次に、県産
農林水産物における
放射性物質の
安全性確認検査についてであります。
前回報告後の状況を中心に御説明いたします。
1、青森県独自の県産
農林水産物モニタリング調査につきましては、7月26日から実施しており、年度内に約60品目、約1,000件を調査することとしております。
11月17日現在の
調査状況によりますと、51品目について、483件を測定した結果、すべての検体から
放射性物質は検出されなかった。
品目別の件数は、ここに記載しているとおりでございます。
2、
検査計画、
出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方に基づく
農林水産物の検査については、8日4日に改正された「
原子力災害対策本部の考え方」に基づき、県が
検査計画を策定し、具体的な検査を実施しているところでございます。
(1)、牛肉につきましては、8月17日から
抽出検査を行っており、11月8日までに計932件を測定した結果、すべての検体から
放射性物質は検出されておりません。
また、11月9日からは全頭検査を実施しており、11月17日までに計733件を測定した結果、すべての検体から
放射性物質は検出されておりません。
(2)、米につきましては、
前回報告と同様でございます。
(3)、稲わらにつきましては、国の通知により稲わらを測定した結果、
放射性物質は検出されておらず、
通常どおり流通・使用できることとなっておりますが、県独自の
モニタリング調査の結果におきましても、県内40市町村の平成23
年産稲わらを測定した結果でも、
放射性物質は検出されておりません。
(4)、水産物につきましては、本県においては、7月から11月18日までに八戸港に水揚げされた、
スルメイカやサバ類、ヒラメなど延べ80検体について国が測定した結果、いずれも不検出もしくは
暫定規制値を大幅に下回っております。
(5)、その他の品目については、
検査計画に基づき、小麦、原乳、そば、大豆を測定した結果、
放射性物質は検出されておりません。
続きまして、定例の3件につきましては、要点のみを御説明いたします。
まず、農作物の生育と
農業作業の
進捗状況についてであります。今年産の
最終報告となります。
1、生育期間の
気象経過、これは青森市の4月から11月前半までの
気象経過でございますけれども、1)の上の表をごらんいただきたいと思います。平均気温は平年に比べまして累計で0.7度上回っております。日照時間は累計で平年の96%、降水量は累計で平年の117%でございました。
下のほうの3)の月別の平年差を見ていただきますと、降水量のほうでは、7月が平年に比べまして44%と極端に少なくなっておりまして、これにより8月に一時水不足が心配されたところでございます。一方、9月に入りまして、平年対比281%と非常に多くの雨が降ったという結果になっております。
続きまして2、農作物の生育や農作業の
進捗状況と今後の対策であります。
水稲は、県全体では103のやや良となっており、9月30日現在の1等米比率は92.4%となっており、高温等の影響により品質が低下した前年より17.2ポイント上回っております。
畑作・野菜では、
ナガイモの収穫は11月10日ころから始まっており、太物は少ない傾向にあります。
大豆の収穫は、11月10日現在で7割程度終了し、昨年よりも進んでおります。
小麦の生育は、10月20日現在、草丈など平年を下回っておりますが、必要な株数は確保されております。
今後の対策といたしましては、大豆については刈り取りを急ぐ、小麦については、根雪前に
雪腐れ病防除を行うよう指導してまいります。
リンゴにつきましては、「ふじ」の収穫はほぼ終了しております。無袋「ふじ」の果実品質は、硬度及び糖度は平年より高く、
ヨード反応及び着色は平年並でありました。果実肥大は、全般的にやや小玉傾向という結果が出ております。
飼料作物でございます。牧草は、1番草の収量が平年を大幅に下回ったため、年間の合計収量は平年比88%となっております。
また、
サイレージ用トウモロコシの収穫時期は、夏季の高温により生育が早まったため、平年より4日早く、乾物収量は平年比131%となっております。今後は、堆肥の散布などによる土づくりに努めてまいりたいということを指導してまいります。
次に、県産農産物の販売動向についてでございます。表1をごらんいただきたいと思います。
ナガイモの価格につきましては、表1の右側のほうに過去5カ年平均との対比が書いておりますけれども、過去5カ年平均に比べると93%、ニンニクが80%、ゴボウが115%、ネギが55%となっております。ネギの価格がこれだけ低迷しておりますのは、需要が低迷している中で市場全体に入荷量が多かったと。雨の関係で東北産がおくれ、それが関東産と競合したというようなことで、入荷量が多かったことなどからこのような結果になったものと推察しております。
リンゴの価格につきましては、本県に加えまして、山形県、それから他県産の入荷量が少なかったことから、過去5カ年平均では132%となっております。
子牛につきましては、黒毛和種の子牛価格は前年比94%、過去5カ年平均に比ベて85%となっておりますが、前月をかなり上回っているという結果になっております。
最後に、最近の
漁模様等についてであります。
1.10月の主要魚種の動向。
スルメイカは、日本海でやや低調、
津軽海峡で平年並み、太平洋で低調に推移しております。サケは、日本海、陸奥湾及び太平洋で低調、
津軽海峡でやや低調に推移しております。
2、沿岸水温でございます。日本海、
津軽海峡、太平洋で平年並み、陸奥湾でやや高目となっており、全地点での平年差は
平均マイナス0.3度Cで、平年並みとなっております。
3.その他でございます。
(2)、陸奥湾の
ホタテガイ養殖。全域で分散作業を行っており、稚貝の生育に異常は見られておりません。
(3)、八戸港の水揚げ。10月の水揚げは2万160トンで、前年同月より34%減少、金額は32億5,963万円で、21%減少しております。また、1月から10月までの累計を見ましても、昨年同期累計よりも、数量で12%減、金額で14%減となっております。
以上でございます。
3 ◯三橋委員長
ただいまの
報告事項及び
特定付託案件について質疑を行います。
所管外にわたらないように願います。
質疑はありませんか。──
高樋委員。
4
◯高樋委員
私のほうからはTPPについてお聞きしたいと考えております。
このTPPにつきましては、今まで当委員会でいろいろ想定問答をしてきているような感じもいたしておるわけでありますけれども、今回政府が
