札幌市議会 2024-03-01
令和 6年第一部予算特別委員会−03月01日-02号
令和 6年第一部
予算特別委員会−03月01日-02号令和 6年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第2号)
令和6年(2024年)3月1日(金曜日)
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●議題
付託案件の審査
●
出席委員 34名
委 員 長 小 形 香 織 副委員長 坂元 みちたか
委 員 三 上 洋 右 委 員 鈴 木 健 雄
委 員 五十嵐 徳 美 委 員 長 内 直 也
委 員 細 川 正 人 委 員 よこやま 峰子
委 員 佐々木 みつこ 委 員 北 村 光一郎
委 員 小 竹 ともこ 委 員 中 川 賢 一
委 員 藤 田 稔 人 委 員 山 田 洋 聡
委 員 山 田 一 郎 委 員
ふじわら 広昭
委 員 しのだ 江里子 委 員 村 上 ゆうこ
委 員 林 清 治 委 員 かんの 太 一
委 員 あおい ひろみ 委 員 水 上 美 華
委 員 篠 原 すみれ 委 員 定 森 光
委 員 國 安 政 典 委 員 福 田 浩太郎
委 員 わたなべ 泰行 委 員 前 川 隆 史
委 員 森 山 由美子 委 員 池 田 由 美
委 員 田 中 啓 介 委 員 丸 岡 守 幸
委 員 荒 井 勇 雄 委 員 米 倉 みな子
――
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開 議 午後1時
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○
小形香織 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
竹内委員からは
前川委員と交代する旨、届出がありました。
議事に先立ち、
審査方法について確認いたします。
質疑者、討論者及び答弁者は起立して発言すること、答弁を行う部長及び課長は、冒頭に職及び氏名を名のってから発言すること、なお、同一委員への答弁が続く場合は最初だけでよいこととします。また、質疑及び答弁は、簡潔を旨とし、前置きなどは極力省き、内容の重複等も避けながら、定められた
審査日程のとおり進めることのできるようご協力をお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
議案第1号 令和6年度札幌市
一般会計予算中関係分ほか、
付託議案8件を議題といたします。
最初に、令和6年度札幌市
一般会計予算中、歳入のうち
一般財源、第2款 総務費 第1項
総務管理費中会計室及び
財政局関係分、第3項 税務費、第9款 公債費 第1項 公債費、第10款 諸支出金 第1項
財産取得費、第2項 他
会計繰出金中
財政局関係分、第12款 予備費 第1項 予備費、議案第8号 令和6年度札幌市
基金会計予算及び議案第9号 令和6年度札幌市
公債会計予算について、一括して質疑を行います。
◆
山田洋聡 委員 私からは、
予算編成手法の見直しについてお伺いいたします。
アクションプラン2023策定時、本市の
財政状況について、向こう5年間の
財政見直しを
中期財政フレームとして設定し、財政面から政策を担保したところではありますが、新
年度予算を編成したところ、
基金活用額は想定を98億円上回ることとなりました。
この要因や今後の
財政運営の考え方については、本定例会において、我が会派の
代表質問においてやり取りをしたところではありますが、これを機に、新たな視点で
財政負担の軽減に資するような見直しを検討すべきではないかと考えます。
そこで、本市の予算について見ていきますと、例えばですが、各
部局ごとに旅費や時間外手当に係る経費が計上されているようですが、これは、
民間企業であれば、しかるべき部門において一元的に管理、執行されることがほとんどかと思います。
私から見ますと、このように各部で執行を任せるということは、ある意味で非効率であり、一元管理することで
スケールメリットが生じる経費もあると考えます。
そのためには、例えば、特定の部局に庁内の特定の経費を一元的に予算配分し執行することで実現可能となり、結果、
執行管理の状況などについても分かりやすくなるだけではなく、
コストメリットもあるはずです。
もちろん、こうした取組を実現させるためには、特定の部局に
人員体制をしっかりと構築させる必要があるなど、予算面以外の課題も様々あるとは認識しておりますが、仮に
予算編成に係る取組・視点だけで見たときに価値があるものではないかと思います。
そこで、質問ですが、
予算編成における手法の一つとして、特定の経費について予算を一元的に配分し、執行するという手法について、
財政運営の観点から、導入することについてどう考えているのかを伺います。
◎生野
財政部長 市役所全体の特定の経費に係る予算及び
執行管理についてお答えいたします。
現行の
予算編成におきましては、各局に対して
局マネジメント枠というものを設定しておりまして、その範囲において、局の裁量による編成や執行上の工夫を認めております。
これによりまして、時代や市民のニーズに即応し、各局による柔軟な対応や主体的な見直しを行うことができ、
アクションプラン2023
計画期間における柔軟な
財源配分を可能としております。
一方で、経費の節減や
事業効果の最大化を図るということは、
予算編成における大切な観点でありまして、ただいま委員からご指摘いただきました、特定の経費について予算を一元的に配分し
スケールメリットを図るという手法もその一つであると認識しております。
しかしながら、そのためには予算の配分だけではなく、
人員体制の構築や業務改革を行うことが必要でありまして、
関係部局と検討を重ねる必要があるというふうに考えてございます。
◆
山田洋聡 委員 長きにわたる習慣や決まり事を変えるというのは、変えたほうがいいと思っていても、なかなか難儀なことは理解しておりますが、予算においてよく言われる将来世代に負担を残さないという考え方にのっとれば、変化することは必須だというふうに考えます。今、
庁内DXも本格的にスタートしているというところで、タイミングとしては最良ではないかというふうに考えます。
苦労仕事を無駄だと言うつもりは全くありませんが、人口減少の現実に合わせた変化を進められるよう協力し合って推進できればというふうに思います。
次に、事業の成果を踏まえた見直しと
予算編成について伺っていきます。
少し視点を変えまして、予算づけをした後の事業の成果を踏まえた見直しに対する考え方について伺ってまいります。
これも日頃感じていることですが、各
事業部局で所管をしている事業について、自ら成果に対する振り返りや評価、それに対応した見直しを行っていないように感じることがあります。
この事業の成果を踏まえた見直しも、毎年の
予算編成においては重要な観点であります。
このたびの
アクションプラン2023を見ますと、
財政運営の取組の一つとして、
事業見直しサイクルの確立という項目が挙げられており、この取組によって、
事業部局との間でどのような見直しを進めていくことができるのかと関心を持っております。
そこで、質問ですが、今後の事業の成果を踏まえた見直しと
予算編成についてどのような手法で進めていくのか、伺います。
◎生野
財政部長 事業の成果を踏まえた見直しと
予算編成についてお答えいたします。
アクションプラン2023では、
まちづくりの
分野ごとに26項目の
成果指標を設定するとともに、
事業ごとに効果を可能な限り定量的に評価するための
事業目標を設定しております。
事業見直しサイクルは、毎年度の
予算編成において、客観的なデータに基づいた事業の
効果検証を行い、次年度の
予算要求、
予算査定に反映させていく仕組みであります。
この取組によりまして、当初想定していた効果が見込まれない事業等につきましては、
事業手法の
抜本的見直しを含めた再編、再構築を行うことで
成果指標の達成に努めてまいります。
◆
山田洋聡 委員 評価という言葉に対しては、もしかすると分かりづらいかもしれませんが、ちょっと大きな話として、例えば、地下鉄の延伸がなされたという結果として、どのぐらい人口が増えたのか、
まちづくりが進んだのか、そういうところに及ぶような評価という意味合いとさせていただいておりますので、ちょっと踏み込んだところで、とても大変な事業になることは承知しているのですが、そういう観点も重要ではないかというふうに思います。
公の担う行政と
民間企業では役割が違うということは本当に重々承知しているところなのですけれども、いずれも、今、目の前にお預かりしている大切なお金、予算とされているお金、とても大事なお金だと思いますが、これを使って事業を進めているということは民間も公も共通していることだと思います。
執行した予算の結果として、何をどの程度もたらしたのか、この先、どれほどの発展性や成長性があるのか、
予算要求以上に分析をして、しっかり
効果検証しなければ、本当に必要なところに予算を充てられず、結果として札幌市の衰退を招くのだというふうに強い危機感を覚えております。
よく打合わせをさせていただくと、ちょっと言葉は乱暴かもしれませんが、財政に予算を削られたというような言葉をよく耳にするのですが、正直、その言葉に残念さを覚えております。
我々議会も含めて、全員一丸となって札幌市のために一歩一歩前進するためにも、引き続き、財政の皆様には強いリーダーシップを発揮していただくことを感謝とともにお願いさせていただきたいと申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
◆定森光 委員 私からは、
臨時財政対策債、以下、臨財債と呼びますけれども、これについて伺います。
臨財債は、2001年度に導入された地方債の一種で、
財源不足を補填するために
地方自治体が特例として発行する赤字国債であります。
本来は、国から
地方交付税として交付されるものを
地方自治体が市債として発行し、国が後年次の30年間にかけて元利の償還金を補填する仕組みとなっております。
昨年末に公表された令和6年度
地方財政計画において、この臨財債は総額4,544億円となっており、令和5年度から54.3%減と抑制されております。臨財債の抑制は3年間続いており、2001年の
制度開始以降、最少額となっていると聞いております。
そこで、最初の質問ですが、札幌市としては、令和6年度の
地方財政計画で計上された
臨時財政対策債についてどのように評価しているのか、伺います。
◎生野
財政部長 令和6年度
地方財政計画における
臨時財政対策債の評価についてお答えいたします。
臨時財政対策債は、
地方交付税の一部を、いわゆる地方の借金である地方債で補填するものでありまして、その償還に係る
財政負担は後年次に
普通交付税で全額措置されるものの、
市債発行額の抑制や
市債残高の削減にも影響するところであります。
地方交付税は、所得税や法人税などの国税の
一定割合を財源とする地方の
固有財源でありまして、本来は
全額現金で交付されるべきものと考えております。
札幌市といたしましては、令和6年度の
地方財政計画におきまして、
臨時財政対策債が
抑制傾向であるということは一定の評価はいたしますものの、これは国税や
地方税収入が好調なためであり、なお廃止に至っていないことは課題であるというふうに認識をしてございます。
◆定森光 委員 今の答弁では、
臨財債抑制傾向であるということは一定の評価はするけれども、廃止に至っていない、ここは課題であるというような答弁だというふうに認識しております。
次に、札幌市の令和6
年度予算案で計上された臨財債について伺います。
地方財政計画において、臨財債が抑制されていることに伴い、札幌市の令和6
年度予算においても、本市の
臨財債発行額は、令和5年度当初予算比で73億円減の145億円と見積もっております。また、昨年11月の国の
補正予算に伴って、札幌市に約39億円の
地方交付税の追加がありましたが、そのうち約26億円は
臨財債償還基金費となっております。これは、後年次に臨財債を償還するための基金の積立てに要する経費であり、1定の補正において
減債基金に積み立てたところであります。
この
臨財債償還基金費は、令和6年度の
地方交付税の見積りにも影響があると聞いております。
そこで、質問ですが、令和6
年度予算において、この
臨財債償還費の反映を含めて、
臨時財政対策債をどのように見積もったのか、伺います。
◎生野
財政部長 臨時財政対策債償還基金費の反映を含めた令和6年度の
臨時財政対策債の
予算見積りについてお答えいたします。
臨時財政対策債は、標準的な
財政需要から
市税収入などを差し引いて生じる
財源不足額のうち、
普通交付税として交付すべき額の
一定割合を振り替えられているものであります。
札幌市の令和6
年度予算では、
財源不足額を1,554億円と見積もっておりまして、このうち、
臨時財政対策債に振り替えられる割合につきましては、全国の伸び率などから約9.3%と見込みまして、額として145億円と見積もったところでございます。
また、令和5年度の国の
補正予算に伴う
地方交付税の
追加交付のうち、
臨時財政対策債償還基金費約26億円につきましては、令和6年度と7年度の2か年にわたって、
臨時財政対策債の償還に係る
財政需要から減額することを国が示しております。
そのため、令和6年度の
普通交付税と
臨時財政対策債の見積りにおきましては、この26億円の2分の1に相当する約13億円を
財源不足額から控除しているところでございます。
◆定森光 委員
地方交付税の算定に関わる
財源不足額が、この
臨財債償還基金費相当額は減額を反映して見積もられているということであります。
これは、国税が増加して
地方交付税が追加で入ってきても
償還相当額が後年次に
地方交付税が減額されるということにもなってしまい、本来、使途の定めのない
一般財源である
地方交付税の性質とは異なるものになってしまうということから、課題があると言えます。
また、国や地方の税収の状況に応じて臨財債を発行し続けることで、今後も
市債残高が積み上がることとなり、臨財債は、札幌市の
財政運営上、好ましくないものと考えるところであります。
そこで、質問ですが、臨財債の今後の見通しについて、札幌市としてどのように考えているのか、伺います。
◎生野
財政部長 臨時財政対策債の今後の見通しについてお答えいたします。
アクションプラン2023におきまして、令和9年度までの
計画事業費と財源を示した
中期財政フレームを策定しております。
令和6年度
予算編成に伴いまして、これを反映した
中期財政フレームにおきまして、
臨時財政対策債は、国と地方の税収が比較的好調であることを前提に、令和6年度と同程度で推移すると見込んでいるところであります。
現在の見込みでは、
財源不足に対する
臨時財政対策債の割合は1割程度でありますけれども、今後、
社会経済情勢の影響により
国税収入などが悪化した場合には、この割合が増加することも懸念されます。
そのため、他の
指定都市とともに、白本や青本などの要望の機会を捉えまして、必要な
地方交付税総額を確保し、
臨時財政対策債については廃止をするよう、引き続き求めてまいりたいと考えております。
◆定森光 委員 国税や地方税、収入が好調な間は臨財債の総額は現状のレベルで推移する可能性がありますけれども、今後の景気動向というのは分かりません。過去には600億円を超すような臨財債の発行をせざるを得ないといった状況もありましたし、今後も同様のことが起これば、それだけの額を市として借金しなければならないという状況にもなります。
