こうした動きを踏まえまして、第四期
中期目標(案)では、
外部競争資金や
寄附金等の
自己収入のさらなる獲得を目指すことを明記したところであり、
大学における
自立性の高い健全な
財政運営の確保に取り組んでまいります。
◆
水上美華 委員 第三期
中期目標期間中にも民間や
札幌市からの受託・
共同研究の件数を倍増させてきたということで、これまでも成果を残されてきているということでございますので、今後の活動に期待をするところであります。
最後に、
札幌市立大学における今後の
人材育成の
考え方について伺います。
自動運転や
生成AIの進展など、世界的に
AI、ITの技術が急速な進化を遂げ、
社会経済活動の様相は大きな転換期を迎えております。
同時に、これらの素養を備えた
人材を育成することの
重要性が増しており、本市においても
デジタル人材の需要が高まっているところであります。もちろん、
デザインと看護という
市立大学の学部は
デジタルの
専門人材の輩出に直結する
学部構成にはなってはおりませんが、
AITセンターの開設後、
研究機関としての
機能強化が着実に進んでいる一方、その分野の
人材育成の観点や
教育機関の機能として不十分な点もあるのではないかと感じております。
そこで、質問ですが、
札幌市立大学が行う今後の
人材育成について、本市としてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎加茂
政策企画部長 今後の
人材育成の
考え方についてでございますが、
技術革新に伴う
社会情勢の急速な変化により社会の求める
人材も変化をしていることから、第四期
中期目標(案)では、
リベラルアーツや
デジタル分野における
教育の強化を掲げているところでございます。
各分野の
専門性、
実践能力に加えまして、幅広い教養や知識、
AI、ITを道具として活用できる能力を養うことで、多種多様な課題を解決に導くことができる有為な
人材育成につながるものと期待をしております。
産学官連携や企業、
医療機関等との交流の機会を捉えまして、
地域や
産業界等の
人材ニーズを積極的に把握し、適宜、カリキュラムに反映させるなど、
社会経済状況に合わせながら、常に必要とされる
人材を輩出し続ける
大学でありたいというふうに考えております。
◆わた
なべ泰行 委員 私からは、第三期
中期目標期間における
D×N(
ディー・バイ・エヌ)の成果について、第四期
中期目標(案)における
DNA連携について、2点伺います。
初めに、
D×N(
ディー・バイ・エヌ)の成果について伺います。
札幌市立大学においては、
デザインと看護のそれぞれの分野で専門的な
研究活動に取り組むことにとどまらず、
D×N(
ディー・バイ・エヌ)と呼ぶ二つの分野の掛け合わせによる
教育、
研究、
地域貢献に取り組んできたことが大きな特色であると認識をしております。
デザインと看護という異
分野連携により、他の
大学では見られない特色ある
教育、
研究を行い、
人材育成や新たな価値の創造につなげることで、
地域に根差した
公立大学として
社会貢献に寄与してきたものと評価をいたします。
そこで、質問ですが、第三期
中期目標期間における
D×N(
ディー・バイ・エヌ)の取組について、
札幌市としてどのような成果があったと認識しているか、伺います。
◎加茂
政策企画部長 D×N(
ディー・バイ・エヌ)の成果についてでございますが、
大学の特色を生かした
D×N(
ディー・バイ・エヌ)
連携科目の授業におきましては、
デザイン学部と
看護学部の学生が協働して、南区の10地区を対象に多
世代交流機会の創出や
地域ブランディングなど各地区が抱える
地域課題に応じて、解決の提案からプロジェクトの企画、実践に至るまで幅広く取り組んでおるところでございます。
また、
研究分野では、
デザインと看護の教員が連携し、
看護学生向けの立体模型学習教材や口腔ケア技術の基礎トレーニング用シミュレーターの開発を行うなど、
D×N(
ディー・バイ・エヌ)を生かした取組を進めております。
このような
札幌市立大学ならではの取組により、幅広い
デザイン能力を持った
職業人や異分野との連携能力の高い看護分野の
職業人を輩出するなど、
地域社会の課題解決や
地域医療を担う
人材の育成、輩出に相応の成果を上げてきたものというふうに認識をしております。
◆わた
なべ泰行 委員 ただいまの答弁で、
看護学生向けの立体模型の学習教材、また、口腔ケア技術の基礎トレーニング用シミュレーターの開発を行うなど、具体的な結果を出している、こういった一定の成果を出されているということは理解をいたしました。
次に、
DNA連携について伺います。
第四期
中期目標(案)では、
D×N(
ディー・バイ・エヌ)に
AI、ITのAを加えた
