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  1. 札幌市議会 2022-03-02
    令和 4年(常任)総務委員会−03月02日-記録


    取得元: 札幌市議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    令和 4年(常任)総務委員会−03月02日-記録令和 4年(常任)総務委員会            札幌市議会総務委員会記録            令和4年3月2日(水曜日)       ────────────────────────       開 会 午後1時37分     ―――――――――――――― ○中川賢一 委員長  ただいまから、総務委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  最初に、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンビジョン編)のパブリックコメント案の報告についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎小角 まちづくり政策局長  第2次まちづくり戦略ビジョンビジョン編につきましては、本年2月1日に開催されました審議会を経て、17日に審議会の平本会長から市長に対しまして答申書の手交があったところでございます。  本日は、その答申を踏まえました市の素案をご説明させていただきます。  今後は、議会の場でいただきましたご意見も踏まえ、また、資料の体裁を整え、来年度に入ってからパブリックコメントを行う予定となっております。  ビジョン編の議案提出は本年の3定を見込んでおりまして、その際には、戦略編の検討経過なども併せてご説明をさせていただく予定としております。  改めて次期戦略ビジョン策定趣旨について申し上げますと、これまで一貫して増加傾向にございました札幌市の人口も減少局面を迎えており、このまま推移をいたしますと、2040年には生産年齢人口が100万人を割り、高齢者人口が約4割を占めるという人口構造の大きな変化が見込まれております。  また、近年激甚化する自然災害や、今般の新型コロナウイルス感染症感染拡大などにも起因いたしまして、今後の社会経済情勢や生活様式、価値観なども変わっていくことが見込まれております。  このような時代の転換期にあっても持続可能なまちづくりを進めていくためには、市民、企業、行政などの多様な主体が、札幌市の目指すべきまちの姿とまちづくりの方向性を共有し、共に取り組んでいくことが必要であり、そのための次の新たな100年の礎となる今後10年のまちづくりの基本的な指針として、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンを策定するものでございます。  素案の内容につきましては、資料に基づきまして、浅村政策企画部長よりご説明をさせていただきます。 ◎浅村 政策企画部長  それでは、資料に基づいてご説明をさせていただきます。  表紙が赤字で書かれてございます概要版をお取りいただきまして、1枚おめくりいただき、ページの左側のビジョン編の構成をご覧ください。
     ビジョン編は全部で5章で構成されてございまして、第1章は、はじめに、第2章は、札幌市の現在と将来に関する考察、第3章は、目指すべき都市像とまちづくり重要概念、第4章は、まちづくり基本目標、そして、第5章は、目指すべき都市像の実現とまちづくり基本目標の達成に向けてとなってございます。  まず、右側1ページの第1章では、策定趣旨、位置づけ・構成、計画期間を記載してございます。  また、中段の表に記載のとおり、今回のビジョン編は目指すべき都市像や基本目標を、戦略編は基本目標の達成に向けた取組手法を、中期実施計画であるアクションプラン戦略ビジョンに基づく具体的な事業をそれぞれ定める計画になります。  続いて、2ページをご覧ください。  第2章では、札幌市の歴史のほか、札幌市の強みとなる魅力、特徴として、市民愛着度の高さや豊かな自然環境、都市機能の集積、環境面での高い評価など10項目を挙げております。  3ページ以降は、第1次戦略ビジョンの取組を振り返り、その成果と課題を記載してございます。  なお、3ページの表は、第1次戦略ビジョンの都市像とまちづくり基本目標となっております。  おめくりいただきまして、4ページは、市民アンケートの結果を記載してございます。  昨年8月に市民1万人を対象といたしまして、第1次戦略ビジョンに掲げる七つのまちづくりの分野と24のまちづくり基本目標に関します取組の充実度と重要度を調査しております。  現在までの充実度は、文化、都市空間の分野が高く、子ども・若者の分野が低くなっております。今後の重要度に関しましては、子ども・若者の分野が高く、地域の分野は低いという結果になっております。  続いて、右の5ページからは、主要指標の状況です。  まず、人口についてですが、札幌市の人口は減少局面を迎えており、人口構造に変化を生じることが予想されております。  また、65歳以上の高齢者人口は、2040年にはピークを迎え、約4割を占める見込みとなっているほか、2020年の合計特殊出生率は1.09と少子化が進んでおります。  さらに、20代の若年層の道外への転出超過の傾向も続いておりまして、生産年齢人口はさらに減少し、推計では2040年代に100万人を割る見込みとなっております。  続いて、6ページをご覧ください。  経済に関しましては、市内総生産、これは名目でございますが、生産年齢人口が減少する中にありましても、2012年度以降は堅調に推移をしております。  一方、企業の所得などを含みます1人当たりの市民所得は政令市の中でも低位であることに加え、2020年以降は、新型コロナウイルスの影響により、企業経営や雇用に大きな影響が出ており、今後は人口減少に伴う経済規模の縮小が予想されております。  続きまして、右の7ページの財政についてですが、市税収入は、個人市民税固定資産税などが増加したことにより、2012年度と比較すると増加傾向にございます。  また、経常収支比率につきましては、比較的健全な状況を維持してきた一方で、財政力指数は他の政令市と比較して低い状況にございまして、引き続き財政基盤を強化していく必要がございます。  さらに、1970年代から1980年代前半にかけまして集中的に整備してきた公共施設が一斉に更新時期を迎えることが見込まれております。  続きまして、8ページをご覧ください。  第1次戦略ビジョンの総括としまして、分野ごとの主な取組結果である成果と課題を表にまとめております。生産年齢人口が減少する中でも、都市基盤の再整備や経済の活性化などに取り組んだ結果、全国的な景気の回復基調もございまして、市内総生産や市税収入は増加するなど、一定の成果を示すことができたものと捉えております。  一方で、これまで一貫して増加傾向にあった人口も減少局面を迎えており、合計特殊出生率市民所得財政力指数等は他の政令市と比較しても下位となってございまして、これらに課題を抱えております。  次に、9ページからは、昨今の社会経済情勢を記載しております。  札幌市にとっての機会や脅威となる事柄といたしまして、価値観やライフスタイルの多様化、人生100年時代の到来、デジタル技術の急速な進歩など、7項目を整理してございます。  続いて、10ページをご覧ください。  中段にございますSDGsの視点から見た札幌市では、国が自治体のSDGsの取組状況を把握するための指標としてございます地方創生SDGsローカル指標を用いた政令市との比較分析の考察を記載しております。  具体的には、札幌市は、空気がきれいで自然が豊かなコンパクトな都市であるという一方、人口当たりの市内総生産が低いなど、稼ぐということや、がんですとか糖尿病の死亡率や喫煙率の高さなど、健康の分野に課題がございます。  次に、11ページからの第3章は、目指すべき都市像とまちづくり重要概念の章となります。  まず、1の考察のまとめでは、これまでの札幌市を「ひと」「ゆき」「みどり」をキーワードに振り返り、現在、人口減少やコロナの感染拡大、脱炭素社会の実現といった転換点を迎えていることを記載してございます。  これらを踏まえ、今後は、人口減少の緩和を進めることはもとより、人口構造をはじめとする様々な変化に大きな影響を受けず、その変化を積極的に生かし、持続的に成長していくことの必要性を記載してございます。  続いて、2の目指すべき都市像とまちづくり重要概念についてです。  ここでは、札幌市の特徴である「ゆき」「みどり」といった自然の恵みが生かされた中で、あらゆる世代の「ひと」や多様な「ひと」が交わり、一人一人の思いがつながり、新しい時代にふさわしい真に豊かな暮らしを創る、また、様々な分野で新たな価値を生み出すことで、国内外から活力を呼び込み、成熟社会における課題をいち早く解決する拠点として、世界をリードする持続可能で多様性と包摂性のある都市を目指します。  そのため、12ページからの記載のとおり、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなっていること、そして、誰もが生涯健康で、学び、自分らしく活躍できていること、そして、誰もが先端技術などにより快適に暮らし、新たな価値の創出に挑戦できることの重要性を踏まえ、都市像と重要概念を定めております。  12ページに記載のとおり、これらの考え方の下、第2次戦略ビジョンの都市像は、「ひと」「ゆき」「みどり」の織りなす輝きが、豊かな暮らしと新たな価値を創る、持続可能な世界都市・さっぽろとしております。  また、都市像の実現に向けたまちづくりでの重要概念として、ユニバーサルウェルネス、スマートの三つを定めてございます。  次に、14ページをご覧ください。  第4章のまちづくり基本目標です。  目指すべき都市像の実現に向けまして、第2章で記載した札幌市の強みや弱み、機会、脅威を整理し、これらを、まちづくり重要概念であるユニバーサルウェルネス、スマートのほか、SDGsの視点を踏まえて考察いたしまして、八つのまちづくりの分野と20のまちづくり基本目標を定めております。  ここでは、子ども・若者の分野を例に、基本目標等の内容を説明させていただきます。  15ページの子ども・若者の分野をご覧ください。  上段の考察の部分におきましては、合計特殊出生率が1.09と低い数値となっていることのほか、子育てへの負担感を抱える市民が増加していること、そして、市民アンケートの結果でも子育てに関する今後のニーズが高まっていることから、社会全体で子どもと子育て家庭を支えていることや、性別を問わず働きながら子育てができる環境が整っていることが重要というふうに分析してございます。  また、全国的に子どもの貧困や児童虐待が増加するとともに、教育格差が懸念される中、社会全体で虐待やいじめなど子どもの権利が侵害される事態を防いでいくこと、加えまして、生産年齢人口のさらなる減少が予想され、若年層の道外流出という課題がある中で、将来を担う若者が希望を持ち、結婚や就労など理想のライフプランを実現していくことが求められます。  さらに、子どもが一人一人の状況に応じた最適な教育環境の中で、健やかにお互いを尊重しながら学んでいることが重要となるというふうに考えられます。  こうした考察から、基本目標1といたしまして、安心して子どもを生み育てることができる、子育てに優しいまちを掲げ、さらに、目指す姿を設定し、私たちが取り組むこととして、市民、企業、行政が連携し取り組むことを具体的にイメージしております。  次に、16ページをご覧ください。  先ほどの考察を踏まえまして、基本目標2といたしましては、誰一人取り残されずに、子どもが伸び伸びと成長し、若者が希望を持って暮らすまちを掲げております。  また、同じページですが、基本目標3といたしまして、一人一人の良さや可能性を大切にする教育を通して、子どもが健やかに育つまちを掲げ、それぞれに目指す姿を設定し、市民、企業、行政が取り組むことも例示してございます。  最後に、30ページの第5章をご覧ください。  第5章では、都市像と基本目標の実現に向けまして、まちづくりを進めるために必要な考え方を整理してございます。  内容としては、市民が主役のまちづくり、多様な主体による連携や、北海道と共に発展する札幌市、SDGsの視点を踏まえたまちづくり、今後策定を進めてまいります戦略編の構成について記載をしてございます。  戦略編におきましては、分野横断的に取り組む施策のほか、各分野の基本目標に沿った施策や指標、今後の行財政運営の在り方もまとめていく予定でございます。 ○中川賢一 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆小須田ともひろ 委員  先日、我が会派の代表質問で、次期戦略ビジョンにおける目指すべき都市像について質問させていただきました。  都市像に対する思いを札幌市民とどれだけ共有できるのかということが重要である、こういった指摘もさせていただきました。