今後、老朽化した施設の
更新需要の増加など、
市債残高の増加も見込まれることですから、札幌市の
財政状況は決して楽観視できるものではありません。
これまでも、
指定都市共同で臨財債の廃止を求めてきておりますが、札幌市としても独自としてしっかり、この現状でいいと考えるのではなく、臨財債の廃止と、そして、交付税による
全額確保を粘り強く国へ強く求めていくことを要望して、私からの質問を終わります。
◆
森山由美子 委員 私からは、
物価高騰対策としての住民税からの
定額減税について、端的に2点質問をいたします。
物価高騰対策について、我が会派は、昨年の緊急要望に続き、さきの
会派代表質問でも市民への支援の重要性を訴え、市長からは、国の
補正予算を活用することにより、16か月予算を編成し対策を講じた旨の答弁をいただいたところであり、足元の
物価高騰対策に一体的に取り組もうとされていることには大きな期待を寄せるところです。
一方、我が党は、政府の
経済対策として
所得税減税を求めており、低所得者への給付や地域に応じた
物価高対策と並んだ三つ目の対策として、納税額の低い人ほど恩恵の大きい
定額減税を行うことの必要性を訴えており、昨年末の
政府税制改正大綱では国税の所得税に加え、地方税の住民税からも
定額減税することが盛り込まれたところです。
所得税の
定額減税については国会において審議が行われているところであることから、本日、私からは、住民税の
定額減税について質問をいたします。
まず、本市において
定額減税を受ける納税者はどのくらいと見込んでおられるのか、また、減税額と
経済効果はどのように見込んでいるのか、お伺いいたします。
◎大柿
税政部長 本市において、住民税の
定額減税を受ける
納税者数、減税額と
経済効果についてお答えいたします。
本市の住民税において、令和6年度に
定額減税を受ける納税者の数は約92万人となると見込んでおります。この納税者に加えまして、被扶養者も住民税1万円減税の対象となることから、
減税規模は142億円と算定したところでございます。このうち、
道民税分29億円を除いた113億円が市民税の減税額となるところでございます。
また、ご質問の
経済効果そのものではございませんけれども、第213回国会の
財務大臣答弁におきまして、
減税規模の半分程度が消費に回るとの見解が示されたことから、これが国と同様であれば、本市におきましても減税額の半分程度が消費に回るのではないかと考えているところでございます。
◆
森山由美子 委員 答弁では、92万人の納税者が減税の恩恵を受け、国の想定と同じであれば142億円の半分が消費に回る見込みとのことでございました。
今回の
定額減税は、
物価高対策であるとともに
経済対策でもあることから、これらの減税したお金が消費に回っていくことが大事であり、そのためにも市民一人一人に具体的な減税額をお知らせして、これだけ使えるということをアピールすることや、制度に関して周知をしていくことが重要と考えます。
そこで、質問ですが、本市の住民税において、減税額をどのように納税者に周知をしていくのか、また、
定額減税の制度に関し、市民に対する周知をどのように行っていくのか、お伺いいたします。
◎大柿
税政部長 減税額及び
制度趣旨に関する
周知方法についてお答えいたします。
減税額の周知につきましては、今後発送いたします住民税の
納税通知書などにおきまして、市民税、道民税、双方の税額から減税した額を印字して通知することとなっております。
また、
定額減税の制度に関する周知についてでございますが、既に1月から
本市ホームページに掲載をしておりますほか、今後も、
制度内容を記載したリーフレットを
納税通知書に同封することなどによりまして、市民の皆様にご理解いただけるよう周知していきたいと考えているところでございます。
◆
森山由美子 委員 住民税だけでも140億円にも及ぶこの減税をできるだけ多くの市民が実感していただき、経済の好循環につながっていくことを切に願うところです。
一方で、今回は
定額減税の恩恵を十分に受けられないと見込まれる方への給付が行われる点がこれまでの減税とは異なるところであり、公平性が保たれる反面、市民にとっては複雑な仕組みとなるのではないかとの心配もあります。
政府の決定から6月の減税まで時間が限られることもあり、自治体側の準備も大変という報道があることも承知をしており、ついては、給付までがスムーズに行われるよう、ぜひとも理事者の皆様には、納税者への
減税内容の周知と併せ、給付の対象となる方々への情報提供も丁寧に進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆荒井勇雄 委員 私からは、先日、
代表質問で取り上げました
中期財政フレームについてお伺いしたいと思います。
秋元市長3期目の最初の
本格予算である令和6年度の札幌市の
一般会計予算額は1兆2,417億円と、令和5年度に次いで2番目の規模とのことでございます。昨年12月には、2023年から5年間を見据えた札幌市の
まちづくり戦略の
アクションプラン2023が策定され、約600に及ぶ事業が計画化されました。
昨年12月、
アクションプラン2023の公表とともに、
歳入歳出の見通しや、
まちづくり推進基金をはじめとする基金の活用、それに
市債残高の推移などを示す
中期財政フレームが示されました。それに対して、私から、札幌市の財政は厳しい、厳しいとよく言われるが、近年における税収の伸びや今後における
市債残高の見通しを踏まえると、本当に厳しいのか、いや、まだまだ十分やっていけると考えているかどうかについて財政局にお尋ねいたしました。
その時点では、
アクションプラン2023について、5年間の総事業費が1兆7,854億円に及ぶものの、
財政運営面では、再
開発事業の進展などによって税収が伸びていることから、それほど心配する必要はないと受け止めておりました。
ところが、令和6
年度予算の編成後に示された
財政フレームでは、
各種基金の活用額は昨年12月の公表時よりも98億円も増え、今後3年間を見通すと、毎年度100億円ほどの基金の活用額が上振れをし、令和9年度まで
活用総額は420億円にも達して、これにより、令和9年度末の
基金残高も昨年12月の公表時より223億円も悪化するとのことであります。
昨年12月に
中期財政フレームが示されてからの僅かの期間にこのように
財政フレームが大きく変貌した要因はどこにあるのでしょうか。
財政局が示した令和6
年度予算の概要という冊子によりますと、その要因は、
アクションプラン2023に計上していない事業の追加であったり、扶助費や職員費の増、さらには
物価高騰の影響などにより、
歳出総額が計画を大きく上回ったため、
基金活用額が当初の想定を98億円上振れしたとあります。
確かに、障がい福祉に関わる扶助費は令和5年度より132億円も増加し、また、
定年延長に伴い
職員退職手当も令和5年度よりも倍増し、66億円増となっております。
ですが、扶助費などの増加要因は、昨年の12月の時点でも十分に想定できたのではないでしょうか。
具体的に申し上げますと、昨年12月に公表された
中期財政フレームの
設定条件として、扶助費については令和5
年度予算に過去の実績の伸び率を基に算定し、職員費についても
定年退職予定数などを踏まえて試算したものでありますが、この
設定条件と比較して大幅な
基金活用額の増の理由を改めて確認する必要があると考えます。
そこで、お伺いいたします。
アクションプラン2023に盛り込まれている事業のほかに、今回の
予算編成で新たに追加となった事業には、先日の
代表質問で答弁でもあったGX関連予算のほかにどのようなものがあるのかを具体的にお示しください。
それと、昨年の12月の
中期財政フレームの公表時に比べ、新年度
予算編成において、
基金活用額が98億円も上振れした要因についても、私どもに具体的に分かりやすくお示しいただければと思います。
◎生野
財政部長 令和6年度
予算編成を反映した
中期財政フレームについてお答えいたします。
令和6
年度予算は、
アクションプラン2023の見込みより
一般財源の所要額が212億円増加をしております。このうち、プランに計上していない事業といたしましては、GXの関連のほか、新型コロナウイルスの5類化に伴う予防接種や高齢者健康寿命延伸に係るシステム改修等の経費のほか、学校施設冷房設備整備につきまして、当初の想定額を上回る経費を計上したものであります。
このほか、障がいのある方の訓練等給付の件数増などによる扶助費の増や人事委員会勧告による給与増に加え、退職手当の増などによる職員費の増のほか、現下の
物価高騰を受け、市有施設の光熱費や営繕工事の労務費等の増加を計上したものであります。
一方で、市税や
地方交付税など歳入
一般財源につきましては114億円の増加を見込んでおりまして、歳出
一般財源額の増、212億円との差し引き98億円が
基金活用額の増加分であります。
◆荒井勇雄 委員 昨年12月に公表された
中期財政フレームが、その後における
アクションプランに盛り込まれた計画事業以外の事業の追加や扶助費の大幅増、さらには退職手当の増などによって大きく数値が動いたことについては一定の理解をしました。
ただ、
代表質問において、基金の活用額が上振れした要因の一つとして、学校施設による冷房施設の整備事業を挙げられておりましたが、これにつきましては
アクションプラン2023の策定時において事業費が組み込まれていたはずですので、その後において経費増の要因があったとすれば、しっかり見込んでおくべきだったと思われます。
そこで、もう一点お伺いたします。
扶助費の増加によって財源が厳しくなり、基金の活用額、すなわち基金の取り崩し額が、令和7年度以降も、当初見込み、昨年の12月の公表時より毎年度100億円規模で増えていくとの見通しを立てておりますが、これは障がい福祉に関わる扶助費が令和6
年度予算で130億円ほど一気に増えたことがその後も大きく影響すると推計した上での数値なのか、はたまた、それ以外に
職員退職手当などの他の増加要因も見込んだ上での基金の取り崩し額の推移なのかをお示しください。
◎生野
財政部長 基金活用額の推移の見込み方についてお答えいたします。
令和6
年度予算を反映した
中期財政フレームの試算に当たりまして、扶助費につきましては、近年の増加傾向を基に今後も増加していくことを見込んだところであります。
そのほか、職員費は職員定数や退職手当額の増減などを見込みまして、光熱水費など
物価高騰の影響につきましては先を見通すことが困難であるということから、令和6年度の影響額に基づいた試算をいたしまして、
基金活用額の推移を改めて算出したところであります。
◆荒井勇雄 委員
中期財政フレームというのは、財政のプロである財政局の方々が策定し、市民の皆様に公表したものであります。これまでの答弁をお聞きしておりますと、財政当局において推計に見込み違いがあったとは断言いたしませんが、このように極めて短期間の間に
財政フレームが厳しい方に振れますと、我々議員はもちろんのこと、市民の間には、まだ
アクションプラン2023が始まったばかりなのに今後の
財政運営は果たして大丈夫なのかという不安を与えることにもつながりかねないと思います。
そこで、総務省ご出身で、地方財政に大変お詳しい笠松財政局長にあえてお尋ねしたいと思います。
札幌市の今後の
財政運営は極めて厳しいと見ておられるのか、それとも、近年における税収の伸びや
基金残高の規模、さらには
市債残高の将来の見通しなどから見て、かなりしたたかな目を持っているのか、大丈夫だと見ておられるのか、私としましては、市民の皆様に安心してくださいと局長に力強く語ってほしいと願っているのですが、いかがでしょうか、その点をお伺いしたいと思います。
◎笠松 財政局長 今後の
財政運営につきましてお答えをさせていただきます。
安心してくださいと力強く語ってとのご質問でございましたけれども、残念ながら、そのように力強く語ることはなかなか簡単にはできないものと考えております。
これは、本市だけに限った話ではなくて、地方財政全体で見ましても同様でございまして、一つは、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少、二つ目としましては、人手不足ですとか事業承継に係る課題、三つ目としましては、地球規模での気候変動の影響など、これらに起因いたしました様々な課題等から、今後の経済、財政の将来見通しというのはますます不透明感を増していくものと考えられていることによるものでございます。
また、目を転じて本市に関して見ましても、先ほど来ございますとおり、扶助費ですとか公共施設の更新、このような
財政需要が増加する一方で、行政改革も求められている中で、市政の諸課題に投入できる資源も縮減していくことが想定されるところでございますので、適正な水準の行政サービスを提供していくためには、長期的な視点を持って財政の持続可能性を追求していかなければならないものと考えております。
そのためには、市民の理解を得ながら、
歳入歳出の改革ですとか、財政基盤の強化を図るということはもちろんですけれども、歳出ありきというふうな
財政運営ではなくて、やっぱり、「入るを量りて出づるを為す」という考え方の下に、毎年度、
予算編成ですとか、予算の執行の過程におきまして、事業の精査、節減や歳入の確保など、不断の見直しを継続していくことが必要だというふうに考えております。
これらに取り組むことによりまして、札幌の市民の方々には、最終的には夢や希望を持っていただけるような行政サービスを提供できるように努めてまいりたいと考えております。
◆荒井勇雄 委員 1年生議員の質問に対して財政局長からご答弁いただき、大変恐縮しております。
ただいまご答弁いただきまして、改めて私も思うところがあります。
私も、議員という立場を与えられて、やはり、市役所に来る陳情というのは、ご高齢の方から、敬老パスを拡充してくださいですとか、年金をもっと上げてくださいというのが大変来るのですけれども、さすがに、市役所に陳情に来たい世代と申しますか、実際に働いている方々のご意見からしましては、正直、私の年代からしますと、敬老パス制度はもらえないというふうに感じておりますし、年金を納めた額よりも3.6倍ほど、我々は上の世代よりもらえないというふうに統計でも出ております。
明治大学の加藤久和教授が述べておりますけれども、税の在り方というのは世代間の格差を撲滅するためのものであると思っておりまして、やはり、世代間格差を生まないためにも、政治の力を踏まえて前向きに提案していきたいと思います。
財政局長から、現状、決して財政は楽観できる状況ではないというお声をいただきましたので、我々日本維新の会としましては、財政の見直し等を含めまして今後も提案していきたいと思います。
◆藤田稔人 委員 私からは、入札契約制度と入札不調等の対策について質問をさせていただきます。
さきの
代表質問において、我が会派の川田議員が、昨今の物価上昇や労務費上昇を受けての事業者支援について伺ったところですが、私から関連して二つ質問をさせていただきます。
まず、清掃や警備などの市有施設の維持管理業務における労務費の上昇などについて伺います。
このところの最低賃金の大幅な上昇や、ただいま笠松局長からもございましたが、慢性的な人手不足など、清掃や警備などの業界においても経営環境は大変厳しいものとなっており、最低制限価格の引上げについて、関係業界団体からも要望が上がっております。
