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令和4年第2回定例会(第3号) 本文 開催日: 2022-06-10

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  1. 茨城県議会 2022-06-10
    令和4年第2回定例会(第3号) 本文 開催日: 2022-06-10


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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     令和4年第2回                 茨城県議会定例会会議録  第3号          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 令和4年6月10日(金曜日)午後1時1分開議          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯伊沢勝徳議長 これより本日の会議を開き、直ちに議事日程に入ります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 日程第1 第81号議案=ないし=第96号議案及び報告第4号 2 ◯伊沢勝徳議長 日程第1、第81号議案ないし第96号議案及び報告第4号を一括して議題といたします。          ────────────────────────────── 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 3 ◯伊沢勝徳議長 これより、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  この際、申し上げます。  次の質問、質疑は分割方式により行われます。  また、質問補助者が同席いたします。  なお、傍聴人の皆様に申し上げます。  傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意を願います。  村本修司議員。                 〔8番村本修司議員登壇、拍手〕 4 ◯8番村本修司議員 公明党の村本修司です。
     私自身、通算4度目となる一般質問をさせていただきますので、何とぞよろしくお願いをいたします。  この2年以上にわたるコロナとの戦いの中で、社会的に弱い立場に置かれている方々の困窮が、より一層、際立った感があります。  今回は、高齢者や妊産婦、障がい者の方、外国由来の子どもの支援等、誰一人取り残さないSDGsの理念にのっとった質問をさせていただきます。  知事をはじめ教育長、関係部長には、具体的かつ前向きな御答弁をお願いいたします。  初めに、SDGsのチャレンジングな推進についてお伺いします。  SDGsは、テレビや新聞はもちろんのこと、いろいろな場面でキーワードになるなど、社会における認知度は急速に進んでいます。  茨城県議会でも、2017年3月に初めてSDGsが議論され、それ以降、諸先輩方や私も含め、SDGsの推進に向けた議論や提案が議会で行われてきました。  SDGsの17の目標達成に向けた国連における世界的な取組は2015年にスタートし、2030年の目標期限の約半分が経過しています。残された時間は有限であり、加速していかなければなりません。  一方で、SDGsに関する取組については、これさえやっておけばよい、これで大丈夫という模範解答がない以上、県民・企業が知恵を絞ってチャレンジすることが必要であり、特定の誰かがやればよいものではなく、持続可能な社会を目指すために、県民全員、全人類が取り組むべき課題・目標であることは明白です。  県においては、総合計画の中で、誰一人取り残さない社会づくりを目指して、全ての施策をSDGsに関連づけ、そして、様々な普及啓発策を実施していると認識をしています。  ちょうど折り返し地点に差しかかった今、県はさらなる推進加速に向けて、啓蒙活動というステージから一歩踏み出して、様々なステークホルダーと連携して県民の積極的な活動を促していく必要があるのではないでしょうか。  他県での取組として、兵庫県では、SDGsの視点を県政に取り入れて、県のブランド力を強化するため、SDGs推進本部を設置しています。そして、内閣府が認定しているSDGs未来都市に選定されることや、県を挙げてSDGsを推進するための官民連携組織の設立等を目指し、積極的に取り組まれております。  本県においても、SDGsの推進本部を設置することや、小中高の学校部門や企業部門などを設けた茨城県SDGsアワードを開催し、顕著な活動を県が表彰してはいかがでしょうか。  SDGs推進本部の設置は、部局横断的な活動をスムーズにし、茨城県SDGsアワードは、表彰することで、取組内容が見える化され、SDGsに取り組む学校や企業のモチベーションの向上や、周りへの波及効果などが期待でき、本県におけるSDGsが加速していくものと考えます。  以上を踏まえ、SDGsのさらなる推進のためには、県のリーダーシップと様々なチャレンジが必要だと考えますが、今後どのようにSDGsの推進をしていくのか、知事の御所見をお伺いします。  この項目の壇上からは、以上でございます。 5 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 6 ◯大井川和彦知事 村本修司議員の御質問にお答えいたします。  SDGsのチャレンジングな推進についてお尋ねをいただきました。  持続可能な開発目標であるSDGsは、2015年の国連サミットにおきまして全会一致で採択されたものであり、「誰一人取り残さない社会」を実現するため、環境のみならず、経済、社会など、広範な課題に対して17の目標を設定し、総合的に取り組むこととされております。  こうしたSDGsの取組を推進するためには、県はもとより、市町村や企業、さらには、県民一人一人がSDGsを理解し、自分のこととして捉え、積極的に行動に移していくことが必要であります。  そのため、県では、これまでも、自治体職員を対象に、SDGsの講演会を開催するとともに、企業や県民の皆様に県の取組を説明させていただく県政出前講座などを通じて、SDGsの普及啓発を図ってきたところであります。  また、県総合計画を着実に推進することがSDGsの達成につながるとの考えの下、本年3月に策定した新県総合計画においても、SDGsの「誰一人取り残さない社会づくり」という基本理念を新しい茨城づくりに向けた政策・施策を展開する上での重要な視点として盛り込んだところでございます。  加えて、同計画に掲げる20の政策全てをSDGsのいずれかの目標と関連づけるとともに、同計画の進捗管理を担う部局横断組織である新しい茨城づくり推進会議を通じて、SDGsについても県庁一丸となって推進を図っております。  さらに、昨年11月には、茨城エコ事業所登録制度や、いばらき美味しおスタイル指定店制度など、様々な県登録認証制度とSDGsの17の目標との関連性を明示し、ホームページで公表することで、SDGs認証を推進する取組も始めたところであります。  一方で、全県的なSDGs推進の機運を高めるためには、多様なステークホルダーとの連携・協働が不可欠になってまいります。  そのため、関東経済産業局と連携し立ち上げた茨城創生SDGs研究会において、大学等の有識者や金融機関、市町村などの構成メンバーと協力しながら、金融機関等による支援事例や県内中小企業も含めた企業の取組事例などの調査のほか、SDGsへの取組に対する各支援機関の在り方などについて研究を行ったところでございます。  こうした取組の結果、昨年度には、県内大学における高校生向けのSDGs講座や、金融機関による中小企業向けSDGsセミナーが開催されるなど、各支援機関での取組が活性化しているところでございます。  また、先月には、大手清涼飲料水メーカーとの間で協定を締結し、自動販売機の売上げの一部を県のSDGs推進に係る取組に活用させていただくこととしたところであり、こうしたステークホルダーとの連携・協働を引き続き進めてまいります。  さらに、今後は、県内でのSDGsの取組が加速するよう、議員御提案の県による表彰制度などの先進事例につきましても研究してまいります。  県といたしましては、SDGsの開発目標達成に向け、県総合計画の推進に全力で取り組むとともに、県民・企業の皆様をはじめ、多様なステークホルダーとの連携・協働を積極的に進めることで、オール茨城による「誰一人取り残さない社会づくり」の実現に取り組んでまいります。 7 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員。                   〔8番村本修司議員登壇〕 8 ◯8番村本修司議員 御答弁では、あらゆるステークホルダーとの連携を深め、茨城県SDGsアワードも研究くださるとのことでございました。  2030年まで時間はあまりありませんので、スピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。  次に、モザイク型就労による高齢者の就業支援についてお伺いします。  茨城のみならず、日本社会において、高齢化は避けがたい現象であり、乗り越えていかなければならない課題であります。  この高齢化の中で、高齢者の労働への参加は年々増加しているものの、高齢者向けの仕事が欲しいとの声を多くいただいております。  その背景には、勤務日数や勤務時間、業務内容など、労働条件の不一致による雇用のミスマッチがあるものと思われます。  フルタイムの就業であれば、いばらき就職支援センターにおいてあっせんをしており、就労者の状況を丁寧に聞き取って、企業とのマッチングを図って、効果も上げていると伺っています。  一方で、高齢者の労働に対するニーズは、やりがいや体調に合わせた働き方、介護との両立など個人差が大きく、多様化しています。  高齢者は、経験も多種多様であり、その潜在力は計り知れないものがありますが、現状の求職活動ではなかなかニーズとシーズが合致していないのが現実です。  そこで、私は、モザイク型就労を導入し、推進することを提案したいと思います。  モザイク型就労とは、仕事を細分化し、高齢者が求める個々の時間や場所、スキルをモザイクのように寄せ集めて、1人分の労働力として形成するものです。  マッチングに難しさはあるものの、既に東京大学においてAIジョブマッチングアプリが開発されており、熊本県や福井県など、導入する自治体も増えてきています。  企業は魅力ある労働力を確保でき、高齢者は自らのスキルや経験を生かして、働きたい時に働きたい場所で働くことが可能になり、社会的メリットは大きいものと考えます。  以上を踏まえ、働き方の多様性が求められる中、モザイク型就労システムの活用をはじめとした高齢者の就業支援に今後どのように取り組んでいくのか、産業戦略部長にお伺いいたします。  この項目の壇上からの質問は、以上でございます。 9 ◯伊沢勝徳議長 前田産業戦略部長。                   〔前田産業戦略部長登壇〕 10 ◯前田産業戦略部長 モザイク型就労による高齢者の就業支援についてお答えいたします。  少子高齢化の進展に伴い、生産年齢人口の減少が中長期的にも避けられない中、県内産業の持続的な発展のためには、議員御提案のモザイク型就労など、高齢者の多様な働き方の実現にしっかりと取り組むことが大変重要であります。  令和元年度の国の調査では、高齢者が就労を希望する理由として、収入面以外にも、仕事が面白い、自分の知識・能力を生かせる、健康増進などの積極的な理由が挙げられており、高齢者の就労促進には余地があると考えられる一方で、就職していない理由として、求人年齢の制限や、職種、勤務地、時間のミスマッチが挙げられております。  そのため、県では、働き方改革に先進的な事業者をモデルケースとした意識啓発に取り組んでおり、例えば、午前中のみや週3日の勤務を導入し、高齢者の活躍につながっている事例など、優良事例の浸透に努めるとともに、業界団体に対して、自主的な目標設定を促すことにより、広く県内事業者の幅広い人材確保を後押ししてまいります。  また、県内6か所の就職支援センターでは、求人企業が高齢者のスキルや経験を積極的に活用できるよう、柔軟な雇用形態の導入や業務内容の細分化を提案するなど、高齢者のニーズに即した多様な働き方の導入を促してまいります。  さらに、議員御提案のAIマッチングアプリの活用は、求職者の強みを生かした就労のさらなる活性化につながる可能性がありますことから、導入自治体での効果や課題の検証結果など、その動向を十分に注視してまいります。  なお、高年齢者雇用安定法の改正に伴い、昨年4月から、新たに、全ての事業者に70歳までの就業機会の確保について努力義務が課されており、県としましては、茨城労働局との連携の下、制度の周知や丁寧な相談対応に努めるとともに、国の支援策の活用を促し、県内事業者の就業体制の見直しを促進してまいります。  こうした取組に加え、高齢者の活躍を一層後押ししていくためには、高齢者の希望や適性を踏まえたスキルアップや就労支援、これまでの知識や経験を生かせる県内事業者の開拓強化にも取り組む必要がございます。  そのため、県では、就職支援センターの相談員が、適性診断や面接指導などのきめ細やかな支援を実施しており、昨年度は、65歳以上の相談者272名のうち71名が、機械加工や調理など、経験を生かした就職を実現するとともに、28名が介護や建設などの職業訓練を受講し、11名の就職に結びついております。  また、昨年度、茨城労働局と連携して開催した高齢者向けの就職面接会には58名が参加し、8名の内定に結びついておりますが、面接会の参加者からは、より多くの業種から話を聞きたいとの声もありましたことから、さらなる事業者の掘り起こしを進めるなど、今後とも、求職者に寄り添った支援に努めてまいります。  さらに、各市町村のシルバー人材センターでは、地域貢献や仲間づくりを重視し、短時間での就労を希望する高齢者を支援しておりますことから、関係機関で緊密に連携し、センターの強みを生かした一層効果的なマッチングや広報活動の強化に努めてまいります。  県といたしましては、こうした取組により、高齢者のニーズを踏まえた多様な就労機会の確保にしっかりと取り組んでまいります。 11 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員。                   〔8番村本修司議員登壇〕 12 ◯8番村本修司議員 これからも、いばらき就職支援センターモザイク型就労をさらに深めていくとの御答弁であったと認識をしております。  まだまだモザイク型就労は認知度が低く、企業側・労働者側双方のニーズを集めて実効性を高めることが一番肝要であると思います。  そして、農業分野なども有力な候補であると思います。  また、さらに発展させるためには、NPOなど民間の力の活用も重要になってくると思いますので、その育成もお願いをいたします。  次に、県営住宅における団地コミュニティの活性化についてお伺いします。  県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃の住宅を供給することにより、県民福祉に寄与することを目的とされています。  住宅セーフティネット法による整備も進み、県営住宅は、今後ますます住宅セーフティネットの中核としての役割が期待されています。  現在の県営住宅を取り巻く環境は、建設後おおむね50年が経過し、建て替えの時期を迎える住宅が急増するとともに、賃料の未払いの増加、20%程度で推移している恒常的な空き住戸など、様々な課題を抱えています。  県では、県営住宅長寿命化計画を策定し、ハード面は整備方針が示されていますが、ソフト面の対策も急務であると考えます。  特に、居住者の高齢化がこの10年間で2.5倍に急増し、それと連動して、県営住宅における子育て世代や若い世代が減少しており、自治会活動の担い手が不足するなど、団地コミュニティ力の低下が懸念されています。  県民が健康で安心して住み続けられる県営団地を目指すためにも、団地コミュニティの活性化や住みやすさなど、ソフト面の改善に向けた取組を進める必要があると考えます。  その中で、神奈川県では、大学と連携し、学生の入居による団地コミュニティの活性化につなげる取組を実施しています。  月5,000円程度の家賃で入居してもらう代わりに、草刈りや掃除、お祭への参加など、自治会活動に積極的に参加をしてもらうことになっており、学生にとっては、福祉・医療関係の専攻に資するフィールドでの経験など、家賃以外のメリットもあり、Win-Winの関係を構築しています。  先日、県内の複数の大学関係者のところに伺ってお話しをしたところ、地域とのコミュニケーションに興味のある学生も複数おり、面白い政策であると伺っていました。  加えて、神奈川県では、県営住宅健康団地推進計画を策定し、団地の空き施設に民間事業者を誘致して、診療所やコミュニティ活動拠点を整備したり、子育て世帯向けの住戸用として思い切ってリフォームする住戸を増やすなど、ソフト面につながる取組も推進しています。  このような団地コミュニティの活性化に資する取組は、高齢者をはじめとする入居者の不安軽減や孤立化の防止に加え、県営住宅が抱える様々な課題解決につながる試みであります。  本県においてもぜひとも取り入れ、誰もが住んでよかったと思えるような県営住宅へと再生していただきたいと思います。  