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  1. 青森県議会 2009-11-27
    平成21年第260回定例会(第2号)  本文 開催日: 2009-11-27


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯議長(田中順造) ただいまより会議を開きます。    ──────────────────────       ◎ 議   会   報   告    ────────────────────── 2 ◯議長(田中順造) 議会報告として、第六号「地方公務員法第五条第二項の規定による意見について」をお手元に配付してあります。    ──────────────────────    ──────────────────────       ◎ 県政に対する一般質問    ────────────────────── 3 ◯議長(田中順造) 一般質問を行います。  四十二番西谷洌議員の登壇を許可いたします。―西谷議員。 4 ◯四十二番(西谷 洌) おはようございます。  私見を述べさせていただきながら、通告の順に質疑をいたします。  十月二十六日に開会されました国会で、鳩山総理大臣は所信表明の結びに次のように述べました。日本は、百四十年前、明治維新という一大変革をなし遂げた国であります。現在、鳩山内閣が取り組んでいることは、いわば無血の平成維新です。今日の維新は、官僚依存から国民への大政奉還であり、中央集権から地域・現場主権へ、島国から開かれた海洋国家への国の形の変革の試みですと。  私は、十月十五日の決算特別委員会のトップバッターとして質問の冒頭で、今から百四十年前に起こった明治維新は、後に無血革命と評価されました。二〇〇九年八月三十日、大戦後六十四年目にして国民の選挙により初めて政権交代したこの事件を、後の歴史学者たちはどう評価するだろうか。政権政党になった民主党の今後の政権運営を見守っていきたいと発言をいたしました。私の後ろの席から、任せておけと大きな声が聞こえました。  明治維新が無血革命と評されたのは、単に西郷隆盛と勝海舟の話し合いのもとに江戸城が無血開城されたことのみで評価されているのではなく、その背景には、明治新政府によるクーデターに近い策略があったわけであります。それは、土地と人民はもともと天子、すなわち天皇のものであるから、すべて朝廷に返上しろという版籍奉還をまず行い、見返りに藩主を知藩事に任命いたしました。この時点では、まだ知藩事は藩の支配者であったが、次に、各地の知藩事を次々に皇居に呼び、天皇同席の中で廃藩置県の勅語を伝達し、知藩事はすべて首にされ、権力と財産はすべて新政府に没収されたのであります。  このとき各藩に不平不満はあったのだが、反乱を起こしたのは鹿児島県のみで、後の西南戦争であります。その後、藩主たちは華族となり、爵位と経済上の特典を与えられ、東京に住まわされております。ここに鎌倉幕府から徳川幕府までの地方分権的な体制に終止符が打たれ、七世紀の大化の改新以来続いていた天皇を中心とした律令国家、すなわち中央集権体制に戻ったわけです。武士政権から天皇中心の明治新政府に大政奉還がなされ、天皇は立憲君主となり、第二次世界大戦後、国民の象徴と位置づけられ、今に続いているわけです。
     今回の政権交代が真に国民主権への大政奉還であり、中央集権から地域主権の海洋国家を目指すものとするならば、国家と地方自治の仕組みや区割りなど、早急に示してほしいものです。少なくとも防衛や外交という国策は待ったがききません。まして憲法や天皇制をどのように考えているのかも定かでありません。我々地方自治に携わる者としては、どのような状況にあっても、県民の暮らしの向上のために停滞するわけにはまいりません。  そこで、我が国の現在の状況を踏まえ、以下お伺いいたします。  初めに、青森県基本計画未来への挑戦についてであります。  一年前のちょうどこの十一月定例会で、さまざまな議論の末、この計画を可決いたしました。当時、リーマン・ショックに端を発した世界的な経済情勢の悪化により、かつて経験したことのない厳しい状況になり、先の見えない中にあって、青森県をどのような未来に導いていくべきなのか、どのようにして持続的、自立的な地域社会を実現していくのかという問いかけをしながらつくり上げた計画であったと思います。  基本計画では、本県の比較優位資源である食料とエネルギーの持つ可能性を最大限に活用しながら生業(なりわい)づくりを進めていくことを掲げ、ことしは、「しごと創造!青森県」、「とことん安心!青森県」、「人は財(たから)だ!青森県」、「新幹線でぐぐっと!青森県」を四つの戦略キーワードとして取り組んできたところですが、計画がスタートしてから半年以上が経過し、計画推進のマネジメントサイクル上では、これまでの政策点検結果や総合計画審議会からの提言、さらに本県を取り巻く社会経済情勢を踏まえながら、知事が来年度の重点化の基本方針となる戦略キーワードを決め、計画二年目に向けて事業構築を進める時期に来ていると思います。  そこで、基本計画未来への挑戦の推進に当たり、最初に、昨今の国政の状況をどのようにとらえているか、知事の率直な感想をお伺いいたします。  次に、計画の二年目に向けてどのような方向性を持って重点事業の構築に取り組んでいくのかお伺いします。  また同時に、このような時代にあって将来の青森県をしっかり支えていくためには、今すぐ役立つ人材も必要ですが、未来を担う子供たちの育成にしっかり取り組んでいくことが今求められていると考えます。生業(なりわい)づくりと次代を担う子供の育成は重要な課題であると思うが、基本計画未来への挑戦の推進に当たり、どのような方針で臨んでいくのかお伺いいたします。  次は、原子力行政についてです。  我が国のエネルギー政策のかなめである原子燃料サイクル事業が本県に立地することになってから大分たちます。私が初当選した平成三年から四年にかけて、自民党会派では、東海村、人形峠、福井県の「もんじゅ」等の視察に連れていってくれました。あれから十八年、この間いろいろなことがありました。今、私の後輩議員もふえ、皆さんよく勉強しておりますが、改めてエネルギー政策を会派として検証し、認識を共有するために、昨年から国内の関連施設を調査研修しております。  今まで行った先は、那珂核融合研究所臨海プラズマ試験装置JT―60、東海研究開発センターのJ―PARC、研究用原子炉JRR―3、核燃料サイクル工学研究所―これはMOX燃料の研究をしているところです。高レベル放射性廃棄物地層処分基盤研究施設、高速増殖炉「常陽」、水素製造技術研究高温工学試験研究炉、東濃地科学センター―高レベル放射性廃棄物の地下処分の研究をしております。岐阜県土岐市の核融合科学研究所では、ヘリカルという日本の方式の核融合実験炉を見てまいりました。高速増殖炉「もんじゅ」、鹿児島県の川内原子力発電所、そして最近では、去る十一月十二日に国内初のプルサーマルが順調に立ち上がっている状況を確認した佐賀県玄海原子力発電所であります。延べ参加人数六十二名でした。  一連の施設の視察で関係者と話し合って感じたことは、仕事に対する自信と誇りです。不安を感じさせる言動はみじんもありませんでした。逆にサイクル事業に対して大きな関心を持ち、本県の動向に期待と励ましを受けてきたと言えます。  知事から、本定例会の冒頭、九月議会における議論等を踏まえ、鳩山内閣の関係閣僚から、原子燃料サイクル政策の堅持と高レベル放射性廃棄物の最終処分について国の確固たる姿勢を確認できた旨の報告がありました。我々自民党会派としても、本県における原子燃料サイクル事業については、国策であるとの認識のもと、県民の理解を得ながら推進する立場をとってきたところであり、鳩山内閣においても、国策として原子燃料サイクル政策が堅持されることは当然であると考えるところです。  そこで、知事としては、今回の関係閣僚への確認、要請を踏まえ、今後どのような方針で原子力政策に対応していくおつもりなのか、改めてお伺いいたします。  一方、先ほど述べました一連の視察を通じて感じたことでもありますが、国策と言いながら、閣僚が交代するたびにこれまでも確認してきたほど、県民に不安と不信を抱かせる状況をつくってきたのはすべて事業者であり、国策として指導、管理監督すべき政府によるものであります。最終処分地選定の進捗が見えないことを初め、国策と言いながら、県民から見れば、さまざまな場面で国も事業者も当事者意識が希薄であるように感じられるのではないでしょうか。本県が国策である原子燃料サイクル政策に大いに協力してきている立場であることを踏まえれば、知事は、国や電気事業者に対し、もっと堂々と毅然と渡り合ってしかるべきと私は考えております。  そこで、知事は、原子力行政について本県が国策に大いに貢献しているという自信と誇りをこれまで以上に強く持って、国、事業者に物を申すべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。  次に、医療行政についてです。  日本の社会では、人口当たりの病床数も医師の数も十分満たされていたはずなのに、いつの間にかおかしな方向に向かっていたようであります。高齢化が進み、当然お年寄りに医療を施す必要もふえたのは確かですが、医師を増員しなくても対応できると判断した国策にまず間違いがあったようであります。医師総数の不足が、産科、麻酔科、小児科という一部の診療科の医師不足にあらわれ、地域医療の格差となって顕在化しました。さらに、平成十六年度に始まった新卒医師臨床研修制度により、大学からの若手医師離れ、開業志向や都会志向など医師の地域偏在やさまざまな問題が加速したと言えます。  一般質問や決算特別委員会で医師確保や高度救命救急センター、がん対策や地域連携パスなどについて取り上げてきましたが、医療体制の確立で一番問題なのは、医療費の確保と医師の充足ではないかと考えます。医療費は、いずれ社会保障費の枠の中で消費税によって賄われることになると思います。医師の増員は、本県では、さまざまな施策でもって少しずつ効果があらわれてきたように思います。まだまだ時間はかかると思いますが、ただ待つわけにはいかないので、今取り組むべき課題は何かであります。  知事は、地域における医師不足の深刻さをだれよりも早く察知され、医師確保対策に取り組んできたことは十分に認識しており、高く評価したいと思います。本県は、念願かなってドクターヘリの整備が終わり、既に稼働しております。高度救命救急センターも、県立中央病院、八戸市立市民病院に次いで、私が住む津軽地域にも来年七月に弘前大学医学部附属病院に設置されることが決まるなど、三次医療圏の医療機能が整ってきましたので、次は地域ごとの医療体制の整備であろうと考えております。県民が安心して医療を受け、暮らしていける持続可能な地域社会を築いていくためには、これまでにも増してさまざまな地域医療の課題に対応し、地域医療の確保を図っていくことが求められるところであります。  そこでお伺いします。  県は、地域医療の課題をどのように認識し、どのように対応するのかお伺いします。  次に、国では、経済危機対策として、都道府県が地域医療の課題解決に向けて地域医療再生計画を策定し、その計画に基づいて行う二次保健医療圏単位での医療機能の強化、医師の確保等の取り組みを支援することとし、平成二十一年度補正予算において地域医療再生臨時特例交付金を確保し、都道府県に交付することとしております。本県においても、西北五圏域と青森圏域を対象とした二つの地域医療再生計画を策定し、去る十一月六日に国に提出したところであると伺っております。  そこで、県が策定した地域医療再生計画では、地域医療の課題にどのように取り組むのかお伺いいたします。  次は青森県社会福祉協議会における不祥事に係る県の対応についてであります。  生活福祉資金貸付事業に係る償還金の横領の事実が確認されたことに加え、新たに使途不明金が判明したとのことであります。このところ、県庁内の不適正支出を初め、県内外の自治体や公的機関において、ずさんな経理に起因する公金をめぐる不祥事が次々に明るみに出ております。汗を流して稼いだ金でないからいいかげんに扱うのか、公金を扱う組織体制に首をかしげたくなります。同じような組織体制で職員が約十四億円を着服した県住宅供給公社の事件の教訓はどこへ行ったのか、認識が余りにも希薄です。  県庁のOBは三、四年で交代する指定席だろうから、天下り以前に実際の管理をしている内部体制に問題があるのではないだろうか。一連の不祥事案についてはこれから責任の所在などが明らかにされると思いますが、県民の信頼を回復するために、同協議会はみずからを厳しく律するとともに、県としても、同法人の健全化、適正化に向け、しっかり指導監督していく必要があると考えます。  県は、同協議会に対して特別監査を実施し、その結果を十一月十九日に通知し、この通知の中で、平成二十二年度以降も県からの補助・委託事業が継続できるかどうかを県として確認するため、同協議会に対し、一般会計を初めとするすべての会計について再点検を行わせ、十二月二十五日までに県にその結果を報告するよう求めているようですが、同協議会が実施する事業は、社会的弱者の生活安定のために行われる生活福祉資金貸付事業など法律的に停止できない事業も数多いと思います。  そこで、一点目として、社会福祉法人青森社会福祉協議会の信頼回復に向け、県はどのように関与していくのかお伺いいたします。  二点目として、県は、同協議会に対し、すべての会計についての再点検を求めていますが、再点検の結果報告後、県はどのように対応することになるのかお伺いいたします。  次は、本県の雇用対策についてです。  政府は、十一月二十日、月例経済報告で、ついに日本の経済は戦後二度目のデフレ状況に突入したと発表しました。昨年のリーマン・ショック以来、世界の国々は連携、協調してこの世界的な経済危機に立ち向かい、ようやく落ちつきが見え始め、世界の株式市場は右肩上がりの曲線を描くに至りましたが、我が国の株価曲線は中折れをして世界から離脱している状況にあります。麻生内閣の経済対策が政権交代したことによってホップしたものの、ステップの段階で減速してしまったようです。世間では鳩山不況と呼んでおります。  デフレ状況が続くと、物は売れず、値段が下がり、経済規模がどんどん縮小します。一番困るのが雇用問題だと思います。総務省が先月三十日に発表した九月の完全失業率は五・三%と前月比で〇・二ポイント改善したとのことですが、水準自体は依然として悪く、年末、年度末に向けて厳しい雇用情勢が続くと思われます。  政府は、去る十月二十三日に緊急雇用対策を取りまとめ、来春以降の新卒者の就職を支援し、第二のロストジェネレーションをつくらないようにするための緊急的な支援措置と、成長分野における雇用促進のための緊急雇用創造プログラムを推進することにしました。さらに、緊急雇用対策では、既存の施策や予算を活用した地方自治体への具体の要請もなされております。  そこで一点目、国が緊急雇用対策の中で予定している緊急雇用創出事業の前倒し執行について、本県は具体的にどのように対応するのかお伺いします。  二点目として、緊急雇用創出事業については、これまでも六月及び九月と補正対応しているところですが、これまでにどのくらいの雇用創出効果があったのか、本年度の緊急雇用創出対策事業の実施状況についてお伺いします。  先日、来春卒業する高校生の就職内定率が発表されました。その新聞記事を見ますと、「求人パタリ生徒悲鳴」、「高卒県内求人 五ケ月連続三ないし四割減」、「就職内定率低迷五〇・二%」といったショッキングな見出しが並んでおりました。私が関係している専門学校でも、十一月現在で内定率は約三〇%。去年は七割ぐらいありましたので、昨年の半分です。県内のみならず、県外求人も厳しい状況が続いており、このような状況が来年の春まで続いた場合、相当数の就職が決まらない生徒が生じるのではないかと大変危惧しております。  そこで、三点目として、新規高等学校卒業予定者の内定状況について県の認識をお伺いします。  次に、建設業への支援の取り組みについてであります。  民主党政権が発足してきょうで七十二日。今一番国民の関心を集めているのが事業仕分けでありましょう。私も会員でありました構想日本が二、三年前から提唱して、主に地方自治体で取り上げていました手法が、今回、国のレベルの事業の仕分けをしているわけです。膨大な量の事業を短時間で少人数でその是非を決めるというひどく荒っぽい作業をしている場面がテレビで公開され、国民の関心が高まっております。公開はよしとしても、その結果にはいろいろと意見が分かれるところです。果たしてこの結果が来年度の予算編成にどうあらわれるのか、気が気でありません。  それはやはり公共事業のことであります。公共事業は景気対策の中心として位置づけられ、平成二十一年度の国の第一次補正においても、公共事業の大幅な追加により地域経済への波及効果があったものと認識しております。平成二十二年度の概算要求では、公共事業関係費が一段と縮減され、事業仕分けでこれがさらに減額されたら、公共事業によって創出されてきた就業機会や所得の減少は避けられないものと思われます。  そこで、一点目、平成二十二年度の県土整備部所管の公共事業費の見通しについてお伺いします。  このような予算の見通しによって心配されるのは、建設業者への影響であります。長引く不況の中で、さらに公共事業が大きく削減されれば、これまでどうにか耐え忍んできた建設業者も息切れ絶え絶えという事態が生じかねないと思います。建設業者の倒産は負債額と解雇者数ともに大きく、県内経済や雇用へ大変な影響を及ぼします。  二点目として、ここ二年間で倒産した県内建設業者の状況について、負債総額とそこで雇用されていた従業員数についてお伺いいたします。  三点目として、今後とも公共事業費の増加が見込めない中で、堅実な経営努力を行っている建設業者をどのように支援していくのかが課題となります。県では、これまでもさまざまな支援策を打ち出しておりますが、今行っている支援策を着実に進めるほかに、次の手も考える必要があろうかと思います。建設業者に対する経営改善支援策がこれまで以上に必要となると考えますが、支援策の取り組みについてお伺いいたします。  次は、農林水産業の振興についてです。  最近、東奥日報に、大討論、農業再生というテーマで関係するさまざまな分野の人たちの意見や考えが掲載され、なるほどと感心しながらも、おもしろく読ませていただいております。大半は日本の農業政策を批判しながらも、青森県の農業には将来に展望があると言っております。私なりに要約しますと、全国一律の猫の目農政や規模拡大一辺倒の誤り、生産調整政策の矛盾や、農家が自立してやっていけるような政策でなく、補助金行政だったと指摘しております。今回の政権交代は、自民党のこれらの政策によって農村を窮地に追いやってしまったすき間に戸別所得補償政策を掲げた民主党の奇策によるところが大きいとの意見もありました。  しかしながら、本県の農業は、その地域性を生かし、土地利用型、施設園芸、有機農法などさまざまなタイプで少量多品種生産をしているなど健闘しているとし、特定の農家や組織を支援するのではなく、経営タイプに応じて自立できる支援体制をつくることや、いろいろな産業とのコラボレーションによってさらなる発展が見込まれるなどであります。  その中で、十一月十六日の紙面には有馬農林水産部長の大討論が載っておりました。本県の米の生産技術が高いことを生かし、飼料用米や米粉用米への取り組みや集落営農組織を核にした地域農業を発展させるシステムの確立について述べております。そこで、企業的な経営手法を取り入れ、農産物の生産だけにとどまることなく、加工や販売までも取り組んで、これまで以上に所得の確保を目指す農業経営は地域の活性化や若者の農業参入に結びつくと考えられます。  そこで、部長が述べている地域営農起業化戦略なる地域営農システムの確立に向けて県は今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。  次に、林業・木材産業の活性化についてです。  林業をめぐる情勢を見ますと、木材価格の低迷や経済・雇用情勢の悪化による住宅の着工戸数の減少など、林業・木材産業にも大きな影響が及んでおります。国では、このような状況に対応するため、今年度の第一次補正予算で、間伐等の森林整備の加速化と地域材利用の促進などによる林業・木材産業再生を図るため、森林整備加速化・林業再生基金事業を実施することとしており、九月議会では、予算の執行見直しに心配しましたが、その後、全額執行が認められたと聞いております。  そこで、基金の活用による取り組みについてお伺いします。  次に、水産業の振興についてです。  攻めの農林水産業が功を奏し、本県の地場産品が首都圏の店頭やテレビの全国放送などで取り上げられ、販路の拡大や市場における評価の向上といった成果が見られるようになってきて喜ばしい限りです。水産業においても、三方を海に囲まれた恵まれた環境をさらに生かし、とる漁業はもちろん、つくり育てる漁業へと取り組み、さらには品質のよい水産物を原料とした水産加工業と一体となった産業構造が形成されております。  県では、これまでも、種苗の放流や資源管理、さらには魚場造成など水産資源の維持増大に向けた取り組みに努めてきたところですが、今後とも本県が全国的に社会的にも評価を維持し、水産物の食料自給率向上にも一定の役割を果たしていくためには、産業としての収益性を高めていかなくてはならないと考えます。  そこで、攻めの農林水産業の基本となっている収益性アップの視点から、水産業の振興をどのように図っていくのかお伺いいたします。  最後に、大型クラゲによる漁獲被害についてです。  平成十五年、十七年に続き、ことしも大型クラゲの大量出現による漁業被害が続いております。去る十月八日、木村太郎代議士と同行して西海岸の艫作漁港から船に乗り、海上から大型クラゲの駆除状況を視察する機会を得ました。私が目にしたのは、大の大人が七人がかりで入網した大量のクラゲをたもですくい上げ、細かく砕きながら網から運び出す作業を延々と繰り返す姿でした。大型クラゲが大量に入網した場合、網の破損だけでなく、漁獲物が売り物にならないとのことでした。被害の大きさと大変な労力を費やしていることを実感した次第であります。  このような生産現場の抱えた問題を解決するための一助になればと、視察の後すぐに木村代議士と四区の議員の皆さんで農林水産省に要望に出向き、日中韓の連携による発生原因の究明や西日本海域における早期駆除の徹底、改良漁具の導入や洋上駆除等、漁業者の取り組みに対する支援の充実についてお願いをしてきました。  私は、大型クラゲ対策は、本来、国が関係各国と連携して行うべきものであると考えますが、一方では、県は県なりの、漁業者は漁業者なりのとれる対策があるのではないかと考えます。  そこで、一点目に、ことしの大型クラゲ来遊の特徴について。  二点目に、現在どのような対策がとられているのかお伺いします。  三点目として、平成十五年、十七年、そしてことしと大量出現が繰り返され、現在に至るまで抜本的な対策がとられていないことから常態化していると考えます。大型クラゲの来遊を前提とした生産体制の確立に向け、県はどのように取り組んでいくのかお伺いします。  以上で質問を終わります。 5 ◯議長(田中順造) 知事。 6 ◯知事(三村申吾) おはようございます。西谷議員にお答えします。  まず一点目、昨今の国政の動きの影響をどうとらえ、その中において青森県基本計画未来への挑戦の方向性をどう示していくかという取り組みについてであります。  議員御指摘のとおり、世界経済しかり、国政しかり、今、時代は大きな転換期を迎えていると考えております。国政においても大きな変化がありました。しかしながら、どのような状況にあったとしても、政治が国家、国民のためにあり、また、国民の幸福のためにある、その真実にはいささかも変わるところはないと信じるところであります。したがって、その中において私どもとしては、青森の価値を創造し、広く訴えていきたいという私自身の強い思いを込めました青森県基本計画未来への挑戦が指し示す針路も、いささかも変わるところはないと、これもまた確信するところであります。  そうした状況の中、来年度に向けた計画の推進に当たりましては、何よりも県民生活の安定と向上を図ることが私に課せられた最大の責務であるとの認識のもと、五つの戦略キーワードを示すことにより、例えば、一点目として、食品製造業の強化や総合販売戦略のさらなる推進等によるあおもり食産業の推進、東北新幹線全線開業効果の全県的、重層的な波及に向けた取り組みの強化を初め、地域の特徴を生かした生業(なりわい)づくりによる雇用の創出、安定や県民所得の向上、そして二点目として、少子化問題、子供の安全・安心、生きる力の育成等、子供をめぐるさまざまな課題を解決するための総合的な支援、三点目として、がん対策を初めとした健康づくりや適切な医療が受けられる体制整備、人口減少下での安全・安心なまちづくり等、県民が安んじて暮らしていける社会の実現といった方向性をもって重点事業の構築を鋭意進めているところであります。  今後の青森県基本計画未来への挑戦におきまして、生業(なりわい)づくりと次代を担う子供たちの育成が重要課題でありますが、どのような方針で進むかであります。  私は、かねてより、生業(なりわい)づくりにおいても、豊かな生活の実現のためにも、あらゆる分野において根幹をなす人財―人の財(たから)を育成することこそが重要であると訴え続けてまいりました。この未来への挑戦においても、教育、人づくりを四本柱の一つに据えているところであります。  基本計画においては、次代を担う子供たちの育成を青森の未来をつくる人財の育成と位置づけ、青森を体験し、青森を知る教育の推進、確かな学力の向上等、八つの施策を打ち出しておりますが、来年度の戦略キーワードにも「子ども」総合支援を示し、重点化を図っているところであります。  現在、厳しい経済環境に置かれております青森県ではありますが、例えば食品製造業において地場産品を素材とした商品の販路拡大に果敢に取り組み、成功する元気な企業があらわれるなど、今後に期待の持てる事例も数多く出てきておる次第であります。  私は、青森県の未来は大きな可能性を秘めていると確信するところでありますが、そのためにも、地域資源を活用した生業(なりわい)づくりに取り組むとともに、今の子供たちが青森県の豊かな環境の中ですくすくと育ち、青森の未来をつくる人財―人の財(たから)として着実に成長していけるよう、百年の大計として教育、人づくりを推進していきたいと考えているところであります。  原子力政策に今後どのように対応していくかであります。  先般の鳩山内閣の関係閣僚に対する確認、要請におきましては、引き続き重要な国の政策としてプルサーマルを含む核燃料サイクルを着実に推進していく旨、また、青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしないという約束を守りながら、国が前面に立ち最終処分に取り組む旨の回答をいただいたところであり、国の確固たる姿勢を確認できたものと受けとめているところであります。  私としては、これまでも核燃料サイクル政策につきまして、国が前面に立ち、国民の理解と協力を得ながら、中長期的にぶれることなく責任を持って推進するよう強く要請しますとともに、安全なくして原子力なし、この思いのもとに、県民の安全と安心の確保を第一に対処してきたところであります。今後ともこの姿勢を堅持していく所存であります。  原子力行政について、これまで以上に強く国、事業者に物申すべきではないかという質問であります。  本県に立地する原子力施設につきましては、国のエネルギー政策に沿う重要な施設であるとの認識のもと、安全性の確保を第一義としてその立地に協力してきているところであり、私は、県民の安全・安心を守る立場から、また、我が国の原子力政策に大きく貢献しております青森県の役割を改めて十分に認識していただく、そのことが極めて重要であるとの考えから、これまでも機会あるごとに、国策である核燃料サイクル政策等について国、事業者に対して確認、要請をしてきたところであります。  我が国のエネルギー政策及び地球温暖化対策の観点から、私ども青森県における原子燃料サイクル事業の重要性はますます高まってきております。先般の知事懇談会におきましても、経済産業大臣から原子力の必要性についての強い言葉がございました。私としては、国策に協力しております県民に責任のある現職の知事として、県民、そして県議会の皆様方の声を真摯に受けとめ、国、事業者に対し、今後とも強い意思を持って対応してまいりたいと考えている次第であります。  地域医療の課題に対する認識と対応であります。  私は、知事就任以来、青森県の医療を将来にわたって持続可能にしていくこと、そして、それを支える医師の方々の確保、定着を大きな課題と認識し、医師確保にみずからが努力するのみならず、医師不足の構造的要因を解消するため、各種施策に取り組んできました。これは、他の都道府県のどこよりも早くこのことをスタートさせたという強い思いがあります。それは町長以来の経験からでありました。  その結果、本年度の本県出身医学部合格者が全体で八十二名、弘前大学においては四十二名でございますが、平成十六年度に比べてほぼ倍増し、飛躍的に増加するなどの成果が上がってきているところであります。今後より一層、医師の確保、定着といったことに取り組んでいきたいと思っています。  一方、県民の皆様方が適切な医療サービスを受けるためには、地域の限られた医療資源を最大限に活用していくシステムづくりの視点が重要であります。  平成十七年十一月に策定した良医をはぐくむ青森県づくりを目指しました医師確保のためのグランドデザインにおきましては、二次保健医療圏単位での医療機関の連携・交流システムの重要性を掲げたところであります。その中心となりますのは、急性期と回復期という明確な役割分担のもとで、圏域の中核病院とそれを補完する病院、診療所とのネットワークを形成し、一般的な医療が完結する地域医療体制の構築を目指す自治体病院機能再編成の取り組みであります。  また、圏域において、かかりつけ医であります開業医が、例えば自治体病院の当直を支援するなどの連携協力体制が重要であるほか、より高度、特殊な医療が必要になる場合には、診療機能の高い県立中央病院や弘前大学医学部附属病院などと連携して対応する体制を整備するなど、県民の医療ニーズに即したサービスを県内どこでも提供できる体制づくりをつくりあげることが重要であります。  さらに、医療にとどまらず、介護などのケアサービス、健康づくりの保健活動、施設サービスなどへ結びつく連続的で体系立った圏域全体の保健、医療、福祉の一体化のシステム、すなわち自分自身が推進し続けてきました保健・医療・福祉包括ケアシステムとして全体のシステムを機能させることが、県民一人一人が安心して地域で暮らせる地域づくりの基盤となるものであります。  県では、これら自治体病院の機能再編成の取り組みや、それらを含みます包括ケアシステムの推進等それぞれの取り組みを有機的に組み合わせ、圏域ごとのきめ細やかなネットワークをつくり上げていきたいと考えておる次第であります。  社会福祉法人青森社会福祉協議会の信頼回復に向けての県の関与であります。  県では、去る十月十三日から十一月十三日まで延べ十一日間にわたり、同協議会に対し特別監査を実施いたしました。その結果、同協議会において、さきの生活福祉資金貸付事業に係る償還金の横領事実が確認されたことに加え、新たに使途不明金が判明したことは極めて遺憾であります。私としては、同協議会が市町村の社会福祉協議会の取りまとめ役として県民の地域福祉に率先して取り組むべき重要な役割を担っていることを重く見て、同協議会が法人としての責任の所在を明らかにして、しっかりとみずからを律し、県民の信頼を取り戻すために襟を正して対処するよう厳しく求めていく所存です。  この不祥事の要因は、同協議会における管理運営体制の不備及び内部牽制機能の欠如にあると認識をするところです。このため、会長を初め役員及び事業責任者は、不祥事の発生とその予防について、その責務の重さを再認識すべきであり、中でも本事案が発生することになった平成十六年度以降の会長を初め役員には重い責任があると考えております。  このような基本的認識を踏まえ、県では、同協議会に対し、十一月十九日付で特別監査の結果を通知し、是正改善の報告を求め、是正改善がなされるまで継続的、重点的に指導していくこととしております。中でも、再発防止策については早急に取り組み、その進行状況について報告するよう求め、継続的に確認していきます。  また、平成二十二年度以降も県からの補助・委託事業が継続できるかどうかを県として確認するため、一般会計を初めとするすべての会計について再点検を行わせ、十二月二十五日までに県にその結果を報告するよう指示しております。さらに、使途不明金については、今後、原因者に対して責任を追及するとともに、回収できない場合には、理事会の責任において確実に補てんを行うことを求めたところであります。  新規高等学校卒業予定者の内定状況等についてであります。  平成二十二年三月県内高等学校卒業予定者の十月末現在の就職内定状況は、就職希望者数三千九百二十一人に対し、就職内定者数は千九百六十九人で内定率は五〇・二%となっており、前年同月に比べまして一〇・八ポイントの減となっております。  私は、昨年来の景気低迷の影響による雇用情勢の悪化を受け、大変厳しい状況となっていると認識しており、このため、私と教育長、青森労働局長の三者によります本年度二度目となります求人の拡大要請を実施するとともに、現在、職員が個別の事業主を訪問し、求人拡大の要請を行っているところであります。また、卒業までに就職が決まらない生徒が多数出るおそれもありますことから、私は、未就職卒業者に対する資格取得の支援を初めとしたさまざまな就職支援対策について積極的に検討するよう、改めて関係部局に指示したところであります。今後とも、青森労働局や県教育委員会と連携を図りながら、求人拡大を初めとする就職支援に取り組んでいくこととしております。  新たな地域営農システムの確立と、今後それにどう取り組んでいくかであります。  私は、新たな青森県基本計画未来への挑戦の中で、農業を基盤とする食産業を、国内外からの外貨獲得につながる経済効果の高い産業として位置づけ、その充実強化を図ることとしたところであります。  農業が第一次産業の農産物生産にとどまらず、加工などの二次、流通販売などの三次産業の分野にまでも踏み込み、新たなアイデアで商品づくりやビジネスチャンスの創出ということにつなげ、地域全体の収益性の向上を図る農業の六次産業化が重要であると訴え続けてきました。
