この
法定雇用率は、令和6年、2024年4月に2.5%、26年7月からは2.7%と段階的に引き上げられることが予定されており、障がい者雇用のニーズは、今後さらに高まっていくことが見込まれます。
このため、障がいのある方の一般就労に向けての支援や、就職後も安心して長く働き続けられるよう、就業面と生活面を一体的に支援する就業・
生活相談支援事業所、
通称ナカポツの果たす役割は今後ますます大きくなっていくものと考えます。
一方で、就職を希望する方の障がいの重さですとか、また特性等は多様であり、そのニーズに的確に対応し、寄り添った支援を行うためには、就業・
生活相談支援事業所の
体制強化が必要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、就業・
生活相談支援事業所の
体制強化として、まず、これまでにどのような取組を行い、また、今後どのような取組を行っていくお考えか、伺います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 障がいのある方の就業・
生活相談支援事業所の
体制強化についてお答えいたします。
これまで、支援員の増員や
職場定着支援を専門的に行う
ジョブサポーターを市内4か所の事業所に各2名ずつ配置をして、体制の強化を行ってきたところでございます。
今後は、委員がご指摘のとおり、
障害者法定雇用率の引上げが予定されておりますので、障がいのある方からの
就職相談、企業からの障がい
者雇用相談に関する相談などがこれまで以上に増えてくることが想定されております。
このため、
相談件数などにも注視しながら、各事業所とこれまで以上に連携を密にし、支援員の配置や委託料など、障がいのある方の
就業生活支援に必要となる体制を継続的に検討していくとともに、
ハローワークや
北海道障害者職業センターといった
関係機関との連携をより一層密にして進めてまいりたいと考えております。
◆うるしはら直子 委員 就業・
生活相談支援事業所の支援員の増員など様々な取組を実施してきたということで、今後の
法定雇用率の引上げを見据えてさらに取り組むとのことでした。
障がいのある方がご本人の持つ能力を発揮して、また、適性に応じて働くことができるよう、相談、そして支援をしていくためには、今後も支援員や
ジョブサポーターの増員を検討することは大変重要だと思います。
また、
関係機関との連携強化も必要不可欠でありますので、ナカポツの体制、機能の強化とともに、しっかりと進めていただきたいと思います。
さて、障がい者雇用を取り巻く環境は年々変化をしておりまして、制度の複雑化ですとか多様化が進む中、障がいのある方々の相談により的確に対応していくためには、
相談支援の質の向上も重要だと考えます。
相談員が様々な研修を受講したり、また実務経験を積み重ねることも必要なんですけれども、陳情者のお話にあったとおり、
満足度調査などを行い、また、利用者の声を真摯に受け止め、必要な改善をしていくことも必要ではないかと思います。
そこで、質問ですが、
満足度調査の実施についてどのようにお考えか、伺います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 満足度調査についてお答えいたします。
相談者の障がい程度や状況などは様々であり、
相談内容によりましては、事業所としてできる限りの支援を行っても、企業側のニーズに合わなかったり、希望に沿うことができないこともあり、この場合は、相談者は不満を感じて満足度が低くなると考えております。
一方で、希望はかなえられなくても、支援者が親身になって寄り添い、対応してくれたことで、満足度が上がる場合もあると考えております。
このため、利用者の満足度が高い、低いをもって
相談支援の質を判断することは難しいと考えておりますが、利用者の声を聞き、その方への
支援方法などを改善していくことは大事だと考えておりますので、事業者とともに、利用者の
利用満足度を高める手法などについては検討を進めていきたいと考えております。
◆うるしはら直子 委員
満足度調査についての考えは理解いたしました。
この雇用と就業は、障がいのある方が自立し、社会参加するためにも重要な柱だと思います。障がい者雇用については、まだまだ
一般雇用よりも仕事の内容や働ける企業が限られており、希望する時間やエリアで働けない、あるいは、
キャリアアップが難しいなどといったケースもあると思います。
ただいまのご答弁に寄り添うことが大切といった言葉がありました。今後、障がいのある方が能力を最大限発揮し、適性に応じて働くことができるよう、
