青森県議会 2012-12-06
平成24年農林水産委員会 本文 開催日: 2012-12-06
議案第27号「権利の放棄の件」は、
社団法人青森県
肉用牛開発公社から、今年度末で
返済期限を迎える貸付金に係る償還金の支払いの請求権の一部の放棄についての協議があり、その内容を慎重に検討した結果、公社の
清算事務が長期化し、地価が下落している中で、公社が所有する土地について、今後も地価の上昇が見込めないことや、評価額を上回る金額で購入する希望者があること、売却後も採草地や放牧地として活用され、引き続き本県の
農業振興に寄与するものと考えられること等を勘案し、迅速かつ経済的に公社の清算が結了されるとともに放棄する請求権の額が
必要最小限となるよう、
当該協議に応ずることが望ましいとの判断に至り、貸付金に係る償還金の支払いの請求権の一部を放棄するものであります。
議案第28号「権利の放棄の件」は、
社団法人青い
森農林振興公社が
青森地方裁判所に提出した
再生計画案について、その内容を慎重に検討した結果、県に移管されることとなる分
収造林事業の
公益的機能が引き続き発揮されることとなること、より多くの債権の弁済が得られるなど、
当該再生計画案に同意することが望ましいとの観点から、青い
森農林振興公社に対する貸付金に係る償還金の支払いの請求権の一部を放棄するものであります。
議案第32号「
地方独立行政法人青森県
産業技術センターの定款の一部変更の件」は、
地方独立行政法人青森県
産業技術センターの資本金の増加に係る定款の変更を行うためのものであります。
続きまして、
農林水産部関係追加提出議案について、説明書によりその概要を御説明いたします。
今定例会に
追加提出されました諸議案のうち、
農林水産部所管に係るものについて御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと存じます。
議案第36号「平成24年度青森県
一般会計補正予算(第5号)案」についてでありますが、
農林水産部関係の予算額は26億3,233万1,000円で、これを
既決予算額及び既に提案しております
補正予算額とを合計しますと573億2,789万1,000円となります。
この財源といたしましては、分担金及び負担金3億3,174万3,000円、
国庫支出金13億7,003万円、県債8億7,900万円、
一般財源5,155万8,000円となっております。
今回の
追加提出の
補正予算は、平成24年度
経済危機対応・
地域活性化予備費等の使用が閣議決定されたことに伴い、
公共事業関係費について所要の
予算措置を講ずることとしたものであります。
以下、
歳出予算に計上されました主なるものについて御説明申し上げます。
林政課の
一般公共事業費2億2,337万3,000円は、国の
割り当て内示に基づき、
造林事業費、
治山事業費を増額したものであります。
農村整備課の
一般公共事業費19億5,485万8,000円は、国の
割り当て内示に基づき増額したものであり、その主なるものは、
畑地帯総合整備事業費、
経営体育成基盤整備事業費、中
山間地域総合整備事業費であります。
漁港漁場整備課の
一般公共事業費4億5,410万円は、国の
割り当て内示に基づき、
水産流通基盤整備費、
水産物供給基盤機能保全費を増額したものであります。
以上、
農林水産部の
提出議案について、その内容を御説明申し上げましたが、詳細については御質問に応じて御説明いたしますので、よろしく御審議のほどをお願いいたします。
以上でございます。
3
◯小桧山委員長
ただいま説明のありました議案に対して質疑を行います。
質疑は議題外にわたらないように願います。
なお、答弁者は、挙手の上「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。
質疑はありませんか。──
安藤委員。
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◯安藤委員
それでは、質問させていただきます。
議案第17号「平成24年度青森県
就農支援資金特別会計補正予算(第1号)案」、歳出1款1項1目
就農支援資金貸付金、
認定就農者の認定と
就農支援資金の
貸し付け状況について。
1つ、今回の補正の内容について、1つ、
貸し付け対象となる
認定就農者の認定数と
貸し付け実績について、1つ、
貸し付けた
認定就農者の
返済状況について、それぞれ伺います。
5
◯成田構造政策課長
それでは、3件についてお答えします。
まず、今回の補正の内容についてです。
就農支援資金は、
貸し付け原資を国が3分の2、県が3分の1を負担し、新たに就農しようとする青年等に、必要な資金を長期・無利子で
貸し付ける制度です。
県では、この資金の借り受け希望が多いことを受け、昨年度から国に対して
貸し付け原資の
借り入れを要望していたところ、年度途中の9月に1,423万円の配分がありました。このため、今回、県の対応分である
貸し付け原資の3分の1に当たる711万5,000円を
一般会計から繰り出しし、国から配分のあった1,423万円を加えた2,134万5,000円を貸付金として
補正予算に計上したものです。
続いて、
貸し付け対象となる
認定就農者の認定数と
貸し付け実績についてです。
就農支援資金の
貸し付け対象となるのは
認定就農者です。この
認定就農者というのは、
就農希望者が作成した
就農計画が適切であれば
認定就農者となり、
就農支援資金を借りることができます。
この数は、近年では年15人前後で推移していましたが、平成23年度は
新規就農者がふえたことから41人と急増しています。
貸し付け実績ですが、この
就農支援資金には3種類あります。平成20年度から本年11月末までの
貸し付け実績を見てみますと、
就農研修資金、これは
