委 員 小 形 香 織 委 員 池 田 由 美
委 員 吉 岡 弘 子 委 員 長 屋 いずみ
委 員 田 中 啓 介
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開 議 午後1時
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○北村光一郎 委員長 ただいまから、第二部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、小須田委員からは欠席する旨、
村上ひとし委員からは池田委員と、千葉委員からは田中委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。
それでは、議事に入ります。
最初に、議案第2号 令和3年度札幌市
病院事業会計決算認定の件について質疑を行います。
◆丸山秀樹 委員 私からは、
市立札幌病院におけます医業外収益への取組についてと
医療ソーシャルワーカーの業務についての2点について質問をさせていただきます。
最初に、
市立札幌病院における医業外収益を増やすための取組について伺います。
令和3年度決算におきまして、収益的収支は20億6,500万円の黒字を計上しており、黒字は2年連続となっておりますけれども、これは、
感染症病床確保促進事業費補助金による補填があってのものであり、この補助金がなければ、およそ35億円の赤字となっている状況にあります。
市立札幌病院では、自治体病院として、
新型コロナウイルス感染症に最前線で対応し、これまで、
新型コロナウイルス感染症対応病床を確保するため、一般診療を制限しなければならなかったことは、十分理解をできるところであります。
一方、現在、第7波も落ち着きを見せている中、先月26日から
新型コロナウイルス感染症陽性者の全数届出が見直されるなど、
新型コロナウイルス感染症に係る国の対応にも変化が出てきており、当該補助金がなくなった際、一般患者もすぐには戻らなく、経営状況に支障が出てくることも懸念されるところであります。
持続可能な病院経営を続けていくためには、まず第一に、医業収益を回復させていくことは必須でありますが、これを少しでも補完する意味でも、病院の資産を積極的に活用し、医業外収益についても増やしていく取組をしていくことも重要と考えます。
市立札幌病院は、令和2年度から
デジタルサイネージを設置するなど、本業以外でも、できるところから収益を上げる努力をしていることと思います。
そこで、質問ですが、
市立札幌病院における医業外収益の取組事例にどのようなものがあるのか、また、今後、医業外収益を増やしていくための取組についてどのように考えているのか、伺います。
◎日高
経営管理部長 医業外収益の取組事例、それから、医業外収益を増やしていくための取組についてのご質問かと存じます。お答えさせていただきます。
市立札幌病院の建物、施設等につきまして、行政財産の
目的外使用許可等を与えて使用料を得ている雑収益、こちらは8,500万円程度となっているところでございます。
ご指摘のございました
デジタルサイネージにつきましては、令和2年4月から、当院1階の中央ホールの待合スペースに3か所設置いたしまして、
近隣クリニック等の診療案内に係る情報など、現在、広告枠が20枠あるうち、15枠で配信いたしまして、設置事業者、こちらは広告代理店でございますが、年間23万円程度の使用料を得ているところでございます。
その他、売店、コンビニエンスストア、あるいは、喫茶店、カフェ、それから、自動販売機などにも設置許可を与えまして、同様に使用料を得ているほか、駐車場料金につきましても、令和3年度で2,500万円ほどの収入があったところでございます。
また、令和3年9月から新たに、入院患者様が手ぶらで入院できるよう、タオルや日用品、それから、おむつなどがセットになりました、日額の
入院セットレンタル提供サービス、こちらを開始いたしまして、こちらの事業者からも1年間でおよそ120万円程度の使用料を得ているところでございます。
新型コロナウイルス感染症対応の影響で、入院患者様やお見舞いに来院される方が減少していることなどから、これら収入も厳しい状況にはございますが、他の公立病院はもとより、民間の病院の事例、こちらも広く参考にしながら、収益を増やす取組について、今後も引き続き研究してまいりたいと考えております。
◆丸山秀樹 委員 次に、現場レベルの事柄といたしまして、入院患者の相談窓口であるいわゆる
医療ソーシャルワーカーの業務について、何点かお聞きしたいと思います。
我が国は、2025年以降、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、超高齢化社会を迎えることから、それに応じて医療ニーズはさらに高まるものと思います。
一方、医療資源には限りがあり、容易に増やせるものでもないことから、医療機関の役割分担がより一層重要となります。患者は、地域の
かかりつけ医療機関での治療を基本としながら、急性期の加療や手術が必要な場合に市立病院のような大きな病院に入院し、その後は、長期療養やリハビリを専門とする施設に移ったり、在宅医療に移行するといった
医療サービスの使い方がますます求められる時代になるものと思います。
患者の病状や生活状況はそれぞれ異なり、また、どのような医療や福祉支援が存在するのかも分からないため、専門的な支援が非常に重要であり、
医療ソーシャルワーカーの業務に関する相談体制の役割、そして、これを充実させていくことは、ますます重要になってきていると認識いたします。
私のところにも、例えば、退院後の在宅生活は難しいが、介護施設はどこがよいのか分からない、また、当てがないといった話も聞こえてまいります。介護施設の相談は、民間病院であれば、医療法人が高齢者施設を経営しているということもありますが、市立病院にはそのようなこともございません。
また、ひとり親で、自分が入院してしまうと、家に残された子どもが心配、年金収入だけでは今後の療養に関する費用の支払いができないといった場合、医療機関では解決できないため、行政との連携、市内部で言えば、保健福祉局や区役所との連携が必要となります。そのような場合、まさに
