いわき市議会 > 2018-03-01 >
03月01日-05号

ツイート シェア
  1. いわき市議会 2018-03-01
    03月01日-05号


    取得元: いわき市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    平成30年  2月 定例会            平成30年3月1日(木曜日)議事日程第5号 平成30年3月1日(木曜日)午前10時開議  日程第1 市政一般に対する質問---------------------------------------本日の会議に付した事件          〔議事日程第5号記載事件のとおり〕---------------------------------------出席議員(37名)     1番  川崎憲正君      2番  木田都城子君     3番  木村謙一郎君     4番  山守章二君     5番  塩沢昭広君      6番  柴野美佳君     7番  鈴木 演君      8番  田頭弘毅君     9番  坂本康一君      10番  伊藤浩之君     11番  狩野光昭君      12番  福嶋あずさ君     13番  小野潤三君      14番  西山一美君     15番  永山宏恵君      16番  大峯英之君     17番  小野 茂君      18番  塩田美枝子君     19番  馬上卓也君      20番  吉田実貴人君     21番  渡辺博之君      22番  溝口民子君     23番  坂本 稔君      24番  上壁 充君     25番  蛭田源治君      26番  菅波 健君     27番  大友康夫君      28番  阿部秀文君     29番  安田成一君      30番  赤津一夫君     31番  小野邦弘君      32番  石井敏郎君     33番  蛭田 克君      34番  磯上佐太彦君     35番  佐藤和良君      36番  樫村 弘君     37番  佐藤和美君欠席議員(なし)---------------------------------------説明のため出席した者 市長         清水敏男君   副市長        上遠野洋一君 副市長        鈴木典弘君   教育長        吉田 尚君 水道事業管理者    木村 清君   病院事業管理者    平 則夫君 代表監査委員     小野益生君   農業委員会会長    鈴木 理君 選挙管理委員会委員長 飯間香保子君  総合政策部長     大和田 洋君 危機管理監      舘 典嗣君   総務部長       岡田正彦君 財政部長       伊藤章司君   特定政策推進監    緑川伸幸君 市民協働部長     下山田松人君  生活環境部長     荒川信治君 保健福祉部長     高沢祐三君   こどもみらい部長   本田和弘君 農林水産部長     村上 央君   産業振興部長     石曽根智昭君 土木部長       上遠野裕之君  都市建設部長     高木桂一君 会計管理者      高橋伸利君   教育部長       柳沼広美君 消防長        猪狩達朗君   水道局長       上遠野裕美君 総合磐城共立病院事務局長       秘書課長       赤津俊一君            鈴木善明君 参事(兼)総務課長   遠藤正則君---------------------------------------事務局職員出席者 事務局長       増子裕昭君   次長         山崎俊克君 参事(兼)総務議事課長 鈴木庄寿君   総務議事課主幹(兼)課長補佐                               大須賀俊雄君 主任主査(兼)議事運営係長            金山慶司君---------------------------------------          午前10時00分 開議 ○議長(菅波健君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、配付の議事日程第5号をもって進めます。--------------------------------------- △日程第1 市政一般に対する質問 △塩沢昭広君質問 ○議長(菅波健君) 日程第1、市政一般に対する質問を行います。5番塩沢昭広君。          〔5番塩沢昭広君第二演壇に登壇〕 ◆5番(塩沢昭広君) (拍手)おはようございます。5番いわき市議会公明党の塩沢昭広です。 早いもので、東日本大震災の発災から、あと10日で丸7年となります。復興期間10年間も残り3年。新たに発生したものも含め、まだまだ課題が山積していると捉えておりますが、その課題一つ一つに丁寧に答えを出しながらも、守るべきものをしっかりと守り、市民の皆様がさらに顔を上げて、日本全体の希望となっていけるような施策展開をしていくことが、これまで本市の復興に多大な支援をいただいた多くの皆様への恩返しであり、本市の使命としなければならないものと確信をしております。 本市の次の50年への原点となる3年間とできるよう、ともに懸命に取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 以下、通告順に従い一般質問を行います。 消防団の活動についてであります。 昨年の秋の褒章で、大久保克己消防団長が藍綬褒章を受章されましたこと、心からお喜び申し上げます。 褒章制度は、明治14年から約140年に及ぶ長い歴史と伝統を有し、憲法第7条で、内閣の助言と承認によって行われる天皇の国事行為に位置づけられ、国家・公共に対して功労のあった者に深く授与されるものとされております。 永年にわたり、消防防災活動に献身的に努力され、本市の消防発展に大きく寄与された大久保団長には、重ねて心よりお祝いを申し上げます。 さて、ここ最近、特に火災が多く発生しております。ことしに入ってから、誤報も含めた火災での出動が、きょうまでに30件近くなっておりまして、大変な状況ではないかと危惧をしております。 当然、早朝・深夜を問わず発生するため、対応される関係者の皆様、その中でもとりわけ、消防団の皆様には、ほかに自分の職業を持った方々が団員となっていただいている中で、自分たちの地域は自分たちで守るとの献身的なその取り組みで、地域の安全・安心を支えてくださっている姿に、深く感謝を申し上げるところであります。そこで以下、消防団の活動の状況等について伺ってまいります。 過去3年間の団員定数に対する充足率について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 過去3年間における消防団員の充足率につきましては、条例定数3,800人に対し、各年4月1日現在、平成27年は3,688人で97.1%、平成28年及び平成29年は、ともに3,605人で94.9%となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) 前回伺ったときより、大分減っているのかなという感じを受けております。 続きまして、過去3年間の活動団員数について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 過去3年間における活動団員数につきましては、火災や水害への出動、さらには各種訓練等に従事した延べ人数で申し上げますと、平成27年は4万2,674人、平成28年は4万7,127人、平成29年は3万8,915人となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、活動環境の充実等についてであります。 出動手当及び団員報酬について、まず、出動手当の状況について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 本市の出動手当につきましては、各種災害や訓練、研修等が対象であり、平成28年度で申し上げますと、年間1人当たり約1万3,000円となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、県内他市の出動手当の状況について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 県内他市の出動手当につきましては、平成28年度で申し上げますと、年間1人当たり福島市が約2,000円、郡山市が約5,000円となっております。 なお本市は、災害出動のほか、各種研修や式典などにつきましても出動手当が支給されますことから、両市と比較いたしまして、年間の支給額が上回っている状況にございます。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、出動手当の改定履歴について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 本市の出動手当の改定につきましては、平成元年以降、2回改定しており、現在の手当額は、平成9年4月1日に改定されたものでございます。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、団員報酬の本市の状況について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 本市の団員報酬につきましては、団員階級で申し上げますと、年額2万7,000円となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは同じく、団員報酬について、県内他市の状況について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 県内他市の団員報酬につきましては、同じく団員階級で申し上げますと、福島市が年額3万円、郡山市が3万5,500円となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、団員報酬の本市の改定履歴について伺います。
    ◎消防長(猪狩達朗君) 本市の団員報酬の改定につきましては、平成元年以降、4回改定しており、現在の報酬額は、平成9年4月1日に改定された額となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、出動手当及び団員報酬の今後の引き上げについて伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 本市の団員報酬につきましては、他市と比べますと下回っておりますが、出動手当の年間支給額が上回っておりますことから、年間総額にいたしますと、他市と大きな相違はございません。 しかしながら、出動手当及び団員報酬のいずれも、改定から20年以上経過しておりますことから、今後、国の動向や中核市等の状況について、調査してまいりたいと考えております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、団員が身につける装備品等の更新についてに移ります。 来年度の装備品等の更新について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 来年度の装備品等の更新につきましては、主なものといたしまして、団員の安全を確保するための保安帽を全団員分整備するほか、消防用ホースを70本購入する予定でございます。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、活動服の更新がされましたが、その状況について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 新型活動服の更新につきましては、平成27年度、平成28年度の2カ年で全団員分を整備いたしましたが、今年度の活動服の購入につきましては、新入団員分及びサイズの変更が生じた団員分といたしまして、追加整備を図ったもので、年度内には全ての団員へ整備が完了いたします。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、その他の装備品に対する今後の更新の考え方について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 装備品等の更新につきましては、経年劣化や活動による損傷など、使用に耐えられない場合には、団員からの申請により随時更新しているところであります。 また、装備の基準等の改正に伴う新型活動服などの消防団全体に係るものにつきましては、今後におきましても、必要性や有効性を検討し、計画的な更新に努めてまいる考えでございます。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、団員のオートマチック限定免許の限定解除について伺います。 出動や広報活動など、任務に使用される消防車両は現在、ほとんどがマニュアル車でありますが、最近の20代30代の方は、一般的にオートマチック限定免許を取得される傾向が強くなってきております。そのため、厚い志をもって新規に消防団に入団いただいた若い人が、消防車両を運転できないことがあるという事態が起きております。3年ほど前に、ある支団でオートマチック限定免許の保有者数を調査されたときは、約600名中3名だったと伺っておりますが、この割合が今後、次第に大きくなっていくことは想像に難くないことだと思います。 そこで、消防団車両のうち、オートマチック車の保有台数について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 消防団車両321台のうち、オートマチック車の保有台数は15台となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、団員の方がオートマチック限定解除をするときにかかる費用について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) オートマチック限定免許の限定解除につきましては、自動車教習所へ通う場合、技能教習を受講する必要があり、費用は5万円程度となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、オートマチック限定解除費用の支援について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) オートマチック限定解除費用の支援につきましては、団員の多くがオートマチック限定ではない普通免許を保有し、消防団車両の運用に支障がないことから、現在におきましては、支援は行っておりません。 しかしながら、今後、オートマチック限定免許保有者の割合がふえていくことも考えられますことから、その際には、適切な対応を検討してまいりたいと考えております。 ◆5番(塩沢昭広君) 例えば、対応策といたしまして、更新時にオートマチック車両に変えていくとしても、オートマチック車マニュアル車では1台当たり約60万円ほどの差があると伺っております。また、消防団車両は300台以上あるとのことで、老朽化の更新時に切りかえるとして、毎年3台ずつ更新したとしても、遠い先になってしまうことは否めません。若い団員さんの定着や活躍、そして若い新規入団者の増加の追い風となるよう、オートマチック限定解除費用の支援や、それにかわる対策など、解決策の検討をぜひよろしくお願いいたします。 続きまして、詰所改築の予定についてであります。 機械置き場兼団員詰所は、市内約350カ所ありまして、その老朽化等による改修・修繕は本市にとって大きな課題であると捉えております。 少しずつ予算もふやし、改築等を進められていることに敬意を表しますが、そこで、来年度の詰所改築の予定について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 消防団詰所の改築につきましては、平成30年度は、いわき市消防団施設整備計画によります老朽化が著しい詰所の改築が、泉町二丁目及び勿来町関田地内の2施設でございます。 また、道路拡張に伴い移転改築する小川町高萩地内の1施設を含め、計3施設を予定しております。 平成31年度以降におきましても、当該整備計画に基づき、老朽化の状況等を点数化した上で、優先度の高い順に整備を図ってまいる考えでございます。 ◆5番(塩沢昭広君) よろしくお願いいたします。 平成28年度より、新たな取り組みとして、消防団員による月1回の機械器具点検作業時に、災害弱者となってしまう可能性が高い高齢者のお宅を訪問する高齢者家庭巡回訪問を始められました。本当にすばらしい取り組みで評価をしておりますが、解決すべき課題も出てきていると伺っております。 そこで、高齢者家庭巡回訪問について、状況について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 高齢者家庭の巡回訪問につきましては、平成28年11月より開始しており、平成30年1月末現在、延べ893人の団員が実施しております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、その成果について、どのように捉えているか伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 高齢者家庭の巡回訪問につきましては、顔の見える関係であります地元消防団員が、安否確認や火の取り扱いの注意喚起を目的に訪問しておりますことから、高齢者の安全・安心の確保と火災予防につながっているものと考えております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、訪問を進める中で、苦情などを含めた課題について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 高齢者家庭の巡回訪問につきましては、開始当初、聞き取りや個別訪問に対し、消防団を装った不審者ではないかといった不安の声が市民から寄せられましたことから、事前の広報が不足していたものと認識しております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、今後の対応について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 高齢者家庭の巡回訪問につきましては、高齢者の安全・安心の確保と火災予防につながっているものと認識しておりますことから、今後におきましても、巡回訪問を継続してまいる考えであります。 ◆5番(塩沢昭広君) その他の活動環境の充実についてであります。 消防団員の負担軽減のために、さまざまな検討を行われていると伺っておりますが、その中の1つ、機能別消防団制度導入の検討状況について伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 機能別消防団制度につきましては、これまで消防団幹部による検討委員会により、導入の是非について検討を重ねたところでございます。 その結果、多くの団員がサラリーマンで日中不在の中、災害時、後方支援等の活動に制限される機能別消防団員よりも、第一線で活動できる基本団員が必要であると結論づけられましたことから、導入は見送られたところでございます。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、活動環境の充実についての今後の取り組みについて伺います。 ◎消防長(猪狩達朗君) 現在、地域ぐるみで消防団員を支援するためのいわき市消防団サポート事業の普及に努めながら、団員確保につなげているところでございますが、本市団員の8割以上がサラリーマンであることから、消防団活動を円滑に行うためには、勤務先の御理解と御協力が必要不可欠でございます。 このことから、今後におきましても、事業所に対する訪問活動を強化し、いわき市消防団協力事業所への加入促進を図り、消防団員の活動環境の充実強化に努めてまいりたいと考えております。 ◆5番(塩沢昭広君) なかなか消防団の皆様の御苦労が広く市民に伝わっていない、理解されていない状況であり、それがまた団員確保の課題にも少なからずつながっていると考えております。 私たちの日常生活を守ってくれている人、その人を支える御家族、そして、伝統的なとうとい取り組みを、市がさらにしっかりと守っていかなければ、消防団の皆様が果たしてくれているこの役割に支障が出るようになってくることもあり得るかと思います。例えば、課題解消策として言われております消防団活動の広報の充実については、最近、市のホームページで写真つきで活動が紹介されておりまして、すごく新鮮な嬉しい気持ちで見させていただいておりますが、現場に駆けつける消防団車両に記録用の簡易ビデオカメラを設置して撮影したものを紹介することや、消防団が中心となった防災フェアを行うなど、柔軟な施策が今こそ必要と考えます。どうかよろしくお願いいたします。 続きまして、海洋にかかわる施策についてであります。 歴史的な催し、第7回太平洋・島サミットが本市で開催されてから3年、本年再び、第8回のサミットが本市で開催されます。 太平洋・島サミットは、日本が太平洋島嶼国の国々との関係を強化する目的で、1997年に初めて開催され、以後3年ごとに日本で開催されております。太平洋島嶼国の国々は、国土が狭く、分散している国際市場から遠い、自然災害や気候変動等の環境変化に脆弱等の困難を抱えており、サミットでは、こうしたさまざまな課題について、ともに解決策を探り、地域の安定と繁栄を目指し、首脳レベルで議論を行っているとのことであり、前回の第7回では、防災・気候変動など、7つの分野で日本と太平洋島嶼国との協力強化を盛り込んだ首脳宣言、本市にとって歴史的な福島・いわき宣言も採択されたところであります。 こういった地球規模の視点に基づいたサミットが本市で行われることは、本市の未来に対して大きなメリットとなり得、グローバルな視点で物事を考えられる人材が育つ、大きな触発となるものと思います。ぜひ、なるべく多くの市民の皆様、特に多くの子供たちにかかわっていただけるよう、きめ細やかな御配慮をお願いしたいと思います。 さて、この冬の日本海沿岸地域の記録的な豪雪被害に遭われた方々、そして今もなお、御苦労をされている方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。 豪雪による福井県での車両の立ち往生が大きく注目されましたが、その近隣県のほか、新潟県や秋田県、北海道も大変な豪雪に苦しんでいると聞いております。過去最高に匹敵する累積降雪量で、今後、雪崩や家屋の倒壊、農業被害、かさんでいる除排雪費用など、被害の全体像が見えてくるのはこれからであり、またさらに被害が拡大する可能性のある雪解け時期も大変とのことで、大きな打撃が出るのではと危惧をしております。 言うまでもなく、地球は大変微妙な、奇跡的なバランスの上に今の状態が成り立っております。今回の豪雪も海流が大きく関係しているとの研究があります。 太平洋赤道付近で温められた海水が地球の自転と強い風によって西側へ、フィリピン方向へ流れ、フィリピン周辺の地形にぶつかることで大きく弧を描くように北側へ流れ込み、日本へ向かう黒潮となります。この黒潮は、日本列島の南岸を沿うように、房総半島方向へ時速7キロメートル程度で進みます。その流れは、まるで海の中に川が流れているようなものと言われ、夏で30度、冬でも20度になることもあるそうで、幅約100キロメートル、深さ約700メートル、1秒間に2,000万トンから5,000万トンという膨大な温かい海水が流れ込む世界最強の海流とも言われておりますが、ここ数カ月、この黒潮が紀伊半島付近から東側へと大きく蛇行をしております。この黒潮の大蛇行の時期と日本海沿岸地域の豪雪の時期が一致するそうであります。過去の例では、38豪雪、56豪雪、平成18年豪雪などが起きた頃に黒潮が大蛇行しており、過去の豪雪と比較するとそこまでではありませんでしたが、ペルー沖の海水温度が平年より0.5度程度低くなるラニーニャ現象と重なった本年は、特に雪が多くなったようであります。 この大蛇行が起きるタイミングでは、太平洋側の南岸低気圧の通り道が変化することに加え、黒潮が、九州の西から日本海側へ流れ込む対馬暖流の温度が高くなります。この対馬暖流は、日本海を日本列島に沿うように北海道方面へ流れ、津軽海峡から太平洋へ流れ込む津軽暖流と、そのまま北海道に沿うように北に流れ、宗谷海峡からオホーツク海に抜ける宗谷暖流などになるようでありますが、シベリア側から強く吹きつける冷たく乾燥した季節風は、この通常より温かい海流から大量の蒸気を供給されて多くの雲をつくり、奥羽山脈やアルプス山脈にぶつかる。これが多くの雪を降らせた要因と言われております。 御存じのとおり、黒潮は千葉県沖から東北沿岸で北から来る栄養豊富な親潮とぶつかり、世界三大漁場となる潮目の海を構成しますが、この潮目で親潮と黒潮が織りなす暖水塊という大きな温かい渦が起き、深さ1,000メートルにもなるため、海に沈んだ栄養分やプランクトンも巻き上げることで多種多様な魚などをおびき寄せて、大量の食物連鎖が起こり、豊かな漁場が形成されます。 この食物連鎖の基礎となる植物プランクトンは、近年少なくなっている良好な状態の落葉広葉樹林等の腐葉土や水田などからもミネラルとともに流れ出ますが、親潮が北から運んでくるものが多く、海中でミネラルを消費しながら光合成をし、大きく成長しながらエネルギーを生産します。 