札幌市議会 2022-03-24
令和 4年第一部予算特別委員会−03月24日-09号
令和 4年第一部
予算特別委員会−03月24日-09号令和 4年第一部
予算特別委員会
札幌市議会第一部
予算特別委員会記録(第9号)
令和4年(2022年)3月24日(木曜日)
――
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●議題 付託案件の審査
●
出席委員 33名(欠は欠席者)
委 員 長 丸 山 秀 樹 欠 副委員長 村 山 拓 司
委 員 武 市 憲 一 委 員 高 橋 克 朋
委 員 こんどう 和雄 委 員 山 田 一 仁
委 員 五十嵐 徳 美 委 員 佐々木 みつこ
委 員 北 村 光一郎 委 員 伴 良 隆
委 員 阿部 ひであき 委 員 中 川 賢 一
委 員 三 神 英 彦 委 員 小須田ともひろ
委 員 ふじわら 広昭 委 員 桑 原 透
委 員 しのだ 江里子 委 員 村 上 ゆうこ
委 員 中 村 たけし 委 員 松 原 淳 二
委 員 かんの 太 一 委 員 たけのうち有美
委 員 田 島 央 一 委 員 恩 村 健太郎
委 員 福 田 浩太郎 委 員 小 口 智 久
委 員 前 川 隆 史 委 員 森 山 由美子
委 員 太 田 秀 子 委 員 池 田 由 美
委 員 田 中 啓 介 委 員 佐々木 明 美
委 員 千 葉 なおこ 委 員 石 川 さわ子
――
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開 議 午後1時
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○丸山秀樹 委員長 ただいまから、第一部
予算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、
吉岡委員からは、
佐々木明美委員と交代する旨、届出がありました。
それでは、議事に入ります。
第3款
保健福祉費 第2項
子ども福祉費及び議案第4号 令和4年度札幌市
母子父子寡婦福祉資金貸付会計予算について、一括して質疑を行います。
◆
千葉なおこ 委員 私からは、札幌市子ども・
子育て会議児童福祉部会から提出されました
令和元年6月
死亡事例に係る検証の提言に対する札幌市の取組の
評価報告書について、3点お伺いいたします。
2歳女児の
死亡事案発生から間もなく3年となります。改めて、亡くなられた女児のご冥福をお祈りするとともに、尊い命が奪われるような事件が二度と起こらないよう、我が会派も、札幌市職員の皆さんとともに、全ての子どもの人権が保障される社会実現に向け、力を合わせて取り組んでまいります。
2020年3月、札幌市子ども・
子育て会議児童福祉部会より、
令和元年6月
死亡事例に係る
検証報告書が提出されました。
本市は、この
検証報告書を受け、
関係部局において業務を見直し、取組を進めてまいりました。
提言の中には、これまで複数回の提言が出されていながら、市では、本事例発生前に提言に対する
実施状況についての
自己評価、
外部評価の機会は持たれていなかったことが指摘されておりましたので、このたびの
児童福祉部会評価ワーキンググループからの検証の提言に対する札幌市の取組の評価は、取組のさらなる推進において大変重要な評価をいただいたと思います。
評価報告書は2月17日に市長へ手渡され、25日には令和3年度第2回札幌市
児童虐待防止対策本部会議が行われました。
1点目にお聞きいたしますのは、札幌市全職員への共有についてです。
2020年3月18日に、市長は、職員に向け、職員の皆さんへというメッセージを
庁内イントラネットメールによって発出されました。
令和元年6月
死亡事例に係る
検証報告書について、皆さんにこの報告書をぜひ読んでほしいと、全ての職員に関わる仕事の取組姿勢についても触れられているものです。
また、この間、
児童虐待防止対策推進本部会議や
児童虐待防止緊急対策本部会議が開催され、各本部長である市長、副市長からは、都度、指示が出され、各部局で取組を進めてきたところです。
本部長指示では、幾度となく提言にあった協働の視点や支援を受ける側の立場になって問題を解決する観点、全庁横断的な議論や全庁一丸となって取組を進めることが重要であると繰り返されております。
そのことからも、
検証報告書の提言を受け、本市がどのように組織として変わり、取組を進め、また、その
自己評価と外部はどのように評価しているのかということは全職員で共有し、事件の教訓を風化させないことが必要ではないかと考えます。
そこで、お聞きいたしますが、このたびの
評価報告書と今後の
取組方針について、札幌市全職員で共有するための取組が大切と考えますがいかがか、お伺いいたします。
◎野島
子ども育成部長 評価報告書等の職員への共有についてお答えいたします。
評価報告書や今後の
取組方針につきましては、2月25日に開催した
児童虐待防止対策推進本部会議において、
関係部局に共有を行うとともに、各区職員が集まる会議の場も活用するなどして、
関係職員に周知を図っているところでございます。
また、
評価報告書につきましては、札幌市の公式の
ホームページのほか、ふだんから職員が業務上閲覧する
庁内ホームページにも掲載し、
児童虐待防止に係る業務に従事する職員をはじめとして、幅広い職員に閲覧を促しているところです。
この事案から得た教訓を風化させないよう、協働の視点を持って仕事に当たる重要性も含め、様々な機会を捉え、引き続き庁内で共有を図ってまいります。
◆
千葉なおこ 委員 2点目は、
評価報告書の終わりにあります目指すべき全体像、
育成体系、
育成ビジョンについてお聞きいたします。
まず、目指すべき全体像については、2020年11月の
本部会議において、
再発防止のために必要な
組織体制づくりに向け、今後行われる定数・機構や予算の編成の中においても、全庁横断的な議論を行い、具体的な取組を進めていくという
本部長指示が大変重要であると指摘し、全庁横断的な議論のためには、目指すべき全体像を明確にし、方向づけと評価がなされる必要があると述べております。
もう1点の
育成体系についても同様に、市長指示である協働の視点、支援を受ける側の立場になって問題を解決する観点について、
福祉関係の
相談支援業務は、時に個人の人生を左右し、命を支える仕事であるがゆえに、
専門的知識・技術、態度に裏づけられる自他共に専門職であると認識し、専門職であろうと努める職員が担い手でなければならない、
本部長指示の職員研修や育成等は専門職の育成が核になるべきで、明確な
育成体系が必要であると述べております。
このことからも、
本部長指示は、事案の検証や対応状況の報告、今後の取組などの報告に対し、方向性を決めていく重要な指示であることからも、
評価報告書の終わりでは、この2点について評価の要点とされているのだと感じます。
我が会派は、これまで、
福祉分野における職員の人員配置や専門性については、保護課のケースワーカーや
児童相談所の
児童福祉司、母子保健、
児童養護施設職員など、幅広く取り上げて、人事配置の考え方や
専門的力量を持つ職員を養成する体制、また、採用方法や働き方も含め、
福祉分野は極めて重要であるということを繰り返し述べてきたことから、この
評価報告書の要点は本市の全ての
福祉業務の核となる重要な部分であると考えているところです。
そこで、質問ですが、目指すべき全体像、
育成体系が不明確であり、これを明確にすることが必要であるという点を評価の要点としたということについて、どのように受け止めておられるのか、お伺いいたします。
◎野島
子ども育成部長 評価の要点の受け止めについてお答えさせていただきます。
今回の報告書で評価の要点とされました目指すべき全体像の必要性につきましては、
児童虐待防止に係る全庁横断的な議論を有効なものとするためには、それぞれの
関係部局のみで取組の評価や改善を行うのではなく、部局横断的な視点を持って行うべきという趣旨の指摘であるものと認識しております。
次に、職員の
育成体系の必要性についてでございますが、
児童虐待に係る職務は高い専門性が求められますことから、専門知識や技術を持った職員を養成することの重要性を改めて指摘されたものと認識しております。
いずれにつきましても、今後の札幌市における
児童虐待防止の取組を推進していく上で大変重要な指摘であるものと真摯に受け止めており、
評価報告書の要点でありますこれらの指摘を踏まえまして、今後、
関係部局において、しっかりと検討してまいります。
◆
千葉なおこ 委員
松本伊智朗部会長は、福祉のゴールを議論し、10年後のビジョンを持つ必要があると述べられ、この
評価報告書を市長へ手渡しました。市長は、市職員全体で共有すると述べたことも報道されております。
札幌市を含む日本中では、
児童虐待のみならず、子どもに関する問題が多く発生しているのが現状です。市長を先頭に、全職員、
関係部局、子ども・
子育て会議児童福祉部会並びに各専門分野の
福祉団体や関係機関の皆さんと連携しながら、社会全体で子どもが大切にされる仕組みをどう進めていくか、目指すべき全体像、
育成体系の受け止めについて、今、ご答弁いただきましたけれども、取組が十分になるには時間がかかるということもありますけれども、早急に取り組んでいくことが大事かなというふうに思っております。
最後に、
外部評価についてお聞きいたします。
このたびの
評価報告書は、札幌市子ども・
子育て会議児童福祉部会に
外部評価を依頼し、昨年、計7回にわたり、札幌市の取組に対して点検、評価を行っていただきました。
冒頭にも申し上げましたが、これまでの
死亡事例等に係る
検証報告書の提言に対する取組の
実施状況について、
自己評価、
外部評価の機会が持たれていなかったことの指摘は、本市の
児童相談体制、支援の取組のさらなる前進に大きな意味を持ったと考えます。
部会からも今回の
外部委員会による評価を行う試みは先駆的であるとの評価をしていただいておりますが、この評価結果にもありますとおり、今後も継続することが私も必要だというふうに考えております。
そこで、お伺いしますが、継続的な点検、評価の枠組みを創設する必要があるとの指摘に対し、評価の継続は今後どのように取り組んでいくお考えなのか、お伺いします。
◎野島
子ども育成部長 今後の
外部評価の取組についてお答えいたします。
児童虐待防止に関する取組につきましては、引き続き、
PDCAサイクルを意識しながら、外部の専門家に
取組状況や目標の達成状況などを定期的に報告し、その評価を踏まえて、改善点を整理し、今後の取組に反映させていく
仕組みづくりが重要であると認識しております。
外部の専門家への
報告方法やその頻度など、具体的な実施方法につきましては今後検討してまいりますが、札幌市と外部の専門家が協働で点検と評価を行い、取組の方向性を確認できるような実質的な議論の場にしたいと考えているところでございます。
◆
千葉なおこ 委員 今後の取組に関する様々な提言に対しましてしっかりと取り組まれていかれるように申し上げまして、私の質問を終わります。
◆
中川賢一 委員 私からは、保育所の整備に関しまして、何点かお伺いをしていきたいと思います。
国では、昨年の12月に新
子育て安心プランを発表いたしまして、令和3年度から6年度末までの4年間において、全国で約14万人分の保育の受皿を整備して、早期の
待機児童の解消を目指すというふうにしてございます。
札幌市におきましても、保育所の整備など、保育の
受皿確保を進めてきたところでございまして、その結果、国定義においては、平成30年の4月から昨年、令和3年の4月まで、取りあえず4年連続で
待機児童ゼロを達成したということでございまして、この点につきましては
一定程度評価をしたいというふうに考えます。
しかしながら、市全体の保育の定数が
利用者希望数を数字的には上回っているといっても、それは必ずしも
保育ニーズ全体を満たしていることとイコールとは言えないわけでございまして、例えば、希望する保育園への入所がかなわないで、他の
保育サービスなどを利用しながら、やはり待機しているというような児童がいらっしゃいましても、そういったものは
待機児童ゼロには含まれず、そういった方が今でもコンスタントに1,000名程度いるというふうに伺っております。
そこで、最初の質問でございますが、今後
当該プラン等をベースに受皿の確保を進めていく上で、来年度の予算におきましては、どの程度の規模の受皿をどういった考えで整備していくお考えなのか、お伺いしたいと思います。
◎加茂
支援制度担当部長 来年度、令和4年度の
保育所整備についてでございますけれども、札幌市では、これまでの間、保育の受皿の確保を進めてまいりました。その結果、令和3年4月には、近年では初めて市全体で保育所の定員数が
利用希望者数を上回ったほか、これまで増加傾向でありました
新規申込者数が減少に転じるなど、次第に保育の受皿が整いつつあるというふうに認識しております。
これらの状況を踏まえまして、来年度の受皿の確保に当たりましては、まず、既存施設の活用を優先する観点から、幼稚園の
認定こども園への移行について、希望する全ての園が移行できるような整備量を計上したところでございます。
さらに、
保育所等の新設につきましては、より必要性の高い地域での整備に限定する想定で整備量を計上したところでございます。
このような考え方の下で、来年度予算においては、定員859人分の整備を予定しております。
◆
中川賢一 委員
保育需要の総量が近年満たされているということでございまして、その点を踏まえまして、今後の整備については、よりニーズが高い地域に限っていくのだというようなことを考えておられるということでございます。
ただ、先ほども申し上げましたけれども、
総量そのものを満たしていても、実態としては、やはり、希望する保育園への入所がかなわないで待機しているというようなケースも少なくないわけでございまして、いろいろな事情があって、どうしても希望するところでないと駄目だというようなご家庭もあろうかと思います。そういった形で、いわゆる潜在待機というのは、一定程度、依然として発生しているわけでございます。
そこで、次に伺っていきたいと思いますけれども、
需給バランスの総量は整いつつありますが、国定義では待機ゼロというふうになっておりますけれども、いわゆる
待機児童が依然として一定程度発生している中で、今後どのように
保育所等の整備を進めていくお考えなのかをお伺いしていきたいと思います。
◎加茂
支援制度担当部長 今後の
保育所整備の進め方についてでございますが、現在、札幌市では、第4次さっぽ
ろ子ども未来プランにおいて、行政区ごとに保育の需給状況を把握することとしておりまして、供給が不足しております区を対象に保育の
受皿確保を進めているところでございます。引き続き、一部の区においては、供給量が不足をしておりますことから、該当する区では受皿の確保を進めていく予定でございます。
整備事業者の募集に当たりましては、区ごとの供給量の不足状況のほか、
区内既存保育所の利用実態なども加味しながら
保育所整備を実施する区の設定を行うとともに、さらに、その区内においても整備の必要性が高い地域に絞った整備を進めていきたいというふうに考えております。
◆
中川賢一 委員 全市で見ますと、需要数を表面的には超えておりますけれども、やはり、行政区単位で見ると、一部の区ではまだ供給量が不足している区もあるということでございまして、そういった区では、引き続き対応が必要だということになろうかと思います。
供給量そのものが不足している区において、引き続き対応を講じていくということは当然必要でございますけれども、一方で、単に行政区全体としては供給量が満たされておりましても、区の中のエリアですとか、その利用者のいろいろな動き、実態というものを細かく見てまいりますと、必ずしも需給のバランスが取れていないというケースは少なくないのではないかというふうに考えます。
特に、私のおります中央区ですけれども、札幌市全体では児童数が減少傾向にあろうかと思いますが、この中央区の一部の地域では、
子育て世代の人口増というものが大変顕著でございまして、局所的には保育のニーズが増えているのに対して受皿が追いついていないというようなことも発生しているようでございます。
例えば、JRの桑園駅、苗穂駅の辺りは、最近、非常に開発が進んでおりまして、
マンション等も非常にたくさんできておりますので、ここ数年、
子育て世代の流入というものが大変著しい状況でございまして、それに伴って、当然、保育のニーズというものも増えております。しかしながら、こういった地域に新たに保育所を設置しようとしても、市が設置基準として既存の
保育施設から300メートル以上の距離を置きなさいというふうに定めておりまして、これによって、
幾ら保育のニーズがあっても保育所の新設がままならないというようなことが発生してございます。
中央区の人口が増えている地域というのは、ただでさえ新たに使える土地というものが希少でございますし、さらに、この300メートルというのは、直線で300メートルというふうに定められております。これが道路の基準で300メートルというのなら分かるのですけれども、空を飛ぶわけでもないのに300メートル直線でというようなことになっていますので、やはり、かなり厳しい制約になって、保育所をなかなか整備できないというようなことが発生しているようでございます。
ただ、一方で、今、
JR桑園駅の話をしましたけれども、地下鉄駅の周辺に関しましては、既存の
保育所等から300メートル以内であっても設置できる場合があるというような特例の緩和措置が設けられているようでございます。これは、地下鉄駅周辺は人の往来が多く、そのことに着目して設定された特例だと考えますが、それはそうなのかもしれませんけれども、今日、
JR桑園駅は、かなり人も増えて大変にぎわっております。そこよりも人の往来が多い地下鉄の駅はどのくらいあるのかというふうに思うわけでもございます。
そういったことから、もう1点お伺いしたいと思いますけれども、保育所の整備に当たりましては、これまでの行政区単位で
需給バランスを整えていくという考え方に必要以上にとらわれるのではなくて、地域や利用者の実態に即して、より丁寧な対応を検討し、講じていく必要があるというふうに考えますが、今後どういった考えで進めていかれるのか、お伺いをしたいと思います。
◎加茂
支援制度担当部長 より実態に即した整備を行う必要があるのではないかというご質問についてであります。
まず、最新の
保育ニーズを把握するために、先日、
市民アンケートを実施しております。今後の保育の
受皿確保の方策については、この
アンケート結果、それから、今の委員からのご指摘の点も踏まえて、鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。
具体的には、市全体として
需給バランスが整いつつある状況を踏まえ、まず、供給量が足りない区においては、引き続き、地域の保育所の
受入れ能力等を勘案しながら整備する地域、規模をより丁寧に設定していきたいと考えております。
また、計画上、供給量が一定程度充足した区につきましては、これまでは保育所の整備を、原則、一旦休止しておりましたが、今後は区内の地域を細かく分析いたしまして、例えば、住宅開発が行われるなど、特定の地域で供給量が大きく不足しているというふうに確認をされた場合は、保育所の新設も含め、新たな
供給量確保策を検討するなど、これまで以上にきめ細やかな対応を行うことで、必要な場所に保育の受皿を確保できるように努めてまいりたいというふうに考えております。
◆
中川賢一 委員 これまで以上にいろいろな側面から分析して、必要があれば対応していくというようなお答えでございましたので、一旦は、これをありがたく前向きに受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、この必要があるというような捉え方なのですけれども、これは保育という行政分野に限ったことではなくて、行政一般的に役所が必要だというものと、市民や事業者、世間一般で言う必要だというものに大きく乖離があるということがしばしば見られるわけでございます。
人の生活というのは非常に流動的で、また、それぞれ多様な事情がございますので、単純な統計数字等々では見えないことが多々ございます。いろいろな声に素直に耳を傾けていただきまして、この制度、規制の建前というものを前面に振りかざすことなく、現実的にご対応いただいて、全市的に子育てが安心して行えるような環境を整えていっていただければなというふうに願いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
◆恩村健太郎 委員 私からも、先ほど別の委員からもございましたが、札幌市の
児童虐待防止に関する取組について、幾つか伺ってまいります。
先ほどの質疑の中でも触れられておりましたけれども、2019年、
令和元年6月に札幌市において発生した痛ましい2歳
女児死亡事案を受けまして、2020年、令和2年3月には札幌市子ども・
子育て会議の
児童福祉部会から
検証報告書が提出されております。
札幌市では、この
検証報告書を受け、
児童虐待防止に関する業務の様々な改善の取組に着手し、なおかつ、その
取組状況についても同
児童福祉部会に評価を依頼してきているところでございます。そして、先月の2月17日に、
新聞報道等でもございましたが、
