いわき市議会 > 2018-06-11 >
06月11日-02号

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  1. いわき市議会 2018-06-11
    06月11日-02号


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    平成30年  6月 定例会            平成30年6月11日(月曜日)議事日程第2号 平成30年6月11日(月曜日)午前10時開議  日程第1 市政一般に対する質問---------------------------------------本日の会議に付した事件          〔議事日程第2号記載事件のとおり〕---------------------------------------出席議員(37名)     1番  川崎憲正君      2番  木田都城子君     3番  木村謙一郎君     4番  山守章二君     5番  塩沢昭広君      6番  柴野美佳君     7番  鈴木 演君      8番  田頭弘毅君     9番  坂本康一君      10番  伊藤浩之君     11番  狩野光昭君      12番  福嶋あずさ君     13番  小野潤三君      14番  西山一美君     15番  永山宏恵君      16番  大峯英之君     17番  小野 茂君      18番  塩田美枝子君     19番  馬上卓也君      20番  吉田実貴人君     21番  渡辺博之君      22番  溝口民子君     23番  坂本 稔君      24番  上壁 充君     25番  蛭田源治君      26番  菅波 健君     27番  大友康夫君      28番  阿部秀文君     29番  安田成一君      30番  赤津一夫君     31番  小野邦弘君      32番  石井敏郎君     33番  蛭田 克君      34番  磯上佐太彦君     35番  佐藤和良君      36番  樫村 弘君     37番  佐藤和美君欠席議員(なし)---------------------------------------説明のため出席した者 市長         清水敏男君   副市長        上遠野洋一君 副市長        渡辺 仁君   教育長        吉田 尚君 水道事業管理者    木村 清君   病院事業管理者    平 則夫君 代表監査委員     小野益生君   農業委員会会長    鈴木 理君 選挙管理委員会委員長 飯間香保子君  総合政策部長     大和田 洋君 危機管理監      舘 典嗣君   総務部長       岡田正彦君 財政部長       澤田洋一君   特定政策推進監    緑川伸幸君 市民協働部長     下山田松人君  生活環境部長     荒川信治君 保健福祉部長     高沢祐三君   こどもみらい部長   高萩文克君 農林水産部長     本田和弘君   産業振興部長     石曽根智昭君 土木部長       上遠野裕之君  都市建設部長     高木桂一君 会計管理者      鈴木 隆君   教育部長       柳沼広美君 消防長        猪狩達朗君   水道局長       上遠野裕美君 総合磐城共立病院事務局長       参事(兼)秘書課長   赤津俊一君            鈴木善明君 参事(兼)総務課長   遠藤正則君---------------------------------------事務局職員出席者 事務局長       山崎俊克君   次長         國井紀子君 総務議事課長     阿部伸夫君   総務議事課課長補佐  金山慶司君 議事運営係長     鈴木 潤君---------------------------------------          午前10時00分 開議 ○議長(菅波健君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、配付の議事日程第2号をもって進めます。--------------------------------------- △日程第1 市政一般に対する質問 △永山宏恵君質問 ○議長(菅波健君) 日程第1、市政一般に対する質問を行います。配付の質問通告表の順に発言を許します。15番永山宏恵君。          〔15番永山宏恵君第二演壇に登壇〕 ◆15番(永山宏恵君) (拍手)おはようございます。15番いわき市議会志帥会の永山宏恵です。 本市も、先月、今月と大きな行事が続き、全国そして世界に、いわき市がまた新たに発信できたのではないでしょうか。先月5月18日、19日には、いわき市で2回目となる第8回太平洋・島サミットが日本を含む19の国の首脳の出席のもと開催されました。一昨日には、第47回全国林業後継者大会がアリオスで開催され、県内外から約460人の方々に本市にお越しいただいたと聞いております。 そして昨日、南相馬市で、天皇皇后両陛下最後の御出席となる第69回全国植樹祭が開かれ、約8,000人の方々が集まり盛会に開催され、その前日となる9日に、スパリゾートハワイアンズにて全国植樹祭レセプションが開催されるため、天皇皇后両陛下が本市にお越しになりました。両陛下がいわき、そして福島県を御訪問いただけるのも最後となることと思います。両陛下をお見かけした方みんなが感動し、何かこれまで感じたことのない、何とも言えない気持ちになったのは私だけではないと思います。来年には元号が改められ、新たな時代の幕開けを迎えることになります。こうした歴史の転換期とも言うべきこの時期に、両陛下が我がふるさと・いわきにお立ち寄りいただきましたことは、まことに名誉なことであり、また、震災からの復興に向けて歩む本市にとって、前に進む勇気と大いなる活力をいただいたものと考えているところであります。 これまでのいわき市は、さまざまな困難を新たな発想と果敢に取り組む勇気で乗り越えてきた歴史があると考えております。黒ダイヤと呼ばれた石炭は本州最大の産出を誇りましたが、エネルギー革命により石油が重宝され、産業構造の転換を迫られました。その後、いわき市は東北有数の工業地帯として、また、観光都市として生まれ変わりました。また、いわき市は、50年以上前に14市町村の合併により誕生いたしました。平成の大合併と言われた地方自治体の再編は、3,000の自治体が3分の1になりましたが、いわき市は、はるか前に合併を実現していたところであります。先人が進めたいわき市の改革は、先駆的であると考えるところであり、我々はそのDNAを受け継いでいると思います。 東日本大震災から7年。復興は着実に進んでおります。いわき市は必ず立ち上がることができると信じております。これからも、いわき市が歩んできたすばらしい伝統を重んじ、さらなる市民福祉の向上のため努力をしていかなければならないと思っております。皆さんとともに、いわきの未来のために歩み続けることをお誓いし、以下、通告順に従い、一般質問をいたします。 大きな質問の1番目は、国民健康保険事業についてであります。 本年4月から、国保制度改革が行われ、県と市町村が共同で国保を運営することとなり、また、県が財政運営の責任主体となるなど、新しい制度のもとで国保運営がスタートしたところであります。国保制度改革に関しては、昨年の12月定例会で一般質問をいたしましたが、その際、福島県では平成35年度までを保険料水準の統一に向けた医療費格差の縮小や、市町村事務の標準化などに向けた取り組み期間とし、平成36年度以降に国保税収納率の均一化を進めながら、国保税率の県内統一化を目指す旨の答弁がありました。 このたび、平成30年度の国保税率などについて国保運営協議会に諮問し、その答申を踏まえた国保税率の引き下げを初めとした条例改正案と補正予算案が本定例会に提出されております。そこで、国保税率が県内統一化されるまでの間、本市の国保が安定的に運営できるのか、また、国民健康保険基金を保有することの意義について、さらには、どのような背景で税率を引き下げたのかなどについて、質問してまいりたいと思います。 1点目は、平成29年度の収支見通しについてであります。 平成29年度は、税率が据え置かれましたが、現時点における収支見通しについて伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 現時点における収支見通しにつきましては、財産収入と繰越金を除いた歳入合計と、基金積立金を除いた歳出合計との収支差であります単年度収支で申し上げますと、約4億9,800万円の黒字が見込まれるところであります。なお、歳入合計から歳出合計を差し引いた収支差、いわゆる形式収支は約8億3,800万円の黒字が見込まれ、これを平成30年度に繰り越す見通しであります。 ◆15番(永山宏恵君) 収支については黒字とのことでありますが、では、収支が黒字となる主な要因について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 主な要因の1つとして、平成29年度は、現計予算において、単年度収支が約3億4,000万円の赤字になるものと見込んでいたことから、歳入・歳出の均衡を図るため、平成28年度からの繰越金、約27億4,000万円のうち、当該赤字見込み額の約3億4,000万円を充当することとしておりましたが、結果として、赤字にはならず、当該金額が不用額となったこと。2つとして、あらかじめ交付されることが見込めなかった国からの東日本大震災の影響に対する保険給付費の支援金が、約4億8,000万円交付されたことなどにより、収支が黒字となる見込みであります。 ただし、単年度収支約4億9,800万円の黒字額の中には、申請額よりも多く交付された国・県からの交付金等を平成30年度に償還する約4億5,900万円が含まれておりますことから、実質的な黒字額は約3,900万円と見込まれるところであります。 ◆15番(永山宏恵君) 今ほど、実質的な黒字額は約3,900万円との答弁がありましたが、では、2点目は、平成30年度以降の収支見通しについてであります。 今回、国保税率の引き下げを提案しているようでありますが、現行税率を据え置いた場合の平成30年度の収支見通しについて伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 現行税率を据え置いた場合の平成30年度の収支見通しにつきましては、年平均被保険者数が、前年度と比較して約3,600人減少すると見込まれることや、課税標準額が前年度と比較して約31億円減少することなどに伴い、単年度収支で約5,500万円の赤字が見込まれるところであります。 ◆15番(永山宏恵君) 約5,500万円の赤字が見込まれるとのことでありますが、では、現行税率を据え置いた場合の平成31年度以降の収支見通しについて伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 今般、県が策定した福島県国民健康保険運営方針において、平成36年度までは、国保税率を市町村が独自に決定しなければならないとされております。このことから、平成31年度から平成36年度までの単年度収支について、直近の被保険者数や所得額、国保税収納率の推移及び国保事業費納付金額の今後の見込みなどを考慮した上で申し上げますと、平成31年度が約1億5,800万円の赤字、平成32年度が約2億8,200万円の赤字、平成33年度が約2億4,300万円の赤字、平成34年度が約2億300万円の赤字、平成35年度が約1億6,200万円の赤字、平成36年度が約1億2,100万円の赤字と見込まれるところであります。 ◆15番(永山宏恵君) 単年度収支は、毎年、赤字のようでありますが、赤字額は年々減少していく見込みのようであります。 では、3点目は、県が示した標準保険料率を採用しない理由についてであります。 これまでの市当局の説明によりますと、平成30年度からは、県が財政運営の責任主体となることから、市町村の保険給付などに要する費用は県が全額支出することとなり、その財源として新たに市町村から国保事業費納付金を徴収する納付金制度が導入され、その際に、県は市町村ごとにこの納付金を納付することができる標準的な保険税率を算定し公表すると伺っておりました。 このため昨年の12月定例会で、平成30年度の標準保険料率が公表される時期について尋ねたところ、本年の2月中旬ごろに公表されるとの答弁があったところであります。 そこで、本市の税率を標準保険料率とした場合、国保事業費納付金に対してどの程度の収入額になるのか伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 県が決定した本市の平成30年度の国保事業費納付金は約88億6,700万円でありますが、本市の税率を標準保険料率とした場合、現年度分の国保税収入額が減少することに加え、低所得者に係る国保税の軽減額を公費で補填する一般会計からの繰入金なども減少いたしますことから、納付金に対する収入額は約84億9,300万円となり、約3億7,400万円の収入不足が見込まれるところであります。 ◆15番(永山宏恵君) 納付金に対しては、約3億7,000万円の収入不足が見込まれるとのことでありますが、では、標準保険料率を採用した場合、なぜ収入不足が生じるのか伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 本市におきましては、平成30年度の国保税率を設定するに当たり、課税対象となる平成29年分の被保険者の所得額及び平成30年4月の被保険者数をベースにした年平均被保険者数の見込みなどに基づいて行っております。 しかしながら、県は、本市の標準保険料率を設定するに当たり、所得額については、復興需要などの影響により被保険者の所得額が、平成29年分より高い時期の平成27年分と平成28年分の所得額をベースに行っていること。また、年平均被保険者数につきましては、社会保険の適用拡大により、本市は被保険者数が急激に減少しておりますが、県の推計値にはこの急激に減少した要因が十分に反映されておらず、本市の見込み数より約1,900人多く見込んでいることなどにより、本市の現状を反映した適切な見込みとはなっていないことから、県の標準保険料率を採用した場合には、収入不足が生じるものであります。 ◆15番(永山宏恵君) ただいまの答弁によりますと、県が算定した標準保険料率は甘い見込みでありまして、本市の現状とはかけ離れた見込みであり、標準保険料率をとても採用することはできないということがよくわかりました。 では、次に、国保税率が県内統一化されるまでの間、本市の国保事業をどのように運営していくのか伺ってまいりたいと思います。 これまでの市当局の説明によりますと、国保運営が都道府県単位化され、県が財政運営の責任主体となったことにより、平成37年度以降に県内の国保税率が統一されるとのことでありますが、その時期については明確にされていないようであります。 そこで、4点目は、国保税率が県内統一化されるまでの間の、本市の国保財政の運営に当たっての基本的な考え方について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 県が策定した運営方針によりますと、国保税率の県内統一化につきましては、平成37年度以降に統一化するとしておりますが、その時期につきましては明確にしておりません。このことから、本市といたしましては、まず、国保税率が県内統一化されない平成36年度までは、本市の実情に応じて市独自の税率を決定いたしますことから、その間は、本市の国保財政を安定的に運営していくために、国民健康保険基金が必要不可欠であると考えております。 また、その一方で、国保税率が平成37年度以降のいつ県内統一化されるのか不明なことから、平成36年度末の基金残高につきましては、一定額を保有する必要があり、その額は、これまで国が示してきた保険給付費の5%以上である8億円以上は必要であると考えております。ただし、国は、国保税率が県内統一化された後は、被保険者の税負担を軽減するために基金を活用することはできないとしておりますことから、基金を保有するに当たっては、国保税率の県内統一の時期を見定めることが重要であると考えております。 ◆15番(永山宏恵君) 国保制度改革により、県が財政運営の責任主体となりましたが、国保税率が県内統一化されるまでの間は、市の実情に応じた市独自の税率を決定し、また、基金を柔軟に活用することにより安定的な事業運営が行われますよう、よろしくお願いします。 では、これまでの答弁を踏まえまして、5点目は、平成30年度の国保税率を引き下げることについてであります。 本定例会には、基礎課税額の平等割額を2,000円引き下げる条例改正案が提出されております。 そこで、引き下げ額を2,000円とした理由について伺います。
    市民協働部長下山田松人君) 平成30年度の収支を見通したところ、現行税率を据え置いた場合は、先ほども申し上げましたとおり、単年度収支で約5,500万円の赤字が見込まれるところでありますが、これにつきましては、現在保有している基金を取り崩すことで対応可能でございます。 一方で、本市の国保財政を取り巻く状況は、1つには、平成29年度の単年度収支が黒字であること、2つには、本市の国保財政は約25億円の基金を保有していること、3つには、県が、本市の1人当たり国保税必要額は2.8%引き下がると公表されたことなどを勘案いたしますと、平成30年度は、国保税率を引き下げる判断をいたしました。その税率の引き下げ額につきましては、先ほども答弁しましたとおり、平成36年度末の基金残高が、少なくとも8億円以上保有できる見通しを立て、引き下げ額を1世帯当たり2,000円としたものであります。 ◆15番(永山宏恵君) では、平等割額を引き下げることとした理由について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 今般の税率引き下げに当たりましては、2つの点について配慮したところであります。1つとして、国保加入世帯の全ての国保税額が引き下がるとともに、2つとして、低所得者に配慮した引き下げとなるよう、応益割額のうち、1世帯につき課税する平等割額を引き下げることとしたものであります。 ◆15番(永山宏恵君) 平成27年度は中間所得者層の税負担を軽減するため、所得割額の税率を1%引き下げておりますが、今回は国保が抱えている課題の1つでもあります低所得者の税負担が重いことに配慮し、所得間格差が広がっている中、所得の低い世帯も引き下げるように、平等割額を引き下げることについては、よい税率改正だと思います。 では、最後の質問になりますが、6点目として、今後の国保税率を算定するに当たっての基本的な考え方について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 現時点における国保会計の今後の見通しは、毎年、単年度収支が赤字になることが見込まれております。本来、収支が赤字と見込まれる場合は、国保税率の引き上げを行い、収支の均衡を図る必要がありますが、国民皆保険制度の基盤であります国保の加入者は、無職者や所得の低い方が多く加入している状況を考慮いたしますと、基金を保有している間は、国保税率を引き上げないことが被保険者にとって何よりも大事であります。このことから、当該赤字額の補填財源として、基金を活用することで被保険者の税負担に配慮してまいりたいと考えております。 また、一方で、国保税率が県内統一化される前に、例えば、社会・経済情勢の急激な変化による景気低迷などにより、国保税収入が見込みを大きく下回るなど、不測の事態が生じることで本市の基金が枯渇するような状況となれば、国保税率を引き上げる必要が生じますことから、基金が枯渇することのないよう対応してまいりたいと考えております。 いずれにいたしましても、毎年、改めて収支の見直しを行うことにより、適時・適切な措置を講じてまいりたいと考えております。 ◆15番(永山宏恵君) 国保制度改革がスタートし、国保の運営が都道府県単位化されましたが、国保税率が県内統一化されるまでは、実質的には市町村が財政運営の責任主体であると、私自身考えております。国民皆保険制度の最後のとりででもあります医療保険制度として、市民の医療の確保と健康の保持・増進を図るため、市当局におかれましては、今後も国保事業を安定的に運営されますよう強く要望しまして、次の質問に移ります。 大きな質問の2番目は、国土調査事業についてです。 昨年の12月定例会でも一般質問したわけですが、この国土調査の重要性を再確認・再認識するために質問してまいりたいと思います。 これまで登壇質問した樫村議員を初め、これまでの先輩議員の皆さんも、国土調査の重要性は十分訴えてきているのですが、現実は予算もつかず、このままでは本年度もしかり、今後も事業の進捗が期待できないのが現実のようであります。 今後30年以内に70%の確率で南海トラフ巨大地震が発生すると予測されている中、甚大な被害に見舞われると予測されている自治体では、早急な国土調査事業を進めるべきと取り組んでおります。背景には、甚大な被害を受けた東日本大震災では大津波や液状化現象、地殻変動等により、土地の境界を示す境界くいや境界びょうなどが移動したり、なくなったりしてしまい土地の境界が不明確となり、こうした状況が迅速なまちの復興を妨げる要因にもなっていることから、大規模地震による被災後のまちの復興を迅速に進めるには、初期段階に必要となる土地の境界確定が重要であり、その必要性が強く認識されているからであります。 また、国土調査の実施により土地境界が確定していることは、被災後だけでなく平常時においても効用が大きく、その事例として、民間再開発事業の六本木ヒルズ開発が挙げられております。ここは、土地の境界確定を含めた国土調査が未実施であったため、17年にわたる事業期間のうち、土地の境界確定までに実に4年もの期間と約1億円の費用を費やしたとのことで、国土調査が実施されていれば土地の境界確定は短期間で済み、費用は約2,000万円で済んだという試算もあるとのことです。 この国土調査事業は、第2次世界大戦により疲弊した日本を再建するために、その前提となる国土に関する基礎資料が整備されていなかったことから、国土の実態を正確に把握することが強く求められ、昭和26年に制定された国土調査法に基づいて行われ、既に約60年近く続けている事業であります。また、平成26年6月に閣議決定された国土強靭化基本計画にも盛り込まれておりまして、その重要性は認識されているところであります。 しかし、土地が細分化して権利関係が複雑な都市部などでの調査の実施は困難な状況となっていることや、人口減少や少子・高齢化の急速な進展に伴い、相続に関する問題や近隣関係の希薄化、空き家や空き地の増加、不在地主の増大もこの状況に拍車をかけており、この事業を将来に先送りするほどに、立ち会い等に必要な時間や費用は一層増大し、より困難をきわめることが安易に予想されます。 したがって、国土調査事業の実施は急務なこととして、着実に進めていくことが行政に求められているわけです。そのようなことも含め、以下質問していきたいと思います。 まず、1点目に、本事業の全国的な傾向について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 国土交通省によりますと、平成28年度末時点における全国の国土調査の進捗率は52%であり、地域的には、北海道、東北、九州での調査は比較的進んでおり、関東、中部、近畿での調査は、おくれている状況にあります。 ◆15番(永山宏恵君) それでは、2点目に、本事業の国の方針について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 国は、インフラ整備などに加え、頻発する災害の応急復旧や山村部の人口の高齢化により、地籍調査の必要性が高まっていることから、より必要性・緊急性の高い地域における地籍調査を重点的に支援し、効果的な土地境界等の整備に取り組みながら着実な地籍調査の推進を図るとしております。 ◆15番(永山宏恵君) 3点目は、本事業の県の方針について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 県におきましては、震災からの復旧に向け厳しい財政状況の中、平成22年度に策定した県の十箇年計画の目標に対し、進捗率が平成28年度末で16%と大幅におくれていることから、公共事業予定地域における地籍調査予算の確保など、重点選別化により事業の進捗を図っているところであります。 ◆15番(永山宏恵君) 1日も早い復興は私たち市民、県民の願いでありますので、復興が第一はわかります。しかし、県の十箇年計画の進捗が16%、来年、平成31年度で計画期間が終わってしまう中で、この計画をどうしていくつもりなのか。そして、この事業の展開をずっと追っていますと、ある意味、時間との勝負であるのにもかかわらず、事業に対する危機感が全く感じられなく残念でなりません。 では、4点目に、国土調査事業についてです。 まず、この国土調査のメリットについて伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 国土調査は、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するとともに、その成果は、不動産登記行政の基礎資料として活用されるほか、災害復旧の迅速化、公共事業の円滑化、さらには、まちづくりの円滑な推進などに役立つものと考えております。 ◆15番(永山宏恵君) それでは、都市部の調査状況について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 本市の旧5市における平成28年度末の進捗率で申し上げますと、平地区が82.3%、小名浜地区が96.2%、勿来地区が89.9%、常磐地区が86.1%、内郷地区が64.2%となっており、5地区全体の進捗率は86.2%となっております。 ◆15番(永山宏恵君) では、都市部での調査の課題について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 都市部での調査における課題につきましては、権利関係が複雑であること、また、一筆の面積が小さく調査すべき筆数が多いこと、さらには、土地の資産価値が高いことから、慎重に境界の確認を行う必要があり、境界の確定に多くの時間を要することなどが挙げられます。 ◆15番(永山宏恵君) 都市部においては、なかなか難しい課題を抱えておりますが、土地の境界等について十分な資料がそろっていないと、土地取引する際、境界の調査に多大な時間と費用を要したり、登記上の面積と実測面積が違ったりするなど、大きなリスクを抱えることになります。 それでは、次に、山間部の調査についてはどのような状況なのか伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 平成28年度末の進捗率で申し上げますと、遠野地区が55.2%、小川地区が54.9%、三和地区が67.8%、田人地区が47.1%、川前地区が2.8%となっており、5地区全体の進捗率は49.1%となっております。 ◆15番(永山宏恵君) では、山間部での調査の課題について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 山間部での調査における課題といたしましては、所有者の高齢化や不在化が進み立ち会いが困難な場合があること、また、登記所の公図の精度に課題があり境界確認の基礎資料とするのが困難であること、さらには、急峻で危険な箇所が多く測量作業に多くの時間を要することなどが挙げられます。 ◆15番(永山宏恵君) 山間部においては、森林は、生物多様性の保全、地域環境の保全、土砂災害の防止、水源の涵養、保健休養の場の提供など極めて多くの多面的機能を有しております。このような多面的機能を十分に発揮するためには、間伐等の適切な手入れや定期的な伐採及び植林が不可欠であり、適切な手入れをするためにも境界の確認が大変重要となります。 それでは、5点目として、その国土調査事業の推進についてです。 事業を進めるための肝心な事業費ですが、今年度の本市の事業費について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 今年度における本市の事業費は、560万円となっており、その財源内訳につきましては、国が事業費の負担率50%で280万円、県が25%で140万円、市が25%で140万円となっております。 ◆15番(永山宏恵君) 昨年度は約400万円、今年度は560万円です。これでは今年度も現場での事業の進捗は全く見込めない状況ということになります。 では、本市が県に対して要求した金額について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 今年度の事業費として、昨年度、本市が県に対して要求した金額は2,360万円となっております。 ◆15番(永山宏恵君) 2,360万円を要求しまして、今年度ついたのが560万円、約4分の1であります。今年度も要求額とは全くかけ離れた内示額になっております。 それでは、県内各自治体も本事業を進めていることと思いますが、県に対する県内各自治体の要求総額について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 県内の国土調査事業を実施している14市町村の県に対する平成30年度事業費の要求総額は、約1億5,500万円となっております。 ◆15番(永山宏恵君) では、最終的な国からの内示額について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 県は平成30年度の県内各自治体からの要求総額約1億5,500万円に対し、その約37%である約5,700万円を要求しており、これに対し、国からの内示額は約4,700万円で、内示率は約82%となっております。 ◆15番(永山宏恵君) 結局、県は、県内各自治体から1億5,500万円の要求があったにもかかわらず、約3分の1しか要求しなかったということで、まずここに大きな問題があると考えます。財政が厳しい、復興が先、それは十分わかります。とは言っても、これまで進めてきた事業の中で、一日でも早く急いで取り組んでいかなければならないのが国土調査事業です。この事業は、本市だけではなく県内各自治体が同じ問題を抱え、同じく事業を進められず困っていることと思います。 それでは、改めて、本年度の事業費が大幅に少なかった理由について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 国土調査事業の事業費につきましては、本市の第6次国土調査事業十箇年計画に基づき、毎年、所要額を県に要求しているところでありますが、県の国への要求額が厳しい財政状況の中、大幅に減額されたことや、県において、公共事業を実施する自治体に優先的に予算配分をしたことなどから、事業費が大幅に減少したものであります。 ◆15番(永山宏恵君) このような予算のつけ方では100年かかっても終わりません。聞くところによりますと、100年かかっても終わらない事業だから、1年や2年事業費減らしておくらせてもどうということはないだろうというような風潮があるやに聞いております。だとしたら、とんでもない話であります。 この事業は、先ほども言いましたが時間との勝負になってきております。課題にもありましたように、土地境界をわかっている土地所有者の高齢化もあり、このままでは境界の確認が困難になるのは目に見えております。1年や2年と言いますが、その1年、2年がこの先何十年もこの事業の完了をおくらせることになります。余りにも危機感がなさ過ぎではないでしょうか。 では、県内他市の事業費の状況について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 今年度事業を実施している県内14市町村の平成28年度3月末現在の進捗率は、50.8%となっており、各自治体は、平成30年度の事業費に係る所要額を県に要求しておりましたが、いずれの自治体も本市同様、事業費が削減されている状況となっております。 ◆15番(永山宏恵君) どこの自治体も危機感を募らせていることと思います。 この国土調査事業と並行して、何とかまずは市の国土調査事業を補完するような事業はないものかと考えますが、国が実施する事業について、どのような状況にあるのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 現在、本市で実施している国土調査に係る国直轄の事業といたしましては、法務省が人口集中地区の国土調査未了地区を対象に実施する登記所備付地図整備事業を、郷ケ丘地区において実施しております。 今後につきましては、国土交通省が事業主体となり、土地所有者等の高齢化や森林の荒廃等により、境界情報が喪失するおそれがある森林地域を対象に実施する山村境界基本調査など、国直轄事業の導入を積極的に要望するとともに、本市の国土調査事業予算の確保について、引き続き県に要望しながら、国土調査の推進に努めてまいりたいと考えております。 ◆15番(永山宏恵君) ぜひ、補完できる事業に関しては、積極的に導入をしていただきたいと思います。そして、今こうして市長じきじきに答弁をいただきましたので、今後は市長が陣頭指揮をとっていただきまして、他自治体と連携をとりながら要望活動に当たっていただきたいと思います。市長、ぜひよろしくお願いいたします。 山林に関して言いますと、昨年の暮れ、国は2024年度創設予定の森林環境税に先立ち、2019年度から手入れが行き届かない森林整備を早期に取り組み始めてもらうため、年数百億円を自治体に配分する方針を固めました。それだけ森林整備に力を入れていくとのことでありますから、同時に国土調査も強力に進めなければなりません。 国・県への要望はもとより、本事業のあり方を今一度見直しながら、今後も事業の推進に最大限の努力をお願いいたしまして、次の質問に移ります。 大きな質問の3番目は、いわき駅並木通り地区市街地再開発事業についてです。 いわき駅はいわきの玄関口として、これまで駅周辺の再開発が進められてこられており、平一町目、駅前のラトブ、駅南口、北口、そして今回の駅西側通称並木通りの再開発となります。 並木通り再開発事業では都市型住宅や商業・サービス・業務施設の導入を図るほか、公共駐車場や駐輪場を再整備するとされており、新たないわきの顔として大変期待するところです。中心市街地はその都市全体のイメージを象徴し、いわゆるよく言われるまちの顔であります。人間は顔色が悪ければどこかが悪いのではというイメージを、顔色がよければ体全体が健康というイメージを持つことは、まちにも共通すると思います。 そんないわきのこれからのまちの顔になる、いわき駅並木通り地区市街地再開発事業については、本年2月定例会代表質問において我が会派の大峯会長が質問をしており、当局より、昨年12月に地権者で組織する再開発協議会と市において、いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業基本計画が策定をされまして、本年1月には、いわき駅並木通り地区市街地再開発準備組合が設立されたとの答弁がなされたところであります。 そこで、1点目に、本年1月の準備組合設立以降の、いわき駅並木通り地区市街地再開発事業の経過について伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) いわき駅並木通り地区市街地再開発準備組合では、いわき駅西側の国道399号、通称並木通りの北側区域約1.2ヘクタールにおきまして、安全で快適な都市環境とにぎわいの創出を目的とした、組合施行による第一種市街地再開発事業の具現化に向けた取り組みを進めているところであります。 本年1月の準備組合設立以降の経過といたしましては、市におきましては、当地区の市街地再開発事業を都市計画に位置づけるための手続を進め、本年3月に第一種市街地再開発事業の決定及び高度利用地区の変更を行ったところであります。 また、準備組合におきましては、本地区の施設計画、事業計画、保留床処分計画等を策定するため、これらに関するノウハウを有する事業協力者の募集を行った結果、株式会社フージャースコーポレーションを事業協力者に選定し、先月、事業協力に関する基本協定を締結したところであります。 ◆15番(永山宏恵君) それでは、2点目に、準備組合と事業協力者が締結した事業協力に関する基本協定の内容について伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 今回、準備組合と事業協力者が締結した事業協力に関する基本協定は、民間事業者の持つ市街地再開発事業の経験や実績、技術力を積極的に活用した事業の推進により、事業の施行者となる市街地再開発組合、いわゆる本組合を早期に設立することを目的としており、その内容につきましては、今後、準備組合が行う事業計画や保留床処分計画等の策定及び事務局の運営等に対しまして、事業協力者が持つ専門ノウハウの提供や資金の立てかえなど、事業協力の範囲を定めているものであります。 ◆15番(永山宏恵君) 次に、3点目は、具体的な事業の内容について伺いたいと思います。 昨年12月に策定された市街地再開発事業基本計画に示された施設建築物等整備の方針では、一般向け分譲マンション約150戸とシニア向けマンション約120戸の整備を見込んでいるようであります。しかし、昨今ではいわき駅近辺、この市役所付近もそうですが、マンション建設が進み、さらに新たに建設が進められるところもあります。震災後は宅地不足、住宅の需要もあり高額なマンションも即完売という話も聞きました。全国どこでも駅近は人気物件となりますが、震災から7年が過ぎても、なお、マンションのニーズがあるのか、竣工が平成33年度とされているあと3年後にニーズがあるのか心配するところであります。 再開発で整備されるとされている一般向け住宅約150戸、シニア向け住宅約120戸のニーズはどのように捉えているのか伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 市街地再開発事業基本計画における住宅の整備戸数につきましては、当地区の民間需要を把握するためのアンケート調査や開発デベロッパー等を対象としたヒアリングにおきまして、複数のデベロッパーが周辺市街地の開発動向等も踏まえた上で提案していただいた規模を基礎としたところであります。 また、事業協力者の募集に際し提出された事業提案書におきましても、駅に隣接し、移動や買い物などの利便性が高い立地特性から、基本計画と同様の提案がなされており、計画相応の住宅需要が見込まれているものと考えております。 なお、整備する住宅の戸数や規模等につきましては、今後、準備組合におきまして、事業計画の策定を進める中でさらなる市場調査を行いながら決定していくこととしております。 ◆15番(永山宏恵君) 基本、駅隣接物件なので販売価格は高額になるのは予想できます。ましてや、シニア向け住宅はある程度生活に余裕のある方しか入居できないのではと考えます。建設したはいいが、空き物件がというようなことにならないよう進めていっていただきたいと思います。 多様なライフステージに対応した都市型住宅を整備し、子供からお年寄りまでの幅広い世代が暮らし、交流できる新たなコミュニティーを形成するとする住宅整備ですが、再開発事業でシニア向け住宅の整備を位置づけた理由について伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 一般的な住宅の整備にあわせ、高齢者の方も使いやすいバリアフリー化された仕様と食事、医療、娯楽施設等の充実したサービス機能等を有するシニア向け住宅を整備することによりまして、幅広い世代が暮らし、交流できる新たなコミュニティーを形成し、持続可能で魅力ある市街地の形成を目指すこととしたものであります。 ◆15番(永山宏恵君) 次に、中心市街地活性化基本計画では、人、暮らし、文化を大切にする豊かさと活力とを備えた中心市街地をテーマに掲げておりますが、この市街地再開発事業がこのテーマに対してどのような効果を発揮するのか伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) いわき市中心市街地活性化基本計画は、人、暮らし、文化を大切にする豊かさと活力とを備えた中心市街地をテーマに掲げ、人を大切にした、楽しく暮らせるまちづくり、事業活動が活発な、活力のあるまちづくり、歴史と文化等を活かして、訪れたくなる魅力を育てるまちづくりの3つの基本方針に基づき、官民合わせて57の事業を計画に位置づけ、中心市街地の活性化を図ろうとするものであります。 当事業につきましては、基本方針の1つである、人を大切にした、楽しく暮らせるまちづくりを実現するための事業の1つとして位置づけられているところであり、居住人口が減少傾向にある中心市街地において、質の高い都市型住宅を整備することにより、町なか居住者の増加を図り、中心市街地全体にそのにぎわいを波及させようとするものであります。 ◆15番(永山宏恵君) 基本計画の中の基本方針の三本の柱はそれぞれテーマがあっても、三本の柱の整合性はあまり気にしなくてもよいというようなことも聞きますが、基本方針の1つに、歴史と文化等を活かして、訪れたくなる魅力を育てるまちづくりとあり、近代的な雰囲気の建築物もいいですが、城下町として大工町、鍛冶町、材木町、研町など歴史の町並みを感じさせる地名がしっかり残っているいわき駅前です。中心市街地が歴史的に形成された点を鑑みれば、それを生かした景観を利用することこそが、ほかの中心市街地との差別化にもつながるものと考えます。少しでも歴史を感じられるような雰囲気のある駅前再開発があってもいいのではないかと考えます。今後、公民連携を進める中で行政として何か提案をしながら、ぜひ考えていっていただきたいと思います。 次に、4点目は、市のかかわりについてです。 本事業は、組合施行の市街地再開発事業による事業化を進めることとしておりますが、今後、市は本事業にどのように関与していくのか伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 市は、事業予定区域に、市営駐車場や駐輪場を所有しておりますことから、準備組合に加入し、他の組合員とともに事業化についての検討を進めてきたところであり、本組合設立後におきましても、組合員として事業に参画していくことになります。 また、市街地再開発事業は、既成市街地において、都市再開発法に基づき、公共施設の整備と優良な建築物を整備することにより、良質な都市空間の形成を図ることを目的とした公共性の高い事業でありますことから、市では、事業費の一部について、国の補助制度を活用しながら助成を行うなど、本事業の円滑な施行に向けて支援を行っていくこととしており、今後におきましても、法令に基づきながら適切に事業が執行されるよう、指導・監督を行ってまいりたいと考えております。 ◆15番(永山宏恵君) 今定例会において、補正予算案、平並木通り地区市街地再開発事業費として、事業を実施する再開発組合に対し、移転に必要な費用の一部を補助するため2億471万2,000円が計上されておりますが、今後の事業を進めていく中で、補助金の対象となる事業について伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 市街地再開発事業に係る補助につきましては、事業計画や権利変換計画等の調査設計計画費、既存建物の除却等の土地整備費、及び整備される施設建築物の共用部分や供給処理施設などの共同施設整備費等が対象となっております。 なお、これら再開発事業に係る補助金の額につきましては、今後、施設建築物の基本設計や資金計画の策定過程におきまして、国等の関係機関と協議しながら決定していくこととなります。 ◆15番(永山宏恵君) 市街地再開発は、組合、デベロッパー等、地方公共団体の三者が協力して事業を進めていくわけですが、市街地再開発事業により整備する施設が完成した後の市のかかわりはどのようになるのか伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 市といたしましては、引き続き、中心市街地における交通結節機能を担う市営駐車場や駐輪場機能を地区内に整備する方針としておりまして、施設完成後におきましても、これら施設の管理を担っていく予定であります。 ◆15番(永山宏恵君) それでは、5点目に、本事業の今後の予定について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 今後につきましては、準備組合において、事業協力者の支援を得ながら、詳細な施設計画や資金計画などを定めた事業計画の策定を進めるとともに、地権者の合意形成を図り、本年度内に県に対して本組合の設立及び事業計画の認可申請を行うこととしております。 本組合設立後は、既存の土地や建物の権利を新しく建設されるビルの床に置きかえる権利変換計画を策定した後に、既存建物の移転補償や除却を行い、平成31年度内には、再開発ビルの本体工事に着手し、中心市街地活性化基本計画の終期となる平成33年度の完成を目標として、事業を推進していくこととしております。 ◆15番(永山宏恵君) 人口減少・超高齢社会を迎え、これまでのまちづくりを見直す時期がきており、郊外化するまちということでは本市も例外ではなく、中心市街地からの拡散に歯どめをかけ、高齢者も含めた多くの方々が暮らしやすいまち、生活拠点まちの顔をつくることが必要であります。 並木通り地区のまちづくりは、まちで暮らす、まちに集う、まちを楽しむが調和した中心市街地を育む新たなまちを基本的視点にしており、周辺の施設と連携しながら生活しやすい環境、そして活性化につなげていく具体的な取り組みを進めていくことになります。 中心市街地の魅力の差別化戦略を徹底化し、地域の現状の強み、弱みなどをさらに分析しながら、時にはリスクもあるかもしれませんが、リスクも意識しながら中心市街地の活性化に取り組んでいくよう要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(菅波健君) ここで、午前11時10分まで休憩いたします。          午前10時58分 休憩---------------------------------------          午前11時10分 再開 △磯上佐太彦君質問 ○議長(菅波健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。34番磯上佐太彦君。          〔34番磯上佐太彦君第二演壇に登壇〕 ◆34番(磯上佐太彦君) (拍手)皆さん、アロハ。34番いわき市議会清政会の磯上佐太彦です。 過日、本市で開催されました第8回太平洋・島サミットが、成功の内に無事終了され、また、天皇皇后両陛下の本市への行幸啓が、市民の皆さんの温かい歓迎のもとで、つつがなく終えられたことは、大変喜ばしい限りであります。市長初め、関係者の皆さんの御尽力に感謝申し上げます。 また、明日は、歴史的な米朝会談が行われることになっており、核の廃棄や拉致問題が大きく進展することを願っております。 また、本市においては、新たに渡辺仁副市長、澤田洋一財政部長をお迎えし、清水市政が新たなスタートを切られたところであります。市政進展のため、一層の御精進をお願いいたします。 さて、暦の上ではきょうが入梅となりました。近くの水田を見渡すと、田植えもほとんど終わり、水田は緑一色に染まって、大変美しい日本の原風景が思い出されます。私の子供のころは、田植えと言えばこの6月の梅雨の最中で、それこそみの着て笠をつけての作業でした。そこで、苗床でとった苗を運んだり、あるいは田んぼに苗を投げ入れたりするのが子供たちの仕事でした。どこの子供もよく仕事を手伝っていました。今では考えられませんが、この時期になると農繁休暇というのがありまして、学校が休みになりました。また、自分の家の田植えが終わると、隣近所の田植えを手伝います。これを結いと言っておりますが、お互いに助け合っていたわけであります。そして、田植えが終わると、早苗振りと言って、家族みんなで労をねぎらい、お祝いをしたものです。田植えの時期になると、こんなことが思い出され、大変懐かしい気持ちになります。 私は、今日の少子化、超高齢化の時代こそ、このような隣近所の協力や助け合いが一層求められているのではないかと思います。そして、このような助け合いの精神や心が、今言われている共助や共創の原点になるものではないかと思います。 以上、申し上げながら、以下通告順に質問いたします。 大きな質問の第1は、共創のまちづくりについてであります。 市長は、これまで、持続可能な暮らしやすいまちづくりに向けて、民間活力による市街地の再生や、廃校施設を有効活用した中山間地域の活性化といった、数々の新たな取り組みに挑戦するなど、すぐれたリーダーシップを発揮されてきたと受けとめております。