札幌市議会 2023-06-20
令和 5年第 2回定例会−06月20日-03号
令和 5年第 2回定例会−06月20日-03号令和 5年第 2回定例会
令和5年 第2回定例会
札 幌 市 議 会 会 議 録 ( 第 3 号 )
令和5年(2023年)6月20日(火曜日)
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〇議事日程(第3号)
開議日時 6月20日 午後1時
第1 議案第1号から第10号まで、第15号から第17号まで(13件市長提出)
第2 議案第18号、第19号、諮問第1号(3件市長提出)
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〇本日の会議に付した事件
日程第1 議案第1号 令和5年度札幌市
一般会計補正予算(第2号)
議案第2号 令和5年度札幌市
土地区画整理会計補正予算(第1号)
議案第3号 令和5年度札幌市
公債会計補正予算(第1号)
議案第4号 公の施設の指定管理者の指定の件(東山児童会館)
議案第5号 札幌市税条例等の一部を改正する条例案
議案第6号 札幌市
証明等手数料条例の一部を改正する条例案
議案第7号 札幌市
健康づくりセンター条例の一部を改正する条例案
議案第8号 札幌市
児童会館条例の一部を改正する条例案
議案第9号 札幌市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正
する条例案
議案第10号 札幌市
火災予防条例の一部を改正する条例案
議案第15号 損害賠償及び和解に関する件
議案第16号 町の区域を変更する件
議案第17号 市道の認定、変更及び廃止の件
日程第2 議案第18号
農業委員会委員任命に関する件
議案第19号
北海道公安委員会委員推薦に関する件
諮問第1号
人権擁護委員候補者推薦に関する件
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〇出席議員(67人)
議 長 飯 島 弘 之
副 議 長 しのだ 江里子
議 員 和 田 勝 也
議 員 山 田 一 郎
議 員 山 田 洋 聡
議 員 定 森 光
議 員 篠 原 すみれ
議 員 森 基誉則
議 員
おんむら健太郎
議 員 水 上 美 華
議 員 波 田 大 専
議 員 荒 井 勇 雄
議 員 脇 元 繁 之
議 員 丸 岡 守 幸
議 員 坂元 みちたか
議 員 米 倉 みな子
議 員 小須田 大 拓
議 員 藤 田 稔 人
議 員 三 神 英 彦
議 員 村 山 拓 司
議 員 村 松 叶 啓
議 員 あおい ひろみ
議 員 たけのうち有美
議 員 うるしはら直子
議 員 熊 谷 誠 一
議 員 森 山 由美子
議 員 佐 藤 綾
議 員 長 屋 いずみ
議 員 吉 岡 弘 子
議 員 成 田 祐 樹
議 員 松 井 隆 文
議 員 中 川 賢 一
議 員 川田 ただひさ
議 員 伴 良 隆
議 員 かんの 太 一
議 員 松 原 淳 二
議 員 竹 内 孝 代
議 員 わたなべ 泰行
議 員 前 川 隆 史
議 員 小 口 智 久
議 員 好 井 七 海
議 員 田 中 啓 介
議 員 池 田 由 美
議 員 太 田 秀 子
議 員 小 竹 ともこ
議 員 北 村 光一郎
議 員 こじま ゆ み
議 員 佐々木 みつこ
議 員 よこやま 峰子
議 員 中 村 たけし
議 員 林 清 治
議 員 村 上 ゆうこ
議 員 丸 山 秀 樹
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 小 形 香 織
議 員 山 口 かずさ
議 員 細 川 正 人
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 こんどう 和雄
議 員 高 橋 克 朋
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 三 上 洋 右
議 員 ふじわら 広昭
議 員 小 野 正 美
議 員 福 士 勝
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〇欠席議員(1人)
議 員 勝 木 勇 人
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〇説明員
市 長 秋 元 克 広
副 市 長 町 田 隆 敏
副 市 長 石 川 敏 也
副 市 長 天 野 周 治
交通事業管理者
交 通 局 長 中 田 雅 幸
水道事業管理者
水 道 局 長 佐々木 康 之
病院事業管理者
病 院 局 長 西 川 秀 司
危機管理監
危機管理局長 櫻 井 英 文
総 務 局 長 山 根 直 樹
デジタル戦略推進局長 浅 村 晋 彦
まちづくり政策局長 小 角 武 嗣
財 政 局 長 福 西 竜 也
市民文化局長 前 田 真 子
スポーツ局長 梅 田 岳
保健福祉局長 粟 崎 寿 也
子ども未来局長 山 本 健 晴
経済観光局長 一 橋 基
環 境 局 長 菅 原 祐 雄
建 設 局 長 荻 田 葉 一
下水道河川局長 小 泉 正 樹
都 市 局 長 中 村 範 仁
会 計 室 長 野 島 聡
消 防 局 長 村 井 広 樹
教育委員会教育長 檜 田 英 樹
教育委員会委員 佐 藤 淳
選挙管理委員会委員長 畑 瀬 幸 二
選挙管理委員会委員 佐々木 肇
選挙管理委員会委員 宮 村 素 子
選挙管理委員会委員 猪 熊 輝 夫
人事委員会委員 長 岡 豊 彦
人事委員会事務局長 槙 智 洋
監 査 委 員 藤 江 正 祥
監査事務局長 佐 藤 伸 二
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〇
事務局出席職員
事 務 局 長 鈴 木 和 弥
事 務 局 次 長 酒 井 欣 洋
総 務 課 長 森 譲
政策調査課長 安 澤 哲
議 事 課 長 岩 岡 吾 一
議 事 係 長 木 村 公 彦
委員会担当係長 村 上 雅 俊
委員会担当係長 中 村 久 弥
書 記 伊 藤 友 介
書 記 上 田 真 士
書 記 酒 井 彰 悠
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開 議 午後1時
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○議長(飯島弘之) ただいまから、本日の会議を開きます。
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○議長(飯島弘之) 出席議員数は、67人です。
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○議長(飯島弘之) 本日の
会議録署名議員としてたけのうち有美議員、
米倉みな子議員を指名します。
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○議長(飯島弘之) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(鈴木和弥) 報告いたします。
勝木勇人議員は、所用のため、本日の会議を遅参する旨、届出がございました。
本日の議事日程、質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
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○議長(飯島弘之) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第1号から第10号まで、第15号から第17号までの13件を一括議題といたします。
昨日に引き続き、代表質問を行います。
通告がありますので、順次、発言を許します。
前川隆史議員。
(
前川隆史議員登壇・拍手)
◆
前川隆史議員 私は、ただいまから、
公明党議員会を代表して、本定例市議会に上程されました諸議案並びに市政の諸課題について、順次、質問をいたします。
最初に、市長の政治姿勢について、大きく9点質問をいたします。
初めに、世界平和への貢献に向けた思いについて伺います。
先月開催された
G7サミットは、国際秩序の根幹を揺るがすロシアによる
ウクライナ侵攻という歴史的な転換点の中で、
G7サミット初となる核軍縮に関する
G7首脳広島ビジョンが発出されるという非常に画期的なものとなりました。
G7サミットの開催地について、我が党は、以前から、日本は唯一の戦争被爆国として具体的に行動する責務があり、核兵器の被害に関する知見やデータを被爆の実相として世界に発信し、核兵器の使用を阻止すべきであるとして、被爆地である広島で開催するよう政府へ提言してまいりました。
その広島での開催が実現した本サミットにおいて、G7の首脳が原爆資料館を視察し、被爆者の声を直接聞き、さらに、原爆慰霊碑の前で献花して記念撮影に臨んだことは、象徴的かつ歴史的な出来事であったと思います。世界で唯一の戦争被爆国である日本で、被爆の実相、被爆のありのままの姿を広島に集った各国の首脳が心に刻み、平和への決意を共有したことは、核兵器のない世界を願う全世界の人々への大きなメッセージとなったものと確信をしております。
平和を論ずるならば、行動しなくてはなりません。平和都市を掲げる札幌市としても、今回の
G7サミットを平和への取組を高める機会と捉えて、戦争で苦しむ多くの人々の平和を願う切なる気持ちに思いをはせ、市民の平和への意識の醸成や、国では難しくとも、
自治体ならではの交流促進など、これまでにも増して積極的に取り組むべきであると考えます。
そこで、質問ですが、札幌市として、世界平和に向けてどのように貢献しようとしているのか、市長の思いをお聞かせください。
続いて、現下の社会情勢を踏まえた補正予算における市長の考えについて伺います。
昨今の不安定な世界情勢は、エネルギーや食料品の価格の高騰をもたらし、市民生活や経済に深刻な影響を及ぼしております。こうした中、本年3月、我が会派は、
物価高騰対策を求める要望書を秋元市長に提出いたしました。その中では、国からの
地方創生臨時交付金の電力・ガス・
食料品等価格高騰重点支援地方交付金の柔軟な活用を求めるとともに、生活困窮者への支援、高齢者施設や障がい者福祉施設への物価・
光熱水費高騰対策など、様々な追加策の検討を求めました。これに対し、1臨補正で低所得者対策などをはじめとする対策が議決されたところであり、我が会派としても一定の評価をしているところでございます。
しかしながら、今月から電気料金が20%余り値上げになるなど、依然として市民生活を取り巻く環境は厳しいものがあります。一方で、5月8日より
新型コロナウイルス感染症における感染症法上の位置づけが5類に引き下げられ、外出等の行動制限などが緩和される中、本市の初夏のイベントの一つであるさっぽ
ろライラックまつりが4年ぶりに通常規模で開催されるなど、にぎわいを取り戻し始めております。
このように、コロナ禍により停滞していた市民生活や経済活動が数年ぶりに活気を取り戻しつつあり、このタイミングでのこのたびの補正予算は極めて重要な意味を持つと言えます。ついては、この機を捉え、例えば、既に実施した公共施設の無料化や現在取り組んでいる
プレミアム商品券事業のように、市民生活の充実や経済の活性化に直結する積極的な需要喚起策を打ち出すべきであると考えます。
そこで、質問ですが、現下の社会情勢を踏まえ、このたびの補正予算にどのような思いで取り組んでいくのか、市長の考えを伺います。
次に、新たなステージの行政改革の取組について伺います。
我が会派では、これまで、一貫して、大胆な業務の効率化、野心的な行政改革の必要性を繰り返し訴えてまいりました。例えば、全庁の業務量調査の実施や、ノンコアな業務を集約して民間活用を行う
行政事務センターの設置など、繰り返し主張し、市もこれに応え、地道に着実な行政改革を進めてまいりました。しかし、時代、社会もますます厳しさを増し、行政課題も山積しております。一層のギアを入れて、市長のリーダーシップの下、新たなステージの行政改革を果敢に進めていく必要があると考えます。
そこで重要となるのが、市民が実感する、共感する行政改革、つまり、市民起点の行政改革であります。行政側の都合ではなく、常に市民の立ち位置に身を置いて、顧客志向、市民起点で業務の在り方を見詰め直し、改善に努めることがいや増して求められています。
申すまでもなく、民間企業の多くが、最も重要な経営課題として顧客満足度の最大化を挙げております。顧客との対話を大切にし、ニーズを深掘りし、顧客が抱く疑問や不満などのデータを分析の上、製品改良、
新規事業開拓につなげるなど、経営、品質の向上に日々努めております。行政においても、この顧客という言葉を市民に置き換え、市民の声に耳を傾け、徹底して、市民が感じている不安や課題は何かを把握、分析し、それを業務フローの改善や事業の見直しにつなげていくことが必要です。
ややもすると、行政改革の取組や市役所内部の事務改善をメインに、目先の効果を求める、やっているふりの行政改革に終始してしまうおそれがあります。目まぐるしく情勢が変化し、未来予想図が描けないこのご時世においては、時間がかかろうとも、結果を出すことにこだわりを持って、とことん、市民の課題解決に向き合い、どうしたら市民の皆さんに喜んでいただけるのか、その実現のためにあらゆるものを克服しながら努力する、それこそが市民起点に立った行政改革だと思います。
そこで、質問ですが、3期目を迎え、市長は、これまでの行政改革をどのように評価し、新たなステージの行政改革としてどのような考えで取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
続いて、
日本版CDC、
国立健康危機管理研究機構と連携した今後の感染症危機に備えた体制づくりについて伺います。
先ほども触れましたが、本年5月8日より
新型コロナウイルス感染症が5類へと移行し、様々な場面において日常を取り戻す動きが加速しております。
一方で、日本国内では、2022年7月に初めてエムポックス、以前で言うところのサル痘の感染が確認され、それ以降、依然として報告が続いております。さらに、今年5月には再びはしかの感染を探知するなど、
新型コロナウイルス感染症以外の感染症についても引き続き対応していかねばなりません。
こうした状況の中、国においては、今後の様々な感染症対策に備えるため、
国立感染症研究所と
国立国際医療研究センターを統合し、
国立健康危機管理研究機構、いわゆる
日本版CDCを設立する新法がこの5月31日に成立いたしました。
日本版CDCでは、これまで両機関がそれぞれ担っていた感染症の情報分析、研究、検査、国内外の人材の育成、派遣、病院の総合診療機能、
臨床研究推進の機能等について一体的に対応し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の疫学調査から臨床研究までを総合的に実施し、科学的知見を提供できる体制の強化を図るとしています。
日本版CDCについては、我が会派でも、令和2年第4回
定例会代表質問において、新たな感染症の発生を想定した研究機関の設立を国に対して積極的に働きかけていくべきであると提起したところであり、このたびの
日本版CDC設立への法案成立を大変喜ばしく思っております。
今回の
新型コロナウイルス感染症の流行下においては、様々な場面において感染症の専門家が果たした役割は大きく、今後、札幌市の感染症対策では、この
日本版CDCとの連携が非常に重要なものになると考えております。
そこで、質問でございますが、札幌市の今後の感染症危機に備えた体制づくりにおいて、
国立健康危機管理研究機構、
日本版CDCとの連携についてどのように考えるか、お伺いをいたします。
続いて、防災DXについて伺います。
近年、自然災害が甚大化、頻発化する傾向にある一方で、人口減少や少子高齢化により、災害対応の担い手となる民間事業者や行政職員の数は年々減少しております。そのような中、平成30年9月に発生した
北海道胆振東部地震では、早期の復旧、復興を目指し、地域と一体となって取組を進めてきたことなど、札幌市の災害対応や防災事業については一定の評価をしております。
しかしながら、
胆振東部地震での
ブラックアウトや一昨年の豪雪、
コロナウイルス感染症の感染拡大など、様々な災害から市民の暮らしを守り、災害に強いまちづくりを進めていくには、これまでの防災・減災業務体制をただ続けていくだけでは不十分であり、我が会派として、AIなどの最新技術の防災分野における活用を訴えてまいりました。
さきに述べたとおり、災害が甚大化、頻発化、また複合化する一方で、災害対応を担う行政職員や事業者が減少する現実の中で迅速かつ効率的な防災対応をするには、デジタルの力を最大限活用する取組、防災DXの推進が急がれます。
この防災DXについては、内閣府やデジタル庁が中心となり、官民共創による推進の枠組みとなる
防災DX官民共創協議会が昨年12月に立ち上がるなど、事業を進めていく環境が整いつつあります。また、防災DXにより、災害から速やかに復旧できる力、いわゆる
災害レジリエンスを高めることは、市民のみならず、安全・安心で魅力ある札幌を対外的にアピールすることにつながるものであり、そうした観点においても重要な施策であると言えましょう。
そこで、質問ですが、昨今の状況を踏まえ、デジタルの力を活用した防災DXについて、札幌市の考えと今後の取組についてお伺いいたします。
続いて、官民連携のまちづくりの推進について伺います。
現在策定している第2次
まちづくり戦略ビジョンの戦略編では、今後の札幌市の行財政運営の方針として、民間の発想の行政運営への反映や、多様な主体との連携・協働体制の構築に取り組んでいくこととしております。これは、PFIや
指定管理者制度など、従前の
官民連携手法とは異なる新たな官民連携の形を目指すものであると認識しております。
また、秋元市長が今年4月の選挙で掲げた公約には、民間からのアイデアを一元的に受け付ける窓口の設置等、これまで以上に民間の知見や技術、発想を活用した官民連携のまちづくりを進めていく考えを示されております。我が会派としても、
人口減少社会の中で様々な分野における地域の課題解決を実現していくために、多様な主体が保有する強みを最大限に生かした取組を加速させていくという姿勢には非常に期待をしております。
一方で、営利活動を行っている民間企業等は、利益を上げなければ事業の継続ができませんので、地域課題を解決することが先に立ち過ぎると、民間に過度な負担を強いるような連携になってしまいかねません。このため、民間と行政双方にメリットがあり、市民の暮らしがより豊かになる効果的で新しい官民連携を実現していただきたいと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市が目指す官民連携のまちづくりに対する市長の考えと、今後の具体的な取組についてお伺いいたします。
続いて、札幌市のヒグマ対策について伺います。
ここ最近、連日、ヒグマ出没に関する報道がなされ、朱鞠内湖では、釣り人がヒグマに襲われ亡くなるという大変痛ましい事故が起きました。札幌市でも、今年は早い時期からヒグマが出没し、4月21日には南区でヒグマ1頭を捕獲、その後も西区で親子熊が目撃されるなど、市内各所で出没情報が後を絶たず、そうした地域では、子どもが、熊が出るから学校に行くのが怖いと言っているとか、子どもを外で遊ばせることが心配だといった不安を訴える声が多く寄せられています。
昨年8月、我が会派は、札幌市に対し、身近な生活環境に生息する野生動物との共生にあたっての取組推進を求める要望書を提出いたしました。その中で、札幌市が市民の緑豊かな暮らしの質と都市部における生物多様性の向上に貢献する一方、都市を取り囲む緑豊かな自然がヒグマなどの野生動物にとって生息に適した環境となっており、今後、人口減少や耕作放棄地の増加、郊外住宅地の空き家問題、さらには高齢化に伴う地域活動の停滞などからも、身近な鳥獣に対する札幌市としての取組推進を図る必要があると提言をしたところでございます。
その後、札幌市は、これまでの計画を大幅に見直し、今年3月に、市民の安全・安心を確保するために、目指す姿や施策の方向性等をまとめたさっぽ
ろヒグマ基本計画2023を策定し、その基本目標として、侵入抑制策の推進、適切な
ヒグマ出没対応、市民の意識醸成の3点を掲げ、出没に当たっては、必要に応じて市内部の関係部署から成る
ヒグマ対策委員会において協議し、
警察等関係機関とともに対策を講じていると認識しております。
しかし、1990年の春熊駆除制度の廃止以降、ヒグマの個体数が増え続け、生息密度が高まっており、人間の生活圏に押し出される個体が増えるのは当然であり、偶発的にいつ市民が市街地でヒグマに襲われる事態が起きても不思議ではないと危惧しております。そうした意味でも、ヒグマの専門家はもとより、様々な視点から対策を議論する新たな会議体が必要であると考えます。
そこで、質問ですが、本計画に基づく侵入抑制策を今後どのように推進していくのか、お伺いいたします。
続いて、
婚活支援事業の取組について伺います。
国では、本年4月にこども家庭庁を創設するとともに、現在、こども・子育て政策の強化となる異次元の少子化対策の具体化に向けて、
こども未来戦略会議において議論を進めております。
今月、厚生労働省が公表した人口動態統計で、令和4年の全国の
合計特殊出生率は1.26となり、昭和22年の統計開始以来、過去最低となりました。一方、札幌市の令和3年の
合計特殊出生率は1.08と全国の政令指定都市の中でも最低水準となっており、出生数の減少傾向が続いております。こうした少子化の最大の要因の一つとして未婚化があるとされ、これまでの国の対策は、仕事と子育ての両立支援などを柱とした既婚者を対象としたものが中心となっており、若者らの結婚を後押しする施策は乏しかった状況にあると考えます。