生産技術を習得するための研修に必要な資金ですが、これが25件で3,000万円、
就農準備資金、これは資格などの取得に必要な資金で、1件で110万、
就農施設等資金、これは
機械施設等の
借り入れに必要な資金、これが24件で8,163万円、合計で50件、1億1,273万円となっています。
それから、
返済状況についてです。これまで
就農計画の認定を受けた
認定就農者400名のうち、資金を借り受けた者が302人となっております。うち、償還を終了した者が172人、現在償還中の者が99人、まだ償還が始まっていない
据え置き期間中の者が31人となっています。
また、償還中99人のうち95人は約定どおり償還していますが、約定どおり償還できず、期間を延長するなどして返済している者が4名となっています。
6
◯安藤委員
希望者が多くなっているということですので、それは大変喜ばしいことだと思います。それで、国に要望していた増額が今回認められてこのような提案になったわけですけれども、
貸し付けを受けた就農者の
就農状況、計画を最初に出しているわけですが、その計画に合った就農が行われているのかということについての
実態調査といいますか、
追跡調査といいますか、そういうこともされているのか。そしてまた、先ほどの答弁で、4人の方が返済がうまくいかずに、延納願いというんですか、それを出しているというお話でしたが、もしもこのまま返済が不能になるということになった場合、そういうことも想定された何か決まりがあるのかどうか伺いたいと思います。
7
◯成田構造政策課長
認定就農者が就農した後の実態ということですが、県では、平成7年度から平成22年度までの
認定就農者に対して、その後の
就農状況などを調査しております。これでいきますと、
認定就農者は、調査した時点、平成23年9月1日現在で349名です。このうち、継続して就農しているのは6割程度となっております。あと4割の方は、まだ研修中、それから、一部には就農を断念した方もおられます。
また、償還ができなくなる場合などの措置ですけれども、例えば災害その他やむを得ない事由で
借り入れ者が返済困難になった場合は、一時償還を猶予するということもあります。また、
借り入れ者の返済が滞るようになった場合の対応については、
借り入れ者と打ち合わせをして、返済が可能な額を分割で返済するなど、個々のケースに合わせて返済できるようにしております。
8
◯安藤委員
349名のうち6割が就農しているということですが、この数字についてはどのような見方をされているのでしょうか。
9
◯成田構造政策課長
6割が就農して4割が何らかの形で就農を断念したということですので、県としては、この
新規就農者の定着を進めていかなければならないものと考えています。
認定就農者の人たちにいろんな話を聞きますと、6割が技術面で課題を抱えている。それから、
農業機械を整備するための
資金不足などの、そういった経営上の課題も抱えています。このため、これらの人たちをきちんと定着させていくためには、
普及指導員や
農業研修による
生産技術の早期習得、
個別指導なども必要と考えています。
なお、就農を継続しているのは6割で、4割の中には3%ほど研修中の方もいます。ですので、35%の人が就農を断念しているということです。
10
◯安藤委員
農業をやろうと志した方たちがこうした支援を受けて就農できる環境といいますか、営農に対する指導なども含めて力を入れていただきたいと思っております。
次の質問です。
議案27号「権利の放棄の件」、
社団法人青森県
肉用牛開発公社に対する債権の放棄について、公社の
土地売却予定額は幾らになるのか、そして、最終的な県への返済額は幾らになるのか最初に伺います。
11
◯石郷畜産課長
2点についてお答え申し上げます。
まず土地の
売却予定額でございますけれども、公社では、
公社有地を今後も農地として利用する農業者にできるだけ高額で売却するため、
公募型プロポーザル方式により
購入希望者を募集しました。
その結果、6件の応募がございまして、
外部有識者等で構成する
社団法人青森県
肉用牛開発公社有地購入希望者審査会を経て
売却予定者を決定し、土地の
売却予定額は1億6,000万円になったと聞いてございます。
2点目でございます。返済額の件でございますが、公社が県へ返済する金額は、
土地売却予定額の1億6,000万円と公社の
現金預金6,934万5,621円以上を合わせた2億2,934万5,621円以上となります。
なお、この返済する金額が「以上」となっているのは、公社が県へ返済する時期によりまして
預金金利等の変動要因があるということでございまして、債権を放棄しようとする額は、県からの
長期借入金3億4,500万円から公社の
返済予定額を差し引いた1億1,565万4,379円以内として本議会で御審議いただいているところでございます。
12
◯安藤委員
土地が予定していた額よりも高く売れたというふうな結果になったわけですが、それでも、結果、
債権放棄額が1億1,565万4,379円という、そうした額になったということ、これを県民の負担で債務処理しなければならないということについては非常に遺憾だということを指摘しなければならないと思います。
次の質問ですが、公社の解散後、約10年間あったわけですが、土地の
売却活動を行ってきたということですけれども、もっと早く何とか高い額で売るべきであったと思いますが、この点について県の考え方を伺います。
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◯石郷畜産課長
公社は、県からの
長期借入金3億4,500万円を返済し、
清算結了することとして
公社有地の売却に取り組んできましたけれども、
購入希望面積や価格面での折り合いがつかなかったことから、これまで売却に至りませんでした。
