ツイート シェア
  1. 青森県議会 2013-08-21
    平成25年商工労働観光エネルギー委員会 本文 開催日: 2013-08-21


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ○開 会  午前11時02分 ◯高橋委員長  ただいまから、商工労働観光エネルギー委員会を開きます。  慣例により、会議の記録署名委員を指名いたします。  小桧山委員、横浜委員にお願いいたします。  本日の審査案件は、特定付託案件であります。  なお、審査の順序は、商工労働部・観光国際戦略局関係エネルギー総合対策局関係の順に行いますので御了承願います。  それでは、商工労働部・観光国際戦略局関係の審査を行います。  はじめに、執行部から報告事項があります。──馬場商工労働部長。 2 ◯馬場商工労働部長  それでは、オーダーメイド型貸工場の運営につきましては、適宜適切に県議会に報告するということとされてございますので、今回、お手元に配付してございます、「オーダーメイド型貸工場のリース料改定に係る協議の申し入れについて」ということで、御報告させていただきます。  去る7月1日、株式会社ANOVAから公益財団法人21あおもり産業総合支援センターに対し、事業用定期建物賃貸借契約書第5条の規定に基づくリース料改定に係る協議の申入書が提出されました。  申入書においては、第2期、平成24年7月から平成25年6月については、昨秋以降の中国での日本製品不買運動などの影響により、11月以降の受注が低迷し、赤字決算となる見通しにある。このため、出資企業等による支援を受けながら、積極的な営業展開による新規顧客開拓新規アプリケーションの開発及び量産化、カラーフィルターの生産継続、人員の出向等による固定費の圧縮などに取り組んでいる。  今後は、受注の増加が期待されるタッチセンサーパネルや有機ELの受注拡大に向けた技術開発、収益性の向上を図るために必要となる設備投資、管理体制を強化するための人材投資等を行い、経営基盤の強化を図っていく。  これらの内容に取り組むため、平成25年7月から3年間における貸工場のリース料について、平成25年7月から1年間は月額300万円、平成26年7月から1年間は月額500万円、平成27年7月から1年間は月額700万円に減額して欲しい旨の内容となっています。  申し入れを受けて、同センターでは、専門家や関係機関等で構成する「オーダーメイド型貸工場事業経営状況等点検会議」を7月8日及び8月7日に開催し、その内容について慎重に検討した結果、同会議からは、同社は本年6月に第2期を終えているが、外部環境等の要因に加え、創業期にあることも勘案すると、同社が経営基盤の強化に取り組んでいくためには、リース料の負担を当面の3年間、立ち上がり時期と同程度に軽減することが必要であるとの見解が示されました。  経営状況等点検会議は、同社の設立以降、経営状況を点検評価し、助言、指導のほか、経営課題等の対応について検討を重ねてきた経緯があり、最も実情を把握していることから、県及び同センターでは、同会議の検討結果を踏まえ、具体的には次のように対応したいと考えています。  同社は本年6月に第2期を終えているが、外部環境等の要因に加えて、創業期にあることを勘案し、同社が経営基盤の強化に取り組むための措置として、リース料を減額する期間については、当面の3年間とすること。
     変更後のリース料については、平成25年8月からの1年間は立ち上がり時期のリース料である266万7千円と同程度の金額となる月額300万円とし、以後、平成26年8月から1年間は月額500万円、平成27年8月から1年間は月額700万円とするが、減額した分については後年度のリース料に上乗せし、支払総額等を変えずに回収すること。  なお、今回のリース料の減額は、オーダーメイド型貸工場事業に係る県からの同センターに対する貸付金の返済スケジュール等には影響を及ぼさないものであること。  県としては、貸工場の安定的な利用を確保して、リース料総額の計画的な徴収を継続し、これまで培ってきた技術の発展、雇用の維持・拡大を図っていくことがトータルとして県民利益につながるものと考えています。同センターにおいても、県と共通認識のもと、今回の申し入れを了承する手続きを進めたいとしています。  以上でございます。 3 ◯高橋委員長  それでは、ただいまの報告事項及び特定付託案件について審議を行います。  質疑は議題外にわたらないように簡明に願います。  なお、答弁者は挙手のうえ、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。  質疑はありませんか。──寺田委員。 4 ◯寺田委員  オーダーメイド型貸工場のリース料の改定に係る協議の申し入れについて、今、部長から報告を聞きましたけれども、今日の新聞報道でも報道されておりましたが、約1年半でリース料の減額の申し入れがあったと。県民負担を生じさせないという考え方からすると、将来、本当に県民負担を生じないように達成できるのか、大変不安に思うところでありますけれども、ANOVAから申し入れを受けて、会議を2回開催したという説明でしたが、もう少し具体的にどのような対応をしたのか、まず1点、お伺いいたします。 5 ◯前多産業立地推進課長  ANOVAからの申し入れが、去る7月1日に行われまして、同センターでは、専門家、関係機関等で構成します、オーダーメイド型貸工場事業経営状況等点検会議を7月8日及び8月7日に開催いたしました。  両会議での内容としましては、第2期のANOVAの経営状況について、それから今後の計画等についての説明等がなされたところでございます。 6 ◯寺田委員  第2期の決算見込みが赤字決算となると、先ほど御説明いただきましたけれども、どの程度の赤字決算となる見込みなのか、お伺いいたします。 7 ◯前多産業立地推進課長  ANOVAの第2期での決算等についてですが、今後、開催されます株主総会において最終的に決算が確定しますが、去る7月8日及び8月7日に開催されたオーダーメイド型貸工場事業状況等点検会議においては、株式会社ANOVAから第2期、平成24年7月から25年6月までの決算見込みについて報告がありました。  同社からは、昨年の7月から10月までは生産状況は概ね順調に推移したが、11月以降は、中国等での日本製品不買運動等の影響により、日系企業の生産調整が続き、受注が大きく減少した。3月以降は、徐々に受注が回復しているが、売上高については、約12億4千万円、経常損益は約1千万円の赤字となる見込みであるという報告があったところでございます。 8 ◯寺田委員  1千万円の赤字と。今回減額した分については、後年度のリース料に上乗せをし、支払い総額を変えずに回収をしていくということですけれども、将来のANOVAの売上げ規模はどのように見込んでいるのか。そして、どのような事業に取り組んでいこうとしているのか、お伺いをいたします。 9 ◯前多産業立地推進課長  企業側からの報告によりますと、第2期は12億4千万円の売上げですが、第3期につきましては、約17億7千万円の売上げを見込んでいるとのことです。  損益についても、第3期から黒字を確保したいという計画となっております。  また、今後どのような事業に取り組んでいくかですが、株式会社ANOVAにおきましては、今後、受注の増加が期待されておりますタッチセンサーパネル、また、有機ELの受注拡大に向けた技術開発、収益性の向上を図るための設備投資を行っていきたいとのことです。 10 ◯寺田委員  では、ANOVAの今後取り組む事業を、県として、どのように考えているのかお伺いいたします。 11 ◯前多産業立地推進課長  今後の事業の取り組みに対してですが、21あおもり産業総合支援センターでは、専門家や関係機関等で構成します、オーダーメイド型貸工場事業経営状況等点検会議を2度開催し、今後の事業計画を慎重に検討しましたが、同会議からは、株式会社ANOVAは6月に第2期を終えているが、外部環境等の要因に加え、まだ第2期が創業期にあることも勘案すると、同社が経営基盤の強化に取り組んでいくためには、リース料の負担を当面の3年間、立ち上がり時期と同程度に軽減することが必要であるとの見解が示されたところでございます。  県としましては、今後とも、21あおもり産業総合支援センターと連携し、点検会議を通じて、同社の経営上の課題について助言を行うほか、業界に精通した県の企業誘致顧問やアドバイザーの協力を得ながら、業界動向に係る情報提供や事業環境の変化に対応した生産体制についてアドバイスを行っていくなど、同社の経営安定化が図られるように対応してまいりたいと思います。 12 ◯寺田委員  それなりの雇用も生まれているはずであります。これは認めざるを得ないんでしょうけれども、県民負担が生じないように徹底した取り組みをしっかりとしていただきたいと要望をして終わります。 13 ◯高橋委員長  ほかに質疑はありませんか。─古村委員。 14 ◯古村委員  まず、貸工場制度の初期投資はいくらであって、それから平成23年度当初予算を審議する議会であったのか、10億円追加融資すると。この辺の流れをもう少し、金の件を確認をしたいんですが。流れをお知らせいただければと。 15 ◯前多産業立地推進課長  オーダーメイド型貸工場事業については、当初、平成13年から事業をスタートしておりますが、初期の投資としましては、工場、建物、生産機械設備、合わせて89億円の設備投資となっております。  当初、利用していた企業は、株式会社AISですが、株式会社AIS破産申立手続きを行いまして、その時点での残高は20億6,200万円ほどとなっております。  以後、株式会社ANOVAにより、オーダーメイド型貸工場事業が決まりまして、その後の事業に引き継いでいます。 