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  1. 札幌市議会 2024-02-27
    令和 6年(常任)文教委員会−02月27日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和 6年(常任)文教委員会−02月27日-記録令和 6年(常任)文教委員会            札幌市議会文教委員会記録            令和6年2月27日(火曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時     ―――――――――――――― ○竹内孝代 委員長  ただいまから、文教委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、佐々木委員からは、欠席する旨、届出がありました。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第45号 令和5年度札幌市一般会計補正予算(第8号)中関係分を議題といたします。  質疑を行います。 ◆篠原すみれ 委員  私からは、性被害防止対策に係る設備の設置費用を支援するための補正予算に対して質問をいたします。  昨年7月、こども家庭庁と内閣府で開催した合同会議で、こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージを決定したところです。  その後、国の2023年度補正予算において、保育所等における性被害防止対策に係る設備等支援事業が措置されました。  これを受けて、札幌市では、2023年度補正予算において、保育所等における性被害防止対策等に係る設備等支援事業に4,170万円を計上していますが、今年度中の設備導入が難しいため、2024年度に繰り越すこととしています。  他方、厚生委員会所管である障害児通所事業等においても、同様の補助に関する補正予算が計上されていると聞いております。  さて、このたびの補正予算について国から通達があった後、子ども未来局では各保育施設ニーズ調査をしたと伺っております。  そこで、質問ですが、国の通達内容を踏まえ、今回の予算編成に向けてどのような調査を行ったのか、また、それにより分かった事柄についてお伺いいたします。 ◎渡邉 支援制度担当部長  予算編成に向けたニーズ調査の内容とその結果についてのご質問にお答えをいたします。  保育施設では、性被害問題にかかわらず、従前から、保育所保育指針等基本原則に沿って、子どもの最善の利益を考慮し、人権を尊重する保育を実施してきております。
     このたびのニーズ調査は、国の補正予算を活用した取組を行う意向の有無について各施設に確認したもので、全体のおよそ3割、認可、認可外を合わせて220の保育施設から申請したいとの意向が示されたところでございます。  そのほかに、園内でのプライバシーの確保はもちろん、園庭での水遊び等の活動時に外部からの視界を遮るため、パーティションの購入に補助金を活用したいなどといった意見が寄せられております。 ◆篠原すみれ 委員  これまでの相談事例は幾つかあると聞いております。  子どもが安全に過ごせること、親が安心して子どもを預けて仕事ができること、園で働く職員が本来の仕事に全うできることは、必ず守られなければなりません。  先ほどのご答弁で、性被害問題にかかわらず、従前から、保育所保育指針等に沿って、子どもの人権に配慮した保育を実施しているということでした。  各園が意識をしっかり持って対策を講じること、事後の対応について詳細に想定することは不可欠です。そして、それらを札幌市がしっかり支援することが重要と考えます。  しかしながら、予防対策を講じていたとしても、想定を超えた事態が生じることもあり得ます。  そこで、質問ですが、過去の事例等も踏まえて、いざ事案が発生した際にどのような対応を考えているのか、伺います。 ◎伊藤 子育て支援部長  被害事案が発生したときの対応についてお答えいたします。  過去の事案を受けまして、未然防止を図るために、保育室への私物カメラ等の持ち込みを禁止するといった行動基準を定めるなど、各施設に対しまして、安全を確保するために、実効性のある取組を求めてきているところでございます。  仮に性被害事案が発生した場合には、施設に対しまして、園児や保護者のケアを第一にした対応のほか、状況確認原因究明を求め、再発防止に向けた取組に対し助言を行うなど、真摯に対応してまいります。  各施設に対しましては、この制度を十分に周知し、希望する施設が当事業を活用した性被害防止の取組を進められるよう、着実な支援に努めてまいります。 ◆篠原すみれ 委員  園児や保護者、そして、働いている方に対しての真摯な対応をしていくなどのご答弁がありました。  このたびの事前調査では、認可外を合わせると、市内793施設のうち220の施設が、そして、認可保育園施設で見ると、市内540の園のうち150の園が希望したとのことです。  この数字の意味合いについては気になるところでございます。  希望しなかった園は、事前に対策を講じている等の理由から必要がないと判断したのか、もしくは、単に必要性を感じていないのか、希望する、しないの判断の理由が心配です。  今回の補正予算が終了しても、今回の事業で導入した園の事例を見て、設備の導入の希望をした園には等しく対応できるだけの予算措置をしていただきたいと考えております。  以上をもちまして、私からの質問を終わります。 ◆小形香織 委員  私からは、債務負担行為の補正として、公立保育所における調理業務委託費増に伴う限度額の変更、6,000万円、これを追加するという金額が示されておりますので、このことについて質問したいと思います。  公立保育所というのは、調理業務も含めて本市の職員で担っているはずだと思いますけれども、このたび、委託するのはなぜなのか、どこの公立保育所で委託をするのか、現状や理由など、6,000万円の内容について伺いたいと思います。 ◎伊藤 子育て支援部長  委託費の内訳と今回の委託に至った経緯等について答弁いたします。  今回の委託につきましては、施設において、来年度の正職の調理員の欠員が見込まれることから、委託を行うに至ったものでございます。  委託する施設名といたしましては、厚別区保育・子育て支援センター東白石保育園美園保育園、手稲区保育・子育て支援センター新川保育園の5施設でございます。  費用につきましては、現在の各施設の職員配置数を基にした18名の人件費相当分でございまして、施設内の調理業務で用いる備品や食材などは市が用意するものでございます。 ◆小形香織 委員  保育所というのは、直接子どもに関わる保育士と、食の面でその子に合った提供をする調理職員との深い連携が必要なところでございます。アレルギーがあるとか、あるいは、発達段階に合わせた離乳食をどういうふうに少しずつ固くしていくのかだとか、そういったことや、もちろん食事のバランスなどを考えることが大事なわけです。  このたびの委託において、保育における給食の質、そして、保育をするところとの連携はどのように担保されるのか、伺いたいと思います。 ◎伊藤 子育て支援部長  調理業務の質の担保に関わるご質問でございます。  保育所における給食は、児童の発達段階健康状態に応じた離乳食、幼児食やアレルギー等への配慮など、安全、衛生面及び栄養面等での質の確保が図られるべきものでございます。  札幌市では、札幌市児童福祉法施行条例に基づきまして、栄養士を配置いたしまして、園児の状況に応じた献立の作成や必要な食材等を用意するほか、業務仕様書等によりまして、安全な食事を提供する体制を確保してまいります。 ◆小形香織 委員  今回は、2024年度1年間の委託だということでありまして、その全額は人件費というふうに考えているということでありました。  札幌市の数少ない公立保育所は、業務委託ではなくて、やはり市の職員が保育にも当たる、調理業務にも当たる、こういう公的施設としての安心感をしっかり担保しなければならないと私は考えております。  ですから、今年度は委託をするにしても、2025年度以降、ここは札幌市の職員を配置するべきだと思っております。  そのようなお考えがあるのかということが大変気になるわけですけれども、今回は、当面1年間の措置であるべきで、その後は、委託はできるだけしないで必要な人材を整えていくという調理業務の考えが必要だと思っておりますけども、その辺の考え方を伺いたいと思います。 ◎伊藤 子育て支援部長  調理業務の今後の方向性についての考え方に関するご質問でございました。  調理員の高齢化といった現在の保育所環境を取り巻く状況等を踏まえつつ、安全・安心な給食の提供ということを持続可能な体制で提供できるという観点から、引き続き検討してまいりたいと考えております。 ◆小形香織 委員  持続を可能にしていくためにも計画的な職員の採用や配置といったことが必要だと思っております。  今現在も、恐らく、ほかの公立保育所でも人員配置に苦労しているのではないかと察しております。  今回は委託のみとして、その後は本市の職員が調理業務も含めた保育を担えるように、公立保育所の体制、人的配置というものを計画的に行って、委託することなく、保育や調理に当たる職員を確保するよう求めて、質問を終わります。 ○竹内孝代 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○竹内孝代 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  次に、討論を行います。  討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○竹内孝代 委員長  なければ、討論を終了いたします。  それでは、採決を行います。  議案第45号中関係分を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○竹内孝代 委員長  異議なしと認め、議案第45号中関係分は、可決すべきものと決定いたしました。  次に、議案第47号 令和5年度札幌市母子父子寡婦福祉資金貸付会計補正予算(第1号)を議題といたします。  質疑を行います。  質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○竹内孝代 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  次に、討論を行います。  討論はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○竹内孝代 委員長  なければ、討論を終了いたします。  それでは、採決を行います。  議案第47号を可決すべきものと決定することにご異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○竹内孝代 委員長  異議なしと認め、議案第47号は、可決すべきものと決定いたしました。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後1時19分       再 開 午後1時20分     ―――――――――――――― ○竹内孝代 委員長  委員会を再開いたします。  最後に、札幌市いじめ防止等のための基本的な方針の改定についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎檜田 教育長  私から、令和3年に市立中学校の生徒が自死したいじめ重大事態に係るこれまでの対応の経過についてご説明を申し上げます。  このたびの案件につきましては、昨年12月、調査報告書の公表を行いました後、市長からの指示もあり、先日2月14日に、マスキング再検討後の調査報告書関係職員の処分について公表したところであります。  私といたしましても、このたびの案件を重く受け止めるとともに、同様の事態を二度と繰り返さないために、教育委員会と学校が一体となって再発防止の取組を全力で進めていく決意であります。  本日は、市長からの指示にもございました、チーム学校としてのいじめ防止対策に関する取組の一つであります札幌市いじめ防止等のための基本的な方針の改定につきまして、担当の児童生徒担当部長から説明をさせていただきます。 ◎廣川 児童生徒担当部長  私から、札幌市いじめ防止等のための基本的な方針の改定案についてご説明いたします。  お手元に資料1といたしまして、A3判横2枚物の方針案概要版、資料2といたしまして、方針案の本書をお配りしております。  本日は、資料1の概要版を用いて説明をさせていただきます。  概要版の1枚目をご覧ください。  第1章 いじめ防止等のための対策の基本的な考え方をご覧ください。  まず、本方針策定の背景と位置づけについてですが、四角の2にありますように、本方針は、いじめ防止対策推進法第12条に基づき平成28年に策定をされ、その後、一部改定を経て現在に至っております。  各学校におきましては、この札幌市の方針を参酌して、それぞれの学校いじめ防止基本方針を策定し、それに基づきいじめ防止等の取組を進めることとなっております。  次に、四角3にあります札幌市の現状を踏まえた方針改定理由についてですが、丸印の1番目から5番目にあります状況にある中、令和3年に深刻ないじめ重大事態が起こり、子どもの命を守ることができなかった今回の事案に係る調査報告書の提言を重く受け止め、より一層危機感を持って取り組むため、方針を改定することといたしました。  次に、その下、四角4をご覧ください。  いじめの問題を克服するためには、いじめ防止対策推進法に示される基本理念に基づき、社会総がかりいじめの防止に取り組む機運を醸成する必要があると考え、札幌市が目指すいじめ防止ビジョンを、学校、家庭、地域総ぐるみで、いじめはしない、させない、許さないを徹底といたしました。  次に、資料右上の方針改定の主なポイントを反映させました取組の概要につきまして、要点を絞って説明をいたします。  この概要版に記載しております主な変更点の内容は、今回の改定で新規に盛り込んだ取組、対応を強化した取組、そして、これまで学校に実施の判断を委ねていたものを今回明確化した取組となります。  それでは、右側にあります第2章 いじめ防止等のために札幌市が実施する取組をご覧ください。  ここでは、主に札幌市が実施する取組について記載をしております。  1 いじめの防止に関することでは、これまで教職員の理解を深めるために行っていたいじめ自殺予防に係る研修の全てについて、管理職を含めた教職員のキャリアステージに応じて系統的に行うように再構成をいたしました。  2 いじめ早期発見いじめへの対処に関することでは、健康観察いじめに関するアンケートについて、新たにアプリを導入して実施することを盛り込みました。  4 教育委員会と学校の連携では、これまでも行っておりました学校からの定期的な報告につきまして、国の報告様式に沿った形に統一をすることにより、いじめの認知や解消のみならず、学校の取組の改善状況が見えるようになり、今までよりも一層、適切な指導、支援につなげることができると考えております。  続きまして、1枚おめくりをいただきまして、2ページ目をご覧ください。  左上、第3章 いじめ防止等のために学校が実施する取組の部分では、学校が実施をする取組について記載をしております。  ポイントは、チーム学校による組織的な対応の徹底を図ることです。  