そして、それは我が会派としても大変重要なことであると関心を持っております。
清掃や警備などの業界における環境が厳しさを増し、何よりも将来に向けた人材投資もままならず、結果的に業務実施にも影響が生じるのではないかと危惧しております。
札幌市では、市有施設における清掃や警備などの維持管理業務において、その履行品質の確保とダンピング対策を目的として、最低制限価格制度を導入しております。
そこで、質問ですが、現在の清掃や警備などの業界を取り巻く状況をどのように認識しているのか、また、最低制限価格制度のこれまでの設定状況と現在の状況はどのようになっているのか、お伺いさせていただきます。
◎北川 管財部長 人手不足を背景としました清掃警備業務等の状況認識と最低制限価格制度の推移についてお答えいたします。
今年1月に、人手不足に関しまして、経済観光局雇用労働課と一緒に関係団体へのヒアリングを実施したところでございます。
近年の最低賃金の上昇と人材不足などから、事業者が従事者を確保するためにはこれまでのような最低賃金付近では厳しい状況となっていることや、採用にも力を入れて様々な対策を取っているものの、コロナ禍後の景気回復に伴い、他の業種に人材が流れてしまうことなども伺ってきたところでございます。
本市におきましても、清掃、警備など各業界において企業における人手不足は深刻な状況となっているものと認識しております。
本市の最低制限価格は、履行品質確保とダンピング受注を防止する観点から運用しておりまして、建物清掃、警備等の市有施設維持管理業務における最低制限価格制度は、平成14年12月より予定価格に70%を乗じた定率の算定方式により導入を開始したところでございます。これを、平成24年4月履行開始の契約から、直接人件費や直接物品費などといった経費の内訳ごとに積み上げる方式に改正をしてございます。
なお、経費の算入率につきましては、直接人件費及び直接物品費は90%、業務管理費及び一般管理費は70%などとしているところでございます。
◆藤田稔人 委員 ただいまの答弁にありましたが、しばらく最低制限価格の算入率の見直しを行っていない状況にあるということでございました。
昨今は、あらゆる分野で働き手の不足が叫ばれており、管財部でもヒアリングを実施されたようですが、清掃や警備などの業界においては、特に労働者の確保が難しい状況にあると考えております。
このため、労働者の賃金を引き上げなくては人の確保もままならないという状況であり、発注者の責務として、企業の安定した経営につながる適正な価格での契約を目指すべきと考えます。
また、確認したところ、清掃や警備などの最低制限価格を算出する際の直接人件費の算入率について、現在、札幌市では90%とのことですが、北海道では92%と札幌市よりも高い状況であり、このことも業界からの要望の背景にあると考えております。
そこで、質問ですが、業界を取り巻く状況が厳しいことは北海道も札幌市も変わらないことを踏まえると、清掃や警備などの市有施設の維持管理業務の最低制限価格について引き上げることを検討すべきではないかと考えますが、今後の見直しについてどのように考えているのか、お伺いさせていただきます。
◎北川 管財部長 最低制限価格制度の見直しについてお答えいたします。
清掃、警備等の市有施設の維持管理業務におきまして、直近の北海道労働局公表の有効求人倍率は高く推移していることから、今後、継続した採用活動を行っていくためにも、事業者での人材確保には、さらなる賃金アップが必要となってくるものと認識してございます。
また、人材確保がままならなくなり、入札不調などが発生して、市有施設の維持管理に問題が生じるなどといった事態が起こることがないように手を打つ必要があると考えているところでございます。
このため、労働環境や事業者の経営環境の状況などを考慮いたしまして、人件費に係る最低制限価格の算入率を北海道並みに引き上げるなど、来年度中の改定に向けて検討を進めてまいりたいと考えてございます。
◆藤田稔人 委員 ただいまご答弁いただきましたとおり、北海道並みの算入率に引き上げていくということで、来年度中の改定に向けて取り組むということでございましたので、業界の意向を踏まえて、ぜひともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
企業の安定経営のみならず、業務品質の確保にも資するものと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
続いて、工事の入札不調等について伺います。
近年、公共工事の入札において、応札者がいないとか、応札価格が予定価格を上回っているための入札不調、不落による不成立の増加が顕在化し、問題となっております。
我が会派としても、昨年の第3回定例会
代表質問で、人材を確保したいが、確保できない企業は建設業で割合が高いことや、札幌市発注工事における入札不調や不落が増加傾向にあることを踏まえ、人材不足への対策に関しての視点から、入札不調等への対応について質問をいたしました。
秋元市長からは、
関係部局が情報共有を図りながら公共事業を着実に推進し、可能な限り市民生活に影響が出ないよう取り組んでまいりたいとの答弁がございました。
そこで、質問ですが、令和5年度に市長部局の工事の入札不調等が何件発生し、発生割合がどの程度なのか、また、令和4年度と比較してどのぐらい増加しているのか、お伺いさせていただきます。
◎北川 管財部長 工事の入札不調等の状況についてお答えをいたします。
市長部局の入札不調等の件数につきまして、令和4年度は51件で、告示件数全体に占める割合は5.9%、令和5年度は件数としては約2倍の97件、全体に占める割合は10.7%となっており、大幅に増加しているところでございます。
また、令和5年度に特に件数が増加しているのは、衛生設備工事などの管工種でございまして、令和4年度のゼロ件から39件に増加となっているところでございます。
◆藤田稔人 委員 工事の入札不調等が約2倍と大幅に増加しているということでございましたが、入札の不調、不落の主な原因としては、価格が合わない、施工時期が重なり技術者が不足して対応できないといったものや、技能労働者が不足しており下請企業が確保できないということがあると聞いております。
札幌市においては、技術者不足などで対応できないといった課題に対しては、これまでも、発注時期や施工時期の平準化などに取り組んでおり、一定の評価をしているところであります。
入札不調、不落の問題については、担い手不足や道内の民間再開発の増加など、昨今の地域の建設業が置かれている様々な要因が組み合わされて発生しており、直ちに効果が上がる特効薬はなかなかないと思っておりますが、ただいまの答弁にございましたとおり、特に管工種などの設備系の工事で不調が急増しているとのことでありますので、札幌市としても、こういった工事の実情を適切に把握し、その要因や原因を分析し、様々な対策をできることから実施していくことが重要ではないかと考えております。
そこで、質問ですが、工事における入札不調等の対策として、来年度はどのような対応を考えているのか、お伺いさせていただきます。
◎北川 管財部長 来年度の入札不調等の対策についてお答えいたします。
令和5年度において、入札不調等が発生した際には、参加資格の緩和や発注時期の見直し等の対応を行ったものがおよそ7割、発注時期を次年度に繰り越した案件は3割程度であり、いずれにつきましても、市民生活に大きな支障が生じているものではないと考えているところでございます。
このため、来年度におきましても同様の対応を進めるとともに、特に不調等の発生件数が多い管工種の衛生設備に係る工事部分については、さらなる対応策といたしまして、国や他の自治体において不調、不落となった場合に活用されております見積活用方式といったものを新年度から限定的に活用することも検討しているところでございます。
この見積活用方式は、本市の積算と市場価格に乖離がある場合に、入札参加者から見積書の提出を求め、予定価格作成の参考とする方式でございます。
引き続き、入札不調等が発生した際には、参加資格や発注時期の柔軟な設定を行うとともに、この見積活用方式の活用によって不調等による影響を最小限に抑えるよう努めてまいりたいと考えてございます。
◆藤田稔人 委員 次年度も引き続き、発注時期や施工時期の平準化などに取り組んでいただくとともに、ただいま北川部長からご答弁いただきました見積活用方式を新たに札幌でも導入するということでございますので、
関係部局としっかりと連携を図り、検討していただき、運用を開始した後についても、効果を検証しながら不調対策に取り組んでいただきたいと考えております。
◆林清治 委員 私からは、目的税の使途について幾つか質問していきたいと思っております。
市税や道交付金、地方譲与税の中には、その使途があらかじめ定められている目的税が幾つかございます。
我が会派では、その中でも森林環境譲与税について、制度導入当初から、その制度や本市における活用などについて注目してきたところであります。
目的税は、定められた使途に活用することが重要であり、本市として有効に活用すべきと考えております。
そこでまず、令和6
年度予算における目的税等の種類と金額はどのような状況になっているのか、また、定められた使途に従って有効に活用できている状況なのか、伺いたいと思います。
◎生野
財政部長 目的税の使途の状況についてお答えいたします。
令和6
年度予算におきまして使途があらかじめ定められている目的税等は、入湯税、事業所税、都市計画税、森林環境譲与税及び地方消費税交付金のうち増税分がありまして、合計額は644億円となっております。
具体的な使途は税目ごとに定められているところでありますけれども、全ての税目において使途に沿った経費を収入額以上に計上しておりまして、各税目の趣旨を踏まえて有効に活用できていると考えております。
◆林清治 委員 目的税の充当事業が予算上もしっかり積み上がっており、使途に従った有効な活用ができているという答弁だったと思いますが、中でも、先ほど触れた森林環境譲与税においては、3億円ほどの収入に対して、充当された事業は5億7,000万円ほどということになっております。そのほとんどが地域材の利用とされているところでございますが、これまで基金に積み立ててきた金額を地域材利用目的で取り崩して使用したということもございます。
市有施設で地域材が積極的に活用されていることは高く評価するところでありますが、森林整備や担い手の育成、確保、普及啓発等にも充当することとなっていることから、より幅広く活用してほしいと期待を持っているところでもございます。
現状、個人所有の民間人工林の整備委託事業が進んでいないことを私ども会派では重大な事項として受け止めているところであります。森林環境譲与税の制度が始まったときから、地域材の利用拡大とともに、地域での人工林管理が大きな目的とされてきております。
森林環境税は令和6年度から本格的に徴収されることとなるため、市民への周知などについてもよい機会となるのかなというふうに思っております。
そこで、次の質問ですが、財政局として、森林環境譲与税など、目的税の充当対象事業の拡充について、今後どのように対応を行うのか、お伺いしたいと思います。
◎生野
財政部長 森林環境譲与税など、目的税の充当対象事業の拡充についてお答えいたします。
森林環境譲与税の創設を受けまして、財政局といたしましても、
関係部局と連携して、その趣旨を庁内に周知の上、学校をはじめとする市有建築物への地域材の利用など、幅広い部局において活用されるよう取り組んできたところであります。
また、毎年度の予算、決算を公表する際に、森林環境譲与税など目的税の使途についてお知らせしたところでありまして、広く市民などへの周知に努めてきたところでございます。
目的税の充当対象事業の拡充につきましては、一義的には事業を所管する部局において検討されるべきというふうに考えておりますけれども、目的税が引き続き有効に活用されるよう、財政局といたしましても、予算の編成、執行の段階を通じて
関係部局の取組を後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。
◆林清治 委員 財政局としてのお考えは大変理解できるところでありますし、今日、質疑の中で中心に据えておりました森林環境譲与税の部分で、森林管理事業というのは脱炭素社会実現に向けた大事な施策にもなっております。
CO2削減に向けては、木が生えていればよいわけではなくて、健康な樹木が必要になってまいります。そのためには、成長した木を伐採して活用し、その後に植樹して育てる、このサイクルを長期間で実施しなければならない。現状として、民間所有林は管理が行き届かず、先ほど述べたサイクルが成立しないケースが増えていることから、国が森林環境税の徴収前に森林環境譲与税を自治体へ交付して森林管理と地域材活用を促進した、大規模な全国的な事業であります。
札幌市は、総面積の約64%を森林が占めており、森林環境譲与税の森林整備の対象となる私有林の人工林については、林業経営の不振や担い手不足などにより、間伐等が長期間実施されず、過密化した森林も数多く存在している状況になっております。
担当の建設局みどりの推進部も、個人所有の森林の管理業務委託などを進めるべく努力しております。先ほど触れたように、来年度から森林環境税を徴収することから、さらにこの目的税の活用の検討、使用状況を市民にしっかりと周知することも検討していかなければいけないなというふうに思っているところであります。
そうした意味でも、財政局長にお聞きしますが、今後の目的税の活用並びに市民周知に対するお考えをお聞きしたいと思います。
◎笠松 財政局長 今後の目的税の活用及び市民周知に関する考え方についてお答えをさせていただきます。
まず、目的税の活用につきましては、さきに
財政部長からもお答えいたしましたとおり、具体的な使途というのは税目ごとに定められておりますことから、森林環境譲与税のような新たな制度も含めまして、引き続き、各税目の趣旨を踏まえまして、納税者の方々からいただいております貴重な財源でございますので、さらには、先ほど
山田洋聡委員からも、目の前にお預かりしている大切なお金だというご指摘も受けましたので、有効に事業に充当していく考えでございます。
また、市民周知につきましては、引き続き、
事業部局が行っております目的税を活用した有効な取組や様々な機会を捉えた市民への広報につきまして、これは各
事業部局におきまして行っていただくことが第一義ではございますけれども、財政局といたしましても、互いに連携しまして、また、予算の編成ですとか執行の段階を通じまして、各
事業部局をしっかりと支えてまいりたいと考えております。
◆林清治 委員 今日は、この目的税についてということと、特に森林環境譲与税という最近創設された目的税の利用を中心に議論させていただきました。
これまでも、
札幌市議会の中で、目的税の一つである入湯税に関して、定山渓の旅館、ホテル業の皆さんからの要望だったり、様々な議論をされてきたところでございます。その目的をしっかりと考えて、市民に分かりやすく使っていく、そうしたことがこれからもまた求められてくるのかなというふうに思います。
そして、様々な
関係部局で、本当にいろいろな知恵を絞り、計画をつくってやっておりますので、財政局としては、厳しく査定することも必要なのでしょうけれども、そこはちょっと大目に見て、その事業をしっかりと支えるという立場で、これからも温かい目で見ていただければありがたいというふうに思うところであります。