16 ◯古村委員  確かに、まだ、県でつぎ込んだ金が残っているとしても、やはり商売に係るわけなので、当然、リスクというのは出てくるだろうし、この引き際というのが、ある意味では県の判断は間違ってあったのではないのか。  何か、この貸工場イコール今のANOVAは、県有工場みたいになっているのではないか。ただ先延ばし、先延ばしということで、段々泥沼に足を突っ込んでいく、そういう気がしているところです。  あれだけ前の議会でも多くの批判なり問題意識が出されて、ある意味では、蝦名副知事が平成23年6月で辞任をしているという経過もあるわけなので、そういう点をもっと総合的に判断をして、県の方では引き締めを図らなければならないという考えを持っています。  具体的に今の報告についてお尋ねをしていきます。  中国の不買運動云々というのがありますけれども、中国との関係なんですが、むしろ今後も、今の安倍政権によって歴史観の違いとか、あるいは、敵視政策みたいな関係、それと中国国内の経済混乱、益々経済的に混乱していくのではないか。こういうことを考えれば、中国を相手にした商売というものは、段々ひどくなっていくのではないかという感じさえするわけです。  具体的に、中国向けは全体の何割取り引きをしているのか。金額にしてどの程度なのかについてお尋ねをします。 17 ◯前多産業立地推進課長  株式会社ANOVAにつきましては、直接、中国の企業との取り引きはございません。全て、国内の企業との取り引きですが、中国の不買運動の影響と申しますのは、中国の不買運動等が発生した時点で、国内の自動車メーカー、あるいは家電機器メーカーが全体的に受注が落ち込みまして、その時点で生産に一部調整が掛かったものなどの影響が当社に波及したものと考えられております。 18 ◯古村委員  この会社は自動車よりも携帯電話の部品ではないの、違いますか。 19 ◯前多産業立地推進課長  携帯電話やスマートフォンのほかにカーナビ等のタッチパネルといった部品の生産がございますので、携帯電話に限らず、国内の全体的なパネルのパーツを扱っていると考えていただいてよろしいかと思います。 20 ◯古村委員  直接中国との取り引きではないということだったら、なぜこのリース料が払えないのか。何か腑に落ちないというか、もっと根本的な原因があるのではないかという感じがするんですが。 21 ◯前多産業立地推進課長  中国の影響が国内のメーカーに及んだ場合、国内のメーカーが生産を一部抑制しますと、ANOVAに対する発注も若干減少する部分がございまして、その影響が、今の決算期の売上げが当初予定していた売上高までいかなかった原因と考えます。 22 ◯古村委員  アベノミクス効果とか何とかで、随分景気が良くなって消費税率を上げるべきかというのが、今、焦点になっているようですが、このANOVAにもある程度、僅かでも良い意味での影響が出ているのではないかと思いますが、その辺の受注というのか、販売というのかの見込みもお知らせいただきたいと思います。 23 ◯前多産業立地推進課長  当社におきましては、3月以降、徐々に受注は回復の兆しにございまして、11月から2月、3月までは非常に厳しい状況ではございましたが、その後は、回復基調にあると聞いております。 24 ◯古村委員  では、なぜ1千万円を300万円に7割減額、免除というか、猶予するんですか。  300万円を免除して700万円、あるいは500万円でもいいんではないの。  言ってみれば、1千万円から700万円を猶予して300万円にするんだったら7対3の割合で殆ど再建の見込みがないんではないの。  5割と言うなら、まだどっちつかずという感じはしますけれども。全く受注の見込みも不安定で、見通しもつかないから300万円にしたんでないの、この金額の猶予の仕方をみれば。 25 ◯前多産業立地推進課長  今般、初年度300万円と設定しておりますが、この額は、オーダーメイド型貸工場でANOVA社が事業をスタートした時点の266万7千円という立ち上がり時期の数字とほぼ同額となっております。  これは、第2期の決算におきまして、同社はやはり創業期にあるというところから、スタート時点とほぼ同額のリース料設定で事業を進めたいとの計画によるものでございます。 26 ◯古村委員  合弁企業が設立したことによって、経営基盤の安定化や営業力の強化が図られるものと判断したと平成23年6月議会で知事も述べているわけだけれども、それが1年半も経たないうちに計画の見直しをする。さらに3年間延ばす、これが立ち上がり時期だからという。私が前に聞いてのは、立ち上がり時期の3年間が大切だ、という答弁を、前の副知事だか誰か分からないけれども、その印象があるんですが、それがまた通算で4、5年、5、6年に延びるわけですか。 27 ◯前多産業立地推進課長  株式会社ANOVAでは、本年6月に第2期を終えましたが、外部環境等の要因もございまして、いまだ創業期にあることも勘案してリース料負担を当面3年間という期間で設定し、同社の3年間の計画を立てながらリース料の減額を要請されたものであります。 28 ◯古村委員
     やっぱり先端産業は、流行ったり廃れたりが速いと思うので、それに関して、また3年間延ばすというのがどうなのかという感じはします。  それから、知事の言葉ですが、ANOVAは、国内大手電機メーカー等の出資により、資本金2億2千万で設立したとあえて知事が言っていました。大手電機メーカーからは特段、資金面での支援とか、そういうものは考えていないものですか。 29 ◯前多産業立地推進課長  出資された関係各社とは、それぞれ関係はありますが、関係企業の個別の支援内容については、株式会社の経営に係る事項ですので、企業側の公表判断によるものと考えますが、出資企業等からは、相応の支援がなされているとのことです。 30 ◯古村委員  今回の報告書では今後、技術開発、設備投資、人材投資を行うとしていますが、リース料を7割も免除してくれというのに、そういう技術開発したり、人材投資したり、設備投資したりする余裕はあるんですか。原資みたいなものはあるんですか。 31 ◯前多産業立地推進課長  ANOVAが取り組む技術開発、設備投資等の各種対策ですが、それらを実施するためにも、今回のリース料軽減が必要ということで事業計画を組んでおります。  一部、設備投資に関して期待しておりますのは、今後、当社が発展していくためにも、今のまま同じことを続けていてもなかなか厳しいという状況もありますので、新たなものにも取り組みながら事業を拡大させていきたいとの思いでございます。 32 ◯古村委員  報告書では経営状況等点検会議が最も経営の実情を把握している、と書いていますけれども、最も実情を把握している経営状況等点検会議は、きちんと3年後には軌道に乗るという議論がなされて企業の方から提出をされた猶予を認めると。2回も開いて、そういう結論になったということなんですか。 33 ◯前多産業立地推進課長  点検会議での検討につきましては、リース料の減額を要請した理由、それから決算見込み、そして何より今後の事業計画、資金計画などにつきまして、2回に渡って総合的かつ慎重に検討を行っております。  その結果、当社は本年6月から第2期を迎えておりますけれども、リース料の負担を当面、立ち上がり時期と同程度にすることが必要であるとの見解が示されたところです。 34 ◯古村委員  経営状況等点検会議というのは、全くのど素人でなくて、それなりに複式簿記とか、複式会計なんかもきちんと読み取れる人達が参加しての会議だとは思うんですけれども、それにしても1年半で立ち上がりの計画を変更せざるを得ない。しかも、企業の申請どおり猶予していく。何か言いなりみたいな感じで、おざなりに付き合っているんではないか。企業に対して、厳しい事柄なんかを羅列しているものなんですか。 35 ◯前多産業立地推進課長  点検会議におきましては、さまざまな指摘事項がございまして、ANOVAにおける製品種別ごとの利益率を把握してくださいとか、あるいは売上高と人員配置のバランスをとってくださいと。また、出資企業と連携を強化しましょうとか、あるいは、提案型営業を展開する、市場等の分析の実施などを行うようにアドバイスがなされております。 36 ◯古村委員  この点検会議の議事録はとっているものなのか。とってあるとすれば、我々に提供できるものなのか。 37 ◯前多産業立地推進課長  議事録につきましては、会議の度ごとにとってはおりますが、会議の内容につきましては、経営の内部に係る事情もあり、各種数字等も出て参りますので、必ずしも全てお示ししているものではございません。 38 ◯古村委員  では、不都合な数字なんかは潰せばいいんではないの。だから、全面不開示なのか、部分開示なのか、全面公開できるのか、その辺お尋ねします。 39 ◯前多産業立地推進課長  基本的には開示でございますが、開示して企業に不利益の出る部分等につきましては、開示できないものと考えております。 40 ◯古村委員  企業の不利益よりも、今は県民の不利益になるかどうかという議論をしているんでしょう。だから、点検会議で議論されたことを我々にも公表をして、初めてどういう事態になっているか、これからさらに支援すべきなのかという議論が前に出ていくんではないかと思うんですが、まず、私は議会に報告をし議論をさせる以上、最も実情を把握している経営状況等点検会議の議論内容について、公表を求めます。  それから、これだけ世界がグローバル化し、競争が激しくなっている中で、3年後にまたリース料が払えるという根拠、どうして3年後なのか。当分の間、300万円でいくというなら分かるけれども、前回、繰り返したミスをまた期間を区切って300万円とか500万円とかってやっていくというのは、県は自信があるからまた3年間リース料の猶予をあげていると思うんだけれども。果たして、リース料を3年後には払えるという根拠が、もしもありましたらお示しをいただきたい。 41 ◯前多産業立地推進課長  減額期間の3年間につきましては、同社が経営基盤の強化に取り組むための当面の3年間ということで設定しております。  