• "長谷川修平委員"(/)
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  1. 茨城県議会 2016-03-18
    平成28年予算特別委員会  本文 開催日: 2016-03-18


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                 午前10時30分開議 ◯菊池委員長 ただいまから,予算特別委員会を開会いたします。      ─────────────────────────────── 2 ◯菊池委員長 初めに,本日の委員会記録署名委員を指名いたします。  星田委員と田口委員にお願いします。      ─────────────────────────────── 3 ◯菊池委員長 これより議事に入ります。  本委員会に付託されました案件の審査を行います。  本委員会に付託されました案件は,第1号議案ないし第19号議案及び第54号議案ないし第72号議案の38件であります。  これらの案件を一括して議題といたします。  これより,通告に従って質疑を行います。  お手元に,去る3月17日に開催いたしました理事会の決定事項を配付してあります。これに基づいて質疑を行いますので,御協力をよろしくお願いいたします。  なお,質疑,答弁は,持ち時間40分の中で,要点を簡潔かつ明瞭にお願いをいたします。  また,関連質疑につきましては,委員から希望がある場合には,挙手をしていただきまして,まず,質疑内容と答弁者につきまして御説明いただきます。  その後,委員長において,これを認めた場合に限り,答弁を含め10分以内で実施することといたします。  なお,関連質疑の内容と答弁者については,通告の範囲内として,簡潔明瞭にお願いをいたします。  それでは,これより質疑に入ります。  初めに,本澤委員。 4 ◯本澤委員 皆様,改めて,おはようございます。  いばらき自民党の本澤徹であります。
     平成28年に入って初めての予算特別委員会で最初の質問者となる機会を与えていただきまして,ありがとうございます。  それでは,通告に基づき,順次,質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  初めに,鉾田農業高校の統合と農業関係高校の魅力向上について,教育長にお伺いいたします。  本県は,7年連続して農業生産額全国2位を維持する農業大県でありますが,その中でも,私の地元鉾田市は,農業生産額の全国市町村別順位において全国第5位に位置し,農産物別の全国順位では,メロン,カンショ,ゴボウ,ミズナが全国第1位を誇り,茨城県農業を牽引する地域であります。  そのような地域の中で,鉾田農業高校は,鹿行地域における将来の農業を担う人材育成に大きな役割を果たしてきたところであります。  しかしながら,昨年末に示された県立高校の再編整備に係る第2次後期実施計画では,平成30年度に,鉾田二高と鉾田農業高校が統合し,一つの農業高校が消滅することが明らかになったところであります。  少子化の影響による農業高校の希望者の減少を踏まえ,高校の再編が進む中において,私は,これからの農業関係高校については,茨城の農業に夢が持てるような特色ある取り組みを展開することなどにより魅力を高めていく必要があるのではないかと考える次第であります。  例えば,各校の地域性を生かし,生徒みずからが育てた農産物や,それらを調理した加工品などを,生徒みずからが,パッケージや販売,そして,マーケティングを行うなど,農業のおもしろさや販売の戦略などを経験できる取り組みなどが考えられます。  このように,県においては,広く県内外の生徒に,本県農業への魅力を感じてもらえるような取り組みとは何かを常に考え,展開していく必要があるのではないかと考えます。  そして,そのような魅力あふれる取り組みを広く発信することにより,農業関係高校への入学希望者がふえれば,本県農業の将来を支える人材の育成にもつながるのではないでしょうか。  そこで,これらを踏まえ,県内の各農業関係高校の魅力づくりについてどのように取り組んでいくのか,教育長の御所見をお伺いいたします。 5 ◯菊池委員長 本澤委員の質疑に対する答弁を求めます。  小野寺教育長。 6 ◯小野寺教育長 お答えいたします。  県では,今御指摘のように,昨年12月に第2次県立高校再編整備後期実施計画を策定いたしまして,その中で,3学級規模となっております鉾田農業高校を鉾田二高と平成30年に統合し,新校を設置することとしております。  その内容としましては,これまで鉾田農業にありました農業科,食品技術科,流通情報科の3学科のうち,農業科及び食品技術科をそのまま新校に移行しますとともに,競争力を備えた農業経営を担える人材の育成に向け,新たに大学進学にも対応する普通教科や福祉の科目を開設いたします。  また,流通情報科につきましては,鉾田二高の情報メディア系列などと再編いたしまして,新たにメディアマーケティング系列を設置し,メディアを通じた広報技術の習得により,鉾田市農産物のブランド力向上にもつなげてまいりたいと考えております。  こうした取り組みによりまして,両校の伝統の相乗効果が最大限発揮できますように,活力と魅力ある学校づくりを推進してまいります。  一方,現在,この鉾田農業を含めまして,県内に7校,農業関係高校がございます。その高校におきましては,地域の専門家や関係機関等から生産技術を学んだり,地域の特産品を栽培して商品開発に結びつける特色ある取り組みが行われております。  そして,特に,最近の流れといたしましては,単に農産物の栽培技術を学ぶだけではなくて,それらを加工して付加価値をつけ,収穫祭や地域のさまざまなイベントで販売活動につなげる取り組みが盛んになりつつあります。  こうした活動は,学習成果の発表と同時に,販売実習の場ともなり,農業を幅広く学ぶきっかけとなっております。  さらに,こうした販売活動を通じまして,実際に消費者と触れ合うことにより,自分たちが栽培した農産物などが直接褒められたり,激励や感謝の言葉をかけられたりすることで,生徒がつくる喜びを実感し,農業を学ぶ自信や誇りを持てるようになるものと考えております。  そうした取り組みの一例といたしまして,委員御地元の鉾田農業高校では,本年度,新たに,ロゴマークを入れたホコノッコファンクラブといったものをつくりまして,農産物加工品の付加価値を高めたり,あるいはイメージアップを図りながら,茨城空港などで積極的に販売活動を展開しているところでございます。  また,こうした販売活動を進めるに当たりましては,これまで農産物加工品の品質を学校ごとにPRしてきましたが,本年度からは,この学校独自の取り組みに加え,県全体で生産物の付加価値を高めるため,県内農業関係高校共通ブランドとして,いばらきAgri.High Schoolを立ち上げ,ブランドマークも作成し,7校が協力して農産物加工品ブランド化を推進するという,全国でも珍しい取り組みを始めたところでございます。  本年度は,合計19点がブランド品として認証されまして,鉾田農業高校では,地域で大変人気のシクラメン,メロンパンが認証されたところでございます。  今後とも,農業関係高校において,このような魅力ある教育活動を積極的に展開することによりまして,入学者の増加につなげ,本県農業の将来を支える人材の育成に努めてまいります。 7 ◯本澤委員 全体の流れというのはよくわかりました。  とりあえず,そういうことで,鉾田農業高校はなくなってしまったと現実を聞きますと,とにかく入学者がいなくなってしまったと。鉾田というところの農業の場所にある鉾田農業高校でしたから,とにかく何とか魅力づくりをしてくれという話ですけれども,今の話でも,地域の特色を持った学校づくりをするよと言っているのだけれども,実際,鉾田農業高校ではどうしても入学者がいないという現状の中で,学校を統合するほかなくなってしまったのが現実だと思います。  その中で,高校の特色ある学校づくりの中で,何遍も言いますけれども,鉾田のこれほどの地域においてなぜもっと魅力ある学校ができなかったのと思うのです。そこのところを,もう一つ,なぜできなかったのか。その辺を。 8 ◯小野寺教育長 農業高校全体にも通ずる話だと思いますけれども,近年の農業を取り巻く極めて厳しい状況,あるいは,児童生徒のいろいろな価値観の多様化など,いろいろなことがありまして,特に,農業に限らず,職業学科についての応募が,最近,極めて厳しくなってきているという現状がございます。  農業につきましても,なかなか子どもたちが魅力ある職業というふうに感じられにくくなってきている,そういう背景もあるのかなというふうに思います。  これからは,鉾田農業については,農業高校としてはなくなるわけでありますが,そのいい部分の伝統を鉾田二高に引き継いで,先ほど申し上げましたように,さまざまな魅力をつける,アップする取り組みを,いろいろな工夫をしながら取り組むことによりまして,農業県茨城を支える人材育成に何としてもつなげていきたいというふうに考えております。 9 ◯本澤委員 農業が先なのか,学校が先なのかというのは,卵と鶏の話で非常に難しいのですけれども,本当に鉾田農業高校水戸農業高校があって,2つしかなかった。何とかとりでとして鉾田農業高校を残してほしいなと言っても,厳しい農業の現実の中で,入学者がいないのだからしょうがないよという,バスも電車も乗る人がいなくなったら廃線するほかないという,そんなアイデアはもっとないのかなということでの質問であります。  その中で,今度は7校残された関連高校の中で,ブランド化をしていくということなのだけれども,どういう過程でブランド化というか,何か特色を持ったものを全体で宣伝していくということなので,どういうことでしょうか。その内容を教えてください。 10 ◯小野寺教育長 先ほど申しましたように,商品,農産物加工品について,できるだけパッケージを工夫したり,もちろん品質をよくするということはベースにありますけれども,見せ方なども工夫しながら,そこにイメージアップを図って,最終的には,社会から注目される。そういう取り組みにつながって,子どもたちがやっていることが社会から認められる。注目される。そういうことで子どもが自信をつけていく。そういうことを狙いにこのブランド化というのが進められているのだと理解しておりまして,そういうことにつなげられるように,これからも,個々の学校だけではなくて,県としても最大限バックアップする中で,県全体の農業関係高校が一丸となって,農業ということに対するイメージをきちんと県民に発信できる。そういうことにこのブランド化をつなげていきたいというふうに考えております。 11 ◯本澤委員 時間も本当になくなってしまったわけなのですけれども,鉾田のブランドはメロンということになっています。これは茨城もそうなのですけれども。  鉾田市でメロンサミットというのがあって,鉾田農業高校が,商品としてメロンパンというのが一応ブランド化されてきているという話なので,メロンサミットメロンパンということで,鉾田農業高校が率先して,メロンサミットの内容はわかりませんけれども,そこにメロンパンを品物としてつくっているのだよということをぜひサミットに参加させていただくような教育庁からの応援,あくまでも農業高校でつくっているメロンパンメロンサミットに参加させていただく。全国のメロンパンサミットでもいいですけれども,そういうことができるような方向で,今後も農業高校の育成のために,教育庁にも協力していただいて,特性ある農業高校のあり方,これからも農業というものに入る人が少ないのはしょうがないという農業の問題があるかもしれませんけれども,魅力ある高校をつくっていただけるように,さらなる努力をしていただいて,この質問を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。  次に,TPPへの対応と畜産排せつ物の処理について,農林水産部長にお願いいたします。  本県の畜産産出額は,平成26年では1,200億円に上り,農業産出額の約28%を占める主要農産物であります。その中でも,豚の農業産出額は,平成26年では414億円と約3割を占め,全国的にも第5位に位置しております。  私の地元鉾田市では養豚業が盛んで,農林業センサスによると,豚の飼育頭数は約10万6,000頭に達し,第2位の小美玉市の3倍の頭数となり,主要な農産物の一つとなっております。  このように養豚業が盛んな一方で,鉾田地区の大きな課題の一つとして,家畜排せつ物の処理が追いつかずに発生する臭気などにより,特に養豚場周辺の住環境が損なわれてしまう事例も散見され,私は,以前から,一般質問などの機会を通じて,家畜排せつ物の適正な処理と利活用の推進について訴えてきたところであります。  このような中で,先月4日にTPP協定文の署名式が行われ,今後,加盟国12カ国において関税の撤廃等の実現に向けた手続が進められていくことになります。  TPPによる本県農林水産物の生産減少額は最大で約50億円と見込まれ,その約8割を畜産関係が占めております。それゆえ,畜産関係の分野においては,今後とも,県内の畜産農業者が安心して経営に取り組めるような対策が求められております。  これらの状況を踏まえて,来年度の予算案には,畜産の生産基盤と競争力強化を目的として,畜産競争力強化対策事業に約7億2,000万円が計上されたところであります。  この事業は,畜産業者と県,市町村,JAなどが協議会を設置して,地域における収益性向上に加えて,畜産環境問題への対応についても支援していくものであります。  原則として,家畜排せつ物の処理は畜産業者で対応しますが,規模が小さい個々の畜産業者にとって,その負担は大きく,経営を圧迫しかねません。  それゆえに,私は,この事業を最大限活用して,特に,県や市町村は協議会などを通して積極的に関与し,地域ぐるみで家畜排せつ物の効率的かつ適正処理の推進に向けて努め,清潔で環境にやさしい畜産業の確立を目指していただきたいと考えております。  また,これにより,養豚場周辺の住環境の改善にもつながるのではないかと考えています。  そこで,TPPを契機として,畜産競争力強化対策事業を最大限活用し,畜産排せつ物の適正な処理と利活用を一層推進していく必要があると考えますが,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。 12 ◯菊池委員長 鈴木農林水産部長。 13 ◯鈴木農林水産部長 お答えいたします。  TPP協定により,特に畜産分野への影響が懸念されますことから,国では,総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめまして,家畜排せつ物対策などを含む生産体制の強化対策や経営安定のための各種の対策を講ずることとしたところです。  家畜排せつ物につきましては,悪臭の原因になっておりますほか,本県においては,霞ヶ浦の水質汚濁の要因の一つになっておりまして,安定した畜産経営を継続する上で,家畜排せつ物を適正に処理し,利活用を進めることがより一層求められております。  そのため,これまでも,堆肥舎や浄化施設などの整備を支援してまいったところですが,今回,国のTPP対策として,畜産競争力強化対策事業,国の予算は畜産クラスター事業と申しますけれども,一定の要件を満たせば家族経営でも活用できるなど,その制度の拡充が図られました。  したがいまして,県といたしましては,これを積極的に活用いたしまして,畜産農家が,市町村,JAなどと協議会を設置して,地域ぐるみで環境問題解決のために行う取り組みを支援してまいりたいと考えております。  平成28年度は,施設整備で5カ所,うち家畜排せつ物関係で2カ所,機械導入が13カ所,うち家畜排せつ物関係で11カ所から要望が出ておりますので,現在,国と協議を進めているところでございますが,県としてもしっかりこれらの取り組みを支援いたしまして,効率的な畜産経営を安定的に継続できるよう努めてまいりたいと考えております。 14 ◯本澤委員 ありがとうございます。  新しい言葉の中に畜産クラスター事業というのが,今,答弁にありましたけれども,農家の排せつ物の処理についても,国の補助は2分の1なのだよね。畜産業の業者は2分の1を負担しなければその設備はできない。いつもそういう国の補助は2分の1の事業しかできないのではないかと思うのですけれども,最終的にその2分の1を畜産業者が負担しきれないのですよ。しきれない状況の中で,ここもう100年,同じようにどうしても垂れ流してしまう部分が出てきてしまっていると思うのです。  その2分の1の補助をする方法もあるのですけれども,もっと進んだやり方はないのかなということを考えているのですけれども,市町村なり県なり,団体,協議会が処理を全部賄う,あくまでも市町村のし尿処理場を利用した家畜の排せつ物の処理というものを国の費用で賄えるような状況をつくりながら,その事業者にはある程度負担しながら運んでもらう。受益者負担も含めて,県,市が一緒になって処理場をつくるという方法のものはクラスター事業に入るのでしょうか,入らないのかということを伺います。 15 ◯鈴木農林水産部長 基本的には,経営体の助成ということですので,今,委員のほうからございましたような,例えば,市町村が共同で処理施設というのは,ちょっと確認してみないとわからないのですけれども,直接的には経営体を対象にということでお聞きしておりますので,この場では,今御質問の市町村が例えば共同でそういったものを処理するということについては,ちょっと難しいのではないかなとは思います。 16 ◯本澤委員 いつも私が言っていることは難しい話なのですけれども,ずっと100年と言ったら失礼ですけれども,本当に排せつ物の処理についてはなかなか難しい。事業者が責任を持ってやることになっていて,2分の1の補助をさせていながらやっているのだけれども,どうしても2分の1だけでは処理がしきれない。どうしても無理がある。それが環境の汚染につながっているのではないのかということになるわけです。  ですから,その国のお金なり県のお金をしっかりとプールして,事業者もそれなりに運べばきれいになってしまうような,あとは全部行政でやってくれる。ただし,し尿処理場などのものを利用させていだかなくてはなりませんので,農林水産部だけの事業ではありませんけれども,そういうところを皆さんで知恵を出して,処理をできるような公的なシステムをつくってもらえるような方向で考えていただければと思っているのですけれども,この辺をもう一度。 17 ◯鈴木農林水産部長 TPPによります対策につきましては,今回は国のほうで補正予算ということで,非常に大きな予算で今回のクラスター事業も拡充されたわけですが,それだけではなくて,秋口を目途にさらなる対策をまとめるという国の方針等々もお聞きしておりますし,私どもも,今,委員のほうからございましたようなさまざまな課題について,ぜひ国のほうにもいろいろ相談しながら,現時点ではなかなか難しい部分はありますけれども,制度の拡充等については要望等は行ってまいりたいと思います。 18 ◯本澤委員 私の質問の方向が,本当に国からのクラスター事業ということでの補助の話からちょっと離れてしまっている部分もあるのですけれども,クラスター事業として,畜産業の排せつ物の処理が適正にいくことの指導の中で,もう一歩,事業を別な方法,全体でし尿処理場を利用した処理ができないのかという方法も考えていただきながら,今後,畜産の排せつ物の事業を推進していただくことをお願いして,質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございます。  3つ目になりますが,次に,鉾田海岸の浸食対策について,土木部長にお伺いします。  大洗町から神栖市まで及ぶ鹿島灘海岸は,風光明媚で,海水浴場も多く,本県の魅力の一つとなっております。  私の地元鉾田市の沿岸部で長大な砂浜が続く鉾田海岸には,地元のみならず,他県からも多くの観光客が訪れる大竹海岸海水浴場がございますが,近年,砂浜の浸食による海岸線の後退が著しい状況にあります。  