青森県議会 2010-09-16
平成22年農林水産委員会 本文 開催日: 2010-09-16
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◯西谷委員長
ただいまから
農林水産委員会を開きます。
慣例により、会議の
記録署名委員を指名させていただきます。今回は
山内委員と北委員にお願いいたします。
本日の
審査案件は、
特定付託案件であります。
初めに、執行部より
報告事項があります。──
有馬農林水産部長。
2
◯有馬農林水産部長
おはようございます。4件、御報告を申し上げます。
最初に、平成22年8月31日から9月1日にかけての
大雨洪水被害にかかる
農林水産業関係の
被害状況と対策についてです。
まず
被害状況ですが、9月16日現在の被害額は約10億5,500万円となっています。その内訳は、
農作物関係では、大鰐町や
五所川原市などにおいて、水稲の
土砂埋没、倒伏など約44ヘクタールで約330万円、
転作大豆などの冠水が約25ヘクタールで約130万円、
リンゴ園地の浸食などによる果実、樹体の
損傷被害が約180万円。
農地・
農業用施設関係では、大鰐町、弘前市、
五所川原市などにおいて、農地の
法面崩壊や冠水、農道の
法面崩壊や橋の流出、
農業用水路の法面の崩壊などで、被害額5億8,600万円。
林地の関係では、大鰐町、鰺ヶ沢町、深浦町において、
林地崩壊などで約4億6,000万円。
漁港施設関係では、
外ヶ浜町、佐井村などにおいて、漁港内への
土砂流入で約200万円となっております。
災害への対応についてでございますが、
農作物関係につきましては、9月1日に農地からの排水や倒伏した稲の対策等の
臨時生産情報を発行したほか、農協等と連携して
被災農家の
巡回指導を継続しております。
農地・
農業用施設関係につきましては、来年の営農に支障を来さないよう、年度内の復旧に向けて、11月上旬に
災害査定を受けられるよう国と現在調整中です。
林地関係につきましては、既に緊急を要する
崩壊箇所の
現地調査・測量を終えておりまして、年度内の復旧に向けて国と調整中です。また、これ以外の箇所についても、順次復旧に向けて対応しているところです。
漁港施設関係につきましては、既に今別町、中泊町で復旧を終えており、
外ヶ浜町、佐井村の被害も年内に復旧する見込みとなっております。
次に、2点目として、農作物の生育と農作業の
進捗状況等についてです。これまでの
気象経過と今後の見通しですが、青森市の8月から9月の前半にかけては、
平均気温は平年と比べて、8月は3度、9月前半は3.2度上回りました。日照時間は平年と比べ、8月は95%、9月前半は116%となっています。降水量は平年と比べ、8月は115%と多く、9月前半は88%と少ない状況になりました。
今後の見通しですが、
平均気温は高く、降水量は多め、日照時間は平年並みと予想されております。
農作物の生育・
作業進捗状況と今後の対策についてです。
まず、水稲でございますが、9月1日現在の登熟の状況は、つがるロマン、まっしぐらともに平年を上回っています。ことしは
刈り取りが可能となる時期が平年よりも13から18日程度早く、しかも
刈り取りの適期幅が短くなっています。9月12日現在の
稲刈進捗状況は、県全体で0.7%となっており、最も進んでいる
下北地域では
刈り取り始めが例年より14日早い9月10日となりました。
今後の対策ですが、
ほ場ごとのもみの
黄化程度を見きわめて
適期刈り取りに努めるほか、刈りおくれによる
品質低下が生じないよう、計画的に
刈り取り作業を進めるよう指導してまいります。
刈り取り後のもみの
水分むらに配慮した乾燥を励行し、過乾燥米や
胴割れ粒の
発生防止に努めてまいります。また、稲わらの
有効活用と
焼却防止を徹底していくこととしています。
次に、畑作・野菜・花きですが、大豆の生育は、虫による葉の食害が見られているものの、おおむね順調です。
ナガイモの生育は、イモの長さが平年を上回っており、太さはやや下回っています。高冷地の
秋ニンジンの生育は、おおむね順調です。トマトの生育は、高温の影響による落花のため、着果数が平年を下回っています。秋ギクの生育は、ややおくれています。
今後の対策です。大豆は、わい化病株や雑草の抜き取り、コンバインの準備を始めること。トマトなどの
ハウス栽培では、
温度管理、
かん水管理を徹底すること。
排水対策と
病害虫防除を徹底することを指導してまいります。
リンゴ等果樹についてです。リンゴの肥大は、ふじで横径が平年並みに回復していますが、縦径は下回っています。つがるの収穫は、高温の影響で着色がおくれているものの、熟度が平年並みとなっており、9月13日現在、3から4割程度の
進捗状況で、収穫の最盛期は今週末と見込まれています。
特産果樹の収穫始めは、ブドウのスチューベンが9月20日ごろ、
西洋ナシのゼネラル・レクラークが9月18日ごろの見込みです。
今後の対策です。つがるについては、
適期収穫を徹底すること。中・晩生種は、
適正着果、
着色管理、
適期収穫などを徹底すること。台風に備え、防風網の点検・整備や支柱の結束・補強などに努めることを指導してまいります。
飼料作物・家畜の状況です。牧草の3番草の収量は、平年を下回っています。
サイレージ用トウモロコシの生育は、草丈、葉数とも平年を上回っており、
絹糸抽出期も平年より9日早くなっているため、
収穫適期が早まることが見込まれています。8月5日から8日にかけての高温により、主にニワトリが死亡するといった被害も発生いたしました。
今後の対策です。牧草の
収穫作業は、降雨が予想される場合は早目に
サイレージに仕向けること。また、
サイレージ用トウモロコシは、子実の
登熟状況をよく観察し、適期になり次第収穫することを指導してまいります。
次に、県産農産物の
販売動向等についてです。
野菜の8月下旬の東京都
中央卸売市場での価格の動き等です。
ナガイモの価格は、引き続き市場全体の出荷量が少ないことから、高値で推移しており、前年比で48%高く、過去5カ年平均に比べても59%上回っています。ニンニクの価格は、22年産への切りかえがスムーズであったことに加え、中国産の出荷が少なかったことから、前年と比較すると高値で推移しており、過去5カ年平均に比べても18%上回っています。ダイコンの価格は、高温の影響により市場全体の出荷量が少なかったことから、前年と比較すると高値で推移しており、過去5カ年平均に比べても19%上回っています。トマトの価格は、市場全体の出荷量がやや多かったものの、
小玉傾向や品薄感が広まる中での需要の下支えもあり、前年と比較すると高値で推移しており、過去5カ年平均に比べても45%上回っています。ばれいしょの価格は、不作であった前年を大きく上回る出荷量となりましたが、主力の北海道産の出荷量が少なかったことから、前年と比較するとやや高値で推移しており、過去5カ年平均に比べても45%上回っています。
リンゴの価格です。8月27日に出荷が始まった平成22年産つがるの価格は、出荷量が少ないことなどから1キログラム当たり315円で前年に比べて31%高く、過去5カ年平均に比べても10%上回っています。
青森県
家畜市場での子牛の価格です。
黒毛和種の子牛価格は、
取引頭数が少なかったことから上昇し、前年比では5%上回っています。
次に、平成22年産の米の概算金についてです。
全農青森本部の今年産米の概算金は、1等60キログラムで、つがるロマンが前年より2,900円安い8,500円から8,700円、同じくまっしぐらが前年より2,800円安い8,300円から8,500円となっています。また、
県米穀集荷協同組合の
仮渡し金は1等60キログラムでつがるロマン、まっしぐら、むつほまれとも前年より2,100円安い9,000円となっています。
最後に、最近の
漁模様等についてです。8月の
主要魚種の動向です。
スルメイカは、日本海及び
津軽海峡で低調、太平洋で好調に推移しました。
クロマグロは、日本海でやや低調、
津軽海峡で低調に推移しました。サバ類は、太平洋で低調、マイワシは太平洋で好調に推移しました。
ウスメバルは、日本海で好調、ブリは太平洋で低調に推移しました。
沿岸の水温です。9月6日から10日までの半
旬平均水温は、日本海で24度台、
津軽海峡では23から25度台、陸奥湾では25から26度台、太平洋では23から24度台となっています。日本海で平年並み、
津軽海峡、陸奥湾、及び太平洋では甚だ高目、全地点での平年差は
平均プラス2.9度で、甚だ高目となっています。
その他、最近の
主要漁獲物の状況です。9月上旬の
主要漁獲物は、日本海では
スルメイカ、
クロマグロ、
ウスメバル、
津軽海峡では
スルメイカ、
クロマグロ、太平洋ではサバ類、
スルメイカ、ブリとなっています。
陸奥湾の
ホタテガイ養殖の状況です。水温が高い状況が続いているため、
ホタテガイ養殖管理情報第6号を発行しまして、
養殖施設を動かさないよう指導しています。
八戸港の水揚げです。8月の水揚げは1万4,920トンで、前年同月より21%減少、金額は35億500万円で28%増加しました。主な要因として、
アカイカや
スルメイカの単価が2倍近くに上昇したことが挙げられます。なお、1月から8月までの
累計数量は4万6,727トンで、前年同期累計より20%減、
累計金額では108億9,700万円で3%の減となっています。
以上でございます。
3
◯西谷委員長
ただいまの
報告事項及び
特定付託案件について質疑を行います。
質疑は所管外にわたらないようにお願いします。
なお、答弁者は、挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。
質疑はありませんか。──
山内委員。
4
◯山内委員
それでは、去る8月31日から9月1日にかけての
大雨洪水被害についての状況について、今報告がございましたが、御質問申し上げます。この県内10億5,500万の被害を受けられたわけですが、被害を受けられた
皆さん方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。1日も早くこれを復旧して、農家の人たちが安心して来年からまた農作業ができるように、また、
皆さん方の努力も期待をいたしたいと思います。御報告を受けた中で、10億を超える被害なんですが、それの対応ということで、来年の営農に支障を来さないように、11月上旬に
災害査定を受けるため、国との調整中ということでありますが、まず、この見通しはどうなっているかお伺いをいたしたいと思います。
5
◯北林農村整備課長
まず、
被害状況の調査を行っております。その中での被害の
拡大防止であるとか、営農上の観点から必要な
応急工事を実施できるところは実施する、これももちろん町と連携いたしまして国と調整をするというような作業が必要でございますけれども。それで、全体としましては、各市町村に
復旧計画をまず立てていただいた上で、その後に
災害復旧事業の補助を受けるための
計画概要書を国に提出することになります。その後、11月上旬に国のほうから
災害査定を受けるというようなことで、現在調整をしているということでございます。特にこの中でも積算でありますとか、そういったことについては、県のほうから市町のほうに指導及び支援をしておるというような状況になってございます。
6
◯山内委員
私も当委員会でも調査したんですが、恐らく各議員がそれぞれ我々委員会で行かない地域もいろいろ
現地調査をしておられると思います。私ども、ちょっと調査したところがあるんですが、やはり来年安心して営農できるようにということをみんな望んでいるわけでありますが。これでいきますと、もし国の査定が決まったとして、本県の負担額というのはどうなっているのか。これは補正予算で持って来たのかどうか、ちょっと私確認したいと思うんですが。よろしくお願いします。
7
◯北林農村整備課長
農地農業施設につきましては、通常でありますと、国費は、農地以外の場合は70から80%の補助率、施設費の場合は80から90%ということになっておるようでございます。そのほかの負担は、基本的には県分はございませんで、町と農家が、町、これは各市町によって違うわけですけれども、あとは
地元負担ということになっておるわけでございます。
8
◯山内委員
そうしますと、この
災害復旧については、国の補助と
あと地元、これは軽減は何もないんですか。いろいろ、例えば農地もあるし、
農業用水路とかいろいろあるんですが、地元の市町村で対応するということだけのものなんですか、これをもう一度確認いたしたいと思います。