もう一つ、
一般財源という部分についてもしっかり考えて、市民に対しても使い方を周知しなければいけないのかなと思います。
今、国からも、
一般財源であるたばこ税を使った分煙対策を推進すべきという通達が出されております。全国的にもそうしたものを使った分煙対策が行われている自治体も増えてきております。札幌市に対しても、そういうものをこれから
関係部局に求めていきたいなというふうに思っているところでありますし、やはり、税金をどのように有効に使っていくか、そういう観点で今後の財政局のお仕事をしっかりやっていただければありがたいというふうに申し上げて、質問を終わらせていただきます。
◆福田浩太郎 委員 私からは、入札契約制度のうち、複数年契約している委託業務のスライド制度について質問をさせていただきたいと思います。
札幌市の市有施設維持管理業務をはじめとして、多くの業務が委託により実施されていると思います。
それら委託業務は、その多くが単年度契約でありますが、複数年度にわたる契約を締結することにより、経営や雇用の安定化が図られ、安定的な役務の提供の確保に資すると考えられる業務については、3年や4年といった期間、複数年契約を締結しているものもあると思います。
昨今、物価の高騰や人件費の大幅な上昇、さらに人手不足が深刻化している状況があり、
民間企業においては、価格転嫁が課題となっているなど、市内の事業者の経営環境は厳しいものとなっているところであります。
また、労働者にとっても、物価の高騰は家計を圧迫するなど、生活が苦しくなってきていると思います。
札幌市においては、複数年契約を締結している清掃や警備といった労働集約型の委託業務について、企業の人件費を生み出す環境を整えながら人材を確保し、業務に従事する者の適正な労働環境を確保するという観点から、スライド制度を令和2年度から試行的に導入し、毎年のように大幅に上昇している人件費に対応できるような仕組みとしていたことと記憶をしております。
そこでまず、確認ですが、管財部で集約している清掃、警備等の委託業務の契約について、スライド制度がどの程度適用され、契約金額が変更されているのか、現状をお伺いいたします。
◎北川 管財部長 複数年契約をしております委託業務のスライド制度についてお答えいたします。
本市の役務契約におきまして、業務従事者の賃金水準となる労務単価の変動に伴い契約金額を変更するスライド制度につきましては、令和2年10月1日以降に履行開始となる案件から適用を開始いたしまして、長期継続契約により複数年にわたり契約を締結している建物の清掃、警備、ボイラー等設備運転、監視等及び電話交換業務を対象としてございます。
履行開始12か月経過後からスライド制度に基づく契約金額の変更請求が可能となっておりまして、令和3年度以降、スライド制度を適用して契約金額の増額変更をしてきているところでございます。
管財部で契約手続を集約している案件について、令和3年度は37件中30件、令和4年度は85件中75件、令和5年度は95件中87件の合計217件中192件が金額変更をしておりまして、累計で約88%、直近の令和5年度で見ますと、約92%の契約においてスライド制度により契約金額の増額変更をしているところでございます。
◆福田浩太郎 委員 ただいまご答弁をいただきましたが、清掃や警備などの複数年にわたり契約を締結している市有施設維持管理業務については、大部分がスライド制度を適用して契約額を変更しているといった状況にあるということでありました。
また、指定管理制度により運営をしております市の施設につきましても、来年度、令和6年度からスライド制度と同様のものを導入する予定だというふうに伺ってもおります。
現在、試行的に実施をしているスライド制度は、適用の割合が極めて高いことからも、人件費の上昇に対する有効な制度として機能しているのではないかと評価をするところでもございます。
しかしながら、同じように複数年で契約を締結している、例えば環境局が発注している選別センターの運転業務であるとか、また、下水道河川局が発注をしております下水処理施設の運転管理業務については、人件費の上昇を反映するスライド制度は導入されておりません。
これらの業務を受託している事業者においても、当然、人件費負担が年々増加してきておりますので、事業者の負担が厳しい状況に置かれているのではないか、そして、それが業務に従事する方々に悪影響を及ぼすのではないかという問題意識を持っているところであります。
委託をしても、業務に従事する方がいなければ、施設の運転も行うことができませんし、これらインフラ施設の運転ができなければ、市民生活にも影響が出ることにもなるわけでございます。
そこで、再質問ですが、これら選別センターや下水処理の施設の運転管理業務にスライド制度が導入されていない現状を踏まえ、人件費が上昇する状況が今後も続いた場合、受託している事業者の過度の負担とならないような契約方法や制度を導入することが必要ではないかと考えますが、どのようにお考えか、お尋ねいたします。
◎北川 管財部長 運転管理業務等への新たな契約方法や制度の導入についてお答えをいたします。
個別の業務の契約に当たりましては、それぞれの施設の今後の運営の在り方や契約方法、予算などについて、まず、所管部局での検討が必要となるものと考えておりますが、管財部といたしましても、スライド制度の対象となっていないが、特に人件費比率が高く、複数年契約を行っている委託業務については、人件費の上昇を適切に反映させることで、安定的に業務を履行していただくことの重要性について認識しているところでございます。
運転管理業務の契約について所管部局に状況を確認したところでは、業務によって契約方法や積算方法が異なっており、現時点では、管財部で既に運用しておりますスライド制度をそのまま適用するということは難しいのではないかと思われるところでございます。
このため、これら施設の運転管理業務等の契約に当たりましては、人件費の上昇が受託者に過度の負担とならないようにする観点から、例えば、単価設定を含めた積算の仕方であるとか契約変更時の手法など、これまでのスライド制度の経験を踏まえてどういった対応が可能か、管財部としても所管部局と一緒に検討してまいりたいと考えてございます。
◆福田浩太郎 委員 現状、管財部として様々聞き取りながら、どういったところが課題なのか、全てがそうした対象になるのか、積算方法の課題であるとか、そういった現状の認識は理解をいたしました。ただ、そうしたことを踏まえて、しっかり考えていくという前向きな答弁であるというふうに理解をいたします。
人件費が上昇をしていく中、どのようにそれを適正に契約に反映できるのか、事業者に過度に負担させないような契約としていくことは、安定した施設運営に欠かせない視点と考えます。特に、こういったインフラ施設の運営は止めることができない重要なものであり、継続した運営のためにも従事者の確保は大切であります。
まずは、所管部局でどう契約をしていくのかということを検討していくことはもちろん重要でありますが、契約制度の所管であり、現在、清掃、警備などでスライド制度を運用している管財部もしっかりと関わって、選別センターや下水処理施設の契約が事業者にとっても、そこで働く労働者にとってもよりよいものとなるよう、市の制度として改善ができないか、所管部局と一緒に取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。
◆
ふじわら広昭 委員 私は、入札制度について、5項目質問いたします。
1項目めは、雪対策事業の大雪等応援業務に伴う評価方法の見直しについて、2項目めは、工期余裕期間制度、フレックス工期の拡大について、3項目めは、総合評価落札方式における評価項目について、4項目めは、市況連動型失格判断基準の施行中止について、5項目めは、総合評価落札方式の活用と拡大についてです。
指摘事項や要望は、最後の質問、答弁をいただいた後に一括して申し上げたいと思います。
最初は、1項目めの雪対策事業の大雪等応援業務に伴う評価方法の見直しについてです。
質問の1点目は、評価方法の見直しの検討状況についてです。
札幌市は、2021年12月以降の大雪に対し、翌年1月下旬から、関係団体、関係機関へ除排雪作業及び雪堆積管理作業の応援要請を行いました。
その後、同年7月に応援作業に従事した企業を表彰し、さらには12月に同企業に対して総合評価落札方式において新たな加点をすることを決定し、2023年1月1日以降に公示する公共工事から運用することを決定しております。
この改正により、従来の評価点と全く異なる加点方式となったことから、関係団体及び関係企業の中からも、札幌市の対応について公平性に欠けるといった疑問の声が多数、私どもの会派に寄せられてまいりました。
私は、昨年の決算特別委員会でこの問題を取り上げ、次の点を指摘、質問をしました。
さきの大雪対応表彰は、明確な表彰基準もなく、さらに総合評価落札方式の落札方法の評価項目に加える改正は公正性に欠けていること、また、大雪の応援作業には対価が支払われ、同じ区から応援した企業は受賞の対象外とするなど整合性にも欠けていることなどを指摘し、今後、今回の基準を見直さなければ、マルチ除雪事業から撤退する企業が出るおそれがあり、今後の札幌市の除排雪事業の根幹を揺るがす要因になる可能性があり、早急に評価項目と適用期間について見直すことを質問しました。
これに対して、管財部長から、雪対策室と協議をしながら適切に判断したいとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、その後、雪対策室及び関係団体などとどのように協議をし、どのような見直しを考えているのか、伺いたいと思います。
◎北川 管財部長 雪対策室及び関係団体等との協議と改善についてお答えいたします。
雪対策事業の大雪等応援業務に係る表彰の取扱いにつきましては、雪対策室において、除雪事業協会と協議を重ねてきたほか、関係団体等との定例会などの場における意見交換を通じて、今後の大雪等応援業務表彰の在り方について検討を進めていると伺っているところでございます。
こうした検討の中で一定の検討結果が出た場合は、雪対策室と協議の上、今後の取扱いについて適切に判断してまいりたいと考えているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 除雪事業協会は、こうした措置に対して、公示直後から様々な意見があることから、その後、全協会員に対してアンケート調査を実施しております。
その結果、大雪時の応援に伴う総合評価落札方式の加点があると、企業同士の配慮が働くなど、逆に応援を自重することにつながることになるとして、除雪事業協会の総意として、その廃止を求めたと聞いております。
そこで、質問します。
私は、今後の札幌市の除排雪事業の根幹を揺るがす要因となる可能性があるとして、これまでも見直しを求めてきましたが、今回、その改善の方向は一定の理解をするところでありますけれども、除雪事業協会の総意として求めているものであり、これ以上、多くの除雪に従事する方々や関係者に不安と混乱を招かないよう、大雪時応援業務に関わる表彰及び加点については早急に廃止すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎北川 管財部長 大雪時応援業務に係る表彰への加点の早急な廃止についてお答えしたいと思います。
この表彰制度は令和5年1月から運用を開始し、まだ間もないことや、既に表彰の対象となった企業も存在するといったことから、直ちに廃止することは困難ではないかと考えるところでありますが、現在、雪対策室にて検討を進めているところでございまして、これらの点を踏まえまして、適切に判断をしてまいりたいと考えてございます。
◆
ふじわら広昭 委員 次は、2項目めの余裕期間制度、フレックス工期の拡大について伺います。
質問の1点目は、フレックス工期の取組状況についてです。
この制度は、発注者があらかじめ設定した全体工期内で、受注者が工事の始期と終期を選択して契約を締結できる制度です。
この制度のメリットとしては、一つには、柔軟な工期設定などを通じて、受注者に技能労働者や建設資材などの確保を計画的に準備するなどの時間的な余裕が生じること、二つ目には、受注者が自ら工期を設定することにより、効率的で円滑な施工が可能となることなどが挙げられます。
このようなメリットがあるため、国や多くの自治体ではこの制度を適用しており、北海道においては、2016年から本格的に運用を始めております。
札幌市においても、2018年から当該制度を試行的に導入しております。
そこで、質問ですが、札幌市が当該制度を試行的に導入してから約6年が経過しますが、この間における当該制度の適用件数と、発注工事全体に占める割合について伺います。
◎釜石 工事管理室長 これまでの余裕期間制度を適用した件数と発注工事全体に占める割合についてお答え申し上げます。
なお、数字につきましては市長部局におけるものとし、割合は小数点以下を四捨五入した数値としております。
制度を開始いたしました平成30年度は10件で、全体に占める割合は1%、令和元年度は105件で、全体に占める割合は12%、令和2年度は153件で、全体に占める割合は17%、令和3年度は199件で、全体に占める割合は25%、令和4年度は191件で、全体に占める割合は22%でございます。
令和5年度につきましては、新たな適用工種の拡大を図り、試行を継続しているところでありまして、12月末時点におきまして233件、全体に占める割合は26%となっております。
◆
ふじわら広昭 委員 今、答弁がありましたように、札幌市におけるフレックス工期の適用件数はまだまだ少ない状況にあると思います。その実施比率は、北海道に比べても低い状況となっております。
令和4年度の札幌市の状況を調べてみました。札幌市では、各区の土木センターが発注する工事と建設局土木部工事課が発注する工事があります。令和4年度の土木部発注工事件数は105件中9件、区の発注状況では同年度216件中109件と、全体の3分の1しかないわけであります。
こうした状況をしっかりと改善をしていかなければ、年々確保が難しくなっております建設の技術者の方々の対応ができなくなると思うわけであります。
そこで、質問の2点目は、フレックス工期の拡大についてですが、このフレックス工期につきましては、先ほど述べましたメリットに加えて、早期発注工事への対応に関する利点もあります。ここ数年、早期発注工事の件数が増加する中で、年度末に竣工する工事と早期発注工事の工期が重複するケースが増えておりますが、この制度を適用することで、同一技術者などを両方の工事に配置することが可能となるため、人材の確保や適正な配置、円滑な施行などの面で効果が大きいと思います。
このように、フレックス工期につきましては、企業にとっても大きなメリットがありますので、札幌市においても、早期発注分を含め、早急に本格実施をすべきと思います。
そこで、質問ですが、札幌市においても、特別な事情がある場合を除いて、発注工事全体にフレックス工期を適用すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎釜石 工事管理室長 発注工事全体に余裕期間制度を適用すべきとのご質問にお答えいたします。
