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  1. 青森県議会 2010-11-19
    平成22年農林水産委員会 本文 開催日: 2010-11-19


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ○開 会  午前11時01分 ◯西谷委員長  おはようございます。ただいまから農林水産委員会を開きます。  慣例により、会議の記録署名委員を指名いたします。清水委員と一戸委員にお願いいたします。  本日の審査案件は、特定付託案件であります。  初めに、執行部より報告事項があります。──有馬農林水産部長。 2 ◯有馬農林水産部長  おはようございます。5件御報告申し上げます。  まず最初に、陸奥湾ホタテガイ高水温被害への対応についてです。被害状況につきましては、11月2日から11月17日にかけて、陸奥湾内23の漁協、及び支所から全養殖経営体の5%に相当するものを対象に、生残率、養殖数量等を調査する養殖ホタテガイ実態調査を実施し、現在その結果を取りまとめ中でございます。これによりますと、生残率については、地域差、個人差が大きいことが判明しております。中間の取りまとめの段階でございますが、表のとおりになっております。地域で見ますと、西湾のほうが被害が大きく、東湾のほうは西湾よりも軽いといったような状況になっております。  これまでの県の対応についてです。地方独立行政法人青森産業技術センター水産総合研究所と連携しまして、これまで8回のホタテガイ養殖管理情報を発行いたしまして対応を周知してきたところです。10月16日には平内町漁協、野辺地町漁協において知事が現地で調査を実施しました。10月18日には、青森県平成22年陸奥湾ホタテガイ高水温被害対策本部会議、青山副知事を本部長として、これを設置しまして、これまで10月19日、11月4日の2回に分けて会議を開催したところでございます。  また、11月9日には、県と関係市町村との連絡会議を開催しました。  具体的な対策についてです。まず、その中での再生産対策です。1つとして、成貝の出荷を産卵後の4月以降に抑制して母貝を確保するため、むつ湾漁業振興会が行う2億円の基金造成事業への助成として11月4日に知事が1億円の補正予算を専決処分いたしました。  母貝減少の影響を最小限とし、稚貝を確実に確保するため、採苗区域の拡大、及び採苗器の作成・投入、稚貝採取を実施することとしております。  また、稚貝融通の円滑化に向けて継続的に団体等を指導しています。  次に、共済・金融対策でございます。漁業共済金早期支払いについては、全国漁業共済組合連合会等に対して要請をしております。また、関係融資機関に対して、被災漁業者の既に借り入れしている資金についての償還猶予を要請しております。また、関係する市町村及び漁協に対しましては、被災漁業者既借り入れ制度資金償還猶予について周知しております。  次に雇用対策でございます。陸奥湾沿岸地域における雇用機会の拡大を図るため、緊急雇用対策を活用して以下の事業を11月議会に提案することとしております。ホタテガイの稚貝確保のための採苗器の作成・投入、稚貝採取の実施、これは先ほど申し上げたとおりでございます。  2つ目として、ホタテガイ貝殻の利活用のため、貝殻の洗浄、保管、輸送の適正処理を行う事業、それから、ナマコ等の増殖を目的としたホタテ貝殻を敷設した漁場の造成を行う事業、地まき漁場の環境を改善する、漁場の耕うん・堆積物の除去を行う事業、海岸保全施設老朽化状況の調査を行う事業、最後に、農業水利施設等の点検・診断と補修の実施を行う事業、こうした事業についての雇用対策を実施することといたしております。  次に、水産加工業者等に対する対策です。低金利の経営安定化サポート資金において、通常枠とは別枠で利用可能な災害枠を適用いたしまして、融資限度額を1億円に拡充するとともに、既存の経営安定関連資金の借りかえを可能とする金融対策を実施していくこととしています。
     また、ホタテ関連加工事業所に対する訪問相談を実施しておりまして、金融対策の周知と原料確保、新たな製品の試作を支援する国の事業の活用について現在指導しております。  次に生活支援対策です。県税の減免・徴収猶予について適切な措置を講ずるよう指示したほか、市町村民税の減免・徴収猶予生活資金貸し付け国民健康保険一部負担金・保険料の減免などについて関係機関へ要請しております。  さらに、中長期的対策として、高水温被害を回避できる養殖手法などの検討や、生産から加工・販売及び雇用などの対策を総合的に検討する専門家委員会を設置することとし、11月25日には第1回目の委員会を開催する予定としております。  以上がホタテガイ高水温被害への対応です。  次に、社団法人青い森農林振興公社経営検討委員会報告書についてです。  まず、この経営検討委員会の設置の背景でございますが、国では、第三セクター等の改革に関するガイドラインを示し、経営が悪化している公社等について、外部有識者から成る経営検討委員会の設置による抜本的経営改善策の検討等を求めております。また、国は公益法人制度を改正し、これまでの公益法人は平成25年11月末までに公益法人あるいは一般法人へ移行するよう求めており、当該公社は新たな制度での新公益法人としての認定を受ける体制を整える必要があります。こうしたことを踏まえまして、県では、経営の悪化している社団法人青い森農林振興公社について、本年9月に、大学の教授や公認会計士弁護士等から成る経営検討委員会を設置し、公社全体の抜本的な経営改革について御検討いただき、去る11月4日に提言をまとめた報告書が提出されたところでございます。  その提言の概要でございます。1つとして、分収造林事業以外の事業については、新たな公社を設立して事業を移管し、経営の効率化やサービスの向上に努めながら継続して実施すべきである。2つとして、分収造林事業については、企業的経営の視点では再生が困難であることから、分収林の持つ地域経済の振興や公益的機能の発揮等、県民共通の公共財としての性格を考慮して県に移管すべきである。3つとして、県への移管により必要となる株式会社日本政策金融公庫に係る債務の処理に当たっては、県民負担の最小化を図る観点から、平成25年度までの措置となっている第三セクター等改革推進債を活用すべきである。4つとして、分収割合や契約期間延長の変更協議を進めることにより、県の収入確保に努めることを検討すべきである。こうした提言を受けたところでございます。  県は、この提言に加えて、県民の代表であります議員の皆様、関係市町村、さらには有識者等からの御意見を踏まえて、改革の方向性を決定していきたいと考えております。  次に、農作物の生育と農作業の進捗状況等についてです。これが今年度の最終の報告になります。  まず、生育期間の気象の経過でございますが、平均気温は4、5月で平年を下回りましたが、6月以降は平年より高く経過し、4月から11月前半の累計で見ますと平年を1.4度上回っています。日照時間は6月と9月以外は平年を下回り、累計では平年の86%となりました。降水量は、5月から9月まで平年を上回り、累計で平年の125%となりました。  次のページをお願いいたします。  農作物の生育・作業進捗状況と今後の対策についてです。  まず、水稲ですが、水稲の作柄は、10月15日現在の作況指数は、県全体が100の平年並み、地帯別では、青森地帯が101の平年並み、津軽地帯が97のやや不良、南部・下北地帯が105のやや良となっています。しかし、一部地域では、さらに作柄の落ち込んでいるところが見られました。  9月30日現在の1等米比率は、例年よりも着色粒や胴割れ粒の発生が多く見られたため、75.2%となっており、過去5カ年平均より15.0ポイント下回っています。  畑作・野菜・花卉です。生育と農作業の状況は、大豆の収穫は11月10日現在で5割程度終了しています。小麦の生育は、10月20日現在、茎数が平年を下回っています。ナガイモの収穫は、11月20日ごろから本格化する見込みです。  今後の対策については、大豆は刈り取りを急ぐこと。小麦は、根雪前に雪腐病防除を行うこと、ナガイモの収穫作業は、貯蔵中の腐敗を防ぐため、作業に当たっては傷つけないように慎重に行うこと。  リンゴ等果樹です。生育と農作業の状況です。ふじの収穫は、有袋が平年並みの10月31日ごろ、無袋が平年並みの11月5日ごろから始まり、ほぼ終了しました。果実の品質は、糖度、ヨード反応、着色はほぼ平年並みで、つる割れの発生は前年より少ないものの、平年よりやや多くなっています。ふじの果実肥大は、横の径が平年並みで、縦の径が平年よりやや劣りました。  今後の対策として、腐乱病の多い園地では、収穫後の薬剤散布を徹底すること。雪害防止対策野ネズミ対策を徹底すること。  最後に飼料作物です。生育の状況は、1番草及び3番草の収量は平年を下回りましたが、2番草の収量が平年を大幅に上回ったため、年間の合計収量は前年比102%となりました。  サイレージ用トウモロコシの収穫期は、夏場の高温により生育が早まったため平年より9日早く、乾物収量は平年比109%となりました。  今後の対策として、堆肥の散布などにより土づくりに努めること。  次に、県産農産物の販売動向についてです。  東京都中央卸売市場11月上旬の野菜の価格です。ナガイモの価格は、22年産の出荷を控えてやや下げたものの、引き続き高値で推移しており、前年比で23%高く、過去5カ年平均に比べても44%上回っています。ニンニクの価格は、引き続き市場全体の出荷量が少ないことから、前年比で57%高く、過去5カ年平均に比べても27%上回っています。ゴボウの価格は、市場全体の出荷量が少ないことから、前年比で16%高く、過去5カ年平均に比べても11%上回っています。ネギの価格は、市場全体の出荷量が少ないことに加え、季節的な需要の高まりや品薄感から、前年比で99%高く、過去5カ年平均に比べても117%上回っています。