• "高金利県債"(/)
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  1. 茨城県議会 2009-03-02
    平成21年第1回定例会(第2号) 本文 開催日: 2009-03-02


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成21年3月2日(月曜日)午後1時2分開議          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯議長(葉梨衛君) これより本日の会議を開きます。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 新任出席説明者の紹介 2 ◯議長(葉梨衛君) 議事に入るに先立ち,新任の出席説明者を紹介いたします。  中川一恵選挙管理委員会委員を紹介いたします。                 〔中川一恵選挙管理委員会委員登壇〕 3 ◯中川一恵選挙管理委員会委員 この度,選挙管理委員会委員に選任されました中川一恵でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) 4 ◯議長(葉梨衛君) 池谷文夫選挙管理委員会委員を紹介いたします。                 〔池谷文夫選挙管理委員会委員登壇〕 5 ◯池谷文夫選挙管理委員会委員 選挙管理委員会委員に選任されました池谷文夫でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 諸般の報告 6 ◯議長(葉梨衛君) 諸般の報告をいたします。  知事から,地方自治法第180条第1項の規定による専決処分の報告がありましたので,お手元に配付してあります。ごらんおきを願います。  次に,監査委員から,平成21年1月分の会計管理者,公営企業管理者及び病院事業管理者所管に係る現金出納検査の結果について報告がありましたので,その写しをお手元に配付してあります。ごらんおき願います。  次に,知事から追加議案が提出されましたので,報告させます。議事課長。                    〔根本議事課長報告〕                                        財 第 325号
                                           平成21年3月2日  茨城県議会議長  葉  梨     衛 殿                             茨城県知事   橋  本     昌                   議案の送付について  平成21年第1回茨城県議会定例会に下記の議案を提出するため,説明書を添えて別添のとおり送付します。                        記  第50号議案 平成20年度茨城県一般会計補正予算(第6号)        =ないし=  第80号議案 霞ケ浦常南,霞ケ浦湖北,霞ケ浦水郷,那珂久慈,利根左岸さしま,鬼怒小貝及び小貝川東        部流域下水道の維持管理に要する費用に係る関係市町村の負担額について  報告第1号 地方自治法第179条第1項の規定に基づく専決処分について          ────────────────────────────── 日程第1 第1号議案=ないし=第80号議案,報告第1号 7 ◯議長(葉梨衛君) これより議事日程に入ります。  日程第1,第1号議案ないし第80号議案及び報告第1号を一括して議題といたします。          ──────────────────────────────  第50号議案 平成20年度茨城県一般会計補正予算(第6号)  第51号議案 平成20年度茨城県物品調達特別会計補正予算(第1号)  第52号議案 平成20年度茨城県競輪事業特別会計補正予算(第1号)  第53号議案 平成20年度茨城県公債管理特別会計補正予算(第1号)  第54号議案 平成20年度茨城県市町村振興資金特別会計補正予算(第1号)  第55号議案 平成20年度茨城県鹿島臨海工業地帯造成事業特別会計補正予算(第1号)  第56号議案 平成20年度茨城県母子・寡婦福祉資金特別会計補正予算(第1号)  第57号議案 平成20年度茨城県立医療大学付属病院特別会計補正予算(第1号)  第58号議案 平成20年度茨城県中小企業事業資金特別会計補正予算(第1号)  第59号議案 平成20年度茨城県農業改良資金特別会計補正予算(第1号)  第60号議案 平成20年度茨城県林業・木材産業改善資金特別会計補正予算(第1号)  第61号議案 平成20年度茨城県県有林事業特別会計補正予算(第1号)  第62号議案 平成20年度茨城県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算(第1号)  第63号議案 平成20年度茨城県公共用地先行取得事業特別会計補正予算(第1号)  第64号議案 平成20年度茨城県港湾事業特別会計補正予算(第1号)  第65号議案 平成20年度茨城県都市計画事業土地区画整理事業特別会計補正予算(第2号)  第66号議案 平成20年度茨城県流域下水道事業特別会計補正予算(第2号)  第67号議案 平成20年度茨城県育英奨学資金特別会計補正予算(第1号)  第68号議案 平成20年度茨城県病院事業会計補正予算(第2号)  第69号議案 平成20年度茨城県水道事業会計補正予算(第1号)  第70号議案 平成20年度茨城県工業用水道事業会計補正予算(第1号)  第71号議案 平成20年度茨城県地域振興事業会計補正予算(第1号)  第72号議案 平成20年度茨城県鹿島臨海都市計画下水道事業会計補正予算(第1号)  第73号議案 茨城県消費者行政活性化基金条例  第74号議案 茨城県健やかこども基金条例  第75号議案 茨城県障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例  第76号議案 茨城県雇用創出等基金条例  第77号議案 県が行う建設事業等に対する市町の負担額について  第78号議案 国及び県等が行う土地改良事業に対する市町村の負担額について  第79号議案 県が行う建設事業等に対する市町村の負担額について  第80号議案 霞ケ浦常南,霞ケ浦湖北,霞ケ浦水郷,那珂久慈,利根左岸さしま,鬼怒小貝及び小貝川東        部流域下水道の維持管理に要する費用に係る関係市町村の負担額について  報告第1号 地方自治法第179条第1項の規定に基づく専決処分について          ────────────────────────────── 8 ◯議長(葉梨衛君) この際,知事から追加提出議案の説明を求めます。  橋本知事。                    〔橋本知事登壇〕 9 ◯橋本知事 本日追加提出いたしました案件は,平成20年度予算に関するもの23件,条例その他の議案8件,報告1件であります。  今回の補正予算につきましては,国の補正予算に対応し,一般会計,特別会計,企業会計を合わせて268億4,200万円の緊急経済・雇用対策等に関連する経費を計上いたしますとともに,事業費の確定によるものなどを補正するものであります。  最初に,一般会計の補正予算について申し上げます。  歳出の主なものといたしましては,緊急経済・雇用対策等として,セーフティネット融資原材料価格高騰対応等緊急保証枠に係る中小企業融資資金貸付金の増36億9,500万円,地域活性化・生活対策臨時交付金を活用した学校施設等の耐震補強事業など32億9,100万円,防災対策等に係る道路,港湾,河川などの国補公共事業費36億円,雇用創出等基金積立金98億9,000万円など,総額265億8,200万円を計上いたしました。  このほか,住宅供給公社に係る追加支援のための補助金17億7,600万円,開発公社へ委託した公共工業団地に係る過年度利子の一部を償還するための工業団地整備推進費15億円を計上いたしますほか,事業費の確定などに伴い,緊急保証枠以外の中小企業融資資金貸付金74億8,000万円などを減額するものであります。  以上により,一般会計の歳出は12億6,800万円の増額となります。  また,歳入の主なものといたしましては,県税の減195億6,600万円,地方交付税の減34億8,200万円,繰入金の減147億9,900万円,諸収入の減67億4,900万円,減収補てん債など県債の増246億5,100万円などであります。  この結果,一般会計の最終予算規模は1兆633億1,200万円となります。  また,平成20年度から平成21年度への繰越明許費の額は341億3,900万円であり,債務負担行為の補正は,国営石岡台地土地改良事業負担金などに係る新規9件,住宅供給公社の損失補償の限度額引き下げなどに係る変更5件の計14件であります。  次に,特別会計及び企業会計の補正予算についてであります。  特別会計は,緊急経済・雇用対策等の実施や県債の繰上償還,土地売却収入の減などに伴うものであり,公債管理特別会計など17会計の補正で総額115億600万円の減額,企業会計は,緊急経済・雇用対策等の実施や事業費の確定などに伴うものであり,病院事業会計など5会計の補正で総額45億6,800万円の減額となっております。  また,特別会計の繰越明許費の額は,流域下水道事業特別会計など6会計で総額76億6,000万円であり,債務負担行為の補正は,流域下水道事業特別会計における施設の維持管理業務委託契約の変更に係るもの1件であります。  次に,条例その他の概要について御説明申し上げます。  条例は,新たに制定するもの3件,改正をするもの1件であります。  新たに制定する条例は,茨城県雇用創出等基金条例など3件であり,一部改正を行うものといたしましては,基金の設置目的の追加などを行う茨城県障害者自立支援対策臨時特例基金条例の一部を改正する条例であります。  その他の議案といたしましては4件で,県が行う建設事業等に対する市町村の負担額の変更などであり,報告は,専決処分の報告であります。  以上で,提出議案等の説明を終わりますが,なお詳細につきましては,お手元の議案書などにより御審議の上,適切な御議決を賜りますようお願いを申し上げます。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 10 ◯議長(葉梨衛君) これより,会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  自由民主党鶴岡正彦君。                 〔59番鶴岡正彦君登壇,拍手〕 11 ◯59番(鶴岡正彦君) 自由民主党の鶴岡正彦でございます。  党を代表いたしまして,平成21年度予算案並びに県政の諸課題につきまして質問を進めてまいります。知事の明快なる答弁を求めるものであります。  アメリカ合衆国のオバマ大統領は,さきの就任演説において,「安全保障や経済対策,社会保障や教育,さらには環境問題など,直面する深刻で数多い試練に対処し,これらを再生していくことがアメリカの使命であり,我々はその新たな責任を負っている。それを果たすためには,誠実や勤勉,勇気,公正,そして愛国心など,先人が築き上げてきた真実に立ち返ることが必要である」と述べております。これは,まさに,今日の我が国が置かれている状況と重複して見えるのは,私だけではないと思います。  私たちが今置かれている困難な状況を乗り越え,再び活力ある日本に再生していくためには,この難局を克服するという強い意思と精神力を持つことが何より重要なのではないかと思っております。  日本人が有する精神的支柱,先人たちが長い歴史の中で築き上げてきた誇るべき価値観を象徴する言葉に「五常の徳」があります。これは,人として守るべき五つの精神,すなわち,仁,義,礼,智,信という恒常不変の徳目を説いたものであり,仁は人を思いやる心,惻隠の情であり,義は正義を貫くこと,礼は謙虚と感謝の心であり,智は知識を高め正しい判断力を持つこと,そして,信は周りの人から信頼されることであります。  この教えは,古くは律令時代の十七条憲法や武家社会の規範として江戸時代から明治期にかけて発展的に確立していった武士道につながり,私たち日本人の心のよりどころとして,その道徳観や価値観の形成に深くかかわってきたところであります。