札幌市議会 2021-10-06
令和 3年第一部決算特別委員会−10月06日-02号
令和 3年第一部
決算特別委員会−10月06日-02号令和 3年第一部
決算特別委員会
札幌市議会第一部
決算特別委員会記録(第2号)
令和3年(2021年)10月6日(水曜日)
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●議題 付託案件の審査
●出席委員 34名
委 員 長 北 村 光一郎 副委員長 前 川 隆 史
委 員 武 市 憲 一 委 員 高 橋 克 朋
委 員 こんどう 和雄 委 員 山 田 一 仁
委 員 五十嵐 徳 美 委 員 佐々木 みつこ
委 員 伴 良 隆 委 員 阿部 ひであき
委 員 中 川 賢 一 委 員 村 松 叶 啓
委 員 三 神 英 彦 委 員 小須田ともひろ
委 員 小 野 正 美 委 員 ふじわら 広昭
委 員 桑 原 透 委 員 しのだ 江里子
委 員 中 村 たけし 委 員 松 原 淳 二
委 員 かんの 太 一 委 員 たけのうち有美
委 員 田 島 央 一 委 員 恩 村 健太郎
委 員 福 田 浩太郎 委 員 丸 山 秀 樹
委 員 小 口 智 久 委 員 森 山 由美子
委 員 太 田 秀 子 委 員 池 田 由 美
委 員 田 中 啓 介 委 員 吉 岡 弘 子
委 員 千 葉 なおこ 委 員 石 川 さわ子
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開 議 午後1時
――――――――――――――
○
北村光一郎 委員長 ただいまから、第一部
決算特別委員会を開会いたします。
報告事項でありますが、村山委員からは、村松委員と交代する旨、届出がありました。
議事に先立ち、審査方法について確認いたします。
発言は起立して行うこと、質疑及び討論は質問者席にて行うこと、答弁を行う部長及び課長は冒頭に職及び氏名を名のってから発言すること、なお、同一委員への答弁が続く場合は最初だけでよいことといたします。また、質疑及び答弁は簡潔を旨とし、前置きなどは極力省き、内容の重複等も避けながら、定められた審査日程のとおり進めることのできるようご協力をお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
議案第1号 令和2年度札幌市各
会計歳入歳出決算認定の件中関係分を議題といたします。
最初に、令和2年度札幌市
一般会計歳入歳出決算中、歳入のうち
一般財源、第2款 総務費 第1項
総務管理費中会計室及び
財政局関係分、第3項 税務費、第10款 公債費 第1項 公債費、第11款 諸支出金 第1項
財産取得費、第2項 他
会計繰出金中
財政局関係分、第13款 予備費 第1項 予備費、令和2年度札幌市
基金会計歳入歳出決算及び令和2年度札幌市
公債会計歳入歳出決算について、一括して質疑を行います。
◆
阿部ひであき 委員 今回の第一部
決算特別委員会、
トップバッターを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
私のほうからは、
空き家対策における
固定資産税の
住宅用地特例の適用について、それからもう一つは、
財政運営、特に
自主財源の確保について、この2項目について質問をしたいと思います。
最初に、
空き家対策における
固定資産税の
住宅用地特例の適用について伺います。
我が会派では、令和3年第1回定例会の
予算特別委員会において、
管理不全の空き家の発生抑制のために、
固定資産税の
住宅用地特例の解除を積極的に行おうとしている神戸市の事例を取り上げ、財政局に対し、税政部と、
空き家対策そのものを所管する
都市局建築指導部との連携を強化し、空き家問題の解決のために、より積極的な対応が必要であると指摘したところであります。
また、都市局からは、財政局と、今後より一層、連携体制を強化し、
空き家対策に取り組んでまいりたいとの答弁を得ております。
そこで、一つ目の質問として、
空き家対策における
固定資産税の
住宅用地特例の適用について、財政局と都市局との連携はどのようになっているのか、伺います。
◎大柿
税政部長 空き家対策における
固定資産税の
住宅用地特例の適用について、財政局と都市局の連携はどのようになっているのかというご質問でございます。
都市局建築指導部におきましては、現在、札幌市
空家等対策計画における施策の一つといたしまして、そのまま放置すれば、建物の倒壊や建築部材の飛散のおそれがある状態にあると認められる空き家等を
特定空家等として認定し、所有者に助言や指導を行っているところでございます。
税政部におきましては、
建築指導部から、この
特定空家等の所在、地番、所有者及び戸建てまたは共同住宅の区分等について情報提供を受けておりまして、現在、改めて、それらの
特定空家等の現地調査を行い、
住宅用地特例の適否について精査をしているところでございます。
◆
阿部ひであき 委員 税政部では、
建築指導部から
特定空家等ということで、所在、地番、所有者並びに戸建てまたは共同住宅の区分等について情報提供を受けており、現在、改めて、それらの
特定空家等の現地調査を行って、そして、
住宅用地特例の適否について精査をしているということでありますけれども、では、その現地調査の対象としている
特定空家等は何件あるのかということについて伺いたいと思います。
◎大柿
税政部長 現地調査の対象としている
特定空家等は何件あるのかについてでございます。
情報提供を受けました
特定空家等の中には、
建築指導部の助言や指導により改善が既に図られたものなどもございます。それらを除きまして、令和4年度の
固定資産税の課税に向けては、193件を調査対象としているところでございます。
◆
阿部ひであき 委員 令和4年度
固定資産税の課税評価に向けて、193件ということでありますけれども、一くくりに
特定空家等と言っても、建物の状態は非常に多岐にわたって様々であるというふうに思います。
そこで、三つ目の質問として、
特定空家等の敷地を
住宅用地特例の対象から除外する基準、これがどのようなものなのか、伺いたいと思います。
◎大柿
税政部長 特定空家等の敷地を
住宅用地特例の対象から除外する基準はどのようなものかについてでございます。
住宅用地特例の取扱いにつきましては、総務省から通知が発出されておりまして、現に人が居住していない家屋については、賦課期日における家屋の使用もしくは管理の状況等から客観的に見て、居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で、今後、人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合、住宅に該当しないものであるとされているところでございます。
札幌市におきましては、家屋の屋根や外壁といった
主要構造部分の損壊の程度に着目し、
特定空家等が課税客体としての家屋と認められない場合に、今後人の居住の用に供される見込みがないと判断いたしまして、事前に土地の所有者へ連絡をした上で、
住宅用地特例の対象から除外することとしているところでございます。
◆
阿部ひであき 委員 札幌市においては、家屋の
主要構造部分の損壊の程度に着目して、
特定空家等が課税客体としての家屋と認められない場合に、
特定空家等の敷地を
住宅用地特例の対象から除外するということですね。
それで、財政局と都市局とが連携して
空き家対策を進めていかなければならない、こういうことはもちろんのことでありますけれども、
住宅用地特例の適否について精査する、この取組、これは、もう今後も継続してしっかりと行っていただかなければならないというふうに思います。
今回は、
空き家対策について、
固定資産税の
住宅用地特例の観点から質問を行っておりますけれども、実際に、市民の方から、いろいろと、ここ、ちょっと本当に長年空き家なんだけれども、何とかならないだろうかという問合せというのが徐々に増えてきているような気がしております。
そうした中で、
特定空家等の基準は分かるんですけれども、経過年数だとか、あるいは、災害対策、そういったものも、ちゃんと視点に入れていかなければならない時期も、いずれ必ず近いうちにやってくるんじゃないかなというふうにも思っています。
この基準については、固定させるのではなくて、時節に応じながら、柔軟に対応していけるようにしていただきたいなというふうに思っているところであります。
管理不全の空き家は、安全性の低下、そして公衆衛生の悪化などの問題を生じさせ、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしかねないなというふうにも思います。
管理不全の空き家の敷地を
住宅用地特例の対象から除外することで
固定資産税の税額が高くなれば、土地や、あるいは建物の活用といったことをより促すことになり、またさらには、これから増えるであろう
空き家対策、こうしたものにも資する目的ができるんじゃないかなというふうに思っております。
今後、人口減少により、
管理不全の空き家の増加が懸念されることから、
住宅用地特例の適否については、先ほども言った社会情勢の変化も踏まえて、柔軟に判断していただく必要がある、このことを指摘して、この質問は終わります。
続いて、
財政運営、特に
自主財源の確保について伺いたいというふうに思います。
まず、令和2年度決算における財政指標について質問します。
財政局から提出のあった資料によると、
地方交付税にどれだけ依存せずに
財政運営ができているかを示す
財政力指数は0.738と、前年度から0.005ポイント増で、若干改善したとのことでありました。
また、市税などの経常的な収入が義務的で固定的に支出される経費にどれだけ充てられるかを示す
経常収支比率は97.1%となり、前年度と比べて1.8ポイント増加し、大幅に悪化しております。
これらの指標は、財政の自立性や
硬直度合いなどを表す指標であり、今後の
財政運営においても重要な指標となります。特に、令和2年度決算においては、
経常収支比率が前年度から大幅に悪化しており、将来の
財政運営の硬直化が心配され、その要因が非常に気になるところであります。
そこで、質問ですが、
経常収支比率の増加理由についてどのように分析しているのか、伺います。
◎中澤 財政部長
経常収支比率の増加理由につきましてお答えをいたします。
経常収支比率は、委員のご質問にもございましたとおり、経常的に収入されます市税や
地方交付税などの財源が、義務的で毎年固定的に支出される経費にどの程度充てられているかということを示す割合でございまして、この
経常収支比率が高いということは、義務的な経費以外に使える財源に余裕がなく、財政構造の弾力性が低いということを示すものでございます。
令和2年度の
経常収支比率が令和元年度に比べて増加しました理由については、経常的な
一般財源の額はほぼ前年度並みでありました一方で、義務的な経費に充当する
一般財源の額が増加したことによるものでございます。
具体的には、公債費の増加による影響が大きいほか、除雪費や職員の退職手当の増加、さらには、
新型コロナウイルス感染症に係る検査費などの
感染症予防費の増加、こういったものなどが要因と考えているところでございます。
◆
阿部ひであき 委員 ただいまの答弁では、公債費が増加したことが大きいということでありますけれども、そのほか、除雪費についても要因であるというふうにも答弁がありました。
今後、成熟した魅力ある都市としてあり続けるために、
冬季オリパラ招致をはじめ、
北海道新幹線早期延伸、そしてまた、都心整備、自然災害に対応する防災機能の充実など、市民の安心・安全を守りながら、税収増にもつなげる投資は必要であります。
それに伴って、公債費が増加することは想定されますけれども、財政の硬直化を回避するためにも、札幌市がこれまで実施している
自主財源の確保策は引き続き実施していく必要があります。
また、ただいま除雪費についても増加要因ということでありましたけれども、雪対策に係る経費について、
受益者負担の在り方などについても、今後検討していく必要があると考えます。
そこで、質問ですが、
自主財源の確保について、現時点で具体的にどのように取り組むのか、伺いたいと思います。
◎中澤 財政部長
自主財源の確保の具体的な取組についてお答えをいたします。
将来にわたって安定的な
行政サービスを提供していくためには、市税収入をはじめとします
自主財源の確保に努め、自立的な
財政運営を実現していくことが必要不可欠であるというふうに認識をしてございます。
令和2年度決算におけます札幌市の状況としましては、
自主財源の根幹である市税の収入率は98.3%となっておりまして、これは
政令指定都市の中で5番目の水準にあります。
その一方で、歳入総額に占める
自主財源の比率は37.4%となっておりまして、こちらは
政令指定都市の中では17番目の水準にとどまっているという状況にございます。
これらのことを踏まえまして、引き続き、市税につきましては、適切な滞納整理の推進など収入率の維持・向上に取り組みますとともに、積極的な企業誘致や創業支援、また、
北海道新幹線の札幌延伸に合わせた都心の再開発をはじめとします民間投資の促進による経済の活性化など、税源の涵養に資する取組についても進めてまいりたいと考えております。
また、
受益者負担につきましては、サービスを受ける市民と受けない市民との公平性あるいは
社会経済情勢の変化などを踏まえながら、
サービス水準とのバランスを検証して、より適切な負担の在り方というものを整理してまいりたいと考えてございます。
◆
阿部ひであき 委員 札幌市は、今後、人口減少が想定され、税収の持続可能な維持を保つため、どうあるべきか、こうしたことを真剣に取り組まなければならない時期に来ているんじゃないかというふうに思います。
特に、
先ほど除雪費という話がありましたけれども、除雪費においては、作業する方の高齢化、さらには、
担い手不足もさることながら、既存のパートナーシップ、
助成トラックといった取組も、町内会に対する一部負担の在り方は、町内会にとっても大きな負担となっておりまして、何より
町内会加入率の減少といった課題からも、そもそも市民負担の均等・公平性の観点からも、大きな課題を残す取組になりつつあるなというふうに思っております。
財政局としても、この件、雪対策について、雪対策室はあるものの、財政の観点からも、この辺について大きな課題として捉えて、
人口減少期を迎えた場合の
自主財源の確保策の一つとして、しっかりと検討していかなければならないということを指摘しておきます。
これまで、我が会派は、新たな
自主財源の確保として、
観光目的税の導入等にも触れてきましたけれども、
コロナ禍を迎え、さらに、安定的な財源の確保と公平性の観点に鑑みれば、これも一つの方法ながら、やはり、今からちょうど8年前に我が会派の山田議員が触れたような雪税といったところの観点というのも、非常に現実味を帯びてくるんじゃないのかなというふうに思います。
あれは、たしか平成25年の話だったと思います。もうあれから8年たちましたけれども、この8年間、非常に多くのものが変わってきたと。特に、高齢化がより一層進んできている、人口減少も現実化してきている、そして、なおかつ、やはり
コロナ禍ということで、それぞれの社会に対するやり方、様相も変わってきている状況であります。
こうしたことを含めますと、やはり、
自主財源、特に雪というのは、北海道、特に札幌市においては、どうしても、この対策というのはなくてはならないものであります。
そうしたことも含めて、財政局としても、札幌市全体の問題としてやはり捉えていただかなければならないというふうにも思いますし、何よりも
町内会負担といったものも、これが、100%、町内会の会員が入っていれば、また別ですけれども、現状7割の加入率だとか、少ないところでは5割だとかいったところでは、
受益者負担の公平性という観点からいくと、いかがなものかなというふうに思うところでもあります。
こうしたことも含めて、真剣に、その辺のところの構造の考え方、さらには、しっかりとそうした
受益者負担の公平性を保つ、持続可能な
自主財源確保策をしっかり練っていただきたいと思いますが、これをしっかりやる気でいるのかどうか、そういう考えでいるかどうかというのは大変重要なことであります。
そうしたところで、副市長に、この辺のところを、今重要なこの課題について取り組むのか取り組まないのか、または、それを課題として認識しているかどうかというところの札幌市の見解を、大ざっぱでもいいですけれども、お伺いしたいなというふうに思います。
◎石川 副市長
自主財源の確保に向けてということでございますけれども、毎年の予算編成において、持続可能な
財政運営をしていくためには、日々、
自主財源の確保に向けてのたゆまぬ努力というのはしていかなきゃならないというふうに思っています。
