札幌市議会 2023-09-26
令和 5年第 3回定例会−09月26日-02号
議案第21号
北都中学校改修工事請負変更契約締結の件
日程第2 議案第1号 令和4年度札幌市各
会計歳入歳出決算認定の件
議案第2号 令和4年度札幌市
病院事業会計決算認定の件
議案第3号 令和4年度札幌市
中央卸売市場事業会計決算認定の件
議案第4号 令和4年度札幌市
軌道整備事業会計決算認定の件
議案第5号 令和4年度札幌市
高速電車事業会計決算認定の件
議案第6号 令和4年度札幌市
水道事業会計剰余金処分及び決算認定の件
議案第7号 令和4年度札幌市
下水道事業会計剰余金処分及び決算認定の件
議案第8号 令和5年度札幌市
一般会計補正予算(第3号)
議案第9号 令和5年度札幌市
介護保険会計補正予算(第1号)
議案第10号 令和5年度札幌市
公債会計補正予算(第2号)
議案第11号 令和5年度札幌市
病院事業会計補正予算(第1号)
議案第12号 令和5年度札幌市
軌道整備事業会計補正予算(第1号)
議案第13号 札幌市
個人番号利用条例の一部を改正する条例案
議案第14号 札幌市印鑑条例の一部を改正する条例案
議案第15号 札幌市
旅館業法施行条例の一部を改正する条例案
議案第16号
札幌市営住宅条例の一部を改正する条例案
議案第22号 訴えの提起の件(
保証債務履行請求)
議案第23号 訴えの提起の件(
保証債務履行請求)
議案第24号 損害賠償及び和解に関する件
議案第25号 町の区域を変更する件
議案第26号 市道の認定、変更及び廃止の件
議案第27号 令和5年度札幌市
一般会計補正予算(第4号)
議案第28号 札幌市
子ども医療費助成条例の一部を改正する条例案
―
――――――――――――――――――
〇出席議員(67人)
議 長 飯 島 弘 之
副 議 長 しのだ 江里子
議 員 和 田 勝 也
議 員 山 田 一 郎
議 員 山 田 洋 聡
議 員 定 森 光
議 員 篠 原 すみれ
議 員 森 基誉則
議 員 おんむら健太郎
議 員 水 上 美 華
議 員 波 田 大 専
議 員 荒 井 勇 雄
議 員 脇 元 繁 之
議 員 丸 岡 守 幸
議 員 坂元 みちたか
議 員 米 倉 みな子
議 員 小須田 大 拓
議 員 藤 田 稔 人
議 員 三 神 英 彦
議 員 村 山 拓 司
議 員 村 松 叶 啓
議 員 あおい ひろみ
議 員 たけのうち有美
議 員 うるしはら直子
議 員 熊 谷 誠 一
議 員 森 山 由美子
議 員 佐 藤 綾
議 員 長 屋 いずみ
議 員 吉 岡 弘 子
議 員 成 田 祐 樹
議 員 松 井 隆 文
議 員 中 川 賢 一
議 員 川田 ただひさ
議 員 伴 良 隆
議 員 かんの 太 一
議 員 松 原 淳 二
議 員 竹 内 孝 代
議 員 わたなべ 泰行
議 員 前 川 隆 史
議 員 小 口 智 久
議 員 好 井 七 海
議 員 田 中 啓 介
議 員 池 田 由 美
議 員 太 田 秀 子
議 員 小 竹 ともこ
議 員 北 村 光一郎
議 員 こじま ゆ み
議 員 佐々木 みつこ
議 員 よこやま 峰子
議 員 中 村 たけし
議 員 林 清 治
議 員 村 上 ゆうこ
議 員 丸 山 秀 樹
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 小 形 香 織
議 員 山 口 かずさ
議 員 細 川 正 人
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 こんどう 和雄
議 員 高 橋 克 朋
議 員 勝 木 勇 人
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 三 上 洋 右
議 員 ふじわら 広昭
議 員 小 野 正 美
―
――――――――――――――――――
〇欠席議員(1人)
議 員 福 士 勝
―
――――――――――――――――――
〇説明員
市 長 秋 元 克 広
副 市 長 町 田 隆 敏
副 市 長 石 川 敏 也
副 市 長 天 野 周 治
交通事業管理者
交 通 局 長 中 田 雅 幸
水道事業管理者
水 道 局 長 佐々木 康 之
病院事業管理者
病 院 局 長 西 川 秀 司
危機管理監
危機管理局長 櫻 井 英 文
総 務 局 長 山 根 直 樹
デジタル戦略推進局長 浅 村 晋 彦
まちづくり政策局長 小 角 武 嗣
財 政 局 長 笠 松 拓 史
市民文化局長 前 田 真 子
スポーツ局長 梅 田 岳
保健福祉局長 粟 崎 寿 也
子ども未来局長 山 本 健 晴
経済観光局長 一 橋 基
環 境 局 長 菅 原 祐 雄
建 設 局 長 荻 田 葉 一
下水道河川局長 小 泉 正 樹
都 市 局 長 中 村 範 仁
会 計 室 長 野 島 聡
消 防 局 長 村 井 広 樹
教育委員会教育長 檜 田 英 樹
教育委員会委員 道 尻 豊
選挙管理委員会委員長 畑 瀬 幸 二
選挙管理委員会委員 佐々木 肇
選挙管理委員会委員 宮 村 素 子
選挙管理委員会委員 猪 熊 輝 夫
人事委員会委員長 常 本 照 樹
人事委員会事務局長 槙 智 洋
監 査 委 員 藤 江 正 祥
監査事務局長 佐 藤 伸 二
―
――――――――――――――――――
〇事務局出席職員
事 務 局 長 鈴 木 和 弥
事 務 局 次 長 酒 井 欣 洋
総 務 課 長 森 譲
政策調査課長 安 澤 哲
議 事 課 長 岩 岡 吾 一
議 事 係 長 木 村 公 彦
委員会担当係長 村 上 雅 俊
委員会担当係長 中 村 久 弥
書 記 伊 藤 友 介
書 記 上 田 真 士
書 記 酒 井 彰 悠
―
――――――――――――――――――
開 議 午後1時
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) ただいまから、本日の会議を開きます。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) 出席議員数は、67人です。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) 本日の会議録署名議員として北村光一郎議員、松原淳二議員を指名します。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(鈴木和弥) 報告いたします。
福士 勝議員は、所用のため、本日から9月28日までの会議を欠席する旨、届出がございました。
過日、
人事委員会委員長から、職員の給与に関する報告及び勧告の写しが提出されましたので、各議員控室に配付いたしました。
本日の議事日程、議案審査結果報告書、質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第17号から第21号までの5件を一括議題といたします。
委員長報告を求めます。
財政市民委員長 かんの太一議員。
(かんの太一議員登壇)
◆かんの太一議員
財政市民委員会に付託されました工事請負契約の締結等に関する議案第17号から第21号までの5件について、その審査結果をご報告いたします。
質疑・討論はなく、採決を行いましたところ、いずれも全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(飯島弘之) ただいまの委員長報告に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) 質疑がなければ、討論の通告がありませんので、採決に入ります。
議案5件を可決することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) 異議なしと認めます。
したがって、議案5件は、可決されました。
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) 次に、日程第2、議案第1号から第16号まで、第22号から第28号までの23件を一括議題といたします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
三神英彦議員。
(
三神英彦議員登壇・拍手)
◆三神英彦議員 ただいまから、
自由民主党議員会を代表し、本定例会に上程されました令和4年度決算、その他諸議案並びに市政の諸課題について、順次、質問を行います。
市長の政治姿勢について伺います。
初めに、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2023についてです。
先日、市長より、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの実施計画であり、今後5年間の市の事業計画、
アクションプラン2023の発表がありました。個々の政策については評価できる点や物足りない点などがありますが、事業規模や目玉施策など、これまでの
アクションプランより踏み込んだ秋元市長の意思が伝わる内容となっており、我が会派としても、よりよいまちづくりにつなげていくため、今後しっかり議論させていただきたいと考えております。
さて、その
アクションプランの中でも、市長が特に力を入れた分野の一つが子育て支援ではないかと思われます。
子ども医療費助成の高校生までの拡大や、第2子以降、保育料の無償化など、その取組は一定程度評価できるものですが、これらの施策の背景には少子化に歯止めのかからない札幌市の現状があるのではないでしょうか。
我が国の2022年における出生数は約77万人、合計特殊出生率も1.26と、統計を開始した1899年以来、最低の数値となり、少子化は極めて危機的な状況にあり、これに対応するため、閣議決定された
こども未来戦略方針では、2030年までに少子化トレンドを反転させるべく、次元の異なる少子化対策に取り組み、少子化対策と経済成長を実現することとしています。
札幌市における少子化の状況はさらに深刻で、2021年時点の合計特殊出生率は1.08と政令指定都市の中でも低位にあり、また、若い世代の結婚や出産の希望が実現した場合の希望出生率も、2023年で1.44と、2019年と比べ、0.21ポイントも低下しています。
加えて、札幌の周辺市町村ではこれからの飛躍が期待される取組が行われており、ラピダス進出に伴う半導体産業の集積化が見込まれる千歳市や、洋上風力など豊富な
再生可能エネルギーやデータセンターの誘致という地理的特性を生かす石狩市など、仮に事業者や人材が周辺市町村に流出するようなことになれば、札幌の空洞化を引き起こす可能性も考えられるわけです。
このような状況を打破し、さらにチャンスに変えていくためには、人口増加の成功例として取り上げられる北海道東川町や兵庫県明石市などのように、より大胆かつ集中的な少子化対策を打ち出し、若い世代に魅力のあるまちとすることで、若者の市外・道外流出を弱めるとともに、首都圏などからの移住を増やすなど、当面は人口の社会増加を目指しつつ、将来的には自然増加へとつながる好循環を確立していくことが重要となります。
札幌市においても、これまでさっぽ
ろ未来創生プランなどにおいて様々な取組を進めてきていますが、具体的な成果を生んだとまでは言えず、今回の施策でもって人口減少の緩和にまでつながるのか、懸念されるところです。人口減少対策は、戦略ビジョンにおいて分野横断的に取り組むプロジェクトに位置づけられており、まさに全庁を挙げてこの難題に取り組んでいくための市長の姿勢が問われるところです。
そこで、質問ですが、市長は、人口減少問題に対し、今回の
アクションプラン2023で掲げた取組を通じてどのように対応しようと考えているのか、伺います。
次に、
産業振興ビジョン策定の意義と今後の産業振興施策についてです。
今年6月に政府が公表した経済財政運営と改革の基本方針2023、いわゆる骨太方針においては、時代の転換点とも言える構造的な変化と課題に直面する中、30年ぶりとなる高い水準の賃上げや企業部門における高い投資意欲など、足元での前向きな動きをさらに力強く拡大すべく、新しい資本主義の実現に向けた取組を加速させ、新時代にふさわしい経済社会の創造を目指していくとしています。
一方、本市も、
新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く受けましたが、令和5年度に入り、5類感染症への変更となったことなどから、観光需要の回復をはじめとした様々な経済活動が活発化し、札幌市内の経済活動は縮小局面からの脱却が進んでいます。
さらに、北海道新幹線の札幌延伸、
冬季オリンピック・パラリンピックの招致のほか、都心エリアの再開発も数多く進められており、今年6月には、環境投資のアジア・世界の金融センターを目指し、Team Sapporo−
Hokkaidoが設立され、本市がその事務局として中心的役割を担うなど、札幌市は、まさに今後、数十年を左右するまちの転換期を迎えているところです。
加えて、経済分野においては、産業振興の目指す姿やその実現に向けた方向性を定めた10年計画である第2次札幌市
産業振興ビジョンの策定が進められており、社会経済情勢が目まぐるしく変化する状況においては、行政として、まず、足元に迫る喫緊の課題への対応はもちろんのこと、中長期的に何に重点を置くか、どのように札幌経済を引っ張っていくのかという方向性を示していくことも必要なことであると考えています。
特に、札幌市は、1人当たりの市内総生産が全国平均を下回っているなど、産業の生産性に長年課題がありましたが、ここへ来て、ラピダス千歳進出や
グリーントランスフォーメーション、環境投資への動きなど、次世代に向けた有望産業の芽が札幌及びその周辺に芽吹きつつあります。そういった動きを素早く捉え、産業政策を打ち出していくことが肝要です。
そこで、質問ですが、札幌市が今後10年間の産業振興施策の方向性を定める
産業振興ビジョンを策定することの意義と、第2次
産業振興ビジョンにおいて特に重点的に取り組む施策について伺います。
次に、宿泊税について、2点伺います。
1点目は、今後の宿泊税の検討の進め方についてです。
宿泊税の導入については、令和5年第2回定例会の代表質問において、我が会派より質疑を行い、市長からは、導入に向けた検討を再開し、導入後の活用方法を今後検討していきたい旨の答弁がありました。
その後、北海道においても、令和5年第2回定例道議会の代表質問で、知事から、有識者や関係者による懇談会を設置の上、検討を再開し、できるだけ早期に道の考え方を取りまとめる旨の答弁があり、その後、2回の観光振興を目的とした新税に関する懇談会が開催されたところです。9月14日に開催された2回目の懇談会において、複数の委員から、道と市町村の役割分担の明確化や使途の具体性を求める意見が出されたほか、オブザーバーとして参加した札幌市から、北海道内において、コロナ禍以前から宿泊税の導入を検討している七つのまちの意見として、今の検討状況だけで税額を決めてしまうのは非常にリスクが大きく、今後、市町村との合意がなされるように丁寧な議論を行っていただきたいといった発言があり、今後に注目しているところです。
札幌を含むこの七つの市の宿泊者数は、コロナ禍前の2019年における北海道の宿泊者の約7割を占めていることからも、北海道は、宿泊税の検討に当たり、市町村との調整を責任を持って行うべきであり、この調整が不十分なままに性急な検討を行うことは誠に不可解であると受け止めています。一方で、市側の検討状況を見るに、道に先手を打たれているような印象を受けており、札幌市としても道に後れることなく検討を早めるべきだと考えています。
質問ですが、道の検討状況を踏まえ、今後、札幌市ではどのように検討を進めるのか、伺います。
2点目は、目指すべき札幌観光の方向性と宿泊税の活用についてです。
北海道の検討状況を見ていると、明確な税の使い道やそれにどのくらいの費用がかかるのかといったことが明らかにされないままに、税額ありきで進められているような印象を受けています。一方、市内の宿泊事業者からは、徴税事務に関わる負担に対する不安感のほか、まずは宿泊税が何に使われるのかを明らかにしてほしいとの声が上がっていると聞いています。
このような状況に鑑みると、本来的には宿泊税をどのような考えの下に、どういったことに使っていくのかということが最も重要であり、札幌市が今後検討を進めるに当たっては、そういった大きな絵姿を示して、本来は最も影響を受けるはずの納税者たる宿泊者や徴税事務を依頼する宿泊事業者の理解を得ていくべきだと考えます。
質問ですが、目指すべき札幌観光の方向性と宿泊税の活用についてどのように考えておられるのか、市長の見解を伺います。
次に、丘珠空港の将来像の早期実現に向けた要望についてです。
札幌市は、本年7月31日の
札幌市議会総合交通政策調査特別委員会において、丘珠空港の将来像の実現に向けた機能強化の柱となる滑走路延伸について、最短と考えられる2030年供用開始を目指し、国への要望を行っていくことを報告しました。