余裕期間制度につきましては、技術者の配置のほか、資機材の計画的な確保にも効果を発揮するものと理解しているところでございます。このため、地域からの要望や、複数の工種で工事工程がふくそうし、供用開始が決まっているような工期に制約がある工事や、除雪の体制が本格化する期間に係る道路工事など、余裕期間制度の適用が困難な場合を除きまして、引き続き有効に活用してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 例えば、札幌市が今年1月31日に公表した早期発注が67件ありますけれども、この中で1億円から2億5,000万円未満の件数を見てみますと、総件数40件中、フレックス工期に該当するものは2件しかないわけです。やはり、早期発注の関係では、今も2月から3月上旬に終わる工事もありますけれども、こうしたことを幅広く運用拡大することによって、技術者を有効に活用していくと。応札してくるところも、やっぱり、そういうことを十分考えて応札してくるので、要望の中でも申し上げますけれども、しっかりとした本格実施の拡大を求めていきたいというふうに思います。
次は、3項目め、総合評価落札方式における評価項目について3点伺います。
質問の1点目は、配置予定技術者の評価の見直しについてです。
私は、2021年の決算特別委員会と2022年の
予算特別委員会において、総合評価落札方式における監理技術者と現場代理人に係る配置予定技術者の評価の見直しについて質問しました。
ご承知のとおり、監理技術者は下請契約の請負代金総額が4,500万円以上になる場合に当該工事現場に専任で配置される技術者であり、監理技術者になるためには、国家試験の1級資格を取得するほか、学歴や実績に関する要件を満たしている必要があります。
札幌市における総合評価落札方式のうち、実績評価1型・2型の技術評価における配置予定技術者の評価については、監理技術者の従事経験者の配点は、実績評価1型で2.5点、2型で2.0点に対し、現場代理人のみの従事経験者の配点は1型、2型ともゼロ点となっています。
このため、総合評価落札方式の工事を受注するに当たっては、評価点が高い監理技術者の従事経験者を配置することが有利となるわけですが、近年は、監理技術者の高齢化などによる減少や監理技術者の優位性を踏まえた他社への転籍など、その確保は非常に難しくなっております。
一方、国においては、総合評価落札方式のうち、札幌市の実績評価型に相当する型式であります施工能力評価型については、現場代理人として同一種の工事に2件以上従事した実績がある場合は、現場代理人も監理技術者と同じ評価点とするという措置を取っております。
私が2022年4月の
予算特別委員会において、本件に関して、国や他の自治体における実態について質問したところ、当時の管財部長から、国と同様に現場代理人の経験を技術者として同等に評価している自治体が11都市、札幌市を含め、現場代理人としての経験を同等に評価しない自治体が9都市となっているとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、総合評価落札方式における監理技術者と現場代理人の評価について、その後、国や他の自治体の実態調査を行ったのか否か、行った場合はその結果どうだったのか、まず伺いたいと思います。
◎北川 管財部長 配置予定技術者の評価の見直しについて、監理技術者と現場代理人の評価についての実態調査についてお答えをいたします。
監理技術者と現場代理人の評価について、令和4年に国や政令
指定都市の実態調査を行ったばかりですので、それ以降については調査は行っておりません。
◆
ふじわら広昭 委員 国や他の自治体においては、一定の条件をつけて監理技術者と現場代理人を同等に評価しており、札幌市も同様の措置を取るべきだと考えます。
再質問しますが、2022年の
予算特別委員会において、本件について今後の見直しの方向性について質問したところ、2022年度に実施予定の事業者へのアンケートなどの結果を踏まえつつ検討してまいりたいとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、2022年度に実施した事業者アンケートの結果をどのように分析しているのか、伺います。
また、国などと同様に、一定の条件をつけて現場代理人と監理技術者の評価点を同じにすべきと考えますがいかがか、伺います。
◎北川 管財部長 監理技術者と現場代理人の評価点を同一とすべきといった点についてお答えいたします。
令和4年度に実施をいたしました事業者アンケートの結果を見ますと、配置予定技術者に係る従事経験の評価については、現行、主任技術者としての従事経験と現場代理人としての従事経験を別に評価していることについて、現状のままでいいと回答した者は121社で、回答者全体の50.4%でございました。
一方で、主任技術者または現場代理人の従事経験を同等に評価する仕組みのほうがよいと回答した者は109社で、回答者全体の45.4%でございました。
このため、現状のままでよいとする回答者が過半数を超えていることから、積極的に評価点を同一にする理由に乏しいことにより、本評価項目を見直ししないということに決めたものでございます。
ただし、今後につきましては、業界団体等の意見や人手不足の状況などを踏まえながら、慎重に検討してまいりたいと考えているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 アンケート調査の資料をいただいておりますけれども、やはり問題は、対象の企業数が、例えば工事関係では555社があるわけです。回答者数は240社で、回答率は43.2%、
その他、測量、設計を含めて876社が対象となっておりますけれども、回答者数は349社で、回答率は平均で39.8%と。やはり、50%を切っているような評価は、このようなことで判断をしては間違いになるというふうに思います。少なくとも65%以上の回答率がある中で判断をしていかなければ適切な判断ができないと私は思います。
二つ目の問題は、121社がそのままでよい、109社は変えたほうがいいということでありますけれども、やはり、A1からA2、B、Cの各等級をトータルした数字であるわけであります。ですから、やはり、こういうアンケートをするのであれば、しっかりと当該業者に該当する項目を設定して調査しなければ、こうした調査は評価に値しないというふうに申し上げておきたいというふうに思います。
次に、質問の2点目は、配置予定技術者の評価項目への継続教育、CPDの取組などの追加についてです。
総合評価落札方式の本格実施により、2004年度の早期発注工事から、成績評価項目に係る配点の見直しにより、これまでの6段階の評価区分を廃止し、工事の成績点や企業の工事成績の平均点などを基に、無段階インセンティブにより評価することで企業間の点数に連続的な差がつくようになりました。
企業は、技術評価点を上げるために、工事の品質を確保することはもとより、安全で、環境などに配慮して施工を行うことで優秀な工事成績点を収め、結果として工事表彰の受賞につながります。
また、優秀な工事成績を収めるためには、現場で施工管理を行う技術者の技術の向上が何より必要であるため、技術者の資格の取得や技術者としての専門的能力を維持・向上させるため、定期的に講習会を受講するなどの継続教育、いわゆるCPDへの企業のサポートと技術者本人の自己研さんの努力が必要不可欠であります。
工事に関する総合評価落札方式には八つの型式がありますが、企業の工事成績、企業の工事表彰回数、CPDの取組を技術評価項目としている型式は、企業の工事表彰回数については、計画審査型、実績1型及び2型の3型式であり、継続教育、CPDの取組については、計画審査型、実績1型、人材育成の3型式で、そのほかの型式では技術評価項目として定められておらず、企業の努力が報われるような取組となっておりません。
そこで、質問ですが、企業の努力に報いて、さらに技術評価点の差別化を図るべく、工事表彰回数や継続教育、CPDの取組を技術評価項目としてほかの型式にも加えるべきと考えますがいかがか、伺います。
◎北川 管財部長 配置予定技術者の評価項目への継続教育の取組等の追加についてお答えいたします。
過去5年間の本市工事表彰回数につきましては、工事の成果に着目いたしまして、高い品質確保に特に重点を置く型式を対象として設定を行っているところでございます。
一方で、継続教育の取組状況につきましては、継続教育に取り組み、最新技術を継続的に習得し、資質向上や自己研さんに努める技術者を評価するものであり、企業の人材育成に着目いたしまして、高い技術力を求める型式のほか、人材の確保、育成を目的とした型式を対象に設定を行っているところでございます。
いずれの評価項目も評価対象者は限られてくることから、より広く入札参加者を募ることが求められる競争入札において、その必要性が特に高い型式に限って設定を行っているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 品確法に基づいて、これからの公共工事をしっかり担っていかなければいけないわけですけれども、やはり、しっかりとした継続教育をして、いいものをつくっていく、そうした努力をしている企業をしっかり評価をすると同時に、全ての総合評価の型式にこうしたものを入れて、そうした取り組もうとしている企業を促していくとか、そういうことをしていかなければいけないと思います。
調べてみましたけれども、CPDを取り入れている評価する項目の団体としては、全国的な組織は8団体ありまして、例えば、公益社団法人土木学会、公益社団法人日本建築士会連合会とか、こうした名立たるところがこうしたものを取り入れて、加盟企業のレベルアップ、いいものをつくろうという取組でありますので、ぜひともこうしたことを重く受け止めていただきたいと思います。
質問の3点目は、市内企業活用の施工計画に関する項目についてです。
札幌市の総合評価落札方式における評価項目には、市内企業活用の施工計画に関する項目があり、元請と1次下請の施工額の合計のうち、市内企業の施工額が占める比率が高いほど優位な配点となる仕組みとなっています。
私は、これまでも予算・決算特別委員会において、工事の告示段階で入札参加資格として元請は市内事業者であることを条件づけしているのに、さらに1次下請に市内企業活用に関する評価項目を設ける必要がないのではないかと指摘をしたところです。
そもそも、下請企業の選択は、あくまでも受注者が決定する事項であり、発注者が関与すべきではないと考えます。
他都市での例では、下請の地元企業の活用などについては、工事請負業者に文書を送付して、下請施工する場合や、資材、機械の購入などをする場合は、できる限り地元企業を活用するよう配慮してくださいと、あくまでもお願いベースのものとなっており、これが発注者としての適切な対応ではないかと思います。
また、市内企業を1次下請として選定する場合の問題点として、対象工事によっては、施工できる市内企業がほとんど、あるいは全くない場合があります。具体的には、下水道や水道の大きな管を敷設する推進工事を行える企業は札幌市内で二、三社しかおらず、また、橋梁工事において、発注者側が工法を指定する場合は道外の企業しかその取扱いができないなどの事例があるわけであります。
このような場合には、1次下請として、市内企業の現場責任者のみ雇用する事例が多い状況にありますが、その結果、施工能力がある道外企業などと直接契約する場合と比較をして二重の経費増になっている実態もあるわけであります。
昨年の
予算特別委員会において、私は、市内企業活用の施工計画については評価項目から削除するべきと質問したのに対し、札幌市から、この項目は事案に応じて適用除外できる任意項目であるため、市内事業で十分に確保される見込みのない案件について、評価項目から除外することが可能であること、また、事業者アンケート結果では、事案に応じて評価項目とする運用を希望する意見が多いことから、今後さらに検討を進めつつ、評価項目の在り方について適切に判断していきたいとの答弁がありました。
また、昨年の決算特別委員会では、札幌市から、この評価項目の活用により技術力を重視する工種において、中小企業の受注機会の確保が図られるとともに、市内における円滑な施工管理や災害対応などにも一定の効果が期待される、また、品質確保にもつながるものと認識していることから、今後も適切に判断していくとの答弁がありました。
これまでの入札において、当該施工計画を任意項目としながら、特殊な工事を含めて、ほとんどの工事で市内企業活用計画の評価を問う告示内容としているなど、技術評価項目の判定がきちんとされていない実態にあります。
また、本来、発注者であります札幌市が主体的に決定すべき入札に関する評価項目にもかかわらず、事業者アンケートの結果を運用して、さらに道外企業しか対応できないような場合が多いにもかかわらず、市内中小企業の受注機会の確保が図られ、品質確保にもつながると認識しているなど、企業の実態を十分に把握していないと言わざるを得ません。
そこで、質問ですが、市内企業活用の施工計画については、これまでの答弁では、今後も適切に判断をしていくとしていますが、企業の実態について課題を指摘しましたが、これまで一向に検討する姿勢も伺えず、改善が見られませんが、このことに対して今後も同様のような考えなのか、伺いたいと思います。
◎北川 管財部長 市内企業活用の施工計画に対する今後の考え方についてお答えいたします。
この評価項目は、市内企業を中心とした施工計画を組むことによりまして、円滑な施工管理や緊急時の対応等が期待され、品質確保につながること、また、本市では従前より市内企業の受注機会の確保等に取り組んでおりまして、地域経済活性化の推進に資するものと考えているところでございます。
したがいまして、基本的には、この考え方に基づきまして、今後も適切に運用してまいりたいと考えているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 これまでの札幌市の発注状況を私なりに調べてみましたけれども、やはり、特記仕様書で、特殊な工法をしているにもかかわらず、任意事項を除外していないというものがたくさんあるのです。ですから、管財部がしっかりチェックしていない、発注部がそういうミスを犯していることをチェックしていないということを指摘しておきたいと考えております。
先ほども申し上げましたけれども、工事の入札において、元請は市内事業者であることと条件をつけておりますけれども、元請は、通常であれば、工事施工計画の総合的な企画を行い、工事全体の工程管理、品質管理、安全管理、経済性など、総合的に判断をして、元請の自由裁量で1次下請、2次下請の選定をしていると思います。
下請も同様な役割で、一定の資格、経験を有する技術者の配置が必要となることから、工種によっては、市内企業に限らず、道内、道外企業に下請をお願いする場合があります。しかし、1次下請企業の選定に発注者が市内企業活用計画の評価項目をつけていることから、道内、道外の企業が下請になっている場合には、幾ら高い技術力を有していたとしても、札幌市の発注工事において、これらの企業については、1次下請ではなく、2次下請または3次下請でなければ使用することが難しい構図にあるわけであります。
さらに、入札時には、評価項目の市内活用の施工計画に関する書類として、市内企業の施工比率について誓約する旨の書類を提出することになっています。
また、工事竣工時には、下請業者一覧表に市内業者の施工金額を記載し、施工計画における下請比率が達成したか、未達成かの報告を求め、未達成であれば、工事成績評定から3点減点することになっております。この減点の3点は、工事で物損事故を起こしたときに匹敵するくらいの非常に大きな点数であります。
