委 員 小 形 香 織 委 員 村 上 ひとし
委 員 吉 岡 弘 子 委 員 長 屋 いずみ
委 員 千 葉 なおこ
――
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開 議 午後1時
――――――――――――――
○
北村光一郎 委員長 ただいまから、第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
村上ゆうこ委員からは、欠席する旨、届出がございました。
それでは、議事に入ります。
最初に、第7款 土木費 第3項 河川費及び議案第7号 令和3年度札幌市
下水道事業会計剰余金処分及び決算認定の件について、一括して質疑を行います。
◆
小口智久 委員 私からは、市民の安全・安心な暮らしを確保するという観点から、下水道の
浸水対策について、浸水が発生しやすいくぼ地への対策と、
下水道施設の耐水化を質問いたします。
札幌市は、大雨による
浸水被害の軽減として、
雨水拡充管整備などの
ハード対策と、市民への浸水に対する意識啓発などの
ソフト対策の両面を推進し、総合的に
浸水対策を行うこととしております。このような中、本年3月、下水道に起因する
内水氾濫と
河川氾濫を統合した
浸水ハザードマップを公表し、今年度は、さらにその冊子を市内全戸に配布すると伺っており、
ソフト対策の強化という点において重要な一歩を踏み出したものと認識しております。
しかしながら、近年、下水道の整備水準である1時間35ミリを超えるような大雨が発生し、周辺に比べて土地が低い、いわゆるくぼ地と呼ばれる場所で度々
浸水被害が起こり、地域にお住まいの方々は大雨のたびに不安な思いを抱いていることと推察いたします。直近では、昨年8月、清田区里塚において1時間に61ミリもの大雨が降り、大規模な
道路冠水などが発生したと伺っております。
そこで、質問ですが、札幌市では、このようなくぼ地について、
被害軽減に向けた対策を順次進めていると伺っておりますが、その
進捗状況と今後の取組についてお伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 くぼ地への対策の
進捗状況と今後の取組についてお答えいたします。
札幌市では、近年の大雨の
増加傾向を背景といたしまして、平成25年度より大雨による被害が拡大しやすい、いわゆるくぼ地に対しまして、近隣の河川へ雨水を流す
バイパス管の設置や
道路雨水ますの増設など、対策を積極的に進めてきたところでございます。
その結果、令和3年度末までに、札幌市でこれまでに把握している市内54か所のくぼ地のうち、43か所のくぼ地について対策を完了してございます。一方、残りの11か所のくぼ地につきましては、近年の
浸水実績がないため被害の
発生要因の把握が難しいといった地区や、近隣に雨水をバイパスするための河川がないなど、従来の対策が非常に難しい地域となってございます。
今後は、これらの地区につきまして、新たに
浸水シミュレーションを活用しまして浸水の
発生要因を詳しく分析し、あふれた雨水を別の大きな
下水道幹線へ導水する管路の設置など、大規模な対策を含め、幅広く検討を行いまして着実に対策を進めてまいりたいと考えているところでございます。
◆
小口智久 委員 平成25年度から取り組んでいるということで、54か所のくぼ地のうち、今、43か所でバイパスとか
雨水ますの増設などの対策がされたという話でございました。令和3年度末までこれを完了している。残り11か所については、なかなか難しい土地柄ということもあったりとかしているので、
浸水シミュレーションなどをやっていくということで検討を進めていくと。しっかりと着実に対策を進めていただくようお願いいたします。
現在把握されているくぼ地への対策については理解しましたが、本年3月に公表された札幌市
浸水ハザードマップによりますと、
内水氾濫により深刻な被害が想定される地区が散見されます。この点につきましては、昨年の
決算特別委員会において、我が会派の
竹内委員が、
ハザードマップの
作成過程で、現在把握されている54か所に加え、新たに把握されたくぼ地に関して、被害の
発生要因の分析など、今後の対応について見解を伺っており、市からは、
対策実施に向けた
調査検討を進めたいとの答弁がございました。
そこで、くぼ地への対策について二つ目の質問ですが、
ハザードマップの
作成過程において新たに何か所のくぼ地を把握したのか、また、それらの地区への対応をどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 ハザードマップの
策定過程で把握したくぼ地の箇所数とその対応についてお答えいたします。
浸水ハザードマップは、避難情報の提供など市民への
注意喚起を主な目的としているため、国が定めるおおむね1,000年に一度の大雨となる1時間125ミリの雨を対象として、想定され得る最大規模の被害を示したものとなってございます。
その一方で、
下水道河川局では、身近に起こり得る大雨に対するハードの対策、これにつきましても検討を行うため、近年の大雨の状況を踏まえ、
ハザードマップの
策定過程の中で、独自に
札幌管区気象台で観測された
最大降雨である1時間50ミリの大雨による
被害想定も行いました。この1時間50ミリを対象とした
被害想定では、これまでに把握しているくぼ地54か所のほかに、12か所の地区において、50センチ以上の浸水が発生し、家屋への浸水や大規模な
道路冠水のおそれがあることが判明いたしました。
そのため、新たに把握したこの12か所のくぼ地につきましては、周辺の地形や土地利用の状況などを確認するとともに、
下水道管内の水位観測などを行いまして被害の
発生要因を分析し、効果的な対策を検討してまいります。
◆
小口智久 委員 今後は、これまで把握していた54か所のくぼ地に加えて12か所を把握されたということで、50センチ以上浸水するというような話でございました。しっかりと
調査検討の上、対策したいということでしたので、進めていただくようお願いいたします。
次に、
下水道施設の耐水化について質問いたします。
令和元年10月に関東地方や東北地方を襲った
東日本台風では、処理場や
ポンプ場などの
下水道施設が浸水によって機能停止し、
市民生活に大きな影響を与える被害が発生しました。この災害により、
市民生活を支えるとともに、大雨から都市を守る役割を担う下水道の重要性が再認識され、令和2年5月に、
国土交通省から各自治体に対し、
下水道施設の耐水化を進めるよう要請があったところです。
下水道施設の耐水化に関しましては、私も非常に重要な取組であると認識しており、一昨年の
決算特別委員会において、その
取組状況について質問し、市からは、施設内に想定される
浸水状況を把握し、計画的に対策を実施していくとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、
下水道施設の耐水化の
進捗状況をお伺いいたします。
◎清水
事業推進部長 下水道施設の耐水化の
進捗状況についてお答えいたします。
まずは、対象とした施設でございますが、
水再生プラザや
ポンプ場、
スラッジセンターなど30の
下水道施設を対象としております。また、対象とする水害の規模につきましては、国が定めた基準に基づきまして、市内各河川の氾濫と
札幌管区気象台で観測された
最大降雨となる1時間50ミリの大雨による
内水氾濫を対象としております。
これらの条件により被害を想定した結果、
豊平川水再生プラザなど8施設において敷地内での浸水が想定されましたが、その