当初の将来像では、実現までおおむね10年後としていたところですが、国交省、防衛省、関係機関との連携体制が強化され、空港機能強化の早期実現に動き出したことは、以前から我が会派からも指摘してきたところであり、地元経済界や地域連絡協議会からも早期実現を望む声があったことから、一定の評価をしています。
今後、滑走路の延伸はもとより、旅客数の増加が見込まれる
空港ターミナルビルの拡張、また、空港周辺のにぎわいの創出や周辺の土地利用の在り方などについても検討が加速していくものと期待しております。
また、我が会派は、滑走路については、まずは、2030年に向けての1,800メートルの延伸は必須であり、近年の航空機技術の進展も踏まえると、さらに滑走路の長さを2,000メートルへ延伸することも視野に入れるべきと考えています。
現に丘珠空港の将来像の策定に係る
パブリックコメントにおいても、同様の意見、期待が寄せられていることからも、今回、丘珠空港における滑走路延伸の2030年供用開始を要望するに当たり、滑走路の長さを1,800メートルとしていることはその先を見据えた第一歩と考えるべきであります。
そこで、質問ですが、滑走路の延伸は2030年供用開始を目指しているところですが、今後、札幌市はどのように取り組んでいくつもりか、伺います。
また、滑走路延伸の2030年供用開始として目標年次を設定したことは、市民にもしっかり情報提供をし、共有すべきと考えますが、その点について、札幌市はどのようにお考えか、併せて伺います。
次に、
グリーントランスフォーメーション投資の加速化に向けた取組について、2点伺います。
1点目は、札幌市の役割についてです。
世界的に
グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXの推進に向けた投資が活発化する中、洋上風力をはじめとした北海道の
再生可能エネルギーのポテンシャルは極めて高く、道内5地区の有望区域の選定や、北海道−本州間の直流送電網整備の加速化など、北海道の
再生可能エネルギーの潜在力を生かす機運が高まっています。
6月23日に、札幌市、北海道、国の関係省庁に加え、地元金融機関やメガバンク等の金融機関など21の機関から成る
産学官プラス金融の
連携コンソーシアム、Team Sapporo−
Hokkaidoが設立されました。
コンソーシアム設立の目的は、世界中からGXに関する資金、人材、情報が北海道に集積するアジア・世界の金融センターを実現するというものであり、さきの第2回定例会の代表質問において、我が会派が主張した環境問題解消と経済成長の両立を目指す取組として今後の展開に大いに期待していたところです。
そこで、質問ですが、コンソーシアムにおいて、北海道のポテンシャルを活用してGX投資の促進に向けた取組を進めるに当たり、札幌市が果たすべき役割について市長の考えを伺います。
2点目は、特区制度の活用についてです。
8月23日には、秋元市長が鈴木北海道知事とともに岸田総理と面会し、Team Sapporo−
Hokkaidoの取組について報告するとともに、五つの要望をしたとお聞きしておりますが、それは、北海道札幌GX・金融特区の設立など、大変野心的な要望であり、我が会派としても期待し、注目をしているところです。
しかしながら、例えば、平成25年度の国家戦略特区は、成長戦略の実現に必要な大胆な規制・制度改革を実行し、世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出することを目的に創設されましたが、その際には、北海道、札幌は、豊かな食や第1次産業などを背景とした大きな期待を持たれながらも、残念ながら指定には至りませんでした。
今般、国内随一の再エネポテンシャルを有する北海道、札幌がGXと金融をメインコンセプトとした特区を目指そうというのは、極めて時流と理にかなったことであり、我が会派としても、ようやく地域ポテンシャルにふさわしい取組が具現化するものと大いに期待しております。
北海道、札幌をGX産業の一大集積地、アジア・世界の金融センターとするためには、大胆な規制緩和や税制優遇措置等が必要であり、札幌市自身もしっかりとした構想と強い決意を持って特区指定に向けて積極的に取り組んでいくべきであり、もちろん我が会派としても共に取り組んでいく考えです。
そこで、質問ですが、政府への要望に掲げた北海道札幌GX・金融特区の設立に向けた市長の意気込みと今後の取組の方向性について伺います。
次に、人手不足の対策について、2点伺います。
1点目は、工事の入札不調等への対応についてです。
民間の信用調査会社が7月に行った全国調査によると、正社員が不足である企業の割合は、3年連続で上昇し、過半数に達しています。札幌市が4月に公表した企業経営動向調査においても、回答された1,042社の企業で、人材を確保したいが、確保できていないと答えた割合が55%を占めており、特に建設業で割合が高く、経営上の課題となっている状況にあります。
既にその影響は出ているようで、ここのところ、札幌市発注の工事において、入札不調や入札不落となることが増加、今年度7月末までの状況では、前年に比べ、1.7倍の入札不調等が発生し、建築系工事をはじめ、その多くで入札参加者がいないという状況になっています。各企業の方々からは、人手不足の中にあって、入札に参加したくてもなかなか人の手配がつかないといった声も聞いているところです。札幌市にとって、公共施設の整備や改修工事などが予定どおりに進められないということはゆゆしき事態と言わざるを得ず、早急な対応が求められます。
そこで、まず初めに、入札不調等の要因をどう捉え、どのように対応していくのか、伺います。
2点目は、まちづくりの推進に向けた総合的な人材確保対策についてです。
人手不足は特定の分野に限ったものではなく、直近の雇用情勢さっぽろによると、札幌圏における職業別の求人・求職状況では、ほとんど全ての職業で求職者数が求人数よりも少ない状況であり、特に、介護、保育、建築は厳しい人手不足の状況にあります。また、トラックドライバーなどの運転手の不足も懸念されており、これは、2024年4月1日から適用される月45時間、年360時間という残業時間の上限規制による輸送力の低下、いわゆる2024年問題によるものです。
人手不足の問題は、コロナ禍後の経済活動再開に伴い拡大してきており、全国的に様々な業種に影響が及んでいます。札幌市においても、工事の遅れなどにとどまらず、例えば、事業開始に当たり、そもそも人員確保ができない、輸送が手配できないなど、従前は想定していなかった事態が考えられ、計画的に進めようとしているまちづくり全体に影響を与えかねないのではないかという強い危機感を持っているところです。札幌市の経済活動を支えるためには、今、いかに人材を獲得していけるのかを考え、まちづくりを進めていくことが重要と考えます。
そこで、質問ですが、まちづくりの推進に当たり、公約に掲げる総合的な人材確保対策は喫緊の課題と考えますが、市長はどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、地域との協働について、2点伺います。
1点目は、これからの町内会支援の取組についてです。
札幌市では、市民との協働によるまちづくりを推進するため、地域でのまちづくり活動、特に町内会活動を様々な面から支援してきましたが、本年4月1日からは札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例が施行となり、今後、条例に基づき、今まで以上に町内会の支援や負担軽減に取り組んでいくこととなります。
令和5年度においては、住民組織助成金の増額や札幌市地域活動保険が新たに運用を開始されたほか、広報さっぽろの配布謝礼や集団資源回収奨励金の増額も行われるなど、町内会の活動面や財政面を総合的に後押しする姿勢が見られたことに対して一定の評価をします。
さて、地域住民等によって組織されている町内会ですが、その性質や地域における役割、ニーズなどは時代とともに変化しており、これに伴って、行政と町内会の関係性や役割分担なども時代に即した形に見直す必要があると考えます。今日の感覚で、本来は行政が担うことが適当なことまで町内会の役割とされているのではないかという思いが町内会の中にはあります。条例が掲げる目標である町内会の維持と発展のためにも、これまで以上に、こうした町内会の声を聞くことの重要性が増しており、具体的な課題の解決に向けて、地域との連携や議論を深めていくことが必要と考えています。
そのような中、我が会派は、条例の制定に当たっては、従来の行政と町内会の役割分担の維持を前提とした負担軽減や支援策の実施だけではなく、時代の変化や地域住民のニーズに応じた行政と町内会の役割分担をどうすべきかについての話合いを始めるべきと指摘したところであり、こうした経緯から、条例第13条及び第14条により、地域の意見を吸い上げ、庁内関係部局が連携することを市に義務づける条文が盛り込まれたものと認識しています。
また、令和4年第3回定例会においては、町内会への支援を効果的に進めるためには、多岐にわたる町内会の課題を丁寧にお聞きした上で、庁内関係部局が連携してその課題を整理し、より有機的かつ継続的に施策を推進するための体制整備が必要と判断、条例施行後、速やかに着手するとの市長答弁を受けました。
そこで、質問ですが、今後、具体的な課題の解決に向けた地域との議論や協議をどのように行っていくのか、また、把握した課題を庁内でどのように検討していくのか、伺います。
2点目は、生活道路の排雪についてです。
市民との協働による取組の中でも、町内会の関心が高いものの一つとして生活道路の除排雪が挙げられると思いますが、その中で、生活道路の排雪について伺います。
札幌市では、生活道路の排雪を、原則、行政が行わないものとしているものの、積雪寒冷地である独自の取組として、パートナーシップ排雪や市民助成トラックなどの支援制度をつくり、雪国の課題を共有するため、市民と行政とで協働して取り組んでまいりました。
パートナーシップ排雪に関する地域の課題としては、町内会加入率の低下などに伴う不公平感のほか、近年の人件費上昇などによる地域支払い額の増額から、排雪に係る費用の捻出に苦慮している地域もあり、パートナーシップ排雪を利用したくても取りやめを考えなければならない場合もあると聞いています。一方で、除排雪事業者においては、主な担い手である建設従事者の高齢化が進行していることに加え、若手の就業者数も伸び悩んでいるなど、課題を抱えています。
これまで、我が会派では、幾度となく、議会を通じて、パートナーシップ排雪に関する地域負担の軽減のほか、事業者の担い手確保や雪対策予算に係る財源確保など、様々な問題について取り上げ、課題解決に向け、議論してきましたが、生活道路については、近年増加している在宅介護サービスや宅配の増加などにより、市民ニーズが大きく変化している中で、これまで以上に冬期間における道路環境の向上に行政の積極的な対応が必要なのではないかと考えます。
そのような中、市長が長年実施している連合町内会長との意見交換において、今年度は生活道路の排雪もテーマに含め、既に幾つかの区で意見交換を行っていると聞いています。
そこで、質問ですが、生活道路排雪の在り方について、今後どのように検討を進めていくのか、伺います。
次に、(仮称)共生社会推進条例の制定について、2点伺います。
1点目は、条例制定の効果についてです。
札幌市では、令和4年10月に策定した第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンのビジョン編において、まちづくりの重要概念の一つにユニバーサル(共生)を掲げ、同ビジョンの戦略編においても分野横断的に取り組むプロジェクトを設定するとともに、中期実施計画である
アクションプラン2023においてもそれらを意識した事業構築を図る考えであるなど、共生社会の実現に向けた取組を加速させる姿勢を打ち出しているところです。
秋元市長は、公約においても、共生社会の実現に向けた核となる取組として、障がい、性別、年齢、人種、国籍などにかかわらず、誰もが互いの個性や違いを認めて尊重し合い、差別のない社会の実現を目的に、(仮称)共生社会推進条例の制定を目指す旨を掲げました。
それぞれの分野にはそれぞれ課題を抱えている多様な当事者がおられ、その課題や悩みなども様々であろうかと思いますが、一方で、先行する他都市などの条例などを拝見すると、それらの幅広い対象の範囲に対し、その幅広さゆえに単なる理念的な記載にとどまっている場合もあるのではないかと考えます。
もちろん共生社会の概念を市民と一定程度共有していくことは大切と考えますが、それだけであればあえて条例化する意義は薄く、課題を抱えるそれぞれの分野の改善に向けて具体的な取組につながるものであってこそ意味をなすもので、単に理念条例にとどまってはならないとあらかじめ申し上げておきます。
そこで、質問ですが、共生社会の実現に向けて、(仮称)共生社会推進条例の制定がなぜ必要となるのか、条例制定の意義と効果に関する市長の認識を伺います。
2点目は、当事者意見の反映についてです。
一口に共生と言っても、誰もが互いの個性や違いを認め、尊重し合うとの言葉のとおり、その対象は幅広く、おのおのが抱える背景や事情によって理想の共生の在り方は様々です。このため、(仮称)共生社会推進条例の制定を目指すに当たっては、それぞれの当事者がどのような悩みを抱え、どのようなことを求めているのかといった具体の課題を的確に把握した上で、当事者の意見を条例にしっかりと反映していくことが必要と考えます。そして、この課題の的確な把握のためには、何よりも、まず、多様な当事者の方から丁寧に意見を聞くことが大変重要と考えます。
質問ですが、(仮称)共生社会推進条例の制定に向けて、当事者の方の意見をはじめとする市民意見の重要性をどのように捉え、どう把握し、反映していくつもりなのか、市長の考えを伺います。
次に、市役所本庁舎建て替えについて伺います。
札幌市役所本庁舎は、昭和46年に建設され、今年で築52年と老朽化が進んでいる建物であり、我が会派では、全国的な庁舎建て替え動向も注視しているところです。
先日視察をした千葉市役所本庁舎は、札幌市役所本庁舎と同時期の昭和45年に建設されており、老朽化や分散化、狭隘化、防災面の課題を理由に建て替えの検討が開始され、今年1月に竣工したところです。
令和4年第4回定例会代表質問において、我が会派からの質問に対し、市長からは、改修による延命化か、建て替えかについては、広く専門的な意見を聞くとともに、市民理解も得ながら検討を進めていくとの答弁をいただいたところです。
しかし、本庁舎の現状は、配管などの設備の老朽化が進んでいることに加え、業務スペースが足りていないため、執務室がほかの周辺ビルに分散している状況で、執務体制の非効率化が生じているだけでなく、多額の賃借料負担も生じている状況です。さらには、一般的な耐震性は持っているものの、BCP、事業継続計画の観点からは耐震性が不足していると考えることもでき、災害対策拠点としての耐震性を確保する必要があることから、我が会派としては、建て替えに向けた検討を早急に進めていくべきと考えています。
また、他都市では、非常時に災害対策の中心を担う災害対策本部を地上からアクセスしやすいフロアに設置している例のほか、人口減少やデジタル化が進む中、執務フロア構成に対して将来的な組織や人員変更に柔軟に対応するユニバーサルレイアウトを導入したり、来庁者や市民利用が多い機能は駅からアクセスしやすい位置に配置、イベントスペースは閉庁時にも利用可能な市民に開かれた空間とし、災害時には帰宅困難者受入れなどを行う場としても利用できるようにしたり、国内外から市庁舎を訪れる方々に都市の歴史・文化、発展などの魅力を伝えるプレゼンテーションスペースを設けるなど、実に様々な工夫が施されているところであり、このようなソフト面の観点からも建て替えの必要性を感じているところです。
このようなことから、将来的な行政機能の在り方や、本庁舎自体が市民にとってどのようにあるべきか、様々な視点からの検討が必要であり、その検討内容が多岐にわたることから全庁的な検討が必要と考えています。
そこで、質問ですが、札幌市役所本庁舎の建て替えに向けた庁内横断的な検討の必要性と今後のスケジュールについて伺います。
次に、DX、デジタルトランスフォーメーションの推進について伺います。
昨今では、生成AIが実用化されるなど、デジタル技術の進歩はとどまることを知らず、その活用が進むことにより、様々な分野での生産性向上、さらには、新たな価値やサービスの創出が進むことも期待されます。
まちづくり戦略ビジョンでは、こうした観点を踏まえ、スマートシティの推進をはじめとして、こうした先端技術をまちづくりに取り入れていくことにより、誰もが先端技術などの利点を享受でき、そして、生活の快適性やまちの魅力を高めていくことを目指すとしております。また、今年3月に戦略ビジョン審議会から同ビジョン戦略編の答申があり、その中で、スマートプロジェクトとして、行政手続のオンライン化やスマートシティの取組など、行政と地域のデジタル改革を両輪として進め、市民生活の利便性、快適性を向上していく必要性が示されたところです。
