◎保健福祉部長(飯尾仁君) 福祉避難所へのひもづけにつきましては、大雨を想定した場合に、要介護度等に応じ支援の必要性が高いと考えられる要支援者のうち、特に危険性の高い地区に居住する方を先行して調査します。 具体的には、令和3年9月時点で3メートル以上の浸水想定区域または
土砂災害特別警戒区域に居住している要介護4以上の方、下肢または体幹機能障害による身体障害者手帳1、2級の方、療育手帳Aの方、合計582名に対し、先行してアンケートや訪問などによる調査を実施した上で、福祉避難所以外に避難先がない方を優先してひもづけしていきます。
◆4番(山守章二君) 障がい者の中にはふだん通い慣れた事業所が福祉避難所でなかった場合、その福祉避難所へ避難できなかったり、パニックになったりする方がおり、障がい者の家族などからは、ふだん通い慣れた事業所へ避難したいとの声がありますが、3つ目として、福祉避難所へどのようにひもづけるのか伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 障がいのある方については、環境への適応が難しいなど、避難先におきましても、障がいの特性に応じた対応や配慮が必要と認識しています。 そのため、民間事業者との協定による福祉避難所への避難については、避難する方の身体状況や障がい特性等を考慮した上で、可能な限り普段利用している事業所等へひもづけしていく考えです。
◆4番(山守章二君) 現在の福祉避難所である公共施設10か所のうち水害時の受入れ可能数が想定で4か所、協定施設60か所のうち水害時の受入れ可能数が想定で50か所、合わせて54か所確保されているとのことですが、4つ目として福祉避難所の確保についてはどのように考えているのか伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 福祉避難所につきましては、場所の確保のほか、介護人材も併せて確保していく必要があります。 今後とも、民間福祉事業者に対し、避難者の受入れについての理解と協力を求め、福祉避難所の数と受入れ人数の増に努めます。
◆4番(山守章二君) 福祉避難所の確保についても多くの課題があり、公共施設を福祉避難所にするには市職員の配置などに限界があると思われますので、民間の事業者が運営する入所施設などと十分に話合いをしながら安全を確保して1つでも多くの福祉避難所の確保をしていかなければなりません。そして特に障がい者などのリスクの高い方がなるべく近くの福祉避難所に避難できるよう、今後のより一層の取組をお願いし、次の質問に移ります。 大きな質問の2番目は、
動物愛護管理センター建設についてです。
動物愛護管理センター建設については、東日本大震災以後から検討されている長年の懸案事項であり、多くの市民の皆様も
動物愛護管理センターの早期建設を待ち望んでおります。我が会派でも長年にわたり予算要望書で
動物愛護管理センターの早期建設を要望してまいりました。また、
動物愛護管理センターの整備については私を含め多くの議員がこの議場で議論をしてまいりました。 そして令和2年1月に
動物愛護管理センター整備検討市民委員会から報告書が提出されましたが、社会状況が変化したこともあり計画が進捗せず現在に至っておりましたが、令和4年度当初予算案に
動物愛護管理センター整備事業として計上され、やっと動き出すということですので期待を込めて以下伺ってまいります。 1点目は、現在までの経過についてです。 先ほども述べましたが、
動物愛護管理センター建設は長年の懸案事項であり、本市の動物愛護と適正な管理を推進していくためには必要不可欠なものであります。 私は、令和2年2月定例会で
動物愛護センター整備検討市民委員会での議論や報告書について質問をいたしました。
整備検討市民委員会での議論ですが有識者や多くの地元団体の代表者などにせっかく集まっていただきながら、効果的に議論を進めることができなかったことは非常に残念でありました。そして
整備検討市民委員会から出された報告書についても触れ、市民委員会から提出された報告書は疑義のある根拠に基づき結論が導かれており、報告書の取扱いについては、十分に慎重になるべきだとただしました。 当局からの答弁は、熱心に議論を重ねていただいた結果の報告書と考えておりますので、尊重してまいりたいと考えておりますとのことでした。 そこで、1つ目として、
動物愛護センター整備検討市民委員会から提出された報告書の取扱いについて伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君)
整備検討市民委員会では、内郷地区の住民団体や動物関係団体の代表者の皆様など、21名の委員の皆様に、4回にわたり熱心に御議論いただきました。 委員会の議論においては、市民の皆様がセンターに寄せる期待や、整備に際し留意すべき事項などを見いだすことができ、大変有意義なものであったと認識しています。 報告書では、建設候補地と整備形態については意見が分かれましたが、そのほかの施設の機能や構成等は委員の総意として決定されています。 そのため、これらを基本として、センター整備の検討を進める考えです。
◆4番(山守章二君) 私は市民委員会を全て傍聴しましたが、市民委員会の中で出された意見は大変参考になることが数多くありましたので、その意見は有効に役立てて、根拠のないデータを基にした結論は、参考にすべきではないと考えております。まずは、報告書の中身をしっかりと精査していただきたいと思います。 次に、
ポリテクセンター跡地についてですが、平成26年にも建設候補地として一定の合意が図られた経緯がありましたが、2つ目として、
整備検討市民委員会で建設候補地の次点であった
ポリテクセンター跡地への建設についてはどのような検討を行ったのか伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君)
整備検討市民委員会からの報告を受け、市民委員会に提示しました
ポリテクセンター跡地及び
総合保健福祉センター敷地の双方について、その後の状況の変化も踏まえ整備の可能性を検討してきました。
ポリテクセンター跡地は、地滑り防止区域にあるため、令和2年6月に公布されました
改正都市再生特別措置法に関する国土交通省の資料に基づき、災害レッドゾーンとして、建物等の新規立地が抑制されるものと考えていました。 しかし、その後の調査で、当該地が土砂災害警戒区域として、
災害イエローゾーンに区分されたことが判明したため、災害時の要援護者の警戒避難体制を整備する必要はあるものの、建物の配置等を工夫することにより、新規建設が可能であることが確認できたところでございます。
◆4番(山守章二君) 地滑り防止区域でのレッドゾーンとは
土砂災害特別警戒区域で建築物の構造規制などがありイエローゾーンの土砂災害警戒区域とは大きな違いがあります。
ポリテクセンター跡地はイエローゾーンに指定されておりますが建築物の制限を受けないため建築することは可能だと伺っております。 しかし、令和2年6月に改正された、先ほども答弁にありましたように
都市再生特別措置法において
災害ハザードエリアに区分されましたが、当局でそのときにしっかりと確認を行っていれば、
ポリテクセンター跡地をレッドゾーンと判断することはなく、このような状況にはならず、その時点で災害時のリスク調査や整備コストなどを見直し、次点の
ポリテクセンター跡地に建設地を変更することも可能だったと思われます。 そこで、3つ目として、
整備検討市民委員会に参加された委員への報告について今後も含めて伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 委員会から報告を受けた後、洪水ハザードマップの改訂等による災害リスクや、
新型コロナウイルス感染症の発生、収容動物の飼養管理に関する基準の改正など、その後の状況が大きく変化したことにより、整備候補地や敷地の構造等を見直す必要が生じたところです。 そのため、これまでの検討経過や今後の進め方について、
新型コロナウイルス感染症を考慮し、委員の方々に、皆様にお集まりいただくのではなく、文書をお送りすることにより、令和3年3月に御報告いたしました。 今後におきましても、適宜、御説明していきます。
◆4番(山守章二君)
ポリテクセンター跡地の件や今後の取組も含めしっかりと市民委員会の皆様に丁寧な説明・報告をお願いしたいと思います。 2点目は、今後の取組についてです。 先ほども申し上げましたとおり、令和4年度より動き出すとのことですが、まず1つ目として、
動物愛護管理センター整備に当たり、整理すべき課題について伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 整理すべき課題といたしましては、災害発生時の安全性や施設機能を確保することが挙げられます。 また、
新型コロナウイルス感染症などの人獣共通感染症対策の強化や、動物の鳴き声、臭い等による周辺環境への影響に配慮することも必要です。 さらには、動物の愛護と適正管理の普及啓発や教育面での市民の利便性や付帯設備を含めた設備コストなどがあると考えています。
◆4番(山守章二君) では、2つ目として、令和4年度の
動物愛護管理センター整備事業の概要についてですが、聞くところによりますと外部に調査を委託するということですが、初めに、市民委員会でも問題となり、議会でも取り上げた整備コストの算出はどのように行うのか伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君)
動物愛護管理センターの整備候補予定地として考えられる4か所程度について、それぞれ、整備に要する概算費用を算出する考えです。 具体的には、候補地の災害リスクを踏まえた施設本体や電気設備、給排水設備の整備に関する費用に加え、敷地の状況に応じた造成や既存施設の解体等に関する費用を想定しております。 これらの費用の算出につきましては、専門的な知識を持つ事業者に委託する予定でございます。
◆4番(山守章二君) 整備コストについては、超概算とならないよう候補地決定の際の大変重要な項目の1つとなりますので、確実な積算根拠による概算整備費に基づいて、整備コストの算出を行っていただきたいと思います。 次に、候補地のアクセスも大変重要なことであります。利用者が自動車以外で来所する場合に不便にならない場所、また保健所からの距離なども検討の重要な1つであります。 そこで、候補地のアクセスはどのように考えているのか伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君)
動物愛護管理センターの整備候補地を選定するに当たりましては、災害発生時の安全性の確保と周辺環境への影響が少ないことが、重要であると認識しています。 また、動物愛護と適正な管理の普及啓発や、教育面での市民の利便性、職員体制などの保健所との円滑な連携等も含め、候補地へのアクセスは重要な要素として検討してまいります。
◆4番(山守章二君) 市民が気軽に行けて、不便さを感じないところへの整備をお願いしたいと思います。 次に、周辺環境に対する地域の合意形成はどのように図っていくのか伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 令和4年度に予定しております条件調査の結果を基に、改めて
整備検討市民委員会の委員の皆様にこれまでの経過等を含めて説明し、御意見を伺い、整備候補地の選定を進めます。 その後、候補地となった地域の皆様に丁寧に御説明を行い、理解をいただきながら合意形成を図ります。
◆4番(山守章二君) 地域の合意形成も大変重要となりますので、地域住民に丁寧な説明をしながら調査を進めていただきたいと思います。 東日本大震災や令和元年東日本台風のときも、ペット同行の避難体制や、ペットを一時的に避難させ収容できる施設がなかったことで、ペットを飼っている方が避難する際に大変苦労されたと聞いております。 そこで、
動物愛護管理センターが整備されるに当たり、災害発生時における動物の受入れ体制はどのように組み込んでいくのか伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 災害が発生し、避難せざるを得なくなった場合、家族の一員として共に暮らす犬や猫等のペットにつきましては、可能な限り同行避難することが飼い主の責務として位置づけられています。 しかし、大規模な災害等で避難が長期間に及ぶ場合、避難先でペットを飼い続けることが困難な事例が見受けられたところです。 こうした事態等に備えるため、センターの整備に当たりましては、その機能の1つとして、災害時にペットの受入れができるよう、災害リスクを考慮し、施設に工夫を持たせることが、報告書においても位置づけられています。 今後も、施設の整備検討を進める中で、ハード面だけでなくソフト面も含め、検討します。
◆4番(山守章二君) 大規模災害の際に仮設的なものであれペットの受入れ体制が準備できる施設があれば、被災者もペットも安心して避難ができますので、災害時にも機能が発揮できる施設になることを市民は望んでおります。 次に、3つ目として、
整備検討市民委員会の委員も含め市民の意見の反映はどのようにしていくのか伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 令和4年度に実施予定の整備条件調査の概要がまとまりましたら、
整備検討市民委員会の委員の皆様をはじめ、獣医師会等の動物関係団体の皆様に御説明し、御意見をいただきます。 また、パブリックコメントを活用し、広く市民の皆様の御意見をいただくことにより、整備内容に反映する考えです。
◆4番(山守章二君) 長年にわたり検討され、多くの市民から数多くの意見が出されてきましたので出された意見は無駄にせず、選定の際にしっかりと反映していただきたいと思います。 次に、4つ目として、
ポリテクセンター跡地の取扱いについて伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君)
ポリテクセンター跡地につきましては、センター整備の候補予定地の1つとして位置づけています。 このため、令和4年度に実施予定のセンター整備に係る条件調査において、
総合保健福祉センター敷地や、ほかの整備候補予定地とともに、災害発生時のリスクや周辺環境への影響等について、詳細に調査を行います。
◆4番(山守章二君) 市民委員会で1番目の整備候補地になった
総合保健福祉センター敷地が洪水ハザードマップの改訂により、最大浸水深が大幅に増したことにより
災害ハザードエリアに区分されました。浸水区域となれば、浸水対策をするために整備コストが大幅に増加したり、その地域で浸水被害が生じた場合、目的の場所まで被災者やペットがたどり着けないということも予想されます。次点の
ポリテクセンター跡地ですが、先ほども申し上げましたとおりイエローゾーンに指定されておりますが建築は可能であり、今回の改正で整備コストが大幅に変わることはないと思われます。 そして、今回この2か所が整備候補地の調査対象となり再検討されるのであれば、災害時のリスクや整備コストなどいろいろな面から見直していただきたいと思います。 最後に5つ目として、今後のスケジュールについて伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君)
整備検討市民委員会の総意として報告されました施設の機能や構成等を基本として、令和4年度に実施予定の条件調査におきまして、施設の規模や構造、事業費の再積算等を行います。 それを基に、改めて施設整備の概要を取りまとめ、庁内調整を図った上で、整備方針の案を作成します。 その後、
整備検討市民委員会の委員の皆様をはじめ、整備予定地の周辺住民の皆様と丁寧な話合いを行い、御理解をいただきながら、市民に親しまれる動物の愛護と適正管理を啓発する拠点施設となるよう、
動物愛護管理センターの整備を進めてまいります。
◆4番(山守章二君)
動物愛護管理センターの建設について伺ってきましたが、長年にわたり多くの市民の皆様が待ち望んでいることでもあります。今回は市民の大切な税金を使い、時間もかけて調査するわけですから今回で最後になるようしっかりとした調査を行い、整備候補地を選定して市民の意見が反映された整備方針が出されることを期待し、次の質問に移ります。 大きな質問の3番目は、いわき市医療センターについてです。 昨年3月、市医療センターは、令和3年度から令和6年度までの4年間を計画期間とする市病院事業中期経営計画を新たに策定し、今後の病院運営の方針や経営改善に向けた取組などを定めましたが、
新型コロナウイルス感染症の影響で、社会経済情勢が大きく変化し、先行きが不透明であることや、令和2年度に予定されていた、総務省の新公立病院改革ガイドラインの改定が見送られたことなどを理由に、令和4年度以降の収支見通しについては、その後の社会情勢などを踏まえ、改めて整理することとしておりました。 こうした中、
新型コロナウイルス感染症に関しましては、感染と収束を繰り返しており、本年に入りましてもオミクロン株による感染者の急増などにより、本県を含む多くの自治体がまん延防止等重点措置の適用を受け、様々な面で行動が制限されるなど、今なお、社会に多大な影響を与え続けております。 一方、患者の対応に当たる医療機関に目を向けますと、受入れ病棟の確保や、感染防止対策に伴う医療従事者の自宅待機などによって、診療体制や病院の運営に多大な影響が生じており、また、
新型コロナウイルス感染症の終息が見通せないことや、一般患者の受診控えなどの影響もあり、こうした厳しい状況は今後も続くのではないかといった報道もなされております。 昨年11月に政府が打ち出した方針、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策に基づき、ウィズコロナ、そしてポストコロナを見据え、社会経済活動の再開に向けた取組が進められる中、医療機関に対しましては、感染の再拡大に備え、医療提供体制の確保・強化が求められているところであり、少子・高齢化に伴う医療需要の増加など、従来の課題への対応も含め、本市の中核病院である市医療センターにおきましては、今後も難しい病院運営を迫られるものと考えております。 こうした状況などを踏まえ、市医療センターの現状や今後の見通しなどについて、以下伺ってまいります。 初めに、市医療センターにおける
新型コロナウイルス感染症への対応状況についてですが、過去にない早さで感染者が急増した第6波において、1点目として、市医療センターは、どのように対応してきたのか伺います。
◎病院事業管理者(新谷史明君) 当センターは、市内で、感染者が発生し始めた本年1月初旬には、感染症患者の受入れ病床を常時確保している24床から48床に拡大するなど、早い段階から、感染の急拡大に備え、体制を整備してまいりました。 このような事前準備に加え、これまで積み重ねてきた経験に基づく、迅速な医療スタッフの配置転換や、市保健所を中心とした地域の医療機関との役割分担を進めてきました。 これらの取組により、感染拡大期においても、速やかに感染症患者を受け入れるなど、救急医療や周産期医療等の通常医療との両立を図りながら、必要な医療提供を行ってきました。
◆4番(山守章二君) 地域の医療機関と連携し、必要な医療提供が行われていることが分かり、大変安心いたしました。最近では、各医療機関における感染症患者の受入れ状況が公表されるようになり、私たち市民も、様々な医療機関が患者を受け入れ、懸命に対応されている状況を把握できるようになりました。日々、感染リスクと戦いながら、患者の対応に当たられている医療従事者の方々に対しまして、改めて深く感謝を申し上げます。 2点目は、令和3年度の見通しについてです。 質問の冒頭で申し上げましたとおり、
新型コロナウイルス感染症の影響により、全国の医療機関では、患者数の減少が続いておりますが、1つ目として、市医療センターでは、令和3年度の患者数をどのように見込んでいるのか伺います。
◎
医療センター事務局長(飯塚修一君) 令和3年度は、前年度に引き続き、感染症患者の受入れ病床を確保したほか、国の方針に基づき、医師が急を要しないと判断した手術や検査を延期しました。加えて、感染拡大に伴う外出機会の減少といった生活様式の変化や、一般患者の受診控えなども生じており、患者数の減少が続いています。 このような状況等を踏まえ、令和3年度の延べ患者数は、入院と外来を合わせて、約37万1,900人と、令和2年度の実績と比べて、約1,500人ほど減少を見込んでいます。
◆4番(山守章二君) それでは、2つ目として、令和3年度の決算をどのように見込んでいるのか伺います。
◎
医療センター事務局長(飯塚修一君) 令和3年度決算の見込みについて、2月補正予算案を編成した昨年12月時点で申し上げます。まず、医業収益は、
新型コロナウイルス感染症の影響に伴う患者数の減少により、現計予算との比較で約6.9億円減と見込んでいます。 その一方で、先行きが不透明として、予算に計上していなかった病床確保料等の感染症関連の補助金について、交付決定を受けたことなどから、医業外収益は、現計予算との比較で約23.9億円の増を見込んでおり、特別利益を含めた収入全体では約17.1億円の増となる見込みです。 このようなことなどから、最終的な収支は、約12.3億円の黒字となり、約4億円の赤字を見込んでいた現計予算と比べ、大きな収支改善を見込んでおります。
◆4番(山守章二君) ほかの医療機関と同じく、
新型コロナウイルス感染症の影響で、患者数や医業収益が落ち込んでいるものの、国・県の財政支援制度を活用し、財源の確保に努められている状況が分かりました。 では、3点目として、令和4年度の収支の見通しをどのように捉えているのか伺います。