令和元年6月
死亡事例に係る検証の提言に対する札幌市の取組の
評価報告書が秋元市長に手交されたところでございます。
私もこの
評価報告書を拝読させていただきましたが、報告書には、これまでの札幌市による
取組状況とその
自己評価をはじめとして、外部の専門家による
外部評価結果ですとか今後の札幌市の取組に関する意見などがまとめられておりました。
主な意見としては、区役所を基盤とした学校や警察、
保育施設等とのさらなる連携体制の強化ですとか、札幌市における
児童虐待防止に携わる
専門職集団の形成などが指摘されておりまして、今後取り組むべき様々な課題を考えさせられる大変示唆に富む内容の報告書であると感じました。
そこで、最初の質問ですけれども、今回、札幌市がこれまでの取組について
外部評価を受けるに至った経緯や目的はどのようなものなのか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 外部評価を受けるに至りました経緯や目的についてお答えいたします。
令和元年6月に発生しました2歳
女児死亡事案に係る
検証報告書におきまして、
自己評価はもとより、市内外の専門家の知見も活用して、報告書の
取組状況について、評価をしっかりと行うべきであるという意見が出されたところです。
こうした意見を受けまして、札幌市といたしましても、
検証報告書を踏まえたこれまでの取組に関して、外部の専門家のご意見をいただくことでさらなる取組の改善を図ることができると、そう判断して設けたところでございます。
加えまして、職員が自らの業務を振り返ることで、事案の風化を防ぎ、二度と同じような事案を発生させないという職員の意識を継続するためにも、市内外の複数の専門家に依頼し、
外部評価を実施することとしたものでございます。
◆恩村健太郎 委員 振り返られて風化させないというのは非常に大切なことだと思います。今の答弁の中で、札幌市が
外部評価を依頼した理由や目的についても改めて確認することができたと思います。
この
評価報告書の中でも、全国的に、子ども虐待事案において
検証報告書が出た場合、その後の取組についての振り返りというものがあまり多くは行われていないという記載がありまして、札幌市がこうした
外部評価を受けること自体が先駆的な例であって、高く評価すべきではないかということも記載されておりました。
私としても、やはり、こうした札幌市の子どもの虐待を未然に防ぎたい、さらには、それを継続していくのだ、そういった積極的な姿勢についてはしっかり評価されるべきだと考えております。
この
児童虐待防止に関する取組を札幌市の職員だけで進めるのではなく、外部の専門家にチェックしていただき、今後の取組について提言をいただくということは大変重要でありまして、非常に意味のあることだと考えております。
評価報告書が手交されたのが先月でありますので、具体的な取組の本格的な検討はこれからかなと思いますけれども、今回の
外部評価による提言を真摯に受け止め、さらに取組を進めていく必要があると言えます。
また、今回の
評価報告書が手交された際には、秋元市長のほうからも、専門性を持った人材育成の検討や今後の目指すべき姿について議論を進めていきたいといった旨の発言もあったと伺っております。
そこで、次の質問ですけれども、このたびの
評価報告書を受けて、人材育成をはじめとした
児童虐待防止に関する取組を今後どのように進めていく考えか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 人材育成をはじめとしました今後の取組の進め方についてお答えいたします。
評価報告書におきましては、区を基盤とした連携体制の強化や母子保健体制の在り方など、今後の取組に対する幅広いご意見がございましたが、特に大きなものとして、
児童虐待防止に関する専門職の育成を積極的に進めるべきという意見がございました。
現場レベルでの業務改善を効果的に運用するには、それを担う職員の専門性が不可欠だと認識しており、今後は、外部の専門家のご意見も踏まえながら、人材育成の方針や研修体系について、
関係部局間で検討を進めていく予定でございます。
評価報告書の手交を受けまして、2月に開催した
児童虐待防止対策推進本部会議におきましても、市長から、人材育成をはじめ、
評価報告書で指摘された今後の取組について、組織横断的な検討を行うようご指示があったところでございます。
引き続き、市長を本部長とした
本部会議におきましても、取組内容に関する全庁横断的な議論と進捗確認を行いながら、人材育成をはじめとしたさらなる取組を全庁一丸となって推進してまいりたいと考えております。
◆恩村健太郎 委員 今の答弁の中にも、全庁横断で、全庁一丸となって取組を進めるというお話がございました。
私も保育士でございますが、やはり、子どもたちをどうやって守っていくのか、どうやって育んでいくのかということは、常日頃、保育士の皆さん方も考えていることかと思います。保育士は、虐待防止の研修とかも非常にこまめに受けておりまして、やはり、札幌市にも保育職の皆さんもいらっしゃいますし、様々な部局の皆さんが、子育て、そして、
児童虐待といった事案に対して、ぜひ意識を共有していただいて、二度とこういったことが起こらないように、取組を進めていただきたいと思います。
最後に、要望いたします。
児童虐待防止対策推進本部会議の開催ですとか外部の専門家の意見などを通して、今後もしっかりと
PDCAサイクルを回されて、さらなる業務改善の取組を進めていただきたいと思います。
そして、やはり、類似の虐待死亡事案を札幌市で起こさせないためにも、まずもって札幌市における専門性を持った人材育成が重ねて必要であると伝えさせていただきたいと思います。
そして、人材育成というのは、長期的なビジョンを持って進めるべき課題でもありますので、可能な限り早期に着手されて、
専門職集団の形成を実現していただきたいということを要望させていただいて、私からの質問を終わらせていただきます。
◆森山由美子 委員 私からは、子どもの見守り強化事業についてと社会的養護自立支援についての2項目について質問をさせていただきます。
我が会派は、コロナ禍の長期化は、子育て世帯に大きな影響を及ぼしていること、子どもの見守り機会が減少し、
児童虐待リスクが高まっていることを危惧し、一昨年の秋より、地域のネットワークで、支援ニーズの高い子ども等を早期に発見する体制を強化する補助金制度創設の必要性を提言してまいりました。
なかなかよい回答が得られない中、昨年の
予算特別委員会において、国の支援制度を活用した子どもの見守り強化事業補助金制度は早期に創設すべきと強く主張しました。この質疑の中で、課題を整理し、早期に検討する旨の答弁が示され、今年度早々に子ども食堂や宅食事業を展開する団体を対象にした子どもの見守り強化事業補助金制度が創設され、6月に募集を開始し、7月に交付決定がされました。
団体からの交付申請段階においては、見守りの対象となる子どもは約100人であり、少なくとも月1回、学習支援団体などについては月3回程度、見守りによる状況把握が行われていると聞いております。
本市では、先ほどもありましたが、過去の虐待による痛ましい死亡事案を決して繰り返してはならないと様々な支援体制を強化してきましたが、本事業が子どもを温かく見守る地域社会構築への第一歩になることを心から願っております。
今年度初めて創設された補助金制度は、次年度は当初予算として位置づけられたことを評価しておりますが、今後は、しっかりとした検証を行った上で新年度につなげていただく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、令和4年度の事業実施に向けての検証事項として、現在、事業を実施している団体から、事業についてどのような意見が寄せられているか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 事業を実施している団体からの意見についてお答えいたします。
この事業を実施している団体からは、地域における子どもへの支援活動は多くのNPO等地域団体が行うべきであり、その点でこの事業がよい取組であるという評価をいただいております。
また、これまでも見守り活動を行っていましたが、この活動に市が支援することにより、団体のスタッフがより子どもの見守りを意識するきっかけとなったという声も受けているところでございます。
◆森山由美子 委員 こうした声を大切に受け止めていただきたいというふうに思います。
令和3年度の事業については、まだ交付決定した団体の事業の清算事務が完了しておらず、総括的な検証はこれからだと思いますが、次年度に向けて、切れ目のない事業として継続させていくには、早い段階での評価が必要です。
そこで、質問ですが、年度内の事業終了が見えてきた現在、補助事業の効果や、市としてそれをどう受け止めているかについて伺います。
◎野島
子ども育成部長 今回の補助事業の効果と、札幌市でどのように受け止めているのかについてお答えいたします。
今回の補助事業を活用することによりまして、見守り活動の回数を増やすなど、子どもの見守りをより幅広く行うことができたという団体も一部にはあり、見守り活動を熱心に行う団体の後押しとなっている例もございます。
申請団体は少数でありますことから、限定的ではありますが、この補助事業により、地域における子どもの見守りの強化に一定の効果があったものと受け止めているところでございます。
◆森山由美子 委員 地域における子どもの見守りに一定の効果があるとのことであり、今後も一層の子どもの見守りの強化を期待しております。
一方で、昨年10月の決算特別委員会での質問に対して、申請団体が想定より少なく、制度実施まで短期間であったこと、一部の団体には子どもの見守りにはなじみがなかったことなどが要因と考えているとの答弁がございましたが、募集についての説明の仕方や期間、制度の趣旨の周知については課題があるものと考えます。
そこで、質問ですが、令和3年度の現在までの事業
実施状況を振り返り、令和4年度に向けた課題とその対応についてどのように考えているのか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 令和4年度に向けた課題とその対応についてお答えさせていただきます。
令和3年度は申請団体の数が少なかったため、令和4年度は、より多くの団体に制度を活用していただくことが課題と認識しておりまして、より丁寧に制度の趣旨や見守りの内容などについての説明機会を増やす必要があると考えております。
このため、来月、4月の早い時期に、子ども食堂など、子どもの居場所づくり活動を行う団体に対しまして、オンラインによる説明会を実施し、制度の周知とともに、見守りについて理解を得ていくこととしたいと考えております。
また、令和3年度は、補助金の募集期間が2週間程度であり、募集期間が短かったことが申請団体が少数にとどまった要因とも考えられますことから、令和4年度は、募集期間を長く設定し、子どもの見守り活動を今以上に実施しようとする団体が増えるように努めてまいります。
◆森山由美子 委員 早速対応するとのことで、よろしくお願いいたします。
今年度は、早期に補助制度を創設させ、事業を開始したため、様々な課題もあったことは理解をしているところです。新年度は、事業説明会等を通じて丁寧な説明を行い、少しでも多くの団体に活用いただき、見守り体制が強化されるよう求めます。
道内では、こうした補助金制度があるのは札幌市だけと聞いております。ほかの市町村は、手続が煩雑であったり、事業を担ってくれる団体がないとの理由で、実施したくてもできないといった声も聞いております。本市がご苦労されながらも早期に事業を立ち上げ展開した子どもの見守り強化事業は大変に意義があるものと認識しておりますので、改善を繰り返しながら継続していただくことを求めます。
最後に、一つ、子ども政策について提言させていただきます。
これまで、札幌市は、母子保健に係る所管は保健福祉局が担い、子育て支援等の子ども施策全般に係る所管は子ども未来局が担っておりますが、各区保健センターでは、これらが連携して一体となった組織体制がしかれ、健康・子ども課として直接市民と関わっていただいております。
現在、国においては、こども基本法の議論が進んでおりますが、政府は、今後、こども家庭庁を設置し、総合的な体制で歩みを進めていくことになります。
本市においても、子ども未来局と保健福祉局内の母子保健が一体となる機構改革を行い、密接な連携体制の構築が図られるよう求め、この質問を終わります。
次に、社会的養護自立支援について伺います。
社会的養護下の児童は現状で約4万5,000人と言われる中で、児童養護施設や里親などの下で生活をしてきた児童について、原則18歳の年齢到達で公的な措置は解除され、大半が、高校卒業とともに施設や里親の元を離れ、独立することを求められます。
こうした若者は、社会的養護、ケアを離れた人、リーバーの意味でケアリーバーと呼ばれますが、札幌市では、社会的養護自立支援事業を活用することで、22歳に到達する年度末まで、引き続き、児童養護施設や里親の元で生活をしながら、就労などの自立に向けた活動を支援しております。
具体的には、支援コーディネーターを配置し、児童の個々の状況に応じて支援計画を策定し、支援関係者で共有し、多くの目で見守りながら、措置を解除された児童の施設等への入所を認めることで、居住の場を確保したり、入所先である施設等に対して、生活に係る必要経費を支給するなど、費用面で支援するほか、生活・就労相談支援員による生活自立に向けた相談、就職活動面でのサポートを実施しているところです。
そこでまず、1点目の質問ですが、令和3年度の社会的養護自立支援事業の利用実績について伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 令和3年度の社会的養護自立支援事業の利用実績についてであります。
札幌市では、施設等の退所後生活支援のため、支援コーディネーターが自立に向けた一人一人の計画を継続支援計画としてまとめており、令和3年度は、延べ64名分を策定したところであります。
継続支援計画に基づく支援の内訳としては、施設等退所後の居住・生活費の支援を受ける方が18名、生活・就労相談支援を受ける方は17名となる見込みであります。
また、施設や里親のサポートを受けながら、一定期間、独り暮らしを体験する自立後生活体験支援、これにつきましても3名が利用する見込みでありまして、着実に自立に向けた支援を実施しているところであります。
◆森山由美子 委員 自立支援の重要性は、我が会派としてもこれまで訴えてきたところであり、引き続き、子ども、若者一人一人に寄り添った支援を実施していただきたいと思います。
さて、ケアリーバー、社会的養護自立経験者の実態を把握するために国が実施した児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査の調査結果においても、今の暮らしで困っていること、不安なこと、心配なことという設問に対して、生活費や学費などの金銭的な不安や仕事に関する不安といった回答が上位を占めております。
現に、せっかく進学をしても、経済的な理由で退学を余儀なくされたり、保証人がいないため、住宅の賃貸契約ができないという事例もあるとのことです。
それらの現状に追い打ちをかけるかのように、新型コロナウイルス感染症の影響により、休業・時短営業している飲食店でアルバイトをしている方は、収入が減り、奨学金の返済に苦しんでいたり、貯金もできず、将来に不安を抱えている若者も少なくないと聞いております。
先ほど述べた国の調査結果でも、今後利用したいサポート・サービスについての回答で、金銭面に関する支援、住居や食事・食料に関する支援が挙げられており、やはり自立して生活を営んでいくには、炊事、洗濯、金銭管理などの生活スキルの習得はもちろん、生活基盤を安定させるために、23%の方が収入より支出が多いと回答していることからも、収入の確保として、就労・就職の定着が必要です。
そこで、質問ですが、就職後の継続的なフォローはもとより、自分に合った職業、就職先を見つけることが就労の定着につながるものと考えますが、札幌市が配置している生活・就労相談支援員による就労に向けた支援の内容について伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 生活・就労相談支援員による支援についてです。
就職に関する幅広い相談をはじめ、職業体験、あるいは、ハローワークへの同行、履歴書の作成支援、面接に当たっての指導など、対象者の状況に応じた就職に必要な支援を実施しています。
また、就職後の継続的な支援の一環として、仕事での人間関係などの相談ですとか、就職先の事業主からの相談対応といったフォローアップも行っています。
加えて、自立に向けた将来ビジョンや職業の適性、選択肢についても考えることができるよう、施設単位でワークショップも試行的に実施をしているところです。
今後も、関係機関と連携しながら、就労の定着に向けた取組を充実させてまいります。
◆森山由美子 委員 社会的養護自立経験者の方、このケアリーバーが一度就職をしても、長く続かず、困るケースが多いと聞いております。調査結果でも、施設職員、里親家庭が現在一番心配していることとして、就職・就業の継続が36.8%と最も高い割合となっております。引き続き、取組を強化していただきたいというふうに思います。
そうした中、先日閣議決定された児童福祉法改正により、各施策の展開についてこれから検討されることと思いますが、年齢制限の撤廃だけではなく、ケアリーバーのための自立支援拠点事業やケアリーバー間の相互交流の機会を増やすなどの支援策強化も検討されているところです。
就職後のフォローなどをはじめ、ケアリーバーへのアフターケアの重要性は増してくるものと考えます。支援が行き渡るように、今後の取組をしっかりと検討していただきたいと思いますが、一方では、現行の社会的養護の枠組みは、その中にケアリーバーの現状を把握し、意見を反映させていく仕組みを内在させておらず、ケアの予後評価を前提としない制度になっており、その点を改めて検討する必要があると北海道大学の松本教授は指摘をしております。
支援の充実に向けては、当事者である子ども、若者の意見も取り入れるべきであり、しっかりとその声を受け止めて取り組んでいただきたいというふうに思います。
そこで、質問ですが、令和3年決算特別委員会において、札幌市では、施設等を退所した社会的養護経験者、ケアリーバーに対してヒアリングを実施しているとの答弁がございましたが、その内容と実績についてお伺いいたします。あわせて、それを受け、今後の取組の方向性について伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 施設等を退所した社会的養護経験者へのヒアリングと今後の取組についてであります。
このヒアリングは、
令和元年度から実施をしておりまして、例年3名の方に協力をいただいておりましたが、令和3年度、今年度から、より多くの声を聞くために、8名に増やして実施をしております。
ヒアリングの内容は、一時保護所での生活、児童養護施設入所や里親委託されたときの状況、自立支援事業に必要だと思うメニューなど、
児童相談所が関わり始めてから自立するまでの各段階について聞いています。
それに対して、施設などに入所する際、その理由や経緯を丁寧に説明してほしいという声や、施設退所後の生活に対する不安やプレッシャーを感じていたといった感想を聞くことができました。
ヒアリング結果を基に、
児童相談所職員の関わり方や自立支援事業の充実等に反映をさせているところであります。
今年2月に国が公表しました令和3年度社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会報告書の中でも、社会的養護経験者の実態把握の必要性が示されております。
今後もヒアリングを継続的に実施することで、当事者の声に耳を傾けるとともに、社会的養育環境の向上、自立支援の充実に取り組んでまいります。
◆森山由美子 委員 質疑でも触れましたが、ケアリーバーの自立支援に対する年齢制限撤廃に加え、自立支援拠点事業やケアリーバー間の相互交流の機会も増やす動きがあるところです。
国の動向を見ながら、札幌市としてどのような支援ができるのか、ぜひ検討を進めていただき、当事者に寄り添った支援体制を今後も拡充していただくことを強く要望しまして、私の質問を終わります。
◆池田由美 委員 私からは、保育士の人材確保と保育士の処遇改善について伺います。
最初に、保育人材確保についてお聞きをいたします。
この間、保育士の勤続年数が短く、保育士不足が課題とされております。
本市が実施した
アンケート調査の退職する理由に、長時間勤務や給与面、健康上の理由が挙げられております。
我が党は、保育人材確保の問題解決には保育士の処遇改善が重要であると質疑をしてきており、本市も、職場環境による影響も少なからずあると認識をしていると答弁をされております。しかし、保育士を確保できず、定員割れとなっているケースが出るなど、保育士不足の課題は深刻となっていると考えます。
そこで、お聞きしますが、昨年、2021年では、保育士の確保が要因で定員割れを起こしていた認可保育所が何か所あったのか、定員割れの児童数は何人であったのか、また、2022年度の見通しについて伺います。
◎加茂
