青森県議会 2011-07-21
平成23年農林水産委員会 本文 開催日: 2011-07-21
22
◯畠山委員
この
稲わらの問題は、国が想定して対応するべきものを想定していなかったということで、今、起きていると思います。ですから、今、お聞きしましたけれども、空気とか水とか
飼料ですか、考えられるものの安全は確認しておいてほしいと思います。今、大丈夫だというお話でした。
では、もう一つ。豚肉や鶏肉などについて、想定される
汚染ルートはないですか。
23
◯石郷畜産課長
鶏、豚につきましても、牛と同様に水、えさと想定されるところでございますけれども、これも先ほど御説明申し上げましたとおり、例えば八戸市の
配合飼料でございますれば、
八戸飼料コンビナートのえさを使っているということで安全が確認されている。水につきましても、先ほど御説明申し上げましたように、
原子力安全対策課のほうでモニター調査して安全だということでございますので、豚、鶏のことにつきましては安全に生産されていると考えてございます。
以上でございます。
24
◯畠山委員
県民に対して、安全だという情報を発信していくことが重要だと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
ありがとうございました。
25 ◯三橋
委員長
ほかに質疑はありませんか。──
川村委員。
26
◯川村委員
7月に入りましてから、福島第一
原発事故の影響が、今、議論もありましたように、別な形で出てきております。一つは、福島県の
畜産農家において
放射性物質に汚染された
稲わらを給与されたと思われる牛肉が本県においても
食肉業者を通じて一部消費されたという問題であります。もう一つは、宮城県で
放射性物質に汚染された
稲わらが業者を通じて本県に入っているのではないかという点であります。
放射性セシウムについては、仮に体内に取り込まれたとしても、余り蓄積しないので
健康被害はないということで、その点での心配はいたしておりませんけれども、牛肉の販売が各地で大きく落ち込んでいるという状況を考えますと、これまた大きな
風評被害を呼んでいるという問題が出てきております。
そこで、最初の食肉の消費流通問題については、
環境厚生委員会の所管で、本
委員会の
所管外でありますので、
本県畜産の
安全確保という点から、この問題について、ぜひ
農林水産部長の所感をお伺いをいたします。
27
◯渋谷農林水産部長
今回、福島県におきまして
放射性物質に汚染された
稲わらが肉牛に給与され、生産された牛肉が本県にも流通し、また、その一部が既に消費されていたという事案が発生したところでございますけれども、私はこのことによって、本県の
畜産農家にとって大きな影響を与えないかと非常に懸念しているというところでございます。このため、特に
肉用牛の主産地を形成しつつある本県にとっては、安全な
飼料で生産しているんだということを
消費者に提供していく、そういう情報を強力にアピールしていくということが、最も重要なことであると考えているところでございます。
本県では、これまでも牛に給与する
飼料の
安全性を確保する観点から、先ほども言いましたとおり、5月と7月の2回にわたりまして、県内4カ所で
放射性物質の検査を実施し、何もなかったという結果を得ております。また、3月11日の
原発事故の発生以降に収集・収納した
稲わらの
流通状況についても調査したところ、これも先ほど御答弁したとおり、本県には搬入されていないというようなことでございましたので、県としては、今後ともこの牧草とか
稲わら、
サイレージ用の
トウモロコシ、これについても、
モニタリング調査による
自主検査を実施しながら、本県が安全な県産牛肉を生産しているということで、
関係者一丸となって取り組んでいるという姿勢を
県内外に強力にアピールすることによって、本県の
畜産農家に与える影響を最小限に食いとめていきたいと考えております。
28
◯川村委員
今、部長から答弁いただきましたけれども、本県
畜産農家への影響を最小限にとどめていただくということでは、
検査体制をしっかり確立、充実させていただいて、本県産の畜産品は安全なんだというPRを大々的に行っていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。
そこで、本県の
肉用牛、あるいは乳用牛の安全対策という点なんですが、これまでも何度か質疑がありましたけれども、牧草や
稲わら等についての
放射性物質の検査状況についてお伺いをいたします。
29
◯石郷畜産課長
牧草や
稲わら等の
放射性物質の検査状況についてお答え申し上げます。
本県は、牧草については、大気中の
放射線レベルが通常以下のため、国から指定された調査対象地域ではございませんけれども、他県の牧草において基準値を超える