以上を踏まえ、団地コミュニティの活性化など、県営住宅におけるソフト面の今後の改善策について、土木部長にお伺いいたします。  この項目の壇上からの質問は、以上でございます。 13 ◯伊沢勝徳議長 田村土木部長。                    〔田村土木部長登壇〕 14 ◯田村土木部長 県営住宅における団地コミュニティの活性化についてお答えいたします。  県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者を対象に、健康で文化的な生活を営むための住戸を提供することで、生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とした住宅でございます。  併せて、住宅セーフティネットの根幹にも位置づけられることから、住宅の確保に配慮を要する世帯への住戸の提供を積極的に行っているところでございます。  令和4年4月現在、県内28市町村に157団地の県営住宅があり、約1万世帯の方に入居いただいております。  入居世帯の構成といたしましては、全体の約3割が高齢者世帯であり、障害者、母子・父子世帯などを加えた要配慮世帯の入居割合は全体の約7割となっているところでございます。  県営住宅の入居者には、団地内の草刈りやごみ置き場の清掃など、自治会活動を通じて団地内における住環境の維持管理の一翼を担っていただいております。  しかしながら、草刈りや清掃活動に参加しない入居者が増えており、個人への負担が大きくなっていることから、これらの維持管理を県で対応してほしいとの御意見や御要望が寄せられるなど、団地コミュニティの意識が低下している事例が散見されております。  団地コミュニティの意識が低下すると、自治会活動が衰退し、敷地内の雑草が伸び、ごみ置き場から悪臭が発生するなど、景観や衛生面での住環境を悪化させるとともに、隣人との交流が希薄になり、空き巣被害の発生など防犯上も悪影響を及ぼすおそれがあることから、管理者である県といたしましても、団地コミュニティの維持、活性化が必要であると考えております。  このため、県では、市町村の福祉部局と連携し、高齢者を団地全体で見守り、交流することなどにより、団地全体のコミュニティ活性化を図るシルバーハウジング事業や、障害者グループホームへ住戸を提供し、自治会活動に参加してもらうことで団地コミュニティの維持を図るための取組を行っております。  加えて、地元大学生によるボランティアサークル市町村教育委員会が運営主体となり、団地内等の子どもを対象に学習支援教室の場として集会場を提供するなど、地域のニーズに合せて住戸や施設を提供する取組なども行っております。  こういったソフト面での様々な取組を継続することで、団地コミュニティの維持、活性化を促してまいりたいと考えており、議員御提案の大学との連携によるコミュニティの活性化につきましても、大学の意向や大学周辺の賃貸物件の実情なども考慮した上で、先進事例等を参考にしながら検討してまいりたいと思います。  県といたしましては、コミュニティの活性化に配慮しながら、良好で持続可能な住環境を確保するため、建物の老朽化に対応した長寿命化工事や住戸改善を実施するとともに、適切な県営住宅の管理、運営に努めてまいります。 15 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員
    16 ◯8番村本修司議員 再質問いたします。  土木部長に対して、ただいまの答弁の県営住宅におけるさらなるソフト面の改善について再質問をいたします。  さきにも述べましたように、ハード面だけではなく、ハード・ソフト両面の視点での改善が必要だと思っています。  県も、健康寿命日本一を掲げて活動しておりますが、神奈川県が策定した県営住宅健康団地推進計画のような計画が本県にも必要だと考えますが、県の方針をお伺いいたします。 17 ◯伊沢勝徳議長 田村土木部長。                    〔田村土木部長登壇〕 18 ◯田村土木部長 再質問にお答えいたします。  神奈川県では、小さな町や村に匹敵するような1,000戸を超える県営住宅団地が数多くあるほか、県営住宅入居者の高齢化率が約45%と高くなっており、県営住宅における高齢化の進展が問題になっていると聞いております。  一方で、本県の県営住宅は、小規模団地が多いことや、高齢化率が約3割となっていることなど、神奈川県と状況が異なっているものと認識しております。  こうした状況なども踏まえ、県営住宅としてどのような対応が可能であるか、他県の取組なども参考に、関係部局とも連携を図りながら検討してまいります。 19 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員。                   〔8番村本修司議員登壇〕 20 ◯8番村本修司議員 今後の高齢化社会への対応を考えた場合、高齢者が歩いて生活できるよう、県営住宅の周りに、生活に必要な施設を誘致したケアコンパクトシティのモデルとなるような取組も必要だと考えます。  このように、高齢化社会を見据えたまちづくりは、住宅だけで解決するものではなく、福祉、産業、教育、子ども政策等、幅広い分野での連携が必要だと思います。  困窮者に寄り添い、地域の住宅セーフティネットの中心となれるよう、これからも、日々、野心的に改善を図っていただきたいと思います。  次に、ソフト面からの防災対策の充実強化についてお伺いします。  近年、地球温暖化などの影響により、自然災害が激甚化・頻発化しており、政府や自治体等による適時・的確な防災対応が一層求められています。  国では、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の下、防災インフラ等の整備を進めていますが、ハード面だけでなく、ソフト対策にも力を入れ、ハード・ソフトが一体となった総合的な防災対策に取り組むことが重要であります。  そこで、今回は、ソフト対策の充実強化に向け、幾つか提案したいと思います。  まず、専門家の積極的な活用であります。  気象庁では、自治体の災害対策本部等へ派遣する気象庁防災対応支援チーム(JETT)や、気象予報士や気象庁OBを気象防災アドバイザーに委嘱し、自治体が気象の専門家を職員として採用できる仕組みを設けています。災害時における自治体の判断は被害の大小を左右する大変重要なものであり、専門人材が不足する中では、県、市町村ともに積極的に活用すべきと考えます。  次に、避難情報発令区域の絞り込みであります。  避難情報を発令する際は、危機意識をより強く持ってもらうために、発令対象区域を可能な限り絞り込むことが重要です。市内全域に発令し、災害リスクが想定されていない区域にまで避難情報を発令することは、避難情報の信頼性を損ねるおそれや、要配慮者の不必要な避難による身体的な負担などにつながっています。  県には、さきの専門家の活用を含め、研修会を開催するなど、県内全域、全市町村での的確な避難情報の発令ができるよう、環境整備を進めてもらいたいと考えます。  最後に、指定避難所での妊産婦への配慮についてであります。  県では、市町村の避難所運営マニュアルの策定を推進するため、市町村避難所運営マニュアル基本モデルを策定しています。現在の基本モデルにも、妊産婦の配慮事項は記載されていますが、避難所の実態を見ると、妊産婦への配慮がもっとあってもよいのではないかと感じております。基本モデルに妊産婦のより具体的な配慮事項を掲載し、市町村の取組をもっと後押しする必要があると考えます。  以上を踏まえ、自然災害が激甚化・頻発化する中、ソフト対策の充実強化は今後ますます強く求められるものと考えますが、県として、今後どのように取り組んでいくのか、防災・危機管理部長にお伺いします。  この項目の壇上からの質問は、以上でございます。 21 ◯伊沢勝徳議長 山崎防災・危機管理部長。                 〔山崎防災・危機管理部長登壇〕 22 ◯山崎防災・危機管理部長 ソフト面からの防災対策の充実強化についてお答えいたします。  県では、風水害発生時のソフト対策として、住民の逃げ遅れによる被害ゼロを目指し、マイ・タイムラインを活用した住民の防災意識の向上や、市町村における高齢者等の避難支援体制の構築などに重点を置いて取り組んでいるところですが、ソフト対策を進める上で、議員から3つの貴重な御提案をいただきました。  まず、専門家の活用についてでございます。  県では、これまでも、気象庁による県や市町村の防災担当職員を対象とした勉強会を開催し、自治体が適時・的確な防災対応の判断ができるよう取り組んでいるところです。  昨年度は、避難情報の発令を判断する市町村長に対しましても、水戸地方気象台の台長から台風接近時に気象庁が発表する5段階の警戒レベルと、その際に必要な市町村の対応について講義いただいたところでございます。  また、台風接近時などにおいては、気象庁の防災対応支援チームに要請し、気象警報の発表が見込まれる時間帯やそのときの雨量、風速などを県や市町村の防災担当者に解説していただいております。  その上で、実際に災害が発生する危険性が高まった段階においては、県では警戒体制を立ち上げ、気象庁の支援チームの助言を受けながら、市町村に対し避難情報の発令を働きかけております。  今後も自治体が適時・的確な防災対応の判断ができるよう、気象庁との連携を深めてまいります。  次に、避難情報発令区域の絞り込みについてであります。  気象庁では、予想される雨量を基に、地形や地質などを考慮して、土砂災害や浸水害の危険度について1キロメートルメッシュで5段階に色分けして地図上に表示し、10分毎に更新しております。市町村では、こうした情報やハザードマップを活用し、避難が必要な範囲を絞り込んでおります。  県では、県内の全ての市町村が気象庁の情報を十分に活用し、的確な避難情報の発令が出せるよう、気象庁による勉強会を開催するなどして取り組んでまいります。  最後に、指定避難所での妊産婦への配慮についてでございます。  県の市町村避難所運営マニュアル基本モデルにおいては、平成28年度に改訂された妊産婦などの要配慮者の特徴と必要な支援に係る県の指針を掲載し、市町村が作成する避難所運営マニュアルの参考となるよう示しているところです。  その後発生いたしました令和元年東日本台風時においては、県助産師会が県内3か所の助産所に妊産婦を受け入れるとともに、避難所を巡回訪問した実績がございますので、こうした関係団体の御意見を伺うなどしながら、妊産婦などへの配慮事項の充実を図ってまいります。 23 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員。 24 ◯8番村本修司議員 再質問いたします。  防災・危機管理部長に対し、ただいまの答弁の気象防災アドバイザーについて再質問をいたします。  気象防災アドバイザーは、気象庁退職者のほか、一定の研修を受けた気象予報士などに対して気象庁が委嘱しており、2021年12月には87人に委嘱されています。  しかし、その活用は、一部の自治体にとどまっている状況です。  いざというときはもちろんのこと、平時においても、防災訓練など様々な面で効果を発揮するものであり、もっと市町村での活用を推進すべきと思いますが、現在の活用状況と今後の推進策についてお伺いします。 25 ◯伊沢勝徳議長 山崎防災・危機管理部長。                 〔山崎防災・危機管理部長登壇〕 26 ◯山崎防災・危機管理部長 再質問についてお答えいたします。  まず、現在の活用状況についてでございます。  県内では、龍ケ崎市が気象防災アドバイザーを活用しており、市災害対策本部における気象の見通しに関する助言のほか、防災担当職員を対象にした防災気象情報を読み解く講習会の実施、また、小学生を対象とした急な大雨・雷や竜巻から身を守るための防災授業の開催などを行っていると伺っております。  次に、今後の推進策についてでございますが、気象庁や既に活用している自治体から、具体的にどのような場面で有効に活用されているのかなど、市町村に具体的な活用例とその効果を紹介する場を県において設け、市町村が気象防災アドバイザーの活用について検討するきっかけにしてまいりたいと考えております。 27 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員。                   〔8番村本修司議員登壇〕 28 ◯8番村本修司議員 妊産婦や高齢者、そして障がい者などの要配慮者を災害から守るための防災対策の充実強化には、マニュアルを策定して終わりではなく、県などの第三者がマニュアルを確認し、見直しの機会や気づきの機会を与えることが重要だと思っております。  市町村が策定したマニュアルの実効性を高める工夫を、防災・危機管理部におかれましては、県の防災の責任者として、各部局、各市町村をリードしていただきたいと思います。  次に、障がいのある教員の採用についてお伺いします。  障害者雇用促進法や差別解消法で障がい者の労働者としての側面からの支援や合理的な配慮の必要性が明確になりました。  中教審でも、インクルーシブ教育の推進や障がいを持つ教員の採用促進がうたわれています。  しかしながら、世間一般として、障がいがあると教員になるのは難しいと考えられてはいないでしょうか。  県の障がい者を対象とした選考を見ても、10名程度の枠に対して、合格者が半数にも満たない状況があります。  原因には、身体的能力と業務遂行能力のギャップに対しての不安などで、教員を目指すことをそもそも諦めてしまったり、教員を目指していても、教育実習先が見つけにくいなど、様々ある障壁により教員になることを断念してしまうことなどが考えられます。  まず、現状を分析し、社会的障壁を取り除いていき、教員になれるんだと思ってもらえる環境を整備することが必要だと思います。  そのためには、実際に障がいを持ちながら働いている現役教員から情報を得るための実態調査が重要であり、苦労や喜びも含めて、得た情報について、ロールモデルとして、子どもたちをはじめとして広く県民に届けることも必要です。  障がいのある教員志望の学生をサポートするために、オンラインで現役教員への相談や学生同士の交流などができる取組も効果的ではないでしょうか。  障がいのある教員が増えることは、障がいのある児童生徒のロールモデルとなるとともに、教員ができないことを児童生徒が手伝うことで、多くの気づきを与えることができ、インクルーシブ教育の面からの効果も期待できます。  また、第2次県総合計画では、県民一人ひとりが未来に希望を持つことができ、自身のなりたい自分像に向かって一歩でも二歩でも近づいていけるよう、挑戦を続けられることを幸福と定義し、その幸せを実現できる環境づくりを進めるとしています。  障がいがあるからといって困難な課題に挑戦する権利を奪ってはならず、共生社会の実現のためにも、教育の現場から進めていくことも大変意義のあることではないでしょうか。  以上を踏まえ、障がいのある教員の採用について、県の現状認識と今後の方針について、教育長にお伺いします。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 29 ◯伊沢勝徳議長 森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 30 ◯森作教育長 障がいのある教員の採用についてお答えいたします。  障がいのある子どもとない子どもが共に学ぶ、いわゆる、インクルーシブ教育システムの視点からも、障がいのある教員が身近にいることは、障がいに対する理解が深まるとともに、子どもたちにとってのロールモデルになる効果が期待されるところです。  また、障がいの有無にかかわらず、児童生徒自身が望む職業や進路を諦めずに目標とすることは、望ましい社会の在り方であると認識しております。  本県における障がいのある教員の採用につきましては、平成20年度採用から新たな募集枠を設け、平成25年度以降は10名程度に増やして、毎年、採用を進めてまいりました。  また、障がいの種類や程度に応じて、実技試験の全部、または一部を免除するほか、試験問題の文字の拡大、点字での出題などの配慮を行うことにより、受験しやすい環境づくりに努めてまいりました。  しかし、過去5年間の志願者数は、募集人数に満たない年が多く、今後、志願者を増やしていくためには、障がいがあっても教員として働くことができる環境を整備するとともに、積極的に情報を発信していくことが必要であると考えております。  このような中、県では、学校現場で勤務する障がいのある教員に対して、それぞれの勤務校においてさらに活躍できる場がつくれるよう配慮を行っているところです。  具体的には、ICT活用能力の高い教員の場合でございますが、1人1台端末を効果的に活用して授業を展開するほか、学校ホームページの作成などを担当しております。  また、英語力の優れた教員の場合では、子どもたちのコミュニケーション力を高める取組や、日本語の習得を必要とする外国人の子どもたちへの指導を担当しております。  さらに、障がいの程度に応じて、通勤方法や通勤時間を考慮して配置する学校を決めたり、チーム・ティーチングを行う教員を加配するなどにより、働きやすい環境づくりを進めてまいりました。  一方で、議員御指摘のとおり、障がいのある教員一人一人の職場での支援ニーズなどを把握していくことは重要なことであります。  このため、学校に勤務している障がいのある教員へのアンケート調査を実施し、課題を分析することで、職場での支援の在り方や、受験しやすい環境づくりについて検討してまいります。  また、障がいのある方に対し実施している取組を、県教育委員会のホームページで紹介するなど、今後の採用における広報戦略に生かしてまいります。  このほか、教員の志願者を増やすためには、自分の将来の職業について考え始める時期の取組も重要となります。このため、教員になったきっかけややりがいについて教員本人から話を聞くことができる、中学生向けの教職セミナーの講師として障がいのある教員を派遣するなど、ロールモデルとしての情報発信にも取り組んでまいります。  県といたしましては、障がいのある教員が、自信とやりがいをもって働くことができる職場づくりを実現するとともに、障がいのある子どもたちも、将来教員を目指そうと思える環境づくりを推進してまいります。 31 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員。                   〔8番村本修司議員登壇〕 32 ◯8番村本修司議員 今回、提案いたしました実態調査や中学部の生徒への啓発などを実施していただけるとのことであり、茨城県における障がい者の障壁の根絶が教育現場から推進されることを期待をいたします。  また、先日、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律が施行されました。その中で、障がい者が取得する情報について、可能な限り、障がい者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を、障がい者でない者と同一の時点において取得することができるようにすることが要求されております。  このような観点からも、教育現場での見直しをお願いをいたします。  次に、県立特別支援学校における将来の進路選択につながる学びの多様性についてお伺いします。  特別支援学校に通う生徒の保護者は、我が子が社会で自立して生きていけるかどうかという将来に対する不安を抱えています。  障がいや病気療養が必要な児童生徒が将来自立でき、保護者の安心感につなげていくためにも、キャリア教育は非常に重要であります。  茨城県教育委員会では、小学部の段階から系統的なキャリア教育を実施しており、小学部や中学部では校外学習や職場体験学習を、高等部ではデュアルシステム型の現場実習などを行っています。