特に鉄分については、もともと海水中にはほとんど存在しないものですが、樺太の北側、ロシアのアムール川という湿原を通ってくる川から大量に流れ出る鉄分が、オホーツク海を西から東へ横断し、オホーツク海と太平洋の境界となっている千島列島の島々の間のほんの一部、海中で溝形に深く切れ込んでいるブッソル海峡というところを通って大量に太平洋側に流れ出てきて、親潮に乗り潮目の海まで流れてくるとのことであります。 本当に絶妙な、奇跡とも言える現象が世界三大漁場をつくり、本市の水産業の復興の希望、常磐ものが存在すると考えると、地球温暖化対策も含めたこの地球規模の絶妙なバランスを守り続ける世界的な取り組みは、本市にとっても欠かせないものと思います。 太平洋・島サミット世界水族館会議等がよき触発となり、地球のこのバランスを守るため、また、日本の文化・産業を守るために貢献できる人材が本市から多く輩出され続けるようになることを心から願い、以下、質問をいたします。 (1)の太平洋・島サミットについてであります。 前回のサミットでの本市のさまざまな取り組みが大変好評で、今回もいわきでというふうになったと聞いておりますが、かかわった子供たちの生の声を聞くためにアンケートをとったと伺っております。 この前回の一連の取り組みについてのアンケート、この内容について伺います。 ◎特定政策推進監(緑川伸幸君) 前回の第7回太平洋・島サミットにおきましては、市内の高校生42名によるいわき太平洋・島サミット2015応援隊を組織し、各種PR活動や歓迎行事に参画いただいたところでございます。 サミット閉会後、若い感性で捉えたサミットに対する意見の集約に向け、応援隊へのアンケートを実施いたしましたが、その多くは、応援隊での活動や取り組みを通じ、各国首脳の配偶者と触れ合えたこと、日本語が通じない方とのコミュニケーションが大変貴重な経験であり、今後の人生に有意義なものとなったことなどの御意見をいただいたところであります。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、前回の反省点を踏まえた今回の本市の取り組みについて伺います。 ◎市長(清水敏男君) 前回のサミットにおきましては、各国首脳を初め、多くの関係者の皆様への市を挙げた心からのおもてなしが高い評価を受けたところであり、そのことが本市における2回連続での開催につながったものと認識しております。 一方で、各国首脳等の要人警護の観点から、滞在中のプログラムを直前まで発表できないなど、市民の皆様への効果的な情報発信に至らなかった点などもございました。 今回のサミットにおきましても、情報の発表に関して一定の制限は想定されるものの、市といたしましては、できる限り市民の皆様に事前に情報を発信し、当日のお出迎え等に参画できるよう、県と連携を図りながら、国に働きかけてまいりたいと考えております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは続きまして、世界水族館会議にかかわる施策についてであります。 ことし11月に、アクアマリンふくしまを中心に第10回世界水族館会議が行われます。誘致や成功への取り組みにかかわる関係者の皆様に敬意を表し、御期待をするものでございますが、第10回世界水族館会議の概要について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 世界水族館会議は、世界中の水族館関係者が一堂に会し、施設運営、飼育技術、海洋保全などについての研究発表や情報交換を行い、相互の連携を促進することを目的として開催されるものであります。 第10回会議は、水の惑星・地球の未来について考えるをテーマに、アクアマリンふくしまが開催担当館となり、本年11月5日から10日までの6日間、小名浜魚市場を主会場として開催され、40カ国以上から約700人の参加者を見込んでいるとのことであります。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、この世界水族館会議にかかわる本市における関連イベントの取り組みについて伺います。 ◎市長(清水敏男君) 世界水族館会議は、世界各国、日本各地から多くの参加者が見込まれております。そのため、会場となるアクアマリンパークのにぎわい創出を図るための関連イベントといたしまして、アクアマリンふくしま、小名浜まちづくり市民会議及び県、市、関係団体が互いに協力しながら、会議参加者はもちろん市民の皆様にも楽しんでいただけるような歓迎イベントの開催に向け、現在、さまざまな検討を行っているところであります。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、関連イベント会議について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 関連イベントの実施に当たっては、アクアマリンふくしま、小名浜まちづくり市民会議を中心に、県、市、関係団体等が参加する第10回世界水族館会議関連イベント会議を設置し、イベントの企画・運営、会議参加者と市民の皆様との交流事業などについて検討しており、現在のところ、光・灯のイベント、食のイベントなどの提案がなされているところであります。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは続きまして、海洋教育にかかわる取り組みについてであります。 海洋教育こどもサミット等の誘致について伺います。 ◎教育部長(柳沼広美君) 海洋教育こどもサミットにつきましては、子供たちの海洋教育に対する意欲と学びの質の向上を図ることを目的とした意見交換や交流の場であり、海洋に関する教育の充実を図る上で効果的であると理解しております。 本市におきましては、これまで海洋にかかわる教育活動を進めてきた学校におきまして、東日本大震災の影響によるさまざまな環境の変化により、現在十分な取り組みができない現状にあります。 このような中、本年開催予定の世界水族館会議を好機と捉え、アクアマリンふくしまの見学体験学習や海上物流拠点としての小名浜港を素材とする学習などを通して、まずは、海洋に関する教育の素地づくりに意を用いてまいりたいと考えております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、海洋教育に関する都市宣言について伺います。 ◎教育部長(柳沼広美君) 本市は、古くから海とのつながりが深く、海にかかわる歴史や文化・産業が根づいており、海洋に関する教育に取り組むことは重要であると考えております。 しかしながら、震災により津波等の大きな被害を受けた児童・生徒の心情に配慮することはもとより、沿岸部において安全に学習活動ができるかどうかを十分に見きわめるなど、各学校において、海洋にかかわる特色ある教育活動が展開できる状況を適切に判断していくことが大切であると考えております。 あわせて市民の機運醸成を図ることも必要でありますことから、海洋教育に関する都市宣言を行うことにつきましては、これらの状況を踏まえ、検討していくべきものと考えております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは市長にお伺いいたします。 世界水族館会議等にあわせて、本市独自で関係団体のプログラムを活用することなども含めて、海洋教育に対する新たな取り組みを行うべき、ことしはそのときと考えております。御所見を伺います。 ◎教育長(吉田尚君) 海洋教育に関する新たな取り組みということでございますので、私のほうから質問に答えさせていただきます。 先ほど部長からも答弁いたしましたが、議員御指摘のとおり、本市は太古の昔から海とのつながりが深く、海にかかわる人々の営みが育んできた文化や産業が根づいており、海洋にかかわる教育に取り組むことは、とても大切なことだと認識しております。 震災以前は、海岸域にある学校では、全校児童で近くの海水浴場に出かけ、砂の芸術祭と題して、学級で力を合わせて、砂浜で造形物をつくって互いに競い合ったり、定期的に海岸清掃などに取り組むボランティア活動、さらには生活科や理科などを通して、磯遊びをしながら海洋生物を観察する活動、または港を題材とした写生会など、多くの学校が海に親しむ特色ある活動を行ってきたところでございます。 しかしながら、東日本大震災等により環境が一変してしまいました。長期間にわたる防潮堤や防災緑地等整備の工事、ようやく完成には近づいてきておりますが、以前の状況とは大きく様相が変わってきております。 また、津波被災を受けた子供たちの心のケアについては、まだまだしっかりと取り組んでいかなければならないと考え、現在、県配置のスクールカウンセラーに加えて、市独自にも配置を行いながら、きめ細かな対応を図っている状況にございます。各学校においても、自校の海岸域が安全に教育活動を進める環境にあるのか、子供たちの心の状態は大丈夫なのか等を十分に見きわめながら、震災前のような海にかかわる特色ある教育的活動の実施については、慎重に対応すべきと考えているのが現状でございます。 一方で、本年は第8回の太平洋・島サミットや、第10回の世界水族館会議が本市において開催される絶好の機会でもありますので、それらの会議にかかわって検討されているイベント等に多くの子供たちが参加できるよう各学校に働きかけ、改めて海洋教育に関する推進のための素地づくりに取り組んでいきたいと考えておりますので、御理解を賜りたいと考えております。 ◆5番(塩沢昭広君) どうぞよろしくお願いいたします。 続きまして、市民活動団体への支援についてであります。 まず、アといたしまして、まち・未来創造支援事業の概要について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) まち・未来創造支援事業は、地域課題の解決や市民サービスの向上を図るため、非営利かつ公益的な活動を行う市民活動団体が社会貢献活動を行う場合に、一定の条件のもとで補助金を交付するものであります。 補助の種類といたしましては、まちづくり活動にかかわるスタートアップ支援事業、ソフト支援事業、ハード支援事業、グレードアップ支援事業のほか、NPO法人設立支援事業の5つとなっております。 具体的な補助率等につきまして、最も申請件数の多いソフト支援事業で申し上げますと、補助率が3分の2以内、補助限度額が100万円、補助回数が3回以内となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、この事業の今年度の補助実績について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 今年度の実績につきましては、スタートアップ支援事業が2件で35万円、ソフト支援事業が39件で3,162万9,000円、ハード支援事業が2件で895万円、グレードアップ支援事業が6件で647万円、NPO法人設立支援事業が3件で60万円、合計で52件で4,799万9,000円となっております。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、次に移ります。 全国コットンサミットin福島いわきについてであります。 まず、概要について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 全国コットンサミットは、国内で綿花栽培を行っている団体等が一堂に会し、技術・知識習得や国内製綿花の普及、事業継続といった共通の課題解決に向け、セミナーや研修会等を行うもので、平成23年度以降6回にわたり開催されております。 こうした中、本市に拠点を有する特定非営利活動法人ザ・ピープル、及びいわきおてんとSUN企業組合が浜通り地域を中心として展開しているふくしまオーガニックコットンプロジェクトが、全国コットン協会が実施するオーガニックコットンアワードの大賞に選定されたことなどを踏まえ、平成30年度、本市において全国コットンサミットin福島いわきを開催することになったものであります。 具体的には、本年10月上旬に県内各所で関連する展示会や体験会、見学会等を行うとともに、本市の産業創造館において、講演会や全体会議を行う予定となっており、現在、その詳細について、関係団体等で構成する実行委員会で検討を進めている状況であります。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、このサミットに対する市のサポート体制について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) ふくしまオーガニックコットンプロジェクトの活動は、さまざまな地域の課題を、ビジネスの視点を取り入れて解決しようとするソーシャルビジネスのモデル的な取り組みであるほか、農商工連携の側面も有していると認識しており、市といたしましても、さまざまな手法で支援してまいる考えであります。 そのため、全国コットンサミットin福島いわきにつきましても、実行委員会に市も参画し、その成功に向けて協働で取り組んでいるところであります。 ◆5番(塩沢昭広君) それでは、今回のサミットの本市の捉え方について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 市といたしましては、今回のサミットを契機に特定非営利活動法人の方や市民の方などを中心に、ソーシャルビジネスに取り組もうとする機運や創業しようとする意識が高まり、新たなビジネスの担い手となる産業人材の育成や確保につながるものと期待しております。 また、全国各地の多くの方がおいでになることで、被災地の現状等を広く情報発信することが可能となり、風評払拭等につながるものと期待しております。 ◆5番(塩沢昭広君) 今後の継続的な支援などについて伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 本市におきましては、いわき産学官ネットワーク協会と連携し、創業や起業に対する支援を初め、新たな商品・技術の開発、販路開拓に対する支援を事業の段階に応じて実施しており、ふくしまオーガニックコットンプロジェクトを初め、ソーシャルビジネスの取り組みにつきましても、こうしたさまざまな支援制度を活用し、積極的に支援してまいる考えであります。 ○議長(菅波健君) ここで、午前10時50分まで休憩いたします。          午前10時41分 休憩---------------------------------------          午前10時50分 再開 △渡辺博之君質問 ○議長(菅波健君) 休憩前に引き続き会議を開きます。21番渡辺博之君。          〔21番渡辺博之君第二演壇に登壇〕 ◆21番(渡辺博之君) (拍手)21番日本共産党いわき市議団の渡辺博之です。 きょうは3月1日ビキニデーです。64年前にアメリカがビキニ環礁で行った水爆実験で多くの船や現地住民が被曝しました。第五福竜丸の久保山愛吉さんは死の灰を浴び、原水爆で死ぬのは私を最後にしてほしいと言って、半年後に亡くなりました。 一方、震災後、福島県を最後にしてほしいと願っているのが原発事故です。そのためには、原発をゼロにするしかありません。 震災から7年になろうとしていますが、津波被災地では、区画整理した土地に家が建ち始まっているものの、土地の引き渡しも全部は終わっていません。復興にはまだまだ時間がかかると思います。 そうした中で、被災者の生活基盤となっている住居、災害公営住宅の家賃についてまず質問します。 昨年12月議会で、市独自の災害公営住宅の家賃減免制度の充実を求める請願が採択され、また、吉田実貴人議員、坂本康一議員が一般質問いたしました。災害公営住宅では、収入が基準よりも多い世帯では3年以上経過すると、明け渡しの努力義務が課せられ、それに応じないと、近傍同種家賃という名の割り増し家賃になってしまうという問題があります。 まず、伺いますけれども、市の災害公営住宅での近傍同種家賃で最も高いのは幾らでしょうか伺います。 ◎土木部長(上遠野裕之君) 災害公営住宅における最も高い近傍同種家賃の団地名及び金額につきましては、平成30年度においては、久之浜東団地の戸建て住宅3LDKの間取りで17万7,400円となっております。 なお、本年1月末現在、当該住宅に居住する収入超過者の収入基準を満たす世帯は2世帯で、平成31年度に収入超過者に認定される見込みでございます。 ◆21番(渡辺博之君) 約18万円です。調べてみましたけれども、これほど高い家賃の賃貸住宅はいわき市にはありませんでした。そもそも、震災後工事単価が高くなり、その分も家賃に反映されているので、びっくりするほどの18万円という家賃にもなってしまうわけです。これはまさに、追い出すための家賃と言われても仕方がないと思います。 次に、ことし1月に公表した減免制度の拡充の施策の内容について伺います。 ◎土木部長(上遠野裕之君) 減免制度の拡充の内容につきましては、本市において、本年4月から収入超過者と認定される方がおりますが、市独自の家賃減免制度の対象外となることに加えまして、収入に応じた割り増し家賃をお支払いいただくこととなり、家賃が大幅に上昇しますことから、復興・創生期間である平成32度までに収入超過者と認定される方に対しまして、民間賃貸住宅の家賃相当額である近傍同種家賃への引き上げ期間を、本制度拡充により、階層ごとに1年から2年延長しまして、現行制度の各年における割り増し後の家賃を減額する激変緩和措置を講ずるものでございます。 ◆21番(渡辺博之君) 近傍同種家賃へ段階的に引き上げていく時期を1年ほど先送りした後に、大幅に値上げしていくということでありますけれども、基本的に大幅に値上げしていくということには変わりなくて、根本的な対策にはなっていないというのがいわき市の施策だと言えます。 では、次に伺います。昨年12月議会で、坂本康一議員の、収入超過者については本来家賃から減額するのですかという質問に、土木部長はこう答えました。収入超過者につきましては、今後、生活の実態、収入の状況、世帯の構成の状況などを精査して、検討して判断したいと考えております。こう答弁したわけです。しかし、1月に公表された施策では、本来家賃の減額はありませんでした。 精査するとした3つの事項のうち、収入の状況や世帯の構成の状況は、各世帯の家賃額を決定するためにも報告を受けていると思います。 そこで伺いますが、生活の実態は12月議会以降にどのように把握し、家賃の減額について検討したのか伺います。 ◎土木部長(上遠野裕之君) 収入超過者の生活実態の把握につきましては、預貯金などの資産や家計収支などの状況など、プライベートに関するものについては、実態の把握やその分析が難しいことから、減免制度の拡充の見直しに当たり、反映させることが困難と判断したものであり、翌年度の家賃算定のために提出を受けている市営住宅入居者収入申告書等により、世帯全員の収入状況や世帯構成、世帯員の障がい者の有無などを把握し、制度拡充の検討を行ったところでございます。 なお、収入超過者に認定された方に対し、本年2月下旬に収入超過者認定通知書を送付し、翌年度の家賃をお知らせしておりますが、翌年度の家賃に関する異議申し立て期間を1カ月間設け、入居者からの申し立てにより、解雇や退職などによる収入が減少し、収入超過者の収入基準に満たない場合は、収入超過者の認定を取り消すとともに、収入額に応じた家賃に見直すこととしております。 ◆21番(渡辺博之君) 12月議会では、生活の実態について精査する、詳しく調査すると言ったにもかかわらず、やっていないという答弁でありました。 そこで、生活実態について、幾つか事例を挙げたいと思います。 1月28日に議員有志で開催した住民との意見交換会では、ある居住者はこう訴えました。収入超過なので退去の努力義務があると言われました。家賃が12万円に上がると、とても住み続けられなくなります。引っ越さなければならなくなりますが、近くに適当なアパートがなくて、小学生の子供は転校することになってしまいます。こう言うんです。子供にもつらい思いをさせることになります。 そこで伺いますが、このような方に市はどのように対応するのでしょうか伺います。 ◎土木部長(上遠野裕之君) 収入超過者の退去の努力義務により、小学校の子供が転校することになってしまうと訴える入居者への対応につきましては、本年1月末現在、平成30年度に収入超過者と見込まれる86世帯のうち、小・中学校のお子さんがいらっしゃる世帯が6世帯でありますが、収入超過者の退去の努力義務は、今後、すぐに住宅を明け渡さなければならなくなるものではなく、公営住宅法に基づく応能性による入居者の収入に応じた家賃を負担していただくことにより継続居住は可能でございます。 しかし、収入超過者に認定されますと、市独自の家賃減免制度の対象外となることに加えまして、収入に応じた割り増し家賃をお支払いいただくこととなり、家賃が大幅に上昇しますことから、現行制度の各年における割り増し後の家賃を減額する激変緩和措置を講ずることとしたところでございますので、本制度における激変緩和の期間中において、再度、生活の再建について御検討いただきたいと存じます。 ◆21番(渡辺博之君) 小学生ですから、中学を卒業するまでに激変緩和措置の期間も終わってしまうと思うんです。しかもこの方は、親がいて介護にも非常にお金がかかるということを言っていました。全く生活の実態について寄り添っていないと言えると思います。 では、別な事例です。本来家賃が6万円ほどのある方はこう訴えていました。収入は基準を超えているが、老夫婦だけで家を再建することはできない。せっかく団地の生活になれてきたけれども、近傍同種の家賃が月10万円にもなれば住み続けることはできない。アパートに引っ越すのは、精神的にも負担が重いと言うわけです。津波で家を失った高齢者に、再び精神的に重い負担を強いることになってしまいます。 伺いますが、このような方に市はどのように対応するのでしょうか伺います。 ◎土木部長(上遠野裕之君) 収入超過となる老夫婦が、自宅の再建の意思がなく、かつ、引っ越しに対しましても精神的に負担が重いと訴える入居者に対しましては、本年1月末現在、平成30年度に収入超過者と見込まれる86世帯のうち、65歳以上の夫婦の世帯が3世帯いらっしゃいますが、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、今後すぐに住宅を明け渡さなければならないものではございませんので、本制度における激変緩和の期間中において、再度、生活の再建について御検討いただきたいと考えております。 ◆21番(渡辺博之君) すぐに明け渡すのものではないと言いますけれども、結局は明け渡すことになってしまうわけです。全然やっぱり寄り添っていないと言えると思います。この2つの事例は決して特殊な事例ではないと思います。引き上げは先送りされましたけれども、結局高い家賃のために引っ越さざるを得なくなるという実態であります。 生活の実態の調査もせずに、十分な対策を講じないというのは、余りにも冷たいと言えるのではないかと、私は思うわけであります。住民との意見交換会で、被災者の生活実態を調査しているいわき明星大学の高木准教授は指摘しました。そもそも被災者にとって住宅自体が高価な買い物であることを考えると、入居者一人一人の生活状況を調査し、合理的配慮がなされるべきではないかと指摘したわけです。 伺いますが、この指摘をどう受けとめますか。 ◎土木部長(上遠野裕之君) 入居者の生活状況を調査し、合理的配慮がなされるべきとの指摘につきましては、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、預貯金などの資産や家計収支の状況など、プライベートなものに関しての把握は困難でありまして、市営住宅入居者収入申告書等により世帯全員の収入状況や世帯の構成、世帯員の障がい者の有無などを把握するとともに、災害公営住宅の管理開始から5年間における現行の市独自の家賃減免制度や、今回の本制度の拡充、さらには、津波被災地での住宅再建に際し、借り入れ利息を補助する津波被災住宅再建事業や、住宅が全壊するなどの被害を受けた世帯に支援金を支給する被災者生活再建支援制度など、さまざまな支援策を講じてきているところでございます。 ◆21番(渡辺博之君) やはり寄り添ったものになっていないなと、非常に感じるところです。 また、この高木准教授は、このように指摘しています。住宅再建を断念した世帯が所得制限で団地を出て行かざるを得なくなると、被災地外のアパートなどへ流出する可能性があり、被災地のコミュニティーが低下するおそれがある。こう指摘したわけです。 伺いますが、この指摘をどのように受けとめるでしょうか。 ◎土木部長(上遠野裕之君) 団地を退去せざるを得ない世帯が被災地以外のアパートなどへ流出し、被災地のコミュニティーが低下する危惧があるとの御指摘につきましては、収入超過者の家賃の問題だけではなく、震災から7年が経過し、自宅の再建など、さまざまな理由による退去により、入居者が減少し、空き家が発生することが懸念されるため、団地内のコミュニティー維持の観点などから、退去が進んでいる一部の団地の空き室を対象に、平成30年秋ごろの一般市営住宅化を検討しているところでございます。 ◆21番(渡辺博之君) 空き室に一般の人を入れるということですけれども、全然答弁になっていませんよ。せっかく被災地に戻ってきた人が被災地ではないところのアパートに引っ越す、それによってコミュニティーが壊れると指摘しているんです。全く向き合っていないと言わざるを得ないと思います。 先ほど紹介した事例に対しても、また、高木准教授の指摘に対しても、被災者に寄り添う姿勢が感じられません。