札幌市議会 2023-10-24
令和 5年第二部決算特別委員会−10月24日-08号
令和 5年第二部
決算特別委員会−10月24日-08号令和 5年第二部
決算特別委員会
札幌市議会第二部
決算特別委員会記録(第8号)
令和5年(2023年)10月24日(火曜日)
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●議題
付託案件の審査
●
出席委員 32名(欠は欠席者)
委 員 長 丸 山 秀 樹 副委員長 太 田 秀 子
委 員 勝 木 勇 人 委 員 高 橋 克 朋
委 員 こんどう 和雄 委 員 こじま ゆ み
委 員 伴 良 隆 委 員 川田 ただひさ
委 員 松 井 隆 文 委 員 村 松 叶 啓
欠 委 員 村 山 拓 司 委 員 三 神 英 彦
委 員 小須田 大 拓 委 員 和 田 勝 也
委 員 福 士 勝 委 員 小 野 正 美
委 員 林 清 治 委 員 中 村 たけし
委 員 うるしはら直子 委 員 たけのうち有美
委 員
おんむら健太郎 委 員 森 基誉則
委 員 好 井 七 海 委 員 小 口 智 久
委 員 わたなべ 泰行 委 員 熊 谷 誠 一
委 員 吉 岡 弘 子 委 員 長 屋 いずみ
委 員 池 田 由 美 委 員 脇 元 繁 之
委 員 波 田 大 専 委 員 山 口 かずさ
委 員 成 田 祐 樹
――
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開 議 午後1時
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○
丸山秀樹 委員長 ただいまから、第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
福士委員からは遅参する旨、また、
前川委員からはわた
なべ委員と、
佐藤委員からは
池田委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第6款 土木費 第3項 河川費及び議案第7号 令和4年度札幌市
下水道事業会計剰余金処分及び
決算認定の件について、一括して質疑を行います。
◆波田大専 委員 私からは、
下水道事業の資金残の認識と今後の対応策について質問させていただきます。
令和4年度の
下水道使用料の決算額は約202億円となりました。札幌市
下水道ビジョン2030によりますと、今後は
人口減少などに伴い、
下水道使用料による収入は大きく減少していく見通しが示されております。一方で、令和4年度の施設の
維持管理費の決算額は約206億円、
建設改良費の決算額は約211億円と、いずれも
上昇傾向にあり、今後も老朽化した施設の急激な増加によって、
維持管理費と
建設事業費の増加は避けられない見通しです。
このような厳しい収支の状況の中で、資金残の決算額は、前年の約72億円から約65億円へと大幅に減少しており、今後もますます資金残は減少していく見通しとなっております。このような状況が続きますと、将来的には、やはり
下水道使用料の値上げなどにより市民の負担が増えることも予想されるところでございます。
そこで、質問ですが、
下水道使用料の増収は見込めない一方で、施設の
維持管理費及び
建設改良費の増大によって資金残が減少していくこの現状をどのように認識されているのか、また、この危機的な現状に対する具体的な対応策の
検討状況についてお伺いさせていただきます。
◎吉田
経営管理部長 資金残が減少していく現状への認識と具体的な対応策の
検討状況についてというご質問でございます。
令和2年に策定いたしました、委員からもご指摘がありました札幌市
下水道ビジョンにおきましても、
計画期間の後半、
資金不足が懸念していたことから、これまでも他都市の
状況調査をしておりまして、
使用料体系や
料金水準の
比較検討など適正な
受益者負担について分析を進めてきているところでございます。
そうした中、このたびの令和4年度決算では、
電力料金や資材、
労務単価の高騰により
維持管理費が著しく増大したことから、現在、極めて強い危機感を抱いているところでございます。
そこで、こうした状況におきましても健全な経営を維持するため、まずは、
コスト削減による
電気使用量の抑制や効率的な修繕による設備の延命化、また、管路の点検と修繕の
一体的発注による効率化などに取り組んでいるところでございます。
このほか、民間への委託も順次進めてきておりまして、今年4月にも6か所目となる
水再生プラザの委託を行いまして、
職員定数の約5%に当たる23名の職員を削減するなど、
内部努力を続けてきているところでございます。
さらには、この9月から、局内の全課、全係におきまして、さらなる効率化に向け事業の総点検を開始したところでありまして、今後も、強い危機感を持ちながら、効率的な経営に最大限の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
◆波田大専 委員 ご答弁にございましたとおり、強い危機感の下、引き続き
コスト削減を進めることはもちろん重要かと思います。しかし一方で、札幌市
下水道ビジョン2030における
財源確保の
取組内容の中で示されておりますとおり、
下水道事業が持つ資産の最大限の活用を検討することも重要であり、新たな収益を生み出すような施策について、あらゆる可能性を模索することも一つの方向性かと考えます。
一例ではございますが、埼玉県所沢市の
上下水道局では、平成30年度より、
マンホールの蓋を活用した
マンホール蓋有料広告事業に全国で初めて取り組んでおります。これは、
マンホールの蓋のくぼみに
広告デザインを貼付けした
デザインプレートをはめ込むもので、1か所
当たり月額約5,000円から1万円で
民間企業などに広告枠を提供するものです。現在では、ほかの多くの自治体にも取組が広がっております。
札幌市内には約21万7,000か所の
マンホール蓋が設置されているものと認識しておりますが、1か所
当たり広告収入が仮に月額1万円とすれば、
単純計算では21万7,000か所で月額21億7,000万円となり、年間にすると約260億円もの
広告収入となります。もちろん、これは極端な試算であり、実際には
マンホール蓋の
設置場所などによって
広告媒体としての価値は大きく変わってくることとは思いますが、いずれにいたしましても、
下水道使用料以外の貴重な収入源として、札幌市においても少なからずポテンシャルがあるものと考えております。
そこで、質問ですが、
下水道事業の収支が危機的な現状にある中、ほかの多くの自治体でも取り組まれている
マンホール蓋有料広告事業について、札幌市でもぜひ取組を始めてはいかがか、ご見解をお伺いいたします。
◎吉田
経営管理部長 マンホール蓋の広告に関するご質問でございます。
委員がご指摘のとおり、健全な経営を維持するためには、
コスト削減の努力はもちろんのことでありますが、可能な限り、様々な増収策の実施も重要と認識しているところでございます。このため、これまでも、土地の売却や貸出し、それから、不要金属の売却などの増収策に取り組んできているほか、委員のご提案の
マンホール広告につきましても、所沢市をはじめとする8都市の調査の実施をしてきているところでございます。
調査に基づきますこれまでの検討では、本市には、まち並みの景観を守る
屋外広告物条例というものの規制がありますことや、さらには、積雪のため
広告媒体としての
利用期間が限られること、さらに、
広告効果の高い都心部の歩道には設置可能な
マンホールが少ないという様々な課題もあり、現在では実現に至っていないところであります。さらには、調査した多くの都市では、募集枠の半数以上に空きがあるという状況も把握できておりまして、本市におきましても、
広告利用のニーズの調査を、それから、費用対効果を検証する必要があるかと考えているところでございます。
こうした状況ではありますけれども、先ほどご答弁をしたとおり、今後も厳しい経営が予測されることから、
下水道河川局としましては、増収に向け不断の努力を続けるべきと考えておりまして、その一つとして、
マンホール広告についても、企業の
ニーズ調査や費用対効果の検証など
実現可能性について検討してまいりたいと考えているところであります。
◆波田大専 委員 ご答弁にございましたとおり、実現に向けては課題がある状況と理解をいたしました。
特に、札幌市においては、
積雪寒冷地という特有な事情がありますこと、そして、冬場は積雪で
マンホールの蓋が隠れてしまいますので、広告としての価値を発揮できなくなってしまう点は大きな課題ではあるかと思います。しかしながら、逆に言えば、1年間のうち、およそ8か月間くらいの期間においては、積雪の影響を受けずに
広告事業を展開できる可能性があるようにも感じるところです。
このほか、札幌市では、
デザインプレートのはめ込みに対応した形状の
マンホール蓋が少ないとの課題もあったかと思いますが、これも逆に言えば、
デザインプレートに対応した
マンホール蓋が少しでもあるのであれば、まずは数か所からでも試験的に始められる可能性もあるように感じるところです。
先ほどの埼玉県所沢市の事例では、実際に
広告事業を始めた当初、夜になると暗くなって
マンホールの蓋が見えにくくなってしまい、広告としての価値が弱まってしまうとの課題が出てきたそうです。そこで、今では、LEDで光を放つ
イルミネーションマンホール蓋へと改良がされ、夜になっても広告が目立つようになり、さらに、夜道を照らす
防犯対策や街を彩る新たな観光資源にもなりつつあります。
このように、何か課題があったとしても、どうすればその課題を克服することができるかと知恵を出し合いながら前向きに検討することも重要ではないかと考えます。そして、何より、仮に将来的に
下水道使用料の値上げが避けられないといたしましても、値上げを行う前にどれだけ
企業努力に取り組んだかによって、市民の皆さんの納得度も大きく変わってくるのではないかと思います。
いずれにいたしましても、何か新しいことをしない限り、今後、収益が増えることはないとすれば、何か少しでも新たな収益源をつくり出すべく、ぜひ札幌市でも
実現可能性について引き続き前向きに研究していただきますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆
和田勝也 委員 私からは、
下水サーベイランスの取組と、札幌市
下水道改築基本方針の改定の2点についてご質問させていただきます。
まずは、
下水サーベイランスについてでございます。
新型コロナウイルスは感染者の排せつ物や唾液から排出されるため、下水中の
ウイルスを検査、監視することにより、
集団レベルでの
感染状況の把握が可能とされております。札幌市においては、
新型コロナウイルスの
流行初期から
北海道大学の
調査研究に協力し、その後、
北海道大学等が開発した下水に含まれる
ウイルスを高感度に検出する技術を用いて、令和3年2月から、自治体としては全国に先駆けて
新型コロナウイルスの定期的な検査を実施しております。
また、令和4年3月に、
国土交通省の下水道における
新型コロナウイルスに関する
調査検討委員会で
取組事例を紹介し、令和4年7月から令和5年1月まで、内閣官房の
下水サーベイランスの活用に関する
実証事業へ参加するなど、精力的に活動してきており、今年5月に
新型コロナウイルスが5
類感染症とされた以降も、この取組を継続しております。
そこで、質問でございますが、
下水サーベイランスの取組を行っている意義についてお伺いいたします。
◎渡邊
処理担当部長 私から、
下水サーベイランスの取組を行っている意義についてお答えいたします。
下水サーベイランスは、無
症状感染者を含めた
流行状況をいち早く把握できまして、受診行動や検査数などの影響を受けることなく
感染状況を反映する
客観的指標であり、下水道は
