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令和 6年冬季オリンピック・パラリンピック調査特別委員会−02月29日-記録

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  1. 札幌市議会 2024-02-29
    令和 6年冬季オリンピック・パラリンピック調査特別委員会−02月29日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和 6年冬季オリンピックパラリンピック調査特別委員会−02月29日-記録令和 6年冬季オリンピックパラリンピック調査特別委員会            札幌市議会冬季オリンピックパラリンピック調査特別委員会記録            令和6年2月29日(木曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時40分     ―――――――――――――― ○林清治 委員長  ただいまから、冬季オリンピックパラリンピック調査特別委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  冬季オリンピックパラリンピックに係る招致活動の総括についてを議題といたします。  なお、本日の議事進行についてですが、最初に理事者より説明を受け、質疑、答弁を行った後、これまでの招致活動や今後の取組について各会派による意見表明の機会を設けることといたしますので、ご了承願います。  それでは、最初に、冬季オリンピックパラリンピックに係る招致活動の総括・検証について、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎梅田 スポーツ局長  本日は、冬季オリンピックパラリンピック招致について、招致活動停止までの経緯と、2014年から10年間にわたって取り組んでまいりました招致活動の総括・検証に加えまして、今後の取組についてご説明させていただきます。  2030年大会招致につきましては、昨年11月29日に開催されたIOC理事会における決定を受け、これまでの市議会での議論や地元関係者の意見を踏まえ、12月に札幌市が招致活動を停止することといたしました。  関係者とともに進めてまいりましたこの10年間にわたる招致活動の取組について、このような結果になったことにつきましては、長い間招致活動に携わってきた者の一人として、非常に残念であります。  このたび、これまでの招致活動について、なぜ大会招致の市民理解が広がらなかったのか、また、どういったことが必要であったのかといったことについて、有識者や関係者のヒアリングを行い、総括・検証を行いました。  市民や企業、関係団体の皆様とともに取り組んできた招致活動を今後のスポーツ行政をはじめとする札幌市のまちづくりに生かしてまいりたいと考えてございます。  それでは、詳細につきまして、招致推進部長から説明をさせていただきます。よろしくお願いします。 ◎里 招致推進部長  私から、資料に基づきましてご説明をさせていただきます。  それでは、資料1をご覧ください。
     招致活動停止までの経緯についてでございます。  まず、1番のIOC理事会における決定事項についてでございます。  昨年11月29日のIOC理事会におきまして、2030年大会と2034年大会の2大会について、次のステージに進む地域、都市が決定されました。  また、2038年大会に関しましても、優先対話という新しいステージが設けられ、2027年度末まではスイスとしか対話を行わないというふうにされたところでございます。  こうしたIOCによる決定を受けまして、その下の招致関係者意見交換会に記載のとおり、昨年12月19日に地元を中心とした招致関係者と意見交換を行いました。  出席者からは、招致の足がかりを失った状態であり、一度立ち止まらざるを得ないという考え方が示されましたほか、引き続き、ウインタースポーツの振興に取り組んでほしいといった意見が寄せられたところでございます。  そこで、札幌市といたしましては、これまでの市議会でのご議論も踏まえまして、現在の招致活動を停止するということにしたところでございます。  また、今後の取組といたしましては、将来の招致に向けた長期的な観点から、ウインタースポーツの一層の振興や競技大会誘致を積極的に進めるほか、大会による加速化を期待していたユニバーサルなどの重要概念を踏まえたまちづくりを一層推進することとしたところでございます。  続いて、資料2の招致活動の総括・検証についてご説明いたします。  まず、1番の主な動きと支持率の推移について、資料2−1をご覧ください。  年表に招致に関する支持率の推移と主な動きや社会情勢などを掲載し、2014年以降の市の意向調査や報道機関による調査結果において、支持率が低下傾向にあった時期を大きく三つに分け、1、2、3として記載をしております。  第1期は2018年秋頃までの時期でございます。  この間、2015年春には市議会に調査特別委員会が設置をされましたほか、2016年秋には開催概要計画案を策定するなど、招致活動を進めてまいりましたけれども、並行して、東京2020大会における国立競技場計画の見直しですとか、いわゆる東京大会のV1予算の公表などによりまして、大会開催経費に対する不信感が高まった期間でもありました。  その後、2018年に胆振東部地震が発生し、2026年大会の招致活動は終了となりましたけれども、その後、2030年大会招致に向けたIOCとの継続的対話を開始しました2020年から再び下降傾向が始まりました。  この第2期の期間は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う行動制限ですとか、東京2020大会の延期、無観客開催に加えまして、2022年1月の記録的な大雪など、社会情勢による影響を大きく受けた期間であったと言えます。  第3期は、2022年夏以降の期間でございまして、東京2020大会に係る受託収賄、受注調整疑惑により、オリンピック自体への不信感が増大した期間となっております。  続きまして、2 課題の検証についてです。  資料2−2をご覧ください。  招致活動の各取組につきまして、その概要を表左側に記載をいたしますとともに、外部有識者関係団体からヒアリングを行い、大会招致への理解が広まらなかった要因を外的要因内的要因の両観点から分析をしております。  まず、大会計画についてですけれども、大会の開催意義をまとめるとともに、大会のためだけの新たな施設は造らないことですとか、大会運営費に原則、税金を投入しないことなどを計画に盛り込みました。  大会計画における外的要因といたしましては、オリンピック自体の不信感の増大に加えまして、新型コロナウイルス感染症や大雪といった直面する市政課題に注力すべきという声が増加をいたしまして、開催意義の議論に至らなかったことや、ほかの大会ですとかイベントの経費増によりまして財政計画への疑念が高まったことなどが挙げられます。  内的要因につきましては、開催意義が総花的で市民生活への具体的なメリットが分かりにくい印象を与えたことや、財政計画について誰もが納得できるような根拠をうまく示せなかったことに加えまして、有識者からのヒアリングでは、子どもたちや市民にとって魅力ある施設の整備など、夢のある計画がもう少しあってもよかったのではないかという意見もいただいたところでございます。  次に、理解促進・機運醸成です。  出前講座や市民ワークショップオープンハウスなどの市民対話事業のほか、経済界やアスリートと連携をした取組を実施してまいりました。  また、2022年には、プロモーション委員会を設立し、全国的な招致機運の醸成にも取り組んできたところでございます。  外的要因といたしましては、コロナ禍でのイベント制限により十分な機運醸成活動ができなかったことですとか、東京大会の事案によるオリンピックの不信感が市民の理解促進やアスリートからの協力に影響を及ぼしたことが挙げられます。  内的要因といたしましては、現役世代や若年層が態度変容を起こしてもらえるような取組や発信が十分ではなかったこと、将来を担う若い世代を中心に招致活動に参加したい、応援したいというような巻き込みができなかったこと、また、そもそも市が前面に出過ぎず、アスリートや有識者などの関係者が一丸となった姿をもっと見せるべきだったのではないかという指摘もございました。  さらには、メディアへの十分な説明や効果的なSNSの活用なども課題として挙げております。  次に、資料2−3をご覧ください。  渉外活動に関しましては、対話ステージや継続的な対話に参加をし、IOCと定期的に協議を行ってまいりましたほか、国際大会などを通じて関係を構築してまいりました。  外的要因といたしましては、東京大会開催都市契約などの影響によりまして、IOCやオリンピックに対する不信感が広がったことなどを挙げております。  また、内的要因といたしましては、IOCからの情報収集体制について課題を残したことが挙げられます。  また、2026年大会招致活動の終了の判断につきましては、震災復興優先の観点からやむを得なかったとする意見があった一方、招致を継続すべきだったというような双方の意見があったところでございます。  最後に、関係団体との連携でございます。  市議会におきましては、2014年及び2022年に招致決議をいただき、また、2015年以降、当調査特別委員会において招致活動に係る報告をさせていただいてきたところでございます。  関係自治体においては、資料1でもご説明いたしました意見交換会への出席をいただいたほか、各団体から応援決議や招致決議をいただくなど、連携して取組を進めてきたところでございます。  外的要因といたしましては、コロナ禍で各団体の活動が滞ったことに加えまして、東京大会の事案による世論を受け、各関係の皆様ご自身も慎重な姿勢を取らざるを得なくなってしまったことが挙げられます。  内的要因としては、情報共有のタイミングなどの課題や北海道など関係団体との関わり不足に関する指摘がありましたほか、そもそも行政主導での招致には限界があったのではないかという指摘もあり、民間主体で招致活動を進める枠組みづくりが必要だったというふうに考えております。  なお、ヒアリングでいただきました主な意見につきましては、資料の後ろから下のほうに参考資料1としておつけしておりますので、ご参照いただければと思います。  このような招致への理解が広まらなかった要因をまとめると、まず、外的要因といたしましては、過去大会における予算の増大、新型コロナウイルス感染症の拡大による機運醸成活動の制限、東京2020大会の事案の影響によるオリンピックに対する不信感、内的要因といたしましては、若い世代の巻き込みや発信不足、大会開催の意義や効果、大会経費の仕組みが分かりにくかったこと、そして、関係団体との連携に課題があり、市主導の取組では限界があったことが挙げられます。  こうした分析を踏まえつつ、10年にわたるオリンピックパラリンピック招致活動を振り返りますと、オリンピックへの不信感を払拭できるような、そして、誰もが大会の開催意義をイメージできるような端的で明確なメッセージが必要であったことに加えまして、行政主導での招致活動ではなく、市民、企業等の民間が主導となり関係団体を巻き込んだオールジャパン体制の構築が必要であったということを今回の総括としてまとめさせていただきました。  次に、その下、組織体制と招致経費についてでございます。  各年度における招致に関わる人員の推移は下段左側の表のとおりでございます。  また、各年度における招致経費は下段右側の表のとおりであり、今年度、2023年度につきましては、決算見込みの数値となりますけれども、10年間の招致経費合計は12億円余、招致に関わる人員数に1人当たり職員費を乗じた人件費合計は14億円余、合わせて約27億円となっております。  続いて、資料3、招致活動を踏まえた今後の取組についてをご覧ください。  まず、1の大会招致活動がもたらしたものについてでございます。  第1に、国際スポーツ大会の開催です。  招致活動期間冬季アジア大会ラグビーワールドカップ、東京2020大会のマラソン・競歩・サッカー競技などの大規模国際大会が札幌で開催され、大会運営能力が大きく向上いたしましたほか、パラノルディックスキーのワールドカップなど、パラスポーツ大会の開催も実現をいたしました。  第2に、市民・企業等との連携です。  将来の札幌について、若者や子どもたちを含む市民の皆様に意見を述べてもらう取組が実施できたほか、企業等と連携をした取組やオリパラ教育を通じまして、スポーツの価値やスポーツの持つ力への理解が深まり、誰もが互いにその個性や能力を認め合い多様性が強みとなる社会の実現に向けたユニバーサルの考え方の浸透につながりました。  第3に、まちづくりの加速です。  2030年が全体の共通目標となり、選手の育成強化が図られるとともに、パラスポーツを含め、広く市民の皆様がスポーツに関心を持ち取り組む契機となりました。  また、民間投資が誘発され、都心を中心としたまちづくりが加速をするとともに、都心ですとか競技会場周辺エリアを中心にまちのバリアフリー化が進んだほか、SDGs未来都市として選定されました。  なお、資料の最後に冬季オリンピックパラリンピック招致活動期間中のまちづくりの進捗状況として、札幌市まちづくり戦略ビジョンアクションプラン2019における事業目標の状況の抜粋を参考資料2でつけておりますので、ご参照いただければと存じます。  資料3に戻りますが、こうした大会招致活動によってもたらされた効果を生かしまして、札幌市といたしましては、第2次まちづくり戦略ビジョンに定めた目指すべき都市像の実現に向けまして、ユニバーサルなど重要な概念を踏まえてたゆむことなくまちづくりを進めていくこととしておりますが、資料3の下のほうに、同じく基本目標の13に掲げております世界屈指ウインタースポーツシティーの実現に向けた取組を記載しております。  (1)の裾野拡大に向けましては、子どもたちへのウインタースポーツきっかけづくりの充実を図るとともに、障がいのある方々の体験機会の創出や指導者の要請などにも力を入れてまいります。  (2)のアスリートの発掘・育成に向けましては、様々な種目の体験会などを開催し、優れた素質を有する子どもたちを発掘することやオリンピアンの指導等による継続的な選手育成にも取り組んでまいります。  (3)のウインタースポーツによるまちの活性化に向けましては、今月もFISパラアルペンスキーワールドカップが開催されましたけれども、このような国際スポーツ大会の誘致を引き続き進めますとともに、札幌をベースタウンとした広域的なスノーリゾートの推進のほか、子どもたちへのオリンピックパラリンピック教育についても引き続き取り組んでまいります。  