茨城県議会 2012-09-19
平成24年第3回定例会(第6号) 本文 開催日: 2012-09-19
まず,二元代表制に向けて,知事に伺います。
平成21年第3回定例議会において,故鶴岡議員が,今後の県政運営を進める上でどのような基本姿勢で臨むのかと代表質問され,知事は,議会と執行部は車の両輪。それぞれの与えられた役割を十分に踏まえ,常によい意味での緊張関係を保ちながら切磋琢磨し,県勢の発展と県民福祉の向上という共通の目標に向かって連携協力していく。議員の批判や意見,提案は真摯に受けとめ,県政運営に取り入れていくと答えております。
平成12年に
地方分権一括法が施行され,本格的な地方分権時代を迎えてから十数年たちますが,二元代表制のもと,知事と議会の役割はますます重要になっております。議会は県政運営の基本的な方針を決定し,政策形成の一つの役割を果たすことが二元代表制の本来のあり方であると思います。
本県は,これまで,さまざまな分野で知事からの政策提言がありましたが,それらには議会や議員からの意見,提案がもとになっているのが多いのは事実であります。
そこで,今後,議会側からの意見や提案をもとに,執行部で取り入れた施策に対しては,知事からの発言のあらゆる場において,議会からの提案を受けという一言を入れるべきだと思います。その一言が入ることで,議会機能をきちんと評価し,ここに二元代表制のよさが県民へ周知できると考えます。
県民に対し,茨城県は二元代表制がきちんと機能していることを知事から発するべきと考えますが,知事の所見を伺います。
次に,危機迫る日本の問題への対応について伺います。
今,中国が危険な状況です。日本の領海侵犯をしているだけではなく,中国国内において反日デモを起こし,暴徒化しています。これはまさに2010年に成立した
国防動員法そのものと考えます。国防動員法とは,国家の主権や領土の安全を守るという目的のもと,祖国を防衛し,侵略に抵抗することは,中国すべての公民の神聖な責務であると位置づけています。中国が直接的脅威を受けたら直ちに対応するというもので,まさに今,インターネットを通じてデモを促していると言えます。
万一,国防動員法が発令されると,男性は18歳から60歳,女性は18歳から55歳まで,世界中の中国人は国防義務を負わされ,中国国内の日本企業においても,物資や生産設備が徴用されてしまうというとても恐ろしいものです。
今,日本は,これらの領土問題を初め,テロ対策,原子力問題,そして,今後予想される複合災害など,いつ,どこで,何が起こるかわからない,言いかえれば,一発触発的危機的な状況です。
日本で最初に原子の火をともした我が県の知事として,大変御苦労されていることと思います。しかし,現政権下において,原子力問題の安全性について正しい情報が伝達できていないことにより,国民が過剰反応し,デモや反対集会が大々的に行われています。
今後の原子力政策は,2030年代の原発ゼロというエネルギー戦略を決定しました。私は,安全確認されたものを安全に運転,営業していくことは何ら問題ないと考えます。
そして,尖閣諸島はもちろん,竹島,北方領土は,歴史的にも国際法上も日本固有の領土であります。しかし,政府は,ロシア大統領による国後島,韓国大統領の竹島への上陸を許しました。領土という最も激しい国家間の問題に対し,歴史的事実を知らない多くの国民は,国益が侵害されても他人事,領土問題は戦争にもつながる危険性があるにもかかわらず,何も感じない国民がふえています。
さらに,北朝鮮による日本人拉致問題についても,自分の家族に起きるかもしれない問題に対し,何ら関心を持たない国民でいいのでしょうか。長年,政府が機能していなかった責任は大であります。日本を守るためにも,この危機迫る問題を国民全員が認識し,確固たる態度で臨んでいかなくてはなりません。
こういう時期だからこそ,憲法意識の啓蒙も必要です。日本国憲法は,昭和21年に公布された進駐軍のつくった時代おくれの憲法です。私は,改正でなく,自主憲法を制定すべきと考えますが,ここでは語りません。
県民一人一人が意識を高めることこそ,愛国心を育て,日本の危機を乗り越えられると信じています。
2年前の提案により,県庁2階の
県政広報コーナーに,これらの問題等のパネル展示をしていますが,まさに今,現実的に迫りくるさまざまな日本の問題について,知事はどのように認識されているのか,伺います。
次に,命の大切さの教育について伺います。
私は,これまで,自分たちで命を救う精神の重要性を説いてきました。県民みんなが,いつでも,どこでも,だれにでも心肺蘇生ができるようになるとともに,いざというときに,大丈夫ですか,どうしましたかと声をかける勇気,行動する勇気を養うことで,県民だれもが安心して暮らせるまちづくりにつながるものと思います。そのために,まず,命の大切さを教育現場で教えることが重要と考えます。
昨年の議会の答弁を受け,この1年間,AEDと心肺蘇生法及び命の大切さについて政務調査を続けました。流通経済大学でスポーツ選手の命を守る活動に力を入れている小峯教授からは,自助共助,自分たちで救う精神を,国士舘大学で,将来の救急救命士を含め,命を救う人材育成と教育に力を入れられている田中教授には命の教育の重要性をそれぞれ熱く学ばせていただきました。
さきの東日本大震災の災害現場で救助活動をしている国士舘大学の学生たちの姿をテレビで見ました。彼らは救急法の教育を受けている学生で,自分のできること,やれることを,みずからの使命感を持ち,勇気を持って現場で活動しているその姿に私は感動しました。
人は予想もしなかった事態に遭遇するとパニックになり,適切な判断や行動ができません。いざというときに自分が何もできず,救えたはずの命を失うことになれば一生後悔するでしょう。そうならないためにも,家族や友人が目の前で突然倒れても,パニックにならず,その大切な命を守れるよう,心肺蘇生法等を身につけておくことが重要です。
昨年の質問でも,AEDの適正配置とバイスタンダーの養成,そして,命を救うことができるという教育が必要だと提案しました。県は,AED設置数では全国でも上位,ほとんどの公共施設に配置されていますが,それだけでは不十分なのです。
現在の学習指導要領にも,中高生に対し,AEDを含めた心肺蘇生法の教育が盛り込まれていますが,その大半が未開催,もしくは一部の先生しか受講したことがないとのこと。教育が行われていない理由は,いい教材がない,教育方法が確立されていない,指導する時間がないと言われますが,そのような状況では,子どもたちに教えるどころか,使うことも危ぶまれます。ほとんどの学校は設置してあるだけで満足していませんか。例えば,運動会や遠足の前に,心肺蘇生法の講習会を開くことはもちろん,運動会当日は,どこにAEDがあるのか周知するなど,できることから始めるべきです。
常に命の大切さを意識することで,家庭で,教室で話し合う機会が生まれ,大切な家族,友人,そして,隣人の命を守りたいという気持ちになると信じます。安心・安全で温かな社会をつくるためにも,子どものころから命にかかわる教育をしていくことは非常に重要であり,命の大切さを思う心を育てることで,自殺する人やいじめ問題もきっと減少するでしょう。
日本臨床救急医学会は,国民全体が心肺蘇生法を実施できるような社会を形成すること,そして,学校の生徒一人一人に心肺蘇生法を理解させ,いざというとき,心肺蘇生法を実践できることが最終目標と位置づけております。
かつて水戸藩に医学館があり,人を救いたいという気持ちが強かった天才外科医の本間玄調という方がおりましたが,水戸藩医学館は財政難で廃止されました。医師不足だから,医師になる人を育てるという施策もいいのですが,頭がいいから医学部へではなく,命のすばらしさ,大切さを学んだから医師を目指すのだという教育も今の茨城県には必要なことではないでしょうか。
そのためにも,小さいころから命の教育,命の大切さを教えることが重要であると思いますが,教育長の所見を伺います。
次に,茨城空港について伺います。
まず,沖縄便のさらなる利用促進についてです。
茨城空港はどういう位置づけなのか,最近わからなくなっています。開港前はあれだけ非難され,開港後はちやほやされ,3年目の現在,札幌と神戸の話はほとんどないし,私を含め,県民の要望にこたえてくれた沖縄便についても,いまだに,いつから飛ぶのとよく聞かれます。県の政策でも余り聞かなくなった茨城空港を核にというせりふ,一体どうしてしまったのですか。就航先が決まらないから,便数が少ないからという航空会社を当てにした取り組みではなく,茨城空港があることの利便性,必要性にもっと注目すべきです。いっそのこと,茨城空港の名称をうまいもんどころ空港に変えてしまいましょう。
私は,札幌,神戸に次いで沖縄に2回,合計4回の政務調査活動をしました。沖縄便の成功には,いかに茨城空港から沖縄に人を乗せて飛ぶかが大きなかぎで,今回の調査では沖縄経済人の皆さんと懇談し,いかに沖縄がすばらしいか,沖縄に行くメリットを出すかが成功の近道ですとアドバイスをいただき,現在,茨城空港を利用した人だけが得する
就航キャンペーンが行われております。観光立県でもある沖縄県のおもてなし,ホスピタリティーを学ぶことは県民にとって重要であり,あのすばらしい空と海,そして,あの笑顔を見せつけられて元気が出ない人はいないと思います。また,常陽銀行において,沖縄の守礼の門が描かれている二千円札を持って沖縄に行こうというキャンペーンも実施されています。茨城空港の成功は,いかに沖縄に行ってもらうかです。これからの沖縄便就航をどのように考え,行動していくのか,伺います。
そして,もう一つ,今回,2回目の政務調査で沖縄に行った帰りの便が台風で欠航しました。飛行機マニアである私にとっては貴重な経験であり,楽しい思い出になったのですが,ほとんどの人には二度と体験したくない経験だったと思います。
私の体験談は省略しますが,今回のような悪天候による欠航は沖縄ではよくあることですが,茨城空港を利用した人にとって,スカイマークの欠航は大きな被害です。大手であれば,路線も機材も余分にあるし,マン・ツー・マンでの対応もしてくれますが,LCCなどの格安航空会社は,安い分,そういうサービスはほとんど期待できません。つまり,かわりの飛行機の手配,延泊時のホテルの手配など,すべてにおいて自分でやらなければなりません。空港での手続には,パソコンや携帯などの電子機器に頼ることがほとんどですので,電子機器を苦手とする年配者や家族連れなどにとっては最悪の思い出となることは間違いありませんし,同じ思いをした県職員も多いかと思います。茨城空港はもうやめた,やはり大手航空会社の方がいい,成田,羽田の方がいいなどと言われないようにするためにどうするか。
私は,そのときの経験を生かし,「茨城空港の旅を楽しくするハウツー本」という小冊子を作成することを提案します。茨城空港の利用の仕方や旅行計画をするときの心構え,天気図の見方,欠航時の対応,宿泊の手配,パソコンでの連絡先などの情報をつぶさに載せ,お金を多く払う大手の安心ではなく,格安の航空会社だからこそできる体験,万一のとき,笑いに変える対応策や心構えなど,茨城空港からの旅だからこそ味わえる,魅力に変えることができるマニュアル本をつくれば,茨城空港らしさ,LCCに対応した空港として多くの皆さんから支援,支持されること間違いありません。
そこで,このハウツー本を作成するなど,
茨城空港ならではの利用者へのサービスを提案しますが,企画部長の所見をあわせて伺います。
次に,戦争を二度と起こさないための戦跡慰問について,保健福祉部長に伺います。
我々日本人は戦争を決して起こしてはなりません。今まで遺族会等を中心に行っている戦没者慰霊祭や戦跡慰問,遺骨収集などの各種事業が,遺族会会員の高齢化等により継続が難しくなり,このままではこの事業が消滅してしまいます。私は祖父が戦死しているため,遺族の三世として2回参加してきました。三世ともなれば,戦争当時の話を聞く機会はほとんどなくなってしまう中で,戦争を繰り返さないためにも,若い人も含めて,
海外戦跡慰問等を継続することが望ましいのではないかと考えます。
現実的に考えれば,幸いにも,茨城空港から沖縄便も就航しているので,日本で唯一の内戦地である沖縄への戦跡慰問,慰霊祭,平和行進等の事業が最適だと思います。
沖縄平和祈念公園には,茨城の塔を初め,各地域,団体の慰霊塔が,また,沖縄戦での戦没者全員の氏名を刻んだ平和の礎,沖縄戦の写真や資料を集めた
平和祈念資料館などがあり,戦争を知らない世代でも平和への思いを強くするでしょう。
そこで,県として沖縄への戦跡慰問等を行うべきであると思いますが,保健福祉部長の所見を伺います。
次に,少子高齢化から多子化社会へについて伺います。
私が考える少子化対策は,子育て支援ではなく,多子化社会への取り組み,つまり,子どもを産みたい,つくりたいと思うような環境づくりを整えることであり,それこそが少子化対策の基本であると思います。
しかし,少子高齢化への考えが,要介護者や認知症がふえる,保険料や医療費がかさむなど,高齢者施策を中心に考えた統計データに基づく数字であらわされ,それをうのみにしてさまざまな対策があり,例えば,特養や老健の待機者が多いから施設をつくることになりますが,その待機者数は申込数であり,実際に今すぐ入る必要があるべき人の実数ではない,つまり,数字のマジックだということを何回も話しています。ここに福祉政策の矛盾があるのです。要介護に重きを置く高齢化社会を創造するのではなく,いつまでも元気な高齢化社会に向けた介護予防に力を入れるべきです。これにより,多子化社会への取り組みにお金を回すことができます。
そこで,多子化社会に向けた取り組みについて,保健福祉部長の所見を伺います。
次に,病気にならない予防策について伺います。
茨城県は本当に医師不足なのでしょうか。10万人当たりの医師数が全国で46番目というだけではないでしょうか。県内の医師1人に対する県民は599人,病院勤務医では,医師1人で987人の県民を担当している計算で,また,1人の医師が担当する入院患者は8.9人,外来患者では12.8人というデータを見ている限り,決して不足しているとは思えません。医師の配置や診療科目が偏っていることが医師不足ということになるかもしれませんが,言いかえれば,茨城県人は医師にかかる人が少ないという見方もできます。つまり,これも数字のマジックです。
かつての
後期高齢者医療の導入時に,
かかりつけ医制度がありました。かかりつけ医による個々人の基礎データがあれば,いつ,どこに行っても個人の病歴や投薬などの情報を共有できます。県立中央病院で導入している
電子カルテシステムを県内の医療機関で共有できれば,むだな診療,二重検査はもちろん,医療費等の削減,医師によるインフォームドコンセントの時間短縮になります。
また,病気になることを前提にするのではなく,病気にならないよう予防する,東洋医学で言う未病治が重要です。未病治とは,いまだ病まざるを治す,つまり,病気になる前にきちんと対応しよう,病気になっても重くならないように適切に処置しようという意味です。つまり,何事も予防が大事ということです。また,笑うことでも病気予防できるというエビデンスもあり,健康づくりにはさまざまな病気予防法があるということも知るべきです。
先ごろ,つくば市でも,市民の健康づくりのために,情報通信技術を活用した
健康サポート事業が始まりました。まさに,本人の健康データを,医師や保健師,栄養士などからの適切なアドバイスを受け,自分自身の健康の見える化をしていくことは,今後の健康づくり,つまり,病気にならない予防策の一つとして注目されていくことでしょう。県内でも,大洋村プロジェクトを初め,筑波大学などが積極的に健康づくり,病気予防などの実績を上げています。茨城県も,医師不足と言う前に,医者にかからないように,病気にならない健康づくりに力を入れるべきであり,それこそが茨城県民にとっての生活大県になるでしょう。
そこで,県民が病気にならないための予防策にどのように取り組むのか,保健福祉部長に伺います。
次に,心肺蘇生における善意の救助者の保護について伺います。
突然死は,いつ,どこで,だれが起こるかわかりません。県内各地でCPR活動,つまり,心肺蘇生法が普及するにつれ,いざ,その現場に立ち会ったとき,勇気を持って人命救助に当たったにもかかわらず,何かしら事故が発生した場合,アメリカやカナダでは免責をする法律,よきサマリア人の法というものがあります。その日本版をつくる動きが内閣府等で議論されていましたが,今後,県内でも,心肺蘇生法等を通じて責任をとらされることを恐れる余り,手を出さないようなことが懸念されますが,このよきサマリア人の法についてどのように周知されるのか,保健福祉部長の所見を伺います。
次に,茨城の農業の将来について,農林水産部長に伺います。
今,日本のお米が危ない。
福島原発事故以来,食への安全性の関心が高まる中,中国からのお米の輸入が増加しています。中国では日本人向けにジャポニカ米を生産し,商社を通じて大量に入荷され,安全・安心でおいしい中国米を低価格でというフレーズで,庶民の台所を扱う都会の下町のスーパーを中心に販売されていては,これから市場に出回る日本のお米への影響ははかり知れません。安全基準を下回っていたとしても,原発事故の影響で国産米が値上がりしていることを背景に,国産米より約3割程度安い5キロ1,299円で販売しており,売れているようです。先日,この中国米を試食しましたが,さすがに新米には負けますが,特に違和感は感じませんでした。ことしは,世界的な作物不況により,食料品の価格上昇に加え,品薄による輸入品の増大が予想され,現在議論されているTPPを初め,日本の貿易自由化が進めば,今後,こうした安いお米が大量に入ってくる可能性も否定できません。日本で唯一自給できるのは農業であり,しかも,主食であるお米が,今後,外国産に負けるようでは国としては終わりです。昔から,種を制するものは世界を制すと言われ,戦争にもつながります。
私は,国を守るために自衛隊があり,政治を行うために公務員がいるのだから,農業を守るためにも,安心して農業に専念できるよう専業農家の公務員化を提案します。専業農家が公務員になり,毎月,安定した収入が入れば,多少の自然災害だろうが気にせず,堂々と農業に専念できます。例えば,葉物農家であれば月20万円,メロンやブドウなどの特殊技術を持つならば月40万円,国の定める最低保障数量と質を確保すれば,それ以上は各農家の取り分,つまりボーナスになる。つくる作物の種類や農家の技術力に応じて収入が変わることは公務員も一般社会でも当たり前のことです。本人のやる気と地域性をかんがみてもおもしろいと思いますし,それくらいしないと結婚もできないし,心の余裕もなくなります。
平成22年の茨城の専業農家数は1万4,860戸で,10年前と比べると約7,000戸も減っています。その上,農業従事者全体の61%が65歳以上の高齢者。そして,主食のお米はもちろん,他の食品も含め,39%という現在の日本の食料自給率がさらに低下するようでは,食料の安全保障はもとより,産業としての農業は立ち行かなくなります。
日本の農業を守ることは,日本を守る,国を守る重要な問題です。農業大県である茨城の農業の将来について,農林水産部長に伺います。
次に,災害時における命のサインの導入について伺います。
第35回
全国消防職員意見発表会において,県北の消防隊員が,さきの震災においての災害現場の経験から,
グリーンフラッグという提案をしました。これは,緑色の旗に住所と氏名,避難場所などの情報を記入し,避難するときに,玄関や通りから見やすい場所に
グリーンフラッグを立てることで,この旗がない家から探せば捜索時間の短縮につながる仕組みで,一つの目印,連絡手段の一つとなります。
この発想から,このツールを緊急時の安全かつ正確な連絡方法として導入普及することはすばらしいことで,命のサインとしてこのようなツールはとても重要と考えますが,生活環境部長の所見を伺います。
次に,反射材の普及について伺います。
交通事故の発生は夜間の時間帯と横断中に多く,その年齢層は高齢者と学生です。私は,昨年も反射材による交通事故予防を提唱してきました。おかげさまで,県警本部が発行している「
交通安全かわら版」に反映していただき,ありがとうございます。
県警は,夜間交通対策として,車両の上向きライトを推奨していますが,事故は見えにくいから発生することは明白です。その対策として反射材の活用があり,より一層の反射材の普及に取り組み,半ば強制的に,これでもかというくらいまぶしく目立つように身につけることが大切です。
交通安全協会が配布している反射材はデザインや機能に格差があり,また,つけやすい分,外れやすいなど,配布している割には,事故予防という観点から,その効果は薄いと感じます。歩行者が反射材をきちんと身につけることが,唯一,自分でできる安全策であり,自分で自分をアピールできるすぐれものです。
また,自転車や,最近,事故の多い農耕車など,交通法規上車両と言われるものに加え,車いすなどもまぶしく目立ち過ぎるぐらいの反射素材を用いるように規制を強化すべきです。
そこで,交通事故予防策として,自転車を含む軽車両の反射材,車両の前後のライトの仕様などについて,実効性ある取り扱いなどの項目を茨城県道路交通法施行細則に追加する改正を提案するとともに,反射材を用いた制服等の普及や目立つくらいの反射材の着用が交通事故防止につながると考えますが,その普及効果を含めて,県警本部長の所見を伺います。
さらに,子どもたちを交通事故から守ること,交通事故に遭わないことが一番の願いです。
昨年の質問で,積極的に,制服やカバン,帽子などにも効果的な反射素材を取り入れたものを導入促進するという答弁を受け,新設校に導入が決まったようですが,既存の学校はもちろん,今後行われてくる統廃合校などにも,子どもたちの交通事故防止のため,反射材の活用及び反射素材の制服等を採用するよう,指導に取り組むべきと考えますが,教育長の所見を伺います。
最後に,茨城の治安維持対策について伺います。
尖閣諸島での中国への対応に始まり,竹島での対韓国,北方領土への対応が複雑化していく中,反原発デモなど,東京を中心にますます盛んになっております。本県は東京に近く,原発施設もあることから,今後は,東海村近辺を初め,県庁や知事公舎などにも波及しないとは限りません。
こういうデモに乗じたテロの危険性も考えなければなりません。反原発から環境問題へと移行しているデモ隊にテロが紛れ込んでいる可能性もあり,近隣国からの反対勢力も来ることも考えられます。また,マルチビザの発行により,たくさんの外国人が日本に入国しやすくなりましたし,中国における国防動員法の脅威も考えられます。我が茨城県は,百里基地を初め,補給処等の駐屯地があり,テロ集団にとって,とても攻めやすい県であることを危惧しています。
そういう中,警察としては,テロ対策として万全の態勢をとっていますか。日本の法律上,国内の治安は警察しか守れないことをどれだけの県民は知っていますか。自衛隊が守ってくれるといまだに県民は思っていませんか。相手国が承認している攻撃であれば,自衛隊が対応することはあるかもしれませんが,基本的に国内の治安を守るのは警察しかありません。
そこで,今後予想され得るテロ行為等に対し,どのように対応していくのか,警察本部長に伺います。
以上で,質問を終わりますが,今こそ,国家国民,そして,茨城県民の覚悟が問われています。きょうの新聞報道にもあるように,中国在住の茨城県人の安否が心配です。万一のことがないように万全な態勢を望みます。これからの日本の問題に対して,もっと関心を持ちましょう。そして,県民運動につなげて,平和な茨城,日本をつくっていきましょう。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
5
◯磯崎久喜雄議長 狩野岳也議員の質問,質疑に対する答弁を求めます。
橋本知事。