そして,第二次世界大戦後の疲弊した社会,経済の混乱からも驚異的な復興を果たし得たのは,これを精神的な支柱として努力を積み重ねてきたからではないでしょうか。  私たちは,このような歴史を通じて築き上げられてきた時を超えた真理,普遍の法則をもとに原点に立ち返ることが大切ではないかと考えているところであり,この基本的な考え方に基づき質問を進めてまいります。  まず,初めに,知事に県政運営の認識から伺ってまいります。  橋本知事は,県政の不祥事により平成5年に行われた出直し知事選挙において,我が党の推薦のもと,短期決戦の厳しい選挙を勝ち抜き当選されました。  私もまた,知事選挙と同時に行われた県議会議員選挙に当選させていただき,自来,県民の心を大切にし,透明で公正な県政を目指すという問題意識を持ち,種々の政策提言を行ってきたところであります。  初当選の約2カ月後の平成5年第4回定例県議会において質問させていただく機会を得ましたが,そのときの県政における大きな課題は,いかに県政への不信を早期に回復し,再びすべての県民が誇れる郷土茨城を実現していくかということでありました。  私は,県民の期待にこたえていくためには,議会と首長が互いに権能を認め合い,政策決定機能と監視,評価機能を十分に発揮するとともに,相互に牽制し,連携していくことが重要であるとの認識のもと,議会と執行部の関係を踏まえた県政運営について,知事の所見を伺いました。  それに対し,知事も,「議会の権限に留意し,チェック・アンド・バランスの関係を重視するとともに,議員からの積極的な政策提言をいただきながら,議会と連携し,適正かつ円滑な県政運営をしていきたい」と答弁されております。  さらに,混乱の渦中にあった県職員を督励されてきた当時の前田正博副知事に,県政の可能性と橋本知事をどのように支えていくのかお尋ねいたしました。  前田副知事は,茨城県の可能性を青春期と表現し,さらに,午前8時の太陽であるとも例えられ,その高い発展可能性への認識を示すとともに,「北辰其の所に居て衆星之に共かふ」と論語の一節を引用し,北極星に見立てた橋本知事を中心に,職員一丸となって県政を進めていくと答弁されました。  このときの本会議場の様子について,副知事の答弁に対し議員席からどよめきと拍手がわき起こったと後日の新聞が伝えております。  橋本知事もこのことは忘れておられないと思います。「政を為すに徳をもってすれば,たとえば北辰の其の所に居て衆星の之に共かふがごとし」,徳によって政治を行えば,例えば多くの星が北極星を中心としてその周囲をめぐるように,人民が心から敬意を示すものである。まさに政治家としてのあるべき姿をあらわしたものであります。  あれから15年が経過し,16年目の区切りの予算編成を終えられた現在,北辰である知事に,これまでのみずからの県政運営を振り返り,どのような認識を持たれているのか,お伺いいたします。  次に,平成21年度予算編成の考え方についてお伺いいたします。  まず,平成21年度予算編成に当たっての財政規律の基本的な考え方についてであります。  昨年と比べますと,景気の状況は一変しており,私は,県の財政運営は今まさに財政再建路線から経済・雇用対策という財政出動へ方針転換の岐路に立っていると考えております。このため,今後,県の財政運営方針が財政再建と財政出動の2つの面でどう折り合いをつけ,どの方向へ向かおうとしているのか,ここで明確にしておきたいと考え,質問させていただきます。  財政再建路線の象徴的な目標として,県ではこれまで,平成22年度を目途にプライマリーバランスを黒字化するという目標を掲げてきましたが,県税収入の大幅な減収により,平成21年度当初予算のプライマリーバランスは約412億円の赤字となり,平成22年度の黒字化という目標の達成は極めて困難になったと考えております。  そして,今年度新たに作成する第5次行財政改革大綱においては,平成21年度から平成23年度までの期間を定め,財政構造を抜本的に改革し,プライマリーバランスの黒字化を目指すという目標は立ててはいますが,実質的な,実現可能な目標年度は設定されていないため,これまでの財政再建路線を変更したとも考えられます。  しかしながら,平成21年度の当初予算においても,190億円もの繰替運用を計上しなければ予算が編成できないという本県の財政状況から考えて,財政再建という旗をおろすわけにはいかないと考えるのが当然であります。  また,一方では,景気のさらなる悪化も予想され,経済・雇用対策の必要性が一段と高まってくると思われます。その場合,公共投資の追加のための県債の大幅な増発という事態も考えられ,プライマリーバランスの悪化,さらには,公債費の増などによる一層の財政状況の悪化を招くおそれもあります。
     これからの本県財政の運営に当たって,道半ばの財政再建路線の推進と経済・雇用対策の実施という両立が難しい問題の整合性をうまくとりながら進めていかなければならないと考えております。  そこで,まず,平成21年度予算については,どのように両者の整合性をとって編成したのか,また,今後,プライマリーバランスの扱いを含め,どのような方針で本県財政を運営していこうと考えているのか,知事の考えをお伺いいたします。  次に,平成21年度予算編成方針についてお伺いいたします。  平成21年度予算編成に当たっては,景気後退によって,県税と地方法人特別税などを合わせた実質的な県税収入が今年度と比べて約488億円も減となり,地方交付税などで補てんされた結果,何とかほぼ前年並みの一般財源が確保されたという,これまで以上に綱渡りの予算編成であっただろうと推察されます。  しかし,ほぼ前年並みの一般財源が確保されたとはいいましても,一方では,医療,福祉関係経費などの義務的な経費の増嵩や,経済,雇用情勢を踏まえての社会資本の整備といった経済対策や雇用対策の実施,さらには医師確保や少子化対策といった県民の安全,安心のための事業の実施など,財政需要は大きく増加しております。そのため,これまで以上に,選択と集中,予算の重点配分が求められたものと思います。  でき上がった予算案は,予算規模としては1兆766億円で,今年度に比べて1.9%の増,開発公社対策などの特殊要因を除くと0.1%のマイナスというものであり,地方財政計画の1.0%マイナスと比べても積極的な予算と考えられます。一般財源総額がふえない中,地域活性化・生活対策臨時交付金や雇用創出等基金など,国の生活対策により手当てされた財源も含めて,さまざまな手を尽くしてやり繰りし,効率的な財源配分を行ったのだろうと思います。  そこで,予算を編成するに当たって,どのような工夫をして,どのような部門に財源の重点配分を行ったのか,そして,その結果,めりはりのついた予算措置ができたのか,知事にお伺いいたします。  次に,平成21年度当初予算の中で,職員の給与の減額措置,いわゆる給与カットの問題について明確にしておきたいと思います。  職員の給与カットにつきましては,平成19年度,平成20年度の2年間実施され,各年度約100億円を捻出し,財政運営上大きな効果があったものと認識しております。平成19年度当初予算編成に当たり,平成18年に組合側に,平成19年度から平成21年度までの3年間のカットを提案し,交渉の結果,3年目となる平成21年度の取り扱いについては再度協議するということで組合側と決着したと説明を受けております。これは,その時点でもう一度給与カットの必要性を検証し,その是非を判断するということであったと認識しております。  しかし,平成21年度の給与カットにつきましては,結局,組合への提案が見送られ,最終的に管理職のカットだけが継続されることとなりましたが,一般職の給与カットをとめたことで,職員給与の支出が85億円もふえることとなってしまいました。  私は,どのような経緯で提案見送りという判断に至ったのか,大きな疑問を抱いております。  昨年9月のアメリカの金融危機に端を発した景気後退の影響を受け,県財政をめぐる状況は決して好転しておらず,平成18年当時と比べれば,むしろ,より悪くなっていると言うべきでしょう。平成20年度の県税収入も法人二税を中心に約200億円の減収になる見込みとのことが新聞に報じられ,そのことは組合との交渉が行われた11月中旬には既に判明しておりました。法人二税の減収は,減収補てん債でとりあえず補てんはされますが,交付税算入は75%であり,残りの25%は一般財源で負担しなければならないこと,後年度の交付税算入についても,私が以前から申し上げているように,交付税総額がふえない状況の中で果たしてきちんと措置されるのかという疑問が残ることから,県税の減収という事態は重く受けとめなければならないと考えております。  また,平成21年度当初予算に190億円の繰替運用を計上していることを考えましても,給与カットによって捻出されていた財源の手当がついたわけではないのは明らかであります。  給与カットを継続するか否かという問題は,予算編成の全体像を左右する極めて大きな問題であります。  知事は,記者会見では,人事委員会から本来の姿に戻すように強い勧告を受けたことを踏まえたと発言されておりますが,私は,知事は,この県議会の場できちんと県民に向かって説明する義務があると考えます。  市町村からも,県が給与カットを見送ったため給与の減額ができなくなったという声も聞いております。また,市町村長の中には,次期の知事選挙絡みで特定団体の支援を受けるために給与カットを見送ったのではないかと憶測する人も出ております。  私は,橋本知事はいやしくもそのような姑息な手段をとられることはないと断言いたしましたが,反響は極めて大きなものがあります。  そこで,県税収入の減少が見込まれる中,どういう経緯で,また,国からの地方交付税や交付金が決まっていない段階でどのように財政見通しを立て,給与カットを継続しないという結論に至ったのか,知事の考えをお伺いいたします。  次に,景気対策としての県税の超過課税の中止についてお伺いいたします。  私は,給与カットをとめるかわりに,経済対策として減税を実施したらどうかという提案をしたいと思います。  経済対策を実施する場合,大きく分けますと,公共事業などの財政出動により需要を創出する方法と,減税により企業や個人の負担を軽減し,企業の投資や個人消費の拡大を図る方法とがあります。  本県のこれまでの経済対策の内容を見ますと,社会資本整備の追加といった財政出動が第一に考えられ,県が独自に減税をするという手法はとられておりません。もちろん,国の減税措置に連動して全国一律に住民税などの減税を行なうということはありますが,これを県単独で行なったことはございません。  現在,法人県民税の法人税割については,超過課税が行なわれています。私は,本県独自の経済対策として,超過課税を中止することによる減税を提案したいと思います。法人税割の超過課税による増収額は景気動向によっても大きく変動しますが,平成19年度は約30億円になります。また,適用される法人数も,法人県民税納税義務者数の約12%,6,000から7,000社程度になり,減税による効果も見込めるのではないでしょうか。そして,減税により少しでも購買意欲が高まれば,政策として大変効果的なものではないかと思います。  私は,かねがね,県税というものはもっと柔軟に決めていくものではないかと考えております。歳出に応じて税収をふやしたり,歳出をふやすかわりに減税して景気浮揚を図ったりすることで,より柔軟性のある,効率的な財政運営を可能にできるのではないでしょうか。一たん決めた県税の水準を不動のものとして考えるのではなく,必要に応じて上下させることが本来の姿であると考えております。そして,その水準については,県議会の審議を通じて広く県民に説明し,理解を得ていけばよいのであり,そうすることにより,予算と県税条例が一体のものとしてとらえられ,その審議に当たっても,より効率的に進められるのではないかと考えます。  給与カットをとめたことは,職員の給与がもとに戻ることで経済対策の効果もあるという意見もあるようですが,給与カットをとめるくらいなら法人県民税の超過課税を中止したほうがよかったのではないか,そのほうが政策効果はより大きかったのではないかと考えております。  そこで,平成21年度以降の予算において,経済対策として法人県民税の超過課税を一たん中止してはどうかという私の提案について,知事の考えをお伺いいたします。  