紹介議員 中 田 靖 人
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総務企画常任委員長報告書(審査経過及び結果)
初めに、議案第92号「専決処分の承認について(青森市市税条例の一部を改正する条例の制定について)」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
本案は、令和6年度税制改正大綱を踏まえた地方税法等の一部を改正する法律が、令和6年3月28日に成立し、同月30日に公布されたことから、令和6年4月1日から施行される部分のうち緊急を要するものについて改正するため、地方自治法第179条第1項の規定に基づき、令和6年3月30日に専決処分により青森市市税条例の一部を改正する条例を制定したものである。
本案による改正項目の1点目は、
個人住民税所得割額の定額減税についてである。
個人住民税所得割額の定額減税は、令和6年度分の個人住民税、市・県民税の所得割額から、納税義務者及び配偶者を含めた扶養親族1人につき1万円、内訳として、
個人市民税分6000円、個人県民税分4000円となるが、これを減税するものである。この定額減税は、合計所得金額が1805万円以下、給与収入で2000万円以下の納税者に限り実施するものであり、この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補填されることとなる。
2点目は、固定資産税(土地)の
負担調整措置についてである。
負担調整措置は、市町村間・土地間の評価額のばらつきを均衡化するため、地価公示価格の7割を評価額の目途とし、なだらかに課税標準額を上昇させ、税負担の不均衡を是正していく措置であるが、本措置の適用期限について、令和5年度までとされているものを、現行制度の仕組みのまま、令和6年度から令和8年度までの3年間延長しようとするものである。
以上が説明の概要であるが、審査の過程における主なる質疑応答は次のとおりである。
1 「税務署からの調整額を推定して確認書を送るという作業に入っていると思われるが、市で行っている実務的な作業は、今、どういう段階になっているのか」との質疑に対し、「住民税の定額減税に関して、昨日6月12日に、当初賦課の作業が終わり、普通徴収分について、
納税通知書等の発送が終わったところである。今後は、住民税であれば1万円、所得税であれば3万円をそれぞれ減税し切れない方について、その差額分を調整給付という形で、市の事務として給付をする作業を行っている段階である」との答弁があった。
1 「確認書の発送作業は完了したのか」との質疑に対し、「税額の決定通知書の摘要欄に市民税、県民税の定額減税額を表記して発送している」との答弁があった。
以上が、審査の過程における主なる質疑応答であるが、このほか一部委員から「恩恵を受ける方もいるので、本案に反対はしないものの、給与システムの改修など企業にも負担となっていることなど、様々な問題があることは指摘する」との意見が出された。本案については、全員異議なく、承認すべきものと決したものである。
次に、議案第95号「青森市市税条例の一部を改正する条例の制定について」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
本案は、地方税法等の一部を改正する法律が令和6年3月30日に公布されたこと等に伴い、青森市市税条例において、専決処分した項目以外の必要な項目について改正しようとするものである。
主な改正項目であるが、1点目は、土地に関する固定資産税の
負担調整措置(据置制度における
下落修正措置)の継続についてである。
据置制度における
下落修正措置とは、固定資産税の評価額は、基準年度の価格を3年間据え置くこととしているが、据置年度において地価が下落している場合に、価格の下落修正を行うことができるとする特例の措置である。
当該措置については、平成12年度の税制改正から評価替えの都度、継続しており、今回も次の据置年度である令和7年度及び令和8年度においても継続するものである。
2点目は、固定資産税のわが
まち特例制度に係る改正のうち、
再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置の見直しについてである。
わが
まち特例制度は、地域の実情に対応した政策を展開できるよう、地方税法に定められた範囲内で、地方自治体が条例で特例率を決定できる制度である。
本特例措置は、令和6年3月31日までに設置された
再生可能エネルギー発電設備を対象に、設置された翌年から3年間、課税標準の特例措置を講ずるものである。
今回の法改正においては、特例制度が令和8年3月31日までの2年間延長されたほか、適用施設のうち、1万キロワット以上2万キロワット未満の
バイオマス発電設備について、木竹に由来する一般木質または農作物残渣とそれ以外の設備に区分した上で、課税標準の特例率について、一般木質・農作物残渣は7分の6を参酌して14分の11以上14分の13以下の範囲内、それ以外の設備は法改正前と同じ3分の2を参酌して2分の1以上6分の5以下の範囲内において、それぞれ市町村の条例で定める割合とされたことから、一般木質・農作物残渣の特例率を参酌する割合どおりの7分の6として制定するものである。
なお、それ以外の設備の特例率は、現行どおり3分の2となる。
3点目は、固定資産税のわが
まち特例制度に係る改正のうち、
一体型滞在快適性等向上事業により整備した固定資産に係る課税標準の特例措置の見直しについてである。
一体型滞在快適性等向上事業とは、官民一体で、居心地がよく歩きたくなる
まちなかづくりを目指し、市町村による車道の一部広場化などの公共施設の整備・管理と一体となり、隣接する
土地所有者等が
オープンスペース化などを行い、交流・滞在空間を創出する事業であり、当該事業により整備した土地や家屋等の資産については、令和6年3月31日までは地方税法により、2分の1とする特例措置が受けられることとされていたところである。
このたびの改正は、令和8年3月31日までを対象とするわが
まち特例制度とされ、課税標準の特例率について2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において市町村の条例で定める割合とされたことを受け、特例率を参酌する割合どおりの2分の1とするものである。
4点目は、固定資産税のわが
まち特例制度に係る改正のうち、
特定事業所内保育施設に係る課税標準の特例措置の廃止についてである。
この措置は、雇用する労働者の乳幼児の保育を行うため、子ども・子育て支援法に基づく補助を受けて整備された
特定事業所内保育施設の用に供する固定資産について、課税標準の特例を受けられるものであるが、特例終了に伴い、特例率に係る条文を削除するものである。
5点目は、
国民健康保険税の賦課限度額の見直しについてである。
国民健康保険税は、基礎課税額、
後期高齢者支援金等課税額及び
介護納付金課税額の合算額を、賦課限度額の範囲内において課税することとされている。
