札幌市議会 2022-09-28
令和 4年第 3回定例会−09月28日-02号
令和 4年第 3回定例会−09月28日-02号令和 4年第 3回定例会
令和4年 第3回定例会
札 幌 市 議 会 会 議 録 ( 第 2 号 )
令和4年(2022年)9月28日(水曜日)
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〇議事日程(第2号)
開議日時 9月28日 午後1時
第1 議案第13号、第18号から第21号まで(5件市長提出)
(5件に対する
委員長報告等)
第2 議案第1号から第12号まで、第14号から第17号まで、
第22号から第29号まで(24件市長提出)
(24件に対する代表質問)
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〇本日の会議に付した事件
日程第1 議案第13号 札幌市職員の
育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案
議案第18号
教育文化会館改修工事請負契約締結の件
議案第19号
光陽小学校改築ほか
工事請負契約締結の件
議案第20号 元
町北小学校改築ほか
工事請負契約締結の件
議案第21号
山の手小学校改築ほか
工事請負契約締結の件
日程第2 議案第1号 令和3年度札幌市各
会計歳入歳出決算認定の件
議案第2号 令和3年度札幌市
病院事業会計決算認定の件
議案第3号 令和3年度札幌市
中央卸売市場事業会計決算認定の件
議案第4号 令和3年度札幌市
軌道整備事業会計決算認定の件
議案第5号 令和3年度札幌市
高速電車事業会計決算認定の件
議案第6号 令和3年度札幌市
水道事業会計剰余金処分及び決算認定の件
議案第7号 令和3年度札幌市
下水道事業会計剰余金処分及び決算認定の件
議案第8号 令和4年度札幌市
一般会計補正予算(第4号)
議案第9号 令和4年度札幌市
介護保険会計補正予算(第2号)
議案第10号 令和4年度札幌市
軌道整備事業会計補正予算(第2号)
議案第11号 令和4年度札幌市
下水道事業会計補正予算(第1号)
議案第12号
札幌市議会議員及び札幌市長の選挙における選挙運動に要する費用の公費
負担に関する条例の一部を改正する条例案
議案第14号 札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例案
議案第15号 札幌市
児童福祉施設条例及び
札幌市区保育・
子育て支援センター条例の一
部を改正する条例案
議案第16号 札幌市
土地区画整理事業施行規程の一部を改正する条例案
議案第17号 札幌市
建築基準法施行条例の一部を改正する条例案
議案第22号 財産の取得の件(
札幌ドーム用アルミトラス)
議案第23号 財産の処分の件議決変更の件(
工業団地用地)
議案第24号 訴えの提起の件(損害賠償)
議案第25号 損害賠償及び和解に関する件
議案第26号 損害賠償及び和解に関する件
議案第27号 町の区域を変更する件
議案第28号 市道の認定及び変更の件
議案第29号 第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョン(ビジョン編)策定の件
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〇出席議員(67人)
議 長 細 川 正 人
副 議 長 峯 廻 紀 昌
議 員 小須田ともひろ
議 員 藤 田 稔 人
議 員 小 田 昌 博
議 員 三 神 英 彦
議 員 恩 村 健太郎
議 員 水 上 美 華
議 員 田 島 央 一
議 員 あおい ひろみ
議 員 たけのうち有美
議 員 うるしはら直子
議 員 くまがい 誠一
議 員 森 山 由美子
議 員 千 葉 なおこ
議 員 佐 藤 綾
議 員 村 山 拓 司
議 員 村 松 叶 啓
議 員 松 井 隆 文
議 員 中 川 賢 一
議 員 成 田 祐 樹
議 員 岩 崎 道 郎
議 員 松 原 淳 二
議 員 竹 内 孝 代
議 員 わたなべ 泰行
議 員 長 屋 いずみ
議 員 佐々木 明 美
議 員 吉 岡 弘 子
議 員 田 中 啓 介
議 員 川田 ただひさ
議 員 阿部 ひであき
議 員 伴 良 隆
議 員 小 竹 ともこ
議 員 北 村 光一郎
議 員 中 村 たけし
議 員 林 清 治
議 員 前 川 隆 史
議 員 小 口 智 久
議 員 好 井 七 海
議 員 丸 山 秀 樹
議 員 池 田 由 美
議 員 太 田 秀 子
議 員 村 上 ひとし
議 員 飯 島 弘 之
議 員 こじま ゆ み
議 員 佐々木 みつこ
議 員 よこやま 峰子
議 員 村 上 ゆうこ
議 員 山 口 かずさ
議 員 しのだ 江里子
議 員 桑 原 透
議 員 福 田 浩太郎
議 員 國 安 政 典
議 員 小 形 香 織
議 員 石 川 さわ子
議 員 長 内 直 也
議 員 五十嵐 徳 美
議 員 山 田 一 仁
議 員 こんどう 和雄
議 員 高 橋 克 朋
議 員 勝 木 勇 人
議 員 鈴 木 健 雄
議 員 三 上 洋 右
議 員 武 市 憲 一
議 員 ふじわら 広昭
議 員 大 嶋 薫
議 員 小 野 正 美
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〇欠席議員(1人)
議 員 かんの 太 一
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〇説明員
市 長 秋 元 克 広
副 市 長 町 田 隆 敏
副 市 長 吉 岡 亨
副 市 長 石 川 敏 也
交通事業管理者
交 通 局 長 中 田 雅 幸
水道事業管理者
水 道 局 長 佐々木 康 之
病院事業管理者
病 院 局 長 西 川 秀 司
総 務 局 長 山 根 直 樹
危機管理監
危機管理局長 櫻 井 英 文
デジタル戦略推進局長 一 橋 基
まちづくり政策局長 小 角 武 嗣
財 政 局 長 福 西 竜 也
市民文化局長 本 間 芳 明
スポーツ局長 梅 田 岳
保健福祉局長 粟 崎 寿 也
子ども未来局長 山 本 健 晴
経済観光局長 田 中 俊 成
環 境 局 長 米 田 智 広
建 設 局 長 天 野 周 治
下水道河川局長 荻 田 葉 一
都 市 局 長 中 村 範 仁
会 計 室 長 野 島 聡
消 防 局 長 岡 本 征 仁
教育委員会教育長 檜 田 英 樹
教育委員会委員 石 井 知 子
選挙管理委員会委員長 猪 熊 輝 夫
選挙管理委員会委員 畑 瀬 幸 二
選挙管理委員会委員 佐々木 肇
選挙管理委員会委員 宮 村 素 子
人事委員会委員 祖母井 里重子
人事委員会事務局長 槙 智 洋
監 査 委 員 藤 江 正 祥
監査事務局長 佐 藤 伸 二
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〇
事務局出席職員
事 務 局 長 鈴 木 和 弥
事 務 局 次 長 酒 井 欣 洋
総 務 課 長 沼 田 征 延
政策調査課長 安 澤 哲
議 事 課 長 岩 岡 吾 一
議 事 係 長 木 村 公 彦
書 記 酒 井 彰 悠
書 記 伊 藤 友 介
書 記 上 田 真 士
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開 議 午後1時
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○議長(細川正人) ただいまから、本日の会議を開きます。
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○議長(細川正人)
出席議員数は、67人です。
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○議長(細川正人) 本日の
会議録署名議員として
あおいひろみ議員、佐藤 綾議員を指名します。
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○議長(細川正人) ここで、事務局長に諸般の報告をさせます。
◎事務局長(鈴木和弥) 報告いたします。
かんの太一議員は、所用のため、本日の会議を欠席する旨、届出がございました。
過日、
人事委員会委員長から、職員の給与に関する報告及び勧告の写しが提出されましたので、各議員控室に配付いたしました。
本日の議事日程、議案審査結果報告書、質問順序表は、お手元に配付いたしております。
以上でございます。
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○議長(細川正人) これより、議事に入ります。
日程第1、議案第13号、第18号から第21号までの5件を一括議題とします。
委員長報告を求めます。
まず、
総務委員長 成田祐樹議員。
(
成田祐樹議員登壇)
◆
成田祐樹議員 総務委員会に付託されました議案第13号 札幌市職員の
育児休業等に関する条例の一部を改正する条例案について、その審査結果をご報告いたします。
本件は、地方公務員の
育児休業等に関する法律等の一部改正により、原則2回まで育児休業の取得が可能となること等を踏まえ、本市職員の育児休業に関して必要な事項を定めるものですが、質疑・討論はなく、採決を行いましたところ、全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(細川正人) 次に、
財政市民委員長 村山拓司議員。
(
村山拓司議員登壇)
◆
村山拓司議員 財政市民委員会に付託されました
工事請負契約の締結に関する議案第18号から第21号までの4件について、その審査結果をご報告いたします。
質疑・討論はなく、採決を行いましたところ、いずれも全会一致、可決すべきものと決定いたしました。
以上で、報告を終わります。
○議長(細川正人) ただいまの各
委員長報告に対し、質疑はありませんか。
(「なし」と呼ぶ者あり)
○議長(細川正人) 質疑がなければ、討論の通告がありませんので、採決に入ります。
議案5件を可決することにご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○議長(細川正人) 異議なしと認めます。
したがって、議案5件は、可決されました。
――
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○議長(細川正人) 次に、日程第2、議案第1号から第12号まで、第14号から第17号まで、第22号から第29号までの24件を一括議題とします。
ただいまから、代表質問に入ります。
通告がありますので、順次、発言を許します。
村山拓司議員。
(
村山拓司議員登壇・拍手)
◆
村山拓司議員 私は、ただいまから、
自由民主党議員会を代表し、本定例会に上程されました令和3年度決算、その他諸議案並びに市政の諸課題について、順次、質問を行います。
最初に、市長の政治姿勢について伺います。
初めに、札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例について、2点お伺いいたします。
1点目は、町内会の課題に向き合う庁内体制についてです。
札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例の制定を目指している中で、町内会の声を聞くということは非常に重要なことであります。
我が会派にも、例えば、昨冬の大雪を経験した町内会から、
パートナーシップ排雪の費用について、町内会の負担が重過ぎる、あるいは、生活道路の除排雪を含めて行政の仕事ではないかといった除排雪に関する様々な声が我が会派に寄せられています。そのほかにも、ごみに関することや街路灯、また、民生委員の選任が負担になっているなど、本来は行政が担うことが適切なものまで町内会の役割とされているのではないかという思いが町内会の中にはあり、条例の制定を契機として、そういった根本的な問題にしっかりと目を向け、地域の声を聞いていくことが肝要であります。
行政と町内会の関係性は、時代とともに変化してきており、今般、条例を制定するのであれば、従来の役割分担の維持を前提とした負担軽減だけではなく、時代の変化に応じて、改めて行政と町内会の役割分担を話し合うようなことも始めるべきであると、我が会派は幾度となく指摘してきております。
令和4年第1回定例会においては、このような観点から、本当に町内会の負担軽減を目指すのであれば、市が行う様々な事業において、市が担うべき部分と町内会が担うべき部分を改めて精査し、地域の納得感を得た上で進めていくことが必要だとして、町内会の声を吸い上げて検討ができる仕組みを条文に盛り込むべきと秋元市長の見解をただし、市長からは、町内会の負担感の軽減や役割分担について納得感を得られるような在り方を検討し、こういった検討を進めるための庁内横断的な推進体制の整備について条文に盛り込むことを想定しているとの答弁を受けたところであり、このたびの条例案の第13条、第14条に、地域の意見を吸い上げ、
庁内関係部局が連携することを市に義務づける条文が盛り込まれたことは、一定程度、評価したいと思います。
今後は、この庁内横断的な推進体制の下で、町内会からも課題や要望などを丁寧に聞きながら、時代に即した地域との向き合い方を模索していくことが重要であると改めて指摘しておきます。
そこで、質問ですが、条例案第14条で言う部局間連携の整備について、具体的にどういった体制を想定し、いつ着手するつもりなのか、市長にお伺いいたします。
2点目は、
住民組織助成金についてです。
住民組織助成金は、町内会の自主的な運営及び活動に対し、助成金を交付するものであり、町内会が私たちの生活を支えるための様々な地域活動を行っていく上で非常に重要であります。
町内会の地域活動は、地域住民のニーズや社会情勢を踏まえると、一昔前よりも多様化しており、一方、そうした中で町内会の加入率は右肩下がりとなっており、将来的に
町内会費収入の減少が見込まれる中にあっては、町内会が地域活動を行う上で、
住民組織助成金が果たすべき役割も増してきています。
ところが、
住民組織助成金の交付の現状について、本年6月の
財政市民委員会で我が会派が取り上げたところ、100世帯から200世帯を抱える
単位町内会においては、その交付額は約3万7,000円ということであり、町内会の予算に占める割合は僅か3%ということで、率直に少ないと感じております。
このたびの条例制定の目的の一つとして、
町内会活動の活性化を掲げており、そのためには、現状を踏まえると
住民組織助成金の増額は必須であると考えます。
そこで、質問ですが、現在は、条例と並行して検討している支援策の項目として町内会へ
住民組織助成金の増額を検討するとしている状況でありますが、各町内会が来年度の
町内会活動を検討し、決定するまでに正式に増額することを表明すべき、また、どの程度の増額を考えているのかを示すべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
次に、丘珠空港の将来像の策定に向けた検討状況について、2点お伺いいたします。
1点目は、策定に向けた
スケジュールについてです。
丘珠空港の将来像は、6月6日の
市議会総合交通政策調査特別委員会で案が公表され、一年を通じて道内外との路線を展開することによって多様な交流を支えることなど、札幌の活力向上と北海道全体の発展のために丘珠空港の進むべき新たな方向性として示されたところであります。
札幌市は、8月8日から
パブリックコメントを開始し、9月に入ってからは
丘珠空港周辺の九つの
連合町内会区域でそれぞれ
意見交換会を開催したほか、
札幌駅前通地下歩行空間や北区、東区の商業施設などで、パネル展示を見ながら説明を聞き、意見を述べることができる
オープンハウス型意見交換会も実施しております。
この間、
新型コロナウイルス感染症が第7波を迎えましたが、特に丘珠空港に関わりがある
空港周辺地域には、
パブリックコメントの資料を各世帯に配付し、また、
意見募集期間を54日間に設定したことなどもあり、現時点で札幌市には多くの意見が寄せられていると聞いております。丘珠空港の将来像に対する
周辺地域住民をはじめとした市民の様々な意見が聴取できたことは、この将来像の策定において大きな意義があり、意見を反映すべきところはしっかりと反映させることで、また一歩前に進むのではないかと認識しています。
我が会派においても、滑走路の延伸をはじめとした丘珠空港の機能強化を期待する声が多く寄せられており、
空港周辺地域の生活環境の保全を図りつつ、札幌の
経済活性化、また、北海道全体の発展に資する取組として将来像の早期策定を目指すべきと期待しています。
そこで、質問ですが、丘珠空港の将来像策定に向け、今後、どのような
スケジュールで進めるつもりか、伺います。
2点目は、北海道との連携についてであります。
国内外の航空需要が回復してきている中、この将来像が策定に至った際には、国に対して将来像の実現に向けた取組に関して、できる限り速やかに要望し、事業化に向けた協議を本格的に取り組んでいかなければなりませんが、丘珠空港が道内外の路線を持つ空港であることから、北海道全体の
交通ネットワークとも深く関わるものであり、北海道との連携が重要だと考えます。