〔橋本昌知事登壇〕
6 ◯橋本昌知事 狩野岳也議員の御質問にお答えいたします。
まず,二元代表制についてお尋ねをいただきました。
首長と議会がともに住民から直接選挙されるという二元代表制におきましては,首長と議会がそれぞれの役割と責任を踏まえ,健全な緊張関係を構築しつつ,互いに切磋琢磨しながら県政の課題に取り組んでいくチェック・アンド・バランスの関係にあることに意義があると考えております。
このため,私は,これまでも,県政の重要な課題への対応や政策の形成に当たりましては,議会に対して積極的に情報提供をしてまいりますとともに,議案等の審議や調査の過程において,議員の皆様からいただいた御提案や御意見を真摯に受けとめ,できる限り県政運営に取り入れてまいりました。
改めて,これまで議員の皆様から貴重な御提案や御意見をいただいてまいりましたことに深く感謝を申し上げる次第であります。
昨年,各会派から県に対して提案・要望いただきました項目は,
いばらき自民党だけで2,026ございましたほか,他党,会派を合わせますと膨大な数に上り,その内容は幅広く県政全般にわたっております。ある意味,県の施策のほとんどについて,議会の考えが反映されていると言っても過言ではなく,それら一つ一つについて,御指摘のように,議会からの提案を受けたものであるということを申し上げていくのは現実的ではないのではないかと考えております。
それよりも,議員と執行部が真剣かつ活発な議論を重ね,時代時代に合った的確な政策を打ち出し,役割分担しながら,施策の周知と円滑な実施に努めていくことがいいのではないかと考えておりますので,御了解をいただきたいと存じます。
次に,危機迫る日本の問題への対応についてでございます。
まず,領土問題につきましては,最近,近隣諸国との緊張が高まりを見せておりますが,国が見解を示しているとおり,竹島,尖閣諸島及び北方四島は我が国固有の領土であります。国には,引き続き,国民と国益を守る立場から,毅然とした態度で冷静に対応していただきたいと考えております。
次に,拉致問題につきましては,議員御指摘のとおり,国民全員がこの問題を認識し,一丸となって早期の解決に取り組むことが大変重要であります。
このため,先週15日には,国及び水戸市と共催で,拉致問題を考える国民の集いを開催したところであります。ことしは,拉致被害者が帰国してから10年の節目を迎え,全国知事会でも拉致問題の早期解決に関する緊急決議を行ったところであります。
北朝鮮では体制が新しくなったところでありますので,国においては,実効性ある対話と圧力による断固とした措置を講じ,解決に向けて最大の努力をしていただきたいと思います。また,我々も国民世論を盛り上げ,政府を強力にバックアップしていくべきと考えております。
また,憲法問題につきましては,公布から60年以上が経過し,憲法改正国民投票法も施行されておりますので,主権者である国民が,国の基本法である憲法についてしっかりと認識を深め,幅広く議論していくことは大変意義深いことであると考えております。
このように,我が国は多くの危機迫る問題に直面しております。日本人は,ややもすれば,事なかれ主義,まあまあ主義で,直接,自分の日常生活に影響が及ばないことについては真剣に考えない風潮がございますが,これからのますます厳しくなる国際社会の中で,日本がたくましく生き残っていくためには,国民自身がみずからの国のことや世界の情勢をよく認識し,日本国,あるいは日本国民としての主張をしっかりとしていくことが極めて重要であると感じております。
このようなことから,まずは,国民一人一人が領土問題や人権問題などを自分のこととして真剣に学び,考え,確固たる信念を持ち,それを発言できるようになるとともに,国におきましても,国際社会に対して,国民と国益を守るため,しっかりとした主義主張をしていくべきであるとの思いを強くしているところであります。
県といたしましては,引き続き,県ホームページや
県政広報コーナーなどを活用し,県民のだれもが,危機迫る日本の問題について自分のこととして考え,主張することができるよう,県民の理解の促進に努めてまいります。
7
◯磯崎久喜雄議長 次に,小野寺教育長。
〔小野寺教育長登壇〕
8 ◯小野寺教育長 命の大切さの教育についてお答えいたします。
最近,いじめ,自殺,交通事故など,子どもたちの命を脅かす事件,事故が相次いで発生している中で,命をとうとび,大切にしようとする態度や心を育てることは極めて大切なことであり,学校教育においては,道徳や体験活動などさまざまな場面を通して繰り返し指導しているところでございます。
こうした中,目の前で人の命が危険にさらされているとき,そのとうとい命を救うために何をなすべきかということを教えることは,まさに命の教育として効果的であると考えております。
学校におきましては,学習指導要領に基づき,主に,保健の授業などにおきまして,発達段階に応じた応急手当ての意義や方法等について学習をしており,特に,中学,高校におきましては,心肺停止の危険な状態において,胸骨圧迫などの心肺蘇生法などについて取り上げられておりますが,議員御指摘のように,生徒一人一人の実習という面では十分とは言いがたい状況にございます。
このため,県としましては,今後,実習で使用する心肺蘇生法教材などの活用を学校へ促しますとともに,各学校において,救急救命士等が所属する地域の消防署や医療関係機関等と連携し,心肺蘇生法等の実習が実施されるよう,市町村教育委員会や学校に働きかけてまいります。
一方,今年度は,文部科学省の学校安全教室推進事業の一つとして,県立学校の教員を対象に,AEDを含む心肺蘇生法実技講習会を実施いたしました。今後も引き続き,不測の事態に備え,現場に居合わせた教職員が適切に対応できますよう,知識や技能の習得に努めてまいります。
また,議員より御提案がありましたように,運動会や遠足の前に心肺蘇生法の講習会を開いたり,AEDがどこにあるかを周知するなど,まずは,身近にできることから取り組み,日ごろから意識の醸成を図ってまいります。
これらのことを通して,児童一人一人がいざというときに適切に行動できる実践力を育成するなど,命を大切にする教育の充実を図ってまいります。
次に,県民を守る取り組みについてお答えいたします。
反射材の普及についてでございます。
反射材につきましては,道路交通の安全対策上,今や欠かせないものになっており,特に交通事故発生率の高くなる夕方の時間帯では非常に効果的でありますことから,これまでも広く普及啓発を行ってきたところでございます。
ことし3月に県庁2階で開催いたしました交通安全の普及啓発活動の中で,議員からの御提案により,反射材を使用した背広,制服等を展示し,反射材体験コーナーを設けましたが,体験した方々からは,ライトを当てるとよく光り,交通事故防止に効果があることがよくわかったとの声が寄せられたところでございます。
また,学校と警察が連携した取り組みの一例としまして,今年度の自転車安全利用モデル校の一つであります県立水戸二高が,県民を対象とした自転車の安全運転キャンペーンの中で,車輪につける反射材を配布することにより,安全運転を啓発するとともに,生徒みずから,反射材の効果について再認識したところでございます。
議員御指摘の反射材が組み込まれた制服につきましては,既に平成18年度から,県立常陸大宮高校におきまして,学校統合を機に,制服のエンブレムで採用されております。さらに,来年度開校予定の古河中等教育学校では,反射材を使用したボタンが採用されるなど,徐々にではありますが,反射材の有効性について認識が高まってきているところでございます。
今後とも,学校安全関係の各種会議,研修会など,さまざまな場を活用いたしまして,県内での取り組み例の紹介を含め,反射材の有効性を周知いたしますとともに,児童生徒がふだん着用する制服に反射材が採用されるよう,統廃合等における制服のデザイン変更時などをとらえまして,より一層導入を促進してまいります。
9
◯磯崎久喜雄議長 次に,榊企画部長事務取扱副知事。
〔榊企画部長事務取扱副知事登壇〕
10 ◯榊企画部長事務取扱副知事 茨城空港についてお答えいたします。
まず,沖縄便のさらなる利用促進についてでございます。
県では,スカイマーク社によって那覇便の就航が表明された5月1日以降,茨城県内はもとより,栃木県や埼玉県など近県におきましても,街頭キャンペーンの実施や,県域テレビやラジオ,新聞,さらには地域情報誌などを活用してPRを行いましたほか,500を超える企業その他の団体を個別に直接訪問するなど,路線の周知に努めてまいりました。
さらに,旅行会社に対して,ツアーの造成を積極的に働きかけてまいりました結果,7社からツアー商品が販売されるなど,那覇便を利用しやすい環境づくりにも取り組んできたところであります。
また,7月1日の那覇便の就航に合わせて,空港ビルにおいて,めんそ~れ沖縄フェアを開催し,来場された約2万1,000人の方々に沖縄の魅力を肌で感じていただきますとともに,ミス沖縄を招き,新聞やテレビ等で沖縄の魅力を発信するなど,沖縄への旅行機運の醸成を図ってまいりました。
さらに,就航先の沖縄におきましても,7月と8月にキャラバン隊を派遣し,地元新聞社等において,茨城-那覇便の就航と本県の観光等についてPRを行いましたほか,議員を初め,関係者の皆様の御尽力もあり,茨城空港の利用者を対象とした格安レンタカープランや特別宿泊プラン,飲食店の利用特典など,さまざまなキャンペーンを展開していただいたところであります。
こうした取り組みもあって,多くの皆様に那覇便を御利用いただきました結果,10月以降も神戸経由便として運航が継続されることになりました。
10月以降は,経由便になったことにより,直行便に比べますと1時間程度時間がかかることになりますが,一方で,那覇空港の出発時間が朝の9時半から12時50分に変更されますことから,沖縄での滞在時間が長くなり,より利用しやすくなるものと考えております。
今後は,沖縄観光コンベンションビューローなど,関係者との連携を一層密にしながら,季節に合わせた沖縄の魅力を紹介するなど,年間を通した利用者の確保に努めますとともに,沖縄からの誘客も含め,那覇便の利用促進に取り組み,路線の定着を図ってまいります。
次に,利用者へのサービス向上についてでございます。
議員御指摘のとおり,茨城空港の利用者にとって,気象条件等による欠航は大きな不安要素であり,航空機に乗りなれていない方々に対して,欠航時の対応に関する情報等をわかりやすく提供することは,利用者の不安の払拭とサービスの向上を図る観点から大変重要であると考えております。
このため,県におきましては,これまでも,ホームページの質問コーナーにおいて,運航状況の問い合わせ先の案内などを行ってきたところでありますが,今後は,茨城空港の利用者が安心して旅行できますよう,議員の御提案を踏まえ,便の変更や払い戻しの手続,宿泊先の手配方法,二次交通の案内,その他台風時の留意事項などについて,よりわかりやすい情報の提供に努めてまいります。
さらに,県のホームページに掲載しております,茨城空港におけるイベント情報や就航先の各種情報等についての内容の充実を図りますほか,フェイスブックやツイッターを活用した情報発信にも取り組むなど,利用者サービスの向上に努め,利用者の掘り起こしとリピーターの確保につなげてまいりたいと存じます。
11
◯磯崎久喜雄議長 次に,土井保健福祉部長。
〔土井保健福祉部長登壇〕
12 ◯土井保健福祉部長 予防を重視した福祉施策についてお答えいたします。
まず,戦争を二度と起こさないための戦跡慰問についてでございます。
今日の平和と繁栄が多くの戦没者の方々のとうとい犠牲の上に築かれたものであることや,過去の悲惨な戦争の教訓を風化させることなく,次の世代に語り継いでいくことは重大な責務であると考えております。
このことから,議員の御提案や県遺族連合会を初め多くの方々の御意見を参考にしながら,戦跡慰問のあり方を模索してまいりたいと思います。
県といたしましては,県遺族連合会主催の沖縄「茨城の塔」慰霊祭,戦跡巡拝に対し,平成23年度から,新たな支援として,参加していただく人数を25名から40名に増員し,範囲を,子,兄弟姉妹に加え,孫まで拡大するとともに,慰霊祭に係る経費についても補助しているところでございます。
沖縄への戦跡慰問につきましては,今後とも,県遺族連合会と密接に連携を図りながら,戦没者慰霊,戦跡巡拝のみならず,戦争の悲惨さを次世代に継承し,恒久平和へのかけ橋となるように支援してまいります。
次に,少子高齢化から多子化社会へについてでございます。
議員御指摘のように,子どもを産み育てやすい環境を整えること,介護予防を進めることは,子どもたちが楽しく遊び,勤労世代がやりがいを持って働き,高齢者の皆さんが元気に暮らせる社会を築くことにつながるものと理解しております。
平成21年度に実施した少子化対策に関する県政世論調査によりますと,理想とする子どもの数の最も多い回答は3人で,平均2.5人となっておりますが,特に若い世代を中心に,経済的負担や仕事と家庭の両立が困難であるなどの理由により,実際の子どもの数は2.1人にとどまっております。
また,少子化対策で成果を上げているフランスやスウェーデンなどでは,家族手当や多様な保育への助成制度が充実しており,労働時間そのものが短く,家族で過ごす時間を十分にとれるなど,仕事と家庭の両立支援を進めてきたという特徴が挙げられます。
このようなことから,県では,子育てに当たって,医療費助成など経済的な負担の軽減に努めるとともに,県内の事業所に対して,ワーク・ライフ・バランスの普及啓発を行うなど,若い世代が安心して働き続けられる環境づくりを進めているところでございます。
また,高齢者の方々には,地域社会の担い手の一員として,豊富な経験を生かしながら,子どもたちや支援の必要な高齢者を支えていただけるよう,健康づくりや介護予防を今後一層推進してまいります。
次に,病気にならない予防策についてでございます。
県では,生活習慣病の予防を重視した健康いばらき21プランにより,日常の生活習慣や健康管理などに関する実際の行動について指針を定めて,健康づくりを推進しているところでございます。例えば,バランスのよい食事や運動の習慣化,禁煙の必要性,健康診査や保健指導を受ける重要性などについては,地上デジタル放送などを活用して重点的に県民への啓発を行っております。
また,健康診査の受診者を追跡調査した結果などをもとに,地域別の死亡率や発症率といった客観的な指標を提供して,市町村などが地域の特性に応じた効果的な保健サービスを展開できるように支援してまいりました。
しかし,昨年の調査では,県民の塩分摂取量や喫煙率,健康診査の受診率などは良好とは言えず,脳卒中を初めとする循環器疾患による死亡率も高い状況にあります。
そのため,よりよい生活習慣の普及や,健康診査,保健指導の対象者への働きかけを強化するため,今後,県内の医療保険者と協議するとともに,糖尿病危険度予測シートなど健康教室や保健指導に役立つツールを開発して提供することにより,生活習慣病の発症リスクを低下させる取り組みを支援してまいりたいと考えております。
県といたしましては,引き続き,県民の健康づくりを推進するため,さまざまな機会をとらえて,好ましい生活習慣についての情報を発信するとともに,市町村などの保健サービスの質の向上を図ってまいります。
次に,善意の救助者の保護についてでございます。
よきサマリア人の法につきましては,平成23年の国会厚生労働委員会において,小宮山厚生労働大臣が,現行法で対応可能であるという見解を示しておりますように,我が国では立法化されておりませんが,この法の精神は,救急現場に居合わせた人,いわゆるバイスタンダーによる傷病者の救護の促進を図る上で大変重要であると考えております。
一方,消防庁の統計によりますと,国内において,市民より目撃された,心臓を原因とする心肺停止傷病者数は,平成22年で2万2,000人に上っており,とうとい命を少しでも多く救うためには,バイスタンダーがみずから率先して心肺蘇生を行うことができるようにしていくことが大切であります。
このため,県におきましては,県医師会や教育委員会と連携し,小中学校において,心肺蘇生法などに係る講習会を実施しておりますので,今後は,よきサマリア人の法の趣旨をわかりやすく解説するなど,内容の充実に努めてまいります。
また,日本救急医療財団及び日本蘇生協議会のJRC蘇生ガイドライン2010には,普及・教育のための方策として,よきサマリア人の法が記載されており,さらに,消防本部の応急手当て講習会などでも講義内容に組み込んでいるところもございますので,講習会を初め,さまざまな機会を通じて,より一層の理解促進を図ってまいります。
このような取り組みにより,バイスタンダーが勇気を持って,ちゅうちょすることなく,人の命を救う行動を起こせるよう,よきサマリア人の法の精神を周知してまいります。
13
◯磯崎久喜雄議長 次に,柴田農林水産部長。
〔柴田農林水産部長登壇〕
14 ◯柴田農林水産部長 茨城の農業の将来についてお答えいたします。
県では,昨年3月に策定いたしました茨城農業改革大綱に基づき,もうかる農業の実現を目指して取り組んでいるところでございます。
議員御指摘の米につきましては,本県の農業産出額の約2割を占める重要な品目でありますので,生産コストの削減を図りながら,消費者に喜んで買ってもらえる米づくりを進めることが重要であると認識しております。
このため,農地集積による経営規模の拡大や,収量の多い品種の導入,拡大により生産性を高め,低コストの米づくりを進めますとともに,エコ農業茨城を一層推進し,農薬や化学肥料の使用を削減した環境に優しい米づくりの普及に取り組んでまいります。
また,今後は,食味などによる本県独自の品質評価を検討するなど,おいしさを重視した米づくりを進めるとともに,茨城米として統一感のあるブランド戦略を展開し,販売促進を図ってまいります。
また,議員御提案の専業農家の公務員化につきましては,農業従事者の減少や高齢化によりまして,稲作農家を初め,農業の担い手がいなくなってしまうのではないかという危機感のあらわれと受けとめております。担い手の育成,確保は重要かつ喫緊の課題であると認識しております。
このため,県といたしましては,新規就農者に対して,農業技術や経営管理能力習得のための研修の実施や,必要な機械,施設の取得経費への無利子融資など,就農から定着までのきめ細かい支援を行ってまいります。
さらに,担い手農家に対しましては,契約取引や,みずからが加工や販売にも取り組む6次産業化を推進しますとともに,食品産業との連携によります販路拡大などを支援し,安定した収入の確保につなげ,将来にわたり自信とやりがいを持って農業に取り組めるよう,茨城農業改革を着実に推進し,もうかる農業の実現を通じて,農業大県としての地盤を一層固めてまいります。
15
◯磯崎久喜雄議長 次に,泉生活環境部長。
〔泉生活環境部長登壇〕
16 ◯泉生活環境部長 災害時における命のサインの導入についてお答えいたします。
津波発生時のように特に緊急を要する災害におきましては,限られた時間と人数の中で,住民の安否確認や避難誘導,さらには,倒壊家屋からの救助活動などを迅速に行う必要があります。
昨年の東日本大震災では,本県におきましても,大津波警報が発令されている中,沿岸部の消防機関等におきましては,防災行政無線や各戸への呼びかけにより,住民の避難誘導や避難状況の確認を懸命に行ったところでございます。
議員御提案のとおり,
グリーンフラッグ等の手段により,各家で避難完了の標示を行うことができれば,避難誘導や捜索活動の対象を限定することができ,より迅速かつ効果的な災害救助活動が期待できるものと考えます。
一方,本県で避難完了の標示を導入しようとする場合には,地域により住居事情等がかなり異なる中で,標示に適した器具や標示の方法,また,確実に掲示していただける方策,さらには,家が不在であることを示すことにもなりますので,防犯対策といった検討すべき課題がございますことから,市町村,消防機関,自主防災組織等の御意見を聞きながら,検討してまいりたいと考えております。
17
◯磯崎久喜雄議長 次に,荻野警察本部長。
〔荻野警察本部長登壇〕
18 ◯荻野警察本部長 まず,反射材の普及についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり,反射材による夜間の交通事故防止対策は大変に重要であると認識をしております。
茨城県道路交通法施行細則では,軽車両が夜間つけなければならない灯火として,一定の光度を有する前照灯及び尾灯,または尾灯にかえて一定の反射性能を有する反射器材を定めております。
この前照灯及び尾灯の光度や反射器材の反射性能は,日本工業規格が定める製品の規格基準に準拠しておりまして,安全に走行できる灯火等であると認識しております。
さらに,自転車につきましては,道路横断中に尾灯等が側方から見えにくいということがございますので,スポークにつける側面反射器材などが非常に有効であります。その普及が必要であると考えております。
反射器材につきましては,視認効果を理解していただける参加・体験・実践型の交通安全教育などを強化し,その活用が広がるよう,引き続き,努めてまいります。
また,反射材を用いた制服等の普及及び反射材用品の着用につきましては,夜間の交通事故防止に効果がありますことから,今後も関係機関,団体等と連携して,その推奨に努めてまいります。
続きまして,茨城の治安維持対策についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり,我が国の国内外の情勢には不透明なものがあります。もとより,直ちにテロが発生する蓋然性があるというわけではございませんが,いつ何どき不測の事態が生じても,警察として的確に対処できるよう,所要の対策を講じております。
具体的には,例えば,原子力関連施設の警戒警備については,人員,装備を増強し,サブマシンガンやライフル銃を所持した銃器対策部隊により警戒を強化しているほか,関係機関や事業者と連携した訓練を行い,対処能力の向上に努めております。
また,茨城空港を初めとする公共施設等の管理者と連携を強化するなどして,大規模集客施設や公共交通機関などのいわゆるソフトターゲットに対する警備対策を推進しております。
また,爆発物の原料となり得る化学物質を取り扱う販売事業者に対しては,継続的に個別訪問を行い,不審な購入者等に関する情報の通報を要請しているところであります。
さらに,水際対策については,関係機関との合同訓練等を実施するなど,その強化に努めております。
これらのほか,情報の収集,分析の高度化や,事態の対処に当たる警察部隊の練度の向上,装備資機材の整備に努めるとともに,幅広い関係機関,事業者等とのネットワークづくりを進め,県内の治安維持に万全を期してまいります。
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19
◯磯崎久喜雄議長 暫時休憩をいたします。
なお,会議再開は午後1時を予定いたします。
午後0時1分休憩
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午後1時11分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
20
◯磯崎久喜雄議長 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
この際,申し上げます。
次の質問,質疑は,分割方式により行われます。
なお,傍聴人の皆様に申し上げます。
傍聴人の拍手は禁止されておりますので,御留意願います。
石井邦一議員。
〔36番石井邦一議員登壇,拍手〕
21 ◯36番石井邦一議員
いばらき自民党の石井邦一でございます。