このたびの改正は、
後期高齢者支援金等課税額に係る賦課限度額を、これまでの22万円から24万円に引き上げようとするものであり、この結果、基礎課税額65万円及び
介護納付金課税額17万円を合わせた賦課限度額の合計額は、104万円から106万円となるものである。
6点目は、
国民健康保険税の
軽減判定所得の見直しについてである。
国民健康保険税の軽減は、世帯の所得が一定額以下の場合には、国が定める基準に従い、条例で定めるところにより行うこととされている。
このたびの改正は、5割軽減及び2割軽減の判定基準となる所得の算定について、被保険者の数に乗ずる金額を、5割軽減については、これまでの29万円から29万5000円に、2割軽減については、これまでの53万5000円から54万5000円にそれぞれ引き上げ、軽減対象世帯の拡充をしようとするものである。
これらのほか、引用する法律における規定の整備等に伴う改正など、所要の改正を行うものである。
以上が説明の概要であるが、審査の過程における主なる質疑応答は次のとおりである。
1 「
特定事業所内保育施設に係る課税標準の特例措置の廃止により課税される施設数を示せ」との質疑に対し、「特例措置の対象となったのは7施設であり、特例期間が過ぎれば通常課税となる」との答弁があった。
1 「
国民健康保険税の
軽減判定所得の見直しによって影響を受ける対象者はどのくらいになるのか」との質疑に対し、「令和5年度当初賦課時の世帯状況を基にした試算では、2割軽減から5割軽減となる世帯が88世帯、軽減なしから2割軽減となる世帯が126世帯、合計で214世帯である」との答弁があった。
以上が、審査の過程における主なる質疑応答であるが、このほか一部委員から「
国民健康保険税の賦課限度額の見直しについては、毎年のようにどんどん引き上げられており、いつまで引き上げられていくのかということについて、時期を見て判断していかなくてはいけないと思っている」との意見が出された。本案については、全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決したものである。
次に、議案第99号「青森市
子ども医療費助成条例等の一部を改正する条例の制定について」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
本案は、
子ども医療費助成事業の対象年齢を高校生等までに拡大するとともに、所得制限を撤廃するため、青森市
子ども医療費助成条例における所要の改正を行い、また、これに伴う青森市
ひとり親家庭等医療費助成条例、青森市
重度心身障害者医療費助成条例及び青森市
国民健康保険条例に係る所要の改正を行うものである。
次に、改正内容についてであるが、青森市
子ども医療費助成条例の一部改正については、1つに、医療費助成の対象年齢を高校生等までに拡大しようとするものであり、高校生等については、高等学校在学中か否かを問わず、高等学校の就学期にある、現に保護者に監護されている未婚の者としている。
2つに、所得制限を撤廃しようとするもの、3つに、医療費の助成方法を現行制度と同様に、窓口での支払いを要しない現物給付とするものである。
青森市
ひとり親家庭等医療費助成条例の一部改正については、
子ども医療費助成の対象年齢が高校生等までに拡大することに伴い、現在、償還払いとしている高校生等に対する助成方法を、
子ども医療費助成と同様に現物給付とするため、所要の改正を行おうとするものである。
青森市
重度心身障害者医療費助成条例の一部改正については、本条例では、青森県
重度心身障害者医療費助成事業実施要領に基づき、
ひとり親家庭等医療費助成または
子ども医療費助成の対象となる者を助成の対象外としている。
子ども医療費助成の高校生等までの拡大及び所得制限の撤廃により、高校生等までの子どもは全て、
ひとり親家庭等医療費助成または
子ども医療費助成の対象となり、
重度心身障害者医療費助成の対象となる子どもがいなくなることから、本条例における子どもに関する規定を削除しようとするものである。
青森市
国民健康保険条例の一部改正については、現行、ゼロ歳児である被保険者のうち、青森市
子ども医療費助成の対象とならない保護者の所得が制限額を超える者については、本条例において保険給付10割としている。
子ども医療費助成の所得制限撤廃により、本条例の対象となる、本市に住民登録のあるゼロ歳児はいなくなるが、DV被害の特例で、本市に住民登録がなく、本市の
子ども医療費助成等の対象とならないゼロ歳児が被保険者となることも想定されることから、ゼロ歳児10割保険給付の対象者を、「保護者の所得が青森市
子ども医療費助成の制限額を超える者」から「青森市
子ども医療費助成等の対象とならない者」へ改正しようとするものである。
次に、施行期日については、令和6年10月1日を予定している。
以上が説明の概要であるが、審査の過程において一部委員から「それぞれの条例改正に係る対象者数について示せ」との質疑に対し、「青森市
子ども医療費助成条例の一部改正に係る対象者数は、令和6年4月1日の
住民基本台帳を基に試算すると8812人である。青森市
ひとり親家庭等医療費助成条例の一部改正に係る対象者数は、令和6年6月1日現在で1124人である。青森市
重度心身障害者医療費助成条例の一部改正に係る対象者数は、令和6年6月1日現在で43人である。青森市
国民健康保険条例の一部改正に係る対象者数は令和6年6月1日現在で8人である」との答弁があった。本案については、全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決したものである。
次に、議案第100号「青森市
総合計画基本構想の策定について」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
本案は、これまで、青森市
総合計画審議会において約5か月間にわたり審議いただき、本年3月22日になされた答申を踏まえて基本構想(素案)を策定し、市内8か所で地域説明会・学生説明会を開催し、そこで頂いた御意見を参考にして、取りまとめたところである。
まず、基本構想策定の目的については、本市が将来に向けて目指すべき姿を市民と共有し、多様化・複雑化する地域課題の克服に向け、社会情勢の変化に的確に対応しつつ、市民意見を反映しながら、総合的かつ計画的な行政運営を図ることとしている。
次に、基本構想の期間については、令和6年度から令和15年度までの10年間としている。
次に、青森市の特性については、本市の自然や都市機能などのほか、祭りや名所などの地域資源を記載し、本市の特性を改めて認識したうえで、それらをまちづくりに最大限に生かしていくこととしている。
次に、本市の直面する諸課題について、統計資料や
未来ミーティングとして開催したワークショップでの意見のほか、青森市
総合計画審議会で議論された意見の中から、複数の政策に関わるような大きな課題を6つ選択している。