2 学校いじめ対策組織の設置のところでは、学校いじめ対策組織の責任者が校長であることを明確化するとともに、提言で示されております専門家との連携強化の観点から、これまで必須ではなかった養護教諭スクールカウンセラースクールソーシャルワーカーを組織の必須構成員とし、今までは学校の取組に委ねていた会議の開催頻度などについても新たに盛り込みました。  4 いじめ早期発見では、児童生徒の心のSOSを早期に把握するため、アプリなどのICTも活用し、養護教諭スクールカウンセラースクールソーシャルワーカーも含めた全ての教職員が連携をして見守りを行うことを明記いたしました。  このたびの重大事態では、一部の教職員によるいじめ事案抱え込みが見られたことから、項目の7を新設し、個人に対応を委ねないこと、情報の集約と共有についてはICTも活用し、アンケート結果などのいじめの情報を子どもごとにまとめ、学校全体で共有し、組織的に対応することを新たに盛り込みました。  次に、右側の第4章をご覧ください。  第4章では、実際にいじめが起こった際に学校が行うことになっている対応の流れや子どものSOSのサインを見逃さないこと、他部局等との連携の必要性について図示をしております。  今までは学校内の動きのみの図となっておりましたが、今回の改定案では、保護者や地域、関係機関との連携も含めた図示としております。  具体的には、いじめ早期発見につながるサインチェックシートを学校、保護者、地域、関係機関と新たに共有をし、そこから得られた情報は、一律、学校いじめ対策組織に共有することで、個人の差によらない客観的ないじめの認知の判断につなげたいと考えております。
     また、学校いじめ対策組織で認知したいじめは、新たにアセスメントシートを用いて継続的な対処と見守りの状況を記録し、必要に応じて関係機関と連携することを示しております。  このアセスメントシートにつきましては、進級や進学の際に確実に引き継ぎ、関わる教員が替わっても継続した支援につなげることを目指しております。  教育委員会子どもの支援を担当する部局との連携については、例えば、現在も連携をして年に1回開催しております札幌市いじめ対策連絡協議会を複数回の実施とし、学校と教育委員会が共有した重大事態につながるおそれがあるような個別の案件につきましても様々な視点から検討し、重層的、包括的な支援を行うなど、いじめを深刻化させない仕組みづくりに向け、検討を進めてまいります。  最後に、第5章をご覧ください。  ここでは、第4章のような対応を行っても、なお、いじめ重大事態となってしまった場合の対応について記載をしております。  このたびの重大事態調査に係る一連の対応において、公表との関係で市長への調査結果の報告が遅れたことなどの反省を踏まえ、市長への調査結果の報告と公表の手順を明確化するとともに、再発防止に向けた学校と市教委における取組の検証につきまして、(7)で新たに位置づけをいたしました。  今回の方針の改定につきましては、学校に周知徹底を図るとともに、学校の取組状況市教委がしっかりと把握をし、きめ細かな指導、助言に努めること、学校や市教委の取組を附属機関に検証いただくことを通して、取組の実効性を確保してまいります。  内容に関する説明は以上でございますが、今後は、3月上旬からパブリックコメント及びキッズコメントを実施し、市民の方々から寄せられたご意見を参考としながら最終調整を行い、年度をまたぐことにはなりますが、4月上旬をめどに策定、公表をする予定でおります。  なお、学校におきましては、年度当初から取組を進められるよう、3月中に教育委員会から学校に対して取組の要点を通知することとしております。 ○竹内孝代 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆山田一郎 委員  私からは、札幌市が目指すいじめ防止ビジョンについて、幾つか質問いたします。  先日、我が会派の川田議員からの代表質問において、教育長から、今の説明でもありましたが、いじめはしない、させない、許さないの取組を徹底するとの答弁がございました。  教育委員会が掲げる、いじめはしない、させない、許さないというこの基本姿勢については、もちろん昔から言われていることでもあり、当たり前のことだとは思いますが、今、教育委員会に求められていることは、やはり、最近のこの悲しい事件を受けて、札幌市がどのようないじめ防止ビジョンを持ち、具体的にどのような取組を進めていくかについてであり、そのプロセスと内容については市民の皆様の関心も高いところであります。  そのことについて、札幌市が目指すいじめ防止ビジョンにおいても、学校、家庭、地域総ぐるみでその取組を徹底することが掲げられております。  そこで、1点目の質問ですが、今回の改定に当たって、このいじめ防止ビジョンを掲げた理由について、まず伺います。 ◎廣川 児童生徒担当部長  今回の改定に当たりまして、このいじめ防止ビジョンを掲げた理由についてお答えいたします。  札幌市においては、いじめは絶対に許されないという認識の下、教育委員会と学校が連携をして、いじめの芽を見逃さないよう、きめ細かに子どもの悩みに寄り添う対応に努めてきたところでございます。  しかしながら、いじめの問題が複雑化、困難化する中、学校と家庭や地域が連携をして対応するのはもちろんのこと、札幌市全体で、重層的、包括的ないじめ防止の取組を進める必要があると考えております。  こうした認識を、教育委員会と学校だけではなく、札幌市全体で共有をし、いじめの防止に取り組むため、今回の方針改定に当たりまして、新たにいじめの防止のビジョンを掲げることとしたところでございます。 ◆山田一郎 委員  今の答弁でも、札幌市全体でいじめの防止の取組を進めていくとの答弁でございました。  今回のビジョンは、やっぱり、スローガンを掲げたようなイメージでもあると思いますし、何より、まず、これを掲げたものを着実に落とし込んでいくことが必須であると考えております。  さきの答弁でもありましたが、この認識を札幌市全体で共有し、いじめ防止に取り組むとありましたが、次に、その情報の共有について質問いたします。  現代のいじめの問題は、SNSですとか、学校外での活動を含む多様な形態を取り、これまで以上に学校外の様々な機関の連携が重要であると考えます。  この状況に効果的に対応していくためには、学校だけでなく、家庭や地域社会との連携が不可欠であり、家庭、地域と学校が同じ視点を持つことが大切であると考えます。  また、それに伴うデジタル環境でのいじめ対策や家庭、地域との協業による新しいアプローチも検討していかなければならないと考えます。  この観点から、家庭や地域社会との連携を深め、いじめ防止の取組を推進していくことが求められます。  そこで、2点目の質問ですが、いじめ防止の取組を進めるに当たり、家庭や地域との連携をどのように強化していくのか、伺います。 ◎廣川 児童生徒担当部長  いじめの防止の取組を進めるに当たり、家庭や地域との連携強化をどのように進めていくのかについてお答えいたします。  札幌市のいじめ防止基本方針の改定を受けて、各学校においていじめ防止基本方針を見直し、家庭や地域と連携した組織的な対応を着実に実行していくことが重要であると認識しております。  そのため、年度当初の入学式や始業式などの機会を捉えて、学校の方針を子ども保護者に説明するとともに、年に複数回実施することとしておりますいじめに係るアンケートで得られた子どもの情報をきめ細かに保護者へ伝えるなど、家庭との連携強化を進めることとしております。  さらに、放課後や休日に地域で子どもが活動する施設などから得たいじめの情報につきましても学校いじめ対策組織で共有をし、対処をする仕組みを新たに整えることとしております。  