札幌市議会 2023-12-07
令和 5年(常任)総務委員会−12月07日-記録
◎菅原 環境局長 本日は、環境局から生物多様性さっぽろビジョンの改定についてご報告させていただきます。
詳細につきましては、お手元の資料に基づきまして、所管の部長から説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
◎西村 環境管理担当部長 私から、生物多様性さっぽろビジョンの改定についてご説明させていただきます。
お配りしている資料は、資料1の生物多様性ビジョン(案)の概要、資料2のビジョンの冊子でございます。
それでは、資料1の概要に沿ってご説明させていただきます。
まずは、資料1の1枚目をご覧ください。
資料1、左側の第1章 生物多様性さっぽろビジョン改定の背景から説明させていただきます。
まず、ビジョンの目的と改定についてですが、現行のビジョンは、2050年を展望した生物多様性に関する取組の
方向性を示す長期的な指針として、2013年3月に策定したものです。策定から10年が経過したこと、国の生物多様性国家戦略が改定されたことなどから、生物多様性を取り巻く状況の変化や現状を踏まえ、さらなる取組の推進を図るため、このたび改定することとしたものでございます。
次に、生物多様性に関する世界と日本の状況についてですが、2020年までの国際目標であった愛知目標の個別目標が未達成であり、国ごとの目標レベル自体が不十分であったとされたことから、国際目標、国内目標共に見直しがされました。
2022年12月に採択された新たな国際目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組では、2050年ビジョンとして自然と共生する世界が示されました。また、2030年までの短期目標を達成するためのグローバルターゲットが示され、その中の一つとして、2030年までに、陸域と海域の少なくとも30%以上を保全する30by30目標が設定されました。
このような世界的な動きを受けて、国では2023年3月に生物多様性国家戦略2023-2030を策定し、2030年に向けた目標としてネイチャーポジティブ(自然再興)の実現を掲げております。
続いて、中段になりますが、現行ビジョンに基づくこれまでの取組と指標の達成状況についてご説明いたします。
現行のビジョンでは、生物多様性という言葉を知ってもらい、生物多様性に対する理解を深めることなどを取組の
方向性として、普及啓発イベントの実施、協働するネットワークの構築等を行ってまいりました。
その結果、表にあります指標8項目のうち、達成できたのは2項目という結果になりました。市民が一時的な短期間のイベントに参加するだけでは、生き物に対する興味を引くことはできても、生物多様性を自分事として捉え、継続的に行動変容するところまで理解を深めることは難しかったものと感じております。
続きまして、資料の右上をご覧ください。
第2章では、生物多様性の現状と課題ということで、生態系、自然環境に関する現状と課題、そして、市民生活、社会環境に関する現状と課題を整理しています。
本市においては、この中でも特に太字下線でお示しした外来種の侵入と生息域の拡大、生物多様性に関する理解度不足、野生鳥獣とのあつれきの増加について対策が必要な課題であると考えております。
続いて、第3章 ビジョンの
位置づけです。
ビジョンは、生物多様性基本法に基づく地域戦略としての
位置づけ、国際目標や国内目標の達成に貢献するとともに、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンに沿って策定しているものです。
第4章は本ビジョンの理念ですが、これは現行ビジョンから変わらず、北の生き物と人が輝くまちさっぽろとしています。
第5章は、目標年次及び対象区域について記載しています。
目標年次は現行ビジョンと同様に2050年とし、本ビジョンでは2050年までの目標を達成するための2030年までの計画と進捗管理について示します。対象区域は札幌市内全域としますが、鳥獣対策など周辺市町村との連携も図りながら取り組んでまいります。
続いて、第6章は、ゾーンの設定についてです。
札幌市域は広大で、地形的な変化に富むこと、山地の原生的な環境から都心部の人為的な環境まで幅広く多様な生態系が広がっていることなどから、地勢や人間活動の影響に応じて、四つのゾーン、山地、山麓、市街地、低地を設定しました。四つのゾーンに加えて、各ゾーンをつなぐ河川・緑地について、現状や課題を整理しております。
続いて、2枚目をご覧ください。
第7章では、第6章のゾーンの設定を受けて、ゾーンごとの目標として、2050年のあるべき姿を示しています。各ゾーンの説明は省略させていただきますが、例えば、市街地ゾーンでは、都市公園や緑地があり、環境教育の場などとして活用されるとともに、生物相が把握され、多様な生物が保全されているなどをあるべき姿としております。