◎
医療センター事務局長(飯塚修一君) 令和4年度の収支の見通しについて、令和4年度当初予算案をベースに申し上げます。まず、収入面では、感染症の終息が見えない中、今後も、感染症患者の受入れ病床の確保が必要と思われることや、一般患者の受診控えなどにより、医業収益の早期回復は難しいと考えられます。 しかし一方では、病床確保料等の財政支援制度について、一部見直しはあったものの、今後も、継続される見込みでありますことから、収益的収入全体では、前年度当初予算との比較で、約11.3億円増の約233億円を見込んでいます。 これに対し、支出面ですけれども、老朽化しました
病院情報システムの更新に伴う既存システムの除却費の計上などによりまして、収益的支出全体では、前年度当初予算との比較で、約3.9億円増の約230.8億円を見込んでいます。 これらの結果、現時点では、約2.2億円の黒字となり、約5.2億円の赤字としていました前年度当初予算と比べ、約7.4億円ほど収支改善を見込んでおります。
◆4番(山守章二君) 令和4年度におきましても、財政支援制度の活用により、黒字は確保できる見込みであるとのことでしたが、医業収益の早期回復が見込めない中、今後も厳しい経営が続くものと理解しました。 次に、4点目は、市病院事業中期経営計画についてです。 まず1つ目として、
新型コロナウイルス感染症の影響により、昨年度、総務省が見送った新公立病院改革ガイドラインの改定作業について、現在の状況を伺います。
◎
医療センター事務局長(飯塚修一君) 新公立病院改革ガイドラインの改定は、現在、総務省が検討会を設置し、医療需要の変化や医師不足、感染症の発生など、公立病院を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、今後の対応等について、議論が行われております。 こうした中、昨年12月に公表されました検討会の中間取りまとめによりますと、総務省は、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、公立病院の経営強化に向けた新たなガイドラインを今年度末までに策定することとしています。 また、その後には、各地方公共団体に対し、公立病院の経営強化策を盛り込んだ(仮称)公立病院経営強化プランについて、令和4年度または令和5年度中の策定を要請する見通しとなっております。
◆4番(山守章二君) 次に、2つ目として、現在の状況などを踏まえ、改めて整理するとしていた令和4年度以降の収支見通しについて、今後どのように見直していく考えか伺います。
◎
医療センター事務局長(飯塚修一君) 中期経営計画における令和4年度以降の収支見通しにつきましては、感染症が拡大を繰り返し、先行きが不透明な状況にあるため、中・長期的な視点での策定が非常に困難な状況です。 また、国からは、令和5年度末までの(仮称)公立病院経営強化プランの策定について要請される見込みです。さらに、令和5年度末までに策定されます県の第8次医療計画には、新たに、新興感染症等への対応が盛り込まれる予定であり、当センターは、それらの動向を踏まえた対応も必要となります。 このようなことから、今年度は、令和4年度分の収支見通しのみを策定し、年度末までには公表したいと考えております。
◆4番(山守章二君) 先ほど答弁いただきました総務省の動向によりますと、各地方公共団体は、遅くとも令和5年度中に、病院の経営強化策を盛り込んだ公立病院経営強化プランを策定することになるとのことでした。現時点において、総務省から、新たなガイドラインの詳細が示されていないとのことではありますが、
新型コロナウイルス感染症の影響などにより、病院を取り巻く社会情勢が厳しさを増す中、病院の経営指針となるプランの策定は、極めて重要な取組と考えております。 医療体制や病床数などを示す第7次福島県医療計画につきましても、令和5年度が終期となり、次期計画の策定作業も今後始まりますので、それらの動向などについても積極的に情報収集されるなど、適切な対応をお願いいたします。 5点目は、今後の病院運営についてです。 地震や津波、台風などの自然災害に加え、今回の
新型コロナウイルス感染症のような新興感染症の流行など、私たちの想定を超える事態が近年多発しております。ここ数年の間でも、豪雨被害を引き起こした令和元年東日本台風や、数次にわたる
新型コロナウイルス感染症の拡大などにおきまして、市医療センターは、地域災害拠点病院や感染症指定医療機関などとして、全力でその対応に当たられてきたと思いますが、一方で、様々な課題も見えてきたのではないかと考えております。 そこで、これまでの経験などを踏まえ、1つ目として、今後、非常時を想定した医療提供体制をどのように強化していくのか伺います。
◎病院事業管理者(新谷史明君) 当センターは、これまでも、自然災害等を想定した防災訓練や、備蓄食料の確保等を、毎年度、実施してきました。また、新病院の建設により、ハード面の機能強化も図ってきました。 しかしながら、感染症の世界的な流行により、医療資材の供給不足や価格高騰が生じたほか、急増する感染症患者の受入れ体制を確保するため、やむを得ず通常医療を制限するなど、これまでの想定を超える事態が生じました。 このような経過等を踏まえ、当センターでは、これまでの取組に加え、不測の事態に備えた医療資材の確保策や病床利用の在り方を検討するなど、非常時に備えた病院づくりに職員一丸となって取り組むこととしています。 また、災害現場に駆けつけ、救急治療を行う災害派遣医療チーム、通称DMATの隊員や、救急看護や感染管理等の分野において、高度な技術と知識を有する認定看護師など、非常時の医療提供体制を支えるスペシャリストの育成にも、引き続き、積極的に取り組んでいきます。
◆4番(山守章二君) 皆様も御承知のとおり、自然災害や新興感染症の発生は、予想することができず、また発生後は、患者の受入れなど、速やかな対応が求められるため、日頃から非常時を想定した医療提供体制の強化が求められます。加えて、このような非常事態においても、第三次救急医療機関や地域周産期母子医療センターなどの役割を担う市医療センターは、負傷者や感染症患者などの対応と、救急医療や周産期医療などの通常医療の両立が求められます。 医療資源が限られる中、その実現には多くの困難を伴うこととは思いますが、市民の生命を守る最後のとりでとして、必要とされる医療を確実に提供できるよう、体制の強化に取り組まれるようお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症への対応に関しましては、様々な経験を重ねる中で、ほかの医療機関などとの役割分担が進み、現在では、患者の受入れが円滑に行われるなど、理想的な医療提供体制が構築されたわけでありますが、こうした医療センターと民間病院などとの連携・協力による地域医療の充実・強化は、
新型コロナウイルス感染症に限らず、地域完結型医療を実現していく上で、不可欠な取組と考えております。 そこで、最後の質問となりますが、市医療センターは、地域の中核病院として、今後、地域完結型医療の実現に向け、どのように取り組んでいく考えか伺います。
◎病院事業管理者(新谷史明君) 当センターは、これまでも、地域全体で治し、支える、いわゆる地域完結型医療の実現に取り組んできました。特に、今般の感染症への対応では、市保健所や医師会、地域の医療機関等と連携し、役割に応じた感染症患者の受入れ体制を構築してきました。また、市民向けワクチン接種や自宅療養者の支援等、保健行政の取組にも、病院職員を派遣するなど、市民の皆様の生命を守るため、職員一丸となって取り組んできました。 近年、少子・高齢化に伴う医療需要の増加に加え、医師不足や働き方改革への対応など、病院を取り巻く社会情勢は、年々厳しさを増しています。 このような中にありましても、当センターは、地域医療を守る最後のとりでとして、第三次救急医療や周産期医療などの高度・急性期医療を着実に提供していきます。さらに、地域の医療機関等との適切な役割分担の下、市民の皆さんが、住み慣れた地域において安心で良質な医療の提供を受けることができる地域完結型医療の確立に向け、今後も、全力で取り組んでいきます。
◆4番(山守章二君) 国においては、
新型コロナウイルス感染症対策を機会に、新たな感染症などへの対策について、救急医療や災害医療などと同じように、重点事業の1つとして医療計画に位置づけ、医療提供体制の在り方を見直そうとする動きも始まっております。医療についての課題がなくなることはありませんがいわき市医療センターには、市民の皆さんの生命を守る最後のとりでとして、その責務を果たすことができるよう、医師招聘などによる医療提供体制の充実・強化はもちろんのこと、引き続き、安定した経営基盤の確立に向け、医業収益の確保など収支改善に取り組むことはもとより、適切な経営形態などについても模索していただくよう、お願いいたします。 また、将来にわたり高度で質の高い医療を市民に提供するためには、内田市長と生まれ変わった市医療センターが先頭に立ち、地域内医療機関などとの機能分化と連携をより一層進めていかなければなりません。そして安全で安心な医療の充実を図りながら、地域完結型医療体制の早期構築を要望いたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午前11時5分まで休憩いたします。 午前10時55分 休憩
--------------------------------------- 午前11時05分 再開
△平子善一君質問
○議長(大峯英之君) 休憩前に引き続き会議を開きます。19番平子善一君。 〔19番平子善一君第二演壇に登壇〕
◆19番(平子善一君) (拍手)19番自由民主党一誠会、平子善一です。 昨日、世界を震撼させるニュースが流れました。ロシア軍がウクライナの軍事施設に対する攻撃を始めたと発表し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が衝撃的なスピードで始まりました。 思い返すと、年号が平成から令和に変わり、日本は激動の世の中にさらされています。東日本台風から、新型コロナウイルスCOVID19のパンデミック、そして、今回のロシアによる軍事侵攻と、毎年毎年予想だにしない様々な激動が起きております。この激動の世の中であるがこそ、私たちは市民を守り、市民のために共に歩んでいかなければならないと、決意と覚悟を新たにしているところでございます。 では、以下通告に従い、質問してまいります。 まず、大きな項目といたしまして、本市の風評対策についてです。 忘れもしない、私たちの激動であった東日本大震災から11年を迎えようとしております。全ての皆様の御尽力により、それぞれの課題の克服に向けて前進していることは確かでありますが、依然として課題となっておりますことは根強い風評ではないでしょうか。 これまで、各機関、各種団体、市民の皆様などあらゆる方々の御努力により食の安全あるいは風評払拭の取組のおかげさまをもちまして、国内だけでなく、海外においても大分正しい理解が進み、昨年、アメリカが日本産食品の輸入規制を撤廃し、福島県産米の輸出が始まりました。そして、今月21日に長らく輸入停止となっていた台湾も規制を緩和し、そして英国も規制撤廃に向けた手続を開始しているなど、風評対策に対し、着実に確かに歩みを進めていると認識しております。 その中で、本市に多大な影響を与えているであろう農業及び水産業の風評への対策について伺ってまいります。 まず、農業における風評対策について伺ってまいります。 間もなく震災から11年を迎えようとしております、本市の農業の現状についてお伺いいたします。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 本市の農業における風評につきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故直後から、本市農産物の買い控えや取引停止が生じたところです。 消費者庁が毎年実施している風評被害に関する消費者意識の実態調査におきまして、放射性物質を理由に福島県産の購入をためらう人の割合は、調査開始当初における平成25年2月の19.4%から令和3年2月の8.1%まで減少しております。 また、本市が独自に実施している風評に関するアンケート調査においても、首都圏在住者で本市の農産物を購入しないと回答した人の割合は平成28年度の13.3%から令和2年度が12.5%と減少しております。
◆19番(平子善一君) それでは、農業の課題について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 本市農業におきましては、生産者をはじめ関係者の方々の努力により、本市農産物の安全・安心の認知度が高まったことなどから、農作物取扱単価は東日本大震災前の水準に回復しつつあります。 しかし、国や市で実施したアンケート結果などから本市農産物の購入をためらう消費者は固定化してきており、風評対策を進める上で課題であると考えております。
◆19番(平子善一君) 様々な課題を伺ってまいりました。 その中で、実際の農業従事者からの意見について、本市の認識について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 農業従事者からの意見としては、放射性物質検査等における負担がある、農作物取扱単価は回復しつつあるが、東日本大震災前の水準に戻りきっていないなどの声を聞いております。 市といたしましては、いまだ残る風評の影響が続いているものと認識しております。
◆19番(平子善一君) このような中、買い控えによる販売不振が生じたことに加え、仕入れる農林水産物等を風評被害の及んだ県内産から他地域産に変更したり、取引先の要求等による放射性物質検査の費用負担や各種証明書発行の費用負担が生じたり、風評被害が及んでいると認定される商品を取り扱っているため仕入量が減少したりなどと伺っております。 こうした厳しい現実の中でも、農家は、明るい希望の光を求め、土日も返上して頑張っているのも事実であります。このような農家の皆様方の不断の努力を真摯に受け止めるべきだと考えます。 国・県、本市が力を合わせて風評被害払拭のためあらゆる努力を一生懸命されているのも事実でありますが、発災後11年が経過する現在においても、いまだに風評被害が尾を引いていることは否めない事実だと思います。 その中で、これまで行ってきた風評払拭対策について伺ってまいります。 まず、本県のこれまでの取組について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 県においては、震災直後から、緊急時モニタリング検査により農産物の安全性の確認及び正確な情報の提供を行っております。 また、販売促進フェアの開催、オンラインストアの開設支援、農産物の輸出拡大や6次産業化商品等のブランド化推進などに取り組んでおります。
◆19番(平子善一君) 次に、本市のこれまでの取組について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 市の取組につきましては、食の安全・安心を消費者自身に判断していただくため、農産物をはじめ、それを育む土や水などの放射性物質検査結果を、ありのまま情報開示・発信してきました。平成23年10月には、消費者からの信頼獲得を目的とするいわき見える化プロジェクトを開始しました。翌年には、観光業も含めた復興と風評対策を目的とするプロジェクトチーム、見せる課を創設し、昨年10月に再編・強化したところであります。 現在、魅力アップ!いわき情報局魅せる課において、さらなる風評払拭及び消費拡大のため、新たな魅力発信や消費者の購買プロセスに訴求するプロモーションを戦略的に展開しているところであります。
◆19番(平子善一君) ここまで農業の件について伺ってまいりましたが、同様に大変厳しい状況である水産業における風評対策についても伺ってまいります。 まず、水産業の現状について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 本市の沿岸漁業については、平成23年3月の操業自粛の後、平成25年10月に試験操業が開始され、昨年4月に、本格操業に向けた通常操業に移行しました。 一方、沖合漁業については、原発事故の影響が少ないことから、平成23年8月から継続して本格操業を行っております。 水揚げ量は徐々に回復してきておりますが、令和2年の水揚げ量で申し上げますと、沿岸漁業は、979トン、震災前の18.6%、沖合漁業は、7,908トン、震災前の53.2%となっております。
◆19番(平子善一君) 次に、水産業の課題について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 水産業においては、海洋環境の影響による水産資源の減少、高齢化等による漁業従事者の減少、食生活等の変化による魚食離れなどが課題となっております。 加えて、本市におきましては、原発事故の発生以降、風評の影響等により、一大消費地である首都圏等への流通量が大きく減少するなど、市内漁港での水揚げ量や販路の回復の面で、課題が生じています。
◆19番(平子善一君) 水産業の現状と課題を伺ってまいりました。 続いて、水産業関係者からの意見について本市の認識についてお伺いいたします。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 水産業関係者からの意見として、福島県の緊急時モニタリング検査において、1魚種でも基準値を超えてしまうと、他の魚種の販路にも影響が生じてしまう、また、市内の港に水揚げすると、他県の港に比べ魚価が安くなってしまう、さらに、漁業の将来に不安を覚え、新たな担い手が確保されないなどの声を聞いています。 市といたしましては、根強い風評の影響が続いているものと認識しております。
◆19番(平子善一君) それでは、水産業における風評払拭対策についてお聞きいたします。 まず、本県のこれまでの取組について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 県においては、震災直後から、緊急時モニタリング検査により水産物の安全性の確認及び正確な情報の提供を行っております。 また、首都圏等の大手量販店に販売コーナーを設置する福島鮮魚便や、地元メディアと連携して水産物の魅力を発信する、「ススメ水産、福島産。」キャンペーン等に取り組んでおります。
◆19番(平子善一君) これまで、現在までの課題、対策を伺ってまいりました。 次に、農業及び水産業の今後の対応について伺います。
◎農林水産部長(千葉伸一郎君) 市におきましては、これまで、生産者や料理人、関係団体等と一丸となって、消費者からの信頼獲得を目的とする、いわき見える化プロジェクトにより各種の情報発信に努めてきました。また、いわき産コシヒカリ、IwakiLaikiや常磐ものなどのブランド化を図ってきました。 今後におきましても、農林水産物の高品質・高付加価値化の推進や、効果的な情報発信によるブランド化を庁内横断的プロジェクト、魅せる課により、戦略的に展開していきます。
◆19番(平子善一君) 小売・流通事業者が福島県産品の安全性に関する理解を一層深め、適切な消費者対応ができるようになることは、福島県産品が適正な評価を受けて取り扱ってもらう上で必要なことであると考えます。市執行部におかれましても引き続き事業者、消費者がより一層の理解を深めるための施策の実施を引き続きよろしくお願いいたします。 そして、風評被害を受けてきたのは農業及び水産業だけではございません。東北を代表する観光都市としての側面を持つ本市いわき市において、観光業にも影響があったかと考えます。 そこで、観光業の現状について伺います。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 観光業の現状について、観光入り込み客数で申し上げますと、震災前の平成22年は、約1,077万人でしたが、震災直後の平成23年は、約371万人と大幅に落ち込みました。 その後、風評対策につながる様々な取組を重ねる中で、平成30年には震災前の7割を超える約809万人に回復しました。 しかし、
新型コロナウイルス感染症の拡大等により、令和2年には約429万人となり、震災直後の平成23年に次ぐ低い水準となっています。
◆19番(平子善一君) では、風評払拭対策についてどのようなことを行ってきたのか伺います。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 本市では、風評を払拭し、観光交流人口の回復を図るため、首都圏等において、積極的に観光PR等を展開しました。 具体的には、著名なタレントやいわき観光情報ナビゲーターフラおじさん、旅行ガイドブックなどを活用したプロモーションを行いました。 また、旅行会社と連携した宿泊料金割引や、復興状況を理解していただく被災地スタディーツアーなども実施しました。