その中で、ご質問のありました特定目的税的なものについて、
コロナ禍に入る前に
観光目的税についてはチャレンジし、今、一旦中止をしておりますけれども、
コロナ回復後にはご説明をしながら回復への軌道をつくっていきたいと思っておりますし、その他の受益と負担の関係については、日々議論を重ね、公平性を確保しながら、どう
自主財源を確保していくかというテーマで、引き続き検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
◆
阿部ひであき 委員 やはり、しっかり、その辺の認識も、以前と比べて大分状況が変わってきて、本当に真剣に取り組まなければならない時期に来ているんじゃないかなというふうに私は思っております。
ぜひとも、その辺のところをしっかり捉えながら、具体的な手法といったもので、この
自主財源の確保に努めていただきたいなということを申し上げて、私の質問を終わります。
◆
ふじわら広昭 委員 私は、税政部に、2020年度
市税決算額への影響と2021年度の市税収入確保に向けた見通しについて、管財部に、
入札契約制度について9項目、1項目めは
成績重視型入札の運用について、2項目めは入札・
契約等審議委員会について、3項目めは
くじ引入札の現状と今後の
総合評価落札方式について、4項目めは
総合評価落札方式の実績1型・2型における
配置予定技術者の評価点の見直しについて、5項目めは入札に関する
工事情報等の公表内容の見直しについて、6項目めは
特定共同企業体として発注する場合の条件について、7項目めは公共工事の
余裕期間制度の本格実施について、8項目めは公共工事の竣工検査について、最後、9項目めは工事における
最低制限価格の設定の見直しについて、以上、各項目ごとに質問をいたします。
初めに、
新型コロナウイルス感染症による2020年度
市税決算額への影響や、2021年度の市税収入確保に向けた見通しについてです。
最初の質問は、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方に対する納税の徴収猶予の
特例制度等による影響についてです。
2020年度の
市税決算額についてですが、
市税収入額は3,354億円で、補正後の予算と比較すると、約11億円、0.3%の増となっています。
新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、特に、
固定資産税、
都市計画税及びたばこ税については、減収幅が大きく、約23億円の減額補正を行うほどの状況でありました。
2019年度決算と比較をしますと、約35億円、1%の減収となり、収入率は前年度決算比0.6ポイント減の98.3%となり、2009年度から改善し続けてきた収入率が、11年ぶりに前年を下回った状況となりました。
これは、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方に対して納税を1年間猶予するという徴収猶予の
特例制度等により、収入額が落ち込んだことが影響していると思います。
そこで、質問ですが、最終的に、
特例猶予の承認件数と猶予税額はどれほどとなったのか、また、猶予を受けた業種別の件数について、併せて伺います。
◎大柿
税政部長 特例猶予の承認件数と猶予税額、業種別の猶予件数についてでございます。
令和2年度課税分につきまして、令和3年5月末時点でございますが、猶予を承認した件数は4,354件、税額は約40億円でございます。
猶予した40億円のうち、税額が大きい50社を業種別に見ますと、運輸・通信業が5割弱、
サービス業が約3割、卸・小売業は2割弱、件数にいたしますと、50社中の6割強が
サービス業となり、宿泊・飲食業の
特例猶予件数が多い状況となっているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 猶予額については運輸・通信業、猶予件数については
サービス業が多いということでありました。
次の質問は、
不納欠損額についてです。
昨年の
決算特別委員会で、我が会派の水上議員が質問しましたが、
不納欠損額は、本市の滞納整理に係る指標の一つであり、会派として注視しているところであります。
そこで、質問ですが、2019年度決算と比較をして、
不納欠損額はどのように推移したのか、伺います。
◎大柿
税政部長 令和元年度と比較した
不納欠損額の推移についてでございます。
不納欠損額は、令和元年度が3.99億円、これが令和2年度は2.19億円となってございまして、前年度比で45%の減少となっており、
不納欠損額は年々減少してきているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員
不納欠損額は着実に減少しているということでありましたけれども、単純時効については、税の公平性の観点からも極力減らすことが望ましいと考えますので、厳格な対応を求めておきたいと思います。
次の質問は、
特例猶予の税額と
収入未済額についてです。
今年8月の新聞報道で、国税においては、
特例猶予を除いた
収入未済額は増加したとの記事がありました。本市の昨年度決算の
収入未済額を見てみますと、約56億円となっており、2019年度と比較をして大幅に増加しております。
そこで、質問ですが、本市において、2021年度に繰り越された
特例猶予の税額が幾らであったのか、また、
特例猶予を除いた
収入未済額の2021年度との比較について、併せて伺います。
◎大柿
税政部長 令和3年度に繰り越された
特例猶予の税額、
特例猶予を除いた
収入未済額の令和元年度との比較についてというご質問でございます。
特例猶予を承認した税額は約40億円でございますが、そのうち、約28億円が、令和2年度中に収入にならず、令和3年度に繰越しになったところでございます。
令和2年度決算の
収入未済額が約56億円でありますことから、
特例猶予の繰越分の28億円、これを除きますと、令和2年度の
収入未済額は28億円となりまして、令和元
年度収入未済額の約33億円から、5億円ほど減少している状況でございます。
◆
ふじわら広昭 委員 答弁では、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた納税者から例年にない4,354件もの
特例猶予の申請があったということも、
先ほど答弁であったわけでありますけれども、それらに対応する一方で、それ以外の部分では、
収入未済額や
不納欠損額についても減らしている状況とのことでありました。
昨年度は、
新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、納税環境が激変した中でも、適切に対応してきたものと思料するところであります。
次は、2021年度の状況についてです。
2021年度に入ってからも、
新型コロナウイルス感染症の影響が大きいところでありますが、
特例猶予は2020年度に限った措置であり、一方で、今年度は、
新型コロナウイルス感染症の影響により事業収入が減少した中小企業等が所有する事業用家屋及び償却資産について、
固定資産税、
都市計画税が軽減される特例措置が導入されました。
特例措置が適用となった方においては、2021年度は、2020年度中に受けた
特例猶予分の納付は必要となりますが、2021年度分の
固定資産税、
都市計画税は、軽減後の額の納付で済むことから、幾らか負担が軽減されることになります。
しかしながら、本市の2021年度大都市税財政制度・災害対策調査特別委員会での答弁によりますと、2021年度の軽減税額については、
固定資産税が約36億円、
都市計画税が約6億円の計約42億円とのことで、その分が減収として本市の市税収入に影響があるとのことでありました。
また、先ほどの答弁にもあったとおり、
特例猶予を承認した約40億円のうち、約28億円が、昨年度中に収入にならず、今年度に繰り越されているということでありました。
これらに加えて、2021年度は、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた昨年の状況に基づいて課税される税目もあり、例年と相当異なる環境下での予算となり、
新型コロナウイルス感染症の影響もいまだに大きくあることから、予算の達成について懸念されるところであります。
そこで、質問ですが、本市として、2021年度市税収入予算の達成についてどのように見込んでいるのか、伺いたいと思います。
◎大柿
税政部長 令和3年度市税収入予算の達成の見込みについてでございます。
今後の収入状況や調定額の状況にもよりますので、現時点で確定的なことを申し上げるのは難しいところではございますけれども、現時点で
特例猶予の繰越分が順調に収入となってございまして、また、令和2年度ほどの収入率の落ち込みが今年度はないというふうに考えておりますので、予算収入額の3,210億円については確保できるものと見込んでいるところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 ただいまの答弁で、
特例猶予分については順調に収入として入っているとのことでありましたけれども、引き続き、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けている方については、猶予期限を迎えるに当たり、どのような対応をされているのか、伺いたいと思います。
◎大柿
税政部長 猶予期限を迎えるに当たり、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けている方への対応についてでございます。
特例猶予の猶予期限の1か月前に納付書を同封したお知らせ文書を送付いたしまして、納税者に周知しているところでございます。
この際、納付困難との相談などがあれば、丁寧に状況を聞き取りまして、一時に納付できないと認められる場合などにつきましては、既存の猶予制度を柔軟かつ適切に適用し、分割納付等により納付していただくなどの対応を取っているところでございます。
一方で、納められる状況にもかかわらず、納めていただけない場合につきましては、通常の滞納整理を行っているところでございます。
◆
ふじわら広昭 委員 要望を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
特例猶予の猶予期限までに納付困難な方への対応については分かりました。
また、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けている方へ、丁寧な聞き取り、柔軟かつ適切な猶予の運用をしていただきつつも、しっかりと予算を確保するよう努めていただくことを要望しておきたいと思います。
次は、
入札契約制度の1項目めの質問の
成績重視型入札の運用についてです。
最初の質問は、3年型への一本化についてです。
成績重視型入札は、2006年7月から試行実施されました。
同入札方式は、入札参加者を、工事成績評定の平均点の良好な企業を、土木、舗装など各工種ごとに上位50%から20%を目安に限定し、当該企業と契約することにより、工事品質の確保を図ることを目的に導入されました。現在は、各工種の成績評定の平均点上位約20者を対象に実施されていると思います。
導入当初は、過去5年間の工事成績平均点を対象とする5年型でスタートし、その後、2012年6月に2年型が導入されました。
私は、この間、5年型と2年型を統合して3年型に統一すべきと提言をしてきたところであります。
その主な理由の第1は、公共工事の品質確保の促進に関する法律、品確法に基づき、各企業が工事施工技術向上に向けた企業努力を日々行っている中で、5年型では、過去5年間で1回のみ工事成績平均点上位20者に入った企業も、複数回対象となった企業も、同じ扱いになっていること、第2は、5年型では、上位20者に入らなければ、5年間、同入札に参加できない現状を改善する必要があること、第3は、2年型では、対象期間が短く、成績重視型導入目的の工事品質の確保を見極めるには課題があることです。
札幌市は、2019年8月から試行的に3年型を導入し、2019年度末で2年型を廃止し、一本化に向けた検証を行ってきました。
2019年9月から翌年8月分までの同入札を見ても、5年型の平均参加企業数は7.9者、落札率は91.32%、3年型は7.4者、91.54%と、型式によって入札参加企業数や落札率に大きな変化はありませんでした。
札幌市が2021年1月に実施した3年型への一本化に向けたアンケート調査の結果でも、3年型に一本化すべきとの回答が27.5%、2年型と5年型の二つの型式を運用すべきは23.7%、どちらでもよいが36.3%でした。
どちらでもよいという回答を除きまして、2020年度の前回調査同様、制度を見直すべきという意見が、現状維持という意見を上回っております。
私は、今年の
予算特別委員会で、今申し上げた経緯を踏まえ、3年型への一本化について、札幌市は決断すべきと質問をしました。
そこで、質問ですが、今年の
予算特別委員会における管財部長の答弁では、3年型への一本化の導入について、入札・
契約等審議委員会からの意見を踏まえ、年度内に判断するとのことでしたが、その後の状況について伺いたいと思います。
◎石井 管財部長
成績重視型入札の3年型への一本化の導入についてですが、今年3月に開催しました入札・
契約等審議委員会におきまして、令和4年8月から5年型を廃止するに当たりましては、廃止により事業者の受ける影響の緩和措置を検討すべきとの意見がありました。
検討の結果、5年型の廃止時期につきましては、影響を受ける事業者の意向を確認した上で、工種・等級別に1年間延長の緩和措置を適用するかどうかを判断することといたしました。
この緩和措置につきましては、今年7月に開催した審議委員会に報告した上で、8月に事業者へ周知を図ったところであります。
◆
ふじわら広昭 委員 答弁では、5年型の廃止時期を、例えば、土木、舗装などの工種並びに等級別に判断するために、意向調査を行うということでありました。
私も5年型の権利を持っている企業に、権利の残余年数を行使するか、放棄するかの意向調査をすることは必要と思います。問題なのは、廃止時期によっては企業として事業計画の見直しを余儀なくされるなど、企業側の負担が懸念されるわけであります。そのためには、なるべく早めに意向調査を行い、5年型の廃止時期を周知する必要があります。
そこで、質問ですが、意向調査の時期についてどのように考えているのか、伺います。
◎石井 管財部長 事業者への意向調査の時期につきましては、当初、来年の4月を予定しておりましたけれども、事業者の事業計画への影響を最小限に抑えるため、年内に意向調査を行いまして、工種・等級別に廃止時期を判断し、令和4年3月末に公表する来年度の発注予定工事に反映することといたしたい、このように考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 要望を申し上げて、次の質問に移りたいと思いますけれども、意向調査によって、各工種・等級別の各企業が5年型の残余年数を放棄すれば、3年型の実施は2022年8月から、1者でも権利を行使する企業があれば、その工種及び等級では、2年後になるかと思うわけであります。
今、年内に意向調査を終えて、3月に公表する新年度の発注見通しに間に合わすということでありましたけれども、できれば、2月から始まります札幌市の早期発注案件にも間に合うように、そしてまた、この説明をし、5年型の権利を行使するか、放棄するかの説明については、各企業にとって重要な判断をすることになりますので、改正の内容が分かりやすく丁寧な説明文書を作成して、対応することを求めておきたいと思います。
2項目めは、入札・
契約等審議委員会についてです。
同審議委員会は、札幌市附属機関設置条例に基づいて設置されております。審議委員会の皆様の審議に、心から敬意を表します。
同審議委員会の所管事務は、工事その他の本市が行う調達に関する入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性並びに本市における政府調達、WTO案件に関する協定の対象となる調達に係る苦情についての審議に関することになっております。
分かりやすく申し上げますと、同審議委員会は、札幌市及び国の政府調達など、現在定められている法律や、札幌市の入札・契約に係る条例に基づいて、入札や契約が行われているのかを審議することが主たる役割となっております。
今回の
成績重視型入札の型式一本化では、制度改正において審議委員会の意見を聴きながら議論が進められてきました。外部専門家の知見を制度設計に反映することは重要ですが、審議委員会の議事録を見ますと、本来、財政局管財部が、議会の質疑を通じ、管財部が判断しなければならない事項も、同審議委員会に提起しているようにも思われるところがあるわけであります。