道議会では、自民党・道民会議をはじめ、多くの会派から丘珠空港の将来像に関する北海道の対応について質疑がなされております。
これまで、札幌市は、北海道と連携していきたいとしていますが、実際の要望に当たっては、北海道としっかりと手を結び、取組を進める必要があると考えます。
そこで、質問ですが、国へ要望していく際には、市長は、北海道とどのように連携していくつもりなのか、お考えを伺います。
次に、新たな
都市づくりについて、2点伺います。
1点目は、公共交通の在り方についてです。
市内バス交通は、
新型コロナウイルス感染症による影響が長期化していることにより、経営状態が急速に悪化している状況にあります。
令和3年度における
市内路線バス輸送人員は、対前年度比で102.7%と僅かに回復傾向にあるものの、外出や移動の自粛による
交通事業者の収益の減少や
感染症対策に係るコストの増加など、市民の行動、意識の変化が
交通事業者に与える影響は非常に大きく、コロナ禍前の令和元年度と比較すると25%も減少しており、依然として厳しい状況にあります。
また、8月8日から8月16日には、一部の
バス事業者において、およそ600人の
バス運転手のうち17人が
新型コロナウイルスに感染、または
濃厚接触者となり、平日も土・日・祝日ダイヤに便数を減らして運行せざるを得ないという事例がありました。札幌と小樽、北広島の路線で、1日当たり730便ほど減少し、約2万3,000人に影響が出たとのことであります。これは、
新型コロナウイルス感染症の影響によるものもさることながら、
バス事業者が抱える慢性的な
バス運転手不足の深刻さが表れたものと考えられます。
一方、高齢化が進む中、誰もが住みやすく暮らしやすい
地域づくりの観点で、医療、公共施設、買物などを結ぶ市民の足を守るという視点が重要であると、我が会派からはかねてより指摘しています。疲弊した地域交通の実態を踏まえた現実的な対応として、バス路線だけの問題として捉えるのは限界が来ており、行政がしっかりと関わりを持ってタクシーや鉄道などを含めた公共交通全体で俯瞰して捉え、
ポストコロナに向けた持続可能な
ネットワークへと枠組みを見直す大きな転換点にあるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、これからの市内の公共交通の在り方について、札幌市としてどのように考えているのか、お伺いいたします。
2点目は、札幌駅
南口タクシー乗降場の再配置についてです。
札幌駅周辺においては、2030年度の
北海道新幹線札幌開業を見据え、北5西1・西2地区の再開発事業をはじめとする都市開発を中心に、都市機能や
交通結節機能の向上を図るべく様々な計画が検討されています。
そのうち、札幌駅
南口駅前広場については、北5西1・西2地区の再開発事業に合わせて、JR札幌駅の
東コンコースとつながる南北の
歩行者動線を確保するなど、一部改修による再整備の検討を進めていると聞いています。
この
南口駅前広場については、平成4年に策定された札幌駅
周辺地区整備構想において、大通公園と対をなすシンボリックな空間の形成を目指すことが掲げられ、イベントで活用できるスペースなどが整備されました。また、平成30年に策定された札幌駅
交流拠点まちづくり計画においては、札幌駅交流拠点の再構築へ向けた目標、取組の方向を明確にするため、
街並み形成、基盤整備、機能集積、環境配慮・防災、それぞれの観点において、基本方針が掲げられ、その中で、
南口駅前広場については、
街並み形成の観点からは、市民や来街者の交流を促進するまとまった広場空間や滞留空間の確保に取り組むこと、基盤整備の観点からは、
タクシー乗降場の再配置について検討することが示されております。
南口駅前広場については、道都札幌の顔として快適性や利便性の向上を図ることはもちろんのこと、市民や
タクシードライバーが四季を通じて安全で便利に
タクシー乗降場を利用できることも重要であると考えます。
そこで、質問ですが、
南口駅前広場の再整備に当たり、
タクシー乗降場についてはどのように検討を進めていくお考えか、お伺いいたします。
次に、持続可能な
循環型社会の実現に向けた取組についてお伺いいたします。
世界全体の人口増加や経済成長により、中長期的に資源制約が強まることが予想されるとともに、
ウクライナ情勢や円安の進行など不確実性が増す世界情勢の中、天然資源が少ない我が国において、限られた天然資源をいかに有効活用していくかが喫緊の課題であります。
令和4年4月に
プラスチック資源循環促進法が施行され、事業者に対し、
プラスチック使用製品の排出抑制が課されたことから、各
飲料メーカーにおいても、
バイオマス由来の
ペットボトルの利用や、
ペットボトルから
ペットボトルにリサイクルする
水平リサイクルが、近年、活発化してきています。
この
ペットボトルの
水平リサイクルについては、現状では、物理的処理を行うマテリアルリサイクルが多くを占めますが、
廃ペットボトルを分子レベルで分解するケミカルリサイクル技術が世界的にも注目されています。このケミカルリサイクルは、マテリアルリサイクルで技術的な課題となっていた不純物の除去や耐性の問題をクリアし、繰り返し再生利用できる技術であることから、資源の循環利用につながり、天然資源の使用削減に大きな効果が期待できるものであります。
この技術は、世界で唯一、川崎市の企業だけが有しており、資源が少ない我が国にとって、
循環型社会の実現のために必要不可欠な技術であると考えます。環境首都を掲げ、冬季オリンピック・パラリンピック招致に取り組んでいる中、このような優れた技術を積極的に活用していかなければ、本市の本気度が問われるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、このような新しい技術を積極的に活用することで
ペットボトルの
水平リサイクルを推進し、持続可能な
循環型社会の実現に力強く取り組んでいくべきと考えますがいかがか、認識を伺います。
次に、地方再犯防止推進計画について伺います。
誰もが安全に安心して暮らすことができるまちの実現は、市民共通の願いであります。
これまで、警察や札幌市、そして地域の皆さんの協力によって、市内の刑法犯の認知件数は、平成13年の4万1,290件をピークとして、20年連続で減少を続け、昨年は8,633件まで逓減しましたが、再犯者の比率が約半数と高い比率を占めており、近年の犯罪情勢における大きな特徴となっています。
再犯を防ぐためには、刑事施設への入所中に罪の重さについて反省を促すばかりでなく、過ちを二度と起こさないよう改善、更生の意欲を呼び起こし、社会生活に適応できる環境を整えることが必要です。
国は、平成28年に再犯の防止等の推進に関する法律を定め、地域の状況に応じた施策の策定、実施を地方公共団体の義務とし、地方再犯防止推進計画の策定を努力義務と定めました。
我が会派としても、計画の必要性や重要性について繰り返し訴えてきたところであり、令和2年第1回定例会予算特別委員会において、再犯防止の取組の推進と計画の策定について質問し、市からは、令和3年度中の策定を目指して検討するとの答弁を受けたところでありますが、いまだ計画策定に向けた具体的な動きは見られません。
新型コロナウイルス感染症対策や客引き行為等防止条例の制定など、ほかに優先すべき課題があったことは理解しますが、札幌市を除く政令指定都市では、地方再犯防止推進計画は策定済みまたは策定中で、札幌市は大きく後れを取っている状況にあり、早急に取組を進める必要があります。
法務省の統計によれば、保護観察終了時に無職であった人の再犯率は、職があった人の約3倍も高く、また、刑事施設からの出所時に帰住先のない人ほど再犯に至るまでの期間が短くなっており、このことから生活や就労に関する支援が重要であることが分かります。
こうした犯罪や非行をした人の釈放後の住居や就業先などの帰住環境の調整や相談について、保護司会、更生保護女性会、協力雇用主会、BBS会などの更生保護関係団体の方々が日々尽力されておりますが、効果的な取組を行うためには市の協力が不可欠であります。
議会においても、超党派による札幌市議会更生保護事業を支援する議員協議会を設立し、更生保護団体と緊密な連帯を図り、その活動を支援してまいりました。平成23年11月には、市長に対し、関係4団体と、公共施設への相談サポートセンターの設置や、入札参加に当たっての評価点の加算、助成金の増額など、7項目にわたる要望を行ったほか、令和元年には、関係11団体と、札幌市における再犯防止推進計画の早期策定と、策定に当たって更生保護団体と協議を行うよう要望してきたところであります。
これら要望の一部は実現しておりますが、効果の検証や改善・充実が必要であり、いまだ実現していない項目や保護司の成り手不足をはじめとした関係団体が抱える悩みにも市は真摯に向き合い、地方再犯防止推進計画の検討の過程でしっかり議論していくべきものと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市における地方再犯防止推進計画の策定に当たっての基本的な考え方についてお伺いいたします。
次に、2030年冬季オリンピック・パラリンピックの招致について伺います。
2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致については、札幌市が目指す未来のまちの姿を実現するために、またとない機会であります。その実現のために、IOCによる事実上の候補地の絞り込み作業が始まる前の今月、9月までを機運醸成の集中取組期間と定め、札幌市やJOCをはじめ、プロモーション委員会の構成団体、経済界等が総力を挙げて、都市装飾やイベントでのブース出展などを通じて集中的に招致機運の醸成を推進しています。
先日、IOC理事会において、2030年大会の決定が予定されていた来年5月から6月開催のIOC総会が、9月もしくは10月に延期されることが決定されました。
いずれにしても、狙いを定めた対話に移行するためには、多くの市民・道民、そして国民の支持が必要であると考えます。今後、プロモーション委員会による大会の開催意義の中間取りまとめや、それを踏まえた大会概要案の更新版の公表を控えており、引き続き機運醸成に取り組んでいただきたいと思います。
また、IOC理事会による候補地の絞り込みが行われ、狙いを定めた対話に移行できた場合は、IOCからの質問状の回答書と併せて、国などから各種保証書を取得し、提出する必要があります。これら準備を加速度的に進めていくためには、東京2020大会を招致したときと同様に、国会決議や閣議了解、特措法制定といった国からの具体的な後押しが必要であり、そのためにも、オリンピック・パラリンピック開催が、単に開催自治体のためだけではなく、我が国全体に開催効果が波及する、まさに国家プロジェクトであるということを訴えていかなければならないと考えます。
そこで、質問ですが、市長は、オリンピック・パラリンピック開催によって、どのような効果が全国的に波及するとお考えか、伺います。
次に、市職員の育児休業の取得促進について伺います。
近年、少子高齢化や生産年齢人口の減少が急速に進み、共働き世帯の増加や、仕事や生活の在り方に対する意識の変化が見られる中、男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現が喫緊の課題であり、その具体的な対策として男性の育児休業が注目されています。
男性が育児休業を取得し、家事、育児に主体的に取り組むことで、家庭内における家事、育児の習慣化や、夫婦間の家事・育児負担の均等化が進み、結果として、女性の活躍促進や出生率の向上につながるものとして、少子化対策に極めて効果的なものであるとされています。こうしたことから、民間同様、地方公務員においても、産後8週間以内において取得可能な新たな育児休業制度が本年10月から導入されることとなるなど、男性がより一層育児休業を取得しやすくなる環境整備が進められております。
札幌市役所については、男性の育児休業の重要性を踏まえ、その取得促進に向けて、職員の意識啓発を中心とした取組を進めてきていると聞いていますが、国家公務員や他政令市と比較すると男性の育児休業取得率は決して高い数字ではなく、一層の取得率向上に向けた取組が必要ではないかと考えます。
しかし、札幌市役所内において、男性は仕事、女性は家事という男女における固定的な役割分担意識や、育児休業を取得するとその後の出世に影響が出るのではないかという不安などが、いまだに払拭されていないのではないかと思います。こうした見えない圧力は、民間企業においても同様の状況にあると考えていることから、男性が育児休業を取得することが当たり前の社会を実現していくためにも、まずは札幌市役所が率先して男性職員が育児休業を取得しやすい組織風土をつくり、社会全体に波及させていくべきであると考えます。
そこで、質問ですが、今後、男性職員の育児休業の取得促進に向けてどのように取り組んでいくのか、市長の見解を伺います。
次に、高齢社会の課題解決に向けたAIの活用について伺います。
高齢社会の進展により、令和4年7月1日現在の札幌市の65歳以上の人口は55万1,758人であり、今後ますます増加していくものと思われます。一方で、厚生労働省が7月に公表した介護人材の必要数の推計によると、2025年度末までに日本全国で約32万人、北海道では約1万人の介護人材が不足することが見込まれています。介護を必要とされる方が増加すれば、介護サービスを提供する従事者の確保が必要になるとともに、できる限り従事者の負担を軽減しながら適切なサービス提供に結びつけていくということも必要であると考えます。
我が会派では、先日、福岡市を視察し、福岡市と事業者との取組について学んできたところであります。
その取組内容は、福岡市が、AIやIoTなどの先端技術を活用した社会課題の解決などにつながる実証実験プロジェクトを全国から募集し、優秀な内容に対して福岡市での実証実験をサポートするといった事業を平成30年度に実施し、福岡市内の支援、介護を要する独り暮らしの高齢者20人程度を対象に、AI技術を用いた高精度のセンサーにより高齢者の生活行動をモニタリングし、異常が推定された場合にリアルタイムで通知されるというものでありました。現在は、この事業でサポートした事業者が、実証実験を経てケアプラン作成を支援する人工知能、AIを開発し、製品化しており、これによりAIがケアプランを作成補助する役割を担うことから、介護現場の負担軽減と利用者本位の介護の実現につながっています。
札幌市でも、在宅の高齢者に対しては、民生委員の見守り活動や独り暮らしの高齢者などの自宅に専用の通報機器を設置し、24時間体制で緊急通報や健康相談に対応するあんしんコール事業を実施していますが、緊急時には自分で通報ボタンを押す必要があるなど、在宅の高齢者が本当に安心して生活するためには様々な施策を有効に機能させていく必要があると考えます。
そのためには、既存のシステムも生かしながらAIを活用し、介護サービス事業者の事務負担などを軽減することや、在宅高齢者の見守りなどの機能を強化することに力を注ぐことができるよう、札幌市として支援していくことも有効ではないかと思います。
札幌市では、今年度、デジタル戦略推進局を立ち上げ、市全体でICT技術の活用やDXなどを積極的に推進していくこととしていますが、高齢者の見守りなど、身近な分野でも、このような取組を取り入れていくことは非常に重要であると考えます。
そこで、質問ですが、高齢者が安心して暮らせるよう、介護現場の負担軽減や見守りの課題についてAIの活用を検討していく必要があると考えますが、市長の認識をお伺いいたします。
次に、今後の観光振興策について、2点伺います。
1点目は、観光目的地として選ばれるための取組についてです。
新型コロナウイルスの感染拡大により、札幌の観光業界は活動が大きく制限され、甚大な打撃を受けてきました。我が会派では、令和4年第1回定例会の代表質問や予算特別委員会において、コロナ禍での経済回復戦略、今後の観光振興策について質問し、観光需要喚起に向けた取組の重要性について訴えてきました。
今年度に入り、国の政策として、感染防止対策と社会経済活動を両立していく方向にかじが切られており、オミクロン株に対応するワクチンの接種も始まります。札幌市では、ワクチン接種や基本的な感染対策の徹底といった感染防止対策を一層推進するとともに、YOSAKOIソーラン祭り、大通公園のビアガーデン、オータムフェストなどの大型観光イベントが3年ぶりに開催されたほか、サッポロ割や各種の誘客プロモーションなど、需要回復に関する様々な取組を重層的に実施し、国内需要は一定程度戻りつつあると認識しています。
また、先日、今年度のさっぽろ雪まつりの開催概要について発表がありましたが、北海道を代表する冬のイベントがリアルで復活するという明るいニュースは国内外において大きなインパクトを与えたところであり、開催に向けてしっかりと取り組んでほしいと思います。
一方で、インバウンドについては、日本に旅行したいという外国人は多くいる中で、来月11日から入国者数の上限の撤廃、個人旅行の受入れやビザ取得の免除など入国制限が緩和される予定であり、新千歳空港の国際便の再開などの動きが出てくるとインバウンドも徐々に活発になることが予想されます。
このような動きに対して決して乗り遅れることなく、これまでの需要回復の取組が無駄にならないように、そして、全国の観光地が一斉に誘客に動き出す中、都市間競争に負けることのないよう、取組を一層推進していくべきと考えます。
