青森県議会 2024-06-24
令和6年新幹線・鉄道問題対策特別委員会 本文 2024-06-24
本日は、御多忙中のところ、参考人として
東日本旅客鉄道株式会社盛岡支社から、
大森支社長、
井上企画総務部担当部長にお越しいただき、感謝申し上げます。
また、委員の皆様方におかれましても、お集まり賜り厚く御礼を申し上げます。
JR東日本の要請を受け、本県の
JR津軽線蟹田以北の今後のあり方について、これまで
沿線市町村、県、
JR東日本が協議を続けてまいりました。本日はこのあと、私からこれまでの
検討過程を御報告し、さらに参考人から
自動車交通転換案を御報告いただいたうえで、質疑となります。何卒よろしくお願いを申し上げます。
以上、簡単ではございますが御挨拶といたします。どうぞよろしくお願いいたします。
◯阿部委員長
次に、執行部及び参考人から、2件の報告があります。報告は、2件を一括して行い、その後質疑を行います。
まず、小谷副知事から「
JR津軽線蟹田以北のこれまでの
検討過程」について報告があります。──副知事。
◯小谷副知事
それでは、私から資料の1に基づいて、御説明を申し上げたいと思います。
JR津軽線蟹田以北のこれまでの
検討過程についてでございます。
令和4年8月3日の大雨災害により、
JR津軽線蟹田以北が運休いたしました。同年10月7日には、当委員会において被災状況や
復旧見通しなどを御議論いただいたところでございます。その後、
東日本旅客鉄道株式会社から、
JR津軽線蟹田以北は利用者が少なく、大量輸送という鉄道の特性が発揮できておらず、今後のあり方を検討したいとの意向が示され、これを受け令和5年1月18日から今別町、
外ヶ浜町、県、
JR東日本、
東北運輸局の
課長級職員で構成する、今別・
外ヶ浜地域交通検討会議において、鉄路復旧や
自動車交通転換等の選択肢に関する検討を始めました。
昨年10月11日には、当委員会の調査として
JR蟹田駅の現地視察と、
検討状況などに関する
意見交換を行っていただきました。
課長級職員による検討が深まってきたことを踏まえ、昨年12月22日に知事と青森市長、蓬田村長を含む沿線4
市町村長との
意見交換を実施し、
首長級会議の開催について合意をしたところでございます。
今年1月22日には、第8回の今別・
外ヶ浜地域交通検討会議を開催したところでございます。
その後、2月1日には第1回の
市町村長会議を開催いたしました。
その後、2月28日には、第2回の
市町村長会議を開催し、その中で
JR東日本から
自動車交通や、貢献策等について、提案をいただいたところでございます。
その後、3月25日には私から、沿線の4
市町村長を直接訪問させていただいて、県の考え方を伝達したところでございます。
その後、5月23日の第3回
JR津軽線沿線市町村長会議におきまして、
自動車交通転換の方向性を合意、そして具体的な協議を別途進めることを確認したところでございます。
これまでの
検討過程につきましては以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
◯阿部委員長
次に、
大森支社長から「
JR東日本による
自動車交通転換案」について報告があります。──
大森支社長。
◯大森支社長
JR東日本の
盛岡支社長の大森でございます。6月の20日、先週の木曜日着任をいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
6月20日に着任をいたしまして、この津軽線につきましては、初日6月20日のうちに現地にまいりまして、状況を把握するために現地を見てまいりました。また、併せて外ヶ浜と今別の町長様にも、御挨拶を当日のうちにさせていただいていております。
支社長が20日付で交代ということで私になっておりますけれども、支社長が代わりましても
JR東日本としての方針は、変更は全くございません。これまでの
話し合い、その積み重ねを尊重して進めていきたいと考えているところでございます。
資料につきましては、井上から御説明をさせていただきます。
◯井上企画総務部担当部長
JR東日本盛岡支社井上でございます。お手元の資料2を御覧ください。めくっていただきますと、今回の目次が書いてあります。3つの章立てでございまして、課長級の
検討会議の結果、当社からの転換の提案、最後に
地域交通の方向性に関する合意ということで、御説明をさせていただきます。
なお、最後の
地域交通の方向性の合意につきましては、再度大森から御説明させていただくようにいたします。
めくっていただきまして4ページ目を御覧ください。
課長級の会議におきましては、現状の人口とか乗車人員の状況を皆様に御説明したところでございました。また、これにあわせまして実際使っている方の
ニーズ調査、やはり皆様の御意見をお伺いしたうえで考えなくてはならないということで、まず調査を行っております。
さらに20の具体的な策ということで下のほうに小さい字で書いてありますけれど、現在考えられること、国内の他事例とかも含めまして色々な議論を行ってきたところでございました。
次のページを御覧ください。
課長級の会議の中では、地元の御意見も受けまして、4つの方向性で議論を行ってまいりました。
1つ目がJR側から提案させていただきました
JR全額負担で
自動車交通へ転換するという案でございます。
2つ目は
鉄道復旧ですが、他の事例でもございますように、上下分離なども含めた
鉄道復旧の方向性。
3つ目としましては、
JR全額負担で
鉄道復旧するという方向性。
4つ目につきましては、
鉄道プラス自動車交通、部分的に
鉄道復旧させたうえで
自動車交通も組み合わせると、この4つの形を議論してまいりました。
課長級会議、その他にも様々な議論、また、地元への御説明等も重ねていった結果、6ページ目を御覧ください。
6ページ目が、今回後ほど細かいお話もいたしますけれど、転換する案です。やはりこれからの持続性と住民の皆さんへの
サービス提供等も考えますと、
鉄道運賃並みにするということも書いてあります。そのような条件のもと、
自動車交通への転換ということで、御説明をさせていただいたところでございました。
めくっていただきまして7ページ目、提案のもう少し細かいところの御説明をさせていただきます。
今回の提案に当たりましては、今、今別町、
外ヶ浜町で
町営バス等も行っております。それらも含めまして、地域とともに一体的に運営して、便利で持続的な
地域公共交通を目指すというところを、まず掲げさせていただきました。
さらに、
地域交通だけではなくて、当社、当然それ以外の事業もやっております。そういった中では観光を起点に、地域の活力を向上させるというところにも取り組んでまいります。
また、当然、今、この形でスタートしたからこれで終わり、ということではなくて、地域のニーズや御要望を伺いながら、高齢者の方も当然これから増えてくるという状況も含めまして、地域の課題に一緒になって対応していくということも前提としております。
そのような中で、現時点で考えられる貢献策を下に書いてあります。
こちらにつきましては、現時点のものですので当然これからお話を進める中で変わるものもございますけれど、一旦こちらの3つを御説明させていただきたいと思います。
昨年のこちらの
特別委員会でも御視察いただきました、蟹田駅の乗り換え、非常に不便だというお話をいただいておりました。こちらにつきましては、現在の施設では、
跨線橋を使わないで乗り換えるということは、難しい状況であるということも御説明いたしましたが、こちらにつきましては必要な工事を行うことで、列車を一番線に発着させ、
跨線橋を使わなくても青森側に行けるように設備を整備するということを、御提案させていただきます。
また2番目、これもすでに
新聞報道等も出ておりますけれど、当社が主体になりまして
NPO法人、
NPO法人以外の法人ということもありえますけれど、現時点で弊社では
NPO法人が良いと思っております。
NPO法人を設立したうえで、地域の皆様と先ほど申しました既存のバス等も含めた形の一括で、
公共交通に取り組むということを御説明させていただきます。
また長期的な運営、これは18年以上と書かせていただいております。こちらにつきましては、
NPO法人に、当然
当社社員だけでは構成できませんので、いろいろな方に御参加いただくことになると思いますが、
当社社員も入った中で
NPO法人を運営していくということになります。これは当社が
外ヶ浜町、今別町の
公共交通から逃げないというスタンスでございますので、ぜひ御理解いただければと思います。
次のページを御覧ください。
もう少し細かい御説明になりますけれど、まずブルーのところを御覧ください。
今も申しましたけれど、JRが地域の発展に少しでも寄与したいという形で、具体的に、今はまだどういう
観光キャンペーンをやるか、深いところまで検討できておりませんけれど、当社で観光なり、いろいろな持っている力を発揮しまして、皆様の地域の活性化に努めていきたいというところでございます。
また、皆様に御心配されています、働き手の確保というところでございます。こちらにつきましても、先ほど申しましたとおり、
地域交通の統合によりまして、働き手をしっかり確保していくというところでございます。
また、NPOの
イメージにつきましては、当社から当然社員も出し、そのうえで関係する自治体も入っていただいて、当社だけで運営するのではなく、一緒になって将来像を考えていく形の