支援制度担当部長 昨年、2021年で定員を下回った認可保育所の数、それから、人数、また、来年の見通しについてでございます。
まず、入所者数が利用定員を下回るいわゆる定員割れとなっている施設数は、令和3年、2021年4月時点で全530施設中337施設であり、また、定員に満たない人数の合計は3,085人となっております。
また、令和2年度に
保育施設に対して行った
アンケート調査では、保育士が不足していると感じている施設の割合は約36%となっており、若干の差がございます。
定員割れの理由といたしましては、保育士が不足しているということだけではなく、新設園であることから、3歳以上のお子さんの入所が少ない場合、また、年度当初は若干受入れ人数を抑えているなど、施設により理由は様々であるというふうに認識しております。
令和4年、2022年についても、同様の理由によって利用者数が定員を下回る施設が発生するというふうに考えております。
◆池田由美 委員 定員割れの要因は様々あるのだというご答弁が今ありました。しかし、保育士不足はやはり大きな要因であり、先ほどのご答弁でも、実際の
保育施設の数と、337施設が定員割れを起こしていたといったことと、その
アンケートの中では36%が保育士不足だというふうに挙げているということでありました。
全ての民間保育所が定員まで受け入れるということでありましたら、3,085人の子どもを受け入れることができたというふうに思うのです。
要因は様々だということではありますが、繰り返しますけれども、保育士不足は大きな要因でもあると思います。昨年、2021年4月の国定義による
待機児童はゼロ人でありましたけれども、様々な理由で特定の保育所のみを希望している国定義以外の
待機児童数は1,578人でありました。保育士確保の問題は、
待機児童対策にとっても重要な課題であるというふうに言えると思います。
本市も保育人材確保に向けた取組を実施しており、就労継続を図るための支援策として、3年、6年、9年と就労を継続した保育士へ10万円を給付する保育人材確保一時金給付事業に取り組まれており、3年が経過しているところです。
そこで、質問をいたしますが、保育人材確保一時金給付事業の3年間の事業実績と課題や、今後の対応方針について伺います。
◎加茂
支援制度担当部長 保育人材確保に向けた一時金給付事業の実績、それから、課題でございます。
事業開始当初は、給付金の支給手続を給付対象の保育士が勤務する施設単位で行っておりましたが、様々な事情により申請が行われない施設があったことから、令和2年度からは、給付対象となる保育士から、直接、札幌市に申請をする手続というふうに変更をしております。
手続方法の変更、それから、事業の周知によりまして、事業開始年度である
令和元年度は867人の支給でございましたが、給付者数は、令和3年度には1,160人と年々増加をしているところでございます。
給付対象者には、しっかりと給付金が行き渡るよう、事業周知等を継続していくほか、就業継続支援、潜在保育士の再就職支援等の保育人材の確保策全般について、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。
◆池田由美 委員 3年がたったということで、今後、その
アンケート調査の後で検証していくというふうにも伺っておりましたけれども、それは行われるのかどうか、伺いたいと思います。
検証をこれからされるのかどうかです。この制度について、3年たちましたので、
アンケートなどで検証していきたいというふうに伺っていたのですけれども、それはされるのかどうか、伺いたいと思います。
◎加茂
支援制度担当部長 この制度につきましての検証は、引き続き行っていくというふうに考えております。
◆池田由美 委員 引き続き行っていただけるということで、本市の令和2年度の保育士等調査の保育士の年代別人数を見ますと、24歳以下が1,112人、22.1%と最も多いのですが、年代が上がるにつれて人数が減ってきている、そういう数字が見られます。
これを見ますと、経験の蓄積やその継承も危うい事態となっているのではないのかということを危惧しているところです。
就労継続を目的とする事業ですけれども、9年を過ぎれば順調に就労継続できるという保証は全くないということがこの調査からも明らかではないかというふうに思います。
また、札幌保育連絡会が市内の各施設に郵送で行った
アンケートを見ますと、保育士確保が難しいのはなぜですかの項目に、長時間労働、低賃金、責任が重い、基本給が安過ぎるなど、処遇改善の必要性を求めた回答が多く記載をされておりました。保育士全体の賃金や働き方などの処遇改善が必要です。
引き続き、保育人材確保一時金給付事業の継続と、そして、3年経過しての検証も行うということでありますが、検証には保育現場の要望も聞いていくことを求めておきたいというふうに思います。
次に、保育士の処遇改善について伺います。
国の保育士等処遇改善臨時特例事業が進められております。この事業は、国が掲げる経済対策として行われるもので、国は、約3%、9,000円の賃上げ効果ということを目指していると言われております。2022年2月から9月までは保育士等処遇改善臨時特例交付金が全額国費で行われ、10月以降は公定価格の見直しで対応するとされております。
賃金の引上げは、これまでの処遇改善を求める運動と、そして、コロナ禍での保育士皆さんの奮闘の反映だというふうに思います。しかし、国が示す約3%、9,000円の値上げは、あくまでも目安であって、実際は国の保育士配置基準上の職員分で計算され、さらには、施設における現在の賃金の3%で計算されることが多いということで、9,000円アップには届かない、そういう実態があるのだということが見えてきております。また、栄養士や調理員、用務員など、保育士以外の職員も働いており、一時保育や延長保育などの補助事業を担っている職員も働いております。どの職員も、保育所運営にとっては欠かせない職員だと考えます。
ここで、質問いたしますが、この事業において、賃金の引上げの対象とならない職員はいるのか、伺います。また、各
保育施設の対応について、本市はどのように把握しているのか、伺います。
◎加茂
支援制度担当部長 保育士の処遇改善、それから、その事業に関する札幌市の対応についてでございます。
この事業につきましては、保育士や幼稚園教諭、保育教諭のほか、調理員や栄養士、事務職員など、施設に勤務する全ての職員が対象とされているところでございます。
ただし、法人役員を兼務する施設長や延長保育、預かり保育の専任職員は対象とされておりません。
この事業について、札幌市としては、施設からの申請の際に、各施設における全職員の賃金改善額を把握するとともに、合理的な理由なく、特定のまたは一部の職員に偏った処遇改善、賃金改善を行うなど、恣意的な改善になっていないかどうか、確認をしてきております。
◆池田由美 委員 全ての職員が対象ではなく、やはり、延長保育など、補助事業を担っている職員は対象にならないのだという答弁もありました。しかし、そういった中でも、一時的な給付ではなく、全ての職員の賃金が引き上がるということを事業所施設では進めているのではないのかということなのだと思います。
3%の賃上げということなのですけれども、やはり、それぞれの施設ごとの賃金体系があるというところでは違いが出てくるということ、そして、職員の経験年数によっても違いがあるということが今の答弁にもありました。
やはり、国から交付されるお金で全職員3%引き上げることができる施設と、そうではない、もしかしたら施設が持ち出さなければいけない事態も考えられるということではないかというふうに私は感じます。
ここで、質問いたしますけれども、本市は保育士加配の補助金で支援を行っていますけれども、改めて、その支援事業の目的と支援内容、事業実績について伺いたいというふうに思います。
◎加茂
支援制度担当部長 札幌市で行っております加配保育士等雇用促進補助金についてお答えいたします。
この事業につきましては、札幌市の保育所制度の充実強化とその適正化を図ることを目的に、認可
保育所等に対して、その運営に係る経費の一部を市単費で補助しているところでございます。
具体的な支援内容としましては、国の配置基準を超えて保育士等を雇用する場合にその経費を補助することに加えまして、その雇用形態が正職員である場合には、さらに加算がつくという仕組みになっております。
この補助額につきましては、令和2年度実績額で約24億円であり、交付した施設は303施設でございます。
◆池田由美 委員 303施設ということで、全体数は330というふうにお聞きしていましたから、ほとんどの施設がこの加配保育士等雇用促進補助金を活用して保育に当たっているということなのだなと思います。
加配がなければ保育が成り立たないという実態があるのだというふうに私は思います。保育連絡会の
アンケートの回答の中には、乳児クラスで18時、夕方の6時ぎりぎりのお迎えが年々増えてきて、保育士の超過勤務で対応しているといった回答などがたくさんありました。加配してもなお厳しいという状況が、今、保育現場では起きているというふうに思います。
本市の加配は、先ほどの答弁にありましたように、保育制度の充実強化ということだと言っておりましたが、そのことがやっぱり保育の質を守っていくことなのだと思うのです。そういった保育の質にもつながっていく加配だというふうに思います。
その加配は、保育の質にもつながるものなのですが、やはり賃金の引上げにも直結していくものだというふうに私は思います。加配の補助基準額の引上げを検討するべきで、今がその時期ではないかと思いますが、いかがお考えか、伺います。
◎加茂
支援制度担当部長 当該補助金につきましては、その目的や必要性の適宜検証、また、国の人事院勧告の動向なども見ながら、必要に応じてこれまでの補助額の引上げを行っていったところでございます。
このたびの賃金改善を反映した次年度以降の公定価格でありますとか今後の賃上げの動向などを踏まえながら、当該補助制度の内容について、引き続き検証は行ってまいりたいというふうに考えております。
また、あわせて、公定価格全般の見直しについても、引き続き国に要望してまいりたいと考えております。
◆池田由美 委員 必要性に応じて検討していき、今後の公定価格の様子、賃金の様子などを見ながら検証していきたいという答弁でありましたけれども、保育の現場の声を聞くと、本当に人が足りないという実態が届いています。そして、退職してしまった1人を探しても見つからなくて、やむなく子どもが受け入れられないといった実態などを見ながら、本当に胸が痛くなる思いを私も感じているところですけれども、必要性に応じて検証するというところでいけば、先ほどの質疑の中で、支援を受ける側の立場になって問題を解決する観点という市長の言葉がありましたが、これが今は本当に大事だなというふうに私は思っているところです。
現場の声をしっかり聞いて検証していただきたいなというふうに思います。
保育士の高い専門性と社会的重要性に見合った処遇改善が必要です。毎年、保育士不足による定員割れがあるわけですから、どの子も希望する保育園に入れるように、本市の加配保育士の補助基準額を引き上げるべきだと申し上げて、質問を終わります。
◆伴良隆 委員 私は、2項目、児童会館等でのタブレット端末の利用について、それから、恵まれない環境にある子どもたちについて質問させていただきます。
まず、児童会館等でのタブレット端末の利用についてでございます。
これまで、私は、子ども未来局の質疑で、学校、児童会館等、そして、家庭において一貫性のある継続した学びが重要であるとし、児童会館等での学びの充実として、質や量共に改革をしてきていただいたところでございます。
その一方、市教委生涯学習部も児童会館等との学びの連携の必要があると答弁されましたけれども、市教委学校教育部、つまり各学校現場でも学びの継続性、一貫性において、児童会館等を的確に認識し、そして、家庭と連携していくことが極めて重要でございます。
そこで、学びのツールとして活用が進むタブレット端末も、学校と同様に児童会館等でも利用可能な環境が整っていくことは学びの継続の一助になると考えるところでございます。
学校からのタブレット端末の持ち帰りが進んでおりますけれども、放課後、つまり、児童が長い時間を過ごす児童会館、ミニ児童会館におきましても、タブレット端末を利用し、復習や宿題など、また、そういったものをはじめとした課題探究学習ができる環境整備が必要でございます。
そこで、質問でありますが、現在、児童会館、ミニ児童会館については、児童が学校から持ち帰ったタブレット端末が利用できる環境となっているのか、確認をいたします。
◎野島
子ども育成部長 児童会館、ミニ児童会館におけるタブレット端末の利用環境についてお答えいたします。
児童が学校から貸与されるタブレット端末に関しまして、宿題等の課題を行うために使用する際にはインターネットに接続する必要があると聞いておりますが、現在、児童会館、ミニ児童会館には児童が利用可能なインターネット回線はないことから、現状では学校から貸与されたタブレット端末は利用できない状況というところでございます。
◆伴良隆 委員 確認をさせていただきましたが、現時点では、児童会館、ミニ児童会館では学校から持ち帰ったタブレット端末が利用可能なインターネット接続環境は整っていないということでございました。
そこで、質問でありますが、今後のタブレット端末が利用可能なインターネット接続環境の整備について、どのようにお考えになっているのか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 今後のインターネット接続環境の整備に関する考えについてお答えいたします。
子ども未来局といたしましては、例えば、児童会館に来館している間にタブレット端末での課題等を済ませることで、帰宅後に家族の団らんの時間を確保できるなど、児童の限られた時間の有効活用につながることが期待できるため、児童会館等でもタブレット端末が利用可能な環境を整える、そういうことが望ましいと認識しております。
このような認識を踏まえまして、児童会館等においてタブレット端末の利用が可能となるインターネット接続環境につきまして、手法などを含めて、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
◆伴良隆 委員 インターネット環境の整備に向けて検討を進めてまいる、こういったことを確認させていただきましたので、その検討の中で、予算確保も含めて頑張っていただきたいと思います。
タブレット端末は、あくまでも学習のツール、つまり道具でありまして、重要なのは、こうしたツールをどのように活用していくか、それにより、私がかねてから主張している学校、児童会館等、そして、家庭における継続性、一貫性のある学びの実現につながるのかという点を確認しなければなりません。
そこで、質問ですが、先ほどのご答弁を踏まえまして、タブレット端末が利用可能な環境が整った際には、児童の学校からの学びの継続性という観点から、児童会館等においてタブレット端末をどのように活用していくのか、また、活用に当たり、教育委員会とどのような連携を図っていくのかについて、ご認識を伺います。
◎野島
子ども育成部長 児童会館等におきますタブレット端末の活用及び教育委員会との連携に係る認識についてお答えいたします。
児童会館等でのタブレット端末の活用につきましては、基本的には、従前から、各児童会館等で実施しております学習タイムなどにおきまして、児童の学習習慣の定着などにつながるような支援を継続していく際に活用していくことになるのではないかと想定しているところでございます。
また、各学校におけるタブレット端末の活用状況等の情報収集などを行いながら、このタブレット端末がより効果的に活用できるような手法などにつきまして、教育委員会とも連携しながら検討を行っていくことになるものと考えているところでございます。
◆伴良隆 委員 学校側との連携というものが、結果的には児童会館等を通じて家庭と学校の学びにつながっていくことになろうかと思います。ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
今後のテーマは、学校教育部、つまり学校現場との協働でありまして、家庭との間を取り持つ児童会館等の役割は、今後もますます重要度を増すもの、このように想定し、取り組んでいただくように指摘をさせていただきます。
また、学校がハード・ソフト共に機能を見直しされていく今、コミュニティスクールといった概念をいかに現実にしていくか、児童会館等も含めた市政課題として、今後大きく取り上げてまいります。
それでは、次の質問に移ります。
次は、恵まれない環境にある子どもたちについてでございます。
私は、平成29年第4回定例会の代表質問で、恵まれない環境にある子どもたちという題目で取り上げて、市長からこういった答弁がありました。
一つの部署で全ての解決はしづらい部分があるので、市長を中心とした全庁的な組織をつくりつつ、恵まれない環境にある子どもたちへの支援にもしっかり取り組むといった答弁でありました。
私は、2012年から、随時、児相に関して質疑をさせていただきました。その中で、10の限界ということも提案をさせていただいてまいりました。
直近におきましては、
令和元年決算特別委員会で、
児童虐待対応の反省と題して私のほうで指摘をさせていただいた中身として、それぞれの子ども福祉に関するものを業務と見るか、それとも仕事と見るか、それとも責任と見るか、あるいは使命と見るか、こういったことが大事ではないか、また、時間外であるとか、業務外であるとか、専門外であるとか、権限外であるとか、こういったことが言われる中で本当に10の限界をやり切れているかどうかということについて疑問を呈したわけでございます。
他人の子どもは我が子という気持ちと、もしかしたらという気づきと危機感、そして、最後まで限界をつくらず、できることは何でもやるという覚悟と行動力を持つことが、我々にとって非常に重要なことであるというふうに私も申し上げたところでございまして、全てを
児童相談所にぶつけていくのもまた筋違いの話でありまして、以来、
児童虐待に行き着くもっと手前の段階に力を入れることが大事であると、私は自己痛感いたしまして、質疑は、保健福祉局にはいわゆる発達障がいの関係、それから、市教委においては不登校児童対策、これは30日に及ぶものではない手前の不登校に特に力を入れるべきであると。そして、代表質問においては、親になる前の若者への福祉といったことを取り上げてまいりました。
こんなような言葉があるのだそうであります。声なき声を聞こうよという言葉があります。声なき声とは何かといいますと、これは心の声だというふうにも訳すことができます。では、この聞こうよとは何かということで、この頭文字を取りまして、気づくの「き」、声をかけるの「こ」、受け止めるの「う」、そして、「よ」は寄り添うということだと思います。こういった言葉があります。心の声を聞こうよ、声なき声を聞こうよということであります。
こういったことも踏まえまして、札幌市が行っている実態調査について、順次質問してまいります。
子どもに関する調査はもろもろ行われてきていますが、直近では、ヤングケアラーに関する実態調査、子どもの貧困対策に係る子どもの生活実態調査が先日公表されたところでございます。
調査目的は、それぞれの報告書に既に書かれておりまして、言わずもがなでありますので理解はしておりますが、これらの実態調査で子どもや子育て世帯の一体何を見いだすのか、調査意図、狙いを明確にし、私たちは共有しておくべきであると考えます。
そこで、質問ですが、これらの子どもに関する実態調査は、そもそもどのような狙いで、何を見いだそうとしているのか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 今回実施いたしました実態調査の狙いや、何を見いだそうとしているのかについてお答えいたします。
二つの実態調査は、ヤングケアラーや貧困をはじめとする困りを抱える子どもや世帯の状況を正確に捉えることを目的としておりまして、その存在数のほか、性質や特徴などを把握して的確な課題分析を行うことを狙いとしております。
ヤングケアラーに関する実態調査につきましては、ヤングケアラーを早期に発見し、支援につなげる
仕組みづくりの検討を行うために、また、子どもの生活実態調査は、子どもの貧困対策計画の改定ための基礎資料として活用するものでございます。
◆伴良隆 委員 狙いを確認しました。
結局のところ、大事なのは、誰に対してどのような支援をしていくか、これに尽きるわけでございます。
まず、ヤングケアラーでは、負担の有無にかかわらず、お世話をすることにやりがいを感じている場合もございますし、経済的に恵まれていなくても、心豊かに健やかに成長している場合もあり、人の将来性や幸福度は様々で、世帯や収入等だけで単純には判断できません。その一方で、支援が必要だが、届いていない子どもや世帯があるのも事実で、調査結果から、ある一定の共通項、属性が見えてくるのではないでしょうか。
そこで、質問ですが、ヤングケアラーに関する実態調査、子どもの生活実態調査から、支援に当たり、どういう子どもに気づかなければいけないのか、また、リスクのある家庭などについてどう認識されているのか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 今回の二つの調査結果を踏まえた認識についてお答えさせていただきます。