リンゴの価格です。リンゴの価格は、他県産リンゴを含め果実全体の品薄感を背景に前年比で18%、過去5カ年平均に比べても15%上回っています。本県産無袋ふじの入荷は12日から始まっています。  子牛です。青森県家畜市場の子牛の価格です。黒毛和種の子牛価格は、前月をやや下回りましたが、前年と比べるとほぼ同額となりました。  最後に、最近の漁模様等についてです。10月の主要魚種の動向です。スルメイカ、サケは、全海域で低調に推移しました。クロマグロは、日本海で好調、津軽海峡でやや好調に推移しました。サバ類、ブリは太平洋で好調に推移しました。  沿岸の水温の状況です。11月11日から15日までの半旬平均水温は、日本海で13から16度台、津軽海峡では13から15度台、陸奥湾では13から17度台、太平洋では13から15度台となっています。日本海、陸奥湾及び太平洋で平年並み、津軽海峡でやや低目、全地点での平年差は平均マイナス0.2度で、平年並みとなっています。  最近の漁獲物の状況です。11月中旬の主要漁獲物は、日本海ではサケ、ブリ、津軽海峡ではスルメイカ、サケ、太平洋ではサバ類、サケ、スルメイカとなっています。なお、11月以降、サケの漁獲量は回復しつつあります。  八戸港の水揚げです。10月の水揚げは3万424トンで、前年同月より24%増加、金額では41億300万で32%増加しました。主な要因として、大中型まき網によるサバが増加したことが挙げられます。なお、1月から10月までの累計水量は9万5,777トンで、前年同期累計より18%減、累計金額では181億6,600万円で5%増となっています。  以上です。 3 ◯西谷委員長  ただいまの報告事項及び特定付託案件について質疑を行います。  質疑は所管外にわたらないように願います。  なお、答弁者は、挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。  質疑はありませんか。──三橋副委員長。 4 ◯三橋委員  まず最初に報告事項に関して。水稲の作柄の状況が、津軽地帯97のやや不良ということでありましたけれども、局地的に80、70という地域もあるわけですね。これを受けて、11月4日でありますが、西北五管内の6市町と、地元の2農協、そして関連する西北五地域の我々県議も同席させていただきました。知事、そして青山副知事、有馬部長も同席していただきましたが、夏場の降雨障害による水稲の減収に伴う農家への支援要望というのが出されました。これに対する知事の回答の中で、青森県農林漁業災害経営資金融通助成条例、この発動にも一部触れておりました。また、きのうの会派に対する説明の中でも、そういった形の発動に関してのお答えもありましたので、この金融面での支援、これに関してどのように対応するのか、これを考える上で、この当該助成条例の内容はどういうものなのかをまずお尋ねいたします。 5 ◯仲団体経営改善課長  お尋ねのありました青森県農林漁業災害経営資金融通助成条例と言いますが、こちらは、天災による農業被害の総額が10億円以上になるなど、県経済に及ぼす影響が大きい場合に発動されます。被害農業者経営資金貸し付けた農協、あるいは銀行などの金融機関に対し市町村が利子補給を行った場合、県がその経費の一部を助成する制度となっております。  当該資金貸し付け対象者は、減収量が平年の30%以上、かつ減収による損失額が平年の農業総収入の10%以上である被害農業者でございます。また、貸し付け対象経費は、種苗、肥料、薬剤等の購入資金その他経営に必要な資金ということで、いわゆる来年の再生産に向けた資金というものが貸し付け対象になっております。  貸し付け限度額償還期限等につきましては、条例発動の都度告示で示されることになっておりますが、過去の発動を見ますと、貸し付け限度額は、水稲の場合、個人で200万円または損失額の45%の低い額、償還期限は3年から6年の間となっております。  なお、貸し付け利率につきましては、平成22年11月12日時点のものになりますが、金融機関貸し付け金利2.45%に対して、市町村及び県で半々ずつ計1.95%を利子補給する形となり、最終的に農家が負担する金利は0.50%となることが想定されております。  以上です。 6 ◯三橋委員  0.5というこの数字でありますけれども、これはあくまで市町村と県の調整割合ということで、金融機関や農協等が独自の助成をすれば実質ゼロ金利ということも考えられるということであって、農家にとっては、そういう方向で進めていただければ、何とかつなぎ、再生産ができるということでありますけれども、近年、この当該融通助成条例を利用して、これが実際発動した例というのは、過去にどういった例があるんでしょうか。 7 ◯仲団体経営改善課長  本条例ですが、直近では平成20年、これは降霜・降ひょう災害がございまして、こちらの際に発動されております。このときの被害総額は、リンゴの被害で108億5,200万円、貸し付け額は1,077件で13億9,500万円となっているところでございます。  また、その前になりますと平成13年、この際は低温及び霜の災害でございまして、こちらの際に発動されたときの被害総額は、同じくリンゴの被害で言いますと89億4,600万円、貸し付け額は308件で3億1,000万円となっております。 8 ◯三橋委員  過去2例は、リンゴの降霜・降ひょうの被害に対してでありましたけれども、通常、水稲の場合、低温障害等で減収した場合は農業共済が今までも該当になっていたわけでありますけれども、今回の例はごく限られた地域ということで、その共済対応というのが大変難しいところもあると。ただ、実際問題、やはり作況指数、他のところに比べると極端に低い地域があるということで考えれば、この条例を発動するに十分値する状況にあると、特に農家にとっては間違いなくそういう状況にあると思うんですけれども、このケースはどうでしょうか、当てはまるんでしょうか。 9 ◯仲団体経営改善課長  条例の発動に当たりましては、まず、該当する災害が発動の要件を満たすかどうか、こちらを見きわめることが必要となっていきます。したがいまして、副委員長のおっしゃるように、さきに西北五管内の6市町村、さらに2農協から県に対して行われた支援要請も踏まえながら、現在条例の発動を判断するための作業を今鋭意進めているところでございます。条件が整った場合は事務手続を迅速に進めるよう取り組んでまいりたい、このように考えております。 10 ◯三橋委員  現実問題、このつなぎを行うのであれば、やはり今定例会において迅速にこの条例を発動させてと。それは追加議案であっても何でも、我々、しっかり議論するつもりでありますので、迅速な対応をぜひお願いいたします。  そしてまた、先ほど報告事項にもありましたホタテのほうですね。資金のほうでは、低利の経営安定化サポート資金、こういったものも考えているようでありますけれども、実際ホタテも今回これだけの被害となると、この融通助成条例の対象に値するのではないかと思うんですけれども、この点についてはちょっと課が違うと思うんですが、いかがでしょうか。 11 ◯松宮水産振興課長  ホタテガイにつきましても、現在、被害状況の把握、ホタテガイ養殖実態調査を行っておりまして、条件が整えば条例発動に向けた手続を進めていく、このように考えております。 12 ◯三橋委員  そして、稲、今回は今までの低温と違って高温障害。これからの気候の状況を見ると、これから先もこういった高温障害が起こる可能性も十分あるということで、来年以降発生する可能性等を考えて、やっぱり異常高温等に対して、特に水管理の仕方、こういったところは、県だけではなくて、普及センター、普及室もそうですし、土地改良のほうでの水の供給のあり方、そういったことを考えると、かなり広い範囲でしっかりとことしの事例を踏まえて対応していく必要があると思うんですけれども、その高温障害に対する考え方、どのようにお考えでしょうか。 13 ◯長根農産園芸課長  ことし発生しました異常高温の影響と見られます米の収量減や品質低下につきましては、県としましても、ことしの異常高温が米の生育に及ぼした影響について今後解析を進めていくとともに、対応できる技術対策を検討し、次年度以降の稲作指導に役立てることにしております。  また、異常高温などの気象の推移に即応した現場指導を徹底するために、1つ目としては、気象庁が発表する異常天候早期警戒情報等をもとにした臨時生産情報の適切な発行。2つ目としまして、県民局段階における技術者連絡協議会等での高温対策での指導情報の共有化。3つ目としまして、今、委員からもお話がありました水管理の徹底ということで、高温対策に有効と見られます用水の掛け流しに向けた体制づくりなどにつきまして、市町村や農協、土地改良区など地域の関係機関・団体との連携を強化しまして、一体的な取り組みを推進してまいりたいと思っております。 14 ◯三橋委員  ここはやはり広い形でしっかり農家一軒一軒にその情報がおりるような体制づくりをしていただかないと。ことしもその掛け流ししたところとかはふだん以上にとれているところも実際あったわけですから、そういった高温に対する今まで蓄積していなかった部分を蓄積できたわけですから、そういったところは来年以降しっかりとうまく使っていただければと思っています。  次の問題なんですが、今、米の作柄が悪い、品質が落ちていると、さらに価格が下がったと。それだけでも農家の皆さんは大変大きな不安を抱えて、再生産をどうするかというような考えであったわけですけれども、そこにさらに環太平洋戦略的連携協定ですか、このいわゆるTPP、以下TPPで話させていただきますけれども、この問題が降ってわいたわけであります。このTPPに参加することによって関税が撤廃され、特に米、それから畜産、そういったところにはかなり大きな影響が出るんではないかと。農家の不安、不満というのは非常に、想像以上に大きいものがあります。そこで、TPPに参加した場合、本県農業へはどういった影響があるのか、まずその見解をお伺いします。 