同審議委員会は、あくまで、現行の法律や条例、規則に基づいて、入札・契約が適切に執行されているかを審議するところであります。
また、年4回という審議委員会の開催を前提に議論が進むと、適宜適切なタイミングで、議会における議論及び企業等の考えを制度に反映することができない弊害が懸念をされるわけであります。
そこで、質問ですが、今後の審議委員会の活用についてどのように考えているのか、伺います。
◎石井 管財部長 今後の審議委員会の活用についてですが、札幌市入札・
契約等審議委員会は、委員のお話のとおり、札幌市附属機関設置条例におきまして設置された附属機関であり、工事等に関する入札及び契約の過程並びに契約の内容の透明性に係る審議等を行うことを目的としております。
成績重視型入札の一本化に関しましては、専門的な知見を持つ第三者の視点を取り入れて公正な入札・契約制度の構築を図る目的から、審議委員会を活用しながら慎重に検討を進めてきたところでありまして、今後も適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 要望を申し上げて、次の質問に移りたいと思いますが、今後の入札制度の改善等は、議会の場でしっかり議論をして、管財部が判断すべきものは結論をしっかり出すというような視点で対応していただきたいと思います。
質問の3項目めは、
くじ引入札の現状と今後の
総合評価落札方式についてです。
2021年度7月末現在の市長部局発注の工事における
くじ引入札の状況は、584件中280件、発生率47.9%となっています。こうした状況は、前年度末の発生率42.2%と比較しても、今年度は、年度途中でありますけれども、5.7ポイント高くなっています。
また、工種別では、土木工種が66.7%、下水道工種では65.8%と、前年度末の土木工種65.8%、下水道工種53.8%より非常に高い割合となっており、落札するかどうかはくじ運任せと言える状況になっています。
こうした
くじ引入札のほとんどが
最低制限価格と同額で発生している状況は、企業の経営努力が見積金額に反映されず、適切な競争環境とは言い難い状況になっていると言えます。
そこで、質問ですが、
くじ引入札に対して札幌市はどのように考えているのか、また、どのように改善しようとしているのか、併せて伺います。
◎石井 管財部長 まず、1点目の
くじ引入札の現状に対する認識についてですが、くじ引自体は、法令に定められた適正な手続であると認識しております。
しかしながら、くじ引となる案件の多くが
最低制限価格、または、その付近での応札となっており、くじ運に左右される状況が多発することは、事業者の経営環境の観点からも、決して好ましいことではないと考えております。
2点目の今後のくじ引対策の見通しについてですが、これまで、工事の品質確保の観点に加え、くじ引の抑制が期待できる
総合評価落札方式の拡大を図ってきたところであります。
関係団体からは、くじ引抑制に対する継続的な要望があることから、
総合評価落札方式の拡大も含め、他都市の事例なども参考に、より効果的な方法について、引き続き調査研究してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 答弁では、くじ引は法令でも認められている、しかし、好ましくはないと。その対策として
総合評価落札方式を拡大してきたという趣旨の答弁がありました。
一方で、品質確保の観点からも、
総合評価落札方式のさらなる拡大の取組は重要であると言えます。
私は、アクションプラン作成の都度、5%程度アップする拡大をするのではなくて、中長期的な視点に立ち、例えば、今後10年後に総合評価と成績評価型で最低でも70%程度の目標値を設定し、企業にもそのための準備をしていただくべきだと思います。
現在のアクションプラン2019では、2022年度までの目標値として20%を掲げていますが、2023年度以降の数値目標についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。
◎石井 管財部長
総合評価落札方式の拡大についてでありますが、札幌市では、ここ数年、履行品質の確保とともにくじ引抑制が期待できる
総合評価落札方式の適用件数を増やし、工事においては、発注案件に占める割合が目標値の20%を達成したところであります。
しかし一方で、
総合評価落札方式の早急な拡大は、技術力の高い一部の企業に受注が偏ってしまう、このような課題もあると認識しております。
令和5年度以降の数値目標につきましては、現時点では設定しておりませんが、一般的な価格競争入札との発注バランスに配慮をしつつ、検討してまいりたいと存じます。
◆
ふじわら広昭 委員 確かに、答弁にあるように、その企業によっても、いろいろな技術力には格差があることは当然であります。
私は、以前の予算・
決算特別委員会でも、竣工検査の際に、ただ単に工事成績だけを点数化するのではなくて、やはり、次の工事に向けて、どこが良かったのか、どこをきちっと改善すべきなのかという、そうした取組をすべきだということで、一時期、試行をした経緯があるわけであります。そうしたことをしながら、企業と行政が力を合わせてそれぞれの役割をしっかり図っていくことが、そうした技術力をアップすることになります。
私も、次のアクションプランの中で、いきなり70%にしようとは考えておりませんし、思ってもおりません。しかし、札幌市の中長期的な展望がどこにあるのかということをしっかり企業に早く示すことが、そうしたことにつながっていくのではないかというふうに私は考えておりますので、今後、できるだけ早い時期までに、国や北海道の水準に引き上げるように準備を進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
質問の4項目めは、
総合評価落札方式の実績評価1型・2型における
配置予定技術者の評価点の見直しについてでございます。
国が実施しています
総合評価落札方式のうち、札幌市の実績評価型に相当する型式は施工能力評価型ですが、国の評価項目では、監理技術者と現場代理人とを区別せず、同じ配点となっております。
札幌市の
総合評価落札方式、実績評価1型・2型の技術評価における
配置予定技術者の評価については、監理技術者の従事経験者の配点は、実績評価1型で2.5点、2型で2.0点なのに対し、現場代理人のみの従事経験者、その他の配点は、1型、2型ともに0点となっているわけであります。このため、総合評価方式の工事を受注するに当たり、特に評価点が高い監理技術者の従事経験者を配置することが有利となるわけであります。
しかしながら、監理技術者の高齢化等による減少や、監理技術者の優位性から、他社への転籍など、その確保は非常に難しくなっております。
そこで、質問ですが、
総合評価落札方式の技術者評価で、監理技術者と現場代理人の評価点を区別している理由は何なのか、まず伺いたいと思います。
◎石井 管財部長 技術者等に関する評価配点の区別についてですが、まず、国は、配置しようとする技術者の評価より先に、同種工事に係る事業者の施工経験に着目をし、施工内容の同種性を重視した上で、従事する技術者等を評価しております。
一方、札幌市は、技術者の熟練度に着目し、過去に事業者が経験した同種の工事に評価対象の技術者がどの立場で関与したかを評価して配点しておりまして、国とは評価の視点が異なるところであります。
◆
ふじわら広昭 委員 視点が違うからというだけで、こうした問題を放置しておくのは、私はいかがなものかと思います。
国も道も札幌も、規模や内容は多少違いますけれども、同じような公共工事をやっているわけであります。以前からも指摘してきたように、建設業に、若い方でも就職をするということは非常に難しい状況になっているわけであります。
監理技術者になるためには、すぐになれるわけではありません。国家資格の1級試験を取ったり、学歴や実績を踏まえていかなければならないわけであります。
企業は、様々な努力をしているわけでありますけれども、技術のそういう観点からも必要でありますけれども、国の評価項目や札幌市の評価項目を見ると、部長の答弁のように、同一種の内容の工事というような表現、似たようなところが出ているわけであります。
ですから、国などにおいても、現場代理人がいきなり監理技術者と同じような工事にすることについては、やはり懸念があるので、例えば、現場代理人として、同一種のような工事に2件以上従事した実績がある場合には、監理技術者と同じようにそこに配置する場合には、現場管理者も同じ点数とするというルール化をしているわけであります。
そうした特例などを札幌市においてもしっかり取り入れていかないと、やはり、がんじがらめにしちゃうと、たくさん技術者がいるところにはかなわないわけでありますから、そうした取組をぜひしていただきたいというふうに思うわけであります。
そこで、質問でありますけれども、今、国の機関では、監理技術者と現場代理人の配点を同一にしておりますけれども、今申し上げたように、現場代理人が同工種の実績が2件以上となっている条件もついているわけであります。
国などの機関と同様に、条件をつけて監理技術者と現場代理人の評価点を同じにすべきだと思いますが、見直す考えはないのか、改めて伺いたいと思います。
◎石井 管財部長
配置予定技術者の評価点の見直しについてですが、実績評価型では、熟練した技術者を配置する場合に高く評価しておりますが、今、委員からもお話がありました深刻な
担い手不足によりまして、事業者が適切な技術者の配置に苦慮している現状は認識しております。
仮に、それによりまして、実績評価型の参入を断念する事業者の割合が多い状況であれば、入札の競争性の観点からも好ましくないと考えているところであります。
配置予定技術者の評価点の見直しにつきましては、国や他の自治体の動向を踏まえつつ、まずは実態把握に努めてまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 想定された答弁で、いつも調査をする、調査をしたりすることは大事ではありますけれども、例えば、監理技術者は、国のそういうルールによりますと、国や地方自治体が発注する工事で、土木工事では3,500万円以上の工事、また、建築工事では7,000万円以上の工事の場合には、監理技術者を配置しなければならない。しかし、札幌市の場合には、それ以下の工事もたくさんあるわけでありまして、その場合に、監理技術者を多く抱えているところは、実績1型・2型で出た場合に評価点が高く得られるために、監理技術者を配置していくわけであります。
ですから、現場代理人でも、先ほど言ったように、条件をつけて、同じような土木工種の内容の工事を経験した実績があれば、加点をしていくということをしっかり受け止めて、調査することは必要でありますけれども、早期にそうした判断をしていただきたいというふうに求めておきます。
質問の5項目めは、入札に関わる
工事情報等の公表方法についてです。
企業は、いち早くその時々の入札等の動向を捉えた体制を整えております。また、価格競争から成績重視型や
総合評価落札方式に対応するため、工事成績点をはじめ、企業評価を上げるために、技術の研さんや若手技術者の雇用、育成を図り、様々な取組を進めていると思います。
しかし、企業側の技術や評価を受ける準備がそろっても、残念ながら、札幌市の入札の中で、価格競争のみの一般競争入札案件が全体の7割を占めている現状では、それらを入札に生かす工事案件が限られているわけであります。それでも、会社の経営を維持するためには、確率の低いくじ引に参加しなければならないのが実態であります。
現在、入札に関わる工事情報は、1月末の早期発注分と、3月下旬に翌年度に発注する工事を公表しており、それ以外は、2か月ごとに更新をされているわけであります。
例えば、今年8月の水道局の発注工事を見ますと、入札参加条件は、2社または3社による
特定共同企業体となっておりました。
特定共同企業体の結成には、双方の企業の技術者、従事者等の確保が前提となります。多くの企業は、春先に技術者などの在籍数が多く、比較的余裕がありますが、夏場以降は工事現場も最盛期となり、技術者等の確保は非常に厳しい状況となっております。
企業に入札参加意欲はあっても、特に夏場以降の
特定共同企業体による工事発注では、各企業の条件を満たすことは難しい状況になっているのではないかと思います。
この工事に参加しようとする発注方式の条件であります
特定共同企業体の構成数及び企業の等級は、入札の告示で初めて判明をして、それから約2週間後に入札となるわけであります。幾ら入札に参加意欲があっても、2週間という短期間に、各企業の技術者の有無や、各企業の資格等や、相手側の企業との合意などに時間を要するなど、対応に苦慮している状況にあるのではないかと思うわけであります。
そこで、質問ですが、企業の受注計画等に最低限必要な発注方法や工事情報など、例えば、
特定共同企業体方式や総合評価などのことについては、できるだけ正確な情報を公表すべきだと思いますが、どのように考えているのか、伺いたいと思います。
◎石井 管財部長 入札に関する
工事情報等の公表内容の見直しについてでありますが、工事の発注見通しに関する情報は、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律等において項目が定められております。
また、公共工事の品質確保の促進に関する法律等に基づく発注や、施工時期等の平準化の取組といたしまして、北海道開発局、北海道、札幌市と統合して公表しているところであります。
公表する項目自体は、法令により定められていることから、既存の項目の範囲内となりますが、見直しを進めてまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 ぜひとも、そちらからいただいた資料でも、新年度に向けた工事発注予定表がありますけれども、そうした概況というのか、そういう欄がありますので、そこに、総合評価とか、特定企業体とか、そうした表示をしていただければと思います。
受け入れる、それを見る企業の側も、必ずしも、そうなることが、願ってはおりますけれども、いろいろ発注部局の都合とかで取消しになったりすることもありますので、それは一定の理解が得られるのではないかなというふうに考えております。
質問の6項目めは、
特定共同企業体として発注する場合の条件についてであります。
現在、札幌市の工事等共同企業体取扱要綱では、
特定共同企業体の対象となる設計金額は、土木及び下水道工事で約4億円以上が対象となっています。建築は6億円以上、その他の工種は2億円以上となっております。
しかし、この設定金額は、2007年に改正をしたというふうに受け止めておりますけれども、そうすると、14年経過しており、効果を見極めた上で見直しが必要かと思います。
そこで、質問ですが、企業の技術力及び物価、経済状況等を考慮し、設定金額を見直すべきと思いますが、どのように考えているのか、伺います。
◎石井 管財部長 設定金額につきましては、まず、委員のお話のとおり、平成19年9月の要綱改正によりまして、土木及び下水は4億円、建築は6億円、その他の工種は2億円以上の工事を対象としておりまして、また、工事特性等につきましては、工期、内容、技術的特性等を総合的に勘案することとしているところであります。
金額の見直しについてでありますが、
特定共同企業体は、規模の大きい工事や技術的難度が高い工事等に対して、発注しておりまして、現行の設定金額の妥当性につきましては、国、北海道、他都市の現状を確認してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 先ほどの
工事情報等の内容見直しについては、改善する旨の答弁は一定の評価をしますけれども、
特定共同企業体の結成は以前より厳しい状況を踏まえ、発注方法の見直しが必要と思います。
それは、なかなか通常の一般競争入札や、中でもくじ引が多発している中で、なかなか、幾ら
特定共同企業体といえども、企業のいろいろな内部的なノウハウ、そうしたものをきちっと取り扱っていかなければならないという業界内部の悩みもあるわけであります。
そこで、質問ですが、他都市の状況なども調べることはよいわけでありますけれども、今後、工事の内容によっては、
特定共同企業体によらない分割発注による単体企業として、
総合評価落札方式も含め、発注方法の見直しを検討すべきと思いますけれども、どのように考えているのか、伺います。
◎石井 管財部長 発注方法の見直しについてですが、
特定共同企業体としての発注につきましては、設計金額と工事特性等の二つの要件を勘案し、各発注部局で検討することとしております。
統一的な運用となるよう、
特定共同企業体での発注状況や応札状況などを確認の上、発注部局と協議してまいりたいと存じます。