9
◯村川林政課長
林地被害については4億6,000万円ほど出ております。そのうち、人家ですとか道路に直接被害を与えるおそれがあるもの、これからの災害ですね、また直接被害を与えるおそれのある箇所3カ所について、今、国と
緊急措置という、年内に実施できる事業ですけれども、これを国と今調整中でございます。
10
◯山内委員
こういう災害で、いろいろ市町村での負担というのも、額はその市町村によって違う、少ないところもあるでしょうけれども、しかし、市町村の厳しい財政の中からそれを災害で負担するということは。県のほうは、ただ調査をして終わりだ、国などへ要求して終わりだというんじゃなしに、いろいろ県の今の政策の中でびっくりするような補助を出しているところがあるわけですから、これは、農林部だけでの問題ではないんですが、我々も、財政ともいろいろ議論していかなければならない問題だと思いますが、できるだけ、市町村に負担をかけない、地元に負担をかけない、そういう方法を検討していただきたい。我々も一生懸命その点を検討してまいりたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
11
◯北林農村整備課長
すみません、農地・
農業施設の災害、例えば、市町村が
事業主体となって
災害復旧事業を行う場合、その国費以外の補助残、先ほど、地元分と申しましたけれども、その
地方負担額については起債が認められています。一定部分につきましては、その
地方交付税措置、
基準財政需要額に算入されることになっているということでございます。
12
◯村川林政課長
先ほど申し上げました
緊急治山事業については、国が3分の2、県が3分の1、
地元負担はございません。
13
◯西谷委員長
ほかに質疑はありませんか。──三橋副委員長。
14 ◯三橋委員
私からもちょっと
報告事項について関連して質問させていただきたいと思います。
山内委員とともに、9月7日の日に大鰐町のほうの
現地視察をさせていただきました。そこで実際に流された橋脚等を見まして、地元の人たちがやっぱり感じているのは、これを現状で復帰してもらうという、
災害復旧の基本的な考え方でありますけれども、その橋脚は、よくこれで橋を支えているなというぐらい細いような橋脚でありまして、流されていない上流の橋等もありました。そういったものの補修とか改修、そういったものもあわせてできないのかなと、安心して農作業に励めるようにというような思いもかなりあったということが、実際に現地を見て、これは我々だけでなく、県のサイドとしても実際さまざまな視察をしていると思いますけれども、この積算等はあるんでしょうけれども、11月上旬の
災害査定、これはもう少し早くはできないものなんですかね。
15
◯北林農村整備課長
先ほど申しましたけれども、まず、
災害復旧のための
復旧計画というのを市町村に作成していただきまして、60日以内にまず市町村のほうに
災害復旧事業の補助を受けるための
計画概要書を国のほうに出していただくことになっております。その後に査定ということになるんですが、ただ、先ほど委員の御指摘がありましたように、被害の拡大のおそれがあるとか、あるいは営農上の観点からどうしても緊急に行わなければいけないということにつきましては、国とも相談いたしまして、必要な
応急工事については実施していくというようなことができるようになっておりますので、そこは国と調整しまして、必要な部分については
応急工事で対応していくことになろうかと思います。
16 ◯三橋委員
実際に我々が視察した箇所でも、
リンゴ園地に行く場所が閉ざされたり、それから、田んぼに行く場所が閉ざされたところもありましたけれども、これに関しては
迂回路等をつくって早急に対応していると考えてよろしいんでしょうか。
17
◯北林農村整備課長
委員のお尋ねは大鰐町の橋梁の部分と思いますけれども、その流失した3カ所、及び橋脚にひび割れが生じた1カ所につきましては、当面の通作や収穫に必要な迂回路は確保されておると聞いておるところでございます。
18 ◯三橋委員
この大雨に関しては、結局、
農林サイドだけの問題ではなくて、
県土整備も絡んできますし、当然、
河川そのもののあり方というところもあわせていかなければいけないわけでありますけれども、まず、この
農林サイドでできることを最大限、スピーディーにやっていただきたいと。そしてまた、実際、適期に
刈り取りできるような田んぼとかリンゴとか、その辺の体制というのを、特に大鰐の
財政状況等を考えると、なかなか自治体として対応できないものもあるということを考えれば、大鰐のみならずですけれども、この辺に関して、いろいろな形で地元としっかりと話し合って、この対策をとっていただきたいと思います。
続いて、ちょっと別の質問をさせていただきますけれども、先日、山梨のモモから
モモシンクイガが発生したということで、山梨県産の果樹が輸出ストップしたという状況があるわけですけれども、この
輸入停止はモモで発生しましたけれども、結局、リンゴ、ナシ、スモモ、これらすべてに及んでおりますけれども、本県でも平成15年に発生して、18年の
ルール改正があったわけですけれども、この
輸入停止は、他の農産物、リンゴやナシ、スモモにも及んでいるという、この経緯について、ちょっとお知らせください。
19 ◯一戸
りんご果樹課長
ほかの果物にも及んでいるという件でお答えをさせていただきます。委員おっしゃられたとおり、平成15年に、日本から輸出されたリンゴから
モモシンクイガが発見されまして、これは台湾にいない虫でございますので、
台湾政府は、この
モモシンクイガに寄生するリンゴ、ナシ、モモ、すもも、あんず、ナツメ、マルメロ、さんざし属の生果実の輸入を禁止したという状況でございます。
これを受けて、国のほうでも、台湾側と検疫について協議いたしました結果、台湾へ輸出するリンゴ、ナシ、モモ、すももの4品目について、いずれかの品目で
モモシンクイガが発見された場合は、この4品目すべてを対象に、1回目で輸出県、2回目で日本全体が
輸出停止にするということで合意に至りました。国では、平成18年2月に、この台湾の
検疫措置に対応した
台湾向け生果実検疫実施要領を制定しまして、現在、それに基づいて輸出が行われているという状況でございます。
20 ◯三橋委員
実際にこのモモ等の輸出量とかを見てみますと、モモで平成21年で306トン程度ということで、片やリンゴは21年で1万9,139トン、これだけあって、結局モモから出たからだめになると。他県で出ても本県もだめになると、かなり厳しいルールだと思うんですけれども、あくまで国際的なルールでありますから、これにのっとっていく上で、九州にも匹敵するというこの台湾の輸出の果実のほとんどを占めていると言ってもいいような場所でありますから、当然、検疫的にも気をつけて、相当慎重に対応しているとは思うんですけれども、今回の、当然、人によるミス、それからあとはやっぱり
検疫そのものというか、
検査そのものに問題があるとか、いろいろな問題があると思うんですけれども、山梨県の場合のこのモモに関して、原因究明というのはどのように行われているのか、一体どんな形で行われて、本県では同様のことが起こる可能性はあるのかどうかについてお聞かせください。
21 ◯一戸
りんご果樹課長
今回の台湾での
モモシンクイガの発生を受けまして、国では山梨県に対して、この発生原因、要は
モモシンクイガ寄生果実が発見された原因究明、これと改善措置をどうとっていくのか、これについて、現在、報告を求めている状況でございまして、その内容についてはまだ公表されておりません。
本県については、この害虫は県内におる害虫でございますけれども、
モモシンクイガの被害果を絶対台湾に輸出しないという、先ほど委員おっしゃられたとおり2万トン近いリンゴが台湾に行っておりますので、これについては絶対に輸出しないという方向で、これまでも
モモシンクイガの防除履歴がはっきりした果実であること、それから、選果梱包施設にもしっかりした責任者を置いて、被害果実を除去するということなどについて、関係者を対象とした研修会をたびたび開催しておりまして、周知を図っているという状況でございます。
今回の事態を受けまして、本県の関係者も非常に危機感を持っておりますので、今月24日には、通常10月に行う研修会を早めて、対策の強化に関係者一丸となって取り組むということとしてございます。
22 ◯三橋委員
これ、輸出対象の施設の選果ラインだけで90施設ぐらいあるというふうにお聞きしました。要は、そこにそれだけの人が張りついているわけです。そのうちの1人が、1秒、ちょっと見落としただけで、一番多いときには72億あった本県の台湾へのリンゴの輸出がストップしてしまう。この現状を考えたときに、かなり厳しい形で前倒しして臨んでいくという姿勢は高く評価しますけれども、実際やはり考えられるのは、ことしあたりは、これだけ高温の影響で、モモ等にそういったものが入った可能性があるということを考えれば、リンゴ等も通常の年に比べるとかなり温度が高かったということがありますので、通常の年であれば輸出する季節になれば、もう入ったとしても出てしまうというようなことでありますけれども、ことしの高温を受けて例年とは違うんだという形で、しっかり気を引き締めて対応をしていただかなければいけないと思っております。そしてまた、今はやはり食品の検査機器というのは、日進月歩で進んでおりますので、こういったモモの
モモシンクイガ混入を受けて、これは国全体で果実に対してそういったものをしっかり見きわめる装置の開発もあわせて行っていかなければいけないし、ぜひ、青森県がその先頭に立って行っていただけるように、何とか、まず、この一たんリセットして、来年以降も青森からは絶対に出さないという強い決意で臨んでいただきたいと思います。これは農家と県が一緒になってしっかり取り組んで、加工業者も含めて取り組んでいただきたいと思います。
もう1点だけ質問させていただきます。近年ですと、そろそろ大型クラゲがこちらの日本海側のほうに訪れて、漁業者が網の中で混入して大変な状況に陥っているというようなことが間もなくやってくるわけでありますけれども、ことしは大型クラゲ出現状況はどのようになっているのか、そしてまた、ある程度遠方の海での発生状況を見れば、この後の状況もわかると思いますが、今後どのようになると予想されているのかをお聞きします。
23 ◯松宮水産振興課長
お答えいたします。ことしの日本海沿岸での出現状況でございますが、8月23日に島根県の沖合で、傘の直径60センチほどの大型クラゲ1個体が確認されたのみということになっておりまして、現時点では日本周辺で大型クラゲの出現数は非常に少ない。中国、韓国の沖合のほうでも余り多くないという情報も入っておりますので、今後、ことし本県漁業への大きな影響は想定されていないという状況になってございます。
24 ◯三橋委員
昨年までの例を見ると、本当に漁業者が悲鳴を上げて何とか対応をとってくれということで。ただ、ことしは、かなりそういう意味ではある程度安心できるのかなと。ただ、ことしはよくても来年どうなるかというのは、まだ発生原因を特定できているわけでもありませんので、これは、中国、韓国等とも、ともに原因究明にはしっかり取り組まなければいけないと思います。あわせて、昨年、県内11台、クラゲのクラッシャーポンプ、吸い込んで切り刻むというような効果のあるものを導入しておりますけれども、まだ、どの程度の能力があるかというのを、実際、対応していないのでわからないということでありますけれども、最大限発生したときの個数と、このクラッシャーポンプで処理できる個数ですね、それと、やはりどの地区にどの台数があれば適正なのかということを、クラゲが今後発生しないのが一番いいんですけれども、発生したときのことを考えて、あらゆる場面で。例えば、ことし、日本海側、本県まで来ないとしても、島根沖等のほうでもし出てきたのであれば、そっちのほうに持っていって試験等を行うとか、この1年間ある意味猶予をいただいたような状況ではありますので、ぜひ、ここの対応も、当然、各漁協からの申請も出ていると思います。その必要台数というものもしっかりと、今後、県、国と話し合っていかなければいけないと思いますので、まずは、大型クラゲ対策も、今年度問題ないからといって手を抜くわけではなくて、しっかりと取り組んでいただければと思っております。
以上です。
25
◯西谷委員長
ほかに質疑はありませんか。──三上委員。
26 ◯三上委員
