その下のまとめの欄をご覧いただきたいのですが、
推進計画の
成果指標に関しては、大人の
指標は全体的に
上昇傾向にあるものの、
子どもの
指標は、
子どもの
権利が大切にされていると思う人の割合が低下しており、長引く
コロナ禍により、
子どもたちの
学習機会や
参加機会が減少していることが
影響しているものと考えられます。
今後に向けましては、
子どもの体験や参加の機会を確保していくとともに、
子どもの
権利の理解を促進し、いじめなど、
権利侵害からの
救済活動の充実を図りながら、より一層、
子どもの
権利保障の推進に取り組んでいきたいと考えております。
続きまして、2ページをご覧ください。
子どもの
権利救済機関、
子どもアシストセンターの
取組です。
一つ目の丸、
相談件数ですが、
令和3年度の実件数、すなわち
相談者の実人数は948人で、前年度に比べ7.5%の増、延べの
相談件数は2,886件で、前年度に比べて10.7%の減となっています。
延べ件数の減少は、
LINE社の
個人情報管理の在り方をめぐり、3月から7月にかけて
札幌市の
LINE相談を休止していたことが
影響したものと考えられます。
二つ目の丸になりますが、これらの
相談のうち、
調整活動を要したものは
令和3年度に32件となりました。前年度に比べると、
学校以外との
調整活動が増加しており、これは、問題が複雑多様化し、様々な機関との
調整活動が必要となった結果でありますが、その傾向が続くかどうかは今後の推移を見ていく必要があります。
なお、
学校以外の
調整先としては、
児童相談所や区役所、
教育委員会などとなっています。
三つ目の丸、
救済の
申立ては1件ありましたが、
居住権の侵害についての
申立てであり、調査することが適当でないと認められる事案につき、
調査対象外としています。
続きまして、3ページは、
子どもの
権利に関する
教育委員会の
取組です。
教育委員会では、
子どもの
権利の理念を生かした
教育活動の充実の観点から、太字にあります
教職員向け研修のほか、
人権教育推進事業も実施しています。
研修の内容としては、校長や教員が
権利条例についてより一層理解することができるよう、
新任管理職研修や1
年次研修などで
子どもの
権利に関する講義を行うとともに、
学校生活に困りを感じている
子どもを理解し
支援することや、ピアサポートに関連する演習も行っております。研修には、
子ども未来局の職員も動画で講師として加わるなど、
教育委員会と
子ども未来局の連携を進めています。
概要は以上ですが、これ以降に続く具体的な
取組内容の中から、1点、個別に説明させていただきます。
20ページをご覧ください。
上段(3)の1.に、
ヤングケアラー支援に向けた
取組を掲載しています。
ヤングケアラーへの
支援については、
令和3年6月に、組織横断的な検討を行うための
作業ワーキンググループを設置し、
支援体制等についての検討を進めております。
令和3年11月から12月にかけては、市立の中高生や
学校を対象に
実態調査を実施しており、その結果、
ヤングケアラーの多くが、お世話の現状を知っている大人が周囲にいないと感じていることや、誰かに
相談するほどの悩みではないと思って
相談していないことなど、潜在化しやすい
ヤングケアラーの実態が改めて明らかになったところです。
今年度は、新たに
予算計上の上、
学校、介護、福祉、
医療機関等の
関係職員の研修など、
ヤングケアラー支援に取り組んでまいります。
○
村松叶啓 委員長 それでは、
質疑を行います。
◆川田ただひさ
委員 私からは、ご報告いただきました
子どもの最善の
利益を実現するための
権利条例についてお聞きしたいと思います。
端的に
質問を始めたいと思いますが、
札幌市は、本
条例を平成20年11月7日に制定されたわけでございますけれども、その制定以来、意味合いであるとか、
効果でありますとか、そういった認識について、今までの間、どのような認識をされているのか。
また、先ほど、数値の低下の部分もございました。私は微々たるものだと思いますが、いろいろな
社会状況によって上下はするものだとは思っているところでもございます。そういった中において、
令和3年の先ほどの
取組状況なども見て、本
条例についてどのような
効果があったのか、どういう認識をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
◎佐藤
子ども育成部長 ただいま、2点ご
質問を賜りました。
まず、1点目の
条例の意味や
効果についてのご
質問です。
子どもの
権利条例は、平成6年に我が国で批准した児童の
権利に関する条約の理念に基づき、
子どもが豊かに過ごすことができるよう、市民と市が一体となって
子どもの
権利を大切にするという決意を
自治体の法として宣言するものです。
次に、2点目の
条例制定による
効果の有無についてのお尋ねにお答えいたします。
子どもの