浸水規模は小さく、施設の内部にまで水が浸入し、
下水道機能に影響を及ぼすレベルの被害は生じないことを確認しております。
今回の国の基準に基づく
被害想定では、全ての施設において
一定レベルの耐水性が保たれていることを確認したところでございますけれども、
内水氾濫などが発生した際の
下水道施設の役割の重大性、あるいは、近年の雨の降り方の変化を踏まえまして、今後、まずは
浸水ハザードマップで示した1時間125ミリの大雨に耐え得る対策についても検討してまいりたいと考えているところでございます。
◆
小口智久 委員 30施設が対象となるという中で、8施設は少し浸水するということですけれども、小さい規模ということで耐水性は保たれるということでした。今後は、1時間125ミリの
内水氾濫に対しても引き続き被害の確認を進めるということですので、
スピード感を持って進めていただきたいと思います。
ハザードマップは、自然災害による被害の軽減や
防災対策に使用されますが、市民の皆様に、自宅などの浸水の危険度や避難の方法、身の回りでどのような災害が起こり得るのかを認識していただき、いざというとき、自助や共助の取組を促す上で非常に効果的なツールと考えます。しっかりと継続して周知を行っていっていただくことを要望します。
また一方で、市においても、
ハザードマップを活用したくぼ地や
下水道施設などの
ハード対策にも取り組んでいくことが重要と思われます。
また、これは特定の施設ではないんですけれども、
ハード対策の一つに
下水道工事中の
現場管理、これにも注意をしていただきたいと思います。本年9月18日、台風14号の影響で、
東京メトロの高田馬場から日本橋間で冠水をしたという事故がありましたけれども、これは、下水管の移設・撤去工事の際、様々な油断、
手抜きミスが生じた結果、こういう事故になったんですけれども、
下水施設というのは生活を支えているインフラであると同時に、様々な他のインフラ、道路、
地下施設などにも影響を与えます。しっかりと
施工管理を行っていただきたいと思います。
地球温暖化による気候変動の影響により、今後も雨量の増加や
局地的大雨の頻発が想定されますので、引き続きハードとソフトの両面から取組を進め、雨に強い
まちづくりを一層進めていただき、市民の皆様が安全・安心に生活ができる札幌市となるよう切望し、私の質問を終わります。
◆
長屋いずみ 委員 私からは、
雨水貯留池について、2点質問をさせていただきます。
札幌市は、石狩平野の南西部に位置し、豊平川の扇状地を中心に市街地が形成され、地下には豊富な地下水があり、多くの市民の暮らしを支えてきました。私の地元の北区は、10区で最大の人口を擁し、現在も
宅地開発が進んでおります。一方で、市内でも地下水位が高く、地下浸透不適地が多い地域で、27か所の
雨水貯留池があるとお聞きしました。近年、局地的な集中豪雨が頻繁に発生し、
浸水被害も報告されております。
そこで、質問ですが、
民間事業者が、
宅地分譲を目的に
開発行為を行う際には
雨水貯留池を設置しますが、どのような目的があるのか、また、
開発行為が終わった後の管理は誰が行うのか、伺います。
◎三栖
河川担当部長 雨水貯留池設置の目的及び管理者についてお答えいたします。
まず、初めのご質問の1点目の設置の目的でございます。
委員のご指摘のとおり、
宅地開発など都市化が進みますと、
道路整備による
アスファルト化、あるいは住宅等の建設によりまして雨水が地下に浸透しにくくなります。河川へ流れ込む量が増えるため河川があふれるなど、水害の危険性が増すこととなります。そのため、
雨水貯留池につきましては、
宅地開発によります河川への流出が増えた雨水を一時的にためることで河川への負担を抑え、水害の危険性を軽減させることを目的として設置しており、大雨の際に効果を発揮する施設であります。
雨水貯留池の設置につきましては、
都市計画法によりまして、
開発行為の許可基準として
水害対策等の
施設設置が規定されておりますことから、
開発行為を行う際には、札幌市
宅地開発要綱で事業者に対しまして義務づけをしております。
次に、ご質問2点目の
雨水貯留池の管理者についてでございます。
宅地分譲を目的としました
開発行為で設置した施設につきましては、
宅地開発要綱に基づきまして、
工事完了後に
公共施設として引継ぎを受け、札幌市が管理者になってございます。現在、市内全域で96か所の施設、このうち一番多い北区におきましては、先ほど委員がおっしゃったとおり27か所設置しております。
◆
長屋いずみ 委員 大雨のときに効果を発揮する施設であり、
工事完了後に本市に引き継がれるということで、市内には96か所設置されていると今ご答弁いただきました。
今回、
雨水貯留池の近くに住む住民より、堆砂により2メートルほどの雑草が繁茂し、不衛生であることや、防犯上の懸念、さらに、
貯留機能に影響を及ぼすのではないか、こういう不安とともに、公園などであれば地域にも有用である、こういう意見もいただきました。
雨水貯留池は、水害時の備えの施設で、ふだん、雨水はたまっておりませんので、平常時は
テニスコートなどの市民が利用できる施設として活用できるのではないでしょうか。
そこで、質問いたします。
貯留池を、本市が
民間事業者から引き継いだ後ですが、住民の要望などがある場合、
テニスコートなど市民が利用できる施設として運用できないのか、伺います。
◎三栖
河川担当部長 雨水貯留池の
市民利用についてお答えいたします。
札幌市では、住民からの要望があった場合、
雨水貯留池本来の機能を損なわない範囲におきまして、
町内会等の住民組織に管理を行っていただくことを前提にしまして、スポーツなどの
市民利用に供することができる運用としております。
現在、札幌市が管理しております
雨水貯留池におきまして、
テニスコートや
バスケットコートなどの利用のため地域へ開放している施設は北区に3か所、清田区に1か所、南区に1か所の計5か所がございます。
今後も、
雨水貯留池の
市民利用について、住民の方々から要望があった場合につきましては、地域と協議を行いながら進めてまいりたいと考えております。
◆
長屋いずみ 委員 要望があった場合には地域の声を聞いていくということでした。
地域の方々が、地域利用を望む、望まないは、あると思います。しかし、いずれであっても、
雨水貯留池は、近年の局地的な大雨などの災害時に重要な施設であり、なくせません。北区には、ほかに3か所、草が繁茂した
雨水貯留池があるとお聞きしました。生活環境に配慮した
維持管理、あわせて、
地域要望がある場合には、
下水道河川局が建設局と連携して地域の要望を聞いていただくことが必要です。また、
地域要望がある場合には、市民が利用できる施設として運用することをぜひご検討いただきたいと申し上げまして、私の質疑を終わります。
◆
藤田稔人 委員 私からは、札幌市が取組を進めている
新型コロナウイルスの
下水サーベイランスについて質問させていただきます。
新型コロナウイルスは感染者の排せつ物や唾液から
ウイルスが排出されるため、下水中の
ウイルスを検査、監視する
下水サーベイランスにより、
集団レベルでの
感染状況の把握が可能とされております。
欧米諸国では、
政府機関や
研究機関等によって既に
下水サーベイランスが実用化され、
感染状況を示す指標の一つとして活用されております。国内では、令和3年11月に
下水サーベイランスに関する
推進計画が策定され、
地方公共団体、
研究機関、民間企業による
調査研究が進められているほか、令和4年7月から内閣官房が
