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03月04日-一般質問及び質疑(一般)-07号

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  1. 福島県議会 2024-03-04
    03月04日-一般質問及び質疑(一般)-07号


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    最終取得日: 2024-09-17
    令和 6年  2月 定例会令和6年3月4日(月曜日) 午後1時1分開議 午後5時散会議 事 日 程   午後1時開議 1、日程第1 県の一般事務に関する質問 2、日程第2 知事提出議案第1号から第108号まで  1 付議議案に対する質疑  2 各常任委員会付託 3 日程第3 議案撤回の件 4、議長提出報告第9号 請願文書表本日の会議に付した事件 1、県の一般事務に関する質問及び知事提出議案第1号から第108号  までに対する質疑 2、知事提出議案第1号から第108号まで各常任委員会付託 3、議案撤回の件 4、議員提出議案第18号から第31号まで  1 付議議案に対する質疑  2 各常任委員会付託 5、議長提出報告第9号 請願文書表出 席 議 員      1番 誉 田 憲 孝 君   2番 木 村 謙一郎 君      3番 石 井 信 夫 君   4番 西 山 尚 利 君      5番 佐 藤 徹 哉 君   6番 佐々木 恵 寿 君      7番 山 内   長 君   8番 半 沢 雄 助 君      9番 猪 俣 明 伸 君  10番 山 田 真太郎 君     11番 吉 田   誠 君  12番 鳥 居 作 弥 君     13番 山 口 洋 太 君  14番 渡 辺 康 平 君     15番 鈴 木 優 樹 君  16番 渡 邊 哲 也 君     17番 江 花 圭 司 君  18番 水 野   透 君     19番 山 口 信 雄 君  20番 佐 藤 郁 雄 君     21番 真 山 祐 一 君  22番 安 田 成 一 君     23番 渡 部 英 明 君  24番 三 村 博 隆 君     25番 水 野 さちこ 君  27番 佐 藤 義 憲 君     28番 高 宮 光 敏 君  29番 宮 川 政 夫 君     30番 先 崎 温 容 君  31番 佐々木   彰 君     32番 鈴 木   智 君  33番 伊 藤 達 也 君     34番 荒   秀 一 君  35番 橋 本   徹 君     36番 大 場 秀 樹 君  37番 三 瓶 正 栄 君     38番 宮 本 しづえ 君  39番 佐 藤 政 隆 君     40番 長 尾 トモ子 君  41番 渡 辺 義 信 君     42番 山 田 平四郎 君  43番 佐 藤 雅 裕 君     44番 矢 吹 貢 一 君  45番 安 部 泰 男 君     46番 椎 根 健 雄 君  47番 佐久間 俊 男 君     48番 髙 野 光 二 君  49番 古 市 三 久 君     50番 宮 川 えみ子 君  51番 満 山 喜 一 君     52番 太 田 光 秋 君  53番 佐 藤 憲 保 君     54番 今 井 久 敏 君  55番 宮 下 雅 志 君     56番 亀 岡 義 尚 君  57番 瓜 生 信一郎 君     58番 神 山 悦 子 君欠 席 議 員     26番 大 橋 沙 織 君説明のため出席した者 県       知     事  内 堀 雅 雄  君       副  知  事  鈴 木 正 晃  君       副  知  事  佐 藤 宏 隆  君       総 務 部 長  小 柴 宏 幸  君       危 機 管理部長  渡 辺   仁  君       企 画 調整部長  五月女 有 良  君       生 活 環境部長  鈴 木 竜 次  君       保 健 福祉部長  國 分   守  君       商 工 労働部長  松 本 雅 昭  君       農 林 水産部長  沖 野 浩 之  君       土 木 部 長  曳 地 利 光  君       会 計 管 理 者  中 島   博  君       出納局長(兼)  中 島   博  君       風評・風化戦略  岸   孝 志  君       担 当 理 事       原子力損害対策  岸   孝 志  君       担当理事(兼)       企 画 調 整 部  宍 戸 陽 介  君       避 難 地 域       復 興 局 長       企 画 調 整 部  永 田 嗣 昭  君       文 化 スポーツ       局     長       保 健 福 祉 部  吉 成 宣 子  君       こども未来局長       商 工 労 働 部  吾 妻 嘉 博  君       観 光 交流局長       総 務 部政策監  高 橋 憲 億  君       知 事 公 室 長  村 田 文 夫  君 総  務  部       秘 書 課 長  川 俣   基  君       総 務 課 長  吉 田 千津子  君       総 務 部 主 幹  髙 橋 保 明  君 企  業  局       企 業 局 長  市 村 尊 広  君 病  院  局       病院事業管理者  阿 部 正 文  君       病 院 局 長  三 浦   爾  君 教 育 委 員 会       教  育  長  大 沼 博 文  君 選挙管理委員会       委     員  菅 野 浩 司  君       事 務 局 長  菅 野 寿 井  君 人 事 委 員 会       委     員  千 葉 悦 子  君       事 務 局 長  紺 野 香 里  君 公 安 委 員 会       委     員  江 尻 陽 子  君       警 察 本 部 長  若 田   英  君 労 働 委 員 会       事 務 局 長  岡 崎 拓 哉  君 監 査 委 員       監 査 委 員  佐 竹   浩  君       事 務 局 長  鈴 木   勉  君 議会事務局職員       事 務 局 長  山 寺 賢 一  君       事 務 局 次 長  長 塚 仁 一  君       総 務 課 長  花 積 喜代志  君       議 事 課 長  長谷川 利 嗣  君       政 務 調査課長  金 澤   泉  君       議事課課長補佐  富 塚   誠  君       議事課主任主査  秋 山 邦 之  君       議事課主任主査  武 藤 久美子  君       兼 委 員会係長    午後1時1分開議 ○副議長(山田平四郎君) 開議に先立ち、26番大橋沙織君より本日及び3月6日欠席の届出がありますから、御報告いたします。 この際、私が議長の職務を行います。 ただいま出席議員が定足数に達しております。 これより本日の会議を開きます。 △県の一般事務に関する質問及び知事提出議案第1号から第108号までに対する質疑 ○副議長(山田平四郎君) 直ちに日程に入ります。 日程第1及び日程第2を一括し、県の一般事務に関する質問及び知事提出議案第1号から第108号まで、以上の各案に対する質疑を併せて行います。 通告により発言を許します。2番木村謙一郎君。(拍手)    (2番木村謙一郎君登壇) ◆2番(木村謙一郎君) 自由民主党議員会の木村謙一郎です。 まずは、元日に発生しました能登半島地震におきましてお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。 私が政治の道に入るきっかけとなったのは、ふるさとに壊滅的な被害をもたらした、あの東日本大震災です。 震災で犠牲となった地元市議会議員の後を託され、ふるさとの復興という大きな使命を果たすため、政治の道を歩むこととなりました。 非常に重い使命を背負うことは覚悟しておりましたが、その重さは想像以上であり、大変厳しい道のりでありました。 しかしながら、ふるさとの未来をよりよくしたいという願いを持った多くの皆様に支えていただきながら、県政壇上まで押し上げていただきました。 支えていただいた皆様へ感謝の意を表するとともに、初心を忘れず、託された思いや願いを実現させ、ふるさと福島の未来が明るく希望あふれるものとなるよう、全身全霊で議員活動に精進していくことをお誓いし、以下質問を行います。 初めに、震災の記憶と教訓の伝承についてであります。 東日本大震災から間もなく丸13年が経過しようとしています。 いまだ故郷に戻ることがかなわない皆様がいらっしゃる一方で、13年という時間の中で、記憶の風化は着実に進んでいます。 私は13年前、まさかあんな津波が来るとは思わず、逃げずに自宅と共に津波に巻き込まれました。津波に押し流されるあの感覚は、できれば思い返したくない記憶です。 高台の中学校から見た火に包まれるまちの様子、原子力発電所の異常を知らせるためなのか坂道を駆け上がってくる緊急車両、一体何が起こっているのか理解することができないまま過ごした夜の寒さなど、3.11の記憶は時間の経過とともにおぼろげになるものもあれば、より鮮明になってくるものもあります。 震災当時1歳と4歳だった子供たちがどのようにあのときの状況を記憶しているのか、きちんと聞いたことはありませんが、伝えなくてはいけない記憶や教訓があると知りながらも、それが果たしてできているだろうかと自問自答するときもあります。 県は、震災の記憶と教訓の伝承の場として東日本大震災原子力災害伝承館を設置しました。 これまで25万人以上が訪れるなど大きな役割を果たしておりますが、震災の記憶と教訓の継承を当事者である県民に対してどのように行い、また当事者以外の方々にどのように伝えていくべきか考え続けていくことは、全ての福島県民が向き合わなくてはならない未来への責務であると考えます。 そこで、県は東日本大震災原子力災害伝承館において、震災の記憶と教訓の伝承にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、過疎・中山間地域対策についてであります。 元日に発生した能登半島地震において、地震により幹線道路が寸断されるなどして集落が孤立し、思うような災害対応ができなかった状況を報道等で目の当たりにしました。 過疎・中山間地域において大規模な災害が発生した場合の対応の難しさをまざまざと見せつけられ、強い危機感を抱いた方も多かったと思います。 そのため、緊急避難道路の整備など、集落の孤立を極力避けることを目的とした道路ネットワークの強靱化も進められようとしていますが、ハード整備には時間も財源も必要であり、特にもともと道路ネットワークが脆弱な過疎・中山間地域においては、ハード整備に頼った孤立化対策には限界もあると考えます。 一方、今回の能登半島地震では、孤立状態となった地域にドローンを使って物資を運搬する取組が行われたとのことであり、災害時におけるドローンのさらなる活用には大きな期待を寄せております。 こうした状況を踏まえれば、過疎・中山間地域における災害対応を考える場合には、孤立させない対策を進める一方で、孤立するという前提で災害対応力を強化していくことが重要になってくると考えます。 そこで、県は災害時における孤立集落の対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、過疎・中山間地域における担い手の確保についてです。 人口減少社会において地域の持続可能性を高めていくためには、地域づくり活動に参画する担い手をいかに確保するかが鍵となります。 都市部は人口も多く、地域住民のみならず企業やNPO法人など、多様な担い手がまちづくりに参画しておりますが、少子高齢化が著しい過疎・中山間地域においては、地域づくり活動に参画するプレーヤーを見つけることは非常に困難であると言えます。 例えば、過疎化に苦しんでいる地域においては、自治会や防災組織での活動、地域行事やイベントの運営など、様々な地域活動における役割を少数の役員さんによって何とか担っているのが現状であり、後継者もなかなか見つからず、現在の担い手の皆さんの高齢化も進んでいる状況にあります。 過疎・中山間地域の持続可能性を高めるためには、地域住民の主体的な地域づくりへの参画は必須ですが、今後は地域以外の人材やNPO法人、あるいは地域貢献活動に積極的な企業など様々な担い手を確保していくことに、より一層力点を置いた施策展開が必要と考えます。 そこで、県は過疎・中山間地域における担い手の確保をどのように支援していくのかお尋ねいたします。 次に、在来線の利活用についてです。 JR東日本では、利用者数の少ない在来線の収支を公表しており、県内においては水郡線、只見線、磐越西線、磐越東線の4路線がその対象となっております。 また、国においては改正地域公共交通活性化再生法が昨年10月から施行され、鉄道の再構築に向けた動きが活発化しております。 私は高校時代、地元の久ノ浜駅から常磐線を利用して通学しておりました。 吹奏楽部に所属しており、愛用のテナーサックスは残念ながら津波で流されてしまいましたが、うまく演奏できずに悩みながら帰るときの窓からの景色や、在来線ならではの心地よい電車の揺らぎは強く記憶に刻まれております。 棒手振と言われる行商のおばさんが電車に乗って市場に魚を買いに来たり、電車の中が買物や病院に通う近所の皆さんの交流の場であったりと、鉄道は生活に密着した重要な交通手段でした。 東日本大震災以降、常磐線などの在来線は度々災害に見舞われており、不通となるたびに、鉄道が地域住民にとって通勤、通学、通院など日常生活を支える不可欠な交通手段であることを改めて痛感してきたところです。 また、車社会の進展によって電車を使う方の数も減り、小さな商店や飲食店などがあった駅前のにぎわいも薄れ、駅周辺の町並みは大きく変化してしまいましたが、人口減少社会におけるコンパクトなまちづくりを進めるという点においても駅は重要であり、鉄道の存在は非常に大きな意味を持つと捉えております。 車社会において、在来線は不便な面もあるかもしれませんが、なくすことはできないインフラであり、鉄道の利活用に積極的に取り組み、よさを伝え、その先の脱炭素社会や持続可能な社会づくりにつなげていくことが重要であると考えます。 そこで、在来線の利活用促進にどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねいたします。 次に、水産業の振興についてです。 本県の水産業は、震災前から漁業者の高齢化や魚食離れなどにより産業力が低下し、構造的な課題を抱えておりました。 そのような状況下で東日本大震災が発生し、それに伴う原子力発電所の事故に起因する様々な影響により、水産業が抱える課題はより複雑になり、また状況も加速度的に厳しくなりました。 水産関係者として、震災直後は「この地で水産業を営むことは恐らく不可能なのだろう」と絶望的な思いがよぎることもありましたが、僅かな希望の光を徐々に大きくさせながら苦難の道を歩んでいるのが、本県水産業の現状だと受け止めております。 これまでの歩みをより確かなものとし、本県水産業が持続可能な産業として存続していくためには、何よりも震災前から抱えていた構造的な課題の解決に取り組む必要があります。 そのためには、資源管理型漁業への移行を進めると同時に収益率を向上させ、水産業を稼げる成長産業へと転換させる各種取組をより強力に推進していくことが必要と考えます。 東日本大震災によって課題が一気に顕在化した本県だからこそ、新たな水産業のビジネスモデルの構築にチャレンジする意義と価値があり、将来的には福島から始まった試みが日本の水産業全体に好影響をもたらすことを目指して取組を進めるべきと考えます。 そこで、県は福島ならでは資源管理型漁業の推進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、小名浜港の利活用促進についてです。 2024年問題が物流、運送業界に大きな影響を与えることは必至であり、ドライバー不足や長時間労働の解消といった課題への対応が思うように進まない場合、私たちの社会経済活動にも様々な影響が出てくることが懸念されております。 こうした中、国は新技術の進展や環境問題に対する社会的機運の高まり、そして2024年問題への対応などを好機と捉え、物流構造の改革に取り組むとしており、長距離トラック輸送から鉄道、船舶を活用した大量輸送への転換を目指すモーダルシフトの推進に取り組んでおります。 本県としても、こうした状況を的確に捉え、港湾機能の強化をさらに推進していくべきと考えますが、小名浜港においてはこれまでも港湾全体の機能強化に努めてきたところであり、また国際フィーダー航路の定期航路の再開も決定するなど、そのポテンシャルをさらに最大限発揮し、モーダルシフトの流れに乗り遅れることがないよう、さらなる機能強化に取り組むべきと考えます。 そこで、県は小名浜港の物流機能の強化にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 また、小浜港においては、カーボンニュートラルポートの形成に向けた取組もこれまで進められてきました。 モーダルシフトへの対応とCO2の削減を目指したカーボンニュートラルポートの形成に同時並行的に取り組んでいくのは容易ではないと思いますが、社会全体の脱炭素化を図り、地球環境を持続可能なものとしていくためには、港湾周辺におけるCO2削減が大きな鍵を握っており、港湾の脱炭素化の実現に向けた取組の促進は急務であります。 そこで、県は小名浜港における脱炭素化の実現に向け、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次は、医師確保に向けた取組についてです。 医師不足の解消は、本県が取り組まなくてはならない最重要課題の1つであります。 来年度からは新たな医師確保計画に基づき、短期的、長期的な視点から各種施策を展開していくことになりますが、2036年度までに確保するとした医師の目標数を達成するのは容易ではなく、加えて医療界における2024年問題の影響なども懸念されるところであり、医師確保に向けた環境はますます厳しくなることが予想されます。 こうした状況を鑑みれば、医療圏ごとの様々な特性、地域性を的確に捉えながら、限られた医療人材を適切に派遣するなどして、県内における医師の偏在性の解消を図ることがまずは重要と考えます。 その上で、県全体としての医師確保に努め、県民が安心できる医療提供体制の構築に努めていくことが必要と考えます。 そこで、県は医師の地域偏在対策も含め、医師の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、中高一貫教育の取組についてです。 従来の6.3.3制にとらわれない、柔軟なカリキュラム編成によって教育効果を高めることを目的に、中高一貫教育に取り組む公立学校が増加しております。 