放射性物質が確認されたことを踏まえまして、5月と7月に自主的な調査を実施し、問題のないことを確認したところでございます。
また、
放射性物質による汚染が疑われる
稲わらが本県にも出荷されたと報道されましたことから、県が事実関係を確認したところ、本県の
畜産業者が牛の生産を預託している岩手県の農場に直接搬入されたものであり、本県には入っていないということが判明いたしました。
県といたしましては、福島
原発事故以降に収集・収納された
稲わらの
放射性物質の検査を今月中に実施しまして、本県の
畜産農家が利用する
飼料の
安全確保に努めてまいります。
以上でございます。
30
◯川村委員
本県には福島原発の事故の発生後に県外産の
稲わらはほとんど入っていないんだということが明らかにされましたので、その点については安心をいたしております。ということは、ほとんど県内産のものが畜産で使用されていると。聞くところによりますと、
肉用牛を市場に出す少し前に脂肪分の調整ということで
稲わらを提供するんだということですけれども、本県で
稲わらを畜産に使用している実態というのは、どういう理由からどの程度まで使っているのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
31
◯石郷畜産課長
県内の
稲わら飼料の使用状況でございますけれども、今の委員御指摘のとおり、脂肪分の調整というほかに、
肉用牛におきまして、特に肥育経営におきましては、脂肪の差し、霜降り肉の度合いを上げるため、それから色を真っ赤にすることによって市場価値が高まります。そのために
稲わらを給与する。
稲わらというのは、実はビタミンAが結合した状況でございまして、わらを与えることによって霜降りの牛肉がふえる、肉の色が上がるということでございまして、肥育経営農家におきまして、決して欠くことのできない
飼料となってございます。
以上でございます。
32
◯川村委員
先ほど
稲わらについては、いわば
放射性物質の検査
対象外ということでございまして、
畠山委員の質問の中で、県内の分、4,700トン、940ヘクタール分については今月中に実施をするんだという御答弁のようだったんですが、それでよろしいですか。
33
◯石郷畜産課長
そのとおりで、今、委員御質問のとおり、特に原子力発電所の事故以降のものにつきまして、改めて調査するということでございます。
34
◯川村委員
これらの検査結果の公表あるいは周知という点についてお伺いいたします。
35
◯石郷畜産課長
検査結果の公表と周知についてお答え申し上げます。
牧草及び
稲わらの検査結果につきましては、報道機関や県のホームページを通じて広く県民に公表するとともに、
畜産農家に対しては、各
地域県民局、市町村、関係農協等を通じまして周知することとしてございます。
また、検査の結果、
暫定許容値を上回る数値が検出された場合につきましては、
畜産農家に対しまして、当該
飼料の使用を中止するよう要請し、不足する
飼料等の確保に努めてまいります。
以上でございます。
36
◯川村委員
最後になりますけれども、国に対する要請という点についてなんですが、今回の問題についても、例えば
放射性物質で汚染された牛肉の出荷制限ということで非常に禍根を残したということがありましたし、あるいは、この
稲わら等による内部被曝というものの
検査体制にも疑問が出されております。それと、流通の分野は厚生労働省、水産、畜産の分野というのは農水省ということで、分野が2つの部分にまたがるんですが、こういった問題が出たときの対応を一元化すべきでないかということも問題として出てきております。そういった点について、私はぜひ国に対して、県からも強く要請をすべきでないか、こういった問題の再発を防止するためにも要請をすべきではないかと考えるわけですが、県の見解をお伺いしたいと思います。
37
◯石郷畜産課長
国に対する要請等についてお答え申し上げます。
県としましては、今後とも牧草や
稲わらなどの
自主検査を継続して実施してまいりますが、
肉用牛等の
安全確保のための対策につきまして、関係団体と連携しながら、国に対して強く要望いたします。
38
◯川村委員
最後に御意見を申し上げておきたいと思います。
稲わらについては、県外からはほとんど入っていないということが明らかにされておりましたので、安心をしておりますが、昨年の6月、三橋
委員長の特段の取り組みで、青森県
稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例が施行されております。この第4条の第2項に、畜産分野でも有効に活用すべきであると、県の施策として進めるべきであるという条項もございます。したがって、現在でもこういった観点から取り組みはされていると思うんですが、今回の事件を見ますと、やはり地産地消という観点、あるいはこの条例の趣旨をぜひ実現をさせていくということから考えますと、私はぜひ、もともと畜産の分野に本県産の
