• "岩瀬インターチェンジ"(/)
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  1. 茨城県議会 2007-09-11
    平成19年第3回定例会(第3号) 本文 開催日: 2007-09-11


    取得元: 茨城県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-09
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 平成19年9月11日(火曜日)午後1時2分開議           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯議長(飯野重男君) これより,本日の会議を開きます。           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 諸般の報告 2 ◯議長(飯野重男君) 諸般の報告をいたします。  監査委員から,県立水戸南高等学校外110機関の定期監査結果及び社会福祉法人恩賜財団済生会支部茨城県済生会外1団体の財政的援助団体等の監査結果について,それぞれ報告がありましたので,その写しをお手元に配付してあります。ご覧おきを願います。           ──────────────────────────── 日程第1 第106号議案=ないし=第123号議案,認定第1号,報告第3号 3 ◯議長(飯野重男君) これより,議事日程に入ります。  日程第1,第106号議案ないし第123号議案,認定第1号及び報告第3号を一括して議題といたします。           ──────────────────────────── 会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑 4 ◯議長(飯野重男君) これより,会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を許します。  自民県政クラブ,半村登君。                  〔40番半村登君登壇,拍手〕 5 ◯40番(半村登君) 自民県政クラブの半村登であります。  自民県政クラブを代表いたしまして,知事,教育長,警察本部長に質問をいたします。  本日は,私の地元境町から250人の皆さんが見えておりますが,女性が230人見えております。知事は,女性にやさしい知事でありますから,どうかひとつわかりやすく,そしてまた,将来の不安を少しでも解消するよう,夢と希望の持てる心のこもった答弁を期待するものであります。  最初に,県民の声が反映された県政の実現についてお聞きをいたします。
     現在,本格的な少子高齢化社会を迎え,あらゆる社会経済の分野で変革が進む中,医師不足や消えた年金,拡大する格差など,県民はかつてないほど将来に大きな不安を抱いております。今こそ県は,県民のために立ち上がり,多様化,高度化する県民の要求にこたえ,真に県民の声が反映された県政を実現させなければなりません。  また,真の地方分権は,団体自治だけでなく,地方の運営は,その地方の住民の意思によって住民みずからの手で行われるべきという,地方自治のもう一つの側面である住民自治のさらなる充実があってこそ実現をいたします。住民自治の充実のためにも,真に県民の声が反映された県政の実現がどうしても必要であります。  まず,広報広聴行政の成果と今後の充実策についてお伺いをいたします。  知事は,就任以来,開かれた県政を目指し,広報紙「ひばり」の全戸配布や明日の地域づくり委員会の設置など,多くの広報広聴活動に力を入れてまいりました。私が,知事のこれまでの施策の中で評価している項目の一つが,広報広聴行政の充実であります。県が実施している施策を県民に周知させる広報と県民が県政に何を求めているかを的確に把握するための広聴活動は,県民の声が反映された県政実現のため,ぜひとも必要であると考えるからであります。  多くの広報広聴事業の中で私が注目している事業が,知事と県民の対話集会であります。「知事と語ろう明日の茨城」事業であり,この事業は,知事が直接住民に県政について説明し,住民と意見交換するもので,毎年,県内8カ所で開催されております。知事にとって,直接住民から率直な意見や考えを聞くことができることは大変有意義であると考えますが,住民にとって,知事から直接県政の概要について説明を受け,知事と意見交換ができることは,県政を身近な存在に感じ,県政に参加する意識が芽生えるなど,住民自治を充実する上で大変貴重な機会であろうと考えます。  公表されている議事録を見ますと,実際の意見交換も,知事が直接進行を務め,どんな内容でもどなたでもいいですからとその場で発言者を求め,その内容にその場で知事が答えるなど,本当に自由活発な意見交換が行われております。  ただ,この集会は平日に開催されており,仕事の関係で参加できない方も大勢いらっしゃると思います。また,意見交換の内容からは,それなりに県政について勉強しており,鋭い意見を持っている県民の方々の参加が多いと感じておりますが,県民のだれもが,そのような大きな会場で大勢の前で知事と堂々と意見交換ができる人ばかりとは限っておりません。  もっといろいろな人に参加してもらえるよう夜間,休日に開催したり,もっと率直に,気軽に知事に意見が伝えられるよう,会場に知事への意見書箱を設置したり,参加者が郵送でも意見書が送れるようにするなど,この集会のやり方を工夫すべきではないでしょうか。また,集会終了後にでも,都合がつく時間があれば,住民の生活の場で住民の率直な意見を聞くため,知事が商店街や農地を訪れることはできないでしょうか。  いずれにしましても,厳しい財政状況の中,広報広聴事業には平成17年度決算額で約6億円近い予算が使われております。広報広聴事業を対費用効果の観点から評価するのは困難でありますが,知事自身がみずから力を入れてきた広報広聴活動について,これまでの成果をどう認識し,今後さらに県民の声を県政に反映させるためどのように充実していこうとしているのか,知事の所見をお伺いする次第であります。  次に,国の制度改革に対する県の対応についてお聞きをいたします。  現在,医療や福祉,衛生,環境,食の安全,教育など県民の生活に直接大きな影響を及ぼすものの多くは,国が制度をつくり,その制度に従い,地方が事務を行っております。  また,近年立て続けに,医療法や介護保険法の改正,障害者自立支援法の制定,農政改革,教育改革など,県民の生活に大きな影響を及ぼす制度改革が行われております。しかし,当初から,弱者切り捨てなどの批判の声が上がっているものや,リハビリ難民,介護難民などの言葉を生んでいるもの,農政改革のようにいまだに農業関係者の不安が大きいものがあるなど,必ずしも国民や県民の声が反映された改革になっていないと感じるのであります。  真に県民の声が反映された県政を実現するためには,国が制度をつくっているものについても県民の声を届けなければなりません。  しかし,これまでの国の制度改革において,これらの事務に直接携わり,県民に身近に接している県の意見,考え方が十分反映されてきたとは思えないのであります。厳しい言い方をすれば,このような大きな改革に対して,多くの場合,制度理解やその実施に労力を奪われ,これまでの国との上下関係に甘んじ,これらの改革や新しい制度が本当に県民のためになるかなど,制度に対する検証や意見を持とうとしてこなかった県にも責任があると,私の目には映るのです。  仮に,国の新たな制度などが県民を苦しめているにもかかわらず,県は法律に決まっているから国の指示どおり事務を行うだけだとしたら,機関委任事務があった時代と何ら変わりがありません。  これまで,これらの制度改革がなされる場合,地方への事前の情報提供さえも不十分でしたが,幸い,昨年3月の法改正により,国が,地方に新たな事務,負担を義務づける施策を実施する場合には事前に地方6団体に情報提供することになりました。このような情報提供の機会などを生かしながら,国の制度改革に対して,より県民の身近な代表としての知事は国に県民の声を届けるべきではないでしょうか。  また,制度の創設時だけではなく制度の開始後でも,課題が出てくれば直ちに国に要望でなく地方が強く意見を言うことができ,それが反映されるような仕組みも必要であります。既に地方6団体が地方行財政会議の設置などを求めていますが,ぜひ,第2期の分権改革においては,そのような仕組み,制度をつくれるよう地方が一丸となって戦うべきではないでしょうか。  私は,住民の生活に大きな影響を及ぼす制度については,今後は国が一方的に地方に押しつけるのではなく,国と地方が共同して制度をつくっていくくらいの気持ちが必要であると考えております。  そこで,今後,県民の生活に大きな影響をもたらす国の制度改革に対してどのように対処しようとしているのか,知事の所見をお伺いいたします。  次に,工業団地における販売力強化についてお聞きをいたします。  昨年の本県の工場立地面積は全国第1位であるなど,本県の企業誘致は大変好調であります。しかし,これだけ企業誘致が好調であるにもかかわらず,開発公社への委託分や港湾関連用地を含めると,県はいまだに多くの売れ残り工業団地を抱えております。  さらに,土地開発公社等を含めた県の分譲用地の借入残高は何と4,600億円を超え,工業団地分だけでも約1,600億円になっているのです。県が行っている工業団地の分譲は将来の本県の発展のために必要な先行投資でありますので,この数字だけをもって批判する気はありませんが,財政危機が叫ばれる中,毎年金利だけでも約20億円近くも払っている現状にただ漫然と甘えることはできません。  また,売れ残っている工業団地の多くは県が開発公社に委託しているものと開発公社が独自に分譲を行っているものですが,新しい財政健全化法の新たな指標である連結実質赤字比率では特別会計や公営事業会計まで,将来負担比率では土地開発公社などの第三セクターの債務保証や損失補償額まで対象になっております。  現在の厳しい財政状況や新しい財政健全化法の対応を考えれば,今強く求められているのは企業誘致の中でも工業団地の販売推進であります。特に開発公社については,委託している県の工業団地だけではなく開発公社独自の分譲用地も含め,県と開発公社が一体となって販売推進に本気になって取り組まなければなりません。  工業団地の販売を推進するためには,基盤整備など工業団地としての商品力の向上とともに,販売力の強化がより重要であると考えております。  工業団地の販売力とは,販売に当たる部署や職員の情報収集力と営業力ではないでしょうか。どの企業はどのような土地を求めているのかをいち早くつかみ取る能力と,本県の工業団地の優位性を相手の興味を喚起しながら粘り強く説明できる営業的な交渉力などです。特に進出企業の情報を早くつかむことは,だれよりも早く交渉を始めることができ,販売上優位に立つ条件であろうと考えます。  これまで,県は,工業団地という商品をつくりながらそれを積極的に売ろうとする営業の姿勢が足りなかったように感じるのであります。また,工業団地の販売は,工業団地の用地については熟知したプロが相手になります。厳しい他県との販売競争に打ち勝つためにはもはや職員だけでの対応は限界であり,情報収集力や営業力を持った民間人を雇用し,それらの職員を中心に工業団地販売推進のための組織をつくるか,あるいは,思い切って,販売そのものを全面的に不動産会社などの民間に委託することも検討すべきではないでしょうか。仮に民間に委託した場合には,販売額や販売するまでの期間などを考慮した販売実績をもとに委託料を算定するなど,民間のやる気を喚起するような工夫も必要であると考えております。  そこで,工業団地の販売を推進するため,県の販売力の強化についてどのように考えているのか,知事の所見をお伺いいたします。  次に,企業誘致推進のための交通体系の整備についてお聞きをいたします。  平成18年度の首都圏白書では,高速道路ネットワークの整備や本社への交通アクセスの便利さから,北関東や南関東において工場立地が増加を続けているとされています。企業誘致を推進するためには,本県が進める陸,海,空の交通基盤整備は最低限必要な条件であり,特に人間でいえば血管に相当する道路の整備はぜひとも必要であろうと考えます。  まず,圏央道の整備見通しについてお聞きをいたします。  圏央道については,私自身これまで何度も取り上げてまいりました。また,さきの代表質問では,我が会派の江田議員が質問しております。それだけ,県西地区にとって経済波及効果や利便性の向上などに大きな期待があり,県西地域の住民にとっての悲願であります。  圏央道については,県や境町など沿線市町村で構成する協議会が応募した圏央道沿線産業集積化計画策定事業が,国の活動支援事業として採択を受けました。これにより,国から企業立地に関するさまざまな支援策を受けることができるなど,今後,沿線の企業誘致に弾みがつくと期待されております。  また,国や東日本高速道路が発表したつくば牛久インターチェンジから阿見東インターチェンジまでの区間の3カ月間の整備効果では,沿線工業団地への企業立地の促進,観光施設への来訪者の増加,周辺国道の交通量の減少など,早くもその整備効果が生じております。  ただ,平成24年度がその整備目標とされています埼玉県境からつくばインターチェンジまでの区間のうち埼玉県境から境インターチェンジまでの用地買収がかなり進んでいるのに,私の地元境インターチェンジから猿島岩井インターチェンジまではいまだに用地買収も始まっておりません。このまま工事がおくれると,この地域に進出しようとする企業にも不安感を与えるなど企業誘致上もマイナスであります。また,このままで本当に24年度までに開通するのか,我々の地域だけなぜ進まないのかと,住民の間に不安の声も上がっております。  このような企業や住民の不安を払拭し,企業誘致に弾みをつけるためにも,この区間について速やかに用地買収に着手し,工事を開始すべきであります。  そこで,改めて,境インターチェンジから猿島岩井インターチェンジ間の整備スケジュールを含めた圏央道の整備見通しについて知事にお伺いをいたします。  次に,茨城空港へのアクセス関連道路についてお聞きをいたします。  いよいよ,平成21年には茨城空港が開港しようとしております。産業大県づくりのための陸・海・空の交通ネットワークのうち,本県待望の空への交通基盤ができるのです。しかし,首都圏の航空需要を担うためにつくられるのにもかかわらず,いまだ就航会社も就航路線も決まっておらず,一部には,本当に空港なんかつくって大丈夫か,との不安の声が上がっています。県は,空港利用者のための駐車場や空港関連産業などの誘致を見込んで,空港の近くに産業団地の整備を行っております。県は,茨城空港の利用促進に大きな責任があるのです。  私は,利用者を確保できるかどうかは,栃木県,群馬県などの他県の人々と私の地元である県西地域や県南地域の人々にいかに利用してもらえるかにかかっていると思います。  地方空港の最大の利点は,自動車で,しかも簡単に,かつ快適に飛行場までアクセスできることにあります。そのためには,北関東自動車道東関東自動車道の整備とともに,高速道路のインターチェンジをおりてからのアクセスのしやすさが重要であり,空港が開港するまでには茨城鹿島線や百里飛行場線などのアクセス道路を整備する必要があるのです。  また,県西地域から誘客するためには,古河地区と筑西地区とを結ぶ筑西幹線道路の整備も必要であります。この道路は,改めて申すまでもなく,北関東自動車道や圏央道と骨格的な道路ネットワークを形成し,県西地域の活性化へ大きな効果を及ぼす主要な幹線道路であります。茨城空港までのアクセスについてもこの道路の整備により北関東自動車道の活用が容易となり,県西地域からの誘客に大いに寄与すると考えております。  そこで,栃木県や群馬県と茨城空港とを結ぶ北関東自動車道東関東自動車道,及びこの高速道路から茨城空港へのアクセス道路の整備見通しについて,また,県西地域と北関東自動車道を結ぶ筑西幹線道路の整備見通しについて,あわせて知事にお伺いをいたします。  