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平成23年第266回定例会(第4号)  本文 開催日: 2011-06-24
平成23年第266回定例会(第4号) 名簿 開催日: 2011-06-24

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  1. 青森県議会 2011-06-24
    平成23年第266回定例会(第4号)  本文 開催日: 2011-06-24


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(高樋 憲) ただいまより会議を開きます。  暑い折から、上着を脱いでもよいことといたします。    ──────────────────────       ◎ 一 般 質 問 継 続    ────────────────────── 2 ◯議長(高樋 憲) 一般質問を継続いたします。  三番齊藤爾議員の登壇を許可いたします。──齊藤議員。 3 ◯三番(齊藤 爾) 自由民主党の齊藤爾です。  四月十日の初当選後の初の定例会におきまして一般質問の機会を与えてくださいましたことに、会派の諸先輩方に感謝いたしますとともに、この場に立ちまして、改めて、支持者の皆様方のありがたさと職責の重さを痛感いたしております。  また、思い返せば、十数年前、当時二十代半ばであった私が、商工会青年部の一員として県青連研修会で百石町を訪れた折、初めて、三村知事──当時の百石町長にお会いしました。  そのとき、知事は、ようこそ百石町へと、今と変わらぬ笑顔と話し方で、気さくに握手をし、百石町のセールスを一生懸命されていました。  印象的だったのは、知事をその場に呼ばれた百石町青年部の方が、うちの町長は、いずれ、町長ではなく、もっと大きな政治家になると言っていたことで、まさに炯眼と言うべきなのでしょう。  そのような知事と、十数年の時を経て、同じこの県議会の議場で議論ができますことは感慨深くもありますが、県民生活第一の姿勢で臨ませていただきたいと思います。  それでは、通告に従いまして、自身の所感を交えながら、順次質問をさせていただきます。  質問の一つ目は、本県立地原子力施設の安全対策及びエネルギー政策についてです。  本年三月十一日午後二時四十六分十八秒、宮城県牡鹿半島沖を震源として発生した東日本大震災は、日本の観測史上最大、マグニチュード九・〇を記録し、太平洋沿岸の地域に甚大な被害をもたらしました。今現在、死者一万五千人以上、行方不明者七千人以上、全半壊の建物二十万戸以上、そして被害総額は二十五兆円とも言われております。  私自身、五月上旬、三日間をかけて、仙台空港、塩竈市、松島町、石巻市、南三陸町、気仙沼市、陸前高田市、大船渡市、釜石市、大槌町、山田町、宮古市、田野畑村、普代村、野田村、久慈市、そして八戸市と視察してまいりました。  内陸部に位置する弘前出身の私には津波に対しての知識も経験もありませんし、今回の被害もテレビのニュースやユーチューブなどでは見ていましたが、現地で実際目にしたものはすさまじいものでありました。  ありとあらゆるものが破壊され、残っているのは住宅の基礎と鉄筋コンクリートの建物。仙台では、土葬されたお墓に無数の花束、石巻では、大川小学校児童・先生が避難しようとし破壊された新北上大橋、見渡す限り瓦れきだらけで壊滅状態の陸前高田市、どれも筆舌に尽くしがたい惨状で、自然の猛威と人類の限界を感じさせられました。  福島第一原子力発電所においても、十五メートルほどの津波による全交流電源喪失に端を発した炉心溶融、圧力容器の損傷、そして放射性物質の拡散事故。この事故によって、多くの日本人が、これまで安心・安全とされてきた原子力施設の安全神話の崩壊を目の当たりにしました。
     さらに、震災発生以来、そして事故発生以来、政府・民主党の対応の悪さが国民を不安と恐怖に陥れたばかりか、菅内閣不信任案に対する民主党の対応は、もはや、残念ながら、救いようがないとしか言いようがありません。  そんな中、六月十八日、海江田経済産業相が唐突に、安全対策は十分であると、原発再稼働の要請方針を示しました。一体、何を根拠に再稼働を要請するのか甚だ疑問がありますし、今の時点での再稼働に対して、住民理解は当然得られないものと思います。  私自身、現時点での日本のエネルギー需要や、環境、化石燃料を取り巻く状況、地球温暖化などさまざまな現実を見た場合、再生可能エネルギーの大幅な技術革新が図られるまでは、安全対策が十分にとられた上での原子力施設の利用はやはり必要であると思います。だからこそ、本県独自の厳しい視点での検証が必要不可欠であると考えます。  そこで、一連の福島第一・第二原子力発電所事故を踏まえた東北電力東通原子力発電所及び六ヶ所再処理工場の緊急安全対策にかかわる国及び事業者の対応状況についてお伺いいたしますとともに、それらに対する知事のお考えをお伺いいたします。  次に、青森県原子力安全対策検証委員会についてですが、昨日までの一般質問においてもさまざま質問が出されておりましたので、私からは端的に二点お伺いいたします。  一点目は、一部報道にもありましたが、委員会開催初日から事業者の安全対策にお墨つきを与えた委員もいたと。県民の安心・安全を担保すべく設置された委員会であり、その報告が知事の判断に大きな影響を及ぼすであろう委員会において、深い議論もないままに早期の判断を表明する委員とは一体何の専門家なのでしょうか。重要な委員会だからこそ、委員の人選そのものに疑問を感じますし、再稼働ありきの委員会であってはならないと思います。  各委員の原子力政策に対するこれまでのスタンスを十分確認されたのかお答えください。  あわせて、検証結果が出た場合、県としては、その内容を踏まえ、どのように対応していくのかお伺いいたします。  質問の二つ目は、再生可能エネルギーの導入促進と県内産業の振興についてです。  再生可能エネルギーには、太陽光、太陽熱、風力、地熱、そして潮力などがあり、自然界にほぼ無限に存在する何かしらのエネルギー源を電力に転換するシステムと定義ができるようでもあります。  福島原発の事故以来、再生可能エネルギーの利用促進がクローズアップされておりますが、現在のところ、原子力発電の代替エネルギーとなるには問題点が多く、さらなる技術革新が待たれるところのようです。  しかしながら、再生可能エネルギーにはさまざまな利点、可能性もあるように思われます。例えば、各家庭にソーラーパネルを設置し、十分な発電量と蓄電技術が進歩すれば、家庭での電力が各自で賄え、家庭での停電がなくなり、災害に強いまちづくりにつながると思います。  また、塗るだけでソーラーパネルができる素材が発明されれば、町じゅうあらゆる場所での発電が可能になり、街灯、信号はもとより、自動車も電車も自家発電で走るかもしれません。携帯電話やパソコンの充電も不必要になるでしょう。  こういったさまざまな可能性を秘めた再生可能エネルギーですが、本県においてもあらゆる分野での活用・普及促進が求められていると思いますし、活用・普及促進のみならず、それを産業振興、雇用拡大につなげる施策・対策が必要だと思いますが、県の見解を求めるものであります。  質問の三つ目は、リンゴの生産状況と販売促進対策についてです。  言うまでもなく、本県、特に津軽地方にとりまして、リンゴ産業は経済の根底を支える重要な産業であり、リンゴの生産量、価格が地域経済の浮沈のかぎを握っていると言っても過言ではありません。  きょう六月二十四日は、女性として初の国民栄誉賞を受賞された昭和の大歌手、美空ひばりさんが平成元年に亡くなった日であります。昭和二十七年、「リンゴの花びらが風に散ったよな」で始まる「リンゴ追分」を発売し、当時としては異例の百三十万枚の売り上げを記録しました。弘前市のりんご公園には、木村守男前知事の書による、歌詞が刻まれたリンゴ追分の歌碑もあります。また、美空ひばりさんの命日を、その歌から林檎忌ともいうそうであります。  このように、多くの人に愛され、本県経済を長く支えてきたリンゴ産業が、今、危機に立たされています。昨年夏の高温による結実不足が多くの農家や関係者に指摘されており、品種による差異はあるようですが、結実がほぼ皆無だと嘆く農家の方もいらっしゃいます。  県として、このような状況をどのように把握しているのか、また、本年生産量及び品質に対しての影響について、どのように認識しているのかお尋ねいたします。  次に、ふじの有袋栽培、無袋栽培の適正比率と県のかかわりについて質問いたします。  近年、農家の高齢化や省力化、価格差のなさによって、著しくふじの無袋化が進行してきました。この著しい無袋化の影響は、本県リンゴ販売価格に少なからず影響を与えており、CA貯蔵の技術が進歩したとはいえ、無袋ふじの販売長期化による内部褐変などの状況を引き起こしかねません。  このような状況に対して、県りんご果樹課は、労働力確保など有袋への誘導のためのシステムづくりが必要、意見をもとに対策を検討するとしておりますが、現時点での具体的な対策はお持ちなのかお伺いいたしますとともに、もし現時点でも検討中であるならば、いつまでに対策を出すおつもりかお尋ねいたします。  さらに、ほぼ終了いたしました二十二年産リンゴの販売状況につきましても御答弁ください。  リンゴ関係最後の質問は、二十三年産販売促進対策についてです。  先般、北海道のリンゴ卸問屋さんから、ことしの弘前のリンゴは放射能は大丈夫ですかとの電話をいただきました。その問屋さん自身は、放射能の影響などあるはずもないし、気にもしていなかったそうですが、関東と九州のお客さんからの問い合わせがあったため、確認せざるを得なかったとおっしゃっていました。国内ですらこのような不安による問い合わせがあるくらいですから、海外は推して知るべしです。  先般、「りんご輸出二四%減」とのショッキングな見出しが新聞に掲載されましたが、問題は、今年度産に与える影響ではないでしょうか。  十年ほど前に台湾へのリンゴ輸出の検疫作業に携わったことがありましたが、非常に厳しいもので、中には、防除の不徹底で、輸出不可のリンゴもありました。国内、海外ともに、本県リンゴの販売促進には、安心・安全の広い周知徹底なくして販路拡大なしとの思いがいたします。  県としてどのような対策を講じていくのかお尋ねいたします。  質問の最後は、児童虐待への取り組みについてです。  児童虐待には、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクトなどさまざまあります。私自身、数年前までは、虐待はテレビドラマの中の話で、身近では聞いたことも見たこともない、無縁のものと思っていました。  しかしながら、弘前青年会議所の事業の一つとして取り上げられ、活動したことを契機に、児童相談所の方の講演を聞いたり施設を訪問し、実態を思い知らされ、愕然とさせられました。児童虐待が年々増加している事実、家庭内で虐待が行われるため表面化しにくいという現実、虐待を受けた子供の半数は、自身が親になったとき子供を虐待してしまうという虐待の連鎖、そして、虐待されながらも親元にいたいと願う、悲しい子供たちの心などです。  弘前市議時代に虐待について一般質問で取り上げたことがありましたが、最終的には主に県の管轄だと答弁されたことがありました。  虐待されている子供たちにとっては、市や県の行政区分は何の意味もないことですし、ただ単にその家庭に生まれてきただけで、彼ら、彼女らには何の落ち度もないのです。何の落ち度もない子供たちが、理不尽な虐待を受け、その後の人生においても少なからず不自由、不利益を受けるようなことは社会が許すべきではないと確信いたします。人生は平等でないことは理解いたしますが、著しい理不尽な不平等には、可能な限り社会が支援すべきであるとも確信いたします。  児童虐待相談対応の状況についてお伺いしますとともに、虐待防止根絶に向けた県の取り組みについてお答えください。  また、虐待根絶・防止が入り口策ならば、出口策は、児童養護施設等からの退所時の対応ではないでしょうか。  多くの入所児童は、高校卒業とともに施設を退所し、社会に出ることになりますが、その際、当然ですが、親の支援は期待できませんし、県内就職を希望しても、家賃や生活必需品をそろえるお金もありません。  そのため、多くの子供たちは、県外の寮のある会社や住み込みの仲居さんなどの仕事を選択するしかなく、選択の幅が必然と狭められている現実があります。  県としても、現在、幾らかの対応がなされているようではありますが、さらなる自立支援の充実を図るべきと考えますが、県の見解を求めます。  以上、四項目十一点になりますが、壇上よりの質問を終わらせていただきます。 4 ◯議長(高樋 憲) 知事。 5 ◯知事(三村申吾) おはようございます。齊藤議員にお答えいたします。  まず、私からは、原子力安全対策検証委員会の検証結果に対しての対応でございますが、私としては、この検証委員会の検証結果については、これを真摯に受けとめ、最大限尊重していくとともに、県民の安全・安心を守る立場から、国及び事業者に対し、言うべきことは言い、求めるべきものはしっかりと求めるなど、厳しく対処してまいります。  その上で、県民を代表する県議会での御議論、地域住民を代表する市町村長の御意見、原子力政策懇話会での御意見、県民説明会における御意見、県内各界各層からの意見聴取における御意見等も踏まえ、総合的に判断してまいります。  リンゴの販売のことにつきましての、まず国内であります。  私は、青森県の元気は農林水産業からという強い思いで、消費者起点に立った安全・安心で良質な農林水産物を生産し、売り込んでいくという攻めの農林水産業を展開してきました。  特に、リンゴにつきましては、本県を代表する産品として、みずから先頭に立ち、関係する市町村長や生産者団体の代表者とともに、県内外の大手量販店や青果市場等の経営トップに販売要請をしたり、あるいは消費者に直接PRするトップセールスを積極的に行ってきたところであります。  こうした中で、本年産リンゴにつきましては、結実が少ない園地も散見されますことから、適正着果と高品質生産に向けた栽培管理の指導に万全を期していくほか、収穫後の販売に当たりましては、県内出荷団体と情報交換を密にして、選果などの品質管理の徹底や計画出荷の推進に努めることとしております。  また、消費地においては、全国十三地区二百五社の青果会社で組織されます青森りんごの会と連携した宣伝活動や、市場関係者等への取り扱い拡大の要請、さらには、私みずから、全国の小学校や幼稚園へ足を運び、これまで同様の食育活動を行うほか、新たな大手量販店等での消費者へのPRなどを積極的に展開することとしております。  さらに、社団法人青森りんご対策協議会では、マスメディアやインターネットを活用した青森リンゴの消費宣伝活動に加え、青森りんご専門販売員を活用した試食宣伝活動などを通じて、青森リンゴの正しい情報を伝え、消費拡大を図っています。  県としては、引き続き、これらの関係団体と連携を図りながら、青森リンゴの販売促進に努めていくこととしております。  そして、国外──輸出促進についてでございます。  私は、我が日本国が、人口減少社会を迎え、国内市場が縮小するという見通しの中にあって、本県が、経済発展を続けるアジアを初めとする海外市場から外貨を獲得し、本県経済を安定成長へ導いていくことは極めて重要であると考え、今年度新たに観光国際戦略局を設置し、農林水産品の輸出促進・拡大に積極果敢に取り組む決意であります。  特に、リンゴは、世界に品質を誇る本県のトップブランドであります。青森県農林水産品輸出促進戦略において、リンゴジュース等とともに戦略商品に定め、中国を中心とした東アジアやベトナムなど東南アジアの重点対象地域に対し輸出拡大を図ることとしております。  このため、本年度は、青森県物産振興協会内に輸出促進員を配置し、海外企業に対して、リンゴを初めとする農林水産品の商品提案や県内事業者等とのマッチングを行うことに加え、関係団体と連携して、中国等のバイヤーを招聘しての産地商談会や、中国、ベトナムでの商談会の開催、青森リンゴを熟知したスーパーマネキンを活用したりんごフェアの開催などに取り組むこととしております。  さらに、本県産リンゴの最大の輸出先であります台湾につきましては、東京電力福島第一原子力発電所の事故による風評の影響が懸念されますことから、私みずからが訪問し、政府機関や輸入業者等に対しデータを示して安全性をアピールするほか、十月には現地の消費者等に直接安全性を訴えかけることを予定しております。  今後とも、本県産リンゴの輸出の維持・拡大を図っていくため、強い覚悟を持って輸出促進活動に取り組んでいきます。  児童虐待防止に向けた県の取り組みでありますが、児童虐待は、子供の心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるものであります。深刻な問題であります。  私は、すべての子供が幸せに育ってほしいとの願いから、これまでも、児童虐待の早期発見、早期保護のための相談支援体制の強化とともに、虐待が起きた家庭や虐待を受けた子供に対する支援に取り組んできたところであります。  平成二十三年度においても、児童福祉司を適切に配置するほか、二十二年度に引き続き、児童福祉司等をサポートいたします児童福祉司等補助職員も配置して、児童虐待に迅速に対応していきます。  さらに、児童虐待対応は、市町村の果たす役割が重要でございます。そこで、市町村及び市町村が子供を守る地域ネットワークとして設置しております市町村要保護児童対策地域協議会の強化を図るための取り組みも、二十二年度に引き続き展開していきます。  また、私は、青森県を、ほほ笑みと笑いの力、笑顔の力で、虐待の少ない、子育てしやすい地域にしたいという思いから、平成十九年度から二十一年度まで、青い森のほほえみプロデュース事業を展開してきました。  現在は自主的な県民運動に発展しているわけでありますが、ほほ笑みを生み出す知識と技術を学んだほほ笑みプロデューサーは、これまでに約二万九千人養成されており、今年度中に三万人に達する見込みでございます。こういった力もまた活用していきたいと考えているところであります。  私からは以上です。 6 ◯議長(高樋 憲) 企画政策部長。 7 ◯企画政策部長(佐々木郁夫) 検証委員会委員の人選に当たって、原子力政策等に対するスタンスの確認を行っているかについてお答えします。  検証委員会の委員の選任に当たりましては、原子力政策等に対するスタンスが賛成あるいは反対ということではなく、あくまでも、県内の原子力施設に係る安全対策について、県民の安全・安心のために、それぞれの専門的お立場から徹底した検証を行っていただくことが大切であると考えており、そういった観点で幅広い分野から選任いたしているものでございます。 8 ◯議長(高樋 憲) 環境生活部長。 9 ◯環境生活部長(名古屋 淳) 県内原子力施設緊急安全対策に係る国及び事業者の対応状況についてお答えいたします。  経済産業省原子力安全・保安院は、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、津波による全交流電源喪失等の場合においても、放射性物質の放出をできる限り回避しつつ冷却機能を回復することを可能とするための緊急安全対策の実施について、三月三十日に電気事業者等に指示し、また、再処理施設については、全交流電源供給機能等を喪失した場合に、それらを回復することを可能とするための緊急安全対策の実施について五月一日に指示しました。  本県においては、東北電力東通原子力発電所及び六ヶ所再処理工場について事業者が緊急安全対策の実施状況を取りまとめ、原子力安全・保安院にそれぞれ四月二十二日及び五月三十日に報告しました。  東通原子力発電所における主な緊急安全対策としては、緊急時の電源確保、緊急時の最終的な除熱機能の確保、緊急時の使用済み燃料貯蔵プールの冷却確保、津波に対する浸水防止対策、六ヶ所再処理工場における主な緊急安全対策としては、緊急時の電源確保、緊急時の崩壊熱除去機能確保、緊急時の水素滞留防止機能確保となっております。  原子力安全・保安院は、これらの対策の実施状況についてその確認結果をそれぞれ五月六日及び六月十五日に公表したところであり、東通原子力発電所における緊急安全対策の実施状況については妥当なものと評価する、六ヶ所再処理工場については、使用前検査期間中における施設の使用状況を想定した範囲内の緊急安全対策としては適切と判断するとともに、その対策が実施されていることを確認した。