今後、全ての学校で導入を予定しております札幌らしいコミュニティスクールにおきましても、いじめに対する学校の取組を共有し、協議するなど、家庭や地域との連携強化を進めてまいりたいと考えております。 ◆山田一郎 委員  やはり、共有、連携の強化が大切だということで、いじめの情報を市全体で共有して迅速に対応することは、効果的ないじめ防止策の実施において極めて重要であると考えます。  この点において、教育委員会は、やはり、学校内の情報にとどまらず、市全体でいじめの情報を共有し、適切に対処するための新しい仕組みやプロトコルの導入、また、他部局や関連機関との連携を強化する必要があると考えます。  また、基本方針の改定に当たっては、家庭や地域に加えて、子どもの支援を担当する部局と連携していじめ防止の取組を進めることも重要な視点であります。  今回の事件で、何と言っても一番の問題は、情報の連携がやはり取れていなかった、これが挙げられると思います。どうしても学校というコミュニティの中で問題を解決しようとしてしまい、外部との連携不足が否めない状況だったと思います。  今回の予算でも、スクールカウンセラーですとか、スクールソーシャルワーカー、また、いじめの担当の課長を増やすなど対応策を検討しておりますが、何よりもこの情報の共有を優先して対応していくべきと考えます。  例えば、そのために第三者委員会を増設して情報を共有するですとか、教育委員会ですとか、地域のコミュニティーとの情報共有が必須だと考えます。  今回、幾ら人員を増やしても、結局、スクールソーシャルワーカーの方の報告先が学校であれば、結局、学校の中で終わってしまうということですので、これは問題の解決に至らないと考えております。  そこで、3点目の質問ですが、把握したいじめの情報を学校だけでとどめることなく札幌市全体で共有し、対応する仕組みづくりをどのように進めていくのか、伺います。 ◎廣川 児童生徒担当部長  今回の改定に当たりまして、把握したいじめの情報を学校だけにとどめることなく札幌市全体で共有する対処の仕組みについてお答えいたします。  いじめの問題の深刻化を防ぐためには、子どもの発するSOSを早期に捉えることが重要であり、学校の内外を問わず、子どもの年齢に合わせて気軽に困りや悩みを相談できる環境を整えることが重要であります。  また、いじめ重大事態につながるおそれがあるような個別の案件については、子どもの支援を担当する部局などが参加する札幌市いじめ対策連絡協議会においても共有できるよう開催頻度を増やすなど、札幌市全体で重層的、包括的な支援を行うための仕組みづくりを進めてまいります。  今後、ICTを活用し、学校と教育委員会がそれぞれ持っている子どもに関するデータの一元化を進め、関係部局と連携して困りを抱えた子どもに対応できるよう、情報の共有方法の検討についても進めてまいりたいと考えております。 ◆山田一郎 委員  学校と教育委員会のデータの一元化等についても早急に対応していただきたいと思います。  やっぱり、さきの質問でも話しましたが、情報の共有というのは一番急がれる案件ではないかと考えております。  また、幾つか要望と指摘をして質問を終えたいと思いますが、まず、今回のスクールカウンセラーですとかスクールソーシャルワーカーを増員したのはもちろん分かるのですけれども、今後、これをどのように情報共有していくのか、やはり市民の方にとっても分かりやすいような手法を取っていただきたいと思っております。  もう一点は、今回、地域の関わりについてということが出てきたものですけれども、さきの答弁でも、地域から得た情報を学校のいじめ対策組織で対応できる仕組みを整えるとありましたが、もちろん地域から情報を得るというのはなかなか難しいところもあると思います。  やっぱり、受身になってしまわないかなというふうにも思いますので、やはり、こちらから積極的に情報の発信等も考えながら、地域とのコミュニティーを形成して対応していただきたいというふうには思っておりますので、そういった活動をお願いして、私からの質問を終わります。 ◆林清治 委員  私からも、簡潔に質問させていただきたいというふうに思います。  先日の代表質問において、教育長からは、いじめから子どもの命を守るための体制強化として、子どもの支援を担当する部局が一体となって、子どもの困りや悩みに寄り添う体制強化について答弁があったところであります。  そして、先ほど説明いただいた札幌市いじめ防止等のための基本的な方針には、そうした取組が網羅されているというふうには思います。この中にも、チーム学校での取組、保護者、地域との情報共有や連携、市役所内部での子ども関係部署間での連携などが記載されているところであります。  そうした中でも、いじめの被害に遭った子どもが相談することができることや、周囲の大人が子どもの変化に気づくことなど、早期発見の取組が大事だというふうに思います。一方で、そもそもいじめは人権侵害行為だということの認識に立ち、いじめを未然に防ぐことが重要な取組であるというふうに考えております。  そこで、最初の質問ですが、いじめ未然防止に向けて、これまで子どもたちに対してどのような教育を進めてきたのか、伺います。 ◎廣川 児童生徒担当部長  いじめ未然防止に向けて、これまで子どもたちに対してどのような教育を進めてきたのかということでございますが、いじめは絶対に許されないという認識の下、これまで、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育を中心として、生命を尊重する心や他者を思いやる心の育成など、人間尊重の教育を基盤とした取組を進めてまいりました。  また、毎年、夏休み明けに、子どもの命の大切さを見詰め直す月間を設定いたしまして、児童会や生徒会における主体的ないじめ防止の活動を促したり、文部科学省が主催しております全国いじめ問題子どもサミットに参加をした子どもたちの発表機会を設けたりするなど、子どもの自己肯定感や自己有用感を育む取組を進めてきたところでございます。 ◆林清治 委員  これまでの子どもへの啓発だとか、教育という部分で、今、答弁いただいたのですが、これが定着してきたのかどうかという部分だったり、子どもがそういう教育を受けた後に、その意識、そこで学んだものをずっと持続しているかどうか、そうしたことがやはり大事なのかなというふうに思うのですよ。  そのとき、やっぱり、教えられた授業を受けたときには、すぐ頭に入っているけれども、やっぱり、何となく、日常生活の中でそういうのがちょっと忘れがちになり、ついつい、いじめ行為というか、本人はいじめたつもりがなくても、周りから見たらいじめ行為ということも十分あるので、そうしたことが積み重なっていくのかなというふうに思うところはあるのですね。  そうした中でも、今後、再発防止のためにさらに踏み込んだ取組というのもやっぱり必要になってくるというふうに思っております。  子どもいじめをしないのはもちろんのこと、いじめの場面を目にした際に、傍観者にならず、いじめを許さない雰囲気をつくることも大切であるというふうに思います。  そのために、大人たちの適切な関わり方というのが大事、必要になってくるのかなというふうに思います。  そこで、次の質問ですが、いじめに向かわない子どもの態度や意識を醸成するために、今後どのような教育活動を推進していくのか、伺いたいと思います。 ◎廣川 児童生徒担当部長  いじめに向かわない子どもの態度や意識を醸成するため、今後どのような教育活動を進めていくのかということでございますが、学校生活においていじめを許容しない雰囲気をつくるためには、子ども自身が自主的な活動を通して、相互承認の感度を高め、互いを認め合う関係を構築できるよう、人間尊重の教育を基盤とした取組をさらに推進させていくことが重要であると考えております。  