そこで、昨年4定の我が会派の代表質問において、既に多くの自治体で結婚への支援を積極的に行っていることに触れ、札幌市においても早急に本格的な婚活事業に取り組むべきとただしたところ、町田副市長からは、AIを活用した
マッチングシステムの導入やオンラインによる
伴走型相談支援などによる
婚活支援体制づくりに、鋭意、取り組んでいく旨の前向きな答弁があったところであります。
これらの事業の検討に当たっては、婚活事業を実施する運営体制の準備に一定の時間を要することは理解できますが、世の中の少子化問題は想定を超える速いペースで進行していることからも、早々に事業を開始すべきと考えます。
そこで、質問ですが、これらの経緯を踏まえ、早急に
婚活支援事業を実施すべきと考えますが、検討状況を含めた市長のお考えを伺います。
続いて、ユニバーサル施策の推進について、2点伺います。
まずは、オリンピック・パラリンピック招致による共生社会の推進についてです。
北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック冬季競技大会の招致については、昨年3月、札幌市議会として2030大会の招致に関して決議をし、その後は、国内の機運醸成に向け、取り組んできたところでございます。
しかし、東京2020大会における収賄、談合による一連の事案により、オリンピック・パラリンピックのイメージが著しく損なわれ、それにより、開催の意義や効果が十分浸透しないまま、多くの市民が大会の招致について不安や不信感を抱いていることが課題と思慮しております。
このような課題を払拭するべく、先月、ガバナンス体制の在り方等を検討する大会運営見直し案に関する検討委員会が設置されましたが、これを着実に進めた上で、2030大会を契機に札幌のまちがどのように変わっていくのか、効果をしっかりとお示しいただき、効果的に発信することが重要と考えます。
一連の事案により、負のイメージが先行している東京2020大会ではありますが、開催により多くのレガシーが残されているところであり、例えば、国際パラリンピック委員会、IPCから承認を受けたアクセシビリティ・ガイドラインが策定され、競技会場や公共交通機関を中心に整備水準の高いバリアフリー化が進んだことが広く認知されています。また、パラリンピックを通して心のバリアフリーに対する理解が進むなど、ハード・ソフト両面でバリアフリーの取組が加速したところであります。
このような状況を受け、我が会派としては、障がいの有無や性別などにかかわらず、誰もが互いに人格と個人を尊重し合い、理解し合いながら共に暮らす共生社会の推進に向けた取組を進めていただきたいと考えております。
そこで、質問ですが、オリンピック・パラリンピック招致を目指す札幌市として、バリアフリーをはじめとする共生社会の推進に向けた取組をどのように進めていこうと考えているのか、お伺いいたします。
2点目は、共生社会の実現に向けたユニバーサル関連施策の推進についてです。
我が会派では、少子化が加速し、高齢者人口がピークを迎える2040年問題の課題解決に向け、皆が互いの個性を尊重し合い、支え合うことで、人々の結びつきを強める社会を意味する絆社会の構築により、性別や年齢、障がいの有無などにかかわらず、誰もがそれぞれの能力や特性に応じて力を発揮し、働くことができる包摂的な社会を目指しております。
この方向性は、札幌市においても同様であると捉えており、令和4年10月に策定した第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンのビジョン編においては、まちづくりの重要概念の一つ一つにユニバーサル、共生を設定した上で、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会を実現していくことが掲げられております。また、現在策定中である同ビジョンの戦略編においても、分野横断的に取り組む施策としてユニバーサルプロジェクトを位置づける予定であるなど、今後は、庁内一丸となって共生社会の実現に向けた取組を進めていくものと認識をしております。
こうした中で、我が会派では、令和5年の第1回定例市議会の代表質問において、共生社会の実現に向けた取組を組織横断的に進めていくべきであると提言し、札幌市からは、ユニバーサル関係施策の全体を俯瞰し、総合的な調整を担う新たな組織の設置等について答弁があったところであります。
そして、このたび、令和5年度から、まちづくり政策局にユニバーサル推進室が設置をされました。ユニバーサル関係施策は、ハード面でのバリアフリー化の促進をはじめ、心のバリアフリーの推進など広い範囲に及ぶものであり、施策の展開に当たっては、全体を俯瞰して総合調整を担うユニバーサル推進室の役割は非常に大きいものと考えております。
そこで、質問でありますが、今後は、ユニバーサル推進室のリーダーシップの下、共生社会の実現に向けたユニバーサル関係施策が大きく進むことに期待しているところでありますが、具体的にどのように施策を進めていくおつもりなのか、お伺いいたします。
次に、G7環境大臣会合、GX推進法成立を経ての今後の施策の推進について、2点お伺いいたします。
1点目は、脱炭素型ライフスタイルへの転換に向けた取組についてです。
我が党は、これまで、環境の党として気候変動対策に一貫して取り組んでまいりました。近年では、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの目標を盛り込んだ改正地球温暖化対策推進法の成立をリード、脱炭素社会実現を法的に位置づけるなど、施策の推進に果敢に取り組んでまいりました。
国は、脱炭素社会に向けて、産業競争力の強化及び経済成長を同時に実現するため、本年5月にGX推進法を制定しました。そして、脱炭素化に投資を促すGX経済移行債の発行や、財源にカーボンプライシングの導入を盛り込み、脱炭素化に取り組むインセンティブが働くよう明確化いたしました。
そのような中、札幌市では、本年4月にG7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合が開催され、脱炭素に対する取組を世界に発信し、イベントの開催などを通じて市民に対しても広く啓発活動を実施いたしました。
本市におけるCO2排出量の多くは家庭から排出され、全体の約4割を占めております。脱炭素社会の実現に向けては、特に、エネルギー源として使用する灯油を再生可能エネルギー由来のクリーンエネルギーに変換していくことが必要不可欠であり、ライフスタイルの転換など市民への普及促進が重要であり、我が会派としては、令和3年第3回定例会において、この問題について強く取組の推進を訴えたところであります。
本市がこれまで実施してきた断熱性能に優れたゼロエネルギー住宅の推進や、省エネ家電の購入補助などの取組は、寒冷地で生活する市民にとって脱炭素型ライフスタイルへの転換のきっかけになると考えます。
そこで、質問ですが、脱炭素社会の実現に向けたライフスタイルの転換に向けて、札幌の地域特性を踏まえ、どのような観点で取り組んでいくお考えか、お伺いをいたします。
2点目に、脱炭素社会の実現に向けた下水道の取組について伺います。
札幌で開催されたG7環境大臣会合においては、脱炭素化に向けて、全ての分野、レベルでの緊急かつ強化された行動を求めるとしております。札幌市全体の排出量を見てみますと、事業者等の排出量は全体の約6割を占めておりますが、札幌市役所は、そのうち約1割を排出する市内最大級の事業者です。
このため、2050年のゼロカーボン達成に向けて、市役所のあらゆる分野で排出量の削減に率先して取り組む姿を市民、事業者へ示していくことが重要だと考えます。これまで実施してきた市有施設への太陽光パネルの設置や、昨年10月から始まった市役所本庁舎での再エネ100%電力の利用開始は評価できる取組でありますが、まだ多くの分野で脱炭素化の取組を加速させる必要があります。
札幌市気候変動対策行動計画によりますと、市役所の温室効果ガス排出量の用途別構成比は、上下水道・交通・道路等が34.7%であり、インフラ部門の排出が多くを占めております。その中でも、生物を利用した水処理に大量のエネルギーを使用する下水道の排出量は、札幌市役所全体の約2割に上っています。
これまで、下水道は、大雨による浸水被害からまちを守り、水環境の保全など、快適な都市生活を支える重要な役割を果たしながら、絶えず消費するエネルギーの削減に向けて施設の省エネに取り組んできました。また、下水熱を活用した雪対策施設など、下水熱や汚泥を資源として捉えた取組も積極的に行い、脱炭素地域の形成に貢献してきたことは大きな意義があると考えておりますが、大規模な排出事業者として今後も排出量の削減に率先して取り組む必要があると考えます。
そこで、質問ですが、札幌市の目指すゼロカーボン達成に向けて、下水道事業では今後どのように取り組んでいくお考えか、お伺いいたします。
次に、経済施策について、5点伺います。
1点目は、ラピダス次世代半導体プロジェクトを踏まえた札幌市の体制についてです。
今年2月、千歳市に半導体工場を建設することを表明したラピダス社に対し、国も3,000億円を超える支援を表明するなど、官民を挙げた次世代半導体の国産化に向けた動きが本格化しております。
同社が量産を目指すのは回路線幅2ナノメートルの半導体ですが、ラピダス社は、水平分業のファウンドリーとは違い、半導体の設計、前工程、後工程を一気通貫で請け負い、顧客のニーズに応じたロジック半導体を素早く完成させることで様々な分野においてイノベーションをもたらすことを目指しております。
まずは試作ラインの稼働と2020年代後半の量産化が難題ですが、あわせて、ラピダスプロジェクトが成功を収めるためには、関連産業の集積等を進めるとともに、スタートアップ企業による斬新なサービスの提供とマーケットの開拓が不可欠であります。また、技術者や研究員のほか、数千人規模の雇用が創出されると見込まれるなど、ラピダス社の進出は北海道全域に好影響を及ぼすものであり、札幌市をはじめ、各市町村がそれぞれに積極的に関わっていく必要があるものと考えます。
また、今月8日、我が党の半導体基盤強化PTは、政府に対し、緊急提言を行いました。大要として、半導体の大規模な生産拠点の立地は、様々な効果が期待される一方で、地方自治体、産学、関係省庁も一体となって対応する必要があり、このため、政治が全体を俯瞰しながら先導すべきと前置きした上で、地域における人材育成等については、将来を見据え、裾野拡大にも資するSTEAM教育の促進や、新たな付加価値を生み出すDXやイノベーションの促進を、そして、中長期的に対応すべき事項として、立地投資による中小等の関連企業、地域経済への波及と人材育成の好循環が自律的に三位一体で起きるエコシステムの確立などを提言したところであります。
私も、先日、経済産業省に赴き、次世代半導体プロジェクトについて意見交換をし、半導体分野では国際連携なくして結果は伴わないこと、自治体の積極的な売り込みのための看板、のれんの重要性など、効果を最大化する戦略的な取組と体制整備の重要性を認識したところであります。
そこで、質問でありますが、ラピダス社の進出による札幌市への影響の認識と企業や人材を引き寄せる効果的な発信や他市町村との綿密な連携の必要性を踏まえ、今後どのような体制で取り組んでいくのか、お伺いいたします。
次に、丘珠空港における路線就航の効果と認知度向上についてお伺いいたします。
本年3月26日に株式会社フジドリームエアラインズが、丘珠空港の定期便として9路線目、道外路線としては4路線目となる丘珠−小牧線を新規就航させました。この就航によって自動車関連産業やものづくり産業などが盛んな名古屋圏と食関連産業や観光産業が盛んな札幌圏が結ばれ、新たなビジネス創出や、互いに大都市圏であることを背景に観光需要が期待されています。
今般、防衛省と国土交通省が管理する共用空港である丘珠空港において、運航ダイヤをはじめとした様々な調整を必要とする中で、新規路線の開設に至ったことは関係者のご尽力のたまものであると認識しております。
札幌丘珠空港と名古屋小牧空港は、いずれも都市の中心部に近い空港であることから、丘珠−小牧線の新規就航は、両都市間の往来の活発化に寄与し、コロナ禍で落ち込んだ交流人口の復活に資するものと期待しております。
実際の利用例としても、日帰りで札幌、北海道の観光を楽しんだ方、地元の中部圏に帰省した方など、定期便の利点を生かした新たな需要の兆しが見られ、搭乗率も70%を超える上々の滑り出しであったと伺っております。このように、新規路線の就航によって都市圏を結ぶ移動手段が増えることは、人々の利便性の向上だけではなく、それぞれの就航地でのビジネス、観光といった経済活動などを牽引するものであります。
今後の路線就航の増加については、昨年、札幌市が策定した丘珠空港の将来像においても想定されているところであり、現状よりも離着陸回数が増えることとなります。路線の拡大はあくまでも航空機騒音の環境基準内で行われるものであり、そのことをきちんと説明していくことはもちろんでありますが、新たな路線の就航が札幌市、北海道にもたらす利便性や経済効果などについてもしっかり情報発信し、多くの方にその意義を理解していただくことも必要と考えます。
そこで、質問ですが、丘珠空港における路線就航について、その効果をしっかり情報発信していく必要があると考えますが、札幌市のお考えを伺います。
また、路線の維持には、空港自体の認知度も向上させ、利用促進を図る必要があります。全国の地方空港では、空港限定のお土産やグルメスポットを設けたり、出雲縁結び空港や高知龍馬空港など愛称によって注目を高めたりと、工夫を凝らした展開が図られております。丘珠空港においても、多くの方に丘珠空港を認知していただく工夫を凝らし、利用を促進して路線の維持・拡大を図り、札幌、北海道の活力向上を図っていく必要があります。
そこで、質問ですが、丘珠空港の認知度について、現状、札幌市はどのように認識しているのか、また、認知度向上に取り組むべきと考えますがいかがか、伺います。
続いて、持続可能なデマンド交通の仕組みづくりについて伺います。
地域公共交通は、人口減少やマイカー利用の普及、ライフスタイルの変化等による長期的な利用者の落ち込みにより、大変厳しい状況に置かれています。加えて、新型コロナの影響により、一気に10年以上時間が進んだとの見方があるほど深刻な状況にあります。
市内のバス路線を見ても、運転手不足の危機的な状況などもあり、路線の減便や廃止が行われております。私の元にも地域から不便になったという声が寄せられており、市民生活への影響を実感しております。
こうした状況を踏まえ、国では、4月に成立した改正地域公共交通活性化再生法において、各自治体が利便性や持続可能性の高い地域公共交通ネットワークへと再構築を進める重要な視点の一つとして、自治体、交通事業者と地域の多様な関係者との連携と協働を示しています。地域公共交通は、市民生活を支えるインフラであり、まちづくりにも直結するものであり、札幌の価値や魅力を高めるためにも持続可能性が求められています。
そうした考えの下、我が会派では、デマンド交通を、地域公共交通、とりわけ郊外部における交通手段の一つとして大いに期待し、これまでも議会で取り上げてきたところであります。その結果、手稲区で市内初となる実証実験が昨年11月から開始され、2例目となる実験も南区で予定していると伺っております。
デマンド交通は、ワゴン車など小型車両で運行可能なため、大型二種免許の保持が必要なく、運転手の確保策として期待する一方で、持続可能性という点では課題があります。AI予約管理システムや電話予約受付オペレーターの配置など、路線バスにはないコストもかさみ、全国的にも交通事業者の経営努力のみでは持続困難な事業と認識しております。
デマンド交通の持続可能性を確かなものとするためには、例えば、利用する方には地域の商業施設ごとで特典があるなど、移動手段としての付加価値を高めて、デマンド交通を地域全体に愛される存在にしていくことが重要と考えます。
そこで、質問ですが、持続可能なデマンド交通の仕組みづくりについて、札幌市はどのように取り組んでいくお考えか、伺います。
続いて、将来を見据えたシニア層の労働力を生かす新たな取組について伺います。
これまで、我が会派では、将来を見据えた労働力として、高齢者雇用の取組推進を議会で何度も取り上げてまいりました。現在、我が国の総人口は、昨年時点で約1億2,500万人、うち65歳以上の高齢者は約3,600万人で、高齢化率は29%となっており、内閣府の高齢社会対策大綱では、65歳以上の人を一律に高齢者と捉えるのはもはや現実的ではなく、エイジレス、もう年齢にこだわらない社会を目指すとしております。
2065年には、総人口が約8,800万人まで減少し、高齢化率は38.4%まで上昇すると予測される中、厚労省の就業者数シミュレーションでは、経済成長と労働参加が進まない場合、2040年には就業者数が1,285万人減少すると予想しております。一方で、経済成長と高齢者等の労働参加を順調に進めることができれば、就業者数は506万人の減少にとどまると試算しております。こうしたことは、札幌市も例外ではなく、現在の状況のまま進めば将来立ち行かなくなるのは明らかです。さらに、国の調査では、65歳を超えても働きたいと希望する高齢者は回答者全体の約6割に上り、そのうち、働けるうちはいつまでも働きたいと回答した人の割合は約2割と、高齢者の就労意欲は高いと言えます。
2021年4月に施行された高年齢者雇用安定法の改正では、70歳までの就業確保措置が努力義務となり、企業側は今後さらに高齢者雇用について検討することが求められており、他都市においても、協議会を立ち上げ、積極的に他団体と連携し、高齢者雇用の推進に取り組む事例も出てまいりました。
そこで、質問ですが、札幌市においても働きたいと考えている高齢者の方々がますます活躍できるような新たな取組を進めるべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
続いて、札幌版DMOの設立について伺います。
我が会派は、これまで、本市の観光産業のさらなる発展のため、観光戦略を立てる際に民間のノウハウや専門人材の登用を訴えてきており、さきの第1回定例会の代表質問においては、ポストコロナにおける観光マーケティングの重要性や今後の札幌観光の推進体制の強化について質疑を行い、DMOの設立など、体制強化に向けた検討が進められることを確認したところであります。
そして、秋元市政3期目の公約として、観光地域づくり法人、DMOを設立し、持続可能で安定的な観光・MICE産業を構築することが掲げられました。
こうした中、令和4年度に次期札幌市観光まちづくりプランの策定に向けて設置した検討委員会において推進体制の強化について検討が行われ、先月16日に、検討委員会から、観光地経営を実践する札幌版DMOを設立し、札幌観光の推進体制の強化を図ること、設立に当たってはDMOの目的、組織体制、財源、人材、市との役割分担などについて柔軟に検討を行うこととの提言がございました。
本市にもようやく観光客が戻ってきているとはいえ、観光産業ではいまだ
新型コロナウイルス感染症により受けた影響は大きく、一日も早く観光関連事業者が稼げる環境をつくるために推進体制を強化する必要があります。
消費額の増加、観光繁閑期の平準化、インバウンドの誘客などに向けて、都市型スノーリゾートやアドベンチャートラベル、MICEの推進など稼げる環境をつくるとともに、検討委員会からの提言をしっかりと受け止め、札幌版DMOの設立に向けた検討を早急に進めていただき、世界から選ばれ続ける持続可能な観光都市を目指してほしいと考えます。
そこで、質問でございますが、この提言を受け、札幌版DMOの設立に対する市長の認識について伺います。
次に、今後の認知症施策について伺います。
我が会派では、これまでも、認知症施策は共生社会の実現に向けて重要なものと捉え、関連する質疑を重ね、一般社団法人北海道介護支援専門員協会とケアラー支援に関する調査書もまとめたところであります。その調査では、認知症高齢者のケアラー支援では、緊急時でも安心して預かってくれる場所を6割の方が求めていることや医療連携等の課題も浮き彫りになりました。
こうした中、国では、我が党が一貫して必要性を訴え、超党派の議員連盟で取りまとめた共生社会の実現を推進するための認知症基本法が成立したところでありますが、これは、今般の認知症の増加に鑑み、尊厳を保持しつつ、希望を持って暮らせる共生社会の実現を推進することを目的に、国及び地方公共団体の責務を明らかにするものであり、認知症施策の進展に期待をしているところであります。
札幌市においても、市長公約で、認知症の方やサポートをする方への支援の充実を掲げるとともに、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンにもユニバーサル、ウェルネスが重要概念として掲げられているところでもあります。基本的な方針は一致していると認識しております。
さきに述べた法案の基本的施策では、地域における見守り体制の整備、ご本人や家族の孤立防止のための交流活動の支援等の強化が示されており、このような取組を総合的かつ計画的に推進する必要があると考えます。
国は、このような施策の一つとして、地域において把握した本人や家族の身近な支援ニーズ等と地域のボランティアを中心とした支援者をつなぐチームオレンジの仕組みづくりを進めていますが、認知症と思われる初期の段階から予防的な取組を実施することは早期相談、早期支援の充実のために大変有効であります。こういった予防的な施策については効果が出るまでには時間がかかりますが、アクションプラン2023の計画事業としてしっかりと位置づけ、計画的、重点的、継続的に取り組まなければ認知症の方が安心して暮らせる地域の実現はかなわないのではないでしょうか。