感染症対策に貢献できる大変意義のある取組であると認識してございます。加えまして、下水道に感染症の監視という新たな役割を与えるものでありまして、感染症に役立つ情報を市民の皆様へ提供することは、
下水道事業に対する市民の理解、関心の向上にもつながるものと考えております。
◆
和田勝也 委員
下水サーベイランスは、市民の生活や環境を守るという下水道本来の使命に加え、
感染症対策に貢献できるという下水道の新たな価値を多くの市民に示すものであり、今後も継続していくべき事業であると考えております。
札幌市が、全国に先駆けて
北海道大学の協力の下、
新型コロナウイルスという未知の感染症に対し、いち早く
下水サーベイランスを実用化できたことは、官学連携の
成功事例の一つとして評価をしているところでございます。
しかしながら、非常に有効な取組であるにもかかわらず、全国的な
社会実装には至っていないのが現状でございます。
そこで、質問ですが、
下水サーベイランスに先進的に取り組んできた都市として、引き続き
感染症対策に貢献していくべきだと考えますが、今後どのように取り組んでいくか、お伺いします。
◎渡邊
処理担当部長 今後の取組についてお答えいたします。
札幌市としましては、引き続き
感染症対策に貢献していくためには、効果的かつ効率的な
体制づくりが必要であると認識してございます。これまでは、
北海道大学に調査を委託してきましたが、その技術やノウハウを引き継ぎ、今後は
直営体制で事業を継続することによりまして技術を蓄積するとともに、調査にかかる費用の軽減を図ってまいりたいと考えております。さらに、今年8月に自治体、大学、
研究機関などが連携し、
下水サーベイランスの
社会実装を目指す
全国下水サーベイランス推進協議会が設立されたことから、札幌市としても積極的に参画しているところでありまして、今後は、この協議会の活動を通じまして、全国的な普及へ向けた
調査研究、情報共有、事例の
水平展開等を図ってまいりたいと考えてございます。
◆
和田勝也 委員 現在は、下水の検体を
北海道大学に渡して調査していただき、データをいただくという、委託で行っているということでしたけれども、今後は
直営体制で行うというご答弁でございました。
地域の感染症を把握できる
下水サーベイランスは、
新型コロナウイルス感染症に限らず、ほかの感染症の
流行状況も把握できる非常に有効な手段であると考えております。札幌市は引き続き、大学や他自治体、
民間事業者とも連携しながら、積極的な取組を進めていただきたいと思います。また、この取組を全国展開していくためには、国による財政面の支援も必要と考えます。
下水サーベイランスの
社会実装をより一層推進していくため、自治体が構成員である
推進協議会の活動などを通じ、国に対して必要な予算や体制等の確保を働きかけていくことも重要であると申し上げ、1点目の質問を終わります。
次に、札幌市
下水道改築基本方針と、札幌市
下水道処理施設再
構築方針についてお伺いをいたします。
この二つの方針は、
下水道施設の改築に関わる長期的な方針であり、
下水道改築基本方針では、管路と処理場などの機械、
電気設備の改築に関わる考え方を示し、
処理施設再
構築方針では、将来的に必要となる処理場などの土木・
建築施設の改築に関わる考え方を示しております。今回、
下水道改築基本方針について、策定から約10年が経過したことから、蓄積した
維持管理データの反映や
処理施設再
構築方針との一本化を目的として
改定作業を進めており、今年度内に公表する予定であると聞いております。
このような長期的な方針は、
社会情勢の変化に合わせて
一定期間ごとに見直す必要がありますが、その見直しに当たっては、まずは、既存の方針に基づく事業の
実施状況を整理し、しっかりとその成果を評価することが重要であると考えます。
そこで、質問でございますが、
改築基本方針の改定に当たって、現方針に基づく事業の
実施状況とその評価についてお伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 現在の
下水道改築基本方針に基づく事業の
実施状況と、その評価についてお答えいたします。
これまで方針に基づき、毎年約210キロメートルの
管路調査ですとか、機械・
電気設備の点検、修繕を確実に行いまして、可能な限り施設を延命化して
改築事業費の抑制と平準化に努めてきたという点におきましては、方針で掲げた
基本目標は達成できたものと評価しております。
なお、具体的な
改築事業量についてですが、
北海道胆振東部地震に伴う復旧工事への対応ですとか
物価上昇の影響によりまして、一部の
改築事業を先送りしなければならない状況もございましたけれども、管路につきましては、令和4年度末までに160キロメートルの計画に対しまして約9割となる145キロメートルを実施したところでございます。
また、機械・
電気設備につきましても、年間85億円の計画に対し、年間約80億から97億円の
改築事業を実施し、おおむね
計画どおり事業を実施しております。
◆
和田勝也 委員 管路と機械・
電気設備共に、
災害対応や
物価上昇などの影響で一部の改築を先送りしたが、おおむね
計画どおりに進めることができたとの答弁でございました。限られた財政の中では、
社会情勢の変化に対して柔軟に対応することが必要であると考えます。こうした状況の下、今回の改定では、事業費の見直しのほか、現
方針策定後に蓄積された
維持管理データの反映も行うと伺っております。
そこで、質問でございますが、これまでの
物価上昇により、新たな方針で示す事業費はどの程度増加するのか、また、蓄積された
維持管理データをどのように反映するのか、併せてお伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 新たな方針における事業費と蓄積したデータの反映についてお答えいたします。
まず、事業費につきましては、これまでの
労務単価や
資材単価の上昇により、現方針と比較しまして、管路で約3割、機械・
電気設備で約4割増加となる見込みでございます。
次に、蓄積したデータの反映についてでございますが、現方針の策定時に用いた既存の約1,700キロメートルの管路の
テレビカメラ調査データに、その後、新たに蓄積した1,500キロメートルの
調査データを加えた合計3,200キロメートルのデータを用いて、管路の劣化予測の精度を高め、将来改築すべき管理の延長を精査してまいります。
また、機械・
電気設備につきましても、これまでの点検、調査、修繕の実績を新たに加えまして、将来必要となる
改築事業量の見直しを行います。
◆
和田勝也 委員 新たな方針では、これまでの
物価上昇を踏まえた事業費の見直しや、蓄積したデータに基づき事業量の見直しを行うとのご答弁でございました。
下水道は、安全・安心な市民生活や都市活動を支える重要なライフラインであり、その機能を将来にわたりしっかりと維持していくためには、施設の
維持管理や改築を適切に進めていく必要がございます。しかしながら、今後も
物価上昇に伴う
事業費増加が見込まれるとともに、将来的には処理場などの本体となる大規模な土木・
建築施設の改築も必要となってきます。
改築事業を滞りなく進めるためには、その裏づけとなる財源の確保についても考えておく必要がございます。
そこで、質問でございますが、今後、長期にわたり実施される
改築事業については、その財源の確保についても長期的な視点を持つ必要があると考えますがいかがか、お伺いします。
◎清水
事業推進部長 財源の確保について、お答えいたします。
委員のご指摘のとおり、将来的に
土木建築施設の改築が始まる中においても、
下水道事業を着実に進めるためには、改築を含めた
建設事業や、
下水道使用料収入などの
収入状況に関して、長期的な視点で見通しを立てることは重要であると認識してございます。
現時点におきまして、将来の具体的な
財源確保についてお答えすることは難しい状況でございますが、まずは、徹底したコストの縮減や国の
交付金制度の積極的な活用などの
内部努力を進めてまいります。
加えて、適正な
受益者負担についても、引き続き検討していかなければならないと考えているところでございます。
◆
和田勝也 委員 長期的な視点に立って、徹底したコストの縮減や、国の
交付金制度を積極的に活用した上で、適正な
受益者負担を検討するなど、将来の
建設事業に備えるとのご答弁でございました。
今後、施設の老朽化が急速に進んでいく中において、下水道の機能が損なわれることがないよう、引き続きしっかりと
改定作業を進め、新しい方針に基づき計画的に改築を進めていくことをお願いし、私の質問を終わります。
◆うるしはら直子 委員 私からは、札幌市の
河川整備の
取組状況と、北郷川の
改修状況について質問します。
近年、本当に大雨による災害が全国で頻発しております。
今年の6月下旬には、
九州北部地方で総雨量が600ミリを超える大雨により、100か所以上の河川が氾濫し、また、北海道内においても、8月上旬の大雨により、
空知地方の雨竜川が氾濫したことなどは記憶に新しいところです。
札幌市においても、今年の6月から9月にかけて、大雨や洪水の警報が何度も発出されており、不安に感じた市民も多かったのではないかと思います。
このような大雨の状況を踏まえますと、引き続き
河川改修などの
治水対策に積極的に取り組んでいくことが重要と考えます。
札幌市の
河川整備につきましては、2019年10月に公表されました札幌市
治水整備指針に基づいて行われており、現在は7河川において
河川整備を進めているものと認識しております。
そこで、質問ですが、現在、本市では、整備を行う河川をどのように選定しているのか、また、どのような大雨を想定して計画しているのか、併せて伺います。
◎高桑
河川担当部長 治水整備を行う河川をどのように選定しているのかについてと、どのような大雨を想定して計画しているのかについてお答えいたします。
1点目の整備を行う河川の選定についてですが、近年の
浸水実績や
土地利用状況のほか、浸水の
シミュレーション結果を踏まえながら、まずは対策の検討が必要な地域を抽出いたします。
続いて、これら抽出した地域内の河川において、費用対効果などの検討を行い、
改修事業の緊急性や優先度を判断しまして、
治水整備を行う河川を選定しているところでございます。
次に、2点目のどのような大雨を想定して計画しているかについてですが、流域内に資産が集積しているなど、重要度が特に高い1級河川や2級河川では30年から50年に一度の大雨を想定し、
準用河川では10年に一度の大雨を想定して計画しているところでございます。
◆うるしはら直子 委員 ただいまのご答弁で、札幌市の
河川整備を行う箇所は、
浸水実績や、河川の水位などの情報を基に浸水の
シミュレーションなどを行って、被害のおそれがある地域を抽出しまして、費用対効果などの検討を行った上で選定しているということでありました。
私は、2021年の
決算特別委員会におきまして、水防法の改正に伴っての新たな
浸水想定区域図の策定ですとか
浸水ハザードマップの改定に関して質問をしたところですが、その後、2022年度に新しい
浸水ハザードマップが公表されております。
この白石区版の
浸水ハザードマップを見ますと、月寒川の下流地域では浸水の深さが他の地域よりも著しい状況が見受けられます。この
浸水ハザードマップにつきましては、あくまでも想定し得る最大規模の降雨による洪水を想定したもので、そうした中から、特に
治水整備が必要だという場所をしっかり選定して進めているとのことですが、この月寒川下流の右側の地域である東米里地区については、先日、新聞報道で、近くを流れます北白石川などの
治水対策の検討を行うといった記事がございました。
担当課にお話を伺いましたところ、報道のような検討ではなくて、今年度についての検討は基礎的なものであり、事業化に向けてはまだまだ分析や検討すべき事項が多いとのことでした。ですが、非常に重要なことでありますので、これについてはしっかりと検討を進めていただきまして、地域の住民の安心のためにも、近い将来に