◆19番(平子善一君) 震災前水準と比較し、観光交流人口が74%程度にとどまっている中で、スパリゾートハワイアンズなどの事業所では、わずかながら震災前を超える入り込みとなった事業所もあり、風評被害以外にも、この11年間の間に観光業の需要の多様化が進み、旅行の形態の変化が本格化し、時代の流れに、事業所が対応し切れなかったことも大きな要因の1つとなっているのではないかと思われます。 そして、観光入り込み客数が震災前の水準に戻らない中で生じたコロナ禍により、観光客は大きく減少し、市内の観光業は大きな痛手を負っている状況であり、一刻も早い観光業の復活に向けて、当会派鈴木演議員の代表質問で答弁いただいた観光戦略により、観光入り込み客数の回復に取り組まれることを要望し、次の質問に移らせていただきます。 風評は福島県の現状についての認識が不足していることに加え、放射線に関する正しい知識や福島県における食品中の放射性物質に関する検査結果等が十分に周知されていないことに主たる原因があり、このことを真摯に受け止め、本市は政府や県、関係府省庁と連携して周知する必要があると考えます。 この放射線に関する正しい知識を身につけることは、本市の市民においても同様であると考えます。 それを踏まえまして、以下、市民の意識醸成について伺ってまいります。 復興庁が平成29年に発表した風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略において、放射線に関する正しい知識の理解の欠如と福島県の現状に対する認識不足がある。特に、価値観の礎となる児童・生徒への教育では、正しい知識を持った教師等が授業で使いやすく、児童・生徒が分かりやすいコンテンツを基に正確な情報を伝える必要があるとの記述があります。 まさに、そのとおりであり、今後東京電力福島第一原子力発電所の廃炉も数十年単位の見通しとなることから、正しい知識を身につけ、科学的見地から冷静に物事を判断していくことが、今後の風評対策の礎を築いていくこととなると考えます。それには、日本国民、全人類の意識醸成が必要でありますが、現状、風評を被っている本市民からも正確な認識を発信していけるようにならなければなりません。 そこで、震災から間もなく11年、本市における放射線教育の現状についてお伺いいたします。
◎教育部長(高田悟君) 放射線教育は、放射線についての正しい知識を身につけ、科学的な根拠に基づいて児童・生徒が主体的に考え、判断し、行動できる力を身につけることを目的としております。 本市におきましては、中学校2、3年時の理科の授業のほか、市立小・中学校の全学年において、学級活動や総合的な学習の時間を活用し、防災や人権など多様な視点から、放射線についてのしっかりとした認識が得られるよう取り組んでおります。 また、これらの授業におきましては、教材を使用するだけの内容にとどまることなく、市内の大学や関係機関等から講師を招聘し、専門的な知識を学ぶ機会を設けております。 また、福島県環境創造センターにおきまして、目には見えない放射線の特徴を確かめる実験や、放射線の遮蔽実験の体験学習を取り入れるなど、子供たちが興味・関心を持ち深い学びつなげることができる取組を行っております。
◆19番(平子善一君) また、市民の意識醸成には子供たちの教育だけでは十分ではありません。震災前に教育課程を修了している大人たちへの意識醸成も必要であります。 そこで、大人たちへの学びの場の現状について伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 本市におきましては、国立研究開発法人放射線医学研究所及び福島復興支援本部いわき出張所の御協力をいただき、平成27年度から令和元年度まで、放射線に関する講演会や、親子を対象とした体験学習会を開催してきました。 これらの取組におきましては、大人の方向けに専門的見地からの説明等もいただきながら、幅広い世代の市民の皆様に対し、放射線に関する理解の促進を図ってきました。 しかしながら、令和2年度以降は、
新型コロナウイルス感染症の影響により、体験会や講演会の開催が困難な状況が続いています。 今後におきましては、市内の感染状況等を踏まえながら、万全な感染対策を講じた上で開催できるよう関係機関と調整を行ってまいります。
◆19番(平子善一君) 現状について伺ってまいりました。 この項最後といたしまして、市民への意識醸成に向けた今後の取組について伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 東京電力福島第一原子力発電所の事故から間もなく11年が経過しますが、いまだ風評被害が残るほか、今後とも、廃炉作業は長期にわたり続くものと認識しています。 こうした中、市といたしましては、引き続き、放射線を身近なものとして、正しい知識の習得を進め、理解の促進を図ることが重要であると考えています。 そのため、今後とも、学校等における放射線教育、さらには、放射線医学研究所をはじめとする専門機関との連携協力による取組を通じて、幅広い世代に対し、放射線に関する基礎的な知識の普及に努めてまいります。
◆19番(平子善一君) これからの風評を抑え、そして未来へつなげていくのには、正しい知識を持った人づくりが基礎となります。まさに市長の掲げる人づくりが今後の風評対策への基礎となっていくと思いますので、市長をはじめといたしましてより一層強化をよろしくお願いいたします。 そして、未来へ向け、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け避けては通れない問題があります。ALPS処理水の海洋放出による風評についてであります。 昨年4月の、第5回廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議において、ALPS処理水の処分に関する基本方針を決定し、海洋放出等の処分方法を示されました。それを受け、本議会においても昨年の6月に政府から内閣原子力災害対策本部と東京電力から全員協議会を開催し、説明を受けたところであり、12月には東京電力が実施計画を原子力規制委員会に申請し、本市としても東京電力福島第一原子力発電所事故の調査・分析に係る中間取りまとめや、廃炉安全監視協議会を通じ、国と県と東京電力に対し交渉を行っていると認識しております。 そこで、お聞きいたします。 これまでの経緯を含めまして、本市の今後の対応について伺います。
◎危機管理部長(緑川伸幸君) 本市におきましては、東日本大震災及び福島第一原発事故の発生以来、風評払拭に向け、各分野において様々な取組を行ってきました。 このような中、国はALPS処理水の海洋放出方針を決定し、昨年末には、風評対策等の行動計画を取りまとめました。これらの内容につきましては関係者等の不安を解消するには至っておらず、また、方針決定による風評の拡大や上乗せが危惧されるとの声もございました。 このことから、市といたしましては、関係者をはじめ市民の皆様がこれ以上風評に苦しむことのないよう、国及び東京電力が自らの責任においてより実効性のある風評対策等を早急に講じるとともに、関係者の理解を得ることに全力を尽くすよう、引き続き、強く求めていきます。
◆19番(平子善一君) ALPS処理水の中に含まれる放射性物質の1つであるトリチウムは水素の同位体で、三重水素とも呼ばれています。水素の原子核が陽子1個でできているのに対し、トリチウムは中性子2個、合わせて水素の約3倍の質量があります。同じく水素の同位体であるジチウムと同様に水素と同じように水として存在しているため、同位体を取り除く遠心分離において処理水から分離することはジチウムの数が圧倒的に多いことから、現段階では技術的には難しいと認識しております。 ですが、このトリチウムはベータ崩壊しヘリウム3に変化する際にベータ線、つまり電子を放出しますが、電子でありますので導体であるアルミニウムなど薄い金属板で簡単に遮断できるものでございます。実際、貫通力も、ダメージも多いとは言えない物質でございますが、実際には半減期12.3年と、長期間にわたり放射線を出し続けます。 このトリチウム、原子力発電所によって発生するほか、宇宙から降り注ぐ宇宙線と大気の反応でも発生し、自然界にも多く存在しており、雨水や海水、水道水などにも含まれております。もともと身の周りに存在する上、今回、この決定、示唆されているものに関しましては、トリチウムの濃度を基準値よりも大きく引き下げて海洋放出するため、安全性については高いと言えそうであることは間違いない事実であると認識しているところであります。ですが、この政府による海洋放出の基本方針の決定は、消費者心理に与える影響は極めて大きいことは否定できなく、福島県産品に対する買い控えなどの風評被害の発生をどのように抑えるのか、風評被害対策に課せられた課題はあまりにも大きいと言わざるを得ない状況であります。 廃炉に向けた動きは、安全が担保された上に、安心と理解があり進んでいくべきであると考えます。現状はある程度の安全性は担保されているものの、本市民をはじめとした国民への安心、そして理解を得られている状況であるとは言い難いと言わざるを得ません。その中、つい先日、文科省によるALPS処理水について知ってほしい3つのことという文書が市教育委員会を通さず学校に郵送し、一部児童・生徒に配付されるという事態が起こりました。文書自体は間違いを記載しているわけではないのですが、このように、どんな正しい情報でも、正しい手順を踏まねば相手の不信感を生んでしまうことは明々白々です。市としてもしっかりと手順を守り、安心と理解を積み重ねていかなければならないと考えます。 市として市民や関係者に対して理解を得られるまでは、決してALPS処理水の処分に関する基本方針を容認できる話ではないとしていますが、政府の基本方針が提示されている以上、あらゆる事態を想定し、本市の産業を守るために、市民の生活を守るために、本市の不利益とならないよう、引き続き粘り強く必要な対応を続けていただくよう要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。 続いて、本市の観光振興について伺ってまいります。 当会派鈴木演議員の代表質問で答弁いただいた観光戦略について全体的な答弁をいただきました。本市は、大きな面積を誇り、市旅館組合においても、地域ごとに特色があり、ニーズも多種多様であります。主なところで、観光地としての湯本温泉、ビジネス利用の平地区、そして県南までをカバーする勿来地区など様々であります。そのため、本市の観光振興を考えていく上で、多種多様な施策を行っていかなければならないと考えます。 そこで、私からは本市への教育旅行誘致について伺ってまいります。 教育旅行は、団体での滞在が一定期間見込まれ、市内の周遊観光の促進も期待できるほか、訪れた児童・生徒たちが、家族とともにリピーターになるといった効果も期待できることから、その需要確保は極めて重要であると認識しております。 そこでまず、本市への教育旅行の現状について伺います。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 県の教育旅行入り込み調査報告書による宿泊を伴う本市への教育旅行を行った学校数、及び延べ宿泊者数を年度別に申し上げますと、平成30年度は868校、3万3,865人、令和元年度は574校、2万7,901人、令和2年度は158校、1万154人となっています。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、令和2年度の延べ宿泊者数は、平成30年度と比較して、約3割の水準に落ち込んでいます。
◆19番(平子善一君) 続いて、教育旅行における本市の観光資源の認識について伺います。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 本市では、教育旅行に必要な、学習し、体験することができるコンテンツを有しています。 具体的には、震災復興やエネルギーなどをテーマとした、いわき震災伝承みらい館や市石炭・化石館等があります。 また、海を通して学ぶことができる水族館やデイクルーズがあり、化石の発掘や農産物の収穫などの様々な体験型施設も有しています。 さらに多くの宿泊施設があり、本市では、ソフト・ハードの両面において、教育旅行で多くの方々を受け入れることができる強みを有しています。
◆19番(平子善一君) 教育旅行における課題について伺います。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 教育旅行についてはこれまで、京都などの歴史観光地に集中する傾向にありました。しかしながら、
新型コロナウイルス感染症の影響で、長距離移動を避ける観点などから、ほかの観光地を巡っていた、来訪実績のない近隣県などの学校が、本市を訪れる機会が増えてきています。 そのため、近距離の旅行先が選定される状況を好機と捉え、本市を選定してもらう取組を強化する必要があります。
◆19番(平子善一君) それでは、今後の取組について伺います。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 教育旅行の受入れ拡大を図っていくためには、教育旅行のコンテンツなどの充実に加え、誘致活動を強化する必要があります。 そのため、満足度や要望等に関するアンケート等を実施し、その結果を踏まえ、効果的なプロモーション活動を展開していきます。 また、旅行先の選定に、旅行会社が大きな影響力を持つため、本市へ教育旅行を誘致した旅行会社に補助を行うなど、旅行会社への働きかけを強化していきます。
◆19番(平子善一君) 教育旅行先として選ばれるには、SDGsに沿った教育的な視点も重要な一方、思い出として残るように楽しめることも重要と考えます。 本市には、アクアマリンふくしまでの川の上流域から海岸まで山・川・海の生態系を再現しており、SDGsの14番である海の豊かさを守ろうや、15番の陸の豊かさも守ろうを学べたり、ほるるやスパリゾートハワイアンズ、そして今、風力発電やバイオマス発電など、石炭からクリーンエネルギーまでの推移を学べたり、こちらSDGsの7番、エネルギーをみんなにそしてクリーンに、といった楽しみながら学習できるコンテンツも数多くあるため、これらコンテンツのよさを、改めて旅行会社に認識していただき、いわき市が教育旅行の候補地として選ばれることを期待して、次の質問に移ります。 次の質問は、スポーツツーリズムについてであります。 スポーツツーリズムとは、スポーツで人を動かす仕組みづくりであり、スポーツツーリズムを推進することによって経済効果や交流人口の増加が期待されており、今や地域活性化の起爆剤として関連施策が展開されていることと認識しております。 2017年4月にスポーツ庁が発表した第2期スポーツ基本計画においてもスポーツツーリズム関連消費額は、5年で72.4%増の3,800億円にすることが目標に掲げられているなど、重要な施策であります。 スポーツ合宿の経済効果は、実際に本市で合宿を行っていたスポーツで、1チームの規模が大きめなスポーツであるアメフトを例に挙げますと、200人規模の3泊4日の合宿で、宿泊施設、市内移動用バス、施設使用料、飲食店など1件で1,000万円規模となる経済効果であったと伺っております。市内各地に様々なスポーツ施設を抱える本市にとって、その需要確保は極めて重要であると認識しております。 そこで、本市のスポーツ合宿の誘致について伺ってまいります。 まず、本市でのスポーツ合宿を希望する団体への取組について伺います。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 本市では、スポーツ合宿などを誘致することによる交流人口の拡大や地域経済活性化を図るため、平成28年度に合宿誘致のための補助制度を創設しました。 また、平成29年度からスポーツコミッション事業を実施しており、合宿を希望する団体等に対し、スポーツ施設や宿泊先、練習相手等のコーディネートを行い、団体が円滑に活動できるよう支援・協力を行っています。
◆19番(平子善一君) 今の答弁でありました、このスポーツコミッションの活動実績についてお伺いいたします。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) スポーツコミッションによる過去3年間の市外団体の合宿実績につきましては、団体数、延べ人数の順で申し上げますと、平成30年度は29団体、3,336人、令和元年度は24団体、2,744人、令和2年度は4団体、148人となっています。 具体的には、
新型コロナウイルス感染症拡大前は、大学などの一般的なスポーツ合宿のほか、女子7人制ラグビー日本代表、デフフットサル日本代表、NPO法人日本視覚障害者柔道連盟などを誘致したところであります。 しかしながら、
新型コロナウイルス感染症の影響により非常に厳しい状況が続いています。
◆19番(平子善一君) スポーツコミッションが本格的に稼働してから、すぐに新型コロナウイルス、このコロナ禍になってしまったので、今、大変だと思います。 次に、課題について伺います。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 合宿誘致に係る主な課題といたしましては、スポーツ施設を予約している利用者との調整が必要となる場合があること。また、全国各地で合宿誘致が取り組まれている中、本市ならではの特性を生かし、合宿地として選んでもらえるよう、スポーツコミッションの充実強化を図っていくことなどであります。
◆19番(平子善一君) スポーツ合宿で経済活性をしようというのはスポーツ庁も方針として打ち出しておりますが、スポーツのポテンシャルではなく、地域側の受入れ態勢に問題があって加速していないのが日本の現状であるという見方もあります。先ほどのアメフトを例にとると、アメフトの受入れに何が必要か分かる人がいないと、受け入れないという選択肢を取ってしまう可能性もあり得てしまうわけであります。このようにチャンスロスがないよう、市としてもその辺のフォローアップをよろしくお願いいたします。 そして、今まで、経緯と課題を伺ってまいりました。 この項、最後といたしまして、今後の取組について伺ってまいります。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 今後の取組といたしましては、合宿を希望する団体のニーズにきめ細やかに対応できるようスポーツコミッションの充実強化に努めます。 また、令和6年度から全国高等学校総合体育大会、いわゆるインターハイ男子サッカー競技が本市を含め福島県での開催が予定されています。その優位性を生かし、本番会場を活用した独自のサッカー大会の開催や合宿の誘致に努めます。 さらに、日本パラサイクリング連盟が本市に移転したことを契機にパラスポーツ関係の合宿も増えてきています。そのノウハウを生かしながら障がいの有無等にかかわらず、スポーツ活動ができる合宿地としても、誘致活動を進めていきます。
◆19番(平子善一君) 高知県では、スポーツツーリズム推進の一環としてスポーツ合宿誘致活動に力を入れており、その中でもアマチュアスポーツ合宿の件数が著しく伸びており、2014年から2016年に対し、約1.5倍になった実例もございます。いわき市がスポーツ合宿の候補地として選ばれることを期待しております。 以上、観光とスポーツに絞った団体旅行という観点・視点で質問させていただきました。 来年度からは、文化スポーツ室と観光交流室の2室が、観光・文化スポーツ部として一体となり、これまで以上に、観光、スポーツ、文化を担当する各課が連携して各種事業に取り組まれることと思います。 多様化が進む現代において、観光への需要が物から体験へと変化していることを踏まえ、本市の観光振興は旅行する方々の興味関心を引きつけるコンテンツを充実させるとともに、これを、しっかりとターゲットとなる旅行者に伝え、観光地として選ばれることが重要であると考えます。そのため、自然、文化・歴史、スポーツ、食など、市内の様々な地域資源を、一定のテーマに応じた形で関連づけるスポーツ文化ツーリズムの考え方が必要であり、本市の観光文化スポーツ部の新設により、本市の魅力をより深く体験・体感できるような観光メニューをこれまで以上に充実させ、本市の観光振興に寄与できることと期待しております。 文化面においても、昨年は、湯本温泉の新つたを会場とした竜王戦も開催され、いわきの地元銘菓などが話題となりましたが、このような文化イベント等を通して県内外からの誘客を図り、交流人口を拡大することもできると考えます。本市においては、文化遺産として国宝白水阿弥陀堂や、これから整備される平城跡地、そして文化芸術の拠点機能を有するいわき芸術文化交流館アリオスがあります。 今後においても、アリオスなどを会場とした、多彩で魅力ある企画の実施と、それらの効果的な周知を行い、市内はもとより、市外さらには県外からも誘客を図っていただき、本市に訪れた方が本市の魅力を経験し、市内周遊と宿泊にもつながるような取組を期待しまして、次の質問に移ります。 続いて、大きな項目3つ目といたしまして、いわき市のオンライン診療について伺ってまいります。 オンライン診療は、1997年に厚生省が、へき地や離島に限るといった条件つきで開始され、当時、できる人や設備も十分ではなかったため、普及せず、2015年8月から事実上の解禁となりました。そして2018年の診療報酬改定で、オンライン診療料が設定され、報酬上にオンライン診療が位置づけられてきましたが、実際にはなかなか報酬が取れずオンライン診療が普及されなかった経緯があると認識しております。 その中、2020年度の
新型コロナウイルス感染症の拡大に対応するために、特例的にオンライン診療の規制が緩和されたことにより、オンライン診療の適用範囲が広がり本格的に普及が進んできたものと思います。さらに、2021年10月からはオンライン資格確認が本格稼働し、保険証利用可能としたマイナンバーカードを用いて医療機関等を受診した患者についての情報の統一から、医療の質の確保や効率性の確保なども可能になり、そして2022年度の次期診療報酬改定や、さらに2023年度からは電子処方箋の運用がスタートする予定となっていることから、今後さらなるオンライン診療のニーズが高まることとなってくると考えます。 オンライン診療については、令和2年の12月に一般質問にて取り上げさせていただきましたが、国の動向を先述させていただいたとおりでありますし、本市においては中山間地域の光ファイバーの整備や、市長の交代など、市民を取り巻く環境は変化しております。 そこで、今回、本市のオンライン診療の構築について伺ってまいります。 まず1つ目に、オンライン診療の必要性の認識について伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) オンライン診療は、医師及び患者間において、情報通信機器を通して患者の診察及び診断を行い、診断結果の伝達や処方等の診療行為をリアルタイムで行うものです。 患者の通院負担の軽減や、コロナ禍における医療施設での感染拡大のリスク軽減といった利点がありますことから、有効な手段であると認識しています。