そこで、質問ですが、共生社会の実現のために認知症施策を今後どのように強化していくのか、伺います。
最後に、誰一人取り残されない教育について伺います。
文部科学省が公表している直近の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の結果によれば、不登校児童生徒数が増加し続け、全国の小学校及び中学校で約24万5,000人、高等学校と合わせると約30万人に上り、過去最高となりました。
こうした不登校児童生徒の増加傾向は、本市も同様であり、大変憂慮すべき状況であります。そのため、我が会派では、これまで、議会において、様々な理由により不登校になっても教育を受ける機会の確保を求めてきたところであり、1人1台のタブレット端末の活用等により不登校支援の拡充が図られました。さらに、今後はメタバースの活用による不登校支援も早急に検討していただきたいとも考えております。
不登校対策が急がれる中、本年3月、文科省は、これまでの不登校支援に関する具体策等を取りまとめ、学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランを発表し、各自治体に通知をいたしました。本プランでは、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整える、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援する、学校の風土の見える化を通して学校をみんなが安心して学べる場所にするという3本の柱が示されております。
これまで我が会派が求めてきたように、不登校の子どもたち全てに学びの場を確保する取組を進めることはもちろんですが、不登校になる前に気づいてあげることができたらといった切実な声も寄せられていることからも、不登校に至る前の段階での対応により力を入れていく必要性を強く感じております。COCOLOプランにもありますが、子どもの心の小さなSOSを察知して見逃さず、早期に寄り添い、支援につなげることは、不登校のみならず、子どもが直面する様々な問題の長期化、深刻化を未然に防ぐためにも重要な視点と考えます。
そこで、質問ですが、より一層早い段階から子どもの困りや悩みに寄り添い、対応するなど、誰一人取り残されない教育の充実が重要と考えますが、今後、教育委員会としてどのように取り組もうと考えているのか、伺います。
以上で、私の全ての質問を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(飯島弘之) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で大きく5項目にわたり、ご質問をいただきました。私からは、大きな1項目めの私の政治姿勢についての9点、お答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、石川副市長、天野副市長、教育長からお答えをさせていただきます。
私の政治姿勢についての1項目め、世界平和への貢献に向けた思いについてであります。
被爆地である広島での
G7サミットにおいて初めて核軍縮に関する声明が出されたことは、核兵器廃絶と世界平和の実現に向け、大きな意義があったものと認識をしております。
そして、改めて、全世界の市民と相携えて世界平和の実現を望むという札幌市平和都市宣言の言葉を深く胸に刻んだところであります。
今後も、文化やスポーツなどの様々な場面を通じて海外との交流を深め、世界の人々と平和への思いを共有し、次の100年に向け、平和の尊さを伝える取組を市民とともにしっかりと進めてまいります。
次に、2項目め、現下の社会情勢を踏まえた補正予算における私の考えについてお答えをさせていただきます。
このたびの補正予算では、第2次
まちづくり戦略ビジョンの実現に資するもの、特にコロナ禍で落ち込んだ経済の活性化や脱炭素社会の実現に向けた取組などを重点的に計上いたしました。
市民生活の充実に向けては、省エネ家電等転換キャンペーン事業により、家電等の買換え需要を促進していくことで一般家庭における脱炭素化の推進と省エネによる市民負担の軽減を図っていく考えであります。同様に、事業者向けには、製造業省エネ・カーボンニュートラル促進支援事業を実施し、中小事業者の設備更新による脱炭素化を加速化するとともに、事業者負担の軽減に取り組んでまいります。また、地域経済の基盤強化に向けて、スタートアップ企業や商店街への支援などに取り組むほか、多様な観光客の受入れ環境を整備する宿泊施設への支援などにより観光需要の回復に対応していく考えであります。
今後も、物価高騰をはじめとする社会経済情勢を注視の上、時期を捉えた効果的な対策を講じてまいりたいと考えております。
次に、3項目め、新たなステージの行政改革の取組についてお答えをいたします。
市長就任以来、
行政事務センターの設置等により職員が市民サービスの向上に注力できる環境を整備してきたほか、全区役所における総合案内やおくやみ窓口の設置、行政手続のオンライン化の推進など、市民の視点に立った行政改革の取組を進めてきたところであります。
一方、複雑多様化する行政課題に対応するには、これまで以上に市民一人一人の状況に耳を傾け、市民の課題に共感し、迅速、的確に対応することが不可欠であると認識をしており、これまでも、組織間連携や協働の精神の重要性について、私自身、職員へのメッセージを発信してきたところであります。
今後、さらに自らの組織の枠にとらわれず、市民視点に立って考え、行動する職員の育成を進めてまいりたいと考えております。あわせて、官民協働の視点により、市民、企業等と対話をし、その声を反映する仕組みづくりを進めるなど、市民目線により課題解決を図る行政運営ということを一層進めていく考えであります。
次に、4項目め、
日本版CDC、
国立健康危機管理研究機構と連携した今後の感染症危機に備えた体制づくりについてであります。
今後の感染症流行への備えにつきましては、流行初期には原因となる病原体が不明であったり、また、北海道や札幌が発生源となることも想定をして対応することが重要だと認識をしております。
今回の
新型コロナウイルス感染症対策等においては、
国立感染症研究所から専門家の派遣を受けるなど、密に連携してきたところでありますが、今後は、平時から
日本版CDCと言われる機構と連携をし、市内の感染症発生動向の中から異変を早期に探知するほか、衛生研究所の検査能力向上を図るなど、感染症危機に備えた体制づくりを進めてまいりたいと考えております。
次に、5項目め、防災DXについてであります。
災害時に市民の安全・安心を確保するには被害の最小化と早期の復旧が不可欠であり、最新のデジタル技術を活用した防災・減災対応の最適化、迅速化が重要であると認識をしております。
現在、気象情報や被害情報などの収集にとどまらず、人流や交通量などのビッグデータと統合してリスクを予測することで先手の対応を可能とする防災DXについて検討しているところであります。また、
防災DX官民共創協議会には札幌市も参画をしており、自治体が抱える課題の解決やデータ連携の枠組みなどについて、実証にも積極的に関わることで実効性の高い取組を実現してまいりたいと考えております。
次に、6項目めの官民連携のまちづくりの推進についてであります。
複雑・高度化する地域課題や行政課題の解決に向けて、行政と民間が連携をし、互いの知見や技術、ネットワーク等を持ち寄り、新たな価値を共に創出する先進的な官民連携を目指す考えであります。
まずは、第2次戦略ビジョンに掲げるスマートに関わる取組を加速させるため、デジタル技術やスタートアップに関する連携体制を早急に構築し、先端技術を活用した実証などを積極的に展開してまいります。
加えて、官民連携に係る指針の策定や民間提案を一元的に受け付ける窓口の設置を通じ、官民協働による取組を効果的かつ迅速に実施する開かれた市役所を実現し、多様な主体と連携した活力あるまちづくりを推進してまいりたいと考えております。
次に、7項目め、札幌市のヒグマ対策についてでありますが、ヒグマの個体数が増加している状況下におきましては、地域の実情に合わせたヒグマの侵入抑制策を持続的、戦略的に実施していくことが大変重要であり、そのためには、ヒグマの専門的な知識だけでなく、様々な視点からヒグマ対策について議論することが必要であると認識をしております。
このため、今後、ヒグマの専門家のほか、教育関係や農林業関係など、各分野で活躍されている方々を加えた協議体を立ち上げる考えであります。この協議体において、侵入抑制策をはじめ、札幌市のヒグマ対策の取組内容を評価し、適宜見直しを図ることで、より安全・安心な暮らしを目指してまいります。
次に、8項目め、
婚活支援事業の取組についてであります。
少子化の傾向を反転させるラストチャンスと言われる今、若者の結婚を後押しし、理想とするライフプランの実現に向けて取り組んでいくことが喫緊の課題と認識をしており、これまで、先進事例の収支構造などを研究し、会員からの登録料を財源として自律的に運営できる持続可能な結婚支援体制の構築について検討してきたところであります。
現在、国費活用を含め、自走化に至るまでの段階的な展開を検討しており、事業化に向け、スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
次に、9項目め、ユニバーサル施策の推進についてお答えをいたします。
まず、1点目のオリンピック・パラリンピック招致による共生社会の推進についてであります。
オリンピック・パラリンピックは、単なるスポーツ大会ではなく、大会の招致、開催を契機に、札幌のまちが抱える様々な課題について解決に向けた取組を加速させる原動力となるものと認識をしております。
共生社会の推進につきましては、整備水準が向上した東京2020大会のレガシーを参考にし、利用者目線で移動環境や建物等のバリアフリー化を進めるとともに、心のバリアフリーの浸透に向けたパラアスリートとの交流など、ハード・ソフト両面からバリアフリーの取組を進めていく考えであります。
また、このようなバリアフリーの取組にとどまらず、ジェンダー平等の推進や多様性への理解促進など、共生社会の実現に向けて庁内一丸となることはもとより、企業、市民とともに取組を進めることにより誰もが暮らしやすいまちづくりを加速してまいりたいと考えております。
2点目の共生社会の実現に向けたユニバーサル関係施策の推進についてでありますが、共生社会の実現に向け、ユニバーサル関係施策につきましては、第2次
まちづくり戦略ビジョンの最終年である2031年度を見据えつつ、早期かつ確実に遂行していく必要があるものと認識をしており、そこで、今後は、私を本部長とする、仮称でありますが、ユニバーサル推進本部を立ち上げ、ユニバーサル推進室が事務局として総合調整を担いながら、全庁的な取組の推進に直ちに着手していく考えであります。
この推進本部の体制の下、市有建築物及び民間建築物のバリアフリー化や心のバリアフリーの浸透に向けた取組をはじめとした関係施策について、より具体的な展開プログラムを策定するなど、共生社会の実現に向け、札幌市が抱える課題にしっかりと向き合い、多様な関係施策を相互に連携させながら今後さらに加速させてまいる所存であります。
私からは、以上です。
○議長(飯島弘之) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな4項目め、今後の認知症施策についてお答え申し上げます。
認知症施策の強化につきましては、今後の認知症高齢者の増加を踏まえまして、早急に取り組むべき課題と認識するところでございます。
中でも、認知症の方の意思を尊重した社会参加、家族の負担軽減、地域のボランティアの参画が一体的に提供されるチームオレンジの体制を整備することは、認知症になっても尊厳を持って暮らし続けられる共生社会の実現に大変重要と考えているところでございます。
今後は、認知症施策の強化を、アクションプラン2023や、2040年を見据えた地域包括ケア体制の基盤づくりを目指す高齢者支援計画2024に位置づけることを含め、計画的に取り組んでまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(飯島弘之) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな2項目め、G7環境大臣会合、GX推進法成立を経ての今後の施策の推進について、そして、大きな3項目め、経済施策についてのうち、4点目の将来を見据えたシニア層の労働力を生かす新たな取組についてと、5点目の札幌版DMOの設立についてお答えを申し上げます。
まず、大きな2項目め、G7環境大臣会合、GX推進法成立を経ての今後の施策の推進についてであります。
1点目の脱炭素型ライフスタイルへの転換を促すための取組についてでありますけれども、積雪寒冷地である札幌市は、暖房使用によるCO2排出量が多いという課題がございまして、住宅の断熱性能向上に加え、市内に広く普及している灯油式暖房のエネルギー源をCO2排出量の少ない電気やガスに転換する熱源転換が重要な観点であると考えているところでございます。
そこで、熱源転換に係る費用の一部補助やエネルギー事業者等と連携した電気やガス式の暖房機器の効果を体感できるイベントなど、各種取組を実施しているところでございます。G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合の開催で、脱炭素社会の実現に向けた機運が高まっているこの機会を生かし、熱源転換をはじめとした市民の脱炭素型ライフスタイルへの転換を一層促進してまいります。
次に、2点目の脱炭素社会の実現に向けた下水道の取組についてであります。
下水道事業では、これまで、省エネ設備の導入や下水汚泥の焼却熱を利用した蒸気発電の導入等に取り組むことで、2016年度から約20%の温室効果ガスを削減してきたところでございます。
今後のさらなる削減に向けましては、老朽化する施設の再構築の時期を見据え、先進技術を計画的に導入することにより、大きな削減効果が期待できますことから、中長期的な方向性を定める、仮称でありますけれども、札幌市下水道事業脱炭素構想を今年度策定する予定でございます。この構想では、人口減少に応じた施設の統廃合や処理方式の抜本的な見直しによる削減のほか、雪処理施設への下水熱の供給など、下水の資源を活用した他分野との連携も盛り込み、脱炭素社会の実現に向けた取組を進めてまいりたい、このように考えているところであります。
続きまして、大きな3項目め、経済施策のうち、4点目の将来を見据えたシニア層の労働力を生かす新たな取組についてであります。
札幌圏の企業の採用意欲が回復してきた一方で、今後も、生産年齢人口の減少が見込まれ、企業の人手不足が懸念される中、就労意欲のある高齢者の方々にご活躍をいただくことは重要であると認識をいたしております。
そこで、今年度、札幌市働き方改革・人材確保サポートセンターを立ち上げ、中小企業に対する人材確保の支援を進めるとともに、就業サポートセンター内に企業側から高齢者をスカウトするシニア人材バンクを新たに開設したところでございます。
今後は、これらの取組を通して企業のニーズを的確に把握し、働きたいと考えていらっしゃる高齢者の能力と経験が活用されるよう、よりきめ細やかにサポートしてまいりたいと考えております。
次に、5点目、札幌版DMOの設立についてでありますが、民間が持つ機動性や専門性を生かしながら戦略的かつ地域一体となった観光地経営を推進していく体制としてDMOは最も有効な手法であると認識をいたしております。
具体的には、専門的知識に基づくデータ分析と観光戦略の立案といった高度な観光マーケティングや産学官民の連携による効果的な施策を実施するためのマネジメントが可能となってまいります。今後は、観光地域づくりのかじ取り役となるDMOの設立に向けた検討を進め、札幌の基幹産業であります観光業が力強く発展できる体制を整えてまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(飯島弘之) 天野副市長。
◎副市長(天野周治) 私からは、大きな3項目め、経済施策についてのうち、1点目のラピダス次世代半導体プロジェクトを踏まえた札幌市の体制について、2点目の丘珠空港における路線就航の効果と認知度向上について、3点目の持続可能なデマンド交通の仕組みづくりについてお答えをいたします。
まず、1点目のラピダス次世代半導体プロジェクトを踏まえた札幌市の体制についてでございます。
ラピダス社の進出により雇用の場が増えるだけではなく、製造に従事される方のほか、高度な技術者や研究者など、国内外から来る多くの方が札幌市内にも居住することが想定されます。また、自然共生型の工場の建設や同社が目指す極めて省電力で環境性能に優れた半導体の製造により、環境分野をはじめ、関連産業に新たな投資が生まれるなど、札幌にも幅広く影響が及ぶものと認識をしております。
今後、速やかにこの好機を生かすための具体的な取組を検討すべく、部局横断の会議体を立ち上げ、ラピダス社や関連企業、大学、他自治体のほか、関連機関等と連携を図りながら地域経済全体の発展に向けて取り組んでまいります。
次に、丘珠空港における路線就航の効果と認知度向上についてでございます。
丘珠空港における路線の就航及び拡充につきましては、移動手段の利便性の向上に加え、交流人口の増加に伴う地元への経済効果、さらには、災害時の代替経路の確保など、様々な意義があるものと認識をしております。
今後は、これらの意義や効果等を市民に理解していただくことが重要であることから、丘珠空港を紹介するイベントやニュースレター、市のホームページなど、様々な機会を捉えて幅広く発信してまいります。
また、丘珠空港の認知度については、道内では就航地を中心に徐々に認知が広まっている実感はございますが、通年での運航が少ない道外ではまだ低いと認識をしております。このため、新規路線を中心に、就航先の自治体と連携して丘珠空港の周知を行うほか、今後の地域住民との協議の場などで、全国の地方空港の取組を紹介し、ご意見を伺いながら丘珠空港の魅力や認知度の向上に取り組んでまいります。
次に、3点目の持続可能なデマンド交通の仕組みづくりについてであります。
デマンド交通は、買物や通院など、日常的な外出を支えるほか、新たな外出機会を生み出し、まちの活性化や健康増進などにも寄与する取組であり、今後の地域交通の在り方の一つとして期待をしております。
一方、継続的にデマンド交通を運行するためには、地域住民の一定の利用があることに加え、運賃収入以外の収益源を確保することなどが課題になると認識をしております。
今後は、地域の理解を深めるとともに、地域の事業者から利用促進のアイデアや協賛金を提供いただく仕組みをつくり、持続可能なデマンド交通の実現に向けて取り組んでまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(飯島弘之) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 私からは、大きな5項目め、誰一人取り残されない教育についてお答えをさせていただきます。
これまで、子どもの困り、そして悩みについては、教職員が早い段階から寄り添い、スクールカウンセラーと連携しながら不安の解消に努めるとともに、教育支援センターにおける不登校支援などにも力を入れてきたところであります。
しかしながら、昨今、子どもを取り巻く生活、そして環境が大きく変化する中、子ども一人一人の困り、そして悩みが複雑化・多様化しており、より丁寧に向き合っていくことが重要であるというふうに認識をしております。
そのため、1人1台端末を活用して子どもの心や体の日々の変化を見えるようにすることで、問題が表面化する前から教職員が子どものサインを確実に捉え、学校全体で必要な見守りや支援を行うことができる取組を検討しているところであります。
今後、オンラインによる学習支援を含めたICT活用の幅を広げることはもちろんでありますが、心理、福祉の専門家との連携を一層強めるなど、個に応じた支援のさらなる充実を図り、誰一人取り残されない教育を確実に推進してまいります。
以上であります。
○議長(飯島弘之) ここで、およそ20分間休憩いたします。
――
――――――――――――――――――
休 憩 午後2時12分
再 開 午後2時35分
――
――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
池田由美議員。
(池田由美議員登壇・拍手)
◆池田由美議員 私は、日本共産党を代表し、市政の重要問題について、順次、質問いたします。
初めに、市長の政治姿勢についてです。
質問の第1は、北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック招致についてです。
1点目は、市長選挙結果の受け止めと市民の声を聞く姿勢についてです。
4月に投開票が行われた札幌市長選挙で、札幌五輪招致推進を掲げた秋元市長は、45万8,221票を獲得し、3期目の当選となりました。当選確実の報道を受けて、秋元市長は、市政の継続で理解が得られたとコメントされましたが、得票率は4年前の70.6%から56%へと大きく低下し、有権者比の支持率は27.51%と、3分の1に届いていません。昨年4月、北海道新聞社が行った世論調査で市長の不支持率が就任後最高の38%となり、市民の声を重視していないが最も多い理由となりました。選挙後には、市幹部職員の方が、五輪招致に限らず、市民の声にもっと耳を傾ける謙虚な姿勢が必要だとコメントしたと報じられています。