NPO法人を立ち上げていくことを考えております。
また、下に観光と書いてあります。まだ
イメージであり、どの駅でどういう整備ということは、現時点で全く地元の皆様とまだしっかりお話ができていないところでございますけれど、例えば龍飛崎の灯台近辺に、少し建物をつくって、バス停かもう少し大きい施設になるのかわかりませんけれど、そのような施設をつくっていくというところでございます。龍飛崎だけなのかというと、まだ具体的な個別の件名につきましては整理できておりませんが、龍飛崎など様々な今回観光の拠点にもなるようなところで、整備をしていきたいというところでございます。
あと、右に
バリアフリーと書いてあるところにおきましては、これも先ほど申しましたとおり、蟹田駅を改良することに合わせ、今回、
わんタクというものを、我々この地域で導入させていただいておりますけれど、
デマンドタクシーによる
ドア・ツー・ドアによって交通の利便性を図っていくと。
また、駅前の施設は、既存の蟹田駅を念頭に置いておりますけれど、設備を改良していくというところでございます。
また、生活という観点で茶色のところ、色を付けたところで、もう既に行っているところもございますけれど、列車時代に比べまして本数も増やしております。本数につきましては、これからまた皆様の需要に応じて本数を変えていくということも考えているところでございます。
10ページ目を御覧ください。
それをいつからやるのかというところで、今の青写真でございますので、まだ確定した事項ではございませんが、我々からの御提案としましては、当然組織を立ち上げる、また
地域交通をまとめるというには少し時間がかかりますので、この10ページの一番右にあります、共同運営になるのは数年後ということで考えております。その前段で取り急ぎ来年度につきましては、代行バスは今のままで運行させていただきます。
わんタクも当然今のまま同じ状況で提供させていただく方向でございます。
2025年4月と書きましたのは、ある程度のお話で、当然我々で勝手に工事を進めることはできません。地元の皆様とお話をして、何を整備するのか、どうしたらいいのかということをお話をしたうえで、2025年にはそのような工事に着手できるのではないかと考えているところでございます。
11ページ目を御覧ください。
こちらにつきましては、本数の経緯でございますので、後ほどお時間のある時に御覧いただければと思いますけれど、鉄道時代よりも本数、また時間も調整しまして、実際利用している学生さん等の
アンケート等でも、我々でわかった範囲で増やしたところでございます。後ほど御覧いただければと思います。
12ページ目につきましては、
わんタクフリー便で、実は今まで
平舘エリアは
わんタクが行けなかったところでございました。こちらにつきましては、地元の皆様の声もいただきながら、運輸局にも御説明したうえで、
平舘エリアまで
わんタクフリー便が行けるようになりました。
そのようなことに加えまして、乗降場は、例えば
ホテル竜飛とか、浜名の美容室の前とか、住民の皆様の御要望があったところや、マエダストアにつきましても、
買い物需要がかなりあるということで、これはマエダ様にかなり御協力もいただきながらつくったところでございますけれど、このような整備を行って利便性を図ってきたところでございます。
また、ダイヤにつきましても定時便を下に書いてありますけれど、2本増便、1本延伸ということで、皆様のニーズを御確認したうえで、このような
運行ダイヤにして新しい乗り継ぎができるようになったということでございます。
13ページ目は、これは昨年実際に皆さんも見ていただいた方もいらっしゃると思いますけれど、蟹田駅の乗り換えの
バリアフリー化がされておりませんので、そのようなことがないように1番線という、一番駅舎側に近いところに列車を止めることによって、
跨線橋を渡ることなく青森まで行けるということを計画しているところでございます。
こちらにつきましては、2026年のお盆に供用開始できるように準備を進めているところでございますけれど、ただ地元の皆様と当然、まだ
合意文書を取り交わしておりませんので、
合意文書を取り交わしたうえで着工ということになります。こちらは鋭意我々もできるような形で、準備をしているところでございます。
14ページ目、こちらにつきましては、これも何回か私がこの資料の中で御説明しましたけれど、
NPO法人をつくってどうするんだというところでございますけれど、地域の交通を束ねて運営するには、やはり地域を超えた
NPO法人というものが必要であり、当社が中心となって
NPO法人を設立して、
地域交通を効率的な運営体系に持っていくことを考えております。このような運行体系とすることによりまして、働き手もだんだん減る中で、少しでも我々で働き手の確保、持続的な交通の確保という形を考え、このような提案をさせていただきました。
15ページ目はバスの
イメージでございます。これからバスを入れるに当たっては当然環境を配慮するとか、ノン
ステップバスで
バリアフリーを図るとか、いろいろなところもございます。こちらにつきましても、バスの具体的な車種の選定は、まだこれからでございますので取り組んでいくところでございます。
なお、運賃の
イメージにつきましては、鉄道と
自動車交通を比較してありますけれど、基本的にはこの表を見ていただいたらわかりますけれど、
自動車交通が安くなるような、たたき台を作っているところでございます。こちらもまだ運輸局の手続き等行っておりませんので、これで固まったものではないということは御了解いただければと思います。あくまで案というところでございます。
具体的な説明は以上でございまして、最後の
地域交通の方向性に関する合意につきましては、再度支社長の大森から御説明をさせていただきたいと思います。
◯大森支社長
今ほど部長の井上より御説明差し上げましたとおりでございます。これから資料の16ページ、17ページにあります、
地域交通の方向性に関する合意について私からお話をさせていただきます。
17ページを御覧ください。
第3回の
JR津軽線沿線市町村長会議にて、参加者の皆様とともに2つの重要な合意に達しました。
1つ目は今別、外ヶ浜の
地域交通を
自動車交通に転換するという方向性についての合意です。
2つ目は具体的な協議については、別途進め、
話し合いを継続しながら
合意内容を具体化していこうという、今後の進め方の方針についての合意をいたしました。我々の提案について、自治体の皆様が真摯に受け止め、真剣に考慮し、
自動車交通への転換という判断をしていただいたこと、我々はこれを大変重く受け止めております。地域の皆様の御期待に応え、そして多くの方々に御利用いただけるような、より良い
地域交通を目指して、今後の
話し合いには以下の考え方を基盤に取り組んでまいります。
まず、これまで協議の中で何度も強調してまいりましたけれども、
地域交通の利便性を確保し、持続的で長期的な運営を行うということであります。持続的で長期的な運営を行うということでございます。
つまり、
自動車交通のメリットを最大限に活用いたします。そして、地域の皆様、さらには観光に来られる皆様に、長く便利に御利用いただける、このような
交通体系を目指してその運営に携わってまいります。
2つ目のポイントです。地域の皆様からの御要望には、引き続き前向きに対応をいたします。これまでもお客様の御利用状況や、地域の皆様の声を反映いたしまして、
代替交通の改善を継続して行ってまいりました。今後も地域の御意見を尊重し、よく
話し合いをしながら、皆様とともにより良い
公共交通を考えてまいります。
さらに3つ目のポイントです。会議や協議における
合意内容につきましては、書面を取り交わします。そして着実に実現してまいります。我々と地域との約束を形にするということは、皆様が安心して我々と一緒に
地域交通を築いていくための、大切なステップだと考えてございます。
以上3点を踏まえ、具体的な
話し合いと書面の取り交わしに向けた準備を今後進めてまいります。これまでの会議にて合意に至った内容、そしてこれから
話し合いで取り決める内容を着実に履行し、地域全体の交通の融合を通じて、地域の皆様とともに利便性が高く、持続的な
地域交通を築き上げることを目指してまいります。
私どもからの御説明は以上となります。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
◯阿部委員長
はい、ありがとうございました。
それでは、ただ今の報告及びこれらに関連する事項について、質疑を行います。質疑は議題外にわたらないよう簡明に願います。
なお、答弁者は、挙手のうえ「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を行ってください。ただし、参考人については、職名を省略することを可とします。
それでは質疑はありませんか。──
山谷委員。
◯山谷委員
一昨年の8月の大雨被害の影響以来、長年にわたって懸案事項でありました
JR津軽線蟹田-三厩間が、
JR東日本と県、そして沿線4市町村が鉄路の廃止とバス・タクシーへの転換ということで、合意いたしました。
JR津軽線は1951年に
青森-蟹田、1958年に蟹田-三厩間の55.8kmを全面開通しております。1958年、65年前でございます。歳がばれますのであまり言いたくなかったんですが、私の生まれた次の年でございます。
