札幌市議会 > 2020-10-12 >
令和 2年第一部決算特別委員会−10月12日-03号
令和 2年第二部決算特別委員会−10月12日-03号

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  1. 札幌市議会 2020-10-12
    令和 2年第二部決算特別委員会−10月12日-03号


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    令和 2年第二部決算特別委員会−10月12日-03号令和 2年第二部決算特別委員会  札幌市議会第二部決算特別委員会記録(第3号)               令和2年(2020年)10月12日(月曜日)       ―――――――――――――――――――――――――――――――――― ●議題 付託案件の審査 ●出席委員 34名     委 員 長  林   清 治      副委員長   村 山 拓 司     委   員  武 市 憲 一      委   員  三 上 洋 右     委   員  高 橋 克 朋      委   員  山 田 一 仁     委   員  長 内 直 也      委   員  よこやま 峰子     委   員  北 村 光一郎      委   員  伴   良 隆     委   員  阿部 ひであき      委   員  松 井 隆 文     委   員  三 神 英 彦      委   員  小須田ともひろ     委   員  小 野 正 美      委   員  桑 原   透     委   員  峯 廻 紀 昌      委   員  村 上 ゆうこ     委   員  かんの 太 一      委   員  成 田 祐 樹     委   員  たけのうち有美      委   員  あおい ひろみ     委   員  田 島 央 一      委   員  國 安 政 典     委   員  福 田 浩太郎      委   員  小 口 智 久     委   員  前 川 隆 史      委   員  森 山 由美子
        委   員  村 上 ひとし      委   員  池 田 由 美     委   員  田 中 啓 介      委   員  吉 岡 弘 子     委   員  佐々木 明 美      委   員  石 川 さわ子       ――――――――――――――――――――――――――――――――――       開 議 午後1時     ―――――――――――――― ○林清治 委員長  ただいまから、第二部決算特別委員会を開会いたします。  報告事項は、特にございません。  それでは、議事に入ります。  最初に、議案第2号 令和元年度札幌病院事業会計決算認定の件について質疑を行います。 ◆前川隆史 委員  私からは、新型コロナウイルス感染症へのこれまでの対応を踏まえての市立札幌病院の役割と、そして、病院の建て替えに向けた検討状況についてお伺いをしたいと思います。  さて、市立札幌病院は、本年1月に、北海道内で最初の、1人目の入院患者を受け入れてから、当時、世界中の誰も治療法も感染対策もよく分からない未知の新型コロナウイルス感染症との闘いに、病院職員が一丸となって使命感と責任感を持って治療に当たっていただきました。  特に、4月以降、市内の医療提供体制が急速に逼迫する中、多くの感染症患者を受け入れるなど、そうした対応に感染症指定医療機関である市立札幌病院の存在意義を感じた方も多いのではないか、このように思います。  もっとも、市立札幌病院感染症指定医療機関だったのかと初めて知ったという市民が多かったんじゃないかと思いますし、それも北海道で唯一のエボラ出血熱やペストといった一番危険な感染症の医療を提供する第1種感染症指定医療機関なわけでございます。  加えて、他の医療機関に先駆けて、真っ先に未知の感染症の治療や対応に当たらなければならない感染症指定病院の責任の厳しさも感じた内外の方々もたくさんいたのではないかと推察するところでございます。  そこでまず、質問いたしますが、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて、改めて、市立札幌病院の役割と今後の将来像についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。 ◎日高 経営管理部長  ご質問のございました新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた市立札幌病院の役割と将来像についてお答えいたします。  今回の新型コロナウイルス感染症への対応は、当初、ウイルスに関する情報が限られ、確立された治療法がない中で、国や関係学会等からの情報収集を行いながら治療に当たるとともに、急増する感染症患者の受入れのために、病床や医療スタッフの確保といった病院内の体制を整える必要があったというところでございます。  当院は、感染症指定医療機関として、道内初の新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れて以降、保健所の要請に基づき、市内医療機関と連携協力しながら、主に、重症、中等症の患者を重点的に受け入れてきたところでございます。  一方で、新型コロナウイルス感染症患者が40人を超える時期があり、一般患者の受入れを大きく制限せざるを得なくなりましたが、7月以降は3次救急を再開するなど、新型コロナウイルス感染症の対応と一般診療の両立を図っているところでございます。  今後は、今回の感染症対応により得られた経験を生かし、これからも続いていく感染症への対応と高度急性期医療を担う地域医療支援病院としての機能を両立させ、地域医療を支える最後のとりでとしての役割を将来にわたって担ってまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆前川隆史 委員  平時、有事、いかなるときも、最後のとりでとしての務め、役目をしっかり果たしていただきたいと、大変な重要な仕事だと思っております。  新型コロナウイルス感染症につきましては、発症前から人に感染させる可能性があるという性質から、院内感染を防止しながら治療を行うには大変な苦労もあったことかと思います。特に、一般病棟救命救急センター精神医療センターの一部を活用して、感染症患者の治療に当たってこられたということでございますが、施設・設備面からの制約も少なからずあったのではないか、このように思うところでございます。  そこで、質問でございますが、新型コロナウイルス感染症患者の受入れに当たり、施設、そして設備の面で、どのような点が課題となったのか、お伺いをいたします。 ◎日高 経営管理部長  感染症患者の受入れにおける施設・整備面での課題についてのご質問と存じます。  施設・設備面の課題として、重症患者の治療においては、感染症病棟では、部屋が狭く、また、ECMOの設置ができなかった、あるいは、室内の乾燥により、気管挿管した際のたんの吸引が困難になる、そういう問題もございまして、人工呼吸器を必要とする患者の治療が難しい状況でございました。  そこで、重症患者の治療は、全て救命救急センターで行うことといたしました。ただ、救命救急センターは、感染症専用の病棟ではないため、同一フロアにいる他患者への感染を防ぐためには、多くの病床を休床とせざるを得ず、重症患者が少なくなった現在においても、一般の救急患者の治療に使用できる病床は、本来の約半数となっているところでございます。  また、中等症、軽症の患者の治療につきましては、感染症病棟の8床を超える患者の受入れのため、一般病棟精神医療センターで行うことといたしましたが、個室の数や陰圧設備に限りがあるため、病床の有効活用が難しい状況にございます。  このような課題があるものの、汚染区域と清潔区域を明確に分け、医療従事者と患者の動線を工夫するなどにより、感染症患者の治療に当たってきたところでございます。 ◆前川隆史 委員  必ずしも、きちっとした体制、設備が整っていない中で、いろいろ工夫しながら、様々なご対応をいただいてきたということでございます。  感染症の受入れに関しまして、現状の市立札幌病院の施設・設備面にも様々な課題があるということが分かってまいりました。  2002年にSARS、2009年に新型インフルエンザ、2012年にMERS、そして、今回の新型コロナウイルスと、この20年弱の間に様々な感染症が発生をしておりまして、今後の新たな感染症にも十分に対応していくには、市立札幌病院の施設・設備面での改善を進めていくことが極めて重要かと、このように思います。  一方で、北海道胆振東部地震の際には、他の医療機関が診療機能を縮小する中、市立札幌病院は、発災直後から、入院、外来ともに従来どおりの診療を継続し、さらに、地域の医療機関を支える役割も果たされましたが、市立札幌病院の現在の施設の現状はというと、供用開始から25年を経過しておりますし、建物や配管等の設備の老朽化がかなり進んでいるとも伺っております。  計画的に改修工事を進めていることはこれまでも伺ってきておりますが、今後、札幌直下の大地震などが発生した場合に病院機能を維持できるのか、正直、若干心配なところもあります。  そういった意味でも、そろそろ建て替えに向けて具体的な検討を進める必要があるのではないかと考えるところでございます。  平成31年3月の予算特別委員会において、私のほうから病院の建て替えについて質問をさせていただきましたところ、基本構想から工事の竣工までに最低10年はかかる、こういったご答弁をいただいたところでございます。  あれから1年半が経過し、令和元年度決算では6年ぶりに経常黒字を計上し、経営改善の兆しが見えてきたことも踏まえまして、今こそ建て替えに向けた議論を加速していく必要もあるのではないか、このように考えているところでございます。  そこで、質問でございますが、病院の建て替えに向けた現在の検討状況についてお伺いしたいと思います。 ◎日高 経営管理部長  市立札幌病院建て替えに向けた検討状況についてのご質問かと存じます。  現在、他都市の公立病院の修繕や建て替えの状況について情報収集を進めているところでございますが、過去10年間で半数の指定都市市立病院建て替えを行っておりまして、令和元年度以降には、横浜市、さいたま市、それから熊本市の3市が建て替えを実施したところでございます。  各都市における市立病院の整備は、老朽化への対応や狭隘化の解消、医療機能の拡充など、それぞれの状況や目的に応じて進められているところでございますが、多くの都市では、建て替えまでの期間は、おおむね40年程度でございます。  新型コロナウイルス感染症に対応してきた経緯も踏まえますと、これからの病院は、一般患者の受入れの影響を最小限にとどめながら、新たな感染症にも強い病院とする必要がある、こういうことを痛感しているところでございます。  感染症指定医療機関でございます市立札幌病院の役割を果たすためにも、先進事例についての調査研究を深めるとともに、建て替えについては、経営の健全化をさらに進めながら、長期的な視点での位置づけ、あるいは、在り方と併せて検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆前川隆史 委員  他都市の事例なんかも参考にしながら、また、当病院の使命、責任も踏まえながら、また、新たな時代の要請というものも敏感に捉えながら、これからの病院のあるべき姿を模索しながら、建設への検討をしていく、そういうことかと思います。  市立札幌病院がどういったときにも最後のとりでとしての役割を果たしていくためには、施設、設備の面でも十分にやはり耐え得るものでないといけないと思います。  今後、市立札幌病院建て替えに向けては、高度急性期医療機関地域医療支援病院としての一般診療における機能、規模に加えて、新たな感染症の発生や災害等の有事の際に十分に役割を果たせるだけの機能、規模を検討すべきであると考えております。  また、市立札幌病院の位置づけや在り方について検討するに当たっては、今、国ではデジタル庁の話もどんどん進んでおりますけれども、ICTの活用についても念頭に置く必要があるかと思います。今後、医療の質や患者サービスの向上、地域の医療機関との連携強化、医療従事者の働き方改革を進めるためには、デジタル化の推進が急務だと考えます。  新型コロナウイルス感染症への対応は、当面の間、予断を許さない状況が続くと思いますが、市立札幌病院には、今後も、感染症指定医療機関として中心的な役割を期待するとともに、病院の建て替えに向けた調査検討の加速とデジタル化の推進、そして、やはり、公立病院といえども、やはり経営ですので、常に稼ぐ力を磨いていくということもしっかり意識していただいて、今後の運営に取り組んでいただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。 ◆村上ひとし 委員  コロナ感染の広がる下での向井病院事業管理者をはじめとする病院全ての職員の皆さんに、心より敬意を表したいと思います。  私からは、大きく3点お伺いをしたいと思います。  1点目は、感染症患者の対応に当たった医療従事者の負担について、2点目が、感染症入院患者ピーク時の人員配置、3点目が、余裕を持った人員配置の3点をお伺いしたいと思っております。  今回のコロナ感染の拡大の中で、市立札幌病院がどういう大変さがあったのか、それから、今後どういう対応が必要なのかということは、議会としても明らかにする中で、一層、感染対策を充実させるということと、併せて日常診療の充実もしていかなければならないというふうに考えております。  まず最初、1点目の感染症患者の対応に当たった医療従事者の負担についてであります。  新型コロナ感染が急速に拡大した4月から5月、札幌市内でも病床が逼迫して医療崩壊の瀬戸際という状況に陥りました。その下で、全国の医療現場からは、切迫した医療従事者の訴えも相次ぎました。  市立札幌病院でも、新型コロナウイルス感染症患者の受入れに当たっては、当初用意されていた感染症病棟の8床では足りず、一般病棟精神科病棟救急病棟を転用して対応してきたということであります。