今回で5度目となる登壇の機会を与えていただきました諸先輩を初め,皆様方に心から感謝を申し上げます。
私は,これまで5回の一般質問で,茨城の均衡ある発展のため,さまざまな質問をしてまいりました。しかし,県北の奥久慈地域は,依然として,交通などにおけるインフラ整備のおくれや公共交通の不便により,新たな企業の参入はもちろんのこと,既存の企業においても業績を向上させることが大変難しく,新たな雇用の受け皿となっていただくことは厳しい現状があり,若者の人口流出に依然として歯どめがかかりません。
以前の私の一般質問において,これから県北山間地域を背負っていく子どもたちに対し,県北山間地域の将来像をどのように提示するのかとの質問に対して,橋本知事は,県北山間地域は,首都圏にも近く,鉄道も走っているなど,他県の過疎地域と比べれば条件ははるかに恵まれていると考えており,この地域の豊かな自然と人情の中で,生きがいを持って暮らせる元気な地域をつくり上げていきたいと考えていると御答弁をいただきました。
もちろん,人情味ある地域を維持することや,観光や交流人口の確保に努め,経済効果を生み出すことも大切であるとは思いますが,今回のように,東日本大震災の発生に伴う福島第一原子力発電所の事故の放射能漏れという深刻な事態で,安全な地域が,風評被害により,観光客並びに交流人口の大幅な減少という事態を目の当たりにしますと,交流人口の確保や観光振興のみでは,やはり地域の元気づくりは厳しいものがあり,他の地域との差別化を図るためにも,そこにもう一ひねり加えていただくことが大変重要であると考えます。
それでは,初心を忘れることなく,愛であふれる美しく活力のある郷土を柱として質問をしてまいりますので,知事初め執行部の皆様方におかれましては,傍聴者を初め県民の皆様方にも夢と希望の持てる茨城づくりについて,誠意ある前向きな答弁をお願いいたします。
初めに,私が所属する総務企画委員会で,本年度のテーマとしても取り上げております,地域の特性や資源を活かした元気づくりについて伺います。
まずは,県北山間地域における特区の創設及び再生可能エネルギーの現状と今後の取り組みについてであります。
東日本大震災や福島第一原子力発電所の事故を受け,原子力を基幹エネルギーとする我が国のエネルギー政策への信頼は大きく揺らいでおります。
国においては,原発比率を3段階に分け,シナリオを示し,意見聴取会やパブリックコメントが実施されるなど,将来のエネルギーの姿について国民的議論が重ねられてきました。
また,国においては,今月14日に,2030年までに原発稼動ゼロというエネルギー政策を決定したところであります。
私は,エネルギー政策が原発依存から大きく方向転換をしようとしている中,再生可能エネルギーの導入については国民的合意が得られており,また,今定例会でも,再生可能エネルギー導入について5名が質問するなど,そこに異論の余地はないものであると思います。
また,本県においても,この絶好の機会をとらえ,県内地域の特性に応じた再生可能エネルギーの導入を積極的に図ることにより,地域の産業振興や活性化につなげていくべきと考えます。
私が,先日,委員会で訪れた高知県の檮原町や,政務調査で訪れた栃木県の那須野ヶ原土地改良区連合などでは,地域特有の資源を活かしながら,太陽光,小水力,バイオマス発電など,再生可能エネルギー導入について地域を挙げて取り組むことにより,地域資源の有効活用だけではなく,雇用も創出されるなど,再生可能エネルギーの導入がその地域の元気づくりの一翼を担っているところを見てまいりました。
特に感じたことは,地域住民が豊かな地域資源の存在に気づき,その資源の活用に,地域住民の総意により,一丸となって取り組んでいくシステムづくりの重要性であります。このシステムづくりがうまくいけば,その地域にも新たな産業が生まれ,地域も活性化していくものと私は考えます。
そこで,県北山間地域における再生可能エネルギーを積極的に導入するためにも,私は,宮の郷工業団地を含む奥久慈全体の地域に地域活性化を図るための特区を設けて,地域全体で再生可能エネルギーの導入に取り組んでいくことが望ましいと考えます。特区の設定により,農地法や河川法等で規制されている問題が緩和されて,企業が参入しやすい環境が整えば,奥久慈の里に光りが差し込み,新たな企業も参入に向けて目を向けてくれるのではないかと思います。
そして,地域の資源が有効に活用されれば,全国的にも話題となり,観光誘客など交流人口の増加にもつながるものと考えます。
再生可能エネルギーの導入については,本年7月から固定価格買取制度が施行されたこともあり,事業者の売電を主目的としたものが多く見受けられるところではありますが,私は,売電には余りこだわらずに,再生可能エネルギー導入こそが新たな産業を生み,地域の元気づくりに大いに役立つものと考えております。
そこで,本県における再生可能エネルギーの現状と,県北山間地域への再生可能エネルギーの導入促進を図る特区の設定も含め,県としてどのように再生可能エネルギーの導入を図っていくのか,橋本知事にお伺いをいたします。
次に,県北山間地域への再生可能エネルギー導入促進を図るための協力体制についてお伺いをいたします。
8月26日の茨城新聞に,東京都は,「熱は熱で」キャンペーンで,電気は,冷蔵庫やテレビなど電気でしか使えないものに限り,給湯や暖房など比較的低温で利用される熱は,なるべく太陽熱などの再生可能エネルギーによって生み出される熱で賄いましょうと呼びかけているという記事がありました。私も,この東京都の活動は,まさしくそのとおりであると考えます。
県北山間地域の特色の一つとして,県内でも特に森林面積の占める割合が高く,森林資源や水資源に恵まれており,この地域は,森林バイオマスや小水力発電など,再生可能エネルギーの宝庫であると私は思います。
私は,常々,この宝の山を目にしながら,天候によって出力が変動する太陽光や風力発電と,出力が比較的安定している小水力や木質バイオマスの活用を上手に組み合わせて,荒廃した森林の再生や地域経済の活性化に役立つようにすることが政治や行政の役割だと考えております。
また,再生可能エネルギーの利用につきましては,売電を目的にするだけではなく,例えば,水資源を最大限活かして,用水路を活用したマイクロ発電や,水車による発電と太陽光パネルによる発電などを組み合わせた電力により,緊急時の避難の施設など,地域の皆さんが集う施設や夜間街灯の電力を賄うとか,地域で地産地消する形で利用するなど,地域の子どもたちが自然由来のエネルギーを理解するのに役立つ環境の教育地域として活用することも大きな意味があると考えております。
先ほども申しましたが,ことし7月から施行された固定価格買取制度により,再生可能エネルギーは一気に普及していくものと考えますが,これにかかわる事業者だけが利益を得る構造では制度そのものが続かないと考えます。再生可能エネルギーは地域特性に応じた小規模分散型のエネルギーであり,事業者の利益はもちろんですが,地域の利益に資することを目的の一つとして利用されるべきと考えます。
また,今定例会においても,これまで3度にわたり再生可能エネルギーの導入について議論がなされ,その中では,しっかりとした計画を持って進めなければならないとの答弁も出されております。
再生可能エネルギーの導入については,地域住民が豊かな地域資源の存在に気づき,その資源の活用を図るための仕組みづくりが不可欠であると考えており,そこがうまくいけば,必ずや新たな産業が生まれ,地域の活性化もしてくるものだと考えております。
そこで,県北山間地域への再生可能エネルギーの導入について,県も一丸となって仕組みをつくり上げ,地域の先導的な立場として,取り組みを促進していくべきと考えますが,庁内関係部局との連携や地元との協力体制をどのように図り,促進していこうとしているのか,企画部長にお伺いをいたします。
次に,宮の郷工業団地を核とした森林資源の有効活用についてお伺いをいたします。
本県では,平成20年度から,森林湖沼環境税を活用して,水源涵養機能や山地災害防止機能が低下した森林を回復させるための緊急間伐に取り組んでおります。
この森林湖沼環境税の後押しもあって,県北地域における間伐の進度は大いに高まり,その成果は確実に目に見える形となってきております。
また,その税の継続につきましては,市町村4団体や林業関係33団体などが,県及び議会に対して継続の要望をしておりますし,市町議会においても,これまでなかった林活議連が発足されるなど,来年度以降の森林湖沼環境税の継続が叫ばれているところであります。
今定例会においても,橋本知事からは,継続の意向がある旨の答弁がなされており,私としても,継続への期待が非常に高まります。
また,森林湖沼環境税の後押しもあり,常陸太田市と常陸大宮市の境に位置する宮の郷工業団地では,原木市場や木材乾燥施設,ラミナ製材工場など,木材の流通・加工施設の集積が進み,木材産業の拠点ができつつあります。
このような事業の成果として,生産能力が格段に高まり,間伐材の利用拡大が大きく進み,その結果,およそ300人の新たな雇用が創出されたとお聞きしております。
しかし,その一方では,間伐材の事業量の増加に伴い,山の中に切り捨てられた未利用の間伐材も相当量あるのではないかと思っております。
私は,県北山間地域は木質バイオマスの宝庫であり,今後は,これらの森林資源を地域のエネルギーなどに有効的に利用していくことが重要であると考えております。例えば,未利用間伐材からチップやペレットをつくり,燃料として,県内各地域にある温泉施設や農業用ハウスなどのボイラーに使用したり,学校などの公共施設にペレットストーブを導入するなど,身近なところで利用すれば,エネルギーの地産地消の取り組みとなる可能性を持っております。
このような取り組みを実現する方策として,宮の郷工業団地に木質バイオマス関連事業や新たな木材の製品開発を行う事業,そのほか,環境に関する教育施設や体験の施設など,交流人口の拡大が図れるような事業などを集積し,既存の施設と連携した事業展開を図ることで,さらに新たな雇用や産業の創出につながるとともに,林業,木材産業の振興の原動力として,県北山間地域の元気の源となると私は確信をいたしております。
そこで,県北山間地域の振興に大きな役割が期待される宮の郷工業団地を核として,森林資源をどのように有効活用していくのか,また,木質バイオマスについては,地産地消を含め,これをどのように活用していくのか,農林水産部長にお伺いをいたします。
この項目に関する質問は,以上です。
22
◯磯崎久喜雄議長 石井邦一議員の質問,質疑に対する答弁を求めます。
橋本知事。
〔橋本昌知事登壇〕
23 ◯橋本昌知事 石井邦一議員の御質問にお答えいたします。
特区の創設及び再生可能エネルギーの現状と今後の取り組みについてお尋ねをいただきました。
まず,本県における再生可能エネルギーの現状についてでございますが,風力発電につきましては,設備容量が約8万8,000キロワットで,全国で第11位,バイオマス発電につきましては,設備容量が約8万1,000キロワットで,全国第4位,太陽光発電は,住宅用太陽光発電施設の設備容量が約4万1,000キロワットで,全国で第15位となっており,特色あるものといたしましては,神栖市の株式会社ウィンド・パワー・いばらきによる国内初の本格的な洋上風力発電施設や,ひたちなか市の北越紀州製紙株式会社による国内でも最大規模のバイオマス発電施設などが稼動しているところであります。
県におきましては,これまでも企業と共同したメガソーラーの整備などに取り組んでまいりましたが,今後は,国のエネルギー政策を踏まえ,再生可能エネルギーの導入を一層促進し,その割合を大幅に高めていく必要があるものと考えており,再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組んでまいります。
本年7月の固定価格買取制度の施行を受けて,民間事業者の発電事業への参画が活発になっていることを踏まえ,先般,鹿島港港湾区域の一部を再生可能エネルギー利活用ゾーンとして位置づけ,全国に先駆けて大規模洋上風力発電事業者の公募を行いましたほか,太陽光発電などの立地を希望する事業者に対して,適地情報の提供などに努めているところであります。
議員の地元の奥久慈地域におきましては,宮の郷工業団地について,工場等のほか,メガソーラーの立地も可能となるよう公募要件を緩和して,今月3日から事業者の公募を開始したところであります。
また,常陸大宮市におきましては,三太の湯など,市内3カ所の温浴施設に木質バイオマスエネルギーを導入しようとする動きが出てきておりますことから,その実現に向けて,県も一緒になって検討を進めております。
さらに,本県には,県北地域を中心に11カ所の小水力発電施設がございますが,河川や農業用水などを活用した小水力発電につきましても,その導入を検討してまいります。
現在,県におきましては,新たなエネルギープランの策定に向けて作業を進めているところでありますが,年度内に取りまとめることとしております計画には,再生可能エネルギーの導入目標についても定めることにより,その導入促進を図ってまいりたいと考えております。
なお,議員御提案の特区についてでございますが,栃木県における小水力発電の特区の例では,土地改良区連合等が中心になって熱心な取り組みが行われたと聞いております。栃木県では,総合特区の申請に当たって,国との調整を行ったと承知しているところでございます。
本県におきましてどうするかということでございますが,せっかくの議員の提案でありますので,今後,県といたしましては,特区設定の必要性,あるいはまた有効性の検討をしていくことはもとより,地元の意気込み,意見などを伺いながら,特区の活用について,これから地元の市町と協議してまいりたいと存じます。
24
◯磯崎久喜雄議長 次に,榊企画部長事務取扱副知事。
〔榊企画部長事務取扱副知事登壇〕
25 ◯榊企画部長事務取扱副知事 再生可能エネルギー導入促進を図るための協力体制についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり,再生可能エネルギーの導入の促進を図っていくためには,まず,地域の方々が,自分たちの地域に存在する豊かなエネルギー資源に気づいていただくことが大変重要であります。
このため,県におきましては,平成22年度に,県内各地における再生可能エネルギーの利用可能量等について調査を実施し,その結果を県のホームページでわかりやすく公表するなど,周知に努めてきているところであります。
また,再生可能エネルギーの導入促進を図るための体制といたしまして,本年4月,科学技術振興課に新エネルギー対策室を新たに設け,庁内関係部局はもとより,市町村などとも連携し,メガソーラーの適地情報の提供や,鹿島港港湾区域における大規模風力発電事業者の公募等に当たってきているところであります。
御指摘の木質バイオマスの利用につきましては,市町村における導入の促進を図るため,去る8月29日に,山形県最上町の担当者をお招きし,県や市町村,森林組合などの担当者を集めたバイオマス利活用セミナーを開催いたしました。
また,バイオマスエネルギーの導入に向けて,具体的な動きのある常陸大宮市の取り組みに対しましては,その実現に向けて,庁内関係部局と連携を図りながら,一緒になって検討を進めており,来月には,市の担当者とともに山形県の現地調査にも取り組むこととしてございます。
さらに,小水力発電につきましては,農業用水の活用による発電の可能性を探るため,去る6月25日,全国で唯一,小水力発電で地域活性化総合特区に指定をされております栃木県那須野ヶ原土地改良区連合の現地調査を実施いたしましたが,今後は,市町村の担当者向けのセミナーを開催するなど,地域における機運の醸成に努めてまいります。
今後とも,新エネルギー対策室を県の総合窓口として,庁内関係部局や市町村など,関係者としっかり連携を図りながら,再生可能エネルギーの導入促進に取り組んでまいります。
26
◯磯崎久喜雄議長 次に,柴田農林水産部長。
〔柴田農林水産部長登壇〕
27 ◯柴田農林水産部長 宮の郷工業団地を核とした森林資源の有効活用についてお答えいたします。
宮の郷工業団地におきましては,議員御指摘のとおり,木材産業の拠点として,流通・加工施設の集積が進んでおります。
まず,平成22年12月には,原木を集荷,販売する宮の郷木材流通センターと,柱材などを乾燥する施設が整備され,稼動しており,また,平成23年12月には,集成材の原料となる杉のラミナ製材工場が整備され,稼動したところでございます。
このような中,これまで,間伐を進める中で,柱材などに利用できない曲がり材などは森林内に残されていることが課題でありましたが,これらの未利用間伐材のラミナ材としての用途が広がりましたので,県では,今年度より,その搬出の促進を図るため,運搬経費に助成することといたしたところでございます。
しかしながら,それでも,いまだ,森林内には小径木や根本の部分などが用途のないまま残されておりますので,その有効活用がさらなる課題であると考えております。
今般,議員から御提案がありましたように,これらの林地残材を,木質バイオマスとしてチップやペレットに加工し,ボイラー燃料などに利用できれば,建築用材から木質バイオマス燃料まで,森林資源を幅広く有効活用することが可能となりますとともに,エネルギーの地産地消にもつながるものと考えております。
このため,今年度は,木質バイオマスの利用可能量や効率的な収集,運搬方法などを調査することといたしており,さらに,今後は,地域での熱利用の推進など,その有効活用に向けた検討を進めてまいります。
また,宮の郷工業団地内におきましては,今年度,木材団体が,森林,林業についての展示や研修などを行う施設を新たに整備することとしているところでありまして,県といたしましては,宮の郷工業団地が林業・木材産業の拠点といたしまして,今後,さらに発展するよう,関係部署と連携し,木材関連企業などの誘致に努めますとともに,未利用間伐材を含む県産材の利用拡大により,緑の循環システムの確立が図られますよう,一層の森林資源の有効活用に努めてまいります。
28 ◯36番石井邦一議員 再質問します。
29
◯磯崎久喜雄議長 石井邦一議員。
30 ◯36番石井邦一議員 ありがとうございました。
橋本知事に1点だけ再質問をさせていただきたいと思いますが,特区の設定という面におきまして,再生可能エネルギーの導入に向けては,知事からも非常に前向きな御答弁をいただいたものだと本当に感謝をしているところでありますけれども,県北山間地域の振興という面におきまして,雇用の場の確保というのは大変重要な要素となってくるわけでございます。
そのような中において,特区を設定していただくことによって,私は,新たな企業がその地域に目を向けてくれるものだと確信をしているところでありますけれども,橋本知事にリーダーシップをとっていただいて,力強い行動によりまして,特区の設定に向けて取り組んでいただきたいと思いますが,再度,一言,質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
31
◯磯崎久喜雄議長 橋本知事。
〔橋本昌知事登壇〕
32 ◯橋本昌知事 再生可能エネルギーにつきましては,実は,買い取り価格が大変高目に設定されましたので,今,物すごい勢いで希望者が来ております。そういったことも踏まえて,価格的にも,あるいは効率的にもいい太陽光発電施設でもできていくのではないかという感じも持っておりますので,その辺もにらみながらやっていく必要があると考えております。
ただ,県北地域を活性化するということのために必要であることは,私も全く同意見でありますので,特区を設定することによってどういうメリットが出てくるのか,設定するだけの意味があるのかどうか,そういった点について勉強させていただきたいと思います。
33
◯磯崎久喜雄議長 石井邦一議員。
〔36番石井邦一議員登壇〕
34 ◯36番石井邦一議員 次に,茨城の活力を創造する道路整備について,2点質問をいたします。
まずは,FIT圏域の早急な復興を図るための高規格道路の整備についてであります。
茨城県において南北格差是正が叫ばれる中で,昨年3月11日に東日本大震災が発生するとともに,福島第一原発の事故が発生し,1年と6カ月が経過をいたしました。現在でも,まだまだ復旧・復興は道半ばであり,早急に復興を果たして,震災前以上に元気な茨城をつくらなければなりません。
以前もお話ししましたが,茨城県では,現在,福島,茨城,栃木の3県連携によるFIT構想に取り組まれ,広域連携を果たすための交通網の整備も構想の中の位置づけとして掲げられております。
また,本県では,県土60分構想と位置づけ,主要の都市を60分で結ぶとともに,各市町村の中心地から高速道路のインターチェンジまでのアクセスを30分で結ぶことを掲げられ,邁進されているところであり,我々県北山間地域で生活する者としても,インフラ整備による新たな産業の進出や広域交流圏の形成,そして何より生活者の利便性が図られ,南北格差が是正されるのではないかと夢と希望を膨らませ,大変期待を寄せている本県の施策であります。
しかし,最近の私からのさまざまな委員会での質問などにおける県の答弁というものは,先送りというよりも,むしろ後退しているかのように聞こえてしまうのであります。
本県では,県北振興を最重要施策の一つとして位置づけていただいており,さまざまな政策に取り組んでいただいておりますが,道路などの交通インフラ整備のおくれから,その効果を十分に発揮することはなかなかできないように思われてなりません。
東日本大震災が発生し,交流人口の確保や観光においても風評被害が発生しており,また,風評被害の長期化も懸念されるなど,厳しさが一層増す中で,観光においては,本年11月30日から12月2日までの3日間で,復興のシンボルとして,JR水郡線にSLを走らせていただくなど,橋本知事の決断には敬意を表するところであり,感謝を申し上げます。
しかし,先日の本会議において,大震災からの復興という議員からの質問でも,橋本知事は,県が発展していくための地域づくりや県民生活の向上のためには,働く場の確保が重要であることを改めて認識したと答弁をいたしております。まさしく,今回のような甚大なる大震災が発生したとき,交流人口の確保策や観光振興のみでは,やはり地域の元気づくりは厳しいものがあり,県北山間地域へのアクセス利便性を高めるための高規格道路の整備は,観光や交流人口の確保と同時に,新たな産業の参入を促し,雇用の場の創出に向け,道路環境を整えることは大変重要であると私は考えます。
また,県北山間地域ばかりでなく,茨城県が誇る常陸那珂港の利用促進の意味においても,北関東自動車道をひたちなか市でとめずに,福島県の内陸,そして,栃木県の県北地域までの高規格道路の延伸整備は,緊急災害時の対応や物流と広域交流の面からも効果が十分に発揮される,むだのない整備であると私は思います。
何よりも,この地域に高規格道路が整備されれば,人口流出に歯どめがかかり,南北格差の是正が図られるのではないかと考えておりますし,橋本知事が日ごろお話しになっている陸・海・空の交通ネットワークがまさしく整備されたと言えるのではないでしょうか。
そこで,財政は厳しいとは思いますが,県北山間地域の皆様方にも夢と希望が持てる,光の差す,FIT圏域の早急なる復興のための高規格道路の整備について,県としてどのように考え,夢を持ち,計画していかれるのか,土木部長にお伺いをいたします。
次に,宮の郷工業団地以北についてのアクセス環境整備についてお伺いをいたします。
平成19年の初登壇の際にも質問をさせていただきましたが,常陸太田市金砂郷地区の南北に縦断している常陸那珂港山方線は,これまで,県関係者の皆様方の御尽力により,木島大橋が完成するとともに,上宮河内町地内,小島町地内のミニバイパスなどが整備が進んでいるものの,いまだ未改良区間があります。