◆
ふじわら広昭 委員 建物を造る場合には、なかなかそういう分割とかは難しいんですけれども、管工事とか、十分対応できるものはあると思いますので、ぜひとも発注部局と調整をしていただきたいと思います。
次の質問、7項目めは、工事の
余裕期間制度、フレックス工期制の本格実施についてです。
同制度は、柔軟な工期設定等を通じて、受注企業に技術労働者や建設資材等の確保を計画的に準備するなどの時間的な余裕を与え、受注企業が自ら工期を設定することにより、効率的で円滑な施工が可能となり、技術者、建設作業員及び機材等の平準化を図ることができるよう、発注者があらかじめ設定した全体工期内で、受注企業が実際に工事等を実施する期間を任意に決定する仕組みであります。
国においては2016年6月から、北海道は同年4月から、本格的に運用を始めております。
札幌市は、2018年1月に札幌市
余裕期間制度試行要領に基づき、今年8月までの4年間で、土木工種で230件、舗装工種で109件、下水道工種で87件、塗装工種で40件、合計466件で実施してきております。
特に、ここ数年、早期発注の工事件数が増加する中、年度末に竣工するほかの工事の受渡しよりも早期発注工事の着手日が先になる場合、この制度を運用することで、同一技術者等を両工事に配置することが可能となり、人材の確保、適正な配置、円滑な施工など、効果が大きいと思います。
そこで、質問ですが、札幌市は、これまで、試行で工事全体の運用となっておりませんが、これまでの試行の結果、どのように評価しているのか、まず伺いたいと思います。
◎石井 管財部長 フレックス方式の試行状況及び評価についてですが、人材、資機材の効率的な活用や担い手の処遇改善などを目的として、平成30年2月から試行的に実施してまいりました。
委員からもお話はありましたけれども、これまでの適用件数を申し上げますと、平成30年度は9件、令和元年度は106件、その後、順調に適用件数を拡大し、令和3年度は7月末時点で198件に適用しております。
事業者の理解も進み、人材、資機材の効率的な活用や担い手の処遇改善に効果があったものと認識しております。
◆
ふじわら広昭 委員 工事の
余裕期間制度は、受注企業にとっても大きなメリットがあり、国や北海道では、先ほど申し上げましたように、2016年度から本格実施をしております。
企業にとっても大きなメリットがありますので、同制度を、札幌市においても、早期発注分を含め、早急に本格実施すべきと思います。
そこで、質問でありますけれども、工事の
余裕期間制度、フレックス方式の本格実施についてどのように考えているのか、伺います。
◎石井 管財部長 フレックス方式の本格実施に向けた見通しについてですが、導入から3年以上が経過し、人材、資機材の効率的な活用等に効果が期待できることから、関係部局と協議を行いながら、本格実施に向けて検討を進めてまいりたいと存じます。
◆
ふじわら広昭 委員 もう一度、再質問しますけれども、本格実施というのは、全部の工事案件にするのか、ある程度の条件設定をするのか、その辺は何かお考えをお持ちなんでしょうか。
◎石井 管財部長 条件設定等も含めまして、まずは、関係部局と協議を進めながら、詳細については検討してまいりたいと思います。
◆
ふじわら広昭 委員 ぜひともフレックス方式の導入を拡大していただきたいというふうに思うわけであります。
次は、質問の8項目め、公共工事の竣工検査についてです。
これは、先ほどの質問とも関連をするわけでありますけれども、現在、札幌市では、竣工検査は、工事受注企業から工事の完了届が提出されてから、おおむね2週間前後に実施をしております。同検査のほとんどは、発注時期に示された工期の終了期間間際となっているのが現状であります。
さきのフレックス方式でも、部長の答弁にもありましたけれども、どの程度の本格実施というか、適用にするのかということが課題になります。全部するのであれば、こうした竣工検査を弾力的に行うということは、あまり必要がないんですけれども、フレックス方式がある程度限定的な工事に絞られてきますと、早く工事を竣工した企業にとっては、技術者を次の工事に回すために、しっかりとした準備をするためにも、早く完了届を出して工事の竣工検査をお願いしたい、そういう気持ちがあると思うわけであります。
そこで、質問でありますけれども、技術者の効率的な活用と入札機会を確保する観点から、早期に現場が完了した際は、臨機応変に対応するルールというのがいいのか、また、以前に議会でも求めてきた、設計変更をする際に、財政局長の通達など、もしくは、部長の通達によって、きちっとした対応をするようにということを求めて実施をされてきていると思うんですけれども、そうした形を取らないものなのかどうか、伺いたいと思います。
◎高松 工事管理室長 ただいまの公共工事において早期に現場が完了した場合の対応についてお答えします。
建設工事では、施工体制や作業の効率化など、受注者の努力や天候状況などによりまして、契約工期よりも早く竣工が可能となる場合がございます。その場合には、受発注者間で協議を行い、現場の状況等を確認した上で、適宜、竣工を認めているところでありますが、工事ごとに状況が異なりますことから、統一的にルールを定めることは困難であると考えております。
一方、委員がご指摘のとおり、技術者などの人材の効率的な活用は、現在の人手不足への対応として重要でありますことから、工事発注部局に対し、受注者との連携を密にして、速やかかつ適切な時期に竣工検査を受けるよう周知徹底を図ってまいります。
◆
ふじわら広昭 委員 ぜひ、そうした弾力的に取り組んで今もいらっしゃると思いますけれども、さらに取組をして、企業の参入機会を増やしていただきたいと思います。
次は、最後、9項目めの工事における
最低制限価格の設定の見直しについてです。
私は、この間、予算・
決算特別委員会での積雪寒冷地の大都市札幌の建設業を経営面及び技術者の育成、建設作業員の雇用確保をはじめ、冬期間の除排雪体制や自然災害による復旧作業等に対応するために、建設業の経営体力を維持・向上していくためには、札幌市の特殊性を考慮し、公共工事における
最低制限価格の早期引上げを取り上げてまいりました。
昨年の
予算特別委員会における管財部長の答弁は、2020年度より試行実施する公共工事の賃金実態調査を実施し、労働者の労働環境などを踏まえた上で総合的に判断をしていきたい、今年の
予算特別委員会における、同じく管財部長の答弁は、昨年10月の賃金実態調査を精査し、これに加え、今年の秋頃までに、事業者の経営環境、落札率の動向、国や他都市の動向などの分析を終え、総合的に判断するということでありました。
そこで、質問ですが、工事における
最低制限価格の設定の見直しについてどのように判断しているのか、伺います。
◎石井 管財部長 工事における
最低制限価格の設定の見直しについてですが、公共工事におきましては、中長期的な発注量の確保が見込まれており、公共工事を中心とした建設業者への影響は少ないと考えられます。
また、札幌圏の建設技術者の有効求人倍率は平均値を大幅に上回っている状況、要するに人手不足という状況の中、設計労務単価は毎年上昇しており、賃金確保の費用も手当てされているところであります。
加えまして、札幌市の
最低制限価格は、国、北海道を上回る水準にあり、国、北海道において、見直しの動きは見られないところであります。
これらの状況から、工事における
最低制限価格につきましては、現時点では見直す時期にはないというふうに考えております。
引き続き、落札率の推移を見極めつつ、国や他の自治体の動向、労働環境や事業者の経営環境の状況などを考慮しながら、総合的に判断してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 再質問いたしますけれども、今は上げるような状況にはないということでありました。労務賃も上がっている、北海道や国よりも高い水準にあるということでありました。
しかし、これは、そうした政策的な判断の問題でなくて、札幌市の特殊的な状況の中で、札幌市の除排雪や災害時に協力をいただいている企業を、将来ともにしっかり守っていく、確保していくということの政治的な判断が必要だと思うわけであります。そういう視点で、市長も公約の中にこうしたことを盛り込んでいるんだというふうに思うわけであります。
部長が、実態、その賃金のほうの角度から必要ないと言うのであれば、逆に、賃金や様々な状況が、そちらの調査のものに基づいてどのように変化すれば、上げざるを得ないと考えているのか、具体的な数字を挙げて明らかにしていただきたいと思います。
◎石井 管財部長 具体的な数字ということではなくて、総合的に判断するということであります。
委員がおっしゃるとおり、建設業界、いろんな課題を抱えているということは承知しておりますし、また、
最低制限価格の見直しにつきましても、関係団体からの要望もありますし、期待が大きいということも認識しているところでありますので、見直しの時期も含めまして、今後もしっかりと検討してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 今から2年か3年前だと思いますけれども、急に国土交通省が2月になってから直工費を引き上げるという通知をしてまいりました。
札幌市も、そのときから上げる検討を現在までしてきているわけでありますけれども、それから2〜3年、年を明けると、たつわけでありますから、国もまたそういう判断をする可能性もあるわけであります。
私は、国が上げたから札幌市はしないというのか、やはり、札幌市の特殊性を考えるのであれば、少しでもしっかりとした判断をすべきと思うんですけれども、来年、例えば2月ぐらいに国から通知があった場合に、札幌市は上げないのか、あるいは、それに加えて、少し上げるのか、その辺、そうした場合にはどういう判断をするのか、伺いたいと思います。
◎石井 管財部長 国が見直しを実施した場合ということでありますけれども、先ほど申し上げたとおり、現時点では国の見直しの動きは見られないところでありますが、仮に年度内に見直しが実施された場合は、その目的であるとか、その内容等を確認した上で、札幌市独自の見直しの必要性、これにつきまして検討してまいりたいと考えております。
◆
ふじわら広昭 委員 ですから、私は、総合的にという中にも、それも入るのかもしれないけれども、ただ単に賃金やそうしたものだけではなくて、しっかりとしたこれからの札幌市のまちづくりを担っていく上で、必要な建設業の確保に向けて、必要だと思うわけであります。
要望を申し上げて終わりますけれども、札幌市の全体の工事発注件数は、昨年度で1,221件、契約総金額は約1,011億円となっておりますけれども、先ほど部長の答弁にあった賃金実態調査は、その僅か10件程度の工事を対象として調査をしているわけでありまして、その程度の現状把握では、なかなか正確に、上回っているとか、上回っていないという判断をするには、私は足りない数字だと思います。
そうした観点から、市長の公約であります。市長の任期は、年を明ければ、あと1年しかないわけであります。
最低制限価格を、令和4年度、2022年度の途中から上げるということもあり得るけれども、それは、先に発注した旧価格の率と途中からの率では、やっぱり不公平が生じてくるので、もしやるんであれば、来年の4月1日からの工事または早期発注分も含めて対応するという判断が必要となるわけでありますけれども、市長の公約の観点からも、これは、新型コロナウイルスとか経済対策ということではなくて、将来の札幌市のまちづくりを担っていく、災害にしっかり対応してもらうために、札幌市独自の判断として、市長に政治決断をしていただくことを強く求めて、質問を終わります。
◆小口智久 委員 私からは、入札制度改革について、設計等の業務に特化して質問をいたします。
設計業務は、工事スタート前に行う大変重要な知的労働を主とする業務となりますけれども、まず、設計業務における
総合評価落札方式の導入状況及び効果について伺います。
本年7月、開発局の設計業務をめぐる官製談合事件が明るみになり、指名競争入札が談合の温床となっていた可能性があるとの報道がありました。
札幌市においては、新たな入札制度にかじを切っており、談合の可能性は低いと言えますが、今の入札制度に課題がないわけではありません。
これまで、札幌市が発注する設計業務は、解析業務が少ないためか、
最低制限価格付近での競争が多く、くじ引によって落札者を決定することが多々ありました。そのため、企業としては見通しが立たず、人材の採用や育成、思い切った設備投資ができないといった問題が生じております。
その解決策の一つとして、
総合評価落札方式が令和元年8月から導入されました。この入札方法は、くじ引の抑制が期待でき、令和2年度に初めて通年での導入がなされました。
そこで、質問ですが、令和3年度に発注した設計業務に関し、
総合評価落札方式を適用した案件とそれ以外の一般的な価格競争による案件について、それぞれの件数及びくじ引の発生状況について伺います。
また、
総合評価落札方式の導入前と比較した効果について伺います。
◎石井 管財部長 まず、1点目の設計業務における
総合評価落札方式の導入状況についてですが、令和3年7月末時点の数値になりますが、市長部局における設計業務の発注件数は167件、そのうち、一般案件が149件、
総合評価落札方式を適用した案件は18件となっております。
くじ引の発生件数は、一般案件では95件となっており、発生割合は56.9%、前年同月の61.3%を下回る結果となりました。
なお、
総合評価落札方式におきましては、くじ引は発生しておりません。
次に、2点目の設計業務における
総合評価落札方式の導入効果についてですが、設計業務に
総合評価落札方式を導入する以前は
くじ引入札の発生割合が70%を超える状況でありましたけれども、導入後は50%台まで減少していることから、くじ引を抑制するために有効であるものと認識しております。
今後、その効果を見極めながら、さらなる拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
◆小口智久 委員
総合評価落札方式を導入して非常に有効だということで、さらなる拡大を目指すという答弁でしたけれども、発注件数の総数が変わらないという中で、
総合評価落札方式を拡大すると、先ほどの答弁にもちょっと似たところがありましたけれども、一般的な価格競争の件数が減少するため、その結果、価格のみの競争が激しくなる、さらにくじ引での落札が増えてしまうのではないかという懸念がございます。バランスが崩れるということでございますけれども。
したがいまして、このバランスをよくよく考慮して、効果を見極めながら推進するとともに、他の手法も並行して、くじ引対策を検討するように要望いたします。
次に、業務における
最低制限価格の設定の見直しについて伺います。
品確法では、設計等の業務においても、担い手を中長期的に育成、確保するために、適正な利潤を得ることができるよう、ダンピング受注を防止する
最低制限価格の設定など必要な措置を講ずるものとされております。
そこで、質問ですが、業務における
最低制限価格の設定状況について伺います。
◎石井 管財部長 業務における
最低制限価格の設定状況についてですが、設定金額が6,000万円未満の測量業務、地質調査業務、設計等業務において、
最低制限価格を設定しております。
算定方法につきましては、積算時の各費目に対して一定の率を乗じて得た額の合計額としております。
令和3年7月末時点の件数を申し上げますと、測量業務は97件、地質調査業務は8件、設計等業務は6,000万円以上の案件1件を除く166件に
最低制限価格を適用しており、平均落札率は82.43%となっております。
なお、工事について申し上げますと、同時期の平均落札率は90.85%となっております。
◆小口智久 委員 工事が90.85%で業務が82.43%ということでございまして、積算体系が違うために単純に比較ができないと。品質、一律、掛け算がそれぞれ違うということなんですけれども、係数がですね。比較はできないということで、私も認識はしておりますけれども、工事と比較して、業務の落札率が低いということでありますから、受注者としては利益率が低く、事業者からは、職員の処遇改善、研修への出席などスキルアップの充実、資格の取得などはとても重要で、業務の方は資格を取得しなきゃいけないですから、また、デジタル化に向けた設備の導入、そういった将来に向けた投資ができない、その声も多々聞いております。
業界全体として適正な利潤を確保できないのであれば、先ほどの工事での
最低制限価格のことはありましたが、業務についても、
最低制限価格の引上げが必要と考えます。
そこで、質問ですけれども、業務における
最低制限価格の設定の見直しについてどのように考えているのか、伺います。
