札幌市議会 > 2023-10-10 >
令和 5年第一部決算特別委員会−10月10日-03号
令和 5年第二部決算特別委員会−10月10日-03号

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  1. 札幌市議会 2023-10-10
    令和 5年第二部決算特別委員会−10月10日-03号


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和 5年第二部決算特別委員会−10月10日-03号令和 5年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第3号)               令和5年(2023年)10月10日(火曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 32名(欠は欠席者)     委 員 長  丸 山 秀 樹      副委員長   太 田 秀 子     委   員  勝 木 勇 人      委   員  高 橋 克 朋     委   員  こんどう 和雄      委   員  こじま ゆ み     委   員  伴   良 隆      委   員  川田 ただひさ     委   員  松 井 隆 文      委   員  村 松 叶 啓   欠 委   員  村 山 拓 司      委   員  山 田 洋 聡     委   員  小須田 大 拓      委   員  和 田 勝 也     委   員  福 士   勝      委   員  小 野 正 美     委   員  林   清 治      委   員  中 村 たけし     委   員  うるしはら直子      委   員  たけのうち有美     委   員  おんむら健太郎      委   員  森   基誉則     委   員  好 井 七 海      委   員  小 口 智 久     委   員  前 川 隆 史      委   員  熊 谷 誠 一     委   員  吉 岡 弘 子      委   員  長 屋 いずみ
        委   員  佐 藤   綾      委   員  丸 岡 守 幸     委   員  波 田 大 専      委   員  山 口 かずさ     委   員  成 田 祐 樹       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○丸山秀樹 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、三神英彦委員からは山田洋聡委員と、脇元委員からは丸岡委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第2号 令和4年度札幌市病院事業会計決算認定の件について質疑を行います。 ◆前川隆史 委員  私からは、市立札幌病院の再整備についてお伺いをしたいと思います。  先日の我が会派の代表質問で、市立札幌病院の建て替えを早期に進めるべきと質問をいたしましたところ、石川副市長より、施設の建て替えや改修などの再整備に係る具体的な手法の検討を進めると、こういった答弁があったところでございます。  現在の市立札幌病院は、平成7年の竣工で、配管や空調などの設備の状態がかなり悪いと以前より指摘されてきておりまして、今後、大規模な更新が必要になると想定されます。安定的な医療の提供と維持改修費の抑制の観点などからも、早期に検討すべきではないか、このように思います。  また、高齢化が急速に進んでおります。介護が必要な患者さんや、複数の疾患を抱える患者さんも増え続けてきております。国の定める病院施設の基準も、患者1人当たりの必要な病室面積を広くしたり、必要な看護師数も増加傾向にございます。市立札幌病院の施設状況は、年数もたっておりますので、患者、医療者の双方にとってかなり手狭になってきているのではないかと、このように思うところでございます。  市立札幌病院が市民のための最後のとりでとして役割を十分に発揮するには、これらの老朽化や狭隘化などの課題を解消するとともに、日々進歩し続ける医療に十分に対応できるように、抜本的な機能強化を進めていく必要があります。  一方で、今後、市内、道内では大型の建設事業が見込まれておりまして、建設人材の不足に拍車がかかることが想定されます。市立札幌病院の建て替えのような重要な事業を円滑に進めるためには、構想の初期段階から、竣工までに要する期間を意識しながら計画的に進めていく必要があるかと思います。  そこで、質問でございますけれども、病院を建て替えることとした場合、どのようなスケジュールで事業を進めることになるのか、どのように想定しているのか、お伺いしたいと思います。 ◎山口 経営管理部長  私から、市立札幌病院の再整備の今後の検討スケジュールについてお答えいたします。  検討に当たりましては、今年度中に、まず、市立札幌病院の機能強化に向けた本格的な調査検討に着手し、令和6年度中に、施設の建て替えや改修などの再整備の手法も含めた基本構想として取りまとめる予定でございます。  仮に施設を建て替える場合には、基本構想の策定後に、機能強化を実現するための施設の規模や配置など、これらを基本計画として整理した後に、基本設計、実施設計を経て工事に進むこととしております。  他の病院の事例では、基本構想の着手から竣工までにおおむね10年かかっておりますが、建設人材の確保や建設現場への週休2日制の本格導入などの影響を踏まえますと、さらに事業期間が延びる可能性があると考えております。  なお、改修を行う場合も、基本計画、設計、工事という流れは同様でありますが、患者さんへの影響を抑えながら、順次、改修を進める必要があることから、建て替えの場合と同じ程度か、また、これを上回る工期になる可能性があると想定しております。 ◆前川隆史 委員  来年度、基本構想をつくり上げて、その後、基本計画と、そのような流れで、おおむね10年と一般的には想定されるけれども、今の建設人材等々の状況を考えると、それ以上に期間もかかるのではないか、そんなことが考えられるということでございました。  一方で、また、増改築等よりも新築のほうが、経費の面や患者さんへの影響等を考えると、負担やいろんな整備に対してもスムーズにいくんじゃないか、そんなような認識でいるということだったと思います。  市立札幌病院は、平時は、高度急性期の病院、また、地域医療支援病院としての役割を果たしておりまして、また、災害時や新型コロナウイルス感染症のような新興感染症が猛威を振るう有事になりますと、災害拠点病院として、また、感染症指定医療機関として地域医療を支えております。  以前に、当委員会で北海道胆振東部地震の際の市立札幌病院の対応について伺いましたが、北海道全体がブラックアウトの中でも、市立札幌病院は、発災直後から、入院、外来共に通常どおりの診療を継続できたということでございました。2011年の東日本大震災を受けて、災害拠点病院として機能強化が必要だとして、計画的に電源設備の強化を進めてきたたまものかと思います。今後、札幌では直下型の大地震も想定されております。大きな災害を想定した備えを抜かりなくやっていただきたいと、このように思うところです。  そして、コロナ禍を経て、新たな機能強化ポイントとして、感染症対策の強化が必要になってまいりました。新型コロナウイルス感染症の対応において、市立札幌病院は、令和2年1月に道内1人目の患者を受け入れた後、2,500人を超える多くの入院患者を受け入れたということでございますが、この感染症の感染力は、これまでの想定を大きく、まさに超えるものであったと思います。  今後、また新たな感染症が発生した場合の備えが重要になってまいります。新型コロナウイルス感染症の対応で明らかとなった課題を整理して、その課題を解消し、備えを強化する必要がありますが、施設や設備の整備を伴う場合は時間と経費がかかりますので、なるべく早い段階からの計画的な対応が重要となります。  そこで、伺いますが、新型コロナウイルス感染症への対応の中で、施設・設備面でどのような課題が生じたのか、また、その課題を解消するためにはどのような対応が必要とお考えか、お伺いいたします。 ◎山口 経営管理部長  感染症対応における施設・設備面の課題と必要な対応について、お答えいたします。  施設・設備面の主な課題の1点目といたしましては、個室の数やトイレの数の不足であります。感染症の受入れに際しては、感染を制御し、広げないことが必要であり、個室管理が望ましいところですが、現施設では、救命救急センターを含む一般病棟の626床のうち、個室は約100床となっております。また、各病棟には個室以外に入院患者が使用するトイレが配置されていますが、感染症患者とその他の患者が共用する場合には、感染拡大のリスクが高くなるため、感染管理の面で課題となっております。  主な課題の2点目は、換気などの空調設備の能力であります。  感染症患者の治療と一般診療の両立には、陰圧設備のある病室の確保に加えて、病棟内の空気の流れを柔軟に調節できるようにすることが有効でありますが、現在の空調設備では感染管理に必要な機能が不足しております。  これらの課題を解消するには、部分的な修繕での対応は難しく、施設の建て替えや全面的な改修などが必要と考えております。  新たな感染症が発生した場合でも、感染症患者の治療と一般診療を両立させるため、新型コロナウイルス感染症への対応で課題となった感染管理はもとより、費用などの観点も含めて、望ましい整備手法について、基本構想の策定過程で十分検討してまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  感染症対策として、トイレ、あるいはまた、個室の問題、空調設備、陰圧設備もありました。また、自在にそういった空気の流れというのでしょうか、そういったものを調整できるような機能も備えていかなければ、感染症対策の施設としてはちょっと至らないと。そういった意味では、やはり、改修的な対応ではちょっと難しいんじゃないか、このようなお話でございました。  市立札幌病院は、24時間365日対応して、多くの患者が入院されている施設でございます。大規模な改修、そういった病院経営をしながらの改修というのは大変難しいというふうに思いますので、抜本的な機能強化につなげる観点からも、しっかり新築を視野に取り組んでいただきたいと思います。  最近の市内の民間病院の新築工事は、私の地元の白石区でもたくさん行われておりますが、改修とか増築というのは、ほとんど聞かないというのですかね、ほとんどの病院が移転新築などを行っているというのもありまして、そういった意味でも、やっぱり、今の時代の医療を支えるための機能を整えるには、一部改修するとかいうのはちょっと難しいのかなと、そんな印象も受けるところでございます。  ともあれ、しっかり市民の命を守る最後のとりでとしての機能をきちっと整えていくことを求めまして、質問を終わりたいと思います。 ◆佐藤綾 委員  私からは、市立札幌病院の運営と新型コロナウイルス感染症での対応について、3点質問いたします。  2022年度、令和4年度決算では、医業収益が入院、外来とも予算を上回り、支出も抑えられ、黒字となりました。市立病院は、新型コロナウイルス感染症対応で先頭に立って取り組んできたところであり、2022年度の感染症病床確保促進事業費補助金病床確保料と言われますが、これは29億4,000万円で、それによって黒字となっております。それだけ、病院全体で新型コロナウイルス感染症患者受入れのために尽力し、発生当初から感染拡大期においても多くの患者を治療してきました。  新型コロナウイルス感染症患者受入れのためには人材がより必要となり、一般病床を減らして受け入れざるを得ず、昨年度は、休止ベッド、非稼働とした病床が平均で34床、新型コロナウイルス感染症病床は感染状況で変化しますが、最大70床、平均43床を確保し、延べ患者数は5,194人ということでした。医療機関でも多くのクラスターが発生する中、市立病院も例外ではなく、クラスターに見舞われ、看護師の配置やベッドコントロールなど、苦労される場面も多かったのではないかと推察いたします。  そこで、お聞きいたしますが、コロナ禍での病院運営で最も苦労された点をお聞きいたします。 ◎山口 経営管理部長  コロナ禍における病院運営で苦労した点についてということでございますが、お答え申し上げます。  当院では、これまで、約2,500人の新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れており、市中の感染状況に応じ、1日に約100人の入院患者を受け入れていた時期もございました。この中では、院内での集団感染や濃厚接触者の発生などにより、看護師をはじめとした職員が出勤できなくなる事態も度々起こりました。これにより、職員の配置には苦心したところでございます。  また、当院の入院患者には合併症のある方が多く、濃厚な看護を必要とする方も多数いるため、こういった当院の特性が特に看護師の配置調整をより困難なものにしたと考えております。  さらに、新型コロナウイルス感染症の患者は、他の患者と病棟を分ける必要があったため、専用病棟の調整に苦慮するなど、目まぐるしく変わる状況に対して、ベッドコントロールで苦労した部分が大きかったと考えております。 ◆佐藤綾 委員  やはり、人材の面でも大変厳しい、そして、先ほど前段の質疑の中でもありましたけれども、個室も限られるという中でも大変ご苦労があったかというふうに思っております。  そういう厳しい中でしたけれども、昨年度は、新型コロナウイルス変異株オミクロンが主流となって、病状が重くなる患者が減り、昨年度479床だった一般病床も595床に増やして、全ての入院延べ患者数も16万6,614人で、前年度より2万6,362人増と、コロナ禍でも努力され、一般患者も受入れを増やしております。病床利用率を見ますと、前年、2021年度は57.2%に対し、2022年度は67.9%とこちらも上昇しました。  一方で、コロナ禍以前は、病床利用率は2017年度が73%で、中期計画では2024年度までの目標値として90%を掲げてきました。新型コロナウイルス感染症によって大きく変わらざるを得ませんでしたが、今後の経営を考えますと、さらに病床利用率を上げることが求められてくるところです。  そこで、お聞きいたしますが、2021年度から2022年度で病床利用率が上昇した要因についてどうお考えか、伺います。  また、今年度、病床利用率を上げるためにどういう取組を行っているのか、伺います。 ◎山口 経営管理部長  病床利用率の上昇要因と今後の取組についてお答え申し上げます。  令和4年度の病床利用率の向上は、当院における一般診療の入院患者の受入れが、徐々にでありますが、通常に近い状態まで拡大することができた点が主な要因と考えております。この背景には、新型コロナウイルス感染症のワクチンの効果などにより、重症化する患者が減少し、これにより受入れを行う医療機関が増加したことや、ウイルスに対する知見が日々更新されていったことなどにより、当院を含めた重点医療機関へ入院する患者が徐々に減ってきていることが影響しているものと推察されます。  また、地域の医療機関との連携推進や救命救急センター受入れ強化などに向けた取組も継続的に行っており、こういった日々の取組の積み重ねが病床利用率の向上として実を結んできたものと考えております。  今後も、こういった取組を継続していくことはもとより、これまでの経験を生かした効率的なベッドコントロールに努めることで、より多くの入院患者の受入れを行い、市民のための最後のとりでとして、地域の医療機関を支える使命を果たしていきたいと考えております。 ◆佐藤綾 委員  市立病院は、割と症状が重たい患者さんを受け入れていらっしゃいましたので、やはり、ほかの医療機関でもそうした受入れが広がったりということもあったのではないかというお話でございましたけれども、市立札幌病院は、やはり、高度急性期病院として、高度な医療を提供して新たな知見も広げていく、そして、地域支援病院として地域病院との連携も強めていく、その中枢を担う仕事も担っておりますので、さらに連携の強化をしていっていただきたいと思っております。  ただ、一方、まだ新型コロナウイルス感染症が終息したとは言えず、拡大の波が繰り返されていますし、新たな変異株がまだ出ている状況や、また、別の感染症の懸念からも、今後も札幌市の中で、公立病院として、第1種・第2種感染症指定医療機関としても市立病院の役割は大変重要だと感じております。  9月の代表質問で、今後も拡大の波が来る可能性が高い新型コロナウイルス感染症の対応について、この10月からさらに補助金等が削減されたため、民間病院での受入れが困難になるおそれもある中で、市立病院の役割を質問したところです。  そこで、お聞きをいたします。  今年の8月からの拡大期には、現在13床ほどのコロナ病床がほとんど埋まるということもあったとお聞きをしております。10月以降、拡大した場合、患者数に応じて対応されると思いますが、具体的にはどのように病床を確保し、運営するのか、お伺いいたします。 ◎山口 経営管理部長  10月以降のコロナ病床の確保についてお答えします。  新型コロナウイルス感染症による入院患者は、今後も増減を繰り返していく可能性があるものと認識しております。  10月以降、当院への入院が必要な患者は、各病棟にある個室を利用して受け入れることとしておりますが、感染拡大の状況によっては専用病棟を検討するなど、柔軟に対応してまいりたいと考えております。 ◆佐藤綾 委員  10月以降、コロナ病床確保料は、感染拡大時のみ、重症・中等症2対応に限定して交付して、補助額は、5類に移行後、5割削減され、さらに2割削減となっています。