◆19番(平子善一君) それでは、本市のオンライン診療の現状について伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 令和3年6月末に福島県が公表しました資料によれば、本市275医療機関のうち、電話や情報通信機器を用いたオンライン診療を導入しているのは、29施設となっています。
◆19番(平子善一君) それでは、オンライン診療の課題について伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 一般的なオンライン診療についての課題を申し上げます。医療機関側としましては、対面診療に比べて、患者の心身の状態に関して得られる情報が限定され、検査を即座に行うことができず、診断がしにくいこと。初診での診療報酬が低いこと。さらに、オンライン診療導入のための初期費用や運用経費が発生することなどでございます。 一方で診療を受ける側としましては、通信環境の整備が必要であること。医療機関が使用するオンライン診療システムによっては、利用料金を負担する場合があること。さらに、特に高齢者にとってはパソコンやスマートフォンなどの情報通信機器の操作に不慣れな部分もあるため、医師との円滑なコミュニケーションに不安があることなどでございます。 これらの諸課題があることが、オンライン診療の導入が進んでいない要因であると認識しています。
◆19番(平子善一君) オンライン診療料、オンラインによる医学管理、在宅医療におけるオンライン診療については、対面診療に比べて低い点数が設定されております。対面診療に比べて得られる情報が少なく、行える診療行為が限られることから、当然とも思えますが、オンライン診療推進派からは点数を対面診療並みに引き上げ、オンライン診療の拡大を図るべきとの声も出ております。今後、引上げの方向も示唆されており、今後の動きに期待されることと思います。 それでは、本市の今後の展望についてお伺いいたします。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 国は、オンライン診療の普及を推進するため、本年1月にオンライン診療の適切な実施に関する指針の一部を改訂し、原則、かかりつけの医師が行うことを条件として、初診からのオンライン診療を認めるとしました。また、オンライン診療の初診料につきましても、議員御指摘のとおり、本年4月から引き上げられる予定になっております。 このような国の動向を踏まえ、本市におきましても、今後、オンライン診療の利便性の認知度を高めるため、市民や医療従事者の皆様を対象とした体験会を開催する予定です。併せて、オンライン診療のさらなる普及に向けた課題や解決策などについて、市医師会や市内の各医療機関からの御意見をいただきながら、市民の皆様が、安全性や利便性を享受できるよう普及に向けて取り組みます。
◆19番(平子善一君) 本市においても、医師不足の課題解決に向けて様々な取組を行っているところでありますが、実際に十分な医師を確保するためには時間がかかります。現在においても、AIの導入によりレントゲン等の画質の解析など、ベテランのように解析できたりしている一方、ペインクリニックのように個人差が大きく、個別に対応せざるを得ない分野もございますが、今いわき市が抱える医師不足の課題解決や本市の地域医療のさらなる向上を図るための答えの1つとして、遠隔医療やオンライン診療をもっと積極的に導入すべきであると考えます。 岸田首相も、新しい資本主義の主役は地方であり、デジタル田園都市国家構想を強力に推進し、地域の課題解決とともに、地方から全国へと、ボトムアップでの成長を実現するために、規制・制度見直しを示唆しております。今後導入に対する政府の対応も加速していくことと期待されています。 高齢化や過疎化などに直面する現代においてこそ、オンライン診療、GIGAスクール、スマート農林水産業などのデジタルサービスを活用し、この広大な面積を誇る本市を、そして、持続可能な中山間地域を、構築していただけるよう、強く要望し質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(大峯英之君) ここで、午後1時まで休憩いたします。 午後0時00分 休憩
--------------------------------------- 午後1時00分 再開
△塩沢昭広君質問
○副議長(佐藤和良君) 休憩前に引き続き会議を開きます。27番塩沢昭広君。 〔27番塩沢昭広君第二演壇に登壇〕
◆27番(塩沢昭広君) (拍手)27番いわき市議会公明党、塩沢昭広です。 間もなく東日本大震災及び原発事故の発災から丸11年を迎えます。ますます、被災者の皆様のニーズは複雑多様化しており、改めて、誰も置き去りにしない、伴走型支援の充実が大切であると考えます。 また、ちょうど2年前の今頃から、新型コロナウイルスとの闘いが始まり、日常生活が一変しました。これまでの、市民の皆様の御協力や、市長をはじめ、職員の皆様、医療従事者やエッセンシャルワーカーの皆様、関係者の皆様、その方々を支える御家族等の皆様に、心からの感謝を申し上げたいと思います。 震災からの復興創生や、新たな感染症への対策、経済のよりよき社会活動の再建など、課題は山積で、予断を許さない状況でありますが、様々な取組の中心軸である執行部の皆様には、今後も、現場のニーズを機敏に丁寧に捉えた、きめの細かい着実な対応を期待するところであります。 ここ最近になって梅の開花や、静岡の河津桜の原木が4分咲きになった等の報に接し、冬は必ず春となるとの言葉のとおり、少しずつ希望の春の到来を感じることができるようになってまいりました。多くの方の気持ちが塞いでしまっているようなときこそ、中心軸であるリーダーが、納得できる安心と前を向ける希望を強く賢明に発信することが、非常に大切であると考えております。 そして、市民の皆様が、自然と前へ前へと向いていける活力を得られるような取組の推進を、心から期待をし、以下、通告順に従い、一般質問を行います。 本市の住環境整備についてであります。 まずは市営住宅について伺います。 令和3年3月策定のいわき市住生活基本計画では、市営住宅の適切な管理を推進するために、今後の需要と供給の見通しのバランスを考慮した上で、目標管理戸数を、約9年後の令和12年度末までに、順次、減らしていく考えとなっております。 また、令和元年の集計値では、居住者のうち、高齢単身世帯が34.1%、高齢世帯が12.7%、生活保護受給世帯が11.7%、母子世帯が9.9%、障がい世帯が5.3%となっており、この方々を合計すると74%、また、市営住宅全体の約60%が、昭和55年以前に建築された住宅であり、老朽化の進行で、早期かつ計画的な修繕、改善等の実施が必要であるとされております。 この計画を裏づけるように、老朽化に伴う、住環境の改善への市民の皆様の要望の声も高まってきていると感じております。 そこで、市営住宅の管理等について。 いわき市住生活基本計画では、令和2年4月1日時点の、一般市営住宅6,727戸、災害公営住宅1,513戸の合計8,240戸の、市営住宅の目標管理戸数を、2,240戸減らし、6,000戸程度にするとして、取組を進めているところですが、現在の取組のその進捗状況について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 令和3年3月策定の市住生活基本計画では、基準とする管理戸数を令和2年4月時点の8,240戸とし、目標とする管理戸数を10年後の令和12年度末において、約6,000戸としています。 これまで、老朽化した住戸にお住まいの入居者への住み替え提案や、令和元年東日本台風により被災した住戸の解体などにより、管理戸数の削減を進めてきました。 これらの取組により、343戸の削減を図り、令和4年1月末現在の管理戸数は、7,897戸となります。
◆27番(塩沢昭広君) それでは、全団地管理戸数に対する募集可能戸数の割合について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 令和4年1月末現在において、市営住宅の募集可能戸数は6,002戸となっており、全管理戸数7,897戸に対する割合は、約76%となっております。
◆27番(塩沢昭広君) それでは、昭和40年代頃に整備された、簡易耐火平屋建て、簡易耐火二階建て等、いわゆる簡平、簡二と呼ばれるような、比較的古い、募集停止中の市営住宅について、現在の全管理戸数に対する入居率について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 令和4年1月末現在において、募集を停止している住戸にお住まいの入居世帯数は、871世帯となっており、全管理戸数7,897戸に対する入居率は約11%となっています。
◆27番(塩沢昭広君) 入居可能な部屋については、大体が入居されている状況と考えれば、今後11%の部屋が募集停止になっている形かと思いますが、続きまして、いわゆる簡平、簡二と呼ばれる、比較的古い市営住宅の募集停止団地について、入居募集を行わない理由について、改めて伺います。
◎土木部長(根本英典君) 入居募集しない団地の選定に当たりましては、目標管理戸数の約6,000戸を基準とし、市公営住宅等長寿命化計画において、団地の立地環境等の社会的特性や、躯体・避難の安全性等の物理的特性を考慮した上で選定し、用途廃止を進めることとしたものであります。 これら用途廃止に位置づけられました住戸につきましては、入居募集を停止しています。
◆27番(塩沢昭広君) それでは、今年度4月から募集が開始されておりますが、改めまして、災害公営住宅の一般入居募集の考え方について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 災害公営住宅におきましては、被災された入居者が自宅を建設するなど、生活再建が進むにつれ、空き住戸が増加しています。これに伴い、団地内のコミュニティーの維持が困難になることや、共益費の入居者負担が増加することなどが懸念されていました。 このため、平成30年10月から一部の団地において、入居対象者を被災者以外の方まで拡大することとし、令和3年4月からは、全ての災害公営住宅に拡大して、入居率の向上に努めています。
◆27番(塩沢昭広君) それでは、その災害公営住宅の一般入居を含めた応募の状況について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 令和3年度の応募状況は、令和4年1月期募集までとなりますが、募集戸数延べ181戸に対し、延べ302世帯からの応募があり、募集倍率は約1.7倍となっております。
◆27番(塩沢昭広君) 新しくて、様々な施設も整備されているということで、入居したいという希望を持たれる方も、市民の方もいっぱいいらっしゃると思います。なるべく希望に沿えるような広報などの周知をさらにしていただければと思います。 続きまして、現在の市営住宅の駐車場整備の考え方について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 市営住宅の駐車場につきましては、モータリゼーションが進行し、自家用車の保有台数の増加とともに、その設置の必要性が生じています。 本市におきましては、おおむね昭和57年度以降に建設した団地においては、1世帯1台程度を基本とした駐車場の整備を実施しています。
◆27番(塩沢昭広君) 1世帯1台ということなのですが、ここ最近、住んでいる市営住宅で、駐車違反で切符を切られたという話を複数回、聞くようになりました。車庫証明の取得には、使用の本拠の位置から2キロメートルを超えない位置にとめる権限のある場所が必要との要件があり、当然ルールは守らないとならないものでありますけれども、その他、来客や訪問介護等の車の駐車スペースがないなど、日常の生活で、なかなか思うようにいかない現実があるということでもあるのかと考えております。 そこで、駐車場の追加整備等についての御所見を伺います。
◎土木部長(根本英典君) 駐車場の追加につきましては、管理戸数に見合った駐車スペースの確保や、整備に要する予算の確保などの条件が整った団地については、これまで整備を実施してきました。 今後につきましても、管理戸数の適正化を進める中で、空きスペースの大きさや形状、配置など各団地の敷地状況やその整備費用などを勘案しながら検討していきます。
◆27番(塩沢昭広君) よろしくお願いいたします。先ほども触れましたが、いわき市住生活基本計画の中でも、入居者の7割以上が、生活状況の厳しいと予想される世帯でありまして、また、永住するつもり、当分住み替えの予定なし、将来的な住み替えの考えの世帯を合計すると、8割を超える方が長期に居住する可能性が予想される中で、夫婦の共働きや、子供が成長して通学やアルバイト・通勤などで車の所有の必要性がある場合などのケースを考えるとき、駐車場の不足は、今の多忙な世代にとって、日常生活の大きな懸念事項でもあると考えております。市営住宅の立地環境も、交通の便の悪いところが多く、また周辺の民間駐車場も思うように提供されていないこと等も現実的な問題であるかと思っております。ぜひ整備の検討をよろしくお願いいたします。 空き区画を入居者以外にも月ぎめの有料で貸し出している自治体もあるようでありますが、そこで、募集停止等で使用していない駐車場空き区画など、貸し出しすることについて所見を伺います。
◎土木部長(根本英典君) 市営住宅の駐車場につきましては、入居者や来客用として整備したものです。使用していない駐車場区画につきましては、来客用としての使用はもとより、近年、入居者の高齢化により増加している訪問介護や、コロナ禍により増加している宅配などの利用が見込まれます。 そのため、これらの利用状況の変化に注視するとともに、他市の事例についても調査を進めていきます。
◆27番(塩沢昭広君) 神奈川県では、入居者の高齢化が進む中、家族らが車で訪問しやすい環境の整備や収入確保の観点から、県営住宅内の駐車場の空き区画を外部貸しし、コインパーキングやカーシェアリング、月ぎめ駐車場の事業等を行っております。空いている団地の空き区画や空き地で収入を確保し、その収益を駐車場の逼迫している住宅の環境改善費用として活用する可能性なども含めまして、有効な対応策について、前向きな検討をぜひよろしくお願いいたします。 続きまして、段差改修、手すり設置など、さらなるバリアフリー化の整備推進について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 平成6年以降に建設された比較的新しい団地におきましては、同年制定され、バリアフリーを促進する通称ハートビル法に基づきまして、住戸内の段差解消が図られており、その他エレベーターやスロープ、手すりなどが設置されています。 一方、木造、簡易耐火構造などの比較的古い団地におきましては、バリアフリー化されておらず、入居者の入替えの際に必要に応じて、住戸内の段差解消等の修繕を行っています。また、入居者自らの対応として、介護保険等の福祉制度を利用し、段差の解消や手すり等の設置を行っています。 さらに、加齢、病気等により身体が不自由になり、現在の住戸に住み続けることが困難となられた方に対しましては、エレベーターのある団地の住戸や1階住戸への住み替えをいただいております。
◆27番(塩沢昭広君) 入居者の方のニーズの把握のためも含めまして、福祉部門等との情報共有の強化をぜひよろしくお願いいたします。 続きまして、市営住宅の入居者等の状況についてであります。 市営住宅の高齢単身者の方の入居割合について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 令和4年1月末現在において、60歳以上の単身世帯の入居数は2,128世帯となっており、全入居世帯数5,780世帯に対する割合は約37%となっています。
◆27番(塩沢昭広君) 思っていたよりちょっと多いかなと感じております。高齢単身で入居される方が増える中、私もこれまで何件か触れる機会がありましたが、高齢単身入居で誰にもみとられずに、在宅で亡くなられた方の、これまでの件数について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 60歳以上の単身世帯においてみとられずに在宅で亡くなられた方の過去3年間の件数は、令和元年度は13件、令和2年度は4件、令和3年度は令和4年1月末現在で7件となっています。
◆27番(塩沢昭広君) 避けられないことが大半だとは思いますが、事前に、ある程度の状況を把握しておくことは、あらゆる面で大切と考えております。 そこで、高齢単身者の生活実態把握について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 市営住宅に入居する高齢単身者につきましては、安否確認等のため毎年2回戸別訪問を行っており、対象となる方々は70歳以上で訪問を希望された約300世帯となります。 訪問の際に、認知症などにより自立した生活が困難と判断される方がいた場合におきましては、福祉担当者へ連絡し対応を要請しております。
◆27番(塩沢昭広君) 多重的な見守りで体制のさらなる丁寧な強化をどうぞよろしくお願いいたします。 続きまして、市営住宅の住居環境等についてであります。 市営住宅の入居時の、従来の連帯保証人制度は廃止され、緊急連絡人を確保することで、入居が可能となっておりますが、緊急連絡人の確保が困難な世帯が、NPO法人と契約し、緊急連絡人としている件数について伺います。
◎土木部長(根本英典君) NPO法人を緊急連絡人としている世帯数は、令和4年1月末現在において62世帯となっています。
◆27番(塩沢昭広君) 思ったよりちょっと少ないのかなと感じております。続きまして、団地によっては、募集停止戸数の増加等により、入居者が減っている上に、高齢単身入居者も多くなっている中、管理人等の役割を担える方も減ってきており、特定の方に負担が重なっていると聞き及んでおります。 そこで、まず市営住宅の管理人の役割について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 市営住宅の管理人は、毎年の家賃算定に必要な収入申告書の配付・回収や、廊下、階段、エレベーター及び集会所等の共同施設の不具合箇所等の報告を行っていただいています。 また、共同施設の電気代及び水道代などに充てる共益費の徴収など、団地内の維持管理の取りまとめ業務を行っていただいています。
◆27番(塩沢昭広君) 今おっしゃられたような内容を、例えば、単身とかで、シングルの方なんかが担われるような状況になったとすれば大変な負担なのかなと感じておるところでございます。 続きまして、共益費等の徴収も、入居者の御協力をいただいていると伺っておりますが、共益費が未納になった場合の対応について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 市営住宅における共益費の徴収につきましては、それぞれの団地の自治会において徴収いただくことを基本としています。 しかしながら、自治会におきまして共益費の徴収が困難となった場合には、市職員や指定管理者の徴収担当員が戸別訪問を行い、自治会の皆様と連携し、共益費の滞納対策に取り組んでいます。
◆27番(塩沢昭広君) ぜひ丁寧な取組をどうぞよろしくお願いいたします。 市営住宅の退去に伴う、畳の表替えや、ふすまの張り替え等の修繕は広く周知されていることかと思いますが、退去に伴う撤去及び修繕の考え方について、まず、網戸の撤去について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 網戸は耐用年数が短く、また、風雨にさらされ劣化しやすく、再利用が困難なものです。このため、個人で設置した網戸につきましては、退去時に撤去いただくことを基本としています。
◆27番(塩沢昭広君) これから夏場や感染症の換気などで、網戸の必要性が増す中で、あらかじめ、施設側の設置などもあるべきであると考えておりますので、検討をぜひよろしくお願いいたします。 続きまして、壁紙の修繕について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 壁紙については、退去の際に修繕を求めていません。ただし、破れや落書きなどで経年劣化以外による場合には、退去される方に修繕していただいています。
◆27番(塩沢昭広君) 今、修繕を求めていないというお話だったかと思うのですが、現場で、十数年住まれた方が、のりが剥がれて大きく剥がれているようなものについて修繕を求められたとか、そんなお声もちらほら聞いたりします。なかなか退去される住民の方が、どこまでをしなくてはいけない、幾ら退去にかかるんだとかがなかなか事前に分からない。退去にかかるお金が不安だというお話もよく聞きますので、住民が退去時の修繕の必要範囲が明確に分かるように退去前などに、分かりやすい資料の配付などをどうかよろしくお願いいたします。 続きまして、風呂釜・浴槽の撤去について伺います。