この二つの調査によりますと、支援が必要な子どもは、保護者が疾病や障がいを抱えるケースや経済的困窮によるケースなど様々ございまして、一概には言えませんけれども、ひとり親家庭において、そのようなケースが多い傾向が見えたところでございます。
支援が必要な子どもの特徴といたしましては、ヤングケアラーに関する実態調査からは、相談経験がなく、また、相談するほどの悩みがないと考えている子どもが多いことや、支援に対する希望を特に感じていない子どもが多いなど、問題が潜在化するケースが多いことが分かったところです。
また、子どもの生活実態調査では、調査の一環として行った子どもや世帯の支援団体からのヒアリング調査におきまして、保護者の抱える問題として、周囲に助けを求めない、問題を家族で抱え込む傾向があるなどの理由で孤立する方もいるという意見が聞かれたところでございます。
これらの子どもへの支援に当たりましては、子どもに関わる周囲の大人が、子どものふだんの生活状況から困難を抱えている兆候を感じ取ることが必要であると考えており、保護者も含めた世帯の様々の状況にも目を向けていくことが重要であると認識しているところでございます。
◆伴良隆 委員 声なき声を、心の声を聞こうよというふうに申し上げたところでありますが、今、野島部長から、そういったところに触れ始めています。
今回の調査では、家族構成や親の状況などを尋ねており、そこから導き出せる検証結果があったと思いますが、ただいまのご答弁は、潜在化しているケースが多いこと、また、家庭内の問題へのアプローチの難しさがあるということ、もちろん、家庭の状況、世帯の状況、経済的なものも含めて、ある一定の属性という傾向が見られます。
そして、今後の対策のポイントの一つでございますけれども、どのような支援に漏れなくつなげていくか、例えば、そもそも相談にたどり着くところまでどのようにしていくかということになろうかというふうに思います。
そこで、質問でありますが、困りを抱える子どもや家庭にどのようなアプローチを行うのか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 困りを抱える子どもや家庭へのアプローチについて、どのように進めていくのかについてお答えいたします。
困難を抱える子どもや家庭は、子ども自身が自分の状況を理解していないケースや支援を受けることに抵抗感、恥ずかしさを感じるケース、また、家庭環境を周囲に知られたくないケースなど様々でありまして、相談対応、支援に当たっては、まずは、それぞれの子どもや家庭にしっかりと寄り添う姿勢が重要であると認識しております。
それぞれの要望を聞きながら寄り添った支援を進めるためには、困りを抱える家庭との信頼関係を築くとともに、行政だけではなく、民間団体等の関係機関が連携協力を密にして、それぞれのケースに対応する必要があると認識しているところでございます。
◆伴良隆 委員 寄り添った支援ということでありますし、今までのご答弁を踏まえて、いろいろな事件、事故が起きて、その都度、改善も図られていることも分かります。
先ほど、野島部長は、ほかの委員の質問に対する答弁で、組織横断とか人材育成といった、ある意味、システマチックな内容のご答弁をされていたと私は思います。今は、お話のとおり、寄り添うといった部分、そういった姿勢、あるいは人情味の部分も含めて答弁に入ってきていると思いますけれども、そうはいっても、組織ですからなかなかうまくいかないことというのがずっと続いているわけでもございます。
そこで、取り上げてまいりたいと思いますが、私は、
令和元年の決算特別委員会の質疑で
児童虐待対応の反省ということを取り上げたと先ほど申しましたけれども、これにつきまして、山根子ども未来局長は、最終答弁でこのようにおっしゃっています。
最終的には、職員の意識の問題であると思うので、組織の体制、職員の意識の問題も含めて、改めてどう取り組んでいかなければならないか見直し、PDCAでしっかり回し、それを確実に
再発防止に結びつけていかなければいけない、このように答弁をされています。
先ほど来、様々な委員がすばらしいご指摘をされていますけれども、令和4年の2月に公開されました
令和元年6月女児
死亡事例に係る検証提言に対する取組
評価報告書の終わりの部分を割愛して読み上げます。
これまでの
死亡事例から本気で学ぶつもりがあるのか、市民の困難を共感的に洞察し、協働の文化を持つ組織になる必要性を本気で感じているのか、市政そのものが問われていると、以後、高く評価できることもありますけれども、今後に向け、目指すべき全体像を明確にし、共有されなければならず、協働の視点や支援を受ける側の立場になって問題を理解する観点は、
児童虐待だけではなくて、ここからですが、
福祉関係の仕事全般に直結するものであり、また、専門職の
育成体系も必要である、このように締めくくっているところでございます。
また、私は、この前の3月7日の予算委員会で、今年度ご勇退の平木総務局長に伺っています。
私は、求められる市職員、市役所職員の姿ということを生意気にもお聞きしたところでございますが、答弁が返ってきております。ポイントを押さえれば、市民のためにという意識と風土、それから、市民生活への影響や効果に思いをはせる市民思考といったものが大事、また、市役所内は無論、関係機関、そして、市民と協力して動く、働く協働という精神、そして、漏れなく、遅れなく、間違いなくといったことが大事であると。つまり、漏れなく、遅れなくというのは体制、システム、間違いなくは相互チェックであります。これは、山本局長、
児童相談所でも今まさに改革中ということでございます。
私は、このご答弁なんかも踏まえながら、また野島部長のご答弁も踏まえながら、山根局長に伺いたいと思います。
先ほど私が取り上げさせていただきましたけれども、こういった言葉があるということで、気づくとか、声をかける、そして、受け止める、寄り添う、この頭文字を取って、声なき声を聞こうよ、心の声を聞こうよ、これは、組織というものも大事でありますけれども、どこか人間味、ヒューマニティであるとか、あるいは、人間力、ヒューマンパワーであるとか、こういったことの積み重ねの中で組織が束ねられて、連携も何もかも、先ほど野島部長は、そこはおっしゃいました、システマチックな部分ですね。
やっぱり、こういうところがあってこそ、協働というチームワークというものが生きてきますし、ここにおいて、我々は市民の福祉というものを皆さんからアシストしてもらえる、享受できるし、頼ることもできる、こういうことになるのだと思います。
こういった声なき声、心の声を聞けるために、ぜひ質問させていただきたいと思いますけれども、子ども福祉ということを中心にで結構でございますが、福祉に当たり大切なこととは何か、代表して山根子ども未来局長に伺います。
◎山根 子ども未来局長 子どもたちの支援に当たって重要なことは何かというお尋ねかと思います。
ご質問にもありました子どもの貧困の問題、ヤングケアラーの問題など、どちらも子ども自身の問題というよりは、子どもを取り巻く家庭環境、社会環境が子どもの暮らしや育ちに大きな影響を及ぼしているという共通する課題がある問題でございます。
それらの家庭が抱える困難の受皿となる制度としては、例えば、生活保護制度ですとか、障害者自立支援制度だとか、また、お子さんにとっては社会的養護であるとか、様々なセーフティネットがあるところでありますけれども、保護者の方々がそれらを十分に活用できていない、あるいは、たどり着けていない、そのことから、結局、子どもに大きくしわ寄せが出てきているという問題であります。
いずれの問題にしましても、家庭の中で見えにくい子どもたちが置かれている状況をしっかり把握する必要があるということ、その上でどのように支援につなげていくのかを私どもは考えなければいけないというふうに考えております。
そういった複雑で見えにくい問題、行政が門戸を開いても、これまでのアプローチではなかなか支援が届かないという部分がございます。
委員がご指摘のとおり、そのためには、行政の各部署、生活支援ですとか児童福祉、若者支援など、そういった部署が子どもたちが置かれた状況をしっかり把握する、その上で、その状況を共有して、制度の網の目から落ちこぼれないような連携をしていくことが大変重要であります。
そのためには、まさしく、
令和元年6月事案の提言にあるとおり、支援される側の立場に立って考えること、そして、制度の縦割りを排して、関係部署がしっかり協働して連携していくことが求められているところだと思います。
なかなか一朝一夕にできることではないと認識しておりますけれども、今後も継続的に様々な取組を通じて職員の意識を醸成していく、そして、組織の風土を変えていくということにこれからも取り組んでまいりたいと考えております。
◆伴良隆 委員 感情移入するわけではございませんけれども、就職氷河期のことも私は質問させていただきました。しかし、みんな、その中で忍んでいるというか、我慢しているというか、あるいは、それに気づかない場合もあるということもございます。
やはり、心の中で、何とかしてほしいけれども、誰かに相談したい、助けてほしいというふうに思っていても、二の足、三の足を踏むようなことがあってはならない。当然、そこに気づきというものがなければいけないし、先ほどのように声かけがあってもいいと思います。それは、自分たちの権限を超えてでもです。
ですから、そういうことも含めて、ぜひ、我々が頼る社会福祉、公共の福祉というのは、皆さん方があってこそでございますので、もちろん、二度とあってはならないことも、それは
再発防止でありますけれども、ぜひ、人ということにこれからもまた、私たちも自己反省があります。ここは注目をしてまいりたいなというふうに考えているところでございます。
山根局長は一朝一夕ではなかなかとおっしゃいましたけれども、強い決意のほど、私も聞かせていただいたところでございます。
今後は、市役所全体の人づくりも含めて期待をさせていただいて、質問を終えます。
◆田島央一 委員 私からは、放課後児童クラブにおける長期休業期間中の昼食提供についてと、もう1点、ヤングケアラーの支援について、この2点についてお伺いをしていきたいと思います。
まずは、放課後児童クラブにおける長期休業中の昼食提供についてお伺いしていきたいと思います。
札幌市では、保護者の家事負担の軽減を目的として、放課後児童クラブにおいて、長期休業中に、希望者に対して昼食を提供する事業の実施を計画し、この冬に初めて20館の児童会館で試行実施を行ったと承知しております。
昨年の決算特別委員会において、我が会派から実施概要等について質問したところ、冬休み中に各館3回、1食350円の昼食提供を利用希望者に実費負担で配送する内容ということでありました。
この冬は、記録的な大雪となり、冬休み期間中も、年明け早々に一度大雪が降るなど、真冬ならではの大変さがあったと思います。
そこで、質問ですが、実施結果と利用状況についてどのようなものであったのか、お伺いしていきたいと思います。
◎野島
子ども育成部長 今回の長期休業期間中の昼食提供につきまして、冬休みの試行実施の結果と利用状況についてお答えいたします。
今回の事業の実施に当たりましては、プロポーザルを行いまして、実施事業者を選定いたしました。
弁当の内容につきましては、事業者の提案に基づきまして、1回目はとんかつ弁当、2回目はハンバーグ弁当、3回目はからあげ弁当と、比較的子どもたちに人気が高いメニューで、冬休み期間中、各館に3回提供いたしました。
利用料金につきましては、児童に現金を持たせずに済むよう、現金以外の支払い方法で行うこととし、専用のサイトによるクレジットカード決済により実施いたしました。
利用状況につきましては、館によるばらつきはございますが、事業実施日に放課後児童クラブに出席した児童の約4割ほどの子どもの利用があったところでございます。
◆田島央一 委員 実施前の
アンケートでは約4分の3から利用したいという回答があったにもかかわらず、実際は4割程度ということだったので、そこら辺については、評価は非常に分かれるところかなと思いますし、個人的にはちょっと少ないのかなということも感じております。ぜひとも、多くの方に利用していただきたいなとも思っております。
そこで、質問ですが、試行実施を行った放課後児童クラブの利用者に対し
アンケートを実施したと聞いておりますが、この利用者の評価についてどのようなものであったのか、また、課題についてどう捉えているのか、お伺いしたいと思います。
◎野島
子ども育成部長 今回実施しました
アンケート調査での利用者の評価及び課題についてお答えいたします。
昼食提供事業の利用者のうち、満足及びやや満足と回答があったのが81%でございまして、97%が次回も利用すると答えておりまして、高い評価を得られたのではないかと考えているところでございます。
また、弁当の量につきましては、ちょうどよいが59%と最も多かったですが、一部、食べ残しなども散見されたところでございました。
今回利用しなかった方の主な理由といたしましては、好き嫌いやアレルギーがある、そもそも弁当づくりが家事負担に感じていないといった声のほか、少数ではございますが、支払い方法がクレジットカードのみだったという声もあり、支払い方法については改善が必要と認識しているところです。
また、ある程度想定はしておりましたが、大雪時には予想以上に配送に時間がかかり、冬期間の実施に当たっての大きな課題を改めて実感したところでございます。
◆田島央一 委員
アンケートの結果では非常に評価が高かったという認識でいいのかなと思っております。
一方で、食べ残しだったり、支払い方法はクレジットカードを持つ、持たないというところも含めていろいろありますので、様々な課題が浮き上がったのかなとも思っておりますので、その課題をどう解決していくのかということを含めた努力が必要なのかなと思っております。
この冬に関しては、大雪で、道路状況も非常に悪い中で、配送には非常に困難が伴ったのかなと思っております。子どもたちに昼食が届かないようなことがないよう、しっかり対応を検討していただきたいと思いますが、これは、子ども未来局だけで解決するところではないので、全庁的に取組を進めていかなければならないのかなと思っております。
実際に私の子どもが学校に行っていても、給食の時間に牛乳が届かなくて、ちょっと遅れて届いたりなんてことも実際にあったというふうに聞いていますので、学校がやっている期間で除雪体制はしっかりしているのですけれども、やっぱり、今冬の大雪、特に私の住んでいる北区なんかは非常に厳しい状況もありまして、そういったことが相当影響している部分もありますので、ぜひとも全庁横断的にここら辺は対応していかなければいけないのかなと思っております。
この事業については、次は、夏休みに実施ということになっておりますが、そこで、質問ですが、夏休みに最も心配されるのは食中毒であり、これについてどのような対策を考えているのか、また、試行実施の結果を踏まえて、新年度はどのような内容で実施をしていくものか、お伺いをしたいと思います。
◎野島
子ども育成部長 今回の事業の夏における食中毒対策と新年度の実施内容につきましてお答えいたします。
今年の夏休みには、館数を60館に増やしまして、利用料金は1食当たり350円のままとして、改めて試行実施を予定しております。
事業は、同じようにプロポーザルにより実施事業者を選定する予定でございます。
食中毒対策につきましては、私どもとしても特に重要と認識しており、事業者には、弁当の製作段階において、食品衛生法等の関係法令に基づく適切な対応を求めるとともに、配送や保管時には保冷ボックスを用いるなどの対策を行ってまいります。
多くの児童が安心して利用できますよう、夏休みの実施後には、改めて
アンケート調査等を実施いたしまして、改善点を検討した上で、この次の冬休みの実施に当たっては、さらに館数を増やして試行実施することを考えているところでございます。
◆田島央一 委員 夏休みは60館ほどに拡大をしていくと、今までの3倍程度に増やしていくということで理解いたしました。
また、利用料金350円というのも、資材の価格がこれだけ上がっていますので、この辺についても、今までと同じようにやっていくのかも含めて、なかなか大変な状況はあるかと思いますが、その辺も、予算が足りないとかということがないように、また何かあれば補正だとか、いろいろな対応が必要なのかなということも個人的には感じております。
ぜひとも、こういった利用拡大を含めて今後の取組につなげていっていただきたいと思います。
それでは、次の質問項目に移りたいと思います。
ヤングケアラーの支援についてお伺いしていきたいと思います。
ヤングケアラーとは、本来、大人が担うと想定される家事や家族のお世話などを日常的に行っていることにより、子ども自身がやりたいことができないなど、子ども自身の権利が守られていないと思われる子どもを指します。
我が会派では、2020年第2回定例会本会議の代表質問で、ヤングケアラーの実態把握のための調査が必要であり、調査に基づく支援策を講じることを提言いたしました。
それを受け、札幌市では、2021年11月から12月にかけて実態調査を実施しております。2022年2月には、
アンケート調査結果が公表されたところでもあります。
そこで、質問ですが、札幌市で実施されたヤングケアラーに関する実態調査の結果について、札幌市としてどのような分析をしているのか、また、調査結果において、札幌市の特徴的な結果や傾向はどのような点にあると考えているのか、お伺いしたいと思います。
◎野島
子ども育成部長 ヤングケアラーに関する実態調査の結果につきまして、その分析とそこで得られた特徴的な結果や傾向がどのような点にあるかについてお答えいたします。
ヤングケアラーに関する実態調査の調査結果につきましては、単純集計の分析や、ヤングケアラーについて、家族構成やお世話の頻度などの四つの項目を軸とした追加分析を行いまして、これらをまとめた調査業務報告書を令和4年2月に公表したところでございます。
調査結果によりますと、お世話の悩みを誰かに相談した経験があるヤングケアラーは、中学生が27.1%、高校生が32.4%となっており、決して数字としては高くありませんが、国や北海道の調査結果に比べますと、札幌市では、中・高生共に相談経験のある子どもの割合が高くなっているといったことが特徴の一つとなっております。
一方で、ヤングケアラーの多くがお世話の現状を知っている大人がいないと考えていることや、誰かに相談するほどの悩みではないと考えて相談しないことも分かっております。
学校への調査結果では、家族内のことで問題が表に出にくく、学校での実態把握が難しい現状も明らかになっており、潜在化しやすいヤングケアラーを周囲の大人が発見し、必要な支援につなげていくことの重要性を改めて認識したところでございます。
◆田島央一 委員 ほとんどは相談経験がなくて、誰かに相談するような悩みではないという、ちょっと内に抱えるようなところがあるのかなというのは理解をしております。
調査を進めていく中で、この調査結果の有効回答数も見させていただきましたが、子どもたちに対して行っている部分と、学校に対して実施をしている部分もありまして、学校の部分は回答率は99.1%ということで非常に吸い上げがしっかりできたのかなと思っておりますので、ここの分析を含めて今後の対応につなげていっていただければなと思っております。
その中で、我々会派としても、必要な支援にしっかり結びつくような、実態に即した支援の継続に取り組んでいくべきと考えております。
一方で、北海道においては、北海道ケアラー支援条例の制定に向けて議論がなされている最中であり、同条例の制定後には、ケアラー支援に関する施策を推進するために必要な財政措置がなされるとの見込みがあります。
また、国においても、新年度予算において、ヤングケアラー支援に関する事業などが盛り込まれております。
こういった状況を踏まえて、札幌市においては、国や道では支援できないところへの対応が必要になってくると思っております。
そこで、質問ですが、国や北海道のヤングケアラー支援の動向を踏まえ、今後、札幌市として実態に即した支援策をどのようなスケジュール感で取りまとめていくつもりなのか、また、実態調査を踏まえたヤングケアラー支援策の具体化をどのように進めていくのかを含め、お伺いしたいと思います。
◎野島
子ども育成部長 ヤングケアラーの支援策について、今後どのように進めていくのかについてお答えいたします。
来年度予算に新規計上いたしましたヤングケアラー支援推進費におきましては、札幌市の
関係職員や医療、介護、福祉等といった分野の関係機関・団体の専門職員を対象としまして、ヤングケアラーの早期発見・把握等の支援体制の強化を図ることを目的として研修を行うこととしております。
また、ヤングケアラーが気軽に悩みや経験を共有することができるようなピアサポートによる相談支援の実施も予定しているところでございます。
これらの支援策の実施時期や実施方法等につきましては、現在検討を進めているところでございまして、できるだけ早期に実施したいと考えているところでございます。
ヤングケアラー支援に当たりましては、保健福祉局、子ども未来局、教育委員会等の
関係部局が連携した全庁的な取組が必要であることから、国や北海道の動向や実態調査の結果も踏まえまして、子どもの権利総合推進本部内に設置しました作業ワーキンググループなどにおいて、引き続き、検討を進めてまいりたいと考えております。