次に,原子力発電所等の耐震性強化と自主消防体制の強化についてお聞きをいたします。  新潟県中越沖地震は,原子力発電所が立地する地域から震源地が約9キロメートルと近く,日本の原子力発電所がかつて経験したことのない,想定をはるかに超える大きな揺れをもたらしました。  今回の地震では,燃料プールから水が漏れたり,敷地内の道路,原子炉のふたをあけるためのクレーン,排気筒などに破損が生じましたが,一番衝撃的だったのは,テレビに燃え上がる黒い炎の映像が映ったときであります。ひょっとしたら原子力発電所が爆発したのではないかとの思いが一瞬よぎりました。さらに驚き,あきれたのは,原子力発電所内にある消火設備の耐震性の低さと,消火に携わる従業員の対応のまずさであります。  今回,消火配管が地震で破断して消火栓から放水ができず消火を断念したことや,消防本部とのホットラインを設置していた建物が被害を受け,中に入れず,ホットラインが使えなかったなど,消火設備そのものの耐震性の低さが問題になりました。  また,今回の柏崎発電所の職員の対応では,油火災であるにもかかわらず消火栓から放水しようとしたり,消火栓のかわりに小型動力ポンプが備わっていたにもかからわずそれを使用しなかったり,社員4人で初期消火を開始したにもかかわらず,結局,消火までに2時間もかかるなど,その対応は大変お粗末なものでありました。  原子力施設内にある施設,設備については,炉心などに比べ耐震性が低い事務棟の建物や消火設備,火災発生の危険性のある機器などについても耐震基準を見直すべきであります。  また,阪神大震災のように,大地震では自治体の消防が十分に機能を発揮できないこともあります。原子力発電所についてはすぐには自治体の支援が得られないことを前提に,夜間や休日を含め24時間消防のための人員確保など自主消防体制の充実が求められます。しかし,設備やシステムを整えても,最終的にはそれを動かす人間が適切な対応をとらなければ意味がありません。災害時はそれでなくても冷静さを失うことが多く,今回の社員の対応のまずさなどを反省の材料とし,ふだんからの消防に対する心構えと,いざというときでも実効性のある訓練が重要であります。  今回の新潟県中越沖地震により,県民の間でも,本県にある原子力発電所等の耐震性と自主消防体制への不安が増大しています。そこで,消火設備等の耐震性の強化を含め,原子力発電所等における自主消防体制への強化についてどのように国や事業者に働きかけ,また実現していこうとしているのか,知事にお伺いをいたします。  次に,多文化共生社会の実現についてお聞きをいたします。  最近,つくば市に限らず,境町などでも外国人をよく見かけるようになりました。現在,本県に在住する外国人は約5万3,000人であり,10年前のデータと比較すると2倍以上の数となっており,国際化は決してビジネスの世界の特別な出来事でなく,我々の生活の中でも身近なものになりつつあります。また,今後,少子化による労働力不足を補うため,外国人労働者の必要性は高まり,在留資格制度の問題もありますが,本県に在住する外国人,しかも短期でなく中長期的に在住する外国人は,ますます増加していくものと考えられます。  本県で暮らす外国人がふえていけば,外国人も特別な存在ではなく,日本人と同様,地域社会の一員であり,ともに生活をしていくという意識を今まで以上に持つ必要があります。異なる文化を持つ者同士がお互いに理解し,協力し合いながら一緒に暮らす,いわゆる多文化が共存する中での共生社会の実現が求められております。  外国人との多文化共生社会を実現するためには,地域の中での外国人と日本人の交流の場の設定や,外国人に日本の文化,習慣等を伝える場を設けるなど,外国人に日本の文化や日本人の習慣,基本的な考え方などを理解してもらうことが必要であります。さらに,我々日本人も,彼らの文化や習慣,考え方を知ろうとする努力も求められております。  また,外国人が我が国での生活に早くなじめるよう支援することも必要であります。外国人が我が国で暮らす場合の最大の壁は,言葉の問題です。生活していく上で不可欠な情報を,日本語だけではなくその国の言葉で,わかりやすく提供しなければなりません。また,外国人が長期間我が国で暮らしていくためには,子供の教育や,病気になった場合の医療,住環境の充実などさまざまな問題や不安に対し,親切,丁寧に相談できる体制も必要であろうと考えます。  私は,外国人がふえているから国際化を図ろうという消極的な考え方ではなく,本県に暮らす外国人が,日本はいいところだよ,その中でも茨城県が最高だよと世界に向けて茨城県を発信してもらえるよう,積極的な姿勢で国際化推進に取り組んでもらいたいと考えています。  そこで,国際化の進展に対応するため,外国人との多文化共生社会の実現に向けてのこれまでの取り組みと今後の対応について,知事にお伺いをいたします。  次に,来日外国人犯罪対策についてお聞きをいたします。  残念ながら,外国人の増加に伴い,外国人による犯罪検挙率もふえております。本県の平成13年の来日外国人の検挙件数は433件であったのに対し平成18年の検挙件数は880件と,2倍以上増加しております。  昨年の4月に多数の犠牲者を出したバージニア工科大学での韓国人学生による銃乱射事件後には,米国内の韓国人は,韓国人と言うだけで偏見の目を持たれました。外国人との多文化共生社会を実現するためには,一部の外国人犯罪者のため,外国人は犯罪者だ,何をするかわからない,などとの誤解や偏見を生まないよう外国人犯罪を減らすことも重要であります。  また,昨年10月には,関東地方や東北地方の一般住宅に強盗を繰り返していた中国人ら14人が逮捕される事件がありました。最近,不法滞在している外国人が犯罪集団を形成し,自動車窃盗などさまざまな犯罪を起こす例がたくさんあります。しかも,従来都会に集中していた外国人犯罪が地方にも拡散する傾向が見られ,これらの外国人は犯罪が終われば本国へ逃亡してしまうため,強盗や殺人など凶悪な事件になりやすい傾向もあります。特にこのような凶悪な事件や犯罪目的の外国人に対しては,厳しく対処し,検挙率を上げなければなりません。  外国人に対する犯罪捜査は,通訳を介した取り調べや捜査が海外にも及び,また,不法滞在や犯罪目的で来日している外国人などは本人特定の方法も難しいなど多くの労力を要し,課題も多いと聞いておりますが,先ほど述べたとおり,多文化共生社会の実現のためにも来日外国人犯罪対策は重要であります。  そこで,来日外国人犯罪に対してどのように取り組もうとしているのか,警察本部長にお聞きをいたします。  また,本部長は,ドイツ日本国大使館一等書記官や,旧通商産業省,総務省など他の省庁の経歴も有し,また,着任に際し,いざというときに頼れる警察でなければならないなど警察力向上に強い決意を述べられております。これまでの豊富な経験を生かし,本県の治安維持に対し本部長としてどのように職責を果たしていくのか,決意を踏まえた答弁もあわせてお願いする次第であります。  次に,小児科と産婦人科の医師不足対策についてお聞きをします。  先月29日に奈良県で,体調を崩し,救急車で搬送されました妊娠7カ月の女性が,計9病院で受け入れを断られ,胎児が救急車内で死亡するという事件が発生しました。深刻な少子化の中,医療の面では小児科と産婦人科の充実が求められるにもかかわらず,このような不幸な事件が発生したことはまことに遺憾なことであります。  現在,医師不足の中で,より深刻なのは,国も認めている小児科と産婦人科における医師不足であります。特に本県では,人口10万人当たりの小児科医は8.2人で全国最低であり,産婦人科医も全国40位であります。水戸市の中心市街地の公的な病院や県立中央病院でさえ医師不足のため小児科と産婦人科が休業しているほど,本県の小児科医と産婦人科医不足は深刻なのであります。  県では,これまで,医学部の学生に対する奨学資金の貸与や初期臨床研修医の受け入れ促進などの支援策に取り組み,今年度からは,さらに女性医師の就業支援や医師不足地域での医師確保にも力を入れております。  しかし,県のこれまでの対策は,全体としての医師不足への対応が主であり,一番深刻な小児科医と産婦人科医不足の解決を主眼とした対策は薄いと感じるのであります。仮に,奨学金制度等により医師が確保できたとしても,それらの方が小児科医と産婦人科医になってもらえるとは限りません。むしろ,小児科医と産婦人科医不足は,過酷な勤務条件や訴訟リスクの高さ,診療報酬の低さなど他の診療科以上に構造的な要因が招いていることを考えますと,その可能性が低いと考えられます。  また,これまでの県の施策は,どちらかといえば中長期的に将来医師を確保していこうというものであり,あすにでも,いや,きょうにでも,すぐ近くで診てもらえる小児科医や産科医を必要とする方々の切実なる要求にこたえようとする面が弱かったと感じます。中長期的な医師確保対策とともに,当面の緊急避難的な小児科医と産婦人科医の確保策にもっと鋭意取り組むべきではないでしょうか。  国でもようやく,昨年の8月に新医師確保総合対策や,先月30日に,大学医学部の定員増や勤務医の過重労働解消のための補助制度創設など6項目の緊急医師確保対策を決定しました。これらの国の施策の中で,当面の小児科医と産婦人科医不足に対しては,小児科医と産婦人科医を重点的に配置する拠点化,集約化の促進や国レベルの緊急医師派遣制度を創設していますが,県としては,小児科と産婦人科の医師不足に対し当面の緊急避難的な対応をも含めどのように取り組もうとしているのか,知事にお伺いをいたします。  次に,本県農業の再生についてお聞きをいたします。  まず,団塊の世代向けの就農対策についてですが,現在,農業は,従事者の減少や高齢化の進行により,本県の代表的な農業地域でも耕作放棄地が増大するなど大変厳しい状況にあります。そのため,経営安定を図るなど農業そのものを魅力的な産業にしていくとともに,その農業を支える担い手を確保,育成していかなければなりません。その対策の一つが,新規就農者の確保,育成であります。  ところで,ことしから,約700万人いると言われている団塊の世代の方々の多くが定年で退職を迎えますが,あるNPO法人の調べでは,これらの方の4割が第2の人生を農村などの田舎で暮らすことを希望し,うち1割が就農を望んでいるとのことであります。新規就農者については,若い就農者をふやすとともに,これまで長きにわたり蓄積された団塊の世代の資力,労力,経験等を農業に生かしてもらうべきであります。国では高齢者対策として団塊の世代の就農推進等の方針を打ち出していますが,80歳近くになっても多くの方が農業を続けていることを考えれば,団塊の世代の方々は,長い間,現役の農業従事者として活躍が期待できるのであります。  しかし,農業は,就農しようとする準備段階から,農地や農機具の確保,その資金繰り,Uターン者でない方にとっては住宅の確保も必要になるなど,多くの課題があります。また,農業を始めた後も,机上の知識だけでは足りず,ある程度の経験が必要であり,売れる作物をつくれるようになるまでには時間がかかります。さらに,都会から就農する人は近所つき合いなどに戸惑うこともあります。就農者の支援としては,就農の準備段階から経営が安定するまで,それぞれのステージに合わせたきめ細かく手厚い支援が必要であると考えます。  就農対策は,新規就農させるのが目的ではなく,就農者に定着してもらい,農業を守ってもらうことが最終の目的であります。そのためには,せっかく就農してくれた人が途中で挫折しないよう,特に就農後の支援策が重要であります。県,市町村,農協等が一体となって農地などの生産現場できめ細かく親切な技術指導を行うなど,茨城県の支援策が一番だ,農業をやるなら茨城県で始めたいと言われるような充実した支援策を行うべきであります。  団塊の世代は昭和22年から24年までに生まれた人であり,大量に退職するのは今後3年の間であります。この最大のチャンスを見逃してはいけません。日本の農業の将来を守ってもらうため,就農希望者を待つのではなく積極的に勧誘するくらいの気持ちで,団塊の世代の新規就農対策に取り組むべきであります。  そこで,団塊の世代の就農対策についてどのように取り組むのか,知事の所見をお伺いいたします。  次に,地産地消を中心とした農産物の販売促進策についてお聞きをいたします。  現在,県内9カ所に道の駅が設置されており,そのいずれにも農産物の直売所が置かれております。直売所は,新鮮で安く,安全な野菜が購入できること,そして自分たちが暮らす地域でとれたものを食べられることから,地域住民を中心に多くの客を引きつけていますが,道の駅に置かれる直売所でも,土曜,日曜日などは大勢の客で賑わいを見せております。猿島地域内でも,境町観光協会が運営する道の駅「さかい」やJA茨城むつみが運営する道の駅「こが」の直売所では,いずれも2億円近い売り上げを記録するほどであります。  ただ,残念なことに,土曜,日曜の賑わいに反し,平日は夕方でも空いていることがあります。道の駅に置かれる直売所は大規模なものが多く,駐車場も広いのにもったいないなと思っております。  先日,環境商工委員会で道の駅「いたこ」を訪れ,そこの管理運営者から話を聞く機会がありました。地元の野菜を売るためには何より集客を図ることが重要であると考え,品ぞろえを多くするため,地元の野菜とともに,あえて市場や農協から地元以外の野菜や魚などを置いているそうであります。最初,生産者からは自分たちのものが売れなくなると不評だったそうですが,実際は相乗効果で売り上げを伸ばしているそうであります。道の駅の直売所での売り上げを伸ばすための一つの参考となる試みではないでしょうか。  現在,県内には道の駅の直売所を含め272カ所の直売所があり,150億円を超える売り上げがあると聞いております。これらの直売所の売り上げをふやしていくことは,地産地消の推進にもつながり,ひいては女性や高齢者の働く場の確保,収入の確保につながるのではないかと思うのであります。  そこで,地産地消を中心とした農産物の販売促進策についてどのようにお考えか,知事の所見をお伺いいたします。  次に,児童生徒の心の健康問題についてお聞きをいたします。  昨年,児童生徒のいじめ自殺が大きな社会問題となりました。それを裏づけるように,警察庁が6月に発表したデータによれば,昨年,国内で自殺した児童生徒の数は886人で,統計を取り始めて以来,過去最高となっております。子供が悩みからみずからの命を絶つ現状は,看過してはならない重大な問題であると考えております。  ところで,ある大学機関が本県を含む5都県の公立小学校の児童3,300人を対象に実施した調査によると,よく眠れない,何もやる気が起きないなどと,臨床レベルの抑うつ症状を示す児童が1割もいるとのことであります。  大人でも抑うつ症状になると仕事や対人関係に影響が及び,それを放置していると固定化し,やがて,うつ病になり,最悪,自殺に至ることがあります。事実,抑うつ傾向を示す子供においても,学業の低下や不登校,自傷行為,拒食症など,さまざまな問題を抱えております。  悩みのない人間はいませんし,特に思春期の時期に悩むことは人間としての成長に欠かせないものと考えます。しかし,先ほどのデータや調査の結果からは,今,学校現場においては,そのような想定を超え,いじめ問題だけでなく,児童生徒の心の健康問題,心のケアに向けての本格的な取り組みが強く求められていると感じるのであります。  心の悩みは,けがなどとは異なり外見からはわかりにくく,悩みそのものも児童生徒一人一人に応じて異なります。悩みを抱えた児童生徒の言葉に耳を傾け,身体の健康状態や行動などを注意深く観察することが求められております。  また,自傷行為や拒食症など深刻な問題については,担任だけで対応するのは難しく,養護教諭や学年主任,保健主任など複数の教員で対応するなど,学校内の連携が必要であると考えております。時にはカウンセラーなどの専門家や精神保健福祉センターなどの関係機関への協力も必要だと考えております。  国からの委嘱事業でありますが,東京都では既に,平成15年から17年度にかけて実施した精神科医による相談活動モデル事業を実施し,その事業から得られた成果をもとに「児童生徒の心の健康づくりQ&A」という冊子を作成し,児童生徒の心の健康問題に対応しようとしております。  そこで,本県の児童生徒への心の健康問題に対する取り組みについてどのように考えているのか,教育長にお伺いをいたします。  次に,学校施設の耐震化問題についてお聞きをいたします。  7月の新潟県中越沖地震は死傷者をはじめ多くの被害をもたらし,多くの方が学校の体育館などで避難生活を送られていました。避難所生活はストレスがたまり大変ですが,もしこの体育館までもが地震で倒壊していたら避難所を確保することもできなくなっていたのです。事実,新潟県中越沖地震では,体育館が壊れて避難場所に使えなかった市町村もあると聞いております。  また,仮に地震が授業中に起こり,子供たちが学んでいる校舎が倒壊したら,子供たちに多くの犠牲者を出してしまいます。体育館に限らず校舎などの学校施設は子供たちが最も多くの時間を費やす場所であり,その安全性は非常に重要であります。  しかし,本県の公立小・中学校施設の耐震化率は44.8%で全国第42位,高等学校でも52.4%で全国30位と,いずれも全国平均を下回っております。耐震化を進める前提となる耐震診断実施率についても,国からは平成18年末までに診断を完了するよう求められているにもかかわらず,全国平均を大幅に下回っております。  本県は比較的大地震が少ない地域でありますが,それでも,境町からひたちなか市に及ぶ本県の32の市町村地域は首都圏直下地震対策対象地域に指定されており,決して油断はできないのであります。  確かに,県も市町村も財政状況が厳しく,さらに学校の統廃合の問題もあり,公立学校の耐震化を全力で推進するのが困難な状況にあります。しかし,公立学校施設は,本県の,いや我が国の将来を担う子供たちの命を預かる場所であります。財政が厳しいことなどを理由に,耐震化に背を向けることは許されません。時には,決断し,何かを優先しなければならないこともあり,新潟県中越沖地震が起きた今だからこそ,県の工夫と努力,そして市町村に対する指導力が問われているのであります。