DNA連携というユニークな造語を掲げており、これからは、看護、
デザインそれぞれの分野に
AI、ITを一層生かした取組を推進していくことがうかがえます。
令和4年に設置されました
AITセンターが、
デザイン、看護の両学部を下支えし、言わば
DNA連携のエンジン、推進役として、
教育、
研究、
地域貢献のさらなる発展に寄与していくものと考えます。
中でも、
人口減少に伴う担い手不足など、様々な社会課題の拡大が危惧される中、こうした課題の解決や持続可能な
まちづくりのためには、
デジタルの力がますます重要となっていき、
札幌市立大学の
DNA連携による
地域貢献の取組には期待を寄せているところでございます。
そこで、質問ですが、
札幌市立大学の
地域貢献の取組において、第四期
中期目標(案)に掲げた
DNA連携がどのような効果をもたらすと期待をしているのか、市の考えを伺います。
◎加茂
政策企画部長 DNA連携を生かした
地域貢献についてでございますが、
札幌市立大学において、
デザイン、看護それぞれの分野に
AI、ITを掛け合わせることによって、複雑化する
地域課題を解決する新たな取組が創出されつつあるところでございます。
例えば、市内で最も高齢化が進展するもみじ台地区において
AI、ITを活用した介護・医療サービスの円滑な提供を行う実証や、
民間企業と連携し冬の路面状態を評価する実証など、
DNA連携により課題解決を図る
研究が進んでおります。
第四期
中期目標期間においては、第2次
札幌市
まちづくり戦略ビジョンに掲げた重要概念でありますユニバーサル、ウェルネス、スマートの各分野における課題解決への貢献や、
民間企業との協働による市民の生活の向上に資する取組について、
札幌市立大学を起点に一層の展開を図ってまいりたいというふうに考えております。
◆わた
なべ泰行 委員 ただいまの答弁で、もみじ台地区においても
AIとITを活用した介護・医療サービスの円滑な提供を行う実証、また、冬の路面状態を評価する実証など、こういった
デジタルの力を活用して本市の課題解決に貢献していることがよく分かりました。
最後に、要望ですけれども、これからも、
市立大学の卒業生が時代に合った力をしっかりとつけて、社会の第一線で活躍していただき、かつ、
社会貢献をしていく、こういった
人材の育成に引き続き尽力をしていただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆丸岡守幸
委員 第四期
中期目標(案)における看護師
人材育成の
考え方について伺います。
札幌市立大学は、前身の
札幌市立高等
看護学院時代まで遡りますと、半世紀以上にわたり
札幌市における看護師養成の前線を担い、これまで数多くの
人材を育成、輩出してきた歴史のある学校でございます。
札幌市立大学の学部として新たなスタートを切ってからは、
デザイン学部と連携した
D×N(
ディー・バイ・エヌ)による特色のある
教育により、医療の高度化に対応する
専門性に加え、幅広い教養や豊かな人間性を有する
職業人を育成してきました。
卒業生の
就職率を伺いますと、100%に近い数値で推移しており、市立
札幌病院をはじめ、6割以上が市内の医療機関に就職している実績があることから、
札幌市における看護師養成の重要な拠点として
地域医療に貢献しているものと認識しております。
このような状況の中、第四期
中期目標(案)では、看護師
人材育成について、
少子高齢化対策や虐待防止、感染症対応など、それらの課題と向き合える看護師職を育成することが明記されたところでございます。
こうした課題に付随する疾病構造の変化や、療養の場の多様化などを踏まえ、保健師、助産師、看護師それぞれの
実践能力を高める
教育が重要であります。
そこで、質問でありますが、第四期
中期目標(案)における看護師
人材育成について、
札幌市としてどのような思いを込めているのかを伺います。
◎加茂
政策企画部長 看護
人材の育成の
考え方についてでございますが、現在の第三期
中期目標期間におきましては、医療の高度化に対応する知識、技術の
専門性に加えまして、問題解決能力を有し、幅広い職種と連携できる総合力を併せ持つ
職業人の育成を掲げて取り組んできたところでございます。
一方、これまでの間、
札幌市では
人口減少への転換や高齢化率の一層の上昇、重大な児童虐待事案の発生、感染症の流行など、様々な課題が顕在化してきたところであり、保健師、助産師、看護師それぞれが向き合う対象の多様性、そして複雑化に的確に対応する能力が求められているというふうに認識をしております。
こうした背景を踏まえまして、第四期
中期目標においては、
札幌市として求める
人材像を明確にすることで、
札幌市立大学における看護
人材の育成強化を期待するものでございます。