札幌らしさを将来のまちの姿である都市像に掲げることは理解するところであり、市民や企業、行政が同じ方向を向いてまちづくりを進めていくためには、その思いを共有することが重要であると考えております。  さらに、札幌のまちの具体的な進むべき方向性を明確に示し、市長をはじめ、市職員がこのことを市民に対してしっかりと説明していけるかどうか、自らの口で語っていけるかどうかというところにビジョン推進の行く末がかかっていると考えるところでもございます。  そこで、一つ目の質問ですが、ビジョンの示す都市像は、市長のどのような戦略に基づくものであり、それを反映するための検討・決定プロセスがどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎浅村 政策企画部長  都市像に込めます市長の戦略と検討・決定プロセスについてお答えしたいと思います。  さきの代表質問におきまして、市長から、これからの札幌の大きな課題である人口減少期に向けて、どのように持続可能なまちづくりを進めていくのかという大きな視点の中で、次期の戦略ビジョンを市民や企業の皆様と共有していくと答弁をさせていただいたところでございます。  市長からは、高齢者人口が増加する中、誰もが安心して暮らし、生涯活躍できるよう、建築物のバリアフリー化健康寿命延伸の取組を進めること、また、生産年齢人口が減少する中におきましても経済活動を維持できるよう、先端技術の活用などにより生産性を向上させていくこと、さらには、気候変動対策としてゼロカーボンの取組を加速化させることなど、今後の持続的に成長するまちづくりへの転換について日頃から指示を受けているところでございます。  今回お示しした素案は、審議会委員の知見はもとより、市長のこうした思いやリーダーシップの下、庁内で検討した市の考え方を踏まえて、審議会で作成された答申を基本に、改めて市としての意思決定を経てまとめたものでございます。  具体的には、都市像の実現に向けましてまちづくりを進めていく上での重要概念として、ユニバーサルウェルネス、スマートを定めたところでございます。これらの重要概念に基づき、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会、誰もが生涯健康で、学び、自分らしく活躍できる社会、誰もが先端技術などにより快適に暮らし、新たな価値の創出に挑戦できる社会を、市民、企業、行政が一丸となってつくり上げていく考えでございます。  今後は、パブリックコメントなども経まして、本年秋頃には議案としてまとめていく予定でございまして、また、4月から審議会で議論を始める予定の戦略編につきましても、その検討内容を議会に報告させていただく予定でございます。 ◆小須田ともひろ 委員  次に、人口減少対策について質問させていただきます。  先ほどの資料でも触れられておりますとおり、少子高齢化生産年齢人口の減少がさらに進行することで、市内経済規模の縮小や、公共交通の利便性の低下など、日常生活への影響が懸念されるほか、長期的な市税収入の減少や社会保障などの財政需要が増加していくことも予想されております。さらに、札幌市の最新の合計特殊出生率は1.09と、年々その数値が減少しており、また、若年層の道外流出にも歯止めがかかっていない中で、引き続き人口減少の緩和は喫緊の課題であると考えております。  これまで、札幌市は、人口減少の緩和に向けた計画であるさっぽろ未来創生プランに基づき取組を行ってきておりますが、最上位計画である次期戦略ビジョンにも人口減少対策の考え方をしっかりと位置づけ、取組を加速していくことが重要と考えます。  そこで、二つ目ですが、次期の戦略ビジョンにおいて、人口減少対策についてどのように位置づけていくのか、その考えをお伺いいたします。 ◎浅村 政策企画部長  次期戦略ビジョンにおきます人口減少対策の位置づけについてお答えいたします。  先ほどもご説明いたしましたが、これまで人口増加の一途をたどってきた札幌市におきましても、人口減少の局面を迎えておりまして、持続可能なまちづくりに向けて、人口減少対策の取組を加速化していく必要があると認識してございます。  次期の戦略ビジョンの策定過程におきましても、子ども・若者や経済など様々な分野に関わる大きな課題であることから、現在、庁内横断的な議論の枠組みを新たに構築し、検討を進めているところでございます。  未婚率の高さや晩産化など札幌の特性も踏まえまして、質の高い雇用の創出により、経済的不安を軽減するとともに、安心して子どもを生み育てやすい環境を整えていくことを基本としながら、今後は、妊娠前の健康管理や多様なライフデザインの普及など、新たな視点も加えて推進していく考えでございます。  庁内議論も踏まえて、市民一人一人が人生において様々な選択を可能とし、結婚、出産、子育てに希望が持て、子どもを生み育てたいと思える環境の構築に向けた施策を戦略編にしっかりと位置づけてまいりたいと考えてございます。 ◆小須田ともひろ 委員  質の高い雇用の創出により経済的不安を軽減するとともに、安心して子どもを生み育てやすい環境を整えていくことを基本としながら、今後、新たな視点も加えて推進していく考えとのことでございました。  ですが、結婚後に子どもを生み育てやすい環境をつくり上げていく上で特に大きな課題は、市民所得の低さであると考えます。本日、説明を受けた資料の中でも、1人当たりの市民所得は、政令指定都市の中でも低位であることが課題として示されており、本書に記載されているグラフを見ると、数値を公表している政令指定都市の中で最下位となっております。  三つ目の質問です。  次期のビジョンにおいて、市民所得の向上に向けてどのように取組を進めていく考えか、お伺いいたします。 ◎浅村 政策企画部長  市民所得の向上に向けた取組の考えについてお答えいたします。  札幌市は、いわゆる労働集約型のサービス業など、第3次産業が中心の産業構造であることや、女性、高齢者の有業率が低いことなどから、他の政令市と比較して1人当たりの市民所得が低位となっており、大きな課題であると認識しております。  そのため、次期の戦略ビジョンでは、食品製造事業者などが多く集積する食分野や、経済波及効果が期待できる観光分野を引き続き札幌市の強みである産業として位置づけ、国内外への販路拡大への支援や、スノーリゾートとしてのブランド化による観光客の誘致などに取り組んでいく考えでございます。  加えまして、超高齢社会感染症拡大を契機とした社会変化への対応、デジタル化の進展などの社会ニーズの高まりを踏まえ、創薬などベンチャー企業が創出されている健康福祉・医療分野や、企業集積があるIT、クリエーティブ分野を、新たな強みとなる産業に成長させていくことを位置づけてまいりたいと考えております。  また、地域経済を支える中小企業の活性化や生産性向上に向けた支援に取り組んでいくとともに、スタートアップエコシステムの拠点としての評価を生かしながら、様々な企業の創業や立地を促進して参ります。  さらに、就労や労働環境の改善への支援などを通じまして、雇用が安定的に確保され、多様な働き方ができるまちを目指していきます。  これらの取組などを通じまして、市民所得の向上を図ってまいりたいと考えております。 ◆小須田ともひろ 委員  このビジョン編は、都市像とまちづくり基本目標という目指すべき理想の姿を掲げるものでございますが、重要なのは、その理想の姿を実現するために戦略的に何をしていくかであると考えます。  戦略編につきましては、庁内横断的に検討を進めているとのことでございますが、議会ともしっかりと議論をした上で策定作業を進めていっていただきたいと思います。 ◆松原淳二 委員  私からも、まちづくり戦略ビジョン策定に当たり、市民との連携という視点で幾つか質問をさせていただきたいと思います。  先ほど来ありましたけども、次期まちづくり戦略ビジョンは、大きな転換期を迎える札幌市において大事な計画となります。そして、新しいまちづくりの考え方を市民、企業、行政が共に考え、共有し、進めていく上で大事な計画だと認識してございます。  また、札幌市では、自治基本条例において、まちづくりは市民が主体であることを基本として、総合計画の策定に当たっては、市民意見を反映させるため、情報提供と市民参加を行うとともに、内容及び進捗に関する情報を市民に分かりやすく提供するというふうに規定をしてございます。今の戦略ビジョンにおいては、その推進に当たって、まちづくりの主役である市民が主体的に参加していくことを基本姿勢の一つとして位置づけているところであります。  まず、1点目に質問しますけれども、次期の戦略ビジョンにおける市民や企業との連携に関する考え方についてお伺いいたします。 ◎浅村 政策企画部長  市民や企業との連携に関する考え方についてお答えいたします。  人口減少少子高齢化をはじめ、札幌市を取り巻く環境は大きく変化をいたしまして、社会課題も複雑化していることから、その対応には、行政のみならず、市民や企業をはじめとした多様な主体と共に取り組んでいく必要が増しているものというふうに認識してございます。  そのため、次期の戦略ビジョンの策定段階においては、市民意見をしっかりと把握し、それを反映するとともに、推進段階におきましても、市民や企業等と連携して取り組んでいく考えでございます。  さらに、SDGsの視点の反映を特徴の一つとしてございまして、SDGsの17番目のゴールであるパートナーシップで目標を達成しようという考えを各分野の基本目標などに盛り込むことを意識したところでございます。  これらのことによりまして、市民ニーズ戦略ビジョンに的確に盛り込むことはもとより、自らが地域のまちづくりに関心を持ち、主体的に参加する意識の醸成につながるものと認識してございます。  あらゆる世代の市民や企業、各種団体、行政などの多様な主体が次期の戦略ビジョンを共通の目標として広く共有し、それぞれが持つ力を発揮することにより、その連携を深化させてまいりたいと考えております。 ◆松原淳二 委員  多様な主体が広く共有するといったことが大事なことだと思います。それを具現化、具体化していくためには、市民や企業が、次期の戦略ビジョンをしっかり理解した上で、札幌市の特徴であったり、現在の社会情勢、課題といったところもしっかり共有し、それを実践していくための仕掛けづくりが重要であると考えます。  そこで、2点目の質問ですが、市民と連携したまちづくりを行うために、次の戦略ビジョン策定においてどのような工夫をしていくのか、この点についてお伺いいたします。 ◎浅村 政策企画部長  市民と連携したまちづくりを行うための工夫についてお答えいたします。  ビジョン編の策定に当たりましては、策定方針の公表に合わせて、市民や企業のまちづくりへの関心を喚起することを目的としたシンポジウムを開催するとともに、市民ニーズを把握するためのアンケートやワークショップ、出前講座の実施、企業ニーズを把握するための業界団体との意見交換などを行ってきたところでございます。  さらに、ビジョン編の記載におきましては、まちづくりの分野ごとに、今後重要だと考えられることなどを考察として記載することや、その考察から、まちづくり基本目標と、それを具体化した目指す姿を導くなど、読み手の理解を促す工夫を行ってございます。