特に,金砂郷地区の縦貫道路となる宮の郷工業団地から以北の下利員までの新設路線の早期選定や,下利員から中利員までの整備につきましては,県が整備を推進している宮の郷工業団地の木材拠点としての役割を果たす上や,新たな企業の参入を果たす上でも早急なる整備計画が望まれます。
また,下利員から中利員までの整備につきましては,県道と隣接して流れる浅川への排水整備など改良もまだまだ不完全であり,台風時やゲリラ豪雨などの際には,住宅の床上・床下浸水などの被害が発生しており,早急な改善策を土木部に求めておりますが,道路の整備や排水のみの個別改善では限界があるとのお話でありました。現状の被害対策というような大きな課題がある中では,下利員から中利員までの道路並びに排水整備について,一刻も早く改善していただけるようにしなければなりません。
本路線の整備促進については,常陸太田市合併前の金砂郷町時代からの要望であり,金砂郷町議会でも,平成9年から平成10年にかけて,3度にわたり一般質問がなされており,当時,県から説明を受けて,花房地内より宮の郷工業団地を経由し,金砂郵便局間の改良計画が示され,地元関係区長と協議を進めており,平成10年には説明会を開催したいとの答弁があったとお聞きをしております。
いずれにせよ,地域住民の皆様方の安全と安心の確保と,物流,観光交流など,地域産業の活性化の面からも,地域住民は早急なる整備を強く待ち望んでおられます。
そこで,宮の郷工業団地以北のアクセス環境整備を今後どのような工程で計画し,推進していくのか,土木部長にお伺いをいたします。
この項目に関する質問は,以上です。
35
◯磯崎久喜雄議長 小野寺土木部長。
〔小野寺土木部長登壇〕
36 ◯小野寺土木部長 茨城の活力を創造する道路整備についてお答えいたします。
まず,FIT圏域の早急な復興を図るための高規格道路の整備についてでございます。
福島,茨城,栃木の県際地域では,FIT構想を策定し,さらなる発展を目指し,さまざまな取り組みが行われており,その中で,交通基盤の整備も主要プロジェクトの一つとして位置づけられております。
県といたしましても,道路ネットワークの整備は,本圏域の広域的な交流圏を形成する上で重要であると認識しており,広域的な幹線道路の整備に積極的に取り組んでいるところでございます。
これまでに,この圏域におきましては,南北軸となる国道118号や国道349号,また,横軸となる国道293号や国道461号などのバイパスや道路拡幅の整備を着実に進めてきているところであります。
一方,北関東自動車道を初めとする高速道路や茨城港などの広域交通ネットワークの整備の進展を踏まえますと,これらインフラの整備効果を広域的に波及させるためには,インターチェンジや港湾へのアクセス性を向上させることが重要であります。
このため,県では,高速道路を補完し,定時性が確保できる規格の高い道路を地域高規格道路として位置づけ,広域的なネットワークの形成を図ることとしております。
このうち,FIT圏域に関連する高規格道路といたしましては,ひたちなかインターチェンジから茨城港常陸那港区を通り,常陸太田市を経て,常陸大宮市内の国道118号に至る道路を計画しております。この道路の整備により,沿岸部から県北地域はもとより,FIT圏域への広域的なつながりが強化され,企業立地や観光振興が一層促進されるなど,大きな波及効果が期待されるところでございます。
これまで,県では,ひたちなかインターチェンジから常磐道までの約16キロメートル区間のうち,ひたちなかインターチェンジから国道245号まで約8キロメートルを供用しております。
さらに,常磐道から常陸大宮市内の国道118号までの約20キロメートル区間におきまして,概略ルートなどの検討を行ってきております。
しかしながら,高規格な道路の整備には,必要な事業費の確保など課題があり,全線の整備には時間を要しますことから,並行する既存の道路をできるだけ有効に利用して道路ネットワークの整備を進めており,将来,計画路線の一部を形成すると考えられる県道常陸那珂港山方線の木島大橋を平成21年に供用し,現在,それに続くバイパスの整備などもあわせて進めているところでございます。
県といたしましては,これらの道路ネットワークの整備を着実に進めることにより,アクセス性,定時性の向上に努めますとともに,今後とも,高規格道路の実現に向け,必要な調査を進め,早期に整備効果が発現できる区間から着実に整備を行い,FIT圏域の産業の活性化や広域的な周遊観光の実現,さらには,広域的な交流など,FIT構想の推進に引き続き取り組んでまいります。
次に,宮の郷工業団地以北のアクセス環境整備についてでございます。
宮の郷工業団地は,近年,木材流通センターや製材工場などが立地し,県北地域の林業振興の拠点となってきております。
このため,今後,県産木材の利用拡大が図られるものと考えられ,県北地域から当工業団地への木材搬入のアクセス道路として,県道常陸那珂港山方線は重要な役割を担うものと期待されております。
工業団地以北の本路線の整備につきましては,常陸太田市下利員町地内の金郷郵便局から国道118号までの延長約13キロメートル区間について,これまで計約10キロメートルの整備を完了しており,現在は,下宮河内町地内の県道常陸太田那須烏山線との交差点付近約1キロメートル区間において事業を実施しております。
当事業区間は,地すべり地帯を避けるため,計画ルートの見直しを行い,今年度,道路設計等を実施しているところであり,来年度から用地取得に着手したいと考えております。
残る金郷郵便局から北側の約2キロメートル区間につきましては,工業団地から郵便局までの約1キロメートルの延伸区間とあわせて,今後,整備計画の策定に向けた調査を実施するとともに,現在事業中の区間の進捗状況や,工業団地への企業立地の状況などを踏まえながら,事業化に向けて検討してまいります。
37 ◯36番石井邦一議員 再質問します。
38
◯磯崎久喜雄議長 石井邦一議員。
39 ◯36番石井邦一議員 土木部長に,2点,再質問をさせていただきます。
まず,高規格道路の整備と,そして,宮の郷工業団地へのアクセス利便性の確保についてでございますけれども,まずは,高規格道路の整備について質問をさせていただきます。
私は,まずもって,夢と希望の持てる計画をどのように立てていただけるのかという質問をさせていただいたと思っております。
そのような中において,現況の道路の整備を行っていく。今の財源を考えれば,私も理解はできるところであります。しかしながら,県北山間地域に住んでいる者が将来に向かって夢を持てる,そして,しっかりと生活ができるような夢を持った計画を立てていただきたいというような思いで質問させていただきましたが,再度,御答弁を土木部長にお願いいたします。
それと,宮の郷工業団地のアクセス利便性でございますけれども,企業の動向を見てという御答弁があったかと思います。私は,企業の動向を見るのも,アクセスがよくなければ企業は進出してこないものだと思っておりますので,このアクセスについてもしっかりとした整備を推進していただくことが,県の工業団地の売却にもつながっていくものだと思っておりますので,その点についても一言お願いいたします。
40
◯磯崎久喜雄議長 小野寺土木部長。
〔小野寺土木部長登壇〕
41 ◯小野寺土木部長 再質問にお答えいたします。
まず,1点目の高規格道路の整備に関する夢を持った計画ということでございますが,県といたしましても,議員初め地元の方々の強い思いというものは受けとめておるところでございます。
ただ,しかしながら,やはり事業費の制約等ございまして,なかなかその進捗が進まないという状況があるところでございます。
そういった中で,やはり事業費の確保ということが重要だと思ってございますので,今後,国に対して,これまで以上に強く,その整備効果なり必要性なりということ,また,地元の強い思いというものを訴えながら,実現に向けて,引き続き,取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
また,宮の郷工業団地のアクセスということでございますが,今後の企業立地を進める上で,やはりアクセスが必要であるということは重々承知しているところでございます。
ただ,先ほど申し上げましたとおり,当路線におきましては,まだ整備をしている箇所があるということがございますので,すぐに整備をということはなかなか難しい状況でございます。
ただ,宮の郷工業団地から,例えば延伸区間につきまして,まだルートが固まっていないということもございますので,ルート確定に向けた調査につきましては,できるだけ早く取りかかりまして,実現に向けて,また今後とも検討させていただきたいというふうに思ってございます。
42 ◯36番石井邦一議員 再々質問いたします。
43
◯磯崎久喜雄議長 石井邦一議員。
44 ◯36番石井邦一議員 高規格道路の整備について,また土木部長の御意見をちょうだいしたいと思いますけれども,まず財源ありきというような議論ではなくて,やはり地域の思いとか夢,そして,茨城県の中で,県北山間地をどのようにつくり上げていきたいというようなビジョンから始まらなければ,私は,整備というものはなかなかなし得ることができないものだと思っております。
そのような中で,県の土木部内でも,また,各部局横断的にでもしっかりと議論をしていただいて,そして,国などに対して,しっかりとした働きかけをしていただきたいと思いますが,御所見をお伺いします。
45
◯磯崎久喜雄議長 小野寺土木部長。
〔小野寺土木部長登壇〕
46 ◯小野寺土木部長 高規格道路に関する再々質問にお答えいたします。
高規格道路の整備を行っていく上では,FIT圏域での現在のFIT構想の実現ということも当然必要でありますし,また,その裏返しで,FIT構想の実現ということでは,高規格道路等の道路ネットワークの整備も必要だというふうに考えてございます。
したがいまして,まず,FIT構想の実現ということを,関係部局とも連携をしながらしっかりと取り組みまして,それにあわせて,高規格道路の整備効果,必要性もさらに高めて,そういったことから,国に対しても強く訴えながら,実現に向けて取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
47
◯磯崎久喜雄議長 石井邦一議員。
〔36番石井邦一議員登壇〕
48 ◯36番石井邦一議員 土木部長には非常に財政の厳しい中で御答弁をいただいたものだと思っておりますが,非常に前向きな御答弁を最後はいただけたのかなと本当に感謝を申し上げますが,まず,御答弁いただいたという中では,しっかりと取り組んでいただくことが大事だと思っておりますので,よろしくお願いをしたいと思っております。
次に,きずなをはぐくむ教育環境の整備について,2点質問させていただきます。
初めに,家庭教育の向上の推進策についてであります。
心豊かでたくましい子どもたちをはぐくんでいくためには,学校教育とあわせて,家庭における教育力が重要であると考えております。しかし,国の調査でも県の調査でも,約8割の親が家庭の教育力の低下を感じているとの結果が出されております。
家庭はすべての教育の原点であると言われており,教育基本法第10条の家庭教育の条文では,「父母その他の保護者は,子の教育について第一義的な責任を有するものである」と規定されております。
家庭では,親が子にあいさつや早寝早起きなどの基本的な生活習慣を身につけさせるなど,しっかりとしつけを行う必要があります。人間は,初めからしゃべったり歩いたりすることはできません。よいことも悪いこともみんな親の言葉や行動を見て,まねて,一つ一つ学び,覚えていくものであります。
ところが,模範を示すべき親自身にも問題がある方々もおられ,子どもの教育に無関心であったり,学校任せな親が少なからずいると感じております。
大津市の事件以来,いじめの問題がクローズアップされておりますが,そもそも家庭におけるコミュニケーションがきちんとできていないことも原因の一つではないでしょうか。
コミュニケーションの基本は,何といってもあいさつです。私は,おはようからおやすみなさい,そして,ありがとうやごめんなさいといったごく当たり前に家庭の中であいさつが最低できるよう,あいさつのキャッチボール化を推進し,親はしつけを行うべきと考えております。
教育に無関心な親でも,学校任せな親でも,多くの親は社会の一員として働いております。ならば,会社の協力を得て,家庭教育を実践してはどうでしょうか。正社員はもとより,パートやアルバイトの臨時社員も含めて,会社が行う社員研修の中で,家庭の大切さや,本来,家庭で行うべき子どもたちへの教育について,改めて学んでもらうことは大変重要であると私は考えます。社員は,企業にとって宝そのものであり,その社員の家庭が円満であれば,さらに働く意欲も増すはずであります。会社にとっても,社員にとっても大変喜ばしいことではないでしょうか。
いじめや非行などの問題を解決する上でも,学校,家庭,地域とがしっかりと連携し,対応していかなければなりませんが,基本となる家庭においても,親が責任を持って子どもたちを教育していくことが大変重要であると私は考えます。
そこで,家庭の教育力の向上を図るため,今後どのように取り組んでいくのか,教育長にお伺いをいたします。
次に,教師と保護者との信頼関係対策について伺います。
近年,グローバル化が進み,社会がますます多様・複雑化する中で,子どもたちを取り巻く生活環境も大きく変化しており,子どもたちの心の豊かさや活力が弱っている傾向が指摘をされております。
そのような中,私は,子どもたちがたくましく育ち,自立して社会で生きるための力をはぐくむには,学校及び教師は重要な役割を担っていると考えております。
また,私は,子どもたちのたくましく生きる力をはぐくむためには,学校の努力だけではなく,保護者や地域住民などの地域の方々と学校がそれぞれの役割をきちんと担い,ともに考え,ともに働き,ともにはぐくむための連携が,今後,より一層必要になってくるものと考えます。
そして,そのためには,教師と保護者との信頼関係づくりが何よりも重要であります。
教師と保護者との信頼関係づくりの取り組みとしては,保護者や地域住民などの地域の方々が積極的に学校行事に参加することや,校外学習や登下校での子どもたちの見守りを初めとする支援など,地域ぐるみの活動が一部では既に行われており,地域の方々には教師の専門性への敬意が,教師には地域の方々の期待にこたえようとする意欲や感謝の念が深まると私は考えております。
私は,こうした活動は子どもたちの教育環境整備だけにとどまらず,大人たちの学びにもつながり,地域のきずなが生まれ,子どもたちをはぐくむ意欲の向上にもつながると考えております。
また,そのような取り組みについては,地域により,さまざまな努力や工夫がされていると聞いております。
私が政務調査を行った中で,一つの例を申し上げますと,地域の方々の協力のもと,子どもたちと保護者,教師とがともに体験しながら学ぶお米づくり活動などでは,年間を通じた活動の中で,地域のお年寄りも参加する活動として広がっていき,教師と保護者,地域の方々との間の信頼関係づくりに非常に効果があったとお聞きをしております。
また,このような取り組みの中で,時にはひざを突き合わせたコミュニケーション活動がお互いの理解を深めるとともに,地域のきずなが深まり,すばらしい活動となっているとお伺いいたしております。
この活動は,どの地域でもできる事例とは限りませんが,私は,地域の実情をしっかりと踏まえ,工夫することが必要であると考えております。
その中で,教師と保護者との信頼関係づくりには,たゆまない努力をすることが,子どもたちの豊かな学びを創造し,地域のきずなを結び,ひいては,生きる力を持ったたくましい子どもたちをはぐくむことに必ずつながるものと考えます。
そこで,私は,あすの生きる力を持ったたくましい子どもたちを,学校,家庭,地域が連携してはぐくむために,まずは,教師と保護者との信頼関係が重要であると考えますが,教師と保護者の信頼関係づくりをどのように進めていかれるのか,教育長にお伺いをいたします。
この項目に関する質問は,以上です。
49
◯磯崎久喜雄議長 小野寺教育長。
〔小野寺教育長登壇〕
50 ◯小野寺教育長 きずなをはぐくむ教育環境の整備についてお答えいたします。
まず,家庭教育の向上の推進策についてでございます。
家庭教育はすべての教育の出発点であり,議員御指摘のとおり,あいさつや早寝早起きなどの基本的な生活習慣,善悪の判断などの倫理観や他人を思いやる心などをはぐくむために,保護者がきちんとしつけを行うことが大切であります。
県では,これまで,親の役割や責任,子どもへの接し方などを内容とした家庭教育支援資料3部作を,子どもの発達段階に応じて作成,配付しますとともに,本年度は,生活習慣や規範をテーマとした本県独自のかるたを作成し,遊びを通して子どもたちに基本的な生活習慣や規範意識を涵養してまいりたいと考えております。
一方,今日の家庭の教育力の低下は,少子化や核家族化,共働き家庭の増加,都市化など,家庭を取り巻く社会環境の大きな変化が主たる要因であり,もはや家庭の力量不足だけでは片づけられない,もっと根の深い,深刻な状況にあるものと認識しております。このことは,昨今のいじめ問題などを見るにつけ,強く感じられるところでございます。
私は,今こそ,学校,家庭,地域の連携を強化することはもとより,社会全体で家庭の教育力を高める取り組みが求められているものと考えております。
議員から御提案いただきました企業内における社員研修の活用は,まさにそうした流れに沿うものと考えております。現在は,年間に10事業所程度募集し,家庭教育に関する出前講座などを実施しておりますが,今後は,いばらき教育の日推進協力事業所などの御協力もいただきながら,より多くの企業に対して,家庭教育に関する社員研修の積極的な呼びかけを行ってまいります。
さらに,企業におきましては,近年,環境教育の学校への出前講座や,自社の製品を組み立てる体験教室の開催など,学校を支援する活動が進んできております。こうした活動が県内全域に広がり,社会全体で子どもたちをはぐくんでいくという意識の醸成が図られますよう,今後,県内経済団体を初め,子育て支援に関するNPOなどの社会教育関係諸団体とも連携を強固にしながら,家庭の教育力の向上に全力で取り組んでまいります。
次に,教師と保護者との信頼関係対策についてでございます。
現在,小中学校におきましては,社会からの要請の増大やいじめの問題など,対応すべき課題が複雑化する傾向にあり,なお一層,保護者,地域との緊密な連携が求められております。
一方,最近の風潮としては,ややもすると,学校,教師側では家庭や地域の教育力の低下を嘆き,一方,保護者や地域の方は学校や教師を信頼しないといった構図も見受けられます。
こうした悪循環を断ち切るためには,共通の宝である子どもたちをどのように育てるかという点から,互いに理解,協力することが必要であり,そのためには,議員御指摘のように,まずは,教師と保護者の信頼関係が不可欠であります。
そして,そうした信頼関係を構築し,学校,家庭,地域がしっかりと連携していくための第一歩は,開かれた学校づくりであると考えております。
学校の経営方針を初め,授業や学校行事を積極的に地域に公開し,発信していくことが大切であります。学校が情報を発信すればするほど,保護者や地域の方々から,それに対する意見や要望,時には苦情,批判といったさまざまな反応がありますが,その反応を真摯に受けとめ,丁寧に対応することの積み重ねによって,学校・教師側と保護者,地域とのコミュニケーションが密になり,それが両者の信頼関係構築につながるものと考えております。
また,学校行事に保護者や地域の方々が参加するだけでなく,学校も地域の一員であるとの意識を持って,地域の行事に,学校,そして教師が積極的に出ていくことが大切であり,そうしたふだんからの双方向での活動から信頼関係は生まれ,そして育っていくものと存じます。
その一例といたしまして,水戸市立常磐小学校では,学校敷地内に地域のコミュニティセンターが併設されており,ここに集まってくる地域の方々を講師として,囲碁や茶道,フラダンスなどを教わる一方,教わった子どもたちが,地域の方々に向け,その成果を発表するという取り組みが行われております。その過程におきまして,子どもたち,教師,保護者,地域の方々との関係が親密になるなど,学校と地域との枠を超えた関係づくりがなされていると伺っております。
県といたしましては,今後とも,こうした開かれた学校づくりを積極的に進め,学校,教師が保護者や地域の方々と信頼関係を一層深めていくことができるよう努めてまいります。
51 ◯36番石井邦一議員 再質問します。
52
◯磯崎久喜雄議長 石井邦一議員。
53 ◯36番石井邦一議員 御答弁ありがとうございました。
国づくり,そして,それは人づくりなのだというような言葉もあるわけでございます。そのような中で,次世代を担う子どもたちをしっかりとはぐくんでいくことは国益につながるものであり,茨城県の発展にも大きく寄与するものだと私は思っております。
そのような中で,しっかりとしたきずなを持った,大切な,心豊かでたくましい人材をはぐくんでいくということは,家庭の教育力の向上,そして,保護者と教師の信頼関係に尽きるのではないかと私は思っております。
今現在,いろいろな社会の中で私も耳にしますのは,先輩から声がかかってもなかなか誘いに乗ってこない。いろいろな憩いの場であっても顔を出さないというような体制もできている。コミュニケーションが不足しているのだと私は思っております。そのコミュニケーションの育成というものは家庭にあるのだと思っておりますので,どうか教育長にも,多様・複雑化する社会の中にあって,非常に大変な御尽力をいただかなければならないと思いますけれども,茨城を担う子どもたち,そして,日本を担う子どもたちの人材育成になお一層の御尽力をいただきますことをお願い申し上げまして,要望をさせていただいて,質問を終わらせていただきます。
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54
◯磯崎久喜雄議長 暫時休憩をいたします。
なお,会議再開は午後2時25分を予定いたします。
午後2時12分休憩
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午後2時26分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
55 ◯細谷典幸副議長 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
なお,傍聴人の皆様にお願いを申し上げます。
傍聴人の拍手は禁止されておりますので,御留意を願います。
大内久美子議員。
〔47番大内久美子議員登壇,拍手〕
56 ◯47番大内久美子議員 日本共産党の大内久美子です。
国会で8月に強行採決された消費税大増税と社会保障の改悪は,県民の暮らしと経済をどん底に突き落とすものです。日本共産党は強く抗議し,実施の中止を求めています。
知事は,この改悪を,地方消費税がふえることなどから評価をしていますが,社会保障について,国の責任を骨抜きにするなど,重大な内容を含んでおり,評価できないと考えます。
最初に,低所得者世帯に重い負担を強いている国民健康保険について質問いたします。
水戸市の実態は,国保加入世帯で年所得100万円以下が56%,300万円以下は90%です。4人家族で年所得200万円の場合,国保税は33万7,000円で,所得の17%に当たります。高すぎるため,払いたくても払えない状況です。県内では,2割以上の世帯が滞納しています。