今年度、新型コロナウイルス感染症の5類移行後の市立病院の見通しでは、一般の受診控えなどの影響がまだ続くと予想されて、国からの病床確保補助金が昨年度比で約11億円減少するということでしたが、10月からさらに厳しい見通しとなるのではないかと懸念をしております。  感染が少ないときには病床確保料はなく、今後、拡大時には段階的に病床を確保するとしていますが、先ほどもおっしゃられたとおり、個室を準備するというのは、なかなか大変なことで、赤字にもなるというような中身でございますし、専用病床をつくるとなると、本当に人材の確保なども大変になってくると思います。  新型コロナウイルス感染症対応をすることで赤字にもなりかねないということから、市立病院も含めた医療機関の経営への影響や、いざというときの病床確保に懸念を感じております。札幌市としても、しっかりとした支援を国が実施するよう求めていただくことが必要だと思っております。  市立札幌病院は、コロナ禍の影響も大きく、患者数を以前のように戻していく途上ですけれども、同時に新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる責任と役割があります。市は、必要な場合に、一般財源からの繰入れも含め、対応し、市立病院を支えるよう申し上げまして、私の質問を終わります。 ◆波田大専 委員  私からは、市立札幌病院の委託費について質問させていただきます。  2019年に策定された市立札幌病院中期経営計画によりますと、市立札幌病院において、委託費が医業収益に占める割合である委託費対医業収益比率は約11%であるのに対し、同規模の黒字の公的病院の委託費対医業収益比率は約6%であり、市立札幌病院は、ほかの公的病院よりも委託費の占める割合がおよそ2倍程度高い水準にあります。  このことから、中期経営計画では、委託費の多くを占める医事事務や設備管理などについて、仕様の見直しを行い、経費の適正化をさらに進めるなど、改善の方向性を示すとともに、2024年度には委託費対医業収益比率を9.8%にまで縮減する見通しを示しております。しかしながら、2022年度の病院事業会計によりますと、委託費の合計金額は約27億7,000万円で、2019年度から約2億8,000万円の増加となり、委託費対医業収益比率は13.5%とむしろ上昇する結果となっております。  そこで、質問ですが、近年の委託費の増加や委託費対医業収益比率の上昇について、その主な要因をお伺いいたします。 ◎山口 経営管理部長  委託費や委託費対医業収益比率の上昇の要因についてというご質問でございますが、お答えいたします。  市立札幌病院中期経営計画では、病院事業会計の財務指標の一つとして、入院収益や外来収益などの医業収益に対する委託費の割合である委託費対医業収益比率を設定しているところでございます。  委託費については、令和4年度決算額、これで27億7,200万円と令和元年度決算額を2億8,200万円上回っております。この増加要因については、昨今の物価や賃金の上昇が影響しているものと認識しております。  委託費対医業収益比率については、委託費の増加のほか、医業収益の減少が相対的にこの比率を上昇させていると考えております。また、この医業収益の減少については、令和2年1月より受入れ開始をした新型コロナウイルス感染症患者の対応のため、一般診療を縮小させたことが要因と考えております。 ◆波田大専 委員  委託費の増加や委託費対医業収益比率の上昇の要因については、物価上昇や賃金の上昇、そして、新型コロナウイルス感染症の流行など、計画策定時に想定していなかった、言わば外的要因によるものが大きいことを理解いたしました。  一方で、近年のやむを得ない外的要因を除いたとしても、やはり、市立札幌病院の委託費やその割合は、ほかの公立・公的病院と比べて高いという課題は計画策定時から存在していたわけでございまして、近年の厳しい状況下におきましても、やはり、改善を進めることは必要であると考えます。  そこで、質問でございますが、委託費の適正化について今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。 ◎山口 経営管理部長  委託費の適正化に向けた今後の対応についてでございますが、お答えいたします。  委託費の適正化については、物価や賃金などの委託コストが増加している厳しい状況ではありますが、現在の中期経営計画でも定めておりますとおり、医事事務や設備管理などの各種委託事務について仕様の見直しを行うなど、少しでも委託費を抑制する努力を行っていくこととしております。  また、札幌市営企業調査審議会からは、現在の中期経営計画、この策定に当たりまして、経営改善には、増収と経費節減のバランスを取りながら、まずは収入確保対策を進めることが重要との指摘を受けております。  当計画では、地域の医療機関との役割分担を行った上で、高度急性期病院としての役割を一層果たすことを掲げていることから、この取組を継続することで、コロナ禍で落ち込んだ診療収益を回復させてまいりたいと考えております。 ◆波田大専 委員  今後の取組について理解をいたしました。  特に気になりましたのは、委託費の選定に当たって、特定随意契約による委託が散見されることや、一般競争入札を実施した場合にも、入札に参加した事業者が1者しかいないという事例が散見される点です。もちろん、病院に関わる業務の委託という性質上、専門性が高く、委託先が限定されてしまうという事情は拝察をいたしますが、それでも、やはり、ほかの公立病院との比較の中でこうしたところに改善の余地があるようにも感じるわけでございます。  中期経営計画の方針にございますとおり、委託費の多くを占める医事事務や設備管理などについて仕様の見直しを行い、経費の適正化をさらに進めるということについて、引き続き取り組んでいただきますことを要望いたしまして、質問を終わります。 ◆和田勝也 委員  私からは、市立札幌病院における中期経営計画の進捗状況と今後の取組についてお伺いをさせていただきます。  中期経営計画の進捗状況についてでありますが、現在の中期経営計画は、令和元年度から令和6年度までの6年間の計画であり、来年度いっぱいで計画期間が終了となります。新たな中期経営計画の策定に向けては、その基礎となる今後の人口動向を見据えた医療ニーズ等の調査や、有識者の意見を踏まえた経営案の策定作業に今年度から着手するものと聞いております。  今後も、市民病院としての責務を果たしていくためには、安定的な病院経営の道筋を新たな中期経営計画に盛り込んでいく必要があると考えます。そのためには、現計画で掲げる目標の進捗状況の検証を十分に行った上で、必要な改善策を新たな計画に反映していくことが重要であると考えております。  そこで、質問でありますが、現中期経営計画における数値目標や収支見通しの進捗状況についてお伺いします。 ◎山口 経営管理部長  中期経営計画の進捗状況についてお答えいたします。  まず、各数値目標については、令和元年度にはおおむね目標値に届いていたものの、令和2年度から4年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、特に入院に関する指標は目標値に届いていない状況でした。今年度に入り、紹介患者数は令和元年度以上に回復し、入院患者数も増加してきていることから、引き続き、数値目標の達成に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、収支についてでありますが、経常収支は令和元年度に6年ぶりの黒字を達成しており、令和2年度から4年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、医業収益は減少したものの、病床確保補助金により減収分が補填されたことにより、いずれも経常黒字となっております。  中期経営計画では、令和5年度に約4億円の経常黒字を見込んでいましたが、医業収益の回復の遅れや光熱費の高騰などの影響により、経営状況はますます厳しくなっていくものと見込んでおります。 ◆和田勝也 委員  令和5年度の収益については、非常に厳しくなる見込みとの答弁でございました。市民のための病院として、新型コロナウイルス感染症患者を積極的に受け入れ、一般診療を一定程度制限せざるを得なかったことから、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した現在においても、患者の十分な回復には至っていないことが、今なお、収益に大きく影響しているものと思われます。  病院事業の収益の大きなシェアは、患者数の増加をどのように達成していくのかということであり、これについては、外来収益、入院収益のそれぞれについて実効性のある取組を継続していくことが重要だと考えます。  そこで、質問でございますが、今後の収益確保に向けてどのように取り組んでいくか、お伺いします。 ◎山口 経営管理部長  今後の収益確保の取組についてお答えいたします。  まず、外来収益については、令和4年度決算は約62億円と計画策定時の見込みを約8億円上回っており、計画値より延べ外来患者数は減少したものの、患者1人当たりの診療収益が増加しております。これは、高度急性期の治療を必要とする患者を積極的に受け入れるとともに、容体の安定した患者を地域医療機関へ逆紹介する取組を進めた結果と考えており、今後もこうした取組を継続することで外来収益の確保に努めていきたいと考えております。  次に、入院収益についてでございますが、令和4年度決算は約140億円と計画策定時の見込みを約22億円下回っており、計画値より患者1人当たりの診療収益は増加したものの、延べ入院患者数が大きく減少しております。入院収益の回復のためには、入院患者数の増加が不可欠であります。そのためには、入院する患者の大部分を占める紹介患者と救急患者を増やしていくことが重要であるため、医師や看護師など、多職種の職員で議論を重ねるとともに、地域連携の取組をさらに推進するなど、受入れ体制の強化に向けて、院内一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
    ◆和田勝也 委員  市民病院である市立札幌病院は、市民にとって欠かすことのできない救急医療や周産期医療、小児医療などを安定的かつ持続的に提供していくことが責務でありますが、こうした医療は採算性が高くないことから、これを行うために一般診療における収益確保が非常に重要であると考えます。  このため、新たな中期経営計画の策定に向けては、これまで以上に積極的かつ実効性のある収益確保策を検討することを求めて、私の質問を終わります。 ◆うるしはら直子 委員  私からは、市立札幌病院の今後の病院経営にも影響を与えることが予想されます医師の働き方改革と、また、看護師の人員配置について、2点伺います。  まず初めに、医師の働き方改革について伺います。  2024年4月より、医師の時間外労働の上限規制適用に伴う取組、いわゆる医師の働き方改革の新制度がいよいよ施行されます。これに伴い、医師の時間外・休日労働時間については、原則、年間960時間が上限とされ、これまで医師の方々の長時間労働により支えられていたという面もある医療体制は、今後、大きく変革していかなければならないものと認識しています。  こうした中、高度急性期病院として、市内全体の医療を支えてきていただいております市立札幌病院においても、医師の皆さんが健康に働き続けることのできる環境を整備することは、医師のためであることはもちろん、提供される医療の質、そして、安全を確保し、持続可能な医療提供体制を維持していく上でも大変重要です。  新制度の開始がいよいよ半年後と迫っている現在、病院局、また、市立札幌病院として、働き方の見直しですとか、また、医師の制度理解に向けた周知など、制度導入に向けて各種手続などの準備を進めていることと思います。  そこで、最初の質問ですが、2024年度以降の医師の働き方改革に向けて、市立札幌病院としては、どのような課題があり、また、どのように手続を進めていくのか、伺います。 ◎山口 経営管理部長  医師の働き方改革への対応についてお答えいたします。  いわゆる医師の働き方改革におきましては、原則として、時間外・休日労働時間を年間960時間未満とすることが求められ、これがA水準と位置づけられます。  一方、救急医療などを提供する地域医療機関に適用され、特例で年間1,860時間が上限となるB水準という基準も設けられることとなっております。  当院の令和4年度実績では、一部の診療科で時間外・休日労働時間が年間960時間を超える医師がおり、特に外科系の診療科における長時間労働が課題となっているところでございます。したがいまして、当院では、B水準の指定を受けるべく、医師労働時間短縮計画、これを作成して、北海道へ指定申請に向けた手続を進めているところでございます。 ◆うるしはら直子 委員  市立札幌病院で2024年度以降の医師の働き方改革を進めていく上では、外科系などの診療科によっては長時間労働が課題であるということで、特に外科の場合は、救急であったり、難易度の高い手術が長時間にわたることも頻繁にあるなど、全国的にも、この年間960時間を超える医師が多いことが同様に課題とされています。  こうした課題から、本市では、特例の措置であるB水準での手続を進めているということでしたが、一方で、引き続き長時間勤務を行う医師が一定数発生してしまうこと、これが想定され、医師の常態的な過労や健康への影響が懸念されるところです。  答弁にありましたけれども、このB水準の申請手続に当たっては、医師の労働時間短縮計画の作成が要件化されているとのことで、この医師の労働時間短縮計画につきましては、2022年のときに私のほうから診療報酬改定に対する質疑、この中でも策定を検討していくといった答弁がありましたけれども、こうしたもののほかにも、今回、特例指定を受ける上では、ほかにも一定の求められる条件などというものもあるかと思います。  そこで、質問ですが、特例であるB水準が適用となった場合に具体的にどのような対応が求められるのか、伺います。 ◎山口 経営管理部長  B水準適用となった場合の対応についてお答えします。  B水準が適用されると、勤務終了後から翌日の始業までに9時間の間隔を確保するなど、いわゆる勤務間インターバルの確保ですとか、時間外・休日労働時間が月100時間以上と見込まれる医師に対する面接指導など、医師の健康確保のための措置が義務づけられます。  また、B水準の指定は時限的な措置とされていることから、医師の時間外・休日労働時間は、遅くとも令和17年度末までに年間960時間未満とすることが求められております。 ◆うるしはら直子 委員  このB水準指定を受けることになった場合、医師の健康確保に関する措置が義務になるということとともに、また、これまで以上に医師の労務管理を手厚く行っていく必要があるということが分かりました。  また、このB水準指定は、令和17年度、2035年度末までの時限的措置とのことで、10年以上、猶予はあるわけですが、勤務環境の整備・改善につきましては、医師の健康を守ることはもちろん、持続可能な医療提供体制の実現のためにも早急に進めていくべきであると考えます。特に、長時間労働医師に対しては、健康面に限らず、ワーク・ライフ・バランスにも配慮した適切な対応が求められるところでもあります。  そこで、質問ですが、医師の長時間勤務の是正を進めていく中で、市立札幌病院としてどのような取組を行っていくのか、伺います。 ◎山口 経営管理部長  医師の長時間勤務是正への取組についてお答えいたします。  業務の多忙や集中による長時間勤務を是正するため、最も効果的な解決策は医師の増員でありますが、全国的に医師不足が問題となっている昨今におきましては、簡単なことではないと考えております。このため、当院では、医師が担う業務を看護師などの他職種へ移管する、いわゆるタスクシフトによる負担軽減を進めております。医師が担う業務のうち、カテーテル処置やエコー検査などの一部の業務については、既にタスクシフトを実施しており、これにより一定の負担軽減が実現しているところです。  今後は、各診療科において業務効率化を図り、他の職種へのタスクシフトも引き続き推進していくことにより、全医師の時間外・休日労働時間が年間960時間未満となるよう、病院一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。 ◆うるしはら直子 委員  医師の長時間労働勤務問題、これは長年にわたる課題でありまして、このたびの働き方改革のスタートが課題解消への第一歩であると考えます。改革に当たりましては、医師の負担軽減や働き方の見直しなどについて、病院としての不断の取組が求められることと思います。  先日、NHKのウェブ報道特集というものがありまして、大学病院のベテランの外科医師が高度な外科手術に12時間以上の時間を要することもしばしばある中で、働き方改革を進めるということは非常に厳しいと病院内での共通認識があった中で、チーム体制を構築して取組を進める改革として、改善を図っている最中だといった報道も見させていただきました。  これは、あくまで一つの例ではありますけれども、医師をはじめ、現場の医療従事者や関係職員の声ですとか、また、関係団体、ほかの医療関係者ともしっかり連携しながらこの改革の実現に向けて、ぜひ尽力していただきたいと思います。  続きまして、看護師の人員配置についても伺います。  医師についての働き方改革に伴いまして、病院が一丸となって取り組むに当たっては、看護職員の働き方の整備、また、ほかの職員の人員確保もこれまで以上に大変重要となってまいります。  新型コロナウイルス感染症への対応が複数年にわたったこともあり、看護師職については、現在、全国的に離職者の増加が問題となっていると認識しています。  