戦略に基づいて、急速に進むデジタル社会に対応するため、行政におけるデジタルトランスフォーメーションを推進していくことは大変重要なことですが、市民からは、自身が必要とする行政情報にアクセスできておらず、取組そのものを知らなかったとの声も聞いています。
また、先日、他都市のDX推進に関わる視察を行った際にも、行政のDXを推進するに当たり、市民に分かりやすく取組の内容やその効果について伝えていくことが難しいとの課題があるとお聞きしました。
本市の行政情報の周知については、広報さっぽろや広報番組、LINEなどのSNSなど様々な媒体により実施しておりますが、市民の情報取得手段の多様化、個別化により、広い周知は大きな課題と感じており、利便性の高いデジタルサービスを用意しても、知っている方だけがその効果を享受するだけで、広く市民に利用してもらえないのでは意味がありません。
このような情報格差を解消するためにも、活用が広がるオンライン手続や行政の支援などについて、まずはそういったサービスがあるという情報が市民一人一人に届き、さらにしっかりと市民が利用できるようになる、そこまでを意識しながらデジタルトランスフォーメーションを推進していくことが重要と考えます。
質問ですが、デジタルを活用した行政サービスの利用について、より多くの市民が利便性、有用性を実感できるよう、情報格差の解消も含めて、どのように推進していくのか、伺います。
次に、医療・保健施策の充実について、2点伺います。
1点目は、救急需要への対応についてです。
救急を取り巻く環境は、高齢化に裏打ちされ、救急出動件数が右肩上がりの状況が続く中、消防局では今後もさらなるペースで増えると試算しているとのことですが、札幌市の昨年の件数は11万5,000件を超えて過去最多となり、今年に入ってからも数字は伸び続け、7月に1万1,440件、そして、先月、8月の救急出動件数は1万2,891件と過去最多出動件数を更新、その増加率は12.6%となり、さきに述べた試算を裏づけるような憂慮すべき事態となっています。
特に、猛暑日が続いた8月下旬にかけては、出動可能な救急隊が全て出払ってしまって、救急要請に対して直ちに出動を指令できない事案が数十件に上るなど、救急隊がすぐに対応することができない危険な時間帯が発生し、AEDなどの救急資器材を備えた消防隊が、通報のあった傷病者の容体を確認するため、救急現場に向かい、その間に既に出動していて対応が終了した救急隊を順次向かわせることになるなど、緊急的、臨時的な対応をしていたと聞いています。
加えて、救急要請の急増に伴い、複数の医療機関から受入れを断られることで、搬送先医療機関が選定できず、医療機関への搬送に時間を要する事案もコロナ禍の環境下と同じ水準の傾向となっています。
札幌市では、これまでも増加を続ける慢性的な救急需要に対して、救急隊を増強配備するなどの対策を講じてきたところですが、今回のように猛暑などによる突発的、爆発的な救急要請に対応するには、これまでも行ってきた救急隊を臨時的に増やす対策などはもちろんのこと、今ある救急隊を効率的に運用し、次の救急要請に素早く対応できるような工夫が必要になってくるものと考えられます。
救急搬送業務は、体調が悪くなった人やけがをした人を速やかに適切な医療機関へ搬送することであり、この救急搬送が円滑に行われないことは大変憂慮されるところです。
そこで、質問ですが、昨今の増加する救急需要に対し、救急搬送体制確保に向けて、札幌市として今後どのように取り組んでいく考えか、伺います。
2点目は、高齢者に多く発症があると言われている帯状疱疹の予防に係る取組についてです。
人口の高齢化が急速に進展する中で、健康寿命の延伸により長寿を実現することが重要であることに鑑み、高齢者の疾病予防について様々な取組がなされているところです。高齢者の疾病の中で、昨今、関心が高まっているのが帯状疱疹です。
帯状疱疹は、幼少期などに多くの方が感染する水ぼうそうに1回かかり、治った後もウイルスが体の神経系に潜んでいて、年齢を重ねたり、基礎疾患や疲労などで免疫力が低下したりした場合などにウイルスが再度活性化し、個人差はありますが、帯状の赤い発疹とともに激しい痛みを引き起こす疾病です。また、ウイルスが神経を大きく傷つけてしまうと、皮膚の症状が治った後も痛みが続くことがあり、帯状疱疹を発症した人の約2割程度の方にそのような後遺症が残ると言われています。こうした意味で、帯状疱疹は日常生活に大きな影響を及ぼす疾病であると言えます。
帯状疱疹の予防において、ワクチンが効果的とされており、現在、国内で薬剤承認を受けているワクチンは2種類あって、生ワクチンは1回の接種、組換えワクチンは2回の接種が必要です。接種の費用は、接種を行う医療機関等により異なりますが、おおむね生ワクチンで8,000円程度、組換えワクチンは1回当たり2〜3万円であり、2回の接種ですから4万円から6万円ほどになるわけです。現在は、全額が接種を受ける方の負担となり、高額となっています。
任意の予防接種であるため、ワクチンの接種を考える際に接種経費の負担が大きい点が相当に影響を及ぼしているものと考え、どれだけ効果の高いワクチンであっても、接種がなされなければその効果が発揮されないというこの状況には歯がゆさを感じます。高齢者の生活の質の低下を招く疾病をワクチン接種によって予防できるのであれば、接種経費の負担軽減措置など、他のワクチン接種同様、後押しする取組を行っていくべきであると考えます。
そこで、質問ですが、帯状疱疹の発症や重症化の予防に向けての取組について、札幌市はどのように考えるのか、伺います。
次に、子育て環境の整備拡充について、3点伺います。
1点目は、保育料の無償化についてです。
市長は、6月の所信表明において、札幌の明日をつくる大切な子どもたちが、経済状況によることなく健やかに安心して暮らしていける環境の整備が必要であると述べられました。
札幌市では、保育料の負担軽減に関する取組として、平成29年に、3歳未満の第2子以降の無償化を開始し、国による幼児教育・保育の無償化を経て、令和2年には対象範囲を一部拡大したところです。この取組は、国やほかの政令市に先駆けて行われたものであり、札幌市の保育料全体の軽減率は政令市の中でもトップクラスでありました。
しかしながら、今年度から、福岡市や静岡市などが、世帯の収入等にかかわらず、第2子以降の保育料無償化を実施したことにより、必ずしも他の政令市に先行しているとは言えない状況になりました。さらに、今年12月には北九州市が、来年度には大阪市が同様の無償化を実施する予定であり、東京都も今年10月からの実施を予定しているなど、大都市圏において軒並み取組を進めていることから、これまでトップランナーであった本市としても、今後の対応について検討が必要な時期であると考えます。
また、こうした他都市の状況に加えて、本市がこれまで進めてきた無償化の取組においては、世帯の年収等に応じて対象範囲を拡大したことにより、負担が軽減された世帯が増えた一方で、制度の対象とならない世帯が不公平を感じているという声も届いています。
このような状況の中、札幌市は、このたびの
アクションプランにおいて、世帯の収入や兄弟姉妹の年齢差等にかかわらず、第2子以降の保育料を無償化すると表明されました。
質問ですが、第2子以降の保育料無償化において、今回、対象範囲を拡大する意義についてどのように認識しているのか、伺います。
2点目は、こどもホスピスへの市長の思いについてです。
小児がんなど、命を脅かされる病気の子どもたちの多くは、病院や自宅で制限された生活を余儀なくされています。現在、こうした子どもたちの医療、福祉、教育といった制度のはざまに落ちている状況を踏まえ、国内では、大阪市の淀川区や鶴見区、横浜市などで様々な支援の場としてのこどもホスピスが設立されています。
我が会派は、昨年、先行的な取組を実地調査するため、うみとそらのおうちと名づけられ、2021年にオープンした横浜こどもホスピスを視察し、施設を運営する認定NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトの代表者である田川尚登氏から、横浜こどもホスピスを開設するまでの道のりについて話を伺いました。
田川氏は、1998年に6歳の娘さんを小児がんで亡くされた後、2003年から病院内でのコンサートを企画したり、病院の近くに宿泊施設を開設したりするなど、自分たちと同じような境遇にある子どもと家族の生活を支える活動を行っているうちに、海外にはこどもホスピスというものがあることを知ったとのことです。イギリスで開設された世界初のこどもホスピスであるヘレンハウスは、教会のシスターによる2年10か月もの長きにわたる資金集めの結果、設立に至ったものです。田川氏は、日本にもこのようなこどもホスピスをつくりたいという思いを強めていたところ、2013年にその思いに賛同する看護師の方から遺贈という形で寄附を受け、それが後押しとなってNPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトを立ち上げました。その後、田川氏は、当時、日本ではほとんど知られていなかったこどもホスピスの周知と資金集めに奔走し、活動に賛同する多くの方に支えられながら、2021年にこどもホスピスを開設したとのことです。
このように、こどもホスピスの設立は容易ではなく、設立を願う人たちの熱意と努力があってようやく実現するものだと我々は実感するとともに、こうした施設の立地をぜひここ札幌にも実現したいという思いを強くしたところです。
こうした中、市長がこどもホスピスづくりに取り組む民間団体等の活動を支援することを公約に掲げたことは、我が会派としても心強く感じております。
そこで、質問ですが、改めて市長が公約に掲げたこどもホスピスへの思いを伺います。
3点目は、第二児童相談所についてです。
2点伺います。
1点目は、児童虐待に対応する各区の相談体制の強化についてです。
児童虐待の予防や早期支援を着実に実現していくためには、専門機関である児童相談所の体制強化に加えて、市民に身近な相談機関である区役所における相談と支援を充実させるとともに、区が中心となる要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協の地域ネットワークを強化していくことが重要です。
札幌市は、令和元年の2歳女児死亡事案以降、区役所組織の強化にも積極的に取り組んでおり、令和4年度からは、各区の保健センターを子ども家庭総合支援拠点と位置づけ、その中の家庭児童相談室を中心として、地域の様々な事案にきめ細やかに対応してきたところです。令和4年度の区の家庭児童相談室における相談件数は、全市で7,870件、令和元年度の3,466件と比べると約2.2倍の伸びとなっており、地域に根差した相談機関としての役割が高まっていると考えます。
一方、全国的に虐待による死亡事案が後を絶たず、全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数が20万件を超えている状況を踏まえ、令和4年6月の児童福祉法の改正において、母子保健から児童福祉までを包括的に支援するこども家庭センターの設置が努力義務とされました。こども家庭センターは、現在の各区における子ども家庭総合支援拠点の意義や機能は維持した上で、妊娠から出産、育児までを一体的に支援する機関を目指すものですが、本市においても、法改正の趣旨を踏まえ、さらなるレベルアップを検討していくことが必要だと考えます。
そこで、質問ですが、こども家庭センターの設置に向けて、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。
2点目は、第二児童相談所の整備による各区との連携についてです。
第二児童相談所については、本定例会における契約締結の議案審議を経て、この秋には建物の工事が始まり、令和7年度中の開設に向けて準備が本格化します。第二児相は、併設する一時保護所の受入れなど、豊平川より東側の新たな児童福祉の拠点として機能していくことを期待するものです。
第二児相の開設や区へのこども家庭センター設置検討という大きな動きがある中、令和元年の死亡事案に対する札幌市の取組への外部評価においても、児童相談所と区役所との連携強化の必要性が指摘されています。
深刻化した事案や緊急案件への介入を行う児童相談所と地域の予防的な関わりを重視する各区との役割分担を踏まえながらその連携強化を図っていくことが、妊娠、出産から子どもの成長に見合った切れ目のない支援を市全体で実現していくことにつながると考えます。
そこで、質問ですが、第二児童相談所の開設を踏まえ、児童相談所と各区との連携強化についてどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、教育環境等の推進・充実について、2点伺います。
1点目は、市立学校の暑熱対策についてです。
今年の夏は、まさに酷暑となりました。札幌市では、平成の時代までは最高気温が30度を超える日は年間で1桁ほどでしたが、令和3年は27日、そして、今年は30日を記録したことから、令和に入り、夏の暑さが激しくなっていることは明らかです。また、家庭でのエアコン普及率も増加傾向にあると認識しています。
市立学校では、ハード面の対策として、これまで主に移動式エアコンの導入により夏の暑さをしのいできたわけですが、年々暑さが増す中、それだけではもはや限界であると考え、第1回定例会で、我が会派から学校施設における暑さ対策について質問し、教育委員会からは、設計段階から効率的な設備選定が可能な新改築校から、順次、エアコンの整備を進める旨の答弁をいただいたところです。
先日の
アクションプラン2023発表の際にも、全ての市立学校の普通教室などにルームエアコンを整備することを核とした抜本的な暑さ対策を進めることとしており、会派としてもこの決断を大いに評価するものです。
ただし、先日、会派として秋元市長に緊急要望したとおり、約300もある学校施設において2027年度までに学校への整備を目指すとした場合、機器本体の設置だけではなく、電気容量の増強等も必要であり、これらを短期間で行わなければならないことを考えると、今回のエアコン整備はかなり難易度が高い事業になると思われます。
学校施設の改修工事では、通常、事業初年度に実施設計を行ってから次年度以降に工事発注を行うという手法を取っているため、2年程度かかってしまうことになります。このエアコン整備事業は緊急度が高く、何としても市長が掲げた
アクションプラン期間内に実現するため、従来手法を超えて、さらにスピード感を持った整備手法の検討が必要だと考えます。
一方、これらのハード面の整備はもとより、ソフト面である教育活動に関わる事柄についても、前例にとらわれずに対策を検討することが必要です。今回の猛暑では、伊達市において、児童がグラウンドで体育の授業をした後、熱中症が疑われる症状により亡くなるという大変痛ましい事故が発生しています。来年度以降も猛暑になることを想定し、学校における熱中症の事故防止に万全を期すためには、体育等の在り方に注意することはもとより、長期休業の期間や時期の見直しを図るなど、今のうちから検討を進めることが重要であると考えます。
そこで、質問ですが、教育委員会は、学校のエアコン整備を今後どのように進めようとしているのか、また、教育活動に関わるさらなる暑さ対策についてどう考えているのか、併せて伺います。
2点目は、学校給食の公費負担拡大についてです。
国が6月に発表した
こども未来戦略方針においては、少子化は我が国が直面する最大の危機と捉え、次元の異なる少子化対策により、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もが子どもを持ち、安心して子育てができる社会、子どもたちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図るものとされています。当方針では、学校給食費の無償化の実現に向けて、全国ベースでの学校給食の実態調査を速やかに行い、具体的方策を検討すると盛り込まれています。
我が会派としても、少子化対策として、札幌市の実情に応じ、給食費無償化に向けて、保護者負担軽減等の実態を把握しつつ課題を整理するよう、5月に緊急要望を申し入れたところです。
市長の選挙公約においても、給食費の公費負担を拡大するとされていましたが、先日発表した
アクションプラン案では、昨今の物価高騰を踏まえた子育て世帯への支援として給食費の負担軽減を継続するとしています。短期的な視点で捉えると、給食費の公費負担の継続は、市民の生活環境に鑑みた物価高騰対策として一定の理解はできますが、長期的な視点に立つと、人口減少及び少子化対策として、本市の現在の人口や経済を維持していくためにもさらに踏み込んだ給食費への支援が必要であると考えます。
そこで、質問ですが、給食費の公費負担拡大の目的をどのように捉えて検討をしてきたのか、伺います。
