札幌市議会 > 2022-10-12 >
令和 4年第二部決算特別委員会−10月12日-03号
令和 4年第一部決算特別委員会−10月12日-03号

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  1. 札幌市議会 2022-10-12
    令和 4年第二部決算特別委員会−10月12日-03号


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    最終取得日: 2024-09-10
    令和 4年第二部決算特別委員会−10月12日-03号令和 4年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第3号)               令和4年(2022年)10月12日(水曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 32名(欠は欠席者)     委 員 長  北 村 光一郎      副委員長   松 原 淳 二     委   員  三 上 洋 右      委   員  鈴 木 健 雄     委   員  高 橋 克 朋      委   員  長 内 直 也     委   員  よこやま 峰子      委   員  佐々木 みつこ     委   員  飯 島 弘 之      委   員  小 竹 ともこ     委   員  中 川 賢 一      委   員  小 田 昌 博     委   員  藤 田 稔 人    欠 委   員  小須田ともひろ     委   員  峯 廻 紀 昌      委   員  しのだ 江里子     委   員  山 口 かずさ      委   員  村 上 ゆうこ     委   員  中 村 たけし      委   員  岩 崎 道 郎     委   員  たけのうち有美      委   員  水 上 美 華     委   員  恩 村 健太郎      委   員  國 安 政 典     委   員  丸 山 秀 樹      委   員  小 口 智 久     委   員  わたなべ 泰行      委   員  森 山 由美子
        委   員  小 形 香 織      委   員  池 田 由 美     委   員  吉 岡 弘 子      委   員  長 屋 いずみ     委   員  田 中 啓 介       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○北村光一郎 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項でありますが、小須田委員からは欠席する旨、村上ひとし委員からは池田委員と、千葉委員からは田中委員と交代する旨、それぞれ届出がありました。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第2号 令和3年度札幌市病院事業会計決算認定の件について質疑を行います。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、市立札幌病院におけます医業外収益への取組についてと医療ソーシャルワーカーの業務についての2点について質問をさせていただきます。  最初に、市立札幌病院における医業外収益を増やすための取組について伺います。  令和3年度決算におきまして、収益的収支は20億6,500万円の黒字を計上しており、黒字は2年連続となっておりますけれども、これは、感染症病床確保促進事業費補助金による補填があってのものであり、この補助金がなければ、およそ35億円の赤字となっている状況にあります。  市立札幌病院では、自治体病院として、新型コロナウイルス感染症に最前線で対応し、これまで、新型コロナウイルス感染症対応病床を確保するため、一般診療を制限しなければならなかったことは、十分理解をできるところであります。  一方、現在、第7波も落ち着きを見せている中、先月26日から新型コロナウイルス感染症陽性者の全数届出が見直されるなど、新型コロナウイルス感染症に係る国の対応にも変化が出てきており、当該補助金がなくなった際、一般患者もすぐには戻らなく、経営状況に支障が出てくることも懸念されるところであります。  持続可能な病院経営を続けていくためには、まず第一に、医業収益を回復させていくことは必須でありますが、これを少しでも補完する意味でも、病院の資産を積極的に活用し、医業外収益についても増やしていく取組をしていくことも重要と考えます。  市立札幌病院は、令和2年度からデジタルサイネージを設置するなど、本業以外でも、できるところから収益を上げる努力をしていることと思います。  そこで、質問ですが、市立札幌病院における医業外収益の取組事例にどのようなものがあるのか、また、今後、医業外収益を増やしていくための取組についてどのように考えているのか、伺います。 ◎日高 経営管理部長  医業外収益の取組事例、それから、医業外収益を増やしていくための取組についてのご質問かと存じます。お答えさせていただきます。  市立札幌病院の建物、施設等につきまして、行政財産の目的外使用許可等を与えて使用料を得ている雑収益、こちらは8,500万円程度となっているところでございます。  ご指摘のございましたデジタルサイネージにつきましては、令和2年4月から、当院1階の中央ホールの待合スペースに3か所設置いたしまして、近隣クリニック等の診療案内に係る情報など、現在、広告枠が20枠あるうち、15枠で配信いたしまして、設置事業者、こちらは広告代理店でございますが、年間23万円程度の使用料を得ているところでございます。  その他、売店、コンビニエンスストア、あるいは、喫茶店、カフェ、それから、自動販売機などにも設置許可を与えまして、同様に使用料を得ているほか、駐車場料金につきましても、令和3年度で2,500万円ほどの収入があったところでございます。  また、令和3年9月から新たに、入院患者様が手ぶらで入院できるよう、タオルや日用品、それから、おむつなどがセットになりました、日額の入院セットレンタル提供サービス、こちらを開始いたしまして、こちらの事業者からも1年間でおよそ120万円程度の使用料を得ているところでございます。  新型コロナウイルス感染症対応の影響で、入院患者様やお見舞いに来院される方が減少していることなどから、これら収入も厳しい状況にはございますが、他の公立病院はもとより、民間の病院の事例、こちらも広く参考にしながら、収益を増やす取組について、今後も引き続き研究してまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  次に、現場レベルの事柄といたしまして、入院患者の相談窓口であるいわゆる医療ソーシャルワーカーの業務について、何点かお聞きしたいと思います。  我が国は、2025年以降、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、超高齢化社会を迎えることから、それに応じて医療ニーズはさらに高まるものと思います。  一方、医療資源には限りがあり、容易に増やせるものでもないことから、医療機関の役割分担がより一層重要となります。患者は、地域のかかりつけ医療機関での治療を基本としながら、急性期の加療や手術が必要な場合に市立病院のような大きな病院に入院し、その後は、長期療養やリハビリを専門とする施設に移ったり、在宅医療に移行するといった医療サービスの使い方がますます求められる時代になるものと思います。  患者の病状や生活状況はそれぞれ異なり、また、どのような医療や福祉支援が存在するのかも分からないため、専門的な支援が非常に重要であり、医療ソーシャルワーカーの業務に関する相談体制の役割、そして、これを充実させていくことは、ますます重要になってきていると認識いたします。  私のところにも、例えば、退院後の在宅生活は難しいが、介護施設はどこがよいのか分からない、また、当てがないといった話も聞こえてまいります。介護施設の相談は、民間病院であれば、医療法人が高齢者施設を経営しているということもありますが、市立病院にはそのようなこともございません。  また、ひとり親で、自分が入院してしまうと、家に残された子どもが心配、年金収入だけでは今後の療養に関する費用の支払いができないといった場合、医療機関では解決できないため、行政との連携、市内部で言えば、保健福祉局や区役所との連携が必要となります。そのような場合、まさに医療ソーシャルワーカーの初動対応が重要になってくるものと思います。  そこで、質問ですが、市立札幌病院には、医療、介護における院内外の多くの医療機関等を橋渡しする部署として地域連携センターがあり、そこに医療ソーシャルワーカーが配置をされておりますが、その体制や取組内容はどのようなものなのか、また、患者への支援に当たり、行政などとどのように連携し、対応しているのかを伺います。 ◎矢田 地域連携センター部長  医療ソーシャルワーカーの業務体制、取組内容及び行政等との連携についてお答えいたします。  入院患者さんの転院調整や在宅療養を支援するための相談業務に関わる体制としては、当院では、医療ソーシャルワーカー6名、看護師6名の計12名の相談員を病棟に配置し、患者さんが抱える退院後の不安や悩みにきめ細やかに対応しております。  退院後の療養に必要あるいは活用すべき医療や福祉制度は、患者さんやご家族が必ずしも十分な情報を有していないことから、他の医療機関や高齢者施設、訪問看護ステーションとの仲介や調整を行い、患者さんが必要とする医療や福祉のサービスを受けられるよう支援しております。  また、病状や生活状況等によっては、患者さんやご家族だけでは解決困難な問題に直面するケースがあることから、福祉の助成制度や生活保護制度の活用を助言したり、区の保健福祉課や保護課をはじめ、関連する行政機関への連絡、相談を中継ぎするなど、行政機関等との連携を図っております。  例えば、退院後、自宅で介助してくれるはずのご家族が入院予定となったために、生活全般において必要な支援が受けられるように調整をしたり、身体に障がいを有する方の自宅退院に向けて、介護用品の導入や介護認定の申請手続を支援するといった事例が数多くあります。  患者さんはもちろん、そのご家族も支援の対象と考え、患者さんが望む生活の実現に向けて、退院調整や在宅療養をサポートしているところでございます。 ◆丸山秀樹 委員  事例を通して、患者に寄り添った必要な支援を行っているというようなお話もございました。このことは、とても心強いことだと思います。特に、市立病院であることを生かして、行政の福祉制度の活用を患者のために促している活動は、まさに市立病院ならではのすばらしい取組でもあります。  さて、昨今、社会や医療を取り巻く状況の変化によって、患者や家族の相談内容は多様化・複雑化していることから、医療ソーシャルワーカースキルアップを図っていくことが非常に重要と考えます。  また、医療ソーシャルワーカーの業務は、退院を支援するということで、国が進めている医療機関の役割分担、いわゆる紹介、逆紹介につながるものであります。市立病院のような専門診療や急性期治療を行う病院は、病状が安定した患者には、状態に応じた適切な医療機関に逆紹介するということになりますが、その際、市立札幌病院は受診させてもらえない、もう来るなと言われているようなものといった、追い出し行為と誤解される場合もあるのではないかと推察いたします。そうした意味では、退院支援に関する制度全般に対し、市民理解を促進していくことも必要ではないかと考えます。  そこで、質問ですが、医療ソーシャルワーカー業務の今後に向けて、相談員のスキルアップや、相談支援業務に対する患者や市民の理解をより深めていく必要性について、どのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎矢田 地域連携センター部長  相談員のスキルアップや市民理解の促進についてお答えいたします。  当院では、院内向けに身寄りがいない患者の退院支援に関わる対応マニュアル等を整備するなどして、患者さんへの支援や対応方法が、相談員によって差が生じないよう、標準化に取り組んでおります。  相談員に求められる業務知識は多岐にわたり、また、医療、介護、障がいに関する福祉や助成の制度は、社会情勢の変化等により変更されることが多いことから、民間の医療機関との意見交換や事例研修等に参加しております。今後は、外部機関が開催する研修等も活用して、相談員のさらなるスキルアップを図ってまいります。  また、委員がご指摘のとおり、国は医療機関の役割分担を推進しており、当院は、地域医療支援病院として入院や手術が必要な高度急性期の治療を担い、病状が安定した患者さんは身近なクリニック等の地域の医療機関へ紹介することが求められております。  相談員が行う退院支援業務は、これを具体化するものであり、患者さんやそのご家族に当院の役割を理解いただくことが大切であることから、当院では、こういった病院間の連携の仕組みについて市民理解を広げていくため、例えば、本年6月に市民公開講座を開催し、かかりつけ医を持つことの普及啓発に取り組んだところです。  当院としては、今後も、このような取組を継続して、地域医療支援病院としての役割を全うし、市民が安心して身近な地域の診療所等を頼れるような、医療機関の連携を実現できるよう努めてまいります。 ◆丸山秀樹 委員  何点か要望をさせていただきます。  今後も、高齢化社会の進展や核家族化、さらには、生活環境やライフスタイルの多様化の中で生じた深刻な患者とその家族への課題対応など、相談員に求められる業務知識は多岐にわたるものと思います。  中でも、区役所や保健福祉局など、関係する行政機関への中継、連携の実績と蓄積されたノウハウは、市内の多くの医療機関への手引となり、市立病院の存在を高めることにつながるものと考えます。さらに、市内の民間医療機関との意見交換や事例研修が持続されれば、市内医療機関と行政機関との連携もよくなり、市民にとっても、より円滑な課題解決につなげることができると思います。  また、答弁にありました市民公開講座などを通じた、市民へのかかりつけ医の理解と普及啓発は、市民が抱く不安や不信感を安心感に変え、市内医療機関からも市立病院への信頼感を強固にする大事な取組となっていくと、大きな期待をしたいと思います。  今後も、市立病院における医療ソーシャルワーカーの役割と、市民と市内診療所を結ぶさらなる市立病院の積極的な取組に期待し、質問を終わります。 ◆小田昌博 委員  私からは、市立札幌病院の職員の働き方について、3点ほど質問させていただきます。  市立札幌病院は、2020年1月に北海道内で最初の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れて以来、2,000人を超える入院患者を受け入れてきており、その間、7度にわたる感染拡大の大きな波に対応されてきました。道内唯一の第1種、第2種、両方の指定を受けた医療機関であり、かつ、自治体病院として、新型コロナウイルス感染症対応の最前線に立たれ、札幌市全体の医療を支えてこられたことにご苦労が多くあったものと考えます。  この2年8か月にわたる新型コロナウイルス感染症への対応において、当初は情報量も少なく、ワクチンの接種もない中で対応を余儀なくされ、また、その後において、感染の波が落ち着いてきたら、また次の波がやってくるということが繰り返され、市立札幌病院の職員は、これまでと異なる働き方をされてきたかと思います。  一つ目の質問になります。  新型コロナウイルス感染症に対応するに当たり、市立札幌病院の職員の働き方にどのような変化があったのかを改めてお伺いいたします。 ◎日高 経営管理部長  新型コロナウイルス感染症対応に当たっての職員の働き方の変化についてのご質問かと存じます。お答えさせていただきます。  