下水サーベイランスの活用に関する
実証事業を実施しております。札幌市においては、この分野の第一人者である
北海道大学の
北島正章准教授と連携して、下水中の
新型コロナウイルスのモニタリングを実施していると聞いております。
そこで、質問ですが、札幌市における
新型コロナウイルス調査の
取組状況についてお伺いさせていただきます。
◎土橋
処理担当部長 新型コロナウイルス調査の
取組状況についてお答えいたします。
札幌市は、
新型コロナウイルスの流行初期である令和2年5月から
北海道大学の調査への協力を開始し、同年11月からは、
国土交通省が設置した
調査検討委員会に
モデル都市の一つとして協力してまいりました。その後、北大らが下水に含まれる低濃度の
ウイルスを高感度で検出できる技術を開発したことを契機に、令和3年2月から、週3回、市内3か所の
水再生プラザの
流入下水に含まれる
新型コロナウイルスの
遺伝子濃度の測定を北大へ委託することといたしました。
水再生プラザに流入する下水は、水量や水質が常に変動し、また雨水による希釈の影響を受けますことから、日々の
ウイルス濃度の測定値にばらつきが大きいことから、週単位で測定値を平均化するとともに、雨水の影響を補正するなどの工夫を重ねた結果、下水から
感染動向を把握できるようになりました。
また、第7波において下水中の
ウイルス濃度が急激に増加したことから、市民への
情報提供と
注意喚起を目的に、令和4年8月から市の
ホームページで調査結果の公表を開始したところでございます。
◆
藤田稔人 委員 令和2年5月ということですので、本当に感染症の初期の頃、早くから
新型コロナウイルス調査に取り組み、様々な工夫を行った結果、下水から
感染動向を把握することができるようになり、
ホームページで市民への
情報提供を開始しているということでございました。こういった取組は、下水が
感染症対策に貢献できるとともに、市民が下水道に対する理解や関心を深めるきっかけになるものであると思いますので、ぜひ、これからも積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
さて、国は、
オミクロン株の特性を踏まえ、9月26日から、全国一律で
感染症法に基づく医師の届出対象を限定し、保健・医療体制の強化、重点化を進めるという全数届出の見直しを行ったところです。将来的には、
新型コロナウイルス感染症の
発生動向調査が
全数把握から定点把握に見直される可能性もあり、受診体制や検査数等の影響を受けることなく無
症状感染者を含めた
感染状況を見える化できる
下水サーベイランスは、今後ますます有効なツールとなることが期待されております。
そこで、質問ですが、
全数把握の見直しの可能性を踏まえ、今後どのように
新型コロナウイルスの調査結果を活用できると考えているのか、お伺いさせていただきます。
◎土橋
処理担当部長 今後の
新型コロナウイルスの調査結果の活用についてお答えいたします。
札幌市は、これまでの長期にわたる調査で得られたデータから、下水中の
ウイルス濃度から
新規陽性者数を精度よく推定することが可能であり、
下水サーベイランスを
全数把握に代わって
流行状況を監視する手法として活用できると考えてございます。また、感染者からは発症前より
ウイルスが排出されるため、
下水調査で
医療機関等の検査よりも早期に流行を検知することが可能であり、下水で
感染拡大の兆候を把握した際には、速やかに市民へアラートを発信することで
注意喚起につながるものと考えてございます。
さらに、下水から将来の
感染者数を推計することで、日々の生活での
感染対策や
医療提供体制の構築などへ活用できると考えられることから、今後も、北大と連携して
感染者数の
予測手法について検討を行うなど、
下水サーベイランスの活用方法を模索しながら
新型コロナウイルスの
感染拡大防止に寄与してまいりたいと考えてございます。
◆
藤田稔人 委員
下水サーベイランスは、
全数把握に代わり、
流行状況を監視できるほか、
感染拡大の兆候を把握し、
注意喚起にも活用できるとのことでした。また、
感染者数の
予測手法についても検討しているとのことでございました。
本日、札幌市
ホームページに公表されている
下水サーベイランスの結果を確認してまいりました。こちらのデータを拝見しますと、
新型コロナウイルスの下水中の
ウイルスRNA濃度が前週比2倍と倍増しており、
感染拡大の兆候が見られるという情報が掲載されておりました。このような情報を、例えばですけれども、札幌市
公式LINEやツイッターなどで即座に周知するなど、情報発信にも積極的に活用していただき、
注意喚起をぜひ徹底していただきたいと考えております。
新型コロナウイルスは、今後も変異を繰り返し、収束までにはさらに大規模な
感染拡大が生ずることも懸念されておりますので、さらなる活用に向けて取り組んでいただきたいと考えております。
ところで、先日ですが、札幌市は
季節性インフルエンザウイルスの流行を下水で把握する調査を開始したとの報道がございましたが、下水による
インフルエンザの流行監視は、全国に先駆けた新しい取組であり、市民の関心も高いのではないかと考えております。
下水サーベイランスの技術は、様々な感染症の
流行状況の把握にも適用可能とされ、
研究機関などで
調査研究が進められていると聞いております。
そこで、質問ですが、
下水サーベイランスを様々な感染症へ適用することについてどのようにお考えか、お伺いさせていただきます。
◎土橋
処理担当部長 下水サーベイランスの様々な感染症への適用についてお答えいたします。
札幌市においては、これまでの
新型コロナウイルス調査の技術とノウハウを応用することで下水から
インフルエンザウイルスを検出することが可能となり、また、今冬は
新型コロナウイルスと
季節性インフルエンザの同時流行が懸念されることから、本年10月から
インフルエンザウイルスの調査を開始したところでございます。
インフルエンザウイルス以外の様々な感染症への適用につきましては、委員のご指摘のとおり、北大などにおいて
調査研究が進められていることから、今後の
技術開発の動向や
社会的ニーズを踏まえながら判断してまいりたいと考えてございます。
◆
藤田稔人 委員 現在は、
ウィズコロナと言われる局面であり、
感染防止対策と
社会経済活動を両立するということで、全体としては
新規感染者数の下げ止まりの傾向が続き、そして、今また
増加傾向に転じつつあるという非常に難しい局面を迎えているかと考えておりますが、そういった局面だからこそ、市民一人一人の自主的な
感染予防行動の徹底がこれまで以上に重要であり、今回取り上げさせていただいた
下水サーベイランスの情報は今後ますます重要性が高まると考えております。
札幌市は、早くから
新型コロナウイルスの
下水サーベイランスに取り組み、さらには、この技術を応用して
インフルエンザウイルスの監視も開始しており、
ホームページで公表される調査結果は市民にとって大変有益な情報だと考えております。引き続き、市民への
情報提供にとどまらず、
感染拡大防止と
社会経済活動再開に向けた政策決定のための判断材料としても活用できるよう検討を進めていただきたいと考えております。
元来、下水道は、市街地の汚水を速やかに排除することで生活環境を改善し、害虫の発生や感染症を防ぐなど、古くから公衆衛生の向上に寄与してきましたが、
下水サーベイランスは、下水道という社会基盤に感染症の監視といった新たな役割、価値を付与するものであり、下水道が感染症に強い社会の構築に貢献できる取組であると大変評価できると考えております。引き続き、関係部局との横断的な連携を行い、持続可能な実施体制を構築して