医療ソーシャルワーカーの初動対応が重要になってくるものと思います。
そこで、質問ですが、
市立札幌病院には、医療、介護における院内外の多くの医療機関等を橋渡しする部署として
地域連携センターがあり、そこに
医療ソーシャルワーカーが配置をされておりますが、その体制や取組内容はどのようなものなのか、また、患者への支援に当たり、行政などとどのように連携し、対応しているのかを伺います。
◎矢田
地域連携センター部長 医療ソーシャルワーカーの業務体制、取組内容及び行政等との連携についてお答えいたします。
入院患者さんの転院調整や在宅療養を支援するための相談業務に関わる体制としては、当院では、
医療ソーシャルワーカー6名、看護師6名の計12名の相談員を病棟に配置し、患者さんが抱える退院後の不安や悩みにきめ細やかに対応しております。
退院後の療養に必要あるいは活用すべき医療や福祉制度は、患者さんやご家族が必ずしも十分な情報を有していないことから、他の医療機関や高齢者施設、
訪問看護ステーションとの仲介や調整を行い、患者さんが必要とする医療や福祉のサービスを受けられるよう支援しております。
また、病状や生活状況等によっては、患者さんやご家族だけでは解決困難な問題に直面するケースがあることから、福祉の助成制度や生活保護制度の活用を助言したり、区の保健福祉課や保護課をはじめ、関連する行政機関への連絡、相談を中継ぎするなど、行政機関等との連携を図っております。
例えば、退院後、自宅で介助してくれるはずのご家族が入院予定となったために、生活全般において必要な支援が受けられるように調整をしたり、身体に障がいを有する方の自宅退院に向けて、介護用品の導入や介護認定の申請手続を支援するといった事例が数多くあります。
患者さんはもちろん、そのご家族も支援の対象と考え、患者さんが望む生活の実現に向けて、退院調整や在宅療養をサポートしているところでございます。
◆丸山秀樹 委員 事例を通して、患者に寄り添った必要な支援を行っているというようなお話もございました。このことは、とても心強いことだと思います。特に、市立病院であることを生かして、行政の福祉制度の活用を患者のために促している活動は、まさに
市立病院ならではのすばらしい取組でもあります。
さて、昨今、社会や医療を取り巻く状況の変化によって、患者や家族の相談内容は多様化・複雑化していることから、
医療ソーシャルワーカーの
スキルアップを図っていくことが非常に重要と考えます。
また、
医療ソーシャルワーカーの業務は、退院を支援するということで、国が進めている医療機関の役割分担、いわゆる紹介、逆紹介につながるものであります。市立病院のような専門診療や急性期治療を行う病院は、病状が安定した患者には、状態に応じた適切な医療機関に逆紹介するということになりますが、その際、
市立札幌病院は受診させてもらえない、もう来るなと言われているようなものといった、追い出し行為と誤解される場合もあるのではないかと推察いたします。そうした意味では、退院支援に関する制度全般に対し、市民理解を促進していくことも必要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、
医療ソーシャルワーカー業務の今後に向けて、相談員の
スキルアップや、
相談支援業務に対する患者や市民の理解をより深めていく必要性について、どのように考えているのか、お伺いいたします。
◎矢田
地域連携センター部長 相談員の
スキルアップや市民理解の促進についてお答えいたします。
当院では、院内向けに身寄りがいない患者の退院支援に関わる
対応マニュアル等を整備するなどして、患者さんへの支援や対応方法が、相談員によって差が生じないよう、標準化に取り組んでおります。
相談員に求められる業務知識は多岐にわたり、また、医療、介護、障がいに関する福祉や助成の制度は、社会情勢の変化等により変更されることが多いことから、民間の医療機関との意見交換や事例研修等に参加しております。今後は、外部機関が開催する研修等も活用して、相談員のさらなる
スキルアップを図ってまいります。
また、委員がご指摘のとおり、国は医療機関の役割分担を推進しており、当院は、
地域医療支援病院として入院や手術が必要な高度急性期の治療を担い、病状が安定した患者さんは身近なクリニック等の地域の医療機関へ紹介することが求められております。
相談員が行う退院支援業務は、これを具体化するものであり、患者さんやそのご家族に当院の役割を理解いただくことが大切であることから、当院では、こういった病院間の連携の仕組みについて市民理解を広げていくため、例えば、本年6月に市民公開講座を開催し、かかりつけ医を持つことの普及啓発に取り組んだところです。
当院としては、今後も、このような取組を継続して、
地域医療支援病院としての役割を全うし、市民が安心して身近な地域の診療所等を頼れるような、医療機関の連携を実現できるよう努めてまいります。
◆丸山秀樹 委員 何点か要望をさせていただきます。
今後も、高齢化社会の進展や核家族化、さらには、生活環境やライフスタイルの多様化の中で生じた深刻な患者とその家族への課題対応など、相談員に求められる業務知識は多岐にわたるものと思います。
中でも、区役所や保健福祉局など、関係する行政機関への中継、連携の実績と蓄積されたノウハウは、市内の多くの医療機関への手引となり、市立病院の存在を高めることにつながるものと考えます。さらに、市内の
民間医療機関との意見交換や事例研修が持続されれば、
市内医療機関と行政機関との連携もよくなり、市民にとっても、より円滑な課題解決につなげることができると思います。
また、答弁にありました市民公開講座などを通じた、市民へのかかりつけ医の理解と普及啓発は、市民が抱く不安や不信感を安心感に変え、
市内医療機関からも市立病院への信頼感を強固にする大事な取組となっていくと、大きな期待をしたいと思います。
今後も、市立病院における
医療ソーシャルワーカーの役割と、市民と市内診療所を結ぶさらなる市立病院の積極的な取組に期待し、質問を終わります。
◆小田昌博 委員 私からは、
市立札幌病院の職員の働き方について、3点ほど質問させていただきます。