下段をご覧ください。
第8章では、生物多様性国家戦略の目標や、第7章で示したゾーンごとの目標を踏まえ、施策を進めるに当たっての
基本方針を設定しています。
基本方針は三つございまして、一つは、様々な立場の人々と連携・協働して生物多様性の保全を進める。二つ目に、生物多様性への理解を深め、将来へ伝えていく。三つ目に、札幌市は消費都市であることを認識し、札幌市、市民、企業、活動団体等は積極的に地球規模で生物多様性に配慮した取組を行うとしています。
資料の右上をご覧ください。
第9章では、第8章で示した
基本方針に基づき、2050年までの目標と施策、2030年までの目標と進捗管理について記載しています。
第8章の
基本方針に合わせて、三つの目標、生物多様性の保全に関する目標、生物多様性の理解に関する目標、生物多様性に配慮した行動の実践に関する目標を設定しました。
各目標の説明は省略させていただきますが、例えば、生物多様性の保全に関する目標では、2050年目標として、赤字部分の多様な動植物が生息、生育する豊かな自然環境が適切な管理により保全されており、各ゾーンがあるべき姿を保っていますと、野生鳥獣とのあつれきが減少し、外来種の生息が抑制されていますの二つを挙げており、この2050年目標を達成するための2030年の目標として、札幌市版レッドリストの改定や自然共生サイトの認定、外来種対策、ヒグマ、エゾシカ対策等を挙げております。
最後に、第10章として、ビジョンの推進に当たってということで、札幌市、市民、企業などに求められる行動を記載しております。
今後の予定でございますが、今回の報告を経て12月下旬から
パブリックコメントを実施し、市民の皆様のご意見をいただいた上で成案化してまいりたいと考えております。
○
藤田稔人 委員長 それでは、質疑を行います。
◆
中川賢一 委員 生物多様性のビジョンということでありますけれども、今、札幌で生物と言えば話題になるのが何といってもヒグマでございまして、ヒグマだけではなくて、エゾシカ、カラス、いろんな野生鳥獣の脅威、被害というものが取り沙汰されておりますけれども、そういったものと今回の生物多様性の取組を進めていくこととの関係性について、何点かお伺いしていきたいと思います。
生物多様性ビジョン、生物多様性が叫ばれてかなり長くなりますけれども、地球環境の保全というようなことが非常に関心が高まっておりまして、また、生態系を維持していくということからも、生物多様性の
重要性というものは十分に理解するところでございまして、また、そういった
考え方を広く共有して取組を推進していくことの必要性は一層高まってきているのではないかというふうに認識してございます。
しかしながら、札幌市及びその周辺におきましては、先ほど申しましたヒグマ、エゾシカといった野生鳥獣の市街地出没がこのところ頻発し、住民の生活や安全に深刻な問題、脅威となってきているような状況でございまして、先ほど、資料の中での現状と課題という中でも、野生鳥獣とのあつれきの増加とございましたけれども、まさにこれが非常に深刻な状況になっているところでございます。
一方で、第7章の中で示されておりますゾーンごとの目標、あるべき姿を拝見しますと、市街地ゾーンというものがございまして、そこのあるべき姿につきましては、野生鳥獣と一定の距離を保ちつつ、多様な生命の息吹を感じている状態があるべき姿というふうに描かれておりますけれども、まさに、文中にありますとおり、野鳥のさえずり辺りがあるのであればいいのですけれども、市街地において、ヒグマやエゾシカの息吹というものが感じられる現状はどう捉えてよいものかというふうに考えてしまうところでございます。
そこで、質問でございますけれども、ヒグマやエゾシカなどの野生動物が市街地に下りてきているような現状を生物多様性さっぽろビジョンの
考え方の下ではどのように評価をすればよいのか、また、これを多様性として認めていくという
考え方になっていくのかという点についてお伺いをしたいと思います。
◎西村 環境管理担当部長 ヒグマやエゾシカなどの野生動物が市街地に出没しているとか、こういった状況をビジョンの下でどう評価するのか、また、多様性として認めていくかとのお尋ねでございます。
ヒグマやエゾシカが生息する森林は、札幌市の豊かな自然を象徴する貴重な財産ですが、ヒグマやエゾシカによる市街地への侵入は、安全な市民生活を脅かす問題であると認識しております。
ヒグマについては、今年3月に策定したさっぽろヒグマ基本計画2023の目指す姿として、「人は街で、ヒグマは森で。」を挙げており、ゾーニングによるすみ分けにより、人とヒグマのあつれきを軽減し、共生していくこととしているところでございます。
野生鳥獣との共生は、すみ分けが重要と考えており、野生鳥獣と生活する場所を分けて適切な距離を保つという