ただいま委員からご指摘がございましたとおり、令和2年1月27日に道内初の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れて以降、今般、第7波まで、延べ2,000人以上の新入院患者を受け入れ、その間、最大で六つの病棟、それから、110床の感染症病床を確保いたしました。また、1日当たりの最大入院患者数、これが98人という、そういう時期も経験してまいったところでございます。  第5波以降は、受入れ可能医療機関を拡充していったこともございまして、当院は、重症者、透析患者、介護等を要する高齢者、小児患者等、他院では受入れの難しい患者を積極的に受け入れてきたところでございます。  これらの新型コロナウイルス感染症対応に当たりましては、特定の病床を新型コロナウイルス感染症専用に固定したり、あるいは、感染症内科といった特定科、診療科のみで対応するのではなく、保健所の求めに応じながら、即時かつ柔軟に一般病床を感染症病床に転用することで、最大限の患者受入れに努めてまいったところでございます。  このほか、高齢者、それから、基礎疾患のある方、小児等の一般向けワクチン接種を実施いたしましたり、当院受診者用の発熱者一時診察、あるいは、夜間・休日の急変患者の受入れなども実施してきたところでございます。  これらの業務を着実に実施するためには、全診療科の医師、看護師等が、専門領域にとらわれず、通常とは異なる感染症対応や診療科での不慣れな業務に臨機応変に対応することを求められ、しかも長期にわたり従事せざるを得なかったことから、心身にとっては非常に厳しい勤務となったところでございます。  また、感染症病床確保のための一般診療縮小によりまして、症例の減少に伴う、自身のスキル、あるいは、モチベーションの維持に苦慮するなど、この2年半余りは、新型コロナウイルス感染症対応を中心とした働き方が職員に求められてきたところでございます。  しかしながら、院長の指揮の下、病院全体が最後のとりでとして新型コロナウイルス感染症対応をする覚悟を持ちまして、病院一丸となって取り組み、現在に至っているところでございます。 ◆小田昌博 委員  自治体病院としての市立札幌病院の役割を果たすべく、病院全体で新型コロナウイルス感染症に対応してきたことを改めて確認させていただきました。同時に、職員の方々に敬意を表する次第でございます。  現在でも、市立札幌病院は、新型コロナウイルス感染症への対応に重要な役割を担っておられ、感染拡大の初期の頃に比べ、ワクチン接種や治療薬も普及して、札幌市内でも新型コロナウイルス感染症患者を受け入れられる医療機関が増えてきたことにより、ウィズコロナとして、市立札幌病院も一般診療との両立を図っている状況であると認識しております。  そのような状況において、長きにわたり新型コロナウイルス感染症への対応をしてきていることから、通常診療に戻す際に、職員に何らかの問題や課題がないものかと考えます。  そこで、二つ目の質問になります。  ウィズコロナにおいて通常診療にシフトしていく中で、職員への新たな負担や課題がないのか、お伺いいたします。 ◎日高 経営管理部長  通常診療にシフトしていく中での新たな職員の負担や課題についてのご質問かと存じます。お答えさせていただきます。  感染症病棟ではない一般病棟の延べ入院患者数につきましては、コロナ禍以前の令和元年度に比べまして、大きく減少している状況がございます。  一方で、ただいまご指摘いただいたとおり、現在、新型コロナウイルス感染症対応と一般診療を両立させているところでございますが、徐々にではありますものの、新型コロナウイルス感染症以外の一般診療へのシフト、これをしてきているところでございます。  令和4年、今年の4月から9月までの延べ入院患者数は約8万1,500人でございまして、昨年度、令和3年度の同時期の約6万2,700人に比べまして増えてきている状況にございます。これに伴いまして、新型コロナウイルス感染症以外の一般診療の病棟では、病床稼働率の上昇傾向がございます。これまでと比較して、若干、多忙感が増しているといった旨の戸惑いの声も、正直、聞こえてきているところでございます。  一例を挙げさせていただきますと、新卒の看護師について言えば、過去2年間で、看護現場での実習、こちらが十分ではなく、経験が不足している職員が一定数いる中で、新型コロナウイルス感染症患者受入れに伴う一般病床の休止、こちらが繰り返される中で、慣れない看護師を補うための中堅層の業務負担、こちらが増えているといったことがございます。  このような中でも、アフターコロナにおける病院経営を考えますと、入院患者数や医業収益、こちらを中期経営計画の目標に近づけまして、コロナ禍以前の水準に戻していくこと、こちらを目指す必要があると考えてございます。  こちらを進めるに当たりまして、職員の育成を強化いたしまして、ストレス等の増加に伴う心身の疲弊に対して十分なケアを行いながら、患者数や収益の増加に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆小田昌博 委員  通常診療に戻していく中で、看護職員の働き方にもコロナ禍の影響があるという答弁でございます。  看護職員については、本年2月から、国の看護職員等処遇改善事業として、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を1%程度、月額で言うと、4,000円引き上げるための措置が実施され、市立札幌病院に勤務する看護師と助産師も月額3,500円の特殊勤務手当が支給されていますが、本年10月からは、収入を3%、月額で1万2,000円程度引き上げる措置として、診療報酬において看護職員処遇改善評価料が新設されております。  市立札幌病院では、10月からは、金額は精査中とのことでありますが、特殊勤務手当の支給対象をこれまでの新型コロナウイルス感染症対応や今後のウィズコロナへの対応に鑑み、看護師と助産師のみならず、この制度で支給可能な職員にも拡大するとのことであります。  この新たな診療報酬は、看護職員等の処遇改善に必要な総額を入院患者数で割る仕組みであり、入院患者数が多ければ多いほど、1人当たりの入院患者に上乗せされる診療報酬の点数が少なくなることから、患者負担を減らす意味でも、今後、入院患者数を増やしていくことは重要であります。  令和3年度の決算書によりますと、年間の延べ入院患者数は14万252人であり、同じくコロナ禍であった令和2年度の13万9,859人とほぼ横ばいでありますが、コロナ禍以前の令和元年度の年間入院患者数20万1,523人と比較しますと、6万1,000人余、率にして3割以上も入院患者が減少している状況でありまして、経営面において、大きく落ち込んでいる入院患者数を増やしていくよう努力することが求められます。  三つ目の質問になります。  入院患者数を増やす努力としてどのような取組を行っているのか、お伺いいたします。 ◎日高 経営管理部長  入院患者数を増やす取組についてでございます。お答えさせていただきます。  委員にご指摘いただきましたとおり、この10月から支給額及び対象職員の拡大を検討してございます看護職員特別勤務手当の財源、こちらは、新設されました看護職員処遇改善評価料という診療報酬で賄われるところでございますが、入院患者数が多くなれば、評価の診療報酬点数は少なくなる仕組みとなってございます。  入院患者数を増やすことについては、先ほども申し上げましたとおり、若干課題はあるものの、収益増加に直結するのみならず、入院患者様の負担軽減にもつながるものでございますので、一層の努力が必要であるというふうに認識してございます。  入院患者数の増加には、当院受診患者の8割以上を占めます、他院からの紹介患者、こちらを増やすことが何より重要でありますことから、連携医療機関への訪問活動の実施、さらには、広報誌の配布等を通じまして、医療機器のCT、それから、MRI、PET−CTといった検査をはじめ、当院の専門的診療機能の紹介をしているところでございます。  こうしたことを通じまして、当院が新型コロナウイルス感染症患者の受入れと並行いたしまして、一般診療もコロナ禍前と同様に受入れ可能であること、連携医療機関から安心して患者を紹介してもらい、その負託に応える体制を構築していること、こちらを積極的にアピールいたしまして、取組を進めさせていただいているところでございます。  今後とも、地域の医療機関との信頼関係を構築しながら、地域医療支援病院としての本来の診療機能を発揮いたしまして入院患者を増やしていく、地域連携の取組を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆小田昌博 委員  本年3月の予算特別委員会で、市立札幌病院内でのクラスターの対応について、私から質問させていただきました。感染拡大期には、100名弱のクラスターが発生して、2週間弱で収束させ、波の場面場面でも、職員の皆さんが一丸となり対応されてきており、院長をはじめとした職員の方々の努力があってこその現在かと思います。  最後のとりでとして、今後の新型コロナウイルス感染症対応も続きますけれども、一方で、ウィズコロナに向け、最後での質問のとおり、入院患者数を増やす取組をしていかなければなりません。  本来の診療機能を発揮していただき、患者増に努めていただくことを求めまして、私の質問を終わります。 ◆水上美華 委員  私からは、市立札幌病院の経営面についてと、それから、人材育成について、大きく2点お伺いさせていただきます。  初めに、市立札幌病院の経営面についてお伺いします。  この間、コロナ禍における病院経営への影響は、全国でも大きく出ておりまして、北海道内でも、最前線で対応を続けてこられた市立札幌病院もまた、その影響を受けた施設の一つだと考えております。  コロナ禍前の状況であれば、病床利用率と経営状況の相関関係が強く出るところでありますが、現在が極めて特殊な状況でもあることから、昨年度の決算を受けての今後の病院運営について質問したいと思います。  昨年度決算において、運転資金残高は51億8,164万円となり、そのうち、長期借入金25億円を除くと、資金状況は26億8,164万円となりますが、今後の感染状況が落ち着くという、いわゆるアフターコロナの状況になった場合、現在交付を受けている感染症病床確保促進事業費についてはなくなることが考えられ、さらには、道内唯一の第1種感染症指定医療機関として、感染症病床を広く展開しなければならなかった経緯から、一般病床においては、すぐには稼働率が戻らないことが想定され、現在の資金残高があったとしても、その後の稼働率が少し低迷するだけで、一気に経営状況が悪くなってしまうのではないかと懸念しているところであります。  今後は、アフターコロナに向けて、地域医療との連携を再度強く構築していく必要があり、さらには、より高度な医療を提供しつつ、一般病床での入院単価を上げていくということも大切になるかと思います。  しかしながら、アフターコロナにおける医療業界のトレンドや診療報酬の改定が今後どのようになるのか、公立病院としての役割がどう変化していくのか、将来の部分においては想定が極めて難しく、どの自治体病院においても、今後の病院運営に対して困惑している状況だと伺っております。
     アフターコロナに向けて、状況に応じた柔軟な病院運営が必要となる一方、一般的に自治体病院は急激な変化への対応には時間がかかると言われており、その一つの要因には、自治体病院においては運転資金が少ないことが多いと言われております。  今後、市立札幌病院においては、適切に運転資金を残しつつ、アフターコロナに迅速、柔軟に対応できる体制をつくっていくことが大変重要ではないかと考えます。  そこで、質問ですが、アフターコロナを見越した市立札幌病院の運営についてどのように考えていくのか、見解をお伺いいたします。 ◎日高 経営管理部長  アフターコロナを見越しました運営についてのご質問かと存じます。お答えをさせていただきます。  令和3年度決算におきましては、一般会計からの長期借入金を除いた年度末の資金残高、こちらは、ご指摘がございましたとおり、26億8,100万円となっているところでございますが、これは、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ対応による入院収益の減少を補填する病床確保促進事業費補助金が過去2年間で合計122億円交付されたことが主な要因でございます。  入院収益につきましては、前年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症患者の受入れ対応のため、一般病床の縮小や不急の手術の延期、新患の受入れ中止などを行ったことで、コロナ禍前の令和元年度から30億1,700万円ほど減少しているところでございます。現在の資金残高のみをもって、経営が安定したとは決して言えない状況と考えてございます。  アフターコロナを見据えまして、引き続き、高度急性期病院として地域の医療機関を支えるためにも、コロナ禍で減少いたしました入院収益、これを増加させ、経営を安定させることが必須と考えてございまして、紹介を受けた患者を治療し、治療後は逆紹介をするというサイクルを確実に回すとともに、適正なベッドコントロールを行いまして、より多くの紹介患者あるいは救急患者を受け入れるなどの取組により、これを果たしてまいりたいと考えているところでございます。 ◆水上美華 委員  コロナ禍という特殊な状況が続いておりましたので、病院の経営という一点においては、一息つくことができたのかなとも思われます。しかしながら、答弁にもありましたとおり、アフターコロナを見据えては、高度急性期病院としての役割の最大化に努めていただき、本来あるべき病院経営が実現されることを期待しております。  次に、市立札幌病院の人材育成のさらなる向上についてお伺いいたします。  コロナ禍で、約2年半近くたち、多くの職員が感染症病床などで奮闘されてきたことに心より敬意を表するところであります。  現在は、感染状況が少し落ち着いてきた状況ではありますが、一般病床の稼働率を見る限り、高度医療が必要な患者さんが戻ってきたとは言い難く、当然、それに比例するように、様々な症例に接する機会が減ってきていると推察いたします。  ただ、アフターコロナにおいても、札幌市内で最も高度な医療を提供し、さらには、多岐にわたる合併症にも対応できるといった市立病院ならではの強みを最大限に今後も生かしていく必要があると考えます。  そのためには、コロナ禍で機会が減ってしまったメディカルスタッフに対する研修などの学びの機会を最大限増やし、コロナ禍以前よりも専門性を高めていただく必要があるのかと思います。新たな学びを得た結果、高度な医療を提供できるということは、市民の生命や健康を守ることにつながります。  ただ、研修については相当の費用もかかることから、職員に対するスキルアップの研修支援を強く要望するところであります。  そこで、お伺いいたしますが、今後は、専門性を高める人材育成をどのように進めていくのか、見解を伺います。 ◎日高 経営管理部長  職員の専門性を高める人材育成についてのご質問かと存じます。お答えをさせていただきます。  職員のスキルアップに資するために、令和3年度決算数値でございますが、医師、薬剤師の各種学会への参加や専門誌への論文掲載等の研究費といたしましては約6,000万円、それから、医師、薬剤師以外の看護師やその他の医療者を対象とした、こちらは研修費でございます。こちらは1,200万円を執行してございまして、病院としては必要な支援を行っているというふうに考えているところでございます。  ただ、令和2年度から3年度にかけましては、コロナ禍で研修が中止になったり、出張がほとんどできない状況が続いてございました。医師、薬剤師の研究費の執行率、こちらは、令和2年度、3年度のいずれも82%でございます。医師、薬剤師以外の医療者に係る研修費の執行率は、令和2年度64%、令和3年度は67%にとどまったところでございますが、いずれもオンライン開催による学会や研修会への参加機会、こちらは確保できているところでございます。  そのような中で、令和4年度は、対面の研修の機会も徐々に回復してございまして、出張ができる状況になってきてございます。