公社では、県からの借入金の全額を返済できる金額で売却することを前提に、全面積を一括で、今後とも農地として利用されることなど幾つかの制限、制約の中で
土地売却の取り組みを進めてきたところでございまして、県としては、売却がこの時期になったことはやむを得ないものと考えてございます。
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◯安藤委員
しかし、返済の期限が迫ったということで、最近になってもう一度評価をし直して、そうしたらその評価額がかなり低くなったということで、それに見合った
売却方針が出たと聞いていますが、その辺についても、やはり対応といいますか、もう少し評価額なりを早く練り直して、売れる環境をつくるべきではなかったかと思うわけです。その点について県がどう指導をされたのか伺いたいと思います。
15
◯石郷畜産課長
県とすれば、県民の負担が発生することがないように、県からの3億4,500万円という借入金を全額返済していただくということで土地の
売却活動を行ってくださいというふうに指導してきたところでございます。そういう中で、もう一度繰り返しになりますけれども、農地として利用していただきたいとか、さまざまな制約がありましたのでこれまで時間がかかってきてしまったと。いずれにしても、県民の皆さんには負担を1円も負わせないということを前提に指導をしてきているところでございます。
16
◯安藤委員
平成3年の牛肉の
輸入自由化以降に公社の経営が悪化したようですけれども、将来的な
公社運営について、その時点で、廃止も含めた適切な判断をするべきであったと思いますが、この点について県の考え方を伺います。
17
◯石郷畜産課長
公社では、平成3年4月からの牛肉の
輸入自由化により、経営がさらに厳しさを増すことが予想されましたので、平成3年度に、平成4年度から平成7年度までを
計画期間とする
経営改善計画を策定し、この中で、平成6年度から、飼育する品種を
ヘレフォード種から
黒毛和種に切りかえることとしました。
県としましては、公社がこの
経営改善計画を着実に実行することによりまして経営の安定化が図られるとともに、県の
黒毛和種改良事業の一翼を担うことにより、能力の高い
種雄牛づくりなどに貢献できるものと判断しました。
18
◯安藤委員
しかし、
輸入自由化以降の牛肉をめぐる環境が悪化していくということも踏まえればもう少し違った角度から経営についての方針を考えてみる必要があったのではないかと思うわけです。
次の質問ですけれども、公社は、県から資金を借入できるという甘えがあったために負債が膨らむ結果になったのではないかと思います。その点について、県の考え方を伺いたいと思います。
19
◯石郷畜産課長
県では、昭和44年に、国の大
規模牧場創設事業によりまして、横浜町を含む
下北地域の肉用牛の
生産拡大を目的に
社団法人青森県
肉用牛開発公社を設置しました。
公社では、公社の出資者が、県のほか
畜産振興事業団──現在は
農畜産業振興機構でございますが──や
下北地域の市町村、県域を対象とする
農業団体などでございまして、
下北地域の
肉用牛農家への繁殖雌牛や
肥育用素牛の供給を公益的な事業として取り組んでいたことから、牛肉の
輸入自由化などの影響もあり、結果的に
経営収支の
マイナス分を県からの借入金で補ったところでございます。
県としましては、
下北地域のみならず、
本県肉用牛の
生産振興を図るため、資金の
貸し付けに当たりましては、
短期貸付金として毎年度、その必要額を精査しまして、県議会の御承認を経まして実行してきたところでございます。
20
◯安藤委員
平成15年度から毎年度県へ返済するため、年度末に
市中銀行から
借り入れし、年度当初に県の
短期貸付金をその返済に充当するということを繰り返していたと。詳しくこの間聞きましたら、本当に数時間の
間市中銀行から借りるということも場合によってはあったということで、そういうふうな
からくりが許される世界ということが、県との関係といいますか、そういうことから見ても解決を遅くしてきたのではないかと考えるわけですが、県からの
短期貸付金を返済に充てるというふうな
からくりというのは、こうした公社との関係で、県としてはやむを得ないと考えるものなのか、やっぱり妥当ではないというかふさわしくないやり方であったと思っているのか、この辺についての認識を問いたいと思います。
21
◯石郷畜産課長
短期貸付金につきましては、毎年4月1日に県から
貸し付けを受けまして、その年度末、3月31日に返済するという仕組みになってございます。県の予算の都合上、単
年度予算で全て
貸し付け返済という手続を経なければならないものですから、仮にその年度内で土地が売却できなかった、もしくはその結果として貸付金を返済できなかった場合については、翌年度また改めて県から貸付金を受けるということになりますので、3月31日と4月1日の間の2日間、その分だけ
市中銀行からお金を借りて、返済不能に陥らないような仕組みをしてございますので、御理解いただければと思います。
22
◯安藤委員
その後、
市中銀行からの
借り入れができなくなって県の
長期貸付金という形に変わったわけですが、当初から
長期貸付金にしなかった理由というのはどういうことなんでしょうか。
23
◯石郷畜産課長
当初、
短期貸付金で
貸し付けするということについては、速やかに
清算結了を進めるために、要するに土地を売却して
清算結了するということを促すためのものでございまして、結果としては
短期貸付金の繰り返しになってきたわけでございます。
短期貸付金が
長期貸付金に変わった理由でございますけれども、平成20年に金融庁から金融機関に対する審査が入りまして、こういう清算中の法人に対しては
貸し付けしてはいけないという話になりました。ですから、たとえ2日間であっても
貸し付けの対象にならないということになりまして、いろいろ内部で協議した結果、