満足度調査の実施、また、その手法をはじめ、様々な観点から、より利用者に寄り添った
相談支援の充実について検討していただきたいことを申し上げまして、私の質問を終わります。
◆
長屋いずみ 委員 私からも、陳情に関わり4点質問をさせていただきます。
障がい
者生活相談支援事業について、まず質問をさせていただきます。
昨年度までは市内20か所の事業所で対応していましたが、1か所、閉所されたとお聞きしました。
相談件数の推移を見ますと、2018年以降、10万件を超え、昨年は15万5,000件です。
相談件数が増えている中での事業所の閉所です。ほかの事業所へのしわ寄せはないのかとも危惧しました。
質問いたしますが、閉所の理由は把握されておられるのか、また、各事業所の状況をどのように把握されていたのか、お伺いいたします。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 障がい
者相談支援事業所の
閉鎖理由と各事業所の
状況把握についてお答えいたします。
まず、
閉鎖理由としましては、昨年度、手稲区にある
相談支援事業所の
運営法人から、相談員の急な退職によりまして、
職員募集を行ったが、応募がなく、また、法人内部の配置換えなども難しいとの報告を受けまして、札幌市で、やむなく委託契約の終了を決定したところでございます。
なお、この閉鎖によりまして利用されている方々に影響が出ないように、手稲区内にある別の法人が運営いたします
相談支援事業所の相談員を増員いたしまして、障がいのある方に対する支援を継続しているところでございます。
次に、
相談支援事業所の
状況把握についてですが、毎月、各事業所から
相談件数や
職員配置などの報告を受けているほか、会議を定期的に行いまして、相談員から直接、最近の
相談支援内容などの報告を受け、確認をしており、今後も引き続き各事業所の支援など
運営状況の把握に努めてまいりたいと考えております。
◆
長屋いずみ 委員 障がいは、障がい種別や程度、症状によって一人一人様々です。また、周囲の環境や体調によっても
相談内容が異なると思います。さらに、ご本人なのか、あるいはご家族から、こういったことによっても対応が異なると思います。
相談件数の増加も顕著で、昨年度の1か所当たりの
相談件数は7,750件にもなっておりましたから、電話に出ることができないこともあったのではないかと感じましたし、改善も必要だと思います。
次に、障がい者雇用について伺います。
本市は、
元気スキルアップ事業などで就業・
雇用支援や相談を委託で行っております。事業の内容と対応、事業所の
状況把握はどのようにされているのか、お伺いいたします。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 元気スキルアップ事業のほかにもう一つ、就業・
生活相談支援事業というものがございますので、この二つの
事業内容とそれぞれの事業の
状況把握についてお答えさせていただきます。
まず、
元気スキルアップ事業は、平成23年度から
キャリアバンクに委託をしまして、障がいのある方や企業を対象とした
各種セミナーの開催や、職場開拓、職場実習、職業紹介などを実施しておりまして、現在、
登録者数は約400名おります。昨年度は、このうち21名が就職に結びついているところです。
次に、就業・
生活相談支援事業については、これも同じく平成23年度から、
ハローワークの管轄区域に合わせまして、
NPO法人などに委託し、市内4か所に順次設置をしてきております。
関係機関と連携しながら、障がいのある方の就業と
生活全般の
相談支援を行うとともに、支援員が直接職場を訪問いたしまして、本人と職場の双方へ、定着に向けた支援を実施しております。
現在の
登録者数は、4か所合計で1,500名ほどおりまして、昨年度は124人が就職に結びついたところであります。
両事業共に直接相談者の現況や就職に向けた不安、課題などをお聞きした上で、その方に合った支援の方向性を一緒に考える対応を行っております。本人の要望に応じまして、履歴書などの作成や面接の練習、企業への面接時のご同行なども行っている状況にございます。
次に、各事業所の
状況把握についてですが、毎月、各事業所から
実施内容の報告を受けているほか、会議を定期的に行いまして、支援員から直接、最近の
相談支援内容などの報告を受けて確認をしておりまして、今後も引き続き、各事業所での支援など、
運営状況の把握に努めていきたいと考えております。
◆
長屋いずみ 委員 ご本人と職場の双方にということでした。何よりも、ご本人のご希望に寄り添いながら、障がい者特性に応じた対応も必要です。ご本人から電話ができないといったこともあると思います。そうした場合の配慮も必要ですし、相談者との