それに伴い、医師や看護師の配置の変更も必要となります。当然、医療従事者の働き方も大きく変化させなければなりません。  そもそも、医師をはじめ、医療従事者の体制に余裕があるわけではありませんから、急遽、コロナ専用病棟に転用すること自体が、相当に困難を要する事態であったと考えます。  また、ほかの病院では、新型コロナウイルス院内感染によって、病棟を閉鎖したり、あるいは、診療休止とせざるを得ないようなところもありました。  ですから、市立病院としても、一般病棟などのコロナ専用病棟への転用は、患者と職員の動線の変更など、通常の医療活動以外に、院内感染の防止策に相当気を遣って対応されたと思います。  そこで、お尋ねをいたしますけれども、新型コロナウイルス感染症患者の受入れに当たって、実際に対応に当たった医療従事者の負担はどのようなものがあったのか、お伺いをいたします。 ◎日高 経営管理部長  感染症患者の対応に当たっての医療従事者の負担についてお答えをいたします。  医師、看護師をはじめとした当院の職員は、新型コロナウイルスという未知の感染症に対応するため、慣れない防護服での治療や看護、院内感染の防止に向けた動線の確保などの環境整備、自身の感染防止など、常に強い緊張感の中での業務を強いられ、心身への負担は非常に大きなものがございます。  高齢者福祉施設での集団感染の発生に伴いまして、介護が必要な感染症患者を受け入れた際には、食事介助や徘回等への対応により、業務量は増大したところでございます。  また、当院で感染症患者を受け入れた旨を公表した後は、当院への勤務を理由とした他医療機関での受診拒否や、子どもの保育園の登園拒否など、医療従事者に対するいわれなき偏見も大きな心理的負担となっていたところでございます。  しかしながら、このような状況が長期に及んだ中にあっても、多くの企業の皆様あるいは市民の皆様からのたくさんの支援や応援メッセージなどに励まされながら、医療従事者としての強い使命感を持って、多くの患者に適切な医療を提供することができているもの、このように考えているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  心身の負担が様々な点で非常に大きいということだと思うんですけれども、特に高齢化していますから、感染症の高齢者にどう対応するのかということは非常に大変だったと思いますし、今後、それにどう対応していくのかということは、やっぱり急がれる課題であると思います。  残念ながら、誹謗中傷ということもありますし、これもなくなったわけではないと思うんですけれども、どう医療従事者の奮闘を全市的に支援できるのかという点では、改めて深めなければならないというふうに感じております。  日本の医療の脆弱性というのは、長年にわたって、医療費の削減を強引に進めてきた結果だというふうに私は思っておりますし、それが、感染拡大時における市立札幌病院医療従事者の大きな負担として現れたんだろうというふうにも言えると思います。  これを数字で見ますと、市立札幌病院の入院、外来を合わせた4月から8月の間で5か月間、医業収益の推移を見ますと、前年と比較して約16億円に迫るマイナスだったということであります。  これは、市立札幌病院に限ったことではありません。全国の医療機関が、コロナ禍の下で、医師や看護師などの人的体制の不足による医療従事者への大きな負担となり、極限状態で頑張っても、財政危機にさらされているという実態というのは、政治の責任として、即刻解決しなければならない課題であると考えます。  そこで、次の質問に入りますけれども、感染症入院患者ピーク時の人員配置についてであります。  本来、医療機関には、一定の人的・施設的余裕が必要であります。そうでなければ、感染症が拡大したときなどの対応が困難となるのは言うまでもありません。  しかし、そもそも、国際比較で言いますと、医師や看護師の数が圧倒的に不足をしております。現状の人員配置で、緊急的な感染症対策を講じながら、医療経営活動を維持し、一般患者医療ニーズにも応える、コロナ専用病棟を展開していくというのは、相当、やはり困難だと考えます。  特に、コロナ患者の発生状況というのを予測するというのは極めて難しく、コロナ患者の受入れが少なかった場合には、コロナ専用病棟一般病棟に変えたり、逆に、コロナ患者が多くなれば、一般病棟コロナ専用病棟に変えたりといった判断も必要であったと思います。  また、患者急変への対応や感染拡大を防止する観点から、状況に即応した臨機な対応が求められ、現場の医療従事者は、心身ともに疲弊しながら働いていたんだと思われます。  そこで、お伺いをいたします。  感染症患者受入れピーク時には、どのような人員配置により対応されたのか、お伺いをいたします。 ◎日高 経営管理部長  感染症入院患者ピーク時の人員配置についてでございます。  1月末に道内最初の感染症患者を受け入れて以降、2月中旬より、次々と感染症患者が運び込まれるようになりました。ゴールデンウイークは、いわゆる第2波への対応を余儀なくされたところでございます。  感染症入院患者の受入れがピークとなったのは、5月7日でございます。入院患者44人、感染症への対応を専門に担った医師、看護師は、1日当たり190人弱に上ったところでございます。  感染症病棟には、通常、専属の看護師が常駐していないため、看護師は一般病棟の各診療科からの異動により配置したものでございます。  具体的な看護体制については、一般病棟において、患者7人に看護師1人の配置をしているところですが、新型コロナ感染症患者に対しましては、病状によりまして、2.5人から4人に1人の看護配置が必要になった状況でございます。  また、医師につきましても、感染症内科の医師が4月以降2人だけでございますが、これでは足りず、ローテーションを組んで、全診療科の医師が診療に当たる体制をつくり、まさに病院の総力を挙げて感染症患者に対応したところでございます。 ◆村上ひとし 委員  ピーク時は、医師、看護師をはじめ、相当、通常業務からは程遠い、連携もしながら対応したということであると思うんですけれども、茨戸アカシアハイツ集団感染が発生したときには、札幌市内の受入れ可能な病床数は、感染症病床とその他の病床を合わせて267床でありましたけれども、いずれも満床状態だったということでありますし、そのときに、市立病院も極めて困難な状況にあったんだというふうに思われます。  市内で4月から5月の感染者数がもう少し多かったら、完全に医療崩壊を招き、多くの市民が犠牲になる危険性があったというふうに思いますし、今後の強い戒めにしなければならないと考えます。  次に、余裕を持った人員配置についてお伺いをいたします。  市立札幌病院は、高度急性期の患者の受入れを行いながら、本来の感染症病床8床を大きく上回るコロナ患者を受け入れてきました。市外からの受入れもあったと聞いております。これは、まさしく感染症病床を削減してきた影響の一つだと思います。  これまでは、何とかコロナ患者の受入れを行ってきましたが、医療従事者に多大なストレスがかかるとともに、一般病床の縮小に伴って、このままでは市立札幌病院の本来担うべき役割を最大限果たすことが困難になることも懸念されます。  当たり前ですが、医療従事者なくして、診療はできないわけですから、市立札幌病院の役割をしっかり果たすためには、今後は一定規模の感染症の拡大も想定した人員配置が必要だと考えます。  そこで、お尋ねをいたします。  一定規模の感染症の拡大も想定し、余裕を持った人員配置を行うべきだと思いますけれども、認識をお伺いいたします。 ◎日高 経営管理部長  感染症の拡大も想定した余裕を持った人員配置についてお答えしたいと存じます。  市立札幌病院は、救急医療災害医療、周産期医療など、24時間365日、止めることのできない医療のほか、道内で唯一の第1種、第2種両方の指定を受けた感染症指定医療機関として、政策的医療を提供する役割をしっかりと果たしていかなければならない、このように考えております。  一方で、33の診療科を擁する基幹病院として、重症患者に対する急性期医療を中心とした治療を行いながら、他の医療機関との連携の下、地域完結型の医療に努めていくことが当院の使命である、このように認識しているところでございます。  今回のような新たな感染症にも対応しながら、これらの役割を果たしていくためには、一定規模の人員を確保し、余裕を持って配置していくことが理想的でございます。  一方、余裕人員を確保するということは、人件費負担を増加させる要因にもなり得ることでございます。経営健全化の途上にある当院が、新たな費用の負担に耐えられるか、収支バランスを慎重に勘案しつつ、適切な人員配置数を見極めてまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆村上ひとし 委員  冒頭でいろいろ、私は申し上げましたけども、病院の困難の背景には、低医療費政策の中で、診療報酬制度そのものが、やはり問題点が多いということだと思うんです。とにかく、ベッドを満床状態にして高速回転しなければ、医業収益が上がらないような仕組みにし過ぎているということだと思うんです。  そのことについては、全国の医師会をはじめ、それぞれの医療機関の院長などが声を上げ始めておりますし、国に対しても、改善を求める動きが強くなっております。  なかなか、市立札幌病院が、その点、私の質問にいろいろ答えるというのも難しい側面があるというふうに思いますけれども、そこで、町田副市長にお伺いをしたいと思います。  町田副市長は、6月の共産党の代表質問のときに、私たちは、国の政策として、地域医療構想というのが、自治体病院を中心に統廃合を進めているものであって、それはやめたほうがいいんじゃないのかというような質問をしましたけれども、町田副市長は、地域医療構想は、引き続き構築を進めてまいりたいと考えているようなご答弁でありました。  そこで、全国で1,600の病院が加入する全国公私病院連盟の邉見公雄会長が、このように言っているんですけれども、本来、医療には緊急時のための余裕がないといけません、しかし、国は効率至上主義で、病院のベッドを常に入院患者でいっぱいにしないといかんような診療報酬にしてしまった、特に自治体病院に投入している税金は無駄みたいなことばかり言って、地域医療構想などで自治体病院をさらに減らそうとしていると。しかし、こういう感染拡大のような緊急時になると、頑張れと言いますが、いつも手足をくくられて仕事をしているような状況だと。国の効率至上主義の下で、医師の総数は足りないままです、国が感染症対策を軽視してきたため、感染症を治療する診療科の医師や専門家も減っていると。全てが今回の新型コロナの問題につながっているというような見解を示しました。
     ここの邉見会長というのは、もちろん公的病院や私立の病院のトップであり、医師でありますけれども、私は、本当にこれはストレートな感想だというふうに思いますし、その点、町田副市長はどのようにお考えか、お伺いをいたします。 ◎町田 副市長  今回、私も、札幌におけるこのコロナウイルス感染症に対しての医療体制を構築していくということで、いろいろ各病院にお集まりいただいて、どういう形で感染者の受入れをしていくのか、その医療調整をいろいろやらせていただいて、各病院のご協力を得ながら、今は、しっかりした感染者の受入れ体制ができていると思いますが、確かに、感染症というものを想定した形で医療体制というものを構築していくということが、今回、我々としては大きな教訓を得たわけですので、今後、医療体制というものを考える中で、感染症の対応というものをどういうふうにしていったらいいのかということを、我々、現場でいろんな形で、ある意味、苦労をしてきたわけでございますので、それを国に対してしっかり要望して、医療体制の構築というものを、地域、そして日本全体で対応していくように、しっかり要望してまいりたいと思うところでございます。 ◆村上ひとし 委員  ぜひ、市としても、市立札幌病院の全道や市内で果たす役割というのは極めて重要でありますし、そこで働く医師をはじめ、看護師がどんな状態で働いているのかというと、本当に限界状況で働いていると思いますし、それでも赤字なんですよ。  ですから、やはり、これは一つの病院に限ったことではありませんし、全国規模の問題だというふうに思いますので、札幌市としても、国に強く、医師会などと連携して、診療報酬などの改善を求めるなど、働きかけをしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。 ◆三神英彦 委員  よろしくお願いします。  私からは、大きく病床確保について、二つ質問させていただきます。  病院事業会計の決算については、昨年4月策定の中期経営計画の初年度に当たって、市立札幌病院が、市民のための病院を目指して、1年目から黒字を達成しかかった矢先に、今回この新型コロナということになりました。  私は、3月の予算特別委員会において、新型コロナウイルス感染症患者に対する市立札幌病院の対応について質問させていただいて、その際には、軽症患者から、本当にECMOを必要とするような重症の患者さんまで、幅広く札幌病院が受け入れて診療に当たっているということをお話しいただきました。  本市における感染症は、その後、4月末からゴールデンウィーク前半までが第2波ですね。その後、5月後半に国の緊急事態宣言が解除されていますが、現在に至っても、また1日の陽性患者が増えているという状況。今のところは、重症者、死亡者は出ていないんですが、それでも減っていることに関してもやっぱり理由が分からないということは、予断を許さないという状況だと思います。  一時期、40人を超える感染症患者が入院するなど、多くのコロナ感染症患者を受け入れて、振り返ると、これまでの入院患者数、270人超えということですね。そういう報告をいただきました。  日々の感染症入院患者数が正確には見込めない中、増加していく患者を断ることなく、淡々と受け入れていくためには、病床不足とならないように空き病床を確保することが必要だったと思います。  最初の質問になりますが、感染症患者数の増減がなかなか予測が困難な状況の中で、どのようにタイミングを計って病床を増やしてきたのかを伺います。 ◎日高 経営管理部長  新型コロナウイルス感染症患者の病床確保の推移についてお答えいたします。  