本県においては会津学鳳、ふたば未来学園等でこうした取組が行われており、また現在は安積高校において、中高一貫校の設立に向けた取組が進められております。 こうした状況を踏まえ、いわき市からは医師不足解消に向けた医師の育成、そしてF-REIで研究する研究者の受入れという観点から、県立の中高一貫校の設立に向けた検討を始めていただきたいという要望がなされております。 医師の育成を促進する、そしてF-REIと連携した地域の教育環境の充実を図るという目的は、単にいわき市の問題にとどまらず、周辺市町村、さらには県全体においても政策効果の高い取組になると考えます。 そこで、併設型中高一貫校のいわき地区への設置を検討すべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねいたします。 次に、コミュニケーション教育についてです。 本県は、これまで哲学対話、あるいは演劇といった手法を使いコミュニケーション教育に取り組んできましたが、価値観が多様化する現代社会においては他者への理解を深め、多角的な視点で人や社会と付き合っていくコミュニケーション能力を持った人材の育成が今後ますます重要になってくると予想されます。 特に本県は、東日本大震災とそれに伴う原子力災害によって生じた福島特有の様々な社会課題を有しており、そうした課題を材料としたコミュニケーション教育によって福島ならではの次世代の人材を育成していくことは、極めて重要な意味を持つと考えます。 そこで、県教育委員会は公立学校におけるコミュニケーション教育にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、芸術文化の振興についてです。 これまで指定文化財の所有者は、行政の助成制度などを活用し、文化財の適切な維持管理に努めてきたところでありますが、大規模な建造物などの場合、その修理には多額の費用を要し、適切な管理や文化財の継承に大変苦労されている実情があります。 また、行政の厳しい財政事情も考慮すれば、文化財の保全に尽力されている所有者の状況はますます苦しくなってくるのではと危惧しております。 このような中、平成31年の文化財保護法の改正により、文化財は単に保存するというだけではなく、活用も積極的に行いながらその保護に取り組むとされ、文化財保護に対する考え方も大きな転換点を迎えたと受け止めております。 こうした変化を追い風に、文化財の所有者や行政が一丸となって、新たな文化財保護の仕組みを構築するなどして所有者の財政的な負担を極力減らし、文化財の修繕がより促進されることが期待されます。 そこで、県教育委員会は指定文化財の修理について、所有者をどのように支援していくのかお尋ねいたします。 最後に、民俗芸能の継承についてです。 コロナの5類移行に伴い、地域のイベントやお祭りが再開されるようになり、数年ぶりににぎわいを取り戻している地域の皆さんを見るのは大変喜ばしいことであります。 しかし一方で、コロナ禍の数年間で、従前から課題となっていた地域の民俗芸能の継承に向けた様々な課題が顕在化しております。 一度失われた伝統文化を再び復活させるのは非常に難しく、地域のアイデンティティーを守り、活力あるまちづくり、地域づくりを進めていくためには、民俗芸能に対してより積極的な行政の支援が求められていると考えます。 そこで、県は民俗芸能の継承にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 以上で私の質問を終わります。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○副議長(山田平四郎君) 執行部の答弁を求めます。    (知事内堀雅雄君登壇) ◎知事(内堀雅雄君) 木村議員の御質問にお答えいたします。 在来線の利活用促進についてであります。 昨年4月、大雨災害により不通となっていた磐越西線が復旧し、県内の鉄道ネットワークが12年ぶりに1つにつながりました。 鉄道は、県民の皆さんの暮らしや経済活動を支える大切な社会基盤であり、幾度も訪れる困難に立ち向かうことができたのは、地域の皆さんの鉄道に対する強い思いがあるからこそであります。 一方で、近年の利用者減少により在来線の経営は急激に悪化し、県内ではJR東日本の4路線が赤字路線として公表されております。 私は、路線を守る上で重要なことは、県民の皆さんお一人お一人がマイレール意識を持ち、鉄道に乗って、関わって、発信していただくことであると考えております。 このため、各路線の活性化対策協議会等を通じて利活用の議論を活発化させるとともに、親子乗車体験やフォトコンテスト、児童絵画展などに取り組んでまいりました。 新年度は、水郡線90周年を記念し、高校生や地域住民の皆さんの参画によるプレゼンテーション大会の開催をはじめ様々な媒体を活用した沿線の魅力発信に取り組むほか、企画列車や駅前マルシェなど市町村の取組に対する補助制度を創設することとしています。 今後とも、沿線自治体や県民の皆さんと共に、鉄道を生かした地域の活性化や駅を中心としたにぎわいづくりなど、在来線の利活用促進に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。    (危機管理部長渡辺 仁君登壇) ◎危機管理部長(渡辺仁君) お答えいたします。 災害時の孤立集落対策につきましては、円滑な救助活動や食料等の物資の迅速な輸送、通信手段の確保等が課題であります。 このため、市町村と連携し、孤立のおそれのある地域を把握しながら、食料等の備蓄をはじめ発電機や衛星電話の配備を促進するとともに、消防等の関係機関や民間事業者と連携し、ドローンによる被害情報の収集や食料、医薬品等の輸送を行う体制の構築を進めるなど、孤立集落対策に速やかに取り組んでまいります。    (企画調整部長五月女有良君登壇) ◎企画調整部長(五月女有良君) お答えいたします。 過疎・中山間地域における担い手の確保につきましては、多様な主体による連携・協働が重要と考えております。 このため、県では地域おこし協力隊や特定地域づくり事業協同組合制度等の活用を推進し、外部人材の受入れを進めるとともに、様々な主体が参画する地域運営組織の形成や、集落と専門家や大学生との交流等による人材育成を支援しており、今後も市町村と共に地域の担い手の確保に取り組んでまいります。    (保健福祉部長國分 守君登壇) ◎保健福祉部長(國分守君) お答えいたします。 医師の確保につきましては、県立医科大学や他大学の医学部生に対する修学資金の貸与をはじめ、臨床研修医を確保するため、県内外で募集のためのガイダンスを行っております。 また、県立医科大学に災害医療支援講座を設置し、浜通りに医師を派遣しているほか、首都圏等から医師を受け入れている浜通りの医療機関への補助を行うなど、医師の確保にしっかりと取り組んでまいります。    (農林水産部長沖野浩之君登壇) ◎農林水産部長(沖野浩之君) お答えいたします。 福島ならでは資源管理型漁業の推進につきましては、本県の豊かな水産資源を強みとして収益を確保することが重要であります。 そのため、市場で漁業者が高値で取引できるよう、水温等の漁場環境や漁獲による資源への影響等を調査し、漁獲のサイズや最適な時期を提案するとともに、操業履歴や取引等の情報を船上で得られるICTの導入を推進するなど、資源管理と高収益を両立できるふくしま型漁業の実現にしっかりと取り組んでまいります。    (土木部長曳地利光君登壇) ◎土木部長(曳地利光君) お答えいたします。 小名浜港の物流機能につきましては、今年度、京浜港等を経由して海外と結ぶ国際フィーダー定期航路の再開や大剣埠頭におけるガントリークレーンの増設など、機能強化に取り組んできたところであります。 今後は、トラック輸送から海上輸送への転換などのモーダルシフトに伴い、取扱貨物量の増大が期待されることから、貨物の需要動向を見極め、港湾利用者の声も聞きながら、さらなる物流機能の強化に取り組んでまいります。 次に、小名浜港における脱炭素化につきましては、昨年3月に国や港湾を利用する企業等で構成された協議会を立ち上げ、国が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温室効果ガス排出量の削減目標や各構成員が実施する具体的な取組等を定めた港湾脱炭素化推進計画の策定を進めております。 今後は、来年度前半に計画を公表し、取組を着実に進めるとともに、達成状況の評価等を行うなど、脱炭素化の実現に向け官民一体となって計画的に取り組んでまいります。    (文化スポーツ局長永田嗣昭君登壇) ◎文化スポーツ局長(永田嗣昭君) お答えいたします。 伝承館における震災の記憶と教訓の伝承につきましては、福島が経験した複合災害を風化させず、自分事として防災・減災意識を喚起してもらえるよう取り組んでおります。 今後は、震災の記憶のない若い世代が伝承館での学びを深めるため、事前学習用の教材を作成するとともに、伝承館として初めて海外での展示を行うなど、震災の記憶と教訓の未来への継承や世界との共有に向け、さらなる伝承の取組を進めてまいります。 次に、民俗芸能の継承につきましては、芸能団体向けに担い手育成に係る研修会や専門家の個別訪問による助言指導を行うほか、子供たちの民族芸能体験活動への支援など、様々な取組を進めているところであります。 今後も、発表機会の提供に取り組むとともに、神楽、歌舞伎などの芸能の種類ごとに芸能団体が交流する機会を設け、互いの知識や経験を共有し、各団体の活動の充実につなげていくなど、民俗芸能を地域の貴重な財産として継承できるよう、関係団体等と連携し、きめ細かく支援してまいります。    (教育長大沼博文君登壇) ◎教育長(大沼博文君) お答えいたします。 併設型中高一貫校の設置につきましては、既に開校している会津学鳳、ふたば未来学園両校に加え、令和2年2月に策定した中高一貫教育後期実施計画に基づき、地域のバランスを踏まえ、安積高校に併設する中学校の開校に向けて整備を進めているところであります。 今後の併設型中高一貫校の在り方については、各学校の取組状況を検証しつつ、引き続き検討してまいります。 次に、公立学校におけるコミュニケーション教育につきましては、演劇教育と哲学対話を取り入れているモデル校において、外部講師によるワークショップに取り組む中で、対話や協働を通じて自己表現力や他者を理解する力の育成につなげております。 今後は、他校の教員がモデル校の指導過程を体験することでコミュニケーション教育を実践できる教員の養成を図り、各学校において幅広い指導ができるよう取り組んでまいります。 次に、指定文化財につきましては、地域への愛着と誇りを育む上で価値の高い文化遺産であり、適切に保護し、活用しながら後世に継承することが求められております。 一方で、その維持管理が所有者の負担となっていることから、修理費用に対する財政的支援を行うとともに、修理方法に係る専門家を派遣するなど所有者の負担軽減を図っており、引き続き国の制度等も活用しながら支援に努め、文化財の継承に取り組んでまいります。 ○副議長(山田平四郎君) これをもって、木村謙一郎君の質問を終わります。 通告により発言を許します。23番渡部英明君。(拍手)    (23番渡部英明君登壇) ◆23番(渡部英明君) 南会津郡選挙区選出、県民連合議員会所属の渡部英明でございます。 まずは、このたびの能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。 さらに、福島県や県内各市町村による応援職員の派遣をはじめ災害ボランティアの参加、被災された方々の受入れ、義援金、寄附金の贈呈など、福島県内に広がる支援の輪に心から敬意を表し、被災地の1日も早い平穏と復興をお祈り申し上げます。 さて、ここで所信の一端を述べさせていただきます。 私こと、さきの福島県議会議員選挙におきまして、選挙区有権者の皆様から信託を受け、県政壇上に押し上げていただきました。 そして、今回初めての登壇の機会をいただきましたことに感謝と御礼を申し上げます。 私は福島県で、そして南会津で生活している人がここに生まれてよかった、ここに住んでよかったと思えるように、生活者の声、切実な思いを県政に届け、形にしたい。福島県、そして南会津の今を1つ1つ乗り越え、誇り、輝き、ぬくもりに満ちたふるさとを創生し、そのたすきを子、孫に渡したい。こうした思いで地域の暮らしを守り、地域の未来を切り開くために全力で取り組んでまいります。どうか皆様方の温かくも厳しい御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。 それでは、通告に基づいて一般質問をいたします。 初めに、南会津地域の医療提供体制についてです。 南会津地域は、広大な面積に対し人口規模が小さく、集落が散在しています。山間、豪雪地帯という地理的、自然的条件や産業の集積が十分でないことなどから過疎化、高齢化が急速に進行しています。医師や医療機関の数も十分ではなく、数少ない開業医の高齢化も懸念されています。 また、救急患者の搬送に長距離、長時間を要することや、第7次医療計画策定の際に2次医療圏として会津地域と統合されたことなども地域住民にとっての不安材料となっています。 県においては、これまでも南会津地域の医療提供体制の構築のために取り組んでこられましたが、今後、南会津地域の人口減少や高齢化がさらに進んでいくことを考えれば、これらの状況に対応しながら、地域の医療を充実させていく必要があると考えます。 そこで、南会津地域における医療の充実にどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねいたします。 次に、医師の確保についてであります。 厚生労働省が算出した医師偏在指標によると、福島県は全国で6番目に医師が少ない医師少数県とされており、このたび県がまとめた第8次(前期)福島県医師確保計画(素案)では、令和8年度までの3年間で、県内に新たに359人の医師を確保するとしています。 特に医師が少ない南会津地域では今、南会津町の医院の1つが今月末で閉院するため、最寄りのかかりつけを失うことになる住民が落胆しています。 只見町唯一の医療機関である只見町国民健康保険朝日診療所は、令和4年10月から常勤医師が1人減り2人体制となっており、午後9時以降は救急患者を受け入れることができないままとなっています。 今、南会津地域の医療は少ない医師や医療スタッフの苛酷な労働によって支えられており、医師と患者の双方に大きな負担と不安がのしかかっています。 持続可能な医療提供体制を構築するためには、言うまでもなく医師の確保が喫緊の課題です。 そこで、南会津地域における医師の確保について、県の考えをお尋ねいたします。 次に、県立南会津病院は南会津地域唯一の病院として、1次医療から救急、透析を含む2次医療まで幅の広い医療を担っており、地域医療の中核となっています。また、地域包括ケアシステム構築のための中心的な役割を担い、地域医療確保のための積極的な取組が期待されています。 しかし、医師の地域偏在や診療科偏在は免れず、住民からは常勤医の増員をはじめ外来の診療日、診療時間の拡充、救急医療体制の充実、地域包括ケア病棟の整備など多くの要望が寄せられており、まさに頼みの綱である県立南会津病院の地域の実態を踏まえた医療機能のさらなる充実が求められています。 そこで、県は県立南会津病院の医療機能の充実にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、救急搬送については、消防庁が発表した令和3年中の救急業務における消防本部別実施状況によると、入電時刻から病院収容時刻の県平均所要時間は50.0分ですが、南会津消防本部は県平均を20分以上も上回る70.7分であり、入電から病院収容まで、県内で最も時間を要しています。 南会津地域には、受入れ病院まで最短でも2時間以上を要する地域もあり、転院搬送が必要な場合にはさらに1時間を要します。助かる命を助けられない、悔しい思いをした御家族や救急隊員は少なくありません。 この搬送距離と搬送時間の壁を克服し、救命率を向上させるためには、ドクターヘリやドクターカーの迅速かつ効率的な運用や、ヘリや車両、機材の高度化、道路事情の改善など様々な角度からの検討と対処が必要であり、併せて救急救命士の育成と資質の向上が重要であると考えます。 そこで、県は南会津地域における救急救命士の養成にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、野生鳥獣による農作物被害防止についてであります。 農林水産省が発表した福島県の令和4年度の野生鳥獣による農作物被害金額は1億1,885万円で、前年度の令和3年度と比較すると15%減となりましたが、対策の手を緩める状況ではありません。 地方別で見ると、特徴的なのが中通り地方のニホンジカによる被害額の前年度比で、令和3年度が9万4,000円だったものが令和4年度は52万9,000円となり、前年度比563%となっています。 ニホンジカは近年急激に増加しており、県内の生息域も拡大し続けています。尾瀬への侵入被害にとどまらず、会津地方全域や中通り地方まで広がりを見せています。 会津地方のニホンジカによる令和4年度の農作物被害額は759万7,000円となっています。 生息域拡大の原因は明らかではありませんが、積雪量が少ない年はニホンジカの活動が活発化し、生息域拡大を助長すると言われています。まさに本年のような暖冬少雪の年は、ニホンジカの生息域拡大に適した年と言えます。 このように、生息域の拡大や農作物被害の拡大が懸念される中、専門家等の指導を得ながら、早急に広域的かつ効果的な農作物被害防止対策を講じる必要があると考えます。 そこで、県はニホンジカによる農作物被害の防止対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、県内の令和4年産ウルチ米の品種別作付割合でありますが、コシヒカリが49.5%、天のつぶが21.8%、ひとめぼれが17.9%、里山のつぶが4.1%の順となっています。 トップブランド米として位置づける「福、笑い」の作付が令和2年から始まり、令和3年産から本格的な生産が行われています。 このうち、ひとめぼれと里山のつぶ以外は準高冷地での栽培には適しておりません。 準高冷の中山間地域では、付加価値の高い水稲栽培方法として、無農薬栽培や有機栽培等に取り組む生産者もおられます。 また、収量の確保に加え、高い食味レベルの追求も課題となっています。 こうした中、米の食味世界一を決める国際大会、米・食味分析鑑定コンクールが令和8年度から3年間、福島県内で開催されることが正式決定しました。 今年度の第25回大会は、昨年12月に新潟県で開催され、国内をはじめ中国、台湾、韓国から5,000点を上回る出品があり、その中で南会津町の生産者1人と天栄村の生産者2人の県内3人が最高賞に当たる国際総合部門金賞に輝きました。 また、只見町の只見米ブランド協議会は、構成メンバー全員がJGAPを取得し共通の栽培方法の実践に努めており、本年度の豊かなむらづくり顕彰を受賞しました。 このように、中山間地域においてもおいしい米づくりに情熱を持って取り組み、努力を積み重ねて結果を出している生産者がおられます。 