私は食いとめることができない海岸の浸食を大変危惧しており,幾度も定例会において取り上げて,平成25年第3回定例会では,ヘッドランドを延伸し,海面に潜った形状の突堤延伸と養浜による対策の実施を目指すとの答弁をいただいたところであります。  しかしながら,その事業化に当たっては,漁業者などの関係者の理解を得る必要があり,現在,県において関係者と協議を重ねている最中にあると伺っております。  特に,鹿島灘沿岸域は,鹿島灘ハマグリやシラスの漁場でもあることから,漁業関係者などの理解を得るためにはさまざまな課題があることは理解できますが,このまま海岸の浸食が進めば,将来にはその漁場さえ失いかねません。一日も早く事業化を進め,海岸の浸食を食いとめていただきたいと考えます。  以上を踏まえ,鉾田海岸における突堤延伸と養浜による浸食対策についてどのように進めていくのか,土木部長にお伺いいたします。 19 ◯菊池委員長 渡辺土木部長。 20 ◯渡辺土木部長 お答えします。  鉾田海岸は,長大な砂浜が続く鹿島灘海岸の旧鉾田町部分に当たる延長約4.7キロメートルの海岸でございます。  鹿島灘海岸の浸食対策につきましては,浸食の著しい地区から順次事業を進め,砂の移動を抑制するヘッドランドの建設と養浜を組み合わせた工法により,砂浜の維持・回復を図ってまいりました。  鉾田海岸の浸食対策につきましては,平成20年度に,漁業組合の代表者を含めた地元関係者や有識者から成る委員会において御検討いただき,当海岸が海水浴場として利用されていることや,鹿島灘海浜公園と一体となったすぐれた景観を形成しているということから,鉾田海岸自体にはヘッドランドを建設することはせず,当海岸の両端にある2つのヘッドランドを延伸する対策が最適との結論をいただいております。  これを受け,関係する3つの漁業組合に対し,事業内容の説明を行ったところ,周辺海岸の浸食への影響について御意見をいただきました。  このため,平成21年度から平成22年度にかけて,当初計画では,海面に出ていた突堤を海面から潜った形状に見直しを行っております。  その後は,平成23年に東日本大震災が起きまして,津波が襲来し,さらには鹿島灘海岸全体が地盤沈下したことから,これらの影響について検証する必要が生じ,平成25年度から平成26年度にかけて検討を実施し,一部対策の変更を行いました。  現在,事業化に向けて,延伸して潜った突堤の対策案について,漁業等の関係者と協議を進めておりますが,まだ延伸する突堤に対する漁船やその他船舶への安全性の確保対策などについて御意見をいただいている状況にございます。  県といたしましては,一日も早く事業に着手できますよう,今後も地元鉾田市とも連携しながら,こういった方々の御理解,御協力が得られるよう協議を積極的に進めてまいりたいと思っています。 21 ◯本澤委員 説明はそのとおりだと思いますけれども,今,最後のできるだけ早くということなのだけれども,今後の計画はどうなっているのですか。 22 ◯渡辺土木部長 今,随時,協議しているのですけれども,いつから事業着手ということは,なかなかその段階までまだ調整は進んでおりませんけれども,とにかくこの計画を御理解いただけるよう,漁業組合,それから,保安庁も含めて,積極的にやっていきたいと思いますので,御理解,よろしくお願いします。 23 ◯本澤委員 だから,その理解をしていただくのに,どういう順序で協議をしようとしているのでしょうか。その日程は組まれているのですかということなので,あくまでも日程も組まないで,目標も立てないで,ただ話し合いますだけでは先へ進まないでしょう。その辺の日程を示していただけませんかということ。 24 ◯渡辺土木部長 しっかりと日程を組んで取り組んでいきたいと思いますので,よろしくお願いします。 25 ◯本澤委員 しっかりと組んでいただきたいと思います。あくまでも漁業関係者のほうでは,話し合いがあれば,それはわからなくはないよと。あくまでも言い分は言いますよと。ただし,それは大事なことだから,反対もしませんよという意見も言われています。ですから,どういう考え方でいくのかとか,地元の要望も余りないのかもしれませんけれども,私は,もう何年も前からつくる,つくると言っていることですから,しっかりとつくっていただいて,浸食されないような海岸,そして,砂浜が養浜できるような海岸をしっかりとつくっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  これでこの質問を終わります。  次に,鉾田川の沿岸整備についてお伺いします。  鉾田川は,鉾田市の市街地を流下し,最終的には巴川と合流して北浦に流れ込む県管理河川であります。  この鉾田川において,護岸整備が滞っている箇所があり,その未整備区間では川幅が狭隘な箇所等があるため,過去,豪雨の際,周辺道路等が浸水被害を受けた事例が散見されております。  未整備区間について具体的に申し上げますと,鉾田市中心部の郵便局や医療機関が所在する旭橋から宮川橋区間及び富士橋からふれあい橋区間であり,その周辺に暮らす住民にとっては,一日も早い未整備区間の護岸整備を期待しているところであります。  平成27年9月関東・東北豪雨による災害から約半年が経過したところでありますが,現在,継続的な豪雨などがいつ発生してもおかしくない状況にあります。そのような中で,私は,一日も早く鉾田川の未整備区間について護岸整備に着手していただきたいと考えております。  そこで,鉾田川における護岸の未整備区間の今後の整備の見通しについて,土木部長にお願いします。 26 ◯渡辺土木部長 鉾田川につきましては,平成3年の台風18号による浸水被害を契機といたしまして,平成4年度から平成21年度まで,特定河川緊急整備事業などを活用しまして,新七瀬橋から鉾田橋までの約620メートル区間において事業を実施しましたが,このうち,宮川橋から旭橋までの約100メートル区間については,用地の協力がいただけなかったことから,事業が未実施のまま現在も残った状況になっております。  平成25年10月の台風26号による出水において,内水による泥冠水等の浸水被害が発生し,地元からも強い要望が寄せられましたことから,この未実施の約100メートル区間と,それに加え,さらに上流の鉾田橋から富士橋区間も含め事業化すべく,県では,平成27年度,今年度ですけれども,巴川の合流点から富士橋までの約1,600メートル区間について測量を実施しているところであり,これらの作業が終了した後には,整備手法の検討に入ることとしております。  鉾田川は市街地を流れており,鉾田市や沿川住民と合意形成を図る必要があることから,今後はこういった方々からの意見を十分に伺いながら整備手法の検討を進め,早期の事業化に向けて努力をしてまいりたいと考えております。 27 ◯本澤委員 では,よろしくお願いします。  では,次の質問に入ります。  次に,北浦における湖岸植生帯の整備についてお伺いします。
     まず,北浦北部の湖岸植生帯の整備推進についてです。  私の地元鉾田市の南部に位置する北浦は,湖の全域を見渡すと,コンクリート構造物である護岸も多く,湖岸植生や砂浜などが減少していることから,水質浄化にも役立つ湖岸の植生帯の保全や再生が課題となっているところであります。  一方で,鉾田市に接する北浦北部には,周辺に湿地帯や水田が広がり,水鳥や渡り鳥がたくさん飛来し,中には希少種であるカンムリカイツブリなどの野鳥の繁殖が確認されるなど,貴重な水辺が残されております。  昨年5月に涸沼がラムサール条約に登録されたことを契機に,私は,北浦北部付近に湖岸植生帯の整備を進め,北浦湖岸の自然の豊かさを感じることのできる憩いの場を設けていくべきではないかと考えております。  そのような人と自然が触れ合う場を設けていくことにより,バードウオッチングや自然探索ツアーなど,人を呼び込む機会もふえ,ひいては地域振興につながっていくのではないかと考えます。  北浦の湖岸植生帯の整備は,管理者である国において実施するものでありますが,県としても直轄事業負担金を予算化し,支出している以上,地域の実情に応じた湖岸植生帯の整備の推進について国に働きかけていくべきであると考えます。  そこで,北浦北部付近の湖岸植生帯の整備推進について,国に働きかけていくべきであると考えますが,土木部長の所見をお伺いします。 28 ◯渡辺土木部長 霞ヶ浦の西浦,北浦の湖岸植生帯につきましては,昭和47年から平成9年までの25年間の調査で,藻類などの水中に生息する植物がほぼ消滅し,また,アシやヨシなどの一部が水面に出ている植物の植生面数が4割以上減少するなど,大幅に減退してきております。  このため,国では,平成13年度に,西浦,北浦の合計10カ所において植生帯の保存・再生を目的とした緊急保全対策を実施,さらに,平成19年度から平成25年度にかけては,西浦の田村地区の2カ所においても自然再生事業を実施してきております。  この西浦の事業では,植生帯の再生だけではなくて,人が水辺に安全に近づきやすく,憩いの場となるような遊歩道や階段,広場等の整備も取り入れられているところでございます。  また,これらの事業については,事業実施後,経年的にモニタリング調査が行われており,一定の効果が確認されていると国から聞いております。  西浦,北浦におきましては,これまでに御説明した自然再生事業のほかにも,しゅんせつや湖内に流入する支川の自然浄化施設の整備等の水質浄化事業など,さまざまな環境対策事業が国により実施されてきております。  国による環境対策は今後も続けられると聞いておりますので,県としては,その中で植生帯の再生や憩いの場の整備等をどのように取り組んでいただくかについて,今,委員からも御提案いただきましたので,国と意見交換・調整を積極的に行ってまいりたいと考えております。 29 ◯本澤委員 ありがとうございます。  時間もないものですから,最後の質問に入らせていただきます。  最後に,北浦試験浚渫の活用についてです。  鉾田市の札付近において,現在,国の北浦試験浚渫が施工されております。この工事は,北浦湖底の泥を浚渫船で吸い上げ,パイプで脱水プラントまで運び,脱水処理した泥を資材として北浦の湖岸に戻し,湖岸を造成する水質浄化試験であります。  この際に,資材となる脱水処理後の泥は,水質悪化の原因となるリンや窒素が溶け出さないように薬品処理されており,造成された湖岸はやがて植生帯になると伺っております。  この工事は,北浦の水質浄化を目的として行っている試験的な取り組みでありますが,結果として,北浦の湖岸に植生帯が再生されることになりますので,私は,先ほど申し上げました北浦北部の湖岸植生帯の整備の一環として活用すべきであると考えております。  そして,北浦北部には,この工事により,岸辺を造成していくことを国に働きかけていくべきであると考えております。  試験的な取り組みなので規模は小さいと思いますが,植生帯が再生すれば,多様な動植物が生息することになり,あわせて北浦の水質浄化につながっていくことになります。  そこで,北浦北部付近の湖岸植生帯の整備推進の一環として,北浦試験浚渫による水質浄化試験を活用すべきであると考えますが,土木部長にお伺いします。  先ほどと同じ質問が重なっているわけで,これからも部長の答弁で,しっかりと国と協議してやってくださるということでありますから,その辺を,本当に岸辺に戻せるように,この間,ちょっとお話を聞いたら,国のやっていることだから県はわかりませんよと答えた職員もいますけれども,しっかりと県がこうしてほしいのだという目的をはっきりとお願いをして,そして,しゅんせつがきちんとできて,岸辺ができるという環境づくりが大切ではないのかなと思っております。  今後とも,しっかりと国のほうにしゅんせつ事業をやっていただいて,そして,浄化していくことをお願いしたいと思いますが,最後の答弁でお願いします。 30 ◯渡辺土木部長 北浦の水質浄化試験は,今,委員のほうから御紹介ありましたとおり,国で実施しております。  今後,国では,これまで行ってきた水質浄化試験の効果などを検証した上で,今後どのような水質浄化の取り組みを行っていくか検討していくというふうに聞いておりますので,そういった国による検討の中で,ちゃんと県としましても,今いただいた御意見もしっかりと伝えまして,国と意見交換や調整などを行ってまいりたいと思っています。 31 ◯本澤委員 では,私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。 32 ◯菊池委員長 次に,長谷川修平委員。 33 ◯長谷川(修)委員 民主党県議団の長谷川修平でございます。  代表質問で取り上げられなかったこと,さらには,代表質問をさらに進化させること,そういう内容で今から質問をさせていただきます。  知事,教育長には,代表質問に続きまして,引き続きよろしくお願いを申し上げます。  今回の予算,補正予算と本予算を含めて,私は気配りのきいた予算だというふうに思っております。  そういう予算ができたというのも,財政健全化が進んだ,財政健全化に一定のめどが立ったからだというふうに思っておりまして,例えば,それがプライマリーバランスの黒字化や県債発行残高の年度末の縮減,それにあらわれているというふうに思っております。  知事初め執行部の皆様方には,大変な御努力の中でここまで持ってこられたというふうに思っておりますけれども,引き続き,世の中の情勢等を考えてみますと,予断を許さない状況でございまして,緊張感を持って財政運営をやっていただきたいということをお願いを申し上げます。  我々議会側も一生懸命努力をさせていただきました。調査等特別委員会をつくらせていただいたり,いろいろな面での議論をさせていただいて,そして,かなり一生懸命やらせていただいたというふうに思いますけれども,知事初め執行部の皆さん方の中でも,私が記憶に残っておりますのは,今も中央で活躍しておられます例えば末宗さん,さらには,政治家として転身された上月さん,印象に残っておりますけれども,本当に皆さん方が一生懸命やっていただいた,そのおかげでここまで来られたというふうに思っておりまして,引き続き,財政運営については御努力をお願いを申し上げます。  さて,財政健全化についてある程度めどがついてきた。そういう中で,私は,代表質問の際に知事に質問したときに,知事からの答弁では,歳出面といたしまして,社会保障関係費の増加,退職手当の高どまり,公共施設等の老朽化への対応,こういうことを課題としてお述べになっておられました。それを見据えた財政運営というのが,当然,求められてくるわけでございますけれども,ここまでの財政健全化が図られたということにつきましては,私は,職員数の適正化を図って人件費を抑制してきたこと,それと,事務事業を徹底して見直しをして,行政改革を一生懸命やってこられたこと,そのおかげだというふうに思っております。  知事には,代表質問の答弁の中で,今後の財政運営に関して取り組むものとして,真っ先に知事は人件費の抑制を挙げておられました。では,これから実施するに当たっては,今述べました行政改革と人件費抑制,そのバランスをきちんととっていくことがこの財政健全化にめどがついてきたときには必要ではないかというふうに思います。  では,ここで,まず,最初に知事に伺います。  今後,具体的に人件費の抑制の対策をどういうふうにして行おうとしているのか,御所見を伺います。 34 ◯菊池委員長 長谷川修平委員の質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。 35 ◯橋本知事 長谷川修平委員の御質問にお答えいたします。  今後の人件費の抑制対策についてお尋ねをいただきました。  県では,これまで,バブル経済の崩壊,三位一体の改革による地方交付税の大幅な削減,リーマンショックなどによる危機的な財政状況に対応するため,職員数の適正化や給与制度の見直しなどを進めることにより,人件費総額の抑制に取り組んできたところであります。  その結果,本県の財政状況は,一時の危機的状況に比べると,回復の兆しが見え始めておりますが,新興国経済の減速や原油価格下落の影響などにより,株式相場に不安定な動きが見られるなど,県税収入の先行きは不透明な状況にございます。  また,歳出面では,社会保障関係費の増加や退職手当の高どまりに加え,公共施設等の老朽化対策などの財政負担も見込まれ,本県財政は予断を許さない状況が続いているものと認識しております。  さらに,職員数の削減率が地方交付税額の算定に反映される仕組みなどもありまして,そうしたことへも対応せざるを得ない状況がございます。  委員からは,財政健全化についてはめどがついてきたというお話がありましたが,なかなかそういう感じを持つまでには至っておりませんで,今後とも組織の簡素化や事務事業の見直しを着実に実施しますとともに,職員数の適正化などに取り組んでいく必要があると考えております。  一方,本県では,委員御指摘のとおり,行政改革と人件費抑制のバランスなども考えながら,職員数を相当数削減してきておりますが,今後は,これまでのような大幅な削減は困難な状況にあるのではないかなと思っております。  こういった傾向につきましては,ほかの県でも同様のものが見られるところであります。  加えて,今後は,複雑かつ多様化する行政ニーズに的確に対応していくため,職員が意欲を持って仕事に取り組める職場環境をつくっていく必要もございます。  このため,職員数の削減など,今後の具体的な人件費抑制対策につきましては,こうしたさまざまな事情を総合的に勘案しながら,来年度までを期間とする行財政改革大綱にかわる新たな大綱の策定の中で検討してまいりたいと考えております。 36 ◯長谷川(修)委員 御答弁ありがとうございました。  まだまだ財政運営については厳しい認識を持っておられるということにつきましては,私も同じような思いでございます。  引き続きまして,そのようにして気を引き締めて,緊張感を持ってやっていただくということが重要でしょうけれども,知事が今おっしゃったように,皆さん方のやる気を引き出していくためにどういうふうな施策を持っていくかということがさらに重要になってくるだろうと思います。  実は,知事が就任されました平成5年,そして,直近ということを代表質問でもいろいろ申し上げさせていただきました。例えば,県民所得については,私と知事の意見は合わないということがはっきりいたしました。そういう面としては,それは知事のお考え,それについて,これからも私は知事初め執行部の皆さん方と県民所得の考え方等についてはさらに議論を深めていかなければならないというふうに考えております。  一方では,職員数のことについても代表質問では言及させていただきました。一般行政部門で6,791人から4,752人,2,039人減少して,教育や警察部門を含めると4,030人減少している。大変な数が減少している。  ただ,人件費総額を見てみますと,平成5年と直近では3,143億円から3,148億円と5億円上がっているということでございます。  要は,人員の適正化をきちんと行ってこなければ,これは大変な財政状況になっていたというふうなことがわかるわけでございまして,そういう面では大変な御努力をしていただいたろうというふうに考えています。  では,その正規の職員の方がこれだけ大幅に減っていっている。一方として,県に対する行政ニーズというのはどんどん高まっていっている。これは,今,知事もおっしゃったとおり。そういう中で,非正規の皆さん方の雇用というのは,現在,1,284人あるそうです。毎年毎年,職員数に占める割合,これは正規職員が減っている,そして,非正規の皆さん方がふえているというわけですから,割合がふえているというわけでございます。  そこで,知事,正規の職員の皆さん方が何人いて,そして,非正規の皆さん方が何人いて,私はそのバランスをとって,そして,ベストミックス,一番いいところ,最適化というのを探っていく必要があると思います。そういうことがこれから県政運営にかかわっていくという中においては大事な大事な要素だというふうに思っています。それがやる気を引き出すということにもつながっていくと思いますけれども,知事,御所見を伺います。 