1月中旬に国内初の新型コロナウイルス感染症例が確認されたことを受けまして、道内で患者が発生した場合に備えまして、当院の感染症病棟8床を使用する準備を進め、実際、1月末の道内初の感染症患者は同病棟で受け入れたところでございます。  2月28日に北海道独自の緊急事態宣言が発令された以降、重症患者の受入れ増加に対応するため、3月上旬には救命救急センター重症患者用の病室2床を確保いたしましたが、その後、順次、救命救急センターの受入れ病床数を増やしまして、ICU及びHCUを含め、最大13床まで確保したところでございます。  また、3月中旬から、保健所から自宅待機の感染症患者の受入れ要請があったことから、当初の感染症病棟では対応し切れなくなったため、当院の精神医療センター全38床のうち、15床を確保して、運用し始めたところでございます。  国が緊急事態宣言対象区域を全国に拡大いたしました4月以降、感染患者は増加の一途をたどったことから、4月下旬には、一般病棟の一部に40床を確保いたしまして、最終的には、5月上旬のピーク時には当院全体で71床の病床を確保してきたところでございます。  その後、5月25日に国の緊急事態宣言が解除され、新規感染者数の減少傾向と軽症者のための宿泊療養施設、これが整備されていったことに伴いまして、確保病床数を段階的に縮小はしたものの、現在も合計57床を確保いたしまして、感染患者の入院受入れ体制を準備しているところでございます。 ◆三神英彦 委員  淡々とお答えいただいたわけですが、なかなかそういうのは普通の病院じゃ難しいことをやられているのではなかったかと思います。  本来確保の感染症病床の約9倍ぐらいという数ですね。それを必要に応じて増やしたり、また、その後、必要がなくなったと判断して減らしたりという部分に関して、様々な課題があって、ご苦労があったのではないかと思います。  重ねての質問になりますが、感染症病床の確保において、どのような課題が生じ、どのように対応してきたのか、その部分について伺います。 ◎日高 経営管理部長  感染症病床の確保に伴う課題と対応についてでございます。  当院は、感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大状況に対応いたしまして、可能な限り多くの感染患者を受け入れることが求められたことから、一般病棟を感染症に対応できる病床に切り替える必要がございました。  また、病棟の一部を新型コロナの対応病床に転用したといたしましても、感染管理上、その病棟のフロア全体を感染症対応病棟としなければならず、受入れ確保数以上の病床として、一般病床588床のうち、約200床、割合といたしましては3割以上、休止せざるを得なかった、そういう状況でございます。  加えて、感染防止に十分配慮しながら、感染患者の看護やケアを行うためには、通常より多くの看護師が必要となるため、感染症病床で実際に看護に当たる医療スタッフの確保が急がれたところでございます。  これらの課題に対応するため、一般入院患者の受入れ抑制を目的に、3次救急、3次以外の救急患者の受入れの一時的休止、あるいは、急ぐ必要のない手術の延期、それから、地域医療機関からの紹介患者の受入れ抑制、こういった方策によりまして対応してきたところでございます。 ◆三神英彦 委員  3次救急の受入れ一時制限など、本当に様々な工夫をいただきながら、新型コロナウイルス感染症に対する病床を上手に確保していただいたということですね。  3月の予算特別委員会での質問の際、その時点での感染症の特徴や市民の行うべき感染対策について答弁をいただくことができました。その後も、市内で多くの感染症患者を受け入れ続けてきた経緯から、さらなる有益な情報や知見が集積されたものと推察できます。  病床を上手にコントロールすることをはじめ、人の配置、そういったご努力をしていただきながら、実際には、院内感染を起こさずに新型コロナ感染症の受入れと、それから、それ以外の人たちの受入れを並行して行っているというのは、本当にそこに関して誇らしげな部分なのではないかと思います。  最後、予算委員会のときに引き続きの質問になりますが、これまで病院として知り得た情報や知見はどのように活用されているのかを伺います。 ◎向井 病院事業管理者  市立札幌病院が得ました情報や知見の活用についてお答えいたします。  新型コロナウイルス感染症の治療に関しては、承認された抗ウイルス薬や重症化を抑える薬剤が幾つかあるものの、いまだ根本的な治療法がなく、ワクチンが確保されている状況でもございません。  このように手探りの中での治療が続いておりますが、当院が多くの感染症患者を診察する中で分かってきた情報については、学会や医療機関が集まる場での症例報告などを通して提供を行っております。  また、保健所等からの要請を受けまして、医療関係者や施設関係者に対して、当院の感染症専門医や感染管理認定看護師が、これまでの経験を基に感染対策についての情報を提供したり、感染者が発生した施設に保健所職員と共に出向いて、防護服の着脱訓練やゾーニングの見直しを直接指導したりするなどにより、感染対策のノウハウを提供しているところでございます。  今後も、保健所と連携を密にしながら、当院が提供できる情報については広く活用していきたいと考えております。 ◆三神英彦 委員  札幌病院は、予算委員会のときにも多分言ったと思うんですけれど、公立であるということと病院機関であるということ、これを併せ持っているということは、本当に特異な存在なんだと思います。  そういったところで、本当に札幌病院しか持ち得ない情報というのは必ずあるはずなんですよね。そういった中で、当然、指示系統としては、保健福祉局の感染症対策が司令塔となる話なので、そことの連携というのは必須なわけです。  そういったところから、札幌市が出すべき情報というのは、そこを経由して出ていく。それから、今お話しいただいたように、学会だとか医療機関からの経由、それから、実際に医療現場として教える、教えられるだとかという部分での連携という部分は、今お話しいただきました。  残念なのは、それが、せっかく皆さん活躍されているわけですから、そういったところが一般市民にも伝わるようになればいいと思います。第1波の後だったと思うんですが、向井院長の道新での記事を読ませていただきました。あれもヒントになるんだと思います。  そういったところをきちんと市民に分かっていただくことによって、さらに、例えば、そこに札幌病院を目指して、医療への道で勉強する人だとかというのも出るわけですから、そういったところを、本当にこの大変な時期かもしれないですけれど、情報を上手にいろんなところに出していくということを考えていただけたらと思います。 ◆成田祐樹 委員  私からは、市立病院の経営状況についてお伺いしたいと思います。  まずは、新型コロナウイルス、COVID−19に関して、最前線で治療に当たり、多くの患者を救っていただいている市立病院に対して、心からの感謝を申し上げたいと思います。  さて、このコロナの影響で、病院の経営状況も大きく変わってきました。まずは、決算委員会ということですので、昨年度決算から含めてお話を伺いたいと思っています。  まずは、令和元年度決算についてです。  これまで、中期経営計画などを含めて、収益の改善に向けて努力をされていたかと思うのですが、とりわけ昨年度に関しては、非常に大きな努力の結果が見えたのかなと感じております。  特に、病院経営に大きく影響を与える稼働率及び延べ入院患者数の増もありましたが、それに加えて、紹介者数は1万3,533人ということで、前年比627人増えて4.9%の増、逆紹介者数については1万8,411人、前年比で571人増えて3.2%の増という形で、大きく増加が見られました。  平成29年度の決算委員会において、私のほうから、機能評価係数2の部分でも若干弱いのではとお話をさせていただいた地域連携が、これによって大きく進んでいる部分を見ることができましたし、これまで、他の病院とも比較して高度な医療を提供している割に安いのではと指摘をさせていただいた入院単価について、市立札幌病院では、当時、たしか6万5,000円ぐらいではなかったかなと思うんですが、もう少しあってもいいのではという話をさせていただきましたが、これについても7万5,000円くらいまで上がるなど、特にここ数年の中でも一番と言えるくらいに、非常に努力の見られる結果であったのではないかなと感じております。  また、昨年度は消費税の増税もありましたから、材料費などで負担も増えていますし、消費税は診療報酬に転嫁できないので、経営的には苦しい状況になることも考えられるのですが、それを全く感じさせられないくらいの状況だったのではないかと思います。  特に、公立病院の経営はどこの地域でも苦しく、経営改善をしていっているというデータはそんなに多くないので、なおさら、そういう点を含めても評価に値するのではと感じています。  そういう順調な状況でありながら、2月、3月にかけて、新型コロナの感染拡大が出てしまったというのは、経営面を考えると、本当に非常に悔しいなと思うところです。  いずれにせよ、改善された点がそれぞれあったので、まずは総括をしてお伺いしたかったのですが、今回の経営改善について、病院局ではどのように認識しているか、また、コロナの影響がなければ、どの程度、医業収支が変わっていたか、まずはお伺いしたいと思います。 ◎日高 経営管理部長  経営改善の認識と、コロナの影響がない場合の医業収支についてお答えいたします。  令和元年度の経常収支は、中期経営計画で想定いたしました1億7,000万円の赤字から2億5,000万円ほど好転いたしまして、8,500万円の黒字を計上したところでございます。  経営が好転した主な要因は、紹介患者や救急患者を積極的に受け入れたことに伴い、総入院患者数が増加したこと、それから、円滑なベッドコントロールなどによる在院日数の短縮や、これまでの診療実績の評価による診療報酬上の係数向上、これに伴いまして、1人当たりの入院単価が増加したことによるところでございます。  中期経営計画を策定し、病院全体が一丸となって、同じ方向を見て取組を進めたことにより、平成25年度以来6年ぶりの黒字が計上できたもの、このように認識しております。  なお、令和元年度は、2月末から、主に、重症、中等症の新型コロナウイルス感染症患者受入れ体制を確保するため、救急患者の受入れを一部制限したことに伴いまして、3月以降の患者数が大幅に減少いたしました。  仮にでございますが、3月の医業収益が前年並みだったとすれば、先ほどもお話がございましたが、さらに1億6,000万円程度の医業収益の増加が見込めたもの、このように考えているところでございます。 ◆成田祐樹 委員  1億6,000万、非常に大きいですね。3月という短期間の影響だけでも、それだけ大きな収入が減ってしまったというのは、非常に痛いなというふうに思っております。逆に言い換えると、それだけ順調だったわけですから。これだけ短期間でも影響があることを考えますと、その後の病院経営についても、やはり心配だなと感じているところです。  コロナの影響によって、稼働率は大きく下がっていると伺っていますし、当然、それに比例して、経営面でも苦しい状況にあるのではないかなと考えています。  ただ、北海道で唯一の第1種感染症の指定医療機関でもある市立札幌病院は、市民の健康と命を守るための大きな役割を全うしておりますし、何よりも、今回のコロナ禍を含めても、公立病院としての存在意義を示しており、赤字であっても黒字であっても、その必要性については揺るがないものであると思っています。  ただ、今後の財政状況によっては借入れの可能性もあることから、少し確認をしたいと思います。  今回のコロナ禍によって、診療報酬が目まぐるしく変わり、コロナ感染症患者の診療報酬は3倍及び5倍まで引き上げられましたが、それ以外での稼働率が上がらないことによる収入減がどうしてもあるのではないかなと考えています。  ここで、お伺いしますが、コロナ禍における今後の経営状況についてどのように認識をしているのか、見解をお聞きしたいと思います。 ◎日高 経営管理部長  コロナ禍における今後の経営状況についての認識についてお答えいたします。  新型コロナウイルス感染症の影響で、令和2年4月から8月の5か月間の医業収益、これは、前年同期間と比較しまして、先ほども数字が出てまいりましたが、約16億円ほど減少しておりまして、病院経営に大きな影響を与えているところでございます。  札幌市内においては、現在も新型コロナウイルス感染症患者が継続的に発生しており、当面、当院での患者の受入れが続くものと考えているところでございます。  感染症患者については、一般病棟の病床を転用して受け入れていることから、今後も、一般患者の受入れを抑制せざるを得ないことを考えますと、医業収益の減少は継続し、今年度後半も厳しい経営状況が続くもの、このように認識しているところでございます。 ◆成田祐樹 委員  本当に非常に苦しい状況だなというのは分かりました。  しかし、これまで経営努力をしっかりされていたという部分は先ほどしっかりと確認をさせていただきましたので、これはもうやむを得ないものと思っております。  ただ、経営面が悪化した際に、特に市立札幌病院において気になるのは、運転資金、いわゆるキャッシュです。特に、今回のようにイレギュラーで想定がつかないような稼働率の減少などがあった場合、やはり、それはすぐにキャッシュという部分に影響が出ることになり、潤沢な運転資金を持っていない市立病院においては、キャッシュ不足が懸念されるところです。  また、市立札幌病院は、平成29年に運転資金の長期借入れをしており、再度の借入れを避けたいという部分は理解できるのですが、一方で、運転資金が不足している場合、スピード感を持った対応ができなくなるなど、コロナ禍の状況において、緊急的な出費にすぐに対応できない懸念事項が出てくるのではと考えております。  また、先ほども答弁でありましたが、今後の経営状況も、どのようになるのか、先行きがなかなか見越せない状況なのではないでしょうか。そういった面を考えると、あらゆる状況にすぐ対応できるよう、一定程度の運転資金を持ち合わせる必要があるのではないかと考えます。  国では、空床補償などの政策が出てきました。また、総務省のほうでは、今回のコロナ禍における公営企業の資金繰りを円滑にするため、特別減収対策企業債の発行をしているとも聞きました。