次に,知事の権限と多選についてお伺いいたします。  知事の権限を考えるに当たって,古くて新しい問題の一つに,二元代表制における首長と議会の権限についての議論があります。地方分権が叫ばれ,市町村合併が進む中で,地方自治法上,制限列挙的に規定されている議会の権限と,概括列挙的に規定されている首長の権限について,議論が大いに高まったところであります。  二元代表制においては,議会の議決事項は条例の制定や予算を定める議決などの項目に限られております。これに対し,首長である知事は,広範な行政の執行権を持つほか,人事権は知事部局や行政委員会に及び,出資団体にも出資者として人事への関与が及んでおります。また,議案の提出権,予算の編成執行権などの権限や専決処分権限があるなど,概括列挙的に示されているように広範であります。  権力の集中,長期化の弊害をあらわす言葉に,絶対権力は腐敗するとの格言があります。すなわち,絶対権力を生む大きな要因が権限の集中と多選による長期政権にあると言われております。  多選する候補者の理論としては,憲法上,職業選択の自由や立候補の自由は保障されている。多選といっても4年に一回は有権者の投票で信任されているし,弊害が表面化すれば任期途中でも住民がリコールできる。優秀な首長が多選することによって行政の安定,継続,専門性を確保でき,住民のためにもなるなどが挙げられております。  このような理論に対し,地方分権と地域の自立を掲げた改革派知事の一人といわれた片山善博前鳥取県知事が,平成14年の衆議院の憲法調査会で参考人として語った次の言葉を引用したいと思います。片山氏は,「県庁というのは一つの大統領制のもとででき上がっている組織であるから,非常に権限の強いトップリーダーになるわけである。そのうち,それが自己目的化して,県庁のスタッフというのはトップのために仕事をするようになる。住民のために本来仕事をする組織の構成員であるべきところが,トップのほうを向いて,トップのために仕事をする。トップは役所をかばうようになる。こういう妙な組織のあり方になって,自己目的化して長期政権が続く。こういうことが随所に見られる。」旨の発言をしておられます。  私は,知事の権限と多選を考えるに当たり,この片山前鳥取県知事の発言を重く受けとめるべきであると考えます。  そこで,地方分権改革の推進により地方への権限や税源の移譲が進む中,今後,知事の権限が一層強化されることを考えると,在任期間の長期化による弊害を防ぐためにも,知事の多選は避けるべきだと考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,茨城県開発公社への支援についてお伺いいたします。  住宅供給公社,土地開発公社に続いて,今回,開発公社への支援策が予算案に計上されております。県がこのような対策を講じることとなった大きな理由,契機として,出資団体における減損会計,低価法の導入,さらには,地方公共団体財政健全化法の施行が挙げられると思います。  まず,減損会計につきましては,平成14年8月に固定資産税の減損に係る会計基準が公表され,上場企業等においても,平成17年4月1日以後開始する事業年度から適用されることとなり,住宅供給公社,土地開発公社,開発公社の3公社につきましては,平成17年度から減損会計が適用されました。  その結果,平成17年度決算において,住宅供給公社及び土地開発公社合わせて558億円という多額の債務超過となり,このままでは経営の継続が困難となったため,県では,平成18年度の9月補正で10年間にわたる対策を講じることとなりました。  次に,低価法につきましては,平成18年7月に棚卸資産の評価に関する会計基準が公表され,平成20年4月1日以後開始する事業年度から適用することとされました。公益法人については,公益法人改革にあわせ,平成20年12月1日以後開始する事業年度から適用することとされたため,開発公社については平成21年度決算から低価法が適用されることとなりました。  低価法の適用により,開発公社は平成21年度にも債務超過に陥る見込みとなり,このままでは経営の存続が困難となるため,抜本的な対策を講じることとし,平成21年度予算で,対策のための予算として補助金16億7,700万円,無利子貸付金119億1,900万円を計上し,今後10年かけて総額211億円程度の支援策を決定されました。  さらに,地方公共団体財政健全化法の施行により,平成19年度決算から新しい健全化指標の公表が義務づけられ,県は,出資団体等も含めた将来負担比率などを議会へ報告し,県民に説明することとなりました。そして,平成20年度決算からは法律が適用され,将来負担比率や実質公債費比率などの指標が早期健全化基準などを超えた場合の計画策定等が義務づけられました。ちなみに,本県の将来負担比率は289.9%と全国で5番目に高く,今後,この比率が早期健全化基準である400%を超えないよう,十分注意していかなければなりません。  もし,このような制度の変更がなければ,住宅供給公社や土地開発公社は抜本的な対策も講じられないまま,含み損を抱え続け,ある日突然破綻し,その負債処理のため,本県も夕張市のようになっていたかもしれません。夕張市が財政再建団体に転落した理由は,議会にも市民にも説明せずに不適正な財政運営を行なってきたことにあり,説明がされなかったために議会のチェックも働きませんでした。したがいまして,減損会計や低価法の導入,地方公共団体財政健全化法の施行といった措置が三公社の抜本的な対策を講じる契機となり,後年度の負担を抑制し,経営の健全化につながったとはいえ,議会の健全なチェックも働いていくことになるのだろうと思います。  今回の対策は,開発公社が経営を続けていくためには必要なものと考え,提案されたものなのでしょうが,これを認めるかどうかは,きちんとした説明を受け,議会のチェック機能が果たせるよう厳しく審議していくことが必要であると考えます。  開発公社には,県が委託している公共工業団地と公社のプロパー工業団地があります。それぞれ膨大な面積の土地を保有していますが,橋本知事が就任した平成6年度以降,平成20年度末までに取得した土地だけでも,公共工業団地で437ヘクタール,プロパー工業団地で133ヘクタールにも上ります。この土地の多くはいまだ処分されておらず,開発公社の現状に際し,知事は責任者として県民に説明していかなければならないと考えております。  また,今回の支援とは直接関係しませんが,県の区画整理事業特別会計で事業を実施しているつくばエクスプレス沿線地区開発でも,平成6年度以降,509ヘクタールの土地を取得し,平成19年度末時点で,先買地,保留地を合わせると約360 ヘクタールもの土地を保有しており,現在の土地の価格や景気の状況から考えましても,いずれ何らかの対策を講じていかなければならなくなると考えられます。  したがいまして,今回の開発公社への支援について,議会の審議を通じて明確にし,議論を尽くすことによって,今後,モラルハザードに陥ることのないようにしなくてはならないと思います。  以上のような考えを踏まえた上で,知事に何点かお伺いいたします。  まず,このような事態に至った原因と,なぜ今,平成21年度からなのかということについてであります。直接の契機は低価法の導入だと思いますが,バブル崩壊後,土地の価格が下落し,当初予定していた価格で工業団地の売却が進まないことはかなり前からわかっていたはずであります。もっと早く手を打てば,損失はもっと少なかったのではないでしょうか。住宅供給公社,土地開発公社の対策後,2年半が経過しております。その時点で減損会計は導入されていましたので,ある程度の予測はついていたはずですし,そのような予測ができなかったとしたら,それこそ問題であります。  また,うがった見方かもしれませんが,開発公社に空港ターミナルビルの運営をさせることを想定し,それまでは税金を投入するような事態は先延ばしにしておこうという事情もあったのではないかなどと考えてしまいます。  そこで,まず,このような事態に至った原因と,なぜ今なのか,そして,この2年半,開発公社に対して何らかの対策を講じてきたのかという点について,知事にお伺いいたします。  次に,責任問題についてでありますが,前回,住宅供給公社と土地開発公社の対策を講じた際にも,知事や公社の役員は給与カット等の措置をとりました。そのときの毎年度の補助額は約56億円でした。そして,開発公社の対策を実施し,今回,約17億円の補助を行なうと,3公社に対する平成21年度の一般財源の負担は73億円にも上ります。そして,3公社合わせた対策の総額としては,800億円近い巨額になります。この額は,計画どおりに土地の処分等が進んだ場合のものであり,土地の処分が滞ったり,土地の価格が下落すれば,さらなる損失が発生し,県の負担は増大することとなります。  現に,住宅供給公社については,さらなる損失,いわゆる二次損失が発生しており,既に平成19年度最終補正予算で1億5,000万円の追加支援を行い,平成20年度最終補正予算では,先ほどお話ありましたように,新たに約18億円という追加支援を行なうこととし,今定例会に補正予算案が提出されました。私が以前から危惧している新たな負担の発生が現実に起こってしまっているのであります。  住宅供給公社及び土地開発公社への対策に関する責任問題は,平成18年度の時点で整理されたとしておりますが,今回,開発公社対策のために新たな負担を県民に求めなければならなくなってしまった責任を知事はどのように考えているのでしょうか。ただ単に3カ月減給するだけで済む話なのでしょうか。また,開発公社のこれ以上の損失の発生を抑えるためには,土地の分譲等の計画の実行を厳しく管理していかなければならないと思いますが,どのように計画の実行を担保しようとしているのか,その考え方を知事にお伺いいたします。  次に,道路公社改革についてお伺いいたします。  地方道路公社は,国からの借入金や県の出資金などで賄った建設費を,完成後原則30年間の償還期間内に料金収入により返済し,無料開放する仕組みであり,いわゆる有料道路制度を活用し,管理者の県にかわって地域振興に資する幹線道路を建設,管理運営する役割を担っております。  税金を投入して建設すべきところを利用者に負担をお願いする手法に対して理解が得られた背景には,当該道路が地域の発展はもとより,日常生活を支える道路となることへの期待からであります。  しかしながら,昨今の経済情勢下においては,地元を初めとする利用者に負担を求める不公平な制度になってしまっているのではないでしょうか。  現在,道路公社が管理運営する新大利根橋有料道路を初めとする7路線については,路線ごとの独立採算制が原則であることから,償還が順調な路線がある一方で,不採算路線があります。  しかしながら,そもそも,無料開放後は県が管理することになっているのですから,県民サービス向上の面からも,道路公社が管理運営するすべての路線について,県は計画的に早期無料化を図っていくべきであると考えます。  また,仮に定められた期限内に償還できないことが明らかな場合には,県の負担が最小化される形で無料化が図られるようなスキームについても,早期に検討すべきであると考えております。  あわせて,道路公社については,地方公共団体の財政の健全化に関する法律の趣旨を踏まえ,抜本的な改革について先送りすることなく,早期に取り組む必要があり,同時に,債務処理を円滑に進めることができるよう,来年度創設される第三セクター等改革推進債の適用可能性などについて検討しておくことも必要と考えます。  住宅供給公社や開発公社においては,最終的には県財政の支援を強いられた反省を踏まえると,問題の本質に目をそらし,根本的な解決への努力を先送りにすることが将来どれだけ大きい負担となり県民にのしかかってくるのか,私たちは身をもって感じたはずであります。  そこで,知事は,道路公社の経営実態をどう認識し,今後どのように対処しようとしているのか,あわせて,県民サービスの充実に向けた早期無料化についてどのように考えておられるのか,お伺いいたします。  次に,北関東自動車道や首都圏中央連絡自動車道の開通を見通した広域連携の推進についてお伺いいたします。  昨年末に北関東道の県内全区間が開通し,東北道と常磐道が結ばれたことで,本県と栃木県,群馬県とのアクセスは飛躍的に向上いたしました。