◎石井 管財部長 業務における
最低制限価格の設定の見直しについてですが、公共工事の中長期的な発注量は安定的な確保が見込まれ、設計等業務への影響は少ないと考えられることや、現在、札幌市の
最低制限価格は、国、北海道を上回る水準にあることなどから、現時点では見直すタイミングにはないと考えております。
引き続き、落札率の推移、国や他の自治体の動向、事業者の経営環境の状況等を注視しつつ、調査研究を続けてまいりたいと考えております。
◆小口智久 委員 先ほどのふじわら委員への答弁と似ている感じはしましたけれども、私もこの業界出身、業務技術者でございますので、その現場としては、やっぱりかなりお金のかかる仕事が多うございます。
今回、物理学賞を取った、温暖化のシミュレーション、モデリング、ああいうことについても、何か身近な感じだななんて思って、あそこまで高度なモデリングを利用したことはないですけれども、簡単なモデリングをコンピューターではじき出しながら、様々な設計に落とし込んでいく、そういうことをするのにも、見えないところでかなりいろんなお金がかかってくるわけでございます。
現状は引上げのタイミングにないということなんですけれども、引き続き、事業者の経営環境、業界の要望などを適切に把握して、見直しのタイミングを逃さないようにしていただくことを要望して、質問を終わります。
◆太田秀子 委員 これまでの質疑の中で、税収ですとか、
自主財源ですとか、市税の特例徴収猶予など、いろいろと質疑がありました。
コロナ禍の中で本当に弱っている家計とか事業所とか、そういうところに体力がついてこそ、税金が納められると、それがまた大事だという視点で、私は質問をしていきたいと思います。
決算について質問します。
一般会計の決算、歳入決算の概要を見ますと、国庫支出金が昨年度比102.1%増、約2倍ちょっとになっています。これには、国の補正で組まれた
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金230億円、そして、特別定額給付金1,972億円などが含まれています。
臨時交付金と協力要請推進分は、国庫支出金として一般会計に入り、臨時交付金の使い道は、自由度が高く、国の事業の上乗せや自治体の事業に使えます。例えば、本市でも、学校における感染症対策備品購入などは、もともと国の補助が50%あり、市が50%出していましたけれども、その本市分の50%にこの交付金を使っています。財政調整基金の支消分を基金に積み戻しても、翌年に繰越しをしてもいいとされています。
本市の230億円は、令和2年度、国が3度の補正予算で計上したうちの通常の1次と2次の2回分であり、3次補正分は、令和3年度に繰り越されています。
ここで、伺いますが、令和2年度の臨時交付金から令和3年度に繰り越した金額と、令和2年度で使わずに繰り越した理由を伺います。
◎中澤 財政部長 臨時交付金の令和3年度への繰越しの額と、その理由についてとのご質問でございます。
令和2年度からの繰越事業費のうち、
新型コロナウイルス感染症への対応分として繰り越しました事業費が264億円ございまして、その財源として計上しました
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の金額は97億円となってございます。
そのうち、31億円については、休業要請等に応じる飲食店等に対しまして協力支援金を支給します飲食店等感染防止対策協力支援費に充当しまして、残る66億円は、その他のコロナ対策関連事業費に充当するものでございます。
また、繰越しの主な要因でございますけれども、国の予算措置が年度末となりましたことや、市内宿泊促進キャンペーン費などのように、感染状況を踏まえて事業の実施時期を判断する必要がありまして、令和3年度に実施を先送りしたということによるものでございます。
◆太田秀子 委員 続いて、伺いますが、臨時議会などで財政調整基金を取り崩すこと、臨時交付金から基金に積み戻すことなど、報告を受けてきましたけれども、決算では、財政調整基金から支消を予定していた合計102億円は、その全額を取りやめています。
さらに、実質収支118億円から60億円を積み立てましたので、令和2年度末、財政調整基金は319億円となりました。
ここで、伺います。
決算の概要には、予算の執行状況を勘案し、予定していた財政調整基金の支消を全額取りやめたとありますが、この予算の執行状況について、具体的にお聞きします。
◎中澤 財政部長 令和2年度予算の執行状況についてのご質問でございます。
委員のご質問にもございましたとおり、令和2年度決算におきましては、予算計上した財政調整基金の取崩しを行うことなく、実質収支が118億円となったところでございます。
予算から収支が好転しました要因ですけれども、まず、一つ目としましては、歳入が予算を上回ったということによるものでありまして、市税と地方消費税交付金、これらの減収幅が想定を下回ったということによりまして、市税では11億円、地方消費税交付金については10億円、予算よりも増となりましたほか、
地方交付税についても、見込みを上回ったことによりまして、5億円の増となったところでございます。
それから、二つ目としましては、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う歳出の減少によるものでございまして、主なものとしましては、市民の外出自粛に伴う福祉サービスの利用減が55億円、また、中小企業金融対策資金の利用、こちらも想定を下回ったことによる歳出の減が28億円、こういったものがございます。
また、その他の要因としましては、少雪による除雪費の減が11億、私立保育所運営費も見込みとの差が生じたということで14億円の減、こういったものなどがその要因となってございます。
◆太田秀子 委員 決算の全体で、増えたものもあったり、減ったものもあったりして、結果、基金は取り崩さなくてもよかったということです。
今伺っていて、雪が少なかったことで、札幌市としては11億円、支出が予定していたよりも減ったと。裏返しますと、雪が少ないことで、除雪の業者さんは収入が減って本当に困っているというお話も聞きました。それから、福祉サービスの利用が減って、55億円ほどというお話でしたけれども、やはり、介護事業所は、その利用者さんが外出を控えることでサービスの利用を控えたため減収になっていたと。まさに表裏一体といいますか、そういう状況であります。
コロナで生活や営業が大変な年ですから、いつもの決算と同じでいいのかと思うんです。といいますのは、使う予定だった基金は使わないで済んだではなくて、やはり、本市独自の事業に活用できたのではないかと。なぜ、そのような対応にならなかったのかと思います。
我が党のこのたびの代表質問で、国や道が行う支援策に上積みをするなど、独自支援に踏み出すべきと求めたところ、市長は、協力支援金や減収補填は全国的な課題で、国において総合的に検討、対応すべきものだと、国に要望していると答弁されました。独自支援策は考えていないということだと私は受け取りました。
国に要望することは、もちろんとても大事なことです。しかし、要望だけでは、現時点では事態は悪化していく一方で、市民の暮らしは待ってはくれません。暮らし向上のためにできることをする自治体の役割を、国の次ですとか、後回しにしては駄目だと思うんです。
ウイルス感染症は、感染症学の世界では災害とみなす考えが半ば常識とされています。災害としてのウイルス感染症への対応は、国には、WHOとの連携など外交的対応と、医療、ワクチンなどに最終責任を負うこと、そして、地方自治体のコロナ対策を行財政面から保障する役割があります。
同時に、同じコロナ感染が全国で広まったとしても、感染するのは一人一人の住民ですし、発生する場所は地域ですから、例えば、札幌などは、3次産業が多いと、
サービス業が多いと、そういう特徴などがありますので、やはり地域に合った支援で解決する主体は市町村にしかありません。国の事業を実施するだけの役割ではなく、地方にとって必要なことを地方自らが決めて実行する役割です。
災害の場合は、このたびのように災害時だけの政策対応ではなくて、その後のケア、生活・営業再建をどうするかという事後対応が重要になります。しかも、どんな災害を見ても、社会的弱者ほど被害は深刻ですから、国の事業なども、市民にとって効果の高い事業だったのか、十分だったのか、常に検証をして、使えたお金は本市として使うべきでした。感染対策を緩めることなく、経済の回復を目指しながら、地域の実情や市民のニーズに合った事業を、補正予算を組んででも行うべきです。
昨年行ったプレミアム付商品券は、1万円で購入すると、1万2,000円分買物ができる商品券でした。しかし、その1万円が家計から出せない、買いに行けなかったなど、また、大手の商業施設やコンビニなどで利用することが多くて、地域の商店には、なかなかその利用は少ないと、そういう意見もありました。ですから、効果は一部にとどまったと思っています。
求められているのは、例えば、商品券ならば、金額は大きくなくても、購入不要の商品券を配付する、そして、問題になっている生理の貧困、コロナでもっと貧困になっていますから、生理用品の無料引換券を配付して、自分の体に合った商品を選んでもらうなど、このように苦しんでいるその思いに届く事業が必要ではないかと思います。
大学や専門学校が多い本市には、バイト収入や親の収入が減って、食べることもままならない若者がいます。学業の継続困難に直面する学生が急増していることは、周知の事実です。民間のフードバンクなどが支援を続けていますけれども、民間任せではなくて、本市がもっと支援をしなくていいのでしょうか。
上下水道料金、公営住宅の家賃、給食費などの減免、これらは、臨時交付金の活用可能な事業です。せめて、おうち時間が増えて水道料金が増えた分や、お店を休まざるを得なかった間の水道の基本料金、学校給食費の半減、1,000円でも2,000円でも減額されると、とてもうれしいのではないでしょうか。コロナから経済が回復するまでと、そういう期限がついてでも、やるべきだと思うんです。
令和3年度に繰り越した
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金66億円、予定していた支消を取りやめた財政調整基金102億円は、本来、令和2年度に使えたものです。
ここで、伺います。
財政調整基金を可能な限り取り崩して、財政局から各部局に積極的に働きかけ、市民の生活を応援する、必要な人に届く事業を展開すべきと思いますがいかがか、伺います。
◎中澤 財政部長 財政調整基金を用いた生活支援策の事業展開ということについてのご質問でございます。
財政調整基金につきましては、令和3年度の当初予算及びこれまでの補正予算におきまして、既に合計で92億円の取崩しを計上しておりまして、令和3年度末の残高の見込みは227億円となってございますほか、中期財政フレームにおけます試算では、令和4年度には83億円の取崩しが必要といった見通しが既にございます。また加えまして、大雪など、今後の対応にも備えておく必要があるといった状況がございます。
これまでにも、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた市民や事業者などに対しましては、財政局といたしましても、関係部局と十分な連携を図りながら、令和2年度には16回、そして、今年度はここまで14回の補正予算を計上してきてございまして、これまで最大限の支援を行ってきたところでございます。
今後につきましても、国や北海道と歩調を合わせながら、必要な支援について検討してまいりたいと考えてございます。
◆太田秀子 委員 令和4年にも取り崩す必要の見通しがあるんだということでしたけれども、令和2年に使うことができたものは、使わずに令和3年に繰り越したり、基金に残ったりしたんですね。それで、令和4年に使うから使えないというお話だったかと思いますけれども、アクションプランでも、100億はちゃんと確保しておこうと言っている中での、例えば、227億の中から令和4年に83億引いたとしても、144億ですかね、残ることになります。
財政赤字を恐れて財政出動を抑制すれば、経済全体が衰退します。今言っている話は、赤字になる話ではありませんし、昨年度、基金を102億支消していたら、今伺ったお金の話にはならないわけで、違う計画になったはずです。必要な対策を迅速かつ積極的に講じることは、ぜひやっていただきたいと思います。
予断はまだまだ許されませんけれども、感染者数が減ってきた今こそが正念場です。国や北海道からの交付金の範囲での事業ではなくて、独自の支援に踏み出し、経済の基盤である家計を支えるべきです。
来年度予算に向かい、各部局からの予算要求の時期でもありますから、財政局の考えを伺います。今最も求められている新型コロナ対策、生活・経済再建などの必要な分野に思い切った財源の支出が必要だと思いますがいかがか、伺います。
◎中澤 財政部長 新型コロナ対策として必要な分野への支援策についてのご質問でございますが、例えば、従前から国が実施してきたような一律的な事業者支援や生活支援のための事業といったものについては、札幌市に限らず、全国的な課題でございますので、必要に応じて、今後も国において実施されるべきと考えてございまして、これまでもやってきておりますけれども、今後も必要な要望を国に対して行っていきたいと考えておりますとともに、引き続き、国あるいは北海道との役割分担といったことも踏まえながら、
新型コロナウイルス感染症の影響を受けます市民の皆様や事業者の皆様にもしっかりと配慮した
財政運営を行ってまいりたいと考えてございます。
◆太田秀子 委員 国や道と役割分担を踏まえながらというお話ですけれども、その場合も、国や道の判断を待つのではなくて、自治体としての役割を積極的に発揮していただきたいということを今日の質問で言ってきたわけです。
全国の課題であるということは、代表質問での市長答弁にもありましたけれども、自治体としての役割もあるんだということも先ほど訴えました。
政府のコロナ対策が不十分だから、国にも、もっと使い勝手のいいものにしてもらいたいと、もっとお金を出してほしいということを札幌市も要求しているんだと。そういうことでありますから、コロナ対策は不十分なんだと。その不十分な中、市民の健康と生活、営業を守るため、自治体の真価が今問われています。
住民の実情やニーズを把握して、市民にとって効果の高い事業を行うと、そのような視点で、財政調整基金や、もっと言えば、減債基金などもありまして、これは、任意積立分などは使えるはずですから、可能な限り基金の取崩しを検討するなど、本市独自の支援策を早急に行うよう求めて、私の質問を終わります。
◆福田浩太郎 委員 私からも、
財政運営について、簡潔に質問させていただきたいというふうに思います。
1点目は、今後の経済対策への対応についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
新型コロナウイルス感染症への対応といたしまして、これまでに数多くの緊急対策を打ち出していただきました。一般会計の対策事業費は、総額で6,112億円となっております。大変大きな額となっております。これは、札幌市が感染拡大防止策と社会経済活動の両立に向け、その時々の社会情勢に応じて機動的に対応してきた結果であり、私は一定の評価をしております。
札幌市の感染状況は、7月に入ってデルタ株に置き換わったこともあり、感染者数は急増し、第5波を形成いたしましたが、ワクチン接種が進んだことなどもあり、現在は減少傾向に向かっている状況であります。
今後は、ワクチン接種が進んだ後の行動制限の緩和について考えていかなければならないと思っています。徹底した感染症対策を実施しながら、国の検討状況を見極め、先ほど来あるように、北海道とも役割分担をしながら、経済活動の回復に向けたさらなる取組を加速させるべきと考えます。
そこで、質問ですが、今後の経済対策への対応についてどのような姿勢で臨むのか、お尋ねをいたします。
◎中澤 財政部長 今後の経済対策への対応についてのご質問でございます。
新型コロナウイルス感染症の影響は、社会経済や市民生活の各方面に波及しておりますことから、ウィズコロナの長期化といったことも見据えますと、感染拡大防止策に加えて、社会経済活動の回復に向けた取組が必要であるというふうに認識をしてございます。
中でも、厳しい状況にあります飲食や観光業界に対する支援としましては、本定例会におきましても、昨年度に引き続き、市内飲食店でのクラウドファンディングの実施、あるいは、観光関連団体が実施します観光需要回復策に対する支援、こういったことに要する経費につきまして、補正予算として提案をし、さきに議決をいただいたところでございます。
また、昨年度予算計上しました宿泊需要を促進するキャンペーンにつきましても、予算の繰越しを行いました上で、今後の感染状況等に応じて柔軟に実施できるよう、その実施時期を見極めているところでございます。