よくある、利息について大部分が充当されるというものです。  ここで、お伺いしますが、市立病院の経営において、年度をまたいで安定した運転資金の確保ができるのか、見解をお伺いしたいと思います。 ◎日高 経営管理部長  年度をまたいだ運転資金の確保についてお答えいたします。  医業収益が減少している要因は、新型コロナウイルス感染症患者用に確保している病床が一定程度空床になることや、感染症対応に当たる看護師を確保するため、一部病棟を休止していることにございます。  委員がご指摘のとおり、国は、この空床、休床による減収分を補填するため、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関に対して、緊急包括支援交付金における病床確保料を措置したところでございます。  市立札幌病院は、新型コロナウイルス患者専用の病棟を設置し、受け入れる重点医療機関の指定を北海道知事から受けたことから、この交付金の単価が増額になる予定でございます。想定どおりに交付金が交付されたとすれば、減収分の補填は可能であり、運転資金の確保もできるものと考えているところでございます。  今後、必要な交付金を確保していくとともに、地域の医療機関を支えていくという市立札幌病院の役割を果たすために、可能な限り、一般患者の受入れを行いながら、安定的な事業運営を行ってまいりたい、このように考えているところでございます。 ◆成田祐樹 委員  今回のこの質問の意図というのは、どうしても公立病院の宿命みたいなものだと思うのですけど、大きなお金が動くとき、どうしても議会を通さなきゃならない、そういうところで、どうしてもスピード感というところが、民間病院と比べてしまうと、劣ってしまうというところがあったので、その部分について確認をさせていただきました。  最後に、研修体制についてお伺いしたいと思います。  過去の質問においても、市立札幌病院の使命として、高度な医療を担っていただくとともに、そのためには人材を育成していく必要性について、何度か触れさせていただき、研修費の確保について言及をさせていただきました。  今後においても、市立札幌病院がより高度な医療を提供するために、医療従事者が自ら研究、研さんすることが必要不可欠であり、高度な専門性を身につけるためにも、そのきっかけとなる研修は、間違いなく欠かせないものだと考えています。  何よりも、教育面を大切にし、これからの医療人材を育成することが、札幌市民の健康と命を守り、また、それ自体が医業収入の増加につながっていくものと考えています。  今回、コロナ禍によって経営が厳しくなっているのは承知していますが、どんなに経営が苦しくとも、そこだけは守り抜くべきではないでしょうか。  そこで、お伺いしますが、より高度な医療を提供し、市民の命と健康を守るためにも、コロナ禍においても研修費用の確保が必要であると思いますが、見解をお伺いしたいと思います。 ◎日高 経営管理部長  研修費用の確保の必要性についてでございます。  委員がご指摘のとおり、市立札幌病院が安定して質の高い医療を継続して提供していくためには、医療従事者の人材育成に向けた研修が重要だと認識しているところでございます。  令和元年度決算では、医師の研究費として約7,000万円、そのほか、医師以外も対象とした研修費を約1,700万円執行してございまして、引き続き、人材の育成に努めているところでございます。  医師の研究費については、各種学会への参加、専門誌への論文掲載や外国の専門図書の購入等に充てることを目的にいたしまして、1人当たり34万円を上限として予算計上しているところでございます。  今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、各種学会や研修等の多くがウェブでの受講に変更となっておりますが、より円滑に受講するための機器の購入等も追加で行っているところでございます。  今後も、市立札幌病院が市民に対して質の高い医療を提供し続けるためにも、医療従事者が自ら研さんに努めるきっかけを失うことがないよう、研修費用の確保に引き続き努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。 ◆成田祐樹 委員  金額、総額だけを聞くと、多いふうに聞こえてしまうのですが、本当に、ちょっと、そういったところで専門性を身につけたりすることだけで、いろいろ、やっぱり1億、2億なんか、すぐ収益が上がるというふうにも伺っています。ぜひ、皆さん、いろいろ専門性を上げるとともに、ドクター、コメディカルを含めて、チーム医療の推進、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  最後に、これからも、非常に、対コロナの部分で、大変、皆さんにご負担をかけると思いますが、引き続き、市民のために、皆さん、ご尽力いただけることをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。 ○林清治 委員長  以上で、病院事業会計の質疑を終了いたします。  ここで、理事者交代のため、委員会を暫時休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時3分       再 開 午後2時5分     ――――――――――――――
    ○林清治 委員長  委員会を再開いたします。  次に、第3款 保健福祉費 第1項 社会福祉費、第2項 子ども福祉費のうち保健福祉局関係分及び第4項 生活保護費について、一括して質疑を行います。 ◆田中啓介 委員  私からは、障がい者就労支援についてと障がい福祉の居宅介護ヘルパーについて、大きく2点質問をさせていただきます。  最初に、障がい者就労支援についてですが、障がい福祉事業所では、障がい当事者が作った製品を販売、また仕事を受注して障がい者の就労福祉支援を行っております。  本市では、障がい者の就労支援事業として、就労移行支援、就労定着支援、就労継続支援のA型、B型と、共同作業所がございます。  新型コロナウイルス感染症の影響で、これら多くの事業所では、仕事の受注や製品の販売等が激減し、障がい当事者の工賃が大きく落ち込みました。国は、このことを受けて、通知の中で、それまでは賃金及び工賃の支払いに要する額は原則として自立支援給付をもって充ててはならないとしておりましたけども、ただし、災害その他やむを得ない理由がある場合は、この限りではないと。今回の新型コロナウイルスへの対応も適用するということが、今年の2月20日付の事務連絡で通知が出されております。  この国の通知でいきますと、逆に、自立支援給付、障がい福祉事業所の運営費あるいは人件費を削ることになってしまいます。本定例会の補正で、それらの補填を行うということになりましたが、対象事業所は、就労継続支援のA型とB型のみになっております。  そこでまず、質問させていただきますが、就労継続支援A型・B型以外の収益の実態を把握しているのか、把握すべきだと思うがいかがか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  私から、就労継続支援A型及びB型以外の事業所の生産活動の状況の把握についてお答えいたします。  このたびの生産活動再起に向けました支援策につきましては、国の補助事業を活用したものでございまして、国が補助対象として示しております就労継続支援A型及びB型事業所を対象に生産活動状況を調査したところでございます。 ◆田中啓介 委員  今、国が指定したものについては調査を行って、それ以外はしていないという旨の答弁だったというふうに思います。  札幌市でいうと、国の事業としては、就労継続支援のA型とB型のほかに、移行支援、定着支援というのがあると思いますけども、札幌市、本市独自で、この共同作業所というのは、独自の支援をここは行っている、補助を行っているというふうに思います。  こちらの事業所は、大体8事業所を、今、札幌市では持っているというふうに思いますが、この共同作業所というのは、特に小さい事業所が多くありまして、そういうところに対する支援というのもしっかりと考えなきゃいけないし、そのためには、まず実態を把握していこうということが大事だというふうに思います。  例えば、地下鉄の大通駅のコンコースに障がいのある方が利用する施設等で作られる製品、これの常設の販売所である元気ショップというものがございます。ここには、先ほど対象になっている就労継続支援事業所だけではなくて、共同作業所などの製品も出品されております。ここでの収益は、前年と比べてどうだったのか。何より、それぞれの就労支援事業所に直接問合せをして、実態を把握していくべきです。  実際、新型コロナウイルス感染症の影響で、この就労継続支援事業所のみならず、ほかの障がい者の就労支援を行っている事業所でも、同様に収益が下がっているという声が多数寄せられておりますので、ぜひ実態を把握して、何らかの支援ができないかということが必要だというふうに思うんですがいかがか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  就労継続支援A型及びB型以外の事業所に対する支援ということでございます。  このたびの支援策につきましては、新型コロナウイルスによる生産活動への影響を特に大きく受けております就労継続支援A型及びB型事業所を対象としたものでございます。  就労継続支援A型及びB型以外の事業所に対する生産活動再起に向けた支援につきましては、引き続き、国の動向を注視してまいりたい、このように考えております。 ◆田中啓介 委員  国の動向の注視ということでしたけども、先ほども例に出しました共同作業所は、本市独自の支援を行っている事業所ですので、そういうところは、積極的に出向いて、また情報収集して、収益は本当に大丈夫か、また、そこを利用されている方々が不利益を被っていないかを含めて調査をして、何らかの支援を行っていただきたいというふうに思います。  障がい当事者にとって、まさに、なくてはならない、かけがえのない場でもございます。障がい福祉事業所が、廃業とか、また閉鎖、このような事態にならないように実態を把握して、財政的な支援の対象を就労継続支援に限定せずに拡大していくべきと申し上げて、次に移ります。  障害福祉サービスや、または制度というものは、たとえ障がいを持っていても、地域で安心して暮らせるように支援するためのものであって、その制度や支援によって、逆に地域で暮らしづらくなるようなことがあってはなりません。  近年、障がい福祉分野においても、障がい当事者の高齢化による様々な課題が出てきており、障がい福祉と高齢福祉との連携、これに加えて、加齢による様々な疾病が出てきて、福祉と、また医療との連携も重要になってきております。  今回は、質問に当たって、ある事例に基づいて質問をさせていただきます。  障害福祉サービスの共同生活援助、いわゆる障がい者用のグループホームに入居されている69歳の方、ある病院を受診した際に、検査をして膀胱にがんがあることが分かり、入院、膀胱の全摘手術を行いました。そして、退院後、グループホームで暮らすためには、訪問看護と居宅介護ヘルパーが必要になってまいりました。  まず、ここで確認ですが、障害福祉サービスの共同生活援助、障がい者用のグループホーム、いわゆる従来のグループホーム、外部サービス型のグループホームですが、入居している方が介護保険制度を利用して居宅介護ヘルパーサービスを活用できるのか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  居宅介護サービスを利用できるかということでございますけれども、その方々の状況をそれぞれ医療機関のソーシャルワーカーが確認をさせていただきまして、その方に適したサービスを提供させていただくということでございますので、ただいまの事例に関しましては、適用できるというふうに考えてございます。 ◆田中啓介 委員  私が質問をしたのは、介護保険制度を活用して、利用して、この障がい者用のグループホームでホームヘルプが活用できるのかということですが、改めて伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  そのケース・バイ・ケースによって、できる場合とできない場合があるのではないかというふうに考えているところでございます。 ◆田中啓介 委員  この方のケースの場合は、ケアマネさんから、障がい者のグループホームでは、介護保険制度を活用してのホームヘルプはできないというふうに言われました。この方の場合は、介護認定も受けているんですけども、介護認定は要介護1になっております。要介護1では、そういう障がい者用のグループホームでは利用できないということでありました。  これは、実は、2014年、障害者総合支援法が改正されまして、従来型のグループホームにおいて、入居者に対しての障害福祉サービスの中で、居宅介護支援事業に委託をして、要は外部に委託をして、ホームヘルパーによる身体介護をこの2014年の法改正によってできるようにもなりました。  逆に、これに伴って、障がい福祉のグループホームでの介護保険を適用してのホームヘルプサービスは、適用できなくなっております。  加えて、介護保険での要介護1では、通院等の介助も行えませんが、障害福祉サービスでは、1以上は通院等の介助も利用することができるようになっております。  今回、この方のケースの場合、入院していた病院の医療ソーシャルワーカーが、退院するに当たって、今後は介護保険による介護サービスを利用するための手続を進めていきました。退院するときに、障害福祉サービスの居宅介護、先ほど竹村部長からも利用できるというふうになっておりますし、実際、利用できるんですが、そちらを使わずに介護保険に切り替えてしまったために、ホームヘルプサービスを利用できず、また、通院するときの介助支援も受けられなくなってしまいました。  そこで、質問ですが、法律や制度等が変更された場合、また、運用に当たっての留意点などについて、それらに関わる事業所に対し、本市としてどのように周知をしているのか、伺います。  