◆丸岡守幸
委員 少子高齢化対策や虐待防止、感染症対応など、市が直面する重大な課題があることから、これらへの
実践能力を有する
人材育成の
目標を明確に打ち出し、共通認識を持って進めていくことは、双方にとって有益であると考えます。
私としましても、答弁にあったとおり、看護
人材の育成強化が重要であると考えますし、喫緊の課題に向き合うためには、悠長に構える時間はなく、育成強化への対応を急がなければならないと考えております。
そこで、質問でございますが、第四期
中期目標(案)に基づく看護師
人材育成強化に関して、
札幌市立大学との間で既に具体的な検討が進められていることがあるかどうか、そちらを伺います。
◎加茂
政策企画部長 看護
人材の育成強化の具体的な検討についてでございますが、看護業界を取り巻く状況の変化や
教育実態を踏まえ、将来を担う保健師、助産師、看護師を養成するための
教育が見直されておりまして、
実践能力を養うということに重点が置かれ始めております。
こうした状況を踏まえまして、
札幌市立大学では、今年度の入学者から、4年間で看護師と同時に保健師資格の取得を目指す保健師コースを廃止いたしまして、看護師養成課程のカリキュラムの充実化を図ったところでございます。
これに伴い、4年制の看護師養成課程を修了した者を対象とする1年制の保健師専攻科について、令和8年度からの設置に向け、
大学との間で具体的な検討を進めているところでございます。
今後は、
札幌市や
北海道の健康課題を踏まえた臨床能力向上の
教育を導入するなど、
実践能力を備えた
看護職の育成、輩出に取り組んでいく予定であります。
◆丸岡守幸
委員 私は医薬品業界に34年間勤務しておりましたが、多くの医療従事者様と接してまいりました。ある意味、ドクターや薬剤師よりも患者様の支えになり、患者様の心のよりどころになる存在が看護師ではないかと考えております。
臨床
実践能力を備えた患者様志向の強い看護師の育成、輩出に向けて、
札幌市立大学へ大いなる期待を込めて、私の質問を終了させていただきます。
○
田中啓介 副
委員長 私からは、いただいた資料の
中期目標(第三期/第四期対照表)の中から何点か質問をさせていただきます。
中期目標の基本的な
考え方の第2
教育に関する
目標についてですが、第三期では、
人間重視の
考え方を基本にというような文言が第四期ではなくなっております。基本的な
考え方、
札幌市立大学の
教育研究理念として、
人間重視を根幹とした
人材の育成というものは引き続き残っておりますけれども、この間、今のやり取りの中でも、
デジタル社会が進展していく中において、そちらはもちろん取り組んでいく、これからもっとそこへ進んでいくということはもちろん必要だというふうには思うのですけれども、
人間重視の
考え方、これをやはり基本にしていくということは、今後も
教育に関する
目標として、これは大事なことではないかというふうに思っております。その第三期の
目標に引き続き、
人間重視の
考え方を基本にということを引き継いでいくことが重要ではないかということが1点目です。
もう一つは、第5
教育・
研究・
地域貢献の取組を推進する
大学運営に関する
目標の2
大学運営の改善・
効率化の(3)に、第三期では教員の資質向上というものがありますけれども、こちらも第四期ではなくなってきております。
先ほど、質疑の中でも看護分野の話がありました。まさに、看護は、知識だけではなくて、現場で培った経験などを持ったその先生の質、これはすごく重要になってくるというふうに思いますし、看護そのものというのはまさに人間が相手ということにもなります。
その
教育機関である
大学として、やはり、学生に教える立場の教員の資質の向上、これは引き続き、やはり第四期においても
目標として掲げておくことが必要ではないかという2点について、まず伺いたいと思います。
◎加茂
政策企画部長 第三期の
中期目標にございました
人間重視、それから、教員の資質向上の部分についてでございますが、
委員がご指摘の
人間重視の
考え方につきましては、冒頭にもご
説明申し上げましたとおり、
札幌市立大学が開学当初から掲げる恒久的な理念に含まれるものでありますことから、
中期目標の記載内容にかかわらず、こちらについては当然に踏襲されるものであるというふうに考えております。
また、教員の資質向上に関しましては、それ自体が
目標というよりは、
大学の
プレゼンス向上などの
目標を達成するために必要な要素の一つでありますことから、第四期
中期目標(案)では、記載内容を精査いたしまして、教員の資質向上を前提とした様々な
目標を掲げているところでございます。
いずれにいたしましても、第四期は第三期の実績を礎に発展させるものでありまして、連綿と続く重要な取組が軽んじられることのないよう、今後、