     現在、集落営農組織等地域農業の担い手の六次産業化への取り組みを促進するため、企業的農業経営を実現するリーダーの育成、また、若者や女性、高齢者等多様な人財が活躍できる体制づくり、地域内の商工業者等と連携したビジネスの展開、収益を確保しながら地域社会に貢献する経営への発展等を内容とする攻めの地域営農企業化戦略の年内策定を目指して作業を進めているところであります。  県では、この戦略に基づき、来年一月には各地域県民局に地域営農企業化支援チームを設置し、市町村単位に集落営農組織や農協、商工関係団体等で構成する実践チームづくりを進め、農業を軸とした持続可能な地域社会の実現を目指すこととしております。  以上であります。 7 ◯議長(田中順造) 健康福祉部長。 8 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、地域医療再生計画による地域医療の課題への取り組みについてお答えいたします。  まず、西北五圏域は、男性の平均寿命が全国でもワーストクラスであり、三大死因による死亡率も高く、その上、県内でも最も医師が少なく、専門的医療機能も低い地域となっております。そのため、多くの患者が圏域外に流出するなど一般的な医療が完結しておりません。  このような地域医療の課題を打開するために、同圏域を対象とした地域医療再生計画案では、圏域の市町がこれまで取り組んできた自治体病院の医療機能の再編・ネットワーク化、いわゆる自治体病院機能再編成を軸とし、脆弱な医療機能の克服、医療従事者の確保、医療ネットワークの構築により持続可能な医療提供体制を構築することとしております。  また、青森圏域には、総合周産期母子医療センターや重度心身障害児施設などがあり、本県の周産期医療及び障害児医療における中核を担っている地域ですが、深刻な医師不足や施設の満床状態により、周産期医療及び障害児医療が立ち行かなくなっており、他の圏域へ影響を及ぼすことが懸念されるところです。  このような地域医療の課題に対応するため、同圏域を対象とした地域医療再生計画案では、周産期医療の充実強化、障害児医療における医療機能や医師の集約化と役割分担により、周産期医療から療育の場まで、患者本位の視点に立った適切で切れ目のない医療提供体制を構築することとしております。  次に、青森県社会福祉協議会の再点検の結果報告後の県の対応についてです。  県においては、平成二十二年度以降も県からの補助・委託事業が継続的にできるかを確認するため、今般実施した特別監査の結果通知において、一般会計を初めとするすべての会計について再点検を求めているものです。再点検の結果を確認した上で、同協議会に対する今後の補助等を検討していきたいと考えています。 9 ◯議長(田中順造) 商工労働部長。 10 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 雇用対策の御質問二点にお答えいたします。  最初に、国が緊急雇用対策の中で予定している緊急雇用創出事業の前倒し執行への対応についてでございます。  去る十月二十三日に、政府において、年末年始における貧困・困窮者対策を初め、働きながら介護分野の資格取得を認める介護雇用プログラムの創設や緊急雇用創出事業の前倒し実施等による雇用創出の推進を内容とする緊急雇用対策が取りまとめられたところであります。これを受けまして、本県を初め各都道府県に対し、介護雇用プログラムの推進を含む緊急雇用創出事業の前倒し執行の要請がありました。  県としては、今回の緊急雇用対策については、追加の財源が措置されておらず、本来であれば追加の財源措置が先に行われるべきものであると考えております。また、基金事業開始以来、六月、九月の補正予算での対応も含め、これまで計画的に事業を執行してきており、本年度は既に三千五百人程度の事業を計画するなど、可能な事業をおおむね実施してきているところです。  国からの要請でもあり、冬期間であることや事業構築のための期間が短い状況の中ではあるものの、既存の基金の枠の中で県及び市町村事業合わせてできる限りの対応を行い、百四十人程度の雇用を創出することとし、そのうち県事業の前倒し分として、介護雇用プログラムに対応した事業を含めて約五十人、計二千六百万円を補正予算に計上し、本定例会で御審議いただいているところです。  次に、本年度の緊急雇用創出対策事業の実施状況についてでございます。  緊急雇用創出対策事業は、離職を余儀なくされた方々を対象に、次の雇用までのつなぎの雇用・就労機会を提供するもので、雇用期間は六カ月未満で更新は一回限りとなっております。また、十月二十三日に策定された国の緊急雇用対策において、働きながら介護分野の資格取得を認める介護雇用プログラムが創設されたところであります。  本年度は、県事業において、振り込め詐欺対策啓発事業など九十三件の事業を実施し、千六百九十六人の雇用を創出することとしております。また、市町村事業としては、青森市における青森市史収集資料整理活用事業など二百七十八件の事業を実施し、千七百九十人の雇用を創出することとしております。  これらの事業実施による新規雇用数は、平成二十一年十一月十日時点で、県、市町村合わせて三千二十七人の実績となっております。さらに、国からは、緊急雇用対策の一環として事業の前倒し執行の要請があったことから、できる限りの対応として、県及び市町村事業合わせて事業費で約八千万円、新規雇用数で約百四十名程度を実施することといたしました。  県としては、今回の前倒し執行に係る財源措置が行われておらず、今後、新たな雇用対策の実施に当たっては、新たな財源措置を講じるよう国に働きかけてまいりたいと考えております。 11 ◯議長(田中順造) 農林水産部長。 12 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 御質問五点にお答えいたします。  最初に、森林整備加速化・林業再生基金事業の活用に関する県の見解についてです。  本事業は、国から交付される補助金により、各都道府県が基金を造成し、森林所有者や林業関係団体等が行う間伐や作業路の開設を初め、製材や木質バイオマス・木造公共施設の整備などに対して、平成二十一年度から二十三年度までの三年間補助するものです。  県では、この事業が、地球温暖化防止や県産材の利用拡大など、将来の本県林業・木材産業の振興、さらには、新たな雇用の創出などに結びつく重要な事業であると考えているところであり、総額二十一億円の基金を活用して、高性能林業機械の導入や木材加工流通施設、木造公共施設、木質バイオマス利用施設の整備などに対し、積極的に支援してまいります。  次に、収益性アップの視点からの水産業の振興についてです。  本県の水産業は、三方を海に囲まれ、寒流、暖流が交錯することから好漁場が形成されるといった恵まれた自然条件や、ホタテガイ養殖等の高い生産技術による全国屈指の生産量を背景に、本県の基幹産業として地域の経済や社会の形成に大きな役割を果たしてきました。  本県水産業の振興に当たっては、消費者から受け入れられるおいしく高鮮度で安全・安心な水産物を安定的に供給していくことを基本として、ホタテガイの良質大型化と生産の安定化に向けたTASC(タスク)制度の導入、食卓に最もおいしい状態でヒラメを届けるための取り扱い方法の技術開発、コスト削減と製品の高付加価値化に向けた改革型まき網漁船による船上凍結サバの生産、海底の有機物をえさとし、漁場環境の改善も期待されるナマコを対象とした資源管理及び種苗生産技術の改良などを進めているところであり、今後も引き続きこのような取り組みの普及拡大により、本県水産業の収益性の向上を図っていきます。  次に、大型クラゲ来遊の特徴についてです。  ことしの大型クラゲの来遊は、これまでに大量出現した平成十五年や平成十七年に比較して一カ月近く早く、八月下旬に確認されました。その後、九月上旬には全県的にまとまって出現し、中旬以降には、定置網に千個以上の大量の入網が続いています。  大型クラゲは、対馬暖流に乗って日本海側を北上することから、東北地方では山形県、秋田県の沿岸で出現した後に、本県の日本海、津軽海峡、太平洋の沿岸へと出現するのがこれまでの例でしたが、ことしは、日本海のはるか沖合を北上した後、津軽海峡に入ったことから、早い時期に津軽海峡東部から太平洋沿岸にかけて出現しました。さらに、ことしは本県太平洋沿岸での大量出現が長期間に及び、サケの水揚げに大きな影響を与えています。  次に、大型クラゲの対策についてです。  県では、大型クラゲ被害が発生している地域で現地調査を実施するとともに、出現や被害に関する情報の収集と定期的な発信、漁業者による駆除活動への指導を行っているほか、被害を受けた漁業者に対し漁業経営維持安定資金等の制度資金の活用を呼びかけています。  また、大型クラゲ対策の充実が図られるよう、発生原因の早期究明と、これに基づく抜本的対策の検討、西日本海域での早期駆除の実施及び漁業者による漁具改良と洋上駆除に対する支援の拡充について国に要望しているところです。  このほか、地方独立行政法人青森県産業技術センター水産総合研究所では、本県の沖合において出現状況調査と効率的な駆除方法の開発を目的とした洋上駆除試験を実施しているほか、全国漁業協働組合連合会でも本県沖合海域において洋上駆除を行っています。  最後に、大型クラゲ対策としての生産体制の確立への取り組みについてです。  現時点では、早期に本県周辺への大量出現を阻止することは困難であると考えられることから、県では、被害を軽減する漁具、漁法について関係機関から情報収集を行い、対策事例集を発行、普及したところであり、その導入に当たっては国の助成制度を活用するなど、漁業者に対し働きかけているところです。  また、クラゲの入網数が甚大で、漁具、漁法の改良による被害軽減が十分でない場合や、刺し網漁業、底建て網漁業のように効果的な改良漁具が未開発の漁業においては、漁業収入の減少による経営への影響を軽減するため、漁業共済への加入促進を指導しています。  さらに、これまでの出現状況等を解析して短期的な出現予測を行い、被害を軽減するための網口の開放など、細やかな対応ができるよう、関係機関と連携して情報の収集・発信体制の充実に努めていきます。 13 ◯議長(田中順造) 県土整備部長。 14 ◯県土整備部長(山下 勝) まず、平成二十二年度の県土整備部所管公共事業費の見通しについてでございます。  県では、平成二十二年度当初予算の編成に当たりましては、災害公共事業費を除く県全体の公共事業関係費の見積もり目安額を、当面、前年度当初予算比マイナス三%の範囲と設定しておりますけれども、国の予算措置の状況に応じまして調整をする予定としております。  一方、国の予算措置の状況を見ますと、国土交通省の平成二十二年度概算要求では、公共事業関係費が前年度当初予算比でマイナス一四%と大幅な削減となっております。さらに、行政刷新会議の事業仕分けによる評価結果では、一層の削減を図ることとされております。  このような厳しい状況でありますが、県といたしましては、これまで以上に施策の選択と集中に努めながら、地域の経済を支える社会基盤の整備を着実に進めてまいります。  次に、ここ二年間で倒産した県内建設業者の状況でございます。  民間の信用調査機関の調査によりますと、負債額一千万円以上で倒産した県内の建設業者数は、平成二十年度が四十六件、負債総額は百十二億九千七百万円、雇用されていた従業員数は六百三十八名となっております。また、平成二十一年度は十月末現在で倒産件数が二十七件、負債総額は五十三億八千九百万円、雇用されていた従業員数は二百三十四名となっております。  最後に、建設業に対する経営改善支援でございますが、県では、平成十六年度から実施しております建設産業再生・活性化促進事業により、中小企業診断士や経営コンサルタントを招いての経営相談や、新分野進出事例の情報提供を行うなど、建設企業の経営改善に向けた自助努力を支援しているところでございます。  さらに今年度は、県内で生産量の少ない漢方薬草などの栽培を通じて新たなビジネスモデルの構築を目指す建設業大規模農業参入支援事業や、幅広いネットワークを持つ総合商社と建設企業が連携して、新分野での事業可能性を検討する建設業・商社グループ連携事業などに取り組んでいるところでございます。  県といたしましては、今後も引き続き経営相談や新分野進出などに対する支援を通じて、意欲ある建設企業の経営改善を促していくこととしております。 15 ◯議長(田中順造) 西谷議員。 16 ◯四十二番(西谷 洌) 前回の一般質問のときに、この席から発言をしませんでした。そうしたら、ある議員のブログに、あれはやる気がないのかというふうなことを書かれておりました。幾ら時間を与えられたからといって、登壇して発言したことを繰り返してまた自席で話したり、答弁とすれ違うような再質問をしたり、そんなことのほうがどうかと思うので、十分な答弁をいただいたら、私はそれでいいと思います。  ただ、今回はちょっと意見と要望を言わせていただきます。  この間、玄海の原発のところに行って所長さんとお話をしたら、民主党さんのほうがよっぽど国策に対する意識が強いというようなことを話しておりました。ですから、政権は変わっても国策は国策なんだというふうに受けとめたんですけれども、それでも、例えば今回の防衛、普天間の問題とかというところは、何かちょっと揺らいでいるような感じがします。  東濃地科学センターに行って、地下三百メートルの最終処分の現場を見てきたんです。全く静かな、下のほうは大きな空間で、キャスクを相当入れるというふうな、あそこにそのまま持ち込んでもいいのではないかと思うぐらいの施設がもうでき上がっているんです。ですから、同じ国策で、アメリカ軍の飛行機が飛び交ってうるさい、あるいは兵隊たちが事件を起こすとかということに比べたら、最終処分場なんていうのは静かなもので、そんな問題が起こるわけでもないし、それなりの交付金が支給されるのであれば、どこが手を挙げてもおかしくないと思うんです。何か最近の新聞で二、三そういうところが出てきたというふうな話ですから、早々にあの最終処分場は決まるのではないかなというふうな観測をしています。  今回は、先ほど壇上でお話ししましたように、いろいろなところで話をした中で、鹿児島の県議会議員の先生方ともいろいろと話をしたんです。向こうは、原発を招致してしまうと、あとは何もないんだと。建てるまでがいろいろと問題があって、国との折衝とかいろいろなことがあるんだけれども、できてしまえば静かなものだということでした。今回の玄海のプルサーマルも、中央のほうから反対派が来たけれども、テレビを回せば騒ぐけれども、あとは静かに見ているぐらいで、そういうような大きなトラブルにならないというふうなことも含めて、同じ国策でも、ああいう防衛問題とエネルギー政策とはちょっと違うのかなというふうに感じました。  ただ、知事は非常にフットワークがいいので、孤軍奮闘しているように見受けられるので、ちょっと気の毒だなというふうな感じを覚えて、今回、鹿児島の議員と話をしたときも、我々は帰ってきてから特別委員会をつくらせていただきました。それは、知事とか議長さんは全国のそういうところと話し合う機会はあるかもしれませんけれども、議員同士の話し合う場所がないということで、今回動いてみて、その地域地域でやっぱりいろんな問題をまた抱えているんです。特に彼らから言わせると、青森県はサイクル事業という、一回つくれば終わるものではなくて、そこから稼働していくということを考えると、日本のエネルギー政策の中で青森県というのは非常に大事な立地なんだ、青森県なんだということを踏まえると、もっともっと積極的にリーダーシップを発揮してやってほしいというふうな意見もあったわけです。  そこで、私もこれからそういう原発の立地県の議員さんたちと協議するような場を設ける方向で動いてみたいと思っています。これは地方の、立地している議会として、知事さんだけに余り負担をかけないように、議会もそれをフォローするようなやり方を考えたいなと思って帰ってきたところであります。  次に、社協の問題です。  もしも十二月二十五日の報告によってまた新たな不祥事が出た場合にはどうするんですかという質問は、したいんですけれども、出てみないとわからないというようなそっけない答弁なので、聞いても仕方がないかなと思います。  ただ、責任のとり方というのは、私はどうも気になるのは、そういう規則があって、一番重いのは例えば首にするとか、次は給料をカットするとかというところでおさまっているんです。給料をカットすると、では何ぼ給料をもらっているんですかと聞いたら教えてくれないので、どのぐらいの給料をもらって、一〇%カットで二カ月なり四カ月というのがそんなに重い責任なのかなと。責任の重さを数量化したときに、給料のカットだけでおさまるということでいいのか。例えば給料をもらっていない会長とか副会長はどういう罰を与えられるんですか。そういうところがはっきりしない。専務さんはやめるということを表明しているようでありますけれども、今の会長さんは天下りの問題も見直すとかと言っていますが、そういうことではないと思うんです。どうもその辺が社協の体質の中にあるような気がします。  だからといって、事務局長さんとか何とか部長さんと二人いるそうですけれども、そういう人たちに責任をとらせるだけでいいのかなというところもあって、私は決算特別委員会のときに蝦名副知事にも、不適正支出の後に県庁でやった研修事業がありますよね。ですから、ああいうマニュアルを示して、やっぱり社協だけではなくて、県が出資しているとか助成している、お金を出して事業を委託している組織のところは、あのやり方をもう一回全員に参加させて研修させる、そういうことをやって、公金に対する意識というものを、もう一回体に―体にというわけにはいかないけれども、頭に覚えてもらって、どうしても我々民間で考えて一生懸命働いて稼いだお金というよりも、どこからか渡ってくるようなお金という、そういう面での認識が希薄なのではないかと思うんです。  ですから、ああいう研修マニュアルを示して、一回そこの職員が全部参加できるように県のほうで強く指導するというか、そういうふうなことに取り組むようにさせるというのも一つの手だというふうに思いますので、これは要望して終わります。  以上です。 17 ◯議長(田中順造) 午さんのため、暫時休憩いたします。 午前十一時五十分休憩    ────────────────────── 午後一時一分再開 18 ◯副議長(清水悦郎) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。  二十二番松尾和彦議員の登壇を許可いたします。―松尾議員。 19 ◯二十二番(松尾和彦) 第二百六十回定例会に当たりまして、一般質問をさせていただきます。  私は、前までは新政会の松尾和彦と申しておりましたが、現在は民主党の松尾和彦でございます。よろしくお願い申し上げたいと思います。  まず、議長のお許しを得まして、所見を交えながら一般質問を行いたいと思います。  日本の歴史に残る国民投票によって選ばれた政権交代が決してから三カ月が過ぎようとしております。この間、行政刷新会議による無駄の洗い出しや、国民目線でのオープンな状態での事業仕分けや、新たな分権型陳情への改革など、投票を行ってきた人は無論のことでありますが、これまで政治に対して無関心であった人までもが大きな関心を持って今の政治を見ていると思います。  国民の生活が第一という考え方に立ち、政府は今必死になって、これまで続いてきた政権でのおもし、いわゆる官僚主導の政治や、それに伴う無駄遣い、まずこれを取り除こうとしております。これはひとえに国のあり方と地方政府の役割、つまり地方分権に強力に進んでいくあらわれだと思っております。国と地方、お互いに対等の立場で努力しながら、国民のためになる戦後初の真の地域主権を確立することが求められていると思います。  しかし、やはりそうは言っても、三位一体の改革以降の地方交付税の削減は、地方にとって多くの分野でゆがみを生じさせ、その回復の道筋はなかなか容易ではないと考えます。特に国策に乗って行われていることが多い青森県の抱える六ヶ所サイクル、原子力、ITER、新幹線、並行在来線、県境不法投棄などなどさまざまな案件は、税金の使われ方という観点からも、これまで以上にその必要性や合理性を組み立て、優先順位を決めて訴えていかなければならないと、そう考えております。  また、その一方で忘れてならないのは、住宅供給公社での十四億円の横領事件や今回の県社会福祉協議会での事件、あるいはアンデス電気への多額の債権放棄など、税金がこれ以上無駄にならないように、さまざまな角度からの総点検が必要であり、それが進まなくては結果的にそれらに足を引っ張られ、地方分権の波に乗れないばかりか、地域主権を確立することなどできません。  いずれにしても、政権交代によってコンクリートから人への考え方の転換、そして真の地方分権と地域主権の確立を目指して、今、日本は動き始めたと思います。知事におかれましては、新エネルギーや温暖化対策による経済効果や雇用の受け皿の創出、緊急雇用対策など、新政権の進める方策をたくみにとらえながら、来年の新幹線開業効果も十分活用して、青森県を、知事がよく言っておりますトップランナーとして走り出せるよう、我々としても知事の采配を見ていきたいと思います。  それでは、質問に移ります。  最初は、今月七日に共同通信社が行った鳩山政権の地方政策に関する全国知事へのアンケート結果についてであります。  私は、八日の朝刊を見て驚きました。この種のアンケート調査では、これまでどちらかといえば余り明確に態度を表明してこなかったと思われる本県の三村知事ですが、今回は、原口総務大臣が打ち出した地方交付税の増額については不十分、前原国土交通大臣が打ち出した直轄負担金の維持管理費分廃止についても反対など、全国の中では圧倒的に十分や賛成としている他の知事と異なる見解を回答していたものです。新聞記事では、読者にわかりやすいようにマル・バツ式の表にして記載してあったため、なおのこと本県の回答が際立ったのは言うまでもありません。  そこで、以下の三点についてお伺いいたしたいと思います。  第一に、来年度の概算要求に係る地方交付税の増額について不十分とした理由について。  第二に、直轄負担金の維持管理費分を廃止する方針について反対した理由について。  第三に、地方分権の推進に係る地域主権戦略会議の設置に関して、賛成、反対どちらでもないと回答した理由について。  それぞれについてお答えをいただきたいと思います。  次に、中小企業金融対策についてであります。  リーマン・ショックに端を発した世界同時不況が渦巻いていた昨年度は、県はいち早く県信用保証協会の保証枠の拡大など中小企業の資金繰りをサポートする方針を打ち出しました。それから一年を経て、世界各国においては株価が安定するなど持ち直しの気配もうかがえますが、我が国においては不況の出口すら見えない経済情勢にあります。本県においても、求人、雇用の状況にもあらわれているとおり、中小企業にあっては大変厳しい経営環境を強いられており、そういった企業の資金需要に対しては、たとえ政権が変わろうとも、県として主体的にしっかりと対応していく必要があるものと考えます。  そこで伺います。  今後、年末に向けた資金需要についてどのように対応していくつもりなのかお伺いいたしたいと思います。  次に、雇用・失業者対策についてであります。  去る十月二十三日に開かれた政府の緊急雇用対策本部において、求職中の貧困・困窮者が安心して生活できるよう、雇用、住居、生活支援などの各種サービスについて一つの窓口で相談、手続が可能となるワンストップサービスの実施が打ち出されました。これを受けて、十月三十日付で菅副総理を初め原口総務大臣、長妻厚生労働大臣、前原国土交通大臣の連名により、各都道府県知事あてにワンストップ・サービス・デイ実施に係るご協力のお願いという文書が出されております。私は、雇用情勢が特に悪い本県においては、年末年始に向けて生活に困っている方が大勢いると感じておりますし、ハローワーク一カ所で仕事の相談や生活保護の手続ができるこのサービスに対するニーズは、潜在的に高いものと感じております。  そこで、政府の緊急雇用対策で実施されるワンストップ・サービス・デイの概要と県の認識についてお伺いします。  次に、東北新幹線全線開業対策についてお伺いします。  いよいよ約一年後には新青森駅まで新幹線がやってきます。東北新幹線の全線開業により、首都圏を初めとした全国各地との時間、距離は格段に短縮され、本県においても人、物、金が大きく循環する機会が訪れます。交流人口の拡大や観光ビジネスの創出を通じて、本県の産業・雇用の発展に結びつけていく千載一遇のチャンスであると思われます。しかし、もうすぐそのチャンスが訪れるにもかかわらず、県内の盛り上がりがいま一つと感じるのは私だけではないと思います。  そこで、県内の観光面におけるさらなる機運醸成に向けて、県ではどのように取り組んでいるのか伺いたいと思います。  次に、全線開業後の観光客受け入れ体制についてですが、観光客の方々は、せっかく本県を訪れるからには、十分に県内を周遊し、存分に楽しんでいきたいとの思いから、より広域的な観光情報へのニーズが高まるものと考えます。しかし、現状では、各地域で取り扱っている観光情報やコンテンツが十分にPRされているのか心配になりますし、観光や物産の窓口がその機能を十分に発揮できるのか不安を感じております。  そこで、県内各地の観光案内所において広域的な観光情報の提供が必要と考えますが、県ではどのように対応しているのかお伺いします。