今後においても、我がふるさと・いわきが、さらなる発展を遂げるためには、市長が掲げる共創のまちづくりの具現化を、より一層加速させていく必要があると思います。 私は、この共創のまちづくりを進める上で重要なことは、より多くの市民に、その趣旨を理解してもらい、主体的にいろいろな事業に参画してもらうことが必要だと思いますが、その一翼を担うのがNPO法人や自治会などの地域に密着した団体だと思います。そして、これらの団体が一層地域にかかわる機会をつくり、地域に対する愛着と誇りの持てる取り組みを進めることが、ますます必要になってくるのではないかと思います。 そこで、1点目は、NPO法人についてであります。 阪神・淡路大震災を契機に、全国的にNPO法人の数が増加していると聞いていますが、市民ニーズが複雑・多様化している中で、NPO法人は今後の公共サービスの担い手として大変期待されているところであります。 そこで、初めに、過去3年間における本市のNPO法人数の推移について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) NPO法人数につきまして、各年度末現在で申し上げますと、平成27年度が122法人、平成28年度が124法人、平成29年度が132法人と年々増加しており、この間の2年間で、法人数が10法人増加しております。 ◆34番(磯上佐太彦君) それでは次に、県内の中核市におけるNPO法人数について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 平成29年度末現在で申し上げますと、福島市が200法人、郡山市が155法人となっております。いずれも、本市と同様、法人数は年々増加する傾向となっており、平成27年度末からの2年間での増加数を申し上げますと、福島市が12法人、郡山市が4法人となっております。 ◆34番(磯上佐太彦君) いずれも増加傾向となっているようですが、これまで、本市が行ってきたNPO法人に対する支援策について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 市ではこれまで、NPO法人の設立に当たりましては、さまざまな手続について紹介する手引を作成・配布するほか、電話や窓口での相談にも、きめ細やかに対応するとともに、設立に係る経費の一部をまち・未来創造支援事業により助成しております。また、NPO法人が実施するまちづくり活動などのソフト事業に対しましては、同じくまち・未来創造支援事業により、その活動を支援しております。 さらには、NPO法人が行うまちづくりの人材の育成にかかわる取り組みに対しまして、明日をひらく人づくり事業によりその経費の一部を助成するほか、実践を通しながら、法人の人材育成につなげていけるよう、昨年度から取り組んでおります公民連携推進モデル事業におきましても、本年度に、市内NPO法人と連携して、具体的な取り組みに着手するなど、さまざまな支援を行っているところであります。 ◆34番(磯上佐太彦君) さまざまな取り組みによって、NPO法人の活動を後押ししているということでありますが、法人の実情を伺いますと、財政面とか人材面などで大変苦慮しているというお話もありますので、さらなる支援が必要ではないかと感じております。 そこで、今後、NPO法人に対してどのような取り組みをしていく考えか伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 全国的な傾向といたしまして、資金や人材等の確保を課題とするNPO法人が多いことが、内閣府の調査で明らかとなっております。本市におきましては、他のNPO法人の活動を支援しているいわきNPOセンターと意見交換を行ったところ、全国と同様の傾向が見受けられるとのことではありますが、東日本大震災の影響など、地域特有の課題があるのかも含めて、本年度に実施するNPO法人を対象といたしましたアンケート調査及び聞き取り調査において、深堀りしてまいりたいと考えております。 また、県内の他の中核市と比較して、NPO法人の設立数が少ない状況にありますことから、他自治体の状況もあわせて調査を行った上で、課題に対応した支援策を検討し、NPO法人の活動をさらに後押ししてまいりたいと考えております。 ◆34番(磯上佐太彦君) NPO法人は、同じ思いを共有した仲間が主体的に活動している団体であり、今後、共創のまちづくりを進めていく上で、いわゆるイコールパートナーとして大いに期待できる存在であると思いますので、NPO法人の活動がより活発化するよう、一層の御支援をお願いいたします。 2点目は、自治会等の活性化についてであります。 自治会や隣組という組織は、市民にとって地域コミュニティーを構成する最も身近なものであり、地域内の清掃活動や、防犯・防災活動などに自主的に取り組み、地区自治の連携や協力体制を築くものであると思います。 そこで、過去3年間における市内の自治会等への加入率の推移について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 自治会等への加入率を広報紙の配布世帯数をもとに推計した各年4月1日現在の数値で申し上げますと、平成28年が80.5%、平成29年が79.3%、平成30年が78.4%で、毎年、約1ポイントずつ減少している状況となっております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 加入率が減少しているということですが、それだけ地域力が弱体化してきているということではないかと思います。私の地域なんかもやっぱり同じような傾向でございます。 それでは、他の中核市との比較では、どのようになっているか伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 平成29年4月1日現在で比較いたしますと、本市の加入率が79.3%であるのに対し、中核市の平均加入率は70.1%となっており、本市は、中核市48市の中で14番目に高い加入率となっております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 中核市の中ではいいほうにいるということですが、それでは、現時点における自治会等の課題をどのように考えているか伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 社会構造の変化や、価値観の多様化など、自治会等を取り巻く環境が大きく変化する中、地域への関心やつながりが希薄化し、自治会等への参加意識が低下しており、自治会等においては未加入、あるいは脱退により、先ほど申し上げましたとおり、その加入率が減少しております。これに伴い、自治会等の運営を支える会費収入が減少するとともに、役員の高齢化や、担い手の不足などにより、特定の方に過度の負担が集中するなど、自治会等の継続的な運営に課題が生じているものと捉えております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 自治会等は、自主的な組織ではありますが、これら団体との共創という観点から、行政としても加入率の向上など自治会等の強化に向けた取り組みが必要ではないかと思いますが、本市の取り組みについて伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 市といたしましては、まず、組織力の強化を図る観点から、自治会等への加入者をふやすための対策として、本市に転入された方に対し、転入届を提出する際に、自治会・町内会への加入を促すお知らせを配付しているほか、自治会等の活動に役立つ助成制度や会の運営についての手引を作成し、全ての自治会等に対して配付しております。 また、財政面の支援といたしまして、自治会等の活動拠点であります地域集会施設の新築や修繕等に対しまして、その事業費の一部を補助しております。さらには、人材育成の観点から、まちづくり・未来づくり講演会を開催し、実践者からの指導・助言をいただく機会を提供するほか、明日をひらく人づくり事業により研修の取り組みに対し補助するなど、さまざまな支援により、自治会等の強化に努めているところであります。 ◆34番(磯上佐太彦君) また、一方では、県の復興公営住宅に自治会の結成等の動きもあり、このような新たなコミュニティーと、既存のコミュニティーとの融和をどのように図っていくのか、また、復興住宅の入居者の中には、本市に住民票を移している人、また、避難元の自治体に籍を置いたままにしている人と、こういう方がおるわけですが、行政サービス上の課題もこういうことであると思いますけれども、このような点をどのように認識しているか伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) 県の復興公営住宅につきましては、平成29年度末におおむね整備が完了し、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町などから多くの方々が短期間に入居されておりますことから、入居者同士はもとより、入居者と周辺地域住民との相互理解のもと、長期的に良好な関係を構築していくことが重要な課題であると認識しております。 また、住民票を異動せず避難している方々に対しましては、原発避難者特例法に定める事務を中心に行政サービスを提供しておりますが、その際には、まずは行政情報を的確に提供することが重要でありますことから、特に復興公営住宅の入居者に対しましては、自治会等を通じた広報紙等の配付・回覧のあり方などが課題になってくるものと認識しております。 このようなことから、復興公営住宅入居者による団地自治会の設立を支援し、周辺地域自治会等と率直な意見交換ができる環境づくりを進めるとともに、地域の行事や清掃活動など、さまざまな交流活動を継続していくための支援体制の整備、さらには、行政情報を初め、身近な情報の提供などについて、県を中心に避難元自治体と本市も連携を図りながら、取り組んでいく必要があるものと考えております。 ◆34番(磯上佐太彦君) この項最後の質問になりますが、まちづくりを進めていく上で、さきにも述べましたNPO法人や、地域に密着した自治会等との連携・協力が不可欠であると思います。 そこで、これらの団体との連携のもと、市長が掲げる共創のまちづくりを具現化していくための今後の展望について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 人口減少、少子・高齢化の急速な進行により、今後、地域を支える人、地域の担い手の減少が進むとともに、税収の減少や社会保障関係経費のさらなる増加が懸念されるところであります。このような状況の中、多様化する市民ニーズへの対応を行政のみで行うことには限界がありますことから、今後も質を低下させることなく公共サービスを提供していくためには、社会全体として生産性を底上げしていくことが求められております。 そのため、NPO法人、自治会等を初めとする市民の皆様や事業者、そして行政が、それぞれの強みを最大限に発揮しながら、ともに役割を担っていくという体制をしっかりと築き上げていくことにより、本市が進める共創のまちづくりを具現化することで、魅力あふれるいわき新時代を切り開いてまいりたいと考えております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 市民が生き生きと暮らし、魅力と活力に満ちたまちづくりは、市民の大きな願いであります。清水市長には、いわき新時代に向けて、一層のかじ取りをお願いしたいと思います。 大きな質問の第2は、人材育成についてであります。 第1点目は、道徳教育についてであります。 私は、道徳教育につきましては、これまでも何度か質問してまいりましたが、道徳は、人間形成の中で極めて重要なものだと思っております。私が思うに、道徳とは、法律や規則などよりも広範囲な規範であり、非常に漠然として捉えにくい面もあると思いますが、私流に解釈すれば、人に迷惑をかけないこと、決まりをしっかり守ること、あるいは命や人を大切にすること、こういうことをしっかり身につけさせることではないかと思います。 最近、テレビや新聞で、セクハラとかパワハラなどが頻繁に報じられています。また、幼い子供を誘拐し殺害したり、また、幼い我が子に食事を与えないで餓死をさせるというような非常に残忍な事件が起きています。私は、このような犯罪を犯す者は、子供のころの道徳教育やしつけに問題があったのではないかと疑念を抱きます。 ただ、最近の報道の中で、少し行き過ぎではないかと思う点もあります。ある国会議員が、結婚披露宴の挨拶で、子供さんを3人ぐらい生んでくださいと言ったのがセクハラだというわけです。今、少子化で困っているので、ぜひ子供さんを生んでいただきたいという願望のお話をしたのではないかと思います。こんなことまでセクハラと言われると何も言えなくなります。お嫁に行きませんか、お嫁さんもらいませんかと、こういうことも口をきくこともできません。だから、嫁さんや婿さんの世話をする人もいなくなってしまうのです。少し世の中、異常になってきていると思えてなりません。 話は横道にそれましたが、近年、物の豊かさとは裏腹に、心の荒廃が懸念されています。衣食足りて礼節を知るという言葉がありますが、まさにその逆の現象が起きています。私自身も自戒しているところですが、心の乱れが、先にも申し上げましたように、社会秩序を乱し、犯罪の要因になっていると思えてなりません。そこで、特に道徳教育は、人間形成の根幹にかかわるものであり、極めて重要と考えております。 このような状況の中で、本年度から、小学校ではこれまでの道徳の時間が、特別の教科・道徳として実施され、また、中学校でも来年度から全面実施となります。 そこで、まず、道徳の時間が教科化された経緯について伺います。 ◎教育長(吉田尚君) 道徳の時間が教科化された経緯につきましては、深刻ないじめ問題や情報通信技術の発展による子供の生活の変化等を背景に、平成25年2月の教育再生実行会議第一次提言において、新たな枠組みとして教科化し、指導内容を充実することなどが提言されたことを受け、中央教育審議会での検討を経て、平成26年10月の中教審答申において、特別の教科・道徳として学習指導要領に新たに位置づけることになったものでございます。 ◆34番(磯上佐太彦君) 深刻ないじめの問題とか、さまざまな社会の変化等が背景にあったようでありますが、これまでの道徳の時間と特別の教科・道徳との違いは、どのようなものなのか伺います。 ◎教育長(吉田尚君) これまでの道徳の時間におきましては、学校や教員によってその充実度に差が大きいことや、型にはまった指導になりがちといった課題が指摘されておりました。特別の教科・道徳においては、充実した質の高い教科書などを活用して、例えば、正義とは何か、権利と義務、科学技術の発達と生命倫理など、答えが1つではない課題を子供たちみずからが考え、議論する道徳へと質的な転換が図られることとなります。また、児童・生徒の学習の状況や成長の様子などを文章により記述する評価が行われることとなります。 ◆34番(磯上佐太彦君) 特別の教科・道徳において、子供たちに指導する内容はどのようなものか伺います。 ◎教育長(吉田尚君) 特別の教科・道徳において、子供たちに指導する内容につきましては、いじめ問題への対応についての充実が図られるほか、発達段階をより一層踏まえた体系的なものになっております。自分とは異なる意見を持つ他者と議論し、多面的・多角的に思考することを通して、礼儀や思いやり、生命のとうとさなどの道徳的価値の理解を自分自身とのかかわりの中で深め、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養う学習を行うこととなります。 ◆34番(磯上佐太彦君) それでは、特別の教科・道徳を充実させていくための、本市としての取り組みについて伺います。 ◎教育長(吉田尚君) 特別の教科・道徳におきましては、いじめ問題の解消や未然防止など、困難な問題に主体的に対処できる力を身につけるため、考え、議論する道徳への質的な転換が求められております。 市教育委員会といたしましては、改訂の趣旨を踏まえた授業が実践されるよう、総合教育センターにおける道徳主任研修等や道徳教育実践講座などの教員研修の一層の充実を図るとともに、学校訪問における指導主事による直接指導等を通して、教員の指導力向上を図ってまいる考えでございます。 ◆34番(磯上佐太彦君) 私は、道徳教育というのは、教科書だけで教えるものではなく、日常生活の中で身につくものだと思っております。何といっても、私は家庭教育が一番大事だと思いますので、学校と家庭教育との連携を密にして、道徳教育の成果を上げられるよう、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 次に、いわきアカデミアの充実についてであります。 人口減少、少子・高齢化が進む中、将来にわたり、本市の活力を維持していくためには、次代を担う人材を確保することが重要であります。本市では、いわき創生総合戦略に基づき、産学官が一体となって、人財育成プログラムであるいわきアカデミアの取り組みを進めております。その基本理念としては、いわきで暮らし、働き、次代の地域社会を担う人財を育成する、いわきを離れても、いわきとつながり続ける人財を育成する、子供たちの郷土愛を育て、人財の全体的な底上げを図る、社会人として必要な考える力、コミュニケーション力を高める、この4つが掲げられています。 具体的には、人生の礎を築く義務教育期、現実的な自己実現を模索する高校・大学期のように、発達段階に応じた事業を行っているとのことでありますが、まず1点目として、平成29年度の義務教育期における主な取り組みの実績について伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) いわきアカデミアにつきましては、産学官連携で推進しているところでありますが、平成29年度の義務教育期における主な取り組みといたしましては、小学3年生に向けた社会科授業等の副読本として、本市のものづくり産業の歴史や特徴、地域や国内外で活躍する市内の主な企業を紹介した会社見学ガイドブックを作成・配布したところであります。 また、事業所の若手社員や現場リーダーなど、市内のさまざまな分野で働く方々が、中学校を訪れ、仕事内容ややりがい、苦労などを語りながら、中学生の質問に答えていく取り組みをいわき・わくわくしごと塾の中で、モデル的に実施するなど、義務教育期から郷土愛を育み、地域の歴史・文化・産業などへの理解を深めることに努めたところであります。 ◆34番(磯上佐太彦君) 次に、平成29年度の高校・大学期における主な取り組みの実績について伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) 平成29年度の高校・大学期における主な取り組みといたしましては、県立高校2校の1年生が、市内企業の現場等を訪問・体験し、経営者や社員などの仕事への情熱や人生経験、職業観などをお聞きしながら、みずからの進路や生き方を考えるいわき発見ゼミを実施したところであります。 また、市内の大学生が地域とのかかわりを深めながら、本市の地域課題を検討テーマとしたゼミ活動を行う大学生地域実践ゼミを実施するなど、郷土愛を高めるとともに、地元への定着促進や、地元での企業・創業につながるキャリア教育のほか、市内の企業等をよく知ってもらい、現実的な就職先として選択いただく機会の創出に努めたところであります。 ◆34番(磯上佐太彦君) 本市は、平成29年に市以和貴まちづくり基本条例を制定し、共創のまちづくりを掲げ、各種施策を展開しておりますが、いわきアカデミアは、公民連携の取り組みの代表例ではないかと思います。このような視点を踏まえて、いわきアカデミアをより推進する意味で、事業に参加された学生や民間企業の方々からの生の声を把握することも必要ではないかと思います。 そこで、3点目として、事業に参加した学生や企業から、どんな意見が寄せられているのか伺います。 ◎総合政策部長(大和田洋君) 平成29年度の事業に参加された生徒等からは、いわきで活躍する人や会社を知り、触れ合う貴重な機会が得られた、将来の目標や進路を考えるきっかけとなったとの御意見のほか、生徒等の訪問などを受け入れた協力企業等からは、企業認知につながった、企業が若い世代の考えを知る機会になったなど、事業を評価する御意見をいただいたところであります。 一方で、当該事業の課題として、参加者をふやす仕組みづくり、受け入れ企業・団体の拡大や受け入れ側の負担軽減などの御意見もあわせて寄せられているところであります。 ◆34番(磯上佐太彦君) 参加学生や企業からも、大変意義深い取り組みだったというような意見も多かったようでありますが、今後において、多くの若者がいわきに定着し、あるいはUターンしてもらうために、継続した取り組みが必要だと思います。 そこで、次に、いわきアカデミアを持続可能なものとするための今後の取り組みについて伺います。 ◎市長(清水敏男君) 産学官連携で人財育成を図るいわきアカデミアの取り組みは、本市が推進する共創のまちづくりの代表的な事業であり、これを持続可能なものとするためには、参加者や協力企業等の御意見等を踏まえた改善を適切に図りながら、多様な方々の参画のもと、地域を挙げて取り組んでいくことが重要であると認識しております。 そのためには、キャリア教育に資する事業間の緊密な連携により各種取り組みの効率化を図るほか、協力企業等をふやすPR活動やUIJターンの促進に向けて、実効性が期待できるような手法を検討するなど、引き続き、共創による人財還流の仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆34番(磯上佐太彦君) ただいま、御答弁をいただきましたが、人づくりは一朝一夕になし得るものではありません。ぜひ、ふるさといわきの将来を支える人材育成のため、これらの取り組みを官民一体となって精力的に取り組んでいただくようお願いをいたします。 大きな質問の第3は、一般廃棄物の再資源化についてであります。 先日、テレビ番組の特集で、廃プラスチックの処理問題を取り上げておりました。中国では、1980年代から、資源確保のために、廃プラスチックなどの資源ごみの輸入を奨励していましたが、廃プラスチック処理で発生する排水などで、河川や海が汚染され、また、作業員の健康被害も懸念されたことから、2017年末までに、これらの資源ごみの輸入を禁止し、2019年度末までに、固形廃棄物の輸入を大幅に削減するとしています。そこで、我が国を初め、資源ごみを輸出していた国では、大きな影響が出るようであります。 また、最近、フランスの海洋科学探査船が、日本近海を調査したところ、マイクロプラスチックが検出されており、これを小魚が食べ、また別の魚がこれを食べるという食物連鎖により、将来人間の食生活にも大きな影響が出るのではないかと懸念されています。そして、このようなプラスチックごみによる汚染は、世界規模に拡大しております。そこで我が国においても、プラスチックごみの排出を規制する改正法案を今国会に提出するとのことであります。 このように、国際的に関心が高まっている環境問題の解決のためには、国際的な枠組みのもとで、天然資源の消費を抑制し、再生材や再生可能資源の利用を進めること、いわゆる3Rに取り組み、資源が効率的かつ持続的に使われる社会を実現することが重要であると考えます。このような動きの中で、アメリカでは、飲料水メーカーが容器やストローをプラスチック製から、紙や金属に切りかえるという動きが出ているようであります。 また、本市在住の技術士小松道男氏が、植物由来の容器の開発に成功し、総理大臣賞を初め、世界各国の賞を受けるなど話題を呼んでいます。私も実際本人にお会いし、コップや皿などの現物を見せていただきましたが、見た目は全くプラスチック製と同じでありまして、これが土に埋めると分解して土になるということであります。このような製品が普及していけば、ごみの減量化に大いに貢献ができるのではないかと期待をしております。 さて、本市においては、循環型社会づくりを目指し、ごみの発生・排出抑制を基本に、焼却ごみや埋め立てごみを減量化するための施策に取り組まれているところでありますが、一般廃棄物の再資源化の現状、状況などについて伺います。 初めに、一般廃棄物の排出量はどのようになっているか伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 本市の一般廃棄物の排出量につきましては、焼却ごみ、埋め立てごみ、資源ごみ及び古紙回収の合計で申し上げますと、平成27年度は13万3,749トン、平成28年度は13万420トン、平成29年度は12万8,690トンであります。 また、市民1人1日当たりの排出量で申し上げますと、平成27年度は1,046グラム、平成28年度は1,025グラム、平成29年度は1,020グラムとなっております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 排出量は年々減っているというように、大変結構なことだと思いますが、本市のごみの処理コストはどのようになっているか伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 国が一般廃棄物処理事業に係るコスト分析の標準的手法を示した一般廃棄物会計基準に基づくごみ処理原価計算により算出しますと、平成27年度の総費用は49億6,266万5,000円、平成28年度は46億6,222万円となっております。 また、市民1人当たりの処理費用で申し上げますと、平成27年度は1万4,206円、平成28年度は1万3,379円となっております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 処理量が減っているので、処理コストも減っていると思います。大変コストも減っているということで、大変結構なことだと思っております。 それから、廃棄物のリサイクル率はどのようになっているか伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 一般廃棄物の総排出量に対する再資源化した量の割合を示すリサイクル率は、平成27年度が21.9%、平成28年度が21.7%、平成29年度が22.3%となってございます。 ◆34番(磯上佐太彦君) それでは、ごみの分別収集はどのように行っているのか伺います。