権利が尊重された環境の中、
子どもたちが安心して生活することで
自己肯定感が高まると言われていることから、
子どもの
権利の保障に関する
指標の一つに、自分のことが好きだと思う
子どもの割合を設定しています。
この
指標の推移を見ると、平成21年度の53.2%から
令和3年度には67.3%に上昇しており、
条例に基づく
取組の一定の
効果が表れているものと受け止めております。
◆川田ただひさ
委員 お話があった
自治体の法ということでございますが、この
上位法というのは、今のところ、日本では存在していないわけであります。言わば、条約に基づいたという形で、今、お話になっているわけでありまして、そういった点も含めまして、制定時においては、諸
先輩方をはじめ、我が会派では反対していたところでもございます。
ただ、先ほど、
効果があったという話でございますけれども、ほとんど、
子どもの
権利条例がない
自治体もあるわけであって、それぞれが、やはり、
子どもたちのためにいろんな
取組をしながら
効果を出しているわけでございます。
そういった中において、本
条例を制定したところもたくさんある中で、ほかの制定していないところと比較してどのような違いがあるのか、まずお伺いしたいと思います。
◎佐藤
子ども育成部長 ただいまの
条例を制定していない
自治体との違いについてのご
質問にお答えいたします。
条例では、
権利侵害を受けた
子どもに対して迅速で適切な
救済を図るために、
子どもの
権利救済委員を置くことを定めています。
この
救済委員は、第三者的な立場として、
子どもの
権利侵害に関する
相談に応じることに加え、
関係機関と
調整をしたり、必要があるときは市や
教育委員会などへ勧告したりできることとされております。
条例でこうした権限を法的に付与していることで、
子どもたちの悩みや困りをより解決に導いてあげられることが
札幌市の強みであると受け止めております。
◆川田ただひさ
委員 先ほどのお話の中で、
救済委員の方は、
関係機関との
調整ということで、
調整はいいかと思いますが、市や
教育委員会などに勧告という話でございます。
言わば、
教育委員会などは、
教育基本法をはじめとして、諸
条例、
諸法令によっていろいろ定められた中でやっているわけですし、市も
地方自治法の中でやっているわけであります。そういった
上位法がない中での勧告というのは、どういった法的な
調整というのがあるのか。
私は、理念としては、先ほどありましたように、いろんな
相談に応じて
関係機関と
調整するということはあり得るかとは思っておりますが、その点について、私としては非常に疑問といいますか、どのようなことなのか、非常に注視していきたいと思っているところでもございます。
そこで、この
子どもの最善の
利益の定義です。これは、非常に幅広いかと思いますし、私は
条約そのものも見ております。ただ、これは、別に
条例を定めなくても、日本の中においてほとんどが当然の
権利として保護すべき内容というふうになっているかと思いますけれども、そういった中において、あえて
条例化して
子どもの最善の
利益というものが一つの
判断基準の大事なものとして、言葉としてあるわけでありますけれども、この定義についてお伺いしたいと思います。
◎佐藤
子ども育成部長 ただいまの
子どもの最善の
利益の定義についてのご
質問にお答えします。
子どもの最善の
利益とは、
子どもが自立した
社会性のある大人へと成長するために何が最もよいことなのかを大人が考え、それによって
子どもが得られる
利益のことであり、大人が
子どもに
影響を与える決定をする際に、常に念頭に置かなければならないものです。
このことは、
条例全体の理念を示す前文並びに
児童福祉法第2条にも、大人の責任として明文化されているものです。
◆川田ただひさ
委員 子どもが自立した
社会性のある大人へと成長するために、何が最もよいことなのかを大人が考え、それによって
子どもが得られる
利益のことということであります。そういった意味では、この言葉は当然そうかと思います。
しかしながら、私としては、先ほどの法令的な関係も含めて、または、国益という観点からも考えて一つ疑問に思うのは、私が
常々朝鮮学校への
補助金などの支出についていろいろとお尋ねしているところ、彼らも、健やかな成長を願う観点から、
子どもの
権利条例に基づいてというよりは、この理念に基づいて支出していますという話でもございました。
すなわち、あまりにも幅広い概念がために、
諸法令であるとか国益という観点から、そういった部分を逸脱した形で
子どもの
権利条例が使われることがないよう、私は今後も注視してまいりたいと思います。
○
村松叶啓 委員長 ほかに
質疑はございませんか。
(「
なし」と呼ぶ者あり)
○
村松叶啓 委員長 なければ、
質疑を終了いたします。
以上で、
委員会を閉会いたします。
――――――――――――――
閉 会 午前10時32分...