ただいま、山内、三橋各委員から、報告についてのお尋ねと要望がありました。私もその同じ思いをするわけでありまして。ただいまの報告を聞いて、今回の被害の状況、農地等の被害の状況は、大鰐を筆頭に、
五所川原、弘前という、そういう被害が集中的に出て、その対策に県が追われているという状況ではないかなと思います。これに準ずるような、ほかの地域は余り被害がなかったんですか、その辺だけまず確認したいと思います。
27 ◯樋口農林水産政策課長
今回の大雨被害の県内での被害の状況でございます。委員御指摘のとおり、県全体で10億5,500万円の被害額になっております。うち大鰐町が8億6,200万でございました。そのほか、弘前地域では、農地・農業用施設5,600万円、次に鰺ヶ沢町ですけれども、鰺ヶ沢町は林地の崩壊がございまして、これで5,000万円。それから
五所川原市ですが、農作物被害と農地・
農業用施設関係で4,600万円程度となっております。あとは今別町、
外ヶ浜町、中泊町、下北郡佐井村、それから深浦町、つがる市などで、それぞれ被害額としては小さいですが被害が発生しています。
以上でございます。
28 ◯三上委員
ただいまの報告のとおり、やや全県的、特に津軽方面に集中したのかなと、こう思っております。どうぞひとつ、
災害復旧に向けては、現場の声を聞きながら、よくこういう農地では、農林部だけに限らない、
県土整備部の関係も入るわけだけれども、現況復旧というこの強い規定があって、将来、せっかくだから川でも農道でも、若干修正をして、もっと流れをよく、あるいは通行のしやすい状況が、現場は出るわけだけれども、行政、国と地方行政と現場との考えの違いから、なかなかその点で進まないという実態が、我々も地方議会からずっと、国も経験して、そういうことを感じました。現場の声をある程度聞いて、制度そのものが現況復旧でありますから、なかなか変えることは困難なんですけれども、それが今までの常識が常識でない、そういう国政的な状況もなりましたから、その点を希望を申し上げて、お互いがよくなるようなそういう復旧をしていただきたい、そのことをまず要望申し上げて、それに対する見解を聞きながら、次の問題に入りたいと思います。
29 ◯鳴海農林水産部次長
委員御指摘のとおり、今回の被害について、市町村の職員と一緒になって現場に出向いて、しっかりとその
被害状況を把握しております。今現在まだ不足している部分、見逃している部分があるのかどうか、それも全力を上げて
被害状況をしっかりと把握して対応していくということで考えてございます。
それから、ちょっと先ほどの答弁に補足いたしますけれども、地元市町村の負担はできるだけ軽減することが基本になりますので、先ほど、補助率が70、80という話がありますけれども、局地激甚災害というものに指定されれば、さらに高率の補助がされることになっておりますので、
災害査定を受けてその被害額を算定した後に、しっかりとその辺についても対応していきたいというふうに考えております。
以上でございます。
30 ◯三上委員
ただいまのお答えでありましたように、いい制度に乗らせて、地域の被害、農地所有者の隣接地もお互いがよくなるような、そういう方向へ、今ある制度を十分に活用していただきたい、そのことをまず要望申し上げたいと思います。
委員長、別な問題へ入っていいでしょうか。
それでは、通告いたしました何点かについて質問したいと思います。平成22年度産米の作柄と、戸別所得補償モデル対策について伺います。先ほど来報告がありましたように、ことしの稲作の生育はすこぶる良好で、出穂も登熟も順調でありますけれども、むしろ降雨ひょう害等と見ると、胴割れなどが心配されている状況ではないかなと思っております。全国的に見て北海道や寒冷地でも作況がよいようであります。先月の
農林水産委員会では、民間の調査に基づいて議論をしましたけれども、その後、国及び公的機関の調査結果も出たようでありますから質問するわけでありますが、平成22年度産米の本県と全国の作柄状況はどのようになっているのか、このことについてまずお答えをいただきたいと思います。
31 ◯長根農産園芸課長
22年産米の本県と全国の作柄概況についてお答えをさせていただきます。8月15日現在の作柄ということで、国のほうで発表してございますが、本県の水稲の作柄につきましては、もみの数が平年に比べてやや少ないと見込まれているものの、初期の登熟が順調に推移したことから、県全体では平年並み、地帯別では、青森と南部・下北がやや良、津軽が平年並みと見込まれております。
同じ日に全国の作柄概況及び生育状況も発表されてございます。北海道・東北・北陸地域19道県の早場地帯の作柄につきましては、おおむね平年並みと見込まれてございます。19道県のうち平年並みが13道県、やや良が4県、やや不良が2県となってございます。
それから、それ以外の遅場地帯27都府県がございますけれども、こちらは平年並みないしやや不良ということになってございます。現在、
収穫作業がもう始まってございますけれども、本県及び各都道府県の9月15日現在の作柄概況が今月末に発表されますので、その時点で全国の作柄の見通しというものが出てくるかと思います。
それから、遅場地帯のほうの、先ほど平年並みは27都府県のうち19都府県、それからやや不良が8県ということでございます。遅場地帯のほうはこれは生育の状況でございますけれども、平年を上回る県は今のところございません。そういう状況になっております。
32 ◯三上委員
今、意外なお言葉をいただきました。遅場地帯では平年を上回る地帯はないというお答えでありました。そこをもうちょっと確認したいと思います。
33 ◯長根農産園芸課長
今の遅場地帯は、まず、作柄というよりも生育の状況ということがございますけれども、平年並みというのが27都道府県のうちの19都府県になります。群馬県とか埼玉県、関東エリア、それから、やや不良が8県ということで、愛知、広島、宮崎県等のエリアになってございます。ちなみに、それよりもっと早い早期栽培という、宮崎とか鹿児島、こちらのほうは5県ございます。こちらはもう出荷が始まってございます。こちらは作況指数が出ておりますが、97から101までになっています。宮崎、九州のほうは100が多くて、徳島県97、高知県97、宮崎県100,鹿児島県98、沖縄が101ということで、ほとんど早出しの部分でございますが、そういうことで、まだ全国的に作況指数が101だとか102、あるいは99とか、具体的な数値はまだ出てございません。それが今月末になる見込みです。
34 ◯三上委員
今のお答えにあったように、それにしても平年並みよりは下がらないという、そういう感じがいたします。
そこで次の質問に入りたいと思います。全国の作柄が平年並みだとしても、今問題になっている米は過剰になるのか。備蓄米との関係も含めて、県はその点をどう考えて、今後、備蓄米、過剰米の状況を含めて、これが市場に対してどのような影響を及ぼすと思うか、県の見解を伺いたいと思います。
35 ◯長根農産園芸課長
委員の御質問にお答えいたします。まず、在庫の関係でございますが、米の在庫につきましては、国の発表によりますと、ことしの6月末時点で政府備蓄米が98万トン、民間流通在庫が218万トン、あわせて316万トンとなっておりまして、昨年より18万トン多い状況となっております。
また、全国農協中央会でも試算してございますが、21年産米の10月末時点での持ち越し在庫30万トン、22年産の生産調整の未達成分、いわゆる過剰分として15万トンから20万トン、それから、米の消費減少分を8万トンと予想しておりまして、仮に全国の作況指数が100の場合では、合計で53万トンから58万トンが過剰になるのではないかというふうな予想をしております。
これに対して、備蓄のお話もございましたが、備蓄につきまして、国では、冷害等による米の不足時における消費者への安定供給が目的であって、備蓄そのものは過剰米対策や米価の維持対策ではないということで、緊急的な買い入れといいますか、そういう対応をしないという見解でございます。県としては、こういう状況の中で、全国の作柄がどういうふうになりますかわかりませんが、平年並みの場合でも、米の過剰はやはり続くものではないかということで、本県産米初め全国の米の販売価格は非常に厳しい状況になるのかなというふうに考えてございます。
36 ◯三上委員
ただいまのお答えのように備蓄米そのものは過剰対策ではない、あくまでも消費者、国民に安定的に食糧、主食を供給するという主たる目的でやっているわけでありますから、多少、備蓄米が過剰米という形で出たとしても、それは政府の責任でやってもいいのかなと。市場の影響をもたらすような、そういう原因にはしてもらいたくない、私の気持ちはそうであります。しかも、本県としてもそれでいいのかなと思っております。
そこで、あえて伺いますけれども、今回、米全体、あるいは農業全体の所得を現在も将来とも補償する、安心させるという、その目的で、戸別所得補償モデル対策が実施されています。そこで、本県の加入の状況、できれば面積と人口の関係も含めてお答えいただければありがたいなと思っております。
37 ◯長根農産園芸課長
米の戸別所得補償モデル対策の加入状況につきまして、8月20日に国のほうから速報値が発表されてございます。本県の加入面積は3万6,041ヘクタールとなっております。昨年度の主食用作付面積を対象とした場合、加入率は75.7%となっておりまして、全国より8%上回っている状況でございます。
38 ◯三上委員
最も新しい情報で、この制度の加入率は75.7%、全国と比べて8ポイント多いという結果だそうであります。この8ポイント多いということをどう見るかなんだけれども、それにしても、本県の生産者がこの制度に理解を示してよく加入したなと、私はそう思っております。ただ、人口については、80%という見方もあるけれども、この80%の見方は、私が今言ったことが、面積では75%、人口は80%ということは、多くの人がこの制度を理解して、実施に参加したなと、そういう解釈できるわけだけれども、この面積と人口の関係の差が何が原因していると思いますか、その分析、もしありましたらお知らせください。規模別でもいいし。
39 ◯長根農産園芸課長
人口等の関係。農家加入戸数ということでよろしいですか。今のお答えさせていただきましたパーセントというのは、面積だけの額ということで、昨年の実質主要種目ごとに75.7%になってございますが、加入件数ということになりますと、加入件数が3万958件、水稲の共済等の対象農家戸数が、これは21年ですが3万7,463戸ございます。これと比較しますと、82.6%の加入率となってございます。それから、加入件数につきましては、これは個人での加入が多いわけですが、集落営農で加入しているところもございます。ここの場合は、138営農集落で加入していまして5,500戸ほど構成員があるというふうに聞いていますので、この内訳をもう少し解析しないと、具体的に米の部分で何戸ということと、先ほどの、82.6%がもっと上回ってくるかと思いますけれども、最終的に数字何%になるかちょっとまだ計算してございません。
40 ◯三上委員
ただいま、加入件数の中では、農家の数と、加入単位が集落営農単位も含まれている件数、その件数の中で80%を超えるということは、大変いい結果だなとこう思っております。しかし、まだ10%以上、20%近いのが未加入であるわけでありますから、まあ、それは、小規模農家なのかもしれません。量的には、市場に影響が余りないのかもしれませんけれども、いずれにしても、まだ10%以上、20%近い農家が加入していないという、そこがこれからの過剰米の扱いについて、国の生産の現場、生産の現場というのは、出荷の現場というのは、農協も含めて大きな影響があると、そう思ってございます。
次の問題の質問をしてから、さらに質問したいなとこう思っております。そこで、今回、国では、今まで米に対する戸別の所得補償をする、しかしながら、米以外の作物はどうするんだという、そういう希望が多くあったわけでありますが、幸い、麦、大豆、ソバ、菜種など、主要6品目が畑作物所得補償交付金の対象になるというのがはっきり政府で明言されましたので、このことについて県はどのような見解と対応をしようとしているのか、現段階でのお答えをいただければありがたいなと思います。
41 ◯長根農産園芸課長
麦、大豆、ソバ、菜種の畑作物の所得補償制度につきまして、お答えさせていただきます。この畑作の4作物に対しましては、数量払いと面積払い、面積払いは10アール当たり2万円が交付されますけれども、どちらか高いほうの額が交付されるという制度になってございます。