     また、目指す姿ごとに市民、企業、行政が連携しながら取り組むことを例示してございまして、例えば、生活・暮らしの健康づくりの分野につきましては、市民、企業においては、健康への意識の向上を位置づけるとともに、行政におきましては、健康への理解の促進を位置づけるなど、役割や主体を明らかにし、それぞれが取り組むことを具体的にイメージできるようにしてございます。  戦略編におきましても、ビジョン編で掲げた基本目標の達成に向けた施策を分かりやすく打ち出すことで、市民と連携したまちづくりを促してまいりたいと考えております。 ◆松原淳二 委員  具体化に当たって、読み手に分かりやすく、そして、役割なども明文化されているということをしっかり理解していただく取組が重要になってきますので、その点についても期待をしたいと思います。  また、これらを市民に情報提供する、市民と共有していくことが重要になりますけども、具体的にどのように共有していくのか、この点についてお伺いいたします。 ◎浅村 政策企画部長  市民と具体的にどのように共有していくのかということについてお答えいたします。  市民との共有に当たりましては、様々な手法や広報媒体を用いて、幅広い世代に対して効果的に周知・啓発していくことが重要と考えてございます。  具体的には、パブリックコメントの実施とともに、まちづくりに取り組む若手起業家のネットワークが行っておりますフォーラムの映像配信や、自主的な勉強会への参加を通じた若者世代へのアプローチを行う予定でございます。  さらに、策定後につきましては、戦略ビジョンのイメージ映像による情報発信や、副読本の授業での活用など、幅広い層へ向けた取組とともに、若手起業家ネットワークとの連携の継続や、大学の授業のテーマにまちづくりを取り上げていただくことなどにより、まちづくりに意欲的な層を広げ、巻き込むような取組も検討してまいります。  こうしたことを通じまして、戦略ビジョンを市民と共有し、関心を高め、実践につなげていきたいというふうに考えてございます。 ◆松原淳二 委員  やはり、これまで行政がやってきたような取組も大事ですし、新たな世代にどうアプローチしていくのかといったことが大きな課題になろうと思いますし、今、情報収集の方法は様々あります。多種多様に、それぞれの世代であったり、起業家、職業、職種などによっても違いますので、特に、巻き込む市民、企業、こういったところがしっかり情報収集できるような取組をぜひとも検討していただきたいと思います。  また、これからは戦略編ということに移っていきます。より具体的な施策が位置づけられていくことになります。分野横断的に取り組む施策や、市民生活に密着した複雑な施策も多くなりますので、より一層、市民との共有といったことが大事になっていきます。  今はビジョン編ですので、少し総括的なというか、方針的な話になりますけれども、これがより具体的なものになれば、なおさら市民との共有、また市民からの声といったものをしっかり反映していかなければいけないと思いますので、今回の市民とのビジョンの共有をうまく活用しながら、次の戦略編に向けての市民との共有というところも引き続き検討していただくよう求めて、私からの質問とさせていただきます。 ◆福田浩太郎 委員  私からも、このたびの報告に関連して質問させていただきます。  早速ではありますが、国連のSDGs報告2021におけるゴール10、人や国の不平等をなくそうに関わるレポートによりますと、新型コロナウイルス感染症により、開発途上国において、所得の不平等を測る指標の一つであります平均ジニ係数の上昇見込みが示されておりまして、今後ますます世界的に格差が拡大していくということが懸念されているところでございます。  こういった格差の問題については、海外の開発途上国だけの問題ではなく、日本国内、そして、札幌市においても解決すべき重要な問題であります。  また、コロナ禍は、以前から弱い立場にあった人々がより深刻な状況に陥ったことに加え、平穏な生活を送ることができていた人々であっても、突然、個人では抱え切れない困難を背負うようになった人は決して少なくなく、また、コロナ禍は、自然災害とは違って、被害地域が明確ではないことなど、困難を抱える人たちが見えづらくなる、潜在化するなど、様々な課題がより一層浮き彫りになったところでございます。  SDGsは、誰一人取り残さないという理念の下、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を掲げておりますが、その実現に向けて、ゴール1、貧困をなくそう、ゴール3、すべての人に健康と福祉を、ゴール10、人や国の不平等をなくそうなどの17のゴールが定められているところであり、今後のまちづくりを進めるに当たっては、これらのSDGsの視点をしっかりと踏まえることが重要と考えております。  そこで、質問でありますが、次期の戦略ビジョンでは、配慮が必要となる方への支援を含む格差のない社会の実現に向けて、どのような考えの下、今後のまちづくりを進めていくお考えなのか、お尋ねいたします。 ◎浅村 政策企画部長  次期の戦略ビジョンにおきます格差のない社会の実現に向けての取組の方向性についてお答えいたします。  次期の戦略ビジョンでは、SDGsの理念や17のゴールなども踏まえまして、まちづくり重要概念としてユニバーサルウェルネス、スマートの三つを定めておりまして、配慮が必要となる方への支援を含む格差のない社会の実現については、このうちユニバーサルが大きく関係しているところでございます。  ユニバーサルの考え方としましては、誰もが多様性を尊重し、互いに手を携え、心豊かにつながること、また、支える人と支えられる人という一方向の関係性を超え、双方向に支え合うことと定められたところでございます。  日常生活をはじめといたしまして、様々な場面における障壁や困難を解消し、誰もが他者とつながり交流できる環境を整えていくことなどにより、格差なく均等に機会が得られ、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会の実現を目指してまいりたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  格差のない社会の実現に向けて重要概念として掲げているユニバーサルの意味の説明を改めてお伺いし、理解をいたしました。  先ほども説明がございましたが、札幌市の人口の将来見通しにありますように、65歳以上の高齢者人口は増加し続けていく見込みであります。今後は、支援を要する高齢者の方が増えていくことが想定されまして、医療や介護などの支援を要する方への適切な支援を進めていくことがますます重要になってまいります。  そのほか、昨今の社会経済情勢にもあるとおり、平成30年に発生いたしました北海道胆振東部地震をはじめとして、北海道内でも自然災害が頻発するほか、札幌市は活断層が存在するなど、被災のリスクを抱えている状況にございます。加えて、今般の新型コロナウイルス感染症拡大によって、今もなお、日常生活や社会経済活動に大きな影響を及ぼしているところでもございます。  このような状況の中、大規模な自然災害などの有事の際には、高齢者や体が不自由な方など、いわゆる要配慮者に対する対応も重要になってまいります。  そこで、質問でありますが、次期の戦略ビジョンでは、今後増加することが見込まれる支援を要する高齢者の方や、有事の際に配慮を要する方に対して、どのような取組を位置づけていく考えなのか、お伺いいたします。 ◎浅村 政策企画部長  次期の戦略ビジョンにおきます支援を要する高齢者への取組や有事の際の要配慮者への取組についてお答えいたします。  今後は、支援を要する高齢者への適切な対応が重要となるとともに、災害時や感染症の感染拡大時に配慮を要する方、いわゆる要配慮者への支援などが適切に提供されることが必要であると認識してございます。  次期の戦略ビジョンでは、支援を要する高齢者に係る取組については、生活・暮らし分野の基本目標5、生活しやすく住みよいまちに位置づける考えでございまして、また、要配慮者への取組については、安全・安心分野の基本目標8、誰もが災害に備え、迅速に回復し、復興できるまちに位置づける考えでございます。  具体的には、在宅医療などの医療体制を整え、支援を要する方とその家族も医療、介護、福祉の連携により適切な支援が受けられているほか、要配慮者の避難支援体制の整備や要配慮者への支援の充実など、一人で避難することが難しい方の細やかな配慮が行き届いていることなどを目指してまいりたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  支援を要する高齢者や有事の際の要配慮者への取組の方向性については理解いたしました。  このほか、さきの第1回定例市議会で、我が会派の小口議員が若者ケアラーについて質問をいたしましたが、その中で、ケアラーの問題として、当人の課題意識が希薄で課題が顕在化しにくく、支援が届きづらいことが特徴であることを指摘したように、支援を要する方には、高齢者や要配慮者のほか、子どもや若者も含まれているものと考えます。  現在、我々は人口オーナスの時代を迎えておりまして、総人口の中で生産年齢人口の割合が低い状況にございます。また、人口減少の中で、女性も元気な高齢者も労働市場で働くことを推奨されています一方で、ケアを必要とする人は増加をしていきます。在宅福祉が推進されるのに大人は労働市場で働かざるを得ない状況となり、家庭にかけられる時間やエネルギーが減っているところであり、今後もますます減っていくことと思います。  そのような変化の中で、本来であれば友達と享受できたはずの勉強に励む時間、部活に打ち込む時間など、子どもや若者としての時間と引換えに、家事や家族の世話などをしている方が一定数いる実態でございます。  そこで、質問ですが、次期の戦略ビジョンでは、ヤングケアラーをはじめとする支援を要する子どもや若者に対して、どのような取組を位置づけていく考えか、お尋ねいたします。 ◎浅村 政策企画部長  次期ビジョンにおけます支援を要する子ども・若者への取組についてお答えいたします。  子ども・若者分野につきましては、市民アンケートにおきまして、現在までの充実度が低く、また今後の重要度が高いという結果も踏まえまして、今後は、より幅広い施策展開が必要であるというふうに認識してございます。  委員がご指摘いただいております支援や配慮が必要となる子どもや若者に対する取組については、次期戦略ビジョンでは、子ども・若者分野の基本目標2、誰一人取り残されずに、子どもが伸び伸びと成長し、若者が希望を持って暮らすまちに位置づける考えでございます。  具体的には、個々の状況に応じて、きめ細やかで継続的な支援などの適切なサポートを受けられるとともに、障がい児やヤングケアラーなどへの理解が深まることなどにより、支援を要する子どもや若者が安心して過ごせるまちを目指してまいりたいと考えております。 ◆福田浩太郎 委員  子ども・若者への支援について、次期ビジョンにはどのように盛り込んでいくのかの考え方は理解をいたしました。  まとめさせていただきますが、ヤングケアラーについては、現在直面している家事などの問題のほかに、学業への影響や就職への影響、友人関係への影響など、その後の人生にも大きな影響を与える可能性があり、支援の拡充が課題となります。  ただ、ケアに係る分野への公共投資というものは、ヤングケアラーが抱える負担の軽減だけでなく、女性や高齢者、障がいのある人々の生活環境の改善につながるなど、大きな波及効果をもたらすことが期待できる投資だというふうに考えております。  今回取り上げたヤングケアラーなど、支援を要する方への課題に対して、戦略編においてケア分野の拡充など具体的な施策が反映されることを要望いたしまして、質問を終わります。 ◆吉岡弘子 委員  私からも、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンビジョン編)について質問をさせていただきます。  第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンの策定に当たっては、学識経験者やまちづくり活動に実務的に取り組んでいる有識者及び公募委員で構成されている札幌市まちづくり戦略ビジョン審議会で議論した結果を踏まえて、2月17日、秋元市長に答申されました。  審議会では、各委員からは、専門的な見地に基づいて様々なご意見が出ておりました。審議会において、第2次札幌市まちづくり戦略ビジョンを特徴づけるものとしてどのような意見が出ていたのか、伺います。 ◎浅村 政策企画部長  戦略ビジョン審議会におきまして、特徴づけるような意見はどういうようなものだったかについてお答えいたします。  審議会におきましては、人口減少社会の到来を見据えた緊縮的なまちづくりをしていくのではなく、人口減少の緩和を進めることはもとより、人口構造をはじめとする変化に大きな影響を受けず、その変化を生かし、持続的に成長することを目指す考えが示されたものと認識してございます。  また、都市像については、戦略ビジョンの顔となるものであり、雪や自然の豊かさといった札幌市の特徴や、みんなで力を発揮していこうと思える能動的な様子を表現し、市民の共感を呼び込む魅力あるものにすべきとのご意見をいただいたところでございます。  さらに、今後のまちづくりに必要な考えとして、SDGsの理念にもある誰一人取り残さないことをはじめ、多様性を尊重し互いに手を携えることや、世代にかかわらず身体的、精神的、社会的な健康を追求できること、ICT等の活用により生活の利便性が向上していること、ビジネスや社会課題の解決にチャレンジできることなどが示されていたところでございます。 ◆吉岡弘子 委員  人口減少の緊縮的なまちづくりではなくて、変化を生かした持続可能性を目指すなど、今、お答えいただきました。  この審議会での意見についてビジョン案にはどのように反映したのか、お伺いいたします。 ◎浅村 政策企画部長  戦略ビジョン審議会における意見をどのように反映したかということについてお答えいたします。  先ほど答弁いたしました内容を含めまして、審議会で出されました課題認識や、今後必要な視点というものを、札幌市の現在と将来に関する考察をまとめた第2章に盛り込むとともに、第3章の前段で、その総括を行いまして、目指すべき都市像とまちづくり重要概念を導いたところでございます。  具体的には、新しい時代にふさわしい豊かな暮らしをつくり、また、経済や環境など様々な分野において新たな価値を生み出すことを目指し、「ひと」「ゆき」「みどり」の織りなす輝きが、豊かな暮らしと新たな価値を創る、持続可能な世界都市・さっぽろと都市像を表現したところでございます。  