37 ◯橋本知事 非正規職員と正規職員のベストミックスということでございます。  その前に,実は,なぜ給与の総額が下がっていないかということでありますけれども,これにつきましては,職員全体として見ますと,警察部門,公営企業等もございまして,3万7,823人が,現在,3万3,793人で,トータルで4,030人減っておりまして,1割ちょっとでございます。  一方で,実は,職員の平均年齢が上昇しておりまして,1人当たりの給与というものがかなり大きくなってきております。そういったこともありまして現在の状況になっておりますことについて御理解をいただきたいと思います。  そういう状況の中での今後の方法でございますけれども,職員数の削減に当たりましては,まず,組織の簡素化や事務の合理化・効率化を基本として,組織の再編・統合に取り組むこととあわせ,民間委託の推進や市町村への権限移譲等を行うことにより,仕事量などを算定した上で進めているところであります。  その際には,行政需要がより高度化・専門化する中で,民間のノウハウ等が必要な業務や,仕事量が一定期間急激に増加する業務などについて非常勤職員等を活用したほうがより効果的ではないかといった視点も含めて,職員数の見直しを進めてきているところであります。  また,近年では,国の緊急雇用対策事業等を活用してきたこともあり,非常勤職員等が増加をしております。  委員御指摘のベストミックスということでございますけれども,非常勤職員等の活用は業務内容ごとに検討しており,また,行政需要の変化や多様な働き方への対応など,時代背景とともにその活用方法が変化しておりますことから,具体的な割合を示すことは難しいものと考えておりますし,今お示ししても,多分,時代が変わっていけば,当然,変更せざるを得なくなってくると思っております。  県といたしましては,今後とも,非常勤職員等を含め,業務内容等に応じた最適な組み合わせによる機能的な体制構築を図り,引き続き,効率的な行政運営に努めてまいりたいと考えております。 38 ◯長谷川(修)委員 今回の春闘で,相場とかいろいろ言われておりますけれども,ある面では,官,民というふうなことがあって,いわゆる官主導の春闘もそろそろ終わりだというふうな報道もございますが,春闘の中で非正規の皆さん方に手厚く処遇をしたということが,今回の春闘の,今のところまだ大手しか終わっておりませんけれども,特徴だというふうに思っています。  要は,正規の職員の皆さん方の適正化を図っていかなければならない。これは一緒だというふうに思います。ただ,行政需要がいろいろふえていく。あとは専門分野等もある。ですから,非正規の皆さん方もある程度やっていかなければならない。  その非正規の皆さん方に対しては,私も代表質問で知事に答弁を求めましたけれども,給与,それから,休暇,これについては言及をしていただきました。それはこれからも改善されていくのだろう,知事はそちらのほうも一生懸命やっていくのだろうというふうな私は認識を持ちましたけれども,一番の課題というのは雇用期間なのですよね。1年ごとにやっていくということでございまして,もうちょっと働きたいなと思いながらもそういうことができない。それが非正規の皆さん方のやる気,非正規の皆さん方のモチベーションに影響してくるわけであります。  したがいまして,雇用期間ということをもっと長く勤めたい,または,1年以降も安定して勤めたい,その切実な思い,そういうものに応えていくべきだというふうに思いますけれども,知事のお考えを伺います。 39 ◯橋本知事 非正規職員の雇用期間について御質問をいただいたところでありますけれども,まず,臨時職員については,地方公務員法第22条において最長1年と規定をされているところであります。そして,委員も御承知のとおり,フルタイムの臨時的任用を繰り返すことにより,事実上,任期の定めのない常勤職員と同様の勤務形態をとってしまうことについては避けるべきだということが組合等からも厳しく言われてまいりました。  そういったこともあって,国からの通知においては,1年を限度としてしっかりと守っていくようにということもございますので,本県におきましても,1年を限度として雇用を認めているところであります。したがいまして,これにつきましては,国の制度を直していかないとなかなか難しいのかなと思っております。  一方,非常勤嘱託員につきましては,法律上,任期に関する明文の規定はありませんが,国からの通知において,臨時の職はおおむね1年以内の存続期間を有するものとされていること,また,毎年度の予算で職の設置について査定され,定員管理上も条例で定める定数外であること等から,任期については原則1年以内と考えられるとの指導がされているところであります。  なお,本県におきましては,業務の必要性について,毎年,見直しを行っておりますことから,会計年度ごとの雇用期間を設けてはおりますが,必要に応じ,最長5年までの更新を認めているところであります。  また,婦人相談員や登記事務嘱託員など専門的な知識・経験が必要とされる場合や,河川巡視員など特定の地域に住む者を雇用する必要がある場合などについては,5年を超えて雇用することを可能としているところであります。  委員からお話がございましたように,国におきましても,今,働き方改革に大分力を入れているところでありますので,私どもとしても,非正規職員の処遇の改善に努めてまいりたいと考えております。 40 ◯長谷川(修)委員 ありがとうございました。  近県のいろいろな状況を見ても,1年できっちり区切るところ,そして,それは原則だけれども,ずっと運用上,それをうまくやってカバーしているところとか,いろいろございます。  正規の皆さん方も一生懸命やっておられる。ただ,非正規の皆さん方がやる気というものを持って,これからも一生懸命県政運営という中で,チーム橋本としてそれができるように,知事も全国知事会でそれなりの役割を担っておられるわけですから,そういう場も利用して要望を国へしていただきたいというふうに思います。  では,財政運営上の課題については,以上で終わります。  引き続き,知事には,県政運営についての県北振興ということで伺ってまいります。  先ほど言いましたように,財政健全化については一息ついたということでございますけれども,そういう中で,今回,補正予算の中で,例えば,がん,さらには文化振興,さらには国体,そして公共施設の長寿命化,さらには県債管理基金ということで基金を積み立てられました。これは,今回の補正予算の中で,または今回の予算の中で私は大きな特徴だというふうに思っていまして,これも財政健全化が一定程度めどがついたからだというふうに思います。  県政の重要課題,何か足りないなと。私は県北振興ということを一生懸命言わせていただいているのですけれども,目的ごとに基金を積み立てられた。これはわかるのですが,では,県北振興について基金というのがなくてはならないのではないかなというふうに思いました。  グリーンふるさと振興機構が今年度解散をする。県北にとっては重大な局面になっています。そして,新たな局面を,今度,県北振興は迎えるというふうになっております。  そして,私は,県北振興については,今回の質問でも,医療体制の充実が最も必要だよと,医療体制の充実が重要だよというふうなことを申し上げました。医療体制の充実については,知事にも大変な御支援をいただいているところでございます。それは代表質問のところで申し上げたとおりでございます。  さらには,代表質問の中で県北芸術祭が出てまいりました。県北芸術祭についても,知事は知事らしく,30万人というふうなことでおっしゃいましたけれども,もうちょっと大風呂敷を広げてもいいと思うのですよね。プロパガンダといいますか,そういう効果,おおっとみんなが驚くようなのが私は効果が大きいなというふうに思いました。  そして,もう一つ,今回ぽっきりではないのでしょうと,今回だけではなくてこれからも続けていくのでしょう,3年に一遍ぐらいはという質問に,それについてはちょっと様子を見たいという御答弁でございました。  そうすると,行こうかな,それから,わくわく期待するということはどうしても起きないのではないかなというふうに思いました。知事らしいといえば知事らしいのですけれども,そうではなくて,もっと派手にぶち上げてもいいのではないかなというふうに思いましたけれども,そこで,では,何でそういうふうにさせているのだということは,医療体制の充実にしても,県北芸術祭にしても,やっぱりお金の問題があるのだなということを私は思っております。  私は,よく,知事に対して,知事は余りお聞きになりたくないのかもわかりませんけれども,政治家や行政マンとかというふうな話をいつもさせていただいておりますけれども,今回の県北振興という中においては,基金ということ,その創設を含めて私は取り組んでもらいたい,やってもらいたい,県北振興をやってもらいたいというふうに考えておりますけれども,知事のお考えを伺います。 41 ◯橋本知事 私も,県北振興ということは大変大きな課題であると思っておりますし,そのため,定住人口の確保,交流人口の拡大,生活環境基盤の充実を基本に,さまざまな施策を積極的に展開してきているつもりでございます。  また,新しい県総合計画におきましても,今後5年間,分野横断的に取り組む重点プロジェクトの一つとして魅力あふれる県北地域創造プロジェクトを盛り込んでいるところであり,今後,地元市町や関係団体等と一体となって,県北地域の振興のためにさまざまな施策を積極的に推進してまいりたいと思っております。  それから,先ほど,30万人というのが少ないのではないかというお話もございましたが,これは越後妻有がスタートしたとき16万人でございました。そういったもの等を見ると倍ということでありますので,御理解をいただければと思っておりますし,また,今後どうするのかということにつきましては,今回の事業につきましては,地方創生交付金という制度ができたものですから,発案したという面もありますので,地方創生交付金制度がなくなったときにどういうふうにしていくかということも含めて,これから県北芸術祭が成功裏に終わるように努力することはもちろんでありますけれども,その上で今回の成果や課題などを踏まえて判断していきたいということを申し上げているところでございます。  そして,中身につきましては,今,南條史生さんという東京の森美術館の館長さんを総合ディレクターにお迎えして,例えば,チームラボといった形で,かなり有名なメンバーなどもお願いをしておるところでございますので,評判を呼ぶように我々としても頑張っていきたいと思っておりますが,委員におかれましても,ぜひ周りにPRをしていただけたら大変ありがたいと思っております。  それから,医療体制の問題でございますけれども,医療体制は,これはお金の問題ではございません。医療につきましては,我々,お金は幾らでも出すと言っております。しかし,今の新しい研修制度のもとで,なかなか若手の方たちが卒業した学校の意向どおりには動いてくれないといったこともございまして,委員も御承知のとおり,例えば,日立総合病院における産科医の確保に幾ら苦労したか御存じだと思います。私自身も,向こうの教授,あるいはまた,直接こちらへ来られた方々と何度も意見を交わしながら,やっと今の状況を維持しているわけでございますので,その苦労ということについては御理解をしっかりしていただけたらと思っております。  それから,基金を設けたらということでございますけれども,もともと,グリーンふるさと振興機構も,県や市町村,民間企業等の出捐により,基本財産約10億円,そのうち7億円は県でございますけれども,それを原資に昭和60年に設立されたものでございます。しかしながら,平成22年度の県出資団体等調査特別委員会で,県北地域振興の活動主体は,本来,市町であることが望ましく,圏域市町への機能移管により,機構を発展的に廃止されるべきとの提言などを踏まえて,今年度をもって解散することとしているところでございます。  そのため,近年は,この基本財産10億円を取り崩しながらさまざまな事業に取り組んでおりまして,例えば,平成26年,平成27年も,毎年度約2億円を取り崩しながら事業をやっております。
     ただ,その中で,それでは起死回生のような施策が各市町村から出てきているかということになりますと,なかなかそれはそうも言いきれない状況にございますので,我々県と市町村が一緒になって,これからさらに県北を振興するためにどうすればいいか,その基金をつくるだけでは,今までの経緯などを踏まえますと,それで物事が解決するといったものでもないのだろうと思っておりまして,毎年度の予算編成の中で最優先に財源を確保して,県北振興のために努力をしてまいりたいと考えております。 42 ◯長谷川(修)委員 ありがとうございました。  県北振興に対する思いは一緒だというふうに思います。  ただ,そこでいつもお金の話が出てくるというわけでございまして,県と市町村と連携をとってやっていただきたい。そのためには,今回の県北芸術祭,何としても成功させて,そして,やってよかったと言われるようなものにしなくてはならない。どうぞ市町村へのみんなの波及,それが大きく大きく広がるように,知事も引き続きまして御努力をお願いしたいとともに,日立市を初めとする県北の医療につきましては,引き続き,御支援,御協力をお願いをしたいというふうに思います。  では,次は,今度は教育長に対しまして質問をさせていただきます。  今,知事が,県北の医療という中で,お金の問題ではないというふうにおっしゃいました。それはそのとおりだというふうに思っております。  医者の確保という面では,本当に県庁一丸となって御努力をしていただいていますけれども,そういう中で,教育の中で考えますと,日立一高に中高一貫をつくっていただいた。それは,ある面では,医者を何とか地元の高校からつくりたいという思いでつくられたというふうな話を伺っています。  一方では,これから平成30年に高萩高校をフレックススクールにするというふうな話もございます。  フレックススクールについては,県北でも1校ということでございまして,そういう中で必要だということで設置をされるというわけでございます。そういう中では,教育長もいろいろな努力をされながら,そのような決定に至っているというふうに思います。  一方では,私が代表質問の中で,日立二高に医療系の学科をつくったらどうだというふうな提案もさせていただきました。  もう一つ,私は,日立工業高校を中心にして,デュアルシステム,これについては一生懸命やらせていただいて,そして,教育長を初め皆さん方にも一生懸命その期待にお応えをいただいているところでございます。  県北振興という中において,その特色ある教育という中において,例えば,日立一高の中高一貫などは地元に対してものすごいインパクトを持って,今,迎えられております。そういう面では教育というのも大事な要素になってきているというふうに考えますけれども,県北地域に求められている特色ある教育,これは,教育長,どのように考えておられますか。 43 ◯菊池委員長 小野寺教育長。 44 ◯小野寺教育長 お答えいたします。  県北振興といった観点から,特色ある教育を考える上での重要な視点の一つは,私は,地域との連携,地域とのつながり,そういうことにあるのかなというふうに考えております。  学校は,もともと,地域の拠点としての存在意義をこれまでも有してきたわけでありますが,近年,急速に人口減少が進み,また,地方創生が叫ばれる中で,特に条件が厳しい県北地域におきましては,学校が地域コミュニティの中心的役割を果たしながら,地域の維持・発展に寄与していくことが強く求められているものと考えております。  各学校が地域の自治体や企業,団体などとのつながりを強化しながら,地域とともに歩む教育活動を展開していくことが何より重要と考えております。  そうした点での一つの模範的な事例として,今,委員が挙げられました日立工業でのデュアルシステムが挙げられると思います。平成16年度から,毎年度,地域の商工会議所や地元の企業との協力のもとで,また,委員からも応援をいただきながら,ずっと充実した職業教育を実施してまいりました。  結果的に,これまで延べで202名の生徒がデュアルシステムによる企業実習を体験いたしまして,そのうち14名が実習先にそのまま就職できているという実態もございます。  また,それ以外の生徒もほとんどが地元の企業に就職し,中には,デュアルシステムを経験した卒業生が,後輩である高校生の指導をするといった頼もしい成果も出てきておりまして,今後もさらなる取り組みの充実を図ってまいりたいと思います。  一方で,昨年12月に発表いたしました第2次の県立高校再編整備の後期計画におきまして,県北地域では,委員御紹介がございましたフレックススクールを高萩高校に設置するといったことのほかにも,統合いたします太田二高と佐竹高校,あるいは,学科改編をする大子清流高校などにおきましても,今後,地域に根差した特色ある取り組みを進めたいと思っております。  具体的には,太田二高と佐竹高校の統合による新校におきましては,高齢化や子育て支援等について学ぶコース,あるいは観光や地域ビジネス等について学ぶコース。 45 ◯長谷川(修)委員 教育長,もうちょっと簡潔にお願いしていいですか。もう11分しかないから。 46 ◯小野寺教育長 わかりました。  さまざまな地域に根差したコースを設置しまして,地域を学ぶ学習を通じて,地域の人材を育成してまいりたいというふうに考えております。  なお,委員の御指摘がございました日立二高の看護関係学科につきましては,今後,生徒や地域のニーズを見きわめまして,これからの県立学校の再編整備計画の中で検討してまいりたいというふうに考えております。  県といたしましては,学校が,今後,地域との連携をさらに密にいたしまして,県北地域における課題を踏まえながら,地域振興に貢献できるよう,特色ある教育に努めてまいります。 47 ◯長谷川(修)委員 教育長,時間がないので,簡潔に答弁していただいて。  予算特別委員会って,往復の論議ができるというのがいいところでありまして,一方的に答弁されると時間がなくなってしまいますので,お願いをいたします。  県北振興については,今申し上げましたとおり,教育というのは,最近,大変注目を浴びるというわけでございまして,教育本来の目的も大事でございますけれども,地域振興という中でも地元に大変期待をされるというわけでございます。  引き続きまして,県北振興に向けての高校,さらには教育という面で御尽力をお願いしたいと思います。  では,次に移ります。  教育行政について伺います。  まず,早ければ,参議院選から18歳以上に選挙権年齢が引き下げられます。そして,今回は議会の傍聴もいただいていて,そして,議会の傍聴をしている生徒さんを見ると,一生懸命聞かれる方もいらっしゃいますし,余りそうでもない方もいらっしゃるというわけですけれども,自分が高校生のころを考えてみると,それも理解できるところがあります。我々も,一生懸命,高校生の皆さん方にわかるような,理解できるような,そういう議会活動に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。  引き続き,教育長には,一生懸命,これについては取り組んでいただきたいということでございます。  ところで,私,今回の18歳以上に選挙権年齢を引き下げるということで,教育界が過剰反応をすることがないのではないかと,場合によってはあるのではないかというふうな話がちょっと心配になっております。例えば,ことしの県立高校の卒業式,去年まで政治家が挨拶していた。それをことしになって政治家の挨拶をやめた,そういう事例はありますか。 48 ◯小野寺教育長 お答えいたします。  この3月に行われました県立高校等の卒業式におきましては,昨年度よりも2校多い46校で議員の方の挨拶をいただきました。  中身を見ますと,このうち,昨年度挨拶がなかった学校で,今年度挨拶をいただいたのが10校であります。逆に,昨年度は挨拶をいただいた学校で,今年度は挨拶がなかったのは8校となっています。  