このように、札幌市は、下請業者の選定という、本来、企業が様々な取引の中で自由裁量で行う範囲のものまで制約する事項をつけている状況にあります。
私は、発注者であります札幌市が受注者に対して市内企業を1次下請として選定することを促す当該制度に問題がないかどうか、再度、調査、確認したところであります。
公正取引委員会の資料を見ますと、建設工事の受注に対する地元事業者の下請の利用の義務づけについての見解が示されております。それによれば、発注者が競争入札の実施に当たって一定の条件をつけること自体は独禁法上の問題はないが、一般的な要請を超えて受注者に対して下請発生時に利用を義務づけることは、受注者の自由な事業活動を制限することになるほか、地元業者以外の事業者との競争が失われることにより地元業者の競争力を弱め、かえって地元業者の健全な育成を阻害するおそれがあるというふうに記されているわけであります。
札幌市における当該施工計画の場合、厳密な意味では、市内企業利用の義務づけではなく、技術評価点の加点により市内企業の利用を促すものでありますが、入札時には誓約書を提出させ、未達成時には減点するという行為は、自主的に、義務づけに極めて近いものであるため、公正取引委員会の見解は当該制度にも当てはまるものと考えます。
そこで、石川副市長に質問をいたしますが、下請事業者の選定について、一定の条件をつけること自体は独禁法上の問題がないかもしれませんが、当該施工計画については、公正取引委員会の見解によるところの受注者の自由な事業活動を制限するものであり、市内企業の健全な育成を阻害するおそれがあることから、公共事業である評価項目に取り入れるべきでないと考えます。
したがって、市内企業活用の評価項目については速やかに削除する措置を取るべきと考えますが、改めて札幌市の考え方を伺います。
◎石川 副市長 市内企業活用の施工計画の考え方につきましては、先ほど来、管財部長からご答弁を申し上げているとおりでありますけれども、実態として不適切な案件があった場合には是正が必要だと考えておりますので、今後、発注部局に実態を確認してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 その辺の確認をしていただきたいというふうに思います。
次に、4項目めとして、市況連動型失格判断基準の試行中止について伺います。
札幌市財政局では、工事入札におけるくじ引対策の新たな手法として、2024年度から、適切に利益が計上された健全な価格での競争が可能となるようにとの理念の下に、市況連動型失格判断基準を設け、試行しています。
財政局作成の資料によりますと、この手法は、当日の入札結果から統計的手法を用いることで発注する工事の相場価格として妥当な範囲を推定するものであり、企業に対しては、自社の経営状況などを踏まえて、工事の施行に必要な建設資機材の調達価格や人件費など、安定的な経営に必要となる利益をしっかり積み上げた価格で入札するよう促しています。
この手法によりますと、くじ引入札が減少することは想定できますが、その一方で、市況連動型失格判断基準は、入札参加者数や入札価格の分布状況に基づいて算定されるものであるため、入札に参加する企業は、採算性を考慮した上で、その基準値を数当てゲームのように想定することを余儀なくされていることになります。
このため、本来の適正な予定価格を算出する企業の努力や技術が反映されず、結果的に工事の受注が困難となり、企業の存続に大きな影響が生じるものと言えます。
私どもの会派にも、市況連動型失格判断基準に関して、業界関係者から様々な意見が寄せられております。
一例として、結論的には推定で基準値をいかに当てるかという入札となり、利益を積み上げた理想の積算には程遠い、誤った計算、違算、意図的な価格操作があった場合は失格判断基準の決定に反映されるなど、信憑性に欠ける方式である、積算額算出も複雑化し積算担当者の負荷が多すぎる、企業評価、技術者評価を上げる努力をしていることが報われない、会社経営の見通しが全く立たないなどの声が寄せられております。
このように、問題点を指摘する声が多いにもかかわらず、当基準を用いた案件は、昨年から今年にかけて対象工事の範囲を拡大しながら試行が続けられており、新年度においても本年度と同様に13件の工事を対象として試行実施する予定となっております。
そこで、質問ですが、この市況連動型失格判断基準は、これまでも再三にわたり申し上げてきましたが、適正な予定価格を算出する企業の努力や技術が反映されないため、これ以上継続することは、業界の混乱を招き、企業の存続に大きな影響を与えることから、新年度以降の試行を中止すべきと考えますがいかがか、伺います。
◎北川 管財部長 市況連動型失格判断基準の試行導入の中止についてお答えいたします。
令和5年度の試行結果を見ますと、落札率につきましては、従来の最低制限価格を下回った案件は一つもなく、平均して約1%を上回る結果となっておりまして、制度の狙いとしております最低制限価格に縛られない入札という点について、一定の成果を得られたものとは考えてございます。
令和5年度の試行結果につきましては、今年1月に開催された令和5年度第2回入札・契約等審議委員会におきまして、13件中4件の抽出工事を選定し、ご審議をいただいたところ、委員より二つの課題点についてご意見をいただいたところでございます。
一つ目は、金額のばらつきが大きくなる場合、従来の最低制限価格を下回る場合も理論上あり得るといったこと、二つ目は、最低制限価格より少し高めの入札金額と予定価格付近の入札金額の二極化が見られる傾向があり、相場価格を正しく反映することが難しくなる可能性もあることについてご意見をいただいているところでございます。
令和6年度の試行実施に当たりましては、これらの課題についての検証を進めるとともに、業界団体や入札参加者等からの意見聴取なども参考としながら、継続の可否を判断してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 入札・契約等審議委員会のご意見等は否定いたしませんけれども、前段の部長の答弁というのは、やっぱり、自分たちに都合のいい解釈をするためのものであって、事業者からはそうした評価は得ていないわけですね。
ですから、もし本当にそうだとすれば、事業者アンケートを令和4年度にやったように、事業者にアンケート調査をして、どっちが多いのかをちゃんと判断してやるべきだというふうに思います。
このことは指摘をしておきたいと思います。
最後の5項目めは、総合評価落札方式の活用と拡大について5点伺います。
質問の1点目は、計画審査型についてです。
私は、これまで、議会において、札幌市発注工事に関わる品質確保やくじ引入札の低減、さらには、技術力の高い企業や地域に貢献している企業の受注確保の観点から、総合評価落札方式の拡大について、再三にわたり質問、要望を行ってきましたが、延々として進んでいないのが現状であります。
札幌市は、総合評価落札方式の拡大に慎重な理由の一つとして、技術力の成績などの上位者に限った受注の偏りにつながることを挙げています。
私は、札幌市が懸念している受注の偏りを抑制するための方策としては、総合評価落札方式における各種型式を有効活用し、拡大することで、多くの企業が受注機会を得られると考えており、この点について、昨年の決算特別委員会において質問をしましたが、改めて質問をいたします。
札幌市発注工事における総合評価落札方式については、札幌市工事等総合評価落札方式施行要綱においては、計画審査型、実績評価1型及び実績評価2型、人材確保・育成型、地域貢献1型及び地域貢献2型、一括審査1型及び一括審査2型の計8種類の型式がありますが、これまで、計画審査型以外の型式で、発注件数は少ないながらも、その実施によって、工事の品質確保とともに企業の安定受注につながっているものと考えます。
一方、計画審査型は、入札者の施工計画、施工能力及び地域貢献などと入札価格を一体として評価する仕組みとなっており、企業の総合的な評価が最大限発揮されることにより、高い品質確保が得られることから、国などの総合評価落札方式においても積極的に実施をしているところです。
私は、これまでも、札幌市が国や北海道などにおける入札方法及び取扱いに違いがあることを指摘しましたが、総合評価落札方式施行要綱においてもきちんと位置づけられている計画審査型が、過去に実施していたにもかかわらず、ある時点から全くその活用がされていない状況にあります。
そこで、質問の1点目ですが、総合評価落札方式の計画審査型については、過去の一時期に実施されていましたが、その結果についてどのように評価をしたのか、伺います。
また、なぜその後は活用されない状況となったのか、その理由について併せて伺いたいと思います。
◎北川 管財部長 計画審査型の評価及び活用されない理由についてお答えいたします。
工事の総合評価落札方式は、平成18年度から導入を行ったものでありますが、施工計画などを評価項目とする型式は平成18年当初に簡易型として導入し、平成27年度から計画審査型に変更して、最上位等級を対象として設定されているところでございます。
計画審査型の課題としましては、本市発注工事では一般的な工事が多く、特に工夫を要する施工計画が必要な工事が少ないこと、また、書類作成など、入札参加者や発注者の事務負担が大きいことなどが挙げられております。
また、計画審査型は安全対策や地域特性などに技術提案を求めることが適当な工事が該当いたしますが、近年、計画審査型を活用した案件はなかったところでございます。
今後につきましても、この型式にふさわしい工事があれば活用してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 札幌市は、入札不調の中で、やはり、交通量が多いなどの問題点があって、管財部が必要な警備員とか必要なものを十分見ていないために入札不調になっている要素が過去にもたくさんありました。少しは改善されてきておりますけれども、こういう大都市ならではのそうした工事に対して、これをしっかり適用していくことを考えていかなければ、先ほどの質問にもありましたような入札不調にもつながっていくことになりますので、このことは指摘をしておきたいと思います。
総合評価落札方式施行要綱の技術評価項目配点表では、計画審査型と実績評価1型では、それぞれ企業の評価、配置技術者評価、地域貢献などの評価は同じ評価であり、これに施工計画の評価を加えたのが計画審査型であります。
その評価項目の内容を述べますと、一つ目は、施工計画の実施手順の妥当性として、工事の手順が適切で、安全対策などの工夫が見られるかどうか、二つ目は、工期設定の適切性として、各工程の工期が適切で工期短縮が見られるかどうか、三つ目は、工事材料の品質確認方法及び管理方法の適切性として、現地の環境条件を踏まえて適切であるかどうか、四つ目は、施工上配慮すべき事項が適切であるかどうかであります。
施工計画を評価することは、工事の品質や安全の確保を図る上で、ごく当たり前の評価ではないかと思います。実施手順や品質の確認や安全施工をきちんと行うことで、よりよい完成品ができるとともに、安全対策が十分取られていると工事の事故も発生しないと思います。
こうしたことからも、計画審査型の活用を早急に行うべきだと考えます。
質問の2点目は、計画審査型の意義と発注部局との協議についてです。
先ほど述べましたけれども、昨年の決算特別委員会において、総合評価落札方式における受注の偏りを抑制するための一つの方策としては、各型式の活用を図るべきであり、特に活用事例が少ない計画審査型の活用を図るべきではないかと質問したところ、管財部長から、計画審査型の活用の適否については、工事内容に至る部分があるものの、活用できる案件があれば活用していただくよう発注部局に周知してまいりたいという答弁がありました。
このように、管財部長の答弁は、計画審査型の活用については、どちらかといえば発注部局に判断を委ねるような内容でしたけれども、やはり、この件に関しては、工事の入札を扱う管財部が先ほど述べたように、企業評価が最大限発揮され、品質確保を図れるという当該型式の意義を十分に認識し、発注部局に対して働きかけを行う必要があると考えます。
そこで、質問の2点目ですが、総合評価落札方式における計画審査型の意義についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。
また、計画審査型の活用について、これまで発注部局に具体的にどのような働きかけと協議を行ってきたのか、伺います。
◎北川 管財部長 計画審査型の意義と発注部局との協議についてお答えいたします。
計画審査型につきましては、施工計画の実施手順の妥当性や施工上配慮すべき事項の適切性などの項目が挙げられておりまして、参加者の技術提案を求めることで品質を高めるための新しい技術や施工時の工夫など、価格に加えて価格以外の要素も含めて総合的に評価することができるものと考えてございます。
これまでも、これらの計画審査型の意義を発注部局に伝え、適切に活用するよう周知をしてきたところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 しかし、その実績というか、効果がなかなか見られないわけです。やはり、通り一遍の協議ではなくて、しっかりした協議をやっていただきたいなというふうに思います。
質問の3点目は、総合評価落札方式の目標値についてです。
品確法の趣旨に基づき、国土交通省が総合評価落札方式を積極的に推し進めてきた結果、北海道開発局では全ての工事で実施をされ、北海道全体では4割程度ですが、石狩振興局や空知振興局では約8割の工事で実施されている状況にあります。
一方、札幌市における総合評価落札方式の実施率は、財政局の説明によれば、2022年度で22.4%であり、設定した目標を上回ったとしています。
同じ行政機関でありながら、札幌市においてはまだまだ拡大が進んでいない状況を考えると、札幌市では当該の意義を正しく認識しているのか、甚だ疑問に思っております。
昨年、総合評価落札方式の拡大が進まない最大の理由を質問したところ、札幌市においては、市民に身近な生活道路など、地域に密着した工事の担い手となる市内中小企業者に対し受注機会の確保を図る必要があることから、十分な事務体制や技術を有する企業に有利となる総合評価落札方式ではなく、多様な入札方法の活用を図ってきたことが理由であると答弁をしております。
そこで、3点目の質問ですが、これまで札幌市では、受注企業が偏るなどの理由から、総合評価落札方式ではなく、多様な入札方法の活用を図ってきたことから、総合評価落札方式の実施率は2022年度末で22.4%と低い数値であり、また、昨年12月に策定された
アクションプラン2023における2027年の目標値は25%となっており、5年間で、あと二、三%程度で現状とほとんど変わらない数値目標ですが、25%とした理由について伺いたいと思います。
◎北川 管財部長 総合評価落札方式の数値目標についてお答えをいたします。
アクションプラン2019における工事の総合評価落札方式の数値目標は、当時の状況から、競争入札に占める総合評価落札方式の発注割合を15%から20%に拡大すべく取り組んでまいりました。
今回は、
アクションプラン2023における目標値を25%と設定し、着実な拡大を目指しているところでございます。