TPP交渉への参加を表明したと。最近の新聞を見ますと、今度、日中間での
自由貿易協定も動き出すようでありますし、何かしら今の政府のやり方は、開国しているにもかかわらず、
開国開国という
はやり言葉をうまく使いながら、何か世の中を開国風邪にでもひかせてしまうような感じを受けて、ちょっと心配しているんですけれども、この
TPP参加交渉を始める段階で、青森県の
農林水産業における
メリットと
デメリットをもう一度考えてみたいと思いますので、どうぞこのことについて県の考えをお示しいただきたいと思います。
5
◯渋谷農林水産部長
TPPに関しては、すべての
貿易品目につきまして、御承知のとおり、即時または段階的に関税を撤廃することが原則となっております。
したがいまして、
メリットといたしましては、本県から相手国に輸出する際に関税を撤廃することで安く輸出できることで、輸出の拡大につながることが想定されます。しかし、TPPに
参加表明している9カ国について、我が国から輸入する際の関税を本県の
主要輸出品目ごとに見てみますと、リンゴでは、ベトナムの12%が最大でありまして、6カ国が0%、
ナガイモでは、アメリカの6.4%を最大としまして6カ国が0%、ホタテは9カ国すべてが0%といずれも低い状況になっており、このような状況を考えてみますと、現時点での
メリットは非常に少ないものというふうに考えております。
一方、
デメリットに関しましては、高い関税で
国内生産が維持されている米や牛肉などの輸入量が大幅に増加することから、
国内産価格が低下することが懸念されておりますので、本県の
農林水産業には多大な影響を及ぼすものというふうに考えております。
以上でございます。
6
◯高樋委員
今、部長さんのお話をお聞きしますと、結局政府が話ししていることはちょっと矛盾しているような感じがするんです。それこそ
メリットのほうを強調して、さも今までやっていないことがあるからプラスになるんだという話。ところが、今のお話を聞いても、結果的には
農林水産物に関しては、関税の部分でいっても、TPPに参加するエリアの中で、本当にプラスになるというのは一部であって、全体的には何ら影響する状況ではないと。
そういうことを考えたときに、今の政府が説明しているTPPのあり方というものが本当に正しいのかということをもう一度我々聞くほうも、もっと吟味しなければいけないと同時に、やはり国自体も、もっとちゃんとした情報を地方に流していただくということが一番大事なんだと思うんです。
そういう部分で、今回の
参加表明を受けて、これから県は、国に対してどのような要望、対応をしていこうと思っておられるのかお伺いいたします。
7
◯渋谷農林水産部長
新聞報道によってみましても、首相の
参加表明は、
TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入るというようなことで、その
TPP交渉に参加することを表明したのかどうかすらも閣僚間で違うというような状況にありますけれども、いずれにしても、私どもといたしましては、食料の安全保障ということから、さらには、自国の食料は自国で賄うというような基本姿勢を堅持していただきたいと。
そして、11月16日の参議院の
予算委員会で首相は、美しい農村、それから伝統文化はしっかり守り抜くというようなお話もしておりますので、
食料自給率とか、将来に向けた農村の
あり方等を十分考慮しながら
参加交渉を進めていただきたいというようなこと、守るべきものはきちっと守っていただきたいというようなことを国に対しては要望し続けていきたいと考えております。
また、11月11日に首相が、
TPP関係各国との
協議開始を記者会見で発表したわけでございますけれども、その中で、10月に取りまとめました「食と
農林漁業再生のための基本方針・行動計画」に基づいて、必要な
予算措置をとっていくということも話されております。県としては、
担い手育成とか、農地集積とか、すぐにはできない、一朝一夕ではできないいろんな課題も抱えておりますので、長期的な視点に立って必要な予算を確保していくというようなこと、それから、畜産、野菜、果樹などについて具体的な対策が示されておりませんので、これらの品目についても具体的な対策を示して、我が国の農業の将来展望を見据えた形できちっと
参加交渉なり、それから守るべきものは守っていただきたいというようなことを要望し続けるということにしていきたいと思っております。
8
◯高樋委員
今、部長さんのお話にもあるように、閣内自体がまだまとまっていない状況である。また、
民主党自体も賛否が分かれてしまっている。ただ、私、
マスコミ等の報道を見ていますと、民主党内で
マッチポンプをやっているような感じが見受けられるんです。つまり、パフォーマンスだと思うんですけれども、山田前
農林水産大臣は
反対反対と、結果的に
交渉参加を表明したら、さっぱりしたと。あれは、参加でないんだって。ところが、あの方のああいう言動を見ていると、何か裏に隠しているものがあるような感じがするんですよ。それはなぜかと申しますと、今、部長のお話にありましたように、
野田総理は
TPP参加と
農林水産業の足腰を強くするのは別だという議論はしているにもかかわらず、結果的にはTPPに参加するためには、やはりそういう
体制づくりをしなければいけないと。ですから、どういうふうに聞いたらいいのかよくわかりませんけれども、そういう状況の中で、山田さんのあの言動を見ていますと、結果的には、
TPP交渉参加を進める際には
基盤整備にもっと力を入れよと、その辺の予算を組めというような見方も何かうかがえるような感じがあるわけです。
きょう、第3次
補正予算が通るか通らないかの状況の中で、第3次
補正予算が動き出す前から第4次
補正予算の話が出ているんですよ、中央で。これはいかなるものかと。3次も通らないうちから4次が出てきて、それで、山田さんが表明してさっぱりしたって、あの表現は、何か、第4次補正を確固としたものにするような動きのように、私は、疑って見るしかないのかわかりませんけれども、そういうふうに見られてしまう。
それはそれで、政府のやり方ですから仕方がない、我々地方が何だかんだ言う立場でもありませんし、また、私
ども自民党は、今、国政野党の立場ですから、そういう手法に対しては、よくないという表現はしますけれども、それを粛々と進められることに対しては数の論理で負けてしまうので、仕方がないんですけれど。ではその際、地方の立場で考えたときに、いい面でとらえますと、