我が党は、市民に対して五輪招致への理解促進を押しつけ、停滞する五輪意識を高めるための機運醸成活動を重ねることが反対する市民とのあつれきを生むと指摘してきましたが、こうしたあつれきが選挙結果に表れたと考えます。
市長は、市民の声を市政に十分反映していないことが選挙結果に表れたと受け止めておられますか。また、今後、市民の声を重視する市政にするため、具体的にどのように取り組みをお考えか、伺います。
2点目は、市長選で示された招致反対の意思についてです。
市長選で札幌五輪招致反対を掲げた2名の候補者の合計は、得票数で35万9,526票、得票率で4割を超える結果となりました。これは、招致に対する市民合意が不十分なまま先走る市長の姿勢に対し、市民からの厳しい批判が投票行動によって明らかになったものと考えます。
我が党は、五輪招致は市政の重要な事項であることから、札幌市自治基本条例に基づき、招致に対して市民の意思を確認することや、五輪より福祉や子育て支援への予算を優先的に確保することを求め、札幌市長選挙でも市議会選挙でも市民に訴えてきました。市民からは、東京2020五輪を札幌で繰り返してほしくない、五輪にお金をかけるよりも今の暮らしを支えることにお金を使ってほしい、まず多くの賛成を得てから招致に進むべきといった反応や共感が我が党の候補者に多数寄せられました。
市長は、今回の市長選挙で札幌2030冬季五輪招致に対して相当数の市民が反対の意思を示したとお考えにならないのか、伺います。
選挙結果で示された少なくない市民の招致反対の意思を受け止めて、開催概要計画の見直しを市民の理解が深まるまで繰り返しながら招致活動を並行して進めるという現在のやり方を改め、まず、一旦中止し、白紙にすべきだと考えますがいかがか、市長の見解を伺います。
3点目は、大会概要における平和の祭典の位置づけについてです。
近代オリンピックは、古代オリンピックが祭典の前後3か月間は全都市国家がお互いに戦争や争いを休止したことをモデルに、スポーツの催しを通して世界中に平和な世界の実現に寄与する理念を広めることを目指し、4年に一度、開催されるようになりました。これが、平和の祭典と言われる近代オリンピックの重要な要素です。
ところが、今、ロシアがウクライナに軍事侵攻を行い、戦闘が長期化しています。ウクライナの人々は、生まれ育ったまちに暮らすことができず、家族や友人を爆撃などで失い、命を守ることができるのか、毎日おびえながら暮らし、1年4か月がたとうとしています。核衝突の可能性も危惧されており、世界中が毎日の報道に心を痛め、憂慮し、一日も早い侵攻の終結を願っています。
このような世界情勢の下で、本市は、今、2030年招致を目指そうとしていますが、大会概要案には、国際平和に寄与しようとする位置づけがあまりにも希薄で、僅かに世界平和や団結に貢献と書かれているにすぎません。夢や感動、新たなレガシーを語るより前に、平和について語るべき状況ではないでしょうか。
本市の平和都市宣言をオリンピックの平和の祭典の実現と重ね、その先頭に立つ姿勢が今こそ求められているにもかかわらず、五輪招致をまちづくりを加速化する景気回復の手段に位置づけてしまっています。国際社会から認められる開催地になろうとするのであれば、五輪の基本理念である平和の祭典について、その意義や目的などを市民との意見交換で積み上げ、開催概要計画に平和への寄与を大きく位置づけることを検討するべきだと考えますがいかがか、伺います。
4点目は、国が示した大規模大会指針の評価についてです。
今年3月30日、スポーツ庁やJOCなどが大規模な国際又は国内競技大会の組織委員会等のガバナンス体制等の在り方に関する指針を発表しました。全体として、東京2020大会で起きた汚職・談合事件の防止には効果が薄く、コンプライアンスを十分理解していれば当然守るべきことが記載された内容となっています。
例えば、原則1の(2)は人材の採用について書かれていますが、出向元の企業と密接な関連性を有する部署には配置しない、配置する場合であっても当該部署の長には配置しないとする一方で、注釈に直接雇用することも考えられると抜け道を指南するような内容です。問題の背景となった大手広告代理店との専任代理店契約についても、原則3の(2)で考えられるとし、注釈で、一律に排除されるわけではないとしています。最も必要で、諸外国では導入されている第三者による審査制度は可能な範囲で検討することが望ましいとするのみで、義務づけはされていません。
本市は、大会運営見直し案を策定するために、5月22日に見直し案に関する検討委員会を立ち上げましたが、まだ東京2020大会の事件の全容は解明されておらず、したがって、検証も途上であるため、国の指針は裏づけに乏しく、抜け穴が多いと考えますが、どのように評価されているのか、伺います。
5点目は、自治基本条例に基づく市民の意思確認についてです。
我が党は、これまでも、議会で、市民の意思をまず確認し、多くの賛同を得てから招致活動を行うよう求めてきました。本市が昨年3月に実施した意向調査は、大会のメリットばかりを強調した後に賛否を尋ねるという極めて誘導的な手法で、52.2%の賛成は一定の賛同を得たなどと言えるものではなかったことなどを指摘し、公正な調査を行うことも求めてきました。
市長は、選挙後も招致推進の立場を表明し、市民の理解促進を図ろうと、夏には検討会の中間報告、秋には公開討論会等の市民対話という過密スケジュールを示しています。また、記者会見で、住民投票も含めて、多くの方に意向を確認できる方法を取っていきたいと含みを持たせた一方、札幌市民、北海道民の意向と併せ、長野でも開催するので、全国的な傾向を把握していくとも答えています。
今月13日、札幌市が2034年以降の大会招致を見据えるなら、引き続き国内候補地として認めるとJOCが決定したと報道され、市民の意思が確認されないまま、既成事実が先行する事態も起こっています。
このような拙速で地元住民の意向を十分踏まえない進め方は改め、札幌市がスタートさせた五輪招致の賛否については、その発信地となった札幌市民の声を何よりも重要視するべきです。市民の声を広く公正に聞くために、自治基本条例に基づいて、まず五輪招致の賛否について住民投票を行うべきだと考えますが、市長のお考えを伺います。
質問の第2は、政局についてです。
1点目は、国会情勢と重要法案の取扱いについてです。
国会では、岸田政権が、差別を温存し、人権侵害を広げかねないLGBT法案、外国人の命を危険にさらす入管法の改悪、問題ばかりのマイナンバーを強制する法案、原発を大規模に進める原発推進法など、問題のある法案を次々強行し、軍事強化に膨大な税金をつぎ込む防衛財源法案の採決を狙っています。
成立したこれらの重要法律は、市民の生活や権利に深く関わるものであり、自治体としても今後対応が求められることから、札幌市としても注視していくことになります。
これらの国会審議や公聴会などでは、当事者や有識者から数々の異論や反論が上がり、国会前では抗議の行動が繰り返されました。とても世論の合意があるとは言えません。
成立した重要案件は、十分な審議時間が確保されず、国民や当事者の理解も得られていないと考えますが、市長の認識を伺います。
2点目は、来るべき国政選挙と骨太の方針についてです。
政府の経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針には、具体的な増税時期が書き込まれない見通しです。防衛費、いわゆる軍拡財源のための増税について、2025年以降とすることも可能となるよう柔軟に判断すると記載され、これまでの2024年以降の適切な時期を先送りし、少子化対策の財源も消費税を含めた新たな税負担は考えないと明記しています。しかし、いずれも増税や歳出削減による国民の負担増を否定するものではなく、各紙は、増税や負担増が拡散、総選挙の争点になることを避ける狙いがあると報道しています。
我が党は、国民を欺く増税隠しは許されないと考えます。国政選挙に当たっては、増税の時期など、有権者に投票の判断材料が明確に示されることが望ましいと思いますが、市長のお考えを伺います。
質問の第3は、大軍拡、大増税と市民への影響についてです。
2023年度政府予算は、前年比増額分6兆7,848億円の7割を防衛関係費、いわゆる軍事費が占め、GDP比で2%に迫る大軍拡予算となりました。軍事費が突出した伸びとなったのは、新たな防衛力整備計画に伴い、2023年度から2027年度の5年間で約43兆円を投入して、巡航ミサイル、トマホークを取得するなど、敵基地攻撃能力を強化するためです。
この軍拡財源について、共同通信社が5月6日に実施した全国郵送世論調査では、適切ではないが58%を占め、財源確保に向けた増税方針を支持しないが80%に上りました。また、支持しない理由の最多は、今以上の税負担に国民が耐えられないというもので、こうした傾向は複数の世論調査でも裏づけられています。
1点目は、軍拡財源の確保についてです。
政府は、軍事費43兆円のうち、国債発行を除く約14.6兆円を確保するために、法人税、所得税、たばこ税の増税を計画しようとしています。法人税は、かつて、減税されながら大企業の内部留保として積み増しされた経緯があり、本来なら賃上げなどに使われるべきです。復興特別所得税についても、復興そのものを遅らせることになり、流用すべきではありません。
軍拡に伴う財源確保の増税が繰り返されることになれば、市民生活や地域経済は大きな打撃を受けます。市長はこの増税に反対されないのでしょうか、見解を伺います。
2点目は、自衛隊員募集のための名簿提供についてです。
2023年度政府予算では、陸上自衛隊を中心に、自衛官の人員を過去最大の1,769人増員し、事務官についても、トマホークなど、スタンド・オフ・ミサイルなどの開発推進体制強化に向けた58人を含め、計75人を純増させるとされました。
札幌市は、昨年6月、住民基本台帳のうち、18歳、22歳の若者の名簿を、これまでの閲覧ではなく、紙媒体、コピーにより自衛隊に提供しました。名簿提供された当事者の保護者からは、知らないうちに個人情報が提供されているのは納得できない、制服を着た隊員が訪ねてきて驚いたとの反応や、当事者となり得る高校生からも、本人に知らされていないのはおかしいといった不安や驚きの声が上がっています。
電子媒体、紙媒体ともに提供しなかった地方自治体も多数存在します。市長は、抵抗感を持つ市民がいながら、名簿提供を続けられるのですか。また、当事者や家族の意思を無視した名簿提供はプライバシー権の侵害に当たる可能性が高く、中止するべきと考えますが、見解を伺います。
次は、インボイス制度と中小企業振興条例についてです。
質問の第1は、インボイス制度についてです。
1点目は、制度の認識についてです。
インボイスとは税務署の登録番号がついた請求書や領収書のことであり、この番号がなければ仕入れや経費に係る消費税が控除をできず、取引先や元請会社は免税事業者である下請会社にインボイスを求めることになります。免税事業者がインボイス登録をすると重い消費税負担になり、登録しなければこれまでの取引から排除されることになります。免税事業者とは消費税の納税を負担できない小規模事業者のための基準でありますが、インボイス制度はこのような対策も無効にしてしまう、税率を変えない増税対策です。全ての事業者、特に年間売上げが少ない個人事業主、フリーランスに大きく影響があります。
政府は、今年10月からインボイス制度を実施しようとしていますが、インボイスによって事業継続が困難になる事業者が生じることを考慮し、受け取った消費税額の2割を納めればいいという負担軽減措置などを示しました。しかし、税負担が増える増税政策であることに何ら変わりはありません。しかも、3年間の経過措置です。
本市は、インボイス制度が免税事業者にとって増税になる仕組みであることにどのような認識をお持ちか、伺います。
2点目は、本市事業者の実態と影響についてです。
課税事業者が取引先の免税事業者と従来どおりの取引をしたいが、その場合、自社の税負担が増えるため苦しいと苦慮している様子が報道されていましたが、利益を得るためには、これまでの取引をリセットして、仕入先を免税事業者からインボイス登録をした課税事業者に変更せざるを得ないということが起こります。個人事業主やフリーランスが多い本市事業者への影響は計り知れません。
本市においてインボイス制度の対象となる免税事業者はどれくらいいるのか、また、制度による本市事業者への影響をどのように考えておられるのか、伺います。
3点目は、本市発注の事業における免税事業者の対応と制度の廃止についてです。
4月25日、政府が閣議決定をした2023年度の中小企業に関する国等の契約の基本方針には、インボイス制度に関する適切な対応として、国等は、競争入札において、インボイス、適格請求書の発行事業者でないことをもって競争入札に参加させないこととするような資格を定めることは適当ではないことに留意することを盛り込みました。
本市の場合、入札に参加する免税事業者は僅かだということでありますが、入札において免税事業者の扱いをどのようにするお考えか、伺います。
課税事業者が本市発注の事業に関わる場合、その事業において下請などの免税事業者を排除しないよう、本市として対策が必要と考えますがいかがか、伺います。
インボイス導入を機に廃業が増えることがあっては、本市の地域経済の支え手を失うことになります。国に対し、インボイス制度の廃止を求めるべきと思いますがいかがか、伺います。
質問の第2は、札幌市中小企業振興審議会についてです。
本市は、2007年、それまでの旧条例を改正して、札幌市中小企業振興条例を制定しました。条例は、札幌市の責務、中小企業の努力、大企業の役割、市民の協力と理解などを定めた理念条例で、附則には、中小企業が経済活動の全般にわたって重要な役割を果たしているだけでなく、その振興により、働く人の収入が増え、消費が活発化し、雇用が創出される、さらに、市の税収が増加して、福祉や教育などの市民サービスが向上し、まちづくりが発展するなどの好循環が生み出される、中小企業の振興は、札幌の産業、経済と市民生活全体に関わる課題であると位置づけています。
中小企業の振興に関し、市長の諮問に基づき、札幌市中小企業振興審議会が調査審議を行いますが、2016年以降、年1回の開催となっています。しかも、審議されているのは主に産業振興ビジョンに基づく進捗状況であり、これでは不十分だと感じているところです。
景気変動に影響を受けやすい中小企業にとって、コロナ感染拡大や長引く物価高騰、インボイス制度の実施、コロナ禍での資金繰り対策としてのゼロゼロ融資の返済も本格的に始まり、経済環境は大きく変化しています。このようなときだからこそ、中小企業振興条例に基づき、消費が活発化する施策を充実させるため、市長は、審議会に対し、諮問を行い、会議の開催を求める必要があると思いますがいかがか、お考えを伺います。
次は、新型コロナ感染症対策と健康保険証のマイナンバーカード化についてです。
質問の第1は、新型コロナ感染症対策についてです。
1点目は、市民への感染状況の情報提供についてです。
2020年2月の新型コロナウイルス初感染の確認から3年となりました。繰り返す変異株と感染者数の増加により、患者の入院調整などを行う保健所の業務は逼迫し、昨年9月から全数把握を限定化、高齢者など重症化リスクの高い人だけの把握になりました。現在は、指定した定点医療機関53か所の週次報告に加え、下水サーベイランスで補完した発生状況について、市民への情報提供をすることは重要と考えます。
6月9日発表の定点報告値は1定点医療機関当たり5.66人ですが、これは前週の4.17人や全国の4.55人を上回り、下水中のコロナウイルスのRNA濃度を測定する下水サーベイランスは2万9,900コピーと、前週比の1.2倍、第7波、第8波が拡大したときの数字に追いつき、非常に高い数値となっています。
本市は、全市5か所で毎週測定している下水サーベイランスの数値について、感染傾向を示し、市民にとって感染状況が分かる情報を提供すべきと思いますがいかがか、伺います。
2点目は、感染拡大防止と社会経済活動についてです。
当初、コロナは、感染症法の分類で結核と同等以上の2類相当に位置づけられ、外出の自粛要請、入院勧告、感染者の全数把握、医療費の公費負担などが行われてきましたが、今年5月8日からは2類相当から季節性インフルエンザと同じ5類へ移行され、それまで行われていた対策はおおむね自己負担、自己責任となりました。マスク着用や濃厚接触者になった場合の外出自粛は個人の判断に委ねられ、無料で接種してきたワクチンは対象が制限されました。無料PCR検査は有料に、医療費の公費負担は大幅に減らされ、コロナ患者を受け入れている病棟や外来に対する診療報酬の特例も段階的に縮小、廃止することになりました。
5類移行後も、変異を繰り返し、新たな変異ウイルスの出現や拡大が懸念されています。医療機関の受診等で自己負担が増えることにより、検査などが抑制され、感染が拡大する危険があることは、下水サーベイランス等の数値からも明らかです。
一方、本市は、外国人観光客の受入れ数が回復してきており、一部、経済活動は上向きになっていると言えます。さらに、今後も大型のイベントが計画されておりますが、それらに備えた感染対策になっているか、疑問を感じるところです。感染拡大防止と社会経済活動のバランスが取れているとは言い難いと考えますがいかがか、今後、感染防止策をどのように考えておられるのか、伺います。
3点目は、高齢者施設での検査対象の拡大についてです。
現在、本市は、高齢者施設や福祉施設での抗原検査キットによるスクリーニング検査を実施していますが、入所施設に限られています。入所施設からデイサービスなどの通所施設に通う利用者や、入所と通所の施設を仕事で行き来する職員、また、職員や出入り業者の家族など感染ルートは多岐にわたることから、入所施設に限った検査では効果が薄くなります。高齢者は重症化リスクが高いことから、検査対象の拡大をすべきです。
入所施設に限られているスクリーニング検査をデイサービスなどの通所施設と訪問ヘルパーの在宅支援施設の職員に拡大すべきですがいかがか、伺います。
質問の第2は、健康保険証とマイナンバーカード化についてです。
1点目は、マイナ保険証の運用停止についてです。
現行の健康保険証を廃止して、マイナンバーカードに一体化させ、マイナ保険証として利用させる法改正が可決、成立しました。取得は任意としていたものを、マイナンバーカードを持たなければ医療機関の受診に不便が生じるとし、取得を強要するものです。
しかし、コンビニで別人の住民票や印鑑証明が交付され、給付金の受け取り口座が別人や家族名義で登録されていたなど、マイナンバーカードをめぐるトラブルは後を絶ちません。とりわけ、深刻なのは、マイナ保険証に他人の情報がひもづけられていたケースです。
5月までで全国約7,370件確認され、受診歴や薬剤情報などの閲覧に至ったものが10件ありました。投薬・治療情報の取り違えは命に関わる重大な医療事故につながりかねないことから、医療関係団体などはマイナ保険証の運用を反対しています。
市民の命を守るためには、医療関係者が要望するように、政府にマイナ保険証の運用の即時停止を求めるべきですがいかがか、伺います。
2点目は、皆保険制度と資格確認書についてです。
国民皆保険を基本とする下では、原則として、保険の未加入期間はなく、無保険状態とならないよう制度設計されてきました。しかし、マイナンバーカードを持たない人にはこれまでの保険証に代わる資格確認書が交付されるものの、被保険者による申請が必要で、有効期限は1年間です。高齢者や障がい者が申請手続を失念する、あるいは、様々な事情で申請できない人など、資格確認書がなく、保険診療を受けることができない事態への対応は示されておりません。
マイナ保険証を持たなくてもいいように現行の保険証の廃止はしないよう国に求めるべきと考えますがいかがか、伺います。
また、本市は、国民健康保険の運営主体です。マイナンバーカードを持たない人に発行されるとする資格確認書を一律に交付すべきと考えますがいかがか、伺います。
次に、子育て支援についてです。
国は、異次元の少子化対策として、子育て支援を打ち出し、こども未来戦略方針で実施する具体的な施策が発表されたところです。大学など高等教育の学費軽減に至らず、不十分な点があるものの、自治体独自の子育て支援の広がりが国を動かしてきました。
秋元市長は、選挙公約で、子どもの教育について、子ども医療費や保育料の無償化の対象を拡大、学校給食費への公費負担をさらに拡大などを掲げています。本市の独自施策として、いつ、どのように拡大されるのか、市民は注目をしております。
質問の第1は、保育についてです。
1点目は、保育士配置基準についてです。
国は、保育の質の向上を目的に、保育士の配置基準改善を行うと言いながら、加算で対応するとしております。しかし、加算の対応では、全ての保育施設が対象とならないことや、そもそも1歳児6人に1人、4・5歳児30人に1人などの基準は無理があると、配置基準そのものの改善を求める声が保育現場や保護者から上がっています。本市としても、配置基準の抜本的見直しについて、令和6年度札幌市重点要望(案)に加えております。
保育現場では、本市でも人手不足が続き、息つく暇もない、多忙のあまり離職するという状況が起こっています。そうした中、環境改善のために独自で配置基準を上乗せする自治体が増えております。園で努力し、加算してもパートでしか雇用できない場合も少なくありませんが、配置基準改善によって正規雇用を増やすことができ、処遇改善にもつながります。
本市は、加配保育士等雇用促進補助金など、基準以上の保育士等を雇用するための補助を行っております。子どもたちの安全と保育士の職場環境改善のためには、国に先んじて本市独自で保育士配置基準の改善を進めるべきと考えますがいかがか、伺います。
2点目は、保育料についてです。