最後に、札幌市のヒグマ対策についてです。
今年度はヒグマの出没件数がとても多く、8月末時点では、全市で144件、特に南区では100件もの出没がありました。出没が多いにもかかわらず、人身被害がなかったのは、人目を避けて行動する親子熊が雄熊から逃げるように動く中で人目に触れたり、人目につきづらい時間帯に足跡やふんなどの痕跡を残した案件が多かったからであり、これは幸運であったと思います。
一方で、今年6月に、小樽市から始まって、西区西野、南区藻岩下、南区真駒内を雄熊1頭が駆け抜けていきました。現在、野幌森林公園に出没しているヒグマがこの雄熊と同一個体なのではないかと推測されています。さっぽろヒグマ基本計画2023では、有害性が高ければ捕獲を優先した対応になりますが、このように広域に移動する雄熊への対応の難しさを改めて認識したところです。
これから、ドングリ、クルミなどが実る時期になり、山の実り次第ではヒグマの出没が増える可能性があります。また、春グマ駆除制度廃止から30年以上がたち、個体数が増加しているのは明らかです。個体数管理の方針を決定するのは北海道の権限ではありますが、これだけ市街地周辺に頻繁にヒグマが出没している状況を考えると、札幌市民としてそろそろ個体数管理に本腰を入れていただく必要があると強く考えるところです。今年は運よく人身被害はありませんが、今後は個体数管理により出没情報そのものを減らすことで市民へ安心感を与えてほしいと思います。
そこで、質問ですが、今後のヒグマ対策をどのように進めていくつもりか、伺います。
以上で、私の質問の全てを終了いたします。長い時間、ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(飯島弘之) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で大きく6項目、御質問をいただきました。私からは、1項目めの私の政治姿勢についての9点、それから、大きな4項目めの子育て環境の整備についての2点目、こどもホスピスへの思いについてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、石川副市長、教育長からお答えをさせていただきます。
まず、私の政治姿勢についての1項目め、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2023についてお答えをいたします。
人口減少対策、中でも少子化対策は喫緊の課題であると考えており、その背景には、個人の価値観など複雑な要素が絡むものと考えられておりますが、特に若い世代が抱える将来の見通しや子育ての経済的負担に対する不安ということも大きな要因になっているものと認識をしております。
アクションプラン2023では、若い世代が将来に希望を持つことのできるまちを目指し、子育て世帯の経済的負担の軽減のほか、企業誘致などを通じた質の高い雇用の創出や、キャリア教育や出会いの場の支援といった若い世代へのアプローチにも意を用いて策定しているところであります。
さらに、人口減少の緩和に資する施策を分野横断プロジェクトとして位置づけるとともに、その成果を検証し、常に改善を図りながら、相乗効果を発揮できるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、2項目めの
産業振興ビジョン策定の意義と今後の産業振興施策についてお答えをいたします。
産業振興ビジョンの意義は、企業・市民・行政が中長期的な視点から産業振興の目指す姿やその実現に向けた方向性を共有し、協働して産業振興に取り組むために策定するものであります。第2次
産業振興ビジョンにおきましては、観光や食を様々な産業への波及が期待できる分野として引き続き産業振興の重点分野の一つとするほか、持続可能な経済成長にはスタートアップの革新的な技術や発想によるイノベーションの創出が重要であり、観光、食に加え、スタートアップ支援の施策群を札幌市の産業振興施策を牽引するリーディングプロジェクトとして推進していく考えであります。
これらの取組に加え、経済社会システム全体の変革となり得るGXなどを絶好の機会と捉え、国内外からの新たな投資を呼び込むことで強靱な札幌経済の構築を目指してまいりたいと考えております。
次に、3項目めの宿泊税についてお答えをいたします。
まず、1点目の今後の宿泊税の検討の進め方についてであります。
本市では、令和元年に設置をいたしました有識者会議からいただいた提言を基に、これまで宿泊事業者や観光関連の団体などと丁寧に意見交換を行いながら検討を進めてきたところであります。これらを踏まえ、宿泊税の導入に当たりましては、簡易な税制度であることを基本としながら、より一層多様化するニーズへの対応を図るために、必要な財源を確保するということが重要であると考えております。
今後は、こうした考えを基に、早急に制度や税額についてのたたき台をお示しした上で、事業者等と協議を行い、年内にも札幌市の案としてまとめられるよう、スピード感を持って進めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の目指すべき札幌観光の方向性と宿泊税の活用についてでありますが、今後の観光振興におきましては、国が今年3月に策定いたしました観光立国推進基本計画にあります質の向上を重視した観光への転換を図るために、来訪者の消費単価の向上と市民生活への影響や環境保全などに配慮する持続可能な観光の推進が重要であると認識をしております。
こうした方向性に沿い、現在策定中の
アクションプラン2023においては、滞在日数の延長や訪日外国人旅行者など、消費単価の高い顧客層の誘客強化、DMOによる持続可能な観光地経営の検討をはじめとする様々な施策に取り組むこととしているところであります。
宿泊税の導入により、これらの取組の一層の充実に加え、観光産業の人材確保やSDGs、脱炭素など、新たに取り組むべき課題に対しても集中的かつ継続的な投資を行うことによって、来訪者の満足度向上と観光業の持続的な発展を目指してまいりたいと考えております。
次に、4項目めの丘珠空港の将来像の早期実現に向けた要望についてお答えをいたします。
まず、1点目の札幌市の今後の取組についてでありますが、滑走路延伸の2030年供用開始に向けては、引き続き、丘珠空港機能強化検討会等において、各課題やその対応に関する想定スケジュールなど、国や関係機関と協議し、国による事業化の調査検討が速やかに着手され、円滑に進められるよう鋭意取り組んでまいります。
また、札幌市といたしましても、地域との意見交換を行いながら、滑走路延伸に合わせて必要となるターミナルビルの拡張や空港へのアクセスの充実等の方向性を整理することが必要と認識しており、検討を加速化させてまいりたいと考えております。
次に、市民への情報提供についてでありますが、将来像の実現に向けましては、引き続き、その進捗を広く市民に情報提供し、意見を伺いながら取り組んでいくということが重要だと認識をしております。
そこで、空港周辺地域住民とのワークショップや市民を対象としたオープンハウスを年内に実施する予定であり、このような機会において、2030年供用開始を目指すことについてもしっかり情報提供を行い、意見を伺ってまいります。
次に、5項目めのGX、
グリーントランスフォーメーション投資の加速化に向けた取組についてお答えをいたします。
まず、1点目の札幌市の役割についてでありますが、
再生可能エネルギーの導入促進に当たりましては需要と供給のバランスが重要であり、197万人の人口や多くの企業が集積する札幌市は、全道各地で生み出された再エネの積極活用を通じた需要の創出や、新技術開発の促進支援といった観点から、特に大きな役割を担っているものと認識をしております。
加えて、高度な都市機能を生かし、環境金融人材の育成やGX投資を呼び込むための効果的な情報発信などに取り組むことによって、金融センターの実現に向けて役割を果たしていく考えであります。
次に、2点目の特区制度の活用についてでありますが、GX産業のサプライチェーン構築とGX投資を支える金融機能の強化、集積を加速させるためには、大胆な規制緩和や税制優遇措置等が必要と考えております。
現在、北海道の特性を踏まえた規制緩和等の検討を進めているところでありますが、国家プロジェクトとしてGXが進められている状況を契機と捉え、GXと金融を掛け合わせた新しい取組を北海道、札幌から発信し、日本全体のGXを推進する先導的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
さらには、先日、岸田首相が創設を公表した資産運用特区の活用を見据え、Team Sapporo−
Hokkaidoで構築された国とのネットワーク等も活用しながら、スピード感を持って取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、6項目めの人手不足への対策についてお答えをいたします。
まず、1点目の工事の入札不調等への対応についてであります。
不調となった要因といたしましては、市内の民間需要が活況であることに加え、技術者や建設技能労働者が不足していることなどが影響しているものと認識をしております。
入札不調等への対応といたしましては、発注方法や発注時期を見直すなどの取組を進めているところであります。関係部局が情報共有を図りながら、公共事業を着実に推進し、可能な限り市民生活に影響の出ないよう取り組んでまいります。
次に、2点目のまちづくりの推進に向けた総合的な人材確保対策についてであります。
介護、保育、建設などの産業分野で求人数と求職者数が大きく乖離する状況が続く中、建設業や運送業などの業種にも時間外労働の上限規制が適用される、いわゆる2024年問題が事業者の労働力確保にさらなる負担となることが懸念をされるところであります。
公約に掲げる総合的な人材確保対策はまさに喫緊の課題と認識をしており、人手不足解消に向け、これまでも高齢者、女性への就職支援や資格取得支援といった施策に取り組んできたところでありますけれども、さらに、今後につきましては、分野間での需給のアンマッチの解消や労働力人口の確保といった課題に対して、庁内横断的に対応を検討するプロジェクトを立ち上げ、議論を開始しているところであります。
今後も、円滑にまちづくりを推進していくために、人手不足の解消に向けて最大限の効果を発揮できるよう、スピード感を持って検討を進めてまいります。
次に、7項目めの地域との協働についてお答えをいたします。
まず、1点目のこれからの町内会支援の取組についてであります。
時代の移り変わりとともに、地域課題の解決に向けた行政の役割に対する住民意識やニーズは大きく変化してきており、これまで以上に地域との連携を深めることが重要だと考えております。
本年7月、札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例に基づき設置をいたしました町内会支援推進本部は、地域の課題を庁内横断的に共有し、解決していくための組織として位置づけたところであります。今後は、特に地域と関わりの深い施策や事業の実施に際しては、条例に基づく意見交換会等を行い、いただいたご意見やご要望を全庁的に共有し、検討していくことで、より効果的で納得感が得られる施策等の実現に努めてまいりたいと考えております。
次に、2点目の生活道路の排雪についてであります。
生活道路の排雪につきましては、パートナーシップ排雪の地域支払い額高騰や地域における不公平感のほか、将来の除雪従事者不足など、様々な課題があるものと認識をしております。
このため、これまでも、地域負担の少ない排雪断面の設定や地域支払い額の据置きなど、地域への支援策に加えて、作業の効率化や省力化などに向けても取組を進めてきたところでありますが、今後は、市民ニーズの変化や地域の課題に対応するべく、様々な方面からご意見をいただくとともに、試験的な作業によるデータの検証を行うなど、将来にわたり持続可能な生活道路排雪の在り方について鋭意検討してまいりたいと考えております。
次に、8項目めの(仮称)共生社会推進条例の制定についてであります。
まず、1点目の条例制定の効果についてでありますが、共生社会の実現に向けては、様々な方が自分らしく生きる難しさを感じている現状を皆が正しく理解し、共有した上で、それぞれが互いを尊重して支え合う双方向型の社会づくりが重要であり、理想の共生社会の実現に向けた共通理念をみんなでつくり上げ、札幌市全体に浸透させていく過程を一歩ずつ踏んでいくということが必要と考えております。
そこで、(仮称)共生社会推進条例の制定に向けた検討などを通して、こうした理念の浸透を図り、それぞれの立場や認識を超え、誰もが自分らしく活躍できる多様性を強みとしたまちの実現を目指していく考えであります。
本条例には、基本理念のほかに、当事者の方の状況に応じた必要な支援など、市が行う基本的施策も定めることを想定しており、共生社会の実現に向けた市の関係施策の継続性が担保され、その取組の加速化にもつながるものと考えております。
次に、2点目の当事者意見の反映についてであります。
共生社会の実現に向けては、各当事者が抱える課題が異なるという点を十分に念頭に置き、施策の検討段階から当事者から直接意見を聴取していくという過程は不可欠であると認識をしております。
そこで、(仮称)共生社会推進条例の制定に向けては、障がいや性別、国籍等の多様なテーマに関する学識経験者や団体関係者から成る検討委員会を設置し、ご議論をいただく中で、多様な視点での意見聴取を行ってまいりたいと考えております。さらに、市の関係する附属機関の枠組みということも、適宜、活用しながら意見の集約を行っていくなど、積極的に意見聴取を進め、条例や関係施策への反映等を図ってまいりたいと考えております。
次に、9項目めの市役所本庁舎建て替えについてお答えをいたします。
札幌市役所本庁舎は、老朽化が進み、執務室の分散化などの課題もあり、平時も災害時もよりよい市民サービスを提供していくため、建て替えか改修かを早急に検討する必要があると考えているところであります。また、検討を進める上では、将来の行政機能の在り方や市民に親しまれる機能のみならず、大通と創成川通の交点にふさわしい新たな象徴空間の創出など、様々な観点を考慮する必要があるものと認識をしております。
その認識の下、今後の本庁舎に備えるべき機能やまちのありようなど様々な視点から考えていくために、庁内関係部署が十分連携しつつ調査、議論を進めているところであり、来年度には、広く専門的な意見を聞くための有識者会議を立ち上げ、ご意見を伺ってまいりたいと考えております。
次に、大きな4項目めの子育て環境の整備についてのうち、2点目のご質問でありますこどもホスピスへの私の思いについてお答えをさせていただきます。
どんな状況においても、子どもらしく、わくわくした時間を過ごせるように、命を脅かす病気とともに生きる子どもが抱く、思いっ切り遊びたい、みんなで泊まりたいという希望をかなえてあげたいという思いであります。
既に、札幌では、そうした子どもやその家族の願いに応えようと、こどもホスピスづくりを目指して支援を募るための講演会をしたり、自然や音楽に親しむ機会を提供したりする活動が展開されているところであります。
札幌市では、こうした様々な活動を後押ししながら、こどもホスピスづくりの意義を広め、子どもたちの笑顔が輝くように支援の輪の拡大に努めてまいりたいと考えております。
私からは、以上です。
○議長(飯島弘之) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな2項目めのDX、デジタルトランスフォーメーションについてのご質問と、3項目めの医療・保健施策の充実について、そして、4項目めのうちの子育て環境の整備について、4項目めのご質問のうちの1点目、保育料の無償化についてと、3点目、第二児童相談所についてご答弁申し上げます。
大きな2項目めのデジタルトランスフォーメーションの推進についてでございますが、多くの市民にデジタルの利便性、有用性を実感していただくためには、法令の制限等がある場合を除き、原則、オンラインにより行政手続が可能となる環境を用意し、これを実際に活用してもらうことが重要でございます。
このため、オンラインにて申請できる手続を
アクションプラン2023の期間中に大幅に拡大するとともに、関係部局が一体となった推進チームの下、オンライン申請を見据えた業務改善も実現してまいります。
あわせて、オンライン申請が可能な手続を含む行政情報を市民が理解し、利用しやすいようにするため、公式ホームページの再構築やSNS等の連携による効果的な周知を行い、情報発信を強化してまいります。
さらに、デジタルに不慣れな方がオンライン手続等を気軽に、気楽に体験できる場を設け、利用、活用の促進に併せて取り組んでいくことにより、誰もが安心して利便性を実感できるデジタル改革を推進してまいります。