野田総理がしゃべっているように、TPPと
農林水産業の構造改革は別なんだと、それを進めていかせてもらうんであれば、第4次補正がもし組まれる際においては、予算をちゃんと地方にもらってくる。我々は、今の状況でTPPというのは反対なんですが、それは、もし国で進められてしまったときにはどうしようもないわけで、もし国が断行してしまったときに、やはり我々、地方の政治、行政にかかわっているものは、後で地方が困ってしまう状況だけは防いでいかなければいけない。
そういう状況で考えたときに、やはり
野田総理の言っていることを100%進めてもらう。そのためには、第4次補正でも来年度の本予算でもいいんですけれども、青森県がしっかりした基盤をつくるための
予算措置だけはしっかり求めていかなければいけないんだと思うんですよ。そういう観点から考えたときに、この第4次補正の話が出ているような状況の中で、県はどのような情報を得ながら、そしてそれをどういうふうにプラスに持っていこうとしているのかをお伺いいたします。
9
◯長根農林水産政策課長
まず、第4次補正につきましては、今月10日の
衆議院予算委員会におきまして首相が年度内に第4次
補正予算案を編成する方針を明らかにしたという報道がされましたが、その直後の官房長官の定例会見におきましては、「4次
補正云々という話はない」と、首相の発言を全面否定したとも報じられてございます。
県といたしましては、今の
補正予算、あるいは24年度の
概算要求等々、国の予算の動きを注視しながら
情報収集に努めていきたいと考えております。
以上です。
10
◯北林農村整備課長
基盤の強化というようなお話もありまして、関連して御答弁させていただきたいと思います。
圃場整備、
基盤整備は、本県農業の
競争力強化に向けて効率的・安定的に経営体を育成するために不可欠であり、重点的に推進していく必要があると思っております。平成23年度におきましては、藤崎町の
福島徳下地区ほか10地区の
圃場整備を実施することとしており、その事業費は約15億円となっております。
他方、先ほどもありましたように、第4次補正につきましては、国の動きを引き続き注視しながら、
情報収集に努めていく必要があると思っておるところでございますが、平成24年度
概算要求、これはもう国のほうが農林水産省から財務省のほうに提出しているところでございます。この中身でございますが、担い手への集積に不可欠な
農地整備の促進が
重点推進事項として掲げられており、
戸別所得補償実施円滑化基盤整備事業305億円、この中に
圃場整備なんかの
基盤整備も入っておりますが、これが対前年比116.4%で要求されておるところでございます。これとともに、新たに農地の
畦畔除去等のきめ細やかな
基盤整備を通じ農業の
体質強化等を推進する
戦略作物拡大・
防災保全整備事業270億円などが要求されているところでございます。
県としては、このような事業の活用について、地元要望も踏まえつつ検討してまいりたいと考えておるところでございます。
11
◯高樋委員
第4次
補正予算、また、来年度の本予算の中で、
野田総理が言う、しっかりした基盤をつくる方針で進んでいただけるようでありますので……私は、ことしの初めからずっと話をさせていただいていましたけれども、青森県独自の
農業政策というものをしっかり踏まえた来年度の
事業計画並びに
予算要求をしていただければありがたいと考えております。特に、今からもう国は特別枠……当初7,000億を見ていたのが、きのうかおとといの新聞に、1兆円を見るとか、
特別枠自体がもう上がってしまう、それで44億のあれが守れるのかと私はちょっと不安に思っているんですけれども。それは別にしても、結果的にその
特別枠自体が7,000億から1兆円にふえるとか、それが今度、省庁の分捕り合戦にもなってくるわけです。
ですから、県も来年度の
予算要求に対して、国がせっかく
基盤整備に力を入れるというんですから、それに120%乗って、それに対応できるような
予算措置をこれから組んでいただくようにひとつ要望したいと考えております。これはTPPがあるとかないとかと別な話ですから、とにかく青森県が自立した経済力を持つための一つの政策として
農林水産部がやらなければいけない事業だというふうに考えておりますので、どうかそのことにひとつ思い切った対応を要望したいというふうに考えております。
次に、リンゴのことについて質問させていただきます。先ほど部長さんの話で、ことしは大変個数が少ないようであります。その分価格が上がってきている感じはあるんですけれども。では今度、他県はどうしているのかという話になっていくんですけれども、最近、福島県とか南のほうが、リンゴとか桃がつくりづらくなってきて、青森県に桃が移行してきている。あわせてリンゴも、青森県の
リンゴ農家ですら北海道でつくらなければいけないのではないかという話題が出てきているくらい温暖化の影響が出ていると思うんです。そういう状況の中で、今、北海道が産地化や
ブランド化に取り組んできている状況が見えてきているようであります。
こういう他県の状況を見たときに、では青森県としてこのまま受け身でいいのか。そうではなく、やはり攻めの
農林水産業ですから、リンゴも攻めていかなければいけないというふうに考えたときに、他県のこういう
取り組み状況を踏まえて、青森県としてはリンゴの振興をこれからどのように図っていこうとしておられるのかお伺いいたします。
12
◯花田りんご果樹課長
委員が今おっしゃいましたとおり、近年、北海道の七飯町のほうで、「
ぐんま名月」という品種を使いまして新しい
ブランドをつくったり、岩手県江刺市で「ジョナゴールド」を使って、特定の品種にこだわってつくり方を変えた産地化が進んでございます。また、長野県では、より省力化を進めるために、新わい化栽培というようなものも普及されてございます。このように、地域が一体となった独自の取り組みが見られております。
主産県の本県としましても、こういった特徴的な取り組みがぜひとも必要であると認識しております。
そして、本県においては、新聞でも出ておりましたが、JAの相馬農協が、きちんとした土壌診断を行って土づくりをする、そして摘果も早目に行う、そして、決められた時になったら、さあどうぞというような形できちんと葉摘みの時期も制限して栽培される無袋のふじを「飛馬ふじ」ということで差別化している事例がございます。また、つがる弘前農協のほうでは、光センサーを使いまして、糖度が13度以上で厳選した無袋のひろさきふじを「夢ひかり」の
