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平成22年第263回定例会(第4号)  本文 開催日: 2010-09-29
平成22年第263回定例会(第4号) 名簿 開催日: 2010-09-29

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  1. 青森県議会 2010-09-29
    平成22年第263回定例会(第4号)  本文 開催日: 2010-09-29


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(長尾忠行) ただいまより会議を開きます。     ───────────────────────       ◎ 一 般 質 問 継 続     ─────────────────────── 2 ◯議長(長尾忠行) 一般質問を継続いたします。  十七番熊谷雄一議員の登壇を許可いたします。――熊谷議員。 3 ◯十七番(熊谷雄一) おはようございます。自由民主党の熊谷雄一です。  通告に従い、順次質問してまいります。  八戸地域の産業振興について御質問いたします。  初めに、青森県新産業都市建設事業団の負債解消と産業振興に向けた県の取り組みについてお伺いいたします。  昭和三十七年、地域開発と地域格差の解消を同時に行うことを目的とし全国総合開発計画、いわゆる全総が策定されております。さらに、同年には、全総の延長線上で地方の工業開発の大拠点となるような新産業都市形成の機運が高まり、新産業都市建設促進法が制定されております。新産法制定とともに、指定に向けて、県内では、工業開発の現状から、当面は八戸地区を新産都市指定のため優先的に努力するものとし、県が国に対し申請しております。  全国から三十六道県、四十四地区が名乗りを上げ、かつてない陳情合戦が繰り広げられ、本県も、県東京事務所内に、知事を本部長として、県議会、市町村長で組織する青森県新産業都市対策連絡本部を設置し、また、県議会全員による新産対策特別委員会を設置するなどの指定に向けた取り組みにより、全国十三カ所の一つとして八戸地区が指定を受けております。指定後は、県が新産業都市建設基本計画を策定するとともに、基本計画に基づく建設事業を総合的かつ一体的に実施するために、県と新産業都市指定地域の市町村議会の議決を得て、昭和三十九年二月に青森県新産業都市建設事業団が設立されたのであります。  新産業都市建設基本計画に基づき、誘致企業の操業開始、港湾、道路、臨海鉄道、工業用水道の整備等の進展に伴い都市建設が進められ、現在では、新産業都市建設事業団が実施した十三事業のうち、工業団地関連事業により整備された九つの工業団地において約二百三十社、一万人近くの雇用を生み出すなど、県経済、県勢の発展に多大なる貢献をしてきております。  それだけに、今回の財政健全化法の施行に伴い急浮上した桔梗野工業用地造成事業の負債問題については、遺憾に思うと同時に、これまで新産業都市建設にかかわる背景、経緯、県経済を初めとする県政とのかかわりを考えたときに、解決に向けて県も一定の役割を果たすべきだと考えていたところであります。  この問題については、桔梗野工業用地造成事業に係る支援策について、三村知事と小林八戸市長の会談によりおおむね合意し、県の対応として今定例会に補正予算が追加提案されております。今後は、合意したことを着実に実行し、負債の処理を進めるとともに、円高不況とも言われる中、いま一度新産業都市建設指定により整備されてきた産業基盤、都市機能を最大限に生かしながら、県、市町村一体となってさらなる産業振興に取り組んでいかなければなりません。  そこで、三点御質問いたします。  第一点として、改めて桔梗野工業用地造成事業の負債解消策について、県と八戸市が合意した経緯とその内容についてお伺いいたします。  第二点として、八戸市は、三十五年間で負債を解消するとしておりますが、経営健全化計画見直しの見通し及び県としての今後の対応についてお伺いいたします。  第三点として、八戸地域における今後の産業振興に向けた知事の考え方についてお伺いいたします。  八戸地域の産業振興に関して、シップリサイクルに対する県の取り組みについてお伺いいたします。
     県内民間企業からの情報により、本年六月、室蘭市においてシップリサイクル国際シンポジウムが開催されたことを知り、その内容について伺う機会がありました。そのシンポジウムでは、環境を守り、資源を生かすシップリサイクルへをテーマに、フランスを初め世界各国の関係者による船舶リサイクルシステム構想の現状と課題についての講演等が行われたとのことでありました。  その後、私自身、県職員の方々とともに、国土交通省海事局シップリサイクルの概要について調査してまいりました。シンポジウムの資料、海事局からの聞き取りによりますと、シップリサイクルとは、大型老朽船舶の解体及び鉄を初めとする資源の再利用化のことで、現在では再生する鉄の需要が多く、労働者の人件費が安いバングラデシュ、インド、中国を中心に行われております。しかしながら、一部の国において、労働安全衛生や環境保全などが十分に考慮されずに、死傷事故や環境汚染等が頻発したため、国際海事機関において、昨年五月に仮称二〇〇九年の船舶の安全かつ環境上適正な再利用のための香港国際条約、通称シップリサイクル条約が採択されました。  同条約の概要でありますが、船舶は、その一生を通じ、条約で定める有害物質の搭載、使用を禁止、制限し、船舶に含有される有害物質の量や所在を記述した一覧表を作成、更新し、最終的に船舶リサイクル施設に引き渡すこととしております。  さらに、その船舶リサイクル施設も、施設の運営計画を策定し、関係指針に沿った安全や環境要件を満たさなければならないとされております。条約は早ければ二〇一二年にも発効されると見込まれており、現在、国では、日本の早期批准を目指し検討を行っており、条約が発効されると、国内に条件を満たしたリサイクル施設の確保が必要となることから、シップリサイクルシステム構築に向けたビジョンが策定されております。  さらに、リサイクル事業の指導を後押しするパイロットモデル事業が室蘭港を中心に製鉄、製鋼、造船の町として発展してきた室蘭市において実施されており、間もなくその事業報告がなされることになっております。  室蘭市において実施されている事業でありますが、室蘭市と同様に、八戸市は、リサイクルポートの指定を受けていること、工業系高等教育機関、鉄鋼、造船業の立地など多くの共通点があると同時に、ゼロエミッションに向けたあおもりエコタウンプランの中核となる企業が立地しております。このことから、八戸地域においてシップリサイクルを新たな静脈産業として検討することは大いに意義があると考えます。既に八月には、事業に関心のある産学官の有志による勉強会が八戸市で行われ、今月上旬には産業支援機関による講演会を開催し、県職員の方々にも御出席をいただいております。  さらに、シップリサイクル産業の確立に向け、産学官で構成する研究会設立に向けた準備も進められております。多くの困難な課題も想定される事業ではありますが、八戸地域の持っている可能性をかんがみると、国の動向を見据えながら、新産業の創出と雇用の確保に向け、積極的に挑戦するべきだと考えます。  そこで、第一点として、シップリサイクル事業に対する現在の国の動向についてお伺いいたします。  第二点として、シップリサイクル事業に対して、県も積極的に関与するべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。  農林水産業の振興についてお伺いいたします。  初めに、農業の六次産業化の推進について御質問いたします。  現在、国の食料・農業・農村に関する施策についての基本的な方針の一つとして、農業、農村の六次産業化を推進することになっております。この農業の六次産業化は、今に始まったことではなく、今から十五、六年前に東京大学名誉教授であり、現在、社団法人JA総合研究所所長も務める今村奈良臣氏によって提唱されたそうであり、農林水産業を単に農水産物の生産という一次産業にとどめずに、二次産業、三次産業を組み合わせ、多角的または他業種との連携により経営することによって、高い付加価値や新たな食と農の関連ビジネスを創出しようという考え方とのことであります。  既に国内においては、農業の六次産業化を推進してきた事例は数多く存在しているようで、六次産業化を目指した農村の女性による起業化への取り組みを初め、最近では、ふるさとで起業に挑戦する若者の動きが顕著になっているようであります。  県内においても、ブランド価値を高めた良質な農産物を首都圏に販売する農業ビジネスの起業化や市町村における農業の六次産業化に向けた研究、農業に関する起業化並びに農業生産法人の育成支援などの動きが出てきております。  県においても、西北地域の事業として、六次産業化による仕事づくりに向けた取り組みを実施しておりますが、国が農業、農村の六次産業化を重点施策として推進していこうとする中、本県においても六次産業化の定義について改めて考えるとともに、六次産業化に向けて全県的に取り組んでいくべきと考えます。  そこで、御質問いたします。  第一点として、県が進める農業の六次産業化の考え方と本県農政を推進する上での位置づけについてお伺いいたします。  第二点として、市町村において農業の六次産業化に向けた若手農業者育成の動きが見られており、県としても積極的に支援するべきだと考えますが、県の所見についてお伺いいたします。  第三点として、農業の六次産業化を推進するためには、農業生産法人の育成が必要と考えますが、県としての取り組みと今後の方向性についてお伺いいたします。  水産資源管理漁業所得補償に対する見解についてお伺いいたします。  水産庁が発表した平成二十三年度水産予算の概算要求の中に、資源管理・漁業所得補償対策があります。対策のポイントとして、適切な資源管理と漁業経営の安定を図り、国民への水産物の安定供給を確保するため、計画的に資源管理に取り組む漁業者に対し、共済等の仕組みを活用した漁業収入安定制度を構築し、コスト対策であるセーフティーネット事業と組み合わせて、総合的な漁業所得補償を実現させることとしております。  しかしながら、全国の漁業者からは、漁業経営が本当に安定するのか、どれだけの漁業者が所得補償の対象になるのか、単なる漁業共済の掛金補助ではないのかなどの疑問の声が上がっているようであります。  この制度の確立に向けては、本県の沿岸漁業者が中心となった漁業団体が国に対して要望活動を行っております。一方において、県内漁業者の共済加入率は、十トン未満漁船漁業イカ釣り漁業が低く、全体でも約五割という状況であります。  本県水産業が全国に水産物を安定供給する責務を果たし、県経済に貢献していくためには、知事も以前答弁されているように、生鮮品としての流通が中心となる沿岸漁業と大量に必要な加工原料の供給源となる遠洋沖合漁業が両立し、それぞれの役割を十分に果たしていく必要があります。  そこで、第一点として、本県の漁業共済の加入状況から見て、国の資源管理、漁業所得補償対策が、真に本県漁業の経営安定に資するのか、また、本対策の活用に向け、今後どのように取り組んでいくのか、県の考えをお伺いいたします。  第二点として、この対策の中に適切な資源管理が掲げられておりますが、本県の水産業の特性にかんがみ、知事は資源管理の推進についてどのように考えているのかお伺いいたします。  八戸市櫛引地区産業廃棄物適正処理事案について御質問いたします。  八戸市では、現在の天狗沢一般廃棄物最終処分場が満杯になりつつあることから、新たな処分場として同市内の櫛引地区に処分場を建設する準備を進めております。この新しい処分場は、環境保全を最優先し、屋根を持つクローズ型の施設として計画され、現在建設に向け、事務的な最終段階を迎えております。  この新処分場の隣接地において、キャッピングシートに覆われた大量の産業廃棄物が野積み状態で放置されております。八戸市に聞きましたところ、過去に民間企業が産業廃棄物を焼却処分していたところ、平成七年ごろから焼却灰等が適正処理されないまま野積みされ、そのまま事業が頓挫したとのことであります。産業廃棄物は県の所管であるため、県は事業者に対し、改善命令や措置命令などの行政指導を行い、一部、排出事業者によって自主撤去されたようではありますが、大部分は放置されたままの状態になっており、その量は一万五千トンから一万七千トンぐらいとのことであります。  最新の技術を導入した新処分場の隣接地に、しかも入り口に当たる場所に産業廃棄物が野積みされていることは、景観上はもちろんのこと、このまま放置されると、生活環境保全上の支障も危惧されるところであり、八戸市では、県に対し、全量撤去を求めるようであります。  そこで、第一点として、八戸市櫛引地区産業廃棄物適正処理事案について、県はこれまでどのように対応してきたのか、その経緯についてお伺いいたします。  第二点として、八戸市が全量撤去を県に要望すると言っておりますが、県はどのように対応するつもりなのかお伺いいたします。  医療行政について御質問いたします。  初めに、子宮頸がん予防ワクチン接種に対する県の対応についてお伺いいたします。  子宮頸がんは、若年女性に多く発生するがんであり、二十歳代、三十歳代の女性に発生するがんの第一位となっております。国内では、年間二千五百名の方々、また、県内においても毎年三十名前後の方々が子宮頸がんにより命を落としていると伺っております。子宮頸がんに関しまして、発生原因であるウイルスの感染を予防するワクチンが近年開発され、先進諸外国に続き、国内でも昨年十二月から販売が開始されております。しかしながら、このワクチンは、半年間に三度の接種が必要であり、総費用が約五万円と高額ですが、任意接種であるため、公費助成がなければ全額自己負担となります。また、接種時にさまざまな副反応があるとされ、このような状況から接種率が高まらないのではないかと懸念されております。  全国の百を超える自治体において、接種費用の独自助成を開始する動きも見られ、県内においても西目屋村、東北町、最近では東通村、六ヶ所村においても開始されることになっております。我が自由民主党も、さきの参議院選挙マニフェストにおいて公費負担の導入を提唱いたしました。  こうした中、平成二十三年度予算概算要求の厚生労働省の特別枠として、子宮頸がん予防対策強化事業百五十億円が計上され、国庫負担として三分の一、残りの部分を地方負担が想定されております。接種率を上げるために自己負担額の軽減策は必要と考えますが、地方の自治体ごとに財源を捻出するのでは、国民の健康医療に地域間での格差が生じてしまうおそれがあり、このような格差が生じないような公費助成制度を国が責任を持って構築すべきと考えます。  そこで、第一点として、子宮頸がん予防ワクチンの接種は必要と考えますが、接種する上での課題について、県の認識をお伺いいたします。  第二点として、国の来年度予算の概算要求における子宮頸がん予防対策強化事業について、県はどのように対応するのかお伺いいたします。  ドクターヘリ運航に係る複数機体制についてお伺いいたします。  本県のドクターヘリは、これまで八戸市民病院を拠点として、充実した救急医療スタッフ、良好な気象条件のもと、着実に実績を上げてきております。拠点病院が来年度県立中央病院へ移行することをめぐり、青森県医療審議会において、県立中央病院を中心としながらも、八戸市民病院等との共同分担運航が提示されたことを受け、それぞれの代表者等による協議により、二つの病院が一定機関ごとに交代で基地病院になること、交代期間は年間でおおむね半々とすることなど、五項目について合意をしたとのことであります。  一方、ドクターヘリは、半径五十キロメートル圏内に一機配備されるのが最も効果的と言われており、実際、八戸市民病院での運航実績でも、出動要請の約九割を五十キロメートル圏内が占めております。面積が広く、ドクターヘリの運航上大きな障害となる八甲田山系を有する本県の地理的条件を考慮すると、二機目を導入することが県全体の救急医療体制の充実に大きな効果を発揮すると考えます。  八戸市南郷区の住民団体が、これまでの実績を踏まえ、ドクターヘリ県内二機配備を求める会を結成し、署名活動を行い、今後、知事に対し要望書を提出すると伺っております。全国で複数機導入を行っているのは、北海道、千葉県、静岡県の三道県となっておりますが、本県においても共同分担運航の実現とともに、より充実した救急医療体制の確立のために、早期に二機目のヘリ導入を目指すべきだと考えます。  そこで、第一点として、既にドクターヘリを複数機導入している三道県の導入に至った理由について、どのように認識しているのかについてお伺いいたします。  第二点として、共同分担運航に係る協議が進んでおりますが、ドクターヘリ複数機体制に関する県の見解についてお伺いいたします。  地域力の再生に向けた県の取り組みについてお伺いいたします。  私は、以前、町づくりプランナーからの提唱として、地域力とは地域の総合力のことであり、地域資源の蓄積力、地域の自治力、地域への関心力により培われることを紹介するとともに、地域力の向上について質問をさせていただきました。例えば、全国的に問題となっている高齢者の方々の孤立化、虐待、所在不明問題等の解決に向けても、地域での支え合いによる地域力が必要であると思います。また、県民一人一人が町内会活動を初め、さまざまな地域の課題解決に向けた活動を通じ、地域の中での存在感、充実感、生きがいを感じることにより地域の活性化が図られると思います。しかしながら、今日、人口減少、少子高齢化等のさまざまな理由により地域力が失われてきております。  このような中、本年六月、青森県総合計画審議会から知事に提出された提言書の中の総括的提言において、県民の暮らしを支える地域力の再生が掲げられており、真剣に取り組んでいくべきであると指摘しております。他県においても地域力の再生を目的とした具体的な事業が行われ始めており、本県においても、衰退した地域力の復活に向けて、具体的かつ有効的な取り組みを進めるべきだと考えます。  そこで、青森県総合計画審議会の提言書における地域力の再生について、県はどのように認識し、対応していくのかお伺いいたします。  最後に、私立学校の振興、支援についてお伺いいたします。  平成十八年に改正された教育基本法第八条、私立学校に係る条文に、「国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。」と定められました。また、中央教育審議会答申、教育基本法の改正を受けての提言を受け、地方教育行政法も改正されております。自主性を尊重しつつも、本県においてどのような私立学校教育の振興が必要なのか、改めて考える時期だと思います。  公教育は、公立学校と私立学校が対等な立場で競い合い、切磋琢磨することによって発展していくものと考えます。本年四月より公立学校の授業料が無償化されたことにより、私立高校に子供を通わせる家庭では、就学支援金を受け取ることができるものの、学費面での不公平感は強まっているのではないかと思います。  また、子ども手当の支給も始まっておりますが、人づくりの観点から幼児教育の重要性は増しており、さらなる幼児教育の基盤整備強化が必要となっております。  私立学校教育の振興のために、私立学校等への経常費助成費等の充実が求められるところであり、国においては、平成二十三年度概算要求で前年度より増額された予算となっております。  そこで、本県における私立学校経常費補助金の現状と今後の見通しについてお伺いいたします。  また、高等学校新規卒業者を取り巻く雇用情勢が厳しさを増している中、県教育委員会では、新規高等学校卒業者の就職支援に向けた事業を行っておりますが、ほとんどの事業が私立高校生は対象にならないようであります。教育における公平性の観点から、私立高校生に対しても同様の支援を行うべきと考えます。  そこで、私立高等学校に在学する生徒に対する就職支援について県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたし、壇上からの質問を終わります。 4 ◯議長(長尾忠行) 三村知事。 5 ◯知事(三村申吾) おはようございます。熊谷議員にお答えします。  まず、私からは、八戸地域における今後の産業振興に向けての考え方でありますが、八戸地域は、新産業都市の指定などを背景に、産業インフラや高速交通体系が整備され、非鉄金属などの基礎素材型産業に加え、精密機械やソフトウエア関連企業の立地も進んでおります。  特に、平成十八年度以降四年間における県の誘致企業及び増設件数百七件のうち、JX日鉱日石エネルギー株式会社――例のENEOSでございますが――による八戸港ポートアイランドへのLNG輸入基地の立地を初め、中央発條株式会社スズキ株式会社等の新規立地、アルバック東北株式会社エプソンアトミックス株式会社等の大規模増設を含めた八戸市の案件が三十件で約三割を占めるなど、北東北を代表する産業拠点が形成されつつあります。  また、八戸地域では、産学官一体となって地域企業の物づくり産業分野での強みを一層加速化させるため、企業間のネットワーク形成による受発注促進や経営革新、生産改善、産業人材育成等の先進的な取り組みを進めており、これらの取り組みは、新しい技術開発や地域技術力の向上などにつながっております。  八戸地域におけるこれらの先進的な取り組みは、地域経済への大きな波及効果をもたらしており、今後とも八戸地域が本県経済の牽引役として大いに貢献できるよう、県としても取り組んでまいります。  県が進めます六次産業化の考え方とその位置づけであります。  農業の六次産業化を目指すところは、農業が単に、農産物を生産し、市場に供給するだけにとどまるのではなく、二次・三次産業まで踏み込んだ経営の多角化により、農産物の付加価値を高め、農業のみならず、その関連産業を含めた所得の増大を図っていくことにあります。このことが雇用の創出などに結びつき、地域全体の収益力を高め、県経済を活性化させていくものと考えております。  