これらの増減につきましては,基本的には,議員の方々の当日の都合により御欠席になった,御出席になったというケースがほとんどでありますが,中には,今回の選挙権年齢引き下げを機に,事前に学校長が議員の方と協議をし,これまでどおり挨拶を行うかどうか十分に話し合った末に挨拶をなくしたという学校も2校ございました。 49 ◯長谷川(修)委員 8校,去年から比べてなくなったということについては,私が懸念している過剰反応ということはないのですか。教育長からそういう指示は出しておられるのですか。 50 ◯小野寺教育長 これについては,過剰反応ということはございません。  ことしの場合には,18歳選挙権への対応ということもありまして,学校側からどうすべきかという相談はありました。その際,我々としましては,選挙管理委員会などとも協議いたしまして,全く問題がないということを確認いたしましたので,従来どおりの対応で問題ない旨を学校に伝えてあるところでございます。 51 ◯長谷川(修)委員 では,次は,各紙がいろいろ報じておりますけれども,マスコミが報じておりますけれども,要は,高校生の集会への参加,これを届出するのかどうか。茨城県の対応が各紙によって分かれているような印象を私は受けました。茨城県の対応としては,集会への高校生の参加というのはどうするのだということをはっきりこの場で教育長に見解を求めたいと思います。 52 ◯小野寺教育長 この件についてはさまざまな議論があって,全国的にも新聞等で報道されておりますけれども,私どもの本県といたしましては,今回の選挙権年齢引き下げの趣旨を踏まえ,また,生徒の自主性を尊重する視点から,学校への届出は原則不要とするということにいたしておりまして,その旨の通知を,先般,学校に通知いたしました。  ただし,校長が,学校の教育目的の達成などの観点から,日常の学習活動への支障がある場合など,必要かつ合理的な範囲内で制約することが適当と判断する場合には,事前に活動内容等を届けさせる余地も残しております。  その際の留意点といたしまして,届出をした者の個人的な政治的信条の是非を問うようなものにならないよう配慮することをあわせて通知しております。 53 ◯長谷川(修)委員 選挙権を与える,選挙権を得るということはどういうことかというふうなことを高校生の皆さん方にはわかってもらわなくてはならない。  そして,これはいろいろな試行錯誤があるかもしれませんけれども,それをいろいろ経ながら民主主義というのはできていくというふうに思っていまして,教育長には,くれぐれも,現場というものが過剰反応をすることがなきにしもあらずでございますので,そこのところはきちんと指導をしてもらいたいというふうに思います。  あと,教科書の問題につきましては,これは質問をしようと思いましたけれども,もう時間がありませんので,引き続きまして,これは代表質問で述べさせて,党に要望させていただきますけれども,要は,教科書の問題については,先生方の物事の考え方,それをどういうふうにして周りの人が見ているかということをよく注意しなくてはならない。私は,一生懸命,先生はふやさなければならない,少人数教育は必要だとずっと言ってきましたよ。ただ,一方,国のほうでは,財務省と文部科学省と,財務省みたいな意見もある。そういう中で,先生はやっぱり必要なのだ,ふやしていかなければならないのだということは,襟をちゃんと正して,教科書の採択に関係ないからいいよというのではなくて,襟を正してやっていかなければなりませんよね。  私は教育長を信頼しています。誠実で一生懸命やっていただく。そういう思いをぜひとも全部現場に伝えていただいて,やっていただければと思います。頑張ってください。  では,教育問題については,以上です。  次は,最後に,出会いサポートセンターの件について,知事に伺います。  出会いサポートセンターは労福協がやっていまして,そして,10年前,平成18年から県が一緒にやって,今,大変な大変な事業に育っております。  会員が1万人を超える。そして,1,500組成婚数が成るということでございまして,これは,いっとき心配された,要は,そこまで踏み込んでいいのかというふうなことがありましたけれども,知事が大変な決断をされて,そして,ここまで持ってこられたというふうに思っています。  1,500組成婚数が超えたということでございますので,要は,その記念,そのお祝い,そういうイベントをやったほうがいいと思うのです。そのイベントというのは,できるだけ外ではなくて,マリッジサポーターとか職員の皆さん方が,よーし,これからも頑張るぞというふうなものになるようなイベントをやったほうがいいと思うのです。  そして,あと,これからの運営ということを考えてみますと,今は国からお金が出ていますから,それでいいのですが,その国からのお金がなくなってくると,私はなかなか大変になってくるだろうと。ですから,今の1万500円の会費,それを値上げする必要もあるのではないかな。その値上げができないのであれば,それなりの財政措置をきちんとしていかなければならないのではないかな。  今は,例えば,愛媛県のように,後から追いかけてきた県も一生懸命やっているというふうに伺っています。先進県としての事業として,私は知事は自負を持っておられるというふうに思います。  ぜひともこの件につきましては,職員の皆さん方やマリッジサポーターの皆さん方がさらに一生懸命頑張るぞと,さらに一生懸命やるぞという意気込みにあふれる,そういうふうな答弁を知事にお願いをします。  知事,答弁をお願いします。 54 ◯橋本知事 今,委員からお話ございましたように,いばらき出会いサポートセンターは労福協がやっていたのですけれども,なかなかうまくいかない,会員確保などの問題があるということで,県も一緒になってスタートしたものでございます。  この10年間,成功したほうかなと思っておりますが,この10年間の歩みを記念いたしまして,これから,この7月に,水戸市において全国に向けたイベントの開催を企画しておるところでございますし,現在,著名人による基調講演や有識者によるパネルディスカッション,全国の結婚支援者を集めた連携会議など,内容の検討を進めているところでありまして,このイベントを認知度向上のための好機とし,積極的にPRに努めてまいりたいと思っております。  また,職員のモチベーションの向上ということにつきましては,マリッジサポーターについても,例えば,成婚をした場合には記念品をあげるとか,いろいろなことを考えているところでございます。  それから,運営についてのお話がございましたけれども,大変厳しいのは御指摘のとおりでございまして,交付金が,今後どうなるかわかりませんけれども,もし切れたときにどうするのだという御心配はもっともなことでございますので,私どもといたしましても,これから,いろいろな形で企業訪問などを行って,賛助金や広告料などの募集を行ってまいりたいと思っております。  また,入会登録料の値上げにつきましては,出会いサポートセンターが今大変人気がありますのは,入会登録料が安いことが多くの方々に入会していただいている大きな要因でありますので,そのことがセンターの本来の目的である出会いの可能性を高めるためにも最も重要だと考えておりますので,現在の入会登録料を可能な限り維持していきたいと考えており,他県のセンターにおいても似たような金額となっておりますことから,当面は値上げは考えておりません。 55 ◯長谷川(修)委員 以上です。 56 ◯菊池委員長 暫時休憩いたします。  なお,再開時刻は,午後1時を予定しております。                 午前11時54分休憩      ───────────────────────────────                 午後0時59分開議 57 ◯菊池委員長 休憩前に引き続き委員会を再開し,質疑を続行いたします。  長谷川重幸委員。 58 ◯長谷川(重)委員 いばらき自民党の長谷川重幸でございます。  今般,予算特別委員会の一員として加わらせていただき,また,質問の機会を与えていただきましてありがとうございました。これも,先輩議員,同僚議員の配慮のおかげと,ありがたく感謝を申し上げます。  それでは,通告に従いまして,順次,質問させていただきますので,関係部長の明瞭なる御答弁をお願いしたいと思います。  最初に,北関東三県連携の取り組みについて,北関東三県海外展開プロモーション事業について,商工労働部長に伺います。  来年度の新規事業で,北関東三県海外展開プロモーション事業が始まると聞いております。  既に御案内のように,北関東3県は,地理的な点や,農業を中心とした産業構造,人口規模など大変類似をした特徴を持つ県同士であります。  このため,三県連携の本事業は,相互にとって大変意義のある取り組みになると,非常に期待をしているところでございます。  特に,本事業は,海外におけるアンテナショップを共同で出展することになるので,それぞれの県の特産物が海外でどのような反応を受けるのか研究をするなど,3県が切磋琢磨をしていける絶好の機会になるのではないのでしょうか。  そこで,この北関東三県海外展開プロモーション事業に対して,本県として期待する効果について,商工労働部長にお伺いをいたします。 59 ◯菊池委員長 長谷川重幸委員の質疑に対する答弁を求めます。  斎田商工労働部長。 60 ◯斎田商工労働部長 お答えいたします。  北関東三県海外展開プロモーション事業につきましては,3県が連携してベトナムにアンテナショップを設置いたしますとともに,販路拡大の専門家であります輸出拡大支援員を配置いたしまして,観光PRに加え,3県の輸出促進を図ろうとするものでございます。  この事業に対する県の期待する効果でございますが,まず,アンテナショップにおきましては,3県からそれぞれ魅力ある商品を持ち寄ることによりまして,より充実した品ぞろえが可能となりますので,ベトナムにおける3県の認知度やブランドを浸透させていくきっかけになるものと考えております。  また,アンテナショップにおきましては,委員から御指摘がありましたように,現地の消費者やバイヤーの方々がどのような商品に関心があるのか,また,どのような商品パッケージを好むのか,さらには,購入する価格帯はどのぐらいかといった点につきまして,より幅広い商品で反応を見ることができますので,その結果を商品開発などに反映させていくことが可能になると考えております。  さらに,各県が輸出拡大支援員を活用いたしまして,それぞれ取引先の開拓を行うこととしておりますが,その取引先や関係業者の情報,さらには,現地で流通している商品情報などを3県が共有することも可能となると考えております。  また,現地の取引先から一定の量や種類をそろえることを取り引きの条件とされた場合には,3県が共同して納入することで対応できるケースもあると考えられます。  そのほか,3県が連携してベトナムで販路開拓に取り組むことによりまして,商品提案の仕方ですとか,商談相手のフォローアップのやり方など,現地の商慣習について,3県が得たノウハウを共有して事業効果を高めることができるものと考えております。  こうした取り組みによりまして,3県の県産品の輸出が促進される効果が期待されますので,本事業が意義のある取り組みとなるよう,鋭意,努めてまいります。 61 ◯長谷川(重)委員 ありがとうございました。  ただいま,商工労働部長のほうから御答弁いただきました。  今回,ベトナムということなのですけれども,将来的に,3県合同で取り組むこのプロジェクトについては,今後,ほかの国にもそういった展開をしていく必要があるのではないかなと思いますけれども,そういった今後のほかの国での展開,そういった点についてどのようにお考えか,お聞きをしたいと思います。 62 ◯斎田商工労働部長 今回のベトナムでのまず成果を上げまして,そういったものを参考にして,これを布石といたしまして,ほかの地域や,あるいは,ほかの国でまた3県連携をいたしまして,今のこの輸出拡大,さらには観光の振興といった点について取り組んでまいりたいと考えております。 63 ◯長谷川(重)委員 ありがとうございます。  ただいまは東日本大震災の後の放射能の影響で,茨城県の商品が,農産物が入らない国もあるというふうに聞いておりますので,そういったものが解除されて,今後,有効な国があれば,そのような取り組みを進めていただきたいと思います。  さらに,この3県の取り組み,群馬県,栃木県,そういった2つの県を巻き込んだ国内外の観光客を誘客する広域な観光コースの造成,また,そういったものにかかわる情報や技術の共有化,そういったものについても,今後,展開の余地があるのではないかと思いますけれども,その点について,部長のほうから御答弁をお願いします。 64 ◯斎田商工労働部長 この事業にあわせまして,観光面での3県の連携でございますが,例えば,海外の旅行業者を日本に招聘しまして,モニターツアーなどで北関東3県をめぐってもらう。あるいは,今回のアンテナショップで,北関東3県の共同の地図,あるいはビデオやDVDでそれぞれの魅力ある観光地の紹介,そういったものを展開していきたいと考えております。
    65 ◯長谷川(重)委員 ありがとうございました。  この共同のプロジェクトにつきましては,最初の取り組みということで,今後いろいろな面で北関東3県が取り組むことによって,本県においてもいろいろなメリットが出てくるのではないかと思いますので,この事業については初年度ですので,しっかり取り組んでいただきたいと思います。  この項目については以上でございます。商工労働部長,ありがとうございました。  続きまして,農業振興策の共同研究について,農林水産部長にお伺いをいたします。  各県におきましては,近年の財源不足の中で,人材も研究予算も限られている。そういった中で,農業の分野においても,3県で有効に連携をとりながら,お互いに農業の振興を共同して取り組むべきというふうに私は考えております。  特に,農産物の輸出については,目的が明確なことから,3県が連携をとりやすい上に,相互に農産物の輸出における課題研究を分担し,需給調査,または鮮度を保つための輸送方法の研究,そういった共同研究を取り組みやすいというふうに思います。  今年度は,本県においては,農産物の輸出に係るCA貯蔵試験が行われたというふうに聞いております。今後もこうした実験や研究が一緒に行われるように取り組んでいっていただきたい,そのように考えております。  そこで,農業振興策の共同研究について,今後どのように3県で連携をとって取り組んでいくのか,農林水産部長にお伺いいたします。 66 ◯菊池委員長 鈴木農林水産部長。 67 ◯鈴木農林水産部長 お答えいたします。  まず,農産物等の輸出に関しましては,平成26年度から,3県の実務者レベルで協議を続けてまいりました。さらに,今年度からは,茨城県が実施しました農産物の鮮度保持実証試験に,栃木・群馬両県も加わったほか,群馬県が実施したシンガポールでの試験販売に本県と栃木県が参加するなどの連携を行ったところでございます。  今年度実施しました実証試験では,メロンや梨などはおおむね品質が保持されることが確認できましたが,一方で,混載した品目の一部にカビが発生するなどの課題が見られましたことから,来年度も,引き続き,国の研究機関,つくばの食品総合研究所でございますけれども,こちらと連携しまして,梱包方法や収穫後の保冷期間などを検証するとともに,実輸送試験を行ってまいりたいと考えております。  これらの取り組みに当たっても,引き続き,両県に連携を呼びかけてまいりますとともに,また,栃木・群馬各県が実施する事業にも,本県も積極的に参加してまいりたいと考えております。  また,輸出以外に関しましても,北関東3県は,御承知のように,気象条件や自然環境が類似しておりまして,梨やイチゴ,トマト,米など共通した品目が多く生産されておりますことから,これまでも,埼玉県を加えて,北関東4県で,4県の研究機関により定期的な技術開発などに関する会議を開催するなどの取り組みを行っているところでございます。  中でも,稲の縞葉枯病など,県境をまたいで発生する共通の病害虫対策におきましては,日ごろから積極的な情報交換を行っておりまして,対策技術の確立のための共同研究にも取り組んでいるところでございます。  ただ,品種開発など,各県の戦略により,なかなか連携が難しい分野もございますけれども,病害虫対策など共同で取り組むことにより,効率性などのメリットが享受できる分野におきましては,引き続き,今後とも積極的な連携を図ってまいりたいと考えております。 68 ◯長谷川(重)委員 ありがとうございました。  埼玉県も入れて4県でそういう開発の研究会議等も開いているということで,非常に積極的に取り組まれていることが今の答弁でよくわかりました。  さっきの輸出の手続の問題なのですけれども,聞くところによりますと,輸出の手続では,植物の検疫の問題,また,輸出の証明書ですか,あと爆発物の検査というような,輸出においてはこの3つの手続があるように伺っています。  なおかつ,この手続については,5日間ぐらい検査がかかるというふうに伺っていますけれども,今後,船でCA等の貯蔵コンテナなどを使って,いろいろな鮮度保持はしていくと思いますけれども,この手続の期間をいかに短くするか,そういった問題もこれから取り組まなければならない問題ではないかなと思っておりますけれども,その点について,農林水産部長にお伺いをしたいと思います。 69 ◯鈴木農林水産部長 輸出する際の手続は,今,委員御指摘のとおり,幾つかの手続がございますが,日数も相当程度かかりまして,御承知かと思いますけれども,国のほうで輸出の戦略を立てておりまして,その一環として,今,お話にありましたような,手続をどうやったら簡略できるか,幾つかの空港等を含めて実験事業等を実施しているというふうに伺っておりますので,県としてもそういった情報をしっかり捉まえて,県内の事業者が輸出する際の手続等の簡略化につなげていければなと考えております。 70 ◯長谷川(重)委員 ありがとうございました。  実験事業を既に行っているということなので,安心をしました。恐らく,北関東3県,埼玉なども含めて,今後そういった輸出がふえていく折には,茨城港などの港を使っての輸出が想定されると思いますので,そういった対応ができることによって,茨城県の港のいろいろな運航の効率化にもつながると思いますので,ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  また,先ほどの答弁の後半にございましたいろいろな取り組みの中で,農産物の品種の栽培方法とか技術の開発,これにつきましては,確かに,産地間競争ということで,お互いにオリジナルの品種を持ったり,またはオリジナルのいろいろな取り組み,また栽培技術につきましても,篤農家が長い期間使って築き上げた技術の継承などもありますので,なかなか相互に共同研究,技術開示というのはならないと思いますけれども,これから,恐らく,海外への輸出の展開となった場合に,茨城ブランドという類ではなかなか展開できないと思うのです。日本ブランドとなるとなかなか大きいと思いますけれども,恐らく,北関東ブランドぐらいのエリアでいろいろな物事を考えていく必要があるのではないかなと考えておりますけれども,特に,茨城ですとメロン,栃木ですとイチゴみたいに有名な特産品がございますけれども,イチゴは茨城でもつくっておりますので,栃木のイチゴのブランドで茨城のイチゴも販売してもらうみたいな,そういった取り組みなどもこれからの取り組みの中では想定されるのではないかなと思いますけれども,いろいろな知的財産とか,一部の難しい問題は脇に置きまして,今後,そういったお互いに共通して利害の中で一緒になれるものについての取り組みについては,非常に期待ができるのではないかと思っておりますので,今後,相互に,お互いに発展できるような取り組みで,北関東3県の取り組み,共同の研究については進めていただきたいなと思います。  以上,要望を含めまして,2番目の項目については,質問を終わりにしたいと思います。  続いて,TPPの対策について,同じく農林水産部長にお伺いをしたいと思います。  1番目の産地の国際競争力の強化について質問をさせていただきます。  