     そこで,小・中学校施設の耐震化をも含め,公立学校施設の耐震化についてどのように推進していくのか,教育長にお伺いをいたします。  最後に,警察署と交番,駐在所の再編整備についてであります。  先月,住民から意見を募集するため,警察署等再編整備構想がホームページに公表されました。この構想については,すぐに大子町長から,町民の安心,安全が脅かされるおそれがあるとの反対の抗議文が提出され,また,ひたちなか東署管内でも,警察協力団体の役員の方たちが協議会を結成し,反対運動をしているなど,統合のため警察署がなくなる地域の住民は危機感を募らせております。  確かに,警察署は昭和30年から位置が変わっておらず,市町村合併により同一市町村に2つの警察署が存在する地域もあり,さらに,現在の治安状況や行政区域の変更,老朽化した建物などを考えれば,警察署等の再編整備は避けて通れない問題であります。  ところで,欧米先進諸国の警察官の負担人口がおおむね300から400人であるのに対し,我が国と本県の警察官1人当たりの負担人口は,全国では約510人,本県では約650人と著しく高く,本県の警察官の定員は最近の定員増により747人増加しているとはいえ,警察官はまだまだ不足している状況であります。警察署等がどこに配置されるかは,決して行政上の都合からではなく,この限られた警察官の力を最大限効果的に発揮するよう,地域の治安対策上の視点から見当されるべきであります。  また,警察署等の存在そのものがある意味で犯罪の最大の抑止力になり,住民の方々にとりましては治安に対する何よりの安心感を与えます。今回の再編整備構想に対する反対も,住民への周知と説明不足が住民の反対を招いているように感じます。警察署等の再編整備については,住民への不安を解消するためには,再編整備が何のために行われようとしているのかを十分周知し,その上で住民からの意見を聞くことが重要であります。  そこで,今後の警察署等の再編整備をどのような観点から行おうとしているのか,また,住民の意見をどのように反映していこうとしているのか,警察本部長にお伺いをいたします。  以上で,質問を終わります。  ご清聴ありがとうございました。(拍手) 6 ◯議長(飯野重男君) 半村登君の代表質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 7 ◯橋本知事 半村登議員の御質問にお答えいたします。  県民の声が反映された県政の実現についてでございます。  まず,広報広聴行政の成果と今後の充実策についてお答えいたします。  私は就任以来,開かれた県政運営を進めるため,県民に県の施策を広く周知し,理解を深めますとともに,多くの県民の声が県政に反映できるよう,広報広聴活動に力を入れてまいりました。  具体的には,広報活動においては,就任後,県広報紙「ひばり」を年4回発行から毎月発行に拡充いたしましたほか,県のホームページを全国で2番目に早く開設し,随時,内容を充実するなど,積極的な情報提供に努めてきたところであります。  一方,広聴活動では,就任後創設した「明日の地域づくり委員会」などから成る「いばらき創り千人委員会」や「知事と語ろう明日の茨城」などを通し,さまざまな提言や御意見を伺ってきたところであります。これらの結果,県政世論調査において,県からの情報をいずれも見聞きしない人の割合が就任時の平成5年には16.8%であったものが,平成18年には8.6%と半減してきております。  また,県民からいただいたたくさんの提言,意見につきましても,施策への積極的な反映に努めてきたところであります。  このように,広報広聴活動については一定の成果を上げてきたものと認識しております。  今後の充実策でございますが,知事との対話集会については,昨年度から総合事務所単位から地域の中心となっている市単位の開催に切りかえ,回数を2回から8回へと大幅に拡大してきたところであります。また,これまでも夜間の開催や会場周辺地域の訪問などを行ってきたところでありますが,対話集会の休日開催や会場での提案用はがきの配布など,御提案をいただきました点については,今後,県民の皆様の御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えております。  なお,近年,新聞を読まない人がふえてきている状況も見られますので,新たにコンビニエンスストアに協力をいただき,提案用カードや県広報紙「ひばり」をコンビニにも配置してまいりたいと考えております。  次に,国の制度改革に対する県の対応についてでございます。  県におきましては,これまでも本県単独で,あるいは知事会を初め地方6団体とも連携し,国の政策,制度の構築や改革について提案,要望を行ってきたところであります。  例えば,昨年4月に施行された障害者自立支援法においては,福祉サービス施設の利用者負担が障害者によっては働いて得られる収入を上回ることとなり,通所を断念したり,必要なサービスを利用できないケースも生じていることから,利用者負担の軽減措置を求める要望,あるいは,医療制度改革にあっては療養病床制度がまだ十分に普及もしないうちに再編成されることとなったことから,在宅医療などの受け皿を整備することや,不足する医師の安定確保対策に関する要望,さらには,合併市町村の一体性の確立が図れるよう商工会議所と商工会の合併に関する法整備の要望など,住民生活に直結する政策などについて機を逸することなく対応してきているところであり,今後とも,地方の実情を踏まえ,積極的に提案,要望を行ってまいりたいと考えております。  また,近年,中央省庁の中で,地方の事務とした方が適切に処理できるにもかかわらず,地方自治体を飛ばして直接民間団体へ補助事業等を行うといった地方分権の流れに逆行するかのような動きも出てきております。そういったことから,これらに対しては,知事会などとも連携しながら,その見直しに鋭意取り組んでいるところでございます。  しかしながら,まだまだ国の政策や制度設計に地方の声が十分に取り入れられているとは言えないのが現状であり,これを何とかして打開していくことが必要であります。  議員も御指摘の(仮称)地方行財政会議は,国の政策,制度の立案,執行過程において国と地方が対等の立場で直接協議を行い,地方の意見を反映させていくシステムとして大変重要な制度であると考えております。このため,知事会を初め地方6団体におきましてはその法定化を国に強く求めているところであり,ぜひとも実現していきたいと考えております。  いずれにしましても,国が地方に大きな影響を及ぼす政策や制度の設計等を行う際には,住民生活に身近な地方自治体の意見がしっかりと反映され,真に地方の実態を踏まえたものとなるよう,今後とも地方6団体とも連携しながら,国と地方の新たな関係の構築に向け全力で取り組んでまいりたいと存じます。  次に,財政再建下における工業団地の販売力強化についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,工業団地の早期分譲は県財政再建の観点からも極めて重要な課題であり,その販売力強化のためには情報収集力と営業力の一層の向上が必要であると認識しております。このため,平成18年度に産業立地推進東京本部を設置し,年間680件の企業訪問を実施するなど情報収集に努めますとともに,積極的な営業活動を展開しております。  また,毎年,都内など主要都市において開催している産業用地と港湾の説明会では私みずから本県の立地優位性を訴えてまいりましたが,年々参加者もふえており,関係者からは高い評価をいただいておりますし,地元銀行と連携しながらの現地視察会も実施をしているところであります。  そのほか,情報収集につきましては,日常の業務で得られる各種メディアからの情報のほか,他よりも先んじて投資計画を把握するため,私を初めとする職員の地縁,血縁,あるいは同窓生のつながりなどあらゆる関係を活用しますとともに,民間企業等に対し紹介手数料を支給することとし,積極的な収集に努めているところであります。  さらに,本県独自の販売力強化策として民間人の活用にも取り組んでおります。  平成16年度から三菱化学の元鹿島事業所長に県の企業誘致担当顧問をお願いし,石油化学コンビナート関連企業等のニーズを的確にとらえたアプローチを行った結果,現在まで鹿島地域において7件の誘致に成功しております。また,民間企業OBの企業誘致エキスパートや常陽銀行の担当部長が産業立地推進東京本部に常駐し,県職員と連携して誘致活動を実施し,成果を上げております。  今後もさらに販売力を高めるため,経済アナリストや本県ゆかりの方々などの知見や経験を積極的に活用し,徹底した情報収集と分析をしてまいりたいと存じます。  そして,本県の産業基盤や既存の企業集積を生かせる業種を誘致ターゲットとして,戦略的な営業を行ってまいりたいと考えております。  工業団地の販売を民間企業に委託することにつきましては,投資計画の情報源が系列企業に偏るなどのさまざまな問題もあります。県としては,本年度から対象をすべての企業と個人に拡大した紹介手数料制度などによって民間の活用を図ってまいりたいと考えております。  次に,企業誘致推進のための交通体系の整備についてお答えいたします。  まず,圏央道の整備見通しについてでございます。  圏央道は,首都圏の広域交通ネットワークを形成し,県南,県西地域の活性化はもとより,県全体の交流,発展に大きく貢献する重要な道路であり,平成17年11月には国から各区間の開通目標が示されたところであります。  県内区間の整備につきましては常磐道側及び東北道側から順次進められており,(仮称)つくばインターチェンジから(仮称)江戸崎インターチェンジ間につきましては一部の区間で既に供用開始されておりますほか,その他の区間につきましては,平成21年度までの開通目標に向けて高架橋や盛土工事が行われております。  また,(仮称)江戸崎インターチェンジから千葉県境間,及び(仮称)つくばインターチェンジから埼玉県境間につきましては,平成24年度の開通目標に向けて,道路設計や用地買収,工事などが進められているところであります。  このうち(仮称)境インターチェンジから(仮称)猿島岩井インターチェンジ間約9キロメートルにつきましては,これまで地質調査や測量調査を実施してまいりましたが,その結果をもとにした道路設計が完了しましたことから,本年秋に地元説明会を実施し,用地幅杭設置及び用地測量が行われる予定となっております。  県といたしましても,他県におくれることなく,着実な整備促進が図られますよう,地元関係市町と連携を図りながら国等へ働きかけを行ってまいります。  次に,茨城空港アクセス関連道路の整備見通しについてでございます。  まず,北関東自動車道についてでございますが,友部インターチェンジから笠間西インターチェンジまでの区間は本年11月,その先の(仮称)岩瀬インターチェンジまでの区間は平成20年度,さらに,東北自動車道までの区間は平成21年度の開通に向け,順調に工事が進められております。  また,東関東自動車道水戸線につきましては,北関東自動車道と接続する(仮称)茨城町ジャンクションから,茨城空港の玄関口となる(仮称)茨城町南インターチェンジまでの区間において,平成21年度の開港に合わせた開通に向け,鋭意工事が進められております。  次に,高速道路からのアクセス道路としましては,県道茨城鹿島線,県道紅葉石岡線バイパス,さらに空港エントランス道路として新設する県道百里飛行場線などの整備を推進しているところであり,茨城空港の開港に合わせた開通を目指してまいります。  次に,筑西幹線道路につきましては,平成17年度に関城バイパスが全線開通したことから,現在その南側の(仮称)鬼怒川新橋の整備に重点的に取り組んでおります。  また,国では,北関東自動車道(仮称)岩瀬インターチェンジと接続する国道50号の4車線化を進めており,さらに,筑西市と古河市では合併特例債を活用した整備が進められております。  今後とも,県西地域から北関東自動車道へのアクセスの向上を図るため,国,県及び市町が連携し,早期整備に努めてまいります。  次に,原子力発電所等の耐震性強化と自主消防体制の強化についてお答えいたします。  まず,原子力発電所等の耐震性強化についてでございます。  県といたしましては,地震発生後直ちに,原子力発電所の立地道県知事の連名により,国に対し,今回の地震について詳細な解析を速やかに行い,昨年改定された耐震設計審査指針の妥当性を早急に検証することや,地震等で火災が発生した場合,休日,夜間を含めた自衛消防の強化などについて適切に指導し,原子力発電所等の安全確保を図るよう,特別要望を行ったところでございます。  また,原子力安全協定を締結している全事業所に対し,消火用設備,資機材の充実強化や,休日,夜間における自衛消防隊員の迅速な招集体制の確立など,消火体制の充実強化等を,さらに日本原子力発電株式会社及び日本原子力研究開発機構に対しては,耐震安全性の確認をあわせて要請したところであります。  議員御指摘のように,炉心に比べて耐震性の低い消火設備や,消防本部とのホットラインを設置していた建物等に被害が発生したことから,国は委員会を設置し,これら設備の耐震性向上対策や特に消火設備については多重性,多様性の確保などについて検討していくこととしております。  県といたしましては,消火設備等の耐震性の一層の強化を図るべく,今後の国の検討結果も踏まえ,事業者に改善を求めてまいりたいと考えております。  次に,自主消防体制の強化についてでございますが,原子力安全協定を締結している全事業所が公設消防との共同訓練を毎年実施していくよう検討を始めているところであります。  さらに,日本原子力発電株式会社,日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター及び核燃料サイクル工学研究所においては,今回の地震を踏まえ,自衛消防隊を24時間常駐させることとしております。  