このことから、これまで以上に高品質な大豆などを多く収穫した農家ほど有利になるということでは、農家の生産意欲の向上が図られるというふうなことかと思っておりますが、現状を考えますと、小麦の本県の平均単収から計算しますと、先ほどの2万円を超える状況にはございません。県平均です。ですから、数量加算がもらえる地域、集団等もございます。しかし、もらえない地域も当然今の現状ですとありますということでございます。
それから、同じように大豆ですと、県平均では現状の2万円を超える収穫量となっておりますので、数量加算が、県平均レベルであれば2万円プラス数量払い部分が加算されるという形になろうかと思ってございます。ただ、この一帯でも同じように2万円を下回る収穫量の地域なり集落等もございますので、というのが現状でございます。したがいまして、これまで以上に適地適作というのが非常に強く求められるということになろうかと思います。ですから、排水良好なところでは、あるいは単収のよいところ、あるいは気候条件に恵まれている、そういうようなところは、従前どおり大豆なり麦なりを積極的にとって高収益を上げていただきたいと思いますし、排水不良だとか、あるいは気象的になかなか作柄が不安定だというような部分だとか、そういう部分につきましては、飼料用米だとか米粉用米だとか、そういう新規需要米を積極的に私どもとすれば誘導していきたい、そういうふうに考えております。
以上です。
42 ◯三上委員
先般、実ってからその転作物の作柄の状況を見てきました。特に大豆を初め、集団的に転作、あるいは一定の規模を持った転作をしている大豆の生育状況を見て、これぞまさに適地適作、その感を強めたわけでありまして、今までとは違って、今までは補助金をもらえばいいという考え方でやった農地が各所で見られたけれども、我々この間回った範囲ではほとんど、つくった以上は完璧な耕作をしていると、極めて良好な状態だと思っておりました。要は、これからその制度が定着することと、農家に100円でも手取りを多くすることに行政も一体的に頑張っていただきたいなということを希望を申し上げておきたいと思います。
それでは、次の問題に……。
43
◯西谷委員長
三上委員、よければここで午さんのため休憩して、次にしましょうか、いいですか。
44 ◯三上委員
あと大きな2つの問題ありますから、じゃあ、そうしましょう。
45
◯西谷委員長
じゃあ、午さんのため、暫時休憩いたします。
再開は1時といたします。よろしくお願いします。
○休 憩 午前11時59分
○再 開 午後 1時02分
46
◯西谷委員長
休憩前に引き続き委員会を開きます。
三上委員の質問を続行いたします。──三上委員。
47 ◯三上委員
午後の1番の御指名ありがとうございます。
それでは、午前中の積み残しの質問に入りたいと思います。それでは、問い2の農業経営体数の減少についてお伺いします。さきの農林水産省の発表によると、農業就業人口は5年前に比較して全国で75万人の減少、そして、減少率は22.4%と過去最大の下げ幅となっております。しかも、就業人口の平均年齢は65歳を超えるという深刻な状況になっております。就業人口は85年には543万人だったのが一貫して減少し、この25年間で約半減したとのことであります。本県の農業形態は5年前に比べて7,000人の減という報道がなされております。
そこで伺います。世界農林業センサスの調査結果が公表されましたが、その経営体数と就業人口の減少について、県の見解はどう見て、どう対応していこうとしているのか伺います。
48 ◯山本構造政策課長
今、委員の御質問の中で、経営体数と就業人口の減少ということなんですが、まず就業人口につきましては、県別の数字が公表されておりませんので、経営体数についてだけお答えしたいと思います。国が公表した暫定値では、平成22年2月1日現在の本県の農業経営体数は4万5,000経営体で、5年前に比べて約15%減少してございます。全国では167万6,000経営体ということで、5年前に比べますと約17%の減少となっております。減少率からすれば全国平均を下回り経営体数の全国順位は18位から16位に上昇してございます。
なお、農業経営体は減少しているところでございますけれども、本県の農業産出額は過去5年を見ると2,900億円前後で推移しているところでございます。こういったことから、県がこれまで進めてきた攻めの農林水産業を初めとする農家の収益性向上の取り組みや農業法人・認定農業者の育成、それから新規就農者の促進など、経営体の育成・確保対策に一定の成果があったものというふうに見ています。
49 ◯三上委員
ただいまのお答えで、これは全国的な農業人口、あるいは経営体の減少でありますけれども、減少率の順位が18位から16位に上昇したということで、農業の主産県で産業の産出額から言っても大いに検討しているわけで、減少率の順位が上がるということは、それだけ本県であっても農業産業自体が停滞するという、そういう解釈もできるわけでありますが、その点はどう思いますか。
50 ◯山本構造政策課長
今の、減少率が上昇しているんではなくて、経営体数の全国順位が上昇したということです。
51 ◯三上委員
経営体の順位が上がったということ。
そうすると、私の判断が悪いのか、経営体の組織数が上がるということは、今まで複合化、あるいは法人化などなど、行政が進めてきたその効果のあらわれだという解釈に立てば、順位が上がるということはいい方向に向いていると、そう思っておりますけれども、それにしても、本県の人口の減少は、それはまだ公式に発表されていないと言われておりますけれども、農業人口の減少がもしそれと並行して減少しているとすれば問題があるなと、こう思いますが、それに対する御見解をいただきたいと思います。
52 ◯山本構造政策課長
農業者の人口もここ何年かで減少しておりますけれども、我々としても、減少は食いとめるべき努力はしてございますけれども、高齢化の進展等でなかなか思うように人口がふえてございませんので、これからも農業者の減少を食いとめるための努力はしていきます。
53 ◯三上委員
何としても産業の原動力になるのは従事する人の数も十分な発展の要素になるわけでありますから、経営体の人口も、大きな──これは矛盾するかもしらんけれども、県民の所得を上げるという観点からいくと、両方上がっていいのかなと、これが実質的には農業全体が発展しているということの証明になるわけでありますから、その点についても御留意をされて、努力されていただきたいと、こう思っております。
それでは次に、果樹農業振興について伺います。国の果樹振興計画では、平成32年度の目標として87万2,000トンを掲げています。これは平成20年度の91万1,000トンに比べ、3万9,000トンの減産ということになります。本県では、生産数量目標は現状維持とすることも聞いておりますけれども、その点について県の見解と対応について伺います。
54 ◯一戸
りんご果樹課長
国では3万9,000トン減産という計画でございますけれども、本県については、担い手を確保し、また、生産基盤を強化しながら、できるだけ生産目標数量については減らさないという方向で目標を設定していきたいと考えています。
55 ◯三上委員
そこで、現在県が策定作業を進めている青森県果樹農業振興計画、国の果樹振興計画の関連も含めて、県の振興策を伺います。
56 ◯一戸
りんご果樹課長
県では、国の振興方針を踏まえて、それらを内容に盛り込みながら、今、県の果樹農業振興計画の策定を進めております。具体的には、現計画の検証、それから、本県果樹農家が直面している課題等を踏まえまして、国と同様に10年を目標に策定を進めておりまして、現計画の柱である生産、流通・消費、加工、輸出の4本の振興方針に、新たに経営安定対策を加えた5本の振興方針で策定を進めることとしております。
具体的には、生産振興方針では、早期
適正着果などの高品質リンゴ生産のさらなる推進、販売戦略と連動した品種構成、共同防除組織の再編・強化を含めた地域の担い手育成・確保、モモなどの
特産果樹の産地づくりの推進。
それから、流通・消費振興方針では、市場流通を基本とした計画的な出荷の推進や、産地直送など多様な流通チャンネルへの取り組み強化、さらにPRポイントを絞った消費宣伝活動や、長期的な視点に立った食育活動の推進。
それから、加工振興の方針では、加工原料の安定供給体制づくりや、リンゴジュースの自社ブランド比率の向上による収益力の強化、さらにはリンゴ酒を含めた高付加価値製品の開発。
輸出の振興方針については、現在策定している青森県農林水産品輸出促進戦略に基づいたリンゴやリンゴ加工品の輸出拡大。
そして、新たに加えました経営安定に向けた方針では、果樹共済制度への加入促進や価格低迷に備えた新たな経営安定対策への取り組みなどについて、現在、作業部会で内容の検討作業を進めているところでございます。
以上です。
57 ◯三上委員
いろいろ今、果樹振興計画の検討委員会で検討されているということであります。今生産現場を歩いてみて、生産者の多くは、一定の戸別所得補償という形で先が見える、これからどう展開するかわからないもの、不確定なものがあるにしても、1つの展望が見えると。しかし、主食と違うリンゴについては、果樹についてはなかなかそれが見えない。やっぱり生産を安定化させて、しかも、その所得が補償されて、あるいは災害からもある程度補償されるような、そういう仕組みにしていただきたいなというのが、極めて大きな要望であります。
今、これまでの補償を検討しているような果樹共済制度の活用も含めて、国も検討されておるようであります。その制度が現段階では我々もはっきり見えません。現段階でその果樹共済、国が考えている制度はどのような制度なのか、現在の情報をお知らせください。そこでまた、県はそれと対応するような、あるいはそれと並行して県はどのような対応をしようとしているのか、お尋ねをいたします。
58 ◯一戸
りんご果樹課長
7月21日に公表されました国の果樹農業振興基本方針、これによると、果樹では、経営支援対策を主体とした政策の充実を図っていくということとしておりまして、具体的には、現行の果樹経営支援対策の継続に加えまして、特に所得補償という観点から言いますと、苗木の改植によって生じる未収入期間を支援する所得補償的な支援対策を創設しまして、現在、概算要求を行っているというふうに伺っています。
また、この基本方針では、果樹農業者の経営安定を図る観点から、セーフティーネットとして引き続き果樹共済制度の加入促進を推進することとしておりまして、特に災害による果実の減収、または
品質低下に伴う生産金額の減少を補てんする方法、いわゆる災害収入共済方式、この推進に力を入れていくこととしております。
一方で、依然として果樹共済への加入率が低いことから、国では、関連制度全体の見直しの中で果樹農業者の経営安定に資する制度の交付を検討するとしていますけれども、現段階でその内容は明らかになってございません。これについては、県においても施策提案として、知事みずからが農林水産省の関係局長に対して、現在の果樹共済制度を母体に、これに価格下落時に備えた経営安定対策を組み合わせた新たな制度の創設を提案・要請しているところでございます。
以上です。
59 ◯三上委員
そこで、続けて質問してまいりたいと思います。国も考え、生産者も期待しているにもかかわらず、現状の果樹共済に対する加入の状況について教えてください。
60 ◯仲団体経営改善課長
本県におきます平成22年産、ことし産のリンゴに関する果樹共済の加入状況ですが、加入戸数が7,020戸、加入面積が7,742ヘクタール、加入率は37.6%となっているところでございます。
引受方式別に見た加入状況で申しますと、いわゆる暴風雨、ひょう害及び凍霜害の特定の災害を対象とする特定危険方式、こちらの加入面積が全体の99.5%を占めている、そういった状況になっております。
以上です。
61 ◯三上委員
ただいま課長から御報告がありました。全体では果樹共済に対する加入率が30%台のものが40%台になったということは、これは一定の生産者の理解というか自覚と、制度の適正な運用ということに努力した結果ではないかなと、こう思っておりますけれども。今現場で一番悩んでいるのは、制度の補償に対して掛金が高いのではないか。例えば、単位面積引受方式はいろいろあるけれども、掛金全体、掛金に対して補償額の条件が少ない、したがって、三、四年無事に災害がない場合でも、そして4年、5年で補償金を受けても、掛金分が来ないという実態があるわけでありますから、生産者も、計算してみて、これは何もならない、自力で貯金しておいたほうがいいという、そういう考え方の連鎖によって加入している人が少ないという実態になっております。その点、加入率が高くなって、もっと共済組合の収入基盤が多くなることによって、その状況もよくなるんでしょうが、いかんせん30%台では掛金の助成ができていない、したがって入らない、この悪循環が今のような状況をつくっているのかなと、こう思っておりますから、その加入率を高めるために、県は、この機会にどういう思い切った施策をしようとしているのかお尋ねをいたします。