長期貸付金に移行したものでございます。
24
◯安藤委員
今回の権利の放棄の件については、一定の役割を果たしたと言える部分もありますけれども、結果的に県民の負担で解決するということになったわけですので、やはりその部分については賛成しかねるという立場であることをお話ししたいと思います。
次の議案第28号「権利の放棄の件」、
社団法人青い
森農林振興公社に対する債権の放棄について。こちらの放棄の額は、県の損失補償を合わせると357億円になり、放棄の額は227億4,728万2,471円という額になったわけで、非常に大きい額、小さな町村であれば1年間の予算に匹敵する額を放棄しなければならないという、そういう状況になったということですので、県民の思いに立てば、こうなってしまったことに対しての不信というものは大きいと考えます。
そこで質問ですが、県は、公社の債務額が多額になる前になぜ対策を講じられなかったのかということについて伺います。
25 ◯野呂林政課長
分
収造林事業については、経営の大きな要素である木材価格が、昭和55年のピーク時に比べ約3割に下落する一方、労務単価は、公社設立時の昭和45年に比べ約5倍に上昇するなど、本県同様、全国の公社が厳しい経営環境にあります。
県と公社では、このような状況を踏まえ、平成15年度に新規の植林中止や低利な公庫資金への借りかえを行うとともに、平成21年度から、公社の負担を伴わない国の定額助成事業を導入するなどの支出を抑制する対策や、利用間伐の推進による収入を確保する対策など、経営改善に資する対策を講じてきたところです。
また、分
収造林事業は国の拡大造林政策と分収造林特別措置法に基づき行われてきたものであることから、国等に対して、各都府県と連携し、経営改善のための抜本的な支援を要請してきたところです。
26
◯安藤委員
昭和55年に木材価格がピークであったということですけれども、それ以降、木材価格が下落し続けたわけですけれども、下落した大きな要因ということについて県はどう考えているか。
それから、国に対しての働きかけということもありましたけれども、分
収造林事業について、これまで国に対してどのような要望をしてきたのか伺いたいと思います。
27 ◯野呂林政課長
木材価格は昭和55年以降、円高ドル安の進行に伴い、低価格な外材輸入が増加するとともに、近年においては建築基準法の改正に伴う基準の厳格化、リーマンショックに端を発する世界同時不況やユーロ安など、さまざまな要因により木材需要が減少したことによって下落したものと考えております。
国に対してどのような要望をしてきたかということでございますけれども、これまで県は、公社を有する各都府県で組織する森林整備法人全国協議会や森林整備法人等の経営改善を推進するための森林県連合を通じて、公庫資金の利息負担軽減や定額助成制度の継続等の補助制度の拡充、県が分収林を引き継いだ場合における林業公社と同様の支援措置などについて、毎年国に対し要請してきたほか、本県独自の要望活動も行ってきたところでございます。
28
◯安藤委員
今回このように、結局は県にその管理を移管するということになったわけですけれども、こういう状況について、国との話し合いといいますか、その要請活動の中で、意見交換等についてはどのような状況だったのでしょうか。
29 ◯野呂林政課長
先ほども御説明申し上げましたけれども、県が分収林を引き継いだ場合においても林業公社と同様の支援措置等を要請するとともに、随時その状況について国と意見交換してきたところでございます。
30
◯安藤委員
もともとは、先ほどの答弁にもありましたけれども、国が拡大造林を推進する施策を提唱し、それに呼応したということが事業の始まりだったわけで、国が示した造林事業、また、森林を管理していくという方向づけ、やはり今回のような事態に陥った大もとの責任というのは国にもあると考えるのですけれども、その辺について県はどのように見ているんでしょうか。
31 ◯野呂林政課長
先ほどもお答え申し上げましたけれども、森林整備法人全国協議会、あるいは森林整備法人等の経営改善を推進するための森林県連合、それらを通して国で進めてきた拡大造林、あるいは分収造林特別措置法、これらに基づいてやってきたものであるから、国においても抜本的な対策というものを講ずるよう随時要請してきたところでございます。
32
◯安藤委員
分収割合の見直しについてなんですが、昨日もちょっとやりとりはありましたけれども、約30%の契約者が同意していないわけですけれども、その理由と、仮に100%の同意が得られない場合はどうなるのか伺いたいと思います。
33 ◯野呂林政課長
県と公社では、分収造林契約者に対して、これまで、文書による依頼や地区説明会の開催、個別訪問による説明などの同意取得の取り組みを実施しており、現在、約71%の契約者から分収割合の変更同意をいただいています。
同意の意向を示していない契約者からは、分
収造林事業の債務は公社の経営責任ではないか、当初の契約どおりの分収割合でいくべきである、分収金の減額が大きく、契約満了後に植林できない、木材価格が下がればさらなる分収割合の見直しがあるのではないかといった意見が寄せられています。
県としては、分収割合の見直し同意が得られない場合は、除伐や枝打ちなどの作業は実施できますが、収益があった場合に分収が生ずる利用間伐や契約満了時の立木の売り払いは実施できないものと考えており、引き続き契約者に対し、丁寧に説明しながら同意を求めていくとともに、移管後においても県が同意取得のための説明を続けていくこととしております。
34
◯安藤委員
移管後も説明や説得をするということですが、説得しても応じないという方が出るということもあり得ると思うのですが、その場合はそのまま最後まで平行線で行くということになるんでしょうか。
35 ◯野呂林政課長