◎土木部長(根本英典君) 市営住宅の入居者の平均入居期間は約26年と長く、風呂釜及び浴槽についても長期にわたって利用されている事例が多い状況にあります。 また、浴槽については衛生面から新しいものが好まれる傾向にあります。 このため、入居者が設置した風呂釜や浴槽につきましては、再利用が難しいため、退去時に撤去していただくことを基本としています。
◆27番(塩沢昭広君) 様々、衛生面などの考えがあるというお話でありました。会派の予算要望でも入れさせていただいている内容でありますが、風呂釜・浴槽は特に、その団地専用機種となるものがほとんどで、さらに非常に高価でありまして、あらかじめ施設側の設置であるべきと考えております。この撤去も、撤去したものを今度どうするんだと。処分費用がまたかかるような状況でもあると思いますので、あらかじめの施設側の設置も含めて、ぜひ前向きな検討をよろしくお願いいたします。 続きまして、住宅セーフティーネットについてであります。 本市でも、高齢者、障がい者、子育て世帯等、住宅の確保に配慮が必要な方が、今後もますます増加すると予想されますが、住宅セーフティーネットの根幹である、公営住宅の大幅な増加が見込めない状況にある一方で、民間の空き家・空き室は増加しているため、国土交通省では、それらを活用した新たな住宅セーフティーネット制度を2017年からスタートし、本市においても開始しております。 そこで、まずは新しい住宅セーフティーネット制度について、制度の概要について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 本制度は、低額所得者や高齢者、障がい者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない民間賃貸住宅の登録制度や、その賃貸人に対する家賃低廉化補助等の経済的支援、さらには、住宅確保要配慮者への入居支援の3つの取組から構成されております。 市といたしましては、これらの取組を通し、重層的かつ柔軟な住宅セーフティーネットの構築へ向け、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給を促進するための施策を、関係団体等と連携し、総合的かつ効果的に推進します。
◆27番(塩沢昭広君) 民間とのことで、住宅の登録数が増えることが肝心で、この供給数が増えることが課題解消の一助に、さらに非常に有効な制度となっていくと捉えております。 そこで、市内のセーフティーネット住宅の登録状況について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 登録につきましては、本年2月24日現在、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として登録された住宅が4,042戸、このうち、家賃低廉化補助等の対象となる住宅確保要配慮者の専用賃貸住宅として登録された住宅が10戸となっています。
◆27番(塩沢昭広君) 専用が10戸ということで、さらなる拡充が期待されるところであります。補助金の活用で、住宅の登録数が増えることも期待されます。 そこで、本市において、今年度、新たに創設された民間賃貸住宅を活用したこの住宅セーフティーネット推進事業補助金の活用実績について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 本補助金は、市内の民間専用賃貸住宅の賃貸人及び家賃債務保証会社等に対して、家賃や家賃債務保証料等の低廉化に要した費用の補助を行うものでございます。 その活用につきましては、昨年8月の補助制度の創設以降に登録された10戸において、家賃低廉化補助の申請があり、既に4戸の入居者が決定し、補助を開始しており、残りの6戸につきましては、現在、入居者を募集しております。
◆27番(塩沢昭広君) 本市の本事業は、独自の取組なども組み込まれ、他市に比べ、推進しやすい環境となっているのではないかと考えております。 住宅セーフティーネット推進事業補助金の特徴について、本市の補助金の特徴について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 本市における当該補助金の特徴は、就労や子育て等を理由に、現在住んでいる住宅に住み続けながら補助制度を活用できる点や、家賃債務保証料に加え、孤独死・残置物に係る保険料を補助対象にしている点などです。 今後につきましては、本補助金による経済的支援に併せ、不動産関係団体への広報を通じ、専用賃貸住宅の登録の推進を図ります。
◆27番(塩沢昭広君) 市民相談でもよくぶつかるのが、所得の厳しい方の入居環境問題です。衣食住の大切さは誰もが知識として理解しているかと思いますが、どうやってそういった方々の環境を現実的に整えることができるか、知恵を絞り、改めて懸命に考えなければならないと感じてまいりました。 本事業の、特に専用住宅の登録の増加が肝心だと思っております。そのための情報の周知と、入居希望者への情報のさらなる拡散、特に福祉部門との情報共有が非常に大切だと考えておりますので、さらなる連携も含めた強化を要望いたします。 1つ1つの取組の理念、何のためかという部分を今一歩、深化させながら、市民の皆様が安心感と希望を感じられる取組の推進を心からお願いをし、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(佐藤和良君) ここで、午後1時50分まで休憩いたします。 午後1時30分 休憩
--------------------------------------- 午後1時50分 再開
△狩野光昭君質問
○副議長(佐藤和良君) 休憩前に引き続き会議を開きます。12番狩野光昭君。 〔12番狩野光昭君第二演壇に登壇〕
◆12番(狩野光昭君) (拍手)12番いわき市議会創世会の狩野光昭です。 冒頭に、ロシア軍のウクライナ侵攻は、国際法上、許されない行為であります。断固抗議することを訴え、以下、通告順に従い質問をします。 大きな質問の1つ目は、いわきの創生についてであります。 いわきの創生については、まち・ひと・しごと創生法及び第1期いわき創生総合戦略を踏まえて、いわき市の魅力と活力にあふれたまち、市民が生き生きと幸せに暮らせるまちであり続けるために、おおむね20年後のいわきを見据えながら、いわき市人口ビジョンと第2期いわき創生総合戦略を策定しました。 その基本方針は、人口減少・超高齢化社会を踏まえ、人口の将来展望を明らかにし、ひと・まち・しごとを創生するための方策を示しています。 そこで、具体的な質問の1つ目は、いわき市人口ビジョンについてであります。 2016年、いわき市は人口ビジョンを策定し、将来にわたりまちの活力を維持するために、人口目標を設定しました。 その概要について伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 令和3年3月に策定した第2期いわき創生総合戦略につきましては、本市の人口減少に歯止めをかけるとともに、将来にわたり地域の活力を維持していくことを目的として策定したものです。 このうち、本市の人口ビジョンにつきましては、人口の将来展望を明らかにし、今後、目指すべき方向性を提示するものです。安心して結婚・出産・子育てができる環境づくりや安定した雇用の創出などにより、特に、若い世代の人口流出を抑制し、進学、就職等で一旦市外に出ても戻ってきたくなるようなひとづくり、まちづくり、しごとづくりに取り組み、2030年に約30万人、2060年で約22万人の人口を維持することを目標としています。
◆12番(狩野光昭君) 様々な取組によって、2030年で約30万人、2060年で約22万人の人口を維持するとの目標でありますけれども、それでは、いわき市の過去2年間の人口の推移について伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 本市の過去2年間の人口の推移といたしましては、現住人口調査結果によりますと、2021年1月1日時点で、人口は33万2,640人、世帯数は14万1,182世帯、2022年1月1日時点で、人口は32万9,043人、世帯数は14万1,238世帯となっています。 また、その間の人口動態につきましては、自然減が2,467人、社会減が1,130人であり、合計3,597人の減となっています。
◆12番(狩野光昭君) 2021年1月の33万2,642人と2022年1月の32万9,043人を引くと、マイナス3,599人になると思うのですけれども、これを2030年までの目標にすると、3,599人が8年間続くこととなると、2030年の人口推計は、かろうじて30万人を維持するようなぎりぎりの状態になっていますので、やはり人口減少の、今言ったように、自然動態減、あるいは社会動態減の取組というのが大変重要になってくるのかなと、この分析の結果の中で明らかになるのかなと思っているところであります。 それでは、2020年の人口構成、出生数及び合計特殊出生率、15歳から49歳の女性人口の総人口に占める割合、年齢階層別人口移動の動向、人口移動先の圏域別比較など、いわき市の人口の特徴点について伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 2020年の本市人口の特徴としまして、まず、全国的な傾向と同様ではありますが、人口構成は、年少人口及び生産年齢人口が減少する一方で、高齢者人口は一貫して増加しています。 また、合計特殊出生率及び出生数は減少傾向にあり、15歳から49歳の女性人口数と総人口に占める割合につきましても、ともに減少傾向となっています。 一方、他の地方都市と比較し、特に顕著に表れている本市の傾向としては、若い世代の人口流出が挙げられます。 2015年と2020年の国勢調査の比較におきましては、5か年の経過の中で、15歳から24歳の転出超過数は4,374人、25歳から29歳の転入超過数は1,700人となっており、20歳代前半までの転出者数を補うまでには至っていないのが現状です。 転入・転出の主な傾向といたしましては、住民基本台帳人口移動報告によりますと、2020年の1年間において、県内移動では223人の転入超過となっているものの、東京圏に対しては1,046人の大幅な転出超過の傾向が続いています。
◆12番(狩野光昭君) 今のいわき市の人口の特徴点を踏まえた中で、第2期のいわき創生総合戦略がつくられたのかなと思っているところであります。 それでは、第2期のいわき創生総合戦略について伺っていきますけれども、この戦略の目的は2つあります。 1つ目は、人口の自然動態と社会動態の双方を改善することにより、人口減少に歯止めをかけること。 2つ目は、人口が減少しても、将来にわたりまちの活力を持続していくことです。 この目的を達成するために、1、人づくりとまちづくりの好循環を生み出す。2、市民からも市外からも選ばれるまちをつくる。3、地域に培われたなりわいを磨き上げ、伸ばすという3つの基本目標が設定されました。 自然動態を改善させる取組として、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえること。社会動態を改善させる取組として、若い世代の転出を抑制することや若い世代のUIJターンを増加させるなど、政策パッケージとして12のプロジェクトが展開をされています。 以下、そのプロジェクトの主な事業の課題について質問をしていきます。 1点目は、リビング・シフトプロジェクトについてであります。 リビング・シフト推進事業の効果についてでありますけれども、関係人口創出や移住・定住人口を図るためのリビング・シフト推進事業を実施していますが、その効果について伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) リビング・シフト推進事業の主な内容としましては、関係人口の拡大に向けて、いわきならではの多様な魅力ある地域資源を生かしながら、ワークスタイルに合わせた様々な働く環境を提供する、ワーケーションの推進に取り組んでいます。加えて、首都圏等で開催されるイベント等への出展により若い世代、特に女性をターゲットとしたライフスタイルの提案にも取り組んでいます。 また、移住・定住の促進に向けては、IWAKIふるさと誘致センターが移住希望者に対するワンストップ窓口として情報発信や相談等を行っています。 さらには、市内企業と連携し、本市出身の大学生などに対し、将来的に本市へのUターンにつなげることを目的に、地場産品等の詰め合わせを送付するいわきふるさと絆便を実施しています。 本事業を進めていく中で、誘致センターを通じた移住者を直近3年間の実績で申し上げますと、平成30年度が13世帯20人、令和元年度が11世帯21人、昨年度の移住者は過去最高の22世帯42人となっています。
◆12番(狩野光昭君) 一定の政策効果が表れているということでありますけれども、それでは、首都圏等に進学した学生等が、いわきに戻るためなどの事業が推進されています。 具体的には、UIJターン支援事業がありますが、その効果について伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) UIJターン支援事業は、東京圏への一極集中の是正及び地方の担い手不足対策を目的に、国が令和元年度に創設した移住支援事業に基づき実施しています。 本市への移住直前の10年間のうち、5年以上東京23区に在住していた方など、一定の要件を満たす方に支援金を交付しています。 本事業におきましては、令和元年度の事業開始から現在まで、10世帯15名の方々が本市に移住され、市内のレストランや水産加工場、介護施設などに就業し、地域の様々な産業の担い手となり、活躍されています。
◆12番(狩野光昭君) これまた、一定の政策効果があったことが確認できると思います。 2点目は、医療・ヘルスケアプロジェクト等についてであります。 医師不足の解消による医療提供体制確保等の取組が進められています。 その現状と課題など、以下、質問をします。 1つとして、いわき市の今後の医師確保の取組についてであります。 市民の命と健康を守るために、深刻な医師不足の解決に向けた、いわき市医療構想会議が設置されましたが、いわき市の今後の医師確保の取組について伺います。
◎保健福祉部長(飯尾仁君) 医師確保に向けた取組につきましては、まず短期的な取組として、大学医学部等の寄附講座や、市外の医師が市内に診療所を開設する際の支援などについて引き続き取り組みます。 また、中・長期的な取組としては、市内病院が医学生を対象に実施する修学資金貸与への一部助成や本市で地域医療の学習・見学等を行う、いわき地域医療セミナーなどを継続します。 加えて、県や市の教育委員会と連携して、市内医療機関の協力を得ながら、中・高生を対象とした次世代医療人育成事業を新たに実施する予定です。これらの取組により、中・長期的な視野に立った医療人材の育成を図ります。 さらに、市内病院に対し、診療科ごとの医師の現員数や必要数、患者数、現状での医師確保の方法などについての実態調査を実施する予定です。 調査で得た情報を構想会議でお示しし、診療科ごとに確保すべき医師数や医師確保に向けた具体的な取組方法などについて御意見をいただきながら、数値目標を立て、毎年の達成度に検証を加え、短期的・中長期的な施策を積極的に進めます。
◆12番(狩野光昭君) 中・長期・短期と分けているんですけれども、それでは、一番課題となっているいわき市医療センターの医師数の問題でありまして、特に眼科の診療体制について伺います。 いわき市医療センターは総体として医師数が増えていますが、呼吸器内科をはじめ、6つの診療科で常勤医師が不在で休診などの診療制限を行っています。 さらに、1月より眼科の常勤医師が不在となっていますが、眼科の診療体制について伺っていきたいと思います。
◎
医療センター事務局長(飯塚修一君) 当センターの眼科では、常勤医師が不在となった本年1月以降、大学病院等から応援医師の派遣を受け、診療体制を維持しております。 しかし、手術等を伴う入院患者の受入れは難しく、再診の外来患者に診察を限定している状況です。 現在の非常勤医師による診療体制は病院事業管理者、院長、医師招聘専門員が大学病院を訪問し、当センターの状況を直接伝えたことにより、協力を得られたものですが、今後も、引き続き常勤医師の確保に向け、大学医局等への働きかけを行ってまいります。
◆12番(狩野光昭君) 常勤医師が不在となることで、入院が必要な例えば、網膜剥離や救急の外傷などの治療が医療センターではできないことになって、市外や茨城県等の病院で治療を受けることになり、不便を来すことになります。 今後も、ほかの診療科でも常勤医師が不在となることも予測されます。 市民の命を守る最後のとりでとして、いわき市医療センターがあります。一刻も早い常勤医師の確保に向け、取組を強化することを要望します。 続いては、新型コロナ感染者の自宅療養者の重症化に伴う医療提供体制の確保については、これまでも何人もの議員が質問したことで執行部の答弁を了とし、次の質問に移ります。 3点目は、地域ストック活用プロジェクトについてであります。 市内の地域ストックを有効活用した空き家バンク事業の取組について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 本事業は、市と連携協定を締結しているNPO法人いわき市住まい情報センターにおいて、空き家の売却や賃貸を希望する所有者と空き家の利活用を希望する方をつなぐ制度として、空き家バンクいわきを運営するものです。 この制度は、地域ストックである空き家の有効活用を図ることで、住み替えやUIJターンによる移住を促進し、人口減少の抑制はもとより、地域の活性化につなげることを目的に実施しています。 これまでの実績としましては、令和4年1月末現在において、累計43件が登録され、26件が成約に至り、そのうち、市外の方の成約は、8件となっています。 今後におきましても、空き家バンクいわきのさらなる利用促進を図るため、空き家の所有者や、住み替え・移住希望者に対する事業周知に努め、空き家の有効活用を通じた地域の活性化等に積極的に取り組みます。
◆12番(狩野光昭君) これまた、一定の政策効果があったということであります。 続いて、4点目は、起業家支援・地域企業力アッププロジェクト等についてであります。 地域企業の事業継続力を高める事業や創業支援などが取り組まれていますが、コロナ禍で、経営環境が厳しさを増す中、ポストコロナを見据えた事業継承等の支援事業が展開されています。 ポストコロナを見据えた事業継続や承継等の支援事業の概要について伺います。
◎産業振興部長(小松尚人君) お答え申し上げます。 おただしの事業について、4つの支援事業を御紹介します。 まず、地域企業の事業継続に向けた支援について申し上げます。近年の相次ぐ災害や感染症等により、事業継続に向けた備えの重要性が高まっています。そこで、災害等に負けない強い企業づくりを進めるため、BCP策定支援事業を実施しています。 また、ウィズコロナ時代の社会経済の変化に対応する必要があります。このため、国の持続化補助金に上乗せする形で補助する業態転換等支援補助金を制度化しています。 さらに、長引くコロナ禍で厳しい経営環境に置かれ、借入金が増大している市内事業者の経営体質を強化する必要があります。このため、経営改善支援事業補助金を実施しています。 次に、事業承継に向けた支援について申し上げます。地域の金融機関が実施しているクラウドファンディングの仕組みと連携し、前向きな取組を進める事業者を支援する企業・ひと・技応援ファンド事業を実施しています。
◆12番(狩野光昭君) それでは、その事業の実績について伺っていきます。
◎産業振興部長(小松尚人君) 申し上げた4つの事業の実績についてお答えします。 まず、BCP策定支援事業は、いわき商工会議所やいわき地区商工会広域連携協議会と連携の下、BCP策定支援セミナーを定期的に開催し、市内事業者の意識醸成を進めています。 業態転換等支援補助金は、令和4年2月18日時点で108件、約2,108万円の補助を行っています。 経営改善支援事業補助金は、地域金融機関や公認会計士などの積極的な働きによりまして、昨年度を大きく上回る21社が経営改善計画の策定に着手しています。本事業により、市内企業の経営改善に対する意識が高まっていると認識しています。 企業・ひと・技応援ファンド事業は、令和4年2月18日時点で、18社が実施しています。現在実施中の5社を除きまして、全ての事業者が資金調達目標額を達成しています。事業者本人はもとより、地域金融機関、いわき商工会議所、いわき産学官ネットワーク協会、そして行政が一体となった、出資者の共感を得るストーリーづくりによる、大きな成果と捉えています。
◆12番(狩野光昭君) やはりウィズコロナに向けての適した政策提案が必要になってくるのかなということであります。 これまで、各事業の実施状況を確認しましたけれども、創生総合戦略の進行管理についてであります。 創生総合戦略は、3つの基本目標を実現するために12プロジェクトごとの各事業について2026年の数値目標を設定して、取り組まれております。年度ごとにPDCAサイクルにより進行管理が実施されております。 新型コロナの爆発的感染や消費者物価の上昇など、社会的環境の変化により、各種事業が影響を受けていると推測できます。 現在、各種事業の評価をしている段階でありますけれども、教訓点を次年度にどのように反映するのか伺います。