市立札幌病院は、2020年1月に北海道内で最初の
新型コロナウイルス感染症患者を受け入れて以来、2,000人を超える入院患者を受け入れてきており、その間、7度にわたる感染拡大の大きな波に対応されてきました。道内唯一の第1種、第2種、両方の指定を受けた医療機関であり、かつ、自治体病院として、
新型コロナウイルス感染症対応の最前線に立たれ、札幌市全体の医療を支えてこられたことにご苦労が多くあったものと考えます。
この2年8か月にわたる
新型コロナウイルス感染症への対応において、当初は情報量も少なく、ワクチンの接種もない中で対応を余儀なくされ、また、その後において、感染の波が落ち着いてきたら、また次の波がやってくるということが繰り返され、
市立札幌病院の職員は、これまでと異なる働き方をされてきたかと思います。
一つ目の質問になります。
新型コロナウイルス感染症に対応するに当たり、
市立札幌病院の職員の働き方にどのような変化があったのかを改めてお伺いいたします。
◎日高
経営管理部長 新型コロナウイルス感染症対応に当たっての職員の働き方の変化についてのご質問かと存じます。お答えさせていただきます。
ただいま委員からご指摘がございましたとおり、令和2年1月27日に道内初の
新型コロナウイルス感染症患者を受け入れて以降、今般、第7波まで、延べ2,000人以上の新入院患者を受け入れ、その間、最大で六つの病棟、それから、110床の感染症病床を確保いたしました。また、1日当たりの
最大入院患者数、これが98人という、そういう時期も経験してまいったところでございます。
第5波以降は、
受入れ可能医療機関を拡充していったこともございまして、当院は、重症者、透析患者、介護等を要する高齢者、小児患者等、他院では受入れの難しい患者を積極的に受け入れてきたところでございます。
これらの
新型コロナウイルス感染症対応に当たりましては、特定の病床を
新型コロナウイルス感染症専用に固定したり、あるいは、感染症内科といった特定科、診療科のみで対応するのではなく、保健所の求めに応じながら、即時かつ柔軟に一般病床を感染症病床に転用することで、最大限の患者受入れに努めてまいったところでございます。
このほか、高齢者、それから、基礎疾患のある方、小児等の
一般向けワクチン接種を実施いたしましたり、当院受診者用の発熱者一時診察、あるいは、夜間・休日の急変患者の受入れなども実施してきたところでございます。
これらの業務を着実に実施するためには、全診療科の医師、看護師等が、専門領域にとらわれず、通常とは異なる感染症対応や診療科での不慣れな業務に臨機応変に対応することを求められ、しかも長期にわたり従事せざるを得なかったことから、心身にとっては非常に厳しい勤務となったところでございます。
また、
感染症病床確保のための一般診療縮小によりまして、症例の減少に伴う、自身のスキル、あるいは、モチベーションの維持に苦慮するなど、この2年半余りは、
新型コロナウイルス感染症対応を中心とした働き方が職員に求められてきたところでございます。
しかしながら、院長の指揮の下、病院全体が最後のとりでとして
新型コロナウイルス感染症対応をする覚悟を持ちまして、病院一丸となって取り組み、現在に至っているところでございます。
◆小田昌博 委員 自治体病院としての
市立札幌病院の役割を果たすべく、病院全体で
新型コロナウイルス感染症に対応してきたことを改めて確認させていただきました。同時に、職員の方々に敬意を表する次第でございます。
現在でも、
市立札幌病院は、
新型コロナウイルス感染症への対応に重要な役割を担っておられ、感染拡大の初期の頃に比べ、ワクチン接種や治療薬も普及して、札幌市内でも
新型コロナウイルス感染症患者を受け入れられる医療機関が増えてきたことにより、
ウィズコロナとして、
市立札幌病院も一般診療との両立を図っている状況であると認識しております。
そのような状況において、長きにわたり
新型コロナウイルス感染症への対応をしてきていることから、通常診療に戻す際に、職員に何らかの問題や課題がないものかと考えます。
そこで、二つ目の質問になります。
ウィズコロナにおいて通常診療にシフトしていく中で、職員への新たな負担や課題がないのか、お伺いいたします。
◎日高
経営管理部長 通常診療にシフトしていく中での新たな職員の負担や課題についてのご質問かと存じます。お答えさせていただきます。
感染症病棟ではない一般病棟の
延べ入院患者数につきましては、コロナ禍以前の令和元年度に比べまして、大きく減少している状況がございます。
一方で、ただいまご指摘いただいたとおり、現在、
新型コロナウイルス感染症対応と一般診療を両立させているところでございますが、徐々にではありますものの、
新型コロナウイルス感染症以外の一般診療へのシフト、これをしてきているところでございます。
令和4年、今年の4月から9月までの
延べ入院患者数は約8万1,500人でございまして、昨年度、令和3年度の同時期の約6万2,700人に比べまして増えてきている状況にございます。これに伴いまして、
新型コロナウイルス感染症以外の一般診療の病棟では、病床稼働率の上昇傾向がございます。これまでと比較して、若干、多忙感が増しているといった旨の戸惑いの声も、正直、聞こえてきているところでございます。
一例を挙げさせていただきますと、新卒の看護師について言えば、過去2年間で、看護現場での実習、こちらが十分ではなく、経験が不足している職員が一定数いる中で、
新型コロナウイルス感染症患者受入れに伴う一般病床の休止、こちらが繰り返される中で、慣れない看護師を補うための中堅層の業務負担、こちらが増えているといったことがございます。
このような中でも、
アフターコロナにおける病院経営を考えますと、入院患者数や医業収益、こちらを中期経営計画の目標に近づけまして、コロナ禍以前の水準に戻していくこと、こちらを目指す必要があると考えてございます。
こちらを進めるに当たりまして、職員の育成を強化いたしまして、ストレス等の増加に伴う心身の疲弊に対して十分なケアを行いながら、患者数や収益の増加に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