本格運転を踏まえた対策については別途事業者から報告がなされることになっており、本格運転前までに改めて厳格に確認していくとしているところでございます。 10 ◯議長(高樋 憲) 健康福祉部長。 11 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、児童虐待相談対応の現状についてお答えいたします。  県内六カ所の児童相談所における平成二十二年度の児童虐待相談対応件数は六百九十二件で、前年度より二百十七件増加しました。その内訳は、心理的虐待が二百五十七件、身体的虐待が二百四十五件、保護の怠慢や拒否であるネグレクトが百七十三件、性的虐待が十七件となっています。  また、処理内容を見ると、一回ないし数回の助言を行うことにより問題が解決する事例が九〇%となっており、問題が深刻化する前の段階で早期に対応できているものが多いと考えています。  一方で、子供を虐待環境である家庭環境から離すため、児童養護施設に入所させるなどの社会的養護が必要となった事例は七・八%となっています。  次に、児童養護施設等から退所する児童への自立支援の取り組みについてです。  児童養護施設等の入所児童が就職または大学等進学のため施設を退所する場合、県では、支度費として一人当たり七万七千円を支給しているほか、自動車運転免許の取得に要する経費及び大学等への進学に伴う入学金等の経費について、それぞれ一人当たり二十万円を限度に助成するなど、入所児童の自立を支援しております。 12 ◯議長(高樋 憲) 農林水産部長。 13 ◯農林水産部長(渋谷義仁) リンゴの生産状況と販売促進対策についての御質問三点についてお答えいたします。  最初に、平成二十三年産リンゴの生産状況についてであります。  県が、去る六月十三日に、関係団体と連携し、県内三十五地点で行った開花・結実調査によると、園地、品種、木や枝によって結実率にばらつきが見られており、ふじで三四・二%と、平年に比べ一五・四ポイント低い状況となっております。  一方で、仕上げ摘果で残すべき目安となる標準着果率二五%を上回っている園地が約八割あったことから、県としては、これからの適正な栽培管理等によって生産量及び品質を確保することが可能になるものと見ており、今後は、果実の肥大促進を図るため、標準着果量が確保されている園地ではできるだけ早い時期に仕上げ摘果を行うこと、また、結実量にばらつきが多い場合、一部の木や枝にならせ過ぎないよう適正着果に努めることなどの指導を徹底してまいります。  次に、リンゴの有袋栽培についてであります。  近年、労働力不足などにより、特にふじでは有袋栽培から無袋栽培への移行が進み、平成二十二年産の有袋率は、結果樹面積の三八・三%と、五年前に比べ一〇・三ポイント減少しております。  無袋ふじの増加により、四月以降に販売される貯蔵性にすぐれた有袋ふじの確保が困難となり、本県の強みであるリンゴの周年供給体制の維持が危ぶまれている状況にあります。  このため、県では、本年三月に策定した青森県果樹農業振興計画において、その目標年度である平成三十二年までにふじの有袋率を四八%まで引き上げることとし、今後は、有袋栽培に必要となる労働力を確保するため、着色管理が省力化できる黄色品種や葉取らず栽培の導入、さらには、地域内で雇用労力を融通し合うシステムづくりなどに関係団体と連携して取り組み、有袋栽培の拡大を可能な限り早期に図ってまいりたいと考えております。  最後に、平成二十二年産リンゴの販売状況についてでございます。  平成二十二年産リンゴの販売については、出荷が本格化した昨年九月からことし二月までは、県外出荷数量が前年に比べおおむね少なく、逆に、三月以降は多くなっております。  一方、市場価格は、九月当初から高値基調で経過したものの、本県産リンゴが市場での取り扱いの大半を占めるようになる年明け以降下落し、三月からは前年を下回る水準となっております。  この価格低落の主な要因としては、例年に比べて十二月までの県外出荷数量が少なかったことから、年明け以降、市場関係者に産地在庫が多いとの観測が広まったこと、また、県外出荷数量の約四割を占める無袋ふじについて、内部褐変の発生が少なく商品化率が高まったことにより販売期間が長くなり、単価の高い有袋ふじへの切りかえがおくれたこと、さらには、現在、消費地市場では、有袋ふじの入荷量が多いことに加え、他の果物の入荷が順調で、リンゴへの引き合いが低調になっていることなどによるものと考えております。 14 ◯議長(高樋 憲) エネルギー総合対策局長。 15 ◯エネルギー総合対策局長(阿部耕造) 再生可能エネルギーの導入推進と県内産業の振興についての御質問にお答えいたします。  本県は、風力を初めとする再生可能エネルギー分野において、大きなポテンシャルと可能性を有しております。  この本県の優位性を生かし、平成十八年に青森県エネルギー産業振興戦略を策定してエネルギー関連の施策を展開しているところでございますが、再生可能エネルギーの導入を推進していくためには、その供給を地域が支え、生み出したエネルギーを地域が効果的に活用する仕組みが必要であると考えております。  このため、県内事業者によります関連産業への参入促進、販売・施工・メンテナンス分野における県内事業者の育成、あるいは、農業を初めとする地元産業への導入拡大など、地域特性を踏まえたエネルギーの地産地消の仕組みづくりに取り組んでいるところでございます。  県としては、再生可能エネルギーの高度利用と産業化に向けた取り組みを一つ一つ着実に進めていくことにより、再生可能エネルギーの導入を推進するとともに、地域経済の活性化を図り、持続可能な低炭素社会づくりの先進地域を目指してまいります。 16 ◯議長(高樋 憲) 齊藤議員。 17 ◯三番(齊藤 爾) 御答弁ありがとうございました。
     二、三、再質問及び要望のほうをさせていただきたいと思います。  まずは一点目の原子力関係でございますけれども、現在、福島の事故を受けてまた問題になってきているのがシビアアクシデントということで、非常に想像を超えるような事故の場合の対応になると思います。  この場合、シビアアクシデントが起こった場合、例えば避難経路の指示であるとか、どこに避難するであるとか、そういったものを、現在、地域住民に対して県として統一したものできちっと示せているのかお伺いいたしますとともに、仮にそういったものが示せていない場合は周知を図るべきだと思いますが、一点お伺いいたします。  次に、再生可能エネルギーについては、ここは要望という形になるんですけれども、再生可能エネルギーを効率的に使うというためには、やっぱりその不安定さというのが非常に問題になっているんではないかなと思います。そういったものの安定化を図るための施策というものを県として国に対し強く要望していくべきだと思いますので、この辺は御要望ということにさせていただきます。  三点目、リンゴの件でございますけれども、今、平成三十二年までに有袋化率四八%と。三十二年といいますと、八年後ですか、八年後というと、なかなか、有袋化率どころか、生産量自体が例えば高齢化によって落ち込んでいってしまうというようなことが予想されます。  そういった中で、本県リンゴ産業をきちっとこれからも産業として維持していくためには、やはり、三十二年ということではなくて、早期の有袋化率──当然、有利販売するための施策ということにもなりますが、こういったものを早期にやっていくべきではないかというふうに御提言申し上げます。  そこで、この有袋化率に対しまして、予算措置を伴った施策というもののお考え、御検討が今後できないかということを一点お伺いいたします。  さらに、先般来の一般質問において、どうも、県の側では、風評対策──いわゆる福島原発事故に対する風評対策という言葉が繰り返し繰り返し使われております。先般我が党の木村太郎県連会長が農水省に対して申し入れを行ったものには、「風評被害」と──完全に、この福島原発にかかわり台湾輸出がとまったというようなことを指して、「風評被害」というふうに指しております。  そこで、県の見解としまして、風評による影響というよりも、私自身はもう風評被害ではないかなというふうにとらえておりますし、地元移出業者・輸出業者団体の責任ある方も、完全に風評被害であるというふうな見解を示しております。  そこでお伺いしたいのは、県として、今回の輸出停止であったり価格低下であったりということに対して風評被害というような認識はあるのかどうかお伺いいたしたいと思います。  次に、虐待に対しては、こちらは要望ということにさせていただきますが、確かに、今現在、県でも自立支援に対する対応をされているというのは理解いたします。  ただ、現状、新たに社会に出る場合、端的に言いますと、この金額ではいささか足りないという部分があると思われます。  そこで、ここは要望ですが、今後、現状を調査した上で、この自立支援に対する補助というものの拡充を要望いたします。  以上です。 18 ◯議長(高樋 憲) 環境生活部長。 19 ◯環境生活部長(名古屋 淳) シビアアクシデント対策についての再質問にお答えいたします。  原子力安全・保安院は、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、万一シビアアクシデントが発生した場合でも迅速に対応すべき事項を整理し、これらの措置のうち直ちに取り組むべき措置として、制御室の作業環境の確保、緊急時における社内通信手段の確保、高線量対応防護服等の資機材の確保及び放射線管理のための体制の整備、水素爆発防止対策、瓦れき撤去用の重機の配備の五項目につきまして六月七日に電気事業者に指示し、また、再処理施設につきましては、原子力発電所における対応を踏まえた措置として、緊急時の水素滞留防止機能が確保されていることから、水素爆発防止対策を除く四項目について六月十五日に再処理事業者に指示をしております。  本県におきましては、東北電力東通原子力発電所及び六ヶ所再処理工場について、事業者が実施状況を取りまとめ、それぞれ六月十四日及び六月二十二日に報告をしております。  原子力安全・保安院は、原子力発電所に関する措置の実施状況については、六月十八日に、各電気事業者等から報告のあった措置は適切に実施されているものと評価するとの確認結果を公表したところでありますが、再処理施設に関する措置の実施状況については、現在確認が行われているところでございます。  で、県として、シビアアクシデントが起こった場合の対応についてしっかり示しているのかということが御質問でございましたのでお答えいたしますが、現行の地域防災計画に基づく対応でシビアアクシデントに対しても対応することになりますが、福島の事故を踏まえますと、やはり、EPZ──防護区域が拡大したこととか、あるいは事態の長期化があるということ、さらには被害が広範に及んでいるということがございますので、多くの課題が生じているという状況でございます。  県としては、こういった状況を踏まえまして、県として早急に取りまとめる事項があるという認識のもとに、現在、検討委員会を設置することとして準備をしているところでございますが、その作業を年度末までには終えたいと考えております。で、避難マニュアル等を作成し、地域防災計画の修正に反映すべき事項を取りまとめることとしております。  また、そういった情報を関係市町村と共有し、県内の防災体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。 20 ◯議長(高樋 憲) 農林水産部長。 21 ◯農林水産部長(渋谷義仁) 再質問にありました有袋に関する予算措置についてでございますけれども、先ほど答弁いたしましたとおり、今後、有袋栽培に必要となる労働力を確保するために、関係団体と連携して取り組んで、いろいろ協議してまいりたいというふうに考えておりますので、その結果を踏まえまして、必要に応じて対応してまいりたいというふうに考えております。 22 ◯議長(高樋 憲) 観光国際戦略局長。 23 ◯観光国際戦略局長(馬場良夫) リンゴに関する風評被害についての再質問にお答えいたします。  現在のところ、県産品の海外での販売は非常に厳しい状況にあるものと認識しております。  しかしながら、各国の輸入規制等との関連等もございまして、リンゴを初めといたしますさまざまな輸出等につきましては、海外での風評による販売額の実体的被害についてはいまだ判然としないというふうに見ているところでございます。  いずれにいたしましても、風評被害対策につきましては、まずは、国に対し、農水産物の安全性の周知など風評被害防止の対策の早急な実施と、実体的な風評被害が発生した場合の幅広い補償については要望してまいりたいと考えてございます。 24 ◯議長(高樋 憲) 午さんのため、暫時休憩いたします。 午前十一時二十分休憩    ────────────────────── 午後一時再開 25 ◯副議長(相川正光) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。  四十六番中村寿文議員の登壇を許可いたします。──中村議員。 26 ◯四十六番(中村寿文) 民主党会派の中村寿文でございます。  質問に入る前に、議長のお許しをいただき、このたびの東日本大震災においてとうとい命を失われた多くの方々の御冥福をお祈りするとともに、被害を受けられました皆様に心からお見舞いを申し上げます。  それでは、所見を申し上げながら質問いたします。  今さら申し上げるまでもなく、地域力の原点である定住人口と交流人口の増加を図っていくことが県政の基本的な大きなテーマであります。  そのためには、本県が持つこの恵まれた自然、産業、文化の力を最大限に生かして、県民が誇れる、住んでよかった、住んでみたい魅力ある県土づくりを進めていかなければなりません。  そして、この恵まれた資源を生かすには、一つには、無駄を徹底して省き、新事業や新商品の開発をスピードを持って進める民間の活力、その知恵と工夫力を行政に積極的に導入すること、一つには、各分野で幅広く、そして奥深く研究を進めている専門家の考えを生かすこと、そして一つには、その地域が持つ自然・産業・文化資源を最大限に生かして明るく豊かなまちづくりを進めている、外国も含んだ先進地に学ぶことが重要であると考えます。  本県には、食や自然、観光などプラス面が数多くある一方で、短い平均寿命、全国ワーストのがん死亡率、有効求人倍率や完全失業率に見られる雇用環境の厳しさ、そして、減り続ける定住人口や増加が見られない交流人口など、マイナスの課題も多くなっております。  当然のことながら、プラス面は全国に先駆けて大いにアピールして売り込み、マイナス面は一日でも早く克服、改善する必要があります。  それでは、質問に入ります。なお、これまでの質問と重複する項目についてはこれを割愛して質問いたしますので、よろしくお願いいたします。  まず、三村知事におかれましては、このたびの知事選で県民の信任を得たからには、これからの四年間は、震災からの早期復旧・復興、経済振興による雇用の確保、県民の命を守る医療の充実、子育て支援といった青森県が抱える多くの課題に全力で取り組んでいただきたいと思います。特に、震災からの復旧・復興については、今、迅速な対応が求められております。  また、こういったときには、国政においても、県政においても、与党、野党といった垣根のない政治が求められており、我々は、政治力を結集し、この難局に立ち向かい、一日も早い復旧・復興をなし遂げなければなりません。  そのためにも、県民生活の安全を守ることに加え、農林水産業、製造業、そして観光産業の復興が必要であります。  三月十一日に発生した地震に伴う大津波は、多くの命と財産を喪失させました。私を初め、皆、まさに茫然自失の状況でありました。  そして、今、震災から三カ月以上たちましたが、依然としてその傷がいえておりません。この震災の影響により直接被害を受けた製造業、そして、間接被害を受けた観光産業など、多くの産業が被害を受け、解雇・休業者も増大し、経済も停滞を見せております。  そこで、まず、この震災の影響により低迷から悪化が懸念される雇用と経済をどう回復させるのかお伺いいたします。  次に、漁業被害への対応についてであります。  今回の津波により最も多くの被害を受けたのが、むつ・下北、上北、三沢、そして三八地域の漁業であります。  漁船、漁具の喪失に加え、市場、荷さばき施設は大きな被害を受け、支障物等の堆積により、豊かな漁場も被害を受けました。  特に、八戸市は、イカの町八戸として栄えてきたことに加え、八戸前沖サバなどのブランド化に取り組んでおります。復興に向けては、これらイカ、サバ等の盛漁期前に漁港、市場等の施設を復旧することに加え、漁船の早急な取得が何よりも重要であります。幾ら施設が整備されても、漁船がなければ漁ができない、生計が成り立たないのであります。  そこで、第一点は、今後、漁港、漁場の回復に向けて具体的にどう取り組んでいくのか。  第二点は、早急な漁業再開を図るためには中古船の取得に向けた支援が必要と考えます。これまでの取り組み状況についてお伺いいたします。  次に、八戸港の機能回復についてであります。  この問題につきましては、森内議員、安藤議員、そして山谷議員からも質問いただき、本当にありがとうございました。  八戸港は、昭和二十六年に重要港湾として指定されて以降、河原木地区に臨海工業地帯が形成され、昭和三十九年に新産業都市に指定されたのを契機に企業立地がさらに進み、第二臨海工業地帯が形成されました。昨年八月には、新規の直轄港湾整備事業の着手対象とする港湾、いわゆる重点港湾に選定されております。  八戸港は、国内のみならず、国際物流拠点港で、本県の産業を支える重要かつ不可欠な社会基盤でもあり、国の直轄事業とも連携しつつ、一日も早い復旧が必要であります。  そこで、第一点は、八戸港の復旧に向けた対応について。  第二点は、荷役作業の円滑化を図るため、防波堤の復旧による静穏度の確保が急務でありますが、どのように取り組んでいるか。  第三点は、今後、港湾の防災対策にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、農地被害への対応についてであります。  津波は、漁業のみならず、農業にも多大な被害を与えました。八戸市市川地区やおいらせ町のイチゴハウスが倒壊し、また、多くの水田が塩害を受けました。  被災を受けた農地の原状復旧を図るためには、施設の復旧のみならず、塩分を取り除き、土づくりから始めなければなりません。大きな被害を受けた農地では、今年度の作付が極めて困難になっております。県の掲げる攻めの農林水産業、そして日本一健康な土づくりの推進を図る観点からも、早急な対策が必要となっております。  特に、市川地区を初め、イチゴ農家は、高品質のイチゴ生産にも取り組み、設備投資を行い、安定生産に努めてきたやさきの被害であり、手厚い支援が必要であります。  そこで、第一点は、被害を受けた農地の今年度の作付見込みはどうなっているのか。  第二点は、作付が見込めない農地への対策についてお伺いいたします。  次に、東北が一体となった観光物産振興についてであります。  今、「がんばろう東北」のもとに、民間団体を中心にさまざまな取り組みがなされております。温かい支援の手が差し伸べられており、感謝の念にたえません。  私は、今回の震災は、大きな被害を受けた東北が一体となった取り組みを一層推進することができる契機だと思っております。また、そうしなければならないとも思っております。  福島第一原子力発電所の事故により、福島県を初め複数の県で農産物の出荷停止や風評被害が起きており、本県においてもリンゴの輸出に大きな影響が出ております。  また、観光面では、昨年十二月四日に県民悲願の東北新幹線が全線開業し、開業以来、三月十一日を迎えるまで、前年度を大きく上回る観光客の皆様が来県し、観光事業者を初め、多くの県民が青森県の将来に大きな期待を寄せていたところであります。  しかし、震災以降、観光客数は大きく落ち込んでおり、依然として回復の兆しが見えません。七月九日から、ようやく新幹線もダイヤが改善され、東京─新青森間が最短で三時間三十分まで回復します。