     一方、GIGAスクール構想の推進や、コロナ禍によって拡充されたリモートの利便性向上など、環境は急激に変化をしています。  ICT技術の進歩はすさまじいものがあり、特別支援学校に通う生徒を取り巻く環境にも変化が見られ、ICT機器の利活用は、これまで移動の制約や対面の困難さを抱えた生徒にとっても新たな光となっています。  また、タブレットやPC、ロボットなどのICT機器は、生徒にとって、社会とつながる非常に有効な手段であると考えます。  Webデザインやeスポーツなど、新たな分野での可能性も感じており、ICTスキルを早期に身につけ、社会進出を大きく促すためにも、情報活用能力などを含む将来の進路選択につながるカリキュラムの充実を進めてはどうかと考えます。  各学校で専門的な授業を担当する教員を配置することが難しいのであれば、拠点校で授業を行い、各地の学校からリモートで参加することもできるのではないでしょうか。  拠点校からのリモート配信による授業は、教員不足やコストの観点からのメリットもあり、さらには、登校できない生徒のために、自宅でのリモート学習を視野に入れた対応も可能になります。  障がいの多様性は、その認識が進んでおり、障がいの程度に合わせた教育の必要性はますます高まっています。  ICT機器の利活用による学びを充実させるとともに、Webデザインなど、新たな分野の門戸を切り開いていくためにも、自立につながるスキルを身につけられるような環境整備をぜひともお願いしたいと思います。  以上を踏まえ、情報活用能力などデジタル化社会に沿ったカリキュラムを導入するなど、県立特別支援学校における将来の進路選択につながる学びの多様性について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いします。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 33 ◯伊沢勝徳議長 森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 34 ◯森作教育長 県立特別支援学校における将来の進路選択につながる学びの多様性についてお答えいたします。  肢体不自由や病弱の生徒が、情報活用能力を身につけ、在宅ワークを取り入れている企業等への就職が可能になれば、通勤に伴う負担がなく、また、自宅にいるという安心感が得られるため、障害による体調面や移動面の困難さ、心理的な不安を軽減させることが可能となり、進路選択の幅が広がると認識しております。  現在、知的障害以外の県立特別支援学校高等部におきましては、主に1年次に必履修教科である情報を履修し、プログラミングや情報通信ネットワークなどの基礎的な内容を学習しております。  また、肢体不自由や病弱の生徒を対象としている特別支援学校では、就職を希望する生徒に対して、企業等の協力の下、学校や自宅で在宅ワークに近い形での職業体験を取り入れ、メールやオンライン会議形式で業務に関する指示を受け、データ入力や文書作成などの実習を行っております。  これらの体験は、生徒にとっても在宅での就業という新たな働き方を知る貴重な機会になっております。  このほか、商業に関する科目である情報処理を教育課程に位置づけ、就職に生かせるタイピングや情報処理に関する検定試験に合格する生徒もおり、就職した企業等においてデータ入力の業務を行うなど、学習の成果が見られております。  一方、情報技術が日々目まぐるしく進化している現代社会においては、より一層、専門的な情報活用能力を身につけ、卒業後の進路につなげていくことは、障害のある生徒の自立と社会参加を目指す上で、今まで以上に大変重要であります。  このため、今後は、ウェブデザインの作成、ウェブ上でのアンケート調査の作成・分析、通信ネットワークの設計など、企業等のニーズに応えられる情報活用能力の育成を重点的に推進する学校を指定し、情報に関する専門科目や学校設定教科を取り入れるなど、教育課程の編成を柔軟に見直してまいります。  また、情報処理等の専門家を講師として活用し、プログラミングの発展的な学習として、ロボットやスマートフォンアプリの開発、ドローン操縦など、生徒の興味・関心や希望する進路先に応じた多様な実践研究を進め、その成果を他の特別支援学校へも展開してまいります。  加えて、議員から御提案のありました拠点校からのリモート配信による授業の実施につきましては、実践研究の一環として、拠点校に専門性の高い教員を配置し、当該校から他の特別支援学校にオンラインで授業を配信する取組を行いながら、1人でも多くの生徒の就職につながるよう、より高度な情報活用能力の育成を図ってまいります。  併せて、県立特別支援学校に配置している就労支援コーディネーターや進路指導主事等を中心に、企業等に生徒の障害の特性などを伝えるとともに、学校で身につけたICTに関する能力などをPRすることで、一人一人の生徒の障害の状態や進路希望に応じた就職先を開拓してまいります。  県といたしましては、生徒一人一人のニーズに即した多様な学びに対応できる教育の充実に努め、自立と社会参加を一層促進してまいります。 35 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員。                   〔8番村本修司議員登壇〕 36 ◯8番村本修司議員 まずは指定された拠点校からチャレンジくださるとのことであり、大変に期待をしております。希望される生徒が全員履修できるように、また、在宅でも履修できるような、拠点校からリモートなどを活用した取組をぜひとも実現をしていただきたいと思います。  これ以外にも、多様な障がいに対応した将来の選択肢を広げるような履修テーマを知恵を絞って広げていっていただきたいとも思います。  このような取組が、障がいを持った方や、その関係者の方々の生きづらさを少しでも緩和できることを期待いたします。  最後に、外国人をはじめとした日本語指導が必要な子どもへの支援についてお伺いします。  昨今、日本では、外国人技能実習生や特定技能による外国人材など、数多くの外国人の方が来日しており、日本語指導が必要な子どもが年々増加しています。  文部科学省では、実態を把握するための調査を実施し、本年3月にその結果が公表されました。  その調査結果によると、小中学生に相当する外国人の子どもの数は13万人を超え、不就学の外国人の子どもは減少傾向にあるものの、いまだ1万人程度存在することが明らかとなりました。  また、公立の小中学校における日本語指導が必要な児童生徒数は、日本国籍を含めると5万人超になります。  本県においても、小中学校に通っていない外国人の子どもは261人おり、日本語指導が必要な児童生徒の数は、日本国籍を含め1,551人おります。  さきの調査結果によると、日本語の指導が必要な中学生の高校等への進学率は89.9%と、全中学生の99.2%と比べて10ポイント近く低い値となっており、高校生の中退率も5.5%と、全高校生の1.0%と比べて5倍以上になっています。  また、親に帯同されて来日した家族滞在の在留資格で暮らす子どもが、高校を卒業せずに就職した場合、就労が28時間以内に制限されるため、非正規労働への就業を加速する要因ともなっており、就学・進学の状況や日本語を話せるかどうかは、その先の就職にも大きな影響を及ぼしていると言えます。  このような観点からも、高校へ進学し卒業することは、彼ら、彼女らにとって大変重要な問題であります。  そのような中、国では、共生社会の実現に向けた外国人児童生徒等の教育を推進すべく、日本語指導体制の整備など教育の充実に向けた様々な支援制度を設けており、県に対しても地方公共団体が講ずべき事項に関する指針を発出しています。  県では、市町村等と連携し、日本語教育の充実、コーディネーターの十分な配置などはもちろんのこと、不就学の実態を正確に把握することや、中退、進学しないことについて、その理由や原因を早急に調査して、対策を検討する必要があると考えます。  また、日本人ならば誰でも日本語が教えられるというわけではなく、質の高い日本語を教える専門人材の育成も重要であると考えます。  以上を踏まえ、外国人をはじめとした日本語指導が必要な子どもへの支援について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いします。  この項目の壇上からの質問は、以上です。 37 ◯伊沢勝徳議長 森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 38 ◯森作教育長 外国人をはじめとした日本語指導が必要な子どもへの支援についてお答えいたします。  日本語指導が必要な子どもたちが、国籍にかかわらず、学びや成長の機会を得て、個々の能力を発揮できる教育体制を整えることは大変重要であります。  このため、県では、令和3年度において、日本語指導を必要とする児童生徒がおおむね6人以上在籍する小中学校68校に日本語指導教室を設置し、日本語の習熟度に応じた教育課程を編成して、一人一人に寄り添った支援の充実に努めてまいりました。  また、日本語指導教室を設置していない学校に対しましては、大学やNPO法人と連携し、オンラインを活用した日本語初期指導を実施しております。  特に、令和3年度は、県内6中学校をモデル校とし、在籍する日本語指導を必要とする生徒に対して、それぞれの日本語の習熟度など、生徒の実態に応じた指導を行ったことにより、学力が向上し、希望する生徒全員が高校進学を果たしました。  そこで、今年度は、日本語指導教室を72校へ拡大するとともに、6校のモデル校で実施してきた取組を、日本語指導教室が設置されていない県内全ての中学校等へ広げることで、一人一人の実態に合わせた日本語指導のさらなる充実を図ってまいります。  加えて、日本語指導を充実させるためには、専門人材を育成することも重要でありますので、今年度より、教育研修センターにおいて、日本語指導担当者を対象とした研修を実施し、日本語指導の在り方や好事例を共有し、指導力の向上に努めてまいります。  また、高校に進学することは、基礎学力の習得はもとより、商業や工業など将来の職業で必要とされる専門的な知識や技術を学ぶことができるなど、生徒が将来を主体的に切り開いていくために重要でございます。  県では、これまで、多言語による高校進学に向けての動画配信や進学ガイドブックの提供、日本語指導を必要とする生徒の家族を対象とした高校説明会を実施してまいりました。  今後は、さらに、日本語指導が必要な生徒が自分の希望する進路を選択できるよう、高校進学に向けたキャリアガイダンスを充実させ、進学率の向上に努めてまいります。  一方、本県において、小中学校に通っていない外国人の児童生徒、いわゆる不就学の児童生徒は、令和3年5月1日時点で261名おり、その理由としては、宗教上の理由や母国の学校に在籍したままオンライン授業を受けているなど様々です。  議員御指摘のとおり、こうした不就学の状況を正確に把握し、就学の機会を提供することは重要なことから、今後も、市町村教育委員会と連携の上、外国人児童生徒が適切に就学できるよう、個々に聞き取りを行いながら、粘り強く働きかけてまいります。  このほか、県立高校においては、今年度から、多くの外国人生徒が在籍する石下紫峰高校と結城第一高校をモデル校として、大学やNPO法人と連携し、外国人生徒に対する学校生活の支援や学習支援を開始したところです。翻訳や通訳の派遣、母国語での相談など、学校生活をサポートするためのコーディネーターを配置し、卒業まで生徒が安心して高校生活を送れるよう支援するとともに、将来の就職を見据え、外部専門家を活用した生徒・保護者向けの講演会を開催するなど、キャリア教育も推進してまいります。  県といたしましては、日本語指導が必要な子どもたちが自分の希望する進路に進めるよう、引き続き、大学やNPO法人などの関係機関と連携し、小中高でのシームレスな日本語指導や生活への支援体制の充実を図ってまいります。 39 ◯伊沢勝徳議長 村本修司議員。 40 ◯8番村本修司議員 以上で、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 41 ◯伊沢勝徳議長 暫時休憩をいたします。  なお、会議再開は、午後2時15分を予定いたします。                     午後2時2分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時16分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 42 ◯舘静馬副議長 休憩前に引き続き会議を開き、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  なお、傍聴人の皆様に申し上げます。  傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意願います。  豊田茂議員。                  〔14番豊田茂議員登壇、拍手〕 43 ◯14番豊田茂議員 いばらき自民党の豊田茂です。  まず、ロシアによるウクライナ軍事侵攻に断固抗議を申し上げますとともに、犠牲になられた方々に心からの哀悼の意を表します。事態の一日も早い終息を強く願うばかりです。  また、登壇の機会を与えていただきました先輩議員、同僚議員の皆様に深く感謝を申し上げます。  それでは、通告に従いまして、順次、質問をさせていただきます。  知事、教育長並びに各部長におかれましては、明快なる御答弁をお願いいたします。  初めに、いばらき沿岸部サイクリングルート構想についてお伺いをいたします。  本県は、太平洋に面し、南北方向に190キロメートルに及ぶ沿岸部を有しております。そのほぼ中央に位置する大洗を起点に、北部域では優れた景観を持つ変化に富んだ岩礁海岸や、国の天然記念物であるイブキの群生地帯、県の天然記念物に指定されているウミウの飛来地があります。  一方で、南部域では、大洗から神栖まで続く長大な砂浜海岸で、カーフェリー基地の茨城港や、堀込式港湾として日本でも有数の鹿島港のほか、まき網漁業の基地でもある波崎港があります。  鹿嶋市大小志崎のハマナスは、国の天然記念物でもあります。  また、様々な史跡・名勝・天然記念物が分布しており、六角堂や県立五浦美術館などの文化施設、ひたち海浜公園やアクアワールド大洗をはじめ、18か所もの海水浴場があり、季節によって、海水浴・サーフィン・釣り・磯遊び・キャンプなど、県内外から多くの人々に利用されております。  さらに、近年は、映画やCM、テレビドラマのロケ地として利用されることが多いと聞いております。  その魅力豊かな観光資源である沿岸部をなぜ今までサイクリングルートとの結びつきで語られなかったのか、改めて考えるきっかけがありました。  令和2年度末に開通した福島県いわき市のいわき七浜街道という53キロメートルのサイクリングルートを実際に走ったことであります。まさしく海岸線を潮風を受けながら周囲の景観を堪能しました。本当にすばらしいルートでした。