本年4月から9月までの研究費の執行率は、年度前半でまだ36%でございますが、研修費の執行率、こちらはもう既に50%を超えてございまして、昨年同時期を上回る執行状況となってございます。  引き続き、研究費、それから、研修費につきましては、必要な額の確保に努めながら、職員のスキルアップを一層図ってまいりたい、このように考えてございます。 ◆水上美華 委員  先ほどの答弁にもありましたとおり、アフターコロナを見据えた病院経営においては、適正なベッドコントロールを行い、紹介患者や救急患者を受け入れるなどの取組が極めて重要ではありますが、コロナ禍という状況が続いてきたことで、現場からは人材育成が十分ではないのではないかという声も聞かれております。  今の答弁の中で言いますと、研修費のほうですが、今年度は、まだ4月から9月までの間でもう50%に来ているということでございまして、現場の皆さんも精力的にこの研修を受けられているという状況を大変うれしく思うところであります。  メディカルスタッフの皆さんが向き合う患者さんの治療に最大限のスキルを発揮することができるように、この研究費や研修費については、必要なコストとして、アフターコロナを見据えた今だからこそ、十分な金額を確保できるように努めていただき、市民のための医療機関としての使命を果たすことができる体制となることを要望いたしまして、私の質問を終えます。 ◆たけのうち有美 委員  私からは、市立札幌病院の病室におけるWi−Fi環境整備について、性的マイノリティーの患者さんに対する対応についての2点伺います。  まず初めに、市立札幌病院の病室におけるWi−Fi環境整備について伺います。  現在の市立札幌病院は、1995年に開業し、今年で27年を迎えたところです。当然、時代の経過とともに求められる設備は多様化し、医療機器等はその都度更新されてきました。しかし、入院患者が利用する院内設備、特にインターネットへの接続については、現在、デイルームなど、一部のエリアでWi−Fi環境が整備されているのみで、入院患者から環境整備に対する要望もあると聞いています。  一方、従前より、病院内におけるWi−Fiの整備に関しては、電子カルテなど、他の通信機器が電波の干渉を受けることなどが危惧されており、慎重な意見も聞かれてきました。  そこで、質問ですが、市立札幌病院の病室にWi−Fi環境を整備した場合、電子カルテ等、通信が必要な電子機器との電波の干渉は避けられないのかどうか、伺います。 ◎日高 経営管理部長  Wi−Fi環境整備に伴います、電子カルテ等、電子機器との電波の干渉についてのご質問かと存じます。お答えをさせていただきます。  Wi−Fiで使用される電波の周波数、こちらは5ギガヘルツ帯と2.4ギガヘルツ帯の2種類となってございまして、当院病室内で使用される一部の医療機器、こちらは無線によって電子カルテシステムや周辺機器と連携してございます。  Wi−Fiの設定に伴う電波干渉により、機器の不具合が想定されるものといたしましては、まず、5ギガヘルツ帯の周波数、こちらを利用してございます電子カルテ用のノートパソコン、及び、患者様に点滴注射を行う際に使用する患者認証用携帯端末、こちらがございます。また、2.4ギガヘルツ帯周波数を利用するものといたしまして、患者様に直接装着して心拍数等をモニタリングする生体監視モニター、こちらが挙げられるところでございます。  このうち、5ギガヘルツ帯の電波は、使用可能な全てのチャネルを医療機関で使用しているため、Wi−Fiで使用することは不可能でございますが、2.4ギガヘルツ帯のチャネル数に若干の余裕があるため、これを利用したWi−Fiであれば、医療機器との電波干渉を避ける、この点に限って言えば、設定上は可能というふうになっているところでございます。 ◆たけのうち有美 委員  2.4ギガヘルツ帯域の整備であれば、病室へのWi−Fi整備は設定上可能であるということであります。  2.4ギガヘルツ帯域は、壁や床などの障害物に強く、他機器からの干渉を受けやすいといった欠点もありますが、電波が遠くまで届きやすいという長所があり、一般的にWi−Fiを利用する方にとっては、一般的な周波数帯域だと思います。  ただ、全国的にWi−Fi整備が進まない主な要因として、Wi−Fiの電波は既存の医療機器や電子カルテなどのシステムに悪影響を与えるという誤解があるという点が、病室でのWi−Fi普及を求める有志の民間団体、#病室WiFi協議会により指摘をされております。  #病室WiFi協議会が病院関係者に行ったヒアリングによると、病院の管理職からWi−Fiは危険だと言われ、導入が進まないという例が複数あり、この点について、総務省は、以前、病室Wi−Fiに関する注意喚起を行っていたこともありましたが、現在は、総務省も安全であるとしているとの見解を出していることから、認識を改めていただく必要があると考えます。  また、院内で使用している電子カルテ内の個人情報の漏えいを懸念して、患者用Wi−Fiの整備が進まないパターンもあると指摘しており、これについては、物理的に、病院内のネットワークと患者が使えるネットワークを分ける、パスワードがないと利用できないようにするなどのセキュリティー対策を取れば、問題はないとされております。  今やインターネットは生活に欠かすことのできないインフラであり、療養中の患者であっても、ネットへの接続が必要な場面は少なくないと考えます。先ほど述べましたように、現在、市立札幌病院では、一部のエリアでのみ、Wi−Fi接続サービスを行っていますが、利用者からは、接続が不安定であることなど、不便の声も聞かれています。  事前に確認したところ、病室内くまなくWi−Fi環境を整備した場合、91か所のアクセスポイントを増設する必要があると伺いました。配線等の工事を考えると、決して簡単な整備ではないと思いますが、病院の次の建て替えまで、まだ相当の時間を要する中、このままインターネットへの接続環境を整えないでいることは、利用者サービスの観点からも、少し現実的ではないと考えます。  そこで、質問ですが、市立札幌病院における今後のWi−Fi環境の整備に向けての考え方を伺います。 ◎日高 経営管理部長  今後のWi−Fi環境整備に向けました考え方についてのご質問かと存じます。お答えをさせていただきます。  当院に寄せられた患者様からの要望等を受けまして、入院患者が院内で快適に過ごせるようにインターネット環境を整備するということを、平成31年に作成いたしました中期経営計画に盛り込みまして、医療機器への影響を排除しなければならないこと、それから、導入費用、維持費用等を勘案した結果、現在は各病室へ整備することが難しいということで、令和2年9月以降、各病棟のデイルーム計10か所にWi−Fiを整備させていただいたところでございます。  しかしながら、各病室にもWi−Fiを設置してほしいという患者様からの声が寄せられていることも事実でございます。ご指摘がございましたとおり、全病室に満遍なくWi−Fiを整備することは、設置費用のほか、他の患者様の療養環境への影響なども考慮する必要があろうかと考えてございます。  また、インターネット環境の利用方法、これは患者様ご自身の端末の使用や契約状況に応じてもいろいろ異なるものと認識しているところでございます。  これらのことを踏まえながら、病室へのWi−Fi整備に関する様々な手法について調査を行いまして、他の病院の事例なども参考にしながら、整備が可能かどうか検討してまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆たけのうち有美 委員  日本には、民間、公共、合わせて約9,000の病院があり、約160万床あります。電波環境協議会の2021年度のサンプル調査によれば、既に93.2%の医療機関がWi−Fi、無線LANを導入しています。これらは、電子カルテなどの医療系システムの無線化やインターネットサービスなど、多様な用途で利用されているということです。しかしながら、患者などにWi−Fi、無線LANアクセスを提供しているのは、そのうちの33.5%にとどまっております。  コロナ禍で、日本国内では、DX、デジタルトランスフォーメーションやデジタル庁設置など、社会のデジタル化が急速に推進されようとしています。その中で、特に取り残されそうになりがちなのが、長期入院している患者さんたちであり、不便を感じているのではないでしょうか。  例えば、小児科に入院しているお子さんが、病気と闘いながら、少しでも楽しい時間を過ごすためには、既存のテレビでは限界もあり、ユーチューブなどを見せてあげられる環境が私は必要だと思います。特に、コロナ禍という特殊な状況下での入院は、家族や知人との面会もままならない中で、心細い思いをされる方も少なくないと思われ、そんなときに病室内でWi−Fiが利用できれば、LINEなどのSNSも活用でき、家族や知人とのコミュニケーションを楽しむことができます。  市立札幌病院では、現在、デイルームなど、一部のエリアでWi−Fi環境が整備されていますが、コロナ禍において、デイルームなどに人が集まってきてしまうことは、感染症対策の観点からも好ましくはありません。  また、コスト面での課題もありますが、有料テレビのように、僅かな患者負担で初期費用も補修費用も無料で院内Wi−Fiの導入を支援している企業等もあり、実際、その企業へはかなり多くの問合せがあるとのことでありました。  昨年9月で終了してしまいましたけれども、病室のWi−Fi環境の整備にも活用できた、国の令和3年度新型コロナウイルス感染症感染拡大防止・医療提供体制確保支援補助金のような財源の検討についても、今後、引き続き努めていただくとともに、患者さんへのニーズ調査の実施など、病室へのWi−Fi環境を前向きに検討していただきたいということを求めて、この質問は終わります。  次に、性的マイノリティーの患者への対応について伺います。  本市では、互いの個性や多様性を認め合い、誰もが生きがいと誇りを持つことができるまちの実現を目指し、2017年6月1日より、性的マイノリティーに係るパートナーシップ宣誓制度を開始しています。  加えて、本市は、LGBTにフレンドリーな取組や対応を進める企業を一定の指標に基づいて登録するLGBTフレンドリー指標制度を実施するなど、全国的に見ても、性的マイノリティーの方に対して、先進的な取組を実施している都市の一つであると認識しています。  民間企業などにおける調査では、性的マイノリティーの方は、人口の約8%から10%程度存在するとされています。私の周りにも、性自認や性的指向にかかわらず、全ての人が生きやすい社会の実現に向けて取り組むために、カミングアウトをして活動している方もたくさんいらっしゃいます。  もちろん、カミングアウトする、しないは自由であり、カミングアウトをしなくてもよい社会、つまり、性的マイノリティー当事者がいる前提で、あらゆることが考えられている社会であることが望ましいと考えます。  性的マイノリティー当事者の方からは、実際に医療機関に受診する際、外来であれば、ほかの患者さんの前で名前を呼ばれるのではないかという不安や、入院の必要性が生じたときは、病室がどうなっているのかといった不安を抱え、そもそも受診をためらってしまうという声が我が会派にも届いています。  そこで、質問ですが、自治体病院である市立札幌病院では、性的マイノリティーの患者さんに対してどのような対応をしているのか、伺います。 ◎勝見 副院長  性的マイノリティーの患者さんに対する市立札幌病院の対応についてお答えいたします。  当院では、全ての患者さんに対してその人格信条を尊重し、常に優しさをもって診療に専心するという基本理念を掲げ、患者さんの権利について、人格、価値観などが尊重され、医療提供者との相互の関係、協力の下で良質な医療を公平に受ける権利があるとしております。  これらを踏まえて、各職員は、性的マイノリティーの患者さんに対しても、その人格を尊重した対応を行ってきているところであり、本年5月にこれら対応方針を明文化し、院内で共有いたしました。  その対応方針には、まず、心得として、性的指向や性自認は多様であることを理解する、固定観念や先入観、偏見を持たないよう常に意識する、アウティングは厳禁であるという内容を掲げ、具体的には、氏名を呼ぶ際は、まずは番号や、または名字だけで呼び、小声や指さしでフルネームを確認する、病室は個室の利用が必要かどうか確認する、トイレは車椅子用の多目的トイレの利用が可能であることを伝えるといった対応をすることとしております。  一方で、当院の建物は平成7年に供用が開始されており、個室が少ないというハードの面の制約があるのも事実であり、今後の課題として認識しております。そのような制約がある中、実際の医療現場では、基本理念や対応方針を念頭に置きつつ、個別・具体的な場面で各職員が柔軟に患者さん一人一人の人格を尊重しながら対応しております。  なお、性的マイノリティーの方が相談しやすいように、総合案内にALLYマークを掲げて、相談があれば、受診する診療科や病棟に連絡することとしております。 ◆たけのうち有美 委員  性的マイノリティーの患者さんに対する対応方針を策定し、職員の心得や具体的対応の例について院内で共有している一方、個室が少ないといったハード面での制約がある中、職員が柔軟に対応し、患者さんの人格を尊重していることについては評価します。  ハード面での制約に関する課題については、新型コロナウイルス感染症対応で個室化が進んできていると思いますが、経営体制、診療体制の変化の中で、個室化できる機会があれば、検討していただきたいと思います。  どのような環境であっても職員が柔軟に対応するためには、職員一人一人が性的マイノリティーの方への理解を深め、適切な対応ができる力をつける必要があると考えます。また、そもそも患者さんのプライベートの部分に接する機会の多い医療者には、性的マイノリティーへの理解や配慮の重要性を認識することが不可欠と考えます。  そこで、質問ですが、性的マイノリティーの方への理解を深めるための市立札幌病院の職員への研修などはどのようにしているのか、伺います。 ◎勝見 副院長  性的マイノリティーの方に関する職員への研修についてお答えいたします。  まず、病院全体で実施する新採用職員研修において、病院長から当院の基本理念を伝えるほか、職種ごとに実施する新採用研修でも、基本理念や患者さんの権利について繰り返し伝え、その中で、性的マイノリティーの方への当院の考え方を示しております。  また、性的マイノリティーをテーマとした研修としては、本年8月に、病院職員と一部の窓口対応をしている委託職員などを対象に、eラーニングの教材を使用したLGBT研修を実施したところであります。  このほかにも、コロナ禍前ではありますが、性的マイノリティーの分野に詳しい弁護士を講師にして院内研修も実施しております。  今後も、患者さん一人一人の人格を尊重するという基本理念への理解を高めていくため、性的マイノリティーの方に関する理解を深める研修を定期的に実施してまいりたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  研修が非常にしっかりとなされていることが分かりました。毎年、多くの職員が入職する市立札幌病院でありますので、定期的な研修の実施に引き続き取り組んでいただきたいと思います。  次に、同性パートナーに対する対応について伺います。  病院においては、患者さんに病状を説明する場面があると思いますが、その際に、配偶者や親子、兄弟であれば、一緒に説明を聞くことはよくあると思います。また、検査や手術、薬剤治療の実施の際など、患者さんの同意を得る場面があると思いますが、患者さんが自ら同意書にサインをできない場合は、配偶者や親子、兄弟が代諾者として同意書にサインをすることもあると思います。  そこで、質問ですが、患者さんに同性パートナーがいらっしゃる場合に、市立札幌病院では、病状説明や同意書へのサインはどのように対応されているのか、伺います。 ◎勝見 副院長  同性パートナーに対する病状説明や同意書への記載に関わる対応についてお答えいたします。  