このことを一つの契機とし、観光振興に取り組んでいく必要があると考えておりますが、誘客を促進するためには、東北が元気になっている、東北が一体になって元気になろうという取り組みが重要であり、「結集!!東北力」の先に「結集!!青森力」があると考えております。  そこで、東北が一体となった観光物産振興が必要と考えますが、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、被災地からの避難者対策についてであります。  東日本大震災により、福島県や岩手県、そして宮城県などからの避難者数は全国で十二万四千人を超え、本県にも一千人を超える方々が避難しております。  私は、避難した方々への心のケア、そして地域住民とのさまざまな触れ合いを通じ、青森県に避難してきてよかった、将来は青森県に住んでみたいと思っていただけるような取り組みが必要と考えます。  そこで、この避難者に対しきめ細かなケアを行うとともに、地域住民との交流促進を図っていくべきと考えますが、どう取り組んでいるのかお伺いいたします。  次に、人口減少と子育て支援・少子化対策についてであります。  国連の調査では、世界の人口は、平成二十二年の約六十八億人から、二十五年後の平成四十七年には約八十五億人と、約十七億人、二五%もの増加が見込まれております。  その一方で、日本の人口は、国立社会保障・人口問題研究所における推計では、平成二十二年の一億二千七百万人から、二十五年後には、一千六百五十万人、一四・九%の減少が見込まれ、高齢化が一層進むとされております。  一方、本県では、平成二十二年の百三十八万六千人が、二十五年後には、三十三万五千人、二四・二%の減少で、実に、人口三十万三千人の中核市、青森市の人口以上に減少することが見込まれております。  このような状況が見込まれる中で、人口減少社会に対応するため、これまでの定住人口、交流人口の増大を図っていくことに加え、出生率の増加を図るため、安心して産み育てられる環境づくりと子育て支援策の充実を図っていかなければならないと考えております。  先日公表された青森県人口動態統計において、合計特殊出生率は、平成二十一年度の一・二六から、二十二年度は一・三と、わずかながら上昇しました。人口維持に必要とされる水準の二・〇七には遠く及びませんが、増加に向けた第一歩を踏み出したと言えます。  そこで、第一点は、合計特殊出生率が上昇した要因をどのようにとらえているのか。  第二点は、安心して子供を産み育てられる環境をつくる少子化対策と人口減少対策にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、地域医療の充実についてであります。  本県の平均寿命は、平成十七年の国勢調査で、男性が七十六・二七歳、女性が八十四・八歳で、残念ながら全国最下位であり、女性は平成十二年、男性に至っては昭和五十年から最下位であります。  その要因としては、喫煙率が高いこと、食生活の問題により肥満割合が高いこと、自殺率が高いこと、周産期死亡率が高いことなどさまざまな要因が挙げられておりますが、一向に改善の気配が見えません。  私は、県民の健康を守り、平均寿命を高めていくためには、こういった課題へしっかりと対応していくことに加え、地域医療の充実を図っていくこと、そして医師を確保していくことが必要不可欠と考えております。  そこで、第一点として、医師確保対策に係るこれまでの主な成果と今後の取り組みについて。  第二点として、青森県地域医療再生計画の策定により、周産期医療の充実と平均寿命の改善にどう取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、今後の生活保護制度についてであります。  長引く景気の低迷等により、生活保護を必要とする方々が増加する一方で、働く能力がある生活保護受給者の増加や、生活保護受給者から不当に保護費を徴収する貧困ビジネスなど生活保護受給者を利用した不正事件が発生し、生活保護制度の信頼を揺るがす問題が今深刻化しております。  このことから、国は、地方とともに、生活保護制度の見直しを検討する協議を行っております。  そこで、第一点として、現在行われている国と地方の協議について、その内容、構成員及び今後の進め方について。  第二点として、生活保護制度に関する国と地方の協議の結果を受けて、今後県はどのように対応していくのかお伺いいたします。
     次に、屋内スケート場の整備についてであります。  八戸市は、氷都八戸と言われ、これまで多くのスケート・アイスホッケー選手を育成・輩出してきました。まさに、地域に根づいた伝統のスポーツであり、文化でもあります。  これまでは、財政改革プランで大規模施設の建設が凍結されてきましたが、国の地方財政対策の充実、三村県政による行財政改革の推進により、震災の影響という新たな要素を除いては、何とか先が見通せる状況になっております。  八戸の屋内スケート場の整備について、三村知事は、これまで、希望の灯は消さないとし、調査検討を重ねてきております。また、このたびの知事選において、調査した上で粛々と建設まで進めると発言されており、多くの県南住民が三村知事三期目での建設着手に期待しております。そして、震災からの復興のシンボルとしてもその建設が待ち望まれております。  そこで、知事は、選挙戦で、屋内スケート場について、調査した上で粛々と建設まで進めると発言しておられましたが、工事着手の見通しについてお伺いいたします。  次に、食料自給率向上に向けた対策についてであります。  昭和四十年代には六〇%、昭和五十年代には五〇%程度あった我が国のカロリーベースの食料自給率は、平成二十一年には四〇%と、先進八カ国では最下位に位置し、多くを海外からの輸入に頼らざるを得ない状況となっております。  世界人口の増加、新興国等の食料需要の増大、異常気象による穀物の不作など、世界の食料需給が今後逼迫し、食料の輸入が期待できなくなることも懸念されることから、私は、食料自給率を将来一〇〇%にすべきであると考えております。  今、農業では、水田の有効活用、遊休農地の活用、新規就農者の育成などさまざまな対策がとられていますが、食料自給率の低い分野の生産を伸ばすことも必要と考えております。  そして、生産面のみならず、国産品の消費拡大と販売単価の向上が、生産に取り組む農業者を増加させ、食料自給率を向上させることができると考えております。  青森県は、食料自給率が一〇〇%を超える数少ない県であり、本県のような農業県がさらに生産力を高めていくことが、我が国の食料自給率の向上を図るために必要であります。  そこで、第一点として、我が国の食料自給率が低い要因を県はどのようにとらえているのか。  第二点として、食料自給率向上のため、今後どのような取り組みを推進していくのかお伺いいたします。  次に、多重債務者対策についてであります。  多重債務者問題が深刻な社会問題となっている中、貸金業法の改正により総量規制が導入され、多重債務者は借り入れができない状況になり、中には、一層高金利のヤミ金融などからの借り入れを繰り返し、その結果、返済が困難となり、自殺に至る場合もあるなど、多重債務者に対する相談体制の強化、ケア、そして生活資金の貸し付けが今求められております。  こういった中で、岩手県に本部を置く消費者信用生活協同組合が、昨年六月から、八戸市と連携し、同市で相談・貸し付け事業を開始し、成果が出始めたところであります。  この取り組みが成功したのは、単に八戸市と信用生協が連携・協力したからだけではなく、消費生活センターや社会福祉協議会を初め、多くの関係機関・団体との連携によるさまざまな支援策、相談体制の充実を図ることができたからであります。  今年度から、信用生協では、県と連携し、相談・貸し付け事業を県内全域で実施すると聞いておりますが、多くの多重債務者を救うためには、信用生協と県、市町村、そして関係団体がしっかり連携していく必要があります。  そこで、第一点として、県はこれまで多重債務者問題にどのような対策を講じてきたのか。  第二点として、相談体制の充実を図るためには、信用生協、市町村、関係団体等の連携強化が必要と考えますが、どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  最後に、県境不法投棄問題についてであります。  県境不法投棄現場の原状回復に当たっては、廃棄物及び汚染土壌を全量撤去する方針のもと、平成二十四年度末までに廃棄物の全量撤去に取り組むとしてきました。  しかし、昨年八月には、推計量の増加に伴い、特措法の期限である平成二十四年度末までの撤去が困難となったとのことでありますが、まだ国から特措法の期間延長の方針が示されていない現況であります。  そこで、第一点として、本年度の撤去作業の一時休止による全体計画への影響について。  第二点として、国に対する特措法の期間延長要望に係る県の取り組みについてお伺いいたします。  以上で終わります。御清聴ありがとうございました。 27 ◯副議長(相川正光) 知事。 28 ◯知事(三村申吾) 中村議員にお答えいたします。  まず、私からは、震災の影響に関して、雇用と経済をどう回復させるかであります。  私は、産業・雇用を県政の最重要課題と位置づけて取り組んできましたが、東日本大震災は、ことし二月に〇・四八倍とリーマン・ショック以前の水準に回復した有効求人倍率が三月に大きく下落するなど、本県の経済と雇用に大きな影響を及ぼしました。  そのため、被災し職を失った方や間接被害の影響により離職した方々が、生活の糧を得て、経済的自立を図っていく雇用の場の確保が急務との思いから、国の基金事業を活用した雇用創出や、離職者を雇用する中小企業への金融支援、離職者の再就職を促進するための職業訓練などに全力で取り組んでいるところであります。  あわせて、本県の雇用と経済を支えている中小企業が一日でも早く震災前の経営状態を回復できるよう、物流・産業基盤である港湾、漁港などのインフラの早期復旧や被災中小企業への助成、金融支援を強力に進めているところであります。  私としては、これらの緊急的な取り組みを行う一方で、中長期的視点に立ち、本県の未来を開き、元気を発信する産業の創造・育成にも取り組み、青森の再生・新生を進めていきたいと考えており、あおもり元気企業チャレンジ基金などの総額百億円のファンドや融資制度を活用し、創業、起業の促進を加速するとともに、本県が持つ食料、エネルギー、観光などのすぐれた地域資源を最大限活用して、本県経済の活性化と雇用創出につなげていく所存であります。  東北一体となった観光物産振興についてであります。  私は、東北復興へ向けて力強く踏み出し、東北の先頭に立って頑張っていきたいとの思いから、交流人口の拡大や外貨獲得に向けて、攻めの姿勢で観光及び物産の振興を図り、青森から元気を発信していきたいと考えております。  現在、観光においては、青森デスティネーションキャンペーンを、日本の元気、そして東北の元気回復に向けた取り組みの一環と位置づけ、「がんばろう日本!がんばろう東北!」をサブタイトルとして実施しているところであり、また、東北各県などが参画する東北観光推進機構では、東北の元気な姿、正しい情報を国内外へ発信することや、東北に来て元気な東北を感じていただくための誘客キャンペーンなどに取り組んでおり、七月には、東北各県が一体となった観光PRイベントなども予定をしております。  物産においては、これまで、県産品の販売面で連携を強めてきた大手量販店並びに東北各県に対し、私から、東北各県が一体となって取り組むフェアの開催を提案しました。  その第一弾として六月八日から大手量販店全国四百店舗で実施されたフェアでは、東北の代表知事として出席し、来店者やマスコミ等へ東北産品のPRを行ったところであり、今後も、全国各地の量販店や百貨店等において、東北を応援するフェアの開催を予定しております。  今後も、東北をより一層元気にするため、東北は一つという熱い思いを胸に、観光及び物産が相互に連携を図りながら、東北一体となった取り組みを推進していきます。  医師確保対策に係るこれまでの取り組み、成果であります。  私は、知事就任以来、青森県の医療を将来にわたって持続可能にしていくこと、そして、それを支える医師の育成が大きな課題と認識し、平成十七年度に策定した良医を育むグランドデザインに基づき、弘前大学、医師会、市町村等と連携しながら各種施策に取り組んできました。  まず、本県出身の医学部進学者の増加を図るため、中・高校生に医師の魅力を紹介するガイダンスや医療施設見学会の実施に取り組みました。また、教育委員会では、これに呼応して、学力を高めるための授業を実施するなど、部局を超えた取り組みを進めてきました。さらに、弘前大学においても、大規模な地域枠を設定し、本県出身の入学者増に県とともに取り組んできたところであります。  その結果、本県出身の医学部合格者は、平成十九年度までは、弘前大学で二十名台、全体で四十名前後で推移してきましたが、二十年度は、弘前大学で三十九名、全体で七十二名と大幅に増加し、その後も、弘前大学では四十名台、全体では八十名前後の高水準を維持しています。  この大幅な増加を見た平成二十年度の入学者も、既に四年生となりました。あと二年九カ月で卒業が見込まれ、それ以降も、順次、本県出身の多くの卒業生が期待されるところまでたどり着きました。  さらに、弘前大学医学部の新入生及び四、五年生に対して、私は、毎年大学のほうに出向き、ともに青森県を命輝くものにしていこうと呼びかけてきたほか、臨床研修医の採用数の拡大に向け、青森県医師臨床研修対策協議会による臨床研修病院合同説明等を実施してきた結果、今年度の医師臨床研修の採用者数は過去最高の七十名となりました。  このほか、地方公共団体では全国で初めてとなります医師の無料職業紹介所を設置したほか、私みずから、東京、大阪等県外に足を運び、医師のU・Iターンを積極的に働きかけてきた結果、県外から招聘した医師が平成十五年度以降二十九名を数えております。  このように、知事就任以来、種をまき、丹精を込めて育ててきたものが着実に成長していることを実感しているところであります。  今後は、これまでの施策を一層進めていくとともに、即戦力として期待されます臨床研修修了後の後期研修医の採用者数の増や、ますます増加いたします女性医師も働きやすい環境整備等について、弘前大学、医師会、市町村等と連携を図りながら取り組んでいく所存であります。  いわゆる屋内スケート場整備についてであります。  屋内スケート場につきましては、これまで、県と八戸市の職員による勉強会や先進施設の調査等を行い、将来の整備に向けた多角的な検討を行ってきたところであります。  今年度は、これまでの課題の検討状況を踏まえ、現地の状況を調査し、将来の整備に向けた検討を行うため、屋内スケート場立地適正調査事業に取り組むこととしております。  具体的には、一つとして、長根運動公園内候補地のボーリングを含む地質の調査、二つとして、大会開催時等における公共交通機関利用を含めた広域的利用とアクセスに関する調査、三点目として、土地利用の制約を踏まえた施設の規模、構造等の調査検討を行うこととしております。  今回の調査は、これまでの八戸市との勉強会等における多角的検討をさらに前進させるものであり、本調査の結果を踏まえ、しっかりと課題を整理するとともに、今後も、財政規律を堅持しつつ、将来の整備に向けて総合的に進めていきたいと考えております。  以上です。 29 ◯副議長(相川正光) 総務部長。 30 ◯総務部長(田辺康彦) 県外からの避難者に対する支援についてでございます。  県外から本県へ避難された方に対しては、まず、受け入れ市町村の個別面談により、支援制度に関する説明、困り事や不安に感じることの調査、長期避難の意向確認等を実施しています。  次に、各地域県民局や関係機関と連携しながら、生活必需品の支給、希望者に対する公営住宅のあっせん等に取り組んでいるほか、御本人と適宜連絡をとりながら相談等への対応を行うとともに、必要な場合には、ハローワークや保健所等の関係機関への支援依頼を行っております。  また、健康面からの支援策として、受け入れ市町村と県の保健師のチームが避難先を訪問して健康相談を実施していますが、この際に受けた健康以外のさまざまな分野に関する相談についても、支援の窓口に関する情報提供等を行っています。  地域住民との交流については、受け入れ市町村や関係団体が中心となって、地元の祭りや観光名所等への招待等の取り組みが行われているところです。  県としましては、引き続き関係機関と連携を図りながら、今後もさまざまな分野においてきめ細かな対応に努めていくこととしているところです。 31 ◯副議長(相川正光) 環境生活部長。 32 ◯環境生活部長(名古屋 淳) 多重債務者対策のこれまで講じてきた対策についてです。  県では、平成十九年度から、県弁護士会を初め、法テラス青森、県社会福祉協議会などの関係団体や、国、県の関係機関で構成する青森県多重債務者対策協議会を設置し、これら関係団体等と連携・協力しながら、丁寧に事情を聞いてアドバイスを行う相談窓口の強化、多重債務者発生予防のための金融経済教育の強化、ヤミ金融の撲滅に向けた取り締まりの強化などの対策を講じてきたところでございます。  特に、市町村に対しましては、相談対応等に関する研修会の開催や、相談受け付け時に配付するパンフレットの作成・配付などを行いながら、相談窓口の強化に努めてきたところでございます。  また、県消費生活センターにおきましては、消費生活相談員が、毎日、懇切丁寧に多重債務の解決方法などの相談に応じるとともに、債務整理等が必要な場合には、相談者が専門的解決方法を得られるよう、弁護士、司法書士の当番制による無料法律相談に誘導するなど、多重債務問題の早期解決に努めているところでございます。  次に、相談体制の充実を図るためには信用生協、市町村等との連携強化が必要と考えるがについてです。  県では、多重債務者に対する相談体制とセーフティーネット貸し付けの充実強化を図る上で、信用生協が行っている相談・貸し付け事業の本県全域への拡大が有効と考え、全市町村の賛同を得て、ことし五月、信用生協と協力協定を締結したところでございます。  これを受け、信用生協は、現在、早期の県内全域での事業実施に向けて準備を進めているところであります。  このような状況から、県としても、信用生協、市町村、関係団体等との連携強化に向けて、今年度から青森県多重債務者対策協議会の構成団体として信用生協に参加いただいているほか、市町村に対しても、ことし五月、信用生協の事業計画に関する説明会を開催するなどの取り組みを進めているところでございます。  今後とも、多重債務問題の解決に向けて、国、県、市町村と信用生協を含む関係団体との連携を一層強化し、相談体制等の充実を図ってまいります。  次に、県境不法投棄事案に係る撤去作業の一時休止による影響でございます。  県境産廃の撤去につきましては、PCB使用廃コンデンサーの確認と対応及び複数の県境産廃の処理施設が東日本大震災で被災したことにより今年度の搬出開始時期が例年よりおくれたこと、また、浸出水処理施設におきまして、降雨・降雪量が例年より多かったことなどによりまして浸出水の貯留量が最大貯留量の約八割に達し、今後の降雨量増加に備え、現場からの浸出水量を抑えるため、掘削エリア全面をシートで覆うキャッピング工事を施工し、掘削作業を休止したことなどによりまして、今年度の撤去目標量である二十二万三千トンの達成は厳しい状況にございます。  しかしながら、平成二十四年度及び二十五年度の撤去目標量は、ともに、確保済みの処理施設の年間処理可能量二十三万トン程度と比較して相当程度の余力を残したものとなっていることから、平成二十五年度までに廃棄物等の撤去を完了するとの全体の計画には影響がないものと考えております。  次に、国に対する特措法の期間延長要望に関してです。  県境産廃の推計量の増加に伴い、現行計画の期間内での全量撤去が困難になったことを踏まえて、昨年十月に、知事は、県議会議長、県議会環境厚生委員長とともに、民主党副幹事長に対して、特定産業廃棄物に起因する支障の除去等に関する特別措置法の期間延長と、その枠組みの中での増加する事業費に係る国の財政支援を要望いたしました。  副幹事長からは、法律改正が必要となることから、政策調査会にも伝え、しっかりと取り組んでいくとの回答を得ております。