ブランドで販売してございます。このように、本県におきましても、地域ぐるみで基準を設定しながら、高品質リンゴ生産による地域
ブランドを育成しております。そして産地としての知名度をアップしているというところでございます。県としましては、このような意欲的な取り組みを全県的に波及させるために、これまで、各関係団体と連携しまして高品質リンゴ生産実践運動を実施してまいりました。今後は、これをステップアップさせまして、より商品力の高いリンゴ生産の視点に立った生産対策を展開することとしております。適正着果や適期収穫などの基本技術の励行を図りながら、さらに省力であっても一定の糖度、品質を持った葉取らずなど、わけありの、こだわりのリンゴ生産について生産指導を強化していきたいと考えております。
13
◯高樋委員
相馬農協さんみたいに独自でいろいろ協力してきているところもある。実際、先般、ある方の話聞きましたら、ニュージーランド、オーストラリアのほうからも輸入が入りやすくなってきたと、リンゴが。今そこで、先ほどちょっと話ししましたけれども、日中韓
自由貿易協定が動いてくれば、韓国のリンゴも青森に、日本に入ってくる、TPPがイコールそういうふうになっていくわけです。日本も、青森県も他国には攻めやすくなりますけれども、今まで以上に日本にリンゴが入ってくる率も高くなってくるんです。
そういう状況の中で、今、青森県でリンゴに従事している農家の状況はどうなのか。実際、だんだん高齢化してきている。個人農家でやっている方が多いものですから、反数も限界があって、海外のリンゴがどんどん入ってきたときに、今の状況でリンゴづくりを本当に続けていく人たちがいるのかなと私は心配しているわけであります。これまた、TPPに関連してくるんですけれども、やはり国際化とかTPPのこういう状況の中で、青森県が今以上に10年、20年、30年先を見据えたリンゴづくりというものをやっていかなければいけないと思うんですが、県では今後どのように対応していこうとしておられるのかお伺いいたします。
14
◯花田りんご果樹課長
TPP参加のいかんを問わず、自由貿易の流れについては今後ますます加速して、国内外において海外から安いリンゴが入ってくるということで、価格競争が激化するということは想定されます。
輸出につきましては、これまでどおり、世界一高品質なリンゴとしてさらに積極的な売り込みを展開する一方で、輸入リンゴにつきましては、価格競争の影響を最小限とするために、より一層の低コスト、省力化を図る観点から、関係機関と連携しまして、国の果樹経営支援対策によりまして、わい化樹への改植、防風網・防霜ファンの整備等による生産性の高い園地づくりによりまして低コスト等をしながら省力化を進めることをさらに進めますし、今でもやっておりますけれども、葉取らずリンゴや黄色い品種の栽培などの拡大に取り組んでいきたいと考えてございます。
また、輸入の部分では、リンゴの果汁についてでございますが、現在、TPPに参加を表明していない中国からとても安い果汁が入ってございます。今後、関税率の引き下げによりまして、さらに海外産果汁の輸入が拡大した場合につきましても、県としては、積極的に差別化を進めたいと考えております。高品質なストレートジュース、それに、今ちょっとブームになってございます発泡酒みたいなシードル、リンゴのお酒、これらの普及を進めていきたいと考えております。
さらに、委員から言われました、高齢化して続けていけるのかという心配もございますけれども、これまでに培われた大切な技術や経営力を引き継ぐすぐれた人材育成もこれまた大切なことだと考えております。
ですので、リンゴに関しましては、リンゴ基幹青年の養成、営農大学校等における教育課程などでリンゴの後継者を育成していきたいと考えております。
15
◯高樋委員
我々も、海外、東南アジア等調査していますけれども、マスコミのアンケート等を見ますと、米でも、やはり日本国民は安全・安心を考えれば高くても国内のものを食べたいという状況の中で、日本の農水産物に対する海外の方々の興味も年々増してきているという状況の中で、先ほど来話している、青森県がこれから自立していくために一番大事なのは、第1次産業をどうやって振興していくのか。そしてまた、若い方々が安心して、誇りを持って働ける環境をどうつくっていくのかだと思うんです。私はよく雑談で話をするんですけれども、
農林水産業に従事している方々がベンツに乗るぐらいの、そういう青森県にしなければ若い人はなかなか定着していかないと思うんです。そういうことを考えますと、やはりまずは行政がそういう土壌をどうつくってやるのか。これはやはりお金がかかることであります。リンゴにしても、
基盤整備も当然ますます大事になってくる。ではそのお金をどうするのか、農家は出せません。そういう状況の中で、国のお金100%でそれをつくり上げるために、県の
農林水産部としてどういうふうな取り組みをしていくのか。
十四、五年前ですか、イギリスのイーストモーリングに行きましたら、そのころですらもう、リンゴのもぎとり自動化を研究していたんです。それがどうなったかはよくわかりませんけれども、そのためのわい化栽培の技術をどう確立していかなければならないとかそういう研究もしていました。
やはり青森県も、10年、20年、30年後の青森県の労働人口や、
農林水産業の自立できる規模等を今からもう考えて──考えておられると思うんですけれども、そういう部分で、ならば今何をやらなければいけないのかと。
特にこの今回の
野田総理が表明したTPPというのは、私は、あれだけの覚悟でやってしまえば、もはや来年度は阻止できないと思うんですよ。アメリカと交渉してできなければやめればいい、それだけ強い総理であればすばらしいんですけれども、なかなかそういう状況になるのは薄いのではないかと。
であれば、もしそういうふうになっても青森県の農業は大丈夫なんだというものを来年度の予算から見せていかなければいけない。そのためには、やはり、リンゴにしても
農林水産業にしても、しっかりした自立できる体制をどうつくっていくのかということを明確に青森県自体も打ち出して、そのために来年度はこういう予算を組みましたと、来年度は国に対してこれだけのことを要望しているんですと、そのぐらい県民にわかりやすい政策をひとつ打ち出していただくように要望して、終わります。
16 ◯三橋委員長
ほかに質疑はありませんか。──畠山委員。
17 ◯畠山委員
東京電力への損害賠償請求に関して伺います。