稲わらを利活用していただくということを進めていただくことを強く要請したいと思います。
また、国に対しても、先ほども申し上げましたように、
放射性物質で汚染された牛等の出荷の制限、あるいは内部被曝等の
検査体制の確立、そして、農水省、厚労省での問題が発生した場合の対応の一元化、こういった問題についても、国に対して強く要請をしていただくように意見を申し上げて終わりたいと思います。
39 ◯三橋
委員長
ほかに質疑はありませんか。──小桧山副
委員長。
40 ◯小桧山委員
本県の水産業の重要な位置を占めていますホタテガイの養殖について、お伺いしたいと思います。
農業、水産業というのは天候に左右される。したがって、暑くても寒くても影響が出るということでしたけれども、記録的に暑かった昨年の夏でしたけれども、ホタテガイが大変な状況だということで、私たちは
陸奥湾の海上から視察をさせていただきました。地域によって多少ばらつきはあったんですけれども、ほぼ私が見たものは壊滅的な被害を受けていたということで、その後、野辺地漁港の人、横浜漁港の人と対話をしたんですけれども、心配なことをたくさん聞いてきたわけです。
まず、1つ目として、
陸奥湾ホタテガイ稚貝の確保状況について伺いたいと思います。
41
◯山内水産振興課長
お答えいたします。
今月9日から13日にかけて行った第2回全
湾付着稚
貝調査の結果によりますと、採苗器1袋当たりの付着稚貝数は約2,000個から14万3,000個と地区によりばらつきがあるものの、全
湾平均では2万6,000個となっており、
付着数の多い地区から少ない地区への稚貝の分配により、養殖に必要な量は確保できるものと見込んでおります。
なお、稚貝を養殖かごに移す時期につきましては、今のところ、8月上旬以降になると見込んでおりますが、7月25日に予定している第2回全湾臨時付着稚
貝調査の結果をもとに、県ではより的確な情報を提供し、
漁業者ができる限り多くの稚貝を確保するよう養殖指導等に努めていきます。
42 ◯小桧山委員
昨年、北海道へ行って、大きなホタテを食べる機会がありました。おいしかったんですよね、
陸奥湾よりおいしいんじゃないかと思うくらいおいしかった。ところが、稚貝がなければ、北海道の噴火湾のものでも、岩手県の山田湾のものでも、持ってきたらいい、別に心配することないんじゃないかなというと、ほかからは持ってこられないというんですけれども、
陸奥湾以外の地域から稚貝を受け入れることができない理由について伺いたいと思います。
43
◯山内水産振興課長
お答えいたします。
陸奥湾以外のホタテガイ生産地から稚貝を受け入れる場合、
陸奥湾では確認されていない麻痺性貝毒の原因となるプランクトンも一緒に持ち込む危険性がございます。
この麻痺性貝毒は、人間が摂取した場合、死に至ることもあり、毒性が非常に強く、北海道や岩手県などで確認されているところです。
このことから、
陸奥湾のホタテガイ生産漁協で組織されております、むつ湾漁業振興会では、湾外からの稚貝の受け入れを禁止してきたところでございます。
44 ◯小桧山委員
純粋培養ということで、種を守っているわけで、
漁業者の努力によって守られていると理解していいんですよね。
次に、壊滅的な被害を受けた
陸奥湾のホタテガイ生産について、今後の回復の見込みというのはどういうふうになっているのかお伺いしたいと思います。
45
◯山内水産振興課長
ホタテガイ生産の今後の回復についてお答えいたします。
陸奥湾産ホタテガイでは、稚貝採取した翌年の春以降に出荷される、いわゆる半成貝及び新貝の割合が生産量全体の約8割を占めております。このため、今後、本年産の稚貝が確実に採取され、順調に生育した場合、来年度のホタテガイ生産はおおむね回復するものと見込んでおります。
46 ◯小桧山委員
ことしの夏の海水温は高目に推移しているのかなと、7月15日の東奥日報の記事ですけれども、仮に昨年と同様の高水温になった場合、どのような対策を講ずるのかお伺いしたいと思います。
47
◯山内水産振興課長
お答えいたします。
県
産業技術センター水産総合研究所では、気象庁の気象情報、日本海区水産研究所の海況予報及び
陸奥湾海況自動観測システムの実測値に基づき、8月までの
陸奥湾水温は水深1メートルの表層はやや高目から平年並み、水深15メートルの中層から底層は平年並みで推移する見通しを示しております。
このことから、
陸奥湾が底層まで昨年と同様の高水温となる可能性は低いと見込まれますが、仮に昨年と同様となった場合には、関係
漁業者が養殖施設を水温の低い水深帯に下げ、潮流による施設の振動を極力抑えるなど、適正な養殖管理を行い、へい死率の低下を図ることが重要となります。
このため、県では水産総合研究所と連携し、5月から6月にかけて、湾内12地区で