◎総合政策部長(山田誠君) 戦略の推進に当たりましては、ただいま議員からもお話がありましたように、各政策パッケージに位置づけた重要業績評価指標、いわゆるKPIを活用し、進捗状況や成果を客観的かつ継続的に検証します。 そして、計画、実施、評価、改善に至るプロセス、いわゆるPDCAサイクルを着実に実行することにより、実効性の高い施策展開につなげることとしています。 現在、第2期戦略策定から1年が経過するところであり、直近の指標の取りまとめ作業を行っております。 このような中、コロナ禍において中止または縮小を余儀なくされた事業等もある一方で、リモートワークなど多様な働き方やオンラインサービス、キャッシュレス決済の普及など、コロナを契機とした新しい施策展開も生まれています。 社会経済状況の変化等を捉えつつ、施策の効果検証を行い、PDCAサイクルを着実に実行しながら、必要に応じて見直しを含め柔軟に対応してまいりたいと考えております。
◆12番(狩野光昭君) 幾つかの課題が見えてきているのかなと思います。 1つは、PDCAサイクルが今やられているんですけれども、新しい事業を展開する場合は、翌々年度のところで反映せざるを得ないというのが1点。 それから、いわき市まちづくり基本方針のまちづくりの経営指針では、98事業実施されているんですけれども、この多くは創生総合戦略とダブっているんです。だから、担当している政策企画課と創生推進課の綿密な連携をしていかないと、無駄なところがありますので、そこら辺のお互いの連携が必要となってくるのが2点目。 3点目は、過日、福島県の中で、2022年度から県総合計画の目標に、SDGsを組み入れたんです。兵庫県明石市も、既に創生総合戦略の中に入れているんです。だから、いわき市もできれば次年度において、SDGsも取り込んだ戦略の練り直しが必要となってくるのかなと思いますので、そこら辺ぜひ御検討をお願いしたいと思います。 大きな質問の2つ目は、小規模事業者等の育成についてであります。 いわき市は、小規模事業者の育成に向けて、平成28年4月1日からいわき市中小企業・小規模振興条例を施行しています。 平成30年11月定例会で、清水元市長は、小規模事業者等の育成について、本市における官公需につきましては、市中小企業・小規模企業振興条例の施行に伴い、庁内の全部署に対し、市内中小企業等の受注機会の拡大や市小規模修繕契約希望者登録制度のより一層の活用を働きかけてきたところであります。今後におきましても、中小企業等の振興に向け、より一層の受注機会の確保を図ってまいりたいと考えておりますと答弁しております。 この答弁を踏まえ、市として小規模事業者等の育成について、さらなる取組の強化が求められております。 以下、質問をします。 1つ目は、いわき市小規模修繕契約希望者登録制度についてであります。 年々、小規模修繕事業者への発注実績が増えておりますけれども、同制度の過去2年間の発注実績について伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 設計金額が50万円以下の小規模修繕の発注実績について受注者の種類別に、発注金額及び小規模修繕全体に占める発注金額の割合でお答えします。 令和元年度については、小規模修繕事業者が1億227万1,403円で17.3%、工事登録業者が4億8,259万8,621円で81.7%、いずれにも未登録の者が562万7,714円で1.0%となっています。 また、令和2年度については、小規模修繕事業者が1億1,558万3,695円で20.6%、工事登録業者が4億3,616万4,789円で77.5%、未登録業者が1,082万8,837円で1.9%となっています。
◆12番(狩野光昭君) 令和2年度において、受注がなかった小規模修繕事業者は登録業者154者中59者となっています。小規模事業者への発注を拡大し、受注がない事業者を減らす取組が求められています。 市の所見を伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 小規模修繕を発注する各部署においては、小規模修繕確認票を活用し、本制度の趣旨に沿った発注となっているかを確認しています。 また、庁内において、定期的に、小規模修繕の発注実績を共有するとともに、受注機会の公平性を確保するため、登録以降受注実績のない事業者の活用や事業者の選定に際し、特定の事業者に偏ることがないよう各発注部署に依頼してきたところです。 これらの取組などにより、小規模修繕事業者への発注拡大に一定の効果が認められることから、今後においても、取組を継続し、より一層の受注機会の確保に努めていきます。
◆12番(狩野光昭君) よろしくお願いします。 続いては、令和2年度における小規模修繕事業者の受注の最低価格は2,200円となっています。 受注業者の費用対効果を踏まえると、書類の簡略化が必要となっています。 市の所見を伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 修繕の契約には、県が示す市町村財務規則準則等に定める見積書や請書、請求書等の書類の提出が必要となります。 小規模修繕は、設計金額が50万円以下の内容が軽易で、履行の確保が容易である修繕が対象となりますが、地方自治体の契約に求められる競争性や透明性などを確保するため、少額な発注であっても、同様の取扱いとしているところです。 そのため、書類等の簡略化については、適正な契約を行う観点から、慎重に判断していきます。
◆12番(狩野光昭君) 費用対効果を考えると少しきちんと考えていただきたいなと思っているところであります。 2つ目は、公契約条例の制定についてであります。 もう何回も質問しているんですけれども、公契約条例は御存じのように、工事の品質管理、あるいは雇用の安定や技能労働者の育成を図る上で、大きな効果をもたらしております。 郡山市においては、公契約条例が平成29年4月1日より施行されています。 いわき市も公契約条例を制定すべきと考えますけれども、市の所見を伺います。
◎財政部長(横張貴士君) 公契約条例は、労働者の適正な賃金の確保を目的とする条例であり、自治体から建設工事等を受注した者に対し、一定以上の賃金の支払いを求めるものです。 一方、個別の自治体だけでは成果が限定的であるなどの課題もあるため、現在、中核市市長会において、国に対して、法制化を求める動きもあるところです。 本市においては、これまでも、労働者の適正な賃金の確保に資する取組を進めてきましたが、今後においても、現行の制度を基本とし、引き続き国の動向等に注視し、情報収集に努めていきます。
◆12番(狩野光昭君) 人づくりをベースに置く内田市長におかれましては、公契約条例を制定している他の自治体の取組について十分調査研究を進め、建設業従事者の育成につながる、公契約条例の制定に向けて前向きに検討をしていただくことを要望し、次の質問に移ります。 大きな質問の3つ目は、新たな住宅セーフティネット制度についてであります。 全国的に人口減少及び少子・高齢化が進む中、国においては、住まいの確保が困難な高齢者や障がい者など、住宅確保要配慮者に対し、民間賃貸住宅等の登録制度を柱とした、新たな住宅セーフティネット制度を創設し、平成29年10月から施行されています。それを受けて、令和元年度から本市において取り組んでおります、住宅セーフティネット推進事業については、住宅確保要配慮者に対する居住支援だけでなく、民間賃貸住宅の空き家・空き室対策の1つとしても、その重要性が一層高まっております。 本市における、新たな住宅セーフティネット制度に対する取組について伺っていきます。 1つ目は、本市のこれまでの取組についてであります。 新たな住宅セーフティネット制度についての本市のこれまでの取組について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 本制度につきましては、福祉や住宅部門等が連携して対応する必要があることから、平成30年9月に、庁内関係課による市住宅セーフティネット庁内連絡会議を設置し、検討を行ったところでございます。 これを踏まえ、令和元年8月には、学識経験者や福祉・不動産関係団体の代表者等による計画策定委員会を設置し、令和2年5月に本制度の新たな取組などを位置づけた、市賃貸住宅供給促進計画を策定しました。 本年度におきましては、同計画に基づき、低額所得者や高齢者、障がい者などの住宅確保要配慮者の住生活の安定及び向上を図るため、一定の要件を満たした専用賃貸住宅への家賃低廉化等の経済的支援を実施する住宅セーフティネット推進事業補助金を創設しました。
◆12番(狩野光昭君) それでは、住宅セーフティネット推進事業の補助金について伺いたいと思います。 その概要について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 本補助金は、市内の民間専用賃貸住宅の賃貸人及び家賃債務の保証会社等に対して、家賃や家賃債務保証料等の低廉化に要した費用の補助を行うものです。 まず、家賃低廉化補助につきましては、賃貸人からの申請に基づき、1戸当たり月額2万円を上限に、家賃の2分の1を補助するものです。 また、家賃債務保証料等の低廉化補助につきましては、保証会社等からの申請に基づき、1戸当たり6万円を上限に、保証料等の初回契約分を補助するものです。
◆12番(狩野光昭君) それでは、その実績について伺います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 補助対象となる住宅確保要配慮者の専用賃貸住宅につきましては、昨年8月の補助制度の創設以降、本年2月24日現在、市内で10戸登録されています。 家賃低廉化補助の実績につきましては、その10戸全てについて申請があり、既に4戸の入居者が決まり、補助を開始しています。 残りの6戸につきましては、現在、入居者を募集しています。
◆12番(狩野光昭君) それでは、今後、この事業を推進していくために、どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
◎都市建設部長(永井吉明君) 今後の事業推進に係る取組につきましては、これまで以上に、関係団体や行政が連携を強化し、総合的かつ効果的に推進していくことが肝要です。 このため、当該補助金による経済的支援に併せ、不動産関係団体への広報を通じ、専用賃貸住宅の登録の推進を図ります。 また、市住宅セーフティネット庁内連絡会議における協議や県居住支援協議会及び市賃貸住宅供給促進計画の策定後に新たに指定された市内の居住支援法人等との意見交換を重ねながら、本市の実態に即した居住支援体制を検討するなど、関係団体と行政の共創により、これらの取組を推進します。
◆12番(狩野光昭君) 単身高齢者や生活困窮者が増える中、この事業の重要性はこれからますます高まっていくと考えます。引き続き、行政と民間との垣根を越えた関係者間の連携を密にして事業を推進していくとともに、例えば、市独自の居住者支援協議会の設立に向けた検討など、本市にふさわしい居住支援の在り方についての検討なども進めていただきたいと思います。 また、NPO法人地域福祉ネットワークいわきが実施している、入居・入所・葬送等支援事業は、高齢者の身元保証などにより、住宅のセーフティネットにも寄与していることから、市民に広く周知することを要望し、次の質問に移っていきます。 最後の質問は、公文書等管理についてであります。 2011年、公文書のライフサイクルを一元的に管理する公文書管理法が施行されました。 公文書管理法第1条は、国等の諸活動や歴史的事実の記録である文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであること、行政文書等の適切な管理、歴史的な文書等の適切な保存及び利用等を図り、現在及び将来の国民に説明する責務を全うされるようにすることを目的とすると規定しています。 いわき市は市文書等管理規程を策定し、公文書等が管理されています。 いわき市の公文書等は、現在、主に卸売市場と平中塩の元職員住宅の2か所で保管されています。 現用文書については、市情報公開条例に基づき公開されます。情報公開により、開示請求件数は平成30年度575件、令和元年度は822件となっています。主な請求内容は、工事に係る金入れ設計や下水道台帳・配管図面等であります。 保存期限が満了した文書等は、歴史的公文書としての評価選別がなされず、消去または廃棄されています。歴史的文書等を保存・利用し、市民に利用できる公文書管理条例等の制定がなされていないために、一般市民には公開されていません。 今、生きている私たちが直面している社会的な問題に対し、いわき市は市民福祉を守るために様々な事業を行っています。それを記録し、保存し、市民に継承していくことが、今を生きる私たちの責務と考えます。特に、政策決定などの公文書等はその時々の重要な歴史的記録として保存し、一般市民に公開し、教訓を後世に残していくことが求められているのではないでしょうか。 そこで、質問の1つ目は、公文書等管理の現状についてであります。 いわき市はいわき市文書等管理規程に基づき、文書整理、文書保存方法、廃棄などを行っていますが、文書保存の流れについて伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 文書の保存、廃棄などに関する基本的な流れでございますが、まず、起案、決裁、施行等の処理の終わった文書等は、あらかじめ定められた文書等類分類基本表に基づき、全て分類、整理します。具体的には、定められた規格ファイルを用いて編冊いたします。 次に、編冊した文書等を翌年度の4月1日から、当該文書等を作成した所属の課等において所定の期間保管し、常時使用する文書を除き、文書主管課である総務課に引き継がれます。 引き継いだ文書は、所定の文書保存場所に所属の課別及び年別に保存し、保存期間が満了した文書等については、翌年度の5月に廃棄する流れとなっております。
◆12番(狩野光昭君) それでは、令和元年度の市の定期監査で、公文書の適切な保存についての意見等の指摘がありました。その指摘に対し、担当課は文書保存施設の整備の検討及び保存文書の安全管理に努める等々との回答をしています。 その後の取組について伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 議員がおただしの令和元年度の定期監査における意見を踏まえ、2つの取組を行っております。 1つといたしまして、保存文書の安全管理につきまして、文書保存施設利用時のチェックリストを作成し、職員が施設を利用するたびに、扉や窓の施錠を行ったか、施設周辺の状況に異常はないかなど、一層の安全管理を図ることといたしました。 2つとして、新たな文書保存施設の整備につきましては、既存施設の有効活用を図ることを前提に、令和2年度から、文書保存に必要となるスペースや本庁舎からの距離、文書の閲覧頻度等を考慮しながら、具体的な検討を進めてきました。 この結果、廃校となった旧大野第一小学校の校舎の一部を利用することとし、地域の皆様との意見交換を始めたところです。併せて、保存文書等の移設費用や収納棚の購入費用につきまして、令和4年度当初予算案に計上しております。
◆12番(狩野光昭君) 私も卸売市場と平中塩の元職員住宅の文書保存がどのようになっているのかという視察はしてきたんですけれども、2か所で管理することの統一的な管理の危険性、それから、年度別に体系的に課ごとに分かれているんですけれども、盗難だとか、あるいは湿気の問題だとか、そういったところも踏まえると、やはり改善する必要があるのかなとすごく感じたところで、そういった新たな検討がなされているということは、必要なことかなと思っているところであります。 そういったことを踏まえて、続いての質問の2つ目は、今後の公文書等の在り方であります。 いわき市の公文書等管理条例の制定についてであります。 いわき市は公文書等管理条例を制定して、現用文書と歴史的文書の統一的な管理・保存・利用を定め、現在及び将来の市民に説明できる責任が求められていると考えますけれども、市の所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) 国の行政機関等におきましては、公文書等の管理に関する法律に基づきまして、文書管理がなされております。 その内容といたしましては、1つに、文書の作成から、整理、保存、そして移管・廃棄に至るまでの一連の文書のライフサイクルを通じて行政文書を管理すること、2つに、歴史資料としての重要な公文書その他の資料に該当する行政文書を保存し、利用することなどであります。 同法におきましては、地方公共団体にも適正な文書管理についての努力義務の規定がございます。歴史的価値を有する行政文書を収集及び保存し、市民の閲覧に供する取組を行っている自治体もあります。 以上のことから、今後は、他自治体の取組を参考としながら、公文書の管理、保存及び利用方法の在り方については、調査研究していきます。
◆12番(狩野光昭君) 例えば、夏井さんがつい最近出した九面の明治維新期の戦いの中で、文書を出したんですけれども、その文書を読むと、平藩の右筆、あるいは仙台藩の右筆と、あとは攻めてきた薩摩だとか、そちらの日記だとか文書も照らし合わせて、記録として残しているんです。 つまり、その当時として、お城としての右筆というのは、ある意味では、今になれば、行政のそれぞれの担当官だと思うんです。つまり、今の皆さんが担っている様々な政策だとかそういったものは、一定の時間が来れば、歴史的な文書になるわけです。だから、そういったところで、歴史的な文書というものを、きちんと保存して残していくというのは大切なのかなとすごく思うんです。 いわき市50年は、図書館のところにあって、私も時々昔の歴史を探っていくために利用するんですけれども、つい最近のそれ以降のいわき市史を作る場合の資料というものがきちんと保管されていないと、その後の50年後のいわき市史を作る場合、大変苦労するんではないかなと考えますので、歴史的な文書として保管していくということは、次の人のためになるので、ぜひ御検討をしていただきたいと思っております。 続いては、アーキビストの養成についてであります。 資料の保管及び保存期間満了後の文書等の廃棄、または歴史的文書として保存するかを評価、選別する専門官をアーキビストと言います。 今後、公文書等の重要性が増してきます。市もアーキビスト養成に向け、国立公文書館の研修会に派遣し、アーキビストの育成に努めるべきと考えますけれども、市の所見を伺います。
◎総務部長(加藤弘司君) アーキビストの養成等につきましては、平成26年から国立公文書館において、その養成に係る制度について検討が重ねられ、昨年度から、国立公文書館長による認証制度が開始されました。 こうした中で、議員おただしのように、国立公文書館において、アーキビストの職務基準書が示す基礎的な知識の習得や、個別の知識・技能の向上を目的とした研修が実施されております。 当該研修では、公文書館の職員をはじめ、地方公共団体の文書主管課等の職員を対象としているということもありますので、まずは、当該研修への職員派遣の検討をしていきます。
◆12番(狩野光昭君) 何が歴史的な文書であるかどうかということの判断をできる人というものは、これからいわき市も育成しなければならないのではないかと思っております。 私が調べた範囲では、公文書館は中核市においては富山市をはじめ、5市が設置されています。 郡山市や金沢市も設置予定であり、旭川市をはじめ、8市が検討中であります。県内においては、南相馬市も検討を始めています。 東日本大震災と原発事故、令和元年東日本台風、現在の
新型コロナウイルス感染症対策など、重大な社会的事象が起きたとき、市民の命を守るため、行政がどのように関わってきたかを記録に残すことは、大きな歴史的価値があるものと考えます。 いわき市は歴史・文化・伝統を後世に引き継ぐためにも、公文書館の設置が必要となっています。ぜひ検討をお願いしたいと思っております。例えば、郡山市はもう、インターネットで私は調べたんですけれども、あと3年後か4年後に、歴史文書とともに公文書館を設置して、市民の皆さんに開放していく準備ができております。 いわき市も博物館的な機能が勿来の歴史文学館とか、草野心平記念文学館だとか、あとは図書館もそうなんですけれども、様々に分散し過ぎてしまっているんです。それをデジタルアーカイブか何かで、統一して、きちんと保存に残すという時期も必要になってきているのかなと私は思っておりまして、新年度では、美術館等のデジタル化がなされてきておりますけれども、そういったものをもっと体系的に統一的な資料の一元管理というものをきちんとして、大切な歴史的な文書遺産というものをぜひ後世の方に残して、同じような境遇にあったとき、どのようにして物事を解決していったのかということは、大きな教訓となると思いますので、ぜひいわき市も公文書館の設置の検討を行うことを要望し、私の一般質問を終わっていきたいと思っております。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(佐藤和良君) ここで、午後2時50分まで休憩いたします。 午後2時40分 休憩
--------------------------------------- 午後2時50分 再開
△大友康夫君質問
○副議長(佐藤和良君) 休憩前に引き続き会議を開きます。17番大友康夫君。 〔17番大友康夫君第二演壇に登壇〕
◆17番(大友康夫君) (拍手)17番いわき市議会つつじの会の大友康夫です。 まず初めに、