執行部は、生活実態を調査していないだけではなく、調査をしてきた専門家の指摘にも耳を傾けていないと言わざるを得ません。 また、高木准教授は、年金暮らしの方について、このように指摘しています。収入が少ない高齢者が生活できてきたのは、持ち家に住んでいたからです。災害公営住宅では家賃や共益費が発生しているので、生活が圧迫されていると指摘しています。災害公営住宅は、新しいがゆえに家賃が高いので、収入が少ない世帯に対しても負担を減らす施策が必要だと思います。 今、ほかの市や町では、災害公営住宅の家賃について、さまざまな減免制度がつくられています。相馬市では収入が基準を超える世帯であっても、ずっと近傍同種の家賃にしないという施策がなされています。この相馬市については、該当するのが5世帯しかいないからできるのだと勘違いしている方がいらっしゃるようですのであえて言いますが、相馬市では、今年度は最初にできた80世帯のうち5世帯が収入超過ということで該当しましたけれども、来年度は数十世帯が該当するそうです。決して少ないからできたわけではありません。 また、宮城県では、災害公営住宅が最も多い石巻市では、近傍同種家賃への値上げは5年間先送りして、その後、段階的に引き上げるそうです。 また、岩手県では近傍同種家賃を県内で最も安い金額に合わせ7万7,000円を上限としました。そして、その岩手県内の大槌町では、この上限額の設定のほかに、収入基準を引き上げて、基準を超える世帯を減らすことを検討しているそうです。そのほかこの大槌町では、家を再建する人には、町独自に230万円を上限に補助金を出して、家の再建を支援しているわけです。 このように、被災地の自治体と比較しますと、本市の対策は極めて不十分だと言わざるを得ません。 伺いますが、本市も被災者に対してはずっと近傍同種家賃にしないなどと、抜本的に家賃の減免制度を充実するべきではないでしょうか伺います。 ◎土木部長(上遠野裕之君) 抜本的に家賃の減免制度を拡充する考えにつきましては、公営住宅法では、入居者は収入に応じた家賃を負担することが基本とされておりますが、一方、収入超過者も被災者であり、家賃の大幅な上昇による自立再建に与える影響が懸念されますことから、収入超過者に対する減免制度の拡充を図り、激変緩和措置を講じたところでございます。 本市は、早期生活再建に向けて独自減免制度をいち早く立ち上げていることや、岩手県の沿岸部などの津波被災自治体に比べ、震災復興土地区画整理事業の宅地引き渡しがほぼ完了し、復興が進んでいる状況であること、また、減免を受けていない民間賃貸住宅や一般の市営住宅に入居している方との公平性を確保する必要があることなどから、さらなる減免制度の拡充は困難なものと考えております。 ◆21番(渡辺博之君) 一般市営住宅に入居している方との公平性といいますけれども、公平とは一体なんでしょうか。津波で家を失った方と、もともとずっと市営住宅に住みたいという人を公平とか同じ並びで見ること自体が非常に間違っていると私は思うわけです。 次に、いわき市市営住宅管理基金についての質問に移ります。 本市では、災害公営住宅で、近傍同種の家賃への引き上げを1年先送りしたために、市の財政に3,000万円の影響が出るかのように勘違いしている方がいるようなので、あえてこの質問をいたします。 伺いますが、いわき市市営住宅管理基金に来年度は16億5,000万円積み立てる予算案になっていますが、この財源はどのように措置されるのでしょうか伺います。 ◎土木部長(上遠野裕之君) 市営住宅管理基金の積立金の財源につきましては、災害公営住宅に係る公営住宅使用料や災害公営住宅家賃低廉化事業と、東日本大震災特別家賃低減事業に係る東日本大震災復興交付金及び震災復興特別交付税等の歳入から、災害公営住宅に係る住宅管理費や、起債の償還等の歳出を除いた分を財源としておりますが、市営住宅管理基金につきましては、いわき市市営住宅管理基金条例に基づき、市営住宅等の今後の維持管理に要する経費や、市営住宅等の整備に係る市債の償還の財源とするため、設置するものであり、その趣旨を御理解くださるようお願い申し上げます。 ◆21番(渡辺博之君) 16億5,000万円の内訳を聞いたわけですけれども、要は家賃収入、あるいは国からのお金といったもので維持補修に使って、その余った分を積み立てるということで、いわゆる市からの持ち出しはないということでありました。 繰り返しますが、本市の施策はほかの自治体よりも劣っています。そして、減免をさらに充実させても市の財政に当面影響を及ぼしません。 そもそも、災害公営住宅の家賃は、新しいがゆえに、また、震災後、工事単価が上がったゆえに高くなっています。収入が基準を超える世帯に対しても、超えない世帯に対しても、災害公営住宅の家賃を引き下げる抜本的な施策を行うべきです。このことを強く求めて、次の質問に移ります。 次の質問は、徴税についてです。 税金を徴収することは、市の財源を確保するために非常に重要な仕事です。しかし、それが市民の生活を追い詰めるようなことがあってはならないと思うわけです。 私は、平成18年9月議会で、出産育児一時金支給金が差し押さえられた問題を取り上げました。その女性は、結婚する前の夫が滞納した税金を約束どおり毎月納めていたにもかかわらず差し押さえられたのでした。本来、出産育児一時支給金は差し押さえてはならないものですが、市は、口座に入ればほかのお金と違いはないという考え方で、振り込まれるや否やその一部を差し押さえたのでした。その方は、出産にかかった費用を払うことができなくなり、家庭生活が破綻してしまいました。 その後、鳥取県での裁判で、このような差し押さえは違法という判決が出ました。本市がやってきたことは違法だったわけです。 さらに、平成27年6月議会では、国保税を滞納し、資格証になっている方が病院に行きたいと言っても、保険証を交付されなかったという問題を取り上げました。これは市民の健康を損ねかねないものであると同時に、議会での答弁と異なる対応をしていたという問題でもありました。その後改善されましたけれども、本市においても、このように市民の生活や健康を破壊しかねない行き過ぎた差し押さえや対応がなされる事例があり、私はしっかり監視しなければならないと思っております。 本市は、自主的な納税が期待できない場合には、滞納処分を中心にすると平成24年から方針を転換しており、差し押さえに力点を置いています。 そこでまず、差し押さえ件数はどのように推移しているのか伺います。 ◎財政部長(伊藤章司君) 差し押さえ件数の推移につきましては、平成24年度1,608件、平成25年度2,090件、平成26年度3,693件、平成27年度3,306件、平成28年度4,337件、平成29年度は、平成30年1月末現在で3,678件となっております。 ◆21番(渡辺博之君) やはり平成24年度以降、増加傾向にあると思います。 ことし2月1日の参議院予算委員会で、日本共産党の倉林明子議員の質問に対して、安倍首相はこのように答えました。差し押さえによって生活が極めて困難にならないよう、各市町村の判断により差し押さえの対象としないことができる仕組みがある。各市町村に周知を図りたいと安倍首相は答弁したわけです。 伺いますが、差し押さえによって、市民の生活が極めて困難にならないようにしなければならないという考え方は、いわき市も同じでしょうか伺います。 ◎財政部長(伊藤章司君) 差し押さえにつきましては、地方税法第331条等の徴税吏員は、滞納者の財産を差し押さえなければならないとの規定に基づいて行うこととなります。 議員おただしの件でございますが、総務省からの通知等によれば、悪質な滞納者に対しては、厳正に対処する必要がある一方で、地方税法では、滞納処分をすることにより生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、その執行を停止することができることとされていることを踏まえ、各地方公共団体においては、滞納者の個別・具体的な実情を把握した上で、適正な執行に努めることとされております。 このため、本市においても、差し押さえにより生活が極めて困難になるものと判断されるときは、収入状況や、その他財産などを調査いたしまして、地方税法第15条の7に該当する事実があると認めるときは、地方団体の長は、滞納処分の執行を停止することができるとされておりますことから、滞納者の実情を的確に把握し、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆21番(渡辺博之君) そうはおっしゃいますけれども、しかし現場では、生活を極めて困難にさせるような差し押さえがなされています。 事例を挙げます。商売をしているある方は、売掛金を差し押さえられました。この方は税の申告で経費を十分に計上していなかったため、必要以上に重い税金の負担になっていました。例えば、サラリーマンなどの給料を差し押さえるときには、4人家族の場合は23万5,000円が生活費分として、差し押さえをしてはいけない金額になっています。 しかし、この方は、市に相談に行きましたけれども、生活費や材料の仕入れなどの費用は差し押さえから除外されませんでした。具体的な金額を示しながら、これでは生活できない、差し押さえを解除してほしいと言うと、市は、差し押さえは解除しません、自己責任ですと答えたわけです。これは私も立ち会って、隣で聞いているわけです。 そこで伺いますが、差し押さえで生活を困窮させているこのような事例を、市長はどのようにお考えでしょうか伺います。 ◎財政部長(伊藤章司君) 個別の案件についての答弁は控えさせていただきますが、一般的には、納税通知書や督促状、催告書などが送付されたにもかかわらず、納税がなく、電話や窓口での相談もない場合に、財産調査を行うとともに、滞納者の生活実態を把握した上で差し押さえを実施しております。 なお、売掛金につきましては、法令に規定する差し押さえ禁止財産ではないとされているところでございます。 納税は国民の義務でございます。納期内に納められた納税者との公平性を担保する観点から、法令に基づく適正な滞納処分を実施する一方、滞納処分をすることができる財産がないとき、滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき等、地方税法の規定に基づきまして、滞納処分の停止等の納税緩和措置を講じてまいりたいと考えております。 ◆21番(渡辺博之君) 部長、個別の事例には答えるものではないと言いますけれども、差し押さえ一個一個は個別なんですよ。これに答えることができないで、きちんとやっているとか適正にやっているなんてことは言えないんですよ。しっかりと、やったことが問題であるということを認めるべきです。 大阪社会保障推進協議会は、差し押さえ件数を滞納世帯で除した割合を差し押さえ率として、全国市町村国保差し押さえランキングを出しています。この協議会が弁護士とともに法律を自治体に守らせる運動をしてきた結果、大阪府内の差し押さえ率は3.1%と低い水準になりました。 これに対して、平成26年度の本市の差し押さえ率は28.7%で、1,517市町村の中で264位、上位6分の1に入ります。本市の差し押さえ率が極めて高いことから、先ほどの事例は氷山の一角ではないかと思うわけであります。 4月から国保税の徴収率アップに応じて、政府が市町村への交付金を上乗せする保険者努力支援制度が始まり、さらに差し押さえの強化が懸念されます。徴税は独自財源を確保する大切な業務ではありますが、差し押さえによって生活が極めて困難にならないよう、十分に注意するよう強く求めて次の質問に移ります。 次に、行政情報の公開についての質問です。 国会でも、行政情報の問題が噴出しています。南スーダンでの自衛隊の日報や、森友学園での土地売却に係る協議の記録は、行政に不都合な情報であるから隠蔽しようとしていたのではないかと疑われています。 一方、本市でも、いわきコールセンターの委託事業で、議会での答弁と異なる対応をしたことを記す文書が、紙の文書もパソコンでの記録も保存期間中であるにもかかわらず、全て処分されていました。 本市の情報公開条例の第一条には、市の機関の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにすること、市民の的確な理解と批判のもとにある公正で民主的な市政の推進に資することと目的が記されています。行政にとって都合の悪いものは情報を公開しない、あるいは処分してしまうということは、この目的から考えても許されるものではありません。 私は、平成26年11月議会で、各部局からの職員増員要望数について質問しましたが、執行部は数値を示しませんでした。また、就学援助の所得基準について高橋明子元議員が何度も質問しましたが、やはり執行部は基準となる係数を示しませんでした。 私がこれらについて、情報開示請求すると、執行部は、開示すると混乱が生じるおそれがある、行政に不当な圧力がかけられるおそれがある、意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとして不開示としました。 これに対して、私が不服申し立てをしたところ、行政不服審査会などは、執行部が不開示とした理由は認められないとして、いずれも当該部分を開示すべきという答申を出しました。 いわき市情報公開条例の第7条第6号で不開示情報としているのは、開示すると国などと率直な意見交換ができなくなるもの、あるいは意思決定の中立性を損なうもの、また、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれのあるものなどとしています。 伺いますが、このことについて、本市の情報公開事務の手引の運用ではどのように記されているでしょうか伺います。 ◎総務部長(岡田正彦君) 市情報公開条例第7条第6号の運用におきましては、市の施策について意思形成過程にある情報を市民に明らかにすることは、本条例が目的とする市の機関の諸活動を市民に説明する責務を全うすることや、市民の的確な批判のもとにある公正で民主的な市政の推進を実現するために極めて重要な意義を有するものであること等を踏まえた上で、意思形成過程にある情報を市民に明らかにする公益性を考慮してもなお、開示をすることにより生ずる支障が看過できない程度に大きい場合に限定して、不開示情報に該当するとしているところであります。 ◆21番(渡辺博之君) では、次です。いわき市情報公開条例の第7条第7号で不開示情報としているのは、開示すると市の事務や事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものとしています。 伺いますが、このことについて、市の情報公開事務の手引の運用ではどのように記されているでしょうか。 ◎総務部長(岡田正彦君) 同条例7条第7号の運用におきましては、市の機関が所掌する事務または事業に関する情報を市民に明らかにすることは、本条例が目的とする市の機関の諸活動を市民に説明する責務を全うするために極めて重要な意義を有するものであることを踏まえ、開示をすることによる支障の程度が名目的ではなく実質的なものであり、また、おそれの程度についても、単なる可能性でなく、保護に値する蓋然性がある場合に限定して、不開示情報に該当するとしているところであります。 ◆21番(渡辺博之君) 今答弁なされたように、情報公開事務の手引では、不開示の条件をむやみに広げてはならない、限定するようにと記されているわけです。ところが、先に示した2つの事例は、この考え方が徹底されずに不開示となったわけであります。 伺いますが、今の答弁のような考え方について各部局に徹底させるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎総務部長(岡田正彦君) 市情報公開条例に基づく事務に関しましては、同条例の逐条解説として、その趣旨、解釈、運用などを盛り込んだ情報公開事務の手引、これを作成しており、職員ポータルを利用して全庁的な周知を行うとともに、常時、職員が活用できるようにしております。 また、監督者研修のカリキュラムの中で、文書取扱責任者となる新任の課長補佐職に対して、情報公開制度及び個人情報保護制度についての研修を行っているところであります。 今後におきましても、市政運営の公開性の向上を図るため、研修機会の拡充や情報公開事務の手引の活用等を通して、制度の趣旨や条例解釈の考え方、速やかな事務手続の遂行等の徹底を図り、原則公開の精神のもと、情報公開制度の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。 ◆21番(渡辺博之君) ぜひ、徹底していただきたいと思います。それと同時に、保存すべき文書を処分するなどということは断じて許されないことでありますので、この点についてもやはり徹底していただきたいと思います。 次に、速やかな手続の実施についての質問です。 情報公開で不開示となった情報に対して不服申し立てをした場合には、行政不服審査会に諮られ、答申が出るまでに1年近くかかります。行政不服審査会は外部の有識者などが委員を務めており、何度も審査しますのである程度時間を要するのは仕方ないことと思います。 しかし、私は審査会から提出された処理経過の一覧表を見て驚きました。私が不服申し立てをしてから執行部が審査会に諮問するまでの期間が半年以上のケースもあったわけです。また、行政不服審査会が開示すべきと答申を出してから、実際に開示されるまで1カ月半も要したケースもありました。 このように、執行部のところで非常に時間を費やしているというのが現状であります。情報公開は、請求されてから速やかに公開するのが基本です。これでは、市民への説明責任が果たされているとは言い難いと思います。 伺いますが、審査請求の手続などを速やかに行うよう改善すべきではないでしょうか伺います。 ◎総務部長(岡田正彦君) 行政情報の開示決定処分に係る審査請求に関する事務処理について、まず御説明させていただきますと、情報開示の実施機関において審査請求を受理した後、審査請求書の審査及び内容の検討を行った上で、当該審査請求の却下または認容を行う場合を除き、いわき市行政不服審査会に対し諮問を行い、同審査会における調査審議を経て答申が行われ、その内容を踏まえ、実施機関において裁決を行うこととなります。 これら一連の事務処理につきましては、市情報公開条例第15条において、開示等決定に対し審査請求があった場合には、遅滞なく、当該審査請求に対する裁決をしなければならないと規定されておりますことから、各実施機関において、できる限り早期に事務を進めるよう周知徹底を図るなど、適正な運用に努めてまいります。 ◆21番(渡辺博之君) やはりこの情報公開というものは、民主主義の基本だと思うんです。ですから、情報公開の目的を十分に各部局に周知徹底するよう重ねてお願いしまして私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(菅波健君) ここで、午後1時まで休憩いたします。          午前11時29分 休憩---------------------------------------          午後1時00分 再開 △山守章二君質問 ○副議長(蛭田源治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。4番山守章二君。          〔4番山守章二君第二演壇に登壇〕 ◆4番(山守章二君) (拍手)4番いわき市議会志帥会の山守章二です。 以下、通告順に従い一般質問をいたします。 大きな質問の1番目は、地域医療の充実についてです。 我が国では、少子・高齢化により人口の構造が変化し、平成37年には、いわゆる団塊の世代が全て75歳以上となる超高齢化社会となり、医療・介護の需要が増大すると言われております。また、総人口の減少により、生産年齢人口の減少が見込まれ、医療・介護分野における人材不足が深刻化することが危惧されます。こうした医療を取り巻く状況が予測される中、我がいわき市におきましても、地域の限られた医療・介護の資源を有効に活用して、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域における医療・介護の確保を推進することが大変重要になってまいります。 そこで、1点目は新病院の医療体制についてです。 総合磐城共立病院におきましては、本年12月いよいよ新病院の開院を迎えることになりましたが、引き続き市民の生命と健康を守るという使命と役割を果たす公立病院として、これまで以上に期待が寄せられるところであります。その期待に応えるためには、建物や医療機器といったハード面を充実させることも大事なことですが、それを効果的に運用するためのソフト面、すなわち医療体制を充実させなければなりません。そこで、以下伺います。 医療体制の充実を図るために最も重要なのは、医療従事者、とりわけ医師の確保であります。特に共立病院は、総合病院として多くの診療科があり、市民からは1回の通院で複数の診療科にかかりたいとの声が聞かれますが、医師の不足から診療制限を行っている診療科があり、それもままならないのが現状です。以前に質問いたしましたが、昨年5月に医師の退職に伴い、呼吸器内科の常勤医師が不在となり、肺結核患者を含む呼吸器疾患患者の入院については、受け入れ休止が続いている状況であります。 そこで、1つ目として、新病院の開院に向けて、現在、常勤の医師が不在となっている診療科について、どのように医師を確保していくのか伺います。 ◎総合磐城共立病院事務局長(鈴木善明君) 現時点におきまして、常勤の医師が不在の診療科は、呼吸器内科、呼吸器外科、皮膚科、リハビリテーション科、放射線科、腎臓・膠原病科の6診療科となっております。中でも、呼吸器内科につきましては、議員御指摘のとおり、昨年、常勤医師が不在となったことから、肺結核患者を含みます呼吸器疾患患者の新規入院の受け入れを休止せざるを得ない状態となってございます。 このようなことから、呼吸器内科の医師招聘に向けましては、これまでも、市長が直接、県に赴き要望活動を行ってきたほか、病院事業管理者や病院長が、さまざまな大学医局等へ足を運び、呼吸器内科以外の診療科も含めまして、医師派遣の要請を行ってきたところでございます。 新病院は、医師招聘を進める上で、大きな強みとなりますことから、今後におきましては、間近に開院が迫りました新病院の魅力を強くアピールしながら、常勤医師が不在となっております診療科を中心に、引き続き医師の確保に向け、働きかけを行ってまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) 新病院では、地域医療機関からの紹介患者の受け入れを円滑に行うため、特定の疾患等に限定せず、多角的に診療を行う部門、いわゆる総合診療科の設置について、基本計画に位置づけてきたと思います。 そこで、2つ目として、総合診療科開設の見通しについて伺います。 ◎総合磐城共立病院事務局長(鈴木善明君) 総合診療科につきましては、近年に創設されました比較的新しい診療科であり、現在は、その人材養成の過程にありますことから、総合診療科を担える医師が少ない状況にございます。このようなことから、現時点において、当院では、担当医師の確保には至っておりませんが、引き続き、大学医局等への働きかけを通し、非常勤医師による診療応援での対応も含めまして、総合診療科の開設に向け、取り組んでまいりたいと考えております。