それまでは、津軽線でこの
沿線住民にとっては冬場にはバス運行してたんですけれども、その冬場には雪によって運休することが多い路線だったということから、陸の孤島という言葉を使っていたようですけれども、この鉄道ができたとき、この路線ができたときは非常に地元でも喜ばれたということを、私たちも聞いておりました。
私、
青森市民ですので、
青森市民の私の年代の多くは「ガニセン」って言うんですね。蟹田を起点にして動いていますから、それをとってガニセンと言っております。そういうわけで蟹田-三厩については長きにわたって、この通学、通勤の足ということで非常に多くの方に利用されてきたというのも聞いております。
私も思い返しますと、高校生のときに蟹田から来ていた同級生と一緒に夏休みでしたけれども、このガニセンに乗って三厩まで行こうと三厩に行った思い出があります。車窓から非常に綺麗な海が見えているという思い出が今でもありますけれども、その路線がなくなるのかなという一抹の寂しさも覚えております。
この今回の廃線の合意は、沿線の市町村にとってはや
むにやまれぬ苦渋の選択であったと思いますけれども、今後は地域を孤立させないように、地域を閉ざすことのないような取組が行わなければならないと考えております。
また、その65年前の陸の孤島には絶対に戻してはならないということを、思いを抱きながら、先ほどの説明にもありましたけれども、この説明に対する確認という意味合いもありまして、質問させていただきたいと思います。
まずはじめに、この今回の合意については、最終的には県の意向が決め手になったようでありますけれども、県が
自動車交通への転換を容認した理由についてお伺いいたします。
◯小谷副知事
県では、災害を契機に廃止議論が行われることというのは、前例といたしたくないと考え、
JR東日本に対しましてもそのように申し上げてきたところでございます。
また、
地域住民の皆様にとって、この地域の
公共交通がどうあるべきかという視点も、県、両町にとって大きな課題であると捉えておりました。
このため、
JR東日本の、鉄道に代わる新しい
交通体系を構築することも含めて地元と相談していきたいとの意向を契機とした今般の議論に際しましても、両町と緊密に連携を図りながら、
地域住民の交通を確保していく観点から、最善の方策について丁寧に検討を進めてきたところでございます。
JR東日本の
自動車交通転換案は、
地域交通の確保の観点としては、まず運行本数を増やし、
運行エリアを拡大し、鉄道以下の運賃である点、また、
JR東日本主体で
NPO法人等を設立・運営し、地域と一体的に車両・運転手等を管理・運行する体制としている点、さらに、18年以上にわたりこれらを続けるとしている点などから、将来にわたって
地域住民の交通を確保することにつながるものと受け止めました。
また、住民の意見への対応の観点としては、まず、
住民アンケートや
意見交換会で転換容認が多数であった点、高校生の
通学ニーズに柔軟に対応し、
代替交通の運休が少なく、
利用者アンケートでも高評価であった点、さらに、蟹田駅の
バリアフリー化、
ドア・ツー・ドア輸送、低床バスの導入など高齢者に対する配慮がある点などから、概ね適切なものと受け止めました。
こうした県の考えを
沿線市町村長に直接お伝えをし、それぞれのお考えを伺ったうえで、将来にわたり地域の交通を確保していくためにやむを得ないものと受け止め、
自動車交通への転換を容認したものでございます。
◯山谷委員
自動車交通への転換を容認した理由については、お聞きして理解いたしました。いずれにしても、今回のこの
自動車交通への転換において、
JR東日本と県に対しては、
代替交通の確保や道路の整備等の課題について積極的な取組をお願いしたいと思います。
そこで、今後は、
自動車交通の詳細についての協議が進められていくことになると思いますが、
JR東日本は
沿線市町村からの要望に対して、積極的に対応すべきと考えますが、どのように対応していくのかお尋ねいたします。
◯大森支社長
まず、今回各自治体皆様が我々の提案を受け入れられ、
自動車交通の転換に合意いただいたことに対して、大変重く受け止めているところでございます。
我々としては、提案した内容について地域の皆様の御意見を伺いながらしっかり実現をしていくことで、お応えしたいと考えています。
これまでも、代行バス、乗合タクシーについては地元からいただいた御意見、御要望を踏まえ、積極的な改善対応を行っております。御利用の皆様からは、便利になった、使いやすくなったと御好評をいただいているところでございます。
また、これからも便利で持続的な
地域交通の実現を目指して、地域のニーズや御要望を伺いながら、地域の課題に取り組んでまいります。
改めて当社として、両町の
地域交通の維持、発展から逃げずに、対応していくことを申し上げさせていただきます。将来振り返ったときに、今回の決断に対して
地域住民の皆様が「あのとき決めて良かった」、「
自動車交通で便利になった」と思っていただけるような、良い
地域交通をつくりあげられるよう、地域の皆様の御意見、御要望を伺いながら真摯に誠心誠意対応をしてまいります。
◯山谷委員
ただ今、お答えありました、この鉄路の廃止という地域の方にとっては非常に厳しい現実に直面しているわけですけれども、この沿線の市町村からの要望に対しては、今お答えありましたように、誠心誠意、誠意ある対応をお願いしたいと思います。
次に、この
自動車交通については、
JR東日本が
NPO法人等の運営組織を設立するようでありますけれども、その目的について先ほど御説明もありましたが、具体的にお示しいただきたいと思います。
◯大森支社長
既存の町営バスも含めた公共の
自動車交通、これと一体となって運営するための運営組織が必要だと考えているところでございます。一体となったダイヤの適正化、ドライバーや車両などの適切な配置、これによって持続可能な
地域交通を目指してまいりたいと考えてございます。
◯山谷委員
今、全国的にバス、タクシー等の運転者不足が非常にテレビのニュース等でも言われているんですけれども、決して運転手が足りないために、運行の休止、あるいは運休にならないように、減便にならないようにお願いをしたいと思います。
次に、
JR東日本は
沿線市町村への提案内容を確実に実施し、将来にわたり地域の交通を確保をする責任があると思いますが、今後どのように対応していくのかお伺いいたします。
◯大森支社長
将来にわたる
地域交通の確保につきましては、先ほど御説明申し上げました資料のとおり、弊社としては18年以上の長期的な運営を想定してございます。便利で持続的な
地域交通の実現を目指して、両町の
地域交通の維持、発展から逃げずに対応をしてまいります。
◯山谷委員
是非とも交通事業者として持続可能な運行を目指していただきたいと思います。
また、冬季間の運行についても、運休により、繰り返しになりますけれども、再び陸の孤島にならないような対策もよろしくお願いしたいと思います。
JR東日本の方針は聞くことができましたけれども、今度は県にお尋ねいたします。県としては鉄路廃止後における
自動車交通の維持、確保に向け、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
◯交通・地域社会部長
地域住民の生活を支える
公共交通を将来にわたって確保していくため、県ではこれまで、国や市町村とともに、広域的・幹線的な路線について、乗合バス事業者への補助を行ってきたほか、市町村職員等を対象とした
地域交通デザイン講座等の勉強会の開催や、専門家派遣などを実施しまして、各市町村の
地域公共交通計画の策定や、移動手段の確保等に関する技術的な支援を実施してまいりました。鉄路廃止後も今別町、
外ヶ浜町、
JR東日本等の関係者と丁寧に協議をいたしまして、国庫補助制度の活用などを図りながら、
自動車交通の維持、確保のために適切に対応していきたいと考えてございます。
◯山谷委員
先ほども申し上げましたが、今回の合意には県の意向が決め手となったようでありますから、責任ある立場での取組をお願いしたいと思います。
最後に、これまでの質問で今回の鉄路廃止後の
JR東日本と、県の
自動車交通の維持、確保に関する方針について伺うことができました。ただ、今回のこの
自動車交通の転換が、今後県内の他の路線においても災害を契機とした廃線の前例となるのではないかと、非常に危惧しております。重ねてというか、説明になるかもしれませんけれども、このことについて
JR東日本の見解をもう一度お聞きしたいと思います。
◯大森支社長
弊社といたしましては、被災前から臨時列車の運転やダイヤの適正化などによる、津軽線の利用促進、そして乗合タクシーの実証実験などを重ねてまいりました。そのようなことにより、この地域に適した交通のあり方について検討を深めてきたところでございます。
また、2022年7月御利用の少ない線区の経営状況といたしまして、線区別の収支を公表いたしました。これは、
地域交通のあり方について問題提起をさせていただくためでございます。
弊社として、今回の津軽線の事例が災害を契機とした廃線の前例とは考えてございません。
◯山谷委員
最近はJR各社をはじめとする赤字ローカル線の営業収支が発表されることにより、全国的に赤字鉄道路線の存廃問題が取り沙汰されております。ただこの論議の前提は、収支だけではなくその沿線に住む利用者、すなわち住民の生活圏や生存権にも関わる問題であるということも、お含みおきのうえ、これからもこの事業の推進、