治水対策に着手できることを期待しております。
一方で、この月寒川の左岸の地域では、2019年度より、月寒川と並行して流れる北郷川の
改修事業に着手していると承知しております。
この地域は、月寒川と望月寒川の二つの堤防に囲まれておりまして、大雨時にはこれらの河川の水位が地盤よりも高くなり、降った雨が川に集まりにくい地形となっていまして、過去に何度も浸水が起きております。
そこで、質問ですが、北郷川改修の事業化に当たり、この地域の治水上の課題をどう捉え、また、事業の着手までにどのような検討を行ってきたのか、伺います。
◎高桑
河川担当部長 北郷川の事業化に当たっての治水上の課題と、事業の着手までにどのような検討を行ってきたのかについてお答えいたします。
委員がご指摘のとおり、この地域では、大雨時に月寒川と望月寒川の水位が高くなりまして、雨水の自然排水が困難になることから、月寒排水機場においてポンプで雨水を強制排水しております。
しかしながら、排水機場につながる河川は、いずれも断面が小さく、十分な量の水を流せないことや、地盤沈下により周りの土地が低くなって雨水が川に集まりにくいといった課題を抱えており、ポンプの能力を生かし切れず、これまで浸水被害が発生しているところでございます。
そのため、同地域の複数の河川について、浸水被害の軽減が期待できる改修案を検討した中で最も費用対効果などが優れていた北郷川を改修することとしたものでございます。
北郷川の改修に当たりましては、既存の断面を広げるとともに、河床を掘り下げることにより、流域に降った雨水をスムーズに集め、月寒排水機場の機能を十分に生かせる計画とし、事業に着手したところでございます。
◆うるしはら直子 委員 現在、事業中である北郷川は、単に川を大きくするというだけではなくて、月寒排水機場の機能を生かせるように検討を行ってきていることがわかりました。
この地域では、さきにも触れましたが、2012年と2015年、そして、2017年と浸水被害が発生しておりまして、この市民の安心・安全を守るためにも早期の事業完了が期待されるところです。
ただ、北郷川の改修に当たっては、用地買収の下で進められているわけですが、この範囲が大変広く、また、市街化調整区域にもかかって、長くこの地に暮らす方ですとか、事業をされている方もおり、様々な個々の事情を私も聞いているところで、この事業の進捗が大変気になるところです。
そこで、最後に、北郷川
改修事業の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
◎高桑
河川担当部長 北郷川
改修事業の進捗状況と今後の見通しについてお答えいたします。
北郷川の改修に当たりましては、河川敷地を全て新たに取得する必要があり、ほかの河川
改修事業に比べて関係する地権者数が多くなっております。その用地買収に当たりましては、会社や自宅の移転をお願いする場合も多く、個々の地権者の事情にも十分配慮しながら交渉を進めております。
令和2年度より、地権者の協力をいただきながら用地買収を進めており、現在の進捗状況といたしましては、下流部の工事に必要な区間について、今年度中に売買契約を結べる見込みとなっております。来年度中には、それらの用地が引き渡される見通しでありますことから、令和7年度からの工事着工を目指しているところでございます。
◆うるしはら直子 委員 関係する地権者が多いものの、2025年からの工事着工を目指すということだったと思います。
地域住民のこの浸水を心配する声というのは、本当に早く解消していただくことがとても大事ですけれども、今のご答弁にもあったように、この用地買収に当たりましては、引き続き地権者のそれぞれの事情に応じた丁寧な対応をしていただくことをしっかりとお願いしたいと思います。
地域の方々も本当に期待をする声、また、上流に行けば行くほど、うちはいつなのだろうといった声を私もたくさんいただいておりますので、地域の方々にもきちんと説明をしながら、しっかりと進めていただきたいと思います。
最後に、先日公表されました第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2030(案)においても、総合的な
治水整備事業が引き続き位置づけられております。市民の安心・安全な暮らしのため、着実な事業の推進を要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆好井七海 委員 私からは、河川の
維持管理について、とりわけ、河川のしゅんせつと樹木の伐採について質問させていただきます。
今年は、台風や活発な梅雨前線の影響により線状降水帯が多発するなど、全国各地で甚大な被害が発生しております。
札幌市におきましても、今年9月に激しい降雨が多くありましたが、昨今の気候変動を考えますと、札幌市の近郊で線状降水帯が発生して、大きな水害となることも懸念されることから、これらに備えた対策は必要であると強く感じているところであります。
そのため、治水能力を高めるための
河川整備に取り組んでいただくことはもちろんではありますが、整備をして終わりとするのではなく、常に河川が有している治水能力をしっかりと発揮できるよう、適切に
維持管理を行うことが重要であると考えます。
国は、河川のしゅんせつや樹木伐採を推進するため、令和2年度に緊急浚渫推進事業債、いわゆる浚渫債を創設したところでありますが、この浚渫債は、起債充当率100%と、償還時の交付税措置率70%の財政的に大変有利なものであります。
我が会派では、かねてより、災害から国民の命と暮らしを守るため、重点的かつ集中的な対策が必要であると主張しており、令和3年の予算特別委員会では、河川のしゅんせつや樹木伐採について、浚渫債を積極的に活用して推進することを求めてきたところであります。
そこで、質問ですが、この浚渫債を活用した河川のしゅんせつや樹木伐採について、これまでどのように取り組んできたのか、お伺いいたします。
◎高桑
河川担当部長 緊急浚渫推進事業債、いわゆる浚渫債を活用して、河川のしゅんせつや樹木伐採にどのように取り組んできたのかについてお答えをいたします。
令和2年度に創設された浚渫債は、令和6年度までの時限措置でありますことから、本市では、令和2年度から6年度までの5年間、河川のしゅんせつや樹木伐採に係る経費を大幅に増額して集中的に取り組むこととし、土砂堆積や樹木繁茂が進み、対策が急がれる51河川で作業を進めております。
現在の進捗状況といたしましては、令和2年度から5年度までの4年間で合計約14億円を執行し、49河川で作業が完了する見込みであります。
令和6年度には、残り2河川の作業を行い、対策が急がれる河川への対応は全て完了したいと考えております。
◆好井七海 委員 浚渫債が創設された令和2年度以降、集中的に予算が計上されて、制度が終了する令和6年度末までに対策が急がれる河川への対応は全て完了したいというようなご答弁であったと思います。
先ほどお話ししましたが、浚渫債は国からの交付税措置率が高い非常に有利な財源でありますので、これをしっかりと活用して取り組んでいることについては評価させていただきたいと思います。
しかしながら、河川の近くに森林や畑がある場合などは、土砂流入が多いため、土砂の堆積が起こりやすく、また、樹木についても何も手をかけなければいずれ大木になってしまいます。したがいまして、河川の治水能力を発揮するためには、しゅんせつや樹木伐採を一度行えばいいものではありません。
そこで、質問ですが、この浚渫債が終了した後、河川のしゅんせつや樹木伐採について、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
◎高桑
河川担当部長 浚渫債終了後、河川のしゅんせつや樹木伐採にどのように取り組んでいくのかについてお答えいたします。
今回の作業を通じて、土砂堆積や樹木繁茂がしやすい箇所の把握ができたところでございます。
今後は、これらの知見を踏まえながら、現地確認を行い、的確な実施タイミングを見極めるなど、しゅんせつや樹木伐採を効率的に進めていきたいと考えております。
さらに、浚渫債は財政的に大変有利なものでありますことから、この制度の継続について、他の自治体と連携しながら、国に対して積極的に要望していきたいと考えております。
◆好井七海 委員 冒頭にも申しましたとおり、近年、大雨による災害が激甚化、また頻発化していることから、事前防災として治水能力を高めるための
河川改修や貯留池の整備を推進することは大切であり、また、整備後の治水能力を発揮し続けるための適切な
維持管理も重要になってまいります。
河川のしゅんせつや樹木伐採は治水能力を保つために必要な作業でありますので、ぜひ今後も計画的に継続していただき、防災・減災対策として、適正な河川の
維持管理に努めることで、より一層、災害に強い札幌市を実現していただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
◆吉岡弘子 委員 私からは、暗渠河川の調査について質問をさせていただきます。
札幌には、石狩川水系、新川水系、星置川水系の三つの水系から成る592本の河川が流れ、その総延長は1,192キロと言われます。河川は、本来、水面があって、目に見える開水路が原則ですが、市街化区域の拡大や地下鉄建設、道路整備などに伴い、1960年代から地下3メートルから15メートルに管渠を埋設した水路、いわゆる暗渠河川が整備されており、長さは96キロに及ぶと聞いています。
本市で、観測史上初めて震度6弱が観測された胆振東部地震では、清田区をはじめ、豊平区、東区、北区などで、液状化などによる地盤の流動、陥没に見舞われました。
地震後、被害の大きかった清田区里塚や美しが丘などの調査を行った結果、三里東排水の里塚霊園と吉田川第1排水の吉田川公園の2か所で暗渠管の変形が確認されました。
里塚霊園では、暗渠管の上部に亀裂がありましたが、漏水はなく、補修で済み、吉田川公園では、暗渠管に10メートルにわたる潰れと漏水が確認され、2019年に新設工事が行われたと聞いています。
本市では、これまで、暗渠河川の本格調査は行っておりませんでしたが、胆振東部地震を契機に、2019年度から5年を費やして暗渠河川の調査を行い、今年が最終年度となっています。
調査は、暗渠河川の全延長約96キロのうち、緊急輸送道路の下を対象としているとお聞きしています。
そこで、質問ですが、これまでの調査の進捗状況と調査内容、結果について伺います。
あわせて、埋設してから50年、60年と長期間経過していることによる影響は見られなかったのか、伺います。
◎高桑
河川担当部長 暗渠河川の調査の進捗状況と、調査内容や結果についてお答えをいたします。
本市では、胆振東部地震を契機とし、市内にある暗渠河川167河川、約96キロメートルについて調査を本格的に進めることとしました。
調査の内容といたしましては、人が歩行可能な暗渠では、調査員による目視確認を行い、人が入れない暗渠では、カメラにより状態確認を行うものでございます。
調査には相当の期間を要することから、重要度の高い緊急輸送道路を優先することとし、まずは、令和元年度より縦断的に埋設された13河川、約16キロメートルについて調査を開始したところであります。
進捗状況といたしましては、令和4年度までに9河川、約13キロメートルの調査を実施しており、残りの河川についても、委員がご指摘のとおり、今年度中に調査を完了する見込みでございます。
これまでの調査結果では、設置から約50年が経過した2河川、約3キロメートルを含め、老朽化による損傷は確認されておりません。このことから、現時点で、委員がご指摘の、長期間経過していることによる影響については見られてございません。
なお、外部からの衝撃が要因として判断される軽微な損傷が1か所確認されましたが、これにつきましては、補修を既に完了しております。
◆吉岡弘子 委員 2019年度からの緊急輸送道路下の暗渠河川の調査をすることによって、現在のところ、1か所で問題が確認されたということです。