◆田島央一 委員 国や道の動向もありますけれども、できるだけ早期に進めていくということで理解をいたしましたので、ぜひとも、そのときにはしっかり具体策を示しながら、ヤングケアラーをしっかり支援できるような体制づくりを進めていただければと思います。
以上で、私の質問を終わります。
◆小口智久 委員 私からは、父親による子育て推進事業についてと、ひとり親家庭スマイル応援事業について質問させていただきます。
まず最初に、父親による子育て推進事業について質問いたします。
令和3年第4回定例会の代表質問において、我が会派から父親による子育て推進について質問し、市長からは、育児・介護休業法の改正により、今まで以上に男性の育児休業の取得促進が期待されることから、これを好機と捉え、積極的に取組を進めてまいりたいとの答弁をいただきました。
本日は、その具体的な取組について伺います。
令和2年に策定された国の第4次少子化対策大綱では、基本目標として、希望出生率1.8の実現を掲げ、五つの基本的な考え方が示されました。
そのうちの結婚・
子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくるという項目の一つに、男性の家事・育児参画の促進が挙げられ、殊に男性の育児参加が求められております。
子育て中の母親にかかる負担は大きく、日々、子どもの健やかな成長と幸福を願い、心を砕き、自分のことは二の次になり、心身共に疲労が蓄積し、悩みが尽きない現状と思われます。
実際に、出産したばかりで精神的に不安定、そんな状況にかかわらず、夫は子育てに無関心で協力が期待できない、2人目が欲しいけれども、ワンオペレーション育児の実情を考えると難しいといった叫びにも似た声が、母親本人、また見守る家族からも寄せられており、
子育て世代の実情の厳しさが切に伝わります。
夫が子育ては夫婦2人で行うものという認識の下、妻の気持ちに寄り添い、一番の相談役、理解者として積極的に育児に参加することは、後々の夫婦の在り方において大変重要となると考えます。
札幌市においては、札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019の中で、父親による子育て推進事業を掲げており、子育てに関する意識改革や啓発、子育てに取り組む意欲を向上させるための情報発信等を行うこととしております。
そこで、質問ですが、札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019において、父親による子育て推進事業を掲げるに至った経緯を改めて伺います。
◎竹田 子育て支援部長 父親による子育て推進事業を掲げるに至った経緯についてでございます。
平成30年度に実施いたしました就学前児童のいる世帯を対象としたニーズ調査におきましては、子育ての担い手が主に母親であると回答した割合が5割を超え、父母共にと回答した割合がおよそ4割にとどまっておりました。
また、就労中の親が平日に子どもと過ごす時間について、母親は5時間から6時間と答えた割合が最も多いのに対し、父親は1時間から2時間が最も多く、このことからも、母親の負担が大きく、父親の育児への関わりは十分に進んでいるとは言えない状況と言えました。
このことから、就労する母親が増加傾向にある中で、父親の子育てへの関わりを促進することがますます重要であると考え、本事業で父親の子育てに関する意識啓発や知識の向上などに取り組むこととしたものでございます。
◆小口智久 委員 ニーズ調査を行って、非常に母親の負担が大きいという実態が分かったということで、その事業を行ったということでございます。
アクションプラン2019において、父親のための子育て講座の参加組数の目標として、累計300組を掲げております。これまでも子育て支援の一環として様々な子育て講座が開催されましたが、母親向けのイメージが強く、父親が参加するには少しハードルが高いと感じていた方も多いと思われることから、父親に特化した子育て講座を行うことは大変よい取組だと期待をしておりました。
しかしながら、令和2年12月に札幌市が実施した子ども・子育てに関する
市民アンケート調査の結果では、家事や育児の担い手が主に母親であると回答した割合は引き続き5割を超えており、以前の
アンケート結果の数字からほぼ横ばいの状況で、父親による育児参加の増加に関し、改善の難しさが伺えます。
そこで、質問ですが、父親による子育て推進事業では、これまでどのような取組を行ってきたのか、伺います。
◎竹田 子育て支援部長 これまでの事業の取組についてでございます。
令和2年度の事業開始当初は、父親のための集合型子育て講座の実施を主な事業として掲げておりましたが、コロナ禍で講座の開催が困難な状況が続いたことから、代替策にて取組を進めてまいりました。
具体的には、令和2年度は、本事業をサツパパとネーミングしまして、さっぽろ子育て情報サイトにおいて、父親向けのページを立ち上げて、有識者による子育てアドバイスなどの情報発信を開始いたしました。
さらに、このページ内には、北海道コンサドーレ札幌に所属する子育て中の選手の子育て体験談を期間限定で掲載したところです。
また、令和3年度は、これに加え、父親の育児参画を促す啓発動画やPRポスターの制作を進めているところでございます。この中で、そうか、君もいつか大人になっちゃうのか、という父親目線のキャッチコピーを用いるなど、限られた子育て期間の尊さを伝え、父親の自発的な子育てを後押ししたいと考えております。
◆小口智久 委員 コロナ禍ということもあったのですけれども、父親による子育てアドバイスなどの情報発信、また、スポーツチーム、コンサドーレという名前が出ましたけれども、そことの連携を行って、父親が育児に参加する機運を高めるということなど、コロナ禍においてもできることから取り組んでいるのだなということが分かりました。
また、現在作成中の動画やポスターに、そうか、君もいつか大人になっちゃうのか、というキャッチコピーが今紹介されましたけれども、幼いお子さんを持つ父親が数年後の子どもの姿を想像するという、うれしい反面、何とも切ないというノスタルジックさを感じました。
こうした感慨深い広告を発信することにより、だからこそ、今、このときに子どもと関わらなければと父親が前向きに子育てするきっかけが期待できる大変よいフレーズであると思われます。
こうした中、国においては、イクメンプロジェクトとして取組を行い、もっと育児に関わりたいという男性が多くなってきているとのことですが、インターネットなどで勉強はしたものの、いざやってみると、授乳やおむつ替え、子どものあやし方など、なかなかうまくいかないと戸惑う方が多いとのことです。
ホームページなどで様々なアドバイスを発信することはもちろん大切だと思いますが、父親講座などで実際におむつ替えや沐浴を行うことは重要かつ効果的であり、妻の大変さの理解が深まり、ひいては妻の安心にもつながるものと考えます。
そこで、質問ですが、父親による子育て推進事業では、今後どのような取組を行っていくのか、伺います。
◎竹田 子育て支援部長 今後の事業の取組についてでございます。
令和4年度以降は、現在作成中の啓発動画やポスターを活用して、引き続き父親の意識啓発に取り組んでまいります。
具体的には、子育て情報サイトや札幌市の各種広報ツールでの展開のほか、民間企業などにも周知協力を依頼し、広く市内の父親に情報が届くよう取組を進めてまいります。
また、当初の計画どおり、父親向けの子育て講座を予定しておりまして、父と子の体験講座やイベントなどで父親の意識啓発やスキルアップを推し進めるとともに、他の父子との交流機会の提供に取り組みます。
今後も様々な手法を活用して父親による子育てを推進することで、父母共に子育ての担い手であるという世帯が増えるよう、取組を進めてまいります。
◆小口智久 委員 令和4年4月から改正育児・介護休業法が段階的に施行され、男性の育休取得を進めるための新制度が始まります。企業には社員への働きかけが義務づけられ、子どもが生まれた直後に取れる産後パパ育休も10月に創設されます。
このように、父親の育児休業取得の整備は着々と進んでおります。しかしながら、一番大切なことは、父親は母親と一緒に育児をするという自覚を持つことであると考えます。その一歩目として父親講座は大変重要ですが、休みが取りにくく講座に参加できないという状況の方へ後押しをするには、企業など職場の理解を得る啓発活動の展開が必要不可欠であると思われます。
令和4年度は、アクションプランの総仕上げとして、引き続き、しっかりと計画を進め、父親による育児参加率の向上により少子化の歯止めの一つとなるよう要望し、次の質問に移ります。
次は、ひとり親家庭スマイル応援事業についてです。
内閣府が全国で実施した令和2年度子供の生活状況調査によりますと、ひとり親家庭の母親が正社員やパートなど何らかの形で就労されている割合は92.2%となっております。一方で、現在の暮らしの状況について、苦しい、または大変苦しいと答えた方の割合は、父子も含むひとり親家庭全体では51.1%となっており、これは、2人親世帯の21.5%と比べると2倍以上の値となり、ひとり親家庭は就労していても生活が厳しい状況にあることが伺えます。
こうした中、ひとり親家庭向け支援制度の利用状況に関して、母子家庭支援センターなどを利用したことがないと回答したひとり親家庭の割合は91.5%となっており、支援が届いていないという状況が浮き彫りになっております。
ひとり親の家庭は、子育てと仕事の両立を1人で担わなければならず、それに加え、働く上で様々な制約を感じている方や新型コロナウイルス感染症の影響による失業や仕事の減少を余儀なくされた方、将来に不安を抱えている方が多くいらっしゃると思われます。
我が会派は、こうした実態から、折々の議会において、ひとり親の就労について取り上げてまいりました。
これを受けて、札幌市では、こうしたひとり親家庭を支援するため、平成26年度からひとり親家庭に理解のある企業を開拓し、就労の機会を提供するとともに、各種支援制度を周知するための事業を行っております。
この事業は、平成30年に策定された第4次札幌市ひとり親家庭等自立促進計画においても、就業支援の充実を図るための事業の一つとして位置づけられており、継続して事業が行われております。
そこで、最初の質問ですが、ひとり親家庭スマイル応援事業について、これまでどのように取組を行ってきたのか、改めてお伺いいたします。
◎竹田 子育て支援部長 これまでの事業の取組についてでございます。
この事業は、就業機会の創出や支援制度の周知、利用促進を図るため、ひとり親家庭の採用に意欲がある企業を集めた合同企業説明会、仕事や暮らしに役立つセミナー、支援制度の紹介などを一体的にイベントとして開催しているものでございます。
また、法律や生活に関する相談や、お子さん連れでも参加できるよう、託児サービスの提供なども併せて行ってきたところでございます。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりまして、
令和元年度は予定していたイベントを中止し、令和2年度は、求人情報の提供、セミナー動画の配信、支援制度の紹介を専用
ホームページで行いまして、初めてオンライン形式での開催となりました。
オンライン開催については、セミナー動画は一定数の視聴をいただきましたが、専用
ホームページの周知不足もありまして、企業と参加者のマッチングにはつながらず、就業支援の面では課題が残る結果となったものでございます。
◆小口智久 委員 これまで、合同企業説明会やセミナーなど、支援制度の紹介を一体で行うイベントを開催してきたということでございました。
しかしながら、コロナ禍ということで、令和2年度に初めてオンラインで開催しましたけれども、なかなか就業支援の面で課題が残った、これは、やっぱり、まだオンラインの走りというか、そういうときだったからではないかなと思います。
また、今年度のイベントについては、先月の2月26日と27日の2日間開催されておりますが、昨年度と同様に、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮しなければならない時期での開催だったと思います。
そこで、次の質問ですが、昨年度までの課題を踏まえ、今回はどのような内容で開催したのか、伺います。
◎竹田 子育て支援部長 今年度、令和3年度の開催内容についてでございます。
今年度は、コロナ禍での開催になることをあらかじめ想定しまして、対面とオンラインの併用で開催いたしました。
まず、就業支援についてでありますが、イベントに向けて新たに開拓した賛同企業38社、52件の求人情報を来場者に情報提供するとともに、引き続き
ホームページでも紹介しているところでございます。
次に、セミナーについてでございますが、まん延防止等重点措置の適用を踏まえ、対面を中止しまして、6講座についての動画配信を行いました。対面での予約数93名を上回る延べ388名に動画で視聴をいただいているところでございます。
さらに、支援制度の周知についてでありますが、ひとり親家庭が利用できる制度をまとめたパンフレットを配布したほか、ひとり家庭向けの公式LINEを紹介したところでございます。
また、今回初めてフードバンク事業を行っているNPO法人と連携しまして、食品提供を実施いたしました。
開催場所についてですが、支援制度の認知度向上を図るため、初めてひとり親家庭支援センターを会場といたしました。
来場者
アンケートの結果を見ますと、来場者の67.9%が今回のイベントで初めてセンターを訪れたと回答しておりまして、一定の効果があったと考えております。
一方で、対面セミナーの中止や合同企業説明会が実施できなかったこともありまして、就業相談件数は、3月15日時点で15件にとどまっているところでございます。
◆小口智久 委員 まず、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえて、対面とオンラインの併用による開催としていたと、セミナーについては、対面で予定していた人数よりも多くの方、388名に動画を視聴いただいたということです。また、今回新たにフードバンク、NPOとの連携、そして、場所もひとり家庭支援センターの活用ということで取り組まれたということで、非常に今後につながるよい試みだったのではないかと思います。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響があったかもしれませんけれども、38社の企業から求人情報を集めたにもかかわらず、実際の相談に結びついた人数が3月15日現在で15名という実績を見ると、就業支援事業として必ずしも満足のできる結果が得られていないと思われます。長引くコロナ禍において、ひとり親家庭の生活の向上や安定を図るためには、やはり就業支援は重要であると考えられ、より多くの方に支援が届くよう、しっかり工夫して周知していく必要があると考えます。
そこで、最後の質問ですが、今回の開催を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
◎竹田 子育て支援部長 今後の事業の取組についてでございます。
まず、今回新たに実施しましたフードバンク、NPO法人との連携や、ひとり親家庭支援センターでの開催については、一定の成果が得られたことから、支援制度につながるきっかけの一つとして、来年度もひとり親家庭支援センターを中心に他の支援団体等との連携も図っていきたいと思っております。また、就業支援につきましては、今年度、実施を見送った合同企業説明会や求人情報の提供において、オンラインによる企業面談や動画配信を併用して、参加者が利用しやすい方法について、引き続き検討してまいりたいと思います。
来場者
アンケートの中では、こうしたイベントが行われていることを知って心が温かくなったという感想もいただいておりまして、イベントの形態は変化したとしても、事業を継続していくことが重要であると改めて認識したところでございます。
この事業が多くのひとり親家庭にとって就業や支援制度の利用促進に結びつくきっかけとなるよう、これまでの課題を踏まえて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
◆小口智久 委員 来場者
アンケートによりますと、就業支援事業の継続を望む声が多く、さらに、新たな取組として、好評を博したフードバンクやひとり親家庭支援センターの活用を継続して、課題にもしっかり取り組むとの答弁でございます。
ひとり親家庭スマイル応援事業は、ひとり親家庭が企業や支援制度と結びつくきっかけとなる重要な事業であるため、これまでの課題をしっかりと整理し、実効性のある取組にしていただくことを求めます。
また、社会にオンラインが浸透しつつあり、時間と場所の制約を受けずに利用できるという利点があることから、参加者の利便性向上のためにも、引き続き積極的に取り上げていただきたいと思います。
その反面、オンラインは対面よりコミュニケーションを取ることが難しいとの課題があるため、企業情報の数値や事例をビジュアル化するなど、情報を具体化し、来場者に分かりやすく伝える工夫をしていただくことを求めます。
さらに、支援の拠点であるひとり親家庭支援センターの認知度が向上することにより、様々な支援制度の周知と利用にもつながっていくと考えますので、この事業に限らず、同センターのPRにも継続的に取り組んでいくことを要望して、私の質問を終わります。
○丸山秀樹 委員長 ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時14分
再 開 午後3時35分
――――――――――――――
○丸山秀樹 委員長 委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、質疑を行います。
◆佐々木明美 委員 私からは、児童養護施設の小規模化の課題について質問いたします。
社会的養護を担う児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童、その他の環境上保護を要する児童を入所させ、養護し、併せて自立を支援することを目的にしている施設です。
国は、2011年に社会的養護の課題と将来像を示し、児童養護施設の小規模化や里親の推進を柱とする今後の社会的養護の指針を示しました。さらに、2016年の児童福祉法の改定、2017年の新しい社会的養護ビジョンの提示により、児童養護施設の小規模化の方針が示されました。
小規模化とは、児童養護施設の定員を小さくし、グループホームやファミリーホーム、小規模児童養護施設などの規模を縮小、変更して、より家庭に近いグループケアを行うものです。
2020年の
予算特別委員会で、我が会派として、児童養護施設で働く職員の過酷な勤務実態を示し、児童と信頼関係を育む重要な役割を担っている保育士などの人的体制の課題について取り上げ、処遇改善を求めてきました。
小規模化についても、子どもに十分寄り添える、専門性の発揮できる環境と職員体制の充実を求めてきました。
私は、虐待が現在ほど顕在化していなかった時代に、小舎制を導入した小規模児童養護施設に勤務していた経験があります。
住み込みで子どもたちと家族のように過ごし、一緒に食事を作ったり、入浴をしたり、テレビを見るなど、普通の家庭と変わらない日常生活を通じ、子どもの養育に関わり、信頼関係を育むことを大切にし、他の職員とケース会議などを行ってきました。
児童養護施設が小規模化して、より家庭に近い形で養育することは、その子の将来の土台につながる点からも好ましいと思います。
しかし、今、児童養護施設に措置されている児童は、生育歴が複雑なケースがほとんどであり、より専門的なケアが求められています。
小規模化の課題として、厚生労働省のワーキンググループの報告によりますと、小規模化当初は、集団内で抑えられていた子どもの感情が表に出やすくなり、落ち着くまで衝突も増える、感情の起伏が激しく、暴力、自傷、非行などがあるといった深刻な課題を持つ子どもがいる場合は、少人数の職員では対応が難しい、子どもと深く関われる分、やりがいもあるが、職員の心労も多い、新人の育成も難しいなど、職員への影響や運営面での課題が見られるとあります。
そこで、質問ですが、児童養護施設の小規模化は、働く職員にとって業務負担が増えていると思いますが、職員にとっての課題を伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 児童養護施設の小規模化に伴う働く職員にとっての課題であります。
家庭により近い環境での養育になりますので、児童養護施設とは異なって、職員自身で調理ですとか家事、こういったことを行う必要が出てまいりますので、職員が1人で多様な役割を担うということが求められてまいります。
また、職員と子どもとの距離が近くなりますので、日頃の子どもの言動や変化など、養育に必要な情報が多く得られるというメリットはあります一方で、そういった多く得られた情報が職員の勤務交代のときに確実に情報共有ができるかどうか、こういった点に難しさを感じているといった声を聞いているところであります。
◆佐々木明美 委員 今ご答弁されたように、子どもと距離が近い分、様々な精神的な負担も強くかかりますが、生活力をつけるという点では大変いい取組もしているのだというふうには思います。
本市の第3次
児童相談体制強化プランでは、児童養護施設の小規模化について、施設本体のケア単位の小規模化や、地域小規模児童養護施設などの設置を推進するとあります。