漁業者を対象とした座談会を開催したほか、8月1日には県やむつ湾漁業振興会など関係団体で組織する
陸奥湾ホタテガイ高水温対策本部が対策会議を開催し、海水温の状況や養殖管理の注意事項等について、関係漁協の役職員等に周知徹底を図るなど、対策に万全を期すこととしております。
48 ◯小桧山委員
ありがとうございます。
49 ◯三橋
委員長
ほかに質疑はありませんか。──高樋委員。
50 ◯高樋委員
先般、本県の農業の構造改革を進めていかなければいけないんじゃないかという話をさせていただきましたけれども、今度はその第2弾です。
構造改革をするためには、農地というものをどのようにしていくのか、これから議論していかなければいけない。そういう状況の中で、平成21年に農地法等が改正され、低迷する我が国の食料自給率向上に向けて、これまで以上に農用地を守り、その有効活用を図っていくとの方針が示されたわけですけれども、一方で地域経済の活性化や定住促進に向けた計画的な都市開発も必要であり、農業振興との整合性を図っていくのが重要であるというふうな考えのもとで、国では農地法等の改正に伴い、平成22年6月に農用地等の確保等に関する基本指針を
見直し、これを受けて、県でも平成22年12月に農業振興地域整備
基本方針を変更したようでありますけれども、県の変更に合わせて、市町村も農業振興地域整備計画の全体
見直しが必要であるように聞いております。こういう状況で、市町村において、この農業振興地域整備計画の
見直し状況がどのようになっておられるのかお伺いいたします。
51 ◯一戸構造政策課長
市町村における
見直し状況についてお答えを申し上げます。
市町村においては、昭和44年に制定されました農業振興地域の整備に関する法律、これは通称農振法と言っておりますけれども、これに基づきまして、農地等として利用すべき土地である農用地区域、それと農業生産の基盤の整備等に関する事項などを定めた農業振興地域整備計画を定めることとされております。
この市町村整備計画につきましては、先ほど委員が御質問された中にありました県の
基本方針の変更、さらには市町村における農業振興地域の変更、それから、おおむね5年ごとに行うものとされております農地等に関する基礎調査の結果、さらには、その他経済情勢等の変化、これらを踏まえまして、必要が生じたときは各市町村は、遅滞なく変更しなければならないとされております。
昨今の大きな情勢変化といたしましては、一つは市町村合併がございます。それと、21年度に農地法が改正され、国もそれに伴って
基本方針を
見直し、基本指針の
見直しをかけていました。県も、12月に
基本方針の
見直しをかけてございますので、市町村においても、この市町村の整備計画を遅滞なく
見直していくという状況に至ったわけでございます。
このため、県では昨年度現在、旧市町村単位になっています64の農業振興地域を、合併後の現在の40市町村の40農業振興地域に再編するという目的を掲げまして、現在、さまざま、
見直しの指導を行っておりまして、7月に南部町がこの
見直しを行いました。そのほか、10市町村が現在、今年度中に
見直しに着手をするという状況になってございます。
以上です。
52 ◯高樋委員
南部町が7月、あるいは今後、10市町村がやっていくというふうなお話でありますけれども、この整備計画の全体の
見直しに当たって、県は具体的にどのように指導していこうとしておられるのかお伺いいたします。
53 ◯一戸構造政策課長
市町村の整備計画につきましては、まず、県の
基本方針と整合性を図ることがございます。それと、市町村の全体振興に係る計画や都市計画等との整合性も必要になってございますので、その
見直し作業がスムーズに行われるように計画
見直しのための留意点を整理いたしました青森県市町村農業振興地域整備計画変更に係る運用方針を昨年12月(後刻、「本年2月」に訂正)に策定をいたしました。これに基づきまして、県内市町村を対象とした説明会を昨年度2回、今年度は去る7月12日に開催をいたしまして、この整備計画に係る策定の手順、具体的な記載方法、さらには全体
見直しの必要性、これらについて周知を図りながら、市町村に対する全体策定の
見直しを促しておるというところでございます。
以上です。
失礼しました。市町村に関する変更の運用の
見直しの運用方針については、昨年12月ということで失礼しました。本年2月でございます。失礼しました。
54 ◯高樋委員