今後、中山間地域における産米のブランド力を強化し、数値などに裏打ちされたおいしい米、売れる米づくりを進めていくべきと考えます。 そこで、県は中山間地域における水稲の生産振興にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 また、県オリジナル酒米の品種開発について、県は新年度に展開する酒造り支援事業として、県外産の酒米に代わる大吟醸酒向けの県オリジナル酒造好適米の品種開発を進めるとしています。 現在県が普及を進めている「福乃香」は、酒質などの確認を15年間繰り返して完成、「夢の香」も10年の歳月を費やしたと伺っております。 酒米は、栽培のしやすさや収量確保も重要でありますが、第一は酒質にあるということは言うまでもなく、酒質の確認と改良を繰り返し行い、実際に使用する蔵元が納得できるものにしなくてはいけません。 そのためには、完成までを見越した開発の予算計画や、県ハイテクプラザや県酒造組合との連携は欠かせないと考えます。 そこで、県は新たな県オリジナル酒米の品種開発にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。 次に、インフラの維持修繕についてです。 県道路メンテナンス会議が令和元年度から4年度に実施したインフラ施設の老朽化点検によると、県管理の橋梁886、トンネル85、歩道橋など道路附属物101の1,072か所で、早期もしくは緊急に修繕などの措置が必要と判明しました。 更新時期を迎えるインフラの長寿命化は、県土の危機管理や強靱化に欠かせません。インフラの予防保全や老朽化対策の体制強化を図り、点検結果を踏まえた補修、修繕等を迅速かつ継続的に実施していかなければなりません。 そこで、県は県管理の橋梁やトンネル等の長寿命化対策にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 また、道路舗装の維持管理にも多額の費用を要し、今後も老朽化等に伴う補修費用などの増加が予測されていることから、持続可能な舗装の維持管理が必要となります。 道路舗装には、一定の安全性や機能性のほか、走行性や快適性の確保が求められ、ひび割れやポットホール、わだち掘れなどの小まめな点検と迅速な補修、修繕が必要と考えます。 さらに、耐久性の高いコンクリート舗装やコンポジット舗装、セメント安定処理等による路盤の強化、環境舗装など適材適所での舗装構造の採用や新材料、新工法の導入を検討し、より効率的な維持管理を目指すべきと考えます。 そこで、県は県管理道路の舗装の維持管理にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、除雪オペレーターの育成についてであります。 豪雪地帯である南会津地域では、降雪時にオペレーターが過重労働となる一方、除雪オペレーターの高齢化と担い手不足が深刻で、担い手の確保と除雪技術の向上、伝承が課題となっています。 持続可能な除雪体制や冬期間の安全・安心な道路交通の確保を図るために、県は令和2年度より福島県除雪オペレーター育成支援事業を実施していますが、免許取得後の除雪オペレーターとしての従事誘導や養成、技術力の向上が必要と考えます。 そこで、県は除雪オペレーターの育成にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、南会津地域における移動手段の確保についてです。 南会津地域は、日常生活における移動にも長距離、長時間を要し、地理的にも自家用車に頼らざるを得ない地域です。 そこに人口減少や高齢化が重なり、公共交通の利用者は年々減少し、公共交通の維持確保が大変厳しい状況となっています。 主な公共交通として鉄道や路線バスの運行がありますが、運行本数そのものが少ないことや、駅やバス停に行くまでも容易でない地域が多いことが利用者減の要因にもなっています。 また、高齢者等の日常生活における移動手段の確保や空白地域を埋める手段の1つとして、構成町村などでは乗り合い、デマンドタクシーなどの運行にも取り組んでいますが、運行区域の拡大や費用捻出などが課題となっています。 このように、南会津地域では高齢者をはじめ交通弱者の日常生活における移動手段を確保するため、今後ますます公共交通体制の構築と維持確保が重要になると考えます。 そこで、県は南会津地域における移動手段の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 次に、県産材の利用促進についてです。 令和3年10月に脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律が施行されたことに伴い、令和4年4月にふくしま県産材利用推進方針が改正され、ふくしま県産材利用推進計画が策定されました。 その中で、「建築物全体における県産材をはじめとする木材の利用を促進し、炭素の貯蔵を通じた脱炭素社会の実現、都市等における快適な生活空間の形成、地域経済の活性化を図るとともに、震災からの復興・創生を着実に推進し、さらに加速させる」としています。 県産材の利用促進のために、供給の安定化や木材加工等の体制整備といった供給対策と建築物等への木材の利用促進といった需要促進策が挙げられていますが、供給が増えても需要が増えるとは限りません。 林業の担い手不足が叫ばれている中、需要の拡大と同時に担い手確保を含む供給の安定化策を強力に展開することが必要と考えます。 そこで、県は県産材の利用促進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。 以上で通告した質問の全てを終了いたします。御清聴に感謝いたしまして、降壇いたします。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(山田平四郎君) 執行部の答弁を求めます。    (知事内堀雅雄君登壇) ◎知事(内堀雅雄君) 渡部議員の御質問にお答えいたします。 南会津地域における医療の充実についてであります。 県民の皆さんが地域の中で、健康で安心して暮らしていくためには、地域医療の確保が極めて重要であります。 県では、医療関係団体の代表者等で構成する県地域医療対策協議会において調整を重ね、県立南会津病院はもとより、地元の真摯な思いを踏まえ、只見町の診療所に対しても県立医科大学の医師や自治医科大学卒業医師を派遣しております。 また、南会津と会津地域が連携しながら、救急や周産期などの医療体制の構築に取り組んできたところであります。 加えて、今年4月から県立南会津病院において、高齢化が進む地域のニーズに対応するため、長期的なリハビリテーション等が提供できる地域包括ケア病床を設置いたします。 さらに、新年度を初年度とする第8次医療計画では、地域ごとの課題に丁寧に対応するため新設した地域編において、南会津と会津地域が一体となって在宅医療等の推進に取り組むこととしております。 今後とも、地元自治体や医療機関、関係団体、地域の皆さんの意見を受け止めながら、南会津地域の医療の充実にしっかりと取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。    (危機管理部長渡辺 仁君登壇) ◎危機管理部長(渡辺仁君) お答えいたします。 南会津地域における救急救命士の養成につきましては、長距離救急搬送中の傷病者の症状悪化等に対処できるよう、高度な知識と技術を備えた救急救命士が常に救急車に乗車する体制の整備を図るため重要であります。 このため、新年度は消防本部に対し、救急救命士養成計画の策定を支援するとともに、養成研修に係る補助を拡充するなど、南会津地域の住民が安心して暮らせるよう、救急救命の取組を一層強化してまいります。    (生活環境部長鈴木竜次君登壇) ◎生活環境部長(鈴木竜次君) お答えいたします。 南会津地域における移動手段の確保につきましては、地域鉄道や広域バス路線を維持するための補助等に加え、南会津町のデマンド型乗合タクシー実証事業を支援し、今年度からの本格運行につなげております。 引き続き、広域交通の維持確保とともに、地域の実情に応じ町村が行うデマンド交通等の生活交通対策を支援し、南会津地域における移動手段の確保に取り組んでまいります。    (保健福祉部長國分 守君登壇)
    ◎保健福祉部長(國分守君) お答えいたします。 南会津地域における医師の確保につきましては、自治医科大学卒業医師を複数名配置しているほか、県立医科大学に僻地医療を支援するための教員枠を設け、南会津地域へ医師を派遣しております。 また、僻地診療所等での活躍が期待される総合診療医の養成を支援するなど、南会津地域の医師の確保に取り組んでまいります。    (農林水産部長沖野浩之君登壇) ◎農林水産部長(沖野浩之君) お答えいたします。 ニホンジカによる農作物被害の防止対策につきましては、行動範囲が広域であるという特性を踏まえた対策が重要であります。 このため、地域が取り組む侵入防止柵や緩衝帯の整備等への支援に加え、下郷町と南会津町の広域エリアにおける捕獲体制を新たに構築したところであり、今後はこの取組をモデルとして波及させるなど、被害防止対策に積極的に取り組んでまいります。 次に、中山間地域における水稲の生産振興につきましては、流通事業者等が求める食味、品質や出荷量に応じた生産により、農家の経営安定につなげることが重要であります。 このため、標高が高い地域で優れた品質と収量が得られる里山のつぶの作付拡大を図るとともに、高品質化のための色彩選別機の導入等へ助成するほか、地域の栽培条件に応じた技術指導を行うなど、引き続き中山間地域における水稲の生産振興にしっかりと取り組んでまいります。 次に、新たな県オリジナル酒米につきましては、本県の気候に適し、栽培しやすく、大吟醸酒に適した品種の開発を進めることが重要であります。 このため、これまで育成してきた品種候補の栽培や醸造の特性を農業総合センターとハイテクプラザが連携して調査し、その結果を生産者、酒造組合等と共同して評価しながら選抜していくなど、生産者や蔵元を含め関係者が一丸となり、オール福島の酒米品種開発に取り組んでまいります。 次に、県産材の利用促進につきましては、ふくしま県産材利用推進方針に基づき県有施設での利用を図るとともに、民間建築物への利用拡大を推進しているところであります。 今後は、3階建て以上の中、大規模な建築物の木造、木質化を一層進めていくため、製材工場に対する木材加工機械の導入やJAS認証取得に要する経費を助成するほか、耐火性能に優れた木材製品の開発を行う事業者を支援するなど、引き続き県産材の利用促進に取り組んでまいります。    (土木部長曳地利光君登壇) ◎土木部長(曳地利光君) お答えいたします。 橋梁やトンネル等の長寿命化対策につきましては、日常の適切な管理に加え、予防保全の考え方を取り入れ、計画的に施設の修繕を進めることが重要であります。 このため、国の補助事業等を活用し必要な予算の確保に努めながら、橋梁等の劣化を効率的に把握するため、ドローンによる点検やAIによる画像診断などの新技術を積極的に活用し、点検や診断の効率化、迅速化を図り、計画的に長寿命化対策に取り組んでまいります。 次に、県管理道路の舗装の維持管理につきましては、日常の道路パトロールによる路面状況の確認や通行に支障となる箇所の穴埋め等の速やかな補修に加え、損傷の状況に応じ、舗装の打ち換え等の修繕を行っております。 引き続き、安全な通行を確保するため、損傷箇所の早期発見、早期補修に取り組むとともに、舗装の修繕を行う際にはひび割れ等が発生しにくい強度の高い構造とするなど耐久性の向上を図り、舗装の適切な管理に取り組んでまいります。 次に、除雪オペレーターの育成につきましては、オペレーターの不足や高齢化に対応するため、令和2年度から除雪作業に必要な免許の取得費用に対する補助を行い、これまで73名が免許を取得し、このうち30代以下の若手が約7割を占めております。 引き続き、免許の取得支援を行うとともに、実務経験の少ないオペレーターを対象とした技能講習会を毎年開催し、冬期の道路管理に関する知識の習得や除雪機械の操作技能の向上を図るなど、積極的に除雪オペレーターの育成に取り組んでまいります。    (病院局長三浦 爾君登壇) ◎病院局長(三浦爾君) お答えいたします。 県立南会津病院につきましては、南会津地域唯一の病院として、入院治療や外来診療のほか人工透析、救急医療、新型感染症への対応など、地域に必要とされる医療を提供しており、本年4月からは在宅復帰に向けた治療やリハビリテーションを行う地域包括ケア病床を設置し、訪問診療や訪問看護と一体となって患者の在宅での生活を医療の面から支援していくなど、地域ニーズを踏まえた医療機能の充実に取り組んでまいります。 ○副議長(山田平四郎君) これをもって、渡部英明君の質問を終わります。 通告により発言を許します。17番江花圭司君。(拍手)    (17番江花圭司君登壇) ◆17番(江花圭司君) 自由民主党議員会、17番、江花圭司です。 能登半島地震から2か月が過ぎました。我が県としては、発災翌日から災害支援員を派遣いただき、東日本大震災の教訓を被災地で遺憾なく発揮され支援いただいておりますこと、私たち県民は大変心強く、励みとなっております。 現地支援に赴いている福島県関係各位に大きな激励を送りますとともに、心から感謝を申し上げ、通告に従い一般質問いたします。 まず初めに、知事にお聞きいたします。県産日本酒です。 昨日まで2日間開催されましたふくしまの酒・味噌醤油まつりは大変活気に満ちあふれ、地元醸造元の皆様の御出展、関係者の御設営大変お疲れさまでした。 さて、全国新酒鑑評会で金賞受賞数9回連続日本一という輝かしい実績を誇る県産日本酒ですが、昨年5月に発表された全国新酒鑑評会の結果において、残念ながら金賞受賞数連続日本一は途切れてしまったところです。 しかし、県内の酒蔵は福島県清酒アカデミー職業能力開発校で杜氏や蔵人の養成を行うなど、日本酒の生産技術の向上に邁進しており、中には海外の方々が日本酒を選ぶ、その際の決め手となっているコンペティションに積極的に出品し高い評価を得るなど、その技術を遺憾なく発揮しているところです。 私の選挙区である喜多方市・耶麻郡には、県内唯一である発酵とお酒の神様が二柱いらっしゃいます。 まず第1に、山形県、新潟県、本県の蔵元代表がよい酒づくりができるように祈願する秋の大祭、上卯祭でおなじみの西会津町尾野本地区松尾行政区にある松尾神社の松尾様。 第2に、福島県が誇る日本酒の神様、磐梯町在住の福島県日本酒アドバイザー、鈴木賢二様。 このたび、地元酒蔵と共同開発した神の酒が誕生しました。それを味わうことで、新たな福島県産日本酒の味覚の基準ができることと期待します。 そうした中でも、県産日本酒の振興を国内外においてこれまで以上に進めるためには、全国新酒鑑評会金賞受賞数日本一の奪還を目指し、関係者が一緒に酒造りに取り組み、知名度をさらに向上させる取組が大切だと考えます。 そこで、知事は県産日本酒の振興にどのように取り組んでいくのか尋ねます。 次に、県営荻野漕艇場についてであります。 県営荻野漕艇場は、県内唯一の公益社団法人日本ローイング協会認定B級コースの漕艇場として、大会開催や県内外の高校や大学等の合宿などに利用されております。 今後予定されている全国大会や合宿の誘致に当たっては、老朽化した施設の計画的な整備が必要になってくるものと考えます。 そこで、県は県営荻野漕艇場の施設整備にどのように取り組んでいくのか尋ねます。 次に、大阪・関西万博への出展についてであります。 まず、万博とは国際博覧会条約に基づく国際博覧会です。 県は、2025年の大阪・関西万博に単独ブースを出展するとしており、復興の状況や福島の魅力、県産農林水産物の安全性などの情報を国内外に伝えようとしています。 また、大阪・関西万博は、その開催期間中に2,800万人以上の来場があるとされており、その機会に福島の正しい現状を情報発信することで、風評払拭や風化対策はもとより、ホープツーリズム等によるさらなる観光誘客が期待されるところです。 そこで、県は大阪・関西万博を見据え、ホープツーリズムをどのように充実していくのか尋ねます。 次に、大阪・関西万博の魅力発信についてであります。 来年、2025年4月13日から10月13日まで開催されます大阪・関西万博は、様々なメディア報道がなされる中で1年後に迫りました。 「くるぞ、万博。」、「かわいい子には、未来を見せよう。」、「そろそろ、手帳に、万博を。」、1970年万博体験層向けに「やっぱり、万博だ。」などのキャッチフレーズが登場し、万博への熱気をシンプルな言葉で世界に発信しています。 そこで、県立高等学校において大阪・関西万博の魅力を伝えるべきだと思いますが、県教育委員会の考えを尋ねます。 次に、物流の2024年問題についてであります。 長時間労働を是正する働き方改革関連法は、2019年4月に施行されましたが、運転手や建設業、医師などは時間外労働の上限規制の適用が5年間猶予され、いよいよ本年4月から施行されます。 時間外労働の上限が制限されることにより、長距離運転やドライバー不足による物流の停滞が懸念される、いわゆる物流の2024年問題が目の前に来ています。 国では、昨年6月に省庁横断の政策パッケージやガイドラインを策定したところであり、民間においても事業者同士が連携し中継輸送を行うなど、人手不足に対応する動きが出ています。 このような動きは一般的に知られるものではなく、県としても積極的に情報発信していくべきだと考えます。 そこで、県は物流の2024年問題にどのように取り組んでいくのか尋ねます。 次に、会津地域のがん医療提供体制についてであります。 日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性65.5%、女性51.2%で、2人に1人が罹患する病気となっております。 がんに対する意識も数年前と大きく異なり、自らネットで調べ、初診外来を受けるために上京する方も少なくありません。 問題は、紹介状を書いてもらい、地元以外での診察や治療において送迎や宿泊が必要な患者さんが増えていることで、親族に負担がかかっていることです。 負担を軽減するにも、地元で治療できることを周知して、分かってもらう必要があります。 そこで、県は会津地域のがん医療提供体制の充実にどのように取り組んでいくのか尋ねます。 次に、磐梯山の登山道における環境保全対策についてであります。 現在、磐梯山登山においては裏磐梯登山の八方台登山道に集中しており、シーズン中においては、約70台の八方台駐車場は満車になっている状況や登山道の上り下りの混雑、景観的にもすばらしいお花畑コースなどのトイレ、ごみ問題が発生しております。 登山道の分散による混雑緩和や環境負荷の軽減を考えていかなければなりません。 表磐梯からの登山コースもありますが、こちらは管理者不在の登山コースであります。 そんな中、昨年10月30日にプレスリリースされました会津スカイテラス計画は、1,000台確保できる猪苗代スキー場の駐車場からケーブルカーで会津テラスまで移動し、磐梯山登山ができる新たなコースの創出により、八方台登山道等との混雑緩和が期待されるところですが、現状では駐車場不足やごみ問題等が解決していません。 