一方で、入札参加者アンケートの結果では、総合評価落札方式の拡大に否定的な意見が68.8%と多数であることを踏まえ、慎重な目標設定が必要と判断し、25%を目指すこととしたものでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 またアンケートの状況を取り上げておりますけれども、先ほど申し上げたように、回収率が50%を下回っており、A1からCまでのものをひっくるめた結果を基にしてこうであるという数字は説得性がないというふうに思います。そのことを申し上げておきたいというふうに思います。
質問の4点目は、請負工事の検査項目と目的についてです。
開発局では、2009年度より、全てのランクにおいて規模や難易度に合わせて評価を行い、総合評価落札方式における発注を実施しております。
札幌市の入札参加資格に登録している企業は、同じように開発局や北海道に登録し、入札に参加して工事を行っています。
総合評価落札方式を全ての工事で実施している開発局において、発注金額に多少の違いがありますが、登録等級も札幌市と同じく4等級であり、一般土木の例として、難易度が比較的高く、工事の品質の確保を図れるものはAランク、以下、規模、難易度の小さい工事はB、C、Dとなっております。
また、開発局における総合評価落札方式は、工事の規模や難易度に応じて技術提案評価型と施工能力評価型に大別され、そのうち、特に規模、難易度の小さい工事は施工能力評価型の下位の型式としてB、C、Dランクに位置づけられ、施工計画評価として施工上の課題に関する工夫や施工体制として、品質確保のための施工体制、人員及び材料の確保などを評価するものであります。
札幌市においても、一部の生活道路整備工事の入札には、総合評価落札方式の一括審査型を適用して企業評価などを判断し、評価点と価格で落札者を決定しております。
この生活道路整備工事のように、等級が低くても、開発局と同様に総合評価落札方式で実施されることにより、これまでの価格のみの競争に比べ、中小の事業者の安定した受注機会の確保になると聞いており、こうした声をしっかり把握することが重要でないかと思います。
こうしたことから、企業は、自社の評価である工事の成績点や技術者の成績、資格保有、さらには地域貢献などの技術評価を高める様々な取組を行っております。
また、現在、札幌市の多くの工事で実施されている価格のみによる入札方式から、今後は、国と同様に総合評価落札方式が主流になると考え、それに備えた取組を行っている実態にあります。
一方、札幌市が依然として従来の入札方法を踏襲すれば、公共工事での品質確保という目的が果たされなくなるのではないかと懸念しております。
税金を投入して公共工事を行う以上、その建物の品質が確保されていなければならず、そのためのチェックが必要であります。
そこで、4点目の質問ですが、札幌市の請負工事の検査は何に基づいて実施されているのか、その目的は何か、具体的にどのような項目について検査を実施しているのか、伺います。
また、工事成績評定は、工事請負者に通知し、さらに市政刊行物コーナーの閲覧場所において公表しておりますが、工事成績評定の必要性について、併せて伺います。
◎釜石 工事管理室長 工事の検査が何に基づいて実施されているか、その目的と具体的な項目及び工事成績評定の必要性についてお答えいたします。
初めに、札幌市の工事検査につきましては、地方自治法と札幌市契約規則に基づいて行う給付の完了の確認のほか、公共工事の品質確保の促進に関する法律に基づき、工事の適正な施工確保と技術水準の向上を目的とし、実施しているところでございます。
また、具体的な項目といたしましては、工事の実施状況や品質、出来栄え等を検査しており、例えば、コンクリート工事でありますと、コンクリートの強度、表面のひびや凹凸などを確認しております。
次に、工事成績につきましては、受注者の適正な選定や指導・育成を目的とし、札幌市請負工事成績評定及び通知公表要領に基づき評定を行っており、工事品質の確保、技術水準の向上の観点から重要なものと認識しているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 答弁では、工事の検査の目的は、良質な品質確保を図ることに加え、工事の適正かつ効率的な施工に資すること、さらに、工事成績評定は請負業者の適正な選定及び指導・育成を目的にしているという旨の答弁かと思います。
こうした工事の検査を主に担当する財政局工事管理室は、室長を含め19名体制で、職種ごとに検査担当係長を配置し、厳格に工事検査が行われ、工事の品質確保が図られているとともに、請負者の工事成績評定が総合評価落札方式や成績重視型入札における技術評価として生かされております。しかし、それ以外の価格のみによる一般競争入札においては全く生かされておりません。
私が調べたところ、公表されている一例として、2022年度末の建設局所管発注の土木工種では、最高点が92点で、最下位は67点で、25点の開きがあります。一般的に言いますと、工事評定点でこれだけの差がつくということは、建設物の品質確保の観点からも違いがあるのではないかと考えられます。
札幌市は、総合評価落札方式については、これまで様々な理由を挙げて拡大に否定的であり、特に、計画審査型のようにしっかりとした型式があっても、その活用すら行っていないこと、また、一部の工事で実施されているように、他の機関と同様に、規模や難易度に応じた取組が可能であるにもかかわらず実施が限られていること、そして、工事の評定点が入札時にきちんと反映されていないことは、工事の品質確保を図る上で大きな問題点であると考えます。
最後に、5点目は、石川副市長に、改めて入札制度の方向性について伺いたいと思います。
2023年12月に、これまでの総合評価落札方式試行の結果を踏まえ、公共工事の品質確保やダンピング対策の強化などの視点から制度の改善を図ることと、これをもって総合評価落札方式を、ようやく本格実施することとしております。
こうした一部内容の見直しが行われてきたものの、先ほども申し上げましたが、総合評価落札方式の実施率の目標値は25%となっており、5年間であと二、三%の増加とほぼ現状維持であり、これまで述べてきた入札に関わる諸問題についても積極的な取組が見られません。
札幌市が策定した
アクションプラン2023や建設産業活性化プランにおいても、今後の入札に関する具体的な方向性を展望することはできません。財政局所管の入札制度について、各企業はその方向がどうなるかによって企業経営に大きく影響することから、常にその動向を注視していると思います。
2024年度の工事発注状況では、WTO競争入札を除き、全体で1,164件の発注のうち、総合評価落札方式は273件、全体に占める割合は20%、工事成績を加味する成績重視型は123件で13%、残りの一般競争入札は781件で67%となっております。また、過去4年分についても発注割合は大きな変わりはありません。
これまでの工事発注状況から、今後、総合評価落札方式の実施率は、
アクションプラン2023の目標は25%ですから、ほぼ現状の発注割合で各入札方式が実施されるものと考えられます。
このままですと、企業は幾ら高い工事評定点を取っても、これを生かせるのは総合評価落札方式や成績重視型入札の案件に限られるわけであります。
残りの一般案件の工事については、価格のみの入札であり、しかも、くじ引になる確率が非常に高い状況にあります。
近年は、このような状況から、企業は毎年受注ができるかどうかという不安定な経営状況が続き、必要な設備更新や技術者確保も困難になるなど、今後の見通しが立たなくなるおそれが生じ、建設業としての会社の存続を検討することが必要となってきたとの声を聞いております。
一方、企業の中には、先ほど申し上げましたように、現在、札幌市の多くの工事で実施されている価格のみによる入札方式から、今後は、国と同様に総合評価落札方式が主流になると考え、それに備えた取組を行っている実態もあります。企業は、自社の経営を踏まえ、現状を分析し、今後の在り方を検討していますが、今後、最も重要となる札幌市の入札の方向性が見えない状況であります。
札幌市の企業は、夏の工事、冬の除雪と表裏一体であり、夏の工事の状況が厳しくなれば、当然、冬の除雪は大きく影響を受けることになります。そうした要因もあり、工事発注、いわゆる入札の方向性は、今後の会社の経営や、ひいては札幌経済全体を左右することになることから、今後、各企業が将来展望を判断するためには、はっきりとした入札の方向性が必要であります。
そこで、石川副市長に質問しますが、財政局は、今後の札幌市の工事の入札方式について、
アクションプラン2023による総合評価落札方式の実施目標を25%と定めたことは、成績重視型一般案件についても、これまでと同じ割合程度で実施すると判断したものと考えてよろしいのか、伺いたいと思います。
◎石川 副市長 総合評価落札方式につきましては、先ほど来、管財部長からご答弁を申し上げておりますとおり、これまで着実にその割合を拡大してきたところであります。
それぞれの入札方式の割合につきましては、その時々の発注工事の内容によるところもございますけれども、基本的に、今後も全体的なバランスを配慮した上で、総合評価落札方式の着実な拡大を今後とも図ってまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 再質問いたしますけれども、財政局は、競争入札参加資格登録に関わる事務及び工事に係る契約事務を所管しておりますが、札幌市の公共工事の発注がどうあるべきかについては、当然、財政局と各発注部局の間で十分な協議が行われ、その結果、入札方式などの決定がされているものと考えます。
そこで、再度質問しますけれども、昨今、企業の厳しい状況を鑑みても、今後の札幌市の工事発注を含めた入札方法については、現状を維持することを基本とし、大幅な見直しはしないという考えなのか、改めて、発注部局の考えも含めて見解を伺います。
また、企業が今後の経営判断を行うためにも、先ほどの質問の見解を含め、今後の入札の具体的な方向性についてきちんと示すべきと考えますがいかがか、併せて伺います。
◎石川 副市長 先ほどもご答弁を申し上げましたとおり、札幌市では、これまでも様々な取組を進めてきておりまして、その中では、総合評価落札方式の着実な拡大に取り組んでいるところでございます。
一方で、建設業界でありましたり、発注部局の考え方を踏まえますと、先ほどの管財部長の答弁のアンケートの調査結果などもありますが、地域に密着した工事の担い手となる市内の中小企業に対して受注機会の確保を図る必要もございます。全体のバランスを踏まえますと、多様な入札方式の活用を図っていく必要があるものと認識しております。
いずれにいたしましても、このような考え方につきましては、業界団体等との様々な機会を活用しながら、しっかりと伝えてまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 札幌市が品確法に基づく考え方をしっかりと反映していないと思います。
私は、全てを総合評価にすべきとは言っていません。また、今、総合評価があまり導入されていないランクについても、例えば、1年後にするといっても、様々な条件がそろわないわけですから、少なくとも業界の皆さんと意見交換をしながら、3年後もしくは4年後に段階的にこうしたことを進めていくということをしなければ、当然、理解が得られない、そして、札幌市の発注する建物の品質が確保されていないことにもつながるわけです。
都市名は申し上げませんけれども、私が他都市の状況を調べたところでは、30%台、40%台、60%台という都市が存在しているわけでありますので、建設業界の状況が札幌と同じだとは申しませんけれども、今後、こうした状況を踏まえて対応していただきたいと思います。
最後に、一括して、全ての質問に対する意見、指摘事項などを申し上げておきたいと思います。
雪対策事業の大雪対策業務に伴う評価項目の見直しについて、大雪対応表彰は、明確な表彰基準もなく、さらに総合評価落札方式の評価項目に加えることの改正は公正性に欠けております。これは、1回の除雪応援で表彰を受けると、公共工事で5年間、その優位性を発揮できる状況にあります。マルチ除雪及び雪堆積場に関わる企業は、何十年の従事経験があっても、優秀な成績が伴わなければ表彰の対象となりません。大雪の応援での加点により、逆にマルチ企業間のあつれきや対価を得ての応援、表彰そのものの妥当性がなく、発注者である札幌市の信頼性が大きく揺らいでおります。
今後の札幌市の除排雪事業の根幹を揺るがすことのないよう、さらに23マルチ、225社の総意としての意見、要望、申出を真摯に受け止めて、早急に大雪に関わる表彰及び適用期間の廃止を強く求めておきます。
余裕期間制度の拡大については、札幌市が当該制度を試行導入してから6年が経過し、まだまだ適用件数が少ないことから、今後は、特別な事情がない限り、より積極的にフレックス工期の適用を進めていくべきだと思います。
総合評価落札方式における評価項目については、配置予定者の評価の見直しについて、開発局は、同種性の高い工事条件において、監理技術者、特例監理技術者、または現場代理人として従事したことがある者として、一定の工事従事条件をそのまま評価として、監理技術者と現場代理人と同等の扱いをしております。
このことは、監理技術者だけに縛ることで、多くの工事で人手不足を招き、さらに工事の遂行ができない不測の事態を招くおそれがあり、総合評価落札方式を導入した平成16年度より、一定の条件を満たした技術者を評価するものであります。
したがいまして、札幌市においても、国と同様に現場代理人に一定の条件を付し、管理者と同等の評価をすることを求めます。
配置予定技術者の評価項目への継続教育、CPDの取組の追加については、計画審査型、実績評価1型、人材育成の3型式でしか実施されていないので、これらをしっかり拡大していくことを求めておきたいと思います。
市内企業活用の施工計画に関する項目については、公正取引委員会の受注者の自由な事業活動を制限し、市内企業の健全な育成を阻害するという見解についても、札幌市で問題がないとするならば、札幌市は建設業企業の育成が重要であると発言、発信してきておりますけれども、そうした考えとは全く相違していることになると申し上げておきたいと思います。
同時に、この件については、公正取引委員会の見解をはじめ、建設業法第19条の3の、発注者が受注者の選定を背景に、受注者を経済的に不当に圧迫するような取引などにつながる地位の不当利用に当たらないか、よく検討すべきであるということを申し上げておきたいと思います。
4番目の市況連動型については、あらゆる姿勢が見られないという非常に残念なことでありますので、ぜひともアンケート調査などをして判断していただきたいと思います。
最後の総合評価落札方式の活用と拡大でありますけれども、これまでも述べてきましたとおり、企業がどのようなことに困っているのか、その実態の把握すらしていないのではないかと思うわけであります。アンケートだけでは駄目だというふうに思います。もっと企業に寄り添う姿勢を持ち、現場の意見を直接聞くなど、今後どのような施策が必要かを考えるのが行政の役割ではないかと思います。
また、財政局が工事に直接携わる部局と一体となって積極的に取り組まなければならないというふうに思うわけであります。
入札に関わるいろいろな事故、事件がありましたけれども、今、問題になっているのは、入札の審査をしていく、見直しをしていく場所に技術者がいないということでありますので、今後は、そうしたことの人事についてもしっかり検討することを求めて、質問を終わります。