この整備計画が早目に出来上がればいいんだと。つまりは、土地利用計画がしっかりしなければ、これからの青森県の農業の構造改革というのが目に見えてこないわけなんです。そういう部分での農地法の改正に伴った基本指針にどのように市町村が農地を張りつけてまちづくりをし、そしてまた、農業を一つの産業にしていくのかという考えが当然出てこなければいけないわけでありますので、その辺については、やはり県も……これは市町村がやるべきだから、県がという話もよくありますけれども、そうでなく、県が全体的な青森県の農業振興というものを考え、農業を一つの産業として経営していく際において、どのような農地を整備しながら配備していくのかということを念頭に置きながら指導して、一刻も早く、この整備計画をつくり上げていただくことが、私は大変大事なんだと思うんです。
その上で、次にまた出てくるんですけれども、この農地計画がある程度定まってきますと、それに合わせて、今の圃場整備の状況でいいのかという話になっていくわけです。今現在、本県における圃場整備の実施状況がどのようになっているのか、そのことについてまずお伺いいたします。
55 ◯北林農村整備課長
本県における圃場整備の実施状況でございますけれども、圃場整備は将来農業生産を担う効率的で安定的な経営体を育成するため、水田の区画整理や農業用要排水施設、農道、暗渠排水の整備などを実施するものであります。
本県では、これまでの圃場整備の実施により、標準区画である30アール程度以上の水田が約5万2,000ヘクタールで、県全体の61.8%、このうち1ヘクタール以上の大区画水田は約3,100ヘクタールで、県全体の3.7%となっております。これを全国と比較いたしますと、30アール程度以上の整備率は全国平均の61.3%と同水準となっておりますが、1ヘクタール以上の整備率は全国平均の7.9%に比べて低くなっております。
なお、平成23年度においては、五戸町の豊間内地区ほか10地区で、合わせて約850ヘクタールの圃場整備を実施することとしており、その事業費は約14億5,000万円となっております。
56 ◯高樋委員
今のお話ですと、1ヘクタール以上の大区画水田が全国平均の7.9%に対して3.7%と、半分のレベルなわけです。じゃあ、この圃場整備に対して、今後、どのように取り組んでいこうと考えておられるのかお伺いします。
57 ◯北林農村整備課長
今後の整備方針ということでございますけれども、圃場整備は水田の大区画化や汎用化、さらには農地集積の促進などを通じて生産コストの低減や大豆等の作付拡大などに大きく寄与しており、収益性の向上を目指す攻めの農林水産業を推進する観点から、引き続き積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
このため、県としては、通常の国、県、市町村からの補助に加えて、担い手等へ農地を集積した場合には、農家が負担する償還金に充当できる、国・県からの最大で事業費の7.5%まで交付される促進費を活用してもらうなど、できる限り農家負担の軽減にも努めながら、集落営農などの地域農業の将来像を実現するため、圃場整備による基盤づくりを進めてまいります。
58 ◯高樋委員
極力、農家負担を少なくして取り組んでいこうという気持ちはわかるんですけれども、現実的に大変厳しいわけですよね。つまりは、今、農家に、さらに農家負担しろと言っても無理な話で、それではどうするかという話になっていくわけです。ですから、先ほどの土地利用計画にしてもそうなんですけれども、まず、県で一つの目標をどこに位置づけていくのかということを市町村に情報発信していかなければいけないんだと思うんですよね。その上で、市町村が自分たちはどういう農産物に取り組んでいくのか、それに対する圃場がどうあるべきか、そのための農地がどういうふうに集積していくのかということにつながっていくと思うんですよ。ですから、土地利用計画というものがある程度定まってきた後に、今度は、圃場整備等々する際に、農家負担をどうやって軽減していくのか。実際、農家の方々の話を聞きますと──私自身に、じゃあ、1町歩田をやりたいから、あなたの土地を譲ってくれないかと言えば、私個人では売らないんですよね、売りたくない。農家では昔からの財産を他のところにやるのは、やはり抵抗が強いんですね。ところが、行政が関与することに対しては前向きに考えたいという話になるわけですよ。ですから、まず、青森県の農業というものをこれから……きょうも知事が台湾、韓国に行ってきてやっているようでありますけれども、海外戦略する際において、青森県の農産物を販売経路に乗せるために、どうコストを抑えていくのかとか、また、今、宮城県がこの震災に伴って水産業を大きくまとめていく、あわせて農業も大きくまとめていく、5町歩田をつくるぐらいの大きな構想を練ってきている、そういう状況の中で、青森県が30アールレベルの圃場で太刀打ちできるのか。品種以前の問題で、コストの段階で、もうそれが無理なわけですよね。ですから、そういう部分を考えたときに、やはり農地の場合でも、特に
リンゴ園のパイロットでもそうなんですけれども、結果的には減歩率等々のうまい調整を行うことによって、県及び市町村がその農家負担に対する取り組み状況を変えていくことで、私はどんどん進んでいくんだと思うんですよ。ただ、それを本当にやる気を持つか持たないか、そこがこれから問われてくると同時に、これが悠長な話でないんだと思うんですよ。