私が知事就任以来一貫して進めてきた攻めの農林水産業は、生産から流通、販売までを結びつけ、収益性のアップを図るという二次・三次産業を見据えた取り組みであり、最近では、地域を束ねて大規模有機農業を実践し、加工分野へも参入しながら、独自に販路開拓に成功している事例や、ナガイモ、ニンニク、ゴボウ、大根の生産、加工、販売に取り組み、海外にも販路を求める事例など、全国的に高く評価された六次産業化の実践が見られております。  私は、これら先駆的な取り組みにつながる芽を育てるため、集落営農などの企業化を進めます攻めの地域営農企業化戦略農産漁村女性起業の法人化の取り組みなど、農業の側から積極的に六次産業化を仕掛けるとの発想のもとに施策を展開しているところであります。  このように、本県の得意分野であります農林水産業をベースとして、食品製造業などの二次産業、販売・観光・サービス業などの三次産業が相乗的に発展し、食産業として六次産業化していくことが外貨獲得の有効な戦略になるとの思いで、攻めの農林水産業を軸とした青森食産業の充実強化を青森県基本計画未来への挑戦における産業・雇用分野の政策の柱として位置づけ、重点的に取り組んでいるところであります。  水産資源の管理につきまして、この推進をどのように考えているかであります。  三方を豊かな海に囲まれた本県は、全国屈指の漁業生産を誇っておりますが、今後とも持続可能な漁業とするためには、適切な資源管理が大事であるとの認識から、資源管理型漁業に積極的に取り組んできております。私は、漁業資源は再生可能な資源であるとの認識のもと、これを持続的に利用するためには、産卵期の親魚や稚魚を保護する地道な取り組みやすべての関係漁業者の方々が真剣に知恵を出し合い、協力し合いながら、漁獲量や漁場の環境、保全、管理していくことが重要であると考えています。  本県においては、過去に県の魚でありますヒラメがすべての漁業者による一致団結した資源管理と栽培漁業への取り組みが功を奏し、日本一の漁獲量を回復した実績がございます。こうした実績を踏まえ、陸奥湾のマダラや日本海のマガレイなどについては、沿岸や沖合い漁業者の方々との協議により資源回復計画を定め、これらの目標達成のために関係漁業者が一致協力して取り組んでいるところでございます。  今後、県は、来年度から導入予定の漁業所得補償制度の活用に必要な資源管理指針を作成することが求められるわけですが、本県の沿岸漁業と沖合い・遠洋漁業が将来にわたって両立する観点から、適切な資源管理の推進に努めていく所存であります。  総合計画審議会提言によります地域力再生についての認識、対応であります。  今回の総合計画審議会の提言では、元来地域が持つ、人を育て、文化、伝統、生業(なりわい)を目指すという力を再生、発揮させることにより多様化している地域の課題を解決していくべきとの御指摘があったところです。  私は、持続的、自立的な青森県づくりのためには、こうした地域力が十分に発揮されることが大変重要であると認識しております。だからこそ、地域づくりの新しい仕組みとして、環境公共を提唱し、農山漁村で見られる豊かな自然や美しい景観、伝統的な風習、文化などのかけがえのない地域資源は、そこで農林水産業が営まれ、地域コミュニティーが存在して初めて成り立つとの考えのもと、取り組みを進めているのであります。  また、各分野にまたがるこの問題に対処していくために、部局横断的に、一つとして、コミュニティーの活性化、二つとして、命を守る仕組みの構築、三つとして、商機能維持に向けた取り組み、四つとして、地域営農システムの構築など、地域の特色や実情に応じたモデル事業に取り組み、あるべき姿とその実現方法を検討しているところであります。  今後は、これまでの取り組みをさらに具体化させ、住民、行政、NPO、民間企業など多様な主体の参画と産業、福祉、防犯などさまざまな領域での協働を進めていくこと、そして、それらを支えていきますキーパーソン、リーダーとなる人材の発掘、育成にしっかりと取り組むことにより、人と人とのきずなで結ばれた地域力の再生、向上につなげていきたいと考えております。  以上です。 6 ◯議長(長尾忠行) 田辺総務部長。 7 ◯総務部長(田辺康彦) 一点目は、私立学校経常費補助金の現状と今後の見通しについてでございます。  県では、私立学校の教育条件の維持向上、保護者の経済的負担の軽減等を図るため、私立学校を設置する学校法人に対し、私立学校経常費補助金による助成を行っております。県財政は依然として厳しい状況にありますが、公の教育の一翼を担う私立学校の重要性にかんがみ、平成二十二年度当初予算おいては、私立学校に対する経常費補助金の補助単価について、高等学校にあっては、平成二十一年度同額を維持し、また、幼稚園にあっては平成二十一年度比で二千四百円増額したところです。  今後とも私立学校経常費補助金については、全国の状況や本県の財政状況等を勘案しつつ、持続可能な補助制度となるよう運用し、私立学校の振興に努めてまいりたいと考えております。  次に、私立高等学校に在学する生徒に対する就職支援についてでございます。  全国的な雇用状況の悪化により、来春の新規高校卒業予定者に対する求人数は依然として厳しい状況が見込まれております。このため、議員御指摘の状況等も踏まえまして、県では、今年度私立高等学校に在学する生徒に対する就職支援対策として、特色教育支援経費補助を活用し、キャリア教育等の推進の一環として、就職に有利となる資格取得の支援事業等を行っている学校法人に対し、事業の実施に係る経費を助成することとしております。  また、私立高等学校が就職指導支援員を配置する場合には、緊急雇用創出対策事業の活用により支援しているところでございます。今後とも、私立高等学校に在学する生徒に対して、関係部局ともよく連携し、適切な就職支援を行っていきたいと考えております。 8 ◯議長(長尾忠行) 名古屋環境生活部長。 9 ◯環境生活部長(名古屋 淳) 八戸市櫛引地区における産廃不適処理事案に係るこれまでの経緯についてお答えいたします。  原因者の株式会社三協リサイクル処理センターは、平成七年ごろから事業場内に大量の産業廃棄物を保管するようになったため、県は改善指導を行っていたところ、改善が認められなかったため、平成十三年一月に保管基準を遵守するよう改善命令を出しましたが、改善命令が履行されなかったことから、平成十四年七月に同社の産業廃棄物処分業などの許可を取り消しました。  また、平成十四年九月に同社に対し、翌年三月には同社の代表取締役に対して産業廃棄物の撤去に係る措置命令を出しましたが、履行されなかったため、平成十七年一月に両者を刑事告発し、同年二月には同社代表取締役が逮捕され、同年五月に刑が確定いたしました。  廃棄物の撤去については、原因者に十分な資力がないことから、平成十五年十一月に、調査により判明した排出事業者十一社に対しても要請し、平成十九年七月までに排出事業者十一社の責任の範囲における撤去作業のほか、汚染拡散防止対策として現場の産業廃棄物へのシートかけを終えました。  県としては、原因者等に対し、廃棄物処理法に基づく可能な対応を行うとともに、現場の生活環境対策を適切に実施してきたところでございます。  次に、今後の対応についてです。  県は、平成十五年から当該不適正処理現場の上流側井戸水及び下流側わき水の水質検査を毎年実施しており、これまでの検査結果では、重金属等の有害物質が環境基準を超えたことはなく、生活環境の保全上支障が生じていないことを確認しております。  このような状況から、県では、現時点において緊急に当該産業廃棄物を撤去しなければならない状況にはないものと考えておりますが、今後は、地元八戸市の意向も勘案しながら、適切な水質検査の実施に努め、周辺環境の状況を監視してまいりたいと考えております。 10 ◯議長(長尾忠行) 一瀬健康福祉部長。 11 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、子宮頸がん予防ワクチンの課題についてお答えいたします。  現在、子宮頸がん予防ワクチンについて、一つとして、ワクチンを接種しても完全に子宮頸がんを予防できるわけではないため、引き続きがん検診受診が必要であること、二つとして、これは程度、頻度の差はあれ、どの薬剤にも言えることですが、接種した場合、注射部位の疼痛、発赤等の副反応があること等の留意点が言われております。  県としましては、以上のような課題について正確な情報の収集に努め、県民への広報、啓発に十分に意を用いる必要があるものと考えております。  次に、子宮頸がん予防対策強化事業についてです。  当該事業につきましては、現在詳細不明ですが、県としましては、子宮頸がん予防ワクチンについては、任意接種ではなく、法に位置づけられるよう国に求めてきたところです。また、ワクチン接種に係る公費負担のあり方については、各地方自治体の財政力に応じた対応の格差が生じることのないよう、全国一律の制度において運用されるべきと考えております。
     県としましては、引き続き事業の情報の収集に努めるとともに、地方財政に配慮した公費助成制度を国が責任を持って構築するよう、他県とともに国に強く要望してまいりたいと考えております。  次に、ドクターヘリを複数機導入している道県の導入に至った理由についてです。  現在、ドクターヘリの複数機導入を行っているのは、北海道、千葉県、静岡県の三道県となっており、導入に至った理由につきましては、北海道については、一機目を札幌市にある手稲渓仁会病院で運航を開始しましたが、ドクターヘリの運航範囲は半径七十五キロメートルとされておりますので、当初から一機で全道をカバーできないことが想定されており、道東、道北をカバーするため、複数機導入に至ったものです。  千葉県と静岡県については、一機目導入の際に、騒音問題や適切な救命救急センターがない等の理由により、県中央部に設置できず、千葉県は県北部を、静岡県は県西部をそれぞれ基地病院にせざるを得なかった事情があります。そこで、運航開始後に、運航実績の増に対応し、県全域をカバーするために、他地域にも配備する必要性が明らかになったことから、複数機導入に至ったものです。  このように、複数機導入に係る理由は、それぞれの道県により事情は異なるものの、一機目導入後、運航実績を数年間積み重ねながら、必要性を十分に検討し、時間をかけて複数機導入を決定したものと聞いております。  次に、複数機導入に関する県の考え方についてですが、まず、これまでの実績及び今後予定している共同・分担運航の実績について分析、検証を行うとともに、県内の医療関係者等の意見を踏まえながら検討していく必要があると考えております。  また、これとあわせまして、平成二十三年度、二十四年度に導入予定の秋田県、岩手県との連携などの課題についても検討することとしております。  なお、複数機導入に関する国の考え方につきましては、救急医療用ヘリコプターの導入促進に係る諸課題に関する検討会報告書に示されており、その内容としましては、一カ所目の配備後に、医療機関と関係機関との連携状況や運航実績等を評価した上で段階的に進めていくことが考えられる。導入後の搬送時間や対象人口の観点を踏まえ、追加配備による効果、効率性等を十分に分析の上、域内全体における運用面にも十分に配慮した中長期的な配備計画の中で検討を行うことが適当であるとなっているところであります。 12 ◯議長(長尾忠行) 櫻庭商工労働部長。 13 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 御質問二点にお答えいたします。  まず、桔梗野工業用地造成事業の負債解消策に係る県と市が合意した経緯等についてでございます。  本年五月以降、八戸市と新産業都市建設事業団及び県の三者による協議などを経ながら、県としては、約四十二億円に上る負債増加の抑制を早期に図ることが急務であると考え、八戸市に対して県が無利子貸し付けの用意があることを提示してきたところでございます。  この間、新産事業団の要請を受けまして、八戸市が負債解消策を講じることを確約し、また、超党派による県議会議員や八戸市議会の代表の方々及び八戸市長からも県の支援について強い要請があったことから、県としては具体的な支援策を検討したものでございます。  負債抑制策の内容としましては、事業団の他会計の剰余金の一部約十二億円を充当するほか、県からは、残り約三十億円の無利子貸し付けを行うため、本定例会に補正予算の追加提案をしているところでございます。  事業団の累積債務につきましては、基本的には八戸市が分割により返済することになりますが、未分譲地の分譲収入のほか、事業団の県委託事業の剰余金の一部を桔梗野工業用地造成事業会計に充当することにより、八戸市の返済額は約二十八億円に軽減される見通しとなっております。  次に、経営健全化計画の見直しの見通し等についてでございます。  本年三月に新産業都市建設事業団が国へ提出した経営健全化計画では、平成二十一年度から十六年間で健全化を図る計画となっておりますが、このたび八戸市からは、三十五年間で八戸市の負債解消に係る負担分約二十八億円を返済することとしているため、現行の経営健全化計画の変更が必要になります。  具体的には、今後、八戸市と新産事業団が協議の上、計画変更について国の理解が得られるよう手続が進められることを期待しております。県としては、その手続の推移を見守りながら、必要に応じて関係機関と協議してまいりたいというふうに考えてございます。 14 ◯議長(長尾忠行) 有馬農林水産部長。 15 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 御質問三点にお答えいたします。  最初に、農業の六次産業化に向けた若手農業者育成の動きへの支援についてです。  農業の六次産業化を推進する上で、ビジネス感覚と経営能力を兼ね備えた若手農業者の育成が重要であると考え、県では、これまで若手農業トップランナー育成強化事業を実施し、農産物の直接販売や加工、農家レストランなどに取り組む若手農業者の育成に努めているほか、営農大学校においてもマーケティング関係のカリキュラムの充実に取り組んでいるところです。  市町村においても、地元大学と連携し、農業に関連した起業やネット販売などの流通分野に進出する若手農業者を育成する動きがあることは、農業の六次産業化に大きく貢献するものと期待しています。  今後、県では、若手農業トップランナー育成強化事業の実施に当たり、市町村の人材育成活動と密接な連携を図るとともに、営農大学校においても、対面販売の実習など実践的な授業を取り入れ、六次産業化に向けた若手農業者の育成につなげていきたいと考えています。  次に、農業生産法人の育成についての取り組みと今後の方向性についてです。  本県の農業生産法人は、今年一月時点で二百一法人となっており、このうち約三割の五十七法人が既に農産物の加工を実施しているほか、直接販売や観光農業などの取り組みも見られることから、農業の六次産業化に取り組む重要な経営体の一つであると考えています。  県では、これまで集落営農組織や認定農業者等を対象に法人設立に関する講座、セミナーの開催、個別の経営指導などにより法人化の推進に努めてきたほか、現在、集落営農組織の六モデルを対象に各地域の県民局による支援チームが、農産加工、直接販売、観光農業など六次産業化の取り組みに対する集中的な支援を行っているところです。  今後は、企業的な経営手法を取り入れ、高い経営力を備えた自立した法人が求められることから、県では、各市町村の担い手育成協議会と連携して、商工業との連携、農産加工や販売に関する情報提供などを行い、農業生産法人の育成に努めることとしています。  次に、国の資源管理、漁業所得補償対策の活用と今後の取り組みについてです。  国が来年度から実施を予定している漁業所得補償制度は、計画的に資源管理に取り組む漁業者を対象に、漁業共済では、漁業者の掛金に対し、国が現行の平均四五%から七五%へ上乗せ補助するほか、漁業者が積み立てし、これを国が補てんする積立ぷらすでは、その負担割合を一対一から一対三へと国の補助を拡充し、あわせてその加入に当たっては年齢制限を撤廃するなど、要件を大幅に緩和する内容となっており、漁業者の生産意欲の向上や漁業経営の安定につながるものと考えています。  今後は、本制度の加入要件として、漁業者に資源管理計画等の作成と実施が義務づけられていることから、県では、計画づくりの基礎となる資源管理指針を作成した上で、漁業団体を通じて漁業者を指導することとしているほか、系統団体と連携し、漁業共済及び積立ぷらすへのさらなる加入促進に努めていきます。 16 ◯議長(長尾忠行) 竹内県土整備部長。 17 ◯県土整備部長(竹内春繁) シップリサイクルに関しての御質問二点にお答えいたします。  まず、最近の国の動向でございます。  現在、国土交通省海事局におきまして、先進国型シップリサイクルシステムの構築に向けた調査といたしまして、室蘭パイロットモデル事業が実施されております。この事業は、環境保全型の船舶の解体を行い、有効資源として再利用が可能か、また、産業として成立するかなどにつきまして調査研究するため、産学官が連携して進めているものであり、十一月には報告書としてまとめられる予定と聞いております。  今後は、同局におきまして、国内でシップリサイクル事業の実施を検討している地域などに対しまして、室蘭パイロットモデル事業によって得られた情報などを説明していくとともに、シップリサイクル事業の実施を推進していくとのことでございます。  また、同局の来年度予算の概算要求におきましては、シップリサイクルに関する総合対策費として二千万円が要求されてございます。その内容でございますけれども、二〇〇九年五月に採択されましたシップリサイクル香港条約の早期批准、早期発効に向けて、同条約の関連ガイドライン策定に係る国際対応と、同条約発効後の国内法整備による事業者への影響度調査などを実施すると聞いております。  次に、シップリサイクル事業に対する県の対応でございます。  国では、平成二十一年三月にシップリサイクルシステム構築に向けたビジョンを策定しており、その中で、近い将来、船舶の解体需要の増大が予測され、解体能力の不足が懸念されております。加えまして、シップリサイクル香港条約の発効後は、環境保全や安全対策などの厳しい要件を満たしたリサイクル施設以外では解体ができなくなるため、世界有数の海運国、造船国でございます我が国におきましても、条約に適合したリサイクル施設の確保が必要とされております。  また、国内におけるシップリサイクル事業でございますが、循環型社会の構築という理念はもとより、鉄資源の確保、雇用の創出、地方経済の活性化など、さまざまな効果が期待できるとされております。  このようなシップリサイクル事業に係る状況を踏まえまして、県といたしましては、引き続き国の動向を注視していきたいと考えております。 18 ◯議長(長尾忠行) 熊谷議員。 19 ◯十七番(熊谷雄一) 御答弁をいただきました。  まず、ドクターヘリの複数機体制についてでありますが、今健康福祉部長から、他県の複数機を導入している状況だとか、あるいは国の考え方が御答弁としてありました。  そこで、本県の救急医療体制の確立に向けて、本県としての複数機体制の導入、複数機の必要性の認識についてお伺いいたします。  それから、新産業都市事業団の桔梗野問題であります。責任論ということとは別に、新産業都市建設までのこれまでの背景や経緯、そしてまた、指定後の県経済を初めとする県政に対する貢献とかかかわり、そういう観点からすると、私は、この問題の解決に向けては、県がしっかりと役割を果たしてほしい、そういう観点で私はずっと見ておりました。  いずれにいたしましても、知事が小林八戸市長と会談し、協議し、決断し、合意した。今後は、政治家同士、トップ同士が合意したこと、約束したことをまず着実に実行していただきたいというふうに思います。  それと、三十五年間で八戸市は負債を解消するという考え方でございます。これに対して県としては見守っていくということでありますが、どうかこのことに関しても、国に対して県は強く働きかけてほしい、役割を果たしていただきたいと思います。  この三十五年問題も含めて、今後、これはうまくいけば一番いいんですが、紆余曲折があったとしても、最後まで県としての役割を果たしていただきたい、そのことを御要望いたします。  それと、知事から八戸地域の産業振興についての考え方もお伺いいたしました。県とすると、今後、この事業団に関しましては、金矢の分譲というのが大きな課題であるということは、そのとおりだと思いますが、しかし、同じこの事業団で実施した北インター工業団地における企業誘致も進めていかなければなりません。委託が、県だ、八戸市だという違いで負債の解消策についても違いがあったわけですが、今後のこの分譲あるいは企業誘致ということに関しましては、今金矢と北インターと補助率に差があるわけですが、今までいろんな議員からも指摘があったと思いますが、青森県産業立地促進補助金については、今産業の空洞化というものも懸念されておりますし、また、八戸地域の今後の産業振興ということを考えたときに、ぜひ八戸のかさ上げというものも検討していただきたい。今答弁を求めてもなかなか出ないと思いますが、これは検討していただきたいというふうに思います。  それとシップリサイクルでありますが、国際的な、あるいは国の動向というものがまだはっきりはしませんが、これも本県にとって未来への挑戦の一つだろうというふうに思います。  国土交通省に行きましたときに、県土整備部の職員に御同行いただいた。それと港湾管理者として、多分、県土整備部長が今回は御答弁いただいたと思いますが、これは産業振興あるいはエコタウンとの絡みからすると、エネルギー対策も関係すると思いますので、どうか関係部署はこのことに関心を持っていただくと同時に、恐らく研究会が立ち上がると思いますので、そのときは県としても参画していただきたい、そのことは御要望いたします。  それと農業の六次産業化であります。きのう、たまたまテレビを見ておりましたら、B級グルメ、十和田、黒石、八戸も出ておりましたが、それと六次産業化を組み合わせて地域の活性化をするというような事例も紹介されておりました。どうか、これは切り札になると思いますので、積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それと、御答弁の中で、地元大学との協定の話もありました。