昨年の第4回定例会におきまして一般質問をさせていただきました。TPPの対応について質問をさせていただきましたが,その際,茨城県のTPPの対策としては,国の対策や予算が示されてから県としての対応を考えていくというような答弁をされました。  現在までに,国の算定によります農林水産物の生産減少額1,300億円から2,100億円,本県については27億6,000万円から49億3,000万円というような発表がございました。  それに対するTPP関連予算,国として3,122億円の大型補正予算が平成27年度の補正予算で編成されたところでございます。  これら新年度の予算も含めて,産地パワーアップ事業,畜産対策事業,土地改良事業,農地の集積・集約化を進める事業など,計画が進められております。  政府の発表でも,TPP対策を十分に対応することを前提に影響額を算出しているということから,農業者の不安を払拭する上でも,県が十分な対応策を講じることが必要ではないかというふうに考えております。  来年度,農林水産関係予算の中で,21億円の産地パワーアップ事業を初め,関連事業はどのようなものなのか,どのように推進をしていくのか,注目が集まっております。  そこで,これらの関係事業は,TPPに対して,国際競争力強化など十分な対策がとれるのか,農林水産部長に伺います。 71 ◯鈴木農林水産部長 TPP協定では,農林水産分野において,多くの品目で関税の削減・撤廃が予定されておりまして,国内農林水産業への影響が懸念されております。  国では,昨年の11月に,総合的なTPP関連政策大綱を策定しまして,その中で攻めの農林水産業への転換などを位置づけまして,それらを具体化する施策として,平成27年度補正予算で事業化したところでございます。  一方,県といたしましても,現在,策定を進めております新たな茨城農業改革大綱におきまして,TPP協定の影響が特に懸念されます畜産分野,そして,水田農業につきましては,国際競争力の強化を重点的取り組みに位置づけますとともに,国の施策を積極的に活用いたしまして,TPP関連の予算を今定例会に提案しておるところでございます。  具体的には,委員のほうから御紹介ありました高収益作物等へ転換するために必要な機械・施設の導入を支援いたします産地パワーアップ支援事業,畜産経営体の収益性向上のための施設整備を支援いたします畜産競争力強化対策事業などのほか,県独自の県単の対策といたしまして,新たに,繁殖肥育一貫経営に取り組む畜産農家などへの繁殖雌牛の導入を支援する和牛生産基盤強化対策事業などを提案しているところでございます。これらにつきましては,市町村などと連携して,着実に推進してまいりたいと考えております。  しかしながら,委員御案内のように,TPP対策につきましては,例えば,牛肉で申しますれば,現在の関税38.5%を15年かけまして段階的に削減する。そして,16年目に9%にする。このように重要5品目を中心に関税が長期にわたって削減・撤廃される品目が多い状況にございます。その影響は徐々に大きくなってくるものと考えられますので,中長期の対策が必要であると認識しております。  こういったことから,全国知事会でも,TPP対策を恒久化するための法整備や財源の安定確保など中長期的な対策を確約するよう政府のほうに要請しております。  今後とも,必要に応じまして,全国知事会などとも連携しながら,必要な対策は国に要望してまいりたいと考えております。  また,国では,農林水産業の成長産業化を一層進めるために,必要な戦略の具体的内容につきまして,本年秋を目途に検討を進めるとしておりますので,県といたしましても,これらにしっかりと対応してまいりたいと考えております。 72 ◯長谷川(重)委員 ありがとうございました。  確かに,関税がどんどん引き下がって,16年ぐらいかけて下げるというようなものもございますので,すぐ下がるものも相当あるのですけれども,そういった対応については,中長期的にそういった対策を講じていくというのが必要なことだなというふうに思います。  しかし,先ほど申し上げましたように,農業をやっている方が,このTPPがどのように影響が出るかという不安,そういったものに対して,いかにその不安を除いていくか,そういったものが,来年度,平成28年度の事業の中では大切ではないかなという感じがしております。  そういった意味で,いろいろ予算の内容は私も詳しく調べていなくて恐縮なのですけれども,総額でいきますと,平成28年度の農林水産予算は488億円,前年対比マイナスの0.1%というふうにある新聞に載っておりました。  この間の本会議の中でも,たしか488億円というふうに伺っておりますけれども,そういった数字だけで比較をしますと,平成27年度の予算の金額に対して,恐らく,平成28年度はTPP対策で予算がふえるのかなというふうに思ったときに,0.1%マイナスというのはほぼ同じだと思いますけれども,予算がふえていないということに対しては,農業をやっている方,農業団体関係の方は,ちょっとあれっというような,ちょっと残念な数字ではないかなという気がいたしておりますけれども,その中には,恐らく,東日本大震災等のいろいろな災害復旧のための予算が終わったためになくなったり,いろいろな数字の出入りがあって,中身と違う数字が全く同じ数字になっているのではないかと思いますけれども,そういった表面だけで見ると,内容的にちょっと対応が少ないのではないかなという気がしておりますけれども,その点についてはどのようにお考えか,お伺いいたします。 73 ◯鈴木農林水産部長 平成28年度の当初予算は,まさに委員御指摘のように,農林水産部におきましても,特に漁港関係でございますけれども,震災復興の関係が大分大きな予算がございましたので,それが一定のめどが立ちましたので,その部分で,どうしても相対的に委員が御指摘のような数字になっている実情がございます。  一方で,TPP対策につきましては,例えば,産地パワーアップ事業は国の事業を活用するわけでございますが,21億円という大変大きな金額を当初予算に計上させていただいておりますほか,国のほうの対策が,平成27年度の補正予算という関係上,県のほうも平成27年度の最終補正のほうで受けているものがございます。例えば,土地改良事業関係,26億7,500万円ほど計上させていただいておりますが,こちらのほうは平成27年度の最終補正ということで計上させていただいておりまして,実質上,繰り越しをさせていただきますので,事業は平成28年度になろうかと思いますが,そういった事業も幾つかございますので,私どもといたしましては,先ほど,県単の事業も御紹介させていただきましたが,現時点で取り得る施策は,相当程度盛り込めたのではないかなと思っております。  ただ,農業者の皆様方,いろいろ不安がございますので,議決をたまわれば,こういった個別の施策については,丁寧に農業者の皆様方に御説明して,積極的に活用いただくように努めてまいりたいと思っております。 74 ◯長谷川(重)委員 ありがとうございました。  この国際競争力の強化については,そういった平成27年度の補正である部分もあるということで,そういった内容がはっきりすれば,農家の皆様方もいろいろな対策がとられているというような理解をいただけるのではないかなというふうに今の答弁で伺いました。  いろいろ中身的にはちょっと心配するところはあるのですけれども,またの機会にさせていただきまして,次の項目に移りたいと思います。  次の項目につきましては,農業経営の体質強化ということで,同じく農林水産部長にお答えをいただきたいと思いますけれども,本県農業においては,先ほども御答弁にありましたように,畜産と水田農業が大きな影響を与えられるというふうに言われております。  特に,米については,国や県の試算では,影響額がないというようなことになっておりますけれども,本当にそうなのか,非常に心配をしております。  今,茨城県内でも,生き残りをかけた稲作経営体は,米価が下落して非常に体力が落ちております。そういった中でかなりの投資をして,規模拡大,機械の投資などをしてきております。  そういった中で,仮に米にもそういった影響が出た場合には,それに対応できる経営体質の強化を十分に講じていく必要があるのではないかと思います。  そのためには,生産費を切り下げ,機械効率を上げるなどの必要があります。また,農地の集積,経営規模拡大は,当然,不可欠な条件になると思います。  農地の集積については,中間管理機構の取り組みに委ねるところが大であります。引き続き,借り受け希望に沿った貸し付け面積の確保が期待されております。  具体的には,嘱託職員の配置や市町村職員の確保も必要ですが,あわせて,市町村単位の地図情報を使った農地ほ場管理システムの活用が効果的でありまして,これによって貸し付けほ場の情報管理,または借り受け農家のマッチング,面的集積の効率化,そういったものが図られるのではないかなというふうに思います。  また,規模拡大した農地の効率的な営農を行うためのほ場管理システムの開発も進んでおります。これによって,作付計画,栽培管理などあらゆる生産管理に活用ができまして,コストの削減,品質の向上につながることと期待がされております。  そこで,農地の集積・集約化の促進と,稲作経営体の体質強化につながるICTの積極的活用について,農林水産部長に所見をお伺いいたします。 75 ◯鈴木農林水産部長 お答えいたします。  まず,農地の集積・集約化の促進に関してでございますが,昨年度,農地中間管理事業が創設されまして,これを支援するために,農林水産省のほうで,農業委員会の農地台帳を電子化・地図化して公開する農地情報公開システム,通称全国農地ナビと呼びますが,こちらの整備を進めておりまして,ことしの4月から本格稼働させるとしております。  この全国農地ナビは,ほ場ごとの面積や貸借の状況といった情報に加えまして,農地の利用意向調査の結果なども反映できます。また,パソコンの画面上で,担い手ごとのほ場や貸し付け意向のあるほ場などを色分けして表示できる機能を有しておりますので,農地中間管理事業を推進する上で極めて効果的であると考えております。  県といたしましては,この全国農地ナビを,研修会等でその周知に努めますとともに,地域における話し合いにおいて積極的に活用をするよう促してまいりたいと考えております。  次に,経営の体質強化につながるICTの積極的活用でございますが,規模の拡大が進んでまいりますと,経営体によっては,ほ場の数が100以上になるというようなこともお聞きしております。そうしますと,場所や管理状況の把握が大変難しくなってきておりまして,ICTの活用などによる経営管理の効率化が求められております。  こうした中,県も参画しておりますが,県内の稲作経営体におきまして,国の研究機関が開発しました作業計画管理支援システムを活用いたしまして,ほ場や作業内容,収量等の情報を管理しまして,適期作業や翌年の営農計画に役立てる実証研究が行われました。その結果,一定の成果を得ることができましたので,来年度はこうした技術の普及に向けまして,国の事業を活用いたしまして,県内数カ所で現地実証を計画しております。  このほかにも,県農業研究所におきましては,ドローンを利用しまして,省力的な生育診断技術の開発にも取り組んでおります。  県といたしましては,こういったICTを活用した実証研究を進めるとともに,その成果を迅速に普及できるよう,研修会や現地検討会等で積極的に紹介し,県内の稲作経営体の導入を推進しまして,一層のコスト低減を図ってまいりたいと考えております。 76 ◯長谷川(重)委員 ありがとうございました。  農地ナビ,作業計画管理システムですか,この2つのICTを使った新たな導入がされる,県内で数カ所,実証の研究がされるということで,そういったICT,遠く先の技術かなというふうに思っておりましたけれども,現実的にそういった技術が県内にも導入されて,大型経営ですか,稲作経営体にもそういったものが導入されて,効率よくコストダウンやら,また,いろいろな作業の効率化が図っていかれるのではないかなというふうに今の答弁をお聞きしてわかりました。非常に頼もしく感じておりますので,早急に各市町村に配備がされて,そういった技術を使った浸透がされるように期待をしたいというふうに思っております。  また,先ほどの答弁にもありましたけれども,今後,新たな茨城農業改革大綱が策定される。また,農林水産業の成長産業化を一層進める政策等を具体的に示すということも御案内いただいております。  そういった意味で,平成28年度は,TPPなども含めて,茨城の農業が本当にすばらしい変換を遂げる年になるのではないかなと思いますので,そういった点,しっかり方向づけをしていただいて,第2位の農業県としてふさわしい農業政策を進めていただきたいというふうに思います。  一部ですけれども,大変優秀な経営体は茨城にもたくさん出てきております。そういったものが,ただ単なる見本,手本ではなくて,浸透できるようにしっかりと取り組んでいただきたいと,そういうことを要望いたしまして,この質問を終わりにしたいと思います。  農林水産部長,ありがとうございました。  次に,伝統文化の継承・発展について,生活環境部長にお伺いをいたします。  昨年12月に制定した文化振興条例を踏まえ,安定した財源を確保するため,県が20億円という大きな金額の文化振興基金を設置することは,文化振興に取り組む強い姿勢のあらわれと高く評価をしたいと思います。  平成28年度の予算においても,文化振興施策としてさまざまなものが計画されているところですが,中でも,伝統文化への支援については,地域の文化振興のために大変重要なものだというふうに考えております。  県内各地では,いろいろなお祭り,民俗芸能など,伝統文化は,病気の平癒や五穀豊穣を目的とするものなど,発達した経緯はさまざまでございますが,その地域の歴史や風土に根差したものであり,地域の人々の心のよりどころとして,今も大切に受け継がれております。  しかし,少子化が進み,地域の人口が減少する中,その地域に根づいていたお祭りや民俗芸能など伝統文化が消えつつあります。  私の地元茨城町でも,担い手の確保や活動資金の調達など,伝統文化を継承していく上で多くの課題を抱えているのが現状でございます。  私は,地域の伝統文化を守り,継承・発展させていくためには,まず,地域の人たちが地元の伝統文化に誇りと熱意を持ち,おのおのが自主的な活動をしていくことが必要であるというふうに考えております。  当然のことながら,地元だけでは解決できない課題もあります。  県では,平成28年度の新規事業として,伝統文化総合支援事業を実施すると聞いておりますが,県の効果的な支援を活用して,子どもから大人までが地域の伝統文化を守っていく活動につながることが大切であるというふうに考えております。  そこで,本県の伝統文化が継承・発展していくためにどのように取り組むか,生活環境部長に伺います。 77 ◯菊池委員長 小野生活環境部長。 78 ◯小野生活環境部長 お答えいたします。  県におきましては,県内各地域で行われているお祭りや民俗芸能などの伝統文化につきまして,今後の継承の取り組みを促進するため,平成26年度から本年度にかけて,伝統文化発掘・継承事業を行っております。  この事業は,県内各地域の伝統文化につきまして,その概要や開催時期,場所などの情報のほかに,実際の活動の様子の映像約200件を含めまして,全体で約2,200件の資料をデータベース化し,ホームページで公開しようとするものであります。  来年度は,これまでの成果を活用して,新たに伝統文化総合支援事業としまして,地域で活動する伝統文化団体をサポートしてまいりますとともに,伝統文化シンポジウムや子ども伝統文化フェスティバルを開催することによりまして,地域における伝統文化の継承の取り組みを支援してまいりたいと考えております。  まず,伝統文化団体のサポートでございますが,市町村の御協力をいただき,継承に取り組む意欲のある団体の中から,伝統文化のジャンルや地域バランス,地元の御熱意などを勘案しまして,有識者の御意見もいただきながら,5団体程度をモデルとして選定しまして,人材や資金の確保,あるいは広報,活動の場所など,団体が抱えるさまざまな課題につきまして,専門家などによるサポートチームと県とで,団体と一緒になって対応策を検討してまいります。  団体によりまして,それぞれに状況が異なることから,対応策の検討に当たりましては,実際に現場に入って,丁寧に関係者からのヒアリングや意見交換を行い,課題をきちんと整理・分析した上で,対応方針の検討を行って,団体が継承に取り組んでいくために適したプログラムを策定いたします。そして,その継承プログラムに基づき,3年程度を目安に,担い手の確保など,実務的な取り組みの支援を行ってまいります。  次に,伝統文化シンポジウムでございますが,学識経験者による基調講演のほかに,継承に向けた団体の取り組みをテーマといたしまして,モデルとなった団体の代表者とか地元市町村の関係者,サポートチームのメンバーなどによりますパネルディスカッションを行ってまいります。  さらに,モデル団体以外でも,伝統文化活動に熱心に取り組んでいる団体の活動事例の紹介などを行って,悩みを抱える県内の多くの団体にとっても,これからの活動の参考となりますよう,広く情報発信を行ってまいります。  また,子ども伝統文化フェスティバルにおきましては,おはやしなどの伝統文化の活動を行っている小学生から大人の方たちまで,日ごろの活動の成果を,ステージ上で多くの人々に御披露いただきたいと考えております。  さらに,太鼓,笛等のおはやしや,茶道,華道などの伝統文化を体験できるコーナー,あるいは,ステージで発表された団体の方たちとの交流会,地域の特産品の販売ブースなど,来場された方々が楽しみながら伝統文化に触れられる場を設けまして,これまで以上に身近に文化を感じ,味わっていただけるようなものにしてまいりたいと考えております。  県といたしましては,活力ある地域社会の実現に向け,関係部局,地元市町村などと緊密に連携を図りながら,県内各地域の伝統文化の継承・発展に取り組んでまいります。 79 ◯長谷川(重)委員 ありがとうございました。  伝統文化,文化活動は,そもそもソフトの部分が大きく占めるわけで,なかなかすぐに結果が見えない,そういうものだと思いますけれども,そういった支援事業を通じて,ぜひ郷土に育まれました郷土芸能がきちんと守られ,継承されますようにお願いをしたいと思います。