当院における病状説明や同意書への記載についての基本的な対応としては、厚生労働省の定めるガイドラインを参考に、パートナーが同性であっても、異性であっても、特別に対応を変えることなく、ご本人たちの意向に沿った対応を心がけているところであります。  具体的には、患者本人の意思が確認できる場合はそれに従い、患者本人が希望される方に病状説明や手術の際の同意書への記載などを認めております。一方、意識がないなど、患者本人の意思確認ができない場合は、パートナーシップ宣誓をしている方であれば、その意思を尊重して、配偶者等のご家族と同様の対応をすることとしております。  なお、パートナーシップ宣誓が確認できない場合には、内縁関係の方や身寄りのない方の場合と同様に、その対応に応じて、ケース・バイ・ケースで対応しており、医師を含めた医療ケアチームで協議し、ご本人にとって最善の方針を取ることを基本としております。 ◆たけのうち有美 委員  患者として来院するとき、また、同性パートナーに対する病状説明や同意書への記載等の対応について、ご本人たちの意向に沿った対応や、ご本人にとって最善の方針を取ることなど、しっかりと患者さんに寄り添った対応を心がけているとのことで安心しました。  市立札幌病院は、全ての患者さんの人格を尊重する中で、性的マイノリティーの方に対しても、その人格を尊重し、配慮していること、また、それを対応方針として作成し、院内で共有していること、さらに、職員向けの研修を実施し、その重要性について理解を深めていることは評価できます。  一方で、私が聞いているところでは、性的マイノリティーの方は、こういった情報がなかなか得られず、不安を感じている場合が多いです。市立札幌病院のこのような取組について、当事者、支援者がこういった情報を得られることも必要ではないかと考えます。  今後は、市立札幌病院を利用するか、しないかにかかわらず、この市立札幌病院の取組が当事者、支援者に伝わるにはどういう方法がよいのか、考える必要があると思っています。  市立札幌病院については、今後も引き続き、当事者が安心して利用できる取組を継続していただくことを求めて、私の全ての質問を終わります。 ○北村光一郎 委員長  以上で、病院事業会計の質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時1分       再 開 午後2時4分     ―――――――――――――― ○北村光一郎 委員長  委員会を再開いたします。  次に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費及び第4項 生活保護費について、一括して質疑を行います。 ◆長屋いずみ 委員  私からは、障害者差別解消法について、4点お伺いいたします。  障害者差別解消法は、2016年4月に施行されました。その目的は、障がいのある人への差別をなくすことで、障がいのある人も、ない人も、共に生きる社会をつくることとしており、私は大変意義があることと考えます。  本市が本年3月に行った市民インターネットアンケート調査では、69.6%の市民が障害者差別解消法を知らないと回答しておりました。  そこでまず、障害者差別解消法について、本市の取組をお伺いいたします。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  障害者差別解消法について、札幌市の取組の状況についてのご質問でございました。  札幌市では、障がい者差別や合理的配慮の不提供などの相談について、障がい福祉課や、委託しております障がい者あんしん相談などの窓口で受け付けているほか、パンフレットの作成やヘルプマークの配付、北海道と連携したフォーラムの開催などにより、普及啓発に取り組んでおります。
     また、国の機関や北海道、医療・福祉関係者、障がい当事者などで構成される札幌市共生社会推進協議会を設置して、差別解消に係る取組等について、情報共有や協議を行っているところでございます。 ◆長屋いずみ 委員  様々な取組をされているとのことでした。  この法律は、あわせて、地方自治体に対し、差別の解消に向けた具体的な取組を求め、普及啓発活動を通じて、市民や事業者の障がいに関する理解を促すこと、合理的配慮の提供も求めております。ですから、市民と接する職員には、それにふさわしい研修が必要だと考えます。  そこで、質問ですが、そのためにはどのような研修が必要とお考えか、また、現在の研修はどうなっているのか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  市職員に必要な研修と現在行っている研修についてのご質問でございました。  市の職員には、障害者差別解消法の趣旨をしっかり理解するとともに、障がいのある方と接するときに、個々の場面に応じて、必要な合理的配慮が実践できるようになるような研修が必要であるというふうに考えております。  そのため、札幌市では、毎年度、この法律の趣旨や、市職員として適切に接遇できるよう、障がい種別ごとの特性や、合理的配慮の具体例などについて研修を行っているところでございます。 ◆長屋いずみ 委員  職員があらゆる差別を許さないという強い気持ちで臨んでいくことが必要ですし、そのための研修であるべきと考えます。  先ほどもご答弁がありましたけれども、相談を受けていらっしゃるということでした。その相談の内容には、入居拒否やレンタカーなどの貸出し拒否などといったものもあるということです。それに対して、事業者へ合理的配慮を行うよう申し入れたりもしているとのことでした。  障がいのある方やその家族からの相談にも的確に、また、紛争の防止あるいは解決を図るための知識や経験も求められます。障がいの種類や特性によって対応も異なりますので、当事者の声を反映させた実践的な研修を通じて、職員の障がいに関する理解促進を図るべきと考えます。  先ほどのアンケートは、心のバリアフリーについても、56%の市民が知らなかったと回答しておりました。現在、本市は、学校や市民、企業などへの心のバリアフリーをテーマとした出前講座を実施し、先ほどご答弁でありましたが、札幌市共生社会推進協議会をつくり、関係団体と取組の共有をしているともお聞きしました。  そこで、質問ですが、出前講座や共生社会推進協議会などの取組を通じて、課題解決にどのように生かされているのか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  出前講座や札幌市共生社会推進協議会の取組を通じた課題解決についてのご質問でございました。  障がいのある方などへの差別については、市民一人一人の障がいに関する知識、理解の不足に起因する面が大きいと認識しております。出前講座により対面で、この法律の趣旨ですとか、それぞれの障がいの特性、障がいがある方の困り事への対応などを紹介することにより、障がいのある方などに対する理解を深め、お互いに支え合うための一歩を踏み出していただく契機になるものと考えております。  また、障がいのある方などの地域における生活には様々な機関等が関わっており、協議会において、当事者やご家族からご意見を伺うとともに、関係者が実際の相談事例について情報を共有しまして、意見交換を行って、それをおのおのの取組に生かしていくということは、差別解消の推進に資するものと考えているところでございます。 ◆長屋いずみ 委員  出前講座は、学校での実施もされているとお聞きしました。アンケートでは、心のバリアフリーを推進するために、本市にとって不足しているものは何ですかという項目がありました。ここに6割が学校での教育の充実と回答し、広報活動の充実も47%です。市民に理解を深めていただく重要な機会です。もっと積極的に取り組んでいただきたいと思います。  さらに、アンケートでは、障がいがある方についてどのような情報があれば、配慮や手助けがしやすいと思いますかという項目がありました。この点では、困っていることに関する情報や、障がいのある方から具体的な指示があれば、配慮や手助けがしやすいと4割以上の市民が回答しております。  国連の権利委員会は、障害者権利条約に基づく日本政府の取組について、障がい者の意見を聞くことなどを政府に勧告しております。これらのことが示すのは、幅広くかつ積極的に、障がい当事者、あるいは、その家族の意見も生かしていくことが必要だということだと思いますので、現在の取組について、よりよい在り方を検討していただきたいと思います。  さて、同法は昨年6月に改正され、民間事業者への合理的配慮が努力義務から法的義務になりました。施行までには時間がありますが、現状でどのような課題があるとお考えか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  法改正に関する民間事業者の課題についてのご質問でございました。  民間事業者については、業種によって、障がいがある方に求められる配慮の内容や、それに対する対応が様々であることが課題であるというふうに考えております。  そのため、札幌市では、今後、法改正についての理解を広げていくよう周知に努めることはもとより、事業者の適切な判断や対応に資するような具体的な合理的配慮の事例などを様々な機会を捉えて提供していきたいと考えております。 ◆長屋いずみ 委員  事業者へは様々な機会を捉えてということでした。  本市は、今月、市民や企業向けに、心のバリアフリーを実践するための障がいに応じた困り事や配慮の手法、企業向けでは、人事や研修、販売等の業務に役立つ適切な配慮の手法や障がい者雇用、合理的配慮の提供等について、障がい当事者を講師に無料のオンライン研修を行うとパンフレットもいただきました。このような取組をさらに増やして、市民や事業者への理解促進、進めていただきたいと思います。  障がい者への差別をなくすことは、全ての人が生きやすい社会をつくることです。当事者の認識と一致した取組を進めるための、当事者の意見を聞く場の確保や、市民への理解を進めるため、個別・具体的な事例の収集と振り返りで、必要な人的体制の強化、予算も大幅に増やして、本市が率先してあらゆる差別をなくしていくという強い姿勢で、実効性のある取組となるよう求めて、質問を終わります。 ◆藤田稔人 委員  私からは、相談支援の拠点としての区役所の機能強化についてお伺いいたします。  複合的な課題を抱え、何らかの福祉的な支援が必要と考えられる相談のうち、将来的に重大な問題に発展する可能性が高い案件が増大しており、今後どのように対応するのか、我が会派は度々取り上げてまいりました。  本年4月から、北区と東区をモデルとして支援調整課を新設しており、複合支援推進会議を通じて、区役所内の関係各課の役割分担や支援の方向性など、部局を横断して組織的な支援の調整を開始し、半年が経過しております。  私は、この支援調整課の新設に大変興味があり、先日、北区の担当者の話をじかに聞いてきましたが、この難しい役割をこなすにふさわしい職員が活躍しており、大変心強く思ったところです。  そこで、質問ですが、この半年間のモデル区における取組を通じて、どのような成果やノウハウの蓄積があったのか、お伺いいたします。 ◎加藤 総務部長  モデル区におけます支援調整課の取組についてお答え申し上げます。  北区及び東区にモデルとして設置いたしました支援調整課では、4月に本取組に関する区役所内の周知及び研修を行いまして、5月からは、区役所内の関係各課の役割分担や支援の方向性を決定いたします支援調整会議、この会議を開催し、9月末現在では、26件について議論をしているところです。  支援調整会議を行うことによりまして、各課それぞれで持つ情報が集積あるいは分析されまして、対象者の新たな側面の見える化が進むなど、これまで以上の連携が生まれていると認識しております。  さらに、市民からの相談を受けた時点では担当部署が明確ではない、こういった場合において、従来でありましたならば、どの部署での対応が適当かを、相談を受けた職員が時間を少々かけて調整する必要もあったところでございますが、市民の相談事を支援調整課に速やかにつなぎまして、支援調整会議を経て適切な対応部署を調整することができた、このようなケースなどがあったということなど、一定の成果を実感しているところでございます。  引き続き、事例を積み重ねながら、こうした成果を整理、検証することで、ノウハウとして蓄積してまいりたいと考えております。 ◆藤田稔人 委員  組織横断的な対応により、従来よりも連携が取れて、適切な部署に調整することができたということを実感されていらっしゃるということでございました。  私は、予算特別委員会の中で、情報共有の仕方についても以前に質問をさせていただいておりますけれども、今ご答弁があったとおり、情報の可視化、見える化ということは大変重要だと思っておりますので、そういったことに対しても、ぜひ徹底して取り組んでいただき、よりよい方法を模索していただきたいと考えております。  支援調整課が動き出したことによる成果もある一方、複合的な福祉課題については、いわゆる8050問題や障がいなど、それぞれの事例で対応に相当の難しさがあり、すぐには解決に結びつかないような事例もたくさんあるかと考えております。  そこで、質問ですが、先ほどの成果等とは逆に、どのような場合に難しさがあるのか、お伺いいたします。 ◎加藤 総務部長  モデル区における支援調整課の課題、難しさについてのご質問でございます。  モデル区で抽出いたしました支援対象となり得る世帯を分析いたしましたところ、疑いも含むところですが、精神障がいや知的障がいのある方、あるいは、様々な理由で支援を拒否する方たちが世帯の中に含まれる、そういうケースの割合が高い傾向にあります。  そのような、何らかの理由で主体的には支援を求めにくいと考えられる場合や、支援を求めていないと実際に表明しているような場合につきましては、すぐに具体的な支援に結びつくのは難しいと考えております。  そのような場合でありましても、定期的に会議を開催するなど、対象者の状況把握の継続には努めてまいりたい、このように考えております。 ◆藤田稔人 委員  ただいまご答弁がございましたとおり、支援を拒否する方の割合が高いということがございましたけれども、そういった意味では、皆様が思うようになかなかサービスを提供できないということがあるかとは思いますけれども、ぜひ、関係各課の連携を密に図りながら、根気よく対応いただきたいと考えております。  現在のモデル実施を通じた検証の結果、成果やノウハウを蓄積して、より効果的な体制等について整理した上で、この支援調整課の取組を全市に展開していくのが望ましいと考えております。  そこで、質問ですが、今後の全市展開に際して、どのような点が課題として考えられるのか、お伺いさせていただきます。 ◎加藤 総務部長  全市展開を見据えた課題についてのご質問にお答えいたします。  この4月に支援調整課をモデルとして設置して以来、支援調整会議などを実施しながら、今後の全市展開に向けての検討を今重ねているところでございます。  検討の中では、各事案の福祉課題は非常に複雑なものが多くございまして、その傾向や対策の有無、効果的な支援体制などを整理するためには、より多くの具体的事例の積み重ねが必要というふうに考えておりますし、複合的課題に対する様々な経験を蓄積していくことも重要であり、必要であると認識しているところでございます。  特に、類似案件の効果的なアプローチや対応方法についてのノウハウを蓄積することができましたならば、より効果的に全市へ展開することができると考えておりまして、まずは、さらなる事例の積み重ねを行ってまいりたい、このように考えているところです。 ◆藤田稔人 委員  具体的な事例を積み重ねながら、類似案件の効果的なアプローチを追求していくということでございました。  事例によって難しさはまちまちだと思いますけれども、このようなケースにはこんなふうに対応したらいいという成果をぜひパターン化して、共有していただきたいと考えております。  福祉行政における縦割りの壁を取り払い、汎用性の高い解決方法を確立して、この支援調整課を市内全10区に展開し、複合的な課題を抱えている方に対して、より一層、今まで以上に寄り添ったご対応に努めていただきたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  私からは、バリアフリーの推進について、大きく2点質問いたします。  