次に、大きな3項目めの医療・保健施策の充実についての1点目、救急需要への対応についてでございますが、増加する救急需要に適切に対応していくためには、救急活動を効率化し、限りある救急資源を有効に活用していくことが重要と認識するところでございます。
そのため、最先端の技術により、救急隊と医療機関の間で患者の症状を共有し、搬送可能な医療機関を速やかに決定することで、搬送時間の短縮を図りたいと考えております。また、AI技術により、救急需要の予測を行い、季節や曜日、時間帯などにより救急要請が多くなると見込まれる地域に救急車を移動させて配置するなど、効率的な運用を検討したいと考えるところでございます。
今後も、救急需要への適切な対応に向けまして実効性のある取組を進めてまいります。
次に、2点目の帯状疱疹の予防に係る取組についてのご質問でございますが、帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症の予防に一定の効果が認められており、現在、国におきまして、定期予防接種化に向けて、効果の持続性、接種に適した年齢、リスクと効果の兼ね合いなどについて検討が継続されているところでございます。
定期予防接種となった場合は、接種経費の一部または全部が公費で賄われるものであり、定期予防接種化に関して、他自治体と協力し、国へ向け、検討の促進を引き続き要望してまいります。
あわせて、発症の予防や重症化の予防に資するものとなるよう、市民の皆様へ治療薬やワクチンに関する情報を発信するなどの取組を進めてまいります。
次に、4項目めの子育て環境の整備について、そのうち、1点目でございますが、保育料の無償化についてでございますが、札幌の未来を担う子どもたちが希望を抱き、健やかに暮らしていくためには、安心して子どもを産み育てることができる子育てに優しいまちの実現が何より重要でございます。
そのための取組として、これまでも第2子以降の保育料の無償化を段階的に進めてきており、このたび、年収等の制限撤廃による対象範囲の拡大を行うこととしたものでございます。今回の
アクションプランにより、2人以上の子を持つ世帯の保育料について、ひとしく負担の軽減を図り、経済的な不安感を解消しながら、子育てしやすい環境づくりを進めてまいりたいと考えるところでございます。
次に、第3点目の第二児童相談所についてのご質問でございますが、そのうち、児童虐待に対応する各区の相談体制の強化についてお答え申し上げます。
令和6年4月から施行されます改正児童福祉法を踏まえまして、現在、10区の健康・子ども課をこども家庭センターとして位置づけるための準備を進めているところでございます。
このこども家庭センターでは、母子保健と児童福祉との連携をより重視しつつ、妊娠期から支援が必要な世帯への訪問等を拡充し、妊娠から出産、育児まで切れ目のない支援を手厚くしていく考えでございます。特に、社会的に孤立した特定妊婦への早期対応は大変重要でございまして、本人の意見を踏まえて作成する新たな支援計画に基づく専門的支援も継続することで、子ども虐待の予防にも努めてまいりたいと考えるところでございます。
次に、第二児童相談所の整備による各区との連携についてでございますが、2か所目の児童相談所を白石区に開設することにより、所管する市域東部の四つの区役所、白石区、厚別区、豊平区、清田区でございますが、その区役所とのアクセス性が大きく向上し、顔の見える関係づくりなど、区との連携がより緊密になるものと期待するところでございます。
虐待通告などの緊急事案でも、児童相談所の職員が速やかに駆けつけて子どもの安全を確認し、区と細やかな情報を共有しながら、対象世帯を支援できる体制をさらに強化してまいります。第二児童相談所が札幌市域の東部の拠点となり、区との協働の下、学校や保育所、医療機関等との地域ネットワークを推進しながら、より身近な地域に根差した相談支援体制を確立してまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(飯島弘之) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな6項目め、札幌市のヒグマ対策についてご答弁を申し上げます。
札幌市で実施しております生息状況調査の結果などから、藻岩山など市街地のすぐ近くの山林で繁殖、生息しているヒグマの数が増加していることが、出没が増えている要因の一つであると認識をいたしております。
このため、市民の安全・安心の確保に向けましては、問題行動を取るヒグマに対しましては、捕獲を含めて、迅速かつ適切に対応していくことが重要であると考えております。
一方で、ヒグマの個体数を正確に把握するためには、広域的なヒグマの行動範囲を考慮しまして市街地から離れた山林においても調査する必要があるため、現在、自動撮影カメラの設置場所など、具体的な手法について北海道や有識者と協議をしているところであります。
今後は、こうした調査結果を踏まえまして、実情に即したより効果的な対策を北海道と連携して実施してまいります。
私からは、以上であります。
○議長(飯島弘之) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 私からは、大きな5項目め、教育環境等の推進・充実についてお答えをさせていただきます。
1点目、市立学校の暑熱対策についてでありますが、市内約300校の全ての普通教室、職員室など約6,000室へのエアコン整備については、令和9年度までに終えるよう、次年度以降、順次、設計及び工事に着手してまいります。
エアコン整備につきましては、限られた期間で行う必要がありますことから、従来の発注方法に加えまして、設計及び工事を一体で発注するなどスピード感を持って取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次の教育活動に関わるさらなる暑さ対策についてでございますが、札幌市は、他の都府県よりも冷涼な気候であることから夏休み期間が短い設定となっておりますが、今年は、2学期当初、猛暑が続いたため、体育あるいは部活動などを原則中止とするなどの対応をしてきたところであります。こうした実態を踏まえまして、今後は、特に中学校よりも短い小学校の夏休み期間につきまして、様々な教育課題を総合的に勘案しながら検討していく必要があるというふうに考えております。
教育委員会といたしましては、今後も、子どもたちが安全な教育環境で安心して学校生活を過ごせるよう、ハード、そしてソフトの両面から暑さ対策を進めてまいります。
次に、二つ目の学校給食の公費負担拡大についてでございますが、学校給食費の公費負担につきましては、次代を担う子どもたちの健やかな体の育成や、全ての子どもたちが安心して学ぶことができる支援策の一つとして検討を進めてきたところであります。
給食費につきましては、当面、物価高騰対策として公費による負担軽減を継続し、物価、あるいは国の支援の動向を注視しながら、子どもたちにとってよりよい教育の環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○議長(飯島弘之) ここで、およそ30分間休憩します。
――
――――――――――――――――――
休 憩 午後2時28分
再 開 午後3時
――
――――――――――――――――――
○副議長(しのだ江里子) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
かんの太一議員。
(かんの太一議員登壇・拍手)
◆かんの太一議員 私は、民主市民連合を代表して、今定例会に秋元市長が提案されました予算案、諸議案並びに市政の諸課題について、順次、質問してまいります。
新型コロナウイルス感染症が5類に変更され、経済と感染予防対策の両立に向けた動きが加速し、ウィズコロナやアフターコロナなどの論議が進んでいます。
秋元市長におかれましては、これまで経験したことのない感染症に対応すべく、まさに市民の命と財産を守るため、様々な対策を講じてきました。
こうした中、9月15日、2027年度までのまちづくりに関する中期計画、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2023(案)を発表されました。
同プランは、札幌駅前の北5西1・西2地区や北4西3地区を中心とした開発支援、子育て支援では、子どもの医療費助成の対象を2025年度から高校3年生まで拡大するなどを掲げています。厳しい財政状況の中、未来のまちの礎となる再開発事業や子どもへの投資を拡充していく姿勢は、市民生活を支える土台となるものと考えます。
一方、国家間対立による食料やエネルギー問題、コロナ禍で定着した生活様式、物価高騰などにより、不安定な社会経済が続いています。
我が会派では、これまで、物価高騰対策や学校施設への空調設置に関する緊急要望を行ったところです。
本市は、昨年、市制100年を迎え、新たな100年のスタートを切りました。次の100年の土台をつくる札幌市政を担うべく、目下の物価高騰や感染症がもたらす課題を克服し、市民生活を支える取組をさらに続けていくことを求め、質問に入ります。
最初に、市長の政治姿勢について、5点お伺いいたします。
1点目は、市民生活を守る物価高騰対策についてです。
ロシアによるウクライナ侵攻を一つの契機として、円安、ドル高の急伸、ガソリンや電力などのエネルギー価格や食料品等の上昇に象徴される世界的な物価高騰が続いています。物資やエネルギーを海外からの輸入に依存する我が国においては、市民生活をはじめ、中小企業や小規模事業者等の事業活動に甚大な影響を与えており、適切なタイミングで物価高騰対策を講じる必要があると考えます。
物価高騰の影響は、2020年を基準年とする消費者物価指数にも表れており、直近の確定値である2023年8月の消費者物価指数は、前年同月比3.2%、前月比0.2%の上昇となっております。物価の上昇や社会保障全般の国民負担の増加が家計を圧迫している中、賃金の上昇は限定的で不十分であり、市民生活は厳しさを増していると認識をしております。
また、円の対ドル為替相場においては、2021年9月には110円台前半で推移していたものが、2023年9月現在では140円台後半で推移しており、エネルギーや資材調達の高コスト化が特に中小企業や小規模事業者等の生産活動を厳しいものとしております。
そのような中、我が会派においては、市民生活を守るため、低所得者層、子ども・子育て施設をはじめとした福祉関連分野、札幌の経済を支える中小企業や小規模事業者等への支援など、様々な提言をしてまいりました。
それら提言に対し、本市は、国や道との連携を取りながら対策を講じ、直近では、2023年第1回臨時市議会及び第2回定例市議会の補正予算において総額186億円を計上し、保護者負担の軽減を図るための学校給食等食材費高騰対策、物価高騰に伴う住民税非課税世帯への支援給付などを行いました。これまでの本市の対応が市民生活に寄り添ったものであると理解し、一定の評価をするところであります。
しかしながら、今回の第3回定例市議会に上程された補正予算においては、物価高騰対策が講じられておりません。冒頭で述べたとおり、我が会派といたしましては、市民生活が厳しさを増していると認識しており、速やかに物価高騰対策を検討していくべきと考えます。
本市におかれましては、国や道の動向を注視し、連携を図っていくことはもとより、昨年発足した秋元市長を本部長とする札幌市物価高騰等総合対策推進本部会議を十分に機能させ、財政調整基金の柔軟な活用など、迅速に対応することが求められています。
そこで、質問ですが、今後の物価高騰対策について、市長の考え方について伺います。
2点目は、
新型コロナウイルス感染症対応に関する総括検証についてです。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけは、本年5月8日をもって2類相当から5類に変更され、インフルエンザと同等の取扱いとなりました。現在、市内の定点医療機関からの報告によると、
新型コロナウイルス感染症の陽性者は高い水準で推移しており、保健所による対応が継続中です。感染状況を注視しながら、引き続き対応が必要ではありますが、
新型コロナウイルス感染症が5類となったことで、本市の
新型コロナウイルス感染症対応も一定の区切りがついたと言える状況であると考えます。
本市のこれまでの
新型コロナウイルス感染症対応については、
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議を開催し、その都度の振り返りは行っていますが、全体像を把握するための包括的な検証は行われておりません。
本市は、新興感染症に備えるため、2012年に札幌市業務継続計画(新型インフルエンザ編)を策定し、2014年には札幌市新型インフルエンザ等対策行動計画を改定しました。
しかし、
新型コロナウイルス感染症は、当時の想定を超える世界的な未曽有の事態であったため、計画に沿った対応を行えるような状況ではなかったのではないかと推察します。実際に、市民からは、感染拡大期には、保健所から検査結果の連絡が来ない、病院を受診したいが、どこの病院で診察してもらえるか分からないなどといった不安の声が寄せられました。また、コロナ対応に関する保健所の職員体制は、一時期は1,000人を超える規模となっており、多数の応援職員を派遣した部局では、残った職員の業務量が増え、日常的負担も大きかったと伺っております。
新型コロナウイルス感染症の拡大期における市民対応や人海戦術とも言える職員配置は、これまでの業務継続計画や行動計画の想定を超えたものであり、やむを得なかったと考えますが、この経験を将来に生かすためにも、今こそ本市の
新型コロナウイルス感染症対応についての総括検証を行い、感染症に強いまちづくりの礎とすべきと考えます。
そこで、質問ですが、本市における
新型コロナウイルス感染症への対応に関する総括検証について、市長はどのように考えているか、お伺いいたします。
3点目は、オリンピック・パラリンピック招致に関わる市民理解の促進についてお伺いいたします。
我が会派は、
冬季オリンピック・パラリンピック招致に当たって、市民の理解、支持が大前提であり、市民の意向をしっかりと確認の上、招致及び開催を行うべきと一貫して主張してまいりました。
秋元市長におかれましても、さきの市長選挙公約において、子どもや若者たちに将来への夢や希望を与え、持続可能なまちづくりの契機とするためのオリンピック・パラリンピック冬季競技大会については、透明性、公正性の高いクリーンな大会の計画案を策定し、市民などの意向を確認した上で招致を目指すとしており、我が会派と軌を一にしていると認識をしております。
しかしながら、東京オリンピック・パラリンピックの汚職問題によって、市民からは大会そのものに対して大きな疑義が向けられ、不信感は払拭されていないのが現状です。
こうした中、本市は、市民理解の促進に向けて様々な取組を実施しています。私も、8月に行われた公開討論会に参加し、各パネリストの意見を聞きました。また、会派としても、商業施設や区民センターなど市民に身近な場所で実施されたオープンハウス型の説明会や、より深く大会の中身を伝え、市民の疑問に答えるために実施された個別説明会などにも複数の議員が参加し、限定的ではありますが、市民の声を聞かせていただきました。その議論や提言を聞くと、招致に応援の声がある一方で、本市としても大会の意義や経費負担に関わる情報を正確に伝え切れていないことや、市民の間にある根深い不信感を感じ取りました。
現在、本市は、市民理解の促進のための取組に加え、大会運営見直し案を策定しています。オリンピック・パラリンピックはもちろんのこと、今後開催される可能性のある国際大会を札幌市が運営すると想定した場合でも、クリーンで透明性のある運営は必須であり、この大会運営見直し案を市民が納得できる普遍性のあるものに仕上げていかなければなりません。
このたびの第3回定例市議会の補正予算においては、市民の意向調査に関わる項目が計上されていません。一部報道では予算未計上に対して批判的な論調があるものの、我が会派としては、市民に対する徹底的な情報開示と説明及び透明性のある運営が担保される大会運営見直し案を提示して、市民アンケートの実施や住民投票の是非を議会で議論の上、市民の意向を確認すべきと考えます。
そこで、質問ですが、オリンピック・パラリンピック招致に関わる市民理解の促進について、今後どのように行っていく考えなのか、お伺いいたします。
4点目は、(仮称)共生社会推進条例の制定についてです。
共生社会は、障がいの有無や人種、性別、国籍など様々な違いがある人々が、対等な立場で相互に尊重し合い、多様な形で参加、貢献できる社会です。
我が会派では、共生社会の実現に向けて、全ての人の人権が尊重され、多様性や価値観を認め合い、大切にすることをこれまでの議会議論で主張してきましたが、それが条例という形で実現することは大きな意義があると考えます。