     次に、社会福祉法人青森社会福祉協議会に対する特別監査の実施結果等について伺います。  社会福祉法人青森社会福祉協議会における不祥事については、定例会の冒頭、知事報告において説明がなされたところでありますが、生活福祉資金貸付事業に係る償還金の横領に加え、新たな使途不明金が判明したことは、県民の一人としてまことに許しがたく、大きな憤りを感じているところでございます。  このため、生活弱者へのサービス提供を行っている同協議会には、不退転の決意で社会福祉法人としての倫理や法令遵守など基本的な事項を再確認するとともに、不祥事の要因ともなったずさんな経理執行体制を速やかに是正し、公金約一億八千万円の補助・委託事業を受けるに足る団体に生まれ変わるよう強く求めていきたいと思います。  あわせて、県は、この不祥事を福祉行政全体の問題としてとらえ、同協議会の体質改善に向けて強い指導力を発揮する必要があると考えております。  そこで、次の二点について伺いたいと思います。  一点目として、県による社会福祉法人青森社会福祉協議会に対する特別監査の結果を踏まえ、県は同協議会についてどのような現状認識を持っているのか伺います。  二点目として、県は、同協議会の体質改善に向け、今後どのような姿勢で対応していくのか伺いたいと思います。  続いて、青い森鉄道線に係る鉄道事業の許可申請について伺います。  去る二十四日に開催されました県議会新幹線・鉄道問題対策特別委員会において、今月中に県から国へ提出する事業許可申請書に、貨物線路使用料の負担割合の見直しや並行在来線の維持に要する県費負担への国からの助成措置など、国の支援策の実現を明記する方針が了承されました。来年十二月の並行在来線全線開業により、運行距離が現在の目時―八戸間の約五倍に延びるとはいえ、年間十六億円もの県の負担は余りにも重過ぎます。また、災害時の突発的な状況の変化によっては、年十六億円以上に膨らむ懸念もぬぐい切れません。  私は、本県の鉄路が環境保全に果たす役割や北海道と首都圏を結ぶ大動脈としての位置づけを考えたとき、国やJR貨物の支援、協力は当然あってしかるべきであり、今まではっきりした結果が出せていないのはどういうことなのか、どういった経緯でこの計画がスタートしたのか、県費が毎年十六億円とは到底許容できる数字ではないと県民は思っていると思います。そのため、新たな政権に対する働きかけといった意味で、地球温暖化対策への貢献度や北東北での物流ビジョンなど、これまでの要請活動とは違う観点からのさまざまなアクションがあっていいのではないかと考えております。  そこで伺います。  新政権に対し線路使用料の見直しや財政支援制度の実現を求めていくには、新たな視点からのアプローチも必要と思いますが、今後、県ではどのように働きかけていくのか伺います。  次に、本県産業の振興に係る今後の取り組みについてであります。  県では、平成十二年度から、むつ小川原工業地域におけるクリスタルバレイ構想を進めてきました。これは、当時、世界経済をリードしていたIT関連産業、中でもフラットパネルディスプレイ産業の集積と高度な技術・技能者の育成や先端的技術開発研究を行う拠点整備などを目的にし、そして国際的な産業拠点の形成を目指したものであります。  情報技術産業が日本経済の救世主として華やかなりしころとしては大きな期待を持って迎えられたクリスタルバレイ構想でございましたが、それから十年が経過した今、さきの議会でも議論となったアンデス電気の破綻のほか、六ヶ所工業用水道事業の累積債務の増大など、構想そのものにほころびが出始めているのではないでしょうか。一ドル八十円台という円高の中にあって、国内に生産拠点を置く輸出型産業の先行きは道険しい状況にあると考えます。大きく見直す時期ではないでしょうか。  そこで、このクリスタルバレイ構想の今後の進め方について県の見解を伺います。  続いて、環境・エネルギー分野について伺います。  地球温暖化は、自然の生態系及び人類に深刻な影響を及ぼすものであり、その予想される影響の大きさや深刻さから見て、人類の生存基盤にかかわる最も重要な環境問題の一つと言えます。  このような中、鳩山総理大臣が国連の場で、二〇二〇年までに温室効果ガスを一九九〇年比で二五%削減するという中期目標を先進国としてのリーダーシップのもと国際公約として表明したところであり、現在、国では、地球温暖化対策税や国内排出量取引制度など、新たな対策に向けた検討を進めているところであります。地球温暖化対策を進めるためには、一義的には国の強いリーダーシップが必要ですが、地域においても先導的な施策を講じる必要があり、本県としても積極的に取り組みを進めていかなければならないと考えております。  そこで、新政権において温室効果ガス削減目標二五%との方針が示されている中、県では、低炭素社会に向けた再生可能エネルギー等の導入促進を図っていくことが重要であると考えますが、県の基本的な考え方についてお伺いします。  次は、農林水産業の振興に係る取り組みについてであります。  私の出身地である三戸地域の農業は、地域的に傾斜地が多く、また、ヤマセにより夏季冷涼な気象条件であることから、ニンニクやナガイモ、洋ナシ、サクランボ等の多様な野菜や花卉また果樹の栽培が盛んであるほか、倉石牛や三戸田子牛に代表される畜産業も盛んで、もちろん青森シャモロックもあります。そのため、食料供給基地である青森県の一翼を担っております。  また、食料のみならず、契約栽培である葉たばこやホップの生産も盛んな地域であります。特に三戸地域における葉たばこは、農業生産の主力の一角をなしており、産業としての葉たばこ生産は、今後とも強力に維持していくことが必要であると考えるところであります。  ことしの葉たばこ生産は、低温、日照不足となったことから作柄への影響を危惧していたところではありますが、ほぼ平年並みの作柄と伺っており、生産者の努力のたまものと一安心はしております。しかし、たばこの価格の上昇や平成二十年度に導入されたタスポの影響等により、たばこの消費量は減少の一途をたどっており、これに伴い、本県の葉たばこ生産についても減少傾向にあります。多いときは県内で百億を超える販売金額、また現在でも、六十億円程度まで減少しておりますが、その規模を維持しております。さらに、現在国において検討されているたばこ税が大増税となれば、葉たばこ生産農家の置かれている環境はますます厳しくなると思われますし、地域農業にとって、また地域の経済にとって重大な影響を受けるのではないかと懸念しているところです。  そこで質問ですが、県では、葉たばこ生産の現状をどのように認識しているのか。また、今後どのような支援策を講じていくのか県の見解を伺います。  次に、県農水産物の輸出の促進についてであります。  近年の世界的な日本食ブームやアジア諸国などの経済発展に伴う所得水準の向上は、世界トップレベルの高品質な農林水産物や加工品を有する我が国、そして本県にとって大きなビジネスチャンスが到来してきていることを予感させます。  我が国が、少子高齢化により人口減少社会に移行し、国内の消費市場が縮小していく中にあって、農水産物の販路を海外に求めていくことは、本県経済を安定した成長に導くためのかぎだと思っております。幸い本県では、知事が攻めの農林水産業の重要な施策の一つとして、リンゴを初めとする農水産物の輸出に力を入れており、その成果が着実に実を結んでいることは、関係団体を初め多くの方々が評価しているところでございます。  しかしながら、昨年秋以降のリーマン・ショックに始まる世界経済危機や円高は、本県の輸出にとっても極めて厳しい環境となっていると憂慮しているところです。知事には、攻めの農林水産業のさらなる飛躍を目指して、海外への県産農水産物の販路拡大にもより一層力を入れていただくようお願いいたしたいと思います。  そこで質問とさせていただきます。  県産農水産物の輸出におけるこれまでの成果と今後の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。  最後に、県立高等学校教育改革に係る取り組みについてお伺いします。  昨年度策定された県立高等学校教育改革第三次実施計画は、その内容について県議会においても多数の質問が出され、活発な議論がなされたところですが、私としては、県教育委員会が県立高等学校教育改革第三次実施計画案を公表してから同計画を策定するまでの間が非常に短かったと感じております。教育改革第三次実施計画案の公表後、多くの県民から意見が出されたと思いますが、私の地元である三戸地域からも、計画見直し等の意見が多数ありました。この意見の中には、必ずしも十分な議論ができなかった、県教育委員会に地元の声が届かなかったとの意見があったことから、私としては、後期計画の実施に当たっては、県教育委員会の考え方をもっと時間をかけて地域住民に対して説明し、また、地域住民の声にしっかりと耳を傾けることが必要だと実感しております。  今後さらに少子化の進行が見込まれる中で、県立高等学校においては、多くの生徒が集まる中で、多様な考え方、価値観に接することができ、また、部活動や学校行事において活力ある教育活動を展開できるよう、望ましい学校規模や学習環境を維持することは必要なことではあると考えていますが、決して統廃合ありきで急ぎ進めるのではなく、地域住民に対して十分な説明の機会を設け、理解をいただけるように、時には計画を先延ばしてでも時間をかけて進めることが大切なことだと考えております。  そこで、一点目として、県立高等学校教育改革第三次実施計画の目的について伺います。  二点目として、今後、地域の意見募集をどのように行って、県立高等学校教育改革第三次実施計画の後期計画にどのように反映させていくのか伺います。  三点目として、教育改革第二次実施計画等により、県立高校が廃止された地域がその後どのようになっているのかの検証が必要と考えますが、知事と教育長の見解を伺いたいと思います。  以上、明快な御答弁をお願いして、一般質問を終わりたいと思います。 20 ◯副議長(清水悦郎) 知事。 21 ◯知事(三村申吾) 松尾議員にお答えいたします。  まず、アンケート三点であります。  地方交付税の分。  今般の概算要求においては、今年度措置された一兆円の別枠加算の継続に加え、事項要求としてではありますが、一兆一千億円余の増額を求めており、こうした姿勢については率直に評価しているところであります。  しかしながら、事項要求の実現性については不透明な部分が多いことに加え、仮に今回の増額が実現したとしても、なお、御案内のとおり、三位一体の改革における削減額五・一兆円の復元までには至っていない。そのことから、地方交付税の充実に向け、原口総務大臣に頑張っていただきたいという思いも込めまして、いまだ不十分と回答したところであります。それは御案内のとおり、これまでも、増額ではなくて、復元し増額ということをこの壇上でも話し続けてきたという思いにもつながるところであります。  二十五日の政府主催の全国知事会議においては、鳩山総理から、地域主権の確立と交付税に何らかの手だてを講じることが必要との御発言があったところであり、地方分権を支える地方財政の充実が図られるよう強く期待し、今後の予算編成を注視するとともに、地方の声を届けていきたいと考えております。議員各位の御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。  直轄負担金の問題であります。  国土交通省の平成二十二年度概算要求では、直轄事業の維持管理費について地方負担金収入がないものと仮置きして要求されております。このため、具体の要求に当たっては、維持管理費の縮減に最大限努めつつ、建設事業に充ててきた国費の一部で維持管理費を補うとされているところであります。  私としては、こうした見直しにより、本来実施されるべき直轄の建設事業に影響が生ずることを懸念するところであります。中でも本県の道路事業においては、補助事業と直轄事業が一体となって幹線道路ネットワークの整備を進めており、特に直轄事業費が縮減された場合には、今後の整備について非常に厳しい状況になることが考えられるのであります。また、直轄国道の維持管理費が大幅に縮減された場合、本県の大動脈であります国道四号、七号の除雪などの維持管理水準が低下する心配もあり、こうした点を総合的に勘案し、回答したものであります。  今後、地方の社会資本整備を着実に進めていくためにも、地域が必要としている直轄事業を含めた公共事業の予算が確保されるよう、県議会や県選出国会議員の皆様方、関係自治体とも連携しながら地方の声を届けていきたいと考えるところであります。  地域主権戦略会議についてであります。  地域主権戦略会議は、地域主権に資する改革に関する施策を検討し実施するとともに、地方分権改革推進委員会の勧告を踏まえた施策を実施することを目的に、内閣総理大臣を議長として去る十一月十七日に設置されました。  今回の回答については、アンケートが行われました先月下旬の段階では、地域主権戦略会議の構成や役割といった事柄が十分には明らかでなかったことから、賛成、反対のどちらでもないと回答したところであります。  私は、地域、地方が元気になってこそこの日本の国が元気になる。そのための地方分権改革だという思いを抱いております。新政権におかれましては、地方の実情、現場の声を十分に踏まえ、財源の裏づけを伴った地方分権改革を着実に進めていただきたいと考えております。  中小企業金融対策、年末に向けた資金需要への対応であります。  私は、本県が自主自立の経済を目指し、産業の活性化を図っていくためには、地域の中小企業をしっかりと守り育てることが大切であると考えるところであります。特に中小企業の血液であります金融の円滑化については、これまでも青森県信用保証協会に対する補助による三千億円の保証枠の創出や県の特別保証融資制度の要件緩和など、適時適切に取り組んできたところです。  県内の景気は依然として厳しい状況が続いており、県内中小企業の経営者の皆様には、資金需要期の年末を控えて、資金繰りに不安を抱いておられる方も少なくないと考えております。また、さきの九月定例会におきましても、議員の皆様方から年末に向けた金融対策に対する御要望をいただいたことも踏まえまして、今月十八日付で経営安定化サポート資金に百億円の借りかえ枠を創設し、既存債務の負担軽減策を講じたところであります。  さらに、同日、金融機関等に対し、借りかえ枠の適切な活用、中小企業者の既存債務の条件緩和や運転資金の確保など、中小企業金融の円滑化について商工労働部長から直接要請を行わせたところであります。  今般の借りかえ枠の創設は、既存の金融対策との相乗効果により、県内中小企業者の資金繰り改善に大きな役割を果たすものと考えております。県としては、今後とも関係機関と連携を密にしながら、県内中小企業者に対する金融支援については適時適切に取り組んでいきます。  東北新幹線全線開業の県内における観光面の機運情勢であります。  来年十二月の東北新幹線全線開業に向けましては、私が本部長を務めます青森県新幹線開業対策推進本部を中心に、「結集!!青森力」の統一テーマのもとに、みずから先頭に立って全県的な機運醸成を図ってきたところであります。  具体的には、開業に向けて積極的な取り組みを行う県民を取り上げたニュースレターを発行するとともに、今年度新たに観光関係施設の従業員等を対象としたホスピタリティー向上のためのセミナー等を開催し、おもてなしの向上を図っております。また、社団法人青森県観光連盟においても、テレビ、新聞等の広報媒体を活用して結集!!青森力キャンペーンを展開し、新幹線開業に向けた県民の機運醸成を図るとともに、新型高速新幹線E5系のデザインを施しました年賀はがきを製作し、多くの県民の方々に御購入いただいたところであります。  さらに、去る十一月六日には、平成二十三年四月からの青森デスティネーションキャンペーンのキャッチフレーズを「行くたび、あたらしい。青森」と決定しました。今後、このキャッチフレーズを使い、全国に向けて本県を大いにアピールするとともに、県全体の意識高揚にも活用することとしております。  開業まで一年余りとなりました中、私は、市町村や関係団体、県民と一丸となってさらなる機運の醸成に努めてまいります。  社会福祉法人青森社会福祉協議会の体質改善に向けた対応であります。  県としては、同協議会が市町村の社会福祉協議会の取りまとめ役として県民の地域福祉に率先して取り組むべき重要な役割を担っていることを重く見て、同協議会が法人としての責任の所在を明らかにして、しっかりとみずからを律し、県民の信頼を取り戻すために襟を正して対処するよう厳しく求めていく所存です。  同協議会に対しては、十一月十九日付で特別監査の結果を通知し、是正改善の報告を求め、是正改善がなされるまで継続的、重点的に指導していくこととしております。また、関係役職員の責任を明らかにするとともに、速やかに管理運営体制の改善及び内部牽制機能の確立を図り、二度とこのような不祥事が発生することのないよう強く求めているところであります。  さらに、平成二十二年度以降も県からの補助・委託事業が継続できるかどうかを県として確認するため、一般会計を初めとするすべての会計について再点検を行わせているところであり、十二月二十五日までに県にその結果を報告するよう指示したところであります。  私からは以上です。 22 ◯副議長(清水悦郎) 青山副知事。 23 ◯副知事(青山祐治) 青い森鉄道線に係る新政権に対する線路使用料の見直しや財政支援制度の実現を求めていくには、新たな視点からのアプローチも必要と思うがについてお答えします。  御承知のとおり、青い森鉄道線は、地域住民の足として利用されているだけでなく、一日約四十本もの貨物列車が北海道と首都圏を結んで走行している我が国物流の大動脈として極めて重要な役割を担っています。このため、県では、これまでも地域の重要な足を守るということ、貨物輸送は国策であり、国の積極的な関与が必要であることとの観点から、並行在来線の維持存続に向けた支援措置を講じていただくよう、関係道県などとも連携し、国に要望してきたところであります。  去る十一月二十四日には、新政権発足後初めての取り組みとして、整備新幹線関係十八都道府県期成同盟会による合同要請を行い、本県からは知事の命を受け私が参加し、民主党の整備新幹線を推進する議員の会及び高嶋筆頭副幹事長等に要請するとともに、前原国土交通大臣に対して、将来にわたり安定した経営が可能となる財政支援スキームなどの実現に向けて並行在来線の支援策の実現を強く訴えたところであります。その際、前原大臣からは、並行在来線の経営が厳しいことは十分認識しており、今後、関係者と議論をさせていただきたい旨の発言がありました。また、去る十一月二十五日には、政府主催の全国都道府県知事会議において、知事が出席し、前原国土交通大臣に国の抜本的な支援の仕組みを早急に講じるよう直接求めたところです。さらに、来る十二月一日には、並行在来線関係十一道県で関係省庁への合同要請を行う予定となっております。  今後とも、県議会の皆様や国会議員の皆様、関係道県と連携しながら、国に対し、鉄道貨物輸送の持つ環境面での優位性をも踏まえながら、しっかりと並行在来線の支援策の実現を強く求めてまいります。 24 ◯副議長(清水悦郎) 健康福祉部長。 25 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 社会福祉法人青森社会福祉協議会に対する特別監査の結果を踏まえた認識についてお答え申し上げます。  先般実施しました特別監査において、同協議会の元職員が生活福祉資金貸付金の一部を横領した事実及び使途不明金を確認いたしました。当該貸付金は公的資金で賄われており、この執行に当たっては公明かつ厳正な取り扱いが求められているにもかかわらず、県民の信頼を損なう事態を招いたことはまことに遺憾です。  この不祥事の要因は、同協議会における管理運営体制の不備及び内部牽制機能の欠如にあると認識しています。このため、会長初め役員及び事業管理責任者は、今回の不祥事の発生を招いたこと、また、その予防策を講じなかったことについて、その責務の重さを認識すべきであり、中でも本事案が発生することになった平成十六年度以降の会長を初め役員には重い責任があると考えています。 26 ◯副議長(清水悦郎) 商工労働部長。 27 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 御質問三点についてお答えいたします。  まず、政府の緊急雇用対策で実施されるワンストップ・サービス・デイの概要と県の認識についてでございます。  去る十月二十三日に政府が策定しました緊急雇用対策の貧困・困窮者支援として、国、地方自治体等関係機関の協力のもと、求職中で当面の生活に困窮している方が、職業相談だけでなく、住居・生活支援の相談、手続をまとめてできるワンストップ・サービス・デイの開催が盛り込まれました。  提供されるサービスは実施するハローワークにより異なりますが、求職者が利用できる公営住宅等の情報提供を初め、生活保護や生活福祉資金の貸し付けに関する相談、心の健康相談、多重債務の相談などで、十一月三十日に東京、大阪、愛知等全国七十七カ所で試行的に実施した後、定期開催や年末年始の開催が検討されることとなっております。  本県におきましては、十一月三十日の他の地域での実施状況を踏まえて検討するとのことでございますが、既に青森労働局等から事業に対する協力要請があり、また、求職中の方にとってワンストップで各種支援サービスを受けられることは有意義であることから、県としては、開催に伴う具体の協力要請があり次第、職員の派遣等について関係部局と連携して前向きに検討してまいりたいと考えております。  次に、東北新幹線全線開業のうち、観光案内所において広域的な観光情報の提供への対応でございます。  来年十二月の東北新幹線全線開業により、全国から多くの観光客が本県に訪れることが予想されますが、お客様に本県観光資源の魅力を十分に提供するためには、観光案内所において広域的な観光情報を提供できる体制を構築することが重要であると認識しております。  そのため、本年十月一日にリニューアルオープンした青森県観光情報サイト「アプティネット」におきまして、本県のあらゆる観光資源の情報が格納できるデータベース機能を整備したところでございます。このデータベースには、市町村や関係団体等が直接観光情報を登録、更新できることから、各観光案内所においては、このアプティネットを活用して観光客の皆様に県内全域のしゅんの情報を提供することが可能となってございます。また、社団法人青森県観光連盟におきまして、本年七月に青森県内観光案内所連絡会議を設置し、観光案内所間の情報の共有、連携をこれまで以上に強化することに努めてまいります。  県としては、今後とも、東北新幹線全線開業に向け、市町村、関係団体と連携しながら、観光案内所における広域観光への対応の充実に努めてまいります。  次に、クリスタルバレイ構想の今後の進め方についてでございます。  県では、クリスタルバレイ構想の実現に向けて、むつ小川原地区及びその周辺地域へFPD関連産業を集積させることを目指し、企業立地、研究開発、人材養成等の施策を進めてきたところでございます。  企業立地については、FPD関連産業における市場の寡占化が進み、大型設備投資が一巡するなどの急激な環境変化があったことから、県内外の有識者による懇話会からの提言を踏まえ、平成十九年度から、将来的にFPD関連産業の集積に資すると考えられる太陽電池、自動車産業及び電子材料の三分野を企業立地の対象分野に加え、多角的に展開してきております。  また、研究開発については、世界初となる新方式の六インチサイズのフルハイビジョン液晶ディスプレイなどの試作に成功しており、現在、事業化に向けて取り組んでおります。さらに、昨年度は、むつ小川原・八戸エリアにおけるFPD関連の研究が国の都市エリア産学官連携促進事業に採択され、県内企業の技術の高度化に向けた取り組みを進めております。  一方、人材養成については、平成十八年度に八戸工業大学が提案したFPD関連次世代型技術者養成ユニットも国の助成事業に採択され、平成二十二年度まで毎年度県内企業の技術者を受け入れることとしており、これらの取り組みの推進に努めてまいります。 28 ◯副議長(清水悦郎) 農林水産部長。 29 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 御質問二点にお答えいたします。  まず最初に、葉たばこ生産の現状認識と支援策についてです。  本県の平成二十年の葉たばこ生産は、栽培農家が約一千三百戸で全国第三位、販売額は約六十二億円で全国第四位となっています。販売額では、野菜、畑作物の部門で、ナガイモ、ニンニク、大根に次ぎ、本県農業にとって重要な作物となっています。  一方、たばこ消費量は減少し、葉たばこの作付面積も制限されている状況にある中で、今後大幅な増税がなされた場合は、葉たばこ生産農家の経営にさらに影響を及ぼすことが懸念されます。  このため、本県も会員となっている全国葉たばこ生産府県知事協議会では、日本たばこ産業株式会社などに対し、生産農家が安定した葉たばこ経営を維持できる価格水準の確保などを要望したところです。県としては、病害虫防除の徹底による高品質生産や作業機械等の導入による省力化を推進し、所得の確保が図られるよう、たばこ耕作組合等と連携して対応していくこととしております。  次に、県産農水産物の輸出の成果と今後の取り組みについてです。  県産農水産物の輸出は、ジェトロ青森貿易情報センターの調査によると、リンゴ、ホタテなどを主体に平成十九年で百五十億円を超え、平成十五年の約三倍に増加しています。特にリンゴについては、台湾を中心に着実にふえており、二万トン以上が輸出されているほか、ホタテについては、ボイル冷凍貝柱として欧州を中心に二千五百トンを超える輸出量となっています。
     県としては、県産農水産物のさらなる輸出促進を目指し、県と関係団体で組織する青森県農林水産物輸出促進協議会等が中心となって、中国やロシア、中東、アメリカにおいて商談会の開催や消費宣伝活動などに取り組んでいくほか、これまで実績のある東南アジアについては、タイなどを拠点として現地パートナーを確保しながら輸出拡大に取り組んでいくこととしています。  今年度は、八月にはバンコクでのリンゴやホタテ加工品などの商談会、九月にはリンゴやナガイモ、しめサバなどをモスクワの見本市への出展に取り組んだほか、十一月には香港、シンガポールで現地バイヤー等に対して県産米の販売促進活動を実施したところです。 30 ◯副議長(清水悦郎) エネルギー総合対策局長。 31 ◯エネルギー総合対策局長(佐々木郁夫) 再生可能エネルギー等の導入促進に向けた県の基本的な考え方についてお答えします。  本県では、積雪寒冷地であることや自動車依存率が高いことなどの地域特性もあり、全国に比べて化石燃料消費の比率が高くなっています。そのため、平成十八年度に策定した青森県エネルギー産業振興戦略では、二〇三〇年の本県のエネルギー消費構造として、現状では八〇%に達する化石燃料の比率を約半分の四三%まで低減させるという目標を全国に先駆けて掲げました。  この将来像を実現するため、本県のエネルギー分野での高いポテンシャルを生かしながら、民生部門や運輸部門のさまざまな場面で、化石燃料から電力や再生可能エネルギーへの転換、エネルギー利用の効率化への取り組みなどを進めています。中でも電気自動車やプラグインハイブリッド車の導入普及、家庭、事業所での太陽エネルギーや地熱エネルギーの利用促進などについては、平成二十年度までの調査検討等の結果を踏まえ、本年度から各種の実証導入やモデル構築等の事業を実施しているところです。  県としては、引き続き関係各界の参画をいただきながら、地域特性を踏まえつつ、再生可能エネルギーの導入等の先進的なプロジェクトの具体化を進めることにより、本県の産業振興を図るとともに、我が国の低炭素社会の先進地域形成を目指していきたいと考えています。 32 ◯副議長(清水悦郎) 教育長。 33 ◯教育長(田村充治) 県立高等学校教育改革についての御質問三点にお答えいたします。  初めに、第三次実施計画の目的についてであります。  県教育委員会では、平成十二年度から平成二十年度までの間で、県立高等学校教育改革第一次・第二次実施計画を策定し、新しいタイプの高等学校の整備、特色ある学科、コースの拡充、中高一貫教育の導入、校舎制の導入など、さまざまな取り組みを進めてきたところであります。しかしながら、この間、中学校卒業者数は減少の一途をたどるとともに、産業構造の変化、生徒の進路意識の多様化など、高等学校教育を取り巻く環境は大きく変化してきております。  こうした状況を踏まえ、第三次実施計画では、今後も社会の変化や中学校卒業予定者数のさらなる減少が予想される中にあって、小学校や中学校で学んでいる子供たちが夢をはぐくみ、進路実現に向けた高等学校教育を受けることができるよう策定したものであります。  次に、今後、地域の意見募集をどのように行って、第三次実施計画の後期計画にどのように反映させていくのかについてであります。  県立高等学校教育改革第三次実施計画の策定に当たっては、パブリックコメントを実施するとともに、県内六地区での説明会などを開催し、広く県民の皆様の御意見や御要望をちょうだいした上で、昨年八月に公表したところであります。第三次実施計画の前期計画の実施に当たっては、これまで数多く寄せられた御意見、御要望を十分踏まえた上、着実に進めていきたいと考えております。  後期計画の策定に当たりましては、前期計画の策定までの過程において、県民の皆様、各関係者、そして議員の皆様からちょうだいした数多くの御意見、御要望を十分踏まえた上、地域からの意見募集の仕方や地域の皆様との意見交換の仕方、さらには、いただいた意見の計画への反映のさせ方など、さまざまな点について十分に検討し、県民の皆様の理解が得られるよう進めてまいりたいと考えております。  最後に、第二次実施計画等の実施により県立高校が廃止された地域がどのようになっているのかの検証についてであります。  県立高等学校教育改革第二次実施計画において募集停止とした県立高校は、野辺地高等学校横浜分校、木造高等学校稲垣分校、五所川原高等学校東校舎の三校となっており、このうち既に閉校となったのは、平成十八年度末に閉校した野辺地高等学校横浜分校であります。  教育改革実施計画は、中学校卒業予定者数や志願・入学状況、地域の実情などを踏まえながら策定しているものであることから、閉校後においてもこれらの状況を把握していくことが必要であると考えております。  閉校となった横浜分校についてですが、周辺地域における中学校卒業者数はほぼ見込みどおりに推移しているところです。また、周辺にある高校への入学状況については、閉校後においても大きな変化が見られない状況にあることから、中学校において適切な進路指導が行われているものと認識しております。なお、閉校となりました横浜分校は、横浜町の町立保育所として来年度から活用される予定となっております。  以上でございます。 34 ◯副議長(清水悦郎) 松尾議員。 35 ◯二十二番(松尾和彦) 先ほどの西谷議員の再質問のときに西谷議員がおっしゃっていましたが、しっかりと納得できる答弁が出れば、再質問というのはそんなに要することではないんだと、私もそれはそれでそのとおりだなと思います。できれば私もそうなってもらいたいなと思うんですが、どうしても毎回もやっとするところがやっぱり残ってしまうものですから、何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず一点目として、知事の地方分権等に対しての考え方のところでございますが、当然、財源の伴った分権というのが理想だと思っております。現在、日本はそれに向かった過程の中でここ数年動いていくのだと思われますが、例えばきのうの朝日新聞にもございました地域主権基本法というものを、今度また全国知事会からの要望もあって検討していくということがございましたが、これについての知事の見解といいますか、お考えというのを、できればしっかりメッセージを持ってやっていただきたいなと思います。  というのは、青森、秋田、岩手の三県での会議の際でも、どうも青森県知事は、地域上、道州制といいますか、余り大きなものになってくるとちょっと後ろ向きの感じになるのかなという感じがございます。ただ、これからは観光の面においても、また物産の面においても、ずばり東北というものを、また北東北というものを、しっかりと連携をとった中で販路開拓していくとか、中央に対しての要望をしていくとか、そういった形に地域の考え方が大きく変わってくるんだと思っています。ですので、その部分をお伺いしたいということでございます。  次に、県社協のことについてお伺いしたいと思います。  今、御答弁では、県社協の中で自主的にといいますか、しっかりと体制を整えてもらいたいということでございましたが、県の社協は無論でございますけれども、県内各地にある県内の社協も、今回のこともあったので、まず自主的な点検をする必要があるのではないかなと私は思っております。それについて県の考え方をちょっとお伺いしたいと思います。  そしてまた、これは県のOBも出ているということもありますし、今後の地方主権という波に乗っていくためにも、ぜひ県に検討していただきたいなと思うものがあります。というのは、大分県では、いわゆる第三セクターであるとか、そういったものの経営状況の悪化を受けて、県が出資した企業やOBを含めた県職員の人的支援の実態、そしてまた、委託料や補助金、交付金など財政支出の具体的な内容と使途を把握するよう、急務として努力をしてくれというふうに、知事の命で今そういう動きになっているそうでございます。  本来、青森県は、十四億円のあの事件があったときに、監視強化という目的で、当然、青森型の体制というのがあってしかるべきだったのではないか。そういうことを今の知事の任期中にできればしっかりやっていただきたいなと思っております。つまり、今回の県社協も当然でございますが、それらも含めて、県政全体の中でのこういったものに対しての監視強化についての知事の考え方をお伺いしたいと思います。  そして、年末資金の関係、また緊急雇用対策のところでございますが、先ほど私どももいろいろ話をしながらこの対策について考えているところでございます。例えば求人をお願いして、知事、副知事等各関係の方々が県内の各企業を歩くわけでございますが、あいさつに行くときに、やっぱりお土産を何か持っていかないと話はなかなか進まないんだと思います。お土産というのはお菓子の話ではなくて、それこそ求人を採ってくれた場合の、例えば県の保証協会での利率や利息を低金利でやるとか、そういったものをやはり金融機関とも連携しながらセットでお願いしていくというのも一つの案ではないかなと思いますので、そういった中小企業者が知恵を働かせることができるような環境の整備もお願いしておきたいと思います。  そして、葉たばこのことでございます。  今、農林水産部長から、生産効率を上げていくように話をしているという話でございました。県内の葉たばこ農家がやっていた面積と人員ということになると、かつての半分の人員で倍以上の面積をもう既にやっております。高効率化というのはもう既に限界の時期に来ています。ですので、そこに解決策を見出すのではなくて、販売量をどうやって維持していくのか、そのことを、国内のみならず、例えば他の国に販売することを検討するにしても、そういったことを総体的にとらえてやっていただきたい。  何といっても、葉たばこの場合は、三戸ですと十億円を超える売り上げがあります。そうすると、それにまつわる関連の資材も含めていくと、かなりすそ野の広い大きな産業であります。ですので、この葉たばこ産業が衰退するということになれば、三戸地方―田子、三戸、南部、階上、五戸、三八の中でもまずこれぐらいは本当に大変な経済―町がなくなるぐらいのものになっていくので、その辺のところを県でも本気になって取り組んでいただきたいなと思っております。私も頑張りますけれども、知事もぜひ頑張っていただきたいなと思っております。  そして、高校教育改革のことでございます。  今、教育長から御説明をいただきましたのは、学校現場での、いわゆる教育現場の中での教育長の判断だと私は思っております。私は、それは否定をするものではないし、理解はできると思っております。ただ、地域に暮らす卒業生、またこれから入学を―将来を考えていく生徒たちのことを考えますと、やはり拙速に廃校になるというのは大変重大な問題だと思っています。ですので、地域がどういうふうになっていくのかは、教育現場だけでなく、地域の商工会やほかの産業やさまざまなものとの連携も含めて判断をしていっていただきたいんです。  ですので、そのことは教育長の立場ではできません。これは知事の役目だと私は思っています。知事が総体的に考えて、それを早く進めたほうがいいのか、少しおくらせたほうがいいのか、もしくは、政権交代を今したわけですので、そういった環境が変わってくるかもしれませんので、その時期までもう少し見るとなるものなのか、その辺のところの知事の判断というのがあると思いますので、そこは知事からもできれば御答弁いただきたいと思っております。  