先日の報道に、東京電力福島原発事故農畜産物損害賠償対策青森県協議会は、15日、東京電力に対し約3億3,000万円の損害賠償を初めて請求したという報道がありました。
そこで、まず、福島第一原発事故に伴う本県の主な農水産物の価格への影響について伺います。
18
◯長根農林水産政策課長
福島第一原発事故に伴う本県の主な農水産物の価格への影響は、牛肉とスケトウダラに生じております。
県産牛肉の主な県外出荷先である東京市場の枝肉価格は、4月から6月まででは、前年並みか、それを上回る価格で推移していましたが、国内で放射性セシウムに汚染された稲わらを給与された牛の肉が確認された7月以降は、前年同月比で80%台まで急激に下落し、特に10月には57%まで落ち込んでおります。
また、中国などへの輸出向け割合が高いスケトウダラにつきましては、1月から8月までの県全体の漁獲数量が前年並みだったにもかかわらず、平均価格は前年比48%というふうに大きく落ち込んでおります。
なお、米、野菜、リンゴ、牛肉以外の畜産物、スケトウダラ以外の水産物につきましては、価格への影響は見られておりません。
以上でございます。
19 ◯畠山委員
牛肉とスケトウダラに影響が出ているということでした。牛肉については、この後もう少し詳しく聞きたいと思いますけれども、このスケトウダラについて、対応はどのようにされていますか。
20 ◯山内水産振興課長
県では、11月2日にスケトウダラの価格低下の実態を把握するため、八戸市において、スケトウダラの漁獲の約9割を占める沖合底びき網漁業や卸売市場、輸出の各関係者に聞き取り調査を行いました。この調査によりまして、スケトウダラは、中国などへの輸出向け割合が高いことや、3月の原発事故により輸出が一時ストップし、現在も平年の輸出量を下回っているなどのお話を伺うとともに、5月と6月の価格が前年同期の3割まで落ち込んでいることを県としても確認しました。
東京電力株式会社は、去る10月27日に県庁におきまして、関係団体、市町村等を対象とした輸出に係る風評被害の補償制度の説明会を開催するなど、補償の対象者や内容等について、関係者への周知を図っているところです。
県といたしましては、風評被害への対応が円滑に行われるよう、聞き取り調査の際に関係者に東京電力株式会社の説明会資料を配付しますとともに、詳細につきましては東京電力株式会社福島原子力補償相談室に問い合わせるようお願いしてきたところでございます。
以上です。
21 ◯畠山委員
漏れのないようにその点お願いしたいと思います。
それ以外は影響がないということでしたけれども、もう少し聞きたいんですけれども、例えば豚肉や鶏肉などの価格動向はどうなっているでしょうか。
22 ◯石郷畜産課長
豚肉の価格については、東京市場、大阪市場とも4月から8月まで前年同月の価格を上回って推移してございまして、原発事故の影響はないものと考えられます。
なお、9月、10月の価格低迷ということがあったんですけれども、これは出荷頭数が増加したことが原因として考えてございます。
あと、鶏肉でございますけれども、この価格につきましては、4月から10月まで前年同月の価格を上回って推移してございまして、原発事故の影響はないものと考えてございます。
以上でございます。
23 ◯畠山委員
牛肉の反動というのがあるのかもしれませんよね。サバとかサケはどうですか。
24 ◯山内水産振興課長
サバ、サケにつきましては、そのような影響は出ていないと考えております。
25 ◯畠山委員
それでは、牛肉ですけれども、県産牛肉の価格下落に対する東京電力への損害賠償請求について、その
進捗状況を伺います。
26 ◯石郷畜産課長
去る8月12日に設立されました、県農協中央会などで組織します東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策青森県協議会では、県産牛肉の風評被害に対する損害賠償について、本年7月と8月分の損害賠償請求額として3億2,859万5,876円を11月15日に東京電力株式会社に請求したところでございます。
青森県協議会によりますと、請求の際、東京電力株式会社からは、「損害賠償事務に時間を要していることから、当初予定していた年内の支払いが難しいとの説明があった」と聞いてございまして、県としては、14道県知事を構成員としております、本県知事が会長を務めます原子力発電関係団体協議会が、11月16日に国に対しまして、「原子力災害に対しては、国及び事業者の責任により、確実かつ迅速、十分な賠償を行うこと」という要請をするとともに、11月18日には、東京電力株式会社青森事務所長に対しまして、一日でも早く賠償金を支払うように働きかけたところでございます。
また、同協議会では、今後、牛肉につきまして、7月、8月の未請求分と9月、10月の損害分のほかに、子牛価格の下落による損害についても賠償請求すると聞いてございますので、県としましては、請求手続きが円滑に行われますよう、引き続き資料や情報の提供に努めていきたいと考えてございます。
以上でございます。
27 ◯畠山委員
年内に出ないという、手続があれだということですけれども、県が立てかえてやるとかということは考えられないものですか。
28 ◯石郷畜産課長
県としましては、一日も早く賠償金が東京電力のほうから支払われますよう強く要請していきたいと考えてございます。
以上でございます。
29 ◯畠山委員
はい、そういうことですね。はい。よくわかりました。
その賠償の請求ですけれども、肥育農家がちゃんとみんなわかっているのかと。そういうことを知らなかったということがないのかという心配があるわけですけれども、その辺の周知の問題はどうでしょうか。
30 ◯石郷畜産課長
県産牛肉の風評被害に対する損害賠償請求に当たりましては、東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策青森県協議会が県内の畜産団体と一体となりまして請求手続きを進めることとなったことから、JAグループや畜産関係団体では、それぞれの団体に所属する肉用牛肥育農家に対しましてその旨の通知を行ってございます。
さらに、県では、損害をこうむった畜産農家が損害賠償請求に係る取り組みを知らなかったという事態が生じないよう、市町村に対しまして肉用牛肥育農家全戸へ周知を依頼したほか、各畜産関係団体に対しましても、所属農家への周知を徹底するよう依頼したところでございます。
以上でございます。
31 ◯畠山委員
大丈夫ですね。
32 ◯石郷畜産課長
この文書につきましては、去る9月の末に通知してございましたので、これについてはしっかり周知徹底しているところでございます。