国においては、2018年に、ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律を制定し、今年6月には、共生社会の実現を推進するための認知症基本法をはじめ、共生社会の実現につながる法律が次々に制定されるなど、取組を強化しています。
本市は、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンのビジョン編において、まちづくりの重要概念の一つにユニバーサル(共生)を位置づけ、現在策定中の戦略編においても、分野横断的に取り組む施策にユニバーサルプロジェクトを設定するなど、共生社会の実現に向けた取組を強く推進する姿勢を明確にしております。また、本年の第2回定例市議会における市長の所信表明では、公約である(仮称)共生社会推進条例の制定に向けた意気込みを強く語られ、9月11日には、市長を本部長とするユニバーサル推進本部が設置され、2024年度中の条例制定を目指すことが報告されました。
本市には、共生社会の実現につながる条例として、札幌市福祉のまちづくり条例や札幌市男女共同参画推進条例等の関連条例が既に存在しており、それぞれの条例の下で個別に計画等を策定し、必要な施策を推進しています。(仮称)共生社会推進条例の制定に当たっては、既存の条例との関係性を整理すること、LGBTQなどのマイノリティーへの支援や心のバリアフリーの浸透など、これから一層充実させていく必要がある取組を総体的に進めること、共通理念を定め、本市の共生社会の実現に向けて組織横断的に推進していくことが必要です。
そこで、質問ですが、(仮称)共生社会推進条例について、既存条例等に基づく関連施策との関係をどのように整理する考えか、また、その制定目的と位置づけに関する市長の認識をお伺いいたします。
5点目は、学校給食への公費負担拡大についてです。
学校給食は、学校給食法に基づき実施され、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達に寄与することに加え、栄養のバランスの取れた豊かな食事を提供することにより、食に関する指導を効果的に進めるための重要な教材となっております。
学校給食の経費負担については、実施に必要な施設及び設備に要する経費とその運営に関する経費は、設置者の負担と位置づけられています。これら以外の経費は保護者の負担となっております。本市の給食費は、食材費分のみの保護者負担となっており、学年によって違いはありますが、小学校で月額約4,550円、中学校で約5,250円となっています。
しかし、
新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ情勢の長期化、円安などの状況が相次ぎ、物価高騰が経済を停滞させており、このことは学校給食の提供にも深刻な影響を及ぼしています。
文部科学省の調査によると、2021年度の給食費は公立の小・中学校とも過去最高となっておりますが、2022年度以降は、小麦や油を中心に食材はさらに高騰し、各自治体も財源の確保に苦慮している状況となっています。物価高騰が長引いている状況である今こそ、国の責任で早急に給食費の負担増に対応すべきではありますが、給食実施率や地方自治体の保護者負担軽減策の実施の把握等を始めたばかりです。経済情勢等にかかわらず、子どもたちが学び、成長する権利を保障することは社会全体の責任であります。
9月15日に発表した第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2023(案)においては、子育て世代への支援として、学校給食費の負担軽減を継続することを盛り込んでいます。第2回定例市議会においては、学校給食費の無償化を早期に実現することを国に求める意見書を可決したところですが、政令指定都市の中では大阪市が小・中学校の給食費無償化を開始しています。秋元市長は、さきの選挙公約において、学校給食費への公費負担を拡大することを掲げていますが、我が会派は、コロナ禍や物価高の影響を受けた子育て世帯の支援を行っていくことはもとより、札幌市の未来を担う若い世代へ財政負担の先送りをすることなく、恒久的な無償化支援を検討すべきと考えます。
そこで、質問ですが、学校給食の公費負担について、札幌市はどのように進めていくのか、伺います。
次に、今後の財政運営について、2点伺います。
1点目は、2022年度決算に対する評価についてです。
2022年度当初予算は、秋元市長の2期目最後となる本格予算であり、札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2019に掲げる取組をはじめ、感染症対策やポストコロナに向けた社会経済活動の回復、発展、デジタル、オンラインを活用した新たな成長に資する事業に重点的に資源を配分した結果、一般会計としては過去最大規模となる1兆1,616億円を計上しました。その後、
新型コロナウイルス感染症対応関連をはじめ、1,941億円に上る補正予算を編成し、一般会計の最終予算額は1兆3,557億円、2021年度の最終予算額から8.5%の減となりました。
歳出決算額については、2021年度決算比で5.2%減となる1兆2,188億円で、歳入決算額1兆2,298億円との差額110億円から、2023年度への繰越財源を除く68億円が実質収支となり、このうち35億円を財政調整基金に積み立てたところです。この結果、財政調整基金の2022年度末残高は314億円となっており、
アクションプラン2019において維持するべきとした水準100億円を大きく上回っています。このことは、
新型コロナウイルス感染症への対応が続く中で、機動的な財政運営を行うとともに、歳出の効率的な執行に努められた結果であると認識をしているところであります。
一方で、
新型コロナウイルス感染症対策に要する経費の増加などにより、社会保障経費をはじめとする義務的経費は増加していること、さらに、地方交付税に頼らず財政運営ができている度合いを示す財政力指数は昨年度とほぼ同値となる0.723となっていることから、財政基盤の脆弱さを指摘されている本市の財政状況は依然として厳しいものと考えます。
そこで、質問ですが、2022年度決算についてどのように評価しているか、お伺いいたします。
2点目は、今後の財政運営の考え方についてです。
企業会計を含めた札幌市全会計の2022年度の市債残高は、2020年度末残高から2年連続で減少となる1兆6,305億円、一般会計の市債残高を見ても、前年から0.2%の減となる1兆981億円となっております。市民1人当たりの市債残高は54万9,476円と、
アクションプラン2019において設定された67万9,013円を下回る指標を達成することとなり、現時点の評価としては一定の健全性を保っていると考えます。
しかし、市債残高の適正な管理という観点で見ると、地方交付税の振り替わりである臨時財政対策債の積み上がりが課題となっているほか、後年次におけるインフラをはじめとする公共施設の維持・更新に伴う建設債の増加とともにその残高も増えていくことが見込まれることから、将来にわたって安心できるとは言えません。本市においては、今後、人口減少局面が続くと想定しており、結果として将来世代の負担が増大していくことが十分に考えられ、適切な市債管理が重要です。
そこで、質問ですが、この市債残高をどのようにコントロールしていくのか、持続可能な財政運営の考え方についてお伺いいたします。
次に、児童相談所の専門性強化の取組についてお伺いいたします。
児童虐待については、全国的に深刻な状況が続いており、先日、9月7日にこども家庭庁が発表した速報値では、2022年度における全国の児童相談所の児童虐待相談対応件数は、前年度比5.5%増の21万9,170件に上り、32年連続で最多を更新しております。本市においては、2022年度における札幌市児童相談所の児童虐待相談対応件数は2,282件に上り、2019年度の2歳女児死亡事案以降、2,000件を上回る水準が続いています。
札幌市児童相談所の職員の皆様は、日々、子どもたちの生命に関わる深刻な事案と正面から向き合い、真摯に対応されていますが、その業務は多岐にわたり、一つの事案にかかる労力は膨大です。
我が会派は、議会議論の場において、子どもたちの命や権利を守るためにも、児童相談所の専門性の強化、人員の増強は不可欠なものであると主張してまいりました。
本市は、第3次児童相談体制強化プランに基づき、専門職である児童福祉司及び児童心理司の増員を計画的に進めてきました。2019年度から2022年度までに20名の児童福祉司の増員、2023年度には児童心理司も10名増員、今後も計画的な増員を進めていく予定と伺っております。また、本市は、我が会派の提言も踏まえ、児童相談所の専門性の強化に当たっては、2020年度から医師職の部長を、2021年7月からは弁護士である法務担当の課長を常勤で配置しました。加えて、虐待の緊急対応部門には警察官や教職員を受け入れるなど、多職種による連携を積極的に強化してきました。
そして、この秋、2025年度に開設予定の第二児童相談所の建設工事が始まります。第二児童相談所は、東部地域の児童福祉行政の新たな拠点として、さらには、地域に根差した身近な相談機関としての役割が期待されています。
我が会派は、第二児童相談所の設置によって緊急事案にも速やかな対応が可能となる一方で、市内2所体制となるに当たっての職員の適切な配置や人材育成の重要性が一層高まっていると考えます。
国では、児童相談所の職員や施設関係者などの相談対応力や関係機関との連携力の向上を図るため、新たな国家認定資格、こども家庭ソーシャルワーカーを来年4月に創設します。この新たな資格は、その取得を通じて職員の専門性の底上げを図り、子どもや保護者への適切な支援につなげることが目的とされていますが、このような動きとも連動しながら、本市児童相談所職員の専門性強化に取り組むべきと考えます。
そこで、質問ですが、児童相談所の専門性強化に係る人材の育成について、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、NPOとの協働促進について伺います。
本市は、急激に進む少子化に歯止めをかけ、人口減少を緩和するため、さっぽ
ろ未来創生プランに基づき、様々な施策を講じていますが、現状はさらに深刻化しており、これまでとは異なる新たな住民課題、地域課題に直面することは避けられません。
我が会派は、2023年第1回定例会の代表質問において、これからの市政運営に当たっては、民間企業やNPOなど様々な市民セクターとの連携や協働がさらに重要になると質問しました。これに対し、秋元市長は、規制を見直し、民間企業等の市民セクターの活動の幅を広げ、新たな官民連携体制の構築を進めるとの答弁がありました。
特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が成立してから25年がたちました。NPOは、行政では手の届かない市民の課題に寄り添ってきた協働の重要なパートナーと言えます。この25年の間に、NPOは、社会的認知のなかった課題を解決する専門性、先駆性のある事業を生み出しました。そのことによって新たな公共的課題を浮き彫りにし、生活困窮者、子どもの貧困、若年女性などの支援等、様々な分野で国の法律や制度をつくり出す社会変革の原動力となりました。そして、何よりもNPOの大きな役割は、職員、ボランティア、寄附などの市民参加によって、自分たちが社会を変える主体になるというまちづくりの担い手としての市民意識を醸成してきたところにあります。
本市は、2008年に札幌市市民まちづくり活動促進条例を施行し、さぽーとほっと基金や、市民活動サポートセンター等を通じて、NPOをはじめとする市民のまちづくり活動を応援してきました。全国の政令指定都市の中でも、NPO法人の数が約900と3番目に多く、市民自らまちづくりの課題に取り組む環境が整いつつありますが、市民ニーズの顕在化と解決手法の実証というNPOの強みを市政運営で生かし切れていないのが現状です。本市においても、NPOは、多様化する市民ニーズを市民目線で捉え、子ども、福祉、まちづくり等、様々な分野で活躍をしていますが、これから直面する新たな市民ニーズに柔軟に対応していくには、さらなるNPOの活躍を後押しすることが本市には期待されます。
近年は、社会課題を解決する仕事に従事したい若者が増えてきており、実際にNPOがその受皿の一つとなっています。将来を担う若者はもちろんのこと、様々な世代の市民が活躍するまち札幌の実現のためには、NPOと本市との協働を一段上のステージへと押し上げるべきと考えます。その実現のために、本市は、専門性のある事業を展開するNPOを支援する仕組みの構築、先駆的な事業に取り組むNPOとともに政策形成を行うなど、NPOとの協働促進に向けた取組を進めるべきです。
そこで、質問ですが、NPOとの協働促進について、今後どのように展開していく考えか、お伺いいたします。
次に、地域包括支援センターの市民周知と対応力の強化について伺います。
高齢化の進展とともに複合的な課題が増加する中、我が会派は、地域包括支援センターの周知や対応力の強化は重要な課題であるとし、2020年第3回定例会の代表質問においてもこの点について質問をいたしました。
本市では、平均寿命の伸びや出生率の低下により少子高齢化が進み、高齢化率は、今年、2023年4月で28.3%となっております。今後、市全体の人口の減少が見込まれる中、この傾向はさらに続き、2040年には市民の4割近くが65歳以上の高齢者となることが予想されています。
少子高齢化は全国的な傾向であり、人口減少に伴い、これまで経験したことのない超高齢社会を見据え、地域包括ケア体制のさらなる充実に向けた基盤整備を進めていくことが必要です。特に、地域包括ケアの中核をなす地域包括支援センターは、総合相談支援窓口の機能をはじめ、高齢者の権利擁護、ケアマネジャーへの助言や、地域の様々な関係機関とのネットワークづくり、介護予防ケアマネジメント業務など、その業務範囲は多岐にわたっており、市民に地域包括支援センターの機能や役割を知ってもらい、活用してもらうためには、市民周知が不可欠です。
本市の高齢社会に関する意識調査によると、65歳以上の地域包括支援センターの認知度は、2013年度の19.8%に対し、2022年度は39.5%と、10年間で2倍程度伸びています。年々上昇してはいるものの、約4割という認知度は低いと言わざるを得ず、地域包括支援センターを市民に知ってもらうさらなる取組が必要です。
また、個人や世帯を取り巻く環境の変化により、生きづらさやリスクが多様化・複雑化している中、高齢者一人一人が尊重され、社会との関わりを基礎として、自立的な生活の継続に向けた支援を強化することや、多様な支援ニーズに対応していくことが求められます。さらに、地域における相談・見守り体制の充実、連携強化といった地域共生社会の実現を目指した取組も大切になってくることから、地域包括支援センターの対応力の強化がますます重要になると考えます。
そこで、質問ですが、地域包括支援センターの市民周知と対応力の強化をどのように図っていくのか、見解をお伺いいたします。
次に、災害ケースマネジメントの認識と今後の対応についてお伺いいたします。
甚大な被害をもたらした北海道胆振東部地震から今月で5年が経過しました。この地震では、44名の貴い命が奪われ、多数の家屋が倒壊、半壊したこと、そして、今なお生活再建のさなかにいる方々がいることを忘れてはなりません。
国内では、北海道胆振東部地震以降も震度6以上の地震が数回発生しているほか、大雨や洪水、豪雪など想定を超える大規模災害が発生しており、被災自治体においては、住まいや仕事などを失った被災者の生活再建などの支援が課題となっております。
被災者の生活再建を円滑に進めるためには、避難所、仮設住宅にいる被災者だけではなく、支援情報が届きにくい在宅被災者に対する支援も不可欠です。また、生活困窮者や要配慮者の生活再建の遅れ、子どもへの心のケアの必要性など、被災者が抱える課題は多岐にわたります。これらの課題は、復旧・復興期まで及ぶものであり、応急対応期の体制だけでは十分に対応できないことが被災自治体の支援現場から明らかとなっております。
こうした中、近年、被災自治体では、災害ケースマネジメントという仕組みによる被災者支援が行われています。この仕組みは、訪問等のアウトリーチによる状況把握と情報提供、福祉関係者、弁護士などの専門職、NPO等の民間団体との連携によって一人一人に必要な支援を届けるものであり、今や被災自治体による被災者支援の主流になりつつあると言えます。
国は、これらの被災自治体の動きを全国に広めるために、2022年に災害ケースマネジメントの手引を策定し、2023年5月の防災基本計画の見直しにおいて、災害ケースマネジメントの整備に努めることを自治体に求めています。
北海道胆振東部地震の際には、厚真町など道内自治体でも災害ケースマネジメントが実践されました。一方、本市においては、建物被害がありながらも必要な支援の情報を得ることができず、生活再建に支障があったという市民が少なからずおり、今後の被災者支援の体制構築に課題を残したと言えます。