まずは、心のバリアフリー研修について伺います。  心のバリアフリーとは、様々な心身の特性や考え方を持つ全ての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションを取り、支え合うことです。  札幌市では、市民誰もが相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現を目指していますが、我が会派でも、障がいのある方などに対する偏見や無理解といった、心のバリアを解消するための普及啓発が重要と認識しています。  国においては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機としたユニバーサルデザイン2020行動計画の策定や、2021年、障害者差別解消法の改正により、これまで努力義務とされていた民間事業者の合理的配慮の提供を法的義務とするなどの施策を進めており、障がいのある方などへの理解促進に向けたさらなる取組がますます重要になっています。  こうした中、札幌市では、2020年度から心のバリアフリー研修を開始しました。  そこで、質問ですが、これまでの心のバリアフリー研修の内容と実績について伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  心のバリアフリー研修の内容と実績についてのご質問でございました。  心のバリアフリー研修は、障がいのある方がどのようなことに困り、どのように配慮したらいいのかを学び、日常生活においてそれを実践につなげていただくためのもので、市民向け研修と企業向け研修を実施しております。企業向け研修では、企業における障がいのある方への合理的配慮の提供等についても内容に含めております。  令和2年度につきましては、市民向け研修を3回、企業向け研修を2回開催し、受講人数は140名でございましたが、令和3年度は、障害者差別解消法の改正を受けて、企業向け研修を2回増やし、計294名の方が受講され、受講後のアンケートでは、おおむね満足度の高い評価をいただいたところでございます。 ◆たけのうち有美 委員  多くの市民や企業の皆様に受講していただき、高い評価をいただいたことについて評価します。  実は、私も2年続けて参加させていただきましたが、市民向けと企業向けのそれぞれの立場に合わせた具体的な講義内容で、大変分かりやすく、参加者から高い評価を得たのもうなずけます。こうした取組を通じて、地域や企業において、主体的に心のバリアフリーを推進する人材を育成し、障がいのある方などに関する適切な配慮の実践につながっていくことを期待します。  一方、心のバリアフリーのさらなる普及啓発のためには、多彩なメニューを用意するなど、より多くの方々に参加していただける研修にしていくことが求められます。  そこで、質問ですが、今年度の心のバリアフリー研修において、何か変更した点があるのか、伺います。  あわせて、今後さらに研修を充実させるため、どのように取り組む考えか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  今年度の心のバリアフリー研修で変更した点と今後の取組についてのご質問でございます。  今年度の研修では、新たな試みとして、親子で楽しく、心のバリアフリーについて学べるよう、親子トライアル研修をメニューに加えたところでございます。  また、今後の取組としては、企業内研修などで使用できるような研修動画の作成や、希望する地域や企業に講師の派遣を行いまして、心のバリアフリーに対するさらなる理解促進を図ってまいります。 ◆たけのうち有美 委員  今年度に変更された点や、今後の取組について理解しました。  楽しみながら学ぶことは、子どものみならず、大人にとっても大変重要な視点であると思います。また、親子トライアルなど、子どもの頃から学校以外で心のバリアフリーを学べる環境があることは、子どもにとっても大変重要であると思います。ぜひ親子トライアル研修のほか、動画コンテンツの作成や講師派遣など、様々な手法によって、心のバリアフリー研修を充実させていただきたいと思います。  次に、カラーユニバーサルデザインについて伺います。  ユニバーサルデザインの中でも、私が非常に重要な考え方であると認識しているのが、カラーユニバーサルデザインです。色の組合せで見分けにくさを持ついわゆる色弱の方は、日本人男性の20人に1人、札幌市でおよそ4万8,000人、北海道でおよそ13万5,000人、日本全体では320万人いると言われ、それはAB型の血液型の男性の人数と同じぐらいの割合です。  近年、視覚情報の伝達技術が高度化・多様化し、様々な色の組合せで情報が提供されています。しかし、苦手な色の組合せがある色弱の方々にとっては、逆に正確な情報が伝わらなくなることがあり、日常生活にも支障を来しているケースがあります。こういった色弱の方々を含めて、色の感じ方の個人差を問わず、より多くの人が利用しやすい製品、施設、環境、サービス、情報を提供するという考え方がカラーユニバーサルデザインです。  札幌市では、全ての市民が、安心して快適に暮らし、自らの意思で自由に行動し、あらゆる社会活動に参加できる福祉のまちづくりを総合的かつ計画的に推進することを目的に、札幌市福祉のまちづくり条例を定め、障がいのある方などに配慮した公共的施設のバリアフリー化を進めてきました。  カラーユニバーサルデザインについても、まずは、札幌市が有する施設をはじめ、不特定多数の方が利用する公共的施設において広まっていくよう取り組むことが望まれます。  そこで、質問ですが、公共的施設におけるカラーユニバーサルデザインの普及にどのように取り組んでいく考えか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  公共的施設におけるカラーユニバーサルデザインの普及についてのご質問でございます。  誰もが安心して利用できるよう、施設整備を進めるに当たっては、色覚に配慮を要する方などにも分かりやすいように案内表示を行ったり、段差に識別しやすい色を用いたりすることなども大切な視点であるというふうに認識をしております。  現在、公共的施設等におけるバリアフリーの整備基準や、望ましい整備内容などをまとめた施設整備マニュアルの改定を検討しておりまして、その改定に当たっては、新たにカラーユニバーサルデザインの考え方を盛り込むなどして、普及に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆たけのうち有美 委員  公共的施設におけるバリアフリーの整備基準等をまとめた施設整備マニュアルの改定を検討しており、新たにカラーユニバーサルデザインの考え方を盛り込むなど、普及に取り組むとのことでした。実効ある取組となることを期待したいと思います。  カラーユニバーサルデザインは、公共施設や、まちじゅうにあふれる案内サインを含めた多くの事柄において必要とされることであり、見え方の多様性への配慮がなければ、誰もが暮らしやすい共生のまちにはなり得ません。  先日の代表質問で私が取り上げた障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法は、本年5月19日に可決、成立、5月25日に公布、施行された法律ですが、誰もが同一内容の情報を同一時点において取得できるようにすることを基本理念に掲げています。  また、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンのまちづくりの概念の一つであるユニバーサルでは、全ての人の利便性向上に向けた取組の推進を掲げています。  誰もが円滑に移動することができ、快適に利用できる施設等の整備に向けて、カラーユニバーサルデザインについてもしっかりと取り組んでいただくことを求めて、私の質問を終わります。 ○北村光一郎 委員長  ここで、おおよそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時35分       再 開 午後2時55分     ―――――――――――――― ○松原淳二 副委員長  委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆森山由美子 委員  私からは、個別避難計画作成の推進について、障害福祉サービスにおける人材確保と定着について、障がい者の就労定着支援についての3項目について質問いたします。  まず、個別避難計画作成の推進について伺います。  個別避難計画とは、高齢者や障がい者のような自ら避難することが難しい避難行動要支援者ごとに避難の流れなどを記載した計画で、名前や住所という基本情報のほか、想定される災害状況、避難時の配慮事項、避難先などが明示される、命を守る大事な計画です。  これまでの災害に対する備えの取組としては、災害対策基本法において、市町村における避難行動要支援者名簿の作成が義務づけられ、ほぼ全ての市町村で、名簿の作成が行われております。  札幌市においても、平成27年度から名簿の作成を行い、名簿掲載者数は、令和4年1月1日時点で11万7,673名と聞いております。  令和2年決算特別委員会で、私の質問でも、多発する災害に備えた要配慮者の名簿提供の仕組みや、災害時の支え合いについて、とても大事なことと質疑をさせていただきましたが、作成された名簿は、本人の同意を得た上で、希望する町内会等の地域団体に対して提供され、地域における避難支援や個別避難計画の作成に使用されており、令和4年3月31日時点で71団体へ提供されていることは認識をしております。
     そのような中ではありますが、内閣府によると、日本各地で発生している近年の大規模災害において、犠牲者の6割以上を高齢者や障がい者が占めており、災害時の避難支援について、避難の実効性を確保することが指摘され、喫緊の課題とされております。  この状況を踏まえ、国において令和3年5月に災害対策基本法が改正され、市町村において個別避難計画を作成するよう努めること、また、優先度が高いと市町村が判断した者について、地域の実情を踏まえながら、おおむね5年程度で取り組むこととされました。  そこで、質問ですが、この災害対策基本法の改正に伴い、今後、札幌市として個別避難計画作成にどのように取り組んでいくのか、その認識についてお伺いいたします。 ◎加藤 総務部長  個別避難計画作成の推進に関するご質問にお答え申し上げます。  委員からお話がありましたとおり、札幌市におけます個別避難計画は、これまで、避難行動要支援者名簿の提供を受けた地域団体において、作成を担っていただいておりまして、名簿の提供を推進することにより、地域主体での個別避難計画作成を進めてきたところでございます。  法改正による市町村が主体となった計画作成に当たりましては、国より、福祉専門職の参画が極めて重要というふうにされておりますほか、避難支援者となり得る地域住民などの確保といった留意事項が様々提示されているところでございます。  多くの人口を抱えております札幌市におきましては、要支援者も多数となり、取組を進めるに当たりましては、検討を要する事柄が数多くあると認識しております。  今後は、引き続き、地域団体による避難計画作成を支援させていただきますとともに、市町村による計画作成につきましては、先行モデル都市の事例収集などをさらに進めまして、ご本人の心身状況などを踏まえた計画作成対象者の優先度の設定ですとか、計画作成を推進する体制の構築、これらに取り組みまして、地域、行政、双方からの計画作成に取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆森山由美子 委員  2011年の東日本大震災では、亡くなった人の6割以上が高齢者で、さらに、障がいのある人の死亡率は住民全体の2倍だったことが分かっております。自力で避難が難しい人が逃げ遅れたことが、原因の一つでした。  このことを受け、国では、2013年、災害対策基本法が改正され、個別避難計画をつくることが示されました。しかし、近年多発する豪雨等の自然災害でも、やはり、高齢者や障がい者の犠牲は逃げ遅れだったことは変わっておらず、民間の調査においても、この対策の課題は、「支援者の確保」が、「個人情報の開示の壁」「支援対象者の絞り込みが難しい」などを大きく上回りました。  今後は、優先エリアや要配慮者、要配慮対象者の支援等の課題について様々協議されていかれると思いますが、札幌市として、保健福祉局のみではなく、危機管理局など、関係部局間で連携をして、市民の命を守るという使命感に立ち、様々な関係団体、自治会、防災組織等とも話合いを重ね、有事に備える、まさに支え合いの体制を速やかに構築されることを強く求めまして、この質問は終わります。  次に、障害福祉サービスにおける人材確保と定着について、3点質問をいたします。  先日の代表質問で、我が会派の竹内議員が指摘しましたが、障がいのある方たちが地域の中で安心して生活をしていくためには、障がいのある方の様々なニーズに応じた支援を行う人材の確保が必要です。障害福祉サービスの事業所は、社会福祉法人が運営する大規模なものから、親たちなどが中心となって地域の中で活動している小規模なものまで様々ですが、どのような規模の事業所においても、人材の確保と定着に苦慮をしていると聞いております。  働く上で大切な賃金水準については、国が定めるサービス報酬によって決まりますが、国と自治体が役割分担しながら、人材確保の取組を進めていく必要があります。札幌市においても、障がいのある方たちに質の高いサービスを提供していくために、障害福祉サービスに従事する人材確保と定着に向けて、事業所が置かれている状況を理解し、必要な取組を行うべきと考えます。  そこで、質問ですが、現状において、どのような原因により、事業所の人材確保や定着が困難になっていると認識しているのか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  人材確保や定着が困難になっている原因の認識についてのご質問でございました。  過去に行ったアンケート調査の結果を見ますと、賃金を含む待遇面のほか、障がいのある方の生命や健康に関わるという精神的な負担感、社会的評価が低いなどの原因が挙げられております。  また、関係者からは、小規模な事業所が多く、管理者のマネジメント能力向上を図るような余裕がなかったり、事例やノウハウの蓄積も少ないため、初任者が抱えがちな業務の不安感にうまく対応できなかったりするという声も聞いているところでございます。  このほか、求職者にとって、高齢者の介護施設は支援の対象者や仕事をイメージしやすいが、障がい福祉の分野はイメージしづらいということもあるというように考えております。  これらのことが、事業所における採用の困難さや、短期間での職員の離職につながっていると認識しているところでございます。 ◆森山由美子 委員  これまでの認識については分かりました。  現在、札幌市では、人材確保と定着についての様々な事業を行っているところですが、依然として、事業所は厳しい状況にあります。こうした現状を改善するには、これまで以上に、人材確保などについて、事業所の実態を詳細に把握した上で、効果的な事業所支援の方法を検討していくべきではないでしょうか。  そこで、質問ですが、代表質問では、次期障がい者プラン策定時の調査において、人材確保の実態をより詳細に把握する予定との回答がございましたが、これまでの調査をどのように改善し、実態把握に取り組む予定なのか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  次期障がい者プラン策定時の実態把握の方法についてのご質問でございました。  これまでのプラン策定時の事業所へのアンケートでは、人材確保の状況について、1年間の採用者数と離職者数や、事業所における勤続年数ごとの人数、職員数が充足しているかなどを調査してまいりました。  