     部長,ありがとうございました。  それでは,時間がなくなってしまいましたので,要望2点をいたしまして,私の質問を終わりにしたいと思います。  一つは,女性・若者団体の活性化について質問をしようと思ったのですけれども,活力あるいばらきをつくるためには,青年組織,また女性組織が活発に地域の中で活動することが大事だなというふうに思いますので,ぜひともそういった活性化に向けて事業の取り組みをお願いしたいと思います。  また,最後の質問で予定していました涸沼ラムサール湿地登録に当たりまして,ぜひ水鳥・湿地センター,前はビジターセンターと申し上げましたけれども,その設置について,地元鉾田市,大洗町,茨城町も進めておりますが,ぜひ県も積極的にその誘致に取り組んでいただきたいと思います。  そういった要望を重ねまして,私の質問を終えたいと思います。  どうもありがとうございました。 80 ◯菊池委員長 次の質疑に入る前に御報告いたします。  飯田委員から,質疑に当たって,現物を使用したい旨の申し出があり,所持が違法,あるいは危険なもの等でないことから,委員長においてこれを許可いたしました。  ここで,その写真を配付させます。                 〔資料配付〕 81 ◯葉梨委員 委員長。 82 ◯菊池委員長 葉梨委員。 83 ◯葉梨委員 少し答弁が長いようなので,短くまとめて,簡潔に答弁するようにお願いします。 84 ◯菊池委員長 ただいま,葉梨理事から答弁のお話がございました。  答弁者は,簡潔にお願いします。  それでは,飯田委員。 85 ◯飯田委員 自民県政クラブの飯田智男です。  初めての予算特別委員会となりますので,よろしくお願いいたします。  また,このような機会をいただきました諸先輩,同僚の委員の皆様に心から感謝申し上げます。  さて,ちょうど1週間前になりますけれども,3月11日,ことしも県主催によります東日本大震災追悼復興記念式典が厳粛に行われたわけであります。ちょうどことしで5回目ということで,感慨深いものがありましたけれども,特にことしは,私も特別な思いを抱えて参列させていただきました。  と申しますのも,前日3月10日は,昨年9月に発生しました関東・東北豪雨からちょうど半年ということになりまして,地震発生の午後2時46分に1分間の黙祷をささげさせていただいたわけでありますけれども,大震災の5年前の思いもさることながら,半年前のあの水害の思いがいろいろと頭の中をよぎりまして,熱いものがこみ上げてきた次第であります。  そういった中で,初めての質問でありますが,昨年11月の臨時議会並びに12月の第4回定例会と同じように,今回も災害対応に的を絞って質問をさせていただきますので,よろしくお願いいたします。  初めに,地域防災力の強化について,生活環境部長にお伺いいたします。  来年度の県予算を拝見いたしますと,東日本大震災並びに関東・東北豪雨の経験を踏まえまして,その大きな柱として,災害対応の強化事業並びに地域防災力強化事業が新規事業として盛り込まれておるわけでありますが,その具体的な内容についてお伺いをいたします。  災害対応に取り組む上では,自助,共助,公助の3つの考えがあるわけであります。自助は,自分の命は自分で守り,そして備える。共助は,近隣同士がお互いに助け合って命と地域を守っていく。さらに公助は,国並びに行政機関,消防などによる対策のことであります。  これらのうち,共助に関しては,自分たちの地域で自分たちができる防災活動を行うための自主防災組織の活動が大変重要であります。  災害発生時は,消防などの行政機関,いわゆる公助がどうしても支援には限界があります。また,被害を最小限に抑えるには,発生後の早い段階での救助が必要となってまいります。  事実,平成7年の阪神・淡路大震災では,瓦れきの下から救出された人が約8割,それも家族や近所の人が助けられたという報告があります。  こうした状況を踏まえて,災害対策基本法では,自治会や町内会などを主な単位とした,住民の隣保協同の精神に基づく自発的な防災組織である自主防災組織が位置づけられ,その充実が求められているところであります。  しかし,本県においては,総世帯のうち,自主防災組織がカバーしている世帯数,いわゆる活動カバー率を見ると,ここ数年は増加しているものの,昨年4月1日現在,全国平均の81%を下回る76.6%,全国順位では第37位にとどまっているのが現状であります。  また,近年,地域防災の中心的な役割を担っております消防団の団員数も年々減少傾向にあることから,県としても,この自主防災組織の結成促進により一層取り組むべきであると思います。  そこで,自主防災組織の結成促進に向けてどのように取り組んでいくのか,また,今後,災害が発生した場合に,自主防災組織が市町村と連携して活動していくために,県としてはどのように支援していくのか,お伺いをいたします。 86 ◯菊池委員長 飯田委員の質疑に対する答弁を求めます。  小野生活環境部長。 87 ◯小野生活環境部長 お答えいたします。  大規模災害が発生したときに被害拡大を防ぐためには,県や市町村の対応だけではなく,自主防災組織の役割が大変重要でありまして,東日本大震災時には,近所の助け合いにより,被災者の生活が改善されるなど,自助,共助の大切さを改めて認識しましたが,当時,自主防災組織の活動カバー率が全国平均を下回っておりましたので,県では,大幅な改善を図るため,自主防災組織の結成促進に重点的に取り組んでまいりました。  その結果,活動カバー率は,平成23年4月では61%で,全国平均との差が14.8ポイントあったものが,昨年4月現在では76.6%となり,全国平均との差が4.4ポイントまで縮小しました。  さらに,今年度は,担当課長が,活動カバー率の低い市町村の首長に,直接,自主防災組織の重要性を訴えかけ,当該市町村職員や住民の意識高揚を図るなど,自主防災組織結成の働きかけを強く行いましたので,年度末には81%を超え,全国平均を上回る見通しとなりました。  県といたしましては,今後,自主防災組織結成の動きをさらに加速させるため,全ての市町村の活動カバー率が100%となるよう働きかけてまいりますが,特に県平均を下回る19市町村を重点的に訪問して,引き続き,意識啓発に努めてまいります。  一方で,自主防災組織の結成が進まない理由を市町村に聞いたところ,自治会等の規模が小さいため自主防災組織を構成できない,責任や負担を感じるため,自主防災組織のリーダーの担い手がいないといった課題があることがわかりましたので,県では,規模の小さい自治会等には,小学校単位や隣接自治会と合同で自主防災組織を結成する手法があることをお伝えしてまいりますとともに,自主防災組織の結成に踏み切れない自治会に対し,リーダーへの仕事の集中を防ぐ手段として,自主防災組織の班別活動事例を紹介するなど,リーダーの負担感の軽減に努めてまいります。  次に,自主防災組織が市町村と連携し,活動していくための県の支援でございます。  昨年の豪雨災害において,市町村では,自主防災組織との連携について事前に協議していなかったなどの課題がありましたが,現在,市町村と自主防災組織,各自主防災組織同士が情報共有を行って,相互に連携を図る自主防災組織連絡協議会が水戸市など7つの市と町で設置されておりますので,県においても,この連絡協議会についてよく研究し,他の市町村に紹介するなど,連絡協議会の設置を働きかけてまいります。  また,今後,市町村と合同で行う総合防災訓練の際に,市町村が自主防災組織に避難情報を伝達する訓練や,自主防災組織が安否情報や地域の被害状況を市町村に伝達する訓練も追加してまいります。  さらに,平成28年度の新規事業である,市町村などが自主防災組織のリーダーを対象として,防災に関する知識や技術を学ぶ防災講習会を実施する際の補助制度を活用しまして,災害時に自主防災組織にとって必要な知識を学ぶための講習会の実施を市町村に働きかけてまいります。  これらの取り組みによりまして,引き続き,自主防災組織の結成促進に努めてまいりますとともに,自主防災組織が市町村と連携しながら,日ごろから災害に備え,災害発生時に適切な活動を行えるよう支援してまいります。 88 ◯飯田委員 ありがとうございました。  いろいろ結成できない地域にはそれぞれ事情があるわけであります。また,県のほうでも,きめ細かい御支援をいただいている様子が伺えました。今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  また,これは要望になりますけれども,自主防災組織,これは結成することが狙いではなくて,継続して活動を行うことが大事な部分でありますので,継続して活動できるような環境整備もまたあわせてよろしくお願いをしたいと思います。  次に,これら自主防災組織を動かすのはもちろん人でありますから,自主防災組織におけるリーダーや人材の育成も不可欠であります。  先ほどの答弁の中で,部長もおっしゃられたわけでありますけれども,また,昨年の水害で多くの被害を受けた方からお話を伺ったのが,自分のところはまさか水が来ないだろうというのが圧倒的に多かったわけであります。  私は,防災力を強化するには,県民一人一人の自助を強くするとともに,地域の助け合いに参加することが一番大事であると思います。  こうした自主防災組織や自助の強化に向けた取り組みの一つとして,多くの県民が防災士の資格を取得するべきであろうと考えます。  この防災士の資格は,阪神・淡路大震災を教訓にして,平成15年から,NPO法人日本防災士機構が認定する民間の資格であります。社会のさまざまな場で,減災と防災力向上のための活動が非常に期待され,そのための十分な意識と一定の知識・技能を有することとしております。  昨年11月には,全国で防災士として登録された方々が10万人を超え,このNPO法人で祝賀会が催されたと伺っております。  本年2月末現在では,約10万7,000人が登録されております。本県も2,275人が登録しておりますけれども,全国順位は18位と,人口規模を考えるとまだまだ少ないかなというふうな印象があります。  そこで,今後,防災士資格の普及啓発とともに,資格取得の増加を目指して,県としてどのように取り組んでいくのか,生活環境部長にお伺いいたします。 89 ◯菊池委員長 生活環境部長に申し上げます。  答弁は簡潔にお願いをいたします。  小野生活環境部長。 90 ◯小野生活環境部長 防災士資格の普及啓発をお答えします。  災害による被害を最小限にとどめるため,県民のお一人お一人が,日ごろから防災・減災についての知識・経験を有するリーダーを中心に行動することが必要ですので,本県では,平成13年度から,地域防災のリーダーを養成することを目的に,いばらき防災大学を開催して,防災について総合的に学ぶ機会を提供しております。  しかしながら,委員御指摘のとおり,本年2月末現在での防災士登録数は2,275人とまだまだ少ない状況であり,まずは防災士の認知度の向上を図る必要があると考えております。  このため,今後は,県の広報紙やホームページ,さらにはマスコミに働きかけるなど,各種媒体を活用して防災士の重要性を周知してまいります。  また,市町村にも,広報紙等を活用して住民に周知していただいたり,茨城県防災士ネットワークなどにも協力をお願いして,市町村や関係団体と連携しながら啓発に努めてまいりたいと考えております。  次に,防災士資格取得者の増加についてでございます。  防災士資格取得者はまだまだ少ない状況にありますが,今後は,県内の自主防災組織全てに少なくとも1名配置できるよう,大幅な増加を図ってまいりたいと考えております。このため,今後は,いばらき防災大学の受講者を拡大してまいります。  防災大学につきましては,これまで,県内1カ所で,200名程度の規模で実施しておりましたけれども,その結果,定員による制限とか遠隔地から通うことの難しさを理由に受講を断念した方もおられました。  そこで,来年度からは,開催を県内2カ所で行うこととし,1カ所当たりの定員も大幅にふやして実施することを予定しております。  また,多くの防災士を養成している他県の事例もありますので,今後は,それらの事例を詳細に調査して,参考にしながら,防災士の資格取得者の増加に努めてまいります。 91 ◯飯田委員 ありがとうございました。  実は,恥ずかしながら,私も防災士という資格を知らなくて,東日本大震災後に防災士という資格があるというのを初めて知った次第でありまして,いろいろな方に伺っても,まだまだ防災士という資格自体が認知度が低いなという印象が否めません。いろいろなメディアを通じて,また,一番身近なのは,町内単位でいろいろな形で普及するのが一番早いと思うのですが,そういった御尽力もお願いしたい。  また,今まで受講機会が1回が,これから2回にふやすということで,また1回の受講者も200名からさらにふやしていくということで,大変前向きな取り組みだと思います。  茨城県が,今現在18位ですけれども,さらに上位に位置するように御尽力いただきたいと思います。  以上で,この質問を終わります。  続きまして,災害時における防災情報の発信力の強化についてお伺いいたします。  防災情報と申しますと,2つに大別されると思います。それは行政間の情報です。国,県,そして,実際に被災している市町村,この間の情報の発信・共有,それと,もう一つは,被災している自治体と実際に被災している住民の方々,この間の情報のやりとり,これに大別されると思いますけれども,まず,最初に伺うのは,行政間の情報の発信についてであります。  昨年の関東・東北豪雨におきましては,避難指示とか避難勧告を初め,いろいろな防災情報が一度に大量に発信されたわけであります。しかし,こうした情報が県民まで十分に行きわたったかどうかというと,私自身,当事者の一人として,不十分だったなという感じが否めません。  このうち,行政組織相互の被害情報などの伝達については,県と被災市町村のみならず,その周辺の市町村とも情報が十分に共有されていなかったというのが実感であります。  本来,こうした情報発信や情報共有の手段としては,県を初め市町村や消防本部など防災関係機関などを結ぶ通信網,いわゆる防災情報ネットワークシステムがあります。このシステムは,県庁舎の移転とともに,平成11年に整備されたわけでありますけれども,近年では,老朽化に伴い,衛星・地上回線ともアナログ回線で,通信速度が遅く,また,近年では,いろいろな映像や多人数の同時通話などが大容量の情報の送受信には耐えられないこと,また,接続したい防災関係機関の増加に対応できないなどの課題が出てきております。  こうした課題に対応するため,平成26年度から,防災情報ネットワークシステムの再整備を行っていると伺っております。  そこで,今後,災害時における効率的な行政間の情報発信・共有に向けて,防災情報ネットワークシステムの再整備における機能をどのように活用していくのか,まず,お伺いいたします。 92 ◯小野生活環境部長 お答えします。  再整備をしております防災情報ネットワークシステムにつきましては,いばらきブロードバンドなどを活用することなどによりまして,デジタル化,高速大容量化を行いまして,従来の文字情報に加えて,映像などの大容量データも集積・配信できるよう,機能の向上化を図りましたことから,従来は視聴できなかった国交省の所管システムなどの河川の監視カメラ映像・現場映像などを視聴することが可能となりますので,県,市町村,消防本部,救急医療機関等々,より正確な状況把握ができるようになります。  また,新たなシステムでは,できる限り汎用性があって,調達しやすい機器を用いてシステムをつくりましたので,接続したい関係機関をこれまでよりも増加することができるようになりまして,現在の148機関に加え,新たに135機関にも入っていただき,合計283機関と接続することといたしました。  さらに,新たなシステムでは,利用できるパソコンを限定しないで,市町村のインターネットに接続するパソコンであれば,被災市町村における避難情報の発令状況,県全体で集計した被害状況などを容易に把握できるようになりますので,これを活用し,被災していない市町村が,県内の被害状況の全容や,甚大な被害が発生した市町村の状況を把握して,被災市町村を円滑に応援するといった仕組みづくりを進めてまいります。  新たなシステムでは,市町村が避難勧告・指示の情報を入力すれば,直ちにLアラートに配信され,Lアラートから緊急速報メールにも送信されますので,災害対応に追われる中において,市町村の職員の負担が軽減されるものと考えております。  また,この新たなシステムは,いばらき消防指令センターの指令システムと接続しておりまして,当該指令システムを介しまして,県の防災情報ネットワークに接続した救急医療機関と連絡をとれるようになりますので,携帯電話が通じないような大規模災害時においても,迅速で信頼性の高い救急救命活動ができるようになります。  県といたしましては,再整備したこのシステムを活用しまして,市町村を初めとする関係機関との連係を強化して,迅速かつ的確な災害対応に務めてまいります。 93 ◯飯田委員 これからの新たな防災情報ネットワークの再整備によって,接続する機関が283ということで,圧倒的に多くなるということであります。  昨年の災害を通じて感じたのですけれども,大規模災害においては,一市町村ではとても手に負えない。どうしても近隣の自治体の支援が必要になってくるわけでありますけれども,その場合に,どの程度の災害なのか,それを近隣の市町村が情報共有することが最も大事である。救助がおくれるということは,それだけ命がなくなる率が非常に高いというわけでありますから,この新たなネットワークシステムを使いまして,多くの機関と接続することはもちろんですけれども,近隣の市町村とも情報を共有することが大事であるというふうに考えております。  情報は,まさに命を守るツールであります。情報発信や共有については,行政間だけではなくて,住民自身が命を守るために非常に大事なものであります。直接,旬の生の情報をいかに早く得るかということが大事になってきます。  現在,防災行政無線を利用した情報発信というのが主に行われております。避難勧告,避難指示の発令や,被災者の支援情報について,屋外スピーカーで一斉に通報を行っているのが大部分でありますけれども,今回の水害では,スピーカーからの音量が豪雨による雨音などで聞き取れなかったり,また,ちょうど昨年の水害では,救助のヘリコプター,消防庁,警視庁などのヘリコプターが,多いときでは1日30機も飛来しておりまして,そのヘリコプターの音でスピーカーからの防災無線が全く聞こえなかったという事例もありました。  また,市内には195カ所のスピーカーが設置されておりましたけれども,10カ所が水没して使えなくなってしまって,住民に情報が全く届かなかったというふうなこともあったわけであります。  また,ここに来まして,インターネットの普及で,情報化の進展に伴い,県や市町村では,ホームページやFacebook,Twitter,LINEなどのいわゆるSNSなどを中心とした情報発信を行っておりますけれども,現在,ネット利用率というのは,年代において大分差がありまして,国の通信利用動向調査によりますと,平成26年末のインターネット利用に係る普及率というのは約83%である一方,年代別では,70代の方が約5割,80歳以上では約2割にとどまっているのが現状であります。  また,国が平成25年に実施した防災に関する世論調査によりますと,防災全般に関する知識や情報を何によって入手しているかという問いには,テレビが一番多く94%,新聞が55.1%,ラジオが31%となっておりまして,ホームページやSNSはそれぞれ18.1%,10.5%にとどまっているのが現状であります。  そうした中で,坂東市では,防災ラジオを配布する防災無線整備事業を行うというふうに伺いましたので,実は,こちらが現物の試作器の防災ラジオであります。坂東市に行って直接お借りしてまいりました。大きさは,大体バイブルサイズのシステム手帳の一回り大きいぐらいの大きさでしょうか。重さが610グラムですから,500ミリの缶ビールよりちょっと重いぐらいの感じの重さであります。相当軽いですね。  この仕組みは,以前,ポケットベルで使っていた周波数を使っているということで,大分手ごろになっています。今までの防災ラジオは,受信する家庭のほうにでも,自宅の外に専用のアンテナを取りつける必要があったのですが,この防災ラジオはアンテナの必要がないということであります。単3の乾電池3本,また,アダプターもつけられるということで,ふだんはFM放送,AM放送,両方聞けます。電源を落としても,防災無線が流れる場合には,自動的に電源が入って最大の音量で流れる。また,もう一回聞きたいというときには,脇に専用のボタンがあるので,これを押すと,再びまた防災に関連する情報を聞き取れるという非常に便利なものであります。  坂東市では,来年度,新年度に,試験的に,河川沿いの2,000世帯に配布するということで,将来的には,全世帯1万7,000世帯に配布したいということであります。  もちろん,これは,住民の方にも一部,少し負担が必要でありますけれども,非常にいいツールだなと思います。  私も,昨年の災害では,避難所並びに浸水なさった家屋を訪問した際には,一番聞かれたのは,今,災害はどうなっているんだいと,どこで支援物資はいただけるんだ,また,罹災証明はどうするんだという身近な情報,また,あの当時は水も断水しておりましたので,配水場はどこに行けば水がもらえるんだという情報がいろいろ聞かれましたので,災害時には本当に身近な情報の大切さを目の当たりにしたわけであります。