また、国の所管省庁である環境省事務次官、地球環境審議官、大臣官房長にも同様の要望をしました。  県としては、今後とも、廃棄物等は全量撤去を基本とするとの原状回復方針に基づき、引き続き、安全かつ着実に、不法投棄された産業廃棄物による支障の除去に取り組むとともに、産廃特措法の期間延長等を、平成二十四年度青森県重点施策提案として政府及び関係機関へ提案するほか、北海道・東北知事会として提言するなど、節目節目で効果的な提案活動を実施し、その実現を図りたいと考えております。 33 ◯副議長(相川正光) 健康福祉部長。 34 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、合計特殊出生率が上昇した要因についてお答えいたします。  本県の合計特殊出生率の上昇は、出生数が九千七百十一人と前年よりも百八十八人増加したことや、対象となる十五歳から四十九歳までの女性人口が減少したことが要因と考えられます。  出生数を母の年齢層別に見ますと、二十五歳から二十九歳までの対前年の増加数が百四十五人と最も多くなっていることに加え、県の推計人口によりますと、この年齢層の女性人口は大きく減少していることから、この年齢層の出生率が高まったことが合計特殊出生率の上昇に大きく影響を与えていると考えられます。  次に、安心して子供を産み育てる環境をつくるためどのように取り組んでいくのかというお尋ねでございました。  県では、青森県基本計画未来への挑戦に基づき、安心して子供を産み育てる環境づくりのため、多様な保育サービスの充実など社会で支え合う安心子育ての推進、児童虐待への対応などさまざまな環境にある子供や家庭に対する支援の充実、乳幼児、妊産婦の健康づくりなど親と子の健康の増進に取り組んでいます。  また、平成二十三年度は、戦略キーワードの中に「子ども」総合支援の推進を掲げており、具体的には、新たに県内の子育て支援サービス等をデータベース化し、モバイル版マップとして総合的に情報提供を行う親子に優しい街づくり事業や、家庭、地域、職域が果たしてきた縁結び機能を再構築し、結婚を希望する男女の出会いの場づくりを支援するあおもり出会いサポート事業などに取り組んでいきます。  次に、周産期医療の充実についてです。  県では、平成十六年四月に青森県周産期医療システムを構築し、同年十月に県立中央病院に総合周産期母子医療センターを設置して、周産期医療体制の充実に努めてきましたが、さらなる充実強化を図るため、国からの交付金を活用することとし、本年六月、県全域を対象とする青森県地域医療再生計画案を策定し、国に提出したところです。  計画案には、県南地域における将来的な産科医療施設の減少に対応するための八戸市立市民病院における産科病床増床や、総合周産期母子医療センターへ遠隔地から通院している妊婦やNICU入院児の家族などを対象とする宿泊施設の整備と試行的運用を盛り込んでおります。  続いて、生活保護制度に関する国と地方の協議についてでございます。  生活保護に関する国と地方の協議については、第一回目の会合が平成二十三年五月三十日に開催されました。  その内容につきましては、稼働能力のある生活保護受給者の急増に対する自立・就労支援、貧困の連鎖の防止、貧困ビジネスや医療扶助の不正受給等への対策等が喫緊の課題となっていることから、法の改正も視野に入れた制度の見直しを行うための協議の場となっています。  構成員につきましては、厚生労働省からは大臣、副大臣、政務官、地方からは、石川県知事のほか、市町村長の代表数名から成るメンバーで構成されています。  今後の進め方として、平成二十三年六月から七月末にかけて月二回程度の会合を行い、八月ころをめどに最終的な取りまとめを行う予定となっています。  これに関します県の対応でございますが、国においては、八月ころをめどに最終的な取りまとめを行うこととしておりますことから、県としましては、協議の内容について注視していくとともに、協議において決定された事項等につきましては適切に対応してまいりたいと考えております。 35 ◯副議長(相川正光) 農林水産部長。 36 ◯農林水産部長(渋谷義仁) 御質問六点についてお答えいたします。  最初に、東日本大震災からの復旧・復興についての御質問のうち、漁港、漁場の回復に向けた取り組みについてであります。  漁港施設の復旧については、これまで、市町村や漁業協同組合等と連携して、航路や漁船停泊地内に沈んでいる瓦れき等の支障物の撤去作業を行い、暫定的利用が可能となったほか、現在は、漁船がさらに安全に航行できるよう、航路等のしゅんせつ工事を行っているところでございます。  今後は、倒壊した防波堤や破損した岸壁などの本格復旧に向け、七月下旬までに予定されている国の災害査定を経た後に、速やかに復旧工事に取り組んでまいります。  また、漁場については、瓦れきやごみなどの漂流物や堆積物により沿岸漁場の機能が低下していることから、早急に支障物の撤去作業を行うこととし、本議会に所要の予算を計上し、御審議いただいているところでございます。
     次に、中古船の取得に向けた取り組み状況についてであります。  漁船の建造には通常でも数カ月を要しますが、このたびの震災により建造を希望する漁業者が集中していることや多くの造船施設が被災していることから、さらに長い期間を要することが想定され、早急に操業を再開するためには中古船の取得が有効と考えております。  このため、県では、未来を拓くあおもり漁船漁業復興事業が、中古船の取得や、操業再開までに必要となる修繕などに要する経費についても補助対象としていることなどについて、関係者等への周知活動を展開しているところでございます。  また、震災直後から中古船の情報収集と関係漁協等への情報提供に努めた結果、六月十六日現在、既に六十隻の中古船が取得され、今後も多くの需要が見込まれていることから、引き続き関係者への指導や情報提供を行うことで、被災地域の基幹産業である漁業の一刻も早い復興に努めてまいります。  次に、被害を受けた農地への今年度の作付見込みについてであります。  今回の津波により被災した農地面積は、六月二十日現在、八戸市など二市一町で合計九十九・四ヘクタールとなっており、これまで、国や県の復旧対策等により、土砂の除去や除塩の実施、パイプハウスの整備などに取り組んできたところでございます。  この結果、水田では、今年度の水稲作付を見込んでいた約三十五ヘクタールのうち六割強の約二十一ヘクタールで田植えが行われたほか、畑では、イチゴの被害面積二・三ヘクタールのうち、作付場所の移転も含めると、八割の一・八ヘクタールで八月の定植に向けて準備を進めているところです。  また、水稲以外の転作作物の作付状況については、現在、市と町が取りまとめ中でございます。一方、水田、畑の一部では、今年度の作付を見合わせた農地も見られております。  次に、作付が見込めない農地への対策についてであります。  県では、津波等の被害により今年度の作付や収穫が見込めない農地については、国が第一次補正予算で措置した被災農家経営再開支援事業を積極的に活用することとし、去る六月十五日に、八戸市などの関係市町に対して具体的な事業の進め方について説明会を開催したところでございます。  本事業は、被災農業者が組織した復興組合が、来年度の作付に向けて、農地のごみや小石等の除去、倒壊したビニールハウスの解体や撤去、除草等の作業を共同で実施した場合、その内容に応じて、水田では十アール当たり三万五千円、施設野菜では最大で十四万円の支援金を交付するものであり、本議会に所要の予算を計上し、御審議をいただいているところでございます。  次に、食料自給率向上に向けた対策のうち、我が国の食料自給率が低い要因についてであります。  我が国のカロリーベースの食料自給率は、昭和四十年には七三%でしたが、平成二十一年には四〇%まで低下しています。  この主な要因としては、昭和四十年代の経済成長とともに、肉や乳製品などの畜産物のほか、食用油やマーガリンなどの油脂類を多く摂取する食の洋風化が急速に進み、米の消費量が減ったことのほか、需要が増加した家畜の飼料や油脂の原料を国内で大量生産することができず、輸入に頼らざるを得なくなったことなどが挙げられます。  また、こうした食生活の変化や農産物の輸入自由化の進展などに伴い、国産農産物の需要が減少し、農地面積や農業者数が減少した結果、国内の生産基盤が脆弱になったことなども、食料自給率の回復を困難にしているものと考えられています。  最後に、食料自給率向上のための取り組みについてお答えいたします。  本県は、これまで、津軽平野や三本木原台地などの優良な農地、岩木川、馬淵川などの豊かな水資源、先人から受け継がれたすぐれた生産技術など恵まれた生産条件をフルに活用して、米やリンゴ、野菜、畜産物などをバランスよく生産し、カロリーベースで全国第四位の食料自給率となっております。  本県が我が国の食料自給率の向上に寄与していくためには、自給率の低い飼料や小麦の代替となる飼料用米や米粉用米、さらには、我が国の伝統食の原料として欠かせない大豆などの戦略作物の生産拡大を積極的に推進し、食料供給県としての役割をこれまで以上に果たしていく必要があるものと考えております。  また、農村地域においては、農業従事者の高齢化や担い手の減少などの課題に直面していることから、将来にわたって本県の食料自給率と供給力を維持・発展させる仕組みとして、例えば、集落営農組織が経営を発展させながら地域の雇用を拡大し、地域農業と農村を守る地域経営の考え方を提唱し、地域全体で食料生産体制を強化させるシステムづくりにも取り組んでいくこととしております。 37 ◯副議長(相川正光) 県土整備部長。 38 ◯県土整備部長(大澤健治) 初めに、八戸港の復旧に向けた対応状況についてでございます。  津波により被災した八戸港においては、被災後速やかに海中の支障物の撤去作業を行い、暫定的ではありますが、入港に必要な航路、泊地の水深を確保し、三月十八日に第一船が入港したのを初め、荷役機械の応急復旧により、四月二十三日からはコンテナ荷役を再開しました。  さらに、航路や岸壁の復旧状況について県のホームページで随時情報提供を行ってきたほか、航路等の復旧見通しを踏まえて、八戸港利用者に対し、利用再開に向けたポートセールスを実施しております。  なお、八戸港の利用者の支援と利用促進を図るとともに、物流及び企業活動の活性化、被災地域の復興支援につなげるため、六月十三日から平成二十五年度末までの三年間、入港料等の減免を実施することとしております。  次に、防波堤の復旧による静穏度の確保についてでございます。  八戸港では、八太郎北防波堤の被災により、コンテナヤード等が立地する八太郎地区の各埠頭、また河原木地区の二号埠頭の静穏度が著しく低下しているため、八太郎北防波堤の復旧が急務となっております。  八太郎北防波堤の復旧は直轄港湾等災害復旧事業により実施されますが、国土交通省に確認したところ、中央部の約八百四十メートルについては、消波ブロックの積み上げによる暫定復旧工事を早急に進め、引き続き、ケーソン本体を順次復旧し、平成二十四年度までに現状機能での本復旧を目指すと聞いております。先端部の約七百メートルについては、今後予定されている現地調査を経て、順次復旧工事に着手していくと聞いております。  県としては、八太郎北防波堤の復旧が早期になされるよう、今後とも国に要望してまいります。  最後に、今後の港湾の防災対策についてでございます。  大規模な地震、津波が発生した際には、被災港湾はもとより、近隣の港湾において、緊急物資の輸送と経済活動を支えるために必要な物流機能を維持することは極めて重要です。  こうしたことから、青森港、八戸港、大湊港において耐震強化岸壁の整備を完了しております。また、現在、青森港では、新中央埠頭の耐震強化岸壁の背後地にある埠頭用地を防災拠点用地として有効活用するための整備を進めているところです。  港湾の津波防災対策については、国土交通省では、五月に交通政策審議会港湾分科会の防災部会を設置し、被災要因や施設の防護効果を検証し、港湾における津波対策のあり方を検討することとしております。  八戸港についても、国と県で設置した八戸港復興会議において、今後、国の方針を踏まえつつ、八戸市や港湾利用者の意見も聞きながら津波防災対策を検討してまいります。  また、県内の各港湾においても、地域の実情に応じ、津波防災対策を検討してまいりたいと考えております。 39 ◯副議長(相川正光) 中村議員。 40 ◯四十六番(中村寿文) 御答弁ありがとうございました。  再質問はありません。御要望一点であります。  人口の減少なんですね。二十五年後は三十三万五千、それが、三十年後、五十年後、ずっと続いていくんですね、推計では。この減少で、これから県民生活とか県行政に何か大きい影響が出てくるのではないかと、こう思っています。  そこで、この人口減少をしかと分析して、対策を今から考えてほしいと、このことを要望して終わります。 41 ◯副議長(相川正光) 十五番工藤慎康議員の登壇を許可いたします。──工藤議員。 42 ◯十五番(工藤慎康) 自由民主党の工藤慎康です。  第二百六十六回定例会において一般質問の機会を下さいました諸先輩議員に感謝申し上げます。  本年三月十一日に発生しました東北地方太平洋沖地震におきまして亡くなられた方々に対して心からお悔やみ申し上げます。  私は、仲間とともに、四月十五日の野田村を皮切りに、同様に津波の被害を受け、避難所生活を余儀なくされている大船渡市、宮古市へ四回にわたり炊き出しに行ってまいりました。避難所で生活されている方々も日に日に元気を取り戻しているようでありました。また、被災地におきます災害廃棄物の撤去も、徐々にではありますが、進んでいるようでした。被災された皆さんが一日でも早く元気を取り戻し、復活されるようお祈りしております。  そこで、まず初めに、震災からの復興に向けた取り組みについてです。  千年に一度とも言われる未曾有の大災害となった東日本大震災から既に百日が経過しました。  太平洋沿岸の各地では、津波により多くの方々のとうとい命が失われました。何とか難を逃れ避難された方々も、その多くは、大切な家族や友人を亡くしたり、今まで築き上げてきた貴重な財産を一瞬のうちに失うなど、それまで当たり前だったはずの日常生活が一変し、不便な避難所での生活が長期化する中で、生活再建への道筋がなかなか見えない、大変つらい状況が続いていると聞いております。  国では、東日本大震災復興構想会議を設置し、復興に向けた議論を行うなど、復興に向けた取り組みを行ってはいますが、こうした被災地の現状をかんがみた場合、災害の態様が異なるため一概には比較できないものの、阪神・淡路大震災と比べても、今回は余りにも復興への取り組みがスピード感に欠けているのではないかと感じるのは私だけでしょうか。  本県に目を転じれば、八戸市を初めとする太平洋沿岸を中心に大きな被害が発生し、被害金額は一千億円を超える大災害となっているところでありますが、県におかれましては、他の被災県に先駆けて五月九日に青森県復興プランを策定し、三村知事を先頭に復興に向けてスピード感を持って取り組んでいるところであり、今後も復興への歩みを着実に進めていってほしいと考えているところです。  一方で、今後は、直接被害のみならず、間接被害も含めた震災の影響がさらに顕在化し、徐々に県内企業の経営を圧迫していくのではないかという懸念も持っています。  震災からの復興のためには、産業の復興を図り、地域経済を活性化させ、雇用の維持・拡大を目指していく必要があり、それが、ひいては、被災した方々の生活の再建にもつながっていくと考えます。  そこで質問ですが、県では、復興プランに基づき、今後本県産業の復興にどのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に、事業者における県税の減免についてです。  今般の東日本大震災では、直接には被害を受けていない県内の中小企業にとっても、交通の遮断による流通の停滞や宿泊客のキャンセルなど、大きなダメージを受けています。  ある建築関係者によると、東北各地の製造工場の操業停止や被災地の仮設住宅建設が優先されることもあり、住宅用資材の確保ができず、注文をキャンセルされたり、発注件数が激減していると聞いております。  そういった状況にあっても、雇用者の賃金などの経費はかかってきますので、資金繰りに困り、納税用にとっておいた資金を運転資金に回さざるを得ず、税金を納めたくても納められないといった事業者も出てきております。  そこで、質問は次の二点です。  一点目は、被災した納税者に対する県税の減免や徴収猶予の仕組みについてお伺いします。  二点目は、直接的な被害ではないいわゆる二次被害に対する県税の減免等はどのようになっているのかお伺いします。  次に、事業者支援についてです。  今回の震災に伴う間接被害、いわゆる二次被害については、原材料の調達難や価格の高騰、自粛ムードによる消費の低迷など被害の内容が多岐にわたるほか、被害地域も県内全域に及んでおり、当然これら企業は資金繰りに逼迫している状況でして、これらへの柔軟な対策が必要であると考えます。  また、与謝野経済財政担当大臣が、十七日の閣議後の記者会見で、景気の動向について、供給制約とか自粛ムードなど経済に覆いかぶさっていた悪い話がどんどんなくなり、輸出も回復し、消費マインドも改善しているので、よくなると考えたほうが正しいと述べていますが、本県企業の話を聞けば、経済回復については先が見えないとのことであることから、景気の先行きはまだまだ予断を許さない状況にあるものと考えています。このため、今回の震災に伴う二次被害についてはさらに拡大する可能性があると考えています。  そこで、質問は次の二点です。  一点目は、二次被害において活用できる県特別保証融資制度経営安定枠の被害判定基準についてお伺いいたします。  二点目は、今回の経営安定枠拡充の内容についてお伺いします。  次に、三沢空港における航空路線の充実についてです。  三沢空港は、昭和十六年に日本帝国海軍航空基地として飛行場を開設し、三沢海軍航空隊が置かれました。終戦後、在日米軍三沢航空基地として拡張工事が行われ、米国空軍戦闘部隊が、また、昭和二十九年には航空自衛隊が配置されています。  一方、昭和二十七年には民間航空として日本航空が乗り入れ、昭和四十年に一時中断されました。その後、昭和五十年に就航再開され、以来、米軍、航空自衛隊、民間航空の三者が共同使用している、現在日本で唯一の飛行場であります。  また、三沢市は、昭和六年十月に、米国飛行家により、三沢市淋代海岸から米国ワシントン州ウェナッチ市間を約四十一時間で飛行し、航空史上初めて太平洋無着陸横断飛行に成功したこともあり、飛行機と空港は、三沢市にとって、地域にとって非常に身近なものであり、歴史、経済、文化にとっても欠かせないものであります。  三沢空港の民間航空については、昭和二十七年に東京線、札幌線が運航開始されて以来、昭和五十五年には東京線が四便に増便され、平成五年には大阪便が、平成八年には関西国際空港線が週三便運航開始され、最大で一日に七往復も運航されるようになり、下北地域を含む県南地域からの全国への玄関口としての役割を担ってきた経緯があります。  しかしながら、平成九年に関西国際空港線が運休、平成十四年十二月には東北新幹線八戸開業に合わせ東京線が三往復に減便、平成十九年十月には日本航空の経営難により札幌線が運休、そして、昨年の十月には、日本航空の会社更生法適用による再生計画に合わせ、大阪便が運休となりました。現在は、東京線一日三往復運航のみとなり、航空利便性が著しく低下し、県民の足に影響を及ぼしているところであり、これまで航空、空港とともに歩んできた三沢市にとっては非常に残念な状況になっております。  昨年十二月に県民の悲願であった東北新幹線が新青森駅まで全線開業し、首都圏との鉄路での利便性が高まり、交流人口の一層の拡大が期待されておりますが、本県の経済、文化、観光等の振興にとって、首都圏との利便性だけではなく、これからは、北海道や関西、中国、四国、九州、沖縄など全国各地との交通利便性拡大についても積極的に取り組んでいく必要があり、このためには、航空路線の充実、特に、県南地域と全国との交流拡大に重要な役割を持つ三沢空港の充実が喫緊の課題であると考えます。  また、具体的には、平成十四年十二月に減便されたままとなっている東京線は、昼の時間帯の接続の間隔が長く、非常に使いづらい状況になっており、利用者の利便性を考える上では、以前のように一日四往復に早期に戻すことが重要であると考えます。  