そこで、県は磐梯山の八方台登山コースの環境保全対策にどのように取り組んでいくのか尋ねます。 次に、農業政策における高温、少雨の気象条件における農業経営の安定についてであります。 近年は、台風や凍霜害などにより、毎年のように大きな農業災害が発生しています。 昨年の夏は県内多くの気象観測地点において、最高気温が35度を超える猛暑日の回数が観測史上最も多くなり、加えて非常に雨も少なかったことから、地域によっては渇水の被害も見られ、水稲をはじめ多くの農作物で品質が低下するなどの影響が発生したところです。 地元の農家の方からは、近年の気象変動の状況を考えると、昨年のような猛暑や雨が少ないなどが今後も頻繁に起こり得るといった話を聞かれます。 そこで、県は高温、少雨の気象条件において、農業経営の安定をどのように支援していくのか尋ねます。 次に、農業用ダムの貯水量の確保についてであります。 降雨も少ない場合の渇水について、農業用ダムの貯水量については、雪が降らない今年は、今から農業関係者からも不安を感じる声を聞いております。 そこで、県は出穂期における農業用ダムの貯水量の確保にどのように取り組んでいくのか尋ねます。 次に、日中ダムの渇水時における対応についてであります。 会津北部のかんがい用水に使われる農業用ダムで日中ダムがあります。 放流時期がほかのダムより10日ほど早いのが特徴で、出穂期にダムの貯水量が少なくなると農業関係者は不安を抱くことから、水利が確保できる貯水量があることを周知することは大切なことだと考えます。 それと併せて、もしもの渇水の際における対応の事前周知も必要だと考えます。 以前、喜多方建設事務所管内においてはダムの貯水量が減少し、水利の確保が難しくなった際、消雪用井戸を開放して取水口の水位を上げることで、各かんがい用水路へ水を通すことができました。 そこで、県は日中ダムの渇水時における対応にどのように取り組んでいるのか尋ねます。 次に、一昨年の会津北部大雨で被災した農地及び農業用施設の復旧見通しについてであります。 令和4年8月、会津地方の北部を中心に甚大な被害をもたらした記録的な大雨から、早いもので1年以上が経過しました。 国道121号の復旧やJR磐越西線の全面開通など、関係者の御尽力により、目に見える形で公共インフラ復旧は進んでいます。 一方で、地元の山間部に入りますと、一部の農地や水路で応急工事はされているものの、1年以上過ぎた今もなお大きな傷痕を残しております。 また、災害復旧工事を実施する市町村では技術職員が不足しており、工事の発注に苦労しているとも聞いています。 こうした状況は、営農意欲の低下や離農につながりかねないため、迅速に復旧を行う必要があります。 そこで、令和4年8月、大雨で被災した農地及び農業用施設の復旧状況と今後の見通しについて尋ねます。 次に、J-クレジット制度に取り組む農業者への支援についてであります。 温室効果ガスの排出削減、吸収量をクレジットとして認証するJ-クレジット制度において、昨年3月に水稲栽培による中干し期間の延長が新たな方法論として承認され、県内農業者も高い関心を寄せているところであります。 一方で、J-クレジットに参加するための事務手続等の事務作業は極めて難解、煩雑であり、取り組みたいと考えている農業者が制度を活用できるよう支援していく必要があると考えます。 そこで、県はJ-クレジット制度に取り組む農業者をどのように支援していくのか尋ねます。 次に、棚田の水路の維持管理についてであります。 新年度事業の地域振興モデルとなる棚田の保全については、人口減少と高齢化により、集落の人足において棚田への水利を確保するための堰上げや管理は、重機も入らないことから大変な苦労が強いられております。 そこで、県は棚田の水路の維持管理をどのように支援していくのか尋ねます。 次に、土木政策における国道121号の整備についてであります。 本県の縦、横6本の連携軸における山形県米沢市から栃木県日光市を結ぶ国道121号は、昨年、国道121号(米沢~喜多方間)高規格道路整備実現同盟会が設立されました。 東北中央道の整備が完了し、国道121号と東北中央道の連携軸の位置づけは高くなっております。 また、昨日、会津縦貫道の南道路、小沼崎バイパスが開通しました。関係各位の御尽力に感謝いたします。 そこで、県は国道121号の整備にどのように取り組んでいるのか尋ねます。 次に、空き家対策についてであります。 空き家問題が深刻さを増していますが、その原因の1つとして、相続された空き家の不動産登記がなされず、所有者不明の空き家が放置されている問題が指摘されています。 これらを受け、来月4月1日から改正された不動産登記法が施行され、相続した不動産の登記、つまり不動産の名義を相続人へ変更することが義務化されます。これにより住宅等の所有者が明確になり、空き家の適正管理や有効活用が促進されるものと考えます。 また、空き家対策については、昨年12月に空家等対策特別措置法が強化され、管理の行き届いていない空き家に対しては法律に基づいて指導ができるようになり、今後、市町村が主体となって空き家の対策を一層進めることが期待されます。 新年度新規事業の空き家対策総合支援事業などにおいて、県は空き家対策に取り組む市町村をどのように支援していくのか尋ねます。 次に、県立高校の空き校舎等の利活用についてであります。 今年度、県立高校の空き校舎等の利活用に向け、市町村ではおのおのの利活用に向け検討、協議がなされ始めております。 中には、用途地域の変更や市町村の総合計画における優先順位の変更など、市町村の1つ1つの議会において承認をもらいながら進めるため、住民との協議内容を決定させてから利活用が始まるまででも2、3年を要する可能性が生じております。 このことから、県は市町村と協議を進める中でも早い返答を求められます。 そこで、県教育委員会は県立高等学校改革に伴う空き校舎等の利活用について、市町村とどのように取り組んでいくのか尋ねます。 最後に、県立高等学校改革前期実施計画より前に統合となった高等学校の跡地等についてであります。 この件は、利活用の方針が決まらないまま長期にわたり未利用の状態が続くことへの懸念や、跡地等の所在する自治体が利活用する場合の県による支援の必要性について、これまで我が党の代表質問で指摘してまいりました。 その結果、昨年9月定例会において、教育長は「各自治体が跡地等を利活用する際の財政支援策を構築していく」との答弁をしております。 そこで、県教育委員会は県立高等学校改革前期実施計画より前の統合に伴い生じた県立高等学校の跡地等を所在自治体が利活用する場合、どのように支援を行うのか伺います。 御清聴ありがとうございました。明快な答弁をお願いします。(拍手) ○副議長(山田平四郎君) 執行部の答弁を求めます。    (知事内堀雅雄君登壇) ◎知事(内堀雅雄君) 江花議員の御質問にお答えいたします。 県産日本酒の振興についてであります。 度重なる自然災害による酒蔵への被害や風評という強い逆風に見舞われながらも、高い評価を勝ち取ってきた蔵元の皆さんが造り上げる県産日本酒は、「ふくしまプライド。」そのものであります。 私は、昨年5月に開催した全国新酒鑑評会金賞受賞を祝う会において、「ふくしまプライド。」を守り育むため、蔵元の皆さんとある思いを共有しました。 それは、ふくしまの酒を皆さんとさらにもう1段レベルを上げ、再び最高の笑顔になれる日を目指し、共に挑戦しようとの決意であります。 その実現へ向け、大吟醸酒に適した本県産の酒米の開発や醸造技術の見える化などによる高品質な酒造りへの支援はもとより、県産日本酒に思いを寄せる著名人等のお力を借りたファンの拡大、さらに米国やEUにおける試飲会や展示会の出展等による輸出促進など、おいしい酒造りから販路拡大まで、切れ目のない多様な取組を加速させてまいります。 県産日本酒のファンをはじめ多くの皆さんに「ふくしまの酒だからこそ飲んでみたい」と思っていただけるよう、造り手の皆さんと情熱やプライドを分かち合い、県産日本酒の振興に挑戦してまいります。 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。    (企画調整部長五月女有良君登壇) ◎企画調整部長(五月女有良君) お答えいたします。 物流の2024年問題につきましては、国において政策パッケージやガイドラインを策定し、今国会で関連法令の改正も予定するなど、その対策が進められております。 県においても、関係課による連絡調整会議を新たに設置し、国の施策や県の関連事業を一覧にして取りまとめ、今後速やかにホームページ等で発信するほか、関係団体等への周知を図り事業者の方からの相談に丁寧に対応するなど、引き続き国の動向を注視し、適切に対応してまいります。    (生活環境部長鈴木竜次君登壇) ◎生活環境部長(鈴木竜次君) お答えいたします。 磐梯山の八方台登山口コースの環境保全対策につきましては、駐車場などに看板を設置し、近隣駐車場の利用や携帯トイレの使用、ごみの持ち帰り等を入山者に呼びかけてまいりました。 今後とも、関係機関と連携し、ホームページでの情報発信や案内標識への情報の追加等により、さらなるマナー向上の呼びかけを行うなど、八方台登山口コースの環境保全対策にしっかりと取り組んでまいります。    (保健福祉部長國分 守君登壇) ◎保健福祉部長(國分守君) お答えいたします。 会津地域のがん医療提供体制につきましては、高度な治療を担う連携拠点病院及び連携推進病院と標準的な治療や緩和ケア等を担う地域の医療機関との役割分担により、幅広い医療ニーズに対応できる体制を構築しております。 新年度は、新たに2つの拠点病院による診療体制を構築するとともに、患者団体や医療機関との協力の下、専門分野や相談窓口の情報を発信するなど、会津地域のがん医療提供体制の充実に取り組んでまいります。    (農林水産部長沖野浩之君登壇) ◎農林水産部長(沖野浩之君) お答えいたします。 高温、少雨の気象条件における農業経営の安定につきましては、品目ごとの具体的な対応策を示し、支援することが重要であります。 このため、高温下でも収量や品質が良好な栽培事例を分析し、米の品質低下を防ぐための施肥や水管理方法、キュウリやトマト等の施設内の温度を下げるための管理技術、リンゴの着色がよい品種の導入等を進めるほか、収入保険への加入を促進するなど、引き続き農業経営の安定に向けて支援してまいります。 次に、出穂期における農業用ダムの貯水量の確保につきましては、ダムへの確実な貯留とともに、貯留水の計画的な使用に向けた用水管理が重要であります。 このため、ダム等の施設管理者に対し、適切な貯水管理による必要水量の確保と地域の作付状況や生育段階を踏まえた用水の有効利用に関する技術的な指導助言を行うことにより、出穂期に向けて農業用ダムの貯水量が安定的に確保されるよう取り組んでまいります。 次に、令和4年8月の大雨で被災した農地及び農業用施設の復旧につきましては、市町村等が災害査定を受けた282か所のうち、2月末までに257か所で復旧工事に着手しており、128か所において完了しております。 今後着手する工事は、急峻な山間部の水路やため池など、高度な技術力を要することから、市町村等に工法や設計、積算等についてきめ細かな助言を行うなど、工事の早期完了に向けしっかりと支援してまいります。 次に、J-クレジット制度に取り組む農業者への支援につきましては、地球温暖化の防止に貢献するとともに、農業者の所得向上にもつながるものと考えております。 このため、農業者に対する制度等の周知はもとより、新年度からは認証に必要となる計画の策定に向けた専門家の派遣費用や取組に要する機器の購入等に対し助成するほか、環境負荷を低減する取組を表彰し意欲向上を図るなど、農業者がJ-クレジット制度に積極的に取り組めるよう支援してまいります。 次に、棚田の水路の維持管理につきましては、地域における人口減少や高齢化を踏まえ、地域内外の住民の連携と協働を進めながら取り組むことが重要であります。 このため、都市住民等が農作業などを体験する棚田オーナー制度等の交流イベントや棚田を巡るスタンプラリーなどのPR活動を実施することにより、地域内外の住民の交流拡大と結びつきの強化を図り、地域が行う維持管理活動への参画を促進するなど、今後も棚田の水路を持続的に管理していけるよう支援してまいります。    (土木部長曳地利光君登壇) ◎土木部長(曳地利光君) お答えいたします。 日中ダムの渇水時における対応につきましては、日中ダムに洪水調節機能のほか、かんがい用水や水道用水などの利水目的があることから、貯水率が5割を下回るなど利水者への影響が想定される場合に、ダム管理者である県と利水者等で構成する利水者連絡協議会において取水制限や節水等、各利水者の取組について調整しており、今後とも渇水の影響が最小限となるよう、関係者と連携して取り組んでまいります。 次に、国道121号につきましては、県境をまたぐ広域観光や産業振興に資する道路であるとともに、災害時の緊急輸送道路として極めて重要な路線であることから、国と連携し、会津若松市、下郷町及び南会津町において会津縦貫道の整備を進めており、このうち県が工事を進めてきた下郷町の小沼崎バイパスを昨日供用いたしました。 引き続き、会津縦貫道の整備を推進するとともに、山形、栃木両県とも連携しながら、広域的な交通を担うために必要な道路の機能等、整備の在り方について検討を進めてまいります。 次に、空き家対策に取り組む市町村の支援につきましては、国、県、市町村、不動産関係団体等で構成する連絡調整会議を通じ、空き家の活用事例や改修に関する補助制度等について、情報提供及び技術的助言を行っております。 また、新年度からは市町村が地域の実情を踏まえた空き家対策を効果的に推進できるよう、空き家の所有者が行う改修費用等を助成する市町村に対して補助を行うとともに、市町村による空き家の実態調査や相談会等の費用を補助するなど、市町村が行う空き家対策を積極的に支援してまいります。    (文化スポーツ局長永田嗣昭君登壇) ◎文化スポーツ局長(永田嗣昭君) お答えいたします。 県営荻野漕艇場の施設整備につきましては、開設以来、本県ボート競技の振興や競技力向上に資するよう計画的な改修等に努めておりますが、コース距離表示板の老朽化や川底の土砂の堆積により、大会等で1レーンが使用できない状況にあることなどを踏まえ、今般コース設備の改修工事としゅんせつ工事の経費を来年度予算に計上したところであります。 今後も、喜多方市等の関係団体と連携しながら、各種大会や合宿等での利活用が進むよう、計画的な施設整備に取り組んでまいります。    (観光交流局長吾妻嘉博君登壇) ◎観光交流局長(吾妻嘉博君) お答えいたします。 大阪・関西万博を見据えたホープツーリズムの充実につきましては、国内外の方々に魅力的な内容と受入れ体制の強化が大切であります。 このため、ホープツーリズムと本県の多様な観光資源をつないだ本県ならではの旅をつくり上げるほか、既に実施された台湾からの教育旅行の成果等を生かし、分かりやすく伝わる多言語ガイド等の育成を図るなど、大阪・関西万博を見据えたホープツーリズムの充実にしっかりと取り組んでまいります。    (教育長大沼博文君登壇) ◎教育長(大沼博文君) お答えいたします。 大阪・関西万博につきましては、社会が直面する課題の解決に向けた最先端の知見と様々な国の文化や価値観に触れる貴重な機会であり、未来を担う高校生にとって学びの多い場であると認識しております。 このため、万博のパンフレットや授業、行事等で活用できるコンテンツを各学校へ周知することなどにより、生徒が万博の魅力に触れる機会を得られるよう努めてまいります。 次に、県立高校改革に伴う空き校舎等の利活用につきましては、地方振興局と連携し、各地域の実情や思い描く姿などについて所在市町村と協議を重ねるとともに、県の支援策に対する要望等にも個別に対応しているところであります。 引き続き、各地域の課題等について、地方振興局や関係部局と定期的に情報交換を行いながら、地元の思いに沿った利活用を後押しできるよう丁寧に取り組んでまいります。 次に、県立高等学校改革前期実施計画より前の統合に伴い生じた跡地等を所在自治体が利活用する場合の支援につきましては、各自治体が跡地等を取得する際の負担軽減を図るとともに、利活用に際し必要となる費用に対して、5年間で最大3億円を交付する財政支援を行うことといたします。 今後とも、各自治体が跡地等の利活用を通して様々な地域課題に取り組めるよう、しっかりと支援してまいります。 ○副議長(山田平四郎君) これをもって、江花圭司君の質問を終わります。 暫時休憩します。 再開は、午後3時10分といたします。    午後2時52分休憩                  午後3時11分開議 ○議長(西山尚利君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。 直ちに、質問を継続いたします。 通告により発言を許します。58番神山悦子君。(拍手)    (58番神山悦子君登壇) ◆58番(神山悦子君) 日本共産党の神山悦子です。一般質問を行います。 初めに、今年元日に発生した能登半島地震で犠牲になられました方々の御冥福と被災されました全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げます。 また、被災地支援に派遣された県職員や関係者の皆様の御尽力に心から感謝を申し上げます。 今回の能登半島地震では、北陸電力志賀原発と東京電力柏崎刈羽原発でトラブルが発生しました。地震、津波が多発する日本で原発依存政策を続ける岸田政権の異常さが改めて問われています。 今月11日で東日本大震災、原発事故から丸13年を迎えます。 今もふるさとに戻れないでいる県民は約2万6,000人、復興も道半ばです。 ところが、ALPS処理水の海洋放出が強行されたこの半年間で、作業員が洗浄廃液を浴びる事故や高濃度汚染水が建屋外に漏えいする重大な作業ミスが二度も発生しています。 また、税金の確定申告や春闘の時期を迎えていますが、県民の暮らしとなりわいは厳しさを増すばかりです。 2022年11月の我が党のしんぶん赤旗日曜版のスクープが発端となり明らかになった政治資金パーティーをめぐる自民党の派閥ぐるみの裏金事件に国民、県民の怒りが沸騰しています。 岸田政権の支持率は過去最低の14%。自民党に政権を担当する資格はありません。 自民党の不十分な調査でも、5年分だけで福島県選出の5人の国会議員を含め85人、5億8,000万円もの裏金を受け取っていました。 政治資金規正法に違反する組織的犯罪、裏金が選挙買収に使われれば公選法違反、議員個人の隠れ所得ならば所得税法違反の可能性があります。 政治倫理審査会では、肝腎の点は何も明らかにされませんでしたが、地方組織も含め、資金パーティーをめぐる政治資金収支報告書の訂正だけでは済まされません。自ら全容を解明すべきです。そして、パーティー券を含む企業、団体献金は全面禁止、政党助成金は廃止すべきです。 財界、大企業からの政治献金で、国民生活に関わるあらゆる分野がゆがめられてきました。国民、県民の暮らしや雇用が破壊されました。 