    ◆4番(山守章二君) 早期の開設をお願いしたいと思います。 続きまして、地域医療の連携の現状について伺います。 本市では、いわき地域医療連携ネットワークシステムが平成28年度から運用が開始されています。このシステムは、市内各医療機関において、今後さらに重要となってくる連携や役割分担の取り組みを支援する医療システムであります。このシステムの運用開始当初は、かしま病院と共立病院の2病院間でスタートしたと、以前お聞きしております。 そこで、3つ目として、民間病院とのいわき地域医療連携ネットワークシステムの構築について、現在の進捗状況を伺います。 ◎総合磐城共立病院事務局長(鈴木善明君) いわき地域医療連携ネットワークシステムは、市内各医療機関等の役割に応じた機能強化と連携促進により、地域全体として医療の質の向上を図ることを目的に、電子カルテを活用した患者情報の共有化を目指して構築したシステムでございます。議員御指摘のとおり、平成28年3月に本院と社団医療法人養生会かしま病院との2つの病院の間で運用を開始し、その後、順次、市内7つの病院が加わり、現在までに合計9つの病院が当該システムに参加しております。 今後におきましては、いわき市医師会や、いわき市薬剤師会等の医療関係団体等と連携を強化し、参加機関の拡充を図るとともに、持続可能なシステムとするため、運用方法や運営組織のあり方について協議を進め、地域医療のさらなる充実に寄与できるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) 共立病院は、救命救急センターを併設し、市内はもとより、本県浜通り地域の三次救急医療を担うなど、その役割は大きく、新病院においては、救急医療のさらなる充実が期待されているところであります。 4つ目として、新病院における救急医療の機能強化に向けた対応について伺います。 ◎総合磐城共立病院事務局長(鈴木善明君) 新病院における救急医療の機能強化に向けた施設面での対応といたしましては、重篤な救急患者の受け入れ等の機能向上を図る観点から、救命救急センターについて初療室を2室から3室へと拡充するとともに、救急患者専用の手術室を新設するほか、重症疾患患者等を対象とするICUについて、現在の6床から10床へと増床を図ることとしております。 また、救急隊員の活動スペースとなる救急ワークステーションを新設するほか、広域搬送への対応強化を図るため、屋上へのヘリポートの新設などを行うこととしております。こうした施設面での整備に加え、地域医療機関や消防機関とのさらなる連携強化を図るとともに、引き続き医師の確保にも努め、三次救急を中心としました救急医療の充実に努めてまいりたいと考えています。 ◆4番(山守章二君) 救急医療につきましては、高度救急医療の確立を初め、搬送時間の短縮など課題はまだまだ山積しております。広域ないわき市をカバーするためには、特に中山間地域への救急車出動時には、救急隊と連携して救急医療を行うドクターカー等の活用が生命を救う有効な手段だと思われますので、ぜひ導入を検討していただければと思います。共立病院は、本県浜通り唯一の災害拠点病院であり、東日本大震災の発災直後においては、地域医療の最後のとりでとして、その機能を十分に発揮したところであります。新病院においては、その経験を踏まえ、さらなる災害対応力の向上を図ることが求められると思います。 5つ目として、新病院における災害拠点病院としての機能強化に向けた対応について伺います。 ◎総合磐城共立病院事務局長(鈴木善明君) 新病院における災害拠点病院としての機能強化の具体的な内容といたしましては、災害時医療の提供に係る安定性の向上を図る観点から、地震発生時の建物への影響を軽減する免震構造の採用や、ライフライン遮断時におきましても、72時間以上の医療活動が可能となる貯水槽や自家発電設備の整備、さらには、災害時におけるエネルギーの安定確保に向けたエネルギーサービス事業の導入などが挙げられます。 また、災害時における患者受け入れ等機能の強化の観点からは、建物内外への災害時活動スペースを十分に確保することに加えまして、建物内のホスピタルストリートや講堂への医療ガス設備や非常用コンセントの配備、駐車場内へのマンホールトイレの設置、屋上へのヘリポートの設置や大型ヘリコプターの離着陸に対応できる駐車場の整備などが挙げられます。 ◆4番(山守章二君) 災害拠点病院では、災害急性期に、応援医療・搬送・トリアージなど災害医療を初め、被災地内の病院支援などの活動を行える災害派遣医療チーム、いわゆるDMATを配備することと定めております。 6つ目として災害派遣医療チーム、いわゆるDMAT配備のさらなる充実については、どのように取り組んでいるのか伺います。 ◎総合磐城共立病院事務局長(鈴木善明君) 当院は、県の運営要綱に基づく福島DMAT指定病院であり、厚生労働省等が実施する日本DMAT隊員養成研修を修了した、医師・看護師・業務調整員を隊員として、これまで3隊を配備してきたところであります。 今年度におきましては、災害時における医療救護体制のさらなる充実を図るため、新たに7名のDMAT隊員を養成し、5隊編成としたところであり、今後におきましても、新たな隊員の養成に加え、専門的な訓練や研修への派遣などを通じ、隊員の技能の維持・向上にも努めてまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) 新病院の医療体制に関する最後の質問になりますが、冒頭申し上げましたように、市民の関心は、新病院のハード面からソフト面に移行してきており、とりわけ常勤医師増員への期待が高まってきております。 そこで、7つ目として今後の医師招聘の見通しについて改めて伺います。 ◎病院事業管理者(平則夫君) 医師招聘に関しましては、これまで、市長を先頭にさまざまな大学医局等への働きかけを粘り強く行ってきたほか、連携講座及び寄附講座の設置や、各種手当の見直し、新築の医師住宅の提供、修学資金貸与制度の活用などの取り組みを続行して行ってまいりました。 新病院開院を見据えた医師の招聘につきましては、現在、関係大学医局等との間で、新年度に着任する医師の最終的な調整を行っており、現時点において、その詳細をお答えすることは困難でありますが、臨床研修医が4名増員となる見込みであるほか、整形外科を初めとする複数の診療科において、それぞれ常勤医師の増員が図られる見通しとなっており、新病院の開院に向けて、明るい兆しが見えているとことであります。 今後におきましては、これまでの取り組みを継続することはもとより、働きかけを行う大学医局等の範囲をより一層拡大していくほか、当院の研修・研究機能のさらなる強化を図り、中堅クラスの医師の招聘に加え、若手医師の確保・定着にも努めてまいります。 ◆4番(山守章二君) 医師の招聘については、すぐに解決する問題でもなく、地道にさまざまな活動を展開しなければならないと思われますが、寄附講座などの施策は引き続き力を入れていただきたいと思います。 そこで、再質問させていただきますけれども、ことしの12月に産婦人科の寄附講座が終了する予定と聞いておりますが、引き続き行っていくのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 市立総合磐城共立病院は、産科や新生児科などが連携し、周産期の母体・胎児・新生児に生ずる突発的な事態に24時間態勢で対応する、浜通り唯一の地域周産期母子医療センターとして、大きな役割を担っているところであります。そのかなめとなる産婦人科の体制としては、現在、常勤医5名、非常勤医1名により診療等が行われておりますが、うち常勤医2名、非常勤医1名は、福島県立医科大学の地域産婦人科支援講座に基づき派遣された医師が担っているところであり、今後とも継続して診療体制を確保していく必要があるものと考えております。 このため、昨年12月に私が病院事業管理者とともに、県立医科大学に赴き、地域産婦人科支援講座の継続等について意向をお伝えしてきたところであり、今後とも、地域産婦人科支援講座の継続等を通じ、浜通り地方の周産期医療体制の確保に力を尽くしてまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) 引き続きよろしくお願いをしたいと思います。 新病院の開院には、多くの市民が大きな期待を持っています。新病院へ移行後も、市民が安心して良質な医療を受けることができるよう、引き続き、医師の招聘を初め、医療機能の充実に係る取り組みを鋭意進めていただきたいと思います。 2点目は、民間病院との連携などの支援策についてです。 本市においては、震災前から、医師を初めとした医療従事者の確保が厳しい状況が続いており、特に、病院に勤務する医師については、国の調査によりますと人口10万人当たりの医師数が全国平均に比べ、いわき市は5割強しかおらず、非常に深刻な状況にあると言われております。 このような状況を踏まえ、市長は、本年1月の新春記者会見において、医師確保対策を喫緊の課題として位置づけた上で、市と民間病院等が共同で実施する共創型・地域医療寄附講座開設事業等を通じ、医師の招聘への取り組み強化を図りながら、昨年策定した地域医療を守り育てる基本条例の理念に基づき、市民が安全に安心して暮らすことができるよう、医療機関等と連携・協力し、地域医療の充実に努めていくと決意表明されたわけですが、私も、医師確保に関しては、市立病院だけでなく、ほかの医療機関を含めて、市全体として取り組まなければならない課題であると考えております。 専門の医師がいないため、患者さんがほかの都市に医療を求めなければならないという実情を見ておりますと、何としても医師を確保し、いわきで受診、いわきで完治できる医療体制が構築されることが、私を含めた多くの市民の願いなのではないかと思っております。特に市内の病院は、ほとんどが民間病院であることを考えますと、地域完結型医療体制の実現に向け、医師の確保や民間病院との連携などに関する市の支援が非常に重要であると思われます。 そこで、以下質問していきたいと思います。 1つ目として、市はこれまで民間病院への支援策をどのように実施してきたのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 民間病院との連携などの支援策につきましては、これまで、いわき市地域医療協議会において、救急医療など諸課題について、地域の医療関係者と積極的に意見交換を行い、解決策を検討するとともに、具体的な医師確保・招聘策として、医学生を対象とした、いわき地域医療セミナーやいわき市医療ガイダンスを民間病院の協力もいただきながら開催してきたほか、市内病院が医学生に対し、修学に必要な資金を貸与した場合に、貸与した費用の一部を補助する病院医師修学資金貸与事業費補助金を平成28年12月に創設し、また、市と民間病院等が共同で医科大学に寄附講座を開設するためにかかる経費の一部を負担する、共創型・地域医療寄附講座開設事業を昨年7月に創設したところであります。 さらに、市民、医療機関及び市が相互の連携と協力のもと、一体となって地域医療を守り育て、将来にわたり、市民が安心して良質な医療を受けることができるよう、いわき市地域医療を守り育てる基本条例を昨年6月、東北で初めて制定したところであり、本市の地域医療の課題解決に向けて積極的に取り組んできたところであります。 ◆4番(山守章二君) 2つ目として、共創型・地域医療寄附講座開設事業について、民間病院の寄附講座の進捗状況はどのようになっているのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 昨年7月に創設いたしました、市と民間病院等が共同で医科大学に寄附講座の開設を目指す、共創型・地域医療寄附講座開設事業の進捗状況につきましては、複数の病院から、寄附講座開設に向け、大学医学部と接触しているとの報告を受けているところでありまして、また、これまでの市の取り組みとして、市職員が民間病院とともに大学へ赴くなど、積極的に協力してまいりましたが、現在までのところ、寄附講座の開設までには至っていない状況であります。 今後におきましても、大学医学部との寄附講座の開設に向けた協議に際し、寄附講座開設に関する市からの要望書の提出や、協議への市職員の参画などを行い、引き続き、市内民間病院等の医師確保に向けて、積極的に協力してまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) 共創型・地域医療寄附講座開設事業は、民間病院の医師確保に非常に有効な事業であると思いますが、一方で、具体的な寄附講座開設に向けた大学医学部との交渉等において、民間病院だけでは厳しいところもあろうかと思いますので、市と民間病院がしっかりと連携し、寄附講座開設につなげていただきたいと思います。 次に、3つ目として、病院医師修学資金貸与事業費補助金のこれまでの実績について伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 病院医師修学資金貸与事業費補助金の実績につきましては、この補助金の創設により、新たに5病院が修学資金制度を設けたことから、既に制度を設けていた2病院と合わせ、市内では、7病院が制度を有することとなったところでありますが、実際に修学資金の貸し付けを行った病院は、現在までのところ、総合磐城共立病院のみで、平成28年度に15人分の補助金を交付し、今年度につきましては、16人分の補助金を交付する予定となっておりますので、今後とも、市と病院が一体となって修学資金制度の周知・拡大に努めてまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) 病院医師修学資金貸与事業費補助金は、将来の若手医師の確保につながる事業でありますので、本制度の利用拡大のために、市と病院が協力して周知に努めていただきたいと思います。 最後に、地域完結型医療体制の実現に向け、市は、今後どのように地域医療の充実を図っていく考えなのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 地域医療の充実に向けましては、従来の寄附講座や、医学生を対象とした地域医療セミナーに加え、新たに創設した市と民間病院等との共同の寄附講座の開設や、病院医師修学資金貸与事業費補助金などを活用しながら、民間病院等とともに不足する診療科の医師確保に努めるほか、地域医療を守り育てる基本条例に基づき、医療機関や救急車の適正利用などを市民に呼びかけるなど、地域全体で地域医療を確保するための機運の醸成にも努めてまいります。 また、福島県が平成28年12月に策定いたしました福島県地域医療構想の実現に向けた協議や調整の場である、いわき地域医療構想調整会議に医療関係者とともに参加し、将来の医療需要と病床の必要量の推計をもとに、地域の実績に応じた医療提供体制の検討を進めるほか、市地域包括ケア推進会議の作業部会である医療と介護連携促進部会を開催し、医師、歯科医師及び薬剤師などの多職種の方々とともに、在宅医療と介護の連携強化を引き続き図ってまいります。 さらに、今後、医療法等の改正により、医師の地域偏在是正対策が、各都道府県に義務づけられることが見込まれますことから、偏在是正に向け効果的と思われる施策に関し、市内医療機関と連携しながら、福島県に対し積極的に提案してまいる考えであり、今後におきましても、市民が安心して暮らしていけるよう、急性期から回復期、在宅医療に至るまで、病院や診療所等の機能分担や連携のもと、地域全体で切れ目なく必要な医療が提供される体制の構築に取り組んでまいります。 ◆4番(山守章二君) この問題は、本当に深刻な問題です。医師不足が続き、厳しい状況のときだからこそ、昨年6月に策定した条例にもあるように、市や医療機関、市民が一体となって地域医療を守り育てるために行動していかなくてはならないと考えております。地域完結型医療体制の構築に向け、市立病院だけでなく、民間病院と連携し、地域全体の医療水準の向上に取り組まれますよう要望いたしまして、次の質問に移ります。 大きな質問の2番目は、高齢者の運転免許証の自主返納の促進と移動手段の確保についてであります。 高齢社会の到来を迎え、高齢運転者の交通事故が多発していることから、国においては、平成29年3月に、改正道路交通法を施行し、75歳以上の高齢運転者に対し、認知機能検査を強化するなど制度の見直しを行い、高齢運転者の交通事故防止対策を図ったところであります。 また、同じく国において、高齢運転者の交通事故を防止するために必要な方策について、幅広く検討を行う高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議を開催し、平成29年6月に高齢運転者交通事故防止対策に関する提言を取りまとめ、今後の方策として、改正道路交通法の確実な施行のほか、自主返納の促進に向けた広報啓発活動の強化や、運転免許がなくても高齢者が安心して暮らせる環境の整備などについて示されたところであります。こうした中、本市では、平成29年4月に、庁内の関係各課により構成する、いわき市地域交通検討プロジェクト会議を設置し、本市の交通課題の解消に向けた対応案の検討を進められたと聞いております。 そこで、以下伺います。 1点目は、高齢者の運転免許証の自主返納の促進についてです。 警察庁が昨年の交通死亡事故の傾向をまとめました。総数は年々減っていますが、75歳以上の高齢運転者による死亡事故は、この世代の人数がふえたこともあり高どまりをしているということです。 そこで、1つ目として、過去3年間の高齢運転者が関係する交通事故の発生状況について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 65歳以上の高齢者の交通事故発生件数と全体の事故件数に占める高齢者の事故割合につきましては、福島県の交通事故発生状況によりますと、平成27年は、350件で19.7%、平成28年は、268件で20.2%、平成29年は、291件で21.5%となっております。 ◆4番(山守章二君) 2つ目として、いわき市地域交通検討プロジェクト会議での高齢者の安全運転支援に係る検討経過について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 昨年4月に、本市交通の喫緊の課題であります、公共交通空白地域等の移動手段の確保及び高齢者の移動支援について検討するため、いわき市地域交通検討プロジェクト会議を設置し、このプロジェクト会議の中で、それぞれのテーマについて、ワーキンググループ会議を立ち上げ、対応策について検討を進めてきたところであります。 このうち、高齢者等移動支援に係るワーキンググループにおきましては、高齢運転者による事故が多発していることから、交通安全対策の視点から、現状認識や課題の抽出などを行い、高齢者の運転可能寿命の延伸や、高齢者やその家族の不安解消を図るための安全運転支援策、及び高齢者が運転免許証の自主返納のきっかけとしていただく自主返納促進事業について、具体的な検討を行ってきたところでございます。 ◆4番(山守章二君) 3つ目は、高齢者運転免許証自主返納促進事業の概要について伺ってまいります。 まず、事業の目的について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 高齢者運転免許証自主返納促進事業の目的につきましては、高齢化の進展に伴い、高齢運転者が増加し、悲惨な交通事故が多発していることから、交通事故発生の未然防止を図るため、運転免許証を自主返納する契機を提供し、もって、高齢者の運転免許証の自主返納を促進するものであり、高齢運転者の交通事故防止対策の1つとして実施するものであります。 ◆4番(山守章二君) 次に、事業の内容について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 本事業の内容につきましては、先ほど申し上げました事業目的を達成するため、75歳以上の本市在住の方が、本事業の開始日以降に運転免許証の全てを自主返納した場合に、5,000円相当の公共交通機関等の利用券を1人1回に限り交付するものであります。 ◆4番(山守章二君) 具体的な交付内容について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 本事業の交付内容につきましては、バスやタクシー等の公共交通機関の利用券、または高齢者の健康増進を図る公共施設の利用券の中から交付申請時に1つを選択していただき、後日郵送で交付することを想定しております。なお、利用券の種類につきましては、事業開始時までに確定してまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) 想定する対象者数について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 本事業の対象者数につきましては、本市における75歳以上の本年度末の自主返納見込み者数及び過去3カ年の自主返納者の平均伸び率に基づき、980人と見込んでおります。 ◆4番(山守章二君) それでは、実施時期について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 本2月定例会におきまして議決をいただいた後、速やかに広報いわきや市ホームページ等により事業内容を広報し、十分な周知期間を設けた後、本年7月1日の事業開始を予定しております。 ◆4番(山守章二君) アメリカでは、ベビーブーマーの高齢化に合わせ、運転で気をつける点をネットで学び、受講者には保険料を割り引く試みが始まっています。買い物や娯楽、学びの場に歩いて行けるまちの人気も高まっているそうです。日本の高齢者も免許返納を、だけでは抵抗があります。新サービスからまちづくりまできめ細かい工夫を重ねていただきたいと思います。 そこで、4つ目として、運転免許証の自主返納をすべきか、運転を継続すべきか悩む高齢運転者への相談機能、対応について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 内閣府が昨年11月に、全国の18歳以上の3,000人を対象に実施した、運転免許証の自主返納制度等に関する世論調査によりますと、約1,800人の有効回答のうち、約5割の方が、自分や家族の運転に不安を感じたときに、運転に関する助言を受ける運転適性相談について利用したいと回答しております。 現在、この相談窓口は各運転免許センターや警察署において開設しておりますが、さらにきめ細かく対応することが必要と考えており、本市における官民連携の組織であります、いわき市交通安全対策協議会におきましても、来年度中に、既存の交通相談窓口を拡充し、運転に不安を抱える高齢者やその御家族の相談に対応してまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) ただいま運転免許証の自主返納の促進について答弁いただきました。免許を返納された方は、今後、日常の買い物や医療機関などへの通院の際、これまでのマイカー利用から、鉄道や路線バス、タクシーといった公共交通や、あるいは家族の支援などにより、移動手段を確保する生活への転換が必要となってまいります。しかしながら、我が会派の大峯議員も代表質問で、中山間地域の公共交通の現状についてということで質問をしておりますが、路線バスの廃止や減便などにより、中山間地域の一部においては、公共交通の利用が困難な、いわゆる公共交通空白地となっており、こうした地域において、免許を返納された方々を含め、高齢者等の新たな移動手段の確保が課題となってまいります。 そこで2点目は、公共交通空白地域等における高齢者等の移動手段の確保についてです。 1つ目として、新たな移動手段の確保に向けた、これまでの取り組みについて伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 新たな移動手段の確保に向けましては、共助の意識が根づく地域特性を生かした住民同士の支え合いによるボランティア輸送の実現に向けまして、これまで、田人地区及び三和地区におきまして、地域の皆様とワークショップを開催し、地域の交通課題や移動需要の抽出を行ってきたところであります。 ◆4番(山守章二君) 2つ目として、今後の取り組みについて伺います。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 田人地区及び三和地区につきましては、引き続き地域が主体となったボランティア輸送の実現に向けまして、地域住民の移動需要を捉えた運行計画の策定や、運転手の確保などによる運営体制の構築に向けた取り組みを進めていくこととしており、市といたしましても、新たに創設する共創型地域交通モデル事業により、運行計画策定、運行車両の確保や運営経費への支援を行いながら、平成30年度内の運行開始を目指し、地域と一体となって取り組んでまいりたいと考えています。 ◆4番(山守章二君) 今後の市内交通システムの構築については、いわき市内各地域での実情に合わせた交通システムの構築が求められます。地域全体で交通弱者を支え合い、コンパクトで効果的な交通システムの導入が今後の課題となってきます。このたびの事業は、住民ドライバーによる運送サービスにより移動手段の確保をするということですが、課題はまだまだ山積していることと思われます。 先日の新聞に掲載されておりましたが、今月から横浜市で無人タクシーの実証実験が始まるようであります。運転手がいない無人タクシーのイメージで、公共交通機関が乏しい過疎地での移動などに利用するとしております。実験には約300人の一般人が参加し、2週間実施され、公道約4.5キロメートルを使い、スマートフォンに取り込んだアプリで車両を呼び出し、行きたい場所まで乗れるということです。実験では、安全のため運転席にドライバーが座るということです。 本市においても、しっかりと地域の交通課題等を把握し、情報を共有しながら安全で安心な交通システムの構築に向け取り組んでいただくよう要望し、次の質問に移ります。 大きな質問の3番目は、いわき市内のポリ塩化ビフェニル、PCB廃棄物についてです。 ポリ塩化ビフェニル、PCBは、昭和40年代まですぐれた絶縁性能から、主に電気機器の絶縁油として使用されていましたが、1968年、昭和43年のカネミ油症事件をきっかけに、人の健康及び生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質であることから、1973年、昭和48年に法律で国内での製造・使用・輸入を禁止し、PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法、PCB特措法に基づき、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を推進することとされました。しかし、PCBを含む変圧器などの処分が、事業者への周知不足や処分費などを理由に当初の計画よりもおくれております。そして、長期保管による紛失や不法投棄、不適切な処理などでPCBが漏えいすれば、環境汚染や健康影響が懸念されます。 そこで、1点目は、いわき市内のPCB廃棄物の現状についてです。 PCB廃棄物には、主に電気機器のトランス、コンデンサー、蛍光灯の安定器等がありますが、1つ目として、市内に保管されているPCB廃棄物の届け出台数について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) ポリ塩化ビフェニル廃棄物、いわゆるPCB廃棄物につきましては、PCBを含有する油を内蔵する変圧器、コンデンサー、その他の電気設備や照明器具に使用される安定器及びPCB汚染物があります。今年度に届け出のあった平成28年度末現在の代表的な電気機器の台数で申し上げますと、PCB濃度が5,000ppmを超える高濃度PCB廃棄物の届け出台数は、変圧器が20台、コンデンサーが173台、安定器が2,812台の合計3,005台であります。