以上でございます。 36 ◯副議長(清水悦郎) 知事。 37 ◯知事(三村申吾) 松尾議員の再質問にお答えします。  まず、私からは、地方主権、地域主権全般についてでございますが、何よりも、いつも申し上げておりますが、財源なくして分権なしという強い思いがございます。やはり今後とも地域主権をどう進めるかに当たりましても、地域それぞれに対しましての一定の財源が非常に大きな課題になってくるものと私としては考えるところであります。  そして、道州制等も踏まえた感覚で仕事をせよということでございました。  私どもも、この観点から、北東北三県におきまして、それぞれに、いわゆる住民コンセンサスを得るための勉強会等しっかりとした対応、体制で進めているところであり、その中において、今後、住民の皆様方からの意向というものも、どういうふうな部分があるかということ等を酌み取っていかなければいけないと考えるところであります。  また、監視強化というんでしょうか、市町村の管轄部分のいろいろな団体ということについてのお話がございました。  私どもにとりまして権限外のところであるわけですが、市町村に対しまして、例えて言えば、先ほど西谷議員からも御指摘がございましたが、私ども県庁内において、いわゆるさまざまなトラブル事例集というんでしょうか、こういったケースがあり、こういうふうに解消してきたよという実際の取りまとめたものがあるわけでございます。そういった改善に向けた仕組みづくりについて進めてきたものがあるわけでございますから、そういったものを市町村に対して活用ということで提供していくことは、権限外ではありますけれども、可能であると考えるところであります。  また、高等学校の、例の教育改革の関連でございますが、やはり地域におきまして学校が持っている役割というのがございます。いわゆる奉仕活動であるとか、部活動することでの活躍によって地域として非常に高まりを覚えること、あるいは施設開放といった形等もあります。県立高校が地域に対して果たしている役割というものは、そのように非常に重要なものがあると私自身も考えるところであります。  しかして、教育委員会が策定した第三次実施計画は、教育長からもよく話を―この言葉は非常に重い言葉だと思いましたが、未来の高校生のための教育環境づくりであるとの強い意思のもと、教育委員会として、県立高校における活力ある教育活動の推進に向けた方向性をしっかり示してきたことであると私としては認識している次第であります。  以上であります。 38 ◯副議長(清水悦郎) 蝦名副知事。 39 ◯副知事(蝦名 武) 年末対策も含めて中小企業対策について、低金利などを提供して雇用に貢献すればいいのではないかというお話がございましたが、松尾県議会議員のお父上様は松尾官平先生でございますけれども、障害福祉あるいは障害者雇用に大変な熱意を持って取り組んでこられました。県に対しても、障害者雇用をやるときには、県において入札や、あるいはさまざまな面で優遇措置を講じて、障害者が雇用されるようにということを私も何回も何回も教えられてきまして、これも県政に反映してきたつもりでございます。  中小企業者につきましては、やはり経営が成り立たなければ雇用も進まないわけでございまして、議員御提言の件につきましては研究させていただきたいと思います。 40 ◯副議長(清水悦郎) 行政改革・危機管理監。 41 ◯行政改革・危機管理監(阿部耕造) 県社協の問題に関連いたしまして、公社等に対する監視監督を強化するべきではないかという御意見でございました。  住宅供給公社における横領事件が発覚した直後の平成十三年十一月から十二月にかけまして、県といたしましては、公認会計士による公社等の会計点検調査を実施してございます。その結果を踏まえまして、公社等の内部統制の充実強化を図るとともに、その際、外部の専門家会議を設置いたしまして、そちらの会議から御意見、御提言をいただきました。それを踏まえ、例えば公社の職員に対する研修の実施とか、さまざまな内部牽制体制の充実強化策を実施してございます。  また、それまでは公社等の役員への県幹部職員の充て職でしておったわけですけれども、それを廃止しました。その後、外部の専門家によります公社等の点検評価委員会というものをつくりまして、昨日も知事に対しまして点検評価結果を報告したわけですけれども、そういった形で公社のさまざまな業務内容等について外部の方々から御意見をいただきながら、きちっと点検をしているということでございます。  また、知事が理事長の任命権を持つ公社等につきましては、理事長の公募制を導入するなど、そういった形で公社等の経営体制、業務執行体制に係る改革をこれまでも実施してきたところでございます。 42 ◯副議長(清水悦郎) 健康福祉部長。 43 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 市町村社会福祉協議会の自主点検に係る御質問についてお答え申し上げます。  今回の青森県社会福祉協議会が実施するすべての会計の自主点検については、同協議会において不祥事が発生し、特別監査を実施した結果の通知に基づいて行っているものです。県としては、不祥事案を未然に防ぐためにも、今回の事案を踏まえ、市町村社会福祉協議会に対して管理運営体制及び内部牽制機能の確認など注意を喚起していくこととしております。また、県では、原則として年一回市町村社会福祉協議会の指導監査を実施していますが、現在、市町村社会福祉協議会の自主点検表の作成を検討しており、平成二十二年度から指導監査に導入する予定でございます。 44 ◯副議長(清水悦郎) 農林水産部長。 45 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 葉たばこの輸出の話がありましたが、現在は日本たばこ産業株式会社と契約栽培という形でやっていますので、そういった輸出の可能性も含めて、日本たばこ産業株式会社と少し情報交換をしてみたいと思います。 46 ◯副議長(清水悦郎) 二十番伊吹信一議員の登壇を許可いたします。―伊吹議員。 47 ◯二十番(伊吹信一) 公明・健政会の伊吹でございます。通告に従い、順次お尋ねをしてまいります。  新政権発足から二カ月余りが経過しました。政治主導の看板のもと始まったシステム改変に向けた急激な変化により、各方面に戸惑いと混乱が生じております。子ども手当を初め、公約実現に向けた財源捻出に終始した二カ月余りだったように思えます。そのため、平成二十一年度第一次補正予算の見直しに着手し、約二兆九千億円分の事業執行を停止、回復基調にあった景気上昇の継続性を遮断し、新たな不安と負担を強いる結果となりました。中でも、第一次補正予算に盛り込まれていた緊急人材育成・就職支援基金など雇用対策や景気対策の執行停止は、雇用不安を助長し、景気を悪化させる要因ともなっております。  事業仕分けと称して行われている予算見直しは、予算査定を公にする物珍しさはあるものの、大所高所からの議論が不足したまま細かい事業費に切り込み過ぎ、その多くが現場の実情とこれまでの経緯を無視したものであり、各方面から反発を招いております。子ども手当や高速道路無料化など、政府の公約も事業仕分けすべきとの声も出ております。削ることだけが表に出て景気対策が全く見えてこないため、デフレを誘発していると言わざるを得ません。デフレ基調にある市場経済立て直しに向けた対策らしい対策がいまだに打ち出されず、経済・雇用対策が見えないことは非常に心配です。鳩山不況、鳩山デフレとの懸念が払拭されるよう願うものです。  政府は、第一次補正予算執行停止により生じた約二兆九千億円を原資に第二次補正予算案を検討するとしておりますが、経済・雇用対策の全容を早急に明らかにすべきであります。十分な説明がないまま子ども手当の財政負担を地方に求められても、到底容認できるものではありません。  また、第一次補正予算の中で執行停止された事業のうち、実に百一事業が来年度予算概算要求に復活されるなど、予算編成の迷走ぶりも明らかになりました。第一次補正予算で執行停止したものを第二次補正予算や来年度予算にそのまま計上するようなら、景気上昇の継続性を遮断しただけと言わざるを得ません。十分納得のいく説明が必要です。  政府の平成二十一年度第一次補正予算見直しや公共事業費大幅削減方針などにより、建設・土木業界を初め、本県基幹産業は翻弄され、将来を予見できない不安から、各業界とも雇用を手控える結果となり、来春卒業予定の就職希望者の内定状況はかなり厳しい事態に直面しております。このままでは、若年者の県外流出を加速させ、地域力の低下に拍車がかかることになりはしないか懸念されます。  政府は、事業の必要性、緊要性などの観点から精査するとしておりますが、国民生活をこれ以上混乱に陥れることのないよう、冷静な判断を期待するものです。また、個別の施策も含め、政府の政策決定の過程を明らかにし、国民に安心感を与えることが求められております。  こうした国の不安定要因に巻き込まれた県行政は、極めて厳しい現実にさらされているのではないでしょうか。直面している課題について、それぞれ県の見解と対応を伺ってまいりたいと思います。  第一に、公共事業費削減による影響と県内中小企業支援策についてです。  新政権の公共事業大幅削減方針は、国直轄事業の新規工事凍結を初め、県内でも発注減として少なからず影響が出るものと懸念されております。このため、多くの県内中小企業では、事業費削減方針に対応し、人員整理や給与カットなど自衛策をとり始めております。急激な公共事業費削減は、経営基盤の弱い県内中小企業を追い詰めることになります。連鎖倒産を回避するためにも、県として対策を講じるべきと考えます。県は、建設業振興対策及び雇用の確保にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  また、報道されているとおり、公共事業費削減方針により道路事業費が大幅に削減された場合、県ではどのような方針のもと事業執行を考えていくのかお伺いいたします。  次に、レッツBuyあおもり新商品事業における取り組みについてお伺いいたします。  公共事業費削減が現実のものとなりつつある中、県内中小企業の育成支援が県の至上命題であると考えます。県が取り組んでいるレッツBuyあおもり新商品事業に県内企業は大いに期待し、新商品開発にチャレンジしてまいりました。ところが、認定されても販路拡大につながっていない現実があります。新商品は、営業に際し利用実績を問われますが、県が認定していながら県の利用実績そのものが伴っていないため、他の自治体を初め県内外への販路拡大に苦戦する結果となっております。また、認定期間が三年間に限定されていることも、認定企業の意欲を損なうものと考えます。せめて、申請手続により継続認定されるよう改めるべきです。また、認定商品であることの表示は許されているものの、統一した表示規格がないことも課題です。レッツBuyあおもり新商品事業のブランディングに向け、ブラッシュアップを図るべきと考えます。県内中小企業の置かれている厳しい現状を打開するためにも、県は認定された商品の利用拡大を通じ、これまで以上に県内中小企業の育成支援に積極的に取り組むべきと考えます。  そこで、三点お伺いいたします。  これまでの認定状況と利用実績について。  認定商品の販路拡大に向けた支援策について。  販路拡大につなげるため制度のブラッシュアップをどのように図っていくのかについて。  それぞれお伺いいたします。  第二の質問として、新規高等学校卒業予定者の県内就職の促進についてお伺いいたします。  新規高等学校卒業予定者の就職内定状況の厳しさが連日のように報じられております。関係者は、現在も求人開拓に取り組むなど、年末を控え支援活動を継続しておりますが、厳しい現実に苦戦しているようです。ハローワークに出される求人票の内容を見ても、経験者や有資格者を優先する傾向にあります。若年者の県外流出に歯どめをかけ、地域力を維持していくため、国の施策に加え、県独自の新たな支援策を模索する動きが必要です。こうした動きは全国各地で起きており、東北での取り組みだけを見ても、宮城県では、十二月以降新規高卒者向けに求人を出し採用を内定した企業に対し、生徒一人当たり十五万円の奨励金を支給する方針を決めました。  秋田県では、資格試験の受験料や自動車学校の入学金を助成しております。福島県では、経済界、教育界、PTA団体と共同で対策本部を設置し雇用促進に取り組むほか、未内定者対象の企業実習を通じて企業との結びつけを図る方針です。  就職希望の高校生を取り巻く課題の一つとして、十一月まで面接が一社に限定されていることが挙げられます。より積極的な就職活動が行えるよう、制度を改めるべきです。また、在学中の資格取得の促進や職業訓練の機会をふやすなど、就職支援環境の改善に向け新たな支援策が急務と考えます。  年度末までに就職に至らなかった生徒に対する継続した支援体制の確立も重要です。六月までは学校で支援を継続するとのことですが、それ以降の支援体制は確立されておりません。ジョブカフェあおもりやハローワークヤングプラザなどとの連携により、継続した支援体制が受けられるよう県として体制構築に乗り出すべきです。また、新規卒業者をトライアル雇用する中小企業を雇用調整助成金の対象とするなど、支援制度の拡充を図るよう国に働きかけるべきではないでしょうか。  本県は、県外就職者が県内就職者を上回る、全国でわずか三県のうちの一つとなっております。新規高等学校卒業予定者の県内就職の促進に向け、改めて課題を整理し、継続した支援体制を構築していただきますよう強く要望するものです。  そこで、五点についてお伺いいたします。  来年卒業予定者の現段階における就職内定状況についてお伺いいたします。  また、本県においては、県内就職者より県外就職者が多い状況にあることについて、県教育委員会の認識をお伺いいたします。  就職未定者に対し、県はどのように支援していくのかお伺いいたします。  就職未定者に対する職業訓練の拡充を図るべきと考えますが、県の見解をお伺いいたします。  県教育委員会は、企業側の求める人材の把握に努め、その育成に向け、学校側の要望を踏まえた就職支援に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。  第三の質問として、新エネルギー事業創出対策について、海洋エネルギーの事業創出対策と地中熱利用の推進について、それぞれお伺いいたします。  周囲に海を擁する本県の特性を産業振興に結びつけようとするとき、海洋エネルギーは事業創出の可能性が極めて高い優位なエネルギー資源であると考えられます。主な海洋エネルギー利用として、海流発電、潮流発電、波力発電、海洋温度差発電などがあります。世界的にも実証試験段階で、継続的に安定した電力を供給する商用プラントの本格稼動には至っておりません。  県は、津軽海峡海流発電実用化委員会を組織し検討を進めていると聞いております。これまでも大学や試験研究機関での取り組みはあるものの、自治体として委員会を設置しているのは、全国的に見ても本県と東京都だけです。海洋エネルギー分野における先進地を目指し、ぜひとも事業を継続すべきです。海洋エネルギーによる発電は、漁港施設や養殖事業での利用も考えられます。明石海峡では、世界一のつり橋、明石海峡大橋のライトアップを潮流発電により行うことも検討され始めております。海洋エネルギーの事業創出に向けた課題の一つとして、国のエネルギー戦略上、国家プロジェクトの一つとして規定し、支援制度を創設することが挙げられます。  残念ながら、海洋エネルギーは新エネルギー利用促進特措法に基づく新エネルギーの対象として規定されておりません。大学や試験研究機関において技術開発に向けた研究が進められているものの、技術的に実用化段階に達していないことがその理由です。しかし、既に実証試験が行われているスコットランドやアメリカ、韓国などでは、国家プロジェクトとして政府が開発支援に乗り出しております。事業創出に向けた県の取り組みを加速するためにも、海洋エネルギーを新エネルギー利用促進特措法に基づく新エネルギーとして規定し、十分な予算措置をするよう国に求めるべきであります。  また、漁業関係団体の理解と協力が欠かせません。潮汐表にない潮流を熟知している経験豊富な漁業関係団体に協力を求めるべきではないでしょうか。このため、漁業関係団体を組み入れたコンソーシアムの形成も検討すべきと考えます。  そこで質問です。  海洋エネルギーの可能性に対する県の認識と事業化に向けた現在の取り組み状況についてお伺いいたします。  海洋エネルギーの利活用における課題解決に向け、国に対し積極的に働きかけるべきと考えますが、県の見解をお伺いいたします。  海洋エネルギーとともに、本県の持つ優位エネルギー資源として考えられるのが地中熱です。本県は温泉源も多く、豊かな地中熱資源は建設、土木、農業、観光、健康など、分野を超えて事業創出の可能性を大きく引き出すものと考えます。  そこで、地中熱利用の推進について、地中熱利用の推進に向けた県の現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
     また、地中熱利用の普及拡大に向けた課題と、県の今後の取り組み方針についてお伺いいたします。  第四の質問として、並行在来線対策についてお伺いいたします。  県と青い森鉄道株式会社は、青い森鉄道線全線開業に向けた鉄道事業許可申請を国に提出したとのことです。来年度に向け十六億円もの繰り入れを余儀なくされるなど、青い森鉄道株式会社を取り巻く経営環境は依然として厳しく、全線開業に当たっては、新たな国の支援策が不可欠であると考えます。初期投資のほか、多額の維持費用が見込まれておりますが、維持存続に向け県からの繰り入れを継続することは、県財政の硬直化を加速し、深刻な事態に至るのではないかと危惧するところです。  肥薩おれんじ鉄道を初め、全国各地の第三セクター鉄道会社は極めて厳しい経営に直面し続けております。新たな国の支援策を講じてもらうためには、こうした全国各地の関係道県との連携強化がますます重要になると考えます。  並行在来線の経営分離に同意した当時と比べ、地方行財政の状況が大きく変化していることを踏まえ、並行在来線に対する財政支援スキームの実現に向け、国及び関係機関に対しどのように働きかけているのかお伺いいたします。  また、来年十二月に予定されている青い森鉄道全線開業までに新たな国の支援策が明らかにならない場合、運行継続にどのような影響があり、県財政に与える影響がどの程度見込まれるのかお伺いいたします。  今回の鉄道事業許可申請における事業収支の内容についてもお伺いいたします。  並行在来線に対する具体的な支援制度の確立が図られるよう、並行在来線を有する関係道県と連携し、国などとの協議の場づくりを求めていくべきと考えますが、県の見解をお伺いいたします。  第五の質問は、東北新幹線全線開業に関連し二点お伺いいたします。  東北新幹線全線開業を一年後に控え、プレキャンペーンによる情報発信が本格化すると聞いております。私は、これまで情報発信戦略の一つとして、フィルムコミッションとの連携を進めるべきと主張してまいりました。映像プロジェクトの誘致は、国内外への情報発信を通じ、観光客集客力強化や経済の活性化につながるとともに、県のブランディングに大きく寄与するものです。東北新幹線全線開業を控えた今こそ、県や県観光連盟がキーステーションとなり、県内各地のフィルムコミッションとの連携による情報発信に着手すべきであると考えます。  そこで、質問いたします。  東北新幹線全線開業に伴う情報発信戦略の一つとして、フィルムコミッションとの連携による映画等の誘致が効果的と考えますが、県の考えをお伺いいたします。  次に、県内タクシーのおもてなし向上について、県ではどのように考えているのかお伺いいたします。  また、既に全国三十八県でタクシーの全面禁煙が実施されております。県内タクシー全面禁煙を求める声が高まっている中、県内タクシーの全面禁煙化に向けた取り組み状況についてもお伺いいたします。  第六の質問は、県民の命と暮らしを守るための取り組みについて、四点にわたりお伺いいたします。  ドクターヘリは、今や救命救急現場になくてはならないものとして定着しつつあり、一日も早い全県的な運航体制の確立が期待されております。ヘリポートの整備や確保、住民説明会の開催など、全県的な運航体制の確立に向けた取り組みが進められているものと思います。  そこで、ドクターヘリの全県的な運航体制の確立に向けた課題と、その対応についてお伺いいたします。  県が目指す包括ケアシステムの構築に向けては、自助、共助、公助の観点からの仕組みづくりが必要と考えます。救急時の情報提供の仕組みづくりはその第一歩です。東京都港区では、全国初の取り組みとして、救急医療情報キットの活用により、救急時の迅速な対応に役立てられております。かかりつけ医や持病などの医療情報や薬剤情報提供書、診察券、健康保険証などの写し、本人の写真などの情報を専用の容器に入れ、冷蔵庫に保管しておくもので、高齢者や障害者、健康上不安を抱えている人を対象に、希望者全員に無料で配布しております。港区での取り組みは全国各地に波及し始めており、安全と安心を守る取り組みとして、本県でも検討すべきと考えます。  包括ケアを推進する上で、救急時の情報提供の仕組みづくりなど、県民の命を守るための取り組みが必要と考えますが、県の見解をお伺いいたします。  政府の平成二十一年度第一次補正予算執行見直しにより、地域医療再生臨時特例交付金が大幅に減額されたことに伴い、西北五地域保健医療圏における地域医療再生計画にも多大な影響が出ております。西北中央病院を中心とする五つの自治体病院の機能再編に取り組むこととした再編計画の見直しは、医療、保健、福祉一体化に向けた地域包括ケアシステムの構築にもおくれを生じさせるなど、影響があると考えます。政府の地域医療再生基金の見直しにより、西北五圏域を対象とした地域医療再生計画にどのような影響があり、県は今後どのように対応するのかお伺いいたします。  視覚障害者のための情報バリアフリー推進に向けては、音声コード普及が課題となっており、国は各自治体に対し三十万円までの十割補助を予算措置し、音声コード研修及び広報事業の実施を促しております。日本視覚障がい情報普及支援協会など関係団体では研修会の実施を働きかけているほか、行政などによる音声コード対応文書の拡充を求めております。  こうした動きに呼応し、来年度には音声コード読み取りが可能な携帯電話が製品化される予定と聞いております。視覚障害者のための情報バリアフリー推進に向けては、自治体の対応によって視覚障害者が情報格差にさらされることにならないようにすべきと考えます。  そこで、視覚障害者のための情報バリアフリー推進に向けた県の取り組み状況についてお伺いいたします。  また、音声コードの普及について県の見解をお伺いいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。 48 ◯副議長(清水悦郎) 知事。 49 ◯知事(三村申吾) 伊吹議員にお答えします。  まず私からは、建設業振興対策及び雇用確保についてであります。  公共事業費の減少と景気低迷の影響により、建設産業を取り巻く環境は引き続き厳しい状況が続いているものと認識しております。しかしながら、私は建設産業が本県の地域経済と雇用を下支えする基幹産業であると考え、県民の暮らしと地域の安全・安心を担う社会資本の整備を着実に進めるため、施策の選択と集中により可能な限り予算の確保に努めてきたところであります。  また、これまで建設産業の構造改革を促進するため、絶えず意欲的に経営改善等に向けた取り組みを行っている建設企業の自助努力に対し、経営相談や情報提供、経営安定・強化に向けた支援、新分野進出への支援など、県全体の施策を最大限に活用して支援をしてきました。  一方で、県内建設企業の受注機会の確保や入札契約制度の改善等、市場環境の整備にも努めてきたところであります。  県としては、今後も引き続き意欲ある建設企業が時代の変化を見据えながら、自主自立の意識を持って、技術と経営にすぐれた建設企業として成長し、地域経済の活性化と雇用の確保が図られるよう支援をしていくこととしております。  新規高等学校卒業予定者への就職支援であります。  本県経済社会が活力を持って発展していくためには、次代を担う若者が県内で意欲を持って就業し、能力を発揮していくことが重要であります。しかし、来春の新規高等学校卒業予定者については、昨年来の厳しい経済状況を受けまして求人数が大幅に減少していることから、十月十四日、私と教育長、青森労働局長の三者により、県内経済団体に対し本年二度目となります求人拡大の要請を行ったところです。また、個別企業に対しても、現在職員が県内事業者を訪問し、一人でも多くの採用について要請しているところです。さらに、十二月には、就職未内定者を対象にハローワーク等が青森、弘前、八戸の三市で就職面談会を開催するほか、ジョブカフェあおもりによる各種セミナー等により支援していくこととしております。  また、卒業までに就職が決まらない生徒が多数出るおそれもありますことから、私は未就職卒業者に対する資格取得の支援を初めとしたさまざまな就職支援対策について積極的に検討するよう、改めて関係部局に指示をしているところであります。  並行在来線に関してであります。この支援制度確立が図られるよう、関係道県と連携し、協議の場づくりを求めるべきについてであります。  去る十一月二十四日に整備新幹線関係十八都道府県期成同盟会の合同要請において、本県から青山副知事が参加し、民主党の整備新幹線を推進する議員の会及び高嶋筆頭副幹事長等に要請するとともに、前原国土交通大臣に対して、並行在来線の維持存続が図られるよう地方負担の軽減などに対する財政支援等を求めたところです。  また、去る十一月二十五日には、政府主催全国都道府県知事会議に私が出席して、来年十二月に青森開業となる青い森鉄道線の維持存続に当たっては、県費負担が大きな課題となっていること、経営区間が我が国物流の大動脈であり、貨物輸送維持のために高水準の保守管理を行わざるを得ないこと、国の支援施策等が講じられなければ維持存続は不可能であることなどを説明し、国の運輸政策の中で抜本的な支援の仕組みを早急に講じるよう直接強く要請したところであります。  前原国土交通大臣からは、整備新幹線の基本的な考え方を年末に示す考えであるとともに、並行在来線につきましては、今までの地方丸投げでいいのか、今までと違った視点で検討したいという回答がありました。私としては、支援に向けた前向きな発言と受けとめているところであります。  このような動きが見られるところでありますが、今後も将来にわたり安定した経営が可能となるスキームの実現に向けて、県議会の皆様方や国会議員の皆様方、関係道県とも連携しながら、国に対し、しっかりと並行在来線の支援策の実現を強く求めていきたいと考えております。  地域医療再生計画にかかわる部分であります。政府の地域医療再生基金の見直しにどう対応していくかであります。  西北五圏域における自治体病院機能再編成は、全国のモデルとして位置づけられ、その推進は県内の他地域に波及し、県全体の地域医療の確保に資するものと認識しております。また、私どもといたしましても、システムとして大変に自信のあるものとしてこれを提出したものでございました。  このたびの地域医療再生基金は、この自治体病院機能再編成の取り組みを飛躍的に推進させるものとしての期待もしていたところであり、当初の百億円規模の計画案においては、自治体病院機能再編成の推進を軸として、保健・医療・福祉包括ケアシステムを含む地域の課題を早期に解決するための計画案としていたところであります。一人一人の県民の皆様方の、この地域の皆様方の命をしっかりと守っていくシステムとしての提案だという、そういう思いが私としてはございました。  今般の見直しにより、県としては影響が極力少なくなるよう、地域において最も優先すべき脆弱な部分であります医療機能の克服、医師等医療従事者の確保、医療ネットワークの構築といったソフト面に重点を置いた計画案としたところであります。したがって、保健福祉領域、包括ケア領域につきましては、その必要性は変わらないものであります。中長期的な課題としての取り組みが求められるというところであります。一方、市町の財政負担軽減効果が少なくなることは否めないところでございます。  県としては、西北五圏域のように、過疎地、僻地を抱え、三位一体の改革による財政的疲弊や引き続いた診療報酬のマイナス改定などによって、自治体能力を超えた多くの課題を有し地域医療の確保が困難な地域に対し、医師派遣も含めた総合的な新たな支援の仕組みを構築するよう、国に対し要望していきたいと考えるところであります。  以上です。 50 ◯副議長(清水悦郎) 青山副知事。 51 ◯副知事(青山祐治) 並行在来線対策について二点お答えいたします。  まず、並行在来線に対する財政支援スキームの実現に向け、国及び関係機関に対してどのように働きかけているのかについてでありますが、青い森鉄道線については、沿線人口の大幅な減少が見込まれること等による利用者の減少により、青森開業後においても極めて厳しい経営環境になることは必至であります。また、本県が並行在来線の経営分離に同意した当時に比べ、自治体を取り巻く行財政環境が激変している中において、今後の並行在来線の維持存続について強い危惧を抱かざるを得ません。  本県並行在来線は、単に生活路線というだけでなく、国家物流の大動脈である貨物輸送を担う幹線であることからも、国策として国の積極的な関与が必要であると考え、これまでもあらゆる機会を通じて並行在来線の維持経費に係る県費負担への特別交付税等による措置、初期投資に対する所要の財源調達に係る起債への交付税措置などを、国及び関係機関に対して繰り返し強く訴えてきております。  先ほど知事から答弁がありましたが、去る十一月二十四日には整備新幹線関係十八都道府県期成同盟会による合同要請を行い、前原国土交通大臣等に並行在来線の支援策について訴えてきたところであり、十二月一日には並行在来線関係十一道県で関係省庁等への合同要請を行う予定としております。  繰り返しになりますが、今後とも県議会の皆様や国会議員の皆様と連携しながら、国の動向をにらみ合わせ、将来にわたり安定した経営が可能となるスキームの実現に向けて、国及び関係機関に対してしっかりと並行在来線の支援策の実現を求めてまいります。  次に、新たな国の支援策が明らかにならない場合、運行継続にどのような影響があり、県財政に与える影響等についてお答え申し上げます。  初期投資については、予算ベースでJR東日本から譲渡される既存の鉄道資産購入費約八十四億円のほか、指令システム等新たに整備する設備に要する経費約八十億円を合わせ、約百六十四億円の県費負担が見込まれています。また、青森開業後の保守管理経費として、現在の青い森鉄道線の実績や、八戸―青森間のJR東日本の状況を踏まえ、約四十億六千万円と見込んでおり、県の鉄道施設特別会計から青い森鉄道株式会社へ指定管理料として支出することとしております。この指定管理料の財源としては、貨物線路使用料二十二億四千万円及び青い森鉄道株式会社が支払い可能な線路使用料二億円、一般会計から特別会計への繰入金として十六億一千万円を見込んでおります。  県としては、青い森鉄道線の将来にわたる維持存続のためには、鉄道事業者による経営努力や沿線地域の利活用促進はもちろんでありますが、国やJR各社に要望している貨物線路使用料の大幅な増額、財政支援制度の確立が極めて重要であると考えており、県議会等と連携して、開業までに実現できるよう国等に対して強く働きかけてまいります。 52 ◯副議長(清水悦郎) 健康福祉部長。 53 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、県内タクシーの全面禁煙化についてお答え申し上げます。  健康増進法では、多数の者が利用する施設である学校、体育館、病院、集会場、百貨店、官公庁施設やバス及びタクシー車両などを管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めることとされています。  