以上でございます。
33 ◯畠山委員
配ったからいいということにはならないわけですから、よろしくお願いします。
次に、TPP問題に関連したGAPへの取り組みについて伺います。
県産リンゴは、品質のよさから海外でも高い評価を受けています。その価値をさらに高め、今後も競争優位を維持するためには、県内リンゴ生産者によるGAPの認証取得が欠かせないのではないかと考えています。
そこで、本県のGAPへの
取り組み状況について伺います。
34 ◯鈴木食の安全・
安心推進課長
本県の
取り組み状況についてお答えする前に、まず、GAPとはどういうものなのかについて若干御説明させていただきたいと思います。
GAPとは、グッド・アグリカルチャル・プラクティスの略称で、一般的には農業生産工程管理というふうに訳されているものでございます。その内容は、例えば、農薬取締法で定められる使用基準の遵守でございますとか、食品衛生法に基づく衛生的な取り扱いなど、農業生産活動を行う上で必要となる関係法令等にのっとって定められております各種点検項目に沿って、農業生産活動の各工程の正確な実施、記録、点検及び評価を行うことによる持続的な改善活動のことでございます。
その手法もさまざまございまして、主なものといたしまして、世界標準とされ、欧州小売業組合が定めるグローバルGAPでございますとかNPO法人日本GAP協会が定めたJGAP、あるいは生協やイオンなどの流通事業者が定めた民間GAP、さらには、国がGAPの導入に向けて基礎的な項目を定めた基礎GAPなどがございます。
そこで、本県におけるGAPの
取り組み状況でございますけれども、第三者機関の認証が必要となりますグローバルGAPやJGAPには、弘前市の3つのリンゴ産地、十和田市や東北町などの5つの野菜産地のほか、公的認証を伴わない民間GAPや国の基礎GAPへの取り組みが県内33産地となってございます。平成22年度末現在で41産地がGAP手法を導入しているところでございます。
そのうち、ヨーロッパでも取引が容易になるとされておりますグローバルGAPには、現在、弘前市のリンゴ1産地、さらには東北町のゴボウ1産地で取り組まれている状況でございます。
以上です。
35 ◯畠山委員
このGAPの促進に向けて、県はこれまでどのように取り組みをしてきたのか伺います。
36 ◯鈴木食の安全・
安心推進課長
県では、GAP導入の促進に向けまして、平成21年度に青森県農業協同組合中央会や全国農業協同組合連合会青森県本部とともに青森県GAP手法導入推進連絡会議を設置いたしまして、県内各産地へのGAP手法導入を進めてきたところでございます。
昨年度は連絡会議を3回開催いたしまして種々の課題を検討いたしますとともに、GAP手法の導入をリードする指導員の育成、GAP導入に係る現地研修会の開催、意欲的な産地に対する実践活動に要する経費への支援などを実施してまいりました。
今年度の取り組みを御紹介いたしますと、4月に第1回の連絡会議を開催いたしまして今年度の取り組み方針を協議して、取り組みを進めてございます。7月と8月には、県民局の普及指導員を認証機関の研修会に参加させますとともに、9月には、営農指導員や普及指導員等を対象とした指導員養成現地研修会をつがる市のリンゴ園で開催して、指導員の育成を図ってございます。
また、10月13日と20日には農協女性部理事会や女性部長会議でGAPの必要性を説明して、GAPの普及を図っているところでございます。
まず、作付面積のほうですが、平成21年産が27ヘクタール、22年産が98ヘクタール、23年産は111ヘクタールと年々ふえております。
それで、生産量についてですが、県の平均単収で算出しますと、21年産が155トン、22年産が568トン、23年産が641トンと試算されます。
以上です。
59 ◯
川村委員
生産量については推計ということで理解をするんですが、21年と23年を比較してみますと、作付面積、生産量ともに4倍くらいに伸びているということで、大いに評価をするところですが、先日、熊本県の新幹線、そして農商工連携100選という事業と、そして、熊本県は非常に米粉に力を入れているということで、調査をさせていただきました。
熊本県の場合、水稲の作付面積は22年産で3万9,000ヘクタール、収穫量が20万2,200トンとなっております。これに対してこの熊本県の米粉用米の作付面積が190ヘクタール、収穫量が1,000トンとなっております。水稲全体の作付に対して米粉米の占める割合が面積並びに収穫量ともに0.5%というふうになっております。
一方、本県の場合の水稲作付面積は22年産で4万9,400ヘクタール、収穫量が28万6,000トンですから、水稲作付面積並びに収穫量で熊本県が青森県の大体七、八割という状況だと思うんですが、これに対して、先ほど答弁がありましたように、本県の米粉用米の作付面積が23年産で111ヘクタール、収穫量が641トンとなっておりますので、米粉用米の占める割合が、面積並びに収穫量ともに0.22%となっております。したがって、本県の米粉用米作付は、水稲作付全体の数値で見ていくと熊本の約半分ぐらいと言えるのではないかと思うんです。
そこで、今後、生産振興という立場から、この作付面積を飛躍的に拡大する必要があるんではないかと思うんですが、来年度以降の米粉用米の作付拡大に対する県の考え方についてお伺いいたします。
60 ◯成田農産園芸課長
米粉用米については、いわゆる飼料用米と同じように、新規需要米ということで、国の
食料自給率の向上に寄与していくため、国も積極的に作付拡大を推進しております。このため、本年度から本格実施となった農業者戸別所得補償制度においても、10アール当たり8万円の交付金が交付されております。
本県では、県と関係団体で組織し、本県水田農業の推進について協議する県農業再生協議会というところがあり、この協議会においてですが、やはり本県は麦、そばなどの生産に適さない排水不良な水田がかなりありますので、そういったところでは、稲作の多収技術であるとか農業機械を有効に活用できる米粉用米、飼料用米などの作付を拡大していくという基本的な考え方があります。
県としても、来年度以降も引き続き、作付拡大の方向で協議することとしております。
以上です。
61 ◯
川村委員
今、所得のことも少し触れられました。21年度、国が試算した数値で見ても、国から最大で10アール当たり8万円の助成があるわけですけれども、この助成などを含めると、来年度あたりでも、主食用米をつくるよりも米粉をつくったほうが所得としてはいいんだというふうに言えるのでしょうか。その辺の確認をさせていただきます。