また、昨今、表面化しにくいインターネット上のいじめが増加傾向にあることから、SNS等で誹謗中傷を書き込むなどの行為については犯罪につながる可能性があることなど、ネット上のいじめ防止に係る指導の一層の充実を図ることも必要であると考えております。  今後は、全ての教員が経験年数に応じて系統的に行う研修などによりまして、個々の教員の指導力を高め、学校の教育活動全体を通じて、子ども発達段階に応じた切れ目のないいじめの防止、未然防止につながる教育活動を推進してまいりたいと考えております。 ◆林清治 委員  ただいま答弁いただいたところでありますが、まさに本当に、子どもたちがいじめに対して主体的に考える環境づくりというのは大変大事であるし、それを学校としてしっかり支えてあげる、または、地域の大人たちがそれを支えていく、そうしたことがやはり大事になってくるのかなというふうに思います。  先ほども言ったけれども、いじめは、どこでも、いつでも、誰にでも起きる可能性があるということなのですよね。いじめをしていた側がいじめられる側に回るということもよく見受けられる状況になっております。  そうした中で、最悪、命を奪うことにもつながる恐ろしいことであるという理解を進めることが大事になってくるのかなというふうにも思いますし、今回の防止等のための基本方針に示された内容は理解するところでありますが、今後どのように確実に実施していくかということが一番大事に求められてくるのかなと思います。  そして、やはり気になるのは、学校現場の教職員の業務多忙、この問題が大きくのしかかっているなと思います。教職員が生徒児童と向き合う、一人一人の児童生徒の変化に気づくことができる環境づくりというのが大事になってくるなというふうに思っております。  このような残念な結果を二度と起こさないためにも、チーム学校、そして、教育委員会、市役所全体でしっかり機能しながら、連携しながら、この方針に書かれているように実行されることを願いたいなというふうに思っております。 ◆福田浩太郎 委員  私からも、今回改正予定の基本的な方針案について何点か質問させていただきたいというふうに思います。  まず初めに、今月公表されました重大事態調査報告書を私も読ませていただきました。  改めて、お亡くなりになられた生徒さんに深く哀悼の意を申し上げますとともに、ご家族様に心からお悔やみを申し上げさせていただきたいと思います。  令和3年の10月にいじめが大きく影響を及ぼし発生した自死事案について、いじめ防止対策推進法の趣旨にのっとった組織的な対応ができず、救うことができなかったことは、痛恨の極みであり、関係教職員、市教育委員会については、改めて猛省を促すところでございます。  二度とこのようなことのないように、私もしっかりと質疑をさせていただきたいというふうに思います。  初めに、今、林委員からもありますチーム学校の推進について、少し観点が変わりますけれども、確認をさせていただきたいというふうに思います。  今回示されております防止等のための基本的な方針の改定案につきましては、校長先生の役割を明確化、明記をする、また、いじめ対策会議の定例化、そして、その構成員に、養護教諭スクールカウンセラースクールソーシャルワーカーの必須化、また、先ほども議論がございました家庭、地域との連携強化、また、市全体での情報共有、そして、組織的な対応の徹底、これら数多くの変更点が示されており、しかも、早期に対応していくということでございます。  様々に対策を講じる必要性、理解をするところでありますが、私は、先ほど林委員からも指摘がありましたが、こうした新たな取組を確実に実行していけるのかどうか懸念をしております。  本市において、いじめの認知件数が過去最多となる中、限られた人員と時間で対応しなくてはなりません。  改定案には、チーム学校による組織的な対応の徹底が記されておりますけれども、いじめ防止のためにチーム学校を進めていくことはもちろんのこと、私は、多忙な学校現場においていじめ対応の時間を捻出していくためにも、チーム学校の推進が重要であると考えております。  そのために、校長先生のリーダーシップで校務分掌を整えるなど、組織的なマネジメントを展開していく必要があると考えるところでございます。  そこで、お尋ねをいたしますが、いじめへの組織的な対応はもちろんのこと、その時間を確保するために、校長先生を中心とした組織的で計画的なマネジメントによるチーム学校の推進が不可欠と考えますが、どのように進めていくのか、お尋ねをいたします。 ◎廣川 児童生徒担当部長  いじめへの組織的な対応はもちろんのこと、対応時間を確保するために、校長による組織マネジメントによるチーム学校の推進についてお答えいたします。  教育委員会といたしましては、教職員が子どもと丁寧に向き合う時間がしっかりと確保され、その中で、子どもたち一人一人の日々の学びや成長を支えていくことが何よりも重要であるというふうに考えております。  その上で、そうした中でも発生するいじめの問題につきましては、子どものささいな変化も見逃さず、早い段階から学校全体で共有し組織的に対応することができるよう、校長が適切に組織マネジメントを行うことが必要であると考えております。  そのため、今回の改定案におきましては、校長を学校いじめ対策組織の責任者であることを明確に位置づけチーム学校として校長がリーダーシップを発揮しながら社会総ぐるみでいじめの防止の取組を進めるということとしております。 ◆福田浩太郎 委員  校長が対応の責任者としてしっかり取り組むということでございます。  補足になりますけれども、今回、先ほど述べた報告書の終わりの中で、学校における教職員の組織対応を阻む学級担任中心の組織文化の検証の必要性について指摘がございます。  1人の担任が学級運営を問題なく行うことが一人前の教員として要請される担任文化とも呼べる認識こそが、学校の組織的対応を阻む心的要因を生み出しているのではないかとございました。  先ほど述べたように、校務分掌の再構築も含めて、校長のリーダーシップが求められているのではないかということを指摘させていただきます。  次に、スクールカウンセラースクールソーシャルワーカーの必須化についてお尋ねをしたいというふうに思います。  同報告書によると、このたびの重大事態に対する中学校の対応について、スクールカウンセラースクールソーシャルワーカーが関わっていなかったことの課題が指摘をされています。  一見、日常に紛れるような出来事で、その多くは大問題には結びつかない内容であっても、複数の兆候を捉え、生徒の心情をしっかりと理解した上で、適切な対応を取らなくてはならないという指摘、私も重く受け止めさせていただきました。  今回示されましたいじめ基本方針案には、スクールカウンセラースクールソーシャルワーカー学校いじめ対策組織の構成員とすることが必須とされております。  そこで、お尋ねをいたしますが、いじめ防止の取組を進める上で、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラースクールソーシャルワーカーとの連携を強化する必要についてお尋ねをいたします。 ◎廣川 児童生徒担当部長  スクールカウンセラースクールソーシャルワーカーとの連携強化必要性についてでございますが、教育を取り巻く問題は、複雑かつ多岐にわたっており、日々、子ども保護者から寄せられる相談も多様化していることから、教員の専門性だけで対応するのは難しくなってきていると認識しております。  こうした状況におきまして、子どもの発するSOSを確実に捉え、適切な支援につなげるためには、心理や福祉の専門家であるスクールカウンセラースクールソーシャルワーカーとの連携強化が一層求められております。  特に、いじめに関しましては、スクールカウンセラースクールソーシャルワーカー学校いじめ対策組織の一員に加えることで、多様な視点に基づくきめ細かな対応が可能となることから、学校への支援時間の拡充に努めたところでございます。 ◆福田浩太郎 委員  スクールカウンセラースクールソーシャルワーカーとの連携の必要性について、認識を理解いたしました。  加えて、報告書にもありますけれども、スクールカウンセラー養護教諭においても、基本的な精神医学の知識を持つことが望ましいとの指摘についても、しっかりとご留意をいただくよう要望いたします。