62 ◯仲団体経営改善課長
思い切ったということではなかなか申し上げづらいところがあるのですけれども、まず、そもそもやはり申しますと、果樹共済、特に本県においてはリンゴが基幹産業と、この維持のためにも、災害になった場合の補てん、損失を補てんする制度、それが重要な役割を担っていると考えています。これはもともとその制度設計自体が、国が半分の掛金を負担するといったところからも、そこの点は見てとれるのではないかと思います。
他方で、やはり農家の自主的な共済ですから、自主的精神を基本としながら、公共的な救済を図っていくという建前でございます。そういったことから、掛金助成、県内で言えば市町村レベルで行っている、特に生産地の市町村におきましては行われているところですが、他方で、全国的に見ますと、果樹共済と言えばミカン等も入ってきます。ミカンの生産を行っているようなところでは、やはり加入率はそれなりに高いところもございます。そういったところを見ましても、都道府県レベルで果たして資金補助というか、掛金補助を行っているかといえば、それは他方で国費が5割入っている、一方で、農家の自主的な精神に任せている、さらに言えば、減収なりそういったものに対する手当てというのは、生産におきましては一定の危険率というのがあると。それを踏まえた上で、生産原価として考えていただきたいといった思いも含めまして、都道府県単位での助成というのは現在行われていませんし、我々としてもなかなか難しいのかなと思っております。
加入率を上げるといったことに関しましては、この3カ年、来年産に向けて50%を達成しようということで取り組んでおります。共済加入促進協議会ということを設けまして活動しておるところであります。今年度に入りましても、活動結果報告から、次年度に対する対応といったところまで、また、市町村、あるいは農協等関係団体含めまして協議をして取り組んでいこうと。まさにこれから早生の品種はもう収穫が始まっておりますが、来年の生産に向けて加入を促進していこうというふうに考えております。
我々としましても、新規にといったところではなかなか、以前、夏堀委員からも新味がないのではないかという御指摘もいただいたところではありますが、直接農家に出向いて説明していくなど、非常に地道ではあるんですが、特に生産農家の方々に理解して、加入して、制度としても維持していけるように御理解いただけるような活動を我々としても行っていきたいと考えておりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。
63 ◯三上委員
このような制度は、やっぱり、その制度自体を生産者が周知して、信頼して、そして加入するという、それが条件として必要なんだけれども、そこができていないと。そういう、過去にはいろいろ問題ありました。調査員、評価員の評価によって最終的には共済金にまで影響して、一方では、何百万円補償され、一方では何十万単位の補償しか受けれないという、そういう不信が出てきた。今なおその不信感がないわけではありませんから、その過去のことも含めて、調査員から連合会の調査のあり方などが、国が仕分けの関係で、組織全体が、制度全体がどういう状況なのかということも目を光らせて、また、我々もそれを見守っていかなきゃならないという、そういう立場でありますから、どうぞ慎重に、そしてまた、勇気を持って頑張っていただきたい。そのことをまず希望を申し上げておきます。
そこで次の問題、品種の構成がリンゴ振興計画の中でいろいろ議論されております。ことしは幸い、天候などの原因で着色がおくれて、出荷がおくれています。その結果、逆に市場では、つがるの評価が高まって、値段も昨年対130ぐらい、平年対120ぐらいという状況にあります。そういうことを考えると、品種構成というのは極めて大事な要素であると、こう思っております。そこで、もちろん、品種も絡むわけでありますけれども、今、リンゴは貯蔵施設が完備されて、きのうも浪岡の青森の貯蔵施設を見てきましたけれども、周年で貯蔵して、周年販売できるという状況にもなっております。
だとすれば、例えばふじの有袋、ジョナゴールドの有袋、晩生に、長期貯蔵にもてる品種、その扱い、売り方によっては、余り無理して早生種の増大を図ると、その品種の割合が高まることによって、品種自体がすたれてしまうという、そういう状況もありますから、できれば、越年した品種、ふじの有袋なりジョナの有袋、あるいはシナノゴールドなどなど、貯蔵に、棚もちにいい品種、七、八月ごろまでも売るという、そのことも考えて、そういう調査をしたことがあるか、県自体の、いわゆる追跡調査をしたことがあるか、そのことについて、もしあったらお知らせください。それによってまた品種のほうの質問をします。
64 ◯一戸
りんご果樹課長
早生種と晩生種、この販売の問題でございますけれども、県では、リンゴの販売価格動向を毎月調査してございます。これについては、各品種ごとの調査をしておりまして、全国の主要5市場の情報を収集して取りまとめているものでございますけれども、調査期間は8月から翌年の8月までという13カ月にわたって調査しております。8月というのは、例えば、ことしでは21年産がまだ販売されていますし、22年産のつがるが発売されるということで、その期間はダブって調査をするということで、その動向については絶えず把握をしています。
65 ◯三上委員
そこで聞きたいのは、例えば7月中に、晩生種の越年した品種と早生種の品種と食べ比べて、消費者の動向の追跡調査をしてみたことがありますか。
66 ◯一戸
りんご果樹課長
食べ比べての調査というのはこれまで正式にはやったことはございません。ただ、CA貯蔵された例えば有袋のふじ、ジョナゴールド、これについては、やはりお盆の8月の旧盆の15日ぐらいまでは、やはり贈答用として一定の需要があるということがございますので、それに対して現在CAのものを出荷しているという状況でございます。ただ、これについては、青森県産のつがるは8月下旬から出荷になりますので、県産同士のそういう競合というのは現在のところないと。価格的にもCAのものもかなり安定した価格をとっています。8月の今回の調査でも411円と結構高い値段で取引をされていますので、比較的その辺の競合はないというふうに考えております。
以上です。
67 ◯三上委員
私は、競合させるんでなくて、むしろ越年した晩生種の品種が有利であれば、むしろ無理して早生種に切りかえる必要も──今、こぞって早生種、早生種と進んでいますから、いろいろ問題があります。ですから、その辺の1つの指針として、県が一定の追跡調査をした結果を提示して、いい方向に進んでいただきたいなと、こう思っております。そういう意味で、質問と希望を申し上げました。
そこで最後の問題に入ります。リンゴは、すべて全体の販売の中で、いかにしてトータルとして有利に販売し、生産農家が豊かになる、その地域が発展する、そういう産業と雇用の関係があると、こう思っております。そこで最後の質問でありますが、加工リンゴの振興と品種、栽培方法及び供給体制の確立について伺います。
68 ◯一戸
りんご果樹課長
リンゴの加工については、やはり付加価値を高めて製品を販売するということで、生産者、それと事業者の収益性を上げていく効果が非常に高いというふうに我々は考えてございます。そのためには、やはり加工適性の高い品種の導入、それから栽培方法等の指導、それから安定的な供給体制づくり、そういうものが当然必要になってくるというふうに考えておりまして、現在そのための施策を展開をしているところでございます。
具体的には、リンゴ研究所では、あおり27のちゆきでございますけれども、これとか、最近ではまた新しい加工適性の高い品種が開発されてございます。その普及拡大を今後図っていく必要があるだろうと。
また、委員会でも視察されました鰺ヶ沢の木村才樹さんのように、紅玉であれだけの面積を契約栽培をしながら展開していくという、ああいう取り組みも今後必要になってくるだろうと考えております。ただ、一挙にああいうような大規模経営というまでには至りませんので、例えば、数名の生産者のグループを構成して、その中で一定規模、まず小さい規模からそういう加工適性の高い品種を栽培して、トータルで量を確保していくという、そういうような取り組みを進めながら、加工振興に向く品種の育成、品種の栽培を行っていく。
また、この場でもずっと課題になっておりました加工原料の供給体制づくりについても、今後さらに詰めていく必要があるというふうに考えておりまして、それらを通じて加工の振興を図っていきたいと思っております。
以上です。
69 ◯三上委員
ただいま課長からお答えがありましたように、我々も先般の調査で、木村園地を調査させていただきました。その前の委員会で、弘前の岩木地区の、これまた木村秋則さんという園地も、いわば既存の我々の栽培観念とは違う栽培の実態を見させていただきました。そこで考えることは、木村秋則さんの畑は、周囲の園地に影響することをまず考えなきゃならないのかなと、こう思っております。特に特殊な栽培によって、特殊な好みをする人があるわけでありますから、消費には問題ないかもしらんけれども、産業全体として影響があることは、今ある制度の中で、もしもそこから病原菌が発生して、病害虫が発生して、拡大して、産地全体に影響あるとすると、これは問題だろうと思います。1つの目的のためによって、それを拡大、普遍化することを怠って、大きな災害をもたらせば大変だと、こう思っていますから、その点は改めて、前回の委員会でも申し上げましたが、本県のりんご黒星病及びりんごふらん病まん延防止条例、この辺も踏まえながら対応していただけたらなと、こう思っております。
それから、先般の木村才樹さんの畑、私は初めて見ました。あのような栽培の仕方もあるんだなと。あの園地は確かに周辺園地には影響はないと思います。ただ、特定の大手加工会社と特別な契約のもとに、そのことによって今までの、逆にそれを求めてきた理由もあります。しかしながら、そのことによって、これからやろうとする加工原料は量全体の中の20%から30%、ともに供給する生産の体制を持ちながら、そして、産業、既存の一般的な栽培の方法の人たちが、加工産業全体を守るという立場から言っても、私は、後段申し上げました、県で考えればと思う。割合については20でいいのか30でいいのか、その中間でいいのか。それは生産現場と加工業界と、それから、農協生産者団体も含めて十分検討されて、今まで全部生果で売るような、この販売の方法では、もう限界です。この栽培法で進めるならば限界があるから、農業後継者もできてこないという現実もありますから、その点も踏まえながら、木村才樹さんの畑が契約栽培で大手の加工業者とその関係はいいかもしらんけど、別な地域産業に支障を来すようであれば、これはある意味では我々行政の立場で戒める立場にならなければならないのかなと思っております。ただ、お互いの自由経済の中での契約栽培ですから、いかんともできませんけれども、しかし、そのことも留意しながら、これから加工産業を青森県全体に広げる立場からいくと、どの栽培法でどの割合がいいのか、その辺を十分検討されて対処していただきたい、最後にそのことについて、課長なり部長から御見解をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
70 ◯一戸
りんご果樹課長
委員申されました木村才樹さんの栽培方法というのは、やはり県内ではまだ特殊な栽培方法であるというふうに考えております。ただ、木村才樹さんの経営というのは、やはり加工業者との信頼関係を築く中であれだけ安定した経営を維持しているということでございまして、本県の加工を進める上では、やはりああいうのは大きなモデルの1つとなっていくものというふうに考えてございます。
ただ、多くの生産者があれを一気にということは、相手方もございますのでなかなか難しい面もありますので、これについては、少し生産者の意識を変え、また、業者とのそういう契約のあり方等も検討しながら、今後、加工振興を図っていきたいなと思っております。
以上です。