考え方を基本として、生物多様性保全に向けた取組を実施してまいります。
◆
中川賢一 委員 ヒグマ基本計画等のゾーニングの
考え方というものは、生物多様性のさっぽろビジョンとは相反しないと、鳥のさえずり辺りはいいけれども、やっぱりヒグマの息吹辺りはちょっと勘弁してほしいということで考えていいのかなというふうに思います。
近年、道内のヒグマだけでなくて、道内外でツキノワグマですとか人とクマとの接触機会というものが増えておりまして、人身の被害といったものも多数発生しているというようなことで、今年に入ってから何かその件数も、秋田辺りも非常にひどい状況のようでございまして、テレビなんかでも、連日、そういったようなニュースが流れて、大きな話題になっているというような状況でございます。
また、エゾシカにつきましても、北大の植物園ですとか、宮の森の公道を走るような姿が大きく取り沙汰されたりして、こういったことでは大きな交通事故になってしまうような危険性もあるのではないかというふうに考えます。
エゾシカにつきましては、既に北海道庁では、北海道エゾシカ管理計画に基づいて、また、札幌市でも一定数のエゾシカの駆除を行っているというふうに伺ってございます。
ヒグマのほうも、市街地に出没する問題個体などを駆除するケースも相当数発生してきておりまして、そのたびに現場では難しい判断を強いられておりますし、一旦、駆除というような報道が流れますと、一般の市民、特に道外からが多いというようなことでございますけれども、駆除のニュースなどを聞いた方からの抗議が
関係者に殺到いたしまして、札幌市も数多くそういった声が寄せられているというふうに伺っております。野生動物との関わりにおきましては、こういった動物愛護ですとか生物多様性といった理念と現実との厳しさというものが往々にして相反する結果となることが起きるのではないかなというふうに思います。
しかしながら、人間とクマとの接触機会が今後さらに増えていくようでありましたら、問題個体の駆除にとどまらず、場合によっては、市街地周辺のヒグマの生息密度を減らすための駆除だけではなくて、いろんな方策に踏み切らざるを得ないという事態になっていくということも十分に考えられるわけでございます。
そこで、続けて質問でございますけれども、ヒグマやエゾシカの捕獲、駆除の必要性が生じた場合、生物多様性の
考え方と相反し、妨げになることはないのか、お伺いをしたいと思います。
◎西村 環境管理担当部長 駆除、捕獲の必要性が生じたような場合、生物多様性の
考え方と相反し、妨げになることはないかとのご質問にお答えいたします。
ヒグマは、直近の2020年の調査で26頭と、5年間の間に市街地周辺で識別した個体が約2倍に増加していることが分かっております。
さっぽろヒグマ基本計画2023では、市街地に隣接する都市近郊林ゾーンや、ヒグマ対策重点エリアにおきまして、先ほど委員からのお話がありましたとおり、ヒグマの生息密度を減らしていく方法も検討していくこととしているところでございます。
また、エゾシカについては、今以上増え過ぎると山林内の植物を食べ尽くしてしまうおそれがあると考えております。
このように、すみ分けだけではなく、増え過ぎたヒグマやエゾシカの駆除、捕獲を行うことにより生態系のバランスを保つことも、生物多様性の考えとして相反するものではないと考えており、市民の理解を得ながら自然と共生する社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
◆
中川賢一 委員 相反しないという部分でありましたけれども、こういったビジョンの中で整理をして、動物愛護ですとか生物多様性といった理念と、現実に起きている脅威、危険とが両立するのだ、きちんと対応できるのだというふうに決めても、現実的には実際にいろんな声が寄せられたり、そして、この計画等々以上にヒグマが出てくるような
地域住民の方々の日々の不安というものはこういったもので測れないものがあると思います。
こういうような理念を持っていくことは非常に重要ではございますけれども、やはりこういった
考え方を、もちろん、こういった問題に悩んでいらっしゃる
周辺地域の方々の理解をいただくこともそうですし、一般の市民、これは札幌だけではないのですけれども、札幌市、札幌以外の方にどうすればいいかというところはございますけれども、広く人の感情に影響する問題でございますので、どうやってこういった現実と理念がマッチしているのだということを幅広くご理解いただくかというところをこれから十分にご検討いただいて、いろんな危険のある、脅威のあるような地域の対応の足かせになるようなことがないように努めていただきたいというふうに申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