そこで、質問ですが、今後、観光需要が回復してきた際に、札幌が観光目的地として選ばれるため、どのように取り組んでいくのか、伺います。
2点目は、ユニバーサルツーリズムの推進についてであります。
先日、障がい福祉に携わる方と意見交換をさせていただいた際に、札幌市は、観光を楽しむ上で、バリアフリー化が十分に進んでいないと感じるという趣旨のご意見をいただきました。また、特別支援学校の関係者が教育旅行の行き先を検討する際には、どの施設でどの程度のバリアフリー化がなされているかの情報提供が全国的にも不足しているため、直接、現地に足を運んで確認することもあるという話をお聞きしました。
札幌市においては、バス経費の補助やSDGsプログラムの造成などによって教育旅行誘致に積極的に取り組んでいるとのことでありますが、このような実情があることもぜひ認識していただきたいと思います。
令和3年度版の観光白書によりますと、全ての人が楽しめ、高齢や障がいなどの有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行であるユニバーサルツーリズムの主な対象者である65歳以上の高齢者や障がい者などの人口は、日本の全人口の約3分の1に達しているとのことであります。高齢化は世界的にも進展していることから、今後の多様な観光需要を受け入れるためには、札幌市としてもユニバーサルツーリズムを一層推進する必要があると考えます。
そこで、質問ですが、ユニバーサルツーリズムの推進について、これまでどのような取組を行い、その現状についてどう認識しているのか、お伺いいたします。
次に、
新型コロナウイルスワクチン接種について伺います。
新型コロナウイルスワクチンについては、オミクロン株に対応する新しいワクチンの接種が、札幌市内の医療機関では9月30日から開始されると伺っております。この新しいワクチンは、初回接種を終了した12歳以上の方が対象で、前回接種から5か月経過後に1回の接種を行うとのことであります。そして、9月末から導入されるのは、オミクロン株BA.1に対応するワクチンでありますが、9月14日に開催された厚生科学審議会によると、現在、感染の主流となっているBA.4やBA.5といった変異株に対する有効性や接種の安全性も確認されているとのことであります。
国は、臨時接種期間を来年の3月末まで延長したところであり、また、第8波の到来を予測し、例年、感染者が多くなる1月を迎える前に、多くの希望される方に接種できるよう接種期間の短縮を検討しているとのことであります。
一方で、9月26日には、感染者の発生届の提出対象が限定されるなど、
新型コロナウイルス感染症への対応に係る負担軽減に向けた取組が始まっており、今後は5類相当への移行も含めた新たな枠組みへの議論が進んでいくものと考えます。
今後、
新型コロナウイルスとの共生の中で、社会経済活動をさらに進め、コロナ禍前の生活を取り戻していくには、引き続きワクチンの接種により、市民全体の
新型コロナウイルスに対する免疫を高めることが重要であり、そのためには、今後も引き続き多くの市民が接種に結びつくような取組が重要になるものと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市は、今後どのようにワクチン接種に取り組んでいくのか、伺います。
次に、2040年を見据えた高齢者の地域包括ケア体制についてお伺いいたします。
札幌市における高齢化率は、令和4年で28.1%、団塊ジュニア世代が全て65歳以上となる2040年には4割に迫ることが見込まれております。さらには、独り暮らし高齢者や高齢夫婦世帯、認知症高齢者が増加することも見込まれており、介護する家族の負担が増加するなど、様々な課題への対応が求められております。こうした中、高齢者一人一人の能力に応じて自立した生活を営むことができるように支援し、要介護状態になることを予防、改善し、重度化防止の取組を行っているのが地域包括支援センターであり、多様化する高齢者のニーズや課題を把握し、地域の支援体制づくりを行うなどの地域包括ケア体制の構築も担っています。
市は、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンにおいて、誰もが生涯健康で、学び、自分らしく活躍できる社会の実現としてウェルネスをまちづくりの重要概念として掲げており、健康づくりや介護予防に注力していく方針と聞いています。
介護予防に取り組み、自立支援、重度化予防を行うことは、将来的に、医療給付費や保健福祉費の軽減にもつながると考えます。これらのことから、高齢者が幾つになっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、自立支援や重度化防止の取組が大事であり、この支援を担う地域包括支援センターの役割は極めて重要であります。
その一方で、高齢化の進行に伴い、福祉人材の需要が拡大し、供給が追いついていない現状があり、地域包括支援センターについても例外ではなく、離職が多く、人材確保に苦慮しているという切実な声も受託法人から届いているとお聞きしています。
札幌市が実施した令和2年3月の介護保険サービス提供事業者調査報告書では、離職の主な理由として給与が低いことが明らかになっています。実際、札幌市の地域包括支援センター専門職員の1人当たりの年収に係る委託料は、厚生労働省の令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果と札幌市の委託費を比較すると、約100万円も少ない状況であります。
このような状況を放置すれば、受託法人がやっとの思いで確保した人材が流出し、定着しないことから、人材育成もままならず、高齢者支援など地域包括支援センターの業務に関するノウハウが蓄積されず、職員のみならず、地域包括支援センター自体の質が低下すると考えます。これは、サービスを享受する市民に大きな影響を及ぼすことにつながることから、ゆゆしき事態であると危機感を抱いております。
これらのことから、地域包括支援センター職員の資質向上は喫緊の課題であり、処遇改善など離職の防止対策を講じ、人材育成に取り組むべきと考えます。
また、地域包括支援センターの専門職員については、札幌市地域包括支援センターの包括的支援事業の実施に係る基準等に関する条例により、担当区域における高齢者が2,000人まで増加することに1人増員することとしており、高齢者人口の増加に伴う業務量の増加に対応しているとお聞きしています。
このこと自体、問題はありませんが、高齢者人口の増加に伴い、センター職員数が増加すると、管理職が一人で多くの職員を管理、指導することになり、困難事例への対応や、新人教育を含めた職員の人材育成などの必要不可欠な業務に十分な時間を割くことができず、人事管理が行き届かなくなり、市民サービスの低下を招くのではないかと懸念いたします。加えて、地域包括支援センターの担当地域が広域の場合は、家庭訪問などの移動に時間を要するなど機動力の低下も懸念されることから、将来的に大規模化に備えた体制整備が必要ではないかと考えます。
そこで、質問ですが、今後、地域包括支援センター職員の資質向上に向け、処遇改善を含めた対策が極めて重要と考えますが、どのように取り組むのか、また、大規模化するセンターの対応力をどう強化するのか、お伺いいたします。
次に、子育て環境の整備拡充について、2点お伺いたします。
1点目は、子ども虐待防止に関する職員の人材育成ビジョンについてであります。
子どもに対する虐待は、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与え、自ら助けを求めることができない子どもへの重大な権利侵害であります。
今年6月には、大阪府富田林市で、2歳女児が乳幼児用の柵内に閉じ込められ、脱水症状を起こして死亡した事案が発生しているほか、道内でも、6月に釧路市で、7月に札幌市で子どもを長時間放置する事案が立て続けに発生しており、報道のたびに大きな反響もあるなど、国民の関心が非常に高い社会的な問題となっております。
また、令和元年6月に札幌市で発生した2歳女児の死亡事案から3年が経過しておりますが、過去、札幌市が外部有識者から検証報告を受けた死亡事案を振り返ると、平成25年1月の事案、平成27年9月の事案、そして、令和元年6月の事案と、およそ2年半から3年半の周期で繰り返してきております。
これまでの札幌市の取組に対しては、再び札幌市で子どもの貴い命が危険にさらされる事案が発生しないために、秋元市長のリーダーシップの下、全庁一丸となって取り組んできた真価が問われるのは、まさにこれからであります。昨年度の児童虐待認定件数が2,400件を超え、高止まりの状況にあることを踏まえると、正念場は今も続いていると考えなければなりません。また、周期的に重大事案が発生していることから、人事異動で事案を経験した職員の大半が抜けることで風化してしまうおそれや、再発のリスクを十分に認識した上で今後の取組も組織的に進めていく必要があります。
令和4年2月には、令和元年6月死亡事例に係る検証の提言に対する札幌市の取組の評価報告書、いわゆる外部評価報告書が秋元市長に手交されておりますが、その中で重要な指摘は、札幌市の取組と自己評価が担当部局ごとの検討に止まり、組織横断的な全体的な評価がなされていないため、札幌市全体としての目指すべき全体像を明確にすべきであり、職員一人一人が、再び本事案の女児のようなケースが発生した場合、確実に救うことができるのかという視点で、改めて自らの業務を振り返る必要があるという点だと考えております。
そこで、質問ですが、今後、札幌市として、どのように、組織全体で共有できる全体像を明確にし、子ども虐待防止に係る人材育成の取組を進めていくのか、伺います。
2点目は、子ども虐待防止に関する専門職集団の育成についてです。
外部評価報告書では、現場レベルでの業務改善を持続的なものにし、効果的に運用するためには、それを担う専門性の高い組織の形成が不可欠と指摘しております。また、子ども虐待防止に関わる子どもと家族への支援については、本来、正確に予見できない未来に焦点を当て、そこに一定の判断を行うという不確実性が含まれていることや、常に状況が変動し、判断を間違える可能性があること、その判断の間違いが子どもの死を招く可能性があることなどから、高度な専門性を必要とする業務であることを繰り返し指摘してきております。
先ほどの目指すべき全体像の中心には、全国的に続いている子ども虐待事案の発生状況を踏まえると、専門職集団の育成が必要であるということや、専門的業務が協働の文化を持つ職場に支えられるという視点も極めて重要であると考えます。
一方、子どもに対する虐待は家庭の中で起こるため周囲に見えにくいことから、高度な専門性を持つ集団を育成するだけではなく、子どもや保護者と関わる全ての職員が、それぞれの部署で子どもの虐待防止に必要とされる専門性を高め、子ども虐待の兆候やリスクに早期に気づき、関係機関とつながり、協働することができるよう全体的な底上げも欠かすことができません。
そこで、質問ですが、子ども虐待防止に関する専門性の高い職員の育成及び組織の形成について、札幌市として、どのように考え、今後進めていくのか、お伺いいたします。
次に、デジタル技術を活用した区役所窓口サービスアップについてお伺いいたします。
昨今、官民を含め、デジタル化の動きはますます加速しているところであり、本年6月7日には、国において、デジタル社会の実現に向けた重点計画が閣議決定され、我が国が目指すべきデジタル社会の実現に向けて政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策が取りまとめられたところであります。
各自治体においても、デジタルトランスフォーメーション、DXの取組が進められており、行政手続のオンライン化や簡略化などにより、住民の利便性向上が図られているところであります。
特に、北見市の書かないワンストップ窓口は大きく注目されており、この夏に国が開催した夏のDigi田甲子園という国が推進するデジタル田園都市国家構想に関連した取組をする自治体を表彰する企画において、実装部門で全国ベスト4に選ばれております。私もこの7月に視察してまいりましたが、書かないワンストップ窓口では、市民は、まず、発券機で番号札を取り、窓口に呼ばれると職員に用件を伝えます。その後、当該要件に応じた手続を職員がシステムを活用して洗い出し、複数の窓口の申請書を一括で作成します。最後に当該申請書に市民が署名をすれば複数窓口の申請手続が完了するという流れになっており、市民の手間が大幅に軽減されていると感じました。また、実際、手続時間の短縮も図ることができ、市民にも大変好評を得ているとのことでありました。
本市においても、市民サービスの向上という観点では、この7月に全ての区役所で、総合案内・おくやみ窓口が設置されたほか、住民票や税証明の申請がスマートフォンなどオンライン上で手続できるスマート申請の導入など、一定の取組が進められているところであります。
しかしながら、窓口における各種手続は、依然として、市民が区役所に行き、紙の申請書に記入するものがほとんどであり、昨年度行われた市民意識調査においても申請書の記載に係る負担の軽減に対するニーズがあることが示されております。
昨年12月に策定されました札幌DX推進方針では、デジタル社会を形成する視点の一つとして、市民起点の行政サービスの提供が掲げられており、市制100周年を迎え、次の100年を見据えたさらなる変革が求められる中、窓口における各種手続に関して、デジタル化による市民負担の軽減に向けた取組をより一層進めていくことが必要と考えます。
そこで、質問ですが、デジタル技術を活用した区役所窓口のサービスアップについて、今後どのように取り組んでいくお考えか、お伺いいたします。
次に、雪対策について、2点お伺いいたします。
1点目は、新たな融雪施設の整備についてであります。
令和3年度は、度重なる大雪により、雪堆積場への搬入量が、緊急用に開設した箇所も含め、過去最大であった平成24年度を上回る2,543万立米を記録したところであり、その容量は逼迫していたと言わざるを得ません。特に、雪堆積場がそもそも少ない地域においては、雪の運搬に時間を要するため、排雪作業の効率低下が大きな問題であります。また、昨年度のような大雪時には、雪堆積場が早期に満杯となったり、暖気によって搬入路が不能となったりするなど、春先に閉鎖が相次ぎますが、融雪槽や融雪管などの融雪施設では、期間を問わず安定的に受入れが可能であり、排雪作業の効率化に有効な施設であります。
新川水再生プラザの下水の処理水を利用した施設である新川融雪槽は、昨年度から融雪能力を約1.5倍に増強したところであり、西区や都心部などの堆積場への運搬距離が長い地域の雪を受入れ、有効に活用できたとお聞きしています。
我が会派では、これまでも、新たな融雪施設の整備について早急に検討するよう求めてきたところであり、さきの建設委員会において、白石区の東部水再生プラザなどを候補地として検討しているとの答弁がありました。
融雪槽の整備については、調査や設計に時間を要し、工事も複数年にわたることから、供用開始までに相当な期間を要すると聞いています。しかしながら、大雪への対応や排雪作業の効率化の観点から、一刻も早く供用開始すべきと考えます。
そこで、質問ですが、現在、候補地として検討している新たな融雪施設について、速やかに整備を行うべきと考えますがいかがか、お伺いいたします。
2点目は、流雪溝の利用促進についてです。
融雪槽のような施設の整備により、公共の排雪を効率的に処理することは重要であるとともに、地域の住民が自ら投雪できる流雪溝についても地域内雪処理の観点から有効な施設であります。
流雪溝は、沿線住民から構成される管理運営協議会により運営が行われておりますが、近年では、空き家や協議会未加入者などによる未投雪箇所の増加が課題となっております。西区においても、そういった未投雪箇所があり、その箇所については、たくさん雪山が残っている状況が見受けられます。
このため、我が会派としては、流雪溝の利用促進に向けた各運営協議会の情報共有について札幌市に要請してきたところであり、令和元年度には、札幌市の主催で、各管理運営協議会の役員が集まり、
意見交換会を開催したところであります。この
意見交換会を通じて課題解決策の情報共有を図れただけでなく、実際に協議会同士が面識を持つことで管理運営に関する相談がしやすくなったという意見が多く、高評価を受けているとのことであります。
このように、流雪溝の利用促進に向けては、管理運営協議会に任せるだけでなく、札幌市による積極的かつ継続的なサポートが必要であると考えます。
そこで、質問ですが、流雪溝の利用促進のために、今後、どのような取組を行っていくお考えか、お伺いいたします。
最後に、西区の諸課題である札幌西インターチェンジについてお伺いいたします。
高速道路は、道内の拠点となる各都市を高速かつ安全に結び、流通や観光などによる社会経済活動を支える道路であり、道央都市圏の均衡ある発展や災害時の救援活動や緊急物資の輸送、復旧活動を支える上で欠かせない社会基盤であります。この高速道路が機能を十分に発揮するためには、円滑な交通を確保することが最も重要と考えます。
我が会派がかねてより要望してきた都心アクセス道路の整備も高速道路の円滑な交通に資する取組の一つで、事業化されたことは評価するところであり、着実な事業の推進を期待しています。