     そこで,災害時におけるラジオについては,平成25年第3回定例会の予算特別委員会において,知事は,さまざまな環境下にある県民に対して,正確な情報が伝えられるとして,その有用性を認めていらっしゃいます。  そこで,災害時の情報発信は,多様なメディアを用いて,くまなく迅速に周知する必要があることを踏まえ,県としても,こうした防災ラジオの配備も含めて,市町村が行う住民への防災情報の発信力の強化に対してどのように取り組んでいくのか,その御所見をお伺いいたします。 94 ◯小野生活環境部長 お答えいたします。  現在,市町村の災害時の情報発信は,防災行政無線の屋外スピーカーや個別受信機,ホームページ,SNS,緊急速報メールなど多様な手段によって行っておりますが,屋外スピーカーは,天候によって聞き取りにくい場合があることや,ホームページやSNSにより情報を発信しても,インターネットの利用率が低い高齢者には届きにくいことなどの課題がありますので,県及び県内市町村では,住民が災害情報を入手する手段として,年代を問わず利用されているテレビやラジオなどのメディアを通じて災害情報を住民に伝達することができるLアラートを平成26年8月から運用しているところでございます。  また,昨年9月の関東・東北豪雨の際は,お話がありましたように,雨音などで屋外スピーカーの音声が聞き取りにくかった,あるいは,浸水により屋外スピーカーが使えなかった事例がありましたことから,県では,個別受信機の整備,あるいは,浸水した場合であっても支障なく使えるよう,屋外スピーカーの電源設備の設置位置を変更するなど,対応を各市町村に要請したところでございます。  御提言いただきました防災ラジオは,先ほど,委員御紹介のとおり,大変有用なものと考えておりますので,県といたしましては,市町村に対しまして,防災ラジオの整備について強く働きかけてまいりますが,全住民に最終的に配布するには相当の費用がかかりますので,財源整備の問題も出てくることから,今後,整備費用を低減するための手法につきまして,市町村と一緒になって勉強してまいりたいと考えております。  なお,防災ラジオと電波送信設備を一括で整備する場合には,整備財源として,国の緊急防災・減災事業債を活用することができますが,この事業債は,現状では平成28年度までの事業となっておりますので,市町村に対し,一層の周知に努めますとともに,国では,平成29年度以降については,平成28年度までの事業の実施状況を踏まえて検討するとしておりますことから,平成28年度の早い時期に,平成29年度以降の継続につきまして,関係市町村と連携しながら国に要望してまいります。  このような多様な手段による情報発信によりまして,市町村とともに災害時の情報伝達手段拡充に取り組んでいきたいと思っております。 95 ◯飯田委員 ありがとうございました。  いろいろ予算の制約もあるとは思いますけれども,今後とも,防災ラジオだけではありませんけれども,いかに住民に正しい情報を災害時に提供できるか。特に,災害においては,非常にいわゆるパニックになります。その中で,デマ,それから,不確定な情報が流れやすいという環境でありますから,こういう防災ラジオというのは非常に重要な部分で,災害に遭っても,まず,被災された方が落ち着いて行動できるツールであると思いますので,今後とも御検討をいただきたいと思います。  以上で,この項目の質問を終わります。  生活環境部長,ありがとうございました。  次に,防災教育の強化について,教育長にお伺いいたします。  昨年の水害のほか,この5年間では,東日本大震災に始まって,つくばの竜巻,そして,昨年の水害ということで,本当に多くの自然災害が発生しておるわけであります。  一昔前は,災害は忘れたころにやってくるというふうな言葉もありましたが,今は違います。災害は,いつ,どこで起こってもおかしくない。災害を想定した被害を超える可能性があるということであります。  こうした状況を踏まえて,学校においても,将来,我が県を担う児童生徒が,災害を前にして,自分で危険を予測して回避するために,習得した知識に基づいて的確に判断を下し,迅速な行動をとることができる力,いわゆる災害に対応する能力を涵養する,防災教育の充実が今まさに求められていると思います。  今回の水害では,学校への登校前に大雨特別警報が発令されたわけでありますけれども,5年前の東日本大震災では,ちょうど学校から下校する時間帯に発生し,保護者への引き渡しなどでいろいろな課題が浮き彫りになったわけであります。  そこで,学校における災害対応として,災害の発生時間に応じて,授業中などにおける学校内での対応と,登下校中など学校外での対応の2つに大きく分かれると思いますけれども,それぞれの対応についてどのように対応していくのか,お伺いいたします。 96 ◯菊池委員長 小野寺教育長。 97 ◯小野寺教育長 お答えいたします。  本県では,東日本大震災の教訓を踏まえた課題に対応いたしますため,平成24年4月に学校防災に関する手引を作成いたしまして,その後,大雨や竜巻などの突風などへの対応を追加する改訂を行ってまいりました。  この手引では,災害発生時の危機管理といたしまして,災害発生時のさまざまな場面を想定したきめ細かい対応を記載してございます。  具体的には,まず,学校管理下では,在校中に発災した場合の対応,登下校時に発災した場合の対応,さらには,校外活動中に発災した場合の対応の3ケースに,そしてまた,学校管理外では,休日・夜間等に発災した場合の対応として区分をし,さらに,初期対応と二次対応に分けて整理をしております。  具体的な内容として一例だけ申し上げますと,在校中に発災した場合の対応としまして,地震の場合ですと,例えば,教室にいる場合には,机の下に潜り,机の脚などをつかむなどして身を守ること。また,大雨の場合では,大雨がやむまで校舎内に待機すること。さらに,学校の対応として,早めの対応を心がけ,時期を失して危険な状況の中を下校させるようなことがないように注意すること。  また,登下校時に発災した場合の対応といたしまして,地震の場合であれば,手近なかばんや上着等で頭部を守る。あるいは,学校としては,通学路の途中の避難場所について事前に指定をしておく。さらに,大雨の場合では,川や空に異変を感じたら,すぐに離れるといったことなどを記載しております。  このほか,校外活動中に発災した場合の対応や,学校管理外となる休日・夜間等に発災した場合の対応についてもそれぞれ整理しております。  加えまして,災害時における児童生徒の引き渡しのルールや手順についても例示しておりまして,これらの内容を,各学校では,それぞれの危機管理マニュアルに盛り込み,避難訓練等の際に実践することとしております。 98 ◯飯田委員 ありがとうございました。  災害はいろいろな災害があるわけで,地震,火災,水害,いわゆる想定外という言葉は使ってはいけないのかもわかりませんけれども,本当に想定を超える災害があるわけでありますので,今,教育長から,さまざまな細かい学校防災に対する指針を伺ったわけでありますけれども,今後とも,きめ細かな対策を講じていただきたいと思います。  児童生徒に防災に関する知識と理解を深めるためには,あらかじめ,訓練を通じて,適切な行動の必要性を知っていただくことが大事であります。  しかし,一口に訓練といっても,学校の置かれているこの実情,地域性によって内容が全く異なってまいります。例えば,沿岸部では津波による災害が想定されますし,山間部では土砂災害,そして,私のような地元でありますと,利根川,鬼怒川,小貝川という大きな河川がありますから,県西地域では水害などの災害があるわけであります。  このため,訓練についてでありますけれども,地域の実情とか想定される災害に応じて避難訓練を行っていく必要があると思いますけれども,これについてはどのように取り組んでいくお考えでありましょうか。 99 ◯小野寺教育長 避難訓練につきましては,従来は火災を想定したものが圧倒的に多かったわけですが,最近では,地震,津波,あるいは洪水,原子力災害など,さまざまな地域の想定する災害に応じた多様な訓練が必要となってきております。  そこで,本県では,平成24年度から,地域との連携による学校の防災力強化推進事業に取り組んでまいりまして,この中で,地域に応じた防災課題に対応しますため,毎年,県内5つの市町村で,地域と連携した学校防災モデル事業を実施し,例えば,海岸部,都市部,河川沿いなど,地域の実情に応じた想定される災害に対処する取り組みを進めてまいりました。  具体的には,例えば,海岸部の学校では,津波を想定し,標高や道路事情を踏まえた避難訓練,また,都市部の学校では,大規模地震を想定した保護者への引き渡し訓練などを実施いたしております。また,洪水などが想定される地域の学校においては,宿泊を伴う避難所体験などを行いました。  さらに,これ以外でも,原子力災害が想定されるUPZ圏内の学校におきましては,原子力災害を想定した避難訓練を実施しております。  モデル地区でのこうした取り組みを県内に広げていくために,各地区におけるモデル校の実践発表会なども開催しておるところでありまして,今後とも,こうした取り組みによりまして,より地域に密着した効果的な避難訓練を実施してまいりたいと考えております。 100 ◯飯田委員 ありがとうございました。  時間も迫ってまいりましたので,東日本大震災を受けまして,先ほどの防災に関する世論調査を見ますと,この一,二年の間に,家族とか身近な人と,災害が起きたらどうするかという話し合いを行ったことがあるかというふうな問いに対して,あるというふうな答えが,平成14年の調査結果では34.9%だったのですけれども,これが62.8%にまで上昇しているということであります。  このことからも,学校における防災訓練の強化,より実践的な取り組みが今後求められると思いますけれども,最後に,改めて教育長に伺います。  今後,学校においては,避難訓練も含めて,防災教育の充実強化に向けてどのように取り組んでいくのか,お伺いいたします。 101 ◯小野寺教育長 防災教育につきましては,児童生徒がさまざまな場面や状況を想定して,どのような災害に遭遇した場合でも,みずから危険を予測し,安全に行動できる態度や能力を身につけることが大変重要だと考えております。  そして,そのためには,地震や火災などの危機管理マニュアルを検証し,見直すことはもとよりですが,学校や地域の実情に応じた避難訓練や避難所体験,あるいは防災マップづくりなど,実践的,そして,体験的な学習が極めて効果的だと考えております。  今後の学校防災教育に当たりましては,そういった点を最重点に進めてまいりたいと思います。  そして,自然災害等の危険に際して,みずからの命を守り抜くため,児童生徒の主体的に行動する態度を育成してまいりたいと考えております。 102 ◯飯田委員 教育長,ありがとうございました。  以上で,質問を終わります。  ありがとうございました。 103 ◯菊池委員長 最後に,田口委員。 104 ◯田口委員 いばらき自民党の田口伸一でございます。  このたび,予算特別委員会におきまして,初めての質問の機会をいただきました。先輩議員,同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。  早速,通告に従いまして,質問に移りたいと思います。  まず,初めに,動物愛護の推進について,保健福祉部長にお伺いいたします。  まず,本県の現状と対策についてでございます。  環境省によりますと,全国的に犬猫の殺処分頭数は年々減少はしてきておりますけれども,それでも平成26年度には年間に10万頭以上もの命が殺処分により失われているところでございます。  また,本県では,かつて8年連続で犬の殺処分頭数が全国ワースト1であり,平成25年にはようやくワースト1は脱却したものの,いまだ殺処分頭数は全国の中でも高い水準にあるということです。  このような中,我がいばらき自民党では,本年度,犬猫の殺処分ゼロを目指してプロジェクトチームを立ち上げております。関係者との意見交換会を開催するなど,動物愛護推進のために,政策研究に鋭意取り組んでいるところでございます。昨日も,動物愛護に関するワークショップを開催をいたしまして,殺処分ゼロに向けた具体的な政策について,6グループ,約50名と意見交換を行ったところでございます。  それでは,まず,そこで,改めて本県の動物愛護の指標ともいうべき犬猫殺処分頭数の推移についてお伺いをいたします。 105 ◯菊池委員長 田口委員の質疑に対する答弁を求めます。  松岡保健福祉部長。 106 ◯松岡保健福祉部長 本県の殺処分頭数の推移についてお答えいたします。  委員御指摘のとおり,平成17年度から平成24年度までの犬の殺処分頭数は全国ワースト1でございました。  そのような中,茨城県獣医師会や市町村などの関係団体,ボランティアの皆様方の御協力をいただきながら,茨城県動物愛護管理推進計画に基づく各種施策を進めてまいったところでございます。その結果,平成25年度,平成26年度にはワースト1を脱却することができたということでございます。  犬猫の殺処分頭数の推移でございますが,統計をとり始めた平成2年度と平成26年度を比較いたしますと,犬で1万8,611頭から1,751頭と1万7,000頭近くの減少,猫では,8,901頭から2,218頭と6,700頭程度の減少となっており,犬猫とも大幅に減少しているところでございます。  一方,直近の10年間における殺処分頭数の減少率を見ますと,犬が8割以上減少しているというのに対しまして,猫が約6割の減少となっております。犬に比べ,猫の減少スピードは鈍い傾向にございます。 107 ◯田口委員 殺処分頭数が大きく減少してきているということは,今,御答弁にあったように,関係者の方々の本当に地道な努力によるたまものだと思っており,敬意を表するところでございます。  しかしながら,いまだ多くの犬猫の命が失われているというのも現状としてありますし,本県が目指す最終目標としては,殺処分ゼロでなければいけないと思っております。  そこで,殺処分ゼロを目指す上で,動物指導センターでの殺処分の頭数を減らすいわゆる出口対策と,そもそも同センターに犬猫が収容されないことにするための入り口対策が必要だと私は思っております。それぞれの現状での県の対策についてお伺いをいたします。 108 ◯松岡保健福祉部長 まず,収容された犬猫の殺処分を減らすための出口対策についてお答えいたします。  動物指導センターにおきましては,事前に協力団体として登録をされたボランティア団体や,一般県民を対象といたしました譲渡事業に取り組んでおり,昨年度は1,107頭の犬猫を新たな飼い主に譲渡することができました。  収容される犬猫を減らすための入り口対策といたしましては,9月を本県独自の動物愛護月間として定めまして,動物愛護フェアや街頭キャンペーン,動物愛護に功労があった方の表彰など,県民の皆様の動物愛護への関心を高める事業を実施してきております。  また,児童生徒を対象といたしました触れ合い教室や,動物指導センターの施設見学会,各種広報媒体を利用した動物愛護に関する呼びかけなど,さまざまな機会を捉えた県民への啓発活動を行い,犬猫の適正な飼育の普及を図り,収容頭数の減少に努めているところでございます。  さらには,飼っている犬猫の引き取りを希望して動物指導センターに電話をしてきたり,直接窓口に来られる方がおられますが,そのような方々には,犬猫が生涯を全うするまで飼育し続けていただくことや,里親を探すことなどを促しまして,安易な引き取りには応じない,動物愛護管理法の趣旨に沿った厳格な対応に努めているところでございます。 109 ◯田口委員 現状について御答弁をいただきまして,ありがとうございます。  平成2年から比べますと,10分の1程度,犬については殺処分頭数も減ってきていると。また,出口対策だけではなく,啓蒙活動など入り口対策もきちんとやっておられるということについてはしっかりと評価をしていきたいと思っております。  この動物愛護の問題も,若干歴史をさかのぼっていきますと,昭和48年に動物の保護及び管理に関する法律,そして,平成12年にこちらが改正をされまして,動物の保護から愛護という言葉が使われ,動物愛護及び管理に関する法律というふうに時代の変遷とともに変わってきているところでございます。  従来ですと,捕獲や殺処分と言われるものは,野犬や狂犬病から県民を守るために行われてきておりましたけれども,先ほど申し述べたとおり,時代の変遷とともに,現在では,ペットの飼育放棄などから捕獲される犬猫が大変ふえているとお伺いをしているところでございます。  こうした社会情勢の変化の中で,私は,そもそも,動物指導センターに収容される犬や猫の数を減らしていく対策,いわば入り口の対策に,そろそろといいますか,重点を置いていくべきではないかと考えているところでございます。  細かく犬の殺処分頭数の推移を見てみますと,平成24年には,犬の殺処分頭数が3,177頭,猫が3,197頭と初めて犬と猫の数が逆転をしており,質的な変化も見られております。  さらに,平成26年度,2年後には,犬の殺処分頭数は1,751頭と急激に減少しているのに対しまして,猫は2,218頭と,その差は広がっているといったところでございます。  近年の犬の殺処分頭数が着実に減少している一方で,猫の殺処分頭数が横ばいになってきているということに対しては,犬だけではなく,今度は猫に対する入り口の対策というのも大変重要になってきていると思っております。  住民との地域の合意のもと,野良猫等に対する不妊・去勢手術を行った後,地域でみんなで世話をする,生涯を全うさせるという地域猫活動も有効であると考えている次第でございます。  県は,この活動に取り組むボランティア団体への支援策を引き続き継続をしていただくなど,また,市町村,関係団体と連携し,ぜひ動物指導センターで引き取らなければいけない猫の数についても減らす御尽力をいただきたいと思っております。  次に,動物愛護施設の状況についてお伺いをします。  現在,神奈川県などを初めとしまして,各自治体において,動物愛護の普及啓発や,犬猫の譲渡を主な目的といたしまして,殺処分とは切り離した施設を建設する動きが出てきているようでございます。こうした施設建設に関する全国の動向についてお伺いをいたします。  また,昨年,当いばらき自民党の殺処分ゼロのプロジェクトチームの勉強会におきまして,出席者の方から,長野県の動物愛護センター「ハローアニマル」のような施設を本県でもつくるべきとの御意見がございましたが,あわせて,当該施設の概要についても伺います。 110 ◯松岡保健福祉部長 まず,全国の自治体における施設の建設状況についてでございます。  委員の御指摘の長野県動物愛護センターを初めといたしまして,これまで9府県において殺処分と切り離した動物愛護施設が建設されており,建設費用は約1億2,000万円から20億円程度までとなっております。  これらの施設では,動物愛護の普及啓発に加えまして,犬猫の譲渡を目的としております。  この3年間につくられた施設の収容能力は,犬猫合わせまして,大体30頭から70頭ぐらいの犬猫を収容できるというものになっております。  次に,長野県動物愛護センター「ハローアニマル」の概要についてお答えさせていただきます。  「ハローアニマル」は,平成12年,小諸市の飯綱山公園内に設置されました。建設費用は約15億円を要しておりまして,図書館などを備えた普及啓発施設や,県民が有料で使用できるドッグランなどが整備されております。  一般の方への譲渡を目的とした犬猫の収容能力は,合計で120頭となっております。  以上です。 111 ◯田口委員 ありがとうございます。  動物の命にかかわることですので,費用対効果,単純に論ずることはできないと思いますが,事実として,現実をちょっと直視をしてみることにしました。  全国で殺処分を伴わない動物愛護センターの設置状況を平成27年に調べたところですと,全国都県に9あるということでございます。その中で,実に5施設においては茨城県の殺処分率よりも多いのですね。  また,ここ5年以内にできたいわゆる新しい殺処分を伴わない動物愛護センターにつきましては,6施設のうち4施設が茨城県よりも多い殺処分比率となっているところでございます。  また,殺処分をされないいわゆる譲渡,引き取り等される犬猫の頭数をこの9施設と茨城県を比較してみますと,実に茨城県より多い施設というのは1施設しかなくて,あと全て茨城県より下回っているといった状況でございます。  何が言いたいかといいますと,犬猫の収容頭数や殺処分の頭数から見ても,動物愛護施設を持つことが必ずしも有効であるとは限らないのではないかということを考えております。各都県においてさまざまな事情があることはわかっておりますけれども,そういったことを考えますと,出口の対策よりも入り口の対策を今後しっかりとすべきだと私のほうは考えているところでございます。