アメリカの要請に応え、憲法違反の敵基地攻撃能力保有など、戦争する国づくりを目指す大軍拡を掲げ、5年間で43兆円もの大増税をするとしていますが、丸2年が経過したロシアによるウクライナ軍事侵略、イスラエルによるガザ、ラファへのジェノサイドを見ても、軍事対軍事では何も解決しません。 北東アジアの平和のためASEAN諸国と協力し、包摂的枠組みでAOIPを共通の目標に据え、憲法9条を生かした平和外交こそ必要です。 自民党政治の根本にある財界、大企業中心、アメリカ言いなりの2つのゆがみを転換し、国民が主人公の政治、平和、人権尊重、国民、県民が希望を持てる政治実現のため、共に力を合わせることを呼びかけまして、以下質問に入ります。 能登半島地震と災害対策についてです。 最大震度7の地震によって甚大な被害をもたらした能登半島地震から2か月が経過しました。 地震で電気や水が止まり、避難所の劣悪な環境がなかなか改善されず、東日本大震災や全国の災害経験も生かされず、政府のあまりにも遅い対応は問題です。 断水でトイレも使えず、冷たい避難所で段ボールベッドも温かい食事の提供もされず、車中泊や農業用ビニールハウスが避難所代わりとなっている状況は今も続いており、災害関連死も危惧されます。 改めて、トイレ、キッチン、ベッドを48時間以内に整える本県の対策は十分でしょうか。 洋式トイレやキッチンカー、段ボールベッドなど、避難所環境の改善について市町村と連携して取り組むべきと思いますが、県の考えを伺います。 また、女性の視点を取り入れた避難所運営等の災害対応に取り組むべきと思いますが、県の考えを伺います。 昨年は、県内でも気温が40度を超える猛暑に見舞われました。 今年も冬の気温変動を見て異常気象が予想されますが、避難所となる県や市町村、学校体育館のエアコン設置は緊急課題です。 自治体が設置する場合、文科省の学校施設環境改善交付金があり、国は学校体育館の空調設備経費を通常3分の1のところ、2023から25年度までの3年間に限り、2分の1補助に引き上げています。また、総務省の緊急防災・減災事業債も活用できます。 公立学校の体育館へのエアコン設置を促進すべきと思いますが、県教育委員会の考えを伺います。 ところで、今回の能登半島地震は震度7の揺れで地盤の隆起や陥没、液状化等で多くの木造家屋が倒壊し、多くの人命も犠牲になりました。 住み慣れた場所で住宅を再建できるよう、地震から県民の命を守る住宅の耐震化が必要です。 木造住宅の耐震化を促進するため、市町村が行う改修補助費用への支援を拡充すべきと思いますが、県の考えを伺います。 岸田首相は、予備費対応で支給対象は限定的ですが、交付金という形で最大300万円を加算することを決定し、最大600万円を支給するとしました。現行の被災者生活再建支援金、最大300万円では不十分と認めたわけです。 一方、被災住宅への支援金は大規模、中規模半壊にとどまり、多くの半壊や一部損壊家屋は支給対象外となってしまいます。その支援金の財源となる都道府県負担もやめるべきです。 被災者生活再建支援金について、支給上限額の引上げと対象の拡大を行うとともに、県の負担をなくし、全額国庫負担とするよう国に求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。 次に、原発問題についてです。 能登半島地震では、地震の影響で、志賀原発は変圧器の油漏れで外部電源を一部喪失する重大事態となったのにもかかわらず、モニタリングポストが壊れ、計測できず、志賀原発、柏崎刈羽原発ともに燃料プールから水があふれました。 どちらも運転停止中だったこと、珠洲に原発が建設されなかったことは幸いです。 道路が寸断され、避難経路は絵に描いた餅だったことも判明しました。 岸田政権は、福島の原発事故を全く教訓にせず、昨年5月に老朽原発の再稼働も可能にするGX法を強行しましたが、世界有数の地震津波国日本で原発がいかに危険かを改めて示したのが能登半島地震です。 最近、各地で地震が観測されています。志賀原発、柏崎刈羽原発、女川原発など全国の原発ゼロ、再稼働中止を国に求めるべきですが、県の考えを伺います。 本県は間もなく、3月11日で原発事故から丸13年を迎えます。 燃料デブリの取り出しが全く進まない中で、国と東京電力は2015年の漁業者との約束を破り、県民合意もないまま、昨年8月24日、ALPS処理水の海洋放出を強行しました。 しかも、昨年10月には作業員が高濃度の廃液を浴びる事故、今年2月7日には高濃度汚染水が建屋外に漏えいする事故が発生するなど、僅か半年間で廃炉作業中の重大な人為的作業ミスが二度も発生したことは、再び県民や国民の信頼を裏切るものです。 先月16日、共産党県議団として東京電力に申し入れましたが、東京電力に対し、廃炉作業における人為的ミスが発生しないよう、設備面でのシステム開発や東京電力自身が現場の責任を負う体制の構築を求めるべきと思いますが、県の考えを尋ねます。 しかし、この作業ミスへの対策等も十分に示されないまま、国、東京電力は2月28日に4回目の海洋放出を行いました。 作業員への被曝や高濃度汚染水漏れの重大トラブルを踏まえ、ALPS処理水の海洋放出中止を国に求めるべきですが、県の考えを尋ねます。 ところで、昨年11月までに6町村に設定された特定復興再生拠点区域の全てで避難指示が解除されたものの、帰還者は僅かで、その多くは高齢者です。 介護施設等を整備すれば保険料に跳ね返り、避難自治体の国保税、介護保険料は全国でも高い水準にあります。 ふるさとを離れて暮らす避難者も、物価高騰の中で年金も上がらず厳しい生活を余儀なくされており、減免制度は命綱です。 ところが、国は特例減免措置を避難指示解除から10年程度で終了するとして、今年度から段階的見直しを進めています。 避難指示区域等における医療、介護保険の利用料や保険料等の減免措置を継続するよう国に求めるべきですが、県の考えを伺います。 さらに、帰還困難区域の家屋の除染について、住民が希望する場合は、帰還の有無にかかわらず実施するよう国に求めるべきですが、県の考えを伺います。 一方、新年度のイノベ関連予算は579億円ですが、主に復興再生道路などのインフラ整備が中心です。 中通りと浜通りをつなぐ阿武隈山系を通る復興再生道路は、8路線もあります。 ふくしま復興再生道路において、全体事業費が100億円を超える工区の数についてお尋ねします。 イノベ関連予算は、新年度分を含め累計約5,000億円に上ります。 ロボット、ドローン、水素エネルギー、医療機器関連や航空宇宙産業、道路等を整備してきました。 イノベ構想は避難者置き去りのまま、国、県主導のハード事業中心の惨事便乗型復興の典型です。 浪江町に設置されたF-REI、福島国際研究教育機構は、全体整備費が約1,000億円とされていますが、今年度予算の半分は未消化との見通しです。 目的も内容も明確でないままスタートさせましたが、新たな箱物づくりより、人間の復興にこそ予算を回すべきです。 ところで、ドイツは国として、福島の原発事故を受けて再生可能エネルギーを推進し、原発から完全に撤退しました。 本県も2040年までに再生可能エネルギー100%を目指すとしていますが、その大半はメガ発電です。 郡山市と猪苗代町の行政境の山稜に35基、出力13万6,000キロワットの(仮称)大滝山風力発電が計画されています。 この地域には、緑の回廊と呼ばれるブナ林など、手つかずの自然の植生や保安林があり水源地です。熊や希少動植物も生息しています。 下流には、郡山市熱海町石筵集落があり、河川から農業用水や伏流水の井戸水で飲料水や生活用水を賄い、上水道はありません。 地元住民からは、樹木の伐採や盛土などの開発行為による土石流災害や熊の被害、低周波による健康被害等、計画中止を求める声が上がっています。 先月9日、福島市長からも山地におけるメガソーラー等の導入、管理に関し、環境、景観等との配慮、両立できないものは事業計画の断念、見直しを求める要請が知事宛てにありました。 また、会津背あぶり山の風力発電についても、クマタカ生息への影響などについて県に申入れがありました。 大規模な開発を伴う再生可能エネルギーの導入を規制する条例を制定すべきですが、県の考えを尋ねます。 地産地消や自家消費を目的とした再生可能エネルギー導入への支援を拡充すべきと思いますが、県の考えを尋ねます。 県は、今年秋までに2050年カーボンニュートラル実現に向け、事業者や県民にも脱炭素社会への取組を求める条例を制定するとしています。 そうであれば、コスト面や技術的に課題がある水素エネルギーと地球温暖化対策に逆行するCO2排出量が最も多く、環境負荷が大きい石炭火発は廃止すべきです。 技術面やコスト面で課題のある水素の利活用は推進すべきでないと思いますが、県の考えを尋ねます。 県内の石炭火力発電所の廃止を事業者に求めるべきですが、県の考えを尋ねます。 次に、県民の暮らし応援についてです。 東日本大震災、原発事故以降、地震や台風災害に見舞われ、新型コロナ感染症と物価高騰が県民の暮らしとなりわいを直撃しています。 福島パナソニック工場の閉鎖、イトーヨーカドーの店舗撤退なども相次いで報道されました。県としても雇用維持等の支援が求められます。 岸田首相も認めた失われた30年は、自然現象ではありません。 財界、大企業のもうけを応援するため、人件費、コストカットで非正規雇用を4割まで増やし、消費税の引上げ、社会保障の連続改悪によって経済の5割を占める家計消費が停滞し、日本経済を疲弊させてきました。 日本のGDPはドイツに抜かれ、世界第4位に下がりました。 今月は税金の確定申告時期です。物価高騰対策は、1回限りの所得減税よりも消費税を直ちに減税し、物価高騰を上回る労働者の賃金を大幅に引き上げることです。 昨年10月に強行された個人事業主へのインボイス制度も苛酷な税制です。 郡山市内の個人事業主からは、経営難で消費税を滞納し、何とか数万円ずつ分納していたのにもかかわらず、年末に税務署員が複数で来て、その10倍以上の納入を迫られ、結局差押えをされ、事業廃止に追い込まれたとの訴えが寄せられました。 国民や県民には、人権無視の税務調査や徴収で倒産に追い込む一方で、違法な多額の裏金が追徴課税もされず、自民党の主要幹部は誰も刑事罰を受けない、こんな逆立ちした政治はありません。 直ちに消費税率5%への減税を国に求めるべきですが、県の考えを伺います。 適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度の中止を国に求めるべきですが、県の考えを伺います。 来年度の政府予算案は、自民党の裏金事件の真相究明に背を向けながら衆議院で強行採決されましたが、岸田政権は物価高騰で苦しむ国民への支援や賃金引上げに背を向け、軍事費はこの2年で1.5倍、2.5兆円も増やし、過去最大の8兆円です。 一方、福島県の新年度予算は1兆2,381億800万円、そのうち復興・創生分は約2,400億円です。 福島県の1人当たりの財政規模は全国4位ですが、県民にこの実感はありません。 道路や港湾、復興関連のハード事業に予算が優先配分され、医療、介護、福祉、教育分野は拡充されていません。 医療、介護、福祉、教育、運輸などの生活や社会を支えるに必要なエッセンシャルワーカーの人員、人手不足も深刻です。 本県の転出超過は、2022年は約6,700人と全国3番目に多く、そのうち15歳から24歳の若年層は約5,000人、2022年までの直近10年間の女性の転出超過は全国ワースト1位です。原発事故以降、さらに人口流出が続いています。 昨年、福島県の最低賃金が時給900円に引き上げられたものの、東京都との差は213円もあります。 県労連の最低生計費調査では、県内でも時給1,480円相当が必要とされており、最低賃金は全国一律、時給1,500円に引き上げるべきです。 本県は、女性活躍や働き方改革に取り組む事業所に対し奨励金を交付していますが、交付実績も少なく、賃金引上げへの支援はありません。 岩手県は、時給50円以上の賃上げを行った中小企業等を対象に、従業員1人当たり5万円の支援金を支給します。また、山形県も同様の賃上げ支援金の支給を行い、50歳未満の女性非正規雇用労働者も対象にしています。 県内企業への人材の確保・定着を図るため、岩手県や山形県のように賃金引上げへの支援を行うべきと思いますが、知事の考えを伺います。 一方、今回の能登半島地震での対応の遅れを見ても、公務員定数削減を続けてきた結果、マンパワー不足は深刻です。 県も正規職員を増やし、頻発する災害や感染症対策などに応えられるよう、保健師や土木職等の技術職員を増員すべきですが、県の考えを伺います。 ところで、物価高騰の中、子育て世代の教育費の保護者負担軽減策として大変歓迎されているのが、学校給食費の無償化です。 今年4月から猪苗代町、天栄村が小中学校全額補助、伊達市は中学校の半額補助、三春町は小中学校第2子以降に全額補助とさらに広がっています。 全額補助、全額無償化は、郡山市など32市町村、一部補助は22市町村、県内90%を超えました。 都道府県段階では、千葉県から始まり沖縄県、東京都、和歌山県、さらに青森県は市町村交付金の創設で今年10月から実施しますが、全自治体で一律の給食費無償化は全国初です。 公立小中学校の給食費の無償化等を実施する市町村への補助を県として実施すべきですが、県教育委員会の考えを伺います。 また、本県は高校生のタブレット端末を保護者負担とし、生活保護世帯と非課税世帯は上限4万9,000円、世帯収入620万円以下は上限2万円を補助しますが、生活保護世帯以外は一旦全額納付後に補助金が交付されます。 しかし、事務手続が膨大で、今年度から審査業務をエフコムに約620万円で委託したものの、委託先への資料準備で、かえって保護者や教職員の負担が増えています。世帯収入などの個人情報漏えいの危惧もあります。 県立高等学校における1人1台端末は保護者負担ではなく無償貸与とすべきですが、県教育委員会の考えを伺います。 食料自給率についてです。 本県農業をめぐる現状は、高齢化等による担い手不足で10年を待たずに農地を耕作する人がいなくなる事態です。 世界では、戦争や気候危機による干ばつ、山林火災などで、お金を出しても輸入できる時代ではなくなっています。 ところが、岸田政権は2月27日、現行法の食料自給率を38%まで落ち込ませた反省もなく、この目標を放棄する食料・農業・農村基本法を60年ぶりに改定する案を国会に提出しました。 また、食料供給困難事態対策法案も提出し、戦前さながらに花農家に芋を作らせ、農家に強制作付や供出を求めようとしています。 食料・農業・農村基本法の改正に当たり食料自給率を掲げ、目標を引き上げるよう国に求めるべきと思いますが、県の考えを伺います。 県内の地域交通の整備についてです。 いわき市新常磐交通が今年4月からバス15路線を廃止する方針が示され、大きな衝撃が走りましたが、これは全県的課題でもあります。 地球温暖化対策や超高齢化社会を踏まえ、県内の公共交通網整備が急がれます。 市町村が行う生活交通対策のための補助制度を抜本的に拡充すべきと思いますが、県の考えを伺います。 バス路線を維持するため、運転手確保の支援が必要であると思いますが、県の考えを伺います。 乗客の安全性確保に課題があるライドシェア導入は中止すべきと思いますが、県の考えを尋ねます。 次に、医療・介護制度の充実強化についてです。 本県の医師不足は、原発事故後さらに深刻になり、人口10万人当たりの医師数は212.3人、全国42位と最下位クラスです。 さらに、今年4月から医師の働き方改革が実施されますが、これも踏まえた医師不足対策が必要です。 医師の働き方改革を踏まえ、さらなる医師の確保に取り組むべきと思いますが、県の考えを伺います。 老後を支える命綱の介護保険制度は2000年に開始されましたが、岸田政権は新年度に大改悪を進めようとしています。 介護保険サービスは要介護3以上の重症者に限定、要介護1、2は介護保険から外し自治体丸投げの総合事業に移す、デイサービスと生活援助を介護保険から外し身体介護に限定する、利用者の原則1割負担を2割にする、後期高齢者医療費の一部窓口負担2割引上げに併せ介護保険も2割に引き上げる、ケアプラン作成を有料にするなど、保険あって介護なしの国家的詐欺と言うべき大改悪です。 利用者の負担増などの改悪につながる介護保険制度の見直しを中止するよう国に求めるべきですが、県の考えを尋ねます。 本県の2025年における介護職員の充足率見込みは、全国32位です。 ところが、政府は介護事業所への算定基準要件が厳しい加算措置を引き上げる一方で、訪問介護への基本報酬を引き下げます。 今でも低い賃金、細切れのサービスで十分な報酬は得られていません。人手不足に拍車がかかり、小規模事業所ほど倒産に追い込まれ、在宅介護は崩壊します。 訪問系サービスに係る介護報酬について引下げを中止し、大幅な引上げに向けて介護保険の国庫負担を増やすよう国に求めるべきですが、県の考えを伺います。 教育の充実についてです。 教員不足もますます深刻です。本県の今年度の講師不足は240人、現場では代替教員に入った教員も病休になるなど、深刻な実態が次々と報告されています。 県教委は、講師不足が予想されるため、本県独自の30人程度学級を超えて学級編制を可能とする依頼文書を2月19日に市町村教育長宛てに送付しています。 県独自に正規教員を増員すべきですが、県教育委員会の考えを伺います。 30人学級を公立小中高等学校の全学年に拡大すべきですが、県教育委員会の考えを伺います。 また、県内でも不登校の児童生徒が増えていますが、保護者や学校現場からは、スクールカウンセラーなどへの相談を申し込んでも約1か月先と言われ、養護教諭が病休でも代替教員がいないため、保健室登校もできないなど、ここでも深刻な現状が報告されています。 公立学校において、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの増員を図るべきですが、県教育委員会の考えを伺います。 最後に、人権、ジェンダー平等及び包括的性教育についてです。 日本のジェンダーギャップ度は、146か国中125位と最下位クラスですが、その中で福島県は政治、行政、教育分野のギャップ指数が全国最下位クラスです。 2月8日、県男女共同参画審議会で、LGBTなど性的少数者のカップルを公的に証明することで行政サービスや社会的配慮を受けやすくするパートナーシップ制度導入を求める意見が出され、市町村の動きを待つのではなく、県自ら導入すべきと求められています。 全国でパートナーシップ制度の空白県は、本県と宮城県の2県だけでしたが、ようやく今年1月伊達市が導入し、新年度は福島市、南相馬市、富岡町が検討しています。 県としてパートナーシップ、ファミリーシップ制度の条例を制定すべきですが、県の考えを伺います。 最後に、包括的性教育の推進についてです。 文科省は、今年度から命の安全教育を開始しましたが、まだまだ不十分です。 子供や若年層への性暴力の被害実態から、昨年刑法等が改正されましたが、包括的性教育は最重要課題とされています。 残念ながら、本県でもわいせつ行為による教員の処分が相次いでおり、本格的に教育現場で実践することは、教職員や大人たちも学び直す機会になるのではないでしょうか。 2009年にユネスコが中心になり、WHOも共同し2018年に改訂された国際セクシュアリティ教育ガイダンスは、人権を基盤に、8つの柱で年齢層に区分した学習内容が掲げられています。 