    ◎生活環境部長(荒川信治君) 本市の一般廃棄物の分別区分につきましては、燃やすごみ、燃やさないごみ、容器包装プラスチック、製品プラスチック、かん類・ペットボトル、びん類、小型家電・金属類、廃乾電池、大型ごみ、古紙類となっております。さらに、古紙類は、新聞紙、段ボール、紙パック、雑誌、その他の紙の5品目に分けていただいておりまして、10分別・14品目の収集を行ってございます。 ◆34番(磯上佐太彦君) かなり細分化した分別収集が行われているのではないかと思います。 それでは、分別したプラスチック系の資源ごみは、どのようにリサイクルしているのか伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) プラスチック系の資源ごみは、ペットボトル、容器包装プラスチック、製品プラスチックの3種類がございます。まず、ペットボトルにつきましては、リサイクルプラザクリンピーの家で選別・圧縮等の中間処理を行い、再商品化事業者に売却しており、繊維やプラスチック容器、自動車の内装材として再利用されております。 次に、容器包装プラスチックにつきましては、同じくリサイクルプラザクリンピーの家で選別・圧縮等の中間処理を行い、容器包装リサイクル法に基づく指定法人である容器包装リサイクル協会へ引き渡しており、樹脂パレットや擬木などのプラスチック製品、化学原料用の油、工場の燃料などとして再利用されてございます。 さらに、製品プラスチックにつきましては、選別後に再商品化事業者に売却しており、樹脂パレットやプラスチック容器などとして再利用されてございます。 ◆34番(磯上佐太彦君) 次に、有価物ですが、空き缶やペットボトル、金属類などの有価物はどのぐらいあるのか伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 有価物といたしましては、選別後のスチール缶、アルミ缶、ペットボトル、小型家電・金属類や不燃の大型ごみを破砕・選別し回収した鉄、アルミ、その他の金属類、さらには製品プラスチックから不適合物を除去したプラスチック類がございます。 これらの平成28年度の売却量は、スチール缶が約437トン、アルミ缶が約700トン、ペットボトルが約1,344トン、鉄が約908トン、アルミが約72トン、その他の金属類が約148トン、プラスチックが約264トンでございまして、その売却額は、合計で約6,542万円となってございます。 ◆34番(磯上佐太彦君) リサイクルプラザクリンピーの家における資源選別の問題ですが、このクリンピーの家では、収集した資源ごみをどのように処理しているのか伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) リサイクルプラザクリンピーの家に搬入されたかん類・ペットボトルにつきましては、初めに、ペットボトルとスプレー缶を手選別し、次に、スチール缶とアルミ缶を機械で選別します。選別したペットボトルやスチール缶、アルミ缶は、それぞれ機械で圧縮梱包して、再資源化事業者に売却し、スプレー缶は、そのままの状態で民間事業者に処理を委託しております。 また、びん類につきましては、色別に、無色透明、茶色、その他に選別し、容器包装プラスチックにつきましては、不適合物を除去して圧縮梱包を行い、それぞれ、容器包装リサイクル協会に引き渡してございます。 ◆34番(磯上佐太彦君) それでは今後の対応についてですが、持続可能な形で、環境への影響を最小化し、限りある資源の有効活用を図ることが、生活環境の向上のため必要だと思います。 そこで、リサイクルプラザクリンピーの家において、今後、資源ごみの処理をどのように進めていく考えか伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) リサイクルプラザクリンピーの家のかん類・ペットボトル及びびん類を処理する資源選別施設は、平成9年の供用開始から21年が経過し、老朽化が著しく、早急な改修が必要な状況となってございます。 また、建設当時は、スチール缶の排出量が最も多く、ペットボトルの排出量はその3分の1以下でありましたが、現在の状況は逆転してございまして、資源選別処理の効率が悪い状況となってございます。このことから、昨年度まで、これらの状況を踏まえた整備計画の策定や基本設計を行ってきたところでございまして、今年度は実施設計を行うこととしてございます。 今後につきましては、速やかに更新を実施し、資源ごみの排出状況に合った効率的な選別処理を行うことで、さらなる資源の有効活用を図ってまいりたいと考えております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 振り返ってみると、私たちの子供のころは、プラスチックの容器とか、あるいは電化製品などもそれほど多くありませんでした。そして燃えるものは、風呂場やかまどなどの燃料にしたり、あるいは食べ物の残りは家畜の餌や肥料にしたりというようなことで、ごみはほとんど出ませんでした。これだけごみがふえてきたということは、今日の物質文化、あるいは飽食の時代の負の産物ではないかと思います。我々も原点に返って、反省していかなければならないと思います。そして、資源の有効活用や環境の面からも、ごみの縮減、いわゆるリユースですね。これに一層努めていかなければならないと思います。 この新聞にも出ているんですけれども、先ほども申しましたプラスチックごみが世界的に非常にふえていると。年間3億トンのプラスチックごみが出て、海洋その他を汚染しているということでございます。特にそのプラスチックの中では、レジ袋、ペットボトル、これらが非常に多いということであります。そういうことで、世界的にそういうものを減らしていこうという動きがあるようですが、我々もこのごみの縮減になお一層取り組んでいかなければならないと考えております。 最後の質問は、農業問題についてであります。 農業は、私たちの命を守る基幹産業であります。しかし、我が国の食料自給率は40%足らずであり、食料の多くを海外からの輸入に依存しています。このような中で、東南アジアにおいては、人口が昨今急増しており、食料の輸出は難しくなってくるのではないかと言われています。また、アメリカ、オーストラリア、中国などの農産物輸出大国も、自然災害や天候不順による不況、あるいは国際情勢の悪化などにより、輸出が困難になることも懸念されます。このような状況を踏まえて、食料自給率をしっかり守り、向上させていくことが必要だと思います。 このような中で、本市の農業を取り巻く環境は、担い手の高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など、さらに加えて、東電の原発事故に伴う風評による農作物の販売不振や価格の下落など、大変厳しい状況にあります。このような状況のもとで、農業の再生を図り、農業を本市の基幹産業として振興していくためには、農業の担い手としての重要な役割を果たしている認定農業者等への農地の集積や集約、そして経営管理の強化などについて、積極的な支援をしていく必要があると思います。 そこで、本市における強い農業の育成について伺います。 まず1点目は、農業の経営安定対策についてであります。 農業経営の安定化のためには、まず、認定農業者の育成が必要と思いますが、その取り組みについて伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 認定農業者の育成につきましては、農業経営基盤の強化の促進に関する基本的な構想に基づき、認定農業者が作成した農業経営改善計画が達成できるように、県等の関係機関・団体と連携を図りながら指導・助言を行うとともに、機械・設備・資材の導入に対する助成を行うほか、市認定農業者協議会と連携しながら優良事例の紹介、講演会の開催、先進事例の視察を行うなど、ソフト・ハードの両面から総合的に支援を講じているところであります。 ◆34番(磯上佐太彦君) この農業経営の安定化のためには、営農資金の融資制度というのがありますが、本市においてその活用状況について伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 主な営農資金融資制度につきましては、国の農業経営基盤強化資金と、本市独自のいわき市営農資金がありますが、これら資金の過去3年間の活用状況を申し上げますと、農業経営基盤強化資金につきましては、平成27年度が1件、貸付金額が9億円、平成28年度が1件、貸付金額が1億1,000万円、平成29年度が4件、貸付金額が合計4,590万円、いわき市営農資金につきましては、平成27年度が17件、貸付金額が合計4,222万円、平成28年度が19件、貸付金額が合計3,535万円、平成29年度が15件、貸付金額が合計2,737万円となっております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 次に、青果物に対する価格補償制度についてでありますが、原発事故の影響などにより、農作物の価格が下落傾向にありますが、本市の青果物の価格補償に対する取り組みについて伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 青果物の価格補償制度につきましては、国の指定野菜事業により指定産地に位置づけられている秋冬ネギ、及び県の青果物価格安定対策事業により指定されている、豊水、幸水、冬春トマトなど9品目、合わせて10品目が対象品目となっております。 補償の内容につきましては、それぞれ対象品目に設定されている補償基準額に対し、市場で販売された価格が補償基準額を下回った場合に、その価格差の90%が生産者へ補償金として交付されるものとなっております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 強い農業を育成するためには、農業産品のブランド化も必要だと思います。 米のIwakiLaikiは、ブランド米として好評でありますが、今後の農産品のブランド化を進める取り組みについて伺います。 ◎市長(清水敏男君) これまでのブランド化の取り組みにつきましては、福島さくら農業協同組合や流通業者などと連携を図りながら、市内量販店でのPR販売を初め、いわきブランド農産品通信の発行、市内外でのフェスティバルの開催、昨年度のサンシャインいわき梨の海外輸出や京浜市場へのトップセールスなど、ブランド化に努めてきたところであります。 今後につきましては、生産量の確保や品質の向上を絶えず図ることはもちろん、消費者に、より一層の親しみを持ってもらえるよう、パッケージやネーミングなどについても工夫を凝らすなど、さらなるブランド力の向上に努めてまいりたいと考えております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 次に、農業の経営効率化について伺います。 耕作放棄地など、遊休農地が増加している中、効率的な農地利用に向けて、農地の集積・集約を図ることが大変重要と考えます。 その取り組みについて伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 担い手に対する農地の集積・集約につきましては、農地集積協力金交付事業を活用し、担い手の経営規模拡大や作業の効率化を促進するため、事業に協力した地域及び農業者に対して協力金を交付し、農地の集積に努めているところであります。当該事業につきましては、平成27年度から取り組んでおり、これまで市内12地区において約390ヘクタールの農地を集積しております。 今年度につきましては、四倉町狐塚、川部町、下高久谷地地区において事業を予定しており、福島県農地中間管理機構とともに集落座談会に参加するなど、地域の合意形成に努めているところであります。 ◆34番(磯上佐太彦君) 次に、人・農地プランについてでありますが、農地の集積・集約に向けて、地域が抱える人と農地の問題を一体的に解決するために、人・農地プランを作成しておりますが、このプランの促進に向けた取り組みについて伺います。 ◎農林水産部長(本田和弘君) 農地の集積等の課題を解決するための未来の設計図であります人・農地プランにつきましては、人・農地問題解決加速化支援事業により、地域の中心となる担い手と、その担い手に集積する農地を定めており、経営の安定化・効率化に向け、大きな役割を果たしているものと考えております。 本市における人・農地プランの作成状況につきましては、これまで市内20地区について作成済みであり、今年度につきましては、3地区において事業を予定するなど、今後も引き続き、作成地区の拡大に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆34番(磯上佐太彦君) 次に、農業経営の向上に向けた取り組みであります。 先月、本市において開催された第8回太平洋・島サミットにおいて、トマト、枝豆などの本市産の野菜や、煮卵、ワンダーファームのトマトジュース、いわきワインなどが提供され、高い評価を得たと伺っています。 そこで、このような本市のすぐれた6次化商品の振興を図るためにも、6次化に向けた設備等に対する支援も必要と思いますが、農業経営の向上に向けた取り組みについてお伺いします。 ◎市長(清水敏男君) 農業経営の向上に向けた取り組みにつきましては、国の産地パワーアップ事業を初め、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業などを活用し、農業機械の導入等による生産力の向上に対し、支援に努めているところであります。また、本市独自の生産振興策、第四期新農業生産振興プランに基づき、企業的経営感覚を持った経営体の育成を図るため、農業経営に関するコスト削減及び情報技術の活用促進に向けた各種セミナーの開催やGAPの取得促進など、引き続きハード・ソフトの両面から、農業経営の向上に向け、取り組んでまいりたいと考えております。 ◆34番(磯上佐太彦君) いろいろ伺ってまいりましたが、小規模農業者は、高齢化あるいは人手不足、あるいは機械化もできず、農業を維持できない状況にあります。私も少しばかりの水田を持っておりますが、中規模農業者にお願いしているところですが、現在は収穫した米を全部持っていかれます。昔は手元に幾らか来たんですけれども、全部持っていかれて、そのほかにプラス、一反歩当たり1万円の管理費を支払っております。そして水利費もこちら持ちというような非常に厳しい状況になっております。 そこで、認定農業者や意欲のある農業者が、進んで農業に取り組むことができるような体制づくりが急務であると思います。とにかく、食べられる農業、農業で生活できる農業を実現することが必要だと思います。これができれば、担い手問題も解決できるのではないかと思います。農業問題は、市独自では解決できない面もありますが、魅力の持てる農業の実現に向けて、一層のかじ取りをお願いしたいと思います。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(菅波健君) ここで、午後1時10分まで休憩いたします。          午後0時09分 休憩---------------------------------------          午後1時10分 再開 △小野潤三君質問 ○議長(菅波健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。13番小野潤三君。          〔13番小野潤三君第二演壇に登壇〕 ◆13番(小野潤三君) (拍手)13番いわき市議会志帥会の小野潤三です。 通告順に従いまして、一般質問を行います。 大きな質問の1番目は、イオンモールいわき小名浜の開業についてです。 いよいよイオンモールがあすソフトオープンを迎えます。前市長の時代、震災の年の12月に、イオンモールが小名浜港背後地再開発の事業協力者に選ばれて7年。多くの市民の期待の一方で、さまざまな懸念も示されてきました。これまで私を含め、議会の中で何度も取り上げてまいりましたけれども、5月9日の記者会見でようやくテナントなど全貌がつまびらかになり、一昨日6月9日には、多くの市議会議員も出席して竣工式が行われました。オープン直前ということで、改めて現況について伺ってまいります。 まず、ざっとイオンモールいわき小名浜についておさらいをしてみたいと思います。コンセプトはいわきTERRACE、TERRACEは庭のテラスと、地域の未来を明るく照らすがかけられています。総賃貸面積は約5万平米で、イオンモール水戸内原の6割ほどですけれども、今のエブリアの約1.6倍と、市内最大の商業施設になります。 イオンモールは全国どこでも両側に2つの核があり、それをモールで結ぶ2核1モールというスタイルですけれども、1つの核がスーパーのイオンスタイル。反対側の核に9つの映画館を擁するシネマコンプレックスなどが配置されております。専門店は約130店で、東北初出店や福島県初出店の店も多くあります。特にシネコンについては期待が大きく、今まで市外に映画を見に行っていた方々が、地元ですばらしい設備での映画を見ることができるようになると期待が高まっております。最も大きなスクリーンは国内初の音響設備が配置されていて、ものすごい迫力のようです。地元のポレポレさんが入られたことの意味も大きいと考えております。 こうしたイオンモールに、いやが応にも期待感は高まっているわけでありますが、行政としてはこれから何が起こるのか、冷静に見きわめる必要があります。 そこで、まず1点目として、イオンモール開業の影響について伺います。 平成26年2月定例会で、イオンモール開業の経済効果についてお尋ねしました。そのときの答弁は、具体的な施設整備計画が決定していないため、把握していないというものでありました。いわき市の事業として整備してきた大型商業施設でありまして、何の想定もなく、成り行き任せということでは困ります。施設の内容が確定した今、イオンモールによる経済効果をどのように捉えているのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) イオンモール建設による経済効果につきまして、イオンモール株式会社からのデータ等によっても定量的にお示しすることは困難ではありますが、イオンモール株式会社によりますと、年間約700万人の来店者が見込まれております。この700万人という来店者に、一般社団法人日本ショッピングセンター協会が公表しております全国のショッピングセンターの客単価である2,500円を掛けますと、年間で約175億円の売り上げが見込まれると産業振興部では試算しております。こうした県内屈指の観光拠点でありますアクアマリンパークと近接していることによる買い物客の地域への流入拡大や、開業による市外への買い物客の流出抑制などの効果も定性的には考えられております。 また、今月2日と3日には、千葉市のイオンモール幕張新都心におきまして、イオンモールいわき小名浜のオープン記念を兼ねましたいわきの夏・観光キャンペーンが開催されまして、いわき常磐ものの水産物や、本市の野菜や加工品、日本酒などの販売及びPRが行われたところであり、イオン株式会社との連携による地場産品の販路拡大なども期待されているところであります。 市といたしましては、イオンモール開業の効果の最大化を図る取り組みを推進してまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) 次に、交通問題についてです。 先月のゴールデンウィークは、アクアマリンふくしまの人気企画の影響と思われますけれども、鹿島街道は大変な大渋滞でした。イオンモールによって年間700万人の集客があるとすると、周辺道路の渋滞は市民生活に支障を来します。迂回路にうまく誘導することも求められております。 駐車場も台数に限りがありまして、アクアマリンパークを含めた駐車場がパンクすることも予測されます。オープン直後しばらくは、激しい渋滞もいたし方ない一面がありますけれども、その後もアクアマリンパークのイベントが重なったりした場合は、来街者をさばき切れないおそれがあります。 オープンを前にして、こうした問題にどう対応するのか伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 小名浜港周辺における交通対策につきましては、これまで、小名浜港背後地震災復興土地区画整理事業及び津波復興拠点整備事業による道路整備を初め、民間、行政の各機関が一堂に会する協議会を開催しながら、交通集中箇所の迂回を促すマップや、周辺において一体的に利用可能な駐車場マップを作成いたしまして、それらの周知を行うとともに、イオンモールオープン後における誘導看板や警備員の配置等の検討を重ね、効果的な交通誘導により、交通集中の分散を図ることとしております。 さらには、路線バス等の乗り入れに向けた交通事業者との協議・調整などの取り組みも進め、新たな路線が開設されることとなったことなどから、イオンモールとも連携し、さまざまな媒体の活用により、公共交通利用への啓発を行っているところでございます。 なお、今後、イベント等の開催が重なり、交通が集中するような場合におきましては、事前に臨時駐車場を確保することや、公共交通利用を促進することが肝要でありますことから、共用となる駐車場の管理者であるイオンモール、アクアマリンパーク各施設管理者、及びイベント開催者等の協議に、市も積極的に参画いたしまして、課題の解決に努めてまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) ゆくゆくは常磐道から小名浜道路を経由して産業道路、そして小名浜港に至る流れができると思われますが、小名浜道路完成以前にも産業道路をどう使うか検討すべきと考えます。 公共交通ということで、今御答弁もありましたが、イオンモールへの路線バス乗り入れにつきまして、以前の答弁ではバス事業者と協議を重ねているということでありました。 現在の状況はどのようになっているのか伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 新常磐交通株式会社では、イオンモールいわき小名浜がオープンする6月15日から、いわき駅、湯本駅及び泉駅等と小名浜を結ぶ現行の路線を、イオンモール北側の路線バス乗降場まで延伸いたしまして、合計1日計53便を乗り入れることとしております。また、土日祝日や繁忙期におきましては、泉駅から港湾道路を経由する直行便を、往路が5便、復路が6便、新たに運行することとしております。 