◆ふじわら広昭 委員 私の最初の質問は、札幌市として取り組む30by30についてです。
生物多様性さっぽろビジョンが策定されてきた経緯を調べてみますと、1992年、平成4年にブラジルで地球サミットが開催され、気候変動枠組条約と生物多様性条約が採択をされ、現在、約200近い国が批准をし、これまで15回の締約国会議が開催されております。日本は、1993年、平成5年に生物多様性条約を締結し、1995年、平成7年に初めて生物多様性国家戦略が策定されています。その後、2008年、平成20年に生物多様性基本法が制定され、生物多様性さっぽろビジョンは同基本法第13条に基づく地域戦略として、2013年、平成25年に作成されてきております。
最近の締約国会議では、2021年、令和3年10月に中国の昆明、2022年、令和4年12月にカナダのモントリオールで開催され、2050年ビジョンとして自然と共生する世界、2030年ターゲットとして30by30目標が採択され、日本は、今年3月、今後10年間の生物多様性国家戦略を改定し、2050年に50年ビジョンとして自然と共生する社会、2030年に向けた目標としてネイチャーポジティブ、自然再興のまち実現を掲げております。
そこで、質問ですけれども、昆明・モントリオール生物多様性枠組において、2030年までの新たな生物多様性の目標として30by30が掲げられておりますが、30by30の目標は、陸地面積の30%、海域の30%を保全するとのことでありまして、言葉の意味は分かるわけでありますけれども、実際にどのようなことか、市民もイメージしにくいと思うわけであります。
そこで、30by30目標を達成するための札幌市の取組はどのようなものが考えられるのか、まず、伺いたいと思います。
◎西村 環境管理担当部長 30by30目標を達成するため、札幌市の取組はどのようなものが考えられるかとのご質問についてお答えいたします。
環境省では、30by30
目標達成のため、今年度から民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を自然共生サイトに認定する制度を開始しております。そこで、札幌市内で生物多様性を保全するために重要な地域や活動を行っている地域を抽出し、これらの企業や民間団体等に対し、申請の働きかけなどを検討しているところでございます。
自然共生サイトの認定を受けた企業などは、国際データベースにも登録され、生物多様性の国際
目標達成に直接貢献でき、広く社会にPRできるものでございます。さらに、国では、自然共生サイトの認定を受けた企業や民間などへの経済的インセンティブについて検討していると聞いているところでございます。
◆ふじわら広昭 委員 答弁では、自然共生サイト認定企業には、国際的に自然保全や環境保全に貢献していることをアピールできるだけではなく、将来的に経済的インセンティブという恩恵も与えられる
可能性があるということでありました。
札幌市域は、多様で変化に富んだ地形、地質や、地理的に冷温帯と亜寒帯の間に位置し、約8,000種類もの生物種が記録されております。その中には、札幌の名前がついた生き物もいます。昆虫ではサッポロフキバッタ、陸上生の貝類ではサッポロマイマイ、植物ではモイワランなどがあり、また、札幌市域の絶滅危惧種では、例えば、哺乳類ではクロテン、鳥類はシマアオジ、淡水魚ではイトウ、昆虫類はカラカネイトトンボ、植物ではモイワランなど、297種が絶滅危惧種の対象となっております。
こうした絶滅していく要因の一つには、世界に共通することでありますけれども、市街化面積の増加、森林の過度な伐採と湿地面積の減少、二つ目には、手入れされない里山、遊休農地の増加など、三つ目には、外来種の侵入や化学物質による汚染、新たな病原体の影響、四つ目には、気候変動などによる生息地への影響などが挙げられるわけであります。
こうしたことをしっかり改善していくためには、私も資料を読ませていただきましたけれども、自然共生サイトというものを大事にしていかなければならないのではないかというふうに思うわけであります。国が、30by30目標を達成するためにも、自然共生サイト認定数を増やしていくことが重要と考えるわけであります。
そこで、質問ですが、資料の第6章のゾーン設定の中にも自然共生サイトの認定件数を目標としていますけれども、札幌市内に自然共生サイトの
候補地となりそうなところはあるのか、また、目標数5件は、ほかの取組を行っている他都市に比べるとどのような状況なのか、この点について伺いたいと思います。
◎西村 環境管理担当部長 自然共生サイトの
候補地となりそうなところはあるのか、また、目標件数5件は他の自治体と比べるとどうなのかについてのご質問でございました。
自然共生サイトの認定
候補地といたしましては、北海道大学札幌キャンパスなどを想定しているところでございます。今年10月に初めて認定区域として全国で122か所が決定したところであり、札幌市内でも三菱マテリアル株式会社が管理するマテリアルの森手稲山林が認定されております。