また、5,000ppm以下の低濃度PCB廃棄物の届け出台数は変圧器が261台、コンデンサーが133台、安定器が65台の合計459台であります。 ◆4番(山守章二君) 2つ目として、民間事業者等に保管されている高濃度PCB廃棄物の届け出台数について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 市内の民間事業者及び国や県の公共施設に保管されている高濃度PCB廃棄物の届け出台数を申し上げますと、変圧器が18台、コンデンサーが149台、安定器が2,520台の合計2,687台であります。 ◆4番(山守章二君) 3つ目として、本市の公共施設に保管されている高濃度PCB廃棄物の届け出台数について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 市の公共施設に保管されている高濃度PCB廃棄物の届け出台数を申し上げますと、変圧器が2台、コンデンサーが24台、安定器が292台の合計318台であります。 ◆4番(山守章二君) 福島県内には、いわき市も含め2016年度末現在、約55,300台の高濃度PCB廃棄物が保管されており、いわき市内にも、いまだ処分されていない高濃度PCB廃棄物が多く保管されていることがわかりました。処分期限が平成34年3月末から平成35年3月末までと迫っている中で、いかにおくれることなく処分できるかが今後の課題となっております。 そこで2点目は、今後の高濃度PCB廃棄物の処分と対策についてです。 1つ目として、市内の高濃度PCB廃棄物の処分状況の割合について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 市内の高濃度PCB廃棄物につきましては、北海道室蘭市の中間貯蔵・環境安全事業株式会社、いわゆるJESCOにおいて、平成20年5月から処分が始まり、平成28年度末までに変圧器が3台、コンデンサーが156台、安定器が1,649台の合計1,808台が処分されており、これは現在保管届け出のある高濃度PCB廃棄物との合計4,813台の約37.6%に当たります。 ◆4番(山守章二君) 事業所等の処分が進まない背景には経費の問題もあると思われます。 そこで、2つ目として、高濃度PCB廃棄物の処分費用について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 処分費用につきましては、JESCOにより定められており、PCB廃棄物の品目別に、機器1台の総重量に応じて段階的に異なることから、一概に申し上げるのは困難ではありますが、一般的な機器の重量を1台50キログラムと想定した場合、変圧器では55万6,000円、コンデンサーでは74万4,000円、また、安定器については、1台5キログラムと想定した場合には、15万1,200円となっております。 ◆4番(山守章二君) それでは3つ目として、高濃度PCB廃棄物の処分費用への軽減措置について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) PCB廃棄物の処分費用の軽減につきましては、JESCOによる中小企業者等処理費用軽減制度があり、常時使用する従業員の数が100人以下の法人等、一定の条件を満たす場合には、70%が軽減されます。また、事業主ではない個人に対しては、95%が軽減されることとなってございます。 ◆4番(山守章二君) しっかりと軽減措置を民間事業者や個人に周知していただき、処分促進に努めてほしいと思います。 4つ目として、本市の公共施設に保管されている高濃度PCB廃棄物の処分状況の割合について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 本市の公共施設における高濃度PCB廃棄物の処分状況につきましては、平成28年度末までに、コンデンサーが8台、安定器が24台の合計32台が処分されており、これは現在保管届け出のある高濃度PCB廃棄物との合計350台の約9.1%に当たります。 ◆4番(山守章二君) では、5つ目として、今後、本市が負担する処分費用の概算について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 本市が現在、公共施設に保管している高濃度PCB廃棄物を処分するための費用を概算ではありますが算出しますと、約7,000万円余りとなってございます。このほか運搬費用等が必要になりますが、品目、台数及び重量や保管場所等の状況によりさまざまなケースが想定されることから、一概に申し上げることは困難でございます。 ◆4番(山守章二君) 概算で約7,000万円余りという処分費用がかかるということですが、ほかに本市の高濃度廃棄物を受け入れている北海道室蘭市の施設までの廃棄物の収集・運搬経費を合わせると相当な費用が見込まれますので、しっかりと計画を立てて期限まで処分をしていただきたいと思います。 また、届け出をしていない事業者も数多くあると見られており、今後も廃棄物の量はふえる見通しと聞いております。未届けの事業者の中には、倉庫にある電気機器などにPCBが使われているかどうかわからないところもあると聞いております。 そこで6つ目として、保管の届け出がない事業者への対策について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 保管の届け出がない事業者を把握するため、本市では、国から提供された変圧器及びコンデンサーの市内設置者の情報をもとに、今後掘り起こし調査を行い、保管の届け出が必要な場合には、指導を行ってまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) PCB機器をめぐっては、2013年に北海道洞爺湖町の中学校で届け出のなかった古い蛍光灯の安定器内のコンデンサーが破裂する事故が発生しました。同様の事例は全国で起きております。 本市でも事故等が起きないためにも、7つ目として事業者への今後の周知対策について伺います。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 事業者への周知につきましては、今後予定しております掘り起こし調査の中で、PCB廃棄物に該当するかについて届け出が必要な場合には、毎年度の届け出を指導するとともに、変圧器及びコンデンサーは平成34年3月31日まで、安定器及び汚染物は平成35年3月31日までの処分期間内に処分するよう周知してまいります。また、これまで同様、毎年度の届け出の際に、各事業者の処分の予定を確認しながら、処分期間内に処分するよう指導してまいりたいと考えております。 ◆4番(山守章二君) 今後は、PCB機器について詳細な実態把握に向けて作業を加速させてもらいたいと思います。そして、いわき市内から期限内に高濃度PCB廃棄物を一掃することを強く要望し、次の質問に移ります。 大きな質問の4番目は、保幼小連携についてであります。 本市では、就学前の子供たちを一体的に支援していくことを目的とし、こどもみらい部を創設しました。このことにより、保育所や幼稚園などを一元的に所管するとともに、子育て支援などの子供に関する政策を総合的に推進していく体制が整いました。また昨年7月から、これまで以上の継続的かつ包括的な子育て支援の新たな仕組みとして、いわきネウボラを展開しており、7つの地区保健福祉センターを出産・子育て総合相談のワンストップ拠点とした、全国的にも有数の地域密着型の相談支援体制を構築し、子育てに関するさまざまな不安や悩みを抱えている方々へのきめ細やかな支援を実施されていることは、大いに敬意を表するところです。 しかし、一方で、社会的環境の著しい変化に伴い、家庭や地域の子育て力の低下が指摘されており、このような状況が基本的な生活習慣やコミュニケーション能力、自制心や規範意識など、子供たちの育ちに大きく影響を及ぼしていると言われているのも実情です。また、小学校に入学したばかりの1年生が、保育所・幼稚園から小学校への環境の急激な変化に戸惑いを起こし、学校での生活になじめない等のいわゆる小1プロブレムが問題視されるようになったことも、見逃すことはできません。こうした問題への対応として、就学前の保育所・幼稚園と小学校との連携の必要性が問われています。そのような中、本市においては、保幼小連携プログラムの策定に向けて検討を進めるとのことですが、そこで、1点目は本市の保幼小連携についてです。 まず、幼児期の教育と小学校教育の違いについて伺います。 ◎こどもみらい部長(本田和弘君) 幼児期の教育と小学校教育においては、子供の発達、成長の状況が異なることから、大きく2つの点で違いがあると考えております。 まず1点目は、教育の狙い・目標について、幼児期の教育では、子供一人一人の生活や経験を踏まえ、目標に向かっている成長の過程、いわゆる今の育ちの方向性を重視した方向目標を設定するのに対し、小学校教育では、子供たちに求めたい資質・能力についての到達度を重視した到達目標を設定していることです。 2点目は、それを達成する指導の方法等について、幼児期の教育では、経験カリキュラムに沿って、個人・友達・小集団に対して、個々の遊びを通じた総合的な指導を行っているのに対して、小学校教育では、教育カリキュラムに沿って、学級・学年ごとに教科等の目標・内容により選択された教材によって授業が展開されていることであります。 ◆4番(山守章二君) 2つ目として、保幼小連携の必要性について伺います。 ◎こどもみらい部長(本田和弘君) 遊びを中心とした幼児期の教育と教科等の学習を中心とする小学校教育では、教育目標や指導方法が異なっているものの、保育所や幼稚園等から義務教育段階へと子供の発達や学びは連続しており、幼児期の教育と小学校教育とは滑らかに接続されていることが望まれます。 しかしながら、小学校入学後しばらくは、それまでの遊び・活動から授業へという学びの形態の変化や、持ち物管理・時間管理など、新しい課題等がふえることにより、緊張や不安が強くなる子供もいます。保育所・幼稚園と小学校との、こうした段差をなだらかにして、子供一人一人が生活の変化に対応し、その段差を乗り越える主体性を育てていけるよう、保育所や幼稚園、小学校が、相互に教育内容を理解し、指導方法の工夫改善を行ったり、子供同士が交流を図ったりするなど、保幼小の連携を、より一層強めていくことが必要になっているものと考えております。 ◆4番(山守章二君) 3つ目として、本市の保幼小連携の現状について伺います。 ◎こどもみらい部長(本田和弘君) 本市における保幼小連携の取り組みといたしましては、小学校教諭が保育実践を体験する一日保育体験事業を平成28年度から実施し、本年度は市立保育所10カ所において、小学校12校から17名の先生方に参加いただいたほか、小学校の入学の際に、希望する保護者が、自分の子供の成長に関し、配慮してほしい点などを入学支援シートを活用し学校に伝え、それを受けた学校が、必要に応じ、入学支援会議を開催したり、具体的な支援について市のサポートを受けたりする、いわきっ子入学支援システムを構築し、運用しているところであります。 また、保育所・幼稚園と小学校における園児と児童の交流につきましては、運動会等の学校行事の見学や、小学生による園児への絵本の読み聞かせなど、個々の施設ごとに取り組まれている事例があります。その一方で、保育所・幼稚園と小学校における環境の違いとともに、大規模小学校の中には、数多くの保育所・幼稚園から入学児童を迎える小学校もあることから、保育所、幼稚園同士の横の連携についても考慮しながら、滑らかな接続に向けた共通の基盤を整えていく必要があるものと考えております。 ◆4番(山守章二君) 本市の保幼小連携について伺いましたが、2点目は保幼小連携プログラムについてです。 1つ目として、保幼小連携プログラム策定の目的について伺います。 ◎こどもみらい部長(本田和弘君) 国において、平成29年3月に同時改訂された保育所保育指針、幼稚園教育要領、小学校学習指導要領では、これまで以上に幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の重要性が示されております。これまでも、市内の各保育所・幼稚園、小学校では、さまざまな形で連携に取り組んでまいりましたが、さらに各施設に求められている役割や目的を踏まえ、発達と学びの連続性と一貫性を確保した体系的な教育・保育を円滑に行っていくため、接続期における指導の指針として、いわき市保幼小連携プログラムを策定するものであります。 ◆4番(山守章二君) 2つ目として、プログラム策定の体制について伺います。 ◎こどもみらい部長(本田和弘君) プログラム策定の体制といたしましては、平成29年12月に、学識経験者や保育・教育関係者、保護者代表者等で構成する、いわき市保幼小連携協議会を設置したところであり、また、本年1月には、同協議会において審議するプログラム素案等の策定作業を行うに当たり、現場の意見を反映するため、公立及び私立の保育士・幼稚園教諭、小学校教諭等の職員で構成するワーキングチームを設置するとともに、より専門的な観点から助言等をいただくため、保幼小連携プログラム策定アドバイザーを配置したところであります。 なお、本協議会の会長には、平成16年度に文部科学省より、新しい幼児教育のあり方に関する調査研究事業の指定を受け、就学前教育の研究を続けてきた東京都の日野市において、保幼小連携のためのカリキュラムの作成等に取り組んできた明星大学教育学部の齊藤政子教授に就任いただき、また、アドバイザーには、齊藤会長とともに日野市において保幼小連携に取り組まれ、特に保育所・幼稚園、小学校などの垣根を越えた関係づくりに尽力されてきた同じく明星大学教育学部の井上宏子准教授に就任いただいたところであります。 ◆4番(山守章二君) 3つ目として、保幼小連携プログラムの内容について伺います。 ◎こどもみらい部長(本田和弘君) 保育所・幼稚園、小学校での相互理解を図るため、本プログラムの狙いや考え方、本市の子供たちの育ちにおいて大切にしたい理念を定めるとともに、5歳児から小学校1年生前半までを接続期と捉え、保育・教育活動における指導の重点やポイントをまとめたカリキュラム、さらに最終的には、保育士や幼稚園教諭、小学校教諭が現場で活用できるような具体的な実践事例等を盛り込む予定としております。 ◆4番(山守章二君) 4つ目として、プログラム策定に係る今後の取り組みについてお伺いをして、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。 ◎こどもみらい部長(本田和弘君) 今後におきましては、市内の保育所・幼稚園、小学校等へのアンケート調査を実施するなどし、それぞれの保育目標や教育目標、さらには、保幼小連携の取り組みなど、教育現場における状況をしっかりと把握するとともに、協議会やワーキングチームにおいて、教育関係者や保護者からの意見、さらには、アドバイザーからの専門的な助言等をいただきながら、平成30年度におきましては、本市の実情を踏まえた、保育所・幼稚園、小学校の現場で活用できる実践的なカリキュラムの策定を目指し、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 ○副議長(蛭田源治君) ここで、午後2時20分まで休憩いたします。          午後2時01分 休憩---------------------------------------          午後2時20分 再開 △安田成一君質問 ○副議長(蛭田源治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。29番安田成一君。          〔29番安田成一君第二演壇に登壇〕 ◆29番(安田成一君) (拍手)29番いわき市議会つつじの会の安田成一です。 言葉の百科事典と言われる広辞苑が10年振りに全面改訂され、ことし1月出版されました。今回の改訂では、基礎的な動詞や形容詞の説明刷新に力点を置いたほか、ブラック企業やスマホ、ツイートなど、社会や技術の変化を受けた言葉が多数収録されましたが、その中には、東日本大震災や浜通り、廃炉といった言葉も掲載され、そして、福島の定義に東日本大震災と原子力発電所事故により被災という言葉が新たに加わりました。震災から間もなく7年を迎えます。福島の現実を受けとめつつ、震災前にも増して活力あるいわき市を築いていかなければなりません。そのような思いを込めながら、以下、通告順に従いまして、一般質問を行います。 大きな1点目は、障がい者雇用についてです。 2016年9月に内閣総理大臣を議長とする働き方改革実現会議が設置され、以降、10回にわたる会議を経て、昨年3月28日に働き方改革実行計画が取りまとめられました。 実行計画の具体的な改革の骨子は、同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善や、罰則つき時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正、柔軟な働き方がしやすい環境整備など、13の大きな柱からなるもので、その柱の中に、子育て・介護等と仕事の両立、障がい者の就労整備も骨子の1つに取りまとめられました。特に、障がい者の就労整備については、障がい者等の希望や能力を生かした就労支援の推進として、事業者は障がい者の意欲や能力に応じて活躍できる仕事を提供するよう努めることで、障がい者とともに働くことが当たり前の社会を目指していく必要があると実行計画に明記されました。 近年、障がい者の雇用環境は大きく改善しているという見方もありますが、一方で、雇用義務のある企業の約3割が障がい者雇用ゼロという調査結果も出ており、経営者を含めた社内理解や作業内容の改善等にも多くの課題もあり、課題解決のためには、就労整備に向けて関係行政機関とのさらなる連携が求められている状況にあると思います。 それらを踏まえ、以下伺ってまいります。 1点目は、障害者雇用促進法についてです。 労働法の1つである障害者の雇用の促進等に関する法律、いわゆる障害者雇用促進法は、障がい者雇用の義務等に基づく雇用の促進を図るための措置等を通じて、障がい者雇用の安定を図ることを目的としています。また、同法では、一定規模以上の民間企業や国、地方公共団体等に対し、法定雇用率と呼ばれる一定比率以上の割合で障がい者を雇用することが義務づけられており、これはおおむね5年ごとに見直しされ、法律の一部がその都度改正されています。 そこで、1つとして、法定雇用率のこれまでの改正の推移について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 法定雇用率につきましては、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づき、障がい者の雇用状況等を勘案して定められるもので、おおむね5年ごとに見直しが行われております。これまでの推移につきましては、平成10年の改正では、民間企業が1.6%から1.8%に、国、地方公共団体等が1.9%から2.1%に、また、平成25年の改正では、1.8%が2.0%に、国、地方公共団体等の法定雇用率が、2.1%が2.3%にそれぞれ引き上げられたところであります。 ◆29番(安田成一君) 次に、現行の法定雇用率は、平成30年4月1日に改正が予定されておりますが、その変更内容について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 法定雇用率の主な変更内容につきましては、民間企業の法定雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられることになり、それに伴い対象となる事業主の範囲が、常用労働者が50人以上から45.5人以上に広がります。また、障がい者雇用義務の対象として、これまでの身体障がい者、知的障がい者に精神障がい者が加わることになっております。 ◆29番(安田成一君) 2点目は、障がい者雇用の現状についてです。 厚生労働省は、全国の民間企業で働く障がい者雇用数は、2017年6月現在、約49万6,000人で対前年度比4.5%増、前年から約2万1,000人増加し、雇用者数は14年連続で過去最高を更新したとする雇用状況の集計結果を公表いたしました。 同省は、障がい者雇用は着実に進展しているとしていますが、それでも全従業員に占める障がい者の割合は、前年より0.05ポイント高い1.97%で、法律で義務づけられた現行の法定雇用率2.0%を下回り、これを達成している企業の割合は全体のちょうど50.0%と、全国平均で見れば、半分の企業しか法定雇用率を満たしていない状況となっています。 それらを踏まえ、以下伺います。 初めに、現在の本市の障がい者の実雇用率について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 実雇用率につきましては、障害の程度や勤務時間に応じて算定される障がい者数を常用労働者数で除したものでありますが、ハローワークによりますと、本市の平成29年6月1日現在の常用労働者50人以上の民間企業における実雇用率は、2.04%となっており、全国の1.97%、福島県の1.95%を上回っております。 ◆29番(安田成一君) 次に、現在、法定雇用率を満たしている本市の企業数について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 同じく、平成29年6月1日現在で申し上げますと、市内で法定雇用率を達成している企業数は126社で、その割合は57.5%となっております。 ◆29番(安田成一君) では、現在法定雇用率を達成している本市の企業数の割合について、国・県と比較した場合、どのようになっているのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 平成29年6月1日現在の市内における法定雇用率達成企業の割合は、全国・福島県の割合を上回っておりまして、全国の50.0%と比較すると7.5ポイント高く、また、福島県の55.7%と比較すると1.8ポイント高くなっております。 ◆29番(安田成一君) ことし4月に法定雇用率が引き上げられますが、法定雇用率の変更後、市内企業で法定雇用率が適用となる企業数について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 平成30年6月1日の常用労働者数が基準となりますので、現時点で、法定雇用率の改正により対象となる企業数について把握することは困難でありますが、御参考までに、平成25年度に法定雇用率が1.8%から2.0%に改正されました際には、対象企業社数が175社から213社と38社増加しております。 ◆29番(安田成一君) 法定雇用率が適用されている企業で、現在雇用されている障がい者の実人数について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 平成29年6月1日現在、雇用されている方は556人で、内訳といたしましては、身体障がい者が337人、知的障がい者が156人、精神障がい者が63人となっております。 ◆29番(安田成一君) 今回の法改正では、障がい者の雇用義務対象に精神障がい者も加えられることから、法定雇用率が引き上げになることで、一般的に考えれば障がい者の雇用枠がふえ、雇用の創出につながると思いますが、今回の法定雇用率引き上げによって、どのくらいの雇用人数に影響があるのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 先ほどの対象企業数と同様、現時点で見通すことは困難でございますけれども、平成25年度の改正の際には、378人から427人と49名増加しております。 ◆29番(安田成一君) 3点目は、障がい者雇用拡大に向けた今後の取り組みについてです。 障がい者雇用の拡大を図るためには、法定雇用率を上回る企業を増加させていく取り組みが重要であると考えますが、障がい者雇用の拡大に向けた本市のこれまでの取り組みについて伺います。 ◎市長(清水敏男君) 本市におきましては、障がい者雇用の促進を図るため、平成26年度から法定雇用率を超えて障がい者を雇用し、障がい者の視点に立った職場環境づくりの工夫や、雇用の定着に努める事業所を表彰しているところであります。 また、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、いわき市障がい者職親会などの関係機関、団体と連携を図りながら、障がい者雇用に対する理解を深めるための講演会や、法定雇用率未達成企業等を対象としたセミナー、障がい者雇用に積極的に取り組む事業所の見学会や事例集の作成等を実施してきたところであります。 ◆29番(安田成一君) では、これまでの取り組みの成果について伺います。 ◎市長(清水敏男君) 市内事業所はもとより、関係機関や関係団体の御尽力により、本市の法定雇用率達成企業の割合は、平成26年度の50.4%から平成29年度には57.5%へと増加しております。また、実雇用率についても、平成26年度の1.78%から平成29年度には2.04%へと上昇しておりますことから、一定の成果を得ているものと受けとめております。市といたしましては、引き続き、障がい者雇用の拡大に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) 1人も障がい者を雇用していない企業や、法定雇用率が未達の企業へのアプローチも重要ではないかと思います。ハローワークでは、法定雇用率が低い企業に対して、障がい者の雇用状況報告や雇い入れ計画書の作成命令などの指導を行っておりますが、では、市としては、どのように取り組んでいくのか伺います。 ◎市長(清水敏男君) 市におきましては、未達成企業について、把握することは制度上、困難であることから、未達成企業へ指導を行っているハローワークを通じて、障がい者雇用促進セミナーや事業所見学会への参加を働きかけているところであります。また、先月16日には、福島労働局との雇用対策協定を締結したところであり、それぞれの役割分担のもと、連携を図りながら、障がい者雇用の促進に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) 次に、障がい者を雇用する場合に活用できる支援制度はどのようなものがあるのか伺います。