これらの取組をハード面で支えるため、(4)のウインタースポーツ環境の整備といたしまして、市所有のスポーツ施設の更新、機能向上を計画的に進めるほか、民間施設の支援などにも取り組んでまいります。  こうした取組を通じまして、ユニバーサルをはじめ、ウェルネス、スマートという本市のまちづくりの重要概念を踏まえた世界屈指ウインタースポーツシティーの実現を目指してまいります。 ○林清治 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆和田勝也 委員  私からは、招致活動の停止に伴うまちづくりの影響とウインタースポーツシティーの実現に向けての2点について質問をさせていただきます。  先ほどのご説明では、社会背景等による影響と取組に当たって不足していた点、いわゆる外的要因内的要因の双方の観点で検証を進め、総括したとのことでございました。  招致活動が停止となった要因は様々ございますけれども、ヒアリングを行った外部有識者の意見では、東京2020大会の汚職・談合疑惑などの外的要因によってオリンピックの悪いイメージが強まってしまったという指摘が多くございました。  東京2020大会については、コロナ禍という厳しい状況の中、延期、無観客という決断を経て開催されましたが、最後まで無事に大会をやり遂げた運営能力は、海外からも高く評価を受けるとともに、アスリートの活躍が国民を勇気づけるなど、オリパラ本来の魅力を感じられるすばらしい側面も多くあったと思います。  本来であれば、東京2020大会での成功を追い風に招致機運を盛り上げていくことが期待されましたが、東京2020大会で生じた汚職・談合疑惑による疑念、懸念を払拭できず、結果として、大会の意義や価値などが浸透せず市民理解が広がらなかったことは非常に悔やまれるところでございます。  そして、札幌がなぜもう一度オリンピックを目指すのかという意義、大会の開催によって札幌の未来をどのように形づくっていくかという意義が伝えられなかったと同時に、市民がわくわくするような未来を感じることのできる、そんなビジョン、内容、発信になっていなかったのではないかと感じております。  オリンピックパラリンピックをもう一度札幌で開催しましょう、開催したいのだという市長自らの開催への強い思いを最後まで発信し切れなかったことも、市民、関係者が一丸となって招致を行っていく上で非常に物足りなさを感じるところでございます。  招致実現には至りませんでしたが、先ほどのご説明にもあったとおり、招致活動を進める中で様々な大規模国際競技大会が開催されたほか、国内外から民間投資が呼び込まれ、札幌駅前再開発をはじめ、ホテルや企業の立地が促進し都心のリニューアルが活性化するなど、本市のまちづくりに一定の効果があったと思います。  前回のオリンピックパラリンピック調査特別委員会における我が会派からの一連の質疑において、2030大会を断念したことにより、ウインタースポーツ振興など、本市のまちづくりに少なからず影響があるとの認識が示されたところでございます。  そこで、質問でございますけれども、今回の総括・検証を経て、招致活動の停止に伴う本市のまちづくりへの影響についてどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎里 招致推進部長  招致活動の停止に伴うまちづくりへの影響についてお答えいたします。  まず、2014年の招致表明以降、10年にわたる招致活動の成果といたしましては、スポーツ界はもとより、世界中の多くの人々に北海道、札幌の魅力やポテンシャルを知っていただくことができたと考えております。  あわせて、多くの市民の皆様にスポーツの価値や力を認識してもらうとともに、オリンピックとともに歩んできた札幌の歴史を振り返りながら、今後のまちづくりについて議論を交わすことで、市民が札幌の魅力を再発見し、まちへの愛着を育むことができたことは有益であったと考えております。  一方、招致活動の停止に伴いまして、競技施設の更新などに当たり期待をしていた国の支援が見込めなくなることに加えまして、2030年という共通の目標がなくなったことにより、加速を期待していた、特に官民連携の取組への影響が懸念をされるところでございます。  招致活動の停止によりまして、まちづくりの停滞ということを招かないよう、まちづくり戦略ビジョンに掲げる目標の実現に向けた取組をしっかりと進めていくとともに、招致活動の成果をしっかりと生かして、スポーツによるまちの活性化に注力してまいります。 ◆和田勝也 委員  10年に及ぶ招致活動の中で、様々な国際大会の開催を通じて世界に札幌の魅力を発信できたことや、市民がスポーツに対し、より身近に感じることができたなど、多くの効果が得られたとのことでした。  オリパラ招致は道半ばとなりましたが、今後、まちづくりのスピードが決して落ちることのないよう、全庁一丸となって、思い描いた未来に少しでも近づけるよう歩みを進めてほしいと思います。  1972年の札幌大会を契機に、冬季アジア大会ノルディックスキー世界選手権スキージャンプワールドカップ、また、先日行われましたパラスキーワールドカップなど、世界においてもウインタースポーツシティーとしてのブランドは高いものとなったと感じております。  まちづくり戦略ビジョンの中で、将来の札幌の姿として、世界屈指ウインタースポーツシティーというものを掲げられたことは今までの活動の成果だったと感じております。  そこで、質問でございますけれども、オリンピックパラリンピック招致活動を停止した中、世界屈指ウインタースポーツシティーの実現に向け、今後どのように取り組まれていくおつもりなのか、お伺いいたします。 ◎里 招致推進部長  ウインタースポーツシティーの実現に向けた取組についてお答えいたします。  札幌市は、天然雪に恵まれた豊かな自然環境や充実したウインタースポーツ施設、国内外の方々を魅了する観光資源と発達した都市基盤など、ウインタースポーツシティーとして世界でも有数のポテンシャルを有していると認識をしております。  こうした恵まれた環境を生かし、将来を担う子どもを中心とした市民を対象に、ウインタースポーツの裾野拡大や札幌から世界に羽ばたくアスリートの発掘、育成などに引き続き取り組んでまいりますほか、大規模国際大会の誘致やスポーツツーリズムの推進、そして、それを支える市内の競技施設の更新・機能向上など、スポーツをきっかけとしたまちのにぎわいづくりに取り組んでまいります。  また、取組に当たりましては、招致活動を通じて培われた競技団体とのネットワークをより発展させますとともに、企業や経済団体などからも引き続きご協力をいただきながら、市民の皆様と一体となって、ハード・ソフト両面から取組を推進し、世界屈指ウインタースポーツシティーの実現を目指してまいる所存でございます。 ◆和田勝也 委員  招致活動の成果をしっかりと生かして、市民に応援され、市民に喜ばれる世界屈指ウインタースポーツシティーになることを期待いたします。  本日は市長も副市長もおりませんけれども、2016年のJOCに提出をした開催提案書の市長の冒頭の挨拶は、「オリンピック子どもたちに夢と希望を与え」という言葉から始まっております。  招致活動を通じて、次世代アスリートの育成や多くの子どもたちオリパラ教育を受け、平和の祭典であるオリンピックが、昔、札幌で行われ、今の札幌があることを学び、オリンピックパラリンピックが来るのを楽しみにしていた子どもたちは少なくないと思います。  残念ながら、その思いはかなわないものとなってしまいましたが、この10年の招致活動の経験を活かして、将来を担う子どもたちが夢に向かって努力できる、活躍できる札幌のまちを築いていくことが我々大人の責務ではないでしょうか。  先人たちが築き上げた札幌のまちをさらに発展させ、将来、大人になった現在の子どもたちに今の思いとともに引き継いでいかなければなりません。  そして、世界屈指ウインタースポーツシティー札幌が実現した暁には、真に子どもたちが夢や希望の持てる札幌オリンピックパラリンピックのチャンスがまたやってくると信じております。  またいつの日か、この場所でオリパラの議論ができる日が来るよう、共に頑張ってまいりましょう。 ◆あおいひろみ 委員  私からは、10年間の招致活動の総括・検証と今後の国際大会誘致について、3点質問いたします。  まずは、市民、企業、アスリート等関係団体との連携の総括・検証についてです。  オリンピックパラリンピックの招致は、本来、夢や希望にあふれたものであり、ぜひ我がまちに来てほしいと市民や企業、アスリート、行政が一体となって取り組むものであることを、我が会派では従前から一貫して主張してきました。  しかしながら、2018年9月の北海道胆振東部地震発生による招致年次の変更に始まり、東京2020大会を巡る諸問題、新型コロナウイルス感染症の拡大など、様々な要因が大きなハードルとなり、札幌市の招致の活動のよしあしとは別に、市民を含む関係者が連携した招致活動の足を大きく引っ張ったと感じております。  こうした状況であったからこそ、子どもたちに夢を与えるような大会を、そして、クリーンで新しい大会をこの札幌で実現する目標に向かい、関係者が結束を固め、一丸となるのが理想でありましたが、コロナ禍や東京大会の問題で関係者が声を上げづらい状況もあり、結果として、札幌市のみが前面に立って大会招致の説明責任を負わざるを得なくなった形となり、市長も難しい立場の中での招致活動になったとも思えます。  今回の総括・検証に当たり、有識者から寄せられた意見の中でも、行政主導の招致には限界があり、市民理解促進の取組が十分でなかった等の指摘もありました。  やはり、この点において大きな課題を残したものと考えております。  そこで、質問ですが、市民、企業、アスリート等関係団体と連携し、一丸となった招致活動という観点から、札幌市として改めてどのように総括・検証しているのか、伺います。
    ◎奥村 渉外担当部長  市民、企業、アスリート等関係団体との連携の総括・検証につきましてお答えをさせていただきます。  大会招致の実現に当たりましては、多くの市民に大会が歓迎され、大会の招致活動に参加していただくことが重要であり、様々な関係者と連携し、市民を巻き込んだ取組を目指してまいりました。  このような考え方の下、北海道・札幌2030オリンピックパラリンピックプロモーション委員会等を通じて、関係者と開催意義を議論し、また、札幌招致期成会等を通じて、企業やアスリート等と連携しながら機運醸成や理解促進に取り組んできたところです。  しかしながら、東京2020大会に係る様々な問題やコロナ禍での行動制限などの影響で、関係者が積極的に招致活動に取り組むのが難しい状況となり、市が主体となった情報発信や理解促進活動に終始せざるを得なくなり、有識者からは、このことが市民の共感を得るに至らなかった要因の一つとの指摘をいただいたところでございます。  こうした点も踏まえ、今回の総括・検証では、行政主導の招致活動ではなく、市民、企業、アスリート等のいわゆる民間主導により、関係団体を巻き込んだオールジャパン体制を構築していく必要があったとの結論とさせていただいたところでございます。 ◆あおいひろみ 委員  厳しい状況下での活動であるからこそ、行政主導ではなく、民間の理解、そこからの市民理解が必要であったと思います。  次に、関係団体と一体となった国際大会の誘致について伺います。  今回の大会概要案では、開催地は札幌市のみならず、スキーはニセコ、スケートは帯広というように様々な地域に分散されており、全国的な機運醸成を図るために設置されたプロモーション委員会において、北海道、日本という広い単位で開催意義を考えてきたものと承知していますが、残念ながら、市民の皆様にはそれがうまく伝わっていなかったと考えます。  オリンピックパラリンピックが開催されることを見込んでいた開催地の住民や首長の考え、競技団体の気持ちも踏まえ、企業も一体となり練り上げた開催意義やオリンピックパラリンピックの普遍的な価値がもっと市民の間に広まっていたら、反対の声もこれほどまで大きいものとはなっていなかったかもしれません。  まちの発展には、市民、道民が一人一人、大きな夢を共有し、協力していくことが必要です。北海道、札幌は、身近な場所にジャンプ競技場があり、スキー場があり、何よりも豊富な天然雪、パウダースノーに恵まれた地であるということを、また、招致活動を進める中で、将来にわたり国際大会開催が可能なウインタースポーツシティーとして認められてきたことなどを生かし、関係団体と一体となって、夢のある国際大会の誘致をこれからも進めていただきたいと考えます。  そこで、質問ですが、10年間の招致活動の総括・検証を生かし、今後、国際大会の誘致をどのように進めていくのか、伺います。 ◎里 招致推進部長  今後の国際大会の誘致についてお答えいたします。  大会の招致活動を進める中で、冬季アジア大会などの大規模な国際大会が札幌で開催され、自然と都市環境が調和するまちを世界に発信することができたほか、大会運営能力についても磨き上げることができたと認識しておりまして、国際オリンピック委員会のIOCですとかJOCはもとより、国際競技団体であるIFですとかNFとの太いパイプができたことも、今後の国際大会誘致に向けて大きなアドバンテージになるものと考えております。  また、招致活動を進める中で、国際大会誘致に向けて官民連携のハブとなる組織のさっぽろグローバルスポーツコミッションを2016年に立ち上げ、これまでも取組を進めてきたところでありまして、パラノルディックスキーやパラアルペンスキー、車いすカーリングなど、多様な大会の誘致に当たっては、市とコミッションが密に連携をして取り組んできたところでございます。  今後、国際大会誘致に向けては、こうして世界に広まった札幌のポテンシャルを生かしまして、まずは、市民、道民に期待される大会であるということを前提に、その効果が道内全体に広がるよう、広域的な観点の下で、競技団体やコミッションと一体となって、市民、企業との連携による誘致を進めてまいる考えでございます。 ◆あおいひろみ 委員  招致における関係団体の連携に関する総括や今後に向けた国際大会誘致に関して、今まで2問質問させていただきましたが、民間主導の関係者一丸となったオールジャパン体制が必要であったこと、また、これまでの招致活動を生かして国際大会誘致に尽力していくとのことでありました。雪のまち札幌の魅力を、これからも世界に広めていただきたいと思います。  最後に、市民意識の変化を踏まえた招致活動について質問いたします。  この10年間の招致活動を検証する観点から、改めて招致活動の総括について伺います。  