2019年、国による幼児教育・保育の無償化が始まり、3歳児から5歳児の保育料は全ての世帯において無償化の対象となりましたが、ゼロ歳児から2歳児の第1子がいる世帯については、住民税非課税世帯を除き、保育料を支払わなければなりません。また、本市が独自に実施している第2子の保育料無償化事業では、世帯年収が約640万円を超える場合、第1子が小学生になると事業の対象から外されることになり、保育料を支払わなければなりません。
一方、大阪府守口市や岡山県備前市などはゼロ歳から就学前まで所得制限なしの完全無料化が行われており、東京都は今年1月に第2子について完全に無料にする予算を発表するなど、自治体独自の完全無償化やその対象拡大が進められているところです。
本市として所得制限を撤廃するお考えはあるのか、伺います。
また、いつまでに2歳以下の保育料無償化の拡大を実施するお考えか、伺います。
質問の第2は、子育てを支援する本市独自施策の拡充についてです。
1点目は、子ども医療費無償化拡大についてです。
子ども医療費助成は、全国で95%が中学生まで、うち5割は高校生までという年齢の拡大と、所得制限と窓口負担撤廃が広がる中で、本市は小学6年生にとどまり、いまだに所得制限と病院での窓口負担があります。政令市では高校生までが半数となり、通院が小学生までなのは2市のみとなります。所得制限はほぼなくなり、窓口負担は年齢制限がある場合もありますが、半数以上で無料化を進めています。
窓口負担が580円でも、手持ちがなく、受診できない方がいる現実があります。所得制限により、持病があって月額2万円もかかるなど、大きな負担となっている場合もあります。子どもの健康と命に関わる問題です。
市長は、中期実施計画で時期や規模をお示ししたいと言及しておられます。これまでの無償化対象年齢引上げの際には、1年ごとに1学年など時間がかかり過ぎてきたことから、このたびは、段階的ではなく、一気に拡大すべきですがいかがか、伺います。
また、医療費無償化の対象を高校卒業まで拡大するお考えはおありなのか、さらに、窓口負担をなくすこと、所得制限を撤廃することについていかがか、お考えを伺います。
2点目は、学校給食費負担軽減についてです。
本市の学校給食費は、現在、1人当たり年間約5万3,000円から6万3,000円が保護者の負担です。給食費無償化は、食育の観点からも、安定と安心・安全の地産食材の調達や子育て支援としても自治体で広がっており、国においても異次元の少子化対策で学校給食費無償化に言及されています。
物価高騰の支援だけでなく、持続的な保護者負担軽減として本市でも無償化すべきと考えるところです。中期実施計画策定で示したいということですが、現段階で、給食費の公費負担拡大による保護者負担軽減は、どのように、いつまでに進めるおつもりか、また、無償化の検討はされないのか、お伺いいたします。
3点目は、学校教材費の保護者負担についてです。
小学校で年間6万円以上、中学では14万円という隠れ教育費と言われるものには、通学用品費などのほか、学校教材費があります。副読本や習字用具、絵の具セット、彫刻刀、リコーダーや鍵盤ハーモニカなど、多岐にわたります。学外での学びには、交通費や、スキー、宿泊学習に修学旅行など、負担は大きいものです。
副教材では、例えば、「アイヌ民族:歴史と現在」は団体から贈られ、「私たちのまち札幌とオリンピック・パラリンピック」は無償で配付されていますが、3・4年生の副読本「わたしたちの札幌」などは負担となっています。また、画用紙や色紙など、学習に使用する用紙や学校で使うドリルなどの教材やテスト、学力検査まで保護者の負担なのです。
義務教育の中で、副読本やテスト、ドリルなど、教材費の保護者負担はなくすべきですがいかがか、伺います。
最後に、月寒体育館の建て替えについてです。
質問の第1は、月寒体育館周辺におけるスポーツ施設充実の歴史と意義についてです。
札幌市月寒体育館がある月寒東1条8丁目の地域は旧陸軍の練兵場があった場所で、その跡地は、道営の札幌競輪場が建設され、第9回国民体育大会の自転車競技会場としても使用されています。後に、その競輪場跡地は、旧豊平町と札幌市の合併により本市が受け継ぐこととなり、本市は、その跡地に、月寒運動広場として、軟式野球場、ラグビー場、テニスコートを整備し、冬場にはスケートリンクが造られていました。1972年には、札幌オリンピックのアイスホッケー競技に対応した屋内スケート競技場として月寒体育館が整備されました。そして、市民からも、月寒体育館はオリンピックが開催された場所としてレガシーを受け継ぎながら親しまれています。
加えて、地下鉄東豊線の開通により、体育館への交通の利便性が向上し、2018年の利用者は、スケート、卓球、アイスホッケー、フィギュアスケート、フラダンスなど、月寒体育館で年間約13万人、ラグビー、テニスなどの屋外競技場では1万8,000人と、多くの市民が利用をしています。
月寒体育館周辺にスポーツ施設を充実させてきた歴史と市民に親しまれてきたことについて、本市はどう評価されているのか、伺います。
質問の第2は、月寒体育館の建て替えについてです。
オリパラ大会概要案では、老朽化している月寒体育館の建て替えは、札幌ドーム周辺の羊ケ丘に400億円をかけて新月寒体育館として建設する計画です。一方、現在の月寒体育館は、車いすカーリング等の会場として仮設費に20億円をかけますが、オリンピック終了後は解体するものです。
本市の札幌ドーム周辺地域におけるスポーツ交流拠点基本構想案には、スポーツ施設を集約化し、施設総量を抑制した場合でも、市民がスポーツに参画する場の機能向上を図り、スポーツに親しめる機会を確保する必要があると書かれています。しかし、新月寒体育館の建設予定地とされている札幌ドーム周辺ですが、福住駅から約700メートル、徒歩8分ですから、さらに遠くなります。それに比べて、現在の月寒体育館は、地下鉄月寒中央駅4番出口から距離は約230メートル、徒歩2分で行ける利便性が高い地域であり、仕事帰りの利用など幅広い市民の利用に応えている施設です。
また、現在の月寒体育館、屋外競技場としてラグビー場、テニスコート、弓道場等の施設の面積は4万8,166平米であり、今後、市営住宅月寒団地の建て替えによる余剰地も視野に入れると、体育館の建て替えを中心に、スポーツ施設を新たに再編し、より充実させることができると考えます。
老朽化している月寒体育館の建て替えは、札幌ドーム周辺ではなく、市民に親しまれているこの場所に建て替えるべきと考えますがいかがか、伺います。
以上で、質問の全てを終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(飯島弘之) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で5項目にわたり、ご質問をいただきました。私からは、大きな1項目めの私の政治姿勢についての3点、お答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、石川副市長、教育長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、私の政治姿勢についての1項目め、北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック招致についてであります。
1点目の市長選挙の結果の受け止めと市民の声を聞く姿勢についてでありますけれども、4月の選挙における得票が前回選挙を下回ったことにつきましては、冬季オリンピック・パラリンピック招致に対するご懸念や、一昨年冬の大雪への対応に対するご批判なども含まれているものと認識をしており、このことは真摯に受け止めてまいります。
また、市民の声を重視するための取組につきましては、札幌の目指すまちの姿やその実現に向けたプロセスを市民に示し、対話を重ねるとともに、その声を市政に反映する仕組みづくりを進めてまいります。
2点目の市長選で示された招致反対の意思についてでありますけれども、市長選挙を通じて大会招致に対する賛成・反対の様々なご意見をいただく中で、市民の懸念や不安の声として、東京大会の一連の事案に起因する不信感や大会の開催意義等への理解が十分に進んでいない現状を改めて認識しているところであり、まずはできるだけ早期に大会運営見直し案の中間報告をお示しした上で、開催意義や大会経費なども含め、市民対話や様々な情報発信の機会を通じて丁寧に説明を重ねながら、一層の市民理解を図っていきたいと考えております。
次に、3点目の大会概要における平和の祭典の位置づけについてでありますが、平和への貢献は大会の揺るぎない価値と認識をしており、大会概要案においてはスローガンや大会コンセプトなどにその趣旨を取り入れているところでありますが、今後予定をしている市民対話等においては、そうしたオリンピック・パラリンピック本来の価値についても分かりやすく伝わるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、4点目の国が示した大規模大会指針の評価についてでありますが、国のプロジェクトチームによる指針は、今後、国内で開催される様々な大規模競技大会の組織委員会等を対象として汎用的な原則を定めたものであり、組織委員会等が有する特殊性を踏まえてガバナンス体制の確保における重要な視点を示したものとして評価しております。
本市における見直し案の検討に当たりましては、指針で示された視点に基づき具体化をしていく、このことを想定しております。
次に、5点目の自治基本条例に基づく市民の意思確認についてでありますが、大会招致を進めていくに当たりましては、市民の理解を得て、意向を十分に確認することが重要であると認識しております。
そのため、まずは大会運営の見直し検討を進めるとともに、様々な機会を捉えて情報発信や市民対話を十分に重ねていくことが必要であり、その上で最終的に改めて民意の確認を行う考えであります。その具体的な手法につきましては、今後検討してまいります。
次に、2項目めの政局に関してのご質問にお答えをいたします。
1点目の国会情勢と重要法案の取扱いについてでありますが、国会に提出される法案につきましては、国民の理解が得られるよう、十分に説明や議論がなされるべきものと考えております。
今回成立した法案につきましては、その実施状況や影響を注視してまいります。
2点目の来るべき国政選挙と骨太の方針についてでありますが、一般論として、選挙におきましては、候補者や政党は有権者に対して分かりやすい情報提供に努め、有権者は得られた情報を基に自らの意思に基づいて投票の判断をするものと認識しているところであります。
次に、3項目め、大軍拡、大増税と市民への影響についてであります。
1点目の軍拡財源の確保についてでありますが、防衛力強化に係る財源につきましては、今後も、国会においてしっかりとした議論がなされるとともに、国民に対して十分な説明がなされていくべきものと考えております。
2点目の自衛隊員募集のための名簿提供についてでありますが、自衛隊からの依頼に対し、住民基本台帳の一部の写しを用いることにつきましては、法令上、特段の問題を生じるものではないとの見解が明確に国から示されているところであります。自衛隊の持つ公益的な役割を考慮し、今後も、自衛隊から同様の依頼があった場合には、法令などに基づき適切に対応していく考えであります。
なお、情報提供を行う目的などにつきましては、ホームページや広報さっぽろに掲載をしているところであり、今後もより一層の市民の理解促進に努めるとともに、情報提供を望まない方にはあらかじめ申請をいただき、名簿から除外する取組を続けてまいります。
私からは、以上です。
○議長(飯島弘之) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな3項目め、新型コロナ感染症対策と健康保険証のマイナンバーカード化についてのご質問と、4項目めの子育て支援についてのうちの1点目、保育について、そして、2点目、子育てを支援する本市独自施策の拡充についてのうちの1点目、子ども医療費無償化拡大のご質問についてお答え申し上げます。
まず、大きな3項目め、新型コロナ感染症対策と健康保険証のマイナンバーカード化についてのうちの1点目、新型コロナ感染症対策についてのご質問のうちの市民への感染状況の情報提供についてでございますが、下水のサーベイランスは、無症状者を含めた陽性者の増減の傾向を示す指標で、市内における感染状況の把握を補完しているものでございます。定点報告と併せて、週1回、ホームページで継続的に公表してまいりますので、市民の皆様には感染状況の目安としてご活用いただきたいと考えているところでございます。
2点目の感染拡大防止と社会経済活動についてのご質問でございますが、札幌市といたしましては、
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたことから、感染状況に留意しながらも社会経済活動の回復に取り組む段階にあるものと認識するところでございます。
現在、感染は緩やかな拡大傾向にございますが、重症化リスクの高い変異株は確認されておらず、場面に応じてマスク着用等の基本的な感染防止対策を継続いただきたいと考えるものでございます。
次に、高齢者施設での検査対象の拡大についてのご質問でございますが、これまで、
新型コロナウイルス感染症の拡大に合わせて高齢者施設等の職員を対象にスクリーニング検査を実施してきたところでございます。5類移行後、当面は地域の実情に応じて実施することとされており、特に、入所系の施設においては、職員が重症化リスクの高い高齢者に日常的に接することから検査の対象としているところでございます。今後も、通所施設等を含め、高齢者施設が適切な感染予防対策を講じることができるように支援してまいりたいと考えております。
次に、健康保険証のマイナンバーカード化について、マイナ保険証の運用停止についてのご質問でございますが、マイナ保険証の導入は、本人確認や資格情報の確認のみならず、これまでの受診・服薬情報を医療機関が確認の上、治療に生かすことができるようになるなど、国民がメリットを享受できるものと認識するところでございます。
一方で、現在、全国的にマイナンバーカードと健康保険証との一体化に係る様々なトラブルが発生していることは遺憾でございます。
一連の出来事を踏まえ、再発防止の仕組みづくりや国民の不安の解消などに国として適切に対応いただくべきものと考えるものでございます。
次に、皆保険制度と資格確認書についてのご質問でございますが、マイナンバーカードと健康保険証の一体化については混乱がないように進めていくべきと考えております。
また、国民健康保険の資格確認書については、今後、国においてその詳細な運用方法を検討するものと聞いているところでございます。
札幌市といたしましては、全ての加入者が安心して医療を受けられるよう、国がその責任において適切な措置を講ずることを求めてまいりたいと考えております。
次に、大きな4項目め、子育て支援についての1点目、保育についてのご質問のうち、1点目、保育士配置基準についてでございますが、札幌市では基準を超えて保育士を配置した場合などに補助を行い、保育環境の充実に努めており、配置基準につきましては全国共通の課題であることから、引き続き国に対して改善を要望してまいりたいと考えるところでございます。
保育についての2点目の保育料についてのご質問でございますが、保育料の無償化は、世帯の経済状況によらず、安心して子育てができる環境整備につながりますことから、子育て世帯の負担軽減に向け、財源見通しを踏まえ、対象範囲などについて検討してまいりたいと考えるところでございます。
次に、子育てを支援する本市独自施策の拡充についての1点目、子ども医療費無償化拡大についてのご質問でございますが、子ども医療費助成は全国一律で実施すべきものと認識しており、国に対し、制度化に向けた要望を行ってきたところでございます。今後、長期的な財政収支を見通した上で、他の医療費助成制度と併せてその拡大の方向性を定めていく考えでおります。
私からは、以上でございます。
○議長(飯島弘之) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな2項目め、インボイス制度と中小企業振興条例について、そして、大きな5項目め、月寒体育館の建て替えについてお答えを申し上げます。
まず、大きな2項目め、インボイス制度と中小企業振興条例についてであります。
まず、インボイス制度についてでありますが、1点目の制度の認識と2点目の本市事業者の実態と影響につきましては、札幌市内における免税事業者の数については把握しておりませんけれども、本制度は適正な課税、制度の運用、免税事業者からの仕入れに係る控除の特例に関する経過措置期間などの負担軽減策等を含め、議論された上で導入されるものであると認識をいたしております。
3点目の本市発注の事業における免税事業者の対応と制度の廃止についてでありますが、免税事業者につきましては、これまでどおり、入札に参加できる扱いといたします。また、札幌市の仕事を受注した課税事業者が、下請など、免税事業者を排除しないよう、工事等の入札参加者に対しましても制度の周知等を図ってまいります。
なお、インボイス制度の導入につきましては、広く、国政の場において、事業者の負担等も踏まえ、検討されるべきものと認識をいたしております。
次に、2点目の札幌市中小企業振興審議会についてでありますが、本審議会におきましては、札幌市産業振興ビジョンに関する進捗状況やその改定案に加え、例えば、コロナ禍における事業者支援施策等の時期に応じた課題についても審議を行っていただいているところでございます。今後とも、札幌市の中小企業振興施策やその時々の課題について諮問し、ご審議をいただいてまいります。
続きまして、大きな5項目め、月寒体育館の建て替えについてであります。
まず、1点目の月寒体育館周辺におけるスポーツ施設充実の歴史と意義についてでありますが、月寒体育館周辺は、これまで、スケート場やラグビー場、カーリング場など、その時々の状況に応じて必要なスポーツ施設を整備してきた場所であると認識をいたしております。
また、地下鉄東豊線の月寒中央駅周辺は、地域の豊かな生活を支える中心的役割を担う地域交流拠点に位置づけており、それにふさわしい土地利用が必要であると考えているところでございます。
次に、2点目の月寒体育館の建て替えについてであります。
札幌市が所管するスポーツ施設の更新に当たりましては、札幌市スポーツ施設配置活用実施方針に基づき、市民の利便性向上に加え、スポーツを核としたまちづくりの観点を踏まえて、立地場所や導入機能を検討することとしているところでございます。
札幌ドーム周辺は、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョン(戦略編)案におきまして、スポーツ、文化芸術や集客交流産業を振興する拠点として多様なイベントが開催されることはもとより、拠点の機能を高める施設の立地を進めることとしており、月寒体育館の更新につきましてもこの拠点形成の取組と併せて検討を進めてまいります。
私からは、以上であります。
○議長(飯島弘之) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 私からは、大きな4項目め、子育て世帯の支援について、その中の子育てを支援する本市独自施策の拡充についての2点目、学校給食費の負担軽減について、3点目、学校教材費の保護者負担についてお答えをさせていただきます。
まず、学校給食費の負担軽減についてでございますが、学校給食は、施設、整備、運営等の経費を公費で負担し、食材費のみを保護者の皆様から給食費としてご負担をいただいておりますが、これまでも就学援助制度等において支援を行ってきたところでございます。
学校給食費の負担軽減につきましては、今後、必要に応じて関係部局と協議してまいりたいと考えております。
3点目の学校教材費の保護者負担についてでありますが、教科用図書は国が無償給与しておりますが、補助教材は、指導の効果を高めるために学校及び子どもの実態等に応じて、教育的見地から適切なものを各学校が選定し、その負担を保護者にお願いしているものであります。
選定に当たりましては、保護者の経済的負担が過重なものとならないよう留意するとともに、経済状況によりまして負担が困難な家庭に対しては就学援助制度に基づく必要な支援を行っているところでございます。
今後も、補助教材の精選を図るなど、できるだけ保護者の負担を軽減できるよう、各学校に対しまして配慮を促してまいりたいと考えております。
以上でございます。
(池田由美議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(飯島弘之) 池田由美議員。
◆池田由美議員 私から、再質問をさせていただきます。
オリパラ招致について1点、そして、自衛隊への名簿提供について1点、子育て支援の施策について1点、合わせて3点質問をいたします。
最初に、オリパラ招致についてですけれども、市長選で示された招致反対の意思についてのところでありますが、市長は、市民の様々な意見を聞きながら、東京オリパラの不信感、または、大会概要案の理解などの十分な理解がされていない、そういった現状を改めて認識したというふうにおっしゃっておりました。その後、その検討会の中間報告をしながら、今後も市民対話などで丁寧に説明をしていきたいということもおっしゃっていたというふうに思います。
質問の中でも触れましたけれども、JOCが、2034年以降の大会招致を見据えるなら、引き続き国内候補地として認める、そういった決定をしたことが報道されておりました。市民は、いつ、どのように決まったんだろうかと、そういった、驚いている市民が多いのではないかと私は思っているところです。そうやって市民が知らないうちに招致の状況がどんどん変化している、そして、立ち止まることなく大会概要案が作成し直されていく、そして、丁寧に説明、ご理解いただくと、こういった一連の進め方に市民は不信感を強くしているのではないかと考えますが、市長のお考えを伺います。