15 ◯樋口農林水産政策課長  我が国がTPPに参加した場合でございますけれども、TPPは全品目につきまして10年以内の関税撤廃、これが原則と考えられております。このため、本県の農業にとっても、これまで関税により守られてきました米や畜産物などを中心に大きな影響があると認識しております。  また、一方では、本県がこれまで進めてきましたリンゴや米、ナガイモなどの輸出については、輸出環境がよくなる面もあると考えられますが、総体として見ますと厳しい状況になるものと受けとめております。  影響の度合いにつきましては、国が11月9日に閣議決定しました「包括的経済連携に関する基本方針」の中で、自由貿易と農業・農村の振興の両立に向けた国内対策に取り組むこととしておりますことから、その取り組みの内容によって状況が異なってくるものと考えております。  以上でございます。 16 ◯三橋委員  我々、今、数字としては、当然、経産省が出したり、農水省が出した数字、いろいろありますけれども、どれか一つの基準でまずは考えていかなければいけないと。そのときに、やはり、農水省のほうの数字をもとに本県にどの程度影響があるのか、当然、まずこれを考えていくのが農林水産部の立場だと思います。試算が実際農水省のホームページ等に出ていますけれども、この公表されています試算の数字、この考え方というのはどういったものなんですかね。この数字が正しい、正しくないの以前に、どういった考えでこういった試算をしたものかというのを、これは県の考え方としてちょっとお答えください。 17 ◯樋口農林水産政策課長  農林水産省では、関税率10%以上、生産額が10億円以上の19品目を対象に、国境措置を撤廃した場合の影響額を試算しております。それで、農産物の生産額は4兆1,000億円程度減少するとしております。  試算でございますが、1つとしまして、全世界を対象に直ちに関税を撤廃し、何も追加対策を講じないこと。  内外価格差、品質格差の観点から、輸入品と競合する国産品と競合しない国産品の2つに区分しまして、競合する国産品は輸入品に置きかわります。競合しない国産品は安い価格の輸入品の流通に伴って価格が低下しますということを前提としております。  例えば米を例にとりますと、新潟産のコシヒカリ、有機米といった差別化が可能なもの10%については価格が39%低下し、残りの90%が輸入品と競合して外国産に置きかわるとしております。これにより、約2兆1,200億円の生産額のうち約1兆9,700億円が減少すると試算しております。  以上でございます。 18 ◯三橋委員  実際、この農水省の式に単純に当てはめて、例えば米が9割減という数字を当てはめていくと、ただその置きかえ方として、新潟産のコシヒカリは残ると、青森県産のつがるロマンやまっしぐらは一切残らない、無農薬や有機のものが若干残るだけ。そうなれば、数字はもっと95、96という数字を減少率として掛けなければいけないんでしょうけれども、あえてちょっと乱暴に、この農水省の数字をそのまま置きかえて考えたとしても、本県の算出額576億円の米のうち90%減れば518億は減ってしまうと。家庭用につくるとかそういったものは残るかもしれませんが、産業として米をつくることは一切できなくなってしまうというのが農水省の考え方だと思います。  同様に、この19品目を試算した中で、林産物や水産物は含まない形での試算がホームページに載っていますけれども、そっちのほうで見てみますと、本県で米の次に影響があるのが豚ですね。これが、銘柄豚は生き残ると、プラチナポークとかそういったものは生き残るんでしょうけれども、そのほかが置きかわるとすると、減少率が農水省試算で70%、178億円の影響があるだろうと。  そして、3番目に影響があるのが牛ですね、肉用牛。これは3等級以下は置きかわるということで、75%減少するとすれば、本県では70億円程度の影響があるだろうと。  そして次がリンゴですね。先ほど、台湾と、それから中国にもこれから輸出するときに、もしかしたらここだけはプラス面があるかもしれないというような考えではありましたけれども、農水省試算では、100%の果汁ではなくて濃縮した形の果汁ですね、濃縮果汁はそのまま置きかわるんだろうと。これが9%の減少で57億円。  それから次がブロイラー。これが業務用や加工用の5割が置きかわるので、20%減少して45億円程度の影響。  その後が生乳ですね。都府県の生乳生産はプレミアム牛乳を除き消滅すると。この数字を当てはめると56%減少で36億円。
     7つ目が鶏卵。これは、業務用・加工用のうち弁当用・加工用の5割が置きかわってしまうと。この減少率が17.5%で28億円。  単純にこの7つを足しただけで932億円。青森県の農業生産額2,800億円程度ですね。そのうちの932億が消失してしまう可能性がある。これはマックスの値なのか。さらに、関連産業、資材とか米を頻繁に運送してそれだけで稼いでいる運送業者もあります。それから、いろいろな人的なもの、雇用の面、そういったものを含めれば、とてもこの数字ではあらわせない、もっともっと膨大な額がマイナスになってしまうのではないかというふうに考えます。ただ、農水省試算の4.1兆円の中では、青森県は多分この932億という数字が該当するのではないかと。これは、我々の会派の政調会等で議論した結果、単純にまず当てはめてみようということで考えたんですけれども。北海道も公表していますね、5,563億円。岩手が1,469億円。やはり畜産関係が多いと数字が大きくなります。それから、秋田が684億円。米どころですから米を中心にこういった数字になるのかと思いますけれども。本県は本当にバランスがとれて、米もある、畜産もある、果樹もある、その中でやはり秋田と岩手の間ぐらいの影響が生まれるわけであります。  こういったものが農家に対して、例えばこの932億円という数字があんまりひとり歩きして、もうだめだというふうに思ってしまうのは我々の本意ではない。ですから、その数字を余り殊さら強調して出すということは得策ではないのかもしれませんが、一定の目安としてこのTPPに参加することの是非、これを農家の方々に、そしてまた県民全体に考えていただくとき、ある程度一つの目安として国の考え方ですよという前提としてこの数字を出すというのも、一つの方法なのかなと思っています。  このTPPに参加した場合の影響額、先ほど言ったような農水省と同様の方法で試算してみて、これを本県独自の額として公表する考えがないのかどうか、ここはぜひ部長にお願いいたします。 19 ◯有馬農林水産部長  ただいま副委員長のほうから、農林水産省の試算に基づく仮置きの数字、影響額について御説明いただいたわけですが、私ども、昨日、北海道、東北の知事会として(後刻「北海道と東北各知事の連名」に訂正)、北海道の知事が代表して農林水産省のほうに出向きましたが、その際にこういうスタンスで国に要望しております。国際貿易交渉に当たっては、多様な農業の共存を基本理念として、農業・農村の多面的機能の発揮や、食料安全保障の確保を図るといった基本方針を堅持し、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農林水産業、農村・漁村の振興を損なわないよう対応すること。完全撤廃が原則であるTPPへの参加については、広く国民の理解と合意が得られるまで十分な時間をかけて慎重に検討すること。この大きく2点について国に、北海道東北知事会として(後刻「北海道と東北各知事の連名」に訂正)要請をしてきているところです。  この広く国民の理解と合意が得られるまでの十分な検討ということでございます。その際に、広く国民の理解と合意を得られるまでの検討を、どういう形で検討していただくのが望ましいかということになります。数値を提供するということで、それを議論の一つの目安として御議論いただいて、広く県民から、あるいは国民から理解をいただくということが一つの方法としてあると思います。  私どもが考えておりますのは、今、農林水産省の細部の試算は、生産面での試算、今、副委員長からありましたように、関連産業への影響の度合いがどうなるのだろうか、また、あわせて、TPPに参加してこれを受け入れたときに、国内の国民の消費の動きがどうなっていくのであろうかとか、それから、全体として見たときに自由な貿易が行われてきたときに、国際的に農産物の価格がどう動いていくのであろうかとか、こういった視点から幅広く議論していただくことが、最も広く国民に理解していただくことにつながっていくのではないかというふうに考えている段階でございます。したがって、私ども、残念ながら今、関連産業への波及、影響がどのようになっていくのか、また、国内の消費の動きがどうなっていくのかというような知見を持ち合わせておりませんものですから、そこの部分についてはさまざまな要素を検討しながら考えていかなければいけないというふうに考えております。  それから、一点訂正がございます。先ほど私、北海道東北知事会というふうに言いましたが、北海道と東北各知事の連名での要請というふうに訂正させていただきます。 20 ◯三橋委員  この先ほど言った数字には、水産関係は入れていないんですけれども、水産でも当然大きな影響が加工用等であるということでありますし、農水省の試算の農業の多面的機能の損失額3兆7,000億という数字ですけれども、これは私、やはり過小評価をし過ぎているんじゃないかなと。やはり農業というのはもっと大きく広い産業だと思っています。農林水産業というのはそういう産業だと思っています。  食料自給率50%を目指すと言っていた国の政策は、TPP参加で40%が14%になると。これは幾ら米に対して、例えば今の1万5,000円の定額部分を国際競争力のある部分で7万円、8万円上げましょうと、そういった問題とはちょっと違うんですね。それだけ上積みしたとしても、今より生産目標が3分の1、4分の1になったときに、果たしてそれだけの補償で今の農家の水準を保つということでは、これは農業は産業としてやっていけない。