栃木県や群馬県には世界遺産や温泉などの豊かな観光資源があるほか,三県それぞれに底力のある産業が集積しております。地域の発展を考えた場合,ローカルな個々の取り組みが重要であることは当然でありますが,これら三県が有する地域資源を活用し,お互いを補完しあうことも大変重要であります。  県はこれまで,北関東3県連携の具体的な施策として,茨城港の利用促進を図ることを目的とした広域連携物流特区や茨城空港を中心とした広域観光の推進など,港湾と空港を軸とした地域の活性化,連携に取り組んでおりますが,物流特区では群馬県が離脱するなど,必ずしも連携が進んでいるとは言いがたい状況も見受けられます。  私は,昨年7月,我が党の役員の方々と,栃木県と群馬県の各県連を訪ね,幹部の方々に三県連携の強化についての必要性を提言してきたところであります。引き続き,これら北関東3県との連携強化を図っていくことは重要であると考えておりますが,あわせて,次の時代へのステップとして,南関東との新たな連携関係を構築していくべき時期に来ていると考えております。すなわち,千葉県,埼玉県との新たな三県連携についてであります。  この3月21日には圏央道が稲敷インターチェンジまで開通する予定でありますが,県内区間については,平成24年度の全線開通を目標に整備が進められております。その果たす役割としては,首都圏の道路交通の円滑化,沿線都市間の連絡強化などが期待されているところでありますが,既に沿線各地においては,工場や物流企業,商業施設の進出が相次ぐなど,産業立地や首都圏の物流再編への関心も高まっている状況にあります。  本県におきましても,去る1月には,日野自動車が古河市への進出を発表されました。  これらのポテンシャルを最大限に活用するためには,成田空港を有する千葉県,東北道,関越道との結節点を有する埼玉県との連携,役割分担なしに進めることはできないと考えます。  私は,新たに整備される2本の高規格道路による北関東の三県連携と南関東の三県連携をおのおの強化することにより,相乗効果が高まり,本県の発展可能性が飛躍的にさらに高まるものと確信しております。  そこで,日本の成長エンジンたるべき首都圏の新たな環状線である北関東道と圏央道の沿線の三県連携を今後どのように構築していくのか,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,茨城空港のさらなる就航路線確保に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。  我が国の国際航空需要の伸びは首都圏を中心に著しく,2010年に羽田,成田両空港の発着枠が拡大されても,近い将来には再び不足すると予想されており,茨城空港は,その受け皿として活用を図っていく必要があると考えております。  このような中,先月,韓国のアシアナ航空がソウルに開港時から1日1便の定期便を,また,開港数カ月後には釜山へ週3便程度就航する旨の表明がございました。  県としては,航空会社が就航しやすい環境づくりに向け,ターミナルビルの構造について運航コストを低減化できる工夫を行なったとのことですが,今後,より多くの就航路線を確保するためには,エアポートセールスなどの対策の強化や,国に対し,着陸料のさらなる軽減化を要望するなどの取り組みも必要ではないかと考えております。  一方で,就航促進を図るための手法としては,能登空港や米子空港のように,搭乗率保証といった新たな財政負担を伴うような誘致策も考えられます。これらの空港が開港したときの経済環境よりも,現下の経済情勢は極めて厳しく,不採算となっている国内線や国際線の廃止,減便が続くという状況にあっては,茨城空港への就航路線を確保するためには,搭乗率保証がなければ難しいのではないかといった意見があることや,アシアナ航空の誘致に当たっては,搭乗率保証の確約があったのではないかといった憶測が出ているとも聞いております。  ことし6月に開港する静岡空港においても,国内航空会社とこの課題についての対応が協議されていると聞き及んでおります。  そこで,開港まで1年となった今,知事は,就航路線の確保に向けどのような取り組みを進めようとされているのか,また,搭乗率保証についても,どのような認識をお持ちなのか,お伺いいたします。  次に,北関東地域広域都市圏における茨城県のブランド力アップについてお伺いいたします。  初めに,茨城県観光のブランド力アップについてであります。  さきに申し上げたとおり,北関東道や圏央道の整備,さらには,茨城空港の開港などにより,本県は国内の広域交流だけでなく,海外との交流の拡大も大いに期待できる地域となってきております。  このような中,日経リサーチが実施した2008年地域ブランド力調査の結果が,去る1月28日の新聞に掲載されましたが,これによれば,残念ながら本県は全国の中で45位にとどまっており,本県のイメージが極めて低い状況にあることが示されました。  また,去る2月12日には,在京の本県出身者の方々との懇話会,明日の茨城づくり東京懇話会が開催されましたが,その中でも,委員の方から,茨城の産物,名所が対外的にうまく伝わっていない,茨城のブランドの質を高めていかなければならないとの指摘をいただいたと聞いております。  本年は,水戸藩の初代藩主である徳川頼房公が水戸に入府してから400年を迎える年であります。水戸市においては,この機会に,水戸の歴史や文化を見つめ直す記念事業などを展開することが計画されております。  私は,このような動きをとらえ,旧県庁舎跡地を有効に活用し,中心市街地の活性化を図る取り組みを検討していくことが必要ではないかと考えます。  具体的には,水戸市庁舎を旧県庁跡地である三の丸地区に移転し,この地区を水戸の歴史,文化を生かした地区,そして,地域の人々が集い賑わいを創出する地区とするとともに,昨年,国から認定を受けた水戸ひたち観光圏における中核的な役割を担う地区としていくべきであると考えております。  旧県庁舎の建設の歴史を見ますと,明治4年7月,廃藩置県により水戸藩が水戸県となり,その後の合併を経て茨城県が誕生しました。明治5年3月には,茨城県庁が旧弘道館に設置され,その後,明治15年5月,茨城県庁が三の丸地内に新築移転しましたが,この新築移転に関して,当時の県令から内務省への要望の中で,弘道館を永久保存することが熱望されていることが言及されております。まさに,弘道館及び隣接する旧県庁所在地は,旧水戸藩士民の思い入れが強く残る場所であったわけであります。  このような史実を踏まえますと,弘道館及び旧県庁舎の跡地については,水戸の歴史,文化をまちづくりのアイデンティティとして整備していくことがふさわしいと考えるものであります。そして,既存の観光資源との連携を図り,地域全体としてのイメージを高め,それを全国にしっかりと発信していくことは,県都の中心市街地の活性化にも資するものと考えております。  水戸市庁舎を三の丸地区に移転することについては,県の英断が必要であると考えますが,水戸藩開藩400年を迎えるこの機会に,水戸市庁舎の移転を契機とした本県観光資源のブランド力アップを図ってはどうかと考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,偕楽園の魅力向上についてお伺いいたします。  偕楽園は,梅の名所であるとともに,萩の花など,四季折々の美しさを誇り,金沢の兼六園,岡山の後楽園と並ぶ日本三大名園の一つであります。  偕楽園という名称は,ご存じのように,孟子の言葉「古の人は民とともに楽しむ。古によく楽しむなり」という字句を採用したもので,領内の民とともに楽しむ場にしたいという趣旨により偕楽園が造園されたと伝えられております。  また,偕楽園は,造園の際に書かれた斉昭公の書簡の中に,学校,つまり弘道館ができた上での偕楽園でなければ相当しないと示されているように,弘道館付属の休養場としての性格を持ったものでありました。  このように,偕楽園と弘道館とは非常に密接な関係にあることを考えれば,私は,偕楽園を単に市民などの憩いの場として開放する公園としてだけではなく,水戸藩の歴史,文化をしっかりと伝えることのできる施設として整備をしていくことが必要であり,それが偕楽園の歴史的価値を高めることにつながるものと考えております。  これから,茨城空港には外国からの定期便も開設され,海外からも誘客を図る環境が整いつつあります。世界に開かれた偕楽園としていくためにも,しっかりと整備していくべきと考えます。  また,このような整備を進めていく上で,偕楽園の本園,つまり史跡,名勝にも指定されている好文亭周辺の約11ヘクタールについては,他の名園と同様に有料化を検討することも必要ではないかと考えます。歴史ある偕楽園を価値あるものにしていくための財源として入園料を活用するのであれば,十分に御理解をいただけるのではないでしょうか。  このようなことを踏まえ,偕楽園の魅力向上にどのように取り組んでいくのか,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,医療体制の充実についてお伺いいたします。  初めに,周産期医療体制の充実についてであります。
     本県の周産期医療体制につきましては,県北地域を担っております日立製作所日立総合病院の地域周産期母子医療センターが機能できなくなるなど,危機的な状況にございます。  また,全国的に見ても受け入れ体制の確保,充実が喫緊の課題となっており,一昨年には奈良県と札幌市で妊婦や新生児が搬送中または受け入れ先の病院で死亡するという事態も発生しております。この背景には,受け入れを要請する側から受け入れ先の周産期母子医療センターなどに正確な情報が伝わらず,適切な判断ができなかったという連携の不足がございました。また,新生児集中治療室,NICUなどの病床が満床であったことや,産科や新生児科の医師が不足し対応できないという受け入れ体制の不備も指摘されております。特に,新生児の治療に必要なNICUは緊急の出産にも対応するため,妊婦の搬送受け入れに当たっても必要不可欠なベッドであります。  しかしながら,厚生労働省の研究によりますと,NICUが全国で最大1,000床も不足しているとの報告がなされております。また,全国の総合周産期母子医療センターを対象に行なった調査では,妊婦の搬送受け入れができなかったことのある施設が7割以上にも上り,このうちの9割以上がNICUの満床を受け入れできなかった理由に挙げております。  産科や新生児を担当する医師が不足している中で,NICUを新たに整備することは,現在の医師の負担をさらに増加させることにもなり,難しい問題であります。しかし,少子化が急速に進んでいる今日においては,新生児や妊婦の生命を守ることは何にも増して最優先すべき課題であることから,県は知恵を絞り,早急に受け入れ体制を整備する必要があると考えます。  そこで,県民が安心して出産できる環境をつくるため,NICUの整備など周産期医療の受け入れ体制をどのように充実させていくのか,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,県立こども福祉医療センターの整備検討についてであります。  少子化が進む中で,生まれた命を大切にはぐくんでいくことも県の大切な使命であります。県では,上肢,下肢や体幹機能に障害を持ったお子さんへの治療,機能訓練等を行なう県内唯一の肢体不自由児施設として県立こども福祉医療センターを昭和36年から水戸市内に設置しております。その後,母子棟や管理棟などが増改築されておりますが,一番新しい建物でさえ天井から雨漏りがしたり壁に亀裂が見られるなど,老朽化が著しい状況にあります。また,利用者が長い距離を移動せざるを得ない建物配置となっていることもあり,保護者からは,余りにもひどい施設環境に驚いたといった声も出るなど,早急な整備が望まれているところであります。  今回の当初予算においては,その整備検討費が計上されたところでありますが,今後どのように検討を進めていくのか,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,救急医療及び消防体制について,知事にお伺いいたします。  初めに,救急医療体制の強化についてであります。  平成19年における本県の救急搬送状況は,救急出動件数が10万6,598件,救急搬送人員が10万671人と,過去最多となっておりますが,収容する医療機関がなかなか見つからず,年々,医療機関の選定に時間を要する傾向にあります。  