先ほども御説明申し上げましたけれども、利用間伐、それから契約満了時の立木の売り払い、それについては非常に支障を来すということでございますので、引き続き丁寧に説明して同意を得るよう努力してまいりたいと考えています。
36
◯安藤委員
平行線になってしまいますけれども、同意が100%得られないということもあり得ると思いますが、そういう方が出ないように努力するということですので、頑張ってくださいと言うしかないわけですけれども、今回の権利の放棄の件、227億という多額の放棄を県民が負わなければならないというこの結果について、木材の大きな下落ということもあって、また、国のそもそもの拡大造林という施策の大もとの失敗ということも加味しているかと思いますけれども、その失敗のツケが結局は県民にかかってしまうということになりましたので、これは賛成しかねるという立場であることを表明させていただきます。
次の質問に移ります。
議案第36号「平成24年度青森県
一般会計補正予算(第5号)案」について、歳出6款5項5目造林費及び歳出6款5項7目治山費、一般造林事業及び治山事業の概要等について。
1つ、一般造林事業及び治山事業の内容について。
1つ、一般造林事業及び治山事業の国、県の負担割合について伺います。
37 ◯野呂林政課長
一般造林事業及び治山事業の内容についてお答え申し上げます。
今回の
補正予算に計上した治山事業については、集中豪雨等により発生した山腹崩壊地のほか、飛砂や強風により荒廃した海岸防災林、山村集落周辺の荒廃森林などの保安林を早急に復旧整備するため、新郷村や大鰐町など県内6地区で実施するもので、所要額1億4,742万円を計上したものです。
また、一般造林事業については、これらの治山事業を実施する地区周辺の森林において、間伐等の森林整備を集中的に行い、表土の流出や崩壊の発生を未然に防止するため県内10市町村で実施するもので、所要額7,595万3,000円を計上したものでございます。
それから、国、県の負担割合ということでございますけれども、一般造林事業の負担割合は、基本的な国の補助率が10分の3、県の補助率が10分の1、合わせて10分の4ですが、計画的な造林事業の場合、この補助率に査定係数100分の170が掛けられまして、実質補助率にすると標準事業費に対し68%の補助率となり、残りの32%は事業実施主体の自己負担となります。
また、治山事業の負担割合は、国の補助率が10分の5.0から5.5で、県が残りの10分の4.5から5.0を負担することになっており、地元負担はございません。
38
◯安藤委員
最初の治山事業のところですけれども、復旧の事業という内容も含まれているんですけれども、今回の補正によって、復旧事業がまだされていないところはなくなるという理解でよろしいでしょうか。
39 ◯野呂林政課長
全くなくなるということではございません。優先順位、予算の状況等に応じて、今、雪が降って、融雪等において、その危険の度合いといいますか、高い順から予算を張りつけているところで、全くなくなるということではございません。
40
◯安藤委員
次の質問です。
歳出6款4項5目土地改良事業費、畑地帯総合整備事業及び経営体育成基盤整備事業の概要等について。
1つ、畑地帯総合整備事業の事業概要と今回増額する対象地区名を伺いたい。
1つ、経営体育成基盤整備事業の事業概要と今回増額する対象地区名を伺います。
41 ◯北林
農村整備課長
畑地帯総合整備事業は、畑地帯における多様な営農形態に応じた生産基盤の整備として、農業用用排水施設、農道、暗渠排水などを総合的に実施するものでございます。
今回増額する地区は、つがる市の屏風山1期地区と屏風山2期地区、青森市の野沢2期地区の3地区となっております。
経営体育成基盤整備事業は、いわゆる圃場整備でございますが、農業生産を担う効率的かつ安定的な経営体を育成するため、生産基盤の整備として、区画整理、農業用用排水施設、農道、客土、暗渠排水などを実施するものです。
今回増額する地区は、藤崎町の福島徳下地区、三沢市の北三沢地区、五所川原市の高野地区、外ヶ浜町の南沢地区、大平地区、田子町の原・飯豊地区の6地区となっております。
42
◯安藤委員
畑地帯総合整備事業と経営体育成基盤整備事業、今回の補正を行うことで、全体の中でこの事業が必要とされているところの整備状況というのは割合としてどのくらいになるのか伺います。
43 ◯北林
農村整備課長
現在、畑地帯総合整備事業は、今御紹介した3地区以外に2地区ございます。それは今回の補正措置はとっておりません。さらに、今回の3地区につきまして、畑地帯総合整備事業では、例えば屏風山1期地区では、予備費の措置によって約4.5%事業の促進が図られるものでございます。同じく、経営体育成基盤整備事業は、今回御紹介した6地区以外にさらに6地区ありまして、それについては今回の補正は措置しておりません。
44
◯安藤委員
これからまた続けなければならないところもあるようですが、その必要性というか、どこに最初に手をつけていくかということについての判断というのは、どういう協議のもとで行われるのでしょうか。
45 ◯北林
農村整備課長
今御紹介した畑地帯総合整備事業、経営体育成基盤整備事業、それぞれ事業を開始する際に法手続によって農家の方々から同意をいただいております。その後、事業の進捗につきましては、例えば用地交渉等の進捗、あるいは事業の工事計画全体の中で勘案して優先順位をつけていくということでございます。いずれの地区にしても、やはり早期完了を目指して
予算措置していくということに変わりはございません。
46
◯安藤委員
次の質問ですが、歳出6款4項6目農村整備費、中山間地域総合整備事業の概要等について、事業概要と、今回増額する対象地区名を伺います。
47 ◯北林
農村整備課長
中山間地域総合整備事業は、農業の生産条件が不利で、過疎化、高齢化が進行している中山間地域において、地域の立地条件に応じた農業生産基盤と農村生活環境基盤等の整備を総合的に実施するものです。