その過程において、社会的養護が必要な子どもの行き場がなくなることのないよう、十分な受皿の確保に努めますと書かれています。
社会的養護体制の充実の(3)では、一時保護機能の拡充、専門性の高い養育を行う体制を一層整え、研修など人材育成に努めると書かれています。
そこで、質問ですが、児童養護施設の小規模施設が増える中で、研修の対応などもきめ細やかに進めることが必要だと思いますが、研修の取組について伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 施設職員の研修についてであります。
札幌市では、北海道と合同で、施設における組織的な支援体制の確保と人材育成を可能とすることを目的に、施設運営の中心となって職員の指導等を行う者、こういった方を養成するための研修を毎年実施しているところであります。
一方、児童指導員や保育士などに対しましては、職種別や専門職の能力向上を目的といたしまして、全国児童養護施設協議会でありますとか社会福祉協議会などが開催いたします研修に職員を派遣して、人材の育成に努めているところであります。
◆佐々木明美 委員 研修の内容については北海道と本市で決められると聞いています。
現在の研修は、施設長を中心に研修を受けて、施設長から職員に研修内容を伝えていくという方法ですが、職員の研修もされているのだとは思いますが、職員自らが研修を受けて他の施設とも情報を共有していきたいという声も聞いておりますので、ぜひ研修の機会を豊かに増やしていただきたいと思います。
今後の研修の進め方については、入所児童の生活や成長への影響を第一に配慮して、職員の意見を十分聞き、子どもの最善の利益となるように丁寧に進めていただくことを求めて、質問を終わります。
◆たけのうち有美 委員 私からは、一時保護専用施設について、里親支援について、札幌市困難を抱える若年女性支援事業「LiNK」について、大きく3項目について伺います。
まず、1項目め、一時保護専用施設について伺います。
増加する一時保護の安定的な受皿の確保に向けた取組の一環として、国が2016年の児童福祉法等の改正を受けて、2017年に新しい社会的養育ビジョンをまとめました。
それらを具体化する一時保護ガイドラインにおいて、子どもの権利擁護の観点から、一時保護所の在所日数長期化の解消、子どもが個人としての生活の確保ができるよう、一時保護専用施設の設置を行うことなどが盛り込まれました。
2021年第3回定例市議会において、我が会派から、一時保護専用施設設置も含めて、一時保護の環境整備について質問しました。学習権保障の観点から、通学しやすい地域にある施設や里親宅等での一時保護を行っており、新たな民間の一時保護専用施設の開設は、登校の継続にも寄与するものと期待しているとの答弁があり、本市は、2021年9月1日より、札幌市内2施設に一時保護専用施設の運営を開始したと承知しています。
そこで、質問ですが、新たに設置した一時保護専用施設について、現段階での成果と課題についての認識を伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 一時保護専用施設の現段階での成果と課題についてです。
昨年9月に、札幌乳児院と児童養護施設柏葉荘にそれぞれ定員6名の一時保護専用施設が開設されました。これまでに、乳児院一時保護専用施設に延べ11人、はくよう一時保護専用センターに延べ18人を一時保護しています。
3歳児から小・中学生や高校生などを対象といたしますはくよう一時保護専用センターにつきましては、住宅街に溶け込んだ開放的な環境の中に存在しておりまして、比較的自由に出入りができる施設になっています。このため、公共交通機関を利用して通える範囲に学校があって、その上で、保護者との関係が良好で、登校させてもよい、支障がないといった条件が整った場合は登校している児童もおります。一方、条件が整わず、登校できない児童に対しましては、学習ボランティアによる支援を受けるなど、学習権の確保に努めております。
課題は、
児童相談所から離れているということであります。職員と児童との面談の機会を確保しまして、児童の状況の把握、今後の見通しの共有など、丁寧な対応を心がけているところであります。
◆たけのうち有美 委員 一時保護専用施設は、
児童相談所から物理的に離れているため、福祉司と児童との面談など工夫が必要となるということがあると思います。ただ、一時保護専用施設という受皿が整備されたことにより、一時保護された子どもは開放的な環境の中で過ごすことができ、条件が合えば登校等が可能になり、また、登校できない子どもは、学習ボランティアの力を借りて、そして、丁寧な対応が可能ということでした。一時保護という環境の変化は、子どもの急激な環境の変化による精神的な負担等も生じることから、安心して生活できる家庭的な環境を提供できる場所が増えていくことは望ましいことと考えます。
そこで、質問ですが、一時保護専用施設の運用面における今後の見通しについてどのように考えているのか、伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 一時保護専用施設の今後の見通しについてです。
市内で児童養護施設等を運営する社会福祉法人から、一時保護専用施設の開設の意向を受けておりまして、令和4年度中に3か所増えて、全部で5か所になる見込みであります。
一時保護が必要な児童は年々増加傾向にありまして、
児童相談所の一時保護所は常に定員ぎりぎりという状況でありますから、安定的な運用に寄与するものと期待をしております。
先ほど申し上げたように、一時保護専用施設は、より開放的な環境でありまして、
児童相談所の一時保護所よりも日常の生活に近い形で過ごすことができます。一方で、家出や他害行為など、児童に問題行動が見られる、あるいは、保護者との関係から居場所を秘匿しなければならないといったような場合には、現在の一時保護所が適している場合もあるわけであります。
そのような場合にあっても、できるだけ一時保護専用施設での生活が可能となるように関係調整を進めながら、積極的に活用を行うとともに、その後の支援にも注力してまいります。
◆たけのうち有美 委員 来年度は、一時保護専用施設がさらに3か所増え、計5か所になる予定とのことでした。今後も子どもたちが安心して過ごせる環境整備に努めていただくことを求めます。
次に、2項目め、里親支援について伺います。
まず、1点目、里親委託についての今年度の現段階での実績と課題について伺います。
児童福祉法改正を受け、国は、社会的養護の子どもについて、家庭的養育優先の理念を規定し、3歳未満は2024年度末までに75%以上、3歳以上就学前は2026年度末までに75%以上、学童期以降は2029年度末までに50%以上にすることとしました。
2020年度末のデータによると、本市の委託割合は全国平均を上回っているものの31.9%、また、3歳未満の委託割合に限っても、目標である75%に対し、本市は50.9%という現状です。
本市においても、里親委託を進めるため、今年度より、フォスタリング機関を2か所設置し、里親リクルート事業等を実施してきました。
そこで、質問ですが、里親委託について、今年度の現段階での実績と課題についての認識を伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 里親委託の今年度の実績と課題についてです。
今年度は、2か所の民間フォスタリング機関を設置しまして、地下歩行空間でのイベントですとかスーパーへのポスター掲示などによりまして広く制度周知を図るとともに、児童
福祉関係者を対象といたしましたオンライン説明会を行うなど、ターゲットを絞ったリクルート活動を実施しているところです。
二つのフォスタリング機関は、それぞれが新規里親登録研修を行っておりまして、現在、41世帯が新たに里親として登録され、そのうち8名の里親には既に子どもを委託しています。
これら新たに登録された里親を含めまして、里親養育において様々な家庭環境で育ってきた子どもに対し、適切に関わることができるよう、研修や訪問等支援を充実させることが課題であると認識をしています。
来年度は、障がい児を養育する里親への支援を強化するため、障がい児フォスタリング事業を新たに開始しまして、民間フォスタリング機関を3か所体制とすることで、これらの課題解決に向けた取組を進めていく予定です。
◆たけのうち有美 委員 工夫した里親リクルート、そして、研修事業などが円滑に進んでいる状況であることが分かりました。
昨年10月から障害児里親等委託推進モデル事業が実施されてきましたが、来年度からは本格実施となり、本市は3か所のフォスタリング機関が設置されるとのことです。家庭的な養育を担う里親の役割が増大していることから、フォスタリング機関には、里親家庭へのしっかりとした支援をしていただくことを期待します。里親家庭をしっかりと支えることができれば、その実績が里親リクルートにもよい影響を与え、結果的に子どもの受入先が増えていくことにつながると考えますので、今後も注目していきたいと思います。
次に、養育里親の委託と解除について伺います。
2022年2月24日の読売新聞で、養育里親と子どもの関係悪化が原因で委託が解除される里親不調が相次いでいるとの記事を目にしました。
読売新聞が2020年度時点で
児童相談所を持つ全国73自治体を調査したところ、ファミリーホームや養育里親への委託を不調が原因で解除された子どもは、2019年度は64自治体で1,528人中17%に当たる269人、2020年度は1,489人中18%に当たる275人とのことでした。虐待で傷つき、不安定になる子どもが多いことなどが背景にあると見られますが、不調の理由は、子どもの問題行動などが170人、里親の養育困難が166人と、それぞれ30%を超えています。子どもの不適応が105人、そして、あってはならないことですが、里親による虐待も16人いたとのことでした。
そこで、質問ですが、今年度の本市の養育里親への委託数と解除の数、理由と認識について伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 養育里親への委託数、解除数とその理由などについてです。
今年度は、養育里親へ新たに28名の子どもを委託する一方で、20名の子どもが委託解除となっています。
解除の内訳を見ると、自立及び家庭引取りによるものが7名、不調によるものが4名、その他、里親の事情や養子縁組里親への変更等によるものが9名であります。このうち、不調の主な背景は、子どもの不適応及び問題行動と認識しています。
◆たけのうち有美 委員 札幌市にあっても、不調による委託解除が約2割ほどあることが分かりました。幼少期から愛着形成に課題を抱えてきた子どもは、自己否定が強い傾向にあったり、人間関係の形成が難しいケースも多いと思います。また、子どもの状況により起こり得る可能性のある不適応や行動等に対するサポート体制を構築せずに委託してしまうと、不調が生じる可能性も高まることが考えられます。不調を生じさせないことと、養育里親が潰れてしまわないよう、対策の強化を求めたいと思います。
次に、里親制度の周知について伺います。
自分の子どもとして育てたい養子縁組里親は、養子縁組を希望する子どもに比べ数が多い一方、社会的養護を必要とする子どもを一定期間自分の家庭へ迎え入れる養育里親については、必要とする子どもに比べ不足している現状があります。
我が会派は、これまでも、里親制度の周知を徹底し、養育里親の成り手を確保することが急務であるとともに、子どものこれまで育った環境の変化を少なくするなどの連続性を保てる養育里親とのマッチングを行うことが大変重要であると指摘してきました。
そこで、質問ですが、養育里親と養子縁組里親の違いなど、どのように周知してきたのか、また、マッチングに関しての実績と課題、認識について伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 里親制度の周知とマッチングの実績と課題などについてです。
養育里親と養子縁組里親の違いは、
ホームページや登録希望者へのガイダンスを通じて周知をしておりまして、リーフレット等により、一定期間、子どもを育てる養育里親の募集については特に力を入れているところであります。
また、マッチングは、里親委託の成否を左右する極めて重要な要素であります。子どもと里親に必要な情報を提供の上、面会、交流の場を設け、段階的に関係づくりを行い、互いに熟慮できる期間を用意していかなければなりません。
不調による委託解除は、子どもと里親それぞれにとって大きな喪失体験になることから、未然に防ぐことが重要です。
委託に当たっては、
児童相談所が子どもの行動特性の把握や子ども及び実親の意向確認を徹底するとともに、民間フォスタリング機関の専門性やノウハウを活用することで、より適切なマッチングを行えるよう取り組んでまいります。
◆たけのうち有美 委員 養育里親と養子縁組里親の違いは、まだまだ引き続き地道に周知を続けていっていただきたいと思います。
また、マッチングの重要性を認識した上で、フォスタリング機関と協力してマッチング支援も行うとのことでした。一時保護の長期化は避ける必要はありますけれども、とにかく早く委託をするというような拙速な委託にならないよう、子どもの状況をしっかりと把握し、委託に向けて環境が整った段階で里親委託に進んでいただきたいと思います。
次に、養育里親への委託後の支援について伺います。
里親委託を推進するためには、様々な家庭環境で育ってきた子どもに対し、適切に関わることができる養育里親が必要であるとともに、委託後の丁寧な支援が必要と考えます。様々な理由により家庭で過ごすことが難しくなったつらい経験や、先ほども申し上げていますけれども、愛着形成に課題を抱えている場合も多く、また、思春期の場合は、思春期特有の難しさが絡んできて、不適応や課題発生の可能性も高まると思います。
養育里親へ委託する際は、子どもが新しい環境で安心感を得られる十分な期間を取り、子どもの緊張や不安が少しでも取り除かれることと、そして、養育里親が安心して受託できる体制を整えることが重要と考えます。
そこで、質問ですが、養育里親への委託前にどのような準備をしているのか、また、課題が発生した際のサポート体制をどのように整えているのか、伺います。
◎山本
児童相談所担当局長 里親委託前の準備と課題発生時のサポートについてです。
委託前の養育里親に対しましては、子どもの関わり方の理解を深め、委託後の子どもとの暮らしが想定できるよう研修を行いまして、委託に向けた準備を進めているところであります。
また、子どもの委託後は、個々の里親家庭のニーズに応じました支援ができるよう、定期的な家庭訪問等によりまして養育状況を把握するとともに、子どもと良好な関係を築けるよう、様々な研修を行っております。
委託後に課題が発生した際の具体的な支援でありますが、里親の休息も大事でありますので、そのために子どもを一時的に預かるサービスでありますとか、子どもと里親の関係改善を図るための研修などを実施しているところであります。
その上で支援を継続していくため、
児童相談所のほか、学校や医療機関など、子どもに関わる機関のほか、民間フォスタリング機関など、里親支援機関がそれぞれ役割分担をしながら連携を図りまして、子どもと里親を全面的に支援することができるよう、体制を強化してまいります。
◆たけのうち有美 委員 委託前の研修に始まり、定期的な家庭訪問、委託後の研修や様々な関係機関との役割分担や連携体制づくりが行われるとのことです。
子どもたちが安心して過ごせる環境を整えることと同時に、養育里親が安心して養育できる支援体制を整えることは大変重要です。委託後の訪問は、国のガイドラインに基づいてしっかり行われていると思いますけれども、訪問回数も大事です。24時間365日養育している養育里親だからこそ感じる子どもに対する課題発生の予兆などをしっかりと受け取り、ケースに合わせて丁寧に対応していくことが何よりも養育里親の安心感につながると思います。
子どもの声も受け止めながら、養育里親家庭での安定した養育のためには、児相職員の研修やスーパービジョンなどをしっかりと行い、聞き取りや見立てなど、対応の力をつけていくことも大変重要ですし、里親支援の関係機関との情報共有、連携も必要です。
とはいえ、児相の職員も負担が大きいことと思います。
様々な職員がいらっしゃると思いますけれども、例えば、
児童福祉司は1人当たり児相に関わっている子どもを平均で160から170人担当しているとお聞きしています。一人一人への対応に時間を要していると思います。
しかし、子どもの人生、時間は、今このときも進んでおり、待ったなしです。
最後になりますが、子どもたちの選択肢となる養育里親という資源を大切にし、養育里親、児相、フォスタリング機関をはじめとする関係機関が共に手を携えて子どもたちを守り育てていくという体制づくりを求めて、この質問については終わります。
次に、3項目めの札幌市困難を抱える若年女性支援事業「LiNK」について伺います。
以前より、我が会派では、困難を抱える若年女性への支援について、継続して取り上げてきていますが、札幌市困難を抱える若年女性支援事業「LiNK」が、昨年8月より事業開始となりました。
この事業は、先ほども出ていましたけれども、2019年6月に発生した2歳女児の
死亡事例に係る札幌市子ども・
子育て会議児童福祉部会の
検証報告書において、思春期、若年期に焦点を当てた支援の枠組みの創設の必要性が指摘されたことがきっかけとなっています。
その後、子ども未来局では、支援ニーズを把握するための実態調査を行った後に事業が実施され、困難な問題を抱えながらも、既存の制度ではなかなかつながることのできない若年期の女性たちに対して、必要な情報を届け、支援につなげています。
昨年の第3回定例市議会決算特別委員会では、開始から9月末時点までの実績を伺いました。
LINE相談36件、SOSホットラインでの電話相談3件ということでしたが、始まってまだ2か月ほどの状況でしたので、多いか少ないかの判断はしかねる状況であり、様々なアプローチにより増えていくのではないかと当時は予想していました。
その後、毎週木曜日にSNSパトロール、9月には薄野周辺を見回り、支援をしているNPOや区の健康・子ども課、
児童相談所と支援について協議したとのことで、着実に取組が進んでいると理解をしています。
そこで、質問ですが、現時点までの事業実績、特にどのような支援につなげることができたのかを伺います。
◎野島
子ども育成部長 現時点の実績と具体的な支援のつなぎ先についてお答えいたします。
2月末までの相談件数でございますが、実人数で63名、そのうちLINE相談が50名ございました。
実際に居場所を提供した人数は5名おりまして、その5名のうち、居場所に滞在している期間が2週間を超え、自立支援計画の策定を実施した方が3名となっております。
実際の支援のつなぎ先といたしましては、各区の保健福祉部や
児童相談所となっており、必要に応じて生活支援等を実施しているところでございます。
この3名の中には、18歳を超えているために児童福祉法の対象ではないが、家族との関係に悩みを抱えており、寝泊まりできる場所があるという安心感から、勇気を出して相談してきた方もいらっしゃいます。
この事業の目的でもあります既存の制度の隙間にいる方たちを適切に支援につなげることができたものと認識しているところでございます。
◆たけのうち有美 委員 ただいまのご答弁にあったとおり、制度の隙間にいる方たちを必要な支援につなげていくことができているということは、件数の多い少ないに関係なく、とても大きな実績であると思います。
しかし、困難な状況にありながらも、自ら支援を求めることができない方、支援が必要だと気づいていない方もまだまだ多くいらっしゃるのではないかと思います。
昨年の決算特別委員会において、既に実績を積んでいるNPO等と協力して、相手に届くメッセージや声のかけ方などについて研修を受けるなどして効果的な手法を学んでいくことが必要であることや、一人でも多くの困難や悩みを抱えている若年女性たちにこの事業を知ってもらえるよう周知に努めたいとの答弁がありました。
そこで、質問ですが、実際にどのような研修を受け、事業の周知に努めたのか、また、今後さらなる事業周知にどのように取り組むのか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 実際に受けた研修の内容や事業周知の手法、また、今後の事業周知の取組についてお答えいたします。
昨年の12月27日ですが、若年女性支援において全国的に活動しています東京のNPO法人BONDプロジェクトのメンバー2名の方に札幌へお越しいただき、一緒に薄野の夜間見回りを実施いたしました。
その際、若い女性たちが集まりそうな場所、警戒されない声かけや接し方などをレクチャーしていただいたところです。実際にそのときに声をかけた女性から後日相談が寄せられるなど、効果を出せたものと認識しております。
さらに、一般社団法人すすきの観光協会にもご協力いただきまして、薄野の店舗に全戸配布しているススキノかわら版や、薄野でテナント事業を行っている民間企業の広報誌に事業内容を掲載していただいたところです。
今後も、若年期の女性に情報を届けていくために、今までの事業周知の手法にとらわれない形での広報にも努めていきたいと考えております。