下水サーベイランスを効果的に
感染対策に活用していただきたいと考えております。
◆恩村健太郎 委員 私からは、下水道に関する市民理解の促進について伺います。
下水道施設は、
市民生活にとって必要不可欠なライフラインですが、地下に埋設されているものが多く、ふだん、市民が目にする機会はほとんどない状況です。その証拠に、令和元年度に行った札幌市の市民意識調査では、下水道をほとんどまたは全く意識していない市民の割合が4割を超えるなど、
下水道施設に対する市民の関心は低い結果となっております。こうしたことから、下水道の理解を促進していくための広報活動が必要ではないかと考えるところです。
そうした中、来年8月に下水道展'23札幌という展示会が札幌で開催されると伺いました。この下水道展は、下水道に関する国内最大規模の展示会でありまして、来年35回目を迎える歴史のある展示会となっております。今までは、東京を中心に横浜、大阪、名古屋、北九州で開催されてきましたが、今回、東京以北で開催されるのは初めてとのことでございます。去る8月には、東京ビッグサイトで開催され、企業の出展数が315社、ブースも1,000を超えまして、来場者数も約3万人を超えるなど、コロナ禍にあっても相当の企業が出展し、多くの来場があった非常に関心の高い展示会だと伺っております。
そこで、質問ですが、この下水道展が、なぜ札幌で開催されることとなったのか、その開催の意義と経緯について伺います。
◎吉田 経営管理部長 下水道展の札幌開催の意義と経緯についてお答えをいたします。
下水道展は、国内外の下水道関係者を対象に、幅広い分野の技術、機器を展示するとともに、一般の方々に下水道への理解と関心を持っていただくことを目的に、毎年8月に開催をされているものでございます。この下水道展が札幌市で開催されることは、道内の下水道関係者にとって、最新の技術などを学べるとともに、独自の技術や取組を全国に紹介することもでき、ビジネスチャンスが広がる大変意義あるものと認識をしております。
また、全国の研究者がその成果を披露する研究発表会というものも同時に開催をされており、自治体職員はもとより、
民間事業者の技術力向上につながり、そのほか、開催都市の市民にとりましても、下水道の機能や効果に直接触れることができる絶好の機会であると考えております。加えまして、道外から多くの来場者が見込め、札幌市や道内各都市の魅力を発信できるなど、観光面におきましても大きな意義があるものと考えております。
こうしたことから、平成31年から主催者であります公益社団法人日本下水道協会に対しまして招致を働きかけてきた結果、本年2月4日に札幌ドームを会場として開催することが決定したところでございます。
◆恩村健太郎 委員 下水道関係者にとって大変注目度が高い下水道展が札幌で開催されることは、非常に意義があるということがよく分かりました。平成31年からこの開催を働きかけてこられたということで、札幌市にとっても非常に効果の大きいものをしっかりと働きかけて招致につなげられたということは、非常に評価されるべきだと私は思っております。
また、このような大規模な展示会で多目的施設であります札幌ドームが会場となるということは、来年からファイターズが移転する札幌ドームの今後の活用面においても大変期待が持てるのではないかなと思います。
この下水道展ですが、下水道関係者だけではなく、広く一般市民も来場することを想定しているとのことで、札幌市下水道ビジョンや中期経営プランにおいても、幅広い世代への理解を促進するため、下水道の見える化に取り組むとありまして、こういった展示会の開催は市民理解を促進する絶好の機会になるのではないでしょうか。
そのためには、この展示会が、一般市民が興味を持ち、なじみやすく、理解しやすい内容となることが重要と考えます。
そこで、次の質問になりますが、来年開催される下水道展'23では、一般の来場者、市民向けにどのような取組を行うつもりなのか、伺います。
また、道外から多くの来場者が見込めるこの下水道展'23は、先ほどの答弁にもありましたが、観光面でも大きな効果が期待できるとのことでございました。そこで、道外からの来場者に対して、札幌や北海道の魅力を効果的にアピールするような取組も必要だと考えますが、何か想定しているものがあれば併せて伺いたいと思います。
◎吉田 経営管理部長 市民及び道外からの来場者に向けた取組についてお答えを申し上げます。
来年の下水道展では、札幌市と道内20都市が連携した独自の取組としまして、下水道の機能やその必要性など、ゲームやアトラクションなどで楽しく、かつ分かりやすく紹介したいと考えているところでございます。具体的には、ARを活用した大雨浸水時の疑似歩行体験ですとか下水道管の中を小型カメラで調査するゲームのほか、開催期間がちょうど夏休みでもありますことから、小学生向けの自由研究ノート作りのコーナーなどを設置したいと考えているところであります。また、札幌ならではの取組としまして、下水を利用した雪処理について模型で分かりやすく紹介するほか、市内の高等学校のサイエンス部の生徒と子どもたちが一緒に下水道の役割について学べる、そういったコーナーも設置したいと考えているところであります。
次に、道外からの来場者に対する取組につきましては、道内40都市の協力をいただきながら、札幌や北海道の魅力を満喫していただくおもてなしコーナーというものを設置したいと考えているところであります。具体的には、夏の札幌の爽やかな気候を生かし、下水道展では初となるオープンテラスというものを設置し、道内のご当地グルメをキッチンカーで提供するほか、各地の特産品の販売などを通じて札幌、北海道の魅力をアピールしてまいりたいと考えているところであります。
◆恩村健太郎 委員 来年の下水道展では、今ご答弁がありましたとおり、キッチンカーなどで札幌市の魅力の発信にも力を入れられるということですし、また、市民、子どもたち、そして道外からの来場者に向けた様々な工夫をした取組が行われるということが分かりました。
最先端の技術に触れることで、下水道に関する興味が高まることに加え、体験型アトラクションを設置するなど、夏休みの子どもたちにとっては大変いい経験になると思われます。とりわけ、高校生と子どもとのコラボなどは、幅広い世代の理解を促進する上で大変興味深い取組になるものだと考えます。そのような様々な取組がなされる下水道展'23とのことですので、この機会にできるだけ多くの方にご来場いただければなと思います。
そのためには、やはり、効果的な広報活動というものが必要になるものと考えます。また、このような分かりやすく楽しめる展示を行うのであれば、これらを会場に来られない方々に対しても情報発信していくということが、やはり、市民理解ですとか、この開催に向けて効果が高まるのではないかなと考えます。冒頭で申し上げたとおり、これまで下水道に関心がなかった市民へ、下水道展'23の開催を一つのきっかけとしてしっかり働きかけ、アピールすることが重要ではないでしょうか。
そこで、質問ですが、集客に向けてどのような取組を行うのか、また、来場できない方に対してはどのように情報を発信していくのか、現時点での考えを伺います。
◎吉田 経営管理部長 集客に向けた取組と情報発信についてお答え申し上げます。
集客の取組としましては、既に