71
◯西谷委員長
ほかに質疑はありませんか。──一戸委員。
72 ◯一戸委員
通告した2点と、
報告事項でちょっと確認というか、お聞きしたいんですけれども。11月上旬に
災害査定をして対応を決めていくということと、それから、年度内に国と調整をしながら復旧に向けてということをお聞きしましたけれども、まず質問したいのは、戸別所得補償との関係。つまり、米だと44ヘクタールの部分と、ここに書いてある
転作大豆ということは、その戸別補償になるわけであります。米の場合は面積で10アール当たりの補償になっていると。それと、
転作大豆ということになると収穫高で決まってくると、60キロ幾らということになってくるわけであります。そうすると、その戸別所得補償の対象としてこの2つの項目が、そういうのがあるのかもしれませんけれども、どうしていくのか、わかったらお聞かせいただきたいと思います。
73 ◯長根農産園芸課長
今の大雨の被害の関係と、戸別所得補償制度の関係かと思いますが、まず、米のほうにつきましては、自然災害的なものですから、収量とかは関係なくです。逆に共済制度のほうで検査を行ってございますので、そちらのほうでの対応というふうになるかと思います。
大豆のほうにつきましては、生産力的な収量の上げ下げは、23年度からの新しい制度になります。ことしは10アール3万5,000円の面積割りだけでございますので、正常な管理をしていたにもかかわらず、ああいう災害で減収になったという場合は、最終的には定額の部分は支給されるのではないかと考えます。こちらのほうも、今、収穫前に共済の評価が入りますので、その中での減収部分については、共済に入っていれば評価対象と、共済での補てんといいますか、の制度になっているかと思います。
74 ◯一戸委員
共済の査定というのは、最終的にどこが決定しているんですか。
75 ◯仲団体経営改善課長
査定は、農業共済組合、県内に3つありますが、その地区の農協共済組合、そして、県域の連合会、こちらで損害評価を行いまして、米で言えば、ことしで言えば12月に共済金の支払いということになります。
76 ◯長根農産園芸課長
大豆ですが、共済のほうに加入はしているようでございますので、ただ、実際の実害がどの程度になるか、最終的な収穫前の時期でないと、なかなかその判定が難しいということで、もう少し、10月近くですかね、収穫になるかと思いますので、その時期に共済の評価が入って最終的に損害評価の額が支給されるというふうになろうかと思います。
77 ◯一戸委員
たまたま、今回そういった災害に遭ったところが、所得補償だとかになっているわけでありますけれども。私は、今後こういった災害というのはやっぱり来るという想定の中で、大豆にしても穀物にしても、考えていくいい機会じゃないかというふうには思って聞いておりました。したがって、ただ単に共済ということではなくて、その先を見た対応というか、もう既に春先に決めたものについては補償するような体制を、やっぱり今回の経験を生かして、私は対応するべきじゃないかなということを申し上げて、意見とさせていただきます。
それから、事前に通告をしました質問の部分でありますけれども、戸別所得補償モデルと新卒就農の関係についてお聞きをしたいと思います。午前に三上委員のほうからも質問をされましたけれども、9月10日の新聞で、先ほど
報告事項にもありましたけれども、米の、全農青森県本部の発表した中身というのは、大幅に引き下がったという報道がされたところでありますし、農家の皆さんから見ると非常にこの結果が収入を下回ると、これでは年末に暮らしていけないと、そんな悲鳴のような記事にもなっておりました。7月にも私も質問しましたけれども、7月は先ほど言った戸別モデルの加入状況でありました。で、お聞きをしたい1点目は、加入面積については三上委員が質問しましたので、これは省略させていただきますけれども、戸別所得補償モデル対策の農家への支払い時期というのが、これはやっぱり微妙になってくるのではないかと思っておりますので、昨年度の産地確立交付金と比較して、ことしどうなっていくのかについてお伺いしたいと思います。
78 ◯長根農産園芸課長
戸別所得補償モデル対策の農家への支払い時期と、昨年度の産地確立交付金との関係というお尋ねですが、昨年度までの転作作物への助成である産地確立交付金は、現地確認と申請手続が終了した地域水田農業推進協議会から順次交付しておりまして、おおむね12月中に農家へ支払われております。
今年度からは、国から直接農家の口座へ振り込まれますけれども、戸別所得補償モデル対策のうち10アール当たり1万5,000円の定額の部分と、それから、転作作物への助成である水田利活用自給力向上交付金、先ほどの3万5,000とか、という部分につきましては、初年度ということもありまして、幾分昨年よりおくれるかもしれませんが、12月から農家へ支払いをしていく作業を進めているというふうに聞いてございます。
ただ、米の変動部分につきましては、22年産の販売価格が過去3カ年平均より低くなった場合に交付されますけれども、22年産の場合、23年1月までの全銘柄平均の相対取引価格を使用するということになりますので、変動部分が発動した場合の支払い時期は23年、来年の3月ごろになる見通しというふうに聞いております。
79 ◯一戸委員
昨年度の産地確立交付金は、改めて12月に農家の皆さんが申請をしてもらう内容だったのか、それをちょっと確認したいと思います。
80 ◯長根農産園芸課長
産地確立交付金、これもたしか申請をしていくことになったかと思います。それから、今年度の戸別所得補償モデルにつきましても、申請をしてということになります。申請に基づいてやっております。
81 ◯一戸委員
この部分について、要望になると思うんですけれども、先日の視察の中で、農家の皆さんとお話をしたら、ちょっと手続方が非常に面倒くさいというか、いつから受け付けをしてどういうふうな手続なのか、説明されていないというふうにお聞きをしました。それで、24日が農協の御用納めみたいなのがあって、その間際になると年内に間に合わないというお話がありましたので、申請を受けての交付金になるわけで、そのことを十分周知をすることが必要ではないかと思いますので、お願いします。
それと、質問の2つ目は、米の生産費から見て、今、8,500円だとか出ましたけれども、県が今まで調査をした中で、米の生産費から見てどの程度の米価が、燃料費だとかいろいろ資材費だとかかかっている中において、米価がどのぐらいで適正なのかと、県の考え方をお伺いしたいというふうに思います。
82 ◯長根農産園芸課長
今の御質問でございますが、農家が生産費を賄うに足りる十分な米価は幾らぐらいかということだと思いますので、お答えしますが、本県の米の生産費は、国の生産費統計によりますと、種子代や肥料、農薬代などの生産資材費や家族労働費など、生産にかかわるすべての経費を算入しますと、過去3カ年平均で60キロ当たり約1万4,000円となっています。この額に流通経費として約1,000円ほどかかりますので、これを加えた額が1俵60キロ当たりの適正な米価といいますか、生産費を賄うだけの価格、米価になるのではないかと思います。
以上です。
83 ◯一戸委員
これは従来の総生産費に見た数値ということで、これはもう積み重ねてきたことだと思いますので、その数字についてどうのこうのというわけじゃなくて、ただ、それだけかかっているということを県も受けとめていることに対して、やっぱり私は8,500円だとかそういうものが適正なのかどうか、やはりそういったことも、今後の、全農が決める中にあっても、それほど経費がかかっているということを訴えていく場面がないと、農家の皆さんはただつくっていると、こんなことでは私はいけないなというふうに思いますので、今後の米価の動向を見て、その数字を御検討いただきたいと思っています。
この部分の最後の質問は、この戸別所得補償モデル対策の実施に伴って、この補償制度が出たときに、販売業者の買いたたきが懸念されるんではないかということで質問をされた方々がたくさんおりました。今回の米の価格で在庫の積み上がりから米価が下落していくというのはだれも予想していなかったと思いますけれども、こういった状況について県はどのように受けとめているのかお伺いしたいと思います。
84 ◯長根農産園芸課長
先ほど午前中にも御質問がありましたけれども、やはり国のほうでも在庫が例年よりも多いということとか、それから、21年産米の全国農協中央会の試算でも、10月末になっても、まだ在庫が30万トン残るでしょうとか、それから、22年産、ことし、先ほど、作況・作柄がどうなるかという御質問もありましたが、作柄にかかわらず、作付面積が国の目標よりも多い状況になってございますので、当然、生産量が国の見通しよりも多くなるということかと思っております。
こういう部分をあわせますと、先ほどもありましたが、53万から58万トンほど過剰ではないかというふうな全国農協中央会の試算もございます。ですから、こういう中では、先ほど下落の、21年産、今、下落してございますが、22年産の販売も非常に苦しい状況になるのかなと思ってございます。
ただ、先ほどの買いたたきというふうな部分につきましても、前回お答えさせていただきましたけれども、独禁法違反だとかいろいろな部分での疑いもございますので、ここら辺については、国としても十分、業者に周知しながら、あるいは取り締まりもするというようなことで聞いてございますので、国としても、農水省の本省、地方の相談窓口だとかを置きながら対応していくというふうに聞いてございます。
85 ◯一戸委員
所得補償が始まって初めての年でありますし、将来、米づくりに専念する農家の皆さんの期待がいつまでも持たれるような状況をつくっていく必要が私はあると思っています。つがるロマンにして、8,500円にして2,900円下がったという報道がありますけれども、先ほどの生産費の考えによると、米の値段、つまり、今、水が500ccで120円、それを割り返していくと500ccで80円から90円になるわけです、8,500円になると。水よりも労力をかけて手間ひまかけたものが──水が悪いというわけじゃないです、120円にも満たないというのは、将来農業をやっていく、米づくりをしていく皆さんにとっては大変私は考えなくてはいけないんじゃないかと。そのことが、値段だけではなくて、全体を考えると、それよりも低くなっていること自体が、私はやはり県民にも考えてもらわなきゃだめだと私は思うんです。そのことを、ぜひ、担当する部門だけじゃなくて、全県的な認識で、この価格についてもう一回論議をして、せめて水よりも高い値段で買われるべきだろうと思っていますので、その取り組みについてもお願いをしたいと思います。
2つ目は、新規就農者の確保・育成についてお伺いをしたいと思います。この県の主産業である農業の維持・育成というのは非常に必要でありますし、農業就業人口の高齢化が進んでいる状況の中で、地域農業を支える担い手、あるいは育成というのはずっと必要になってくるという観点で、平成11年に青森県新規就農促進条例と、そして、青森県新規就農促進基本方針をつくって、今日に至っているというふうに思っています。農業の大切さと新規農業の必要性を広く県民に理解をし、そして、長期的な取り組みになっているというふうに思っておりますけれども、8月19日の新聞記事でありますけれども、国の21年度新規就農者の調査が公表されました。本県の新規就農者調査の状況はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
86 ◯山本構造政策課長
国がことしの8月に公表した全国の新規就農者は、前年を11%上回る6万6,820人となり、調査開始以来、平成18年以降初めて増加する結果となってございます。国は、県別の調査結果を公表していませんけれども、本県の状況については、県が独自に実施している調査の結果がございますので、それについてお答えします。
県の調査結果では、本県の平成21年度新規就農者は139人と、前年対比で105%とやや増加してございます。年齢別では、29歳以下の就農者が減少傾向にありまして、特に高校、大学などの新規学卒者が減少してございます。一方で、40歳以上の就農者の割合が年々増加しておりまして、平成21年度は27人というふうになってございます。就農先としましては、農業法人への雇用就農が急激に増加しておりまして、平成19年度が10人、平成20年度は31人、平成21年度は51人というふうになってございます。
87 ◯一戸委員