今後につきましては、さらなる対策が必要となりました場合には、国の動向を踏まえまして、追加の補正予算も含めた機動的な財政出動を行い、時期を逸することなく、必要な対策を講じてまいりたいと考えてございます。
◆福田浩太郎 委員 本当にコロナで大変な影響を受けているということで、感染防止に留意をしながら、経済対策に向けてもしっかり取り組むと、特に影響を受けている業界に対する支援を行っていくと、その際には、柔軟な対応、そして、必要となれば、補正予算なども時期を逃さずに機動的に対応するということだと思います。財政当局としての経済対策への考え方は理解をいたしました。
次に、2点目として、今後の
財政運営についてもお尋ねをしたいというふうに思います。
我が会派は、かねてより、激甚化、頻発化する災害から市民の命と暮らしを守り、つながり、支え合う社会を構築するため、防災・減災対策を平時の展開とし、抜本的に強化することを求めてまいりました。社会インフラをはじめとした防災、減災の強化は、経済の活性化にもつながるものと考えておりまして、今後の国の経済対策の動向も注視しながら、必要な公共投資を着実に実施していくことが必要と考えます。
令和2年度決算では、
コロナ禍における市民の外出自粛の影響などに伴い、先ほど来ありますように、一部事業の執行率が低下をしたことなどにより、実質収支は大きな金額となっております。
しかし、今後、これまでの医療控えへの反動や、介護サービス利用の増加などによる社会保障費の増加も懸念されるところであります。また、公共投資は、市債の発行に直結することとなり、市債残高の増加により、将来世代に過度な負担を残さない
財政運営も必要でございます。
そこで、質問ですが、今後の公共投資と財政の健全性についてどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
◎中澤 財政部長 今後の公共投資と財政健全性の取組についてといったご質問でございます。
まず、建設事業につきましては、アクションプラン2019におきまして、年間1,000億円規模を確保するということにしておりまして、まずは、市民の皆様の安心・安全な暮らしを守るためのインフラの計画的な更新、あるいは、都市の強靱化といったようなことを着実に進めるとともに、民間投資の誘発につながる再開発事業への補助など、将来の税収増に資する事業についても、積極的な投資を継続する必要があるものというふうに認識してございます。
その一方で、財政の健全性の観点で申しますと、今後本格化する公共施設の更新需要に対しましては、公共施設マネジメントの取組による事業量の平準化を図ってまいりますとともに、建設事業費全体につきましては、中期財政フレームに基づいた予算編成を行うことによりまして、市債と基金の残高を管理していくことで、将来世代に過度な負担を残さない、健全な
財政運営を行ってまいりたいと考えてございます。
◆福田浩太郎 委員 ありがとうございます。
必要な投資を計画的に行うということ、そして、将来負担を、過度な将来負担にならないように健全運営にも努めるということと理解をいたしました。
まとめといたしまして、まずは、
コロナ禍からの経済回復に向けて、積極的、そして機動的な
財政運営をしっかりとお願いしたいと思います。
また、防災、減災への投資も必要だと、必須であるというふうにご指摘申し上げます。
しかし、ただ単に支出を増やすだけでなく、効果的、そして安定的な運営、これに留意をすべきだということを私からも申し上げたいというふうに思います。
積極的な財政の健全化と安定性の堅持、この二つを両立することが、このウィズコロナ時代にますます求められているということを指摘して、質問を終わります。
◆石川さわ子 委員 私からは、
財政運営に関する市民との情報共有について伺います。
札幌市の財政状況につきましては、アクションプラン2019での長期的な財政見通しによりますと、歳入においてのピークを今まさに迎えつつあり、その後、減少傾向となっていくということです。人口減少や人口構造の変化に伴う税収減などによる歳入への影響が懸念をされております。
また、建設事業費が、今後の10年から20年の間に公共施設の更新需要のピークを迎え、建設事業費の増によりまして、市債発行の増が見込まれております。
建設事業費については、そのメリットが、将来世代にも及ぶ、学校の建て替えやインフラの整備などのための財政負担を公平に担うという考え方もありますが、これらによる市債元金償還などである公債費の増加が、ほかのサービスに影響を与えることが懸念もされております。
例えば、冬季オリンピック・パラリンピックや新幹線などの大型公共事業を実施することで、公債費が増加をし、結果的に、敬老パスの見直しや公共料金の値上げなど、市民サービスの低下につながるのではないかと懸念をしている市民は多いと受け止めております。
さらに、臨時財政対策債につきましては、後の年次に国から財政措置されるというものですが、国の財政状況の悪化から、発行が継続されることが想定もされ、市民は、いずれにしても税金でありまして、借金に変わりはないというふうに思っております。
このような財政状況を例えば家計に置き換えて考えますと、自力の収入が増えない中、食費や交際費を切り詰め、子どもの教育費にも余裕がないにもかかわらず、借金の返済もあり、老後の不安でいっぱいになっているという破綻寸前のようなものだと思います。それでも、自分の借金を子どもや孫の世代には負わせたくないというのが市民感覚だと思います。
札幌市としては、市民の負担感が過度なものにならないように、市民が感じている負担感にも耳を傾けながら、分かりやすく状況を情報提供すべきでありまして、予算編成の考え方などについて、市民と情報共有をしながら、
財政運営を行っていくべきと考えております。
そこで、質問でありますが、厳しい財政状況の中、
財政運営をどのように持続可能なものにするかにつきまして、財政状況の透明性を高め、市民へ分かりやすく情報共有をし、市民議論が必要だと考えますが、この間の財政に関する市民との情報共有の課題を含め、どのように認識をしておられるのか、伺います。
◎中澤 財政部長 市民との情報共有、また、市民議論に関する課題も含めての認識についてとのご質問でございます。
少子高齢化や人口減少が進む中で、様々な行政課題に対応し、持続可能な
財政運営を行っていくためには、引き続き、市民の皆様に対してより分かりやすい情報を提供し、財政について理解を深めていただくことで、市民議論を重ねていくということが重要であるというふうに認識をしてございます。
市民との情報共有を図るに当たっての課題といたしましては、まず、より多くの方に財政状況に関する情報を発信すること、また、札幌の未来を担う子どもたちを含め、幅広い世代に対して、丁寧な情報提供を行っていくことであるというふうに考えてございます。
これらの課題を解決するために、多様な広報媒体を用いるとともに、随時、報道機関への情報提供を行っておりますなど、多くの方の目に留まるような取組をこれまで行ってまいりましたほか、札幌市の予算を家計に例えて解説をした資料でございます、さっぽろのおサイフにつきましても、その内容の見直しを行うなど、情報の分かりやすさについても意を用いてきたところでございます。
◆石川さわ子 委員 札幌市の財政情報の公開についての課題については、より多くの市民、また、より広い世代への情報提供を、この間、課題とし、さっぽろのおサイフを用いて、内容も更新、考えながら行ってきたというふうに、今ご説明をいただきました。
そうした情報を、そうしたように取り組んでおられるということも若干感じているところでありますけれども、例えば、市民がまちづくりに関して意見を考える場合に、本来は、財政状況というのは基本的な情報でありまして、市民生活を支える様々なサービスを継続するための財源の確保というのは、大変重要なことでありまして、しかし、先ほどの取組の工夫もありましたけれども、予算編成など財政状況への市民の意見は、この間、少ない状況が続いておりまして、残念ながら、予・決算についての関心は低いのではないかなということが、残念だなというふうに思っているところです。
実際のところ、毎年度の財政収支や財政の将来の見通しについての情報がまだまだ市民にとって身近なものになっていないことは、まだまだ私は課題があるというふうに考えているところです。
答弁にもありましたが、財政部がお作りになっているさっぽろのおサイフでありますが、札幌の財政状況を市民と情報共有するために、分かりやすく解説して作成をしているというふうにも受け止めております。
そこで、二つ目の質問でありますが、さっぽろのおサイフは、若い世代の方々との情報共有など、財政に関する市民との情報共有に当たって、これまでどのようなところに意を用いてこられたのか、改めて伺います。
◎中澤 財政部長 さっぽろのおサイフをうまく活用しました取組についてとのご質問でございます。
さっぽろのおサイフにつきましては、予算の内容や市債残高など、財政状況に関する基本的な内容を知りたいといった市民の皆様のニーズに対応できるよう、例年、予算策定後に作成をしているものでございます。
このさっぽろのおサイフを活用した取組としましては、札幌市のホームページへの掲載に加えまして、ターゲットを絞って、特に若い世代に
財政運営への関心を持ってもらえるよう、札幌市内の全小・中学校への配付を行い、その内容につきましても、財政に親しみを持ってもらうための予算編成シミュレーションといったページを追加するといった工夫をこれまでに行ってきてございます。
また、さっぽろのおサイフによる取組がより効果的なものとなりますよう、小学校、中学校を対象としたアンケート調査を行いまして、その内容や活用方法についても、改めて検討を行っているところでございます。
◆石川さわ子 委員 さっぽろのおサイフを通して、札幌市が財政的な情報について伝えたいと思っておられることを、若い世代に伝えたい、伝えるに当たって工夫されているということでありますが、果たして、小・中学生の子どもたちが使用するに当たって、分かりやすいというふうに思っているのかどうかなどについては、アンケートも行うという、答弁の中にお答えがありましたけれども、しっかりとその意見を伺いながら、より効果的な使いやすいものにしていっていただくことを求めたいというふうに思います。
財政運営におきましては、様々な市民の声を反映し、行っていくことが今後も課題であるというふうに思います。
市民ネットワークは、これまで、特に若い方々の意見を反映するということを求めてまいりました。また、予算編成への市民参加も求めてきましたが、例えば、予算の概要におきましては、記載の方法として、査定の経過なども情報としてしっかり書き込んでおりまして、分かりやすくなってきているというふうには思っております。
そこで、質問でありますが、2020年度決算については、今後どのように市民と情報共有をしていくのか、また、2022年度予算に向けては、どのような取組を行っていくとお考えなのか、伺います。
◎中澤 財政部長 2020年度決算におけます情報共有、及び、2022年度予算に向けた取組についてお答えをいたします。
2020年度決算につきましては、その内容をコンパクトにまとめた資料でございます令和2年度決算の概要といったものを作りまして、報道機関への提供を既に行っておりますほか、今後は、決算の経年比較や、他都市との決算状況を示すなど、様々な側面から財政状況を解説した資料として、「なまらわかる!財政のあらまし」といったようなものを作成する予定でございます。
また、予算編成につきましても、図やグラフを用いて予算を分かりやすくまとめた資料でございます予算の概要といった資料のほか、さっぽろのおサイフを作成するなど、予算や決算、予算の執行状況に関する情報を、広報さっぽろ、あるいは、札幌市のホームページを通して積極的に公開しておりまして、時期を限定することなく、市民の皆様から意見をいただいているところでございます。
これらを参考に、2022年度予算編成を進めますとともに、今後につきましても、札幌市の財政状況が様々な世代の方により分かりやすいものとなりますよう、情報共有の在り方について工夫を重ねてまいりたいと考えてございます。
◆石川さわ子 委員 財政は、税金などの収入と、市民が暮らしていくために必要な、様々な公共サービスですとか、公共事業など、そうした支出とのバランスを取るに当たりまして、市民意見を反映していくことが大変重要だというふうに思います。
それに当たっての、市民とどのように情報共有をこれからさらに行っていくのかということについて、今日確認をさせていただきましたけれども、ぜひとも、特に、これから希望を持って働き、暮らしていく若い世代の方たちの意見も今後の
財政運営に反映することができるように、しっかりと、さっぽろのおサイフなども通して、意見を聴いていくことを強く求めたいと思います。
今後の情報公開もしっかりとチェックをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○
北村光一郎 委員長 以上で、歳入のうち
一般財源等の質疑を終了いたします。
次に、第1款 議会費 第1項 議会費及び第2項 基金造成費について、一括して質疑を行いますが、通告がありませんので、質疑を終了いたします。
ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。
――――――――――――――
休 憩 午後3時18分
再 開 午後3時40分
――――――――――――――
○
北村光一郎 委員長 委員会を再開いたします。
次に、第2款 総務費 第4項 選挙費の質疑を行います。
◆田島央一 委員 私からは、
コロナ禍における選挙の在り方について、3点ほどお聞きしたいと思います。
まずは、新型コロナウイルスに感染し、宿泊療養者となっている方への投票機会の確保についてお伺いしていきたいと思います。
令和3年4月25日執行の衆議院北海道第2区選出議員補欠選挙において、札幌市は、
新型コロナウイルス感染症の宿泊療養施設で、不在者投票記載所を設置しました。
当時、我が会派の成田祐樹議員が、
新型コロナウイルス感染症のため、この宿泊療養施設に入っており、実際に不在者投票記載所で投票した一人でもあります。
成田議員から聞いた点も踏まえ、お話ししますが、不在者投票記載所では運営に関わった立会人を含む事務従事者と入所者への案内・消毒業務に従事した職員が10名ほどで、レッドゾーンに入る6名は、防護服着用で対応していたとのことでした。また、衆院道2区補欠選挙で投票が1回だったため、この人員で対応ができたものと認識をしております。後日、この不在者投票記載所では、4名の方が投票を行ったとの報告があったところでもあります。
しかしながら、直近に迫る衆院選ともなると、宿泊療養施設での不在者投票記載所の設置は、なかなか難しいように感じます。また、選挙従事者に対する感染リスクが高い状況にあり、もしも感染するなどした場合には、選挙の執行に大きな影響を与えることが想定され、そのような状況を勘案すると、宿泊療養施設における不在者投票記載所の設置は、やめたほうがいいのではないかと考えております。
さらに、衆院補選とは違い、衆院総選挙ともなると、投票回数も増えることによる人員増が避けられず、宿泊療養施設に入所している方々が必ずしも札幌市民とは限らないという状況にあり、それに伴い、人員もさらに増やさなければならないという状況になるとも考えられます。
そこで、お伺いしますが、直近に迫る衆院選において、宿泊療養施設ではどのように療養者の投票機会を確保するのかを含めて、衆院道2区補選で宿泊療養施設に不在者投票記載所を設置したことに対する評価について、札幌市の所見をお伺いしたいと思います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 ただいまの補欠選挙における宿泊療養施設での取組の評価等についてお答えいたします。
補欠選挙におきましては、当時2か所開設していた宿泊療養施設のうち、1か所の施設敷地内にプレハブを建て、感染症対策を施した臨時の不在者投票記載所を設置することとし、もう1か所の宿泊療養施設の投票希望者には移送で対応し、また、自宅療養者には、宿泊療養であれば投票が可能となる旨、療養開始前に個別に案内をしたところです。
この記載所の運営に当たりましては、立会人を含めて10名が従事し、そのうち6名が防護服を着てレッドゾーンに入り、さらに、そのうち5名が至近距離で療養者を誘導するなど、極めて感染リスクの高い中で業務に当たったところです。
周知については、個人情報保護により、有権者である宿泊療養者を把握することができませんでしたが、不在者投票の希望者を事前に募る際に、有権者に必ず届くよう、宿泊療養者全員に夕食の弁当に合わせて案内を配付したところです。