そういったことをちゃんと考えていかなければ、ただ数字だけで3,500円の海外の米に対しては同じ金額の米を日本でつくれるように補償すればいいだろうという考えでは、これは絶対に成り立ちませんので、こういった面に関しては、やはり青森県は強く声を出していくべきだと思っています。  そしてまた、特定の方を言うわけではないんですけれども、今、内閣にいらっしゃるある大臣の方で、農業が1.5%しかないと。1.5%の人のために98.5%の人が犠牲になっていいのかと。私は正直、耳を疑いました。私、生まれてからやはりなるべく地元でとれたものを食べて、ここまで何とか成長したわけでありますけれども、私の体のほとんどは、やはり農家の方々がつくってくれたお米や野菜、そして果樹、または畜産業の方々がつくってくれたお肉ですとか、そういったもので形成されていますし、そしてまた、ちょうど人の1.5%、体の中の1.5%というのは心臓と肝臓をあわせたぐらい、これが人の体の1.5%だそうであります。それを考えたときに、心臓と肝臓を取っ払っても生きていける人というのは多分世の中には一人もいないと思います。  そういった意味で、政治的にどうこうではなくて、この問題というのは、やはり国の考え方として、あくまで別の産業でその分の雇用を生み出す、そしてまた、社会をしっかりと形成していくという考えもあるでしょうけれども、基本の一次産業の土台がしっかりしていなかったら、日本という国はやはり成り立たないと思う。そして、そのもととなっている青森県においては、私個人の考えは、このTPPは断固反対。ただ、これは、これから先さまざまな議論が県議会においても出てくることでしょうし、全国でのさまざまな議論が出てくることでしょうから、一つの参加表明をするしないの決断の時期までに、いかにこの農林水産業というのが大事なものであるか、そしてまた、世界という国境を超えたこれからの経済協定の中で、一体どういったことが日本としてできるのか。ただ、余り日本の大きな話ではなくて、やっぱり青森県の、そしてまた、自分の地元の農家の声として、非常に強い不満・不安があるということをしっかりと申し添えて、またこの問題についてはさまざまな角度から議論させていただきたいと思います。 21 ◯西谷委員長  ほかに質疑はありませんか。──三上委員。 22 ◯三上委員  冒頭、議事運営について要望しながら質問に入りますが、今、三橋さんの質問されたことは、極めて時宜を得た、しかもまた緊急性のある、そういう質問であります。この議論を専門的に一日いっぱいでもやりたいぐらいの議題でありますから、部長の報告事案に対して専門に議論して、そして、一般所管事項に入ったらいいのかなと思っておりますが、これまで進んだわけでありますから、私も何点か通告しておりますけれども、今、三橋副委員長から質問のありましたこの問題について、まず質問したいと思っております。  今回のTPPに対する議論は、国を二分する議論だと思っております。特に私ども食料の供給県として、社会全体から、産業構造から見ると低位な産業が多い、働く人の割合が多い、中小企業の割合が多いという、そういう環境の中にあっては、私はこれは断固として抑えなきゃならないと。少なくともこの協議に入ること──政府が言うにはですよ、協議に入るんだから、情報を共有して、そして過ちのないような国の貿易、経済を運営するためにとりあえずは入るという考え方でありますけれども、見方によっては、この協議に入ることイコール、先ほどもお話しになりましたけれども、関税をあらゆる品目で全面撤廃するという、その条件の協議でありますから、これに入ったら極めて危険だと、そういう基本的認識の中に立って私は慎重な対応をすべきだと。今我々の政党が中央では与党であって、その与党から提案されているわけでありますから、極めて、ちょっとあれなんですけれども、私の心情からいきますと、これは今、多くの団体が反対を提起している、それと同感でありますから、その意味で質問を展開していきたいと思っております。  前段若干申し上げますが、菅首相は突如としてTPP──環太平洋戦略的経済連携協定への参加を提示いたしました。その議論に参加することに反対が、国内外で議論が沸騰している状況であります。その状況の背景を踏まえながら質問するわけでありますが、急激に高まった反対の議論は、農林漁業者を初め、地方議会や自治体も含めて、その高まりと深まりは強められております。  一方、経団連、日本商工会議所、経済同友会の財界三団体がAPEC──アジア太平洋経済協力会議で、日本政府がTPPに参加を表明することを求める決議を行いました。そこに出席した民主、自民、みんなの党の代表にその実現を要請するなど、まさに国を二分した議論になっております。  このTPP参加は、農工業とともにメリットなしとの見方もあります。とりわけ食料供給県としての、しかも、ここは先ほども申し上げましたから割愛させていただきます。  そこで、今でも格差の広がっている本県にとって壊滅的な影響を受けるのは必至と思われます。そこで伺いますが、我が国の米の輸入数量、輸入の価格、関税及びその販売額について、まずお尋ねをいたします。 23 ◯長根農産園芸課長  我が国における米の輸入につきましては、当初関税化の特例措置としてミニマムアクセス米、いわゆるMA米の輸入を認めてきましたが、平成11年度からはMA米以外の外国産米についても、枠外関税を払えばだれでも輸入できるようになりました。これは一般的に「米の関税化」と呼ばれておりますが、この関税化に伴い、平成12年度以降、MA米の年間輸入量は国内消費量の7.2%に相当する77万玄米トンとなっております。  MA米は、平成7年度から平成21年度までの15年間で1,056万トン輸入されましたが、そのうち主食用に利用されたのは1割で、多くはみそや焼酎などの加工用や家畜の飼料用、外国への援助用などに利用されております。なお、枠外関税による輸入量は年間100トンから200トン程度の少量で、外食産業や在留外国人向けに利用されているようです。  輸入米の関税は、MA米は無税ですが、その他の輸入米については、従量税として米の国際価格で割った従価税換算値778%に相当するキログラム当たり341円を課しております。  MA米の輸入価格は、平成19年度の場合、米国産の短粒種の米が1キログラム当たり139円、タイ産の長粒種の米が1キログラム当たり58円となっております。  MA米の国内向け販売価格につきましては、売買差益を徴収することが認められており、国は輸入価格にキログラム当たり292円を上限とした売買差益を上乗せした価格で販売しております。平成19年産を例にとりますと、1キログラム当たり139円で輸入したアメリカ産米は181円で、また、58円で輸入しましたタイ産米は113円でそれぞれ国内販売をしております。  以上です。 24 ◯三上委員  今まで日本で米をつくり、そして、安全・安心な米をつくる、農産物をつくる、そのことが国際価格に比較して高いから輸入したほうがいいという、そういう考え方がありました。ただいまの御報告のように、確かに輸入米は安いという実態であるけれども、778%というこの根拠、私はそれはあり得ないと、こう思っております。一般的に国民も評論家も経済人も批判する団体の側も、そのことを何とも思わないで、制度に基づいて批判しているという、そこに私は問題があると。  しかもまた、関税自由化の段階では2万円近い、1万8,000円、2万円という段階での700%、780%という、そういう数字が今でも生きているという状況。今、その約半分に近い、少なくとも60%に近い米価になっているわけでありますから、この770%を超えている関税、この考え方、認識を改めなきゃならない。そうでないと、国民的合意がなされないままで、今の批判に押し切られて、自由化したほうがいいという考え方になっていくと思うわけでありますから、私は、今の立場もあるけれども、しかし、民主党の中の農水大臣を初めとして、農水省は大方が反対を唱えているわけであります。それは地方の立場でこのことを主張しないと、青森県の経済的・政治的状況がよくならない、そんな思いでありますから、どうぞ、もう二、三質問してお答えをいただきたいと思います。  そこで、関税撤廃を原則とするTPPへの参加が、本県稲作及び本県農業と社会全体にどのような影響があるか。先ほど、三橋委員にお答えはいたしましたけれども、私の質問なりのお答えをいただきたいと思います。 25 ◯樋口農林水産政策課長  関税が撤廃されますと、高い関税で守られている品目ほど大きな影響を受けると想定されます。これに対し、何の対策もとらずに貿易が自由化された場合は、外国産の輸入量が増加し、国内価格は低下すると見込まれております。米や畜産物を中心に影響が大きいと考えております。特にブランド米を持たない本県稲作は極めて大きい影響があるものと考えており、本県の農業者の生産意欲の減退も懸念されるところでございます。  また、地域農業が衰退するとしますと、雇用機会が減少するほか、関連する産業にも波及的に影響が及び、地域経済に大きな打撃を与えるということも懸念されるところでございます。  以上でございます。 26 ◯三上委員  ただいまのお答えでも、改めて農産物以外、別な関連産業にあっても、青森県経済全体に与える影響は大きいと、こう報告がありました。  そこで最後にお尋ねいたしますけれども、この制度に加入して、もし関税が撤廃になって──架空の議論は今からやっぱりある程度しておく必要があると思っておりますから、加入して関税が自由化になった場合に、本県のメリットを受ける産業がどのくらいあるか、県の見解をただしておきます。 27 ◯樋口農林水産政策課長  農業分野についてお答えいたします。輸出する立場からいたしますと、輸出相手国の関税がなくなれば輸出の環境はよくなりますので、本県の世界ブランドであります青森リンゴ、これを中心に輸出拡大のチャンスは広がるものというふうに考えております。  以上でございます。 