このとき、サイクリング王国いばらきを真に実現するためには、沿岸部のルートは必要不可欠ではないかと新たに思いをしました。  いわき七浜街道の整備を契機に、いわき市・高萩市・北茨城市の3市でルート整備の機運が高まれば、福島県と県北地域をつなぐルートが実現に近づきます。  既に大洗から日立までは約95キロメートルの大洗・ひたち海浜シーサイドルートが整備されているので、これと接続することで、東北から関東までの沿岸サイクルルートが実現いたします。  さらに、鉾田市・鹿嶋市を通り神栖までつながれば、本県約190キロメートルの海岸線をしまなみ海道に負けない風光明媚なルートとして、全国に、ひいては世界にアピールできるのではないかと考えます。  また、NEXCO東日本では、北関東三県内の高速道路が定額で乗り降り自由となるETC車限定の北関東周遊フリーパスを発売しております。観光客の往来が活発化し、これら内陸県からの関心が高まれば、ルートが完成した暁には、サイクリストまで取り込むことができるでしょう。かなたまで広がる水平線を臨むルートは、彼らに海への憧憬と大きなインパクトを与えるのではないでしょうか。  構想実現に向け、ノウハウのある県のリーダーシップが必要です。地域の機運醸成とその手助けをしていただきたいと提言いたします。  以上を踏まえ、いばらき沿岸部サイクリングルート構想についての知事の御所見をお伺いいたします。  次に、処理水海洋放出の風評被害根絶に向けた取組についてお伺いいたします。  私は、従来から、こうした重要な問題を取り扱う際には、情報の質と量が重要と主張してまいりました。それは、物事を片方の面からのみでなく、必ず両面から捉えることで、そして、十分な量をもって判断することが必要であります。  処理水については、連日のように不安をあおるような報道がされております。私は、このような観点から、あえて質と量が十分か、そして、今、国や県は何をすべきかという問いを提示したいと思います。そして、その問いが、産業や流通、ひいては生産者を守ることにつながると信じて質問したいと思います。  北茨城では、県内で最も海洋放出される場所に近い位置にあります。漁業関係者は、今回の放出を非常に重く受け止めており、1年を切って不安が高まっております。これは、北茨城だけでなく、県全体にも波及していく問題であります。さらに、漁業者だけでなく、農業者、そして、観光業や他の産業にも関係する可能性も否めず、海洋放出の影響がどこまで波紋を広げるか、見通しはついておりません。  漁業者は、海洋放出による海洋資源の安全性に危惧しているわけではなく、安全性に関する情報が正しく伝わらず、または誤った情報が流布されてしまった結果、起こるであろう大きな影響のほうを強く心配しております。  放出を国内や海外の消費者がどう受け止めるか。今年の初めに、復興庁が、国内や韓国、台湾、アメリカ、フランスなど10か国・地域で実施した調査があります。それによれば、処理水に含まれるトリチウムの濃度が国の基準を大幅に下回るよう、海水で薄めて放出することを国内で約6割が認知しておらず、アジア諸国の中で最低の認知度でした。また、トリチウムは、規制基準を遵守する限り危険ではないと理解している割合は国内では25.7%であり、全体で6番目と他国と比べて低い結果となったようです。この結果から、客観的な根拠に基づく安全性への理解が浸透していないことが明らかとなりました。  復興庁は、ALPS処理水について、3つのメッセージを伝えようとしております。トリチウムは身の回りにたくさんあること、健康の影響は心配ないこと、取り除けるものは徹底的に除去した上で大幅に薄めて放出することであります。それはどの程度でしょうか。トリチウムの入ったタンクの水を100倍以上に薄めれば、1リットル当たり1,500ベクレルと世界トップレベルまで希釈されます。これは、国の安全基準である6万ベクレルの40分の1、そして、WHOの飲料水のガイドラインである1万ベクレルの6.6分の1です。同様に、原子力発電所を有している韓国、アメリカ、フランスなど世界各国と比較しても、類を見ない水準までの希釈であります。
     さらに、トリチウムは、私たちの体や雨水、海水にも含まれており、仮に放出したとしても、発電所周辺から2から3キロメートル以上離れれば、通常の海水と同じ水準まで濃度が下がります。また、魚などの生物内で濃縮することはありません。  国主導の下、県も一体となって、正確な情報を、県民に、そして、この問題に影響を受ける全ての消費者にしっかりと伝えていただきたいと考えております。  この1年が肝心です。客観性のある情報発信を強化し、風評被害根絶に向けて全力で取り組んでいかねばなりません。  国や企業は懸命に発信をし続けております。しかし、まだ足りないのです。今、徹底した対応を取らなければ、1年後に風評被害を助長する結果にならないとも限らず、ひいては国や県の責任まで問われかねません。  消費者の不安を払拭できるかどうか、これが漁業者をはじめとした生産者を守ることにつながります。ここは強く述べさせていただきたいと思います。  そこで、処理水海洋放出の風評被害根絶に向け、県はどのように考え、今後どう取り組んでいくのか、防災・危機管理部長にお伺いいたします。  次に、消防行政における市町村との連携についてお伺いいたします。  国土交通白書2020では、首都直下で想定されるマグニチュード7程度の地震の30年以内の発生確率は70%であると予想されております。想定される大規模災害には、事前に考え得る全ての備えを行うべきであります。  本県では、令和4年度の防災に関する新しい指針として、災害に強い県土を目指すとしております。近年の激甚化・広域化する災害に対しての防災は、県だけでも、市町村だけでも、または民間だけでも対処し得るものではなく、全ての自治体・団体・県民の協力の下、推し進めていくべきです。  さて、その中で、より高度な消防防災体制を構築するための県の役割とは一体何でしょうか。自助・公助による地域防災力を高めていく、洪水や台風の際には、空振りを恐れず、避難指示をするよう市町村に勧告する、平時の共助の取組が重要で、高齢者を自治会で助け合うなど、全てしかりであると思います。  そうした中で、平成28年に発足したいばらき消防指令センターは、その規模だけでなく、33市町の20消防本部が加入し、人口に換算すれば約200万人強という広域をカバーしている観点からも、全体でも進歩的な組織であると言えます。  先日、この施設を視察しましたが、市町村から派遣された56名の職員が、昼夜を問わず、県民の生命・財産を守るために勤務しておりました。  視察中も、途切れることなく通報があり、激務の様子をうかがい知ることとなりました。  さらに、昨年導入された119番映像通報システムの運用デモを体感しましたが、救命率向上に寄与する実用的なシステムでありました。  成果を検証し、実績が期待できれば、広く公平に市町村が享受するべきと考えます。  また、消防防災体制の充実強化は、県民の期待と信頼に応える高度な消防サービスの提供にかかっております。それは人材であり、本県トップクラスの人材を育成する取組も必要であります。  職員からは、東京消防庁を見学する機会に恵まれたが、その技術の高さに驚かされ、非常に刺激になったという話がありました。世界最大規模の1万8,000人を誇る東京消防庁への派遣研修制度を創設し、最先端の技術習得を県主導で行う、もしくは世界で最も有名な消防局の一つと言われるFDNYことニューヨーク市消防局への研修など、夢のような連携も考えてはいかがでしょうか。  今、幸福について様々な議論が飛び交っております。しかし、その土台は見過ごされがちです。アメリカの心理学者アブラハム・マズローは人間の欲求を階層で示しましたが、全ての基礎となるものは衣食住、そして安全です。自己実現も人とのつながりも安全なくしては成り立ちません。安全は幸福の土台となり、必要不可欠なものであります。  日本、そして、世界最高峰の技術を有する消防で研修した隊員に、ワンランク上の安全を託す安心感を県民とともに享受したいと思います。  消防行政は決して基礎自治体だけのものではありません。県も手を取り合って県民の命と財産を守るよう尽力していただきたいと思います。  以上を踏まえ、消防行政における市町村との連携について、防災・危機管理部長に御所見をお伺いいたします。  次に、ウクライナからの避難民受け入れ支援についてお伺いします。  岸田首相がウクライナ避難民の受入れを表明したのが3月2日であり、全国の自治体とともに、本県や県内7市1町がそれに追随しました。私の地元である北茨城でも、5月27日には受入れを表明したばかりでもあります。  しかし、6月5日までに日本が受け入れた避難民は1,237名と発表があり、身寄りのない避難民は全体の7%にも満たない81名であったようです。  本県に身を寄せた方は僅か10名であり、その全ては身寄りのある方々でした。  避難民は、5月に入って減少傾向にあり、今後、より少なくなっていくことも推測されております。  当初予想されていたよりも大幅に少ない数ではありますが、数ではなく、その質、つまり、避難された方に寄り添った支援が何より重要であります。  県は、国や市町村と密に連携し、まずはウクライナの方々の精神的ショックの緩和に努め、必要な支援をしていただきたいと思います。  さらに、避難が長期化する場合に、人間らしい生活を送るには、社会に必要とされる場、つまり、就労の場が必要です。その上で、生じるであろう孤独感の解消や、文化の違いからくるストレス、受入先の負担軽減など様々な課題への対応を図っていただきたい。また、今こそ、国に対して、より積極的な避難民の受入れの提言なども検討すべきではないでしょうか。  いずれにせよ、互いに助け合うことは人としての責務であります。国外に避難した600万人以上の人々に、人道的な見地から十分な支援をすることで、ウクライナと我が国との将来の絆を育むことが何より重要と考えます。  その主体となるのは、県や基礎自治体であり、国際社会の一員として、その役割を発揮するときが来ているのではないでしょうか。  以上を踏まえ、ウクライナからの避難民受け入れ支援について、営業戦略部長にお伺いいたします。  次に、ポストコロナを見据えた観光事業についてお伺いいたします。  新型コロナウイルス感染症により、観光事業は、コロナ以前とウィズコロナ及びポストコロナに完全に分断されたと言っても過言ではありません。  コロナ以前、訪日外国人旅行者は3,000万人を超え、日本人と合わせた旅行消費額は、令和元年に約27兆9,000億円と成長産業としての位置づけを確立しておりました。しかし、コロナによる旅行需要の消失により、令和2年には11兆円規模にまで落ち込むなど、深刻な状況であります。  一方で、我が国での初めてのコロナ患者発生から既に2年以上が経過し、私たちは対応を学びつつあります。オンライン旅行やマイクロツーリズムがその代表例と言えるでしょう。  ウィズコロナの現在では、こうした新たな動きを取り入れ、ポストコロナを見据えて観光事業を活性化する必要があります。  まず、生活圏の近くを旅行するマイクロツーリズムでは、文化施設や体験、特産物など、地域の魅力を再発見し、地元の人々とコミュニケーションすることで、気軽に行ける御近所として新たな付加価値が生まれます。  県には、観光業者と協力し、需要の喚起にも力を入れていただきたいと思います。  次に、広域的な観光では、旅行形態や消費者の変化をいち早く捉え、安心と観光を融合したいば旅あんしん割事業は、全国に先駆けて実施したことで大きなインパクトを与えました。  今般、期間が今月末まで延長され、範囲も福島県を追加して8県に拡大したところでありますが、これに伴い、利用できるクーポンや宿泊施設の拡大も望まれるところです。  そして、経済効果をさらに享受するためには、日本最大の人口を抱える東京も追加できるよう働きかけが必要と提言いたします。  また、オンライン予約が申込みの主要な手段となった現状を鑑み、大手サイトとの連携など、利便性の向上も必要ではないかと執行部に意見を申していたところ、今月に入って、じゃらんや楽天トラベルとの連携が相次いで発表されました。インターネット環境はようやく整いつつありますが、さらなる利便性向上に向け、今後生じる諸課題に取り組まなければならないと申し上げておきます。  加えて、さきに紹介しました北関東周遊フリーパスも活用し、広域的に北関東や近隣県からの観光客を呼び込むなど、今後も、引き続き、柔軟でスピード感のある観光施策を打ち出していただきたいと思います。  さらに、国外に目を向ければ、本日から訪日外国人観光客の受入れが始まります。入国者数2万人、そして、パッケージツアーに限るなどの制限はありますが、これを契機にインバウンド需要の取り込みに向けたPRを強化するなど、V字回復への道筋をつけることを期待しております。  以上を踏まえ、ポストコロナを見据えた観光事業について、営業戦略部長に御所見をお伺いいたします。  次に、茨城型地域包括ケアシステムの充実についてお伺いします。  少子高齢化や核家族化が進展し、従来は主に家族によって行われてきた介護は困難になりました。その反面、行政や企業の役割が大きくなり、社会のセーフティネットの強化が求められております。特に、団塊の世代が75歳を超える2025年以降は、医療費がこれまでになく増加すると予測されております。  こうした中で、本県は、茨城型地域包括ケアシステムの特徴はどのようなもので、今後どのような方向を目指していくのでしょうか。  また、地域包括ケアシステムの推進には、その主体となる市町村の尽力が欠かせません。私の地元である北茨城市は健康都市宣言をし、その方針の下に取組をしておりますが、市で病院を有している珍しい地域です。病院附属の家庭医療センターでは、医師が訪問診察をしておりますが、診療の際に介護が必要と判断した場合、すぐに地域包括支援センターの元気ステーションに連絡します。そこには、保健師、社会福祉士、主任ケアマネージャーのほか、理学療法士も配置されているため、対象者に合った施設やサービスにつなぐことや、自立支援に向けたアプローチがスムーズにできます。  このように、北茨城市では、組織や専門職間の連携が取れているところが強みです。  当然のことながら、地域によって課題や人口構成は違います。同じ市町村でも、都市部とその周辺でも環境が全く異なります。さらに言えば、社会福祉協議会が積極的なところや、北茨城市のように有資格者が中心的な役割を果たしているところなど、施設や人材も様々です。  この取組は、市町村任せにするのではなく、格差を是正する対策が必要であります。  現場の方に、今、本当に必要としているものをお伺いしたところ、保健師、社会福祉士などの資格を持っている人材であるとのことでした。有資格者の人材育成や連携について、現場に寄り添った支援が必要となります。  地域包括ケアシステムは概念が広いため、終わりはなく、地道な取組で改善していくことが重要です。地域ごとに事情も異なりますが、同じ課題があれば、その地域の特徴が見えてきます。地域の人を育成し、つなげ、顔の見える関係をつくることが重要です。基礎自治体の手助けになるように、引き続き、力を尽くすことが必要と述べさせていただきます。  そこで、茨城型地域包括ケアシステムの充実について、福祉部長にお伺いいたします。  次に、大北川における流域治水の取組と河川整備についてお伺いします。  私の地元である北茨城の大北川は水害の常襲地帯であります。昭和61年に発生した出水では、駅から旧市役所までゴムボートで出勤したこともあったと記憶しております。  歴代の首長の決断や、県の土木事務所の協力により、堤防など度々手が入っており、現在では当時と比較しても頑丈なものとなっております。  一方で、令和元年東日本台風で、政府は激甚災害などの適用を行いました。また、同年10月25日の豪雨では、大雨でも記録的な降水量があったこと、さきの台風被害からの復旧のさなかであったことなどの理由で、本県でも甚大な被害を受けたことは記憶に新しいところであります。  私は、北茨城市の緊急災害対策会議において、市の職員と刻一刻と水位が上がっていく状況を注視しておりました。河川のウェブカメラに映し出された水位が大北川橋に到達する寸前まで上昇したことを一つの指針として、早期に避難指示が出されました。  このとき、上流では、想定をはるかに超える豪雨からダムの決壊を防ぐため、異常洪水時防災操作、いわゆる緊急放流を余儀なくされました。こうした現場の状況から、さらなる整備が必要と強く実感したところであります。  この災害の後、ダムの緊急放流という耳慣れない言葉が報道されました。本県でも水沼ダムと竜神ダムの2か所がその対象となり、以降、ダムに対する注目度を上げる契機になったと思います。  さらに、県では、試験放流の様子を一般公開しました。地元自治体との協力の中で、このようなダムの機能・役割の理解促進の啓発運動をしていただいたことに改めて敬意を表します。  一方で、先月末には、大北川流域を含む茨城県二級水系流域治水プロジェクトが策定されました。これにより、ハード・ソフト対策が一体となった流域治水対策が推進されるものと期待しております。  川というものは、ある箇所を強くすればほかの箇所は弱くなるといったジレンマを抱えるものであります。流域治水の根幹である河川整備について、大北川では、河口付近の左岸は十分な整備をしている一方、相対的に右岸が弱くなり、住民は不安を感じております。右岸の整備も早急に進め、しっかりと海に抜けるよう、対策を取ってほしいと考えます。  そこで、大北川流域について、今後どのように流域治水対策に取り組んでいくのか、また、流域治水の根幹でもある大北川の河川整備について、現在の事業の進捗状況と今後の見通しを、土木部長にお伺いいたします。  