国保法第1条は,国民に医療を保障する社会保障制度と定めております。保険証は,本来,全世帯に交付しなければなりません。滞納世帯に対し,国保証を取り上げる短期保険証や資格証明書の発行はやめること,税や医療費負担の減免制度を積極的に活用するよう市町村に求めるべきではないでしょうか。御答弁ください。
国保税が高いのは,1984年に比べて,国の支出を半分以下に減らしたためです。国の負担をふやすよう求めると同時に,平成18年からやめてしまった県独自の支援策が必要です。知事の見解を伺います。
ところで,本県の国保滞納の差し押さえ額は,平成21年度,46億4,700万円と,全国で2番目でした。
本県は,全市町村で構成する茨城租税債権管理機構を平成13年に全国で初めて設置しました。本来,地方税は市町村が徴収することになっていますが,回収困難なものを管理機構に移管させたのです。強権的な取り立て,財産の調査,差し押さえ,公売など強行しています。市町村職員の滞納整理の実務研修の場になっています。
管理機構の規則には,原則として国保税を除くとしています。管理機構では,平成13年度は国保税の徴収はありませんでした。ところが,平成22年度は24%にもなっているのです。管理機構は,医療を保障する国保税の取り扱いはやめるべきです。自治体の本来の責務を投げ捨てて,収納対策の強化に乗り出すのではなく,住民の生活実態をよく聞き,生活再建など親身に対応する相談,収納活動に転換することではないでしょうか。そのためにも,管理機構を廃止すべきと考えますが,所見を伺います。
知事は,乳幼児医療助成制度を小学生に拡大と公約しました。本県は,小学3年生まで拡大しましたが,県内の市町村では,小学6年生まで実施が75%,中学卒業までは45%,所得制限撤廃は68%と拡充をしております。
群馬,東京は中学卒業まで,栃木県は小学卒業までの完全無料化実施です。本県で中学卒業までの完全無料化実施は総額60億円でできるのです。子育て支援として拡充すべきですが,知事の所見を伺います。
次に,教育条件の整備について,教育長に質問いたします。
日本の学校は,教育制度の欠陥から,子ども一人一人が人間として大切にされる教育原理が無視されてきました。管理,競争,画一主義,過密学校と学級,教員の多忙化などです。こうしたもとでの子どものストレスがいじめの原因と言われています。学校は学びと友情をはぐくむなど,子どもにとって楽しいところであり,人間的成長を保障する場にしなくてはならないと考えます。
本県は,平成20年4月に,小学校は各学年2学級以上の12学級以上,中学校は9学級以上が望ましいと適正規模の指針を出しました。その後,31市町村で統廃合計画が策定され,平成21年からは小学校で24校,中学校で3校が廃止となったのです。
学校の適正規模についての教育学的定説はありません。1973年には,文部科学省が,小規模学校には,教職員と児童生徒との人間的触れ合いや個別的指導の面で教育上の利点も考えられると通達を出しました。今回,県教育委員会は,いじめは早期発見をして,全職員で共通理解を持って対応するようにと通知しました。大規模校ほど課題を抱えているのです。
東日本大震災では,学校が地域の避難場所として重要であることが実証されましたが,地域から学校をなくしていいのでしょうか。
本県の学校耐震化は全国45位とおくれていますが,この統廃合計画が要因の一つになっております。本県の小中学校1人当たりの教育費は全国34位です。教育予算を減らすための統廃合は,今,学校に求められていることから全く逆行しています。適正規模の指針を撤回して,統廃合の見直しについて,教育長の所見をお聞かせください。
教育条件の整備のかなめは少人数学級の拡充です。文部科学省の学級規模及び教員の配置の適正化に関する検討委員会の副主査を務めた小川正人東大名誉教授は,少人数学級のメリットについて,児童生徒の問題の把握と指導を適切にできる,子どもの状況と課題に対応した授業を展開でき,創意工夫の幅が広がる,思考力,コミュニケーション力などの育成や協働型学習がやりやすくなるなど挙げております。
国は,これから5年間ですべての学年で35人学級を目指す方針を出し,導入順は都道府県にゆだねています。本県は,小学1年から4年,中学1年生に35人以下学級を実現していますが,小学1,2年生以外は3クラス以上を条件にしています。全学年実施を県が独自で行った場合でも59億円の支出で済むのです。速やかに実施すべきであり,見解をお聞かせください。
教師の多忙化の解消は切実です。文部科学省が委託した調査では,授業を準備する時間が足りない,教員が行うべき仕事が多すぎると感じていると9割が答え,教員を増員し,担当する授業時間を減らすことが解決策だと回答をしております。
本県では,小学校で566人,中学校で490人が定数に必要な教員を臨時職員の配置にしています。9月10日発表の調査結果では,いじめられた児童生徒の相談を担任教師にしているのが小学校で82%,中学校でも79%でした。子どもと向き合う時間を保障することが必要です。教員の増員と臨時職員の正職員化について,所見をお聞かせください。
次に,放射能汚染と原発について,知事に質問をいたします。
福島第一原発の事故から1年半がたち,放射性物質の汚染の広がりは住民の強い不安となっております。
日本共産党は,これまで,7次にわたって除染や検査体制の強化など県に要請してきました。湖沼,河川,河口,海底の測定はふやさなければなりません。次の2点について対策を求めます。
一つは,水道水源としてのダム湖底の測定についてです。昨年3月13日,北茨城市の放射線量は,1時間当たり15.8マイクロシーベルトを測定しました。県管理の水沼ダム,小山ダムの湖底の調査と公表を党市議団は県に何度も要望してきました。7月30日に開かれた県環境放射線監視委員会でも測定の要望が出されています。ダム湖底の測定は,群馬では19カ所,栃木は8カ所,福島は20カ所で環境省が調査をして公表しています。本県も速やかに実施をすべきですが,どう取り組むのか,お答えください。
2つ目は,子どもの健康調査の実施です。福島県の調査では甲状腺がんが発見されており,健康調査の実施を望む声はますます広がっております。東海村では,1歳から中学3年生までの希望者に超音波による甲状腺調査を行うと決めました。牛久市,龍ケ崎市でも独自の対策をとりました。知事は,7月の全国知事会で国に要望していますが,県独自の実施に踏み切るべきではないでしょうか。お答えください。
原発からの撤退を求める国民世論はいよいよ明白となっております。政府が行った意見公募では,原発ゼロの支持が87%,そのうち,即ゼロが78%です。県内でも,東海第二原発の廃炉を求める署名は23万6,000人から提出をされ,県内自治体議会の半分以上が請願,陳情を採択しています。運転差しとめの訴訟も行われました。9日に発表された茨城大学地域総合研究所のアンケートでは,廃炉にし,運転再開すべきではないとの回答が87%です。
この世論に背を向けたのが事業者の日本原子力発電です。8月31日にストレステストの1次評価結果を保安院に報告してしまいました。6.1メートルの防護堤しかないのに,15メートルの津波が来ても耐えられる,全電源を喪失しても備蓄燃料で冷却できるなど明記しています。高萩沿岸から日立海域のF1断層と北茨城陸域の車断層が連動した場合,大きな地震動が起きて重大な影響を及ぼすことが想定されますが,予測も対策も立てておりません。さらに,4キロメートル沖合にあるF2断層は検討から外しています。福島第一原発の事故原因が解明されていないのに,東海第二原発では事故は起きないと結論づけることは認められません。ストレステストは再稼働を前提にしたものであり,日本原電のこのような強引なやり方に,知事は強く抗議すべきであり,見解を伺います。
知事は,国への要望で,東海第二原発について,30キロ圏内に約94万人が居住し,運転開始から33年9カ月を経過し,首都東京に極めて近いことを指摘しています。財界や電力業界は原発推進に固執しています。命を基準に判断してほしいという県民の願いにこたえ,国にはっきり東海第二原発の廃炉を表明すべきです。決意を伺います。
次に,内需拡大への取り組みについて質問をいたします。
最低賃金の引き上げについてです。
本県の平成21年度1人当たりの県民所得は265万3,000円で,全国平均の266万円を下回り,平成9年と比較すると48万3,000円も下がっています。県内総生産も10.9%マイナスです。経済の低迷と後退から抜け出すためには,内需を拡大する経済への転換が求められています。経済の6割を占める家計を温めることです。
地方最低賃金審議会答申が出されました。本県は,全国平均より50円低い1時間699円です。関東では群馬に次いで下から2番目に低い賃金です。茨城労働組合総連合は,最低賃金で生活体験を実施し,異議申立書を提出しています。月額12万1,486円では,家賃,医療費,交際費など不足し,生活できないと訴えております。
労働基準法第1条は,労働条件は人たるに値する生活を営むためのものでなければならないと定めています。早急に時給1,000円以上に引き上げること,中小企業支援とあわせて国に働きかけるべきですが,所見を伺います。
自然エネルギーの地産地消について伺います。
本県の自然エネルギーの自給率は1.97%で,全国平均の6割で,全国34位です。県は,新エネルギー対策室を設置しました。自然エネルギーの固定価格買取制度が施行され,民間事業者の発電事業への参入が増加しています。これを新たな事業と雇用を創出し,地域経済の振興につなげる内需の拡大の機会としてとらえるべきではないでしょうか。
中小企業や市町村が行う地域に合った風力や小水力,バイオマスなど自然エネルギー導入の取り組みを積極的に支援すべきと考えます。具体的には,県内5ブロック地域で,モデル事業の実施を工業団地の売れ残りなど活用して行ってはいかがでしょうか。
24の市町村が既に住宅の太陽光発電に補助をしております。本県は補助をやめてしまいましたが,復活を求めるものです。
原発ゼロを前提に,自然エネルギーの導入目標値を決め,具体化のための財政支援にどう取り組むのか,所見を伺います。
最後に,県民の安全を守る立場から質問いたします。
茨城空港と自衛隊百里基地の問題です。
茨城空港開港から2年半がたちました。需要予測の81万人に比べて3割の利用実績です。
私は,この事業が自衛隊基地の強化が目的であると指摘し,中止を求めてきました。先日,改めて自衛隊基地の視察をしてきましたが,このことを実感いたしました。見学者に対し,百里基地は2つの滑走路を有していると説明をしております。250億円かけて国土交通省と県の負担でつくった新滑走路と管制塔は防衛省所管となりました。
さらに,移転した弾薬庫に隣接して,県は,緑地帯を20億円かけて提供しているのです。109億円も投入した工業団地は全く売れておりません。30億円の空港公園には,自衛隊戦闘機が2機展示しているだけです。523億円も税金を投入しましたが,得をしたのは自衛隊百里基地ではないでしょうか。
ところで,民間機は1日数便ですが,新滑走路を自衛隊はどのように使用しているのでしょうか。天候の悪いときは計器着陸装置を持つ自衛隊の滑走路を使用するという理由で自衛隊滑走路の補強をしましたが,利用状況はどうなっているのでしょうか。実態についてお答えください。
国内便唯一のスカイマーク社は,国土交通省から,安全上の問題がある6件について,ことしの5月に厳重注意をされ,改善の報告が求められているのです。
茨城空港には,ことしも10億5,000万円も予算化をしました。北関東の玄関口,首都圏第三の空港をアピールして,茨城の発展のシンボルにしていいのでしょうか。多額の税金投入をやめるべきと考えますが,知事の所見をお聞かせください。
防衛省は,自衛隊の訓練を妨げないことを条件に茨城空港建設を認めました。平成23年の飛行回数は3万回で,早朝,夜間,深夜の回数は2,000回を超えています。早朝,夜間,深夜の訓練をやめるよう,地元自治体から毎年要望が出されております。訓練の縮小にどのように取り組んでいるのか,お答えください。
百里基地をめぐって,新たな問題が浮上しています。
日米両政府は,新型輸送機オスプレイを10月にも沖縄県の普天間基地に配備し,本格運用をしようとしています。米軍は,全国7ルートで低空飛行訓練を計画しています。そのうち,東北地方を縦断するグリーンルートは本県の県境が入り口となっており,オスプレイが本県上空を通過することは十分考えられます。
その際,日米共同使用基地である百里基地の使用があるかどうか,私は国会議員を通じて防衛省に確認しました。防衛省の回答は,百里基地にも飛行することはないとは言えないとの回答でした。本県上空だけでなく,百里基地使用の可能性も出てきたことは極めて重大です。
オスプレイは,開発段階から墜落事故を繰り返しています。エンジンが停止した場合,安全に着陸する自動回転機能の欠如が指摘されており,本来,日本の上空は飛べない構造上の欠陥を持っているのです。日米安保条約下の日本では,日本の国内法があっても,オスプレイの配備や低空飛行訓練が行われるという治外法権状態にあります。
沖縄では,配備に反対する10万人の県民大会が開かれました。知事は,県民の安全を守る立場から,オスプレイの配備と低空飛行訓練に反対をし,本県上空の飛行と百里基地の訓練をやめるよう政府に申し入れるべきと考えますが,所見を伺います。
以上で,質問を終わります。
答弁によって,再質問を行います。
57 ◯細谷典幸副議長 大内久美子議員の質問,質疑に対する答弁を求めます。
橋本知事。
〔橋本昌知事登壇〕
58 ◯橋本昌知事 大内久美子議員の御質問にお答えいたします。
まず,国民健康保険の改善についてお尋ねをいただきました。
国民健康保険は,保険税と一部負担金,公費をもって運営される制度でありまして,保険税と一部負担金を適切に支払っていただくことが基本になっております。
お尋ねの資格証明書及び短期被保険者証は,保険税の納付を促しますとともに,滞納者との接触の機会を確保することによって,納付相談を行うことを目的としているもので,本県におきましては,全滞納世帯の資格証明書は約6%,短期被保険者証は約45%の世帯に対し交付されております。
これらの取り扱いは法律で定められ,特に,短期被保険者証は,滞納者の状況に応じた納付相談が図られるよう積極的に活用されているところであります。
県といたしましては,今後とも,適切な交付が行われるよう助言してまいります。
次に,市町村の一部負担金や保険税の減免についてでございますが,災害などにより,生活が著しく困難となった場合には,ほとんどの市町村で減免が実施されております。
県といたしましては,適切な減免が行われるよう,取り扱い基準の策定を助言してきたところであり,その結果,保険税については,44市町村中37市町において策定されているところであります。
さらに,保険税の延滞金につきましては,法律にのっとって徴収しなければならないところですが,被保険者の状況によっては,減免することもできることとなっております。
県といたしましては,引き続き,市町村に対し,減免措置の適切な運用を図るよう助言をしてまいります。
次に,国保財政健全化対策費補助金の復活についてでございます。
市町村独自の医療費助成制度の実施に伴う国庫負担金の減額措置に対しては,県において,減額分を補てんする補助金を交付しておりましたが,本来,国が措置すべきものであることから,廃止に至った経緯がございます。
県といたしましては,このような市町村の単独事業に対し,国が国庫負担金の減額措置を行うこと自体,問題があると考えておりますので,減額措置の廃止を要望してきているところであります。
今後とも,全国知事会等とも連携して,国に対する働きかけを強めてまいります。
次に,茨城租税債権管理機構の廃止についてでございます。
まず,機構における国民健康保険税の取り扱いについてであります。
機構は,税負担の公平性の確保と市町村税等の滞納額の縮減を図るため,平成13年度に,全市町村税と個人県民税の徴収を専門的に行う組織として,全市町村が構成団体となり,設立されたものであります。
その際,まずは,徴収率が全国下位に低迷している個人市町村民税,県民税や固定資産税などの滞納額の縮減に全力で取り組むという観点から,国民健康保険税については原則として取り扱わないこととされましたものの,機構規約に基づく市町村との協議により,国民健康保険税を含む複数税の滞納があり,かつ,市町村が不動産を差し押さえている大口滞納事案などについては引き受けを行うこととされたところであります。
この取り扱い方針につきましては,現在においても変わっておりませんが,国民健康保険税の引き受け割合が,近年,高くなっておりますのは,機構の設立以降,平成23年度までで国民健康保険税を除く市町村税の滞納額が479億円から443億円に減っている一方で,国民健康保険税の滞納額が282億円から461億円に年々増加してきたことから,市町村の要望が強まったことによるものであります。
こういったことから,県において,国民健康保険税の取り扱いをやめるよう,機構に求める状況にはないものと考えております。
次に,今後の機構についてであります。
機構では,引き受けた案件について,まずは,改めて滞納者の資力等の状況をしっかりと把握することとしております。その上で,納期内に納付する多くの納税者との公平を図る視点に立ち,納税資力があると認められた滞納者に対しましては,滞納処分を行っております。
一方で,生活困窮者に対しましては,納税相談を丁寧に行い,納税の猶予や滞納処分の執行停止の判断など,個々の実情に応じた取り扱いを行っており,その件数は,平成23年度では1,000件を超えております。
また,機構は,平成13年度に全国に先駆けて設立され,全国のモデルとなっており,全国的にも市町村の財政状況が厳しく,税収確保が課題となっておりますことから,市町村が参加する一部事務組合や広域連合などの徴収組織は,直近5年間に18団体が組織され,全体で44団体と,増加傾向にございます。
本県及び本県内の市町村の財政状況は依然として大変厳しく,歳出削減の取り組みが限界に近づく中で,税の滞納額の縮減は,財政健全化の観点からも,公平性の確保の観点からも,喫緊の課題であり,これまでも滞納額の縮減に大きな成果を上げてきた機構の役割は極めて大きく,廃止する状況にはないものと考えております。
次に,子どもの医療費助成の拡充についてお答えいたします。
いわゆる小児マル福制度につきましては,子育て世代の経済的負担を軽減することを目的とし,市町村が実施する事業に県が助成をするものであり,平成22年10月に未就学児から小学校3年生まで拡大し,入院,外来を総合しますと,対象年齢面では全国上位の水準にあるところです。
平成23年度の年間実績額は20億9,000万円となり,拡大前の平成21年度の実績と比較しますと,7億2,000万円の大幅増となっているところです。
今後,対象を小学校6年生まで拡大する場合には,さらに約5億円以上が必要と見込まれますが,県では依然として厳しい財政状況でありますことから,対象拡大を早急に実施することは非常に難しいものと考えております。
また,所得制限は,限られた財源を効果的に活用するために設けているものであり,収入額では扶養1人で約600万円までの方が対象となり,小学校3年生までの全対象者の76%が該当となっておりますことから,必ずしも厳しいものではないと考えております。
また,本県では,全国に先駆けて,平成10年から妊産婦医療費助成制度を実施しておりますが,こういった福祉のすそ野を広げるためにも必要ではないかと考えております。
今後,さらなる制度の拡充につきましては,財政見通しや,国,他県,市町村の動向等を注視しながら検討してまいります。
次に,放射能汚染対策と原発についてお答えいたします。
まず,水道水源の測定と対策についてでございます。
県内の河川,湖沼などの公共用水域における放射性物質の調査につきましては,環境省が,環境基準点において,これまで3回調査を実施してきたところであります。
御質問の水沼ダム及び小山ダムにつきましては,それぞれ上流及び下流に環境基準点が1地点ずつ設定されており,それらの地点で河川水及び底泥の調査が実施されております。
これまでの結果,河川水からは放射性セシウム等は検出されておりません。底泥につきましては,放射性セシウムは検出されておりますが,最大で1回目3,100ベクレル,2回目750ベクレル,3回目109ベクレルと,濃度は低下傾向にございます。
また,これらのダムの下流の河川水を水道水源としているそれぞれの浄水場では,定期的に検査を実施しており,昨年6月以降は放射性セシウム等は不検出となっております。
これらのことから,水利用の観点からは安心していただいて大丈夫なものと考えておりますが,御要望の趣旨を踏まえまして,県民の不安を払拭し,より安心感を得ていただくため,これらのダムにつきましても,底泥の放射性物質の調査について検討してまいりたいと考えております。
次に,子どもの健康診査の実施についてお答えいたします。
福島第一原子力発電所の事故後1年半を経過し,各市町村のモニタリングデータの最高値は,9月11日現在で毎時0.161マイクロシーベルトと,年間1ミリシーベルトを下回るレベルまで落ちついてきております。これは,放射性セシウムによる影響でありますが,物理学的半減期に加え,風雨など自然要因により,今後,さらに減衰していくと思われます。
また,放射性セシウムの内部被曝につきましては,本県に比べて空間線量率の高い福島県で既に6万人を超える方に実施された検査の結果でも,被曝線量は十分低いことがわかっております。
一方,放射性ヨウ素に関する健康影響につきましては,昨年3月に福島県で1,080人に実施した検査結果では,甲状腺等価線量で1人最大42ミリシーベルトでありましたが,ほとんどの方が低い値でありました。
福島県で現在実施中の甲状腺超音波検査では,これまでに8万174人の検査結果が公表され,うち99.5%が2次検査の必要なしと判定されております。残り0.5%の425人につきましては2次検査の対象となり,そのうち検査結果が判明している38人から1人甲状腺がんが発見されておりますが,専門家は,進行の遅い甲状腺がんが1年で発生することは考えにくいことから,今回の原発事故の被曝による影響を否定しているところであります。
一方,本県では,東海村の原子力研究開発機構で測定した空気中放射性物質濃度のデータで,3月から5月まで,24時間屋外にいたとした積算で,1歳児換算の甲状腺等価線量は15ミリシーベルトとなっております。
また,本年5月に公表されたWHO──世界保健機関の推計からは,福島県の近隣県という区分で,1歳児で1から10ミリシーベルトという数値が示されております。
県内では,ほかに,つくば市の高エネルギー加速器研究機構における空気中放射性物質濃度データがありますが,東海村より十分低い数値になっております。
いずれのデータからも,IAEA──国際原子力機関で示された安定ヨウ素剤の服用基準である50ミリシーベルトより十分低い値となっております。
チェルノブイリ原発事故において,甲状腺がんの増加が見られましたのは,事故後四,五年を経過してからでありましたので,今の時期に検査を実施しても,被曝による甲状腺がんが見つかることは考えにくいこと,さらには,超音波検査によって良性病変も多く見つかり,受診者が不必要な医療を受けたり不安になるという弊害をもたらす可能性も十分にあることなどのアドバイスを専門家からはいただいているところでございます。現に,福島において実施された8万174人のうち,39%に結節や嚢胞が発見をされております。
現在,福島県で行われているような疫学調査につきましては,国がその必要性を十分に検討し,何を検査すべきか,どの地域を対象とすべきかなどについて統一的基準や方針を示し,系統立てて実施するべきであると考えております。