なお、イオンモール株式会社におきましても、オープン以降の2週間とお盆期間、さらに、8月末までの土日祝日には、泉駅前とイオンモール西側の交通ターミナル間を結ぶ無料のシャトルバスを、おおむね1時間に1往復運行することとしております。 ◆13番(小野潤三君) これも以前、お尋ねをいたしましたが、東京などへの高速バスの小名浜発着が震災の影響で途切れ、復活が待望されてきました。 イオンモールの開業に合わせまして、ようやく実現するということですが、その概要についてお示しください。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 新常磐交通株式会社では、イオンモール西側の交通ターミナルを発着とする高速バスにつきまして、6月15日から、小名浜から福島線及び常磐自動車道を経由する小名浜から仙台線を毎日1往復、小名浜から郡山線を、平日は往路が1便、復路が2便、土日祝日は往路が2便、復路が3便、さらに、スパリゾートハワイアンズを経由する小名浜から東京線を、土日祝日のみ、1日3往復運行することとしております。 なお、運行後におきましては、利用状況等を踏まえまして、共同運行を行うバス事業者間において、運行ダイヤの見直し等に関する協議を行う考えであると伺っております。 ◆13番(小野潤三君) 市内の雇用情勢が逼迫する中、イオンモール自体が従業員の確保に苦戦し、昨日の折り込みチラシでもまだ募集広告が載っておりました。今まで一部のテナントで時給1,900円というのもありました。これまでの答弁では、周辺自治体や首都圏等からの雇用確保を検討するとしてきました。市内の既存の事業者から従業員が流出することを懸念してきたわけですが、現実に小売業でそういう事態が起こっている話もお聞きしております。 現状の把握を含め、今後の対策をどのように考えているのかお尋ねいたします。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) ハローワークによりますと、イオンモールいわき小名浜の開業に係る求人票については、平成30年1月ごろから提出されております。これまでのところ、販売及びサービスの職業に係る新規求人について、既存の事業所からの転職の動きに呼応するような顕著な傾向は見受けられない状況にありますが、市といたしましては、引き続き、市内の求人動向を注視してまいりたいと考えております。 一方で、市内においては、販売及びサービス業に限らず、人手不足が顕在化している現状を踏まえ、パートタイムの正社員化への移行や、働きやすい職場環境の整備など、人材確保のための取り組みが必要になるものと考えており、ハローワークと連携した業種別の合同企業説明会やセミナーの開催など、人手不足解消に向けた対策につきましても、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) 2点目の質問は、地域との連携についてです。 イオンモールは年間の集客を700万人と想定しておりまして、一面においては既存の商業者の脅威でありますが、それをどれだけプラスにできるのか、どれだけ地域に波及させられるのかという前向きな課題として捉えることが必要です。 それに対して、市として今後どのように取り組む考えか伺います。 ◎市長(清水敏男君) イオンモールいわき小名浜の開業による集客を地域へ波及させることが重要でありますが、現在、小名浜まちづくり市民会議を中心とした地域の皆様において、さまざまな取り組みが実施・検討されており、市といたしましては、これらの取り組みに対応し、必要な支援策を講じていくこととしております。 このため、先般、地域の飲食店を切り口とした来街者の回遊性向上に向けた仕掛けづくりについて意見交換を行ったところでありますが、今後も継続的に地域の皆様を初め、イオンモール株式会社とも協議の場を設けるなど、地域の取り組みを後押ししてまいります。 ◆13番(小野潤三君) イオンモールの開業によって何が起こるのか、実際にはふたを開けてみなければわからないというのは正直なところであります。あすから起こってくることをつぶさに見ながら、次の一手を考えなければなりません。その意味で、オープン以後の動向を詳細に検証することがぜひとも必要であります。次の議会からは、そうした議論をしてまいりたいと思います。 大きな質問の2番目は、産業政策についてです。 いわきは変化する時代の荒波を乗り越え、東北最大の工業都市としての地歩を築いてきました。震災で大きな痛手を受けましたが、国の復興政策もあり、バブルとも言われる好景気に支えられてきました。 しかし、国の復興予算がほぼなくなった今、人口減少という、より大きな、押しとどめることができない荒波が訪れておりまして、このままでは経済全体が縮小せざるを得ませんし、市の予算規模も現状維持は困難になってきます。 いわき市が自立した都市として生き残るには、他力本願ではなく、この域内で経済がきちんと循環する仕組みをつくり上げ、持続可能な産業構造を確立することが急務であります。 そこで、1点目の質問は、産業政策の再構築についてであります。 経済産業省から出向してこられた方が、産業振興部の部長に就任されたのが2年前で、お二人目の石曽根部長が就任されて1年が経過しました。意欲的に産業政策に当たられていると感じております。さまざまな知見を持たれたこういう部長のもとで、これまでのいわきの強みを生かし、弱さは修正して、産業のあり方全体をどう組み立て直していくのかが問われています。 そこで、まず、いわきの産業の現状をどう捉えているのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 本市は、石炭産業の斜陽化を乗り越え、産業構造の転換により、東北有数の製造品出荷額等を誇る工業都市として発展してまいりました。現在におきましても、15ある工業団地を中心に、情報通信、化学、輸送など、幅広い業種の企業が集積しており、1つの産業に依存しない多様性に富んだ産業構造であると認識しております。震災後においても、国・県の企業立地補助金制度等の創設により、企業誘致が進展するとともに、新たな成長産業の中核を担う企業からも進出の相談が寄せられているところであります。 一方で、現在の工業団地が飽和状態になりつつあることや、生産年齢人口の減少などを背景とした人手不足が生じているほか、今後、国・県の各種復興支援制度が終了することを見据えた、持続可能な産業構造としていくための政策の構築が求められているものと認識しております。 ◆13番(小野潤三君) いわき市の産業には強みもありますが、課題もあるということであります。 では、産業政策を再構築する上で、どのような視点を持って取り組んでいるのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 本市の産業を持続的に発展させていくためには、これまでの企業誘致を中心とした産業政策に加え、市内企業の競争力・経営力の向上を促進する産業政策を重点的に取り組んでいくことが必要であると認識しております。そのため、産業面におけるいわきブランドの確立を視点に、ものづくり市場から多様な業務が市内企業に発注され、労働市場からも被雇用者が積極的に市内企業に就職するような地域を目指してまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) 産業の主体はもちろん民間ですけれども、個々の事業者はみずからの利害を中心として事業を進めていきますので、地域全体があるベクトルを持って産業力を強めていくには、行政としての戦略性が問われます。 市としてどのようなプロセスで戦略を構築するお考えか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 産業面におけるいわきブランドの確立に向けた産業政策の企画・立案に当たりましては、市内企業の人材力・技術力強化に取り組み、それらの強みを市内外に積極的に発信することで、仕事や人が本市に舞い込むような産業構造の構築が重要であり、そのための戦略的な施策を講じていくことが必要であると考えております。 具体的には、市場獲得のために、多くの企業で採用されているマーケティング理論であるAISCEASが応用できるものと考えております。AISCEASとは、消費者が商品の購買に至るまでのプロセスをあらわしたものであり、商品を認知し、関心を持ち、どういった商品か検索を行い、他の商品と類似商品と比較・検討して購買に至る。そしてその商品を共有するといったプロセスをあらわしたものでございます。それぞれのプロセスに該当する英語の頭文字を並べたものがAISCEASでございます。それぞれのプロセスを産業政策に応用し、有機的に連動させることで、市場獲得を図り、市内産業の競争力強化につなげていけるものと考えております。 具体的には、いわきの産業への認知・関心を高め、次に、他地域との比較優位性を明確に示し、その後、市内企業に多様な業務が発注され、その優位性が市内外に広まっていくようなプロセスの確立を目指してまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) ただいまAISCEASというお話をいただきましたが、耳で聞くだけではちょっとわかりにくいところがありますけれども、市場の獲得をどう図るかという視点は、必要ではありますが、行政ではなかなか持ちにくいものでもあります。その点で競輪事業は1つ、行政の中でビジネスの手法を体得できる絶好の場と考えられます。 いわき市が競輪という事業体を持っていることをどう生かしていくのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 公営競技の運営につきましては、地方財政への貢献や公益増進に資することを条件として、行政が利潤の追求を許された事業でございます。このために、顧客の確保や売上の向上など、ビジネス的な事業展開が重要な要素であると認識しております。 競輪事業の利潤を高めるためには、全国の競輪ファンという市場を獲得することが重要であると考えております。その市場獲得の手法として、AISCEASのビジネスモデルを活用してまいりたいと考えております。 具体的には、顧客ターゲットを明確にするための市場分析、いわき平競輪を認知してもらうための広報・広告、興味・関心を高めるための情報媒体の活用やイベントの実施、興味から購買へつなげるための購買環境の整備など、これら各種施策を一体として有機的に連動させながら事業運営を展開させることによって、いわき平競輪のファンを全国にふやしていけるものと考えております。 さらに、このような取り組みを、本市の産業政策における企画立案に応用し、全国のものづくり市場、労働市場において、いわきの産業が選ばれるための施策に反映してまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) 非常に新しい手法で、期待しておりますのでぜひ実現していただきたいと思っております。 では、具体的にどのような産業をつくり上げていくのかが問われます。 いわきの経済を支えていくことのできる産業、高い付加価値や多くの雇用を生み出すことのできる、いわばいわきの産業の柱となり得る新たな基幹産業をどう構築するか、お考えを伺います。 ◎市長(清水敏男君) 市といたしましては、復興需要後の将来をしっかり見据えた、持続可能な新たな基幹産業を創出するため、本市の地域特性を十分に生かすことのできる産業振興を図ってまいります。 現在、国・県におきましては、福島イノベーション・コースト構想や福島新エネ社会構想により、再生可能エネルギー産業の育成が進んでおり、本市におきましても、新たな基幹産業として期待しているところであります。特に、風力関連産業につきましては、県内において、多くの風力発電施設が整備されることなどに伴う風力メンテナンス需要の増加を初め、風力発電施設が多くの電気・機械部品から構成され、本市のものづくり産業の技術を生かせる分野であることなどから、本市の新たな基幹産業の1つとして期待しているところであります。 さらには、市内企業が、参入障壁の高い風力関連産業に参入していくことで、市内企業の技術力・人材力が高まり、風力関連産業以外の水素やバッテリーといった次世代エネルギーに関する成長産業分野にも進出していくといった好循環を生み出してまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) 一方で、これまでいわきを支えてきた既存の企業を強化していくことも必要です。 そのための支援をどのように図るのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 本市の既存産業の大部分が、中小企業・小規模企業で占められており、こうした多種多様な事業者は、市民の生活を支える飲食業や各種サービス業を初め、本市の魅力の形成に寄与しているものと認識しております。 このような中小企業・小規模企業の振興を図るべく、平成28年4月に、市中小企業・小規模企業振興条例を施行し、現在、商工団体や金融機関等と連携しながら、事業者に寄り添った伴走型の支援を展開しているところであります。 加えて、金融機関の有する事業性の評価やコンサルティング機能の活用が、中小企業・小規模企業の経営力の強化に重要なことから、本年5月に、市内金融機関が一堂に会した意見交換会を行い、それぞれが共有している課題の解消に向けて、継続的に意見交換を行うこととしたところであります。このような場を活用しながら、金融機関との連携による新たな施策の構築にも努めてまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) ただいま金融機関というお話がありましたが、もう1つ、企業を支援する機関としていわき産学官ネットワーク協会があります。 企業の支援という点でこの機関の役割が重要ですけれども、今後どのように活用していく考えか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 公益社団法人いわき産学官ネットワーク協会につきましては、市や商工団体等の関係機関と連携を図りながら、創業者に対する支援や、既存企業の技術開発、販路開拓等の支援を行っているところであります。 とりわけ、今後の本市の産業振興を見据え、再生可能エネルギー関連産業や、廃炉・ロボット関連産業など、成長が期待できる産業分野における支援を強化しており、事業化の達成や国・県からの補助金の獲得など、一定の実績を上げているところであります。 今後におきましても、同協会の有する知見やネットワークの有効活用を図りながら、市内企業の競争力強化を通した新たな基幹産業の育成や、持続可能な産業構造の確立を目指してまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) この項の最後としまして、産業そのものも大事ですけれども、いわき市が選ばれるまちになるためには、労働環境のあり方も重要です。国においては、今国会まさに働き方改革が焦点となっております。大事なことは、個々の企業が働く方々にとって、本当に働きやすい環境であるかどうかです。 労働環境のあり方をどのようにしていく考えか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 少子・高齢化の進展により、生産年齢人口の一層の減少が見込まれる中で、市内はもとより、市外から労働力を確保していくことが、持続可能な産業振興を図る上で不可欠となっております。 市はこれまで、国・県の関係機関と一体となって、正社員雇用の拡大、女性・高齢者・障がい者の雇用確保などについて、市内経済団体等に対し、協力要請を行っているほか、職場定着率も加味しながら雇用優良企業を表彰するなど、働きやすい労働環境についての普及啓発を行ってきたところであります。 働き手から選ばれるまちになるためには、優良事例の市内企業への波及・定着を図りながら、将来的には、日本一働きやすいと認知されるような労働環境を整えていくことが重要であり、本年2月に締結した雇用対策協定に基づき、福島労働局やハローワーク、労働基準監督署と連携を図りながら、調査・研究を重ねてまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) これから地方都市は、生き残りをかけた厳しい戦いの中に置かれていきます。その際にエンジン役となるのが産業の力です。石曽根部長を中心としまして、行政の役割を果たしていかれるように、心からお願いを申し上げます。 大きな質問の3番目は、文化政策についてであります。 3月に東京で、あるセミナーに参加いたしました。テーマは自治体の文化政策でした。そこで、文化は大事だなとはたと気づきまして、いわき市としての文化政策のあり方を問わなければならないと感じました。 国におきましては、昨年6月に文化芸術振興基本法が改正されまして、文化政策を一歩前に進めようとしています。文化や芸術に対する考え方は、戦前はお金持ちの道楽やたしなみと捉えられ、なければないでいいというものでありました。しかし、戦後は、時間をかけて考え方が成熟し、今では全ての人に必要な基本的な権利と考えられるようになりました。国の法律も、こうした考え方の深化に伴って改正されてきました。 考えてみると、文化や芸術というのは、コンサートホールや美術館という箱の中だけのものではありません。生活文化という言葉があるとおり、人々の日々の暮らしそのものが文化です。つまり、文化は人間生活の全てということができます。 いわき市が都市としての活力を維持するためには、地元の人も、いわき市外の人も、このまちを暮らしの場として選択するようにならなければなりません。先ほどの質問はそのために産業が必要だということでありましたが、選ばれるまちであるためには、このまちがどのような文化水準なのかということも極めて重要な要素です。 以前は教育委員会にありました文化スポーツ課を、2年前に市長部局に移し、スポーツ振興課と文化振興課という2つの課として新たに設立しました。これは、時代の流れを捉えた的確な組織再編だったと考えております。今後、市として文化や芸術をどのように捉え、地域の中で成熟させていくかが問われています。 以下、いわき市の文化政策について伺ってまいります。 1点目の質問は、国の文化政策についてです。 先ほど申し上げたとおり、昨年6月に、文化芸術振興基本法が改正されまして、法律の名称も振興がとれて、文化芸術基本法になりました。 まず、この法改正の趣旨について伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 国におきましては、平成13年12月に公布・施行されました文化芸術振興基本法に基づきまして、文化芸術立国の実現に向けた文化芸術の振興に関する取り組みが進められてきたところでございます。 一方で、社会状況が著しく変化する中で、観光やまちづくり、国際交流など幅広い関連分野との連携を視野に入れた総合的な文化芸術政策の展開がより一層求められることや、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機といたしまして、我が国の文化芸術の価値を世界へ発信するとともに、文化芸術による新たな価値の創出を広く示していく好機であることを踏まえ、平成29年6月に、文化芸術振興基本法の一部を改正する法律が公布・施行され、議員のお話にありましたとおり、文化芸術基本法となったものでございます。 今回の改正は、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、文化芸術の振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の関連分野における施策を同法の範囲に取り込むとともに、文化芸術により生み出されるさまざまな価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用しようとするものでございます。 ◆13番(小野潤三君) では、文化権とはどのようなものか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 文化権につきましては、憲法上の規定は明確にはなっておりませんが、学識経験者の中でもいろいろ議論が交わされているところでございます。公的な位置づけといたしましては、戦後、採択されました世界人権宣言第27条におきまして、すべて人は、自由に社会の文化生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその恩恵とにあずかる権利を有するという規定がありまして、これがいわゆる文化権の1つとされているものでございます。 また、文化芸術基本法におきましては、その趣旨が基本理念に反映されておりまして、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であるという規定がございまして、そこが1つの根拠となっているところでございます。 ◆13番(小野潤三君) ただいま世界人権宣言と、昨年改正されました文化芸術基本法のお話をいただきましたけれども、この文化芸術基本法の中で、今、特定政策推進監から御答弁いただいたように、文化や芸術は全ての人の生まれながらの権利だというふうに書いてありまして、それは年齢とか、障害のあるなしとか、お金があるとかないとか、どこに住んでいるとか関係ないということが書いてあります。これが文化権の考え方ではないかと思います。 3月31日に市の主催で、劇作家の平田オリザさんの講演会が行われました。その中で印象に残ったことがあります。それは、ヨーロッパでは、演劇やコンサートに行くときに、障がい者や高齢者に割引があるように、失業者のための割引もあるんだということでありました。日本人の感覚では、失業しているのにコンサートに行くなんてということになりかねません。しかし、ヨーロッパの考え方はそうではなくて、失業して心痛んでいる人ほど、文化の力で癒やされることが必要なんだということであります。全ての人は、文化や芸術によって癒やされ、力を与えられる権利を持っているということであります。 それでは、改正された文化芸術基本法の中で新たに出てきました、地方文化芸術推進基本計画とはどのようなものか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 文化芸術基本法では、文化芸術に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、国は、文化芸術推進基本計画を定めなければならないと規定されたほか、地方公共団体は、同計画を参酌して、その地方の実情に即した地方文化芸術推進基本計画、これを定めるように努めるものと規定されたところであります。 平成30年3月に策定されました国の文化芸術推進基本計画におきましては、今後の文化芸術政策の目指すべき姿として、文化芸術の創造・発展・継承と教育など4つの目標と、これらを実現するため、今後5年間の芸術文化政策の基本的な施策や基本計画の評価・検証サイクルの確立のため、戦略ごとの指標を設定したところであります。 一方、地方公共団体が、地方文化芸術推進基本計画を策定する際は、国の基本計画を参酌するとともに、地方の実情に応じた指標を適切に設定した上で、現状を把握し、施策の改善等に生かすこととされており、各地方公共団体が自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた文化芸術に関する施策をより積極的に推進することなどに努めることとされております。 ◆13番(小野潤三君) なかなか難しい言い回しでわかりにくいところではありますけれども、平田オリザさんがおっしゃっていたことでもう1つ印象に残った言葉があります。それは、文化の自己決定能力というものであります。つまり、圧倒的な力を持った東京が力まかせに文化や芸術を発信して、地方もその力に飲み込まれてしまうのではなくて、自分たちの地域の文化は、自分たちが選び、自分たちが形づくっていかなければならない。その力が文化の自己決定能力ということです。自治体も国と同じように、それぞれ自分なりの文化芸術のための計画をつくれというのは、まさに地方が文化の自己決定能力を持つべしということと受けとめております。 さて、2点目の質問は、いわき市の文化政策についてです。 ここまで申し上げてきたとおり、地方が自分のまち独自の文化を育んでいく時代が訪れておりまして、そういうタイミングで文化振興課という部署がスタートしました。ここには大きなミッションがあると感じます。 そこで、まず、文化振興課を設立した趣旨は何かお尋ねをいたします。