◆小田昌博 委員 通常診療に戻していく中で、看護職員の働き方にもコロナ禍の影響があるという答弁でございます。
看護職員については、本年2月から、国の
看護職員等処遇改善事業として、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を1%程度、月額で言うと、4,000円引き上げるための措置が実施され、
市立札幌病院に勤務する看護師と助産師も月額3,500円の
特殊勤務手当が支給されていますが、本年10月からは、収入を3%、月額で1万2,000円程度引き上げる措置として、診療報酬において
看護職員処遇改善評価料が新設されております。
市立札幌病院では、10月からは、金額は精査中とのことでありますが、
特殊勤務手当の支給対象をこれまでの
新型コロナウイルス感染症対応や今後の
ウィズコロナへの対応に鑑み、看護師と助産師のみならず、この制度で支給可能な職員にも拡大するとのことであります。
この新たな診療報酬は、看護職員等の処遇改善に必要な総額を入院患者数で割る仕組みであり、入院患者数が多ければ多いほど、1人当たりの入院患者に上乗せされる診療報酬の点数が少なくなることから、患者負担を減らす意味でも、今後、入院患者数を増やしていくことは重要であります。
令和3年度の決算書によりますと、年間の
延べ入院患者数は14万252人であり、同じくコロナ禍であった令和2年度の13万9,859人とほぼ横ばいでありますが、コロナ禍以前の令和元年度の
年間入院患者数20万1,523人と比較しますと、6万1,000人余、率にして3割以上も入院患者が減少している状況でありまして、経営面において、大きく落ち込んでいる入院患者数を増やしていくよう努力することが求められます。
三つ目の質問になります。
入院患者数を増やす努力としてどのような取組を行っているのか、お伺いいたします。
◎日高
経営管理部長 入院患者数を増やす取組についてでございます。お答えさせていただきます。
委員にご指摘いただきましたとおり、この10月から支給額及び対象職員の拡大を検討してございます
看護職員特別勤務手当の財源、こちらは、新設されました
看護職員処遇改善評価料という診療報酬で賄われるところでございますが、入院患者数が多くなれば、評価の診療報酬点数は少なくなる仕組みとなってございます。
入院患者数を増やすことについては、先ほども申し上げましたとおり、若干課題はあるものの、収益増加に直結するのみならず、入院患者様の負担軽減にもつながるものでございますので、一層の努力が必要であるというふうに認識してございます。
入院患者数の増加には、当院受診患者の8割以上を占めます、他院からの紹介患者、こちらを増やすことが何より重要でありますことから、
連携医療機関への訪問活動の実施、さらには、広報誌の配布等を通じまして、医療機器のCT、それから、MRI、PET−CTといった検査をはじめ、当院の
専門的診療機能の紹介をしているところでございます。
こうしたことを通じまして、当院が
新型コロナウイルス感染症患者の受入れと並行いたしまして、一般診療もコロナ禍前と同様に受入れ可能であること、
連携医療機関から安心して患者を紹介してもらい、その負託に応える体制を構築していること、こちらを積極的にアピールいたしまして、取組を進めさせていただいているところでございます。
今後とも、地域の医療機関との信頼関係を構築しながら、
地域医療支援病院としての本来の診療機能を発揮いたしまして入院患者を増やしていく、地域連携の取組を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
◆小田昌博 委員 本年3月の予算特別委員会で、
市立札幌病院内でのクラスターの対応について、私から質問させていただきました。感染拡大期には、100名弱のクラスターが発生して、2週間弱で収束させ、波の場面場面でも、職員の皆さんが一丸となり対応されてきており、院長をはじめとした職員の方々の努力があってこその現在かと思います。
最後のとりでとして、今後の
新型コロナウイルス感染症対応も続きますけれども、一方で、
ウィズコロナに向け、最後での質問のとおり、入院患者数を増やす取組をしていかなければなりません。
本来の診療機能を発揮していただき、患者増に努めていただくことを求めまして、私の質問を終わります。
◆水上美華 委員 私からは、
市立札幌病院の経営面についてと、それから、人材育成について、大きく2点お伺いさせていただきます。
初めに、
市立札幌病院の経営面についてお伺いします。
この間、コロナ禍における病院経営への影響は、全国でも大きく出ておりまして、北海道内でも、最前線で対応を続けてこられた
市立札幌病院もまた、その影響を受けた施設の一つだと考えております。
コロナ禍前の状況であれば、病床利用率と経営状況の相関関係が強く出るところでありますが、現在が極めて特殊な状況でもあることから、昨年度の決算を受けての今後の病院運営について質問したいと思います。
昨年度決算において、運転資金残高は51億8,164万円となり、そのうち、長期借入金25億円を除くと、資金状況は26億8,164万円となりますが、今後の感染状況が落ち着くという、いわゆる
アフターコロナの状況になった場合、現在交付を受けている
感染症病床確保促進事業費についてはなくなることが考えられ、さらには、道内唯一の第1種感染症指定医療機関として、感染症病床を広く展開しなければならなかった経緯から、一般病床においては、すぐには稼働率が戻らないことが想定され、現在の資金残高があったとしても、その後の稼働率が少し低迷するだけで、一気に経営状況が悪くなってしまうのではないかと懸念しているところであります。
今後は、
アフターコロナに向けて、地域医療との連携を再度強く構築していく必要があり、さらには、より高度な医療を提供しつつ、一般病床での入院単価を上げていくということも大切になるかと思います。
しかしながら、
アフターコロナにおける医療業界のトレンドや診療報酬の改定が今後どのようになるのか、公立病院としての役割がどう変化していくのか、将来の部分においては想定が極めて難しく、どの自治体病院においても、今後の病院運営に対して困惑している状況だと伺っております。