次に、学校生活におけるコロナ対策についてお伺いいたします。  文部科学省による令和4年の児童感染者数は、全国で2月の約15万4,000人をピークに、3月は約9万9,000人、4月は約6万3,000人と減少傾向にあります。  その感染経路は、令和3年までが家庭内が約70%、経路不明が10から20%で推移しておりましたが、令和4年には家庭内が30%、経路不明が64%と逆転し、また、感染者が5人以上出た学校の数も大きく増加しました。  これは、オミクロン株の特徴である強い感染力によるものと言われておりますが、オンライン学習の定着に御苦労されている現場の教師の方々にはさらなるコロナ対策を余儀なくされ、その労苦は察するに余りあるものであったと存じます。  さて、現状では、本県は、ワクチンを2回接種した割合は、12歳以上で8割を超えているものの、5歳から11歳では20%台と低調であります。10代未満と10代の新規感染者はいまだに高い水準で、ワクチンの接種率が向上しない現在では、これまでの対策を続けることもやむなしかもしれません。  しかし、コロナ禍による児童への影響が心配です。東京大学とベネッセ教育総合研究所の調査では、勉強しようという気持ちがわかないと感じている小学校4年生から6年生の児童は、令和3年に43.1%と、コロナ禍前の令和元年から1.3倍に増加しました。オンラインによる不慣れな学習や分散登校に加え、友達とのコミュニケーションがうまく取れないことも影を落としているかもしれません。  千葉県の教育委員会は、必要以上の制限で教育の機会が失われているとして、給食時などの制限の一部を独自に緩和する方針を決めたようです。  本県においても、難しいかじ取りを迫られると推察いたしますが、教育現場の実情に合わせた対応が求められるのではないでしょうか。  また、児童の感染はその保護者の社会経済活動を大きく停滞させる要因にもなります。  県教育委員会では、1月31日から3月18日までの間にリモート学習や分散登校を市町村に要請いたしました。  国では、子どもの世話のため、仕事を休まざるを得ない保護者に有給休暇を取らせる事業主に対して、休暇中に支払った賃金相当額の10分の10を支給する小学校休業等対応助成金を設けておりますが、学校では保護者に周知を図っていたのでしょうか。児童はもとより、保護者への配慮も忘れてはならないと考えます。  引き続き、学校生活における児童の安心・安全のため、各市町村教育委員会と連携の中、コロナ対策を実施するなど、県にはさらなる指導力を発揮していただきたいと感じておりますが、教育長に御所見をお伺いいたします。  以上で、私の質問を終えます。  御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手) 44 ◯舘静馬副議長 豊田茂議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 45 ◯大井川和彦知事 豊田茂議員の御質問にお答えいたします。  いばらき沿岸部サイクリングルート構想についてお尋ねをいただきました。  私は、本県の観光戦略について、他地域との差別化を図り、国内外から多くの方々を呼び込めるコンテンツを形成していく上で、本県の恵まれた自然環境を生かしたアウトドア資源の磨き上げが最も有効と考えております。  中でも、国内外で人気の高まりが見られるサイクリングについては、全国第2位の道路延長を誇る本県において、様々な展開が可能であることから、快適で安心・安全な環境の整備に注力してまいりました。  その結果、つくば霞ヶ浦りんりんロードについては、2019年に国内初のナショナルサイクルルートの一つに指定され、同ルートの昨年度の利用者数は、コロナ禍で観光需要が減退する中であっても、前年比5%増の11万人となるなど、着実に評価が高まっております。  このような機運を逃さぬよう、本県の美しい海岸線と県内屈指の観光スポットを巡る大洗・ひたち海浜シーサイドルートや、四季折々の姿を見せる里山の景観と起伏に富んだ勾配を楽しむことができる奥久慈里山ヒルクライムルートなど、地域の強みとなる特徴を生かしたサイクリングルートの整備を進めているところであります。  また、同じくアウトドア人気を牽引しているキャンプとサイクリングを組み合わせるなど、魅力ある複合的な観光プランを創出し、本県の観光誘客のキーコンテンツに育ててまいりたいと考えております。  議員御提案のいばらき沿岸部サイクリングルートにつきましても、どこまでも続く美しい海岸線を満喫してもらえる魅力的なルートとなり得るものであり、安全で快適に通行できる環境の確保や、地域の皆様の理解など、クリアすべき課題はありますが、実現すれば誘客が期待できる新たな観光コンテンツになると考えております。  このため、具体的にどのようなルート設定が可能で、どのような形で地域振興につなげていくかなど、関係する市町村の意向等も確認しながら、これらの課題について前向きに検討を進めてまいります。  県といたしましては、引き続き、本県の強みであるアウトドア資源をさらに磨き上げ、県内全域においてサイクルツーリズムを一層推進し、サイクリング王国いばらきの実現に全力で取り組んでまいります。 46 ◯舘静馬副議長 次に、山崎防災・危機管理部長。                 〔山崎防災・危機管理部長登壇〕 47 ◯山崎防災・危機管理部長 処理水海洋放出の風評被害根絶に向けた取組についてお答えいたします。  福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出については、地元漁業関係者等に対して説明を行い、理解と納得を得ること、また、国内外に対して安全性に関する情報を積極的に発信することが重要であると考えております。  このため、県では、令和2年9月に国が開催した御意見を伺う場において、国や東京電力に対し、処理水の海洋放出への国民等の不安を取り除くための情報発信などを要望したほか、昨年6月には、本県で開催されました国主催の関係閣僚等会議ワーキンググループの場において、国内外への情報発信や漁業関係者等の理解を得ることなどを国や東京電力に求めてきたところであります。  また、昨年8月に、ALPS処理水の当面の対策が関係閣僚等会議において取りまとめられた際には、消費者が安全・安心だと認識しない限り風評被害は発生するといった関係団体の意見を国に伝えてきたところでございます。
     こうした取組の結果、昨年12月に策定された政府の行動計画には、本県で求めてまいりました安全性に関する正確で分かりやすい情報発信、関係者に対する丁寧な説明の実施、本県沖を含めたモニタリングの強化などの方針が示されたところであります。  こうした方針を踏まえ、安全性についての加工・流通・小売事業者等に対する説明やシンポジウムにおける説明、新聞広告の掲載など、ALPS処理水の安全性に関する消費者等への情報発信の取組が国等において実施されているものと認識しております。  しかしながら、風評被害を懸念する漁業関係者からは依然として厳しい意見が寄せられ、国民の理解も十分に進んでいない状況にあります。  県といたしましては、まずは国や東京電力が行動計画に掲げた取組をしっかりと進め、漁業者や国民の理解を得ていくことが重要と考えております。  このため、今月実施いたしました国に対する中央要望においても、国内外に対して安全性を丁寧に説明し、風評を発生させないよう、対策に万全を期すことを改めて要望したところであります。  また、国では、今年度から、ALPS処理水の放出に係る風評影響の抑制を目的としたモニタリングを開始し、放出前後での海域におけるトリチウム濃度の変動を把握することとしており、本県の要望を踏まえて設定された本県沖の2か所においてもモニタリングが実施される予定であります。  県といたしましては、国や東京電力の動向を注視しながら、引き続き、消費者の不安を払拭し、風評被害を防止する取組を国や東京電力に働きかけていくとともに、本県沖のモニタリング結果については、県のホームページ等の媒体を活用して周知するなど、県としてもALPS処理水の安全性に関する情報発信に取り組んでまいります。  次に、消防行政における市町村との連携についてお答えいたします。  消防は、地域住民の生命・身体・財産を火災や災害等から守るため、市町村が責任を持って実施している業務でありますが、県においても、県内統一的な基準の策定や、消防職団員の教育訓練の実施、また、広域災害への対応などにおいて、市町村を支援し、連携を図っているところでございます。  こうした観点から、救急の分野でも、医療機関や消防本部も参加する茨城県救急業務高度化推進協議会を設置し、救命率の向上に取り組んでいるところであります。  例えば、救急車が到着するまでの間、119番の通報者に応急手当てを口頭で指導するための基準を策定するとともに、指導に当たる通信指令員に対する研修を実施しております。  また、救急現場で救急救命士が気管挿管や薬剤投与等の医療行為を行うための基準を策定し、実際に医療行為を行った際の検証なども実施するとともに、救急隊が傷病者を速やかに医療機関に搬送できるよう、症状に合わせた病院の受入れの基準を策定し、検証による改善を継続的に行っているところです。  このような従来からの取組に加えて、昨年度には、議員御案内の119番映像通報システムをいばらき消防指令センターに試験的に導入いたしました。  本システムは、119番通報者の協力により、通信指令員が現場の状況を映像により把握することで、より適切な応急手当ての口頭指導などを可能とするものであり、昨年10月の導入以来、本年5月までに計165件の運用実績があり、心肺が停止していた救急事案や横転したフォークリフトの下敷きになっていた救助事案などで効果を上げております。  今後も、運用事例の検証を通じた運用能力の向上や、他の消防本部や県民への本システムの周知に積極的に取り組んでまいります。  また、消防行政を担う人材の育成も重要であります。  このため、県では、消防学校において、毎年約3,000人の消防職団員に対する教育訓練を行うとともに、東京消防庁など各分野のエキスパートが講師を務める国の消防大学校の各課程に対し、県内の消防本部の幹部や指導者となる職員の推薦を行い、昨年度は15の学科に15消防本部の30名が入校しております。  今後も、本県の推薦枠の拡大に努め、県内の消防職員が高度な知識や技術を習得できるよう取り組んでまいります。  さらに、単独の消防本部では対応が難しい山林火災などの事案に県の防災ヘリコプターが出動するとともに、広域災害が発生した場合には、県が調整本部を設置し、消防本部への応援要請や県内外から被災地に派遣される応援隊の活動調整などを行っております。  県といたしましては、これからの消防行政の推進に当たり、県と市町村の役割を踏まえつつ、県民の生命や財産を守るため、市町村を支援し、連携を図って取り組んでまいります。 48 ◯舘静馬副議長 次に、高崎営業戦略部長。                   〔高崎営業戦略部長登壇〕 49 ◯高崎営業戦略部長 ウクライナからの避難民受け入れ支援についてお答えいたします。  ロシアによるウクライナ侵略から100日が経過し、今もなお、祖国ウクライナからの避難を余儀なくされておりますが、本県といたしましては、人道上の観点から、避難民に寄り添って対応していくことが国際社会において果たすべき役割であると考えております。  茨城県議会では、全国で最も早く、ロシアによるウクライナ侵攻に断固抗議する決議や義援金贈呈がなされたところでございます。  また、県といたしましても、内閣総理大臣が発表した避難民の受入れに賛同し、いち早く受入れへの協力を表明いたしました。  さらに、本県の支援策として、避難されてきた方の実際のニーズや国の動向等を踏まえ、身寄りの有無にかかわらず、住居、生活・医療、就学・日本語教育、仕事の各分野で、実効性を重視した切れ目のないウクライナ避難民受入れトータル支援パッケージを4月に発表し、支援策を講じているところでございます。  支援に当たりましては、議員御指摘のとおり、戦禍から逃れてきた避難民の心のケアのほか、避難民の方々の孤独感や文化の違いによるストレス、受入先の負担軽減などの課題にも対応していくことが重要でございます。  このため、国、県、市町村はもとより、民間やボランティア等の関係者が一体となり、まずは言葉の壁を乗り越えるため、翻訳機の貸与など、支援策を効果的に展開していきますとともに、県国際交流協会内に設置しております外国人相談センター等におきましても、避難民の方々への丁寧な対応を行うことにより、様々な不安の軽減につながるよう努めているところでございます。  また、受入れの長期化を想定した場合、就労支援も重要であります。県外国人材支援センターによる就労マッチング支援を行っていくこととしております。  具体には、当センターでは、外国人の採用実績があり、言葉が通じなくても働ける業種の企業に対し、就労受入れについて意向を確認しており、今月5日現在で20社から就労受入れの意向が示されておりますことから、今後は、このような企業をはじめ、就労希望者の意向等を踏まえ、その他の企業につきましても、情報提供やマッチング支援を行ってまいります。  我が国全体といたしましては、今月5日現在で、女性や子どもを中心に1,237名が避難している中で、避難民の入国者数は4月をピークに減少傾向にあり、本県の避難民の人数は、県内に身寄りがある10名にとどまっております。  現在、筑波大学等の県内の大学による留学生の受入れの動きや、これまでに県に寄せられた50件以上の支援の申出がありますので、さらなる避難民の受入れを見据え、これまで以上に、国に対して、避難民の積極的な受入れを働きかけてまいります。  なお、議員の地元の北茨城市や常総市、守谷市、坂東市、つくばみらい市の4市などは、独自の避難民支援を行っておりますことから、県といたしましては、引き続き、市町村等と連携しながら、避難民の方々に寄り添ったきめ細やかな支援を行ってまいります。  次に、ポストコロナを見据えた観光事業についてお答えいたします。  コロナ禍において、本県の観光産業も大変厳しい状況が続いております。県としましては、いば旅あんしん割による安全と安心を確保した旅行割引支援を実施するなど、感染拡大防止と社会経済活動の両立に取り組んでまいりました。  昨年度の事業開始からこれまでの利用は13万人を超え、観光需要の下支えとなり、事業者からもとても助かっているとの声が聞かれております。  また、利用された県民には、地域の魅力を再発見する機会となり、議員御提案のマイクロツーリズムの推進にもつながっているものと考えております。  現在、いば旅あんしん割につきましては、対象地域を8県に拡大しており、今月1日からはオンライン上での宿泊予約にも対応し、利用者の利便性の向上を図っているところでございます。  また、議員御指摘のとおり、東京都からの誘客につきましては大きな経済効果が見込まれるため、対象地域の追加に向けて、引き続き、東京都にも働きかけてまいります。  さらに、首都圏や北関東などからの誘客を促進するため、北関東周遊フリーパスといば旅あんしん割をセットにした新聞広告などのほか、東京都への対象地域の拡大の際には、東京都民をターゲットとしたインターネット広告を集中的に配信するなど、積極的なPRを展開してまいりたいと考えております。  今後とも、GoToトラベルの実施を含め、国の動向も見ながら、多くの需要を本県に取り込めるよう努めてまいります。  今後、ポストコロナを見据えて、これらの観光需要喚起策に加えまして、中長期的な視点で稼げる観光地域づくりを推進していくことが重要であります。  そこで、本県の強みでございますキャンプやサイクリング等のアウトドアを切り口にした新サービスの創出や、新たな体験型のツアー造成、豊富な食資源を生かした来県動機につながる名物料理や土産品の開発などにより、観光消費の拡大を推進してまいります。  また、こうした取組を全国に発信するため、来年秋のデスティネーションキャンペーンに向け、本年11月に、全国の旅行会社やメディア関係者を招いた全国宣伝販売促進会議を開催するほか、パンフレットやポスター、WEBメディアなどを活用した集中的なプロモーションに取り組み、その後の誘客にしっかりとつなげてまいります。  さらに、インバウンドにつきましては、外国人観光客の受入再開を受け、まずは旅行会社へのツアー造成への働きかけや、デジタルマーケティングを強化するなど、インバウンド需要の早期回復に向けた取組を戦略的に進めてまいります。  特に、訪日リピーターが多く、来県需要が見込まれる台湾につきましては、台北の中心地でのジャック広告やSNSプロモーションなど、全国でも例を見ないプロモーションを展開し、誘客促進につなげてまいります。  県といたしましては、ポストコロナを見据えた観光の本格的な復興の実現に向けまして、引き続き、マイクロツーリズムの推進を図りながら、国内外からの誘客を促進しますとともに、世界を引きつける持続可能ないばらきの観光を目指して、魅力があり、稼げる観光地域づくりに取り組んでまいります。 50 ◯舘静馬副議長 次に、飯塚福祉部長。                    〔飯塚福祉部長登壇〕 51 ◯飯塚福祉部長 茨城型地域包括ケアシステムの充実についてお答えいたします。  本県の地域包括ケアシステムは、支援対象を、高齢者はもとより、障害者や子ども、その家族まで含めていることや、医療や介護などの公的サービスに加え、NPO等の支援サービスも組み合わせ、地域全体で支える仕組みの構築を目指す点にその特徴があります。  