本市は、195万人の人口を擁しており、大規模災害時には何万人もの被災者が発生することが想定されます。生活再建の歩みは市民一人一人異なることから、その人が望む生活再建が実現できるような被災者支援を行うには、災害ケースマネジメントの仕組みに基づく被災者支援の体制整備が不可欠と考えます。
そこで、質問ですが、本市における災害ケースマネジメントの認識と今後の対応についてお伺いいたします。
次に、第2次札幌市
産業振興ビジョンにおける中小企業への支援について伺います。
2011年に札幌市
産業振興ビジョンが策定された当時は、2008年に発生したリーマンショックの影響などもあり、2011年1月時点での札幌圏の有効求人倍率は0.34倍と、雇用の受皿も少ない状況でした。そのため、本市は、雇用の場の確保、創造を産業振興の目的の一つとして掲げ、各種施策に取り組んできました。
その後、景気回復など社会経済状況の変化に伴い、人手不足が高まってきたことなどを踏まえ、2016年に
産業振興ビジョンを改定しましたが、事務的職業など職種によっては求職者数が求人数を大きく上回るような状況も引き続き見られるなど、雇用のミスマッチが発生しました。
現行の改定版
産業振興ビジョンでは、雇用の場を確保、創出し、市民に働く機会を提供することが企業活動の活発化や市民の暮らしの充実につながっていくことから、市内従業者数と市内企業の売上高を達成すべき数値目標としていました。一方、現在策定中の第2次
産業振興ビジョンでは、1人当たりの市内総生産を達成すべき数値目標にすると伺っております。
人口減少局面を迎えた現状においては、主に経済規模の拡大によって達成が可能となる市内従業者数と市内企業の売上高を数値目標にすると、札幌経済の実態を把握することが困難になることも考えられます。そのため、市民の豊かさの指標となる1人当たりの市内総生産を目標とすることは妥当であると考えます。
この数値目標を達成し、さらなる経済成長を目指していくには、企業誘致などによって市外から新たな力を取り込むことが重要ですが、市内企業の事業活動をより強固なものとしていくことも必要不可欠です。とりわけ、市内の事業者の大部分を占める中小企業は、市民生活に密着した商品、サービスの提供を行い、事業活動を通じて雇用を支えるなど、札幌経済の発展には欠かすことのできない原動力であることから、さらなる活性化が必要です。
我が会派としても、地域に密着した中小企業の成長は、新たな雇用の創出につながり、市民所得の向上に寄与するなど、市内経済の好循環が生み出される一助となり、ひいては市内総生産の向上につながっていくものと考えます。
そこで、質問ですが、第2次
産業振興ビジョンにおいて中小企業への支援にどのように取り組んでいくのか、その方策についてお伺いいたします。
次に、アジア・世界の金融センターの実現に向けた取組についてお伺いいたします。
近年、世界規模で異常気象が発生し、大規模な自然災害が増加するなど、気候変動問題への対応は、今や、世界共通の喫緊の課題となっています。
本市は、気候変動対策行動計画において、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとするゼロカーボンを実現することを掲げています。また、2030年の温室効果ガス排出量の削減目標では、2016年に比べ、55%削減することとしており、国の地球温暖化対策計画を超える高い目標を設定しております。
本市がこの目標を達成するためには、北海道の
再生可能エネルギーの潜在力を十分に生かしながら、GX、
グリーントランスフォーメーションの取組を加速化させていくことが必要です。このGXの取組を持続可能なものにしていくためには、
再生可能エネルギーに関する設備投資を一過性のものにとどめず、新たな需要、市場を創出し、GX産業の集積を図り、経済成長に結びつける視点が極めて重要です。
そのような中、北海道の
再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に活用し、アジア・世界の金融センターの実現に向けて、産学官金コンソーシアム、Team Sapporo−
Hokkaidoが設立されたことは、まさにこの視点に沿うものであると考えます。
秋元市長は、コンソーシアムの設立に合わせて行われたシンポジウムなどで、今後10年間で150兆円超とも言われる新たなGXの官民投資と、それに呼応する形で世界中から集まる投資を北海道、札幌に呼び込むための環境整備が極めて重要とし、総額30兆円から40兆円規模の投資を実現したいと表明しました。また、8月には、このTeam Sapporo−
Hokkaidoの取組を推進するため、北海道知事とともに政府に要請活動を行い、その中で、持続可能な航空燃料であるSAF、水素、洋上風力関連産業、蓄電池、次世代半導体、電気及び水素運搬船、海底直流送電網、データセンターを八つのGXプロジェクトとして掲げ、プロジェクトに関する支援を要望しました。
我が会派は、このような先進的なプロジェクトを進めることが、結果として、市長が表明した総額30兆円から40兆円規模の投資を呼び込むことにつながることから、国や北海道と連携を図りながら強力に推し進めるべきと考えます。
そこで、質問ですが、八つのGXプロジェクトを通じて、アジア・世界の金融センターをどのように実現しようとしているのか、市長の考えをお伺いいたします。
次に、丘珠空港の将来像における路線拡充の取組について伺います。
本市は、昨年11月、丘珠空港の滑走路延伸を柱とする丘珠空港の将来像を策定しました。また、札幌市や道、経済団体などで構成される札幌丘珠空港機能強化推進協議会は、本年8月31日、滑走路延伸の2030年供用開始に向けた要望を国土交通省と防衛省に行ったところです。
丘珠空港の将来像では、空港敷地内の緑地部分を使って滑走路を300メートル延伸し、1,800メートルとし、空港の運用時間については、午前7時半の開始時間を30分前倒しし、午後8時半の終了時間を30分遅くして、計1時間延長する考えを示しています。
さらに、機能強化の取組の一つとして路線の拡充を掲げています。この取組を掲げた時点では、函館や釧路、女満別など道内5路線、静岡や松本、三沢の道外3路線が就航していましたが、将来像の実現に伴って道内6路線、道外10路線までの拡充を想定していました。
その後、本年3月26日には、フジドリームエアラインズが丘珠空港と県営名古屋空港を結ぶ丘珠−小牧路線を就航させ、8月22日には北海道エアシステムが丘珠−中標津路線の就航を公表しました。これによって丘珠空港の将来像の実現に向けて、道内路線は想定した路線数である6路線に達しました。路線の拡充で、交流人口の増加による経済効果、移動手段の選択肢が増えることによる利便性の向上が図られ、札幌市及び北海道の活力向上が期待できるものと認識をしております。
こうした一方、先日の報道では、
空港ターミナルビルの駐車場や保安検査場の混雑化が指摘されていました。路線拡充の取組による様々な相乗効果を実現するとともに、
空港ターミナルビルの機能強化が必要です。
また、8月上旬の大雨によるJR石北線の運休では、代替として、都市間バスの増発とともに、丘珠空港と女満別空港を結ぶ航空路線でも臨時便が運航されましたが、災害対応という観点でも航空路線は重要な役割を担っています。2016年8月の大型台風によるJRの運休時においても、釧路への移動手段として航空機が代替手段の一翼を担った事例もあり、移動手段を充実させることは道民の安心・安全をもたらすことにもつながります。
特に、広大な北海道においては、ビジネスや観光だけではなく、医療機関への通院、医療従事者の移動などに伴う遠距離移動があります。広域交通ネットワークは、まさに生活の足であって、丘珠空港の道内路線は、医療・災害対応などの観点でも極めて重要です。このような観点から、丘珠空港の将来像において想定した道内路線の拡充規模には既に達しているものの、今後就航の可能性がある道内空港についても、情報を共有しながら就航を検討すべきと考えます。
そこで、質問ですが、丘珠空港の将来像における路線の拡充について、今後の道内路線の展開を札幌市ではどのように考えているのか、お伺いいたします。
次に、札幌市におけるグリーンインフラの取組についてお伺いいたします。
昨今、自然災害の頻発化により日本各地で甚大な被害が発生していますが、気候変動に対する防災・減災、緑あふれる魅力ある都市空間の形成、生物多様性の保全や自然と共生する社会の実現など、社会的課題への対応が求められています。
こうした中、自然環境が有する多様な機能を生かし、様々な社会的課題を解決する方策の一つとして、グリーンインフラが注目をされております。グリーンインフラは、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組です。具体的には、生息、生育の場の提供、雨水の貯留、浸透による防災・減災、水質浄化、水源涵養、気温上昇の抑制など多様な機能を有しており、その性格上、地域住民との協働や民間企業との連携により多様な主体の参画も必要となります。
国土交通省は、本年9月8日、2019年に策定したグリーンインフラ推進戦略を全面改訂したグリーンインフラ推進戦略2023を新たに発表しました。同戦略では、グリーンインフラの目指す姿として自然と共生する社会を掲げ、官と民が両輪となってグリーンインフラを普及することとしています。今後は、新戦略の下、産学官の多様な主体が参画して、グリーンインフラに関するノウハウ、技術等を持ち寄ることを目的に、2020年3月に設立したグリーンインフラ官民連携プラットフォームや、経済団体と連携した活動が活発化していくことが期待されます。
本市では、第4次札幌市みどりの基本計画において、グリーンインフラの導入検討のための調査を行うことを位置づけています。2021年には、国土交通省の先導的グリーンインフラモデル形成支援の重点支援団体とされ、雨水浸透緑化の効果測定や検証等について支援を受けています。また、現在策定中である札幌市都心のみどりづくり方針(案)においても、新たなまちづくりの視点としてグリーンインフラの推進を掲げています。
グリーンインフラの取組は、ヒートアイランド対策、景観向上にもつながり、市街地の植物に覆われた面積が占める割合である緑被率の増加や、内水氾濫等の災害による被害を軽減させるなどについても効果があると認識をしております。
本市は、これまで、都市公園を中心にグリーンインフラに関する取組を行ってきたところですが、今後は、関係部局間での連携や民間事業者との協力によって、グリーンインフラが有する機能を効果的なものとなるよう推進していくべきと考えます。
そこで、質問ですが、グリーンインフラに対する認識と、今後どのように取組を進めていくのか、本市の考えをお伺いいたします。
最後に、札幌市立学校における暑さ対策についてお伺いいたします。
今年は、6月から8月の日本の平均気温は、1898年の統計開始以降で最も高くなるなど、記録的な暑さとなりました。北海道内における近年の気温上昇も著しく、今年は異常とも言え、他の自治体では児童が熱中症と見られる症状により亡くなるという大変痛ましい事件が発生しました。
文部科学省の調査によると、全国の公立小・中学校における普通教室のエアコン整備率は、2022年9月時点で95.7%となっており、東北地方を含めてエアコンがほぼ完備されている状況ですが、北海道の整備率は16.5%にとどまっており、他都府県とかけ離れた状況にあります。
エアコンを整備していない札幌市立の学校では、これまで、移動式エアコンや扇風機を組み合わせたり、廊下に大型扇風機を設置し、熱気を外に逃がすなど、教室内の温度を下げる取組をするとともに、通気性のよい服装や、水筒の持参を含む適切な水分補給の指導、ネッククーラー等の冷却用具を使用できるようにするなど、様々な工夫を行ってきました。
しかし、今後も今年のような猛暑が続くかもしれないことを考えると、先日、我が会派が秋元市長に緊急要望をしたとおり、もはや、学校施設へのエアコン整備なしには、子どもたちが安全で安心して学校生活を送ることはできないのではないかと考えます。
このような中で、秋元市長は、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョン・
アクションプラン2023(案)を公表し、全ての市立学校の普通教室等に2027年度までにルームエアコンを整備することを掲げたところであり、我が会派としても、市長が抜本的な暑さ対策に踏み切ったことについて大いに評価をしているところであります。
一方、現在、建設業における人材不足が深刻化しており、また、そのような状況においても民間工事は活況であることなどから、公共工事の入札不調が増加をしています。今後も配管工などの技術者不足が見込まれることを踏まえると、集中的な整備を行う必要がある本事業は難しい事業運営となることが懸念されます。しかし、エアコン整備は、子どもたちに安全・安心できる教育環境を確保するための特に緊急度が高い事業となることから、何としても着実に進めていただきたいと考えます。
また、単純計算では、年間100校ずつ整備を進めることとなり、実際に全校に整備されるまでの間にはあと数回は夏を乗り越えなければならないため、それまでの間、これらの学校においては、ハード・ソフト両面において今年のような夏の暑さをしのぐための切れ目のない対策を行っていく必要があります。
そこで、質問ですが、普通教室などへのエアコンが整備されるまでの間、市立学校における暑さ対策を今後どのように進めていくのか、伺います。
これで、私の質問の全てを終了いたします。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○副議長(しのだ江里子) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で11項目にわたり、ご質問をいただきました。私からは、1項目めの私の政治姿勢についての5点、そして、2項目めの今後の財政運営について、8項目めのアジア・世界の金融センターの実現に向けた取組についてお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、石川副市長、天野副市長、教育長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
最初に、大きな1項目めの私の政治姿勢についてのまず1点目、市民生活を守る物価高騰対策についてお答えをいたします。
長引く物価高騰は、全国的な課題でありますが、市政の喫緊の課題として、国の地方創生臨時交付金などの財源を活用し、給付金の支給や事業者への支援などにより、国や北海道と役割を分担しながら市民生活を守るための支援を展開してきたところであります。
物価高騰の早期収束はいまだ見通せないことから、物価やエネルギー価格の上昇による市民生活への影響について分析を進めるとともに、現在国で議論されている経済対策の動向をも注視し、国や北海道と緊密に連携をしながら、適切な役割分担の下で迅速に具体策を講じられるよう引き続き検討してまいります。
次に、2点目の
新型コロナウイルス感染症対応に関する総括検証についてであります。
新型コロナウイルス感染症は、過去に類のないパンデミックであり、市民生活や社会経済活動などへの影響が大きかったことから、多角的な視点による検証を行い、今後に備えることが重要だと考えております。
そのため、まず、市民意見を反映する観点から、札幌市の対応に関する市民アンケートを実施したほか、医療提供体制や経済分野などについて、来月、専門家会議を開催し、議論いただくこととしております。最終的には、年内に検証結果の取りまとめを行い、感染症予防計画の策定などに活用していくことで、新たな危機に直面した場合でも迅速かつ的確な対応ができるよう備えを進めてまいります。
次に、3点目のオリンピック・パラリンピック招致に関わる市民理解の促進についてお答えをいたします。
この招致実現のためには市民の理解と支持が不可欠でありますことから、今回の市民対話事業を通じても、依然として大会招致に関する不安や懸念の声が多く寄せられている現状を踏まえますと、スケジュールありきではなく、より一層の理解促進に取り組んでいく必要があるものと考えております。
また、東京大会の事案により生じた市民の不信感もいまだ根強いことから、現在検討中の大会運営見直し案についても、市民対話でいただいた意見や検討委員会での議論を踏まえ、できるだけ早期に策定をし、公表したいと考えているところであります。大会運営見直し案の内容などについて、今後も様々な対話や情報発信に努め、その上で、しかるべき時期に民意の確認を行う考えであります。
次に、4点目の(仮称)共生社会推進条例の制定についてお答えをいたします。
社会課題が複雑・高度化する中で共生社会を実現するに当たりましては、行政が個々の施策に取り組むだけでなく、施策間の連携を進め、施策効果の最大化を図るとともに、市民、事業者を含めた多様な主体の協働による取組が不可欠であると認識をしております。