今回のアンケートでは、さらに、就職者と離職者の学歴や職歴、実際に採用に至った求人方法のほか、職員が不足していると感じている事業所に対して、具体的に不足数を確認する設問を追加する予定でございます。  また、アンケートのみでは、あらかじめ用意した選択肢からの情報しか得られないということから、ヒアリングによりまして、事業所や従事者の抱える課題や人材確保のための取組などについて、意見交換も行う予定でございます。 ◆森山由美子 委員  調査内容の見直しや調査方法の追加については分かりました。これらの工夫により、これまでよりも詳細に事業所の実態が把握できると期待をしております。  先ほども述べましたとおり、現状を改善するためには、調査により把握した事業所の実態を踏まえ、効果的な方法で事業所を支援していく必要があります。  そこで、質問ですが、現時点において、調査結果をどのような形で従事者の採用や定着に関する今後の札幌市の取組に反映していこうと考えているのか、お伺いいたします。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  現時点における調査結果の反映方法についての考えについてご質問でございました。  例えば、実際に採用に至った方の経歴や求人方法を参考に、より採用の見込みの高い集団に対して、それに適した方法でアプローチをしたり、従業者の定着のための職場環境改善を目的とした、管理者等への研修について、よりポイントを押さえた内容で行うことなどが考えられます。  そのほか、他都市の事例も参考にするなどして、事業所への支援に取り組んでいきたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  これまで地域の方たちの話を聞いてきた中で、ある施設の理事長から、コロナ禍の影響で利用者が減り、経営が悪化している、しかし、また利用者が戻ってきたときに以前のようなサービスを維持するためには、経験のある職員を雇用し続けなければならず、厳しい状況にあるということも聞いております。  ぜひ、こうした窮状にある施設の現状についても耳を傾けて、障がいのある方たちを支える事業所の運営が持続可能となりますよう、札幌市として取り組んでほしいと要望しまして、この質問を終わります。  最後に、障がい者の就労定着支援について、2点伺います。  令和3年障がい者雇用状況の集計結果によれば、全国の雇用されている障がい者数は、過去最高を更新する59万7,786人、北海道内における雇用されている障がい者数は1万5,745人、札幌圏は9,667人となっており、いずれも過去最高を更新しております。  障がいのある方の就労意欲の高まりや、障がい者法定雇用率の引上げなどにより、障がい者雇用は着実に進展しており、障がいのある方が個々に持てる能力を発揮して生き生きと活躍し、長く安心して安定的に働き続けるため、就労後の定着支援は、より一層重要になってきていると考えます。  国では、平成30年4月から、障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスの一つとして、就労定着支援を創設し、定着率が高い就労定着支援事業所ほど基本報酬が高くなる成果報酬的な報酬となってはいますが、実際に適正な報酬額になっているかどうかが課題です。  札幌市についても、就労支援に関する施策は様々ありますが、札幌市独自の就労支援施策として、障がいのある方の就業と日常生活の支援を一体的に行う障がい者就業・生活相談支援事業所、いわゆる通称ナカポツ事業所と呼ばれているものですが、この事業所を4か所設置し、民間企業等への就職支援と就職後の定着支援に取り組んでおります。  この障がい者就業・生活相談支援事業について、現在どのような点が課題となっていると認識をしているのか、また、その課題について、今後どのように取り組んでいく考えなのか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  障がい者就業・生活相談支援事業の課題と今後の取組についてお答えいたします。  就職を希望する方の障がいの重さですとか、それから、障がいの特性等は多様でございまして、そのニーズに的確に対応し、寄り添った支援ができるように体制を強化していくことが課題であると認識をしております。  そのためには、質の高い支援ができるような人材の確保が大切であることから、今年度は、それに資するよう、委託料を約5%、金額にいたしまして、1事業所当たり約126万円の引上げを行ったところでございます。  また、障がいのある方の就労や生活には、就労定着支援事業所など、様々な機関が関わっていることから、協力をしながら支援をしていくことも重要でございます。  今後も、市内のハローワークや高等支援学校などの機関や、就労支援に携わる事業所等が定期的に協議を行います自立支援協議会の就労支援推進部会の活動などを通じて、関係機関とのネットワークづくりをさらに推進してまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  特に、障がい者就業・生活相談支援事業所における就労定着支援については、我が会派が配置を強く求めてきたジョブサポーターが担っております。現在、ジョブサポーターは、各事業所に2名配置されており、8名体制で支援を行っておりますが、障がいのある方が働く現場に赴き、障がいのある方と企業を直接支援するジョブサポーターの役割は大変大きいと思います。  ジョブサポーターは、障がいのある方の多様な就労ニーズに対応するとともに、企業に対し、障がいのある方が長く働き続けることができるよう、必要な助言等を行わなければならないのですが、どのジョブサポーターにおいても、同じく質の高い定着支援を行えるよう、どのような取組を行っているのか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  どのジョブサポーターにおいても、同じく質の高い定着支援を行うための取組についてお答えをいたします。  現在の取組としては、各事業所のジョブサポーターが集まる連絡会を毎月開催し、各ジョブサポーターが担当している困難事例や成功事例について、意見交換や情報共有を行うなどしているところでございます。  また、別な事業所のジョブサポーターが、それぞれペアを組みまして支援を行うことにより、これまでおのおのが経験で培ったノウハウを実践を通じて共有するなど、支援スキルの向上にも取り組んでおります。  今後も、このような取組を通じて、ジョブサポーターがよりよい支援を行えるように、障がいのある方の就労を支えてまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  年々、障がい者雇用は増えてきておりますが、ジョブサポーターには、障がいのある方一人一人に寄り添った支援を行っていただき、企業に対しては、障がいのある方にとって働きやすい職場となるよう、スロープや手すりの設置などのハード面や、障がいに対する理解や配慮、コミュニケーションの取り方など、ソフト面の環境整備について、必要な助言等を行うことにより、丁寧にきめ細かく支援していただくことを求めます。  また、障がい者雇用が増える中、定着支援を担うジョブサポーターの役割は、今後ますます大きくなると考えられるため、必要に応じた体制整備を図っていただくことも併せて求めます。  障がいのある方も、ない方も、共に働く社会の実現に向けて、障がい者雇用は、今後さらに増加が予想されます。就労定着に向けた支援のさらなる充実強化に努めていただくことを強く願いまして、私の質問を終わります。 ◆池田由美 委員  私からは、生活保護制度について、3点質問をいたします。  長引くコロナ禍や物価高騰は、市民生活に大きな負担となっています。2021年、国の生活困窮者支援窓口の統計によると、新型コロナウイルス感染症による相談者の相談内容は、2020年と2021年の1月の比較で、経済的困窮は3.2倍、住まいの不安定は2.2倍、ホームレス1.6倍、ひとり親1.5倍と、貧困や生活困窮に関する相談が急増しています。この状況は、札幌市においても同様の状況があるのではないかと危惧するところです。  本市の生活保護の申請状況は、2019年5,945件、2020年6,020件、2021年6,042件となっており、本市においても申請件数は増加しており、市民の生活の大変さがうかがわれます。  ここで、質問をいたしますが、申請者の年代や申請に至った理由など、現在の申請傾向について伺います。  またあわせて、本市の分析についても伺います。 ◎阿部 保護自立支援担当部長  ただいまご質問のありました生活保護の申請者の傾向とその分析についてのご質問でございますが、お答えいたします。  札幌市の令和4年8月の申請件数は577件となっており、令和4年4月までは、前年同月比で見てみると、増減を繰り返していたところだったのですが、直近では、ここ4か月連続で増加している状況にございます。  困窮に至った理由では、預貯金等の消費、これが最も多い状況には変わりはないのですが、本年7月以降は、失業や、それと稼働収入の減少による申請が前年同月を大きく上回っていると、こういう状況にございます。  年代別に見てみますと、申請される方が、やはり、若年化する傾向が見られ、申請される方に占める29歳以下の方の割合は、感染症が拡大する前の令和元年の数字と比べまして、11.8%であったものが、令和4年度は15.7%へと増加し、若い方を中心として、雇用への影響が残っているものと推測しております。  感染症の影響が長期化し、雇用情勢に厳しさが残る中、今般の物価高騰もあり、生活の再建が一層困難な状況にもなっておりますので、引き続き、生活保護の申請動向には注視していくという必要があるものと認識しております。 ◆池田由美 委員  若い方の申請が増えてきていると、29歳以下が11.8%から15.7%と増えていると今お話がありました。やはり、失業または稼働収入が減ってきているということでありますから、コロナ禍での失業、賃金の低下、そういった影響に対して、国が行ってきた、社会福祉協議会のコロナ特例貸付けを既に限度額まで借りたとしても生活が回復していない、そういった状況があるのだというふうに私も推測しているところです。  生活保護制度を利用し、生活を立て直し、自立へ向かっていく、そういった支援、これが生活保護制度なんですけれども、今、本当にこの重要性が問われているなというふうに思っているところです。だからこそ、安心して生活保護を申請できる環境、これが重要だと、その必要性を実感してきているところです。  私も、住宅の相談を受けたりしている中で、生活費を見直すと、収入が生活保護基準であることが分かります。そして、生活保護の申請を勧めるんですけれども、国のお世話になるのは嫌だと、そういった言葉が返ってくる方も非常に多いなと感じています。生活保護を受けるのは恥ずかしいと、そういう思いがまだまだ根深いなと、根強いなということを実感しているところです。  生活保護制度の周知については、本市は、生活保護は権利です、このポスターを貼り出し、周知に取り組んでおられますけれども、そして、今後もポスターを増やしていくということも聞いております。多くの市民が目にしていくような、例えば、地下鉄ホームドアなどにも貼り出す、そういったことが、申請をすることについて、市民の背中を押すという励ましのことにもつながるというふうに思いますので、ぜひ今後も周知を強めていただきたいというふうに思います。  次に、生活保護の申請に当たって、ちゅうちょしてしまう、そういったことにつながる扶養照会について伺いたいと思います。  扶養照会は、生活保護申請時に、親、きょうだいなどの親族に対して、あなたの身内が生活保護を申請しているけれども、助けてもらえないのかと問合せをすることなんですけれども、この扶養照会が嫌で、親、きょうだいなどにも知られたくない、そういった思いで申請をちゅうちょしてしまう、そういった理由となっているケースもまだ多いのではないのかというふうに思っています。  昨年、2021年2月26日付で、厚労省から事務連絡により、この扶養照会の調査基準や調査の流れについて変更がされていますけれども、扶養照会は、著しく関係が不良など、明確にそういう理由がある場合については、丁寧に聞き取って、扶養が期待できない人と判定しても構わないと、そういった改善になっているというふうに聞いています。  ここで、伺いますけれども、厚労省のこの改善を受けて、本市はどのような対応に変えてきているのか、伺います。  また、生活保護の申請、相談に来られた方に示している生活保護制度についてのしおりには、生活保護の決定のために、親、子、きょうだい、前夫、前妻などからの援助を受けられるのかについて調査しますと書かれたままとなっています。  生活保護制度についてのしおりを、改善された内容に書き換えていくべきではないかというふうに思いますが、どのように対応されるのか、伺います。 ◎阿部 保護自立支援担当部長  ただいまご質問のありました扶養照会の取扱いについてでございますが、令和3年2月の改正におきまして、10年程度、交流が断絶している扶養義務者など、著しい関係不良の場合には、扶養義務の履行が期待できないと判断できる、その取扱いの範囲が広がったところでございます。  扶養義務の履行が期待できないと判断された扶養義務者に対しては、扶養照会を控えることになるため、生活保護の受給開始世帯の扶養義務者に対する扶養照会の実施率でございますけれども、改正前である令和2年度が42.8%でありましたが、これが改正後の令和3年度は32.2%まで低下したところでございます。  また、現在配付しております保護の相談者向けの保護のしおりについてでございますけれども、扶養義務者からの援助のほうが生活保護に優先するという原則的な記載のほうはしてあるのですが、これについては、相談者や保護受給者の方が手に取って、扶養照会の取扱いなどについても情報が読んで分かりやすくなるよう、適宜、内容の見直しを図ってまいりたいと考えているところでございます。 ◆池田由美 委員  2月の厚労省の扶養照会に当たっての改善点、こういったことが事務連絡で出た後には、扶養照会について緩和してきている、そういったご答弁だったというふうに思います。実施率についても、42.8%から32.2%へということが示されておりました。  生活保護の申請で、私も相談をたくさん受けるんですけれども、本当に親には言ってほしくない、そういう思いが、非常によく聞くお話なわけです。そして、私も申請に立ち会ったりもしますけれども、そういう、親やきょうだいに言ってほしくないんだということに対して、厳密にしないという答えは返ってこない、だからこそ、すごく心配になるわけですよね。  今、それに伴って、しおりの書換えなども考えているんだということでありましたから、何よりも、扶養照会を心配しなくてもいいんだと、そのことを知らせること、そのことが、ためらうことなく申請することにつながりますから、早急に改善していただきたいということを求めておきたいというふうに思います。  最後に、冬季加算の特別基準について伺いたいというふうに思います。  国は、2013年から生活保護扶助費を段階的に減らしております。そして、平均6.5%の削減、そして、2015年には冬季加算も引き下げていくと、こういった状況であります。寒冷地の命綱とも言える冬季加算の削減は、生活保護利用者の健康や命にも影響を及ぼすものだというふうに考えます。  暖房の温度を最低に設定して、早く布団に入るようにしている、プロパンガスも高く、夏も冬もシャワーにしていると、そういう実態も聞いているところです。さらに、コロナ禍の物価高騰が重なって、深刻さは非常に深まっているというふうに考えます。  10月からは冬季加算が始まりましたけれども、生活保護の冬季加算は、病気やけが、障がいなどによる療養のために常時在宅をしている、そういった世帯では、冬季加算特別基準の適用となっていきます。これによって、通常の冬季加算の1.3倍の冬季加算の支給となります。  しかし、この制度について知られていない状況があるのではないのかというふうに考えます。