目標件数につきましては、先進的な取組を行っている名古屋市や他の自治体と同じく5件としております。国の30by30目標を達成を実現させるためにも、札幌地域で自然共生サイトの認定を受ける企業や民間団体などを増やしてまいりたいと考えております。
◆ふじわら広昭 委員 要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
こうした札幌市の生物多様性ビジョンを具体化していくためには、資料の中にもありますけれども、札幌市版レッドリストの改定や、優先的な防除を行う外来種リストの作成などがあります。
今回の生物多様性さっぽろビジョンの特徴は、何といっても30by30の取組を具体化する自然共生サイトの取組ではないかと私は思うわけであります。そういう意味では、自然共生サイトの目標数は5件ということでありますけれども、これにこだわらず、まずは積極的な取組をして、環境首都・札幌としても大切な取組と考えますので、できるだけ多くの土地が認定できるよう、企業などへの取組、働きかけをしていただきたいというふうに思います。
また、市民、企業に対する分かりやすい広報、こうしたことについても大切だと思いますし、さらには、これまでも10年間、札幌市役所内部でも多くの部局でこれに関する事業を実施してきているところでありますけれども、今後も、関係部局の進捗状況などをしっかり環境局が対応していくことを求めて、質問を終わります。
◆わた
なべ泰行 委員 私からは、生物多様性さっぽろビジョンの周知について質問をさせていただきます。
生物多様性の理解度は、今回のビジョン(案)にもあります令和2年度の目標60%に対して35.1%だった、また、これが2011年のときは33.1%だったと、なかなか伸び悩んでいるなと、ご苦労されているなというふうに思いました。そういった中で、2030年までには、周知の目標を80%と高い目標を立てていらっしゃるところで、とはいえ、先ほどの令和2年度のときのように、そこは様々な取組がされているかもしれないですけれども、実際に生物多様性の理解度がなかなか進まないなと思っています。
皆様は、調査というか、どういうことが原因かなというのはつかんでいると思うのですけれども、私が思うのは、実際に市民の
方たちが生物多様性は大事だよね、保全したほうがいいよねと思ったとしても、実際にふだん何をすれば生物多様性を保全できるのか、こういうことが一つ分からないとぴんとこないというか、要は身近なものになっていないために周知も進まないのではないかと思っております。
なので、実際の行動が、市民の方が何かをして、こういうことが生物多様性につながるのだなという行動が広がっていけば、おのずと周知も広がっていく、こういうふうに思っているところであります。
そこで、質問ですけれども、本ビジョンの
考え方を周知して行動を促すための札幌市の取組としてどのようなものを考えられているのか、伺います。
◎西村 環境管理担当部長 本ビジョンの
考え方を周知し、行動を促すための札幌市の取組についてのご質問でございました。
生物多様性さっぽろビジョンの周知と保全行動を促す取組は重要であると認識しております。生物多様性の意味、その価値、
重要性に加え、市民がふだんの生活で実践できる生物多様性につながる配慮行動についての周知活動を実施してまいります。具体的には、ホームページやSNSなどを活用して周知するほか、円山動物園や博物館などの施設や環境関連団体と連携したフォーラム、企画展、クイズラリーなどの周知活動を行ってまいりたいと考えております。
◆わた
なべ泰行 委員 昨今ですから、SNSの活用も非常に大事なことですし、円山動物園とか実際に動物がいるところで必要性を訴えるというのは説得力がある取組だなと思っているところでございます。
加えて、そういった取組プラス、生物多様性の保全に関連してくる事柄も協力してやっていければなと思っているところです。
例えば、地球温暖化です。今年も札幌は猛暑が続きましたけれども、温暖化が市民の皆様も身近になってきているというか、本当に肌で感じられる時代になってきたところでございます。こういった地球の温暖化も生物多様性の損失に大きく影響するとも聞いていますので、こういった身近な課題、関係部署とも連携して、生物多様性の保全、大切さを訴えていただければと思います。
そして、最終的な目標は2050年ということでありますので、やっぱり次世代の
方たちにも伝えていくべく、今から周知、理解に取り組むべきだと思っております。
そこで、質問ですけれども、生物多様性の
考え方について、大人だけではなくて
子どもへも伝えることが重要だと考えていますが、これについていかがか、伺います。
◎西村 環境管理担当部長 生物多様性の
考え方について、大人だけではなく、