県では、その実現に向けて、保健・福祉・医療の分野にまたがるニーズを調整する地域ケアコーディネーターの設置を市町村に働きかけ、体制整備を支援してきた結果、現在、高齢者等を支援する在宅ケアチームが県内に6,000以上編成され、日々、各地域でケアに当たっております。  このシステムの充実に向けては、事業主体である市町村における人的資源の充実と、複数の専門職や関係機関とのさらなる連携強化が鍵になるものと考えており、県では、人材育成と連携支援の2つの側面から市町村の取組を支援しております。  まず、人材育成につきましては、毎年度、基礎知識の習得を図る初任者研修や、多職種連携等の事例を学ぶ現任者研修のほか、具体の困難事例を念頭に置いた地域ケアコーディネーター等の実務研修を実施しております。  さらに、介護予防に欠かせない理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職は、市町村では確保が困難なため、医師会等と連携して、令和3年度は24市町村、延べ420回派遣して、技術的助言を行っております。  また、地域包括ケアシステムでは、成年後見制度の円滑な利用に関する役割も担っておりますが、地域に制度に詳しい専門職がいないといった市町村の声を踏まえ、今年度、新たに、弁護士等の専門職を派遣し、制度の利用促進を支援してまいります。  次に、連携支援につきましては、見守りや移動支援など、地域の課題解決を推進する住民主体の協議体が全市町村で設置されておりますので、県では専門のアドバイザー派遣等を通じて取組の促進を支援しております。  また、ケアを担う専門職や関係機関との連携強化を図るため、昨年度から、リハビリ専門職が介護職に同行して自宅に伺い、助言する取組を開始したところ、利用者の御家族からは、介助の方法が理解でき、介助が楽になったとの声を聞いており、今後はさらなる利用促進を図ってまいります。  さらに、高齢化に伴い、処方される薬の種類や量が多くなる傾向にあるため、適切に服薬管理を行うことが課題となっております。  こうした中、古河市においては、平成30年10月から、地区の介護支援専門員協会と薬剤師会が中心となって、在宅の高齢者のケアプランを立てる介護支援専門員と薬剤指導を行う薬剤師が連携して、在宅の高齢者の状況に応じた適切な服薬管理を行う先駆的な取組を展開しております。  この古河市における取組を参考として他の地域に拡げるべく、新たに在宅高齢者に対する服薬指導を行う事業を開始することとしており、今年度、まずは5市町村でモデル事業として実施いたします。  県といたしましては、高齢化が進展する中にあっても、県民が住み慣れた地域で安心して過ごせるよう、引き続き、茨城型地域包括ケアシステムの充実を図ってまいります。 52 ◯舘静馬副議長 次に、田村土木部長。                    〔田村土木部長登壇〕 53 ◯田村土木部長 大北川における流域治水の取組と河川整備についてお答えいたします。  まず、大北川における流域治水の取組についてでございます。  大北川は、常陸太田市にある三鈷室山を水源とし、高萩市、北茨城市を流れ、太平洋へと注ぐ、二級河川としては県内最大の流域を持つ延長約27キロメートルの河川です。  大北川においては、これまで度々氾濫が発生しており、昭和61年の台風や平成23年の東日本大震災に伴う津波により浸水被害が生じております。さらに、令和元年東日本台風では、県北地域を中心に観測史上最大の降雨量を記録し、大北川においても、国道6号の大北橋付近の右岸側に位置する中郷町下桜井地内で家屋等の浸水被害が発生したところです。  近年は、気候変動の影響により、水害が激甚化・頻発化しており、これまでの河川管理者による取組に加え、流域全体であらゆる関係者が協働して治水対策を行う流域治水の取組が重要であります。  このため、大北川を含む二級水系において、6月からの出水期に備え、県と関係市町村等が連携し、茨城県二級水系流域治水プロジェクトを5月末に策定したところでございます。  本プロジェクトの大北川における具体的な取組として、堤防整備や河道掘削、小山ダム・水沼ダムの事前放流などにより、氾濫をできるだけ防ぐ河川対策、水田やため池の治水利用の促進や森林整備などにより、河川への流出を減らす流域対策、水害リスク情報の拡充などにより、住民の適切な避難を促す被害軽減対策など、ハード・ソフト両面からの対策を総合的に進めてまいります。  次に、大北川における河川整備についてでございます。  県では、これまで、昭和61年の台風による被災後に激甚災害対策特別緊急事業の採択を受け、集中して河川改修を実施し、大北橋上流から約3.5キロメートルの堤防整備等を行ったところです。  さらに、平成23年の津波による被災後には、復興事業により、河口部左岸側の堤防かさ上げ等に着手し、令和2年に約1キロメートルの整備が完了しております。  現在は、大北橋前後の右岸側約280メートルの堤防整備と、大北橋から花園川合流点までの約1キロメートルの河道掘削に取り組んでおります。  これまでに、堤防整備に必要な測量・設計や約210メートルの河道掘削を実施しており、今後、樋管等構造物の設計を進め、早期に堤防整備に着手できるよう努めるとともに、引き続き、上流の河道掘削を実施してまいります。  一方で、こうしたハード対策には、整備に長い時間を要することから、減災に向けたソフト対策を併せて実施することが極めて重要でございます。  市のハザードマップ等の作成に必要となる洪水浸水想定区域図を、花園川などの支川も含めた大北川の全区間において策定を進め、洪水によるリスク情報の発信を拡充するとともに、洪水ハザード内にお住まいの住民のマイ・タイムライン作成と避難訓練に市と連携して取り組み、避難意識の向上を図ってまいります。  県といたしましては、住民の安全・安心を確保するため、沿川自治体と連携しながら、大北川の河川整備をはじめ、ハード・ソフト対策が一体となった流域治水対策に取り組んでまいります。 54 ◯舘静馬副議長 次に、森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 55 ◯森作教育長 学校生活におけるコロナ対策についてお答えいたします。  コロナ禍においても、児童が安心・安全な学校生活を送るためには、市町村と連携し、感染状況やウイルスの特性を踏まえながら、必要かつ柔軟な感染症対策を進めることが重要でございます。  県では、これまで、感染状況に合わせた分散登校やリモート学習を実施したり、小中学校においてクラス単位や学年単位での検査を実施したりするなど、全国に先駆けた対応を取ってまいりました。  また、国の定めるガイドラインを基に県独自のガイドラインを作成し、基本的な感染症対策を徹底しながら、学校における安全な学習環境の整備に努めてまいりました。  しかしながら、長引くコロナ禍により、児童の感染症対策への意識が希薄になることや、学校における感染拡大防止策を講じる上で、家族が体調不良の場合は登校を見合わせるといった家庭との連携強化が求められるようになってまいりました。  そこで、県といたしましては、正しいマスクの着け方や3密の回避などの感染症対策についてさらに意識の向上を図るため、低学年児童にも分かりやすいチェックカードを作成し、対策の徹底に取り組んでおります。  さらに、登校前に健康状態を確認するアプリの活用等を呼びかけ、家庭との連絡・相談体制の強化を進めております。  また、感染拡大により、学校では、児童同士のコミュニケーションの機会が減少したり、学校行事の中止を余儀なくされたりした状況が見られました。  そうした中、時間や人数を制限した児童同士の話合いや、実施時期や内容を工夫した運動会、児童集会などを開催した学校もございました。  こうした事例を共有し、感染症対策を行いながら学校行事の目的を達成し、児童同士のコミュニケーションの機会を確保するとともに、ガイドラインの見直しを進め、これまで制限のあった教育活動を実施できるよう工夫することが必要であると考えております。  さらに、先日、国の新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針が変更されたことにより、マスク着用の取扱いが改めて示されました。  県といたしましても、基本的対処方針を踏まえ、学校現場において、マスクを着用する必要のない場面を周知するなど、熱中症リスクを考慮した感染症対策を徹底してまいります。  一方、ワクチン接種の促進につきましては、学校においても、子どものワクチン接種の正しい情報を提供するとともに、ワクチン接種を受けたり副反応が出たりした場合は欠席扱いとしないなど、接種しやすい環境を整えてまいりました。  なお、小学校休業等対応助成金・支援金につきましては、運用開始からこれまで5度にわたり市町村を通して保護者に周知したところであり、引き続き、情報提供に努めてまいります。  県といたしましては、今後も、市町村と連携し、感染状況等を踏まえながら、学校における児童の安心・安全の確保を第一に考えた教育活動を推進してまいります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 56 ◯舘静馬副議長 暫時休憩をいたします。  なお、会議再開は、午後3時30分を予定いたします。
                        午後3時17分休憩          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後3時31分開議 県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 57 ◯伊沢勝徳議長 休憩前に引き続き会議を開き、県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  なお、傍聴人の皆様に申し上げます。  傍聴人の拍手は禁止されておりますので、御留意を願います。  鈴木義浩議員。                 〔11番鈴木義浩議員登壇、拍手〕 58 ◯11番鈴木義浩議員 いばらき自民党の鈴木義浩であります。  今回、初めてとなる一般質問の登壇の機会を与えていただいた先輩議員、そして、同僚議員の皆様方に、改めて感謝を申し上げる次第であります。  それでは、通告に従いまして、順次、質問をさせていただきますが、執行部をはじめ議員各位には、大変不慣れであることを斟酌いただきつつ、大井川県知事をはじめ執行部の皆様方におかれましては、可能な限り前向きな御答弁をいただけることを御期待申し上げます。  初めに、鹿行地域の振興についてお伺いいたします。  近年、全国的な人口減少は歯止めがかからず、県のまとめによると、5月5日「子どもの日」現在の子どもの数の推計値は約32万3,000人で、人口及び総人口に占める割合がともに過去最低を更新したとのことであり、ますます少子化が進む現状にある中、昨年4月1日に施行された過疎地域の特別的発展の支援に関する特別措置法により、平成の市町村合併により合併した地域には、特例として、旧市町村単位で指定する一部過疎の指定が新たに追加されました。  当該指定によって、行方市の旧麻生町地域が一部過疎として指定され、さらに、令和2年の国勢調査結果を踏まえ、本年4月1日からは、行方市内全域が過疎地域として、また、潮来市の旧牛堀町地区が一部過疎としての指定を受けることになり、地域住民からは衝撃を受けたとの多くの声が寄せられております。  行方市では、人口減少の緩和をすべく、行方市過疎地域持続的発展計画を策定し、雇用の確保及び産業の振興などを柱とした施策を展開しているところです。  このような中、昨年3月に、日本製鉄株式会社から、東日本製鉄所鹿島地区の第3高炉と関連施設を令和6年度末を目途に休止することが発表されました。この休止により、数千人の雇用に影響が出るといった報道がなされるなど、鹿行地域全体に影響が及ぶことが懸念されております。  鹿行地域には、鹿島港があり、茨城空港、成田空港にも近接し、その上、東関東自動車道水戸線の全線開通の見通しが立ったことから、陸・海・空と、交通の要衝としてさらなる発展が見込めます。  また、農産物の産出高は全国トップクラスであり、鹿島臨海工業地帯では、昭和の時代には、国家プロジェクトであった鹿島開発を牽引した実績があるので、鹿行地域のポテンシャルは非常に高いものがあると私は考えております。  脱炭素、化石燃料資源の枯渇が予想される中、世界的なカーボンニュートラルの潮流により、石油コンビナートの存続はますます危機的な状況となっております。  このため、鉄鋼業、石油化学など県下最大の工業集積を誇る鹿島臨海工業地帯では、県全体の産業を支える拠点として、水素やアンモニアといった新たなエネルギーへの転換など、カーボンニュートラルに対応した稼げるコンビナートづくりを積極的に進めていくことが大変重要であると考えます。  また、鹿行地域を活性化するためには、潮来市、行方市等の過疎化や雇用対策等に専任で政策を企画・立案できる組織を改めて設置することも方策の一つであると考えます。  そこで、鹿行地域の振興を今後どのように進めていくのか、知事にお伺いいたします。  次に、鹿行地域における医療体制の充実についてお伺いいたします。  本県における救急搬送時間については、全国の中でも長く、とりわけ、鹿行地域の搬送時間の縮減については、かねてから重大な課題であり、先輩議員から折に触れて質問がなされております。  執行部におかれましては、解決策を模索しつつ、その中で、千葉県とのドクターヘリ共同運航を導入されるなど、御努力いただいていることには心から感謝を申し上げます。  しかし、鹿行地域は県内でも医療資源が少ない地域です。現場の近くに病院がなければ、どうしても患者の受入先を探す時間が長くなってしまいます。人の命は何にも代えがたいものです。救急搬送の時間を短縮するためにさらなる取組が必要です。  この問題はすぐに答えが出ない、非常に難しいものであると考えております。  そのため、遠隔医療など最新技術を活用し、医療体制の充実を図ることも検討してはいかがでしょうか。徳島県では、国内で初めて医療機関に5Gの遠隔医療支援システムを導入しました。導入の効果として、不要な搬送、診療にかかる移動時間を削減できること、都市部と地方部で同等の医療が提供できることが挙げられております。  徳島県でこうした診療ができた背景には、県全域で光ファイバー網を潤沢に使える環境が整っていたことが大きいようです。  私の地元である行方市は、なめがたエリアテレビが普及しており、光ファイバー網が充実しているので、通信環境は整っており、導入の素地があります。5Gなどの先進的な技術を活用して、試験的に進めてみることも一つの方策と考えます。  土浦協同病院なめがた地域医療センターは、その経営母体であるJA茨城県厚生連により、経営環境の悪化に加え、新型コロナウイルス感染症拡大が経営を圧迫し、昨年から入院病床を全て休止し、外来診療に特化した、医療施設の類型としては、いわゆる診療所の区分となりました。  同センターは、平成12年に地域医療の中核的な病院として、また、地域住民の安全安心のよりどころとして開院したもので、平成18年には救命救急センター病棟が開設されました。  開院当時、玉造町の議員として活動していた私は、当時の玉造町長や同僚の町会議員とともに病院誘致に微力ながら尽力し、開院を万感の思いで迎えたのは今でも鮮明に記憶に残っております。  診療体制縮小はやむを得ない選択とは思いますが、高齢化率が40%に迫ろうとしていることを考えれば、将来的に病院や市が再度入院のための整備を決定した暁には、鹿行地域の医療体制強化にも資するものですので、県としても協力していくべきと考えております。  そこで、県として、鹿行地域の医療体制をどのように考えており、今後どのように充実していくのか、保健医療部長にお伺いいたします。  次に、鹿行地域の地域資源を活用した観光の振興についてお伺いいたします。  本県は、筑波山をはじめとした起伏に富んだ山々、霞ヶ浦、北浦をはじめとした湖沼や河川、そして、太平洋に面した190キロメートルにも及ぶ海岸線など、風光明媚な自然環境や特色は私たち県民の宝であり、誇りであるということは言うまでもありません。  コロナ禍により、テレワークの浸透など、社会のデジタル化が一気に進み、また、首都圏から地方移住や二地域居住の機運が高まっていることから、首都圏に近く、自然豊かであり、食の宝庫である本県は、ワーケーション先として大きなアドバンテージを有しているものと県民の皆様も捉えているのではないでしょうか。  また、コロナ禍を経て、アウトドア・アクティビティのブームが訪れており、サイクリングブームのリーディング県である本県は、キャンプやグランピング等を含めたアウトドアの誘客についても、まだまだ増加させるポテンシャルを有しているものと考えております。  潮来市の前川は、景観や環境に配慮した川づくりとともに、その沿岸部では、にぎわいと活力ある拠点づくりが進められており、整備完了後には、水郷潮来あやめ園から道の駅いたこまで、舟で行き来できる計画となっております。  また、行方市では、令和2年3月末に閉館した霞ヶ浦ふれあいランド内にある水の科学館が、今年度、動物と触れ合える屋内動物園機能を持った施設に生まれ変わると聞いております。この周辺には、霞ヶ浦の観光帆引き船の発着所や道の駅たまつくりが、南に目を転じれば、コロナ前には外国人観光客にも人気のあったなめがたファーマーズヴィレッジが位置しております。さらに、令和7年度から令和8年度に開通が予定されている鉾田・潮来間の東関東自動車道の休憩施設が行方市内のエリアに整備されることとなっております。  