これまでも述べてきましたが、我が会派は一貫して、市民の理解と支持なくして招致の実現はないとの立場を取ってきており、オリンピックを取り巻く社会状況の大きな変化が見られた中で、札幌市の招致活動がどこまで市民の意識に向き合ってきたかを総括することが、市民への説明責任を果たすとともに、これから改めてウインタースポーツシティーの実現に向けた取組を進めるためにも必要なステップであると認識しております。  社会状況の変化と市民意識への影響で考えると、理事者からも説明がありましたが、東京大会の開催前及び開催後における様々な問題がオリンピックへの市民の意識に大きな影響を及ぼしたことは明白であるところです。  また、コロナ禍で市民生活に様々な制約が生じたことも市民意識の変化に大きな影響をもたらしており、さらに、東京大会の延期問題の中でIOCに対するネガティブな意識が生じたことも指摘せざるを得ないと感じています。  こうした状況の中で、重要な検証の視点としては、状況変化を踏まえながら市民の意識に向き合った活動をどこまで行ってきたかということであり、オリンピックの不信感を増す様々な外的要因があったからこそ、市民の理解を深める工夫が求められることはもちろん、市民の意向を確認する重要性も一層増していったものと認識しています。  また、こうした背景があったからこそ、札幌市が改めて実施を検討していた民意の確認、特に、その手法の選択肢の一つとされていた住民投票の実施を求める様々な声が出てきたわけであり、招致停止に至る前に民意の確認の実施に至らなかったことも含め、結果として、市民意識に向き合う取組が十分であったとは言い切れないと指摘せざるを得ないと強く感じております。  そこで、質問ですが、10年間にわたる招致活動の中で、社会状況の変化に応じて大きく変化する市民意識にしっかりと向き合った活動をされてきたのか、今回の総括・検証を踏まえたお考えを伺います。 ◎梅田 スポーツ局長  市民の意識の変化を踏まえた招致活動についての総括・検証についてというご質問でございます。  大会招致の実現に当たりましては、市民の理解と支持が極めて重要という考え方を常に基本としながら、私どもといたしましては、情報提供や丁寧な説明に取り組みますとともに、市民の意向を的確に把握するために、2014年10月及び2022年の3月に市民意向調査を行い、その後、東京大会の一連の事案を踏まえて、改めて民意の確認を行うという考えをお示しさせていただきました。  今回の総括・検証におきましては、専門家等の意見も伺いながら、東京2020大会の諸問題や新型コロナウイルス感染症拡大の社会状況の変化という外的な要因と、札幌市の取組の評価としての内的な要因の二つに分けて分析、整理を行ったところでございます。  こうした要因を分析、整理したところ、内的な要因としては、札幌市の取組の中で不十分だった点、工夫できた点が改めて浮き彫りとなり、私どもといたしましては、市民意識に向き合う取組に努めたところでございますけれども、大会の意義等に関する市民の理解を十分に広げていくことができなかったと改めて認識をしてございます。  今後、これまでの招致活動で得られた経験を生かし、競技団体をはじめ、招致活動に共に取り組んできた関係団体のご協力もいただきながら、ウインタースポーツ文化の一層の醸成に取り組み、世界に誇れるウインタースポーツシティー札幌を市民の皆さんに実感していただくことで、将来の大規模国際大会の誘致につなげてまいりたいと考えてございます。 ◆あおいひろみ 委員  今回は、2030年、2034年の開催地が別の地域に決定したことで、結果、招致活動を停止するに至りました。  実際に、この件に関する市民の声、考えを確認せずに全ての活動を終了することになりました。  「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではありませんが、市民に理解を得られなかったことは、教訓として、スポーツ局だけではなく、全ての事業で市民の声をしっかり市政に反映する手法の議論を深めていってほしいと思います。  今後の札幌市の事業が信頼されて進められるよう努めることを求めて、私の質問を終わります。 ◆森山由美子 委員  私からは、オリンピックパラリンピック招致活動による共生社会の進展について質問をいたします。  我が会派では、オリンピックパラリンピック大会の招致を契機とした共生社会の実現を、この10年、一貫して要望してまいりました。  そうした共生社会のさらなる進展を考える契機となった一つに、東京2020パラリンピック大会を挙げることができると思います。  大会では、様々な障がいのあるアスリートたちが創意工夫を凝らして限界に挑む姿が人々に感動と気づきを与え、共生への社会変化を大きく促す契機となったと考えます。  具体的には、東京都北区のナショナルトレーニングセンター・イーストの新設など、ユニバーサルデザインを取り入れた設備が充実し、パラスポーツの環境が向上したことや、パラリンピアンに対する社会的な理解や関心が高まり、企業テレビコマーシャルや講演会への出演など、社会に対して発信できる土壌が築かれたと考えます。  また、大会を通じて、ユニバーサルデザインタクシーの普及やホテルなどの宿泊施設のバリアフリー化など、官民問わず、ハード面のバリアフリー化が進んだことはもとより、学校教育や企業研修の取組による心のバリアフリーへの理解促進、ICTを活用したバリアフリー情報の発信など、ソフト面でも取組が推進されました。  こうした効果を私たち札幌もぜひ生かすべきと、会派としても英国のホストタウンの川崎市に赴き、2016年から川崎パラムーブメントを掲げ、ユニバーサルなまちを目指し推進してきたことについて学び、このようなバリアフリーの推進やパラリンピックムーブメントなどの共生社会の推進は、大会開催時だけではなく招致活動を通じて進められたこと、また、しっかりとレガシーとして残っていくことを確認いたしました。  札幌市の招致活動においても、我が会派が一貫して共生社会の推進について訴え、都度、議論しながら進めてきたものと認識しております。  これまでの招致活動を振り返ると、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンのビジョン編において、ユニバーサル(共生)がまちづくりの重要概念の一つに位置づけられ、同ビジョン戦略編においても、分野横断的に取り組む施策としてユニバーサル(共生)プロジェクトが設定されました。  さらには、今年度から、ユニバーサル関係施策の総合調整を担うユニバーサル推進室が設置され、ユニバーサル推進本部を立ち上げ、庁内一丸となって共生社会の実現に向けた取組を進めていく体制が構築されました。  このように、これまでの招致活動を通じて、我が会派が従前から一貫して主張している共生社会の実現については進展があったと感じているところです。  そこで、質問ですが、招致活動を通じた共生社会の進展についてどのように考えているのか、伺います。 ◎里 招致推進部長  招致活動を通じた共生社会の進展についてお答えいたします。  大会の招致活動を進める中で、3度にわたるパラスキーワールドカップの開催が実現し、開催機会の提供はもとよりでございますけれども、大会に参加をしたパラアスリートによる学校訪問のほか、今月、豊平川の河川敷で開催いたしましたさっぽろスノースポーツフェスタなど、パラスポーツの交流会や体験会を通じまして、共生社会の普及啓発に寄与したものと認識しております。  また、シットスキーやバイスキーの用具の貸出しや指導者養成講習を行い、障がいのある方にもウインタースポーツを楽しめる環境づくりを推進してまいりました。  さらには、オリンピックパラリンピック教育として、一人一人の違いを理解して工夫することが大切である、公平という理念ですとか、勇気、強い意志といったパラリンピックの理念や価値といったものも伝えてきたところでありまして、次世代を担う子どもたちに国際、異文化などの多様性への理解を広げることができたものと考えております。  そのほか、招致活動がきっかけとなり、官民を通じたまちのバリアフリー化が促進されたとともに、心のバリアフリーに向けた取組が活発に行われるなど、札幌市が目指す都市像の重要な概念であるユニバーサル(共生)という点について、ハード・ソフトの両面で大きく進展させることができたというふうに考えております。 ◆森山由美子 委員  大会を契機とした共生社会の推進を期待していたため、我がまち札幌でオリンピックパラリンピックが開催され、アスリートの活躍を身近で観戦できる機会がなくなったということは非常に残念でありますが、これまでの取組は決して無駄ではなく、オリンピックパラリンピック招致活動を停止したとしても、引き続き共生社会の推進に向けて取組を進めていく必要があることを改めて強調しておきます。  その上で、パラスポーツ国際大会の誘致、開催などをはじめ、様々な取組を通じて、障がいのある方への理解が進み、共生社会が今後も一層進展していくことを期待しております。  さて、共生社会の推進にも大きく関わってきますが、我が会派は、招致活動の機会を通じて、スポーツを通じた子どもたちへの教育活動の重要性を一貫して訴えてきており、特に、先ほどの答弁にもあったオリパラ教育は、多くのアスリートと連携しながら、オリンピックパラリンピックの理念を生かした教育活動を学校現場で広く行ってきたものとして高く評価をしているところです。  このような取組は、これからの将来を担う子どもたちに、スポーツを通じて夢や感動を共有し、多様性を理解し、互いに違いを認め尊重し合うことの重要性に気づく機会となり、共生社会の実現に向けても極めて重要であると考えます。  そのため、オリンピックパラリンピックの招致が停止となったことにかかわらず、オリパラ教育は、引き続きしっかりと推進していくことが必要であると考えます。  そこで、質問ですが、オリパラ教育のこれまでの実績や成果を踏まえ、今後の取組の方向性について現段階でどのように考えているのか、伺います。 ◎奥村 渉外担当部長  オリパラ教育のこれまでの実績や成果を踏まえた今後の取組の方向性についてお答えいたします。  札幌市が大会招致を進めていた2016年度に開始いたしましたオリンピックパラリンピック教育は、東京2020大会に向けた国のオリパラ・ムーブメント全国展開事業とも連動しながら、昨年度は、約90校、9,000人の子どもたちに対し、そして、開始から8年間で延べ6万人以上の子どもたちに対し、アスリートが講師を担い、札幌オリンピックミュージアムとも連携しながら実施をしてきたところでございます。  その内容といたしましては、1972年大会を開催したふるさと札幌への思いを心に持てるよう、そして、アスリートとの交流により、子どもたちが将来への夢や希望を持ち、社会貢献や国際交流への興味を喚起することで、今後の人間形成につながることを目的としたものでございます。  一方、オリパラ教育を開始してから8年が経過し、学校現場からは、近年の共生社会への意識の高まりを背景に、パラリンピックを題材とした教育内容の要望などが増えてきていることから、学校現場のニーズを踏まえた内容の充実を着実に行っていく必要があるものと認識しております。  そのような観点から、今後はオリパラ教育の一層の拡大に向けて、北海道オール・オリンピアンズとも連携し、パラリンピアンをはじめ、多くのアスリートに協力をお願いさせていただくほか、ミュージアムから遠距離の学校に対しましては、アスリートの学校派遣の充実、あるいは、オンラインの活用などについてもさらに検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  オリパラ教育は、スポーツの価値の理解を深めるのみならず、国際、異文化、多様性への理解、もっと言えば、一人一人の違いを理解していく公平な価値観を養う、いわゆるユニバーサルな人材を育成していくことにつながるものと考えます。  多様性を認める社会が叫ばれている今、誰一人取り残さないという観点からも、SDGs未来都市としての札幌の人材育成の姿勢として、オリパラ教育を今後も力強く進めていくことを強く求めまして、私の質問を終わります。 ◆佐藤綾 委員  私からは、総括・検証について何点か質問いたします。  昨年10月、オリパラ招致停止と発表した直後の10月18日の決算特別委員会で検証について求める意見が出され、また、その後、10月30日の当調査特別委員会で、検証についてどのような手法を考えているのかとの質問に対し、どのように民意を把握してきたかということも当然検証の対象であり、検証・総括の内容について公文書に残して市民の皆さんに見ていただけるような状況にすべきと考えているとのご答弁でした。  検証の体制について、市議会や地元関係者の皆さんと相談しながら検討してまいりたいと述べられております。  本日の資料では、資料1の経緯と、資料2−1から3は招致活動の総括と検証、資料3は招致活動を踏まえた今後の取組、そして、参考資料として有識者へのヒアリングについて記載されております。  そして、招致活動の各取組について、なぜ大会招致への理解が広がらなかったのかを中心に、外部有識者関係団体からヒアリングを行い、外的要因内的要因の両観点から分析等をされておりまして、先ほど、里部長から報告をいただきました。  この中で、資料2−3にある外的要因内的要因を先ほど読み上げていただきましたけれども、この横のほうに黄色の枠で、「オリンピックへの不信感を払拭し、世代を問わず誰もが大会開催の意義や効果をイメージできるような明確なメッセージが必要であった」「行政主導での招致活動ではなく、市民、企業等の民間が主導となり関係団体を巻き込んだオールジャパン体制を構築していくことが必要であった」、これが今回の全ての総括の検証のまとめというふうに捉えられますけれども、あまりに簡単で、何といいますか、市民の目から見て、これで総括・検証というふうに納得がいくのかと疑問を感じたところです。  これはスポーツ局内部で検証されたと思われますけれども、この方法について、どこでどう検討されたのか、我が党は、第三者が入っての検証など、方法について質問してきたところですが、このような手法とした経緯について伺います。  また、今回は資料という形ですけれども、今後どのようにまとめられる予定なのか、伺います。 ◎里 招致推進部長  今回の検証・総括の方法をどう検討したのかということと、今回の検証結果を今後どのようにまとめていくかというご質問にお答えします。  まず、総括・検証の方法につきましては、ご紹介のありました前回の調査特別委員会における議論ですとか、その後の4定代表質問における議論なども踏まえまして検討したものでございます。  今回の総括・検証につきましては、市民理解がなぜ広がらなかったのかという点に加えまして、招致活動がもたらした効果は何かという点を含め、振り返ったものでございまして、招致活動に関与してきた個人、団体に加え、外部有識者からも意見を聴取し、札幌市としてまとめ上げたものでございます。  