緊急輸送道路は、災害直後から避難救助や物資を供給するとともに、緊急車両の通行を確保すべき重要な路線です。万が一、管の破損があれば、道路陥没などの重大な事故につながります。5年間で調査するのは約16キロですから、本市の暗渠河川総延長の96キロから見ると一部にすぎません。大部分は未着手となっています。
そこで、質問ですが、暗渠河川の調査における今後の取組について伺います。
◎高桑
河川担当部長 暗渠河川の調査における今後の取組についてですが、緊急輸送道路に縦断的に埋設された河川の調査が令和5年度で完了する見込みであることから、令和6年度以降は、緊急輸送道路を横断する46河川、約26キロメートルについて優先的に調査を進めてまいりたいと考えております。
◆吉岡弘子 委員 緊急輸送道路を横断する暗渠河川を優先して、引き続き調査を行うよう検討するとのご答弁でした。暗渠河川は目に見えませんので、調査をしなければ正確な状況を把握することができません。引き続き調査していただいて、災害に強いまちづくりを進めることを求めて、質問を終わります。
◆
おんむら健太郎 委員 私からは、8月に東京以北で初の取組として開催されました下水道展について、幾つか伺ってまいります。
私は、これまで私自身が関わりがあったということで、自転車ですとか保育といったものをはじめとして、様々な業界のビジネス展を拝見してまいりました。こうした展示会は、各業界が抱える課題解決に向けた新しいアイデアやヒントが得られるとともに、各企業の切磋琢磨も図られ、業界全体としてのスキルアップにつながるものと捉えております。
そうした各業界の中でも、
下水道事業というものは、管路が地中に埋まっておりまして、処理場も郊外にあるため、ふだん市民が目にすることのない、まさに埋もれた技術も多いと感じているところでございます。その意味では、札幌で下水道展が開催され、ふだんは目に見えない下水道の様々な技術にスポットが当たったこと、これは、札幌、北海道の下水道業界に大きな意義があったと考えるところでございます。
私は、
下水道施設は、市民生活にとって必要不可欠なライフラインでありながら、なかなか市民の関心が低いということから、下水道に対する理解促進や、広く周知することが大切との視点で、昨年の第3回定例会においても、下水道展の札幌開催の意義と経緯について質問したところでございます。
その際、最新技術を学べる機会であったり、
積雪寒冷地である北海道独自の技術の発信など、ビジネスチャンスにも広がる多様な効果が期待されるとの答弁がございました。
また、道外から多くの来場者が見込め、観光面での効果も期待できることから、札幌、北海道の魅力の発信に積極的に取り組んでいくとの話もありまして、私も期待しつつ、高い関心を持って注目してきたところでございます。
そこで、最初の質問ですが、下水道展を札幌で開催することとした狙いやその目標は達成できたのかどうか、伺わせていただきます。
◎吉田
経営管理部長 下水道展開催の狙いや目標の達成についてお答えいたします。
まず、来場者の数につきましては、昨年の東京を上回りまして、目標の3万人を超える3万450人となったところでございます。また、企業の出展ブースの数も913と想定の750を大きく上回る規模となったところでございます。
会場では、脱炭素社会に向けた省エネ対策ですとか頻発する豪雨災害対策など、多くの最先端技術が展示紹介され、道内企業からも、下水熱を利用した最新のロードヒーティング技術など、
積雪寒冷地ならではの取組が全国に発信されたところでございます。
さらに、同時開催された研究発表会におきましては、過去最大規模となります421編の発表を基にしまして、下水道サーベイランスやITを活用した老朽化対策など多様な議論が展開され、知識の共有が図られたところでございます。
また、札幌市も、道内の37の都市の協力をいただきながら、食や文化の魅力を発信するおもてなしコーナーを設置いたしました。これらの様々な取組の成果としましては、アンケート結果におきまして、ビジネスの拡大を目的に来場した8割の方が満足をしたと回答されておりまして、また、おもてなしコーナーにつきましても、9割の方が楽しかったとの回答をいただいたところでございます。
これらのことから、札幌開催の狙いと目標はおおむね達成できたものと考えているところでございます。
◆
おんむら健太郎 委員 来場者数が3万人を超えたり、出展企業ブースも想定を大きく超えていたということでもありまして、また、アンケートにおいても、9割の方が満足されていたということが今の答弁にもありました。
私も会場に直接伺わせていただきましたが、やはり、ふだん見ない最新の技術というものに学ぶ部分が非常に多くて、大変失礼ながら、私が今まで見てきたビジネス展がここまでの大きな規模ではなかったということもありますが、想像以上によい取組だったなと評価をさせていただいているところでございます。
本市や北海道内の各企業をはじめとして、多くの下水道関係者の皆さんがITを活用した効果的な工事手法など、数多くの新たな技術や知見を得られたということは、非常に意味があったなと思っております。
現在、下水道を含む建設現場は、人材不足や労働力不足に悩まされておりますので、今後は、これらの成果を現場で具体的に生かしていただいて、各自治体にとっても、省エネルギー化とか現場の負担軽減などにつなげていっていただくことを要望させていただきたいと思います。
次に、下水道展の札幌開催のもう一つの大きな目的でありました、市民の理解促進についても伺っていきたいと思います。
先ほど来、話にありますとおり、市民にとってはふだん目にすることのない下水道の機能や効果に直接触れることができる絶好の機会であることが、下水道展を札幌で開催することのもう一つの大きな目的だったと認識しております。
私は、以前から、下水道に関する広報の重要性を訴えさせていただいておりまして、市民に対し様々な機会を的確に捉えて効果的な広報を展開していくこと、これが必要だと主張してまいりました。
そこで、今年の第1回定例会においても、その広報の具体的な取組として、市民が親しみやすいキャラクターを活用したデザイン
マンホールと、それを活用した
マンホールカードの意義や効果について取り上げたところでございます。
その際、下水道展の開催をきっかけとして、市民に向け、様々な取組を実施し、下水道の機能や必要性などを分かりやすく伝えていくとともに、下水道展への集客にもつなげていくといった答弁がございました。
そこで、次の質問ですが、下水道展の開催で、市民の下水道への理解は深まったのか、また、デザイン
マンホール設置の効果はどうだったのか、併せて伺います。
◎吉田
経営管理部長 下水道展によります市民の理解促進とデザイン
マンホールの成果についてお答えいたします。
まず、市民向けのプログラム参加者数でありますが、これは昨年の東京の4,000人を大きく上回る5,353人となりまして、これらの方々へのアンケートの結果では、下水処理の仕組みを学べるコーナーが最も高く評価をされております。また、このうち9割の方がよく分かったという回答されておりまして、多くの市民の理解が図られたものと考えているところでございます。
加えまして、出展企業からも、札幌会場は過去の展示会に比べまして一般の方が非常に多かったことから、ふだん事業を紹介する機会が少ない方々への理解促進に大変よい機会となったというような評価もいただいたところでございます。
次に、デザイン
マンホールにつきましては、札幌ならではのキャラクターであります雪ミクを採用いたしまして、開催前から、大通公園や大倉山など市内の観光スポット5か所に設置をしたところ、数多くのテレビやSNSで取り上げられ、下水道への関心を高める効果があったものと考えているところでございます。
また、会場で配布しました
マンホールカードも1万1,500枚となるなど、これまでで最も多かった北九州市の2倍、昨年の東京の3倍を超える人気となりまして、集客に大きく貢献したと考えているところでございます。
これらのことから、下水道展の開催をきっかけにした様々な取組によりまして、市民の下水道に対する理解と関心が一定程度高まったものと考えているところでございます。
◆
おんむら健太郎 委員 札幌での開催には、東京とか北九州とかに比べて本当に非常に多くの方が足を運んでくださったのだなと改めて感じました。
先ほど来あります
マンホールカードも、北九州の2倍、東京の3倍ということで、今、非常に人気のあるものですし、デザイン
マンホール自体が町の観光に資する取組でもありますので、今後もタイミングを見て新たなデザイン
マンホールの作成も検討していただきたいと思いますし、前回の議会のときも吉田
経営管理部長に私は要望させていただきましたが、今、私もつけておりますバッジ、こういった関連グッズの製作なんかも非常にいろんな方々の注目を浴びる取組だと思いますので、進めていただきたいと思います。
さらに、今後、札幌市が漫画などのポップカルチャーを活用した経済や観光の振興を目指すという報道もございましたので、そういった取組との連携もぜひとも検討していただきたいですし、そういったことを視野に入れて調査をすることがあってもいいのではないかなと思っております。
また、先ほどもお話がありましたとおり、
下水道事業も、今後、技術者の確保が難しくなってくることですとか、下水施設の更新ですとか、多くの課題が残っておりますので、新たな技術の導入ですとか、また、広く市民の皆様方と理解を深めていただく、また、周知をしていくことによって、興味・関心を高めるなど、様々な取組を進めていただいた中で、課題解決に向けて取組を進められることを求めまして、私からの質問を終わらせていただきます。
◆小口智久 委員 私からは、(仮称)札幌市
下水道事業脱炭素構想の策定と
下水サーベイランスの活用の2点について質問をいたします。
我が会派は、かねてより、市有施設の脱炭素化に向けた省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入拡大について取り上げており、
下水道事業については、昨年の予算特別委員会で、わた
なべ委員より、脱炭素社会に向けた取組について、省エネルギー、下水エネルギーの活用、考え方について一連の質問をしております。
また、今年の第2回定例会の代表質問でも、前川議員からさらなる質問があり、これに対し、市からは、中長期的な方向性を定める(仮称)札幌市
下水道事業脱炭素構想を策定するとの答弁があったところでございます。
その後、
下水道河川局において、構想の策定作業が進められ、先般、ホームページにおいて、省エネ設備の導入による温室効果ガスの削減や、下水道資源の活用といった取組方針を掲げた(仮称)札幌市
下水道事業脱炭素構想の骨子案が公表されております。
骨子案の取組方針の一つとして示された省エネ設備の導入については、先ほど申しましたとおり、我が会派は、その取組に注目をしており、下水道が行っている処理システムの効率化や運転管理の工夫などにより着実に成果を上げていることを評価しております。
今後もぜひ構想に定めた継続事業と、改築や施設再構築に合わせた抜本的取組である新規事業も含めて、しっかりと進めていただきたいと思います。
一方、もう一つの取組方針として示されました下水道資源の活用に関しては、これまで、雪対策施設への下水熱の活用といった寒冷地特有の取組や、汚泥焼却熱を活用した蒸気発電などの取組も行っていることは承知しておりますが、近年の技術開発の動向や他都市の事例などを見ますと、まだまだ活用の余地はあると考えます。
本年8月、札幌市で行われた下水道展では、我が会派も視察をさせていただきましたが、バイオマスである下水汚泥の活用について、大きく3種が紹介されておりました。固形燃料化、堆肥化、バイオガス化などの資源化があり、それぞれ一長一短があり、固形燃料と堆肥化は出口戦略で、買っていただける方が制約され、品質の安定化ということもあって、非常に難しいということがございます。