県には,迅速な医療機関の選定を図るため,救急医療情報システムが設置されておりますが,この運用状況を見ますと,必ずしも受け入れる医療機関側における診療や手術の可否の情報などがリアルタイムに表示されていないという課題もあると聞いております。迅速な救急搬送を可能とするには,現在ある救急医療情報システムの機能向上を図ることにより,医療機関からの救急医療情報を的確に収集する必要があります。  そこで,救急医療情報システムについて,救急隊が受け入れ先医療機関を迅速に選定するために活用できるような取り組みを進めるべきと考えますが,今後どのように対応していくのか,御所見をお伺いいたします。  また,救急患者の迅速な搬送と救急現場における救急隊による適切な処置のためには,消防機関と医療機関の連携によるメディカルコントロール体制の充実,強化が必要と考えております。迅速で円滑な救急搬送体制を構築するため,今後どのように消防機関と医療機関との連携を図っていくのか,お伺いいたします。  一方,医療機関側においても,医師不足や医師の高齢化による当直体制の弱体化や診療科目の細分化,訴訟への懸念から,専門外の医師が対応できないなど,受け入れ体制が低下しており,一部の救急医療機関へ集中してしまうことにつながっているといった課題もあります。  このような中でも,県立中央病院では,救急患者を断らない方針を掲げた結果,平成19年度の受け入れ件数は過去最多の3,344件となり,医師や病院スタッフの負担は増していますが,政策医療の担い手として,その役割はますます重要になっております。  そこで,私は,中央病院が今後,全県下の救急医療体制の中核的機能を担うべきであると提案いたします。そのためには,中央病院が救急専門医の育成や救急受け入れ体制の充実,強化を図っていく必要があると考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,統一指令センターの設置とあわせて,現在,検討が進められている市町村消防の広域化についてお伺いいたします。  国では,市町村の消防の広域化を推進するため,平成18年6月に消防組織法を改正し,これを受けて,本県では,県内を5ブロックとする広域化を目指す茨城県消防広域化推進計画を策定しました。なお,この計画では,県域一本化での広域化も視野に入れた検討をしていくこととしています。  消防の広域化を行なうことにより,組織体制の効率化や財政基盤の強化などのスケールメリットが期待されていますが,これまで別々に消防業務を行なってきた26の消防本部が互いに連携し,広域化するまでには,統合する消防本部の管理運営体制,消防職員の給与格差,市町村の負担額など,さまざまな課題を解決しなければなりません。さらに,常備消防を広域組織に持ち寄ったとしても,市町村が住民の生命,身体,財産の安全を守るべき防災業務を行なわなければならないのに,その権限や義務までも移譲したと錯覚してしまい,広域化によって逆に市町村の防災意識を弱めてしまう可能性もあります。  また,消防組織法では,市町村が消防を管理することになっているため,広域組織の方式として,現在,一般的に採用されている一部事務組合が考えられますが,この方式では問題が多いことが指摘されております。例えば,多くの首長の持ち寄り所帯となるため,市町村の意向が反映されにくく,消防が縁遠い存在となること,各組合に管理者や議会が置かれ,効率的な運営の観点から問題があること,住民からの監視の目が届きにくく,監査体制に問題があることなどが挙げられています。  これらの問題を解決するためには,私は,県単位の消防防災体制としての茨城消防庁を設置することを提案いたします。そのためには,県と市町村が広域連合を組織する方法と,県が市町村から常備消防を事務委託してもらう方法がありますが,県が消防の業務を担当することにより,大災害のときには県全体について住民の生命や財産を守るために消防組織を駆使することができるということが重要であり,そうした観点に立って,よりふさわしい方法を選ぶべきであると考えます。  なお,県が消防の事務委託を受ける場合,消防組織法が改正されなければ県は消防の業務を行なうことができないということであれば,特区を申請する方法もあるのではないでしょうか。  いずれにいたしましても,市町村消防の広域化のために茨城消防庁を設置し,消防体制の充実,強化を図るべきと考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。  ここで,時間の関係上,農業産出額全国第2位奪還について,公立小中学校の規模の適正化について,及び犯罪捜査等における民間協力の確保については,質問を割愛させていただきます。  知事初め,教育長,警察本部長には,通告のとおり,適正な対応をお願いいたします。  最後の質問に入ります。  日曜日の午後8時からNHKで放映されております大河ドラマ「天地人」が人気を博しております。私も昨日の夜,大変楽しみに拝聴した一人であります。  御案内のとおり,戦国時代の直江兼続が主人公の物語であり,タイトルの天地人とは,兼続が師と仰いだ上杉謙信の言葉として広く知られておりますが,これは,中国戦国時代の思想家である孟子の言葉として伝わる,「天の時は地の利にしかず,地の利は人の和にしかず」という教えがもとになっていると言われております。物事を成就させるためには,天の時,地の利,人の和の三つの要素が大切であるが,天の与える好機は地理的な有利さに及ばず,地理的有利さも人心の一致には及ばない。何よりも人の和が大切であるという意味であります。  この言葉を現在の我が県に置きかえてみますと,天の時とはまさに今ではないでしょうか。100年に一度といわれる経済危機により,県民や県内企業は激しい荒波の中にある一方,本県をさらに飛躍へと導く手段としての陸海空の広域交通ネットワークの基盤整備が着実に進展し,さらには,世界的な最先端の科学技術といえる大強度陽子加速器が本格稼働となっています。まさに,本県が持つ底力を真に活力あるものへと開花すべき天の時が来ていると認識しております。  次に,地の利とは,本県の位置する地理的優位性です。首都東京に近いということはもとより,先ほど申し上げましたけれども,北関東道と圏央道の整備により,北関東3県のみならず,南関東にも隣接した地域としての地の利を有しております。  そして,最後に,最も大切な人の和です。冒頭にも申し上げましたが,県政を運営するものにとって,一番大事なことが和を大切にする心であります。  私は,この天地人の教えを常に心に置き,難局を打開し,明るい未来の茨城づくりに邁進していかなければならないと思っております。  時期をとらえ,持っているポテンシャルを十分に生かし,県民一人一人を初め,さまざまな主体と広く連携,協働し,施策を講じ推進していく。そして,それらに当たっては,過度の競争主義に陥ることなく,県民の和に深く思いをはせる心を持って臨む。まさに天地人の教えに沿った政治姿勢と行政運営が求められているのではないでしょうか。  そこで,最後に,知事におかれましては,このような天地人の教えを踏まえ,残された任期をどのように務めていかれるお考えなのか,お伺いをいたしまして,私の代表質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 12 ◯議長(葉梨衛君) 鶴岡正彦君の代表質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                    〔橋本知事登壇〕 13 ◯橋本知事 鶴岡正彦議員の御質問にお答えいたします。  まず,県政運営の認識についてでございます。  私が県政を担当したこの15年間は,長引く景気の低迷や三位一体改革による地方交付税の大幅削減などにより危機的な財政状況が続くなど,県政を取り巻く環境は大変厳しいものがございました。  そういう時期ではございましたが,私は,これから本格的な人口減少時代を迎えようとしている中で,本県を発展させていくためには,定住人口,交流人口をしっかりと確保した上で,その活力によって医療や福祉,教育などのサービスを維持していくことが必要であるとの観点から,将来の発展基盤となります高速道路や鉄道,港湾,空港などの整備を進めてまいりました。また,最先端の科学技術分野の振興に努めましたほか,企業誘致や茨城農業改革の推進など,産業の振興に力を入れてまいりました。  この結果,広域交通ネットワークの整備が進みますとともに,昨年12月にはJ-PARCが稼働し,これからの本県の発展を先導する基盤が整いつつあります。  また,企業誘致については,国内有数の企業を初めとした多くの企業の立地により,ここ10年間の工場立地面積は全国1位の実績となっております。  さらに,農業におきましても,東京都中央卸売市場での青果物の取扱高は5年連続で日本一を達成しているところであります。  一方,福祉,医療分野におきましては,地域ケアシステムの構築,特別養護老人ホームや地域がんセンター,地域中核病院の整備などを進めてまいりましたほか,いばらき出会いサポートセンターの設置や保育所の整備,仕事と子育ての両立支援などの少子化対策に取り組んでまいりました。  また,少人数学級とティーム・ティーチングを組み合わせた少人数教育や全県立高校での道徳の授業の導入など全国に先駆けた取り組みや,読書活動,社会体験活動の推進などにより,子供たちの確かな学力や豊かな心の育成に力を注いでまいりました。さらには,生涯学習センターなど,教育,文化施設の整備も進めてまいりました。  さらに,森林湖沼環境税の活用による地球温暖化対策や水質浄化対策などにも取り組んでまいりました。  このような取り組みを進めてきた結果,全国的に地域の活力低下が大きな課題となっている中で,本県は元気な県として注目されているところでありますし,住みよさという点で見ましても,県内の都市の評価が年々上がってきている状況にございます。  こうしたことを踏まえますと,医師確保など多くの課題は残されておりますものの,全体として見れば,県勢は着実に発展してきているものと認識しております。  次に,平成21年度予算編成の考え方についてお答えいたします。  まず,雇用・景気対策と財政規律の問題についてでございます。  平成21年度当初予算の編成に当たりましては,現下の厳しい経済情勢のもと,経済・雇用対策を最重点課題とし,正規雇用につながる雇用創出対策や中小企業の資金繰り対策,公共事業などに積極的に取り組むことといたしました。  具体的には,国の経済対策による雇用創出のための交付金を積極的に活用して,雇用・研修一体型対策等に重点的に取り組みますとともに,地域活性化・生活対策臨時交付金等により,学校施設の耐震補強や生活関連道路の整備等必要な事業を前倒しして実施することといたしました。  一方で,危機的な本県財政の現状を踏まえますと,財政規律を確保していくことは絶対に必要であります。  予算編成に当たっては,財政健全化目標として,県議会財政再建等調査特別委員会の最終報告等を踏まえ,県債管理基金からの繰替運用を前年度以下に抑制することと,国の地方財政対策による特例的県債を除く県債残高を減少させることの2点を特に重視し,出先機関の再編や事務事業の見直しの徹底,県税徴収体制の強化などにより財源確保を図り,何とかその方針を堅持することができたところでございます。  このようにして,財政再建と経済・雇用対策の両立に努めてきたところであります。  プライマリーバランスにつきましては,そもそも臨時財政対策債等の特例的県債の発行規模が国の地方財政対策によって決められるため,県みずからの努力だけではコントロールできない面がございます。  また,今後,国と歩調をあわせ,最優先課題である景気回復に取り組む必要もありますので,平成23年度までに黒字化を達成することは困難と思われますが,本県財政を持続可能なものとしていくためにも,今後とも財政健全化の基本的方向性を堅持し,できる限り早期の黒字化を目指してまいりたいと考えております。  次に,平成21年度予算編成方針についてでございます。  議員御指摘のとおり,県税収入が大幅に落ち込む中,医療,福祉関係経費や退職手当等の増要因があり,財源対策には大変苦慮いたしました。  