次に、本市の諸課題を踏まえ、10年後の本市の将来都市像を「みんなで未来を育てるまちに」と定めるものである。この将来都市像には、市民一人一人の力と企業や団体の民間の力を掛け合わせることで新たな力を生み、本市の新しい未来を一緒に切り開くという思いが込められている。
次に、まちづくりの基本視点4つについては、これらは、将来都市像の着実な実現に向けて、これまでの審議会と
未来ミーティングでの意見の中で、使用頻度の高かったキーワードについて、計画全体に横串を刺し、基本政策や政策等を展開していくために定めたものである。
「基本視点1) 未来をひらく若者の希望があふれるまち」については、若者が青森市でやりたいことができる、青森市に暮らしたいと思えるまちを目指すこととしている。
「基本視点2) 人々が行き交う魅力あるまち」については、人が出会い、集い、住まい、人々が行き交い、にぎわいのある魅力的な空間が広がるまちを目指すこととしている。
「基本視点3) 市民がふるさとを誇れるまち」については、本市への定住や、一度離れても、また戻ってきたい、関わりを持っていたいと思えるまちを目指すこととしている。
「基本視点4) ICTを活用し、あらゆる人に開かれたスマートオープンシティ」については、より快適で豊かな市民生活の実現が図られる開かれたまちを目指すこととしている。
次に、施策の大綱については、将来都市像の実現に向けて、3つの分野ごとに施策の方向性を定めている。
「施策の大綱1) 仕事をつくる」については、その内容をイメージするものとして、雇用創出、 DX・GXの推進、
ブランド力向上、立体観光、公民連携といったキーワードの下で、豊かで活気ある暮らしをつくるため、産学金官が互いに連携・補完し合いながら取組を進めていくこととしている。
「施策の大綱2) 人をまもり・そだてる」については、その内容をイメージするものとして、子育て支援、誇りと愛情の醸成、文化・スポーツ、健康づくり・医療、
地域包括ケアシステム、女性活躍、安全・安心といったキーワードの下で、健康でやさしい暮らしを創るための取組を進めていくこととしている。
「施策の大綱3) まちをデザインする」については、その内容をイメージするものとして、コンパクト・プラス・ネットワーク、災害防止・雪対策、都市景観・居住環境、公共交通、自然環境・生活環境、脱炭素・循環型社会といったキーワードの下で、安全で快適な暮らしをつくるための取組を進めていくこととしている。
次に、「政策を実現するため」については、将来都市像の実現に向け、各施策を推進するための行政内部の取組の方向性として、1つに、人材確保・育成と職場環境の整備による組織力向上、2つに、行財政改革による行政の進化、3つに、健全な財政運営、4つに、積極的な情報発信・市民の声を市政に反映、5つに、SDGsの理念を踏まえた各種施策の展開という5つの方向性を定めている。
以上が説明の概要であるが、審査の過程において一部委員から「青森市の特性の史跡について三内丸山遺跡、小牧野遺跡などの記載があるが、このほかに何か記載されるのか」との質疑に対し、「基本構想に書くものとしては、今、記載のものを記載させていただくこととしており、基本構想の策定に当たっては、住民説明会などで頂いた御意見を反映させている」との答弁があり、また、一部委員から「青森市の歴史や風土など、基本構想の中で書くべきではないかどうか分からないが、私には物足りないと感じる」との意見が出された。本案については、全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決したものである。
次に、議案第101号「契約の締結について(
青森市立造道小学校校舎改築工事)」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
工事名称は
青森市立造道小学校校舎改築工事であり、工事概要については、令和3年度に実施した当該施設の耐力度調査において、校舎の老朽化に伴い建物の
構造耐力及び機能が低下していると評価されたことから
建て替え工事を行うものであり、工事内容は、
鉄筋コンクリート造3階建、延床面積6319.99平方メートルの建築工事一式である。
工期についてであるが、契約締結の翌日から令和8年11月30日までとしている。
入札結果についてであるが、令和6年4月19日に
総合評価落札方式による
一般競争入札を執行した結果、予定価格内で落札され、藤本・黄金・
桜井特定建設工事共同企業体と27億3350万円で契約を締結しようとするものである。
以上が説明の概要であるが、本案については、全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決したものである。
次に、議案第102号「契約の締結について(
青森市立造道小学校校舎改築電気設備工事)」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
工事名称は、
青森市立造道小学校校舎改築電気設備工事であり、工事内容については、
電気設備工事一式である。
工期についてであるが、契約締結の翌日から令和8年11月30日までとしている。
入札結果についてであるが、令和6年4月19日に
総合評価落札方式による
一般競争入札を執行した結果、予定価格内で落札され、
協和電気株式会社と4億469万円で契約を締結しようとするものである。
以上が説明の概要であるが、本案については、全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決したものである。
次に、議案第103号「契約の締結について(
青森市立造道小学校校舎改築空調設備工事)」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
工事名称は、
青森市立造道小学校校舎改築空調設備工事であり、工事内容については、
空調設備工事一式である。
工期についてであるが、契約締結の翌日から令和8年11月30日までとしている。
入札結果についてであるが、令和6年4月19日に
総合評価落札方式による
一般競争入札を執行した結果、予定価格内で落札され、
株式会社大樹設備工業と2億9826万5000円で契約を締結しようとするものである。
以上が説明の概要であるが、本案については、全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決したものである。
次に、議案第104号「契約の締結について(
青森市立造道小学校校舎改築給排水衛生設備工事)」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
工事名称は、
青森市立造道小学校校舎改築給排水衛生設備工事であり、工事内容については、
給排水衛生設備工事一式である。
工期についてであるが、契約締結の翌日から令和8年11月30日までとしている。
入札結果についてであるが、令和6年4月19日に
総合評価落札方式による
一般競争入札を執行した結果、予定価格内で落札され、
青森設備工業株式会社と2億130万円で契約を締結しようとするものである。