また、その変更等がしっかり周知徹底されたか、確認していくことも必要だというふうに思うんですが、本市としてどのように確認をしているのか、併せて伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  医療機関などの関係機関に対する制度周知の取組ということでございます。  障がい福祉制度に関する出前講座を実施しているほか、病院や訪問看護の職員を対象といたしました研修会を開催いたしまして、関係者が障害福祉サービスに関する理解を直接深められる機会を設けているところでございます。  また、障害福祉サービスの情報を包括的に掲載しております冊子でございます「障がいのある方のための福祉ガイド」、こちらを毎年発行しておりまして、ホームページへの掲載ですとか、関係機関への送付、区役所での配架、また、希望があった場合の個別配付などを行いまして、分かりやすく障害福祉サービスの情報を伝えるよう努めているところでございます。  今後も、様々な機会を捉えまして、障害福祉サービスなどに関する情報を積極的に提供してまいりたい、このように考えております。 ◆田中啓介 委員  周知の方法は分かったんですが、実際、そのような変更等があって、それを周知した後に、それぞれの事業所、また機関が、それがちゃんと周知徹底されたかどうかという確認についてはいかがでしょうか。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  制度の周知徹底ということでございますけれども、特に確認という作業は、私どもはしてはおりませんが、ただ、その都度、通知等に基づきまして、制度改正は周知に取り組んでいるところでございまして、その都度、障害福祉サービスに関する情報を積極的に提供しているという状況でございます。 ◆田中啓介 委員  情報提供というだけではなくて、やはり、それが現場で周知徹底されているかということも併せて確認していくことというのが重要だというふうに思います。  続いてなんですが、その方は、介護保険に切り替えられてしまって、逆にホームヘルプサービスを受けられなくなったことで、改めて障害福祉サービスの居宅介護が受けられるように申請をし直しました。しかし、決定するまでに当たっては、約1か月以上かかるというふうに言われました。  その間の福祉サービスは受けられないため、この方の場合は、障害福祉サービスのグループホームに入居されているので、その事業所の方が、本来のサービスではありませんけども、ヘルパーの仕事、また介助などを行いましたが、例えば、家族と一緒に同居している場合には、家族の負担が増えてまいりますし、独り暮らしだった場合は、その間、介護サービスそのものが受けられなくなってしまって、逆に、病状を含めて重篤化していくことにもつながってまいります。  そこで、申請の段階で、すぐにでも必要な方に対しては、みなしとして介護サービスが受けられるようにすべきだというふうに思うんですがいかがか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  申請の段階でということでございますが、私ども、サービス利用に向けましては、必要なときにサービスを円滑に利用していただけるように支援をしているところでございます。  具体的には、実際のサービスの決定というのは、区役所が行うということになります。区役所が、相談支援事業所など、関係機関と連携をとりながら決定を行うということでございますけれども、その決定に要する時間というものにつきましては、なるべく速やかに決定はしてまいりたいというふうには考えておりますが、極力、利用者に対しまして、円滑なサービスの利用に向けて、支援を引き続き行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  申請の段階で速やかに決定するというのは、ちょっと、現状ではなかなか難しいというふうに考えております。 ◆田中啓介 委員  確かに、申請の段階では、全てを把握するのはなかなか難しいですから、すぐに決定というのは難しいかもしれませんが、それでも、ある程度の判断というものはできると思いますし、みなしという形でも、サービスはすぐにでも進めることも可能だというふうに思います。  部長も、極力速やかに、また円滑にということもありましたので、ぜひ、そこは進めて、本当に円滑に利用できるようにしていただきたいというふうに思います。  この方は、1か月はかかりましたけども、障害福祉サービス受給者証というものが交付されました。居宅介護については、身体介護が月10時間、通院等介助については6時間、移動支援については15時間というものが認定を受けました。にもかかわらず、通院介助をするヘルパーさんがいないというために、利用できないという事態に今陥っております。  制度があって、せっかく認定を受けたのにもかかわらず、利用できない。こういうことは、先ほど部長の答弁でもあった円滑にという部分にも、極力速やかにという部分にも対応できていない。こういうことがあってはならないというふうに思うんですが、必要な福祉支援、やはり、さらに認定されたのにもかかわらず、ヘルパーさんがいないということで福祉支援を受けられない人がいるということは、大きな問題だというふうに思います。  そこで、伺いますけれども、行政として、この人手不足の問題は、本当に重要な問題として早急に対応・対策が必要だというふうに思うんですがいかがか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  今、委員がご指摘のヘルパーの人手不足という問題でございます。  確かに、介護のヘルパーの不足というのは、私どもも課題であるというふうに認識をしているところでございまして、その課題解決に向けて、様々な取組を、今後、対策を講じてまいりたいというふうに考えてございます。 ◆田中啓介 委員  最優先の課題として、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。  障害福祉サービスというのは、障がいを持っていても、地域で安心して暮らせるように支援をするためのものです。高齢化に伴って、今、障がい福祉という一つの分野にとどまらず、高齢福祉、また医療など、複合的な支援も必要になってきております。  一人の当事者に関わる機関、また事業所が制度などを理解する、このためにも、周知徹底を本市として図っていただきたいこと、また、福祉サービスを利用する方が不利益を被らないように、本市としてもしっかりと関わっていただくこと、このことを申し述べて、質問を終わります。 ◆阿部ひであき 委員  私からは、障害福祉サービス事業所に対する指導体制について伺いたいと思います。  札幌市では、障がいの有無にかかわらず、市民の誰もが、互いに人格と、そして個性を尊重し、支え合う、そうした共生社会の実現を掲げています。そのために、全ての障がいのある方が地域で安心して暮らすことができるよう、様々な障害福祉サービスが各事業所から提供されています。  その事業所数について、札幌市における1,000人当たりの事業所数は1.82事業所と、他の政令指定都市と比べても非常に高い水準にあります。障がいのある方がサービスを受けるに当たり、選択肢が多いことは、今日多様化する市民ニーズに応える上でも望ましいことであると考えます。  しかしながら、今年度に入り、札幌市は既に3法人が運営する5事業所に対し、指定の取消しなどの処分を公表しております。昨年度は、1年間で5事業所に対する処分を公表しておりますので、今年は、もう既に半年で前年の処分事業所数に達したことになります。  処分を受けた事業所は、全体から見れば、ほんの一握りかもしれませんが、障がいのある方が安心してサービスを受けるためにも、こうした処分を受ける事業所がないにこしたことはありません。また、事業所のサービス提供に係る実態や経営状況について、利用者やその家族自身が調査、判断することは現実的に難しく、市の指定を受けていることが、信頼感や、あるいは安心感といったものにつながるものと考えます。  そのためにも、事業所を指定している札幌市が、指定後もしっかりと事業所を監査・指導していくことは極めて重要であり、良質なサービスを維持してもらう上でも必要不可欠であります。  そこで、事業所に対する指導・監査はどのような状況で行われているのか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  事業所に対します指導・監査の状況について、私からお答えいたします。  事業所に対します指導の状況につきましては、原則として3年に1度をめどに各事業所を定期的に個別訪問し、実地指導しておりますほか、集団指導として、毎年3回、全事業所を対象に、過去の指導事例、給付費請求の留意事項、制度改正の内容等につきまして、講義形式により説明する研修会を開催しております。  また、給付費の不正請求や利用者に対する虐待などが疑われる情報提供があった場合は、臨時に実地指導を行っております。  さらに、著しい基準違反や多額の不正請求、利用者の生命、安全に危害を及ぼすおそれがある場合などは緊急に監査を行っておりまして、事実関係を的確に把握し、速やかに是正措置を図ることとしてございます。  市内の約2,500事業所に対します指導・監査の体制につきましては、職員2名を1班といたしまして、定期的な個別訪問を1班、情報提供に基づきます臨時の指導や監査を2班体制で実施しておりまして、限られた人員体制の中で工夫しながら行っている状況でございます。 ◆阿部ひであき 委員  定期的な指導に加えて、虐待が疑われる場合などは、このように臨時的に迅速に対応しているとのことでありますけれども、先ほどの事業所数2,500か所ですね。それと、現在の指導体制、2名を1班としてということで、そういうふうに考えると、十分、それが本当に目が行き届く体制になっているのかなというのは、非常に疑問を感じるところであります。私は、十分、目の行き届く体制になっていないんじゃないかなというふうに考えます。  札幌市の指定を受けるまでには、多くの事業所は、その基準をクリアするまで、たくさんの労力を費やし、そのことは、指定後の運営の健全性にもつながらなければなりませんが、全ての事業所によるサービスの向上、あるいは、向上継続の維持、こうしたものは、本市の指導・監査体制、こうしたものは、決して欠かすことはできません。そうした観点からも、目が行き届く指導・監査体制の構築は、今後、極めて重要であります。  また、今年は新型コロナウイルス感染症により、多くの感染者を出したところであります。このような中、多くの障害福祉サービス事業所は、感染防止策を徹底しながら、サービスの提供を継続していただいており、札幌市においても、国や道と連携しながら、衛生物資の優先供給などを通じて事業所を支援してきておりますけれども、事業所の福祉サービスの質の確保という意味でも、先ほど伺った指導や監査の状況では、まだまだ不十分であると考えます。  そこで、今後、障害福祉サービスの質をどのように確保していくのか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  障害福祉サービス事業所のサービスの質の確保に向けての取組でございます。  障害福祉サービス事業所のサービスの質の確保につきましては、様々な取組が必要であると考えてございます。  集団指導の場におきましては、事業所運営に当たっての一般的な説明に加えまして、比較的多く見られます指摘事項の事例などをご説明し、情報共有を図っているところでございます。また、事業所の管理者を対象といたしまして、役職に応じた役割や能力の習得を目的とした研修や、支援員等を対象といたしまして、療育の質の向上を図るための研修を実施しております。  さらに、障がい者に対する虐待は決してあってはならないことでありますことから、事業所職員が虐待防止の知識を深めていただけるよう、事業所に対しまして、出前講座やセミナーを実施しているところでございます。  このような様々な取組を通じまして、引き続き、障害福祉サービス事業所のサービスの質の確保に取り組んでまいりたい、このように考えております。 ◆阿部ひであき 委員  今の答弁の中身にも、虐待防止という話がありましたけれども、何といっても、こうした施設を利用される方々の声というのが、非常に、この場合、大切な部分じゃないかなと思うんですね。  私も、今回、いろいろな施設を利用されている方々の声というのをちょっと聞いておりますけれども、やはり施設を利用している方、特にご家族の方は、非常に気づいた件があって、この施設にはこうしたことを直してもらいたいということがあっても、なかなかそれを言葉にして言いづらいという、そうした環境にある。これは、もう実に理解できますね。それをそのまま言葉にしてしまって、もし自分たちが預けている人たちに何らかの危害が加えられても困るし、それまでのサービスをまたおろそかにされても困るわけであります。  こうしたことを考えると、それぞれの事業所、恐らく大方の事業所はしっかりやっているんだろうという。これも、でも、多くの推測でしかすぎないところでありますので、ただ、その中で、やはり一つ一つ、先ほど研修という話はありましたけれども、やっぱり、ここで大切にしていただきたいのは、それぞれの事業所を回って、個別にしっかりと、どういう状況になっているのかというのを見ていただかなければならないのだというふうに思います。  特に、昨今、このコロナ禍において、多くの事業所は、ご家族は来ないでくださいと、入所を禁止しますと。それはコロナの関係で言っているんだと思うんですけども、とはいえ、やはり、ご家族の中には、でも、どういう状況になっているか、ちょっと心配だからということで様子を見に行っていられる方もいて、その中の一つの声として、実は、行ってみると、その事業所そのものが非常に衛生面が行き届いていない状況になっていて、もう本当にぼろぼろで、こんなのでいいんだろうかと。ごみもそのまんまだし、そして、歯磨きの状況も全くされている気配もないしというような、そうした声もいただいているところであります。  これは、逆に言うと、来ないでくれと言われてしまうと、施設の中で起こっていることというのは、我々は全く目にすることができないということが、もう明らかなんですね。  ですから、そういうことを考えると、外部と遮断されていて、より内情が分かりにくい構造になっているからこそ、今、こうした施設、今回は障害福祉施設にピンポイントを挙げていますけども、ほかの施設だって分かんないですよね。