2点目は、自衛隊への名簿提供についてです。
自衛隊には、紙媒体、電子媒体、どちらでも提供していない自治体がありますから。答弁では、国の法令に沿って適切に進めているのだということでお話がありました。除外申請などにもちゃんと対応しているのだということもおっしゃっておりました。名簿提供をしない場合、法令上の問題はあるのか、このことをお聞きしたいと思います。
3点目は、子育て支援の子ども医療費の無償化と学校給食費への公費負担の拡大について伺います。
いずれも秋元市長の選挙公約でもありますが、答弁は、これまでと同様に、子ども医療費のところでは国が一律に行うもの、給食費のところなどでは就学援助で補助を行ってきたという答弁がありました。これは、これまでと変わらない答弁だなというふうに私は思っているところです。
子育て支援というのは、少子化対策、この問題にとっても非常に重要だと私は思いますから、重要課題として優先的に進める必要があるのではないかと考えているところですけれども、具体的な答弁がいただけなかった、いつから、どういうふうにやるのか、そういったことが全く話されておりませんでした。
例えば、無償化の検討はされていくのか。給食費ですね。そういった問題、どの方向に向かって検討されていくのかが全く示されていなかったなというふうに思います。
また、医療費のところでは、窓口負担をなくすことや所得制限の撤廃についてもどうなのかと具体的にお聞きしましたけれども、その方向も全く示されなく、検討していくということでは、これまでと変わらない答弁ではないかというふうに思いますので、具体的に、再度、答弁を求めたいというふうに思います。
○議長(飯島弘之) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 3点ご質問をいただきました。私からは、オリンピック・パラリンピックの関係、それから、自衛隊の募集の名簿についてお答えをさせていただきます。
先日、JOCのほうで、2030年以外の大会を見据える必要性が具体的に生じた場合に備えて候補地の選定手続というものを整理したものというふうに認識しております。したがいまして、これは、JOCの内部的な手続で、2030年を2034年に、何か、目標を改めたということではない、このように理解をしております。
引き続き、いずれにしましても、オリンピック・パラリンピックの招致につきましては、様々な議論をし、しっかりと市民の意向を確認した上で、その時期等も含めて招致に向けて進めていく、そのように考えているところであります。
自衛隊への名簿の提供につきましては、自衛隊が担っている公益的な役割ということを配慮した上で、昨年度から紙媒体による情報提供に変更しているものでございます。
自衛隊法の中に、自衛隊の様々な事柄についての自治体の協力ということがうたわれております。法律違反ということではございませんけれども、こういった法の趣旨、それから、自衛隊の公益目的という観点から紙媒体での提供を行っているというものであります。
以上であります。
○議長(飯島弘之) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 子育て支援についての子ども医療費無償化拡大について、具体的なスケジュールについての再質問をいただきました。
医療費助成事業は、これまで、その対象となる世帯の医療面における経済的な負担を緩和してきた重要な施策でございます。このため、札幌市といたしましては、他の政令指定都市の状況や事業の持続可能性などを踏まえ、医療費助成制度全体の拡大に向け、検討を重ねているところでございまして、今後速やかにその方向性を定めることとしたい、今はそのように考えるところでございます。
以上でございます。
○議長(飯島弘之) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) ただいま、学校給食費の負担軽減について再質問をいただいたところであります。
給食費のこれからの方向性、時期ということでございますが、先ほども申し上げさせていただきましたが、現在のところ、就学援助制度等によって経済的に必要な支援を必要な方に行っているところでありまして、学校給食費のさらなる負担軽減については、今後、関係部局と協議してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
(池田由美議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(飯島弘之) 再々質問ですので、これを最後の質問とし、簡潔に願います。
池田由美議員。
◆池田由美議員 先ほどの市長の、2034年以降の大会招致のところで、JOCの中で整理したものである、内部的な手続であるというような答弁だったかというふうに思います。
このことに関しては、市長は2034年を見据えるならというふうに言っておりますけれども、そのことについては、全く、市長としてはJOCとの話合いはされていないのかどうか、その1点を伺いたいと思います。
そして、給食費のところですけれども、先ほどと変わらない答弁だなというふうに思うんですけれども、関係団体と検討してまいりますということなんですけれども、どういう方向で検討していくのか。今もう既に必要なわけですから、就学援助だけでは足りない、そういった市民の声や子育て世帯の声があるわけですから、このことに対して、どういう、無償化の方向で検討するのかどうか、このことさえも何か出てこないというのが納得できないなというふうに思うんですけれども、そこを1点、合わせて2点お聞きします。
○議長(飯島弘之) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 2030年の招致につきましては市議会での決議をいただいているところであり、現在、東京大会での一連のいろいろな問題についての見直し案を検討しているという状況であります。これをお示しして市民との対話を進めていきたいということでありまして、招致の目標年次についてJOCと何か協議をしているという状況ではありません。
○議長(飯島弘之) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 学校給食費の負担軽減、無償化等も含めた検討ということでありますが、学校給食につきまして、先ほど申し上げました施設、整備、そして運営等の経費は、そもそも、私ども教育委員会の公費、札幌市のほうで負担をさせていただき、食材費のみを保護者の方に負担いただいて、その中で援助の必要な方については就学援助等で支援をさせていただいているところであります。
繰り返しになりますが、さらなる負担軽減につきまして、今後、関係部局と協議をしてまいりたいということであります。
以上であります。
○議長(飯島弘之) ここで、およそ20分間休憩いたします。
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――――――――――――――――――
休 憩 午後3時50分
再 開 午後4時10分
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――――――――――――――――――
○議長(飯島弘之) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
脇元繁之議員。
(脇元繁之議員登壇・拍手)
◆脇元繁之議員 私は、ただいまから、会派維新・大地を代表し、本定例市議会に上程された諸議案について、順次、質問をさせていただきます。
質問に先立ちまして、去る6月18日、渡島管内八雲町の国道におきまして、都市間高速バスとトラックが正面衝突し、バスの乗客ら5人がお亡くなりになり、12人の方が重軽傷を負うという大変痛ましい事故が発生しました。事故により犠牲となられた方々に対しまして深く哀悼の意を表明しますとともに、けがをなされた方々の一日も早い回復を心よりお祈り申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきますが、その前に少しだけ我々維新・大地について述べさせていただきたいと存じます。
市制、誕生から101年目となる歴史の中で、議員経験のない真っさらな新人5人で構成された交渉会派は初めてと聞きました。よって、新人議員に何ができるという声も聞こえてきますが、我々は、市民の皆様にお約束したことの中で、今、我々にできることを一つ一つ実行し、実現して、市民の皆様の負託に応えてまいります。
市議会議員の立場を与えていただいてから1か月半がたちました。その間、市民の皆さんに選挙の際に約束したうちの三つの約束を実行し、実現しています。
一つ目は、日本維新の会が党是にしている身を切る改革です。
我々5人は、5月の歳費より、所得税など控除額を除いた額の1割を会派の口座に積み立てております。来年からは、この積立額を2割に引き上げます。これを札幌市以外の災害があった被災地や社会貢献に取り組む団体などへ寄附をさせていただきます。
これは、既に議員の定数や歳費の大幅削減など身を切る改革を実現している大阪府や大阪市を除く全国の日本維新の会の全議員が行っていることで、維新・大地も同様に行っていることであります。
二つ目は、我々維新・大地の独自の取組です。
市民の皆様からお預かりする税金から年間480万円まで支出される市議会議員の経費である政務活動費の執行率を50%にすることです。これも、今現在、振り込まれた政務活動費の50%は口座にそのまま残しており、実行、実現をしているところであります。
こうすることにより、議員5人で年間1,200万円の経費削減ができますし、議員報酬の返納は、法律上、寄附行為となりますのでできませんが、政務活動費は、経費という性質上、使わなければ札幌市の金庫にお返しすることができるわけであります。もちろん、新人議員らしく汗をかき、50%の執行率でも遜色のない働きをして、市民の負託に応えてまいる所存であります。
三つ目は、市民の皆さんの声をお伺いしながら、我々維新・大地の政策、理念、思いと、これまでの我々日本維新の会の仲間たちが実現しているまちづくりを発信するタウンミーティングの開催であります。1年間で札幌市内10区を巡り、それぞれの地域の声に耳を傾け、これからの市政に役立てます。今月7日には中央区で初めて開催し、少ない人数ながら有意義な意見交換をすることができました。来月は北区、再来月は豊平区と、ほぼ毎月のペースでタウンミーティングを開催する予定であります。
市民の声を聞くことは政治の原点ですし、あわせて、何もしなければ我々の思いや政策は伝わりません。市民の皆様から理解をいただきながら、支持を広げ、仲間を増やし、選挙でお約束したことを一つ一つ実現して、よりよいまちづくりを通して我々の存在意義を見いだしてまいります。維新だからできる、新人議員だからこそできるまちづくりをこの札幌市でも実現していきたいと考えております。
それでは、札幌市議会維新・大地を代表いたしまして、市長の政治姿勢など、数点にわたってお伺いをいたします。
質問の1点目は、行財政改革についてであります。
行政への市民要望が複雑多様化し、札幌市の財政も年々厳しさを増す中では、より一層、既存事業並びに事務事業の徹底した精査、点検や、組織の簡素・効率化などを進める必要があります。どんな仕事、どんな業務が必要なのかをきちんと精査し、市役所の業務や仕事の合理化、透明化を図り、行政の無駄遣いを徹底的になくしていくことで財源を生み出し、それを市民サービスの向上につなげていくことが、行政に対する市民の信頼を得ることにつながるものと確信しているものであります。
市長は、今後4年の任期を見据えたマニフェストの冒頭で、目の前にある多くの議題にきちんと向き合い、もっともっと輝き続ける札幌を目指したいと強調しておられます。その思いを実現するためには、先ほど述べた行財政改革を徹底的に行うことによって、行財政基盤を強化することが重要と考えます。
そこで、お伺いをいたします。
これまでの2期8年の任期を通して、市長は、行財政改革にどのように取り組んでこられたのか、その内容をお示しいただくとともに、今後、市長が掲げる公約を実行していく上で、行財政基盤の強化にどのように取り組んでいかれるつもりか、お考えをお示しいただきたいと思います。
行財政改革に関して、もう一点、出資団体改革についてお伺いをいたします。
市の出資団体、いわゆる外郭団体は、行財政改革を推進していく上では、これらの団体においても民間で行い得る事業はできるだけ民営化を図っていくなどして、団体個別のミッションを十二分に発揮してもらうことが重要で、そのことが、ひいては市民サービスの向上にもつながると考えます。
そこで、質問ですが、聖域なき行財政改革を進める上での要となる出資団体の改革につきましても、これまでどう取り組み、そしてまた、今後どのようなことに重点を置いて改革を進めていくおつもりか、お伺いをいたします。
次に、札幌市における雪対策についてお伺いをいたします。
これから本格的な夏を迎えようとしているこの時期に除排雪の話をすると違和感を持たれるかもしれませんが、さりとて、冬を前にした秋の議会で除排雪問題についてお伺いしても遅きに失する感がありますので、本日、ここで質問をさせていただきたいと存じます。
令和3年度の大雪の際、幹線道路など市内全域で交通渋滞が発生し、バスの運休や遅延が発生しました。この教訓を生かして、大雪に見舞われても市民生活や経済活動に支障を来さないよう、できるだけ速やかに交通を確保できるような除雪体制の確立が重要と考えます。
しかしながら、除排雪事業については、厳冬期における外での作業や深夜の作業が中心であるため、若者の就業が伸び悩んでいるとともに、ほかの産業からの転職者もなかなか定着しないといった従事者確保の課題も抱えております。これに加え、近年においては、高齢化の進行に伴って担い手の確保が困難となっているほか、働き方改革の強い要請もありますから、事業者の安定的な体制の維持に大きな懸念を抱いている次第であります。
そこで、質問ですが、今後における持続可能な除排雪体制の確立に向けて、担い手の確保にどのように取り組むのか、お伺いをいたします。
次に、生活道路の除排雪について、市民のニーズが高まっている一方で、費用の負担感や不公平感が強まっておりますので、行政と町内会が費用負担をし合いながら取り組んでいるパートナーシップ排雪に関してお伺いをいたします。
私も地元町内会の役員をしておりますが、冬を前にして、あるいはまた、冬が終わりを告げて、会員の間から聞こえてくるのはこのパートナーシップ排雪に係る費用負担の問題であります。
町内会が中心となって実施するパートナーシップ排雪は、町内会に加入していない世帯やこの事業について理解していただけない世帯が費用の負担をしないなど、不公平かつ地域で様々な問題やあつれきを生んでおります。あわせて、除排雪作業に係る人件費や燃料代の高上がり傾向はどうしようもなく、町内会の負担は増す一方であります。
そうした中で、市長は、さきの選挙に挑むに当たっての政策として、札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例に基づいて、生活道路に係る除排雪の負担軽減に向けた支援策を実施すると明言されております。
そこで、質問をさせていただきます。
生活道路に係る除排雪の負担軽減策の中で、パートナーシップ排雪についてはどのようにお考えか。私は、思い切って町内会の負担をゼロにすべきと考えているのですが、このことも含めて、所見をお伺いいたします。
次に、子ども施策と教育の拡充についてお伺いいたします。
私ども維新・大地は、先月、市長に政策要望をさせていただきましたが、その中で、子ども医療費の無料化については、札幌が政令都市20市の中でやや出遅れている感が否めないことから、早期に対象年齢を18歳まで引き上げるとともに、学校給食費についても、食育に十分配慮しながら無償化に移行すべきであることを掲げております。
また、保育料の無償化については、政令市の中でも先進的な取組を進めてきておられてはおりますが、これをさらに進めて、ゼロ歳から2歳児の応能負担分も含め、完全無償化を目指すべきであると考えております。
市長も、子ども施策に関して、マニフェストの中では、子ども医療費や保育料の無料化の対象をさらに拡大する、あるいはまた、学校給食費への公費負担をさらに拡大すると明言されておられます。子ども施策を進めていく上では、市長が記者会見の場などで述べられているとおり、中長期にわたって多額の財源を必要とすることは承知しておりますが、我が国の、そして札幌市における少子化対策が待ったなしの状態であることは言うまでもありません。
そこで、お伺いをいたします。
市長のマニフェストからは、私どもが力を入れているのと同様に、子ども施策に関する熱い思いがひしひしと感じられるものでありますが、今後どのように取り組んでいくのか、市長の決意のほどをお聞かせ願います。
次に、子ども施策に関連して、教育の拡充についてお伺いをいたします。
これも、保護者負担の軽減という観点から、市立高等学校におけるタブレット端末の貸与についてお伺いをいたします。
札幌市立の高校では、道立高校に合わせ、令和4年度の入学生から1人1台のパソコンを活用した授業が始まっております。義務教育の小・中学校では児童生徒全員分のパソコン整備を国の財政支援で行っているにもかかわらず、高校では、高校生等奨学給付金の対象となっている世帯などを除き、個人での私費負担が原則となっております。
しかし、今や、情報教育の大切さが叫ばれているこの時代にあって、高校におけるタブレット端末の整備を私費負担とするのはいかがなものでしょうか。
ちなみに、今年度、市議会では、実証実験と称して議員にタブレット端末を貸与することになっております。札幌市の市議会議員の政務活動費は、1人当たり年間480万円まで支給されています。その市議会議員がタブレット端末を貸与されて、未来ある子どもたちを育てる保護者に大きな費用負担を強いるのはいかがなものでしょうか。せっかくペーパーレスによる経費削減を目的としたすばらしい政策も、市民の理解を得ることができるとは思えません。
札幌市立高校の場合、生徒数は約6,000人ですから、タブレット端末が1台5万円とすると総額3億円強の予算措置が必要になるとのことでありますが、翌年度からは3分の1以下の予算で賄うことができると考えます。
そこで、お伺いいたします。
確かに、市立高校におけるタブレット端末の貸与は、多額の財源を要し、道立高校に通う生徒とのバランスも考慮しなくてはなりません。そうであっても、私は、札幌市が率先して公費負担方式に取り組み、道立高校を牽引していくぐらいの気概があってもよいのではないかと考えますがいかがか、お伺いをいたします。
次は、共生社会の実現についてであります。
まず、(仮称)共生社会推進条例の制定についてお伺いいたします。
市長は、さきの市長選に挑んでの公約の中で、障がい、性別、年齢、人種、国籍などにかかわらず、誰もが互いの個性や違いを認めて尊重し合い、差別のない社会の実現を目的とする新たな条例を制定し、全市民で取組を進めていくと述べられました。
このいわゆる共生社会の実現に関して、札幌市は、令和4年に策定した第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンのビジョン編において、まちづくりの重要概念の一つに、ユニバーサル、共生ということを定めています。このたびの公約は、こうした行政計画への盛り込みにとどまらず、新たに条例を制定するという大変意欲的なものと受け止めておりまして、今議会の招集日である6月12日の市長の所信表明の中においても、この条例制定に対する市長の並々ならぬ意気込みを感じたところであります。
そこで、質問をさせていただきます。
札幌市の最上位計画である戦略ビジョンにユニバーサル、共生を位置づけた上で、このたび、新たに(仮称)共生社会推進条例を制定することとしたその意義はどこにあるのか、市長のお考えをお伺いいたします。
次に、アイヌ施策についてお伺いをいたします。
令和元年5月にアイヌ施策推進法が施行され、そして、翌年の7月には民族共生象徴空間ウポポイが白老町に開業するなど、近年、国を挙げてアイヌ施策の取組がなされております。そうした中で、国が昨年実施した世論調査によれば、アイヌの人々に対する差別や偏見について、あると思うと答えた方は21.3%、ないと思うと答えた方は28.7%となっております。また、差別や偏見があると思うと答えた方にその原因や背景を尋ねていますが、歴史に関する理解の不十分さや文化に対する理解の不十分さが多くを占めております。
この調査結果からも分かりますように、アイヌの歴史や文化に関する理解が依然として不十分との認識をお持ちの方は多く、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現には、まだまだ程遠い状況と言えます。したがいまして、アイヌ民族への理解をより一層深めるための取組を、今回、地方が一体となって充実強化させていくことが何より重要と考えます。
そこで、お伺いをいたします。
札幌市においては、令和3年3月に第2次札幌市アイヌ施策推進計画を策定して、アイヌ民族の誇りが尊重されるまちの実現を目指しているところでありますが、アイヌ民族やアイヌ文化への理解を促進するための取組を今後どのように展開していくおつもりか、お伺いをいたします。
次に、アイヌ施策の2点目として、アイヌ文化関連施設の活用についてお伺いいたします。