    産業振興部長(石曽根智昭君) 支援制度につきましては、国において、ハローワークの紹介により障がい者を雇い入れた事業主に対して、賃金の一部を助成する特定求職者雇用開発助成金や、原則3カ月間の試行雇用を行う事業主に対して、助成金を支給する障害者トライアル雇用等の制度が設けられております。 市といたしましては、これらの制度について、今後もセミナーや講演会等、さまざまな機会を捉え、周知を図ってまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) ことし4月の法定雇用率の改定で、国、地方公共団体等は現行2.3%から2.5%へ、都道府県等の教育委員会は2.2%から2.4%へそれぞれ引き上げられますが、本市における障がい者雇用拡大に向けた今後の取り組みについて伺います。 ◎総務部長(岡田正彦君) 本市の各機関における障がい者の雇用率を平成29年6月1日現在で申し上げますと、市長部局は2.27%、水道局は1.89%、総合磐城共立病院は1.38%、教育委員会は3.35%となっております。このうち、市長部局、水道局及び総合磐城共立病院の雇用率は、法定雇用率を下回る数値となっておりますが、法定雇用の障がい者数は、算定の基礎となる職員数に法定雇用率を乗じ、小数点以下を切り捨てた人数とされておりますので、この算定方法によりますと、市長部局及び水道局においても、法定雇用の障がい者数を満たしていることとなります。 また、総合磐城共立病院におきましても、嘱託職員を新規雇用したことなどにより、現在では必要数を満たしているところであります。おただしのとおり、本年4月1日から法定雇用率が引き上げられますことから、今後におきましても、障がい者特別枠での職員採用や嘱託職員を雇用することなどにより、障がい者の雇用の拡大に努めてまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) この項、最後の質問ですが、第4次いわき市障がい者計画の中間見直しの主な改正点として、障がい者の一般就労への移行促進にあわせ、職場定着の支援体制の充実という項目を追加しておりますが、障がい者の就労定着に向けてどのように支援していくのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 就労定着に向けた支援につきましては、障がい者の特性や課題に対応するため、就労に伴う生活習慣、体調管理等の支援のほか、企業、家族との連絡調整や指導、助言等を行う就労定着支援事業が、本年4月から新たに創設されますことから、事業者に対し、参入促進を働きかけるとともに、公共職業安定所や障害者就業・生活支援センターなど関係機関と連携した支援体制の充実に努めてまいります。 ◆29番(安田成一君) 2016年4月に改正された障害者雇用促進法では、雇用の分野における障がい者に対する差別の禁止や、障がい者が働くに当たり支障を改善するための措置、すなわち合理的配慮の提供義務などが定められています。企業にとっては、雇用する障がい者の数だけではなく、働く環境などの質も適切に対応することが以前にも増して求められるようになったことから、今後とも障がい者雇用のさらなる環境整備に努めていただき、雇用の創出につながる施策の展開をお願いしまして、次の質問に移ります。 大きな2点目は、福祉避難所についてです。 東日本大震災から間もなく7年を迎えます。あの震災では、岩手、宮城、福島の3県で約41万人の方が避難生活を余儀なくされ、最終的には避難所が解消されたのは、岩手県で7カ月、宮城県で9カ月、福島県では2年9カ月後となりました。 また、多くの高齢者や障がい者、妊産婦や乳幼児等も被災し、避難生活の長期化に加え、被災地が広域に及んだことで相当数の避難所が設置され、専門的支援が十分供給されなかったこと、それに伴う福祉避難所の設置についても満足な体制が整えられなかったことなどが課題として残りました。特に震災当時は、福祉避難所に関する認知度は高くなく、自治体によっても、その指定状況に乖離があり、震災後、福島県内で設置された福祉避難所は3カ所にとどまり、本市においても設置までには至らず、福祉避難所のあり方が課題の1つとして浮き彫りになりました。 その後、本市においても福祉避難所について取り組んできていることから、以下伺ってまいります。 1点目は、設置状況についてです。 1995年に発生した阪神・淡路大震災を契機として、厚生労働省はその取り組みを総括した大規模災害における応急救助のあり方で、初めて福祉避難所指定の必要性を取りまとめ、その後の福祉避難所設置・運営に関するガイドラインの策定へとつながっていきました。ガイドライン策定後、福祉避難所の必要性は認識されていたものの、事前指定への取り組みは各地域でばらつきがあり、2007年に発生した中越沖地震では、数カ所の福祉避難施設は設置されましたが、開設のおくれや被災者への周知不足など、全体として十分な成果は得られなかったとの報告も公表されています。 そこでまず、東日本大震災の教訓から、本市においても福祉避難所の設置について取り組んできましたが、改めて、これまでの取り組み状況について伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 福祉避難所につきましては、東日本大震災の際に、一時避難所において、障がい者や介護を要する高齢者等に対しまして、その障害の特性に応じた十分な配慮が必要との課題が浮き彫りになりましたことから、部内に検討組織を設置し、関係各課との協議や関係団体からの意見聴取を重ね、そのあり方や必要な機能等を検討してまいりました。 それらの検討結果を踏まえ、いわきゆったり館などの公共施設、及び協定を締結した民間団体が運営する社会福祉施設を福祉避難所として指定したところであります。さらには、設置・運営マニュアルを策定し、地震、津波災害発生の際に、避難生活に一定の配慮が必要な高齢者、障がい者等の方に対応した支援体制の構築に努めてきたところであります。 ◆29番(安田成一君) では、現在指定されている福祉避難所の数について伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 本年2月1日現在で申し上げますと、公共施設が10施設、民間施設が65施設の合計75施設となっております。 ◆29番(安田成一君) 2点目は、受け入れ体制についてです。 2016年4月14日に発生した熊本地震は、最大震度7を観測、多くの被害をもたらし、避難者は熊本市内だけでも4万人以上になったといいます。当時、熊本市で指定されていた福祉避難所の数は市内176カ所で、約1,700名の避難者の受け入れを計画していたそうですが、震災直後に開設できた福祉避難所は34カ所で、利用者はわずか104人であり、1カ月後の5月の時点でも開設されたのは73カ所で、利用者は全体で341人にとどまりました。これは、熊本市側が、問い合わせが殺到して現場が混乱するのではないかとの判断から、市民に福祉避難所の開設を告知しなかったという側面もあるようですが、その後の調査で、福祉避難所の利用者が少なかった理由として、一時避難所からの移動手段の確保ができなかったことや、現場の受け入れスタッフの数が足りず、人手不足に陥ってしまったことなどが挙げられました。 本市が策定した福祉避難所設置・運営マニュアルでは、福祉避難所の物資・人材等の確保について、専門的なケアをする職員の確保は、施設の運営上必要に応じて人材を確保し、各福祉避難所に配置するとしており、受け入れ態勢については万全を期していると思いますが、以下、何点か伺います。 主に、避難行動要支援者名簿対象者が福祉避難所の対象になると思いますが、どのような方が対象となるのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 避難行動要支援者名簿の対象者につきましては、要介護3以上の認定を受けている方、身体障害者手帳1級または2級を所持している方、療育手帳Aを所持している方、精神障害者保健福祉手帳1級を所持している方、指定難病医療費受給者証を所持しており、かつ特定の医療処置を受けている方のほか、その他災害時の避難等に支援が必要な方などとなっております。 ◆29番(安田成一君) では、現在どれくらいの対象者がいるのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 昨年11月末現在で申し上げますと、1万6,616人となっております。 ◆29番(安田成一君) 協定を締結している民間施設などは、現状において既に定員を満たしている施設も多く、対応するスタッフを含めて、実際に受け入れが可能なのかということも考えられると思いますが、受け入れに対する態勢は、どのようになっているのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 民間施設における受け入れにつきましては、既に利用している方に支障が生じないよう配慮するとともに、必要なスペース、介護スタッフ及び物資を確保した上で、受け入れを行うこととしており、あらかじめ協定を結んでいる関係団体から人材及び物資の協力を得ることとしております。 ◆29番(安田成一君) 3点目は、災害に備えた日ごろの取り組みについてです。 福祉避難所の設置や運営訓練の実施、物資の備蓄など、施設ごとに災害時に起こり得る状況と、その対応を想定した日ごろからの取り組みは大変重要であると思います。 そこで、福祉避難所における訓練の実施状況について伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 福祉避難所の訓練につきましては、平成27年度から毎年度、2カ所程度の民間施設におきまして、受け入れ施設及び利用者の被害状況の把握、開設に向けた市災害対策本部との連絡調整、配慮を要する方の受け入れについて、実地に行っております。 ◆29番(安田成一君) 次に、発災時に円滑な福祉避難所の設置・運営に向けて、関係機関との連携体制、ネットワーク構築はどのように整備されているのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 関係機関との連携体制の整備につきましては、福祉避難所の設置・運営、人材及び物資の供給に係る協定を締結している団体と、市関係各課により構成される福祉避難所連絡会におきまして、福祉避難所設置訓練の結果報告、設置・運営に係る意見交換などを行い、連携体制の構築に努めております。 ◆29番(安田成一君) 福祉避難所の運営に必要な物資の確保はどのようになっているのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 福祉避難所の運営に必要な食料や日用品等の物資の確保につきましては、市が調達することとなりますが、必要に応じて福祉避難所となる民間施設が調達した場合には、災害救助法に基づき、その実費を市が負担することとしております。 また、福祉機器等につきましては、県福祉機器協会と締結している供給協力に関する協定に基づき、必要量を確保することとしております。 ◆29番(安田成一君) では、福祉避難所への移動手段の確保はどのようにするのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 移動手段につきましては、配慮を要する方を介護する家族等が確保することとなりますが、必要に応じて、市及び福祉避難所を運営する事業者が協力して行うこととしております。 ◆29番(安田成一君) 福祉避難所を運営する上で必要な人材について、どのような手段で確保していくのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 福祉避難所の運営に必要な人材につきましては、市職員を派遣するほか、市社会福祉協議会と締結している人材派遣に関する協定に基づき、ボランティア等の必要な人材の確保を行うこととしております。 ◆29番(安田成一君) 介護職などのスタッフの確保も重要な事項であると思いますし、被災地の外からの派遣スタッフの受け入れも必要かと思いますが、その場合どのように対応するのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 被災地の外からの介護職等のスタッフの受け入れにつきましては、県において福祉チームの派遣に係る協定を締結している民間団体から介護職員等の派遣を受けるほか、災害の規模によっては、県の要請に基づき、国から各都道府県に対し、被災地の社会福祉施設等への派遣協力の依頼を行うこととなっております。 ◆29番(安田成一君) 最後の項目は、今後の取り組みについてです。 熊本地震後の調査では、福祉避難所がどういうもので、市内のどこにあるのか、どのような役割なのか、約8割の方がその存在を知らなかったとの調査結果も出ています。そういったことを踏まえれば、日ごろから避難行動要支援者やその家族、支援者に対して、福祉避難所に対する普及・啓発の必要があると考えますが、本市の認識について伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 福祉避難所につきましては、一時避難所に避難された方のうち、心身の状態により、福祉避難所への避難が必要と判断された方が対象となりますことから、福祉避難所の適切な利用方法等について、地区保健福祉センターや関係機関を通して、周知に努めてまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) 災害はいつ起きるかわかりませんので、行政による福祉避難所の整備・拡充はもちろんのこと、事業所と行政との連携やスタッフの補充体制、避難者のスムーズな移送など、災害に備えた訓練も重要性を増してきていると思います。福祉避難所に対する普及・啓発とあわせ、実効性のある施策の展開をお願いしまして、次の質問に移ります。 大きな3点目は、本社機能移転等の促進に向けた取り組みについてです。 国は、地方への雇用促進を図る目的として、大都市圏から地方への本社機能移転や地方における本社機能の拡充を行う企業を支援するため、税制等に対する優遇措置など、地方への本社機能の移転に向けた支援制度を創設し、促進を推し進めています。 本市では、こうした国が進める地方創生の趣旨を踏まえ、安定した良質な雇用創出といわき創生総合戦略を推進する施策として、本社機能移転等事業者奨励金制度を創設し、市内への本社機能移転等の促進に向けた取り組みを行っております。その状況について、以下伺っていきます。 1点目は、本社機能移転等事業者奨励金制度についてです。 市は、平成29年3月にいわき市本社機能移転等事業者支援条例を制定し、市内に本社機能の移転等を行った企業を対象に奨励金を交付する制度を創設するなど、これまで本社機能移転に向けて取り組んできました。改めて、制度創設に至った経緯について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 国は、地方創生を推進する観点から、平成27年度に、地方において本社機能の移転や拡充を行う事業者に対する優遇措置として、地方拠点強化税制を創設したところであります。こうした国の動きに呼応し、市といたしましては、本市への本社機能移転をより促進するため、平成29年3月に本市独自の優遇措置である市本社機能移転等事業者奨励金を創設したところであります。 これらのことにより、本市に本社機能の移転が促進され、事務系の仕事が増加することで、若年層の市外への流出の抑制が図られることに加え、本市への新たな人の流れを生み出すことにつながるものと考えております。 ◆29番(安田成一君) では、制度の概要について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 本奨励金の制度は、本市に調査・企画や研究開発などの部門、いわゆる本社機能を有する事業所を整備した事業者に対し、当該事業所で新たに増加した従業員の数に応じて、市が奨励金を交付するものであります。その対象となる事業者においては、国の地方拠点強化税制に基づく、県の地域再生計画に沿って、地方活力向上地域特定業務施設整備計画を策定し、県の認定を受けた上で、移転等を行うことが条件となります。 なお、国の地方拠点強化税制は、平成29年度までの時限措置とされておりますが、現在、その延長等を含む改正法案が国会で審議されているところでございます。 ◆29番(安田成一君) 本社機能の移転等を行う事業計画として、先ほど答弁にもありましたが、地方活力向上地域特定業務施設整備計画を企業が作成し、県の認定を受けた場合には、国税や県税、市税などの税制優遇が受けられることとなっております。 加えて、本市では奨励金を交付するということになっておりますが、その地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定要件はどのようなものなのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 県による計画の認定につきましては、本社機能を有する事業所を整備し、当該事業所に勤務する従業員の数が大企業は10人以上、中小企業等は5人以上増加することが要件となっております。 ◆29番(安田成一君) では、交付される奨励金額について伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 奨励金の額は、増加した従業員1人につき200万円を最大3年間にわたり交付するものとなっております。 ◆29番(安田成一君) 2点目は、今年度の取り組みについてです。 まず、制度創設以降、本社機能誘致に向けてどのような取り組みを行ってきたのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 昨年3月の制度創設以降、市広報紙やホームページに情報を掲載するとともに、市内に事業所を有し、市外に本社機能を置く事業者約500社に対し、ダイレクトメールを送付するなど、制度の周知を図ってきたところであります。その上で、特に本市に工場等を置いている事業者については、研究開発機能などを移転・拡充する可能性が高いと考えられることから、東京事務所と連携を図りながら、100社以上に対し、対面で制度を説明するなど、本社機能移転等の促進に向け積極的に取り組んできたところでございます。 ◆29番(安田成一君) では、取り組みの成果はどのようなものか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 本市に本社機能の移転等を行うため、県から地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定を受けた事業者は3社となっております。また、現在、新たに2社から、計画の認定に向けた具体的な相談を受けているところであります。 ◆29番(安田成一君) 県内他市においても、同じような制度を運用して本社機能の移転に向けて取り組んでいますが、思うような成果が得られていないと聞き及んでおります。そのような中で、本市においては、3社が整備計画の認定を受けたというようなことでありますので、これは非常に大きな成果ではないかなと思っております。 次に、この奨励金は国が創設した企業の地方拠点強化税制がベースになっていますが、国の税制に基づき、地方税の県税や市税の優遇措置を行うためには、都道府県は、地域再生計画を策定することとされています。 県が地域再生計画を策定した福島県地方活力向上地域特定業務施設整備促進プロジェクトでは、浜通り、中通り、会津の3地域ごとに、産業の特徴や近年の立地動向と今後の見通しを分析の上、計画の目標値を定めています。 そこで、本市を含む浜通り地域の目標は何件とされているのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 福島県が策定しました地域再生計画において、浜通り地域につきましては、7件を目標に掲げているところでございます。 ◆29番(安田成一君) では、これまでの取り組みの中で、どのような課題が把握されたのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 本社機能の移転等の促進に向け、首都圏の事業者を直接訪問した中で、事業者は、本市独自の支援制度に関心を示しながらも、取引先や関係金融機関との地理的近接性や社員の転勤を課題と考えていることが浮き彫りとなったほか、そもそも地方への本社機能の移転等を考えていないという事業者が多いことが明らかになったところでございます。 一方で、ダイレクトメールを送付した企業のうち、特に工場の新設を検討している事業者から、直接問い合わせがあった事例も見られたことを踏まえますと、本社機能の移転等を考えている事業者も存在するものと考えてございます。 このため、市といたしましては、本社機能の移転等の意向がある事業者の掘り起こしに粘り強く取り組んでいくとともに、市企業誘致アドバイザーなどの本市が有するネットワークを最大限に活用した情報収集等も行いながら、本社機能移転等の促進に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) 3点目は、さらなる促進に向けた取り組みについてです。 初めに、この奨励金の基本スキームとなる企業の地方拠点強化税制は、答弁にもありましたが、今年度までの時限措置となっていますが、昨年12月29日に閣議決定された平成30年度税制改正の大綱では、当該税制の取り扱いに触れています。 では、その概要はどのようなものなのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 先般公表されました国の平成30年度税制改正の大綱におきましては、企業の地方拠点強化税制が2年間延長されることとされており、また、本社機能の移転等に当たり、企業が作成し、県が認定する特定業務施設整備計画の認定要件についても、緩和される内容が盛り込まれております。その具体的な内容につきましては、従業員の増加要件に関し、大企業の場合には、10人以上とされているところが5人以上へ、中小企業の場合には、5人以上とされているところが2人以上へとそれぞれ緩和されるものとなっております。 ◆29番(安田成一君) では、そうした状況を踏まえて、今後どのように取り組んでいくのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 国の企業の地方拠点強化税制が2年間延長され、要件が緩和されることは事業者にとって、より利用しやすい制度となることから、本社機能移転等に関心を示す事業者が新たにあらわれる可能性もあり、本市への本社機能移転等につながるものと考えております。 このため、制度の延長や認定要件の緩和に係る法令等の改正の動向を注視しながら、市独自の支援制度でもある市本社機能移転等事業者奨励金の周知を図ることはもとより、先ほど御答弁申し上げましたとおり、移転等の意向がある事業者の掘り起こしに取り組むとともに、本市が有するネットワークを活用しながら、本社機能移転等の促進に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) 次に、いわき四倉中核工業団地第2期区域についてですが、第2期区域は本年度末に完成を迎え、この春から分譲開始の見通しであると聞き及んでおります。本社機能を誘致する上でも、重要な基盤になると考えています。 こうした中、2月1日の新聞報道で、県は、今後県営工業団地造成の廃止を検討するという記事が掲載されましたが、県が、今後県営工業団地の開発から撤退することで、四倉中核工業団地への本社機能移転誘致に影響は生じないのか伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 本件につきましては、福島県企業局から、いわき四倉中核工業団地の分譲については、第2期区域はもとより、第1期区域も含め、これまで同様に県と市が連携しながら完売に向け、誘致活動を展開する方針に変わりはないとの説明を受けております。このため、いわき四倉中核工業団地への企業誘致や本社機能誘致に関しましては、特段の影響は生じないものと認識しております。 ◆29番(安田成一君) 最後に、イノベーション・コースト構想を念頭に置いた取り組みについてです。 イノベーション・コースト構想は、新たな産業の創出により働く場を生み出すものですが、こうした点に照らせば、本社機能の移転等促進に当たり、イノベーション・コースト構想を踏まえた取り組みも肝要ではないかと考えますが、市としての取り組みについて伺います。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 本市におきましては、イノベーション・コースト構想を踏まえ、特に風力発電やバッテリー関連等の再生可能エネルギーやロボット関連産業など、成長が見込まれる産業をターゲットに企業誘致を行っているところであります。