今後、招致の表明から停止に至るまでの経緯や取組を詳細に記録いたしました報告書という形で、今回の検証結果や議会議論も含めて、来年度に作成してまいりたいというふうに思っております。 ◆佐藤綾 委員  スポーツ局で、市が招致を推進してきた関係者からの意見、有識者からのヒアリングを行っておりますけれども、これは、第三者という立場の方が一緒にどうだったかということを検証してきたというものではないのではないかと思いました。  また、なぜ理解がされなかったか、市民の側からの視点がないのではないかというふうに感じております。  そこで、市民の理解が得られなかった点についてお聞きいたします。  全体として、市民の不信や疑問を払拭できる発信、大会の意義を伝える発信が十分にできなかったという内容だと思います。  市民の不信という点では、資料2−2に、外的要因として、東京大会の経費の増大や、愛知アジア大会や大阪万博の経費の高騰による増大、また、東京大会のエンブレムや国立競技場問題、汚職・談合事件発覚によるオリンピックへの不信感が理解促進に大きな影響を及ぼした旨が書かれております。  また、内的要因として、開催意義や想いに関する市長のメッセージが弱いという指摘、発信内容に課題を残した、アスリートなど関係者が一丸となって招致を進める姿をつくれなかった、また、大会運営費に税金は投入しない計画に市民が理解、納得できる説明や明確な根拠を示すことができなかった旨の記載がありました。先ほど、里部長からもご説明があったものでございます。  しかし、そもそもオリンピックの商業的な姿に市民は不信を持ってきました。どの大会でも経費は増大して、IOCは莫大なテレビ放映権から、アスリートのパフォーマンスに関係なく、テレビ放映の時期や時間を優先して競技の時期や時間を決める、また、スポンサー企業は、大会がもたらす莫大な利益が目的で、東京大会以外でも多くで汚職事件などが起こっている、そうした商業主義に不審を抱いてきました。  そうした中で、札幌市では、五輪開催の意義をまちのリニューアルとし、オリンピックを起爆剤として都心部再開発を進め、札幌市は、目指すまちの姿を一日も早く実現させたいため、大会の招致を目的達成のための手段と捉えると位置づけてきました。  オリンピックまちづくりの手段として再開発を促進し、経済効果を得るためのイベントだと、そういう発想自体に共感を得られなかったのではないでしょうか。  そもそも、大会の意義自体が理解を得られなかった原因、要因だったと思いますけれども、受け止めを伺います。 ◎里 招致推進部長  大会の開催意義そのものが理解を得られなかったのではないかというご質問にお答えします。  大会開催の意義といたしまして、スポーツ・健康、経済・まちづくり、社会、環境という四つのレガシーを掲げまして、観光振興ですとか、バリアフリー化の推進などによるまちのリニューアルなどを通じたまちや経済の活性化ということについても重要な柱として訴えてきましたし、また、札幌が行う新たな大会の在り方ということも訴えてきたつもりであります。  経済界や市民の皆様から、一定程度、その効果に対する期待の声もいただいておりました。  しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大あるいは大雪の影響など、福祉や除雪など直面する市政課題に注力すべきだという声が増大してまいりまして、こうした開催意義のよしあしの議論に至らなかったこと、市民の皆様に広く浸透させることができなかったことは、非常に残念であったというふうに受け止めております。 ◆佐藤綾 委員  市民に浸透する前にというお話でしたけれども、市民との議論が深まる前に招致ありきで進行したために、五輪招致でどう市民の生活がよくなるのか、世界にどう貢献できるのか、そうしたことも示せなかったのではないかと思っております。  大会の意義を説明すれば分かってもらえる、説明が不足している、もっと機運醸成をすべきだということが、市長や、また、議会の中でも出されてきましたけれども、この説明、推進をすればするほど、市民からの反対の声、オリンピックより市民への施策に税金を使うべきだという声が高まりました。民意を受けて、北海道知事やアスリートの方からも、立ち止まって再考すべきではないかという声も上がったほどです。  また、本市のそうした態度、進め方が、陳情や請願、住民投票の直接請求運動へつながってきたと考えます。  請願をたった一度、1時間ほどの審議で否決することなどへの市議会への批判、また、住民投票の直接請求運動は大きく報道もされました。しかし、そうした市民の動きについて、この総括・検証の中では触れられておりません。  そこで、お聞きいたします。  オリパラ招致に反対する陳情、住民投票を求める請願などが繰り返し議会に提出されたことや、住民投票の集会やデモなどの市民運動、また、住民投票の直接請求が展開された点は記載がありませんが、公文書として残すと言うのですから、市民がどう反応してきたのか、市民の動向の記載と分析が必要だと指摘をいたします。  お考えについて伺います。 ◎奥村 渉外担当部長  議会に対する陳情ですとか請願が提出されたこと、あるいは、市民運動、住民投票の直接請求、そういった展開がされた点に記載がないけれども、市民がどう反応されてきたか記載、分析が必要ではないかという質問にお答えいたします。  今回の検証・総括では、招致活動において市民の支持と理解が重要であるというこれまでの基本的な考え方の下、繰り返しになりますけれども、市民理解がなぜ広がらなかったかという視点で活動を振り返り、招致活動に関与してきた個人、団体に加え、外部有識者へのヒアリングも踏まえ、その要因について分析、整理をしたものでございます。  その上で、市民の反応に関する分析の観点から、札幌市や報道機関が実施した意向調査の数字を資料2−1に記載をさせていただいたほか、市民説明会やオリパラ出前講座、各種ワークショップなどの対話事業を通じて得られた市民の様々な意見も踏まえ、総括・検証をさせていただいたものでございます。  なお、先ほどの招致推進部長の答弁のとおり、詳細な記録につきましては、今回の検証や議会議論も含め、来年度、報告書という形で編さん作業を進めていく考えであり、ご指摘いただいた議会議論、市民対話等に関する様々な事項につきましても、その中で必要な記録を行ってまいりたいと考えております。
    ◆佐藤綾 委員  報告書のほうで詳細な記録をということでございました。  市民の理解が進まなかったという点が大きな問題でありますから、市民の動きというのは大変重要なことであると思いますので、しっかりと記載していただくということを行っていただきたいと思います。  市民自治という点での検証について伺いたいと思います。  資料の2−1を見ますと、2014年からの意識調査等の支持率は、最初が67%で最高値です。胆振東部地震と新幹線延伸の時期をもって、招致を2026年から2030年に変更しましたが、これについても、市民の意向を聞くことなく決定していますから、その後も市民が納得していたとは思えない数値が続いています。賛成、反対がほぼ拮抗しているという状況です。  そして、市民の気持ちが盛り上がるはずの2022年の北京冬季五輪大会の後の3月に行った本市の意向調査も、賛成またはどちらかというと賛成を合わせて52%と、決して高い数値ではないと改めて見てとれます。  しかも、アンケートの手法そのものが誘導的であると専門家にも指摘される意向調査でした。それは、直後の北海道新聞の調査では反対が57%になっていることにも表れているのではないかと思います。  しかし、本市の意向調査で賛成またはどちらかというと賛成が52%だったことをもって、招致に邁進してきました。市議会でも、この意向調査を根拠として、招致決議が日本共産党と市民ネットワーク北海道の反対の中で決められました。これは、意向調査結果を厳しく見て、市民の声に重きを置くべきでしたが、招致ありきで進めてきたということではなかったかと思います。  そこで、質問いたします。  我が党は、検証に当たって、市民自治の観点を盛り込む形で公正な検証をするようこれまでの質疑の中で述べておりますけれども、今後の報告書作成に当たって、そうした観点で第三者の意見を盛り込むお考えがあるのか、伺います。 ◎里 招致推進部長  報告書の作成に当たり、第三者の意見を盛り込む考えはあるかというご質問にお答えいたします。  これまでの招致活動に当たりましては、意向調査や市民説明会、ワークショップなど、様々な機会を通じて市民と対話を重ね、その声を随時把握いたしますとともに、議会とも議論を重ねながら取組を進めてまいりました。  今回の総括・検証に当たりましても、これまで寄せられたこうした市民の声を踏まえつつ、招致活動に関与してきた個人、団体に加え、外部有識者からも意見を聴取してまとめ上げたものでございます。  その上で、来年度にまとめる報告書につきましては、今回の総括・検証結果にこれまでの招致活動の客観的な事実関係を記録として盛り込む形でまとめる考えでございますので、改めてヒアリングなどを実施する予定は今のところございません。 ◆佐藤綾 委員  もっと理解を広げる努力をすべきだったとか発信が足りなかったということなのですけれども、もっとお金を使って一丸となって取り組めば意識を醸成できたのかということは、甚だ疑問であると思っております。  客観的な視点というのが必要ではないかと思います。理解促進をするほど、市民との乖離が広がったという結果になってしまいました。  過去の開催都市も、地元住民の支持率が高く、IOCも住民の意向、支持率の高さを重視してきたことは承知してきたはずです。  2022年12月、住民投票の請願が審議された当委員会で趣旨説明をされた神原氏は、住民投票で多数の賛成が得られるのなら、招致にはしっかりした市民的基盤があることを内外に示すことになる、そして、招致の場合には、大会を成功に導く責任を市と市民が共有することになると述べられました。まさに、そうしたことが招致には必要であったと思います。  しかし、市民の声という点を重視してこなかった招致ではなかったか、実質9年間取り組んできた間のそこを直視しなければならないと思っております。  最後にお聞きいたしますが、市民の声を聞いて、共に考え、議論していくことが大事だった、そうした市民自治という視点に立つべきだったと考えますけれども、そこはどう総括されているのか、また、立候補する都市の多くで、住民投票によって判断していること、本市とマスコミの世論調査や市民の動向からも、住民投票によって招致の是非を決定すべきであったという点を検証の内容に含むべきだと思いますが、どうお考えか、伺います。 ◎奥村 渉外担当部長  市民自治の視点に関する総括はどうなのか、それから、住民投票によって招致の是非を決定すべきではなかったか、検証内容に含むべきではなかったかというご質問にお答えをいたします。  札幌市自治基本条例では、情報共有、それから、市民参加をまちづくりの基本原則と掲げており、こうした条例の趣旨を踏まえ、かつ、大会招致に市民の理解と支持が不可欠という考え方の下、メディア等を通じた情報発信であったり、オリパラ出前講座、各種ワークショップなどの対話事業に継続して取り組んできたところでございます。  その上で、東京大会の一連の事案を受け、改めて招致に対する民意の確認を行うということをお示しさせていただいて、その実施に先立ち、一連の市民対話事業に取り組んだところであり、そこで得られた市民の意見も踏まえながら、市民の理解や支持がなぜ広がらなかったのかという点について、その要因を分析、整理をしたものでございます。  なお、住民投票制度の在り方につきましては、現段階で、引き続き慎重な議論が必要だというふうに考えておりまして、今回の総括・検証には含めておりません。 ◆佐藤綾 委員  今回の総括には含めておりませんけれども、報告書の段階では、スポーツ局だけでなく、住民自治という視点で、しっかり市としてどうだったのかということを考えていただきたいと思うんです。  そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。 ◆荒井勇雄 委員  今回、招致活動を断念したことにより、個人的にも大変残念な気持ちといいますか、葛西選手のビッグジャンプが札幌市民共々応援できなかったのは、本当に残念だなという気持ちでございます。  その上で、少し前向きな視点から質問をさせていただきたいと思います。  オリンピックパラリンピックをはじめとした今回の大規模な国際大会の招致に当たっては、大会のいわゆる主催団体であるIOCや国際競技団体との関係構築が重要であると私は考えております。  札幌市も様々な取組を行ってきたものと認識しておりますが、この点に関しまして、スポーツ庁の室伏長官は、本年1月24日の記者会見において、札幌招致に関するJOCの情報収集体制に関した発言としまして、東京2020大会の後は、IOCや国際競技団体の来日がなくなり、世界のスポーツ情勢の情報が途切れたため、今後は、IOCや競技団体のトップとも電話一本で話せるような人間関係をつくることが大切であると指摘されました。  IOCや競技団体との関係構築が重要であると改めて認識したところであり、私も同様の思いでございます。  札幌招致は残念ながら実現に至りませんでしたが、関係構築という観点では、配付資料2−3の中でも、2026年大会の招致の段階からIOCと様々な対話を行ってきたこと、また、国際大会において、秋元市長もハイレベルでの関係構築を進めてきたことが記載されており、こうした構築したネットワークは、今回の招致のみならず、将来に向けた財産となることと思いますし、また、そうしなければならないと考える次第であります。  そこで、質問でありますが、今回の招致活動を通じてIOCや国際関係団体とどう関係を築き、どのような成果があったのかを改めてお伺いします。 ◎奥村 渉外担当部長  招致活動を通じて、IOCなどの国際関係団体との関係構築をどう進めてきたか、その成果はというご質問にお答えいたします。  これまでの招致活動におきまして、2026年招致では対話ステージに、そして、2030年招致では、継続的な対話に参加し、IOCと様々な対話を行ってきたほか、国際大会あるいは国際会議の機会を通じて、トップレベルから事務レベルに至るまで様々な関係構築に取り組み、こうした中で札幌の魅力をアピールしてきたところでございます。  特に、札幌で開催されました2017年のアジア冬季競技大会、それから、東京2020大会のマラソン等の協議の機会はIOCや国際競技団体の関係者が札幌へ足を運んでいただく機会となり、都市と自然の調和した札幌、北海道の魅力、そして、何よりも高い大会運営能力を直接見ていただくことで札幌の高いポテンシャルを示せたことが大きな成果だと認識しているところでございます。 ◆荒井勇雄 委員  今後の国際大会の誘致に向けて、国際競技団体との関係構築について次にお伺いいたします。  10年に及ぶ招致活動を通じまして、IOCや関係団体との関係構築を進め、また、スポーツの世界に札幌の大きなプレゼンスを発信できたことは招致活動の大きな成果であります。  これらは、今後の様々な国際スポーツ大会の誘致や開催に当たりぜひ活用していくべきレガシーであり、これまでの築いてきた国際競技団体とのネットワークを維持、拡充していくことは、大会誘致の面もあることはもとより、世界屈指ウインタースポーツの都市札幌を世界にアピールすることもシティブランドの向上の観点から重要と認識しております。  そこで、質問でありますが、将来的なオリンピックパラリンピックの招致も念頭に置きつつ、今後、国際大会の誘致など、積極的に取り組むに当たり、国際競技団体との関係構築をどのように進めていくのか、現時点でのお考えをお聞かせください。 ◎奥村 渉外担当部長  今後の国際競技団体との関係構築につきましてお答えいたします。  国際競技団体の統括的な立場である国際オリンピック委員会、IOCは、気候変動問題の中で、持続可能な冬季大会の在り方の検討を、現在、進めておりまして、こうした動向が様々な国際冬季大会に与える影響を把握するためにも、今回、我々の招致の停止に当たりまして、JOCに対し、引き続きIOCから情報収集を行えるよう、しっかり関係構築に積極的に務めていただくよう要望したところでございます。  今後、国際大会誘致を進めるに当たりましては、さっぽろグローバルスポーツコミッションをはじめ、JOCや国内競技団体と連携をしながら、国際競技関係者が集まる機会となります国内外の様々な国際大会や、オリンピック開催都市連合、あるいは、スポーツアコードといった国際会議の場を活用し、国際競技団体との必要な関係構築に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆荒井勇雄 委員  今後の札幌市の大会招致の観点から大変期待しております。  個人的にも、やはり、オリンピック招致を逃して、ここで終わるわけではなく、次に進められるようなスポーツ局の姿勢を陰から応援させていただきたいと思います。 ◆米倉みな子 委員  私からは、4点質問させていただきます。  昨年11月に開催されたIOC国際オリンピック委員会理事会においては、冬季オリンピックパラリンピックの開催地を、2030年はフランスのアルプス地域、2034年はソルトレイクシティーに一本化することを決定、2038年はスイスと優先的に交渉を行うとしたことから、札幌は招致活動からの撤退に追い込まれました。  札幌市が招致活動を進めるためによりどころとしてきたものが、2022年3月に行った冬季オリンピックパラリンピック招致に係る意向調査だと思います。  結果は、オリパラ開催の賛成が52.2%と過半数を僅かに上回り、開催反対は38.2%で、約4割もの市民が反対していたことを重く受け止めるべきではなかったでしょうか。  この調査の後に発覚したのが、2020年東京大会の汚職・談合事件です。日本でも、オリパラ招致活動の場が不正の温床となっていたことに、多くの国民、札幌市民もショックを受けました。事件の全容解明がなされていないにもかかわらず、札幌市の五輪招致への姿勢が変わらないことに憤りを覚えた市民は多かったと思います。  そこで、質問ですが、東京大会の汚職事件の発覚後に民意を問う調査を改めて行うべきだったと考えますがいかがか、また、2022年の意向調査では招致賛成に誘導するような設問に批判の声が出ていましたが、それについてはどのような認識をお持ちか、併せて伺います。 ◎奥村 渉外担当部長  東京大会の諸問題の発覚後に改めて調査をすべきではなかったか、それから、2022年3月に実施した意向調査の設問内容が誘導的ではなかったのかといったご質問にお答えいたします。  まず、東京大会諸問題発覚後の意向調査の関係でございますが、一連の事案を受けまして、2022年12月に札幌市は積極的な機運醸成活動を休止し、まずは大会運営の見直し案を作成するなど、市民の不信感の払拭、信頼回復に注力をし、その上で改めて民意の確認を行う考えを示して招致活動を進めてきたところでございます。  このような考え方の下、民意の確認に先立ち、大会運営見直し案、あるいは、大会経費等の市民の懸案事項について丁寧に説明し、理解を得るため、昨年の夏に一連の市民対話事業を実施したところでございます。  一方で、民意の確認につきましては、こうした取組と並行して実施手法等の検討は進めてきましたが、招致プロセスにおける時間的な制約もあり、結果として民意の確認を行うには至らなかったものでございます。  それから、2022年3月の意向調査の設問でございます。  2022年3月の意向調査の実施に当たりましては、2030年大会の計画内容を知っていただいた上で、賛否について市民の皆様に回答していただくことが重要と考え、例えば大会概要案を同封するなど、必要な情報提供をさせていただきつつ、意向調査の内容として、大会概要案に関する設問も併せて設定したものでございます。  このように、これらの設問は、あくまでも大会の計画内容を知っていただくために設定をしたものでございまして、一定の結論に誘導することを目的としたものではございません。 ◆米倉みな子 委員  これまで市民ネットは、オリパラは誰もが認める国際的なビッグイベントであり、多額の税金を投入し、市民生活にも大きな影響を及ぼすことから、それを招致することは市政に関する重要な事項であると再三述べてきました。  札幌市の憲法とも言われる自治基本条例の第22条には、市は、市政に関する重要な事項について、住民の意思を確認するため、別に条例で定めるところにより、住民投票を実施することができると規定されています。  この条例は、市政が市民の信託に基づくと同時に、市民がまちづくりの主体であり、市民、議員、市長、職員が連携して、市民自治によるまちづくりに取り組むことにおいて不断の努力を重ねることを規定しています。  しかし、この間、2022年11月に大学教授や弁護士などの市民による冬季五輪招致に関する札幌市民の意思を確認するための住民投票の実施を求める請願が提出されましたが、否決、また、2023年3月に審査された、2030年札幌冬季五輪招致に関する賛否を確認するため、10歳以上を投票資格者とした住民投票の実施を求める陳情は、継続審査後に廃案となりました。  オリパラ招致については、まちづくりの最高規範である条例にのっとり、住民投票を行うことができるように取り組むことは当然のことであると私は考えます。  そこで、質問ですが、招致活動の総括・検証の資料では、招致活動がもたらしたものとして効果の側面が記載されています。しかし、市民が求める住民投票を行わずにオリパラ招致活動を継続したことは、市民が市政の主体となっていないことが明らかになったと言えます。このことは、札幌市が今後、市政を進める上で大きな損失だと捉えていますが、それについてはどのようにお考えか、伺います。 ◎奥村 渉外担当部長  住民投票を行わずに招致活動を継続したというところは大きな損失だと捉えるべきではないかとのご質問にお答えいたします。  2022年12月に改めて民意の確認を行うと表明させていただいたところでございますけれども、市民の理解と支持を得ながら招致活動を進めるためには、まずは、大会運営見直し案あるいは大会経費等について丁寧な説明を行い、市民の意見を伺いながら理解を広げることに注力し、その上で民意の確認を行うという、このようなプロセスが重要だと判断をしたところでございます。  こうした考え方を踏まえ、様々な取組を行ったところでございますけれども、市民の理解が広がらなかったという点において、このことが招致停止につながったというところが大きな原因であるという認識の下、市民理解が広がらなかった要因について、今回、分析、整理し、総括をさせていただいたものでございます。 ◆米倉みな子 委員  仮に、住民投票を行い、その結果、多くの市民の賛同を得られれば、それはオリパラ招致を支える確かな市民的な基盤が札幌市にあることを内外に表明できたはずです。  また、住民投票の結果がどうなっていたとしても、市民が市政の主体であること、札幌市に市民の声を聞く姿勢があることを示すことができたはずです。  請願は否決、陳情は廃案となりましたが、住民投票の実施を求める市民の意思を市は酌むべきであったと考えることから、やはり住民投票は行うべきであった、札幌市は絶好の機会を逸してしまったと言わざるを得ないと私は感じています。  招致活動の総括と検証に当たり、有識者、関係団体へのヒアリングを行ったとの説明がありました。対象者、対象団体として選ばれているのは、アスリートや競技関係者、有識者、競技団体、スポーツ関係団体、経済団体の方々です。ほとんどの方がオリパラ招致を推進してきた方であり、非常に偏った人選という印象があります。市政の重要事項であるオリパラ招致活動の検証は、市政の主体である市民の幅広い意見が必要ではないでしょうか。  そこで、招致活動の総括・検証については、まちづくりの主役である市民の参加なくして全体の総括にはならないと考えることから、市民も含めた第三者委員会を設置し、改めて検証すべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎里 招致推進部長  市民も含めた第三者委員会を設置して改めて検証すべきではないかというご質問にお答えいたします。  これまでの招致活動におきましては、オリパラ出前講座や市民ワークショップ、説明会などによりまして、直接市民に説明を行い、意見をいただく場を設けてきたところでございまして、今回の総括・検証に当たりましても、こうした市民対話事業でいただいた意見や、その他、メールや電話などでいただいた市民の声といったものを踏まえつつ進めてまいりました。  その上で、外部有識者等からの意見聴取に当たりましては、様々な角度から多くの意見をいただきたいと考えまして、第三者委員会のようないわゆる会議体ということではなくて、一人一人お会いをして、比較的長い時間をかけて個別に詳細な意見を伺えるように、個別の聴取ということにしたものでございます。 ◆米倉みな子 委員  市民の声を聞いてきた、有識者の方々の意見を聞いてきたということでありますが、やはり、第三者委員会を設置しないということであれば、内輪だけの検証という印象が否めません。例えば、パブリックコメントなどで市民の意見を聞く方法もあると思います。実効性のある検証とするため、市民の声に真摯に向き合い、市民参加での検証を求めておきます。  最後の質問に移りますが、オリパラに向けては、様々な施設の老朽化が指摘され、更新やバリアフリー化への取組が示されてきました。  そこで、オリパラに向け計画されていた老朽化した施設の更新やバリアフリー化などに今後も積極的に取り組むべきと考えますが、どのように進めていくのか、伺います。 ◎里 招致推進部長  施設の更新やバリアフリー化などの進め方についてお答えします。  オリンピックパラリンピックの開催に併せて計画しておりました施設の更新あるいはバリアフリー化などにつきましては、大会の有無にかかわらず実施する必要がある事業でありまして、まちづくり戦略ビジョンアクションプランの事業にも位置づけられているところでございます。  2030年という一つの目標はなくなりましたけれども、まちづくり戦略ビジョンで掲げる目標の実現に向けまして、関係部局が連携をして、計画的に取組を進めていくものと認識しております。 ◆米倉みな子 委員  札幌市の施設は、札幌市民にとって大切な財産です。子どもたちをはじめ、障がいのある方や高齢の方など、誰もが気軽に立ち寄れて、日常的にスポーツを楽しめる施設が増えていくことを望みます。  そして、札幌市と札幌市民が自分たちのまちに今あるものの価値や魅力を再認識することが大切だと思います。  市民の知恵と力を借りながら、オリンピックなどのビッグイベントに頼らない冬の自然を存分に生かした魅力あふれるまちづくりに取り組んでいくことを要望して、私の質問を終わります。 ◆小形香織 委員  今のやり取りを聞いておりまして、本市は市民理解が重要であると繰り返し答弁されておりましたけれども、私は、このオリパラ招致は、市民の意見を聞くとか意思を確認するということを総じて軽んじてきたのだろうと思っております。  先ほども質疑がありました2022年3月に本市が行いました1万人への無作為抽出による市民意向調査について伺いたいと思います。  この調査は、問いの1から8、そして、8の1、2、3という設計の中で、問1と2は知っていたか知っていなかったかを聞く設問、そして、問3、4、5、6、7、これらの聞き方は、例えば、札幌市では2030年大会について、単なる一過性のスポーツイベントではなく、北海道、札幌が将来にわたって輝き続けるためのまちづくりに関するプロジェクトとしています、この内容についてあなたはどう思いますか、当てはまるものに一つ丸をつけてください。回答は、理解した、理解できなかった、分からない、この三つの中から選ぶという仕組みです。  問4も、共生社会の実現に貢献するものだということを理解したかどうかということを聞く、あるいは、問5も、今ある施設を活用するのだということを理解したのか、できなかったのかということを聞くという設問になっているわけです。  これは、どう見ても、まず、理解を求め、理解したか、しなかったかということをさんざん質問されて、そして、最後の問8で、あなたはオリンピックを開催することをどう思いますかと聞かれて、賛成から反対まで5段階で回答するというものなのですね。  先ほど、誘導する意図はなかったというふうにおっしゃっていましたけれども、今、改めてこの八つの問いの中のほとんどが理解できたか、できなかったかということを聞き、最後に賛成か反対かと聞くというこの設計は不公正なものだったと思うのですけれども、いかがですか。 ◎奥村 渉外担当部長  2022年3月の意向調査の設問に関するご質問にお答えいたします。  先ほどもご答弁させていただきましたけれども、この2022年3月の意向調査に際しましては、2030年大会の計画内容を理解していただいて、その上で賛否について回答していただくことが重要だろうと考えていたところでございます。  そうした情報発信の観点から、冊子等を一緒に送付させていただいたほか、この設問の中にも、今ご指摘をいただいたような形でございますけれども、大会計画に関する設問を幾つか載せさせていただいて、その上で賛否について確認する設問を掲載したところでございますので、何か特定の方向に恣意的に誘導するような、そういう目的で行ったものではございません。 ◆小形香織 委員  理解したかどうかと賛成か反対かということを混ぜ込んで聞くからこういうことになるのではないでしょうか。  統計調査法を専門に研究されている横浜市立大学の教授である土屋隆裕さんという方が、札幌市の意向調査について、朝日新聞の記事として載っています。  全く知られていないテーマについて聞くのであれば、事実関係を説明した上で賛否を聞く方法はあり得る、しかし、札幌市民にとって冬季五輪招致は既に大きな関心事で、それぞれ意見はあるのではないか、賛否を尋ねる質問は調査票の冒頭に置いたほうがより適切だったと思う、こういうふうに答えておられますけれども、私も最初にまずきちんとここを聞くべきだと思いますし、こういうやり方をすれば、回答しようと思った市民がこれは随分誘導的だと感じるのは当たり前だと思います。  この調査に一体幾らかけたのか、費用をお尋ねします。 ◎奥村 渉外担当部長  意向調査に要した費用に対するご質問にお答えいたします。  2022年3月に市民、道民を対象に行いましたこの意向調査は、実績額でございますが、郵送調査、インターネット、街頭調査を合わせまして、総額で約840万円となっております。 ◆小形香織 委員  今日もらっている資料2−1に支持率の推移というものが2014年から2023年まで折れ線グラフで表されています。  面白いことに、札幌市はこの10年間でたった2回しか調査をやっていなくて、マスコミが毎年調査をしているのですね。それを併せてこの折れ線グラフで示しておられますけれども、札幌市がやったアンケート調査の結果は、非常に賛成に誘導しようとする意図が表れたグラフにもなっていると私は思うのですよ。