さらに、昨年十月から運休となっている大阪線については、羽田乗り継ぎ割引運賃が設定されるなど料金面での利便性は確保されていますが、乗り継ぎは直行便と比べ時間的には不便なものであり、平成十九年十月から運休となっている札幌線については、県南地域の住民が青森空港まで移動しなければならず、乗り継ぎもできない状況となっており、これらのことから、直行便の必要性は論をまたないところであり、一日でも早い運航再開及び拡大が望まれております。  そこで、質問は次の二点です。  三沢空港における航空路線の重要性について県はどのように考えているのかお伺いします。  二点目は、三沢─東京線の増便及び運休中の三沢─札幌線、三沢─大阪線の復便に向けて今後どのように対応していくのかお伺いします。  次に、農林水産業の所得安定に向けた取り組みについてです。  三月十一日の地震と津波により、三沢市やおいらせ町、八戸市など県南地域において、水田や畑への土砂や海水の流入、イチゴハウスや家畜施設の倒壊などの被害が発生いたしました。  このために県ではさまざまな対応を行っており、例えば水田関係では、災害対策本部・復興対策本部合同会議の報告によると、除塩対策に関する稲作指導情報の発行や農地災害復旧事業による応急工事、県単独事業の水田等塩害防止対策事業による除塩対策の実施などにより、水の確保が難しい中、約二十三ヘクタールで田植えが終了したとなっています。今後、田植えを行った水田では、生育状況の確認や適正な栽培管理の指導を徹底するとなっておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。  また、東北地方全体に目を向けると、岩手県、宮城県、福島県では沿岸の農地の被害が非常に大きく、国が東日本大震災の影響を踏まえて特例的に行った平成二十三年産米生産数量目標の都道府県間調整で、福島県分の三千三百八十トンを青森県の津軽地方五市町で引き受けております。  本県は、被災県ではあるものの、岩手県や宮城県などに比べて農業被害が少なく、早期の復旧・復興が可能なことから、食料供給県としての本県の役割は一層重要になっておりますし、大震災からの復興を契機に食料供給県としての地位を確かなものにしていくためには、これまで以上に農業の振興に力を入れ、食料の安定生産、安定供給、そして農家の所得を確保していく必要があると考えます。  本県は、米やリンゴ、野菜、畜産などが、県内各地域の気候や土地条件などを生かしバランスよく生産されており、これらの一層の生産拡大が必要と考えますが、そのためには、本県の農地をいかにして守り、有効に活用していくかが課題となります。  昨今では、全県的に農業者の高齢化や後継者不足が声高に叫ばれてきており、私の出身地である上北郡も、有数の農業地帯でありながら、そのような状態が進行しつつあります。  これに伴って懸念されるのが耕作放棄地の増加であり、現に県内各地を歩いてみると、耕作放棄地が虫食い的に発生していることを実感いたします。  この状況がさらに深刻化すれば、地域農業はもとより、本県農業全般の維持・発展にも大きな影を落とすことになりかねません。耕作放棄地の発生防止や解消に向け、市町村、農業委員会などと一体となったさらなる取り組みの強化が重要であると考えています。  さらに、本県が食料供給県として今後とも全国に貢献していくためには、食料供給の周年化と、担い手である農業者の所得の安定が不可欠であります。  冬の農業の取り組みは、ハウスの通年利用や冬の寒さを逆手にとった栽培が可能であり、ホウレンソウなどの寒締め処理や地中加温を利用したタラの芽・アスパラガス栽培など、地域の特徴を生かした取り組みが進められ、取り組み農家数及びハウス栽培面積は順調に伸びております。  露地野菜では、雪中にんじんがブランドとして確立されてきており、冬の農業は、年間を通して取り組むことができ、付加価値の高い農産物の生産が可能であることから、今後の取り組みの拡大が必要であると考えます。  そこで質問ですが、本県が食料供給県として全国に貢献していくために、農業者の所得安定に県はどのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に、生乳の流通体制についてです。  今回の大震災による長期の停電及び燃料の不足などにより、生乳の集出荷ができず、酪農家では生乳を廃棄せざるを得ない状況となりました。  県が公表した六月六日現在の地震被害状況によると、生乳は千トン余りの量が廃棄され、さらに、四月七日の余震時の停電のときも大量の生乳が廃棄されたところです。  この背景には、県内で生産された生乳のうち九割近くが県外乳業工場に搬送され、処理されているという実態があり、かつては本県にも大手の乳業工場があったのですが、いずれも県外に撤退し、結果的に現在の広域流通になったことに対して不安を抱える酪農家や消費者もいるのではないでしょうか。  一方、今回の震災を教訓に、停電対策として、酪農家がみずから、発電機の設置や、調達方法を地域ごとに検討しているという声も聞いております。しかしながら、酪農関係者の自助努力だけでは対応できないことも数多くあると思われ、国はもちろんのこと、県の果たす役割も極めて重要ではないかと考えるところであります。  そこで質問ですが、今回の地震による停電等により大量の生乳が廃棄されましたが、今後、このような被害を防ぐために県はどのように対応していくのかお伺いします。  次に、陸奥湾産ホタテガイの下痢性貝毒についてです。  陸奥湾のホタテガイについては、昨年夏の異常高水温による大規模なへい死が発生いたしました。  昨年からことしにかけて、今後のホタテガイ養殖経営に不安を抱える湾内漁業者からさまざまな声を聞いており、昨年九月の定例会では、現在陸奥湾内において進めているホタテガイの適正養殖可能数量制度、いわゆるTASC制度への対応、二月の定例会においては、中長期的な対応や経営安定への取り組みについてお伺いいたしました。  私は、今後、陸奥湾産ホタテガイの生産量を回復し、安定させるためには、親となる成貝の養殖や地まき貝確保のための放流をふやす必要があると考えます。
     この対策については、県や関係団体によりさまざまな取り組みが行われているところですが、その際障壁となるのが、先日の報道にもありました下痢性貝毒の問題であります。  県が行っている定期的な貝毒検査の結果、国の規制値を超えた海域では、出荷自主規制措置が講じられ、活貝や殻つきの生鮮出荷ができなくなり、県漁連の指定処理工場でウロ取りを行ったものだけの出荷に限定されます。  主に加工原料となる半成貝では出荷自主規制の影響は小さいようですが、殻つきの生鮮出荷が主体の成貝は大きな影響を受けると聞いております。  過去の出荷自主規制の時期は春から初夏が多く、観光シーズンでもあるため、県外から訪れた観光客への新鮮な刺身の提供や、お土産としての発送もできなくなります。  さらに、出荷自主規制により入札の値段も下がり、出荷できなくなったホタテガイは、水温上昇に伴ってへい死する場合もふえるとのことです。  このような状況では、成貝の養殖や地まき貝確保のための放流を増加しても漁業者の経営安定には結びつかないため、結果として、陸奥湾での成貝の養殖数や地まき貝が増加せず、親となる貝が減少し、稚貝の安定確保が難しくなります。  特に、昨年の大量へい死により親貝が不足している現状の中で、生産額を上げるためには、下痢性貝毒への対応が喫緊の課題であると考えます。  そこで、質問は次の二点です。  一点目は、今年度の陸奥湾産ホタテガイの下痢性貝毒による出荷自主規制状況についてお伺いします。  二点目は、生鮮出荷の促進に向けた取り組み状況はどのようになっているのかお伺いします。  次に、大規模な地震災害に対する防災体制についてです。  私は、第二百五十回定例会、平成十八年度決算委員会において原子力関係の防災について、第二百五十七回及び第二百六十一回定例会において、大規模な地震災害に対する防災体制と避難道路ネットワークの確保について質問させていただきました。  そこで、今回の災害を踏まえ、備えあれば憂いなしとの格言にありますように、県や市町村、住民が一体となって災害や危機に強い地域づくりに取り組んでいく必要がありますが、災害による被害をゼロにするといった一〇〇%の安全というものはあり得ません。  県や市町村は、平時から限られた予算などの行政資源を十分に活用して、最大限の効果と、何よりも住民の安心感が得られるよう、仮に災害が生じたとしても、その被害を最小化するための仕組みづくりを充実させていくことが求められていると考えています。  具体的には、大規模な地震災害により、大規模な停電や電話の不通、インフラの寸断などが発生した場合でも、救急、救助などの初期の災害応急対応が迅速かつ的確に行われることが被害を最小限に食いとめる上で極めて重要であり、そのためには、災害発生直後から、県、市町村及び防災関係機関が速やかに正確な情報収集に努め、情報共有することが必要不可欠であります。  また、住民に対しては、津波警報や避難指示等を迅速・確実に伝達するとともに、災害広報を適時適切に行うことが重要となります。  あわせて、市町村は、住民に最も身近な行政主体である基礎自治体として防災対策の最前線に立ち、住民の生命、財産を守るため、災害時に備えて地域防災計画を充実させ、その内容を住民に周知するとともに、住民は、平時から災害への備えを心がけ、そして、いざ災害発生時には、みずからがみずからの身を守るといった行動を自主的にとれるようになっていることが大切であると考えます。  そこで、質問は次の三点です。  一点目は、東日本大震災において、県はどのように被害情報等を入手し、災害応急対策を実施したのかお伺いします。  二点目は、今回の震災を踏まえ、今後の情報収集・伝達体制の整備について、県の見解をお伺いします。  三点目は、災害時には県民への確実な情報伝達が重要となるが、県の見解をお伺いします。  最後に、少年非行防止対策についてです。  日増しに暑さが増し、来月には多くの学校が夏休みを迎えます。特に、ことしの夏は、東日本大震災の影響を受けて、節電のために長期の夏休みになる学校もあると聞いています。  また、この期間は、夏祭りやお盆などによる開放感から少年非行が増加する時期にあるとのことで、先般及び本日の新聞によりますと、少年非行のブレーキ役として少年非行防止活動に取り組む小学校から高校までの生徒に委嘱状が交付されるなど、各地で少年非行防止のために全力での活動を展開しているとのことでありました。  一方で、このような取り組みは、警察のみならず、県、教育関係者及び地域社会と一体となり、さらに成果を上げることができるものと思います。  最近における万引きや自転車盗などの犯罪は、罪の意識も薄く、安易な発想から行われる場合が多く、犯罪の低年齢化も目立ってきているとのことですので、早い段階から、犯罪の芽を摘み、厳しく指導していかなければ、ますますエスカレートして、凶悪な犯罪へと進むことも危惧されます。  そこで、質問は次の二点です。  一点目は、昨年と本年における少年犯罪の検挙人員及び傾向などについてお伺いします。  二点目は、少年非行防止対策の推進状況と今後の取り組み重点についてお伺いします。  以上で壇上からの質問を終わります。 43 ◯副議長(相川正光) 知事。 44 ◯知事(三村申吾) 工藤慎康議員にお答えします。  まず、私からは、復興プランに基づくところの産業復興の取り組みであります。  今回の震災によりまして、本県は、基幹産業である農林水産業を初め、八戸市の臨海部等に集積しております企業の工場施設や機械設備などに甚大な被害を受けました。  また、直接被害だけではなく、観光客の減少や農林水産品等の風評被害などの間接被害も深刻化するなど、本県の産業全般に大きなダメージを受けたところであります。  県では、これまで、本県産業の復興に向けて、復興プランに基づき、産業基盤となりますインフラ施設の早期復旧に取り組みつつ、農林水産業の復興のための漁船等の確保や共同利用施設の復旧、被災した中小企業等への強力な金融支援、青森デスティネーションキャンペーンを初めとする観光振興などについてスピード感を持って取り組むとともに、国に対し、機会あるごとに、復興に向けた提案、要望を行ってきました。  また、今定例会においても、被災中小企業者等の施設復旧等への支援を初め、産業復興に係る所要の予算を提案し、御審議をいただいているところであります。  私は、今後も引き続き、復興プランを基本に当面の取り組みを迅速に進めつつ、今後策定します復興ビジョンの中で本県の創造的復興に向けた中長期的な方向性をお示しし、国、市町村を初め関係機関と十分に連携を図りながら、震災からの本県産業の復興、ふるさと青森の再生・新生を目指し、全力で取り組んでいく所存であります。  三沢空港の重要性についての考え方であります。  航空路線は、本県における観光振興、企業活動の促進、交流人口の拡大、国際化の推進等にとって極めて重要な役割を果たしておりますが、三沢空港につきましては、青森県南・下北地域及び岩手県北地域における高速交通の要衝として、県民のみならず、米軍三沢基地関係者等、多くの方々が利用いたしております。  昨年十二月四日に東北新幹線が全線開業した以降も、三沢─東京線の利用者数については前年を上回る利用状況が続いており、三沢空港発着路線の潜在的な需要は依然として大きいと考えております。また、東日本大震災からの復興の観点からも、地域経済の活性化や観光の振興等にとって、三沢空港の重要性が一層高まっていると認識しております。  このことから、三沢空港の重要性にかんがみ、私みずからも強い意思を持って、引き続き、日本航空に足を運ぶなど、地元三沢市や三沢空港振興会等の関係者と連携しながら、三沢空港の航空路線の維持・拡大についても粘り強く進めてまいります。  農業者の所得安定に対しての取り組みであります。  今回、千年に一度と言われる未曾有の災害を経験し、安全・安心な食料を安定的に供給することの重要性が高まっている中、広大な農地や豊かできれいな水資源、高い技術力を有し、国民に良質で多様な食料をバランスよく供給できる私ども青森県の役割は一層高まっているものと認識します。  このため、農業の復旧につきましては、本県がいち早く立ち上がり、食料供給県としての責務を果たすことが東北の復興、日本の復興につながるとの強い思いから、被災農地の基盤整備など、農業者の経営再建に向けた対策を迅速に実施してきたところです。  今後は、攻めの農林水産業を推進する中で、各地域の特性、優位性を生かした米や野菜、果樹などの生産体制を強化しながら、環境に優しい農業など、これまで以上に安全・安心ですぐれた青森産品づくりに取り組むとともに、調整水田等の不作付地などを有効に活用して飼料用米や米粉用米等の戦略作物の生産拡大を積極的に推進するほか、今年度創設した青森県りんご経営安定対策事業などの経営安定対策も活用しながら、農業者の所得安定を図っていくこととしております。  なお、耕作放棄地対策及び冬の農業の取り組み等は部長から答弁させます。  ホタテガイの関係でございます。  生鮮出荷の促進に向けた取り組み状況でありますが、陸奥湾のホタテガイ養殖業は、百億円産業として本県水産業の主要な地位を占めているほか、加工などの関連産業も多く、地域経済の振興や雇用の場の創出という面でも極めて重要な産業となっております。  私は、東北新幹線全線開業を契機として、本県を訪れる多くの観光客の皆様に甘くておいしい陸奥湾産ホタテガイを食べていただき、さらには、お土産などの観光資源としての利活用促進も視野に、水産業の六次産業化に向けた取り組みも進めております。  こういった中で、下痢性貝毒につきましては、現在、毒成分ごとの検査ができないマウス試験により行われていることから、これまでも、国に対し、国際基準に則して機器による毒成分ごとの分析を行い、人に害のある成分の検出に限定した貝毒規制を行うよう要望してきたところでございます。  また、県では、今年度、マウス試験と機器分析による下痢性貝毒検査結果の比較検証も進めながら、高精度で効率的な貝毒発生予測も可能となるモニタリング手法の開発に取り組んでいるところであります。  県としては、国に対して、本県のこのような独自の取り組みを説明しながら、今年度も引き続き、貝毒の検査方法の見直し等につきまして要望活動を行い、陸奥湾産ホタテガイの生鮮出荷の促進に努めてまいります。  私からは以上です。 45 ◯副議長(相川正光) 青山副知事。 46 ◯副知事(青山祐治) 三沢空港における航空路線の充実に向けた対応についてお答えいたします。  平成二十二年十月三十一日から運休となりました三沢─大阪線の復便に向けては、運休後も利用者の利便性を確保するため、昨年六月、県からは私が、青森市、三沢市の副市長及び日本航空を構成員として設置されました青森・名古屋(中部)線、三沢・大阪(伊丹)線運休に係る利便性確保検討会の場の中で、日本航空の経営再建がなされ、再び路線を拡充する状況になった際には、三沢─大阪線の復便を優先的に検討するよう日本航空に要望しているところであります。  また、三沢─東京線の利用率が月によって九〇%を超えるなど、前年を上回る利用状況が続いていることを踏まえ、去る五月二十五日には、私と三沢市の担当部長及び三沢空港振興会が日本航空に対し、三沢─大阪線の復便のみならず、三沢─東京線の増便や三沢─札幌線の復便を要望したところ、三沢─東京線の増便については、今しばらく当該路線の旅客需要を見きわめた上で増便について検討したい旨の考え方が示されたところです。また、三沢─札幌線の復便については、経営再建後、当該路線の旅客需要をしっかり見きわめた上で検討していきたい旨の考え方が示されております。  このようなことから、県としては、他の航空会社への働きかけも含め、航空需要の喚起に努めながら、今後とも、地元三沢市や三沢空港振興会を初め三沢空港利用促進期成会等とも連携しながら、いまだハードルは高いものの、路線の復便等について、知事を先頭に粘り強く働きかけていくこととしています。 47 ◯副議長(相川正光) 総務部長。 48 ◯総務部長(田辺康彦) まず、被災した納税義務者に対する県税の減免や徴収猶予の仕組みについてでございます。  東日本大震災に係る県税の減免については、震災直後の三月十三日付で特別災害による県税の減免に関する特別措置要綱を定め、財産等に著しい被害を受けた者に係る個人事業税、不動産取得税及び自動車税について、その被害の程度に応じ、全額または一部を減免する措置を講じたところであります。  なお、この要綱で対象とする税目以外についても、災害等によって担税力を失ったと認められる者については、県税条例の規定により、個別の納税者の状況に応じて、特に必要があると認められる場合には減免することができるものとなってございます。  また、財産につき、震災等の災害を受け、県税の納付または納入が一時にできない場合は、地方税法の規定により、最長二年以内の期間に限り徴収を猶予することができることとなっています。  次に、いわゆる二次被害に対する県税の減免等の取り扱いについてです。  災害による県税の減免制度は、いわゆる二次被害により売り上げが減少したなどの影響を受けた納税者は対象とはなりませんが、売り上げの減少により所得も減った場合には、所得課税である個人県民税、個人事業税、法人事業税の税負担も減ることになるほか、損失が生じた場合には、翌期以降で繰越控除ができる仕組みとなっています。  また、二次被害により著しい損害を受け、県税を一時に納付することができないなどの場合には、徴収を猶予したり分割での納付に応じるなど、現行の税制度の中ででき得る限りの措置を講じることといたしております。 49 ◯副議長(相川正光) 行政改革・危機管理監。 50 ◯行政改革・危機管理監(小寺 謙) 大規模な地震災害に対する防災体制についての御質問三点にお答えいたします。  初めに、被害情報等の入手方法と災害応急対策の実施についてです。  県では、平成五年度から運用してきました青森県地域情報ネットワークが老朽化等により今後の安定的な運用が困難となってきたことから、平成二十一年度からの二カ年事業として、市町村や消防本部、防災関係機関と連携し、青森県防災情報ネットワークを構築いたしました。  