日本看護協会が実施しました全国調査の結果によりますと、市立札幌病院と同規模である500床以上の病院において、令和3年、2021年度の看護師の離職率が10.8%に上るという結果が出ておりまして、これは、前年度である2020年度の9.8%を上回る数値となっています。  2022年度の予算特別委員会にて、私からコロナ禍における職員の勤務環境について質問しましたところ、メンタルなどでの休職者や育児休業などによる欠員に関しては、人員確保や補充ができており、医療体制に支障がないことを確認させていただいております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症対応に奮闘された日々や、また、感染状況も徐々に落ち着き、病院の運営も通常に戻る中で、市立札幌病院においても離職する方が増えていると聞いており、2023年度も離職率が高い状況が続いて、看護師不足が生じているのではないかと懸念するところです。  そこで、質問ですが、まず、市立札幌病院における2023年度の看護師の定数に対する人員配置数と離職率を伺います。  また、年度途中に離職による欠員が生じた場合の対応についても、併せて伺います。 ◎千葉 看護部長  看護師の定数に対する人員配置数と離職率についてお答えいたします。  まず、当院における看護師の配置数については、産前産後休暇や育児休業、育児短時間勤務といった子育て中の職員が多いことも踏まえ、年度途中の人員不足を防ぐため、過去の実績から育児制度利用者数や離職者数などを見込み、必要に応じて、年度途中であっても、随時、採用試験を行うなど、定数を下回らないように採用を行っております。令和4年度は、看護師定数705名に対し、年度当初で758名、年度末で718名の人員配置数となっており、いずれも定数を上回っております。  次に、当院における看護師の離職率は、令和2年度で7.39%、令和3年度で7.63%、令和4年度につきましては10.17%と、当院におきましても上昇傾向にはございますが、いずれも日本看護協会の調査結果の10.8%を下回る結果となっております。 ◆うるしはら直子 委員  看護師の採用の計画段階から、離職者数に加えて育児制度利用者数や休職者数の推移を織り込んだ上で必要数を決定し、定数の確保に取り組んでいるということは確認させていただきました。ただ、全国的に子育て環境の充実ということも現在図られておりまして、これからは、さらに、子育てに関する休暇制度を利用する職員の方も増えることが予想されますし、また、そうした職員の方々が安心して子育てができる環境や体制を病院としても整えることが必要であると考えます。  また、腰痛など、看護師特有の疾患に加え、メンタルの不調により休職してしまう職員も依然としていると聞いているところであり、現場の負担軽減のため、より充実した人員配置を今後も検討していく必要があると考えます。  先ほどの答弁では、全国平均値を下回るとはいえ、過去3年間の推移では離職率が上昇しているとのことで、決して安心できる状況ではないと考えます。そのため、離職者の年代や離職理由をしっかりと把握した上で、いかに離職者数を減らしていくかが重要と考えます。  そこで、質問ですが、市立札幌病院における離職者の離職理由や、また、年代別の割合について伺います。  また、離職者を減らすためにどのような取組を行っているのか、併せて伺います。 ◎千葉 看護部長  離職者の離職理由と年代別割合及び離職者を減らす取組についてお答えいたします。  まず、離職理由については、令和4年度中に離職した79名の職員のうち、転職が34.2%と最も多く、次に多い病弱の13.9%と合わせて半数近い割合となっています。  次に、離職者の年代別割合については、令和4年度の離職者のうち、20代が50.6%と半数以上を占め、そのほか、30代が17.7%、40代が12.7%、50代以上が19%となっています。  近年のコロナ禍における採用者にあっては、学生時代の実習経験が不足しがちとなり、自身が就職前に考えていた環境と実際の勤務内容が異なるといった、いわゆるリアリティショックを受けやすい環境にあると考えられます。そのため、就職希望者に向けては、令和5年度は、病院見学会やインターンシップについて、コロナ禍以前よりも回数を増やして実施し、職場体験の機会確保に努めているところです。  さらに、採用後は、精神面での疲労から若手看護師が休職や離職することを防ぐ取組として、仲間とのつながりやセルフケアの強化を目的としたワークショップの開催や、高ストレス職員に対する面談など、周囲がより早くメンタル面の不調に気づき、サポートできる環境づくりに努めております。 ◆うるしはら直子 委員  離職理由につきましては、転職と、あと病弱ということが半数以上を占めるということで、転職というのが最も多いとのことでした。これは、単純に勤務条件を比較した結果ということも考えられますけれども、特に20代の職員の転職の理由としてはリアリティショックも考えられるということで、これもコロナ禍の影響の一つと言えるのかもしれません。また、次いで挙げられた病弱については、特にコロナ禍対応で疲弊してきた状況もあるかと思います。メンタルケアが大変重要であると考えます。  市立札幌病院において、離職防止に向けて様々な取組をされてきていることは分かりました。今後、身体に加えて、メンタル面での不調対策、また、サポート環境づくりについては、継続をさらにしていってほしいと思います。ただ、職員が定着しないということで、夜勤を担当する職員さんの不足ですとか、また、時間外勤務が縮減されていないといった課題があることも、現場の看護師さん、一部の方から聞いております。今後さらに、定着に向けて、こちらもしっかりと人員配置をお願いしたいと思います。  また、離職につきましては、ベテランの方、また、中堅の年齢の方の離職というのも気になるところです。今後の市立札幌病院において、先ほどの質問の答弁にもありましたとおり、タスクシフトなどの改革を行うということでしたので、やはり、ベテランの方ですとか、中堅職員の経験が必要であり、離職防止と併せ、職員がスキルアップ、また、キャリアパスを目指せる環境づくりや人材を育てる体制も必要と考えます。  そこで、最後に、今後の魅力ある職場づくりに向けた病院の人材育成について見解を伺います。 ◎千葉 看護部長  今後の魅力ある職場づくりに向けた人材育成についてお答えいたします。  各部門が創意工夫をし、OJTを中心としながら、数多くの独自研修を行っているほか、マネジメント研修やハラスメント研修など、職場の環境づくりに向けた部門横断的な研修も実施しております。  看護部門を例に具体的に申し上げますと、個々の能力段階に応じて策定した教育計画に基づく研修や、中堅層以上の看護師が専門的技能を生かし、様々な診療科で活躍できる体制づくりを行っております。加えて、特定認定看護師などの資格取得費用を負担するなどのサポートも行っているところです。  今後も、個々の職員が意欲的にスキルアップし、より高度で良質な医療を提供し続けることができるよう、人材育成に力を注いでまいります。 ◆うるしはら直子 委員  今回、医師の働き方改革、また、看護師職員の離職問題については、今現在、我が国の大きな課題でもあり、また、間もなく団塊世代が全員75歳を超え、命に関わることに対処する医療への需要がますます高まる中での大きな課題だと考えます。  この医師の働き方改革に伴っては、タスクシフトをしていくに当たり、他職種の方々が業務の合間に新たな技術研修を行うといったことは負担もかかると思います。また、あらゆる関係職員の人手がまずは必要ですし、また、関係の医療従事者だけではなくて、事務のほうの方々の労力も、同じように、皆様、本当に大変なご苦労が今後あるかと思います。  一方で、ある意味、新たな職域の拡大といった部分でもあります。今後とも、医療従事者の方、また、病院の方々が他職種同士の連携をしっかりと図りながら、負担なく、そして、生き生きと働くことができる職場環境づくりに期待するとともに、チーム市立札幌病院として力を結集して、引き続き医療を提供していただくこと、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ◆成田祐樹 委員  私からは、市立札幌病院の経営と今後の市立病院の再整備の2点についてお伺いします。  新型コロナウイルス感染症の取扱いを本年5月から5類に、そして、今月10月からは病床確保料や診療報酬の特例の減額がさらにされたことにより、これまで新型コロナウイルスに感染された方を受け入れてきた病院としては、経営的に非常に苦しくなると察しております。  一部の報道では、この病床確保料によって病院が黒字化したというような部分だけが切り取られて放映されておりましたが、感染症病床から一般病床にしていく際に患者が入れ替わることから、稼働率を維持できるわけではなく、入れ替わって、再度、一般病床の稼働率が上がるまでのタイムラグが非常に大きく、そこで医業収入の減少を招いているのが実態だと推測しております。  市立札幌病院も一時的に資金残が多くなったことが報じられておりましたが、長期借入金の返済や、既に5類に切り替わった影響で、現在の経営としては影響が出ているのではないかと考えております。  ここで、まずお伺いしますが、2021年度決算から2022年度決算まで、さらに、そこから今年度にかけての市立病院の資金残高の状況について、病床稼働率を交えながらご説明をお願いしたいと思います。 ◎山口 経営管理部長  当院の資金残高の状況についてお答え申し上げます。  資金残高については、令和3年度末の51.8億円から令和4年度末に24.1億円と大きく減少している状況であります。この要因については、令和5年度末に予定している一般会計借入金の返済に加えまして、病床利用率が令和4年度決算で67.9%と、当初予算の73.1%に到達しておらず、収入の根幹である診療収益が伸び悩んだことが挙げられます。  さらに、本年5月8日以降の新型コロナウイルス感染症5類化に伴いまして、病床確保補助金や診療報酬特例加算が縮小するなど、経営環境は厳しさを増しているところでございますが、今後は、病床利用率を向上させて診療収益を伸ばすことで、この資金残高の水準を維持できるように努めてまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  やはり、この病床稼働率、私は病床利用率ではなくて稼働率というふうにお話しさせてもらっていますけれども、なかなか簡単にすぐに上がらないというのが、これはどこの病院でも実態だと思っております。今回もやっぱりだなというような状況で、一時的に稼働率は下がって、持っていた資金残が溶けて、厳しい経営状況になるということは、ある程度予測はしておりましたが、やっぱり、これは市立札幌病院に限らず、全国の病院で同様なことが起きているというふうに考えております。  また、つい先日は、北見で小さめの総合病院の経営破綻が報じられておりました。サイズ的にも新型コロナウイルス感染症患者受入れが難しい環境だったと思われ、コロナ禍でどこも病院経営は影響を受けており、経営的な勝ち組というのは、正直、見受けられないのかなというふうに私は思っております。しかしながら、市立病院もコロナ禍前までは順調に進んでいた経営改善に再度取り組む必要が出てきており、再度のリセットボタンを押してからの取組はなかなか難しいと承知はしておりますが、紹介、逆紹介に再度取り組みながら、外来患者ではなく、入院患者を増やしていく必要があると考えます。  ここで、お伺いしますが、コロナ禍を経て、今後の地域連携についてどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いしたいと思います。 ◎矢田 地域連携センター部長  コロナ禍後の地域連携についてお答えいたします。  今年度に入り、新入院患者数の増加を目的として、4年ぶりに地域の連携医療機関にアンケート調査を実施いたしました。今後は、この結果を踏まえ、紹介を行いやすい環境整備、運用改善を継続するとともに、Dr to Drによる緊急時のスムーズな対応などに取り組んでまいりたいと思います。  また、本年4月から、地域の医療機関への訪問活動を再開しました。訪問12件、来訪対応を27件実施しております。さらに、地域全体における顔の見える連携を大切にしたいという考えから、医師、看護師などの対面による桑園地区の医療連携懇話会も再開いたしました。8施設52名の参加があり、今後も定期的に地域での懇話会の開催を予定しております。  地域の医療機関の個別のニーズなど、お互いが求める医療の在り方を直接対話することで確認し、地域において、それぞれの医療機能を発揮しながら、より緊密に連携することで、今後も高度急性期病院としての当院の役割を果たしてまいります。 ◆成田祐樹 委員  4年ぶりに本格的に再開されたなと、地区の医療連携懇話会の再開も含めて、ああ、ようやっと状況が整ってきたなというふうに思っております。ぜひ、この紹介、逆紹介を含めた地域連携は、非常に市立札幌病院にとっては重要な案件だと思っていますので、取組をしっかり進めていただき、やっぱり、外来にどうしても人が寄ってしまうと、なかなか診療する先生方は大変だというのがございますので、収益の部分からも、入院患者を増やしていくというところをぜひ集中的に取り組んでいただくことを求めたいというふうに思っております。  さて、次に病院の再整備です。  先日の代表質問において、市立病院の再整備について、質問と答弁が出ておりました。老朽化が徐々に進む一方で、最先端の医療、最新の設備を必要としていく市立札幌病院においては、再整備について早くに取り組む必要があると考えており、賛同するところです。  また、求められる病院のトレンドも変化してきていることや、市立札幌病院が第1種感染症指定医療機関ということを考えると、ちょっと病棟には負担が増えてしまうかもしれませんが、感染症対策やプライバシーの面からも、オール個室化にし、ベッドコントロールしやすい病院にして、収益改善を図っていくという考えも出てくるのかというふうに思います。  ただ、それが改築なのか、新たに建て直すのか、議論はいろいろ出てくると思いますが、私が気になったのは昨今の病院建設費の高さについてです。近隣地域で自治体病院の建て替えがあったのは、2014年の小樽市立病院、その際は病床1床当たり約3,500万円程度で建設されました。この当時でも民間病院の建設費と比べてかなり高い状況ではありましたが、今だと物すごく安く感じます。  ここ最近の自治体病院の建て替えの事業費を見ていますと、1床当たりの建設費は7,000万円近くになっており、たった10年で倍近い額になっております。これを市立札幌病院に当てはめて、もし600床でつくるとしても420億円、実際に着工するのはもっと先ですから、500億から600億円程度の事業費になるのではないかと推測しております。  自治体病院は独立採算が原則ですから、この経営状況が厳しい中で、これだけの金額を減価償却していくという部分は、大変悩ましい課題を抱えることになるのではないかと考えております。ただ、先送りして安くなるという話でもなく、昨今の建築単価の上昇の大きさを考えると、病院の建て替えを早めたほうがよいとさえ感じてしまうところです。  ここで、お伺いしますが、自治体病院の建築単価の上昇傾向についてどのように受け止めているのか、見解をお聞かせ願えればと思います。 ◎山口 経営管理部長  建築単価高騰の受け止めについてお答え申し上げます。  自治体病院の建築単価は、近年、大幅に上昇しており、他都市においては整備に要する予算や工期の見直しを迫られる事例もあると聞いております。  建築単価の上昇は、資材価格や人件費の高騰のほか、各地域における建設事業の需要の増加などの影響を受けていると考えられ、このような上昇傾向は今後も続くものと見込んでおり、当院の再整備への影響を懸念しているところでございます。 ◆成田祐樹 委員  先ほどの委員の質問の中の答弁にも時間がかかるという話もございましたけれども、やはり、当初に見積りした金額よりも、10年、15年かかると、大変高上がりするというのは、これはもう避けられないかなというような状況かと思っております。ぜひ、こういったところも考えながら、再整備をしていかなきゃならないのかなというふうに私は思っております。  ただ、私としては、もし、現状の体制を続けるのであれば、改築ではなく、新築で、オール個室で600床弱といったサイズ感が今後の経営面からも妥当ではないかなと考えるところではあります。  最後にもう一つだけ質問をさせていただきたいと思います。これが今日の本題だと思っています。  市立札幌病院は、3次病院でもあり、最後のとりででもありながら、先ほども申し上げた道内唯一の第1種感染症指定医療機関でもあり、さらには、道央圏で唯一の総合周産期母子医療センターを持ち合わせている病院でもあります。今回の建て替えについては、単なる施設更新だけにとどまらず、道央圏での医療体制をどう担っていくのか、それも、今現在ではなく、10年後から40年後に道央圏の医療体制がどうなっているかを考えて建て直しをしなければいけないかと思います。  その中においては、大きな施設であっても、マンパワー的に今後集約をしたほうが望ましい施設があるかもしれません。特に、周産期周りにおいては、市立札幌病院以外の周産期母子医療センターが続けていけるのかどうか、集約化したほうが道央圏で望ましい形になるのではないか、これは一考すべき余地がある事柄ではないかと感じております。  また、先ほど建築単価の上昇について触れさせていただきましたが、病院建て替え時に起債する病院事業債について、通常だと元利償還金の25%が普通交付税措置されますが、再編・ネットワーク化に関わる整備の場合、40%が普通交付税措置されます。簡単に言ってしまうと、集約した場合に25%から40%に上がると。