そのため,繰り返しになりますが,出先機関の再編等による人件費の抑制,県税の徴収体制の強化による税収の確保,県有未利用地の売却促進など税外収入の確保などに加え,全事務事業の抜本的な見直しや極めて厳しいシーリングの設定など,さまざまな手法により,財源の確保に努めたところでございます。  また,国からの交付金の活用に当たっては,雇用創出等基金の事業期間が平成23年度までとなっておりますが,本県においては,現下の厳しい経済情勢に対応するため,できる限り前倒しして事業化することとし,全体の約4割の事業費を来年度予算に計上いたしました。  また,直面する政策課題について,救急病院の情報更新のリアルタイム化や,県北振興のための周遊ルート整備などに国からの交付金を活用して,一般財源を節約しながら,新たに施策を講じることといたしました。  また,その他の交付金につきましても,効果的,効率的な活用に努めたところであります。  さらに,公共事業費を完成間近の箇所にできる限り重点化するほか,利用可能な国庫補助金を徹底して探し出して活用したり,金融機関と粘り強く交渉して高金利県債の繰上償還を実現し,公債費負担を軽減するなど,知恵と汗を絞って工夫を重ねてまいりました。  財源配分につきましては,雇用・経済対策について,雇用・研修一体型対策などの正規雇用化につながる施策や雇用創出効果の高い施策を重点的に計上いたしました。  また,生活関連道路等身近な生活インフラの整備などにも積極的に取り組むこととし,公共事業については,国補,県単とも地方財政計画の伸び率を上回る規模を確保いたしました。  また,厳しい経営環境にある中小企業の資金繰りを支援するため,昨年11月に創設したセーフティネット融資の緊急保証枠を大幅に拡充いたしました。  そのほか,医師確保や救急医療,少子高齢化,学力向上,環境保全といった喫緊の課題への対応については,限られた財源を特に重点的に配分し,できる限りめり張りのついた予算となるよう努めたところであります。  次に,職員の給与の減額措置の中止についてであります。  現在の給与カットにつきましては,三位一体の改革により一般財源が急激に減少する中,財政再建団体にも転落しかねない厳しい財政状況を踏まえ,緊急避難的な措置としてやむを得ず実施しているものであります。  職員団体とは,当初2年間実施し,3年目については改めて協議することで合意しておりましたが,本県の給与カットが平成12年度から平成13年度に続く2回目であること,本給のみならずボーナスのカットも実施しており,全国的に見ても厳しい内容であること,昨年度当初来,諸物価が急騰していたことなどから,職員団体からは早急に給与カットを解消するよう強く要求されていたところであります。  また,職員の給与は,公務員の労働基本権を制約する代償措置として人事委員会勧告の制度が設けられており,人事委員会からは,職員の士気や生活及び人材の確保に与える影響を深く憂慮するものであり,速やかに解消することを強く望むと特に指摘されたところであり,報告書を受け取った際にも,委員長から改めて厳しい意見を頂戴いたしました。  加えて,国家公務員については,これまで給与カットが実施されたことはなく,隣接する栃木県,群馬県,埼玉県などでも一般職員の給与カットを実施していないことなども考慮したところであります。  さらには,給与の交渉に入る直前の昨年9月の第3回定例会では,自由民主党,民主党,それぞれの代表質問において,職員の士気低下等の懸念から,給与カットを実施することなく来年度予算を編成する決意を持つべきと,給与カットのとりやめを強く求められていたところであります。  また,県議会財政再建等調査特別委員会の最終報告書でも,平成19年4月からの全職員対象の給与カット措置により職員の士気低下が懸念されている。基本的に人件費削減は給与カットではなく,組織効率化による定数削減で行なうべきである。また,給与カットが恒常的な措置にならないよう,全職員一丸となって徹底した歳出削減,歳入確保に努めるべきであるとの御提言をいただいたところであります。  したがいまして,こういった諸々の情勢,あるいは議会の御意見を勘案して,管理職については引き続き給与カットの継続をお願いしますとともに,一般職員については給与カットをとりやめることとしたものであります。  また,この決定をした昨年11月下旬における財政収支の見通し等についてお尋ねをいただきました。  議員御指摘のとおり,景気悪化が急速に顕在化し,来年度の県税収入の下振れ等も懸念され始めた時期ではありました。  一方,給与カットをとりやめた場合の影響額は約85億円と試算しておりましたが,特別職,管理職の給与カットの継続に加え,地域手当の引き上げ凍結,教員の手当の見直しなどを実施することとしたほか,例年以上の職員数の削減により,人件費全体では約20億円程度の増加にまで抑制できる見込みが立ったところであります。  そのため,厳しいシーリングの設定に加え,歳入,歳出両面においてさまざまな財源確保策を講じていくとともに,当時議論されていた地方公共団体への1兆円規模の財政支援が実現すれば,何とか来年度当初予算を編成していくことができるのではないかと考え,管理職以外の一般職員の給与カットをとりやめたところであります。  なお,職員の給与カットにつきましては,引き続き,財政状況や税収見通し等の諸情勢を踏まえながら,慎重に今後の対応を検討していく必要があるものと考えております。  次に,経済対策としての県税の超過課税の中止についてでございます。  法人県民税法人税割の超過課税につきましては,静岡県を除く46都道府県で実施しており,本県では,標準税率の5%を上回る5.8%としておりますが,中小法人の育成や税負担を軽減する観点から,資本金等が1億円以下で法人税額が年1,000万円以下の法人は適用を除外しております。  この超過課税による税収は,平成21年度当初予算における県税収入が大幅な減少となるなど危機的な財政状況の中で,県政を運営していく上での大変貴重な財源として活用させていただいております。  議員から御提案のありました給与カットをやめるかわりに,経済対策として減税を実施したらどうかという御意見につきましては,労働基本権が制約されている中にあって,人事委員会勧告に基づく職員の給与をカットすることはできる限り避けるべきであり,カットの中止は経済対策とは違った観点から議論されるべきものと考えております。  なお,需要が急減するなど,先行き不透明な経済情勢におきましては,仮に企業減税を行なったとしても,直接新たな投資や給与の増加につながるのか疑問が残るところであり,給与カットを中止し,個人消費による内需の拡大を図っていくほうが効果的な面もあるのではないかと考えております。  また,平成21年度当初予算案及び平成20年度最終補正予算案におきましては,経済・雇用対策を最重点課題とし,雇用創出のための各種事業や中小企業の資金繰り支援,公共事業などにできる限り積極的に取り組んだところであります。  なお,現在国会で審議中の平成21年度税制改正により,経済対策の一環として,中小企業に対する軽減税率の時限的引き下げ等を行なうこととしており,結果的に法人税額を課税標準としている法人県民税も減額になることとなります。  いずれにいたしましても,法人県民税法人税割の超過課税につきましては,平成23年1月末に適用期限を迎えますことから,その時点で,そのあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。  次に,知事の権限と多選についてお答えいたします。  地方分権改革の推進により知事の権限が強化される中で,知事の多選は避けるべきとの御指摘をいただきましたが,これまでの三位一体改革の状況などを見ておりますと,実質的には何ら知事の権限が拡充されるような内容となっていないこと,さらには,多選問題は昭和の時代から論じられているものであることなどからして,昨今の権限移譲の話と多選問題を絡めて議論する必然性は余りないのではないかと考えております。  多選の制限につきましては,これまでも国会の審議や国の研究会などを通じて,長年にわたり何度も議論が重ねられてきたところでありますが,いまだに皆が納得する合意形成が図られておりません。  一昨年,総務省の首長の多選問題に関する調査研究会から報告書が出された後,全国知事会でも活発な議論が展開されましたが,意見を集約するには至りませんでした。  一方,この調査研究会の委員である東京大学の金井利之教授は,『ガバナンス』という雑誌の中で,多選制限論は永久不滅のミイラであって,折に触れて浮上し,しばらくすると沈静化するということを繰り返してきたと書いておりますが,この問題につきましては,政治的な状況に大きく影響されるものであり,慎重,冷静に議論をしていくべきものと考えております。  なお,同教授は,多選をよしとしない人物はみずから身を引けばよいのであり,多選制限の議論をするまでもないとも述べております。  また,在任期間の長期化による弊害ということでありますが,私がこれまでお付き合いさせていただいた知事の中には,大分県の平松さんなどのように,長期にわたり知事を務め,しっかりした実績を残し,惜しまれつつ引退された方も多く,多選は弊害があると一概に決めつけることはできないものと考えております。  私は,これまでも答弁しておりますように,首長をだれにするかは,選挙の都度,出たい人や出したい人の中から有権者の皆様が選んでいけばよいのではないかと考えております。
     次に,公社改革についてお答えいたします。  まず,開発公社の支援に至った原因とこれまでの対策についてでございます。  開発公社は,昭和35年の設立以来,2,300ヘクタールを超える工業団地を分譲し,340社以上の企業誘致を行なうなど,大きな役割を果たしてまいりましたが,バブル崩壊後の地価の下落や工業団地の需要の減少などが主な原因となって,近年急速に経営が悪化いたしました。  また,平成17年度には,時価が簿価の50%を下回った資産について,その評価損を損失処理する減損会計を,公益法人会計基準で求められているよりも1年前倒しして導入したことにより,大きな損失が発生し,さらに経営は悪化いたしましたが,相当額の内部留保を有していたことから,住宅供給公社などとは異なり,債務超過に陥る事態には至りませんでした。  しかしながら,出資団体等調査特別委員会から,改革工程表に基づき改革を断行すべきとの提言や,改革の点検,見直しを適時的確に行なっていくべきとの御指摘をいただきましたことから,公益法人改革の進展も考慮しながら,平成19年度から20年度にかけて,財務状況の精査や専門家等による経営評価を踏まえた経営改善対策に取り組んでまいりました。  この間,新たな公益法人会計基準に基づく低価法の導入が昨年4月に示され,開発公社としても平成21年度から低価法を導入することなどにより,債務超過に陥る見込みとなったところであります。  このようなことから,この2年間での検討を踏まえた支援策について,今回御提案させていただいた次第であります。  今回の支援に際して必要な資金は,今後10年間で200億円を超えるという大きな額でありますが,開発公社が破綻した場合には,金融機関からの借入金1,300億円について県は最終的に負担を求められ,財政運営が困難な事態に直面することや,開発公社を通した資金調達による工業団地造成事業の継続が困難となり,地域振興に対する期待にこたえられなくなることなどを考えあわせますと,今回の支援は苦渋の選択ではございましたが,やむを得ないものと考えております。どうぞ御理解,御協力を賜りますようお願いを申し上げます。(議場で発言する者あり) 14 ◯議長(葉梨衛君) 静粛に願います。 15 ◯橋本知事 (続)次に,今回の対策に係る責任と,土地分譲等の計画実行のための担保についてでございます。  今回,開発公社対策として,平成21年度当初予算に総額135億9,600万円を計上し,今後10年程度の間に一般財源で総額約211億円程度の支援を行なうに至ったことはまことに申しわけなく,責任を痛感しているところでございます。  私の責任を明らかにするため,給料を50%,3カ月間減額する条例案を提出しておりますが,この内容につきましては,平成18年に住宅供給公社への支援を決定した際の取り扱いや,同じように外郭団体への経営支援等を行なった他県の事例,例えば,北海道,長崎県での住宅供給公社や大阪府の第三セクターの破綻を処理したときの取り扱いなどを参考として決定させていただいたところであります。  