こうしたことをやはり一つ一つ見て歩いて、しっかり本当になされているかどうかというのは、今こそ必要な時期なんだと私は思います。  ですから、そうしたことを考えて、この指導体制、特に見て歩いて、そういう衛生面がちゃんと行き届いているかどうか、来ないでくれと言われれば、完全にそこはもう密室の社会ですから、その密室の社会の中で何が行われているかというのは、しっかりと、今だからこそ、しっかり準備してやっていかなければならないんだと思うんですけれども、その辺のところ、人員の加配等々も考えていかなきゃならないし、もしくは、市役所でもしどうしてもできないんだったら、どこかに頼まなきゃならないし、そうしたことをもっとより積極的に考えるべきだと私は思うんですけれども、その辺のところを、今の話を聞きながら、ここにはないですけれども、保健福祉局長である佐々木局長にちょっとお話を、今後どういうふうに取り組んでいくのか、また、そういったことの認識について伺いたいなと思います。 ◎佐々木 保健福祉局長  今、阿部委員から伺ったお話、そのとおりだなと思って聞いております。  やはり、私ども、権限を持って事業所の指定ということはしておりますけれども、それで仕事は決して終わりではなく、その後、引き続き、サービスがどのように提供されているのか、その確認というのは必ずしなければいけないことでございます。  今の障害福祉サービス事業所にかかわらず、介護事業所あるいは低所得者の方の救護施設等々を含めて、そこに暮らしていらっしゃる方がいるところ、どうなっているかというのは、必ず確認が必要なことだと思っております。  また、特にこの時期、ご家族の方が、ふだんだったら毎週のように会いに行っていたのが、会いに行けなくなっているというような状況もございますでしょうし、その辺り、ご心配になられるのも分かります。  実際、私どもの人員体制で、今、竹村部長のほうからもお話がありましたが、いろいろな工夫をしながら、少ない人数の中でやっているというのが現実ですけれども、そこを言い訳にすることはできませんので、引き続き、皆様が安心してサービスを受けていただけるように、確認を続けていきたいと思っております。 ◆阿部ひであき 委員  ぜひ、そうした話を前向きにやっぱり検討していただかなければならないなというふうに思います。  この件は非常にちょっと重たい件でもありますけれども、やはり何といっても、そういうふうに利用されている方々がまた不具合を生じてしまう、あるいは、非常に不信感を抱いて、それが広がってしまうということが一番怖いので、何よりも、札幌市の指定というのは、私は、ぜひともやっぱりそれは一つのブランドだというふうに思ってほしいなと思うんですね。指定をして出しているんだということを、札幌市は、それを守っていただきたい。  そのためにも、やっぱり、事業所そのものが、ちゃんと札幌市の指定というブランドでもって、しっかりとそういった営業内容になっているかどうか、この辺のチェックは、ぜひとも、これからもしっかりと進めていただかなければならない、このことを強く指摘して、私の質問を終わりたいと思います。 ◆あおいひろみ 委員  私からは、災害対策用品購入費助成事業について伺います。  2018年の胆振東部地震によるブラックアウトでは、電気がつかないという非常事態に、誰もが不安な数日間を過ごしたことは記憶に新しいところですが、障がいを持つ方、特に人工呼吸器や酸素濃縮器などを使用する在宅の障がい者等は、このまま電気が来なければ、命に関わるので、その不安は計り知れないものだったと想定します。  災害時にも日常生活を継続するために必要な非常用電源装置等の購入に関わる費用について、札幌市では、昨年10月から助成制度を設けております。  購入費助成となる用品は、インバーター発電機、ポータブル電源、カーインバーターの3種類から選ぶことができ、災害時、すぐには避難所に行くことができない障がいを持つ方が電気の心配を最小限にしていただけるよう考慮されています。  感染症のリスクを避けるために、避難所に行くより自宅で過ごしたいという方もいらっしゃいますので、障がいのある方にとっての電気の確保は大変重要です。札幌市のアンケートでは、日頃の備えが不十分な方が多くいることが分かっており、また、いつ必要となるかもしれないときのために、一人でも多くの方がこの制度を利用して備えをしていただきたいです。  障がいのある方の中には、ご自身でこのような制度があることを確認できない方も多く、ご家族やヘルパー等が申請すると想定されますが、命に関わる災害対策用品購入のための助成ですので、申請漏れのないように周知すべきと考えます。
     そこで、確認させていただきますが、昨年度の助成実績と内訳、そして、今年度のこれまでの助成の状況を伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  災害対策用品購入費助成事業の昨年度の助成実績と、今年度のこれまでの助成状況についてお答えいたします。  災害対策用品購入費助成事業における昨年度の助成実績でございますが、222件となってございます。内訳でございますが、インバーター発電機が123件、ポータブル電源が95件、カーインバーターが4件となっております。  今年度は、9月末現在で75件助成してございまして、その内訳は、発電機が29件、ポータブル電源が46件となっております。 ◆あおいひろみ 委員  呼吸器機能障がいの手帳保持者は、約1,200人いらっしゃいます。それからすると、昨年度の実績と今年度の助成状況を合わせても、申請者300人というのは、少し少ないかなという印象を持ちました。  事業が始まる前にお持ちの方もいらっしゃったかとは思いますが、事前アンケートで必要ということで事業が始まったのに対しては、申請が少な過ぎるのではないでしょうか。  そこで、二つ目の質問です。  札幌市では、呼吸器機能障がいの手帳保持者に比べて申請者が少ないことについて、どのように受け止めていますでしょうか。  また、昨年度、事業を始めるに当たり、どのような周知を行ったのか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  申請状況に関する受け止めと事業開始時の周知方法についてお答えいたします。  まず、申請状況に関する受け止めについてでございます。  事業の開始に当たりまして実施したアンケートによりますと、約3割の方々が既に非常用電源等を所持していると回答をされていたところでございます。一方で、約6割の方々が購入を希望されていらっしゃいました。  しかしながら、昨年夏の本州の台風被害によりまして、インバーター発電機及びポータブル電源の在庫不足が生じまして、購入できなかった方もいらっしゃると考えているところでございます。  また、今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症対策として、外出を控えた方も一定数いらっしゃるのではないかというふうに考えているところでございます。  現在につきましては、在庫不足も解消しておりまして、また、感染予防対策を取り入れた生活スタイルの定着に伴いまして、今後、こうした方々につきましても、随時申請がなされてくるものと認識しているところでございます。  次に、事業を開始するに当たっての周知方法についてでございます。  呼吸器機能障がいにより、身体障害者手帳を所持している約1,200人の方々に個別に案内を送付させていただきましたほか、札幌市のホームページや広報さっぽろの掲載などによりまして、お知らせをしたところでございます。 ◆あおいひろみ 委員  既に持っている方もいらっしゃるが、在庫不足により購入できなかった方もいるということでした。想定外のことで致し方ありませんが、現在は在庫も整ったようですので、改めて、購入手続きをする方が増えるよう周知する必要があると考えます。  事業を開始するに当たって、手帳保持者に個別に案内を行ったとのことですが、日常的にふだんの生活に追われている障がい者の方々は、このような申請が後回しになってしまうことも想定されます。万が一の際には命に関わることであり、災害はいつやってくるかも分かりません。漏れのないきめ細やかな案内が必要だと感じます。  そこで、最後の質問ですが、より実効性のあるものとするために、改めて対象者への周知が必要ではないかと考えますがいかがか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  対象の方々への事業の再周知についてでございます。  全国的に地震や台風等の災害が増加しておりますことから、万が一の場合に備えまして、非常用電源等が必要な方に行き渡ることが重要であるというふうに考えているところでございます。  今後、申請の状況を見極めながら、例えば、対象者が利用する障害福祉サービス事業所などを通じまして、改めて周知を行うことも検討してまいりたいと考えております。 ◆あおいひろみ 委員  申請状況を見極めながら、事業所などを通じて、改めて周知を行うことも検討するとのことでした。呼吸器の機能に障がいのある方などが災害への備えができるよう、対象となる方への周知をよろしくお願いいたします。  改めてになりますが、災害に強いまち、そして、障がいのある方も安心して暮らせるまちとして、今後もきめ細やかな対応を要望し、私の質問を終わります。 ○林清治 委員長  ここで、およそ20分間、委員会を休憩いたします。     ――――――――――――――       休 憩 午後2時49分       再 開 午後3時10分     ―――――――――――――― ○林清治 委員長  委員会を再開します。  休憩前に引き続き、質疑を行います。 ◆森山由美子 委員  私からは、要配慮者避難支援について、ひきこもり支援について、放課後等デイサービス事業所と利用者への支援についての3点について、順次質問をいたします。  初めに、要配慮者避難支援についてです。  札幌市では、災害発生時に自力での避難が困難な高齢者や障がいのある方などの避難支援を地域ぐるみで行う取組の支援を平成20年度から行っており、平成29年度に単位町内会に対して実施したアンケートでは、約3割の町内会で取組を行っているとの回答があったと聞いております。  地域ぐるみで避難支援に取り組むことは、地域の実情を広く住民が理解することにつながり、また、より丁寧に安全に要配慮者の避難をスムーズに行う温かい共助は、要配慮者にとり、安心のよりどころになると考えます。  札幌市は、平成27年度から、災害時の避難支援に特に配慮を必要とする方の名簿、避難行動要支援者名簿を作成し、平時から要配慮者の避難支援に取り組む団体に提供しており、我が会派では、名簿の提供をきっかけに、避難支援に取り組む地域が増えるよう求めてきたところです。  避難行動要支援者名簿の提供の仕組みができて5年が経過いたしますが、札幌市において、名簿の提供はどの程度進んでいるのか、また、名簿の提供を受けて避難支援に取り組む団体にとっては、取組を進める上でどのような点が課題になっているのか、お伺いいたします。 ◎加藤 総務部長  まず1点目、避難行動要支援者名簿の提供団体数についてでございます。  札幌市では、これまで、町内会や地区社会福祉協議会など地域の団体に対しまして、研修会や出前講座を個別に行ってまいりました結果、現在、名簿提供団体数は68団体になってございます。  次に、2点目の名簿提供団体における課題についてでございます。  名簿を提供した団体の取組状況や、取組における課題を把握し、効果的な活動支援方法を検討するために、昨年4月、名簿を提供している団体を対象としたアンケート調査を実施いたしました。  このアンケートの結果から、取組における主な課題が、支援者を集めるのが難しいことや、取組の趣旨や支援内容を説明する際の要配慮者とのコミュニケーションが難しいことなどであると把握しております。 ◆森山由美子 委員  名簿の提供を受けた団体の中にも、取組を進めるに当たって課題を抱えている団体があることが分かりました。避難支援に取り組む団体が取組をスムーズに進めていくためには、引き続き、行政からの支援を充実させていく必要があると考えます。  今後、地域における災害時の支え合いの取組をより広げてゆくために、どのように支援をしていくのか、お伺いいたします。 ◎加藤 総務部長  今後の支援策についてのご質問にお答えいたします。  アンケートにより把握いたしました課題を踏まえまして、例えば、支援者を集めるのが難しいという課題に対しましては、支援者を集めるためのチラシのひな形を、また、要配慮者とのコミュニケーションが難しいという課題に対しましては、要配慮者を訪問した際の説明用のチラシを作るなど、取組支援のためのツールを作成したところでございます。  既に名簿を活用していただいております団体に対しては、今年度の更新名簿提供時に、各団体の抱える課題に応じて、これらのツールの活用を提案してまいりたいと思ってございますし、新たに取組を始める団体に対しましても、名簿を最初に提供する際に、支援ツールを提供して、活用方法を説明してまいりたいと思ってございます。  なお、名簿の提供を受けずに要配慮者の避難支援に取り組んでいる団体や、これから取組自体を新たに検討を進めていく、このような団体の中にも、同様な課題を抱えているケースは多いと考えられますので、今後は、要配慮者避難支援事業とともに、作成したツールを幅広く地域に向けて周知いたしますことで、災害に備えた地域での支え合いの取組がさらに進むよう支援したい、このように考えてございます。 ◆森山由美子 委員  私も今回のアンケート結果を見せていただきましたが、注目すべき点は、胆振東部地震のときに、名簿の提供を受けている団体のうち、70%を超える団体が、実際に要配慮者の見守りにつなげることができたということです。改めて、この要配慮者支援の取組は、ふだんからしっかりと取り組んでいるという成果が、この数字に表れたものだというふうに思います。  コロナ禍でソーシャルディスタンスや密を避けるなど、災害への避難の仕方が変化してきている、そういう面もありますが、高齢者や障がいのある方など、自力では避難が困難な方がいるということは変わりません。  災害の想定も、内水氾濫が局地的に起こることなど、地域ごとに多様化しており、地域の実情は、地域が一番押さえているものというふうに言えます。  