以上が説明の概要であるが、本案については、全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決したものである。
次に、議案第105号「契約の締結について(青森市
清掃工場火災対策整備工事)」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
工事名称は、青森市
清掃工場火災対策整備工事であり、工事概要については、令和2年5月25日に発生した火災により焼損した青森市
清掃工場破砕選別処理施設の再稼働に向け、火災の原因となった
リチウムイオン電池の発火に対応した火災対策を実施するものであり、
破砕選別処理施設の外壁、屋根及び鉄骨の一部を復旧するとともに、焼損した
破砕物コンベヤー及び一次磁選機等の設備に係る改善対策を行うものである。
工期についてであるが、契約締結の翌日から令和7年3月31日までとしており、令和7年度の早い時期の再稼働を予定している。
契約概要についてであるが、随意契約としており、その理由としては、青森市清掃工場は、施設の設計・施工・運営を民間事業者が一括して行う公設民営方式、いわゆるDBO事業方式により整備したものであり、三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社を代表企業とする建設請負事業者が設計・施工している。本工事は、当工場独自の構造及び機能に関する専門的知識に加え、専用設備の製作及び据付けに係る高度な技術を有していることが必要であり、当工場を設計・施工した者以外では対応できないことから、同社と随意契約の方法により契約を締結しようとするものである。
先般、当該工事に係る見積書を同社から徴したところ、予定価格内での価格が提示され、10億8130万円で契約を締結しようとするものである。
以上が説明の概要であるが、審査の過程における主なる質疑応答は次のとおりである。
1 「業者にもっと負担させるべきと考えるが、業者負担割合は契約に基づいて決まっているのか」との質疑に対し、「清掃工場の建設当初、リスク分担に係る取り決めを行っており、火災に係るリスクについては、搬入されるゴミの監視の不備、こういったものを除く搬入禁止物に起因する事故等が発生した場合は市が費用を負担するということで取り決めがなされた。しかしながら、
リチウムイオン電池の特性が判明したのが令和4年3月であること、火災の原因として想定されるものへの対応は、分かる範囲で適切にやっていたこと等を踏まえ、市と業者側の代理人弁護士を交え4年間、協議を行った結果、
リチウムイオン電池に起因した火災は建設当初に予見できなかったものであると判断し、安全対策に関し業者側から1憶1000万円を支払うことで協議が調ったところである。以上を踏まえると、これ以上の負担を業者に求めることはできないと判断したものである」との答弁があった。
1 「工場の外壁のほか、内部の
破砕物コンベヤーや一次磁選機は直すのか」との質疑に対し、「
破砕物コンベヤーや一次磁選機も直すということである」との答弁があった。
以上が、審査の過程における主なる質疑応答であるが、本案については、全員異議なく、原案のとおり可決すべきものと決したものである。
次に、議案第107号「青森県市町村総合事務組合の共同処理する事務の変更及び青森県市町村総合事務組合規約の変更について」であるが、審査に当たって理事者側から次のとおり説明を受けた。
青森県市町村総合事務組合は、地方公共団体がその事務の一部を共同処理するため、地方自治法第284条の規定に基づいて設置された一部事務組合であり、現在、規約別表第1に記載された10市、30町村、21の一部事務組合、3広域連合の計64団体が加入し、同規約別表第2に記載の11項目の事務を共同処理している。本市は、規約別表第2の第10号、市町村税等の滞納整理に関する事務を共同処理するため、平成27年4月1日付けで当組合の構成団体となっている。
共同処理する事務の変更については、令和6年度から導入される国税である森林環境税の賦課徴収について、地方税である個人住民税均等割と併せて行うこととされたため、共同処理する事務のうち市町村税等の滞納整理に関する事務に森林環境税に係る徴収金を加えるものである。
規約の変更については、地方自治法第290条の規定により、共同処理する事務の変更及び規約の変更を行う場合は、関係地方公共団体の議決を経なければならないこととされており、令和6年3月26日付で当該組合から構成団体である本市に、規約変更の協議依頼があったことから提案するものである。
「新型コロナウイルス感染症に関する青森市保健所の取組状況」については、青森市感染症予防計画の策定に当たり、新型コロナウイルス感染症の発生から感染症法上の5類感染症へと見直されるまでの間、青森市保健所が行った感染拡大防止のための取組について取りまとめたものである。
「1 国内発生から5類移行までの変遷」では、感染拡大期、いわゆる波ごとに、ウイルスの特徴、青森市保健所の対応等、また、国や県などの主な動きについて記載している。
「2 感染状況」では、令和2年4月から新型コロナウイルスが5類に移行する前日の令和5年5月7日までの感染者の発生状況、また、クラスターの発生状況について記載している。
「3 ワクチン接種状況」では、令和3年4月から令和6年3月までのワクチンの接種状況、また、年代別の接種状況について記載している。
令和5年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行となり、約1年が経過し、徐々にコロナ前の状況に戻りつつあるが、依然として、新規感染者が発生しており、完全に終息している状況ではない。青森市保健所としては、今後も、引き続き、感染拡大防止に取り組んでいくとともに、今般、策定した青森市感染症予防計画に基づき、次なる感染症の発生と蔓延に備え、市民の安心・安全な医療・療養体制の構築に努めていきたいと考えている。
次に、令和6年能登半島地震における本市の対応について説明する。
令和6年1月1日に発生した令和6年能登半島地震から4か月が経過し、内閣府によると、同年5月8日現在の被害状況として、人的被害については、死者が245人、行方不明者が3人、重軽傷者が1309人、住家被害については、全壊が8597棟、半壊が2万87棟、一部破損等が9万2106棟となっているほか、現在も石川県の3市4町に避難指示が発令されており、開設避難所は275か所、避難者数は4130人となっている。
被災地への本市職員の派遣状況について、新たな5件の派遣状況を報告する。