恐らく八戸大学と八戸市のことだと思いますが、聞くところによると、当初この協定の中に県も入る予定だったというふうに伺っておりますが、いろんな経過の中で県は入れなかったと。なぜ入れなかったかということは、この際は問いませんが、どうか入ったとすれば、実施されていた事業や支援策というものを今後とも実行していただきたい、そのことを要望いたします。  それと、漁業所得補償資源管理の問題でございますが、知事のおっしゃるとおりに、それぞれの漁業が成り立つようなそのスタンスは、ずっと維持をしていただきたいというふうに思います。加えて、県としての姿勢も決して偏りがないように、そのこともお願いいたします。  最後に、八戸櫛引地区における産業廃棄物不適正処理事案でございます。八戸市からすると、すぐにでも撤去してほしいということだと思いますが、今の部長の答弁は、八戸市の意向を勘案しながら、適切な水質検査を実施するとのことでありました。そこで、今後もし水質検査をしていく中で基準を超える数値が出た場合に、県は行政代執行するのか、この点をお伺いして、終わります。 20 ◯議長(長尾忠行) 環境生活部長。 21 ◯環境生活部長(名古屋 淳) 再質問にお答えいたします。  県においてこれまで廃棄物の不適正処理事案について行政代執行を実施してきた例といたしましては、硫酸ピッチ、医療系廃棄物及び県境不法投棄事案がございます。  硫酸ピッチにつきましては、県が不法投棄現場を確認した時点で、既に硫酸ピッチが入っているドラム缶が硫酸により腐食し、漏出していたほか、現場周辺の植物の一部が枯死していたこと。また、医療系廃棄物につきましては、血液の付着した医療器具や血液そのものでございまして、人への健康被害が生ずるおそれがあったこと。そして、県境不法投棄事案につきましては、大量に投棄された廃棄物に含まれる有機塩素化合物や有機物によって汚染された浸出水が周辺環境に拡散することによって農業用水源や水道水源などが汚染されるおそれがあったものでございます。  行政代執行を実施するかどうかにつきましては、不適正処分された産業廃棄物の種類、数量、これに起因する生活環境の保全上の支障の程度、その発生の危険性などの客観的事情を総合的に勘案した上で判断してきたものでございます。  本件につきましても、行政代執行を行うかどうかにつきましては、周辺の生活環境の保全上の支障の程度などを総合的に勘案した上で判断することになります。 22 ◯議長(長尾忠行) 健康福祉部長。 23 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 再質問、ドクターヘリの複数機の導入の必要性についてということでございました。必要性につきましては、これまでの運航実績及び今後予定しております共同分担運航の実績、そして今後導入予定の秋田県、岩手県の運航実績等を分析、検証していくことによって必要性の有無が明らかになっていくものと考えております。  分析、検証といいますのは、単に出動件数が多いとか少ないとかいうものではなく、ドクターヘリの本来の目的であります医師が現場に行って早期に治療を開始すると、そのことによってどれだけの成果が生まれたかということを検証することになりますので、その上でなぜ一機で足りないのか、二機目が必要なのかということを考えるということになると考えております。 24 ◯議長(長尾忠行) 午さんのため、暫時休憩いたします。 午前十一時三十五分休憩    ────────────────────── 午後一時二分再開 25 ◯副議長(中谷純逸) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。  四十七番菊池健治議員の登壇を許可いたします。――菊池議員。 26 ◯四十七番(菊池健治) 民主党の菊池健治です。  地元、むつ下北地域は、豊かな自然と農林水産業、観光資源に恵まれた地域ですが、道路の整備を初めインフラ整備が大きくおくれており、一日も早い整備、改善を地域の方々は切望しております。  通告に従いまして、一般質問を行います。  初めに、下北地域における農林水産業の振興についてです。  むつ下北地域は、大間のマグロ、風間浦のキアンコウ、大畑の海峡サーモンを初めとした豊富な水産資源による漁業、そして、寒さに耐えながら甘味を中にとじ込めた一球入魂かぼちゃやイチゴなどの農業、さらには、酪農や肉用牛として東通和牛、日本短角種が盛んな地域であります。  前木村知事は、これまでの農林水産物の生産性向上に加えて、豊富な農林水産物の付加価値向上を図るために、下北ブランド研究開発センターを設置し、加工品開発による付加価値の向上にも尽力していただきました。  私は、むつ下北地域の発展のためには、寒冷地とやませを逆手にとった農林水産業の一層の振興が必要であり、そのためには、しっかりとした生産基盤づくりと農商工連携による加工品開発が欠かせないと考えております。  民主党政権は、戸別所得補償制度を導入し、長期的な農業経営の安定と持続可能な農業環境をつくっております。来年度はその対象を漁業にも拡大することとしております。持続可能な農林水産業のための取り組みは着実に進めておりますが、地域の振興のためには、農林水産物を活用し、地元下北の企業との連携による下北ブランドの加工品づくりが必要であると確信しております。  下北地域では、全国から訪れる観光客の皆様に喜ばれる乳製品や水産物の加工品づくりについて、新幹線開業を目前に控え、日夜頑張っております。このように、ひたむきに頑張っている農林水産業者、加工品開発に取り組む製造業者、そして新たに農商工連携に取り組もうとしている意欲ある方々に対する支援が必要になっております。  そこで、次の四点について伺います。  第一点は、下北地域における農林水産業の振興に向けた取り組みについて。  第二は、下北地域の農林水産物を活用し、農商工連携の促進について。  第三は、平成二十三年度から戸別所得補償制度の本格実施に向けての取り組みについて。  最後に、下北地域の漁港、漁場の整備状況について。以上四点について県の見解を伺います。  次に、雇用の拡大と基金事業の活用についてであります。  一昨年九月のリーマン・ショック以来、世界的な経済環境が悪化している中、我が国の有効求人倍率は大きく低下し、特に本県においては有効求人倍率が極めて低い状況が続き、ことし七月では〇・三七倍と、働きたくても二人か三人に一人しか働けない状況なのであります。特に高校生については、県内に就職したくても、県外に多くが出ていかなければならない状況です。  知事は、人財が大事だとよく言っておられますが、雇用対策をしっかりやらなければ、青森県で育った人財がどんどん流出してしまうのであります。  そこで、県では、雇用の場の拡大にどのように取り組んでいくのか伺います。  また、下北地域の雇用環境は、県内と比較するとやや高いものの、〇・五二倍と低迷しております。また、一人当たりの所得も低い状況にあります。先ほど申し上げましたが、農商工連携については、雇用効果が出るまでにはもう少し時間が必要と思われ、即効性のある対策が求められております。  九月十日に民主党は、現在の極めて厳しい経済・雇用環境を改善するため、経済対策を打ち出し、全国で約一千億円の重点分野雇用の拡充を図ることとしております。本県では、既に緊急雇用及びふるさと雇用に係る基金を合わせて約百八十二億円が交付されております。今回さらに増額されることになっております。この基金については、所得面での雇用環境が厳しい下北地域において積極的に活用すべきと考えます。  そこで、下北地域における基金事業を活用した雇用創出の取り組み状況についてお伺いします。  次に、広域滞在型の観光振興についてであります。  下北地域の活性化は、農林水産業振興に加え、観光振興であると私は考えております。新幹線開業まであと二カ月、下北地域においても着々と受け入れ準備が進んできております。観光の楽しみは、見ること、体験することなどがありますが、やはり食を楽しむことが大事であります。下北地域には、歯ごたえがある新鮮な魚介類、また、生産者の心を込められた農林水産物が豊富にあります。  そこで、むつ下北地域の特色ある食材を生かした観光振興について、県ではどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。  また、グリーンツーリズムや修学旅行の受け入れ体制整備も必要であります。例えば、総務省、文部科学省などが推進している全国公立小学校での長期宿泊体験活動を支援する子ども農山漁村交流プロジェクト対策事業の受け入れを検討するのも一つの選択肢であります。  そのほか、下北地域には薬研、下風呂を初めとした温泉があり、本県には、このほかにも多くの魅力的な温泉があります。食べること、食と同等に温泉が今も昔も観光の重要な要素となっております。  そこで、豊富な温泉を生かした観光振興について、県はどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。  次に、東北新幹線全線開業と二次交通の整備についてであります。
     九月七日に新幹線のダイヤが公表されました。東京―新青森間を十五往復、むつ下北地域の玄関口となる七戸十和田駅には十二本の停車が決まりました。また、九月二十四日には、開業に合わせた在来線青い森鉄道のダイヤも公表され、新幹線開業に向けて機運は一層に高まっております。観光の魅力は十分あるものの、時間的なハンディが大きいむつ下北地域にとって、七戸十和田駅を初めとする八戸駅などの拠点からの交通アクセスをどのように整備していくかが大きな課題であり、観光振興の大きなかなめとなります。  そこで、むつ下北地域へのアクセス交通整備の進捗状況についてお伺いいたします。  次に、並行在来線対策についてであります。  新幹線開業と同時に並行在来線八戸―青森間が静かに開業します。試算では、毎年十六億円の県民の負担が生じかねない状況にあります。十六億円の負担が続けば、県民の皆様の生活にも大きな影響が出てくるものと懸念されます。  県は、JR貨物と青い森鉄道の負担について八五対一五が適正として、JR貨物及び関係機関に対して強く要望しておりますが、貨物線路使用料の負担割合の県が主張する根拠は何か伺います。  また、この問題が解決されないまま青い森鉄道の営業を迎えることは、さらに解決を困難にすることにもなりかねません。青森県の政治力を結集し、解決に臨まなければならない課題であります。  そこで、貨物線路使用料の増額を初め、国からの財政支援を実現するため、十二月四日の青森開業に向けて県としてどのように国に働きかけていくのかお伺いいたします。  次に、エネルギー政策に係る地域振興及び産業振興についてです。  本県は、原子力・風力発電を初めエネルギー分野において、高い潜在能力を有しており、この潜在能力を生かした産業振興、地域振興を図るべきであります。むつ市では、使用済み燃料中間貯蔵施設を建設しております。また、下北地域では、各種の原子力施設の立地が予定されております。このことを契機として、地域振興を図るとともに、地域の活性化と地元雇用に結びつけていく必要があります。大間地域の原発周辺は、多くの店舗が立地し、活気がありますが、東通村の原発立地周辺は、これからも二基、三基と建設予定されているのに、全く寂しい状況にあります。原発が立地する町村の活性化に役立ち、何らかの対策がないものかと思っております。  本県は、再生可能エネルギーについて豊富な潜在能力を有していることから、再生可能エネルギーの導入を産業振興につなげていく取り組みを進めていくことが必要であります。そのためには、事業部門において導入促進はもちろんのこと、一般家庭における県民の意識の啓発をすることで、再生可能エネルギー利用に係る意識の底上げを図り、新たな産業創出の機運を醸成していくことが重要であると考えております。  そこで、第一は、今回の使用済み燃料中間貯蔵施設の着工に伴い、どれくらいの電源三法交付金が見込まれるのか。  第二は、下北地域に立地している原子力施設の地元雇用の状況について。  第三は、再生可能エネルギー利用に係る普及啓発の取り組みについて。  第四は、再生可能エネルギー関連産業創出の取り組みについて伺います。  次に、下北半島のニホンザル対策についてであります。  御承知のように、下北半島のニホンザルは、国の天然記念物に指定されており、指定された当時から比較して、その頭数、生息域も大きく拡大しております。近年では、農家が丹精込めて栽培した畑の野菜や果物が、収穫を目前にして食べられる被害が深刻になっております。また、子供や女性が猿の威嚇を受け、逃げようとしてけがをした例があるなど、安心して暮らせない状況にもなっていることから、地元住民からは、一刻も早く猿の被害を何とかしてほしいとの切実な要望が上がっております。  私は、これまでも定例会において何回も猿対策の強い要請をしてまいりました。知事や前教育長、県当局からは、より効果的な猿の被害防止対策ができるよう施策を展開するとの回答をいただいておりますが、対策効果が上がらない、被害は拡大するばかりであります。  一体、県は、これまで地域の要望をどのようにとらえ、ニホンザル対策に取り組んできたのかわからない。国の天然記念物に指定されているということは、その保護管理に関する国からの制限が大きい。しかし、被害が拡大している状況を踏まえ、国にしっかりと働きかけていかなければならない。地域住民の皆様の生活がかかった深刻な問題なのです。国の天然記念物の指定が文化庁、管理が環境省、被害対策が農林水産省、これに伴って県の所管課も教育庁、環境生活部、農林水産部と縦割り行政が災いしていると私は思っております。  ニホンザルには、天敵もなく、温暖化で山が猿に住みやすい環境になっているのではないかと思います。猿の生息範囲や生息頭数をどのようにしていくか、県はもっと抜本的な対策を講じていかなければならない。  そこで、県は、被害に対する対策や指定範囲の見直しなどの地元の要望についてどのように国に働きかけているのか伺います。  また、県では、平成二十年三月に第二次特定鳥獣保護管理計画を策定し、農作物などに害を及ぼす群れの個体数調整及び加害個体の除去について関係者が協議を行い、地域住民への被害低減のため、これまで以上の捕獲を実現することになったと聞いております。  そこで、第二次特定鳥獣保護管理計画に基づいて把握されている現在の生息数とこの計画に沿った取り組みについてお伺いいたします。  次に、ニホンザルの農作物被害の対策についてですが、下北四市町村で鳥獣被害防止特措法に基づく被害防止計画により対策を実施しておりますが、さきに申し上げましたとおり、依然として被害が発生しており、さらなる対策強化が必要であると考えています。  そこで、猿による農作物被害の状況とその対策について伺います。  次に、対策の中で、県内初めての取り組みであるモンキードッグの導入について、犬と猿、まさに犬猿の仲ということわざもありますが、その効果はどのようになっているのか伺います。  また、これらの対策は、特措法に基づく国の交付金による事業が活用されておりますが、事業期間は本年度までと伺っております。  この事業は、猿被害対策の取り組みを進める上で、下北地域には不可欠であり、事業主体である下北半島ニホンザル災害対策市町村等連絡会議や関係市町村から本事業の継続について強い要望も受けております。ついては、これらの地元の要望を踏まえ、来年度以降も鳥獣被害防止総合対策交付金を活用した農作物の被害防止対策を継続して進めるべきと考えますが、県の見解を伺います。  次に、下北地域の道路整備についてであります。  国道二百七十九号は、我が国におけるエネルギー拠点を連絡する路線であり、その整備は、下北地域のためのみならず、国策上非常に重要であると二十四年間にわたり申し上げてまいりました。特に下北半島縦貫道路の早期完成については、長年にわたり、一般質問のたびに訴え続けてまいりました。この道路は、下北地域の生命線であるとともに、東北縦貫自動車道と一体となって本県の主要幹線道路を形成するものであり、欠くことのできない道路であります。まさに交通体系の整備が下北地域の発展を図っていく上で緊急な課題であり、半島地域住民の悲願でもあります。  また、これまでにシンポジウムが数多く開催され、下北地域の皆さんから、下北半島縦貫道路の早期完成に向けた切実な思いが発信されてきたところであります。  そこで、むつ南バイパスを初めとする下北半島縦貫道路の整備状況と整備促進に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。  また、この国道二百七十九号については、エネルギー政策など国策上の重要性から、市長会や町村会など各関係機関においても、国直轄管理区間に指定し、国直轄事業による早期整備を要望しております。  私は、下北半島縦貫道路の早期完成のために国直轄管理区間への指定が重要と考えているところですが、これについて、県では今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  さらに、国道二百七十九号は、半島内の主要幹線道路であり、地域の自立的発展が欠かせない道路であります。  そこで、大畑地区二枚橋バイパス及び風間浦易国間地区の災害防除事業の整備状況と今後の見通しについてお伺いします。  次に、国道二百七十九号と一体となって半島循環道路を形成する非常に重要な役割を担う国道三百三十八号についてです。  これまでも整備が図られてきておりますが、依然として進捗が遅く、今後とも継続して整備が必要であると考えております。そこで、むつ大湊二期バイパス及び東通村東通バイパスの整備状況と今後の見通しについて、また、東通村小田野沢地区から田屋区間の道路整備についてお伺いいたします。  次に、県道等についてでありますが、国道の機能を補完する役割を持つ県道などの整備は、地域の産業振興や住民の安全・安心の確保のために重要なものであります。特に、道路網が少ない下北地域においては緊急の課題なのです。  そこで、主要地方道むつ尻屋崎東通村岩屋バイパス及び尻屋バイパス、一般県道薬研佐井線のむつ奥薬研から佐井村間及び県が代行事業を行っている佐井村福浦川目線の整備状況と今後の見通しについてお伺いいたします。  次に、河川、ダム及び砂防事業についてであります。  近年、地球環境の温暖化などさまざまな要因により、全国的にゲリラ豪雨などによる水害や土砂災害が多発しております。本県でも、県民の生命や財産を災害から守るため、河川改修事業、ダム事業、砂防事業などの整備促進は急務であります。早急にかつ着実に進めていく必要があると考えます。  そこで、現在整備を進めております下北地域における河川、ダム及び砂防事業などの整備状況と今後の見通しについて伺います。  次に、港湾整備についてであります。  下北地域は、三方を海に囲まれた地理的条件の中、物資などの輸送拠点として、古くから港とともに栄え、港とともに歩んできた地域であります。下北地域の港湾整備は、地場産業と密接に関連し、また、地域の主要産業でもある水産業の発展に呼応して進められてきたところであります。今後とも、下北地域の活性化と地域振興、さらには防災拠点としての機能を図るため、着実に整備を促進すべきであると考えます。  そこで、下北地域における港湾事業の整備状況と今後の見通しについて伺います。  次に、今夏の大雨災害について伺います。  ことしは、夏の本県のゲリラ豪雨により大雨災害が多発しました。下北地域では、八月十五日から十六日にかけての大雨、九月六日から七日にかけての大雨により、河川や道路の災害、交通規制など、住民生活に多大な影響を与えたところであります。早期復旧により民生の安定が望まれるところであります。  そこで、下北地域における今回の大雨による公共土木施設災害の概要と今後の見通しについてお伺いします。  最後に、下北地域の高等学校教育改革についてであります。  平成二十年八月に公表された県立高等学校教育改革第三次実施計画において、むつ下北地域における少子化による生徒数の減少が予想されるという事情から、田名部高等学校大畑校舎を平成二十五年度に募集停止し、平成二十六年度末には閉校するという計画が公表されたところであります。大畑高校が校舎化への移行と機を同じくして閉校という計画が示されたことについて、地域住民にとっていまだに承服しがたいのであります。  閉校となれば、むつ市大畑地区から近隣の高校に通うための交通費など、各家庭の負担はもとより、今後の地域の活力が大きく後退し、さらなる過疎化の進展が強く懸念されるところであります。また、大畑校舎と同じ時期に校舎化となる大湊高等学校川内校舎についても、第三次実施計画の前期計画では存続されるものの、その後の状況はいまだに示されていないところであります。  そこで、田名部高等学校大畑校舎の存続及び大湊高等学校川内校舎の今後の方向性について見解をお伺いいたします。  以上をもちまして、壇上からの質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。 27 ◯副議長(中谷純逸) 知事。 28 ◯知事(三村申吾) 菊池議員にお答えします。  まず、下北地域における農林水産業振興に向けた取り組みでありますが、下北地域は、周囲を海に囲まれ、世界に誇る大間マグロを初め多彩な水産物を水揚げする漁業や、先人の血のにじむような努力と開拓者魂によって築かれた酪農などの畜産業、夏季冷涼な気象を生かした夏秋イチゴや栽培方法にこだわった一球入魂かぼちゃといった特色ある農業が展開されております。この基幹産業であります農林水産業の振興を図ることが、下北地域の経済発展に欠かせないものと考えるところです。  県としては、水産部門では全国トップクラスの水揚げを誇りますキアンコウに着目し、持続的な資源管理方法の普及や出荷規格の統一化により、首都圏の市場への販売を強化するほか、主要魚種でありますサケでは、大型種苗放流による漁獲量の回復などに取り組み、安定した漁業経営の確立を図ることとしております。  また、酪農につきましては、圃場で調製を行うTMR飼料の生産実証や、脂肪など乳成分がすぐれております特徴を生かした下北産牛乳の地産地消の拡大などに取り組み、一層の低コスト化と生産者の所得の向上につなげていくこととしております。  