今回増額する地区は、東北町の東北地区、階上町の階上地区、南部町の南部町地区の3地区となっております。
48
◯安藤委員
次の質問です。
歳出6款6項12目水産基盤整備事業費、
水産流通基盤整備費と
水産物供給基盤機能保全費の概要について、水産流通基盤整備と水産物供給基盤機能保全事業の増額の事業内容について伺います。
49 ◯外城
漁港漁場整備課長
国の平成24年度
経済危機対応・地域活性化予備費を活用し、今回、水産流通基盤整備事業などを増額補正し、事業の進捗を図ることとしております。
事業内容につきましては、水産流通基盤整備事業では、地域の流通拠点漁港である小泊漁港において、防波堤のかさ上げ改良を行うことにより波の浸入を防止し、漁港内の漁船の安全性の向上を図ることとしております。
また、水産物供給基盤機能保全事業では、小泊や蟹田、八戸の3つの漁港において、老朽化した防波堤などを補修し、漁港施設の機能の保全と更新コストの縮減を図ることとしております。
50
◯安藤委員
今お答えいただいたそれぞれの事業の補正を行うことで、進捗率はどのくらいになるんでしょうか。
51 ◯外城
漁港漁場整備課長
進捗率につきましては手元に数字がございませんけれども、中身といたしまして、今回の補正につきましては、地域経済や雇用への波及効果を期待しつつ、また、日本再生戦略における漁港の衛生管理対策や大規模災害に備えた緊急老朽化対策を実施するものでございまして、緊急に整備する箇所から順次整備することとしております。また、今回の予備費を活用することで、事業のコスト縮減や事業の進捗が促進されることとなりまして、早期の効果を発現できるものでございます。
また、自己負担額の起債充当率につきましても100%となり、償還分についても全額交付税措置がされるということで、県にとっても有利となるものでございます。
52 ◯宝多水産局長
これらの事業の進捗につきましては、改めて確認させていただきます。
53
◯小桧山委員長
いいですか。
54
◯安藤委員
はい。
55
◯小桧山委員長
ほかに質疑はありませんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、これをもって質疑を終わります。
これより、議案の採決をいたします。
議案第27号及び議案第28号、以上2件の原案に賛成の方は御起立を願います。
[賛成者起立]
起立多数であります。
よって、原案は可決されました。
次に、議案第13号中所管分、議案第17号、議案第32号及び議案第36号中所管分、以上4件の原案に賛成の方は御起立を願います。
[賛成者起立]
起立総員であります。
よって、原案は可決されました。
次に、部長から報告事項があります。──
渋谷農林水産部長。
56
◯渋谷農林水産部長
それでは、定例報告3件につきまして、その主なる点について御説明いたします。
最初に、県産農林水産物における放射性物質の調査状況についてであります。
1、県産農林水産物の放射性物質モニタリング調査。
(1)、県が主体の調査につきましては、11月30日現在で101品目792件を実施した結果、マダラ41件を初め5品目46件から放射性セシウムが検出されましたが、マダラ以外は基準値を大きく下回っております。
なお、10月31日に出荷制限が解除された本県太平洋海域のマダラにつきましては、県のモニタリング調査により、八戸魚市場の入札前検査に対応してまいりましたが、12月1日からは八戸市が魚市場内に測定機器を設置し、検査を実施しております。
(2)、国が主体の調査につきましては、11月30日現在、48品目484件を実施した結果、16品目160件から放射性セシウムが検出されており、その160件のうち、マダラが108件で、最大値が70ベクレルとやや高目でありましたが、それ以外の品目では基準値を大きく下回っております。
(3)、マダラの出荷制限解除後の検査につきましては、県のモニタリング調査や12月1日から八戸市が開始した入札前検査で対応しておりまして、11月30日現在で26件を実施した結果、太平洋海域の20件から放射性セシウムが検出されましたが、全て基準値を下回っております。
(4)、サバの入札前放射性物質検査につきましては、11月30日現在で27件を実施し、全てから放射性物質は検出されておりません。
なお、八戸市が測定機器を導入したことに伴い、サバの入札前検査は、マダラと同様、12月以降は同市が検査を実施しております。
2、牛肉の放射性物質調査については、11月30日までに屠畜された1万5,149件を実施し、そのうち1件から基準値を大きく下回る27ベクレルの放射性セシウムが検出されたところでございます。
3の上記調査以外の農林水産物関連の調査につきましては、前回の報告と同様でありますので、説明は省略させていただきます。
次に、県産農産物の販売動向についてであります。
1、野菜。(1)、ナガイモの価格は、24年産への切りかえ時期を迎え、本県産の入荷量が少なくなっていることから、前年比で138%、過去5カ年平均に比べると121%と高値安定となっております。
(2)、ニンニクの価格は、本県産の入荷量が少なくなっていることから、前年比で113%、過去5カ年平均比で90%となっております。
(3)、ゴボウの価格は、本県産の入荷は平年並みでありますが、市場全体の入荷量は大きくなっていることから、前年比で93%、過去5カ年平均比で103%となっております。
2、リンゴでございます。リンゴの価格は、「早生ふじ」など中生種や競合果実の入荷が依然として多かったことなどから、高値だった前年比で73%、過去5カ年平均に比べると92%となっておりましたが、その後、「ふじ」の入荷が本格化し、回復傾向にあります。
最後に、最近の漁模様についてでございます。