今申し上げた600億という話ですと、15%なので大体90億ぐらい、普通交付税措置が増えると。当然、集約した側のほうの施設のことも考えなきゃならないので、簡単にこれは当てはまらないかもしれませんが、かなり大きな金額の交付税措置があるというふうにお考えいただければと思います。  ただ、集約化には大変苦労はありますし、ハードルが高いものだと思っていますし、いろいろと、これから調整もしなければならないと思いますが、ただ、持続できる体制の再構築と有利な起債ができるということは忘れてはならないと思っております。  ここで、お伺いしますが、市立札幌病院の建て替えに当たり、道央圏の将来的な医療体制について議論をする必要があると考えますが、どのように受け止めているのか、見解をお聞かせください。 ◎山口 経営管理部長  道央圏の将来的な医療体制の受け止めについてお答え申し上げます。  札幌市と近郊市町村から構成される第2次医療圏である札幌医療圏と、複数の第2次医療圏から構成される第3次医療圏である道央圏では、今後の人口推計や、それに伴う医療需要の見通しが大きく異なると認識しております。  特に、札幌医療圏は、高齢人口の増加に伴う医療需要の増加が見込まれる一方、より広域の道央圏では、既に医療需要の減少局面に入っており、周産期医療など、政策的医療の十分な提供が難しくなる地域が今後生じると考えられます。  今後、機能強化の検討に当たり、当院が将来に向けて、市内、道内の医療体制を支える役割を担うためにも、現在、次の計画である第8次医療計画、これの取りまとめを進めている北海道と、今後、必要な調整を行ってまいりたいと考えております。 ◆成田祐樹 委員  キーポイントとなるのは、私は15年後だというふうに思っております。15年後に今ある周産期母子医療センターがどうなるのか。やっぱり、どこも聞くと、産婦人科の先生、新生児科、小児科の先生はなかなか苦しいと。これは、今までの枠を超えて集約しなければ続かないんじゃないかというような声も聞こえてきております。  これは、所管をまたぐ話になると私は思っていますので、大変、皆さん、苦労される話だと思っていますが、ぜひ、これは、北海道に対して、この道央圏、そして、市立札幌病院の総合周産期母子医療センターを持っている意味合いをどういうふうに考えていくのかということを一緒に検討していただくとともに、施設の集約化について、ぜひ、まず、私は皆さんに要望をしたいと思います。  また、この集約化に関わる話は、やはり、来年1年間、施設の検討という話をされていましたが、経営コンサルとかがこの話ができるわけはないと思うのですよね。やっぱり、これは、行政だったり、政治の世界で動くものだと思っていますので、ぜひ、私は、この1年間において、道と医療圏の在り方についてしっかりと議論していただくこと、また、どうしても、病院の建て替えの話になると、このサイズの病院だといろいろ設計の人が入ってきて、変わったデザインのものを造ったりして、出来上がった結果、非常に動線が使いづらいというのをよく見かけますので、ぜひ、そういうことのないよう、現場の声をまず第一に聞いた病院をつくっていくことを私は要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
    ○丸山秀樹 委員長  以上で、病院事業会計の質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時8分       再 開 午後2時10分     ―――――――――――――― ○丸山秀樹 委員長  委員会を再開いたします。  次に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費及び第4項 生活保護費について、一括して質疑を行います。 ◆長屋いずみ 委員  私からは、障害者総合支援法に基づく地域活動支援センター事業について、4点ご質問をさせていただきます。  まず、地域活動支援センターとはどのようなところなのか、伺います。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  地域活動支援センターとはどのようなところなのかとのご質問にお答えいたします。  地域活動支援センターは、障害者総合支援法におきまして、創作的活動または生産活動の機会の提供、社会との交流の促進等の便宜を供与する施設とされており、現在、札幌市内には43か所開設をされております。  国と道から市町村に対しての補助がございまして、通所人数を大きく三つに分けた基準で交付をされております。これを財源といたしまして、札幌市では、通所人数を最低5人から1人増えるごとに基準を設けまして、各センターに対し、運営費の補助をしているところでございます。  支援を行う職員の要件といたしましては、主な活動内容が障がいのある方の日中活動の居場所づくり、それと日常生活上の困り事相談であることから、国家資格などの要件を求めておらず、社会福祉主事の資格を有する者、または、2年以上、障がい者福祉に従事した者を指導員として、通所人数7.5人に対して1人以上を配置するとしているところでございます。 ◆長屋いずみ 委員  地域に住む障がい者を孤立させず、社会とつなぐ重要な役割を担っていると私は認識しております。  次に、2019年以降、センター数の推移とその変化の要因についてお伺いいたします。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  2019年以降の事業所数の推移とその要因についてお答えいたします。  2019年は54か所ございましたが、毎年、閉鎖などにより減少しておりまして、今年度、2023年度は11か所減の43か所となっております。  閉鎖の要因としましては、障害福祉サービス事業所への移行、あるいは、職員の確保が困難になったなど、各センターによって事情は様々となってございます。 ◆長屋いずみ 委員  やむなく閉所という選択をせざるを得なかったということだと思います。各センターそれぞれが、身体・知的・精神障がいの中で、聴覚障がい者や、アルコール・薬物・ギャンブル依存に苦しむ方、高次脳機能障がい者などを受け入れ、専門的に障がい者を支え、かけがえのない場所になっております。しかし一方で、人材確保ができず、閉所を選択される。利用者の行き場を探すことも非常に大変だったと思います。そのようにお聞きしました。  コロナ禍で、複数の高齢者施設や福祉施設においてクラスターが発生しました。一たびセンター内で感染者が出た場合、施設に強い負荷がかかってしまいます。人材確保の困難さや感染対策、物価高騰、これらがなぜセンターに大きな影響を及ぼすのか、考えていく必要があると思います。  本市は、要綱で、定員や利用者数、職員配置基準、家賃などの算定要件を定めております。  そこで、質問ですが、補助基本額についての考え方をお伺いいたします。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  補助基本額の考え方についてお答えいたします。  障がいのある方への日中活動の場の提供に必要となる経費を補助対象とするという考えの下に、職員給与や事業所の光熱水費、消耗品費など、地域活動支援センターの運営に要する全般的な経費を補助対象経費として、通所人数に応じた補助基本額を設定しているところです。このほか、重度障がいのある方の受入れに対する加算や、家賃に対する加算も設けているところであります。  補助基本額の内訳としましては、実態も勘案いたしまして、運営に要する人件費相当分が75%、事務費相当分が25%として積算をしているところでございます。 ◆長屋いずみ 委員  お答えいただきました数字を当てはめて考えますと、一般型で単独型の補助基本額は、通所者5名の場合は580万円、2人の人件費435万円、1人当たりだと約218万円になります。そして、残りが事務費145万円となるということです。通所者が1人増えるごとに46万円が増えていく計算になりますが、10名まで受け入れないと3名分の人件費は出ません。さらに、要綱で示されている家賃は半額助成で上限は年額36万円です。  コロナ禍で、B型など、作業所では感染者用のフロアを借りるための賃料助成が出たようですが、センターは対象外でしたから、利用者さんの感染対策をしたいと思っても、持ち出しをしなければなりません。さらに、この物価高騰です。主に補助金収入、しかも、本市の補助金額は、15年間変わらず、据え置かれたままです。障がい特性に沿った感染症対策や熱中症対策などの対応をしたくても、必要最低額が積み上がっただけの補助額では、人件費を削っての対応となってしまい、事業の継続も困難になるのは明らかではないでしょうか。  本市は、「センターの設置・運営者に対し、予算の範囲内で補助金を交付する。」とし、各センターでは、要綱にのっとり、関係書類を作成し、事業報告を市に提出しております。  そこで、質問です。  地域活動支援センターの実態に見合った補助額にするために、本市の地域活動支援センター運営費補助要綱の基準を見直すべきと思いますが、本市の認識を伺います。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  補助の見直しについてお答えをいたします。  通所人数に応じた補助基準額としておりますが、各センターにおける手厚い人員配置や活動内容によっては、他の経費の節減や運営法人からの繰入金対応、こういったことが必要になることもあると認識はしております。  これまで、札幌市では、国からの十分な予算措置がない中、地域活動支援センターの安定的な運営のため、国の補助基準額を上回る運営費補助の維持に努めてきたところであり、今後も引き続き、国に対し、十分な予算措置を行うよう、まずは要望してまいりたいと考えております。 ◆長屋いずみ 委員  地域活動支援センターは、利用者にとって、大切な居場所であり、生活の場、社会とつながる場であり、なくすことのできない本市の財産だ、そのように私は思います。  法定事業ですから、本来、市が実態に基づき請求した額が全額交付金として措置されるべきですが、十分に措置されておらず、毎年、多額の超過負担が発生しております。この改善、強く求めていただきたい、私からも求めたいと思います。しかしながら、事業の運営主体は本市ですから、経営悪化で事業が続けられない、こんなセンターを出さないよう、市が責任を持って適切な対応をするよう求めて、質疑を終わります。 ◆丸岡守幸 委員  私からは、重度の障がいのある人への支援について、2点お伺いいたします。  1点目は、重度の障がいのある人に対する支援者不足に関してでございます。  近年、少子高齢化による生産年齢人口の減少などにより、様々な業種で人手不足が深刻な問題となっております。障がい福祉分野もその一つではないかと思っております。  そこで、令和5年3月31日現在の札幌市における障害者手帳の交付状況を見てみますと、身体障害者手帳の被交付者は8万1,483人、療育手帳の被交付者は2万1,193人、精神障害者保健福祉手帳の被交付者は3万3,234人となっており、その中でも、知的障がいと精神障がいのある人が増加傾向となっております。  こうした中で、障がいのある人が地域で安心して生活していくためには、必要な支援を受けられる環境が重要であるというふうに考えますが、ヘルパー等の人手不足の影響は、障害福祉サービスを利用する障がいのある人にも及んでいるのが現状でございます。中でも、重度の知的障がいのある人が移動支援や行動支援を受けようと思っていても、ヘルパー不足のためになかなか引受け手がなく、決定を受けている時間数の支援が受けられていないという状況にあるというような話も聞いております。  そこで、質問ですが、このような重度の障がいのある人に対する支援者の不足についてどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  重度障がいのある方に対する支援者の不足についてお答えをいたします。  重度障がいのある方をはじめ、障害福祉サービス全体で障がいのある方の支援等を担う人手不足は大きな課題と認識しております。このため、昨年度から、大学生を対象としまして、障がい福祉の仕事の魅力を発信し、新卒者の就職拡大につながることを目指した事業に取り組んでいるところでございます。特に、重度障がいのある方への支援に関しては、障がいについての理解や、一人一人の障がい特性に合わせた支援が必要になることから、今後は、このような点も踏まえて、事業内容の充実を図っていきたいと考えております。  また、昨年度行った事業所に対するアンケート調査では、職員不足の理由として、採用が困難との回答が多く、その原因としまして、賃金が低いことを挙げた事業所が最も多くございました。このため、事業所で働く職員の賃金向上に向けて、サービス報酬の改善を引き続き国へ求めてまいりたいと考えております。 ◆丸岡守幸 委員  人手不足の現状に対して、障害福祉サービス事業などの人材定着、人材確保を図るために、大学生向けの新卒の確保に取り組んでいる状況を確認させていただきました。  人手不足を補う面で最も重要なことは、今おっしゃられた賃金水準の確保だと考えております。人材育成や賃金面におけるしっかりとした国への要望もしていただき、支援者不足の解消に向けて取り組んでいただきますよう要望いたします。  次に、2点目といたしまして、重度の障がいのある人のためのグループホームの整備について伺います。  冒頭に、知的障がいのある療育手帳を所持している人の数が増加傾向にあることをお伝えいたしましたが、中でも18歳以上の知的障がいのある人は大きく増加しておりまして、令和4年度におきましては1万6,210人にも上っております。その割合は、知的障がいのある人全体の76.5%になり、そのうち、重度の障がいの人は5,075人いらっしゃいます。  そしてまた、18歳以上の知的障がいのある人については、その親御さんが支援の大部分を担っていることが多く、いわゆる親亡き後の暮らしが大きな課題であります。したがいまして、住み慣れた地域で安心して生活していくためには、様々な障害福祉サービスを利用しながら、基本的な生活の場としてグループホームを利用されることが多いわけでございますが、とりわけ、重度の障がいのある人が親亡き後も安心して暮らしていけますよう、グループホームをしっかりと整備していく必要があると考えます。  そこで、質問でございますが、重度の障がいのある人を受け入れることができるグループホームの整備について、札幌市としてどのようにお考えか、お伺いいたします。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  重度の障がいのある方のグループホームの整備についてお答えいたします。  毎年度1施設、国庫補助を活用しまして新築整備の補助を行っているところであります。補助の実施に当たりましては、今年度から、重症心身障がい児者、強度行動障がい児者、そして、医療的ケア児者の受入れを申請の要件といたしまして、重い障がいのある方の受入れ促進を図っているところであります。  また、グループホームの新築のほか、生活介護や短期入所など、事業所整備への補助も行っておりまして、引き続き、重度障がいのある方が住み慣れた地域で生活できる場の拡大に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆丸岡守幸 委員  障がいのある人の将来のため、そしてまた、ご家族の方々の安心のために、軽度の障がいのある人のグループホームのみならず、重度の障がいのある人のためのグループホームの整備に向けても、札幌市として、補助を含む取組を推進していただきますよう、切に要望して、私からの質問を終わらせていただきます。 ◆和田勝也 委員  私からは、児童発達支援センターについてお伺いをさせていただきます。  ここ数年、障がい児通所支援を行う児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所が急増しており、適切な運営や支援の質の向上が求められております。このため、児童発達支援センターが、その専門性を生かし、地域の障害児通所支援事業所への援助、助言を行っております。  今年3月、厚生労働省が取りまとめた障害児通所支援に関する検討会報告書では、児童発達支援センターを中心とした地域の支援体制の整備が示され、同センターが地域における障がい児支援の中核的な役割を担う機関であることが明確化されました。  現在、札幌市には、民間が5か所、公立が4か所の計9か所の児童発達支援センターがございますけれども、今後、障害児通所支援を行う事業所の質の向上と地域の支援体制の向上に向けて、児童発達支援センターの役割はさらに重要となるものと考えます。  そこで、質問でございますが、札幌市において児童発達支援センターの役割をどのように考えているのか、また、同センターによる地域支援の取組についてお伺いします。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  児童発達支援センターの役割と地域支援の取組についてお答えをいたします。  児童発達支援センターの役割につきましては、平成31年に札幌市において定めました障害児通所支援等の円滑な提供に向けた児童発達支援センターのあり方、この中で三つの基本方針として役割を定めております。  一つ目は、障がい種別に関わらない重層的な支援の拠点、二つ目は、地域から必要とされる支援体制の構築、そして、三つ目は、児童発達支援事業所や関係機関との支援ネットワークの構築としているところでございます。  この方針に基づきまして、児童発達支援センターでは、地域の事業所で受入れが難しい、障がい程度が重い児童の受入れのほか、地域の事業所の質の向上等を目指した研修会を開催いたしまして、療育に関する知識の共有、困難事例の検討など、地域支援の取組を行っているところでございます。 ◆和田勝也 委員  札幌市の児童発達支援センターの取組の状況についてのご答弁でございました。  現在、札幌市は9か所の児童発達支援センターで地域支援に取り組んでおりますが、平成30年に札幌市の附属機関であります札幌市障がい者施策推進審議会から、札幌市の障がい児支援体制の在り方について、児童発達支援センターは1区に1か所程度のバランスのいい配置が望ましいとの答申を受けております。  札幌市内の障害児通所支援事業所の数は、令和5年4月の時点で児童発達支援と放課後等デイサービスを合わせて671か所あり、毎年約40か所ずつ増加をしてきております。すなわち、児童発達支援センターが9か所のままでは、今後、地域における障がい児支援の中核的な役割を担う機関としてのセンターにかかる負担が大きくなる懸念がございます。少なくとも1区に1か所、人口の多い区には2か所あったほうが、札幌市の地域支援体制としてはいいのではないかと考えます。  現在は、白石区、清田区、手稲区に児童発達支援センターがなく、他区にある児童発達支援センターが地区割りで担当をしております。  そこで、質問でございますが、児童発達支援センターの設置に関する札幌市の考え方についてお伺いします。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  児童発達支援センターの設置の考え方についてお答えをいたします。  現在9か所の児童発達支援センターで、地域の中核的施設として、今、委員がご指摘のとおり、市内全域の療育支援や相談に地区割りで対応を行っているところです。  具体的には、施設が持つ専門性を生かして、地域の障がい児やその家族から直接相談を受けて支援をする、これは当然行っておりますけれども、これ以上に、5か所の児童発達支援センターにおいて地域支援マネジャーというものを配置しまして、連携を取りながら、それぞれ担当する地域の事業所に訪問をして、療育に係る技術指導・助言を行っているところであります。  児童発達支援センターの設置に関しましては、専門職や経験豊かな職員の配置、さらには、各センターにおける一定の支援の質の確保、こういったことも必要になりますことから、今後も、各センターや関係者の意見を聞きながら、適切な地域支援体制を念頭に継続的に検討をしていきたいと考えております。 ◆和田勝也 委員  私も、この民間の5か所のうち、むぎのこの理事長やさんりんしゃの管理者からお話を聞いて、この地域支援マネジャーの設置や増員に関しまして、札幌市にしっかりと取り組んでいただいているというような声もいただきました。  一方で、児童発達支援センターは、高い専門性と支援の質が求められるため、どこの事業所でもできるわけではなく、新たなセンター設置は簡単でないことは重々承知でございます。しかしながら、センターによる支援の対象である障害児通所支援事業所の数は毎年増加しており、療育や家族支援が必要な世帯数が増加しているのは事実でございます。障害児通所支援事業所における適切な運営や支援の質を確保していくためにも、児童発達支援センターの数とそれぞれのセンターの業務バランスについても検討していただくことをお願いいたします。  最後に、児童発達支援センターによる専門的な支援が地域の子どもたちや事業所に確実に行き渡るよう取り組むことを要望し、私の質問を終えます。 ◆たけのうち有美 委員  私からは、バリアフリーの推進について、3点伺います。  まず初めに、民間公共的施設バリアフリー補助事業の今年度の取組と申請状況について伺います。  本市では、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンにおいて、まちづくりの重要概念の一つに、ユニバーサル(共生)を位置づけ、ハードとソフトの両面でバリアフリーをこれまで以上に推進し、共生社会の実現に向けて取り組んでいるところであり、ハード面のバリアフリーを進める取組の一つとして、2021年度から実施している札幌市民間公共的施設バリアフリー補助事業があります。これは、障がいのある方や高齢の方などが円滑に利用できるよう、バリアフリー化を目的とした民間建築物の改修費用の一部を助成する事業です。対象は、床面積が2,000平方メートル未満の物販・飲食店、診療所などの不特定かつ多数の者が利用する施設となっています。  事業初年度の2021年度は、申請件数が6件、交付件数が5件、2022年度は、申請件数が10件、交付件数が8件であったと聞いています。少しずつ増えてはいますが、目標としている年間20件には届いていない状況にあります。  民間施設であるため、建物の更新時期や資金の調達、改修期間中の営業制限など、バリアフリー改修に踏み切るまでには様々な要件が存在し、市有施設のように計画的に整備を進めていくことは難しいと考えます。また、コロナ禍のため、経済活動が停滞し、飲食店などの設備投資意欲の低下により、申請件数が伸び悩んだものと推察するところです。しかしながら、新型コロナウイルス感染症も5類に移行し、経済活動も再開したことから、本市が目指す共生社会の実現に向け、民間におけるバリアフリーを進めるために、この事業のさらなる活用を促していく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、民間公共的施設バリアフリー補助事業において、昨年度までの取組を踏まえ、改善したことなどを含め、今年度取り組んでいる内容と申請状況を伺います。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  民間公共的施設に対するバリアフリー補助事業の今年度の取組と申請状況についてお答えをいたします。  まず、昨年度を踏まえた今年度の取組につきましては、関係者の意見や協力を得ながら、事業者団体への周知といった広報の拡充、そして、時間をかけてご検討をいただけるように窓口での相談・申請期間の延長など、改善を重ね、運用をしているところであります。  また、今年度から、実際に改修工事を請け負う事業者に対しまして、バリアフリーの意義と補助制度の理解促進とともに、事業者のネットワークを活用して制度の浸透を図っていくことが効果的であると考えまして、一級建築士が改修施工業者や事業者団体等に出向くアウトリーチ型の広報活動を開始したところであります。  次に、申請状況につきましては、こうした取組などによりまして、今年度は前年度よりも増え、現時点で14件となっております。また、改修内容につきましても、段差解消や手すりの設置のみならず、階段昇降機の設置など、広がりも見せているところであります。  今後も、取組内容について改善を重ねながら、バリアフリーの意義とともに、補助事業の理解、浸透を進めてまいりたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  広報の拡充や相談・申請期間の延長など、改善を重ねるとともに、今年度はアウトリーチの広報活動ということで、こうした工夫は大変重要であると考えます。このような取組を含めて、民間におけるバリアフリーの芽を育んでいくためにも、事業の継続性が必要だと考えますので、地道な広報活動と工夫を続けて、さらなる事業の活用につなげていただきたいと考えます。  次に、心のバリアフリー研修の実施状況とその評価について伺います。  バリアフリーの推進には、ハード面のバリアフリーのみならず、障がいのある方などに対する偏見や無理解といった意識上の障壁、心のバリアを解消するソフト面でのバリアフリー、いわゆる心のバリアフリーが重要と考えます。  本市では、2020年度から心のバリアフリー研修を実施しています。障がいのある方がどのようなことに困り、どう配慮したらいいのかを学ぶことで、日常生活での実践につなげていけるよう、市民や企業を対象としていましたが、昨年度からは新たに親子も対象としています。  そこで、質問ですが、昨年度の心のバリアフリー研修の実施状況とその評価について伺います。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  心のバリアフリー研修の実施状況とその評価についてお答えをいたします。  昨年度は、市民向け研修を3回、企業向け研修を4回、いずれもオンラインにより実施しまして、計187名の方が受講したところであります。  また、昨年度から、新たな試みとして、親子で楽しく、心のバリアフリーについて学べる親子トライアル研修というものをオンラインで実施しまして、13組26名の参加があったところでございます。受講した子どもからは、困っていそうな人がいたら勇気を出して声をかけてみたいといった声や、大人からは、子どもと共に心のバリアフリーを考えるよい機会になったといった声が聞かれ、また、受講から3か月後のアンケート調査では、子どもが長いスロープを見て車椅子は大変だねと話すなど、確実に意識の変化が芽生えていると感じたとの意見も寄せられているところであり、おおむね好評であったと感じているところであります。  心のバリアフリーの普及啓発につきましては、学童期からの学習が効果的と考えるため、研修とともに、これまで実施をしております市内小学4年生を対象とした心のバリアフリーの理解を深めるための副読本の配付、これも同時に行いながら、継続的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  心のバリアフリー研修に関しては、私もこれまで何度か参加していますけれども、一つの方法として、市民向け、企業向けとすることで、それぞれに特に必要な内容が丁寧に伝えられていたり、複数回実施することで参加しやすくなったと思います。  昨年度からの試みの親子トライアル研修も、受講した子どもの感想からは、やはり、好評だったんだなというふうに理解をしています。私も研修の様子を見ていましたけれども、講師からの問いかけに対して、子どもが自ら一生懸命考え、答えている様子がうかがえました。学童期における心のバリアフリーの普及啓発は、人格を形成する成長・発達段階である点において、より効果的でもあると思いますし、親子で学べるというコンセプトは、家族でバリアフリーについて理解を深め合う場にもなる、大変有意義な取組であると考えますので、今後も、より多くの子どもたちが心のバリアフリーを学べる機会となるよう、工夫を重ねていっていただきたいと思います。  次に、心のバリアフリーの浸透における今後の取組について伺います。  心のバリアフリーは、比較的新しい言葉であり、その認知度や理解度はまだまだ高いとは言えない状況ではないかと考えます。心のバリアフリー研修を中核として実施しつつ、研修にたどり着く前段階におけるあまり関心がない方々へのアプローチも同時に考えていかなければなりません。
     そこで、質問ですが、心のバリアフリーの浸透にどのように取り組んでいくのか、伺います。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  心のバリアフリーの浸透に向けた今後の取組についてお答えいたします。  まず、心のバリアフリー研修に関しては、今年度から初めて対面研修を取り入れまして、障がい当事者の方にもご登壇いただき、トークセッションを行うなど、より理解が深まる双方向型の研修を行う予定でありまして、今後も、改善を重ね、より多くの方が関心を持って受講できるように取り組んでいきたいと考えております。  また、無関心層などに広く心のバリアフリーの浸透を図るために、日常生活を送る中で、障がいのある方へのサポートなど、身近に心のバリアフリーを感じてもらえるような内容の動画コマーシャルを制作しまして、街頭ビジョンなどで放映するなど、周知を図ってまいりたいと考えております。このほか、地下鉄車内でのステッカー広告も企画をしているところでございます。  今後も、心のバリアフリーが浸透するよう、あらゆる機会を捉え、普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  当事者にご登壇いただくなどの新しい方法や普及啓発の拡充に取り組むとのことで、さらなる取組に期待したいと思います。  最後に要望です。  障がいの社会モデルという考え方があります。障がいは、個人の心身機能の障がいと社会的障壁の相互作用によってつくり出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという考え方です。  例えば、車椅子ユーザーが店舗に入りたいけれども、入り口まで階段があるという場合、入れないのは、歩けないという個人の機能に問題があるのではなく、階段や段差を障がい(バリア)と捉えるのが障がいの社会モデルと言われています。  この考え方は、まちづくりには大変重要であると考えます。ハード面とソフト面、両方のバリアフリーによって、本市が障がいのある方はもとより全ての市民にとって住みよいまちになっていくと考えます。障がいのある方が住みやすいまちは、全ての人にとって住みやすいまちですし、例えば、いつけがをして不便な状態になるかは誰にも分かりません。つまり、誰にとってもバリアフリーは自分事であると考えます。  また、バリアフリーは既にある障壁を解消することを指しますが、初めから障壁のないユニバーサルデザインの考え方を意識していくことも大変重要な視点だと考えます。本市がまちづくりの重要概念として掲げているユニバーサルの考え方である、誰もが多様性を尊重し、互いに手を携え、心豊かにつながること、また、支える人と支えられる人という一方向の関係性を超え、双方向に支え合うこと、これが実現できる社会に向けて、他局ともしっかりと連携し、全庁を挙げて取り組んでいただくことを求めて、私からの質問を終わります。 ◆熊谷誠一 委員  私からは、札幌市生活就労支援センターステップにおける支援の状況等についてお伺いいたします。  ステップは、生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援機関として平成27年度から事業を開始しており、生活相談や就労相談にとどまらず、様々な困り事を抱えた相談者に対し、寄り添った支援を行ってまいりました。特に、今回のコロナ禍においては、ステップを利用することが社会福祉協議会の特例貸付け等の要件とされたこともあり、新規の相談件数が急増、コロナ禍前の令和元年度は2,746件であったものが、令和2年度は1万2,563件、令和3年度はピークの1万4,970件、令和4年度は1万969件となっており、札幌市は、令和2年度にステップの相談支援員を5名増員し、体制を強化しながら、生活再建に向けた総合的な支援を実施してきたと伺っております。  また、離職や休職等を余儀なくされ、住居を失うおそれが生じている方などに対し、家賃相当額を支給する住居確保給付金については、ステップが申請窓口となっておりますが、令和元年度に支給決定された方は41人に過ぎなかったところ、令和2年度には1,424人と実に約35倍に急増し、その後、令和3年度は1,165人、令和4年度は759人と推移しているところでございます。  コロナ禍にあっても、札幌市の生活保護の申請者数が従来と大きく変わらない水準にとどまった背景には、新型コロナウイルス感染症対策で実施された特例的な給付金や貸付金といった経済的支援策の効果に加えて、ステップが第二のセーフティネットを担う相談機関として、生活に困窮された方の生活の下支えに大きな役割を果たしたこともあったと言えると思います。  さて、令和5年度に入り、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、約5か月が経過する中、観光需要が回復するなど、様々な経済活動が活性化し、市内の経済活動は縮小局面からの脱却が進んでいる一方で、エネルギー価格や物価の高騰は依然として続いており、市民生活への影響は長期間に及んでおります。こうした状況の中、ステップにおける支援や相談者のニーズにもコロナ禍とは異なる傾向が見られるのではないかと思われます。  そこで、質問ですが、ステップにおける相談状況と相談者のニーズについて、コロナ禍からどのような変化が見られるのか、お伺いいたします。 ◎東館 地域生活支援担当部長  札幌市生活就労支援センターステップにおける相談状況と相談者のニーズについて、コロナ禍からどのような変化が見られるかというご質問にお答えいたします。  コロナ禍後となります令和5年度のステップの相談者数は、8月末時点で2,699人と、令和4年度の同時期の半数程度に、また、住居確保給付金の支給決定者数は、8月末時点で129人と、同じく4割程度減っておりますが、コロナ禍前に比べますと、いずれも高い水準で推移しております。  一方、個々の相談者に対する支援内容につきまして、コロナ禍におきましては、住居確保給付金の相談の急増等に追われまして、個別に踏み込んだ支援まで手が回らないといった実情もございましたが、現在は、個別の支援プランの作成者数が大きく増えまして、それに基づき、就労支援等に力を注げる状況となり、就労や増収に結びつく割合も徐々に増えてきているところでございます。  また、家計のやりくりや債務整理などに関して相談やアドバイスを行う家計改善支援事業の利用者数が、令和3年度は62人、令和4年度は102人、令和5年度は8月末までに60人と年々増加傾向にございまして、現下の物価高騰の影響から、今後はそのニーズがさらに高まるものと見込んでいるところでございます。 ◆熊谷誠一 委員  ステップの相談件数や住居確保給付金の申請件数は、コロナ禍の頃よりもかなり落ち着いた状況にはありますが、コロナ禍以前の状況と比較すると、依然として高止まりと言える状況にあることが分かりました。また、相談件数が落ち着いてきたこともあって、支援プランに基づいた就労等に関する支援も行き届くようになり、就労や増収に結びつく方の割合も増えているとのことでしたので、今後も、関係機関と連携しながら、効果的な支援が継続されることを期待いたします。  