さらに、市場評価の高い一球入魂かぼちゃにつきましては、生産拡大に向けた作付者の掘り起こしや新たな作型の実証、あるいは首都圏での販売状況調査などを行いながら、販路の拡大とブランド力を強化していくこととしております。  今後は、東北新幹線全線開業に向け、豊富な観光資源の活用も図りながら、市町村や関係機関と一体となって六次産業化を推進し、下北地域の農林水産業の振興に努めていきます。  むつ下北地域の特色ある食材を生かした観光振興についてでありますが、本年十二月四日の東北新幹線全線開業までいよいよあと六十六日となりました。私は、県下全域にございます自然、景観、産業、文化、郷土料理等による観光コンテンツの充実強化により、地域の新たな魅力の創出を図り、本県ならではの楽しい時間の過ごし方、地元の人々が体験している本物の魅力を観光客に提案することが、滞在型観光の推進や青森ファン獲得に結びつくものと考えております。  全国各地からむつ下北地域を訪れる観光客の方々にできるだけ長く滞在していただくためには、地域内の豊かな観光資源を活用し、多様化する観光化客のニーズや旅行形態に即した魅力ある観光コースをいかに構築していくかが重要と考えております。  昨年度実施いたしました風間浦村のアンコウまつりへの現地視察では、旅行エージェントやモニターツアーのお客様から大変好評を博すなど手ごたえがありました。本年度も引き続きその高度化を支援しております。  また、私どもの下北地域県民局では、地元の観光関連事業者とともに、下北地域の豊かな郷土料理などを活用した下北滞在プログラムを検討し、二十八の着地型旅行プログラムの商品化を進めているところであります。  今後とも、東北新幹線全線開業効果を最大限に獲得し、持続していくため、引き続き地域との連携を一層密にしながら、むつ下北地域の恵まれた観光資源を生かした広域的な滞在型観光の推進に努めていきます。  下北半島縦貫道路の整備状況についてであります。  道路は、県民生活や社会経済活動を支える最も基礎的な社会基盤でありますことから、これまでも着実な整備を進めてきました。特に、下北半島縦貫道路の整備につきましては、下北半島地域の振興や本県の主要幹線道路ネットワーク形成にとって極めて重要であり、県としても重点的に整備を進めてきました。  下北半島縦貫道路は、これまでに有戸バイパス及び野辺地バイパスを完成供用するとともに、現在、むつ南バイパス、有戸北バイパス及び吹越バイパスの整備を進めております。  今年度の国の予算では、道路整備予算が、御案内のとおり大幅に削減され、今後も道路整備を取り巻く環境は非常に厳しくなることが予想されるところでありますが、下北半島縦貫道路につきましては、道路整備のため、予算が確保されるよう、国に対し強く働きかけていきますとともに、全線の整備促進が図られるよう、鋭意取り組むこととしております。  私からは以上です。 29 ◯副議長(中谷純逸) 企画政策部長。 30 ◯企画政策部長(佐々木郁夫) 御質問三点にお答えします。  まず、東北新幹線全線開業に係るむつ下北地域へのアクセス交通整備の状況についてです。  新幹線駅と県内各地を結ぶ二次交通の整備については、昨年度、交通事業者、市町村等をメンバーとする新幹線二次交通等整備協議会を設置し、協議を行ってきたところです。むつ下北地域については、むつ市を交通結節点としたアクセス交通を整備することとし、七戸十和田駅からむつ市への新たなバス路線の整備やJR大湊線、青い森鉄道線を経由した八戸駅、青森駅からのアクセス、青森港、蟹田港からの航路のよるアクセスのほか、むつ市から各地域へのバスによるアクセス交通の整備に向けて協議を行ってきました。  このうち、七戸十和田駅からむつ市への交通については、現在、新たなバス路線の整備に向け、交通事業者が最終的な調整等を行っているところです。また、九月二十四日には、JR東日本及び青い森鉄道からリレー列車のダイヤが発表されたところであり、大湊線から青い森鉄道線を経由した八戸への直通列車が一日二往復、青森への直通列車が二往復運行されるほか、大湊駅と新青森駅を結ぶ新型リゾート列車「あすなろ」が二往復運行されることとなります。  このダイヤ発表を受け、現在、各交通事業者等においてアクセス交通の運行ダイヤの確定作業を行っているところですが、鉄道、バス、タクシー等が連携した効率的で利便性の高い二次交通の整備を促進し、十二月の開業に万全の体制で臨みたいと考えています。  次に、貨物線路使用料の県が主張する負担割合八五対一五の根拠についてです。  平成十九年度に青い森鉄道と同じ東北地方に存する旅客のみの中小民鉄十一社について、輸送密度と営業キロ当たりの地上施設の維持管理費との関係を調査したところ、旅客が多数利用し、輸送密度が高くなれば維持管理費も増加するという高い相関関係があることがわかりました。この結果を青い森鉄道線に当てはめた場合、青い森鉄道線の維持管理経費は、同線の青森開業時の約二千人という輸送密度からすれば、過大な経費となります。  こうした経費は、旅客輸送のみの場合の地方鉄道の水準を大きく上回る幹線としての設備を維持せざるを得ないことから発生しているものであり、こうした設備を必要とする貨物走行に起因するかかり増し経費と考えられるものです。このかかり増し経費は、JR貨物がすべて負担し、共通部分については、現行制度での貨物と旅客の負担割合で試算した場合、線路使用料の貨物負担割合は八五となるものです。  最後に、貨物線路使用料の増額を初め、国からの財政支援を実現するための対応についてです。  並行在来線への国の財政支援策の実現に向けては、今年度に入ってからあらゆる機会をとらえ、波状的に要請活動を実施してきたところです。今後は、十月下旬に並行在来線関係道県協議会による要望、さらに、十一月上旬には整備新幹線関係十八都道府県期成同盟会による下期要望の実施についても具体的に協議しているところです。  国の財政支援策実現に向けましては、県のみならず、関係者が一体となって波状的に国に強く働きかけていくことが重要と考えているところであり、国の財政支援等の実現に向けて、県議会におかれましても、さらなる御支援、御協力をいただきながら、他の関係道県も含め、関係者が一致協力して国に強く働きかけてまいりたいと考えております。 31 ◯副議長(中谷純逸) 環境生活部長。 32 ◯環境生活部長(名古屋 淳) 下北半島のニホンザル対策について、現在の生息数と保護管理計画に沿った取り組みでございます。  県が平成二十一年度に実施した調査によると、下北半島のニホンザルのうち群れで暮らしているものの生息数は千九百頭を多少下回る程度と推計されており、このほかにハナレザルなど若干数の生息が認められています。  下北半島のニホンザルについては、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に基づき、平成二十年度を始期とする第二次特定鳥獣保護管理計画を策定しており、関係市町村においてより効果的な猿被害防止対策が講じられるよう、新たに農作物等に被害を及ぼす群れの個体数調整等の基準や被害防除のための土地管理区分の設定、モンキードッグの活用などの取り組みを進めていくこととしています。  このうち、個体数調整等を目的とする捕獲につきましては、地元のむつ市、大間町、風間浦村及び佐井村と協議し、四年間の計画期間中に農作物等に及ぼす影響が大きい群れを主体に二百七十頭の捕獲を計画しております。捕獲実績といたしましては、平成二十年十二月からの一年間で九十九頭が捕獲されており、引き続き取り組みを継続しているところでございます。  県としては、今後も引き続きモニタリング調査を実施し、生息状況を把握するとともに、電気さくなどの被害防止対策を実施している関係市町村との連携を図りながら、特定鳥獣保護管理計画に沿った適切な取り組みを進めることとしております。 33 ◯副議長(中谷純逸) 商工労働部長。 34 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 御質問三点にお答えいたします。  まず、雇用の場の拡大への取り組みについてでございます。  県では、喫緊の課題である雇用の場の確保については、国の交付金を活用した緊急雇用創出対策事業及びふるさと雇用再生特別対策事業を最大限活用し、雇用機会の創出を図ることとしております。特に、今年度は、新たに創設された重点分野雇用創造事業を集中的に活用し、市町村と連携を図るとともに、民間からも事業提案を広く募集しながら事業構築に努めたきたところでございます。  また、去る九月十日に、議員のほうからもお話がありました閣議決定された経済対策において、重点分野雇用創造事業の拡充等が盛り込まれ、全国で一千億円程度の事業費の上積みと要件緩和が図られることになりました。  県内の厳しい雇用情勢を改善するためには基金事業の積極的な活用が不可欠と考えておりまして、国からの追加交付を待って、年度内からでも市町村と連携を図りながら、雇用の場の一層の拡大に取り組んでまいります。  次に、下北地域における基金事業を活用した取り組みについてでございます。  下北地域において今年度実施予定の基金事業は、県、市町村を合わせてふるさと雇用再生特別対策事業が十一事業、緊急雇用創出対策事業が二十三事業となっており、この事業に伴う新規雇用見込み者数は約百三十人となってございます。  主な事業としまして、ふるさと雇用再生特別対策事業では、下北地域県民局が、下北地域の着地型観光の定着を目的に実施する自然体験プログラム開発事業や、むつ市がクロソイ等の種苗生産体制の安定、拡充に取り組む栽培漁業推進事業などがあり、また、緊急雇用創出対策事業では、むつ市が特定検診等の未受診者に対して受診勧奨を行う特定検診等受診勧奨事業や、大間町、風間浦村、佐井村がむつ市と連携しまして、ニホンザルの管理体制を整備するニホンザル保護管理専門員及びモンキードッグハンドラー育成事業などが実施されます。  このほか、県事業においても、求人の一部を下北地域で募集するものもございまして、県としては、国及び市町村と連携を図りながら、引き続き雇用機会の創出に努めてまいります。  次に、豊富な温泉を活用した観光振興についてでございます。
     温泉地の数及び総湧出量が全国第四位である本県には、県下全域に温泉地が点在しており、また、たくさんの温泉銭湯もあり、多くの県民に愛されております。  財団法人日本交通公社が三万八千件のデータを分析した旅行者動向二〇〇九によりますと、行ってみたい旅行のナンバーワンは温泉旅行です。温泉旅行は、調査開始以来十一年連続で行ってみたい旅行タイプの第一位と圧倒的な人気を誇っております。これに次ぐのが自然観光、グルメとなってございます。  こうしたお客様のニーズを踏まえまして、近年は全国各地の名湯でゆっくりくつろぐ連泊型の温泉三昧旅行が大手旅行社で商品化され、好評を博してございます。  本県は、人口十万人当たりの公衆浴場数が全国第一位で、多くの銭湯も温泉であることから、宿泊滞在型の有名温泉地に加えまして、ふだん利用している温泉銭湯も有効に活用することが可能でございます。  このため、温泉をキラーコンテンツと位置づけまして、さらに下北地域の新鮮な魚介類、豊富な農産物や伝統芸能など、地域の魅力を結びつけ、滞在型観光として全国からの誘客促進に努めてまいります。 35 ◯副議長(中谷純逸) 農林水産部長。 36 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 御質問五点にお答えいたします。  最初に、戸別所得補償制度の本格実施に向けての取り組みについてです。  国では、平成二十三年度から、米に加えて麦、大豆、ソバ、ナタネなどの畑作物六品目を対象として戸別所得補償制度を本格的に実施することとしています。  畑作物については、生産量に応じて支払われる数量払いを基本とし、農業共済加入者や集団で生産する農家には面積払いが併用され、この場合は数量払いと面積払いのいずれか高い額が支払われます。しかし、農業共済に加入せず、個別で生産する場合には数量払い部分のみが支払われます。いずれの場合も高品質な畑作物を多く生産することで有利になります。  したがって、農家所得の確保の観点から、これまで以上に適地適作が求められることとなり、それぞれの地域の気象条件や水田の排水条件、農業機械や乾燥・貯蔵施設の所有状況などを踏まえながら、作付品目の選定等を指導してまいります。  次に、下北地域の漁港、漁場の整備状況についてです。  県では、青森県漁港漁場整備長期計画に基づき、下北地域においては、白糠、大畑、脇野沢など二十九漁港と佐井、大畑、野牛など二十四の漁場の整備に取り組んでおり、平成二十一年度までに桧川や宿野部など十三漁港と、木野部や正津川など二十一漁場が完成し、進捗率は事業費ベースで六八%となっています。  今年度は、継続地区十四漁港、三漁場の整備に加え、新たに蛇浦漁港と大畑漁港海岸の整備に着手しており、今後も引き続き、漁業関係者の意見や地域の実情を踏まえながら、漁港、漁場、漁村の一体的かつ計画的な整備を進めてまいります。  次に、猿の農作物被害と対策についてです。  下北半島の猿による農作物被害は、平成二十一年度は、むつ市、大間町、風間浦村、佐井村の四市町村で発生し、野菜やバレイショを中心に被害面積は約六ヘクタール、被害額は約四百五十万円となっており、前年度に比較して面積で約二ヘクタール、金額では約百六十万円増加しています。  下北地域では、ニホンザル被害対策市町村等連絡会議を設置し、被害が発生している四市町村が連携して鳥獣被害防止特別措置法に基づく被害防止計画の対策を進めるため、国や県の事業を活用して、この二年間で防護さくを約十キロメートル整備し、これまでの総延長を延べ四十四キロメートルとしたほか、猿の生息頭数の調査、個体数の調整、監視員の育成や猿を追い払うモンキードッグの導入などに取り組んでいます。  県としましても、下北地域における農作物等の被害防止対策が、関係機関が相互連携のもとで効果的に行われるよう、被害防止計画の着実な実施に向け、指導助言するとともに、被害発生地での研修会の開催や国の研究機関等で得られた防止技術の情報提供などにも努めてまいります。  次に、モンキードッグの導入効果についてです。  モンキードッグの導入は、犬と監視員が一体となり、犬が猿を山へ追い返し、猿の行動域を制限することにより、農作物等の被害経験が期待される取り組みです。  下北地域では、平成二十年度にむつ市で二頭導入した結果、むつ市脇野沢・川内地区では、猿の人里への出現が抑えられ、農作物被害は、十九年度の九十七万円から二十一年度には十万円に減少するなど高い効果が見られています。  また、本年十月には、大間町、風間浦村、佐井村を対象とするモンキードッグがさらに一頭導入される予定であり、隣接市町村が連携した広域的な対策を徹底することにより、下北地域全体における取り組み効果が期待できると考えています。  なお、県では、現地研修会を開催し、下北地域における先進的なモンキードッグの取り組み成果を猿の農作物被害が発生している他地域にも紹介しているところです。  最後に、農作物等の被害防止対策の継続に関しての県の見解についてです。  鳥獣被害防止総合対策交付金を活用した取り組みは、本年度県内八市町村で実施されており、特に下北地域では、四市町村が連携して猿被害に対処できる指導者の育成やモンキードッグの導入、箱わなの設置などの被害軽減対策に広域的に取り組んでいるところです。  県としては、本交付金を活用し、地域の実情に合った鳥獣被害の防止対策を継続的に実施することが非常に有効であると考えており、来年度は、国の交付金の活用に加え、新たに実施が予定されている鳥獣被害緊急対策事業を下北地域でも活用できるよう、九月十四日に国に対して要望したところです。 37 ◯副議長(中谷純逸) 農商工連携推進監。 38 ◯農商工連携推進監(小山内一男) 下北地域の農林水産物を活用した農商工連携の促進についてお答えいたします。  下北地域は、豊かな水産物と特色ある農畜産物に恵まれ、近年は、これらの素材を生かした農商工連携による商品化の取り組みが活発化してきております。特産の一球入魂かぼちゃの焼酎、下北産牛乳による飲むヨーグルト、本州最北のワイナリーのアイスワインなど、新幹線全線開業を迎える地域の観光とも連携し、今後の発展が大いに見込まれるところであります。  県では、こうした取り組みを加速するため、より事業者サイドに立った支援を展開することとし、最近では、下北地域県民局職員も企画段階から参画した一球入魂かぼちゃのアイスクリームが商品化されたほか、一時期に大量に漁獲されるイワシの有効活用を図るため、地元漁協と県内水産加工会社を県民局が仲介し、学校給食向け加工品の開発を目指している例もございます。  また、県補助金を活用し、地元漁協と青森市内の飲食店の連携によりまして、水揚げした魚介類をその日のうちに来店者に提供する新サービスの開発といった取り組みもなされているところでございます。  今後とも、農林水産部、商工労働部、地域県民局など各部局の緊密な連携のもと、市町村、関係機関とともに下北地域の多種多様な農林水産資源を生かした農商工連携の取り組みを促進してまいります。 39 ◯副議長(中谷純逸) 県土整備部長。 40 ◯県土整備部長(竹内春繁) 下北地域の道路、河川、港湾等の整備についてお答えいたします。  まず、下北半島縦貫道路の整備状況と取り組みでございます。  むつ南バイパス九・二キロメートルにつきましては、今年度も引き続き用地取得及び道路部の地盤改良工事及び土工事を進めております。有戸北バイパス六・三キロメートルにつきましても、土工事やのり面工事などを進めております。先般九月二十一日には、野辺地北インターチェンジに接続する県道のつけかえ工事が完了いたしましたことから、同インターチェンジの土工事に着手したところでございます。同バイパスにつきましては、平成二十年代中ごろの完成を目指し、今後も整備促進に努めてまいります。  吹越バイパス五・八キロメートルにつきましては、今年度測量及び設計を進めるとともに、用地取得に着手する予定でございます。むつ市から横浜町間の未着手区間につきましては、今後概略の検討を進めることとしており、全線の着実な整備促進に努めてまいります。  なお、国の補助事業にかかわる予算配分が非常に厳しい状況になっておりますが、今後とも積極的に予算の確保を国に働きかけ、整備促進に努めてまいります。  次に、国道二百七十九号の国直轄管理区間指定への取り組みでございます。  下北半島地域は、原子力施設等が多数立地する我が国、そして国際的なエネルギー政策におきまして非常に重要な地域でございます。国道二百七十九号は、これらのエネルギー拠点を通過し、国道四号と一体となって本州の大動脈を形成するとともに、地域資源を最大限に生かし、地域の自立的発展を図る上でも非常に重要な路線であると認識しております。  このため、県では、本路線の整備促進を図るため、国直轄管理区間への指定につきまして、これまでも重点施策として位置づけ、国に対し訴えてきたところでございます。しかしながら、国におきましては、地域主権を政策の柱に据え、国の権限を大胆に地方に移譲するとしております。  このことから、国直轄管理区間の新たな指定につきましては、一層困難になっていると考えられますが、今後とも国の動向を注視しながら、引き続き、国道二百七十九号の重要性を訴え、国の関与の必要性について、地域の声を届けてまいりたいと考えております。  次に、国道二百七十九号大畑地区二枚橋バイパスの整備状況と今後の見通しでございます。  国道二百七十九号むつ市大畑町地区の二枚橋バイパス延長四・一キロメートルにつきましては、平成十九年度までに延長約一・五キロメートルを供用したところでございます。今年度は橋梁工事を進めるとともに、埋蔵文化財発掘調査を継続し、また、用地取得を促進することとしております。  今後は、早期に全区間に工事着手できますよう、地元の皆様の御協力を得まして、用地取得及び埋蔵文化財発掘調査の促進を図ってまいります。  次に、国道二百七十九号風間浦村易国間地区災害防除事業でございます。  国道二百七十九号風間浦村易国間地区の災害防除事業につきましては、延長二・七キロメートル区間を落石対策区間として平成十七年度から実施しております。急崖部の危険岩塊の除去工事につきましては平成二十年度までに完了しており、当年度からはのり面対策工事に着手しております。今年度ものり面対策工事を引き続き進めており、今年度末の進捗率は事業費ベースで約八四%と見込まれてございます。  今後も、急崖部落石対策工の平成二十三年度完了を目指しまして、整備促進に努めてまいります。  次に、国道三百三十八号むつ大湊二期バイパスでございます。  国道三百三十八号のむつ市桜木町から大湊浜町間延長約四・九キロメートルにつきましては、これまで宇曽利バイパス延長約一・二キロメートルを平成十九年度に供用したところでございます。大湊二期バイパス延長三・七キロメートルにつきましては、平成二十年度に新規採択され、測量及び設計を進めてきたところでございます。  今年度は、大湊浜町側の用地取得に着手するとともに、桜木町側の用地測量を実施することとしております。  今後は、早期に工事着手できるよう、地元の皆様の御協力を得ながら、用地取得に努めてまいります。  次に、国道三百三十八号東通村白糠バイパスでございます。  白糠バイパス延長約六・五キロメートルにつきましては、一期工区約三・八キロメートルについて整備を進めてきており、これまでに延長約〇・七キロメートルについて供用したところでございます。今年度は、改良工事及び用地取得を促進するほか、昨年度から着手しております仮称泊・白糠トンネル工事を引き続き進めることとしております。  また、未着手区間でございます二期工区、延長約二・七キロメートルにつきましては、用地取得を進めることとしております。今後は一期工区の工事促進を図るとともに、二期工区について早期に工事着手できるよう、地元の皆様の御協力を得ながら、用地取得に努めてまいります。  次に、国道三百三十八号東通村小田野沢地区から田屋地区間の道路整備でございます。  東通村小田野沢から田屋間につきましては、二車線が確保されているところでございますが、一部区間に急勾配、急カーブの箇所が存在することから、県としても、交通安全上の対策は必要と考えております。  