代替交通の推進をお願いいたします。
以上で私の質問を終わります。
◯阿部委員長
ほかに質問はございませんか。──福士委員。
◯福士委員
地元選出の県議会議員の福士でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。
JR津軽線の存廃につきましては、これまでも県、市町村、そしてJRと長い時間をかけて協議を重ねてまいったと考えております。我々青森県議会も令和4年8月の大雨被害による、
JR津軽線の蟹田-三厩間が運休になって以後、現地視察での状況確認など問題意識を持って、今後の鉄路のあり方について注視をしてまいりました。
そういった中で今年5月に開かれました、第3回
JR津軽線沿線市町村会議におきまして、鉄道から
自動車交通へ転換する方向で合意したと伺ってございます。
今後は、具体的な協議に進まれるということを聞いておりますが、はじめに、
自動車交通転換に関する協議を、県は今後どのように進めていくのか伺いたいと思います。
◯小谷副知事
5月23日開催の第3回市町村会議におきまして、私から
JR東日本に対し、今別町、
外ヶ浜町の要望に真摯に対応し、更なる貢献策を検討すること、合意事項を将来にわたり遵守すること、
代替交通を適切に運行することを求めるとともに、両町に対しては住民ニーズを丁寧に把握し、持続性・利便性の高い交通ネットワークの構築に向けて、積極的に検討するように求めたところでございます。
今後の協議に当たっては、両町の意向が反映されるよう、県の役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。具体的には、まず両町、県、
JR東日本の4者で事務的に検討を進めたうえで、最終的には首長レベルで協議を行い、合意することを想定しております。合意に向けては両町や
地域住民の理解と納得が重要であることから、時期の期限を区切ることなく進めてまいりたいと考えておりますが、一方でスピード感ということも意識をしながら取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
◯福士委員
期限を区切らず、理解と納得を求めていくと、そしてスピード感を持ちながらという御答弁でございました。
次に、
JR東日本からの
自動車交通転換の提案の中で、運行期間を18年以上という想定をしておりますが、期間を過ぎた後でも当該地域に住民の暮らしは続いており、
地域住民のニーズはあり続けると考えております。
JR東日本は、今別、外ヶ浜両町の
地域交通の維持、発展から逃げることはないと、持続的、長期的運営を目指すと明記もされてございます。
以上のことから期間を設けること自体には、少し矛盾のようなものを感じるところでございます。そこで
JR東日本におかれましては、
自動車交通の運行期間として18年以上を想定しておりますが、期間満了後はどのように当該地域の交通に関わっていくのかを伺いたいと思います。
◯大森支社長
弊社といたしましては、18年間以上の長期的な運営を想定してございます。補助金の活用ですとか、利用者層の変化に伴う運営の適正化、このようなことを行いまして、これを踏まえて持続性を高めることは可能だと考えているところでございます。
◯福士委員
補助金の活用と、あと利用者数の増減によってということでございましたけれども、じゃあ18年という区切りを超えて運営していくというのは、先ほど持続的、長期的運営を目指すと、そして、地域の
公共交通から逃げないというお話がございましたが、長い期間を区切らなくても、
話し合いをしながら継続的にやっていくということにはならないんでしょうか。
◯大森支社長
弊社といたしましては、18年以上の長期的な運営ということを想定しております。繰り返しになりますけれども、補助金を活用する、または利用者層が変化することによって、運営を適正化するという、その18年また19年わかりませんが、その時点での運営の適正化を行うことによって、持続性を高めていくことは可能ではないかと考えているところでございます。
◯福士委員
できるだけ長期的な、できるだけというか後からも出てきますけれども、ちゃんと文章で残していただくというお話ですから、そこは逃げないということもきちんと書いていただいて、長期的に運営をしていただければ良いと思います。
そして先ほど
山谷委員のNPOの目的というところの質問の中で、町営バスと一体となった組織というところで御答弁ございましたけれども、NPOの構成は両町と
JR東日本ということでございますけれども、負担金や職員の派遣などの町に対する負担というのは、どうJRでは現時点で考えてらっしゃるのか聞きたいと思います。
◯大森支社長
関係者の負担についてということでございますけれども、これらの具体的な中身につきましては、今後、ただ今御質問にありましたとおり文章にして、きちんとどのような形にするかというのを協議のうえ、皆が納得する形で整理をしてまいりたいと現在は考えてございます。よろしくお願いいたします。
◯福士委員
既存のバス交通と一緒になるということですから、当然町が今やっている部分も一緒に運営していくという中での負担は確かに出てくるとは思いますが、共同になる部分とか、あとはJR側から今提案をされている部分に関しては、是非町に負担が増えないようにやっていただきたいと思います。
そして先ほど説明いただきました14ページの下に共同運営
イメージ(再掲)というところがございますが、そこの自治体の矢印のうえに委託という文字がありまして、その横に※マークがついているんですけれども、これには何か意味があるのでしょうか。
◯井上企画総務部担当部長
説明がないことは資料の不備だと思いますけれど、こちらの委託というのは委託に限ったことではなくて、運営方針はそもそも運営母体がNPOになることもございます。そういった意味では必ずしも委託という形にならないという形で御理解いただければと思います。
公共交通をやめるということでもないですし、そういった意味ではどういう形で運営するかというのは、まだ地元の皆様とは合意できていないところでございますので、委託という形式もあるということで御理解いただければと思います。
◯福士委員
理解をいたしました。
次に、これも期間設定の質問なのですけれども、
JR東日本は、これまでの会議の中で「3年ごとの運営体系の見直し」というのを提案されてございますが、その提案した理由と、具体的な内容について伺いたいと思います。
◯井上企画総務部担当部長
この地域は人口減少も進んでいるということ、また、お客様、特に高校生のニーズがやはりいろいろ変わっているというところもございます。これから学校の統合等もあるかもしれません。そういった中で運営を硬直化させるのは良くないという考えでございまして、利用者のニーズ、またそのときの状況に応じた運行ができるようにということで、少なくとも3年ごとにはしっかりと議論したうえで、運行体系を適正なものに持っていくと。当然我々が一方的に決めるものではございません。こちらにつきましては、構成員となる地元の皆様とも一緒になってお話をして、将来像をつくっていくということになります。そういった意味では現時点でどういう運営方針になるのかということは全くわからないところもございますけれど、最低3年に1回はお話をしたうえで、しっかりと適切な
交通体系をつくっていくという方針は御理解いただければということで御説明とさせていただきます。
◯福士委員
適切にニーズに反映するためということであれば、そういうことは少なからず必要にはなると思いますけれども、先ほどの18年という期間とまた別にやっていただいて、地域のニーズを吸い上げていただけると、反映していただけるというのは非常に良いことだと考えます。
次に、
JR津軽線の存廃を含む、
地域交通のあり方を検討をしていく中で、地域の様々な考えや思いを受けながら、議論をこれまで重ねてこられたと思いますが、
自動車交通へ転換するという方向性が決まり、今後の進め方の中で
JR東日本は両町や
地域住民のニーズに、先ほど3年の中での更新ということでもありましたが、この
地域住民のニーズをどのように把握して、どう対応していくのかを再度伺いたいと思います。
◯井上企画総務部担当部長
今、申し上げたとおり、3年ごとの見直しという大きいものはございますけれど、それだけではなくて、これまでも実際利用している高校生の皆さんに、バスに乗って実際アンケートを取ったりもしております。また住民説明会等で、御意見をいただいたこともございました。
どういう形でやるのかは、これからまだいろいろな形があるかと思いますけれど、現時点で考えているのは実際の利用者のアンケート、住民の皆様の御意見を聞くような場を設けるということもやったうえで、しっかりと使っていただかないと意味がないです。つくったから終わりということではなくて、使っていただくためにどうしたらいいのかということを、これまでやってきたアンケートだけにこだわらず、いろいろな形で御意見が伺えるように考えていきたいと考えております。
◯福士委員
よろしくお願いをいたしたいと思います。
沿線市町村、特に今別町と
外ヶ浜町は鉄路が廃止されたことによりまして、地域が衰退していくのではないかということを、大きく懸念をしております。
JR東日本は地域経済の活性化に対しても地域と一緒になって、取り組んでいくという先ほども御答弁いただきました。