県としても、乗客はもちろん、乗務員の受動喫煙防止の観点から、県内タクシーのほとんどが加盟している青森県タクシー協会に対して、タクシーの禁煙化について本年四月に知事名で要請を行ったところです。翌月、青森県タクシー協会では、総会で、平成二十二年八月五日のタクシーの日から加盟タクシーの全面禁煙化を導入することを決めたと伺っております。また、青森県タクシー協会むつ支部においては、平成二十一年十二月一日から旧むつ市内で営業している六社のタクシーを全面禁煙化することとしたと伺っております。  今後も受動喫煙防止対策の一環として、タクシーの全面禁煙化が一日でも早く実現できるよう、関係者に働きかけてまいりたいと考えております。  次に、ドクターヘリ運航の課題とその対応についてです。  広大な県土を抱え、かつ医療資源の限られた本県において、円滑にドクターヘリを運航するためには、一つとして、県内の主要な医療機関との連携体制の構築、二つとして、適時適切な出動要請が行われるための消防機関への普及活動、三つとして、効率的な搬送を図るための離着陸場の確保及び各関係機関との調整等を行う必要があると考えています。  そのため、県ではドクターヘリの円滑で効率的な運用を図るために、医療関係者、消防機関、自衛隊、行政等の関係者による青森県ドクターヘリ運航調整委員会を設置しています。また、県内の消防機関や医療機関の関係者に、ドクターヘリの効果に関する普及啓発を図るための事例検討会、運航病院と受け入れ病院との連絡調整を図る協力病院会議を設置、開催する等、関係者の協力・連携体制の構築に努めているところです。  また、本県におけるドクターヘリの効果的な運航のためには、他の救命救急センターとの連携が特に重要です。そのため、県では現在新救命救急センターの整備により充実を図っている県立中央病院や、来年七月の高度救命救急センター開設に向けて整備を進めている弘前大学医学部附属病院との連携を図ることにより、全県的な運航体制の確立及びその体制の維持、充実に向け取り組んでいきたいと考えています。  次に、救急時の情報提供の仕組みづくりについてです。  県では、今年度から保健・医療・福祉包括ケア推進の一環として、急性心筋梗塞や脳卒中の患者が夜間や休日に救急搬送された場合に、患者の治療や内服薬などの情報が救急搬送先の中核病院の医師に速やかに提供されるようにするため、青森県医師会に委託し、救急時の情報提供の仕組みづくりに取り組んでいるところです。  現在、青森圏域をモデル地域として、医師や薬剤師、消防関係者などによる検討会を設置し、各地の先進事例を参考にしながら、救急時に必要な情報の内容や提供する手法等を検討しているところであり、来年度は検討した手法について試験的に実施し、その結果を検証することとしております。  県としては、県民の命を守るため、救急時の情報提供の仕組みづくりを初め、救急医療体制の充実と強化に取り組み、県民が住みなれた地域において健やかで安心して暮らせる社会を目指していきたいと考えます。  次に、視覚障害者のための情報バリアフリー化推進についてです。  県では、平成二十一年三月に改定した新青森県障害者計画において、情報バリアフリー化の推進を施策の一つに掲げ、障害者の社会参加の推進を図るため、パソコン等の情報通信技術の活用促進等により情報バリアフリー化を推進することとしています。  具体的には、青森県身体障害者福祉センターねむのき会館における音声読み上げソフト等を用いた視覚障害者向けパソコン教室の開催、青森県視覚障害者情報センターにおける視覚障害者向けのパソコン体験コーナーの設置及びパソコンの貸し出し等を実施しています。また、県では、視覚障害者が点字や音声により、広く情報を入手できるよう、県広報の点字版、録音版の発行及び各種計画等の点字版作成に努めているほか、視覚障害者情報センターにおいて、点字、録音図書等の貸し出し、閲覧のサービス提供及び中途失明者に対する点字指導等を実施しています。さらに、同センターでは、点訳及び朗読奉仕員の養成講習会等を実施し、ボランティアの育成にも努めています。  県といたしましては、視覚障害者の社会参加推進と日常生活支援のため、これらの施策のより一層の充実を図りながら、今後とも情報バリアフリー化を推進してまいりたいと考えています。  音声コードの普及についてです。  視覚障害者に音声で情報を提供するため印刷物に印刷する音声コードの読み取り装置については、市町村の日常生活用具給付等事業の対象品目となっており、利用者は一割負担により給付を受けることができることとなっています。しかしながら、読み取り装置は携帯に適した大きさではなく、比較的高額であることから、必ずしも視覚障害者全般に普及しているとは言えない状況です。  県といたしましては、広報紙等への音声コードの活用について、市町村や関係機関に周知することにより、音声コードへの理解が深まり、視覚障害者への情報提供体制の充実が図られるよう支援を行ってまいりたいと考えています。  なお、現在は携帯電話などで読み取れるQRコードが広く普及しており、音声化への取り組みも進みつつあることから、このような使い勝手のよい情報処理技術の進展を注視していく必要もあると考えています。 54 ◯副議長(清水悦郎) 商工労働部長。 55 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 御質問六点にお答えいたします。  まず、レッツBuyあおもり新商品に係る御質問三点にお答えします。  最初に、これまでの認定状況と利用実績についてでございます。  県では、営業力の弱い中小企業やベンチャー企業等が開発した新商品の販路拡大を支援するため、新商品の開発や新事業創出に積極的に取り組む県内中小企業者等が作成した新商品開拓実施計画を認定することにより、県がその認定商品を随意契約により購入することを可能とするレッツBuyあおもり新商品事業を平成十七年五月から実施してきております。  平成十七年度からこれまでに三十三社に対して四十一件の商品を認定しています。また、県における認定商品の利用実績につきましては、平成十七年度から平成二十年度までの四年間で、省エネタイプのシート発熱体や電子式結露計等の六件の商品を利用し、その利用金額は約九百八十七万円となっております。  次に、認定商品の販路拡大に向けた支援策についてです。  レッツBuyあおもり新商品事業の認定を受けた新商品については、県の各機関への購入促進の働きかけを初め、認定商品としてさまざまな機会をとらえて県内外へPR等を行っているところです。  具体的には、県の機関に対しては、庁内各課に対する認定商品の周知のほか、各部局の主管課を通じて認定商品の購入方について要請しております。また、県関係以外の販路拡大につきましては、報道機関への情報提供や県のホームページにおける商品の紹介、同種事業を展開する他の都道府県のネットワークを通じた情報発信に努めているほか、財団法人21あおもり産業総合支援センター等が行う首都圏での商談会やビジネスマッチングなどの販路開拓支援事業の紹介や、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う首都圏等での展示会への出展にも支援しております。  さらに、平成十九年度から大手商社やリース会社などと認定商品に特化した取引のマッチングを行っており、これまでに道路工事現場用仮設マット等が全国的な販売につながるなど、成果があわわれてきております。  次に、販路拡大につなげるための制度のブラッシュアップについてでございます。  販路拡大につなげるための新たな取り組みとして、今年度から認定書交付式を開催して広く周知するとともに、報道機関及び庁内職員を対象に、認定事業者みずからが認定商品を発表する場を設けるなどして、積極的に商品のPRと利用促進の支援に努めているところでございます。  今後は、このような取り組みに加えまして、出先機関も含めた利用拡大の働きかけや、市町村や関係団体等へのPRを積極的に行い、フォローアップの強化に努めるなど、より効果的な制度にしてまいりたいと考えております。  また、議員から御提案のありました認定期間の延長やロゴマークの導入についても、今後検討してまいりたいと考えております。  次に、就職未定者に対する職業訓練の拡充についてでございます。  県立職業能力開発校では、新規高等学校卒業者や離職者等に対する職業訓練を実施しており、定員に満たない学科については、就職未定者が一人でも多く入校できるよう、可能な限り入校者の再募集を行ってきております。また、国においては、今年度新たに緊急人材育成・就職支援基金が創設され、基金訓練が実施されております。この基金訓練は、雇用保険が受給できない方を対象としているため、新規高等学校卒業の未就職者の方でも職業訓練を受講することが可能となっております。  県では、雇用情勢が非常に厳しい状況にあることから、今後の新規高等学校卒業者の就職の推移を見きわめてまいりますが、就職未定者に対する職業訓練の拡充等についても国に対して働きかけてまいりたいと考えております。  次に、東北新幹線全線開業に伴う情報発信戦略として、フィルムコミッションとの連携による映画等の誘致についてでございます。  映画やテレビ番組などの誘致や、実際のロケをスムーズに進めるための支援活動を行うフィルムコミッションは、平成十五年の弘前フィルムコミッションの設置以来県内に七団体が設置されており、映画等のロケの支援活動を展開しているところでございます。  本県をロケ地とする映画やテレビ番組が制作され、全国公開・放送されることは、本県のPRにつながるほか、観光客の誘客促進や県産品の販売促進など、本県経済の活性化にもつながるものと考えております。  県では、平成十六年度からまるごと青森情報発信事業として、首都圏を中心に本県のさまざまな情報を戦略的に発信し、マスコミ等での露出を飛躍的に高める取り組みを進めてきたほか、フィルムコミッションとのさらなる連携を図るため、意見交換会に参加するなど、映画などの誘致に関する検討や情報共有にも努めております。  今後とも、県内の七つのフィルムコミッションとの連携を図りながら、本県をロケ地とした映画やテレビ番組等の誘致に取り組み、本県の魅力を全国に向けて発信してまいります。  最後に、タクシーにおけるおもてなしの向上についてでございます。  観光客の方々と接する機会の多いタクシーにおけるおもてなしのよしあしは、観光客の本県全体への印象をも左右しかねないものであることから、東北新幹線全線開業に向けた受け入れ体制の充実を図る上で非常に重要な要素の一つであると認識しております。
     こうした中、青森市タクシー協会では、平成二十年度に青森県新幹線開業対策推進本部からの助成のもと、接客サービスの向上を目指して観光ガイドタクシー認定乗務員制度を導入し、現在までに八十七名の認定乗務員が誕生しているほか、他の地域においても継続して乗務員の接遇に係る研修等を実施しているところでございます。  また、今年度から、県では観光ホスピタリティ向上事業として、宿泊施設や交通機関などの観光関係施設に講師が直接出向いて、従業員等を対象とした接遇向上のためのセミナーを実施しており、タクシー事業者にも利用いただく予定となってございます。  県としては、引き続きタクシー事業者等の意識の醸成を促し、タクシーにおけるホスピタリティーのさらなる向上を図ってまいります。 56 ◯副議長(清水悦郎) 県土整備部長。 57 ◯県土整備部長(山下 勝) 道路事業費が大幅に削減された場合の県の事業執行方針についてお答えいたします。  先月再提出されました平成二十二年度の概算要求によりますと、公共事業関係費は大幅に縮小されまして、道路関係予算につきましても、地域活力基盤創造交付金を含め、大幅に減額をされたところでございます。  道路事業では、除雪を初めとする維持管理費につきましては大幅な削減は困難でありますことから、予算の縮小により建設費に大きな影響が出るものと考えております。  県では、これまでも、公共事業評価システムに基づき、地域のニーズや費用対効果などを勘案し、事業の必要性や優先度を検討した上で事業を進めてきておりますが、今後は限られた予算をより効率的に執行するために、早期に事業効果が発現される継続事業の優先や事業箇所数の絞り込みなど、事業の必要性、優先度を一層精査していく必要があると考えております。  あわせて、今後の道路予算を確保していくためには、救急医療や冬期間の交通の確保など、経済的効率性にとどまらない地方における道路整備の意義について国に理解を求めていく必要があることから、引き続き地域の声を意見として提案していきたいと考えております。 58 ◯副議長(清水悦郎) エネルギー総合対策局長。 59 ◯エネルギー総合対策局長(佐々木郁夫) 御質問四点にお答えします。  まず、海洋エネルギーへの県の認識等についてです。  波力や潮力などの海洋エネルギーは、風力や太陽光と比べて出力変動が少なく、比較的安定した電力供給が可能という性質から、化石燃料にかわる有望な再生可能エネルギー源の一つと考えられています。  本県では、平成十六年から弘前大学が海流発電の可能性に着目し、津軽海峡での調査等を行っており、その後、県と東京大学とが連携して県内のエネルギーポテンシャルについて調査検討を進める中で、津軽海峡に十分な流速があり、国内でも有数の海流発電の適地であるとの評価を得ました。  そのため、県では、本県での新たなエネルギー供給システムの創出や電力活用による地域振興につなげていくため、弘前大学を初め各種研究機関や民間企業と連携して、県内での我が国初の海流発電の実現に向けた調査検討を平成十八年度から行っています。  また、今年度は、我が国での波力発電の実現に向け、東京都が学識経験者、NPO及び先進的波力技術開発企業等に呼びかけて設置した波力発電検討会に本県も参画し、海洋エネルギーの活用に向けた検討を行っているところです。  次に、海洋エネルギーの利活用に係る国への働きかけについてです。  欧米を中心として、海外では海洋エネルギーの利活用に向けた取り組みが進められており、特にイギリスでは、国を挙げて実証フィールドや試験施設の整備が進められていると聞いています。  一方、我が国では、大学において学術的な研究が行われていますが、議員御指摘のとおり、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法における新エネルギーに位置づけられておらず、事業化に向けた技術的、経済的、また法的課題解決に向けた国の支援が得られないことから、海洋エネルギーの導入が進んでいないのが現状です。  そのため、県としましては、国への重点施策提案等の中で、地中熱や海流などの未利用エネルギーの新エネルギーへの位置づけを明確化することを求めてきており、今後も引き続き強力に働きかけていきたいと考えています。  次に、地中熱利用への県の取り組み状況についてです。  年間を通じて十数度で安定している地下十メートルから百メートル程度の地中の熱を熱源とし、ヒートポンプを組み合わせるなどして暖冷房や融雪などを行う地中熱利用は、灯油ボイラーなどに比べて、脱化石燃料はもとより、CO2排出量の大幅な削減や運転費用の低減の効果が認められていますが、県内では、道路や歩道の融雪以外の導入事例はわずかです。  そのため、県では、住宅、公共施設、農業ハウスなどでの地中熱利用の普及に向けて、具体的な活用事業モデルを検討し、平成十九年度に青森県地中熱利用推進ビジョンとして取りまとめました。  平成二十一年度からは、このうちの戸建て住宅での地中熱利用冷暖房システムについて、県民及び関連業界に向けた普及啓発のモデルとなる事例を形成するため、県内関連業界の参画を得て実証導入を実施していくこととしており、本年度は、青森市内及び弘前市内の住宅に地中熱利用の暖冷房・融雪システムを導入することとし、現在設置に向けた準備を進めています。今後は、実生活の場で継続的に運転データを収集し、効果や課題を検証して取りまとめることとしております。  県としては、このような事業を通じ、県民及び関連業界の認知度の向上や、県内企業におけるノウハウの蓄積、関係者間の連携の促進を図り、県内での自立的な普及拡大につなげていきたいと考えています。  最後に、地中熱利用の普及拡大に向けた今後の課題等についてです。  地中熱利用は、灯油ボイラーや空気を熱源とするヒートポンプなどに比べて運転費用の低減の効果が認められていますが、ボーリングなどの初期費用が高額であるため、普及拡大に向けては経済的な優位性を高めることが重要と言えます。  現状では、国などによる設備導入への支援は十分とは言えない状況にあることから、地中熱利用を新エネルギーとして明確に位置づけるとともに、支援を拡充するよう国への要望を続けることとしています。  地中熱利用は、住宅以外でも公共施設及び事業所の暖冷房、融雪あるいは農業ハウスの加温などの面でも、脱化石燃料と経費節減に大きな効果が期待されるため、県としましても、実証導入の成果を踏まえたさまざまな普及啓発の実施とあわせて、関係各界の御協力をいただきながら、各事業モデルの具体化と県内での普及拡大に向けて取り組んでまいります。  以上です。 60 ◯副議長(清水悦郎) 教育長。 61 ◯教育長(田村充治) 新規高等学校卒業予定者の県内就職の促進についての御質問三点にお答えいたします。  初めに、来年卒業予定者の現段階における就職内定状況についてであります。  青森労働局の発表によりますと、平成二十二年三月の新規高等学校卒業予定者のうち、十月末現在の就職希望者数は三千九百二十一人で、その五〇・二%に当たる千九百六十九人の就職が内定しており、昨年に比べ一〇・八ポイント下回っております。  県内外別の内訳では、県内就職を希望する二千八十八人のうち、内定者は七百十六人、内定率は三四・三%と昨年に比べ七・五ポイント下回っております。  県外就職につきましては、希望者千八百三十三人のうち、内定者は千二百五十三人、内定率は六八・四%と昨年に比べ一二・七ポイント下回っております。  次に、本県において県内就職者より県外就職者が多い状況にあることについてであります。  県教育委員会では、すべての高等学校卒業者の進路状況を把握するため、大学などへの進学や就職の状況について、毎年五月一日現在で調査しております。  この調査によりますと、平成十九年三月の卒業者までは県内就職率が五割を超えておりましたが、平成二十年三月の卒業者においては、県内就職率四九・四%、県外就職率五〇・六%となり、県外就職者の割合が県内就職者の割合を上回り、平成二十一年三月の卒業者においても同じ状況となっております。  しかしながら、先ほども答弁しましたとおり、県内就職を希望する生徒が県外就職を希望する生徒よりも多い状況にあることから、県教育委員会では、これまで青森労働局や県商工労働部との連携のもと、県内各地の経済団体に対する求人拡大要請や、各事業所に対する雇用開拓ローラー作戦を実施し、県内就職の促進に努めてまいりました。特に、平成十九年度からは求人票のさらなる早期提出について、県内の経済団体や各事業所に重ねて要請しているところであります。  県教育委員会といたしましては、今年度の県内、県外ともに求人数が減っている厳しい状況を踏まえ、引き続き関係機関との連携を一層深めながら、生徒の就職促進に努めてまいります。  最後に、県教育委員会は、企業側の求める人材の把握に努め、その育成に向け、学校側の要望を踏まえた就職支援に取り組むべきと考えるがについてであります。  議員御指摘のとおり、県教育委員会といたしましては、企業が求める人材について把握し、就職支援に関する学校の要望を踏まえて効果的な取り組みを進めることは重要であると考えております。  このため、県教育委員会では、年度初めの進路指導主事研究協議会において、各学校が抱える就職指導上の課題について協議し、学校の要望の把握に努めております。このような要望を踏まえ、生徒が職場で活躍できる実力を養成する仕事力養成推進事業を実施するなど、各学校の実態に応じた就職支援に取り組んでおります。  また、県内五地区で開催される就職促進懇談会において、各学校の進路指導担当者やPTA代表を初め、企業、青森労働局、県商工労働部及びジョブカフェあおもりの担当者と県内就職の促進について意見交換する中で、企業が求める人材の把握に努めております。さらに、企業が求める人材を直接把握するとともに、企業の視点を学校経営に生かすため、管理職が一年間民間企業で研修を行う企業エクスプレス研修を実施しております。  県教育委員会では、引き続き企業が求める人材を把握し、学校の要望を踏まえながら、新規高等学校卒業予定者の積極的な就職支援に努めてまいります。  以上でございます。 62 ◯副議長(清水悦郎) 伊吹議員。 63 ◯二十番(伊吹信一) 今般の政権交代によりまして、さまざまな変化を求められている中での一般質問でございました。非常に答えの出ない部分もあろうかと思いますけれども、仮定の中であるとはいえ、年末を今もう目前に控えている。しかも、生徒に至っては、年度末、来春の卒業ということを目前にして、不安に今悩んでいる、こうした実態が実はございます。  そうしたことを踏まえて、再度改めてちょっとお尋ねを何点かしたいと思います。  まず一つは、県内の中小企業の支援策でございますが、受注確保につなげるよう、県費単独事業による下支えが場合によっては必要なのではないかというふうに考えますが、県の見解について改めてお伺いいたします。  また、先ほど来、午前中からの質問とその答弁の中でも出ておりましたけれども、緊急雇用の確保対策は、これまでもずっと事あるごとにやってこられました。今回も新たにまた支援策を考えておられるというお話だったと思いますけれども、そうした短期的な雇用、これは非常に大事ではありますけれども、その次に待っているのは今度常用雇用をどうそこに結びつけていくのかといったことだと思います。  そこで、改めて、もしこれは御答弁いただけるようであればお願いしたいんですが、これまで実施された緊急雇用確保対策を通じまして、常用雇用に結びついたと思われる例―人数は何名程度と県として受けとめておられるのか。今後、短期の支援策を講じるに当たっても、そうしたしっかりしたビジョンを持ってやっていただく、継続性が必要だということもありますので、お伺いをしておきたいというふうに思います。  それと、財源問題が重くのしかかっております並行在来線の件でございますけれども、来年十二月の開業までに国のほうで新たな支援策が示されない場合、私は、県財政に与える影響を考えますと、このまま県が巨額の繰り入れを続けていくというのは、これはやっぱり無理だろうというふうに考えております。といいますのは、このほかに今度新幹線の負担金も出てまいります。こうしたことを総合的に考えた場合、周辺の自治体の皆様とも改めて協議をしながら、このあり方について一度立ちどまって検討することも必要な場合もあるのではないのかなと。国の対応いかんだろうというふうに私は考えるところでございます。  このことを今聞いても答えられないと思いますので、それを前提としての話なんですが、先日の許認可申請手続をする際に、附帯文書をつけました。あの文書に基づく国の支援策が明らかにきちんとなるように、私は改めてこれは強い決意で臨むべきだと思うし、そういうことを国にも発信をすべきである。場合によっては、全国知事会のテーマとして―これは本県だけの問題ではありません。関係道県のスキームでやることも大事なんですが、全国知事会の一つのテーマとしてこの地方負担のあり方を正式に議論していただくということが必要なのではないかと考えますが、この件についての所感をお伺いしたいというふうに思います。  それと、病院の件でございます。五所川原中央病院、今議員もおられますけれども、非常に急激な基金の減額で今大変な状況になっております。ただし、やっぱり計画案で盛り込まれていた周辺の包括的な支援体制を何とか維持したいと関係の市や町は考えているわけで、時間が若干ずれたとしても、計画はそのまま進めなければいけないだろうというふうに思います。ただ、その際大きく出てくるのは財政負担の問題。しかも、今回の大幅な基金の減額によって、今度はそこを手当てするものとして考えられるのは病院債だろうというふうに思います。ただ、この病院債も、その時の使い勝手はいいものの、結局はその支払いを長期にするというだけのものでしかありません。結果的には、市や町の財政負担を伴うことになりますので、その辺のこともしっかり見届けていかなくてはいけない。  加えて、今総務省が中心となって公会計制度の統一基準を標準化しながら進めているわけで、特に三セク、病院事業会計等も含めた特別事業会計等も全部その対象となって見られてまいります。そうした意味ではぜひ、これは本当に市や町は苦しい状況に置かれることになると思いますので、こうした公会計制度の視点からも、職員間での支援も含めて、支援体制をとっていただきたいなというふうに思います。地元の議員もおられますので、よくその辺は、必要な場合はやっぱり政権政党に再度また基金の増額の件も求めていくべきではないかというふうに考えますので、よろしくお願いしたいと思います。  それと、救急時の情報提供の仕組みづくりにあっては、港区の例は、冷蔵庫にそのキットを入れています。自宅に行きますと、自宅の玄関ドアの裏側に、この家にはキットを所持していますよということをわかるように、ドアにシールを張っています。それと同じシールを冷蔵庫にも張っておりまして、その家のことをわからない第三者、救急搬送の隊員でありますとかが駆けつけたときに、そのドアを見て、この家はそうしたキットのある家だ、すぐ冷蔵庫を見て、その中からキットを取り出してその情報を入手する。たとえひとり暮らしのお宅であったとしても、家族がいない場合でも対応ができるという状況になっております。  先ほどの答弁にもありました、今度新しい取り組みを検討していきたいということのようですが、お薬手帳だとどこにしまっているかわからないみたいなことになりますので、こういうものをルール化するためのきちんとした標準のルールというものが必要になってくる。どこかに保管をしてください、どこかにそれをきちんと置いておいてください、あるいは携帯してくださいといったところまできちんとルール化する必要があるのではないかというふうに思いますので、そこまでしっかり踏まえて、新しいモデル事業についてはぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  それと、生徒の就業の件でございますが、先ほども申し上げました面接の機会が、残念ながら年内―十一月まで一回というふうに限られているというふうにも聞いております。先ほどの答弁にもありました、本当に親のもとで、自分が生まれ育ったこの土地でできれば働きたいと思っている生徒がたくさんいらっしゃる。こうした実態も踏まえて、できれば面接機会がふえるように、国の制度の改善が必要な部分も、協定の改善も必要かもしれませんけれども、そうしたことも含めて、より就職に結びつく機会が得られるよう配慮していただくようにお願いをしたいというふうに思います。  最後にエネルギーの問題です。この潮流発電、いろいろ課題はありますけれども、ぜひこれは進めていただきたいというふうに思います。  それと風力発電、私もこれはぜひ進めてほしいということで今まで申し上げてきましたが、実は低周波の健康に与える影響ということが、裁判の場で、実は影響があるという判例が出てしまっております。今後この取り扱いがどうなるのかということも注視していかなくてはいけないということもありますし、これはまたルールづくりが必要だろうというふうにも思います。そういうこともあるし、太陽光にしても耐用年数の問題等々もございます。そういう点からも、この潮流発電を初めとする海洋エネルギー、そして地中熱利用によるさまざまな産業への結びつけをぜひとも積極的に取り組んでいただきたいということを要望して終わります。 64 ◯副議長(清水悦郎) 青山副知事。 65 ◯副知事(青山祐治) 並行在来線に関する再質問にお答えしたいと思います。  先ほども申し上げましたとおり、新政権が発足されまして初めて全国的な規模とかということで要望、要請が始まっております。期限が迫っております来年十二月の青森開業まで国の財政支援等が実現されるよう、関係者が一体となって強く要請していくことが重要であると考えております。また、今回の前原国土交通大臣の発言も踏まえまして、国の情報収集に努め、県議会の皆様、そしてまた国会議員の皆様、そして、ただいま御提言がございましたが、従来もお願いはしてありますが、改めてまた北海道東北知事会、それから全国知事会とともに、一緒になって適時適切に支援策等の実現を強く求めていきたいと考えております。御理解願いたいと思います。 66 ◯副議長(清水悦郎) 商工労働部長。 67 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 議員からの再質問二点についてお答え申し上げます。  まず、雇用問題ということでお話がございました。これまでの雇用対策で実施してきたもので、常用につながった、あるいはつながる見込みがあるというふうな数字として把握しているのかということが御質問でございました。  まず、緊急雇用創出対策事業は、基本的に六カ月という期間が限定され、さらに更新を一回だけと、非常に限定されていますから、長期の常用というような考え方ではこれは難しいというふうに理解してございます。  ただ、もう一つのふるさと雇用再生特別対策事業、これは三年間継続して実施し、さらにその事業終了後も継続して雇用するということを期待して行っている事業で、まだ常用につながったかという時点では、今年度からスタートしたばかりですので、今後三年間やった上でのことですけれども、現在四百三十六名が雇用されておりますので、私どもとしては、これは継続の雇用、常用として期待できるものというふうに思います。  それから、レッツBuyあおもりにつきましては、先ほども御答弁させていただいたんですけれども、中小企業支援ということで、引き続き期間の延長も含めまして前向きに取り組んでまいりたいというふうに思います。(伊吹信一議員、「答弁漏れ、県費単独事業の件」と呼ぶ) 68 ◯副議長(清水悦郎) 商工労働部長。 69 ◯商工労働部長(櫻庭洋一) 県内中小企業の下支えに対する県費単独事業ということでございます。  県内の中小企業の置かれている状況というのは非常に厳しいということは十分認識してございまして、できるだけ、分離発注も含めまして、地元の中小企業がさまざまな形で活用されるよう、それから、そのための予算措置についても前向きに検討してまいりたいというふうに思います。 70 ◯副議長(清水悦郎) 十五分間休憩いたします。 午後三時二十八分休憩    ────────────────────── 午後三時四十九分再開 71 ◯議長(田中順造) 休憩前に引き続いて会議を開きます。  一般質問を続行いたします。  三十番大見光男議員の登壇を許可いたします。―大見議員。 72 ◯三十番(大見光男) 自由民主党の大見光男でございます。  戦後六十年、今、平成の改革と言われ、このたび民主党が勝利し、内閣ができてから三カ月が過ぎようとしております。新政権にとってのハネムーンも終わり、これからが正念場と思われます。まだ何も見えてこないのが現実じゃないでしょうか。我々国民にとって不安と言わざるを得ません。選挙公約のマニフェストばかりが先行して、議論し合っているうちに、経済の不況はその度合いを大きくし、コンクリートから人へのかけ声もむなしく聞こえます。私たち国民は、これから先どうなるのだろうと懸念されるばかりです。  その中にあって、我が青森県は今後どのような政策をとり、どんなふるさと創生に向かっていくのかと考えながら質問したいと思います。  初めに、青森県基本計画未来への挑戦の着実な推進についてお伺いいたします。  この計画はことし四月からスタートしたわけですが、私は計画に掲げたさまざまな施策を効果的、効率的に実現していくためには、計画期間を通じた実効性のある進行管理が欠かせないものと考えております。今回の基本計画においては、進行管理の仕組みを未来創造型マネジメントサイクルと呼び、県が行う政策レベルの自己点検の結果と、それを踏まえた総合計画審議会からの政策提言等をもとに、知事をトップとする作戦会議において、翌年度の戦略キーワードを決定し、それをもとに各部局等が重点事業などの具体的な取り組みを企画立案するという一連の流れにより、時々の環境変化にも対応した取り組みの重点化を図っていくという、青森県独自の手法を取り入れているとのことであります。  現在、来年度に向けた五つの戦略キーワードが決まり、事業の構築が進められているとのことですが、私は、計画の着実な推進を図るためには、その過程において、本県の現状と課題を的確に把握しながら、今後どのようにしてその課題を解決していくべきかについて、専門家や多くの県民の意見も聞きながら、しっかりと政策議論が交わされ、常によりよい方向へと改善がなされていくことが非常に大切であると考えるものです。  また、こうして導き出された政策の方向性がきちんと予算にも反映され、具体的な取り組みにつながっていくことによって初めて実効性のあるマネジメントサイクルと呼ぶことができると考えます。  社会経済の大きな転換期を迎えて、先行きが見えにくい現状において、我が県を着実に目指す未来へと導いていくためには、基本計画をしっかり推進するための仕組みが確実に機能していることが重要です。  そこで、青森県基本計画未来への挑戦の推進に向け、計画の進行管理は着実に実行されているのかお尋ねいたします。  次に、交通政策の取り組みについてお伺いいたします。  一点目は、東北新幹線駅舎附帯施設整備についてであります。  来年十二月の東北新幹線全線開業に向け、新青森駅、七戸十和田駅ともに、ほぼその外観が完成してきており、去る十一月三日にはレール締結式が行われるなど、いよいよ開業が迫ってきたことが実感できるようになってきております。  このような中で、県としても、新幹線開業効果を県内全域で獲得していくため、県民一丸となって取り組んでいるところでありますが、新幹線を利用されるお客様が最初に降り立つ新青森駅、七戸十和田駅の周辺整備も万全の体制で迎えることが大変重要となります。  そこで、東北新幹線八戸―新青森間の開業に合わせ、青森市及び七戸町で進めている駅舎附帯施設整備に対して、県では補助金を出しておりますが、これまでの整備状況についてお伺いいたします。  二点目は、青森―ソウル線の復便についてです。  円高・ウォン安や新型インフルエンザの影響で、昨年と比べて韓国人利用者が大幅に減少しているとのことであり、ことしのウインタースケジュールから月曜便が運休され、現在週三便の運航となっています。他県では、路線維持のために利用者や旅行会社への助成金など、さまざまな対策を講じて利用促進に努めていると聞いています。  青森―ソウル線は、本県を訪問した韓国人利用者が県内で消費することによる県経済への波及効果が期待され、県民も気軽に海外へ出かけることができるなど、県経済の活性化や本県の国際化の進展にとって欠かすことのできない路線であり、週四便への一日も早い復便を願うところであります。  そこで、青森―ソウル線の週四便への復便に向けて、県はどのように取り組むのかお伺いいたします。  三点目は、バス路線の維持に向けた支援についてお伺いいたします。