このため、これまで急カーブへの注意看板の設置等を実施しており、今年度は砂子又の横流峠付近の急坂路において、冬期路面対策として、凍結抑制舗装を実施してございます。急カーブ解消等の一部道路改良につきましては、今後の交通状況の把握に努めながら、地元と連携を図りつつ、整備手法等の検討をしてまいります。  次に、むつ尻屋崎線東通村岩屋バイパス及び尻屋バイパスでございます。  県道むつ尻屋崎線東通村岩屋地区における岩屋バイパス延長約四・〇キロメートルにつきましては、これまでに用地取得を完了し、道路改良工事に着手するとともに、仮称岩屋一号橋から三号橋までの三橋の整備が完了しております。今年度も引き続き道路改良工事を実施することとしております。  また、東通村尻屋バイパスにつきましては、集落内の狭隘区間の解消を図り、村道との一体的な道路網を整備するため、延長〇・五キロメートルのバイパス事業に着手しております。  昨年度までに用地取得がおおむね完了したことから、今年度は道路改良工事に着手することとしております。今後とも両バイパスの整備促進に努めてまいります。  次に、薬研佐井線むつ市奥薬研から佐井村間の整備状況等でございます。  県道薬研佐井線は、下北半島を周回する国道二百七十九号及び国道三百三十八号の代替路線としての機能を有する路線でございます。しかし、当路線は道路幅が狭く、急カーブが連続する厳しい道路状況となっております。このような状況を改善するために、電源三法交付金によりまして、平成十七年度から交通安全対策や舗装工事等を進めてきており、今年度も引き続き同交付金を活用しながら、舗装工事などを進めることとしております。  また、改築事業につきましては、薬研工区において調査設計を進めるほか、今年度一部用地を取得する予定としております。今後も整備促進に努めてまいります。  次に、県代行事業福浦川目線佐井村福浦から川目間についてでございます。  佐井村の村道福浦川目線延長約九・三キロメートルにつきましては、下北半島西部の道路ネットワーク上、国道三百三十八号の代替機能を持つため、県が代行事業を進めているところでございます。  当路線につきましては、平成元年度に福浦側の第一工区延長四・八キロメートルから事業着手したところであり、平成十三年度で整備が完了しております。引き続き第二工区延長二・二キロメートルに着手し、平成二十一年度で整備が完了しております。今年度からは最後の第三工区延長約二・三キロメートルに着手しており、改良工事を進めております。  今後とも、早期の全線の整備完了を目指し、事業促進に努めてまいります。  次に、河川、ダム及び砂防事業についてでございます。  下北地域では、現在、田名部川及び脇野沢川におきまして河川改修事業を実施しております。今年度は、田名部川につきまして、むつ市の大瀬橋から新小川橋間の築堤工や護岸工などを実施しており、今年度末における進捗率は、事業費ベースで約八七%になる見込みです。また、脇野沢川につきましては、県道九艘泊脇野沢線の橋梁の整備や河道掘削などを実施しており、下流市街地を迂回する区間の今年度中の通水を目指しております。今年度末における進捗率でございますが、事業費ベースで約七八%となる見込みでございます。  次に、ダム関係でございますが、大間町において平成二年度から奥戸ダムの建設事業に着手しております。現在、ダム本体工事に向けた工事用道路の整備を進めており、今年度末における進捗率は、事業費ベースで約二三%となる見込みでございます。  次に、砂防関係でございます。砂防事業は、現在、むつ市大荒川ほか四渓流で堰堤工などを実施しており、今年度は、むつ市南桜木沢が完成予定になっております。また、急傾斜地崩壊対策事業につきましては、佐井村磯谷区域ほか一カ所でのり面工を実施しております。その結果、土砂災害危険箇所の今年度末における整備率は約四一%となる見込みでございます。  今後とも、河川・ダム事業及び砂防事業等の整備事業を着実に進め、安全で安心できる地域づくりに努めてまいります。  次に、港湾の整備状況と今後の見通しでございます。  下北地域における港湾整備につきましては、大湊港では、大平地区において耐震強化岸壁一バースが昨年度完成し、現在、隣接する岸壁及び背後の緑地の整備を進めております。緑地は、全体計画五・五ヘクタールのうち約二・四ヘクタールが供用しており、今年度は、臨時ヘリポートを兼ねる多目的広場の整備をしております。  また、大湊地区におきましては、海岸侵食対策事業として護岸の整備を進めており、計画延長九百メートルにうち七百九十五メートルを今年度までに整備する予定としております。  大間港でございますけれども、大間地区におきまして、今年度から新たな物揚げ場の調査設計に着手しております。尻屋岬港では、港内静穏度確保のために防波堤の整備を進めており、防波堤東につきましては、計画延長八百四十三メートルのうち七百六十五メートルを整備し、防波堤西につきましては、二百二十メートルのうち百七十八メートルを完成してございます。今年度は、防波堤東のケーソン二函の製作を行っております。また、橋梁三橋のうち一橋の耐震改良工事を今年度から実施してございます。  仏ヶ浦港でございますが、港内静穏度確保のために防波堤の整備を進めており、計画延長百メートルのうち四十七・五メートルを今年度までに完成する予定としております。  今後とも、それぞれの港湾の地域特性を踏まえまして、着実な港湾整備に努めてまいります。  最後でございますけれども、下北地域における今夏の災害の概要と今後の見通しでございます。  下北地域では、八月十五日から十六日にかけての大雨によりまして、県管理河川の佐井村古佐井川が二カ所被災し、被害額は三千万円となっており、佐井村管理河川及び村道がそれぞれ一カ所被災し、被害額は九百万円となっております。  また、九月六日から七日にかけましての大雨によりまして、佐井村矢越地区で国道三百三十八号が二カ所被災し、被害額は一千二百万円となっております。  今後でございますけれども、国による災害復旧事業の現地査定が十月中旬と下旬に予定されておりまして、査定終了後、早期に復旧が図られますよう努めてまいります。また、市町村災害につきましても、的確な指導を行うなど、復旧に向けた支援を講じてまいります。  以上でございます。 41 ◯副議長(中谷純逸) エネルギー総合対策局長。 42 ◯エネルギー総合対策局長(阿部耕造) 御質問四点にお答えいたします。  まず、今回の中間貯蔵施設の着工に伴う電源三法交付金の見込みについてです。  使用済み燃料中間貯蔵施設に係る電源三法交付金については、電源立地等初期対策交付金相当部分として、むつ市に対し、平成十三年度から平成十九年度までで約二十五億円が交付されています。また、電源立地促進対策交付金相当部分として、むつ市及びその周辺市町村等に総額約二十九億円が交付されることになっており、これまでの交付実績約六億円に加え、今後約二十三億円が交付される見込みとなっております。  加えて、今回の着工に伴い、今年度の原子力発電施設等周辺地域交付金相当部分として、立地及び周辺市町村事業分で約十二億円が増額となり、また、実質的な電気料金の割引を行う原子力立地給付金分で約三億円が増額されることとなり、これらに係る経費については、本議会に予算計上し、御審議いただいているところでございます。  なお、この周辺地域交付金相当部分については、平成二十三年度以降も継続して交付されることとなっております。  次に、原子力施設の地元雇用の状況でございます。  下北地域の原子力施設に係る地元雇用の状況については、東通村関連では、東北電力東通原子力発電所一号機の建設工事等に係る地元就労者数が、平成九年三月から平成二十一年九月末現在までで延べ約百四十八万人、東京電力東通原子力発電所一号機の準備工事に係る地元就労者数が、平成十八年十二月から平成二十一年九月末現在までで延べ約二十二万人となっており、大間町関連では、大間原子力発電所の建設工事等に係る地元就労者数が、平成十二年四月から平成二十一年九月末現在までで延べ約五十九万人、むつ市関連では、使用済み燃料中間貯蔵施設の準備工事に係る地元就労者数が、平成二十年三月から平成二十一年九月末現在までで延べ約三万人となっております。  県としては、原子力施設の建設工事に伴う地域への経済波及効果が最大限発揮されるよう、今後とも、事業者に対して地元雇用により一層積極的に努めるよう要請してまいります。  次に、再生可能エネルギー利用に係る普及啓発の取り組みについてです。  県では、平成十八年度に策定した青森県エネルギー産業振興戦略に基づき、さまざまなエネルギーの利活用による産業クラスターを形成し、地域振興につなげていくため、地元企業の参画を図りながら、再生可能エネルギー導入などのプロジェクトの具体化を進めているところでございます。  再生可能エネルギーの導入を促進するためには、再生可能エネルギーの利活用について理解を深めていただくことが重要であることから、県では、昨年度より、広く県民を対象として青森自然エネルギーフォーラムを開催し、普及啓発に努めているところです。  昨年度は、青森市、弘前市、八戸市で開催し、今年度は、既に開催したつがる市のほか、明日九月三十日には六ヶ所村、さらに十月十六日にはむつ市において開催することとしております。  県としては、今後とも、本フォーラムの開催に加え、新聞、ラジオ、ホームページ等も積極的に活用しながら、引き続き、本県での再生可能エネルギー利用に係る普及啓発に取り組んでまいります。  最後に、再生可能エネルギー関連産業創出の取り組みについてです。
     近年、我が国では地球温暖化対策が一層強化されるとともに、低炭素社会に向けた新たな成長産業として再生可能エネルギー分野への期待が高まっており、県としては、今後とも地元企業の参入や県内関連産業の振興につなげるための一層の取り組みが重要であると考えております。  このため、風力発電については、風車のメンテナンスなどを県内企業が受注する体制を構築するため、発電事業者のニーズ把握及び県内企業とのマッチングを行う事業を昨年度から実施しており、県内企業の参画を支援しているところでございます。  また、太陽光発電については、本年度から県内における優良施工・販売業者を育成するためのガイドラインの策定や研修の開催等の事業を実施するほか、中南、三八、上北の各地域県民局において、新エネルギー、省エネルギー分野の人材を育成するための事業を実施することにより、県内企業の育成や技術向上を支援しているところです。  これらの取り組みを通じて、再生可能エネルギー関連産業への地元企業の参画を図りながら、関連産業の振興、雇用の創出を促進してまいります。 43 ◯副議長(中谷純逸) 教育長。 44 ◯教育長(橋本 都) 御質問二点についてお答えいたします。  まず、天然記念物下北半島の猿に関する国への要望についてです。  県教育委員会では、猿の食害を防止するための防護さくの設置事業に対する助成について、むつ市とともに文化庁に要望し、平成二十年度より国庫補助の対象となったところです。この補助を受け、平成二十年度以降防護さくを設置した地区においては被害が軽減されたと伺っております。  また、平成二十年度には、むつ市と県教育委員会が文化庁に対し、人的被害等に対する補償対策や天然記念物の指定範囲の見直しなどについて要望を行い、平成二十年度及び二十一年度に文化庁の調査官が現地を視察した際には、猿による被害状況等について説明するとともに、重ねて要望したところです。  さらに、ことし一月には、むつ市、大間町、風間浦村及び佐井村が第二次特定鳥獣保護管理計画に基づく二回目の猿の捕獲に関する現状変更許可申請書を提出したところですが、県教育委員会では、天然記念物に与える影響について十分配慮していることから許容できるという意見を付して文化庁へ申請書を進達し、二月十九日付で許可されたところです。  県教育委員会といたしましては、今後とも地元市町村の意向を十分踏まえ、関係部局と連携し、被害の軽減に必要な措置が講じられるよう、引き続き国へ要望してまいりたいと考えております。  次に、大畑校舎並びに川内校舎の今後の方向性についてです。  平成十七年度から平成二十年度までを実施期間とする県立高等学校教育改革第二次実施計画により、下北むつ地区では、平成二十年度から、川内高等学校及び大畑高等学校をそれぞれ大湊高等学校川内校舎、田名部高等学校大畑校舎に移行したものです。  これらの校舎については、県立高等学校教育改革第三次実施計画において、中学校卒業予定者数が減少する中、生徒の入学状況などを勘案し、地域において高校教育を受ける機会の確保に配慮しながら、計画的に募集停止することとしております。  県立高等学校の募集定員については、県内六地区ごとの学校配置や生徒の通学状況などを考慮して策定しているところであります。下北むつ地区では、今後、中学校卒業予定者数の減少が見込まれることから、県立高等学校教育改革第三次実施計画前期計画において、大畑校舎については平成二十五年度から募集停止としたところであります。  また、川内校舎の方向性については、今後の中学校卒業予定者数の推移、生徒の通学状況などを総合的に勘案し、検討してまいります。  以上でございます。 45 ◯副議長(中谷純逸) 菊池議員。 46 ◯四十七番(菊池健治) 長時間にわたりましていろいろと御答弁いただいたものですから、本当は再質問ということで書いてきましたけれども、知事初め教育長、各部長から懇切丁寧ないろいろと御答弁いただきましたから、これだけにさせていただきますけれども、要望だけ二点ほどひとつ言わせていただきたい。  地域の実情を知事によくわかっていただきたい。この前も議場の天井が抜けるほど地域の皆さんがこういう思いで言っているんだということで、きばをむけられて、やっぱり威嚇されてきますと、髪が一本立ちしまして、大変な思いでいるんですよ。その辺をしっかりとわかっていただいて、ひとつ対応策を、教育長、講じていただければと思っていました。  ひとつ、道路関係につきましても、竹内部長から長時間、本当に懇切丁寧な御説明をいただきましたので、おくれている、おくれている下北半島の道路ですから、これもより一層積極的に進めていただきますよう、心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 47 ◯副議長(中谷純逸) 十九番工藤兼光議員の登壇を許可いたします。――工藤議員。 48 ◯十九番(工藤兼光) 自由民主党の工藤兼光でございます。  第二百六十三回青森県議会一般質問の機会をいただきました大先輩、たくさんの皆さんに感謝を申し上げます。そして、せっかくの機会でございますので、議長のお許しをいただき、所感を語りながら質問に入っていきたいと思います。  北国の短い夏は駆け足で過ぎ去っていきました。そして、きのう、川村議員からの紹介もありました津軽地方年中最大の行事、お山参詣、岩木山、そのすそ野、広大に広がる緑の大地。やがて黄金色に輝いて、今は取り入れの最中であります。ことしは余りの暑さの影響か、数量が上がらない、品質が悪い、そして一番の問題、価格、大変心配されているようであります。人々は何を考え、何を思い、何を望んで働いているのだろうか。それはやはり、昨年の総選挙のときに、民主党の皆さん、この砂糖のいっぱい入ったかめの中で年を越せるような話があったと言っています。そのことに期待をしているに違いありません。  そして、この前、民主党の代表選がありました。菅総理は、一に雇用、二に雇用、三にも雇用、こう言っておりました。まさしくそのとおりであります。雇用があれば所得が上がり、地域の活性化、そして国も県も税収が上がって活力が上がってくると思います。しかしながら、雇用は仕事があってのもの、こう思います。青森県においては、例えば、ハローワークの職員を倍増しても、ない仕事はないと思っております。  そして、我が青森県、本州の最北端にあって、三方を海に囲まれております。したがって、漁業の町であり、農業の町であり、林業の町であります。したがって、農林水産業の発展なくして雇用の場も大きく生まれてこない、こう思っております。  この前、西谷農林水産常任委員長、私のすぐ隣の町に加工リンゴの調査に来ていただき、私も御一緒させていただきました。園地の御主人様はこう言っております。二十人の雇用、秋になると四十人の雇用がある。その中には若い人たちがたくさん入って、ほほ笑ましい、お話も弾んでいる、こういうお話も聞かされました。  そしてまた、きのうは、古村議員、リンゴ農家の雇用、これは春早くから秋遅くまで、お父さんやおじいちゃん、お母さんやおばあちゃん、たくさん行っています。私のほうからは、弘前、浪岡にも行っているという人がおりました。こういったぐあいに、これはきのう、大見議員も言っていました。漁業も同じだ。やはり漁業も、とれた魚、朝早く選別するのにたくさんの雇用があるわけであります。こういったことから、農林水産業の発展、昔あれほど栄えた農林水産業の時代に、雇用の場がないなどと聞いたことがありません。こう思っているところであります。  三村知事は、こういったことから、いち早く攻めの農林水産業を掲げ、生産から販売、販売を重視した取り組み、加工・販売ルートの確立に全力を挙げております。こういったことから、私たちの町でも農林水産を融合させる食の観光で消費しよう、そして、道の駅や、わんど、海の駅などにたくさん出しております。そしてまた、郷土料理をもっておもてなしの観光をしよう、こういうことで取り組んでおります。そして、今話題、神奈川県の厚木市、B級グルメ、御当地祭典において、我が青森県の食品、十番の中に三つも入った。大変な感激であります。そして、先ほど熊谷議員の発言の中に知事答弁もありました。農山漁村助成、企業間による新しい取り組み、これも大変に生きてくると思っています。  さあ、いよいよ新幹線が六十六日目に入ってまいります。観光産業はいろんな産業に波及効果を及ぼすもの、こういったことから、まず初めに、東北新幹線全線開業に向けた取り組みについて質問してまいります。  JR東日本は、九月七日、東京と新青森間の運行本数は一日十五往復、仙台と新青森間、盛岡と新青森間も各一往復し、計十七往復。十二月四日に東北新幹線全線開業する東北新幹線のダイヤを発表いたしました。いよいよ県民が待ち望んだ東北新幹線新青森駅開業まで二カ月余りになります。  県は、プレキャンペーンにおいて、駅張りポスター制作、JR車内スポットCM放映、テレビ番組とタイアップして本県の魅力などをPRしており、ことし一月十一日から十四日間開催された「とことん青森2010in原宿表参道」のイベントに引き続き、十月二十五日から十一月七日まで、「とことん青森MAXin原宿表参道」のイベントを開催し、首都圏に青森の魅力をPRし、誘客促進に努めようとしております。私は、東北新幹線全線開業に向けた誘客促進の取り組みも必要ですが、首都圏を中心に青森を訪れる観光客の受け入れ体制の整備充実が最も重要な課題だと思っております。  近年、観光客の動向は、地元の人が何を食べ、何を楽しんでいるのか、日常生活を共有したいと思っており、青森らしさを求める着地型観光の時代を迎え、観光客のニーズは非常に多様化しており、県民一人一人が心温まるおもてなしで接することが青森を訪れる観光客が二度、三度青森を訪れ、青森のファンづくりにつながると思っております。  県は、食、宿泊施設などの観光資源の掘り起こしや磨き上げ、観光地の情報発信に努めておりますが、新幹線開業を地域の活性化につなげるため、県民一人一人がみずからのこととしてとらえ、参加するという意識醸成が必要だと思います。地域によって温度差があり、二〇一五年度の北海道新幹線函館開業を意識して動き出した地域もあります。県は、おもてなし、料理など青森らしさを前面に出し、訪れる観光客の受け入れ体制の整備、充実を図るべきだと思います。  そこで、お伺いいたします。  東北新幹線全線開業に向けて、県民一人一人のおもてなし向上を図るため、県ではどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  また、県は、地域の名物料理をあおもり食のエリアとして位置づけ取り組んでいるが、今後どのようにPRしていくのかお伺いいたします。  さらに、新幹線ダイヤの公表後の二次交通整備に係る今後のスケジュールについてお伺いいたします。  次に、本県の日本海沿岸の水産振興について質問いたします。  本県は、日本海、太平洋、津軽海峡の三方を囲む海と中央に抱かれた陸奥湾の豊かな漁場に恵まれた我が国有数の水産県であります。県は、海藻を天然海域で育成する海の森づくりなどを進める山・川・海をつなぐ水循環システムの再生・保全など幅広い施策に取り組んでおり、水産資源の回復、競争力の強化及び安全・安心な暮らしの実現の三つを重点課題として県内の漁港、漁場、漁村づくりを着実に進めております。  しかしながら、本県の日本海沿岸では、藻場の減少やいそ焼けの進行、漂流・漂着ごみの増加や大型クラゲの増加により水産動植物の生育環境が悪化しており、漁業生産への悪影響が懸念されております。現在の地方独立行政法人青森県産業技術センター水産総合研究所が平成十八年度より二カ年でホンダワラ類を対象とした養殖技術試験として実施し、ホンダワラ類アカモクについて養殖技術を確立し、人工種苗を沖出ししたところ、冬から春に成長すること、食用のギバサとして、味に癖がなく、粘りがありおいしいなどの知見を得たと聞いております。  また、日本海沿岸の砂場に適した藻場礁を開発するために、平成十九年度からは、深浦町岩崎地先を試験海域として民間企業参画により藻場礁を設置し、平成二十一年三月までモニタリング調査を実施しており、得たデータを本県日本海沿岸での藻場づくりや漁場づくりに活用していただきたいと思います。本県の日本海沿岸で漁業を営んでいる漁業者にとって、藻場礁はハタハタの産卵や稚魚の生育の場となるほか、藻場礁に付着する海藻自体が海域での高い浄化作用を持つ点で、三村知事が推進する環境公共にも大いに貢献することにもなり、加えて、ホンダワラ類のアカモクは食用になり、新たな食産業となり得る可能性も秘めております。  さらに、魚の育成環境や水産資源の維持・安定供給のためにこれまで魚礁の設置を行ってきておりますが、本県の日本海沿岸では水産資源が減少してきていることから、魚礁の設置が必要だと思います。