次に,土地分譲等の計画実行のための担保ということでありますが,分譲中の工業団地につきましては,土地価格を抑制するため,金利支援を行ないますとともに,今後,毎年5%程度の地価の下落を見込んで計画を立てておりますので,計画どおり10年間で完売できるよう頑張ってまいりたいと考えております。  しかしながら,経済状況によっては,急激な地価の下落や分譲の低迷も想定されます。その場合には,企業が立地する波及効果などを勘案し,財政再建等調査特別委員会などからも御提案をいただいておりますように,思い切った値下げを行い,分譲の促進を図っていくことも必要になってくると思いますが,その際に発生する損失については,議会に説明した上で適切に対応してまいりたいと存じます。  また,未造成工業団地については,今後,開発公社が事業化することが困難な状況にありますとともに,公社が土地を保有した状態では地価下落による二次損失の発生のおそれがありますことから,県として土地を買い取り,事業を承継することといたしました。  いずれにいたしましても,工業団地の分譲につきましては,改革工程表に沿って実行できるよう,進行管理に十分留意し,県と公社が一体となって全力で取り組んでまいります。  次に,道路公社についてでございます。  これまで,道路公社は,短期間で効率的に道路を整備することによって,県民の福祉の増進や利便性の向上とあわせ,地域経済の振興に大きく寄与してきたところであります。  一方で,議員御指摘のとおり,不採算となっている路線も多く,その経営につきましては,平成18年度の県出資団体等調査特別委員会において,改革の必要性が高いとの御提言をいただいたところであります。  また,地方公共団体財政健全化法に基づく総務省の基準による算定では,将来負担は発生しない見込みとなっておりますが,今後の交通量の動向次第では,償還計画に支障が生じてくることも懸念されるところでございます。  このようなことから,これまでも改革工程表に基づき総人件費や維持管理費の削減等を図ってきたところでありますが,今後一層の利用促進対策,有料道路と接続する道路ネットワークの整備などを進めますとともに,組織の見直しも含めた経営改革に取り組んでいく必要があるものと認識しております。  なお,御提案の第三セクター等改革推進債の適用につきましては,償還の見通しを的確に把握,分析しつつ,その必要性について検討してまいりたいと存じます。  また,早期無料化についてでございますが,今後の道路公社の経営見通しは,先ほども申し上げましたとおり,大変厳しいものになることも想定されますので,収支の厳しい路線と利用が好調な路線のバランスを図りながら道路公社の経営に当たっていくことが必要であります。  地方道路公社には,経営安定を図る観点から,個別路線について償還に必要な収入が積み上がった後においても,一定の範囲内で料金の徴収ができる,いわゆる公差制度が認められておりますので,その活用も図っていくべきであると考えております。  一方,早期無料化に踏み切った場合,その減収分はそのまま一般会計が負担しなければならなくなってまいります。したがって,早期無料化につきましては,利用者の理解も得つつ,公社全体の経営状況も踏まえながら判断してまいりたいと考えております。  次に,広域連携の推進についてでございます。  まず,北関東地域におきましては,福島,新潟を加えた北関東磐越五県知事会議において,広域連携への取り組みを進めますとともに,国土形成計画法に基づき設置された首都圏広域地方計画協議会において,北関東磐越地域の連携を重視した計画の策定を進めてきたところであります。  また,栃木,群馬と本県で構成します北関東広域連携推進協議会におきましては,茨城港や茨城空港を三県共通のゲートウエイとして積極的に活用していくため,物流や観光を初めとした連携の強化に取り組んでいるところであります。  具体的には,物流関係では,三県が共同して物流講演会を開催しますとともに,ネクスコ東日本とも連携し,物流の実態把握のためのヒアリング調査を行なっております。  今後,群馬県を新たに加えた三県による物流特区の共同提案など,東西物流軸の形成を目的とした物流施策を検討してまいりたいと考えております。  また,観光関係では,現在,広域観光資源のデータベースを作成しているところであり,今後はこれを旅行会社やマスコミなどにも提供して,茨城空港の就航促進等につなげてまいりたいと考えております。  さらに,来年度は,食をキーワードとした街道づくりによる地域振興や,各県の美術館の連携による地域全体の芸術,文化振興といった北関東地域のイメージアップにもつながる方策を検討するなど,三県での取り組みを強化してまいりますとともに,経営者協会など経済団体等との連携も密にし,幅広い取り組みを行なってまいりたいと考えております。  次に,圏央道沿線地域の連携についてであります。  本県では,これまで,千葉県と共同での外国人旅行者の誘致,千葉県の東葛・船橋地域,埼玉県の川口地域,本県つくば地域などの連携による新産業の創出のための各種セミナーや研究成果交流会の開催,千葉,埼玉と北関東3県によるビジネスマッチング商談会の開催などに取り組んできたところであります。  しかしながら,圏央道の全線開通に向け,今後はさらに産業振興面や観光面等での連携を強化していくことが必要になってまいります。例えば,本県といたしましては,つくばの科学技術と沿線地域の産業集積の連携強化による新産業創出の促進や,つくば市の高エネルギー加速器研究機構と埼玉県和光市の理化学研究所などの量子ビーム施設のネットワーク化による産業利用の促進,国際ゲートウエイである成田空港との近接性を生かした国際的な観光やビジネスの推進などに取り組むことが重要であると考えております。  こうしたことから,今後は,首都圏広域地方計画協議会等を通じ,埼玉,千葉両県に対して連携の有効性を働きかけるなどしてまいります。  いずれにいたしましても,北関東自動車道や圏央道の整備が進展してきている中,北関東3県だけでなく,圏央道沿線,さらには首都圏全体での連携につきましても,今後,さまざまな場を活用し,積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に,茨城空港のさらなる就航路線確保に向けた今後の取り組みについてお答えいたします。  茨城空港の最初の就航路線として,本年2月2日にアシアナ航空から,ソウル便と釜山便の表明をいただいたところですが,地方空港で海外の航空会社が開港間もなく2路線,週10便程度就航するのは余り例がないと聞いております。これは,茨城空港の後背圏人口のポテンシャルが極めて高いこと,首都圏空港として成田,羽田を補完する役割が期待できること,さらに,低コストで旅客動線が短く,効率的なオペレーションが可能な空港であることなどにつきまして,高い評価をいただいたものであると考えております。  現在の路線誘致の状況でございますが,エアアジアXにつきましては,アズランCEOが,現在でも日本への就航先として茨城空港を希望していることに変わりはなく,今後,ハンドリング体制に関することなど,より具体的な交渉を行い,一日も早く就航表明をいただけるよう,引き続き交渉を進めてまいります。  また,アシアナ航空とエアアジアX以外にも,羽田,成田両空港において定期便の発着枠を確保できないローコストキャリアなどを中心に,茨城空港に関心を示していただいている航空会社がございます。このうち特に高い関心を示していただいているフィリピンや香港,マカオなどの航空会社に対し,就航への働きかけを行なっているところであります。  国内線につきましては,急激な景気の悪化や大手航空会社の深刻な経営状況などもあり,新規路線に就航していただくのはなかなか容易ではない状況にございます。  しかし,空港から自動車で1時間の範囲に340万人の人口があり,製造業を中心に全国でも上位の産業集積があることなどを積極的にアピールし,引き続き粘り強く就航への働きかけを行なってまいります。  航空会社への支援策につきましては,開港当初からできるだけ多くの便数で就航していただくためには,航空会社と連携したプロモーション活動の実施や,当初運航便数が少ないことにより割高となるハンドリング体制に関する支援などが必要であると考え,来年度予算に所要の経費を計上しているところでございます。  また,着陸料の軽減につきましては,現在国において,航空会社支援のための引き下げを検討しているところと聞いております。  県といたしましては,外国の同規模の空港と比べても割高感のないような料金体系になるよう,引き続き要望を行なってまいります。  さらに,搭乗率保証につきましては,航空会社の誘致に当たり考えられる有力な手法の一つではございますが,個別の交渉の中で,相手方からこれを条件とされた場合に検討してまいりたいと考えております。  なお,ソウル便就航に当たりましては,これまでのところ,搭乗率保証は話題になっておりません。  今後とも,就航交渉を進めていく中で,それぞれの航空会社に対し,効果的な誘致策を個別具体に検討しながら,さらなる路線誘致に向け,懸命に努力してまいります。  次に,北関東地域広域都市圏における茨城県のブランド力アップについてお答えいたします。  まず,茨城県観光のブランド力アップについてでございます。  本県には,偕楽園,弘道館や西山荘など水戸藩に関連する史跡や名所が多数存在しております。  水戸ひたち観光圏においては,これら歴史的資源の集積や交通アクセス等を考慮し,水戸が観光圏の扇のかなめであるとの認識のもと,計画の策定を行なったところでございます。  このような中,水戸藩開藩400年である本年は,水戸ひたち観光圏の枠組みを活用し,本県固有の歴史や文化を全国に発信することで本県観光のブランド力アップを図る絶好の機会であると考えております。  このため,県といたしましては,弘道館や歴史館において特別公開や歴史講座などを開催しますほか,水戸から常陸太田へのウォーキングイベントへの支援など,積極的に各種事業を実施してまいります。  水戸ひたち観光圏の中でも重要な地区であります水戸市三の丸地区に水戸市庁舎を移転してはどうかとの御提案でございますが,水戸市におきましては,地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律に基づく水戸市歴史的風致維持向上計画の案を公表しております。それによりますと,弘道館,水戸城跡周辺について,歴史的建造物の復元等を図り,城下町の雰囲気の感じられる地区として整備することとしており,歴史的風致を守るために市庁舎をどう位置づけるのかが課題となってまいります。  一方,現在の三の丸庁舎をそのまま市庁舎として利用するには,相当の改修工事が必要と見込まれますこと,第一種中高層住居専用地域であるため,原則として市の本庁舎の増築や建てかえができないこと,風致地区であるため,原則として15メートルの高さ制限があること,周辺道路の混雑が予想されることなど,多くの課題がございます。  さらに,市庁舎の移転には,現在の市役所周辺の商店街への影響や跡地の利用といった課題もございます。したがって,市庁舎の移転については,全面移転か一部移転かも含め,まずは水戸市において検討が進められるべきものと考えており,県といたしましては,その状況を見守ってまいりたいと考えております。  次に,偕楽園の魅力向上についてでございます。  偕楽園は,全国に名高い水戸学をはぐくんだ弘道館とともに,本県を代表する歴史的,文化的資産であり,一張一弛,すなわち勉学と休息を適切に行なうという斉昭公の思想を具現化したものであります。このような創設に至る経緯や歴史性から,両施設を一体的にとらえて魅力を高めていくことが大切であると考えております。  このため,今年度,弘道館においては,現存している学生警鐘の公開展示や,園内全体の回遊性を高めるための園路の整備,歴史的価値を十分にわかっていただくための案内板の設置など,魅力の向上に努めてきたところであります。  偕楽園の整備につきましても,園内植栽の適切な維持管理や,伝統的工法による施設の整備,修繕など,さらには,陰から陽への造園思想等を踏まえながら,創設時の趣の保全に鋭意努めてきたところであります。  