防災情報ネットワークは、有線系を主回線、衛星携帯電話を予備回線として音声電送やデータ伝送等を行うものですが、震災発生時は、まだ工事完了前であったものの、暫定的に運用していたところです。  震災発生直後から県内全域で停電が発生したことから、非常用蓄電池により運用を継続するとともに、防災情報ネットワークの予備回線である衛星携帯電話や固定電話、ファクスなどを併用することにより、市町村等から切れ目なく被害状況や避難状況等の情報収集を行い、市町村の要望に応じて毛布や食料等の物資を避難所に供給するなど、災害応急対策を実施したところです。  次に、今後の情報収集・伝達体制の整備についてです。  今回の震災では、市町村等との間で切れ目なく情報収集・伝達を行うことができたものの、長時間にわたる停電が発生した場合でも防災情報ネットワークの機能が維持できるような非常用電源の必要性が明らかになりました。  このため、防災情報ネットワークの主回線の中継点である収容局すべてについて、回線事業者において、これまでの非常用蓄電池に加え、非常用発電機や電源車を計画的に配備することといたしました。  また、各端末局に配備している非常用発電機の動力源となります燃料油の確保も不可欠であることから、現在実施しております防災対策の総点検の中であわせて検討を行っており、検討結果については、必要に応じて、県地域防災計画の見直しや対応マニュアルの作成等に反映させていくこととしております。  市町村に対しましても、これらを踏まえて、今後の非常用電源の確保に向け適時適切な見直しの助言を行い、県と市町村が一体となって防災体制の充実強化に努めてまいります。  最後に、県民への確実な情報伝達に対する県の見解についてです。  大規模災害時、とりわけ今回の東日本大震災のように大きな津波が発生した際には、住民の迅速な避難が最優先であり、避難指示等の住民への迅速かつ確実な伝達が不可欠です。また、被害状況やライフライン情報等の適時適切な広報も重要です。  今回の震災では、防災行政無線の重要性が再認識されましたが、一方で、津波による機器の故障や非常用電源のふぐあい等の問題も明らかになりました。  これらを踏まえ、市町村に対し、非常用電源対策とともに、衛星携帯電話やエリアメール、広報車等の多様な伝達手段の確保を要請したところです。  また、災害時に住民が迅速に避難するためには、住民みずからがみずからの身を守る主体的な行動が重要となります。  このため、県では、さまざまな研修会や出前トーク、防災訓練への住民参加の促進、市町村と連携した自主防災組織の育成等のこれまでの取り組みに加え、今年度、防災の専門的知識や普及啓発活動のノウハウを備えた地域防災リーダーの育成に重点的に取り組み、県民の防災意識の向上につなげていくこととしております。  今後とも、市町村と連携しながら、県民の防災意識の向上も含め、県民への確実な情報伝達体制の充実強化に努めてまいります。 51 ◯副議長(相川正光) 商工労働部長。 52 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 御質問二点にお答えいたします。  まず最初に、二次被害において活用できる県特別保証融資制度経営安定枠の被害判定基準についてでございます。  平成二十三年三月十一日に発生しました東日本大震災以降、県内中小企業からは、時間の経過とともに、交通網やサプライチェーンの分断、さらには、自粛ムードの広がりによる個人消費の低迷、東北新幹線運休等による観光客の減少など、経済活動の停滞による売り上げ減少といった二次被害の報告が徐々にふえ、商工団体からも、このような間接的な被害に対する金融支援の要望がなされたところでございます。  こうした状況を踏まえまして、県としましては、県内中小企業の経営の安定に支障の生じることがないよう、経営安定化サポート資金に平成二十三年東北地方太平洋沖地震中小企業経営安定枠を創設しまして、三月二十五日から実施しております。  間接被害につきましては、業種が広範囲にわたるとともに、その被害状況も個別に異なることから、当該融資制度の被害判定基準につきましては、影響を受ける県内中小企業が広く活用できるよう、売り上げ減少等を基礎としたところでございます。  具体の基準及び融資条件は、被災後、最近一カ月を含む今後三カ月の売り上げ等が、過去三カ年のいずれかの年の同じ時期と比較しまして一〇%以上減少すると見込まれるものが融資利率年一・〇%、五%以上減少すると見込まれるものが年一・五%などと設定してございます。  次に、経営安定枠の拡充の内容についてでございます。  経営安定化サポート資金の経営安定枠につきましては、六月十七日現在の利用実績が既に八十五億円を超えているほか、県や商工団体等にも融資の相談が引き続き寄せられており、今後も利用がさらに増加するものと見込まれております。  また、県が実施した県内企業被害調査においても、融資限度額の引き上げの要望が寄せられているとともに、同制度の利用企業等からも同様の声が上がっていることから、県としては、これら中小企業の経営の安定に支障が生じることのないよう、融資枠を百億円から百五十億円に増枠するとともに、融資限度額を四千万円から八千万円に引き上げることとし、今定例会に所要の予算を提案し、御審議いただいているところでございます。  震災により大きな被害を受けた本県が復旧から復興へと新たなステージに移行していくに当たりまして、きめ細やかな金融対策を状況に応じて講じる必要があるものと考えており、今後とも、関係機関との連携のもと、機動的な金融支援に取り組んでまいります。 53 ◯副議長(相川正光) 農林水産部長。 54 ◯農林水産部長(渋谷義仁) 御質問三点についてお答えいたします。  最初に、農業者の所得安定に向けて先ほど知事がお答えしたのに関連いたしまして、私からは耕作放棄地対策と冬の農業の取り組みについてお答えいたします。  耕作放棄地対策については、これまで、中山間地域での農業生産活動などに対する支援や、貸借等により耕作放棄地を利用する農業者の農地の再生経費に対する補助、さらには企業等の農業参入の促進などにより、その発生防止や解消に努めてきたところでございます。
     今年度からは、新たに、市町村や農業委員会の協力を得て、市町村域を越えた耕作放棄地の情報発信や受け手と出し手のマッチング、受け手に対する重点的な営農指導などにより、耕作放棄地の再生や有効活用に取り組んでいくこととしております。  また、冬の農業については、これまで、ホウレンソウやコマツナなどの無加温ハウス栽培や、温泉熱、木質ペレットなどの石油にかわるエネルギーの利用を進めてきたところであります。  今後は、現在実用化に取り組んでいるヒートポンプやもみ殻暖房なども普及指導するとともに、農協などの生産者団体による出荷量と販売期間の拡大を支援しながら、農業者の所得安定を図ってまいります。  次に、生乳の流通体制についてであります。  今回の地震では、全農青森県本部が管理する牛乳冷却処理場の停電による稼動停止や集乳車の燃料不足のほか、生乳の出荷先である宮城県や福島県の大規模牛乳製造施設が被災したことにより、生乳の集出荷ができず、県内の酪農家に大きな打撃を与えました。  県としては、国に対して、生乳の加工施設が遠隔地にあるため、例えば、加工施設を県内に設置するなど、物流の危険分散を図るための流通システムを再構築するよう要望しているところであり、また、本県においても、今後の県内における生乳処理のあり方や、県産の牛乳、乳製品の商品開発及び販売促進などについて、地元の牛乳製造業者や酪農関係者とともに検討を進めていくこととしております。  最後に、今年度の陸奥湾産ホタテガイの下痢性貝毒による出荷自主規制についてであります。  県では、安全・安心な陸奥湾産ホタテガイを供給するため、毎年定期的に貝毒検査を実施しており、今年度は、五月二十六日に陸奥湾西部海域の養殖ホタテガイ、六月九日に東部海域の養殖ホタテガイ、六月十六日に東部海域の地まきホタテガイについて、下痢性貝毒による出荷自主規制措置を講じたところです。  出荷自主規制は現在も継続していますが、この時期に陸奥湾産全海域が対象となるのは、平成十六年度以来七年ぶりとなります。  なお、現在、各海域において毎週一回の貝毒検査を実施しており、三週連続で規制値以下となった場合には出荷自主規制を解除することとしております。 55 ◯副議長(相川正光) 警察本部長。 56 ◯警察本部長(寺島喜代次) 少年非行防止対策の関係で二点についてお答えします。  まず最初に、本県におきます昨年と本年における少年犯罪の検挙人員等であります。  まず昨年でありますけれども、刑法犯少年の検挙・補導人員につきましては、平成十九年以降三年連続で減少しておりましたが、平成二十二年、昨年は、前年の二十一年に比べ、七十二人、六・七ポイント増の一千百四十六人でありました。この一千百四十六人は、成人も含めた全刑法犯の検挙人員三千三百三十二人の三分の一以上を占めており、依然として高い状況にあります。  主な罪種別で見ますと、万引き、自転車盗、オートバイ盗、占有離脱物横領──この四つは、少年が最初に手を染めやすいことから初発型非行と呼んでおりますが、これら四罪種の検挙・補導人員が八百三十人で、刑法犯少年全体の四分の三近くを占めております。  また、刑法犯少年のうち十四歳未満の触法少年の補導人員は三百三十四人で、前年二十一年に比べて、四十三人、一四・八ポイントふえております。二年連続の大幅な増加ということでありまして、少年非行の低年齢化が進んでいることがうかがわれます。  ことしの状況ですが、こうした昨年の状況を受けまして、県警察では、初発型非行と低年齢少年非行を最重点といたします防止対策を強力に推進しているところでありますが、こうした対策の効果もありまして、本年五月末現在で、刑法犯少年の検挙・補導人員は三百七人と、前年同時期に比べ、二百五人、四〇ポイントの大幅減となっております。  また、全刑法犯の検挙に占める少年の検挙・補導人員の割合も、二六・三%と、前年同時期に比べ一一・七ポイント低くなっております。このうち十四歳未満の触法少年につきましても、補導人員が五十六人と、前年同時期に比べ、九十三人、六二・四ポイントの大幅減となっております。  続きまして、少年非行防止対策の推進状況と今後の取り組み重点についてであります。  まず推進状況でありますが、県警察では、少年非行防止を図るために、従来から、青森県教育庁学校教育課と県警少年課とで人事交流なども行いまして、連携しながら少年非行防止対策を進めておりますが、主な取り組みを三つ紹介いたします。  まず一つは、県内の中学・高等学校に少年非行防止JUMPチームを結成し、教育委員会及び学校と連携しながら、生徒が生徒に非行防止を呼びかける活動を通じて規範意識向上を目指す取り組みであります。  二つ目は、県内の各中学・高等学校におきまして、万引き防止対策の一環として万引きしま宣言を行ったり、自転車盗難防止対策として自転車ツーロック運動を推進したりしての初発型非行防止対策であります。  三つは、小学校において少年非行防止リトルJUMPチームを結成したり、県下に一千四百八十団体あります子供会組織と協働して、児童センター等において万引き防止ミニ講話等を行ったりしての低年齢少年の非行防止対策であります。  今後の取り組み重点でありますが、今後は、こうした対策の一層の推進に加え、少年警察ボランティア、学校、地域社会とも密接な連携を図りながら、非行少年を生まない社会づくりを推進していくための取り組みとして、過去に犯罪を犯した少年に対して警察が直接手を差し伸べる立ち直り支援活動や、少年が常に自分のことを気にかけてくれる大人の目があることを実感できる、少年を見守る社会機運の醸成といった取り組みを推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。 57 ◯副議長(相川正光) 工藤慎康議員。 58 ◯十五番(工藤慎康) 御答弁ありがとうございます。  再質はしません。以下、意見と要望を述べさせていただきたいと思います。  まず初めに、震災からの復興に向けた事業者への支援についてであります。  先ほど、知事の御答弁の中に、ふるさと青森の再生・新生を目指し全力で取り組むとありました。本県の経済動向がようやく回復の兆しが見えてきたとされた直後に今回のこの震災があり、また悪化へと転じてしまいました。事業者は、体力が落ちているところへこのような事態になり、さらに厳しい状況となったわけであります。  そのため、先ほども申し上げたように、納税するための資金を運転資金へ流用せざるを得なくなった事業者も少なくないわけでありまして、産業の復興は、インフラの復興にかかった期間の数倍の時間がかかると言われております。最長二年以内の徴収猶予、また翌期以降での繰越控除があるとのことでしたが、事業者にとって厳しい現状の中、非常につらい部分、時期であるとも考えます。  そこで、経営安定枠の利用となると思いますが、保証協会の審査で利用できないなどの事業者も多いと聞いております。そのシステムに行政介入ができないことは理解しておりますが、県内産業の復興・発展のためにさらなる支援を考案していただきたい、それをお願いしたいと思います。  次に、三沢空港における航空路線の充実についてであります。  知事の非常に熱い思いを聞かせていただきました。ありがとうございます。  三沢空港の路線の充実については、知事の熱い思いと、また、三沢市長が会長である三沢空港振興会、それから三沢市商工会長が会長である三沢空港利用促進期成会などでも、先ほど御答弁の中にもありましたが、利用促進に取り組んでおります。ですから、県としても、これらの団体との連携をさらに密にしていただきまして、歴史のある三沢空港の活性化に、一体となって、知事の陣頭指揮のもと、これまで以上にお願いしたいと、そのように思います。  次に、農業生産基盤の確立についてであります。  このようなことは言うのは不謹慎かもしれませんが、今回の震災により、本県の農業のポテンシャルが発揮される可能性が高まったと思っております。知事の提唱する攻めの農林水産業に向け、生産体制の強化をするとともに、農林畜水産業の所得向上につながるような対策をお願いいたします。  また、陸奥湾産ホタテガイの下痢性貝毒についてですが、先ほどの御答弁では、ホタテガイ産業の早期回復と経営安定を促進するには貝毒出荷自主規制を緩和することが重要であるというお話でありました。  ただ、緩和に向けた検査というお話もありました。この検査について、国に対しては、この貝毒の取り扱いや検査方法の見直し、さらなる強力な働きかけをお願いしたいと思います。  次に、大規模災害についてであります。  地球上に生活している以上、一〇〇%安全な場所はありません。また、一〇〇%にすることも不可能であります。  しかし、災害の規模や災害の程度を予測することによって、災害に対する備えをすることができます。被災の程度の軽減にもつながると思いますので、そのための備えであります防災計画の見直しも含めて、今後の災害対応についてさらなる御検討をお願い申し上げます。  最後に、少年非行防止対策についてです。  少年非行防止活動の今後の効果をまた期待しております。  ただ、これには一つ懸念される問題があると私は思います。本日の新聞にも掲載されておりましたが、JUMPチームなどのメンバーを委嘱する点で、メンバーの責任感のある行動が、いじめの原因となるチクりとなる懸念があると思います。したがいまして、教師を含めて警察官にも求められることは、それらに関する配慮が必要になってくるのではないかと思います。  そのほかに、非行少年に対してもその扱いにはデリケートな部分があると思いまして、男性警察官だけでは、男性特有の威圧感ですとか制服の威圧感を感じることもあると思います。場合によっては、女性警察官のサポートですとかアフターケア、それも含めて検討していただきたいと思います。  また、この問題は、警察だけではなくて教師にも同様に言えることであり、教師の安易な発言により、それがいじめのきっかけとなることもあると聞いております。  したがいまして、教育委員会におかれても、人事交流等をされているということでございますので、さらなる連携を深めた対応をお願いしたいと思います。  また、今後、夏を迎えるに当たり、夕涼みと称して夜遅くまで子供たちが外出していることが多いと思いますので、夜間パトロールも含め、地域に密着した活動をお願い申し上げ、以上で終わりたいと思います。  ありがとうございました。 59 ◯副議長(相川正光) 三十分間休憩いたします。 午後三時六分休憩    ────────────────────── 午後三時三十四分再開 60 ◯議長(高樋 憲) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。  二十六番三橋一三議員の登壇を許可いたします。──三橋議員。 61 ◯二十六番(三橋一三) 冒頭に、このたびの東日本大震災でお亡くなりになられた皆様の御冥福をお祈り申し上げ、また、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。  新たに選出された青森県議会議員四十八人、略してAKG48の最初の定例会において、一般質問のトリを務めさせていただきます。  このたびの選挙で、私は、無投票ではありましたが、三期目の当選を果たし、気持ちも新たに選挙管理委員会にみずから出向き、供託金の返還手続をお願いしたところ、確かに、三橋一三ですとはっきりと名乗らなかった私が悪いのですが、職員が出してきた書類は高橋修一議員のものでした。県庁の職員の皆様初め多くの県民に顔と名前を覚えていただけるように努力しなければいけないと改めて感じております。  三期目もこれまでと変わらない直球勝負で臨みますので、知事初め執行部の皆様はしっかりと受けとめ、力強い返球をしていただきますようお願い申し上げます。  初めの質問は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に対する知事の姿勢についてです。  三・一一の東日本大震災を受け、青森県、そして東北は第一次産業を復興の柱として取り組むべきと考えます。  当然のことながら、国は、この震災を受け、TPPへの参加交渉は見送るものと思っていたのですが、いまだに、先送りしただけで、結論は出ていません。  改選前の我が会派の政務調査会の試算によれば、本県農林水産業のTPP参加によるマイナスの影響額は、農業の九百三十二億円を初めとして、合わせれば軽く一千億円を突破します。一千億円といいますと、今回の震災で本県が直接的に受けた被害額です。つまり、国の対応次第では、毎年大震災が発生するのと同程度のダメージを受け続けるということなのです。  外国人献金で大臣を辞任した民主党の前原衆議院議員が、日本のGDPにおける第一次産業の割合は一・五%だ、一・五%を守るために九八・五%のかなりの部分が犠牲になっているのではないかと発言したことを記憶している方も多いはずです。  この言葉に対して、秋田県選出の参議院議員、元巨人の四番バッター石井浩郎氏の言葉を一部おかりして、私はこう答えます。  人の体の重さの一・五%というのは、ちょうど心臓と肝臓を合わせた重さです。心臓と肝臓に何度もナイフを突き刺し、生き長らえる人間はいません。生き長らえる国家はありません。心臓は、全身に、生きるための血液、つまりは食料を送り出し、肝臓は解毒作用を持つ。つまりは、環境を浄化し、国全体の健全性を保つ役目があります。たかが一・五%ではない大きな役割が農林水産業にはあるのです。これが、前原衆議院議員の発言に対する私なりの答えです。  もちろん、今県が手がけている復興ビジョンの作成に当たっても、農林水産業を中心としたビジョンが中長期的に検討されているはずです。TPPへの参加はこういった議論の根底を覆すものであり、改選前の県議会においても、さまざまな形で、強く全会一致での反対の意思を示してきました。私も、真っ先に反対、断固反対です。  知事は、六月五日に三期目の当選を果たし、青森県のみならず、震災復興に向けた東北のリーダーとしてTPPに対して明確な意思表示をすべきと考えます。  「国家の品格」、「日本人の誇り」等の著書で知られる藤原正彦氏によれば、リーダーが兼ね備えるべき四つの条件とは、理と情と大局観と言葉です。理論と他人に対する思いやりの気持ちと圧倒的大局観に基づき、全責任を一身に担い、果敢に決断し、それを人の心に届く言葉で語れることであります。  