一方で、西区に目を移しますと、西区周辺から高速道路を利用しようとする車の多くは、新川インターチェンジと札幌西インターチェンジを利用することになります。この二つのインターチェンジのうち、高速道路から降りようとするときには、新川インターチェンジを利用することとなりますが、以前より渋滞が若干減少した感じはするものの、やはり出口では渋滞が発生しており、交通課題の改善を望む利用者が多い現状にあります。
そのため、我が会派としては、札幌西インターチェンジに旭川・苫小牧方面の出入口を追加し、フルインターチェンジ化することで交通の円滑化を図り、利用する方々の利便性を向上させることが必要であり、そのうち、まずは出口の渋滞という課題を解決するための取組を優先すべきとの考えから、昨年、令和3年第4回定例会の代表質問において、私から札幌西インターチェンジについての質問をしてきたところであります。
その際、札幌市からは、これまで、国やNEXCO東日本と連携し、渋滞要因の調査などを行い、その分析結果に基づく検討を行っているところであり、引き続き、札幌西インターチェンジから新川インターチェンジまでの区間を対象として、交通負荷の分散など交通課題の解消に向けた検討に取り組むとの答弁がありました。
その後、年度も替わり、高速道路の交通動向についてでありますが、直近のお盆期間において、平均日交通量は、コロナ禍前の令和元年度の時期と比較して89%まで戻っており、さらに、令和3年度比では137%に増加しているとのことであることから、令和3年第4回定例会での答弁にもありました検討はさらに進めていく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、前回の答弁にありました札幌西インターチェンジから新川インターチェンジの区間における現在の検討状況及び取組についてお伺いいたします。
また、今後、どのように取り組んでいくことを考えているのか、併せてお伺いいたします。
以上で、私の質問の全てを終了いたします。長時間にわたり、ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
○議長(細川正人) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で8項目にわたり、ご質問いただきました。私からは、大きな1項目めの私の政治姿勢について、8点ございますので、それにお答えをさせていただきます。その余のご質問に対しましては、担当の町田副市長、吉岡副市長、石川副市長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、私の政治姿勢についての1項目め、札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例についてお答えをいたします。
1点目の町内会の課題に向き合う庁内体制についてでありますが、この条例は、町内会の意義や重要性を広く市民・企業・行政が共有するとともに、町内会の維持及び活動の活性化に関する札幌市の基本的な施策を明記し、将来にわたって町内会を支援していくということを明らかにするものであります。
今後、町内会への支援を効果的に進めるためには、多岐にわたる町内会の課題を丁寧にお聞きした上で、市役所の関係部局が連携してその課題を整理し、より有機的かつ継続的に施策を推進していくための体制整備が必要だと判断をしたところであります。
この体制といたしまして、具体的には、町内会支援策検討本部会議、これを発展的に改組して、新たに町内会支援推進本部を設置することを想定しておりまして、条例の制定後、速やかに体制づくりに着手したいと考えております。
次に、2点目の
住民組織助成金についてでありますが、これまでの町内会の皆さんとの
意見交換会等において、
町内会活動の経費的負担の軽減を求めるという声を多くいただいたことを踏まえまして、令和5年度の予算編成の中で、
住民組織助成金の増額を含めた具体的な負担軽減策の検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、2項目めの丘珠空港の将来像の策定に向けた検討状況についてであります。
1点目の策定に向けた
スケジュールについてでありますが、9月末で
パブリックコメントや意見交換が終了するところでありまして、今後、市民意見の概要と、これに対する市の考え方や、これらの意見を参考とした丘珠空港の将来像(案)への反映などについて議会で報告させていただく考えであります。
その上で、平成28年から行ってまいりました利活用検討や市民1万人アンケート、市民や有識者で構成をされた札幌丘珠空港利活用検討委員会での議論なども総合的に見極めて、年内の将来像策定を目指したいと考えております。
次に、2点目の北海道との連携についてであります。
丘珠空港の機能強化につきましては、北海道においても重要な取組と認識をしております。
札幌市のみならず、北海道全体の発展、また、全道の航空
ネットワーク形成にも関わるものとして、北海道との連携は欠かせないものと考えているところであります。
将来像(案)の公表に当たりましては、これまでも北海道と緊密に連携をしたところでありますが、将来像を策定した後の国への要望には、札幌市と北海道が一体となって取り組んでまいりたい、このように考えております。
次に、3項目めの新たな
都市づくりについてお答えをいたします。
1点目の公共交通の在り方についてでありますが、札幌市におきましては、骨格的な公共交通として地下鉄及びJRを基本とし、郊外の住宅地などから各駅にバスを接続させることで市民の足を確保してきたところであります。しかしながら、運転手不足や利用者の減少により、バス路線の維持が難しい状況にもあるために、今後、ジャンボタクシーなどで運行するデマンド交通への転換や、需要に応じたバス路線の効率化などを進める必要があるものと認識をしております。
そこで、地域の実情を考慮しつつ、持続可能な公共
交通ネットワークの方向性を示していくために、地域公共交通計画を策定していく考えであります。
2点目の札幌駅
南口タクシー乗降場の再配置についてでありますが、
南口駅前広場につきましては、新幹線の開業や北5西1・西2地区の再開発による大幅な人の流れの増加が予想されますので、居心地のよい空間の創出とともに、2次交通への円滑な動線の確保が重要であると認識をしております。
そこで、
タクシー乗降場の再配置に際しましても、安全で便利に乗換えができるよう、タクシー事業者をはじめとする関係者の意見を聞きながら検討を進めているところでありまして、速やかにその配置やしつらえなどの方向性をまとめてまいりたいと考えております。
次に、4項目めの持続可能な
循環型社会の実現に向けた取組についてお答えをいたします。
ペットボトルの
水平リサイクルの推進は、資源のより高度な循環利用が図れるものであり、天然資源の使用削減に大きな効果が期待できるものと認識をしております。
現在、札幌市におきましては、家庭から回収した
ペットボトルの約30%をマテリアルリサイクルによって再び
ペットボトルに、また、残りの70%を卵パックなどに再生利用することで、天然資源の使用削減が図られているところであります。
ご質問にありましたケミカルリサイクルにつきまして、高い品質を確保できるという特性がある一方、現状では、マテリアルリサイクルと比較いたしましてCO2の排出量やコストという面について課題があるものと認識をしております。
このため、様々なリサイクル技術の特性や課題を環境負荷やコストなどの面から比較検証し、資源循環システム全体として最適な手法について引き続き検討してまいりたいと考えております。
次に、5項目めの地方再犯防止推進計画についてお答えをいたします。
犯罪や非行をした人の再犯を防ぐためには、地域社会で孤立することなく、安定した生活を送り、再び社会の構成員となれるよう、継続的に支援していくということが重要であります。これまで、国や他都市の再犯防止推進計画を参考にしながら検討を行ってきたところであります。札幌市における計画の策定に当たりましては、経済的に自立し、地域とのつながりを実感する上で重要となる就労支援や住居の確保をはじめとする施策がまずは重要課題だと認識をしているところであります。
今後は、これらに加え、これまで更生保護に関わる皆様からいただいたご要望等を踏まえながら、誰一人取り残さない社会の実現に向け、実効性のある計画となるよう取組を進めてまいります。
次に、6項目めの2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致についてお答えをいたします。
オリンピックやパラリンピックでのアスリートの活躍は、国民に感動や勇気を与え、我が国の冬季スポーツの振興につながるほか、パラアスリートの挑戦する姿は、障がいへの理解促進など、心のバリアフリーの実現にも寄与するものと考えております。
また、北海道、札幌の認知度が世界的に向上し、スポーツ体験を目的に、観光客が増加をするということは、スノーリゾートエリア全体の活性化につながり、我が国の観光立国としての国際競争力強化にも資するものであります。
さらには、世界的な課題でありますゼロカーボンの実現に企業を含めた関係者が一丸となって取り組み、世界に日本の高い技術力を示すということができる我が国の国際社会におけるプレゼンスの向上にもつながるものと考えているところであります。
今後、このような開催効果の全国的な波及などをアピールし、国家プロジェクトとして位置づけられるよう国に要望してまいりたいと考えております。
次に、7項目めの市職員の育児休業の取得促進についてお答えをいたします。
男性の育児休業につきましては、父親の自覚が高まり、女性の負担軽減となることに加え、組織といたしましても、育児休業の取得を前提とした職場の協力体制の構築や業務効率化の推進など、働き方の見直しの効果ということも期待できるところであります。
このため、これまで子育て職員を支援する計画を策定いたしまして職員、職場の意識改革を進めてきた結果、令和元年度には6.7%であった男性職員の育児休業取得率が令和3年度には26.7%と大幅に伸びたところであります。引き続き、男性職員が育児休業を取得しやすい職場環境づくりを推し進めるとともに、10月から育児休業制度が改正されることにもなりますので、私自身からも職員に対して取得促進を呼びかけてまいりたい、このように考えております。
次に、8項目めの高齢社会の課題解決に向けたAIの活用についてお答えをいたします。
進化し続けている新しい技術を取り入れていくということは、市民生活の向上に有効であり、高齢者の見守りなど、福祉の分野でも同様であるものと認識をしております。
このような身近な分野におきましても、ICTに係る既存の補助制度の活用を促すとともに、他都市の先進事例や民間企業の取組等の情報を収集し、AI技術の活用にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
私からは、以上です。
○議長(細川正人) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな3項目めの
新型コロナウイルスワクチン接種について、大きな4項目めの2040年を見据えた高齢者の地域包括ケア体制について、5項目めの子育て環境の整備拡充についての三つの項目についてお答え申し上げます。
まず、3項目めの
新型コロナウイルスワクチン接種についてのご質問でございますが、オミクロン株に対応した新たなワクチンは、一定の感染予防効果や発症予防効果に加えまして、従来ワクチンを上回る重症化予防効果も期待できるとのことであり、今後の感染拡大を抑えていくためにも、多くの方への接種を進めることが重要と認識するところでございます。
そのため、医師会や医療機関のご協力をいただきながら、様々な世代の方へワクチン接種の情報発信に努めるとともに、新たな集団接種会場も設置するなど、引き続き、希望される方に確実に接種機会を提供し、接種の推進に取り組んでまいります。
次に、大きな4項目めの2040年を見据えた高齢者の地域包括ケア体制についてのご質問でございますが、これまでも、札幌市は、地域包括支援センターとともに、職員の資質向上のための仕組みづくりや研修の実施などに努めてきているところでございます。今後は、人材確保はもちろんのこと、職員の離職防止のため、他政令指定都市の状況を参考にするなど、処遇改善を含めた職員の定着に向けた検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
また、地域包括支援センターが大規模化してまいりますと業務管理が課題になると認識しておりますことから、管理職のマネジメント力の向上に努め、高齢者の人口増に着実に対応できるような仕組みについて検討してまいりたいと考えております。
次に、大きな5項目めの子育て環境の整備拡充についてのご質問のうち、まず、1点目の子ども虐待防止に関する職員の人材育成ビジョンについてでございますが、外部評価報告書の指摘を踏まえ、今後の人材育成は、各職場、職域における取組に加えまして、部局横断的に子ども虐待防止に必要な理念や指針を広く共有しながら進めていくことが重要と認識するところでございます。
そこで、現在、市役所の中で、総務局、保健福祉局、子ども未来局、区役所を主体に、子ども虐待や研修等を専門とする複数の外部有識者も加えた常設の検討委員会を新たに設置し、多角的な検討を始めたところでございます。特に、目指すべき全体像につきましては、子ども虐待防止の職務に従事する職員の人材育成ビジョンとして年度内に策定した上で、関係する職員や組織においてしっかり共有してまいりたいと考えるところでございます。
次に、子育て環境の整備拡充についての2点目の子ども虐待防止に関する専門職集団の育成についてのご質問でございますが、子ども虐待は、子どもや保護者自らが周囲に助けを求めず、貧困やDVなど複数の問題が重なる例も少なくないことから、支援に携わる人材の育成は大きな課題と認識するところでございます。
そのため、新たに福祉コース職員の育成方針の策定をはじめ、関係職員の専門性を強化するため、多職種合同研修の導入など組織的、計画的な人材育成を促進していく考えでございます。年度内に策定いたします人材育成ビジョンの下、各組織における責務を共有し、協働の組織文化を根づかせることで、質の高い支援を実践できる専門性の高い組織の形成を目指してまいりたいと考えるところでございます。
私から、以上でございます。
○議長(細川正人) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡亨) 私からは、7項目めの雪対策について、8項目めの西区の諸課題について、2項目についてお答えをいたします。
最初に、7項目めの雪対策についての1点目、新たな融雪施設の整備についてであります。
下水の処理水を活用した融雪施設は、比較的市街地に近い場所に位置する水再生プラザなどに整備することが、排雪作業の効率化や排雪ダンプトラックからのCO2削減の面などから有効であると認識しております。
このため、新川水再生プラザに併設した融雪槽では、能力増強を行い、昨年度より供用を開始しており、能力増強前の約2倍の雪を処理することができたところであります。
新たな融雪施設につきましては、東部水再生プラザなどを候補地として、スピード感を持って検討を進めてまいります。
2点目の流雪溝の利用促進についてであります。
流雪溝は、沿線住民が積極的に利用することで良好な道路環境が保たれる施設でありますが、地域によっては、高齢化の進行などによる未投雪箇所の増加が課題であると認識しております。
この対策として、これまでも良好に運営されてきた事例などの情報共有を図るほか、各管理運営協議会の役員による意見交換などに取り組んできたところでございます。今後も、各協議会役員による情報共有がより活発に行われるよう、各役員へのアンケートや
意見交換会を行うとともに、課題への対応に向けた取組について検討を進めてまいります。
次に、8項目めの西区の諸課題についてであります。
札幌西インターチェンジについては、国及びNEXCO東日本と連携し、札幌西インターチェンジから新川インターチェンジの区間において、その周辺における交通状況の調査や、渋滞要因の分析、可能な取組の検討を行い、実施しているところでございます。
具体的には、新川インターチェンジの渋滞解消に向けた取組の一つとして、令和3年度に札幌新道から新川通への右折を円滑にするための区画線を新たに設置したところでございます。また、令和4年度には、新川インターチェンジから札幌新道への合流を円滑にするため、その前後の交差点である札幌新道と新川通との交差点及び新琴似通との交差点で、信号サイクルの調整を試行運用しているところでございます。
今後も、引き続き、交通状況の調査、渋滞要因の分析を実施し、信号サイクルの調整をするなどの取組の効果を検証して反映するとともに、さらなる効果的な取組について、国、NEXCO東日本と連携し、検討を深めてまいります。
私からは、以上でございます。
○議長(細川正人) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな2項目めの今後の観光振興策について、そして、6項目めのデジタル技術を活用した区役所窓口サービスアップについてお答えをいたします。
まず、大きな2項目めの今後の観光振興策についてであります。