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 復興の先を見据えたまちづくりの推進におきましては、市民の皆様の心の復興を図ることが必要であり、そのためには、文化施策をこれまで以上に積極的に推進していくことが重要であると考えております。 また、文化施策の推進に当たりましては、地域振興や保健福祉、産業、観光振興など、市長部局で所管する施策との連携・融合を図ることが重要であると認識しているところでございます。このことから、平成28年度行政組織改正により、文化施策を市長部局へ移管し、他施策との連携体制を構築するとともに、文化芸術や地域の歴史等の地域資源を最大限に活用した、地域の特色に応じた取り組みを進めるため、文化施策の専任組織として設置したものでございます。 ◆13番(小野潤三君) この質問の冒頭に申し上げたとおり、いわき市が選ばれるまちになるために、文化の力が必要不可欠です。 では、選ばれるまちになるための文化の力とは一体どのようなものか御所見を伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 文化は、歴史の中で築かれてきた有形・無形の人間の生活様式全体を指すものでございます。いわきの文化も、各地域における長い歴史の中で脈々と培われてきた営みの結晶であると考えております。 本市が将来にわたり、市内外の皆様に選ばれる魅力あるまちになるためには、子供から高齢者の方まで、市民の皆様一人一人が日常的にすぐれた文化・芸術に触れ、地域の伝統や歴史に親しみ、幅広い教養と豊かな感性を持った市民性が育ち、その生き生きとした活動がまちの活力に結実していくことが大切であると考えております。その意味で、まさに文化の力が求められているものと認識しております。 本市では、長い歴史や多くの文化財、豊かな自然などの多様な地域資源を有しているほか、アリオスや市立美術館を初めとした文化芸術活動の拠点機能を備えるとともに、さまざまな文化・芸術活動を行う人材、こちらも多数活躍しております。今後、これらを最大限に生かしながら、まさにその活動を活性化させていくことにより、いわきのまちの魅力が高まり、選ばれるまちの実現につながるものと考えております。 ◆13番(小野潤三君) ちょっと抽象的な質問でしたので、御答弁に苦慮されたことと思いますけれども、非常に力のこもった御答弁ありがとうございました。私は、先ほど申し上げた文化権とか、あるいは文化の自己決定能力というあたりをぜひ押さえていただきたいなと思っております。 文化振興課はこの2年間、大きなミッションを背負いながら、いわきの文化というものをどう形づくっていったらいいか、暗中模索してきたように思えます。その1つが、1年前に立ち上がりました、いわき潮目文化共創都市づくり推進実行委員会です。 この委員会はどのようなものか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 本市は、平成28年度、市制施行50周年の節目を迎えました。これを契機といたしまして、さらなる50年後のいわきに残す文化のまちづくりに向けた基盤づくりに取り組むため、平成29年度に市内の文化的活動の担い手を中心といたしまして、いわき潮目文化共創都市づくり推進実行委員会を立ち上げたところでございます。 同委員会では、いわきの文化について幅広く議論していく中で、本市がこれまで直面し、乗り越えてきた、常磐炭鉱の閉山や14市町村の合併、あるいは多様な文化や地域資源をもう一度しっかりと見つめ直し、時代や地域の境界線に存在する豊かさを潮目と捉えることにより、これをキーワードに、地域の文化資源を再発見・再認識する各種事業を企画し、いわき潮目劇場と名づけて実施しているところであり、これらの取り組みを通して、地域の歴史や特性を生かした新たな市民文化の創造を目指しているところでございます。 ◆13番(小野潤三君) お手元にこういった1枚の紙をお渡しいたしましたけれども、この委員会のホームページを見ますと、潮目文化共創都市いわき宣言というものが掲げられておりまして、古代、いわきという地は、アイヌとヤマトの潮目だった時代から、ずっと潮目の文化だったんだということが熱く語られています。 いわきには何もないと思われがちですけれども、実は歴史的には多様な文化が渦巻き、今も地域ごとに異なる生活文化や若者たちのアート活動など、魅力的で豊かな文化が存在しているということであります。それを潮目というキーワードで横串を刺すことで、いわき文化というものの全体像が有機的につながっていくのではないかと感じております。この委員会がエンジンになりまして、いわきの潮目文化というものが活性化し、成熟してほしいと願っております。 そこで、先ほど国の法改正によって出てきました地方文化芸術基本計画、これをいわき市として、今後どのように策定する考えか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 文化芸術基本法第4条の規定によりまして、地方公共団体は、基本理念にのっとり、芸術文化に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、実施する責務を有するとされております。本市においても、体系的な文化施策を進めていく必要があるものと認識しているところでございます。 市といたしましては、今後、市民の皆様の御意見もお聞きしながら、将来に向けた本市の文化施策のあり方について、地方文化芸術推進基本計画の策定も含め、検討してまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) 法律によりますと、地方のこの計画は努力目標で、必ずつくらなければならないということではありませんけれども、その文化の重要性ということを認識すれば、いわき市としては必然的に、これはつくらなければならないと考えておりますので、その方向でぜひ御検討いただきたいと思います。 この計画をつくり上げるプロセスそのものが文化づくりであるかもしれませんし、文化・芸術にかかわる民間の方々も巻き込んで、力強いものをつくっていただきたいと思っております。 3点目の質問は、いわきアリオスについてです。 こちらは平成29年度の包括外部監査の報告書でありまして、昨年度の監査のテーマが、生涯学習、文化芸術、そしてスポーツ振興であります。きょうの質問にかかわる文化振興課、アリオス、美術館について詳細な監査結果が報告されております。それも踏まえながら、ここから先の質問を進めてまいります。 いわきにおける文化の最大の拠点は、言うまでもなくいわきアリオスです。 アリオスが開館して、ことしで10年が経過しました。この間の歩みをどのように総括するのか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) いわき芸術文化交流館アリオスは、平成20年4月の開館以来、本市における創造的な文化活動の拠点として、また、まちのにぎわいを生み出すコミュニティー施設として、市民の皆様に質の高い音楽や演劇等の芸術文化をお届けする各種事業を展開するとともに、皆様が気軽に集い、憩える空間づくりにも積極的に取り組んでまいりました。 その結果、平成29年度の大ホールの入場者数は延べ13万7,000人、稼働率は全国平均を大きく上回る80.2%、また、平成29年10月には、開館以来の入館者数が700万人に達するなど、多くの皆様に御利用いただいており、本市の文化政策を展開していく上での中核的拠点として、芸術文化の振興はもとより、まちなかのにぎわい創出など、地域の活性化にも大きな役割を果たしてきたものと認識しております。 ◆13番(小野潤三君) 先ほど申し上げたセミナーには、静岡県や豊島区など自治体の文化ホールを担っている方が参加していらっしゃいました。私がいわき市から来たとお話ししたときに、その方々が言われた言葉に驚きました。アリオスは聖地だというわけです。 アリオスが国内トップクラスのすばらしい音響を持った、ハード的にすぐれたホールであるとともに、舞台、照明、音響といった専門家が配置された、ソフト的にもすぐれたホールだということは知っておりました。しかし、聖地と言われるほど評価が高いのかと非常に驚いた次第です。特に評価されているのがアウトリーチ事業でした。おでかけアリオスという名前で、市内のたくさんの小・中学校に行っては、本物の音楽に触れてもらい、芸術のすばらしさを感じてもらう取り組みをずっと行っています。この事業は、いわき市内に文化・芸術の裾野を広げる上で大きな貢献をしてきました。 そこで、この事業を今後どのように展開していくお考えか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) アウトリーチ事業につきましては、広域な本市におきまして、子供たちや地域住民の皆様に気軽に本物の芸術に触れていただく機会を提供するものとして重要な役割を担っていると認識しております。これまで、小・中学校におけるNHK交響楽団メンバーによる室内楽コンサートを初め、草野心平記念文学館との連携事業や地域コミュニティーと芸術をつなぐスキマチイワキ事業など、地域の文化にも目を向けながらさまざまな事業を展開してまいりました。 今後におきましても、地域の皆様や学校などの関係機関・団体と連携を密にしながら、また、幅広い分野のアーティストの皆様の御協力を得ながら、一人でも多くの皆様に質の高い本物の芸術文化をお届けすべく、引き続きアウトリーチ事業に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) アリオスは10年前、PFIという手法で建設されました。PFIというのは一般的には、民間が建物をつくって、それを行政が借りるという仕組みです。それによって行政側のコストを縮減できるわけです。 アリオスの場合は、若干変則的なPFIとなっておりまして、建物は清水建設を中心として建設をされましたけれども、建設後すぐいわき市に所有権が移転をしました。そして、中身の運営は直営で行うという方法をとってきました。今、この維持管理を担っているのが、株式会社いわき文化交流パートナーズという会社でありますけれども、こことの契約は15年で、それは平成34年度いっぱいで切れることになります。平成35年度のスタートまでに、経営形態や運営の方法を決めなければなりません。 それに向けて、現在どのような展望を持っているのか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) アリオスの運営に際しましては、市の直営事業として、芸術文化の振興はもとより、まちのにぎわいづくりの創出や、芸術文化を通じたまちづくり、人づくりなど、地域の活性化にも意を用いてまいりました。 現在のPFI事業が終了した後の平成35年度以降の運営方法につきましては、今後、維持管理も含め、さまざまな手法を検討することとなりますが、いずれにいたしましても、これまでアリオスが担ってまいりました役割を高い水準のまま引き継いでいくことができる運営体制としてまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) では、次の10年に向けて、アリオスの課題をどう考えているのか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 芸術文化は、人々に感動と生きる喜びをもたらし、人生を豊かにすると同時に、社会全体を活性化する上で大きな役割を果たすものであり、いまだ震災の影響が残る本市においては、一人でも多くの皆様に芸術文化に触れていただくことが必要なものと感じております。 そのためには、市民の皆様の多様なニーズにきめ細やかに対応しながら、多彩で魅力ある公演の実施や気軽に訪れることのできる館内環境の整備、アリオスペーパー等を活用した関連情報の効果的な発信、また、アウトリーチ事業や市民協働型事業など地域に寄り添った事業の展開などを通じ、より多くの皆様に、質の高い本物の芸術文化に触れていただける機会を最大限確保していくことが必要であると認識しております。 ◆13番(小野潤三君) アリオスには、これからもいわき市内外から大きな評価を得続けて、文化の拠点としての役割を担い続けていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 4点目の質問は、もう1つの文化の拠点、いわき市立美術館についてであります。 まず、いわき市立美術館は、国内的にどのような評価を得ているのか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) いわき市立美術館が有する現代美術を中心とした約2,300点に及ぶ収蔵品につきましては、地方の公立美術館の中で最も充実しているものとして知られており、他館に先駆けて良質な現代美術を収集した先見の明は、特に高く評価されているところでございます。 これまでに、国内外の8つの美術館でいわき市立美術館の収蔵品を紹介する企画展が開催されているほか、毎年、国内外の美術館から作品の貸し出しの依頼があるなど、当館の収蔵品は、美術関係者からの注目を浴びているところでございます。 さらに、多様なジャンルの展覧会や、国内現代作家の個展などによる企画展に加え、さまざまな教育普及活動への継続的な取り組みが、いわき芸術文化交流館アリオスの活動などとあわせて高く評価されたことにより、平成25年度、本市は、文化庁長官表彰、文化芸術創造都市部門でございますが、こちらを受彰するに至っております。 ◆13番(小野潤三君) 今回の質問のために、いろいろな方のお話を伺いましたが、今の時代にはもうとても集められないコレクションなんだと何人もの方がおっしゃっていました。 現代美術の収蔵においては、質・量とも、今御答弁のように国内最高レベルと言われているわけですが、では、この収蔵品は十分に生かされているのか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 当館の収蔵品は、常設展示室において年4期に分けて展示がえをしながら紹介しておりますが、常設展示室の面積は約571平米となっており、1回に展示できる作品は、過去3年の平均で約45点、1年間に紹介できる作品は、すなわち約180点と、その程度にとどまっております。 そのため、当館では、収蔵品を用いた展覧会を企画展示室においても定期的に開催し、より多くの作品を紹介できるよう努めており、今年度につきましても、7月から開催いたします、美術館に行こう!ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方展におきまして、ディック・ブルーナの絵本でございます、うさこちゃん、びじゅつかんへいくをガイドといたしまして、所蔵品の紹介をするなど、現代美術に親しんでいただくこととしております。 ◆13番(小野潤三君) 包括外部監査の中で、2,260点の収蔵品のうち、1年間で100点余りしか展示できないと書かれています。美術館としては十分なスペースがないために、過密な展示の仕方になっていると伺っておりまして、せっかくの収蔵品が市民のために生かされず、倉庫に眠っているという現状は、大変もったいないと言わざるを得ません。 展示スペースの圧倒的な不足もありますけれども、それ以外に市立美術館はハード面でどのような課題があるのか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 当館は、博物館法に基づきます登録博物館でございまして、同法の規定に基づく公立博物館の設置及び運営に関する基準によりまして、資料の保管、展示等に必要な施設及び設備を備えるように努めることや、資料を保全するため、温度及び湿度の調整や汚損、破壊及び盗難の防止等に必要な設備を備えるよう努めることとされておりますが、開館後34年が経過し、荷物用・お客様用エレベーター、直流電源装置、防水など、設備面で長期使用による劣化やふぐあいが生じており、これらに問題が生じた場合には、当館の活動に支障を来すことが懸念されております。 また、高い評価を受けている収蔵品を保管するスペースや、それらを紹介する常設展示スペースの確保も課題となっております。 ◆13番(小野潤三君) 包括外部監査にも書いてあるんですけれども、エレベーターはもう部品の製造が終わっていて、故障したら一巻の終わりだと。展覧会の前に故障したら搬入ができなくなり、企画が突然中止になって違約金が発生する、美術館としての信頼を失墜する致命的な問題になりかねないということが書かれています。非常に深刻な状況だと思いますので、やはり予算措置をきちんとして、必要な改修を行ってもらいたいと思います。 次に、市立美術館は人材の面でどのような課題があるのか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 当館の学芸員につきましては、近年、アウトリーチ事業やSNSでの情報発信など新たな業務がかかわってございまして、博物館法に定める美術品等に関する専門的・技術的な調査研究や、保管及び展示等に関する技術的研究などの業務に従事する時間が十分に確保できないこと、また、学芸員として、企画・立案を担えるようになるためには時間を擁しますことから、将来を見据えた段階的な学芸員の配置が課題となっております。 ◆13番(小野潤三君) 佐々木館長が定年を迎えられて、現在は宇都宮美術館の館長も兼ねていらっしゃるということで、嘱託として週に半分ほどの勤務となっております。平野前副館長も同様に嘱託。新たに就任された杉浦副館長は学芸課長を兼ねていらっしゃって、館のマネジメントと学芸員の仕事をあわせてやっているということで、実質的に学芸員の数が減っているというような状況と伺っております。 昨年、東京の私立大学の修士課程を修了しました優秀な学芸員さんが新たに入られましたが、まだまだ十分ではないと考えております。 もう1つ、美術館としての発信力についてはどのような課題があるか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) これまでアウトリーチ事業を通しまして、収蔵品の紹介をするとともに、情報発信につきましては、従来どおりのポスターやチラシなど紙媒体による広報のほかに、ツイッターなどのSNSでの展開にも努めており、いわゆるインスタ映えするようなパネル類も会場に用意するなどの工夫にも取り組んでおります。 しかしながら、学芸員が展示等の業務と並行して従事していること、さらには、著作権により、作品をチラシ等に使用する場合、制約があることなどの課題があるものと認識しております。 ◆13番(小野潤三君) 先ほど申し上げた新人の学芸員さんが、日常業務の傍らで、ホームページ、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムを更新していると伺いました。最近はエリック・カール展の片づけに追われてなかなか更新できなかったというような話も聞いておりまして、ここもしっかり力を入れるべきところだと思っております。 それでは、いわき市立美術館が目指すべき将来像はどのようなものか伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 当館におきましては、いわきの美術、日本の戦後美術、世界の戦後美術を収蔵品の柱としているところであり、芸術文化の新しい創造の拠点として、潤いとやすらぎのある市民生活の一端を担うことを使命としております。 今後も、当館の収蔵品を活用した常設展や、質の高い多様な企画展を展開することにより、多くの皆様に御来館いただくとともに、地域に寄り添った美術館として、子供から高齢者までの幅広い市民の皆様への美術の普及、さらには文化芸術の担い手の育成に努めるなど、市民の文化度・幸福度の向上に貢献する美術館を目指してまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) あの美術館に行くためにいわきに行こうと言わしめるだけの集客力を持てる施設になると思うんですね。そのためにぜひ頑張っていただきたいと思っております。ここまで申し上げてきた課題を一つ一つ克服して、いわき市立美術館の本来の価値を発揮していただきたいと考えますけれども、そのためにも美術館の増設が必要不可欠だと考えております。今の駐車場はもともと、いずれ美術館を増設するために購入した土地ということであります。 美術館設立の経緯も、市民の盛り上がりで建設に至った希有な美術館で、収蔵品の価値も極めて高いのに、それが生かされていないもったいない美術館になっております。せっかくのお宝を生かすように、もっとこの美術館に力を入れるべきだと考えます。 美術館増設についてのお考えを伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 増設につきましては、先ほど御答弁申し上げましたハード面・人材面におけるさまざまな課題に加え、アリオス、文化センターを含みます文化ゾーン全体の方向性も見きわめる必要があると、さらには、財源の確保も必要となりますことから、今後、十分に検証した上で対応してまいりたいと考えております。 ◆13番(小野潤三君) そのためにも、全体的な考え方というのをきちんとつくるということが大事だと思います。今、時代の流れとしては公共施設をどうたたむかという方向で議論がなされております。そこで問題になるのが、議会で私も2度取り上げましたけれども、公共施設等の総合管理計画。その中で、基本的には公共施設をどう減らしていくかということでありますが、その一方で、必要な機能は高めていくと。市立美術館は機能を高めるべき公共施設だと考えるわけであります。美術館は単独で採算のとれる施設ではありませんが、いわき市の都市としての価値を高める存在です。十分に機能する施設にすることで、いわき市を選ばれるまちにしていく美術館にすることができると確信しております。 いわきブランド、いわきオリジナル、いわきの文化というものをどう構築していくか、これが自立した都市として生き残る大きなポイントではないでしょうか。大局的な視点からいわき市の都市づくり、未来づくりに取り組んでいかれることを求めまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(菅波健君) ここで、午後2時30分まで休憩いたします。          午後2時10分 休憩---------------------------------------          午後2時30分 再開 △上壁充君質問 ○議長(菅波健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。24番上壁充君。          〔24番上壁 充君第二演壇に登壇〕 ◆24番(上壁充君) (拍手)24番いわき市議会創世会の上壁充でございます。 通告順に従い、一般質問をいたします。 さて、御承知のように、保育園落ちた日本死ねは、大きな反響を及ぼしました。また、今もニュースになっております、もうお願い、許して、許してください、お願いしますと書いていた結愛ちゃんが、保護者の暴力や放置で亡くなったのも、日本中に大きな衝撃を与えました。なぜ、子供を助けることができなかったのか。保護者が面会を拒否したから会えなかったではなく、児童相談所と警察が強制的にも確認できなかったのか、残念でなりません。私は、こうしたことが起こらないよう、行政としての役割もきちんとしていく必要があると思いますし、警察や地域との連携を強化した対策・対応が喫緊の課題と思っております。 さらに先日、保育所・保育園における事故についてですが、内閣府が2015年から2017年の3年間に全国の保育施設で35件の死亡事故が起きた、うつ伏せ寝など睡眠中が7割を占めていたとの分析結果を公表しました。特に、ゼロ歳から1歳児が8割と多く、施設に通い始めて30日以内の発生が多かったということでした。これまでに、事故や事件が多く発生しているのが心配であります。そうしたことが生じないような取り組みが今後必要と思っております。 さて、市長の公式ホームページに、市民の皆様との5つの約束を守ります。安心して子育てのできる教育先進都市を目指しますと記載してあります。いわき市の未来そのものである子供たちをどう育てていくかについては、非常に重要なことであります。特に、幼少期に子供が受ける保育の質が、その後の能力・人格形成に大きな影響を及ぼしていくわけであります。しかし、その保育を提供する公立保育所では、現在人員不足により、良質な保育の提供に大きな支障を来しているのが本市の現状であります。福祉・医療、教育の充実とは誰でも言えることです。大事なことは、行政が体制を充実し、具体的に結果を出すことだと思います。そして、公立・私立、保育園・幼稚園関係なく、一緒になって子供たちの命を守っていくことが今求められているわけであります。 そこで、大きな質問の1番目は、いわき市における公立保育所・保育園について伺います。 第1点は、待機児童の現状についてです。 初めに、本市における待機児童数の現状についてですが、本市における現在の待機児童の数はどのようなものか伺います。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 本年4月1日現在の待機児童数につきましては、7人となっております。 ◆24番(上壁充君) ただいまの答弁で7人との回答でしたが、私は、希望した保育所などに入れないにもかかわらず、国や自治体での待機児童のカウントに入っていない児童、いわゆる隠れ待機児童も含めれば、かなりの数がいるんではないかなと思っております。私が各保育園から聞いた限りでは、保育士が足りないからと入園を断られた時点で、では、ことしは諦めるかというケースもあり、そういう話もあり、とても7人だけだとは思っておりません。 そこで、次の質問ですが、待機児童が発生している原因についてです。 待機児童が発生している原因はどのように捉えているかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 待機児童が発生した主な要因といたしましては、障がい児統合保育を希望する児童に対応するための保育士が十分に確保できなかったことや、定員を超過する利用申請があったことが挙げられます。 ◆24番(上壁充君) 次に、解消に向けた対策についてであります。 待機児童が発生するのは、私としては、保育施設や、今お話がありましたように保育士不足が原因であると思っておりますが、本市では待機児童解消に向けてどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。
    ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 待機児童の解消に向けた対策につきましては、保育の受け皿づくりと保育人材の確保が極めて重要であると考えております。このうち、保育の受け皿づくりにつきましては、市内の需給動向を踏まえながら、計画的に認定こども園や地域型保育事業の認可を行うなどの対応に努めているところであります。また、保育人材の確保につきましては、市の広報紙やホームページなどによる求人募集を行うとともに、保育士資格を持ち、保育施設等において就労していない、いわゆる潜在保育士の復職に向けた研修会を開催してきたところであります。 さらには、保育所等の入所に関する相談について、各地区保健福祉センターに配置している子育てコンシェルジュ等が保護者のニーズを踏まえ、保育所等を案内するとともに、希望する施設に入所できない方に対しては、入所可能なほかの施設や一時預かり等の情報提供を行うなど、丁寧な支援に努めているところであります。今後につきましても、引き続き、待機児童の解消に向け、保育の受け皿づくりと保育人材の確保に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆24番(上壁充君) 本市でも解消に向けて取り組んでいるということであります。ぜひ、これからも、これまで以上といいますか、さらなる解消に向けての取り組みをお願いしておきたいと思いますが、でも、なかなか大変なことだと思いますけれども、それは待機児童に対する清水市長の御見解はどのようなものかお伺いいたします。 ◎市長(清水敏男君) 出産後や子育て中に就業したくても、子供を保育する場が見つからないために発生する待機児童につきましては、共働き世帯などにとって大きな問題となっているものと認識しております。このため、待機児童の解消に向け、市内の保育需要の高まりを踏まえながら、計画的な保育の受け皿づくりと、保育人材の確保に取り組むとともに、保護者のニーズに寄り添った、きめ細やかな支援に努めてきたところであります。待機児童数につきましては、保育関係者の皆様の尽力などにより、本年4月1日現在は、昨年より減少しており、まさに、官民が連携し、一体となった取り組みが進められているものと、心強く感じているところであります。 また、今後におきましては、幼児教育の無償化など、保育を取り巻く大きな環境の変化が想定されますが、引き続き、国の一億総活躍プランなどに基づく、さまざまな取り組みを積極的に活用し、保育関係者の皆様との連携を図りながら、待機児童の解消、さらには、子育てしやすい環境の整備充実に向け、全力を挙げて取り組んでいかなければならないものと受けとめております。 ◆24番(上壁充君) 先ほど、マスコミの新聞にも載っておりましたけれども、同じ県内の福島市では、木幡市長にかわってから、待機児童が半分にまで減少したという報道がありました。しかも、福島市の待機児童は3桁に及ぶ数字でした。福島市にできたことがいわき市にできないはずがありません。ただいまの市長の御答弁のように、今後の取り組みをお願いしたいと思いますが、清水市長の決断とリーダーシップの発揮を強くお願いをしておきたいと思います。 第2点は、保育士の確保についてです。 初めに、現在の公立保育所における保育士の正規・非正規の内訳についてですが、現在の公立保育所における正規・非正規の数はどのようになっているのかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 本年4月1日現在の市立保育所における保育士につきましては、全体で418人となっており、この内訳といたしまして、再任用を含む正規が187人、非正規のうち嘱託が149人、臨時が82人となっております。 ◆24番(上壁充君) 非正規・嘱託職員が多いということでありますが、それでは次に、保育士の年齢構成について伺います。 現在の保育士の年齢構成は、年代別にどのようになっているのかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 再任用を除いた市立保育所における正規保育士179人の年齢構成につきましては、20代が41人で約22.9%、30代が42人で約23.5%、40代が56人で約31.3%、50代が40人で約22.3%となっております。 ◆24番(上壁充君) 私が知るところによりますと、現在、保育職場では、それぞれの職場によって年齢構成のアンバランスが問題となっております。保育士をほとんど採用しなかった時期があったため、いわゆる中堅・ベテラン層が空白となっているところがあります。これにより、若い保育士が、産休・育休を取得しづらい、また、取得しても産休代がえが見つからないという問題が生じております。以前、愛知県の私立保育園で、運営に支障を来さないためとして、園長先生が女性保育士の結婚時期や妊娠・出産の順番を決めていたという悲しい報道がありました。あくまでも、これは極端な例ですが、根本は同じで保育士不足であります。市当局に対しまして、そうした現場の実態も十分にこれから認識をしながら、対応することをこの場ではお願いをしておきたいと思います。 次に、公立保育所におけるクラス担任の正規・非正規の内訳について伺います。 公立保育所におけるクラス担任は、全て正規なのか非正規なのか、どのように担当しているのかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 市立保育所において、年齢区分ごとに編成された213クラスにつきましては、正規が165クラス、非正規が48クラスを担任しております。 ◆24番(上壁充君) 次に、公立保育所におけるクラス担任に求められる役割についてですが、クラス担任は正規保育士が担うべきと私は思いますが、現状、正規保育士が今お話がありましたように不足しております。待遇面で劣っている嘱託保育士に、正規職員と同じ職務・職責を担わせているのが現状で、保育士不足に拍車をかけている原因になっているのではないかと思います。 本市では、クラス担任の役割をどのように考えているのかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) クラス担任につきましては、年齢区分ごとに編成されたクラスにおいて、児童の保育を担当する保育士であり、児童一人一人の発達過程を踏まえながら、健やかな生活を送れるよう、クラス運営における中心的な役割を担うものと考えております。 ◆24番(上壁充君) クラス担任は、今お話がありました、子供の発達補強や保護者とのかかわりについて高い責任が求められていることから、正規職員が担うべきでありますし、改めて、全クラス担任を賄えるだけの正規保育士の確保と、正規と同じ職務・職責を担っている嘱託保育士の待遇改善を検討するよう要請しておきたいと思います。 次に、臨時・嘱託保育士を募集しても集まらない理由についてであります。 本市において募集しても集まらないその理由をどのように思っているのかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 昨年6月から8月にかけて県が実施した、福島県保育士登録者へのアンケート調査の報告書によりますと、給与や勤務体制等の雇用条件や、子育てとの両立が課題として多く挙げられていることなどから、これらが保育士確保が困難な主な要因となっているものと考えております。 ◆24番(上壁充君) 私どもの出身であります労働組合が公立保育所に勤務する臨時・嘱託保育士を対象に行ったアンケートについて、全体の9割近い回答がありました。賃金等の労働条件や仕事上での不満を感じますかという設問に対し、いつも感じるが45.3%、たまに感じるが43.6%、合計89%が不満を感じていました。同一労働同一賃金という言葉もありますが、そもそも待遇が見合っていないのではないかと思います。ただいま答弁いただきましたけれども、先ほどお話しした福島市では、待機児童を半減させた対策の一環として、非正規職員となっている保育士の給与を引き上げたそうであります。官制ワーキングプアと言われないよう、適正な賃金水準への引き上げを市当局に再度お願いをしておきたいと思います。 次に、いわき市の保育所で働きたいと思える方策について伺います。 国における幼保無償化の方針が報道されるなど、保育需要は今後もふえることが見込まれますが、他自治体や首都圏に保育士が流出しないよう、賃上げなど公立の保育所で働きたいと思えるような方策を考えるべきと存じますが、御所見をお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 県のアンケート調査の報告書によりますと、就職先を選ぶ上で重視することとして、給与や勤務体制等の雇用条件や、子育てとの両立のほか、施設の運営方針や職場の雰囲気など、職場環境に関することが多く挙げられている状況にありますことから、市といたしましては、働きやすい職場環境づくりに意を用いるとともに、正規保育士の採用に当たりましては、退職者数の推移や、市立保育所の保育需要等を見きわめながら、計画的かつ適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆24番(上壁充君) 次に、保育士の採用条件の緩和についてです。 今後の退職者の推移を見ながらとも言っておりましたけれども、保育士の採用時に、例えば保育士の採用年齢を引き上げるなど、雇用に関する条件の緩和を今後図っていくべきではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。 ◎総務部長(岡田正彦君) 保育士の職員採用候補者試験において、年齢要件を緩和することにつきましては、優秀で、かつ多様な人材を確保する観点から、有効な手法の1つであると考えており、本市におきましては、平成24年度採用より、従来の26歳以下から28歳以下に引き上げたところでございます。この年齢要件により、実施した過去3年間の職員採用候補者試験の状況につきましては、平成28年4月1日付採用では、採用予定者数3人に対し受験者数が27人、平成29年4月1日付採用では、同じく7人に対して38人、平成30年4月1日付採用では、13人に対し41人となっており、各年度とも、十分な受験者数を確保できているところでありますが、今後におきましても、受験者数の動向等を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆24番(上壁充君) 既に御承知と存じますが、保育所は昭和23年1月に施行された児童福祉法で、戦後の貧困対策として創設されました。それ以降、昭和38年10月に、保育所保育の教育面について、幼稚園教育要領に準ずることが望ましいことが通知され、昭和40年4月には、保育所の保育は養護と教育が一体となって、豊かな人間性を持った子供を育てるところに、保育所における保育の基本であると規定されました。その後、平成10年の児童福祉法の改正では、地域の子育て家庭に対して、保育に関する相談を受け、助言に努める役割も担うこととなりました。 しかし、保育士自身は日ごろの子供の保育に専念しなければならないため、地域の子育て家庭の支援は、主に保育所長や主任保育士が中心になって対応しなければならないのが現状であります。このような保育の質の向上のためには、官・民問わず、保育所職員の資質向上だけではなくて、保育所の運営管理や子供の健やかな育ちを保障する環境整備などが重要であり、保育所長はその役割を担っていることから、保育所長の役割は大変重要であると思います。そうしたことから質問いたします。 初めに、保育所長の業務内容についてでありますが、保育所長が行っている業務とは、どのような業務があるとして認識しているのかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 保育所長の業務内容につきましては、主なものとして、保育計画等の指導及び評価や、入所に係る相談、給食業務管理、職員管理などが挙げられます。 ◆24番(上壁充君) ただいま御答弁の中にもありましたが、保育所長が行っている業務は、保育所の管理運営、施設設備の管理、保育過程の編成、職員の健康管理、関係機関との連絡調整、入所に係る相談、保護者の苦情対応、来客対応、各種照会回答、資料作成など実にさまざまな業務があります。これを保育を行いながら兼務することは、過度の負担を要求することにもなりますし、よい保育を提供できる体制ではありません。良質な保育を提供するためには、所長の専任化が不可欠であります。子供たちのためにも早急な対応をお願いしたいと思います。 次に、本市公立保育所における専任所長の配置数について伺います。本市の公立保育所における専任所長の配置数はどのようになっているのかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 専任の保育所長につきましては、国が定める保育士の配置基準において、その配置が義務づけられているものではありませんが、本市におきましては、32カ所の市立保育所のうち、大規模な7カ所に配置しているところであります。 ◆24番(上壁充君) 7カ所ということでありますが、それでは次に、県内の公立保育所の専任所長の割合についてですが、県内における公立保育所の専任所長の割合はどのようになっているのかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 福島市及び郡山市につきましては、全ての市立保育所に専任所長を配置しておりますが、このうち福島市につきましては、保育所長13人のうち9人が事務職であると聞き及んでおります。 ◆24番(上壁充君) 全体的には、県内、郡山市、福島市の場合ですが、ほぼ専任所長が張りつけられているというようなことであります。先ほどもお願いしましたように、できるだけ専任所長の配置づけをよろしくお願いしたいと思いますし、社会福祉法人全国社会福祉協会全国保育協議会がまとめた全国の保育所実態調査報告書では、今お話がありましたけれども、全国の9割以上が専任所長との結果が報告されております。それに比べていわき市は、先ほどお話がありましたけれども、7カ所ということで、ほとんどが兼任所長という状況であります。兼任することによる保育上のメリットがどのようなものになるのか、私には全くわかりませんが、全国の実態と逆行しているような本市の実態を早急に改善すべきではないでしょうか。 そういう意味で、次の質問ですが、早急な所長の専任化の実現について伺います。 2月の議会でも所長の専任化について伺いましたが、答弁は、クラスを担任しない保育士を1名配置、2カ所の保育所を巡回し、来客・電話対応などしながら所長の負担軽減に努めている。さらに、専任所長は先ほどお話がありましたが、国の配置基準において配置が義務づけられていないということでした。私も知り合いの所長から話を聞いていますが、余りの業務量で体はぼろぼろだし、子供の命を預かる責任から夜も寝られず精神を病んでしまいそうだという悲痛な声を聞いております。また、これは所長の心身の健康だけの問題ではないと思います。 改めてお伺いします。いわき市として、保育業務の模範となるような保育体制を築くためにも、正規保育士を増員し、早急に専任所長を実現すべきと存じますが、御所見をお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 近年、保育需要が高まる一方で、保育士確保が困難な状況にあります。このような状況の中、保育士の配置につきましては、クラス担任など、現場の保育業務に携わる保育士として、正規職員を優先配置しているところであり、所長の専任化につきましては、保育需要の動向や、保育士確保の状況を踏まえるとともに、現場の業務実態等を把握しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆24番(上壁充君) 今回の定例会においては、保育所にかかわる質問をしてまいりましたが、保育所は子供を預かって見守るだけの場所ではございません。いわき市の未来である子供たちを育てる場所であります。また、全ての子供に平等なよい保育を提供する責任と義務があります。来年まで検討しますとかといった話ではありませんので、待機児童や、よい保育を受けられない子供は、今この瞬間保育を必要としているのであります。改めて、執行部に対し、市当局に対し、いわきの未来、子供たちのための早急な対策を強く再度要請をしておきたいと思います。 大きな質問の第2番目は、職員の健康管理及び市民サービスの向上に対する人員確保についてであります。 第1点は、平成30年度の定年退職者数についてですが、平成30年度で定年退職を迎える職員は、主な業種的にどのようなものなのかお伺いいたします。 ◎総務部長(岡田正彦君) 平成30年度の定年退職予定者数は、全部局合わせて78人となっており、職種ごとの内訳で申し上げますと、行政職が40人、医療職が18人、技能労務職が20人となっております。 ◆24番(上壁充君) それでは、第2点は、それを踏まえて、平成31年度の職員採用候補者試験による採用予定者数についてですが、これまでの状況を見ますと普通退職者も出てくるおそれもあります。それらを含めた退職者数に対して、平成31年度の試験による採用者数はどのように考えているのかお伺いいたします。 ◎総務部長(岡田正彦君) 平成31年度の職員採用候補者試験による採用予定者数につきましては、総合磐城共立病院での採用者数を除く主な職種で申し上げますと、一般事務職が43人、土木職が12人、保育士が13人、消防職が7人、保健師が3人となっております。 ◆24番(上壁充君) ただいま保育士13名というような御答弁いただきました。平成30年で退職する保育士もおられるわけですけれども、これまでもお願いをしてきましたように、やはり退職者数以上の保育士を採用して、所長の専任化に向けても御検討をしていただきたいと思っております。 第3点は、技能労務職員の雇用についてであります。 初めに、平成31年度の職員配置の考え方についてでありますが、これまでもお伺いしましたが、今後の養護老人ホーム千寿荘の運営に対する職員配置の考え方について、どのように考えているのかお伺いいたします。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 養護老人ホーム千寿荘につきましては、条例及び規則で定める職員の配置基準に従い、施設運営に必要な職員を配置しているところであります。平成31年度につきましても、これまでと同様に、職員の配置の基準を遵守するとともに、施設運営に影響が出ないように適切な職員配置をしてまいりたいと考えております。 ◆24番(上壁充君) それでは次に、平成31年度同じく調理員配置の考え方について伺いますが、今後保育所の調理員の配置をどのように考えているのかお伺いいたします。 ◎こどもみらい部長(高萩文克君) 保育所における給食につきましては、保育の重要な部門の1つとして、調理員には、保育士と一体となって、子供の発育等に応じた適切な栄養摂取や、食物アレルギーのある子供への食事の対応に加え、食育の推進などに取り組む重要な役割があると考えておりますことから、引き続き、これら役割を果たすことができるよう、適切な体制の整備に努めてまいりたいと考えております。 ◆24番(上壁充君) ただ、適切に配置していくというのは毎回の答弁と同じでありますけれども、技能労務職員の雇用というものはこれまでも要望してきましたけれども、結局雇用するという話がなくて、検討しますというところまで話が、答弁が出ていたんです。雇用がない中で平成31年度以降、調理員、養護員とか、配置をしていくということは、本当に難しいことは当然でありますので、ぜひ、そういったところの雇用に向けての前向きな検討もこれからお願いをしたいと思います。 そして最後に、先ほど、今回は、保育関係の質問、要望をさせていただきました。本当に各所それぞれの現場では、本庁舎の中もそうですが、大変多種多様な業務の中で苦労しているところが出てきております。労働安全衛生委員会の開催も含めながら、実行しながらそういったところに人員確保なり職場環境の改善、冷暖房の改善など環境の整備をしながら、職員の健康管理のほうに御努力をいただきたい。このことをお願いをいたしまして、私からの今回の質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(菅波健君) ここで、午後3時15分まで休憩いたします。          午後3時06分 休憩---------------------------------------          午後3時15分 再開 △石井敏郎君質問 ○議長(菅波健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。32番石井敏郎君。          〔32番石井敏郎君第二演壇に登壇〕 ◆32番(石井敏郎君) (拍手)32番いわき市議会清政会の石井敏郎です。 ただいまより、通告順に従い、質問をいたします。 最初の質問は、消防団の充実強化についてであります。 消防団員は、全国的に減少傾向にあり、本市においても同様の傾向にあると伺っております。消防団員の確保対策として、市ホームページやポスター及びチラシなどを活用した広報活動、さらには消防団員協力事業所表示制度や、消防団サポート事業など、さまざまな対策を実施して消防団員の確保に努めていることは、私を含めてこれまで多くの議員が質問をしてきております。しかしながら、抜本的な解決には至っていないのが現状と思われます。今回の質問は直接的な解決策ではないものの、消防団員の確保や活性化、活動環境の充実に結びつくものと考えております。消防団員の福利厚生、準中型免許取得の支援、消防団員の被服、そして消防団詰所の附帯設備等の4点について、以下伺います。 まず、1番目の質問は、消防団員の福利厚生についてであります。 消防団員は、非常勤特別職の地方公務員であり、公務中にけがをした場合などは、市職員と同様に公務災害補償が適用になると思われますが、その他にも消防団員への福利厚生として加入している共済があると聞き及んでおりますので、以下、何点か伺います。 現在、消防団員が加入している共済について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 現在、消防団員は3つの共済に加入しております。1つとして、消防団員が公務上の災害で負傷、疾病、または死亡した場合に備えるための消防団員等公務災害補償責任共済です。2つとして、公務内外を問わず、全ての病気、けがによる入院や死亡等を保障する消防団員等福祉共済です。