県の就農の結果が出ましたけれども、青森の場合、139人の5%が、国が11.4%。農業県でありながら、伸びというのが随分違うなというふうに感じるわけでありますけれども、国と本県の数字、パーセンテージを比較する中で、この伸び率についてというか、調査の仕方でも構わないんですけれども、どのようになっているのかお伺いしたいと思います。
88 ◯山本構造政策課長
調査の仕方なんですが、国の調査は任意に抽出した標本抽出調査を統計処理した推計値でございますけれども、県の場合は新規就農者の個人を特定した積み上げによる実質調査であるため、国統計の調査結果と異なっているということでございます。
89 ◯一戸委員
新聞を見るだけだと青森県が低いなという、今のお話を聞いて思うわけでありますので、何かの機会に、その調査方法についても、やっぱり報道してもらう観点から言うと、県の調査の仕方についてもきちんと報道していただくということが大事だろうと思いますので、よろしくお願いしたいのと、質問の3点目は、新規就農者の確保・育成に向けて、県は、11年から条例が施行されてきておりますので、これまでどのように取り組んできたのかについてお伺いしたいと思います。
90 ◯山本構造政策課長
県では、新規就農者の減少が顕著となった平成11年12月に新規就農者の育成と確保を狙いとした青森県新規就農促進条例を、県レベルでは全国に先駆けて制定したわけですが、県内外での就農相談や、本県農業、就農支援制度の紹介、それから、市町村段階の受け入れ体制を整備する市町村受け入れ計画の策定支援、それと、就農希望者の農家での実践研修、それから、就農初期の営農費や生活費を対象とした県独自の資金貸し付けなど、総合的な支援を行ってきたほか、営農大学校においては、マーケティング関係のカリキュラムの充実や、新規就農者向けの短期研修を新設するなど、研修体制を強化してございます。
また、最近では、長引く経済不況等を背景に、農業法人等への雇用就農希望者が増加していることから、農業法人等への求人情報の収集・提供や、国の雇用対策事業を活用した農業法人等への雇用促進に努めてまいります。
91 ◯一戸委員
ぜひ継続的な取り組みをお願いしたいのと、法人の就職率が高くなっていると、このことは時代を反映した中身じゃないかと思います。
それで、新規就農者の就農定着、あるいはこの全部が恐らく定着しているわけではないと思うんですけれども、定着状況について、具体的にどのように取り組んでいるのかをお伺いしたいと思います。
92 ◯山本構造政策課長
就農定着のためには、本格的な就農前に営農に必要な生産技術や経営能力を身につけることや、計画的で着実な営農が必要となります。
このため県におきましては、新規就農希望者に対して、営農に必要な能力を身につけさせるため、営農大学校での修学や7カ月間の就農チャレンジスクールでの研修を勧めているほか、農業経営士や農業法人などの実践的な研修の受け入れ先の紹介を行っています。
また、就農から5年間の営農計画策定や、その計画に基づく施設や機械の導入に対して、無利子資金の貸し付けや補助事業導入などの支援を行っているところです。
就農後においては、普及指導員による営農指導に加えて、農業経営士など能力の高い農業者を新規就農者にマンツーマンで配置する新規就農トレーナー制度の実施、それから、4Hクラブへの加入など仲間づくりを進めることで新規就農者の定着に努めているところです。
93 ◯一戸委員
5年間の研修だとか営農大学、そういったことで定着、取り組みを進めているということでありますけれども。最初の研修が終わって、農業を始めてから、お聞きをしたいのは、新規就農者の中で離農される方も何割かあると思います。その離農されている中身と状況というんですか、何でやれなかったのかという、そういう点がわかりましたらお聞かせをいただきたいと思います。
94 ◯山本構造政策課長
定着率のお話かと思うんですが、就農計画の認定を受けた認定就農者を対象にした調査は、就農から5年後の定着率は平均で7割程度となっています。離農の時期は、営農の初期段階で多く、離農者の約半分が就農から3年目で離農してございます。特に3年目は離農者が最も多く、全体の2割以上を占めております。
離農の理由としましては、農業経験が浅いため、農産物の生産量や品質が低く十分な所得を得られない、これが最大の理由となってございます。
95 ◯一戸委員
2割がやめられている、それと経験が浅いということ、そういうことからすると、この農業法人というのも、離農される方、あるいは必要な方にもう少し事前の調査をして対応していただきたいと思います。
最後の質問ですけれども、新規就農者の確保のために、今後、農業法人への就農が重要と考えます。先ほどから聞きますと、新規就農者の法人等の就職率が高くなっていると、こういうこともあるんで、県として今後どのように取り組んでいくのかについてお伺いいたしたいと思います。
96 ◯山本構造政策課長
農業法人への雇用就農は、農地取得や機械購入の負担が少ないこと、それから、企業的農業経営のノウハウが習得できるなどのメリットがあり、特に非農家出身者にとっては有効な就農ルートであると考えてございます。
今後も農業法人への雇用就農を拡大していくためには、合同の就職面接会の開催などによる、農業法人と雇用就農希望者とのマッチング機会の提供に加えて、雇用就農の受け皿となる農業法人や集落営農組織の経営力向上や規模拡大により雇用の創出につなげていく必要があります。
このため、農業法人や集落営農組織が企業的な経営手法を取り入れながら農産物の直接販売や食品加工の導入など、6次産業化により収益性の向上が図られるよう、攻めの地域営農企業化戦略推進事業などを実施して、支援に努めているところでございます。
97 ◯一戸委員
ぜひ、この新規就農者の確保ということで、農業法人、会社的な組織であれば安心をして就農ができるということでありましたし、たまたまけさの新聞で、県の、高卒求人前年比10%減という、これは農業だけじゃない全国の話であります。県外に就職する人が少なくなってきていると。県内の割合がふえてきているという状況の、新聞がけさ出ました。そういうことからすると、この農業の問題、新規就農者ということは、農業でなくて、企業化していくということが、大変皆さんにも関心があるんだろうと思ってございます。ぜひ、農業法人的な組織を早急に検討されて、1年、2年でできないので、新たな青森の就職先、雇用先の確保というのが、産業でやるよりもこちらの方が私はもしかしたら早いんじゃないかと思いますので、もう少し、法人化、あるいは経営拡大の部分を前向きに検討する時期だというふうに思っていますし、若い人が参入するということは、将来農業をやり続ける人が出てくるという状況になるんじゃないかと思いますので、雇用の流出ということ、人口の流出を考えても、これは定着をする部分でありますので、ぜひ積極的に実施をしていただきたいのと、県内だけの営農大学じゃなくて、もう少し、やっぱり市場性だとか考えると、青森もそうでありますけれども、県外に具体的にいろいろな農業法人をやっている、あるいは農業をやっている皆さんがたくさんいるわけでありますので、そこに派遣をして、青森のものを売り込む、双方に売り込むということもできる状況になるんじゃないかと私は思っています。例えば、青森にあって九州にないもの、九州にあって青森にないものは、交流をすることによって、新たな販売ルートもできるのではないかと思いますので、ぜひ、新規就農の事業について、そういった視点についても御検討をいただきたいと思います。
98
◯西谷委員長
ほかに質疑はありませんか。──夏堀委員。
99 ◯夏堀委員
まず最初にお伺いをしておきたいことがございます。先ほど
報告事項にもありましたけれども、津軽地域、特に鰺ヶ沢を含めて、大鰐、
五所川原などの9月1日の
大雨洪水被害ということで、
被害状況を先ほど来、お三方の委員の先生方から御質問があって、いろんな議論がなされたわけであります。私どもの地域には、不幸中の幸いと申しますか、このような災害が今回はなかったわけでございますが、やはりいろいろな形で、災害というのはいつやって来るかわからないというのが現実でございます。とすれば、やはりいろいろな形で速やかにこういう、いわゆる国との調整をきちんとしながら、被害を受けられた方に対し、調査を行いながら助成をしていただきたい、また、何かにつけて復旧というのが一番大事なわけですから、御尽力いただきたいと思ってございます。これは質問ではございませんので、お見舞いを申し上げるということで、このことは申し上げます。
本題に移ります。私、3つほど通告してございました。3つプラスアルファ、1つ通告外のこともございますが、それぞれ質問にお答えをいただきたいと思ってございます。
まず、いわゆる今回のこのような被害と申しますか、災害、いろんなことがあるわけでございますけれども、ことしの夏は異常というほどの暑さでございました。これからも来年もあるかもしれません。春の予報では冷夏だというふうなことで、逆に冷害を心配する声が多かったわけでございますが、非常に暑い、今現在もまだまだ例年に比べて暑い状況が続いております。まして先般の1カ月の予報を見ますと、まだ暑い日が続くんじゃないかというふうなこともあります。
そうなれば、いわゆる農作物以外でも、畜産、特に家畜の暑熱被害というのが、先般も新聞報道等で出されておりました。本県の被害の状況と、それから、その被害の、これからもでございますけれども、今後、また来年もある可能性もございます。そういう意味で、どのような対策をしていくのかということをお伺いしたい。県の技術指導はどうなっているのかということをお伺いします。
100 ◯中村畜産課長
家畜の暑熱被害でございますけれども、本年8月5日から8日にかけまして非常に暑かったということで、平年気温をかなりオーバーしたということで、特に三八・上北地域の鶏が中心的にということで、ブロイラーであれば5万1,000羽、採卵鶏であれば2万8,000羽ということで、トータル7万9,000羽の死亡鶏を出してございます。
対策等でございますけれども、県では、8月2日、それから27日の2回にわたりまして、暑くなるということを想定いたしまして、臨時農業生産情報を出してございます。内容といたしましては、畜舎の換気ですとか屋根への散水などで畜舎の中の温度を下げる、それから、過密飼育、こういったことをやめる、それと、新鮮な冷たい水を飲ませてやる、こういうふうな家畜の管理対策につきまして技術指導いたしました。
さらに、なかなか涼しくならないものですから、9月3日には、部内の関係課ですとか、各地域県民局の農林水産部の方々を構成員といたします、農水産物生産対策連絡会議を設置いたしまして、これら指導の徹底に努めているところでございます。
以上でございます。
101 ◯夏堀委員
暑いときは、当然、家畜が非常に熱に対して弱い、寒さには結構強いというのは、鳥も含めて牛も豚もなんでございますが。今の説明でございますと、ブロイラーと採卵鶏という報告がございましたが。乳牛とか、あといわゆる和牛、養豚はどうですか。
102 ◯中村畜産課長
乳用牛につきましては、下北のほうで成牛が2頭暑熱で死亡してございます。それと豚につきましては、津軽のほうで5頭死亡してございます。
以上です。
103 ◯夏堀委員
家畜だけじゃなくて人も亡くなっているわけですから。そういうふうな大変な暑さだったと。そういうふうなことで、この暑さ対策というのは非常に家畜の場合大事なところでございまして。ある意味、寒さに対しては、もちろん、この地域は寒冷地域でございますので、ふだんの努力というのは当然しているわけであります。暑さというのはやはりきちんと指導していかなきゃならないし、暑さのために今度は生産量が落ちると、それから、肉のいわゆる品質と申しますか、そういうのも当然落ちていくだろうと。卵の生産量もでございます。さまざまあるわけでございますので、そういう意味では、家畜保健衛生上、並びにいろいろな畜産の技術指導にかかわる機関で、鋭意、今まで以上の、特にこれからの秋にかけての暑さに対しても、より一層の努力をいただきたいと思います。
通告はしてございませんでしたけれども、いわゆる口蹄疫の問題で、きのうの夕刊でしたか、国のほうで調査権限を強化するなどという話で、その検証委員会が中間報告をしているということでございます。口蹄疫の防疫研修、新しいマニュアルもつくられて、そのことについて一生懸命取り組んでおられるのはわかるんでございますが、いわゆる病性鑑定ということが、これから、特にこういう口蹄疫に関しては大きく取り扱わなきゃならないことだと思うんですけれども。今現在、病性鑑定というのはどちらで行われているのかお聞きします。