3年後につきましては、予断を持って申し上げることは困難ですが、県としましては、引き続き21あおもり産業総合支援センターと連携しまして、オーダーメイド型貸工場事業経営状況等点検会議を通じて、同社の経営上の課題について助言を行っていくほか、業界に精通しました県の企業誘致顧問のアドバイザーの協力を得まして、適切なアドバイスを行っていきたいと考えております。 42 ◯古村委員  3年間減額すれば、3年後からは払えるというけれども、そこには1千万円とかという額は、特に明示していないんだよね。平成27年8月から1年間は月額700万とするが、減額した分は後年度リース料に上乗せしとなっていますが、平成27年8月から1年間は700万円とすると。1年過ぎたら幾らにするのかというのが明示されていない。前は1千万円ということで、今年の7月から1千万円になっていますが、この辺が物足りないんだけれども、では1年間、700万円を経過すれば、その後はリース料はどれぐらいになるのか。 43 ◯前多産業立地推進課長  平成25年8月から26年7月までが300万円、平成26年8月から平成27年7月までが500万円、平成27年8月から平成28年7月までが700万円、その後の平成28年8月から平成43年3月分までは、1,308万6千円の予定でございます。 44 ◯古村委員  そこを何で報告書に載せなかったの。あえて、ここに書かれていないのは。 45 ◯前多産業立地推進課長  今回の報告では、現在、減額する幅の3か年の計画について記載しておりまして、リース料総額は変えずに徴収することとされておりますので、残りにつきましては、各年度に割り返して均等割り徴収する計画でございます。 46 ◯古村委員  実際は、後年度負担が重くなっていくわけで、しかも取り巻く環境は厳しくなっていくし、不透明だし、確実性はないし、むしろ経営の重荷になっていくのではないのかと。だから、県の方もあまりきれいごとを言わずに、あとに被せるとかしないで、まけると。県も応分のリスクを負うやり方も検討してみていいのではないかと、そういう感じがします。  それから、もう1つ引っ掛かるのは、オーダーメイド型貸工場に係る県からの同センターに対する貸付金の返済スケジュール等には影響を及ぼさないのか。県職員は人事異動があるから、自分のいる間は迷惑掛けないとか、県民負担は及ぼさないとかって、格好良く喋るけれども、3年か4年すれば異動するわけだ。だから、結果的には公社みたいにおかしくなっていくんではないかと思うんだけれども。今回のリース料の減額は21あおもり産業総合支援センターから県に返ってくる返済に影響を及ぼさないというけれども、21あおもり産業総合支援センターには、ストックしているお金があるものなんですか。県で丸抱えなんではないの。 47 ◯前多産業立地推進課長  21あおもり産業総合支援センターによりますと、利用企業の安定的な事業運営を確保するために、貸工場で今後必要となる修繕費用などの支出を考慮しまして、当面は県への貸付金の返済額がリース料収入を下回る設定となっておりまして、このことから、貸付金の返済スケジュール等には影響は生じないこととなっております。 48 ◯古村委員  県と21あおもり産業総合支援センターは、私は一体だと思います。ある意味では、本来県でやるべきことを、身軽に動けるということもあるだろうし、21あおもり産業総合支援センターに委託してやらせていると思っています。  従って、21あおもり産業総合支援センターのお金は、いってみれば県民のお金ではないのかと。だから、21あおもり産業総合支援センターから県に対して貸付金は返ってくるから影響はないという書き方をされれば、県民のお金という認識が、私達と県とで違うのかなという感じがします。  それから、先ほどから何回も平成23年2月議会、6月議会での知事の提案説明に触れているわけですが、議会では、サンテックへの売却も含めていろいろ批判が出され、反対もあったりして、結果的には自民党が賛成をして、9億円の追加融資を認めたわけだけれども、その回収も殆ど終わらないという中で、今のような事態になったのは、いってみれば知事がした判断は、誤った判断ではなかったのかと思いますが、その辺の見解についてお尋ねします。 49 ◯馬場商工労働部長  今回のANOVAから出ました賃料の改定は、まず第1点、基本的には、現在、締結しております事業用定期建物賃貸借契約書第5条の規定に基づく変更の料金の改定でございます。従いまして、そもそも料金の改定については想定してきているということが前提でございます。それともう1点、今回、中国市場の不買運動等、まさに当初、想定していなかった事案等が出てきたことが一番大きなことでございます。ただ、最終的には26億のリース賃貸料の総額については、全額、賃貸企業であるANOVA社から回収させていただくということで、ANOVA社との契約の中でしっかりと謳っておりますので、そこは相互の理解の上での今回の改定の取り組みでございます。やはり企業の経営ですのでさまざまな動きが出てくるということは、当初から私共の方も、賃借人であるANOVA、それから建物所有者である21あおもり産業総合支援センターにございますので、今後とも、その3者の中で十分に連携を図りながら、最終的には県民に新たな負担を強いない形でこの事業については慎重に進めていきたいと考えております。 50 ◯古村委員  中国市場というのは、他の新興国家も台頭してきていることから、益々これからは不安定な要素はあるのではないかと、私はみるんだけれども、そういう点を踏まえていけば、今の部長答弁はどうなのかなという感じがします。  この件に関する最後の質問になります。今朝の新聞では、経営不振という言葉が使われていますが、ANOVAは不振企業と言えるのか、そこについて1点、お尋ね申し上げます。 51 ◯馬場商工労働部長  最終的な決裁については、今月に予定されております株主総会での決算書を見てからになりますが、赤字が出ているところからすると、ある意味、当初の計画どおり、予算の達成ができていないことになりますので、不振というよりも、結果として赤字決算書になったということは事実だと見ております。  それから、中国市場でございますが、今回、ANOVA社とのさまざまなお話の中で、今後は中国市場ではなく、車載登載のパネル市場ということで、アメリカ市場、それからヨーロッパ市場、これは合弁会社である翔栄さんとの連携の中で、そういう幅広いマーケットをにらんだ形の事業展開をこの3か年間の中でしっかりと基盤をつくっていくことになっておりますので、そういう意味からすると、古村委員の御心配されている中国一辺倒ということではない事業計画になっていると聞いているところでございます。 52 ◯古村委員  これは、アンデスという会社との関わりもそうでありましたけれども、本県としては、企業の経営不振といいますか、いわゆる不振企業等に対してどこまで救済をしていくのか、この辺をある程度整理しないと、益々のめり込んでいってしまう。  だから、あのアンデスなり、今回のANOVAを含めて、そろそろしっかりとした議論をして、手を引く時は引く、そこを考えないと、泥沼に入ってしまう。不振企業に対してどこまで救済の手を差し延べるのか。いずれはきちんと県の方から見解を聞きたいと、そう思っているところであります。  では、通告しています県内商工会の現状についてであります。  私が県議会議員に立候補する動機になったのは、浪岡が青森市に合併されたからであります。その時の旗振りをしたのが商工会であります。その怨念というのは、当時はありましたが、今は合併して10年近くになりますと、農協も合併して青森に来てしまっている。浪岡商工会は合併しても商工会議所と浪岡では、浪岡商工会ということで併設されて残っていますけれども、役場も無くなって商工会が当時の役場がやってきた活性化事業というか、祭りというか、イベント事業をやってます。  そういう意味では、青森市の行政機関はありますけれども、行政機関が殆どなくなって、地元のこまめなイベントにはタッチしなくなっている中で、商工会が奮闘している。そういう現状の中で、これからの県内の商工会、浪岡以外にも合併してもその地域に商工会の支所とか、商工会そのものもまだ結構あります。そういうことから、県内商工会の現状について、特に、会員数はどうなのか、あるいは職員の状況、これらについてお尋ねを申し上げます。 53 ◯田中商工政策課長  県内の商工会の数は、平成15年度末、これは本県の市町村合併の直前ですけれども、その時点で60団体ありました。平成16年4月合併第1号として五戸町と倉石村の商工会が合併してから、昨年、平成24年4月の岩木町と相馬村の商工会合併に至るまで計12件、29団体が合併したことにより、現在、42団体となっております。  また、県内商工会全体の会員数ですが、平成15年4月1日現在で15,235人であったものが、平成25年4月1日現在で12,179人となり、10年間で3,056人、約20%減少しております。  さらに、人件費の補助対象となっている職員数、ほぼ全職員数でございますが、県内商工会全体で平成15年4月1日現在、商工業者に対して税務、労務などのさまざまな指導を行う経営指導員が92人、その補助を行う補助員が61人、簿記の資格を持って記帳指導を行う記帳専任職員が86人、事務局長が54人の合計293人であったものが、平成25年4月1日現在で経営指導員が74人、補助員が48人、記帳専任職員が61人、事務局長39人の合計222人となっておりまして、10年間で71人、約24%減少しております。 54 ◯古村委員  商工会への国からの補助金の割合、あるいは県や市町村からの補助金の割合、会費、記帳指導とか、あるいは融資の手続きとか、こういう手数料の割合はどういう構成になっているものでしょうか。 55 ◯田中商工政策課長  平成24年度の商工会予算を収入項目別状況でみますと、県内商工会全体で収入に占める県補助金の割合が49.2%、国や市町村補助金が16.1%、上部団体であります県の商工会連合会補助金及びその他の助成金が0.3%、残り自己負担金が34.4%となっております。その自己負担金の内訳ですが、会費が10.9%、手数料が8.6%、その他が76.5%となっております。 56 ◯古村委員