また、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなるユニバーサル、誰もが生涯健康で、学び、自分らしく活躍できるウェルネス、誰もが先端技術などにより快適に暮らし、新たな価値の創出に挑戦できるスマートを、まちづくりを進める上での重要な概念として設定してございます。この概念を、各分野の基本目標や目指す姿にもしっかりと反映をしているところでございます。 ◆吉岡弘子 委員  昨年8月に行った市民アンケートは、現行の戦略ビジョン策定時の2011年、平成23年に行ったアンケートの回答に比べますと、回答率が約23%と4%低くなっております。  今後行うパブリックコメントでは、より多くの意見を集められるようどのように計画をしているのか、伺います。 ◎浅村 政策企画部長  パブリックコメントにおけます工夫に関しましてお答えいたします。  パブリックコメントにつきましては、市民参加の機会の拡大と透明性の向上を図るもので、市民と協働してまちづくりを進めるための重要なプロセスであるというふうに認識してございます。  ビジョン編パブリックコメントは本年5月頃に実施予定でございますが、多くの市民に興味・関心を持っていただけるよう、冊子を分かりやすく、かつ目を引くものとしたり、市の様々な広報媒体を活用して周知を工夫するとともに、区役所やまちづくりセンターのほか、若年層が利用する市有施設等も配架場所に検討する考えでございます。  また、感染症の拡大状況等を見極めながらでございますけれども、戦略ビジョンの周知も兼ねたワークショップなどの手法の活用も検討してございます。  さらに、先ほど答弁でも触れておりますが、若手起業家のネットワークなどと連携しながら、様々な方法で戦略ビジョンの存在とパブリックコメントの実施を広く周知をしてまいりたいと考えてございます。 ◆吉岡弘子 委員  まちづくり戦略ビジョンは、市の最上位に位置する計画ですし、より多くの市民に関心を持ってもらい、関わってつくることが重要だと思います。  以上で、私の質問を終わります。 ○中川賢一 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○中川賢一 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時30分       再 開 午後2時32分     ―――――――――――――― ○中川賢一 委員長  委員会を再開いたします。  次に、「札幌市バリアフリー基本構想」の改定についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎村瀬 都市計画担当局長  本日は、札幌市バリアフリー基本構想の改定につきましてご説明させていただきます。  詳しい内容は、総合交通計画部の坪田からご説明させていただきます。よろしくお願いいたします。 ◎坪田 総合交通計画部長  A3判の資料1に沿って、札幌市バリアフリー基本構想2022(案)の概要をご説明いたします。  1ページ目の左上、(1)のバリアフリー法の改正をご覧ください。  今回の基本構想の改定は、平成30年と令和2年の国のバリアフリー法の改正を受けて行うもので、法改正のポイントである共生社会の実現や、心のバリアフリーなどのソフト対策の強化などを反映したものとなっております。  次に、(2)基本構想の位置づけをご覧ください。  バリアフリー基本構想は、国のバリアフリー法や基本方針に基づき自治体が策定する基本計画でございます。駅を中心とする地区を定め、地区内の移動の円滑化を重点的かつ一体的に推進することを目的として策定するものでございます。  札幌市では、平成21年に基本構想を策定し、最近では平成27年に改定しており、今回が7年ぶりの改定となります。  次に、(3)主な施設の整備実績をご覧ください。  JR駅は、市内で対象となります22駅のうち、20駅でバリアフリー化が完了してございます。  地下鉄駅では、全駅でエレベーター、ホームドア、トイレのバリアフリー化が完了しております。  バスやタクシーは、事業者に対しまして補助金を交付し、バリアフリー車両の導入を促進しております。  道路のバリアフリー化は、歩道のフラット化や視覚障がい者誘導ブロックの設置を行うものであり、対象263キロのうち220キロ、84%が整備済みとなっております。  信号機は北海道警察が整備するものでございますけれども、対象の全てで音響付加などの対応が済んでおります。  公園では、園路や駐車場、トイレのバリアフリー化を進めております。  2,000平米以上の市有建築物では、オストメイト対応型のトイレに80%が整備済みとなっております。  次に、右上の(4)基本構想で定める主な項目をご覧ください。  図にお示ししますとおり、1日当たりの乗降客が3,000人以上の駅を中心に、半径500メートル程度の区域を重点整備地区として指定し、地区内の病院や福祉施設などを生活関連施設として抽出した上で、それらの施設と駅を結ぶ道路を生活関連経路に位置づけて、バリアフリー経路のネットワーク化を図るものでございます。  また、札幌市では、重点整備地区の対象外のエリアでも、点線で示しますとおり、必要に応じてバリアフリー化を実施しております。  中段の図をご覧ください。  本基本構想の改定後、事業実施に向けましては、令和4年度に特定事業計画という実施計画を施設設置管理者ごとに作成し、計画的にバリアフリー化に取り組むこととしてございます。  その下が基本構想の理念と策定に向けました市民意見の反映についてでございます。  今回の改定に当たり基本構想の理念を新たに定めており、お互いに思いやり支えあう「行ける」が広がるまちづくりとして、心のバリアフリーの推進と共生社会の実現により、ハード・ソフト両面からバリアフリー化を進めることを表してございます。  基本構想への市民意見の反映につきましては、検討会の委員として、学識者、障がい者・高齢者団体の代表者、交通事業者、公募による市民委員などの皆様にご議論いただくとともに、肢体、視覚、聴覚の障がいのある方や、歩行訓練士による現地調査の結果や、障がいのある方や高齢者、子育て世代の方を対象としたアンケート調査の意見を反映しております。
     今後、パブリックコメントによる市民意見の反映の手続を経まして、本年6月頃の公表を予定してございます。  次に、2ページ目をご覧ください。  基本構想見直しの主なポイントでございます。  1の整備地区では、これまで、全ての地下鉄駅、JRの主要駅を中心に53地区を指定しており、全区の区役所をカバーしてございます。  今回の改定では、新たに八軒地区と路面電車沿線地区の2地区を追加し、55地区といたしました。八軒地区は、駅の利用者の増加を反映した追加でございます。路面電車沿線地区は、電車通の拡幅に伴う乗降場のバリアフリー化や、低床車両の導入が進んでいることなどを踏まえた追加でございます。  また、これまで指定をしてきました53地区の全てで、地区内の施設の整備状況の反映、更新をしており、特に苗穂地区では、駅の新設移転に合わせて区域を北側に拡大しております。  2の生活関連施設では、これまでの病院や福祉施設などの障がい者、高齢者が多く利用する施設に加えまして、新たに区保育・子育て支援センターや大規模な立体駐車場、観光施設、公立小・中学校等を追加することで対象を拡大してございます。  これに伴い、生活関連経路の総延長が現行の263キロメートルから325キロメートルと1.24倍に拡大しており、一層のバリアフリー経路のネットワーク整備を目指してまいります。  資料右上、4の整備の進め方をご覧ください。  (1)特定事業といたしまして、地下鉄駅は、今後は、大谷地駅や新さっぽろ駅でエレベーターの増設によりバリアフリールートのさらなる充実を目指してまいります。  JR駅は、エレベーターの設置によりまして、全駅のバリアフリー化を目指してまいります。  バスターミナルは、利用者の多い主要なバスターミナルでトイレのバリアフリー化を進めてまいります。  車両のうち、バス、タクシーでは、事業者が補助金を活用し、バリアフリー化車両の導入を進めてまいります。  道路、信号機は、生活関連経路の全てでバリアフリー化を進めます。  都市公園では、園路、駐車場、トイレを対象にバリアフリー化を進めており、今後は、特に主要公園のトイレのバリアフリー化を促進いたします。  建築物のうち、今回の改定における新たな取組として、バリアフリー法の改正により学校施設の対応が義務化されたことを受けまして、トイレやエレベーターの整備を加速いたします。令和7年度までに要配慮児童のいる学校を重点的に整備いたします。  心のバリアフリーにつきましては、共生社会の実現に向けまして、様々な障がいの特性を理解し、自発的に行動を起こすことが重要であり、ソフトがハード整備の機能を補完し、バリアフリーの効果を高めることにつながります。  今後も、広報、研修や障がい当事者の講師派遣などのソフト施策を教育啓発特定事業に位置づけまして、さらに取組を強化してまいります。  (2)その他の事業といたしまして、民間建築物のうち、バリアフリー化の整備基準に満たない飲食店などの小規模な店舗や宿泊施設では、改修に向けました財政的支援などのバリアフリー化促進策を検討いたします。  バリアフリー情報の提供につきましては、IT技術の利用も含めまして情報提供の充実を検討いたします。  最後に、資料の左下、さらなるバリアフリー化の推進に向けた記載をご覧ください。  共生社会の実現に向けた障がいの有無や、年齢、性別、国籍などの違いなどにかかわらないユニバーサルデザインの考え方の必要性や、冬季オリンピック・パラリンピック招致との連携、スパイラルアップの実施について記載しているものでございます。 ○中川賢一 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆小須田ともひろ 委員  3点ほど質問をさせていただきたいと思います。  まず、道路のバリアフリー化についてお聞きいたします。  生活関連経路と呼ばれる道路のバリアフリー化は、令和2年度末の整備率は84%と高い値となっております。この生活関連経路は、生活関連施設と呼ばれる病院や福祉施設などと駅を結び、歩道の有効幅員が2メートル以上ある、いわゆる幹線道路を中心に選定されております。しかしながら、生活関連施設は、歩道のある幹線道路に面しているものだけではなく、住宅街の中にある場合も多く、幅員が比較的狭い生活道路を通ってアクセスすることもあります。バリアフリー経路は、歩道の幅員に関係なく、一連の連続した経路として整備されるべきで、途中に段差があったり、誘導が途切れていたりしては、むしろ危険な経路となり、障がいのある方の意見も聞きながら対応を検討する必要があると考えます。  説明では、歩道が2メートル未満の道路でも、生活関連経路に指定してバリアフリー化の対応を検討するとのことではありましたが、歩道が狭い生活道路を含む一連の経路のバリアフリー化について、基本構想では具体的にどのような対応を考えているのか、お伺いいたします。 ◎坪田 総合交通計画部長  生活道路を含みます経路のバリアフリー化についてお答えいたします。  基本構想では、歩道幅員が十分確保されている道路はもとより、歩道幅員が狭小な道路も必要に応じて生活関連経路に指定をし、生活関連施設に至るバリアフリー経路が連続するようにしてございます。  このうち、歩道幅員が十分に確保されている広幅員の道路につきましては、横断勾配の緩和や、視覚障がい者誘導用ブロックを連続的に設置いたします。  一方で、歩道幅員が狭小な道路の場合、広幅員の道路と同じようにブロックを設置しても、白杖を使ってブロックの横を歩行するのに十分な空間が確保できていないことから、沿道の建物や電柱に当たってしまったり、車道に出てしまうなどの危険な状態になることもございます。  このため、歩道幅員が狭小な道路で視覚障がい者や車椅子利用者と現地調査を行い、いただいたご意見を踏まえまして、実施可能な整備の方向性を基本構想案に記載をしたものでございます。  具体的には、生活関連施設として指定した病院などの建物の前や交差点の手前に点状のブロックを設置して、停止や方向転換の場所を知らせることや、交差点にカラー表示を設置し、ドライバーにバリアフリー経路であることの注意喚起をすることなどを道路の状況に応じて検討するものでございます。 ◆小須田ともひろ 委員  次に、バリアフリー施設の維持・更新について質問をいたします。  先ほどの説明では、令和2年度末の地下鉄駅のバリアフリー化の整備実績は100%であり、今後はさらなる充実化を目指すということでございました。  現状の地下鉄駅におきましては、エレベーターが1基だけでは、遠回りになったり、乗換えが不便であったりして、利用しにくい場合がございます。エレベーター施設の設置状況も踏まえて利便性の向上につながるよう、取組を進めていただきたいと思います。  しかし、その一方で、短期間で設備の充実を図りますと、将来的に維持・更新時期も集中することになり、一時的な維持・更新費用の増大や改修ができないことが起きる可能性も危惧するところでございます。  