初めに、日本災害リハビリテーション支援協会を通じて、石川県珠洲市へ派遣要請があり、令和6年2月25日から同年2月29日までの期間、災害関連疾患の予防及び生活環境の改善支援のため、理学療法士1名を派遣した。次に、総務省、全国市長会及び全国町村会による被災市町村に対する中長期の職員派遣制度に基づき、石川県穴水町への派遣要請があり、令和6年4月1日から令和8年3月31日までの2年間、公費解体支援業務のため、職員1名を派遣している。次に、日本水道協会東北地方支部を通じて、石川県珠洲市へ派遣要請があり、令和6年4月3日から同年4月16日までの期間、水道管路応急復旧活動のため、職員8名を4名2班の交代体制で派遣した。次に、環境省東北地方環境事務所を通じて、石川県七尾市へ派遣要請があり、令和6年5月10日から同年5月17日までの期間、公費解体支援業務のため、職員1名を派遣している。最後に、総務省応急対策職員派遣制度に基づき、石川県志賀町へ派遣要請があり、令和6年5月19日から同年5月26日までの期間、被害家屋認定調査及び罹災証明発行業務のため、職員1名の派遣を予定している。
本市としては、今後においても、被災地からの求めに応じ、積極的に支援していく。
以上が説明の概要であるが、審査の過程における主なる質疑応答は次のとおりである。
1 「『新型コロナウイルス感染症に関する青森市保健所の取組状況』は、これまでの取りまとめの報告になるのか」との質疑に対し、「今般の新型コロナウイルス感染症の対応について取りまとめ、課題等を整理した上で、この青森市感染症予防計画に反映している」との答弁があった。
1 「新型コロナウイルス感染症で入院された方や亡くなった方もいると思うが、そういった数値的な取りまとめは、これから発表するのか」との質疑に対し、「詳細な数値に関して、公表する予定はない」との答弁があった。
1 「いろいろなデータを見ると、例えば、新型コロナウイルス感染症が5類になってから、令和5年の1年間において全国で亡くなった方がオリンピックのあった年よりも多いというような数字も出たりしているが、5類になった以降の本市の状況を示せ」との質疑に対し、「まず、入院の状況等については、保健所と各医療機関、県も含めて、これまでウェブ会議等を行っており、適宜、その状況については共有している。現状では、重症等で入院している方はいないので、軽症の感染者数や定点医療機関での新規発生者数の把握はしている。入院や死亡等の数値については、5類になる前までは全数把握ということで、適宜、公表しており、把握しているが、今現在は取りまとめていないので、把握していない状況である」との答弁があった。
1 「インフルエンザについては、小学校・中学校に関しては一覧で数値が出ているが、新型コロナウイルス感染症については、そういう数値が一切ないので、今、どのくらい流行しているのかという市民の不安もあるため、新型コロナウイルス感染症の状況を何らかの形で伝える手段はないのか」との質疑に対し、「新型コロナウイルス感染症の状況については、今現在、県で週に1回、公表しており、県内の状況については、毎週、直近の1週間の数値が東奥日報に掲載されている。東青地域であれば、12医療機関で新規に感染された方の人数は1医療機関当たり2.92人が直近の数字になっている。県内の圏域ごとの数字に関しては、県が取りまとめて公表しており、入院の状況等については情報共有しており、例えば、急に増えるなどの予兆があれば、タイミングに応じて、適切に対応していく」との答弁があった。
1 「青森市感染症予防計画の11ページにある保健所職員等を対象とした研修・訓練が年1回以上ということであるが、令和6年度の予定が決まっていたら教えてほしい」との質疑に対し、「令和6年度の研修については、県と共同でやる形になっており、まだ詳細な日程等については決まっていない」との答弁があった。
以上が審査の過程における主なる質疑応答であるが、このほか一部委員から「今後も、新型コロナウイルス感染症について情報提供をお願いする」との要望が出された。
本委員会は、今後とも所期の目的を達成するため、さらに閉会中の継続審査とすべきものと決したものである。
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委員会名 危機管理対策特別委員会
事 件 危機管理対策について
理 由
閉会中の5月17日に開催した本委員会において、その後の経過と今後の対策について、理事者側から次のような説明を受け、審査した。
初めに、青森市感染症予防計画の策定について説明する。
本計画については、令和6年2月1日から同年2月29日までの1か月間、本計画の素案に対する意見募集を行った結果、意見等はなかった。
策定した計画については、令和6年5月1日に、市ホームページに掲載したほか、同年5月31日まで、市役所各庁舎や支所、市民センターなどにおいて、縦覧を行っている。
「新型コロナウイルス感染症に関する青森市保健所の取組状況」については、青森市感染症予防計画の策定に当たり、新型コロナウイルス感染症の発生から感染症法上の5類感染症へと見直されるまでの間、青森市保健所が行った感染拡大防止のための取組について取りまとめたものである。
「1 国内発生から5類移行までの変遷」では、感染拡大期、いわゆる波ごとに、ウイルスの特徴、青森市保健所の対応等、また、国や県などの主な動きについて記載している。
「2 感染状況」では、令和2年4月から新型コロナウイルスが5類に移行する前日の令和5年5月7日までの感染者の発生状況、また、クラスターの発生状況について記載している。
「3 ワクチン接種状況」では、令和3年4月から令和6年3月までのワクチンの接種状況、また、年代別の接種状況について記載している。
令和5年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行となり、約1年が経過し、徐々にコロナ前の状況に戻りつつあるが、依然として、新規感染者が発生しており、完全に終息している状況ではない。青森市保健所としては、今後も、引き続き、感染拡大防止に取り組んでいくとともに、今般、策定した青森市感染症予防計画に基づき、次なる感染症の発生と蔓延に備え、市民の安心・安全な医療・療養体制の構築に努めていきたいと考えている。
次に、令和6年能登半島地震における本市の対応について説明する。
令和6年1月1日に発生した令和6年能登半島地震から4か月が経過し、内閣府によると、同年5月8日現在の被害状況として、人的被害については、死者が245人、行方不明者が3人、重軽傷者が1309人、住家被害については、全壊が8597棟、半壊が2万87棟、一部破損等が9万2106棟となっているほか、現在も石川県の3市4町に避難指示が発令されており、開設避難所は275か所、避難者数は4130人となっている。
被災地への本市職員の派遣状況について、新たな5件の派遣状況を報告する。
初めに、日本災害リハビリテーション支援協会を通じて、石川県珠洲市へ派遣要請があり、令和6年2月25日から同年2月29日までの期間、災害関連疾患の予防及び生活環境の改善支援のため、理学療法士1名を派遣した。次に、総務省、全国市長会及び全国町村会による被災市町村に対する中長期の職員派遣制度に基づき、石川県穴水町への派遣要請があり、令和6年4月1日から令和8年3月31日までの2年間、公費解体支援業務のため、職員1名を派遣している。次に、日本水道協会東北地方支部を通じて、石川県珠洲市へ派遣要請があり、令和6年4月3日から同年4月16日までの期間、水道管路応急復旧活動のため、職員8名を4名2班の交代体制で派遣した。次に、環境省東北地方環境事務所を通じて、石川県七尾市へ派遣要請があり、令和6年5月10日から同年5月17日までの期間、公費解体支援業務のため、職員1名を派遣している。最後に、総務省応急対策職員派遣制度に基づき、石川県志賀町へ派遣要請があり、令和6年5月19日から同年5月26日までの期間、被害家屋認定調査及び罹災証明発行業務のため、職員1名の派遣を予定している。