次に、ステップの相談機能を強化していくための取組について伺いますが、先ほどのご答弁では、今般の物価高騰の影響もあって、家計改善支援のニーズが高まっているとのことでございました。ステップにおける家計改善支援については、携帯電話の契約内容の見直しなど、支出の見直しに関する支援のほかに、借金の返済に困っている方に対しては、法テラスや弁護士と連携しながら、債務整理に向けた支援も行っているとのことでございます。  このように、多様化・複雑化する相談者のニーズを踏まえて効果的な支援を行うためには、関係機関との連携や相談体制のさらなる強化を図っていく必要があると考えます。また、生活に困窮された方を支える身近な相談窓口としてあり続けていくためには、より多くの市民にステップという相談機関の存在を知っていただくことが必要でございます。  このため、ステップでは、コロナ禍での実施が困難であった各区での出張相談会について令和5年度から精力的に開催するとともに、シニアワーキングさっぽろ等の市主催のイベントに相談ブースを設置するなど、相談機会の増加に努めております。今後も、ステップでの支援を必要とする方がステップの相談窓口に確実につながるようにするためには、市民の認知度をさらに高めるための取組を積極的に進めていく必要があるとも考えます。  そこで、質問ですが、多様化・複雑化する相談者のニーズを踏まえ、ステップの相談支援機能の強化や市民からの認知度向上のために、今後どのように取り組んでいく考えなのか、お伺いいたします。 ◎東館 地域生活支援担当部長  ステップの相談支援機能の強化や認知度向上のための取組についてのご質問にお答えいたします。  ステップの相談者数が今後も高い水準で推移することを想定しまして、アクションプラン2023におきましては、相談支援員について必要な人数を確保するほか、家計改善支援事業を担う支援員を現行の1名から2名へ増員することで、ニーズの高まりに対応を図ることとしております。  また、認知度向上のためには、福祉のまち推進センターなど、地域の福祉関係機関や団体に向けたステップの取組のPRや、SNSによる情報発信などに力を入れていくとともに、出張相談会に関しましても、ステップが自ら開催するものに加えまして、例えば、地域包括支援センターやひきこもり地域支援センターなど、他の相談支援機関とも連携して、相談の機会を増やしていくなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆熊谷誠一 委員  ステップの相談支援体制については、相談実績に応じた必要な体制を確保していくほか、ただいまご答弁がありました家計改善支援員も1名から2名に増員することで、効果的な支援を行える体制を構築していくと。また、市民の認知度を高めるために、地域福祉の関係者に対して、ステップの情報を積極的に発信するほか、地域包括支援センターなど、他の相談機関と相互に連携しながら相談機会を拡充することを検討しているとのご答弁だったかと思います。  相談者のニーズは、経済社会情勢によって変化していくものですので、今後も、相談状況を的確に把握し、分析し、効果的な支援が実施できるよう、相談体制については随時検討していただくことを求めます。  また、ステップを利用した方からは、連絡が来るのが若干遅いとか、就労支援を期待しましたが、ハローワークの利用を勧められたといった声も実は耳にしているところでございまして、相談者の声には、しっかりと耳を傾けていただき、寄り添っていただき、今後の改善につなげていただければと思います。  最後に、要望でございますけれども、ステップで支援を受けている方は、仕事や生活面で不安定な状況にあることから、今年の夏のような猛暑においても、費用面での工面がつかないなどの理由により、冷暖房機の設置を諦めざるを得なかった方も一定数いたのではないかと推察されます。  生活保護を受けている方については、特別な要件を満たす場合は、冷暖房機の購入費用が支給される場合があるとのことでございます。一方、生活保護を受けていない世帯については、利用し得る公的支援としては、社会福祉協議会の応急援護資金、限度額10万円や、生活福祉資金の福祉資金、限度額50万円がありますが、いずれの貸付金も、冷房機器の購入を目的とした利用実績は僅かにとどまっていると伺っております。  そこで、生活困窮者自立支援事業の中核を担うステップにおいては、こうした貸付制度の周知や、熱中症予防の呼びかけを積極的に行うなど、暑さ対策においても一定の役割を果たすべきであることを求めて、質問を終わります。 ◆佐藤綾 委員  私からは、生活保護に関わり、大きく2項目、物価高騰、燃油高騰への対応と猛暑での対応について質問いたします。  生活保護の申請は年々増加し、本市でも、昨年、2022年度の生活保護申請件数は前年度比9%増の6,575件、3年連続で増加をしております。年代別で見ると、高齢者である65歳以上が最も多く、次に50歳から64歳までの高い年齢が多いほか、昨年度は30代で前年度よりも15%も多くなったということです。今年度に入ってからの生活保護世帯数は、4月から6月までに415世帯増えておりますし、コロナ禍で綱渡りの生活を送ってきて、支援もなくなり、物価高騰が続き、生活に困窮する市民が増えているということが推察されます。  一方で、生活保護費は、2013年から2015年には最大10%、さらに、2018年から2020年にかけて最大5%も生活扶助費が引き下げられてきました。5年ごとに見直しとなる今年は、減額が見送られたものの、据え置きされただけであり、物価高騰の値上げには全く見合ったものとなっておりません。  昨年から急激な物価高騰となりましたし、灯油は9月末で1リットル124円以上となり、高値が続いています。これは、2年前の同時期と比べ、28円も高い水準です。物価高騰を受けて、政府は最低賃金を引き上げ、企業でも平均で3.66%賃上げと言われておりますけれども、生活保護費は下げられたまま上がりません。  そこで、お聞きをいたしますが、著しい物価高騰が続いていますが、物価高騰や光熱費高騰は、特に生活困窮者や生活保護利用者の生活に大きく影響していると思いますが、見解をお聞きいたします。 ◎東館 地域生活支援担当部長  物価高騰、光熱費高騰による生活困窮者や生活保護受給者の生活への影響についてどう考えているのかというご質問でございますが、長引く物価高騰や光熱費の高騰が市民に大きな影響を及ぼすことは十分に認識しており、生活に困窮されている方や生活保護受給者につきましては、その影響が特に大きいものと認識しております。 ◆佐藤綾 委員  私も、本当にそのとおり、大きな影響があるというふうに感じております。9月の代表質問で、市独自の燃油高騰への支援策を実施する必要があると求めたところですが、国の施策の実施状況や効果を注視しながら、引き続き、必要な対策を講じるよう、国に対して要望してまいりたいとのご答弁でした。しかし、国は、9月末までだった電気・ガス価格激変緩和対策事業での補助を12月末まで継続するとしましたが、補助額は半額となったため、実質、10月から値上げとなります。灯油の高値も続いており、政府の灯油元売会社への補助金制度を延長しましたが、1リットル10円程度しか引き下げられないという予測で12月末までの予定です。食品も8月までに3万品目で平均15%も値上がりしており、9月にもさらに上がっています。  昨年、国の給付金に本市独自で上乗せされたように、生活保護世帯を含む低所得者へ、物価高騰、光熱費高騰対策として独自支援をするように改めて求めます。  次に、冬の生活における冬季加算についてお聞きをします。  生活保護世帯の冬季加算は、2015年に引き下げられました。例えば、単身者世帯で年間約2万8,000円も引き下げられています。現在は、10月から4月まで、月に1万2,780円が扶助費に加算されます。これは、冬場の暖房費だけでなく、冬のコートや靴などの防寒具、除雪用具なども含まれると考えられますが、引き下げられた当時、1リットル70円前後だった灯油が、1リットル110円から120円を超える高値では、灯油代にも不足する事態になりかねません。  冬季加算には、傷病、障がい等による療養のため、外出が著しく困難で常時在宅せざるを得ない、1歳未満の児童がいる、その他、医師の診断書等により実施機関が認めた人の場合、1.3倍となる特別基準があります。  札幌市では、障害者手帳や介護認定等であらかじめ分かっている世帯については認定し、今年は10月1日時点で1,219世帯に特別基準で支給しているとお聞きをしております。障害者手帳がなく、介護認定がされていない場合も、心身の疾病やけがなどで外出をしない方もいると思いますが、認定基準によると、医師の診断書等により、外出が著しく困難で常時在宅せざるを得ない状態にあると実施機関が認めた人とあり、保護課で認定することができます。  また、医師の診断書等によりとありますが、診断書を取るまでもなく、明らかに身体または精神の疾病のある方、また、高齢で外出が困難など、診断書がなくても実施機関が認定することができるとお聞きをしております。  そこで、質問いたしますが、申請することも可能ですが、当事者が知らないことには申請すらできません。対象となり得る全ての世帯に周知が必要ですが、どのように対応されているのか、伺います。 ◎東館 地域生活支援担当部長  生活保護制度におけます冬季加算特別基準への対応についてのご質問にお答えいたします。  冬季加算特別基準は、先ほど委員からもお話がございましたとおり、傷病や障がい等によって、外出が著しく困難で常時在宅せざるを得ない方や、1歳未満の乳児が世帯の中にいらっしゃり、通常の冬季加算額では賄い切れない場合に、認定して差し支えないこととされているものでございます。  各区の保護課では、この特別基準につきまして、日々のケースワークの中で世帯の生活実態を把握し、必要と判断された世帯に対しては説明を行って、申請手続を経ることなく、認定しているところでございます。  なお、世帯状況の変化によりまして、新たに特別基準を要する世帯も生じますことから、今後も、訪問活動等を通じまして、生活実態の変化について把握に努め、必要な世帯に対しては適正に認定するよう徹底してまいりたいと考えております。 ◆佐藤綾 委員  ケースワーカーの理解、そうしたものが大変必要になってくると思うんですね。高齢者は滑る道に外出できない、介護度と言うが、非常に認定が厳しい、医師の診断書では生活を反映できないと、実態に合った適用になっていないなど、当事者からお聞きをしております。  10月1日の北海道新聞には、生活保護を受けている70代の女性で、肺がん手術の後遺症や甲状腺の持病を抱える方が、原油価格が高騰した2021年から、朝2時間と夜4時間しかストーブをつけずに室内で過ごすと紹介されていました。  私のところにも、冬場に灯油が買えない、厳しい、食べるものもないという相談が昨年来増えておりまして、要件に当てはまると考え、特別基準の申請をされ、認定された方もおります。それまで、特別基準があると知らなかったということでした。特にケースワーカーの配慮が必要だというふうに思ったところです。  特別基準の世帯は、全体約5万7,000世帯のうち、1,219件が今認定されているということですので、まだ対象となる世帯があるのではないかと推察いたします。また、今年にかけて、札幌市では全ての生活保護世帯に特別基準の適用が必要なほどの物価、光熱費の高騰が続いています。これからの冬季加算の増額や支援について、しっかりと国に要望されるとともに、本市独自で冬季加算に上乗せして支給するなどの対応が必要な事態ですので、寒い冬に向かい、検討いただきたいと申し上げます。  次に、猛暑での生活保護世帯への対応について質問いたします。  今年は、猛暑で、30度以上が30日間、最高気温が36.3度と異常な気温となりました。本市でも救急搬送が566件、うち、60歳以上が324人、住居で倒れた方が292件と半数以上です。生活保護利用者は、高齢者、病気の方が多く、暑さでの体調の悪化が懸念されます。  厚生労働省は、2018年6月に生活保護世帯のエアコン設置、保有について、問題がないと認め、保護費からの給付を可能にする内容の通知をいたしました。生活保護費でエアコン設置のため、家具什器費から一時扶助として支給できるものですが、要件が限られるということです。  そこで、お聞きいたしますが、生活保護世帯でエアコンが設置できる家具什器費の支給要件についてお聞きします。  また、暑さが厳しくなってきたここ数年、2021年度から今年度の3年間で、家具什器費の支給でエアコンを設置したのは本市で何世帯あるのか、実績を伺います。 ◎東館 地域生活支援担当部長  生活保護におけますエアコンなど冷房器具の支給要件と直近3年間の支給件数についてのご質問にお答えいたします。  生活保護制度におきましては、冷房器具を含めて、日常生活に必要な生活用品に関しましては、月々の保護費のやりくりによって計画的に購入することが基本的な考え方となってございます。その上で、高齢者、障がいのある方、小児及び難病患者など、熱中症予防が特に必要とされる方がいらっしゃる世帯につきましては、特別な事情がある場合に限って、冷房器具の購入費用の支給が可能とされてございます。  この特別な事情としましては、新たに保護の受給が開始となった場合や、長期入院されていた単身の保護受給者が退院して生活を始める場合などにおいて、それ以降に初めて到来する熱中症予防が必要な時期に冷房器具の持ち合わせがない場合、こういった場合が特別な事情に該当するとされてございます。  次に、直近3年間の支給件数につきましては、令和3年度が7件、令和4年度は11件、令和5年度は10月1日時点で14件となってございます。 ◆佐藤綾 委員  新たに開始となった場合や、長期入院などで住まいを退去していて、退院により改めて住居を構えるときなど、そういう場合というのは本当に限られておりまして、また、件数をお聞きしても大変少ないというふうに感じております。基準では、現在必要と考えられる方であっても、エアコン設置の家具什器費が支給できる世帯は限られて、ほぼ対象となっていない、また、やりくりなどで、これは買ってくださいということなんですけれども、ほぼやりくりできないというのが現状です。  物価高騰も続き、貯蓄があるという方はほぼ限られているのではないかというふうに推察しておりますが、お聞きをいたします。  医師の診断書もある、明らかに世帯内に熱中症予防が必要とされる者がいる場合、35度もの猛暑が続く中では、エアコンの必要性についてどうお考えか、見解を伺います。 ◎東館 地域生活支援担当部長  熱中症予防が特に必要な方がいらっしゃる世帯での冷房器具の必要性についてのご質問でございますが、高齢者、障がいのある方、小児及び難病患者など、熱中症予防が特に必要とされる方がいらっしゃる世帯におきましては、小まめな水分・塩分補給、換気といった体調管理や、エアコン等、冷房器具の使用によって熱中症予防を行うことは、健康被害を防ぐため、効果的であると認識してございます。 ◆佐藤綾 委員  効果的であるということでございましたけれども、生活保護世帯の8割以上が、熱中症リスクの高い高齢者、障がいのある方、また、傷病者の世帯です。30度以上、35度もの猛暑が続く中ではエアコンが必要であると、学校などにもクーラーが設置されることになりました。子どもも高齢者も、体温調節がうまくいかず、熱中症になりやすいと言われています。今後必要であるとされる世帯には、エアコン設置の家具什器費を支給できるようにするべきではないでしょうか。  そこで、お聞きいたします。  生活保護開始時に家具什器費でエアコン費用が支給されることも知らなかった方が多く、2018年の厚生労働省の通知、7月施行で実施要領が改正されていますから、それ以後に決定、開始した世帯に説明がなかったとすれば、これから適用すべきではないか、また、要件の緩和が必要ではないかと思いますがいかがか、伺います。 ◎東館 地域生活支援担当部長  エアコンの購入費用に係る支給制度について知らなかった世帯には今からでも支給すべきではないか、また、支給要件について緩和が必要ではないかというご質問でございます。  冷房器具の支給につきましては、熱中症予防が特に必要と思われる世帯に対しまして、これまでも個別の状況に応じた説明や対応に努めてきたところでございますが、この夏の猛暑により、熱中症予防の重要性は一層高まっているものと認識してございます。このため、熱中症予防が特に必要な世帯に対しましては、日々のケースワークの中で、夏場の生活状況や健康状態を聞き取りながら、冷房器具の購入に向けた適切な助言や、利用可能な貸付制度の周知など、これまで以上に丁寧な対応に努めてまいりたいと考えてございます。  また、現行の支給要件では、何らかの事情により支給可能とされる時期を過ぎてから購入を要する場合に対応できないことから、支給要件の緩和につきまして、北海道市長会を通じて国に要請を行っておりますほか、大都市生活保護主管課長会議におきましても、本年度の国への要望項目として調整が進められているところでございます。 ◆佐藤綾 委員  全国的に、この要件では問題があると各自治体で認識されているということだと思います。長く生活保護を利用されている方は、保護開始時には支給要件すらなく、現在は年齢を重ねて高齢になって体調が悪くてもエアコンの設置費用が出ないという厳しい要件になっております。命に関わる深刻な問題だと感じております。  ただいま丁寧な対応をしていただけるというご答弁でありますし、また、国へ要望されているということですけれども、本市としても必要な世帯への柔軟な対応をするよう申し上げまして、私の質問を終わります。 ◆山田洋聡 委員  私からは、生活保護からの自立について伺います。  