もう一つのバイオガス化については、嫌気性発酵、これはメタン発酵と言われる消化ガス、メタンを得るものでありますけれども、反応速度がちょっと遅いという課題があります。しかし、最近、バイオガスの実施自治体があり、例えば、山形県鶴岡市ではバイオガスを利用した発電を2015年から始めており、2021年度には一般家庭470世帯分の電力を売却し、収入を得ているとのことでございます。
このバイオガス発電は、寒冷な気候や設置スペースの制約から札幌市では導入していないと伺っておりますが、最新の技術や他都市事例なども参考にして、その導入を検討すべきではないかと考えます。
そこで、質問ですが、バイオガス発電の導入について構想に盛り込む考えがあるか、伺います。
◎清水
事業推進部長 バイオガス発電の導入について、お答えいたします。
下水道事業におけるバイオガス発電は、下水汚泥の処理方法の一つでございます消化という処理を行うことで発生するメタンガスを活用するものでございます。
この消化というものは、大きなタンク、これは石油基地などにある大きい丸いタンクをイメージしていただければいいと思いますが、こういった大きなタンクの中で、汚泥を温めまして微生物による発酵を促して、汚泥を原料化する手法でございます。
札幌市では、この消化に必要となる大きなタンクの設置スペースや寒冷地という特性のため、汚泥を温めるのに多くのエネルギーが必要となるということから、消化を採用しませんで、汚泥は全て脱水して焼却してございます。
しかしながら、バイオガス発電の活用につきましては、他都市でも採用事例が多数ございますし、脱炭素に向けた下水道資源の活用の有効な手法の一つと考えてございますので、今後の処理場などの再構築のタイミングに合わせた導入に関しまして、構想の中に盛り込んでまいります。
◆小口智久 委員 バイオガス発電については構想に盛り込むということでございました。私は、化学プラントの技術者でもありますので、バイオガスの有効性、使いやすいこと、また、水素化といった将来性も承知しておりますので、今後、各自治体や最新技術の動向も踏まえた新たな取組を期待いたします。
次に、脱炭素構想における目標の設定について伺います。
これまで、下水道分野が官民一体となり、積極的に技術革新に取り組んでいることは承知しておりますが、さきに述べた下水道展の中でも、脱炭素に関する技術は数多く展示され、自治体での導入事例やその実績なども紹介しておりました。この展示を通して、脱炭素の取組に関する下水道の技術分野の進展に改めて感心したところでございます。
札幌市役所では、2030年の温室効果ガス排出量を2016年比60%削減という高い目標を掲げておりますが、その達成のためには、市役所全体の約2割の温室効果ガスを排出する下水道の積極的な取組は欠かせません。
このような中、
下水道事業が脱炭素構想をいち早く策定することは非常に大きな意義があると考えますが、技術の進展が著しい下水道に関しては、さらに具体的な削減目標をしっかりと定めることが必要であると考えます。
そこで、質問ですが、構想の実行性を高めるため、取組ごとに数値目標を示していくことが必要だと思いますが、認識を伺います。
◎清水
事業推進部長 数値目標の設定についてお答えいたします。
構想に掲げた取組を確実に進めるためには、取組ごとに具体的な目標を設定した上で、常に進捗状況を把握しまして、分析、評価していくことが重要と考えております。
委員がご指摘のとおり、下水道に関しましては技術分野の進展も著しく、自治体における先進技術の導入事例も増えておりますので、
民間企業や他の自治体へのヒアリングによりまして、導入実績やその効果、こういった情報を集めながら、可能な限り、構想に掲げる取組ごとに明確な数値目標を設定し、構想の実行性を高めてまいりたいと考えてございます。
◆小口智久 委員
下水道事業は仕組みが複雑ということもあって、多くの温室効果ガスを排出しますが、技術の進歩でさらに削減できる可能性があり、加えて、下水道の処理水を利用した雪対策施設の設置など、温室効果ガスを抑制しながら市政課題を解決できる大きなポテンシャルを有しております。そのため、札幌市が地域全体で2050年のゼロカーボンという高い目標を達成するためには、
下水道事業が果たす役割は非常に重要であると考えます。
下水道事業脱炭素構想が、
下水道施設の省エネルギー化はもとより、水資源エネルギーの集約、供給拠点として、市内他分野の取組へも積極的に貢献し、札幌市全体の脱炭素社会の形成を牽引するものとなるよう、引き続き策定作業を進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
次に、札幌市が実施している
下水サーベイランスの活用について伺います。
我が党は、唾液などのサンプリングを介することなく、いち早く
感染状況の全体把握ができる
下水サーベイランスを非常に高く評価しており、令和5年7月20日に、
下水サーベイランスの全国展開を目指す
下水サーベイランス疫学調査推進プロジェクトチームを設置したところでございます。
本年、10月2日には、座長である塩田ひろあき参議院議員をはじめとするプロジェクトチームとともに、我が会派は、
北海道大学で、下水疫学の第一人者である北島正章准教授から、検査手法の説明を受けた後、新川
水再生プラザで採水現場の視察をいたしました。
その際、北島准教授や小泉局長をはじめ、札幌市の担当者と活発な意見交換、検査工程はもちろん、サンプルのばらつきの補正、精度、これは再現性を言いますけれども、また、感度ですね。これは
ウイルスが薄くても分かるのかという問いに対して、10万人に1人でも検知できるというようなことを確認させていただきました。
そして、
下水サーベイランスのデータと実際の感染者数との相関については、ピアソンの相関係数が0.94ということで、1がマックスですので、自然科学のデータとしては相関性が極めて高いということで、地域の感染動向を十分把握できるとのことで、改めて有効な取組であると実感するとともに、
下水サーベイランスのデータを市民がどのように感染対策に活用しているか、大変興味を持ったところでございます。
そこで、質問ですが、市民は
下水サーベイランスについてどの程度関心があるのか、また、データをどのように活用しているのか、把握されていればお示し願います。
◎渡邊
処理担当部長 下水サーベイランスについての市民の関心とデータの活用についてお答えいたします。
札幌市がデータを公開しておりますホームページのアクセス数は、毎月約6万件に上っておりまして、市民に高い関心を持っていただいているものと認識してございます。
次に、市民の活用状況の把握につきましては、今月10月10日から31日までの間、ホームページでアンケート調査を実施しているところでございまして、昨日までに約2,500人の方々から、どのように活用しているか、ご回答をいただいているところでございます。
その内容につきましては、
流行状況の把握や手洗い、マスクの判断、出勤、通学、さらには旅行イベントの参加の判断に活用しているとの声が寄せられているところでございます。
このほかに、学校での子どもたちのマスクの着用の判断基準としている、ワクチン接種の目安としているといった声もいただいているところです。これらのことから、
下水サーベイランスは、市民の感染対策に有効にご活用いただいているものと認識してございます。
◆小口智久 委員
下水サーベイランスのホームページには、月に約6万件ものアクセスがあるということと、市のアンケート調査によりますと、公開されているデータは市民の情報源となり、自主的な感染対策に役立てられているということでございました。
このように、実際に市民の感染対策に活用されているということは大変すばらしく、評価に値すると思われますので、今後は、月6万以上を目指し、より多くの市民にこの取組を周知し、ホームページにアクセスしていただくことで、
下水サーベイランスの効果が一層高められるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、
下水サーベイランスをより多くの市民に活用してもらうためにどのように取り組んでいくのか、伺います。
◎渡邊
処理担当部長 より多くの市民に活用していただくための取組についてお答えいたします。
現在行っておりますアンケートによりますと、取組を知らない市民も多いとの声や、もっと広く周知すべきといった声も頂戴していますことから、札幌市としましても、様々な手段によってこの事業のPRを行っていく必要があると認識してございます。
今後は、下水道パネル展や出前講座での
取組内容の紹介、下水道科学館での調査結果の掲示などを行いながら、より多くの方々に
下水サーベイランスについて知っていただくよう、取り組んでまいりたいと考えております。
加えまして、SNSなどを活用したより効果的な情報発信についても、今後検討してまいりたいと考えてございます。
◆小口智久 委員 私たちが視察した
下水サーベイランスの特徴の一つとして、すごいなと思ったことがございます。これは、医療機関の検査報告よりも早く感染の兆候が分かるということで、
感染状況の先取りという感じでございますけれども、感染の初期段階から地域の見えない感染を見える化することができ、さらに、検査の継時変化から、その後の感染の規模や増減傾向も把握できるということでございます。
感染症に対しては、早期発見、早期治療が重要でございますので、札幌市には、
下水サーベイランスの認知度をより一層高め、市民の声を聞きながら、誰もが情報を活用できるような取組を進めていただきたいと考えます。
また、全国の
下水サーベイランスの
社会実装を推進するため、これまでの取組成果を生かし、検査法やデータの取扱いの統一化、データの解釈の方法など、札幌市が技術面でも全国をリードすること、先ほどの答弁でもございましたが、直営していくということでございますので、水道局の技術者の方には、今、出来上がったばかりの分析方法でございますので、改良を含めながら、JIS規格、また、下水分析方法のような法的な分析方法を目指す、そういうことをしていければ、職員のモチベーション向上や技術力向上に資することも期待できますので、頑張っていただければと思います。
今後も、市民の皆様や関係機関の皆様と連携しながら、札幌発の全国、世界に誇れるような取組を進めていただくことを期待して、私からの質問を終わります。
○
丸山秀樹 委員長 以上で、第3項 河川費及び
下水道事業会計の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後2時11分
再 開 午後2時12分
――――――――――――――
○
丸山秀樹 委員長 委員会を再開いたします。
次に、議案第6号 令和4年度札幌市水道事業会計剰余金処分及び
決算認定の件について質疑を行います。
◆小須田大拓 委員 私からは、白川浄水場における安定した浄水処理について質問をさせていただきます。
今年8月に、建設委員会による行政視察で、今治市の基幹浄水場であります高橋浄水場を訪れ、令和4年3月に供与を開始した膜ろ過施設を視察してまいりました。
高橋浄水場の能力は1日当たり4万立方メートルであり、白川浄水場の1日当たり54万2,000立方メートルと比べて10分の1以下と、施設規模が異なるなどの違いはありますが、視察時の情報や印象を交えながら、順に質問をさせていただきます。
近年、全国各地で100年に一度の豪雨などの異常気象により、水道施設が被害を受けたり、水供給に影響を及ぼしたというニュースを目にします。短時間に局所的な豪雨が生じた場合には、水源の河川が著しく濁る高濁度が発生するなど、水質が大きく変動することがあります。白川浄水場の水源であります豊平川の上流は、川の勾配が大きく、大都市を流れる河川としては全国有数の急流河川と言われております。白川浄水場でも、局所的な豪雨に伴い川の流れが乱れ、川の底や周囲の土砂を巻き込んで高濁度が発生するため、その対応に苦労しているというお話も聞いております。