近年多発する災害に備え、今後も要配慮者の方への避難への丁寧な対策を続けて講じてくださいますよう求め、この質問は終わります。  次に、ひきこもり支援について質問をいたします。  最初に、新型コロナウイルス感染症の影響下におけるひきこもり支援に関する取組について伺います。  新型コロナウイルス感染症については、世界中で感染拡大が進み、札幌市においても、今年の2月から3月までの第1波、4月以降の第2波と、2回の感染拡大により、市民は外出自粛や社会活動の休止を余儀なくされ、市民生活や社会経済活動に大きな影響を受けたところであります。  同様に、ひきこもりの状態にある方やその家族の方々からの相談に応じ、必要な支援を行っている札幌市ひきこもり地域支援センターや、ひきこもりの状態にある方やその家族の方々が集まり、交流する場である集団型支援拠点「よりどころ」の運営にも少なからずの影響があったかと思います。  そこで、最初の質問ですが、このたびの新型コロナウイルス感染症感染拡大により、これらの事業への影響と、それに対する市の対応について伺います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  新型コロナウイルス感染症の影響とその対応についてお答えします。  初めに、札幌市ひきこもり地域支援センターについてですが、3月から5月に予定しておりました9回の出張相談会を感染症拡大防止の観点から中止といたしました。  この中止に伴いまして、予約のあったケースに対しましては、一件一件、電話による相談対応を丁寧に行いまして、緊急性の高いケースにつきましては、ひきこもり地域支援センターに来所いただいて、面談形式による対応を行いました。  次に、集団型支援拠点「よりどころ」についてですが、同様に2月24日から5月までに予定しておりました当事者の会5回と親の会6回の計11回を中止といたしました。  この中止に伴いまして、緊急的な代替措置として、支援の継続を図るため、オンラインによる当事者の会と親の会をそれぞれ3回、計6回開催いたしました。 ◆森山由美子 委員  ただいま、集団型支援拠点「よりどころ」においては、札幌市は緊急的な措置としてオンライン会を開催したとの答弁がありました。  このオンライン会は、「よりどころ」の運営を受託している法人、ピアサポーター、当事者団体、そのほか関係者、そして行政が集まり、新型コロナウイルス感染症の影響で先が見えない中、単に会を中止するのではなく、ひきこもりの状態にある方に対して、できる限りの支援を続けたいとの総意の下、Zoomを使用したオンライン会の実施を決めたと伺っております。  そこで、質問ですが、この緊急的な対応としてのZoomを使用したオンライン会ですが、実際に実施しての評価等について伺います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  Zoomを活用いたしましたオンライン会の評価についてお答えします。  当事者会は、3回開催したところです。1回当たりの平均参加人数は、昨年度の13.1人に対しまして5.3人でした。親の会についても、同様に3回開催いたしましたが、1回当たりの参加人数は、昨年度の20.8人に対しまして0.3人にとどまりました。  オンラインの会の開催を決定しましてから、実際の開催までに、ホームページやツイッター等で周知を行いましたが、その期間が短かったために、参加人数が少なかったのではないかと考えております。  利用者にとりましては、会場に行かなくても参加できる、移動時間等の制約もなく、参加できる、話が苦手でも気楽に参加できる等のメリットがございました。  その反面、インターネット操作が不得手な方、特に高齢者の方には参加へのハードルが高いことが、また、運営者側にとりましては、利用者に関わる支援プログラム別のグループ分けが難しいといったデメリットがあることも分かりました。 ◆森山由美子 委員  このたびのオンライン会の実施までには、極めて短い準備期間にもかかわらず、必要な調整や利用者への周知等で大変ご苦労されたことは推察されるところであり、この迅速な対応は、官民共同による賜物であり、関係者の熱意と努力に敬意を表する次第でございます。  さて、ただいまオンライン会の開催についての評価がありましたように、オンライン会は、支援内容に基づくグループ分けが難しいことや、インターネット操作が不得手な方の参加が難しいなどの問題点がある一方で、気楽に参加できたことや移動時間の制約がなかったというメリットが分かりました。  このオンライン会自体、改善しなければならないところはありますが、札幌市から報告のありましたメリットのほかにも、例えば、写真や動画の活用が可能となることで、参加者間で趣味や話題を共有することができたりします。この結果、お互いを知るきっかけとなったり、相互交流の促進にもつながると思います。  また、顔を出さなくても気楽に参加して交流ができるなどのメリットを生かし、ひきこもり支援の取組の一つとして、非常に有効な手段と考えられます。  そこで、質問ですが、札幌市として、オンライン会についてどのような認識をしているのかを伺います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  オンライン会の認識についてでございます。  平成30年のひきこもりに関する実態調査におきまして、ひきこもりに関する相談窓口と、同じ悩みを持つ人が集まる場所を求める当事者の方の声が多くありました。  札幌市としましては、引き続き、当事者やそのご家族の方々にとって、よりよい居場所となるよう、「よりどころ」を継続してまいりますが、今回のような新型コロナウイルス感染症による非常時などにおきましては、オンライン会による支援が重要な役割を果たすと認識しております。  また、利用者にメリットがあったことからも、オンライン会は、ひきこもり支援におけるツールの一つになるものと認識しております。  このことから、集団型支援拠点「よりどころ」の充実を図っていくため、運営者や関係団体と共にオンライン会の活用方法等について検討してまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  最後に、今後のひきこもり支援についてです。  ひきこもり状態に至る原因は、多様と言われております。  例えば、学校生活においては、成績の低下や受験の失敗、いじめなどが原因でひきこもり状態になったり、青年期においては、就職活動の失敗、失業、職場での人間関係などでひきこもり状態になったりします。  その一方で、ひきこもり状態にある本人は、将来への不安や焦り、他人と比べての劣等感などで悩んだり、自身を責めたりしています。また、外出したい、働きたいなどといった気持ちを抱えながらも、その一歩を踏み出せずに困っているケースもあります。  さらには、このような状況に直面する家族は、どうしたらいいのか分からずに、混乱してしまったり、本人同様、自身を責めたりして焦ってしまいます。そして、家族が本人を心配するあまり、過剰な介入を行い、本人との関係が悪化してしまい、最悪、家族が崩壊してしまうことも考えられます。  冒頭にも述べましたが、札幌市では、ひきこもりに特化した相談支援を行うひきこもり地域支援センターや、本人やその家族が交流する場である集団型支援拠点「よりどころ」を展開しておりますが、一人一人が抱える多様な課題を有している背景を考えると、これまでの保健福祉をはじめとする各種サービスや就労支援等の社会制度の充実はもちろんのこと、加えて、ひきこもり本人や家族の状況に応じて、様々な関係者が包括的に関わっていくことが重要と思います。  今年度から、ひきこもり支援が子ども未来局から保健福祉局に移管され、今後、幅広い年齢層に対応できるよう、体制の強化が期待されますが、ひきこもり本人やその家族が関わっていく機関は多岐にわたり、これらの関係機関との調整等を円滑に進めて、重層的な体制を構築していくためには、かなりの負担も予想されることからも、将来的には専門部署を新設して取組を進めていく必要があるのではないかと考えるところであります。  そこで、最後の質問ですが、今後のひきこもり支援の展開に当たり、関係機関との連携について、また、関係機関等との円滑な連携のため、専門部署の設置についてどのように考えるか、伺います。 ◎鎌田 精神保健担当部長  関係機関との連携と専門部署の設置についてお答えします。  初めに、関係機関等との連携についてですが、委員のご指摘のとおり、ひきこもり状態に至る背景には多くの要因が関係していることや、ひきこもり本人や家族の方々の置かれている状況も多様であることから、様々な分野の関係者が連携して包括的な支援を進めることは大変重要であると認識しております。  札幌市では、子ども・若者支援地域協議会というものを設置しておりまして、そのメンバーには、若者支援総合センターをはじめ、ひきこもり地域支援センター、当事者団体、家族会など、ひきこもり支援に取り組む関係機関や関係団体に加えて、庁内関係部署が参加しております。この協議会は、ひきこもり協議会を兼ねておりまして、ひきこもり支援に関する情報交換も行っています。  引き続き、これらの関係機関や関係団体との連携を図り、ひきこもり支援の充実に向けて努力してまいりたいと思います。  次に、専門部署の設置についてですが、札幌市では、人材の確保が難しくなる中で、効率的な職員配置を進めております。このようなことから、現時点では、専門部署の設置は難しい状況にありますが、ひきこもり支援の推進のため、関係部署が一丸となって取組を進めてまいりたいと存じます。 ◆森山由美子 委員  毎年のひきこもりの件数が増加傾向にあること、ひきこもり年齢も高くなって長期化していることからも、札幌市として、このひきこもり施策は専門性が求められ、横断的な体制をつくる上での大事な市の施策であると思います。  専門部署の新設については、既に神奈川県大和市では、専門の窓口が設置され、「こもりびと」という呼称を使うことで、よく理解してくれているという安心につながり、相談件数が増えたと聞いております。ぜひ、札幌市でも検討をしていただきたいと思います。  ひきこもりの入り口は、その人それぞれ、状況は違います。自立支援、社会復帰までは難しい道のりかもしれませんが、信じて待つのではなく、様々な可能性に鑑み、信じて背中を押し続けていくという積極的な取組をコロナ禍の中でも今後も引き続き対策してくださることを切にお願いし、この質問は終わります。  最後に、放課後等デイサービス事業所と利用者への支援について質問をいたします。  新型コロナウイルス感染の発生に伴い、学校が一斉に臨時休業となりましたが、学校休業の間、特別支援学校などに在籍する障がい児が通所して養育支援を受ける放課後等デイサービス事業所は、障がい児とそのご家族の生活を支えるため、大変重要な役割を果たしてきたところです。  しかしながら、学校休業や外出自粛要請など、これまでにない混乱の中、新型コロナウイルス感染防止のため、一時的に自主休業を実施した事業所もありました。そのため、ふだん通っている事業所の利用ができなくなったということで、精神状態が不安定となり、保護者の方も対応に大変苦慮したという話なども聞いております。
     このように、ふだん利用している事業所が休止することは、利用者にとって大変影響が大きいものと考えます。  そこで、質問ですが、今回の新型コロナウイルス感染症に伴う学校休業中における放課後等デイサービス事業所の休止状況はどのようなものであったか、伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  私から、学校休業中におけます放課後等デイサービス事業所の休止状況についてお答えをいたします。  放課後等デイサービス事業所には、国が示した方針のとおり、感染予防に留意しながら、原則としてサービス提供を継続していただきたいとお願いをしてきているところでございます。  学校の臨時休業が始まりました直後は、感染防止を主な理由といたしまして、約30か所の事業所が1週間程度の自主的な休業を行っておりましたが、その後は、ほぼ全ての事業所が再開して、サービス提供を継続していただいている状況でございます。 ◆森山由美子 委員  学校の臨時休業が始まった直後を除き、学校休業期間中もほとんどの事業所がサービス提供を継続していただいたとのことですが、たとえ僅かであっても、休止した事業所に通所していた障がいのあるお子さんと保護者にとっても、大変であったことは間違いありません。  我が会派は、国連の持続可能な開発目標であるSDGsの重要性を繰り返し指摘してまいりましたが、SDGsの基本的理念である、誰一人取り残さない社会の実現を目指すという観点からも、一人一人を大切にしながら、共生社会の実現を目指していくため、サービス利用ができなくなる方を可能な限り一人も出さないように努めることは重要であると考えます。  もし、今冬、新型コロナウイルスの感染者が今よりも増加していく場合、再度、学校が臨時休業となることも懸念されますが、学校休業中であっても、事業所がサービスを継続し、全ての利用者がサービス利用を継続できるよう、札幌市としても対策に取り組んでいく必要があると考えます。  そこで、質問ですが、新型コロナウイルス感染症に伴う学校休業が再度発生した場合でも、放課後等デイサービス事業所が休止することなく、サービス提供を継続できるよう、札幌市としてどのように取り組んでいくつもりなのか、伺います。  また、やむを得ず休止する事業所があった場合、利用者に対してどのような支援が想定されるのか、併せて伺います。 ◎竹村 障がい保健福祉部長  事業所がサービス提供を継続するための取組と、事業所が休止した場合の利用者に対する支援について、私からお答えいたします。  学校が臨時休業となった場合、障がいのあるお子さんの心理的安定と保護者の負担軽減のため、適切な感染防止対策を取った上で、事業所がふだんどおりのサービス提供を継続していただくことは大変重要であると認識しているところでございます。  そのため、事業所に対しましては、国からの感染防止に関する通知だけではなく、札幌市独自に作成をいたしましたマニュアルや、研修動画を配付するなどいたしまして、分かりやすく、感染防止対策の周知を行ってきたところでございます。  