公立学校において、発達段階に応じた包括的性教育を行うべきと思いますが、県教育委員会の考えを伺います。 以上で私の質問を終わります。(拍手) ○議長(西山尚利君) 執行部の答弁を求めます。    (知事内堀雅雄君登壇) ◎知事(内堀雅雄君) 神山議員の御質問にお答えいたします。 賃金引上げへの支援についてであります。 県内企業が持続的な賃金引上げを実現していくためには、企業において、デジタル技術を活用した業務効率化などにより生産性の向上を図ることに加え、企業間取引において価格転嫁が円滑に行われることが重要であります。 そのため、長時間労働の是正など、働き方改革を促進する奨励金や省エネのための設備更新に対する補助により企業を支援するとともに、生産性向上に資する設備投資等を行いながら、賃金を引き上げる中小企業などを支援する国の業務改善助成金の活用を促しているところであります。 また、労務費や原材料費、エネルギーコストなどの上昇分について、適切に価格転嫁することの重要性を国や経済団体、労働団体と共有し、一体となって機運の醸成を図ることにより、県内企業の経営の安定化や生産性の向上、さらには賃金引上げにつながるよう、引き続き取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。    (総務部長小柴宏幸君登壇) ◎総務部長(小柴宏幸君) お答えいたします。 消費税率につきましては、国において原油価格や物価の高騰等による生活や地域経済への影響、社会保障の充実や財政健全化等を踏まえ、総合的に判断されるものと考えております。 次に、技術職員につきましては、震災以降、正規職員や任期付職員の採用をはじめ他県等応援職員の受入れなど、多様な方策により必要な人員の確保に努めてきたところであります。 今後とも、復興・創生の進展や変化する行政需要等を踏まえながら、適正な人員配置に努めてまいります。    (危機管理部長渡辺 仁君登壇) ◎危機管理部長(渡辺仁君) お答えいたします。 避難所環境の改善につきましては、市町村と連携し、洋式の簡易トイレや段ボールベッドを備蓄してきたほか、発災時には民間事業者との応援協定や国のプッシュ型支援を活用し、迅速に配備することとしております。 また、温かい食事の提供ができるよう、応援協定に基づきキッチンカーの派遣体制を構築しており、今後も市町村と緊密に連携し、避難所の環境改善に取り組んでまいります。 次に、女性の視点を取り入れた災害対応につきましては、市町村に対し避難所への女性の運営管理者の配置や女性専用スペースの確保等を求めてきたほか、県においても女性用品の備蓄の充実等を進めてまいりました。 今後は、これらの取組に加え、避難所の環境や運営のさらなる改善等を図るため、来月選任する県の防災会議委員に女性を積極的に登用し、防災施策に女性の意見を的確に反映させるなど、引き続き女性の視点を生かした災害対応に取り組んでまいります。 次に、被災者生活再建支援金につきましては、これまでも全国知事会等を通じて支給額の引上げや支給対象世帯の拡大など、制度のさらなる充実に加え、都道府県と国が折半している支援金の原資について、国の負担割合の拡大を求めてまいりました。 引き続き、近年激甚化、頻発化する災害の状況を踏まえ、被災者の速やかな生活再建が図られるよう、全国知事会等と連携して、必要な見直しについて国に求めてまいります。 次に、廃炉作業における人為的ミスにつきましては、東京電力に対し、単に作業員の問題として捉えるのではなく、東京電力の組織としての構造的なトラブルと認識し、安全管理体制の再構築や遠隔で監視できる設備の導入など、安全対策について全社を挙げて不断の見直しを行うよう強く求めたところであり、廃炉安全監視協議会等により、東京電力の再発防止対策の取組状況を厳しく監視してまいります。 次に、ALPS処理水の海洋放出につきましては、処理水の放出を含む福島第1原発の廃炉が県民の理解の下、安全かつ着実に進められることが本県復興の大前提であり、県民に不安を与えるトラブルが繰り返されることはあってはなりません。 引き続き、国及び東京電力に対し、トラブルの再発防止はもとより、処理水の放出について想定外の事態を生じさせることがないよう、万全の対策を講じるよう強く求めてまいります。    (企画調整部長五月女有良君登壇) ◎企画調整部長(五月女有良君) お答えいたします。 原発の再稼働等につきましては、国の原子力政策に関わるものであり、福島第1原発事故の現状と教訓を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に、国の責任において検討されるべきものと考えております。 県といたしましては、引き続き県内原発の安全かつ着実な廃炉を国及び東京電力に対し求めてまいります。 次に、大規模な開発を伴う再生可能エネルギーの導入を規制する条例につきましては、国において、再エネ発電設備の適正な導入及び管理に向けて関係法令の改正等がなされ、事業規律の強化が図られており、引き続きその動向を注視してまいります。 次に、地産地消や自家消費を目的とした再生可能エネルギーの導入につきましては、現行の住宅用太陽光発電設備や企業等の比較的大規模な発電設備の導入に対する補助のほか、新年度は中小規模の太陽光発電設備を導入する企業等を対象とした補助制度を設け、支援を行ってまいります。 次に、水素につきましては、利用時に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであることに加え、再エネでつくられた電気を水素に変換して貯蔵することが可能であり、再エネの導入を進める上でも重要であることから、引き続き水素社会の実現に向け、利活用を推進してまいります。 次に、石炭火力発電所につきましては、現時点では電力の需給逼迫や再生可能エネルギーの出力変動に対応する安定電源としての役割を果たしているものと認識しております。 国のエネルギー基本計画では、非効率な石炭火力のフェードアウトやアンモニア混焼等による高効率化の推進などが示されており、事業者において、これらを踏まえた検討が進められるものと考えております。    (生活環境部長鈴木竜次君登壇) ◎生活環境部長(鈴木竜次君) お答えいたします。 市町村が行う生活交通対策のための補助制度につきましては、コミュニティーバスの運行やデマンド交通等の実証運行に対して補助を行っているところであります。 新年度においては、バス路線の廃止、減便に伴う代替交通の運行経費に対する補助の拡充や実証運行の補助対象期間の延長など、支援の充実強化を図ることとしており、引き続き市町村と連携し、地域公共交通の維持確保に取り組んでまいります。 次に、バス路線を維持するための運転手確保の支援につきましては、これまで県バス協会による合同就職説明会の開催支援をはじめ、県の雇用担当部署と連携した求人情報の発信等を行ってきたところであります。 新年度においては、大型2種免許の取得費用や就職支度金に対する補助制度を創設するなど、引き続き市町村や事業者と連携しながら、運転手確保の支援に取り組んでまいります。 次に、ライドシェア導入につきましては、本年4月からタクシー事業者の管理の下、自家用車や一般ドライバーを活用する制度が導入される予定となっております。 今後、パブリックコメントを経て詳細な制度設計や運用方針等が示されることから、引き続き国の動きを注視してまいります。 次に、パートナーシップ、ファミリーシップ制度につきましては、住民に身近なサービスを提供する市町村等の考えを丁寧に伺いながら、検討を進めることとしております。 引き続き、ふくしま男女共同参画プランに基づき、性的指向や性自認にかかわらず全ての方が等しく尊重され、受容される社会の実現に向け、多様な性に関する県民の理解が深まるよう取り組んでまいります。    (保健福祉部長國分 守君登壇) ◎保健福祉部長(國分守君) お答えいたします。 避難指示区域等における医療・介護保険の利用料や保険料等の減免措置につきましては、国が今年度から順次見直しを開始しております。 県といたしましては、国に対し、対象となる住民の不安や疑問に丁寧に対応するとともに、今後見直しが検討される帰還困難区域についても、関係市町村の意向を踏まえて対応するよう求めております。 次に、医師の確保につきましては、県内での勤務を義務づける修学資金の貸与を県立医科大学や他大学の医学部生に対し行っているところであります。 また、県外から医師を招聘するなど、医師の働き方改革も踏まえた医師の確保に取り組んでまいります。 次に、介護保険制度の見直しにつきましては、制度が将来にわたり安定したものとなるよう、利用者負担の在り方を含めた必要な制度の改善について、全国知事会を通して国に求めております。 次に、介護保険の国庫負担につきましては、適切な介護報酬の設定や国と地方の負担の在り方について、必要な制度の改善を全国知事会を通して国に求めているところであります。    (商工労働部長松本雅昭君登壇) ◎商工労働部長(松本雅昭君) お答えいたします。 いわゆるインボイス制度につきましては、国において地域経済や中小企業者への影響等を十分配慮の上、導入されたものと考えております。    (農林水産部長沖野浩之君登壇) ◎農林水産部長(沖野浩之君) お答えいたします。 食料自給率の目標の引上げにつきましては、食料安全保障の観点からも重要であり、農地等の生産基盤の整備をはじめ生産拡大のための機械、施設整備への支援や生産技術向上などの施策の充実強化について、国に要望しているところであります。    (土木部長曳地利光君登壇) ◎土木部長(曳地利光君) お答えいたします。 木造住宅の耐震改修への支援につきましては、社会資本整備総合交付金を活用して耐震改修の費用を補助する市町村の事業を対象に、現在地方負担の2分の1を支援しております。 改修を行う住宅の所有者の費用負担を抑えるため、令和3年度に市町村と共に制度の見直しを行い、改修費用に対する補助率の上限を50%から80%へ引き上げると同時に、補助金総額に占める市町村の負担割合を軽減したところであります。 次に、ふくしま復興再生道路において全体事業費が100億円を超える工区の数につきましては、計画している29工区のうち6工区となる見込みであります。    (避難地域復興局長宍戸陽介君登壇) ◎避難地域復興局長(宍戸陽介君) お答えいたします。 帰還困難区域の家屋の除染につきましては、今般特定帰還居住区域が設定され、一部の地域において除染が進められております。 一方で、帰還意向のない住民の土地や家屋の取扱いなどの課題が残されているため、引き続き国に対し、最後まで責任を持って取り組むよう求めてまいります。    (教育長大沼博文君登壇) ◎教育長(大沼博文君) お答えいたします。 公立学校の体育館へのエアコン設置につきましては、県立学校においては普通教室などへの設置に加え、PTA等が設置したエアコンの更新を優先して進めていくこととしております。 なお、市町村立小中学校については、国庫補助制度等に関する国の通知や説明会などを踏まえ、設置者である市町村において判断されるものと考えております。 次に、公立小中学校の給食費の無償化等を実施する市町村への補助につきましては、昨年6月に閣議決定されたこども未来戦略方針を踏まえ、国が課題の整理に向け学校給食の実態調査等を行っているところであり、県教育委員会といたしましては、国の動向を注視してまいります。 次に、県立高校における1人1台端末につきましては、3年間の保証がついた推奨機を設定し、学校でも家庭でも文房具として学習活動に活用できるよう個人所有とした上で、世帯所得に応じた補助を行うことにより保護者の負担軽減を図っております。 次に、公立小中学校における正規教員につきましては、いわゆる標準法によりその定数が決定されるものであり、児童生徒数や退職予定者数の今後の推移等を見極めながら、正規教員の確保に努めてまいります。 次に、30人学級の公立小中高等学校全学年への拡大につきましては、いわゆる標準法を上回る教職員を県独自に安定的に確保する必要があることから困難であります。 県教育委員会といたしましては、学校現場を取り巻く課題が複雑化、多様化していることを踏まえ、国に対し教職員定数の一層の改善を求めているところであり、今後とも児童生徒が安心して学べる環境づくりに努めてまいります。 次に、スクールカウンセラーにつきましては、全ての公立中学校及び県立高校へ配置し、未配置の小学校には近隣の中学校から派遣する体制を整えており、またスクールソーシャルワーカーについては教育事務所等へ配置し、各学校からの要請に基づき派遣しております。 今後も、児童生徒が抱える様々な問題に対し、きめ細かく対応してまいります。 次に、公立学校における発達段階に応じた性教育につきましては、複雑化する課題に対して、学校においても新たな対応が求められていることから、県独自の性に関する指導の手引を見直しているところであり、今後は手引の活用を図るための研修会を実施するなど、児童生徒の発達段階に応じて命や人権、多様な価値を尊重する心を育めるよう取り組んでまいります。 ◆58番(神山悦子君) 再質問させていただきます。 最初に、知事にお伺いいたします。 先ほど私は岩手県や山形県の賃金引上げの事例も示して、せめてそのくらい具体的に民間企業の賃金引上げを応援したらという質問をさせていただきましたけれども、知事は相も変わらず設備を導入するとの答弁で、本当にそういう意味では、黙っていたのでは、また国の動向を見ていたのでは賃金引上げは間に合わないと思うのです。 東北でもそういう動きが始まっており、私も先ほど言いましたけれども、県外への転出超過が福島県はこれだけ多いというのはやっぱり何なのかって考えると、東京都と比べても、今最低賃金が一律ではないということがある。だったら県独自にここで働く、県内で働く中小企業の賃金引上げをすべきだと思うのです。 これについて言及がありませんでしたが、もう一度、岩手県や山形県のような賃金引上げが私は必要だと思いますので、民間企業への支援策に1つ入れていただきたいと思って質問しましたので、お答えいただきたいと思います。 危機管理部長にお尋ねいたします。原発事故関係です。 2番目に質問いたしましたALPS処理水の海洋放出の中止を求めることについてです。 私も指摘しましたけれども、今回のALPS処理水に関して、既に2回も人為的ミスが発生しているというのは本当に重大だし、また東京電力と国の信頼を失墜させる、本当に説明がつかないことが起きているわけです。 でも、着々とALPS処理水のほうは、計画に応じて今年度最後の4回目をやったわけです。こんなことが許されるのですか。もう一旦中止したらいいではないですか。 それは漁業者も怒っているわけですから、漁業者の皆さんだって苦渋の選択でいろいろやってきた。そして、8月24日、強行したわけです。 お答えも少しありましたけれども、中止とは言わないところに私は県の弱さがあると思いますので、もう一度海洋放出の一旦中止を求めたいと思いますのでお答えください。 教育長にお尋ねいたします。学校給食の無償化についてです。 国の動向を見てと、また同じことがありましたけれども、今年度まで86%の市町村が何らかの補助をしていたのに、もう9割を超えているわけです。残り少ないわけです。 市町村も大変、でも子育て応援はしたい、教育費の負担を軽減したいと頑張っているではないですか。何で県がそこを応援できないのですか。これはほかの議員からもありましたから。 そして、県として導入した和歌山県の知事は、国の動向を待っていられないと、だから県として決断したとも言っています。青森県は、全部の市町村にちゃんと交付金も出してやると言っているではないですか。県の段階でやれないはずはないのですよね。 これは、教育庁の予算だけではないと、考え方はやっぱり県全体で応援すべきという立場に立っていただきたいと思いますが、教育長にその点をもう一度お尋ねいたします。 それから、教員不足の問題です。 この間、もう学校現場は非常事態になっているのです。去年も同じような依頼文を市町村教育委員会に出しているわけです。 本県の30人、33人程度学級は、2002年に全国で初めて導入して、少人数学級が実現しているのです。でも、これが今壊されようとしているのです。これが崩れようとしているのです。 学校現場は、今校長先生も含めて人手が足りないから、教員免許がなくてもいいからとにかく誰かいないかって、ここまで来ているのです。これも教育庁だけでは済まないと思うのですが、知事もよく聞いていただきたい。教員を県独自に増やして、学校現場の教員のこの多忙化を解消すると同時に、教員だけではなくこの被害を受けるのは子供たちです。子供たちの教育の質を守るためには、県が頑張らなければいけないではないですか。 国がやらなければ県が教員を増やす、正規教員を増やす、私はそこを求めたわけです。だから、30人学級だって高校までやって、福島県にどんどん来てほしいと言うのだったら、全国に誇れる、日本一子育てしやすい県を掲げている県としてやるべきだと思いますので、もう一度お答えください。 ◎知事(内堀雅雄君) 神山議員の再質問にお答えいたします。 賃金引上げにつきましては、収益の改善に向けた生産性の向上が重要であります。 このため、長時間労働の是正など、働き方改革を促進する奨励金や省エネのための設備更新に対する補助により事業者を支援してまいります。 ◎危機管理部長(渡辺仁君) 再質問にお答えいたします。 ALPS処理水の海洋放出につきましては、安全の確保が重要であり、国及び東京電力に対し、想定外の事態を生じさせることのないよう、万全の対策を講じるよう、引き続き強く求めてまいります。 また、作業員の身体汚染や放射性物質を含む水の漏えいなどの県民に不安を与えるトラブルが繰り返されることはあってはなりません。 このため、今回のトラブルを組織としての構造的なトラブルと認識し、安全対策について、全社を挙げて不断の見直しを行うことなどを強く求めているところであり、引き続き東京電力の取組を厳しく監視してまいります。 ◎教育長(大沼博文君) 再質問にお答えいたします。 学校給食費につきましては、全国都道府県教育長協議会を通じて、国に対し給食費等の負担の在り方を国全体として抜本的に整理した上で、国の責任において、財源を含め具体的な施策を示すよう要望しているところであります。 現在、国において給食費に係る実態調査が行われており、県教育委員会といたしましては、今後の動向を注視してまいります。 次に、公立学校における正規教員につきましては、いわゆる標準法によりその定数が決定されるものであります。 県教育委員会といたしましては、学校現場を取り巻く課題が複雑化していることを踏まえ、国に対し教職員定数の一層の改善を求めているところでありまして、今後とも児童生徒数や退職予定者数の推移を見極めながら、正規教員を確保できるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆58番(神山悦子君) 再々質問します。 生活環境部長に再質問いたします。 先ほど県としてパートナーシップ、ファミリーシップ制度の条例制定を求め、住民に身近な市町村から始めるという御答弁の趣旨でしたけれども、少しは県の男女共同参画審議会の意向を踏まえているのですか。