     だって、その前の年にマスコミが調査したときは、賛成は48%だったのです。ところが、札幌市がやった調査結果は52%、その後、マスコミがやった調査は42%、札幌市がやったときだけは賛成が52%に上がったのですよ。  一方、反対はどうかといいますと、マスコミがやった2021年のときには、反対の市民は50%いたのです。札幌市がやった調査では38%に下がったのです。ところが、その後にやったマスコミの調査では57%に反対が上がっている。こういうふうになっていて、私は意図があったかどうかは分かりませんが、結果としては不公正であったということを見事に示したグラフだなと思っておりますし、こうした誘導的なやり方が札幌市の判断をも誤ることにつながったのではないかというふうに思っています。  840万円かかったとお答えいただきましたけれども、市民からの批判は免れないのではないかと思っております。  次にお聞きしたいことは、IOCの市民、住民の意思を重視するという点についてお尋ねしたいと思います。  2019年のオリパラ調特のときにも、本市はIOCも住民支持を重視しており、招致に多くの市民から支持を得ることが何より重要だと答えていられます。  このグラフによると、全体としては賛成は減少傾向、反対は増加傾向というふうに示していると思いますけれども、IOCがこの状況で札幌との対話に進もうと考えると思っていたのか、スポーツ局としてこれは対話できるぞというふうに思っていたのかどうか、伺いたいと思います。 ◎奥村 渉外担当部長  IOCが求める住民支持に関するご質問にお答えいたします。  ご指摘のとおり、IOCは、開催地を決定するに当たりまして住民支持という部分を非常に重視しているところでございます。そのような観点から、開催地として選定されるためには、我々もしっかり住民支持を上げていく必要があっただろうという認識を持っていたところでございます。  そのため、市民の皆様からの理解と支持を得られるよう、また、オリンピックへの不信感や招致活動に対する社会的な状況の変化の中からそういった懸念が大きくなる中で、こうした市民のご不安や懸念の声に向き合いながら、様々な情報発信や市民理解の促進に取り組んできたところでございます。 ○林清治 委員長  奥村部長、質問の趣旨と答弁がちょっと違うのではないでしょうか。  小形委員の質問は、IOCの開催地決定に向けて住民の支持の関係をどう受け止めていたかということを聞いていて、今の答弁とちょっと違うなという気がします。 ◎奥村 渉外担当部長  大変失礼いたしました。  IOCは、先ほど申し上げましたとおり、住民支持を大変重視しているということで、そうしたIOCのいわゆる招致プロセスの考え方の中で住民支持をしっかり確保するようにというところがIOCの考え方ということで、開催地の手を挙げている都市にはそういったところをしっかり取り組むように求めてきているという部分では、札幌に対しても同様にそういう考えを示し、我々もそれに応えるべく取組を進めてきたというところでございます。 ◆小形香織 委員  応えるべく努力をしてきたのは私も分かるのですけれども、このグラフに示されている、全体として反対が増加傾向、賛成が減少傾向という状態で、IOCが対話しようと思えるものだというふうに考えていたのかどうかをお聞きしたいのです。 ◎奥村 渉外担当部長  IOCは、その招致プロセスの中で、開催地決定に至るまでに対話というものを大変重視した、そういうプロセスを彼らは持っていたところでございます。  ですから、我々が2030年の招致ということを目指すに当たって、IOCと様々な対話をしていく、IOCも我々に対して、IOCの考えをその対話の中でしっかり伝えてくるというようなことでございまして、先ほど申し上げましたとおり、IOCとしては住民支持を強く重視をしているという考え方が伝えられ、我々もそれに応えるべく取組を進めてきたところでございます。 ◆小形香織 委員  本当に住民から支持されるという段階にこのグラフは至っていないということを、つまり、住民から支持されて初めてIOCは対話を始めるわけですから、それを示すことができていないということをこのグラフは表しているのだと思うのですよ。  ですから、本当に住民から支持されるためには、少なくとも、この3月の意向調査の結果、相当不公正ではありましたけれども、52対38という賛成と反対が半々だという状況になったときに、はっきりと市民の意思を聞くという住民投票をやるべきだったのではないでしょうか。  そして、その下で、その先、招致を本当に続けるかどうかということを考えればよかったのに、それをしないで、もっと機運醸成だ、理解促進だと進んでくるから、市民は一層、このことに対する抵抗が広がっていったということだと私は思っております。  検証に当たって、このたび、外部有識者、それから、関係団体ヒアリングということを行ったという報告でございましたけれども、なぜ一般市民を入れることなく外部有識者関係団体のみのヒアリングにしたのか、理由、目的についてお聞かせください。 ◎里 招致推進部長  今回の総括・検証に当たりましては、これまでの間、招致活動を通じて、市民対話事業などを通じて市民の皆様からいただいてきた意見、それから、メールや電話などを通じていただいた市民の声なども今回の作業の中に加えて総括・検証を行ったものと思っております。  その上で、外部有識者の皆様から意見を聞いたというプロセスを今回の総括・検証作業の中では取らせていただいたところございます。 ◆小形香織 委員  もっと市民の声を聞きながら振り返りをするべきだと思います。  札幌のこの招致活動は、初めのときから終わりのときまで、ほとんど市民を中心にしなかった。これではIOCに選ばれるということにならないだろうと思います。  少なくとも、賛否が拮抗した段階で、ちゃんと住民投票などを行って意思を尋ねて、賛成が多いぞと分かってから招致活動に進む、このことをきちんと総括で入れていかないと、この先、もし札幌市が再び招致しようというときに同じ過ちを犯すことがあると思いますので、この点をぜひとも盛り込むことを求めまして、私の質問を終わります。 ○林清治 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○林清治 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  次に、各会派から、これまでの招致活動や今後の取組についてご意見をいただきたいと思います。 ◆小竹ともこ 委員  私から、自民党議員会として、先ほどの和田委員の質疑も踏まえまして、提言を含めて意見を申し上げます。  まず、私ども自由民主党は、終始一貫して招致活動を後押ししてまいりました。  また、議会においても、2014年、2022年と招致決議をし、これまで、招致に向けて10年という年月を、議会と行政が両輪となって活動を展開してきたものと思っております。  これまでの招致活動を総括・検証し、今後の取組について議論をする本委員会に秋元札幌市長、そして、担当の副市長がご出席されていないということについて、非常に残念と申しますか、いかがなものかと、納得がいかない思いでおります。  我が会派としては、オリンピックパラリンピックの開催は単なる一過性のスポーツイベントにはとどまらず、新たなまちづくりを大きく加速させるものであり、私たちの住むまち札幌の魅力とポテンシャルを最大限に引き出し、日本中、世界中に国際都市札幌の名を高め、さらには、札幌において初となるパラリンピック開催によって、まち全体のバリアフリーが促進され、人に優しいまちづくりが進展するなど、有形無形の様々な価値と効果があると期待をし、推進してまいりました。  新型コロナウイルス感染症の拡大、東京2020大会の不祥事、大雪に見舞われたシーズンなど不測の事態が重なり、市民の理解、機運醸成は進まず、IOC理事会の決定を経て、結果としてこの招致活動を停止するということに対してはやむを得ないと思うと同時に、非常に残念、悔しい、絶好の機会を逃し、もったいないという思いを強く持っております。  そしてまた、本日いらっしゃらない市長に向けて、札幌市のトップリーダーである市長が自ら強い意思の下、オリンピックパラリンピックの開催をぜひとも実現させましょうという開催の意義と効果も含め、熱の籠もった明確な言葉で市民の方々に訴える場面が少なかったことは、大変残念に思っております。  また、推計されていた経済波及効果についてでありますが、招致決定から大会終了までの投資や支出により発生する直接的効果は約7,500億円、札幌市では約3,500億円と推計されておりまして、大会開催をきっかけとしたインバウンドを含めた観光客の増加により発生する主なレガシー効果、大会開催後の10年間の効果でありますが、約2兆5,000億円、札幌市においては約4,000億円が失われたこととなります。  ほかにも、非常に残念な点として、開催に対する反対の意見ばかりが大きく取り上げられ、自国で、この札幌、北海道でオリンピックが開催されることに期待してきた市民の方、若者や子どもたちの声や、冬季競技に打ち込み日々練習を重ねているアスリートをはじめ、競技関係者の方々の思いは広く取り上げられることもなく、置き去りにされていたかのような印象が拭えません。  招致活動が停止し、当面の目標が失われた今、マイナーな競技が多い中で、その普及と裾野拡大は今後一層困難さを増すことが予想され、その失望と落胆は痛切なものであると考えます。  今後に向けては、オリパラ招致にかかわらず、ウインタースポーツの振興や国際スポーツ大会の開催、誘致を積極的に進めていくとのことであります。  アジアで初の冬のオリンピックを開催したそのレガシーを次世代につなげ、将来の招致に向け、その灯を絶やすことがないよう取り組んでいただくことを求めます。  特に、これまで延べ約6万人の子どもたちが受けたオリパラ教育については、平和の祭典であるオリンピックが自分たちの住むこのまちで開催された歴史を学び、愛着と誇りを持つふるさと教育そのものであり、オリンピアン、パラリンピアン、そして、アスリートの皆さんのお話や体験談を通して、基本理念やスポーツの価値、意義、あるいは、楽しさを知ることができる貴重な機会であり、今後も継続されるということについては高く評価をいたします。  この学びを得て、たくさんの子どもたちが夢と希望を持ち、オリンピックパラリンピックが来ることを楽しみにしていたと思います。  世界に誇るウインタースポーツシティー札幌を次の世代につなげていくためにも、この招致活動の停止により、これまで描いたまちづくりが、決して遅れたり後退することがないよう、今後の市政運営に全力を尽くしていただくことを強く求めまして、終わります。 ◆松原淳二 委員  私からも、民主市民連合会派を代表して、オリンピックパラリンピック冬季大会招致を振り返って、一言、発言をさせていただきたいと思います。  我が会派においては、オリンピックパラリンピックは世界最大のスポーツイベントであり、トップアスリートがひたむきに競い、健闘をたたえ合う姿は、多くの市民に感動をもたらし、さらに、スポーツ文化の醸成に資するにとどまらず、大会を成功に導く市民の力や、さらには、世界中から訪れる人々が開催都市にふさわしいと感じるまちづくりを行う歩み、これは将来大きな財産として引き継がれると認識をし、札幌市の招致推進に賛同し、一緒に取り組んできたつもりでございます。  また、一貫して、招致推進に当たっては、市民の賛同が必要との立場で議会議論を重ね、地域、市民の多くの皆様や関係団体、支援団体との意見交換なども行ってきました。  これまでの招致活動を通じ、やはり、市民の賛同をどう得るのか、市民との合意形成をどう調えるのか、この点について大きく課題を残したものと認識します。  2019年のIOC、コーツ副会長が招致の前提条件としたレファレンダム、政治についての重要事項の可否を国民が直接投票によって決める制度、いわゆる国民投票、住民投票と訳すことができる発言の解釈を巡っても、やはり、2022年の市民意向調査が圧倒的な住民支持、国民支持の背景とした結果が得られていれば、一定の理解が、納得感があったものと考えます。  しかし、おおむね賛成とする方が僅かに過半数を超えた結果であったこと、また、その後の感染症の長期化や東京2020大会などを踏まえて、次第にマスコミ等の調査にも変化が見られ、市民との合意形成の在り方への不信につながったものと考えます。  秋元市長が次のプロセスに進むためには改めて市民意向を確認するとしていたことが体現されないまま招致活動を終了せざるを得なかったことは、極めて残念に思っております。  招致活動を断念した大きな要因は、東京2020大会の不祥事に尽きるとは認識する一方、オリンピックパラリンピックと市民サービスに係る財源が全く違うものの、市民生活に密接した行政課題とのすみ分けが招致意義の理解促進を難しくしたものと認識します。  また、開催都市を目指す札幌市が一行政区一自治体として取り組むことに限界があったことも実感をしました。  特に、冬季大会は、施設整備に多くの課題があることから、全道、全国、さらには全アジアと広い視点で既存設備の有効活用を検討する必要があり、北海道、札幌にとどまらず、オールジャパンでの招致推進体制の構築が不可欠であったと認識します。  