そこで、
自動車交通転換後に
JR東日本が、今別町、
外ヶ浜町の活性化について、実際どのように貢献していくのか伺いたいと思います。
◯大森支社長
私ども
JR東日本グループは、幅広く事業を展開いたしております。地域への流動を増やす観光の側面や、地域の産業のPR、販路の拡大、このような事業的な側面からも地域を応援してまいりたいと考えてございます。
具体的には、
観光キャンペーンですとか、当社管内での津軽の地元産品の販売、こういうものを考えてございます。
地域交通の運営に当たりまして、引き続き地元企業の活用など、こちらも積極的に行ってまいりたいと考えてございます。
◯福士委員
観光キャンペーンや地元産品のテコ入れというか、そういうのをやっていただくということでしたけれども、JR本州でも唯一のJR北海道の駅が今別町にはございます。会社は違うと思いますけれども、今の
観光キャンペーンやその地元の産品の販売ですとか、そういうものも
地域交通として協力していくと、より一層の活性化につながっていくと思いますので、そちらも要望しておきたいと思います。
最後です。これは県に伺いたいですけれども、
JR津軽線の蟹田-三厩間の廃線は今、御答弁いただいた地域活性化と同様に、観光振興につきましても悪影響が懸念されます。今、
JR東日本から御答弁いただいた他にも県でも是非取り組んでいただきたいと思いますので、県の取組を伺いたいと思います。
◯観光交流推進部長
県では、今別、外ヶ浜地域の観光振興に向けて、県外からの観光客の拠点である奥津軽いまべつ駅を利用した、周遊ルートづくりをはじめ、旅行会社を対象としたモニターツアーの実施や、首都圏のテレビ番組を活用した地域の魅力発信などに引き続き取り組むこととしています。
また、県をはじめ、今別町、
外ヶ浜町や観光団体などで構成する、陸奥湾沿線誘客宣伝協議会においても、WEBやSNSを活用し、階段国道や「海峡の家ほろづき」などを巡るモデルコースの紹介を行ってございまして、今後も継続的に実施してまいります。
さらに、今年度から令和8年3月の北海道新幹線開業10周年を見据えまして、
JR東日本やJR北海道、フェリーなどの交通事業者の皆様や、地域の観光団体、自治体等と連携しながら青函周遊観光の更なる定着化を目指しまして、今別、外ヶ浜地域の魅力的な観光資源などを活用した新たな周遊商品の造成や、効果的なプロモーションなどにも取り組むこととしてございます。
◯福士委員
ただ今、県からの御答弁にも、奥津軽いまべつ駅も利用して観光推進をしていくという御答弁もありましたので、地域とJR、県が一緒になってやっていっていただければなと思います。
私は、今別町の出身なものですから、幼いころから青森市内で買い物するときとか、あと高校へ通学するときも津軽線を利用させていただいておりました。私のときは乗り換えはありませんでした。私が高校2年生ぐらいのときですね、津軽海峡線が開通しまして、そこでディーゼル機関から電車になったものですから、そこから乗り換えが始まったんですけれど。
私個人としては、何とか存続できないかなという思いがございました。ですけれども、地元と県、JRが検討を重ねて、
自動車交通転換の合意に至ったというところは、やはり津軽半島の
地域公共交通が新たな局面を迎えてきたんではないかなとも感じるところでございます。
JR東日本から提案された内容も、運行本数の増加や
運行エリアの拡大、
ドア・ツー・ドア輸送等、利便性の向上が図られておりまして、アンケート結果にも出てございますように、利用者からも好評の部分があるということ、利用者に寄り添った提案も多いのかなと感じるところでございます。そしてまた、書面を取り交わすということもお話をされていますので、そこの信頼性も大事かなと感じております。
私はまた、この長い時間かけて、
沿線市町村、県、
JR東日本が協議した内容や思いが変わらぬように、本日の委員会について質問をさせていただきました。18年後の状況は誰にも分からないとは思いますが、これからの協議によって決められた
地域公共交通のあり方が、
地域住民の新たな足として定着をして、地域の活性化につながっていくということを期待したいと思います。
また、この
自動車交通転換に対して、安全・安心な道路網の構築もまた必要だと考えております。県では現在、小国峠の平坦化に向けて事業を着々と進めてまいっております。昨年の冬、年を開けて今年でございますけれども、小国峠を通行できなくて、その
代替交通のバスが平舘の海岸線を経由をして、大きく迂回した事例があると伺っております。小国峠の平坦化は、既存の線路との交差なども考えられますので、
JR東日本との協議も今後予想されています。そのときにはスピード感のある議論をしていただいて、1日も早く平坦化につながるよう御協力も申し上げまして、私からの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
◯阿部委員長
10分間休憩いたします。
○休憩 午後2時34分
○再開 午後2時45分
◯森内副委員長
休憩前に引き続き、委員会を開きます。
質疑を続行いたします。質疑はありませんか。──鶴賀谷委員。
◯鶴賀谷委員
はじめに、
東日本旅客鉄道株式会社大森支社長並びに
井上企画総務部担当部長、本日は大変お忙しい中、当
特別委員会に出席を賜り感謝申し上げます。
本日は多くの委員が質問いたしますので、私からは簡潔にして質問いたします。
JR津軽線蟹田駅-三厩駅間は、大雨により線路の設備に大きな被害が確認され、令和4年8月以降運休が続いています。今日まで復旧に向けて
沿線市町村、青森市、今別町、
外ヶ浜町、蓬田村、そして
東日本旅客鉄道株式会社と青森県とで協議を重ねてきて、一定の方向性を見出せたことに対しまして、敬意と感謝を申し上げます。
私は事業主体である
JR東日本が、
公共交通機関として利用者に果たすべき役割は、安全優先の運行に努める安全性、運行時間などの便利性、適正な運賃を設定する経済性、この3つが重要と考え、そういった観点から質問します。
はじめに、
自動車交通の合意に関する書面について、主体、内容、対象地域を伺います。
◯交通・地域社会部長
合意内容の文章として取りまとめることは、
JR東日本が提案しており、県としても地域における交通サービスの将来の姿を明らかにすることや、合意事項の将来にわたる遵守のために有効であると考えております。内容等は、今後具体に協議することになりますが、今別町と
外ヶ浜町を対象地域とし、少なくとも鉄路の廃止、
代替交通の内容、
JR東日本の責務などの項目を記載する必要があると考えております。
主体に関しては、記載内容を踏まえたうえで、最も適当であると考えられる者による
合意文書にしたいと考えてございます。
◯鶴賀谷委員
人口減少等による、
JR津軽線の利用者数は年々減少しています。しかし、この地域で通勤、通学、買い物など生活をするうえで、欠かせない交通手段です。また、観光面から見てもこの地域は素晴らしい観光資源がたくさんあり、多くの観光客が足を運んでいますが、県はこの地域の交通ネットワークの将来像をどのように描き、実現していくのか伺います。
◯交通・地域社会部長
県では、青森県
地域公共交通計画におきまして、圏域別に広域的な
地域公共交通ネットワークの将来像を示しております。
JR津軽線につきましては、「隣接する県や市町村間の広域的な移動・連携を支える軸」、蟹田駅及び三厩駅を「広域的な
地域公共交通ネットワークと域内交通の接続要所となる拠点」として位置付けているところでございます。
今後、鉄路廃止後の交通ネットワークについて、持続可能性や利便性などの観点に留意しながら、今別町、
外ヶ浜町、
JR東日本等と協議したうえで、県
地域公共交通計画の改定など、必要な手続きを進めるとともに、活用可能な制度をできる限り活用しながら、利用者にとってより良いものになるよう、支援していきたいと考えてございます。
◯鶴賀谷委員
令和4年10月、当新幹線・
鉄道問題対策特別委員会で、私は副知事に対して、ここからは県のリーダーシップが必要だという要望をしたことを、副知事覚えてますか。そういった意味において、県の主導のもとに合意した内容では、鉄道路線を廃止し
自動車交通による運行になりますが、転換後の
自動車交通の運行期間を18年以上とする理由について伺います。
◯大森支社長
先ほどのお答えと一部重複する部分がございますが、他社の事例も参考にこの18年という期間、これは初年度に生まれた方が高校を卒業する、それくらいの長い期間だという意味で18年とさせていただいているところでございます。
また、「以上」という部分につきましては、先ほども申しましたけれども、無理な形で継続することはできなくなると思いますので、18年後ですとかその時点のニーズに合わせた運営の適正化、そして各種補助金の活用によって持続性を高めることができれば、より長い期間の運営も可能であると考えているということでございます。
◯鶴賀谷委員
18年以上経過しても、この地域で暮らす人はたくさんおられます。その方々の交通手段を守ることは極めて重要なことです。転換後の
自動車交通について、18年以上の運行期間をどのように確保していくのか伺います。
◯大森支社長
先ほどの答弁とも重複いたしますけれども、まずは18年という長期的な運営を想定しております。ここでポイントとなるところが、その地域のニーズに合わせた運営の適正化だと考えております。また、補助金についてもポイントとなってくると考えているところでございます。