高濁度の川の水が浄水場に流れ込んだ場合には、迅速で的確な浄水処理が行えない可能性があるのではないかと、心配もございます。
そこで、一つ目の質問ですが、大雨による高濁度の発生など、河川の水質変動時にどのように浄水処理をしているのか、お伺いをいたします。
◎住友 浄水担当部長 大雨による河川の水質変動時における浄水処理についてお答えいたします。
浄水場では、職員が24時間365日常駐しており、常に迅速に対応できるよう体制を整えております。
白川浄水場では、濁りの程度を表す濁度の年間平均値は5度ほどですが、大雨の際には100度を超える高濁度となることがあり、そのような河川の水質が著しく変動する場合は、水源水質の早期把握、その結果に基づく配備体制の構築、そして、適切な運転管理による浄水水質の確保は極めて重要と認識しております。
具体的に申しますと、通常時は毎日のパトロールに加えまして、自動水質計器と専用のネットワークを組み合わせました水質情報管理システムを運用しており、豊平川上流の4地点に設置した自動計器や監視カメラを用いて、水源の状況を把握しております。
河川で高濁度が発生した場合には、これらの機器の活用や、臨時のパトロールにより、浄水場に到達する数時間前には水源水質を把握し、それを踏まえて必要な薬品量などを算出し、薬品貯蔵量や資機材の確認、職員の緊急配備などを準備いたします。
高濁度が浄水場に到達した際には、変動する水質を的確に捉えるため、水質計器での測定に加え、手作業による測定回数を増やしまして、濁度に応じた適切な量の薬品を注入することで万全を期しております。
なお、豊平川の上流の水が著しく濁りまして、浄水処理への負荷が高まると予想される場合には、その水が浄水場に到達する前に、浄水を排水池に多めにためておき、濁度が高い時間帯に処理量を減らす、いわゆるピークカットを行い、負荷を低減させ、安定した水道水の供給を継続しております。
◆小須田大拓 委員 良質な水道水を供給するための水づくりを継続するためには、日頃の施設設備の
維持管理が大変重要と考えます。
白川浄水場は、第1から第3の三つの浄水棟で構成され、150万人以上の市民への給水を担っております。その施設の大きさに加え、薬品注入用のポンプや水量調整用のバルブなど、様々な用途の膨大な数の設備があり、おのおのの機能を適切に保つメンテナンスの大変さは想像に難くありません。
白川浄水場が給水を開始してから相当年数が経過しており、施設設備の劣化などにより、安全・安定給水の維持が困難になることも心配されるところでございます。
二つ目の質問ですが、安定した浄水場の運転に向け、施設整備の点検、修繕などの
維持管理をどのように行っているのか、お伺いいたします。
◎住友 浄水担当部長 安定した運転に向けた施設設備の
維持管理についてお答えします。
浄水場の安定した運転を継続するためには、入念な日常の点検、修理、適切な周期によります設備更新、施設機能の回復などが不可欠です。
まず、日常の点検、修理としては、過去の故障や不具合の履歴を分析して作成したチェックリストを用いて、
維持管理の一部を担うさっぽろ水道サービス協会が、バルブやポンプ、計測機器などの施設設備をきめ細かく点検し、不具合を確認した場合は、速やかに応急処置やメーカーなどによる必要な修繕を行っております。
次に、設備更新ですが、日常及び定期の点検による状態の評価や稼働状況に基づき、最適な更新周期を定め、修繕などにより、設備の延命化に努めながら、予防保全を重視して行っております。
最後に、施設機能の回復につきまして、例えば濁りなどの成分を沈めて除去する沈殿池では、沈殿物の堆積が進むと処理性能に影響を与えることから、沈殿物の堆積状況を小まめに測定し、的確な時期に沈殿物の排出や池の清掃を行っております。
また、ろ過池の処理性能が低下しないよう、ろ過砂の大きさや、量が所定の範囲内にあるかを定期的に調査し、その結果を基に、必要な砂の補充なども行っております。
今後も、さっぽろ水道サービス協会や関係企業とも連携し、適切な
維持管理に努めてまいります。
◆小須田大拓 委員 白川浄水場は、昭和46年に通水を開始した第1浄水棟をはじめ、経年劣化が進んでいることから、改修が必要となっており、その際に不足する給水能力を補うため、新たに第4浄水棟の建設を進めていると聞いております。
一方、冒頭で触れました今治市の高橋浄水場を視察した際には、膜ろ化方式は、日常の運転管理が容易で、
維持管理についても大変省力化ができるとの説明を受け、よいシステムであるとの印象を持ちました。
今後、本市におきましても、浄水場の改修や更新を行う際には、現状の砂ろ過方式だけではなく、膜ろ化方式の導入を検討する余地はあるのではないかとも考えます。
そこで、質問ですが、浄水場の改修等における浄水処理方式の
検討状況についてお伺いいたします。
◎村上 給水部長 私から、浄水場の改修などにおける浄水処理方式の検討についてお答えいたします。
浄水処理方式について、札幌市の全ての浄水場が採用している砂ろ過方式及び、先ほどご紹介いただきました膜ろ過方式を中心に検討を進めております。
砂ろ過方式は、昭和12年の札幌水道創設から85年の実績があり、この間、安定した浄水処理と多くの知識、経験が蓄積されております。
もう一つの膜ろ過方式については、本市に導入実績がございませんことから、豊平川の水を用いて、平成30年度から令和2年度にかけて、
民間事業者と共同で実験を行うなど、白川浄水場改修時の導入可能性を調査いたしました。
実験において、膜ろ過方式は、砂ろ過方式とおおむね同等の水質で、浄水処理が可能であるということを確認したところでございます。
膜ろ過方式は、既存浄水棟の施設を有効に活用して配置できる一方で、膜でろ過するためのポンプを要することや、一定の間隔で膜の洗浄が必要となることが分かりました。
今後につきましては、砂ろ過方式、膜ろ過方式それぞれの特徴を踏まえ、経済性や
維持管理性などについて十分考慮しながら、浄水処理方式の検討を行い、既存浄水棟の改修に向けた取組を進めてまいりたいと考えてございます。
◆小須田大拓 委員 水道は市民生活に欠かせないライフラインであり、水道事業は市民から信頼される事業であり続けなければなりません。
人口減少による水道料金収入の減少や施設整備の経年劣化による更新需要への対応など、水道事業を取り巻く環境が変化していく中におきましても、現在の施設を
維持管理しながら、将来を見据え、新たな方式である膜ろ過方式についても十分検討した上で、札幌水道にとって最適なシステムを構築していっていただければと思います。
将来にわたり、安全で良質な水道水の安定供給が堅持されることを期待しまして、私の質問を終わります。
◆森基誉則 委員 私からは、水道局の広報活動について質問をさせていただきます。
先日、水道記念館と藻岩浄水場に視察で伺いました。
水道記念館の建物は、歴史を感じる風格ある外観で、聞いたところ、1937年の札幌水道創設時に建設された藻岩第1浄水場を改修して使用しており、土木学会選奨の土木遺産や札幌景観資産にも指定されているということでした。
入館すると、外観の落ち着いたたたずまいとは雰囲気が一変しまして、体験型ミュージアムの名のとおり、子どもはもちろん、大人も楽しめる展示が数多くあり、笑顔で水道について学べる施設となっていました。
今回、水道記念館を視察して、水と自然の関わり、浄水処理の方法、家庭に水が届くまでの仕組み、命を守る水の大切さなど、これまで水道を利用していてもあまり意識することのなかった部分の知見を深めることができ、改めて、いつでも安全でおいしい水を使えることのありがたさを痛感しました。
水道事業は利用者との信頼関係の下に成り立っており、その信頼関係を築くためには、安全で良質な水が安定的に供給されていることを利用者に実感していただくとともに、そのための水道局の取組についても理解していただくことが必要です。
したがって、的確かつ効果的に広報活動を行うことは、水道事業の円滑な運営にとって重要であると考えます。
そこで、最初の質問です。
水道局の広報活動に対する考え方について伺います。
◎福澤 総務部長 水道局の広報活動の考え方につきましてお答えいたします。
水道局では、水道水のおいしさや水道局の取組を利用者に分かりやすくお伝えし、水道事業への理解、関心につなげるため、大きく分けて三つの手段で広報活動を行っております。
まず、広報印刷物やホームページなどの、見て、聞いて、理解していただく広報です。
各家庭に直接配付しておりますじゃぐち通信や、知りたいときにいつでも情報にアクセスできるホームページなどを活用して、様々な情報を利用者にお伝えしております。
次に、実際に水を飲んで実感していただく広報です。
水道局では、水道水とミネラルウオーターを飲み比べて、水道水のおいしさを実感していただく、きき水体験を実施しておりまして、平成27年度からこれまでの間に8万人以上の方々に体験をしていただき、直近でのアンケートでは、8割以上の方から水道水のおいしさを実感したとの評価をいただいております。
また、今年度からは、市内6か所に給水スポットを設置して、水道水をマイボトルに入れて飲んでいただく取組も始めました。こちらは、約半年間の間に、500ミリリットルペットボトルでは4万1,600本分と、多くの方にご利用をいただいております。
最後に、楽しみながら学んでいただく広報です。
委員にも視察していただきました水道記念館での広報がこれに該当いたします。
遊びに行くという感覚で水道記念館に足を運んでいただき、そこで楽しみながら自然と水や水路に関する情報に触れ、水道事業に関心を持っていただきたいと考えております。
水道局の広報活動の考え方につきましては、以上でございます。
◆森基誉則 委員 最近はマイボトルを持つ方も増えてきましたので、水道局の広報活動の考え方や、様々な形で広報活動を行っていることについて私も理解させていただきました。
水道記念館については、楽しみながら学んでいただく広報ということであったのですが、実際に自分の手や体を動かして楽しむ展示が多くあったように感じました。また、館内の展示だけではなく、屋外の噴水広場では水遊びができるとともに、藻岩山麓に位置しており、市内を一望することができる立地など大変魅力的な施設であり、水道局の広報活動において大きな役割を果たしていると感じたところです。
一方、
新型コロナウイルス感染症が拡大した時期は、ほぼ全ての公共施設が感染拡大防止対策の影響を受けており、水道記念館についても、臨時休館を余儀なくされるなどの影響を受け、来館者数は大幅に減少したと聞きました。
しかし、昨年度から行動制限が徐々に緩和されてきており、これに伴い、水道記念館についても、段階的にコロナ禍以前の運営に近づき、来館者数も回復しつつあるのではないかと想像します。
そこで、質問です。
コロナ禍以降における水道記念館の稼働状況と来館者数について伺います。
◎福澤 総務部長 コロナ禍以降における水道記念館の稼働状況と来館者数についてお答えいたします。
水道記念館の来館者数につきましては、水道局の中長期計画であります札幌水道ビジョンにおいて、年間来館者数12万人という目標を設定しており、コロナ禍以前はおおむね10万人前後で推移をしておりました。しかし、コロナ禍の令和2年度、令和3年度におきましては、委員のお話にもありましたとおり、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間は臨時休館を余儀なくされ、その他の開館期間中は展示内容の縮小や団体見学の受入れ中止などの制限を行わざるを得ませんでした。その結果、年間来館者数は、約1万人まで大幅に減少しました。
昨年度は、臨時休館をすることなく、開館日数はコロナ禍以前と同程度の年間約180日となりました。また、展示の一部中止や団体見学の受入れ中止などは継続したものの、屋外の噴水広場を再開したことに加え、秋には、十分な
感染症対策を用いながら、3年ぶりにイベントを開催したことなどから、年間の来館者数は5万800人まで回復いたしました。