しっかりとした県政運営の理論を持ち、県民の心に寄り添う情を持ち、大局観をあわせ持った三村知事には、もう一つのリーダーの条件である心に届く言葉で、TPPに対する思いを県民に届けてほしいのです。  そこで、質問します。  東日本大震災からの復興を進めていく中で、本県の農林水産業に大きな影響を及ぼすTPPに対しての知事の思いを伺います。  次に、東日本大震災後の本県経済の活性化対策について、三項目にわたり質問させていただきます。  震災復興を始めるに当たり、阪神・淡路大震災の発生を受けて震災対策担当大臣を務められた小里貞利先生の講演を拝聴する機会がありました。  印象に残ったのは、超法規的に物事を進め、最後は自分が責任をとるという強い決意で臨んだということであり、官僚を最大限に使ったということであります。  震災の規模や取り組むべき課題に違いはあれど、超法規的に取り組むこと、官僚を初めとする公務員が力を発揮するということは大変重要であります。そして、何より、最後は自分がすべての責任をとると言えるリーダーが必要です。ここが、今、国において最大の課題と思われます。  県民に三たび選ばれた三村知事には、今までの手法や前例を飛び越えて県庁の職員が最大限活躍できるように指示し、その重い責任を担ってほしいのです。我々議会も、同じだけの責任を引き受ける覚悟で臨まなければなりません。  今年度に限って言えば、プライマリーバランスの黒字化がなされなくても私は一切文句を言いません。震災による二次被害、三次被害を防ぎ、震災復興に向けた大胆な政策が必要だからです。  そこで、具体的項目に移ります。  質問の一項目めは、中小企業対策についてです。  議員提案の政策条例の二例目として提出された、議会からの強いメッセージである青森県中小企業振興基本条例に掲げられているとおり、本県の九九・八%を占める中小企業の重要性は、言うまでもなく、震災復興に向けた取り組みの中でも大変重要な位置を占めます。  復興に向けた、青森県特別保証融資制度の拡充を初めとして、各種補助金や貸付金等の議案が提出されています。忘れてはいけないことは、震災前から県内中小企業の経営状態は大変厳しいところが多かったということです。  そこにこの大震災です。今まで同様に融資枠の拡充をするにしても、大胆な条件緩和等で、まずはしのぐ政策を、そして次に、安定した経営に結びつけるための施策を、国の補正予算等をにらみながら、県の強いメッセージとして打ち出す必要があります。中小企業の経営者のみならず、そこに働く多くの県民の不安を払拭する施策が期待されます。  そこで、二点について伺います。  一点目として、東日本大震災の県内中小企業への影響をどのように認識しているのか。  二点目として、県内中小企業の復旧・復興に向けた取り組みをどのように支援していくのか伺います。  質問の二項目めは、県内への誘客対策についてです。  震災前の新幹線全線開業効果にプラスして、デスティネーションキャンペーンとの相乗効果で青森ブームとも言える観光客の増加があるのではないかと感じていました。震災で観光客の大きな落ち込みはありましたが、青森の魅力は、変わらずここにあります。この魅力を多くの方に味わっていただくためにも、まずは、新幹線ダイヤの正常化や空路の韓国便の復活、フジドリームエアラインズの就航による中部圏の誘客を促進するなど、多くの課題があります。  また、本県には岩手県や宮城県等からも多くの方が観光に訪れています。こういった方々の割合がどの程度であるのかをしっかりと把握することも大事です。そして、一大キャンペーンであるデスティネーションキャンペーンは、次の予定がかなり先まで決まっているので延長等はできないでしょうが、目玉の一つであったSL運行を、来年度またアンコール運行するなど、デスティネーションキャンペーンにおいて取り組んだ誘客効果を最大限に生かし続けることが重要です。  そこで、二点質問します。  一点目として、本県観光客の居住地別の入り込み割合と震災後の入り込み状況について伺います。  二点目として、青森デスティネーションキャンペーン後において、どのようにして観光客を増加させていくのか伺います。  質問の三項目めは、本県産リンゴの輸出促進についてです。  輸出リンゴの多くは台湾向けであり、過去五年間の平均で二万六百八十三トンであり、これはリンゴの輸出量全体の九二・六%を占めています。今回の震災により、輸出に大きな影響が出ています。輸出が減少すれば、その分は当然国内に出回り、総じて値崩れの要因となります。  昨年度産の台湾へのリンゴの輸出は、チリ産リンゴの供給過剰の影響も大きく、前年度に比較して二四%の大きな減少となりました。震災以降は、風評被害による落ち込みが現実のものとなり、今年度産リンゴが市場に出回るまでにいかに対策をとるかが重要です。  一番の不幸は、台湾の皆さんが、安全で安心でおいしい青森リンゴを不安に思い、口にできないことです。今後、放射性物質の検査証明書等をつけても、それだけで簡単に消費者に受け入れられるかは疑問です。  ここは、やはり、台湾でも人気の高いSMAPや嵐といった芸能人が、リンゴを木から直接もぎ取り、そのまま丸かじりするといった、マスメディアを使ったコマーシャル等で安全性をしっかりとアピールすべきです。同様に、輸出が減少している野菜、果物等も、国の責任においてしっかりと安全性をアピールすべきです。  そこで、質問します。
     国の責任において、本県産リンゴを初めとする日本産農産物の安全性をPRするコマーシャルを行っていくべきと考えるが、県の見解を伺います。  次の質問です。  議員提案の政策条例の三例目として提出された青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例が施行され、約一年になります。  新幹線全線開業に向けて、きれいで新鮮な空気を提供すること、子供たちやぜんそく等で苦しむ人たちの健康面に配慮すること、何より稲わらを資源として有効利用することで、市町村と連携しながらわら焼き防止に取り組むための強いメッセージとして提出した条例です。  稲わらを焼く以外の処理方法が難しい地元の農家からは大きなおしかりをいただきました。しかし、それも覚悟の上での条例提出でした。果たして、この強いメッセージがどのような結果としてあらわれるか期待しながら、私は各地を調査しました。一日程度、煙が充満した日がありましたが、総じて焼却の減少に効果はあったと感じています。  しかし、いまだにゼロになっていないことも事実であり、長雨等の天候による増減も考えれば、今後とも、農家の御理解のもと、息の長い取り組みが必要です。  そこで、三点について伺います。  一点目として、昨年度の稲わらの焼却状況について伺います。  二点目として、稲わらは主にどのように有効利用されたのか伺います。  三点目として、まだ稲わらが焼却されている理由について、県はどのように考えているのか、また、稲わら焼却ゼロに向けて今後どのように取り組んでいくのか伺います。  次の項目は、高齢化社会に向けた取り組みについてです。  震災のように、突然やってきて対応が難しい問題もありますが、高齢化社会のように、確実にやってきて、難しい対応を迫られる課題もあります。  絶対数の観点から見れば、本県の六十五歳以上の高齢者数は平成二十三年二月の時点で約三十五万四千人ですが、予想されるピーク時は平成三十七年度の約四十一万八千人で、その後、緩やかに減少するとされています。  医学のさらなる進歩等により、もっと数がふえることも十分あるでしょう。現在においても、特に特別養護老人ホームの待機者は大きな問題となり、今後増加が見込まれる六万四千人のうち、介護を要し、施設に入居せざるを得ない人たちのために、さらなる整備が必要となります。  同時に、高齢化率を考えれば、現在の四人に一人という高齢化率は、ピークが予想される平成四十七年度には三八・二%と、三人に一人を大きく上回る高齢化率となります。これは県全体の話ですから、市町村によっては、さらに高齢化率が進み、絶対数の増加も急激なところがあります。  世代間による施設整備の必要性の考え方の違いや、介護保険制度そのもののあり方についての議論が加速しています。  現在の小、中、高の学校の統廃合のように、高齢者施設の統廃合も必要になる時期が、高齢者の絶対数がピークを迎える平成三十七年度以降には訪れる可能性があるわけですが、その前段階における施設の絶対数の不足をカバーする必要があります。  地域ニーズを把握し、施設の整備を前倒ししてでも進めなければなりません。その上で、保健・医療・福祉の包括ケアを進め、介護予防をし、良医をはぐくみ、地域に根差した医師による地域医療の充実等の施策の推進が重要です。  知事が種をまき、育ち始めたこれらのシステムにより、健康寿命をアップさせ、施設入所者の絶対数を抑える時期を少しでも前倒しすべきものと考えます。まずは、地域バランスも考慮した施設整備により、老後の不安や、介護する側、される側の両方の不安を取り除くことが今の段階では必要なのではないでしょうか。  そこで、二点について伺います。  一点目は、特別養護老人ホームの整備状況と今後の対応について伺います。  二点目として、今後も高齢者の増加が見込まれるが、県の総合的な対応方針を伺います。  次の項目は、縄文遺跡群の世界文化遺産登録の推進についてです。  震災後の数少ない喜ばしいニュースとして、小笠原諸島、そして岩手県平泉の世界遺産登録がほぼ決定したことが挙げられます。特に平泉は、一度登録を見送られ、再度の挑戦での登録だけに、地元の人たち、そして関係者の喜びはひとしおでしょう。  平泉に続いて、今度は私たちが、暫定リスト入りしている北海道・北東北の縄文遺跡群の平成二十七年度の登録申請に向けて歩み出さなければいけません。  八戸市の是川縄文館も、本年七月十日に開館するということで、私も楽しみにしています。国が推薦決定をすれば、登録に向けて、その前年の平成二十六年度中には国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の調査があります。  ところが、三内丸山遺跡や資料館が整備される是川遺跡のように整備が進んでいる遺跡もあれば、現地の人に尋ねても、場所さえ知られていない遺跡も現実にあるのです。  例えば、縄文ファンには特別の場所である亀ヶ岡遺跡も、お世辞にも整備が進んでいるとは言いがたく、遮光器土偶の出土した場所と資料館が遠く離れているといった状態です。さらには、資料が二カ所に分散している上に、そもそも遮光器土偶が国の所有物のため現地に存在しないなど、一般の観光客にも、縄文文化に深い思いを持って訪れる人にも非常に不親切であります。  他の遺跡においても、その普遍的価値を今のままで見出すには、周辺環境の問題等がネックになる遺跡も数多くあります。今後のアクセス道路の整備や案内板の整備、資料館の整備等取り組むべき課題があふれていますが、その多くは、現在では各自治体が行う必要があります。このままでは、登録のための整備は行われず、登録されて初めて整備に着手するといった自治体も多いのではないでしょうか。  各自治体が模様眺めをするようでは、ICOMOSの現地調査においても、地域の情熱や理解という点で大きなマイナス点になるものと思われます。  縄文遺跡群の持つ普遍的価値は変わらないのでしょうが、自然遺産と違って、文化遺産である以上、ある程度の整備を、各自治体と協議して、より綿密に進める必要があります。平泉のように登録見送りの挫折から立ち直るよりも、やはり、平成二十七年度の最初の審査で登録できるように最大限の努力をすべきです。  そこで、二点について質問いたします。  一点目は、縄文遺跡群の世界文化遺産登録に向けた取り組み状況について伺います。  二点目として、世界遺産登録のためには、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の現地調査までに、各遺跡現場にガイダンス施設や駐車場等を整備する必要があるのか伺います。  最後の質問は、原子力施設立地県の知事としての姿勢と考え方についてです。  知事も、我々県議会も、原子力に対するこれからの向き合い方については難しい判断を迫られる場面が何度も訪れることになると思われます。  安全性に対しての県独自の検証機関として原子力安全対策検証委員会をつくったことからもわかるように、知事も、慎重な判断をするために、国任せではない二重三重のチェックを重ねていこうというわけです。  安全なくして原子力なし──これは、知事が常日ごろ何十回も答弁で繰り返してきた言葉です。日本語というのは大変難しいもので、少し意地悪な見方をすれば、いかなる理由があったとしても、安全性が覆されたのだから原子力はなしと、この言葉をとらえる人もいるでしょう。いま一度、知事のこの言葉に込める思いを確認したいと思います。  先ごろ、海江田経済産業大臣は、原発の安全性に対して国がお墨つきを与えたような発言をし、原発の再開を各自治体に求めました。  そんな中、我が会派は、六月十七日に宮城県の女川原発を視察してきました。原子炉そのものに問題はなかったのですが、一メートルもの地盤沈下により、建屋と周囲に大きな段差ができていて、構内の道路にも複数の段差ができていました。  しかしながら、震災が起こったとき、女川原発において特徴的だったのは、周辺住民が、ここなら安全だと思い、敷地内の体育館に最大三百六十四人が避難してきていたということです。  そこまで地域から信頼を得て共存してきた施設です。震災前に戻ってもう一度安全対策をするわけにはいきませんが、今後どのような判断をするにしろ、完璧な安全対策で、地震が起きたら再びそこに避難してもらえるような信頼関係を築いてもらうことが国や事業者の役目です。  知事は、拙速な判断は控え、しかし、結論を出したときには、どのような結論であれ、理と情とエネルギー全体の大局観を持って、県民の心に届く言葉で説明していただくことをお願いします。  そこで、二点質問します。  一点目は、県内の原子力施設立地に対する知事の姿勢について伺います。また、福島第一原子力発電所の事故を経て、この姿勢に変化はあったのかどうか伺います。  二点目として、菅総理が、これまでの化石燃料と原子力に加え、再生可能エネルギーと省エネルギーを柱とすると発信しているが、知事はそれをどう評価しているのか伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。 62 ◯議長(高樋 憲) 知事。 63 ◯知事(三村申吾) 三橋議員にお答えいたします。  まず、TPPに対しての思いであります。  青森県は我が国有数の食料供給県であり、農林水産業は、地域の経済、雇用に貢献し、県民の命となりわいを支える基幹産業であると認識をします。  このため、私は、知事就任以来、一貫して、販売を重視し、関係者の収益性向上を目指す攻めの農林水産業を県政の柱に据え、農林水産物の生産はもとより、加工、流通・販売、さらには観光とも結びついた食に関連する産業の充実強化に積極的に取り組んできたところであります。  今回の東日本大震災では、本県のみならず、岩手県や宮城県などで甚大な被害を受け、早期の復旧・復興に向け懸命に取り組んでいるところであります。県民のみならず、国民すべてが、安全・安心な食料の安定確保が極めて重要であるということを再認識したと私は思います。  このような状況において、いわゆるTPPに参加した場合は、米や牛肉などが関税の撤廃によって非常に輸入量がふえる等々、あるいは、水田農業や畜産業を中心に本県農林水産業が大きな影響を受けるばかりではなく、自分自身進めてまいりました攻めの農林水産業の推進や震災からの復興に水を差すものであります。  TPPは、交渉分野が幅広く、農林水産業など各分野での議論がまだまだ不十分で、その影響も判然としないことなどから、交渉参加には反対の立場であることは昨日もお話ししました。  私は、現在は震災からの復興を最優先にすべきと考えております。国が貿易交渉を進めるに当たっては、国として食料安全保障の確保を図るという基本方針を堅持し、食料の安定供給や食料自給率の向上、国内農林水産業の振興、農山漁村地域の活性化を損なうことのないよう、守るべきものは守るという確固たる姿勢を貫くべきであると考えております。  まあ、一言でまとめるのもあれでありますが、食料の自給・安定なくして一国の平和・安定なし、これが自分自身の思いであります。  青森DC後においての観光客対策であります。  本県の観光産業は震災の影響により大きな打撃を受けたところですが、現在実施中の青森デスティネーションキャンペーン後も、県内では、夏祭りや、あるいは九月に開催されます北海道・東北B-1グランプリ、さらには、県内はもとより、宮崎県の高千穂神楽や徳島の阿波踊りなど全国の著名な郷土芸能や祭りを初め、韓国や台湾など海外の伝統芸能が一堂に会します「日本の祭りinあおもり」などの大型イベントのほか、秋の紅葉や東北新幹線全線開業一周年などが控えておりますことから、私は、これらのチャンスを生かしながら、県外からの誘客促進活動をさらに強化することが喫緊の課題であると考えております。  このため、緊急的な対策として、旅行業者に対する本県への宿泊つき旅行商品の造成支援を行うほか、これまで開発されてきた観光コンテンツ等を盛り込んだモニターツアーを実施し、参加者の意見を観光コンテンツのさらなる磨き上げや地域のおもてなし向上などに反映させるとともに、これらの取り組みを広く情報発信することによって新たな青森ファンの獲得に結びつけていくこととし、本定例会において所要の予算を計上し、御審議をいただいているところであります。  今回の取り組みは、本県への観光客を増加させるとともに、お客様に震災後の不安や疲れをいやしていただき、青森で元気を回復することによって東北の元気・日本の元気回復につなげていくものでありまして、今後も、青森の元気を発信しながら本県の観光産業の振興を図っていきます。  原子力施設立地県の知事としての姿勢と考え方についてでございます。  原子燃料サイクルを初めとする本県における原子力事業については、国のエネルギー政策、原子力政策に沿う重要な事業であるとの認識のもと、県民の安全・安心を重視する立場から、議員からもお話がございましたが、安全なくして原子力なしという思いで慎重に対応してきたところであり、今後ともこの姿勢を堅持してまいります。  原子力施設の安全確保については、第一義的には事業者が責任を持って取り組むとともに、法令に基づいて一元的に安全規制を行っている国がその役割を果たしていくことが基本であり、国及び事業者においては強い責任感と使命感を持って安全確保の徹底を図るべきと考えるところです。  しかしながら、福島第一原子力発電所の事故の重大性にかんがみ、県としても、国及び事業者において講じられる県内の原子力施設に対する安全対策について独自に厳しく検証することが必要であると考え、専門家による原子力安全対策検証委員会を設置したところであります。この検証結果につきましては、県民の安全・安心をしっかり守っていく立場から、最大限尊重していきたいと考えているところであります。  総理発言についてであります。  まあ、日がわりでいろいろ発言が揺れるものですから、とりあえずとしての答弁とさせていただきます。  菅内閣総理大臣は、去る五月十日の記者会見において、これまでの原子力と化石燃料という二つの柱に加え、今回の事故及び地球温暖化の問題を踏まえ、再生可能な自然エネルギーと省エネルギーをもう二つの柱としてこれまで以上に力を注いでいくという考え方で、エネルギー政策全体の見直しの議論を進めていきたい旨の発言をしておりました。  もとより、再生可能エネルギーや省エネルギーにこれまで以上に力を注いでいくこと自体は当然のことでありますし、私ども青森県はその最先端にあるものと考えております。  そこで、私としては、エネルギー政策のあり方を議論するに当たっては、安全確保は当然のこととして、安定供給、二酸化炭素、いわゆるCO2の排出削減──地球温暖化対策ということでありますが──国内の技術・産業振興あるいは人材育成、さらにはコストなどさまざまな観点に立って、エネルギー源のベストミックスとそのための政策手法について、国民各層の御意見等を踏まえながら、政府の責任においてしっかりと検討を行うべきと考えております。  現代の国民生活はエネルギーなしでは成り立たないものであります。