3つとして、消防団員の自宅を対象としている火災共済となります。 ◆32番(石井敏郎君) 公務以外での病気やけがも補償の対象になる共済に加入していることは、非常に手厚い補償になっており、とてもすばらしい福利厚生であると思われますが、では、それぞれの共済の掛金はどのようになっているのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 共済の掛金につきましては、平成30年度で申し上げますと、公務災害を保障する消防団員等公務災害補償責任共済が、1人当たり年額2,080円で総額790万4,000円、病気・けがによる入院や死亡等を保障する消防団員等福祉共済が、1人当たり3,000円で総額1,081万5,000円、火災共済が1人当たり500円から700円で総額およそ174万円となっております。 ◆32番(石井敏郎君) 1人当たりでは、それほどの掛金ではないものの、3,000人以上に及ぶ団員数ですから、それ相応の金額となっているようですが、では、そのうち掛金の個人負担はあるのかどうか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 公務災害補償責任共済及び福祉共済につきましては、全額、市が掛金を負担しておりますが、火災共済は、各個人に負担をいただいており、新規加入者で年額700円、継続者で年額500円となっております。 ◆32番(石井敏郎君) 個人の負担が少ないことはよいことだと思いますが、それでは、昨年、けがや病気、または火災などにより、どのくらいの共済金の支払いがあったのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 平成29年度の共済金の支払い件数及び金額につきましては、公務災害補償は、けがによる通院が1件で約2万円、福祉共済につきましては、入院見舞金が4件で約26万6,000円、本人死亡による遺族援護金が8件で800万円となっております。なお、火災共済金の支払いはございませんでした。 ◆32番(石井敏郎君) 支払い実績が多いことは喜ばしいことではありませんが、消防団員も年齢層が高くなっていることから、けがや病気による入院や死亡による支払いが多いものと考えるものですが、しかしながら、せっかく福利厚生として加入している共済の認知度が低いように私は感じますが、その認知度について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 今年度初めに、入団3年未満の消防団員に対し、加入している共済についてのアンケート調査を実施いたしました。その結果、消防団活動に対して、公務災害補償が適用になることや、福利厚生として、市の負担で福祉共済に加入していることなどについて、多くの団員に認知されていないことがわかりました。 ◆32番(石井敏郎君) 福利厚生に関する最後の質問ですが、今後の方針についてはどのようになっているのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 消防団員の福利厚生につきましては、これまで市のホームページや会報誌等において、周知を図ってまいりましたが、今後はさらに、消防団員の各種研修会など、あらゆる機会を捉え、福利厚生についての制度と内容について、理解を深めてもらい、安心して活動していただけるよう取り組んでまいりたいと考えています。 ◆32番(石井敏郎君) 次に、2番目の質問は、準中型免許を取得する際の支援についてであります。 4月の新聞記事の中に、総務省消防庁が道路交通法の改正に伴い新設された準中型免許について、消防団員が取得する際に、財政支援をするという記事がありました。具体的には、消防団員が準中型免許を取得する際に、教習所にかかる費用を助成している自治体に、その金額の一部を交付税で手当てをするという内容でした。消防団に入団すると、準中型免許取得費用の一部を支援してもらえるというのは、入団の動機づけにもつながるものと考えられます。そこで伺います。 消防団の車両の中で、運転に準中型免許が必要な車両は何台あるのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 準中型免許が必要な車両につきましては、総重量3.5トン以上、7.5トン未満が該当となり、消防団車両321台のうち、27台となっております。なお、他の車両については、3.5トン未満でございます。 ◆32番(石井敏郎君) それでは、準中型免許取得にかかる費用について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 準中型免許取得にかかる費用につきましては、保有している普通免許がオートマチック車限定かどうかで異なりますが、約14万円から17万円程度となります。 ◆32番(石井敏郎君) では、準中型免許取得にかかる費用の支援についての本市の考え方について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 多くの消防団員が、運転免許制度が改正となった平成29年3月12日以前の普通免許を保有しており、消防団車両の運用に支障がないことから、準中型免許取得にかかる費用の支援は行っておりません。なお、消防車両メーカーにおきまして、改正後の普通免許で運転できるよう3.5トン未満の消防ポンプ自動車を開発しておりますことから、今後の車両更新時には、普通免許で対応可能な車両の導入を検討する考えでございます。 ◆32番(石井敏郎君) 多くの団員が改正前の普通免許であること、そして車両更新のときで対応することは理解できましたが、消防団車両の運行に支障を来さない対応を要望申し上げ、次の質問に移ります。 3番目の質問は、消防団員個人に貸与される被服についてであります。 私の息子も、ことし4月に消防団に入団したところですが、多くの若者たちがせっかく消防団に入団しても、被服が先輩のお下がりでは消防団活動のモチベーションが上がらないのではないかと思われます。消防団員の被服ですが、活動服については、新型活動服に更新され、新しくなったのは大変うれしいことですが、消防団関係の式典や集まりなどに出席すると、色のあせているはっぴを着用している団員も多くいるように見受けられます。 そこで、以下、団員の被服貸与について幾つか伺います。 貸与されている被服の種類について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 部長以下の消防団員に対し、貸与している主な被服につきましては2種類ございます。1つとして、活動服上下に安全靴、アポロキャップを含めました活動服一式となります。2つとして、はっぴ上衣、ズボン、腹がけ、ゴム長靴がセットになったはっぴ一式となっております。 ◆32番(石井敏郎君) それでは、消防団員の被服の貸与については、何に基づいて実施しているのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 被服につきましては、いわき市消防団員被服等貸与規則に基づきまして貸与しているところでございます。 ◆32番(石井敏郎君) 次に、被服の更新基準について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 更新年限につきましては、特に設けてはおりませんが、使用により損傷した場合には、消防団員個人から再貸与申請をしていただき、新たな被服を貸与しておるところでございます。 ◆32番(石井敏郎君) 団員の中には、20年30年と長く続けている方も多いことから、定期的な更新がないと、はっぴが色あせてくるのもわかります。 では、県内他市の消防団では被服の更新基準があるのかについて伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 県内他市の被服の更新基準につきましては、福島市、郡山市及び会津若松市などにおきましても、年限による更新基準は設けておらず、随時更新としております。 ◆32番(石井敏郎君) 県内の他市でも同様な状況にあることはわかりましたが、せめて新入団員には真新しい活動服や、はっぴを貸与してあげたらいかがと思いますが、新入団員への被服の貸与状況について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 活動服につきましては、新型のものを平成27年度、平成28年度で全団員分を整備、平成29年度には新入団員分及びサイズの変更が生じた団員分を整備したところでございます。しかしながら、はっぴにつきましては、多くの新入団員が退団者の物を使用している状況にあります。 ◆32番(石井敏郎君) 初めて消防団員になろうとする者にとっては、身につける服や装備も消防団の魅力の大きな要因となっているのではないかと思います。 新鮮な気持ちで末永く活動してもらうためには、はっぴについても新しいものを貸与すべきと考えますが、何か課題があるのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) はっぴ一式につきましては、約2万8,000円の経費を要しますことから、購入数が限られ、毎年100人前後となる新入団員の一部にしか新しい貸与品を支給できないことが課題となっております。 ◆32番(石井敏郎君) 予算の関係上、全ての新入団員へ新しいはっぴを貸与することができないのであれば、何らかの対策が必要であると思われますが、今後の方針について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) これまで消防団員のトレードマークであるはっぴにつきましては、はっぴ上衣に加え、ズボン、はっぴの下に着る腹がけ、ゴム長靴の一式を貸与しておりましたが、新入団員には新しいはっぴを支給したいという現場の団員の声を取り入れ、当面は、はっぴの上衣のみを貸与することとし、購入数をふやしてまいりたいと考えております。 ◆32番(石井敏郎君) 4番目の質問は、消防団詰所の附帯設備についてであります。 昨年度も含め、これまで多くの議員から消防団詰所の改築状況や今後の市の方針について質問があり、消防長からも既に答弁をいただいておりますので、今回は、消防団詰所の附帯設備の中でも、利用頻度の高いと思われる火災時に使用したホースを乾かすためのホース乾燥塔について伺います。 一部のホース乾燥塔においては、はしごで登らなければならないものもあり、中には、はしごが経年劣化で腐食しており、危険だとの声も私のところに届いております。また、強風の日なども乾燥塔に登るのは非常に困難であると私は考えております。そこで、附帯設備であるホース乾燥塔について、以下伺います。 市内には、ホース乾燥塔が幾つあるのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) ホース乾燥塔の数につきましては、平成30年4月1日現在、301施設となっております。 ◆32番(石井敏郎君) ただいまの答弁では、随分数が多いことがわかりました。それだけ数が多いということは、老朽化しているホース乾燥塔も多いのではないかと思われます。 そこで、30年以上経過している乾燥塔はどのぐらいあるのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 30年以上経過しているホース乾燥塔につきましては、301施設のうち、136施設となります。 ◆32番(石井敏郎君) やはり設置からかなり経過している乾燥塔が多いようですが、中にははしごが腐食している危険なものもあるのではないかと思われます。 そこで、修繕はどのような手順で行っているのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 老朽化に伴う更新や大規模な修繕につきましては、支団からの修繕要望に基づき、調査を実施し、市内全体における優先順位をつけ、対応しているところでございます。なお、緊急を要する場合は、随時報告をいただき、できる限り早急に対応することとしております。 ◆32番(石井敏郎君) それでは現在、修繕要望が出されている数について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 平成29年度の調査結果から、現在17件の修繕要望が出されております。 ◆32番(石井敏郎君) それでは次に、平成29年度の調査を踏まえて、今年度の更新・修繕予定について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 今年度のホース乾燥塔の更新につきましては、消防団詰所の改築にあわせ実施するものが2件、単独更新が1件となっており、修繕につきましては、緊急度の高い順に、適切に対応してまいる考えであります。なお、解体撤去につきましては、5件実施する予定でございます。 ◆32番(石井敏郎君) 施設の数が多いと対応しなければならない問題も多岐にわたり、いろいろと大変だと思いますが、課題について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 老朽化したホース乾燥塔につきましては、優先順位をつけ、適切に対応しているところですが、30年以上経過したものが136施設と多数存在し、これらの更新や撤去が進んでいないことが課題となっております。 ◆32番(石井敏郎君) ホース乾燥塔に対する最後の質問ですが、今後の方針についてはどのように考えているのか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 老朽化したホース乾燥塔につきましては、現在推奨しております消防団詰所の合築にあわせて、計画的に整理統合を図っているところであります。今後におきましては、複数の消防団詰所での共有化が可能かどうか、消防団幹部と協議をしながら、集約化を進めてまいりたいと考えております。 ◆32番(石井敏郎君) 市内には、数多くの消防団施設が存在し、限られた予算内での対応は非常に困難であることも重々承知をしております。まずは、人口の推移などの社会情勢を長期的に見据えた班や分団の統廃合等も視野に入れた検討が今後必要ではないかと考えます。これらの検討により団員の高いモチベーションのもと、活動できる環境の充実強化につながるのではないでしょうか。また、施設等のハード面だけではなく、同時に団員確保といったソフト面の検討も必要であると考えます。本市が消防団員確保に取り組まれている実績については、昨年度の議会答弁や今回の答弁でも理解をしております。しかしながら、社会現象である少子・高齢化、中山間部の人口減少、就業形態の変化などは本市の努力だけでは対応できないのが現状であります。 そこで、工夫を凝らすことが、消防団を取り巻く環境の充実強化に必要であると考えます。例えば、今ある組織や枠組みを活用することであります。いわき市内には大学が2校あり、ボランティア精神に満ちた学生が多くいると伺っております。東日本国際大学の学生にあっては、さきの中越地震の際に、多くの学生が大学のバスに乗り合い、現地の避難所運営の手助けや瓦れき撤去等の活動に当たった実績があります。既存の組織や枠組みを活用した横の連携強化を図ることが、消防団の充実強化につながるのではないでしょうか。私はそのように考えております。 そしてまた、財政部にお願いがあります。消防団員は、いわき市民の財産と生命、崇高な消防精神のもとに活動しているわけですから、やはりある程度、財政支援がないと、こういう乾燥塔の取りかえとか、それから消防団員の被服の貸与についても先輩たちのお譲りを、古びたお譲りを着せるというのもいかがなものなのかなと。ですから、やはり机上の計算だけではなく、私はいつも申し上げるんですけれども、現場を見ることも必要でないのかなと。特に真冬になりますと火災が多く発生します。その中で消火作業に当たって帰ってきて、濡れたホースを乾燥塔の上まで階段を上って干すというのはいかがなものかなと。そしてまた強風にあおられた場合、例えばせっかく無事に消火作業を終えて帰ってきても、乾燥塔から落ちてけがをした場合は、2次災害ですよね。 せっかく市民のために頑張っている消防団員のためにも、もう少し私は予算を上げてもいいのではないのかなと。それがある意味では消防団員のモチベーションが上がって、活動に反映されるのであれば、そういうことも必要不可欠と考えますので、財政的支援もひとつよろしくお願いしたいなと要望を申し上げまして、次の質問に入りたいと思います。 次の質問は、生活排水対策事業についてであります。 私は、さきの議会において下水道使用料を含んだ今後の下水道事業の見通しについて質問し、下水道使用料については、当局から現在、下水道経営審議会において審議しており、ことし10月までにいただく予定の答申内容を踏まえながら適切に判断してまいるとの答弁をいただいたところであります。下水道事業は、平成28年度から企業会計制度を導入し、経営状態の見える化を図っており、平成28年度の決算では、下水道使用料が約31億円、東京電力の損害賠償金が約2億円の特別利益があり、平成28年度の当期純利益は2億1,600万円となっておりますが、将来にわたって持続可能な事業経営を目指すためには、下水道事業の収益を上げる必要があるものと考えております。 私の住んでいる草野・神谷地区では、下水道が整備されてから随分経ちますが、いまだに下水道に接続していない住宅やアパートがあります。これらの住宅やアパートは浄化槽を設置していると思われますが、排水が側溝に流れ、側溝の水が悪臭を放ち、これから暑くなるとそのにおいはますますひどくなってきております。下水道への切りかえは、下水道が整備されてから、おおむね3年以内に接続することになっておりますが、そこで公共下水道事業の継続状況について伺います。 1つとして、公共下水道事業計画区域内において、区域内供用開始件数のうち、未接続となっている世帯数について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 平成28年度末現在における公共下水道事業計画区域内の供用開始件数は、7万9,572世帯であり、そのうち未接続となっている世帯数は6,859世帯となっており、その割合は8.6%となってございます。 ◆32番(石井敏郎君) 2つとして、公共下水道への未接続の主な原因について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 公共下水道への未接続の主な原因につきましては、さまざまな要因がありますが、未接続者からの聞き取り等によりますと、改築にあわせて接続を検討していること、高齢者世帯や既に浄化槽により水洗化されている世帯においては、新たな費用の発生が負担と感じることなどが主な要因となってございます。 ◆32番(石井敏郎君) 3つとして、未接続解消に向けた取り組みについて伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 未接続解消に向けた取り組みにつきましては、下水道工事の着手前においては、対象区域における説明会の実施、工事完了後においては、4名の水洗化普及嘱託職員による年間9,000件程度の戸別訪問の実施などにより、下水道への理解、普及啓発と接続依頼を行っております。また、市民の皆様の負担軽減策としましては、水洗トイレ改造資金融資あっせん及び利子補給制度を設け、下水道へ接続する際の金融機関からの融資をあっせんし、4年間を限度に市が利子を補給しております。これらの取り組みなどにより、未接続となっている世帯数は年々減少傾向にあり、今後につきましても、粘り強く普及活動を行ってまいりたいと考えております。 ◆32番(石井敏郎君) 個人の費用負担があることでもあり、大変難しい課題であることは私も承知をしておりますが、下水道に接続することにより、衛生的にも近隣に迷惑をかけることもなく、また、下水道事業の根幹をなす下水道事業の収益に直接反映するものでもあり、今後とも未接続解消に向けての普及活動に精力的に取り組まれるよう要望を申し上げ、次の質問に移ります。 次の質問は、浄化槽の維持管理についてであります。 本市では、平成28年3月に市総合生活排水対策方針の見直しを行い、下水道事業計画区域の拡大は基本的に行わず、合併浄化槽の整備促進を図ることとし、浄化槽を促進するために補助制度を充実させるなど、普及促進に鋭意努めていることと認識しております。方針における浄化槽整備事業の方向性では、生活環境の改善や公共用水域の水質保全を図るため、関係法令等に基づく助言・指導を継続して行うとともに、関係者と連携した取り組み等も検討し、浄化槽の維持管理が適正に実施されるよう努めますと記載されております。 しかしながら、先ほども申しましたが、現在使用されている浄化槽が適正に維持管理されていないと臭気などが立ち、また、単独処理浄化槽を使用している場合は、生活雑排水は処理されずに直接排水路に流れ出て、周辺の住民の皆さんは大変迷惑をこうむっているのが現状であります。 そこで以下、浄化槽の維持管理について伺います。 1つとして、市内の合併処理浄化槽と単独処理浄化槽の設置数について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 平成28年度末現在の浄化槽の設置数につきましては、住宅用で申し上げますと、合併処理浄化槽が1万7,831基、単独処理浄化槽が1万739基となっております。 ◆32番(石井敏郎君) 単独処理浄化槽は、公共下水道への接続、もしくは、合併処理浄化槽への切りかえの促進を進めているとのことですが、いずれにしても、これら浄化槽の維持管理は、各所有者が行うこととなるわけです。先ほども申しましたが、定期的に保守点検を行うなどの維持管理を怠ると、浄化槽としての機能が低下し、結果、臭気や処理し切れない汚水を排出することとなります。市の方針では、水質保全を図るための助言・指導により浄化槽の維持管理が適正に実施されるよう努めるとの記載がなされております。 そこで2つとして、浄化槽の維持管理については、これまでどのような対応をしてきているのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 浄化槽の維持管理につきましては、浄化槽法に基づき、浄化槽の所有者に対し、浄化槽の機能が適正であるかを確認する法定検査と、適正な機能を維持するために行う保守点検及び清掃を行うよう義務づけられております。法定検査は、福島県の指定検査機関である公益社団法人福島県浄化槽協会が実施し、その検査結果は、浄化槽の所有者と市に通知され、市では、不適正と判断された浄化槽の所有者に対し、不適正箇所の改善と、適正な保守点検や清掃の実施を指導しているところであります。また、市では新たに浄化槽を設置する所有者を対象に浄化槽設置者講習会を年30回開催し、法定検査の受検と浄化槽の維持管理の必要性などを説明しているところであります。今後も関係団体と連携を図りながら、浄化槽の適正な維持管理の啓発に努めてまいりたいと考えております。 ◆32番(石井敏郎君) 毎年、この梅雨どきから暑い夏場、私のところにはしょっちゅう苦情がまいります。それはこれまで質問してきたように、浄化槽の方々が維持管理を定期的に行っていないので、もろに排水路に汚物が出てきたりとか、生活雑排水が流れ出たりとか、それがやはり流れないで、とまってしまっているんですよね。それが悪臭を放ち、ひどいと。それで下流の方々からも、何だよ議員、すごいにおいだぞ、来てみろと呼ばれて行きます。幾ら消毒しても結局だめなんですね。そしてまた、これがハエとか蚊というものの発生源となっております。 下水道への未接続の解消にしても、浄化槽の点検についても、個々人の経済的な負担が課せられることから、なかなか難しい問題であるとは理解できるものの、生活排水対策は、公衆衛生のかなめとして同時に水質の保全にもつながるものでありますことから、現在4名の水洗化普及員の増員を検討するなど、未接続解消に向けた対策を講じられるよう強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手)--------------------------------------- △散会 ○議長(菅波健君) 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の本会議は、午前10時より再開の上、市政一般に対する質問を続行いたします。 本日は、これにて散会いたします。          午後3時52分 散会---------------------------------------...