このようなことから、鹿行地域は、成田空港から数多くの外国人観光客が訪れ、あやめの季節を中心に、本県の他の観光地をつなぐ玄関口となる可能性を秘めていると考えます。  私は、ポストコロナに向け、国のGoToトラベルなども活用して、コロナで落ち込んだ観光の積極的なPRが必要であると考えております。  また、観光ルートの設定の際は、観光事業者と協力し、県内各地域の観光資源をつなぐことが重要でありますが、高速道路が整備されて交通の利便性が高まった反面、日帰りでの観光が可能になっていることから、県内での宿泊を誘発するような取組も重要な視点であると考えます。  これを踏まえ、鹿行地域の地域資源を活用した観光の振興に具体的にどのように取り組んでいくのか、営業戦略部長にお伺いいたします。  次に、高度外国人材の獲得についてお伺いいたします。  日本の人口は既に減少局面を迎えております。厚生労働省によれば、日本の人口は、2030年には1億2,000万人を下回り、2065年には9,000万人を割り込むとされています。  これに伴い、労働力である生産年齢人口は1995年の約8,700万人をピークに、2030年には約6,900万人に、2065年にはピーク時の半数である約4,500万人になろうという推計がされています。  このような状況で経済成長を続けていくためには、生産性をこれまで以上に高めていくことはもちろんですが、外国人材の活用も考えていかなければなりません。  現在、日本では2種類の外国人材を受け入れております。就労しながら技術や知識の修得を目指す技能実習生と、専門的な知識、技術を持った高度外国人材です。  私は、本県の生産性を向上させていくためには、高度外国人材を中心に受入れを進めていくべきであると考えます。  実際に地元の中小企業者に雇用の課題を聞いたところ、やはり働き手が不足していることが大きな課題であるということでした。地元の工業高校やそれ以外の高校に募集をかけても人が集まらない状況だということです。働き手がいなければ新たに設備投資をすることもできません。さらに言えば、設備を扱える能力のある人材が必要です。  一昔前までは、金属を加工する旋盤は、手で職人の熟練した技術により微細な加工をしていましたが、近年ではIT技術がなければ扱えないようになっております。  人材が不足すれば、設備や工場に新たな投資をしても生産性が上がらず、企業誘致にも差し支える可能性があります。人口減少が進む中で、これからは外国の優秀な人材に来ていただいて、将来の幹部候補生として長い目で育成するといったことも必要ではないかと考えます。  行方市において、2019年に、モンゴル国出身の地域おこし協力隊を採用し、活躍していただいております。また、モンゴル国の女性外交官を地域おこしプロジェクトマネージャーとして起用した実績もあります。彼女たちは、日本語も流暢であり、彼女たちのような人材を得て、同一国のコミュニティをつくることができれば、就労や就学を希望する多様な外国人材も安心して来日することができ、こちら側も人材を確保できるメリットを享受できるのではないでしょうか。  コロナ禍が終われば、全国の都道府県が高度外国人材の獲得競争にしのぎを削るようになることは目に見えております。だからこそ、コロナ禍の現在において、取組を始めていかなければならないと考えております。  そこで、高度外国人材の獲得について、県はどのように考えており、今後どのように取り組んでいくのか、産業戦略部長にお伺いをいたします。  次に、鹿行地域の農業の振興についてお伺いをいたします。  鹿行地域は、霞ヶ浦や北浦、肥沃な行方台地など豊かな自然環境に恵まれた全国有数の園芸産地です。  その中で、潮来市、行方市では、台地における園芸に加え、湖沿岸における稲作も盛んで、地形に応じた特色のある農業が展開されているところです。  茨城県産の米は、知る人ぞ知るおいしい米として認知されていますが、中でも水郷潮来は全国的に米どころとして名をはせています。さらに、盆前に収穫が始まるほど県内有数の早場米地帯として、他産地との差別化を図ることなど、稲作農業が盛んに行われております。  また、行方地域は、本県が全国1位の産出額を誇るカンショの主要産地となっており、生産性の高い営農が展開されております。JAでは、東南アジアなどへの輸出にも取り組んでおり、国内とともに今後もさらなる拡大が期待されております。  しかし、近年の主食用米の需要の減少等により、令和3年産の米価は大きく下落し、水稲農家は苦しい経営を強いられて、耕作放棄となり、荒廃地となってしまうケースも散見されています。農地を集積し、主食用米の生産性向上に取り組むことに加え、加工用米、飼料用米など多用途米への転換奨励が必要ではないでしょうか。  近年では、トウモロコシの値段が上がって畜産用飼料が高騰し、海外から輸入するよりも国内飼料用米のほうが安くなっていると聞きます。農家の収入確保のため、飼料用米への転換も一つの方策であると考えます。  また、干し芋や焼き芋は国内外で需要が高く、カンショは今後もさらなる生産拡大が期待されますが、農業者からは、生産拡大に必要となる新たな農地が確保できないとの声を聞きます。荒廃した畑をまた農地として再生する取組や、意欲のある農業者に農地をマッチングするなどの取組なども今後さらに求められているのではないでしょうか。  水田や畑は日本古来からの美しい景観を保つのに必要であり、特に水田は霞ヶ浦のダムの役割を担う多面的機能を有しています。そのために、荒廃地を増加させないよう、さらなる振興が必要と考えます。  農家は高齢化が進み、経営は苦しい状況です。農家の経営が少しでも安定し、そして、若い担い手が就農しやすくなるよう、こうした課題に真摯に対応していただきたいと思います。  これらの状況を踏まえ、本県農業のさらなる所得の向上に向けては、潮来地域の水田農業や行方地域の園芸産地のさらなる振興が不可欠であると考えますが、県としての取組を、農林水産部長にお伺いいたします。  次に、道路行政についてお伺いをいたします。  まず、東関東自動車道水戸線の休憩施設の整備についてです。  東関東自動車道水戸線は、常磐自動車道の三郷ジャンクションから千葉県を経て鹿行地域を南北に縦断し、北関東自動車道の茨城町ジャンクションに至る延長約140キロメートルの高規格幹線道路であります。  現在、県内においては、未開通区間の潮来インターチェンジから鉾田インターチェンジ間の整備が進められており、全線が開通いたしますと、常磐自動車道、北関東自動車道との高速ネットワークが形成され、県内間の移動、成田空港、茨城空港及び鹿島港へのアクセス向上による広域での誘客や沿線での企業立地が促進されることで地域の発展が期待されます。  また、災害時の代替路線として機能も確保され、県民はもとより、北関東、東関東等をはじめ、広く、人的・経済的な連携及び交流に期待が持たれ、沿線地域の経済発展の起爆剤となるものと、一日でも早い開通を願うものです。  加えて、昨年9月には、ドライバーの疲れや緊張を緩和するためのサービスを提供する休憩施設、いわゆるパーキングエリアを行方市青沼地区に設置するとの公表があったところです。  東関東自動車道水戸線のパーキングエリアについては、千葉県の佐原パーキングエリアから県内の常磐自動車道友部サービスエリア間の約63キロメートルにおいて、設置の計画がなかったことから、今回公表された休憩施設の設置は、高速道路利用者に対するサービス向上につながるものと期待しているところです。  設置箇所は、行方市の旧麻生地内であり、県道水戸鉾田佐原線の交差位置にあるものと認識しておりますが、鹿行や大洗等からも近く、県内高速道路の東側の玄関口として、情報拠点としてはもとより、県内の農水産物や加工品等の販売・PR拠点としてポテンシャルを秘めているのではないかと私は考えております。  そこで、東関東自動車道水戸線の休憩施設の整備の見通しについて、土木部長にお伺いをいたします。  国道355号牛堀麻生バイパスの整備についてです。  潮来市と行方市を南北に縦断する当該路線は、慢性的な交通渋滞が発生し、大型車の交通量も多いため、幹線道路としての機能はもとより、旧牛堀町及び旧麻生町の市街地において、地元住民が大変不便を感じている狭隘区間の解消や、朝夕の交通渋滞緩和、さらには、沿線住民の生活道路機能や通行者の安全確保も目的として、潮来市の国道51号山下交差点から行方市橋門までの約10.9キロメートルのバイパスの整備を進めていると伺っております。  現在、その中間に位置する県道水戸鉾田佐原線から南側の区間の整備が進められており、将来的には、その北側の行方市島並地区で国道355号の現道と合流する計画で、行方市が東関東自動車道水戸線へのアクセス道路として整備を進めている市道(麻)1-17号線(都市計画道路粗毛石神線)と一体的に機能することで、地域の利便性の向上や経済発展になるため、地元でも一日も早いバイパスの開通を待ち望んでいるところであります。  そこで、国道355号牛堀麻生バイパスの整備状況と今後の見通しについて、土木部長にお伺いいたします。  最後に、ICT教育のさらなる充実についてお伺いいたします。  新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、自治体や企業においてテレワークが広く浸透するなど、デジタルトランスフォーメーションを新たなキーワードに、今後も、ますますデジタル社会の実現に向け、変革が加速していくものと思われます。  とりわけ、小中学校においては、GIGAスクール構想が前倒しされ、1人1台端末をはじめとしたICT環境は、本県では既に整備済みであると承知しております。  実質的に運用初年度となった令和3年度は、ICTを活用して、学校休業時にオンライン学習が実施されたほか、平時において、各学校で様々な活用がなされたと伺っております。現場の教員の皆さんの御苦労は並大抵のものではなかったと推察しているところではありますが、コロナ禍においてオンライン学習が浸透したことで、不登校をはじめとする長期欠席中の子どもたちの学習環境が整うなど、新たな方向性が見出せたのではないでしょうか。  このような昨年度までの成果を踏まえながら、今後も、小中学校においてICTを活用した学びの充実を図っていくことは、子どもたちの学力、社会性を高める上でも必要であることは言うまでもありません。  また、そのためには、教員の皆さんのICT活用スキルの向上は欠かせないものと考えます。現在も、ICTを効果的に活用して授業を行っている教員が数多くいらっしゃる半面、苦手意識があり、十分に活用できない教員もいらっしゃると伺っております。そのような教員に対して、研修はもとより、ICTに関する高い知識を持った方によるサポート体制が必要ではないかと考えます。  子どもたちはまさに県の宝です。その宝を磨き上げることが持続的な県の発展につながっていくものであり、人材を育てるための教育予算の出動は大胆に行うべきものと私は考えます。  また、1人1台端末については、今後、老朽化に伴い、再度端末を購入する必要も出てくることから、その費用負担の在り方について、市町村や県の財政の負担とならないよう、県としましてもしっかりと国に要望していただきたいと思います。  これらを踏まえ、小中学校におけるICTを活用した学びをさらに充実させるために、ICTに関する環境整備方針や活用方法について、具体的にどのように取り組んでいるのか、また、どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 59 ◯伊沢勝徳議長 鈴木義浩議員の質問、質疑に対する答弁を求めます。  大井川知事。                   〔大井川和彦知事登壇〕 60 ◯大井川和彦知事 鈴木義浩議員の御質問にお答えいたします。  鹿行地域の振興についてお尋ねをいただきました。  鹿行地域は、霞ヶ浦や北浦、肥沃な行方台地などの豊かな自然環境に恵まれ、農業や畜産業、水産業などが盛んな本県を代表する生産地でありますとともに、我が国有数の産業拠点である鹿島臨海工業地帯を擁するなど、様々な産業がバランスよく発展した地域であります。  また、令和7年度から令和8年度に予定される東関道水戸線の全線開通は、この地域の発展に大きな弾みを与えると期待されております。  私は、このような鹿行地域のポテンシャルを最大限に生かし、地域経済のさらなる発展や魅力の向上を図ることで、人口減少や高齢化など、地域課題の解決にも結びつけていきたいと考えております。
     特に、鹿島臨海工業地帯の産業集積を生かした取組といたしまして、昨年5月に立ち上げたいばらきカーボンニュートラル産業拠点創出プロジェクトの下、新エネルギーのサプライチェーン構築やコンビナートのエネルギー構造転換など、カーボンニュートラル社会において高い競争力を持つ産業拠点の創出に向けた取組を進めているところでございます。  国内有数の一大産業拠点である鹿島臨海工業地帯は、本県経済の牽引役として、また、地域の雇用の場として大変重要な役割を果たしておりますが、国際競争の激化など、コンビナートの立地産業は厳しい事業環境の下にあります。  このため、こうした環境にあっても、鹿島臨海工業地帯のさらなる競争力の強化が図られるよう、本年3月に200億円のカーボンニュートラル産業拠点創出推進基金を設置したところであり、今後、当該基金を含む本県独自の体系的な支援制度を最大限に生かしながら、カーボンニュートラルに向けた国内外からの投資の呼び込みを図ってまいります。  また、鹿行地域の基幹産業である農林水産業や、地域の魅力を生かした観光産業についてもさらなる振興を図ってまいります。  農林水産業につきましては、ICTを活用したスマート農業の実践による生産性の向上、なめがたファーマーズヴィレッジに代表される6次産業化による付加価値向上への取組などにより、農林水産業の成長産業化を推進してまいります。  また、観光産業につきましては、鹿島神宮などの文化遺産やカシマサッカースタジアムを代表とするスポーツ資源などの豊富な観光資源に恵まれておりますことから、東関東自動車道水戸線の開通によるアクセスの向上も生かし、さらなる交流人口の拡大につなげてまいります。  特に、カシマサッカースタジアムにつきましては、鹿島アントラーズによる新スタジアム構想も検討の俎上にのっておりますが、鹿行5市と民間によるアントラーズホームタウンDMOの枠組みを活用した取組など、鹿島アントラーズのブランドや、民間ならではのアイデアを生かした広域でのにぎわいづくりが地域主導で進むことを期待しております。  議員から御提案のありました専任組織の設置につきましては、鹿行地域の振興に向けた施策の一案であると考えますが、県といたしましては、まずは、現行体制において、関係部局の連携の下、鹿行地域の多様なポテンシャルを生かしたこれらの取組を強力に推進することで、地域の経済成長や魅力向上を実現し、鹿行地域のさらなる振興を図ってまいります。 61 ◯伊沢勝徳議長 次に、森川保健医療部長。                   〔森川保健医療部長登壇〕 62 ◯森川保健医療部長 鹿行地域における医療体制の充実についてお答えいたします。  鹿行地域は、人口10万人当たりの医師数が県内で最も少なく、また、救急患者の病院までの搬送時間が県平均を大きく上回るなど、医療提供体制に多くの課題を抱えた地域であると認識しております。  このため、地元関係者の皆様と連携して、課題の解決に向けて様々な対策に取り組んでいるところです。  まず、なめがた地域医療センターにつきましては、去年4月に外来診療に特化した運営形態へと移行しましたが、地元行方市をはじめとする鹿行5市や地元医療機関、消防、医師会などとの間で今後の在り方について協議を重ねてきた結果、初期救急の受入れが継続されることとなりました。  県では、救急搬送時間の縮減を目指して、なめがた地域医療センターと初期救急の受入件数の増加に向けた議論を進めているところであり、今後とも、同センターの取組を後押ししてまいります。  一方、入院が必要となる患者につきましては、近隣の土浦協同病院が中心となって受け入れているところですが、鹿行地域内の身近な医療機関においても、適切な救急医療を提供できる体制を構築していくことが重要であると認識しております。  次に、遠隔医療につきましては、議員から5Gを活用した徳島県での取組事例の御紹介がございましたが、ICTを活用した遠隔医療は、特に、鹿行地域のように医療資源の限られた地域において、医師不足を補い、医療の充実を図る手段の一つとして非常に有効なものと考えております。  県では、平成30年度から、ICTを活用した遠隔画像診断治療補助システムの導入を進め、昨年度末時点で、県内全域の中核的な医療機関31か所において整備が完了しております。  当システムは、専門的治療を提供する医療機関と地域の医療機関が、MRIやCTなどの画像を共有し、遠隔により治療の指示や相談を可能にするものであります。  鹿行地域においても、4か所の二次救急医療機関で活用されていることに加え、当地域の連携をサポートするため、三次救急医療機関である土浦協同病院にも導入し、リアルタイムに高度で専門的な診断や治療方針の相談を受けられる体制を確立しております。  現在、院内外において、脳疾患をはじめとして、県全体で年間約3,000件、鹿行地域で約600件の画像の送受信が行われ、早期の適切な治療や円滑な転院搬送などにつながっているところですが、5Gの普及により、さらなる高速・大容量通信が可能となるなど、利便性の向上も期待されます。  