私は、これは重い提言だと思います。 そして、こういう問題は、広域自治体である県がつくって、市町村全体に流すというのが筋ではないですか。いつまで市町村のほうを待っているのですか。私は、ここのジェンダー平等の姿勢としても問題だと思います。 もう一度、県としてパートナーシップ、ファミリーシップ制度の条例制定を求めたいと思いますが、お答えください。 それから、危機管理部長、もう一言だけお願いいたします。 ALPS処理水の海洋放出中止の問題は、今日は差止め裁判も行われています。県民みんなが注目しているし、そして国民全体がこれを見ているわけですよね。それなのに、こういう前処理の段階でこんな事故もある。国、東京電力は、もう信頼失墜している。一旦中止したらどうですかって私の提案なのです。それを受けて、国に言ったらどうでしょうか。だから、もう一度お答えください。 それから、保健福祉部長にお尋ねします。 先ほど介護保険関係の大改悪について私はただしましたけれども、2番目の介護保険の大改悪の中で、訪問系サービス、ホームヘルパーさんの関係、ここだけが報酬引下げなのです。 国は、ここで赤字ではなくて黒字だと言うのですけれども、しかし実は辞めていて、実際には反映されない状態になっているので、見かけは黒字に見えるけれども、このホームヘルパーの報酬が引き下げられたら小さい介護事業所がなくなる。在宅介護はどうなるのですか。 それから、介護保険の様々な負担増の改悪を申し上げましたけれども、何の危機感も示さないというのは、私は担当部としても問題だと思います。国にきちんとそれらの問題を、県民を代表して言っていただきたいのですけれども、最初の医療・介護保険の利用料、保険料の減免制度の継続と、それから介護保険の訪問系のホームヘルパーの報酬引上げをするように求めておきたいと思いますので、もう一度お答えください。 教育長にお尋ねします。 学校給食の関係で、国の動向を見るって、何を調べているのですか。さっぱり分かりません。でも、これを調べて待っていていいのですか。県内これだけ頑張っている中で待っていても、私は解決しないと思うのです。 標準法はありますけれども、何で少子化なのに、こんなに先生たちが、学校が大変になっているのですか。子供の数に合わせて先生を決めるからではないですか。福島県は、さらに30人、33人程度でやっているということも加わっているわけですよね。だから、県独自に正規教員を増やす。こうしないと、もうもたないということです。 実は、教員の今度の多忙化解消プランを読みましたけれども、今度採点を何か機械にやらせると。こんな対応策だけでは全然進みませんね。 採点システムの導入って言いますけれども、こんなことより人を配置する、それがどんなに大事か。子供にとっても、先生がいることがどんなに安心か。校長先生だって泣いています。人をちゃんと配置する、教員を配置する。そこが求められていることを申し上げます。 教育事務所に行ったけれども、これが解消されなかったとも言っていますから、併せて正教員を増やすというところと30人、33人程度を高校まで広げて頑張っていただきたいと思いますので、その点についてもぜひ再答弁をお願いいたします。 ◎危機管理部長(渡辺仁君) 再質問にお答えいたします。 ALPS処理水の海洋放出につきましては、安全の確保が重要であり、国及び東京電力に対し想定外の事態を生じさせることのないよう、万全の対策を講じるよう引き続き強く求めてまいるとともに、県としても国及び東京電力の取組を厳しく監視してまいります。    (生活環境部長鈴木竜次君登壇) ◎生活環境部長(鈴木竜次君) 再質問にお答えいたします。 パートナーシップ制度につきましては、住民に身近なサービスを提供する市町村の考えを丁寧に伺いながら検討を進めることとしております。 ◎保健福祉部長(國分守君) 再質問にお答えいたします。 避難指示区域等における介護保険の利用料等の減免につきましては、国において、東日本大震災からの復興の基本方針に基づき、被保険者間の公平性等の観点から避難指示解除の状況も踏まえて検討を行い、市町村の意見も踏まえ、見直しをされたものと受け止めております。 県といたしましては、引き続き国に対し、関係市町村の意向を踏まえて対応するよう求めてまいります。 次に、訪問介護についてでございます。 こちらにつきましては、影響を懸念する声があることから、安定して介護サービスを提供できるよう、引き続き国に対し制度の改善を求めているところであります。 ◎教育長(大沼博文君) 再質問にお答えいたします。 学校給食費につきましては、昨年6月に閣議決定されたこども未来戦略方針において、学校給食費の無償化の実現に向けて、まず学校給食費の無償化を実施する自治体における取組実態や成果、課題の調査、全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、1年以内にその結果を公表するとしていることから、国の動向を注視してまいりたいと考えております。 次に、公立学校における正規教員につきましては、いわゆる標準法によりその定数が決定されるものであります。 議員おただしの加配等の教員の不足については、私どもも精いっぱい努力して、その解消に努めてまいりたいと考えておりまして、正規教員の部分については児童生徒数や退職予定者数の推移等を見極めながら、確保できるように努めてまいりたいと考えております。 ○議長(西山尚利君) これをもって、神山悦子君の質問を終わります。 通告により発言を許します。13番山口洋太君。(拍手)    (13番山口洋太君登壇) ◆13番(山口洋太君) よろしくお願いします。山口洋太です。私は現在、いわき市で医師としても働いております。京都出身ですが、東日本大震災を契機に、福島で働こうと思っていました。京都府立医科大学を卒業後、6年たって、ここ福島県いわき市にやってまいりました。 いわき市で働く中で、あまりにもいわきの医療体制が、私が今まで働いてきたどの地域と比べてもひどく、昨年政治での解決を目指すことにしました。 政治活動の中で、いわき市内において2万件弱のお宅で御意見を伺いましたが、いただいた御意見の半分はいわき市の医療に対しての不満でした。 その現状を、現場を知る医師の立場で県政に訴えるべく、昨年行われた福島県議会選挙に立候補し、トップと1票差で当選しました。地盤、看板、かばんも持たない他県出身の私がほぼトップ当選したことは、多くのいわき市民の方々がいわきの医療に対して不安を募らせているからです。 今回の質問では、いわき市民の代表として、また1人の医師として、いわきの医療問題に対して焦点を当て、知事、執行部に質問させていただきます。 まず初めに、県民の命は平等か、県のお考えをお尋ねします。 人間にとって最も貴いものは命です。私は医師として、人間の命は平等でなければならない、その当たり前の心構えを持って臨床の場にいますが、国や地域によって思いどおりにはなりません。 これまで北海道の僻地やカンボジアなどで医師として勤務してまいりました。 北海道の僻地では、急を要する重症な患者さんが何時間もかけて救急車で病院に運ばれます。その時間のため、手後れになる患者さんがおられます。 カンボジアでは、使える薬や機材に限りがあったり、治療費が払えないために救えなかった命が多くありました。 これらの方々は、医療が整った日本の都市部では救えた命だと思います。 救うべき命は平等ですが、住む地域や国によって、救える命は時に不平等な結果になります。 その不平等な原因は、医療格差にほかなりません。 命は平等といえども、こういった医療格差があるならば、それは実現できません。 そこで、福島県内に医療格差があるか見てまいります。 私は、いわき市で医師として働く中で、いわき市が同じ中核市である福島市や郡山市と比べて、あまりにも医療において格差があると思っています。 その格差を生み出しているのは、医師不足です。 例えばですが、私が勤務していた2次救急指定病院では、搬送された患者さんが診察の結果、心筋梗塞や脳梗塞、もしくは手術が必要な状態と診断されれば、いわき市で唯一治療ができる2つの急性期病院にそれぞれ転送依頼をお願いしますが、対応できる医師や初療室がないということで受入れ拒否されることがよくあります。私が今まで働いてきた地域では、めったにないことです。 その後、患者さんは1時間半以上かけて、郡山市の南東北病院や茨城県の日立総合病院に転院搬送されていきます。命の危機にある重症な患者さんが、いわき市外の病院に数時間かけて転院搬送されていくのです。 いわき市は、人口32万人を超える中核市です。福島市や郡山市など、福島県のほかの中核市では、緊急で治療が必要な重症な患者さんが2時間かけて県外の病院に搬送されるなんて聞いたことありません。 いわき市の救急指定病院は、こういった自分の病院で治療ができない患者さんを他院に転送依頼しても断られるという症例を重ねますと、救急車を受け入れることが難しくなります。 その結果、病院搬送先が決まらないといった、いわゆる救急車のたらい回しが起こります。 救急車を呼んでも、1時間、2時間たっても病院に搬送されない、こんな状態で安心して暮らせるわけありません。 「いわきで病気になったら死ぬだけだ」、そうおっしゃるいわき市民の方に数多く出会いました。 断る病院も本当は断りたくないのです。ただただ対応できる医師がいないということで、断らざるを得ない状況となっています。 つまり、いわきの医療問題の原因は、深刻な医師不足だと断言できます。 今まで多くの市民の方がいわきの医療を信用できず、いわき市外の南東北病院や日立や水戸、さらには東京の病院に自ら通院されておられます。 次に、公表されているデータとして、福島県の中核市である福島市、郡山市、そしていわき市の医療体制を比べます。 令和2年度、医師の10万人当たりの人口、全国平均256人のところ、福島市356人、郡山市254人、いわき市、たった172人です。 県民の人口は、いわき市は福島市よりも大分多いのですが、医師人口に関しては福島市の半分以下です。 いわき市は、全国の中核市の中でも全国最低レベル。医師人口だけではございません。4大疾病の心筋梗塞、脳梗塞などの急性期を治療する病院も少ない状況です。 ふくしま医療情報ネットによると、急性期の心筋梗塞を治療できる病院は福島市7つ、郡山市4つ、いわき市2つです。同様に急性期の脳梗塞を治療できる病院は、福島市5つ、いわき市2つです。 いわき市は、福島県のどの市よりも人口が多い上に面積も広く、震災後故郷を奪われた避難者の方々も、これまで2万人弱受け入れてまいりました。 しかし、医師の数や急性期治療ができる病院の数は、ほかの市と比べて少ない状況です。中核市の間でこれほどまでに差があるのは、明らかに問題です。 市民の方が安心できる医療体制がない中で、いわきの医療に対して不満を述べることはもっともなことです。 いわき市では、重症患者を治療する急性期病院の数がほかの市と比べて少ない上に、深刻な医師不足を抱えているため、救急車のたらい回しの割合は、残念ながら県内トップです。 令和4年度の消防庁のデータでは、救急車の要請から病院搬送まで全国平均40分のところ、いわき市では平均55分かかっています。 また、こちらは恐ろしいデータですが、令和3年度、重症患者さんの搬送においてたらい回しがされている割合、いわき16.8%、ほかの2次医療圏では県北5.6%、会津0%、相双5.6%、県中6.6%、県南4.7%、いわき16.8%です。 また、重症患者さんが救急車を呼んでも病院が決まらず、自宅前で30分以上救急車が動かずに滞在している割合では、いわきは何と22.5%、ほかの地域では県北7.7%、会津1.7%、相双4.1%、いわき22.5%です。 今述べたのは令和3年ですが、このいわきだけが圧倒的に重症者の治療に遅れを生じている状況は、平成27年のデータから一向に改善されておりません。それどころか悪化傾向でもあります。 このデータを見るだけでも、いわき市民の命がほかの県内の2次医療圏よりも危険にさらされていると分かります。 「いわきで病気になったら死ぬだけだ」、そうおっしゃる方の気持ち、分かってあげてください。 福島県には、福島県安全で安心な県づくりの推進に関する条例があります。 その条例の第2条の1、安全について、県民の命に被害を及ぼすおそれがないと社会的に認められる状態にあること、第2条の2、安心について、将来にわたって県民の命に被害を及ぼすおそれがないと県民が信じる状態にあることと定義し、その安心・安全を県は目指しておりますが、いわき市には、その安心・安全はございません。 いわき市民は、この重症者のたらい回しの問題に対し命のおそれを抱き、時に大切な命に被害を受けています。 命は平等であるという当たり前の考えの下、この重症者のたらい回しの問題は早急に解決されなければなりません。 1分1秒を争う重症患者が、いわき市では病院が決まらずたらい回しにされ、自宅前で30分以上待たされる。この安心とは無縁な状況がいわき市では日常です。 医師が判断していますこの重症とは、命の危険の可能性があるもので、意識レベルも悪く、患者さんに苦痛も伴っております。 そういった方が、救急車が来ても、自宅前でいつになっても出発できないのです。 患者さんの気持ちはもとより、その状況をただただ見守るしかできない御家族の気持ち、想像してみてください。 また、患者さんをいち早く病院に搬送したくてもできない救急隊の方々の気持ち、想像してみてください。 いわき市では、ほかの市よりも重症者が病院に着くまで時間がかかっているため、患者さんはそのせいで重い後遺症や命を落とすこともあります。 いわき市に特別として見られるこの状況は、福島県内にある医療格差であり、命の格差につながっている。そして、その一番の原因となっているのは医師不足です。 県政に伺います。 福島県の中核市における医療格差、具体的には急性心筋梗塞や脳梗塞の救急医療体制の地域差について、県はどのように認識しているかお尋ねします。 こういった医師不足を原因とした地域医療の問題を、県は国がつくり出した医師偏在指標を用いて、2018年に第7次医療計画並びに医師確保計画を実施し、地域医療の問題に対応しております。 では、これからここ6年間かけて行ってきた第7次医療計画において、いわきの医療はよくなったのか見てまいります。 現在の最新の医師偏在指標と全国順位は厚生労働省のホームページに載っておりますが、それによりますと、医師偏在指標、全国平均255、県北では医師偏在指標266、いわき159、いわきは全国で330位中270位ですが、何と6年前も271位で改善が見られません。 県南医療圏は、前回290位から261位、会津医療圏は255位から243位と改善しておりますが、いわきは改善していません。最下位は280位の相双医療圏です。 では、相双医療圏が一番医師が必要なのかというと、そうではございません。 実は医師偏在指標は、医師数に住民票を基にした人口を割ることで算出されます。 震災後、住民票を相双医療圏に残して別の地域に暮らされている方、いまだ数多くおられます。 いわき市によると、今でも1万5,000人以上の方が相双医療圏からいわきに住民票を移さずに住んでおられます。 その点を考慮すると、実際の医師偏在指標は国が出したこの値より、相双医療圏では母数が大幅に減るため、医師偏在指標は大きく改善する一方、いわき市は母数が増加し、目も当てられないぐらい医師偏在指標は低下することが予想されます。厚生労働省にも、その点は電話で確認しました。 つまり、いわき市こそが医師不足並びに医師偏在指標において、福島県内のほかのどの2次医療圏と比べても一番ひどい値であり、実際の現場で働く医師としても、その現実を毎日実感しております。 その医師偏在を是正するために、名門福島県立医科大学からの医師派遣がございます。 県立医科大学からの医師派遣数を見てまいります。 福島県地域医療支援センター調べの令和5年度の県立医大からの医師の派遣数、いわき常勤48名、非常勤74名、合計122名の方が派遣されておりますが、一方会津医療圏、常勤60名、非常勤262名、合計322名、県南合計171名、相双合計183名、いわき122名です。 人口の一番多いいわき市ですが、県立医大からの医師派遣がほかの医療圏と比べてあまりにも少ないです。 昨年12月定例会で可決された県立医科大学の第4期中期目標における成果指標のうち、県内医療機関からの医師派遣依頼への対応率を84%以上とした理由についてお尋ねします。 また、県立医科大学におけるいわき医療圏に限定して、医療機関からの医師派遣依頼への対応率について、これまでの実績をお尋ねします。 ちなみに、私、山口洋太が独自調査としていわき市の各病院に伺い、実際の医師派遣依頼と対応率を大まかに計算したところ、よくて常勤、非常勤合わせた全ての対応率に関しては52.8%でした。 ほかの医療圏と比べて、人口比で考えても、あまりにも医師派遣が少ないです。 医師派遣依頼は病院からのSOSです。その対応率に地方差があってはなりません。 いわき市のとある病院の院長は、「いわき市は福島県に見捨てられているのだ」とおっしゃっていましたが、この県立医大からのいわき市への医師派遣数を見て納得してしまいました。 県立医大も大変な状況の中、一生懸命地域医療の貢献のために励んでいることは重々承知の上ですが、より一層、県立医科大学に対し、医師が不足しているいわき市内医療機関への医師派遣を求めるべきだと思うが、県の考えを尋ねます。 県立医大からの医師派遣が少ないいわき市では、県外から来ている医師によって何とか医療体制を保とうとしています。 第7次医療計画には、県外から福島県に働きに来ている医師の数が、いわき市ではほかの2次医療圏と比べて倍以上に多いことが分かります。 県外から来ている医師の数は、常勤換算で県北13人、会津21人、相双21人、いわき市80人です。 いわきの医療は、県立医大からの医師派遣が少ないために、県外の先生に頼らざるを得ない状況なのです。 ただ、その県外からの医師の数も十分ではありません。 福島県に住む県民の皆様がどこに住んでいても安心して暮らせるよう、福島県にある医療格差、病院、医師の偏在は県が責任を持って是正していかなければならない。県政並びに知事の正しい御判断で救われる命があります。 県として、来年度の予算で150億円の運営費交付金を県立医大に交付予定している以上、地域格差のないようできる限り公平性を持って、県立医大から医師を各2次医療圏に派遣するよう要望いたします。 いわきの医療問題、まとめます。 医師不足を抱えるいわき市は、人口32万人を超える中核市ですが、震災後はさらに2万人弱の避難者の方々も受け入れ、医師不足の影響は加速した上に、4大疾病の心筋梗塞、脳梗塞の急性期や重症患者を十分に治療できる病院はたった2つしかありません。 県立医大からの医師派遣は少なく、県外から派遣された医師によって何とか医療体制を保とうとしていますが、それでも医師の数は人口10万人当たり172人と全国最低レベル。そのため、重症患者の救急車のたらい回しが県内ワースト。命の危険にある重症患者がたらい回しにされ、病院に搬送されても、挙げ句には県外の病院に2時間かけて転院搬送される。その結果、いわき市民の多くは病気になったら死ぬだけだとおっしゃり、多くの方がいわきの医療を信用できておりません。根本的な原因は医師不足です。 