そこで、新たに制定を目指す条例は、既存の関連施策の枠組みを超えるまちづくりの方向性を示すものとして基本理念等を定め、広くその理念の浸透を図っていくことで、オール札幌の体制の中で多様性を強みとした成熟したまちの実現を目指したいと考えております。
制定に向けては、今後、外部有識者等から成る検討委員会を設置し、議論を進めていくほか、来年度には、多様な立場にある方を交えたワークショップ等の市民参加事業も併せて実施するなど、条例の検討段階から多様性の尊重に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、5点目の学校給食への公費負担拡大についてお答えをいたします。
札幌市では、第1回臨時会で議決いただいた補正予算で、子育て世帯への給食費負担軽減として高騰した食材費の公費負担を行うといった物価高騰対策を機動的に実施してきたところであります。
給食費のさらなる公費負担拡大につきましては、子育て支援策の一つとして検討をしてきたところでありますが、この夏の歴史的な猛暑を踏まえ、学校施設への冷房設備の整備の予算を優先する必要があると判断したところであります。
給食費につきましては、物価高騰を考慮し、全ての子育て世帯に行き渡る支援策として公費による負担軽減を継続していくこととしておりまして、引き続き、子どもたちが安心して学べる環境の維持に努めてまいりたいと考えております。
次に、大きな2項目めの今後の財政運営についてお答えをいたします。
まず、1点目の2022年度決算に対する評価についてでありますが、令和4年度におきましては、計7回の補正予算を編成するなど、感染症対策や地域経済対策などに機動的に取り組んだ結果、決算額の規模は過去3番目の大きさとなったところであります。
こうした中においても実質収支として68億円を確保できたのは、効率的な予算執行や国、北海道からの財源確保に努めた結果と捉えているところであります。さらに、市債や財政調整基金の残高につきましても、目標とした水準を達成したところであり、これまでと同様、将来世代に過度な負担を残さない健全な財政運営を行ってきたものと認識をしております。
次に、今後の財政運営の在り方についてでありますが、今後の財政運営につきましては、老朽化する公共施設の更新や都市基盤の再整備などを進めていくために、当面は市債残高の増加が見込まれるところであります。
これに対しましては、公共施設マネジメントの取組により建設事業の規模を平準化するほか、予算編成、予算執行の過程における事業費の精査、節減などにより、将来的な市債残高を減少させていく考えであります。未来への投資に積極的に資源を配分する一方、市債残高を適切に管理し、将来を見据えたバランス重視の財政運営を行ってまいります。
次に、8項目めのアジア・世界の金融センターの実現に向けた取組についてお答えをいたします。
北海道、札幌では、洋上風力の有望5区域の選定や海底直流送電網の整備など、GX産業の集積に向けた取組が動き始めており、これらに呼応した投資を呼び込むために八つのGXプロジェクトを集中的に推進することとしております。
今後は、関係省庁や事業者等と連携をしながら実証実験等を展開し、実装、事業化につなげることでGX関連産業の集積を図り、サプライチェーンの構築を実現していきたいと考えております。
また、この動きに合わせて金融機能の強化を進めることでGX産業の集積との相乗効果を生み出し、世界中からGXに関する資金、人材、情報が集積する金融センターの実現に向けて取り組んでまいります。
私からは、以上です。
○副議長(しのだ江里子) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな3項目め、児童相談所の専門性強化の取組について、大きな5項目め、地域包括支援センターについて、6項目め、災害ケースマネジメントの認識と今後の対応についての三つの項目についてお答え申し上げます。
まず、大きな3項目めの児童相談所の専門性強化の取組についてでございますが、子ども虐待対応に従事する職員の育成に当たりましては、昨年度作成いたしました人材育成ビジョンを柱に多職種合同研修を実施するなど、協働の組織文化の醸成や専門性の強化に取り組んでいるところでございます。
令和6年度に新設されます、こども家庭福祉の認定資格は、100時間以上の研修受講を要し、児童福祉分野の幅広い知識と相談支援能力の獲得につながりますことから、職員の計画的な資格取得を進めていく考えでおります。
こうした職員のさらなる専門性強化や、児童相談所の2所体制化以降も見据え、中長期的な人材育成を着実に進めることで、子どもや家庭に対するより的確かつ迅速な相談支援体制を構築してまいりたいと考えるところでございます。
次に、5項目めの地域包括支援センターについてお答え申し上げます。
地域包括支援センターにつきましては、これまでも役割や相談先を記載したリーフレットを高齢者やそのご家族に配付させていただくなど、周知を行ってきているところでございます。今年度は、新たに高齢者の皆様が関心のある健康情報を記載したリーフレットを作成し、町内会や企業などのご協力を得ながら配付を始めているほか、コロナ禍で中止していたイベントを再開し、幅広く周知を進めているところでございます。
今後は、フレイル改善や認知症支援の専門員を配置し、人員体制の強化を図るとともに、新たに夜間・休日の相談受付体制を検討するほか、各センターが連携した形での研修の企画・運営や業務マニュアルの改定などを継続して行うことにより、職員個々の資質向上及び各センターの組織的な対応力のさらなる強化を図ってまいります。
次に、6項目めの災害ケースマネジメントの認識と今後の対応についてでございますが、被災者の生活再建は、住まいの確保と人のつながりの再構築が最も重要であり、一人一人の被災状況や生活状況を把握し、被災者に寄り添った支援を的確に行うことが必要であると認識するところでございます。
北海道胆振東部地震では、被害の大きかった里塚地区におきまして、被災者の声に耳を傾け、住宅とコミュニティーの再生に向けた支援を行い、全ての被災者の生活再建が実現したところでございます。
今後は、これらに加え、被災者の状況に応じ、心のケアや健康相談などの支援が円滑に行われるよう、関係団体や民間事業者と平時からの連携を図り、生活再建の早期実現に向けた取組を進めてまいります。
私からは、以上でございます。
○副議長(しのだ江里子) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな7項目め、第2次札幌市
産業振興ビジョンにおける中小企業への支援についてご答弁を申し上げます。
中小企業は札幌経済の発展に重要な役割を果たす存在でありますことから、中小企業への支援を全産業を高度化させる横断的戦略として位置づけ、様々な施策を展開してきたところでございます。今後、人口が減少する中にありましても、札幌の経済力を維持するためには市民1人当たりの市内総生産額を上げていくことが重要であり、そのためには市内企業の大部分を占める中小企業の経営基盤強化が不可欠となってまいります。
そこで、第2次札幌市
産業振興ビジョンにおきましては、例えば、デジタル化による業務の効率化や新たな販路の拡大など、中小企業の付加価値や生産性の向上に資する取組を経済団体や金融機関等と連携をしながら重点的に支援をしてまいりたい、このように考えております。
私からは、以上であります。
○副議長(しのだ江里子) 天野副市長。
◎副市長(天野周治) 私からは、大きな4項目め、NPOとの協働促進について、9項目め、丘珠空港の将来像における路線拡充の取組について、10項目め、札幌市におけるグリーンインフラの取組についてお答えをいたします。
まず、4項目めのNPOとの協働促進についてでございます。
ますます複雑・高度化する社会課題の解決には、企業やNPOなど多様な団体との協働によるまちづくりを進めることが重要と認識しております。
そのため、現在策定中の第4期札幌市市民まちづくり活動促進基本計画の中でも、NPOや各種団体の現況を把握し、財政的自立と成長を促す助成制度へ見直すとともに、団体の運営強化を図るためのきめ細やかな支援の在り方などを検討しているところであります。
あわせて、先駆的事業を実施するNPOを含め、民間から官民連携事業に関する提案を受け付ける仕組みづくりを進めるなど、多様な主体との連携を図りながら、市民のために協働し、挑戦する市役所を目指してまいります。
次に、9項目めの丘珠空港の将来像における路線拡充の取組についてでございます。
丘珠空港は、これまでも、道内航空ネットワークの拠点空港として、ビジネスや医療、防災等、重要な役割を担っており、その役割をより一層果たしていくためにも、道内路線の維持、拡充は重要と認識しております。
このことから、丘珠空港の将来像においても、北海道エアポートが運営する道内7空港をはじめとした道内空港全体と連携を図りながら、道内移動の充実強化に貢献していく考えを示しているところであります。
したがいまして、今後の路線拡充については、新千歳空港との役割分担を考慮しながら、既存の就航路線を維持しつつ、航空会社や関係自治体の意向等も踏まえながら、可能な限り道内路線の拡充に取り組み、札幌及び北海道全体の活力向上に貢献してまいりたいと考えております。
次に、10項目めの札幌市におけるグリーンインフラの取組についてでございます。
グリーンインフラの取組は気候変動や水質浄化などへの対応策として重要であり、とりわけ、雨水が浸透しづらい舗装面が多い市街地で、緑化を図りつつ雨水の貯留、浸透に取り組むことは効果的な施策と認識しております。
札幌市では、これまで、円山公園や平岡公園などで、雨水を地中の砕石の層に一時貯留し、ゆっくり浸透させる雨水浸透緑化をグリーンインフラの取組として推進してきたところであります。今後は、都市公園の改修や民間事業者が行う緑空間の創出の機会などを捉え、
まちづくり戦略ビジョンに掲げる身近なみどりを守り、育て、自然と共に暮らすまちを目指してグリーンインフラの取組を進めてまいります。
私からは、以上でございます。
○副議長(しのだ江里子) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 私からは、大きな11項目め、札幌市立学校における暑さ対策についてお答えをいたします。
全ての幼稚園、学校の普通教室などへのエアコン整備につきましては、次年度以降、順次、設計及び工事に着手してまいりますけれども、整備が終わるまでの間も今年のような猛暑が続くことが想定されております。そのため、切れ目のない暑さ対策が必要であるという認識をしております。
そのため、まずは、緊急対応として今年度から全ての幼稚園、学校の保健室にエアコンを整備することに加えまして、来年度中に全ての普通教室に移動式エアコンの導入を進める考えであります。また、現在改築などを行っている学校につきましても、必要な工事を追加するなどしまして、可能な限り早期にエアコン整備を行ってまいります。
さらに、基本的な熱中症対策はもとより、オンラインを活用いたしました学校行事等の工夫など、あるいは冷却用具の使用などにつきましてもより柔軟に対応するなど、子どもの安全・安心を第一に取組を進めてまいります。
以上でございます。
(かんの太一議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○副議長(しのだ江里子) かんの太一議員。
◆かんの太一議員 2点、再質問させていただきます。
1点目は、学校給食費の公費負担拡大について、2点目は、札幌市立学校における暑さ対策について、2点再質問させていただきます。
学校給食費の公費負担拡大についてですけれども、先ほどの答弁の中で、今夏の猛暑を踏まえて学校の冷房設備の整備に注力するということであるとか、また、物価高騰に際して食材費等が上がっておりますので、それが保護者の負担にならないよう、今までも負担軽減に努めてきたわけでありますけれども、それを継続していくというお話であったかと思います。
しかしながら、市長の選挙公約にもございましたけれども、学校給食費の公費負担拡大ということでありますから、物価高騰対策による負担軽減とはまた別の次元の話でもあると私は認識しております。
公費負担の拡大については、段階的に保護者負担額を減額していくですとか、負担額を決めて全学年一律に例えば1,000円減額していくですとか、様々な手法があると思いますけれども、我が会派としては、それが将来の学校の給食費の無償化につながるような議論を今後も継続していくべきと認識をしているところであります。
そこで、質問でありますけれども、学校給食費の公費負担拡大について、今後もそのような検討を続けていくおつもりがあるのか、市長のお考えをお聞かせください。
また、2点目でございますけれども、札幌市立学校における暑さ対策についてということで、様々、大きな決断をしていただいたことは、非常に我が会派としても評価するところでありますし、子どもの命を最優先に考えた取組であるということを認識しているところでございます。
その答弁の中で、熱中症対策等で学校行事などのオンライン等とか、そういうオンラインという言葉がありましたけれども、これは、オンラインを活用するということについては、教職員の働き方であるとか、今、言及はされていませんけれども、オンラインで、例えば自宅で何か行事とか授業というようなことも想定されるわけでありますけれども、それは、やっぱり、先ほど述べました教職員の働き方であるとか、例えば、保護者の方が子どもが自宅にいることによって働くということに対して調整をしないとだめだとか、様々、考えていかなければならないことがあると思いますので、慎重な検討が必要だと思うんですけれども、その辺の認識についてお伺いいたします。
○副議長(しのだ江里子) 秋元市長。
◎市長(秋元克広) ご質問が2点ございました。
私からは、公費負担の拡大についてお答えをさせていただきます。
今回の
アクションプラン2023の策定に当たって、子育て世帯の経済的な負担軽減策、こういったようなことを幾つか考えてきて、その子育て支援策の一つとして給食費に関わる公費負担の拡大ということも検討してまいりました。この公費拡大をしていくに当たっては、多額の財源、一般財源、自主財源が必要になってまいりますので、そういった中でどこまで余力があるかということを検討してきた中であります。
先ほどご答弁申し上げましたように、今年の猛暑を受けて、学校への冷房施設、これを早期にということで議会の各会派からもご要望をいただきまして、いろいろな課題はあるにしても、これを早急に進めていくということを優先してまいりました。
一方で、給食費については、物価高騰しているという状況もあるので、少なくともこの部分については保護者負担が増えないようにしていきたいというふうに考えているところであります。
引き続き、この財源、国においても給食費の無償化に向けたいろいろな課題の整理ということも行うという状況になっておりますので、こういった動向も踏まえながら、また、市の財源という状況を見据えながら、今後も引き続き検討を進めていきたい、このように思っています。
○副議長(しのだ江里子) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 市立学校における暑さ対策の中で、オンラインを活用した学校行事等での活用の部分、教職員の働き方改革等も含めた教育委員会の認識ということでございましたが、GIGAスクール構想がかなり浸透して、子どもたちも1人1台端末にかなり親しんでといいますか、慣れてきた状況にございます。
加えて、コロナ禍の中で休校になったときに、学校の先生方と一緒に、教育委員会で、かなりの部分の教材といいますか、学校だけではなくて自宅でも学べるような教材の開発にも努めてきたところであります。
当然、この暑さ対策の中でも、やはり、学校に来られない、あるいは自宅で学習をするという子どもたちがこの後出てくるというか、そうしたことも想定されますが、当然、子どもたちの学習の保障をまず念頭に置きながら、でも、先生方に負担もかけずに、教育委員会としてもしっかり学校現場の声を聞きながら対応してまいりたいというふうに考えております。
○副議長(しのだ江里子) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日9月27日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(しのだ江里子) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定いたしました。
――
――――――――――――――――――
○副議長(しのだ江里子) 本日は、これで散会いたします。
――
――――――――――――――――――
散 会 午後4時24分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 飯 島 弘 之
副 議 長 し の だ 江 里 子
署名議員 北 村 光 一 郎
署名議員 松 原 淳 二...