現実に今、自民党も民主党も公明党も党派に関係なく、地域が自立していかなければいけないという前提のときに、国に常に頼って地域をつくるのではなく、自分たちが自立するための地域づくりをするために、何をするべきか、やはりハード面も整備していただかなければいけませんし、その際は、いろんな制度等も弊害になる部分があるわけです。その弊害をどういうふうに解決していくのか。財政のことも、検討していかなければいけない部分がたくさん出てくると思うんです。ですから、その辺を一つ一つ整理した上で、やはり農林水産部として青森県の農業を明確に位置づけたものを市町村や農家の方々に見せて、そして、それにみんなで向かっていく。そのためには議員に対しても……いろいろ、我々も、勉強していかなきゃならないんですけれども、我々もどのような活動をしていけばいいのかとか、その辺の役割分担を、もうそろそろ打ち出していただく時期になってきているんだと思っておりますので、どうかそのことも、部長、念頭に置いて、真に足腰の強い、自立できる青森県の農業というものをひとつ、検討していただきたい、そのことを要望して終わります。
59 ◯三橋
委員長
午さんのため、暫時休憩いたします。
○休 憩 午前11時59分
○再 開 午後 1時02分
60 ◯三橋
委員長
休憩前に引き続き
委員会を開きます。
なお、午後は宝多水産局長が
公務都合により欠席となっております。
質疑を続行いたします。
質疑はありませんか。──蛯沢委員。
61 ◯蛯沢委員
委員長からたくさんの時間をいただいたわけでございますが、午前中に委員の皆さん方からいろいろ御発言がなされているのを聞いて、私と重複しているものが多々あるなと思いますが、それにこだわらず、私は準備したとおり、お聞きさせていただきたいと思います。
まずもって、私どもの上北郡、そして青森県では酪農、畜産というのが相当のウエートを占めているわけでございます。今、まさに畜産、
飼料用の
稲わらについて、いろんな問題等が出てきておりますので、まず、第1点、本県の
飼料用
稲わらの状況について伺いたいと思います。
福島県においては
放射性物質に汚染された
肉用牛が出荷され、その牛肉が流通し、一部は既に消費されているという報道があり、大きな問題となっております。本県が食料供給県として発展していくためには、安全な農畜産物を生産することが必要条件であり、特に畜産経営においては安全な
飼料の確保が極めて重要と考えております。
そこで質問ですが、福島県から出荷された牛肉から
暫定許容値を超える
放射性セシウムが検出され、
稲わらが原因とされているが、本県の
稲わらの状況を伺いたいと思います。
62
◯石郷畜産課長
本県の
稲わらの状況についてお答え申し上げます。
7月19日付の国からの通知に基づきまして今回調査した結果から推計したところ、本県では93%の
稲わらが昨年秋に収集・収納されております。このため、これらの
稲わらについては、
原発事故に由来する
放射性物質による汚染の心配はないものと思われます。
一方、
原発事故後の春に収集・収納された事例が
稲わら全体の7%で確認されました。県としましては、これら春に収集・収納された
稲わらについては、使用の停止を要請するとともに、
放射性物質の
自主検査を今月中に実施しまして、その結果に基づいて、今後の取り扱いを国と協議することとしております。
以上でございます。
63 ◯蛯沢委員
先ほど
川村委員のほうから
稲わらの件で、三橋
委員長の先般の一般質問等でもありましたように、我が青森県の酪農家にすれば、
稲わらが足りないというように言いながら、津軽地域では
稲わらを焼却してマスコミを騒がせる、また、地域住民を泣かせるような環境下の中で、この
稲わらを何とか酪農家、
畜産農家の方々にうまく回るような形で指導できないものでしょうか、いかがでしょうか。
64 ◯鈴木食の安全・安心推進課長
今、お尋ねのあった件でございますけれども、昨年度は条例の効果もございまして、
稲わらの焼却は本県稲作作付面積の1.1%ということで減ってきてはございます。とはいえ、今、委員から御指摘あったとおり、耕畜連携という観点から、やはり
稲わらの有効活用というのは引き続き重要であると考えてございます。来る29日には、
稲わら流通促進商談会ということで七戸町の会場で開催することにしてございます。県内の
稲わらの有効活用について、今後とも強力に続けてまいりたいと考えてございます。
以上です。
65 ◯蛯沢委員
少なくても、わらを燃やしているものなのか、お札を燃やしているものなのか、お札なんだよというのを津軽の稲作農家の方々にもっと県のほうでもPRするようにしていただきたいと思います。