子どもにも伝えることが重要と考えるかとのご質問でございました。
委員がご指摘のとおり、生物多様性保全の大切さは、大人の方だけではなく、
子どもたちにも伝えていかなければならないと考えております。生物多様性さっぽろビジョン(案)について、これから
パブリックコメントを通じて広く市民の意見を募集する予定でございますが、その際にもキッズコメントを実施することとしております。
子どもたちが参加する事業として、本年度、円山動物園を会場として開催した特別企画展「STOP気候変動〜守ろう動物たちのすむところ〜」では、パネル展、生体展示、フォーラムのほか、
子どもたちに動物専門員から気候変動と野生動物の関わりについて解説してもらい、動物たちのために何ができるかを考えてもらうワークショップを実施したところです。
また、市内の自然環境の状況を把握することを目的に、2016年から、森林や草地、水辺などの環境の指標となる生き物の市民参加型調査「さっぽろ生き物さがしプロジェクト」を実施しております。毎年、多くの
子どもたちが参加しており、調査結果は生き物マップにまとめ、
ニュースレターとして市民に周知しています。
今後は、新たに学校の総合学習等に活用できる学習プログラムの開発を行い、学校へ周知して活用を図るなどの取組も行ってまいりたいと考えております。
子どもから大人まで対象に応じた方法により、生物多様性への関心が薄い層にも身近な問題として捉え、自発的に生物多様性へ配慮した行動をする市民が増えるような企画の創出を図ってまいりたいと考えております。
◆わた
なべ泰行 委員 今まで様々取り組んできましたし、これから、学校のほうとも、
教育委員会さんとも連携してやっていくとのことでした。
学校教育と連携して取り組む、総合教育ですが、非常に大事な取組だなと思っております。また、やはり現地に赴いて、さっきの円山動物園のパネル展とかありましたけれども、やっぱり現地で学ぶというのは理解度が進む大事な取組だなと思っております。
しかしながら、学校の授業の中で、例えばスキー授業のように、どこかに出かけようかといったら、バスに乗っていかなきゃいけないですとか、昨今の様々な物価高騰のこともあって、ガソリン代も高くなっているとか、いろいろある中で、こういうことをやろうと思ったら、今は経費がかかってしまうなということがあります。
こういう現地で学ぶときに、どちらが予算を持つのかは分からないのですけれども、しっかりと理解度を広げていく、また2030年まで80%まで持っていく、次世代が大切だというときにはしっかりと現地の学ぶ環境を増やしていただきたいと思うので、ここにしっかりと予算をつけていただくことを検討していただくことを求めまして、私の質問を終わります。
◆丸岡守幸 委員 私からは、生物多様性さっぽろビジョンの改定案のうち、まず、第2章の生物多様性の現状と課題について質問させていただきます。
第2章では、外来種の侵入と生息域の拡大について触れられておりまして、札幌市では、アライグマをはじめ、ウチダザリガニ、オオハンゴンソウなど、特定外来生物が増えつつあるということでございます。
そこで、お尋ねしますが、札幌市においては、現在どのくらい動植物の外来が確認され、どのような実態にあるのか、お示し願いたいと思います。
◎西村 環境管理担当部長 札幌市の外来種の実態についてのご質問についてお答えさせていただきます。
札幌市内で確認された動植物の外来種は、現行のビジョンを策定した2013年当時は365種だったものですが、現在は457種類と増加しております。
例えば、環境省が根絶を目指す外来種としているアライグマについては、札幌市においても防除実施計画を策定し、家庭菜園の被害などの申し出が市民から寄せられた場合には駆除の対応を行っております。駆除した数が、2019年の103頭から本年12月現在では350頭弱と5年間で3.5倍に増加しております。
このように、外来種は、種類だけではなく、種別の個体数も増加しているところでございます。
◆丸岡守幸 委員 札幌市内で外来種がそんなに増えているということを今お聞きしまして、ちょっと驚いた次第でございます。
私も、
子どもの頃、テレビアニメのあらいぐまラスカルなんかを見て、かわいいなというようなイメージでございますけれども、今、お話をお聞きして、ビジョンの中でも、アライグマの捕獲件数が増加傾向にあり、また、ウチダザリガニの生息域も拡大傾向にあるとの記述がございますが、外来種が在来の生物や生態系に影響を及ぼさないようにするためには、防除していく必要もあるというふうに考えております。
そこで、次にお聞きいたしますが、札幌市における外来種に係る防除対策といいますか、防除を実施していくための計画はどのようになっているのか、お示しいただきたいと存じます。
◎西村 環境管理担当部長 札幌市における防除の計画についてのご質問でございました。