◯鶴賀谷委員
そのところがちょっと不明確なので、
地域住民の人たちはちょっと不安に思う点があると思うんです。ですから、今からでも遅くないので、やっぱり18年後のビジョンというのもちょっと明確にしながら、進めていかなければならないなということを要望いたします。
青森県は、冬になると雪が降り積もります。この津軽半島地域にも、雪が降り積もります。鉄道路線と違い、一般道による
自動車交通に切り替えた場合、雪による障害が予想され、不安に感じる方も多くいると考えますが、
自動車交通の冬季の運行状況について伺います。
◯井上企画総務部担当部長
我々2022年度、2023年度運行してまいりました。冬季間に
わんタク、また代行バスにつきまして、運休は発生しておりません。あと30分を超えるような大きな遅延は、1件だけです。先ほど福士委員からもお話ありました、小国峠で事故があった際には1回だけ大回りし、時間がかかった事例がございました。ただそれ以外、30分を超えるような遅延は全く発生しておりません。
ちなみにですけれど、2021年度、これは鉄道での時代でございました。鉄道で運休を発生したのは、実は32日運休が発生しておりました。30分以上の遅延は25日以上ということでございましたので、こちら御報告させていただきます。
◯鶴賀谷委員
JR津軽線蟹田以北の路線で、
自動車交通に転換するということですが、災害による改修工事費の多額の負担や、利用者減少による赤字路線等が
自動車交通に転換する路線は、私はこれから多く発生すると予想します。今回の
沿線住民の方には、これまでどおり鉄道路線を維持してほしいという考えの方は、たくさんおられると思います。しかし、将来にわたってこの地域の交通手段を守るという意味で、賛同されたのではないかと思います。
どうか、その方々の思いに配慮していただき、より充実した地域貢献策を提示すべきと考えますが、
JR東日本の考え方を伺います。
◯大森支社長
地域交通につきましては、地元の自治体と一体となってつくっていくべきものと考えてございます。今後、
地域交通の具体的な姿につきましては、地元自治体の要望をしっかりとお伺いしながら、丁寧に話し合ってまいります。
これまでも、自治体、住民の御要望、ニーズを踏まえて
代替交通の改善を様々行ってきてございます。こちらで主なものをお話しさせていただきますと、2023年4月からは当初のデマンド型乗合タクシーに加えて、蟹田から龍飛埼灯台を定時、定路線で結ぶ「
わんタク定時便」を導入いたしました。これによって新幹線や在来線を乗り継いで利用される多くの方に御利用いただけるようになったということでございます。
また、2023年10月には、
外ヶ浜町、今別町の要望を受けまして、高校生の帰宅時間に合わせた代行バスを増発いたしました。従来の鉄道では乗り継ぎがなかった時間帯でございます。時間調整がしやすい
自動車交通のメリットを活かせたものと考えております。鉄道ではその保安システムの構造上、増発ないし適正なダイヤが組めないということになっておりますけれども、
自動車交通ならではということでございます。実際に私も、高校生の皆さんの乗り換えの場面を着任の初日に駆けつけて拝見させていただきました。
また、今年2024年4月からは、
わんタク定時便の運行本数を増やしてございます。在来線との接続はさらに改善となっておりますし、また住宅地近辺、観光施設、さらにはスーパーへの停留所の増設など、私も現地を見てまいりましたけれども、これまでも様々な改善を行ってきてございます。
また、さらにデマンド型乗合タクシーの「
わんタクフリー便」につきましては、運行を委託させていただいている事業者の皆様にもお話を聞いてまいりましたけれども、
運行エリアも拡大いたしまして、
平舘エリア、さらには今別の北東部まで行けることにしておりまして、従来の
JR津軽線では全く届かない、利用できないところでも、
自動車交通によって便利に行けるようになっております。
また、決済方法も現時点で最新のもので、当初よりSuica、paypay、クレジットカード、その他たくさんの決済手段、現在各種キャッシュレス手段がございますけれども、これに対応をしておりますし、さらには2023年11月から、車がどこにいるのかわかるバスロケーションシステムも導入をいたしておりますし、今年の1月からはGoogle検索で出てくるというような対応もさせていただいているということでございます。
このような形でこれまでも自治体、住民の御要望やニーズを踏まえて、様々な改善を具体的に行ってきているということでございます。
今回提案をさせていただきました、
地域交通の融合による持続的な
地域交通の構築につきましても、地元のニーズをくみ取りながら、着実に実行をすることで
地域交通のモデルケースとなるようにしていきたい考えているところでございます。
◯鶴賀谷委員
今、
大森支社長から様々なこれまでの政策をお話しいただきました。先ほどのお話もありましたけれども、
自動車交通転換して良かったと思える、そのことが一番大事な観点だと、私は思っております。ですから、これまでのサービス、そしてこれからのサービスをどのように利用者に提供するかが、これから
JR東日本さんに与えられた責務でございますので、そこはしっかり守っていただきたいなと思って、そこのところは要望しておきます。
最後に、県に要望がございます。今回、
自動車交通に転換することになりましたが、それを進めるためには道路整備が必要です。この区間は先ほどお話がありましたけれども、峠の道路や危険と思われる道路もあります。せっかく
JR東日本から支援をいただいているわけですから、
地域住民の交通手段を確保する意味で、この区間の道路整備を早期に着手することを強く要望して、質問を終わります。
◯森内副委員長
ほかに質疑はございませんか。──大澤委員。
◯大澤委員
大澤です。よろしくお願いいたします。
「『究極の安全』を第一に行動し、グループ一体でお客さまの信頼に応えます。」
これは
JR東日本グループ理念に記載されている、一文であります。
JR津軽線蟹田以北については、これまでも地域の足をどう守れるか、どうやったら便利になるものなのか、沿線関係自治体、
地域住民の声をしっかりと受け止めて、多くの時間を費やし議論を重ねた結果、今回の提案に至ったものであると受け止めております。
これまでも究極の安全を第一に行動されてきた企業でありますので、今回の代替となる
自動車交通の安全もしっかりと注視いただき、対応いただくことをお願い申し上げて、私からは
自動車交通転換について質問をさせていただきます。
まず1点目です。
JR東日本では
地域交通への貢献策の進め方、
JR東日本主体で
NPO法人等を設立し、長期的な運営を図ることとしております。またその運営に当たっては、
JR東日本は両町の
地域交通の維持、発展から逃げることはありません、と述べられており、先ほど答弁あったとおりに、18年以上も持続的に対応するとの答弁もありましたが、今後設立する
NPO法人が、仮に経営難に陥ってもしっかりと事業を継続していくものなのかお伺いさせていただきます。
◯井上企画総務部担当部長
繰り返しにはなりますが、弊社としては18年以上の長期的な経営を想定しております。これも繰り返しですけれど、便利で持続的な
地域交通を、地域の皆様と一緒になってつくっていくということ、両町のこれからの発展に寄与していくということは、常に申し上げているところでございます。
なお、今、経営難というお話がございましたけれど、私の説明の中で申しましたけれど、当然そういう状況にならないようにするのがベストでございます。そういった意味では、繰り返しになりますが、3年毎の見直しは、そういう危機的な状況に陥らないことが大前提でございます。
それを地元の皆さんと一緒になってつくっていく、また、当然
交通体系の見直しもあるかと思います。学校が統廃合とか、いろいろな社会状況の変化によりまして、それも見直していく、柔軟に見直していくことで長期的な運営が可能になると考えております。
◯大澤委員
補助金ももらいませんとこの事業ができませんと。よって代替策を、この交通をもう廃止しますとならないように、是非とも
NPO法人の立ち上げに当たっては、しっかり体制の構築を含めて議論をいただきながら、体制を求めたいと思っております。
次に、代替
自動車交通利用者の利便性についてであります。今後、転換に当たり、必要な設備の整備を行っていくこととしておりますが、現段階での待合所の整備箇所数についてお伺いいたします。
◯大森支社長
自動車転換の具体的な、また詳細にわたる内容につきましては、今後、地元自治体の皆様と協議をする中で決めていきたいと現時点では考えてございます。
◯大澤委員
今後検討ということの状況でありますが、
地域交通、これをつくり上げていくに当たって、待合所を整備する、箇所数はじめ、利用者、
地域住民の声、これがしっかり反映されていくものなのか、再度御質問させていただきます。
◯大森支社長
もちろんお話がありましたとおり、しっかりとお話、御意見を聞いて進めてまいります。今後の自治体の皆様とのお
話し合いの中で決めていくことになりますけれども、提案資料にございます龍飛埼灯台ですとか、現在代行バスの停車箇所に待合の施設、待合室がない中小国、大平などは候補として考えている状況でございます。
◯大澤委員
是非とも利用者の声を大切にしながら、