今年度は、各種制限を全て解除し、コロナ禍以前と同様に稼働しておりまして、6月の水道フェスタと9月の秋祭りの2回のイベントを開催し、合わせて2万人ほど集客いたしました。
このイベント分を含めまして、今年度の来館者数は、9月末現在で8万6700人、11月15日の閉館日までに、コロナ禍以前に近い約9万人になる見込みです。
以上のとおり、水道記念館の来館者数につきましては回復傾向にありますが、今後も、できるだけ多くの方に来ていただけるよう、来館促進に努めてまいります。
◆森基誉則 委員 コロナ禍で大幅に減少し、1万人とおっしゃっていましたけれども、この水道記念館の来館者数は昨年度、今年度と順調に回復傾向にあると聞きまして、安心しました。
昨秋から十分な
感染症対策をした上でイベントを再開したとのことですが、今年の6月に開催された水道フェスタには、我が会派にも参加した議員がおり、水道に関するクイズラリーやお仕事体験など、遊びながら水道について学べる楽しい出し物がたくさんあり、小学生以下の子どもやその親を中心に大変盛り上がったと聞きました。
水道記念館を視察した際に感じたことでもあるのですが、水道記念館は、広報活動にとどまらず、子どもに対しての社会教育や環境教育にも有意義な、効果的な施設だと考えます。来館者数がV字回復しつつあるようですが、コロナ禍以前の水準に戻すだけではなく、より多くの方にこの魅力的な施設に来館してもらえるよう、引き続き来館促進に取り組んでください。
先ほど、今年度の水道記念館の閉館日は11月15日であると伺ったのですけれども、水道記念館以外の広報活動はそれ以降も継続し、冬期間ならではの取組もあるのではないかと考えます。
そこで、最後の質問になりますが、今後の広報活動の実施予定について伺います。
◎福澤 総務部長 今後の広報活動の実施予定についてお答えします。
例年、冬季に向けては、水道凍結対策に重点を置いて広報を行っております。今年度の具体的な取組としましては、まず、昨年に引き続いて、地下鉄車両及び駅掲示板への啓発ポスターの掲出や動画サービスでの啓発動画の配信、SNSを活用した注意喚起などを行ってまいります。
また、新たな取組としまして、初めて寒冷地で冬を迎える方に向けた広報として、不動産業界のご協力により、賃貸住宅への新規入居者に対し、チラシを手渡ししながら、水抜きの必要性を直接お知らせする取組を実施します。
これは、昨年度に凍結修繕対応を行った指定給水装置工事業者を対象に、今年、アンケートを行いましたところ、単身世帯において凍結事故が多い傾向が見られましたので、道外から単身で移住する大学生などに向けて凍結対策の必要性をより効果的に訴えることを狙って行うものであります。
これら凍結対策のほかには、11月17日から19日にかけて、地下歩行空間、チ・カ・ホを会場として、さっぽろの水道水はGood Water!!Fesというイベントを開催いたします。このイベントは、20代から30代の勤労者、中高年層、学生などを含む、幅広い層を対象としたもので、水道をテーマとした謎解きやきき水体験のほか、札幌の水道施設を題材として、今回、新たに製作いたしますオリジナルカードの配布などを予定しており、水道事業への興味・関心を持っていただくための間口をさらに広げていきたいと考えております。
今後の主な広報の実施予定は以上のとおりですが、このほかにも様々な手段を用いながら利用者の皆様に必要な情報をお届けできるよう、広報活動を展開してまいります。
◆森基誉則 委員 私も札幌生まれのばりばりの道産子ではあるんですけども、今年の2月、初めて水道管を凍らせて破裂させてしまうということがありましたので、道外から来た人以外にも油断している方が結構いらっしゃると思いますので、くれぐれもお伝えしていただきたいと思います。
我々、現代の日本人には、水はあまりにも当たり前の存在となっています。ただ、当たり前たらしめるのは、行政の不断の努力があってこそと考えています。私も、今年の1月まで20年以上、ラジオ放送を平日毎日続けてきました。その経験からも、当たり前を当たり前に継続する苦労を理解しているつもりです。その上で言わせていただくと、伝えること、関心を持ってもらうことは、信頼関係構築への第一歩だと考えています。平常時から十分な情報提供を行い、利用者との信頼関係を築くことで、災害時においても、利用者が落ち着いて行動し、水道局からの正確な情報を受け取ることができることにつながり、それが信頼関係を強化するという好循環を生むのではないでしょうか。
これまでも工夫を凝らしながら広報活動を行っていることが分かりましたが、今後も、様々なアイデアにより、利用者に、水道の現状や課題、水道局の取組などを分かりやすく丁寧にお知らせしていただきたいと思います。
これで終わろうと思ったのですけれども、昨日の夜のニュースで、水道局の資材センターで盗難事件があったと、電線や水道メーターの金属部品などが2度盗まれたというニュースが入ってきました。二度あることはというふうに考えてしまいますので、今後とも、この保管、管理等のチェックを併せてしっかりとするように要望して、質問を終わらせていただきます。
◆小口智久 委員 私からは、令和4年12月に豊平区月寒西地区で発生した漏水事故に関する原因と対策について質問をいたします。
これまで、我が会派は、一貫して市民のライフラインに直結する水道の安定供給について質疑を行い、特に、近年は、配管の健全性を守る対策や、配管の検査などの
維持管理、そして、強靱化、長寿命化など、漏水化防止について質疑を重ねてまいりました。
昨年の豊平区の一件は、漏水した水が傾斜地を川のように流れる映像がテレビのニュースでも放映され、また、復旧作業中のダンプトラックの片輪が道路下の空洞化によってはまるなどの報道があり、記憶に残っている市民も多いと思われます。この事故により、一時的に71戸、さらに、マンション6棟、約100世帯が断水することとなりましたが、漏水した水道管は合計150ミリのダクタイル鋳鉄管を昭和47年に布設されたものであるため、水道管の腐食が原因ではないかと地元住民から不安の声が聞かれました。
この件に関しましては、我が会派も、水道局から、適宜、事故状況や復旧について連絡をいただいておりましたが、市民が安心・安全に生活を送るためには、漏水がなぜ起きたのか、徹底的に事故の原因究明をなすべきことは急務であり、必須であると考えます。
こうした中、先頃、水道局から専門機関による事故原因の調査結果がまとまったとお伺いしました。
そこで、1点目の質問ですが、この調査結果はいかがだったのか、伺います。
◎齋藤 配水担当部長 豊平区月寒西で発生いたしました漏水事故における事故原因の調査結果についてお答えいたします。
水道局では、事故後、ダクタイル鋳鉄管の
調査研究を行っている専門機関であります一般社団法人日本ダクタイル鉄管協会に事故原因の調査を委託しております。調査は、水道局におきまして、漏水箇所の管を切り取り、さらに、周囲の土壌を採取いたしまして、それらを日本ダクタイル鉄管協会に提供し、実施しております。日本ダクタイル鉄管協会では、管の腐食状況、土壌の腐食性などについて調査しております。
調査の結果、管に多少の腐食はあったものの、漏水につながるような腐食は認められなかったこと、昭和47年布設当時における管体強度の基準は満たしており、製品不良ではなかったことが判明しております。
今回の事故原因につきましては、漏水箇所が固い地盤に挟まれた比較的軟らかい沢地盛土部分であったこと、漏水した水道管と並行してガス管が埋設されていたため、ガス管と漏水した水道管、さらに、分岐をいたしました水道管が複雑に交差することとなりまして、布設時の管周りの砂の締固めがやや緩かった可能性があること、さらに、傾斜地であったため、長年の経年変化により、埋め戻し部の砂が斜面下方向に沈下した可能性があることなど、複数の条件が重なり、管の下周りの地盤が沈下しやすい状況であったと推測されております。
このような条件に加えまして、長年の交通荷重などが管の上部から加わったことにより、管が沈下して、逆への字型に折損し、管底部に亀裂を生じて漏水した可能性が考えられるとの報告を受けております。
◆小口智久 委員 非常に複雑な説明でございましたけれども、調査の結果、今回の事故は、沢地盛土という地盤状況や水道管の配管状況、かつ、傾斜地であったということで、様々な要因が複合的に作用した事象ということは理解をしました。
管に穴が開いた件については、平たく言うと、腐食とは原因が異なり、固い地盤と軟らかい沈下しやすい地盤に配管が横断していたということで、軟らかいほうの地盤は沈下しやすく、時間とともに下がって、上からの土圧により配管が物理的に曲げられ、そして、管に亀裂ができた、そういうような感じかなと思います。
このため、通常想定している場合よりも予測が困難な事象であったと思われますが、実際にこのような漏水事故が発生したことを考えますと、同じような状況で配管されている場所があるならば、水道局として対策を強化する必要があると考えます。例えば、同様な現場の洗い出し、また、新技術を利用した漏水調査などを強化し、漏水を小規模のうちに発見することにより、市民生活への影響を少なくすることなどが挙げられると思います。
そこで、次の質問ですが、市内に同じような状況下で布設されている水道管はどのくらいあるのか、また、今後の漏水調査の強化について具体的にどのようにお考えか、伺います。
◎齋藤 配水担当部長 市内における同様の配管布設状況及び今後の漏水調査についてお答えいたします。
事故発生後、水道局では、固い地盤に挟まれました沢地盛土部分につきまして、同様の配管状況の有無を調査いたしました。調査の結果、傾斜地のみならず、平たん部におきましても、同様の配管状況は確認されず、今回の事故は市内でも非常にまれなケースであったと認識しております。
今回の事故は、水道局といたしましては想定が難しかったケースであると考えておりますが、実際に事故が発生いたしましたので、委員がご指摘のとおり、市民生活への影響を少なくするための漏水調査の強化は必要であると考えております。
漏水調査につきましては、従来より実施しておりますバルブや水道メーターで漏水音を聞き取る調査に加えまして、近年は、ICTなど新技術を用いた手法が開発されており、水道局といたしましても、それら新技術につきまして、
積雪寒冷地である本市における有効性を検証しているところでございます。
具体的に申しますと、今年度9月から、配水管延長約1,600キロメートルに対しまして、新たな取組といたしまして、衛星画像解析による漏水調査を実施しており、さらに、漏水による微弱な振動などを検知できるセンサーを配水管のバルブ200か所に設置することにより、常時監視を行う監視型調査機器による調査を今年度11月から実施いたします。
こうした新技術を用いた手法の導入などにより、きめ細やかな漏水調査が可能となり、今年度は、令和4年度と比べまして、延長にしまして約1.5倍の配水管について漏水調査をいたします。
水道局では、今後も、ICTなどを用いた新たな漏水調査技術を取り入れ、従来の手法と併せまして効率的かつ効果的に漏水調査を進めてまいります。
◆小口智久 委員 調査の結果、まず、市内に今回と同じような現場はなかったということで、非常にまれなケースであったということでございました。
水道局では、水道管の腐食対策として、配水管更新計画を策定し、順次、配水管の更新を行っていることは承知しておりますが、このようなまれな事故をもって現計画の見直しを行うまでもないと、コンサル出身である私もそう思いますので、しっかり現計画を進めていっていただければと思います。
また、今後は、衛星画像解析、また監視型調査機器といったICTなどの新技術により漏水調査を強化していくとのことでした。私も新聞ベースでしか知り得ていないのですが、この衛星画像というのは、水道水の塩素をモニターすることで、人的労力をかけずに、広域的、また、踏査がしづらい入りにくい現場などの調査が短時間でできるため、例えば5年かかる調査が半年で済むというようなことが記載されておったことを記憶しております。