外来種のうち、生態系や人命、身体もしくは農林水産業への被害を及ぼすもの、いわゆる外来生物法で規定されており、輸入や栽培、飼育、運搬などが規制されております。この法に基づき、防除実施計画は、必要に応じて都道府県や市町村、研究者などが作成することとされており、札幌では、現在、アライグマ、アメリカミンク、ウチダザリガニ、オオハンゴンソウなど、動植物に対する防除計画を4種類策定しております。
◆丸岡守幸 委員 次に、ビジョンの第9章では、生物多様性の保全に関する大きな目標を二つ掲げておりまして、一つは、多様な動植物が生息する豊かな自然環境が適切な管理により保全されており、各ゾーンがあるべき姿を保っているとあります。そしてまた、もう一つは、野生鳥獣とのあつれきが減少して、外来種の生息が抑制されているとあります。
そこで、お聞きいたしますが、この目標のうち、外来種の生息を抑制するための方策といたしまして、具体的にどのようなことをお考えか、お聞かせください。
◎西村 環境管理担当部長 生物再生保全目標における外来種を抑制する対策についてのご質問でございます。
優先的に防除を行う外来種のリストを作成し、種ごとの防除実施計画に基づいた駆除を実施してまいります。外来種対策については、学校における総合学習で取り上げてもらうなどの取組を実施しているところであり、今後は、新たにボランティア制度を導入するなど、外来種対策の担い手を育成、確保していくことも検討してまいります。
様々な機会を捉えて、「入れない・捨てない・拡げない」の外来種被害予防三原則の啓発にも力を入れてまいりたいと考えております。
◆丸岡守幸 委員 このたび、生物多様性さっぽろビジョンの改定版についてご説明いただきました。
ただ、内容を拝見いたしますと、山や河川、敷地、緑地の保全をはじめ、動物園のあるべき姿、ヒグマ・エゾシカ対策、農地面積の減少対策、環境配慮商品の利用促進、さらには下水道など、実に幅広い分野にわたって、庁内における取りまとめは大変だったと推測しております。
2050年までの長きにわたる取組になりますが、環境局におかれましては、ビジョンの実現に向けて強いリーダーシップを発揮していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○
田中啓介 副
委員長 私からも質問させていただきます。
1960年11月に市民の投票によって、札幌の花はスズラン、札幌の木はライラック、札幌の鳥はカッコウとなっております。
先ほど、ゾーンの中で、市街地ゾーン、野鳥のさえずり、あるべき姿とあります。ただ、近年、自分の住んでいる地域でカッコウの鳴き声が聞こえないことが言われております。これまでも様々な施策、取組をしておりますが、その取組の一つに、2016年に札幌市では札幌市版レッドリスト2016というものを作成しております。
そこでまず、伺います。
札幌市版レッドリストというのは、どのような
位置づけのものなのか。
また、今回、生物多様性さっぽろビジョン(案)において、本書の52ページにも札幌市版レッドリストの見直しと掲載種の保全事業の検討、実施とありますが、どのように行われるのか、伺います。
◎西村 環境管理担当部長 札幌市版レッドリストの
位置づけ、また、改定はどのように行われるかについてのご質問でございます。
レッドリストは、絶滅のおそれのある動植物のリストでございまして、国レベルのものは環境省が、都道府県レベルのものは北海道が策定しております。札幌市版のレッドリストは、市民、
事業者等に札幌市における絶滅のおそれのある動植物の現状を広く公表することで、生物多様性の保全に対する意識の醸成を図ることを目的として、2016年に策定しました。
レッドリストの改定につきましては、動植物の生息状況等の最新の情報を収集、整理し、専門家による検討会での検討を経て、2026年をめどに改定を予定したところでございます。
○
田中啓介 副
委員長 レッドリストなんですけれども、本書の23ページに2016年レッドリストを作成したということが書かれておりまして、その最後の3行の部分に、次の年の3月に
子ども向けに分かりやすく解説したハンドブック「まもろう札幌の仲間たち。」を作成し、市内の
小学校等に配付したというふうにありまして、私自身もネットでダウンロードしたんですけれども、先日、このパンフレットもいただきました。これを見せていただいているんですが、本当に分かりやすくて、また、強制的なものではなくて実際に考えていくということと、じゃあ、自分はどうやっていけばいいのかと、そんな難しいことではなくて、できることから始めようと、本当に親子でも読み合えるような絵本で、すごくいいものだなというふうに私は感じたのです。
そして、本書には
小学校等にも配付したというふうに書かれておるんですけれども、市内の