本県の日本海沿岸で漁業を営んでいる漁業者にとって、水産資源の回復及び水産動植物の繁殖の減少を食いとめるために効率的、効果的な藻場礁や魚礁を着実に進めていただきたいと思っております。  そこで、お伺いします。  本県の日本海沿岸における藻場礁及び魚礁について、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、白神山地の保全と活用について質問します。  平成五年十二月、鹿児島県の屋久島とともに世界遺産条約に基づく日本で初めての世界自然遺産として登録された白神山地も、ことしの十二月で十七年目を迎え、三年後の平成二十五年十二月には二十年目を迎えることになります。県は、平成十七年十月十五日から十七日の三日間にわたり、西目屋村、鰺ヶ沢町、深浦町の世界自然遺産白神山地を有する町村と弘前市を会場に「大いなる生命(いのち)の循環 見つめよう、自然の中の私たち」をテーマに、ユネスコ世界遺産センターと共催で第二回世界自然遺産会議を開催いたしました。  平成十二年五月の鹿児島県に引き続き開催されたこの会議では、世界自然遺産を有するアジア太平洋地域から十六カ国二十七自治体などが集い、世界自然遺産の保全と遺産を生かした地域づくりのあり方について議論し、最終日には、その決意表明である世界遺産に関する白神山地サミット宣言を全会一致で採択されております。  宣言では、山、川、海を含め、生命(いのち)の根源である水を健全に循環する自然環境の保護保全の必要性を訴えたほか、世界自然遺産の持続的な保全と利用に向けての地域に即したルールの確立や世界自然遺産を引き継いでいく次世代の子供たちに対する環境教育の推進などが盛り込まれております。  私も、初日の開会行事、地元で開催された事例発表、閉会行事の三日間参加し、第二百四十四回定例会一般質問でも述べた私の所見は、世界自然遺産として登録された白神山地の中心部一万六千九百七十一ヘクタールの世界最大面積が広がる原生的なブナ林の保全において、地域社会は最も重要な関係者であり、保全方策を明確に示しながら、自然環境への配慮とともに、地域社会に利益をもたらし、自然保護の理解者増加につながるエコツーリズムなど持続可能な観光を初めとした振興方策を通じて地域づくりを進めていくことが必要であると考えさせられます。世界遺産に関する白神山地サミット宣言から五年の歳月が経過し、県は、世界自然遺産白神山地の保全とその活用に向けた取り組みを実施していると思います。  そこで、お伺いします。  世界自然遺産白神山地の保全とその活用に向けてどう取り組んでいくのか、知事の考えをお伺いいたします。  最後に、本県における医師確保対策について質問いたします。  少子高齢化や核家族化が進行する中で、すべての県民が住みなれた地域や家庭で生涯にわたり適時、適切な保健・医療・福祉サービスを受けることができる環境が望ましいと思っております。西北五地域保健医療圏は、男性の平均寿命が全国ワーストクラスで、三大死因による死亡率も高い地域であります。また、県内でも最も医師の数が少なく、専門的な医療機能が低いことから、多くの患者が圏域外に流出するなど、圏域で一般的な医療が完結していないようであります。  このため、西北五地域の市と町が平成十二年度から自治体病院機能再編成に取り組んでおります。県は、西北五地域保健医療圏のこれらの課題を解決するため、地域医療再生臨時特別交付金を活用することとしておりましたが、国の財政支援が当初の百億円から、国の平成二十一年度補正予算見直しにより二十五億円に減額されたため、新設する中核病院の建設費への充当、医療・保健・福祉を包括した健康管理センターや老人保健施設など保健・福祉分野のハード事業を取りやめ、自治体病院機能再編成を軸とした脆弱な医療機能の克服、医師等医療従事者の確保、医療ネットワークの構築により持続可能な医療提供体制を構築する地域医療再生計画を策定し直したのであります。  この計画については、平成二十二年一月二十九日に国の交付決定があったところであり、平成二十五年度には、新たな中核病院の開設及び後方支援病院等への機能転換が行われる予定だと聞いております。また、本県では、十七年度に策定した良医をはぐくむグランドデザインに基づき、自治体医療機関の医師の確保、定着にかかわるいろいろの施策について取り組んできたところ、本県出身の医学部進学者数の増加等、一定の成果が出ていると聞いております。  私の住んでいる地域は、深刻な医師不足により西北中央病院、県立中央病院等に救急搬送するケースが頻繁に見受けられ、地域住民が安心して生活できる地域社会の構築を図り、県民の命と暮らしを守ることが重要だと思っております。  そこで、お伺いします。  本県における医師確保の取り組み状況と成果についてお伺いします。  また、西北五圏域対象の青森県地域医療再生計画において、医師確保にどのように取り組むこととしているのかお伺いして、壇上からの質問を終わります。 49 ◯副議長(中谷純逸) 知事。 50 ◯知事(三村申吾) 工藤兼光議員にお答えいたします。  議員から、るる地域振興のお話を伺ったわけでございますが、議員、お話がありませんでしたので、鰺ヶ沢の大スターわさお、このたびは東映で薬師丸ひろ子さんと映画化、おめでとうございます。  それでは私から、まず、世界自然遺産白神山地の保全とその活用についてであります。  白神山地は、平成五年に我が国初の世界自然遺産として登録され、以来、本県の豊かな自然を内外に示す代名詞とも言うべき地域となっております。また、年間七十五万人余りが訪れます本県観光の目玉の一つでございまして、本年十二月の東北新幹線全線開業によって、白神山地に対する内外の関心がさらに高まるものと、我々としては大いに期待しているところです。  私は、白神山地は地域の人々が守り育ててきた県民の宝であり、未来に引き継いでいくべき人類共通のかけがえのない財産であることを誇りに思いますとともに、強くこれを認識しております。我々として、国や地元町村等関係機関と連携しながら、自然遺産の保全と適正な利用バランスがよく図られるよう努めているところであります。  本年度からは、鰺ヶ沢町、深浦町及び西目屋村と連携しまして、白神山地自然と文化体験エコツーリズム推進事業を実施しております。豊かな自然を生かしたこの地域ならではの体験型ツアープログラムの開発を通じて、これによって白神山地の新たな魅力づくりと情報発信に取り組むこととしております。  今後とも、第二回世界自然遺産会議で採択されました白神山地サミット宣言の趣旨を踏まえ、大いなる生命(いのち)の循環であります白神山地の永続的な保全、そして利用と地域の振興に取り組んでいきます。  医師確保の取り組み状況とその成果であります。  私は、知事就任以来、青森県の医療を将来にわたって持続可能としていくこと、そして、それを支える医師の方々の確保が大きな課題と認識し、平成十七年度に策定いたしました良医をはぐくむグランドデザインに基づき、弘前大学、医師会、市町村と連携しながら各種施策に部局を超えて取り組んできました。  また、弘前大学におきましても大規模な地域枠を設定してくれました。本県出身の入学者増に県とともに取り組んでくれております。その結果、本年度の医学部合格者数は全体で、全国で七十六名となり、このうち弘前大学は四十六名と、平成十六年度に比べ倍増しております。  また、臨床研修に対する施策としては、研修医に対する充実した指導環境の整備に取り組みますとともに、将来、青森県の医療を支えてもらうため、弘前大学医学部の新入生及び四年生、五年生に対し、私自身、大学に出向きまして、青森県が目指すところの保健・医療・福祉の姿を示し、ともに青森県で医師として輝いていただきたいと呼びかけているところでございます。このようなことから、本年度の臨床研修医採用者数は過去最高の六十六名となったところでございます。  また、中長期的施策とは別に、あおもり地域医療・医師支援機構というものを設置しまして、U・Iターンを積極的に働きかけてきました結果、県外から招聘した医師が十五年度以降二十七名を超えているところであります。  西北五圏域対象の青森県地域医療再生計画においての医師確保の取り組みであります。  すべての県民の皆様が住みなれた地域において必要な医療を受けられることは私の願いでありますが、西北五地域は県内で最も人口当たりの医師数が少なく、専門的な医療機能が低いために多くの患者さんが圏域外に流出しております。この課題の克服に向けまして、圏域の六市町は広域的に地域医療を支えていく自治体病院機能再編成に取り組んできたところであり、県といたしましても、昨年度、県地域医療再生計画の策定に当たりまして、この取り組みを支援することといたしました。  この地域医療再生計画では、医師の確保を具現化するため、県全体の医師確保策に加え、一つとして、弘前大学へ寄附講座を設置し、弘前大学と西北中央病院との間で締結されております専門医養成病院ネットワーク協定をもとに、医師が西北中央病院を活動拠点の一つとして、圏域における重要な疾患に関する研究、診療や研修医等の指導など、教育及び人材育成を行うこと。二点目として、糖尿病等、圏域における重要な疾患に係る診療科につきまして、診療体制が整い次第、必要な医療機器の整備を図ることとし、医師の招聘を促進することなどに取り組むこととしております。  計画は本年度からスタートしたものでありますが、弘前大学を初め関係機関の御協力をいただくことによりまして、既にこの十月から西北中央病院に眼科医師が一人常勤で赴任しますほか、当地域で非常に大きな課題となっております糖尿病を専門とする非常勤医師が週に一度、外来診療を行うこととなっております。さらに、麻酔科医――手術にとって必要なんですが――につきましても一人常勤医が赴任する予定であり、計画の主眼であります同圏域におけるところの医師の確保及び医療提供体制の整備が着実に進んでいると認識をするところであります。  今後もこれらの施策を初め、ますます増加いたします女性医師の働く環境の整備を図り、女性医師の勤務を促進するなど、つがる西北五広域連合や弘前大学など関係者と連携を図りながら計画の推進に取り組んでまいります。  私からは以上です。 51 ◯副議長(中谷純逸) 企画政策部長。 52 ◯企画政策部長(佐々木郁夫) 東北新幹線全線開業に係る二次交通整備のスケジュールについてお答えします。  東北新幹線全線開業の効果を県内全域に波及させるためには、新幹線駅と県内各地とのアクセスとなる二次交通を整備することが重要となることから、昨年度、交通事業者、市町村等をメンバーとする新幹線二次交通等整備協議会を設置しまして協議を行ってきたところです。  三月に開催した協議会では、新規開設五路線、経路変更八路線を含む具体的路線など、二次交通整備の詳細を決定したところですが、現在、各交通事業者におきましては、九月七日に公表された新幹線ダイヤ及び九月二十四日に公表されたリレー列車等のダイヤに基づき、二次交通ダイヤの確定作業を行っているところです。  また、九月十四日に開催した協議会において、県内の交通ネットワークをPRするパンフレットの検討を行ったところであり、十月中旬に開催を予定している次回協議会で内容等を決定することとしております。開業前のできる限り早い時期に、県内外に向けてパンフレットの配布等により二次交通ネットワークをPRし、十二月の開業に万全の体制で臨みたいと考えております。 53 ◯副議長(中谷純逸) 商工労働部長。 54 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 東北新幹線開業に伴うおもてなし向上への取り組みについてお答え申し上げます。  東北新幹線全線開業に向けたおもてなしの向上につきましては、これまで、宿泊施設や交通機関などの従業員等を対象にした接遇向上のためのセミナーを開催してきておりますが、全線開業となる今年度は、一般県民向けのおもてなし向上にも積極的に取り組んでおります。  具体的には、県内すべての家庭に配布されている「県民だよりあおもり」やテレビの広報番組の中で県内各地域でのおもてなしの取り組み事例などを紹介しているほか、青森県新幹線開業対策推進本部では、県民向けにおもてなしの心得をまとめたリーフレットを十一万部配布するとともに、県内のさまざまな団体等でおもてなし向上のための研修等を行う場合の経費助成を行っています。  また、社団法人青森県観光連盟では、五月からようこそ青森へキャンペーンとして、テレビ、ラジオ、新聞等の媒体をフルに活用しまして、県民向けの広報活動を行っているほか、開業する十二月から来年三月まで、毎月、食やイベント、体験メニューなど冬季のしゅんの情報を取りまとめたリーフレットを県内六エリアごとに作成しまして、本県を訪れる観光客にきめ細かな観光情報を提供し、おもてなしの一層の向上を図ることとしております。 55 ◯副議長(中谷純逸) 農林水産部長。 56 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 御質問二点にお答えいたします。  最初に、あおもり食のエリアのPRについてです。  県では、地域独特の風土や伝統を勘案の上、県内に六つの食のエリアを設定し、それぞれの地域に根差した食材を活用した特色ある料理を登録し、観光客への宣伝に努めています。西北地域では、奥津軽食のエリアとして、地域特産の馬肉を使った激馬かなぎカレーと、シジミ貝をふんだんに用いた十三湖しじみラーメンを名物料理として登録し、PRしていくこととしています。  県では、今後、食のエリアをイメージできるシンボルマークの決定、登録された料理とこれを提供する飲食店に関する情報を紹介する冊子を作成し、首都圏アンテナショップや県内観光案内所等で配布するほか、青い森鉄道の車両を食のエリアの広告で包むラッピングトレインの運行、さらには料理を提供する飲食店店頭への統一フラッグの設置などに取り組み、本県ならではの、あおもり食のエリアの魅力を全国に向けてPRしていきます。  次に、日本海沿岸における藻場礁及び魚礁への取り組みです。  県では、日本海における水産資源を確保していくため、成長が早く食用にもなるホンダワラ類に着目し、藻場整備のための技術開発に重点的に取り組んできており、これらの成果を生かして、平成二十一年度から、鰺ヶ沢町地先において、ハタハタの産卵場となる藻場整備を進めているほか、今年度からは新たに深浦町岩崎地先においても整備に着手しているところです。  今後は、地元市町村や漁協と連携しながら、藻場礁については環境公共の視点を取り入れて、モズクやエゴノリ、アカモクの増産や魚類増殖の場としての整備に積極的に取り組んでいくほか、魚礁については、日本海で特に重要な資源であるヤリイカやウスメバル等を対象に整備を進めていくこととしており、これらの取り組みを通じて、日本海沿岸の水産振興を図っていくこととしています。 57 ◯副議長(中谷純逸) 工藤議員。
    58 ◯十九番(工藤兼光) 再質問はないけれども、少し、なお一層ということで、要望も一つ加えてお話をさせていただきたい、こう思います。  まず、県民のおもてなし向上について、農林水産を融合させる食の観光、それから郷土料理を使った観光、そしてやってきている。  そこで、訪れたお客さんたちに接するそのおもてなし。観光はたくさんの産業にその波及効果を及ぼす、こういうことから、県民挙げて取り組んでいかなければいけない、こう思っています。そのためには、大変すばらしいこれをつくっていただいて、私は見ていますけれども、これをマイクに……(発言する者あり)これではだめだ。はい、わかりました。きれいな……(発言する者あり)わかりました。引っ込めて下に置きます。  きれいな青森づくり、私の住む岩木山のふもとにホテルがあって、そこから陸奥森田停車場線、こういう道路でありますけれども、観光バスが何台も通るわけでありますけれども、買い物袋をそのままぽいっと捨てているところが何カ所もあって、大変心を痛めております。私は、拾って車の中に入れようかなと思えば、とがかんぶればまいでもって、そのままにして、とがかぶって――罪をかぶって、こういうこともこのパンフレットに載っていますし、まず笑顔が大事だ、こういうことであります。  そして、歌の文句ではないけれども、これこれ、石のお地蔵さん、北へ行くのはこっちかい、南、そういうときに表情を変えないで行ってしまう人があります。それは私が変なおじさんだからそうかもしれないけれども、そういうことがないように、こういういいものをこの県民だよりに入れてもらって、そして県民挙げてやっていただきたい、こう思っているところであります。  そして、日本海沿岸の水産振興。きのう、控室でこういうお話をしておりました。ハタハタはまだか。まだかいって、あれは十一月の冬の魚。そういうことで、一時は大変豊漁であったわけでありますけれども、一時は幻の魚、一匹四百円、五百円いたしました。そこのところを、自然管理型、皆さん、漁業の方々、そしてまた、県民挙げて取り組んできた成果、ハタハタがいっぱい来るようになりました。そして、産卵時期になりますので、卵どこさ行くかというときは、砂浜さ、がばどなってしまうわけだ、全部。それを海に戻す人もないし、それをまた拾って帰ってくるというところになると、これまた警察の人も大変忙しい、みんなで。そういうことで、藻場というものは大変大事であるし、きのう大見議員からの発言もありました。そういうことで、今取り組んではいますけれども、なお一層ということで、よろしくお願いしたいと思います。  そして白神山地、鹿児島県の屋久島に次いで白神山地、宝の山、これを、新たな魅力を発信して自然を守り、後世に伝えていくことが私たちの責務だ、滝沢求議員が言っていました。全くそのとおりであると思っていますので、何とぞこのことにもよろしくお願いを申し上げたい、こう思います。  それから、西北五圏域のお医者様がいない、こういうことで、私、初め、県議会議員になった当時から、今、知事の話では大分成果が上がってきているけれども、その当時は、幾ら手当てをしてもなかなか医者がここさいない、一人前になってまれば行ってしまう、これでは大変だ。そういうことから、自治体病院機能再編成計画をやって、そして、建物はよくなくても、いい医療機器を備えて、全国からお医者さんがここへ来てくれる、そのことを望んでやるようにしたという話を私は当局から聞いております。  そういうこともあったけれども、なかなか合併もあってちょっと長引いたようにも思います。どうぞ、県で最大の応援をして、そして病院をつくり、地域医療の確保、そして、知事からのお話もありましたけれども、西北五には病院、医者が少ない、こう知事が言いました。実は私はしゃべりたくないと思っていましたけれども、地域の人は、おらほうさも、病院の先生が少ないでまねだね、公平にやってもらわなきゃまねだねということでしゃべっていましたので、そこのところをひとつよろしくお願い申し上げます。  そして、青森県は平均寿命が短い。中でも西北五は最も短い、こうされております。鰺ヶ沢の町立中央病院は、あれほど栄えたけれども、今は医師不足でみすぼらしい。深浦も抱えています。四十二・一九五キロ、深浦町だけでもあります。  そこで、鰺ヶ沢の町はだめで、五所川原まで行くとなると大変な距離であります。そういうことで、救急車が走っても道路が悪いと大変だということで、それも加えて、道路の改良は徐々にやってきてはもらっていますけれども、医師不足はまだ解消されていない現状にあるわけです。  前段でも申し上げましたとおり、何とぞよろしく、津軽にも入れましたけれども、南部の皆さんもよく御理解をいたして、よろしくお願い申し上げて、私の質問を終わります。 59 ◯副議長(中谷純逸) 十五分間休憩いたします。 午後三時八分休憩     ─────────────────────── 午後三時三十二分再開 60 ◯議長(長尾忠行) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。  三番工藤慎康議員の登壇を許可いたします。――工藤議員。 61 ◯三番(工藤慎康) 自由民主党の工藤慎康です。  今定例会において一般質問の機会を与えてくださいました諸先輩議員に感謝申し上げ、早速ではございますが、通告に従いまして質問させていただきます。  まず初めに、並行在来線に係る負担軽減に向けた取り組みについてです。  本年十二月四日、東北新幹線全線開業と同時に、東北本線八戸―青森間がJR東日本から経営分離され、青い森鉄道として運行されることになります。青い森鉄道線は沿線住民にとって生活の足であり、その維持、存続は極めて重要であると考えています。  その一方で、さきの平成二十三年度の政府予算の概算要求においては並行在来線への支援が盛り込まれず、このままでは国の支援が明らかとなっていない中で開業を迎えざるを得ない状況も想定されています。貨物走行のための過大なる維持管理費による赤字補てんのために年間十六億円もの多額の県費負担が見込まれる同線の運営が今後の県財政に多大な影響を与えることとなることを強く危惧しております。  こうした状況を踏まえれば、貨物線路使用料の大幅な増額など、国の積極的な関与のもとで本県並行在来線に対する支援があってしかるべきと考えます。  このような認識に立って、並行在来線に対する県負担軽減に向け、支援策を早急に実現させるべく、県議会としても厳しい姿勢で臨むべきとの考えのもと、昨年十一月定例県議会において意見書を提案し、可決したところでもあります。  青い森鉄道八戸―青森開業まで残された時間はあとわずかであります。地域住民の重要な足を守るため、青い森鉄道の円滑な青森開業を着実に進めていかなければならないことはもちろんですが、何よりも青い森鉄道線の維持、存続に向けた国による支援の実現は不可欠であります。将来にわたって青い森鉄道線が維持、存続できるよう、引き続き党を超えて県議会として県と密接に連携しながら、国による支援、協力の実現のために全力を挙げて取り組んでいくことが重要であると考えるものであります。  そこで、三点お伺いします。  一点目は、東北新幹線の経営分離の同意時点において並行在来線上を貨物が走行することが含まれていたのか伺います。また、平成二十二年二月に国から出された青い森鉄道八戸―青森間の鉄道許可には貨物走行が含まれているのか伺います。  