本市としては、今後においても、被災地からの求めに応じ、積極的に支援していく。
以上が説明の概要であるが、審査の過程における主なる質疑応答は次のとおりである。
1 「『新型コロナウイルス感染症に関する青森市保健所の取組状況』は、これまでの取りまとめの報告になるのか」との質疑に対し、「今般の新型コロナウイルス感染症の対応について取りまとめ、課題等を整理した上で、この青森市感染症予防計画に反映している」との答弁があった。
1 「新型コロナウイルス感染症で入院された方や亡くなった方もいると思うが、そういった数値的な取りまとめは、これから発表するのか」との質疑に対し、「詳細な数値に関して、公表する予定はない」との答弁があった。
1 「いろいろなデータを見ると、例えば、新型コロナウイルス感染症が5類になってから、令和5年の1年間において全国で亡くなった方がオリンピックのあった年よりも多いというような数字も出たりしているが、5類になった以降の本市の状況を示せ」との質疑に対し、「まず、入院の状況等については、保健所と各医療機関、県も含めて、これまでウェブ会議等を行っており、適宜、その状況については共有している。現状では、重症等で入院している方はいないので、軽症の感染者数や定点医療機関での新規発生者数の把握はしている。入院や死亡等の数値については、5類になる前までは全数把握ということで、適宜、公表しており、把握しているが、今現在は取りまとめていないので、把握していない状況である」との答弁があった。
1 「インフルエンザについては、小学校・中学校に関しては一覧で数値が出ているが、新型コロナウイルス感染症については、そういう数値が一切ないので、今、どのくらい流行しているのかという市民の不安もあるため、新型コロナウイルス感染症の状況を何らかの形で伝える手段はないのか」との質疑に対し、「新型コロナウイルス感染症の状況については、今現在、県で週に1回、公表しており、県内の状況については、毎週、直近の1週間の数値が東奥日報に掲載されている。東青地域であれば、12医療機関で新規に感染された方の人数は1医療機関当たり2.92人が直近の数字になっている。県内の圏域ごとの数字に関しては、県が取りまとめて公表しており、入院の状況等については情報共有しており、例えば、急に増えるなどの予兆があれば、タイミングに応じて、適切に対応していく」との答弁があった。
1 「青森市感染症予防計画の11ページにある保健所職員等を対象とした研修・訓練が年1回以上ということであるが、令和6年度の予定が決まっていたら教えてほしい」との質疑に対し、「令和6年度の研修については、県と共同でやる形になっており、まだ詳細な日程等については決まっていない」との答弁があった。
以上が審査の過程における主なる質疑応答であるが、このほか一部委員から「今後も、新型コロナウイルス感染症について情報提供をお願いする」との要望が出された。
本委員会は、今後とも所期の目的を達成するため、さらに閉会中の継続審査とすべきものと決したものである。
令和6年6月26日
雪対策特別委員会委員長 山 本 武 朝
危機管理対策特別委員会委員長 中 村 美津緒
4 議員提出議案一覧表(意見書)
議員提出議案第11号
パレスチナ・ガザ地区における即時停戦への働きかけ及び医療・人道支援等の強化を
求める意見書(可決)
イスラエルとパレスチナのハマスの軍事衝突により、パレスチナ自治区ガザ地区において、貴い人命が脅かされるとともに、人々の生活に甚大な被害をもたらす深刻で危機的な状況が続いている。
こうした事態を受け、令和6年6月10日には国連の安全保障理事会でガザ停戦の新提案が採択された。停戦案は、イスラエルとハマスの双方に対し、実際の停戦合意に向けたものとなるのか注目されている。ガザ地区の停戦案が受け入れられるのか、重要な局面を迎えている。
いかなる理由があろうとも、民間人が無差別に攻撃されることは、国際法上、許されない。何より最も守られるべき子どもたちの生きる権利がないがしろにされているこの現状に対し、国際人道法上の理念を尊重し、ガザ地区の市民が直面している危機的な状況を改善するために、国際社会として、本格的な休戦等、事態の鎮静化を進め、平和を実現することが求められている。
昭和20年7月28日の青森大空襲を経験した青森市は、旧青森市の平和都市宣言、旧浪岡町の非核・平和のまち宣言の意思を承継している。
平和を希求する都市として、青森市議会は、市民とともに、この紛争に関わる全ての当事者及び日本政府をはじめとする国際社会に対し、一刻も早い平和の実現と事態の早急な解決を求めるものである。
よって、政府におかれては、あらゆる外交努力を尽くし、当事者、関係各国、国際機関に対して、1つに、即時停戦及び人質の即時かつ無条件の解放、2つに、国際人道法をはじめとする国際法の遵守、3つに、民間人の被害の最小化と水や食料、燃料や医薬品等を含む支援物資の供給を通じた人道危機の改善について、働きかけを行ってきたが、さらに粘り強く尽力するよう求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
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議員提出議案第12号
再審法(刑事訴訟法)の一部改正を求める意見書(否決)
再審は、無実の人が救済されるための最後のとりでである。罪を犯していない人が犯罪者として法による制裁を受ける冤罪は、人生を破壊し、人格を否定すると同時に、法制度自体の正当性を失わせるものであり、あってはならないものだと誰しも認めることでありながら、数多く発生している。
近年では足利事件、布川事件、東電OL殺人事件、東住吉事件といった無期懲役判決が確定した事件が再審で無罪となっている。また、2014年には袴田事件で死刑判決を受けた袴田巌さんが釈放されている。
これらの事件での再審の過程では、検察が捜査で集めた証拠を開示しないことが大きな壁となっていた。通常審では、公判前整理手続を通じて、一定の要件で証拠開示が制度化されているが、再審においては、そうしたルールが確立されていない。その結果、証拠が開示されるか否かは裁判官の個別判断や検察官の任意に委ねられることとなり、法の下の平等の原則さえも踏みにじられていると考える。さらに、検察に再審開始決定に対する不服申立てが認められていることも重大な壁となっている。
公益の代表者という検察官の法的地位からしても、裁判官の決定にいたずらに逆らうことには法的な制限を加える必要がある。再審における証拠開示制度の確立、検察官の上訴制限が無実の人の救済のための喫緊の課題であり、加えて、再審請求における手続規定の整備の必要性が強く求められている。狭山事件や袴田事件などの再審請求人は長きにわたり裁判のやり直しを求めている。