まず、1点目の観光目的地として選ばれるための取組についてでありますが、誘客の促進に向けましては、国の
新型コロナウイルス感染症対策や水際対策の緩和の動きを注視しつつ、四季折々の多彩な大型イベントと、国内外の各市場のニーズに応じたプロモーションを連動させるなど、戦略的かつ効果的な事業展開が極めて重要であると認識をいたしております。
今年度は、さっぽろ夏まつりやオータムフェストなどを3年ぶりにリアル開催したことに加えまして、サッポロ割の実施期間に合わせて札幌の魅力をSNS広告などにより全国に発信することで、国内需要の回復に一定の効果を上げてきたところであります。今後は、雪まつりなど札幌が誇るイベントの実施や、直行便の早期再開が見込まれますアジア諸国での現地商談会への参加など、積極的な誘致活動を通じて、国内のみならず、海外の観光客の取り込みについても機を逸することなく展開してまいります。
次に、2点目のユニバーサルツーリズムの推進についてであります。
これまで、観光施設や宿泊施設等のバリアフリー状況に関する公式観光情報サイトでの情報提供のほか、介助スタッフが同行する旅行サービスの創出支援などを行ってきたところであります。また、今年度は、ANAグループとの共同プロジェクトによりまして、車椅子利用者とともに実際にまちを歩き、移動経路を含めた課題の抽出を行い、バリアフリーマップを作成したところであります。
今後は、障がいのある方や高齢の方にも不便なく札幌観光を楽しんでいただける環境を整備するとともに、より当事者目線に立ったバリアフリー情報の提供に努めてまいります。
次に、大きな6項目めのデジタル技術を活用した区役所窓口サービスアップについてであります。
市民サービスの最前線であります区役所におきましては、今後も、デジタル化の進展やそれに伴う市民ニーズの変化に応じ、デジタル技術を活用してさらなるサービスアップが必要であると認識をいたしております。
そのため、オンライン申請の対象手続の拡充はもとより、今後は、各種の相談等についても、区役所窓口に行かずに行うことができる仕組みを検討してまいりたいと考えております。また、区役所で手続を行う場合におきましても、申請書の作成支援やワンストップ窓口など、より簡単に、よりスピーディーに手続が完結する仕組みを検討するなど、市民の利便性向上を図ってまいります。
今後は、他の自治体の先進事例なども参考としつつ、全庁一丸となり、スピード感を持って、行かない、書かない、待たない区役所の実現に向けて取り組んでまいります。
私からは、以上であります。
(
村山拓司議員「議長」と呼び、発言の許可を求む)
○議長(細川正人)
村山拓司議員。
◆
村山拓司議員 ご答弁、ありがとうございました。
私からは、市長の政治姿勢について、1項目めの2番目の
住民組織助成金についてと、7項目めの市職員の育児休業の取得促進について、再質問させていただきたいと思いますが、その前に、市長の政治姿勢の3項目めの新たな
都市づくりについての2点目、札幌駅
南口タクシー乗降場の再配置についてであります。
先ほどの答弁で、安全で便利に乗換えができるようにするということでありましたけれども、利用者やタクシー運転手の皆様から現在の乗降場でどのようなことが不足しているのかを丁寧に聞いていただいて、今後の再整備に向けて取り組んでいただきたいと思います。
再質問ですが、
住民組織助成金の増額を含めた検討を進めるとのことでありましたけれども、幾ら増額するかは今後検討していただくこととして、早い段階で、町内会の中で、例えば、
パートナーシップ排雪の費用ですとか、来年度の予算編成のこともありますから、早い段階で増額することを決定していただくことで円滑な町内会運営が行えるので、増額に関しては必ず行うべきであると考えますが、答弁をもう一度お願いしたいと思います。
それと、市職員の育児休業の取得促進についてでありますけれども、男性職員の育児休業の取得というのは、僕自身も、今、2歳半を過ぎた子どもがおりまして、育児をしていく中で、子どもに対する愛情が深くなったり、あるいは、親にこう育てられたという思いから親への感謝の念が強くなったりと、子育てを女性だけではなく男性も行うというのは非常に重要な視点でありまして、先ほど、秋元市長から、自らが職員に対して、取得を促進するという、呼びかけをするというかなり前向きなお話がありましたけれども、どのような手法で取り組むのか、具体的にお伺いしたいと思います。
以上です。
○議長(細川正人) 秋元市長。
◎市長(秋元克広) 2点の再質問いただきましたが、1点目の
住民組織助成金についてであります。
先ほどもお答えをさせていただいたように、この助成金については、一定の増額が必要だという認識をしております。
ただ、どの幅で行うのか、そのほかの項目も含めて、予算全体を見てこれを決定していかなければいけないというふうに考えております。そういう意味では、来年度の予算編成作業に入ってまいりますけれども、当初予算にできるだけそれを反映できればというふうに考えているところであります。
それから、育児休業の関係でございますけれども、今、職員に対していろいろな呼びかけをする形でホームページを立ち上げておりますし、また、各区役所の若手の職員などとも今いろいろな意見交換をしております。そういった中で、育児休業といいますか、子育てについては、これは女性に偏ることなく、男性職員も一緒にやっていくということ、そういう意識づけということを呼びかけていきたいというふうに思っておりますし、また、やはり、そういう声を上げやすい職場環境ということをつくっていく、こういったことについては管理職のほうにも呼びかけをしていきたい、このように思っております。
○議長(細川正人) ここで、およそ30分間休憩します。
――
――――――――――――――――――
休 憩 午後2時31分
再 開 午後3時5分
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○副議長(峯廻紀昌) これより、会議を再開します。
代表質問を続行します。
恩村健太郎議員。
(恩村健太郎議員登壇・拍手)
◆恩村健太郎議員 私は、民主市民連合を代表して、本定例会に上程されました諸議案並びに諸課題について、順次、質問いたします。
初めに、市長の政治姿勢について、大きく5点伺います。
1点目は、目指すべき都市像の実現に向けてです。
まず、アクションプラン2019の進捗について伺います。
2022年度は、秋元市政2期目、また、アクションプラン2019の計画期間の最終年であり、現在は総仕上げとなる段階を迎えたところです。
本市は、この間、今なお出口が見えない
新型コロナウイルス感染症の脅威に全国的にも早い段階で直面しました。未知のウイルスに対して日本中が混乱する中、市立札幌病院では、陽性患者を率先して受け入れ、試行錯誤を重ねながら適切に対応してきたと評価しています。
今後は、感染の状況等を見極めつつ、本市保健所は、市立札幌病院をはじめ、市内の医療機関と連携し、医療提供体制を確保するとともに、さらに連携を強固とするべく主導的な役割を担っていくべきと考えます。
一方、感染症への対応を優先しながらも、アクションプラン2019で掲げた事業は、手法等の工夫により、おおむね当初の目標を達成できると聞いています。また、2022年度予算では、コロナ禍において必要とされる事業に注力するべく既存事業の再構築を行っています。その結果、市民生活の支援や市内経済の回復に対応しながら、子育てや再開発事業をはじめとするまちづくりなどの取組にも積極的に資源を配分することができ、将来を見据えた取組にも力を入れて進めていると考えます。
しかし、コロナ禍による観光需要の落ち込みや、各種イベント等が開催できなかった影響や、災害級の積雪による除雪体制の在り方など、課題も顕在化しました。
そこで、質問ですが、アクションプラン2019の進捗を踏まえ、これまでの秋元市政2期目の成果と課題についてどのように認識しているのか、伺います。
次に、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの具体化について伺います。
本市では、今後10年のまちづくりの基本指針となる第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの検討を昨年度より進め、このたび、目指すべき都市像や各分野の基本目標を定めるビジョン編が本定例会に議案として提出されました。
本市は、これまで一貫して増加傾向にあった人口が、本年ついに減少局面を迎え、2040年代には、生産年齢人口が100万人を割って、高齢者人口が約4割を占めることが見込まれる大きな転換点を迎えます。また、本年8月1日に市制施行100周年を迎え、記念すべき節目となりました。市制施行から100年が経過し、人口増加とともに先人たちの知恵と努力で発展してきた札幌市が、今後、人口減少局面に移行する中、複雑化する社会課題に立ち向かい、発展し続ける札幌市へと進まなくてはなりません。
第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンでは、目指すべき都市像を、「ひと」「ゆき」「みどり」の織りなす輝きが、豊かな暮らしと新たな価値を創る、持続可能な世界都市・さっぽろと掲げました。また、まちづくりの重要概念としてユニバーサル(共生)、ウェルネス(健康)、スマート(快適・先端)の三つを定め、各分野の基本目標の設定に当たっては、これらを念頭に置き、取組を展開することとしています。本定例会でビジョン編が策定された後には、戦略編や実施計画に当たるアクションプランによって、市民一人一人の身近な施策や事業として具体化されていくものと期待しています。秋元市長には、しっかりと道筋を示していただきたいと考えます。
そこで、質問ですが、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの具体化にどう取り組んでいく考えか、伺います。
次に、今後のまちづくりに向け、冬季オリンピック・パラリンピック大会招致がもたらす効果について伺います。
本市は、2014年から、初めてのパラリンピック冬季競技大会、そして、2度目のオリンピック冬季競技大会の招致を進めてきました。現在、東京2020大会における汚職事件等で、オリンピック・パラリンピック大会の意義すら疑問視される状況となっています。しかし、オリンピック・パラリンピック大会の開催は、スポーツ振興や国際交流、地域経済の活性化はもとより、まちのバリアフリーや心のバリアフリーの促進、大会関連施設等における先端技術の導入など、多方面に好影響を与えるものと考えます。
これらのことは、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンで掲げるまちづくりの重要概念に密接に結びつくものでもあります。特に、ユニバーサル(共生)並びにスマート(快適・先端)では、オリンピック・パラリンピック大会招致の過程で大きく具体的な飛躍が期待できると考えます。また、2030年は、国際社会が共同して解決に取り組むSDGs、持続可能な開発目標の目標年次でもあります。
本市が目指す都市像の実現並びにSDGsの目標達成に向けても、2030年オリンピック・パラリンピック大会の招致は、まちづくりの精度を高め、取組の加速化に寄与するものと考えます。
そこで、質問ですが、冬季オリンピック・パラリンピック大会の招致は、今後のまちづくりにどのような効果をもたらすのか、伺います。
次に、財政運営について、2点伺います。
1点目は、2021年度決算に対する評価についてです。
2021年度当初予算は、
新型コロナウイルス感染症対策やウィズコロナ時代における新たな日常への対応などに資源を重点的に配分するとともに、アクションプラン2019に掲げる計画目標の達成に向け、一般会計としては過去最大規模となる1兆1,140億円が計上されました。その後、
新型コロナウイルス感染症関連に伴う補正など3,218億円に上る対策を計上し、一般会計の最終予算額は1兆4,819億円となり、2020年度最終予算額から3.3%の増となりました。
歳出決算額は、2020年度決算比で0.9%増となる1兆2,849億円で、歳入決算額1兆2,992億円との差額142億円から、翌年度への繰越財源を除く98億円が実質収支となり、このうち49億円が財政調整基金に積み立てられました。
この結果、財政調整基金の2021年度末残高は311億円となり、アクションプラン2019で維持すべきとした水準である100億円を大きく上回っています。基金残高については、2022年度は現時点で82億円、2023年度には106億円をそれぞれ取り崩す見込みですが、100億円を維持できる水準にあります。急激な円安による物価高などで生活に不安を抱える市民が多い中、基金残高水準の確保に留意しつつ、我が会派が求めてきた財政調整基金の機動的な運用を引き続き行うことが肝要です。
財政調整基金が積み上がる一方で、
新型コロナウイルス感染症対策費の増加などに伴い、社会保障経費をはじめとする義務的経費も増加しています。さらに、地方交付税に頼らずに財政運営ができている度合いを示す財政力指数は昨年度から下落しており、本市の財政状況は、依然、厳しい状況にあると認識しています。
そこで、質問ですが、2021年度決算についてどのように評価しているか、伺います。
2点目は、今後の財政運営についてです。
本市の市債残高の推移を見ると、企業会計を含めた全会計の市債残高は1兆6,485億円となり、前年度から114億円減少していますが、一般会計ベースでは1兆1,006億円となり、2012年度から10年連続で増加しています。この要因は、地方交付税の振り替わりである臨時財政対策債が積み上がっていることが挙げられます。
現在策定中の第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの中でも示されている大規模な再開発事業や公共施設の本格的な更新事業が想定されることを踏まえると、近い将来、建設債の増加に伴い、全会計の市債残高も増加局面へ突入する可能性も十分に考えられます。今後、人口減少社会の到来が見込まれる中で、将来世代に過度な負担とならないよう、市債残高の適正な管理を行っていくとともに、次期戦略ビジョンに基づいたまちづくりを推進するに当たっては、財政調整基金をはじめとする各種基金を活用するなど、バランスの取れた財政運営を行っていくことが必要です。
そこで、質問ですが、2021年度決算を踏まえた今後の財政運営の考え方について伺います。
次に、札幌市が目指すクリーンなオリンピック・パラリンピック大会についてです。
本市が進めている2030オリンピック・パラリンピック冬季競技大会の招致においては、現在、本市とIOCとの対話段階のうち、第1段階に当たる継続的な対話を進めていると聞いています。
報道では、来年5月に予定されていたインド・ムンバイでのIOC総会が来年の秋に延期となったとのことですが、次の対話へ移行するタイミングに関しての言及はなく、早ければ今年中にも最優先候補地を絞り込むプロセスに当たる狙いを定めた対話に移行する可能性があるとのことです。
次のプロセスに進むためには地元住民の支持が重要ですが、本年3月に本市が市民・道民を対象に実施したオリンピック・パラリンピック招致に関する意向調査においては、過半数の賛成は得られたものの、賛否が拮抗しており、経費負担への懸念などの反対の声も多数寄せられました。そのため、本市では、7月から9月までを、大会招致の意義や理念、大会計画概要案などの理解促進や機運醸成における集中取組期間と位置づけ、JOCや地元経済界、スポーツ競技団体などと連携し、各種イベントやスポーツ大会におけるPR活動に取り組んできたところです。
そのような中、東京2020大会組織委員会の元理事が、大会スポンサー契約に当たって、特定の企業に便宜を図る見返りとして報酬を受け取った受託収賄の容疑で逮捕、起訴される事件が発生しました。また、関係者が次々と逮捕され、その闇の深さを感じる報道が連日続いています。
平和の祭典でもあるオリンピック・パラリンピック大会を私利私欲のための道具にしていたのであれば、到底、許されないことであり、捜査当局による徹底した解明を求めるところです。
9月8日に開催された第4回北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピックプロモーション委員会では、JOC山下会長と秋元市長によるクリーンな大会に向けた共同宣言が行われましたが、汚職事件の検証が済まない中、失墜したオリンピック・パラリンピックのイメージを回復するのは容易ではないと考えます。この宣言では、大会運営における透明性、公正性を確保するための取組として、組織委員会理事会や利益相反取引の管理、マーケティング事業の在り方などについて検討していくことに言及していますが、具体的にどう取り組むかも含め、秋元市長の姿勢をしっかりと市民に発信していく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、今回の事件が札幌市の招致活動に与える影響についてどのように受け止めているのか、また、今後、JOCと札幌市が目指すクリーンな大会について市民にどのように発信していくのか、伺います。
次に、雪対策について、2点伺います。
1点目は、大雪対応の予算についてです。
本市は、昨冬の大雪対応状況を踏まえ、検討会議の場において議論を重ね、関係機関とも協議を行い、本年8月に報告書を取りまとめました。