二点目は、並行在来線への国の支援を実現させるため、県がこれまで取り組んできた内容とその見通しについてお伺いします。  三点目は、線路使用料の増額の実現にはその財源が課題となっているようだが、県としてどのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に、本県における観光振興の推進についてです。  去る九月七日にはJR東日本から東北新幹線のダイヤが、さらに九月十三日には運賃、料金が相次いで発表され、県内外において全線開業への機運が高まっていると感じております。私は、東北新幹線全線開業という千載一遇のチャンスを生かして、首都圏を初め全国各地から多くの観光客に来てもらい、できるだけ長く青森県に滞在し、本県のすばらしい観光資源を楽しんでもらうことが重要と考えております。  そのかぎを握るのは、まさしく地元の観光力や私たち県民一人一人の人間力であり、青森の持つ独特の風土とその土地にはぐくまれた人間的魅力を青森ならではのおもてなしにつなげていくこと、また、それらをきちんと情報発信していくための取り組みを加速度的に進めるべきと考えております。  さて、平成十四年十二月の東北新幹線八戸駅開業、そして平成十五年の北東北デスティネーションキャンペーン時には四千八百万人を超える観光客が本県を訪れました。開業前の平成十三年と比較すると約六百万人、実に一四%の増加と、まさしく新幹線の持つ送客力がいかに大きいものであるかを如実にあらわしたと言えるでしょう。  しかし、その後の観光客の入れ込み人数は年々減少している状況であります。これにはさまざまな要因が考えられますが、最も大きい要因は、観光客の旅行形態が団体旅行から個人旅行に変化していることに受け入れ側の対応がおくれたためとの報道がありました。一時的には観光客の入れ込みがふえたものの、その後は年々減少しているという結果を県はどのようにとらえているのでしょうか。  先日、地域ブランド調査二〇一〇の結果が発表されました。これは、インターネットを利用し、各県や市区町村に対して、住民はもちろん、地域外からどのように評価されているかを指標化したもので、具体的には、外部からの視点で六十三項目、内部の視点で三十九項目にわたるアンケート調査をしたものです。  それによると、市区町村ランキングは、一位札幌、二位函館、三位京都となっており、県内においては、十和田市が七十四位、弘前市が八十二位、青森市が百三十八位、八戸市が二百五位で、マグロで有名な大間町が二百九十五位とのことでした。この市区町村ランキング上位十位のうち四つが北海道で、この北海道は都道府県ランキング一位でした。我が青森県は十五位、隣の岩手県が二十七位だそうです。  このランキングを発表した中の総評を見ますと、全国において地域ブランドの構築の取り組みがありますが、近視眼的なアクションで終わってしまい、継続的な地域の活性化やイメージづくりにつながっていないとの記述がありました。これは、さまざまな取り組みが何をしたかを重要視する余り、その効果が何をもたらしたのかを評価する指標がないということで締めくくられておりました。今回の全線開業において、これらの結果を十分踏まえた上で、きちんと取り組んでいく必要があると考えます。  現在の個人旅行客は、インターネットなどを活用して事前に観光情報を確認してから観光するため、個人旅行客向けのきめ細かい情報発信のシステムづくりが必要であり、これを怠ると、新幹線が全線開業したにもかかわらず、せっかくおいでいただくことになったお客様方に不便、不満を感じさせ、結局のところ、新幹線効果が出てこないということになりかねません。県としては、個人旅行客のニーズを的確にとらえた個人旅行者向けの情報発信が必要であるものと考えます。  そこで質問です。  観光客の旅行形態の変化を県はどのようにとらえ、また、旅行ニーズの変化に対し今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に、県内空港の利用促進についてです。  新幹線開業効果を高めていくため、陸からだけではなく、海、空の交通手段においても県内への入り込み者数を確保していかなければなりません。新幹線を利用した県内への入り込み者数は格段に増加するものと予想されますが、一方、航空による県内への入り込み者数を確保していくためには、航空路線を維持拡大させていく必要があるものと考えております。このような中、日本航空が更生計画案を提出し、十月三十一日から青森―名古屋線、三沢―大阪線が運休となり、青森空港の路線の一部も運航機材が小型化されるとのことであります。  日本航空の経営再建は着実に進めなければならないわけではありますが、本県の航空路線維持拡大のため、運休となっている路線や今後運休となる路線の早期復便を実現するとともに、既存路線についても減便やダイヤの改悪などにならないよう利便性を確保していく必要があります。特に三沢空港は、十月三十一日からの大阪線の運休により東京線三往復のみとなることから、三沢空港のネットワークを充実させるためには、大阪線の早期復便、平成十九年十月から運休となっている札幌線の復便、東京線の増便について強力に取り組んでいく必要があるものと考えております。  そこで、二点お伺いします。  一点目は、三沢―大阪線及び三沢―札幌線の復便に向けた取り組みについてお伺いします。  二点目は、三沢空港の利用促進に向けた取り組みについてお伺いします。  また、青森空港においては、東京線のダブルトラック化が利用者の利便性を高め、県内への入り込み者数の増加につながるものと考えております。県議会では、平成十九年度、二十年度に全日空に対し青森―東京線への再参入を要望しましたが、平成十九年度において、平成二十二年の羽田空港再拡張による発着枠拡大にあわせ検討していくと、平成二十年度は他県からの要望が数多くあり、総流動を踏まえてネットワークを総合的に検討していると、なかなか実現の遠いような全日空の回答でありました。いよいよ来月末には羽田空港が再拡張され、各航空会社への発着枠が拡大されることとなります。  そこで質問です。  全日空の青森―東京線への再参入の検討状況はどのようになっているのかお伺いします。  次に、新幹線開業が社会動態に及ぼす影響についてです。  新幹線開業は、本県の観光分野のみならず、地域経済全体を活性化させる大きなチャンスである一方で、移動時間短縮により、日帰り観光客の増加、支店・営業所等の引き揚げ閉鎖などの課題も指摘されているところです。とりわけ私が懸念するのは、首都圏等との移動時間短縮による県外流出人口の増加であります。上越新幹線の通る新潟市では、ここ五年間平均で毎年約二千人の県外への転出超過、同じく長岡市では約八百人の転出超過が続いております。一概に新幹線が開業したからとは言えないものの、そのようなデータもあるわけでございます。  そこで質問です。  東北新幹線全線開業により若年層の県外流出が進み、本県の人口減少が加速することが懸念されますが、知事の見解をお伺いいたします。  次に、陸奥湾の漁業振興対策についてです。  下北半島、八甲田山、そして津軽半島に囲まれた国内有数の内湾である陸奥湾は、八甲田山などから豊かな水が注がれ、多くの魚介類にとって繁殖や成育の場となっており、特に全国屈指のホタテガイ養殖漁場となっていることは申し上げるまでもございません。  この百億円産業となっているホタテガイ養殖を未来永劫引き継いでいくことが重要であり、そのために、より効率的で安定した生産体制が構築されるよう全国初の取り組みであるホタテガイ適正養殖可能数量制度、いわゆるTASC(タスク)制度がことしの四月から本格実施されているところです。今後、この制度が実効あるものとなるよう関係者一丸となって取り組み、成果が得られることを期待しております。  また、陸奥湾は漁場環境に恵まれ、ホタテガイ以外にもナマコやヒラメ、マダラ、マコガレイなどの資源もあり、特にナマコについてはホタテガイに次いで生産額が多く、陸奥湾の主要な漁業資源となっております。陸奥湾ではぐくまれるこれら多くの漁業資源について、陸奥湾の生産力を生かしたつくり育てる漁業に積極的に取り組むことにより、安全・安心な水産物の供給及び漁業所得の向上が図られ、陸奥湾の漁業の振興に大きく寄与するものと考えられます。  そこで、三点お伺いします。  一点目は、ホタテガイ養殖の安定生産のために実施しているTASC制度への取り組み状況についてお伺いします。  二点目は、本年、猛暑の影響がホタテガイにもあると聞いておりますが、TASC制度上、県はどのような対応となるのかお伺いします。  三点目は、陸奥湾の漁業振興のためには、ホタテガイに加えてほかの魚種についてもつくり育てる漁業の推進が必要と考えますが、県の取り組みについてお伺いします。  次に、子供を産むための環境づくりについてです。  私は、これまで幾度となく少子化対策について取り上げてきました。昨年の第二百五十九回定例会においては、子供を産む世帯に対しての生活不安解消に向けた取り組みについて知事の見解を伺ったところです。知事からは、これからの社会を担う若者が子供を産み育てられるよう、生業(なりわい)づくりによる雇用の増大、経済的基盤の確立、子育て支援環境の充実により、出生率低下の歯どめを目指すとの御答弁をいただきました。また、過去には、子供たちは青森県の宝、子育て支援は未来への投資であるとの認識をお示しいただいております。  これまで本県では、平成十七年二月策定の青森県次世代育成支援合同計画「わくわくあおもり子育てプラン」により、子育てに関する各種施策に取り組んできました。本年二月には同プランの見直しを行い、今年度から平成二十六年度までの後期計画を策定し、より一層の施策推進を目指しています。今日までの取り組みの結果、本県ではさまざまな保育サービスの充実が図られ、都市部に見られるような保育所待機児童の問題もほとんど見られていません。生まれた子供を育てるための支援は、以前よりも好転しているものと考えます。  にもかかわらず、本県の若年層からは子供を産もうとする意欲が感じられないような気がしてなりません。去る九月二日に厚生労働省が発表した平成二十一年人口動態統計によると、本県の平成二十一年における出生数は九千五百二十三人と調査開始以来初めて一万人を下回り、一人の女性が産む子供の数を示す合計特殊出生率は過去最低の一・二六と、全国の一・三七を下回っています。  今の若年層の多くには出産、子育てへの不安が重くのしかかり、子供を産むことへのためらいがあるのではないかと考えております。本県の少子化や人口減少がこのまま進行するようであれば、青森県の地域経済は衰退の危機を免れません。経済の衰退をとめ、地域の活力低下を防ぐため、将来の生産年齢人口の増加を図ることが何としても必要と考えています。そのためにも、これまでの育てることへの支援のほかに、若い世代が子供を産もうとする子づくりへの支援が必要なのではないかと考えます。  そこで質問です。  少子化に歯どめをかけるためには、夫婦がより多くの子供を産むことができるように支援することが必要と考えますが、県の考えをお伺いします。  次に、公立小・中学校における教育の現状と対応についてです。  本県の未来を担う人財を育成する上で、学校教育の果たすべき役割は極めて重要であり、その成否は教育に直接携わる教員にかかっていると思います。特に学級担任や部活動の顧問は子供たちの人格形成に大きな影響を与えることから、教員には広い教養、充実した指導力、児童生徒に対する深い教育的愛情などの資質、能力、適性を有することが求められております。  学校現場においては、正規の教員のほか臨時講師も配置され、日々教育活動を頑張っているという反面、臨時講師が学級担任を持っていることに不安を抱いているという保護者もいると聞いております。  そこで、二点お伺いします。  一点目は、臨時講師の配置事由について伺います。  二点目は、教諭と臨時講師の職務を含めた違いについて伺います。  さて、私は、小学校、中学校、高校を通してたくさんのすばらしい先生に巡り合うことができました。単に勉強を教えてもらっただけではなく、それぞれの先生方の人間味あふれる指導に教え導かれました。しかしながら、近年、急激な社会変化の波を受けて、学校を取り巻くさまざまな課題も急増しており、こうした課題にこたえるため、学校の先生には実践的な指導力やコミュニケーション能力のさらなる向上が求められています。そのためには、子供たちを取り巻く環境を的確に把握し、個々の課題を解決できるように教員の資質を高めていく取り組みが重要であります。  そこで質問です。  研修を通じた教員の資質向上に向けた取り組みについて伺います。  最後に、コンビニ強盗の防止対策についてです。  コンビニにつきましては、二十四時間で営業し、食料品や日用品はもちろん、雑誌、酒類も販売しており、多くの方々が利用しており、我々にとりましても非常に便利な存在であります。県内には四百店舗を超えるコンビニが営業しているとのことでありますが、深夜帯になりますと、通常、一人か二人の店員しかおらず、しかもアルバイトである場合が多く、強盗や万引きなどの犯罪が起こりやすい環境にあるものと考えます。  確かに、防犯カメラや非常通報装置などを備えているところもあると思われますが、覆面などをし、刃物を用意して、外部から中の様子を確認し、客がいなくなったことを確認して押し入れば、だれでも簡単に強盗ができるようであります。現に、今月十四日早朝には、青森市内において、包丁を持った七十歳の女性がコンビニに押し入り、現金を奪うという強盗が発生しているところであり、パトカーなどが不定期に巡回したり、店員に対する防犯意識を高めるなど、コンビニ強盗の未然防止対策を徹底していく必要があると考えます。  そこで、二点お伺いします。  一点目は、本県の最近五年間におけるコンビニ強盗事件の発生状況についてお伺いします。  二点目は、コンビニ強盗の未然防止対策についてお伺いします。  以上で壇上からの質問を終わります。 62 ◯議長(長尾忠行) 知事。 63 ◯知事(三村申吾) 工藤慎康議員にお答えいたします。  まず、私から、観光客の旅行形態の変化、そして旅行ニーズの変化に対し今後どのように取り組むかであります。  県が例年実施しております青森県観光レクリエーション客面接調査結果によりますと、四人以下の少人数旅行が、平成二十一年は全体の約八割を占めており、また、旅行者のニーズは、従来の見る、食べる、遊ぶから、人との触れ合いや地域ならではの文化、産業、歴史を体感し、人生を豊かにするような感動を求める旅へと変化しており、私は、このような変化は豊かで多彩な地域資源を有する私ども青森県にとって大きなチャンスであると、むしろとらえております。  このため、県では、このような旅行ニーズの変化に的確に対応し、本県のさまざまな情報を戦略的に発信し、マスコミ等での露出を飛躍的に高める取り組みを進めてきております。  具体的には、広く全国の方々に本県の各種観光資源を認知いただくため、生活者の行動に影響を与える、例えば著名人、芸能人や個人ブロガー等のいわゆるインフルエンサーと申しておりますが、このインフルエンサーに対し、情報提供活動を展開し、インターネット等でのブームをねらっております。  今年度からは、これまでの取り組みに加えまして、新たに県職員がみずから撮影したさまざまな動画をWEBTVとしてインターネットで配信し、本県の魅力ある観光資源の情報発信力を高めていくこととしております。十一月中の本格稼働に向けて、現在準備を進めておる段階であります。  今後も、さまざまな媒体を通じて本県の観光資源の認知度を高めることにより、観光振興の推進と地域経済の活性化に結びつけていきます。  新幹線全線開業により若年層の県外流出が懸念されるのではないかということであります。  本県では、自然動態の減に加え、県外転出者が県内転入者を上回る社会動態の減が人口減少の要因になっておるところであります。社会動態では、特に中学校、高等学校及び専修学校、大学等の卒業年齢に当たります十五歳から二十四歳にかけて、大きくその人口が減少する傾向にあり、新卒者の相当数が進学、就職のため県外に転出している状況にございます。  このような若年層の県外流出は、労働力人口の減少、子供を産み育てる年齢層の減少による少子化の進行、地域コミュニティー機能の低下など、地域の社会経済にさまざまな影響を及ぼす課題であると認識しております。  このような若年層の県外流出に対応し、若年層の県内定着及び進学等を契機に県外へ転出した人財の還流を図るため、これまで本県の強みであります食料であるとかエネルギー、豊かな自然環境や地域固有の技術、すぐれた人財など、あらゆる地域力を最大限に活用し、県民一人一人の経済的基盤の確立、すなわち生業(なりわい)づくりに全力で取り組んできたところでございました。  また、先般の青森デスティネーションキャンペーンに向けたコンテンツ集の取りまとめは、各市町村がみずからの地域のすばらしさを再発見し、自信を持つ格好の機会となったところであり、東北新幹線全線開業は、交流人口を拡大し、地域を活性化し、生業(なりわい)づくりを進める絶好のチャンスでもあると考えるところです。  今後とも、選択と集中の視点のもと、地域経済の発展や地域づくりを牽引するチャレンジ精神にあふれる人財の育成、攻めの農林水産業を軸としたあおもり「食」産業の充実強化、新たなビジネスチャンスを創出する低炭素社会を見据えた環境・エネルギー産業の振興など、新幹線開業の効果をむしろしっかりと獲得できるよう着実に取り組んでいく所存であります。
     少子化に歯どめをかけるために、より多くの子供をつくれる支援ということでございました。  少子化の進行に歯どめがかからない中、本県の未来を創造する子供たちは、まさに私たち県民の宝であり、希望であります。これまでも申し上げてきました。そして、子供たちが笑顔にあふれ、健やかに心豊かに育つための支援は未来への投資であるとの認識をかねてからお示ししてきたところであります。  私は、これまでも県民だれもが安心して妊娠、出産することができる環境づくりのため、妊婦健康診査の公費負担制度や特定不妊治療費への助成の拡充、あるいは周産期医療体制の充実など各種施策に取り組み、夫婦の出産を支援してきました。また、本年二月に策定しました青森県次世代育成支援行動計画「わくわくあおもり子育てプラン」(後期計画)では、合計特殊出生率の増加やワークライフバランスの実現を掲げ、施策の推進に取り組んでいるところであります。  現在の急速に進行する少子化の状況は、望ましいことではありません。私は、次世代を担う本県のすべての若者が家庭や子育てに夢を持てる社会づくりが重要と考えるところであります。そのため、結婚、出産、子育てに対する希望を実現できるよう、今後とも、だれもが多様で柔軟な働き方、生き方が選択できる青森ならではの社会づくりに向けて、重点的かつ着実に取り組む所存でございます。  私からは以上です。 64 ◯議長(長尾忠行) 青山副知事。 65 ◯副知事(青山祐治) 並行在来線に係る線路使用料の増額の実現に県としてどのように取り組んでいくのかについてお答えします。  並行在来線の支援に係る財源に関しましては、去る五月に新幹線鉄道問題対策特別委員会で国に要望した際、国土交通省の幹部から、整備新幹線問題検討会議で検討している課題については、最終的には財源が問題となること、その財源の一例として、鉄道・運輸機構の特例業務勘定の利益剰余金についての言及があったと承知しております。  また、並行在来線関係道県、JR七社などにおいても利益剰余金の活用について訴えているところであり、本県においても、九月十日に知事と長尾県議会議長、山内新幹線・鉄道問題対策特別委員長が要望した際に、貸付料やこの利益剰余金の活用について提言してきたところであります。  利益剰余金については、旧国鉄用地の売却収入、JR各社の株式売却収入、新幹線債権に係る収入などの国鉄改革に由来するものを主な財源として生じたものであることから、並行在来線を含む鉄道に係る支援に活用されることこそが趣旨にかなうと考えられることから、ただいま工藤議員からも御提言がありましたように、県議会の皆様の御協力をいただきながら、引き続き関係者ともども一致協力して国に強く働きかけてまいりたいと考えております。  よろしくお願いします。 66 ◯議長(長尾忠行) 企画政策部長。 67 ◯企画政策部長(佐々木郁夫) 御質問五点にお答えします。  まず、並行在来線に係る貨物走行についてです。  東北新幹線盛岡―新青森間に係る並行在来線の経営分離同意文書については、東北本線沼宮内―八戸間が平成三年七月九日付で、同八戸―青森間が平成十年一月十四日付で、それぞれ本県知事から当時の運輸省鉄道局長あてに提出されています。いずれの文書におきましても並行在来線上を貨物列車が走行することは記載しておらず、当該同意文書には貨物走行は含まれていないものです。  また、青い森鉄道線八戸―青森間の鉄道事業許可についてでございますが、国から許可された申請内容には、青い森鉄道線を使用させる相手方として青い森鉄道株式会社とJR株式会社を記載しています。  八戸―青森間は、旅客列車だけではなく、一日約五十本もの貨物列車が走行する区間であり、その走行を維持できる幹線としての設備を有しております。このような状況の中で、青い森鉄道線を維持し、旅客列車を走行させていくためには、二十二億円と見込まれる貨物線路使用料は必要な収入と考えられます。その上で、申請に当たっては、県として現在の貨物線路使用料は貨物走行の実態を反映していないと考えており、並行在来線の地方負担の軽減に向け、線路使用実態に見合った貨物線路使用料の負担割合の見直しを行うこと、及び、並行在来線維持のための県費負担に係る助成措置を講じることの二点を記載した文書を添付して国へ提出したものでございます。  次に、並行在来線への国の支援を実現させるための取り組み等についてです。  並行在来線の支援の実現につきましては、県政の重要課題として、これまで県議会と密接に連携しながら一体となって、その必要性と、国の貨物流通の大動脈でもある並行在来線の維持に当たっては、地方負担によるのではなく、国が積極的に関与すべきであることを国に強く訴えてきたところです。  