新型コロナウイルス感染症が世界的に広まり、既に2年が経過した中で、今もって沈静化していない状況が続いております。このような状況の中、感染症対策の最前線で対応に追われている医療従事者をはじめ、保健所職員の方々、さらにはエッセンシャルワーカーの皆さんに改めて敬意と感謝を申し上げます。 それでは、通告順に従い、質問を展開したいと思います。 まず、最初に、大きな質問の1番目は、小名浜港の現状と課題についてです。 小名浜港は、近隣に石炭火力発電所が立地していることから、輸入で取り扱う貨物のうち、石炭等のエネルギー貨物が大半を占める港でもあります。 これまでにも、石炭の国際バルク戦略港湾の選定や特定貨物輸入拠点港湾にも指定され、さらに沖合に整備中の東港地区には、国際バルクターミナルが整備中であり、首都圏のエネルギー供給を支える国際的な物流拠点として、着実な発展を遂げようとしております。 また、国が2050年までに脱炭素社会の実現を目指すことを宣言したことで、今後は環境にも優しい再生可能エネルギー等への転換が求められることになりました。小名浜港はカーボンニュートラルポート、CNPの形成を担う港として選定され、他の選定された6か所の港と同様にCNP化に向けた検討会が設置され、今後は具体的な施策が必要となることから、主体を国交省から港湾を管理する県に移行されたことで、県はカーボンニュートラルポート、CNP形成計画の施策を新年度から進めることとしています。 このことを踏まえ、カーボンニュートラルポートとしての役割を担うとともに、既存の港湾利用者と均整の取れた港にしていくために、連携していく必要性を重視し、以下、質問を展開していきたいと思います。 まず最初に、小名浜港の現状についてであります。 まず、1点目として、小名浜港の現状について伺っていきます。 最初に、石炭・セメント・金属鉱、さらに石油等の取扱貨物量についてお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君) お答え申し上げます。 県が発行する小名浜港統計年報によりますと、小名浜港における令和2年の総取扱貨物量は、1,591万トンとなっています。 主要貨物の取扱量を多い順に申しますと、石炭が約1,000万トンでございまして、全体の約60%を占めており、石油が約160万トン、金属鉱が約100万トン、セメントが約80万トンとなっています。
◆17番(大友康夫君) 今の答弁でありますが、石炭の取扱量が全体の6割を占めているということでありますが、この石炭等の鉱石を取り扱っている埠頭についてお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君) 石炭などの鉱石は、大型船舶が着岸できる6号埠頭、それから7号埠頭で主に荷役されています。また、暫定供用されている東港地区でも一部取扱いがあります。 取扱いが最も多い7号埠頭では、石炭のほか、銅精鉱などの荷役もあり、入港する船舶数も特に多い状況にあります。そのため、沖合で着岸を待つ、滞船の発生が見られます。
◆17番(大友康夫君) 小名浜港が抱えている課題の1つとして、この沖待ち、滞船について、答弁いただきましたが、滞船につきましては、後ほど伺いたいと思います。 次に、市内では既に木質バイオマス発電所が2か所新設され、1つは、昨年4月に稼働した小名浜のバイオマス発電所と、この4月には好間工業団地内でバイオマス発電所が稼働すると伺っております。 そこで、今後ますます木質ペレット等の再生可能エネルギー関連貨物が増えることが予想されますが、今後の見込みについてはどのようになっているのかお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君) 再生可能エネルギー関連貨物の今後の見込みとして、3点挙げられます。 1点目として、石炭火力発電所で混焼の燃料としている木質ペレットの荷役があります。 2点目として、新たに立地した、木質バイオマス発電所2基分の燃料として、木質ペレット、ヤシ殻の取扱量が増え、約100万トンまで拡大する見込みです。 3点目として、阿武隈地域等における400基を超える陸上風力発電事業が今後、本格的に動き出すことに伴い、風車の資材等の新たな貨物を取り扱う見込みです。 いずれの貨物も、藤原埠頭を利用する予定のため、今後の荷役に支障が生じる可能性が懸念されます。
◆17番(大友康夫君) 今ほど、答弁ありました、この木質ペレット以外にも、風力発電事業に伴う再生可能エネルギー関連の新たな大型貨物、多分、ブレードとか支柱だと思われますが、この藤原埠頭の貨物量が増えることで、今後は円滑な運用が重要と思われます。 現状は、藤原埠頭が開いている場合には応急的に再生可能エネルギー関連貨物以外を取り扱い、事なきを得ていますが、今後の貨物量の動向を見ますと、一層厳しい状況になることが予想されております。 そこで、浮上してくるのが、東港がいつから正式に稼働するのかということでありまして、現在進められております東港地区の国際バルクターミナルの整備が当初より遅れていると伺っております。 そこで、東港が本格的に稼働する時期についてお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君) 東港地区国際バルクターミナルの整備状況について、県に確認しましたところ、現時点での本格的な稼働時期は、令和4年7月を予定しているとのことです。 なお、議員から御指摘のございました整備の遅れにつきましては、施設の基礎部の施工の際、多数の岩石が発見され、その除去などに時間を要したことから、当初の計画より遅れが生じたとのことです。
◆17番(大友康夫君) 今ほど、今年の7月には本格稼働できるということですが、この滞船の影響を受けている企業の皆さんにとっては死活問題となっております。可能な限り、早期に本格稼働が実現できるよう、港湾関係団体と連携し、県に対し、強く働きかけていただきたいと要望し、次の質問に移ります。 2点目の質問は、今、まさにお話しいただきました、この滞船量なんですけれども、この解消に向けた取組についてであります。 初めに、滞船という言葉でお話を伺いましたが、滞船とは、荷主が船をチャーターし、海外から金属鉱とか、セメント・原油等を買い受け、それぞれの専用船で運んでもらっておりますが、実際に港に着いても、先に岸壁に接岸している船があれば、待機していなければなりません。 具体的には、荷物を降ろせる岸壁は、船の大きさ、そして岸壁の長さ、さらには埠頭の水深、さらに荷物に関する荷役機器、ガントリークレーンやコンベヤー等が設置してある港となり、特に、大型船は接岸できる埠頭が限られます。 そこで、他の船の荷物を降ろしている間、作業の邪魔にならないように沖合で停泊している状態が沖待ち、これが滞船という状態でありまして、夜に三崎公園等に行ってみますと、沖合に停泊している貨物船やタンカー等の明かりが容易に確認でき、多いときには、10隻以上が沖合に停泊しております。 問題は、その間に発生する船のチャーター料金でありまして、通常の輸送費にプラスして超過した日数分を荷主が負担することになっております。その費用は、多いときには、利用している企業の総負担額で年間約28億円を超えるときもあります。ちなみに、1船当たりの滞船料は、船の大きさ、そして積載してある貨物量によりますが、実際、3万トンクラスの船舶で、1日当たり300万円かかります。高い契約ですと、550万円にも及びます。現在は、単価も上昇傾向にあります。この額に、停泊していた日数が企業の1船当たりの負担となります。 このような状況を踏まえ、以下、質問を展開していきたいと思います。 港湾管理者でもある県は、小名浜港全体の円滑な港湾利用の調整について、どのように行っているのかお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君) 県に確認しましたところ、港湾利用の調整については、船舶が小名浜港に着岸する前日までに、県が、船舶代理店等の係船関係者と協議を行いまして、使用岸壁の調整を行っているとのことです。
◆17番(大友康夫君) 先ほど来から言われておりますが、他の埠頭の混雑によるしわ寄せもあり、藤原埠頭が混雑しており、円滑な運用に向け、どのように取り組んでいるのかをお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君) 藤原埠頭は、今後、大幅な貨物量の増加が見込まれるのは、申し上げたとおりでございます。 その対応といたしまして、バイオマス発電事業者が能力の高い荷役機械を設置し、他の企業と共同利用するなど、混雑緩和に向けた対応を行っています。 また、風力発電関連の貨物受入れについては、本市の働きかけにより、県や市の関係部署による横断的な協議を継続的に行っています。 それを踏まえまして、県や市の各担当部署において、風力発電事業者や港湾運送事業者などと、藤原埠頭の円滑な運用に向けた協議・調整を進めています。
◆17番(大友康夫君) 次に、小名浜港の混雑緩和、または円滑な利用を確保する観点から、現在整備中の東港の活用が重要と考えていますが、その効果をどのように捉えているのかお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君) 県によりますと、東港地区の国際バルクターミナルの全面供用開始により、現在、7号埠頭で荷揚げしている石炭ガス化発電、いわゆるIGCC向けの石炭のほか、火力発電所向けの石炭の半分程度が移行する予定とのことです。 これに伴いまして、7号埠頭においては余裕が生じ、他の埠頭で取り扱っている貨物の移行が可能となります。 市といたしましては、小名浜港全体の円滑な運用が見込まれることから、滞船の解消などの面で、効果は非常に高いと考えております。
◆17番(大友康夫君) 現在の状況は、今後の小名浜港のカーボンニュートラルポートとしての多岐にわたる役割を担う港となることから、東港の活用開始と次世代エネルギーとなる再生可能エネルギーの柱となる水素、アンモニア等の荷役作業の効率化がより図られれば、問題を解決できると見られております。 現在、小名浜港を利用している企業も、今後、目指していくカーボンニュートラルポートに向け、今は移行期間になるとの認識を持っていますが、このわずかな移行期間であっても、先ほど申し上げました滞船は、港を使う企業にとって、コスト増となり、製品価格に転嫁できない状況においては、死活問題でもあると言われております。滞船解消に向け、必要に応じて、港湾関係団体と連携し、県に強く働きかけていただくことを要望したいと思います。 次の質問に移ります。 続いての質問は、コンテナ貨物の状況についてであります。 小名浜港のコンテナ貨物は、昭和62年に大剣コンテナ埠頭として供用開始されて以降、海外との定期的なコンテナ航路を開拓するなど、近隣諸国との貿易拠点として発展を遂げてきました。 しかし、ここ数年は、世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、コンテナ貨物が停滞しているような状況にあります。 そこで、お伺いします。 新聞報道などにもよりますと、世界的にコンテナ貨物が停滞しているとされておりますが、その大きな理由についてお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、一時、各国の都市封鎖政策、いわゆるロックダウンにより港湾機能が停止しました。また、港湾物流に係る労働者の配置の困難性から、世界各国の主要港湾において、コンテナ物流が停滞する状況が発生しました。 現時点においても、経済再開に伴う、急速な物流の増加に伴いまして、アメリカのロサンゼルス港や中国の上海港などでは、慢性的な滞船が続いていると伺っています。
◆17番(大友康夫君) 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、経済が停滞していることも影響しているのかと思いますが、今の答弁ですと、労働力関連も不足の要因になっているということが分かりました。小名浜港もその影響が出ているのかなと思います。 そこで、小名浜港のコンテナ貨物の取扱状況、現在の状況についてお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君) コンテナ貨物の取扱量は、一般的に20フィートコンテナサイズ1個分に換算した、TEUという単位が使用されます。 小名浜港のコンテナ貨物取扱量は、令和元年が2万3,520TEU、令和2年が1万8,456TEU、令和3年は暫定値でございますが、1万5,345TEUとなっており、2年連続で減少しています。 その要因としては、
新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、海上運賃が高騰する中、京浜港などの主要港よりも地方港の高騰率が高い状況となっています。 このため、これまで小名浜港を利用していた荷主企業が陸送運賃を含む輸送費が安く、しかも利便性が高い京浜港の利用へシフトしていることが挙げられます。
◆17番(大友康夫君) それでは、この項の最後の質問ですが、コロナ禍におけるコンテナ貨物の減少を踏まえ、今後の取扱量の回復に向け、どのように取り組んでいくのかお伺いします。
◎産業振興部長(小松尚人君) コンテナ貨物の海上運賃は、
新型コロナウイルス感染症の影響により、当面、高騰が続くと見込まれます。 一方、利便性の向上に向けましては、県では、コンテナターミナルの舗装改良や、荷役機械の更新、移動レールの延伸などの機能強化を進めています。 同様に港湾運送事業者では、荷さばき機械の更新など、コンテナの蔵置能力向上に資する取組を行っています。 市としては、県や市、港湾事業者からなる福島県小名浜港利用促進協議会の活動を通じ、航路誘致や取扱量の回復に向けたポートセールスを引き続き粘り強く展開していきます。
◆17番(大友康夫君) コンテナ貨物の利用が増加すれば、航路誘致にもつながるし、航路が増えれば、利便性も向上することから、コンテナ貨物を利用している小名浜港周辺の事業者にとっても、大変重要なインフラであると考えます。 福島県小名浜港利用促進協議会を中心とした官民一体となったポートセールスが実を結び、小名浜港のさらなる利用拡大が実現することを期待いたしまして、次の質問に移ります。 2番目の質問は、安全・安心な道路環境に向けた予防保全型整備についてであります。 いわき市が管理している市道の総延長距離は、約8,900路線、約3,600キロメートルにも及びますが、そこに付随する道路構造物は1,877施設を有し、その多くを橋梁が占めているということであります。その竣工時期で一番多いのが、1980年代に完成した橋梁とのことで、平成26年に橋梁長寿命化修繕計画が策定され、計画的な維持管理に努めてきました。今後もさらに老朽化が進み、維持管理コストが大幅に膨らむことは予想されており、未然に防ぐため、これまでのような補修事項が発生してからの対症療法的な対応から、未然に補修コストを抑える予防保全型に進んでいく、そして、今が切り替わりの時期と捉えています。 これまでの蓄積された調査データを基に、昨年、いわき市道路構造物長寿命化修繕計画が策定されました。この策定された長寿命化修繕計画によりますと、今後50年間に予測される将来事業費の累計事業費は、約1,386億円と想定され、単純に平準化しても年間約28億円に達することが示されております。今の段階から、現状と同程度の健全性を維持するために事業の平準化を目指し、大がかりな補修工事に進展しないよう、定期的に点検作業を実施し、補修作業も短期間で終了することで、年間事業費を約11億円に抑えることができるとしており、継続性のある事業展開をお願いしたいと思います。 そこで、今回の私の質問ですが、これまで適切な道路の維持管理に向け、これまでにも道路補修事業、そして街路樹管理事業、歩道整備事業、さらに側溝整備事業、様々な補修事業を展開してきましたが、今回、このほど着手することにしました、のり面の維持管理に関してお伺いしていきたいと思います。 1番目の安心みちまちプロテクト事業についてお伺いしていきたいと思います。 今回の道路のり面崩落防止対策ですが、こののり面の改修に関し、多くの皆さんが思い出すのは、令和元年8月24日の真夜中に発生しました、鹿島街道久保の大規模崩落事故ではないかと思います。子供たちの通学路であったことに加え、平地区と小名浜地区を結ぶ、いわき市の主要幹線道路であり、日中の交通量も特に多いことから、事故発生が夜間だったこともあり、崩落事故に巻き込まれた方がいなかったことは不幸中の幸いではなかったかと思います。 その後、県主導の下、復旧工事が実施され、1年以上かかりましたが、この間は通勤や業務等で利用された方は交通渋滞もあり、不便な状況が続きました。また、崩落しやすい岩盤であり、再崩落の危険性もあり、その改修工事も大がかりな工事になったと思われます。 こうしたことを踏まえまして、以下、お伺いします。 今回の安心みちまちプロテクト事業について、この事業の基本的な考え方についてお伺いします。
◎土木部長(根本英典君) 道路ののり面保護につきましては、モルタル吹付け工や、植生工が多く採用されており、時間の経過とともに、吹付け面の劣化や地山の風化などが進行し、のり面崩落の危険性が高まるとされています。 本市における市道ののり面につきましても、劣化等による小規模な崩落が既に発生しており、今後さらなる劣化等の進行により、大規模な崩落が発生することが懸念されます。 このことから、このたび、新規事業として取り組む、安全みちまちプロテクト事業につきましては、歩行者や車両の安全性を確保するとともに、災害時における物質輸送の確実性を高めることを目的として、劣化が進行する道路のり面の崩落防止対策を計画的に進めるものでございます。
◆17番(大友康夫君) いわき市は、広域な面積を誇り、南北に約40キロメートル、東西に約30キロメートルと、さらに人口密集エリアも各地域に点在する状況において、これからの地域を結ぶため、先ほど申し上げました約3,600キロメートルの市道を有する中で、この地形も山間部を通る道路も多く、道路を通す際も切り通し等の箇所も多数あると思われます。 そこで、お伺いします。 今回の危険箇所も多数混在していると思われますが、既に調査も完了しているとお伺いしました。 それでは、実際の道路のり面の点検結果はどのようになっているのかお伺いします。
◎土木部長(根本英典君) 道路のり面の点検につきましては、子供たちの安全を最優先とする通学路やのり面崩落による交通規制が生じた際に影響が大きい緊急輸送路など、37路線351か所を対象としています。 また、点検時期については、通称鹿島街道の久保地内で発生した大規模崖崩れの翌年となる令和2年度に集中的に実施いたしました。 その点検結果につきましては、4段階の健全性で判定しておりまして、レベル1である、道路の機能に支障が生じていない状態の健全が224か所、レベル2である、定期的な観察などの措置が望ましい状態の経過観察段階が105か所、レベル3である、できるだけ速やかに措置を講じることが望ましい状態の早期措置段階が22か所となっています。 なお、レベル4の緊急に措置を講ずべき状態の緊急措置段階については、確認されませんでした。
◆17番(大友康夫君) それでは、この事業ですが、優先順位はどのようになっているのかお伺いします。
◎土木部長(根本英典君) 工事の実施に当たっては、レベル3の早期措置段階と判定された全22か所を対象といたしまして、令和4年度から4か年で、集中的に対策を進めていきます。 優先順位については、通学路や緊急輸送路などの路線の位置づけ、それから交通量などの利用状況を考慮した上で設定いたしまして、順次、対策工事を実施することとしています。
◆17番(大友康夫君) 先ほども申し上げましたが、のり面の修繕は、比較的大規模工事になりやすく、そのためには財源が必要であります。 そこで、財源確保に向けた基本的な考え方についてお伺いします。
◎土木部長(根本英典君) 当該事業の財源につきましては、国が進める防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策と連携し、既存インフラの防災に関する整備を推進するための緊急自然災害防止対策事業債を活用することとしています。 当該起債については、充当率が100%、交付税措置率が70%となっており、財政的にも負担軽減が図られるものとなっています。
◆17番(大友康夫君) 名前が今、ちょっと長かったんですけれど、緊急自然災害防止対策事業債ということですけれど、まず、通常の事業債との違いは、部長から御答弁していただきました。聞いたところによると、かなり有利な事業債だということもありまして、こういった部分はどんどん活用していただければなと思います。 それでは、次の質問に移ります。 次の質問は、明るいみちまちリニューアル事業、道路の照明のLED化についてであります。 今回の道路照明LED化に向けた取組ですが、特に、車を運転する側から見ると、夕暮れどきや街路灯がある箇所でも、暗い箇所が多数点在していると思われます。 そこで、今回の事業についてお伺いしていきたいと思います。 まず、今回の明るいみちまちリニューアル事業を実施する上での基本的な考え方についてお伺いします。
◎土木部長(根本英典君) 本市の市道における道路照明については、主に交差点や横断歩道橋などに設置していますが、平成19年に道路照明施設設置基準の改定が行われ、より高い照度への改善が求められています。 このことから、このたび、新規事業として取り組む、明るいみちまちリニューアル事業につきましては、夜間の交差点等における車両や歩行者の安全性を高めるとともに、環境対策として二酸化炭素の排出を削減することを目的に、既設照明のLED化を進めるものです。
◆17番(大友康夫君) それでは、この事業の概要についてお伺いしたいと思います。