現在、札幌市には、アイヌ民族の文化伝承活動など、その拠点として、南区小金湯にアイヌ文化交流センター、通称ピリカコタン、そして、白石区本通に共同利用館があります。
アイヌ文化交流センターは、自然豊かな地域にあり、屋内外の豊富な展示に加えて、ホールなどの交流機能を有する施設であります。また、アイヌの方々が抱える悩み事や困り事などの各種相談を受け付けるアイヌ生活相談員が配置されており、札幌市唯一の生活館として位置づけられております。しかしながら、都心部から公共交通機関を利用して移動する場合、真駒内駅で地下鉄から路線バスに乗り換えてから約40分かかります。さらに、この路線バスは1時間に1本程度であり、交通アクセスに関しては課題があると言わざるを得ません。
一方、白石区の共同利用館については、昭和53年に札幌市生活館として開館し、以来、札幌市におけるアイヌの方々の拠点として利用されてきた施設であります。この施設は、平成15年のアイヌ文化交流センターの開館に伴い、解体が予定されておりましたが、アイヌの方々の強い要望を受けて、札幌市共同利用館に名称を変更して存続してきた経緯があります。現在は、生活館としての位置づけではなくなりましたが、アイヌ生活相談員が配置されていて、現在でも相談や文化伝承の機能を担っているところであります。
この共同利用館は、地下鉄南郷18丁目駅から徒歩圏内に立地しているものの、建物の老朽化に加えて、集会室が狭く、多様な伝承活動に対応できないといった課題があることから、現在、その後継施設について検討が進められております。
そこで、質問ですが、今後もアイヌ文化交流センターと共同利用館がそれぞれの施設の特徴を生かしながらアイヌの方々のための施策を進めていく必要がありますが、その活用をどのように考えておられるのか、共同利用館の後継施設に関わる場所や機能のことも含めてお伺いをいたします。
次に、札幌経済の発展に向けた施策について、何点か質問させていただきます。
まず、1点目は、市長の任期3期目に当たっての産業振興施策についてであります。
本年5月に、
新型コロナウイルス感染症については、感染症法上の分類が2類相当から5類に変更となったことに伴いまして、社会経済活動においても様々なイベントや事業活動が本格的に再開されるようになり、インバウンドや国内観光客数も増加傾向にあるなど、これからの景気回復については大いに期待できるところであります。したがいまして、本市においても、これを契機として、今後の経済活性化に向けた様々な取組を進めていく必要があると考えます。
さきの市長選挙において、市長は、経済が活性化し、社会が潤うまちをつくるということを公約の一つとして掲げ、3選を果たされました。本定例会におきましても、この経済活性化のために7億8,000万円の補正予算案を提案されておりますが、当初予算も含めた積極的な予算措置によって、コロナ禍で落ち込んだ経済の再生、復活に向けた取組を推進しようとしていることは、高く評価をいたします。
一方で、この札幌市は、昨年、市制施行から100周年という大きな節目を迎えたものの、長期的には、少子高齢化や人口減少の進展などにより、経済規模は縮小していくことが懸念されます。したがいまして、今後の持続可能なまちづくりやさらなる札幌経済の発展を推し進めていくには、積極的に産業振興施策を展開していくべきと考えます。
そこで、質問ですが、市長の任期3期目に当たり、どのような分野に力を入れて札幌の産業振興に取り組んでいくおつもりか、お伺いをいたします。
質問の2点目は、札幌ならではの観光資源を活用した冬期間における誘客についてであります。
現在策定が進められている次期札幌市観光まちづくりプランにおいては、「大自然とともにある、北の首都〜世界の旅行者に選ばれる持続可能な観光都市SAPPORO〜」を将来ビジョンとして、観光消費額を大きく伸ばすとともに、観光客満足度を向上させていくことを目標としております。
そんな中で、札幌の観光客の入り込み数は、夏の間が多く、冬期間は少ない傾向にありますが、この札幌市は、年間約5メートルもの降雪がありながら190万人を超える人口を有する世界に類を見ない都市でありますし、アジアで初めて冬季オリンピックが開催された都市でもあるわけであります。したがいまして、観光客の入り込み数の平準化を図っていくためには、雪を活用した誘客イベントやウインタースポーツなど、冬のコンテンツを大いに生かしていくべきでありますし、札幌の冬季の潜在能力に鑑みれば、まだまだ誘客の伸び代があると考えるところであります。
そうした中で、藻岩山観光道路が冬期間は閉鎖されています。冬は、大気が安定している上、湿度も低く、比較的遠くまで景色が澄んできれいに見ることができます。日本新三大夜景に認定されている札幌の夜景が一望できる藻岩山展望台の利用が夏場に比べて減少することは、冬の札幌観光において非常にもったいないと言わざるを得ません。
あわせて、札幌には、アジア系インバウンドに好まれる雪遊びができたり、また、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどに多い本格的なスキーヤーも楽しめるスキー場があり、これらを最大限に活用すべきと考えます。
そこで、質問ですが、札幌ならではの観光資源を活用した冬期間における誘客を今後どのように進めていくのか、お伺いをいたします。
札幌経済の発展に向けた施策に関し、質問の3点目は、商店街の活性化についてであります。
市内における商店街は、人口減少に伴う経済規模の縮小や郊外の大型店との競合、さらには、インターネット販売の普及などで厳しい外部環境に置かれており、市内の商店街数は、平成6年の138団体をピークに約半数の67団体までに減少しております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が商店街の減少に追い打ちをかけたことは申すまでもありません。そのような中でも、それでも、地域に親しまれる各種イベントの開催などを通して、地元の町内会連合会と連携しながら活発に活動されている商店街があるのも事実であります。
このように、活発に活動されている一方で、各商店街からは、コロナ禍の長期化によって地域とのつながりが希薄になってしまったといった声や、商店街活動を担う人材の高齢化が進んで新たな人材の確保も厳しい状況にあるため、商店街活動自体が難しくなっているといった声も寄せられております。
商店街が活性化することは、地域の元気につながり、札幌市全体の経済活動にも大きく寄与するものと思っているところであります。
そこで、質問ですが、今後、商店街の活性化をどのように図っていくのか、その方向性をお示し願います。
次は、北海道・札幌冬季オリンピック・パラリンピックの招致についてであります。
2014年の上田市政において、市民アンケートの結果などもあり、2026年札幌冬季オリンピック・パラリンピックの招致に関する決議が議会で可決されました。新たな冬季オリンピック・パラリンピックの開催は、札幌のまちづくりに再び大きな感動と恩恵をもたらすであろうと当時の議会も多くの市民も想像したのは、当時の市民アンケートの結果でも推測できますし、私自身も同じ思いであったことを覚えております。
その後、
北海道胆振東部地震の影響等、札幌周辺のまちづくりの状況や北海道新幹線の札幌延伸を踏まえ、2026年大会に向けた招致活動を終了し、2030年に向けて活動が継続されました。昨年の2022年3月には、改めてオリンピック・パラリンピック招致に対する意向調査を実施した上で、再び市議会において招致決議が可決されるなど、この招致への取組は10年の歳月を費やして進めてきたものと承知をしています。
しかしながら、この冬季オリンピック・パラリンピック招致活動の中、東京2020大会に際しての開催費用の増大や汚職事件もあり、大会そのものへの不信感と昨今の物価高による市の財政基盤への懸念といったことなどが影響して、招致に慎重な姿勢を示す声が少なくないこともまた事実であります。
我々日本維新の会、維新・大地は、札幌市民を中心に、特にこれからの未来ある若者たちがオリンピック・パラリンピックによるメリット・デメリットについて深く理解した上で、賛否を示したいずれかの最大公約数により招致の是非を判断するべきと考えております。
そうした中で、現在、一部マスコミも含めて、冬季オリンピック・パラリンピックの招致について、その賛否を問うため、住民投票を実施すべきではないかという要望の声もあります。
しかしながら、この住民投票、先月29日に開催された冬季オリンピック・パラリンピック調査特別委員会の場で、我が会派の荒井委員が仮に住民投票を実施した場合の経費について質問をしましたところ、住民投票の実施に必要な経費の試算はしていないものの、18歳以上の有権者が投票を行ったさきの参議院選挙や統一地方選挙では、およそ7億円から12億円の予算を計上していたとの答弁をいただきました。
そしてまた、この住民投票ですが、昨年6月に議員提案された内容を拝見させていただきますと、投票できるのは、通常の選挙と同じく、選挙権を有する18歳以上の市民となっております。この条例案では、札幌の将来を担っていく子どもたちの考えを問うことができませんし、仮に対象年齢を引き下げて住民投票を実施するとした場合、7億円から12億円かかると考えられるその費用がさらに増大することは言うまでもありません。あわせて、さきの選挙の投票率が50%程度だったことを考慮すれば、多額の費用をかけて、しかも、子どもたちの意向やその理由も把握できない住民投票を実施することにどれだけの意味合いがあるのか。我々維新・大地が訴える抜本的な行財政改革、無駄遣いを徹底的になくすという市民への約束と費用対効果も含めると、大いに疑問を感じるものであります。
今後は、冬季オリンピック・パラリンピックに対する理解を深める上で、市長も記者会見などで述べておられるように、市民との直接の対話の機会を増やすなど、様々な手法で市民・道民の意見や意向などの把握に努め、その上で招致の是非を検討していただくことが肝要だと考えます。そんなにお金をかけなくとも、これまで以上に精度を高めても1,000万円前後の費用で済み、賛否の意見を表明できる市民アンケート、意向調査を再度実施することや、学校教育の場で子どもたちの考え方を聴取するなどして、市民の意見、意向を把握することは十分できるはずでございます。
そこで、市長にお尋ねいたしますが、冬季オリンピック・パラリンピックの招致に当たって、市民の意見、意向を今後どの時点でどのように把握しようとお考えか、お伺いをいたします。
最後に、札幌市における交通問題の改善について、大きく2点お伺いをいたします。
質問の1点目は、丘珠空港へのアクセス問題についてであります。
昨年度、丘珠空港の旅客数は32万人に達し、コロナ禍前の令和元年度の26万7,000人を大きく上回ったとのことであります。そして、今後も新規就航や増便が予定されていることから、新聞報道などによりますと、今年度の旅客数は40万人を超えて過去最高になる可能性もあるとのことでした。札幌市民の空港がにぎわいを増していくというのは、とても喜ばしいことであります。
その一方で、こうした旅客数の増加によって、空港の駐車場は満杯状態になることがしばしばで、丘珠空港では公共交通機関の利用を呼びかけているとのことであります。
しかしながら、札幌市が昨年12月に実施した調査結果によると、空港までのアクセスで自家用車やレンタカー、タクシーを利用した人が6割以上を占めていて、空港連絡バスや路線バスを利用した人は2割にも満たない結果となっております。札幌駅と丘珠空港とを結ぶ空港連絡バスが運行中であった冬期間のデータとはいっても、公共交通機関の利用者が非常に少ないと言わざるを得ません。
昨年実施された丘珠空港に関する各種の意見交換会でも、空港までのアクセスの充実や改善を求める声が多かったと聞いておりますし、札幌市が昨年策定した丘珠空港の将来像においては、必要な取組の一つとして空港へのアクセス充実を掲げております。空港の将来像の実現に向けて中長期の取組を検討することはもちろんですが、まずは、旅客数の増加が見込まれる現在の状況に応じてしっかり対策を講じることが喫緊の課題であると思います。
そこで、質問ですが、丘珠空港の旅客数の増加傾向を踏まえて、交通アクセスの改善にどのように取り組むのか、お伺いをいたします。
次に、南区におけるバス問題についてお伺いをいたします。
バスを含む公共交通の利用に関してですが、昨今の若者の車離れや高齢者の運転免許証の返納などにより、公共交通の果たすべき役割はより重要性を増していると言っても過言ではありません。とりわけ、公共交通の果たす役割は、人口動態や人口構造など、暮らしや経済活動に大きく関係をしております。
それを踏まえ、定山渓沿線におけるバス運賃の格差問題と地域住民の声への対処についてお伺いをいたします。
このバス運賃の問題に関しては、これまでも何度か議会の場で取り上げられてきておりますが、特に、石山地区以南の定山渓沿線においては、距離に応じて運賃が上がっていく対キロ区間制、これが採用されておりますことから、市内のほかの地区に比べて運賃が高上がり傾向で、地域の足を確保する上での市民間の公平性という観点からすると大きな課題を抱いております。
私自身も、平成8年から南区に移り住んでおります。当時は、真駒内駅より地下鉄が藤野地区まで延伸する計画があると、地域住民はこれを公然の事実として認識していました。バスの運賃体系も他地域に比べ開きがあるということは認識しておりましたが、それは、将来、地下鉄が藤野まで延伸するであろうということを前提に、地域住民はこの高過ぎるバス運賃を容認していたわけであります。だからこそ、地下鉄延伸がなくなったと認識した時期を境に、南区の市議会議員や地域住民がこの高過ぎるバス運賃の是正に声を上げたのです。当然のことながら、現在も地域住民はこの不公平なバス運賃体系に納得しているわけではありません。そのことを地域住民の代表者としてこの場でお伝えをさせていただきます。
高過ぎるバス運賃も一つの要因となり、人口減少が進み、それが悪循環となり、バス利用者は減少する一方なのです。また、運転手不足の問題も重なって、地下鉄最終便に接続するバスがなくなっており、地域住民からは改善の声が多数寄せられております。
そこで、質問であります。
定山渓沿線におけるバス運賃の格差問題について、南区長も歴任された秋元市長はどう認識をされているのか、あわせて、バスが不便になったという地域住民の声をどう受け止め、どのように対処されようとしているのかについてもお伺いをいたします。
次に、南区におけるデマンド交通実証実験についてお伺いいたします。
マイカーの普及などによって路線バスの利用者が年々減る傾向にある中で、近年はバス運転手の不足問題が深刻化しております。先ほど述べましたように、私の住む南区においても、路線バスの便数が減って以前よりも不便になったという声をよく耳にします。今後も、人口減少、とりわけ生産年齢人口の減少が予想されますので、通勤や通学利用などの移動需要が減少するだけではなく、バス運転手の担い手確保も困難さを増して、路線バスが置かれる環境はますます厳しいものとなっていくことが想定されるものであります。
そうした中で、路線バスに代わる交通手段の一つとして、予約に応じてAIを活用した配車を行い、効率のよい運行を実現しようとするデマンド交通があり、札幌市においても令和4年11月から手稲区でその実証実験が開始されました。市民の利便性の向上とともに、運転手不足にも対応する取組として評価をしているところであります。
また、南区においても、じょうてつバスが藤野地区を循環するコミュニティバス、ふじの〜るを平成28年から運行し、地域住民の買物など日常生活を支えてきましたが、利用者の減少などからデマンド運行への転換を目指すことになり、本年9月、札幌市の支援を受けながら実証実験を行うことになったと伺っております。
ただ、こうした取組は、交通が不便になったほかの地域にも展開していくのが望ましく、藤野地区と生活圏が一体である石山地区や簾舞地区にも実証実験の範囲を拡大して、柔軟かつきめ細かな公共交通サービスの充実を目指す必要があると考えます。
そこで、質問ですが、南区におけるデマンド交通実証実験の範囲拡大についてどのようにお考えか、また、札幌市内のほかの地域においてデマンド交通実証実験の計画があれば併せてお示し願います。
以上で、私の質問の全てを終わります。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(飯島弘之) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で7項目、ご質問をいただきました。私からは、大きな1項目めの行財政改革について、3項目めの子ども施策と教育の拡充についてのうち、1点目の子ども施策の取組について、4項目めの共生社会の実現についてのうち、1点目の(仮称)共生社会推進条例の制定について、5項目め、札幌経済の発展に向けた施策についてのうちの1点目、私の任期3期目に当たっての産業振興施策について、6点目の北海道・札幌冬季オリンピック・パラリンピックの招致についてお答えをさせていただきます。その余のご質問につきましては、担当の石川副市長、天野副市長、教育長からお答えをさせていただきます。
1項目めの行財政改革についてお答えをさせていただきます。
まず、これまでの行財政改革の取組内容と今後の考え方についてであります。
私が市長就任以来、限られた財源の中で、また、将来に過度な負担を残さないようにという中で、行政サービスを維持・向上させていくために、デジタル化や委託化による業務の効率化、中期財政フレームに基づく予算編成、税源涵養に資するまちづくりなどに積極的に取り組んできたところであります。今後も、市民の多様なニーズに応えられる組織体制を構築していくとともに、一層の業務効率化と生産性の向上などにより、行政運営の質を向上させていく考えであります。
あわせて、まちづくりの実施方針となりますアクションプランから、予算編成、行政評価までの一連のプロセスを有機的に結びつけ、既存業務の再構築を図るなど、財政基盤の強化を図っていく考えであります。
次に、出資団体改革についてでありますが、札幌市といたしましては、平成17年度に出資団体に関する改革プランを初めて策定してから現在に至るまで継続的に改革に取り組み、その間、指定団体数を40団体から30団体に、市からの派遣者数を218人から79人に削減するなど、団体の統廃合や人的・財政的関与の見直しを進めてまいりました。また、出資団体は、市の施策を補完、代行する目的で設立されたものであり、団体の得意分野を市が有効に活用するという観点で、市民サービスの向上も促してきたところであります。
今後も、団体による効果的な自主事業の展開や透明性のある出資団体評価を行うとともに、継続的な人的・財政的関与の見直しを行うなど、自主性・自立性を高めるための不断の改革を実行してまいります。
次に、3項目め、子ども施策と教育の拡充についてのうち、1点目の子ども施策の取組についてお答えをいたします。
子どもを産み育てやすいまちづくりに向けては、社会や地域全体で子育てを支えるということが必要であり、経済状況によらず、安心して子育てができる環境を整備していくことが重要であると認識をしております。
このため、子ども医療費助成や保育料の無償化、学校給食費の公費負担拡大など、子育て世帯の負担軽減につながる取組について、財源の見通しも踏まえ、段階的な拡大を検討してまいりたいと考えております。
これらを含め、今年度中に策定をいたします中期実施計画において定める様々な施策を通して子育て支援策を充実強化し、明日を担う子どもたちが健やかに安心して暮らせる環境づくりを進める所存であります。
次に、4項目めの共生社会の実現についてのうち、1点目、(仮称)共生社会推進条例の制定についてお答えをいたします。
高齢者人口が増加をし、価値観の多様化や外国人住民の増加などによるグローバル化も進んでいる一方で、人と人とのつながりの希薄化といった課題が顕在化している状況等を踏まえますと、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、支え合う、多様性が強みとなる共生社会の実現は喫緊の課題であると認識をしておりまして、その実現に当たりましては、行政だけではなく、市民や企業も含めた多様な主体が連携した取組が必要不可欠であると考えているところであります。
そこで、札幌市では、条例素案の検討の段階から市民や事業者等と積極的な意見交換を行った上で、市議会でご議論をいただきながら本条例を制定することで、目指すべき理念の浸透を図り、市民・企業・行政の連携による誰もが自分らしく活躍できる持続可能なまち札幌の実現に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、5項目めの札幌経済の発展に向けた施策のうち、1点目の私の任期3期目に当たっての産業振興施策についてであります。
コロナ禍により大きな影響を受けた経済を回復させ、さらなる成長を促進するためには、札幌の経済を牽引している観光や食分野を中心とする産業が国内外から新たな需要を獲得することが必要と考えております。
また、デジタル化の進展により大きな成長が見込まれるIT分野などの産業集積、人材育成が必要不可欠であると認識をしており、加えて、スタートアップの創出・育成を推進し、多様で活力のある新たな産業を生み出すなど、経済が活性化をし、社会が潤うまちの実現に向けて、積極的な産業振興施策に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、6項目めの北海道・札幌冬季オリンピック・パラリンピックの招致について、市民の意見、意向の把握についてであります。
大会招致を実現するためには、市民の理解と支持が不可欠であり、大会招致の意義やまちづくりにおける効果、大会経費などについて十分に情報を提供し、若者、子どもも含めて幅広く市民の意見や意向を把握していくことが重要であると認識をしております。