     一方で、いじめの行為が、先ほどのご答弁にもありましたように、多様化・複雑化する中にあって、いじめ防止対策の実効性を高めていくためには、私はスクールカウンセラースクールソーシャルワーカー以外の専門家も必要だと考えております。  NHKの報道番組で取り上げられた先進事例でありますが、沖縄県では附属の中学校に専任のスクールロイヤーを配置した上で、さらに、法律の専門家2人と一緒に毎週学校で教員から直接相談を受けて対応されております。  いじめの疑いの情報があれば、どんな証拠を集めたらよいのか考え、それを集め、必要な聞き取りを行い、調査を行います。その上で、いじめとして認定するのか、判断をしていただきます。  さらに、被害者と加害者を分離すべきか、どのように指導すべきなのかなど、具体的な対応についても教員に助言をされます。  加えて、並行して行われる子どもたちへのケアや保護者対応もサポートするとのことであります。  これまで、経験則に頼らざるを得なかった教員にとっても大きな負担の軽減につながっているとのことでありました。  私は、スクールロイヤーなど、いじめ防止対応に豊富な経験とスキルを持つ専門家のアドバイスが的確で効果的な対応をするために有効と考えるところでございます。  そこで、質問ですが、本市には、スクールロイヤーという学校の困難事案の解決のために弁護士が法的な視点で学校に助言する制度がありますが、どのように活用されているのか、また、いじめ事案について、初期の対応から助言をすることはあるのか、お尋ねいたします。 ◎廣川 児童生徒担当部長  スクールロイヤーの効果的な活用といじめ事案への助言についてでございますが、導入から4年目となっております札幌市のスクールロイヤーは、いじめに限らず、学校が抱える対応困難な多くの案件につきまして、法的な側面から学校を支援しております。  特に、いじめに関しましては、複雑で対応困難な事案の解決に向けて、法に基づく対応や保護者への丁寧な関わりにつきまして、具体的に助言を行っているところでございます。  今後、いじめの問題の深刻化を防ぐため、法的な視点を踏まえた助言が行えるよう早い段階からスクールロイヤーを学校に派遣するなど、一層の活用を図ってまいりたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  分かりました。  早い段階から積極的に活用していただくということでございます。  先ほど例示をしました沖縄県、予算的な課題もあり、なかなかそのようにはいかないというふうに思いますけれども、これまでもスクールロイヤーの活動として研修をされてきたというふうに思いますが、効果的な研修を通じて教員のスキルを高めることはもちろんのこと、そうしたスクールロイヤーの配置、なかなか課題が大きいというふうに思いますので、私はその代わりとして、いじめ防止対応に豊富な経験とスキルを持つ人材が、ロイヤー以外にもそうした方がいらっしゃるというふうに思いますので、各学校で定期的に行われるいじめ対策組織の会議などにおいて、実践上でアドバイスができるような体制づくりについても検討を求めたいというふうに思います。  先ほど、林委員からいじめ未然防止について、大変貴重なご指摘がございました。  私も、この未然防止の取組が大変重要だというふうに考えてございます。いじめは、単に被害者、加害者の2者間の問題ではなく、いじめを黙認、助長している傍観者の役割が重要であると言われているからであります。  そのため、いじめの傍観者に焦点を当てたKiVaプログラム、傍観者教育をぜひとも調査検討していただきたいということを求めたいというふうに思います。  このことは、今後も別の機会に議論をさせていただきたいというふうに思います。  最後になりますが、私も日頃から学校の多忙な状況を伺っております。  また、大都市札幌の全ての学校において、校長先生を中心とした生き生きとした学校運営は大変に難しいことと承知をしております。  そうした懸念を払拭するような教育委員会のリーダーシップを期待して、質問を終わります。 ◆小形香織 委員  このたびは、冒頭に教育長からも経過について説明がありましたけれども、札幌市の重大事態調査検討委員会が通算27回の調査検討委員会を行った後に報告書が出され、そこに再発防止策の提案があり、そのことから、本市のいじめ防止等のための基本的な方針を改定するという流れになっていると理解をしております。  再発防止のために、これまでのいじめ防止等のための基本的な方針というものを改定し、より再発防止を強化することは当然のことだと思っております。  同時に、1人の中学生が悩み、傷つき、絶望の中で自死することを選ぶしかなかった壮絶な苦しみをなぜ生じさせてしまったのか、深く考えなければなりません。しっかりとこれを振り返ることが再発防止につながると考えております。  そこで、この報告書の中身に少し触れていきたいと思うのですけれども、このたびの報告書の中には、令和3年、2021年3月17日に、この子の在籍する学校で起きた屋上案件と言われるものが書かれております。  S1とともに校舎の屋上に出ようとして、キャンプ用のヘッドライトや安全ピンを準備し、施錠されている扉の鍵を開けようとしたところを担任ではない教員に発見されるということがあったということであります。  私は、このときの対応が大変重大だったなと思っています。  さらに、この報告書では、詳しく、この案件の翌日に学級担任が扉の鍵を開けて屋上に侵入しようとした理由として、飛び降りるため、死にたいということを聞き取っていたが、それが他の教員との間で共有されることがなく、いたずらとして処理された、こういうふうに書かれ、この報告でも、自殺の意図を伝えたにもかかわらず、複数の教員に受け止めてもらえず、むしろ強く叱責されるのみであったこととなると書いてあります。  率直にお聞きしますけれども、なぜこのときに、この子の動き、心の吐露、こうしたものを受け止めることができなかったのか、なぜいたずらとして処理したのか、学校現場でこのような対応をしてしまった背景、その要因はどこにあるとお考えなのか、教育委員会としての見解をお尋ねします。 ◎廣川 児童生徒担当部長  教員が子どもの訴えを受け止めず、対応できていなかったということについての市教委の受け止めということでございます。  このたびの事案におきまして、子どもの発しているSOSを捉えることができなかったのは、学級担任等の一部の教員がいじめの問題を抱え込み学校いじめ対策組織として適切に対応できていなかったことにあると受け止めております。  こうした反省を踏まえまして、このたびの改定案におきましては、子どものささいな変化も見逃さないよう、校長のリーダーシップの下で、いじめの情報を早い段階から学校全体で共有し、専門家も加えた学校いじめ対策組織において別途対応する必要があるというふうに捉えているところでございます。 ◆小形香織 委員  新たに、7として、一部の教職員による抱え込みを防ぐための取組として、この先、強化をしていきたいということであると思います。  この報告書にも、当該小学校の教職員が小学校基本方針に掲げた、常に子どもの理解に努めるという姿勢が不十分であったと言えるという報告になっているわけです。  