二つ目の質問ですが、地下鉄のエレベーター施設などの計画的な維持・更新についてどのように取り組む考えか、お伺いいたします。 ◎坪田 総合交通計画部長  地下鉄のエレベーター施設などの計画的な維持・更新についてお答えいたします。  地下鉄駅のエレベーター施設の更新につきましては、交通局が必要な修繕、保全などにより延命化を図りながら、設置からおおむね25年を目途に計画的に実施をしてございます。  今後設置をするエレベーターなどのバリアフリー施設につきましても、長期間にわたり安全に使用していくため、同様に適切な保全などを行い、更新需要を平準化していく考えでございます。 ◆小須田ともひろ 委員  次に、2030年の冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けたバリアフリー整備の促進についてお伺いいたします。  令和3年11月に札幌市が公表した2030北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会概要(案)では、大会がもたらすレガシーとして、心のバリアフリーが実現した誰もが暮らしやすいまちを目指すといったことを掲げております。先日の代表質問で、我が会派から、冬季オリンピック・パラリンピックの招致に向けたバリアフリー化の促進について質問いたしました。  吉岡副市長より、ホテルのバリアフリー客室の整備や、民間建築物と地下通路の接続による歩行者ネットワークのバリアフリー化を民間事業者に働きかけるとの答弁をいただきました。  そこで、三つ目の質問ですが、冬季オリンピック・パラリンピック招致を見据えた民間建築物のバリアフリー化の促進策として、どのような働きかけを行う考えか、お伺いいたします。 ◎坪田 総合交通計画部長  冬季オリンピック・パラリンピック招致を見据えた民間建築物のバリアフリー化の働きかけについてお答えいたします。  民間建築物につきましては、2,000平米以上の大規模建築物では、新築などの際に適合義務があり、大会の招致による国内外のインバウンドの増加などを見据え、バリアフリー化が進んでいるところでございます。その一方で、小規模建築物ではバリアフリー化の遅れが見られることから、整備の促進が重要と考えております。  札幌市では、小規模建築物に対しまして、これまでの融資制度に代わる札幌市民間公共的施設バリアフリー補助事業を令和3年度より創設し、バリアフリー整備のための改修費用の一部を補助してございます。  この制度では、バリアフリー化に向けた効果的な改修が実現できるよう、建築士による窓口相談も実施をし、ハード・ソフト両面から民間建築物のバリアフリー化の促進に努めているところでございます。 ◆松原淳二 委員  私からも、何点か質問をさせていただきます。  まず初めに、意見反映の話を聞きたいと思います。  1ページ目に理念と意見の反映とございますが、基本構想の検討会の中で、検討委員として障がい者団体や福祉団体の代表、市民委員などが参加をして意見収集が行われたという説明が先ほどございました。  そこで、1点目の質問ですけれども、この策定に当たって、障がいのある方からどのような意見があって、その意見をどのように反映したのか、お伺いいたします。 ◎坪田 総合交通計画部長  障がい当事者の意見とその反映についてお答えをいたします。  今回の改定案では、障がいのある方を含む委員による検討会での議論を経まして、高齢者や障がい者などが多く利用する施設を新たに生活関連施設に追加するなどの対応を行っております。  具体的には、公募市民委員による意見として、週に何度も行くスーパーは、年齢や障がいの有無にかかわらず、生活のために必要な施設であり、バリアフリー経路の位置づけが重要との意見を踏まえた変更を行ってございます。  従前は、駅からスーパーまでの経路として500メートルまでの施設を対象としておりましたが、新たに1キロメートルまでの施設を追加いたしました。  また、平成30年に行った高齢者や障がい者、ベビーカー使用者を対象としたアンケート調査から、自家用車を週1回以上日常的に利用している人の割合が約5割と、ほかの交通機関の利用に比べても多いことを踏まえまして、新たに大規模な立体駐車場を生活関連施設に追加し、バリアフリー経路のネットワーク化を図ることとしたものでございます。 ◆松原淳二 委員  意見を踏まえて、車を利用する方が多いことで、立体駐車場であったりスーパーなど、こういった範囲を対象にしたということ、また、対象範囲を1キロまで拡大したということでございます。バリアフリー化の対象施設を拡充したり経路が拡大することで、理念にもございますが、誰もが行ける場所が広がるといった移動の円滑化から、さらに回遊性の向上といったことにつながることを期待したいなと思います。  一方、ハード整備と併せて不可欠なのが情報提供の充実だと思います。  2点目として、情報提供の在り方についてお伺いをしていきたいと思います。  我が会派では、昨年、第4回定例議会の代表質問でも、都心の回遊性確保に向けて、情報提供の取組をどういうふうに進めるのかというような趣旨で質問をさせていただきました。  来年度には、エレベーターやユニバーサルトイレなど、バリアフリー施設の配置状況や案内サインの調査を行った上で、各施設管理者の協力の下、情報提供方法の検討を進めるというような趣旨の答弁があったところです。しっかり、こういったバリアフリーの施設を利用できる情報提供になるように工夫が必要だと思っています。  また、国際都市さっぽろ、観光都市さっぽろに必要な情報提供の在り方として、外国人のための多言語化といったことも重要な視点だと思っております。  例えば、モエレ沼公園は年間70万人が訪れ、そして、大倉山ジャンプ競技場は年間40万人ということで、こういった施設は外国人の観光客にとっても人気の施設であります。これらの観光施設は、市内中心部から離れていて、やはり公共交通機関を乗り継ぐ必要があります。そういった点においても、情報提供に課題があるものだと思っています。  そこで、質問ですが、外国人に対するバリアフリーの取組として、観光施設への外国語による案内の充実についてどのように考えるのか、お伺いいたします。 ◎坪田 総合交通計画部長  観光施設への外国語による案内の充実についてお答えをいたします。  リピーターの増加や口コミによる新規観光客を獲得することを考慮いたしますと、外国人観光客が移動しやすくなることは重要と考えてございます。特に、バスを利用して主要な観光施設に至る場合は、バスターミナルで乗り継ぐこととなりますが、外国人観光客に言語面でのバリアを感じさせないよう、外国語による案内の充実を目指す考えでございます。  具体的には、来年度、バリアフリー施設の案内や外国語表示の現状を調査いたしまして、案内サインの充実に向けた検討を進めてまいります。 ◆松原淳二 委員  しっかり現状調査をした上で行っていただきたいと思います。  ある意味、外国人などが見てもすぐ分かるような、誰もが見て分かるようなピクトグラムとか、こういったものも有効活用していただきたいと思いますし、今はQRコードを使っての情報提供などもございますので、工夫が必要だと思います。ただ単純に複数言語を表記すればいいというものではないと思います。伝わることが重要だと思いますので、多様な手段を検討していただきたいと思います。また、多くの観光客は、やはりスマホを片手に散策するということがありますので、そういった点もしっかり視野に入れながら伝える工夫は多様にございますので、検討を進めていただきたいと思いますし、しっかり調査を行っていただきたいと思います。  また、表記といった点においては、今、外国語の話をしましたけれども、やはりカラーユニバーサルとか、誰もが見やすいといった視点は当然お忘れなくしっかり行っていただきたいと思いますし、そういった浸透が必要だと感じていますので、その点についても配慮いただければと思います。  そして、3点目は共生社会といった点をお伺いしたいと思いますが、今、こういった基本構想を基にハード・ソフト両方の取組をしっかり行っていただくということで、誰もが障がいの有無にかかわらず生活を送ることができる社会をつくるとしてございますが、バリアフリー基本構想といったものは、駅などを中心とする地区を対象に、バリアフリー化によって移動の円滑化、回遊性の向上を促進させる計画であります。施設と施設をどうやって円滑に移動できるかといった点で、点と点を線で結ぶような施設整備が中心となります。  ただ、本市が目指す共生社会の実現に向けては、公共と民間とが連携してまちづくりを進め、やはり、面的な広がりを持つバリアフリーネットワークの構築に取り組み、包括的に考える必要があると思います。  現在、策定に向けて取組を進めております次期のまちづくり戦略ビジョンにおいては、今後のまちづくり重要概念の一つとしてユニバーサルを位置づけてございます。  そこで、質問しますが、今後のまちづくりを進めていくためには、共生社会の実現に向けた包括的なビジョンを示すことが重要と考えますがいかがか、お伺いいたします。 ◎浅村 政策企画部長  先ほど、戦略ビジョンのご報告の際にご説明及びご答弁をさせていただいておりますが、本市の最上位の計画である現在策定中の次期の戦略ビジョンにおきまして、まちづくりを進める上での重要概念の一つにユニバーサルを位置づけ、今後は、誰もが互いにその個性や能力を認め合い、多様性が強みとなる社会の実現に向けたまちづくりを進めていく考えでございます。  そのためには、移動環境だけではなく、建物などのバリアフリー化、さらには心のバリアフリーなどを進め、日常生活をはじめとして、様々な場面における障壁や困難を解消し、誰もが他者とつながり、交流できる環境を整えていくということが必要であると考えております。  これらの取組を効果的に進めるに当たりましては、共生社会の実現に向けた包括的な指針の策定や、その推進体制の在り方についても検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆松原淳二 委員  戦略ビジョンなりでの共生社会の実現に向けた包括的な指針の策定、その推進体制といったこともしっかり検討していただきたいと思います。  やはり、共生社会の実現に向けて、市民、企業、行政がビジョンを共有しながらハード整備に取り組むとともに、心のバリアフリーの充実により、ハード・ソフト両面から取り組むことが大事だと思います。  また、冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目指す本市として、どのような共生社会を目指すのか、つくるのか、大事な視点だと思っています。今回のバリアフリー基本構想2022の計画策定で共生社会の実現が進むことを期待して、私の質問を終わります。 ◆森山由美子 委員  私からも、バリアフリー基本構想に基づくハード・ソフトの一体的なバリアフリーの推進について質問をいたします。  バリアフリー基本構想は、先ほどもありましたが、駅などを中心に、高齢者や障がい者が日常生活で利用する地区を対象として重点的にバリアフリー化を進めるもので、バリアフリー法に基づき自治体が作成をするものです。  札幌市では、平成21年の基本構想の策定から、これまで13年間にわたり公共交通や道路、建築物等のバリアフリー化に取り組み、報告のあった令和2年度の整備実績を見ても、着実にバリアフリー化が進んでいるものと評価をしております。  しかしながら、報告されたバリアフリー整備の内容を見てみますと、段差の解消や点字ブロックの設置などであり、車椅子を利用している方や、視覚障がいのある方の移動に配慮した内容が中心となっております。  札幌市が平成30年に作成した心のバリアフリーガイドでは、高齢化による身体機能の低下や、様々な障がいごとに特性を理解し、バリアを取り除いていくことが必要だと記されており、バリアフリーの取組を検討するに当たっては、障がいのある方がどのような状況で困難さを感じるかということをイメージしながら検討すべきだと思います。  中でも、聴覚障がいについては、同ガイドでは、外見からは分かりにくい障がいであり、耳からの情報を得ることが難しいので、状況を判断できずに途方に暮れることがあると説明されております。  そこで、質問ですが、今回の基本構想の改定案では、聴覚障がい者が抱える課題への対応としてどのような対策を盛り込んだのか、伺います。 ◎坪田 総合交通計画部長  聴覚障がい者が抱える課題とその対策についてお答えいたします。  平成30年度に障がい者団体に所属する方々を対象にアンケート調査を実施しており、バリアフリーに関する自由意見を伺っております。このうち、聴覚に障がいのある方が公共交通を利用する際に困難を感じる場合の意見として、故障や事故などで地下鉄が遅れるときに駅の電光板に説明が表示されないため、状況が分からず、アナウンス放送だけではなく、見える情報もつけてほしいとの声がございました。  現在、地下鉄駅では、案内表示器で運行情報の提供を行っておりますが、南北線と東西線に設置しております案内表示器は旧型であり、一度に表示できる文字数が限られてございます。  基本構想では、これらの旧型の表示器を更新することとしており、従来よりも表示できる文字数が増え、外国語の表記に対応するとともに、カラーユニバーサルデザイン仕様による色使いに配慮したものを導入することとしております。  これによりまして、聴覚障がいのある方に加えて、外国人や色弱の方などの誰もが情報を読み取りやすくなります。 ◆森山由美子 委員  見える情報を強化するとのことでございました。このように、今後も様々な障がいの特性に対応したハード整備を着実に進めていくことは重要です。  しかし、移動の円滑化を実現するには、駅、車両、道路、建築物などの管理者の異なる施設同士が、一体的、重点的に対策を進めてバリアフリーな環境を整備していく必要があります。  そこで、質問ですが、今回の基本構想の改定案では、管理者が異なる施設のバリアフリー化について連携をどのように図る考えか、伺います。 ◎坪田 総合交通計画部長  管理者が異なる施設間の連携についてお答えいたします。  基本構想は、道路、信号機、公共交通、公園などの様々な施設が連携して、重点的、一体的に移動の円滑化を進めるための考えをまとめたものでございます。  各管理者は、基本構想に基づき、いつ、どの施設を整備するかをまとめた特定事業計画と呼ばれる実施計画を令和4年度に作成することとしております。各管理者が作成した特定事業計画を集約し、各施設管理者間で共有することで、相互に事業の調整や連携した整備が可能になると考えております。