報告書では、対策のポイントとして、幹線道路の排雪作業の前倒しと強化が掲げられ、大雪時における対策実施の判断基準が明確に示されています。今後、大雪が発生した際には、この報告書に基づいた対策が実行に移され、冬期間の道路交通機能が維持されることが期待されます。
一方、さきの建設委員会でも指摘したとおり、大雪時に速やかに対策を実施するためには、あらかじめ予算を確保しておくことが重要です。
2022年度予算については、今年3月の第1回定例会においてその議決がなされているところですが、このたび策定された大雪対策に必要な費用は当初予算に計上されていないことから、今冬の大雪時における初動判断を速やかに実行に移すことができるよう、本定例会において大雪対策に係る補正予算案が上程され、議論が行われるところであります。
しかし、今後については、大雪の対策費を当初から一部想定して計上していくのか、それとも、その都度、判断をして補正予算を編成するのか、その方向性は示されておりません。昨冬の大雪に対するこれまでの議会議論を反映し、大雪の対策費は、補正ではなく、当初予算で計上することが望ましいと考えます。
そこで、質問ですが、次年度以降の大雪対策について、どのように予算を計上していくのか、伺います。
2点目は、今後の雪対策についてです。
本市は、冬のみちづくりプランで持続可能な除雪体制の構築について計画を立て、これまで取組を進めてきました。しかし、昨冬の大雪により、除雪従事者の確保や除雪機械の老朽化、除雪オペレーターの厳しい労働環境、雪堆積場の郊外化など、これまでの課題がより深刻なものとなりました。
また、生産年齢人口が減少している中、とりわけ労働環境が厳しい除雪事業については、除雪機械のオペレーターや除雪センター職員のほか、交通誘導員など多くの従事者が必要なため、事業の持続性が懸念されるところです。これまでの除雪体制を維持していくためには、除雪機械や従事者の確保に加え、雪堆積場の増強や融雪施設のさらなる整備が必要です。
昨年、投雪口を2か所から4か所に増強した新川の融雪施設については、都心部における排雪作業の効率化につながったと評価しております。今後は、さらなる融雪施設の拡充に向け、現在、東部水再生プラザなどを候補地として検討していると伺っており、より一層の排雪能力の向上につながるものと期待しています。
このように、融雪施設は、排雪作業の効率化に加え、経費の抑制や除雪従事者の負担軽減につながります。今後の人口減少を踏まえると、人材確保に資する取組と併せて、従事する方の負担軽減策を速やかに進めていくことが必要です。市民が将来にわたって安心して安全に冬を過ごせるような体制を構築するとともに、対策をより一層進めていくことが必要です。
そこで、質問ですが、昨冬の大雪を踏まえ、今後の雪対策についてどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、長引く物価高騰等への対応についてです。
新型コロナウイルス感染症の影響に加え、原油価格の高騰や原材料価格の上昇、急激な円安・ドル高の進行等により、石油製品や食料品などの価格が大幅に上昇し、市民生活に大きな影響を及ぼしています。
我が会派は、本年7月、物価高騰等が市民生活に及ぼす影響を最小限とするために、物価高騰対策の迅速な実施を求める緊急要望を秋元市長へ提出しました。
これらの動向を踏まえ、本市は、各分野における状況変化を全庁的に共有し、対応の検討を進めるとともに、市内事業者や市民に対し、市の方針や取組内容を広く周知するため、札幌市物価高騰等総合対策推進本部会議を設置しました。また、2022年第3回臨時会において、水道料金の減額、子育て世帯への臨時特別給付金の対象拡大の取組など、物価高騰等の影響を受ける幅広い市民への支援策を提案し、迅速に対応してきたことは、高く評価します。
一方、その後も円安の進行は続いており、その影響による物価高騰等に対応するため、国は、燃料油の負担軽減策を継続し、低所得世帯への給付金を支給するなどの追加対策をまとめました。また、地方創生臨時交付金に電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金という新たな枠を創設し、物価高騰等対応に対して、より重点的、効果的に活用される仕組みへ見直されたところです。
この追加対策に期待するところですが、電気代等や食料品などの生活必需品の価格上昇が続いている中、その影響は大きく、特に年金生活者や低所得者に重くのしかかってくると考えます。こうした事態を打開するためには、国や北海道と歩調を合わせた対応も重要ですが、基礎自治体として、市民や市内事業者の状況に寄り添って対応することが必要であると考えます。
そこで、質問ですが、市民生活の安心と円滑な社会経済活動を確保するため、長引く物価高騰等にどのように対応していくのか、伺います。
次に、市職員の人材確保について伺います。
複雑化・多様化している行政ニーズに対応し、安定したより質の高い行政サービスを提供していくためには、優秀な職員を確保し、あわせて、適正な人員配置を行うことが極めて重要です。
この観点から、我が会派では、これまでも機会を捉えて本市職員の人員体制について確認してきたところです。
職員数については、感染症対応や福祉に関連して若干の増員が実施されたとはいえ、これまでの行財政改革、業務効率化により職員数が削減された結果、人口10万人当たりの一般行政部門の本市職員数は377.2人となっており、20ある政令市の中で第18位、また、政令市の平均457.6人と比較しても相当少ない状況となっています。
今年度も、来年4月の採用予定者を10月に前倒しで採用する予定と聞いていますが、これによって欠員が全て補充されるわけではなく、人手が慢性的に不足している職場もあると聞いています。
加えて、一昨年から続く
新型コロナウイルス感染症対策のため、現在も、各職場が業務応援体制を取り、本市職員が一丸となって対応している状況が長期化しています。応援職員自身はもとより、応援を出している職場でも少ない人員で業務を継続しているため、職員の負担が増加し、疲弊してしまうことにより、結果的に市民サービスの低下を招くことになるのではないかと危惧しています。
また、少子高齢化の進展や、児童虐待等の複雑多様化する福祉課題への対応などにより、今後もさらに行政ニーズが高まっていく状況を考慮すると、まだまだ、専門人材の確保をはじめ、人的資源、マンパワーが必要であると考えます。
一方で、生産年齢人口の減少により、民間企業やほかの自治体との人材獲得競争は激化しており、本市採用試験の受験者数や競争率は減少傾向にあり、今後も厳しい状況が予想されます。また、人材確保という意味では、職員数の確保だけではなく、職員力、すなわち自ら考え行動する力や働く意欲をいかに高めていくかが重要になると考えます。
さらには、社会全体で転職者が増え、雇用が流動化している状況の中、本市においても若手職員の退職者数が増加傾向にあると聞きます。組織の活力を維持するためには、職員のスキルを育成するだけではなく、育成した後に本市職員として定着させるための取組が必要です。
そこで、質問ですが、今後の行政需要に対応するために必要な職員数をしっかりと確保すべきと考えますがいかがか、伺います。
またあわせて、職員力向上のための人材育成と環境整備に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
次に、札幌市の行政におけるデジタル・トランスフォーメーションについて伺います。
本市においては、1980年代から情報産業の振興に注力し、1997年度には、全国的な超高速情報通信
ネットワークの整備や、IT化に先駆けて札幌市情報化構想を策定、2001年度には札幌市IT経営戦略、2004年度には札幌市IT戦略に基づいて行政の効率化を進めてきました。近年では、2016年度に札幌市ICT活用戦略を策定し、2020年度の改定においては、ICTやビッグデータの活用によって価値の創造、向上を目指すとしています。
さらに、2021年度に策定した札幌DX推進方針の目的と基本的な考え方では、社会全体のデジタル化が加速していく中で、費用対効果や業務効率化の視点のみならず、市民の利便性向上を主眼にデジタル技術を活用し、複雑多様化する社会課題の解決と地域社会の持続的な発展につなげるため
に取り組んでいくとされています。
しかしながら、現在、札幌市に限らず、全国の自治体で行政のサービスが多様化・複雑化し、市民が抱える様々な課題への対応に多くの時間を割いているケースが見受けられます。限られた職員数で増加、複雑化する業務に対応していくには、より一層のデジタル化による業務効率化に取り組んでいくことも安定した住民サービスの提供につながると考えます。
また、札幌DX推進方針は、人口減少社会において、誰もが安心して利便性を実感し、真に市民生活の質の向上につながる市民目線によるデジタル改革を、地域社会全体で計画的に進めることを目的に策定されました。この目的達成に向け、デジタルの活用による行政サービスの効率化、高度化だけではなく、スマートシティの取組や地域産業のデジタル化を両輪として進めることとしており、民間を巻き込んだ取組を進めることも重要です。
そのような中、今年4月には、CDO、最高デジタル責任者である町田副市長の補佐官として、外部から北海道大学の山本名誉教授、エコモット株式会社の入澤代表取締役の2名がCDO補佐官に就任され、専門知識と推進力をもって本市のデジタル改革に関する政策の協議、決定を後押ししていただけると期待しているところです。
CDO補佐官が関わりながら市のプロジェクトマネジメントを横断的に行うデジタル・トランスフォーメーション推進本部会議の設置や、高度な知識と市民感覚を併せ持つ外部人材としてDXアドバイザーを任用し、デジタル戦略推進局の職員とともに、各部局への提案や個々のプロジェクトの推進を支援していくとのことでしたが、これらについてもより一層の弾みがつくものと認識しています。
国においても、プロジェクトの中において、制度が多岐にわたるため、標準化が難しく、個人情報保護の観点から慎重な検討が必要とされていた福祉に関するサービスについても、厚生労働省を含めて、AIを用いたDX化推進の検討や調査が行われています。
札幌市においても、住民記録や税、福祉などあらゆる分野においてDXを推進し、住民の利便性向上と内部事務の効率化を検討する必要があります。官民が連携してデジタル改革を推進していくことで、結果的には、住民一人一人に向き合う時間をつくり、市民生活の質の向上につなげることができるのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、札幌市としては、CDO補佐官の意見を受けて、今後どのような方針で行政におけるデジタルトランスフォーメーションを進めていくのか、見解をお示しください。
次に、札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例案に基づく町内会への負担軽減の取組について伺います。
町内会活動は、日常の様々な市民生活を支え、生活に変化や彩り、そして安全・安心にも寄与しています。しかし、近年は、超高齢社会の進展やライフスタイルの多様化などにより、町内会に参加する人が少なく、町内会の加入率も減少傾向にあります。
本市は、若者から高齢者まで、幅広い年齢層の市民に町内会の活動や役割を知っていただき、地域のコミュニティーを維持させるべく、秋元市政の1期目で町内会条例の制定を目指しましたが、各地域の意見や要望の集約に時間を要したことなどから条例提案を見送った経緯があります。秋元市政2期目に入り、条例制定に向けて市民との対話を重ねる予定でしたが、
新型コロナウイルス感染症による影響で意見交換をする機会も減り、条例に関する意見集約をできない状況でした。
このような中、本市は、昨年10月から12月にかけて町内会との
意見交換会を開催し、条例素案の案と支援策の案を作成しました。さらに、これらに対して町内会から意見を伺い、条例素案と支援策案を作成するなど、市民の意見集約を図ってきました。また、今年7月には
パブリックコメントを実施し、町内会条例には一定の理解が得られましたが、あわせて、支援策に当たる負担軽減策には、地域への依頼事項の軽減を考えてほしいや、若者に対する広報啓発を考えてほしいなどの声が寄せられるなど、業務の負担軽減と情報発信に関して改善策が求められています。
本条例が制定されることになれば来年4月からの施行となりますが、市民要望の多い事項に関してしっかりと対策を講じることが重要です。とりわけ、意見の多い
町内会活動の負担を軽減するためのツールとしてデジタル化は必須です。ホームページやSNS、回覧板の電子化、町内会費の電子決済など、従来にはなかった手法の活用が求められる時代となり、本市でも積極的に取り入れるべきと考えます。
こうした取組を進めるに当たっては、町内会を支えてこられた方々の支援が重要と考えます。例えば、スマートフォンの操作が苦手な方であっても、デジタル化に対応できるようなサポートを行うことが必要です。約2,180ある
単位町内会を全て同じスタートラインに置くことは難しくとも、条例制定を機にデジタル化へのサポートをしっかりと行い、誰もが
町内会活動に参加できるように対策を講じることが必要です。
そこで、質問ですが、町内会ささえあい条例の施行に向けた市長の意気込みをお聞かせください。
また、
町内会活動の負担軽減に資するデジタル化について、本市はどのような取組を行うのか、伺います。
次に、防災への取組について、3点伺います。
1点目は、市有施設の洪水・浸水リスクについてです。
近年、全国各地において、線状降水帯が発生するなど気候変動は大きく、生活に影響を与えるような状況となりました。直近でも台風14号による被害が発生し、被災地には大きな爪痕を残しています。
札幌市においても、2014年9月11日には大雨特別警報が発表され、このときは33年ぶりに札幌市災害対策本部及び各区災害対策本部を設置し、避難勧告の発令や避難場所が開設されるなど、大雨や洪水に対する備えは、以前と比べても、よりその重要性を増しているところです。本市においては、洪水ハザードマップの改正を重ねるとともに、市民に対して周知と注意喚起を進めてきました。
そのような中、本年8月1日、北海道から新たに中小河川の洪水浸水想定区域が指定、公表されました。新たな洪水浸水想定区域を見ると、洪水や浸水に対するリスクは上がっており、危機管理に対する備えを常にアップデートしていく必要があると感じているところです。特に、市民生活に直結する市有施設については、浸水によって市民生活に長期間大きな影響を及ぼす可能性があると考えます。
例えば、地下鉄の車両基地についてです。地下鉄東西線の西28丁目駅から分岐し、二十四軒駅付近にある西車両基地には東豊線の車両を留置しています。しかしながら、このエリアは浸水が深くなるとされており、有事の際には車両が浸水し、地下鉄の運行体制に影響を与えるのではないかと危惧しています。
また、市内各地には、ポンプ場や浄水場などライフラインを維持する施設が多数あります。万が一、市有施設が被害を受けた場合は、長期間にわたって多くの市民に影響が出る可能性があるため、洪水ハザードマップに基づいたリスク管理を行うことが重要です。
今回、新たな洪水浸水想定区域が指定されたことを機会とし、本市は、市有施設の洪水・浸水対策を各局に対して委ねるだけでなく、市民生活に与える影響度を勘案しながら優先順位をつけて対策を講じていくことが必要です。とりわけ、危機管理局には、災害発生後のみならず、防災・減災を想定した全市的な取組を期待するところです。
そこで、質問ですが、本市は市有施設の洪水・浸水リスクについて今後どのように考えていくのか、見解を伺います。
2点目は、BCPの改定についてです。
北海道胆振東部地震から4年が経過しました。市内でも観測史上初となる震度6弱を観測し、液状化による家屋の倒壊や全道的なブラックアウトによって多くの方が被災したことは、風化させてはならない記憶です。震災の経験と教訓を踏まえ、これまで、本市は、防災体制の一層の強化と地域防災力の向上に取り組んできたと承知しています。
北海道胆振東部地震災害検証報告書での検証を基に、避難所機能や情報体制の強化を行い、2019年9月に札幌市避難場所基本計画などを改定し、2021年8月には新たな地震被害想定を公表し、地域防災計画の改定や新たな地震防災マップの全戸配布など、積極的に対策に取り組んできたことは一定の評価をするところです。
しかしながら、胆振東部地震以降も、国内では震度6を超える地震が数回発生しているほか、大雨や洪水、豪雪など想定を超える災害が発生しています。大規模災害時には行政の役割がより重要となるため、行政自体が被災した場合でも、的確な緊急対応を行い、業務を継続できる対策を事前に行うことが必要です。
現在、本市では、2014年に策定された事業継続計画、いわゆるBCPの見直しを行っていると聞いています。自治体のBCPは、災害の発生に備え、非常時優先業務とその業務に必要となる人材等の業務資源を整理し、業務継続や早期復旧を図ることを目的としています。また、その策定に当たっては、業務継続に係る人員確保が重要になると考えます。さらに、災害発生時には、市職員も被災者となることから、全ての市職員が参集することは困難であることも考慮しなくてはなりません。