     県補助金は国からくるんでしょう。地方交付税措置されたと聞いたりしたんですが、今現在はどうなっているんですか。 57 ◯田中商工政策課長  平成25年度の商工会の補助金の内訳についてですが、委員がおっしゃるとおり、以前は国からの補助金として交付されておりましたが、平成18年度からは国の三位一体改革で税源委譲がされておりまして、全て一般財源化、交付税措置されております。 58 ◯古村委員  今年度の県の商工会連合会を含めた県の補助金の総額というのは、幾らぐらい予算化しているんですか。 59 ◯田中商工政策課長  平成25年度当初予算における補助金の計上額は、15億7,220万円で、最近5か年の推移をみますと、徐々に減少している状況となっております。 60 ◯古村委員  やっぱりそうだと思うな。一般財源化すれば、県の方でも、と思う。  それで、これから県としては、商工会の合併を進めていくという考えを持っているのかどうかも含めて、これからの商工会のあり方、県はどのように考えているのかをお聞きするわけですが、私から見れば、行政が合併して広域化していくよりも、むしろ経済団体である商工会等が本来は行政以上に先に広域に合併して事業を手掛けていくというのが、商売、経済から見れば当たり前ではないのかなとずって思っていたんですが、実際は、青森、浪岡を見ても行政の方は合併して大きくなった。しかし、商工会議所と商工会がそのまま存置しているというところを見れば、合併しても、商工会が残らなければならないという事情というのはどこにあるのかについて、まずお聞きしたいと思います。 61 ◯田中商工政策課長  合併に至らずに、なお合併していない所がある事情ということでよろしいですよね。御指摘のとおり、行政が合併すると同時に商工会合併ということもあるかもしれませんが、基本的に商工会は自主的な組織ですので、それぞれの事情があろうかと思います。  ただ、その事情として聞いているのは、商工会の地理的状況ですとか、あるいは合併することによりサービスの低下が危惧されるとか、あるいは、地理的に離れたところが合併すると、会員が離れていくのではないかという危惧などが課題として挙げられていると思います。 62 ◯古村委員  それで、冒頭申し上げました商工会のあり方は、県はどのように考えているのかと。前回、五所川原市金木に行った時も金木の商工会の人からお話を聞きました。その時は、金木の商工会の事務局長だと思いますが、「かなぎ元気倶楽部」というNPO法人を立ち上げていまして、三味線会館や駅舎を指定管理者制度で請け負ったり、御飯を食べるところもつくっていると。こういうことで、商工会を核にしてNPO法人として活動していることに、凄く興味を持ったわけです。これらを含めて、今後の商工会のあり方について県の方からお伺いをします。 63 ◯田中商工政策課長  商工会のあり方、幅が広いと思いますが、御指摘の合併、広域連携についての考え方を申し上げます。  ここで申し上げます広域連携というのは、合併に至らないまでも、複数の商工会が連携協定書などを締結して、協力して広域的に事業者に対する経営指導等を行う体制と考えておりまして、先ほども申し上げましたが、商工会は商工業者の自主的な組織でありますので、商工会の合併や連携、広域連携につきましては、基本的には各商工会の意思に基づいて自主的に決定すべきものと県では考えております。  一方、会員数の減少と商工会を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、会費収入の減少等による厳しい財政運営を強いられる商工会も多いことから、県としましては、合併等は商工会の運営基盤強化の有効な手段と考えまして、これまで商工会における合併等の取り組みに対して支援を行ってきたところです。  今年度におきましても、商工業者の経営の安定と振興を図ることを目的とした小規模事業経営支援事業費補助金により、広域連携等対策事業等を実施しております。  この中で合併や広域連携を検討している商工会を対象に、広域巡回指導、合併広域連携に向けた調査研究事業、及び広域事業による新たな商品の開発・販売等の取り組みに対し支援を行っているところです。  県としましては、商工会が今後益々高度化、多様化する会員ニーズ、市町村行政や地域経済活動の広域化、さらには創業経営革新といった、より専門的な政策課題に迅速かつ的確に対応していくためには、商工会自体の事業、人員の一層の効率化と運営基盤の強化が不可欠であると考えておりまして、引き続き商工会における合併や広域連携の取り組みを支援して参ります。 64 ◯古村委員  次に、創業・起業支援についてお尋ねをいたします。  新聞に昨年度143人が創業・起業支援があったと載っていました。15人が起業したということであります。結構、多いのではないかという印象が正直なところです。断念した人達はどういう理由で踏み切れなかったのか、その辺についてまずお尋ねをしたいと思います。 65 ◯福田地域産業課長  創業・起業希望者に対して伴走型の支援を行っております、公益財団法人21あおもり産業総合支援センターによると、起業を断念した主な理由については、「資金調達面」や「ビジネスプランとしての実現可能性」といった課題が多いと聞いております。  これらの課題を解決するため、創業・起業支援の専門家であるインキュベーションマネージャーによる実現可能性の高いビジネスプランづくりを支援するとともに、金融機関からの資金調達についても指導・助言しているところです。  県としては、今後とも、伴走型の支援を通じて、創業・起業の増加に努めて参ります。 66 ◯古村委員  伴走型とは、一緒について走るという意味ですか。分かりました。まあまあ、私は全く素人なんだけれども、仮に私が若い時、役場を辞めてこういう商売をやるというと、一番先に反対するのは親だと思うんです。それから兄弟。自分たちにもかぶさるんでないかということで。  この辺の悩みというのはないものなんでしょうか。今は保証人というのはないかも分からないけれども、保証人になる人達が反対して抑えるというのは、現在ないものですか。 67 ◯福田地域産業課長  創業・起業を希望する人というのは、これまでの知識とか経験を活かして、今まで仕事をしていた中から本人の持っている夢とか、そういうものを膨らませて、最終的には創業したい、起業したいという夢を実現するということになります。  そういう意味からすると、やっぱり最終的にはその人がどういうビジネスプランをつくるのか、どういう事業を展開するのかがポイントになりまして、それを両親、周辺の人達も含めて応援するようなビジネスプランをしっかりつくれば、そういった協力者も発生しますし、そういう面ではプランの実現に向けて近づいていくと考えています。 68 ◯古村委員  「お前の代で財産を食ってしまうのか」とかいうのは昔よくあったんだけれども、やっぱり昔とそういう関係が様変わりして、今はあまりないという具合で。  今年の4月から今まで、どの程度相談件数があって、起業したのがどれぐらいの数なのか、もしもお分かりであれば。 69 ◯福田地域産業課長  7月末時点における創業・起業数ですが、公益財団21あおもり産業総合支援センターの支援によるものが7件、県内3市に設置されている創業支援拠点の支援によるものが6件で合わせて13件となっております。  前年度同時期の3件と比べると大幅な増加になっております。 70 ◯古村委員  やっぱり、今年も昨年を上回る数で、期待が持てるという具合に受け止めました。  私がこれに関心を持ったのは、実は新規就農がこのままでいいのかというのがあります。前から商工会含めて、国・県は商業にはまず手厚い手立てを講じている。それなのに、新聞・マスコミでは農家に対する補助金漬けだという記事が頻繁に出てるということから、では創業・起業者にどういう手立てをしているのかなということで、5月31日、県で合同説明会というものをやったんですが、入れ代わり立ち代わり、それぞれの団体が補助金制度とか融資とか手続きとか説明をして、20人ぐらい参加者、出席者がいたんですが、非常に清々しい気分で説明会の雰囲気を味わいました。  農業に対してもこういう説明会がやられているのだろうかと。こういう説明会をやってもらえれば、農家を志す人も相当出てくるのではないかということで、非常に良い意味での印象を持ったところです。  特に、起業した女性──デザインプランナーと言っていましたけれども、Uターンした方ですが──その人がお話をしていまして、商売とは喋らなければならない、自分を売り込まなければならない。それから、やりたいという意欲が大切だし、人との繋がりが大変重要ですよというお話をされていましたけれども、非常に印象的でありましたので、そういう点も含めて対人関係というものも起業に当たっては、ああいう相談会で専門的な人を呼んでお話をすればいいのではないかなという感じを受けたところです。  アベノミクスでも若者の創業・起業の加速をしなければならない。こういうようなことが謳ってありましたけれども、国の主な補助金や資金面の支援策はどういうものがあるのか、お尋ねをします。特に、安倍政権、自民党政権になってから何か新たなメニューを打ち出しているものなのかも併せて説明していただければと思います。 71 ◯福田地域産業課長  創業に係る支援については、平成24年度の国の補正予算である、日本経済再生に向けた緊急経済対策において、地域の需要の掘り起こしや雇用を支える事業を興す起業・創業等に要する経費について、3分の2を助成する創業補助金が設立されたところであり、本県では、既に15件の事業が採択されております。 