信頼関係は最も重要だと考えました。
次に、障がい者雇用についての言及もございましたので、お伺いいたします。
本市において、障がい者の採用、雇用をどのように取り組んでいるのか、また、同様に、
民間事業者の
働きかけなどを行っている場合、その内容について伺います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 札幌市における障がいのある方の
職員採用の取組と、
民間企業に対する障がい者雇用の
働きかけに関してお答えをいたします。
まず、札幌市の
職員採用に関しましては、平成15年度から身体に障がいのある方を対象に試験を行っておりまして、平成30年度からは、知的障がい、精神障がいのある方にも受験資格を拡大しております。
また、令和2年度からは、障がいの状況に応じた多様な業務や勤務時間に対応できるように、
会計年度任用職員として、区役所を中心に任用を開始してきております。
現在、市長部局では、身体障がいのある方が134名、知的障がいのある方が6名、精神障がいのある方が42名、合計182名が勤務をしておりまして、
法定雇用率を達成している状況にあります。
今後は、他都市の事例も参考にしながら、障がいの程度や特性に応じて、その方が持つ能力を発揮できる環境の整備など、さらなる雇用の拡大に向けて努めてまいりたいと考えております。
次に、
民間企業に対する障がい者雇用の
働きかけにつきましては、
企業向けセミナーや障がいのある方の就業体験の
受入れ要請、
北海道中小企業家同友会とも連携しまして、障がい者雇用を通じた
企業づくりを考えるフォーラムを開催するなど、様々な取組を展開しているところであります。
今後も、こうした取組によりまして、
民間企業における障がい者雇用への理解と雇用の場が広がっていくよう継続的に
働きかけていきたいと考えております。
◆
長屋いずみ 委員 本市の
法定雇用率は達成したということですが、全ての事業所、事業主に任用する割合が義務づけられております。誰もがその能力と適性に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるよう、さらなる本市の努力が求められていると思います。
最後に、当事者の意見や要望を聞く場についてお伺いいたします。
当事者の意見を施策に生かすことが重要と考えますが、どのようにお考えか、伺います。
◎成澤 障がい
保健福祉部長 当事者の意見を施策に生かすことについてお答えいたします。
障がい当事者やそのご家族などのご意見を札幌市の障がい者政策に生かしていくことは重要であると認識しております。
そのため、現在進めております今後6年間の施策の
方向性等をまとめるさっぽろ障がい
者プラン2024の検討過程におきましても、当事者やご家族等への
アンケート調査や、
関係団体からヒアリングを行いまして、また、プランを審議する検討会の委員としても参画をいただきまして、
生活実態や取り巻く環境、切実なご要望などをお聞きしながら、検討を進めているところであります。
また、定期的に
当事者団体から意見や要望を受け、
意見交換をする場も設けておりまして、今後も引き続き、当事者の声に耳を傾け、障がい者施策を進めてまいりたいと考えております。
◆
長屋いずみ 委員
プラン策定時や、定期的に
意見交換の場を設けているということでした。
日常的な話合いの場が欲しいと、ある団体の会長さんからも私は意見をいただいておりました。当事者の意見が反映できる、反映される仕組みをさらに強化して、本市の施策に反映させることが重要だと申し述べて、質疑を終わります。
○佐藤綾 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○佐藤綾 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
ここで、陳情第6号の取扱いについてお諮りいたします。
取扱いは、いかがいたしますか。
(「継続」と呼ぶ者あり)
○佐藤綾 委員長 それでは、陳情第6号を
継続審査とすることにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○佐藤綾 委員長 異議なしと認め、陳情第6号は、
継続審査とすることと決定いたしました。
ここで、
理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時56分
再 開 午後1時57分
――――――――――――――
○佐藤綾 委員長 委員会を再開いたします。
次に、陳情第9号