小学校に配付した数はどれくらいあったのかということと併せて、配付したというだけではなくて、実際に活用されることがすごく重要だというふうに思うんです。このハンドブックが例えば学校の授業などで活用されたかなどについてはどのように把握されているのか、伺いたいと思います。
◎西村 環境管理担当部長 ハンドブックの配付状況と改定についてでございます。
ハンドブックにつきましては、作成時に3,000部印刷しており、市役所、各区役所、各区民センターで配布したほか、市内の全
小学校へ各5部ずつ配付し、必要なところへは追加の配付を行っております。また、ホームページからでもダウンロードできるようにしているところでございます。
ハンドブックにつきましては、随時印刷してございまして、環境広場などのイベントでも配布し、広く啓発を図っているところです。
札幌市版レッドリストを改定する際には、ハンドブックの記載内容も更新する必要があることから、ハンドブックも改訂するものと考えております。
学校からのリアクションについては、追加で配付しているという観点で我々としては理解しております。
○
田中啓介 副
委員長 繰り返しで申し訳ないんですけれども、本当いいものだというふうに思っているんです。これを今の最新版に変えて、それを本当に周知という意味で言うと、配布というだけではなくて、そこを広く見て読んでもらうような活用方法も改めて検討していただきたいのです。そして、実際にこれを読んで、見て、感想などももらうような工夫をしていくと。これが、この方針、ビジョンで掲げている生物多様性の保全の活動に参加、取り組んでいる市民の割合を増やしていく、これにつながっていくというふうに思うのですけれども、その点についていかがお考えか、伺いたいと思います。
◎西村 環境管理担当部長 今後、新たな改訂版について、そのような観点も踏まえながら周知してまいりたいと思います。
○
田中啓介 副
委員長 ぜひ、周知だけではなくて、本当に活用されたかというのをフィードバックなんかもしていただきたいというふうに思います。
そして、もう一つだけ伺いたいのですけれども、本書の61ページのところに、生物多様性に配慮した行動の実践に関する目標というものを掲げておりまして、その目標を達成するために、市民、企業、活動団体等が積極的に地球規模で生物多様性に配慮した次のような取組を行いますというふうにあります。その取組の中に、温室効果ガス排出量の削減、食品
廃棄物の削減などと併せて、環境影響評価等による開発の自然環境への影響抑制というものがありまして、そこに環境影響評価の対象外事業についても、可能な限り、生物多様性への配慮について要請をするとあります。
たとえ都心部であっても、環境の保全ということすごく大事だというふうに思うのです。建物の例えばゼロエネルギー化、これはもちろん重要です。でも、そういう都心部であっても、建築物の高さだったり規模によって様々な生物への影響というものがあるんではないかというふうに思っています。
そういう建物が建つことによって、鳥がその建築物にぶつからないようにしていく、公園にある草、樹木、昆虫など、それが超高層の建築物ができることによって、日陰になってしまって生態系が崩れてしまうんではないかということもあると思うんです。
そこで、質問ですけれども、ここに書かれている環境影響評価の対象外事業とは具体的にどのような事業のことを想定されているのか、伺いたいと思います。
◎西村 環境管理担当部長 具体的に想定している事業というものはございませんが、例えば、環境影響評価の条例、法律に対しては、必ずそこにかかるという規定がございますので、それに満たないものについて、現在、札幌市にもいろいろな環境配慮を図るようなツールがございますので、そういったものを活用して、生物多様性ビジョンという基本的な方針に沿って、こういった取組を進めていきたいと考えております。
○
田中啓介 副
委員長 今、法律などで確かに基準というものがあるんだと思います。環境影響評価だけでは測れない、一見すると環境全体としてはあまり影響ないような、本当に小さな生物、一つの変化というもので生態系を崩れることにもなっていきます。
バタフライエフェクトという有名な言葉もあるとおり、本当に、ここに書かれているとおり、可能な限り生物多様性の配慮について要請するというふうに書かれている以上は、ぜひ、専門家あるいは科学的知見、これはもちろん大事ですので、こういうことに基づいて積極的に取り組んでいっていただきたいと申し上げて、質問を終わります。
○
藤田稔人 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
藤田稔人 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、委員会を閉会いたします。
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閉 会 午後2時31分...