我が会派は、昨年の第3回定例市議会において、コロナ禍における災害発生時の職員参集や災害対応体制の維持についてただしたところ、本市からは、災害発生時には、保健所の応援体制を一部解除し、災害対応に当たることや、
新型コロナウイルス感染症対応業務を非常時優先業務に絞って業務を継続する旨の答弁がありました。
この4年間の経験から、想定する地震規模の上方修正のみならず、コロナ禍での大規模災害発災というより厳しい状況設定の下での業務継続計画の検討と全庁的な体制強化が必要と考えます。
そこで、質問ですが、策定から7年が経過している現行の業務継続計画について、どのような視点で改定を進めているのか、また、これまでの検討で見えてきた課題に対し、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
3点目は、児童生徒への防災教育の推進についてです。
本市においては、近年の自然災害の教訓から、大規模災害などの発生に備え、2019年度から、札幌市学校教育の重点において、児童生徒が災害に対して的確な思考、判断に基づく適切な意思決定や行動選択ができるよう、教育活動全体を通じて防災教育を推進していくこととしています。
こうした中、文部科学省は、2022年3月に第3次学校安全の推進に関する計画を策定し、全ての児童生徒が自ら適切に判断し、主体的に行動できるよう、安全に関する資質、能力を身につけることを示しました。
大規模な災害発生時には、住民を守るため、行政による公助の力を最大限発揮することは当然ですが、これまでの事例を見ても、公助の力だけでは限界があります。被害を最小限にとどめるためには、地域住民の自らの命は自ら守る自助の力と助け合う共助の力が不可欠です。
児童生徒への防災教育は、日常的な備えを行うとともに、状況に応じて、的確な判断の下に、自らの安全を確保するための行動ができるようにすることや、自然災害の発生に対する知識や地域の自然環境などを学び、災害時における危険を認識し、被害を回避する力を身につけるためにも大切なものと考えます。
東日本大震災を教訓として、防災教育が進んでいる都市においては、生き抜く力を育み、助けられる側から助ける側へと成長することを理念に掲げて、学校だけでなく、職場や地域において、生涯にわたって防災教育を進めるとしているところもあります。防災教育を通じて、まずは自助、そして共助について学び、防災・減災の知識を身につけ、その児童生徒が5年後、10年後に将来の防災の担い手となって地域の一員として活動していくなど、人材の育成にもつながり、地域全体の防災力も向上すると考えます。
そこで、質問ですが、札幌市の将来を担う児童生徒へ防災教育を推進していくことは、地域の防災力向上につながると考えますが、本市の防災教育の取組について伺います。
次に、公共
交通ネットワークの今後の取組について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響や人口減少に伴い、本市の公共交通機関の利用者は減少することが予測されており、公共交通機関の経営は大変厳しい状況が続いています。
札幌市
まちづくり戦略ビジョンでは、目指すべき都市空間として持続可能な都市を支える
ネットワークの構築を掲げており、その目標の実現に向けて、地域の移動を支えるバス
ネットワークの維持・向上に向けた取組を進めるとしています。
こうした一方、地域住民からは、バスの減便などにより生活に不便が生じているとの声が寄せられています。本市のバス路線の運行は民間
バス事業者が担っていますが、その多くは不採算路線を抱え、経営状況は厳しさを増しています。こうした中、本市では、バス路線廃止時に代替交通を確保するバス代替交通導入制度や、バス路線を的確に維持することを目的とした札幌市乗合バス路線維持補助金などを事業者に交付し、路線バスの維持に取り組んできました。
また、高齢化などによるバスの運転者不足も深刻化しています。2024年4月からは、長時間勤務による過労対策として、勤務終了から次の始業までの休息時間を最低9時間空けることが義務づけられています。労働条件が改善されることは歓迎すべきことですが、バスの運行維持に必要な人員も増えるため、人員確保はさらに厳しい状況になることが予想されます。
本市は、こうした状況を踏まえ、公共交通の需要喚起のため、路面電車の運賃無料デー実施などに対する補助を行っています。また、これに加え、AIを活用した新たな交通手段として注目されているデマンド交通の実証実験を11月に手稲区で開始する動きもあり、従来の枠組みにとらわれない新たな施策として期待しているところです。
我が会派は、本年の第2回定例市議会の代表質問において、地域の公共交通を維持するためには、公共
交通ネットワークに関する計画策定や網羅的な検討を行うことが重要と提言したところ、秋元市長からは、各事業者、関係機関や交通の専門家などの意見をもらうなど、具体的な検討を進めるとの答弁がありました。
公共交通が抱える課題の解決に向けては、計画、実行、検証、改善といった長期的な枠組みで取り組む必要があります。そのためには、継続的に関係機関や市民などが議論し、課題解決を議論する場が必要と考えます。
そこで、質問ですが、公共交通の課題解決に向けてどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、今後の保育施策について、2点伺います。
最初に、保育施設整備の方向性についてです。
本市は、子育てしやすいまちづくりを目指し、多様化する保育ニーズに対応するため、既存幼稚園の認定こども園への移行や、認可保育所等の整備などによる受入れ枠拡大のほか、保育人材の確保支援に取り組み、保育を望む保護者が安心して必要なサービスを受けられる保育環境の整備を進めてきました。その結果、本市は、国定義の待機児童は5年連続でゼロ人を達成しています。また、国定義の基準に該当しない潜在的待機児童についても減少傾向にあることは、本市が待機児童対策に真摯に取り組んできた成果であると感じています。
一方、保育施設は増加したものの、地域によっては、当初想定されていた保護者ニーズよりも、実際の保育施設利用者数が少なかったり、保育士の不足などによって子どもを受け入れることができずに、定員割れを起こしている施設もあるなど、地域間における差が現れ始めています。
国においては、2021年度からスタートした新子育て安心プランに基づき保育施策を進めてまいりましたが、内閣府で行っていた企業主導型保育事業においては、目標定員の達成が見込まれることから、新規の募集を取りやめることになるなど、全国的な待機児童の減少により国の方針も少しずつ変わりつつあります。
本市は、今年度までに認可保育所等定員を3万5,000人以上確保した結果、保育所等利用希望児童数を上回ることとなりました。札幌市内の保育所等の保育定員の数が充足しつつあることを踏まえると、従来の保育施設の新設を主とした施策から、地域間における差を解消していくための施策に転換していくことを考え始める時期に来ているのではないかと考えます。
そこで、質問ですが、今後、本市は保育施設整備をどのように進めていくのか、考えを伺います。
2点目は、保育所等を取り巻く環境についてです。
札幌市の出生数は、直近の2021年は1万2,100人で、前年の1万2,333人を233人下回っており、年々、子どもの人数は減少している状況にあります。現在、本市が進める保育施設整備に関しては、必要とされる地域を限定し、保育施設を新設することとしており、地域の保育需要を満たす上では必要な施策と認識しています。しかし、子どもの人数が想定よりも急速に減少している中で、近い将来、保育のニーズ量と供給量が大幅に乖離することが想定されます。
また、子どもの定員を満たすことができず、補助金収入が大幅に減り、赤字経営に陥ることで、保育士の解雇や事業者の撤退につながる可能性もあるのではないかと危惧しているところです。事業者の撤退や保育士の解雇などが起きてしまうと、結果として、子どもたちに質の高い保育が提供されずに、安心・安全な保育環境は構築できなくなります。
保育所等は、子どもの人数に応じて収入が増減するため、今後、子どもの人数が減ってくる中で、定員割れを起こす保育所等に対しては、柔軟な定員の増減を行っていくことが必要です。こうした中、今後は、保育所等を取り巻く環境について、一定程度の見通しを持つことが必要だと考えます。
そこで、質問ですが、今後、保育需要の減少が予想される中、それに伴う保育所等を取り巻く環境の変化について、本市の認識を伺います。
次に、今後の観光振興の方向性について伺います。
観光は、北海道、札幌の強みを生かしながら高い成長が見込める分野であり、幅広い産業への高い経済波及効果も期待できる、札幌の経済成長を牽引する極めて重要な産業であると考えています。
札幌市では、この重要な観光を地域一体となって振興していくため、2013年度に札幌観光の目指す姿や取組の方向性などを定めた札幌市観光まちづくりプランを10年間の長期計画として策定しましたが、今年度をもって計画の最終年度を迎えるところであります。
現在のプランの進捗状況を見ますと、2021年度の年間来客数は2022年度の目標値1,800万人に対して約44%、観光消費額についても目標値7,000億円に対して約31%の達成となっており、2018年度にピークを迎えて以降、
新型コロナウイルス感染症の影響により大きく減少しています。いずれの指標についてもコロナ禍の影響を大きく受けており、計画最終年度である今年度中に目標を達成することは極めて困難な状況ではないかと考えています。
観光という分野は、人の移動や接触が感染拡大を招くとされた
新型コロナウイルス感染症の影響を最も顕著に向けた産業です。
新型コロナウイルス感染症の発生以降、札幌市では、感染拡大の防止に努めてまいりましたが、現在、徐々に感染拡大防止と社会経済活動の両立を図ることを模索している状況です。
本市は、感染状況が落ち着いている局面においては、市内宿泊促進キャンペーン、サッポロ割や、民間の創意工夫を生かした観光需要回復支援事業補助金など、観光需要を喚起するための取組を適時適切に実施してきたと承知しております。加えて、感染拡大期においても、イベントのオンライン開催やデジタルプロモーションによって、観光都市さっぽろへの興味・関心を絶やさないための努力をしてきたことは評価しているところです。
こういった取組にもかかわらず目標の達成が困難であることについては、
新型コロナウイルス感染症という世界中の誰もが予測できなかった未知の感染症が及ぼした影響の結果であり、やむを得ない面があったと認識しています。
しかしながら、今後、札幌経済が力強い回復を遂げるためには、札幌の経済成長を牽引する観光の復活が極めて重要であり、現在策定を行っている次期観光まちづくりプランは、今後の札幌経済を考える上でも重要な意味を持つと考えます。
来年度からの次期観光まちづくりプランについては、市が外部の有識者や観光関連事業者から成る検討委員会を設置し、今後10年の札幌観光の方向性の検討を進めているところですが、現在の厳しい状況にある観光関連事業者の声をしっかりと反映することが大切です。プランの検討に当たっては、詳細な現状分析に加え、今後10年間に起こるであろう札幌の大きな変化や想定外の事態をしっかり踏まえた議論がなされることを期待しています。そして、コロナ禍からのV字回復を経て、
ポストコロナにおける札幌観光の持続的な発展につながる道しるべとなるような、これまでの計画の延長線上にとどまらない新たな観光まちづくりプランとなることを期待しているところでもあります。
そこで、質問ですが、次期観光まちづくりプランの検討に当たり、今後の観光振興の方向性についての考えを伺います。
最後に、札幌・北海道のスタートアップ・エコシステムのさらなる発展に向けた取組について伺います。
近年、
経済活性化に向けた柱となる取組として、短い期間で急成長を目指し、社会に大きなイノベーションをもたらすスタートアップ企業を次々と創出する仕組み、いわゆるスタートアップ・エコシステムの構築が注目されています。
国は、2022年をスタートアップ創出元年として位置づけ、先月にはスタートアップ担当大臣を新設し、スタートアップ支援の取組を一層推進するため、今年度末のスタートアップ5か年計画の策定に向けて検討を進めているところです。
札幌市では、2019年にスタートアップシティ宣言を行い、翌年には、札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会を立ち上げ、全国八つのスタートアップ拠点のうちの推進拠点都市として内閣府から選定されています。
2022年3月時点では、北海道スタートアップの資金調達額が、2020年度の35億円から2021年度は69億円と約2倍の増加を達成し、道内のスタートアップ向けファンド規模も、2020年度の15億円から2021年度では21億円と約4割の増加を達成するなど、スタートアップの機運は年々高まっています。
先般、私は、札幌におけるスタートアップ創出拠点の一つであるDRIVEを訪問し、支援に携わる方々と意見交換する機会を持たせていただきました。その中で、スタートアップの育成においては、行政や大学、金融機関、支援機関などが一つの目標に向かって一体となって協力し、地域全体で育てていく体制をいかに実現するかということが最重要の課題であると改めて認識したところです。
国内では、福岡市、神戸市、渋谷区などの各都市が、海外都市との連携による人材の獲得や、産学官一体となった協議会の取組など、それぞれ特色のある支援の取組を積極的に進めており、成果を上げてきています。スタートアップ支援は、今、まさに都市間競争の様相を呈していますが、起業家や投資家を中心とした人材の誘致競争を勝ち抜くためには、関係機関が協力し合いながら支援体制をしっかり築き、地域の資源を効果的に活用して、札幌、北海道ならではのスタートアップ・エコシステムを構築し、国内はもとより、世界に向けてその魅力を発信していく必要があるのではないでしょうか。
特に、札幌市では、IT産業の次代を担う新たな主力産業を育成するため、1980年代には全国に先駆けて札幌テクノパークという研究開発型の産業団地を造成し、産学官が連携してIT産業の振興に努めてきた財産があります。現在、スタートアップ向け相談会やスタートアップ向け補助金制度の新設など、取組を進めてきてはおりますが、こうした財産を生かして、より一層、産学官連携を強化し、スタートアップをさらに発展させていくべきと考えます。
そこで、質問ですが、札幌、北海道の強みや特徴を生かしてスタートアップ・エコシステムをさらに発展させていくため、今後どのように取組を進めていく考えなのか、伺います。
これで、私の質問の全てを終了いたします。ご清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(峯廻紀昌) 答弁を求めます。
秋元市長。
◎市長(秋元克広) 全体で9項目にわたり、ご質問をいただきました。私からは、大きな1項目めの私の政治姿勢について5点、そして、大きな4項目めの札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例についてお答えをさせていただきます。その余のご質問につきましては、担当の町田副市長、吉岡副市長、石川副市長からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
大きな1項目めの私の政治姿勢についての1項目め、目指すべき都市像の実現についてお答えをいたします。
まず、1点目のアクションプラン2019の進捗状況についてであります。
市長就任以来、市民生活の基盤となります地域の経済力を高めるために、
経済活性化やまちの魅力向上に力を注いできたところであります。その結果、市税収入や経済力のバロメーターとなる路線価が順調に伸びてきたほか、2018年には来札観光客数が過去最高を記録するなど、取組の成果が現れてきているものと認識をしております。
こうして生み出された財源を子ども・女性・福祉分野のサービスに還元をし、国定義の待機児童は5年連続でゼロ人を達成するなど、市民の暮らしの充実にもつなげてきたところであります。
この間、北海道胆振東部地震から全国的にも類を見ない速さでの復興を実現するとともに、
新型コロナウイルス感染症対応では、医療機関との情報共有、健康観察ツールの導入や入院待機ステーションの設置など先駆的に体制を構築し、また、記録的大雪を受けては、新たな大雪対策スキームを今冬に向けて速やかに組み立てるなど、想定を超える事象の発生にも市民の安全・安心に意を用いて対応してまいりました。
アクションプランの取組につきましては、事業の再構築等により所期の目標をおおむね達成できる見込みであり、今後は、今なお感染症の影響を受ける経済等の再生を図りながら、感染症対応を含む医療提供体制の構築や、持続可能な除排雪体制づくりなどの新たな課題に対して必要な対策を速やかに講じられるよう検討を進めてまいります。
次に、第2次札幌市
まちづくり戦略ビジョンの具体化についてであります。
さきに述べた目下の課題に対応し、市民生活の安全・安心を確保しながら、今後は、人口減少、少子高齢化が進む中でも成長する都市を目指し、分野横断的な施策を展開していくことが必要と認識をしております。