また、IOCが過熱化した招致合戦から大きく転換し、アジェンダ2020を導入し、今後の持続可能な大会開催を模索する中、札幌市がモデルケースとして、これからのオリンピックパラリンピックの第一歩となることに期待をしていました。  しかし、新たな招致プロセスは複雑で、やはり不透明さが残るなど、選定過程などが大きく変わったことが理解されず、依然として五輪不信が払拭されないまま、東京2020大会の不祥事で一層その不信が強まったことと認識します。  残念ながら、新たな持続可能な大会開催のモデルケースは、フレンチアルプスやソルトレイクシティーなど、当面の開催候補地に委ねることとなります。札幌がなし得なかったモデルケースの第一歩といったことを期待したい、成功を期待したいと思っています。  当面は大会開催という選択肢は閉ざされた状況になりますが、大会招致を契機にまち全体をリニューアルし、雪を楽しむ文化、ライフスタイルを新たな価値として市民に、さらには国内及び世界へ発信していくとともに、共生社会の実現を目指し、超高齢社会に対応したユニバーサルまちづくりを進める取組を鈍化させることなく実現させなくてはなりません。  あわせて、2030年、SDGsの目標ゴール達成に向けて歩みも止めるわけにはいきません。  今回の総括・検証を今後の市政運営や各種施策の展開に生かすことが重要です。  また、市民との合意形成、市民意見の把握、課題解決に向けたプロセスなど、どう市民と共有するのか、この課題については、市民参加のまちづくりといった点でこれからも議論していきたいと思っております。  今後のオリンピックパラリンピック国際スポーツ大会をはじめ、国際的な各種イベントを行う上でも、ユニバーサルまちづくり、そして、市民参加のまちづくり、オールジャパンの体制構築が一層進むよう議論を重ねてまいる決意を申し述べて、私からの発言とさせていただきます。 ◆丸山秀樹 委員  私は、公明党議員会を代表し、オリンピックパラリンピック冬季大会の招致を総括し、意見を表明させていただきます。  我が会派は、これまで、オリンピックパラリンピック冬季大会の開催招致に当たり、一貫して共生社会の推進を主張してまいりました。  改めて、招致活動を行ってきたこの10年間の共生社会の推進に向けた取組を振り返ると、ハード・ソフトの両面からバリアフリー化が進められてきたことを挙げることができると思います。  例えば、ハード面では、施設をはじめ、地下鉄駅のバリアフリー化、ソフト面では、ヘルプマークやヘルプカードの導入、さらには、市民、企業、親子を対象とした心のバリアフリー研修も開催されました。  また、ハード・ソフトの両面の機能を有する公園のユニバーサル化を進め、インクルーシブ公園を実現させるなど、私たち公明党の主張が様々な形となって進められたものと認識いたします。  また、我が会派が代表質問をはじめ、様々な機会を通じ述べてきたSDGsの理念を踏まえたまちづくりへの提案がSDGs未来都市への選定につながったものと考えます。  さらに、LGBTの取組推進、国内5番目となった公正・公平な取引をもって途上国を支援する仕組みであるフェアトレードタウンの認定など、世界都市札幌としての価値を高めることもできました。  このように、招致活動を通じ加速させてきた共生社会の実現に向けた取組は着実に前進してきたものと認識いたします。  さらに、さきに公表された札幌市の最上位計画である第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンのビジョン編において、ユニバーサル(共生)がまちづくりの重要概念の3本柱の一つに位置づけられ、分野横断的に取り組む施策として、ユニバーサル(共生)プロジェクトが設定されました。  ユニバーサル推進室及びユニバーサル推進本部の設置により、庁内が一丸となって共生社会の実現に向けた取組を進めていく体制が構築されたことは、我がまち札幌が共生社会の推進に向け大きな一歩を踏み出せたものと評価するところです。  次に、本日の委員会では、会派の森山委員が、これまで我が会派が主張してきたオリパラ教育について質問をさせていただきました。  改めて、このオリパラ教育を通じ、互いの違いを認め合い、尊重し合うことの大切さを学ぶとともに、アスリートの姿を通して夢や感動を共有できたことは、子どもたちにとっての貴重な財産であり、未来に夢を描く子どもたちの背中を後押しするきっかけになったものと考えます。  オリパラ教育は、国際・異文化理解、共生社会の理解にもつながるものであることから、今後も継続し、進めるべきと考えます。  これまで札幌市は、招致活動を進める中で、冬季パラスキーワールドカップの開催や2017年冬季アジア大会のほか、東京2020大会のサッカーやマラソン、競歩など、暑さ対策でスタート時間が急に変更になっても柔軟に対応できる運営能力の高さを示し、世界から高い称賛と評価を受けられました。  さらに、通訳をはじめ、数多くのボランティアスタッフの姿は多くの感動を呼び、札幌の名を世界中にアピールすることとなりました。  今後も、ワールドカップをはじめ、国内外のパラスポーツも含めたスポーツ大会の招致は、これからの道内、そして、市内のスポーツ振興につながるとともに、それを支える通訳や多くのボランティアが持つおもてなしの力、市民力は、スポーツのみならず、札幌の主力産業である観光振興などにも役立て、生かしていくべきと考えます。  次に、招致に対する思いという点について、市長は、令和5年3定の決算特別委員会の冒頭で、札幌招致が本当に手の届くところまで来ている実感があったので、非常に悔しいとの発言をされましたが、我が会派としても同じ思いであります。  特に、我が会派は、オリンピックパラリンピック招致を市民が実感できるまちづくりにつなげる必要があり、その象徴となる場所を明確にし、まちのバリアフリー化ユニバーサル化を進めアピールしていくよう求めておりましたが、そうした取組を市民に明確に示すことができず、招致機運の醸成につなげることができなかったという点については指摘をさせていただきたいと思います。  また、招致を巡る議論では、スポーツが持つすばらしさや、札幌で初めて開催となるパラリンピックを通じたパラスポーツの普及や共生社会への理解促進の効果よりも、大会経費や大会運営に関わる不信感が先行してしまったことは大変残念であります。  一方、大会招致で行ってきた市民対話事業は、若者や子どもたちを含む札幌市民が将来の札幌のまちの姿に思いをはせ、自ら考えるきっかけとなり、中でも、大会概要案に札幌の未来を担う若者から、「若い世代からの100のアイデア」という形で盛り込むことができたことは成果の一つであったと考えます。  市は、今後も次代を担う若者の声を聞く機会を積極的に設け、市政に反映させていただきたいと思います。  また、招致の賛否に関する市民の民意確認においては、我が会派の先日の代表質問の中で、市長が掲げる市民参加の仕組みづくりを通じて触れさせていただきましたが、市民の多様な声を幅広く聞き、共に考え、議論し、解決を図っていくプロセスは大変重要であり、市民の様々な考え方や意見の見える化を図り政策判断に生かすなど、市民の声の反映方法を幅広く検討し、問題解決につなげる仕組みへと議論を進めることが必要と考えます。  誰一人取り残さない持続可能な社会を目標とするSDGsの考え方が2015年国連総会で採択され、我が会派が初めて議会の代表質問で取り上げて以来、本市においても、2030年を目指し、SDGsの理念に基づくハード・ソフトにわたるユニバーサルまちづくり、脱炭素社会に向けた取組の推進、さらには、新幹線の延伸を見据えたまちのリニューアルが加速される中、オリンピックパラリンピックの招致に伴う様々な取組は、市の施策展開に大きな、大きな役割を担ってきたことは確かであります。  ついては、招致活動を通し得られた財産を、今後の世界都市札幌に向け、まちづくり、人づくりに生かすとともに、ウインタースポーツや障がい者スポーツの普及振興、さらには、今後も力強く進める必要がある共生社会の実現に向けた取組に生かし、全ての市民が実感できる優しいまちづくりを着実に進めていただくことを求め、また、会派としても決意し、意見表明とさせていただきます。 ◆小形香織 委員  日本共産党札幌市議会議員団を代表し、北海道・札幌2030オリンピックパラリンピック冬季競技大会の招致活動と停止について、総括して討論を行います。  2014年に上田文雄前市長が2026年の冬季オリンピックパラリンピックの開催都市として立候補を表明し、秋元克広市長になった2018年9月、2026年招致活動の終了と併せ、2030年招致を表明し、招致活動機運醸成活動を本格的に進めました。  私ども日本共産党は、世界の平和と友好、人間の尊厳を掲げるオリンピックの精神に賛同するとともに、開催都市となる地元市民の圧倒的賛同がなければ前に進むことはできないと考え、議会での質問を重ねてきました。  本市は約10年間の招致活動を進めましたが、IOCが2023年11月29日に、2030年はフレンチアルプス、2034年はソルトレイクシティーと狙いを定めた対話に進むことと併せ、2038年はスイスと対話することを発表したことで、本市は事実上、招致を断念し、12月19日に招致活動を停止することとなりました。  東京大会の一連の汚職・談合事件はもちろんのこと、我が党が指摘してきたとおり、市民との十分な合意がないままに招致しようとしたことがあつれきを生み、市民の反対世論が広がり、このような結果となったと考えます。  2019年、本市は、招致レースのスタートだと位置づけ、取組を本格化させましたが、まだ市民の意向を確認していない段階でJOCと話を進めたため、2020年1月に札幌市を2030年の国内候補地と決定したことに対し、まだ賛否も聞かれていないのになぜ候補地となるのかと、市民の中に疑問や不信が広がりました。  この時期のマスコミの世論調査でも賛否は半々であったのに、決定が先になったこの順序は明らかに逆だったのではないでしょうか。  ようやく2022年3月に本市は1万人の無作為抽出による意向調査を実施しましたが、その手法にも、結果による判断にも、大きな過ちがありました。  送られた封筒には、調査用紙のほか、大会概要案とQ&Aが同封され、大会概要案及びQ&Aを読んだ上での回答が求められました。  大会招致は市民生活に好影響を与える、大幅に経費が増えることはありません、さらなる経済効果も見込まれますなど、不確定なメリットばかりが強調されたQ&Aを読んでから回答に入るよう促されたのです。  調査用紙は、8項目のうちの五つが大会概要を理解したか、できなかったかに丸をつけさせるもので、最後の8問目でようやく賛成か、反対かを聞くという設計になっておりました。  また、旭川、帯広など道内6都市の調査は、映画館来場者への街頭調査で、協力者にはオリジナルバッジを提供するという物品を使う手法でした。  さらには、調査実施時期は北京オリンピックの直後で、選手たちの活躍に心を躍らせた心境に付け込むタイミングで、統計調査法の専門家から、調査票の設計について、賛成方向に誘導されている可能性がないとは言えないとの指摘を受けるものでした。  不確定な要素で、招致はばら色であるかのように描き、市民を賛成に誘導するような意向調査を840万円もかけて実施したことに対し、強い反省を求めるものです。
     さらに、この意向調査の結果は、賛成52.2%、反対38.2%とほぼ拮抗し、市民からの多くの支持を得たとは言い難いものであり、この段階で機運醸成活動をやめ、38.2%となった反対意見を持つ市民と対話する必要がありましたが、市長は、招致の是非の決定ではなく、今後の進め方の参考とするという態度に終始しました。それを受けた本市が、市民理解が不足していると、さらなる理解促進活動を行おうとしたことから、我が党は、2022年5月、第2回定例市議会で、2030北海道・札幌オリンピックパラリンピック冬季競技大会招致に関する住民投票条例案を市民ネットワーク北海道と共同で提出したのです。  市長がオリパラ招致はまちの将来に関わる重要な取組と認識していると答弁したことは、本市が持つ札幌市自治基本条例第22条にある住民投票を実施できる根拠であります。  大会招致は市政の重要な事項であり、賛否が拮抗した以上、間接民主主義を補完する住民投票を行い、オリパラ招致に賛成か、反対か、市民の意思を直接確認する必要があると考え、提案したものでした。  これに対し、自由民主党会派からは、議会での招致決議は議会として総合的な判断であり、必ずしも住民投票が優れているとは言えない、民主市民連合からは、賛成や反対かの選択を迫るものであり、子どもたちなど広範な意思を反映していない、公明党会派からは、関係者が一丸となって取り組むべきときに、賛否のみを問う住民投票は市民を分断するなど、市民不在のまま招致を推進する本市と同調する理由により反対の表明があり、残念ながら可決に至りませんでした。  その後の8月末、東京2020大会の談合、汚職など一連の不祥事が発覚し、本市はまだ事件の全容も分からないうちから早々にクリーン宣言を行い、大会概要案を更新しましたが、事態が次々と明るみになる中で、招致反対の市民世論はさらに高まりました。  また、12月、3月には、市民から議会に対し、住民投票の実施を求める趣旨での陳情や請願が出されました。  こうした中で、市長選目前の12月20日、本市は機運醸成活動を休止しましたが、翌年4月の市長選の結果は、市長が冬季オリンピック招致に対する懸念なども含まれていると答弁されたように、札幌市政への不信を表すものとなり、9月には市民による住民投票条例の直接請求署名運動が開始されました。  本市が行ったオープンハウスや説明会で、参加した市民から、やめてほしい、大会予算が増加するのではないかなど、寄せられた意見1,086件のうち、628件が不安や懸念の声で占めるという状況になったのです。  そして、10月に市長が2030年招致断念を表明した後も、2034年以降の可能性を探るとしたため、私が10月18日の本市議会決算特別委員会で住民投票の実施を求めましたが、民意を確認する一つの手段だと言うだけで、いつの段階でどのように住民投票を行うのか明確な答弁はありませんでした。  大会招致にかかった経費は2014年度から支出が始まり、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年度は1億1,500万円、2021年度、3億9,600万円、2022年度、3億円と10年間で12億2,100万円にもなりました。  市民から多くの支持を得たとの確認が一切ないままに、12億円を超える大会招致経費を使ってしまったことは重大な問題ではないでしょうか。  議会も問われています。  我が党と市民ネットワーク北海道が反対すると分かっていて、オリパラ招致の決議を多数決で決定いたしました。  それにより、本市が議会でも招致決議をいただいたと後ろ盾にすることとなってしまいました。  