62 ◯成田農産園芸課長
平成21年当時に米粉用米の検討会で試算しました。そのときは、米粉用米の価格については、米穀安定価格支援機構で保有する在庫米の販売価格であるキログラム当たり79円を用いて、米粉用米の所得が主食用米の所得を上回るという結果になっておりました。ただ、現在、生産者と実需者の間で取引されている価格は、その当時、平成21年で試算した価格よりも下がっております。
このため、米粉用米の現在の10アール当たりの所得は1万円から2万円程度ということで、主食米より低くなっております。ですので、主食用米、米粉用米の価格が今年産並みであれば、来年度はやはり主食用米を作付したほうが所得は高いということになります。
以上です。
63 ◯
川村委員
そうしますと、所得が下がりますので、生産者としてはそちらに移行しにくいという状況があると思うんですが、県として、その辺に対する考え方といいますか、米粉をぜひ普及していきたいという立場なんでしょうけれども、実質、取り引きの価格が下がることになると、生産者としてはなかなか切りかえしにくい状況があると思うんですが、その辺についての考え方を示していただきたいと思います。
64 ◯成田農産園芸課長
やはり本県の水田転作を見ると、確かに定着したものもありますが、湿田が多いので、なかなかいい転作物が育たない現状にあります。生産者から見ますと、やはり戸別所得補償制度に参画して、例えば、米の補償金が定額部分で1万5,000円であるとか、価格が下がったときに補てんされる、そういった制度をうまく活用するためには戸別所得補償制度に入ったほうが断然有利です。そうなったときに、やはりそのまま米をつくる技術や農業機械を使うことができる米粉用米、飼料用米は魅力だと感じています。ですので、生産者も米粉用米などに取り組む意欲はあるかと思います。
ただ、実際転作するに当たって、米粉用米をやるためには実需者との取引、契約が必要となってきます。ただ、その部分で実需者の要望がないと、なかなか米粉用米は進んでいかないわけですので、県としては、この米粉用米の小麦にかわるいい食品であることをもっとPRして、市場拡大であるとか消費拡大に取り組んでいきたいと思っています。
65 ◯
川村委員
実際はそういうふうに価格の面、所得の面でも問題があるということで、県の立場からは、いろんな制度をうまく活用していけば米粉用米でも大丈夫なんだということで、ぜひ、具体的な指導、情報提供をしていただければと思います。
この米粉用米の利用には一般的に4段階ほどの県の支援があると言われています。第1段階は、先ほどお話がありました生産振興対策、第2段階が、処理加工施設あるいは集出荷貯蔵施設等の施設整備の対策、第3段階が、米粉の需要開拓の対策、第4段階が、米粉食品の普及推進対策というふうに言えると思うんです。
そこで、第2段階の施設整備についてお伺いするんですが、この製粉の技術については、最近は80ミクロン以下の高速粉砕、あるいは気流粉砕という技術が確立されるなど、製粉の技術の進歩によって、食パン、菓子パン、あるいはケーキなどの製品づくりが、小麦粉同様に可能となったということを聞いております。また、大量生産、あるいは大豆等の製粉にも使えるということで、非常に汎用性があるんだと、そういうところまで技術の進歩がなされてきているようであります。
そこで、米粉加工の施設整備について県の考え方をお伺いしたいと思います。
66 ◯西谷あおもり食品産業振興チームリーダー
米粉加工の施設整備についてお答えします。
県内では、11の事業者が米粉製粉機を導入して、米粉パン、米粉スイーツなどの加工、販売を行っているところです。
施設の導入に当たりましては、まず、どのような顧客層をねらっているのか、自分たちの強みを生かしてどのような商品を提供するのか、それから、どのように販売するのか、売り上げ目標をどう設定するのかといった基本的なビジネスプランの組み立てが重要と考えております。
国の6次産業化推進事業では、施設整備も対象としておりますので、申請に当たり、事業者の
事業計画づくりなどを支援して、事業の活用や各種融資制度による施設整備をサポートしてまいります。
以上です。
67 ◯
川村委員
県内11の事業者があるということで、製粉の技術について先ほどちょっとお話をさせてもらったんですが、県内のレベルはどの辺までいっているんでしょう。具体的にどういう施設がどういうところまでいっているということでお答えいただければ。
68 ◯西谷あおもり食品産業振興チームリーダー
県内11ございますけれども、0.4トンから9トンといったところが10事業者、十和田市にあります大手の製粉事業者が50トンでございます。こちらの大型精米施設につきましては、直結ピン式粉砕器ということで、円盤に小さなピンがついておりまして、それで微細加工するということで、委員のおっしゃった気流粉砕式は当県には導入されてはおりませんけれども、この直結ピン式粉砕器でも微細粒の加工ができるということで、パンや米粉めんといった活用がされているところです。
以上です。
69 ◯
川村委員
この直結ピン式粉砕器は十和田の製粉工場で使っているということなんですが、これでも、先ほど言ったように、米粉用のパンでありますとかいろんなものにも使える製品なんだという内容でしょうか。
70 ◯西谷あおもり食品産業振興チームリーダー
この製粉機のカタログデータでは、150ミクロンの玄米製粉ができるというふうになっております。
以上でございます。
71 ◯
川村委員
150というとかなり粗いほうではないかと思うんです。先ほど私言いましたように、80とかそれ以下になると食パン、菓子パン、あるいはケーキなどにも小麦粉同様使えると。ですから、その辺まで製粉技術を進めていかないとなかなか汎用性が出てこないと言えるのではないかと思います。そういった意味では、これは国の支援になるんでしょうけれども、そういった施設整備に向けてぜひ御努力をいただきたいと思います。
それと、この施設整備の面では、そういった製粉のほかに、乾燥調製貯蔵施設でありますとか集出荷の貯蔵施設の整備も欠かすことができないと言われております。この点については、県内の状況がどのようになっているのかお伺いします。
72 ◯成田農産園芸課長
県では、この米粉用米等について、やはり生産から流通、実需者への販売までの一連の体制を構築する必要があるということで、平成22年度から県単事業を実施しております。この事業に取り組んでいる農協等に対して、乾燥調製、運搬、それから保管に要する費用の一部を支援しているところです。