このような本県を初め全国の並行在来線関係道県の要請活動などにより、国においては、昨年十二月に並行在来線の支援などを検討項目に上げて整備新幹線問題検討会議を設置し、現在検討が進められているところですが、検討の一環として行われましたことし二月のヒアリングにおいては、知事みずからが出席し、理を尽くして説明、要請を行ったところです。また、去る五月には県議会の新幹線・鉄道問題対策特別委員会で要請活動を行っていただき、その後も整備新幹線関係十八都道府県期成同盟会、東北新幹線建設促進期成同盟会、整備新幹線建設促進三道県協議会の青森県、岩手県、北海道知事による合同要請、北海道・東北地方知事会など広域的、全国的な組織連携による要請活動を行ってきたところです。  また、ただいま青山副知事から答弁申し上げましたとおり、概算要求後の去る九月十日には、知事と長尾県議会議長、山内新幹線・鉄道問題対策特別委員長が合同で、支援策について速やかに方向性を示し、青森開業までに実現するよう重ねて要請し、その上で鉄道・運輸機構の特例業務勘定の利益剰余金の活用などについても提言してきたところです。  今後も、並行在来線関係道県の要請活動が具体的に予定されておりますが、引き続き関係者が一体となって要望していくことが重要であり、将来にわたり安定した経営が可能となるスキームがぜひとも実現するよう、あらゆる機会を通じて粘り強く要請していくこととしております。  次に、空港利用促進の関係で、三沢―大阪線等の復便に向けた取り組みについてです。  本年四月、日本航空から経営再建の一環として、十月三十一日から青森―名古屋線、三沢―大阪線を運休する旨、県及び青森市、三沢市に報告がありました。その際、県から、利用者の利便性を確保するための協議の場の設置を要請し、青山副知事、青森市副市長、三沢市副市長と日本航空の経営企画本部長、事業計画部長から成る青森―名古屋(中部)線、三沢―大阪(伊丹)線運休に係る利便性確保検討会が設置され、これまで四回にわたり協議してまいりました。  三沢―大阪線については、検討会の中で、羽田空港で乗り継ぎが円滑に行われるような乗り継ぎ割引運賃の設定について協議し、その成果として十月三十一日から実施されることとなりました。  また、新幹線の開業により東京線の利用者の減少が見込まれる中でも、青森―東京線、三沢―東京線につきましては、現行の六便、三便を維持するとの回答をいただきました。  このほか、検討会で、県から日本航空に対し、日本航空の経営再建がなされ、再び路線を拡充する状況になった際には、三沢―大阪線の復便を優先的に検討するよう要望しているところです。また、平成十九年十月から運休しております三沢―札幌線につきましても、検討会の場で復便を検討するよう要望しています。  県としては、今後も引き続き日本航空に対し、両路線の復便に向け粘り強く働きかけていくとともに、県、三沢市や周辺市町村等で構成されます三沢空港振興会と連携し、県民の復便に対する機運醸成等に努めてまいります。  次に、三沢空港の利用促進に向けた取り組みについてです。  三沢空港の航空路線は、青森空港とともに、観光振興、企業活動の促進、交流人口の拡大等にとって極めて重要な役割を果たしていることから、県としては、航空路線の維持充実を図るため、需要の喚起や利便性の向上に取り組んでいます。  需要の喚起に向けましては、三沢空港振興会と連携しながら、先般、就航先である伊丹、羽田の両空港において青森県の観光、物産をPRするプロモーション活動等を行ったところです。また、日本航空のホームページを活用した本県空港利用促進キャンペーンや、旅行商品の造成支援、団体旅行利用者への助成金の交付などを行っています。  利便性の向上については、三沢―大阪線及び三沢―札幌線の復便に向け日本航空に働きかけていくとともに、三沢―東京線の増便についても要望しているところでございます。  いずれにしても、県としては、今後も関係機関と連携を密にしながら、三沢空港の一層の利用促進に努めてまいります。  最後に、全日空の青森―東京線への再参入の検討状況についてです。  本年十月末の羽田空港新滑走路の供用開始に伴い増加する発着枠については、二段階に分けて配分がなされることとなり、去る一月五日に国土交通省が、第一段階として国内線一日当たり三十七往復分の発着枠の配分を決定し、全日空には十一・五往復分の発着枠が配分されました。  今回の発着枠については、その多くを既存ネットワークの維持に充てる予定とのことであり、全日空によれば、青森―東京線への再参入については、東北新幹線全線開業後の青森―東京線の航空需要の推移を見ながら検討していきたいとのことであります。  羽田空港の発着枠については、今後、第二段階として国内線、国際線合わせて七十二往復分を配分することとなっており、配分時期については、報道によりますと二〇一三年ごろとなっております。  県としては、第二段階の配分に合わせ、青森―東京線の充実を図るため、引き続き国及び航空会社の動向把握に努め、タイミングを図りながら参入について働きかけていくとともに、青森空港振興会議等と連携しながら、一層の需要喚起に取り組んでまいります。  以上です。 68 ◯議長(長尾忠行) 農林水産部長。 69 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 御質問三点にお答えいたします。  最初に、ホタテガイ養殖のTASC制度への取り組み状況についてです。  TASC制度は、過密養殖の防止や母貝不足の解消を図るためにホタテガイの生産量の上限を定めた県独自の制度で、平成二十一年度に試験運用を行ったところであり、今年の二月に陸奥湾の関係漁業団体が集まり、県立ち会いのもとで協定書の締結が行われ、四月から本格的に取り組みがスタートしたところです。  県としては、事務局となっているむつ湾漁業振興会が、最終的に年度終了後に関係漁協からの報告によりTASC数量が遵守されているかどうかを確認することとなりますが、今後とも適切に協定書が運用されるよう積極的に指導するとともに、この制度がホタテガイの価格向上につながるよう漁業者への定着に努めていきます。  次に、養殖ホタテガイにことしの猛暑による影響が生じている中でのTASC制度への対応についてです。  今年の猛暑によって陸奥湾のホタテガイがこれまでにない高水温に見舞われたことから、来年度以降の生産に必要な稚貝や、来年春の産卵用母貝の確保が懸念されています。  県では、TASC制度の今後の運用に当たり、全湾で行う稚貝の生残率調査や母貝をも含めた養殖ホタテガイ実態調査の結果を踏まえて関係漁業団体との対応を協議するとともに、漁業者への指導に努めてまいります。  最後に、陸奥湾の漁業振興に向けてのつくり育てる漁業の推進についてです。  県では、今年三月に策定、公表した第六次青森県栽培漁業基本計画の中で、ヒラメ、マダラ、ナマコなど十種類を対象として技術開発や種苗生産、放流を進めていくこととしており、陸奥湾においては、特にホタテガイに次いで生産量の多いナマコについて、これまで種苗生産マニュアルを作成し、種苗放流を行ってきたほか、今年度からは、稚ナマコを藻場や砂泥域、ホタテガイ貝殻敷設場所など環境の異なる漁場ごとに放流し、追跡調査により効率的、計画的な種苗放流技術の開発に取り組むこととしています。  また、ヒラメやマダラについては、既に稚魚の放流を進めているほか、マコガレイやナマコなどの育成場となる干潟、藻場の再生保全にも取り組んでおり、今後とも陸奥湾の海域特性を生かしたつくり育てる漁業を積極的に展開し、漁業生産の増大と漁家所得の向上に努めていきます。 70 ◯議長(長尾忠行) 教育長。 71 ◯教育長(橋本 都) 御質問三点についてお答えいたします。  初めに、公立小・中学校における臨時講師の配置事由です。  臨時的に任用している講師については、教員の出産休暇、育児休業、病気休暇、休職及び長期研修などを行う場合の代替のほか、本県独自で実施している少人数学級編制への対応のために配置しております。また、今後の児童生徒数の減少に伴う定数の減及び学校統廃合を勘案し、年齢構成の適正化を図ることや整理退職を避ける観点などから講師を配置しているところです。  次に、教諭と臨時講師の職務を含めた違いについてです。  教育職員免許法では、教諭、講師などの教育職員については、同法により授与される各相当の免許状を有する者とされております。また、学校教育法では、「教諭は、児童の教育をつかさどる」、「講師は、教諭又は助教諭に準ずる職務に従事する」と規定されており、教諭と講師については基本的に同様の職務となっております。  学級担任の決定に当たっては、各学校において当該学校の教員全体の中から、それぞれの学年の特性を踏まえ、また、それぞれの教員の適性や経験などを勘案しながら、校長が適切に決定しているところです。  各学校では、児童生徒の健やかな成長という共通の願いのもと、校長の運営方針に基づき、講師を含め、全教職員が一丸となって教育活動に取り組んでいるところであり、県教育委員会といたしましては、今後とも教職員の適正配置に努めてまいります。  最後に、研修を通じた教員の資質向上に向けた取り組みです。  学校教育が抱えるさまざまな課題に対応するため、議員からお話がありましたように、専門的な知識はもちろん、豊かな人間性を備えた教員が求められております。  そのため、県教育委員会では、すべての教員を対象に経験年数に応じて初任者研修、教職経験五年研修及び十年経験者研修を実施し、教育者としての使命感、教育的愛情、教科等に対する専門的知識や指導力など、教員の資質向上の充実に努めております。  さらに、県総合学校教育センターにおいては、教員が教育専門職としての指導力の向上が図られるよう、各教科等に関する実践的研修を実施しております。特に、教員が児童生徒との温かな信頼関係を深め、一人一人の悩みや不安を受けとめられるよう、教育相談、生徒指導などの研修の充実を図っているところです。  児童生徒や保護者、地域から信頼されるよう、教員みずからが積極的に研究と修養に努め、実践的指導力と豊かな人間性を備えることは、急激に社会が変化する中においてますます重要であると考えております。県教育委員会としても、引き続き教員の資質向上に向けた取り組みの充実に努めてまいります。  以上でございます。 72 ◯議長(長尾忠行) 警察本部長。 73 ◯警察本部長(寺島喜代次) 御質問二問についてお答えします。  まず、本県の最近五年間におけるコンビニ対象の強盗事件の発生状況であります。  平成十七年が五件、十八年三件、十九年と二十年は発生なし、二十一年は五件となっております。なお、本年、平成二十二年は本日現在で、御指摘のありましたものも含めまして四件発生しておりますが、そのうち二件については検挙しております。  続きまして、コンビニ対象の強盗事件の未然防止対策についてお答えします。  県警察では、コンビニに対して、強盗事件を想定した防犯訓練、店舗内外の防犯診断、パトロールボックスを利用した立ち寄りと防犯指導、こういったものを頻繁に行うなどいたしまして、強盗事件の未然防止に努めております。また、本年は四件のコンビニ対象の強盗事件が発生しておりますが、その都度、青森県深夜スーパー等防犯協力会長に対しまして、各種防犯対策の強化を要請するとともに、全店舗に対して防犯診断を実施するなどして再発防止を指導しております。  さらに、本年八月からは店舗の立ち寄り警戒の頻度を高めるため、制服警察官は積極的にコンビニなどへ立ち寄り、その際に飲食物等の購入も可としたところでありますが、八月二十四日には、五所川原警察署員が弁当購入の目的もあってコンビニに立ち寄った際、パトカーを見て逃げ出した少年に職務質問を行った結果、自動車盗の被疑少年であることを解明し、三人を検挙するといった効果も出ております。  県警察では、このような対策に引き続き取り組むとともに、制服警察官やパトカーの姿を積極的に見せる街頭パトロール活動、防犯上の効果が高い地点における警戒活動も強化するなどいたしまして、コンビニ対象の強盗事件を初めとする各種犯罪の未然防止に努めてまいります。  以上でございます。 74 ◯議長(長尾忠行) 工藤慎康議員。 75 ◯三番(工藤慎康) 御答弁ありがとうございます。  再質問二点ございます。  まず初めに、並行在に係る負担軽減に向けた取り組みについてであります。  先ほどの御答弁によりますと、鉄道事業許可申請時に線路使用実態に見合った使用料の負担割合の見直しということと、並行在維持のための負担に係る助成措置、この二点についての文書を添付して申請を提出したということでありました。本年二月に許可が出た際に、それ以降、現在に至るまで国からその二点について何らかの動きもしくは回答があったのかお伺いいたします。  それから、二点目は、陸奥湾の漁業振興対策についてです。  先ほど、TASC制度というものがホタテガイの適正養殖可能数量の上限制度でございまして、その中で、例えば本年のような猛暑の被害があった場合、漁業所得の低下というものが考えられるんですけれども、このTASC制度に取り組む漁業者にあって、この生産数量の規制等が水揚げ金額あるいは収入の安定に影響を及ぼすおそれがあると考えるんですが、この養殖業の経営安定対策についての県の考えをお伺いしたいと思います。  以下は要望でございます。  まず、観光振興について。  壇上から申し上げましたように、東北新幹線全線開業に向けてのさまざまな取り組みは、何をしたかというものに当たりまして、認知度の向上に向けたものであります。ただ、今後について、開業後については、やっぱりそれらの取り組みが何をもたらしたのか、これがポイントになってくるのでありまして、その効果について今後検証を行い、その結果をアウトプットして、それをまた新たな取り組みに結びつけていただく、いわゆるPDCAサイクルでございますけれども、この取り組みについても実行していただければと思っております。  また、観光振興については各部局でさまざまな取り組みがなされていると聞いております。それぞれの取り組みが連携した状態で新たなる情報発信の連鎖になるように、部局を超えた連携でさらなる取り組みを要望させていただきます。  それから、県内空港の利用促進についてであります。  日本航空の経営再建、これは非常に大事なことであるのでありますけれども、利用客は待ってくれません。八戸駅開業のときに三沢にあったことは以前にお話ししたことがあると思うんですけれども、日本航空の対応というのは、利便性を無視したダイヤの改正やダイヤの改悪ということを平気でやるんです。そういうのが影響しての再建だとは思うんですが、路線の運休と表現しているだけの運航廃止ですとか、そういったこともあるわけでございます。  また、今話が出ております機材の小型化、これはせっかく青森空港はCATIIIを整備したのでありますが、小型機は対応していないんです。そうすると、就航率の低下というのが懸念されるんです。我が県内には、今空港が二つあります。青森空港と三沢空港。冬の期間は、どちらかといえば三沢空港は天候が安定しているんです。例えば青森空港におりられない場合、県内空港を代替空港として指定しておりてもらう。その辺を、以前は、JASの時代はあったんです。青森空港におりられない飛行機が三沢空港におりる、仙台空港におりるというのは、以前はあったんです。JALになってから全くなくなったんです。その点を踏まえた上で今後アプローチしていただきたいと思います。  それから、新幹線開業が社会動態に及ぼす影響についてでありますけれども、先ほど御答弁の中で、いろんな勉学の場ですとか、そういったので出ていく子供たちがあるという御答弁もありました。本県にはエネルギーに関する世界に先駆ける施設があるわけでございます。例えば、そういった学問を学ぶ場を本県に誘致することで、本県にあるものを学ぶということでの、逆に県外からの流出人口を獲得するということにも可能性が出てくると思いますので、今後そういったことも含めながら、勉学の場という――企業を誘致するのはもちろんなんですけれども、それを支える勉学の場を提供するということも一つ検討に加えていただければありがたいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。  それから、公立小・中学校における教育の現状についてなんですけれども、先ほどの御答弁によりますと、教師も臨時講師も職務については変わらないと、資質についてもほとんど差がないという御答弁だったと理解しております。どうしても臨時で行きますと、臨時講師のという紹介を受ける。私も壇上のほうで臨時講師という言葉をあえて使わせていただいたんですが、講師と教諭と同じというのであれば、紹介時に臨時と言うと、何か補ったといいますか、やっぱり何となく頼りないイメージを受けるんです。ですから、紹介時には、臨時という言葉ではなくて、何か違う言葉で、彼らの地位を確保できるような形での対応をしていただければありがたいと思います。  それから最後に、コンビニ強盗の防止に関連して、事件、事故、窃盗事件とかそういったものは夜間に多く発生するものであります。例えばコンビニについても、発生件数はまだ五件、四件という話でございますけれども、県内に四百軒近くあるコンビニすべてにまた巡回させるというのも、夜間配置上、無理な部分もあると思います。  これは先ほど五所川原のほうで、夜食ですか、夕食ですか、買いに行ったので、子供が自動車窃盗ですか、そういうのを検挙できたという例はあるんでございますけれども、また新幹線が開業するといろんな方も出入りすることになると思います。夜間においての事件、事故の発生率というのは余り上がってほしくないんですが、上がる懸念もあることから、現在の夜勤体制で警察官の方々も非常に苦労されているのもちらっと小耳に挟んだこともございますので、今後の交流人口の増大ですとか、そういったものを含めることによって、事件、事故に対する夜間の対策というのも必要になってくると思いますので、その警官の補充なり、そういったことの人数のことも今後検討していただければありがたいかなと思います。  以上でございます。 76 ◯議長(長尾忠行) 企画政策部長。 77 ◯企画政策部長(佐々木郁夫) 再質問にお答えいたします。  鉄道事業許可申請後の何らかの国の動き、回答があったかについてでございます。  鉄道事業許可申請書につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、昨年十一月二十五日に提出したところでございます。その後、国においては、同年十二月に整備新幹線問題検討会議等を設置し、並行在来線の維持に伴う地方負担の軽減などについて検討を開始いたしました。その後、本年二月九日に整備新幹線問題調整会議が開催したヒアリングにおきまして、本県からは知事みずから出席し、青い森鉄道線は我が国物流の大動脈であることから、貨物輸送維持のために高水準の保守管理を行わざるを得ない状況となっていること、県が実施した東北地方の旅客のみの中小民鉄との比較調査結果を踏まえれば、貨物と旅客の負担割合は八五対一五が適当であることなどを具体的に割合を図示した資料を提示の上、説明し、線路使用料の負担割合の見直しなどをぜひとも実現するよう、直接、国土交通大臣政務官を初め総務、財務の各大臣政務官に対し強く要請したところです。  その後もあらゆる機会をとらえ、県議会の皆様や並行在来線関係道県などとも連携し、線路使用料のこの課題などを具体的に指摘しながら箇条的に要望を行ってきているところであり、国におきましても、この間、本県のこうした実情について理解が相当程度深められてきていると受けとめているところです。  国におきましては、年末に向けた予算編成過程におきまして検討が引き続いていることから、県としては、こうした国の動向を注視しつつ、青い森鉄道線に係る県負担を最大限軽減するスキームの実現に向けて、引き続き線路使用料の負担割合の見直しによる増額や国による財政支援措置について、県議会の皆様や国会議員の皆様、関係道県と連携し、強く求めていきたいと考えておるところです。 78 ◯議長(長尾忠行) 農林水産部長。 79 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 再質問にお答えいたします。
     ホタテ漁業者の経営安定のためには、適正生産量を維持するTASC制度を基本としながらも、みずから不漁や災害、価格の低迷等に備えて漁業共済に加入することが重要であると考えています。平成二十三年度から実施予定の国の漁業所得補償対策においても、TASC制度のような資源管理に取り組む漁業者に対して、共済掛金に対する国庫補助率引き上げや積み立てプラスの補助率拡充等が見込まれていることから、系統団体と連携し、資源管理とあわせて共済加入制度への促進により経営の安定を図ってまいります。  〔工藤慎康議員、発言を求める〕 80 ◯議長(長尾忠行) 工藤慎康議員に申し上げます。  二回の発言回数を超えております。要望もしくは指摘のみにとどめてください。(発言する者あり) 81 ◯三番(工藤慎康) 私の先ほどの再質問の内容というのは、事業申請を出した段階で添付した二点の案件について、国から何らかの回答があったかないかの質問なんです。あったか、ないかなんです。  先ほどの答弁の中で、昨年十二月に、支援についての検討項目を上げて検討しているという話は聞きました。しかしながら、来年度の予算要求には組まれていないんです。概算要求に入っていないんです。ということは、何も答えが出ていないんです。ですから、その事業申請の段階で二つの項目に対してのお願いしたもの、それに対して国から何か答えが出たのか、全くないのかということをお聞きしたんです。それにお答えしていただきたいと思います。  それと、それを踏まえて要望を先に言わせていただきます。(発言する者あり)  では、先に答弁を求めます。 82 ◯議長(長尾忠行) 企画政策部長。 83 ◯企画政策部長(佐々木郁夫) 国におきましては、年末に向けまして予算編成作業が続いておる、その作業過程におきまして検討の動きが引き続いていると考えてございます。 84 ◯議長(長尾忠行) 以上をもって本日の議事は終了いたしました。  明日は午前十時三十分から本会議を開き、一般質問を継続いたします。  本日はこれをもって散会いたします。 午後四時三十八分散会 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...