これらの企業につきましては、製造拠点とあわせて、研究開発部門などの本社機能が立地することも期待されることから、今後におきましても、イノベーション・コースト構想も念頭に置きながら、本社機能移転等の促進に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) 今後も、本社機能移転等の具体的事例などを紹介しながら、引き続き奨励金制度の周知に力を入れていただきたいと思いますし、本市における魅力ある仕事づくり、雇用のミスマッチ解消にも取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。 最後の項目は、終活についてです。 高齢化社会の進展や核家族化が進む中で、多くの関心を集め、最近になって終活という言葉がよく聞かれるようになりました。就職活動が、就活と略されるのと同種の造語で、終活は、その名のとおり、人生の終わりについて考える活動とされています。2009年に終活本と呼ばれる書籍が出版されたことを契機に徐々に広がり始め、2011年の映画エンディングノートの公開や、翌年の流行語大賞で終活が選出されるなど、世間一般に終活という言葉が広く認知されるようになりました。加えて、言葉の定着に合わせ、医療や介護、葬儀やお墓、遺言や相続の準備などをまとめておく、いわゆるエンディングノートにも最近注目が集まっています。 また、一般社団法人終活カウンセラー協会が設けている終活カウンセラーという資格には、初級、上級、上級インストラクターの3つの資格があり、全国各地で行われる認定試験には、親の介護を考える40代、50代の方、葬儀会社や保険業の仕事関係者など、幅広い年代層から毎回100名を超える受講者が訪れるといいます。 こうした中、本市においても、市民が安心して人生の終末を迎えることができる環境整備をさらに促進し、余生を安心していわきで暮らし続けることができるようにするため、いわき市あんしん終活支援プロジェクトとして、火葬場の整備や合葬式墓地の整備、いわき安心ノートの配布事業などを展開することとしております。 それらを踏まえ、以下伺ってまいります。 1点目は、合葬式墓地の整備状況についてです。 初めに、改めて、現在の市営墓地の状況について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 本市では、東田墓園及び南白土墓園の2つの墓園を設置しており、東田墓園は昭和48年に開園し、総面積5.7ヘクタール、区画数は1,614であり、また、南白土墓園は昭和53年に開園し、総面積18.3ヘクタール、区画数は3,410であります。 両墓園とも既に空き区画はなく、大規模な区画型墓地の造成を行うことも困難であることから、近年は、年に20区画程度、使用者から返還された区画を再募集しており、一度も埋蔵されたことがない親族の焼骨を所持していることを条件に付しながらも、平成27年度以降、過去3カ年の平均抽選倍率は約2.3倍と市民の需要は高い状況にあります。 ◆29番(安田成一君) 次に、現在整備中である南白土墓園における納骨堂併設型合葬式墓地の整備状況について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 南白土の納骨堂併設型合葬式墓地につきましては、地上1階地下1階の鉄筋コンクリートづくり、遺骨の埋蔵可能数が5,000体の施設となっており、平成29年11月に工事に着手し、平成30年8月中の竣工を目指しているところであります。 ◆29番(安田成一君) 同じく、東田墓園における納骨堂併設型合葬式墓地の現在の整備状況について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 東田の納骨堂併設型合葬式墓地につきましては、地上1階地下1階の鉄筋コンクリートづくり、遺骨の埋蔵可能数が1,700体の施設となっており、平成29年度に実施設計が完了したことから、平成30年度に整備工事に着手し、同年度中の竣工を予定しております。 ◆29番(安田成一君) 次に、樹木葬型合葬式墓地の整備状況についてですが、市営墓園における樹木葬型合葬式墓地の現在の整備状況について伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 樹木葬型合葬式墓地につきましては、南白土において、区画面積約530平方メートル、埋蔵可能数2,500体の施設、また、東田において、区画面積約180平方メートル、埋蔵可能数800体の施設を整備することとしており、両墓園の樹木葬型合葬式墓地とも、平成29年度に実施設計が完了したことから、平成30年度に整備工事に着手し、同年度中の竣工を予定しております。 ◆29番(安田成一君) 現在の予定であれば、南白土墓園における納骨堂併設型合葬式墓地は、来年度供用開始を迎えることになりますが、供用開始の時期や市民への施設公募の案内など、南白土墓園の今後のスケジュールについて伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 公募等のスケジュールにつきましては、今後、平成30年市議会9月定例会において墓園の使用者資格及び使用料等を規定したいわき市墓園条例を改正し、その後、市民の皆様に向けた施設の内覧等を行った上で使用者を募集し、本年中に供用したいと考えております。 ◆29番(安田成一君) では、南白土墓園における納骨堂併設型合葬式墓地の使用料については、どのように考えているのか伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 納骨堂併設型合葬式墓地に係る使用料につきましては、施設の整備費及び耐用年数である60年間の維持管理費の見通しを踏まえた上で算定することとなるため、今後確定次第お示ししてまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) 答弁では、施設整備費や維持管理費を踏まえて算定するということになっておりますが、例えば他市での事例はどのようになっているのか伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 本市と同規模の納骨堂併設型の他市の例としましては、大阪市の瓜破霊園では直接合葬で1体当たり5万円、20年間納骨室に収蔵した後、合葬する場合におきましては、1体当たり15万円となっております。また、県内の郡山市の東山霊園では、それぞれ4万5,000円、9万5,000円となっております。 ◆29番(安田成一君) 時代の流れとともに、お墓のニーズも多様化し、従来の概念にとらわれない埋葬方法を選択する方もふえてきています。また、少子・高齢化や核家族の増加を踏まえれば、現在整備中の合葬式墓地は時代に即応した施設でもあるとも思います。 一方、現状の2カ所の市営墓園においては、条件の制約や公募の倍率も高く、必ずしも市民ニーズに応えている状況にあるとは言えないと思いますが、今後、新たな市営墓地整備の考え方について、どのような認識を持っているのか伺います。 ◎市民協働部長下山田松人君) 新たな市営墓地の整備につきましては、現在4基の合葬式墓地の整備を進めているところであり、今後、順次供用を開始していくこととなりますことから、これら合葬式墓地に対する市民の皆様の応募状況等を見きわめながら、判断してまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) 2点目は、いわき安心ノート、いわき市版エンディングノートについてです。 終活の中で、遺言状のように金銭のこととは別に、葬儀の進め方やお墓の選び方など希望を書き残し、残された人に宛てた個人的な手紙のようにも使うことができるエンディングノートが注目されています。法的な効力はないものの、生前の家や自分自身のことを整理できるツールとして利用でき、専門コーナーを設ける書店もあるなど、さまざまな形式のエンディングノートも販売されています。 先日、ある高齢者の新年会に出席した際に、同じテーブルでエンディングノートの話になりました。俺は市役所からもらってきた、早速、ばあちゃんと一緒に書いて息子にやった、書き方の講座を受けてきた、どこに行けばもらえるのなどなど、思いのほか反響があることに驚きました。 今般、本市でも県内でも初めてとなる、いわき安心ノート、いわき市版エンディングノートを作成し、配布事業を行っていることから、以下伺ってまいります。 初めに、今回のいわき市安心ノート作成に至った経緯について伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 単身高齢者や高齢者のみ世帯が増加する中で、誰もが住みなれた地域で最後まで自分らしく暮らすための地域包括ケアシステムの構築を進めていくためには、本人の選択を家族が理解し、そのための心構えを持つことが重要となります。 このため、本市では高齢者が、エンディングノートの記載を通じて、今までの人生を振り返るとともに、これからの人生について考え、みずからの思いを家族などの大切な方に伝えられるようにすることにより、みずからの望む場所で、安心して暮らし続けることを目的に、平成28年度に、いわき市版エンディングノートとして、いわき安心ノートを作成したものであります。 ◆29番(安田成一君) 次に、本市では昨年9月からいわき安心ノートの無料配布を行っておりますが、これまでの配布状況について伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) いわき安心ノートにつきましては、平成28年9月から、地区保健福祉センター及び地域包括支援センターの窓口に合計1万部を配置し、希望をする方に無料で配布しており、本年1月末現在の配布数は6,173部となっております。 ◆29番(安田成一君) 次に、いわき安心ノートの書き方講座等を開催しておりますが、その状況について伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) いわき安心ノートにつきましては、書く目的やポイントを理解していただき、当該ノートを有効に活用していただきたいとの考えから、平成28年度より公民館の市民講座として、いわき安心ノートの書き方講座を開催しております。 また、住民主体の介護予防活動を推進するため、市内約400カ所で運営されておりますつどいの場におきましても、いわき安心ノートの書き方講座をメニューに組み込んでいるところであり、住民が必要に応じ、主体的に学んでいる状況であります。 ◆29番(安田成一君) では、講座への参加者からは、どのような反応があったのか伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) いわき安心ノートの書き方講座の受講者の感想について、主なものを申し上げますと、過去を振り返り、この先を考えるよい機会となった、自分の立場、環境にマッチしている、改めて、終活に向き合うことができ、これからの準備の道筋となったなど、おおむね好意的な意見をいただいております。 ◆29番(安田成一君) 最後に、いわき安心ノートの今後の取り組みについて伺います。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 今後の取り組みにつきましては、地区保健福祉センター及び地域包括支援センターにおける窓口配布や、市民講座等における書き方講座の開催など、これまでの取り組みを継続するとともに、地域包括支援センター等から働きかけを行うなど、関係機関との連携を図りながら、いわき安心ノートの普及・啓発に努めてまいりたいと考えております。 ◆29番(安田成一君) 国においては、人生100年時代を見据えた人生100年時代構想会議が設置され、単線型の人生ではなくマルチステージの人生を送れるよう、社会システムを変えていく取り組みが始まろうとしております。今後、本市が取り組む終活支援が、自分を見つめ直し、自分らしく生きることに資するプロジェクトになることを期待いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(蛭田源治君) ここで、午後3時30分まで休憩いたします。          午後3時16分 休憩---------------------------------------          午後3時30分 再開 △佐藤和良君質問 ○副議長(蛭田源治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。35番佐藤和良君。          〔35番佐藤和良君第二演壇に登壇〕 ◆35番(佐藤和良君) (拍手)35番いわき市議会創世会の佐藤和良です。 ことしも間もなく3月11日を迎えます。東日本大震災と福島第一原子力発電所の過酷事故から丸7年。事故はいまだ収束せず、政府の原子力緊急事態宣言も解除されておりません。放射性物質による長期の低線量被曝に向き合い、子供たちを初め、誰もが安心して暮らせるいわきの再生に向けて、私は市民の皆様とともに歩み続けたいと思います。 それでは、通告順に従い、一般質問を行います。 大きな第1点、命を守る、高齢者と障がい者の福祉の充実についてであります。 1点目は、高齢者福祉の充実、介護施設と介護人材の確保・育成などについてです。 高齢者が安心して暮らすための課題解決に向けて、以下伺います。 まず、第8次いわき市高齢者保健福祉計画について、特別養護老人ホームや軽費老人ホームなどの施設整備目標を含めて、平成30年度から平成32年度までの第8次計画の概要は、どのようなものかお尋ねします。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 第8次市高齢者保健福祉計画につきましては、現行計画の地域包括ケアシステムをさらに深化・推進するものと位置づけ、基本理念である、ひとりひとりが安心して自分らしく暮らせるまちいわき、及び2025年に向けたビジョンである健康寿命の延伸といわき市地域包括ケアシステムの構築について踏襲した上で、安心して暮らせる住まい環境の整備など、ビジョン実現のための8つの取り組みの視点や施設の方向性などの見直しを行ったところであります。 このうち、主な施設の整備目標数について申し上げますと、広域型特別養護老人ホームが60床、地域密着型特別養護老人ホームが58床、介護医療院が59床、認知症対応型共同生活介護が36床、特定施設入居者生活介護が60床となっております。 ◆35番(佐藤和良君) 次に、介護施設における待機者の解消に向けたショートステイ床の特別養護老人ホームへの転換について、平成29年4月現在で、要介護3以上の施設入所希望者が794名待機している現状を解消するため、空床40%、稼働率59.7%といわれるショートステイ床の特別養護老人ホームへの転換を実現して、待機者の解消を進めるべきではないかお尋ねします。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 次期計画におきましては、広域型の特別養護老人ホームを60床を整備予定としておりますが、これにつきましては、既存の介護施設や介護人材等の社会資源を有効に活用する観点から、ショートステイ床からの転換による整備を予定しているところであります。 今後におきましても、介護施設等の稼働状況等の把握に努め、待機者の状況を見きわめながら、取り組んでまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) 次に、要介護認定おくれの解消について、認定結果がおくれた場合、利用していたサービスが制限されることもあり、結果、在宅生活に支障を来す場合もあります。 おくれの理由は、主治医意見書取得のおくれが考えられ、申請日から、認定調査、主治医意見書取得、審査会における審査判定を経た、認定までの期間が原則30日とされていることを厳守する体制の再構築を図り、要介護認定のおくれを解消すべきではないかお尋ねいたします。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 要介護・要支援認定につきましては、主治医意見書遅延医療機関に対して、提出催促を実施するとともに、申請後の速やかな認定調査の実施に努めておりますが、やはり主治医意見書の取得の遅延などの理由により、30日を経過する事態も生じております。このため、市といたしましては、遅延解消を図るため、申請後の日数の経過状況に応じて、随時、主治医意見書の作成状況の確認を行うなど、迅速な対応に努めてまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) 次に、介護人材の確保・育成についてです。 本市はこれまで、中高生へのアプローチや市外の福祉系専門学校生を対象にした、本市の介護施設等へのバスツアーを企画しましたが、定員割れでした。現在、浜通りには介護福祉専門学校がなく、郡山市には数校設置されております。 この際、地元志向の強い学生・生徒の就労につなげるために、白河市で実現したように、介護福祉専門学校を官民共同で設立する構想を検討すべきではないかお尋ねいたします。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 介護福祉専門の学校を設立することにつきましては、現在、東日本国際大学において、国家資格である介護福祉士の資格取得を目指す介護福祉コースを平成30年度の開設に向けて準備を進めておりますことから、今後の定員充足状況を見守る必要があるものと考えております。 市といたしましては、福祉系の学校を目指す学生が少なく、県内の福祉系専門学校の多くが定員割れしている状況から、事業者とも連携を図りながら、将来、介護職に従事するために福祉系の学校を目指す児童・生徒がふえるような取り組みとして、介護の仕事の将来性や魅力等を伝えるための出前講座等を実施してまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) 次に、高齢者福祉施設の改修工事等への助成について、近年、施設老朽化と高額福祉機器の更新時期を迎えた施設においては、資金の捻出に苦労している現状にあることから、本市として施設改修資金の助成を検討すべきではないかお尋ねいたします。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 高齢者福祉施設の整備につきましては、新規整備分を助成しているところであり、改築費用については補助対象としておりませんが、今後、市内においても老朽化した施設の改築が見込まれますことから、事業者の施設改築に係る意向等を把握するとともに、全国共通の課題でもありますことから、他自治体における事業者支援の実施状況についても調査しながら、事業者が計画的に施設を改築できるよう国・県に働きかけてまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) 先ほど、安田議員の質問の中で、福祉避難所の話もございました。施設によっては、福祉避難所に指定されているというようなところもございますから、そういう点でも、その検討については少しく時期を見て具体化していただければと思う次第であります。介護施設の充実と介護人材の育成・確保は喫緊の課題でありまして、今後ともその充実に向けて前進されることを要望いたしまして、次に進みたいと思います。 2点目は、障がい者福祉の充実、福祉的就労と生活支援などについてです。 障がい者の就労支援を進める福祉的就労の工賃の向上等について、以下伺います。 まず、いわき市障がい者就労施設等からの物品等調達推進方針の実績についてです。 本市は、いわゆる障害者優先調達推進法に基づき、障がい者就労施設等からの物品及び役務の優先的調達、積極的購入の推進を図り、障がい者就労施設等での就労する障がい者の自立の促進に資することを目的に、調達推進方針を平成25年度から毎年度策定しています。 これまでの年度ごとの目標に対する実績はどうなっているかお尋ねします。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 調達目標額に対する実績額につきまして、年度ごとに申し上げますと、平成25年度は、1,200万円に対し1,222万円、平成26年度は、1,230万円に対し1,346万円、平成27年度は、1,353万円に対し1,412万円、平成28年度は、1,354万円に対し1,414万円となっております。 ◆35番(佐藤和良君) 次に、平成30年度における調達推進方針の目標についてであります。 平成29年度の調達目標が216万円と、平成28年度実績1,414万円から85%も大幅削減されまして、障がい当事者への工賃支給が大打撃を受けました。いわき地区障がい者福祉連絡協議会などが、その対応策として、各課ごとの仕事の切り出しや、リストアップなどによって本市全体での積極的な検討を行政に要望しております。 調達推進方針の平成30年度目標値にどう反映させていくのかお尋ねします。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 今年度における調達目標額につきましては、敬老記念品に係る調達分の減額について、関係団体と協議の上、設定をしたものであります。 今後につきましては、各部署における調達可能な業務について、リストアップするなどの調査を行うとともに、どのような役務や物品の提供が可能なのか、関係団体と協議を行いながら、優先調達の一層の推進に努め、今年度を上回る目標額を設定してまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) 障がい者の就労支援はやはり大きなテーマでありますし、一般就労までいかない、福祉的就労の中で、この本市の調達というのが非常に大きなウエートを占めていたということもございますので、そういう意味で、平成30年度の目標値、6月くらいまでには決まるでしょうから、ぜひとも平成26年、平成27年あたりまで、もう一度復帰させて、さらに前進させるようにお願いをしたいと思います。 次に、公共施設内での、福祉の店の販売機会の拡大についてであります。 就労する障がい者の工賃の向上と市民の障がい者に対する理解の促進を目的に、現在、市役所本庁では、1階入口で毎週月曜日と木曜日、午前11時から午後2時まで、障がい者就労施設等が弁当、おにぎり、焼き菓子などを販売していますが、工賃の向上に向けて、販売日や販売施設・場所など販売機会の拡大を図るべきではないかお尋ねします。 ◎保健福祉部長(高沢祐三君) 今年度における優先調達目標額の減少に伴いまして、障がい者就労施設等の製品の販売機会の拡大を目的に、昨年2月から、福祉の店の開催回数を、週1回から週2回にふやしたところであります。販売機会の拡大につきましては、障がい者就労施設等の職員の負担等の課題もありますことから、今後、関係団体と協議してまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) いろいろ体制をつくっていくためには、それぞれの施設の皆さん、職員の皆さん、障がい当事者の皆さんとよくお話ししていただいて、ぜひとも前に進めるようにお願いしたいと思います。 次に、重度心身障害者交通費助成についてであります。 本市は、在宅で生活している重度の障がい者の方が出かけるときの交通費を、年額1万2,000円助成しております。外出や社会参加の機会も多くなりまして、昨年、視覚障がい者の団体、いわき市盲人福祉協会から、県内同規模他市並みに年額1万5,000円への増額の要望も出されているところであります。 本市として、重度心身障害者交通費の助成の増額をすべきではないかお尋ねいたします。