無実の人を誤った裁判から迅速に救済するために、下記のとおり、再審法(刑事訴訟法)の一部を改正するよう強く求める。
記
1 再審において検察官が有する証拠の全面開示をすること。
2 再審開始決定に対する検察官の不服申立て(上訴)に制限を加えること。
3 再審請求における手続規定の整備をすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
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議員提出議案第13号
選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見書(可決)
1996年2月に法制審議会が夫婦同姓も別姓も選べる選択的夫婦別姓制度の導入に関する民法改正を答申してから28年以上が経過した。しかし、いまだに導入に向けた見通しは立っていない。また、2015年12月に最高裁判所が夫婦同姓規定を合憲としつつも、選択肢が設けられていないことの不合理については国民的議論、すなわち民主主義的なプロセスによって検討されるべきであると民法の見直しを国会に委ねたが、依然として、民法改正に向けた動きはない状況である。
一方で、選択的夫婦別姓制度の実現を求める声は大きく高まっている。NHKが2024年5月に行った世論調査では、選択的夫婦別姓制度の導入について、反対が27%に対して賛成が62%と大きく上回っている。また、同年1月には、経団連が政府に対して選択的夫婦別姓制度の導入を要望している。夫婦同姓を法的に義務づけている国は世界でも日本だけとなっている中で、経団連の魚谷雅彦ダイバーシティ推進委員長は「パスポートの名前とビジネスネームが異なることは、国際機関で活躍する研究者の継続的なキャリアを阻害する要因となっている。海外出張先のホテルや訪問先で閉め出されるといったこともある」と述べた。
これまで政府は国民の賛否が拮抗しているとして慎重な姿勢を示してきたが、国民の大多数が賛成をしている中で、検討の段階から制度導入に向け、取組を加速させるべきである。
家族の多様化が進み、ジェンダー平等や個人の選択がより尊重されるべき現在において、多くの国民が待ち望んでいる選択的夫婦別姓制度の導入を強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
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議員提出議案第14号
下水道の維持管理・更新におけるウォーターPPP導入に向けての
丁寧な対応を求める意見書(可決)
公共インフラの適切な維持管理や更新は、地域住民の日常生活の安全と安心のために大変重要な課題である。地方公共団体が整備や維持管理を進めてきた下水道は、1990年代に建設されたものが多く、下水道管の耐用年数をおよそ35年と仮定すると2025年頃から大量に更新時期を迎えることが予想される。
この地方公共団体の下水道事業においては、この施設の老朽化に加えて、人口減少による使用料収入の大幅な減少、職員数の減少による管理や運営状況の悪化に対し、広域化やDXをはじめとする効果的・効率的な取組が求められている。
政府は、更新時期を迎える公共インフラの適切な維持管理や更新のために、「PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改定版)」を策定し、公共施設等運営事業へ移行する方針を示した。下水道については、公共施設等運営事業への段階的な移行を目指して、官民連携方式として、長期契約で管理と更新を一体的にマネジメントする方式であるウォーターPPPを導入することとした。
さらに、政府は、社会資本整備総合交付金等の交付要件について、「汚水管の改築に係る国費支援に関して、緊急輸送道路等の下に埋設されている汚水管の耐震化を除き、ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和9年度以降に要件化する」とした。
この下水道事業では、PPP/PFIの導入が、政令指定都市をはじめ、人口2O万人以上の大規模地方公共団体で進んでいるが、中小規模の地方公共団体では進んでいないのが現実である。その原因の一つに、PPP/PFI手法は、仕組みが複雑で検討も多岐にわたるため、中小規模の地方公共団体にはノウハウが少なく、施設等の規模も小さいため、事業規模が大きくなりにくいこと等がある。
よって、政府に対して、地方公共団体が民間との連携の下で、安定的かつ持続的に下水道施設を機能させることができるよう、公共施設等運営事業への段階的な移行を目指してのウォーターPPPの導入に向けて、下記の事項について特段の配慮を求める。
記
1 地方公共団体への導入支援において、職員向けのガイドラインだけではなく、中小規模の地方公共団体に寄り添う形で、相談窓口の開設や、専門家の派遣等の伴走型の支援体制を整えること。
2 社会資本整備総合交付金等の交付において、「汚水管の改築に係る国費支援に関して、緊急輸送道路等の下に埋設されている汚水管の耐震化を除き、ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和9年度以降に要件化する」との政府の方針について、地方公共団体の取組状況に応じて弾力的な対応を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
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議員提出議案第15号
災害発生時における信頼性の高い情報連携体制の構築への支援を求める意見書(可決)
現在、情報通信技術の進歩とそれに伴う様々なサービスの拡大により、私たちは、いつでもどこでも、情報を入手したり、発信したりすることができるようになっている。そのため、インターネット上には膨大な情報やデータが流通しているが、その中には、事実とは異なる偽情報や誤情報が流される事もあり、適切な対処が必要である。
特に災害発生時における情報は多くの人々の命に直結する重要なものであり、現在、必死で復旧と復興を進めている能登半島地震においても、多くの偽情報が発信され、現場は大変混乱したとされ、具体的には、救援を求める情報を受けて現場に行っても、誰もいなかったというケースも多々あったと聞いている。また、被災地の状況を知らせる画像情報においても、現場の実態とは全く違う合成されたと思われる画像も拡散されていた。
いつどこで発生するか分からない災害に対して、特に発災直後は情報が大変に混乱する中で、被災者の命を救うために、一分一秒も無駄にはできない。その活動を大きく阻害する偽情報の拡散防止は喫緊の課題である。
よって、政府に対して、下記のとおり、災害発生時における信頼性の高い情報連携体制の構築に向けた支援の積極的な推進を求める。