次に、公表に際しての視点で伺いたいのですけれども、12月21日に公表した報告書は、屋上の扉の鍵を開けようとして屋上に上がろうとした、この屋上案件などを含めて、多くを黒塗りにして公表した、このことについて、本市は、1月26日に調査の趣旨に沿って公表内容を検討するという視点が十分ではなかったとして再公表をしたいと意向を示して2月14日に再公表をしました。  なぜ、12月公表の時点で再発防止の観点が不十分だったのか、国からは、いじめ重大事態の調査に関するガイドラインが2017年、平成29年に出されており、十分にこのガイドラインは理解しているはずだと思いますが、なぜ再発防止の観点が不十分になったのか、その理由について伺いたいと思います。 ◎廣川 児童生徒担当部長  再発防止の観点についての教育委員会の対応についてのお尋ねでございます。  国のいじめ重大事態に関するガイドラインは、重大事態発生後の対応や調査について示したものでありまして、このたびの事案発生後の対応や調査に関して、結果の公表に当たって、情報公開条例等に基づく対応のところにつきまして慎重になるあまり、再発防止に資するという観点が十分ではなかったと捉えているところでございます。 ◆小形香織 委員  文科省が出しているこの平成29年3月のところのガイドラインには、第8 個人情報の保護という項目がある中の最後に、学校の設置者及び学校は、いたずらに個人情報保護を盾に説明を怠るようなことがあってはならない、これは説明ということで、公表ではないというふうに理解されるのかもしれませんが、当然ながら、市民に向かって説明をするわけですから、公表というのはイコールでありますから、私はここの受け止めがなされていなかったのではないかという印象を持っております。  それで、この屋上案件の対応について、この報告書では大きな要因がいろいろ書いてあります。その中で、アンケートについても何の対応もなかったということがいじめがあったと認定する根拠だというふうに書いてありました。  小学校4年生のときからの調査になっておりますけれども、4年生のときも、5年生のときも、6年生のときも、学校の悩み、いじめアンケートには、いじめを受けている、あるというふうに答えていたけれども、何も対応がなかった、そのことは一部の教員の抱え込みによって分からなかったのかもしれません。  しかし、6年生になって、道徳のノートにこう書いていると報告されています。  令和2年6月24日付の道徳ノートにおいて、「先生にいったけど、『お話しておくね』っていってたのにしてくれないのであてにしないで友達にいった」、そして、7月29日付の道徳ノートには、「先生に相談するのはあまりしません。なぜなら、相談してくれる先生と、相手にしてくれない先生がいるからです。」、こう書かれているのですね。  6月、7月のそのときの時点でも、アンケート以外で、この子の強烈な先生への自分のことを見てほしいというメッセージがあり、それを間違いなく読んだはずなのです。  ところが、この部分は、12月の公表の段階では黒塗りになっておりました。これは、先ほどの屋上案件と同様に、個人情報ではないと思うのですね。学校の対応が不十分だったという部分を黒塗りにして発表したということになるわけです。  今の道徳ノートに書いたところも黒塗りのまま発表したのです。これは、学校にとって不都合なことを隠そうとした、いいですか、個人情報ではなくて、不都合なことを隠そうとしたということであります。  そして、この子にとっては、先生に言ったけれども対応してくれない、さらに、調査する人が報告書に書いたのに公表してくれない、こういうことなのではないでしょうか。  だから、もう一度繰り返しますけれども、この文科省が示したガイドラインにある、いたずらに個人情報保護を盾に説明を怠るようなことがあってはならない、こう厳しく戒めていることを教育委員会がやってしまったということだと思うのです。  だから、その当時に保護者がマスコミに発表した手記に、今でも学校に対して、教育委員会に対して不信感がありますと書いてあるのです。  この保護者の方は、何度も、二度と起こさないでほしいのだ、だから、もっと公開してくれと求めているのだということをマスコミに聞かれて答えております。  このご遺族の方々の強い願いに今度こそ誠実に応じるべきだということを私は強く求めておきたいと思います。  この屋上案件が起きる1年前、2020年3月ですけれども、札幌の秋元市長は、2019年6月に2歳の女の子が虐待を受けて亡くなるという痛ましい事案が発生して、その検証報告書が出されたことから、職員の皆さんへというメッセージを発信いたしました。  この市長のメッセージは、全ての札幌市に勤める職員に向けたものでありましたけれども、当該の学校ではこのメッセージを読まれていたのかどうか、教育委員会は確認をされたのか、伺いたいと思います。 ◎廣川 児童生徒担当部長  2019年の市長メッセージの学校での周知についてでございますが、各学校におきましては、市長から直接メッセージを受け取り、そのメッセージを読んだ上で、各学校で校内での研修等で、その事案の重み、そして、再発防止に向けた取組について共有しているところでございます。  教育委員会といたしまして、各学校でその取組がどのように行われたかというところまで直接点検をしているということはございませんが、指導主事訪問、あるいは、各研修の機会を捉えまして、いわゆる虐待防止、二度と同じような事案を発生させないための取組について周知徹底を図っているところでございます。 ◆小形香織 委員  メッセージを発信し、これを読んでくださいねというふうに言っても、その現場ですることがちゃんと受け止められているのかということがやっぱりこのときも問われただろうというふうに思うのですね。  市長は、このときに、この検証報告書をぜひ読んでほしいということを言っております。  そして、協働するということは、関係する複数の部局が折り重なって仕事をするということなのだと、このことを深く理解してほしいという発信をしましたし、もう一つは、支援が必要な方々の立場に立って考える、こういう仕事をしてくださいねということを言ったわけです。  ですから、私、今回の再発防止の様々な方針は大事なことだと思うけれども、このことを現場にどういうふうに受け止めてもらうのか、このことを現場でどうやって具体的に自分たちの子どもたちと接するときに生かしていくのか、これが非常に大事なことだと思っております。  ぜひとも、1人で抱え込まないための取組というのを実りあるものにしていただきたいと思っております。  調査検討委員会の提案している再発防止策の中には、子ども理解のカンファレンスをいかに自校で実践できるか、今後、具体的に検討を進めてほしいというふうに書いてあります。しかも、その実践例を書いている書籍まで何冊か紹介して記載しているのです。  ぜひ、こうした細かい最後のところまで、一人一人の教員の悩みを酌み取りながら、どうやってやるかというカンファレンスを徹底していただきたいと思っております。  次に、学校評価に関連して伺いたいと思います。  毎年3月に各学校がまとめて教育委員会に学校評価というものを提出しております。  これは、あらかじめ教員やPTA、保護者の方々、そして、子どもたちにアンケートを取りながら、自分たちの学校の特色や課題を共有して教育活動を進めるためのものであります。  この報告書の中には、学校の様子について書かれているのです。  当該生徒が在籍していた学年は、低学年の頃から生徒指導上の問題が多く、落ち着かない状態が続いていたようである、加えて、他の学年においても問題が多数起きており、教員はその対応や予防に日々追われていた、こう書いてあります。  この生徒が在籍していた当該校の2018年度、平成30年頃から、2020年度の学校評価において、学校生活や、あるいは、教育相談など、こうした分野が評価としてあるわけですけれども、受け取った教育委員会はどのように見ていたのでしょうか。  