このように取り組んだ結果として、従事者に感染者を出すことなく、実際に4人の方に大切な一票を投じてもらい、選挙管理委員会として大きな責任を果たすことができたと安堵しているところです。
来る衆議院議員総選挙におきましては、去る6月15日に特例法が成立し、新型コロナウイルスに感染して療養中の有権者は、その特例郵便等投票制度により選挙権行使の機会が確保されることとなります。
◆田島央一 委員 承知をしました。
衆院道2区補選では、宿泊療養施設への不在者投票記載所を設置して、有権者を特定できずとも、しっかり周知が行われた結果、事故もなく、宿泊療養者の投票機会を確保できたということでありまして、次の衆院総選挙では、新たに法改正もありまして、特例郵便等投票制度により、療養者の投票機会を確保していくということで答弁があったということで、理解をいたしました。
ほかの自治体では、制度があっても使わないというところもありましたが、使った自治体、使っていない自治体がある中、札幌市は、今後、この制度を活用していくということで理解をいたしました。
宿泊療養施設では、療養者はもちろんのこと、現地のスタッフも、療養者の命と健康を守るため、懸命に
新型コロナウイルス感染症と闘っております。そうした中、選挙事務を行うことは、従事者もそれ相応の覚悟を求められたのだと思っております。
衆院総選挙では、特例郵便等投票制度をしっかりと運用していただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
次に、分散投票についてお伺いをしたいと思います。
4月6日に開催された第2回臨時市議会の総務委員会における我が会派の質問で、
コロナ禍での執行となる衆議院北海道第2区選出議員補欠選挙における投票所の混雑緩和を目的とした分散投票の取組について触れたところでもあります。
その中で、補欠選挙においては、より多くの有権者に安心して投票していただくためにも、着実な分散投票につなげられるよう、限られた時間の中でしっかりと分析をして、分散投票を促すために、より効果的な手法を検討していただくことを求めておりました。
そこで、お伺いしますが、さきの補欠選挙において、分散投票を促進するため、どのような取組を行ったのか、また、その結果も踏まえ、来る衆議院議員総選挙においてどのような取組を進めていく考えなのか、札幌市の所見をお伺いしたいと思います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 ただいま、2点ご質問を承りました。
まず、1点目の補欠選挙における分散投票の取組についてです。
有権者が混雑する時間帯を避けて投票できるように、過去の選挙における期日前投票所の日別と時間別の投票者数のほか、当日投票所の時間別投票者数をグラフにより見える化し、ホームページに掲載をいたしました。
また、仕事帰りにも投票してもらえるように、区民センター等に設置する第1期日前投票所の閉鎖時刻を1時間繰り下げ、午後9時まで延長するとともに、その意図が伝わるように、ストーリー性のある短編動画を作成して地下歩行空間等で公開し、幅広い年齢層へ周知を図りました。
これにより、午後7時以降の期日前投票所利用者の割合が増えており、一定程度効果があったものと捉えております。
次に、2点目の衆議院議員総選挙における取組についてです。
補欠選挙での取組結果を踏まえまして、第1期日前投票所の閉鎖時刻繰下げなどの取組を継続するとともに、補選の際、混雑回避を意識して期日前に投票に来たという声もあったことから、新たな取組として、リアルタイムで全ての期日前投票所の混雑状況をホームページに掲載いたします。
また、午後7時以降の期日前投票所利用者層の中でも、特に学生を含めた若い世代への啓発効果を期待し、市立大学の協力を得て、学生の感覚を取り入れた、若年層をターゲットとする15秒間の短編動画を作成する予定です。
◆田島央一 委員 承知しました。
先ほど、答弁の中で、衆議院議員総選挙においては、期日前投票所の混雑状況をリアルタイムで発信する新たな取組や、市立大学の協力を得て、若者層をターゲットにした短編動画を作成するなど、補欠選挙での取組の結果を踏まえて、工夫を加えて対応していくということで理解をいたしました。
私も、実は札幌市北区が地元でありまして、あの衆議院の補選のときには、お願いをする立場で活動しておりました。その中で、やはり、分散投票の期日前投票所の時間が延長されたということで、そういったことも訴えの中に入れさせていただいて、ぜひとも投票に足を運んでほしいということで訴えたところであります。
分散投票というのはコロナ対策でもあるんですが、これが継続して、投票率の向上にしっかりつながるような対応ができればなと思っております。
コロナ禍の選挙であって、安全に配慮して混雑した時間を避けて投票したいと思う有権者にしっかりと情報提供をしていくということは、大変大切なことだと思っております。
私も市のホームページのほうも見させていただきましたし、こういったことが、有権者の皆さんが安心して投票できるよう、引き続き、投票所の感染対策にも万全を期していただき、投票所に安心して行ける環境を整えていただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
最後に、少し視点を変えまして、
コロナ禍であっても主権者教育を進めていくべきという観点から、せんきょ体験授業についてお伺いをしたいと思います。
市内の小学校、中学校で模擬投票などを行うせんきょ体験授業は、若年層の政治意識や投票率の低下が叫ばれて久しい中、将来の有権者である児童生徒が選挙の大切さを学び、選挙を身近に感じてもらうことを目的に、選挙管理委員会が学校教育と連携して実施しているもので、小学校・中学校段階から、主権者としての意識の涵養につながる取組として、私も期待を込めて注視しているところです。
事業初年度である平成25年度は、小学校、中学校、各2校で試験的に実施し、3年後の平成28年度には、小学校が30校、中学校3校で実施したと伺っております。特に、小学校での関心が高く、確実に実施校が増えてきており、着実に浸透してきているとお聞きしております。
しかしながら、昨年来の
コロナ禍で学校行事すら制約を受ける状況にあって、選挙体験が実施できるのか、危惧しているところでもあります。
そこで、お伺いしますが、
コロナ禍となった昨年度と今年度のせんきょ体験授業の実施状況と、
コロナ禍におけるせんきょ体験授業の在り方についてどのように考えているのか、札幌市の所見をお伺いしたいと思います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 ただいま、2点ご質問を承りました。
まず、昨年度と今年度の実施状況についてです。
令和2年度は、4月の募集時点で、小学校65校、中学校1校の実施希望があったところですが、
コロナ禍で中止が相次ぎ、僅かに小学校10校、中学校1校での実施となりました。
令和3年度は、当初、小学校から過去最多となる75校の実施希望があり、関心の高さがうかがわれるものの、9月末時点での実施数は6校にとどまっており、
コロナ禍で思うように実施できていない状況にあります。
2点目、
コロナ禍におけるせんきょ体験授業の在り方についてです。
せんきょ体験授業を行いたいと思う学校が、
コロナ禍によって選挙管理委員会の職員を呼ぶことができなくても、過去の実施経験を基に、模擬投票を含めて、独自に体験授業を実施できるよう、現在マニュアルを作成中であり、今月中には市内全小学校に提供した上で、希望する学校には、その都度、投票箱などの資材も貸し出す予定です。
今後は、新型コロナ収束後も見据え、何度も実施経験のある学校にはマニュアルを活用した独自の実施を促しながら、一方で、それにより生じる選管職員のマンパワーを今まで体験授業を実施したことのない学校での実施拡大に充て、一人でも多くの子どもたちにせんきょ体験授業を受ける機会を提供してまいりたいと考えております。
◆田島央一 委員
コロナ禍であっても、せんきょ体験授業を行いたいと思う学校が、選挙管理委員会の職員不在であっても独自に進行できるよう、マニュアルの作成を進めているということでございました。
今回、
コロナ禍にあって取り組んだこのマニュアル化という取組ではありますが、むしろ
コロナ禍の先を見据えて、ある程度経験を積んだ学校では、このマニュアルを活用して学校独自に進めていただき、選挙管理委員会は、未経験の学校へのさらなる浸透に注力していただくといった、この役割分担を進めて、全ての子どもがせんきょ体験授業を受けられる体制を整えることを希望して、私からの質問を終わりたいと思います。
◆小口智久 委員 私からは、選挙の執行について質問をいたします。
最初に、特例郵便等投票制度についてお伺いいたします。
新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、本年4月25日に衆議院北海道第2区選出議員補欠選挙が執行され、また、目前には衆議院議員総選挙の執行が控えております。
さきの補欠選挙の執行に至るまでの問題として、数々の選挙が
コロナ禍で行われる中、新型コロナウイルス感染後、自宅やホテルにおいて療養する人が、一定期間、外出を許可されないため、投票できないケースがあるとお聞きしました。先ほど田島委員も触れておりました。
そのような問題を踏まえ、執行された北海道第2区補選においては、療養者のために札幌市内宿泊療養施設に不在者投票記載所が設置されたと伺っております。
札幌市選挙管理委員会におかれましては、宿泊療養者等の選挙権行使機会確保に向けた国への働きかけも含め、設置及び運営のご苦労に感謝申し上げます。
その後、国会でもこの問題について議論がなされ、6月15日に特例法が成立し、特例郵便等投票制度が創設されました。
そこで、最初の質問ですが、新たに創設された特例郵便等投票制度とはどのようなものか、手続を含め、伺います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 ただいまの特例郵便等投票制度の概要について、手続も含めてお答えをいたします。
この制度は、いわゆる感染症法により、外出自粛要請を受け、宿泊施設や自宅で療養する
新型コロナウイルス感染症患者等が投票困難となっている現状に鑑み、その選挙権行使機会が確保されるよう、当分の間の措置として、郵便等による投票が認められる特例的な投票制度となっています。
この制度の利用に当たっては、公正確保の観点から厳格に手続が定められており、最初に選挙人がホームページから様式を印刷などして請求書を作成、署名の上、選挙管理委員会に送付し、それを受けた選管は、有資格者であることを確認の上、投票用紙等を本人へ送付いたします。最終的に、その選挙人は、療養する場所で投票用紙に記載をし、署名の上、郵便等で返送することとなっております。
こうした手続を進める上で、感染拡大防止の観点から、選挙人は、請求書作成等に当たり、手指消毒や手袋着用が求められ、また、請求書や投票用紙の送付の際、それらを入れた封筒をファスナーつき透明ケース等に入れ、表面をアルコール消毒するなども必要とされているところです。
◆小口智久 委員 るる説明いただきました。
この特例郵便等投票制度の創設によって、療養者の選挙権行使の機会を確保できるようになった、そういうような答弁でございます。
新聞報道等によれば、この新しい制度が初めて実施された7月4日執行の東京都議会議員選挙では、実際にこの制度を利用して不在者投票をした方が111名と伸び悩み、その理由として、法律の公布から都議選までの期間が短く、周知が十分ではなかったこと、さらに手続の煩雑さが指摘されました。
必要とする人に取組が伝わらず、それゆえ活用に至らない、また、手続の煩雑さのために利用が断念されるなどということは、制度をつくった意味をなしません。
そこで、質問ですが、総選挙においてどのように周知を図るのか、また、指摘されている手続の煩雑さを少しでも解消することはできないのか、伺います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 ただいまの総選挙における周知と手続の煩雑さ解消についてのご質問にお答えいたします。
最初に、周知についてですが、まずは、この制度の存在を広く知っていただくことが重要と考え、特例法制定後から間もなくの8月には、札幌市のホームページに制度の概要を掲載したほか、広報さっぽろ9月号にも載せ、より多くの市民の方の目に留まるよう周知を図っているところです。
また、この制度の対象者は、感染者発生の都度生じるものであり、その方に個別に周知することが制度の利用促進には極めて有効であると考え、制度案内の文書を、宿泊療養者には施設入所の際に一人一人交付し、自宅療養者に対しては、選管職員が保健所職員を兼務して、対象者をリストアップして個別に郵送する予定です。
次に、手続面についてですが、制度案内の文書を交付する際には、有権者がホームページから印刷などしなくても済むように、請求書や返信用封筒などの投票用紙請求に必要となる書類一式のほか、手袋や除菌シートなど感染拡大防止のための用品もワンセットにして事前に交付する予定です。
札幌市選管としては、国が定める手続自体を変えることはできないけれども、手続に伴って生じる手間を少しでも軽減し、一人でも多くの方に、この制度を利用し、投票していただけるよう事務を進めてまいります。
◆小口智久 委員 まず、周知につきましては、ホームページ、また広報さっぽろ9月号と、とにかく広く知っていただく努力をしているということ、また、感染者一人一人に、ワンセットにしながら、かゆいところに手が届くようなということでございます。
広くこの制度を周知させるということはもちろん、感染者を把握している保健所と連携して、対象者への個別周知の徹底を切に願います。
また、国が定める基本的な手続の枠組みを、今回変えなくてもということでございますけれども、療養者が請求する手間を省けるような工夫をして、札幌市選管として、先ほど説明はありましたけれども、独自に手続に必要な書類や手袋等、ワンセットにしてあらかじめ交付するとのことでありますので、この制度利用者の視点に立った取組だと評価をいたします。
もとより、札幌市選挙管理委員会は、4月に執行された補選に際し、全国に先駆け、宿泊療養者や自宅療養者の選挙権行使機会を確保するための特例措置として、郵便等により不在者投票の対象者とするよう、北海道選挙管理委員会と連名で要望書をまとめ、3月30日に国に対して緊急要望を行ったと伺っております。
選挙管理委員会には、しっかりと新制度の周知に努めていただくことを求めます。そして、来る衆議院議員総選挙の際には、一人でも多くの療養者の方に、この制度を利用し、自らの選挙権を行使していただくことを要望して、この質問は終わります。
次に、開票事務の効率化について質問をいたします。
我が会派のくまがい委員が、昨年の
決算特別委員会で、今年度執行される衆議院議員総選挙に向けて、
新型コロナウイルス感染症対策について質問し、開票所の密回避とともにコロナ収束後も見据えた業務の効率化対策として、機械化の推進を要望しておりました。
4月に執行された衆議院北海道第2区選出議員補欠選挙では、来る衆議院議員総選挙の取組を先取りして、開票所の密回避を目的に従事者を削減し、それに伴う作業の遅れを補うために、投票読み取り分類機を導入したと伺っております。
そこで、最初の質問ですが、さきに執行された補欠選挙では、どの程度、人員を削減し、それを補うために、1開票所当たり何台の投票読み取り分類機を導入したのか、伺います。
加えて、開票確定の予定時刻と、実際に確定した時刻についても伺います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 大きく2点のご質問にお答えします。
1点目、開票に係る人員の削減と投票読み取り分類機の導入台数についてです。
さきの補欠選挙におきましては、投票読み取り分類機を導入しない場合、北区と東区を合わせて432人の開票事務従事者が必要と見積もっていたところを、実際には310人で開票作業を行い、約3割の人員を削減いたしました。
また、来る衆議院議員総選挙の際には、全ての区で一斉に投票読み取り分類機を本格導入することを念頭に置き、ほかの区で保有する分も合わせて、北区と東区に5台ずつ投票読み取り分類機を配置し、先行的に運用をしたところです。
次に、開票確定予定時刻と確定時刻についてです。
開票確定時刻は、当初、両区とも午前1時を見込んでいましたが、北区で予定より99分早い午後11時21分、東区で予定より73分早い午後11時47分にそれぞれ確定をしております。
投票率が低かった影響もあるとはいえ、今回、投票読み取り分類機を導入したことにより、従事者を約3割削減したにもかかわらず、見込みより1時間以上も早く開票を確定できたことは、新型コロナ収束後をも見据えた業務の効率化対策として、十分な手応えを感じたところです。