ホームページでの告知に加えまして、開催1年前となる今年の8月1日から下水道科学館や環境プラザでの告知を開始しているほか、東京の下水道展や9月にチ・カ・ホで開催いたしました下水道の日イベントなどでのPRに努めてきているところでございます。今後は、JR札幌駅での広告掲出、そのほか雪まつりなどのイベントでのPR、さらには、市内の全小学生約8万5,000人に配付されています広報誌、こういったものを使って事前告知などを実施してまいりたいと考えているところでございます。
また、昨今、人気を博していますデザインマンホールというものについて、新たに札幌らしいデザインのものを製作するなど、下水道展に向けまして話題づくりや集客につながる取組を実施したいと考えているところでございます。
次に、来場されない方への情報発信につきましては、専用のウェブページというものを開設いたしまして、閲覧される方が札幌ドームに実際に展示されている様々なコーナーをストリートビュー感覚で見学できるような取組を考えているところでございます。また、先進事例の研究発表会などにつきましても、リアル開催とオンライン配信の両方で実施するなど、来場されない方にも広く情報発信してまいりたいと考えているところでございます。
◆恩村健太郎 委員 下水道は、ふだん、目にすることが少なく、やはり、使用している実感が湧きにくいものでもあります。今のご答弁にありましたとおり、雪まつりや広報誌を生かした広報活動ですとか、また、デザインマンホールによっての話題づくりといった幅広い手段を用いて興味・関心につなげていただきたいと思いますし、そして、多くの方にご来場いただけるような取組を期待しているところです。
私も、先日、うちの会派の水上議員とともに創成川
水再生プラザや下水道科学館を視察させていただきました。下水道科学館のほうでは、展示内容に下水道管の調査や水質検査などを行う11人のお仕事マスターというキャラクターがございまして、多くの下水道に携わる仕事の紹介なんかもしてくださっておりました。やはり、こういった子どもたちにも分かりやすく、また子どもたちの原体験というものは、大きくなったときに、あのとき見た思い出、楽しかった記憶というものが将来の仕事を選ぶときの選択肢にもなると思います。ぜひ、こういった取組を生かして、下水道に携わる職員の育成につながるような取組も今後は進めていただけたらなと思っております。
下水道展を含め、今後も継続的に情報発信に努めていただきまして、市民の下水道への理解を促進する取組を期待させていただきまして、私からの質問を終わらせていただきます。
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北村光一郎 委員長 以上で、第3項 河川費及び下水道事業会計の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
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休 憩 午後1時45分
再 開 午後1時47分
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北村光一郎 委員長 委員会を再開いたします。
次に、議案第6号 令和3年度札幌市水道事業会計剰余金処分及び決算認定の件について質疑を行います。
◆小須田ともひろ 委員 私からは、配水管の漏水事故と事故防止に向けた今後の取組について質問をさせていただきます。
人々の生活に欠かせないインフラの老朽化が全国的に大きな課題となっており、水道管においても、老朽化に伴って漏水し、時には長時間の断水や道路陥没などが伴うなど、
市民生活に影響を与える漏水事故も発生しております。札幌市内の約6,000キロメートルの配水管のうち、約5,000キロメートルが鉄製の管であり、泥炭などの土壌に長い間触れているとさびるなど、腐食してしまうと聞いております。そのため、現在は管と土壌が直接触れないように管にポリエチレン製のシートを巻いておりますが、その導入前に布設した管で漏水が発生しており、このような管が約2,000キロメートル残っているとお伺いしております。
これらの管を計画的に更新することが必要であるため、水道局では、平成25年度から令和6年度を事業期間とする第1期配水管更新事業により、腐食のリスクが高い704キロメートルの配水管の更新を進めるとともに、漏水事故を未然に防ぐ、または被害を最小限に抑えるために日常的に漏水調査を実施しております。
しかし、調査の際には問題なかった管路が、その後、急に漏水する事例もあると伺っており、年に数件、断水を伴うような漏水事故が起きていることも事実です。その中でも、今年の6月29日に八軒地区で発生した漏水事故では、深夜に突然大きな水柱が立ち、その映像が報道され、修理のために沿線の住宅が一時的に断水になったと伺っております。
そこで、質問ですが、八軒地区で発生した漏水事故の状況と発生時の対応についてお伺いいたします。
◎齋藤 配水担当部長 八軒地区で発生いたしました漏水事故の状況と発生時の対応についてですが、まず、漏水事故の状況について回答いたします。
今回の事故は、昭和49年に布設した管が腐食し、管の真上に穴が空いたため、水道水の圧力により地上に約10メートルの水柱が上がったものでございます。浸水や道路陥没の被害は発生しなかったものの、この管路の修繕のため、沿線の住宅31戸が一時的に断水となりました。
次に、事故発生時の対応について回答いたします。
漏水発生の一報を受け、局職員と、緊急時の対応を委託しております札幌市管工事業協同組合が現地に向かい、漏水の状況を確認した後に、午前5時に断水し、漏水箇所を掘削して管の交換を行いました。その後、管内の水の入替えや水質確認を行った上で給水を再開し、午前10時に全ての作業を完了しております。
今回の現場では緊急的に断水が必要となったため、水道局
ホームページでの広報のほか、各住宅を訪問して直接お知らせするとともに、断水している間にお使いいただけるようペットボトルの水をお配りいたしました。
今回は、深夜に発生した事故でありましたが、同組合における迅速な作業のほか、水道局で修繕に必要な資材を常時備蓄していることもあり、日中に起きた漏水事故と変わらない対応ができたものと考えております。
◆小須田ともひろ 委員 近年は地震や大雨などの災害が毎年のように発生しており、水道管が被害を受け、漏水が起こっている事例もございます。いつ起こるか分からない漏水事故や自然災害に備えて、これまでどおり緊急時にも対応できる体制を維持していただきたいと思います。
今回の八軒地区での漏水は腐食によるものということでしたが、漏水した管の写真を見ますと、穴の空いた箇所以外にも腐食が進んでいるような部分があったため、今回修理をした箇所とは別の場所から再び漏水が発生することも心配されます。
そこで、質問ですが、今回の八軒地区の漏水を踏まえて、今後、漏水が心配される管路についてどのような対応を行っているのか、お伺いいたします。
◎齋藤 配水担当部長 今後漏水が心配される管路における対応について回答いたします。
水道局では、腐食により漏水が発生した管路などについては、速やかに漏水調査を実施して残りの管路に異常がないか確認するとともに、更新の優先順位を上げて可能な限り早期に更新を行うこととしております。八軒地区におきましても、管路の漏水調査や点検などの
維持管理業務を委託しておりますさっぽろ水道サービス協会において事故後に作業員が漏水音を聞き取る音聴調査を行い、その結果、漏水がないことを確認しております。また、委員のお話にもありましたが、現場での修繕の際に穴の空いていた箇所の周辺でも腐食が進んでいることを確認しており、念のため今年度中に布設替えを行うこととし、既に工事に着手しております。