また,日本原子力発電株式会社においては,化学消防車に加えて,タンク車を配備することとしております。  県といたしましては,今後の国の検討結果も踏まえつつ,消火設備等の耐震性の強化や自主消防体制などにつきまして事業所を適切に指導し,その改善状況を事業所への立入調査において確認しますとともに,訓練によりその実効性を確保してまいりたいと考えております。  次に,国際化時代に対応するための住みよい茨城づくりについてお答えいたします。  外国人との多文化共生社会の実現についてでございます。  近年,外国人登録者数の増加や定住化が進む中,多文化共生社会を実現していくことが住みよい地域づくりの面から大変重要であると考えております。  このため,本県といたしましては,昨年3月に茨城県国際化推進計画を策定し,多文化共生社会の実現を第一の柱に位置づけ,茨城県国際交流協会や市町村と連携を図りながら各種の事業を実施しているところであります。  具体的には,議員御指摘のとおり言葉の問題が第一と考えられますことから,5カ国語による生活ガイドブックの発行やインターネットによる情報提供,外国人相談センターの運営などに取り組んでいるところであります。また,在住外国人による懇談会の提言を受け,外国人が地域社会に早くなじめるよう生活オリエンテーションを実施したり,語学ボランティアの育成を図るなど,多文化共生の地域づくりに取り組んでおります。さらに,県民の異文化に対する理解促進を図るためのシンポジウムを開催しているところであります。  今後は,外国人実態調査などにおいてニーズの高い医療や災害,教育について,病院への通訳ボランティアの派遣や災害時における多言語での情報提供,児童生徒を対象とした日本語教室の充実などの生活支援に取り組んでまいりますとともに,諸問題に迅速に対応できるよう,市町村,国際交流協会,NPO法人等との連携を一層強化することにより,世界とともに生きる茨城を目指し,多文化共生社会の実現に努めてまいります。  ちなみに,去る9月1日に龍ケ崎市で行われました総合防災訓練においては,地震などの災害時に外国人住民が適切に対応できるよう,初めて在住の外国人にも訓練に参加していただいたところであります。  次に,小児科及び産婦人科の医師不足対策についてお答えいたします。  県では,医師が直ちには確保できない中で必要な医療体制を確保するため,昨年度,当面の対応策としての集約化,重点化の必要性について,周産期医療協議会及び小児救急医療協議会で検討していただきました。  その結果,産科につきましては,現状ではこれ以上の集約化は困難であり,3カ所の総合周産期母子医療センターを中心とした体制の充実等を図ること,小児科につきましては,重症患者に24時間,365日対応できる小児救急医療体制を確保するため,中核病院等への集約化,重点化を図ること,という旨の御提言をいただきました。これに基づき,今年度,小児科の集約化,重点化について検討を進めているところであります。  さらに,小児専門医以外の内科医等について研修を実施し,これらの医師にも積極的に小児救急患者の診療に携わっていただけるように努めますほか,子ども救急電話相談の相談日を平日のみから毎日に拡大するなど,小児救急患者の9割を占める軽症者への対応の拡充を図っているところでございます。  また,当面の医師確保策といたしましては,40歳未満の小児科,産婦人科の医師ではその4ないし5割が女性であることから,短時間勤務などの働きやすい環境づくりを行った病院に奨励金を支給するなどの支援策を講じているところであります。  さらに,各医療機関から医師確保について県に相談がありました場合には,県関係の人的ネットワークを最大限に活用しつつ,一人でも多くの医師が確保できるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。  一方,中期的な対応といたしましては,小児科,産婦人科の専門医を目指す研修医(後期研修医)の増加を図りますため,他県に先駆けて奨励金制度を創設し,昨年度は6名(小児科3名,産婦人科3名)に支給し,本年度は新たに十数名に支給予定であります。さらに,今年度からは,後期研修医受け入れ病院に対する指導経費等を助成し,支援を拡充することとしております。  今後とも,県民が安心して医療を受けられるよう,医師の確保と医療体制の充実を図ってまいります。  次に,本県農業の再生についてお答えいたします。  まず,団塊世代向けの就農対策についてでございます。  農業従事者の減少や高齢化が進む中,担い手の確保,育成は本県農業の維持,発展を図る上で大変重要な課題でありますので,団塊の世代も含めて新規就農者の確保に努めているところでございます。  具体的には,県農林振興公社に設置しております新規就農相談センターにおいて就農相談や研修,引っ越し等に必要な資金の貸し付けに取り組みますほか,毎年,東京で開催される全国就農相談会に本県も参加し,就農希望者を積極的に勧誘しているところであります。  また,県立農業大学校においては,農業を始めようとする方を対象とした「いばらき営農塾」に本年度から新たに団塊世代向けの就農支援講座を創設し,テレビ,ラジオ等の広報媒体を活用するほか,県内企業に出向いて退職見込み者に対する本講座の積極的なPRに努めており,その結果,定員を上回って受講者を受け入れているところであります。  さらに,新規就農者が定着するための支援策といたしまして,農業改良普及センターにおいて市町村やJAと連携し,定年帰農者を対象とした農業入門講座を開設するほか,作付計画の作成や病虫害の診断など実施上の課題に対して個別に巡回しフォローアップを行うなど,きめ細かく支援しているところでございます。  このほか,県北地域におきましては,茨城みどり農協が定年退職を迎える方々をリストアップし,個別面談による勧誘を通じて,これまでに18名の就農者を確保したと聞いているところであります。  今後,JAでは,こうした取り組みについて全県的に広げていくとしておりますので,県といたしましても一体となって推進してまいりたいと考えております。  新規就農者の確保については,就農の準備段階から経営が安定するまでそれぞれの段階に合わせたきめ細かな対応が極めて重要でございますので,農業をやるなら茨城県で始めたいと言われるよう,今後とも新規就農対策の充実に努めてまいります。  次に,地産地消を中心とした農産物の販売促進策についてでございます。  本県農産物の販売促進につきましては,大消費地である首都圏への売り込みと地産地消を車の両輪ととらえ,事業の展開を図っております。  まず,首都圏におきましては,農産物販売推進東京本部が中心となり,商談会の開催や個別の営業活動,いばらき農産物提供店の指定拡大などにより,本県産農産物のPRと販売促進に努めております。  一方,県内につきましては「うまいもんどころ食彩運動」を展開し,県産品販売指定店による販促活動や,本県農業を応援してくれるいばらき農産物サポーターの活動,学校給食への地場産品導入などを積極的に支援して,地産地消を推進しているところでございます。  特に,道の駅も含めて,農産物直売所につきましてはこの5年間で約1.3倍と増加し,女性や高齢者,新規参入者などの活躍の場,そして消費者と直接交流する場となっているなど,地域農業の活性化や地産地消を進める上で大変重要な施設であると考えております。  このため,県といたしましては,周年出荷に向けた施設整備や新たな品目の導入,地場産品を使った漬物やジャムなどの加工品の開発などを推奨し,新鮮で安心な農産物を安定して供給できる体制づくりを推進しているところであります。  さらに,消費者にとって魅力ある直売所となるよう,研修会の開催や相互の情報交換の場などを通じて集客や品ぞろえの工夫も紹介するなどの支援を行い,本県農産物の販売拡大につなげてまいります。 8 ◯議長(飯野重男君) 次に,小風警察本部長。                   〔小風警察本部長登壇〕 9 ◯小風警察本部長 来日外国人犯罪対策についてお答えいたします。  議員御指摘のとおり,本県の平成18年中における来日外国人犯罪検挙状況は,5年前と比べ,件数は約2倍,人員は約1.4倍と大幅な増加となっております。また,入管当局との合同による不法滞在者等の摘発人員も年々増加しているところであります。  来日外国人犯罪の多くは,県民が身近に不安を感じる侵入窃盗の空き巣を初め,自動車盗,車上ねらい等の窃盗事件ではありますが,その手口も,広域,悪質かつ組織的な犯行が目立っている状況であります。  警察といたしましては,これらの情勢を踏まえ,悪質,組織的な犯罪の検挙に重点を置き,捜査体制の強化,他県警察との緊密な情報交換に積極的に取り組むとともに,組織的犯罪を容易ならしめる各種証明書の偽造等の犯罪インフラ事犯の取り締まりを推進し,犯罪組織の実態解明と徹底検挙に努めているところであります。  また,来日外国人犯罪の温床とも言われる不法滞在者につきましては,東京入国管理局との合同摘発を初め,不法滞在を助長する犯罪を根絶するため昨年設立いたしました茨城県来日外国人不法滞在・不法就労防止対策協議会加盟の機関,団体と連携をとるなどして,これら犯罪の摘発をするなど,諸対策について積極的に推進しているところであります。
     警察といたしましては,とりわけ来日外国人犯罪対策は,治安確保の上で重要な課題の一つと認識しており,今後とも強力に推進して,検挙率向上に努めてまいる所存であります。  そこで,議員から過分なる御紹介がありましたが,私は,本県警察本部長を拝命するに当たり,安全で安心して暮らせる地域社会確立のため,いざというときに頼りになる警察であるとともに,体感治安のさらなる改善を図り,300万県民の信頼にこたえてまいる旨申し上げており,与えられましたこの重責を果たすため全力を尽くしてまいりたいと考えております。  次に,警察署等の再編整備問題についてお答えいたします。  議員も御承知のとおり,この問題につきましては本年当初より本格的策定作業に取り組んできたところであります。  その目的は,中長期的展望に立ち,茨城県警察の治安活動の拠点となる警察署及び交番,駐在所のあり方を治安情勢や社会・経済情勢の変化に適合したものに見直すことにあります。議員御指摘のとおり,限られた警察力を最大限効果的に発揮できる体制を確立し,一層の強化を図ろうとするものであり,本県の治安対策を推進する上で避けて通れないものと考えております。  また,住民の意見をどのように反映しようとしているかという御質問ですが,有識者懇話会の提言を踏まえて策定した警察署等再編整備構想に対して8月中にパブリックコメントを求めたところ,数多くの御意見,御要望が寄せられたところであります。  警察といたしましては,県民の皆様の御意見等を把握した上で,300万県民が安全で安心して暮らせる地域社会をいかに確立していくかという観点に立ち,警察署等再編整備計画案を策定し,さらにこの案についての説明会等の開催により,広く県民の皆様にお知らせをして,貴重な御意見をいただくこととしております。 10 ◯議長(飯野重男君) 次に,稲葉教育長。                    〔稲葉教育長登壇〕 11 ◯稲葉教育長 子供たちが学校で安心して学べる教育環境の整備についてお答えをいたします。  まず,児童生徒の心の健康問題についてでございます。  議員御指摘のとおり,心の健康問題を抱えた子供たちへの対応につきましては,子供たちのわずかな変化や問題の早期発見に心がけるとともに,校内の支援体制づくりや関係機関等との連携協力が必要でございます。  このため,本県におきましては,児童生徒の理解や対応,保護者との連携を含めた支援体制のあり方など教員の資質向上に努めるとともに,平成14年度から文部科学省の健康相談活動支援体制整備事業,平成16年度からは学校・地域保健連携推進事業により,専門医の派遣や相談活動の充実等を進めているところでございます。  これらの事業の一環として,平成16年度には,心の問題についての正しい理解,具体的な対応策,専門機関の紹介等を盛り込んだ「すこやかな心を育むために」と題するリーフレットを作成し,すべての学校に配布するとともに,県教育委員会のホームページにも掲載して,広く活用いただいているところでございます。  児童生徒の心の健康問題につきましては,それぞれの学校において,教員,学校医,専門機関関係者等がチームとして機能し,問題に対応できるよう指導するとともに,専門的な対応として,スクールカウンセラーの配置と活用の拡充や,県教育研修センター,教育事務所等の教育相談窓口における専門医の相談も実施しているところでございます。  今後とも,医療機関や関係機関と積極的に連携して,学校の取り組みや教育委員会による支援策の充実を図り,児童生徒の心の健康問題への適切な対応をより一層充実させてまいります。  次に,公立学校施設の耐震化についてお答えをいたします。  まず,本県の県立学校の耐震化につきましては,これまで,国の中央防災会議で決定された「南関東地域直下の地震対策に関する大綱」において著しい被害を生じるおそれのあるとされた県南西部地域内の建物を中心に耐震改修を行ってまいりました。  また,市町村立の小・中学校につきましては,阪神・淡路大震災を契機に制定された地震防災対策特別措置法に基づく地震防災緊急事業5カ年計画に組み入れて耐震化を図るとともに,耐震診断実施率や耐震化率の低い市町村を訪問して,学校施設の早期耐震化を要請してまいりました。  しかしながら,県,市町村ともに財政状況が極めて厳しいことなどの理由から,議員御指摘のとおり,本県における公立学校の耐震診断実施率,耐震化率はともに全国的に低位にある状況でございます。  こうした中,県では,平成17年11月に耐震改修促進法が改正されたのを受け,本年3月に,茨城県耐震改修促進計画を策定し,県立学校については平成27年度を目標に100%の耐震化を図ることとし,市町村立の小・中学校につきましてはその目標値を90%としたところでございます。  また,市町村においては,耐震改修促進法の趣旨に沿って,市町村耐震改修促進計画の策定が進められているところでございます。  県といたしましては,県立学校については特に耐震性が低い建物から優先的に改修を実施し,県の耐震改修促進計画に沿った計画的な耐震化を推進してまいります。  一方,小・中学校につきましては,国の補助制度である「安全・安心な学校づくり交付金」において今年度から地震防災緊急事業5カ年計画に組み入れた事業については,地方債の元利償還金が交付税措置され,財政措置が拡充されたことから,この制度の活用などにより耐震化が促進されるよう,市町村に対し積極的に働きかけてまいります。           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 12 ◯議長(飯野重男君) 暫時休憩いたします。  なお,会議再開は,午後2時40分を予定しております。                     午後2時20分休憩           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━                     午後2時43分開議 会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続) 13 ◯議長(飯野重男君) 休憩前に引き続き会議を開き,会派代表による県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。  公明党井手義弘君。                  〔46番井手義弘君登壇,拍手〕 14 ◯46番(井手義弘君) 公明党の井手義弘でございます。  会派を代表して橋本知事並びに病院事業管理者に質問をいたします。  4期目の折り返し点に差しかかった橋本知事にとって,まさに最終コーナーを抜けてラストスパートに入る重要な時期であります。