アフターコロナに向けて、状況に応じた柔軟な病院運営が必要となる一方、一般的に自治体病院は急激な変化への対応には時間がかかると言われており、その一つの要因には、自治体病院においては運転資金が少ないことが多いと言われております。
今後、
市立札幌病院においては、適切に運転資金を残しつつ、
アフターコロナに迅速、柔軟に対応できる体制をつくっていくことが大変重要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、
アフターコロナを見越した
市立札幌病院の運営についてどのように考えていくのか、見解をお伺いいたします。
◎日高
経営管理部長 アフターコロナを見越しました運営についてのご質問かと存じます。お答えをさせていただきます。
令和3年度決算におきましては、一般会計からの長期借入金を除いた年度末の資金残高、こちらは、ご指摘がございましたとおり、26億8,100万円となっているところでございますが、これは、
新型コロナウイルス感染症患者の受入れ対応による入院収益の減少を補填する病床確保促進事業費補助金が過去2年間で合計122億円交付されたことが主な要因でございます。
入院収益につきましては、前年度に引き続き、
新型コロナウイルス感染症患者の受入れ対応のため、一般病床の縮小や不急の手術の延期、新患の受入れ中止などを行ったことで、コロナ禍前の令和元年度から30億1,700万円ほど減少しているところでございます。現在の資金残高のみをもって、経営が安定したとは決して言えない状況と考えてございます。
アフターコロナを見据えまして、引き続き、高度急性期病院として地域の医療機関を支えるためにも、コロナ禍で減少いたしました入院収益、これを増加させ、経営を安定させることが必須と考えてございまして、紹介を受けた患者を治療し、治療後は逆紹介をするというサイクルを確実に回すとともに、適正なベッドコントロールを行いまして、より多くの紹介患者あるいは救急患者を受け入れるなどの取組により、これを果たしてまいりたいと考えているところでございます。
◆水上美華 委員 コロナ禍という特殊な状況が続いておりましたので、病院の経営という一点においては、一息つくことができたのかなとも思われます。しかしながら、答弁にもありましたとおり、
アフターコロナを見据えては、高度急性期病院としての役割の最大化に努めていただき、本来あるべき病院経営が実現されることを期待しております。
次に、
市立札幌病院の人材育成のさらなる向上についてお伺いいたします。
コロナ禍で、約2年半近くたち、多くの職員が感染症病床などで奮闘されてきたことに心より敬意を表するところであります。
現在は、感染状況が少し落ち着いてきた状況ではありますが、一般病床の稼働率を見る限り、高度医療が必要な患者さんが戻ってきたとは言い難く、当然、それに比例するように、様々な症例に接する機会が減ってきていると推察いたします。
ただ、
アフターコロナにおいても、札幌市内で最も高度な医療を提供し、さらには、多岐にわたる合併症にも対応できるといった
市立病院ならではの強みを最大限に今後も生かしていく必要があると考えます。
そのためには、コロナ禍で機会が減ってしまったメディカルスタッフに対する研修などの学びの機会を最大限増やし、コロナ禍以前よりも専門性を高めていただく必要があるのかと思います。新たな学びを得た結果、高度な医療を提供できるということは、市民の生命や健康を守ることにつながります。
ただ、研修については相当の費用もかかることから、職員に対する
スキルアップの研修支援を強く要望するところであります。
そこで、お伺いいたしますが、今後は、専門性を高める人材育成をどのように進めていくのか、見解を伺います。
◎日高
経営管理部長 職員の専門性を高める人材育成についてのご質問かと存じます。お答えをさせていただきます。
職員の
スキルアップに資するために、令和3年度決算数値でございますが、医師、薬剤師の各種学会への参加や専門誌への論文掲載等の研究費といたしましては約6,000万円、それから、医師、薬剤師以外の看護師やその他の医療者を対象とした、こちらは研修費でございます。こちらは1,200万円を執行してございまして、病院としては必要な支援を行っているというふうに考えているところでございます。
ただ、令和2年度から3年度にかけましては、コロナ禍で研修が中止になったり、出張がほとんどできない状況が続いてございました。医師、薬剤師の研究費の執行率、こちらは、令和2年度、3年度のいずれも82%でございます。医師、薬剤師以外の医療者に係る研修費の執行率は、令和2年度64%、令和3年度は67%にとどまったところでございますが、いずれもオンライン開催による学会や研修会への参加機会、こちらは確保できているところでございます。
そのような中で、令和4年度は、対面の研修の機会も徐々に回復してございまして、出張ができる状況になってきてございます。本年4月から9月までの研究費の執行率は、年度前半でまだ36%でございますが、研修費の執行率、こちらはもう既に50%を超えてございまして、昨年同時期を上回る執行状況となってございます。
引き続き、研究費、それから、研修費につきましては、必要な額の確保に努めながら、職員の
スキルアップを一層図ってまいりたい、このように考えてございます。
◆水上美華 委員 先ほどの答弁にもありましたとおり、
アフターコロナを見据えた病院経営においては、適正なベッドコントロールを行い、紹介患者や救急患者を受け入れるなどの取組が極めて重要ではありますが、コロナ禍という状況が続いてきたことで、現場からは人材育成が十分ではないのではないかという声も聞かれております。
今の答弁の中で言いますと、研修費のほうですが、今年度は、まだ4月から9月までの間でもう50%に来ているということでございまして、現場の皆さんも精力的にこの研修を受けられているという状況を大変うれしく思うところであります。
メディカルスタッフの皆さんが向き合う患者さんの治療に最大限のスキルを発揮することができるように、この研究費や研修費については、必要なコストとして、