日本では、様々な事情におきまして、働いたり、収入を得たりということが困難な国民のために生活保護制度というものがありまして、地方自治体におきましては、法定受託事務として、この国の仕組みにのっとって実施をしているところであります。  生活保護費におきましては、ベーシックインカムなども含めまして、様々議論されているところではありますが、様々な事情の中で、本市においても着目すべき一つの視点を考えてみますと、生活保護からの自立というものが挙げられるかと思います。  一定期間あるいは一生涯、生活保護を必要とすることは、それぞれの事情としまして、受給していただくというところと、できれば自主・自立をして、その先の夢を実現したいというような思いを持つ方のために、行政としましては、生活保護受給者の方々の状況や環境に応じて、自立に向けた支援の仕組みをより適正化する必要があるというふうに考えます。  そこで、質問ですが、生活保護の過去から現在までの長期的な動向と現在の申請状況について伺います。 ◎東館 地域生活支援担当部長  本市における生活保護の過去から現在までの長期的な動向と現在の申請状況についてのご質問にお答えいたします。  本市の保護率は、平成のバブル景気により、平成5年度には16.9パーミルまで低下いたしましたが、バブル崩壊後、北海道経済に大きな打撃を与えました平成9年の北海道拓殖銀行の破綻を契機に上昇に転じました。さらに、平成20年のリーマンショックの影響によりまして、保護率の上昇は加速し、平成26年度には38.4パーミルとピークに達しました。その後は、景気回復とともに緩やかな低下を続け、コロナ禍におきましても上昇に転じることなく、推移してまいりましたものの、直近の令和5年7月では36.2パーミルと依然高い水準にあります。  次に、保護の申請件数につきましては、今年に入ってから、前年の同時期を大きく上回る状況が続きましたが、直近数か月は前年と同程度の申請件数に落ち着いているところでございます。  なお、現在は、コロナ禍からの経済回復が見られる一方で、新型コロナウイルス感染症対策として実施されてきました特例的な給付金、貸付金の縮小や、諸物価の高騰など、様々な社会情勢による影響が考えられますことから、今後も、申請動向につきまして、引き続き注視してまいりたいと考えてございます。 ◆山田洋聡 委員  生活保護の本市の現在地について、改めて確認をすることができました。  また、本市の申請状況につきましては、ここ数か月は落ち着いてきているということでありますが、全国と同様に増加傾向にあるということで、もう一方の動向である生活保護からの自立、すなわち、言葉的には廃止ということになりますが、この廃止の状況にも目を向けていこうというふうに思います。  支援が必要な方々へ適正な予算を執行することは重要な一方で、財政も無限ではありませんので、生活保護の実施のほかにも、本市には解決を必要とする様々な事業があります。生活保護からの自立が進むことを支援することは、重要な要素と考えます。全体構造といたしましては、生活保護が開始になった方の人数を生活保護から自立した方の人数が上回ることが望ましいと考えます。  そこで、質問ですが、生活保護の理由別の廃止世帯数の状況と、新たに保護開始となった世帯数の差について伺います。 ◎東館 地域生活支援担当部長  理由別で見ました廃止世帯数の状況がどうなっているのか、また、廃止世帯数と開始世帯数の差はどうなっているのか、この2点についてのご質問にお答えいたします。  まず、生活保護の廃止理由といたしましては、単身高齢世帯の増加に伴いまして、死亡、失踪によるものが最も多くなっており、平成30年度には1,738世帯であったのに対し、令和4年度は2,247世帯と3割近くも増加し、廃止世帯数全体に占める割合も34%から43%へと増加しております。  廃止理由として2番目に多いのは、稼働収入の増加によるものでございますが、ここ数年はコロナ禍の影響でその数は減少しておりまして、平成30年度は1,384世帯であったのに対し、令和4年度は1,112世帯と2割近く減り、廃止世帯数全体に占める割合も27%から21%へと減少しております。  次に、廃止世帯数と開始世帯数の比較についてでございますが、遡りますと、今から30年前の平成5年度から開始世帯数が廃止世帯数を上回る状況が続いておりまして、令和4年度は、開始が5,751世帯、廃止が5,248世帯と開始が503世帯上回る状況にございます。 ◆山田洋聡 委員  様々な廃止事由がある中で、就労して収入が増加したことによる自立が現在は2割程度ということで理解をいたしましたが、決して高くないなという印象を持ちました。  生活保護制度における就労支援については、無理やり、仕事や自立を押しつけるということができない、本当に難しい支援であることは伺っているところではありますが、支援を求めている方々は、間違いなく一定数は存在しておりますので、自立を支援していますよという継続的な情報発信は重要かというふうに考えます。  例えば、自立に向けた支援環境を整えるということと、そのような支援環境が整っていることを周知する、発信するということのように、課題を明確に分けて取り組んでいただきまして、本市独自の環境整備を進める余地はまだまだあるというふうに考えます。私たち自身が、支援の気持ちを強く持って取り組む姿勢を伝え続けるということが大切ではないかなと考えます。  最後の質問ですが、生活保護受給者への自立支援の取組と本市の今後の姿勢について伺います。 ◎東館 地域生活支援担当部長  生活保護受給者の自立に向けた就労支援の取組と姿勢についてお答えいたします。
     受給者の就労支援につきましては、就労に向けた準備が整っている方がいる一方で、未就労期間が長いため、不安感が強いなど、就労に向けた準備から始めることが必要な方もおりますことから、担当のケースワーカーによる支援に加えまして、個々の状況に見合った支援プログラムを用意し、対応しているところでございます。  まず、就労に向けた準備が整っている方に対しましては、ハローワークの専門ナビゲーターとのチーム支援によって早期就労を目指す就労自立促進事業のほか、区の保護課に計30名配置しております就労支援相談員が求人情報の提供をはじめとして個別の支援を行っております。  一方、就労に向けた準備から始めることが必要な方に対しましては、就労やボランティア活動を体験できる場を提供する就労ボランティア体験事業や認定就労訓練事業を通じまして、就労に対する意欲の喚起や、不安の払拭を図っているところでございます。  今後は、多様な就労ニーズに応えるため、就労体験の受入れ事業所の開拓を強化するとともに、ハローワークの支援や就労支援相談員をより積極的に活用しまして、一人でも多くの生活保護受給者の自立につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆山田洋聡 委員  本件は、本市にとりましても大変重要な課題だというふうに認識しております。今の答弁の中には、多様な就労ニーズに応えるため、就労体験の受入れ事業所の開拓を強化するという言葉がございました。本日ご参集の委員の皆様、ぜひ、情報提供ということで、保健福祉局のほうにもご協力いただければ幸いでございます。  生活保護受給者だけの問題では決してなくて、国全体が支えるような考え方を、とりわけ、本市からいい取組というものを先行して発信していけるような、そんな積極的な姿勢の追求を求めて、私からの質問を終わります。 ◆うるしはら直子 委員  私からは、大きく2項目、複合支援に係る札幌市の取組状況についてとケアラー支援について伺います。  初めに、複合支援に係る札幌市の取組について伺います。  今日、高齢者や障がい者に対する介護や医療サービス、また、子育て支援や生活保護など、福祉的ニーズが多様化・複雑化する中、この複合的な福祉課題を抱えた世帯や、制度の隙間、はざまにある世帯に対する複合的な支援が求められております。  本市においても、少子化、高齢化が進む中で、従来からの福祉課題に加え、社会的孤立や、80代の親が50代のひきこもりの子どもを支える8050問題、育児と介護を同時に担うダブルケアなど、複雑な問題などに悩む市民が増えており、今後もさらに増すことが想定されています。  こうした状況から、本市は、複合支援推進会議等を通じて組織横断的な連携体制を構築し、関係各課や外部機関とともに支援に取り組むことを目的としまして、令和4年、2022年度から、保健福祉局内に支援調整統括担当係長を置き、また、北区、東区で、今年度からは厚別区と南区で、支援調整課の取組をモデル実施していることと承知しております。  この支援調整課の設置に当たりましては、我が会派は、かねてから複合支援に対する札幌市の取組は急務であるとして指摘しておりまして、また、質疑、提起を繰り返してきた中、2020年頃よりでしょうか、区の職員も交えたワーキンググループを設置して実務におけるマニュアル作成をするなど、検討が重ねられまして、試行を開始された経過からも注視をしてきた取組です。試行実施から1年半が経過したところで、会議等でも様々なケースに触れ、取り組んできたことと思います。  そこで、最初の質問ですが、改めて、この間の複合支援推進会議の開催回数と支援対象となった世帯数、またあわせて、支援調整課の具体的な取組の内容について、それぞれ伺います。 ◎加藤 総務部長  複合支援に係りますモデル4区でのこれまでの取組状況についてお答え申し上げます。  複合支援を進めるために区の保健福祉部各課が参加して開催いたします複合支援推進会議につきましては、令和5年8月末までの数字になりますけれど、4区合計で85回の実施になります。また、この会議で検討したもののほか、会議には諮ってはおりませんけれども、相談を受けて支援調整課と各課が連携をし、相談対応を行ったケースというのがございまして、こちらを合わせますと、合計では333件に上ってございます。  また、支援調整の具体的な取組の内容といったご質問がございました。様々なケースがある中で、例えばということで、生活困窮が世帯に深刻な影響を及ぼす前に、必要な支援につなげることができたという例のご紹介をさせていただきますが、子どもの不登校があるということが確認されたが、生活実態に不明な点が多々あるといったような、どうやら複数の課題を抱えているように思われる世帯について、区の担当職員が察知をし、支援調整課に相談をしたケースというのがございました。これを受けまして、支援調整課が情報収集など調整を行いまして、実際に支援調整会議において、区内の関係しそうな各担当係と情報を共有したところ、世帯員のうち、お1人が、事実上、転出してしまっていまして、それにより世帯が生活困窮に陥ってしまっていたということが明らかになったケースがございました。  これは、これまで、各係ごとの通常の対応だけでは把握が難しかったり、あるいは、把握に時間がかかったりするケースかと思われます。会議において、情報を突き合わせて、世帯に何が起きているのか、組織的に検討したことで課題が早期に浮き彫りになったものでございます。このような取組、業務を行っております。 ◆うるしはら直子 委員  改めて、支援調整課が多くの複合支援が必要なケースに対応しているということが分かりました。今のお話を伺って、この複合的な課題を抱えている世帯が333件と本当に多いことを実感したところですし、また、その市民の方も、自ら全ての事情を伝えられなかったり、あるいは、どう支援を求めてよいのか分からない、あるいは、気づいていないという部分もあるのかということも感じました。区の担当の方が気づき、支援調整課に伝え、そして、会議での共有で支援につなげたこと、これはもう大きな意味がある、この支援課の設置されたことに意味があると思っています。  こうしたそれぞれに対象者も多岐にわたる複合ケースにおきましては、部局をまたぐような制度上の問題などもあり、区役所内での共有のみでは、当然、解消し切れない課題があったのではないかと推察されます。また、そうした場合は、各区と保健福祉局との連携が必要な場合もあったことと思います。  これまで、我が会派の質疑の中でも、この保健福祉局総務部に設置されました支援調整統括担当係の役割について伺った際にも、会議等には統括担当の係長も関わっていくこと、また、今後、その体制の一連の検証や見直しについては、支援調整統括担当が主体となって担い、区と情報共有しながら進めていくということを確認させていただいております。  そこで、質問ですが、現在、保健福祉局と支援調整課が設置されている4区との連携はどのように図られているのか、伺います。 ◎加藤 総務部長  保健福祉局と支援調整課設置区間の連携についてのご質問にお答えいたします。  保健福祉局におきましては、支援調整課設置のモデル4区からの問合せや相談には日常的に対応をさせていただいておりますほか、各区で実施いたします支援調整会議にも、必要に応じてこちらの職員が参加をするということもしてございます。  また、支援調整課の設置、この複合支援の取組が今モデル区ということで試行実施中でありますことから、設置区の取組について、よく把握をし、状況を共有しながら、今後の全市展開を踏まえた効果的な支援の在り方や、関係する相談機関との連携体制の構築など、課題に対して、4区と会議で対応協議を常時行ってございまして、日頃から連携をさせていただいているところです。 ◆うるしはら直子 委員  保健福祉局と支援調整課の設置された4区との様々な共有ですとか、連携がしっかり図られていることについては理解をいたしました。今後も、この複合支援が必要なケースは増加することが見込まれております。ますます支援調整課の取組の必要性、また、重要性が増していくものと考えます。  そこで、この質問の最後ですが、札幌市として支援調整課が設置されたことの効果をどのように考えているのか、伺います。 ◎加藤 総務部長  支援調整課設置の効果についてお答えいたします。  複合的な福祉課題を抱えられた世帯に対する支援におきましては、関係各課の調整ですとか、進捗管理を主体的に行う部署があることがより効果的な支援に結びつくというふうに考えてございまして、そのために支援調整課を設置し、協働による支援ですとか、組織的な支援体制の構築を目指してきているところでございます。  支援調整課の設置によりまして、複合支援が必要なケースの情報集約、課題の把握、複合支援推進会議を通じました支援方針の検討、役割分担、ケースの進捗管理などが一元的に実施されることで、職員が協働した支援の実施や、組織的な対応も構築されつつあると感じてございます。  また、設置区の各職員に支援調整課の役割が認識されることで、気になるケースにつきまして、支援調整課に相談することが徐々に浸透しつつあり、そのことが状況が悪化する前の予防的な対応を行うことにもつながってきているというふうに感じております。  今後も、複合支援推進会議を活用いたしました取組を推進し、複合的な福祉課題等を抱える世帯が支援から漏れることがないように努めてまいりたいと考えております。 ◆うるしはら直子 委員  この支援調整課の取組の効果が多いことについては理解いたしました。この複合的な福祉課題を抱えた世帯や、また、制度の隙間、はざまにある世帯に対する支援は、今後ますます需要が高まってまいりますが、一方で、区の保健福祉部の職員は、既存の業務への対応で、非常に余裕のない状況の中で対応されているとも聞いております。複合支援が必要なケースに対して組織的に対応するためには、支援調整課に職員をしっかりと配置して、複合支援推進会議をさらに充実させながら対応する仕組みが必要であると考えます。  保健福祉局としても、今後の全市展開に向けて検討を重ねていることを承知しております。この質問の最後に要望を申し上げて、次の質問に移りたいと思いますが、この福祉課題は、非常に複雑なものが多くありまして、その傾向や対策により多くの具体的な事例や複合的課題に対する多くの経験、これを蓄積することも必要ですけれども、現在の状況からも、実践において、より早期に複合課題を発見し、効果的な対応・対策を図ることが重要と感じています。そのためには、いち早い全市への展開が必要と考えます。ぜひ、全市展開をしていただいて、この間の検証などの結果を生かしながら推進していって、また、実現していっていただきたいとお願い申し上げます。  もう一点、要望ですけれども、職員間で部局をまたいだ情報ですとか、また、世帯や親族の情報といった情報が庁舎内で安全かつ迅速に共有できるシステム、ICTを使ったこうしたシステムの導入についても検討していただくことを求めまして、次の質問に移りたいと思います。  次に、ケアラー支援について伺います。  さきの質問でも触れましたとおり、少子高齢化や核家族化の進展により、家族介護を取り巻く課題も多様化しております。また、介護に限らず、看護や、また、養育、身の回りの世話などを日常的に行うケアラーに対する課題ということも、社会課題となっております。  厚労省の2022年の調査によりますと、5世帯に1人はケアラーがいることが分かっており、また、ヤングケアラーを含むケアラーが抱える問題は、複合的な福祉課題の中でも多くの事例にまたがるということも分かっています。今後ますます、1人の家族介護者、ケアラーにかかる負担は増加することが見込まれており、この196万人の人口を有する本市にとっても重要な課題であると考えます。  こうした中、北海道では、北海道ケアラー支援条例が制定されまして、また、2023年、今年の3月に策定されました北海道ケアラー支援推進計画では、ケアラー支援に関する基本的な考え方が示されるとともに、また、市町村においても、地域の実情に応じた相談支援体制を構築していくことが求められております。  そこで、伺いますが、札幌市において、北海道の計画に基づく対応をどのように行っていくのか、伺います。 ◎加藤 総務部長  ケアラー支援に関してのご質問にお答え申し上げます。  