    ◆森山由美子 委員  各管理者が取りまとめた特定事業計画を共有しながら、相互に連携を図るとのことでございました。  こうしたハード整備を進めながら共生社会を実現するには、心のバリアフリーと呼ばれるソフト対策の強化が不可欠と考えます。  令和2年のバリアフリー法の改正の議論では、車椅子の乗車方法に関し、公共交通事業者の習熟が必要との指摘や、車両の優先席を高齢者等に譲らないケースがあるなどのソフト面の対応が十分ではないことで、ハード整備の効果が生かされていないということが課題として挙げられておりました。  心のバリアフリーの普及啓発に向けては、遡る令和元年の第4回定例市議会の私の代表質問でも、この心のバリアフリーの考え方を浸透させる普及啓発活動の重要性について訴えさせていただき、また、令和2年4定の厚生委員会でも、心のバリアフリーの推進に向けて具体的にどう取り組むのかを質問しましたところ、竹村障がい保健福祉部長から、市民・企業向け研修をオンラインで開催するとの報告がございました。  今回の基本構想の改定案では、こうした研修を新たに教育啓発特定事業として位置づけて、事業計画に基づき、進捗状況を確認しながら取り組むとの説明があったところでございます。このような取組を一歩一歩着実に進めていただくことが重要ではありますが、研修を受けた人から、また次の人へ輪が広がり、多くの方が心のバリアフリーを正しく理解し、お互いに支え合うことができるよう取組の実効性を高めることが、いよいよ、さらに重要だと考えます。  そこで、質問ですが、教育啓発特定事業に位置づけたソフト施策の取組について、どのように実効性を高めていく考えか、伺います。 ◎坪田 総合交通計画部長  ソフト施策の実効性を高める方法についてお答えをいたします。  ソフト施策のうち、心のバリアフリー研修は、障がいのある方などに対する差別や偏見といった心のバリアを解消し、相手に配慮した行動を起こすことを狙いとして、市民や企業向けに実施しているものでございます。  令和3年度の開催実績といたしましては、合計7回のオンライン研修に294人が受講し、このうち、企業向けには202人の参加があったところでございます。この研修を通じまして、各企業内でも心のバリアフリーが広まることが重要と考えてございます。  研修の内容といたしましては、業務に活用できる障がい者などへの適切な配慮の手法や、障がい者雇用などについて学ぶとともに、さらに、研修後のフォローアップとして、研修講師が無料相談を行うことで実効性を高めるよう工夫をしているものでございます。 ◆森山由美子 委員  研修講師によるフォロー活動によって、企業内での心のバリアフリーの普及啓発を後押ししていくとの答弁でございました。  最後に、共生社会は、行政の取組だけでは実現するのは困難であります。市民や事業者の理解や協力が不可欠です。バリアフリー基本構想を基に、今後も関係者の相互連携の下、社会全体で着実にハード・ソフト両方共に支え合いの大切さを身近に感じられるバリアフリーが確実に進むよう強く求めまして、私の質問を終わります。 ◆吉岡弘子 委員  私からも、札幌市バリアフリー基本構想2022(案)について質問をさせていただきます。  高齢者、障がい者等の移動の促進に関するバリアフリー法の2020年法改正では、障がい者の移動の権利が附帯決議として採択されました。  本市は、2015年と2020年の法改正を経て、札幌市バリアフリー基本構想を改定中です。構想案は、誰もがお互いに思いやり、支え合う未来のまちを目指すことを理念とし、ハード・ソフト両面からのバリアフリー化とともに、重点整備地区を推進するとしています。  質問いたしますが、基本構想の重点整備地区の考え方について伺います。 ◎坪田 総合交通計画部長  重点整備地区の設定の考え方についてお答えいたします。  基本構想では、駅施設や地域交流拠点を中心とした半径500メートル程度の区域を重点整備地区に指定し、区域内の駅、道路、建築物などのバリアフリー化を重点的、一体的に推進することとしてございます。  改定案では、国のバリアフリー化の基本方針などを基に、対象とする駅施設の1日平均利用者数の選定基準を3,000人以上と定めた結果、従来の53地区に加えまして、新たに八軒地区を重点整備地区に指定をすることといたしました。  また、路面電車が、路線のループ化や低床車両の導入により、乗車人員が増加傾向にあることに加えまして、その沿線には、観光施設や支援学校のほか、多くの生活関連施設があることなども踏まえまして、新たに路面電車沿線地区を指定し、重点整備地区は合計で55地区となったものでございます。  また、従来から指定をしてまいりました53地区につきましても、生活関連施設の立地状況に基づき、必要に応じて対象範囲の見直しを行っており、苗穂地区では、駅の移転や周辺の再開発事業などを考慮いたしまして、駅北側の区域を追加拡大したものでございます。 ◆吉岡弘子 委員  続きまして、当事者の声を生かした市有建築物のバリアフリー化についてお伺いいたします。よろしくお願いいたします。 ◎坪田 総合交通計画部長  市有建築物のバリアフリー化の当事者の声の反映についてお答えいたします。  札幌市では、建築物や道路、公園などの整備に際しまして、障がいのある方や高齢者などの意見を反映するためのバリアフリーチェックを実施してございます。  市有建築物の場合は、床面積が2,000平米以上の比較的大型の建築物の新築や増改築を対象といたしまして、設計段階と施工段階で図面や現地のチェックを行うものであり、障がい者団体と高齢者団体が選定する当事者により実施をしてございます。  これまで、具体的な反映内容といたしましては、平成28年に実施いたしました白石区複合庁舎の現地調査におきまして、2基のエレベーターに誘導する点字ブロックから操作ボタンまで手が届かないとの意見を反映し、点字ブロックの位置を修正したほか、ガラスの自動ドアに切り抜きの白い文字表示が、背景の白い壁と重なり、見にくいとの意見を反映いたしまして、背面に黒いシートを貼るなどの対応をいたしました。 ◆吉岡弘子 委員  当事者ならではのリアルな声が反映されたということでした。整備の進め方として、公共交通特定事業、道路特定事業、建築物特定事業などを定めていますけれど、特定事業を定めることでバリアフリー化にどういう効果があるのか、また、本市独自のバリアフリー化を進める上での支援策についても伺います。 ◎坪田 総合交通計画部長  まず、特定事業を定めることの意義についてお答えをいたします。  特定事業は、バリアフリー法に基づいて重点整備地区内の移動などの円滑化に関する事業を定めるものでございまして、道路や交通安全、公共交通などのハード整備に関する事業と、ソフト対策に関する教育啓発特定事業から成り、基本構想案では、それぞれの特定事業の2030年度までの基本方針と、現時点で実施を計画している事業を記載しているものでございます。  特定事業を定める意義といたしましては、事業を実施する各施設管理者が特定事業計画と呼ぶ実施計画を作成し、これに基づき事業を実施する義務が課せられるものでございます。  また、その効果といたしましては、各施設管理者間で特定事業計画を共有し、連携を図ることで、重点整備地区での重点的かつ一体的なバリアフリー化の促進につながることが挙げられます。  次に、バリアフリー化の推進に向けまして札幌市が実施しております補助金の事例についてお答えをいたします。  バスやタクシー事業者のバリアフリー車両導入に対します補助ですとか、小規模な民間建築物のバリアフリー改修に対する補助をしているところでございます。 ◆吉岡弘子 委員  整備目標年度は、全ての信号機や学校施設の段差解消などのバリアフリー化は2025年、令和7年、そして、道路や公園のバリアフリー化率100%は2030年になっています。  札幌市全体では、55か所の地区の重点整備をするということですけれど、障がいを持っている方々が障がいによる不安などから外出をためらうことのない本市にするためにも、事業の加速化が求められると思います。障がいのある人や、そして高齢者が安心して住めるまちは、市民みんなにとって安心のまちですから、そのような基本構想になるとよいと思います。  以上で、私の質問を終わります。 ○中川賢一 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○中川賢一 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後3時15分       再 開 午後3時16分     ―――――――――――――― ○中川賢一 委員長  委員会を再開いたします。  最後に、路面電車の延伸検討状況の報告についてを議題とし、資料に基づき、理事者から説明を受けます。 ◎村瀬 都市計画担当局長  本日は、路面電車の延伸検討状況の報告につきましてご説明させていただきます。  詳しい内容は、公共交通担当部の柳沼からご説明させていただきます。よろしくお願いいたします。 ◎柳沼 公共交通担当部長  お配りしました資料に沿ってご説明をさせていただきます。資料は3枚ございます。  まず、資料1枚目、左側、1 路面電車延伸検討の経緯をご覧ください。  札幌市では、平成22年に札幌市路面電車活用方針を策定し、路面電車の経営基盤の強化やまちづくりへの活用を図るため、経営の効率化、利用者負担の在り方と併せて、3地域を対象に延伸検討を進めるとしたものであります。  その後、平成24年には、札幌市路面電車活用計画を策定し、路線のループ化や低床車両導入のほか、今後の展開として、まちづくりへの活用を目指して延伸検討を継続するとしております。  平成27年には、この活用計画を受け、薄野と大通を結ぶループ化部分を開業し、開業効果は、棒グラフのとおり、新型コロナウイルス感染拡大前の状況になりますが、1日当たり約2,000人の利用増が見られたところでございます。  続きまして、資料右側、2 3地域のまちづくりの動向をご覧ください。  写真にありますとおり、都心や創成川以東地域では、北海道新幹線札幌延伸を見据えた開発などが進められ、桑園地域では、医療機関や文化施設などが多く存在しております。  加えて、中段右側の図のとおり、延伸検討地域の将来人口推計では人口増加が見込まれており、公共交通の需要のポテンシャルが高い地域であると考えているところでございます。  続きまして、資料右側下の3 検討対象ルートをご覧ください。  ここでは、これまでの基礎調査などを踏まえ、都心と創成川以東地域は既設の西4丁目停留場を起点とし、桑園地域は西15丁目停留場を起点とした各地域、三つの検討ルートを示しております。  まず、図右側の都心地域については、3色で色分けしておりますが、JR札幌駅方面に向かう三つのルートとなります。  なお、東2丁目、東3丁目、西2丁目、西3丁目線につきましては、一方通行道路のため、サイドリザベーション方式を採用した単線でのレールの設置を想定した検討としております。  創成川以東地域については、北3条通のみを想定し、都心ルートとの組合せで3ルート、桑園地域については、JR桑園駅方面に向かう3ルートとなります。  なお、桑園地域は、都心地域と異なり道路幅員が狭いことから、道路中央に単線によるレール設置を想定した箇所が多くなっております。  以上、9ルートについて検討を進めているところでございます。  続きまして、資料2枚目の左側、4 検討対象ルートに係る主な課題をご覧ください。  まず、(1)まちづくりへの影響についてです。  交差点のレール曲線部では、歩道や民地への支障が多数あります。  