アフターコロナを見据えた今だからこそ、十分な金額を確保できるように努めていただき、市民のための医療機関としての使命を果たすことができる体制となることを要望いたしまして、私の質問を終えます。
◆たけのうち有美 委員 私からは、
市立札幌病院の病室におけるWi−Fi環境整備について、性的マイノリティーの患者さんに対する対応についての2点伺います。
まず初めに、
市立札幌病院の病室におけるWi−Fi環境整備について伺います。
現在の
市立札幌病院は、1995年に開業し、今年で27年を迎えたところです。当然、時代の経過とともに求められる設備は多様化し、医療機器等はその都度更新されてきました。しかし、入院患者が利用する院内設備、特にインターネットへの接続については、現在、デイルームなど、一部のエリアでWi−Fi環境が整備されているのみで、入院患者から環境整備に対する要望もあると聞いています。
一方、従前より、病院内におけるWi−Fiの整備に関しては、電子カルテなど、他の通信機器が電波の干渉を受けることなどが危惧されており、慎重な意見も聞かれてきました。
そこで、質問ですが、
市立札幌病院の病室にWi−Fi環境を整備した場合、電子カルテ等、通信が必要な電子機器との電波の干渉は避けられないのかどうか、伺います。
◎日高
経営管理部長 Wi−Fi環境整備に伴います、電子カルテ等、電子機器との電波の干渉についてのご質問かと存じます。お答えをさせていただきます。
Wi−Fiで使用される電波の周波数、こちらは5ギガヘルツ帯と2.4ギガヘルツ帯の2種類となってございまして、当院病室内で使用される一部の医療機器、こちらは無線によって電子カルテシステムや周辺機器と連携してございます。
Wi−Fiの設定に伴う電波干渉により、機器の不具合が想定されるものといたしましては、まず、5ギガヘルツ帯の周波数、こちらを利用してございます電子カルテ用のノートパソコン、及び、患者様に点滴注射を行う際に使用する患者認証用携帯端末、こちらがございます。また、2.4ギガヘルツ帯周波数を利用するものといたしまして、患者様に直接装着して心拍数等をモニタリングする生体監視モニター、こちらが挙げられるところでございます。
このうち、5ギガヘルツ帯の電波は、使用可能な全てのチャネルを医療機関で使用しているため、Wi−Fiで使用することは不可能でございますが、2.4ギガヘルツ帯のチャネル数に若干の余裕があるため、これを利用したWi−Fiであれば、医療機器との電波干渉を避ける、この点に限って言えば、設定上は可能というふうになっているところでございます。
◆たけのうち有美 委員 2.4ギガヘルツ帯域の整備であれば、病室へのWi−Fi整備は設定上可能であるということであります。
2.4ギガヘルツ帯域は、壁や床などの障害物に強く、他機器からの干渉を受けやすいといった欠点もありますが、電波が遠くまで届きやすいという長所があり、一般的にWi−Fiを利用する方にとっては、一般的な周波数帯域だと思います。
ただ、全国的にWi−Fi整備が進まない主な要因として、Wi−Fiの電波は既存の医療機器や電子カルテなどのシステムに悪影響を与えるという誤解があるという点が、病室でのWi−Fi普及を求める有志の民間団体、#病室WiFi協議会により指摘をされております。
#病室WiFi協議会が病院関係者に行ったヒアリングによると、病院の管理職からWi−Fiは危険だと言われ、導入が進まないという例が複数あり、この点について、総務省は、以前、病室Wi−Fiに関する注意喚起を行っていたこともありましたが、現在は、総務省も安全であるとしているとの見解を出していることから、認識を改めていただく必要があると考えます。
また、院内で使用している電子カルテ内の個人情報の漏えいを懸念して、患者用Wi−Fiの整備が進まないパターンもあると指摘しており、これについては、物理的に、病院内のネットワークと患者が使えるネットワークを分ける、パスワードがないと利用できないようにするなどのセキュリティー対策を取れば、問題はないとされております。
今やインターネットは生活に欠かすことのできないインフラであり、療養中の患者であっても、ネットへの接続が必要な場面は少なくないと考えます。先ほど述べましたように、現在、
市立札幌病院では、一部のエリアでのみ、Wi−Fi接続サービスを行っていますが、利用者からは、接続が不安定であることなど、不便の声も聞かれています。
事前に確認したところ、病室内くまなくWi−Fi環境を整備した場合、91か所のアクセスポイントを増設する必要があると伺いました。配線等の工事を考えると、決して簡単な整備ではないと思いますが、病院の次の建て替えまで、まだ相当の時間を要する中、このままインターネットへの接続環境を整えないでいることは、利用者サービスの観点からも、少し現実的ではないと考えます。
そこで、質問ですが、
市立札幌病院における今後のWi−Fi環境の整備に向けての考え方を伺います。
◎日高
経営管理部長 今後のWi−Fi環境整備に向けました考え方についてのご質問かと存じます。お答えをさせていただきます。
当院に寄せられた患者様からの要望等を受けまして、入院患者が院内で快適に過ごせるようにインターネット環境を整備するということを、平成31年に作成いたしました中期経営計画に盛り込みまして、医療機器への影響を排除しなければならないこと、それから、導入費用、維持費用等を勘案した結果、現在は各病室へ整備することが難しいということで、令和2年9月以降、各病棟のデイルーム計10か所にWi−Fiを整備させていただいたところでございます。
しかしながら、各病室にもWi−Fiを設置してほしいという患者様からの声が寄せられていることも事実でございます。ご指摘がございましたとおり、全病室に満遍なくWi−Fiを整備することは、設置費用のほか、他の患者様の療養環境への影響なども考慮する必要があろうかと考えてございます。
また、インターネット環境の利用方法、これは患者様ご自身の端末の使用や契約状況に応じてもいろいろ異なるものと認識しているところでございます。
これらのことを踏まえながら、病室へのWi−Fi整備に関する様々な手法について調査を行いまして、他の病院の事例なども参考にしながら、整備が可能かどうか検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