北海道ケアラー支援推進計画に基づく札幌市の対応についてということでございますが、北海道の同計画におきましては、市町村が取り組むべきこととして、相談支援体制の構築、分野横断的な連携・協議体制の整備、交流拠点の整備、活用可能な社会資源の周知などが示されておりまして、札幌市でもこうした取組の方向性に沿った対応を進めているところでございます。  あわせて、北海道からは、市町村が策定する計画などにケアラー支援について盛り込み、明文化するよう求められているところでございまして、現在、私どもで改定作業中の高齢福祉や障がい福祉などの関連諸計画において、整理を進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆うるしはら直子 委員  これまで、このケアラーというものに対する考え方よりも、介護を受ける側の人の目線に立った、そこに重きを置かれたことがいろいろな計画の中でも策定されたりしてきましたけれども、今回、北海道からの計画に基づきまして、このケアラーといった目線での取組が示されたことで、それらに沿った対応を札幌市も進めていくということで、一歩前進したことかなと思います。しかしながら、現在、このケアラーの介護離職ですとか、あるいは、孤独・孤立が増え、介護鬱、介護ストレス、介護疲れといったことが社会課題ともなっています。また、こうした状況が、全国的には、介護自殺ですとか、介護心中にもつながってしまっているという現状もあります。  今、答弁では、北海道から新たな計画の下で、市町村の計画等に、様々、ケアラーのことが明文化、記載を求められているということであります。我が会派としても、これまでも、このケアラーの支援に関しましては、実態の調査をしっかりとした上で、様々な計画に対して、ケアラーへの支援について明文化をしたり、また、周知をしていくことなどを求めてまいりました。  今現在、本市の中で改定作業中である関連計画というのが、保健福祉局の中では3点あるということを承知しておりますが、ただケアラーといった言葉を明文化するだけでは、こうした課題を解決していくことにはならないと考えます。  そこで、質問ですが、札幌市では、高齢者福祉や障がい者福祉に係る計画での整理を予定しているということでありますが、どのような考え方で取り組んでいくのか、伺います。 ◎加藤 総務部長  札幌市の関連計画におけるケアラー支援の考え方についてのご質問にお答えいたします。  ケアラーとその家族の方の置かれている状況というのは様々でございまして、委員のお話にもありましたとおり、支援に当たっては、家族全体が支援を必要としていると、そういう理解の下、関係機関が連携をして、各分野の支援策を組み合わせながら対応することが必要だというふうに考えてございます。このため、まずは、札幌市としてこうした支援の在り方や姿勢を改めて共有し、既存のネットワークや資源も生かしながら、これまで以上に、家族介護者も支援の対象であり、悩みや負担を抱えているかもしれないという視点に立って相談支援を行うことが求められているものと認識しております。  今後、高齢福祉あるいは障がい福祉などの各分野における家族介護者支援の充実に加えまして、それらの分野横断的な連携体制の構築に取り組むことができるよう、各計画にケアラー支援の共通理念を盛り込むことといたしまして、現在、策定作業を進めております。 ◆うるしはら直子 委員  ケアラー、家族介護者等に対する支援の充実をしていくことに加えまして、今後は、改定の計画の中に共通理念を盛り込むとのことでした。  これまで、このケアラーへの視点はどの計画の中でもほんの一部だけ明記されていたことに鑑みますと大きな前進と言え、また、その姿勢は一定評価をいたします。しかしながら、ケアラーは、保健福祉局が管轄する福祉の分野のみならず、ヤングケアラーをはじめ、子どもの貧困や若年の女性が抱える諸問題ですとか、そのほか、場合によっては犯罪につながるケースもあり、最近では若者ケアラーのほか、40代の働きながら介護をするビジネスケアラーの就労と生活の両立も新たな課題となっています。  そうしたことからも、今後、保健福祉局の中にある計画のみならず、部局をまたいで介護に関連する全ての計画に、このケアラーといった理念、位置づけをするということで共有していくことが大変必要だと考えます。  最後に要望です。  この間、本市のヤングケアラーに関しては、子ども未来局が窓口に、教育委員会とも連携してきたところですけれども、今後ますます、このケアラー全体を取り巻く諸課題が顕在してくることが想定されるに当たり、本市においては、保健福祉局が中心となって、新たに分野横断的なプロジェクトなど、検討会議を立ち上げて、ケアラー課題全体に対応することを検討するよう求めます。  また、北海道はケアラー支援条例を定めておりますけれども、この広い北海道の中で特に複雑な福祉課題が集積する本市においては、家族構成ですとか、また、抱える複合課題、また、市民に周知をしていく内容というものにも様々違いがあると思います。独自の施策や、また、対策を考えるといった意味でも、ただいま申し上げました分野横断的な会議などの検討の場所を設置するとともに、今後は、ケアラー支援条例の下でしっかり取り組むといったことも検討するべきではないかと考えます。ぜひ、併せて議論を進めていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ◆好井七海 委員  私からは、福祉除雪についてと札幌市福祉のまちづくり条例施行規則の一部改正についての2項目質問させていただきます。  まず、福祉除雪についてですが、この事業は、高齢者世帯や障がいのある方の世帯の方が通院や買物などの外出時に支障となる、道路に面した出入口部分と玄関先までの通路部分の雪をボランティアである地域協力員が除雪支援をする事業であります。また、地域の方との交流や、場合によっては、見守りや支え合いの観点からも重要な施策であると思っています。  また、今年4月に実施しました令和4年度の福祉除雪事業のアンケート結果では、利用者と除雪の担い手となる協力員のどちらの方々も、9割以上と多くの方が利用して、また、協力してよかったと回答するなど、利用者も協力者も共に満足度が非常に高い事業であります。  一方で、除雪事業という性質上、天候の影響を大きく受ける事業で、特に令和4年度は、その前年度の災害的な大雪の影響によりまして、利用世帯数が5,400世帯から6,159世帯へと約800世帯近く急増することとなりました。それに対して、協力員数は3,436名から3,584名と約150名の増加にとどまり、1人で何世帯も抱えている協力員も存在し、結果として、利用世帯と協力員のマッチングができなかった事例が全市で6件発生したと聞いております。  そこで、質問ですが、このような状況を受けて、協力員の確保に向けて、今年度どのような取組を考えているのか、お伺いいたします。 ◎東館 地域生活支援担当部長  福祉除雪の協力員の確保に向けた取組についてお答えいたします。  福祉除雪の利用世帯数は、平成26年度に5,000世帯を超えて以降、5,200から5,300世帯前後で推移してきましたが、令和3年度に初めて5,400世帯に達し、令和4年度は委員からもお話がございましたように、前年度の大雪の影響もありまして、一気に6,000世帯を超えたという状況でございます。  今年度の利用申込み状況も昨年度とほぼ同程度となってございまして、事業の円滑な実施に向け、協力員の担い手確保が喫緊の課題でありますことから、今年度は、協力員募集のための広報の強化等に取り組んでおります。  具体的には、昨年度実施しました協力員募集のチラシの新聞折り込みや、業界団体等を通じた関係企業への呼びかけなどに加えまして、新たに宅配フリーペーパーを活用したPRや、学生向け募集チラシを作成し、公立中学の全生徒に配付したほか、スマートフォンからも手軽に応募できるよう、募集チラシ等にQRコードを掲載するといった工夫も行っているところでございます。  また、広報以外にも、協力企業や団体からアンケートでいただいたご意見を踏まえまして、感謝状の贈呈や、担当協力員の都合がつかないときに他の協力員に一時的に代行してもらう仕組みを試行的に導入するなど、協力員の確保に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。 ◆好井七海 委員  様々と新たな取組に着手していることが分かりました。協力員が大事な鍵を握っている事業でありますので、この取組によりまして、十分な協力員が確保されることを期待しております。  一方で、平成15年度の本格実施時点では3,510世帯だった利用世帯が昨年度は6,159世帯まで拡大するなど、一昨年の大雪の影響もあったと思われますが、制度開始以降は利用者が増え続けている状況で、今後も、高齢化が進み、福祉除雪による除雪支援を必要とする市民がさらに増えることは明らかであります。  本事業は、地域の見守りやボランティア意識の醸成なども目的としておりますし、今後も、福祉除雪事業を持続可能な制度として継続していく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、事業開始から約20年間変わっていない制度の検証や見直しの必要性について、認識をお伺いいたします。 ◎東館 地域生活支援担当部長  福祉除雪の制度の検証や見直しの必要性についてのご質問でございます。  福祉除雪は、本格実施された平成15年度当初に比べまして、利用世帯数が2倍近くに増えまして、今後も、高齢化の進行等に伴ってさらなる増加が見込まれる中、協力員の担い手確保に加えまして、事業主体である札幌市社会福祉協議会の事務負担増や、事業費の補助を行う札幌市の財政的な負担といった各種の課題に直面しております。  また、福祉除雪では、道路除雪によって住宅の出入口前にかき分けられ、寄せられた雪を取り除く作業を行っておりますが、本市では、出入口前に寄せられる雪を少なくする生活道路の除雪方法につきまして、試行を行いながら検討を進めており、福祉除雪の作業への影響も考えられるところでございます。  こうしたことを踏まえまして、福祉除雪を将来的にも持続可能な制度としていくために、例えば協力員の確保に、より効果的な方策はないか、また、利用対象世帯の要件は今のままでよいかなどといった多様な視点から検証し、必要な部分があれば見直しも検討したいと考えてございます。  そのため、今年度の取組成果や、協力員、利用世帯へのアンケート調査による声を踏まえ、また、外部の有識者の意見も伺いながら、令和6年度中を目途に検証作業を進めてまいりたい、そのように考えてございます。 ◆好井七海 委員  私も、実際に、長年、協力員をされている方や福祉除雪にお世話になっている方、こういう方に声を聞いてまいりました。私が見てきた地域は、高齢の元気な方が高齢の足腰の不自由な方のお宅を除雪している地域でありましたが、そこでは地域の見守りはもちろんのこと、除雪が入らない、ぱらっとしか雪が降らない日でも除雪をしに行ったり、また、夕飯のおかずを持っていったりと地域の交流を深めておりました。  ご意見としましては、20年協力員をやってきたが、ほんの気持ちでもいいので活動費を上げてほしい、そして、妊婦の方や、小さな子どもがいて急にご主人が出張に行かれた方などへの除雪もできると、秋元市長の言う、子どもを産み育てやすいまちになるよとの声がありました。  この事業をもっとよい事業にしていかれることと、協力員の方がもっと気軽に皆で支え合いながら協力できる福祉除雪事業にしていかれることを求めまして、次の質問に移ります。  次に、札幌市福祉のまちづくり条例施行規則の一部改正について、3点質問いたします。  札幌市では、平成10年に札幌市福祉のまちづくり条例を定め、全ての市民が、安心して快適に暮らし、自らの意思で自由に行動し、あらゆる社会活動に参加できるよう、札幌市内の建物などのバリアフリー化を推進してまいりました。同条例では、病院や百貨店、ホテルなど、多数の人が利用する公共的施設の構造や設備などについて、施設の規模にかかわらず、障がいのある方などに配慮した整備基準の遵守義務を課しており、具体的な内容は施行規則で定めているところであります。  一方で、国におきましては、平成18年にバリアフリー法を制定、施行し、不特定多数の人が利用し、また、主として高齢者、障がい者などが利用する建築物で、2,000平方メートル以上のものについては、同法施行令で規定する整備基準への適合義務を課す一方、2,000平方メートル未満については努力義務にとどめています。  札幌市は、国と比較して、より障がいのある方などに配慮した整備基準ではありますが、比較的小規模な施設に当てはめた場合、物理的制約や費用面において、建築主等にとって過度な負担と捉えられ、バリアフリー化が進まない要因の一つとなっています。  そこで、質問ですが、札幌市福祉のまちづくり条例施行規則を一部改正する趣旨と主立った改正内容についてお伺いいたします。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  福祉のまちづくり条例施行規則を一部改正する趣旨と主な改正内容についてお答えをいたします。  障がいのある方や高齢者が住む身近な地域において日常生活を支えている小規模な施設のバリアフリー化を推進していくことは、共生社会の実現に向け重要なことと認識をしております。このため、これまで、床面積500平方メートル未満の小規模施設の整備基準につきまして、例えば、廊下幅について140センチ以上を求めていたものについて、車椅子が最低限通行できる90センチ以上に緩和をしまして、施設の規模に見合った基準内容に改めることとしたものでございます。  また、令和3年に障害者差別解消法が改正をされ、来年の4月から、民間事業者への障がいのある方への合理的配慮の提供、これがこれまでの努力義務から法的義務となります。今回の整備基準の緩和と民間事業者の合理的配慮の提供を併せて周知していく中で、小規模施設のバリアフリー化を働きかけてまいりたいと考えております。 ◆好井七海 委員  施行規則の一部改正によって、小規模な施設のバリアフリー化がされていくことを期待しております。  本来は、あらゆる施設で障がいのある方などが余裕を持って快適に利用できるようにすることが理想かと思いますが、規制緩和するなど、それに固執することによってかえってバリアフリー化を妨げることは避けなければならないと考えます。一方で、対象となる障がいのある方などがどのように感じられているのか、バリアフリー化の後退と捉えられるのではないかとも危惧しております。  そこで、2点目の質問ですが、施行規則の改正に対して、障がい当事者はどのように理解されているのか、お伺いいたします。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  施行規則の改正に対する障がい当事者の方の理解についてお答えいたします。  改正に当たりましては、附属機関であります札幌市福祉のまちづくり推進会議に部会を設置いたしまして、障がい当事者などの委員も参加し、議論を進めてきたところであります。  議論などの中で、今回の整備基準の緩和が実態に即し、札幌のまちのバリアフリー化をより進めていく契機になると評価いただいているところであり、今後実施するパブリックコメントにおきましても、改正趣旨を丁寧に伝えていきたいと考えております。 ◆好井七海 委員  施行規則の一部改正について、障がいの当事者にとっておおむね好意的に認識していることが分かりました。  2,000平方メートル未満の飲食店や医療施設のバリアフリー改修費用の一部を補助する札幌市の補助事業も用意されております。こうした制度も使いながら、スペースや予算が限られた中でも事業者などがバリアフリー改修に踏み出す契機としていただければと思います。あわせて、改正障害者差別解消法が施行されることから、施行規則の改正を通じて、事業者による障がいのある方への合理的配慮の提供の考え方を広めることにも役立ててほしいと考えます。  ところで、施行規則改正に当たっては、建築士など様々な方からのご意見を伺ったと聞いておりますが、特に事業者の行動変容を促すよう、多くの方に知っていただく必要があると思います。  そこで、最後の質問ですが、改正した施行規則をどのように周知されるのか、お伺いいたします。 ◎成澤 障がい保健福祉部長  改正後の施行規則の周知についてお答えをいたします。  改正後の規則は、本年12月に公布をしまして、来年7月の施行を予定しております。このため、来年3月には施設整備マニュアルを改定いたしまして、今回改正した整備基準の解説や図解なども掲載して内容を充実させ、ホームページで公開するとともに、障がい当事者や、建物の所有、使用をする事業者はもとより、建築士、建築設計事務所など、業界団体に広く周知をしていきたいと考えております。  また、民間公共施設に対するバリアフリー補助事業との相乗効果を高めまして、まちのバリアフリー化を加速化させてまいりたいと考えております。 ◆好井七海 委員  我が会派としましても、共生社会の実現には常日頃から議会議論をさせていただいており、札幌市も共生社会の実現に向けた取組を進めていることは承知しております。  札幌市福祉のまちづくり条例は、障がいのある方などが自身の持てる能力を生かしながら住み慣れた地域で安心して暮らすことができる社会を構築するために必要なルールを定めたものであります。周知に当たっては、単なる基準の変更ではなく、この規則改正が共生社会の実現につながっていく、すなわち、バリアフリーの意義についての理解も併せて深めていくことを要望しまして、私の質問を終わります。
    ○丸山秀樹 委員長  以上で、第1項 社会福祉費等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、10月12日木曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後4時1分...