     路線バスは、通勤や通学、買い物など、学生からお年寄りまで、広く県民の日常生活に密着した公共交通機関としてその役割を果たしてきましたが、近年は、自家用車の普及などの影響で、利用者は年々減少傾向にあり、特に過疎地域においてバス路線の維持が困難になってきている状況にあります。  このような中、県では路線バスに対する補助として、バス運行対策費補助を実施し、路線の維持確保に努めていますが、このまま利用者の減少傾向が続いていくと、県からの補助金額も膨らんでいくほか、補助要件を満たせず補助対象外になってしまう路線もふえてくることが懸念されるところです。  そこで、近年のバス運行対策費補助金の補助実績と、県民の生活の足を守っていくため、県の取り組みについてお伺いいたします。  次に、本県の保健・医療対策の取り組みについてお伺いします。  最初は、医師確保に係る県の取り組みについてお伺いいたします。  自治体病院は、これまで地域の基幹的な医療機関として地域医療の確保に重要な役割を果たしてきています。しかしながら、小児科、産婦人科、麻酔科などの特定診療科のほか、内科、外科についても医師不足が深刻化しており、その状況は大変厳しいものがあります。医療現場では、医師不足から一人の医師にかかる負担はますます重くなり、多忙をきわめ、疲弊しているということをよく耳にします。勤務環境がこのように非常に厳しい状況にあっては、勤務継続が困難となり、医療現場からやめざるを得ず、ますます医師不足が加速されていくものと考えます。  このように、医師不足問題は構造的な問題があるものと考えられることから、これを打破するためには、中長期的な展望を持った対策を講ずることが必要であると考えるところです。  そこで、医師確保のため、中長期的対策として取り組んできた内容及び成果並びに今後さらにどのように取り組みを強化していくのかお伺いいたします。  次に、ドクターヘリについてお伺いします。  青森県のドクターヘリは、本年三月二十五日運航が開始され、はや八カ月が経過しました。運航を開始して最初の患者さんは大間の方で、大間から八戸市立市民病院までの飛行時間が約四十分程度と伺い、改めてその早さに驚いたところです。特に、今医師は私のダイビング仲間でございましたので、彼の活躍を期待しております。  県内で下北半島及び西海岸など、県立中央病院や弘前大学医学部附属病院などの大きい病院に行くまで長時間かかるところに住む県民にとって、大きい病気やけがに遭った場合のことを考えますと、大きな不安を感じているものです。ドクターヘリは、医師が現場に短時間で到着し、いち早く救急患者を診ることができます。そのことにより、救急患者の救命率の向上や後遺症の軽減等の効果が期待されます。特に、県立中央病院などの大きい病院までの搬送に長時間かかってしまう地域に住む県民にとっては、ドクターヘリにより、速やかに大きい病院に搬送できるようになったことを非常に心強く感じているものと思っております。  そこで、ドクターヘリのこれまでの運航及び僻地医療において期待される効果についてお伺いいたします。  次に、がん予防対策についてお伺いいたします。  日本のがんによる死亡者は年間三十四万人と、死亡者全体の三分の一近くを占めており、昭和五十六年以降、日本人の死亡原因のトップです。その年に新たにがんにかかった人の割合を示す罹患率や死亡率の年度別推移も急激に上昇しており、国内で継続的に医療を受けている人は百四十二万人に達し、さらに毎年新たに約六十四万人ががんになっています。将来、日本人の三人に二人ががんにかかり、二人に一人近くががんで亡くなるとも言われております。  本県に目を向けますと、がんによる死亡者は平成二十年の一年間で四千六百四十六人と、全死亡者の約三割を占めております。がん対策についての県民の関心も非常に高まっており、県としても積極的にがん対策を進め、県民の不安を解消していくことが必要です。  健康寿命の延伸を図り、平均寿命の向上を目指すためにも、がん死亡者を減らしていかなければなりません。まず、がんの発病予防には、食生活と喫煙等の一次予防に加え、早期発見・治療に欠かせない検診受診率の一層の向上に力を入れるべきと考えます。  そこで、県では、県基本計画推進重点事業としてがん対策推進事業を実施していますが、がん予防対策についてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。  次に、子供の新型インフルエンザワクチン接種についてお伺いいたします。  新型インフルエンザウイルスは、依然猛威を振るっており、一向に衰えを見せる気配はなく、これまでの感染者数は推計で約七百万人を優に超えるとされています。感染者は若年層に多く、中でも十代以下の子供が圧倒的に多い状況となっております。今回の新型インフルエンザは、季節性のそれと類似しており、幸い多くは軽症のうちに回復していると言われます。しかし、重症化し入院する患者は子供たちに集中しているのです。しかも、重症化するのは、ぜんそくなどの基礎疾患を持つ子供たちに限らず、健康な子供たちにも及び、残念ながら症状が悪化し、脳症等で亡くなるケースも少なくありません。  重症化防止を目的に、先月から新型インフルエンザワクチンの接種が始まりました。私は、将来ある子供たちの健康と命を守るため、子供たちへのワクチン接種に関して万全を期していかなければならないと考えるものです。  そこで、次の二点についてお伺いいたします。  一点目は、県では、子供たちに対するワクチン接種の時期の前倒しに関してどのように対応しているのかお伺いいたします。  二点目は、子供たちに対するワクチン接種を計画的、効率的に実施するためには集団接種が有効と思うが、県は集団接種に関してどのように考えているかお伺いいたします。  次に、水産業の振興についてお伺いいたします。  最初は、新たな技術開発に向けた取り組みについてお伺いいたします。  本県の海面漁業生産は、数量、金額ともに最近十年間で約三〇%の減少、漁業就業者も減少、高齢化が進んでおり、漁村の活力低下は目を覆うばかりとなっています。また、平成十五年、十七年に続き、ことしも県内沿岸の各地で大型クラゲによる漁業被害がこれに追い打ちをかけ、日々のクラゲとの戦いに疲れた漁業者の閉塞感は深刻さを増しています。このような状況を打開するためには、新たな技術開発に向けた取り組みが必要だと考えます。  本県は、我が国屈指の水産県であり、漁業就業者が活力と希望を持って生き生きと働き、生活できる地域社会を形成するための取り組みは、県として重要な責務であり、将来の漁業生産に希望と考えるものです。  特に、本県漁業の中で、ホタテ養殖と並んで中核を形成しているイカ釣り漁業が、昨年の燃油価格高騰で大きな影響を受けたことや、ウニ、アワビのえさに加えて、多くの水産資源が育つ場となる昆布藻場がいそ焼けにより減少している現在の状況を踏まえた速やかな対策が求められます。  このような中で、今年度からの重点推進事業として、イカ釣り漁業やいそ焼けの対策について新たな技術開発に向けた取り組みが挙げられており、生産現場にあっても大きな期待を寄せているところです。  そこで、省エネ型いか釣り漁法開発・実用化推進事業及びあかいか漁場探査シミュレーションモデル開発事業により期待される成果と、現時点での進捗状況についてお伺いいたします。  また、温暖化に打ち勝つこんぶ藻場づくり事業により期待される成果についてもお伺いいたします。  次に、活力を育む清らかな海藻の里海(うみ)づくり事業についてお尋ねします。  本県は、北海道に次ぐ昆布の生産県として、古くから採藻漁業が盛んに行われてきましたが、近年はいそ焼けなどにより、かつて一万トンを超えていた海藻生産量が、平成二十年においては二千トンを下回るまで減少し、漁業経営に支障を及ぼしております。  海藻が繁茂する藻場は、海水中の燐や窒素などを吸収、除去する環境浄化機能によって、県が推進する水循環システムの再生、保全に寄与しているほか、ウニやアワビなどの生息場や魚類の産卵、育成場として漁業生産の拡大に重要な役割を果たしていることから、水産資源の拡大や漁業経営の維持安定のため、海藻をふやすことが必要不可欠であると考えております。  そこで、平成二十年度から取り組んでいるウスメバルやガゴメ、モズクを対象とした活力を育む清らかな海藻の里海(うみ)づくり事業のこれまでの成果についてお伺いします。  また、あわせて、これらの成果を今後どのように活用し、取り組んでいくのかをお伺いいたします。  次に、いそ根資源の密漁防止対策についてお伺いいたします。  本県における近年のいそ根資源動向を見ると、陸奥湾を主体とするナマコの昨年の漁獲高は、漁獲数量では約千五百トン、漁獲金額では約二十三億四千万となっており、これは平成元年の漁獲金額の約三億円と比較し、金額ベースで約八倍の高水準で推移しています。また、アワビの昨年漁獲高は、漁獲数量では約四十五トン、金額では約二億五千万円となっており、安定した生産が行われています。本県沿岸域では、これらのいそ根資源は適切な漁場管理により計画的な資源の利用が行われており、漁業者の大切な収入源となっています。  しかしながら、近年、好景気に沸く香港・中国市場における乾燥ナマコ・アワビ等の高級嗜好品の需要の増加から、暴力団等の組織的で巧妙・悪質な沿岸資源の密漁が全国的な問題となっており、かつて陸奥湾で暴力団が絡むナマコの大がかりな密漁事件が発生した際には、逮捕者十二名、逮捕までの一年間の被害金額が一億八千万に上ったと聞いています。  密漁は、漁業資源ひいては漁業者の生活を根源から脅かすのみならず、暴力団の資金源となるなど、社会的にも大きな問題となっております。県としても重点的に取り組んでいかなければならない問題ではないかと考えています。  そこで、今後県が進めようとしているナマコ、アワビ等いそ根資源の密漁防止対策についてお伺いいたします。  次に、下北半島地域における道路網整備促進についてであります。  総選挙前に公表された民主党政策集では、暫定税率廃止後においても地方における道路整備事業は従来の水準を維持できるようにしますとされておりました。しかしながら、平成二十二年度概算要求の組みかえによりますと、道路整備予算が平成二十一年度当初予算に比べ実質二割減となっております。従来の水準を維持するどころか、後退にもつながり、都市と地方の格差がますます拡大すると言えます。  下北半島縦貫道路の早期整備は、半島地域に生活する我々にとって最優先課題であり、これまでも下北未来塾を中心に、地域の多くの皆さんが結集し、下北半島縦貫道路の早期完成を願う思いを強く発信してきたところであります。下北半島縦貫道路は、現在、むつ南バイパス、有戸北バイパス及び吹越バイパスの三区間で整備を進めておりますが、道路整備予算の削減により、完成年度のおくれと未着手区間の事業化も大幅におくれることが懸念されます。  これらの状況を踏まえまして、平成二十二年度概算要求では道路整備予算の削減が示されましたが、下北半島縦貫道路の整備への影響と今後の取り組みについてお伺いいたします。  次に、下北半島西部地域における国道三三八号の整備状況についてであります。  下北半島西部地域の国道三三八号は、生活道路や産業、経済、教育の振興上、極めて重要な幹線道路であるばかりでなく、下北半島国定公園の景勝地を周遊するルートとして、観光振興上も重要な役割を果たしております。これまで佐井村磯谷、願掛地区の拡幅、旧脇野沢村滝山地区の拡幅などの整備が図られてきましたが、まだまだ整備が必要であると考えております。  そこで、整備中の国道三三八号佐井村長後バイパスの今後の見通しについてお伺いいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。 73 ◯議長(田中順造) 知事。 74 ◯知事(三村申吾) 大見議員にお答えいたします。  まず、青森県基本計画未来への挑戦、これを実効性あるものとするための取り組みであります。  私は、青森県基本計画未来への挑戦の推進を図り、県勢発展に結びつけていくためには、計画期間を通じた着実なマネジメントサイクルの展開が不可欠であると認識しております。  そのため、仕組みとして取り入れました未来創造型マネジメントシステムでは、県が行う政策点検等の結果と、総合計画審議会が取りまとめた政策提言を踏まえ、私をトップといたします作戦会議において翌年度の戦略キーワードを決定し、それをもとに各部局等が重点事業などの具体的な取り組みを企画立案するという一連の流れにより、取り組みの重点化を図ることとしたところであります。  そのため、本年四月には、計画推進のための庁内組織体制を再構築し、これまで別々に行っておりました政策点検と重点事業の企画立案を一つにまとめ、政策点検による各施策の課題と今後の方向性の把握、それを踏まえた次年度の重点事業の企画立案を総合的かつ機動的に進めることができる体制といたしました。  現在、このマネジメントシステムに基づき、来年度に向けた重点事業等の構築、予算案の検討を鋭意進めているところでありますが、今後とも県議会や総合計画審議会からの御意見もいただきながらシステムの改善を続け、着実な計画の推進を図っていきたいと考えております。  がん予防対策についての取り組みであります。  男女とも平均寿命が全国最下位にとどまっている本県にとりまして、全死因の第一位を占めるがんによる死亡率を低減させ、本県の平均寿命のアップへとつなげていくための取り組みは重要であると認識しております。  がんの予防には、まず、がんについての正しい知識の普及啓発と、がんにかかりにくい生活習慣の定着が必要であります。また、近年の医療技術の進歩によって、がんはかつてのように不治の病ということではなくなりつつありますことから、がん検診の受診によりがんを早く見つけ、早く治療することも非常に重要になっております。  正しい知識の普及啓発と生活習慣の定着については、県では、各市町村において住民の目線に沿った取り組みを行っている食生活改善推進員や保健協力員の皆様方を対象に研修会を開催してきたところであります。  がん検診につきましては、これまでも各市町村に対して受診を勧奨するよう働きかけてきたところですが、民間企業のノウハウを活用して効果的に広報していくことも重要であると考え、去る十一月十九日に、日ごろから顧客と接する機会を多く持つ保険会社及び銀行八社と、がん検診受診率向上に係る合意を締結しました。各社は、企業の社会貢献の一環として、県と連携、協力して広報啓発活動を行っていただけることになっておりまして、大いに期待するところです。  県といたしましては、がんの予防に係る正しい知識の普及啓発と生活習慣の定着、そしてがん検診の受診環境の向上に努め、県民みずからの取り組みを促進して、県全体としてがんの死亡率低減に向けた努力がなされるようにしていきたいと考えております。  活力を育む清らかな海藻の里海(うみ)づくり事業の成果と活用についてであります。  本事業は、豊かな藻場を再生することで、海の環境改善と水産資源の回復、漁業経営の安定を図ることを目的としております。これまでにアカモクやガゴメ、モズクなどの海藻の増養殖技術が開発され、この養殖施設の海藻に群がるウスメバルの増殖が可能となるなど、所期の成果が得られたところであります。既に、下北地域の易国間漁協や大畑町漁協などにおいては、漁業者の自主的取り組みとしてガゴメの増殖活動が始まっております。  私は、このように事業の成果を活用して、漁業者一人一人がみずからの工夫により経済的基盤としての生業(なりわい)づくりにチャレンジすることこそが、県の基本計画未来への挑戦の中で目指している生活創造社会実現に向けた取り組みであり、攻めの農林水産業を軸とした食産業の充実強化につながるものと認識をしております。また、海藻の増養殖活動を通じて、漁業者の方々の海の環境維持・保全に対する意識の向上も図れる、このことを期待するところであります。  県としては、今後こうした成果を生かして、藻場の回復や漁場管理技術の普及指導により、漁業者の自主的な取り組み拡大を促すとともに、ウスメバルとアカモクなど、魚類と海藻それぞれの生態特性を生かした複合型増養殖を推進することとし、今後も引き続いて水産環境基盤としての藻場の保全、再生と豊かな水産資源をはぐくむ豊饒の海づくりに取り組んでいきます。  詳細につきましては、担当部長からも答弁をさせます。  下北半島縦貫道路の整備の今後の取り組みであります。  道路は、県民生活や社会経済活動を支える最も基礎的な社会基盤でありますことから、これまでも着実な整備に努めてきました。  しかしながら、平成二十二年度概算要求では、議員御指摘のとおり、道路整備予算が大幅に縮減されたことから、県が進めております道路整備のおくれが懸念されますとともに、新たな整備区間の事業化にも影響が出る状況となっております。  しかして、下北半島縦貫道路は、半島地域の産業・経済活動の活性化や地域振興にとって極めて重要であります。そのことから、道路整備予算が縮減された場合においても、引き続きその縮減の中において重点的な予算配分を図り、有戸北バイパスは平成二十年代中ごろの完成を目指すとともに、むつ南バイパス及び吹越バイパスの整備促進にも努めていくこととしたいと思います。  県といたしましては、地方が真に必要な道路の整備について、従来の水準を維持できるよう、引き続き議員各位のお力もいただきながら、地方の声を国に対して届けていく所存であります。この道路整備につきましての御協力方をよろしくお願い申し上げる次第であります。  以上です。 75 ◯議長(田中順造) 青山副知事。 76 ◯副知事(青山祐治) 交通政策の取り組み三点についてお答え申し上げます。  まず最初に、新幹線駅舎附帯施設整備事業の整備状況についてでありますが、来年十二月の東北新幹線全線開業に向け、現在、青森市では駅舎附帯施設として南北連絡通路及び観光情報センターの整備を進めています。  南北連絡通路は、新幹線利用客の移動を円滑にするとともに、奥羽本線で分断される北側と南側の住宅地や駅舎を結ぶ施設であり、観光情報センターは、県内全域の観光案内や情報発信などを行う施設であります。これらの駅舎附帯施設につきましては、平成十八年度に設計を実施し、平成十九年度から工事に着手、来年三月末の完成予定と聞いております。  また、七戸町で整備を進めております七戸十和田駅の駅舎附帯施設である観光交流センターは、下北半島や十和田湖などの観光案内や情報発信などを行う施設であり、平成十九年度に設計を実施し、本年九月から工事に着手、来年九月末の完成予定と聞いております。  県では、それぞれの駅舎附帯施設整備事業について、青森市及び七戸町に対して、その負担額の二分の一以内の補助金を交付しているところであり、引き続き青森市及び七戸町との連携を緊密に図りながら、整備に向けて支援していきたいと考えております。  次に、青森―ソウル線の週四便への復便についてであります。  青森―ソウル線は、本県から世界へ開かれた唯一の窓であり、県内経済の活性化、国際感覚を有する人財の育成、交流人口の拡大に大きな役割を担っていることから、県としては、今後も路線を維持していくために一層の需要拡大が必要であると考えています。  昨年から続く円高・ウォン安や、新型インフルエンザの影響で韓国人利用者が大幅に減少したことなどにより、ことしのウィンタースケジュールで週三便に減便となりましたが、大韓航空によれば、韓国人需要が回復すれば増便の可能性は高いとのことであります。  このため、県では、社会経済情勢の変化に左右されない安定した需要を確保することとし、市民レベルの交流促進や、韓国における本県の知名度アップ等により、需要の喚起に取り組んでいるところであります。  これらの取り組みの一環として、今月、知事を団長とするミッション団が訪韓し、済州特別自治道では、世界自然遺産を活用した市民レベルの交流を実現するとともに、ソウル市内の主要新聞社を訪問し、本県の知名度アップに対する協力を要請したほか、大韓航空に対しては早期復便を要請したところです。  県としては、週四便への早期復便に向けて、関係機関と連携して、魅力的な旅行商品を企画するなど、今後も一層の利用促進に取り組んでまいります。  次に、バス路線の維持に向けた支援についてであります。  自家用車の普及や少子化、過疎化などの影響により、県内の路線バス利用者は年々減少しており、路線維持のため、行政からバス事業者へ交付する補助金は増加傾向にあります。県では、複数市町村にまたがる広域的・幹線的バス路線について、国と協調して路線維持費補助を行っており、平成十八年度は六十二路線に対し一億九千八百十七万一千円、平成十九年度は六十一路線に対し二億八百七十九万九千円、平成二十年度は五十七路線に対し二億二千八百九万一千円を交付しております。  将来にわたり必要となる路線バスを維持していくためには、広域的・幹線的バス路線と市町村が単独で補助しているバス路線などとの競合を回避したり、利用実態に即した運行回数に見直すほか、必要に応じてデマンド型交通等を導入するなど、効率的で持続可能な交通ネットワークに再編していくことが重要であると考えております。  このため、まず、今年度は、有識者の協力のもと、県が補助している広域的・幹線的バス路線について、利用実態に基づく診断、評価を行うこととしており、今後、診断、評価の結果に基づいて、関係するバス事業者や市町村と再編に向けた協議を進めていきたいと考えています。 77 ◯議長(田中順造) 健康福祉部長。 78 ◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、医師確保に係る取り組みについてお答え申し上げます。  県では、深刻な医師不足の状況を打開するため、平成十七年度に医師確保のためのグランドデザインを策定し、これに基づき医師の確保、定着に係る施策に取り組んできたところです。  そのうち、中長期的対策としましては、まず、本県出身の医学部進学者の増加を図るため、平成十七年度から、高校生に医師の魅力を紹介するガイダンスや、医療施設見学会等を実施しています。また、弘前大学の大規模な地域枠の設定や、教育委員会における学力を高めるための部局を超えた取り組み等により、本年度の医学部合格者は全体で八十二名、弘前大学で四十二名と、平成十六年度に比べほぼ倍増し、飛躍的に増加したところです。  また、臨床研修医の増加を図るため、県と臨床研修指定病院等で構成する青森県臨床研修対策協議会が臨床研修病院を県内外にPRする合同説明会や、指導医の資質向上を図る講習会の開催等に取り組んでいます。さらに、米国クリーブランドクリニックと研修派遣等の連携に取り組んでいます。これらの取り組みにより、今年度の臨床研修医採用者は六十二名となり、昨年度に引き続き六十名を超える状況となっています。  今後は、これら施策を一層進めていくとともに、今後ますます増加する女性医師が安心して働くことができる環境の整備のほか、医師が働いてやりがいを感じる勤務環境づくり等に市町村とともに取り組んでまいります。  次に、僻地医療におけるドクターヘリの効果についてです。  ドクターヘリが運航を開始してから八カ月となる十一月二十四日現在の運航実績は、出動要請百六十四件中、出動は百四十九件となっております。出動百四十九件のうち、県立中央病院及び八戸市立市民病院に設置されている救命救急センターまで、救急車での搬送に一時間以上要する地域への出動件数は七十件、四七・〇%となっています。  ドクターヘリは、搭乗している医師により、患者に対する初期治療を現場で速やかに開始できること、そして、適切な医療機関まで短時間で搬送できるというメリットがあります。有識者により組織された救急・災害医療対策協議会やドクターヘリ調査検討委員会等においても、特に医療資源の限られる両半島部等の対応にドクターヘリ導入の効果が期待されるとの御意見をいただいております。  ドクターヘリは、僻地のようにそれぞれの疾病、症状に対応できる医療機関まで遠距離である場合、患者の救命率の向上や後遺症の軽減等、非常に大きい効果があるものと考えています。  新型インフルエンザワクチン接種時期の前倒しについてです。
     新型インフルエンザワクチンの優先接種対象者ごとの開始時期については、平成二十一年十月二日に国から示されたスケジュールでは、基礎疾患を有する小学校高学年以上については十二月上旬から、健康な幼児及び小学校低学年については十二月下旬からとなっていました。  しかし、十一月六日に国から基礎疾患を有する小学校高学年以上、また、健康な幼児及び小学校低学年の開始時期を十一月中旬に前倒しするよう要請がありました。  このことから、関係機関と協議し、小児疾患医療の確保、また、ワクチン量の問題等から、最大限努力した結果、幼児については前倒しできずに当初の予定どおり十二月七日から、健康な小学校低学年については十二月二十一日から十二月七日に前倒しすることとしたものです。なお、県は独自に、重症化しやすい基礎疾患を有する子供を優先させるため、小学校高学年以上の基礎疾患を有する小児については、既に十一月二日から開始していましたので、前倒しは不要でした。  インフルエンザワクチンの集団接種についてです。  国は、当初、ワクチン接種は、事故を防止するため個別接種を原則とし、県はそれに沿って体制を整えてきましたが、十一月六日に、国から、小児での感染が拡大し、小児科に患者が集中している現状等により、小児科の負担が増大することから、小児に対する集団接種について検討するよう都道府県に要請がありました。県内の患者は、小児が約八割を占めていること、また、十二月以降は健康な小児の接種が始まることから、県内の小児科の負担が懸念されます。  県としては、小児へのワクチン接種が円滑に行われるために集団接種は有効な手段と考えており、現在、保健所ごとに市町村、郡市医師会、学校関係者と協議を行っており、集団接種の体制が整った市町村から実施されることになります。 79 ◯議長(田中順造) 農林水産部長。 80 ◯農林水産部長(有馬喜代史) 水産業の振興に係る御質問四点にお答えいたします。  最初に、省エネ型イカ釣り漁法の開発、実用化、アカイカ漁場探査に係る事業の期待される成果等についてです。  省エネ型いか釣り漁法開発・実用化推進事業は、イカ釣り漁業で用いる集魚灯の電力消費量を削減することを目的として、地方独立行政法人青森県産業技術センター水産総合研究所において、従来のメタルハライド集魚灯と、発光ダイオードを水中集魚灯として併用し、スルメイカの漁獲状況の試験を行っています。  これまでに、発光ダイオードの使用により燃油使用量が削減されることを確認していますが、漁獲量への影響については、今後さらにデータの集積が必要であることから、調査を継続しています。  また、あかいか漁場探査シミュレーションモデル開発事業は、人工衛星による海洋観測データなどからアカイカの漁場形成を推測するものであり、これまでに、海面温度の高い海域の周辺部が海水中のクロロフィル濃度が高くなる傾向にあり、アカイカの漁場形成との間に関連性が示唆されることから、今後はこのような知見を応用してシミュレーションモデルの開発に取り組んでいきます。  次に、温暖化に打ち勝つこんぶ藻場づくり事業の期待される成果についてです。  本県は、昆布の藻場が形成される南限と言われていますが、近年の研究成果から、一月から三月の海水温が一度上昇した場合、昆布の発生量が約三分の一に減少し、藻場が縮小することが確認されています。  本事業は、県内で最も水温が高い海域に生育している小泊産の昆布と高品質な大間産の昆布を交配させることにより、海水温上昇に強い昆布をつくり出し、この種苗を用いた藻場造成手法を開発して、温暖化に打ち勝つ昆布の藻場づくりを進めるものです。  昆布の藻場は、昆布生産の安定化にとどまらず、ウニ、アワビ等のいそ根資源のえさとして、また、多くの魚介類の稚魚などの育成場所としての機能も果たしていることから、この取り組みによって水温上昇による影響が緩和されることが期待されます。  次に、活力を育む清らかな海藻の里海(うみ)づくり事業の具体的な成果についてです。  本事業は、日本海におけるアカモク養殖とウスメバル増殖技術の開発、下北地域におけるガゴメ増殖技術の開発、日本海及び津軽海峡地域におけるモズク養殖技術の開発などに取り組んでいます。  これまでのところ、アカモクとウスメバルの関係では、養殖が難しいとされる外海においてアカモク養殖が技術的に可能になり、養殖施設にウスメバルの稚魚が集まるなど、アカモクとウスメバルの増産技術が開発されつつあります。また、ガゴメの人工採苗とはえ縄や立て縄などの施設の沖出しによる増殖、モズクの天然採苗による養殖などの技術が確立されるなどの成果が見られています。  最後に、ナマコ、アワビ等いそ根資源の密漁防止対策についてです。  県では、近年、悪質・巧妙化しているナマコやアワビ等のいそ根資源を対象とした密漁を防止するため、漁業取締船による海上パトロールを常時実施しているほか、効果的、効率的な密漁監視体制を構築するため、漁業関係者の夜間漁場監視活動に対する助成を行っています。また、今年度は国の緊急雇用創出事業を活用して、新規に雇用した漁場監視員による沿岸漁場の巡回を行い、監視活動の強化を図っているところです。  特に、陸奥湾ではナマコの密漁が夜間に行われるケースが多いことから、海上保安部、県警察本部などの関係機関と連携し、緊急通報体制を整えるとともに、夜間合同パトロールを実施しています。  県としては、今後とも取り締まり機関、漁業関係者等と連携を図りながら、密漁防止対策を強力に推進していきます。 81 ◯議長(田中順造) 県土整備部長。 82 ◯県土整備部長(山下 勝) 国道三百三十八号の整備についてお答えいたします。  下北半島西部地域における国道三百三十八号の整備につきましては、議員のお話にもございましたように、これまで磯谷工区、願掛工区、滝山工区につきまして完成供用いたしております。