4期16年の橋本県政の総仕上げのときに当たり,知事の積極的で明快な御答弁を期待いたします。  戦後60年以上が過ぎ,戦争の記憶が薄れつつあります。今や戦争を体験した戦前生まれの世代の割合は4分の1にまで減り,広島,長崎の被爆者の平均年齢は75歳になろうとしています。戦争や被爆体験を直接聞くことができる機会は今後ますます減ってまいります。  だからこそ,国民一人一人が戦争体験の風化に立ち向かおうとの決意と行動が大切になります。歳月が過ぎ去ろうとも,戦争の残酷さ,原爆の悲惨さを次世代に語り継ぎ,世界に発信していく努力をさらに強めていかねばなりません。  こうした状況の中,昨年10月に北朝鮮が核実験を発表したことや,イランの核開発疑惑など,核をめぐる国際社会の環境はその厳しさを増しています。  一方,国内に目を向けると,日本の核武装も議論されてもいいと公言する政治家があらわれ,参院選前には久間元防衛大臣が日本への原爆投下を,しようがなかったと発言するなど,憂慮すべき事態が起きております。  核兵器保有を国家戦略上の優先課題と考える指導者や,核武装論を唱え,しようがないと発言する政治家の考えの背景には,核兵器を現実の存在として受け入れる核の容認,核との共存の考えがあります。これは,唯一の被爆実体験を持つ日本人としては全く受け入れられない立場であります。  被爆国日本は,核兵器の非人道性と残虐性を世界に訴え,核廃絶へ向けての強いメッセージを発信していくべきであります。核兵器の使用はいかなる理由があっても許されない,絶対悪であるとの思想に基づき,断固たる決意で核廃絶を目指し闘っていく必要があります。  そのために,まず足元から核廃絶の思想を広めなくてはなりません。戦争や核兵器の恐ろしさや残酷さ,それを次の日本の背負う子供たちへしっかりと伝える必要があります。そのために,核兵器は絶対悪であり,この世界からなくしていかなければならないものであるということをしっかりと我々大人が教える必要があります。  我が県においては高校の教育課程で道徳が必修化されましたが,平和に関する問題や原水爆禁止への考え方については,残念ながら余り触れられておりません。  そこで,本県における核廃絶への橋本知事の御所見と平和教育への取り組みについて,まずお伺いをいたします。  続いて,地域格差是正と財政再建への取り組みについてお伺いをいたします。  7月29日に投開票が行われた参院選は,自民,公明の与党に対して大変厳しい結果となりました。  その要因の一つに,都市と地方の格差の拡大の問題があります。小泉首相,安倍首相と続いた改革の過程で地域間格差が拡大し,地方や農村が疲弊し,そこに住む住民,特に高齢者など,いわゆる生活弱者の不安が増大しています。  都市と地方,特に東京とその他の地方との格差の拡大は,ジニ係数などの統計学的な分析結果以上に深刻になっていると言わざるを得ません。さまざまな指標が,東京一極集中,一人勝ちの実態を雄弁に物語っています。  例えば,1人当たりの県民所得の推移を見てみたいと思います。平成8年度の茨城県の1人当たり県民所得は314万8,000円でした。統計がまとまっている直近のデータである平成16年度は,292万円9,000円と約7%も減少しています。一方,東京都は,428万2,000円であった1人当たり県民所得が455万9,000円と約6.5%上昇しました。その結果,茨城県と東京都の所得の格差は,平成8年度が茨城を1とすると東京は1.36倍であったものが,平成16年度には1.56倍にと広がっております。  こうした格差拡大の背景には,地方自治体の基幹税である法人二税の格差があります。現行の地方税制では,大企業が拠点を持つ自治体に税収が集中する仕組みで,その結果,東京など都市部と地方の差が大きく広がっています。  平成17年度の住民1人当たりの法人二税の税額は,東京が15万9,856円ですが,本県は5万3,049円と3倍以上の差が出ております。最低の長崎県とは,その格差は何と6.5倍にも広がります。  国が進める政策が,地方の活性化にはつながらず,格差の拡大に拍車をかけている事実を否定することはできません。  一方,民主党は参院選で格差是正を掲げました。子ども手当の創設,農家への戸別所得補償制度など15兆3,000億円の新規施策をマニフェストに盛り込みました。財源を行財政改革などで確保するとして,補助金の地方への一括交付や特殊法人,独立行政法人の原則廃止などで捻出すると主張しています。  しかし,地方財政にとって,現状の消費税をすべて年金目的税にするなど,地方消費税の重要性を全く無視した政策であります。地方への補助金を一括交付金化することで1兆円余りを削減するとしていますが,これは地方にとってむしろ死活問題であると言わざるを得ません。  参院選の結果をもってしても,政府の都市と地方との格差を縮めるための具体的方策は明確になっていません。対する野党の政策も絵にかいたもちでは,われわれ地方に生きる者にとって何を希望に生きていけばよいのかと,深いため息が聞こえてまいります。  このような閉塞的な現状を見るとき,県を中心とする地方自治体そのものが,国や国民に対し,現状を打開するための具体的な声を今まで以上に上げなくてはなりません。  そこで,この現状を打開するためのキーパーソンこそ,我が県においては橋本知事であることは論を待ちません。  そこで,知事にお伺いをいたします。  待ったなしの都市と地方の格差是正のための方策,地方の活性化のための方策について,知事はどのような提案やビジョンをお持ちでしょうか。そして,それを国やより多くの国民にどのように訴えようとされているのか,お尋ねをいたします。  引き続きまして,財政再建のための県地方総合事務所を初めとする出先機関の統廃合及び県単独補助金の見直しについてお伺いをいたします。  総合事務所及び出先機関の統廃合の検討は,実に約30年ぶりの大改革となります。市町村合併やIT社会の進展,高速交通網の整備などさまざまな面での社会環境が大きく変化したことを踏まえ,本庁との役割分担を見直して,廃止も視野に入れた大胆な検討を進めることは当然必要なことであります。  しかし,私ども公明党は,こうした統廃合の議論は,単なる経費節減の視点だけで進めてはならないと考えています。この場でそのあるべき検討の視点を3つに整理しておきたいと思います。  その第1点は,県民の生活や利便性にマイナスがあってはならないということです。その意味では,受付や相談窓口は,地理的な利便性を考慮しながら,できるだけワンストップサービスが実現できるよう集約化が必要だと考えます。  第2点は,市町村への権限と機能の移譲を積極的に行い,地方分権の流れを促進するものであることが重要です。  第3点は,不法投棄防止などの環境保全や農業の振興など今まで以上に強化すべき課題に対しては充実強化を行う,めり張りのきいた再編整備でなくてはならないと思います。  県議会でも財政再建等調査特別委員会での活発な議論が続いています。こうした議論を十分に尊重した上で,知事の思い切った決断を期待するところであります。  一方,市町村への県単独補助金削減では,市町村が徴収する個人県民税の徴収率の結果に基づき,徴収率の低い市町村に対し,県からの補助金を削減する方針が示されています。  個人県民税の徴収率は全国下位レベルに低迷し,県財政への影響が大きいことから,市町村がより真剣に取り組むように誘導することがねらいであると報道されています。  既に制度設計の検討に着手し,本年度の徴税実績も考慮しながら,早ければ21年度にも導入する考えと聞き及んでおります。あわせて,市町村の財政力に応じた補助金削減も検討していく方針と伺っています。  ただし,この補助金削減に対しては多くの市町村が難色を示しており,さきに毎日新聞社が実施したアンケート調査では,賛成はわずか12市町村で,全体の48%に当たる21市町村が反対の姿勢を示しております。  以上のような状況を踏まえ,出先機関の統廃合と補助金の支給基準の見直しについて,知事のお考えをお示しいただきたいと存じます。  一方,県出先機関の統廃合と同時に,警察署の統廃合の議論も進んでいます。県民の安心・安全を守る立場からは非常に重要な問題であります。効率論だけでは解決できない課題であると考えております。そこで,今回の大子警察署を初めとする3つの警察署の統廃合について橋本知事はどのような御見解をお持ちなのか,あえてこの場でお伺いしたいと思います。  次に,県民の生命と健康を守る体制整備についてお伺いをいたします。  まず,がん対策の推進についてお伺いをいたします。  がん治療は,外科手術による摘出,放射線治療,抗がん剤等による化学療法の3本柱から成り立っています。従来,日本では,がん治療は外科的切除手術が中心に行われた経緯があり,放射線治療や化学療法は,外科的治療ができなかった場合の二次的な治療であるとか末期がんの治療法であるといった誤解が生じています。  放射線治療体制の充実につきましては,ことし3月の定例県議会におきまして我が会派の高崎進議員が県立中央病院の現状を指摘し,その整備,充実を強く訴えたところであります。  橋本知事におかれましては,我が党のこうした提案を真摯に御検討いただき,今回の補正予算案には,県立中央病院のがん診療施設等の整備事業が具体的に盛り込まれました。この御英断に敬意を表したいと存じます。  現在,県立中央病院に導入されているリニアックは,従来のX線やガンマ線治療機に比べて正常細胞への影響が少ない放射線強度変調治療装置,いわゆるIMRTと呼ばれる最新の機械であり,全国でも100台程度しか配備されていない高性能の機器であります。  しかしながら,実際の運用に当たっては,通常のリニアックとしての需要が大きく,また専門医が1名しか配置されていないなどマンパワーの不足から,IMRTとしての運用を行うことができない状態が続いています。適切な表現ではないかもしれませんが,まさに宝の持ち腐れの状態になっています。こうした現状を打破するためにも,リニアックの増設は当然の結論であると評価いたします。  ただし,単なる設備の充実だけでは万全ながん治療体制を構築することはできません。放射線治療や化学療法の専門家の確保など多くの課題もあり,私はこうした課題にも積極的に取り組む必要があると思います。  県では,来年3月を目途に第2次総合がん対策推進計画の見直しを行うと伺っております。放射線治療や化学療法の充実などを中心に総合的ながん対策の推進について,知事の御所見をお伺いしたいと思います。  続いて,救急医療体制の整備とドクターヘリの配備についてお伺いいたします。  高度な救命を担う3次救急医療体制の整備は,県民の生命に直結する県政の最重要課題であると認識しております。現在,県の3次救急医療機関は県南部に偏在しており,救急医療の地域間格差が生じております。  こうした現状を改善するために,現在,水戸済生会総合病院,並びに日製日立総合病院で3次救急の拠点施設の整備が進められております。その進捗状況と今後の予定を具体的にお伺いいたします。  さらに,3次救急医療機関の偏在や専門医師の不足,並びに原子力防災や地震や大規模事故への対応策として,ドクターヘリの早期配備とその拠点病院の整備を強く訴えるものであります。  私ども公明党県議団は,去る8月7日,日本医科大学千葉北総病院を訪問し,千葉県や病院担当者などから直接に説明を聴取しました。北総病院では平成13年10月から,千葉県におけるドクターヘリ事業をスタートさせました。平成16年7月には茨城県との共同運行協定が締結され,鹿行地域や稲敷地域まで運用範囲を拡大させています。  平成19年6月までの出動件数は延べ3,303件,診療人数は3,308名に上っております。このうち165件が茨城県内の出動件数であり,多くの県民の命が救われております。  ドクターヘリは,3次救急医療システム構築のためのキーポイントとなります。救急医療の偏在が叫ばれる茨城県内では,県央地域にドクターヘリを有する基幹救急救命センターを整備することで,県北・県西地域の体制強化を図ることができます。  また,ドクターヘリは災害対策の上でも注目されています。7月に発生した新潟県中越沖地震では千葉県のドクターヘリが出動し,交通の寸断された被災地に急行し,重傷患者を搬出しました。地震や風水害などの大規模災害にドクターヘリの威力が証明されたことになります。  さらに最近では,たらい回しが大きな問題となっているリスクの高い妊婦の搬送にドクターヘリを活用し,効果を上げている事例も報告されています。千葉県鴨川市の亀田総合病院や和歌山県立医大病院では既に40から50例のドクターヘリによる妊婦の搬送事例があり,多くの母子の命を救っていると報告されています。  このドクターヘリ配備については公明党が最も早く国会で主張し,5年以内の全国配備をマニフェストに掲げております。今議会におきましては,自民党,民主党の代表質問でも早期導入についての強い要望が寄せられました。ドクターヘリの早期導入は,もはや県議会の総意であります。橋本知事の速やかな決断を期待するものであります。  なお,ここで,原子力安全等推進基金の使途について我が党の見解を述べさせていただきたいと思います。  私は,昨年9月の一般質問や予算特別委員会において,原子力安全等推進基金の使い道については,陽子線治療装置や,最新のリニアック装置などを有した,いわば県立放射線医療センターといった施設を一刻も早く整備することが県民にとって一番メリットが高い,との意見を述べさせていただきました。今回,県立中央病院の放射線治療充実などにこの基金から44億円余りを支出するという判断は,公明党の主張の延長上にあるものと理解をしております。  しかし,この基金は,平成11年9月30日に発生したJCO臨界事故に際し,周辺住民への健康不安や風評被害に対して,その影響払拭のために長期的な対策を行う財源として国から交付されたものです。県立中央病院の充実は広く県民の利益になるものと確信しますが,東海村を中心とする県北地域の住民がどれだけ笠間市友部にある中央病院を利用するか,疑問が残るところであります。その意味では,ドクターヘリの導入こそ,直接被害を受けた地元住民の利益に供するものと申し上げたいと思います。  万が一,原子力災害が発生した際も,ある程度距離が離れている中央病院に救急医療の拠点が整備され,ドクターヘリでの速やかな搬送,並びに医師派遣体制が整備されれば,安全対策上も大きな前進となります。表現をかえれば,原子力安全等推進基金を県立中央病院の整備に活用するのであれば,ドクターヘリの配備と同病院を救急医療・原子力災害対応の拠点病院として位置づけることがその前提条件であると言えます。  以上,救急医療体制の充実とドクターヘリの配備について知事の御所見をお伺いいたします。  県立中央病院の整備につきましては,あわせて病院事業管理者からの答弁も求めるものであります。  続いて,産業・交流の基盤づくりについてお尋ねをいたします。