そのようなことも含めて,国に対して要望しているところでありますが,事故初期段階の放射性ヨウ素の内部被曝につきましては,本県を含めどの程度であったのか,放射線医学総合研究所で調査をしており,今年度中には示されると聞いております。
さらに,本年6月には,東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律が成立し,今後,政府が健康診断を含む対象者の基準や支援の具体策についての基本方針を示すことになっておりますので,その結果を見守っているところであります。
今後とも,健康影響調査については,国の適切な対応を求めますとともに,県としても,状況の変化に応じて対応してまいりたいと考えております。
次に,東海第二発電所のストレステスト問題,廃炉の決断についてお答えいたします。
原子力発電所のストレステストにつきましては,昨年7月22日,原子力安全・保安院が各電気事業者等に対して実施を指示したものであり,国内すべての原子力発電所において,その評価結果を国へ報告することとなっております。
先般,全国50基のうち30番目に提出された東海第二発電所のストレステスト一次評価結果につきましても,国からの指示に基づき,あくまで事務的に報告がなされたものと考えております。
ストレステストの1次評価は,安全上重要な施設,機器等が設計上の想定を超える地震,津波などの事象に対し,どの程度の安全裕度を有するかを評価するものでありますが,東海第二発電所の再稼働に結びつくものではないと考えております。
一方,ストレステストの実施によって,現在の東海第二発電所の安全性に関する状況がしっかりと把握でき,また,その状況を県民の皆様にも知っていただけるという観点からは,私としては,必要な取り組みなのではないかと考えております。
また,東海第二発電所の廃炉の決断をとのことでございますが,東海第二発電所の取り扱いにつきましては,御指摘にございましたように,30キロメートル圏内に約94万人が居住していること,運転開始から約33年10カ月が経過していること,首都東京に極めて近いこと,約23万筆を超える廃炉を求める署名の提出を受けていることなども十分に勘案して判断する必要があると考えております。
一方で,本年4月に,ある新聞社が実施しました東海第二発電所の30キロメートル圏内の14市町村長への再稼働の是非に係るアンケートによりますと,2市村が反対,2市町が条件つき賛成,9市町が未定,1市が未回答であり,また,同じく,14市町村議会の廃炉を求める請願の採択の状況につきましては,採択が2市町,趣旨採択が2市,不採択が3市,継続審査が5市町村,未提出が2市町と,意見が分かれているところであります。
このような状況に加え,東海第二発電所については依然として国から再稼働の要請がされておらず,かつ,燃料の装荷時期や定期検査の終了時期も未定とされております。
私といたしましては,今後,新しく発足いたしました原子力規制委員会の動向を見守りますとともに,県の原子力安全対策委員会での技術的,専門的見地からの検証,原子力審議会での審議,さらには,県議会や地元自治体と十分協議をさせていただいた上で,県としての方針を決定していきたいと考えております。
次に,内需拡大の取り組みについてお答えいたします。
まず,最低賃金の引き上げでございます。
最低賃金は,賃金が低くなりすぎることや,企業間で社会的に不公正な競争が行われることを回避するため,最低賃金法に基づき,国が定めることとされております。
最低賃金につきましては,公益委員,労働委員及び使用者委員で構成される最低賃金審議会におきまして,金融経済概況等のさまざまな資料をもとに,労働者の生計費,労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払い能力の3要素を総合的に勘案し,労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう,生活保護に係る施策との整合性に配慮して決定することとされております。
議員から,国に対して,最低賃金の引き上げ要望を行うよう御提案をいただきましたが,県といたしましては,このような最低賃金決定の仕組みを踏まえますと,明確な根拠もなく要望することはできないと考えております。
したがいまして,中小企業に対する賃金助成につきましても,国に要望することは考えておりません。
次に,自然エネルギーの本格的導入と地産地消についてお答えいたします。
議員御指摘のとおり,再生可能エネルギーの導入に当たりましては,地産地消の観点も大変重要であると考えております。
このため,県におきましては,県中央水道事務所にメガソーラーを,鹿島下水道事務所に風力発電設備を整備し,それぞれの施設の電力使用量の一部を賄っているところであります。
また,災害時に必要な電力を避難所等で確保することができるよう,今年度から地域グリーンニューディール基金を活用し,防災拠点となる土木事務所や県立学校等約70の県有施設において,蓄電池を備えた太陽光発電設備の整備にも着手をしております。
こうした取り組みに加え,県におきましては,これまでも坂東市のリクシルと共同したメガソーラーの整備などに取り組んでまいりましたが,本年7月の固定価格買取制度の施行を受けまして,民間事業者の発電事業への参画が活発になっていることを踏まえ,先般,鹿島港港湾区域の一部を再生可能エネルギー利活用ゾーンとして位置づけ,全国に先駆けて大規模洋上風力発電事業者の公募を行うなど,再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組んでおります。
また,メガソーラーなど発電事業に参入しようとする民間事業者に対して,再生可能エネルギー導入に係る適地情報の提供に努めますとともに,県の一部の工業団地については,立地要件を緩和して,工場等に加え,メガソーラーの導入も可能とし,今月3日から公募を開始したところであります。
今回の固定価格買取制度の発足に当たりましては,その価格が比較的高く,事業者にとって有利に設定されているところから,県には,既に20を超える国内外の企業等から,メガソーラー発電など再生可能エネルギーに係る事業参入の打診があったところであります。
しかしながら,こうした動きの一方で,再生可能エネルギーの急速な拡大を行ったスペインやドイツでは,国民負担の増大を招き,制度の維持に問題が生じていること,今後,技術開発等によって,太陽光パネルや風力発電機などの性能の向上や価格の低減が期待できることなどを考えますと,私としては,発電効率の低い設備が急速に普及拡大していくことは将来に禍根を残すことにもなりかねないことから,再生可能エネルギーについてはきちんとした計画をつくり,段階的に導入を図っていくべきではないかと考えております。
国においては,今月14日に,革新的エネルギー・環境戦略を決定したところであり,今後は,国のエネルギー政策を踏まえ,再生可能エネルギーの導入を一層促進し,その割合を大幅に高めていく必要があるものと考えております。
こうしたことから,県におきましては,現在,新たなエネルギープランの策定に取り組んでいるところでありますが,年度内に策定することとしております計画には,太陽光,風力,バイオマス等,再生可能エネルギーの導入目標を掲げ,積極的に再生可能エネルギーの導入促進を図ってまいりたいと考えております。
次に,県民の安全を守ることについてお答えいたします。
茨城空港と自衛隊百里基地についてお尋ねをいただきました。
まず,茨城空港についてでございます。
茨城空港は,国管理空港であり,滑走路を防衛省,駐機場を国土交通省が管理しております。
民航機については,ターミナルビル側の滑走路,B滑走路を使用することを基本としながら,悪天候時には,計器着陸装置──ILSによる誘導が必要となる場合がありますので,計器着陸装置を有する自衛隊側の滑走路,A滑走路を使用する事例もあると聞いておりますが,空港の管制業務は防衛省によって行われておりますことから,それぞれの滑走路の使用頻度等については,県では把握しておりません。
なお,御指摘の事業費の中には,交通の安全確保や円滑化等のための周辺の県道整備費なども含まれており,全事業費に占める県の負担割合は約半分程度となっております。
次に,茨城空港の利活用につきましては,県民の利便性向上と地域活性化のために空港を役立てたいという強い思いから,これまで,県と地元が一体となって積極的に取り組み,就航路線についても着実に充実が図られてきたところであり,これまでに63万人を超える方々に御利用いただいております。こうした方々からは,茨城空港ができて大変便利になったと非常に喜ばれております。
また,茨城空港は,LCCに対応した新しいタイプの空港として,国内外のメディアに数多く取り上げられました結果,空港ターミナルビルには,県内のみならず,県外からも多くの方が訪れております。開港以来240万人を超える方々に御来場いただき,本県のイメージアップにも大きく貢献しているものと考えております。
今後とも,引き続き,空港の就航対策や利用の促進に努め,県民初め多くの方々に茨城空港を御利用いただきますとともに,地域振興に寄与できるよう,茨城空港の利活用に積極的に取り組んでまいります。
次に,自衛隊百里基地周辺の生活環境についてでございます。
県では,これまで,防衛省や北関東防衛局,百里基地等に対しまして,飛行回数の縮減や,早朝,深夜等における飛行の自粛など,航空機騒音対策について毎年継続して要望してまいりました。
県では,自衛隊の訓練という形では回数は把握しておりませんが,飛行経路の真下に設置した2カ所の自動測定局において,年間を通して航空機騒音の連続測定を実施しております。これらの測定局において,70デシベル以上の航空機騒音が測定されたのは,昨年度のデータで,年間2万9,573回であり,航空機の飛行回数はおおむねその半分と考えられます。
航空機騒音のうち,夜7時から朝7時までの時間帯,いわゆる早朝,夜間,深夜では2,007回となっておりますが,平成16年には3,370回でありましたので,徐々に減少している状況にあります。特に,午前0時から朝7時までの時間帯については,平成16年に200回を超えていたものが,昨年は14回と大幅に減少しております。
県といたしましては,今後とも,騒音による周辺の生活環境の悪化を防止するため,騒音対策の強化について,引き続き,防衛省等に要望してまいります。
次に,オスプレイ配備と訓練の撤回についてでございます。
オスプレイにつきましては,ことし4月にモロッコで,6月にはフロリダで墜落事故が発生しましたことにより,その安全性に対する懸念が大きくなり,沖縄県や山口県等を中心に配備に反対する動きが強くなっております。
このため,全国知事会では,オスプレイの安全性が確認できていない現状においては受け入れることはできないこと,政府においては,安全性や事故原因,飛行訓練による周辺住民への影響等について責任を持って関係自治体に詳細に説明するとともに,配備や飛行訓練等の具体的な内容を明らかにし,関係自治体の意向を十分尊重して対応することとの緊急決議を行い,7月20日に内閣官房長官や外務大臣などに要請してきたところであります。
オスプレイの安全性につきましては,本日午前,外務省,防衛省,在日米軍で構成する日米合同委員会において,国内運用に関する安全確保策が正式に合意されたことを受け,政府が先ほど安全宣言を出したところでありますが,国民や関係自治体に十分に説明し,理解を得るまでは飛行訓練を開始すべきではないと考えております。
また,公表されております低空飛行訓練ルートに本県は含まれておりませんが,百里基地での移転訓練や,東北への移動でオスプレイが本県上空を通過する可能性などについて,北関東防衛局などに問い合わせをしておりますが,いまだ明らかになっておりません。
私は,オスプレイの国内への配備や訓練は,日本やアジアの安全保障に関係することでありますことから,国が責任を持って対応すべきものと考えておりますが,県民の皆様に不安を与えることのないよう,引き続き,全国知事会や渉外知事会などとも連携し,適切に対応してまいりたいと考えております。
59 ◯細谷典幸副議長 次に,小野寺教育長。
〔小野寺教育長登壇〕
60 ◯小野寺教育長 一人一人に行き届いた教育条件の整備についてお答えいたします。
まず,小中学校統廃合の見直しについてでございます。
近年,少子化の進展により,年々,児童生徒数が減少する中,小規模な学校では,体育や音楽など,集団による学校活動ができにくくなったり,人間関係が固定化することで,互いに切磋琢磨する機会が少なくなるなど,子どもの成長面においても改善すべき状況が生じております。
そうした中,県では,議会の財政再建等調査特別委員会の御提言や市町村からの要望も踏まえ,平成20年4月に,公立小中学校規模の適正化についての指針を策定いたしました。
この指針では,児童生徒のよりよい教育環境づくりの観点から,望ましい学校規模の基準を示しますとともに,個別の学校の適正規模,適正配置につきましては,地域の地理的,歴史的な背景を踏まえ,保護者や地域の方々の意見をしっかり聞いた上で,市町村が主体的に判断するよう示しているところでございます。
県内では,既に31市町で統廃合についての計画が策定されておりますが,県といたしましては,その他の市町村におきましても,引き続き,この指針に基づき,保護者や地域住民としっかり話し合いを持ちながら,統廃合に関する計画づくりが円滑に進みますよう,今後とも助言や情報提供をしてまいりたいと存じます。
次に,少人数学級の拡充についてでございます。
少人数教育は,子ども一人一人に学習習慣や生活習慣をしっかりと身につけさせ,きめ細かな指導を行う上で極めて効果的であると考えております。
このため,県では,独自の少人数学級を小学1年生から4年生及び中学1年生で実施してきており,わかりやすく楽しい授業づくりや,児童生徒に寄り添ったきめ細かな指導の充実に努めているところでございます。
この少人数教育につきましては,国におきまして,昨年度からすべての小学1年生の学級で35人以下学級が実施され,今年度からは小学2年生に拡大されております。
また,国の義務標準法改正により,今年度から,市町村教育委員会の判断で,地域や学校の実態に応じ,柔軟に学級編制ができることとなりました。
これにより,定数の範囲内で,小学5,6年生,中学2,3年生におきましても少人数学級が実施可能となり,現在,県内12市町村,21校で独自の少人数学級が実現しているところでございます。
なお,県では,これまで,中央要望などさまざまな機会を通して,国に対し,少人数学級の拡大を要望してまいりましたが,議員から御指摘のありましたように,来年度の国予算の概算要求におきまして,今後5年間ですべての学年に35人以下学級を拡大する新たな定数改善計画の策定が盛り込まれたところでございます。
県といたしましては,この国の新たな計画の策定を大変期待して注視いたしますとともに,すべての小中学校で35人以下学級が実現できるよう,今後とも,国や市町村の動向を踏まえながら,少人数教育のさらなる充実に努めてまいります。
次に,定数内臨時職員の正職員化と改善についてでございます。
学校現場でのさまざまな問題を解決していくためには,教職員が子どもと向き合い,一人一人の日々の成長や変化に気づくことのできる教育環境づくりが求められているところでございます。
現在,教職員の一部には臨時職員が配置されておりますが,継続的に子どもとかかわっていくためにも,議員御指摘のとおり,正職員化を図っていくことは大切なことであると認識しております。
一方,平成18年度以降,国による定数改善計画が策定されず,中長期的な視点に立った計画的な採用ができにくい状況となったことにより,全国的にも臨時職員が増加する傾向にございます。
また,児童生徒の転出などにより,年度当初の時点で学級数が減る可能性がある場合には,定数を超えて教職員を配置することは困難なことから,やむを得ず臨時職員を配置することにより対応している面もございます。
こうした状況を少しでも改善するため,平成24年度の教員採用に当たり,これまでより50名ふやして400名としたところでございます。
今後,県といたしましては,国の定数改善計画策定の動向を注視しつつ,退職者数や児童生徒数の推移なども見据えながら,できる限り臨時職員の正職員化を図り,教育条件の整備に努めてまいります。
61 ◯細谷典幸副議長 大内久美子議員。
〔47番大内久美子議員登壇〕
62 ◯47番大内久美子議員 それぞれ御答弁いただきました。
全国のモデルになったという茨城租税債権管理機構,これは,全市町村で構成しているのは,全国でいまだに7つしかありません。茨城県のように44名体制で強化しているところはありません。つまりは,県民に納税相談できめ細かに相談に乗るより,まず取り立て,私は,この冷たい県政の悪いモデルであると指摘をしております。
2つ質問をいたします。
第1は,原発についてです。
知事は,国に判断をゆだねる。とりわけ,原子力規制委員会は,原子力を推進してきた人が責任者,国会を閉会して,総理大臣が指名をするというとんでもない委員会です。知事は,国に判断をゆだねる。みずからの意思表明はありません。
国は,9月14日の革新的エネルギー・環境戦略で,原発ゼロの社会を目指すとしながら,原子力規制委員会の安全確認を得たものを再稼働させる,使用済み核燃料を再処理する,核燃料サイクル計画の継続をうたっています。再稼働を認める危険なものです。
茨城エネルギープラン策定委員会が5月28日に第1回委員会を開きました。東電からの委員も入っておりますが,来年から柏崎の稼働を想定していると述べています。事故を引き起こした当事者として無反省な発言であり,原発から撤退すべきとの国民,県民の世論に挑戦するものです。東海第二原発の廃炉をはっきり主張しなければ,危険な原発再稼働をやめさせることはできないのです。知事の見解を再度求めます。
第2点は,茨城空港についてです。
防衛省の所管なので,茨城県はその実態については把握をしていないという答弁でした。私どもの調査では,新滑走路を自衛隊は年間600回,1日平均2回使用しています。地元への通知はしておりません。民航機が自衛隊の滑走路を使用することはほとんどないということでした。
平成22年3月25日に,天候が悪いとの理由で,アシアナ航空のソウル便は2時間おくれで仁川を出発し,成田空港に到着,旅行会社が用意したバスで茨城空港に着きました。当時の天候は曇りでした。なぜ着陸できなかったのか。天候が悪いときのために自衛隊滑走路を補強したのではないでしょうか。
このように,自衛隊の訓練が最優先されているのが茨城空港です。茨城空港に安全の保障はありません。百里基地の訓練縮小についてどう取り組むのか,お答えをいただきたいと思います。
以上で,終わります。
63 ◯細谷典幸副議長 大内久美子議員の再質問に対する答弁を求めます。
橋本知事。
〔橋本昌知事登壇〕
64 ◯橋本昌知事 原子力規制委員会のこれからのさまざまな検討を待っていくということを答弁申し上げたところでありますけれども,私どもといたしましては,田中委員長,いろいろな御意見をおっしゃられる方もおりますけれども,先般の事故のときにも,大変いろいろな面で収束に向けて意見を出された方でありまして,大変すばらしい方と思っております。
そして,そのもとで何をまずそれではやってほしいのかといいますと,例えば,本県の場合,94万人が30キロ圏内,UPZ圏内に含まれております。この94万人全部について避難計画をつくらなくてはいけないのかどうか,そういったことがまださっぱり明確になっておりません。本県の東海第二発電所の場合には,この避難計画という点が一番大きな課題ではないかと思っておりますので,そこについて原子力規制委員会できちんとした方向を早く出してほしいということを私としては大変強く期待をしておるところであります。
したがいまして,廃炉云々ということについては,今の段階では,一番肝心な点と思われる避難計画のことについて判断ができませんので,私としての考えを表明できない状況にございますし,また,私自身で勝手に決めていくというよりは,やはり議会とも十分に相談していかなければいけないのだろうと思っております。
それから,アシアナ便がなぜこちらに来られなかったのかということについては,私は具体的なことは存じ上げません。計器着陸装置──ILSというものがありながら,なぜだめだったのかということについては,これから少し調べてみたいと思いますけれども,いずれにいたしましても,民間用の方については自衛隊に使われていながら,逆の方は少ないではないかということにつきましては,十分頭に置いて,これから国の方ともいろいろな意見交換などもやっていきたいと思っております。
それから,自衛隊の訓練の縮小ということでありますけれども,訓練縮小自体については,これは,自衛隊の方でといいますか,国の方で判断していくことでありますので,私どもとして,防衛上どれだけ必要かということについては口を挟む立場にございませんけれども,ただ,生活環境への影響という面では,我々としてはきちんと言っていかなくてはいけないのだろうと思っております。
そういった点で,騒音がふえないように,そして,また,特に夜間とか早朝の部分をどうやって減らすかということについては,積極的に国の方に申し入れをしていきたいと思っております。
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65 ◯細谷典幸副議長 暫時休憩をいたします。
なお,会議再開は午後3時40分を予定いたします。
午後3時27分休憩
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午後3時41分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
66
◯磯崎久喜雄議長 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
なお,傍聴人の皆様に申し上げます。
傍聴人の拍手は禁止されておりますので,御留意願います。
川津隆議員。
〔51番川津隆議員登壇,拍手〕
67 ◯51番川津隆議員
いばらき自民党の川津隆であります。
今定例県議会一般質問も私で最後の登壇であります。
どうなる日本,どうなる暮らし,内政,外交,まさに国難,国民との約束,政治の停滞,今の政治は国民に対しどのような責任をとるのか。
いつの世にあっても,政治行政は,人が人として生きる源泉,政治家は,戦前戦後,先人が,命はもとより,血と汗と涙の結晶を培った心と努力に大きく感謝と感動を覚え,先人や子どもたちの澄んだ目に恥じ入ることのなく,次世代にしっかり,つくり送る責任を自覚し,政治の責任を果たしていかなければなりません。
県民は足をとめられません。こうした時期だからこそ,県民の信託を受けた知事や私たち県議会は,県政という役割の中でしっかりと県民の生活や福祉の向上に責任を持っていかなければならないのであります。
それでは,通告に従い質問を行ってまいりますが,知事初め関係部長には,県民に一番近い県政に対する力強く,明快なる答弁を求めるものであります。
初めに,5期目の集大成の時期を迎えた知事の政治姿勢について伺います。
私は,平成8年の第1回定例会で,県議会議員となり初めての一般質問を行いましたが,当時,知事は,就任後初めて策定した茨城県長期総合計画に基づき,県政運営に本格的に着手したところでありました。
私は,質問の中で,友末知事が,平和茨城建設構想と戦災復興,岩上知事が,現ひたちなか地区射爆場跡地返還の実現と鹿島開発を軸とした農工両全,また,竹内知事が,筑波研究学園都市建設と県民所得向上を掲げながら,豊かな県土づくりのため,県勢の発展に取り組まれた努力に敬意を表しながら,これから橋本知事が新しい総合計画に基づき,どのような茨城を目指していくのかを質問いたしました。