     本県では,いまだに犬を放し飼いにする方が多いとも伺っておりますし,また,近年では,新たな問題としまして,マスコミに取り上げられております,いわゆる多数の犬や猫を買い集めて,ふやし過ぎてしまいまして,いわゆる多頭飼育の崩壊という事件もあると伺っております。  このような事例も踏まえまして,動物愛護の入り口対策について,いま一度,保健福祉部長の御所見をお伺いしたいと思います。 112 ◯松岡保健福祉部長 お答えさせていただきます。  動物愛護の推進におきまして最も重要なことは,適切に動物を飼育し,一生涯にわたって飼い続けることや,繁殖制限などに取り組むなど,飼い主としての基本的な責務を果たしていただくということが非常に重要であると考えております。  一方,平成26年度において,動物指導センターに収容された犬のうち,実に4分の3以上がつながれずに徘徊していたため捕獲された犬であると。このような事実は,委員御指摘の状況がいまだに多くあるということのあらわれであると考えているところです。  このため,犬猫の販売業者に対しましては,適切な飼い方について,購入者への説明責任をきちんと果たすよう強力に指導するとともに,動物指導センターやボランティア団体から犬猫の譲渡を受ける方々に対しましては,関係団体とも連携しながら,引き続き,適正飼育について指導してまいります。  また,多頭飼育者への対策といたしましては,無秩序な繁殖などによって飼育の継続が困難となり,騒音や悪臭などで周辺の生活環境を損なうような,いわゆる崩壊状況に陥ることを防止するため,市町村を初め関係機関と連携し,粘り強く適正飼育に向けた指導に努めてまいります。  こうした事例への個別対応も含め,県民の方々の意識改革のために,今後とも,市町村や関係団体,県で委嘱している動物愛護推進員を初めといたしましたボランティアの方々の御協力をいただきながら,引き続き,積極的な啓発活動に取り組んでまいりたいと考えております。 113 ◯田口委員 大変ありがとうございました。  以下,要望としてお話しをさせていただきますので,御答弁のほうは不用でございます。  ただいま部長から御答弁がありましたように,平成26年度に動物指導センターに収容された犬の中で,実に75%がつながれずに徘徊をしていた犬であると。以前の昭和48年に制定された管理のときは,野良犬などが多かったわけですが,今は飼育されていながらつながれていない。飼育を放棄したのか,そのまま放し飼いになっているのかわかりませんが,そういった状況に質的な変化を遂げてきていると。そういったことから感じますと,出口論を,いくら殺処分の方法を見直したり,保護期間を延ばすと,一定の効果はあるかと思いますけれども,質的な変化にきちんと茨城県として対応していくことが大事なのではないかと。  先ほど部長がおっしゃられたとおり,平成2年から,犬については約10分の1程度に殺処分頭数を減らしてきているのも,関係諸団体の並々ならぬ努力の結果だとも思っております。  そういった意味からしますと,県民の意識の変革をすることはもちろんでございますけれども,去勢,避妊の手術の推進や,劣悪ブリーダーや販売業者への対策,地域猫の活動や野良猫対策などが非常に有効だと考えているものですので,これから進めていく上では,市町村との連携や市町村における協議会の設置を働きかけるなど,以前から頑張っていただいております動物愛護団体への支援対策の充実などもしっかりとやっていただきたいと思っております。同じ予算を使うのであれば,入り口対策に今後厚みを持たせることで,本来あるべき動物愛護の姿になっていくと思っております。  以上のことを要望いたしまして,この項目に対する質問を終わります。  保健福祉部長,大変ありがとうございました。  続きまして,米の需給バランスと今後の米政策について,農林水産部長にお伺いをいたします。  ここでは,人口減少が進む中で,今後の稲作政策をどのように考えていくのか,質問をしてまいります。  まず,需給動向を踏まえた米の政策全般についてお伺いをいたします。  お米は,古くから日本国民の重要なエネルギー源として生活を支えてきました。長い歴史を通じまして,日本の国民全体に安定して米を供給できるようになったのは,戦後,日本経済が高度成長期を迎えた昭和40年代前半になってからでございます。  その後,急速に米の在庫の積み増しがふえたことから,減反政策が始まりました。  一方で,年間の国民1人当たりの米の消費量について見てみますと,昭和40年度には約112キロあったものが,昭和60年度には75キロ,そして,平成26年の概算値では実に55キロまで激減をしているところでございます。  しかしながら,私は,こうした米をめぐる一連の情勢の変化については余り知られていないのではないかと思いまして,まずはこうした需給動向を踏まえたこれまでの米政策について,農林水産部長にお尋ねをいたします。 114 ◯菊池委員長 鈴木農林水産部長。 115 ◯鈴木農林水産部長 お答えいたします。  これまでの米の政策についてでございます。  終戦直後は,深刻な食糧不足を乗り切るために,国では,食糧管理法に基づきまして,国が米を全量買い上げ,流通販売を一貫して管理するいわゆる食管制度のもとで,昭和30年代までは干拓による水田の整備などが積極的に行われ,米の増産が進められてきました。  一方,米の消費量は,パン食の普及などによりまして,昭和37年をピークに減少傾向となりました。  そのような中,昭和40年代に入りまして,豊作が続いたことなどもありまして,米の在庫が大幅に過剰となり,その在庫米の処理に大きな財政負担が生じたところです。  このため,国では,これまでの食糧増産計画を切りかえ,昭和46年からは生産抑制対策に取り組んだところでございます。  しかしながら,その対策の実効性が低かったことなどから,その後も在庫が恒常的に過剰となったことから,昭和53年から米の生産を調整する対策が本格的に開始され,いわゆる減反の割り当てが全国一斉に行われました。補助事業の採択などにおけるペナルティの措置も設けられたところでございます。  それ以降,幾度かの変更はあったものの,平成15年までの約25年間にわたり,一貫して減反政策が実施されまして,全国的には生産調整が達成されておりました。  そして,平成16年からは,これまでの行政主体の生産調整システムから,農業者・農業者団体主体による自主的な生産調整システムへの転換を目指しまして,米をつくる数量を配分する新たな米政策が始まりましたが,これ以降は,全国的に過剰作付が恒常化したまま現在に至っているところでございます。 116 ◯田口委員 ありがとうございます。  過去の米の政策については,部長の御答弁いただいたとおりでございます。  そして,そういった中,需給関係の改善が,平成27年度を見てみましても,全国的に生産数量目標を下回っているにもかかわらず供給過剰の状態にありまして,新聞等々で報道をされておりますが,この需給関係のアンバランスから,米の価格の下落によって,非常に農家の経営が圧迫されているというのは,皆様,御周知のとおりでございます。  また,茨城県の実際の産出額を拾ってみますと,米価下落の影響を受け,平成25年には875億円あったものが,平成26年には762億円と,実に113億円も減少しているといった状況でございます。  こういった状況を踏まえまして,現在,県としては,主食用米の需給改善に向けどのような取り組みをしているのか,お伺いします。 117 ◯鈴木農林水産部長 お答えいたします。  平成16年に新たな米政策に移行してからは,過剰作付により,主食用米は全国的には生産数量目標を上回っておりましたが,平成26年産の米価の下落などもありまして,平成27年産につきましては,主食用米から飼料用米などへの転換も進みまして,平成16年以来,全国的には初めて過剰作付が解消されたところでございます。  しかしながら,本県では,依然として過剰作付が多いこともございまして,一方で,本県の場合には,畑作物の導入が困難な湿田が多いという事情もございますので,飼料用米への転換は,そういった意味では大変有効な取り組みと考えまして,平成27年産におきましては,JAや市町村などと連携いたしまして飼料用米への転換を強力に推進してまいりました。  その結果,作付面積は7,000ヘクタールを超えまして,過剰作付につきましてもほぼ半減することができました。  平成28年産に向けましては,それでも依然として過剰作付は約4,800ヘクタール残っておりますので,引き続き,飼料用米への転換を進めまして,その解消を図ってまいりたいと考えております。  昨年秋口から,既に,平成28年産に向けて,大規模稲作農家への個別訪問,さらには,集荷業者,市町村の農業再生協議会,こういったところと意見交換などを行いまして,飼料用米の推進に積極的に取り組んでいるところでございます。  また,供給先でございますけれども,今後の生産拡大に対応できますよう,需要量36万トンと言われておりますが,鹿島地区の飼料会社7社と協議会を立ち上げまして,本県独自になりますけれども,販路の確保,こういった流通対策も行っているところでございます。  一方で,畑地転換が可能な水田におきましては,できるだけ転換していただくということで,引き続き,麦,大豆,そばなどの普通作,さらには,ネギ,レタスなどの園芸作物の導入も積極的に推進してまいります。  県といたしましては,こういったことを,引き続き,積極的に推進しまして,さらなる米の需給の安定を図ってまいりたいと考えております。 118 ◯田口委員 ありがとうございます。  それでは,次に,今後の米の政策の考え方についてお伺いをいたします。  部長の答弁にございましたように,飼料用米等への転換の推進などは,主食用米の過剰作付面積の大幅な削減には有効でありますし,昨今,米価の回復も見られるなど,一定の成果が得られているものと考えております。  私も,昨年,一昨年の12月の質問でも,飼料用米については積極的に推進していただくよう答弁を求めたところでございます。  若干長いスパンで今後の米政策について考えてみますと,今後,人口減少や少子高齢化の影響を勘案してみますと,米の需要量というのは実に年間8万トンずつ減少をしていくというのが実情でございます。  茨城県におかれましては,茨城県の人口ビジョン,一定の条件下で試算をした場合ということではございますが,2040年における県の人口は約260万人になる。これはピークの2000年から約40万人が減少すると推計をされているところでございます。  また,消費者ニーズも時代の変遷ととともに変化を遂げておりまして,総務省がまとめる家計調査を調べてみますと,主要食料品の購入数量の推移の中では,10年前に比べまして,野菜は横ばいでございますが,生鮮肉は14%の増,一方で米は18%減少している。高齢者の方々が,肉などの動物性のたんぱく質を摂取することで健康寿命が伸びるといった考え方が広まっているものとも推測をしております。  また,昨今のダイエットブームなど,痩せ型志向を背景として,20代女性の1日当たりのエネルギーの摂取量が戦後を下回っているということで話題になってきているところでございます。  つまり,健康志向や美容志向へとシフトする中で,総カロリーの範囲内でどの食品を選んで食べるかという食品内での取捨選択が反映しているのではないかと思っております。  このような状況から,米を取り巻く情勢は今後ますます厳しさを増していくと思いますが,今後,長期的な国の米政策と,それを受けて,県における今後の米政策についての考え方についてお伺いをいたします。 119 ◯鈴木農林水産部長 お答えいたします。  今後の米政策の考え方でございますが,まず,国では,米政策の改革といたしまして,平成30年産からを目途に,行政による生産数量目標の配分に頼らずに,国が策定する需給見通しなどを踏まえつつ,生産者や集荷業者,団体が中心となって,円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう,関係者が一体となって取り組むとしております。  さらに,食料・農業・農村基本計画におきまして,この米政策改革の着実な推進によりまして,需要に応じた生産をするということとして,まずは水田フル活用ということで,先ほど答弁させていただきました飼料用米などの戦略作物の生産拡大,さらには,農地中間管理機構のフル稼働によります担い手への農地の集積・集約,それから,省力化,低コスト化,こういったものを実現するための技術の導入,こういったことを進めることとしております。  このような国の政策動向を踏まえますとともに,ただいま委員のほうから御指摘ございましたように,多様化する消費者ニーズに対応する米づくりに取り組んでいく必要がございますので,県といたしましては,引き続き,繰り返しになりますが,水田フル活用を目指した飼料用米の生産拡大,そして,一層の省力化,低コスト化などによる強い経営体づくり,こういったものに取り組んでまいりますとともに,あわせまして,本県オリジナル水稲品種の「ふくまる」,さらには,県内各地で取り組まれております地域オリジナル米,こういったもののブランド化を推進するほか,輸出の可能性や方向についても検討してまいりたいと考えております。  また,県内においても,実用化に向けた実証や商品開発などの動きがございます米ゲルの取り組みを支援するなど,こういった新たな需要の開拓と多様なニーズへの対応を進め,稲作経営の安定を図ってまいりたいと考えております。 120 ◯田口委員 大変ありがとうございます。  私も,今後向こう10年間につきましては今のような流れにならざるを得ないのかなと思っておりますが,ただ,今後10年先,ますます1人当たりの食べる量が減り,そして,人口も減っていくということを考えますと,米政策については真剣に今後話し合い,そして,考えていかなければならないと思っております。  といいますのも,2040年時点の状況を私のほうで試算をしてみましたが,1年ごとに1人当たりが食べる米の消費量が減り,なおかつ人口が減少をしていくということになりますと,現在より実に30%も供給を減らさなくてはいけないという状況が見えてくるということでございます。  いわゆる減反政策は,需給関係の中で,需要を見て供給を減らしていくという政策であり,また,飼料用米等々につきましては,需要から余ったお米を飼料用米に回すといういわゆる需給の中の需要を見て供給量を調整するといった方法でございます。  今後は,需要量が圧倒的に減ってくる中では,需要をどこかでふやしていく政策をとらない限り,米はどんどん縮小をしていくということで,ただいま,部長の答弁にもありましたように,今後,米粉ですとか米ゲルの活用ですとか,農産物の輸出拡大ですとか,また,現在の米の機能以外にも機能性に着目をしていただきまして,高付加価値の利活用など,農業界でのイノベーションの創出にしっかりと取り組んでいただき,供給側を減らすだけではなく,アウトプットの拡大にも力を注いでいただきたいと思っているところでございます。  今後,長期的に見た県の農業政策力に期待をいたしまして,この項目の質問を終わります。  最後に,水田の基盤整備について,農林水産部長に伺います。  私の地元鹿嶋市の水田においては,ほとんど30アール区画での整備が進んでおりますけれども,基盤整備から30年以上が経過しておりまして,大変老朽化が進んでおります。地元から再整備の要望が上がっているところでございます。  こういった状況も踏まえまして,水田の基盤整備を今後どのように進めていくのか,お尋ねをいたします。 121 ◯鈴木農林水産部長 お答えいたします。  水田の基盤整備でございますが,米の生産の効率化,支えるために生産性の向上に向けて大変必要であると思っております。  農地の大区画化,担い手への農地の集積,さらには,老朽化の進むさまざまな水利施設への対応が重要であると思っております。  まず,大区画化につきましては,区画整理が行われる場合には,ほ場の拡大を当然進めますとともに,御指摘のありました30アール程度に整備された水田においても,担い手さんや地域のニーズに合わせまして畦畔除去などを行いまして,1ヘクタール以上の大区画化を進めてまいりたいと考えております。  また,担い手への農地の集積につきましては,土地改良事業である基盤整備とあわせまして,農地中間管理事業を積極的に導入しまして,農地の集積,さらには集約化を進めてまいりたいと考えております。  さらには,老朽化した用排水施設等につきましても,必要に応じ,長寿命化,あるいは点検補修などの適切な対策,こういったものを通じまして,施設の有効利用に努めてまいります。  なお,こういった事業を進めるには,農業者負担が少なくて済む国の補助事業でございます経営体育成基盤整備事業が最も地元の農家さんにとって有利でございますので,地元調整を図って,積極的にこの事業が活用できるよう推進してまいりたいと考えております。 122 ◯田口委員 ありがとうございます。  ただいま,部長からもお話がありましたけれども,水田の基盤整備というものは農業振興のためには必要不可欠でございます。現在の厳しい農業情勢を鑑みれば,基盤整備にかかわる農業者の負担も少しでも減らすように取り組みを考えていく必要があると考えております。  それを受けまして,先ほど答弁にもございましたが,県としてはどのように農家の軽減策を講じていくのか,もう少しお話をお伺いいたします。 123 ◯鈴木農林水産部長 お答えいたします。  農業者の負担軽減対策でございますが,例えば,ただいま答弁しました経営体育成基盤整備事業を実施した場合に,あわせまして,中心経営体農地集積促進事業というのがございますが,この事業を同時に行うこと,例えば,集積する率,集約化する率,これが大きくなるほど助成割合が高くなる仕組みになっております。具体的には,担い手への集積率が地区面積の85%以上,かつ,そのうちの80%以上が面的に集約された場合には,事業費の12.5%が助成されます。  現在の経営体育成基盤整備事業のいわゆる地元負担のガイドライン,22.5%でございますが,仮に市町村で10%を負担していただければ,農家の負担が実質上なくなるというような制度もございます。  あわせて,繰り返しになりますが,集積・集約化を農地中間管理事業で実施した場合には,さらに機構集積協力金が交付されます。  また,農家負担につきましては,日本政策金融公庫のほうの貸付金として,一定の要件を満たせば,無利子の資金を受けられる場合がございます。  県といたしましては,こういった制度を積極的に活用するよう,土地改良区などに対して助言・指導を行いまして,負担軽減を図ってまいりたいと考えております。 124 ◯田口委員 ありがとうございます。  県も財政が厳しいということは十分に承知をしているところではございますけれども,農業情勢が厳しい折,農家を守り,本県の農業を守っていくためには,今後とも水田の基盤整備に必要な予算をとっていただくことを御配慮いただきますよう要望をいたしまして,私の質問を終了させていただきます。  御清聴ありがとうございました。      ─────────────────────────────── 125 ◯菊池委員長 以上で,本日の日程は終了いたしました。  次回は,3月22日午前10時30分から,当委員会室において委員会を開催し,質疑を続行いたします。  本日はこれにて閉会します。  大変お疲れさまでした。                 午後3時3分閉会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...