     知事は常々,茨城県は厳しい地域間競争を勝ち抜くために陸・海・空の広域ネットワークを整備することが大切であると強調されています。私は,この陸・海・空のネットワークに加えて,情報のネットワークづくり,この4点が茨城の産業や交流を活発化させる基盤であると考えています。この4つの視点から,現状の課題への対応を順次お伺いしてまいります。  まず,高速道路のETCによる割引制度の充実について伺います。  この8月20日から,常磐自動車道の日立南太田インターチェンジと日立北インターチェンジの間,並びに東水戸道路において,ETCによる割引社会実験がスタートいたしました。  私は,道路特定財源などを恒久的な財源とする長期間の思い切った施策の展開を図るべきと考えています。具体的には,現在実験が開始された日立南太田インターチェンジから日立北インターチェンジ間の社会実験においては,区間を高萩インターチェンジまで延長し,割引率も3割から5割引にふやすべきだと提案をいたします。  また,現在,常磐道や北関東道など一般高速道路では,ETCによる朝夕の通勤割引や深夜割引が行われています。しかし,一般有料道路である首都圏中央連絡自動車道,いわゆる圏央道ではこの制度が実施されていません。速やかに圏央道でもさまざまなETCによる割引制度を導入すべきであります。  そこで,ETCによる割引制度拡充に対する知事のお考えをお示しいただきたいと思います。  次に,茨城空港への定期航空路就航対策についてお伺いをいたします。  県議会予算特別委員会では,この6月に富士山静岡空港を県外調査いたしました。富士山静岡空港は,茨城空港に1年先行し,平成21年度中の開港を目指して整備が進んでいます。この視察で強く印象に残ったことは,空港関係者の開港に向けての熱い情熱と,知事をトップとする航空事業者への熱心な就航誘致活動,そして地元企業の驚くべき活発な空港支援体制でした。  富士山静岡空港ではこうした県と地元の運動が効を奏し,この8月5日には,全日空が札幌・沖縄便の就航を正式に表明しました。さらに,8月8日には,韓国アシアナ航空がソウル便を1日1便就航させると発表しました。  ひるがえって茨城空港の現状を見るとき,就航対策は,静岡県のそれと比べても数年おくれているような気がします。  空港が予定どおり開港したとしても,そこに飛行機が飛ばなくては,何の意味も持ちません。開港まで2年半と迫ったこの重要な時期にあって,知事の率先垂範の就航誘致活動,トップセールスが何よりも大切です。茨城空港開港時に,札幌,大阪,福岡,沖縄の4路線が開設できるのか,韓国や中国,台湾などの国際便は就航できるのか,現状の認識と今後の取り組みをお伺いいたします。  続きまして,港湾整備についてお伺いをいたします。  茨城県は,外洋に直接面した4つの重要港湾を持つという全国でも屈指の海のネットワーク拠点であります。しかし,その一つ一つの港湾を見ると,常陸那珂港は整備半ばであり,小規模な港湾となっています。その意味で,現在,県北の日立港,常陸那珂港,大洗港の3港に関しては統合に向けての具体的な議論が進んでおります。  県議会土木委員会では,8月に福岡の博多港の港湾施設を視察してまいりました。驚いたことに,博多港,北九州港,そして関門海峡を挟んだ隣の山口県の下関港の3港が一体となったポートセールスが既に行われています。首都圏,特に北関東の海の玄関口としてその地位を固めるためには,県北3港の統合は当然の成り行きであることを実感いたしました。  そこで,県北3港の統合によるメリット,デメリットを明確にお示しいただき,その上で今後の具体的な計画をお示しいただきたいと思います。  4つのネットワーク整備の結びとして,情報のネットワークについてお伺いをいたします。  国は平成22年度までに,ブロードバンド・ゼロ世帯の解消を目指して「次世代ブロードバンド戦略2010」の取り組みを推進しています。  今年3月末の数字では,茨城県のブロードバンドの利用可能世帯数は前年度比で0.8%増の99万1,000世帯になりました。整備率は全世帯の93.0%で,全国平均の95.2%を下回っています。関東圏では,既に神奈川県が100%を達成。東京都も離島を除くと100%に達しています。以下,埼玉県が97.6%,千葉県97.2%,群馬県93.9%,山梨県93.1%,そして茨城県が93%,栃木県91.7%の順となっています。  橋本知事は,いばらきブロードバンドネットワークなどを全国に先駆けて整備するなど,IT分野においても積極的な取り組みを行ってこられました。しかし,ブロードバンド環境整備については,関東圏では他県に水をあけられてしまいました。情報の高速道路とも言えるブロードバンドネットワーク整備を平成22年度までに完了するために,今後どのような具体的対策を打たれようとするのか,お伺いをいたします。  引き続き,県民の安心・安全を守る立場から,地震防災対策の強化についてお尋ねをいたします。  7月16日に発生した新潟県中越沖地震に伴い,柏崎刈羽原発は,変圧器火災や放射性物質を含む水漏れなどトラブルが50件以上も相次ぎました。その中でも,原子力施設内から黒煙が上がる映像は,原子力発祥の地茨城に住む私どもには余りにも衝撃的な映像でした。  柏崎刈羽原発のトラブルで浮き上がった問題点は,一つに,想定された耐震基準を大きく上回った地震の発生でした。3号機では2,058ガルの揺れが観測されました。これは,原発で確認された地震の揺れとしては世界でも最大の揺れではなかったかと言われています。設計時の想定は834ガルで,実に2.5倍の強さの地震に見舞われたことになります。設計時の想定がいかに甘かったか,その実情が明らかになりました。  二つに,地震防災体制の不備が顕著になりました。変圧器の火災発生時に地震の影響で消火栓は機能せず,初期消火が全くできませんでした。その上,同原発には油火災に対応する化学消防車が配置されていないことや休日の待機体制が組まれていないなど,自衛消防体制の不備が指摘されています。  第3点に,地震発生時の電話回線のふくそうや断線,停電等により,行政や消防などとの通報連絡体制に大きな問題が発生しました。さらに,放射性物質の漏洩についての報告がおくれたためにその範囲が広がるなど,情報伝達体制の不備が指摘されています。  今回の原子力施設の事故は,原子力立国を目指す我が国に大きな打撃を与えました。県内には,原発や研究炉など原子力関連施設が集中しております。  そこで,耐震安全性の見直し,初期消火体制の充実,通報連絡体制の強化,この3点の視点から原子力施設の安全確保策についてお尋ねをいたします。  次に,地震や防災情報の伝達体制整備について伺います。  気象庁は,この10月から緊急地震速報サービスをスタートさせます。これは地震波の特徴を利用して,大規模地震の大きな揺れが到来するまでの時間を予測し,住民に伝えるサービスです。地震の揺れが大きくなる10秒から30秒前に,テレビ,ラジオ,インターネットなどで,どの程度の規模の地震が何秒後に到来するかを告知します。住民は,まず火を消したり,避難路を確保したり,机の下にもぐり込み,身の安全を守るなど,緊急対応を行うことができます。  しかし,こうした緊急地震速報サービスも,事前の周知徹底や訓練がなければパニックを引き起こすことや,逆に,せっかく情報が提供されても何の対応もとられないことも懸念されます。  また,地震対策にとどまらず,水害や火山災害など防災対策のかなめとして期待されているのが統合型GISの整備と,それに基づくインターネットを活用した防災情報の発信です。  浸水や崖崩れなどの自然災害の想定地図(ハザードマップ),原子力施設などの大規模な事故想定など地理的な地図情報を一括して表示させ,防災や災害事故の発生後の対策に活用する試みが全国で行われています。県内でも,つくば市と防災科学技術研究所が住民参加型の新たな試みとして「eコミュニティつくば」をスタートさせています。  県は,こうした先進的な事業を県内の市町村に水平展開させる責務があります。また,その根幹をなす情報として,だれもが使いやすい統合型GISの整備を急ぐ必要性があります。  こうした点を踏まえ,地震や防災情報の伝達体制の整備についてお伺いをいたします。  次に,農業の活性化についてお尋ねをいたします。  農水省は8月3日,19年度産農産物の品目横断的経営安定対策の加入申請状況を公表しました。それによると,茨城県は,米,麦はほぼ目標達成,大豆は目標を超えました。加入申請を行った経営体数は1,461で,認定農業者が1,362,集落営農組織が99となっています。作付面積の比率では,米が9%,麦84%,大豆77%となりました。  先ほども触れましたが,参院選で民主党が圧勝した要因の一つは,民主党の農業政策が農村票を引きつけたからだという指摘があります。  経営規模が大きく,意欲のある農家や農業法人に絞って補助をするというのが現在の国の政策です。民主党は,これを小規模農家の切り捨てだと批判して,全農家に総額1兆円を補助すると訴えました。このままでは農業を続けることができないのでは,との不安な中小農家が,民主党の言う全農家への補償策に飛びついたのかもしれません。  しかし,これでは足腰が弱った日本農業を再生することができるとは思えません。意欲と能力があるフルタイム農家へ補助金を投入すれば,農業の立て直しに効果的で,財政負担も少なくなることは火を見るよりも明らかです。  農水省はこの秋に,農地制度の改革案を提出します。農地はその耕作者みずから所有することが最も適当であるという,いわゆる自作農主義を改め,農地の賃借についての規制を緩和し,担い手へ農地を集約することが目的であると聞き及んでおります。  農業に魅力がないから後継者がなく,高齢化と相まって耕作されずに放置された農地がふえる一方です。それを専業農家へ集めて,少しでも競争力をつけて,遊休農地をなくし,食料の自給率向上にもつなぐことができます。  県は,こうした農業分野の構造改革を力強く進める牽引力となる必要があると思います。しかし,現実は,農家への説明不足,不安解消策の不足が余りにも目立ちます。  こうした点を踏まえ,品目横断的経営安定策導入の現状とその結果をどのように評価するか,さらに今後の農業活性化策について,知事の御所見をお伺いいたします。  次に,大規模商業施設の立地とその対策についてお伺いをいたします。  今,県内の商業界では「2008年問題」という言葉がささやかれています。  県内では,ショッピングセンターなど大規模商業施設の洪水のような出店ラッシュがとまりません。来年,2008年にはその出店ラッシュがピークを迎えます。  具体的には,TX研究学園都市駅北口に大和ハウス工業が建設を始めるつくばショッピングセンターは,この9月4日に起工式が行われました。面積は約14.5ヘクタールという広大な敷地に建設され,店舗面積は8万5,000平方メートル。商業施設としては北関東最大級の店舗となります。  土浦には,イオン土浦ショッピングセンターが来年にも開業する予定です。敷地面積は13.3ヘクタール,店舗面積4万7,000平方メートル。県内最大級のイオン水戸内原ショッピングセンターの規模を凌駕する大型ショッピングセンターです。イオン土浦ショッピングセンターとつくばショッピングセンターとの距離は約10キロ程度しか離れておらず,土浦地区の商店街への影響が懸念されます。  この2店舗以外にも,イオングループが,つくば市稲岡地区には敷地面積24ヘクタールのモール型ショッピングセンター,稲敷市西代には15.2ヘクタールのショッピングセンター,龍ケ崎市馴柴には15ヘクタールのショッピングセンター,常総市水海道山田地区と高野地区にまたがる地域には14ヘクタールの大型店舗の出店計画を既に明らかにしています。また,TX万博記念公園駅西側の上河原崎・中西地区では,県が13ヘクタールの業務用地を大規模商業施設の用地として売り込みを図り,筑西市では竹島地区に11.8ヘクタールの大型商業施設計画が浮上し,昨年6月には市議会で建設協力を求める請願が採択されております。  一方,水戸を中心とする県央エリアでは,ひたちなか地区にホテルを併設した大型ショッピングセンターのオープンが予定され,商業施設の敷地面積は10ヘクタールとなっております。さらに,県庁舎周辺業務用地に大阪のデベロッパーがホームセンターを核店舗とする大型商業施設「Iモール」を開業させる計画で,敷地面積は7.4ヘクタール,売場面積は4万3,000平方メートル余りとなります。また,那珂市には,イオンが敷地面積16ヘクタール,延べ床面積6万7,000平方メートルの新店の準備を進めています。  まちづくり三法見直しでは,大型商業施設の出店エリアを規制し,行政に街づくりの主導権を持たせました。しかし,開業ラッシュの大型ショッピングセンターは行政が売却した用地に出店するケースが目立つなど,法改正の理想と現実には大きな乖離,隔たりがあります。  県内各地でふえるシャッター通り,大型商業施設が郊外に進出して中心商店街の客を奪い,商店が閉店に追い込まれる状況は,この2008年問題で一層深刻になることが懸念されています。  こうした状況のもと,埼玉県の取り組みは,抜本的な対策にはなりませんが,現状で対応できる具体的施策として注目に値します。埼玉県は,「大型店,チェーン店の地域商業貢献に関するガイドライン」の作成を進めています。ガイドラインをつくることで,大型店やチェーン店に商店街や商工団体への加入など地域への貢献を促すのが目的であります。  橋本知事に,他県の取り組みも参考に,大型商業施設の進出に対する見解と,中心市街地の商業活性化策についてお伺いをいたします。  最後に,県北地域の振興について,J-PARC及び関連施設の整備,旧KDDI茨城衛星通信センターの利活用の2点を中心にお伺いをいたします。  今回の補正予算では,原子力安全等推進基金を活用して,大強度陽子加速器(J-PARC)の共同研究施設,(仮称)先進放射線総合センターを整備することが提案されています。  J-PARCは,来年12月の供用開始に向けて順調に建設が進んでおり,その最先端の研究施設には茨城県として2本の中性子ビームを整備し,民間企業などに貸し出し,産業の活性化などを図ることとしています。  東海村を中心とする県北臨海地域における産学官の共同研究や産業利用,研究成果の産業波及のためには,J-PARCの近接地に実験・研究環境が整った拠点施設の整備が不可欠であります。今回の計画では,現在は使われていないNTT茨城研究開発センターの跡地と建物を有効活用し,J-PARCの利用者や,東京大学,茨城大学の両大学院,企業の受け皿施設として整備するとしています。投資額も低く抑えることができており,現下の厳しい財政状況からも現実的な選択であると評価いたします。  そこで,(仮称)先進放射線総合センターの概要と,県北振興の上での位置づけについて御説明をいただきたいと存じます。  続いて,現在J-PARC内に整備している県の2本の中性子ビーム実験装置の利活用について具体的にお尋ねをいたします。  この実験装置は,がんやアルツハイマー病という難病治療薬や燃料電池の開発など,バイオ,ナノテク,次世代半導体,新エネルギーなど今後成長が見込まれる先端的な新産業分野にさまざまな応用ができると期待されています。  そこで重要になるのは,産業界が利用しやすい運営のシステムの構築であります。  例えば,ベンチャー企業や意欲がある中小企業でもこの装置を使えるようにするためには,技術相談や,測定,解析の支援スタッフの充実などが不可欠であります。新薬開発の企業のトップシークレットに対しては,公共の施設とはいえ,安心して利用できる秘密保持の体制をつくらなくてはなりません。  また,県内企業に対する利用促進策,優遇措置の導入も大切です。利用料の割引や優先的な装置の利用をぜひ検討すべきであります。  J-PARCの県ビームラインの運営についてどのようにお考えになっているのか,知事にお伺いをいたします。  次に,日立,高萩両市にまたがる旧KDDI茨城衛星通信センターのパラボラアンテナの利活用についてであります。  この問題について私は昨年9月の一般質問でも取り上げ,この施設を電波天文台として再利用できるよう,知事のリーダーシップを強く期待したところであります。おかげさまをもちまして,この8月には,茨城大学,国立天文台,県,日立市,高萩市,KDDIの6者が基本協定に調印をいたしました。大型パラボラアンテナを電波望遠鏡として活用し,国内の他の電波望遠鏡とネットワークを構築することでブラックホールや銀河のなぞを解明するなど,県北地域活性化の拠点として活用することとしています。  今後,パラボラアンテナは約1年かけて電波望遠鏡として再整備され,平成21年から宇宙観測を行う計画と聞き及んでおります。この施設を活用してどのように県北振興につなげていくか,知事の御所見をお伺いいたします。  また,この施設は,現在のところ名称が定まっておりません。未来性がある,地域のランドマークとしてのふさわしい名称を公募する必要があると思いますが,あわせて知事の御所見をお伺いいたします。  以上で,1回目の質問を終了いたします。御答弁によりましては,再質問いたします。  御清聴,まことにありがとうございました。(拍手) 15 ◯議長(飯野重男君) 井手義弘君の代表質問,質疑に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 16 ◯橋本知事 井手義弘議員の御質問にお答えいたします。  