、毎年度改善を図るとともに、必要に応じてバスを増車しております。
また、バス乗降時の補助や運行中の安全確保のための介助員を原則1コースに1名配置しておりますが、特に配慮を要する児童生徒が乗車する場合は介助員を2名配置し、負担を少しでも軽くするよう配慮しているところでございます。
引き続き、通学時の負担軽減のため、乗車している児童生徒の障害の状況や、スクールバスの運行コースや運行時間など、各校ごとの実態を十分に把握し、必要に応じて改善を図ってまいります。
なお、
特別支援学校の新設につきましては、今後の中長期的な児童生徒数の推移をしっかりと見極めるとともに、議員御提案の廃校の活用を含めて、県全体の
特別支援学校の在り方を検討してまいります。
県といたしましては、
特別支援学校に通う児童生徒一人一人が快適に学校生活を送ることができるよう、引き続き、教育環境整備に取り組んでまいります。
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84
◯伊沢勝徳議長 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。
次回は、明9月13日午後1時から本会議を開き、一般質問、質疑を続行いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後4時37分散会
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