知らなければ、申請することもできませんから、冬季加算については、この特別基準について、生活保護利用者に丁寧に知らせていくこと、そして、活用が広がっていくように、保護課全体で取り組むことが必要だと考えますがいかがか、伺います。 ◎阿部 保護自立支援担当部長  冬季加算の特別基準への対応についてのご質問でございましたが、これにつきましては、傷病、障がい等により外出が著しく困難であって、常時在宅せざるを得ない方や、あと、1歳未満の乳児がいる世帯などについて、通常の冬季加算の金額では賄い切れない場合には、特別基準を認定して差し支えないということになっております。  冬季加算の特別基準の認定に当たっては、日々のケースワークの中で世帯の生活実態を把握して、必要と判断された世帯に対しては、申請を要することなく対応をしているところでございます。  世帯状況の変化等によって、新たに特別基準を要する世帯も生じることも考えられますことから、今後も、訪問活動等を通じて、受給者の方の生活実態の変化の把握に努め、必要な世帯に対しては、適正にケースワーカーのほうから認定するように徹底してまいりたいと考えております。 ◆池田由美 委員  重度障害者加算が支給されている方など、また、乳児のいる世帯など、そういった、申請しなくても日頃からそういう状況がある世帯については、自動的に適用しているのだという話だというふうに思います。  ただ、答弁にもありましたように、状態によって、病状とか、そういったものの状態の変化ということがありますから、そこの状況をよくつかんでいくことが重要だなというふうに思います。そして、この間、コロナ禍の中において、家庭訪問が十分できていない、こういった状況もあろうかというふうにお聞きしていますから、その実態をしっかりよくつかんでいただきたいなというふうに思います。  何よりも、そういう制度があるんだということ、その特別基準ですね。このことを示していく、誰もが知っているという状況になるということが大事だなというふうに思いますので、ケースワーカーの皆さんが実態をつかんでいくことと併せて、制度についてよく知らせていくこと、このことで活用が広がるんではないかというふうに思いますので、ぜひ知らせていくことを求めて、質問を終わります。 ◆しのだ江里子 委員  私からは、就労移行支援についてとひきこもり支援事業の2点について質問させていただきます。  まず、就労移行支援についてです。  障がいのある方も、ない方も、同じように生活、活動できる「完全参加と平等」が、1981年、国際障害者年に提案され、日本においては、かなりの時間を経て、2017年、国の働き方改革実現会議において、「障がいの特性に応じて活躍できることが普通の社会であり、障がい者と共に働くことが当たり前の社会に」と、共生社会、働き方改革がようやく提案されました。  企業においては、障がい者の雇用は事業主の義務となり、多様な人材を積極的に活用することが求められています。  そこで、障害福祉サービスの就労移行支援について伺います。  就労移行支援については、職業選択の幅や受入先の理解があれば、労働者として十分働くことのできる、就労を希望する障がいのある人に、生産活動や職場体験などの機会を提供して、就労に必要な知識や能力の向上や、求職活動に向けた支援を行うもので、18歳以上65歳未満の就労を目指す方が対象になります。  障がい者雇用については、法定の障害者雇用率が段階的に引き上げられ、実際に雇用されて働いている障がいのある方も増加しています。  札幌圏における民間企業の障がい者の雇用率は2.33%と法定雇用率の2.3%を上回っておりますが、さらに障がいのある方の就労機会を広げていくためには、就労移行支援が非常に重要だと考えています。
     そこで、質問ですが、札幌市における就労移行支援の支給決定者数と事業所数や給付費がどのように推移をしているのか、まず伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  就労移行支援の支給決定者数等についてのご質問でございました。  就労移行支援の支給決定者数は、平成30年4月の1,072人をピークといたしまして、やや減少し、令和4年4月は933人となっております。事業所数についても、平成31年4月の83事業所をピークとして、令和4年4月は75事業所となっております。  なお、全国的にも、支給決定者、事業所数は、共に平成29年以降、減少しているところでございます。  給付費につきましては、平成29年度から令和3年度の5年間、おおむね17億から18億円程度の横ばいで推移しているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  近年は、給付費は横ばいであると、だけど、利用者数、そしてまた、事業所数は微減をしているというご報告をいただきました。  法定雇用率を上回っているとはいえ、障がいのある方の一般就労を後押ししていくためには、就労支援事業所が継続して障がいのある方を支援していく必要があると考えます。その意味でも、事業所数が少しずつ減少している点には不安を感じるところです。  そもそも、この障害者総合支援法における障害福祉サービスの事業所への報酬は、サービス提供の量に対して給付される仕組みとなっています。そのため、利用者へのある程度長期的、そして継続的にサービスを提供するような事業では、比較的安定した収入が確保することができますが、就労移行支援のような形では、利用者が支援の成果により一般就労した場合、その後は報酬の対象とならなくなりまして、事業所の収入が減少してしまうため、短期間で就職につなげることができた事業所ほど、収入が不安定になっているということになります。  加えて、この就労移行支援事業は、障がいのある方が就職したタイミングで支援が終わるのではなくて、就職後半年間は、職場に定着できるように支援を行うこととなっていますが、この半年間については報酬が支払われないというような国の制度となっておりまして、この点も、事業所の安定経営を厳しくしている、難しくしていると考えます。  そこで、質問ですが、このような就労移行支援における、支援を行うにもかかわらず、報酬が支払われない仕組みについての札幌市の見解と対応状況について伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  報酬上の課題についてのご質問でございました。  制度上、就職して半年後の定着率が高ければ、翌年度の報酬が高く設定されるようにはなっているものの、半年間の就労定着支援が義務づけられているにもかかわらず、直接、給付費の対象とならない点は、事業所にとって負担になっているというふうに認識をしているところでございます。  そこで、札幌市としても、他の政令指定都市及び東京都と連携をして、就職後半年間の職場定着支援を、報酬上、直接的に評価する仕組みの導入など、職場定着支援をより促進する制度の検討を国に要望しているところでございます。 ◆しのだ江里子 委員  障害福祉サービスの報酬は、国が決めるものであるということは認識いたします。そして、今、部長がおっしゃいましたように、この半年間の就労定着支援が、直接、この給付費の対象とならないということに関しては、大きな課題であると思います。  札幌市も、2020年から3年にわたり、東京を含める政令市、まさに大都市主管課長会議において、この直接評価を目指すということで報酬の改善を国に要望していただけているということで、私は、大変希望を持っているところであります。  この就労移行支援事業については、事業所の利用を経て企業などに新たに雇用された者に対し、職場への定着を促進するため、障害者就業・生活支援センターなどの関係機関と連携をして、就職後6か月未満の間、就業生活における相談などの支援を継続しなければならない旨が規定されているにもかかわらず、その職場定着支援の対価を出さずに継続を求めるというのは、本当に実態とは合致しないことだと思います。  先日、流通系の働く仲間の研修会で、精神・発達障害者しごとサポーターの養成講座を私も受講させていただきました。今、流通系の職場には、多くの障がいのある方が雇用されておりまして、この中でも就労移行支援事業所などとの協力・連携が求められておりまして、職場においても、定着に向けた大きな取組だと認識をしました。  障がいのある方も、そうでない方も、共に働くインクルーシブな社会をつくっていくためには、障がいのある方を一般就労に結びつける就労移行支援事業所の力が不可欠だと私は考えます。  次回予定されている2024年度、まさに報酬改定が行われると聞いております。この際には、しっかりと、この点について見直されるように、私たちも、国会議員と共に国に対して課題の見直しを強く求めていきたいと思います。  そしてまた、札幌市においても、国に継続して訴え続けていただきたいということを求めて、この質問は終わらせていただきます。  次に、ひきこもり支援事業について質問させていただきます。  8050問題とは、80代の親が収入のない50代の子どもの生活を支え、行き詰まっている世帯のことを指します。その背景には、長期・高年齢化しているひきこもり状態にある人たちとその家族の孤立があります。行政の支援が届かないまま、親が先に亡くなり、そのまま子どもも亡くなってしまう事件や、親が先に亡くなり、どうすることもできない子が親の死体を放置して逮捕されてしまう事件などが、札幌をはじめ、全国で相次いでいます。  私は、これまで、代表質問ですとか、特別委員会で、ひきこもりについて質問をさせていただきました。高齢化が進んでいる実態把握を求め、ひきこもりサポーター養成研修や常設の居場所などの支援の充実も求めてまいりました。  札幌市が2018年に行ったひきこもりに関する実態調査により、中高年齢層のひきこもり当事者が、若年層と同様の規模で存在する実態が明らかとなっております。  これを受け、私どもの会派では、ひきこもり当事者とその家族など、幅広い世代への円滑な支援が可能となるよう、事業実施体制の在り方を検討する必要性を訴え、そして、2020年度、子ども未来局から保健福祉局に業務移管されることとなり、一歩前進をしたと私たちは評価をしております。  その後、新型コロナウイルス感染症の流行による大きな社会状況の変化があり、社会全体としても外出機会が減少するなど、市民の活動にも大きな制約が生じました。そのため、以前からひきこもりの状態であった方にとっては、外出するきっかけを見いだせなくなり、また、新たに引き籠もりがちになった方もいると考えられます。  最近は、社会活動が戻りつつありますが、ひきこもりの状態にある方が再び周囲とつながることは、簡単なことではありませんし、引き籠もる期間が長くなればなるほど、外に出るまでにさらに時間がかかると聞いております。このような事態とならないよう、早期に相談できる環境が必要であると考えます。  そこで、質問ですが、札幌市のひきこもりに関する相談及び支援の状況について伺います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  ひきこもりに関する相談と支援の現状についてお答えいたします。  まず、相談についてですが、札幌市におけるひきこもりの専門相談窓口であるひきこもり地域支援センターでは、電話や来所、メール、訪問支援であるアウトリーチのほか、出張相談などの方法により相談を受けております。  相談総件数は、アウトリーチと来所相談を強化したことによりまして、令和2年度の延べ2,575件から、令和3年度の延べ2,858件へと300件ほど増加しております。  次に、支援の現状についてでありますが、ひきこもり地域支援センターが中心となりまして、周囲がどのように声をかけたらよいかといった関わり方や、親が高齢になった後の生活の相談など、内容に応じて助言を行ったり、適切な支援機関や医療機関等へつなぐなどの支援を行っているところでございます。  また、集団型支援拠点「よりどころ」でございますが、これは、ひきこもりの状態にある方やその家族が、定期的に交流、情報交換ができる居場所を提供しており、精神的安定を得られる支え合いの場として、社会参加に向けた意識の醸成につながっているところでございます。  この「よりどころ」を利用されている方の年代は、当事者の会の方が20代から60代であり、家族のほうの会の方が40代から80代の方が利用されており、居場所支援としている方々の年齢層は幅広いものと認識しています。 ◆しのだ江里子 委員  今、ひきこもり地域支援センター、そしてまた「よりどころ」の利用状況などを伺わせていただきました。  本当に様々な取組をしていただいて、令和3年度は2,858件の取組をしていただけたということ、そしてまた、様々な方たちに、支援の仕方、関わり方などもしていただけたということで、本当によかったと思います。  そしてまた、「よりどころ」もですが、ここに参加される方たち、当事者が20代から60代、そしてまた、その親世代は40代から80代ということで、まさに8050、そしてまた7040という声も聞いておりますし、様々な世代の当事者、そしてまた家族がいるということが分かります。  本当にこの相談総件数は増加傾向であるということが分かりますが、さきに述べました2018年の実態調査においても、ひきこもり状態にある方は、まさに10代から60代まで、札幌市には約2万人いらっしゃると推計されておりますので、まだまだ相談に至っていない方たちも数多くいらっしゃるものと思われます。  また、この集団型支援拠点の「よりどころ」ですが、ひきこもりの状態にある方の社会参加に向けた取組を行っているということで、この中では、ピアサポーターからの経験談に耳を傾け、そしてまた、参加者同士の情報交換ができる貴重な場であると考えております。  コロナ禍がスタートした2020年4月からは、全国に先駆け、オンライン「よりどころ」を導入し、当事者会、親の会を各1回ずつ開催し、会場に来られない方などが参加されているということも聞いております。  また、どの会場でも中心的に活動しているピアサポーターの有効性については、全国各地で指摘をされておりまして、国もこのピアサポーターの活用は重視をしております。しかし、いまだに専門職の補助員的な待遇で、有償ボランティアにとどまっておりまして、彼らを専門職と対等に位置づけて、ピアサポーターからピアスタッフとして就労するということが、今後必要になってくると思います。  現在の「よりどころ」は、かでる2・7の貸室を中心に月4回ずつ開催されておりますが、固定化された居場所があれば、いつでも、誰でもが出入りができて、今までのように、ピアスタッフと雑談をしたり、ゲームをしたり、手仕事をしたりすることができるのではないかと考えています。  2018年に札幌市が当事者へ実施したアンケートでは、関係機関への相談意向を聞いております。当事者に、ひきこもり状態を変えるために何が役立ったのかということを聞いているのですが、その中には、ひきこもりに関する相談窓口であり、そしてまた、同じ悩みを持つ当事者が集まる居場所、そして、就労に向けたトレーニングというのが上位となっておりました。  ひきこもり地域支援センターは、開設から7年、そして、「よりどころ」は4年が経過をし、安定的に運営されるようになりましたが、コロナ禍から社会活動が戻ろうとしている今こそ、効果的な支援に向けた対策が必要であると考えます。  そこで、質問ですが、ひきこもり支援の今後の取組について伺います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  今後の取組についてお答えいたします。  今後は、引き続きまして、ひきこもりに関する啓発活動でありますとか、「よりどころ」の周知を図ることによりまして、悩みを抱えているひきこもりの当事者やそのご家族を相談支援につなげていく取組を進めてまいりたいと考えております。  また、ひきこもり地域支援センターでは、平成30年度に相談員を2名から3名へ、令和2年度には3名から4名に増員してきたところでありますが、今後も、相談体制がより充実していくように検討してまいりたいと思います。  「よりどころ」につきましては、委員がご指摘のとおり、過去にひきこもりの経験のある複数のピアサポーターが、あるいは、同じ悩みを抱えるご家族が参加しておりまして、ここに参加する当事者家族の方の不安や思いに寄り添った支援を行っているところでございます。  