医療機関に於ける、薬の処方と検査の必要性の
評価機関の設置の陳情を議題といたします。
陳情第9号は、本日が初審査ですので、提出者から
趣旨説明を受けるため、委員会を暫時休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後1時58分
再 開 午後2時5分
――――――――――――――
○佐藤綾 委員長 委員会を再開いたします。
それでは、質疑を行います。
◆
長屋いずみ 委員 私から、ただいまの陳情第9号に関わって2点質問いたします。
医療機関における薬の処方と検査の必要性の
評価機関の設置の陳情です。
誰もが適切な医療を受けられることは重要です。しかしながら、ある医師の判断に基づいて行われた処方や検査について、専門的な知識を有する医師でなければ評価、検証できないものと考えられますから、評価や検証のために多くの医師を必要とする
第三者機関の設置は現実的ではないと考えます。
そこで、現行の制度で確認したいと思います。
質問いたしますが、患者が
医療機関で
保険診療を受けた際の医療費について、同一
医療機関から誤って二重に薬が処方されたりした場合、国保ではそれを点検する方法があるのか、ある場合はどのように運用しているのか、伺います。
◎毛利
保険医療部長 医療機関からの誤った請求などを点検する方法についてのお尋ねかと思います。
私
ども保険者は、法令の規定によりまして、
医療機関から提出されます
診療報酬明細書、
レセプトでございますが、こちらを国の基準に基づいて審査することとされております。
札幌市の
国民健康保険におきましては、全ての
レセプト、昨年度は562万件ほどございましたが、この全ての
レセプトを一件一件確認しておりますほか、抽出点検とはなりますが、同一人について前の月以前の
レセプトを突合する、
レセプトを時系列に縦に並べて見ていく、縦覧点検というふうに言っておりますが、こういった点検であったり、同じ月にほかの
医療機関でかかった分の
レセプトを突合する、これは横に並べて見るイメージで
横覧点検というふうに言っておりますが、こういった複合的な審査を行って医療費の適正化に努めているところでございます。
なお、この
審査業務につきましては、高い専門性を要するものでありますことから、
北海道国民健康保険団体連合会に依頼をして実施をしているところでございます。
◆
長屋いずみ 委員 562万件、国の基準に基づいて縦覧・
横覧点検をしているということでした。
次に、
生活保護における
医療扶助適正化の
取組状況についてです。
生活保護の
医療扶助費は、
生活保護費の約半分を占め、2022年度決算では約629億円です。ここ数年は横ばいで推移しているとのことではありますが、今後は、
生活保護の利用者の高齢化も進むため、
医療扶助費のさらなる増加も見込まれます。
生活保護の利用者には、何らかの疾病を抱えている方も多く、
医療機関を受診しやすい環境にあるべきことは言うまでもありませんが、適切な
医療行為を受けてもらう観点から、
医療扶助の内容が適正かどうかチェックし、必要に応じて是正、改善していくことも重要だと考えます。
そこで、質問ですが、
生活保護における
医療扶助適正化について、これまでどのように取り組まれてこられたのか、取り組んでおられるのかを伺って、終わります。
◎東館
地域生活支援担当部長 生活保護の
医療扶助適正化の取組についてのご質問でございますが、
医療扶助の適正化に向けましては、札幌市では様々な取組を進めているところでございます。
まず、
医療機関から提出された
レセプトにつきましては、
社会保険診療報酬支払基金における
保険診療ルールに沿った審査や、
区保護課職員による
保護受給中の請求であることに間違いはないかといった観点での点検、そのほか、専門業者へ委託しまして、
診療報酬の内容等に関する詳細な点検も実施しているところでございます。
さらに、
過剰診療を抑制する観点から、国の通知等に基づきまして、複数の
医療機関から同じ薬効の医薬品が処方されている場合ですとか、あるいは、同じ疾病で頻回受診をしている場合、これは具体的に申しますと、3か月に40日以上の受診をしている場合が該当いたしますが、今申し上げたような場合などにつきましては、主治医等も交えてその必要性を検討し、適正ではない服薬や受診につきましては、担当のケースワーカーから個別の指導を行っているところでございます。
このほかにも、
医療機関に対する制度の趣旨や取扱いの周知徹底ですとか、
ジェネリック医薬品の使用の原則化を通じまして、
生活保護の
医療扶助の適正化に努めているところでございます。
○佐藤綾 委員長 ほかに質疑はございませんか。