1、11月の主要魚種の動向。(2)、ブリは、日本海でやや好調、津軽海峡と太平洋で好調に推移した。(4)、サケは、日本海で低調、津軽海峡でやや低調、太平洋で平年並みに推移した。(5)、クロマグロは、日本海で低調、津軽海峡で平年並みに推移した。
2、沿岸水温でございます。11月26日から30日までの半旬平均水温は12から14度台で、日本海と陸奥湾ではやや高目、津軽海峡と太平洋で平年並みとなっております。
3、その他、(1)、最近の主要漁獲物の状況。11月下旬の主要漁獲物は、日本海と津軽海峡ではスルメイカ、サケ、太平洋ではブリ、サバ類、スルメイカ、サケとなっております。
(2)、陸奥湾のホタテガイ養殖。秋季陸奥湾養殖ホタテガイ
実態調査の結果、稚貝のへい死率は全湾平均で24.3%となり、平年の5.8%よりも高く、平成23年産まれの新貝のへい死率も全湾平均で18.6%と平年の8.9%よりも高かったが、稚貝・新貝いずれも7割がへい死した平成22年に比べ低かった。詳細につきましては、12月17日の報告会で公表する予定でございます。
57
◯小桧山委員長
ただいまの報告事項及び
所管事項について質疑を行います。
質疑は所管外にわたらないように願います。
質疑はありませんか。──
安藤委員。
58
◯安藤委員
最初に、今の部長の報告の中のマダラの出荷制限解除後の検査のところで質問をしたいんですが、2ページのところですけれども、「11月30日現在で26件を実施した結果、太平洋海域の20件から放射性セシウムが検出されたが、全て基準値を下回っている」という説明がありましたけれども、表を見ますと、太平洋海域、11月1日から25日の漁獲日のところで、50ベクレル以上というのが1件とあるんですけれども、この表と、先ほどの説明とちょっと符合しないんですけれども、説明を願いたいと思います。
59 ◯相馬食の安全・安心推進課長
表が符合しないということですけれども、太平洋海域で21件です。その中で50ベクレル以上、1件とありますけれども、これは基準値内であります。
60
◯渋谷農林水産部長
表に50ベクレル以上とありますけれども、注書きの2番に書いておりますとおり、この値は58ベクレルという値ですので、基準値の100ベクレルよりは下回っているというような表現で記しているものでございます。
61
◯安藤委員
100ベクレル以下ではあるので、基準値以下ではあると思うんですが、この説明の2行目のところに、「県のモニタリング調査や12月1日から八戸市が開始した入札前検査で、50ベクレルを超過した場合には、即座に入札の一時停止を要請すると同時に、薬剤師会衛生検査センターで精密検査を実施し」ということが書かれているものですから、50ベクレル以上出たということで、このような対応がされたのかどうか、確認をさせてください。
62 ◯相馬食の安全・安心推進課長
確かに11月13日に入札前検査で50ベクレルを超えたということで、すぐに入札の一時停止を要請しまして、同時に薬剤師会の衛生検査センターに運びまして、そこで検査をし、58ベクレルだということが分析結果として出ましたので入札をまた進めたということになっております。
63
◯安藤委員
そうすると、もう一度精密検査をされたということですね。
わかりました。基準値以上は出ていないということですけれども、いずれにしても、放射性セシウムが検出されたマダラが11月30日現在でも26件あるということですので、これからもぜひ慎重に検査を続けていただいて、消費者に安心を提供していただきたいと思っています。
64
◯小桧山委員長
部長の報告事項について、ほかに質問ございませんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、次に、特定付託案件について入っていきたいと思います。
質問ございますか。──
安藤委員。
65
◯安藤委員
TPP協定への対応について伺いたいと思います。
TPP協定交渉をめぐる動きについて、国からの情報提供はあるのか、また、県は国に対しどのような働きかけを行ってきたのか伺いたいと思います。
66 ◯鈴木農林水産政策課長
国からの情報提供でございますけれども、ございません。TPP協定交渉をめぐります国からの情報提供につきましては、本年4月10日、国の担当者を招いて、県が説明会を開催したところです。小桧山委員長を初め各委員の皆様、
安藤委員にもお越しいただいたところでございますが、その場では、参加者の理解が得られるような情報は得られませんでした。それ以降、国から県に対する情報提供というのはございません。
次に、県のこれまでの動きでございますけれども、国に対する働きかけにつきましては、昨年8月25日、知事と議長名で、また、10月13日には知事名で要望書を国に対して提出いたしましたほか、全国知事会、あるいは北海道・北東北知事サミットの場において、また、北海道・東北6県知事による要望など、再三にわたって、関税撤廃が原則であるTPP交渉へは参加しないよう強く申し入れしてきたところでございます。
また、最近では、11月18日から開催されます東アジアサミットで、野田首相がTPP交渉への参加表明を検討しているとの報道がございましたことから、11月16日に、全国知事会及び北海道・東北6県知事により、「十分な情報開示と明確な説明を行って、国民各層の意見を聞いた上で国民的議論を尽くすこと」などを内容とする緊急要請を実施いたしまして、他県とも連携しながら国へ働きかけているところでございまして、今後とも強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
67
◯安藤委員
情報が全く入らないという中で国民的議論もできない状況なわけで、こうした状況下で県として、緊急要請をされたような内容について、今後もぜひ他県とも協力しながら、国にTPP交渉をやめよという声を強めていただきたいと思います。今後どういう政権になるかということによってTPPの環境もどうなっていくのか、大変不安なことですので、知事を先頭にしっかりと反対の意思を示していただきたいということを改めて申し上げたいと思います。