まず,核廃絶への基本認識と取り組みについてであります。  さきの大戦において,広島,長崎への原子爆弾の投下により多くの尊い命が一瞬にして奪われ,今なお耐えがたい後遺症に苦しんでいる方もおられます。  広島,長崎の悲劇は再び繰り返してはならないものであり,我が国は世界で唯一の被爆国として核兵器の廃絶を世界に向けて強く訴え続けていくとともに,国際社会の先頭に立ち,平和で安全な世界の実現に向け全力で取り組んでいく必要がございます。  私は,再び悲惨な戦争は繰り返してはならないということを次の世代に伝えていくことが,我々に課せられた重大な責務であると考えており,核兵器については,いかなる理由があっても絶対に許されるべきものではないと考えております。  そして,再び戦争の悲劇を繰り返さないためには,子供のうちから一人一人が我が国の歴史を理解し,戦争の悲惨さや命の尊さ,平和の大切さについてしっかりと認識することが重要であると考えております。そのため,小中学校では,戦争を体験された方を学校に招き,戦争の悲惨さなどについての話を伺ったり,高等学校では修学旅行で広島や長崎,沖縄を訪れ,原爆の恐ろしさや戦争の悲惨さを直接見たり聞いたりすることで児童生徒が二度と戦争を起こしてはならないということを感じ取り,平和の尊さを学んでいるところであります。  さらに,小中高を通して,道徳の授業において命を尊重する心を育てますとともに,戦争や平和について考える機会を設けております。また,平和を実現するためには,世界の国々との協調,協力が大切でありますので,他国の文化や生活を調べる活動や,外国人留学生との交流を通じて国際協調の重要性を理解する学習も行っております。  平和は,県民はもとより人類共通の願いでありますので,今後とも常に念頭に置いて県政を推進してまいりたいと考えております。  次に,地域格差是正と財政再建への取り組みについてお答えいたします。  まず,都市と地方の格差是正,地方の活性化のための方策についてでございます。  大都市の経済活動の多くは,労働力や水,電力,食料などの面で地方に依存して成り立っている状況にございます。したがって,地方が衰退し過ぎますと,森林や農地が荒廃し,国土の保全機能が失われ,災害も起こりやすくなり,大都市への水や食料の供給ができなくなるなど大都市部の活動にも支障を来たし,ひいては国力全体が低下していくおそれがございます。  私は,国家の発展のためには,都市と地方の格差を是正し,それぞれの地域が活性化し,発展していけるようにすることが不可欠であると考えております。そのためには,それぞれの地域で人々が安定した就労の場を得られますとともに,だれもが生き生きと暮らしていける環境を築いていくことが重要であります。まずは,産業振興や企業誘致,必要な社会資本の整備などを図り,働く場所をしっかりと確保し,その上で,福祉や医療,教育などの分野で地方の実態に合わせた特色ある施策の充実を図っていく必要があると考えております。  そして,地方がそのような独自の地域づくりを推進していけるようにするためには,国が社会保障制度などのナショナルミニマムを担う一方で,できるだけ地方に権限を移譲し,地方の自主性,自立性を高めていけるよう,地方分権を進めていくことが不可欠であります。  特に,地方交付税などの税財源を地方が十分に確保していけるような政策が重要ではないかと考えております。  私は,これまでも地方の厳しい状況や地方分権のあり方などについて関係大臣や国会議員などに説明や提言を行ってまいりましたが,今後ともさまざまな機会をとらえ,政府関係者等への働きかけを行ってまいります。それと同時に,地方分権改革の趣旨を住民の皆様に理解してもらう努力を続けていくことも重要でありますので,世論を喚起し,地方の声がこれまで以上に大きく発信できるよう,県議会を初め地方自治関係者と力を合わせ,さまざまな機会や広報媒体を活用して情報発信に努めてまいります。  次に,出先機関の再編整備についてお答えいたします。  総合事務所が設置された時代と現在とでは市町村の数や事務権限,交通基盤等の整備状況,さらには県民の生活圏などが大きく変わってきておりますし,また,簡素で効率的な組織体制を再構築するためにも,出先機関のあり方を原点から見直す時期にあると認識しております。  見直しに当たりましては,県民へのサービス低下を極力招かぬよう配慮しつつ,本庁での処理が効率的な事務は本庁へ集約しますとともに,市町村が行うことにより住民サービスの向上が図られる事務は,受け入れ態勢も考慮しながら積極的に権限の移譲を進めてまいりたいと考えております。  一方,不法投棄対策など現地性が高い事務は,迅速な対応に向けて体制を強化してまいりますほか,将来的に各出先機関の管轄区域,所在地をできるだけ統一し,ワンストップサービス化することについても検討を進めていきたいと考えております。  さらに,総合事務所について,本庁が直接事務を行う地域を設けることや,農業関係出先機関の再編統合により農業振興に一層強力に取り組む推進体制を検討していくことなど,従来の枠組みにとらわれない新たな視点での方向性を先日の財政再建等調査特別委員会にお示ししたところであります。  特別委員会での御審議を踏まえ,県民サービスを第一に考え,同時に財政再建にも役立つよう,出先機関の再構築に鋭意取り組んでまいります。  次に,県単補助金の見直しについてであります。  まず,徴収率による県単補助金の見直しについてでありますが,本県の平成18年度の個人県民税徴収率は89.9%,全国46位と依然低迷している状況にございます。県平均で10%強,団体によっては約20%が滞納になっている現状については,税負担の公平性の観点から到底看過することができず,また,地方の自立に向け今後さらなる税源移譲が求められる中で,地方行政に対する住民の信頼を揺るがしかねないものと危惧しているところであります。  県といたしましては,市町村の徴税力向上を図るため税務職員を派遣するなどさまざまな助言及び支援を行ってきておりますが,依然として十分な成果の見られない市町村がありますので,市町村の主体的な徴税努力を強く促しますとともに,住民の税への理解と関心を高めていただく方策として徴収率による県単補助金の削減を検討しているところであります。  削減に当たっては,徴収率が全国最下位に近い本県平均をさらに大幅に下回るような市町村のみを対象として考えており,医療費助成制度のように県民に直接給付されている補助金は対象から除くなど,慎重に検討を行ってまいります。  また,既に一部の補助金において導入している財政力に応じた補助金の割落としについては,県財政が極めて危機的な状況にありますことから,財政力が特に高い市町村に限って一定の補助金について適用していくことなどを検討してまいりたいと考えております。  次に,警察署の統廃合についてであります。
     警察本部が先般取りまとめた構想につきましては,治安維持の観点から現時点での警察本部としての考え方を県民の皆様にお示ししたものであり,厳しい財政状況の中で,再編の時期や財源確保の方策などについてはこれから総合的な検討を行っていく必要があるものと考えております。  私といたしましては,今後,警察署の統廃合を検討するに当たっては,当該地域の将来をしっかりと見通した上で,統廃合の是非やその影響,統廃合に伴う財政負担といった点について十分時間をかけて議論していく必要があり,パブリックコメントの結果や各地域からの賛成,反対のさまざまな御意見などを踏まえていかなければならないものと考えております。  次に,県民の命と健康を守る体制整備についてお答えいたします。  まず,がん対策の推進についてでございます。  県におきましては,現在,国のがん対策推進基本計画を踏まえて,第2次茨城県総合がん対策推進計画の見直しを進めているところでございます。  今回の見直しに当たっては,特に放射線療法及び化学療法の推進並びに医療従事者の育成,治療の初期段階からの緩和ケアの実施,がん対策の基礎となるデータを把握し,活用するためのがん登録などへの取り組みを重点的に強化したいと考えております。  このうち,議員御指摘の放射線治療や化学療法の充実につきましては,全国的に専門医の数が非常に少ないことから,高度な専門性を有する人材育成が大きな課題であると同時に,医療従事者のこれらの治療に対する理解促進や,県民に対する情報提供が重要であると認識しております。  まず,人材育成につきましては,本年度新たに地域がんセンターやがん診療連携拠点病院に専門医師等を確保するため,人件費や専門施設での研修への補助制度を創設したところであります。また,県立医療大学に本年度,医学物理士の養成コースを開設したところであり,筑波大学においても放射線治療や化学療法の専門医の養成が始まりますことから,さらなる協力,連携を図り,専門医等の養成,確保に努めてまいりたいと考えております。  次に,医療従事者の理解促進につきましては,毎年開催する茨城がん学会等を活用して,放射線治療や化学療法などの最新の知見について,医師,看護師等への啓発を図ってまいります。  さらに,県民に対する放射線治療や化学療法に関する情報提供につきましては,県のホーページや広報紙などを活用しますとともに,がん診療連携拠点病院の相談支援センターにおいて最新の治療情報等を提供できるよう,体制の整備に努めてまいります。  次に,救急医療体制の充実とドクターヘリ配備についてお答えいたします。  まず,第3次救急医療の拠点施設の整備状況でございます。  水戸済生会総合病院につきましては,県北西部地域を対象にした地域救命センターとして平成18年度に医療機器等の整備をいたしました。また,日製日立総合病院の地域救命センターにつきましては,現在,同病院におきまして用地の問題や費用等について関係者と調整を進めている状況でございますので,できるだけ早く整備に着手できるよう支援をしてまいります。  次に,ドクターヘリの配備についてでございます。  ドクターヘリにつきましては,救命率の向上や後遺症の軽減などに大変大きな効果があり,また,議員御指摘のとおり,災害時にも有効な手段であります。  このため,ドクターヘリの配備につきましては,基地病院を置く地域,基地病院における医師,看護師等の人材の確保,経費などといった課題がございますものの,関係者の意見を聞きながら,できるだけ早く整備に向けて検討してまいりたいと考えております。  次に,産業・交流の基盤づくりについてお答えいたします。  初めに,ETCによる割引制度拡充についてでございます。  現在,県内2カ所において高速道路の料金割引社会実験が実施されております。  県といたしましても,高速道路等の料金割引は,交通渋滞の緩和だけでなく地域の活性化等にも多大な効果があるものと考えておりますので,多くの方々に御利用いただけるようPRに努めているところでございます。  また,今回の実験結果によりその有効性や問題点を確認し,今後さらに適用区間の延長や割引率の拡大等について関係機関に要望していきたいと考えております。  次に,圏央道への割引制度の導入についてであります。  本県は,これまで国に対し,一般有料道路への割引制度の拡大適用について強く要望してきたところであります。その結果,まずは同じ一般有料道路である東水戸道路において今回社会実験が実現したところであります。この実験が圏央道へETC割引制度を導入するための大きな一歩になるものと考えております。  いずれにしましても,道路特定財源を活用した料金割引制度の拡大,拡充は,本県における幹線道路の渋滞状況等を考慮すれば極めて有効で必要な施策であると考えておりますので,今後ともその制度定着について国等に対し強く働きかけてまいります。  次に,茨城空港の定期便就航対策についてお答えいたします。  まず,国内定期路線の見込みでございますが,これまで,国内大手2社はもとより新規航空会社にも本県の企業立地の状況や後背圏人口の多さといった優位性をアピールするなど,積極的な就航活動を行ってきたところでございます。  就航表明や具体的な路線等につきましては,最近の新設空港における就航表明の時期を見ますと,おおむね1年から1年半前になるものと考えておりますが,できるだけ早期に就航表明を得られるよう全力で頑張ってまいります。  次に,国際線就航の見込みについてでございます。  現在,成田空港においては40カ国以上が乗り入れを待っていることから,国際線の就航やビジネス機誘致の可能性は非常に高いものと考えております。これまでに,韓国や台湾などの航空会社10社と協議を進めてきており,その中には高い関心を示しているところも何社かございます。また,国際チャーター手配会社やビジネス機関連会社などの航空事業者とも協議を進めているところでございます。  今後,私が先頭に立ち,経済界や関係者等と一体になって就航要請活動を積極的に行ってまいりたいと存じます。  次に,3港統合の必要性についてでございます。  現在,県におきましては,さらなる港湾の利用拡大を図るため,茨城港湾戦略懇談会の提言を踏まえ,県北3港統合を柱の一つとする茨城県港湾戦略ビジョンの策定を進めているところであります。  県北3港の統合の主なメリットといたしましては,スケールメリットを生かし,取扱貨物量の増大による港の認知度の向上,一体的な管理運営や一元的なポートセールス等による経営体制の強化などが考えられ,世界に通用するブランド力を備えた港湾への飛躍が期待されるところであります。  また,首都圏において本県の港湾のみが外洋に直接面しているという優位性を生かし,東京湾岸地域への一極集中の解消,輸送コストの低減,リードタイムの短縮などに寄与できる港湾として,国内外に広くアピールしていきたいと考えております。  なお,統合による大きなデメリットはないものと考えております。  日立港につきましては,輸入自動車や農産品,ばら貨物を中心とする物流拠点として,さらなる発展をさせてまいりたいと考えております。  今後,県北3港を一体とする新たな港湾計画の策定を進め,平成20年内の統合を目指すとともに,この機会を生かし,より一層のポートセールスに努め,港の利用拡大を図ってまいります。  次に,ブロードバンドネットワークの整備促進についてお答えいたします。  本県では,茨城県IT戦略推進指針の中で,平成22年度までにブロードバンド世帯カバー率100%達成を目標として掲げますとともに,平成19年3月には,国,市町村及び事業者と構成するブロードバンド環境整備対策研究会において平成18年度版ロードマップを策定し,整備を推進しているところであります。  総務省発表では,平成18年度末で県内に約7万5,000世帯のブロードバンドゼロ地域があるとされておりますが,この7月に市町村とともに県内全域で調査を行い,当該地域が大字単位で733地区あるなど詳細な状況を把握したところであります。  これらの地域の整備方式としては,従来の光ファイバーや既設の電話線を利用したADSL,ケーブルテレビに加え,新たな方式として無線接続などが考えられ,整備手法としては事業者や市町村による整備が考えられるところであります。  今後は,研究会において各地区ごとにふさわしい整備方式や整備手法を選択することとしており,早期整備に向けての公的関与のあり方などについても検討してまいりたいと考えております。  次に,地震防災対策の強化についてお答えいたします。  まず,原子力施設の安全確保についてでございます。  県内の原子力施設の耐震安全性につきましては,現在,日本原子力発電株式会社及び日本原子力研究開発機構は昨年9月に改定されました耐震設計審査指針に照らした耐震安全性の評価を実施しているところでありますが,特に今回は,県の要請等を踏まえ,海底活断層の調査を今年度末までに実施することとしております。  一方,国においては,今回の地震について詳細に解析しますとともに,耐震設計審査指針の見直しについて検討していくこととしております。  県といたしましては,事業者の耐震安全性の評価結果について,国に対し,厳正な確認を求めてまいりたいと考えております。  