この調査手法は、漏水の見える化と人手不足の解消にもつながる大変有効な手法と考えますので、今後しっかり検証し、市民生活への影響を極力少なくするために、現在行っている音調調査とともに漏水調査の強化をしていただきたいと思います。既に布設されている水道管への対策については理解しましたが、今回の原因をお聞きし、配管状況とその管周りの施工方法について、今後の管布設時に何らかの対策が必要ではないかとも考えます。
そこで、次の質問ですが、今後、同じような現場状況で施工する機会があった場合には、今回の技術的検証を生かした施工上の留意等が必要になると考えますが、水道局としてどのような認識か、伺います。
◎齋藤 配水担当部長 水道管の施工時における対策についてお答えいたします。
水道管の布設におきましては、維持・補修などを考慮し、ガス管や他の地下埋設物との離れを確保することが求められます。
とりわけ、固い地盤に挟まれた沢地盛土部分であり、加えて傾斜地である箇所に水道管を敷設する場合におきましては、離れがより重要になり、施工時には十分な留意が必要であると考えております。
その一方で、現場状況によりましては、やむを得ず他の埋設管と近接して布設しなければいけないこともございますが、その場合には、管が沈下しないよう、管下周りの砂の締固めを従来以上に強化し、さらには、管の下に板を設置するなど、沈下防止対策を実施いたします。
こうしたことを踏まえ、今回の事故により得られましたこれらの知見につきましては、水道業者に対しまして工事の施工方法などを示しております管工事仕様書へ反映させ、施工時には、工事業者と連携しつつ、対策の徹底を図ってまいります。
◆小口智久 委員 今後、このような地盤状況の傾斜地で同様の配管を行う際には、施工上、十分留意されることはもちろん、傾斜地以外においても徹底していただきたいと思います。
土木現場は一つとして同じものはないと、コンサルに勤務をしていたときに学びましたが、今回のように物理的原因で事故が生じる現場ばかりではなく、路盤砂利にパイライト、硫黄分が混入し、時間とともに酸性化し侵食するといった事象、また、電車路線からの迷走電流による事象もあり、漏水の予測が不可能な現場が存在しております。
そういった中でも、市民生活において、安全で安定した水の供給は欠かすことができず、また、限りある資源であることも私たちは自覚しなければなりません。寒冷地であり、配管が深く埋設され、調査しにくい札幌市において、札幌市水道局の漏水率の低さは全国政令市の中でトップクラスとお聞きしております。今回のケースをまれな事象とせず、今後の教訓として生かしていただき、より安全で安定した給水を継続していただくよう要望して、私の質問は終わります。
◆うるしはら直子 委員 今日は、水道局への質疑ということで、私もシンボルマークのウォッピーのバッジをアピールさせていただきながら、藻岩浄水場に関して何点か質問させていただきます。
先ほど、我が会派の森委員からの質問にもありましたが、先日、我が会派の議員で、水道記念館と藻岩浄水場を視察し、施設や設備について詳しく説明を受けてきました。
そのうち、この藻岩浄水場は、都心部などに給水するための重要な施設であり、1937年に通水した市内五つの浄水場の中で最も歴史がある浄水場とのことでした。
現在の藻岩浄水場は、2003年に完成した3代目の施設で、既存の施設や構造物を有効活用しながらも、より安全で安定した水づくりを行うため、設備の改良、更新や、システムの見直しを含む大規模な改修を行ったと聞いております。
これまで、私も、本市の水処理センターですとか清掃工場など、様々な大きな工場や施設を視察してきましたけれども、そこでは、いつも多くの人によって管理だったり運営だったりがされていたということを記憶しています。
この藻岩の浄水場も、24時間365日、常に水づくりをしていることから、私は、かなり多くの職員の方が勤めて作業や管理を行っているものと思っておりましたが、実際に浄水場内を視察させていただいたところ、人的労力をかけずに、一定の人数と配置体制で運営されていることが大変印象的でした。
藻岩浄水場の運転管理には専門的な知識や技術が必要だと思いますが、現体制でこの大きな施設をどのように運転管理されているのか、関心を持ったところです。
そこで、最初の質問ですが、藻岩浄水場を現体制で運転管理するための方法について伺います。
◎住友 浄水担当部長 藻岩浄水場の現体制での運転管理についてお答えいたします。
藻岩浄水場の運転管理と
維持管理に従事する水道局職員は24名であり、このうち、運転管理をする職員は、夜間・休日を含め、常時数名の配置となっております。これら局職員に加えまして、施設や設備の日常点検などを行うさっぽろ水道サービス協会の職員が勤務しているほか、電気機械設備などの専門メーカーが定期的な点検や修繕を行っております。
運転管理では、監視制御システムを用いるとともに、それを活用して状況判断、対応する職員の技術力を高めることによって、少人数化を可能としております。
まず、監視制御システムですが、施設の状態や浄水処理過程の水量、水質、機器の稼働状況などの情報をリアルタイム、即時のデータとして一元的に監視して運転制御するシステムを構築し、運用しております。
次に、職員の技術としましては、浄水処理、水質、電気機械など多様な知識が必要であるため、配属時の初期研修や、ふだんの仕事を通じて学ぶOJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングなどを通じ、事故や故障への対応などのスキルを高めることにより、技術水準の維持・向上を図っております。
また、平常時に加え、突発的な事象への備えとして、非常時の配備体制を含めた対応フローを作成し、停電や設備、水質の異常などを想定した訓練をさっぽろ水道サービス協会とも連携して計画的に行うことで、危機対応力の強化に取り組んでおります。
◆うるしはら直子 委員 藻岩浄水場では、それこそ少数精鋭の中で、また、監視制御システムを活用し、配属時の初期研修ですとかOJTを通じた技術力を維持することで、安全でおいしい水づくがなされているということを改めて理解させていただきました。
この浄水場で働きます職員の方々が日々力を尽くしていることに敬意を表するところです。
この水道事業には、本当に専門的な知識や能力が必要だということも改めて感じたところですし、これまで培われてきましたこうした技術、こうした継承などをこれからもつなげていっていただきたいと思います。
次に、水源の確保について伺います。
藻岩浄水場は、札幌のまち並みを見渡せる、とても眺めのよい、自然豊かな藻岩山中腹の閑静な住宅街にあります。藻岩浄水場から見ますと、水道の水源である豊平川まではかなりの距離があり、さらに、浄水場のほうが高い位置にあるため、その水を藻岩浄水場まで導き、利用するためのポンプを使うなど、大がかりな施設も必要となります。また、この藻岩浄水場では、藻岩や中央区などの広い範囲に届ける給水能力を持っているとのことです。
そこで、2点目の質問ですが、現在、豊平川から藻岩浄水場へはどのように水を導いているのか、伺います。
◎住友 浄水担当部長 豊平川から藻岩浄水場まで導水する経路についてお答えいたします。
藻岩浄水場では、北海道電力株式会社の協力の下、藻岩浄水場と位置的に近い同社の水力発電所であります藻岩発電所の取水・導水施設を経由して、豊平川の水を導いております。
具体的には、この発電所から10キロメートルほど上流に位置する藻岩ダムで取り入れた豊平川の水を、高低差を生かした自然流下により、導水トンネルで同発電所の発電水槽まで運んでおります。藻岩浄水場では、この発電水槽から分岐させた水を導き、浄水処理に用いております。
◆うるしはら直子 委員 この藻岩浄水場の水道用水は、北海道電力株式会社が豊平川での水力発電のため設置、運営している施設を経由して導かれていることが分かりました。
一方、北海道電力が水力発電事業を行う中では、この施設の機能を保つために、藻岩ダムや導水トンネルなどの日常的な施設の保守点検のほか、時には大規模な修繕も必要となることもあると考えます。
また、昨年度から経年化した施設の更新のために、リプレース工事と呼ばれるこの藻岩発電所大規模改修工事も行われていることも聞いております。
こうした点検ですとか修繕、改修は施設機能を維持するために当然必要なものとは思いますが、この豊平川の水の流れに関わった作業なども含まれるのではないかと考えますので、同社の施設を経由して水を導いている藻岩浄水場にも何らかの影響があるのではないかと心配されます。
そこで、最後に、北海道電力が施設の
維持管理や更新工事を行うことにより藻岩浄水場に影響する場合、どのように対応するのか、伺います。
◎住友 浄水担当部長 北海道電力が自社の施設の
維持管理や更新工事を行う際の水道局の対応についてお答えいたします。
藻岩浄水場には、北海道電力の施設を経由した水が導かれるため、同社とは日頃から連携を密にしており、藻岩ダムなど、浄水場に水量的、水質的な影響が生ずる可能性のある点検、修繕などが行われる場合は、事前に協議した上、必要な体制を整えて対応しております。
特に、導水トンネルの水を抜いて行う内部点検が数日間かけて行われることがあるほか、委員からお話のありました藻岩発電所リプレース工事が昨年秋に始まり、令和10年度までに発電設備、建屋などの更新や導水施設の点検、修繕などが予定されており、一時的に導水トンネルに水が流れなくなるため、藻岩浄水場での浄水処理を停止する期間が生じます。
このような場合には、本市最大の白川浄水場で浄水処理した水を藻岩浄水場の配水池へ送るバックアップ機能を活用しまして、給水を継続しております。
その際には、白川浄水場の負荷が増すため、導水トンネルに水が流れなくなりなります期間を必要最小限とし、かつ、水需要の多い夏場を避け、水量的、水質的な負荷の小さい時期に実施するなど、北海道電力の協力を得ながら、作業計画を立案し、対応しております。
今後も、北海道電力と連携しながら、安全・安定給水を継続していきたいと考えております。
◆うるしはら直子 委員 藻岩浄水場は、北海道電力が施設の
維持管理や工事を行う際においても、バックアップ機能ですとか、また、北電との連携によって安定した水づくりを続けるための体制を整えているということで、安心いたしました。
最後に、要望を2点申し上げて、質問を終わりたいと思います。
世界の都市の中で、水道水を蛇口からおいしく飲める国というのは、僅か10か国程度だということを聞いております。水を大切にしていくということ、当たり前にある生活水をこれからも守っていくといった意識、こうしたことを子どもたちから市民の中に醸成していくということも必要なのではないかと思います。
今回行きました藻岩浄水場では、至るところに見学用のいろいろな看板ですとか案内標識が置かれておりまして、学校の社会科見学に来る児童ですとか保育園の子どもたちも多いということを聞きました。
まず、こうした学校の見学というところに力を入れていただくことはもちろん、このほかに観光スポットのようなツアーを企画することで、世界の方たち、国内の方たち、市民の方たちにも来ていただくような取組をしながら、水の大切さというものを札幌の中で醸成していっていただきたいと思います。
あわせまして、今後も必要な施設設備を日々適切に管理するとともに、研修やOJTを通じて職員の技術力を維持しながらも、様々な事象にも臨機応変に対応していただき、これからも市民生活に直結するライフラインとして安全でおいしい水を届け続けていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○
丸山秀樹 委員長 以上で、水道事業会計の質疑を終了いたします。
以上をもちまして、本委員会に付託されました全案件に対する質疑を終了いたします。
次回は、10月27日金曜日午後1時から、討論及び採決を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後2時59分...