また、それ以外に、どうしても米粉用米がどんどんふえて、既存の施設で処理できなくなった場合には、国の事業の活用も取り入れて検討していくことになっております。
以上です。
73 ◯
川村委員
この施設整備もセットだと思いますので、ぜひ、さらなる御努力をお願いをしたいと思います。
次に、この米粉の需要拡大に向けた取り組みについてでありますけれども、先ほどの熊本県の例では、各年度ごとに、県のオリジナルレシピの開発普及のために熊本米粉フードコンテストを開催して、一般県民からの採用、あるいはプロ部門、それぞれ15から16ほどのレシピを選んでいると。そのレシピを年度ごとにまとめたものですけれども、大変ユニークで、おもしろい内容だと思っております。また、米粉のアドバイザーというのも選定をいたしまして、各事業所に派遣などをしていると。それで、新商品の開発に取り組んでいるという状況を伺ってまいりました。
そこで、県として、新商品開発をどのように支援していこうとしているのか、この点についてもお伺いいたします。
74 ◯西谷あおもり食品産業振興チームリーダー
お答えします。
現在、あおもり食品産業振興チームと各地域県民局に、農商工連携食産業づくり相談窓口を設置し、県産食材を使った新商品開発の取り組み拡大を進めているところですが、これまで、商品の企画段階から県職員も参画して加工食品を開発し、最終試作品を県が買い上げるという食産業連携共同プロジェクトなどを活用して、米粉うどん、そうめん、冷や麦、米粉パンを使ったハンバーガーなどが商品化されているところです。
引き続き、産業技術センターの技術指導など関係機関と連携し、新商品開発の取り組みを支援していきたいと考えております。
以上です。
75 ◯
川村委員
いろんな取り組みがされていると理解をいたしました。先ほど熊本県の例を御紹介したんですが、やはりいい事業は取り入れていくことが大事ではないかと思っております。先ほど紹介しましたように、まず米粉のフードコンテストを開催して、オリジナルのレシピを県が蓄積していくことによって話題性が出てくると。そして、レシピをつくることによって一般の県民が気軽に米粉の食品に挑戦することができるという面も私はなかなかいいアイデアだなと受けとめてまいりました。ぜひこの辺も検討をしながら、できれば採用していただきたいというふうに、ここのところは要望をさせていただきます。
それで、この需要拡大という点では、学校給食への導入が最も効果が大きいんではないかと思います。県は学校給食での利用拡大にどう取り組んでいくのか、この点についてもお伺いいたします。
76 ◯津島総合販売戦略課長
学校給食ですけれども、県では、これまで、学校給食会や各学校の栄養職員等と連携しながら、米飯学校給食の拡大に加え、学校給食における県産小麦や県産米粉の利用拡大に取り組んできたところであり、その結果、県産米粉を使ったパンやめんの利用も徐々に広がってきており、特に米粉パンは、完全給食を実施している市町村のほとんどで利用されているところです。
今後は、学校給食側の意向も確認しながら、県産米粉を使ったパンやめんの一層の利用拡大のほか、県産米粉を使ったスイーツや料理の導入についても働きかけていくこととしています。
77 ◯
川村委員
米粉のパンなども県内全校で使用されていることについては評価をするんですが、これまでだと2カ月に1回程度というふうに受けとめているんですが、この辺を飛躍的に拡大をしていく必要があるんではないかと。そうなってきますといろんな課題も出てくると思うんですが、例えば、当面毎月1回実施をするとか、そういう形はとれないものでしょうか。
78 ◯津島総合販売戦略課長
学校給食のパンで、小麦粉パンと米粉パンの割合なんですけれども、現状では、平成22年度では米粉パンが大体15%となっています。うちのほうとしても、学校給食における県産品の使用割合を高めたいということで、生産者とか学校給食側とか、いろんなところと話をしているんですけれども、やはり現状では、この米粉パンの価格が、小麦粉パンの約1.3倍から1.5倍なんですよ。委員御承知のとおり、学校給食は単価が設定されておりまして、平均で、小学校だと1食あたり約250円、中学校で約280円、そういう単価の中で小麦粉パンよりも割り増しの米粉パンをいかに入れていくかと。そこは当然、食育なり地産地消の観点でいろいろとお願いしているんですけれども、徐々に広まっていますけれども、即、急速に入っていくのは、なかなか難しいのかなと。ただ、我々も学校給食のほうと、地元の生産者あるいは加工側、そういったところと連携しながら、何とか県産食材の割合を高めようということで働きかけはしているところです。
79 ◯
川村委員
価格の面での問題が出てくると。約1.3倍から1.5倍になるということで、その辺はわかります。しかし、これまでの小麦粉の製品にどんどん押されて米の需要が落ち込んできたという歴史の中で、やはり小麦粉にかわる製品として米粉を使っていこうじゃないかというのがこの米粉の原点になるわけですので、いろんな価格の問題等もあるんですが、量産することによってコストを下げることも可能になると思います。いろいろな手だてがあるように思うんですよ。
ぜひそこは県に検討していただいて、これまでの2カ月に1回というこの回数を1カ月に1回に高めていくとか、コストについてはこういうふうに削減できるという方法もいろいろあると思うんですよ。その辺もさらに検討してぜひ学校給食での米粉の利用を高めていっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
次に、米粉食品の利用を進めるために県として普及推進にどのように取り組んでいくのか、この点についてもお伺いをいたします。
80 ◯津島総合販売戦略課長
現在、県では、東北農政局青森地域センターが事務局となっている青森県米粉利用推進協議会に参画し、ホームページで県内の米粉や米粉食品を販売している店舗を紹介しているほか、東青地域県民局管内では米粉を使ったスイーツの開発と販売支援、西北地域県民局の管内では米粉うどんや米粉焼きそばなどを紹介する米粉フェアの開催などに取り組み、県内における米粉食品の普及を推進しています。
今後は、引き続きホームページ等を活用しながら県内の米粉食品の情報発信を行うとともに、全国に向けて販売できるような新商品については、アンテナショップでの試験販売や販売業者との商談のほか、県内外で開催する青森県フェアへの出品等の支援をしていきたいと考えています。