次に移りたいと思います。
次に、畜産における経営安定対策についてお伺いいたします。
今回の震災以前から景気低迷を要因とする牛肉価格の低迷が続いており、
肉用牛の生産農家は非常に厳しい経営をさせられているが、このように価格が低迷した場合、
肉用牛経営に対する支援対策にはどのようなものがあるのか伺いたいと思います。ちなみに、県の畜産の競り場というのが、今、お話にありましたように、私どもの地域の七戸町にありますので、
畜産農家の方々の競りに対しての一喜一憂、その中で、今、一喜の喜ぶ部分のお話は聞いておりません。また何%下がったというようなことばっかり聞いておりますので、ひとつ、
畜産農家にいいお話を私が届けるようにしたいと思っておりますので、いいお話を教えてくれればありがたいと思います。よろしくお願いします。
66
◯石郷畜産課長
肉用牛経営に対する支援対策について御説明申し上げます。
国では、肥育経営に対する支援対策といたしまして、
肉用牛肥育経営安定特別対策事業を実施しております。この事業は、
肉用牛生産者と国の拠出金により基金を造成しまして、
肥育牛の価格が一定水準を下回った場合にこの基金から補てん金を交付するもので、平成22年度の実績では延べ2万7,000頭を対象に14億3,000万円が交付されました。
また、子牛を生産する繁殖経営に対しましては、肉用子牛生産者補給金制度がありまして、国、県及び生産者が一定の割合で負担金を拠出し、子
牛価格が下落した場合に、この負担金を財源に補給金を交付してございまして、平成22年度の交付実績は4,800頭に対しまして1億4,000万円となってございます。さらに、この制度を補完する事業としまして、
肉用牛繁殖経営支援事業がありまして、家族労働費の一部を補償するために交付金が交付されております。
県としましては、これらの国の制度を活用しながら、
肉用牛経営を支援することとし、生産者への制度の周知を図っているところでございます。
以上でございます。
67 ◯蛯沢委員
福島県において
放射性物質に汚染された
肉用牛の出荷、牛肉の流通が大きな問題となっており、一部では牛肉の買い控えなどの
風評被害も報道されて、本県では現状において牧草等の
飼料作物から
放射性物質は検出されていないというものの、
消費者への食の安全・安心の観点から、
肉用牛生産地として
風評被害防止対策を講ずる必要があると思うが、県の考え方を伺いたいと思います。
68
◯石郷畜産課長
御説明申し上げます。
本県は、県基幹種雄牛第一花国の効果により
肉用牛の主産地を形成しつつありますが、
風評被害により県産牛肉の評価が低下することは、県内
肉用牛生産者にとっては大きな損失になります。
このことから、
肉用牛の生産地として
風評被害を防止するため、今後とも牧草や
稲わらなどの
自主検査を継続して実施し、
飼料の
安全確保に努めることによって県産牛肉の
安全性をPRしてまいります。
以上でございます。
69 ◯蛯沢委員
確かに私どもの地域では、第一花国の系列というのか、そういう系統のお肉が出て、そして私どもの地域のAコープなんかに行ったときは、大型スーパーとか、また、いろんなところのお肉よりも、肉に関すれば、どこにも負けないというように
消費者の方々が言っておられます。この期待を裏切らないように、県のほうでも青森県の畜産酪農に力を入れてくださるように再度お願いを申し上げたいと思います。
次に移りたいと思います。
農業者戸別所得補償制度における
飼料用米の取り組みについてお伺いします。
本年度から本格的にスタートした農業者戸別所得補償制度では、米に加えて麦、大豆などの畑作物も交付金の対象となったようです。また、水田に米以外の作物を作付した場合も交付金が受けられるとのことですが、まず最初に、
飼料用米を作付した場合の交付内容についてお伺いします。
70 ◯成田農産園芸課長
飼料用米の交付については、食料自給率を向上させるために、水田の有効活用により生産拡大を図ることをねらいとしており、農業者戸別所得補償制度に加入し、水田に
飼料用米を作付した農業者等に対して交付金が交付されます。
その交付内容ですが、水田活用の所得補償交付金として、主食用の米並みの所得を確保する水準である10アール当たり8万円が販売農家または集落営農を対象に12月までに交付されることとなっております。
また、これとは別に、県では地域が振興する作物等に対して助成するために、国から配分された産地資金を活用して、例えば種子を直接水田にまく直播栽培によるコスト低減や、土壌診断による土づくりなどの取り組みを行った
飼料用米については10アール当たり5,000円以内の額を上乗せし、交付することとしております。
以上です。
71 ◯蛯沢委員
私の住んでいる東北町でも、この制度に加入して、大規模な