このため、第2次戦略ビジョンの重要概念を念頭に課題を整理し、例えば、ユニバーサル(共生)では、移動経路、建築物のバリアフリー化とともに、心のバリアフリーの浸透を進め、ウェルネス(健康)では、健康行動促進の取組や、歩きたくなるまち、ウオーカブルシティーの推進、さらに、スマート(快適・先端)では、デジタル社会の形成やゼロカーボンの推進に取り組む考えであります。このような分野横断的な施策展開によって豊かな暮らしが実現でき、それを支える人、物、投資、情報が国内外から集まる魅力的な札幌のまちを将来にわたって持続させてまいりたいと考えております。
次に、冬季オリンピック・パラリンピック大会招致がもたらす効果についてでありますが、オリンピック・パラリンピック大会は、開催都市、その地域として世界から大きな注目を集め、その認知度を高めるとともに、開催都市のまちづくりを加速させるものであります。
例えば、2012年ロンドン大会では、共生社会の実現に向け、車椅子で移動できる地下鉄駅情報の一元化や、環境面では、屋内競技場でも自然光を使い、エネルギー消費を抑える技術が導入されたと聞いております。札幌市でも、市民、企業の力を結集し、利用者目線に立った情報を発信できる新たなバリアフリーマップを作る取組ということを開始したところであり、大会開催によって宿泊施設等のバリアフリー化や心のバリアフリーの浸透をさらに促進するものと考えております。
また、温室効果ガスの削減量が排出量を上回るクライメートポジティブな大会を目指し、新しい環境技術を活用していくことで札幌発の環境レガシーが世界に広まるということも期待できるところであります。
このように、経済効果はもとより、市民・企業・行政が共通の目標に向かい、SDGsの達成を含む様々な分野のまちづくりの取組を加速できることが招致の最大の意義であり、結集した市民力によって札幌の魅力を高め、世界へ発信してまいりたいと考えております。
次に、2項目めの財政運営についてであります。
まず、2021年度決算に対する評価についてでありますが、令和3年度、2021年度決算は、計26回にわたって補正予算を計上し、財政調整基金も積極的に活用しながら、
感染症対策や地域経済対策はもとより、昨年度の大雪への対応などに機動的に取り組んだ結果、過去最高の決算額となったところであります。こうした中でも、効率的な予算執行や国、道からの財源確保によって基金や市債の残高は適切な水準に維持できており、令和3年度も、引き続き、将来世代に過度な負担を残さない健全な財政運営ができたものと認識をしております。
次に、今後の財政運営についてでありますが、長期化する
感染症対策や人口減少社会への対応など、今後の行政課題につきましては、国に対して、引き続き、様々な機会を通じて必要な財政措置を要望するなど、財源確保に努めてまいります。
また、次期戦略ビジョンを見据えながら、既存事業の見直しを含めた選択と集中を進めるとともに、公共施設の更新需要に対しては、公共施設マネジメントによる事業量の平準化を着実に進めてまいります。市債や基金残高の適切な水準に留意をし、また、税源涵養に資するまちづくりの推進により財政基盤の強化を図ることで、今後もバランスの取れた持続可能な財政運営を堅持してまいりたいと考えております。
次に、3項目めの札幌市が目指すクリーンなオリンピック・パラリンピック大会についてお答えをいたします。
本件は、東京2020大会に関する事案ではありますが、オリンピック・パラリンピックそのものへのイメージが損なわれたと大変残念に思っており、今後の招致活動への影響が懸念されるところであります。
そこで、今回の事案の問題点などを踏まえ、2030年大会においては、透明性、公正性の高い組織委員会運営を必ず実現させなければならないと考え、9月8日にJOC山下会長と行ったクリーンな大会に向けた宣言において、その強い決意を市民、国民の皆さんに示したところであります。
大会招致を目指す札幌市といたしましては、JOCや関係機関と連携をし、出前講座やプロモーション委員会での議論など、あらゆる機会を捉え、強い覚悟を持って、札幌はクリーンな大会を実現するという姿勢を積極的に発信してまいりたい、このように考えております。
次に、4項目めの雪対策についてお答えをいたします。
まず、大雪対応の予算についてでありますが、大雪対応に係る補正予算案では、排雪作業の前倒しに合わせて強化を行う排雪方法の変更に必要な費用を計上したところでありまして、これにより、今冬におきましては、初冬期の大雪にも迅速に対応することが可能となり、市民生活への影響を最小限にとどめられるものと考えております。
また、令和5年度以降の予算につきましては、初冬期の大雪への対応を当初から一定程度想定して予算化していく考えであります。
次に、2点目の今後の雪対策についてであります。
札幌市の雪対策は、冬の市民生活や社会経済活動を支える上で欠くことのできない重要な施策の一つでありますが、雪堆積場の郊外化や今後の除雪事業者の不足など、様々な課題を抱えているところであります。
このため、融雪施設の整備や先進技術を活用した作業の省力化、効率化などに取り組むとともに、幹線道路の排雪作業の強化など、新たな大雪対策も取りまとめたところでありまして、今後も、社会環境の変化を踏まえた雪対策の在り方について議論を進め、様々な取組を加速させ、安全・安心な冬の市民生活の確保に努めてまいります。
次に、5項目めの長引く物価高騰等への対応についてお答えをいたします。
これまでは、国、北海道における取組やその支援対象を考慮の上、支援の効果がより幅広い範囲に届くよう、水道料金の減額を行うとともに、子育て世帯や事業者に対する独自の支援を実施してきたところであります。
最新の総務省の家計調査などを見ますと、長引く物価高騰等は、所得に対する生活必需品の支出割合が大きい低所得世帯や、価格への反映が難しい事業者に対して特に大きな影響を与えており、その傾向は年末年始に向けて顕著に現れると推測をしております。
今後は、これまでの本市の支援策や今後の国、北海道の対応ということも考慮しながら、札幌市の消費者物価指数の上昇幅が全国と比較しても大きい傾向にあるなどの地域特性も踏まえ、低所得世帯等に対する独自の支援を行う必要があるものと認識をしております。
次に、大きな4項目めの札幌市未来へつなぐ町内会ささえあい条例についてお答えをいたします。
本条例の制定を公約として掲げてきた思いといたしましては、町内会が地域コミュニティーの中核として私たちの暮らしを支える様々な活動を行っているにもかかわらず、法的な裏づけがない中で、加入率の低下や役員の担い手の確保などにご苦労されている現状を踏まえ、町内会の意義や重要性を条例という形で広く共有することができないかと考えたのが始まりであります。
ここまで時間はかかりましたものの、町内会とは複数回にわたる意見交換で様々な課題を共有するとともに、議会からも多くのご意見をいただいてきたことで、町内会の維持と活動の活性化に関する基本的な施策に関する条文も盛り込んだ形で練り上げることができたものと考えております。
今後は、この条例をよりどころとし、いかに町内会の課題等に対応していくかが重要でありますが、ご質問にもありました町内会のデジタル化につきましては、町内会運営の負担軽減だけでなく、SNSなどの情報発信を通じ、
町内会活動をこれまで以上に地域の方々に知ってもらうことで、加入率の向上や担い手不足の解消等にもつながるものと認識をしているところであります。
条例の制定がゴールということではなく、さらなる取組の始まりと認識をし、これからも町内会の皆様の声を受け止め、寄り添いながら、より豊かで明るく暮らしやすいまちを未来の世代につなげていくという、本条例の考え方の実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。
私からは、以上です。
○副議長(峯廻紀昌) 町田副市長。
◎副市長(町田隆敏) 私からは、大きな2項目めの市職員の人材確保についてのご質問、大きな3項目めの札幌市の行政におけるデジタルトランスフォーメーションについて、5項目めの防災への取組について、そして、7項目めの今後の保育施策についての4項目についてお答え申し上げます。
まず、市職員の人材確保についてのご質問でございますが、これまで、民間活力の導入がふさわしい分野におきましては、委託化を進めるなど適正な定員管理に努める一方、近年は、福祉分野などの行政需要の高まりに応じて積極的に増員してきておりまして、今後も、専門人材を含め、必要な職員数をしっかりと確保してまいりたいと考えるところでございます。
また、職員力の向上につきましては、職員のやりがいや貢献意欲を高めることを意識しつつ、人事評価や研修を活用した人材育成や、仕事と生活の両立支援などの環境整備を進めることが重要と認識するところでございます。
今後、目指すべき職員像やその実現に向けた方策を体系化した札幌市職員人材育成基本方針の見直しを進め、具体的な取組を検討してまいりたいと考えるところでございます。
次に、大きな3項目めの札幌市の行政におけるデジタルトランスフォーメーションについてでございますが、CDO補佐官からは、デジタルが新たなインフラとして確立しつつある社会では、その活用を前提として、行政の効率化や市民サービスアップを徹底することが重要との意見があったところでございます。また、専門知識がなくてもシステム開発ができる最新のツールを導入し、職員によるシステムの内製化に取り組むことで、行政コストの削減を図ることはもとより、DXを推進できる職員の育成にも取り組むべきとのご助言をいただいたところでございます。
これらの意見を踏まえまして、デジタルを最大限活用した正確かつ迅速で、そして、何より市民一人一人に最適化された行政サービスの構築を進め、札幌DX推進方針に掲げる市民生活の質の向上を実現してまいりたいと考えるところでございます。
次に、大きな5項目めの防災への取組について、3点ご質問をいただきました。
まず、1点目の市有施設の洪水・浸水リスクについてでございますが、市有施設の浸水に伴う市民生活への影響を最小限にとどめるためには、平時から各施設におけるリスクや課題を把握し、ハード・ソフトの両面から計画的に対策を講じる必要があると認識するところでございます。
今後は、今年度更新する札幌市浸水ハザードマップの情報を庁内で共有し、札幌市強靱化計画の中で洪水、浸水による脆弱性を評価の上、全庁的な視点で防災・減災に向けて着実に取り組んでまいります。
2点目のBCPの改定についてのご質問でございますが、BCP、業務継続計画の改定に当たりましては、北海道胆振東部地震での経験や新たな地震被害想定に加えまして、
新型コロナウイルス感染症が業務実施体制に及ぼす影響を考慮し、進めているところでございます。
現在、
新型コロナウイルス感染症対策業務を含め、非常時優先業務の実施に必要な職員数の精査を終えたところであり、特に発災初期段階における職員不足が課題となっているところでございます。今後は、参集した職員で着実に実施できるよう、非常時優先業務の順位づけと行動手順の見直しを行い、令和5年3月までに業務継続計画を見直す考えでございます。
なお、計画改定後も、庁内の人的資源管理、職員配備の在り方など、業務を執行する体制の強化に継続して取り組んでまいります。
次に、3点目の児童生徒への防災教育についてのご質問でございますが、防災教育の意義は、災害時における児童生徒の生きる力を育むとともに、学校と保護者や地域住民、行政との連携に基づく地域防災力の向上にも寄与することにございます。
札幌市では、これまでも、小・中学校向けの教材を配付するほか、教職員等を対象とした研修を教育委員会と共同して開催するなど、各学校の防災教育の支援に努めてきたところでございます。現在、現場の教員の意見を取り入れながら、児童生徒の発達の段階に応じたより効果的で実践的な防災教育教材の作成に取り組んでいるところでございまして、引き続き、教育委員会と連携し、防災教育の充実を図ってまいります。
最後に、7点目の今後の保育施策についてでございますが、そのうちの1点目、保育施設整備の方向性についてでございますが、札幌市では、教育、保育の必要量見込みと、それに対する供給量確保の方策を定めた子ども・子育て支援事業計画に基づき、保育施設の整備を進めてきているところでございます。その結果、札幌市全体としては、保育の供給量はおおむね確保されたものの、一部の地域では不足が生じている状況でございます。
これらの状況を踏まえ、保育の受皿確保に関する方策を見直すなど、今後の保育施設整備の方向性につきましては、現在検討を進めている当該事業計画の中間見直しにおいて整理してまいりたいと考えるところでございます。
2点目の保育所等を取り巻く環境についてでございますが、現在、札幌市では、保育所に入所する児童数は増加しているものの、今後、減少に転じた場合には、事業者の保育所経営に影響が生じることも想定されるところと考えております。
国では、保育需要が減少する地域における保育所等の在り方に関する検討を進めているところでございまして、保育所の空きスペースを活用した子育て支援機能の充実に関する取組などが示されているところでございます。本市におきましても、国の議論の状況なども参考にしながら、保育需要の減少局面を見据えて検討を進めていくべき課題であると認識するところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(峯廻紀昌) 吉岡副市長。
◎副市長(吉岡亨) 私からは、6項目めの公共
交通ネットワークの今後の取組についてお答えをいたします。
路線バスを中心とした公共交通の課題解決に向けましては、
交通事業者や学識経験者などにより構成されます公共交通協議会を年内に設置し、議論を開始したいと考えており、この協議会での検討内容を踏まえ、令和5年度に中間報告として方向性を取りまとめ、令和6年度には地域公共交通計画を策定したいと考えているところでございます。計画の策定に当たりましては、市民の皆様にご理解いただくことが重要と考えており、広報さっぽろやホームページなどを通じて公共交通の課題や方向性、協議会の進捗状況などについて広く周知をしていく考えでございます。
また、協議会は、計画策定後も定期的に開催することを考えており、地域の実情に合った運行手法となっているかなどについて検証や協議を行い、持続可能な公共
交通ネットワークの構築に取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。
私からは、以上でございます。
○副議長(峯廻紀昌) 石川副市長。
◎副市長(石川敏也) 私からは、大きな8項目めの今後の観光振興の方向性について、9項目めの札幌、北海道のスタートアップ・エコシステムのさらなる発展に向けた取組についてお答えを申し上げます。
まず、大きな8項目めの今後の観光振興の方向性についてであります。
札幌市におきましても、人口減少期を迎え、市内消費の減少が懸念される中にありまして、域外からの経済的波及効果をもたらす観光の重要性がさらに高まるものと認識をいたしております。
次期観光まちづくりプランの計画期間であります今後の10年間には、北海道新幹線の札幌延伸や都心部の再開発の加速、また、現在招致を進めております2030冬季オリンピック・パラリンピックなど、札幌観光にとって千載一遇の機会が見込まれるところであります。
また、地球規模の気候変動などを背景として、観光の分野においても持続可能な観光が重視される傾向が強まり、世界の旅行者の多くがサステーナブルな旅行を希望しているとの調査結果もあるところであります。
そこで、今後は、こうした状況を踏まえまして、様々な関係者が戦略的かつ一体的に観光振興に取り組めるよう、推進体制を強化しつつ、観光施策のさらなる拡充を図ることによりまして、世界から選ばれ続ける観光地づくりを目指してまいりたいと考えております。
次に、大きな9項目めの札幌・北海道のスタートアップ・エコシステムのさらなる発展に向けた取組についてであります。
札幌市では、スタートアップ推進拠点都市として内閣府から認定を受け、産学官が一体となってスタートアップ創出の促進に向けた取組を進めてきたところであります。こうした取組により、札幌には、AI等の分野において国内第一線で活躍する研究者や、その成果を社会実装する企業群の集積が進み、山積する課題を新しいアイデアや技術で解決するスタートアップを目指す若い世代が増加しているところであります。
そこで、こうした強みや特徴を生かすため、今般、経済観光局に新たに外部人材を登用いたしまして専門的な支援を行いますほか、首都圏のベンチャーキャピタルとのマッチング事業などで資金調達環境を整えるなど、若い世代をはじめとする新たな挑戦を支援し、スタートアップの創出と成長をさらに加速してまいりたい、このように考えております。
私からは、以上であります。
○副議長(峯廻紀昌) お諮りします。
本日の会議はこれで終了し、明日9月29日午後1時に再開したいと思いますが、ご異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○副議長(峯廻紀昌) 異議なしと認めます。
したがって、そのように決定しました。
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○副議長(峯廻紀昌) 本日は、これで散会します。
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散 会 午後4時33分
上記会議の記録に相違ないことを証するためここに署名する。
議 長 細 川 正 人
副 議 長 峯 廻 紀 昌
署名議員 あ お い ひ ろ み
署名議員 佐 藤 綾...