現在事業を実施中の長後バイパス、延長約二・四キロメートルにつきましては、バイパスルートが地すべり地帯に位置するため、現地調査及び工法検討などに多くの時間を必要とし、また、工事についても慎重に進める必要がありましたことから、これまでに長い時間を要してまいりましたけれども、今年度完成供用させる予定としております。  以上でございます。 83 ◯議長(田中順造) 大見議員。 84 ◯三十番(大見光男) 三十番、大見です。御答弁どうもありがとうございました。  総合交通政策の取り組みについてのうちの一点、再質問はありませんから要望いたします。  青森県と他都道府県を結ぶ新幹線、飛行機、そして地域住民の足である路線バスのほか、三方を海に囲まれた本県では、航路も重要な交通機関であると考えます。中でも、大間―函館間フェリー航路については、昨年九月に東日本フェリーのフェリー事業撤退、在来フェリー事業の津軽海峡フェリーへの継承等の発表以来、その存続が危惧されております。  本年十二月までは、幸いにも県、大間町が欠損補助を行うこととなり、暫定とはいえ、運航が継続されておりますが、間もなくその期間が終了します。来年一月以降この航路がどうなるのか、昨年と同様にその存続への不安が大きくなっています。  大間―函館航路は、明治以来の歴史ある航路であり、生活航路、広域観光航路、防災航路として重要な役割を果たしており、航路ではなく国土軸を形成する道路の一部と言える存在であります。地域住民にとって命の航路でもあり、決して廃止されることがあってはならないと願うところであります。  また、東北新幹線全線開業を控え、交流人口の拡大に向けた取り組みを進める中にあって、この航路の廃止が及ぼす影響は非常に大きなものであり、大間―函館航路の廃止は青森県全体の問題であると認識すべきものと考えております。  航路の恒久的存続に向けては、本年五月に大間・函館航路活性化協議会を設置し、精力的に協議を重ねていると聞いておりますが、いまだに恒久的存続への結論に達しておらず、来年も暫定運航を継続せざるを得ない状況にあるとのことであります。  県におきましても、本航路の存続に向け御協力を賜りますよう、重ねて要望いたしたいと思います。よろしくどうぞお願いいたします。  終わります。    ──────────────────────       ◎ 議案に対する質疑    ────────────────────── 85 ◯議長(田中順造) 議案第一号から議案第十四号までを一括議題といたします。  ただいま議題となりました議案に対して質疑を行います。  質疑は議題外にわたらないよう願います。  三十二番三上隆雄議員の発言を許可いたします。―三上議員。 86 ◯三十二番(三上隆雄) 三十二番、民主党の三上隆雄であります。  議案第十二号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」の内容について伺います。  昨年九月の米国リーマン・ショックに端を発した世界不況の波は、おさまるどころか、日ごとに大きな波となって我が国経済に暗い影を落としております。中高年のリストラに始まり、非正規雇用増加の問題、若年層の有効求人倍率の低迷など、新聞やテレビで目にしない日はないほど深刻な状況が続いております。これを打破すべく、鳩山新内閣は、個人の生計を立て直すための政権公約実現に向けて日々奮闘しております。  このような厳しい経済・雇用情勢の中で、去る十月九日、県の人事委員会から職員の給与等に関する引き下げの勧告があったところであります。民間給与が低水準で推移することも余儀なくされている厳しい状況下で、県も官民比較などを踏まえた人事院勧告を尊重した判断をせざるを得なかったものだと考えます。  そこでまず伺いますが、今回の給与改定の概要について、まず伺います。  次に、県職員の期末・勤勉手当についてですが、県の人事委員会は、本年五月、人事院による特別調査の結果と県内の厳しい経済動向を踏まえ、県内民間企業の夏のボーナスが大幅に引き下げられると見込み、時期としては異例の勧告を行ったわけであります。これを受けて、県は六月期の期末・勤勉手当を暫定的に〇・二カ月分凍結したことは記憶に新しいところであります。  その後の経済情勢等の推移を見ても、景気が一向に回復する気配もなく、県職員は将来の生活設計について大きな見直しを迫られるばかりか、現実的には、ここ数年来の期末・勤勉手当の引き下げにより、既に生活を見直さざるを得ない状況になっている職員もいると思料しております。  そこで伺います。  今回、改正後の期末・勤勉手当の支給月数について、過去のピーク時と比較してどの程度の差があるのかお尋ねいたします。  最後になりますが、県職員にあっても、住宅ローンや教育費などを抱え、給与引き下げや期末・勤勉手当の大幅な削減は、生活を直撃する人も多いと思われ、このことが公務能率や組織の活力に悪影響を及ぼすのではないかと懸念されるところであります。  そこで伺います。  今回の給与、ボーナスの引き下げによる職員の士気の低下が懸念されますが、県の見解を伺います。  職員の士気の関係については、職員自体に対する影響でありますけれども、この議案が決定されることによって、本県の賃金全体を押し下げる作用がないかと心配するところであります。そのことが、本県経済をさらに冷やすことが予想されます。このようなことのないように県の十分な対策が必要ですが、県の見解をあわせてお伺いするものであります。  以上であります。 87 ◯議長(田中順造) 総務部長。 88 ◯総務部長(田辺康彦) まず、今回の給与改定の概要でございますが、一つには、去る十月九日付県人事委員会からの職員の給与等に関する報告及び勧告に基づきまして、勧告どおりに給与改定を行うものでございます。  その内容は、一つには、若年層及び医師等の医療職給料表(一)の適用者の方々を除きまして、職員一人当たり給料月額を〇・一九%引き下げるものでございます。二つ目には、自宅に係る住居手当を廃止すること、三つ目には、期末・勤勉手当の年間支給月数を〇・三月分引き下げるというものでございまして、いずれも平成二十一年十二月一日から実施しようとするものでございます。  さらに、人事委員会の勧告以外のものとしては、国におきまして義務教育費国庫負担金の最高限度額の見直しが行われましたので、それを踏まえまして、義務教育等教員特別手当の支給限度額を引き下げるものであり、これにつきましては平成二十二年一月一日から実施しようとするものでございます。  二点目でございます。期末・勤勉手当の支給月数がピーク時、最大時と比べてどの程度引き下がったかということでございますが、今回の給与改定では、期末・勤勉手当の年間支給月数を〇・三月分引き下げまして四・一月分とするものでございます。これは、過去最大でありました平成三年及び平成四年度の五・四五月分と比較すると一・三五月分下回るという状況でございます。  三点目でございます。このような給与の引き下げが職員の士気の低下につながるのではないかという御指摘でございました。  人事委員会の勧告は、県職員の適正な給与水準や処遇の確保を目的に行われるものでございますけれども、国やほかの都道府県の職員や民間企業の従事者と県職員との較差の状況のほか、職員の士気あるいは人材の確保、労使関係の安定といった観点も総合的に考慮に入れて判断され、実施されているものと認識しております。  県では、このような目的と役割のもとに実施されました人事委員会の勧告が長年にわたって円滑な行政運営に寄与してきましたので、人事委員会勧告尊重という基本姿勢を堅持しているところでございます。  今回の給与改定は、県内の厳しい経済・雇用情勢を反映したものとはいえ、職員一人一人にとっては厳しい内容であることは十分に認識しております。  しかしながら、県内のこうした情勢を踏まえれば、職員一人一人がその状況を十分に理解し、公の使命感をより強く持っていただき、より一層効率的な業務遂行と県民サービスの向上に努めていくことが必要であるかと考えているところでございます。  最後に、今回の措置が民間への影響、特に県内経済に悪影響を及ぼすのではないかという御指摘でございます。  民間企業の従業員等の給与につきましては、それぞれの業績や運営方針、人材確保など、さまざまな要素を考慮し、労使交渉などそれぞれの交渉経過を経まして決定されるものと認識しております。  経済・雇用情勢が依然として厳しい状況にある本県におきましては、産業・雇用に対する取り組みを加速させることがまさに今強く求められているところでございまして、今回の補正予算でも御提案させていただいておりますけれども、雇用の創出や拡大に関すること、地域経済の活性化に関すること、県民生活の安心確保を図るための施策について引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。  以上です。 89 ◯議長(田中順造) 三上議員。 90 ◯三十二番(三上隆雄) 意見と要望を若干申し上げたいと思います。  ただいま総務部長から一定の理由とその影響は余りないというようなお答えがありましたけれども、実際、経済社会の現場では、市町村も含めて、公務員を標準としたベースが多く決められております。私もいろんな団体に参画してきて、市町村あるいは関係する団体などなど、公務員のベースがどうなるんだと、今回上がるのか、下がるのか、そういう議論の中で一定の標準として県のベースが参考になります。  そこで私が心配なのは、今確かに本県の経済状況が悪い。一般企業の景気も悪い。賃金の付与もどんどん低められている。そういう状況で、それに合わせて公務員のベースも下げていくということになれば、ただ一つ今公務員のベースが全国並みのベースで寄与されておるわけでありますから、それまで周りが悪くなったということで下げていくということは、すべてがじり貧の傾向に行く、デフレの傾向に行くという、そういう状況にありますから。  そして、私は先般、我々の同志四人で北欧の経済・社会状況を見学させていただきました。(発言多し)そのことを見れば、皆さん―皆さん聞いてください。(発言多し)今終わりますから。(発言多し) 91 ◯議長(田中順造) 御静粛に願います。 92 ◯三十二番(三上隆雄) 社会全体、今のような経済の、日本の競争経済をどんどん進めていけば、今の青森県の状況を実現してきたわけでしょう。それを変えなきゃならないということで、アメリカがオバマ政権にかわって、日本も鳩山総理の政権にかわって、いわゆるコンクリートから人を大事にする政治に変わったということでありますから、その意味で、青森県でただ一つ全国並みだよと言われるのは公務員の給与ベースではないかなと、こう思っております。  それは、周りが弱くなったから公務員のベースも下げなきゃならないという批判が一般社会にはあるんです。それは、余りにもその地域の状況が悪いからそういう批判が出てくるんです。それが下げ要因となっております。これは、人勧でもちゃんと、人事院でもそのことを加味しながらの勧告であったわけでありますけれども、私は逆におくれている地域を全国平均並みのベースに上げていく、その努力が我々政治に課せられていると、こう思っておりますから、今までの政権でやれないことを、新政権のもと、皆さんと一緒になって実現に向けて努力していきたいという私の決意を申し上げましたが、ひとつそれに対する執行部のお答えをいただきたいと思います。 93 ◯議長(田中順造) 蝦名副知事。(「要らない」「要望だけだ」「次」と呼ぶ者あり)よろしいですか。  三十六番諏訪益一議員の発言を許可いたします。―諏訪議員。 94 ◯三十六番(諏訪益一) 日本共産党の諏訪です。  提出議案知事説明要旨、職員の給与等に関する報告及び勧告及び議案第十二号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」の内容について。  ことしの人事委員会勧告の考え方について。  特例条例の減額後においては職員給与が民間と比較して下回っているにもかかわらず引き下げ勧告をした考え方について。  標準生計費については、昨年と比較して増加しており、むしろ引き上げの勧告をすべきではなかったのか。  人事委員会報告の中で、本年の給与の決定における諸条件として、本県職員の給与水準が東北各県職員との比較では秋田県に次いで低い水準となっているとしているにもかかわらず引き下げ勧告をした理由を伺います。  自宅に係る住居手当について、各都道府県の人事委員会の勧告を見ると、廃止は十五道府県にとどまっているにもかかわらず、報告において、他の都道府県の動向等を踏まえれば廃止することが適当であるとした理由を伺います。  今回の調整措置については、実質的には遡及して減額している措置であります。一方で遡及はしないと言い切っているのに、実質減額している措置であります。根本的に問題があると考えますが、見解を伺います。  優秀な人材を確保する目的である義務教育等教員特別手当の引き下げは慎重に扱うべきであります。教育長の見解を伺います。  人事委員会は、勤務実績の給与への反映について、引き続き職員の能力、業績の給与への適正な反映に向けた取り組みを着実に進めていくことが重要と言及していますが、県の取り組み状況をお伺いいたします。  人事委員会報告の中で、借家、借間に係る住居手当や交通用具使用者に係る通勤手当について、それぞれ留意検討する必要があるとしているが、具体的にどのようなことを検討することとしているのか伺います。  労働基準法の改正に伴う月六十時間を超える超過勤務に係る超過勤務手当の支給割合の引き上げ及び代替休制度の新設について、県職員への適用はどのようになるのかお伺いいたします。  人事委員会報告において、来るべき本格的な高齢社会に向け、定年年齢を段階的に六十五歳まで延長するために検討すべき諸課題への対応を早急に進めていく必要があるとされていますが、これに対する県の今後の対応についてお伺いいたします。  人事委員会報告において、時間外勤務の縮減及び年次休暇の計画的、連続的な使用を継続的に進めていく必要があるとされていますが、時間外勤務及び年次有給休暇の実績と今後の取り組みについて、知事部局、教育委員会、警察本部、それぞれ所管分をお伺いしておきたいと思います。  育児、介護及び子の看護に係る休暇等の制度の利用実績と今後の取り組みについても、知事部局、教育委員会、警察本部所管分をお伺いしたいと思います。  職員のメンタルヘルス対策事業の実績と今後の取り組みについてお伺いいたします。  給与改定に向けた職員組合との交渉の状況についてお伺いいたします。知事部局所管分、教育委員会の対応についてお伺いいたします。  人事委員会では、給与の減額措置について、速やかに給与勧告制度に基づく本来の職員の給与水準が確保されることを望むと言及しておりますが、県の見解を伺います。
     常勤職員の給与と同様に、非常勤職員等に対しても職務内容に応じた均等な待遇を実現するべきと考えますが、現状はどうなっているのでしょうか。お伺いしたいと思います。  以上であります。 95 ◯議長(田中順造) 総務部長。 96 ◯総務部長(田辺康彦) まず第一点、勤務実績の給与への反映についてでございますが、これについては、平成十八年度から実施しております能力評価と業績評価から成ります人事評価制度の評価結果を、昇給や勤勉手当の成績率決定の一部に反映させているところでございます。  勤務実績に応じためり張りのある職員給与は、職員の士気の高揚を図る上で重要でありますので、今後とも国等の動向や、人事評価制度はまだ始めたばかりでございますので、そのあたりの熟度を見きわめながら、その拡大に向け、検討してまいりたいというふうに考えております。  二点目は、超過勤務手当の支給割合の引き上げと代替休制度の実施についてでございます。  時間外労働の割増し賃金率の引き上げなどを内容とする労働基準法の改正が平成二十二年四月一日から施行されることになりますので、同法が適用される県職員につきまして、時間外勤務手当の支給割合の引き上げ及び代替休制度の新設が同法の施行に合わせて実施できるよう、現在作業を進めているところでございます。  三点目は、高齢期の雇用問題への対応についてでございます。  本年の人事院勧告におきましては、国家公務員の定年年齢につきまして、平成二十五年度から段階的に六十五歳まで延長することが適当とし、そのために総給与費の増大を抑制するための給与制度の見直しですとか、組織活力及び公務能率を高めるための人材活用方策などの諸課題について鋭意検討するということを進めていこうとしたところでございます。  県では、定年延長に係るこうした動向を十分注視し、国の動向等を見きわめながら必要な対応を適切に行っていきたいというふうに考えております。  次は、時間外勤務の縮減及び年次休暇の計画的、連続的な使用につきましてでございます。  知事部局における時間外勤務の状況でございますが、職員一人当たりの月平均の時間数で見ますと、平成十八年度が十・七時間、平成十九年度が十・三時間、平成二十年度が十一・一時間という状況になってございます。また、年次休暇の取得状況でございますが、職員一人当たりの年平均の日数で見ますと、平成十八年が十一・六日、平成十九年が十一・八日、平成二十年が十一・五日となってございます。  時間外勤務の縮減や年次休暇の計画的利用を進めるためには、業務の一層の効率化を図るとともに、時間外勤務をしない、あるいは年次休暇が気楽にとれる、そういう職場環境の醸成が必要と考えておりますので、事務改善の推進や時間外勤務縮減目標の設定、年次休暇の利用計画の作成など、必要な措置を今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。  次に、育児や介護を行う職員の両立支援につきましてでございます。  育児などに係る休暇等の知事部局における平成二十年度の利用実績について主なものを御紹介いたしますと、育児休暇は取得者数三十一人、一人当たり平均で約七十時間、育児休業が取得者数六十八人、その多くが出産後一年以上にわたる長期のものとなってございます。また、お子様の看護休暇につきましては、取得者数が百八十三人、一人当たり平均約三日となってございます。介護休暇につきましては、取得者数が一人、二十三日間となってございます。  今後の取り組みとしましては、育児・介護休業法の改正を踏まえまして、平成二十二年四月からの子供の看護休暇の期間の拡充や介護のための短期休暇制度の新設などにつきまして所要の措置を講じていくこととしておりますので、引き続き各種休暇の活用などについて、職員への周知等に努めてまいりたいというふうに考えております。  次は、職員のメンタルヘルス対策事業の実績と今後の取り組みでございます。  職員のメンタルヘルス対策事業につきましては、平成十八年度から平成二十年度までの実績について申し上げますと、相談事業につきましては、保健師による随時相談への相談件数が年平均百十件、精神科医による心の健康相談への相談件数は年平均二十五件となっております。また、管理監督者に対するメンタルヘルスセミナーというものもやっておりまして、参加者の年平均は約百二十名程度となってございます。  県としては、今後ともこれらの対策を充実させ、職員が安心して職務に専念できるよう、きめ細かな対応を引き続きやってまいりたいというふうに考えております。  次に、給与改定に向けた職員組合との交渉の状況についてでございますが、本年の人事委員会勧告の取り扱いにつきましては、その完全実施を青森県職員労働組合の皆さん及び青森県現業労働組合の皆さんに提案させていただきまして、私自身誠意を持って交渉を重ね、県の考え方をできる限り丁寧に御説明させていただいたところでございます。その結果、組合からは、収拾を図りたいとの回答をいただいたところでございますので、一定の御理解をいただいたものというふうに考えております。  次に、特例条例による給与の減額措置に対する見解でございますが、人事委員会勧告は基本的に尊重されるべきと考えておりますけれども、その一方で、職員の給与は、県の財政事情を初めとする諸般の状況をも考慮して決定されるべきものと理解しているところでございます。  管理職員を対象とした給与の減額措置は、本県の厳しい財政状況等を考慮し、管理監督の職責にある職員という立場にかんがみまして、平成二十一年度から二十三年度までの行財政改革の集中取り組み期間における取り組みとして現在も実施しているというものでございます。  最後に、臨時・非常勤職員の処遇の現状でございます。  平成二十一年四月一日現在、知事部局には二百五十二名の期限つき臨時職員と非常勤事務員が在職しております。その勤務時間は、期限つき臨時職員が正職員と同じく週四十時間、非常勤事務員が週三十時間で、主にパソコンへのデータ入力ですとか文書整理など、正職員の補助的業務に従事しているところでございます。  これらの職員の方々に関する処遇につきましては、正職員との均衡を考慮しつつ、その業務内容や任用期間、勤務時間数を踏まえて決定しているところでございます。給与については、期限つき臨時職員で約十二万五千円の給料のほか、ボーナスや通勤手当を、非常勤事務員につきましては、一般枠で約十一万六千円、新規高卒枠で約十万二千円の給料を支給させていただいているところでございます。また、休暇につきましては、正職員とほぼ同様のものを付与しているほか、関係法令に基づき、社会保険や雇用保険にも加入しているという状況でございます。  以上です。 97 ◯議長(田中順造) 教育長。 98 ◯教育長(田村充治) 御質問四点にお答えいたします。  初めに、義務教育等教員特別手当の引き下げは慎重に行うべきについてであります。  義務教育等教員特別手当は、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法、いわゆる人確法に基づき、優秀な人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資することを目的に支給されております。  国では、平成十八年七月七日に閣議決定された骨太の方針二〇〇六において、人確法に基づく優遇措置の縮減及びめり張りをつけた教員給与体系の検討を行うこととされました。これを受けて、文部科学省では、平成二十年度予算から部活動指導手当などの教員特殊業務手当を倍増する一方、義務教育等教員特別手当については、平成二十年度予算に引き続き平成二十一年度予算においても縮減を図ることとしたところであります。  県教育委員会といたしましては、国の予算措置状況及び他の都道府県の状況を踏まえ、国に準じた見直しをすることとしたところであります。  次に、時間外勤務及び年次休暇の実績等についての教育委員会所管分についてです。  学校も含めた県教育委員会における時間外勤務の状況については、職員一人当たりの月平均の時間数で見ますと、平成十八年度が七・四時間、平成十九年度が七・〇時間、平成二十年度が六・七時間となっております。また、年次休暇の取得状況は、職員一人当たりの年平均の日数で見ますと、平成十八年が十・九日、平成十九年が十一・一日、平成二十年が十・六日となっています。  時間外勤務の縮減、年次休暇の計画的利用等に向けた取り組みとしましては、事務の簡素合理化の推進、年次休暇利用計画の作成などの取り組みを進めているところであります。  県教育委員会としましては、職員の健康、福祉の維持増進及び公務能率向上の観点から、引き続き時間外勤務の縮減と年次休暇の計画的利用等に努めてまいります。  次に、育児、介護及び子の看護に係る休暇等の制度の利用実績等についての教育委員会所管分であります。  学校を含めた県教育委員会における育児などに係る休暇等の平成二十年度の利用実績については、育児休暇が取得者数三十人、一人当たり平均約五十時間、育児休業が取得者数四百三十三人で、その多くが出産後一年以上にわたる長期のものとなっております。また、子の看護休暇については、取得者数五百九十四人、一人当たり平均約二日となっております。介護休暇については、取得者数二十五人で、そのほとんどが一カ月以上の期間となっております。  県教育委員会といたしましては、引き続き各種休暇の活用などについて職員への周知等に努めてまいります。  最後に、給与改定に向けた職員組合との交渉の状況についての教育委員会所管分についてであります。  人事委員会勧告の取り扱いについては、青森県教職員組合、青森県高等学校・障害児学校教職員組合、日教組青森県教職員組合及び青森県学校事務労働組合の四団体に対し、平成二十一年十月二十二日に提示し、十月二十九日、十一月四日と三回にわたり誠意を持って交渉を行ってまいりました。  その結果、合意を得るには至っておりませんが、人事委員会勧告制度は、地方公務員の労働基本権の一部が制約されていることの代償措置として設けられている制度であり、基本的に尊重されるべきものと考えております。  以上でございます。 99 ◯議長(田中順造) 警察本部長。 100 ◯警察本部長(石川威一郎) 初めに、警察における時間外勤務及び年次休暇の実績と今後の取得取り組みについてお答えいたします。  警察本部における時間外勤務の状況は、職員一人当たりの月平均の時間数で見ますと、平成十八年度が二十一・五時間、平成十九年度が二十・五時間、平成二十年度が二十一・二時間となっております。また、年次休暇の取得状況は、職員一人当たりの年平均の日数で見ますと、平成十八年が十・二日、平成十九年が九・八日、平成二十年が九・五日となっております。  次に、時間外勤務の縮減に向けた取り組みとしては、定時退庁の推進、事務の効率化、合理化の推進、週休日の振りかえの徹底等の取り組みを引き続き進めることとしておりますが、警察の業務は、自然災害など昼夜を問わず発生する重要突発事案への迅速な対応、捜査関係法令の定めに従った殺人事件など重要事件・事故の適正な捜査等、常に治安を維持し続けるという警察業務の特殊性から、時間外勤務の縮減は思うに任せない実情にあります。  こうした中で、警察は、今後とも職員の心身の健康維持、歳出の抑制、業務能率向上を旨として、県民の安全・安心を守りつつ、適切に対応してまいります。また、年次休暇の計画的取得を推奨するため、夏季休暇の時期に合わせて取得奨励期間や取得日数目標を設定するなど、警察職員が休暇を取得しやすい環境づくりを進めてまいります。  最後に、育児休暇等の制度の利用実績と今後の取り組みについてお答えいたします。  育児などに係る休暇等の警察本部における平成二十年度の利用実績について、その主なるものを申し上げますと、育児休暇が取得者数二人、一人当たり平均約十九時間、育児休暇(後刻「育児休業」に訂正)が取得者数二十人で、その多くが出産後一年以上にわたるものとなっております。また、子の看護休暇については、取得者数四十人、一人当たり平均約三日となっており、介護休暇については該当はありませんでした。  今後の取り組みにつきましては、警察職員が安心して育児や介護ができるよう、引き続き育児や介護に対する警察職員の意識啓発、育児や介護を支援する各種制度を周知させて、活用を推進し、職場内の環境整備を図ってまいります。  失礼しました。先ほどの育児休暇の後の育児休業の答弁のところで、本来のところ育児休業が取得者二十人と申し上げるべきところを育児休暇と申し上げました。大変失礼しました。 101 ◯議長(田中順造) 人事委員長。 102 ◯人事委員長(佐々木忠一) 諏訪議員より六点の御質問をいただきました。  第一点の、特例条例の減額後においては職員給与が民間と比較して下回っているにもかかわらず、引き下げ勧告をした考え方についての御質問についてお答えいたします。  職員と県内民間企業の従事者の給与を比較したところ、特例条例による減額前の額では、職員給与が民間給与を〇・二三%、九百二十三円上回っている状況にある一方、減額後においては逆に〇・二七%、千八十円下回っている状況にあるところです。  人事委員会勧告に当たっては、地方公務員法に定める給与決定の原則に従い、国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与等について調査検討の上行っているものであり、その調査検討に当たっては、職員が本来受けるべき給与水準をもとに判断し、あるべき給与制度・水準について勧告すべきものと考えているところでございます。  なお、特例条例による給与の減額措置については、本県の厳しい財政状況等を勘案してとられた措置と思われますが、このような減額措置は給与勧告制度の趣旨とは異なるものであり、当委員会としては、これまでも報告の中で速やかに給与勧告制度に基づく本来の職員の給与水準が確保されるべきであることについて言及してきているところでございます。  第二点の標準生計費についての御質問についてお答えいたします。  地方公務員法に定める給与決定の原則では、職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮することとされております。本年の給与勧告に当たりましても、標準生計費の状況を含め、地方公務員法に定める給与決定の原則にあるさまざまな要素を総合的に勘案し、勧告を行ったところでございます。  第三点の、本県職員の給与水準が低い水準にもかかわらず引き下げ勧告をした理由についての御質問についてお答えいたします。  本委員会としては、地方公務員法に定める給与決定の原則を踏まえ、本年の人事院勧告の内容、県内民間給与の実態、他の都道府県の動向、さらには、近年、地方公務員給与については地域の民間給与を反映することが求められており、県民の理解と納得を得られる職員給与を確保する観点から、地域民間給与を重視していく必要があることなどを考慮し、総合的に判断し、勧告を行ったところでございます。  第四点の自宅に係る住宅手当については廃止することが適当であるとした理由についての御質問にお答えいたします。  自宅に係る住居手当については、これまで国の制度を基本としつつ、他の都道府県の状況や県内民間企業の支給状況等も考慮し、措置してきたところですが、今般の人事院勧告において当該手当の廃止が勧告されたことや近隣道県の動向等を踏まえると、同手当については廃止することが適当であるとの判断に至り、今回勧告したところです。  なお、他の都道府県人事委員会の勧告において、自宅に係る住居手当の廃止を言及していない団体にあっても、多くの団体が、報告において、他団体の動向等を踏まえ、今後廃止を含めて検討するとしているところでございます。  第五点の、今回の調整措置については遡及している措置であり、問題ではないのかとの御質問にお答えいたします。  今回の措置は、地方公務員法に定める情勢適応の原則に基づき、年間給与の公務と民間の均衡を図る観点から、改正条例の施行日以降の給与である期末手当の額により調整を行おうとするものであり、条例の遡及適用により既に確定した給与を不利益に変更するものではないことから、不利益不遡及の原則の法理に反するものではないと考えております。  第六点の、住居手当や交通用具使用者に係る通勤手当について、具体的にどのようなことを検討するのかとの御質問についてお答えいたします。  借家、借間に係る住居手当については、これまで国や他の都道府県の動向等を考慮し措置してきた経緯があるところですが、今般の人事院勧告において、高額家賃を負担している職員の実情を踏まえた手当のあり方について引き続き検討を進めるとしており、この手当の措置の経緯を踏まえると、今後とも人事院の検討の動向に留意する必要があることから、その旨報告し、来年度以降の人事院勧告において具体的な見直しの方向性が示された場合には、その内容を踏まえ、本県における制度のあり方について検討することとなるものと考えています。  また、交通用具使用者に係る通勤手当については、直近の改正から相当期間経過しており、他都道府県における支給状況の変化や自動車の燃費の向上、道路整備による通勤範囲の拡大など、同手当を取り巻く状況が変化してきていると考えることから、これらの事項の状況分析を含め、その制度のあり方について検討することとしております。  以上でございます。 103 ◯議長(田中順造) 諏訪議員。 104 ◯三十六番(諏訪益一) 今回の月例給その他給与に関する問題だけではなしに、時間外、年休、介護、メンタルヘルスを含めて、これだけのものをサポートしなければならないほど、この引き下げが極めて異常な引き下げになっているということなんですよ。そういう人事委員会の報告及び勧告になっているんです。  