国においてエネルギー政策を検討する際には、この点を十分に踏まえつつ、先ほどもお話し申し上げましたが、食料資源、水資源──これは一体でございますが、食料や水、そして安全保障とともに、このエネルギーというものを、国家にとっての非常に大切な戦略──この日本において、平和、安定の中で生きていくために非常に重要なものでございます。いわゆる安全保障のかなめであるわけでございまして、国として、中長期的にぶれない、しっかりとした国家戦略としての方針を打ち出していくべきと考える次第でございます。  以上です。 64 ◯議長(高樋 憲) 健康福祉部長。 65 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) まず、特別養護老人ホームの整備状況と今後の対応についてお答えいたします。  平成二十一年三月末の特別養護老人ホーム総定員数は五千二百二十床でしたが、第四期介護保険事業支援計画では、平成二十四年三月末までに三百二十床整備し、介護療養型医療施設の転換分を除き、五千五百四十床とすることとしておりました。  しかし、平成二十一年六月の調査で特別養護老人ホームの入所待機者数が千五百二十一名であったことに加えまして、国が第五期計画に予定される分を前倒しで整備することを容認しましたことから、県では、平成二十二年度から計画数を超えて整備を進めることとしたところであります。  これによりまして、第四期計画における整備数は計画数を二百二十六床超える五百四十六床となり、平成二十四年三月末の特別養護老人ホームの総定員数は五千七百六十六床となる見込みとなっております。  特別養護老人ホーム等介護保険施設の整備につきましては、市町村が高齢者の将来人口や介護予防の効果、地域の実態等を踏まえて推計したサービス見込み量をもとに県が策定する介護保険事業支援計画に基づいて計画的に実施することとしておりますが、平成二十四年度からの三カ年は、最新のサービス見込み量をもとに策定する第五期計画に基づき、特別養護老人ホーム等の整備を行っていくこととしております。  次に、今後も高齢者の増加が見込まれるが、県の総合的な対応方針をというお尋ねでございました。  本県の高齢者施策につきましては、あおもり高齢者すこやか自立プランの中で、その方向性を示しております。  現在の平成二十一年度から二十三年度を計画期間とするプランの中では、高齢者一人一人が安心して、健やかに、自立した生活ができるような社会づくりを支援するとともに、高齢者の生きがいづくりと社会参加を促進することにより、高齢者が生きがいを持って、安んじて暮らせる環境づくりを目指すこととしております。  具体的な取り組みとしましては、団塊の世代の方々などが生涯現役で活躍できる社会づくりを推進することとしているほか、保健・医療・福祉の連携システムである包括ケアの推進や認知症対策の推進、権利擁護の普及などの地域生活支援体制の整備を図ることとしております。  加えまして、介護予防の取り組みや、介護サービスの充実と質の確保の取り組みを進めることともしております。  なお、今年度末に、平成二十四年度から二十六年度までの三カ年を計画期間としました新たなプランを策定することとしております。  今後も、住みなれた地域で生きがいを持って、健康で安心して生活できるように各種施策を進めてまいります。 66 ◯議長(高樋 憲) 商工労働部長。 67 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 御質問二点にお答えいたします。  最初に、東日本大震災の県内中小企業への影響についてでございます。  東日本大震災による県内企業の被害状況につきましては、四月十一日から二十六日にかけまして、県内に事業所を有する企業等三百七十三社を対象に、県及び商工団体等の職員による訪問調査を実施したところでございます。  調査は、直接被害のみならず、間接被害の状況も把握するため、県内全域の製造業を初め、飲食・小売・サービス業、観光・宿泊業等、広範な業種を対象に実施しました。  その結果、八戸市の臨海部に位置する企業を中心に津波による甚大な被害が改めて確認されたほか、燃料不足、交通網の途絶による物流、人的交流の停滞、取引先の被災による原材料等の調達難や販路の喪失、自粛ムード等による消費低迷、福島原発問題による風評被害などにより売り上げ減少などの間接被害を受けている企業が三百三十九社、調査企業の実に九〇・九%に上っております。  県では、県内全域の広範な業種において、ほとんどの企業が震災の影響を受け、経営に支障が生じていると認識しており、そのような実態から、時間の経過を踏まえた調査企業の状況を継続的に把握する必要があると判断しまして、七月、第一回目のフォロー調査を実施することといたしました。  今後とも、県内中小企業の実態を踏まえました適時適切な支援に努めてまいります。  次に、県内中小企業の復旧・復興に向けた取り組みへの支援についてでございます。  県では、地域の経済や雇用を支えている中小企業を守り育てていくことは大変重要であると考えており、平成十九年十二月に制定されました青森県中小企業振興基本条例の趣旨を踏まえ、これまで中小企業の振興に取り組んできたところでございます。  このたびの未曾有の大震災では、多くの県内企業がさまざまな形で直接、間接の被害を受けており、震災発生直後から、工場や機械設備など事業用資産に直接被害を受けた中小企業や間接被害で経営の安定に支障が生じている中小企業に対する別枠での金融支援のほか、県及び財団法人21あおもり産業総合支援センター等で構成する専門家チームを現地に派遣しまして、必要なアドバイスを行うなど、被災中小企業の速やかな事業再建に向けた支援を行ってきております。  さらに、中小企業等グループ等の復旧事業に対する助成、被災企業に対する設備のリース料等の無利子化など、金融支援のさらなる拡充を図り、被災中小企業等にきめ細かに支援するために、今定例会に所要の予算を提案し、御審議いただいているところでございます。  県としては、今後とも、中小企業振興基本条例の基本理念に基づき、中小企業の自主的な努力と創意工夫を尊重しつつ、県内中小企業の復旧・復興を支援してまいります。 68 ◯議長(高樋 憲) 農林水産部長。 69 ◯農林水産部長(渋谷義仁) 稲わらの有効利用の促進及び焼却防止対策に関する御質問三点についてお答えいたします。
     最初に、昨年度の稲わら焼却状況についてであります。  平成二十二年産米の稲わら焼却面積は、昨年の秋とことし春の焼却分を合わせまして五百二十ヘクタール、水稲作付面積の約一・一%となっており、前年度に比較して、面積で七百七十二ヘクタール、割合で一・五ポイント減少いたしました。  これを地域別に見ますと、西北地域が前年度よりも五百九十一ヘクタール少ない三百九十八ヘクタール、中南地域が百七十九ヘクタール少ない七十九ヘクタール、東青地域が前年度並みの四十三ヘクタールとなっております。  焼却面積が減少した要因としては、昨年秋の収穫後に長雨が続いたという一面もありますが、昨年六月に制定された青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例の施行に伴う農家の意識向上に加えて、県及び市町村等が行った稲わらの有効利用や焼却防止に係る取り組みの効果が大きいものと考えております。  次に、稲わらの主な利用についてであります。  稲わらの有効利用及び焼却防止対策として、昨年度、つがる市を初めとする津軽地域九市町村で展開されたわら焼きシャットアウト大作戦実施地区では、全体で約三千五百七十トンの稲わらが有効利用されました。  そのうち、有機質資源として水田にすき込みされた稲わらが約千三百五十トン、畜産の飼料や敷きわら、堆肥製造などの目的で収集されたものが約二千二十トン、一般市民が家庭菜園などに使用する稲わらを提供する稲わらふりーでんでの活用が約二百トンとなっております。  最後に、稲わらが焼却されている理由と今後の取り組みについてお答えいたします。  稲わらが依然として焼却される理由としては、農家の高齢化により、みずから稲わらを集めて圃場から運び出すことが難しくなっていること、また、稲わらの収集やすき込みなどの作業委託に経費がかかること、さらには、農家個々で稲わら実需者を探すのが難しいことなどが挙げられます。  このため、県では、今年度、地域における持続可能な稲わら有効利用システムを構築するため、稲わら収集作業員の確保や稲わらふりーでんの設置などを行うわら焼きシャットアウト大作戦サポート事業を津軽地域十協議会で実施するほか、市町村が行う作業組織の育成等を支援する地域提案型稲わら有効利用システム確立事業を五市町村で実施することとしております。  また、六月一日から、社団法人青い森農林振興公社に稲わら流通コーディネーターを一名設置し、稲わら流通促進商談会の開催や販売・買い取り者リストの整備、稲わらを保管するストックヤードを活用した広域流通システムの構築、県内外における稲わらの販路開拓などを強力に推進することとしており、これらの取り組みにより、わら焼きゼロを目指したいと考えております。 70 ◯議長(高樋 憲) 観光国際戦略局長。 71 ◯観光国際戦略局長(馬場良夫) 東日本大震災後の本県経済の活性化対策二点についてお答え申し上げます。  まず、県内への誘客対策──本県観光客の居住地別の入り込み割合と震災後の入り込み状況についてでございます。  県が平成二十二年度に実施いたしました東北新幹線全線開業前後における観光客実態調査によりますと、本県観光客の居住地別の入り込み割合は、関東地区が最も多く約三五%、次いで県内が約二三%、東北地区が約一八%、近畿地区が約八%、東海地区が約五%などとなってございます。  また、県が毎月調査してございます県内主要観光関連施設のサンプル調査によりますと、震災後の入り込み状況は、平成二十三年三月が前年比約五九%、四月が前年比約六四%、五月が前年比約七六%となってございます。このように大幅な減少となっているところでございます。  しかしながら、四月二十九日の東北新幹線の全線復旧や、SL列車の運行などの青森デスティネーションキャンペーンにおきますイベント等の実施によりまして回復の兆しが見えてきているというふうに考えているところでございます。  続きまして、本県産リンゴの輸出促進について、国の責任において、本県産リンゴを初めとする日本産農産物の安全性をPRするコマーシャルを打つべきということについてでございます。  東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴いまして、海外で日本産農産物に対する風評の影響が広がっている中、県といたしましては、まずは、国の責任において安全性のPRに取り組み、日本全体で海外消費者等の信頼を回復していく必要があるものと考えているところでございます。  特に、リンゴは、日本から輸出される果実の約七割を占め、我が国の重要な輸出品目になっていることに加えまして、本県産が輸出量の約九割を占めているというふうに見込まれておりますことから、本県産リンゴを重点的にPRすることは、我が国の輸出農産物の安全・安心のイメージを回復するシンボルにもなるものと考えているところでございます。  このようなことから、県では、去る五月二十二日に内閣官房長官に対しまして、海外における風評被害回避のため、海外の各種メディアを通じた輸出品等の安全性に係る情報発信の充実強化を要望したほか、明日には、青森県重点施策提案として、県関係国会議員及び各政党に対して説明後、速やかに国に対して同様の提案を行っていくこととしてございます。  具体的には、テレビコマーシャルやブログなどのメディアを活用して、日本の清らかな自然がはぐくむ本県産リンゴを初めとする日本産農産物のクリーンなイメージづくりに加えまして、放射線検査データを活用した科学的根拠に基づく安全性のPRを実施し、日本産農産物の安全・安心を海外消費者等に強く訴えていくよう、国に対して継続して提案していくこととしております。 72 ◯議長(高樋 憲) 教育長。 73 ◯教育長(橋本 都) 縄文遺跡群の世界遺産登録についての御質問にお答えいたします。  初めに、取り組み状況についてです。  現在、本県を初め北海道・北東北の四道県では、青森市や八戸市、つがる市など関係十二市町とともに、平成二十七年度の世界遺産登録を目指し、共同で取り組みを実施しております。  まず、国に提出する世界遺産登録推薦書案の作成については、考古学等の専門家から成る縄文遺跡群世界遺産登録推進専門家委員会を中心に、縄文文化とその遺跡が持つ顕著な普遍的価値などについて検討・整理を進めております。  また、国から示された課題の一つである国際的合意形成の促進については、ことし九月に本県で、国内外の専門家を招聘して国際会議を開催し、遺跡視察、縄文文化や縄文遺跡が持つ顕著な普遍的価値に関する意見交換及びシンポジウムを行うこととしております。  さらに、普及啓発として、各構成資産のハンディーサイズのリーフレットを作成するほか、東京及び本県以外の三道県において国内フォーラムを開催することとしております。  このほか、本県独自の取り組みとして、地下に埋蔵された遺跡の価値をわかりやすく伝えるために、情報処理技術を活用した表現手法の実証デモンストレーションを行うほか、知事や専門家による世界遺産縄文講座を開催するなど、世界遺産登録に向けて取り組んでいるところです。  次に、世界遺産登録のため、各遺跡に施設等の整備をする必要があるのかということについてです。  四道県並びに関係自治体では、おおむねの目安として、平成二十五年度に国からユネスコ世界遺産委員会への推薦書提出、平成二十六年度の国際記念物遺跡会議による現地調査、平成二十七年度の世界遺産委員会での審査・登録を目標としております。  世界遺産登録を進めるに当たっては、ユネスコ世界遺産委員会が定めた世界遺産条約履行のための作業指針に基づき作業を行うことになります。  国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の現地調査までのガイダンス施設等の整備について、この作業指針では登録のための条件とはされておりませんが、それぞれの遺跡を所管する関係自治体が、文化財としての保護を十分に行うことはもちろん、周辺環境の保全やガイダンス施設等の公開・活用などを進めていくことも世界遺産登録につながるものと考えております。  このため、県教育委員会では、関係自治体に対して、遺跡の整備や公開・活用などについてこれまでも助言や支援などを行うとともに、国の助成制度などについて周知を図ってきたところです。  県教育委員会としましては、引き続き、北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群の世界遺産登録に向けて、四道県並びに関係自治体と連携して取り組んでまいります。 74 ◯議長(高樋 憲) 三橋議員。 75 ◯二十六番(三橋一三) それぞれお答えいただきましたが、知事初め関係部長が答弁しているときに、とにかく答弁者の目をずっと見ておりました。目を合わせてくれる方もいれば、答弁書にずっと向かった方もいらっしゃるわけですが、心に届く言葉、やはり、これは、相手の目を見て、そして、わかりやすく簡潔に、要点を絞って話すことではないかなと思っております。今後、答弁をする際には、ぜひ、答弁書に向かって答弁をするのではなく、やはり、我々、そしてまた我々を選んでくださった県民の方の心に届く言葉で答弁していただければと思っております。  再質問を一点だけさせていただきます。  中小企業対策について、震災後の復旧・復興に向けた取り組みで商工労働部長からの答弁をいただきました。  もちろん、我々中小企業振興基本条例を出した議員の側としても、中小企業政策というのは、商工労働部だけではなくて、とにかく、大局的に、幅広い分野で、部局横断した対策が必要とされると思っています。  とりわけ、今回の震災の復興・復旧に向けては、この中小企業対策というのが本当のかなめの部分なのではないかなと私は思っております。  ですから、これは、自分の所管の思いしか述べられない部長ではなく、部局横断して、大局的に、そしてまた過去の例といったものもしっかりとあわせ持った蝦名副知事に再質問をさせていただきますので、これを答弁いただければと思います。  そして、震災後にこういった話をお聞きしました。  震災後、ある会社の社長さんが、自分の持っているトラックに水、食料、支援物資をとにかくいっぱい詰めて、被災地の避難所に向かったということであります。  そのたどり着いた避難所では、涙を流しながら喜んでもらい、ありがとうとかたく握手をし、その社長さんに思わぬ言葉を言ったそうであります。それは、我々もつらく苦しいけれども、この山を一つ越えた避難所がもっと苦しんでいると聞いている、だから、できれば、そこにこの物資を持っていってくれないかということでありました。  その社長さんは、よし、わかったと意気に感じ、次の避難所にたどり着いたところ、同じように、そこでも、この一つ先の避難所がもっと苦しいんだということを言われたそうであります。  この話を聞いたとき、この精神さえ持ち合わせていれば、東北は絶対に立ち直れる、そして日本は絶対に立ち直れると私は確信しました。  これからの大事な四年間のかじ取りを任された三村知事、我々県議会も全力でそれぞれの提言をしていくと思いますので、これからもお互い頑張っていきましょう。  それでは、私の再質問に対して、蝦名副知事の心に届く言葉での答弁をお願いします。 76 ◯議長(高樋 憲) 蝦名副知事。 77 ◯副知事(蝦名 武) 県庁生活を終えるに当たりまして、最後にこのような機会を与えてくださいました三橋議員に心から感謝申し上げたいと思います。  私は、昭和四十四年に中小企業総合指導所に勤務いたしました。ここは中小企業の経営診断をするところでございまして、大学を卒業したばかりの私が、その老練な経営者とさしで話し合う機会を何度もいただきました。  経営者は非常に厳しいものでございまして、こいつは能力がないと思えば、すぐ追い返してしまいます。しかし、これはちょっと見込みがあるかなとなりますと、お茶を出し、コーヒーを出し、そして、自分のこれまで歩んできたさまざまな経営の考え方、あるいは真髄を語ってくれるのであります。若いころから経営者に鍛えていただいたことに心から感謝をしております。  その上で、一番大事なのは、時間がコストであるということであります。私ども公務員は、往々にして、その時間というものをコストとして換算しません。しかし、経営者は常に、時間をコストとして、それを我々に押してくる。これが大事だなということであります。  今回の大震災において、商工労働部がいち早くその融資制度をつくり、私のところに参りました。これをやりたいということでございます。本当にすばらしい提案でございました。  私も、金融にはずっと携わってまいりましたから──私は、若いころには、県のそれまでの制度を全部改革し、新しいものにしました。しかし、その新しくした私の金融制度を、今の商工労働部の方々は、さまざま金融機関や中小企業者と連携をして、リレバン・レポートをつくり、すべて変えてしまいました。私は、このような、前向きに、進取の気取りで取り組む商工労働部のそういうものに大変感謝しているわけであります。  これからも、中小企業対策を進めるに当たっても、あるいはさまざまな行政を進めるに当たっても、時間がコストであり、それから、さまざま今までやってきたことに常に疑問を持ち、それに対して常に改革をしていく、挑戦していく、そういう姿勢をこれからも県庁はとっていかなければならないものだと、私はこう考えております。  四十二年間のうちたった一年間だけ人事課に勤務しましたが、四十一年間、中小企業の政策に関与できまして本当に幸せであったと思っております。これから、中小企業診断士と税理士の資格を生かして中小企業者の育成に参画できれば、貢献できればいいなと、こう考えております。  以上であります。 78 ◯議長(高樋 憲) これをもって一般質問を終わります。  以上をもって本日の議事は終了いたしました。  なお、明二十五日及び二十六日は、県の休日ですから休会であります。  六月二十七日は午前十時三十分から本会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。 午後四時三十八分散会 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...