104 ◯中村畜産課長
この病性鑑定につきましては、全国47都道府県の中にそれぞれ鑑定所を設置してございまして、これは、法律、家畜保健衛生所法、昭和26年制定でございますが、その中で、必ず1県には家畜の病性鑑定をやる施設を設けなさいということで、本県の場合には、家畜保健衛生所が5つございますけれども、中央家保、青森家保のほうに病性鑑定課を設置して病性鑑定業務をやってございます。
以上です。
105 ◯夏堀委員
このような、今回、宮崎県であったわけでございますが、いわゆる口蹄疫ならずとも、ほかの家畜特定伝染病に関してでございますが、病性鑑定は今後ますます重要性を増す部署だと思うんですけれども、その中で、やはり各県1カ所ということで定められているようでございますけれども、地域にどうも、いわゆる遠くにあるような場合、もしくは本県の場合、例えば県南地域だとか、津軽地域とかいう地域がございますので、病性鑑定所ならずとも、病性鑑定がすぐできるような家畜の鑑定体制というのは、かつてはあったような気がしますけれども、最近どうも獣医師不足ということがあるのかどうかわかりませんが、病性鑑定は青森1カ所に集中されてきた、運用されているところでございますけれども。その辺のところをどのようにお考えなのか。
106 ◯中村畜産課長
病性鑑定業務は、逆にさらに充実してございます。特に中央家保には、国レベルとも同レベルクラスの最新の検査機器、こういったものを備えていることと、それから、それ以外の一般家保にも、簡易的なものはすべてやれるようにということで、地域の家保にもそれなりの診断機器を備えている。それから、国の中央研修、これも、病性鑑定研修ですとか、一般家保職員の研修を充実させてございますので、かなり職員のレベルは上がっていると考えてございます。
107 ◯夏堀委員
職員のレベルは非常に高いというのは、私も十分認識させていただいてございますし、一生懸命努力されていることも、私自身もいろいろな関係上、理解をしているわけでございますので、より一層、このようなことの対応にきちんと対応していただくということをお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
次は、いわゆる水産のほうでございますが、先般も、先ほど報告の中でございましたけれども、水温が随分上がっているという、今までないような水温の上がり方で、随分漁獲も変わってきていると、特に甚だ高いという沿岸水温でございますけれども、いわゆる陸奥湾、我が国の、青森県のナンバーワンの、養殖のホタテガイというのが、随分高水温で影響を受けているというようなことも聞いておりますけれども、その辺のところ、影響の状況と県の対応策についてお伺いします。
108 ◯松宮水産振興課長
ホタテガイについてお答えいたします。ことしの陸奥湾の水温ですけれども、7月以降高めに推移してまいりまして、ホタテガイの
養殖施設があります水深15メートル、それから30メートルのところでも、9月に入りまして平年より3度以上高い26度という水温が観測されてございます。このことによって、ホタテガイへの影響が今懸念されている状況でございます。
県では、高水温による養殖ホタテガイへの影響を最小限にするために、水産総合研究所と連携いたしまして、ことしこれまで6回発行しております「
ホタテガイ養殖管理情報」ですとか、関係の漁業団体、それから水産総合研究所とで9月2日に組織しました陸奥湾ホタテガイ高水温対策本部などを通じまして、漁業者に対しまして、弱っているホタテガイにこれ以上負担を与えないように
養殖施設をできるだけ動かさない、それから、水温が下がるまでは、稚貝をこれから分散という作業を行うんですけれども、水温が下がるまではこの作業を行わないように周知徹底を図っております。さらに、普及指導員が現地で漁業者と一緒にきめ細かな水温の観測を行っているところです。
なお、養殖ホタテガイの状況につきましては、今後水温の低下を待ちまして、関係の漁業団体、市町村、水産総合研究所と連携した全湾的な調査を実施いたしまして、実態の把握を行い、適切な対応に努めてまいります。
以上です。
109 ◯夏堀委員
陸奥湾のホタテというのは、我が県の大事な水産業の1つでございますので、より一層の取り組みをいただきたいと思います。
次に、先般も、14日ですね、おととい、つがる市のトルコギキョウの現場を視察してまいりました。この暑さの影響でかなり御苦労されているなということもありましたけれども、非常に頑張っておられるなという姿を逐一見てきました。我が三八地域でも、キクとかアスターという花きも産地づくりとして取り組んでおりますけれども、最近の景気の低迷だとか、輸入花きが非常に多くなってきたということで、価格への影響が非常にある、伸び悩んでいるということでございますが、全国の生産額も減少しているとお聞きしております。花きの生産の現場を見ると、非常に、軽作業というわけでもないんでしょうけれども、女性の方々が比較的頑張ってやれる、そのような、意欲的にできる産業だというふうに考えております。そういう意味でも、価格が伸び悩んでいる、生産額も減少しているということについて、花きの産地づくりについて、県はどのように取り組んでいくのか、取り組んでいく必要があるのかお伺いします。
110 ◯長根農産園芸課長
花きの産地づくりの取り組みについてお答えをさせていただきます。まず、本県の花きの生産の状況でございますが、今、委員からも御指摘がありましたように、国内需要の低迷と輸入花きの増加等の影響によりまして減少傾向が続いております。平成20年度では作付面積が170ヘクタール、産出額が26億円となっております。これは、本県花き生産が最も盛んであった平成10年度に比べて、作付面積では36%、産出額では35%それぞれ減少をしております。
しかし、今、委員からも御指摘がありましたように、花きの生産につきましては、高齢者や女性でも比較的作業をやれる軽作業が多いことや、それから、水稲の育苗ハウスなどの施設を有効に活用することができます。というようなことで、複合経営の一部門として重要な役割を果たすことができると考えてございます。ということで、これまで生産ハウスや簡易保冷庫などハード設備への支援、それから、県段階では県地域ごとでの研修会、あるいは全農県本部等の共催によります花きの共進会などによります生産技術の向上に向けた取り組みなどなどを通じまして、花きの産地化に取り組んでおります。
また、今現在減少している本県の花き生産の減少を食いとめてプラスに転じていきたいということで、現在、県内外の市場関係者などの意見を参考にしながら、本年10月をめどに新たな花き産地戦略方針を定めることとしてございます。現在作業を進めてございますが、戦略方針では、トルコギキョウやキク、アルストロメリアなど、今後生産振興を図る戦略品目の選定、それから、その戦略品目の生産拡大、それから、県内の花き産地の情報を積極的に発信して需要拡大をしていくこと。それから、県産の花きの産地表示をしながら販売していただく取り組みを進めまして、県産花きの消費拡大を柱にいたしまして、本県が最も得意とします夏から秋にかけての花の色のよさ、日持ちのよさというものを武器に、特色ある花き産地づくりに取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
以上です。
111 ◯夏堀委員
ありがとうございました。本当に消費が低迷しているというか、結婚している人たちも少なくなっていますから、結婚式場でも、また、いろんなパーティー──政治家のパーティーでしょうけれども、パーティー等で花を使ったり、また花を贈ったりということも、家庭の中でもですけれども、どうもそういうのが最近この不況のせいか少なくなったようでございますので、我々もみずから消費を拡大するということも含めて、何か、職員の
皆さん方も、花というものにもう一度目を向けていただいて、花を贈る運動だとか、花は食べるのはあれですけれども、そういう花もいわゆる使うようにどんどん
皆さん方のお力もいただきながら、私のほうも努力いたしますが、花をつくっている花き生産農家のためにも頑張る必要があるんではないかと考えてございます。
情報の交換、拡大、それから、品目をきちんと選ぶということが、戦略の中で一番大事なところだと思いますので、やはりデフレ傾向とはいえ、その中でもいいものは高く売れるということでございますので、そういう努力を惜しまないように、そういう方針をきちんと立てていただきたい。頑張る農家のためにお願いいたしたいと考えてございます。
最後になりますけれども、実は、8月20日になりますけれども、私の住んでいる地域、いわゆる上名久井地域でございますけれども、私の三八のほうの視察の際に、周辺地の総合整備事業というのを見てきたと思いますけれども、そのしゅん工記念事業がたまたまと申しますか20日の日に行われて、私も縁あって、そこに参加することになりました。非常に喜んでお祝いをしたわけでございますけれども、平成12年度から県営の上名久井地区の畑地帯総合整備事業が採択されてから10年かかって、やっと完成したということで、非常に実行委員長、また、いわゆる町長さん初め非常に喜んでおられましたし、その中でも一番言っておられたのは、後継者がおかげさまで育ってきたということでございます。やはりそういう総合整備事業、コンクリートから人へなどということで、いわゆるそういう基盤整備事業、随分削られていくようでございますけれども、その中で、農業に意欲的に取り組もうという若い人たちが、この基盤整備事業を行うことによってきれいな仕事ができるということで、ますます後継者の方が育ってきたということで、非常に感謝をしながら、意欲的にこれからも取り組んでいきたいという言葉をいただいたわけでございます。
なお、そこにたまたま参加していたほかの地域の方も、ぜひこの整備事業は我々もまた取り組みたいし、畑だけじゃなくて水田のほうも補助のほうもぜひやりたいという声が非常に大きくございまして、私は本当に心強く思い、何とか県のほう、また国のほうも含めて、そういう整備事業をきちんと、基盤整備をするんだということで、農家の後継者の
皆さん方に一生懸命農業をしてもらうということの事業をどんどん推進していきたいし、するべきだと考えてございますので、今後より一層の県当局、執行部当局の
皆さん方の御尽力に感謝をしながら、また、さらなる発展のためにお願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
112
◯西谷委員長
ほかに質疑はありませんか。──北委員。
113 ◯北委員
関連。畜産とそれから果樹について。今、ブロイラー、死んだのは5万1,000羽でしたか、相当多いという気がするんだけれども、私もブロイラー屋さんとのいろいろなつき合いの中で、ことしは非常にこういうふうなこともあって、そして、暑さもあって、育ちもよくない。いつもだったら出荷しないような発育不良のものまで出さざるを得ないと。それでもなおかつ月に2回ほど処理の休業日を設けなければならないと、こういうふうな話なんだな。これ、いろいろな農林委員会の話、社長さんとかと話したら、青森県には、ひなをやってるのはないんだそうです、ひな専門の業者というのは。で、それは本当かどうかわからん。その辺のところもちょっと調べて、そして、いつごろになったらこういうふうなものが正常の状態に戻れるのかというふうなもの、これは通告していませんから、今急に回答をいただこうったって無理な話でしょうから、あしたまた参りますから、あしたで結構でございますから、お調べいただきたい。
それから、果樹のほうでは、この前の視察でいろいろ津軽のほうを回ってきたというふうに、リンゴの剪定した枝があるわけです。これが非常に有効利用されている、こういうふうなことだと。県南のほうにもリンゴを初めとする雑果樹の剪定があるわけです。あれがどう有効利用されているのか、これもあしたで結構ですので、有効利用されているのか、あるいは何も利用されないで捨てられているのか、その辺のところもひとつ調べて、あした教えていただきたい、こう思います。
以上です。
114
◯西谷委員長
ほかに質疑はありせんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますので、これをもって審査を終わります。
以上をもちまして
農林水産委員会を終了いたします。御苦労さまでした。
○閉 会 午後 2時30分
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