◆たけのうち有美 委員 研修もBONDプロジェクトの方々のすばらしい取り組み方を伝授できたということで、よかったかなと思います。
また、こういった努力により、少しずつではありますが、LiNKの認知度も上がってきていると思います。これまでの事業周知にとらわれない形での広報に努められると思いますが、今、答弁には出ていなかったですけれども、LiNKのツイッターを私もフォローしておりまして、投稿の内容が、最近、とても分かりやすく、本当に支援が必要で困っている方が受け取りやすい、安心感を持つことができる書き方で、工夫をすごく感じます。こういった効果も出てきているというのは非常にすばらしいことだと思います。
しかしながら、児童福祉法にも母子保健法にもかからない若年期の女性たちへは、自立につながる支援が限られているという現状があります。また、男女共同参画室と関わっている関係団体が重複している事業もあることから、お互いに課題を共有していくなど、より一層の連携が求められます。どこの地域にも困難や悩みを抱えた若年期の女性はいるはずですが、実際に支援に取り組んでいる自治体はほとんどないと聞いています。
現在、厚生労働省子ども家庭局が実施している困難な問題を抱える若年女性の包括的な支援に関する調査研究において、札幌市の取組は先進事例として取り上げられており、札幌市からもワーキンググループに参加していると聞いています。
このように、この事業は全国的にも注目を浴びています。女性たちの抱えている困難や課題を整理して支援につなげることは、時間も労力もかかりますが、
関係部局のみならず、実際に支援に当たるNPOの方たちともしっかりと連携し、新年度も引き続き若年期の女性たちへの支援に取り組んでいただくことを求めて、私からの質問の全てを終わります。
◆太田秀子 委員 私からは、子どもの貧困対策計画について質問いたします。
2018年度に策定した子どもの貧困対策計画を改定するため、基礎資料として、子どもの生活実態を把握するための調査を行い、現在、中間報告が出されたところです。
2023年から27年度の5年間の計画をつくるもので、実効性の高い施策を展開するための計画改定とのことであります。まず、現在の計画について、本市がどのように分析しているかが次の計画をどう仕上げるかにつながるものと考えます。
そこで、質問いたします。
現在の計画について、本市として、どのように評価し、分析をしているのかを伺います。
◎野島
子ども育成部長 現在の子どもの貧困対策計画の現時点での評価についてお答えさせていただきます。
平成30年度から
令和元年度までの3年間の子どもの貧困対策計画の評価といたしましては、一部、コロナ禍の影響を受けたものもありますが、おおむね計画どおり進めることができており、また、計画策定の後に新たに実施した関連事業もあります。
計画策定後に新規に立ち上げた子どものくらしコーディネート事業では、令和3年度からは、子どもコーディネーターを7名に増員し、対象地区を全市に拡大して、関係機関とも連携しながら、困難を抱える子どもや家庭を必要な支援につなげているところでございます。
一方で、計画の進捗状況をはかる成果指標につきましては、おおむね改善はしているものの、生活保護世帯に属する子どもの高等学校等への進学率については、やや低下傾向にあるなど、課題もあると思っております。
子どもや家庭を取り巻く環境は変化しておりまして、今回の実態調査において、支援機関等に実施したヒアリング調査でも、改めて見えてくる課題、強化すべき施策があるものと考えているところでございます。
◆太田秀子 委員 昨年の
予算特別委員会で、私は、子どもの貧困が及ぼす影響について質問をしたところ、子どもの成長、将来、自立に影響を及ぼし、貧困の連鎖につながる、それは活力ある社会をつくる上で大きな影響である、こういう旨の答弁でした。
私は、この答弁のような認識から、2016年の実態調査では、子ども・若者やその世帯の実態を把握することを目的にして、貧困状態にある子ども・若者とその家族、具体的には、生まれる前の妊娠期から社会的自立へ移行する年齢層として、おおむね20歳代前半までの年齢を計画の対象にしたのだと思っていました。
ですから、子ども・若者生活実態調査として、2歳、5歳、小学校2年生は保護者のみ、小学校5年生、中2、高2は保護者と児童生徒、さらに20歳、24歳を対象に調査を行っています。しかし、このたびの調査では、この20歳、24歳は調査をしていません。私は、貧困対策としては、子ども期の出口、社会へ出る自立のときの支援は充実されるべきであると考えていたところです。
ここで、伺います。
このたびの調査で20歳、24歳対象の調査を行わなかったのはなぜか、その理由を伺います。
◎野島
子ども育成部長 今回の実態調査におきまして、20歳、24歳の
アンケートを行わなかった理由についてお答えいたします。
前回、平成28年度に行いました20歳、24歳を対象にした
アンケート調査では、回答率が22.1%と低かったことに加えまして、若者の置かれている状況が、学生か、社会人か、また、親と同居しているか、独立した生活をしているかなど、環境が様々あり、一律の分析が困難だったと認識しているところでございます。
そのため、今回は、
アンケート調査によるのではなく、ある程度ターゲットを絞って意見を聴取することが適当であると考え、4月以降に予定している座談会において、若者の抱える困難の実態を直接把握することをしたいと考えているところでございます。
◆太田秀子 委員 回収率が低かったのは、私も見てみました。ほかのところで43%から78%の回収率があるのに比べて、この年代のところは22.1%だったと。
でも、前回調査の調査対象年齢の考え方というのがありましたけれども、そこには、18歳以上は社会的・精神的自立へ移行する年齢層として置かれている状況の割合が比較的多いと想定される年齢としたとあります。今の答弁にありましたけれども、つまり、学生なのか、勤労者なのか、親と同居なのか、別居なのか、既婚なのか、未婚なのか、置かれている状況がそれ以下の年齢と違うというところで調査をしているわけです。
調査項目も、健康状態、収入、奨学金の返済状況、結婚に対する考え方など、変化する年代で生活実態を調べる意味があったわけです。
昨年8月ですけれども、札幌市子ども・
子育て会議児童福祉部会では、委員から、18歳で自立するのは大変なことであるので、貧困の連鎖にならないよう制度の充実を求めるという意見が出されています。
その視点で貧困対策計画を考えるとき、回収率は低いですけれども、以下、貴重な調査結果が出ています。人との付き合いでは、趣味やスポーツ活動での付き合いが全くない割合が高く、経済的理由で友人との日常的な遊びや飲み会の誘いを断った経験が40%、ローンや借金の返済がある場合の借りた理由の1位は奨学金を含む教育費、貸与型、返済が必要な奨学金ですけれども、これを借りている比率は85%、29%が返済は相当きついと回答しています。
雇用形態は46%がパートやアルバイト、安心して子どもを育てるのに必要なものは、安定した雇用、教育費の低減・無償化、児童手当など経済的給付と続いていきます。
今回、もしこの20歳、24歳の調査をしていたら、その対象者は前回の2016年調査のときに15歳とか19歳という年齢の方たちです。
当時の調査で、将来どの段階まで進学したいかという設問に高校までと回答した子どものうち、高校2年生の子どもに理由を尋ねたところ、特にひとり親世帯では、進学に必要なお金が心配だからという選択肢に、まあ当てはまる、非常に当てはまるの回答が100%でした。若者がどのような生活実態なのか、継続して調査し、分析することは必要であると思います。
そこで、質問いたしますが、今後策定される計画では、若者の社会的自立について、どのようにしていくおつもりなのかを伺います。
◎野島
子ども育成部長 今回策定予定の次期計画における若者の社会的自立について、どのようにしていくつもりかということについてお答えさせていただきます。
義務教育を終えた高校・若者期は、社会的・精神的自立に向けて様々な課題と向き合う年齢段階であり、円滑に社会生活を送れるよう、進路相談、また、就労支援など、社会的自立に向けた支援が重要であると認識しております。
このため、現計画においても、中学校卒業者等への進路支援や若者の職場体験の推進、また、高校中途退学者等を対象とした学習相談や学習支援などを施策として位置づけているところでございます。
今回の計画を策定した後にも、困難を抱える若年女性やヤングケアラーなど、新たな課題も生じており、そういったことが調査などから明らかになってきているところでございますので、そういった施策にも、今後、積極的に取り組むということで、次期計画にも盛り込んでまいりたいと考えているところでございます。
◆太田秀子 委員 計画に盛り込むということですが、これだけの実態がありますから、これが改善してなくなったのなら分かるんですけれども、これが改善されているかどうかもまだ分からないうちになくしていくというのは、とてもいけないことだと思うのですね。
若者支援推進費のことかと思うのですけれども、若者の社会的自立促進費、高校中退者等を対象とした学習相談や学習支援というものは、来年度も予算が組まれておりますけれども、410万円です。これでは全く足りていかないです。この学習支援だけではありませんから、先ほどの回答にあったような状態をしっかりと改善するような計画をつくっていただきたいと思います。
若者が大人になるプロセスが大変厳しくなっていることは、多くの人が実感しているのではないでしょうか。
調査を通して現実を捉え、何が求められていて、どのような支援が可能なのか考えることで計画はつくられるべきですし、必要な手だてを連続して行うことで貧困を緩和する道が開けます。
貧困対策計画では、若者を対象から外すことのないように、また、4月には座談会を開くというお話でしたけれども、しっかりと実態がつかめるようなものにまずしていただいて、今後、必要であれば調査も行っていただきたいと申し上げておきます。
私は、これまで、次期計画に向けた調査をする場合、国の相対的貧困率や子どもの貧困率に相当する数値を算出できるものにするよう求めてきました。
今回の調査では、回答率を上げるため、年収を問う設問を、前回の年収の実額を記入するものから、50万円単位で選択してもらう方法に変更をしています。その選択した収入から、国民生活基礎調査のデータを用いて、等価可処分所得、1人当たりの手取り収入ですけれども、これの中央値の2分の1、年収127万円を相対的貧困線としました。
年収127万円未満を低所得層1、低所得層2は127万から178万円、中間所得層1は178万から229万円、中間所得層2は229万から317万円、それ以上を上位所得者として、所得階層区分を5段階に当てはめています。
ここで、伺います。
所得階層区分を設けることで、分析結果にどのような効果を期待するのかを伺います。
◎野島
子ども育成部長 所得階層区分を設けることによる分析結果への効果についてお答えいたします。
前回の実態調査では、収入・所得の区分としては、課税世帯か非課税世帯かのみで分析をしたところでございました。しかし、今回の調査では、収入から五つの所得階層区分に分けて分析して、その方法によりまして、より細かく世帯の所得ごとの生活実態の傾向を把握することができるものと考えているところでございます。
◆太田秀子 委員 相対的貧困線を基準とした階層区分を設けたことは、私もその実態を客観的に解明するためにはとても効果的であると思っています。
中間報告を見ますと、中間所得層1以下、年収が229万円以下、所得階層を五つに分けたうちの3以下全てということですけれども、生活はぎりぎりであり、所得階層が低くなるほど、赤字で貯金を取り崩す、赤字で借金をしているという回答が増えていきます。
今後の生活への不安については、不安を感じている割合は、ひとり親世帯で52%、低所得層1では53.7%と半数を超えています。学年別や所得階層別でも、全体の64.4%が不安を感じている、どちらかといえば感じていると回答をしています。
ここで、伺います。
この中間報告の結果は、低所得層に限らない貧困対策が必要であることを示していると思いますけれどもいかがか、伺います。
◎野島
子ども育成部長 中間報告が示す低所得層に限らない貧困対策の必要性についてでございますが、中間報告における
市民アンケートの調査結果では、所得が高い世帯よりも低い世帯のほうが、より困難を抱える傾向にあるということは読み取れました。
ただ、設問によっては、困難を抱えている状況として最も低い所得層だけではなく、その上の所得層が影響を受けている程度を把握しているものがございました。
このため、今後、最終報告に向けてさらに分析を進めまして、必要な支援策について検討してまいりたいと考えております。
◆太田秀子 委員 貧困線のところにあります方たちだけではなくて、その上の方たちも大変だと、設問によっては、ひとり親ではなくて、2人親のほうが回答していただいた数が少ないけれども、大変になっている状況が分かるということもありました。
アンケートの回答者総数は7,282人です。そのうち、ぎりぎりの生活と回答した中間所得層1以下は3,004人、全体の41.3%に当たります。
子育て期であれば、少しでも将来のことを考えて貯金をして備えるのが多くの親の気持ちですけれども、そうはいかないので、収入の範囲でぎりぎりのやりくりをするしかないというのが現実です。いつ貧困に陥るか分からないという世帯が多いことを、この中間報告結果が示しているのではないかと私は思いました。低所得層に限らない対策が必要であると申し上げます。
そして、今日の質疑の中で、様々な困難を抱えた子どもですとか、女性ですとか、ヤングケアラーですとか、それについての質疑がたくさんありました。その中で、複雑で見えづらい、相談もできないということが出ていました。
私は、生活の困難さを家庭の問題と捉えると、やはり、親は、親が頑張ろうと思うんです。子どもも、自分が頑張らなきゃと思うわけです。そうすると、助けも求められませんし、求めないし、そして、孤立をしていく、相談ができない、見えなくなっていく、そういうことになっていくわけですね。
私は、問題を狭隘化しない、狭く見ないということが基本だと思います。やはり、困っている人を助けていく、支援していこうという計画をつくっていく側が、家庭の問題だという考え方はやはりやめて、広く捉えてもらって、狭く見ないということを基本にしていくということを同じ共通の認識としていただきたいと思っています。
計画に掲げる、困難を抱える子どもを早期に把握すると先ほども答弁にありました。そうはいっても、困難はとても多岐にわたります。経済的困難といってもたくさんあります。教育や健康、居場所など様々ですから、計画全体の総合的な推進に関する議論は、子ども未来局、福祉や教育などの
関係部局と財政局で構成する子どもの権利総合推進
本部会議が対策を推進します。
ここで、伺います。
この子どもの権利総合推進
本部会議は、2019年度と2020年度に、前年度の
取組状況の取りまとめと点検の会議を書面で開催したと聞いているところです。その後の子どもの権利総合推進
本部会議の開催状況を伺います。
◎野島
子ども育成部長 子どもの権利総合推進
本部会議の開催状況についてお答えいたします。
令和3年度は、計画改定を前提とした実態調査を行うために、実態調査の内容を検討することを目的としまして、子どもの権利総合推進
本部会議を書面会議にて4回行っております。
また、子どもの権利総合推進
本部会議の下に、特に計画に関係する15課で構成したワーキンググループを設置しており、子ども未来局、保健福祉局、教育委員会、区の保健福祉部のほか、財政局やまちづくり政策局の関係課も参加しているところです。
ワーキンググループでは、書面会議だけではなく、オンライン会議も行っており、計画改定の概要や実態調査の
アンケート調査票の内容など、詳細な内容も審議したところでございます。
◆太田秀子 委員 今は、まちづくり政策局ですとか、その15課がワーキンググループとして参加したというふうに伺いました。
子どもの貧困が保護者の状況と無関係に起こることはなく、貧困問題そのものがベースにあります。社会全体の貧困や格差、不平等の問題であり、子どもの貧困というのは、その一側面です。そうしますと、保護者の経済状況を改善することが求められるはずですけれども、その場合も、保護者への就労支援だけではなく、収入が生活保護基準を上回るのだけれども、相対的貧困線には達しない、そういう場合でも、制度のはざまとならないよう、何らかの経済的な支援が必要となるでしょうし、市内で安定した仕事をつくることも必要になります。
貧困を緩和するためには、問題を広く捉えることが大事であると考えています。
そこで、伺います。
次期計画が広く札幌市政に生かされるためには、福祉や教育関係の視点にとどまらない部局を網羅した全庁的な大きな議論の場が必要であると思いますけれども、子ども未来局の考えを伺います。
◎野島
子ども育成部長 次期計画検討における部局を網羅した議論の場の必要性についてお答えいたします。
子どもの貧困は、保護者の就労、住居、経済状況など、関連する内容が多岐にわたるため、貧困対策を検討する際には、福祉、教育の分野に限らず、庁内横断的に連携を図る必要があるものと考えております。
次期計画の検討に当たりましては、子どもの権利総合推進
本部会議に構成員以外の臨時構成員を参加させたり、また、計画に関連する事業の照会を全庁的に行い、その内容について関係課と協議するなど、様々な部局と連携しながら、実効性のある計画の策定に努めてまいりたいと考えております。
◆太田秀子 委員 ぜひ全庁的な取組でやっていただきたいと思いますが、子どもの貧困というのは、先ほどの2016年の
アンケートと今回の
アンケートを比べてみても思いますけれども、この5年間であまり変わっていないと。少し改善したところもあったようですけれども、あまり変わっていないと。その子ども期がとても大変なわけですから、やはり、具体的に、回数を重ねて、スピードを上げて、全庁でやっていただきたいというふうに思っているのです。
社会の状況は、おっしゃるとおり、刻一刻変化しています。コロナによる弱者への影響がとても深刻化しています。
中間報告では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響について、世帯収入が減ったとの回答は全体の21.6%、貯蓄が減ったが13.9%、失業した・仕事を辞めた、一時的に仕事を休んだ・休業した、仕事時間が減った、給料の不払いがあった、これら収入が減ったことを意味する回答を合わせますと、母親で29.4%、父親で21.7%です。
直近である2019年の政府調査で、子どもの7人に1人が貧困状態とされていましたが、コロナ禍で親の収入が減ったため、現在では5人に1人という状況ではないかと推定されているところです。
これまでも繰り返し求めてきましたけれども、現物給付や現金給付が一番早く確実に届く貧困支援策であり、予算が貧困では、貧困対策は成り立ちませんから、十分な貧困対策予算をつけるよう要望します。
あわせて、貧困の緩和を議論する場合、常に広く社会の仕組みの中にその議論を置くことが大事です。そのためにも、全部局を網羅した議論ができるように検討していただくことを求めて、私の質問を終わります。
◆しのだ江里子 委員 私は、2点質問させていただきます。
企業主導型保育所への第2子保育料無償化について、そして、母子生活支援施設の在り方検討について質問をいたします。
まず、企業主導型保育所への第2子保育料無償化について伺います。
第2子保育料の無償化についてですが、本市の多子世帯の保育料は、2017年度、平成29年度から、3歳未満の第2子保育料を、国では半額のところ、無料としております。また、この第2子保育料の減額を受けるためには、本来、第1子と第2子が同時に保育所に入所していることが前提となりますが、国では、世帯年収が約360万円未満の世帯に対しては、第1子が保育所などを卒園していても同時入所と同じようにみなして、第1子としてカウントし、保育料を減額しています。
札幌市においては、この世帯収入部分について、2020年度、令和2年度から、国では約360万円未満のところ、約640万円未満の世帯まで拡大し、無償化を適用しているところです。2人以上の子どもを持つ世帯の経済的負担は決して軽いものではないことから、札幌市として、独自に国の制度に上乗せをして、支援を必要としている世帯への経済的支援を実現していることに関しては、子育て支援に資する取組として、私ども会派は大変評価をしているところです。
そこで、質問ですが、2020年度、令和2年度における3歳未満第2子保育料無償化の対象となった世帯数及び減額した実績をそれぞれ伺います。
◎加茂
支援制度担当部長 令和2年度における3歳未満第2子保育料無償化の対象となった世帯数及び減額した実績についてでございます。
令和2年度決算におきましては、7,264世帯を対象に、額としては約12億3,000万円を減額しております。
また、この7,264世帯のうち、委員からお話のありました第1子の年齢にかかわらず第2子無償化の対象となる世帯年収を、国基準の約360万円から約640万円未満まで拡大したことで、無償化の対象となったものが1,310世帯ございまして、額としては、先ほどの約12億3,000万円のうち、約3億3,000万円というふうになっております。