飼料用米生産に取り組んでいる農家がおります。県知事にしても、部長にしても、この制度がたくさんの農家の方々を助けているというようなお話も今まで聞いているわけですが、たくさんの農家というのはどのぐらいの農家の方が実際恩恵を受けているかは、私はわかりません。そこで、県内における
飼料用米の22年産の作付実績と、ことしの作付見込みはどうなっているのかお伺いします。
72 ◯成田農産園芸課長
平成22年産の
飼料用米の作付面積は、県全体で832ヘクタールとなっております。
また、本年は現在、市町村等で取りまとめ中ですが、22年産を大幅に上回る3,000ヘクタール以上と見込んでおります。
以上です。
73 ◯蛯沢委員
飼料用米は食用の米に比べて栽培管理がおろそかになるケースがあると聞いているが、県ではどのように考えているのかお伺いします。
74 ◯成田農産園芸課長
5月末から市町村、JAで構成する市町村再生協議会に県のほうで巡回した際に、
飼料用米を作付している一部の農家では栽培管理がおろそかになり、病害虫の発生要因になるのではないかと心配する声が寄せられております。
こういうふうに栽培管理がおろそかになるケースの要因としては、農業者が生産費を少しでも低減するために、通常の栽培管理より病害虫の薬剤散布とか、草刈りの回数を減らしていることなどが考えられております。
以上です。
75 ◯蛯沢委員
飼料用米の栽培は無農薬栽培なんでしょうか、低農薬栽培なんでしょうか。
76 ◯成田農産園芸課長
飼料用米といえども、通常の食用の米と同様の栽培が求められております。
以上です。
77 ◯蛯沢委員
今、ここの場で通常の管理というお話が出たわけでございますが、私どもが聞いている限りの中では、無農薬というような形にならなくても、低農薬栽培じゃないのかと。そして、2、3日前の新聞にカメムシが大量発生というように出たと思います、私も見たわけでございます。このカメムシが大発生している、この発生源がどこなのか限定はできませんが、私どもの地域の稲作農家の方々に言わせれば、
飼料用米をやっている方のところの管理が本来の稲作農家の方々の管理と同じような管理をなされていないというようなことでカメムシが発生をしやすいと、この周りの方々から見たときに、
飼料用米の田んぼが近接にあるのが一番恐ろしいというように聞いているわけでございますので、ここの点に関すれば、県の指導管理がどの程度まで発揮できるのか、また、指導ができるのか教えていただければありがたいと思います。
78 ◯成田農産園芸課長
この生産指導に関しては、直近では今月の8日に市町村、農協を対象に、稲作の生産技術研修会を開催しております。その中で、主食用の米の栽培管理、加えて
飼料用米の栽培についても、周辺の水田に病害虫が発生しないよう、特に急増するカメムシが発生しないように適正な薬剤散布などの管理に努めるよう指導の徹底を図ったところです。
以上です。
79 ◯蛯沢委員
今、徹底を図ったというようなお話でございますが、本当に
飼料用米の生産者の方々には主食をつくるんだというような気持ちで栽培管理を徹底していただければありがたいと思います。少なくとも、
飼料用米がメインじゃないと、私は思うんですよね。人間様が食べるものが本来の稲作農家が携わる目的だと思っております。まあ、そうは言いながらも、本当に
飼料用米が
飼料用米として流通なされているのかどうかという部分の中でも、多々、疑問というものが地域によって、いろんなお話がなされております。そういうようなことで、この
飼料用米の制度を少なくとも栽培上の管理、そして、流通の管理に関しまして、一言お尋ねいたしたいと思います。
80 ◯成田農産園芸課長
まず、
飼料用米については主食用の米とはっきり区別しておくことが法律に基づいて定められております。そういうふうにきちんと行われているか、国の農政事務所等では立入検査ということも行っております。
以上です。
81 ◯蛯沢委員
確かに国の農政事務所では、私の目にするところで、養鶏をやっているところには年に3回ほど来て管理をしていると。そうは言いながらも、生産量が莫大な分、全量の確認ができているのかどうか、この辺はまだまだ課題があると思います。少なくとも
飼料用米の栽培管理について、周りの農家の方々に迷惑のかからないように栽培管理を徹底をさせていただきたいと思うし、また、流通のほうに関しても、流用をされないよう、県当局のほうでも指導管理徹底をお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
82 ◯三橋
委員長
ほかに質疑はありせんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、これをもって審査を終わります。
以上をもちまして
農林水産委員会を終わります。
○閉 会 午後 1時22分
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