また,今回の地震では炉心に比べて耐震性の低い変圧器や消火設備等に被害が発生したことから,国はこれらの設備の耐震性向上対策について検討することとしておりますので,この検討結果を踏まえ,事業者に改善を求めてまいりたいと考えております。  次に,消火体制の充実強化につきましては,原子力安全協定締結全事業所において公設消防との共同訓練を毎年実施していくよう検討を始めているところであり,特に日本原子力発電株式会社,日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター及び核燃料サイクル工学研究所におきましては,自衛消防隊を新たに常駐させることとしております。  次に,通報連絡体制につきましては,県と原子力安全協定締結各事業所間には既に専用回線が整備されておりますが,さらに全事業所において災害時優先電話を整備することとしております。  また,公設消防と事業所間の専用回線の整備につきましても,原子力災害対策特別措置法の対象事業所は各消防本部と検討を始めたところであります。  さらに,国はワーキンググループを設置し,情報通信システムの確保などについて検討していくこととしております。  県といたしましては,今後の国の検討結果も踏まえつつ,耐震安全性や消火体制及び通報連絡体制などにつきまして事業所を適切に指導し,その改善状況を事業所への立入調査において確認しますとともに,訓練によりその実効性を確保してまいりたいと考えております。  次に,地震・防災情報の伝達体制整備についてお答えいたします。  議員御指摘の緊急地震速報などを含め,防災に関係する情報を関係者が広く共有,活用することが災害対策上大変重要であります。その手段として極めて有効であるとされているのが統合型GISであり,現在,全国でも岐阜県を初め9県が防災対策にGISを活用しますとともに,インターネット上で県民に防災情報を発信しております。  本県では,市町村とともに平成20年度に統合型GISの運用を目指しているところでございます。この中には,避難所や危険箇所,ハザードマップやライフライン情報などの防災情報を取り込むことを検討しておりますので,緊急時には防災関係機関が一元的に情報を共用し,円滑な伝達が可能となってくると考えております。  県といたしましては,先進事例を参考としながら,県民はもとより防災関係機関も利用しやすい統合型GISとなるよう検討を進め,地震や防災情報の伝達体制整備に努めてまいります。  次に,今後の農業活性化策についてお答えいたします。  国の品目横断的経営安定対策の導入にあわせ,県におきましては,担い手が農業生産の相当部分を担う構造の実現を目指し,少しでも多くの作付面積が対象となれるよう品目別に加入目標面積を設定し,認定農業者への誘導と集落営農の組織化の支援に取り組んでまいりました。  その結果,麦,大豆については,ほぼ目標どおりの面積が加入し,農家に制度を御理解いただき,担い手が生産の相当部分を担う構造が実現できたものと評価しております。  一方,米につきましては,ほぼ目標どおりの面積が加入したことについては一定の評価ができるものの,県全体の1割程度と緒についたところであり,今後も農地の利用集積を進め,担い手の育成に取り組む必要があると考えております。そのため,ビデオや全農家向けチラシの配布,集落座談会などで制度の周知に取り組んできたところでありますが,今後も農家に十分説明して制度の理解を進めますとともに,小規模農家に不安や誤解がないよう努めてまいります。  県としましては,小規模農家も担い手になれる集落営農の組織化を進める,あるいはまた,農作業を引き受けるJA出資型法人の活動を支援するなど小規模農家にも十分配慮しながら,担い手の育成を進めてまいります。  また,認定農業者などの担い手の育成・確保に加え,新規就農者,定年帰農者などの多様な担い手の確保や,女性農業経営者の育成についても強力に推進してまいります。  さらに,認定農業者の経営改善に対する指導助言や,集落営農組織などの計画的な法人化など構造改革を着実に進め,本県農業の活性化を図ってまいります。  次に,大規模商業施設立地への対策についてお答えいたします。  大規模商業施設の立地につきましては,雇用の確保や消費者の利便性の向上などに寄与する面もありますが,一方で,郊外へ立地する場合には,中心商店街にとって訪れる人々が減少し,その賑わいが失われるなど大きな影響があるものと受けとめております。  こうしたことを踏まえ,本県では,本年4月から大規模商業施設が立地する場合に地域貢献に関する取り組み計画の提出を求めているところであります。埼玉県がガイドラインにより求めようとしている地域商業貢献に加え,地産地消の推進や地域雇用確保への協力,さらに環境対策の推進など幅広い取り組みを求めており,これを公表しているところであります。  また,中心市街地の商業活性化につきましては,市町村や商業団体が主体的に進めるものではありますが,県といたしましても,いわゆるまちづくり三法が有効に機能するよう,中心市街地活性化基本計画を策定しようとする市町村に対して県庁関係各課から成る支援調整会議を通じ助言するなど,必要な協力を行ってまいります。  また,市町村が行う街路事業などのハード事業とコミュニティーバスの運行などのソフト事業を一体的に実施できる,まちづくり交付金事業の活用促進を図ってまいります。  このほか,大規模商業施設を中心市街地へ誘導することも有効であることから,水戸市の中心市街地においては,大規模小売店舗立地法の手続を簡素化する特例区域を設けているところであります。  さらに,商店街につきましては,みずからが集客力を高めることが重要であることから,今年度,がんばる商店街支援事業を創設し,積極的に支援をしております。その結果,各地域で活性化への取り組み意欲が盛り上がり始めたところであり,今後も一層,活性化に向けての機運の醸成に努めてまいります。  次に,県北地域の振興についてお答えいたします。  まず,(仮称)先進放射線総合センターにつきましては,世界的な原子科学研究開発拠点の形成を目指す「サイエンスフロンティア21構想」に基づき,平成20年12月に予定されておりますJ-PARCの供用開始に併せて,NTT茨城研究開発センター跡地を候補地に,産学官の連携による放射線を活用した研究開発施設の整備を進めようとするものでございます。  このセンターには,J-PARCの利用窓口のほか,県北臨海地域を初め県内に集積する中小企業等に対する技術相談や測定,解析を支援するための相談室,実験室,東京大学大学院,茨城大学,高エネルギー加速器研究機構等の大学,研究機関及び民間企業向けの研究室や会議室,さらに研究者相互の交流スペースなどを整備する予定であります。  センター内に入居するこれらの機関と県北臨海地域に集積するものづくり産業などが連携する中で,技術力の高い企業の立地や人材の集積が進み,新製品の開発やベンチャー企業が創出されることで県北地域における産業の活性化が図られていくのではないかと考えております。  また,国内外から訪れる多くの研究者に対し,センターにおいて日常生活から県北地域のレジャー情報まで幅広い情報提供を行い,研究活動の合間に県北地域を楽しむなど新たな交流や定住の創出も期待されますので,本センターが県北振興の一翼を担うものと考えております。  次に,J-PARCの県ビームラインの運営についてでございます。  県が整備している2本のビーム実験装置については,広く産業界に利用していただくため,さまざまな方策を講じていく必要があると考えております。このため,初歩的な相談から具体的な産業利用まで幅広く迅速に対応できるコーディネーターの確保や,J-PARCセンターと一体となった利用相談窓口の設置,緊急の利用希望にも十分こたえられるようなシステムの整備などを検討しているところでございます。  また,研究開発における企業の秘密保持を確保するため,技術相談を個別に行うことができる部屋の整備や,測定試料,測定データの厳格な管理,支援スタッフに対する倫理教育の徹底などを検討しているところであります。  さらに,県内企業への優遇措置として,県のビーム実験装置の優先利用,利用料金の割引,データ解析の指導などについても検討を行っているところでございます。  なお,運転維持管理については茨城大学に委託することとしておりますが,大学においても専門家や現場スタッフを確保することにより,適切な運転とともに充実した測定,解析支援を行うことができる体制の整備を進めているところであります。  県といたしましては,産業界の要望を十分に踏まえつつ,中性子の産業利用を積極的に促進してまいります。  次に,旧KDDI茨城衛星通信センターのパラボラアンテナの利活用についてでございます。  パラボラアンテナを含む同通信センター跡地の利活用については,地元自治体等の関係者でKDDI茨城衛星通信センター跡地利活用に係る連携協議会を設置いたしまして,8月からワークショップを開催し,市民の方とともに跡地の利活用について検討を開始したところでございます。  パラボラアンテナにつきましては,今後,国立天文台や茨城大学が電波望遠鏡として学術研究活動に利用する予定でありますので,あわせてその活動成果やスタッフを積極的に活かした市民講座等,幅広い年齢層を対象にした教育活動の場として活用していくことを検討してまいります。  さらに,ワークショップやフォーラムの開催を通じて,300本の桜を含む広大な土地や展示館等の建物についても,国立天文台野辺山観測所などの事例を参考にして,パラボラアンテナとともに県北地域を代表する親しまれ愛される交流空間として活用し,県北地域の振興につながるような方策について今後検討してまいります。  また,議員御提案の施設名称の公募につきましても,施設利用の方向性が固まってきた段階で,地元2市を初め関係者と協議してまいりたいと考えております。 17 ◯議長(飯野重男君) 次,古田病院事業管理者。                  〔古田病院事業管理者登壇〕 18 ◯古田病院事業管理者 県立中央病院の整備についてお答えいたします。  県立中央病院は,唯一の県立総合病院として質の高い医療の提供を行いつつ,今後,高度のがん診療,高血圧や不整脈治療などの循環器疾患の専門診療や救急医療などの政策医療を全県民のために提供する責務を果たしてまいります。  このたびは,患者の増加需要に追いつかないリニアックの増設及び化学療法施設の整備を優先的に行うこととし,手術治療,放射線治療,抗がん剤治療を組み合わせた,いわゆる集学的な治療体制の充実を目指し予算を計上させていただきました。これにより,全県民を対象とした高度がん診療体制の充実強化が早期に図れるものと期待しております。  救急医療につきましては,本県におきましても患者の受け入れ対応がなかなか決まらないなど,さまざまな問題が日常生活においても生じている状況にございます。中央病院は,県立病院として救急医療体制づくりに積極的役割を担っていく必要があり,既にこれまでも救急専門医の招聘やICUの稼働,救急処置室の拡充などに取り組んでまいりました。  しかし,県内の急増する救急需要に対して,現状では緊急の透析患者を受け入れる十分な体制がないため,このたびは人工透析施設の整備や救急医療機器を整えることが優先的と判断いたしました。それにより,救急部門の強化を行い,今後はより多くの救急患者を受け入れつつ,一方で医療改革推進本部の議論を踏まえながら,ドクターヘリへの対応を含め,県北,県央を中心とした救急医療体制のさらなる充実に貢献してまいります。 19 ◯議長(飯野重男君) 井手義弘君。                   〔46番井手義弘君登壇〕 20 ◯46番(井手義弘君) 十分な再質問の時間をいただきましたので,2点にわたり知事に御所見をお伺いいたします。  質問の中で私は,地域格差是正と財政再建問題の取り組みに関して市町村への権限移譲について具体的にまずお伺いしたいと思います。  県地方総合事務所を初めとする出先機関の見直しについて御質問させていただきましたが,知事よりは積極的な姿勢の御答弁をいただいたところであります。  私は,その質問の中でも強調いたしましたが,市町村への積極的な事務事業の権限の移管,これをもっと行うべきであると考えております。
     具体的には,例えば現在,県が行っておりますパスポートの発給事務,これも法の改正によりまして市町村でも受けられるようになっています。日立市や土浦市,つくば市のような拠点自治体については,その業務の移譲を考えてもよいのではないかと考えております。  また,同じように,生活保護や母子扶養手当の申請などの福祉事務所の業務も,他県におきましては積極的に町や村へ移譲している事例があります。  県内でも,例えば東海村などは村という単位ではございますけれども,福祉事務所の業務を十分に果たすことができ,そのような町村には積極的に機能を移譲するべきだと考えております。パスポート業務や福祉事務所の機能などを市町村へ権限移譲することについてどう考えておられるか,知事の御所見をお伺いしたいと思います。  2点目です。ドクターヘリの導入に関しましては前向きな御答弁をいただきました。ただし,一番の課題はその拠点となる救命救急センターの整備であり,この点につきましてはできるだけ早く,できれば今年度中にその方向性を具体化させていただきたいと要望させていただきます。  さらに,ドクターヘリに関連して御質問させていただきますと,埼玉県のドクターヘリ事業が今年度中にスタートいたします。埼玉県のドクターヘリが就航すると,古河市を中心とする県西地域の広い範囲がドクターヘリの運行可能範囲になります。千葉県との共同運行のように,今後,埼玉県との協議も積極的に進めていくべきだと私は思います。  千葉の北総病院を訪問した際,その担当の専門のドクターがこういうことをおっしゃっておりました。地図の上には行政の境があります。でも,命を守るためには,空には境界線はありません。飛べるのであれば,千葉であろうと茨城であろうと私たちは飛んでいきますと,そのように語ってくださいました。橋本知事にあっては,県民の命を第一義に考えながら,積極的な埼玉県との連携も模索していくべきだと考えますけれども,御所見をお聞かせいただきたいと思います。  以上2点,再質問させていただきます。御答弁をよろしくお願い申し上げます。 21 ◯議長(飯野重男君) 井手義弘君の再質問に対する答弁を求めます。  橋本知事。                     〔橋本知事登壇〕 22 ◯橋本知事 ただいま御提案のありましたパスポートの交付事務や福祉事務所における業務などにつきましては,住民に密着したサービスでございますので,私どもといたしましても他県の例なども参考にしながら,市町村の受け入れ態勢も十分に考慮しながら,積極的に権限移譲を推進してまいりたいと考えております。  また,埼玉県とのドクターヘリの共同利用につきましては,古河市などの県西地域には救命救急センターとして茨城西南医療センター病院があり,また,現在,自治医科大学付属病院も近いためにその利用も活発であると聞いているところでございます。埼玉県のドクターヘリによる搬送時間短縮のメリットがどの程度あるか等につきまして,本県へドクターヘリを導入するための委員会を設置し,その中で検討していく中であわせて検討してまいりたいと考えております。           ──────────────────────────── 23 ◯議長(飯野重男君) これで,会派代表質問,質疑を終了いたします。           ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 24 ◯議長(飯野重男君) 以上で,本日の日程は全部終了いたしました。  次回は,明9月12日午後1時から本会議を開き,一般質問,質疑を行います。  本日は,これにて散会いたします。                     午後3時59分散会 Copyright © Ibaraki Prefectural Assembly, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...