◆たけのうち有美 委員 日本には、民間、公共、合わせて約9,000の病院があり、約160万床あります。電波環境協議会の2021年度のサンプル調査によれば、既に93.2%の医療機関がWi−Fi、無線LANを導入しています。これらは、電子カルテなどの医療系システムの無線化やインターネットサービスなど、多様な用途で利用されているということです。しかしながら、患者などにWi−Fi、無線LANアクセスを提供しているのは、そのうちの33.5%にとどまっております。
コロナ禍で、日本国内では、DX、デジタルトランスフォーメーションやデジタル庁設置など、社会のデジタル化が急速に推進されようとしています。その中で、特に取り残されそうになりがちなのが、長期入院している患者さんたちであり、不便を感じているのではないでしょうか。
例えば、小児科に入院しているお子さんが、病気と闘いながら、少しでも楽しい時間を過ごすためには、既存のテレビでは限界もあり、ユーチューブなどを見せてあげられる環境が私は必要だと思います。特に、コロナ禍という特殊な状況下での入院は、家族や知人との面会もままならない中で、心細い思いをされる方も少なくないと思われ、そんなときに病室内でWi−Fiが利用できれば、LINEなどのSNSも活用でき、家族や知人とのコミュニケーションを楽しむことができます。
市立札幌病院では、現在、デイルームなど、一部のエリアでWi−Fi環境が整備されていますが、コロナ禍において、デイルームなどに人が集まってきてしまうことは、感染症対策の観点からも好ましくはありません。
また、コスト面での課題もありますが、有料テレビのように、僅かな患者負担で初期費用も補修費用も無料で院内Wi−Fiの導入を支援している企業等もあり、実際、その企業へはかなり多くの問合せがあるとのことでありました。
昨年9月で終了してしまいましたけれども、病室のWi−Fi環境の整備にも活用できた、国の令和3年度
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金のような財源の検討についても、今後、引き続き努めていただくとともに、患者さんへのニーズ調査の実施など、病室へのWi−Fi環境を前向きに検討していただきたいということを求めて、この質問は終わります。
次に、性的マイノリティーの患者への対応について伺います。
本市では、互いの個性や多様性を認め合い、誰もが生きがいと誇りを持つことができるまちの実現を目指し、2017年6月1日より、性的マイノリティーに係るパートナーシップ宣誓制度を開始しています。
加えて、本市は、LGBTにフレンドリーな取組や対応を進める企業を一定の指標に基づいて登録するLGBTフレンドリー指標制度を実施するなど、全国的に見ても、性的マイノリティーの方に対して、先進的な取組を実施している都市の一つであると認識しています。
民間企業などにおける調査では、性的マイノリティーの方は、人口の約8%から10%程度存在するとされています。私の周りにも、性自認や性的指向にかかわらず、全ての人が生きやすい社会の実現に向けて取り組むために、カミングアウトをして活動している方もたくさんいらっしゃいます。
もちろん、カミングアウトする、しないは自由であり、カミングアウトをしなくてもよい社会、つまり、性的マイノリティー当事者がいる前提で、あらゆることが考えられている社会であることが望ましいと考えます。
性的マイノリティー当事者の方からは、実際に医療機関に受診する際、外来であれば、ほかの患者さんの前で名前を呼ばれるのではないかという不安や、入院の必要性が生じたときは、病室がどうなっているのかといった不安を抱え、そもそも受診をためらってしまうという声が我が会派にも届いています。
そこで、質問ですが、自治体病院である
市立札幌病院では、性的マイノリティーの患者さんに対してどのような対応をしているのか、伺います。
◎勝見 副院長 性的マイノリティーの患者さんに対する
市立札幌病院の対応についてお答えいたします。
当院では、全ての患者さんに対してその人格信条を尊重し、常に優しさをもって診療に専心するという基本理念を掲げ、患者さんの権利について、人格、価値観などが尊重され、医療提供者との相互の関係、協力の下で良質な医療を公平に受ける権利があるとしております。
これらを踏まえて、各職員は、性的マイノリティーの患者さんに対しても、その人格を尊重した対応を行ってきているところであり、本年5月にこれら対応方針を明文化し、院内で共有いたしました。
その対応方針には、まず、心得として、性的指向や性自認は多様であることを理解する、固定観念や先入観、偏見を持たないよう常に意識する、アウティングは厳禁であるという内容を掲げ、具体的には、氏名を呼ぶ際は、まずは番号や、または名字だけで呼び、小声や指さしでフルネームを確認する、病室は個室の利用が必要かどうか確認する、トイレは車椅子用の多目的トイレの利用が可能であることを伝えるといった対応をすることとしております。
一方で、当院の建物は平成7年に供用が開始されており、個室が少ないというハードの面の制約があるのも事実であり、今後の課題として認識しております。そのような制約がある中、実際の医療現場では、基本理念や対応方針を念頭に置きつつ、個別・具体的な場面で各職員が柔軟に患者さん一人一人の人格を尊重しながら対応しております。
なお、性的マイノリティーの方が相談しやすいように、総合案内にALLYマークを掲げて、相談があれば、受診する診療科や病棟に連絡することとしております。
◆たけのうち有美 委員 性的マイノリティーの患者さんに対する対応方針を策定し、職員の心得や具体的対応の例について院内で共有している一方、個室が少ないといったハード面での制約がある中、職員が柔軟に対応し、患者さんの人格を尊重していることについては評価します。
ハード面での制約に関する課題については、
新型コロナウイルス感染症対応で個室化が進んできていると思いますが、経営体制、診療体制の変化の中で、個室化できる機会があれば、検討していただきたいと思います。