1つ危惧されることは、やはりアメリカからの圧力がいろいろあって、TPPの前段階の規制緩和の一つに米国産牛肉の輸入規制を緩和するよう働きかけもあって、それに応じてといいますか、内閣府の食品安全委員会が、BSE対策の緩和を容認する評価書案を了承して厚生労働省に答申し、そして、厚生労働省がそれを受けて11月6日に薬事食品衛生審議会を開き、緩和に向けた手続に入ることを決定したという情報が入ってきております。
所管が違うということですので答弁は求めませんけれども、今回の答申内容のとおりにBSE対策が緩和されれば、全国の牛肉の出荷や流通、消費全般に大きな混乱を来すことは避けられないと思います。今回の答申で緩和されているのは、輸入牛肉の月齢制限だけでなく、国内産牛の検査対象月齢や特定危機部位の除去についても緩和してよろしいとの評価結果となっているようです。今現在、青森県も含め、全ての県が20カ月齢以下の牛も含めて全頭検査を実施しているということから、今回の規制緩和には大変危機感を持っています。
こういうことに見られるように、さまざまな規制緩和によって、食の安全・安心について大変危ぶまれる状況が次々と出てくるのではないかと危惧されますので、TPPにかかわる問題、そしてまた規制緩和の問題については、県民の安心・安全を守るという立場で対応していただきたいと思いますので、この件について要望をさせていただきます。
68
◯小桧山委員長
ほかに質問はありませんか。──工藤義春委員。
69 ◯
工藤委員
私からは、10月半ばごろからずっと降り続いている長雨における被害について二、三点質問します。
まず、長雨による大豆の収穫が、新聞報道でもかなりおくれていると。新聞等によると3割ぐらいまだ残っていると。11月末の新聞に載っていたんですが、場所によっては5割ぐらい残っているという状況ですが、今現在はどういう状況になっているのか、まずそこをお伺いしたいと思います。
70 ◯黒滝農産園芸課長
大豆の収穫作業は、10月中旬以降の断続的な降雨によりおくれており、県の調査では、12月3日現在、県全体の未収穫面積は604ヘクタール、未収穫率は15%となっています。
地域別では、東青、上北地域の収穫はほぼ終了していますが、未収穫面積が最も多い西北地域では、505ヘクタールが収穫されていない状況です。
71 ◯
工藤委員
15%ぐらい残っているということですけれども、今、雪が降っています。このまま収穫できないとなると、当然農業者の戸別補償制度が適用、交付金が適用されると思うんですが、その辺はどうなるのでしょうか。私が聞きたいのは、もし雪がどっと降ったことで、刈り入れできない場合と、例えば8割ぐらいでも収穫できた場合と、交付金はどういう割合になるのか、その辺わかりますか。
72 ◯黒滝農産園芸課長
交付金は収穫することが大原則なので、まず、何キロでも収穫すれば、面積払いとかいろいろあるんですけれども、交付金は支払われます。ただ、余り収量が少ないと、収量払いというのがありまして、それは、面積払いと収量払いというのが、どちらか金額的に高いほうが選択されるので、収量が少ないと、面積払いのほうが多くなれば面積払いしか支払われないということになります。ただ、まるっきり収穫されないということであれば、それはあくまでも、自然災害によるものとして国が認定しないと交付金は支払われないことになります。
73 ◯
工藤委員
よくわかりました。絶対そういうときだってあり得るわけです、早くから雪が降って。今回の場合は1カ月半以上、晴れた日が二、三日しかないと。全然晴れないで、雨を含んでいると、大豆の品質にも関係してくるということで、その戸別補償制度がどういうふうになっているか今聞きたかったので。わかりました。
あと、ナガイモのことで、先ほど部長から、入荷量が少なく高値安定とのことでしたけれども、ナガイモも長雨による収穫のおくれがあるのでしょうけれども、その要因と影響、そして収穫量はどのくらい少ないのか、その辺、詳しくお願いします。
74 ◯黒滝農産園芸課長
ナガイモの本格的掘りとり作業は、前年より10日遅い11月19日ころから始まり、主産地である上北地域や三八地域では11月末現在の入庫率が前年比で6割から7割程度にとどまっています。
ナガイモは、茎と葉が完全に枯れて、黄色くなって枯れていることが収穫の目安となりますが、10月始めまで好天が続き、茎葉の枯れ上がりが進まなかったことや収穫時期を迎えてから雨の日が多かったことなどが現在の収穫おくれの要因となっています。
収穫おくれがすぐに品質等に影響するということではありませんけれども、春掘りのほうに回る量が過度に多くなりますと、春の堀りとり作業がおくれ、地温の上昇に伴う品質低下が懸念されます。
75 ◯
工藤委員
前年より4割近く少ないと。それでも、先ほど部長の説明で、高値であるということで、それで少しはほっとしています。
ということで、終わりにしたいと思います。
76
◯小桧山委員長
ほかに質疑はありませんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、これをもって審査を終わります。
次に、お諮りします。
当委員会に付託されております特定付託案件について、さらに継続審査とすることに御異議はございませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
御異議なしと認め、継続審査と決定いたしました。
なお、委員長報告の作成については本職に御一任願います。
以上をもって
農林水産委員会を終わります。
○閉 会 午後0時18分
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