地域交通をつくり上げていただきたいと思います。
次に、これまでも津軽線蟹田以北路線を安全に走行できるように、多くの方々が運転、あるいは保守管理等に従事されてきたものと思います。先ほど働き手の確保をしっかり行うという答弁はありましたが、そこで津軽線蟹田以北の運行維持に関連する雇用について、現在と同様に確保されていくものなのか、お伺いさせていただきます。
◯井上企画総務部担当部長
現在、
わんタクは、地元の奥津軽観光、蟹田交通にお願いして運行していただいているところでございます。こちらの運行に当たっては、一定の雇用の増というのも実現しているところでございます。
ただ今後の運行体系につきましては、まだ自治体様としっかりと
意見交換できているところではございませんので、現在の状況ということで申しますと、現在の運行で、当然、雇用が発生しているところございます。町で雇っている方もいらっしゃいますので、トータル的に雇用は確保されるものだろうと考えております。
繰り返しですけれど、これから今別町、
外ヶ浜町としっかりとお話をしたうえで運行体系は決めていきますので、御承知おきいただければと思います。
◯大澤委員
雇用についてはしっかり担保したうえで、対応していただきたいと思います。
次に、津軽線
青森-蟹田間のダイヤについて質問させていただきます。蟹田以北の廃止に伴い、ダイヤ改正される可能性はあるものなのか、確認させていただきたいと思います。
◯井上企画総務部担当部長
今回、蟹田-三厩間の廃止に伴って、ダイヤ改正は当然あるかと思いますけれど、ただ蟹田-青森間につきましては、現在の利用状況に応じたダイヤを組んでおります。こちらにつきましては、引き続き沿線の利用状況に基づいて決められるものでございますので、仮に蟹田-三厩間がなくなったとしてもそのダイヤにつきましては、関係なく蟹田-青森間で適正な運行をするということで、御理解いただければと思います。
◯大澤委員
今後ダイヤ改正される場合、
自動車交通の便にも影響をきたすものと思われます。
JR東日本と新たに設立いたします
NPO法人としっかり連携し、対応いただきたいと思っております。
最後の質問であります。廃線の利活用についてであります。廃線となった線路跡の利活用について、現段階で考えられているものなのか、お伺いさせていただきます。
◯井上企画総務部担当部長
廃線になったあと、例えば小坂鉄道とか我々の岩泉線とかで、レールバイクを運行しているところがあるのは、我々も存じ上げているところでございます。ただ、こちらにつきましても、今後の利活用につきましては、沿線の
外ヶ浜町、今別町としっかりと話をしたうえで、どのようなものをやっていくかというところになるかと思いますので、現時点はまだこれといった決まったものはございません。ただ今後このような、今、申し上げましたようなところも選択肢に入ってくるかと思いますが、今後のお
話し合いになると理解しております。
◯大澤委員
現段階では検討していないということでありました。御答弁の中で、隣接の秋田、旧小坂鉄道の話も出ました。この小坂も廃線になったあとテーマパーク、レールパークということで観光資源として、また再度利活用されているという状況もあります。今後、廃線の利活用に向けては、新たなビジネスチャンスと捉えることから、他地域の先行事例ももとにしながら検討していただくようお伝えし、私からの質問を終わらせていただきます。
よろしくお願いいたします。
◯森内副委員長
ほかに質疑はございませんか。──田端委員。
◯田端委員
私は赤字路線になっている八戸線、八戸市選出の田端といいます。質問させていただきます。
公共交通は、通勤、通学、通院、買い物などの日常生活に必要な移動手段、そして観光や地域産業にとっても大事な基盤です。とりわけ公共性の高い鉄道は、採算性だけで議論すべきでなく、民営化されたとしてもその社会的責務は大きなものがあると考えています。鉄道を例えて言うのであれば、人間の体で例えて言えば、本当にしっかりした血管、それに例えられるんじゃないでしょうか。そう考えますと、先っぽから切られていくという、その先はどうなるんだろうという本当に不安な気持ちになります。
そこで、
公共交通機関としての鉄道が地域に果たす役割について、
JR東日本の考え方を伺います。
◯大森支社長
今回、議論しております、この地域におきましては、通学がメインかと思います。通学、通院、そしてお買い物の皆様、住民の生活の足としての役割です。通学、通院、買い物などの住民の生活の足としての役割、さらにはお話にありましたような観光等の産業の経済基盤として、地域外との流動を支える役割をこれまで果たしてきたものと認識をしてございます。
◯田端委員
先ほど
山谷委員が60数年前までは、陸の孤島であったところに鉄道が通ったことで、陸の孤島でなくなったっていうお話をされました。生活の場面であるとか、そういうことはあるんですけれども、もっと大きい意義があるんじゃないかなと思います。
次に、地方に住む国民の生活維持のための
公共交通の責任は、本来は国にあるものと考えています。国鉄の分割民営化は1987年からですが、民営化されることによって、採算の取れない地方が路線廃止することになるのではないか。さらに地方格差が生じるのではないかという懸念は、もう既にあったわけですが、平成13年、2001年の完全民営化の際に、国鉄改革の経緯を踏まえて、路線の適切な維持に努めるという大臣指針が示されました。
JR東日本のこれについての考えをお伺いいたします。
◯大森支社長
津軽線の蟹田以北につきまして、大臣指針を前提として路線の維持に努めてきたところではございます。今回の
自動車交通への転換、この提案に当たりましては、利用状況を含めた事情の変化について、丁寧に自治体の皆様との
話し合いや、
沿線住民の皆様への御説明を重ねてきたところでございます。
◯田端委員
利用状況を見て、経営を考えていくことの基本だ、そのことを示されたと思うんですけれども、では
JR東日本の旅客の損益ですけども、赤字だったのはコロナ禍の2020年度、2021年度だけで、2022年度は600億円の黒字が見込まれるとの資料があります。
JR東日本の令和5年度、2023年度の営業利益及び内部留保の状況についてお伺いします。
◯井上企画総務部担当部長
財務情報につきましては、弊社のホームページに詳しく出ておりますが、内部留保としていくらとかいう発表はしておりません。我々の単体の2023年度の営業利益は、2,538億円ということになります。
◯田端委員
2023年度は2,538億円。内部留保についてはお答えしていただけなかったんですが、2021年度でみると2兆3,600億円ということになっています。民営化したときに、不採算性を含めて維持するという約束があります。
JR東日本は巨額の内部留保や、都市部路線等の収益によって、内部補助で地方路線を支えていくべきと考えていますが、
JR東日本の認識についてお伺いします。
◯大森支社長
赤字、黒字、それだけでなく、それぞれの地域の御利用状況、さらにはニーズを踏まえて、その地域に適した利便性と、持続性の高い
地域交通を考えることが必要と考えているところでございます。
◯田端委員
2022年に国土交通省の鉄道事業者と地域の協働による、地域モビリティの刷新に関する検討会によって、国が主導してJRと関係自治体の協議会を設置されて、今回の協議、津軽線の問題も協議されてきたということがあります。このJRと関係自治体の協議だけに任せようとするこの流れは、財政力がちっちゃくて、過疎や地域経済が疲弊している地方を消滅させていくことにつながるのではないかと懸念します。
JR東日本が公表した赤字路線の中に、津軽線の他に先ほども言いましたが八戸線も、五能線も奥羽線も大湊線もあります。他人事では全くないという気持ちで、ここで質問させてもらっています。
鉄道の廃線は青森県にとっては死活問題です。持続可能な地域再生とは、全く逆の流れだなと考えます。
もう一つの大きな視点である、脱炭素社会を目指すことで考えれば、鉄道の維持は必要です。単位輸送量当たりのCO2排出量は、旅客輸送で乗用車の13%、航空機の17%、バスの30%、貨物輸送では自家用貨物車の1.5%、営業車貨物車の8%、船舶の44%と、鉄道の果たす役割は本当に有意義にあるということも、皆さんに知っていただきたいし、是非JRで鉄道を主にやってきた方には、そこにしっかりと誇りを持っていただきたい気持ちでお話させていただいています。民間企業であっても、社会的役割、社会への還元という立場で鉄道を維持することを強く求めて質問を終わります。
◯森内副委員長
委員長と席を交代いたします。
◯阿部委員長
ほかに質疑はございませんか。──吉田委員。
◯吉田委員
むつ市選出の吉田です。よろしくお願いします。
本年は年明けに能登半島地震による災害、甚大な被害があり、半島地域における災害ということで、津軽半島、下北半島を抱える青森県にとっても、他人事ではないということは多くの場で耳にし、また私自身も言葉にしてきたところです。
今回は一昨年の大雨災害により運休となっている、
JR津軽線蟹田-三厩間の
自動車交通転換案についてということで、同じ半島地域、私が暮らす下北半島でも、かつて下北交通大畑線が廃止となり、また大湊線の存続についても地域から不安の声があることから、津軽線蟹田以北の沿線に暮らす方々や、鉄道を御利用の方、現在の
代替交通を御利用の方々に思いを寄せつつ、下北半島及び県内