また、右側の図のとおり、一方通行道路では、道路中央にレールを設置した場合、自動車の車線変更に課題があることから、サイドリザベーション方式を想定しておりますけれども、沿線には、ループ化区間と異なり、駐車場が多く、沿線施設の出入りに影響がございます。  次に、(2)道路交通や経済活動への影響でございます。  レールを新たに設置した場合、車線数の減少により、タクシーや荷さばきなどへの影響のほか、バス路線と重なるため、道路混雑も懸念されます。  次に、(3)収支採算性の課題をご覧ください。  具体的な試算結果は資料2に記載しておりますが、主な数字はこちらの表にまとめて記載しましたので、こちらを用いてご説明いたします。  検討対象9ルートのうち、道路交通への影響などの課題が比較的少ないルートを各地域で一つずつ抽出し、試算をしております。試算したルートは、資料1枚目の3 検討対象ルートでご説明しました赤い色で記載したルートとなります。  まず、需要予測の結果につきましては、都心では、延伸部の需要は1日当たり約4,200人の増加、創成川以東まで延ばすと6,300人の増加、桑園では約2,800人の増加となっております。  概算事業費、初期投資につきましては、地下埋設物の移設費などを除き、都心で約110億円、創成川以東まで延ばすと約160億円、桑園で約80億円となっております。  なお、収支採算性の検討に当たりましては、初期投資は、ループ化事業と同様に、国の補助制度を活用して税負担により整備を行うと仮定し、運賃収入でランニングコストが賄えるかを試算しております。  収支の試算結果につきましては、開業より単年度赤字が続き、30年後の累積欠損金は、都心で約48億円、創成川以東まで延ばすと約73億円、桑園で約31億円となっております。  また、今回の試算においては、新型コロナウイルス感染拡大前の利用状況で需要予測を行っておりますので、今後の動向にもよりますが、収入の根幹である利用者の減少は避けられない状況にございます。  最後に、資料右側の5 今後の検討予定をご覧ください。  これからの検討に当たりましては、都心のまちづくりを支える交通体系の構築に向け、これまでの検討成果を今後につなげていく考えでございます。  今後は、残る6ルートについても検討を進め、一定の結論を令和4年秋に報告したいと考えております。  並行して、延伸による道路交通への影響や採算性などの課題解決の可能性を探るため、レールや架線のない新たな公共交通システムの導入など、幅広く検討していきたいと考えております。  また、これらの検討を踏まえて、都市の公共交通の考え方についても改めて整理していきたいと考えております。  加えまして、少子高齢社会、運転手不足、利用者減少による経営状況の悪化、脱炭素社会の取組を踏まえ、新技術を活用した新たな公共交通システムの有用性検証のため社会実験を行いたいと考えております。  社会実験の内容はこれからの検討となりますが、イメージといたしましては、AIを活用したデマンド交通システム運行による需要の把握や、積雪寒冷地における水素燃料車両の実証運行などを想定しております。  下段の図でオレンジ色に塗り潰した都心と創成川以東地域を対象に、令和5年度に計画・準備、令和6年度と7年度で実験を想定しております。 ○中川賢一 委員長  それでは、質疑を行います。 ◆小須田ともひろ 委員  ただいま、路面電車の延伸検討の状況の報告をいただきましたが、我が会派では、路面電車の延伸について、タクシーの運行や荷さばきなどに大きな影響があることをループ化当時から指摘してまいりました。  収支採算性は、3ルートとも赤字で、残りの6ルートを検討しても結果は大きく変わらないのではないかと考えます。  さらに、北海道新幹線札幌延伸をきっかけに札幌駅周辺が大きく変わろうとしているときに、今まで走っている路面電車の延伸検討というだけでは不足を感じていたところでもございます。  そこで、今回、LRTの利点などにしっかりと着目しながら、レールや架線のない新たな公共交通システムの導入も検討するとのことであり、現実に即した検討が始まったと感じております。  新幹線札幌延伸を見据えて都心の交通体系の見直しは必要であり、その検討に当たっては、新たな公共交通システムも含め、幅広い視点で様々な可能性を模索することが重要でございます。  そこで、まずは、路面電車延伸検討の今後の方向性についてお伺いいたします。 ◎柳沼 公共交通担当部長  延伸検討の今後の方向性についてお答えいたします。  路面電車の延伸検討につきましては、今回報告をさせていただきました3ルートのほか、残る6ルートについても、収支採算性を検討することが重要と考えておりますことから、引き続き検討を行い、その結果について、今年の第3回定例市議会の総務委員会でご報告させていただきたいと考えております。  また、路面電車延伸の課題解決のため、都心の公共交通を幅広に検討することとしており、その検討に当たっては、新技術を活用することや社会実験を行うことを考えており、その際には、学識経験者などから専門的な助言をいただきたいと考えております。  今後につきましては、将来を見据え、社会情勢の変化や技術の進展など、様々な視点を踏まえて検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆小須田ともひろ 委員  延伸検討は継続し、その課題解決のため都心の公共交通を幅広に検討し、その検討に当たっては、社会実験を実施するとのことでありました。  社会実験では、AIを活用したデマンド交通システムや環境に配慮した車両などを使用することを想定しており、これらを使って新しい公共交通を検討するのであれば、しっかりと検証できる実験を行うべきであると考えます。  この社会実験を有用なものにするためにも、目的を定め、その上で実験の企画、準備を進める必要があると考えます。  現時点でどのような社会実験を行おうと考えているのか、お伺いいたします。
    ◎柳沼 公共交通担当部長  社会実験の概要につきましてお答えさせていただきます。  路面電車の延伸検討によって明らかになった様々な課題解決のため、都心の公共交通を幅広に検討することとしており、新技術を含め、LRTの利点を生かした新たな公共交通システムの有用性を確認したいと考えております。  また、机上の検討では分からない運行に関わる課題などが見つかることもあると考えております。  加えて、AIを活用したデマンド交通の需要把握や、それに見合う輸送力の検討、さらには、冬期運行の実証や、路面電車との乗換え方法を確認したいと考えているところでございます。 ◆小須田ともひろ 委員  社会実験では路面電車との乗換え方法も確認するとのことですが、ほかの公共交通との連携も重要であると思います。  新幹線の札幌延伸を見据えていますので、新幹線との連携は当然のこととして、地下鉄やJRの在来線との連携も考える必要があると思います。  都心のまちづくりを支えるには、都心の活性化につながる回遊性を向上させる必要があり、それには様々な公共交通との連携は欠かせないものと思います。様々な公共交通が連携することで、利便性の向上につながり、利用の増加にも結びつくのではないかと考えております。  そこで、最後の質問ですが、新幹線など、ほかの公共交通との連携をどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎柳沼 公共交通担当部長  他の公共交通との連携についてお答えいたします。  委員がご指摘のとおり、路面電車だけではなく、例えば、北海道新幹線札幌駅東改札口との接続など、他の公共交通との連携も重要と認識しており、他の公共交通との連携により、都心の回遊性を向上させ、都心のにぎわい創出につなげたいと考えております。  今後は、関係事業者とも協議をし、スムーズな乗換え方法も含めて検討を進めてまいります。 ◆小須田ともひろ 委員  北海道新幹線の札幌延伸を見据え、札幌駅周辺の開発は進んでおります。この検討が遅れれば、ほかの公共交通との連携が悪くなり、利用者にとって不便なものとなるといったことも懸念されてございます。  このようなことにならないよう、時期を逃さずに速やかに検討を進め、新しい公共交通システムということでありますので、路面電車ということに必要以上に縛られないで、将来、一番効率のよいものを検討していただければと思います。 ◆松原淳二 委員  私からも質問をさせていただきます。  今ほど、路面電車の延伸検討の状況についてということでご報告をいただきましたが、この延伸検討に至った元というか、2012年に策定された札幌市路面電車活用計画を中心に何点か確認をさせていただければと思います。  先ほども説明がありましたが、本市は、路面電車をまちづくりに活用するため、ループ化などの施策を位置づけた路面電車活用計画を2012年に策定して取組を進めてきました。  現在のループ化は、都心に新たな回遊やにぎわいを生み出し、魅力ある都心を創造するため、都心の核となる札幌駅周辺、大通、薄野の3地区を結ぶ延伸が必要であるとして、その第1弾として実施したものと認識しております。  この活用計画では、ループ化のほかにも、重点的取組として低床車両の導入や経営健全化に向けた整理などを行ってきたものでございます。  そこでまず、確認をさせていただきますが、この活用計画を策定してから約10年ほど経過をしてございます。まず、主な取組の進捗についてお伺いいたします。 ◎柳沼 公共交通担当部長  札幌市路面電車活用計画の進捗状況についてお答えいたします。  路線のループ化部分は平成27年度に開業しておりますが、このほか、主な取組として、低床車両の導入、停留場のバリアフリー化、レールの制振化、経営の健全化を順次進めております。  まず、低床車両は、令和3年度までにポラリス3両、シリウス7両の計10両を導入しております。  停留場のバリアフリー化は、道路拡幅事業に合わせて行う区間について、乗降場の拡幅、かさ上げ、スロープの設置を実施し、令和3年度までに整備予定箇所18面のうち13面を実施しております。  また、レールの制振化は、振動を抑えるため実施しており、令和3年度までに、総延長約8.9キロメートルのうち約7.2キロメートルで整備をしております。  加えて、経営の健全化として平成29年度に運賃改定を実施し、令和2年度には上下分離を導入しているところでございます。 ◆松原淳二 委員  活用計画の中で示されていた中身について、例えば、低床車両の導入であったり、バリアフリー化、レールの制振化など、段階的な整備でおおむね予定どおりに進んでいるものと認識してございます。また、運賃改定や上下分離などで経営の健全化に向けた取組についても行ってきたということで認識をしてございます。  この活用計画では、路面電車の自立的な経営に向けて延伸が必要と整理されてきて、その計画に沿って今回の延伸検討を行っているものと認識をしてございます。  今回の報告では、延伸を断念し、新たな公共交通システムの導入検討へ軸足を移しているように感じております。  これまでの取組や検討によって状況に変化が生じているのであれば、路面電車の活用に関する基本的な考え方と今後の方向性についても、改めて整理する必要があるのではないかと思っております。  また、今後、延伸検討の結論を出すに当たっては、路面電車活用計画の再整理も考えるべきと考えます。  そこで、質問しますが、これまでの検討を踏まえ、路面電車活用計画の取扱いについてどのように考えているのか、お伺いいたします。 ◎柳沼 公共交通担当部長  路面電車活用計画の取扱いについてお答えいたします。  これまで、路面電車の延伸検討を行い、社会情勢の変化、レール敷設による課題、採算性の課題が見えてきております。  今後、路面電車の延伸検討の方向性によりましては、路面電車活用計画の再整理も必要と考えているところでございます。 ◆松原淳二 委員  延伸の検討だけではなく、活用計画の再整理についても考えているということでございます。  再整理に当たっては、延伸検討だけではなく、既設線を含めて、札幌市の路面電車を今後どのように生かしていくのかといった視点も大変重要になります。  路面電車を都心のまちづくりに活用していくという路面電車活用計画に基づいて、これまで既設線の整備を進め、多くの方々に利用されてきている現状がございます。将来にわたって、路面電車をどのように活用し、安定的に維持していくのか、また、延伸検討についても既設線を生かすような検討でなければならないと思っています。  そこで、質問ですが、路面電車の検討の方向性も踏まえて再整理も必要ということでございましたので、路面電車活用計画をどのような観点で再整理しようと考えているのか、この点についてお伺いいたします。 ◎柳沼 公共交通担当部長  路面電車活用計画の再整理についてお答えいたします。  路面電車は、人や環境に優しく、回遊性を向上させるなど、都心の活性化に寄与しているものと認識しております。  また、利用者の減少など、路面電車が抱える厳しい現状や、札幌市の公共交通ネットワークの一翼を担う路面電車の役割、延伸検討地域の公共交通に対する利用ニーズなど、幅広い視野を持った整理が必要であると考えております。  