    保健福祉部長(高沢祐三君) 本市におきましては、現在、年額1万2,000円を支給しておりますが、他市におきましては、タクシー利用に対するものや自動車燃料費に対するものなど、助成方法もさまざまでありますことから、本市の実情や利用者のニーズを踏まえた交通費助成のあり方について、今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) 今、部長おっしゃるように、支出の項目が、直接的にそれぞれの乗り物に対する助成であったりするというのが、他市の事例であるようですけれども、そういったことも勘案して、全体として、他市並みにそろえるような形になればなあというのが、それぞれの当事者の人のお話にございましたので、そういう点でもひとつ具体的に意見を拾って、ヒアリングしていただいて、それで具体化できるようによろしくお願いしたいと思います。 こうした福祉的就労の場の工賃の向上、あるいは生活支援の改善を要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。 大きな第2点は、東京電力福島第一原発事故によるトリチウム汚染水の海洋放出の中止についてであります。 原子力規制委員会の更田豊志委員長は、昨年12月から、東京電力福島第一原発事故による避難指示区域など、本市も含めまして13市町村の首長と会談をして、事故によるタンク貯蔵トリチウム汚染水を希釈して海洋放出する以外の選択肢はない、年内にも結論を出すべきと繰り返し発言しました。現在、このタンク貯蔵トリチウム汚染水については、経済産業省で、多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会を設置して、ヒアリングやらサイト内の視察などを含めまして、社会的影響をどういうふうに反映させていくのかということも含めて協議を続けているところでございます。 一方、福島県漁連は、トリチウム水の海洋放水には断固反対との姿勢を堅持しております。また、トリチウムの濃度にかかわらず海洋放出すべきではないとしてきました本県第5区選出の吉野復興大臣は、これ以上、漁業者に迷惑をかけることはしてほしくないと、海洋放出以外の処分方法を議論していくべきだと話しております。 そこで、以下伺います。 1点目は、原子力規制委員会の委員長の発言と対応についてです。 まず、原子力規制委員会委員長の発言について、更田委員長が、1月11日に本市を訪れ、市長と懇談した際の発言の内容はどのようなものかお尋ねいたします。 ◎市長(清水敏男君) 原子力規制委員会の更田委員長からは、多核種除去設備で除去できないトリチウムを含む処理水、いわゆるALPS処理水を海洋へ放出することに対し、科学的・技術的には環境や海産物に影響が出るとは考えられないという発言や、風評被害の問題は捉えることが大変難しい問題であるが、ALPS処理水の処理についても、いたずらに先送りが許される状況だとは考えていないことから、多くの方々にとって受け入れがたい判断であるとは理解しているものの、福島第一原子力発電所の廃炉を前に進めるためには、ALPS処理水を海洋へ放出しなければならないと考えているとの発言があったところであります。 ◆35番(佐藤和良君) 市長はその際、どんな返し方をしたんでしょうか、お尋ねいたします。 ◎市長(清水敏男君) 更田委員長は昨年12月からの立地町等への訪問の際に、ALPS処理水の海洋放出に言及した発言を繰り返し行っていたところであります。 本市といたしましては、風評などの社会的影響を十分に考慮した処分方法の検討や、関係者や住民に対しわかりやすく丁寧に説明し、理解を得るよう、強く要請したところであります。 ◆35番(佐藤和良君) 原子力規制委員会の委員長の対応でありますけれども、東京電力の福島第一原発事故の収束作業中である現在、現時点において被災者を初め、関係当事者の合意形成を待たずに、規制当局でありながら、コストを優先して他の方法を捨象すると、一方的な事故の結論を押しつけるような原子力規制委員会の委員長の対応を、本市としてはどのように捉えているのかお尋ねします。 ◎市長(清水敏男君) 先ほども答弁いたしましたが、本市といたしましては、風評などの社会的影響を十分に考慮した処分方法の検討や、関係者や住民に対しわかりやすく丁寧に説明し、理解を得るよう、強く申し入れをしたところでございます。 ◆35番(佐藤和良君) 市長おっしゃるとおり、この更田さんは、そういう意味では、積極的に出て行って説明したいとは自分ではおっしゃっているようなんですけれど、実際には市民に広く開かれた場で説明をするというやり方をしているんではないんです。まず首長からということで歩いているのかと思いますけれども、そういう意味で言いますと、ほかに手段がないからこれで納得しろということを、規制当局である規制委員会の委員長が、そういう形で押しつけるような形で言っていいものなのかと。規制当局でありながらという思いがやはりあるんですね。 これは、先ほど申し上げました経産省のタスクフォースの結論が出た後に、専門小委員会を設けて、いわゆるALPS処理水の問題をどうするか協議している中で、それを越えて、協議中であるにもかかわらず、規制当局の規制委員会の委員長が行政の首長を説得して歩くという構図になっているんです。そのことが、やはり私は非常に問題があるのではないかなと思っていまして、市長が当然その風評被害を初めとして、そういうものにならないように、きちっと対応してもらいたいとおっしゃったのは当然のことだと思うんです。なおかつ、やはりこれしか方法がないんだというのは、一番安い、コストがかからない方法で短時間にできるという意味で、これしかないのであって、その他に方法がないわけではないんですね、実際には。お金をどれだけかければどうなるかということは、また別なんです。 あの経産省のタスクフォースで出たさまざまな方法というのは4つぐらいあったわけで、その中で、一番コストがかからないものを更田さんが今説得して歩いているという構図になっておりまして、私は、吉野復興大臣が、濃度にかかわらず、漁業者に迷惑をかけてほしくないと、海洋放出以外の処分方法を議論していくべきだとおっしゃっているのは、まさに的を得た発言だと思っているんです。そういう立場に立って、ぜひともいわき市も御努力願いたいなと思っているところでございます。 そういうことで、2点目は、水産業等の再生を阻害するトリチウム汚染水の海洋放出の中止について、水産漁業関係者が反対をしている、あるいは市民が懸念している現状で、水産業等の再生を阻害するトリチウム汚染水の海洋放出中止を求めて、安全な陸上保管等を進めるよう、本市として、東電、原子力規制委員会初め、各関係機関に求めるべきではないかお尋ねいたします。 ◎市長(清水敏男君) 現在、国の多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会においては、海洋への放出のみならず、陸上保管やコンクリート等で固化することによる埋設廃棄等、さまざまな選択肢について、風評被害などの社会的な観点などを含めて、総合的に検討を進めているところであります。 市といたしましては、ALPS処理水の処分に当たっては、こうした国における検討の結果を踏まえながら、風評などの社会的影響を十分に考慮して、処分方法を検討する必要があると考えておりますことから、私みずからその旨を、1月11日には原子力規制委員会更田委員長に対して要望し、また、2月13日には東京電力ホールディングス株式会社小早川代表執行役社長に対して、申し入れを行ったところであります。 今後におきましても、引き続き、国及び東京電力に対し、ALPS処理水に係る適切な対応を強く求めてまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) ぜひともお願いしたいと思います。特に、今、水産業の再生ということで、常磐ものということで、漁業者初め、歯を食いしばっているときです。12月に震災後のサンマの水揚げで非常に頑張ってくれた業者が倒産をしたということも、皆さん御存じのことと思いますけれども、このままでいけば、漁業者が廃業に追い込まれたり、あるいはこのトリチウム汚染水の海洋放出が決まれば、水産関係者が倒産をするというようなことになってしまうんです。実に、この更田さんがやっていることは大問題。福島の復興ということからすれば大問題。本当にこれは許すべからざる所業だと私は思っております。そういう意味で、やはりこのいわきの水産業、いわきの復興ということを考えれば、ここは絶対譲れない点だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 それでは、本市の取り組みの強化を要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。 大きな第3点、いわき市の再生と地域課題の解決についてであります。 1点目は、(仮称)阿武隈南部風力発電事業における環境保護と生物多様性の保全についてです。 エコ・パワー株式会社の(仮称)阿武隈南部風力発電事業計画は、本市の北部、小川町から四倉町の福島第一原発30キロ圏付近に位置する屹兎屋山、猫鳴山、二ツ箭山などの南側支稜及び西側支稜を含む本市、双葉郡広野町及び楢葉町の行政界付近の山稜上にまたがる、最大14万6,200キロワット、3,400キロワット級風力発電機を43基設置する大規模な風力電源開発計画です。これまで、環境影響評価に係る手続が計画段階環境配慮書から環境影響評価方法書の段階まで終了し、近く準備書が提出される段階とされます。 方法書に対する知事の意見では、対象事業実施区域から、まとまりのある自然植生、生物相の豊かな場所、保安林、希少な動植物の生息地、峡谷、埋蔵文化財所在地等の風力発電事業との併存に困難があることが明らかな地域を極力除外すること、さらに本事業計画の実施に当たっては、周辺地域住民の理解が不可欠となることから、必要な情報の周知、十分な説明と意見の聴取を確実に進めるとともに、当該地域が、現在自然豊かで極めて閑静であることを踏まえ、事業者として、当該住民等の一番の不安がどこにあるのか、その感得に誠実に努めることと指摘しております。 先月、日本野鳥の会いわき支部は、計画どおりに工事が進められた場合、いわき市内での希少種の繁殖地及び渡りの中継地点が失われることなどから、風車配置計画の見直しなどを、本市として福島県へ要請するよう市長に要望いたしました。 そこで、以下伺います。 まず、(仮称)阿武隈南部風力発電事業について、本事業は、風力発電所の建設から維持管理までの関連産業の雇用創出や地元企業への発注、売電収益の一部を利用した復興支援や地元振興などが目的とされていますが、電力供給先も含めて、雇用創出などの事業目的が具体的にはどの程度になると、本市は承知しているかお尋ねします。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 県が推進します風力発電拠点形成プロジェクトの目的は、豊富な風力資源を活用した再生可能エネルギーの導入拡大とあわせ、関連産業の振興を図り、浜通りの復興を牽引することとしております。そのため、県によれば、風力発電施設の設置が、県内の関連産業の集積や復興の加速化に着実に結びつくよう、効果的な仕組みや手法等について、鋭意県において検討を進めているとのことでございます。 また、県のプロジェクトに位置づけられた事業の1つである(仮称)阿武隈南部風力発電事業については、公募により選定された発電事業者によれば、現在、電力の供給先や雇用創出、地域貢献策等の詳細を、発電規模などとあわせ、検討を進めている状況とのことであります。なお、市といたしましては、風力発電施設が多くの電気・機械部品から構成され、本市のものづくり産業の技術を生かせる分野であることなどから、風力メンテナンス産業を中心とした関連産業の集積を図っていくこととしております。 ◆35番(佐藤和良君) 次に、(仮称)阿武隈南部風力発電事業への本市のこれまでの対応について、事業者からの事業説明、福島県知事からの環境影響評価方法書への意見聴取など、本事業に対して、本市はどのように対応してきたのかお尋ねします。 ◎生活環境部長(荒川信治君) (仮称)阿武隈南部風力発電事業につきましては、これまで環境影響評価法に基づく計画段階環境配慮書及び環境影響評価方法書の公告・縦覧にあわせ、エコ・パワー株式会社が、本市関係各課に配慮書や方法書の内容についての説明会を開催してきたところであります。 また、環境影響評価法に基づき、平成28年3月29日に、当該配慮書に対する意見書を事業者に対して提出するとともに、平成29年5月31日には、当該方法書に対する意見書を県に対して提出したところであります。その主な内容といたしましては、いずれも水環境や動植物・生態系、騒音・低周波音、景観並びに人と自然の触れ合いの活動の場など、環境全般への影響の回避・低減を求めるものとなってございます。 ◆35番(佐藤和良君) 次に、環境影響評価方法書についての意見についてです。 昨年、環境影響評価法に基づき、環境保全の見地から意見書が14通提出され、67件の意見がありましたが、本市はこれらの意見をどう評価しているかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 方法書に対する一般の方々からの意見につきましては、環境影響評価法第9条に基づいて、事業者から本市に対し、平成29年5月15日付で送付されており、騒音・低周波音、景観並びに水環境などに関するさまざまな意見が提出され、それぞれの観点から環境全般への配慮に係る意見が述べられているものと考えてございます。 ◆35番(佐藤和良君) 私も読ませていただきましたけれども、基本的に環境を考えれば、現状での風車の配置計画については、とても賛同するものではないという基本的な背景から、それぞれ書かれていたものと思っております。 その上で、次に、風車等の施設工事中の資機材の搬出入やその経路についてです。 事業者はアクセス道路を国道399号線として、道路新設や拡幅が低減できるとしておりますが、風車施設建設には広大な土地が必要で、施設工事中の資機材の搬出入とその経路によっては、道路新設や拡幅等が想定されます。 本市はどう承知しているかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 方法書によりますと、風力発電機につきましては、小名浜港から国道6号、県道小野四倉線、国道399号及び敷屋林道大戸沢支線を経由する経路、または、小名浜港から国道6号、県道いわき浪江線、県道小野富岡線及び国道399号を経由する経路により、対象事業実施区域まで輸送し、工事用資機材につきましては、県道上戸渡広野線や県道八茎四倉線などを使用して、対象事業実施区域へ搬出入する計画となっております。 また、国道399号及び敷屋林道大戸沢支線については、事業者による拡幅工事が予定されているところであります。なお、風力発電機及び工事用資機材に係る経路につきましては、次の手続である準備書において、より詳細に示されることから、その内容について十分に確認してまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) 今、部長が、準備書段階できちんと確認したいということでございましたので、これは、やりようによっては相当な自然の改変が伴うということになりますので、十分注意を払って確認していただきたいと思います。 次に、風車等の施設や資機材の搬出入路の建設に伴う影響であります。 建設工事は、大規模な自然環境の改変を伴い、土地の改変による雨水への影響、土砂の流出や周辺中小河川での土石流の発生、生活用水への影響のほか、屹兎屋山、猫鳴山、二ツ箭山の山岳縦走ルートの登山道と景観の改変、長期間の工事による騒音等、隣接地域の生活環境への影響、希少野鳥の繁殖活動の阻害や動植物全般への影響等が考えられますが、本市はどう承知しているのかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 風力発電機等の施設や搬出入路の建設に伴う影響につきましては、風力発電機の設置・稼働による景観、騒音・低周波音、人と自然の触れ合いの活動の場や、土地の改変による水環境並びに動植物・生態系への影響などが考えられることから、環境影響評価法に基づく手続において、県に対して、これら環境全般について、環境保全措置を検討するなどして、環境全般への影響を回避・低減するよう意見したところでございます。 ◆35番(佐藤和良君) 当然、環境影響を回避するということで意見したということであります。どんなふうな構図になるのか、きょう、写真でも図面でも出してくれれば余計わかったのですが、実際に屹兎屋山、猫鳴山、二ツ箭山のあそこに、43基の高さ170メートルくらいの風車群が並んだらどんな景観になるのかというのを想像してほしいんですね。夏井川河口から阿武隈山系の山地のほうを見渡したときに、あそこにずっと風車が並ぶ構図になるんです。そのための自然の改変と、実際にどのような影響が広がるのかというのは皆さんが心配して意見書を出したり、あるいは要望したり陳情したりしているというのは、そういう意味で理由のあることですね。 ですから、市の立場として、環境の改変を極力避けるということをぜひとも実現するように準備書段階でも厳しくチェックしてもらいたいと思います。特に、あそこに43基を林立されること自体が、いわき市の大切な自然を失うことに恐らくなろうかと思うところであります。 次に、風車設備耐用年数終了後の撤去等についてでありますが、風車設備の耐用年数は約20年とされ、その後の設備維持や撤去、撤去の際の費用負担などは明らかにされておりません。撤去費用は1基当たり中型機750キロワットでおよそ8,000万円、輸送費や跡地の整地を入れほぼ1億円、1基当たりとの試算もあります。この阿武隈南部風力発電事業では、この4.5倍の3,400キロワットの大型機のため、43基の撤去費用は莫大なものになります。撤去後の跡地整地で自然環境復元は可能なのかも懸念されますが、風車設備耐用年数後の撤去等について、本市はどう承知しているかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 事業者によりますと、風力発電設備の耐用年数経過後は、建てかえなどによる事業の継続、または事業を終了して撤去することを予定してございますが、最終的には、その時点における事業環境を踏まえ、適切に判断するということでございます。 ◆35番(佐藤和良君) その適切が問題であろうかと思いますが、さらに進みたいと思います。 今後、事業計画区域における風車配置について、現状では、隣接地域の小川町上小川地区などでの騒音・低周波音、水環境、景観、放射線などの生活環境への影響や動物、生態系など、本市の貴重な自然環境の消失などにつながらないかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(荒川信治君) 市といたしましては、これまで環境影響評価法に基づく手続において、生活環境や動植物・生態系などへの影響を回避・低減するよう意見してきたところであります。その具体的な内容といたしましては、騒音・低周波音については、風向・風速等の気象条件や地形等の地域特性の影響を受けることから、予測地点を広範囲に適切に設定し、風力発電機の配置、規模及び構造等の決定に際して、複数案の配置計画を検討することや、野生動植物については、その調査範囲や地点、期間、時期及び調査方法等を適切に設定するほか、希少種が確認された場合には、調査範囲を広げるなど、より詳細な調査を実施することなどでございます。 ◆35番(佐藤和良君) 野鳥の会等からも、その希少種の問題については指摘されているところでございますので、その立場を堅持していただきたいと思います。 今後の対応についてです。 環境省の風力発電施設から発生する騒音に関する指針や、周辺住民の方々、あるいは環境保護団体、山岳愛好団体など市民の皆さんの要望も踏まえて、環境影響の未然防止の観点から、風車の設置回避や計画区域内における施設の適地のゾーニング設定など、風車配置計画の見直しによる具体的な対策等が講じられるよう、市長は、事業者や福島県に対して求めるべきではないかお尋ねいたします。 ◎生活環境部長(荒川信治君) (仮称)阿武隈南部風力発電事業につきましては、先般、環境影響評価法に基づく手続において、県に対し、風力発電機や変電所の配置などに当たっては、複数案の配置計画を検討するなどして、環境全般への影響を回避・低減するよう意見したところであります。 本市といたしましては、引き続き、環境影響評価法に基づく手続において、県に対し、動植物・生態系などを含む環境全般への影響の回避・低減について、意見してまいりたいと考えております。なお、風力発電事業につきましては、本事業のように、市町村をまたがって実施されるなど、広域な視点が必要であることから、ゾーニングの設定などの必要性については、県に対して、働きかけてまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) ぜひとも、そのゾーニングの設定について、県のほうに、知事のほうに要請していただきたいと思います。 本市は、43基の大型風車群の設置に伴う乱開発から住民の生活環境を守り、地域のすぐれた自然環境と生物多様性を保全して、後世に豊かな郷土を残すために、適切に対応することを要望いたしまして、次に移ります。 2点目は、(仮称)イオンモールいわき小名浜開業に伴う課題についてです。 (仮称)イオンモールいわき小名浜の6月開業が迫りました。 まず、本市とイオンモール株式会社の基本協定に基づく進捗状況について、小名浜の新しい玄関口づくり、港湾背後地の特徴を生かした商業サービス拠点づくり、多様な機能を有する複合交流拠点づくり、安全・安心なまちづくり、既成市街地との連携強化を掲げ、事業を推進しておりますが、基本協定に基づく現時点での進捗状況はどうかお尋ねいたします。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 小名浜の新しい玄関口づくりに向けましては、震災復興土地区画整理事業等により、都市計画道路平磐城線の延伸や交通ターミナルなどの基盤整備を進めてきたところであり、商業サービス拠点づくりに向けましては、都市センターゾーンにおいて、マルチエンターテインメント機能を有する(仮称)イオンモールいわき小名浜の建設が進められているところであります。 また、複合交流拠点づくりに向けましては、都市センターゾーンとアクアマリンパーク及び既成市街地を連絡する複数のぺデストリアンデッキの整備によりまして、回遊性の向上が図られたところであり、安全・安心なまちづくりに向けましては、津波に対する防災性を高めるため、イオンモールを初め、国及び県の庁舎をピロティ構造とするとともに、今後、イオンモールと防災協定を締結することで、地域防災拠点としての役割を果たすものであります。 さらに、既成市街地との連携強化に向けましては、地域協力のもと、景観形成重点地区が小名浜港まで延伸されるとともに、汐風竹町通りが地域のイベント等に活用されているところであります。このように、国・県、市及びまちづくり団体等が相互に連携し、着実に事業推進を図ってきたところでございます。 ◆35番(佐藤和良君) 次に、交通渋滞の緩和策について、定額・定期循環バスなど公共交通網の整備を含めて、想定される渋滞緩和策の進捗状況はどうかお尋ねします。 ◎都市建設部長(高木桂一君) 交通渋滞の緩和策につきましては、イオンモール株式会社が、大規模小売店舗立地法に基づき必要とされる来店者用駐車場を整備するとともに、アクアマリンパーク内の駐車場との共同利用に向け、各施設管理者間において協議を進めているところであります。 また、路線バスにつきましては、いわき駅や泉駅と小名浜を結ぶ路線などを乗り入れることとし、バス事業者とイオンモール株式会社との間で、具体的な本数やダイヤ等について協議を進めているところであり、高速バスにつきましては、共同運行を行うバス事業者間において、運行開始時期や乗り入れる路線、運行ルート等に係る協議・調整が進められていると伺っております。 さらに、タクシーにつきましては、福島県タクシー協会いわき支部におきまして、具体的な乗り入れ方針等を検討しているところであり、定額・定期循環バス等につきましては、オープン後の交通需要の変化や交通渋滞の状況を踏まえた上で、その必要性について、バス事業者やイオンモール等と協議してまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) 次に、雇用対策にどう対応しているのかお尋ねします。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) 市内の有効求人倍率が高い水準で推移していることから、これまで、イオンモール株式会社等に対し、市外からの求人活動を積極的に行うよう、機会を捉えて伝えてきたところであります。テナントの1つとされている(仮称)イオンスタイルいわき小名浜については、東北と関東の管轄エリアの垣根を越えて、今回、通勤圏内となる茨城県北部においても、新聞折り込みなどにより求人活動が行われております。 一方、市内事業所に対しましては、市内の雇用情勢を踏まえ、ハローワークとの連携のもと、人手不足業種に係る企業説明会や、UIJターン促進を目的とした合同企業説明会を企画・実施してきたほか、先月14日に開催いたしました、いわき人財育成企業アワード2018に合わせて、採用や職場定着に係るノウハウを専門家から提供いただいたところであります。 市といたしましては、今後につきましても、(仮称)イオンモールいわき小名浜の開業に係る求人の動向を注視するとともに、ハローワークと緊密な連携を図りながら、人材の確保、求人・求職のミスマッチの解消に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆35番(佐藤和良君) 最後の質問であります。 商業者を初め、地域との共生は進んでいるのかをお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。 ◎産業振興部長(石曽根智昭君) イオンモール株式会社によりますと、テナントの決定状況等については、オープンのおおむね1カ月前まで発表を差し控えたいとのことでありますが、テナント以外での地元事業者との取引拡大については、商工会議所からの要望を踏まえながら、事業者の選定、具体の取引内容や条件等の協議が進められております。また、小名浜地区との連携につきましては、汐風竹町フェスタを初め、いわき花火大会など、地域イベントや地域の伝統行事に積極的に参加・協力しているとのことでございます。 市といたしましても、地域との共生の取り組みを具現化するため、地域の商工団体などへ参加を呼びかけながら、盛岡市や苫小牧市など先行自治体における御当地WAONカードと連携した地域活性化事例研究の機会を先月設けたところでございます。また、イオンモールの出店を契機に地域と事業者が有するさまざまな資源の中から、地域との共生に資する具体的な連携事項、活用手法等についての協議も、イオン株式会社との間で、平行して進めているところでございます。--------------------------------------- △散会 ○副議長(蛭田源治君) 以上で、本日の日程は全部終了いたしました。 明日の本会議は、午前10時より再開の上、市政一般に対する質問を続行いたします。 本日は、これにて散会いたします。          午後4時21分 散会---------------------------------------...