72 ◯古村委員  先ほど、金銭的な苦労といいますか、資金面の手当てというお話がありましたけれども、商売をする以上、失敗することがあるわけなので、その時の金銭的なリスクを少しでも和らげる、軽くする手立ては、制度的にあるものなんでしょうか。 73 ◯福田地域産業課長  創業・起業するに当たっては、基本的にはビジネスプランというものをつくりまして、そのプランが実際売上げを上げ、収益を出す、そういったプランなのかということ、その中で、全体の投資に対して、どのぐらい自己資金があるか、その差額分を借入れというか、資金調達、あるいは助成金等で補うということになります。  特に日本政策金融公庫からの融資となりますと、大体、自己資金を3分の1程度用意する必要があると一般的には言われておりますので、リスクの軽減を図るためには、まずもって自己資金をある程度確保しておくということがリスクの軽減に繋がると考えております。 74 ◯古村委員  それで、創業と起業ですが、何が違うんですか。 75 ◯福田地域産業課長  創業と起業の違いは、特にはござません。要は新しく事業を始めるということで意味は同じです。  ただ、「起業」のほうは、特に最近はベンチャー起業という表現を使っておりますように、新しい事業を興す方で「起業」を使っている事例が多くなっております。  特に起業家という表現を使いますが、創業家という表現はないですね。そういう意味では、起業家を育成する。新しい事業を創造するというのが今、求められている状況にあります。 76 ◯古村委員  分かりました。では、起業家というのは、現在、企業経営していて、全く別個な事業を興すという場合も起業というわけですか。参考までに。 77 ◯福田地域産業課長  既に事業を行われている経営者の場合は、今までやっていた事業と違う新分野、新事業に新たに進出という場合、表現としては第二創業という表現を使いまして、先ほど説明しました国の補助金についても、第二創業の場合には、補助の限度額も一般の200万円より高くて500万円が限度の補助金となっております。 78 ◯古村委員  県土整備部が手掛けていますが、建設業の異業種参入は起業家とは言わないという理解でいいんですか。 79 ◯福田地域産業課長  一般的には、第二創業という表現を使うことの方が多いです。 80 ◯古村委員  それで、個人経営を起業するに当たっていろいろ県の方は、その人を見てお話をしていると思うんですが、創業・起業すれば、信用を得るために法人化の道というものを進めているものなのかどうか。法人化するとすれば、どういう法人をつくれば一番社会的な信用を得て、商売も信頼される、金も借りられるのか。  あるいは、法人化するためには、どれぐらいお金が掛かるのか。一例を挙げれば株式会社は、前はゼロ円でも株式会社を興せるというのがありましたが、株式会社を例にとれば、どれぐらいお金が必要なのかということをお答えいただければと思います。 81 ◯福田地域産業課長  委員御指摘のとおり、法人の方が対外的な信用力はあると思いますけれども、法人で事業を始めるとなりますと、まず登記の費用が必要になると思います。特に株式会社の場合は、約20万円の登記費用が必要になると言われています。  手続きの面で司法書士等に手続きを依頼する場合には、更に10万円等が必要になると聞いております。
    82 ◯古村委員  青森県をどうするのかということでは、県は企業誘致とか、原燃とか原発とか、大きなものだけ持ってこようとしている感があるんですが、やはり小商いをいっぱいつくっていった方が、もぐら叩きみたいに潰れても残るものが出てくるという具合に思うんだけれども、こういう創業・起業に県はもっと力を入れてやっていくべきではないか。特に、若者だけを対象にすべきではない。むしろ、シニア──第一線を引退した人達にむしろ創業・起業、あるいは農業も年金をもらって農業をきちんとやると。こうやった方が数はもっと増えるのではないのか。そういう意味から、これから創業や起業の増加を図っていくためには、経験と人脈、あるいは自己資金、さらには専門性──こういうものをたくさん持っているシニア世代の起業が大切ではないのかと思いますが、まず県の見解をお聞かせください。 83 ◯福田地域産業課長  日本政策金融公庫の調査によりますと、60代以上の起業割合は、平成13年度の3.9%に対し、平成23年度は6.6%と近年増加傾向にあるところです。  シニア起業のメリットとしては、委員御指摘のとおり、経験が豊富であり、人脈も多いことに加えまして、資金面についても、ある程度確保されていることなどが挙げられております。  創業・起業の増加を図るためには、これらシニア層の起業やシニア層の経験と若者のアイデアの融合なども重要と考えているところです。  県としては、創業支援拠点における伴走型支援や起業家養成研修に加えまして、委員も参加されました創業・起業支援制度合同説明、相談会の開催等を通じまして、創業・起業希望者の掘り起こしを行い、シニア世代を含めた幅広い年代における創業・起業支援の充実を図って参ります。 84 ◯古村委員  是非、お願いしたいと思います。  そして、特にシニア世代でも特に恵まれているというのは、やっぱり公務員でないかと。何千万円という退職金もあるし。家を建ててすっからかんになる人もあるだろうけれども、退職金もある、人脈もある、それから30年、40年勤めている間に農林水産部や商工労働部を回ったりして経験もあるだろうし、そういう点では、下手に再任用だのケチなやり方をしないで、退職1年前から創業・起業のシニアコースみたいなものを県庁内で系統的にやって、商売を進めていけばどうだろうかというのがあります。これは意外と受けるのではないかと思いますが、ただ本会議では喋りたくないので、委員会で喋っています。部長、どういうものなんでしょう。 85 ◯馬場商工労働部長  私もそろそろ次の道を考えなければならないものですから、委員の御意見は、非常に参考になるところでございます。  ただ、私共、職員であるうちは、まずは青森県内の中小企業の振興のために頑張っていって、60歳の定年退職以降については、それまでのノウハウをどういう形で活かすか。起業もあるでしょうし、あるいはNPO法人のようなものもございますし、様々な形で地域社会に参画をしていくということが、青森県庁職員として、青森に対する恩返しだと思っております。 86 ◯古村委員  やっぱり必要だと思うんだよ。最近、ある人から、大型客船に乗って港、港を歩くのに青森県の応募者が結構多いと聞きました。だから、私は、県庁職員だの学校の先生ばかりでないかなと思ったりしています。  だから、それよりもやはり、今、部長が言ったように、もっと地域に一緒になってやっていくという意味では、創業・起業、小商いをたくさんつくっていくというのは必要ではないのかと。真っ先に県庁から僅かでもお手本を見せるようにつくれないものかと思っているところです。  ただ、折角40年勤めて退職金をパーにしたりする、武士の商法にもなりかねないのかなという思いもしたりしているところです。  商工労働部関係の最後の質問ですが、最低賃金の引き上げについてです。  国の中央最低賃金審議会で、本年度の各都道府県の最低賃金引き上げ幅の目安を青森県にあっては10円という具合に示していますが、これに対する県の見解をお尋ねします。 87 ◯鈴井労政・能力開発課長  御案内のとおり、最低賃金制度は、国が賃金の最低限度を定め、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度でございます。  地域別最低賃金は、国の中央最低賃金審議会から示される引き上げ額の目安を参考にしながら、都道府県労働局の地方最低賃金審議会での審議・答申を経て、都道府県労働局長により決定されることとなっております。  今年度の目安については、今月7日、国の審議会で答申が取りまとめられ、委員御指摘のとおり、本県は10円と示されたところでございます。  最低賃金の水準は、地域の労働者の生計費、労働者の賃金及び事業主の賃金支払い能力を考慮して決定されることとなっておりまして、かつ、労働者の生計費を考慮するに当たっては、生活保護との整合性にも配慮するものとされておりますけれども、今回の引き上げ幅の目安につきましても、公益、労働者、使用者の各代表が、これらの要素を含め、十分な調査審議を重ねた結果出されたものでありまして、適切に示されたものと受け止めております。  青森労働局では、先月、青森地方最低賃金審議会に対しまして、本県の最低賃金の改定について諮問を行っておりまして、今後、目安を参考にしながら、地域の実情を踏まえた議論が行われこととなります。この議論を経て、本県の実情に合った最低賃金が決定されるものと考えております。  県としては、青森労働局と連携しまして、決定された最低賃金額の周知徹底を図り、本県の働く方々の生活の安定を図って参りたいと考えております。 88 ◯古村委員  今、課長が、目安額10円が適切に示されたという具合に私は受け止めたのですが、そういう意味でよろしいんですか。 89 ◯鈴井労政・能力開発課長  賃金額10円と示されましたけれども、公労使の各代表が必要な要素を十分考慮して調査審議を重ねた結果出されたもので、適切に示されたものと受け止めております。 90 ◯古村委員  ただ、生活保護との逆転現象が起きている2円というのが新聞に載っていましたが、逆転現象があるにも関わらず、県内の中小零細企業主は、最低賃金の引き上げに当たれば抵抗すると。全国的にもそういうことがあったからこそ、厚生労働大臣がわざわざ審議会に出席をして、介入していると思いますし、アベノミクスの当初は、総理大臣自らが給料を上げろということで大企業に要請をしたりしているわけです。その辺に関して、県としても、知事を先頭に立てて経営者側と話し合いをするとか、そういう予定はないものでしょうか。 