中期目標に基づく
中期計画を策定していく過程においても、
大学側としっかり認識を共有してまいりたいと考えております。
○
田中啓介 副
委員長 今の答弁でも、第三期をしっかりと第四期にも引き継いでいくということでありました。ただ、
人間重視ということを恒久的な理念として掲げているのだということは今の答弁でもありましたが、それでも、第三期では、やはり、
教育の関する
目標としては、この
人間重視の
考え方を基本にあえて入れているといういう部分で、こちらは本当に大事な根幹となっていくということを決して軽んじないようにしていただきたいということと、やはり、看護分野においては特にですけれども、やはり人間を相手にしていくということであります。その学生を
教育する側の先生の資質、こちらもやはり重要だということを申し上げておきたいと思います。
それから、もう1点は、第3の
研究に関する
目標なのですけれども、こちらは、知と創造の拠点として、
人間重視の視点を通じ、社会や暮らしをよりよくする新たな価値の創造を探求すると第三期では書かれております。それが第四期になっていくと、同じく知と創造の拠点として、
まちづくりや経済発展に資する
研究を推進するとあります。
また、第3の2の部分で、
研究機関としての地位の向上、第三期では科学
研究費補助金等の競争的
研究資金の獲得に積極的に取り組む、そういう
研究機関としての地位を向上させると。第四期においても、途中からですけれども、受託・
共同研究等の
外部資金獲得につなげていくとともに、
研究機関としての地位の向上を図ると。先ほどのやり取りの中で、確かに資金を獲得してということはもちろん必要なことだというふうに思います。ただ、一方で、こういう
目標を掲げてしまうと、利益を生み出すこと、あるいは、すぐに効果、結果が出る、そういう
研究が重視されてしまって、基礎的な、または、すぐにはなかなか役に立つかどうか分からない、そういう
研究を軽視してしまうのではないかなという懸念を感じました。
実際に、「基礎
研究による知の蓄積と展開〜我が国の
研究力向上を目指して〜」と題した文部科学省が発行している科学技術白書がありますけれども、その中で、基礎
研究については、過去にノーベル賞を受賞した
研究者からも、しばしばその
重要性が指摘されていると。ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんは、この
研究というのは基礎
研究ですけれども、何かすぐに役立つものではないが、人類の知の地平線を拡大するようなものだと、基礎
研究は今すぐ私たちの生活に役立つ性格のものではない、やがて人々の生活に役立つという側面と、人類全体の共通の知的財産を構築する側面があると言っています。
また、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典さんは、国の
研究開発の方向性が実用化を想定した出口戦略重視となっていることをとても危惧していると指摘をしており、技術のためだけではなく、知的好奇心で
研究が進められる大事な芽を
大学に残してほしいとも訴えております。
そこで、すぐに利益や効果につながらなくても、基礎的な
研究など、しっかりとそういうものにも光が当たる、認められるような
教育研究機関としての役割が
公立大学として今後も引き続きあるべきだというふうに思うのですけれども、その点についていかがか、伺います。
◎加茂
政策企画部長 いわゆる基礎
研究と呼ばれるような、即座に経済的な価値を生み出すことを意図していない探究心等に基づく
研究は、例えば、エネルギー効率に優れたLEDを生み出した
研究のように、人々の暮らしに全く新しい価値をもたらし得る、社会発展の基盤となる重要な
研究であるというふうに認識をしております。
一方で、
大学において
自立性の高い健全な
財政運営を確保する上では、
外部資金の獲得ということも重要な要素でありまして、基礎
研究等との良好なバランスを図っていくのが肝要であるというというふうに考えております。
このため、第四期の
中期目標(案)では、
DNA連携による先進的で質の高い
研究の推進というものを大前提に掲げた上で
外部資金獲得につなげていくというふうにしたところでありまして、まさにこれらのバランスを図りながら
研究機関としての地位向上につなげていきたいというふうに考えております。
○
藤田稔人 委員長 ほかに質疑はございませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○
藤田稔人 委員長 なければ、質疑を終了いたします。
以上で、
委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午後2時36分...