委員がご指摘のとおり、現在、当事者の会及び家族の会を、オンラインによる開催も含めまして、それぞれ月4回実施しているところであり、今後は、日時や場所など、当事者やその家族が参加しやすい実施方法の検討を継続してまいりたいと考えております。 ◆しのだ江里子 委員  ひきこもり地域支援センターでは、相談員を増員してくださり、そして、相談の充実を図っていただき、そしてまた、啓発、そして周知、2万人いらっしゃる中で、やはり、まだまだ知らない方もたくさんいらっしゃると思うので、多くの方に知っていただけることが何より大切だと思います。  そしてまた、「よりどころ」のよさというのは、ピアサポーター、それこそ当事者であった人、そしてまた、当事者である家族が実際に様々な情報を交換することができるということが、何より大切なことだと思います。  このピアサポーターによる相談者に寄り添った支援を継続するため、ピアサポーターが円滑に支援を行える環境、ピアサポーターの待遇に関することなど、改めて検討していただきたいと考えます。  そしてまた、ひきこもりの方には新たな課題も起きております。「よりどころ」に参加される方たちは、一様に無職や低所得で、交通費を抑えるために冬でも自転車で居場所に来る方が多く見られます。こういった方たちが、札幌都心部の駐輪場が今ほとんど有料化されまして、駐輪するところが大変限られておりまして、大変苦労しております。ぜひ、精神保健福祉センターには、各支援団体との関係強化をしていただき、様々な当事者の声を聞き取っていただき、何か解決方法はないのか、共によりよい方法を考えていただければと思います。  そして、先ほど、私が質問させていただきました就労移行支援事業も、このひきこもり支援事業も、当然関連がございます。  それぞれの事業に関わる保健福祉局職員の皆様には、幅広い見地で、ぜひ、支援団体ですとか、企業、そしてまた当事者たちに対して助言、アドバイスなどをしていただければ幸いと思い、ぜひそれをまた求め、本日の質問を終わらせていただきます。 ◆小口智久 委員  私からは、市有施設の男性用トイレへのサニタリーボックスの設置について、1問質問させていただきます。  サニタリーボックスとは、使用済みの生理用品等を廃棄する目的でトイレに設置されているごみ箱のことでございます。  国立がん研究センターが2018年にまとめた統計によりますと、前立腺がんと診断された男性は約9万2,000人、膀胱がんは約1万7,500人に上っております。治療は手術が一般的とのことですが、術後は、頻尿や尿漏れの症状が起きやすく、おむつや尿漏れパッドを用いて処置を行うほか、加齢により同様の症状が起こることもあるため、トイレで生理用品等を処分したい方は、不特定多数存在すると思われます。  サニタリーボックスは、女性用トイレ、あるいは、多機能トイレへの設置は一般的ですが、男性用トイレの個室への設置が進んでいないため、ビニール袋などに入れて持ち帰らざるを得ない方がおられると考えられます。  こうした背景から、全国的に男性用トイレにもサニタリーボックス設置の要望が高まり、例えば、埼玉県では、我が党の後押しにより、令和4年6月までに225か所ある県有施設の多目的トイレも含めた男性用トイレへの設置率が大幅に上がり、他の自治体でも同様の動きが広がっております。  そこで、質問ですが、本市における市有施設の男性用トイレへのサニタリーボックスの設置についてどのようにお考えか、伺います。 ◎大谷 障がい保健福祉部長  市有施設の男性用トイレへのサニタリーボックスの設置についてお答えをいたします。  男性用のトイレの個室にもサニタリーボックスを設置することは、委員からご指摘のあったような身体的な事情等で外出に不安を抱える市民の方が、安心して出かけることができる環境づくりにつながると考えております。  市役所本庁舎においては、これまで、多目的トイレ内のボックスで対応したところでございますけれども、今年度は、市民の方が多く訪れるフロアの男性用トイレにサニタリーボックスを追加配置したほか、市有施設を所管する各部局に対し、設置を促す通知を行ったところでございます。  今後は、各施設における設置状況等を確認するとともに、市民の利用頻度が高い市有施設を中心に、サニタリーボックスの設置が進むよう、各部局に対して働きかけてまいりたいと考えております。 ◆小口智久 委員  サニタリーボックス設置に関し、前向きに推進していただけるとのこと、よろしくお願いいたします。  新型コロナウイルス感染症を機に、不特定多数が使用するトイレ周辺の衛生、清潔は特に気を使うことが多く、感染症対策のために、手指消毒はもちろん、便座を除菌することが広く知られております。  こうした中、サニタリーボックスも衛生に配慮されている商品があり、蓋の開閉時に飛沫が飛散することを防ぐために、センサーで蓋がスムーズに開閉され、さらに、非接触で処理できるものがあり、触れない、見えない、臭わないというものが、実際に市立病院でも使用されております。さらに、経費の面からも設置しやすいように、リース型、また、砂箱のように広告掲示型が検討できると伺っております。  市としては、単にごみ箱を置くということではなく、よりよい衛生環境を提供するため、使用する人の立場になり、衛生、清潔に配慮したものを設置していただくことを要望し、私の質問を終わります。 ◆丸山秀樹 委員  私からは、生活保護の実施状況について、生活保護の申請につなげるための配慮について、まず、コロナ禍における生活保護の実施状況についてお伺いをしたいと思います。  我が国を襲いました新型コロナウイルス感染症の拡大及び感染の長期化により、離職や廃業、休業等を余儀なくされ、生活や住まいに不安を抱える方が急増いたしました。  こうした状況に対し、国は、各種給付金の給付、生活福祉資金の特例貸付け及び生活困窮者自立支援金の給付、居住政策として住居確保給付金の支援対象の拡大、さらには、雇用維持のための雇用調整助成金の特例措置等の支援策を積極的に打ち出し、対処をしてきたところであります。  さらに、リーマンショック後の平成27年度にスタートをいたしました生活困窮者自立支援制度が、第2のセーフティネットとしての役割を一定程度担っており、札幌市が設置をしております自立相談支援機関でありますステップやJOINでは、区保護課をはじめとする様々な関係機関と連携し、生活に困窮された方への支援に当たっているものと思います。  このような支援策の効果もございまして、生活保護の支援件数は、リーマンショック時ほどの上昇は見られておりませんが、厚生労働省の発表によれば、全国の生活保護の申請件数は、令和2年度に11年ぶりに増加に転じており、令和3年度も2年連続で増加をしているところであります。  札幌市においても、リーマンショック時である平成21年度の申請件数の8,158件をピークとして、コロナ禍前の令和元年度には5,945件と6,000件を下回るまで減少しておりましたが、全国の傾向と同様に、令和2年度は6,020件、令和3年度は6,042件と僅かに上昇が見られております。  こうした状況の中、我が党は、コロナ禍における生活保護制度の弾力的な運用を推進しており、扶養照会における個々の状況に寄り添った対応や、転居指導の一定期間の猶予などについて、国にも要請し、運用の改善が図られたところであります。  市民にとって最後のセーフティネットであります生活保護については、必要とする方が円滑に受給できることが大切であります。親族に知られたくないと、扶養照会を理由に申請をためらうようであってはならないと考えます。  そこで、まずは質問ですが、生活保護の申請につなげるために、どのような点に配慮し、対応しているのか、お伺いをいたします。 ◎阿部 保護自立支援担当部長  今ご質問のありました生活保護の申請につなげるための配慮についてのご質問でございますが、国からは、コロナ禍の状況を踏まえ、多くの通知が出されておりまして、申請権の侵害防止、そして、速やかな生活保護の決定、それと感染防止への配慮など、生活保護の運用上の留意点が新たに示されているところであります。  この通知を受けまして、生活保護の相談においては、扶養照会や転居指導等のコロナ禍でのいわゆる弾力的運用についても丁寧な説明を心がけておりまして、申請権の侵害につながるようなことがないよう留意し、対応しているところであります。  さらに、札幌市では、生活保護制度に関するチラシやポスターを公共施設等に配架し、貼り出しているところでもあり、生活保護の申請を希望される方がためらわず、相談窓口に足を運んでいただけるよう、こういった広報にも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  生活保護の申請件数は、リーマンショック時のように急増はしてはおりませんが、今般の原油価格・物価高騰の影響が低所得者世帯には重くのしかかっており、生活再建が困難な状況にありますので、今後の申請動向には注視する必要がございます。  引き続き、札幌市生活就労支援センターステップ等と連携をし、必要な方がスムーズに相談窓口にたどり着けるような取組はもちろんのこと、生活保護の申請に対しては、丁寧な説明と必要な配慮が徹底され、決して申請を妨げることがないよう求めまして、次の質問に移ります。  コロナ禍の長期化は、制度の弾力的運用以外にも、生活保護行政に大きな影響を及ぼしていると聞いております。特に、最低年2回とされております訪問活動が、感染防止への配慮から、電話等による聴取に取って代わられることにより、生活保護を受給している世帯の実態が十分に把握できていないのではないかと危惧をしているところであります。  高齢化の進行とともに、生活保護の現場においても、要介護や認知症の単身高齢者が増加をしております。本年7月の札幌市の被保護世帯のうち、65歳以上の高齢者世帯数は2万8,169世帯、このうち、単身世帯は2万5,885世帯と実に92%を占めており、単身の高齢者世帯は、5年前の2万3,216世帯と比較すると、2,669世帯、約11%も増加しており、札幌市の被保護世帯数が増加する要因となっております。  今後も増加していくであろう単身高齢者の生活上の問題を的確に把握し、必要な福祉サービス等につなげていくためには、電話等による聴取では不十分であり、訪問活動による実態調査が不可欠であると考えます。  そこで、質問ですが、コロナ禍により訪問活動の実施状況はどのような影響が出ているのか、お伺いをいたします。 ◎阿部 保護自立支援担当部長  訪問活動の実施状況についてのご質問でございましたが、家庭訪問をはじめとする訪問活動については、感染拡大防止と保健所体制の増強等に対応するため、緊急対応や実地確認を要する場合など、最低限必要なものを除いて、縮小して実施してきたところでございます。  さらに、医療機関ですとか、社会福祉施設等に入っている方の訪問については、ケースワーカーの立入り自体が困難な時期があったほか、一部の保護受給者にあっては、感染への不安から、家庭訪問に来られては困ると言って断る事例等もあったところでございます。  その結果、感染が拡大する前の令和元年度では全市で約17万1,000件だった訪問調査の実績が、令和2年度は約8万7,000件、令和3年度は約6万7,000件となり、コロナ禍前の約4割ぐらいの水準まで減少となっております。  訪問活動は、自立に向けた活動を分析し、課題に応じた支援を行うためには不可欠なものでございまして、生活保護業務の根幹をなすということから、これまでも、感染状況や世帯の状況に応じて、工夫しながら実施しているところでありますが、今後も制度の適正実施の確保に向けて努めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  訪問活動への影響が大変大きかったということが分かりました。  保護課の皆さんも、保健所業務などへの従事などということもなされたと思いますので、そうしたやむを得ない事情があったということも承知しておりますけれども、単身生活を営む高齢の受給者が、コロナ禍の長期化により、社会的に孤立することがないよう、見守りの観点からも、訪問活動を通じた生活実態調査の把握に努めていただくことを要望したいと思います。  次に、生活保護業務における業務の改善についてお伺いをいたします。  生活保護の現場では、受給世帯数が増加しているだけではなく、相談内容が多様化・複雑化する傾向が見られ、ケースワーカーに求められる資質、必要な知識や能力、スキル等も多岐にわたっております。  私自身も、高齢夫婦の妻が長期入院してしまい、夫が自宅での単身生活に課題を生じた世帯や、高齢の親が亡くなり、ひきこもりの息子が残された世帯など、困難な状況に直面した生活保護世帯の支援に関わった経験がありますが、生活保護業務を担うケースワーカーの負担の大きさというものを実感したところでもございました。  今後も、人員体制の強化が難しい状況にあることを踏まえると、ケースワーカーの質の確保をしていくためには、ケースワーカーが担う業務の見直しも急務ではないかと考えます。  そこで、質問ですが、生活保護の現場においてこそ、業務改善を積極的に推進すべきと考えますが、市の見解を伺います。 ◎阿部 保護自立支援担当部長  業務改善の積極的な推進についてのご質問でございましたが、ケースワーカーが担っている業務のうち、軽易でかつ定型的な業務については、集約化、そして、効率化が可能であると考えておりまして、例えば、保護費の金額をお知らせするために毎月郵送しております決定通知書、この発送業務については、集約化が可能であると考えておりまして、来年度の実施に向けて、今、行政事務センターの活用を検討しているところでございます。
     また、現行の生活保護のOAシステムが、令和7年度までに自治体標準化システムといったものに移行して、業務の共通化が図られることから、この新たなシステムに対応した業務のフローを見直すとともに、決裁の電子化や文書のペーパーレス化などの導入についても検討を予定しております。  今後も、業務改善を積極的に推進していくことで、ケースワーカーの事務的な負担を軽減し、保護受給者に対するケースワークの質の向上に努めてまいりたいと考えております。 ◆丸山秀樹 委員  要望も含めて、述べさせていただきます。  行政事務センターの活用を検討されているということのほかに、令和7年度に移行を予定しているシステムの標準化に合わせて、業務改善の検討も進めていくという答弁でございました。業務の集約化、効率化で、ぜひとも業務改善を進めていただきたいと思います。  また、今後、デジタル化やICT化による業務改善というのも非常に大切ではありますが、ケースワーカー個々のレベルによっても、業務効率を高めることは可能であろうというように考えます。柔軟かつ的確な対応力を磨くという意味では、日常的に保護課内でのスキルアップのためのコミュニケーション、意見交換や情報共有を業務改善で得た時間にしっかり活用していただくことも重要であろうというように思います。  先ほどの質疑の中で、若い人の申請が増えているというようなお話もございました。社会情勢の影響が著しく投影される側面があるのも、こうした生活保護でございます。  ついては、生活保護の内容の実態把握、分析、情報共有が、今後、市の支援施策にいかに活用され、反映されるのか、そうした体制や仕組みづくりも必要と思います。そうした検討もぜひ進めていただきたい、これは、現場の声が届く市政という意味でも、また、ケースワーカーとして働く職員のモチベーションにもつながるものと考えます。  最後になりますが、生活保護に携わる皆様には、研修等も通じて、人材育成にもぜひ力を入れていただき、ケースワーカーの支援の質を高めながら、業務負担についても軽減されるような取組を両輪で推進していただくことを求め、私の質問を終わります。 ○北村光一郎 委員長  以上で、第1項 社会福祉費等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回の委員会ですが、10月14日金曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後4時16分...