◆しのだ江里子 委員 令和2年度、2020年度の決算においては、全体で7,264世帯が3歳未満第2子保育料無償化の対象になったということ、これに係る費用というのは約12億円であったということですが、本当にこの対象になったご家庭に関しては大変助かっているものと思います。
しかし、この3歳未満第2子保育料無償化ですけれども、要件を満たしながらも適用されない世帯があるということを聞いております。それは、企業主導型保育事業を利用している世帯であります。
企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源として、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業などを支援するとともに、
待機児童対策に貢献することを目的として、2016年度に創設されております。この事業のメリットは、働き方に応じた多様で柔軟な
保育サービスが提供でき、例えば、延長、夜間、土・日の保育、短時間、週2回のみの利用なども可能となっておりまして、複数の企業が共同で設置することもできております。
また、企業の従業員の子どもだけではなくて、地域住民の子どもの受入れができ、運営費、設備費について、国から認定施設並みの助成が受けられるということで、
待機児童対策として、様々な就労形態に合わせた
保育サービスを提供できる企業主導型保育所は、
待機児童の解消につながると期待されておりまして、近年、急速にその数を増加させております。
札幌市では、令和3年、2021年4月の国定義における
待機児童数は4年連続ゼロを達成しておりますが、同時点で企業主導型保育事業を利用している児童数は2,768人もおりますので、この事業は大いに
待機児童対策に貢献していると考えます。
そこで、質問ですが、企業主導型保育事業を利用している3歳未満の第2子は無償化の対象とはならないという事実があるのか、また、事実であるならば、その理由はいかがか、伺います。
◎加茂
支援制度担当部長 企業主導型保育事業を利用しておられます3歳未満第2子の無償化についてでございますが、企業主導型保育事業を利用している世帯については、委員のご指摘のとおり、札幌市が実施をしております無償化の対象とはなっておりません。
国では、子ども・子育て支援法施行令におきまして、認可保育所、
認定こども園、地域型保育事業の保育料の基準というものを定めております。
札幌市では、この施行令に基づきまして、各施設の保育料を国基準よりも減額して決定するとともに、併せて3歳未満第2子保育料無償化を実施しているところでございます。
一方、企業主導型保育事業につきましては、施行令において、札幌市が保育料を決定する施設というふうにはなっておりませんことから、この3歳未満第2子無償化の対象とはなっていないという状況でございます。
◆しのだ江里子 委員 今のご答弁で、3歳未満第2子無償化は、国が子ども・子育て支援法施行令で保育料を定めている施設が対象であって、企業主導型保育事業はこの対象となっていないため、札幌市の無償化の対象となっていないということでありました。
国が対象としていないから札幌市も対象としていないというご回答であったのですけれども、それは、あまりにも短絡的で非情な回答であって、札幌市として企業主導型保育事業に対して保育料軽減策を積極的に講じていないことに対しては、私は大変不満に思います。
企業主導型は、先ほど申しましたように、延長ですとか、夜間、土・日の保育、短時間など、多様で柔軟な
保育サービスです。百貨店ですとかコールセンター、障がい児養育施設などでは、この特徴を生かし、企業主導型
保育施設が設置されておりまして、働くお父さん、お母さんたちの大きな支えになっております。
企業主導型
保育施設者に話を聞きました。
3歳未満第2子無償化の対象とならないために、認可保育園などの入園が決まると、2人とも退所してしまい施設運営に問題を抱えてしまう、そしてまた、企業にお勤めの保護者が障がいのあるお子さんの弟さんや妹さんを勤め先に併設されている企業主導型に入所させたいと願っても、無償化の対象とならないために、やむなく、少し離れた認可保育園に預け、送迎にくたくたになっているという声も聞いております。
札幌の子どもたちは、本来、どこに保育をされていても、ひとしく大事にされるべきだと考えます。
私どもは、この企業主導型保育事業を利用している世帯であっても、第2子以降の保育料減額の対象となるよう、やはり国に働きかけていかなければならないと思います。しかし、これが実現するまでにどれだけの時間を要するかということに関しては、全く分かりません。政令市では堺市が、そしてまた、中核市では数市がこれを実現させております。
そこで、質問ですが、今まさに、この無償化の対象とならず困っている市民がいることも踏まえて、
待機児童対策にも貢献をされている企業主導型保育事業を、市単費で、国に先駆けて3歳未満第2子保育料無償化の対象とすべきと考えますがいかがか、伺います。
◎加茂
支援制度担当部長 企業主導型保育事業について、市単費で3歳未満第2子保育料無償化の対象とするということについてでございますが、企業主導型保育事業は、先ほども申しましたとおり、国が実施している事業でございまして、また、保育料の仕組みについては、国において、認可保育所、企業主導型保育事業それぞれについて、国が制度設計を行っており、その内容が異なっているというのが実態でございます。
具体的には、認可
保育所等は、世帯の収入に応じて札幌市が保育料を決定することとされておりますけれども、企業主導型保育事業は、国が定めた条件の範囲内で各事業者が独自に保育料を決定しているところでございます。
このような状況の中で、例えば、企業主導型保育事業の保育料減免を実現するためには、現在、認可外保育所に通う3歳以上の園児、それから、ゼロ歳から2歳の住民税非課税世帯の園児を対象に、国が実施をしております保育料の負担軽減制度、こういったものを拡大するといった方策が考えられることから、札幌市としては、まずは国の動向を注視しているところでございます。
また、本件は全国的に生じている事例であることから、札幌市といたしましては、全国市長会等を通じ、企業主導型保育事業への財政支援を含めた措置について、引き続き国に対し要望していくとともに、今後も多様な
保育サービスの提供を進めるなど、保護者の方々が安心してサービスを受けることができる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
◆しのだ江里子 委員 企業主導型保育所を利用されている多子世帯に対する保育料の軽減につきましては、私たちも国に対して働きかけていかなければならないと思います。しかし、札幌市も、全国市長会などを通じて、さらに働きかけをしていただきたいと思います。
札幌市は、子育てしやすいまちであったはずです。しかし、残念ながら、合計特殊出生率が1.09と年々下がり、政令市はおろか、東京都よりも低い状況は見過ごすことができないと思います。この札幌市が持続可能なまちであり続けるためには、このまちで子どもを産み育て、親も安心して働き続けることができる環境でなくては望めないと思います。
ぜひ、市単費での実施も検討していただきたいと要望し、この質問を終わります。
次は、母子生活支援施設の在り方検討についてです。
母子生活支援施設の在り方検討を行うに当たっての課題認識をまずさせていただきたいと思います。
令和4年度予算案において、母子生活支援施設関係費に母子生活支援施設改築補助金9,200万円が計上されております。これは、老朽化が進む母子生活支援施設1か所の改築に対する補助でありまして、札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2019に基づいて行われるとのことでありました。
今回の改築計画に関しては、本年1月に子ども・
子育て会議の
児童福祉部会において、審議、承認されておりますが、この審議の中で、母子生活支援施設がこれまで担ってきた機能に加えて新たな機能強化が求められているとのご意見があり、札幌市では、来年度から母子生活支援施設の今後の在り方について検討していくとのことでありました。
そこでまず、質問ですが、今後の母子生活支援施設の在り方検討を行うに当たり、現在、どのような課題認識をされているのか、伺います。
◎竹田 子育て支援部長 母子生活支援施設の在り方検討を行うに当たっての課題認識についてでございます。
母子生活支援施設は、市内に5か所ありまして、経済的な困窮や心身の不調などで困難を抱える母親と子どもを一緒に受け入れ、自立促進のために必要な支援を行う施設となっております。しかし、心理療法士などによる心のケアを必要とするDV被害者や妊娠期からの居場所の提供や生活支援を必要としている女性など、現在の支援体制だけでは対応し切れないケースもございます。
こうした様々な困難を抱える女性を支援するために、母子生活支援施設をどう活用していくのかが課題だと認識しております。
また、今回、令和4年度に1か所の改築を予定しておりますが、多くの施設が建築されてから30年以上経過しておりまして、母子への支援を継続していくためには、施設の老朽化への対応も課題と考えております。
◆しのだ江里子 委員 様々な困難を抱える女性に対して、母子生活支援施設をどのように活用し、そして、支援につなげていくかということですとか、施設の老朽化への対応が課題であったとのご答弁でした。
今までも、この
札幌市議会では、予決算特別委員会で、母子生活支援施設における母子の自立支援について、様々な意見や提言がされてきました。2016年児童福祉法改正によりまして、家庭養育優先原則が打ち出されたところですけれども、母子生活支援施設は、唯一、母子が分離することなく支援を受けながら生活できる児童福祉施設となっています。
5年前の2017年1月の子ども・
子育て会議の
児童福祉部会でも、
松本伊智朗部会長から、住むところがあってケアがあるという形の特定妊婦支援は、児童福祉法マターとして議論されているけれども、所管が保健所だからということではなく、国で決まってから後追いでやるだけではなくて、札幌市として議論されることがあってもいいのではないか、あるいは、そうされるべきではないか、そして、施設については、建て替えのときにその機会を狙ってされることがいいのではというご提言がありました。
ようやく5年たちまして、この提言が生かされることになると思います。
困難を抱える女性への支援については、ほかの都市では、福岡市などが既に母子生活支援施設を活用した産前産後母子支援に取り組んでおり、旭川市の施設も札幌より進んだ取組を実施しております。札幌市内でも、既に民間団体が同様の支援を行っているところもあります。
札幌市においても、母子生活支援施設において、こうした支援に取り組んでいくべきだと考えますが、母子生活支援施設の在り方検討について、来年度はどのように検討を進めていくのか、伺います。
◎竹田 子育て支援部長 今後の在り方検討の進め方についてでございます。
来年度は、DVや母子保健、虐待などを所管する関係部署と連携しまして、市内にある母子生活支援施設や関係団体からの現状の聞き取りや他都市における先行事例の調査などを予定しております。
その上で、
児童福祉部会の学識経験者や子育て支援関係者などからご意見をいただきまして、札幌市における母子生活支援施設の活用や老朽化した施設への対応について検討を進めてまいりたいと考えております。
◆しのだ江里子 委員 要望です。
先日、この建て替えの対象となっています施設に伺いまして、入所者さん、そしてまた、施設長からお話を伺ってまいりました。
外見は、築42年とのことでありましたけれども、きれいに整備をされていましたが、退去した後の居室を拝見しましたところ、壁から染み出る漏水ですとか、かびの様子がはっきり残っており、新たな入居者を迎えるためにはかなりの改装費がかかるというお話でした。廊下にも、至るところにすが漏り対応の雑巾が置かれておりまして、老朽化は様々なところに来ており、隠せない状況にありました。
居室は、ユニットバス、トイレつきではありますが、約33平米のコンパクトな2DKで、荷物がなければ親子2人は何とかと思いますが、子どもが2人、3人となった際には極めて狭く、まん延防止措置期間には、集会室などでの遊びができないために、お子さんにストレスがたまることもあると切実なお話を聞きました。
母子生活支援施設は、入居者があって初めて児童福祉事業として措置をされるため、極力、やはり満室であることが望ましいと思います。
施設長からは、夜間救急対応ができないということで、DVの一時支援や虐待、問題を抱える母子支援などができないことで、じくじたる思いでいるということを伺いました。
今年1月の第6回札幌市子ども・
子育て会議児童福祉部会での委員意見では、多子世帯を考慮した間取りの異なる部屋を設置することはできなかったのか、これに関して、単に建て替えの議論ではなくて、札幌市の母子福祉、女性支援をどうしていくのか、生活全体を支える支援の重要性について、母子生活支援施設の構想など、早い段階で議論できるとよりよい施設になるのではなどのご意見がありました。
札幌市の母子生活支援施設は、順次、建て替えが進むものと思いますが、今後、検討する施設においては、多子世帯への対応も考慮して検討を進めていただきたいと思います。
母子生活支援施設を取り巻く環境が大きく変わっている現状にありまして、在り方や求められる方向について庁内で検討し、検討結果について、2022年度の
児童福祉部会で審議いただくということであります。
また、それぞれの施設については、老朽化の進行を含め、どう対応していくのかを在り方検討の中で併せて検討されていくということでもあります。
この母子生活支援施設が、困難な課題を抱えた母子が共に安心・安全な生活を確保するための切れ目のない社会資源の開拓や自立に向けた就労支援など、地域を巻き込んで進める拠点となるように強く期待をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
◆石川さわ子 委員 私は、家庭訪問型子育て支援事業について伺います。
家庭訪問型子育て支援事業といいますのは、子育てに関する研修を受けた子育て経験のある地域のボランティアが、未就学児のいるご家庭を訪問し、一緒に家事や育児をしたり、友人のように寄り添って、気持ちを受け止めながらお話を聞くなどの活動をするものです。
また、地域の力を活用して重層的に支援を行うことによって、育児に不安や悩みを感じている子育て世帯の孤立を防ぐことも目的としておりまして、近年、全国的にも多くの地域で実施をされております。
札幌市におきましては、以前より、子育てサロンを開催しているNPOのような地域の団体が、希望する子育て世帯を対象に、サロンの従事者による家庭への訪問を行い、子育てへの不安や悩みを聞くなど、母親に寄り添いながら独自に支援をしていると聞いておりまして、大変よい取組だと注目をしており、かねてより、こうした事業の実施を要望してきてまいりました。
昨年、2021年の第3回定例会の決算特別委員会では、2021年度中に、実際にこの事業に取りかかるとのことから、その概要などについて質問をしたところであります。
その際の答弁では、札幌市でも、市の補助事業であります地域子育て支援拠点事業を実施するNPOのうちの1団体と連携し、2022年1月から、家庭訪問型子育て支援事業の試行実施を予定しており、開始に向けて取組を進めているということでありました。
そこでまず、質問ですが、現在の事業の進捗状況について伺います。
◎竹田 子育て支援部長 事業の進捗状況についてでございます。
昨年の11月、この事業の実施団体であります手稲区のひろば型子育てサロンが中心となりまして、行政の子育て支援関係部署のほか、町内会などの地域団体や医療機関の関係者などで構成します運営委員会を立ち上げたところでございます。
これと並行しまして、この事業の特徴でもあります各家庭を訪問する地域の住民ボランティアを募集しまして、3名の応募があったことから、実施団体のほか、全国各地で家庭訪問型子育て支援事業をサポートしているNPO団体と連携しまして、このボランティアの方々への研修を実施したところでございます。
また、12月下旬以降、広報さっぽろ手稲区版や子育て情報サイト、子育てアプリのほか、地域のフリーマガジンを活用して、利用者の募集を行いました。
予定どおり、今年、令和4年1月からサービスを開始しまして、2月末までに10件の申込みがあったところでありまして、お申込みいただいたご家庭への訪問を順次行っているところでございます。
◆石川さわ子 委員 ご答弁を伺いまして、予定どおり、1月からサービスを開始されて、2月末までに10件の申込みがあったということでありました。
事業開始から僅か2か月半という中でありますけれども、こうした新たなサービスを利用したいという方がいらっしゃるというニーズが明らかになったということだと思います。
私が、以前、若い母親の相談支援を行っている団体の方から伺ったお話では、若いお母さんは、従来の子育てサロンの利用は敬遠しがちだということでありました。そうした理由といたしましては、サロンを利用されているお母さんたちが既にグループ化しているということがあって、そうした中にはなかなか入っていけないということですとか、ひとり親でほかのお母さんたちと境遇が違うということに引け目を感じる、そういうようなお声があったということであります。
このような様々な理由で、既存の子育てサロンの利用に踏み切ることができなくて孤立しがちな世帯に、こうした家庭訪問型の子育て支援は寄り添うことができるというふうに考えますし、この支援をきっかけに子育てサロンやほかの子育て支援にもつながるのではないかと期待をするところです。
このように、本事業の必要性を強く感じるところでありますが、前回の決算特別委員会の答弁によりますと、新規事業でありますことから、導入後1年程度は試行実施ということでありました。
現在、事業開始から2か月半程度ということでありますが、実施をされていく中で分かってきた利用者の申込みの理由ですとか、感想、事業の問題点などについては、今後の本格実施への移行を見据えて、しっかりと検証をしていくことが必要と考えるところです。
そこで、質問ですが、本事業のこれまでの成果や課題について伺います。
◎竹田 子育て支援部長 これまでの成果や課題についてでございます。
お申込みいただいた方に申込みの動機について伺ったところ、引っ越ししてきたばかりで知り合いがいないですとか、車がなくて外出できないけれども話し相手が欲しいなどがありまして、当初想定していた方々にご活用いただいていることが分かりました。
また、事業を知るきっかけを尋ねたところ、広報さっぽろや地域のフリーマガジンなどであり、ふだん子育てサロンを利用していない方々の新たなニーズの掘り起こしにつながっているものと考えられます。
さらに、利用が終了した世帯の方の声では、引っ越ししてきたばかりに加えて、子どもに手を焼いていて、いらいらしていたけれども、訪問ボランティアと一緒に散歩に出かけるなどをしていくうちに、いらいらや不安が解消されたといった声も聞かれまして、期待した効果を確認することができたところでございます。
一方で、現時点では、今後、利用者が増えた場合、訪問するボランティアが3名では円滑に訪問できないことが危惧されることから、ご協力いただくボランティアの人数を増やすことが課題であると考えております。
また、利用者について、本事業を終了した後も子育てサロンや子育て支援制度の利用などにつなげていくことが課題と認識しております。
◆石川さわ子 委員 子育てで感じている不安が解消されたなど、利用者のお声から、この事業の効果があるということを伺えてよかったと思います。
この事業を受託している団体の活動拠点が手稲区内にあるということから、手稲区を中心とした事業になっているというふうに伺っておりますが、今のご答弁のように、新たなニーズの掘り起こしがあるということもあり、不安を抱える子育て世帯をしっかりと支えていくことは大事な事業だということが明らかになったというふうに思います。
本市が設置をしております相談窓口を知らないという子育て世帯ですとか、知っていても利用することができない世帯、また、相談というほどではないけれども、少し話を聞いてほしいだけというような既存の支援が届きにくい、潜在化している子育て世帯への支援を今後も充実していくべきだと考えます。
この家庭訪問型子育て支援事業は、コロナ禍という社会状況の変化の中、行政が提供する子育て支援サービスの利用にハードルの高さを感じておられる子育て世帯や、孤立しがちな子育て世帯への大変有効な支援であると思いますから、まずは、課題となっている訪問するボランティアの増員などに取り組むなど、しっかりと事業を継続することと併せまして、現在の限られた地域だけではなく、札幌市全域の子育て世帯に利用していただけるよう、しっかりと検証を行うなど取り組み、事業の本格実施や事業拡大を進めていただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
○丸山秀樹 委員長 以上で、第2項
子ども福祉費等の質疑を終了いたします。
以上をもちまして、本委員会に付託されました全案件に対する質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、3月28日月曜日午後1時から、討論及び採決を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
――――――――――――――
散 会 午後5時8分...