早いもので,あれから16年が経過し,現在では5期19年という全国でも最も長く,豊富なキャリアを持つベテラン知事であります。
この間,知事は,総合計画を4度改定し,産業大県や生活大県を掲げ,本県の発展に尽力されてきたわけであります。その結果,茨城空港の開港,つくばエクスプレスや北関東自動車道の開通,J-PARCを初めとする科学技術の集積など,本県の発展基盤の整備を進めるとともに,全国初となる高等学校における道徳教育の必修化等,数々の先進的な取り組みを行ってまいりました。
しかしながら,残念なことは,これだけのキャリアを持つベテラン知事でありながら,その実力に見合った発信力が十分に発揮されていないのではないかと思うのであります。例えば,東京オリンピック誘致や尖閣諸島問題で発言する石原東京都知事や,大阪都構想を掲げる橋下市長などは,その発言が国をも動かすほどであります。
水戸,茨城は維新の先駆けの地,私は,橋本知事に対し,もう教科書どおりの政治家はやめていただき,ベテラン知事として全国をリードし,地方から日本を変えるような強い発信力を持って,ぜひともこれからの1年間を5期20年の橋本県政の総仕上げになるよう,強い決意で取り組んでいただきたいと思うのであります。
そこで,5期20年の橋本県政の集大成となるこれからの残り1年,日本をつくる茨城,日本を動かす地方自治体を目指す橋本政治,知事の発信力を私は強く求めますが,知事の決意を伺います。
また,私は,先ほど,歴代知事の功績についても述べましたが,橋本知事自身がこれまでの19年間を振り返り,みずからの県政運営に対し,橋本政治の力学と県土づくりの代名詞とも言える表現をするとしたら,どのように県民に示されるのか,あわせて伺います。
次に,科学技術の集積を生かした産業振興について伺います。
まず,初めに,未来産業革命と茨城の潜在力についてであります。
先月開催されたロンドンオリンピックは,私たちに多くの感動を与えてくれました。日本代表メダリストの凱旋パレードで,約50万人が銀座の沿道を埋め尽くし,国民の関心の高さがうかがえます。
そして,開会式で,スタジアムに再現されたテムズ川源流から始まる昔の農村風景が一転し,煙突の立ち並ぶ産業革命時代の都市風景へと変わる場面がありましたが,ヨーロッパから始まり,世界は産業革命から画期的な進歩をなし遂げ,これはまさに人類の文明開化とも言える出来事でありました。
私は,かつて,平成15年第1回定例会で,茨城の人間力,茨城力について質問し,その中で次のように申し上げました。地球誕生から46億年,人類の誕生から400万年,この気の遠くなる時を刻む時間は,現代文明においては想像をもつくはずもありません。
人類は,20世紀のわずか100年,地球誕生から言えば,人のまばたきにも満たない時間で,徒歩から馬へ,機関車からジェット機へ,ロケットからスペースシャトルへと時のスピードをつくり出し,コンピュータ開発,ヒトゲノム,バイオテクノロジーやナノテクノロジーから量子コンピュータ,さらに,光通信技術やインターネット,使役型ロボットの実用化へと,探求心と工夫,知識と知恵を結集し,技術革命を克服し,物質的豊かさと暮らしの中の便利感を手に入れることをなし遂げたのであります。
21世紀は,国境や垣根のない時代,国際化,情報化,スピード化はますます加速され,その速さはまさに計測不可能であります。
先般,スイスの加速器で素粒子17種の最後の一つであるヒッグス粒子が発見されました。まさに世紀の大発見であります。
20世紀の産業革命が世界を変えたとすれば,21世紀は未来産業革命を茨城からつくり出し,国内を,世界を席巻することが新文明開化とも言えます。
茨城は,未来産業の分野においては,言うまでもなく,筑波研究学園都市に7,000人以上の博士号取得者や,2万人を超える科学者や技術者を有し,世界に誇るJ-PARCを利用した未来高強度高機能材料の開発,がん,アルツハイマー病を克服する生命科学,エネルギー環境問題解決等の研究開発,ロボット開発,バイオテクノロジー,ナノテクノロジー,分子,原子の構成部品から成るコンピュータ開発等が行われ,また,現在,政府により,ITERを補完するBA活動の拠点となるサテライトトカマク,JT60SA事業の建設計画が推進されています。
こうした茨城力は,国内を,世界をリードする茨城の潜在力であり,この茨城の潜在力から未来産業革命とも言うべき時代を生み出し,日本の新文明開化を開くことが大変重要であると思います。
社会経済のグローバル化が進展し,国際競争が激化する中,日本を牽引していく未来産業の分野で,本県の誇る科学技術を原動力に新たな産業を創造し,持続的な経済成長を実現していかなければなりません。
そこで,本県が誇る科学技術の集積を生かして,どのように未来産業革命とも言える県内産業の振興につなげていくのか,知事の意気込みを伺います。
次に,21世紀新産業振興プログラムの検証と新指針についてであります。
商工労働部が策定した21世紀新産業振興プログラムは,21世紀初頭に向けて,本県産業の有望な新規成長分野を明らかにし,実現のための政策指針を示したものであり,成長が期待される分野について,2010年の市場規模などの将来予測が示されていました。
例えば,当時,8,943億円であった医療,福祉関連の市場規模が,2010年には2.41倍の2兆1,593億円,エネルギー関連が現状の624億円から3.49倍の2,181億円というように,本県における成長が期待できる15分野について具体的な経済効果を試算するとともに,目標を明確に掲げており,大変すばらしいプログラムで,茨城の未来に私は大きな自信を感じました。
今,当時の将来予測が示された2010年が現実となりましたが,残念なことに,その結果について十分な検証がされておりません。刻一刻と社会経済情勢が変化する中で,常に時代のニーズを酌み取り,方針や計画を見直していくことは当然のことでありますが,同時に,過去の指針等の成果を検証することは,その集積結果をしっかりと次につなげることで,大変重要であります。
現在,県は,産業活性化指針に基づき,成長分野への進出促進や,ロボット等の成長分野の産業拠点の形成を図っております。この指針には,個別事業の数値目標は設定されておりますが,私は,これらの個別の数値目標も含め,市場や雇用動向も見据えた大局的な目標に向かって施策を進めていく必要があると考えます。
また,指針の効果的な推進のためには,県内市町村との密接な連携が必要であると思います。
そこで,現在の産業活性化指針を改定した際,どのような検証を行ったのか,また,産業活性化指針に基づく成長産業の目標に対する考え方とともに,市町村計画との連携をどのように進めていくのか,商工労働部長に伺います。
次に,公共施設の長寿命化について伺います。
学校,庁舎,道路,橋梁などの公共施設は高度経済成長期に建設されたものが多く,今後,急速に老朽化が進み,維持管理,更新経費の増大が予想されます。
その一方で,公共事業費は減少しており,施設更新などの予算確保が困難になると予想され,このままでは公共施設の安全性が確保できなくなるおそれがあります。
公共施設の老朽化に対し,本県は,橋梁など一部の土木関係施設では長寿命化計画を策定し,取り組み始めていますが,私は,すべての県有施設について計画的な長寿命化対策を講じる必要があると考えます。
先般の議会主催講演会で,本県企画部鉄道交通課長を務めた元総務大臣の増田寛也氏が,国土交通省が所管する社会資本を対象にした2011年度から50年間の維持管理,更新に係る試算で,これから公共施設の老朽化が地方の大きな問題になることを指摘いたしました。
その試算によれば,維持管理,更新に関しては,今までどおりの対応を続けた場合,50年間に必要な更新費約190兆円のうち,約30兆円が更新できなくなると見込まれますが,早期発見,早期改修の予防保全の取り組みを行った場合は,約6兆円と大幅に減少するとのことです。
この問題は,県にとっても重要な課題であり,決して他人事ではありません。公共施設について,早期に戦略的な維持管理を進め,ライフサイクルコストの縮減や長寿命化を図る必要があるのは明らかです。
県は,まず,約7,000棟に及ぶ県有施設ほか多くのインフラ関連施設も含め,すべての県有の公共施設について,今後,いつ,どのくらいの維持管理,更新が必要になるのかなど実態把握をし,長寿命化対策を講じなければなりません。
そして,現在のように,それぞれの部局等が対症療法的に施設の改修等を行うのではなく,全体の公共施設を管理し,施設全体の中で順位づけをしながら,予算配分ができるような仕組みをつくるべきであり,そのための対策室,あるいは課を設けることを提案いたします。
そこで,私の提案を踏まえ,県の公共施設全体の長寿命化対策についてどのように取り組むのか,総務部長に伺います。
また,小学校,中学校等5,214施設を初め多くのインフラ関連施設を有する市町村についても,県と同様に長寿命化対策が必要になってまいりますが,県はどのように支援し,予算措置していくのか,あわせて伺います。
次に,税外収入の確保について伺います。
初めに,県有財産を活用した税外収入の確保についてであります。
少子高齢化の進展による社会保障費の増加や,三位一体の改革による地方交付税の大幅な削減,長引くデフレ不況による税収の低迷などから,本県の財政は危機的な状況にあります。平成16年度以降,平成24年度までの9年間の累計で2,000億円以上の一般財源が減少し,県債残高は2兆円を超えています。
30年前,本県歳入の45.3%を占めていた国からの補助金,交付金は,現在,27.3%となり,今後,大幅な増加は見込めないものと思われます。
地方分権の実現には,財政的にも地方が自立する必要があり,そのためには,国からの税財源移譲がされるべきです。しかしながら,なかなか進まない状況においては,地方も知恵を使いながら税外収入の確保に積極的に取り組まなければならないと考えます。
税外収入については,私が全国を調査した結果,有料広告収入やネーミングライツなどのほか,売電目的に太陽光発電パネルを設置しようという事業者に,県有施設の屋根や遊休地を貸し付けるなど,各県とも知恵を絞りながら税外収入を有効に活用し,収入確保を行っていました。
本県も,第6次茨城県行財政改革大綱で,行政財産などを活用し,一層の自主財源確保に努める方針とありますが,私は,より積極的に取り組む必要があると思います。
先ほどの長寿命化対策についての質問の中で,全体の公共施設を管理するための対策室,あるいは課を設けることを提案いたしましたが,施設の管理等を部局ごとではなく,一元的に統括管理することは,活用されていない財産の有無を把握することができ,県有財産のさらなる有効活用を図るためにも効果的ではないかと考えます。
そこで,私は,将来的には,部局ごとに管理している県有施設等を統括管理する課を設置することも視野に入れながら,県有財産をさらに有効活用しながら税外収入の確保をより一層進めるべきであると考えますが,総務部長に伺います。
また,県有財産を有効に活用するため,ファシリティマネジメントという考え方を導入している自治体があり,長寿命化対策を図る上で成果を上げていると聞いております。本県としても,ファシリティマネジメントの導入を検討してはどうかと考えますが,あわせて総務部長に伺います。
次に,土木事業予算の確保と税外収入の確保についてであります。
公共事業を取り巻く状況は大変厳しい状況でありますが,昨年の東日本大震災を経て,改めてインフラ整備の重要さを認識した方は多いのではないでしょうか。安全・安心な生活に道路や橋梁などのインフラ施設は欠かすことのできないものであります。
そのため,私が土木委員長を務めていた平成18年3月に,土木事業予算の確保に努めることを委員会として提言いたしましたが,本県の厳しい財政状況の中,当時,1,420億円であった土木部予算が,現在,953億円と32.9%も削減されており,委員会の提言は全く反映されておりません。
さらに,道路や橋梁などの維持管理にも多くの費用がかかっており,例えば,土木関係の公共施設の電気料金だけでも年間15億円を超えています。施設の老朽化にも費用がかかってくるため,このままの予算状況が続けば,施設の維持管理費用は何とか予算措置ができても,道路を初めとする新たな施設整備はできなくなると強く懸念しており,今後,土木事業予算をきちんと確保していくことが,安全・安心な県土づくりを進める上で大変重要であります。
一方で,このような状況から,私は,土木部としては,税外収入の確保についても真剣に考えていかなければならないものと感じております。税外収入の状況を調べたところ,兵庫県では,道路照明1本当たり年間2万円を協賛する企業等を募集し,その名称等を照明灯に掲出するあかりのパートナー事業を行っていました。
また,ネーミングライツといえば,文化施設や競技場などを考えますが,大阪府では,歩道橋の名称に企業名等を冠する権利をパートナー企業が買い取り,その収入を道路の維持管理に充当しています。
私は,本県においても,土木事業予算が大幅削減される中,知恵を絞って税外収入の確保に向けて取り組むべきと考えます。
そこで,土木事業予算が大幅に削減される中,一方では公共施設の維持更新が増大する中で,税外収入等も視野に入れた土木事業予算の確保も含めて,今後の本県の社会資本整備の進め方について,土木部長に伺います。
次に,城里町の日本一の米を生かした県産農産物のPRについて伺います。
昨年,城里町ななかいの里生産研究部会の生産者盛田守さんが出品したななかいの里コシヒカリがお米日本一コンテストで最優秀賞を受賞しました。おいしいお米をつくるために,同部会がこれまで熱心に取り組んできた結果が今回の受賞につながったものであり,地元でも大変喜んでおられます。また,県にとっても大変名誉なことです。
このような日本一の米という栄冠を受けたものについては,生産者を賞賛し,ブランド化を応援するほか,その情報を県内外へ広く発信し,PRしていくことが大切です。
この日本一の米の栄冠は,平成18年度の大子町の生産者に続き2回目ですが,余りPRされているようには聞こえてまいりません。せっかくの日本一にもかかわらず,県民の中にもこの受賞を知らない方が大変多くおります。
県では,ホームページでのPRや,農業関係雑誌への掲載などに努めたようですが,広く消費者に向けてさらに積極的なPRを行うべきです。例えば,アンテナショップや東京事務所,大阪事務所等を通じた県外への大々的なPR,国際的な見本市等への出品を通じた海外へのPRなどを行ってはいかがでしょうか。また,ホームページでは,情報を見る方が限られておりますので,テレビなどを活用すべきであります。
今回のように頑張っている生産者の成果を県が積極的にPRすることは,県内の他の生産者への励みにもなり,城里町にとどまらず,県全体の生産者の意欲向上にもつながるものと考えます。
そこで,日本一という栄誉ある評価を受けた城里町の米をどのようにPRしていくのか,また,今後もこのような日本一など高い評価を受ける農産物は相次ぐと思われますが,これを生かした本県産農産物の全国へのPRをどのように行っていくのか,農林水産部長に伺います。
次に,黄門マルシェの総括と新店舗の展開について伺います。
東京銀座に開設した県のアンテナショップ黄門マルシェについては,入居ビルの閉鎖により,この8月末で営業を終了いたしましたが,ことしの11月には,同じ銀座地区において新店舗の開店準備を進めております。
黄門マルシェは,昨年7月,風評被害が極めて深刻な時期に,大消費地である東京に設置されました。これまでに首都圏の消費者やメディアに対して,直接,本県の観光地や農産物等の安全性をPRできたことは一定の効果があったのではないかと思います。
しかしながら,一方で,例えば,東京都中央卸売市場の取扱高が連続1位で高いシェアを占める本県農産物や,本格的な常陸牛,ローズポークなどの本県のブランド肉や,種類が豊富な海産物,また,先ほどの質問でも取り上げました城里町の日本一のお米のようなすぐれた評価を受けた農産物など,本県の魅力ある商品が十分販売されていなかったとも考えております。
さらには,本県を訪れていただくためのPRが必ずしも十分でなく,例えば,取扱品や魅力的な店づくりなどの工夫を行えば,もっと売り上げが伸ばせたのではないかと思います。
こうした課題等を整理し,十分な検証を行い,新店舗の運営に生かしていくことで,集客アップや売り上げアップが見込まれ,本県のさらなるイメージアップに資すると考えます。
また,新店舗をさらに効果的な情報発信の拠点とするためには,銀座内にとどまるのではなく,例えば,仮称黄門マルシェ発信隊というPR隊を結成し,民間テレビ局を訪問したり,お台場や浅草,巣鴨などの観光スポットに出向き,積極的にPRをすべきであります。
そこで,アンテナショップ黄門マルシェの総括について,また,新店舗の展開について,理事兼政策審議監に伺います。
最後に,安全な生活のための道路整備について伺います。
主要地方道石岡城里線は,水戸市西部地域を南北に通る重要な生活道路で,水戸市郊外の新市街地のまちづくりに重要な路線であります。
しかしながら,一部区間において,幅員狭小,屈曲,歩道未設置,右折レーンのない交差点など,未整備箇所の改善が求められており,水戸警察署管内における物損事故を除く人身事故だけでも,平成22年に29件,ことし8月末現在で既に12件発生しております。特に国道50号から水戸西流通団地に抜ける牛伏町から谷津町の区間は,ツインリンクもてぎ,サテライト水戸,全国でも最大級のショッピングセンターなどにより交通量が多いにもかかわらず,道路が非常に狭隘で,車両のすれ違いが全くできない場所が何カ所もある状況です。
このため,沿線市町村長と県議会議員による石岡城里線県道改修期成同盟会を結成し,毎年,道路の早期整備を土木部長に要望しています。
現在,同路線の谷津地区は,一部整備が始まっておりますが,事業推進が大変おくれており,また,牛伏地区は,ことし改めて調査に入る予定でありますが,地元はこの生活道路に対し,早期の事業化を期待いたしております。毎年の要望にもかかわらず,現在の進捗状況では,計画区間がすべて整備されるまでに40年以上かかってしまいます。
そこで,石岡城里線の谷津地区から牛伏地区の取り組み状況と今後の整備見通しについて,土木部長に伺います。
また,両地区の間に位置する三野輪地区についても,道路が大変狭隘であり,私は前々から指摘しておりましたが,特に夜間のすれ違いは大変危険であり,待避所の設置が必要であると考えますが,同地区の今後の整備見通しについてもあわせて伺います。
次に,県道水戸勝田那珂湊線についてであります。
この道路は,水戸市渡里町の国道123号から東に向かい,国道118号,国道349号及び国道6号を経て,ひたちなか市部田野の国道245号を横断的に連絡するとともに,大変利用者が多く,フルインター化に向けて事業が大きく前進している水戸北スマートインターチェンジに接続する重要な路線でありますが,整備を要する箇所が多数あります。
特に,国田大橋から国道349号までの区間の中河内地区については,一部2車線化がされていない区間や,歩道が設けられていない区間がある上に,交通量も柳河小学校前で1日当たり1万4,631台と非常に多く,沿線住民の生活や児童生徒の通学に支障が出ております。
このため,これらの危険箇所の解消に向けて,かねてより地域の方々は,中河内集落部のバイパス化と,中河内から上河内に向けての歩道整備を県に要望してきたところです。
このうち,このバイパス化については,平成14年に工事着工に向けて地元説明会が開かれ,一部用地取得が進み,事業推進がされましたが,その後,事業が休止状態になってしまったことから,地元では,行政に対し,期待と現実に大きな戸惑いが生まれております。
私は,以前から,幾度となく,この道路の重要性を一般質問に取り上げ,歴代部長は積極的に取り組む考えを示されたわけでありますが,改めて,地元住民に対し,行政は責任を果たしていかなければなりません。
そこで,この区間の整備に向けての取り組み状況と今後の見通しについて,土木部長に伺います。
以上で,私の一般質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
68
◯磯崎久喜雄議長 川津隆良議員の質問,質疑に対する答弁を求めます。
橋本知事。
〔橋本昌知事登壇〕
69 ◯橋本昌知事 川津隆議員の御質問にお答えいたします。
まず,5期目の集大成に向けた私の政治姿勢についてお尋ねをいただきました。
私は,知事の職務というのは,一定の期間を区切って何かをなし遂げるということではなく,長く続く県政の流れの中で,その時々に県勢の発展や県民福祉の向上のために必要とされている仕事をしっかりと果たしていくことが重要であると考えております。例えば,ひたちなか地区の開発,つくばの整備,圏央道の建設などに見られますように,自分の時代に構想し,かつ完成させるということは想像もできない施策も多く,知事の任期ごとに集大成をするといったことにはなじまないものと考えております。
これまで,私は,将来の発展基盤となる高速道路や鉄道,港湾,空港等の広域交通ネットワークの整備を進めますとともに,産業の振興に力を入れてまいりました結果,コマツや日立建機,日野自動車など,国内有数の企業が本県に数多く立地し,過去10年間の工場立地面積は全国1位となっております。また,最先端科学技術の県づくりや,農業改革等も着実に進展してきております。
これらの取り組みは,ここまでやったから終わりというものではなくて,これからも連綿と続けていかなければいけないものでありますし,また,私がこれだけ産業大県づくりなどに成果を上げておられますのも,先輩方が頑張ってくれたおかげであります。
これからの1年における県政運営についてお尋ねをいただきましたが,私は,何よりも最優先で東日本大震災からの復旧・復興に精いっぱい取り組んでまいります。具体的には,被災者の生活支援を初め,中小企業や農業,漁業関係の施設,設備等の早期復旧,観光客の誘致や安全・安心な本県農林水産物のPRなどに一層力を入れてまいります。
また,公共施設の耐震化や,防災上重要である高速道路や耐震強化岸壁の整備など,震災の教訓を踏まえた社会基盤の整備についても進めてまいります。
これらに加え,雇用の場の確保,医療や福祉,教育,生活環境に係る施策の充実などについても取り組んでまいります。
なお,私自身の発信力ということでありますが,知事の場合,政策そのものが,県民,あるいは県土を対象とするものが多く,特別の方々を除き,日本全国への発信力という点では,どうしても限られたものになってしまいがちであります。
しかしながら,本県におきましても,LCCの先進例としての茨城空港の開港や,昨年の東電管内で唯一の全県計画停電回避といった多くの方々の注目を浴びた例も結構ございます。
また,情報発信は,知事ももちろん頑張らなければいけませんが,それに加え,県職員,さらには,多くの県民の皆さんが自分の県に誇りを持ち,力を合わせて取り組んでいかなければ効果は上がりにくいと考えております。
いずれにいたしましても,御指摘も踏まえ,今後,なお一層発信力の強化に努めてまいります。
なお,私の友人からは,昔は,女子大の授業で,先生と同じ茨城県出身の人はいますかと聞いても,恥ずかしがってだれも手を挙げなかったそうでありますけれども,最近はどんどん手を挙げるようになったと聞いており,ここ数年で茨城のイメージは大きく変わってきているのではないかなと思っております。
次に,これまでの19年を振り返り,橋本政治の力学と県土づくりの代名詞についてお尋ねをいただきました。
私が就任した当時,バブルが崩壊した直後ということもあり,ハードからソフトへという言葉が盛んに言われておりました。しかしながら,当時,本県では,福祉などのレベルについて必ずしも高い方ではありませんでしたので,私としては,福祉や教育などの施策の充実を図っていかなければいけないという考え方と,一方で,同時に,これだけ平たんで広大な県土があり,東京にも近い,海に面している,こういった本県の持つすばらしい発展可能性を何とかして早い時期に現実のものにしていかなければいけないという気持ちを強くしたところであります。