まずは、いわき市民の方々が安心して命を預けられる医療体制を築くためにも、県立医大からのいわき市への医師派遣の増員が必要だと思います。 最後に、私が2万件歩いて出会った市民の中で、心からいわきの医療の改善を望む1人の青年を御紹介させていただきます。 名門磐城高校を御卒業された19歳男性、箱崎明日真君です。 今回の一般質問も彼と二人三脚でつくりました。 彼は高校時代、いわきの医療問題を知り、自分自身が医師となりいわきの地域医療を支えるのだ、その志を持って県立医大を目指していました。 しかし、そのさなか横紋筋肉腫を患い、いわきから東京の病院に通院し、化学療法と放射線治療を行ってきました。 自分が患者の立場になり、いわきの住みにくさを実感されたそうです。 治療を行うも、がんは全身転移しており、主治医には昨年11月に、今年の桜は見れないと余命宣告を受けました。 それでも、気持ちは前向きに治療を受けてきました。 自分が医者になって、いわきの医療を支えたい。しかし、できないかもしれない。そんな状況下でも、自分がいわきの医療のためにできることはないか。そう思い、勇気を出して私に連絡してきてくれました。 この一般質問は、彼と二人三脚でつくりました。 いわきの医療をよくしたい。そう強く思う彼の言葉が、私よりもいわきの医療を変える力があるのではないかと思い、この場をお借りして、最後に彼の思いを代弁します。 初めまして、こんにちは。箱崎明日真と申します。僕は治療のため、東京のがんセンターに通院しています。いわきにいるとき何かあったら、いわき医療センターに行きます。患者の立場に立って、いわき市の医療の現状を実感しました。 いわきの医療体制は、山口先生が言ったとおり、医師不足並びに重症患者のたらい回しが起こりひどい状況で、不満を抱く市民の方がたくさんおられます。 しかし、僕がその上で伝えたいことは、今現在いわき市で働いている医師や医療従事者の方々は、熱心に全力で僕たち患者さんのために自らの時間を犠牲にしてまで働いているということです。それを一患者として毎日感じています。 いわき医療センターの先生や最初に診察してくれた常磐病院の先生にいつも感謝しています。 中には、僕が何かあったら夜中でもいつでも連絡してよいと、個人の連絡先を教えてくださる方もいました。 現在、いわきの医療に対して不信感を持っている市民の方が多い中、今のいわきの医療への不満の一部が、いわきで一生懸命働いている思いやりあふれる先生たちに向けられることが非常に残念で我慢できません。 だからといって、今のいわきで働いている医療従事者だけが頑張っても限界があります。 仕事量を考えてみても、ただでさえ忙しい医師業務が、医師不足のためほかの地域よりもっと忙しくなっています。 どれだけよい先生でも、忙しく余裕がなくなると、人に優しくすることができないこともあります。それが患者さんに伝わり、嫌な思いをされた方がいるかもしれません。 いわきの医療体制は、医師不足による重症患者のたらい回しが起こり、ひどい状況ですけれども、それは現場で働く医療従事者のせいでは決してありません。 そこで精いっぱい患者さんのために働く医療従事者の方々は、毎日全力で闘っており、その上で救急車を受け入れられないのです。 そういった厳しい状況の中、必死で命を守るために日々闘っている医療従事者の方々は、最高に尊敬できる方々です。 いわき市民の方々のいわきの医療に対する信頼を回復するためにも、そして現場で働く彼らの名誉を守るためにも、いわきの医療問題の根底にある医師不足を解決して、誰もが安心して暮らせるいわきになることを望んでいます。 闘病中の僕が医者となって貢献することは難しいので、僕は知事にお願いすることしかできません。 医師不足並びに重症患者のたらい回しを抱えるいわき市におけるいわき医療圏の課題にどのように内堀知事は取り組んでいくかお尋ねさせていただきます。 ─────明日真君は、一緒にいわきの医療を変えようと二人三脚でつくり上げたこの一般質問の時間をすごく楽しみにしてくれていました。 御家族が見守る中、2週間前、2月20日、息を引き取りました。 彼は、自分ががんによる痛みや精神的な苦痛でつらい状況でも、いわきの医療従事者の方々を思いやる、いわきで一番優しい方でした。心から御冥福をお祈り申し上げます。 そして、これからも彼と約束したいわきの医療の改善はもちろんのこと、県民に寄り添った真っすぐな政治をしていくことを誓い、私、山口洋太の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(西山尚利君) この際、時間を延長いたします。 執行部の答弁を求めます。    (知事内堀雅雄君登壇) ◎知事(内堀雅雄君) 山口議員の御質問にお答えいたします。 いわき医療圏の課題への取組についてであります。 いわき医療圏においては医師不足、救急医療体制、在宅医療、がん検診受診率など様々な課題があると認識しております。 このため、いわき市の医療機関や消防本部、保健所、医師会等の関係機関を構成員とするいわき地域医療構想調整会議で協議を重ね、課題解決に向けた取組を進めていくこととしております。 県民の皆さん誰もが地域の中で安心して暮らし続けることができるよう、安全で質の高い医療を提供する体制を確保していくことが重要であり、今後とも地域の関係機関等と連携しながら、いわき医療圏における医師の確保や医療提供体制の充実に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係部長から答弁をさせます。    (総務部長小柴宏幸君登壇) ◎総務部長(小柴宏幸君) お答えいたします。 県立医科大学の第4期中期目標における成果指標のうち、県内医療機関からの医師派遣依頼への対応率につきましては、県立医科大学の地域医療への貢献度を表す指標の1つとして今般新たに設定したものであり、第3期中期目標期間の対応率等を踏まえ、84%以上としたところであります。 次に、県立医科大学におけるいわき医療圏の医療機関からの医師派遣依頼への対応率につきましては、令和2年度が53%、令和3年度が65%、令和4年度が67%となっております。    (保健福祉部長國分 守君登壇) ◎保健福祉部長(國分守君) お答えいたします。 県民の命につきましては、基本的人権の尊重を掲げる日本国憲法の下、何よりも重いものと考えております。 県では、保健医療福祉復興ビジョンの基本理念「全ての県民が心身ともに健康で、幸福を実感できる県づくり」に基づき、各施策に取り組んでおります。 次に、急性心筋梗塞や脳梗塞の救急医療体制につきましては、いわき医療圏においては、県北や県中と比較して専門的な治療に対応できる医療機関が少なく、また3次救急を担う特定の医療機関に集中する傾向があると認識しております。 このため、いわき地域医療構想調整会議等を通じて、医療機関相互の役割分担と連携の強化を進めているところであります。 次に、県立医科大学からの医師派遣につきましては、県立医科大学が東日本大震災後の浜通りの医師確保を目的に設置した災害医療支援講座からの派遣や、公的病院や政策医療を担う病院への支援教員の派遣のほか、修学資金を貸与した医師の派遣などを行っております。 今後も、県立医科大学と共に、いわき市内医療機関への医師派遣に取り組んでまいります。 ◆13番(山口洋太君) 御答弁ありがとうございます。 再質問させていただきます。 まず、小柴総務部長に質問します。 このいわき医療圏での医師派遣の対応率、53%から大体67%ということでしたけれども、この対応率というのは非常勤、常勤合わせた、病院からの全ての医師派遣依頼数に対しての対応率でしょうか。それとも非常勤だけの対応率でしょうか。 また、1点御確認なのですけれども、中期目標に掲げられている成果指標のこの対応率は、病院からの常勤、非常勤の依頼数全て合わせた依頼に対し、84%以上の対応率を目指すという認識でよろしいでしょうか。 國分保健福祉部長に再質問します。 先ほどの答弁の中で、医療連携を強化するということですけれども、具体的にどのような連携体制を取ればよくなるのか、安心して県民が暮らせるか、具体的な解決策まで教えていただけると助かります。 ちなみに、私が考えるいわきの医療問題を解決する方法をお伝えします。 今すぐにでも、この重症者のたらい回し問題を解決しなければならないので、今ある病院で対応しないといけない。 そのためには、やはりいわき市の救急指定病院に医師を増員しないといけないのですけれども、その上で救急体制を抜本的に見直す必要があります。 その解決のヒントは、湘南、鎌倉にあります。 私は以前、神奈川県にある3次救急指定病院の湘南鎌倉総合病院に勤務しておりましたが、そこは救急車の受入れ台数が日本一です。 「命だけは平等だ」、その理念の下、救急車を決して断りません。当時1日40台程度、救急車を受け入れておりました。 いわき市で1日で要請される救急搬送数は40台前後ですので、いわき市で要請される救急搬送数全てを診ている数になります。 同僚に伺うと、今は1日救急車を80台受け入れているそうです。 湘南鎌倉総合病院の病床数は、いわき医療センターより少ないです。いわき市で1日に要請される救急搬送数の2倍を受け入れています。 そこは、救急医をはじめとした医師の数は充実しており、現在救急専門医11名、後期研修医19名の合計30名が救急の場にいます。 いわきでは、32万人を超える人口ですが、心筋梗塞や脳梗塞の急性期や重症者を十分に治療できる病院は少ないと伺って、そこに集中していると言いました。 しかし、その2つの病院での医師の数を十分にすれば、この重症者のたらい回し問題は解決可能であることを湘南鎌倉総合病院は証明しております。 いわき医療センターのホームページには、救急専門医5名が記載されていますが、湘南鎌倉総合病院を例にとると、どんなときも救急車を断らない医療の実現には、最低でも救急でもプラス10人の医師の増員が必要でしょう。 もちろん医師を確保しただけでは問題は解決しません。 湘南鎌倉総合病院は、救急体制にしても先進的な取組をされており、大いに参考にすべきです。 例えば病院が救急車を持ち、救命救急士を10名以上雇用することで、転院搬送やピックアップ搬送なども行っています。 そして、これがすごいのですが、満床であっても断らず、一度救急車を受け入れ初期対応し、診断がついた後、入院が必要な患者さんを他院に下り搬送しています。 満床でなくても、この高次医療機関で救急搬送された患者がほかの医療機関でも対応可能と判断して下り搬送することで、本当に重症な方が高次医療機関に入院し、入院が必要だけれどもほかの病院で診れる症例は他院に速やかに下り搬送することで、高次医療機関は重症者を断らずに治療できます。いわきが抱える重症者のたらい回し問題に、非常に有効な救急体制だと思います。 厚生労働省もこの取組を評価し、2024年度の診療報酬改定で、今言った3次救急医療機関などに転院、救急搬送された患者がほかの医療機関でも対応可能と判断して下り搬送する場合の評価として、救急患者連携搬送料を申請されました。 厚生労働省も評価しているそこでの救急医療体制を見習うのはいかがかなと思っています。 繰り返しになりますが、保健福祉部長として、先ほどの答弁からより具体的にいわきの医療問題、どのような医療連携になれば安心して暮らせるか、解決策を教えてください。 ◎総務部長(小柴宏幸君) 再質問にお答えいたします。 県立医科大学におけるいわき医療圏の医療機関からの医師派遣依頼への対応率につきましては、常勤及び非常勤に対するものであります。 また、いわき市内の医療機関からそれらに関して依頼があったものであります。 ◎保健福祉部長(國分守君) 再質問にお答えいたします。 医療機関の連携強化についてでございますが、いわき医療圏の専門治療につきましては、地域医療構想調整会議を通じて医療機関相互の連携強化を図るとともに、救急医療機関に関する設備整備の支援等により機能強化を図っているところであります。 それから、いわき医療センターなど、特に重篤な救急患者に対応する救命救急センターを浜通り、中通り、会津地方で4か所設置しております。 ドクターヘリ等の広域搬送体制の整備により、県内全域における急性心筋梗塞や脳梗塞の救急医療体制の確保に取り組んでまいります。 ◆13番(山口洋太君) ありがとうございます。 この対応率というのは、常勤、非常勤合わせた全ての病院からの医師派遣依頼への対応率ということを伺いました。ありがとうございます。 それに関しては、先日私が私学・法人課に伺った内容と一致しております。 しかし、私が調べたところによりますと、福島県立医大、外部評価委員、地域医療課は、総務部長が今おっしゃったとおりの対応率ではなくて、各病院からの非常勤医師の派遣依頼数に対して対応率84%以上を目標としているようです。非常勤医師に限定しているということです。 県立医大が公表している対応率の実績データでは、ここ5年間の病院からの非常勤医師の派遣依頼に対しての対応率を公表し、そこには常勤医師は書かれておりません。そのため、対応率は見事84%を超えております。 また、中期目標を達成するための年度計画においても非常勤医師の派遣を行うことは書かれていますが、常勤医師に関しては触れていません。そのことについて、外部評価も問題としておりません。 地域医療課に電話で対応率に関して伺うと、この目標とする対応率は非常勤だけですと御回答いただきました。 これは、私学・法人課が掲げた中期目標の成果指標に対して、県立医大や外部評価委員並びに地域医療課は同じ成果指標を共有できていないことになります。それでは、せっかく計画を立ててもうまくいかないことが予想されます。 非常勤と常勤では、地域医療に対する貢献度は全く違います。 常勤は、基本的に週32時間以上勤務しますので、その地域に移り住み、溶け込み、地域住民と同じ目線で暮らし、そのニーズに沿った医療を行うので、各病院から一番来ていただきたい人材です。 一方、非常勤医師は、専門医が少ない地方にてその専門家の外来を受けるために、週1回、午前の外来をしてもらうなどです。 確かに非常勤医師は重要なのですが、非常勤医師の派遣依頼数の対応率を掲げ達成できたところで、地域医療の根本的な課題は解決されません。 何が問題かと言いますと、私学・法人課の掲げる中期目標の成果指標、これは病院からの常勤、非常勤全て合わせた医師派遣の依頼数への対応率を84%以上というものですが、その一部でしかない非常勤医師の派遣依頼数の対応率を目標と掲げてしまっているということです。 そもそも中期目標の成果指標を、病院からの非常勤医師に限定して派遣依頼数の対応率を84%以上と目標を矮小化してしまっては、地域医療の問題を解決することは不可能です。 他県の病院の中期目標を見ても、病院からの非常勤医師の派遣依頼への対応率を目標としているところは1つもありません。当たり前です。その目標では、地域医療はよくならないからです。 県全体で足並みをそろえ、地域医療の課題解決に向かうには、同じゴールを目指していただきたい。この中期目標を作成する私学・法人課と実行する県立医大、地域医療課で、県の掲げた中期目標の成果指標に関する認識の違いはあってはなりません。 小柴総務部長に御質問です。 地域医療改善のためには、総務部が掲げる病院からの常勤、非常勤全て合わせた医師の派遣依頼数に対して84%以上の対応率を目指すべきだと考えます。 病院からの非常勤医師のみの派遣依頼数への対応率84%以上を目標としている地域医療課や県立医大に対し、常勤医師も含めた全ての医師派遣依頼数の対応率84%以上を目指すよう指導するべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。 ○議長(西山尚利君) 山口議員に申し上げます。 当該再質問の範囲は、主質問の範囲を超えておりますので御確認願います。 これをもって、山口洋太君の質問を終わります。 ◆32番(鈴木智君) 議長、議事進行、32番。 ○議長(西山尚利君) 32番。 ◆32番(鈴木智君) ただいまの13番議員の質問につきまして精査をいたしたく、明日までに議事録の提出を求めます。 ○議長(西山尚利君) 了解しました。 以上をもって、日程第1及び日程第2の質問、質疑を終結いたします。 △知事提出議案第1号から第108号まで各常任委員会付託 ○議長(西山尚利君) この際、知事提出議案第1号から第108号まで、以上の各案は、別紙付託表記載のとおり、各常任委員会の審査に付することにいたします。    (付託表別冊参照) △議案撤回の件 ○議長(西山尚利君) 次に、総務委員会において継続審査中の議員提出議案1件、別紙配付のとおり、提出議員から撤回の請求がありますから、御報告いたします。                  (参  照) ○議長(西山尚利君) 日程第3、議案撤回の件を議題といたします。 お諮りいたします。ただいま御報告いたしました議案撤回の請求は、これを承認することに御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(西山尚利君) 御異議ないと認めます。よって、本件は承認することに決しました。 △議員提出議案第18号から第31号まで各常任委員会付託 ○議長(西山尚利君) 次に、議員提出議案14件、別紙配付のとおり提出になっておりますから、御報告いたします。                  (参  照) ○議長(西山尚利君) お諮りいたします。ただいま御報告いたしました議員提出議案第18号「地方財政の充実・強化を求める意見書」外13件を本日の日程に追加し、一括議題とすることに御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(西山尚利君) 御異議ないと認めます。よって、議員提出議案第18号外13件は日程に追加し、一括議題とすることに決しました。 直ちに各案を一括議題といたします。 お諮りいたします。各案は、説明を省略することに御異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(西山尚利君) 御異議ないと認めます。よって、各案は説明を省略することに決しました。 これより議員提出議案第18号から第31号までに対する質疑に入ります。御質疑はありませんか。    (「なし」と呼ぶ者あり) ○議長(西山尚利君) 御質疑ないと認め、質疑を終結いたします。 この際、議員提出議案第18号外13件は、別紙付託表記載のとおり、各常任委員会の審査に付することにいたします。                  (参  照) △議長提出報告第9号 ○議長(西山尚利君) 次に、議長より報告第9号を提出いたします。 なお、報告第9号の請願文書表は「消費税5%への減税、インボイス制度の廃止を求める意見書の提出について」外4件の請願についてであります。 この際、報告第9号の各請願は、それぞれ文書表記載の各常任委員会の審査に付することにいたします。                  (参  照) ○議長(西山尚利君) 本日は、以上をもって議事を終わります。 明3月5日は各常任委員会、6日は定刻より会議を開きます。 議事日程は、知事提出議案第41号、第90号から第104号まで及び第106号から第108号までに対する審議並びに休会の件であります。 これをもって、散会いたします。    午後5時散会...