また、市民から出された陳情や請願は、丁寧な議論を重ねる必要があるものですが、住民投票の実施を求めた請願に対しては、僅か1回の審議だけで多数決により否決しました。  市政の重要な事項であるからこそ、数の力で押し切ってはなりませんでした。  このたびの総括・検証は、市民の意思を確認しないまま進んでしまった過ちについて書かれておりません。総括にも一般市民は加われず、本市の招致活動は、最初から最後まで、徹頭徹尾、市民不在のままのものでした。間違った総括は、次の招致活動をも間違えることになります。  今後、本市が冬季オリンピックパラリンピックを招致しようとするならば、まず、本市の施策をさらに充実させて、市民のウインタースポーツ実施率が2019年度は10.1%と下がっている現状を大幅に引き上げ、スポーツ愛好家を増やすことです。  そして、招致について市民の賛否が分かれそうなときには、自治基本条例にのっとり、市民に住民投票によって意思を確認し、多くの市民からの賛同を明確に得てから、本市の言うオールジャパン体制招致活動に進むというIOCが求める確かな住民合意が必要です。  このことを明記せずに2030年招致活動の総括をすれば、再び同じ過ちを繰り返してしまうことを肝に銘じ、改めて市民の意思を確認することの欠如や多数の賛同を得た後に進むことの欠如がなぜ起きたのか検証するよう求め、討論を終わります。 ◆荒井勇雄 委員  日本維新の会、会派を代表しまして、会のご意見を述べさせていただきたいと思います。  率直に、今回オリンピックパラリンピックの招致をできないことに、市民の代表者として、為政者として、大変責任を感じております。  政治家たるもの、私は、国家の繁栄、都市の繁栄に対し全力をささぐべきだと思っております。  歴史を振り返ってみましても、1972年の町村金五知事及び板垣武四札幌市長の協力の下、札幌は大きく発展したことは紛れもない事実でございます。当時の昭和天皇をお招きし、先人の北海道開拓を尊び、次の世代に未来を残すため、今、この札幌はあるのであります。  札幌市役所の前にもオリンピック聖火台がありますが、本市はオリンピックがあって発展してきたということを忘れてはいけないと思うのであります。  経済効果の観点から見ましても、今回、本市が発表したとおり、招致を決定していれば、経済効果として、先ほどもありましたが、7,500億円、大会終了後、2兆5,000億円、計3兆円近くの経済効果をふいにしたのでございます。  目の前に招致が決定していた、ほぼほぼつかみかけていたものを我々は逃してしまった、これは本市にとって、北海道にとって多大なる損失であると、このように考えております。  その上で、今回、私は北海道知事の姿勢、責任政党としての与党、また、財界の姿勢に対して、大変承服しかねるものでございます。  北海道新聞をはじめ、マスコミの皆様方は、反対、反対の論調を張ってきました。しかしながら、招致を断念した翌日、札幌市長及び本市の体制に対し、また批判の記事を書きました。  実際に、札幌オリンピックが決まらず広告収入を得られなかったのは、自明の理でございます。  そもそも、私は、今回のオリンピック招致に当たり、東京オリンピックの汚職が問題であって、札幌は、先日、小竹委員のお話にもあったとおり、この議員き章を見ても、札幌は雪のように純白であり、まだ特に何も汚職等をしておりませんし、今後どのようにすればオリンピックを開催できるのか、前向きな質疑応答を通してオリンピックを決めようと努力すれば、開催を迎えられたと思っております。  そもそも、もしもオリンピックが北海道にとって、札幌にとってマイナスであるというのであれば、フランスも、アメリカも、スイスも、今回の招致活動に当たり、手を挙げないものであります。  一つ、結果としまして、今回、白人のスポーツとしてオリンピックが銘記されてしまった、そのように周知されてしまったのではないかと私は思っております。  1964年、当時の文科大臣、嘉納治五郎貴族院議員が、当時、白人のスポーツであったオリンピックを、アジアを含め、世界の平和の祭典であると定義し、東京オリンピック第1回開催にこぎつけたにもかかわらず、我々は先人の思いをつむげなかったことに対して、改めまして責任を感じております。  その上で、先ほどの経済指標の観点から申しますが、大阪は、オリンピック招致を逃し、今回、万博を決め、IR招致を決めました。今後、札幌と大阪で、10年後、20年後にどちらが経済発展しているのか、将来、どちらが都市の発展になるかということを踏まえて、必ず結果は出るものだと私は思っております。  最後になりますが、私も市民説明会に度々足を運ばせていただきました。今回、招致に当たり、スポーツ局の皆様が連日遅くまで頑張っていたということを私も認識しております。時には感情的な質問になりながらも、奥村部長が淡々と市民の皆様の質問に対してお答えしていたことは、陰のMVPだと私は感じております。  結びになりますが、私は本日、石川県能登半島の伝統工芸である輪島塗のカップをお持ちしました。  震災の復興及び30年、34年、38年の日本選手団の健闘をお祈りしまして、日本維新の会、会派を代表しましての私の意見表明を終わらせていただきます。 ◆米倉みな子 委員  先ほどの質問内容と重複する箇所もありますが、非常に重要なことですので、市民ネットワーク北海道を代表して、招致活動の総括を述べさせていただきます。  札幌市においては、2014年より、2026年大会、また、2030年大会の招致に向けた取組を進めてきました。  市民ネットワークは、オリンピックパラリンピックスポーツを通じて世界中の人々が交流する平和の祭典として意義のあるものと考えます。  しかし、超少子高齢化、人口減少など、厳しい社会経済情勢の中、札幌市の財政状況は今後ますます厳しくなっていくことが予想されることから、今、選択すべきは、オリンピックの開催ではなく、福祉や教育、将来を担う子どもたちや若者たちが安心して働くことのできる政策を一刻も早く実現すること、また、オリパラ招致ありきではなく、市民意見を基本とし、決定することなどを一貫して求めてきました。  2022年3月に札幌市が実施した1万人意向調査では、賛成、どちらかといえば賛成が計52%、反対、どちらかといえば反対は計39%でした。  約4割の市民が反対の意向を示したにもかかわらず、札幌市は、説明すれば理解してもらえると自己本位的な解釈をし、市民意見を軽視したことは、自治基本条例にもとる市政運営と言わざるを得ません。  また、このアンケートは、冬季五輪の意義を強調した上で賛否を問うものであり、誘導的で公平性に欠けるものでありました。  札幌市においては、自治基本条例第22条において、市は市政に関する重要な事項について住民の意思を確認するため、別に条例で定めるところにより、住民投票を実施することができると規定しています。  2022年11月、大学教授や弁護士などの札幌市民による冬季五輪招致に関する札幌市民の意思を確認するための住民投票の実施を求める請願が議会に提出されましたが、残念なことに、この請願は不採択となりました。  札幌市において、2030冬季大会が世界を魅了し、歴史の転換点と人々が記憶するような大会としたいと考えていることや、また、事業予算も多額であることから、市政の重要な事項であることは間違いありません。  こうした重要事項である2030冬季大会の招致について、市民が住民投票の実施を提起したにもかかわらず行わなかったことは、自治基本条例を尊重していないということになり、これは市政運営の根本を揺るがす重大事です。  まず、この点を総括・検証し、今後の市政運営に反映すべきと考えます。  また、札幌市が2014年からおよそ10年にわたる招致活動に費やした費用は約27億円に上っていますが、市民に向けて詳細を公開するとともに、具体的な内容について検証すべきです。  本市による招致活動の総括・検証の結果のご説明がありましたが、こうした市民の視点での検証が必要不可欠と考えることから、先ほども提案しましたが、市民を含めた第三者委員会を設置し、検証すべきことを改めて求めて、私の討論を終わります。 ◆脇元繁之 議員  本日は、意見表明の機会を与えていただき、感謝申し上げます。  すぐに熱くなるほうですので、粛々と手元の原稿を読ませていただき、心静かに意見を述べさせていただきたいと思います。  とはいうものの、答弁を聞いておりました。特に、住民投票をすべきとか、市民の声を聞いていないとかと発言していた委員の方にお尋ねします。  我々は市民の代表者ではないのですか。我々は市民の代弁者ではないのでしょうか。市民に必要のない責任を負わせるのですか。責任を負う立場は我々議員の役割ではないのでしょうか。ご自身の立場を改めて考えてみてほしいと願います。  私は、昨年5月2日に市議会議員という立場を与えていただきましたので、それ以前の札幌市と議会での詳しい議論の中身を知っているわけではありませんが、市長をはじめとする理事者と議員の皆さんが議論に議論を重ねた上で、オリンピックパラリンピックが札幌市の未来に向けたまちづくりに大きく寄与するものと判断した上で招致活動を決議したものと認識しております。  当然、このような国を巻き込んだ一大イベントの招致活動ですから、その意義はもちろんのこと、オリンピックパラリンピックがもたらす経済波及効果は、札幌市はもとより、北海道、日本全体に及ぼすものであるということは、改めて申し上げるまでもないと考えます。  それにもかかわらず、市長が今回、招致活動を停止せざるを得なかった、いや、断念すると決断した最大の理由は、市民の理解を得られなかったことなのだと考えます。  本日示された総括では外的要因内的要因が羅列されていますが、この機運醸成や支持を得られなかった最大の要因は、オリパラ開催への情熱と覚悟が足りなかったからではないでしょうか。  確かに、現在、東京大会での不祥事などで、オリパラに対するイメージはお世辞でもよいとは言えません。ですから、オリパラがもたらすまちづくりの有益性を幾ら言葉や数字で説明しても、にわかに信じてはもらえませんでした。  別段、札幌市が招致活動に当たって何か不祥事を起こしたわけでもありませんし、手続に瑕疵があったわけでもないのに、ネガティブなイメージが先行し、それを払拭するには言葉が弱く、それを挽回するすべを見いだせず、何かのせいにしているようでは、このような結果になってしまうのも当然と言えば当然だったのかもしれません。  オリパラを開催することで札幌の未来が明るいものだと確信しているのであれば、覚悟を持って市民の不安を取り除いてほしかった。こういうときは、丁寧な説明、誠実な取組と併せて、市長の、大丈夫、責任は俺が取る、俺に任せろという言葉と覚悟があれば、多くの市民の共感が得られたのではないでしょうか。  反対や否定のエネルギーはとてつもなく大きいものです。それに対峙できるのは、市長が見せる覚悟、強いリーダーシップによるものです。もちろん、招致の決議に賛成した市議会議員にもそれを後押しするという大きな役割があったと思います。その後押しが足りなかったと感じる議員も一部はいらっしゃるのではないでしょうか。  市長も、議員も、民主主義の手続による選挙で選ばれた市民の代表者です。議論に議論を重ね、市民の暮らしに責任ある結論を導き出す、時には、5年後、10年後、100年後の未来を見据え、誤解を恐れず決断しなければならないこともあります。  このたびの招致活動に併せて、半世紀前にこのまちに流れた「虹と雪のバラード」が地下鉄駅に再現されました。私は、札幌が生んだ名曲だと思っています。  しかし、招致活動の停止に合わせて、市民の間から、いつまで流しているのだという抗議の声が寄せられ、この3月中には中止するということが伝えられると、今度はどうしてやめるのだという声が寄せられているのだそうです。  これほど招致活動を巡って市民意見が分かれ、その混迷ぶりが名曲をも翻弄する事態となってしまいましたが、この一連の出来事を通して、我々は多くのことを学んだような気がします。  今回の札幌市の決断は苦渋の決断と受け止めながらも、これまでの時間と費用が決して無駄ではなかったと思える市政運営をすべく、頭を切り替えて、まちづくりに前向きに取り組んでいこうではありませんか。  私も一議員として微力ではありますが、力を尽くしてまいりたいと考えております。  以上、私の意見表明とさせていただきます。 ○林清治 委員長  本日ご出席の各会派からの意見表明をいただきました。大変ありがとうございました。  次に、今後の委員会活動についてです。  本委員会は、冬季オリンピックパラリンピックに関する調査を目的として設置されたものでありますが、本市やJOCが招致活動を停止した状況を踏まえ、今後の委員会活動について理事会で協議を続けてきたところであります。  また、ただいまの理事者からの総括・検証や各会派からのご意見、本委員会の設置目的等を総合的に勘案いたしますと、今後も調査活動を継続する必要性は乏しく、当職といたしましては、本委員会はその役割を終えたものと考えます。  つきましては、ここで、お諮りいたします。  本委員会について、調査活動を終了すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○林清治 委員長  異議なしと認め、本委員会における調査活動は終了すべきものと決定されました。  なお、本委員会の調査終了については、本会議での報告、議決をもって正式に決定されることになります。  これに先立ち、議長に対して委員会報告書を提出いたしますが、審査報告等については理事会にご一任いただくことでよろしいでしょうか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○林清治 委員長  それでは、そのように決定いたします。  委員会の閉会に当たり、一言、ご挨拶申し上げたいと思います。  約9年にわたり、幾度か名称も変わりましたが、冬季オリンピックパラリンピックに関して調査を行ってまいりました。  この調査特別委員会でありますが、先ほども申したように、札幌市の招致活動停止となったことにより、本日の質疑、各会派の意見表明により、調査を終了することと決定いたしました。  私は、委員長としては1年に満たない期間でありましたが、藤田副委員長、各委員、そして、理事者並びに議会事務局のご協力で委員会運営をしてまいりました。この間のご協力に感謝申し上げたいと思います。  今後も、冬の観光客誘致、冬季スポーツ振興は本市にとっても大変重要な取組であります。これまでの議論をしっかりと今後の市政にも生かしていただきたいと考えております。  このことを申し上げまして、委員会閉会に当たり、ご挨拶とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後4時18分...