また,昨年度は,学識経験者や文化庁の協力を得て,偕楽園保存活用計画をとりまとめたところであり,引き続き,歴史や景観に配慮した整備や維持管理に努めますとともに,施設案内の充実を図ってまいりたいと考えております。  さらに,ソフト面も含めた魅力向上につきましては,今年度,有識者や各種団体代表等をメンバーとした偕楽園公園魅力向上懇談会を新たに立ち上げたところであり,今後,この懇談会の御提言も踏まえながら,偕楽園の魅力を向上させてまいりたいと考えております。  なお,偕楽園の有料化につきましては,入園者の減少なども懸念されるところであり,また,懇談会におきまして,有料化の意見がある一方で,市民の憩いの場として無料を継続すべきとの御意見もいただいており,慎重に対応していくべきものと考えております。  幸い,今年度は,開園時間の延長や施設案内の充実等の取り組みもあって,好文亭について入館者数が2割増加するなどの成果を上げているところであります。  さらに,北関東道が東北道まで接続したことから,より広範囲からの観光客を呼び込むべく,積極的なPR活動を行なってまいります。  いずれにいたしましても,偕楽園と弘道館を一体のものとして,その歴史的価値を高めていけるよう,一層の魅力の向上に努めてまいります。  次に,医療体制の充実についてお答えいたします。  まず,周産期医療体制の充実についてでございます。  周産期医療につきましては,近年,NICUでの治療を必要とする低出生体重児等の増加などから,慢性的に病床が不足しており,ハイリスク妊婦や新生児搬送の受け入れが社会問題化しております。  こうしたことから,現在国では,NICUの必要数や整備方針,医師,看護師等の人材確保,関係者間の連携など,周産期医療体制の改善策を検討しているところであります。  先般示された案によりますと,NICUの必要数は,出生1万人当たりで25から30床であることから,本県では,現在数に加え,約20床の整備が必要になってまいります。  NICUの整備につきましては,新生児担当医師や看護師の確保が課題となっておりますので,県といたしましては,総合的な人材確保対策に取り組みますとともに,整備促進のための支援策も検討してまいりたいと考えております。  また,円滑な搬送受け入れ体制を確保するため,来年度から,総合周産期母子医療センターに受け入れ先の調整を行なうコーディネーターを配置しますとともに,周産期救急医療協力病院を新たに指定することにより,周産期医療機関の機能分担や連携体制の強化を図ってまいります。  さらに,正常分娩についても,現在の産科医不足に対応するため,助産師を活用した院内助産所,助産師外来の開設を促進する補助制度を創設することとし,県民が身近な医療機関で安心・安全な出産ができるよう,周産期医療体制の充実に努めてまいります。  次に,県立こども福祉医療センターの整備検討についてでございます。  こども福祉医療センターは,昭和36年の開設後47年を経過し,老朽化が著しく進んでおりますほか,施設の構造につきましても,増築を繰り返したことによって動線が長くなるなど,効率的な運営の妨げとなっております。これまで,浴室やトイレなどの部分的な改修を行なってまいりましたが,今年度実施した耐震診断では,安全とされる数値を下回る建物があることがわかり,抜本的な整備が必要となっております。  また,利用状況につきましても,地域の保健,医療,福祉,教育体制の整備や道路交通網の発達などに伴い,自宅で生活しながら外来診療や通所訓練を受ける障害児がふえる一方で,入所する児童数が減少しつつあります。さらに,障害の重度化,重複化,多様化も進んでおり,これらに対応した施設のあり方が求められております。  このため,県といたしましては,有識者や家族会代表,障害者団体代表などで構成するこども福祉医療センター整備検討委員会を設置し,施設規模,整備場所,機能や効率的な運営方法のあり方などについて,幅広い観点から検討することとしております。検討に当たっては,他県や類似民間施設の整備事例を参考にしますとともに,国における障害児支援の見直しに関する検討結果を踏まえ,県内唯一の肢体不自由児施設として,質の高い医療と訓練を提供できる施設の整備を目指してまいりたいと考えております。  次に,救急医療及び消防体制についてお答えいたします。  まず,救急医療体制の強化についてでございます。  昨年度開催した救急医療対策検討会議におきまして,初期,二次,三次のそれぞれの機能を発揮するための体制を整備すること,医療機関や消防機関から意見を聞いて,救急医療情報システムの見直しを行なうことなどの御提言をいただきました。  救急医療情報システムにつきましては,このような提言を踏まえ,これまでの診療科目別の情報に加え,特に命にかかわる疾病である脳卒中及び急性心筋梗塞の受け入れ情報を新たな項目として提供できるようなシステムに改修し,来年度から運用を開始することとしております。  改修の主な内容としましては,脳卒中と急性心筋梗塞に関する入力項目を診察の可否のみにして入力しやすくしたこと,救急隊が携帯電話を使って搬送先を検索できるようにしたこと,さらに,その検索画面から医療機関にダイレクトに電話をかけられるようにしたことなどでございます。  また,運用面における改善策として,来年度,緊急経済・雇用対策事業の活用により,第二次救急医療機関に新たに担当者を配置し,速やかな入力を促進しますとともに,リアルタイムな情報を提供するための課題の洗い出しもあわせて行っていただくこととしております。  さらに,平成22年度には,現在のシステムの更新時期を迎えますことから,救急患者の迅速な搬送に資するように,抜本的な改修を行い,システムを充実させてまいります。  次に,消防機関と医療機関との連携についてお答えいたします。  救急搬送業務をより円滑に行なうために,消防機関と医療機関で構成するメディカルコントロール協議会が県内8地区に設置され,救命処置に関する医師の指示,助言や救急活動の事後検証,救急救命士の再教育などを行なっているところでございます。  県では,そのようなメディカルコントロール体制の充実強化を図るため,今年度から新たに,医療機関と連携し,救急救命士を対象とした高度な救命措置に関する研修やメディカルコントロールに従事する医師を養成するための研修を実施しますとともに,8地区の協議会の連絡会を設置し,情報交換や課題の検討を行なうなど,各地区協議会のレベルアップに努めているところであります。  また,国では,消防と医療の連携体制を強化し,円滑な搬送,受け入れを実現するため,消防法の改正により,救急搬送受け入れに関するルールの策定などを都道府県に義務づけることを検討しているところであります。  県といたしましては,このような国の動向にも留意しながら,消防機関と医療機関の連携をなお一層強化し,メディカルコントロール体制の充実を図りますとともに,改修される救急医療情報システムなども有効活用し,迅速で円滑な救急搬送体制の構築に努めてまいりたいと考えております。  次に,中央病院の救急体制の充実,強化についてであります。  県立病院は,平成18年4月から抜本的な改革を進めてまいりました。私は,この改革に当たりましては,経営基盤の健全化とあわせ,救急医療などの政策医療について重要な役割を果たしていける体制が整備されることを強く期待しているところであります。  救急医療につきましては,救急患者は基本的に断らないという永井病院長の方針のもとで,職員が一丸となって患者の受け入れに対応してきた結果,救急搬送件数が大幅に増加し,大変大きな役割を果たしている状況にあります。  しかしながら,救急患者の急増に伴い,施設面でも,また,医療スタッフを初めとする職員の面でも,受け入れ容量は限界に近づいてきております。  このようなことから,今後,さらに増加する救急患者への対応を図るため,中央病院救急センターを増築することとしますとともに,医師の確保,育成に懸命に取り組んでいるところであります。  今後は,院内のスタッフはもとより,他の病院との人事交流などを通じて,救急医療の実務研修の場を提供するなど,県内の医療従事者のレベルアップにつきましても積極的に推進してまいりたいと存じます。  このようなことを実施していくことにより,御提案にもありましたように,救急医療につきまして,中央病院が中核的機能を担えるよう努力をしてまいります。  次に,市町村消防の広域化についてお答えいたします。
     近年,災害や事故の大規模化や多様化,都市構造の複雑化,住民ニーズの多様化等,消防を取り巻く環境は大きく変化してきております。そして,小規模な消防本部では,出動体制,保有する消防車両,予防業務や救急業務の専門要員確保等に限界がありますことや,組織管理や財政運営面での厳しさがあることなどから,市町村消防の広域化が大きな課題となってきております。  このため,昨年3月,県域一本化での広域化も視野に入れつつ,県内を5ブロックとする茨城県消防広域化推進計画を策定し,消防広域化に係る課題整理や協議を行なうための任意協議会の設置を関係市町村に働きかけてまいりました。  その結果,県北,県央,県南の3ブロックで協議会の設置に向けた研究会が開催され,県も参加して,広域化に係る課題について検討を行なっているところでございます。現在は5ブロックでの広域化となっておりますが,市町村の合意が得られれば,将来的には各ブロックを方面本部とした県域一本化での消防本部体制とすることも考えていくべきであると思っております。  県域一本化での消防本部体制は,初動体制の強化や人員の効率的な配置,はしご付き消防車,化学消防車等の特殊車両の整備など,広域化によるスケールメリットが最大限生かされますし,また,指令業務が一元化され,統一的な指揮命令系統のもと,大規模災害にも柔軟に対応できることなども期待されるところでございます。  議員御提案の県が消防業務を担当する茨城消防庁につきましては,広域連合,事務委託とも,県及び市町村の事務を規定している消防組織法との関係,県が消防事務を担当するための消防施設や職員の確保,県の財政負担等々の課題がありますので,県が消防業務を行なうことについては,今後,十分な研究が必要と考えております。  いずれにいたしましても,茨城消防庁を実現するためには,市町村が消防を県域一本化するという合意の形成が前提となってまいります。したがいまして,現在開催されているブロックでの研究会で,当面,5つの消防本部を目指して議論を進めますとともに,県も積極的に加わり,平成28年の消防指令業務の一元化の時期に向けて,市町村と十分協議をしてまいりたいと考えております。  次に,天地人の教えを踏まえた県政運営についてでございます。  天地人の教えを踏まえ,残された任期をどのように務めていくのかとのお尋ねをいただきました。  私は,県政を預かる者として,将来を展望し,どのように本県の優位性を生かし,よりよい地域をつくっていくかを常に考えながら県政運営に取り組んできたつもりでございます。  現在,県政は,経済,雇用情勢の悪化など,当面対応していかなければならない多くの課題に直面しているところでありますが,こういうときだからこそ,天地人の教えに沿って,天の時,地の利を考慮することはもちろん,人の和を大切にしながら,すなわち,県民,企業,行政等が心を一つにして広く連携,協働しながら各般の施策を推進し,これらの課題の解決に向けて精いっぱい取り組んでいくことが必要であると考えております。  幸い,先日,月刊『コロンブス』という雑誌で編集主幹と対談した際にも,全国で地域経済のインタビューを行なうと暗い話題ばかりが多いが,茨城県は大変元気があり,他の地域とは大分違いますねとのありがたい評価もいただいたところであります。  私は,今後とも,県民の皆様と手を携えながら,将来に夢や希望が持てる,人が輝く元気で住みよい茨城づくりに全力で取り組んでまいりたいと存じます。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 16 ◯議長(葉梨衛君) 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。  次回は,明3月3日,午後1時から本会議を開き,代表質問,質疑を続行いたします。  本日は,これにて散会をいたします。                     午後3時4分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...