○
小形香織 委員長 以上で、歳入のうち、
一般財源等の質疑を終了いたします。
次に、第1款 議会費 第1項 議会費の質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。
次に、第2款 総務費 第4項 選挙費の質疑を行います。
◆篠原すみれ 委員 私からは、主権者教育における選挙管理委員会の役割と取組について質問いたします。
まず、主権者教育における選挙管理委員会の役割についてです。
今後、社会情勢の予測がますます難しい現代社会において、主体的に社会に参画する力を養う主権者教育は、より一層重要性が高まっております。
そして、教育と名のつくものは、キャリア教育、消費者教育、法教育、金融教育など、様々なものがございますが、主権者教育はそれらを包括する位置づけとも言えます。
また、選挙に対する理解促進、自ら考える機会の創出は、未来の有権者である子どもたちが、将来、政治的な課題に向き合い、適切に判断する力を身につけるために必要不可欠です。
主権者教育についての国の動きとしては、2011年の総務省における研究会の報告書において、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者を育成していくことと捉える旨の提言がなされているところです。
この提言どおり、子どもたちを、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者に育成するためには、選挙管理委員会においても、主権者教育における役割をしっかりと認識し、それに基づく取組を進めていくことが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、主権者教育における選挙管理委員会の役割についてどのように認識しているのか、お聞かせください。
◎石田 選挙管理委員会事務局長 主権者教育における選挙管理委員会の役割についてお答えいたします。
2015年の公職選挙法の改正により、選挙権年齢が満18歳以上となって以降、主権者教育はさらにその重要性が高まっているところでございます。
そのような状況を踏まえ、選挙管理委員会の役割については、教育現場と連携し、選挙管理委員会の持つ専門的な知識や情報のほか、資機材を効果的に活用しながら、主権者として必要な資質、能力を育成することと認識しております。
◆篠原すみれ 委員 子どもたちにとって、過ごす時間が長く、影響を大きく受ける場所である教育現場との連携は大切であり、それについてご答弁で触れていただいたことは大変にうれしく感じます。また、選挙管理委員会だからこそできる主権者教育の取組があるという認識を大切にされていることも理解いたしました。
次に、主権者教育における選挙管理委員会の取組について伺います。
選挙管理委員会では、2013年から、児童生徒向けに模擬投票などを実施する出前講座を行っております。10年以上実施されている出前講座は、選挙管理委員会が担う主権者教育の重要な取組の一つであり、小学校では2013年の開始時には実施校が僅か2校だったところ、2023年には102校で実施されるなど、選挙管理委員会の地道な努力により、広く浸透しつつあることは評価するところです。
一方、2022年に成年年齢が引き下げられ2年経過しようとしておりますが、若年層の投票率はほかの世代に比べて低い状況が続いております。
改めて、選挙における主権者教育の取組について考えるべきときが来ております。出前講座だけにとどまらず、様々な切り口で子どもたちの政治、選挙に対する関心をさらに高めていくことが肝要です。
そこで、質問ですが、選挙管理委員会におかれましては、出前講座のほかにどのような取組を進めているのか、伺います。
◎石田 選挙管理委員会事務局長 選挙管理委員会が行う主権者教育の取組についてお答えいたします。
まず、中学3年生には、選挙についての副読本を作成し、授業における活用を図っているほか、小学6年生には、大人と一緒に投票所に行くことを勧めるリーフレットを配付するなど、選挙への関心を高める取組を行っております。
また、高校3年生には、主権者教育で学んだことを投票行動につなげてもらうために、選挙の機会を捉え、投票の仕方などを掲載したリーフレットを配付しているところでございます。
さらに、これらに加え、新たな取組を進めるために、教育現場のニーズを把握する必要があると考え、2022年度に小・中学校に対するアンケートと高校2校へのヒアリングを実施いたしました。
その結果、教材として使用できるものや子どもが自分で学べる資料があるとよい、期日前投票について具体的な手順を説明している資料が少ないといった声があったことから、今年1月に新たに選挙管理委員会のホームページに、選挙について知りたいというページを作成し、主権者教育の参考となる動画や資料等を掲載いたしました。
今後も、教育委員会と連携しながら教育現場のニーズを捉え、選挙管理委員会の専門性を発揮して、児童生徒の主権者として必要な資質、能力の育成につながる取組を進めてまいりたいと考えております。
◆篠原すみれ 委員 様々なコンテンツを用いて、積極的に選挙に関する主権者教育が行われていることを理解いたしました。
その中の選挙管理委員会のホームページについては、1月にリニューアルされ、私も拝見いたしました。子どもにも分かりやすい、知りたいことを検索しやすいデザインとなっており、すばらしいページとなっております。
これからも、このような取組を磨きをかけながら継続していただくことに期待いたします。
最後に、要望です。
若年層の投票率が低いことは、かねてより社会的な課題であるものの、明確な原因究明は難しく、すぐに解決できるものではございません。
まずは、子どもたちが日頃抱いている政治や選挙に対するイメージや思いを知ることが非常に大切です。
先ほどのご答弁では、教育現場での選挙管理委員会のニーズを把握するために、学校にアンケートやヒアリングを実施し、その結果を取組の検討に生かしたとのことでした。
そこで、提案ですが、子どもたち自身から子どもたちの声を聞くためのアンケートを取るのはいかがでしょうか。
そして、そのアンケートは、デジタルコンテンツを活用し、簡易的な手法を用いることが重要なポイントと考えております。例えば、選挙管理委員会が発行するリーフレットやホームページ等にアンケートに回答するためのQRコードを載せる手法です。そうすることで、少ない負担でアンケートが実施できます。
子どもたちと選挙管理委員会をつなぐツールの一つとなり得る手法を、今後、あらゆる場面で、あらゆる角度から積極的に取り入れていただくことを要望し、私からの質問を終わります。
◆池田由美 委員 私からは、投票率を上げていく取組について質問いたします。
昨年4月9日の統一地方選挙での札幌市の投票率は51.05%と、これまでの統一地方選挙で最も低い結果でありました。
札幌市の札幌市・区明るい選挙推進協会会報には、特に若い世代の投票率が依然として低い傾向にあり、このことが今後の課題となっているというふうにありました。投票率は市政への市民参加の目安になるものです。今の取組をどう充実させていくのかが大事だというふうに考えているところです。
最初に、大学生への啓発活動について伺います。
総務省の投票環境向上に向けた取組事例集を見ますと、大学への期日前投票所の設置と併せて、選管、明るい選挙推進協議会が大学生と一体となって若年層への啓発活動に取り組んでいる事例が報告されておりました。
本市における大学での期日前投票所の設置については、学生の居住地がまちまちですから、受付から選挙人名簿、投票コーナーも分けるなど、10区分の対応が必要だということで、設置の難しさを感じているところです。しかし、若年層の、特に大学生への啓発活動は重要と考えているところです。
そこで、伺いますが、大学にメール登録している学生に投票参加の呼びかけなどを送信できる、そうした大学生への投票行動につながる啓発活動について、大学に協力をお願いし取り組んでいくことも必要ではないかと考えますがいかがか、伺います。
◎石田 選挙管理委員会事務局長 大学生向けの選挙啓発についてお答えいたします。
選挙管理委員会としましても、大学生を含む若年層の投票率向上を重要な課題と認識しており、昨年の統一地方選挙では、SNSや動画配信サービス等を活用し、若年層向けの啓発を強化したところです。
今年度、大学生向けの啓発としては、今月10日に民法のラジオ局の特別番組で、大学生を主なターゲットにした選挙への興味・関心を高める内容を放送する予定となっております。
今後も、大学生を含めた10代、20代の投票行動につながるような選挙啓発を研究し、取り組んでまいりたいと考えております。
◆池田由美 委員 SNSの取組、啓発活動、そして、今月、大学生向けのラジオ番組にも取り組むというご答弁でありました。
私は、大学での期日前投票所の設置も視野に入れていくことが大事ではないかという観点から、今後も、大学との協働も視野に入れながら意見を聞くなど、そういった取組が重要ではないかというふうに思っておりますので、ぜひ検討していただければというふうに思っています。
次に、郵便による不在者投票について伺いますが、郵便による不在者投票制度は誰もが知っていることだというふうに思うのですけれども、本市の郵便での郵便投票証明書を交付されている方は2023年4月時点で505人とお聞きしております。不在者投票制度の対象となる方の人数は、障がいのある方や要介護5の方も含めると非常に多いと思いますから、証明書が交付されている505人は制度利用者としては極めて少ないと考えるところです。
郵便による不在者投票制度の利用者を広げるよう、さらなる取組の充実が必要と考えますけれども、どのようにお考えなのか、伺います。
◎石田 選挙管理委員会事務局長 郵便等による不在者投票の利用者の拡大に向けた取組についてお答えいたします。
郵便等による不在者投票の対象者について、要介護4及び要介護3まで拡大するよう、これまでも
指定都市20市で構成する
指定都市選挙管理委員会連合会を通じて国に要望しているところでございます。引き続き、対象者の範囲が拡大となるよう、連合会を通じて国に要望してまいります。
◆池田由美 委員 政令市選挙管理委員会の連合会として、以前から要介護4、要介護3全体を対象とするよう求めてきているというご答弁でありました。
要介護5の対象となる方は2023年の12月31日現在で7,807人ですから、障がいのある方も含めて、まだまだこの郵便投票制度を知られていない、あるいは、投票への諦めの思いが定着しているのではないかというふうに思うところです。
いま一度、制度の周知、この方法を検討していくことが重要ではないのか、そして、投票行動を諦めない、政治に参加していく意義を広げていくことが必要です。
今後も丁寧な周知に力を入れていただけますように求めておきたいというふうに思います。
次に、施設内投票の実態についてです。
施設内投票所が設置されることは、入院されている方、施設に入居されている方にとっては、投票活動の保障となり、喜ばれております。
現在、病院や高齢者住宅などの施設内投票ができる指定施設は、2024年2月現在で541施設とお聞きしているところです。
まだまだ増えていく可能性がございます。選挙管理委員会として、対象要件を満たす市内施設へ、毎年5月と11月に施設内投票の申請に向けた案内文書を約200施設に送って、施設から問合せがあると説明に出向いて努力しているということでありました。
ここで、伺いますが、施設内投票の指定施設数の増減状況について伺います。
◎石田 選挙管理委員会事務局長 不在者投票指定施設の施設数についてお答えいたします。
昨年4月の統一地方選挙時点では532施設であったのに対し、今年2月現在では541施設となっており、9施設の増となっております。
この9施設の内訳につきましては、新規指定による増が11施設、閉院や病床数が指定基準以下に減少したことによる指定解除に伴う減が2施設となっております。
今後も、指定を受けていない施設に対しては地道に働きかけを続けてまいります。
◆池田由美 委員 9施設が増えたということでありました。
毎年、微増ではあっても増えてきている状況だなというふうに私も資料を見せていただきました。
昨年の統一地方選挙からの増減は、今言ったように9施設ですから、地道な努力の積み重ねというふうにおっしゃっていましたけれども、私も効果があるのだなと思います。
しかし、問合せが来ることを待っているということであれば、微増というところからは変わらないのだなと思いますので、札幌市の選挙管理委員会から積極的に訪問するなどの取組でさらに増えていくのではないかというふうに思います。
計画的にこちらからアプローチをしていくことを進めていくことが重要だということを求めておきたいと思います。
最後に、移動期日前投票所の取組について伺いたいと思います。
投票率の資料を見ますと、80歳代を超えると投票率が下がってまいります。足腰が弱くなり、投票所までは歩けないなどの声が地域からも聞こえてきているところです。
2016年から、国政選挙については、投票所への移動支援に要する経費や執行経費基準法の改正により、移動支援経費の加算規定も新設をされて、投票所への移動施設や移動期日前投票所に必要な経費の財政措置がされるということになっています。
これについては、政令市においても定められた額の範囲で措置をされるということでありますから、私は、区ごとに移動式期日前投票所が設置されていくことによって、投票の意思を支え、政治に参加する保障となるのではないかというふうに考えます。
そこで、質問いたしますが、移動期日前投票所の取組や投票所への移動支援について本市も検討していく必要があると考えますがいかがか、伺います。
◎石田 選挙管理委員会事務局長 移動期日前投票所の検討についてお答えいたします。
移動期日前投票所については、他市町村の例を見ますと、多くは市町村合併や過疎化の進行など、投票所を統廃合した代替措置として導入されております。
札幌市においては、投票所の統廃合の予定はないことから、現時点で移動期日前投票所の導入は考えておりません。移動支援についても同様に、統廃合した場合の支援としてやっておりますので、こちらのほうの検討もしておりません。
◆池田由美 委員 過疎化の問題、そして、投票所の統廃合という問題に対応するものだということでのご答弁でありました。
投票所の設置が徒歩2キロメートルから3キロメートル圏内となっていますから、高齢になってからの2キロメートル、3キロメートルは大変な方も増えてきているというふうに考えます。ましてや、独居の方も増えておりますし、タクシーを利用するにも、年金生活、生活保護世帯となれば大きな負担となるというふうに思います。
高齢になっても投票する意思を支え、政治参加を保障する特別な取組が、これからさらに重要になっていくというふうに思います。
本市の状況を分析し、どんな支援が必要か、市民の目線に立った取組が必要だというふうに思いますので、予算を確保し取り組むべきと申し上げて、質問を終わります。
○
小形香織 委員長 以上で、第4項 選挙費の質疑を終了いたします。
最後に、第5項 人事委員会費及び第6項 監査委員費の質疑を行いますが、いずれも通告がありませんので、質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月4日月曜日午後1時から、消防局及び危機管理局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後3時50分...