そこで,私としては,ハードからソフトへではなくて,ハードとソフトのバランスのとれた県をつくっていきたいとの方針のもと,県政に取り組んでまいりました。
この間の県政の代名詞ということでありますが,岩上知事や竹内知事とは時代背景が異なることもあり,水戸対地射爆撃場返還と鹿島開発,あるいは筑波研究学園都市の建設といった拠点開発志向のキャッチフレーズとは趣を異にしますが,私は,人が輝く元気で住みよいいばらきづくりを基本理念に,県土全般に目配りをしながら,産業大県づくりと,それに基づく生活大県づくりを目標に県政運営に取り組んできているところであります。
次に,未来産業革命と茨城の潜在力についてお尋ねをいただきました。
我が国の持続的な発展や国民生活の向上を図りますとともに,日本が世界の中で将来に向けて確固たる存在感を保持していくためには,科学技術を原動力としたイノベーションの創出を促進していくことが極めて大切であります。そして,その中で,茨城県の果たすべき,かつ茨城県に期待されているものは大変大きいものがあると考えております。
議員御指摘のとおり,本県には世界に誇る最先端の科学技術の集積があり,これらを最大限に活用し,科学技術創造立国日本の枢要な拠点としていきたいと考えております。
まず,平成20年12月に稼働を開始いたしましたJ-PARCは,世界で3つしかない大規模なパルス中性子源であり,その中に設置している本県の2本のビームラインにおいて,我が国を代表する企業等が,リチウムイオン電池や新薬などの開発に加え,水素社会の実現に貢献する水素吸蔵合金の開発など,世界最先端の研究を行っているところであります。自治体が中性子ビームラインを独自に設置し,産業利用に供しているのは本県のみであり,研究者から,自治体の先進的かつ思い切った取り組みとして高く評価をされているところであります。
また,昨年12月に指定を受けたつくば国際戦略総合特区におきましては,つくばの科学技術を活用し,我が国の成長を牽引する新産業の創出に取り組んでおります。例えば,陽子線,重粒子線に次ぐ中性子を使った次世代の放射線がん療法であるホウ素中性子捕捉療法につきましては,直線型小型加速器による治療装置の開発に取り組み,切らない,痛くない,副作用の少ない,世界をリードする画期的ながん治療の実用化を図るために努力をしているところであります。
また,つくばにおきましては,このほかにも,医療,介護で使用されるロボットスーツや藻類バイオマスの研究などさまざまな研究開発が行われており,新産業,新事業につながる成果が続々と生み出されてくるものと大いに期待をしているところであります。
このような世界に誇る科学技術の集積を産業の振興につなげていきますためには,研究に取り組みやすい環境づくりとともに,研究成果の橋渡しなどをして,科学技術と企業との出会いの場,取り組みの場をつくることが必要であります。
そのため,いばらき成長産業振興協議会を立ち上げ,会員企業が次世代自動車や環境・新エネルギーなどの成長分野へ参入できるよう,県工業技術センターと連携し,研究機関等との共同研究を進めているところであります。
また,J-PARCについては,中小企業が県ビームラインを活用し,製品開発につなげられるよう,県内
中性子利用連絡協議会を設置し,研究開発を促進してまいりました結果,少しずつ成果が上がり始めているところであります。
今後とも,特区制度の活用,創業オフィスの提供,低利の融資,販路開拓等の支援を行い,未来産業の育成に努めてまいります。
本県には,鹿島の素材産業,日立のものづくり産業など,競争力ある製造業などの集積もございますので,科学や技術の集積を最大限に活用し,日本の将来を担う未来産業や県内産業の振興を図ってまいります。
70
◯磯崎久喜雄議長 次に,横山商工労働部長。
〔横山商工労働部長登壇〕
71 ◯横山商工労働部長 次に,21世紀新産業振興プログラムの検証と新指針についてでございます。
21世紀新産業振興プログラムは,本県産業の有望な新規分野,成長分野を明らかにし,実現のための産業政策の方向性を示すものとして,平成9年に策定したものでございます。
その後,当該プログラムの基本的考え方等を踏まえ,平成18年に茨城県産業活性化に関する指針を策定するとともに,75項目の数値目標を設定いたしました。
さらに,昨年7月には,東日本大震災も踏まえ,指針の改定を行っております。
当該指針の改定に当たっての検証についてでございますが,商工労働観光審議会において評価を行いましたが,全体としてリーマンショックの影響が大きく,製造品出荷額がマイナスになるなどの結果が見られるほか,個別には,企業創業が活発に行われている一方で,共同研究については余り進んでいないなどの課題が明らかにされております。
このため,これらの検証結果や今後の産業の動向も踏まえ,成長分野への企業の進出促進,海外販路開拓の支援などについて新たに盛り込むとともに,59項目の目標値を設定し,その実現に努めているところでございます。
次に,成長産業の目標に対する考え方についてでございます。
グローバル化の時代においては,世界全体が市場であり,その中で本県の企業がどれだけ多く売り上げや生産に関与できるかが大きな課題であります。特に,成長産業において多くの生産を担うことが,将来の本県産業にとって重要であり,現在,成長分野に関して,自動車分野及び医療分野について数値目標を定め,事業に取り組んでおります。
しかしながら,議員御指摘のように,企業が成長産業への意欲を持ち,高い志を持ってチャレンジしていくためには,共通の目標を掲げ,その実現のために全力で取り組むことが必要と考えております。
このため,大局的な目標という御指摘も踏まえ,いばらき成長産業振興協議会とも議論を進め,企業のモチベーションが高まるような目標について,今後,設定していきたいと考えております。
また,市町村計画との連携でございますが,県内では,県北地区のものづくり産業,県南地区の科学技術,鹿行地区の化学コンビナート,県西地区の自動車産業などの集積があり,これらを活用した産業振興や企業誘致を進めるため,市町村との連携が重要でございます。
このため,今後,当該指針のさらなる浸透を図りますとともに,市町村における産業計画や施策とのすり合わせを行い,産業振興における連携を深めてまいります。
県といたしましては,今後とも,市場や雇用の動向を見据え,企業や市町村とも連携し,産業振興に全力で取り組んでまいります。
72
◯磯崎久喜雄議長 次に,福田総務部長。
〔福田総務部長登壇〕
73 ◯福田総務部長 公共施設の長寿命化対策につきましてお答えいたします。
公共施設の機能を長期にわたって維持しつつ,ライフサイクルコストを最小化するためには,議員御指摘のとおり,長寿命化対策を講じていくことが大変重要なものと認識しております。
こういったことから,県では,部門ごとではございますが,長寿命化計画を策定し,対策に取り組んでいるところでございます。
公共土木施設につきましては,平成19年度に,土木部内に公共施設維持管理検討委員会を設置し,平成21年度には橋梁について,また,昨年度は下水道の一部について計画を策定し,順次,対策を実施しているところでございます。
これ以外の公共土木施設につきましても,今年度内には長寿命化計画の策定がほぼ完了する見込みとなっております。
また,合同庁舎や各部局出先機関,県立学校等の県有建物につきましては,平成19年3月に耐震改修促進計画を策定し,平成27年度を目途として耐震改修を進めるとともに,あわせて必要な施設改修を行い,長寿命化に取り組んでいるところでございます。
道路や橋梁,学校,庁舎など,すべての県有公共施設を一括して管理することにつきましては,施設の設置目的や役割が多岐にわたり,それぞれの施設管理に当たっても,必要となる技術的な条件も異なりますことから,なかなか難しいものがございますが,例えば,庁舎などの建物につきましては,維持管理や補修などいろいろな面で共通する部分も多く,一括して管理する利点も考えられるところでございます。
したがいまして,他県における取り組みなども研究しながら,組織や予算配分のあり方などを含め,維持管理のあり方や長寿命化対策などについて検討してまいりたいと考えております。
また,市町村の対策に係る県の支援と予算措置についてでございますが,市町村の公共施設におきましても,長寿命化対策を講じていくことは,同様に大変重要なものと認識しております。
このため,現在,県の担当部局では,橋梁について,市町村向けに長寿命化計画策定のためのガイドラインを示し,技術的課題に対して具体的に助言をしておりますとともに,計画策定に当たって,必要な学識経験者の意見を聴取する場を提供するなどの支援を行っているところであります。
また,下水道につきましても,計画策定に向け,国の指針等に関する説明会を開催するなどの支援に取り組み始めたところであります。
一方,県による財政的な支援につきましては,県財政が極めて厳しい状況の中,県単独で助成措置を講じることには難しい面もございますので,国庫補助金や交付税措置があります有利な地方債の活用など,市町村における財源確保のための方策について,適切に助言してまいりたいと考えております。
次に,税外収入の確保につきましてお答えをいたします。
まず,県有財産を活用した税外収入の確保でございます。
議員御指摘のとおり,税外収入につきましては,厳しい財政状況の中,県の歳入を確保する貴重な財源の一つであり,その確保対策の強化が重要であると考えております。
これまでの県有財産を活用した税外収入確保の取り組みといたしましては,普通財産の土地の貸し付けや行政財産の使用許可等を行うとともに,新たな県有財産の活用策として,平成21年度からは県庁舎への有料広告の掲出を,平成22年度からは行政財産の余裕スペースの貸し付けも始めたところでございます。
こういった取り組みの結果,平成23年度には,県有財産の有効活用による使用料等として,年間約14億8,100万円の収入がございましたが,長引く景気の低迷等により,民間企業の広告主が集まりにくいといった状況もございますので,さらに税外収入の確保のための取り組みを強めていく必要があると考えております。
今後は,広告収入の確保策として,県庁舎エレベーター内部でありますとか,公用車バスへの広告掲出を初め,県有施設へのネーミングライツの導入や,議員からお示しいただきました太陽光発電パネルの設置スペースの貸し付け等,新たな税外収入の確保策として有望な取り組みを含め,あらゆる可能性について検討を進めてまいります。
その際,先ほどの公共施設の長寿命化の御質問についての答弁で,庁舎などの建物の一括管理について検討していく旨お答えをいたしましたが,県有財産を活用した税外収入の確保対策の統括管理につきましても,あわせて研究してまいりたいと考えております。
また,御提案のありました施設の総合的な経営管理を行うためのファシリティマネジメントにおきましては,施設を活用した税外収入の確保も重要な視点であり,本県におきましても,既に,県有未利用地の一括処分などの取り組みを行っておりますが,一部先進県におきましては,県有施設の入居機関の再配置を進めることによって生じた余裕スペースを民間へ積極的に貸し付けるといったさまざまな施策の実施例がございます。
本県におきましても,ファシリティマネジメントの視点を意識し,より効率的で効果的に税外収入の確保を進めるため,こういった先進事例の研究等を進めてまいりますとともに,導入可能なものから積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
74
◯磯崎久喜雄議長 次に,小野寺土木部長。
〔小野寺土木部長登壇〕
75 ◯小野寺土木部長 土木事業予算の確保と税外収入の確保についてお答えいたします。
本県の土木部事業に係る予算は,大部分が直轄事業負担金や国からの交付金であり,国における公共事業予算の削減などにより,今年度の当初予算は,10年前と比較して約6割であり,大変厳しい状況となっております。
一方,東日本大震災や近年の集中豪雨などを踏まえ,防災,減災に資する社会資本の早期整備が強く望まれておりますとともに,老朽化する公共土木施設が今後増大する中,その早急な対策も求められております。
また,全国的に見ても整備率が低い道路や河川,下水道などの生活関連インフラの充実や,通学路の安全対策の推進,さらには,本県の一層の発展を支える圏央道や東関道水戸線,港湾などの広域交通ネットワークの整備なども急務であります。
このように,本県の社会資本整備を取り巻く多くの課題に対し,適切な対応を図っていくためには,必要な予算の確保とともに,より効率的な事業の執行に取り組む必要があると考えております。
まず,予算の確保につきましては,主要な道路,河川,港湾等の整備を直轄事業として着実に推進するよう,国に対して必要な予算の確保を強く働きかけてまいります。
また,県事業につきましても,県負担の少ない復興予算を活用し,防災,減災対策の早期整備を推進するとともに,引き続き,交付金など国費の最大限の導入に努めてまいります。
また,急増する維持管理費につきましても,長寿命化計画に基づき,劣化が進行する前に予防保全対策を進め,ライフサイクルコストの縮減や各年度の予算の平準化を図り,将来にわたる新規施設の整備の予算の確保に努めてまいります。
さらに,事業の執行に当たりましては,引き続き,整備効果の早期発現に向けた事業の重点化や,新技術の導入などによるコスト縮減を図るとともに,地域の方々による道路や河川の環境美化活動等の取り組みも拡充してまいります。
また,1.5車線道路の導入など,全国一律の基準によらない,地域の実情に合った効率的な整備を進めてまいります。
加えて,公共施設の命名権を企業等に与え,その対価により施設の維持管理などを行うネーミングライツを初め,民間の資金を活用した新たな取り組みについて,全国の自治体の事例やその効果などを調査研究し,積極的に導入の検討をしてまいります。
県といたしましては,議員御提案の税外収入なども含めて,知恵を絞りながら予算の確保に努めますとともに,さまざまな工夫をしながら効果的な事業の執行を図り,本県の発展を促し,県民の安全を確保する社会資本の整備や維持管理を今後とも確実に進めてまいります。
次に,安全な生活のための道路整備についてお答えいたします。
まず,県道石岡城里線谷津町から牛伏町区間の整備についてでございます。
本路線の水戸市谷津町から牛伏町に至る約4キロメートル区間は,幅員が狭く,円滑な通行に支障が生じております。
このため,現在,谷津町地内の県道真端水戸線との交差点の前後約1.6キロメートル区間において現道拡幅の整備を進めております。
これまでに,北側の約500メートル区間の整備が完了し,今年度は,県道真端水戸線との交差点までの約400メートル区間を供用する予定でございます。
残る南側の約700メートルの区間につきましては,引き続き,事業を進めるべく,今年度,用地測量を実施し,来年度から用地取得に着手してまいります。
一方,牛伏町地内の区間につきましては,近隣に立地した大型商業施設などに向かう車で,近年,交通量がふえておりますが,人家が連檐しており,現道拡幅が難しいことから,現在,市とともにバイパスの検討を進めているところであります。
この検討につきましては,年内には結果を取りまとめ,地元説明会を開催する予定であり,今年度中に地元の御協力をいただきながら,測量に着手してまいりたいと考えております。
残る三野輪町の区間につきましては,現在,事業中の谷津町地内や牛伏町地内の事業の進捗状況を勘案しながら,今後,整備計画の策定に向けて,待避所の設置を含め,地元や本路線の期成同盟会の意向などを踏まえながら,調査を進めてまいります。
次に,県道水戸勝田那珂湊線水戸市中河内町地内の整備についてでございます。
本路線の国道118号との交差点から西側の中河内町地内においては,幅員が狭く,屈曲し,人家が連檐しておりますことから,円滑な通行に支障が生じております。
このため,延長約800メートルのバイパス整備を計画し,平成14年度から事業を実施しているところでございます。
これまでに,国道118号側から,順次,用地の取得を進め,現在,約2割が完了しております。
今年度も,引き続き,用地の取得に努めますとともに,今後は,用地の取得状況を踏まえながら,工事の着手を検討してまいります。
76
◯磯崎久喜雄議長 次に,柴田農林水産部長。
〔柴田農林水産部長登壇〕
77 ◯柴田農林水産部長 城里町の日本一の米を生かした県産農産物のPRについてお答えいたします。
ななかいの里生産研究部会の盛田守氏と富田昇氏が,昨年のお米日本一コンテストにおいて,それぞれ最優秀賞と優良賞という栄誉ある賞を受賞されましたのは,研究部会全体の取り組みとして,品質向上に向けた日々のたゆまぬ御努力があったからこそと伺っております。
これを受けまして,県では,日本一のお米というすぐれた評価を受けた米をPRすることが,茨城の米を初め県産品全体のイメージアップにもつながるとの認識から,これまで,新聞等への情報提供などにより,ななかいの里コシヒカリのブランド化を支援してきたところでございます。
今後はさらに積極的なPRをすべきとの議員の御指摘をしっかり踏まえ,県テレビ広報「旬刊!いばらき」や県民グラフ誌「フォトいばらき」などにおきまして茨城の米特集などを企画し,メディアを活用した消費者向けの広範囲な情報発信を行いますとともに,11月3日,4日に笠間市で開催されます復興いばらき県民まつり2012のような消費者が多数参加するイベントや,11月に新たにオープン予定の都内アンテナショップや,東京,大阪の県外事務所等を中心としたPRに努めますほか,国内外バイヤーなどが多数来場するスーパーマーケット・トレードショーや,フーデックスジャパンなどの見本市への出展などを通じまして,県内外へ広く紹介してまいります。
また,本県には,日本一の評価を受けましたななかいの里コシヒカリを初め,市場などから高い評価を受けております常陸秋そば,笠間の栗極み,常陸大黒などの農産物がございます。
県では,このようなすぐれた県産農産物につきまして,10月1日からスタートするいばキラTVや,フェイスブックなどのソーシャルメディアを通じまして,生産者の顔が見えるような情報を全国に発信しますとともに,ことし3月に策定いたしましたいばらき農林水産物マーケティング戦略に基づきまして,首都圏の有名料理店やホテル,レストランでの利用や,百貨店での販売キャンペーンやギフトカタログへの掲載などのブランド化に取り組み,県全体の生産者の意欲向上にもつながりますよう,本県のすぐれた農産物を全国へ積極的にPRしてまいります。
78
◯磯崎久喜雄議長 次に,小松原理事兼政策審議監。
〔小松原理事兼政策審議監登壇〕
79 ◯小松原理事兼政策審議監 黄門マルシェの総括と新店舗の展開についてお答えいたします。
まず,旧店舗の総括でございますが,開設期間中,約17万人の方が来店いただきまして,約1億円の県産品等をお買い求めいただきました。また,テレビ等のメディア75社に合計136回取り上げられ,首都圏の数多くの方々にPRできたものと考えてございます。
一方,議員御指摘のとおり,品ぞろえ,あるいは販売員の接遇,さらには,観光誘引といった面で課題もあったものと認識をしているところでございます。
次に,新店舗の展開についてでございますけれども,設置目的であります風評被害への払拭や,本県のイメージのさらなる向上を図りますとともに,都内における情報発信拠点としての機能の強化を図ってまいります。
具体的には,これまでへの課題の対応はもちろんでございますけれども,集客面では,周辺の他県のアンテナショップと連携した取り組みを行いますとともに,販売面では,本県の定評ある農水産物の取り扱いの拡充や,あるいは消費者が安心して購入できるよう,生産者等の説明をつけるなどの工夫をしてまいりたいと考えております。
また,本県の食の魅力をこれまで以上に発信するため,実際に食べていただくことに力を入れて,有名シェフの協力を得て,本県産野菜や常陸牛,ローズポークなどの食材を生かした本格的な料理を提供してまいりたいと考えております。
さらに,情報発信面では,議員から御提案のPR隊は,茨城を広く知ってもらう有効な手法と考えられますので,新店舗を拠点に,これまで以上にメディア訪問を強化いたしますとともに,銀座だけではなくて,近隣のにぎわいスポット等にも積極的に出向き,PRをしてまいりたいと考えております。
県といたしましては,今後,さらに市町村や関係団体と連携を一層密にするとともに,お客様の御意見等を参考にして,新店舗の充実に努めてまいります。
──────────────────────────────
80
◯磯崎久喜雄議長 これで通告による一般質問並びに上程議案に対する質疑を終了いたします。
──────────────────────────────
81
◯磯崎久喜雄議長 次に,第94号議案ないし第114号議案及び報告第3号を,お手元に配付の議案付託表のとおり,それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
つきましては,各常任委員会において,予算関係議案を9月24日の本会議に,その他の議案を9月28日の本会議に,それぞれ審査終了の上,報告されるよう求めます。
この際,お諮りいたします。
認定第1号及び第115号議案につきましては,15人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し,これに付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
82
◯磯崎久喜雄議長 御異議なしと認め,さよう決しました。
次に,お諮りいたします。
ただいま設置いたしました決算特別委員会の委員の選任につきましては,茨城県議会委員会条例第5条第1項の規定に基づき,お手元に配付の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕
83
◯磯崎久喜雄議長 挙手多数であります。よって,決算特別委員会の委員は,お手元に配付の名簿のとおり選任することに決定いたしました。
次に,決算特別委員会正副委員長の指名を行います。
お諮りいたします。本件につきましては,茨城県議会委員会条例第6条第2項の規定に基づき,決算特別委員会委員長に川津隆議員,同副委員長に錦織孝一議員をそれぞれ指名いたしたいと思います。これに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕
84
◯磯崎久喜雄議長 挙手多数であります。よって,本件は,指名のとおり決しました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日程第2 休会の件
85
◯磯崎久喜雄議長 日程第2,休会の件を議題といたします。
お諮りいたします。9月20日及び21日は,常任委員会審査のため休会とすることにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
86
◯磯崎久喜雄議長 御異議なしと認め,さよう決しました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
87
◯磯崎久喜雄議長 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。
次回は,9月24日午後1時から本会議を開きます。
本日は,これにて散会いたします。
午後4時46分散会
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