なお、この布設替えが完了するまでの期間においては、万一の急な漏水に備えるため、同協会の協力を得まして、管路に伝わる音の大きさにより漏水の有無を判定するセンサーを新たに設置し、遠隔監視することで管理を強化しております。
◆小須田ともひろ 委員 今後も事故が起こらないように、事前に対策をしていくことが重要と考えます。
第1期配水管更新事業では、残りの事業期間である令和4年度から6年度までの3年間で約150キロメートルの配水管を更新することで、予定どおり完了できる見込みだと伺っております。第1期配水管更新事業の対象路線の更新を着実に進めるとともに、今回のこのような事故が起きていることを踏まえて、漏水事故のリスクを低減させるという観点から、可能な限り更新を前倒ししていくことも必要と考えております。
その一方で、近年、物価が高騰している影響により、従来に比べて建設資材や管材料など更新に必要な費用が増加しているため、精度の高い腐食予測に基づき更新の優先順位を定め、より効率的に更新していくことが不可欠になっていくと思います。
また、漏水調査につきましては、聴覚により漏水箇所から発生する漏水音を探知する音聴調査などに加え、センサーを設置するなどの新たな取組をしているとのことでございましたが、道内外におきまして、人工衛星から取得したデータをAI技術で解析して漏水の可能性があるエリアを特定する技術を取り入れている自治体があると報道されており、札幌市においても新しい技術を積極的に取り入れるなど効率的な調査を追求していくことが必要と考えます。
そこで、質問ですが、漏水事故防止に向けて、今後の配水管更新事業や漏水調査の在り方についてどのように考えているのか、伺います。
◎齋藤 配水担当部長 今後の配水管更新事業や漏水調査の在り方について回答いたします。
まず、配水管更新事業につきましては、今年度の八軒地区の緊急的な工事に加えまして、漏水リスクが高いと考えられる管路の一部について更新を前倒しして実施しております。物価高騰の影響などを受けながらも、限られた財源の中で効率的かつ効果的に更新を進めるためには、リスクが高いと考えられる管路は早急に更新し、一方で、健全な管路はできるだけ長く使っていくことがこれまで以上に必要だと考えております。
そのために、工事によって掘り上げた古い管や周辺の土壌の調査を重ね、得られたデータを反映させていくことで腐食の進行度合いの予測精度を向上させ、更新の優先順位を柔軟に定めていきたいと考えております。
次に、漏水調査については、第1期配水管更新事業の対象管路などリスクが高いと考えられる管路を中心に調査頻度を上げるなど、これまで以上にきめ細やかに実施してまいります。
また、漏水調査に係る新技術につきましては、今、委員からお話のあった衛星画像を用いた調査を今年度から札幌市においても試験的に実施しており、その結果に期待しているところではありますが、引き続き情報収集などを積極的に行ってまいりたいと考えております。
今後も、漏水件数・事故に向けて管の更新と漏水調査という両輪の対策をより充実させ、安定給水の確保に努めてまいります。
◆小須田ともひろ 委員 水道局では、これから次期水道ビジョンの策定に着手していく予定と伺っており、それに合わせて今後の配水管更新の進め方などについても検討していくと思います。配水管の更新においては、耐震管を使用することで耐震化も図っていると伺っており、国土強靱化という面を併せて考慮し、次期水道ビジョンの期間においても着実に進めていただきたいと考えております。
また、近年の物価高騰への対策にも配慮し、漏水調査に限らず、更新工事や点検などの
維持管理におきましても、先ほどのお話にありました衛星画像を用いた漏水調査のようなICTなどの新技術を取り入れて、漏水事故の防止対策をより効果的に推進していただくことを求めまして、私の質問を終わります。
◆水上美華 委員 私からは、水道基本料金の減額について質問いたします。
新型コロナウイルス感染症の影響に加え、原油価格の高騰や原材料価格の上昇、急激な円安、ドル高の進行等により、石油製品や食料品などの価格が大幅に上昇し、
市民生活に大きな影響を及ぼしております。
こうした状況を踏まえ、私ども会派は、7月13日に物価高騰対策に関する緊急要望書を秋元市長宛てに提出いたしました。要望書において、全ての市民が享受できる負担軽減策を講じることとして公共料金等の減免を提言してきたところであり、2022年第3回臨時市議会において、水道基本料金の減額など、物価高騰等の影響を受ける幅広い市民への支援に対し迅速に対応してきたことについて、高く評価をいたします。
そして、今月、10月の検針分から水道基本料金の減額が始まりました。市長が減額を発表してから2か月半という短い時間で約102万件への減額対応をするということは、なかなか大変な作業であったと推察いたします。しかしながら、
市民生活に直結する水道料金の請求につきましては、時間のない中の対応であっても適正な事務処理が求められるものと思います。
そこで、質問ですが、減額が行われてから約1か月が経過しておりますが、事務等は滞りなく順調に進められているのか、お伺いいたします。
◎福澤 総務部長 水道基本料金減額の実施に向けた取組についてお答えをいたします。
このたびの水道基本料金減額は、過去に対応経験のないものであり、限られた期間の中で準備を進めることが求められたところでございます。このため、システムの改修は必要最低限にとどめまして、それ以外の部分は職員の手作業によって対応することといたしました。具体的には、システム改修に伴い、円滑に問題なくシステムが稼働するよう動作検証を迅速に行うとともに、検針受託者や各料金課の職員に対しては、職員みずからが手計算する場合の入力の仕方など減額に関する事務手順の整備や、説明会を開催することで事務処理の徹底に努めてきたところであります。さらに、現在においても、システムの常時監視や職員が個別に処理したデータの再チェックを実施するなど、適正な減額処理に向けて対応を継続しております。
このように、限られた時間ではありましたが、職員一丸となって減額に向けた準備をしてきたことで、現在までのところ、減額事務を問題なく進めております。
◆水上美華 委員 過去に対応したことがない内容で、システムの改修は最小限にとどめながら、それ以外の部分は職員の手作業による対応であったというような答弁でございました。2か月半という本当にとても短い準備期間の中、減額に向けた体制づくりなど、その準備は大変なものだったと推察いたします。全世帯への一括した減額対応は、本市水道局として初めての取組と聞いております。これまで培ってきた職員のノウハウなどを持ち寄りながら、想定されるトラブルにも対応しながら準備してきたとも伺っております。現在、遅滞なく、順調に減額事務が進められていることが確認できましたので、少し安心をしております。
ところで、この水道料金の減額は、過去に例のないことであり、市民に対する事前の周知が重要であるため、私ども会派では、さきの2022年第3回臨時市議会の建設委員会におきまして、減額発表から実施までの期間が離れていることもあり、減額の実施時期が近づいてきた時点で改めて市民への周知を行うよう要望してきたところでございます。その結果、水道局
ホームページやSNS、広報さっぽろのほか、10月に入ってからは町内会の回覧や地下鉄駅などへポスターが掲示されているなど、実際に私も拝見いたしました。また、10月に入って、本市の