91 ◯鈴井労政・能力開発課長  中央最低賃金審議会の答申によれば、本県では最低賃金額が生活保護水準を下回っておりまして、その乖離額が2円とされておりますので、目安どおり、本県の最低賃金が10円引き上げられれば逆転現象は解消されるものと見込まれます。  賃金水準の向上につきましては、所得増加による労働者の生活の安定に寄与するだけでなく、消費増を通じた需要の喚起による地方経済の活性化にもつながると考えられまして、重要な課題であると認識しております。  一方で、小規模・零細企業が大宗を占める県内の中小企業にとって、最低賃金引き上げに伴う経営・雇用への影響が懸念されるところでございまして、円滑な最低賃金の引き上げを県内中小企業が行うためには、生産性向上による労働コスト吸収や売上増加を図る必要がございます。  県としては、これまでも県内企業の経営革新、技術開発、販路拡大などの企業活動の各種支援に努めてきたところでございますが、引き続き支援策の充実を図りまして、まずは企業の収益力向上を通じて、県内における賃金水準の向上を促進して参りたいと考えております。 92 ◯古村委員  最低賃金の労使の話し合いをこのまま黙って見守っているだけでは、下手をすれば2円か3円ということで、せいぜい逆転現象を解消するだけの金額というのもあります。  そうなれば、今の内閣が掲げていますデフレからの脱却というのも難しいだろうし、中小零細の企業主にとっては大変かと思いますけれども、やっぱり10円丸々上げるということによって、県内も活気づくのではないかと思いますし、私がつくっているリンゴも高値が期待できるのではないかと思いますので、県知事を先頭にして、やっぱり環境整備を図るべきではないかと。  ただ単に生活保護の逆転現象を解消するというだけではなく、そういう点で、今、課長から答弁があったように、収益力の向上・回復を図るといっても、これはなかなかすぐにはできないという悩みがあるだろうし。ですから、ここはむしろ先に最低賃金を引き上げるということで、県が主導権を取ると。特に、最近の労働組合というのは、どうも陰に隠れて自民党の総裁だの総理大臣が賃上げするという、私には考えられない世の中になって、労働組合はストライキも何も抗議集会もやらないという様変わりなんで、ここは是非とも最低賃金10円、目安額満額獲得のために知事が先頭に立つべきではないのかということを機会があれば部長の方からでも知事に申し上げて、4期目の選挙に臨むということにしていただければ良いかと思います。終わります。 93 ◯高橋委員長  ほかに質疑はありませんか。  [「なし」と呼ぶ者あり]  ないようでありますから、これをもって商工労働部・観光国際戦略局関係の審査を終わります。  午餐のため暫時休憩いたします。  なお再開は、1時30分からといたします。 ○休 憩  午後0時28分 ○再 開  午後1時32分 94 ◯高橋委員長  休憩前に引き続き、委員会を開きます。  エネルギー総合対策局関係の審査を行います。  特定付託案件について審議を行います。  質疑は、所管外にわたらないよう簡明に願います。  なお、答弁者は挙手のうえ、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。  質疑はありませんか。──古村委員。 95 ◯古村委員  この間、県内調査で初めてITERの六ヶ所村の現場を見ることができました。それを参考にしながら、ITER計画及び幅広いアプローチ──BA活動なるものについて質疑を試みてみたいと思います。  ただ、やっぱり普通高校を終わった出来損ないがこの問題を扱うのは、なかなか大変でございます。夢の原子炉というんですか、そういうようなことで手に余るものかと思いますが。  まず最初にITER計画及び幅広いアプローチ活動、BA活動の現在までの進捗状況についてお尋ねをしたいと思います。 96 ◯天内ITER支援室長  まず、ITER計画につきましては、平成19年10月24日のITER協定発効以来、フランスのカダラッシュというところで建設活動が進められております。  平成24年11月には、ITER機構本部建屋が完成するなど、概ね順調に進んでいると伺っております。また、今後、平成32年には、実験炉主要部の組み立てが終了いたしまして、同年11月には初プラズマを達成、そして平成39年には重水素と三重水素、トリチウムの核融合反応を開始する予定と伺っております。  続きまして、幅広いアプローチ活動、BA活動についてでございます。  平成19年6月1日にBA協定が発効して以来、六ヶ所村の国際核融合エネルギー研究センター及び日本原子力研究開発機構の那珂核融合研究所におきまして、着実に事業が進展しております。  六ヶ所村の国際核融合エネルギー研究センターにおいては、国際核融合エネルギー研究センター事業により、主として原型炉設計の開発調査センター、核融合計算機シュミレーションセンター、そしてITER遠隔実験センターの3つの事業が行われております。  また、那珂の核融合研究所におきましては、サテライトトカマクと言いまして、既存のJT-60を超伝導改修した形でITERを補完する事業が行われており、これを2つ併せまして、ブローダーアプローチ活動と呼んでおります。  また、六ヶ所村の国際核融合エネルギー研究センターにおいては、平成24年1月に国内第2位、それから6月に発表された最新のデータによりますと世界20位の計算性能を誇るスーパーコンピューターの運用が開始されております。  また、同年6月には核融合炉での燃料生産に必要な材料の新たな製造技術の確立に成功するなど、成果が現れてきているところでございます。  また、今年の3月には、材料照射施設の設計や装置の性能実証のための原型加速器──IFMIF/EVEDAと呼んでおりますが──この入射器の搬入が始まったところでございます。  今年の秋には入射器の実証試験が開始される予定と伺っております。 97 ◯古村委員  六ヶ所村の研究所は、先端技術の先端技術をやっているわけなので、もっとピリピリして、SFみたいな雰囲気があるのかと思いましたら、応対してくれた職員も役場の課長補佐さんみたいな感じで穏やかでありまして、極めて気楽に中を見ることができました。  しかし、今、答弁にあったように、コンピューターだけガアガアうるさくて、ピカピカして、あとは入射器ですか、あれが梱包されたまま、フランスから送られてきたということで、実質的なものはなかったんです。  ですから、そういう点では、一体この六ヶ所村で具体的にフランスとか茨城の方と連携しながら、どう分担して上手くやっていけるのかどうなのかという感じが率直なところです。  ただ、私どもとしては、このBA活動が六ヶ所村でやられて、果たして地域貢献というのは一体どういうものがあるだろうと。先端技術中の先端技術ですから、科学者とか専門家とか、そういう人達の頭脳が先になるだろうし、機器の操作に当たっても、もっぱら専門性が必要とされるだろうし、何がプラスになるのかなと。税収も上がるものだろうかとか、そういう素朴な疑問をもったところなので、地元貢献として一体どういうものがあるのか。人的貢献についてはどうなのか。あるいは、地元発注とか、そういう物的なものはどうなのかについてお尋ね申し上げます。 98 ◯天内ITER支援室長  BA活動が六ヶ所村で行われていることによる地元貢献という意味でのお尋ねでございます。  まず、人的効果についてですが、日本原子力研究開発機構によりますと、この8月1日現在、六ヶ所村のBAサイトの従業員数は、フランス、スペインなど、世界7か国からの外国人研究者14名も含め、トータルで173名となっております。  そのうち地元の雇用者は、全従業員の約3分の1に当たる約55名ということで、地元雇用の面でも貢献しているものと考えております。  それから、先ほど、六ヶ所のBAサイトの主たる事業である国際核融合エネルギー研究センター事業を申し上げましたが、もう1つ大きなものとして、IFMIF/EVEDA国際核融合材料照射施設の工学実証、工学設計活動というものをやっております。六ヶ所村では、大きく分けて、この2つをやっているということで、そういった事業を行うための研究棟が平成22年3月に全て完成しております。  そういうこともありまして、先ほど、今年8月1日現在173名と申し上げましたが、平成20年度は42名、平成21年度は90名、平成22年は91名、そして平成23年度、研究棟が全部できて本格的な研究が開始されてから184名という形で、地元に対して人的な貢献があると私どもは考えております。