どのような環境であっても職員が柔軟に対応するためには、職員一人一人が性的マイノリティーの方への理解を深め、適切な対応ができる力をつける必要があると考えます。また、そもそも患者さんのプライベートの部分に接する機会の多い医療者には、性的マイノリティーへの理解や配慮の重要性を認識することが不可欠と考えます。
そこで、質問ですが、性的マイノリティーの方への理解を深めるための
市立札幌病院の職員への研修などはどのようにしているのか、伺います。
◎勝見 副院長 性的マイノリティーの方に関する職員への研修についてお答えいたします。
まず、病院全体で実施する新採用職員研修において、病院長から当院の基本理念を伝えるほか、職種ごとに実施する新採用研修でも、基本理念や患者さんの権利について繰り返し伝え、その中で、性的マイノリティーの方への当院の考え方を示しております。
また、性的マイノリティーをテーマとした研修としては、本年8月に、病院職員と一部の窓口対応をしている委託職員などを対象に、eラーニングの教材を使用したLGBT研修を実施したところであります。
このほかにも、コロナ禍前ではありますが、性的マイノリティーの分野に詳しい弁護士を講師にして院内研修も実施しております。
今後も、患者さん一人一人の人格を尊重するという基本理念への理解を高めていくため、性的マイノリティーの方に関する理解を深める研修を定期的に実施してまいりたいと考えております。
◆たけのうち有美 委員 研修が非常にしっかりとなされていることが分かりました。毎年、多くの職員が入職する
市立札幌病院でありますので、定期的な研修の実施に引き続き取り組んでいただきたいと思います。
次に、同性パートナーに対する対応について伺います。
病院においては、患者さんに病状を説明する場面があると思いますが、その際に、配偶者や親子、兄弟であれば、一緒に説明を聞くことはよくあると思います。また、検査や手術、薬剤治療の実施の際など、患者さんの同意を得る場面があると思いますが、患者さんが自ら同意書にサインをできない場合は、配偶者や親子、兄弟が代諾者として同意書にサインをすることもあると思います。
そこで、質問ですが、患者さんに同性パートナーがいらっしゃる場合に、
市立札幌病院では、病状説明や同意書へのサインはどのように対応されているのか、伺います。
◎勝見 副院長 同性パートナーに対する病状説明や同意書への記載に関わる対応についてお答えいたします。
当院における病状説明や同意書への記載についての基本的な対応としては、厚生労働省の定めるガイドラインを参考に、パートナーが同性であっても、異性であっても、特別に対応を変えることなく、ご本人たちの意向に沿った対応を心がけているところであります。
具体的には、患者本人の意思が確認できる場合はそれに従い、患者本人が希望される方に病状説明や手術の際の同意書への記載などを認めております。一方、意識がないなど、患者本人の意思確認ができない場合は、パートナーシップ宣誓をしている方であれば、その意思を尊重して、配偶者等のご家族と同様の対応をすることとしております。
なお、パートナーシップ宣誓が確認できない場合には、内縁関係の方や身寄りのない方の場合と同様に、その対応に応じて、ケース・バイ・ケースで対応しており、医師を含めた医療ケアチームで協議し、ご本人にとって最善の方針を取ることを基本としております。
◆たけのうち有美 委員 患者として来院するとき、また、同性パートナーに対する病状説明や同意書への記載等の対応について、ご本人たちの意向に沿った対応や、ご本人にとって最善の方針を取ることなど、しっかりと患者さんに寄り添った対応を心がけているとのことで安心しました。
市立札幌病院は、全ての患者さんの人格を尊重する中で、性的マイノリティーの方に対しても、その人格を尊重し、配慮していること、また、それを対応方針として作成し、院内で共有していること、さらに、職員向けの研修を実施し、その重要性について理解を深めていることは評価できます。
一方で、私が聞いているところでは、性的マイノリティーの方は、こういった情報がなかなか得られず、不安を感じている場合が多いです。
市立札幌病院のこのような取組について、当事者、支援者がこういった情報を得られることも必要ではないかと考えます。
今後は、
市立札幌病院を利用するか、しないかにかかわらず、この
市立札幌病院の取組が当事者、支援者に伝わるにはどういう方法がよいのか、考える必要があると思っています。
市立札幌病院については、今後も引き続き、当事者が安心して利用できる取組を継続していただくことを求めて、私の全ての質問を終わります。
○北村光一郎 委員長 以上で、病院事業会計の質疑を終了いたします。
ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。
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休 憩 午後2時1分
再 開 午後2時4分
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○北村光一郎 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費及び第4項 生活保護費について、一括して質疑を行います。
◆長屋いずみ 委員 私からは、障害者差別解消法について、4点お伺いいたします。
障害者差別解消法は、2016年4月に施行されました。その目的は、障がいのある人への差別をなくすことで、障がいのある人も、ない人も、共に生きる社会をつくることとしており、私は大変意義があることと考えます。
本市が本年3月に行った市民インターネットアンケート調査では、69.6%の市民が障害者差別解消法を知らないと回答しておりました。
そこでまず、障害者差別解消法について、本市の取組をお伺いいたします。
◎大谷 障がい保健福祉部長 障害者差別解消法について、札幌市の取組の状況についてのご質問でございました。
札幌市では、障がい者差別や合理的配慮の不提供などの相談について、障がい福祉課や、委託しております障がい者あんしん相談などの窓口で受け付けているほか、パンフレットの作成やヘルプマークの配付、北海道と連携したフォーラムの開催などにより、普及啓発に取り組んでおります。