公式LINEからもタイミングを見計らってメッセージが届いておりました。さらに、検針時に投函しております使用水量や水道料金を記載したお知らせ票、こちらにも減額実施が印字されていたり、併せて配付されていたリーフレット、じゃぐち通信にも減額の概要が記載されていたりするなど、機会を捉えて市民周知を実施していただいてきていると思っております。このような市民周知によって市民の関心はより高まったものと思いますが、同時に市民から様々な反応があったのではないかと思います。
そこで、質問ですが、このたびの水道基本料金減額について、市民からどのような反応があったのか、お伺いいたします。
◎福澤 総務部長 水道基本料金減額に係り寄せられたご意見など、市民の皆様からの反応についてお答えをします。
水道局には、水道基本料金の減額が決定した後から現在に至るまで、約2,500件の様々なお問合せをいただいているところであります。お問合せの主な内容といたしましては、水道基本料金減額開始前の9月までは減額の内容や時期などに関する確認のお問合せが多くありましたけれども、10月以降は通常より料金が減額されていることに対する確認のお問合せが多くなっております。また、入居者に係る水道料金の減額対応をお願いしているマンション等集合住宅の管理会社等からも、具体的な料金の計算方法や減額方法の確認などについて多くのお問合せをいただいております。
このように、市民の皆様からは水道料金の減額に関する確認についてのお問合せがほとんどを占めておりますが、このほかに、事業用も減額対象にしてほしいといったご意見や、減額の手続に係る負担が大きいといった集合住宅の管理会社等のご意見、水道料金を減額してくれてうれしい、ありがたいといった支援に対する感謝の声なども寄せられております。
◆水上美華 委員 2,500件ほどの問合せということで、市民の関心が高いことを理解いたします。また、特に10月以降の問合せの多くが減額後の料金に関する確認ということであり、また、事業者の方からも減額してほしいというような要望があったということで、市民の皆様には水道料金が安くなってきているということを実感していただいているものと考えるところでございます。
また、料金に着目した施策でありますので、一人暮らしの方や家計を管理している方などは実感を得やすいものの、それ以外の口座振替やクレジットなどで自動的に支払いをされている方は実感しづらいものと想像するところであります。そういった点では、ポスターやSNSなど広い市民への周知の働きかけを通じてより多くの方に認知していただき、物価高騰等の影響を受ける市民の生活支援につながることを期待しているところでございます。
ところで、先ほどの答弁にありましたように、水道料金の減額対応については、現在のところは遅滞なく順調に事務が進められているということでありましたが、この対応は11月末まで続きますので、水道局には引き続き適正な事務に努めていかいただかなければなりません。
そこで、最後の質問となりますが、10月の減額対応の経過を踏まえて、残り1か月についてどのような点に配慮しながらこの事務作業を行っていくのか、お伺いいたします。
◎福澤 総務部長 今後の事務処理の進め方についてお答えします。
委員のお話にもありましたように、減額対応につきましては残り1か月ほどとなりますが、これまでも、システムの動作監視を行う中で、減額に伴う事務処理の不具合を発見した場合は速やかに事務を改善するなど、料金請求に支障を来すことのないよう、適宜、対応してきております。今後も、引き続きシステムの常時監視や事務処理の再チェック等を行いながら適切に減額処理を進めてまいりたいと考えております。
また、市民対応につきましても、これまでの様々な市民の皆様からのお問合せ内容につきましては、その後の適切な対応に生かすため、電話受付センターや各料金課などにおいて、適宜、情報共有を図り、市民の皆様の疑問や不安に対してきめ細やかに対応してまいりたいと考えております。
このたびの水道料金の減額は、
市民生活に直結する重要な事務であることから、引き続き万全の体制をもって減額体制を進めるとともに、12月の減額対応終了時において、通常の料金計算へ切り替える際も適切に対応してまいりたいと考えております。
◆水上美華 委員 水道基本料金の減額は料金の請求という
市民生活に関わりの深い事務でありますので、適正な事務処理が何よりも大事でありますが、ただいまの答弁で、水道局において最善を尽くすという趣旨のお話を伺うことができまして、安心したところでございます。
水道局の皆さんにとっては大変なご苦労があると思いますが、物価高騰等によって生活に影響を受けている市民が多い中、水道基本料金の減額は市民の負担が軽減されるとてもよい取組だと思いますので、市民への良質なサービスを引き続き提供していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
◆森山由美子 委員 私からは、水道事業における自然災害への備えについて、3点質問をいたします。
今年9月に本州に上陸した台風15号では、静岡市で浄水場に川の水を取り込む取水施設に流木や土砂が流入し、取水ができなくなったことによる大規模な断水が発生し、
市民生活に大きな影響を及ぼしました。現在のところ、北海道に接近する台風の数は本州と比較して少ないものの、平成28年には、8月17日から23日までのわずか1週間のうちに三つの台風が上陸し、土砂崩れなどによる国道274号日勝峠の長期通行止めや、河川の氾濫による農地への浸水により広域にわたる農業被害が発生したことを記憶しております。現在危惧されている
地球温暖化等の気候変動の影響により、今後は、北海道においても本州のような規模や回数の台風が襲来することが十分に想定をされます。このほか、さらにさかのぼると、平成26年9月11日の大雨では、北海道においても線状降水帯が形成され、胆振地方西部から石狩地方南部にかけて短い時間に猛烈な雨が降り、北海道初の大雨特別警報が発表されました。
このような状況を踏まえますと、水道は、市民にとって重要なライフラインであり、激甚化する自然災害に対しても被害による影響が最小限となるよう、いわゆる減災の観点から
ハード対策と
ソフト対策の両面から取組を進めなければなりません。特に、水道システムにおいて重要な施設の一つである浄水場は、大雨により川が増水して取水施設に大きな被害が発生した場合や、施設が浸水して機械や設備が停止してしまった場合、浄水処理の継続が困難になり、最悪の場合は広い範囲で断水となることが懸念をされます。
本市最大の浄水場であり、市内の給水量の約8割を担う白川浄水場は、豊平川上流に位置しておりますが、1,000年に一度程度の大雨を想定した
浸水ハザードマップを見ますと洪水による浸水範囲に含まれていることから、令和3年度から対策工事に着手をしていると聞いております。加えて、静岡市の事例についてはまだまだ詳細な情報は示されていないものの、白川浄水場で同様な事態が発生した場合、
市民生活に与える影響は非常に大きいと推察をするところでございます。
そこで、質問ですが、白川浄水場における水害への
ハード対策について、
取組状況をお伺いいたします。
◎村上 給水部長 白川浄水場における水害への
ハード対策についてお答えいたします。
浄水場の水害において注視すべき点は、委員のご指摘のとおり、川からの取水と浄水場の継続という2点がございます。
まず、川からの取水についてでございますが、白川浄水場の上流に複数のダムがあり、増水時であってもこれらのダムが流木や土砂などを受け止めることになります。また、取水施設は、浸水範囲の外側に位置してございまして、水を取り入れる部分は川の流れを遮らない場所にあり、これに加え、施設上部が覆われていることから、流木や土砂が施設内に流入して取水不能となる可能性は低く、静岡市と同様の被害は発生しにくいと想定しております。この取水の状況は、職員がテレビカメラで24時間監視しており、枝や落ち葉を取り除くなど、平時からの