     発注につきましては、日本原子力研究開発機構によりますと、平成23年度のデータで、県内企業への各種調達保守用務等の発注の実績として591件、金額にして約4億円の発注があったということで、相応の経済効果があるのではないかと考えております。 99 ◯古村委員  人的効果について55人、3分の1ということなんですが、これは研究所の正職員なのか、あるいは臨時雇用、派遣職員、この辺の内訳について承知しているものでしょうか。 100 ◯天内ITER支援室長  正職員のみならず、やはり委託であるとか、嘱託であるとか、そういった方々も全て含め約55名ということでございます。 101 ◯古村委員  正職員は何人ぐらいいるものでしょうか。 102 ◯天内ITER支援室長  正職員は、私どものデータによりますと、約65名ということでございます。 103 ◯古村委員  地元雇用の正職員は。 104 ◯天内ITER支援室長  地元雇用の部分、55名の内訳はつかんでおりません。 105 ◯古村委員  地元発注の件なんですが、経済効果はそれなりにあるということですが、建物外観なり敷地の整備は、ある程度終わっただろうし、これからの地元貢献というのは、建設とかそういう物的なものはあまり期待できないのではないかと思いますが、その辺はどうなんですか。 106 ◯天内ITER支援室長  確かに先ほど、管理棟、研究棟については、大体全て終わったと申し上げましたが、日本原子力研究開発機構では、来年度以降、建物について拡充を考えているというような情報も入ってきております。そういう意味で、発注が出てくるところだと思っております。  それから、シミュレーションセンターにつきましては、スーパーコンピューターの搬入が全て終わって、今、動いているということでございますが、ITER遠隔実験センターについては、ITER本体の建設がまだ終了しておりませんので、それに併せて更にいろんな機材をこれから入れることになっておりますので、そういう需要が出てくれば、また地元の発注が出てくるのではないかと期待しているところでございます。 107 ◯古村委員  原発とか核燃とか比較した場合に、交付金とかいろんな金が地元に下りているわけですが、このITERの地元の六ヶ所村では、固定資産税が入るとか、あるいは何かの交付金とか、あるいは掴み金とか、そういうものはどうなんですか。 108 ◯天内ITER支援室長  まず、交付金でいいますと、この核融合ブローダーアプローチ事業については、所管する文部科学省にはそういった制度はございません。  固定資産税でございますが、地元の六ヶ所村に対して事業者である日本原子力研究開発機構が応分のものを納めていると伺っております。 109 ◯古村委員  通告の3点目ですが、3点目が終わってから、もう1回、ITERそのものについて議論してみたいと思います。  東海村のJ-PARCで核物質の漏洩事件があって、専門バカといえばいいか、放射能の取り扱いに関する認識が全くなっていないということで批判されていますが、六ヶ所村のBAに関しては、照射施設で、重水素とか三重水素、トリチウム、を使っての実験というものはやられるものなのか。 110 ◯天内ITER支援室長  東海村のJ-PARCで若干事故がございましたので、それに併せての御質問ということだと思います。  まず、日本原子力研究開発機構によりますと、今年3月から搬入が開始されたIFMIF/EVEDA、先ほど申し上げました国際核融合材料照射施設の実証、工学実証、工学設計活動のための原型加速器の一部につきましては、秋までに入射器の組み立てが終了する予定になっております。  そもそも、原型加速器ですが、六ヶ所村でやられるものは、入射器と呼ばれるビームを出す一番最初のものと、それを加速していくもの──高周波四重極加速といいますが──こちらと、超伝導のリニアックと呼ばれる入射器に違う形の加速器を2つくっつけまして、それでビームを加速していくという形でございます。  東海村の事故は、金に直接照準を当てて、予定のビームより強いものが出てしまって金が蒸発して、それが実験の施設から漏洩して、実験に関わっていた人達が被ばくしてしまったというものですが、六ヶ所村におきましては、実際に対象物に当てることはしませんので、秋までに入射器の組み立てが完成し、一番最初のビームを出すという実験はやるんですが、最終的な総合ビーム試験は平成28年度以降という予定になっております。ただし、その場合でも対象物には当てないという形でビームダンプというものにビームをぶつけて、それで吸収して終わりという形になっております。  そういうことですので、日本原子力研究開発機構によりますと、同様の事故が起こり得ないと認識しているということでございます。 111 ◯古村委員  重水素なり三重水素というのが六ヶ所村で使われるのかということなんですが、使われるとしたら、その量はどれぐらいなものなのか。 112 ◯天内ITER支援室長  先ほど、IFMIF/EVEDAの関係でのビームのお話を申し上げましたが、そちらでは全く問題ないということでございます。ただ、六ヶ所村には、R&D棟というものがございまして、原型炉設計のための工学設計活動を行っております。そちらでは、トリチウム、三重水素を取り扱っております。  日本原子力研究開発機構によりますと、国際核融合エネルギー研究センター原型炉R&D棟におきまして、原型炉用の材料や発電のための技術、燃料供給の研究などが行われております。放射性物質として燃料となるトリチウムや原子炉等での照射実験により放射化した材料試験片などを取り扱っているということでございます。トリチウムの貯蔵許可数量は、0.02グラムということで非常に微量なものとなっております。  また、国際核融合エネルギー研究センターにおける国際共同プロジェクトにおきましては、日本の法令を遵守して実施するということが原則になっております。安全対策につきましては、RI──放射性同位元素を扱う病院などと同様の規制が適用されるということで、放射線障害防止法に則りまして、放射線を遮るための構造物や換気設備、排水処理設備などを設置する等の安全対策はとられております。  サイト外への排出に当たりましては、同法に規定する基準値──1年間で1ミリシーベルトを遵守するとして実施しているということでございます。 113 ◯古村委員  今、基準値というお話がありましたが、基準値イコール規制値というわけではないんでしょう。 114 ◯天内ITER支援室長  基準値というのは、それ以上出してはいけない、それ以下でなければいけないということになっているもので、規制値と考えてよろしいのではないかと思います。 115 ◯古村委員  トリチウムを扱うことになってきますと、例えば、県と安全協定を結ぶとか、そういう必要性はどう考えているものでしょうか。 116 ◯天内ITER支援室長  先ほども申し上げましたとおり、こちらで取り扱うトリチウムの貯蔵許可数量が0.02グラムということで極めて低いものでございます。  ちなみに、例えば、富山大学には、同じような放射性同位体の研究センターがありますが、そちらでは約0.25グラムということで10倍以上ぐらいございます。非常に少ないということで、私どもとしては、そういった必要性はないと考えております。 117 ◯古村委員  この核融合エネルギーですが、研究すれば研究するほど実現は遠のくという記事を目にしたことがあるんですが、先ほど順調に推移していますとか、現地では「お金さえあれば実現できます」という話でした。それは今後10年間の、今現在の目標を達成するには、お金さえあればという意味だと受け取っていますけれども、研究すれば研究するほど実現は遠のく。私も、全くど素人だけれども、地上に太陽をつくるというのは、本当に神様をバカにしている、罰当たりじゃないかなと思うんだけれども、この辺はどうなんでしょうか。いわゆる核融合で発電エネルギーを引き出す、商業化に結び付けるという実現性について、ますます遠くなっているのではないかと思うんですが。 118 ◯天内ITER支援室長  委員御指摘の点につきましては、かつてより核融合関係者には非常によく言われてきたものでございます。何年前でも「核融合の実現はいつ頃ですか」と聞かれると大体30年後ということで、それがいつまでも続いている状況だったと思います。  ただ、ITERが国際協力で実際に動き出したということは非常に大きいことでございます。ITERも、当初は今の計画の倍ぐらいの大きさのものをつくる予定だったのが、お金が掛かりすぎるということで、知恵を絞って再度設計をし直して、約2分の1の大きさのものにつくり直して、それで始めたわけですが、残念ながら、ITERにつきましても、建設10年、運転20年、除染5年と言われておりまして、ITER協定が発効したのが平成19年ですので、普通に考えれば平成29年には建設が終わっていなければいけないんですが、今のところ、2、3年遅れているという状況になっております。それは、やはりお金が大分掛かってきたということで、当初、ITERは建設装置については5千億円あればいいのではないかと言われたものが、今は大体その倍以上になっております。  6月に東京で会議がございましたが、その時のITER機構長の発言などを見ておりますと、今のところ建設コストは1兆8千億円ぐらいまで膨れ上がっているということで、そういったコスト増が計画の遅れにつながっているのかなと理解しております。  やはりITERにつきましては、ITER装置の80%以上が、参加極が直接つくって物納するというものですので、これはある意味でITERに限らず、こういった巨大プロジェクトを世界でいろんな国が集まってやるという1つの大きなチャレンジングなところだと思いますので、そういった意味でもなかなか難しいところがあるのかなと思いますが、決して、実現不可能ではないと考えておりまして、何とか2050年代には核融合エネルギー実用化に向けて頑張っていただきたいなと考えております。 119 ◯古村委員  2050年といえばあと40年弱、実用化といえば、実験炉から原型炉に入るということで理解していいんですか。 120 ◯天内ITER支援室長  現在の国の考えは、2020年代から何とか原型炉等建設を始めて2030年代は運転を始めて、原型炉を10年ぐらい運転したことによって具体的な商業炉に向けての知見を得ると。ですから、2050年代には実用化をしたいということです。  国の方はそういう考えを持ってますが、ただこれも平成17年頃に出した古い計画でございまして、その後、文科省としては新たなものをまだ出していないということで、若干遅れは出るかもしれませんが、やはり原型炉については、2020年から30年代頃に掛けてやっていかなければ、もはや間に合わないと国としても理解していると思っております。 121 ◯古村委員  本県としては、2020年から30年代の原型炉に関しては、誘致するという考えがあったと思うんですが、それは今も変わりはないんでしょうか。 122 ◯天内ITER支援室長  原型炉につきましては、私ども県としては、ぜひ本県においてやりたいと思っております。  昨年、県と県内の商工会議所、あるいは各種団体で構成する青森県ITER計画推進会議というものがありますが、そちらの方で原型炉を県内に誘致しようと正式に名乗りをあげていただいております。