28 ◯三上委員  まさに今話になっていますが、農産物で輸出しても競争力のあるのは極めて少ないリンゴだと思うんでありますが、そのリンゴも、ごくごく一部であります。そういう観点から言いますと、青森県の産業全体から考えた場合に、断固としてこの制度に加入することは、今からでも抑えるべきだ、政府の半分もそういう考え方でありますから、特に私どもは地方の立場で物を考えた場合、その対応はおのずと判断できると思います。確かに日本の将来の経済、貿易を考えた場合には、今、関税なしにしたほうがいいという見方があるけれども、しかし、それは大勢ではないと私はこう考えておりますが、しかし、菅政権が閣議決定をしたわけでありますが、今からでも遅くない、これは多くの反対の体制と一緒になって、青森県の経済と産業を守るために、そして、青森県を守るために頑張っていかなきゃならんなと、こう思っております。できれば、これは党派を超えて……(「菅政権は長くないな」と呼ぶ者あり)それは別にして、やっぱり、委員会の名においてこのことを、適切な案件でいいわけでありますから、その協議をしてもいいのではないかと私は提案をして、この問題に対する質問を終わります。  次に、報告事案についてもう一件。いいですか。 29 ◯西谷委員長  どうぞ。 30 ◯三上委員  それでは、委員長のお許しをいただいて、問い2、青い森農林振興公社経営検討委員会の報告について質問したいと思います。県関係公社が経営破綻した場合、県が肩がわりすることになる、県債補償及び損失補償の内容を見ると、青い森農林振興公社の143億円余で、青い森農林公社のほうの負債が大部分であります。そこで、19億9,800万円の縮小はしたものの、まだ321億円の残高が残っているということは、県財政にとって極めて大きなリスクになると思っております。  そこで、質問の前に、公社としての今までの経過を若干振り返りながら質問したいと、こう思っております。現在の社団法人青い森農林振興公社は、昭和45年に、都市部への労働力流出による担い手不足のため、造林事業が停滞し、その解決策として、財団法人青森県造林公社が発足をいたしました。そして、平成10年に財団法人青い森振興公社に名称変更し、その後、農地法改正に伴って、社団法人青森県農村開発公社を設立し、平成14年、県の公社等統合計画のもとに、平成15年に現在の組織形態となったようであります。分収造林事業については、安価な輸入材料の増加等により、国産材の需要が大きく後退し、担い手の減少に拍車をかけ、低迷し続けています。この事業の性格上、長期の見通しが求められるものでありますので、現在の経営状況に陥ったのは、予想を超えた社会情勢の変化も一つの要因でありましょう。しかしながら、このままの状況が続けば、さらに県民の負担が増加するということは明白であります。  そんな中、先日、社団法人青い森農林振興公社経営検討委員会が根本的な改善策を提言されたようであります。そこで質問いたしますが、まず1点として、公社の経営改革に向けた提言の主なる内容について伺います。まずその1点を伺います。 31 ◯鳴海農林水産部次長  提言の主な内容について御説明いたします。  当委員会は、9月から4回にわたって検討を重ねて、11月4日に提言があったところでございます。最初の部長の報告とダブりますけれども、繰り返し御説明いたしたいと思います。  1つ目といたしましては、分収造林事業以外の事業については、経営の効率化、サービスの向上に努めながら、継続して実施すべきである。2つ目といたしましては、分収造林事業企業的経営の視点では再生困難であることから、公共財として県に移管すべきである。それから3つ目として、県への移管に伴う債務処理につきましては、県民負担の最小化を図るという観点から、国が設置いたしました第三セクター等改革推進債を活用すべきである。それから4つ目といたしまして、分収割合や契約期間延長の変更協議を進めて、県の収入確保に努めることを検討すべきであるというのが主な内容でございます。 32 ◯三上委員  そこで、改めてお尋ねいたしますが、今のお答えの中に分収割合というお答えがありました。先ほど前段でこの公社の経過を申し上げましたけれども、約50年前ですか、その段階では、森林、山を守り、日本の健全な建材を育成しよう、育てよう、その思いで一定の割合ということ、6対4の割合で当初発足したわけでありますが、事業者なり加入者の割合が多く、将来赤字が懸念されることから、数年前に、分収割合を7対3にしたいという議論がわき上がったわけであります。現在、まだ6対4の割合で走っているようでありますが、その経過と今後どうしようとしているのか、県の現段階での見解をお尋ねします。 33 ◯鳴海農林水産部次長  前回、意向調査をした段階では、25%程度の──7対3という割合については一応合意は得ていたわけでございます。こういうことから、今回、先ほど部長の報告にありましたとおり、さまざまな観点から、青い森振興公社の抜本的な改革をしていかなきゃならないということになりまして、今回その分収割合も含めて御提言をいただいたということでございます。  報告書の中で、この分収割合につきましては、当初、公社6割・土地所有者4割で契約しているわけですけれども、当初の契約時には想定し得なかった木材価格や労務費の変化、これは、今現在、木材額がピーク時の3割まで低下している、それから、労務費の単価でございますけれども、当初の単価の5倍以上に労務費が上がっているというような需要の変化もあることから、契約者の理解を得ながら分収割合の検討協議を進めることというような御提言となっております。  このため、県といたしましては、委員御指摘のとおり、この案件は非常にシビアな要素も含んでおるというふうに認識しておりまして、公正・中立のもとにさらに検討を加えていくため、公社経営検討委員会において引き続きこの分収割合の変更案について検討していく準備を、今現在進めているところでございます。 34 ◯三上委員  そこで、前回これが相当議論が強まって、その当時の見直しの提言があったわけだけれども、それから3年間、何をなしてきたのか。あの段階で思い切って一定の地権者と県民の理解を得るように、そういう思い切った対策を示せば、今のような状況になっていなかったのかという見方もございます。そういう意味で、それに対する県の見解を正したいと思います。 35 ◯鳴海農林水産部次長  委員御指摘のもっと早くという件についてでございます。この分収割合も含めて、この分収造林事業につきましては、19年3月に、青森県分収造林のあり方検討委員会のほうから報告が出て、早目に進めなさいということがありました。ただ、その後、分収造林事業につきましては、全国35都道府県の公社においても同様な問題となっております。  1つとして、19年3月に報告が出たわけですけれども、同じく19年に、滋賀県においては債務の減免について裁判所のほうに申し立てをしたというような動き、また、全国的な課題ということで、国と地方の代表者で協議するための機関を設置して検討を重ねていると。一応の経営対策全般にわたっての報告書は出たんですが、さらに具体的な方向につきまして、現在、その検討を進めているということでございます。その中には、21年に国が第三セクター等改革推進債なるものも創出していただいたということもあります。県としては、県民負担を可能な限り軽減していくということで、この動きをずっと注視してきたところでございます。  報告の中にあったとおり、第三セクター等のガイドライン、また、公益法人制度への対応、これも含めて、今回、検討委員会のほうを設置いたしまして御検討いただき、御提言いただいたというところでございます。  以上でございます。 36 ◯三上委員  このことについては、今回一般質問の機会もいただきましたので、もう一度聞きたいと思っております。きょうの質問はこれで終わりたいと思います。 37 ◯西谷委員長  午さんのため暫時休憩いたします。  なお、再開は1時15分としますので、よろしくお願いします。 ○休 憩  午後 0時12分 ○再 開  午後 1時15分 38 ◯西谷委員長
     それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。  質疑を続行いたします。質疑はありませんか。──夏堀委員。 39 ◯夏堀委員  午前中は随分、片仮名なんだかローマ字だか、随分、皆さん方、御議論なさったようでございますので、私のほうは各論の部分で質問をしていきたいと思います。  午前中に、部長のほうからも報告がございました最近の漁模様等についてということでございますが、随分ことしの夏の暑熱の関係で、ホタテの問題、災害と申しますか、多くの被害があったようです。そういう被害、全国でさまざまな高温のための被害が、農業のみならず漁業のほうでも随分多いように報道されておりますが、私の選挙区と申しますか、関連している三戸郡には階上町という町がございまして、その階上町では漁港がたくさん存在しているわけで、その中でも特に最近、過去にはあったんだろうと思うんですけれども、漁港の海底といいますか、湾内の水質が随分悪化していると。異臭が発生したり、いわゆる藻が、魚介類にいい藻ではない別な藻が繁茂しているという話も聞いてございますし、そういう意味で、非常に水質環境が悪くなっているというふうな状況を聞いております。  私も、近日中に調査に行きたいと考えてございますけれども、その前に、執行部の皆さんから、いろいろな今までの経緯を含めて御答弁をいただければありがたいと思ってございますので、その追越の──追い越しと書きますが、追越漁港の環境について、水質が悪化して異臭が発生するというふうに聞いておるんですが、その原因についてお伺いいたします。 40 ◯松宮水産振興課長  お答えいたします。昨年の10月から11月にかけまして、階上町の追越漁港内で、海水が白く濁りまして、漁業者が蓄養していたヒラメなどがへい死するという現象がございました。  この報告を受けました三八地域県民局では、職員が10月から12月にかけまして現地調査を行いました。そして、調査の結果、漁港内の海底に海藻が堆積していたということ。