地域公共交通のこととも重ね合わせながら、質問をしていきたいと思います。
まずはじめに、現在の
代替交通の利用状況について伺います。
◯井上企画総務部担当部長
まず被災前、鉄道の数から言いますと、これはサンプル調査なので必ずしもその人数が乗ってるわけじゃないんですけれど、平日109名、休日61名という日がありました。これは、多い日少ない日がありますので、だいたい100名ぐらい、60名ぐらいと御理解ください。
なお、直近の5月の
代替交通の利用実績を申しますと、平日93名、休日で54名です。このような状況から、我々としても遜色のない輸送力を提供しておりますので、このような結果かと理解しております。
また、これまでも御説明したとおり、バスの増発、サービス拡大、平舘地域の拡大とかもやりまして、サービスアップもしておりますし、多くのお客様から御利用をいただいて、御好評もいただいております。
◯吉田委員
ありがとうございます。多くの方に御利用いただいて、便利だという声があるということで、理解をいたしました。
次ですけれども、先ほど鶴賀谷委員からも質問がありましたが、やはり峠道もあるということで、自動車
代替交通、自動車転換案、事故等の心配、特に津軽半島もそうですけど、下北半島も冬とても危険な地域、道路となってますので、冬の期間の安全・安定運行の確保について、
JR東日本はどのように対応するのかについて伺います。
◯井上企画総務部担当部長
冬季間の安定性確保についての御質問いただいたと理解しております。
実は冬季間の安定性確保のために、我々すでにやっておりまして、冬ダイヤということで少し道路状況を考えて、バスの時間に余裕を持った運行をしております。夏よりも時間がかかるということも含めて、安全確保を図っているというところでございます。
合わせて、列車の運行状況をバスの運転手、または
わんタクのドライバーにも共有することによって、情報提供することもしております。また、道路の凍結状況などはドライバー間で情報共有を行って、安全確保を行っているところでございます。我々JRがこの運行に関わっているところもございますので、先ほどから申し上げておりますとおり、我々は安全の確保を第一に考えております。
なお、先ほど別の御質問でもございましたが、冬季間の運休というのはございませんし、30分以上の遅延も1回しかございません。そういった意味では、安全確保につきましては、これからも万全を期していきたいと考えております。
◯吉田委員
ありがとうございます。引き続き安全確保に努めていただきたいと思います。
それで、
自動車交通転換案を拝見、あと御説明いただきまして、やはり今、あらゆる業種で人手不足ということで、バス、タクシーのドライバーの人手不足が青森県内もそうですし、私が暮らす下北地方もそうですし、日本全国で大きな課題となっているところで、全国版のニュース番組、報道番組等でも取り上げられているところではありますけれども、やはりこの
自動車交通転換後のドライバー等の人材確保を含めた、運行体制の確保について、
JR東日本はどのように考えているのかを伺います。
◯大森支社長
ドライバーの確保、大変様々な場面で聞かれる話でございます。私どもこのエリアにつきまして、雇用創出の観点も踏まえまして、地元の運行事業者と協力をしつつ、極力地元から雇用を確保してまいりたいと考えております。
また、御懸念のとおり、地元での確保が難しい場合につきましては、弊社グループ会社の協力も得てドライバーを確保するといったような手段も検討していきたいと考えてございます。
◯吉田委員
ありがとうございます。ドライバーの確保については理解いたしました。本当にドライバーが足りないがために、運行に支障が生じるとか、利便性を欠くことになるとか、本数が減ってしまうとか、地域の方々が、利用する方々が不便を感じないようなやり方をしていっていただきたいと思います。
次に、今回、大雨災害で運休からの自動車転換案ということで、やはり復旧ではなくて自動車に転換するということで、鉄道は一回運休になってしまうと復活させるの難しいのかなっていうのが、多分皆さん思ったことだと思いまして。やはり他の利用者が少なかったり、災害に対して脆弱な路線がある地域、次はもしかしたら自分のところはどうなんだろう、災害があった場合どうなんだろうということで、多く不安を抱えている地域、不安を感じている方々もいます。
そこで、県内の他路線は今後も維持されていくものと考えていますけれども、
JR東日本の見解を伺います。
◯井上企画総務部担当部長
前段で一つ御説明させていただきますと、今回の路線は災害起因の廃止ではございません。これは繰り返し申し上げておりますけれど、我々臨時列車を走らせたり、その他接続を改善したりとかいろいろなことをやっていく中で、
外ヶ浜町、今別町とお話をしておったところでございますので、災害が起きたからやめたということでは決してございませんということは、是非御理解いただければと思います。
なお、私のいる盛岡支社、今、私の業務担当の中では、青森県内における津軽線、この蟹田-三厩間以外での存廃の議論の予定はございません。これも繰り返し申していますけれど、我々が一方的に、例えば国の再構築協議会でという話をするつもりはございませんし、地元とお話をしていったうえで、例えばですけれど、今、八戸線は、大湊線もそうですけれど、各地元の協議会等としっかりとお話をさせていただきまして、将来像を考えていくというのが基本スタンスでございます。そこは是非我々の今行っていることは、廃止一辺倒ではないということも御理解いただければと思います。
◯吉田委員
ありがとうございます。廃線、廃止の議論はないということですね。今年の3月のダイヤ改正ぐらいのタイミングで、下北駅の駅舎内にある壁掛け時計が撤去されただけで、地元の方たちちょっと不安を感じるぐらい敏感になっておりますので、他の路線の維持をよろしくお願いしたいと思います。
続けて、先ほど大澤委員から必要な設備の整備についての質問がありましたけれども、旧駅舎の観光地化と先ほど御説明いただいた資料の中にあって、資料の中ですと三厩の駅がピックアップされていると思うんですけれども、
自動車交通転換により利用されなくなる駅は何駅あるのかと、その全てを観光地化するのかと、もし利用されなくなった駅舎があるとすれば、それをどうするのかについて、3点お伺いしたいと思います。
◯井上企画総務部担当部長
利用されなくなる駅は、これから路線がまだ変わっていく可能性がありますので、現時点でも例えば津軽浜名などは、国道のほうに待合所を設けまして、そちらを利用していただいております。そのような形で、待合所の位置はこれからまた変わっていくものかと思いますので、今の時点でいくつという話は申し上げることはできませんけれど、ただ必要なところがあれば、実際、新しく
ホテル竜飛の前に停めたりとかいろんな形がありますので、これもまさに地元の皆様とお話になるかと思います。
駅につきましては、どこの駅を整備するか、これは我々から例示として使われなくなった駅ということを話してございますので、それ以外にも例えば待合所がここに必要だとかいう話があれば、そちらになる可能性もございます。まだ現時点で決まったものじゃないという御理解をいただければと思います。我々は地元と一緒になってお話をしていったうえで、決してJRが独断で進めることがないということは御安心いただければと思います。
◯吉田委員
ありがとうございました。是非地元と県ときちんと話をして、駅舎の利活用についても、検討して進めていただきたいと思います。
以上で私からの質問を終わります。
◯阿部委員長
ほかに質疑はございませんか。
ないようでありますので、これをもって、質疑を終わります。
参考人の
大森支社長及び井上部長におかれましては、お忙しい中、当委員会に御出席、誠にありがとうございます。
また、委員の質問に丁寧に御対応いただき、委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
東日本旅客鉄道株式会社には、沿線地域からの要望に応え、地域の
公共交通を担う事業者として責任ある対応をお願い申し上げます。
また、今回の事例が県内外の他路線の前例になってはならないと考えます。県執行部には、引き続き県議会との連携を密にして、
地域公共交通の主体となる鉄道輸送の維持・確保に取り組んでいただくことを、強く要望いたします。
執行部から何かございませんか。──副知事。
◯小谷副知事
本日の御議論の中で、
JR津軽線の蟹田以北のこれまでの
検討過程、
JR東日本による
自動車交通転換案、今後の進め方などについて、様々な御意見や御提案を頂戴したところでございます。
県としては、本日の
特別委員会の御議論も踏まえながら、今別町と
外ヶ浜町、そして
地域住民が理解、納得できる利便性・持続性の高い交通ネットワークの構築に向け、今別町、
外ヶ浜町を後押ししてまいりたいと考えております。
また、本県のJR在来線の輸送サービスの維持・確保について、引き続き、県議会の皆様と連携しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
◯阿部委員長
ただ今の副知事の発言や、当委員会の本日の議論を踏まえ、
東日本旅客鉄道株式会社の対応を注視していくとともに、JR在来線の輸送サービスの確保などに向け、強く取り組んでいきたいと考えております。
以上をもちまして、新幹線・
鉄道問題対策特別委員会を終わります。
○終 了 午後3時37分...