維持管理を徹底しているところでございます。
続きまして、浄水処理の継続についてでございますが、万一の水害時には、三つの浄水棟のうち、最も標高が高い位置に立地する第3浄水棟を中心に浄水処理を継続することになると考えております。その機能を確保するために、浸水が想定される中央管理棟や水道水を貯留する浄水池などに水の浸入を遮る止水板の設置、開口部の位置変更、防水性の高い扉への交換などの
浸水対策を進めており、今年度中にはそれらがおおむね完了いたします。これにより、浄水処理機能が確保できるものと考えております。
また、これらの対策に加えまして、建設予定の新浄水棟は、浸水が想定される深さよりも高い位置に施設の開口部を設けるため、完成後は水害に対する安全度がさらに向上するものと考えております。
◆森山由美子 委員 静岡市と同様の事例が発生する可能性は低いということで、それは安心材料だというふうに思っております。施設の
ハード対策に対する
取組状況については理解をいたしましたが、引き続き、そのほかの水道施設でも自然災害への備えを万全にしていただければというふうに思うところです。
しかしながら、昨今の災害を見ますと、想定を超える事象が発生する可能性は否定できません。実際に、災害により水道施設に被害が発生した場合、直接この影響を受けるのは利用者である市民です。静岡市の事案では、台風による被害が発生した9月24日から10月6日までの13日間にわたり、地域によっては飲料水の供給ができない事態となり、応急給水活動が行われました。さきの
ハード対策を進めても、なお、万が一、このような事態が発生することを想定すると、市民に対する緊急貯水槽などの応急給水施設の場所や給水を受けるために必要な容器の準備など、断水に備えた行動の周知や、また、職員に対しては、災害発生時における水道局の応急体制の構築を早期に実施するための訓練といった平時からの
ソフト対策も重要というふうに考えます。
私が住んでいる西区には、緊急貯水槽が3か所設置されておりますが、今年度は9月に西区発寒にある鉄興公園で説明会が開催されておりました。応急給水施設の周知のために水道局が近隣町内会を対象に実施している緊急貯水槽の説明会は、市民の防災意識向上に寄与する大変いい取組だというふうに思います。
しかし、昨年度は、
新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、対面での説明会が開催されなかったというふうに聞いております。このような説明会のほかにも、
感染拡大防止の観点から、令和3年度は、札幌市総合防災訓練が中止となり、札幌市災害対策本部運営訓練の規模が縮小となったほか、水を補給するための拠点を開設する訓練も中止とせざるを得なかったというふうに聞きました。災害対応は平時の業務では経験することがない対応ですから、有事における手順や行動を職員が習熟するためには、継続した訓練の実施は欠かすことができないものと考えます。
そこで、質問ですが、コロナ禍において訓練などの
ソフト対策の取組をどのように実施していたのか、お伺いいたします。
◎村上 給水部長 コロナ禍における訓練などの
ソフト対策についてお答えいたします。
委員のご指摘のとおり、参集を伴う訓練はその多くを中止といたしましたが、このような情勢にあっても災害に備えた取組を継続することの重要性は強く認識しているところでございます。
そこで、市民に対しましては、説明会に替えて、応急給水施設の位置や写真などを示した資料を町内会を通じて回覧板で配付するなど、コロナ禍にあってもできる限りの取組を実施いたしました。職員に対しましては、災害対応マニュアルの理解度を高めるための自主学習を実施したほか、連携協力に関する基本協定を締結している江別市や小樽市、北広島市との訓練を、
感染症対策を踏まえ、少人数で実施し、訓練の継続性の維持に努めてまいりました。そのほか、中止や縮小となった訓練においても、準備段階において想定した災害が発生した場合の初動における行動手順や情報伝達経路の確認、共有すべき情報の抽出について検討することで、災害対策への意識や対応力の向上が図れるものと考えております。
今後も、
新型コロナウイルス感染症の発生状況を注視しつつ、市民や職員に対する訓練などの
ソフト対策について工夫を凝らしながら継続するとともに、内容を充実させて実施していく所存であります。
◆森山由美子 委員 コロナ禍にあっても、できる範囲で工夫をしながら取組を継続し、実施してきたということが分かりました。答弁にありました市民への資料配付については、平日の昼間の開催には参加できない現役世代の市民から、応急給水施設を知るきっかけとなったとして感謝の声が届いたというお話も聞いております。引き続き、欠かすことのできない取組を着実に進めていただければというふうに思います。
最後に、大都市の水道事業体と連携した災害訓練について伺います。
静岡市の事案を見てみますと、大規模な災害にあっては、災害時における断水等の早期回復に向け、被災地域での給水活動や復旧作業のため、札幌市をはじめ、多くの水道事業体が加盟する公益社団法人日本水道協会を中心とした全国の大都市を含む複数の事業体のほか、自衛隊の派遣が行われておりました。札幌市が被災した場合、本市と同規模の都市が北海道内にないことを考えますと、応援の受入れや応援体制の確立に当たっては大都市事業体間の連携も重要であると考えます。
他事業体からの応援を受けるような大規模な災害を経験する機会は限られますので、効果的な応援の派遣や受入れ体制を確保するためには、訓練を通じてノウハウを積み重ねるとともに、日ごろから関係性を構築していく必要がございます。水道事業を運営する18の政令市に東京都を含めた19の事業体の間では、19大都市水道局災害相互応援に関する覚書実施細目を締結しているというふうに聞きました。この覚書の中で、本市と仙台市、川崎市は、災害時には職員を派遣し、被災状況の把握や応援要請に関する連絡調整などを行う、応援幹事都市という関係にあるというふうに伺っております。とりわけ、仙台市とは、平成9年から相互応援に関する訓練を行うなど良好な関係が築かれているという印象を受けました。
そこで、質問ですが、
ソフト対策の中でも大都市の水道事業体との連携や訓練をどのように実施しているのか、伺います。
◎村上 給水部長 大都市との連携や訓練の状況についてお答えいたします。
本市にとって、仙台市と川崎市は大規模な災害発生時における応援活動の中核を担う都市であり、震度6強以上の地震が発生した場合には相手の要請を待たずに職員を派遣する覚書を締結するとともに、定期的な防災訓練や情報交換を実施することで災害時応援体制の強化に努めているところでございます。
特に、今年度は、11月に、川崎市と4年ぶりの参集形式による地震を想定した合同訓練の実施を予定してございます。今回の訓練では、10名の職員が空路と給水車等による陸路に分かれて被災事業体と想定した川崎市に向かうこととしてございます。この訓練は、相互の応援活動の効果を確認し、相互理解を深めることで危機管理対応能力の強化を図ることを目的としており、災害発生時の応援受入れ、現地での具体的な応援作業の手順、給水活動や復旧に向けた取組等の確認を行うことを予定しております。
また、訓練では、川崎市に向かう途中に中継地として立ち寄る茨城県日立市において、現地の被害状況や応急給水に関する
情報提供を受ける訓練も予定してございまして、大都市以外の事業体との連携も深まると考えております。