平均年間給与十三万八千円が減額になる。〇三年に次ぐ過去二番目の大幅なマイナスです。月例給と一時金を同時に引き下げるのも異常であります。今回の賃下げは、民間賃金や地域経済をも冷え込ませるものであります。給与構造改革で引き下げられる。特例条例によって引き下げられる。今回また引き下げられる。毎回マイナスなんです。これは深刻に受けとめなければならないと思います。  そこで、特例条例の減額後には一千八十円下回っているとちゃんと認定しているんです。認定しているのに引き下げる。民間よりも下がっているのに引き下げる。人事委員会も、理由としてはへ理屈なんですよ。答えていただきたい。  物価及び生計費では、家計調査を基礎として算出した本年四月における青森市の二人世帯、三人世帯、四人世帯の標準生計費を出している。その標準生計費も昨年をすべて上回っていると言っているわけです。そう認定しているわけです。  しかも、上回っているにもかかわらず、標準生計費算定方法によれば、食料費は四人家族で六万三千二百七十円、三食食べるのに一人当たり一日五百二十七円。雑費I、医療、交通・通信、教育、教養娯楽を六万三千四百四十円。四人家族で一人当たり一日に換算すれば五百二十八円です。雑費II、諸雑費、小遣い、交際費、仕送り金というのもある。これが四人家族で三万二千七百二十円、一人一日当たり二百七十二円なんです。これを基礎にしながら、標準生計費というのはこうなっていると言っているわけです。しかも、これは青森市の世帯で四十九世帯、たったの四十九世帯の家計調査で描き出した標準生計費なんです。それですらそういう状態なんですよ。今、県の職員の一定の年齢がいった職員の皆さん方は、大学へ一人でも入れるものなら、教育の占める割合は断トツで困難を抱えているんです。  そして、何よりも今度の人事委員会が勧告しなければならない主要なテーマは、地方公務員法に定める給与決定の原則なんですが、その最大の要素は生計費であるべきなんです。その生計費がしっかり支えられているのだろうか。それを基準にして出すべきなんだと思うんですよ。そうしないと、いろんな動向を全部総合的にやりますよと言っておきながら、生計費は結局除外されてしまうんです。生計費が主要な決定要素なのに、その他の動向で生計費を除外してしまうんです。これは悪循環ですよ。公務員がこうやると、県の職員の給与がこうなったのだから、民間も下げて当たり前だということになっちゃうんですよ。その基本的な点についての見解を述べていただきたいわけであります。  実施時期等は、さっきのでも正確な答弁になっていないんですが、本年の給与改定は人事院勧告の内容に準じて遡及することなくと言っているわけです。遡及することなく、条例の公布の日の属する月の翌月の初日から実施する、そう言っているわけです。ところが、遡及分を期末手当から削減するんです。何で素直に描かないんでしょうか。素直に描けばいいだけの話なんです。一方で遡及しないと認定し、他方で期末手当で調整措置をとるという言い回しで遡及分を期末手当から削減するわけであります。  人事委員会の報告、勧告はもっと素直にわかるようにしてもらいたいと思うんです。そうしないと、結局のところ、人勧を尊重し、それを受けるというだけの報告と勧告になってしまっているんですよ。そして、本来なら労使対等の交渉をしなければならないのに、教育委員会と教組の関係も全然合意がないまま、話にならないと言っているんですよ。もう人事委員会が勧告したものだからやらざるを得ないんですとなっちゃうんですよ。これが本当の代償措置なのだろうかと苦言せざるを得ない状況だというぐあいに思います。  特に教職員の特別手当は、県職員一般の給与改定にプラスでの特別手当をなくしちゃうわけですから、ダブルパンチですよ。私はそういう県の職員の皆さんの声を代弁しているつもりであります。お答えいただきたいと思います。 105 ◯議長(田中順造) 人事委員長。 106 ◯人事委員長(佐々木忠一) 先ほど、生計費の問題、給与決定の原則のところでお答えいたしましたが、生計費だけで給与が決定されているわけではないわけでございまして、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮するとされております。したがいまして、標準生計費の状況を含めて、地方公務員法に定める給与決定の原則にあるさまざまな要素を総合的に勘案し、勧告を行ったところでございます。  もう一つは、人事委員会は特例措置を考慮しないのかというお話だったと思いますが、人事委員会のほうは特例措置とは直接関係ないわけでございます。簡単に申し上げると、関係ない。特例措置のほうは任命権者の権限でございまして、人事委員会の勧告内容には含まれないわけでございます。その辺は諏訪議員も十分御承知だと思いますが、ひとつ御理解いただきたいと思います。  終わります。 107 ◯議長(田中順造) 十三番奈良岡克也議員の発言を許可いたします。―奈良岡議員。 108 ◯十三番(奈良岡克也) 社民党・県民クラブの奈良岡克也でございます。  先議議案に対する質疑を行いますので、よろしくお願いいたします。  国においては、人事院が本年八月に国家公務員の一般職の給与等を引き下げることを柱とする報告と勧告を発し、これに続いて、青森県人事委員会は、去る十月九日に県職員の給与等に関して月例給の引き下げ、自宅に係る住居手当の廃止、期末・勤勉手当引き下げ等を内容とする報告及び勧告を発しているところであります。  私は、このような人事院勧告と県人事委員会勧告は、国家公務員や県職員を初めとする多くの公務員の暮らしを直撃することのみならず、社会や経済に与える影響が極めて大きいことにかんがみて、これら勧告と県人事委員会勧告を完全実施することに反対する立場で、さらには、県と職員組合等との交渉経過をも踏まえた中で、この案件に絞って質疑を行いたいと思います。また、県教育委員会、警察本部関係の部分はありますけれども、知事部局に代表する形で質疑を行ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。  つきましては、議案第十二号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」について、大きく三点にわたり質問いたします。  第一点目は、県人事委員会の勧告が与える県内経済への影響の大きさについてであります。  人事院は、本年五月一日に夏の公務員一時金のうち〇・二月分を凍結する臨時勧告を出し、県人事委員会においても、人事院に追随するような形で夏季一時金を〇・二月分凍結の勧告を出しました。これらの勧告は、正確性を欠く不十分な調査に基づいて出されたものでありましたが、この影響は全国的にも県内的にも、公務員全体に及んだことはもちろん、民間中小企業全体にも波及し、夏以降の県内消費を冷え込ませ、景気を落ち込ませる役割を担ったことは否めないと思います。  こうした中、人事院は、八月十一日に一般職の国家公務員について月例給の引き下げ、自宅に係る住居手当の廃止、期末・勤勉手当の引き下げ等を柱とする報告と勧告を行いましたが、これは全国の地方公務員や民間企業に大きな影響を及ぼすことになると思います。そして、これに続き、青森県人事委員会は、十月九日に県職員の月例給与引き下げ、自宅に係る住居手当の廃止、期末・勤勉手当引き下げ等を柱とする非常に厳しい職員の給与等に関する報告及び勧告を出しました。  このような折、新政権となった鳩山内閣の菅直人副総理は、日本の最近の経済動向について緩やかなデフレ状態にあるという見解を発表しました。これは、物価が下落しても商品が売れない状態を意味しているわけでありますが、国民の個人消費意欲を向上させ、内需拡大を促進する対策を早急に講じなければ、景気の二番底の危険性も指摘され始めているところであります。  県内経済の動向においても、年末に向けて景気は全く振るわず、雇用情勢は、完全失業率五・七%、有効求人倍率〇・二九倍、新規高卒の内定率は五〇%などという数字がマスコミ報道で踊るなど、厳しい状況を物語っています。こうした中では、県人事委員会の勧告が完全実施され、県職員の給与引き下げ等が行われるべきではありません。既に県内各市町村においては、十二月対応のために臨時議会が開催され、議決の動きが開始されております。県内の公務員である県職員及び市町村職員の給与水準が低下すれば、県内民間企業、とりわけ中小地場企業への影響は必至であり、これらが要因となり、県内経済は、個人消費が落ち込み、景気がさらに冷え込んでいくことは避けられないことになるのではないかと懸念されます。  そこで質問いたしますけれども、県職員の給与の引き下げは、県内市町村職員や県内民間企業の給与水準の低下をもたらし、県内経済に悪影響をもたらすと考えるが、県の見解を伺いたいと思います。  次に、第二点目として、月例給の引き下げと減額調整の実施及び特例条例による給与の減額措置について質問いたします。  県人事委員会の勧告内容は、民間賃金と比較検討した上で、若年層の一部及び医療職を除き月例給を〇・二三%引き下げる。自宅に係る住居手当三千円を廃止する。期末勤勉手当を〇・三月削減する。六月凍結分〇・二月分を含み、十二月〇・一月分を削減する。さらに、民間との格差を是正するために、四月からの給与、基本給、扶養手当、住居手当等と六月支給済み一時金及び給与構造改革に伴う現給保障額に〇・二四%を乗じた分を減額するなどとなっていますが、県職員にとっては、これらを総合しての平均年収は実に十三万八千円の減となり、過去二番目の大幅な実損となるものです。  また、一たん職員に支給した四月からの月例給や一時金を減額調整するとしていることは事実上の不利益の遡及であり、〇六年の給与構造改革に伴う現給保障額の削減も問題です。さらに、ことし三月で終了したとはいえ、五年九カ月に及ぶ勧告によらない特例減額による賃金カットに対する配慮は全く無視されており、管理職に対してはさらに三年間延長されていることも大きな問題であります。このようなマイナス勧告は、一層の賃金抑制を、県職員だけではなく、市町村職員はもとより民間企業にも波及させることになり、県全体の問題に拡大するものだと思います。
     以上のような問題意識に立ち、以下六点にわたり質問をいたします。  一つ、人事委員会は、現在行われている給与に関する特例減額を廃止すべきとの勧告を出すべきと思いますが、見解を伺いたいと思います。  二つ、他県では、特例減額により実質的に給与水準が相当程度引き下げられていることを踏まえ、期末手当による給与改定に伴う年間調整を行わないとする内容のものが見受けられますが、本県においても特例減額を実施しているにもかかわらず、このような取り扱いをしなかった考え方について伺いたいと思います。  三つ、今回の減額調整については、不利益不遡及の原則に反するものと考えますが、見解を伺いたいと思います。  四つ、県は、これまで人事委員会報告によらない独自の給与減額を実施してきたことや、新たに管理職員を対象とした給与減額を実施していることから、人事委員会勧告の完全実施を見送るべきと考えますが、県の見解を伺いたいと思います。  五つ、県職員の給与は年収ベースで下がり続けており、県職員の将来設計や仕事のモチベーション等を考慮すれば、月例給の引き下げ及び減額調整は実施すべきでないと考えますが、見解を伺いたいと思います。  六つ、管理職を対象とした給与の特例減額措置を終了し、一般職員については将来にわたって実施しないことを明確にすべきと思いますが、見解を伺いたいと思います。  次に、第三点目として住居手当の廃止について質問いたします。  自宅に係る住居手当の廃止勧告については、全国の勧告の状況を調べると、ブロックごとに一定の傾向が見受けられるのではないかとうかがわれます。国と地方の住宅事情の違いが全く考慮されない勧告となっているのではないか。国は広範囲な異動を伴うことがあり、その分、公舎が充実しており、持ち家の比率が低くなっているわけです。一方、県では、異動に備えて公舎はあるものの、老朽化し、湿気も上がり、住める状況にないものが多いので、持ち家の比率が国と比べて格段に多くなるという状況にあります。したがって、住居手当の受給率を見ると、国においては八%、県においては三五・五%となり、県職員は、この手当で自宅の修繕やローンの返済に充てたりして活用していると聞いています。  国においては二〇〇三年新築住宅の取得五年制限で二千五百円としてきたときも、県はこれに準ずることなく、今日まで独自制度を維持してきました。このように、青森県においては、住居手当への依存度合いが強く、国と異なる制度と改定してきた経緯を踏まえ、国と県との住宅事情を考慮し、他県の多くが検討するという事例を見据えながら慎重に対応すべきであるという立場に立ち、以下四点の質問を行います。  一つ、自宅に係る住居手当の廃止勧告については、北海道・東北各県において取り扱いを統一したように見受けられますが、見解を伺いたいと思います。  二つ、自宅に係る住居手当については、人事院勧告で廃止の勧告があったものの、県職員と国家公務員とでは支給割合や持ち家状況、公舎の整備状況等について異なるものであり、国と同様に廃止することは問題があると考えますが、見解を伺いたいと思います。  三つ、過去、人事院において、自宅に係る住居手当の支給期間を五年間に制限する勧告をした際には、これに準じた勧告を行わなかったのにもかかわらず、今回、国に準じた改定を勧告した理由について伺いたいと思います。  最後ですが、国と県における住宅事情の違い、他県の状況を踏まえ、人事委員会勧告の完全実施を見送るべきと考えるものでありますが、県の見解を伺いたいと思います。  以上であります。 109 ◯議長(田中順造) 総務部長。 110 ◯総務部長(田辺康彦) 今回の措置による県内経済への影響についてでございますが、一つには、県内市町村職員や民間事業者の給与につきましては、基本的にはそれぞれの団体等において、それぞれのルールに基づき自主的に決定されるものと認識しております。  いまだ経済・雇用情勢が依然として厳しい状況にあります本県におきましては、引き続き雇用の創出拡大、地域経済の活性化、県民生活の安心確保を図るための施策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  二点目は、県は、これまで独自の給与減額を実施してきたので、人事委員会勧告の完全実施を見送るべきではないかということでございますが、人事委員会勧告制度は、地方公務員の労働基本権の一部が制約されていることに対する代償措置でございますので、基本的に尊重されるべきものと考えております。今回の給与改定につきましても、こうした立場に立ち、完全実施すべきと判断したところでございます。  一方で、地方公務員の給与は、県政全般との関連におきまして、財政事情を初めとする諸般の事情を考慮して決定されるべきものでもございます。厳しい財政状況を考慮し、職員の給与減額が必要と判断される場合には適時適切な対応をしてきたところでございますので、今後とも諸般の状況を見きわめながら適切な対応をしていきたいというふうに考えております。  三番目に、今回の減額に伴い県職員のモチベーションが低下するのではないかということでございますけれども、今回の給与改定が職員の生活にとって大変厳しい内容となることは先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、県内の厳しい経済・雇用情勢というのを職員一人一人が十分理解していただき、公の使命感というのをより強く持っていただくことが今必要なのではないかというふうに考えております。  次に、管理職員を対象とした給与の特例減額措置は終了すべきではないかという御指摘でございます。  管理職員を対象とした給与の減額措置は、本県の厳しい財政状況等を考慮し、管理監督の職責にある職員という立場にかんがみ、平成二十一年度から平成二十三年度までの行財政改革の集中取り組み期間における取り組みとして実施しているところでございます。  また、将来の給与減額の取り扱いにつきましては、その時点で職員の給与の状況がどうなっているのか、さらには、本県を取り巻く行財政の環境がどのようになっているのか、その時点で考慮すべき諸般の事情がいまだ不透明でございますので、その取り扱いがどうなるかにつきましては、いまだお答えできるような状況にはないことを御理解いただければと思います。  最後に、自宅に係る住居手当の廃止についてでございますが、人事委員会としては、今回の人事院勧告の内容やほかの都道府県の動向等について十分検討された上で、自宅に係る住居手当の廃止を勧告されたものと認識しております。県としては、基本的に人事委員会勧告は尊重すべきという基本的な立場にのっとり、勧告どおり実施したいと考えております。  以上です。 111 ◯議長(田中順造) 人事委員長。 112 ◯人事委員長(佐々木忠一) 奈良岡議員より六点の御質問をいただきました。  第一点は、給与に関する特例減額措置の廃止を勧告すべきではないかとの御質問についてお答えいたします。  県職員の給与水準は、本来、地方公務員法に定める給与決定の原則に基づき、基本的に本委員会が行う勧告に沿って決定されるべきであると考えております。しかしながら、現在実施されている給与の減額措置は、本県の極めて厳しい財政状況等を勘案し、期間を限定した特例的な措置と思われますことから、諸情勢が整い次第速やかに給与勧告制度に基づく本来の職員の給与水準が確保されるよう望むとする報告をしているところでございます。  第二点の、本県は特例減額を実施しているにもかかわらず、期末手当で年間調整を行うのかとの御質問についてお答えいたします。  本年の給与改定は、職員の給与水準を引き下げる改定であるため、遡及することなく実施することとしていますが、民間と公務との給与は四月時点で比較し均衡を図ることとしており、遡及改定を行わない場合であっても、四月からの年間給与において民間との均衡を図る観点から、所要の調整を行うことが情勢適応の原則にもかなうものであると考え、その旨勧告したところです。  各都道府県人事委員会の勧告の内容については、各団体それぞれ事情が異なる中で判断されたところであり、その判断の詳細については承知しておりませんが、本委員会としては、本来あるべき給与について報告、勧告すべきと考えているところでございます。  第三点は、今回の減額調整措置については、不利益不遡及の原則に反しているのではないかとの御質問についてお答えします。  今回の措置は、地方公務員法に定める情勢適応の原則に基づき、年間給与の公務と民間の均衡を図る観点から、改正条例の施行日以降の給与である期末手当の額により調整を行おうとするものであり、条例の遡及適用により既に確定した給与を不利益に変更するものではないことから、不利益不遡及の原則の法理に反するものではないと考えているところでございます。  第四点は、自宅に係る住居手当の廃止勧告については、北海道・東北各県において取り扱いを統一したのではないかとの御質問についてお答えいたします。  これまで、自宅に係る住居手当については国の制度を基本としつつ、他の都道府県の状況等も考慮し、措置してきたところですが、今回、人事院勧告において当該手当の廃止が勧告されたことを受け、近隣道県の検討状況を確認したところ、廃止の方向で検討している団体が多かったことを踏まえ、廃止の勧告をしたところであり、特に北海道・東北各県と取り扱いを統一したわけではございません。  第五点、自宅に係る住居手当については国と同様に廃止することは問題があるのではないかとの御質問についてお答えいたします。  これまで、自宅に係る住居手当については、国の制度を基本としつつ、他の都道府県の状況や県内民間企業の支給状況等も考慮し、措置してきたところです。しかし、国においては、この手当を主に自宅の維持管理の費用を補てんする趣旨の手当として設けたところですが、創設以来手当額の改定が行われないなど公務部門でその趣旨が定着しなかったことや、民間において自宅の維持管理の費用を補てんする趣旨で自宅に係る手当を支給する事業所が少数であることから、平成十五年に財形持ち家個人融資に関する住宅の新築・購入後五年に限り支給される手当のみを残して廃止し、さらにことしの人事院勧告では、この存置した手当についても、財形持ち家個人融資の利用者が大幅に減少し、措置しておく必要性が認められないとの理由から廃止するとしております。  このような状況については本県においても同様であると認められるものであり、また、近隣道県の動向等を踏まえますと、同手当については廃止することが適当であるとの判断に至ったことから今回勧告したところでございます。  第六点の、自宅に係る住居手当について今回国に準じた改定を勧告した理由についての御質問についてお答えいたします。  自宅に係る住居手当については、国の制度を基本としつつ、他の都道府県の状況や県内民間企業の支給状況等も考慮し、措置してきたところですが、平成十五年の人事院勧告において、同手当については財形持ち家個人融資に関する住宅の新築・購入後五年に限り支給される手当のみを残して廃止したことを受け、本委員会において他の都道府県の動向を調査したところ、特に国に準じた改定を勧告する動きが見られなかったことから、この取り扱いについては、他の都道府県の動向に留意しながら検討する必要があるとしたところです。  今回、人事院勧告において当該手当の廃止が勧告されたことを受け、近隣道県の検討条件を確認したところ、廃止の方向で検討している団体が多かったこと等を踏まえ、同手当については廃止することが適当であるとの判断に至り、その旨勧告をしたところでございます。  以上でございます。 113 ◯議長(田中順造) 奈良岡議員。 114 ◯十三番(奈良岡克也) 納得がいかない答弁がありましたので、再質問をさせていただきます。  一点目は経済への悪影響の関係ですが、極めてさらりとした答弁でありました。これから県職員の給与の引き下げが市町村職員に波及し、さらに民間企業へ全体化していくということになれば、先ほどもお話ししているとおりに、デフレのスパイラル、負の連鎖に陥る可能性が非常に強まるのではないか。商品が売れない、値が下がる、賃金が下がる、売れない、残るということがどんどん進んで下のほうに向かっていく。  これを防ぐためには、やはり働く者の賃金水準を維持し、向上する方向に持っていかなければならないのではないか。そのためには、多少世論からの批判があると思いますけれども、勇気を持って、賃下げの旗振り役を果たすのではなくて、公務員の賃金だけでも現行水準を守るために踏みとどまることが、行政を担う立場の現情勢下における務めではないのかというふうに改めて強く思いましたので、もう一回見解を伺いたいと思います。  それから、二つ目、特例減額の関係について人事委員長にお伺いしたいと思います。  勧告によらない五年九カ月の長期にわたる特別減額による賃金カットが行われ、これにより苦しんできた職員の生活状況というのを一体どのように認識しているのか。一般職員は確かにことし三月で終わりました。管理職は三年間継続ということになっていますけれども、過去五年九カ月、こういう長きにわたって苦しんできたわけです。これらへの配慮について、他県ではある程度考えているという面があるわけですが、県人事委員会も少しは人情味を持って対応するべきではないのか、このように思います。  また、管理職の特例減額を続けながら、国家公務員や他県との状況、民間との比較だけで職員の給与を引き下げようとする県人事委員会の勧告のあり方は片手落ちではないのか。県職員の労働基本権制約の代償措置としての位置づけとかけ離れていると思いますが、再度見解を伺いたいと思います。  三つ目に、職員の士気について総務部長に伺います。  年収が下がり続ける傾向が続き、今後もこれから抜け出せないという意識が広がれば、職員の士気が下がるのは当然であります。特に深刻なのは管理職の皆さんだと思います。特例減額と勧告による給与引き下げはダブルパンチとなって作用することになるわけでありまして、県庁の中には、黙って従うのが管理職だという雰囲気が漂っているわけであります。しかし、口に出して言えない、あるいは言わないだけの話ではないのかと私には見えて仕方がありません。部下の連中とのノミニケーションのリーダーシップもままならないというのが率直な状況なのではないでしょうか。こうした現状をどのように考えているのか、再度見解を伺いたいと思います。  三つ目として、さらに問題なのは、主幹、主査の皆さんを初め、管理職を目指して懸命に頑張っている一般職員であります。このままでいけば、幾ら頑張っても管理職に魅力も希望も見出せないということになってしまうのではないか。もしそうなれば、青森県基本計画未来への挑戦の実現も、行財政改革大綱の推進にも問題が出てくることになるのではないかというふうに私は強く危惧しますので、この点について再度見解を伺いたいと思います。  四点目として、自宅に係る住居手当についてであります。  これは総務部長、人事委員長両方にお伺いしますけれども、持ち家を取得している三分の一の県職員にとっては、まさに生活費の一部であり、廃止されれば打撃が大きい。これは間違いないと思います。県公舎の老朽化が進んでいけば、さらに職員の持ち家の比率がふえていくと思いますが、見通しはどういうふうに立てておられるのか。もしそうだとすれば、被害が拡大していくというふうに私は思います。見解を伺いたいと思います。  二つ目として、持ち家を取得した職員が転勤発令を受けるということになると、単身赴任を余儀なくされるパターンになります。そうなれば家庭が二世帯分割になるわけでありますので、痛みがさらに増す。この点をどのように考えるのかということについて考え方を伺いたいと思います。  県人事委員会においては、そうした配慮を払うことはできないのか、あるいは県としての認識を変える気はないのかということについて見解を伺いたいと思います。  以上であります。 115 ◯議長(田中順造) 総務部長。 116 ◯総務部長(田辺康彦) 一点目は、経済への悪影響についての再度の質問でございますけれども、基本的には、公務員の給料というのは民間の給与水準を基準に考えるものでございますので、民間の方々が下がっているときに公務員の給料だけ高いままでいいということは、納税者の理解は得られないものと考えております。デフレ対策につきましては、まことに重要な問題でございますけれども、まずは国のマクロの経済対策、経済政策でやるべき課題というふうに考えております。  二番目が、職員の士気について、ノミニケーション等のリーダーシップをとれなくなる管理職がふえているのでないかというような御指摘でございますけれども、管理職の資質の中でも、特に部下とのコミュニケーションはこれから非常に大事になってくると思います。風通しのいい職場環境をつくるという意味、あるいは部下の悩み事によく相談に乗ってあげるという管理職を登用していく必要があるのではないかというふうに考えております。  さらに、特に管理職の士気に影響があるのではないかということでございますが、もちろん職責に応じた適正な給料を支払うことというのは一つの大事な観点ではございますけれども、やはり何といっても管理職の魅力というのは、やりがいのある仕事ができる、仲間と一緒にいい仕事ができるというのが一つの大きな魅力でございますので、そういうやりがいのある仕事を与えられる職場環境をさらにつくっていくことが、管理職のやる気につながっていくのではないかというふうに考えております。  さらに、住宅に係る住居手当について、県公舎等の老朽化の関係がございますけれども、県公舎につきましては、現在、例えば使われなくなった公舎を廃止したり、あるいは、特に大きな取り組みとしては、今までは知事部局なら知事部局だけで公舎を限定していたわけですけれども、知事部局と教育委員会と警察部局、三つがうまく連携して公舎を利用しようというような新たな取り組みもしているところでございます。  これから公舎の老朽化で、使われなくなった公舎については廃止していくというような方針もございますけれども、今後の民間の賃貸マンション等の整備状況等もございますので、公舎の老朽化と持ち家比率の連関性についてはよくわからないところがございます。  さらに、持ち家の職員が転勤すれば単身赴任を余儀なくされるのではないかということでございますが、これはいたし方ないところがあると思います。人事の基本というのは適材適所でございます。ただ、職員の個別の事情につきましては、単身赴任の問題だけではなく、人事当局としてよく聞いておく必要があるというふうに理解しております。 117 ◯議長(田中順造) 人事委員長。 118 ◯人事委員長(佐々木忠一) ただいま奈良岡議員より追加質問を私に三点あったかと思います。  勧告によらない五年九カ月の長期にわたる特例減額による賃金カットが行われ、これにより苦しんでいる職員の生活状況をどのように認識しているのかという御質問がございました。  本委員会としては、現在実施されている給与の減額措置は、本県の極めて厳しい財政状況等を勘案し、期間を限定した特例的な措置と思われますことから、諸情勢が整い次第速やかに給与勧告制度に基づく本来の職員の給与水準が確保されるよう望むとする報告をしているところでございます。  なお、本年の勧告は、年間給与が減少となる厳しい内容の報告及び勧告となったところでございますが、職員におかれましては、県内の民間企業の厳しい実態等についても御理解の上、県民サービスの向上に向けてより一層職務に精励されることを期待しているところでございます。  二番目の御質問ですが、特例減額措置が続いているにもかかわらず、民間との比較だけで職員の給与を引き下げようとする県人事委員会の勧告のあり方は問題があるのではないかという御質問でございました。  人事委員会勧告に当たっては、地方公務員法に定める給与決定の原則に従い行うべきものであり、具体的には、国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与等について調査検討の上勧告すべきものと考えております。また、特例条例による給与の減額措置については、これまでも報告の中で再三申し上げてきているところでございますが、給与勧告制度に基づく本来の職員の給与水準が確保されるべきであるということを申し上げてきているわけでございます。  三点目、自宅に係る住居手当の廃止に関し、持ち家の職員の割合が多いことを踏まえれば職員に与える影響が大きいと考えるが、何らかの配慮ができなかったのかという御質問でございました。  自宅に係る住居手当については、国の制度を基本としつつ、他の都道府県の状況や県内民間企業の支給状況等も考慮し、措置してきたところです。国において今回この手当について廃止の勧告が行われ、この手当に係る状況については本県においても同様であると認められること、また、近隣道県の動向等も踏まえると、この手当については廃止することが適当であるとの判断に至ったことから今回勧告したところでございます。  以上でございます。 119 ◯議長(田中順造) これをもって質疑を終わります。    ──────────────────────       ◎ 議   案   採   決    ────────────────────── 120 ◯議長(田中順造) お諮りいたします。議案第一号から議案第十四号までは、委員会付託及び討論を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 121 ◯議長(田中順造) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  これより議案の採決をいたします。  議案第一号から議案第九号まで、議案第十二号及び議案第十四号、以上十一件の原案に賛成の方は御起立を願います。  〔賛成者起立〕 122 ◯議長(田中順造) 起立多数であります。よって、原案は可決されました。  議案第十号、議案第十一号及び議案第十三号、以上三件の原案に賛成の方は御起立を願います。  〔賛成者起立〕 123 ◯議長(田中順造) 起立総員であります。よって、原案は可決されました。  以上をもって本日の議事は終了いたしました。  なお、明二十八日及び二十九日は県の休日ですから休会であります。十一月三十日は午前十時三十分から本会議を開き、一般質問を継続いたします。  本日はこれをもって散会いたします。 午後六時十二分散会 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...