いずれにいたしましても、延伸検討の進捗に合わせて整理をしていきたいと考えているところでございます。 ◆松原淳二 委員  延伸検討の進捗に合わせて整理していきたいということでございますので、やはり、路面電車の存在といったこと、札幌の魅力や価値、都心部の公共交通ネットワークのためにどう活用していくのかといったことをしっかり整理をしていただきたいと思います。  路面電車の延伸検討については、まだ結論が出たわけではないですけど、かなり厳しい状況は先ほどの報告で理解をしますが、検討の結果や社会情勢の大きな変化によっては、路面電車活用計画の見直しなどの整理はやはり必須だと思いますので、適切な対応をするように求めて、私からの質問を終わります。 ◆森山由美子 委員  路面電車の延伸検討状況の報告について、私からも質問いたします。  我が会派は、これまで、生活交通確保の観点から、路線バスの車両小型化やデマンド型交通の導入など、特に高齢者の多い都心から離れた地域や、地下鉄の利用がかなわない手稲区や清田区など、それぞれの地域の特性に合わせた公共交通の必要性を繰り返し訴えてまいりました。  今回、路面電車延伸検討の中で、道路交通への影響や収支採算性などの課題を踏まえ、課題解決の糸口を見出すことも念頭に、デマンド型交通システムなどの社会実験を行うということであります。  確かに、全国を見てみると、デマンド型交通は、過疎地において路線バスが廃止となった公共交通の空白地域だけではなく、市街地の新たな交通モードとして導入されている事例もあります。  そこでまず、デマンド型交通を検討する意義について伺います。 ◎柳沼 公共交通担当部長  デマンド型交通を検討する意義についてお答えいたします。  路面電車延伸の検討地域におきましては、新たにレールを敷設する場合、採算性や道路交通への影響など、様々な課題が見込まれるところでございます。  加えて、人口減少少子高齢化による社会情勢の変化があり、交通事業者の経営としても大きな課題となっております。  このため、車両や運行に関わる人員を抑制する効率的な運行手法であり、かつ利用動向に合わせることで利便性の向上につながる運行手法でもあるデマンド型交通の検討を考えております。  また、北海道新幹線の札幌延伸によって、都心には観光やビジネスを目的に多くの方々が来訪されることが想定されます。観光やビジネスで札幌に来られる方の移動パターンは様々考えられ、これらのニーズへの対応として、デマンド型交通の有用性についても検証していきたいと考えているところでございます。 ◆森山由美子 委員  新たにレールを敷設する場合の採算性の問題なども考え、社会情勢の変化や利用者ニーズに対応した運行手法として、デマンド型交通の検討、検証を行うということでございました。  デマンド型交通は予約制の利用となるため、ほかの自治体における導入事例からすると、利用の予約や車両の配車を行うICTを活用した予約システムは欠かせません。  社会実験の目的を考えると、予約や配車が行える予約システムを使い、実際の運用や利用者の使い勝手などの検証も必要と考えます。  今回想定している予約システムを使った社会実験はどのようなものか、伺います。 ◎柳沼 公共交通担当部長  予約システムを使った社会実験についてお答えをいたします。  これまでのダイヤに基づき決まった路線を決まった時間で運行する方法ではなく、予約に基づき、エリア内に決められた乗降ポイントを選択できるデマンド型交通の実験を想定しております。  実験に当たりましては、利用者の利便性のほか、運行の効率性、事業の採算性などの検証を行うことを考えておりますが、具体的な内容につきましては、今後、整理をしてまいります。 ◆森山由美子 委員  実験内容については今後の検討ということでございましたが、公共交通の利便性、効率性、採算性などの向上を目指すのであれば、デマンド型交通の導入とICTを活用した予約システムの有用性をしっかりと検証する必要があります。  また、予約システムの導入に当たっては、将来的に複数の交通サービスをシームレスにつなぎ、検索、予約、決済等を一括で行うサービスであるMaaSの視点を取り入れ、システム機能の拡張も前提に検討するべきと考えます。  デマンド型交通の社会実験においてMaaSを推進すべきと考えますが、どのような予約システムを考えるのか、伺います。 ◎柳沼 公共交通担当部長  MaaSの推進についてお答えいたします。  社会実験におきましては、ICTを活用した予約システムの有用性について検証する必要があると考えております。  今後につきましては、他都市の事例や予約システムなどの開発状況を見極めながら、機能面などの整理、検討を行っていきたいと考えているところでございます。 ◆森山由美子 委員  最後に、要望です。  デマンド型交通は、MaaSの要素も取り入れることで、誰もが便利で利用しやすい交通手段になると考えております。  今後も、各地域で行われている事例を参考にしながら、MaaSを見据えた検討を進めていただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。 ◆太田秀子 委員  路面電車の延伸検討地域というのは、先ほど説明がありましたけれども、本市の都心における開発誘導方針の中の基本枠組みの中にあります、にぎわいの軸は、この延伸検討地域で言うところの駅前通です。うけつぎの軸は北3条通であります。本市は、誘導地域として開発を進めていくということでありますから、この地域には人が集まることを想定しておられるものと思います。そこに路面電車が延伸されれば、利用者は間違いなく増加すると見込まれます。  需要予測の結果でも、都心では4,200人、都心に創成川以東を加えると6,300人、桑園でも2,800人と、3地域とも大きな増加となっています。  ループ化のときには、約600人の増加という需要予測でも収支採算性は確保できるとして事業を実施しました。  そこで、伺いますが、今回の延伸検討では、需要増が見込まれる中、収支が赤字になるのはなぜか、伺います。 ◎柳沼 公共交通担当部長  収支が赤字になる要因についてお答えいたします。  路面電車のループ化につきましては、西4丁目と薄野を結ぶことで運行が効率的に行えることから、収支採算性の検討では、運転手などの人員の増加を見込んでおりませんでした。一方、今回報告をさせていただきました3地域の延伸検討は、延伸に伴い運転手などの多くの人手が必要となることから、ループ化の検討の際には見込んでいない人件費の増加が大きいことに加えて、都心地域への延伸検討におきましては、サイドリザベーション方式を想定し、冬季対策のためロードヒーティングを整備する必要がございます。その整備延長がループ化時より長くなることから、ロードヒーティングにかかる経費が大きくなることも要因の一つと考えているところでございます。 ◆太田秀子 委員  西4丁目と薄野を結んだ約420メートルのループ化と、今あります既設の線につないで新たな方向へ延伸するものでは、やはり、初期投資とかランニングコストの規模が違うのはむしろ当たり前で、単純な比較にならないものだと思うのです。  都心であることから、ループ化した駅前通と同じようにサイドリザベーション方式になることや、冬季対策のためロードヒーティングの整備なども影響すると、収支の課題とされています。  しかし、今年の冬のとてもすごい豪雪では、JRなどはすぐに運休しましたけれども、路面電車は、若干の遅れがあったものの運休せず、地下鉄とともに市民の足を守りました。  調べてみましたけれども、それはすごい努力をされていて、降り続ける雪を軌道上にためないように、ササラ電車が走り続けたことと、そしてロードヒーティングでした。  雪により道路が狭くなるために、車両との接触事故などは報道もされておりましたけれども、それは本市の除排雪の問題でもあります。公共交通として誇れる実態がありますので、必要なものであれば、経費が大きくなることは市民の理解が得られるものだと考えています。  路面電車の延伸を検討するに当たっては、様々な観点から検討を進める必要があります。  まず、交通弱者への配慮について伺います。  高齢者や障がいのある方などの交通弱者への配慮について、本市では、路面電車に関して、低床車両の導入や停留場のバリアフリー化を進めており、今後、さらに交通弱者の方の利便性は高まるものと考えています。  延伸検討の課題解決の可能性を探るために、新たな公共交通システムの導入を検討するということも先ほど来言われておりますけれども、この場合、利用者が延伸検討の3地域に行くためには、路面電車との乗り継ぎが必要になり、特に交通弱者にとって負担が大きくなるものと思います。  ここで、伺いますが、新たな公共交通システムにおける交通弱者への配慮はどのように考えているのか、伺います。 ◎柳沼 公共交通担当部長  新たな公共交通システムの交通弱者への配慮についてお答えいたします。  高齢者や障がいのある方への配慮は公共交通にとって重要であり、新たな公共交通システムにおいても、これらの方の利用に配慮し、高齢者や障がいのある方も含め、様々な方が使いやすい車両を検討する必要があると認識しております。  また、路面電車との乗換えが必要になる場合には、その負担が軽減されるような車両や円滑な乗換え方法も考えてまいりたいと思っております。 ◆太田秀子 委員  社会実験のイメージということも資料にありますけれども、デマンド交通システムと水素燃料車両などの実験を一緒に考えるということです。水素燃料の現状は、工場での副産物として発生する水素を利用している場合が多くて、その過程でCO2が排出され、必ずしも環境に優しいわけではありません。再生可能エネルギーなどを使って製造する、いわゆるグリーン水素は、現在、本州で実証に向けたプロジェクトが進み始めた段階であり、その実現にはまだ時間がかかると思います。  ここで、質問します。  新たな公共交通システムの導入検討に当たって、環境に配慮したどのような車両の導入を考えているのかを伺います。 ◎柳沼 公共交通担当部長  環境に配慮した車両の導入についてお答えいたします。  北海道内においても、民間事業者が主体となって、石狩湾新港の洋上風力発電から発生する余剰電力を活用した水素製造の実現可能性調査が始まったところであると聞いており、早期に実現することを期待しております。  また、グリーン水素の製造が実現し、利用できるようになれば、札幌市が目指すゼロカーボンシティーの実現に寄与するものとなることから、水素燃料車両の導入も視野に検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆太田秀子 委員  路面電車の延伸も、また、この新たな公共交通システムも、交通弱者や環境への配慮などは同じように検討しているということですし、それから、いずれも車両をはじめ初期投資などにはお金がかかるということであって、将来を見据えることはとても大事なことだと考えています。  そこで、資料にありますけれども、まちづくり、環境対策、観光振興で路面電車を活用する考え方に立ちますと、例えば、北5西1・西2の再開発で、今、新しいバスターミナルをつくると言っていますけれども、東急デパート南側のバス停などが集約されてなくなってしまうという計画です。そして、東改札口には交通広場が検討されています。利用されていたバス停がなくなる方たちに、電車を利用してもらって便利になったなと言ってもらえるような工夫ですとか、JRやバスターミナルと直結させるですとか、SAPICAだけではなくて、全国から観光やビジネスで来られる方が使えるICカードに対応するなど、延伸を検討する場合は、どう利用者を増やすかという議論がもっともっと必要だと思っています。  新たな公共交通システムは、レールや架線のない新技術を検討とありますけれども、レールがもたらす効果というものもあるはずです。鉄のレールは、長期の安全と信頼が得られますし、観光客にとって、レールが見えることで、これはあっちの方面に行くのだと、そういうことがよく分かるということが評価されているのです。そして、路面電車は排気ガスがありませんから、環境に優しい乗り物として既にまちづくりに活用をされています。  時代に合った新たな公共交通システムも大事だと私も思います。しかし、新技術には時間がかかります。むしろ、じっくり時間をかけて実験や検証をしていただいて、本市には、先ほども質疑がありましたけれども、まだまだ交通が不便な地域がありますので、将来、市内に細かく交通網ができると、そういうことに使うのがいいと私は考えています。  路面電車の延伸は、経済発展に役立つインフラ整備です。まちの顔となるように、速やかに3地域の延伸が実現することを求めて、質問を終わります。
    ○中川賢一 委員長  ほかに質疑はございませんか。  (「なし」と呼ぶ者あり) ○中川賢一 委員長  なければ、質疑を終了いたします。  以上で、委員会を閉会いたします。     ――――――――――――――       閉 会 午後3時52分...