記
1 情報発信者や情報発信機器の事前登録等により、情報の信頼性を担保し、現場からの正確な情報を収集し活用する情報連携環境を整備すること。
2 IoTセンサーやドローンを活用して、リアルタイムでの国と地方自治体との災害情報共有体制を整備すると同時に、適切な情報分析と迅速な対策を促す気象防災アドバイザーの自治体への配置を支援すること。
3 正確な情報を発信する公的情報サイトや政府認定のアプリケーション等、国民への普及を強力に推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
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議員提出議案第16号
地域におけるこども誰でも通園制度の制度拡充等を求める意見書(可決)
こども誰でも通園制度は、子育て家庭の多くが孤立した育児の中で不安や悩みを抱えており、支援の強化を求める意見がある中、全ての子どもの育ちを応援し、子どもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に向けて、多様な働き方やライフスタイルに関わらない形での支援を強化するため、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず、時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付制度である。
具体的な制度設計に当たっては、基盤整備を進めつつ、地域における提供体制の状況も見極めながら、令和7年度には法制度化し、令和8年度には法律に基づく新たな給付制度として全自治体で実施すべく、令和5年度から各地で取組が行われている。
地域の実情に合わせた速やかな制度の導入に加え、育児と多様な働き方やライフスタイルの両立の推進のために、政府に対して、下記の事項についての特段の取組を求める。
記
1 試行的事業の職員配置や設備基準は認可保育所並みの水準となっているが、認可保育所等の実施事業所が不足している地域においては、制度の導入推進を図るためにも、職員配置や設備基準を満たすための財政的措置を含む支援策を講じること。
2 試行的事業では、補助基準上の1人当たり利用時間の上限は10時間としているが、それぞれの自治体における乳幼児数や地理的特性によって、利用時間のニーズにばらつきが生じることが想定されることから、全国の市町村で実施する給付制度とすることを前提としながら、自治体によって地域差が生じることについてどのように考えるのかといった論点も含め、利用時間の在り方について検討すること。
3 障害児や医療的ケア児とその家族を支援する観点や、保護者の事情により通園ができない乳幼児についても家庭とは異なる経験や家族以外と関わる機会を創出する観点から、こども誰でも通園制度においても障害児や医療的ケア児の受入れを認めること。
4 こども誰でも通園制度を地域資源の一つとして整備し、こども誰でも通園制度と併せて、地域に多様な子育て支援サービスを整え、潜在的待機児童の解消も視野に入れた重層的な見守り機能が発揮されるような制度設計とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
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議員提出議案第17号
聴覚補助機器等の積極的な活用への支援を求める意見書(可決)
今日、社会の高齢化に比例して、難聴の方も年々増加している。難聴は認知症の危険因子の一つと言われており、また、難聴になると、人や社会とのコミュニケーションを避けがちになり、その後、社会的に孤立する可能性も懸念される。
この難聴対策として、補聴器が知られているが、一般的に補聴器と呼ばれているものは、収集した音を増幅して外耳道に送る気導補聴器である。一方で、様々な原因で外耳道が閉鎖している方には、骨導聴力を活用する骨導補聴器が用いられてきた。
近年、これらの2種類の補聴器に加えて、耳の軟骨を振動させて音を伝える軟骨伝導等の新しい技術を用いたイヤホンが開発された。この聴覚補助機器は、従来の気導補聴器や骨導補聴器では十分な補聴効果が得られない方や装用そのものが難しい方に対しての新たな選択肢となった。
このように、様々な難聴者に適用できる聴覚補助機器等の選択肢が整った今、政府に対して、我が国のさらなる高齢化の進展を踏まえて、認知症の予防とともに、高齢者の積極的な社会参画を実現するために、下記のとおり、聴覚補助機器等の積極的な活用を促進する取組を強く求める。
記
1 難聴に悩む高齢者が、医師や専門家の助言の下、自分に合った補聴器を積極的に活用する環境を整えること。
2 耳が聞こえにくい高齢者や難聴者と円滑にコミュニケーションを取れる社会の構築を目指し、行政等の公的な窓口などに、合理的配慮の一環として、聴覚補助機器等の配備を推進すること。
3 地域の社会福祉協議会や福祉施設との連携の下、聴覚補助機器等を必要とする人々への情報提供の機会や場の創設等、聴覚補助機器等を普及させる社会環境を整えること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
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議員提出議案第18号
健康保険証の存続を求める意見書(可決)
政府は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を進めるため、健康保険証を廃止する法律を制定し、現行の健康保険証は2024年12月2日に廃止することを閣議決定した。
マイナ保険証の利用率は2024年4月時点で6.56%にとどまっており、同年4月までに情報のひもづけミスが新たに529件確認され、政府の一連の点検作業で発覚した同様のミスは計9000件を超えた。
このほか、マイナ保険証については、窓口で無効と判断され、医療費の10割が請求された事例や、他人の情報がカードにひもづけられていたケースが判明するなど、国民の健康や生命に重大な影響を及ぼすおそれがある深刻な問題が顕在化している。
さらに、被保険者や医療現場からも懸念の声が上がるなど、国民の不安も解消されないままに健康保険証の廃止が決定され、国民皆保険制度の根幹が揺らごうとしている。
今、必要とされることは、何ら不都合なく使えている健康保険証を存続させて、現行の健康保険証とマイナ保険証の選択制を打ち出していた原点に立ち返り、マイナンバーカードと一体化されたマイナ保険証の取得は申請による任意の判断のみに基づくとの原則を明確にすることである。
よって、マイナ保険証に対する国民の不安が払拭されるまでは、健康保険証の廃止は行わず、現行の健康保険証を存続するよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月26日
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