それから、海水の白濁に加えまして、水質を調べましたら、溶存酸素量が低下していた。さらには硫化水素のにおいがあったというようなことが確認されました。  このことから県では、漁港内に堆積した海藻が腐敗したことによってこの現象が発生したと推定してございます。そこで、町及び漁協に対しまして、原因となる海藻を除去するよう対策を指導したところでございます。 41 ◯夏堀委員  海藻が原因になっているという話を、今お伺いしました。これは、海藻が入り込んできて、そこでとどまって腐敗したというふうな考え方なんでしょうか。また、本来ここにある藻が腐ったわけではなくて、外から入ってきたということなんでしょうか。 42 ◯松宮水産振興課長  当時現地を調査した職員に聞きますと、漁港の中にも若干藻の発生がございますけれども、漁港の入り口周辺から切れて流れた海藻が漁港の奥のほうに入ってきた、これも相当量あったというふうに聞いています。 43 ◯夏堀委員  多分、漁港の形状と申しますか、そういう場所と申しましょうか、海底の問題があって入ってきた──普通、海というのは、波があって出たり入ったりするわけで、海水というのはほとんどそこにとどまることはないんでしょうけれども、追越の場合はこういうふうな状況が間々あるというふうに理解してよろしいでしょうか。 44 ◯松宮水産振興課長  一般論ですけれども、漁港は奥まっており、外海と違いまして、やはり海水が滞留するという傾向は否めないと考えております。 45 ◯夏堀委員  そうすると、改善方法とすれば、この藻を取り払うと。先ほど話がございましたけれども、そういうこと以外に何か改善方法、改善策というのはあるんでしょうか。 46 ◯新山漁港漁場整備課長  まず、昨年の現場でございますけれども、漁港管理者でございます階上町さんが原因物質であります海底の海藻などの堆積物の除去を行ったというふうに聞いてございます。それで一段落はしてございます。  漁港の水質環境を改善するための公共事業といたしましては、堆積物の除去、あるいは耕うんなどの底質改善、それと漁港内外の海水交流施設、こういったものを整備することができますが、これは水域環境保全創造事業という補助制度ができております。こういった制度を活用した対策などが考えられるというふうに考えております。  今後の改善策につきましては、階上町さんでは、これまでの水質悪化の状況を踏まえながら、当面は堆積物の除去などの維持管理で対処したいというふうに聞いておりますので、県としては町に対しまして、水質環境の改善について助言・指導してまいりたいというように考えております。  以上です。 47 ◯夏堀委員  階上町さんのほうでは、多分、経費の面やさまざまあるから、当座はしのいでいきたいということでございましょうけれども、根本的に解決策があるというんであれば、そういうような事業を十分使いながら、もちろん、それは階上町さんとの綿密な話し合いによって、議論をしながら進めていただきたいと思いますので、そのようなところがありましたら、逐次連絡をしながら、とり合いながら、今後そういうことのないようにお願いします。  引き続き、今度、おかのほうの話なんですけれども、たばこが値上げになって、たばこが売れなくなったということで、前にもお伺いしておりましたけれども、葉たばこの生産の結果がほぼ大体出ているんだろうということでございますので、状況をお伺いしたいと思いますけれども、葉たばこ生産、三戸郡、特に三戸や田子、我が南部町もそうなんですけれども、随分耕作農家が多いわけでございます。また、生産額も、生産量にしても、かなり品質のいいものが多くて、葉たばこの取り組みの状況はさまざまあるわけでございますけれども、昨今、どうも立枯病が発生して、ましてや病害虫が発生している状況があります。これはいわゆる異常気象のせいなのかどうかわかりませんけれども、そういうふうな状況であります。まして、たばこは、急激に値上げになったということで、現政権では随分たばこの値上げ額が多くなって、販売が伸び悩むし、売れなくなったということで、たばこ農家の方々も大変苦心しているわけであります。  先般、JTのほうでは、葉たばこの買い入れ価格は据え置きしたということで、幾らか胸をなで下ろしているという状況ではございますが、まだまだこれから生産調整を含めて予断を許さない状況だろうと思うんですが、いわゆる病害虫の問題、立枯病などの問題は、発生はどのようになっているのかお伺いします。 48 ◯長根農産園芸課長  立枯病などの病害虫の件につきましてお答えさせていただきます。青森県たばこ耕作組合の調査によりますと、本年の葉たばこ立枯病は、本県葉たばこ耕作面積1,356ヘクタールの約37%で発生が見られ、このうち半分以上収穫できなかった面積は、57ヘクタールの4.2%となっています。  葉たばこ立枯病は、本県でも年々発生面積はふえる傾向にありますが、この病気は生育温度の範囲が10度から41度で、特に34度が最適と言われています。このため、ことしの異常高温、あるいは降水量が多かったこと、これらが発生増加の一因ではないかと考えております。  また、ことしは6月から8月末まで長期にわたって、ヨトウムシやタバコアオムシ──タバコガと呼ばれるものですが、この幼虫とかが発生し、食害が多かったこと。特にタバコアオムシは、たばこの花のつぼみが出ます7月上旬ころにまれに茎の中に入って食害することがこれまでもありましたが、ことしは異常高温のためにこの現象が多く見られています。これによりまして、葉たばこの上位葉──上のほうの葉っぱでございますが──の生産に影響があったことも、ことしの特徴だと思っております。  以上です。 49 ◯夏堀委員  気温が高い状況になると発生が多いということは、私も前からお伺いしていました。異常気象でありますから、来年度も含めて、日本全国的に、世界国じゅうでございますけれども、異常気象、異常高温等も含めて、いろんな気象状況が激しく変わっていくんだろうと思われるわけでございますので、こういうふうなことは、ヨトウムシやタバコアオムシについても、もちろん立枯病にしても、農家の方々が恐々としているのは、価格が急激に上がったために売れなくなってしまっているけれども今後どうしたらいいのかということも含めて、いろいろな心配、心労、不安がつきまとっているわけでございますので、そういう意味で、もちろん気象の状況を見ながら指導──多分JTさんとの問題があるんでしょうけれども、その辺のところ、県としても、逐一いろいろな情報を提供しながら、連絡をとり合いながら、生産農家のためにいろいろと御尽力いただきたい、このように御要望を申し上げておきます。  次に、今度、川のほうと申しますか、海のほうにまた戻りますけれども、サケの漁獲状況が随分悪かったという中で、午前中の部長の報告にもございましたが、大体11月以降、サケの漁獲量は回復しつつあるという報告をいただきました。ことしは特に水温が高いという、特に沿岸部の水温は高いということで、サケの来遊がなかなか思わしくないという話でございました。そういう意味で、本県の沿岸では、漁獲状況、先ほど来の報告は11月でございますけれども、この経過、状況の御説明をお願いします。 50 ◯松宮水産振興課長  それでは、サケについてお答えいたします。ことしの本県の沿岸水温につきましては、8月以降平年よりも2度以上高目に推移しております。太平洋側では、9月下旬でも、サケの来遊に適した水温を超える20度以上となってございました。そのためにサケの来遊はおくれておりまして、10月下旬までの沿岸の漁獲量は532トンと、前年の54%にとどまってございました。しかし、11月10日現在では1,139トンと前年の78%まで回復しております。  また、単価につきましては、前年を26%上回っておりますので、漁獲金額、11月10日ですけれども、3億8,000万円で、前年の98%となっています。  本県のサケにつきましては、11月中旬から12月上旬にかけてピークを迎えますので、今後の来遊に期待しているところでございます。 51 ◯夏堀委員  そうすると、馬淵川にも上ってくるということも最近少なかったという傾向であったわけでございますが、これからまず間違いなくまた上がってくるということが見受けられてくると。 52 ◯松宮水産振興課長  海への来遊が11月中旬から12月上旬がピークということで、川への遡上はそれよりまた1旬からもう少し遅くなりますので、県内の河川につきましても、平年より少し遅目に遡上が見られるということで、今後の遡上についても期待をしております。 53 ◯夏堀委員  私も期待をしたいと思っておりますので。  それでは、サケのほうは期待をするということで、夢と希望と期待を持ってサケを待ちたいと思います。  最後の質問です。やっぱり高水温というのは、陸奥湾だけじゃなくて日本国じゅうに、先ほど来も私の話もしましたけれども──何か、マスコミ報道によると、カキも随分小型化、小さいと。それから、どうも漁獲量も減っているんじゃないかという話をテレビ報道で見たわけですが、全国的にでございますけれども、夏期の高水温によって海面養殖業に影響が出ているという話でありますので、全国及び本県の状況について、報告にもございましたホタテの問題もありますけれども、これ以外のものもお伺いしたいと思います。 54 ◯松宮水産振興課長  全国、あるいは本県の状況でございます。ことしの夏の高水温で、陸奥湾では、報告していますとおり、養殖ホタテガイがかつてないほどのへい死に見舞われているところですけれども、全国的には、北海道あるいは九州の一部でカキのへい死が発生したと聞いております。さらに三陸地方では、養殖ホタテガイに若干のへい死や成長不良、さらにワカメでは養殖作業のおくれが生じているというような情報を得てございます。  また、県内では、ホタテガイ以外にも、むつ市川内地区のアカガイ養殖でへい死が見られましたほか、むつ市脇野沢地区のクロソイの養殖でも若干成長不良が見られているというふうに聞いております。 