そのため、東京大会の一連の事案を受けた大会運営見直し案の中間報告をお示しした上で、公開討論会や市民説明会をはじめ、様々な機会に市民と直接丁寧に対話を重ね、招致への理解を深めていただくとともに、市民の声を広く受け止めてまいりたいと考えております。
当面は、こうした市民理解促進のプロセスを着実に進めた上で、東京大会事案の司法手続の状況も注視しつつ、最終的に改めて民意の確認を行う考えでありまして、その具体的な時期や手法につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
私からは、以上です。
○議長(飯島弘之) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな5項目め、札幌経済の発展に向けた施策についてのうち、2点目の札幌ならではの観光資源を活用した冬期間における誘客についてと、3点目の商店街の活性化についてお答えを申し上げます。
まず、2点目の札幌ならではの観光資源を活用した冬期間における誘客についてであります。
これまで、閑散期であります冬期間の観光需要の底上げのため、国内外から多くの観光客が訪れるさっぽろ雪まつりなどの大型イベントや、冬季観光コンテンツの魅力向上を図ってきたところでございます。加えまして、近年では、北海道、札幌の豊富な積雪と良質なパウダースノーが欧米豪から高い評価を得るとともに、東南アジアでは雪そのものが観光資源として注目されておりますことから、スノーリゾートシティSAPPORO推進戦略を策定し、取組を進めているところでございます。
今後は、気軽な雪遊びから本格的なスキーまで楽しめる雪のまちの魅力と、食や買物、観光施設の周遊などが楽しめる観光都市の魅力を併せ持つ都市型スノーリゾートとして国内外に発信し、地域一体となってさらなる誘客を促進してまいります。
次に、3点目の商店街の活性化についてであります。
商店街は、地域経済を支える重要な存在であると同時に、地域コミュニティーの貴重な担い手でもあると認識をいたしております。
今後の商店街活性化に向けましては、コロナ禍で停滞を余儀なくされた商店街における販売力や集客力の回復、向上と、地域とのつながりやにぎわいの再生を促す取組に対して支援を行ってまいります。また、これらを推進するため、商店街への専門家派遣や、若手をはじめとした商店主の加入促進を図ることで、商店街活動の活発化を後押ししてまいります。
このように、商店街の商業機能の向上、地域貢献、基盤強化に向けた取組を好循環させることにより、新たな人、物、事が持続的に育まれる活気ある商店街となるよう支援をしてまいりたい、このように考えております。
私からは、以上でございます。
○議長(飯島弘之) 天野副市長。
◎副市長(天野周治) 私からは、大きな2項目めの雪対策について、大きな4項目めの共生社会の実現についてのうち、2点目のアイヌ施策について、大きな7項目めの交通問題の改善についてお答えをいたします。
まず、大きな項目、2項目めの雪対策についてでございます。
そのうち、1点目の持続可能な除排雪体制についてでありますが、将来にわたり持続可能な雪対策を進めていくためには、担い手確保が重要なテーマであると認識しており、これまでも、ICTを活用した業務書類の電子化などの労働環境の改善のほか、大型特殊免許の取得費用の一部補助などに取り組んできたところでございます。
今後も、除雪事業協会など、関係団体と連携を深めながら、除排雪作業における週休日確保をはじめ、さらなる労働環境の改善に資する取組を進めるなど、持続可能な除排雪体制に向け、担い手の確保に努めてまいります。
次に、2点目のパートナーシップ排雪についてですが、近年、在宅介護サービスや宅配などの利用者が増加しており、生活道路排雪の重要性が高まっている一方で、パートナーシップ排雪について、地域支払い額の上昇や町内会加入率の低下による不公平感が課題となっていると認識をしております。
このため、町内会の費用負担軽減への支援策として、当面、地域支払い額を据え置くとともに、安価な手法を町内会の意向で選択していただいているところでございます。
パートナーシップ排雪の地域支払い額をゼロにし、これまで制度を利用していない地域を含め、札幌市が現行のレベルで排雪するとした場合、多くの費用はもとより、新たに4割以上の機材や人材の増強が必要となることなどから、実施は難しいと考えるところでございます。
今後は、財政面や除雪事業者の体制などの課題を踏まえつつ、パートナーシップ排雪制度の見直しを含め、持続可能な生活道路排雪の在り方について幅広く議論をしながら検討してまいります。
次に、大きな4項目めの共生社会の実現についてのうち、2点目のアイヌ施策についてお答えをいたします。
まず、1点目のアイヌ民族への理解の促進についてですが、アイヌ民族の誇りが尊重されるまちの実現を図る上で、アイヌ民族への理解を促進するための取組は大変重要であると認識をしております。
これまで、アイヌ文化や民族に関する啓発や体験講座など様々な施策を実施してきており、今後もアイヌ民族の方々のご意見を丁寧に伺いながら一層充実してまいりたいと考えております。
2点目のアイヌ文化関連施設の活用についてですが、アイヌ文化交流センターは、広くアイヌ文化を学ぶことができるアイヌ施策の実施拠点であり、共同利用館は、アイヌ文化の保存、継承を行う活動の拠点と位置づけております。アイヌ文化交流センターにはより多くの方に来館いただけるよう、また、共同利用館では安心して集い、伝承活動が行えるよう、両施設の特徴を生かしながら活用の促進を図ってまいりたいと考えております。
共同利用館の後継施設については、アイヌ施策推進委員会の部会において目指す姿や立地などの基本的な考え方が示されたところであり、現施設の保全とともに、引き続き検討を進めてまいります。
次に、大きな7項目めの交通問題の改善についてのうち、1点目の丘珠空港へのアクセスについてでございます。
丘珠空港の将来像の実現に向けては、まずはバスによる空港とのアクセスをスムーズにすることによって、ビジネスや観光などの需要に応え、丘珠空港の有用性を示していくことが重要と認識をしております。
昨年の旅客数の増加を踏まえて、夏ダイヤ運航時において空港までの利用手段を把握するとともに、出発・到着便に合わせた空港連絡バスの利便性を再度検証するなど、利用者にとってより効果的な手法を探ってまいります。
次に、2点目の南区のバス問題についてでございます。
1点目の定山渓沿線におけるバスの運賃格差問題と地域住民の声への対応についてですが、運賃はバス事業者が国の認可を受けた範囲内で定めることが基本であるものの、対キロ区間制が採用されている路線の運賃に対して、負担感や不公平感を抱く利用者がいらっしゃることは認識をしているところでございます。
また、減便によりましてバスが不便になったという市民からの声については、市内の様々な地域から聞こえており、全市的な公共交通の課題として受け止めているところでございます。バスの減便は、運転手の不足など厳しさを増す事業環境に対応するために実施されているものですが、市民生活に影響が及ぶおそれがあることから、今後、札幌市公共交通協議会においてしっかりと議論を進めてまいります。
次に、2点目の南区におけるデマンド交通実証実験についてですが、南区での実証実験は、市内では初めてバス事業者が主体となって車両の小型化やデマンド運行への転換を図るものであり、既存路線を維持するための手法の一つとして期待をしているところでございます。
一方、実証実験の範囲拡大については、実際の運行状況や地域のニーズを把握する必要があるため、まずは今年9月から始まる実験を着実に実施していくことが重要と認識をしております。
また、他地域でのデマンド交通の展開については、バス路線の廃止により公共交通空白地域が生じた場合などにおいて、代替交通手段の一つとして、地域の特性を踏まえながら導入を検討していく考えであります。
私からは、以上でございます。
○議長(飯島弘之) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 私からは、大きな3項目め、子ども施策と教育の拡充についての2項目め、市立高校におけるタブレット端末の貸与についてお答えをさせていただきます。
現在、市立高校におきまして、タブレット端末は、教科書、そして教材と同様に、保護者に負担をしていただいておりますけれども、経済的な理由で購入が難しい世帯には端末を貸与するなど、負担の軽減に努めているところでございます。
高等学校においても、義務教育段階と同様に継続的で十分な財源措置を講ずるよう、引き続き他の政令市などとともに国に要望してまいりたいと考えております。
以上でございます。
(脇元繁之議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(飯島弘之) 脇元繁之議員。
◆脇元繁之議員 ありがとうございます。
今日の代表質問は私が3人目ということで、かなり時間も経過しておりますので、端的に3点再質問をさせていただきたいと思います。
一つは、雪対策の中のパートナーシップ排雪についてであります。
パートナーシップ排雪につきましては、地域住民の声を受けて、思い切って町内会の負担をゼロにすることも検討してはどうかと提案させていただきましたが、新たに多くの費用や資材、人材の増強が必要になるため、実施は難しいとのお答えでありました。
その一方で、市長のマニフェストの中では、札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例、いわゆる町内会条例に基づいて、生活道路に係る除排雪の負担軽減に向けた支援策を実施すると明言されております。年間降雪量が5メートルを超えるこの札幌市において、雪対策に予算を大きく割いても市民の納得は得られるはずです。
そこで、質問させていただきます。
パートナーシップ排雪について、町内会の負担をゼロにするのが難しいとするならば、市長が今回のマニフェストに挙げたこの生活道路に係る除排雪の負担軽減策としてどのようなことをお考えなのか、それをお示しいただければと思います。
再質問の2点目は、市立高等学校におけるタブレット端末の貸与についてであります。
タブレット端末を公費で負担するということについて、教育長は、義務教育段階と同じように継続的かつ十分な財政措置を講じるよう、引き続きほかの政令市とともに国に要望してまいりたいというような答弁でありました。
とかく札幌市の政策は横並び意識が強いといいますか、おとなしい側面がありまして、何事もなかなか先陣を切りたがらないというような印象を受けます。ただ、それではいい意味での都市間競争で後れを取ってしまいますし、札幌市の教育はこうなんだという特徴を打ち出していくこともできないように思います。
そこで、改めてお聞きします。
札幌市は北海道の首都、道都なのですから、道立高校を牽引していくぐらいの気概で、市立高校におけるタブレット端末整備の公費負担を推進していくべきと考えますが、教育長の熱い意気込みをお聞かせください。
最後に、南区におけるバス問題の中で、定山渓沿線におけるバス運賃の格差問題について再度お伺いします。
先ほど、私は、南区長も歴任した秋元市長はどう認識されているのかとお聞きしました。天野副市長がお答えいただきましたが、秋元市長も同じ考えであるというふうに認識してよろしいですね。
その上で、お伺いします。
バス運賃の対キロ区間制について負担感や不公平感があることは認識している、そのようにお伺いしました。ありがとうございます。
そこで、もう少し突っ込んでお伺いいたします。
確かに、バス運賃は事業者が国の認可を受けて設定するものでありますが、定山渓沿線におけるこの運賃の対キロ区間制について負担感や不公平感があると認識しておられるなら、その負担感などを和らげ、格差を是正していくための努力をしていくべきものと思います。その点についてお伺いいたします。
以上です。よろしくお願いいたします。
○議長(飯島弘之) 答弁を求めます。
天野副市長。
◎副市長(天野周治) 私から、再質問のうち、パートナーシップ排雪について、そして、南区のバス問題についてお答えをさせていただきます。
パートナーシップ排雪を含めた生活道路の除排雪の負担軽減策につきましては、先ほどもお答えをいたしましたが、財政面や除雪事業者の体制などの課題がございます。そのため、限られた除雪事業者の体制の中でどのようなことができるのか、除雪事業者、また町内会など、幅広くご意見を伺いながら持続可能な道路排雪の在り方について議論をし、負担軽減策について検討してまいりたいと考えてございます。
次に、南区のバス問題についてでございます。
バス運賃につきましては、道路運送法第9条に基づきまして、運行に必要な経費に適正な利潤を加えたものを考慮し、国から上限運賃として認可された範囲内でバス事業者が決定するものでございますが、そういった制度の中で札幌市として何ができるのか、今後、調査検討を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○議長(飯島弘之) 檜田教育長。
◎教育長(檜田英樹) 市立高校におけるタブレット端末、道立高校を牽引するぐらいの気概でということで、市立高校が横並びではないかというご指摘をいただきましたけれども、開成中等教育学校を入れて8校ございますが、バカロレアによる教育プログラムを導入しました開成をはじめ、昨年度からは旭丘高校に数理データサイエンス科を新設するなど、これまでも北海道の教育を牽引すべく札幌市立高校改革を進めてきております。
そうした市立高校の姿勢は、子どもたち、そして市民からも大きく支持をいただいているというふうに考えておりますし、今後も、道立高校に限らず、私立も含め、北海道全体の中で札幌市が果たすべき役割をしっかり果たしていきたい。
そして、改めて、タブレットの端末についても同様ではありますが、答弁が一緒になりますけれども、義務教育と同じく継続的で十分な財政措置を講ずるよう国にしっかりと要望してまいりたいと考えております。
○議長(飯島弘之) 以上で、代表質問は全て終了いたしました。
(伴 良隆議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(飯島弘之) 伴 良隆議員。
◆伴良隆議員 特別委員会設置及び委員会付託の動議を提出いたします。
ただいま議題とされております議案13件について、委員34人から成る第一部議案審査特別委員会及び委員33人から成る第二部議案審査特別委員会を設置し、お手元に配付の議案付託表のとおり、両特別委員会にそれぞれ付託することを求める動議であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) ただいまの伴議会運営委員長の動議に対し、所定の賛成者がありますので、本動議を直ちに問題とし、採決を行います。
動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) 異議なしと認めます。
したがって、ただいま議題とされております議案13件については、委員34人から成る第一部議案審査特別委員会及び委員33人から成る第二部議案審査特別委員会を設置し、お手元に配付の議案付託表のとおり、両特別委員会にそれぞれ付託されました。
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○議長(飯島弘之) ここで、日程に追加して、ただいま設置されました第一部・第二部議案審査特別委員会の委員の選任を議題といたします。
本件につきましては、お手元に配付の委員名簿のとおり指名することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) 異議なしと認めます。
したがって、委員名簿のとおりそれぞれ選任されました。
なお、両特別委員会における発言のための委員交代は、先例によりまして、両特別委員長の許可を得た上で行っていただくことといたします。
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○議長(飯島弘之) さらに、日程に追加して、第一部・第二部議案審査特別委員会の委員長の選任を議題といたします。
(伴 良隆議員「議長」と呼び、発言を求む)
○議長(飯島弘之) 伴 良隆議員。
◆伴良隆議員 第一部・第二部議案審査特別委員会の委員長の選任につきまして、指名推選の動議を提出いたします。
第一部議案審査特別委員長に中村たけし議員を、第二部議案審査特別委員長に松井隆文議員をそれぞれ選任することを求める動議であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) ただいまの伴議会運営委員長の動議に対し、所定の賛成者がありますので、本動議を直ちに問題とし、採決を行います。
動議のとおり決定することにご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) 異議なしと認めます。
したがって、第一部議案審査特別委員長に中村たけし議員が、第二部議案審査特別委員長に松井隆文議員がそれぞれ選任されました。
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○議長(飯島弘之) 次に、日程第2、議案第18号、第19号、諮問第1号の3件を一括議題といたします。
いずれも、市長の提出によるものです。
提案説明を求めます。
秋元市長。
(秋元克広市長登壇)
◎市長(秋元克広) ただいま上程をされました議案2件及び諮問1件につきましてご説明申し上げます。
まず、議案第18号は、
農業委員会委員任命に関する件であります。
札幌市農業委員会委員につきましては、いずれも来る6月23日をもって任期満了となりますが、生野隆雄氏、上山雅彦氏、氏家正喜氏、大西智樹氏、熊木基雄氏、千葉悦子氏、平佐雅勝氏、藤井 徹氏、山本和夫氏の9氏を引き続き任命するとともに、橋場和実氏、吉田長幸氏の2氏を新たに任命することを適当と認め、議会の同意を得るため、本案を提出したものであります。
千葉悦子氏は、現在、公益社団法人札幌消費者協会理事をされており、平成29年6月から札幌市農業委員会委員に就任されている方であります。
生野隆雄氏ほか9氏の方は、いずれも、長く農業に携わり、農業関係の公職に就任されている方等であります。
次に、議案第19号は、
北海道公安委員会委員推薦に関する件であります。
北海道公安委員会委員のうち、札幌市長の推薦に係る委員であります吉本淳一氏は、来る7月22日をもって任期満了となりますが、引き続き同氏を推薦することを適当と認め、議会の同意を得るため、本案を提出したものであります。
吉本淳一氏は、長く札幌信用金庫に勤務され、現在、北海道信用金庫代表理事会長等をされており、平成29年7月から北海道公安委員会委員に就任されている方であります。
次に、諮問第1号は、
人権擁護委員候補者推薦に関する件であります。
札幌市を職務区域とする人権擁護委員のうち、来る9月30日をもって任期満了となります4氏に関しまして、芦田和真氏、菅野綾子氏、畠中恭子氏の3氏を引き続き推薦するとともに、岸 麻美氏を新たに推薦することを適当と認め、議会の意見を求めるため、本案を提出したものであります。
芦田和真氏は、平成20年に弁護士の登録をされ、現在、札幌弁護士会人権擁護委員会副委員長をされており、令和2年10月から人権擁護委員に就任されている方であります。
菅野綾子氏は、平成12年に弁護士の登録をされ、現在、札幌家庭裁判所家事調停委員等をされており、平成26年10月から人権擁護委員に就任されている方であります。
岸 麻美氏は、長く小・中学校の教諭として勤務され、北海道教職員組合恵庭支会女性部副部長を務められた方であります。
畠中恭子氏は、平成20年10月から人権擁護委員に就任され、現在、札幌人権擁護委員協議会常駐相談員をされている方であります。
以上で、ただいま上程をされました各案件についての説明を終わりますが、何とぞ原案のとおりご同意くださいますようお願い申し上げます。
○議長(飯島弘之) これより、質疑・討論の通告がありませんので、採決に入ります。
議案第18号、第19号については同意することに、諮問第1号については推薦することを適当と認めることにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) 異議なしと認めます。
したがって、議案第18号、第19号については同意することに、諮問第1号については推薦することを適当と認めることに決定されました。
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○議長(飯島弘之) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日6月21日から7月10日までは委員会審査等のため休会とし、7月11日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(飯島弘之) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定いたしました。
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○議長(飯島弘之) 本日は、これで散会いたします。
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散 会 午後5時23分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 飯 島 弘 之
署名議員 たけのうち 有 美
署名議員 米 倉 み な 子...