ほかの学校と比べて、あるいは、これまでのその学校の経年での推移などと比べてどういうふうになったのか、変化などを捉えていたのかどうか、伺いたいと思います。 ◎廣川 児童生徒担当部長  学校評価に対する教育委員会の確認、そして、学校への助言等についてでございますが、学校評価で得られた情報につきましては、各学校を担当しております指導主事が学校訪問の際に、学校長に、その改善すべき視点、あるいは、今後取組に当たって逆に校長のほうから要望をお聞きするなどの取組を進めております。  この学校評価につきまして、いじめについての部分を必ず取り扱うということについては、このたびの方針で改めて明確化させていただいたところでございますので、今後は、この学校評価での取組につきましてもしっかり確認をしながら、学校と家庭が連携を強化して対応できるよう取組を進めてまいりたいと考えております。 ◆小形香織 委員  今も、精神的ストレスから長期休暇に入る教員が一定数いると聞いております。学校の現場では、やはり1人で抱え込んでいる教職員が現在もいるのではないかと思っておりますし、また、周囲の先生から、あのクラスは大変だろうなと思って見ている教員もいるのではないかと思うのですね。  そして、この学校評価で、実際に子ども保護者からもいろいろな声を聞き取りながら、総合的にA、B、C、Dの評価項目を設けてやっていると。大事なところは、やはり、子どもたちの心身あるいは精神的な状態が、つまり、学校に楽しく行けているのか、そして、そこで悩みや困っていることを先生に話せるのか、先生が先生同士でそういうことをちゃんと伝え合ったり、そういう場あるいは時間が確保されているのかということが大変大事だと思っておりますので、この点のことをぜひとも強化していただきたいと思います。  最後に、この報告書の終わりにのところで委員長が書いているページというのは非常に重みがあると思っております。  なぜならば、この重大事態の報告書というのは今回は2回目で、1回目に報告書が出されたときに、後書きでもここに書いてあるのです。教育委員会が生徒のいじめ理解を進め、安心して相談できる体制をどのようにつくっていくのかがいじめ予防の肝要であり、出発点であることを認識するべきだ、こう前回の報告書で書いてあったのに、やはり今回、このような重大な事態が起きてしまったわけです。  ですから、今回、報告書でしっかり書かれている中身を教育委員会が受け止めていく、今までにない強い決意の下で学校への取組の徹底を指導してほしいところだと書いてありますから、ぜひとも重く受け止めて、二度とこうしたことが起きないように、私も議会として一緒に見守っていきたいと思っておりますので、どうぞ今後の取組を強化してください。よろしくお願いします。 ◆荒井勇雄 委員  私からも、いじめの対応状況に関する記録及び引継ぎについて質問させていただきたいと思います。  今回の調査報告書によりますと、今回の事案では、いじめの対応状況に関する記録や進級時における引継ぎの不備についての指摘がありました。  子どもが安心して学校生活を送るためには、いじめなど、子どもの困り事や悩みに関する個別の状況について、事実の経過等について記録を残し、進級や進学の際にそれらの情報共有を図ることが欠かせません。  そこでまず、1点目にご質問をさせていただきますが、学校における個別の対応状況に関する引継ぎについて、課題はどこにあったのかということをお伺いいたします。 ◎廣川 児童生徒担当部長  学校における引継ぎの課題についてでございますが、各学校におきましては、進級や進学時において、子どもが円滑に新学期を迎えられるよう、生活や学習の状況などについて引き継ぐこととしておりますが、今回、いじめに関する引継ぎについて学校の認識が十分ではなかったと考えております。  また、教育委員会では、いじめの情報に関する引継ぎの必要性について示していたものの、その具体的な内容や方法は学校に委ねており、課題があったものと認識しております。 ◆荒井勇雄 委員  これまでは引継ぎの仕組みが明確化されていなかった、明文化されていなかったことが今回の事案につながったのではないでしょうか。  このような状況や一定の間隔で人事異動が行われる本市の状況を鑑みますと、教育委員会としての統一した引継ぎの仕組みをつくることが必要だと考えております。  そこで、2点目の質問になります。  このたび、教育方針の改定で進級・進学時におけるいじめの引継ぎについてどのように今後改善していくのかをお伺いします。 ◎廣川 児童生徒担当部長  基本方針の改定を受けた引継ぎの改善についてでございますが、このたびの改定案では、進級時に担任が替わる場合や小学校から中学校への進学時においても、いじめの情報が確実に引き継がれるよう、いじめアンケートや対応記録の引継ぎ方法を具体的に示したところでございます。  また、教育委員会では、引継ぎを含めました各学校の取組状況につきまして、年度初めの指導主事による学校訪問や校長との直接の懇談の機会に加え、学校からの報告など、年間を通して把握することとしており、適時適切な助言や支援を行ってまいりたいと考えております。 ◆荒井勇雄 委員  少し感情論になってしまうのですけども、私も、昨年、親しかった友人を自死によって亡くしました。今回の事案に重なるところがありまして、当日、私が彼に一言声をかけることができれば、また、今回、亡くなった方も同様に思いとどまることができたのではないかなというふうに、深く反省しております。  やはり、人が亡くなるということはあってはならないことでありまして、大変悲しいことなのですが、やはり、社会にとっても、札幌市にとっても、北海道にとっても、多大なる損失でありまして、その上で、我々、この令和6年に生きる大人として次の世代を育てるということは、我々一人一人の大人にとって責任、責務だと重く感じております。  今回の事案を含めまして、私も市民の代表者として多大なる責任を感じております。  先ほど、小形委員からご指摘等もありましたが、やはり、当人の方は、非常に自分の悩みを分かってほしいというアプローチをしていたにもかかわらず、誰も拾ってあげることができなかったというのは、同じ札幌に住む者として本当に申し訳なかったなというふうに思っております。  とりわけ、私も、知り合いの先生方に、この件を踏まえまして、現状、どのような教育現場なのかということをヒアリングしました。  やはり、先ほど、林委員からもありましたとおり、業務が大変多忙で、なかなか子ども一人一人に時間を使ってあげることができないですとか、授業以外の業務負担も多大にあるということもおっしゃっておりました。  業務改善を含めまして、今回の根本原因を改めて皆で見直して今後の対策を取っていきたいと思います。  やはり、日本の教育風土としまして、報告すると減点主義というか、報告してはいけないような雰囲気というのが各欧米の教育と比べてあると私は思います。やはり、報告することによって、皆で情報共有するという上で、コミュニケーションをよく密に取って、このような事案が二度とないように、私も含めまして努力していきたいと思っております。  最後になりますが、ご遺族の方々の深い悲しみというのは計り知れないものでございます。改めまして、故人のご冥福をお祈りいたしますとともに、再発防止に注意を払っていかなければいけないと強く願いまして、私の質疑を終わらせていただきます。 ○竹内孝代 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○竹内孝代 委員長  なければ、質疑を終了いたします。
     以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後2時25分...