私ども県としては、そういった県内の産業界の動きをサポートしたいと考えているところでございます。 123 ◯古村委員  2020年から30年代ということになりますと、今、2013年ですのであと7年、10年。そうなれば、今からでも、実際に県の方としても、原型炉誘致の動きを具体的に検討・模索をしないと、また遅れをとるのではないかと。私は反対だけれども、県の方を心配すれば、そう思うんですが、その辺の準備は怠りなく淡々と進めているものなのでしょうか。 124 ◯天内ITER支援室長  先ほど申し上げたように、県内の経済界、各種団体の方々から、そういった動きが出てきたということで、今年からですが、さまざまな場面において、例えば、議会の答弁その他において原型炉の誘致を念頭においてということを、今までも言ってきているんですが、より強く運用して参ったところです。  それから、情報収集はどうなのかについてですが、文部科学省や日本原子力研究開発機構などといろいろお話をする中において、やはり原型炉の場所としてどういったところが適当かという中で、やはり商業炉に向けた実証活動をやるわけですので、当然、長時間に渡って運転をしなければいけないわけですので、水がそばになければいけないということもありまして、やはり六ヶ所村は、そういう意味では非常に魅力的な場所であるというお話は聞いております。  ただ、原型炉を国内につくるかどうかについて、まだ国として正式に決定をしていないということがございますので、その辺のところは、まだ確たるものではないということですが、もし日本国内につくるのであれば、それは六ヶ所村がいいんではないかというようなお話はいろんな方からお聞きはするところでございます。 125 ◯古村委員  これだけの巨大プロジェクト、国際的に英知を集めてということになれば、果たして、研究者なり学者、専門家の居住環境はどうなのか。そういうことで、前の副知事の時に教育ということで施設も含めて2億円ぐらい計上した時に議論した経緯があるんですが、その当時からの経過は、海外の研究者、そして子どもさん達は、どういう状況で推移をしてきたものかと。お話を聞けば、今現在は、外国人のお子さんの教育はストップして、8月か9月からまた再開するという話も聞いているんですが、その辺を説明していただければ。
    126 ◯天内ITER支援室長  県では、六ヶ所村におけるBA活動が着実に成果をあげていくためには、やはりしっかりとした受入態勢、特に国際研究拠点に相応しい教育環境の整備が必要と考えておりまして、平成20年9月から外国人研究者の子弟を対象に国際学級を開設いたしました。そして、そこで国際通用性を有するカリキュラムに基づいて教育サービスの提供を行って参りました。  開校以来の生徒数は、大体4人から7人ということで、残念ながら極端には多くはありませんでした。  そして、昨年の7月に研究者の異動がございまして、子どもさんをもっておられる御父兄の方が、いずれも帰国されたということで、昨年の夏に一旦休止をせざるを得なくなったということでございます。  一方で、かねてより外国人研究者の方々、若い御夫妻の方々も沢山おられまして、そういった方々には、就学前の児童、いわゆる幼稚園児、保育園児の方々をもっていらっしゃる方もおられたこともございまして、未就学児童に対します国際教育サービスをやっていただきたいという御要望をいただいておりました。  そこで、今年度からでございますが、未就学児童を対象に国際学級の幼少部──対象年齢は3歳から5歳でございますが──を開設いたしました。暫定開設という形で、とりあえず5月13日から授業を開始しております。正式には、8月26日から本格運営を開始したいと考えておりまして、現在、準備を進めております。  それから、非常に喜ばしい限りですが8月中に新たにギリシャの研究者が中学生と小学生を連れて六ヶ所村にやって来るという情報がありまして、初等中等部についても、9月2日から再開をしたいということで、準備を進めております。  県としては今後とも、こういった教育環境の整備というのは当初、国とお約束した県の貢献という意味で、地元が担うべき重要な役割であると認識しております。外国人研究者の教育環境の整備については、しっかりと対応してまいりたいと考えております。 127 ◯古村委員  海外からの研究者には会ったこともないし、話したことも勿論ないんですが、何となく、この六ヶ所で研究の主体になるというよりも、研修生みたいな感じを受けるんですが、その辺はどうなんですか。戦力なのか、研修生的なのか。 128 ◯天内ITER支援室長  それは全く誤解でございまして、実は県の方では、国際学級今までやってきて生徒数が少ないということで何とか子どもさんがいる方を優先して六ヶ所村に送って欲しいということを国を通してEU側に伝えてきたんですが、EU側の反応は、子どもがいる、なしで選んでいるわけではないと。六ヶ所村でしっかりとした研究成果を出すために適任の方を選んでいると。だから、そんな都合よくはならないんだということを言われています。  ですから、六ヶ所村でやるべき非常に厳しい研究課題にしっかりと取り組める、そういう素質のある方をEUの方では選んでいるということですので、しっかりと研究をしていただいていると考えております。 129 ◯古村委員  子弟教育の関係なんですが、前はバカロレア教育ということで説明を受けていました。最近は小学校低学年から英語教育をやろうということで、バカロレア教育というのが日本でも評価されてきているようです。しかし、調査の時にお聞きをしたら、今はバカロレア教育ではない、変えたというんです。何に変えたのか、なぜバカロレアでは駄目であったのか、その辺の御説明をお願いします。 130 ◯天内ITER支援室長  県では国際学級の運営を委託により行っております。以前は、京都インターナショナルスクールにお願いをしておりました。  京都インターナショナルスクールでは、国際バカロレアという、国際通用性のある国際的な資格を京都本部で持っておられて、それに準じたカリキュラムを六ヶ所村でやっていただくということで、お願いしていたということです。  今年度は、受託者の株式会社サン・フレアでは、IPC──インターナショナルプライマリーカリキュラムという、これも国際通用性のあるプログラムで、英国を中心として世界85か国以上、1,500校以上で採用されているものですが、このカリキュラムを採用するということにしております。  県としましては、バカロレアに限ったわけではございませんで、バカロレアやIPCのように国際的に通用するカリキュラムをやっていただきたいと委託をしているもので、今年度の受託者がIPCを採択しているということでございます。 131 ◯古村委員  3・11の福島原発事故以来、核融合エネルギーについても、いろいろ議論や疑問が出されているようであります。安全・安心な核融合エネルギー、トリチウムは問題ない、あるいは、放射性廃棄物は少ないと。こういうことについても反論が出されているようですので、原型炉を誘致する前にもう一度、核融合エネルギーの実現性、さらには安全性を、もう1回問い直してもいいのではないかと。その上で、どういう方法をとるかというのが、県に求められているのではないかと思いますが、その辺の見解についてはいかがなものでしょうか。 132 ◯八戸エネルギー総合対策局長  委員御指摘のように核融合エネルギー、世界が注目している人類究極のエネルギーとされております。豊富な燃料資源、あるいは環境適合性、供給安定性、こういったもので進めているということで、世界からも注目されていると理解しております。  県としては、将来の原型炉を念頭に、さまざまな側面的支援を行っているわけですが、何としても六ヶ所村を、この核融合の研究を契機に国際的な研究開発拠点にしていきたい。そのためには数多くの研究者に来ていただきたい。そのためには、さまざまな生活支援が必要。その一環として教育環境の取り組みも県の責任として取り組んでいるというところでございます。  今後もまだこのITER、実験炉が今、組み立て中でございます。ここにおける実証がどのような形で展開されるのか。そういったことを踏まえて、今後の原型炉の見通しが立ってくるのではないかと思っております。  基本的には、この核融合という技術、非常に裾野が広く、今後もさまざまな分野で活用できる、こういう技術を持っていますので、そういった技術を何とか県内の産業づくり、人づくりにつなげていきたいと思います。 133 ◯古村委員  この間、二又の風力発電所にも行きました。その時に所長から思いがけなく「八戸局長には大変お世話になりました。」と。それも1回だけでなく、4回ぐらい喋ったんでないかと思いますが、意外とびっくりしたんですよ。エネルギー総合対策局長は原燃だけ一生懸命なんでないかと思っていましたら、再生エネルギーの方で世話になったと言われました。  ですから、あれもそれもこれもというよりも、とりあえず再処理なり、その行末がどうなるのかをきちんと整理してからでもいいのではないかと。やばっちいものも皆ごちゃまぜにして、果たして、国内外から科学者なり専門家が来るものなのか。それから居住環境がどうなのか。この辺もやっぱりもっともっと見極めなければならないのではないかと思っていました。  今日は、ANOVAのこともありまして、そちらの方に時間を取られたりしまして、ITERについては、機会があればまた質問したいと思います。  これで終わります。 134 ◯高橋委員長  ほかに質疑はありませんか。  [「なし」と呼ぶ者あり]  ないようでありますから、これをもってエネルギー総合対策局関係の審査を終わります。  以上をもって商工労働観光エネルギー委員会を終わります。 ○閉 会  午後2時13分 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...