国においては、5Gについて、令和5年度末までに全市区町村に基地局を整備し、人口カバー率95%を目指すとしておりますので、県では、これを見据え、引き続き、当システムの導入医療機関の拡充を図るとともに、脳疾患以外の救急医療分野においても連携が進むよう、医療機関に対し、働きかけを行ってまいります。  県といたしましては、ICTも効果的に活用しながら、地域の医療機関、消防機関など関係者の連携体制の充実・強化を図ることなどにより、医療資源の有効活用を進め、鹿行地域において、誰もが安心して医療を受けられる体制の構築に向けてしっかりと取り組んでまいります。 63 ◯伊沢勝徳議長 次に、高崎営業戦略部長。                   〔高崎営業戦略部長登壇〕 64 ◯高崎営業戦略部長 鹿行地域の地域資源を活用した観光の振興についてお答えいたします。  本県は、東京近郊にありながら、地域ごとに変化に富んだ自然環境を有しており、鹿行地域には、北浦や鹿島灘など豊かな自然をはじめ、鹿島神宮や水郷潮来のあやめなど魅力的な観光資源を有していると認識しております。  また、コロナ禍を契機といたしまして、アウトドアの人気が高まっている中で、鹿行地域には、つくば霞ヶ浦りんりんロードや、湖や海に面したキャンプ場があり、首都圏の観光需要の受皿として高いポテンシャルを持っていると考えております。  本県の観光振興における地域資源の活用につきましては、本年3月に策定いたしました茨城県観光振興基本計画におきまして、新たに、マイクロツーリズムなどの新たな旅のスタイルを打ち出すとともに、アドベンチャーツーリズムやスポーツツーリズムなどのアウトドアや、地域資源を活用した各種ツーリズムの推進を位置づけたところでございます。  特に、鹿行地域におきましては、なめがたファーマーズヴィレッジでの収穫体験や、アントラーズホームタウンDMOを中心としたスポーツツーリズムなど、地域の魅力的な資源を活用した誘客の取組が既になされているところでございます。  今後、東関東自動車道水戸線の全線開通によりまして、成田国際空港や千葉県に加えまして、県央地域や県北地域などからのアクセスが向上いたしますことから、ポストコロナにおいて、県内外からのさらなる誘客や周遊観光の促進も大変期待されているところでございます。  県といたしましては、これらの鹿行地域の資源や、優れた取組、恵まれた環境など、県内各地の特徴あるコンテンツをさらに磨き上げるとともに、効果的に結びつけていくことで、市町村や地域をまたぐ周遊観光を推進し、宿泊観光の促進や観光消費額の向上につなげていくことが重要であると考えております。  このため、来年秋の本県でのデスティネーションキャンペーンも見据えまして、市町村や関係団体等が行う観光資源の磨き上げや、新しい観光スタイルの確立に向けた取組、地域の特徴を生かした新しい旅行企画など、地域の新たなチャレンジについて支援することとしております。  鹿行地域におきましても、鹿島神宮での特別な体験を組み込んだツアーや、ワークショップの実施をはじめ、地域資源を活用したデジタルアートギャラリーの開催など、新たな取組について積極的に支援をしてまいりたいと考えております。  さらに、今後、観光消費の拡大を目的といたしまして、アウトドア事業者と異業種とのビジネスマッチングや、平日や閑散期の新たな宿泊需要の創出を狙いといたしましたワーケーションモニターツアーを展開する中で、鹿行地域の民間のアウトドア施設等との連携も強化してまいりたいと考えております。  県といたしましては、今後とも、コロナ禍で変化いたしました人々の価値観や旅行スタイルをしっかりと捉え、来年秋に水郷県民の森で開催される全国育樹祭などの機会も生かしながら、鹿行地域の特徴ある資源を県内各地の資源と有機的に結びつけた誘客を促進することにより、本県全体の観光振興につなげてまいりたいと考えております。 65 ◯伊沢勝徳議長 次に、前田産業戦略部長。                   〔前田産業戦略部長登壇〕 66 ◯前田産業戦略部長 高度外国人材の獲得についてお答えいたします。  日本の生産年齢人口は中長期的な減少が見込まれており、欧州などでも既にピークを迎える中、国際的な人材獲得競争は、今後、ますます激しさを増すものと考えております。  そうした中、県といたしましては、他県に先駆けた取組を一層推進し、高度人材をはじめ、外国人材の獲得と活躍促進に取り組んでまいります。  そのため、県では、これまでも、県内事業者と外国人材との幅広いマッチングを進めるとともに、ベトナム、インドネシア、モンゴル政府との関係強化に集中的に取り組んでまいりました。  具体的には、本県がベトナムロンアン省との間で締結した覚書に基づき、本年3月、県内事業者にヴィンロン技術教育大学の教育内容を紹介したところ、高い評価を得て、年内の現地訪問につながっており、今後の技術系人材の確保を着実に支援してまいります。  加えて、ロンアン省との間では、介護福祉士の資格を取得し、本県での就労を目指す人材育成プログラムを展開しており、現在、本年8月の来県を目指す13名が現地で試験準備に取り組んでおります。  今後は、2期目の人材受入れに向けた候補者選定を進めるなど、さらなる人材確保に努めてまいります。  また、本県との交流を深めているインドネシア教育大学では、高度IT人材としての就労を希望する学生もありますことから、県立IT短大では、新たに、来年度から2名の留学生の受入準備を進めており、一層の交流促進を図ってまいります。  さらに、現在、多くの高度人材を海外に輩出する新モンゴル学園との取組も着実に進展しております。本年4月には、同学園の理事長を招聘し、県内視察を実施しており、本年秋には県内事業者の現地訪問を調整するなど、新たな採用ルートの開拓に取り組んでまいります。  こうした取組に加え、国内留学生の県内就労を促進するため、関東近郊の大学との関係構築に努めた結果、42の大学から本県への興味が示されており、今後、採用活動の本格化をしっかりと後押ししてまいります。  外国人材から選ばれる本県の実現には、こうした働きかけの強化とともに、県内経営者の意識啓発にも精力的に取り組み、安心して働ける環境づくりを進める必要がございます。  そのため、県では、昨年度、県内288社の参加の下、先行事例の紹介セミナーを開催しており、今後は、インターンシップを通じた相互の不安解消や、国際交流協会とも連携した生活支援、日本語学習支援にも取り組み、外国人材の活躍をしっかりと下支えしてまいります。  県といたしましては、こうした取組により、高度人材をはじめ、広く外国人材から選ばれる県づくりを推進してまいります。 67 ◯伊沢勝徳議長 次に、上野農林水産部長。                   〔上野農林水産部長登壇〕 68 ◯上野農林水産部長 鹿行地域の農業の振興についてお答えいたします。  潮来市は、温暖な気候を生かし、早場米の産地として、古くから「あきたこまち」など早生品種の作付が盛んな地域でございます。  さらに、近年は、お盆前には収穫できる県育成品種の「一番星」の生産が拡大しております。  また、行方市の主要な農産物であるカンショにつきましても、鹿行地域を中心に生産が拡大しているところです。  これらの地域で稲作やカンショの生産拡大の取組をさらに進めていくことは、鹿行地域の農業振興を図る上で極めて重要であると認識しております。  一方で、議員御指摘のとおり、近年の主食用米の需要減少等により、稲作農家の経営は厳しい状況が続いております。  そうした中において、稲作農家の所得向上を図るため、主食用米から、飼料用米や加工用米への転換拡大を地元JAなどの関係機関と一体となって推進してまいりました。  その結果、潮来・行方地域における令和3年産の加工用米や飼料用米をはじめとする新規需要米の作付面積は前年度から2割以上増加したところです。  また、カンショにつきましては、令和元年度より、茨城かんしょトップランナー産地拡大事業に取り組み、生産拡大に高い意欲を示す農業者に対し、荒廃した農地の再生などによる農地の確保を支援してまいりました。その結果、潮来・行方地域においても、カンショの作付面積は3年間で約60ヘクタール拡大したところです。  このような中、今後、鹿行地域の農業をさらに発展させていくためには、農地の集積・集約化による規模拡大や、ICTなどの先端技術を活用したスマート農業の導入により、生産性や所得の向上を図り、農家の経営を安定させることで、若い担い手が就農しやすくなるような環境づくりを推進していくことが大変重要と認識しております。  そのため、本年度より、水田農業の所得向上に向け、集約化に重点を置いた大規模水田経営体の育成に取り組むとともに、生産性の向上を図るため、国の補助事業などを活用し、自動運転トラクターや農業用ドローンなどのスマート農業技術の導入を支援してまいります。  また、カンショにつきましては、引き続き、茨城かんしょトップランナー産地拡大事業を活用し、農地のマッチングや荒廃農地の再生の取組を進め、一層の生産拡大を推進することで、農業者の経営安定を図ってまいります。  県といたしましては、これらの取組を通じて、潮来地域の水田農業や行方地域の園芸農業のさらなる振興を図り、農業者の所得向上に努めてまいります。 69 ◯伊沢勝徳議長 次に、田村土木部長。                    〔田村土木部長登壇〕 70 ◯田村土木部長 道路行政についてお答えいたします。  まず、東関東自動車道水戸線の休憩施設の整備についてでございます。  東関道水戸線は、現在、潮来インターチェンジから鉾田インターチェンジまでの約31キロメートルの未開通区間について、国及び東日本高速道路株式会社により、橋梁工事や函渠工事、地盤改良工事などが進められており、昨年12月に、令和7年度から令和8年度の開通を目指すと公表されたところでございます。  議員御質問の東関道水戸線の休憩施設につきましては、令和元年より、国、東日本高速道路株式会社、県、地元の潮来市、行方市、鉾田市で構成する事業連絡調整会議におきまして、道路利用者へのサービス向上のため、休憩施設の必要性を検証・確認するなど、設置に向けた検討を進めてまいりました。  そうした中、昨年9月には、休憩施設として、パーキングエリアに地域振興施設を併設することを見据え、道路利用者の利便性向上や周辺地域からのアクセス性、防災機能などの安全性、整備コストなどの経済性を踏まえた総合的な観点から、行方市青沼地内の東関道水戸線と主要地方道水戸鉾田佐原線が交差する場所に(仮称)行方パーキングエリアを設置することが公表されたところでございます。  現在、国、東日本高速道路株式会社において、パーキングエリアを整備する具体的な位置や規模、構造などの検討を行っているところであり、今後、測量及び地質調査などを実施した上で、より詳細な内容を決定していく予定であると伺っております。  一方、地元である行方市においては、農産物の6次産業化促進や地場産業の拡充などを目指すとともに、都市部などの新しい地域から人を呼び込むゲートウェイとして、パーキングエリアに併設した地域振興施設の整備に向け、施設の内容や整備手法などについて、国と調整しながら検討を行っている状況とお聞きしております。  県といたしましては、引き続き、東関道水戸線の整備推進について、国や東日本高速道路株式会社に対して強く働きかけるとともに、東関道水戸線の全線開通に合わせ、パーキングエリア及び地域振興施設が一体的に整備されますよう、国や東日本高速道路株式会社、行方市に対して、必要な支援・協力を行ってまいります。  次に、国道355号牛堀麻生バイパスの整備についてでございます。  国道355号は、千葉県香取市を起点として、鹿行地域を縦断し、笠間市の国道50号に至る主要な幹線道路でありますとともに、地域の産業振興を支える大変重要な路線でございます。  この中でも、潮来市から行方市にかけて整備を進めている国道355号牛堀麻生バイパスは、潮来市牛堀地区及び行方市麻生地区の市街地において慢性的な渋滞が発生し、円滑な交通に支障を来しておりますことから、交通混雑の緩和を目的に、潮来市牛堀地内の国道51号から行方市橋門地内までの延長約10.9キロメートルの区間を平成5年度に都市計画決定しております。  これまでに、潮来市牛堀の国道51号から行方市麻生の県道水戸鉾田佐原線までの約5キロメートル区間につきまして、南側から順次整備を進めてきたところであり、平成26年度に国道51号との交差点から県道繁昌潮来線までの約1.2キロメートル区間が開通し、令和4年3月28日には県道繁昌潮来線からかすみの郷公園前交差点までの約0.8キロメートル区間が開通したところでございます。  この区間の開通により、緊急輸送道路である国道51号から、災害時ヘリポートとしても機能するかすみの郷公園や、避難所となる潮来市立牛堀小学校及び牛堀中学校へのアクセスが向上し、大規模災害時における避難や救助のほか、支援物資を円滑に提供するためのネットワークが強化されたところでございます。  これに続くかすみの郷公園前交差点から県道水戸鉾田佐原線までの約3キロメートル区間につきましては、用地取得において、一部、難航している箇所があるため、引き続き、地権者との交渉に努めるとともに、地盤改良工事や道路改良工事などを順次実施してまいります。  また、県道水戸鉾田佐原線から行方市島並地区までの国道355号の現道に接続するまでの約2.4キロメートル区間につきましては、本事業に係る土地の関係権利者の調査を進めており、今後、地元への周知を図った後、路線測量を実施してまいります。  なお、議員御案内の東関道水戸線の(仮称)麻生インターチェンジに接続する行方市の市道(麻)1-17号線と本バイパスとの交差部につきましては、市と緊密に連携を図りながら一体的に事業を進めているところでございます。  県といたしましては、本バイパスの整備により、慢性的な渋滞の緩和や安全な交通が確保されることに加え、地元農産品などの輸送の効率化や観光施設へのアクセス向上なども期待されますことから、本バイパスの早期開通に向けて、地元の御協力もいただきながら、整備を推進してまいります。 71 ◯伊沢勝徳議長 次に、森作教育長。                    〔森作教育長登壇〕 72 ◯森作教育長 ICT教育のさらなる充実についてお答えいたします。  ICTの活用は、個別最適化された学びの実現や協働的な学びの充実、さらには、不確実な時代を自ら切り開く人財を育成するために大変有効であると認識しております。  現在、小中学校においては、子どもたちが端末を使って、実験や観察の記録を作成し、結果について考察したり、様々なアプリを使って意見交換を行い、考えをまとめたりするなど、1人1台端末をはじめ、ICTを効果的に活用した授業が行われています。  また、不登校児童生徒など、これまで登校できなかった児童生徒が、オンライン上でクラスでの話し合いに参加できるようになるなど、ICTの活用は、学びの機会を広げ、児童生徒同士の交流を増やすために有効な手段であると考えております。  このため、県のポータルサイトで紹介している「不登校の児童生徒にオンライン学習を進める上での配慮事項」や、WEB会議システムを用いた悩み相談による心のケア等の取組を市町村や各学校と共有し、不登校児童生徒などへの支援を充実させております。  こうしたICTを活用した取組を充実させるには、教員一人一人のスキルアップに向けた支援が必要でございます。  このため、県では、ICTを活用した授業づくりなどに役立つ情報を共有するための教員向けのポータルサイトを開設したほか、教育研修センターにおいて、教員のニーズに合わせた研修や、学校を訪問して質の高い研修を提供するなど、ICTを活用した学びの充実に取り組んでまいりました。  さらに、今年度は、いばらきスタディエックス推進事業を新たに立ち上げ、文部科学省と連携し、教員の指導力向上の方策について助言を受け、全国の先進事例を反映した研修を実施してまいります。  また、各市町村には学校のICT活用を指導する市町村推進リーダーを、各学校には教員を指導するICT校内推進教師を配置し、ICT活用の実態に応じた研修を計画し、その効果を検証してまいります。  加えて、個別最適な学びと協働的な学びを充実させるため、県内の小中学校13校において、採点結果やヒントが瞬時に示されるAIドリルの特徴を生かした授業づくりや、情報共有ツールを活用した協働的な学びに取り組み、授業の内容を他校の教員に公開することで、教員のICT活用スキルを県全体で向上させてまいります。  このほか、現在、37市町村で配置しているICT支援員は、機器のメンテナンスや操作方法の助言など様々な役割を担っておりますので、引き続き、積極的な活用を市町村に促すとともに、より多くの人材を配置できるよう、国に財政支援を要望してまいります。  なお、端末更新に係る費用について、現段階では国の方針が示されていないことから、国の動向を注視するとともに、引き続き、国に対して、必要な財政措置を要望してまいります。  県といたしましては、ICTを活用した学びをさらに充実させることで、これからの時代を自ら切り開く人財を育成してまいります。
             ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 73 ◯伊沢勝徳議長 以上で、本日の日程は全て終了いたしました。  次回は、議会活動への県民の理解と参画を推進するため、明6月11日の休日に本会議を開き、午後1時から一般質問、質疑を続行いたします。  本日は、これにて散会いたします。                     午後4時32分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...