◎土木部長(根本英典君) 当該事業につきましては、市道の交差点や横断歩道橋などに設置されている、全1,091基の道路照明のうち、LED化されていない1,063基を対象としております。 事業期間につきましては、令和4年度から4か年で集中的に事業を実施することとしています。
◆17番(大友康夫君) 我々も、照明でLEDと聞くと、かなり効果があるんだろうなと想定されるかと思います。 そこで、この事業による期待できる効果についてお伺いします。
◎土木部長(根本英典君) 事業により期待できる効果につきましては、交差点や横断歩道橋などにおいて、視認性が向上し、車両や歩行者の安全性が高まることから、交通事故や歩行者の転倒事故の減少が見込まれます。 また、消費電力量の削減により、年間の電気使用料が約6割削減され、二酸化炭素の排出量についても、約5割の削減が見込まれますので、地球温暖化対策にも寄与するものと考えています。
◆17番(大友康夫君) 今回の事業内容は、道路通行上の危険性の解消に向けた事業として、ドライバーにとっても、安全・安心が目視できる事業でありまして、これまでの道路構造物整備とは違った新しい事業として期待できると思われます。 市内にはまだまだ、特に、子供たちの通学路や照明灯が設置されていない危険と思われる箇所も点在しております。今回の事業は、既存の道路照明のLED化の事業ではありますが、そのほかにも照明灯の設置を求められている箇所も多数あります。 今後も引き続き、先見の明を持って、市民の皆様の安全・安心に細心の注意を払って取り組んでいただくことをお願いしまして、次の質問に移ります。 続いての質問は、3つ目、本市の債権の状況と徴収強化に向けてであります。 この未収債権の徴収に関しては、私はこれまで4回にわたり債権徴収に関する質問を展開してきました。今回で5回目となります。一番最初は、平成22年から質問を展開していますが、その後に発生した東日本大震災もあり、市民も多くが被災者となり、生活困窮的な状況から支払いが滞る方も増え、債権が多岐にわたったことから、多重債務者の対応に向け、市に係る債権を1か所に集めて管理する一元管理に対する考え方をただしました。 徴収する側においても、多重債務者を早期に発見することによって、早期に対応することで、さらに未収債権にならないよう、そして債務者に対しましては、その後の生活を支援すること、この辺を取り組みながら、債務者を相談窓口へと導くことで、生活支援を容易にできる体制を求めてきました。このようなことを踏まえまして、以下、お伺いしていきたいと思います。 1番目は、債権管理条例制定と債権放棄についてであります。 昨年、制定した債権管理条例により、私債権やこれに係る損害賠償金について、消滅時効に係る時効期間が満了し、徴収が見込めないときには、債権を放棄できることになりました。これにより、これまで整理できなかった徴収見込みのない債権を放棄することで、業務効率の向上につながるとしております。そして、今回、条例制定後、初めて債権を放棄することになりました。 今回、報告案件として出されております放棄債権に関し、13件、約3億円がありますが、そもそも市全体の未収債権はどのぐらいあるのかお伺いします。
◎財政部長(横張貴士君) 本市の未収債権は、令和2年度決算ベースで、約78億2,000万円となっています。
◆17番(大友康夫君) では、未収債権額の過去5年間の増減についてお伺いしたいと思います。
◎財政部長(横張貴士君) 平成28年度の未収債権額は、決算ベースで、約88億7,000万円であり、5年間で、約10億5,000万円減少しています。
◆17番(大友康夫君) 5年間で10億円ということで、職員の方々の御努力もあるのかなと思います。特に、債権管理強化に向けた取組に関しては、これからが本格的な取組が必要であり、現在は移行期間と捉えますと、今回の放棄手続に間に合わなかった債権もあるかと思われます。 そこで、今後の債権放棄の見通しはどのようになっているのかお伺いします。
◎財政部長(横張貴士君) 今期の定例会において、債権管理条例の規定に基づき、1万4,049件、総額2億9,753万1,146円の債権放棄を報告しています。 この件数と金額については、過去に累積した債権を整理した結果ですが、徴収の見込みがある債権は放棄しておらず、時効期間が満了した全ての債権を放棄したものではありません。 来年度以降の債権放棄の見通しについては、新たに時効が満了する債権もあることから、正確な予測は困難でございますが、今期の定例会で報告した金額よりも減少していくものと考えています。
◆17番(大友康夫君) 今回の時効による債権放棄に関し、放棄した私債権の中には、現場でも確認したところ、引っ越し等により連絡がつかなかった、そうしている間に時効を迎えてしまった、こうした私債権が多数存在することが分かりました。 請求書などはまず本人に届かないので、例えば、途中での消滅時効の中断、こうした手続も取れません。連絡先が分からないのであれば、個人的には、いわき市内に在住しているのであれば、住民票などで、調査する、連絡先を特定することは容易に可能ではないかという部分と、かなり年数がたっているということで、昔からの債権だったということで、今であれば、申請や契約時の書類等に携帯番号等の記載をお願いすることは十分可能かと思います。今後も、こういうことを想定した徴収対策の強化をお願いしたいと思います。 全国中核市における債権管理専門組織における実態調査を令和元年にされていますが、率先して取り組んでいるといわれる船橋市のデータ、さらには、豊田市、豊中市、長崎市等は人員を強化して対応を取っていると報告を受けています。 この中には、強制徴収公債権のほかに、非強制徴収公債権、さらには私債権の滞納徴収業務を担っているということであります。ですから、人数も多数になっているということで、こうした部分についてはぜひとも、人員強化といった部分を取り入れていただければと思います。 これからも債権放棄の手続は発生すると予測されますが、今回の対応による業務量が軽減することを期待します。 続いて、債権徴収強化と組織体制についてお伺いしたいと思います。 現状の債権管理に関し、本市の未収債権に関し、管理している徴収項目は何項目あるのかお伺いします。
◎財政部長(横張貴士君) 未収金が発生している債権の種類は、令和2年度決算ベースで、57種類となっています。
◆17番(大友康夫君) これだけ多くの徴収項目があるということは、先ほども申し上げました多くの担当部門の職員が徴収業務に関わっているということで、例えばですけれども、同じような徴収業務を1人の債務者に対して行っている可能性もあります。これまで、1か所で総括的に対応が取れる体制にすれば、大幅な業務が減らせるのではないかとただしてきました。 そこで、市では、債権を一元管理することに対し、どのように考えているのかお伺いします。
◎財政部長(横張貴士君) 本市における債権管理については、債権所管課が主体的に対応することを基本として取り組んできたところです。 昨年度、債権管理条例を制定したことから、当面は、条例制定後の未収債権額の推移や債権管理事務に与える効果などを見極めていきます。 その上で、効率的・効果的な債権管理を行うための組織の在り方の1つとして、債権管理の一元的な組織体制についても、継続的に調査・研究していきます。
◆17番(大友康夫君) それでは、現行の債権管理に関し、通常の徴収は所管する現課で実施し、債権管理課は、総括と指導・助言を行うこととしております。 では、現行の債権管理に関する職員体制については、どのように考えているのかお伺いします。
◎財政部長(横張貴士君) 債権管理に関する総括と指導・助言の業務については、現行の債権管理課の職員体制で対応できるものと考えています。 今後の職員体制については、債権管理の一元的な組織体制を継続的に調査・研究する過程において、併せて検証していきます。
◆17番(大友康夫君) 新年度には、下山田副市長をトップとする構造改革推進本部が設置され、改革を進めるとしております。この内容的には、行政改革・人事改革・財政改革、こうした3項目を視点に推し進めるということでありますが、今回のような組織の体制にも着目していただいて、御検討していただくのも大いにありかなと思っておりますので、ぜひともお願いしたいと思います。 今後の債権管理に係る徴収体制の強化についてお伺いします。 現在の特に、公債権の徴収に関しましては、徴税吏員がその業務に当たるとし、強制徴収公債権として強制執行できる債権となっております。そこで、この業務を行うのが徴税吏員であり、その権限について、給与、さらに預金、もしくは不動産等の資産状況を調査ができるとしております。 それでは、市税等以外の債権徴収に関する業務において徴税吏員が、現課で徴収している非強制徴収債権の徴収と、私債権徴収業務に関し、例えば兼務発令できるのであれば、強制執行権はない債権ではありますが、債権者との徴収交渉はもう少しスムーズになるのではないかと思います。こういった業務体制は可能なのか、法の解釈が気になるところでありまして、この徴税吏員に対し、市税等の徴収等で知り得た情報を、他の債権の徴収に活用することはできないのかお伺いしたいと思います。
◎財政部長(横張貴士君) 国からの通知によれば、市税等の徴収で知り得た情報は、国税または地方税の滞納処分の例により強制執行できる強制徴収公債権を所管する各課において共有しても差し支えないと解されます。 これに対し、滞納処分ができない私債権等の徴収において、市税等の情報を活用することは、地方税法上の守秘義務が、地方公務員法上の守秘義務より厳しいことから、基本的に、滞納者の同意がなければ、実施できないものと考えられます。 他市においては、異なる法解釈により、市税等の情報を私債権等の徴収に活用している事例もありますが、個人情報保護の観点からも、その情報共有には、より慎重な対応が必要だと考えています。
◆17番(大友康夫君) 今の部分に関して、先ほど私が申し上げましたが、船橋市とか豊田市とか、いろいろ申し上げましたが、人数も増やして、なおかつ一般の私債権の徴収も携わっているということであります。 今、部長の答弁としては、法的には、グレーゾーン的な発言もありましたが、なかなか判断が難しい部分かなと思います。この後、それぞれ調査とかといった部分を進めていただいて、実際可能なのかどうなのかも含めて、検討・協議をしていただければと思います。 現在まで、債権徴収率を引き上げることに関しまして、これまで多くの議論を各種委員会で展開されてきました。ただし、支払い能力が十分にあるということであれば、民事再生法により、支払い督促、もしくは訴訟により、債務名義を取得し、状況によっては強制執行に入るということを、徹底した法的手続に沿って進めていくことが必要であるかと思います。 そこで、お伺いします。 この債権徴収強化に向け、今後の取組についてはどのように考えているのかお伺いします。
◎財政部長(横張貴士君) 市の債権のうち私債権については、未収債権額が増加傾向にあり、その要因の1つに強制執行等の法的措置を実施する徴収体制が確立されていないことが挙げられます。 資力がありながら、支払いのない悪質な滞納者に対しては、司法手続を経て債務名義を取得の上、裁判所に対して強制執行の申立てを行い、債権回収を図る必要がありますが、法的な手続が複雑かつ難解で、時間もかかることなどが課題となります。 これらの課題を解決するため、今後、債権管理課において、訴えの提起によらず債務名義を取得できる支払督促制度を活用した徴収を実施することとしています。 その専門的知識を蓄積した上で、庁内で共有を図るなど、徴収強化に向けた体制の整備を進めていきます。
◆17番(大友康夫君) 今回の債権徴収の強化に向けた質問を展開してきましたが、私は、先ほども言いましたとおり、全てにおいて徴収体制を徹底して強化すべきとまでは言いません。ただ、税の公平性、さらに公正性、そして透明性、こういった部分を念頭に置きながらも、一方では、市民に寄り添った相談業務体制も強化していただければなということをお願いしまして、未収債権の削減に向けた、今後も最大限の努力をしていただくことをお願いしまして、次の質問に移りたいと思います。 この項最後の質問は、4番目の都市交流の現状と今後の可能性についてお伺いしていきます。 まず、この都市交流の話をするに当たって、どうしても外せないのが、昭和61年8月に本市と秋田県由利本荘市、旧岩城町と親子都市の締結を図った部分と、平成9年5月に本市と宮崎県延岡市との兄弟都市の締結になるかと思います。 それぞれに歴史を背景にした締結でありまして、秋田県由利本荘市、旧亀田藩岩城町との締結は1620年代に平の地を統治していました岩城公が、転封、今でいう転勤ですが、となり、秋田県の旧亀田藩の岩城町に国替えになったことがきっかけとなりまして、締結をしたという部分であります。名称については、当時は、珍しい親子都市として締結したということであります。 延岡市の場合には、1622年から旧平藩を6代にわたって統治した内藤家が、宮崎県延岡に転封となったことが縁で兄弟都市の締結に至ったということであります。内藤家の功績としましては、現在でも使われている小川江筋や愛谷江筋を構築し、当時、磐城平藩の石高を大幅に増やしたと、このように貢献した資料が残っております。 転封になった内藤家でありますが、延岡では、様々な功績を上げたといわれており、内藤家が幕末まで延岡を統治しております。その功績から、延岡市の城山公園内には、内藤記念館が建設されるなど、広く延岡市民から愛されております。 ちなみに、この内藤家の菩提寺は、今、話題となっている鎌倉市にありまして、鎌倉市の光明寺であり、ここは、3,000平米の敷地に、磐城平藩を治めた内藤家6代にわたる墓碑と奥方様、さらには湯長谷藩を治めた13代にわたる藩主の墓碑があり、家老の墓碑と合わせて、百数十基を超える墓碑があります。詳しくは、鎌倉市の光明寺内藤家で検索していただければと思います。 現在はコロナ禍で実施できませんが、平成9年の兄弟都市の締結以来、約20年以上にわたり、毎年6月にいわき市と延岡市、地元の鎌倉市と3市合同で、内藤家墓碑の清掃活動、さらに供養会を実施しておりまして、延岡市長からはメッセージをいただいているほか、地元の鎌倉市長、松尾市長には供養会に出席いただき、御挨拶を頂戴しております。清掃活動には、我々いわき奉仕団、内藤家供養会や地元の鎌倉市の風致保存会、東京在住延岡市の有志会、延べ80人以上が出席しまして、毎年参加して行われております。ちなみに、ここ2年間は実施できておりません。 また、4月に行われる延岡市の大師祭り、また、7月に行われる由利本荘市の旧藩祭りの際には、いわき市や商工会議所の皆さんをはじめ、正・副議長も招待されておりまして、いわき市民の方々も招待を受け、延岡や由利本荘市へそれぞれ訪問をしております。 これらを踏まえまして、質問を展開していきたいと思います。 まず、最初の質問は、これまでの都市交流の実績であります。 これまでいわき市の都市交流の目的については、どのように捉えているのかお伺いします。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 都市交流の目的として、1つは、相手都市の文化・歴史や生活環境の違いなどの認識を通して、自らの地域に対する愛着心や多文化共生意識、国際感覚などを有する人材の育成を図ることです。 2つとして、都市間で培われた信頼関係を市民や民間団体、事業者、学校など幅広い主体とともに、まちづくりに生かしていくことです。 また、こうした密接な交流が、災害時における相互支援などにもつながっています。
◆17番(大友康夫君) 交流・親睦を図るには様々な取組を展開してきたことかと思います。 それで、これまでの取組についてお伺いしていきたいと思います。 国際交流の取組状況についてはどのようなものだったのかお伺いします。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 本市では、国際的な都市交流の一環として、中国・撫順市と友好都市の協定を、オーストラリア・タウンズビル市、及び、米国、アメリカ・カウアイ郡と国際姉妹都市の協定をそれぞれ締結しています。 これらの協定に基づき、公式訪問団の派遣や、それぞれの都市の行事・イベントなどへの参画を行っています。 具体例として、いわきサンシャインマラソンへのランナーの招待やカウアイ日本文化祭への市民の皆様の参加などが挙げられます。 また、青少年教育の取組も行っており、具体例として、小・中学生による撫順市との書写交流、タウンズビル市との高校生の相互派遣などが挙げられます。
◆17番(大友康夫君) それでは、国内交流についても伺いたいと思います。 国内の交流に関しては、観光・歴史・文化・教育等を含め、幅広い分野で交流を図ってきたと思われます。特に、様々な世代間の交流を図り、知見を広めるような取組も必要かと思います。 そこで、交流・親睦に関しては、いわき市では小・中学生による親睦・交流を展開しているとお伺いしました。 現在の小・中学生の交流事業に関する参画について、どのようになっているのかお伺いします。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 小・中学生の交流事業につきましては、由利本荘市とは、中学生が相互に訪問し、まちの様子などを学び合う取組を実施しています。 また、延岡市とは、小学5、6年生からなるジュニア交流隊を相互に派遣し、互いの歴史や文化を学んでいます。 さらに、延岡市陸上競技大会、ゴールデンゲームズに中学生を派遣するとともに、いわきサンシャインマラソンにも延岡市の中学生が参加しています。 いずれの事業についても、
新型コロナウイルス感染症の影響で、事業の休止やオンライン活用など、その手法や内容を変更しておりますが、参加した児童・生徒は、貴重な体験を得られています。
◆17番(大友康夫君) そのほかにも、いわき市の特性を生かした交流事業を展開しているとお伺いしました。 歴史的な背景もあり、この伝統芸能の分野においても、互いの魅力を共有するような取組について、どのように取り組んでいるのかお伺いします。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 国内の都市交流に基づく伝統芸能等に関する交流事業として、由利本荘市の旧藩祭に、本市から訪問団を派遣し、旧藩祭の魅力を体験するとともに、じゃんがら念仏踊りなどを披露しています。 また、延岡市の大師祭や薪能にも訪問団を派遣し、大師祭りでは大名行列に参加するなど、交流都市の魅力を肌で感じております。 さらには、本市で開催されるいわきおどりに由利本荘市、延岡市の訪問団が参加し、本市の魅力を体験していただいています。 こうした相互の伝統芸能等を体験し合うことで、互いの歴史・文化を理解し、魅力を共有することで、より一層、絆を深めてきました。
◆17番(大友康夫君) それでは、新たな交流都市の可能性拡大についてであります。 これまで、交流の主体は、産業や歴史的な背景が強く表れていたと思います。 そこで、今後の取組の方向性をどのように考えているのかお伺いします。
◎特定政策推進監(渡邉一弘君) 協定を締結している都市との交流につきましては、これまで培ってきた絆を深めながら、多様な主体が参画できるよう、事業のテーマ、対象者、内容等の検証や見直しを行っていきます。 また、これらの都市との交流の枠にとどまらず、本市のみでは対応が難しい課題やニーズ等に対し、他の自治体と連携して取り組むことも必要です。 そのため、地域の強みや弱みといった特性を相互に補完し合いながら、具体的な課題解決につなげていけるような都市間の交流・連携についても必要に応じて取り組んでいきます。
◆17番(大友康夫君) 今後の都市交流の在り方についてお伺いしました。特に、これまでの都市交流の取組は、協定を締結した市町村間で、一対一の交流が中心となっていました。しかし、最近では、ネットワーク型交流を構築しようとする動きも広まっております。 これまで構築した相互理解や信頼関係を基本とし、多数の自治体がつながる緩やかな自治体連携の枠組みで、そのいい例が災害時の支援協定やいわき市では、2020年に長野県佐久市と締結した、市民の健康寿命の実現に関する都市連携協定がこれに当たると思います。 今後は、自然や観光、スポーツやいわき市が持っている特徴・優位性を生かしながら、交流事業を展開していただければと思います。特に、ここ最近では、フラガールズ甲子園や復興サイクリングロードいわき七浜街道等を活用しての交流展開、また、いわきの特性でもある高校生の吹奏楽などは、若い方々も参画でき、市民の多くが興味が湧く内容かと思います。いわき市は、様々な可能性を秘めたまちでもありますので、さらに都市交流拡大を目指し、様々な取組を展開していただくことを要望したいと思います。 最後に、今後の都市交流を図っていく上で、特に言われているのが、市長同士の結びつき・リーダーの思いが、担当する職員の心を動かし、交流事業の頻度や内容を左右するとまで言われております。内田市長におかれましては、これまでの多くの関係者が培ってきた思いを継続して取り組んでいただくことを切にお願いいたしまして、私の一般質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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△散会
○副議長(佐藤和良君) 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。 2月28日の本会議は、午前10時より再開の上、市政一般に対する質問を続行いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後3時51分 散会
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