55 ◯夏堀委員  結構被害があるんだなということを改めて認識した次第でございます。  そろそろフグの季節ということで、先般、フグのほうも随分被害があるんだという話もちらっと聞いていますけれども、やはりこれは、この高水温による影響が、ただ単にそれだけでこういう影響が養殖業全般に出たというふうに理解してよろしいんでしょうか。それとも、ある魚もしくは魚介類はいいんだけれども、ほかは全然だめで、いわゆる養殖の仕方だとか、あとは養殖される魚介類の種類によって違うのか、その辺のところ、わかる範囲で結構なので御説明いただければありがたい。 56 ◯松宮水産振興課長  先ほどお答えした養殖業は、夏場に養殖管理を行うものです。養殖の場合は、限られた区域で育てますので、そこの水温が上がると逃げることができませんので、やはり気温の影響を受けやすいというふうに思っております。  なお、例えば、三陸のほうでやっていますギンザケ、本県でも大畑の海峡サーモンというものがございますが、こういうものについては冬場を養殖期間としていますので、夏の高水温の影響を受けないというものもやはりございます。 57 ◯夏堀委員  わかりました。どうしても農林水産業といいますと、自然との闘いと申しますか、自然との共存と申しますか、さまざまな状況の中でこういう作業があるわけでございまして、そういう意味では非常に厳しいときもあれば、いいときもあるということがありますけれども、外的な要素も非常に大きいんだなということを改めて認識させられたわけでございます。  今後とも、農家、また生産漁業の方々に、執行部の皆様方、また各研究機関の皆様方のより一層の強力な御指導をいただければありがたい。よろしくお願い申し上げて終わります。 58 ◯西谷委員長  ほかに質疑はありませんか。──一戸委員。 59 ◯一戸委員  大きくは3点についてお伺いをしたいと思います。1つ目は、あおもり就農支援プロジェクト2010についてお伺いをしたいと思うんですけれども、これは、あおもり就農支援プロジェクト2010の事業ということで、県の緊急雇用創出の事業でありますし、新聞でも書いてあります、人材派遣のパソナさんが実施をするということで、きのう、おとといからですか、説明会をしている状況にあるというふうに思っています。  そこでお伺いをしたいのは、あおもり就農支援プロジェクト2010の事業内容について、私はわかりませんので、お伺いをしたいと思います。 60 ◯山本構造政策課長  この事業は、国の雇用対策の交付金を財源とした民間提案型の事業でございまして、雇用創出につながるプランを民間事業者から募集しまして、県と青森労働局、それから労使の団体で構成する青森県地域基金事業協議会の審査を経て実施することとなってございまして、県の雇用創出事業の一つでございます。  県からの委託先は、人材派遣会社のパソナ青森でございまして、就農を希望する離職者を対象に募集して、パソナが雇用しながら県内の農業法人での実習や農業経営に関する座学研修を行いまして、農業をビジネスとして実践できる人材を育成する内容となってございます。  雇用予定人員は31名で、現在募集が行われておりまして、11月末から来年の3月末まで研修が実施されることになります。 61 ◯一戸委員  緊急雇用対策の事業ということで、雇用の拡大、ハローワークが中心となりながら取り組みを行って、31名というとかなり多いなというふうに思っています。  そこで、この事業の期間というのが今月の24日から来年の3月31日、募集しているのが今ですから、実施する期間も含めて随分期間が短いなと思うんですけれども、スケジュールがどのようになっているのかについてお尋ねしたいと思います。 62 ◯山本構造政策課長  委託契約を11月12日に締結しております。それで、参加希望者に対する説明会は、11月16日から18日の3日間、青森市において開催されました。正式な求人は11月下旬に1週間程度の期間でハローワークを通じて行われることになってございます。  採用から12月末までは、農業法人などで実地研修が行われ、1月と2月に農業経営などに関する座学研修、それから3月は研修生の希望により実地研修と座学研修を選択できる内容となっております。
    63 ◯一戸委員  具体的には1月、2月、3月と、座学もあるようであります。お聞きをすると、募集人員が31名でありますけれども、研修生、単年度の緊急雇用対策ということで31名が研修をしたとすれば、研修終了後どのように活用だとか、管理をしていくのかについてお伺いしたいと思います。 64 ◯山本構造政策課長  研修生は、研修終了後、パソナ青森の契約社員として登録されることから、パソナ青森への求人があれば、県内の農業法人や農業関連の企業に契約社員として派遣される可能性がございます。  なお、研修生は、農業を職業として考えている貴重な人材であることから、県としても、農業法人の求人情報や新規就農における支援制度の情報を提供するなど、県内への就農を積極的に働きかけていきたいと考えています。 65 ◯一戸委員  今回このプロジェクトを事前にお伺いをして感じたのは、これまでは農業の部分では農林水産部門が関係していたわけですけれども、今回は、商工部門が農業に対する取り組みを始めたということ。結果的に、いろいろな手続を含めると農林水産部門がかかわってきているわけです。今までで、短期でも長期でも、窓口が商工で、農林がかかわる、そういうものが過去にあったか、もしおわかりになったらお話をいただきたいと思います。 66 ◯山本構造政策課長  緊急雇用対策はそれぞれの部でやられてございまして、今回のやり方は、私は初めてでございます。 67 ◯一戸委員  結果が出ていないわけでありますけれども、こういった農商工連携という関係で、今までは、農林水産部門だけが後継者問題を考えてきていたのではないかと思います。この事業では、農業に関係のない人たちがハローワークに行って申し込んで、このことが拡大していくことになっていく。  私は、農業をやりたいという方の窓口を農林水産部門だけに設置するのではなくて、積極的にハローワークと連携をとるとか、こういったことが事業の中で出てくると思っています。パソナということで、外部というか、県外の事業者がこれに当たっていますけれども、ぜひ、事業が終わった後に、結果、実績を見ながら、県内でこういう事業ができるように拡大をしながら、農業の後継者育成をしていくことが必要じゃないかということを要望しながら、質問の1つ目を終わらせていただきます。  それから2つ目は、午前中も各委員から質問がありましたホタテガイ高水温被害についてであります。部長のほうから報告があったわけでありますけれども、ちょっと意外だなと思ったのは、それぞれの地域、ここで言うと、西とか東によってかなりの差があるなと。私ども、機会があって小湊のほうに行ったときには、ほぼ全滅だということでお聞きをしてきた中で、今回こういう差があるというのは、何らかの原因があると思っているんですが。  そこでお聞きしたいのは、この報告の2ページにもありますけれども、共済・金融対策ということであります。リンゴの被害のときもそうですけれども、このホタテガイ養殖業の漁業共済の加入状況についてお伺いしたいと思います。 68 ◯松宮水産振興課長  ホタテガイの漁業共済への加入状況でございます。平成21年度における「ほたて貝特定養殖共済」の加入率は82.4%になってございます。これは本県の漁業共済全体では51.4%ですので、これに比べてかなり高い数字になっています。  また、加入者数は910人、このうち「積立ぷらす」というのがございますけれども、これについては390人が加入しております。 69 ◯一戸委員  今のこれは82%程度ということで共済金が支給されると。そういった中で、被害を調査した中で、どの程度のカバーができるのか、もしわかったら、被害に対する共済の関係。 70 ◯松宮水産振興課長  これはあくまでも、それぞれ個人ごとに、12月末までの収入に応じて支給されますので、被害の状況、それぞれ個別に出た時点でということになりますが、過去5カ年中3カ年、最大・最小を除いた真ん中の3カ年、この平均から80%を下回った部分について、共済の支給対象になります。先ほど申し上げました「積立ぷらす」というのは、80%から90%までの浅い部分の減収、これについて支給されるということになってございます。 71 ◯一戸委員  80%を下回った場合というのは、かなり効果があると思います。  次にお聞きしたいのは、雇用対策。部長にも説明をいただきましたし、資料にも書かれてある、6項目あるわけでありますけれども、もう少し具体的に雇用対策についてどのようになっているのかお伺いしたいと思います。 72 ◯樋口農林水産政策課長  雇用対策についてでございます。午前中も部長から御報告を申し上げましたとおり、この対策は、国の緊急雇用対策を活用いたしまして、陸奥湾沿岸地域の雇用の拡大を図るというものでございまして、報告にありました事業につきましては、いずれも11月定例会に所要の予算を計上いたしまして御審議をいただくということにしております。 73 ◯一戸委員  今回の議会で審議いただくということで、これは早急に対策をとっていただくことを望みたいと思います。  それと、対策の一つの中になるんでしょうけれども、被害に対する雇用の問題だとか、共済金の関係とかいうふうなものが出ていますけれども、将来にわたってこのホタテ産業をどうしていくかという問題には、やっぱり稚貝・母貝の問題が一番影響をしてくるのではないかと、こういうふうに思います。全滅をしている箇所については、稚貝を育てていくとなると2年も3年もかかる。そういった観点からすると、やっぱり一番課題なのは、将来にわたるこういった稚貝・母貝の確保ができているのかどうか、そしてまた、母貝とか稚貝の状況をどういうふうにとらえているのかについてお伺いしたいと思います。 74 ◯松宮水産振興課長  来年度以降の生産をできるだけ早く開始するために、まず一番重要なものにつきましては、今度の2月、3月に産卵する親になる貝、母貝と呼んでいますけれども、この母貝を確保することが最重要と考えています。