◆小口智久 委員 さきに執行された補欠選挙では、従事者を3割削減できたと。また、投票率も低かったという要因もあるようですけれども、1時間以上、予定よりも開票確定時刻を短縮できた、そういうような答弁でございます。
この結果を見る限り、投票読み取り分類機の導入は、開票作業の効率化に一定の効果があったと捉えてよいと考えます。衆議院議員総選挙に限らず、その後の各種選挙においても活用し、継続的に効率化を図ることが望ましいと思います。
そこで、質問ですが、今後の各種選挙において、投票読み取り分類機を活用して開票事務の効率化を図ろうとした場合、どのような課題があるのか、伺います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 ただいまの投票読み取り分類機活用における今後の課題についてお答えをいたします。
今回の機械導入効果を今後に向けて最大化していくために、大きく二つの課題があると捉えています。
一つ目に、来る衆議院議員総選挙においては、投票用紙の最大仕分数が、比例代表選挙で10程度と見込まれるのに対し、参議院議員通常選挙では、選挙の仕組みの違いから、比例代表選挙で150以上にも及ぶことから、仕分数の増に応じた機械の機能強化や、運用の工夫が必要となります。
二つ目としては、投票読み取り分類機による投票用紙の仕分スピードに合わせて、開票に係る分類、点検、集計などの各作業工程に、当初どの程度の人員をそれぞれ配置して、どのタイミングで後ろの工程に人員をシフトしていけばよいのかなど、人員配置の最適化を図るために、経験とノウハウの蓄積が必要となります。
いずれにしても、まずは、投票読み取り分類機を初めて本格導入することとなる衆議院議員総選挙におきまして、さきの補欠選挙で先行導入して得られた経験とノウハウを基礎に、開票事務を全うし、さらにその先の参議院議員通常選挙にも生かすべく、着実に課題に取り組んでまいりたいと考えております。
◆小口智久 委員 今の答弁によりますと、参議院比例代表選出選挙では、投票用紙の仕分数が150になるという数字が出ましたけれども、非常に膨大になるということでしたので、ぜひ、機械の仕分機能を強化して、開票確定時刻の前倒しに少しでもつなげるように検討していただきたいと思います。
もう一つ、機械に対してのいろいろなシフトとか人員の確保ということがございましたけれども、これは、経験を重ねながら、選挙ごとの適正な人員配置、ノウハウを積み上げて、効果的な投票読み取り分類機の活用を図っていただくことが望ましいと考えます。
とりわけ、開票事務は正確性を第一に進めるべきものであると認識しておりますが、その一方で、選挙の結果を少しでも早く有権者の皆様にお示しすることも、選挙管理委員会に求められているものと考えます。
今後も継続して選挙事務の効率化を図っていただくよう要望して、私の質問を終わります。
◆田中啓介 委員 私からは、投票所などの環境整備について質問をさせていただきます。
超高齢社会を迎えている中で投票率を上げていくためには、有権者が投票しやすいような環境整備は重要だというふうに思います。
昨年の
決算特別委員会で、青葉小学校を例に挙げさせてもらい、小学校の統廃合により投票所を失うことの認識とその対応について質問をいたしました。
その際、学校が廃校になっても、建物は残り、その建物の管理者の理解を得て、引き続き投票所として使用するという場合と、その施設が使えない、または、建物そのものがなくなった場合は、区域内のほかの施設、または、投票区の区域の見直しなどの対応が必要になってくる、そのときには有権者の利便性に配慮して検討が必要と答弁されております。
そこで、昨年、
決算特別委員会で例に挙げた青葉小学校が統廃合により廃校になった現在、投票所はどうなっているのか、あわせて、ここ10年、学校の統廃合によって投票所だった学校が廃校になったことで、それぞれの投票所はどうなっているのか、加えて、その新たに投票所とした立地場所が以前の投票所の場所から離れた場所にならざるを得なかったものはないのか、伺います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 ただいまの旧青葉小学校閉校後の投票所を含めた過去10年間の学校統合と関係する投票所の状況について、一括してお答えいたします。
平成23年以降、統合が行われた札幌市立の小・中学校は、旧青葉小学校を含め、19校あり、そのうち、投票所として使用していたのは17か所であります。
この17か所の投票所のうち、学校施設をそのまま使用するなどして、同じ場所を投票所としているところが10か所、地区会館などを利用し、同じ投票区域内の別の場所を使用しているところが7か所となっています。
この7か所の新旧投票所間の距離は、直線距離にして、最短で約100メートル、最長で約1,400メートルとなっています。
また、ご質問にあった厚別区の旧青葉小学校の統合に際しては、約100メートル離れた青葉児童会館に投票所を変更しています。
◆田中啓介 委員 ここ10年間で、学校の統廃合があったのが19校、そのうち、投票所として利用していたのが17か所ということで、そのまま使えているのが10か所、現在もそのまま同じ場所が投票所になっているということで、ただ、同じ区域であっても、青葉児童会館などにおいてはすぐ近くに何とか確保できたということだと思いますけれども、先ほど、最長の場所で言うと、直線距離で1,400メートル、実際、ちょっと、その場所なんですけれども、私も調べさせてもらいまして、南区の常盤小学校だったところが、現在、芸術の森小学校に変わっていて、まさに今、佐藤事務局長が答弁された、その最長の、直線距離で言うと、1,400メートルだと思うんですけれども、実際、車などで走れる、要は道路として考えた場合には、1.6キロ以上離れることになっているんですよね。
多くの場所では、確かに引き続き投票所として利用できているけれども、実際、1.6キロ以上も離れている場所にならざるを得なかったというところもあって、今まで歩いて投票所に行けていた人が、車あるいはバスなどの利用が必要になってくる、有権者にとっては、むしろ利便性が低下していることがあります。
超高齢社会を迎える本市として、多くの有権者の方に投票してもらうためには、何らかの対応が必要だというふうに思います。そこで、考えられる対応策の一つが、期日前投票所、これがありますが、総務省が
コロナ禍での選挙において、先ほど質疑の中でもありました、選挙人の分散を図るためとして、地方自治体の選挙管理委員会へ、今年の3月10日付の通知の中で、期日前投票所の増設、あとは、期日前投票所の開設期間と投票時間の延長、これに併せて、移動期日前投票所の活用をすることを求めております。
本市は、2区の補欠選挙のときには、期日前投票所の増設や、また開設期間や投票時間の延長は行っておりますが、移動期日前投票所の活用は行っておりません。
そこで、お伺いをいたします。
移動期日前投票所については、新型コロナウイルスなどの感染症対策としてはもちろん、高齢化が進んでいる中で、投票所までが遠い地域の有権者の利便性向上、投票率を上げるために、今後有効だというふうに思うんですがいかがか、伺います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 ただいまの移動期日前投票所、これを使ってはどうかという質問にお答えをいたします。
ただいま委員のご質問にありました移動期日前投票所につきましては、他の市町村の例を見ますと、市町村合併や過疎化の進行などで、投票所自体を統廃合して、それに合わせて導入しているというものがほとんどであり、現時点では、そちらのほうを導入するということは、予定しておりません。
◆田中啓介 委員 先ほど最初の質問の中でも例に挙げさせてもらった投票所、学校の廃校によって1.6キロ以上も離れた場所になっている、高齢化が進んでいる中で、昨年の
決算特別委員会では、有権者の利便性に配慮していかなきゃいけない、必要だというふうに答弁をされている選挙管理委員会としては、ぜひ移動式の期日前投票所も、検討していくべきだというふうに思います。
あわせて、その有権者の投票の利便性の向上として、不在者投票というものもあります。こちらも先ほどの質疑の中でありました。
コロナ禍でも、全ての有権者が、本当に多くの有権者が投票できるようにということで、今年の6月18日に、特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律が公布されて、23日から施行されております。
この特例法の第2条に、郵便投票をすることができる特定患者等についての定義が書かれております。
先ほど、事務局長も、その答弁の中でも出ておりましたが、「
新型コロナウイルス感染症の患者又は
新型コロナウイルス感染症の病原体に感染したおそれのある者」とこの第2条には書かれており、当該者の居宅もしくはこれに相当する場所から外出しないことの求めを受けた者というふうに、この特定患者等の定義がございます。
この「感染したおそれのある者」という文章を見ると、濃厚接触者も該当するのかなあというふうに思うんですが、一方で、総務省の特例郵便等投票に関するサイトの中には、この濃厚接触者は特例郵便等投票の対象ではないとしており、その理由として、投票は不要不急の外出ではないからとしております。
確かに、投票というのは本当に大事なことであり、不要不急の外出ではありません。しかし一方で、濃厚接触者への対応について、保健所のほうに問合せをいたしましたが、不要不急でない外出、例えば、通院についても主治医と電話などで診察、また、薬も宅配などを活用できないかということを電話で相談してほしい、また、食材や生活必需品の買物についても、友人、知人、また宅配サービスを利用してほしいと、公衆衛生を守る感染症拡大防止のためには、保健所としては、濃厚接触者の方には、法的な強制はできず、お願いにとどめるしかないが、外出をしないように要請していると聞いております。
公衆衛生、感染拡大防止の観点から、総務省のサイトで言っている、不要不急でないから濃厚接触者は対象じゃないというのは、こちらは改めるべきだというふうに私は思います。
さらに、
コロナ禍以前から、この郵便等による不在者投票制度というものがありますが、この対象は、身体障がいが重度の方、また、介護を受けている、要介護5の方のみになっており、この方々は、自宅で郵便投票ができる対象と。しかし、かなり対象は限定されています。
しかし、実態は、例えば、精神障がいの方、鬱の疾患の方は、自宅から出ることも、困難です。また、介護でも、要介護の3や4の方でも外出自体が困難という方もいらっしゃいます。このような方々は、投票する権利はあるのに、現在の制度では投票することが困難な実態があるので、郵便投票できる対象を広げ、実態に合ったものに選挙制度を改めること、これを議論したり、検討することが必要だと国に求めるべきだと、一言申し上げておきます。
あわせて、この不在者投票の方法として、病院や入所型の高齢者施設などで、選挙管理委員会から指定を受けた施設においては、入院または入所している方が施設内で不在者投票ができるとあります。
超高齢社会を迎えている今、また、新たな感染症の流行時においても、今後、これらの不在者投票のやり方、方法というのは、重要になってくるというふうに思います。
そこで、お伺いをいたしますが、本市のこの指定施設数の推移は、今どうなっているのか、伺います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 ただいまの不在者投票指定施設数の推移についてのご質問にお答えいたします。
10年前との比較をいたしますと、平成24年12月時点で、不在者投票が可能となる病院などの指定施設は410施設であったのに対して、令和3年4月現在では527施設となっており、約3割増加をしております。
◆田中啓介 委員 10年前に比べて約3割増えているということでした。
こちらも総務省の通知なんですけれども、今年の4月7日付の通知で、感染症対策ということではありますけれども、病院等の指定施設での投票の実施について、積極的に検討するよう求めております。
この指定施設、病院等というのは、病院のほかに高齢者施設なども指定の対象になっておりまして、高齢者施設で言うと、特別養護老人ホーム、また、老健施設などもあると思いますけれども、そういう介護保険の施設にとどまらず、サービスつき高齢者向け住宅、いわゆるサ高住も指定を受けることができて、その施設の中でも不在者投票ができるということになっております。
事前にちょっと資料として提供いただいたもので、今年の9月時点で、このサ高住、本市は政令市の中では最も多くあって、現在261か所、そのうち、指定されているのが68か所というふうに聞いております。
ただ、医療機関あるいは福祉施設というものは、そもそも、通常の業務を行うだけでも精いっぱい、余裕がない状況で、ぎりぎりの人員体制になっております。
そこで、お伺いをいたします。
病院や高齢福祉施設で入院、入所されている方が不在者投票をするための準備、こちらは、選挙管理委員会の職員がそれぞれの施設へ出張しているのか、人員体制などの準備をどのようにして不在者投票ができるのか、伺います。
あわせて、病院や高齢者施設で不在者投票をするに当たって、どのような課題があると認識されているのか、伺います。
◎佐藤 選挙管理委員会事務局長 まず、大きく2点ありました。
指定施設で不在者投票を行う際の準備についてです。
指定施設におきましては、不在者投票の実施に向けて、まず、投票の秘密を保持できるよう配慮した投票記載所を用意する必要があります。また、管理者、投票立会人に加えて、名簿対照などを兼務する代理投票補助者2人の少なくとも合計4人の従事者を確保することも必要となります。これらの準備を指定施設において行っていただいた上で、施設長の下、不在者投票を実施していただくこととなります。
こちらのほうの課題といいますか、どちらかというと、我々がどういう支援をしているかというところに近づく話かと思います。負担軽減ということが、大きく言えば課題だと思いますけれども、その観点でお答えをいたします。
我々、区の選挙管理委員会では、施設からの希望に応じて、投票の際に使用する記載台等の選挙資材の貸出しを行っています。また、施設からの要請があれば、区選管が選定した者を投票立会人として派遣することもしております。
このほか、指定施設が不安なく不在者投票を実施できるように、市選管では、年1回、新規に指定された施設を対象に、基礎的な不在者投票の知識や事務処理方法を学ぶ研修会を行うとともに、区選管では、選挙執行前に、毎回、区内全ての指定施設を対象に、その選挙に応じた具体的な事務処理方法を伝える説明会を開催しているところです。
◆田中啓介 委員 病院とか、高齢者福祉施設などでの不在者投票をするに当たっては、やはり、その準備をするのが、どうしてもその施設の職員になってしまうということで、今、事務局長からも、じゃあ、その負担の軽減を選挙管理委員会としてはどう図っているかということで言うと、資材を貸出し、あるいは、研修、立会人ということだったというふうに思うのですけれども、それでも最低4人が必要だということですよね。
この質問の前にも言いましたけれども、やはり、医療機関、福祉機関というのは、本当に人員がそもそもぎりぎりの体制で行っております。そんな中でも、やはり、入院されている方、あるいは、入所されている方が投票したいというその思いに何としても応えたい、投票権をしっかりと守りたいということで、それぞれの施設では、職員の負担は重くなってしまうけれども、何とかやりくりをして、それで、今、10年前に比べたら、約3割増えているということだと思いますけれども、そういう頑張りに、ぜひ、選挙管理委員会としても応えていただきたい、もっと支援をしていただきたいというふうに思います。
あわせて、全ての有権者の方が本当に投票しやすい環境、投票所を設置する場所、期日前投票所の在り方、不在者投票など様々な取組、これをぜひ積極的にやっていただきたいと申し上げて、質問を終わります。
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北村光一郎 委員長 以上で、第4項 選挙費の質疑を終了いたします。
最後に、第5項 人事委員会費及び第6項 監査委員費の質疑を行いますが、いずれも通告がありませんので、質疑を終了いたします。
以上で、本日の質疑を終了いたします。
次回の委員会ですが、10月8日金曜日午後1時から、消防局及び環境局関係の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。
本日は、これをもちまして散会いたします。
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散 会 午後4時34分...