これにつきましては、生産者団体でありますむつ湾漁業振興会が2億円の基金を使って一定の母貝を確保するという事業に、県が先日1億円の予算を専決処分しております。  これに加えまして、今度の母貝というのは、例年に比べれば相当不足することが想定されますので、今回の緊急雇用対策事業の中で、来年の採苗器、これを今年度1月から3月までの間に作成し、来年の採苗作業に備えるということも検討してございます。 75 ◯一戸委員  ぜひ、そういった対策を総合的に迅速に実施していただきたいと思います。  次に、最後の質問でありますけれども、おいらせ農業協同組合のニンジンにおける残留農薬ということについてお伺いしたいと思います。12日ですか、それぞれの新聞でも報道がありました。大阪に出荷をしたニンジンから、食品安全衛生法の基準値以上の相当のものが検出されたという報道であります。年末年始にかけて、おいらせ農協だけじゃなくて、県内にはそういったニンジンを多く出荷をする農家の方、あるいは組合もあろうかと思いますけれども、一つには、おいらせ農業協同組合のニンジンにおける残留農薬の基準値超過について、どのようになっているのか、状況をお伺いしたいと思います。 76 ◯鈴木食の安全・安心推進課長  お答えいたします。  去る11月11日、大阪府の健康医療部でございますけれども、本県の食品衛生法を所管いたします健康福祉部保健衛生課に対しまして、大阪府内で流通している国内野菜のサンプリング調査で、本県おいらせ農協が出荷いたしましたニンジンから、食品衛生法の残留基準値を超えるアセフェートが検出されまして、食品衛生法違反が判明したので、同日付で報道発表するという通報が当日夕刻にございました。  これを受けまして、その夜から直ちに上北地域県民局の上十三保健所及び当部におきまして、おいらせ農協に事実関係の調査に入りました。同農業協同組合では、今回の対象となりましたニンジンの出荷日でございます10月28日に出荷した全量6,357ケース──1ケース10キロでございますけれども──について自主回収することといたしまして、出荷先へ直ちにその旨連絡したところでございます。  翌11月12日、農協から上北地域県民局上十三保健所に対しまして、出荷先でのニンジンの特定が難しいということから、また、信頼回復に万全を期すために、10月28日から11月10日までに出荷いたしました同農協のすべてのニンジン──これが8万249ケースでございます──を自主回収する旨の自主回収報告書が提出されました。  なお、上十三保健所では、食品衛生法違反事例として、当該農協に対して改善を勧告してございます。現在、改善報告書の提出を求めているところでございます。 77 ◯一戸委員  大阪の、全体ではなく、サンプリング調査ということの中から、食品衛生法の基準値を超えたものが出てきたということですけれども、相当数というか、送った数が63トン、そして、特定できないということで、お聞きしたら、800トンぐらいのニンジンを回収しなければならない状況だというふうに受けとめました。つくっている皆さんにとっては重要な問題だと私は思います。  そこでお聞きをしたいのは、大阪でこのサンプリング調査をして、結果が出てきたということでありますけれども、出す側の農家から受けて、それぞれのチェック機関があると思うんですけれども、各農業協同組合と全農あおもりさんですか、一般的な出荷前残留農薬分析の仕組みについて、どのような取り組みをしているのかについてお伺いしたいと思います。 78 ◯鈴木食の安全・安心推進課長  全農あおもりが主体となりましてサンプリング検査を実施しております。県内の主要品目でございます米、麦、大豆、リンゴ12品種、その他果実11品目、野菜36品目について、県内の全農業協同組合を対象に残留農薬分析を行っております。  分析は外部検査機関に委託しておりまして、財団法人青森県薬剤師会衛生検査センターのほうに委託してございます。で、出荷前の分析を行ってございます。  また、収穫・出荷が長期にわたる品目につきましては、出荷期間中複数回の検査を実施しております。  検査は、農協職員が残留農薬検査等実施マニュアルに基づきまして無作為にサンプルを採取しまして、検査機関では、食品衛生法で基準が定められている農薬成分を対象に、一斉分析法で分析してございます。サンプル到着後おおむね48時間以内に分析結果の速報値が全農あおもりに提供されております。 79 ◯一戸委員  大阪でのサンプリング、そして、今お聞きすると、全農でも38品目について48時間以内に結果が出るようになっているということであります。たまたまなのかどうかわかりませんけれども、ここの課題として、これは検討していかなければならないと思います。  私も専門的でないので、アセフェート、この農薬について、どういう働きがあるのか、お聞きしたいと思います。 80 ◯鈴木食の安全・安心推進課長  今回検出されましたアセフェートでございますけれども、有機燐系の低毒性浸透性殺虫剤で、虫の体内の神経伝達を阻害します。多くの野菜や花卉、果樹などを対象に、アブラムシ類やアオムシを初めとするチョウやガの幼虫など、多種類の害虫に殺虫効果があるというふうにされております。 81 ◯一戸委員  多くの野菜に使っているということでありますけれども、先ほど何点か出ましたけれども、具体的にどのような作物に使用されていて、それが食品衛生法の基準値とどのようなかかわりを持っているのかについてお伺いしたいと思います。 82 ◯鈴木食の安全・安心推進課長  アセフェートの農薬登録は、穀類では大豆、野菜ではニンニク、ナガイモ、ゴボウ、大根、キャベツなど、また、果樹ではブドウ、カキなど、さらに花ではキク、バラなど、幅広い作物に登録がございます。県内でも広く使用されている農薬でございます。  もう一点、食品衛生法に基づくアセフェートの残留基準値でございますけれども、キャベツ、ブドウは5ppm、ニンニク、カキは2ppm、大根は1ppm、大豆、ナガイモは0.5ppm、ゴボウは0.1ppmなどとなっています。 83 ◯一戸委員  要望というか意見になるわけですけれども、今お聞きをしたら、キャベツが5ppm、大根が1ppmだというふうに思っています。今回、検出をされた値が0.01ppmということでありますけれども、キャベツと比較をすると、基準値が違うなということで、これは食品衛生法で決められているからこういう結果になったと思うんですけれども、私もちょっと調べてみたら、インターネットのフリー百科事典で、残留農薬ということでこのことが触れられていました。この農薬取締法で定義されている農薬に加え、飼料作物だとか動物用医薬品についても、この残留量が基準を超えてはならないと定められている。定めのない場合の基準は、厚生労働大臣が定める量──0.01ppmということになっており、超えれば全部、食品衛生法に違反するという内容であります。  その中に、問題点として、作物に適用のない農薬が取引などによって付着してしまったという事例がかなり多いと。こういうことの、残留していた量が適用のある作物で定められた基準を持たない場合、適用のないもの、先ほど言いましたけれども、一律に0.01ppm、こうなっていると。そういうことからすると、食品安全衛生法ということがあるにしても、先ほど言ったキャベツなど5ppm、あるいは大根1ppmなどと比較するとかなり違うのではないかということで……。作物がニンジンでありますから、生産者の皆さんが故意にアセフェートを使わないのに、それについているということは、何らかの原因があるのかもしれませんけれども、年末にかけて大事な収入源になるというニンジンでありますので、早急に対策を立て、農家のほう、農協のほうに報告していただいて、青森県産のニンジンを安心して販売できるような体制を早く構築していただきたいと思います。 84 ◯鈴木食の安全・安心推進課長  先ほど申し上げました今回の検出値でございますけれども、0.01ppmというのは委員が今おっしゃったとおりの基準でございます。今回検出されたのは0.12ppmということになってございます。今、委員から御指摘があったとおり、早急に原因究明、再発防止策を徹底いたしまして、県産ニンジンの信頼回復に努めたいというふうに考えてございます。  以上です。 85 ◯西谷委員長  洗って食べてもだめなんだろうね。葉物と違い根菜だから、実の中に入っているということ、外部で洗ってもとれないということですか。 86 ◯鈴木食の安全・安心推進課長  薬剤によって違うと思います。浸透性のものであれば、やはり中に浸透していくというふうに考えます。 87 ◯一戸委員  ちなみに、根菜類でこの農薬を使ってもいいという基準はもっと高いんですか。ニンジンだけが使っちゃだめで、使っていい根菜類もあるんですか。それは含まれないということで、相当低く抑える……。 88 ◯夏堀委員  委員長、関連。
    89 ◯西谷委員長  夏堀委員。 90 ◯夏堀委員  今の残留のことでちょっと聞きたいんですけど、GAPの基準と今の食品衛生法上の基準の違いというのは、薬剤によっても違うんでしょうけど、かなりあるんですか。 91 ◯鈴木食の安全・安心推進課長  EUと日本での基準の違いにつきましては、ちょっと勉強させていただきまして、お答えしたいと思います。今の0.01ppmというのは、ポジティブリストということで、ニンジンにとってはこの農薬は登録がないということで、一番厳しいといいますか、一律0.01ppmということで、低い数値でも該当になるというふうな解釈になってございます。 92 ◯西谷委員長  ほかに質疑はありせんか。  [「なし」と呼ぶ者あり]  ないようでありますから、これをもって審査を終わります。  以上をもちまして農林水産委員会を終了いたします。お疲れさまでした。 ○閉 会  午後 2時30分 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...