また、利用者や職員がPCR検査を受ける場合などは、必ず報告をいただきまして、その際、その後の事業所におけます対応などにつきましても、助言するといった個別的な支援も行っているところでございます。  今後も、こうした取組を続けながら、事業所にサービス提供の継続をお願いしてまいりますが、やむを得ず休止せざるを得ない事業所がある場合には、まずは、現在の利用事業所や相談支援事業所が代わりの通所先を探すことになります。  札幌市といたしましても、必要に応じて、事業所とも連携をいたしまして、障がいのあるお子さんとご家族の生活に多大な支障が生じることがないよう、可能な限り丁寧な支援に努めてまいりたいと考えております。 ◆森山由美子 委員  答弁にあったとおり、学校休業中であっても放課後等デイサービス事業所が休止することなく、利用者が引き続きサービスの利用を継続できるよう、利用者やそのご家族が決して困らぬよう、事業所に対しても、利用者に対しても、速やかに積極的に様々な支援策を札幌市が講じることを望みます。  また、新型コロナウイルス感染症が発生した当初は、国から各自治体に五月雨式に通知が発出されたことも影響し、札幌市から事業所に発出した通知の趣旨が分かりにくいという事業所の声もあったと聞いております。  現在は、今春に比べて感染防止対策の理解が多くの事業所に浸透していると考えられますが、事業所の支援に当たっては、札幌市からさらに分かりやすく明確な情報発信を行うことを強く要望して、私の全ての質問を終わります。 ◆池田由美 委員  私からは、コロナ禍での保護課職員の生活保護受給者への関わりについて、生活保護申請時の民生委員の家庭訪問の必要性について、生活保護制度利用の周知について、生活保護に関して、大きく3点質問をしてまいります。  最初に、コロナ禍での保護課ケースワーカーの保護受給者への関わりについて伺います。  受給者への家庭訪問は自粛するとの旨の国からの通達により、緊急事態宣言が解除された5月31日までは、保護受給者への家庭訪問は自粛されていたと聞いています。受給者の中には、高齢者世帯も多く、必要な医療や介護を受けなければ、生活が成り立たない受給者の方も多くいらっしゃいます。コロナ感染に大きな不安を抱え、マスク、消毒液の購入の負担をしながらの生活であったと推測いたします。  こうした不安に寄り添い、必要な対応をしていくことが、ケースワーカーの大きな役割だと考えます。  家庭訪問が自粛されていた期間、受給者の状況をどのように把握していたのか、特に、医療や介護が必要な受給者世帯への関わりが十分に行われていたのか、伺います。  また、コロナ禍で、全市で50名以上の保護課職員が保健所へ支援に行っていたと聞いていますが、1人のケースワーカーが80人以上の担当を持ち、対応に追われている中、どのように体制を取って業務を行っていたのか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  コロナ禍における区保護課職員の業務について、まず1点目、コロナ禍における高齢者世帯への対応についてお答えいたします。  区保護課では、厚労省からの通知に基づきまして、家庭訪問は、緊急対応等、最低限度必要な場合のみ実施することとし、それ以外につきましては、電話等で生活状況等を聴取し、必要な助言・指導を行っていたところでございます。  特に、高齢世帯など、コロナ禍で不安を抱える世帯につきましては、緊急対応等が必要な場合を除き、電話により、例えば健康状態等、そういったものを丁寧に聞き取り、相手の状況に応じて対応してきたところでございます。  宣言が解除された以降は、マスクの着用等の配慮をしながら、家庭訪問を再開しておるところでありまして、高齢世帯も含め、これまでどおりの必要な支援を行っているところでございます。  次に、コロナ禍の対応において、保護課職員がどのような体制で臨んでいたかについてお答えいたします。  新型コロナウイルス感染症が拡大した今年2月以降、全庁的に感染症対応業務への応援を行っておりまして、区保護課におきましても、毎月、職員数名が保護業務を離れ、感染症対策業務に従事しているところでございます。  区の保護課の職員は、業務の内容が、大部分、同じ業務を行っているということもあり、職員が一時的に保護業務から離れたといたしましても、他の職員がバックアップすることで影響が出ないように努めてきたところでございます。  今後とも、組織全体でバックアップするという意識を持ちながら、保護受給者の支援に支障の出ないように対応してまいりたいと考えております。 ◆池田由美 委員  電話で状況把握をして、対応をされてきたということ、そして、現在は家庭訪問を実施してきたと。そして、2月以降、同じ業務であるということで、保健所などへの対応で業務を離れる皆さんの業務については、お互いに協力し合って、バックアップをして取り組んできたということだというふうに今答弁をお聞きしました。  1人80名ということで、80名以上ですよね、担当されている方で、やはり信頼関係というものが非常に大事なものだというふうに思います。ですから、電話だけの対応などで、本当にできたのかなという思いも私はしているところでありますし、本当にあの人に手が届くような対応ができただろうかとか、そういう心配の思いも持ちながら、保健所のほうに業務を離れて仕事をされてきた方もいたんじゃないのかなというふうに私は感じているところです。ケースワーカーの皆さんにとっては、やはり、大きな負担であったのかなというふうに考えます。  胆振東部地震の避難所でも、多くの保護課職員の皆さんが受付にいて、丁寧に対応されていた姿を思い出します。平常時でさえ、担当する人数も多くて大変なのですから、コロナ禍を機会にケースワーカーの受け持ち人数の軽減などを進めていく、そういった検討が必要だということを求めておきたいというふうに思います。  次の質問に入らせてもらいます。  次に、保護申請においての民生委員の家庭訪問の必要性について伺います。  本市では、生活保護申請時に民生委員に意見書の記載を求めることになっております。申請者が居住する地域の民生委員の家庭訪問が位置づけられております。これは、本市を含めて三つの政令市が行っているのみで、その他の政令市ではこの制度をやめていると聞いています。  民生委員法では、民生委員は、「保護指導のことに当り、社会福祉の増進に努めるもの」とされていましたが、2000年に民生委員法が改正されて、「保護指導のことに当り」という文言が排除されております。  この改正は、民生委員の位置づけや期待される役割が変化したことによるものと思われ、他都市は、生活保護の実施の際に民生委員の意見書を求めることをやめているのだというふうに思います。  本市は、生活保護の実施に当たり、民生委員の意見書を求めることを続けているのはなぜなのか、本市が民生委員に委ねている役割はどういうものなのか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  民生委員の意見書につきまして、その意義と民生委員にどのような役割を求めているのかという点について、お答えさせていただきます。  まず、民生委員の意見書につきましては、民生委員が地域住民の視点で保護申請者の生活状況やお困りの点を聞き取り、行政とは異なった角度から情報提供をいただくものであり、保護受給の可否を判断する材料の一つとして、重要な役割を担っているものと認識しております。また、保護受給後に当該世帯に対してどのような支援を行っていくべきかといったことを考える上でも、貴重な情報源であると考えているところでございます。  民生委員は、地域に住まわれて活動されているということで、今、委員がご指摘のとおり、民生委員法の改正というのがあったというのは、一つの契機ではあったと思うんですが、一方で、やはり地域福祉の推進という立場で、民生委員が地域の困った方々とどのように関わっていくか、そういう視点で考えたときに、やはり、この民生委員の意見書というのは、大変大事なものではないのかなというふうにも思っておりますので、そういった部分で、私どもとしては、この意義を高く認めているというところでございます。 ◆池田由美 委員  申請者からは、民生委員による家庭訪問では、保護課で申請時に聞かれることと同じことを聞かれる、生活保護を申請したという個人のプライバシーを伝えなければならないなどの心の負担や、書類作成のため、申請時間が長くなる、そういった思いを聞いています。  生活保護の実施への民生委員の意見書の制度は、民生委員の仕事の負担軽減、民生委員への書類を作る保護課職員の仕事の軽減、申請時間も短くなることから、他都市もやめているのではないかと私は考えています。  本市も、生活保護申請における民生委員の家庭訪問はやめるべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  民生委員の意見書をやめるべきではないかということでございますけれども、実際に民生委員が申請者と面談を行うという、それを一つのきっかけということで、その後の関係の中で、例えば当該世帯に何らかの問題が見られた場合に、保護課やその他の関係機関に情報提供をして、問題の早期解決につながる、そういう例もございます。  そういった部分で、確かに、今の時間の問題であるとか、いろいろ課題として言われている部分はありますが、今後とも、民生委員の意向なり、事務負担等には注意しながら、今後、この意見の聴取については継続してまいりたいと考えているところでございます。 ◆池田由美 委員  民生委員さんとの面談をして、そして、お困り事は何なのか、そういったことも把握しながら、情報提供をいただきながら関わっていく、そういった大事なものなんだということだというふうに今答弁がございました。  民生委員の仕事は、独り暮らしの高齢者の巡回相談、65歳以上の高齢者名簿の整理や、児童虐待予防地域協力員への登録、子育てサロンなどの様々な役割を担って、非常に多忙になっております。そして、負担も大きいと私は考えています。  民生委員の成り手がいないことも今深刻な問題となっている中で、本市も生活保護申請時の家庭訪問の実施、意見書や家庭訪問はやめるべきと申し上げて、次の質問に移ります。  次に、生活保護制度利用の周知について伺います。  新型コロナウイルス感染症に限らず、誰でも、突然、仕事や収入を失うことがあります。頑張って生きてきた人が生活困窮に陥ることがあり、生活保護の役割は重要だと考えています。  厚労省の4月7日の事務連絡では、コロナ禍において適切な保護の実施についてとして、可及的速やかに保護決定までの事務処理を進めるようにという通達が出されております。また、9月11日の厚労省からの現下の状況における適切な保護の実施についての事務連絡においても、可及的速やかな保護決定までの事務処理の対応が引き続き重要であるとされています。  生活保護相談申請件数の資料を見てまいりますと、コロナ禍においても、大きく相談件数、申請件数の変化はないのだなということを見ていますけれども、しかし、昨年の資料、また今年の資料も見て、共通して思うことが、相談件数は1,000人を超えているのですが、申請する件数が半分以下となっていることが多いなということを感じていますが、その理由をどのように分析されているのか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  生活保護申請に当たっての相談の件数と申請件数の乖離についてどのように考えているのかというお尋ねでございますが、生活保護法については、まずは、やはり気軽に相談に来ていただきたいという、そういう姿勢が大事であると。その結果、相談数が増えているという部分はあろうかと思います。  ただ、その相談の中でも、本当に今困って来られている方もいれば、今は大丈夫なんだけれども、例えば、親の介護の問題で、いずれどうだろうかという、そういう困り事そのものの相談だけではなくて、制度の相談で訪れる方もいらっしゃいます。  そういった方に対しては、当然、来られた以上は申請について面接の担当のほうから話はさせていただくんですけれども、相手方のほうから、いや、また改めて事情を確認してから参りますという、そういうやり取りがあるというふうに聞いておりますので、相談件数自体も少ないというのは、ちょっとこれは問題だと思うんですが、そういった丁寧なやり取りの中で、実際に、申請に一度来て、また二度目に来られたときには、逆に一度話は聞いていますから、速やかに申請受理ということもありますので、そういったところが、実際、乖離している理由の一つではないのかなと思っているところでございます。 ◆池田由美 委員  相談と申請の数字の乖離について、今、まずは気軽に相談に来るということが大事だということで、今答弁にもありました。私もそうだなというふうに思います。  ただ、困っているんだけれども、申請したほうがいいのかどうかと非常に悩む方もいらっしゃるんだろうと思うんですね。申請したほうがいいという方が、悩まれて帰ることもあるというふうに思うわけですよ。  そういうときには、その後どうしたんだろうかというようなフォローがされているのかどうか、そのことを伺いたいというふうに思います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  申請せずに帰られた方のその後のフォローということでございますけれども、この件につきましては、あくまで本人の同意ではありますけれども、例えば、1か月後に改めて役所のほうから、どうですか、大丈夫ですかという、そういうお便りを出すと。そういう仕組みを今取っておりまして、そこで同意された方には、1か月後に、その後、特に状況は変わっていませんかというような形の連絡をやり取りさせていただいて、その段階で、やはりちょっと困っているということで申請につながるということもあると聞いておりますので、一応、仕組みとしては、そのような形で対応させていただいております。 ◆池田由美 委員  一度来られた方に対して、1か月後、大丈夫ですかと、そういったお便りも出しているというふうに今ご答弁がありました。  本当に、生活保護の申請に踏み切るには、非常に勇気の要るということも私はあるなというふうに思います。1人で相談は担当されると思いますけれども、集団で、この方はどうなのか、そういったことも含めてきちんと検討すると。その上で、フォローをどうしていくのか、そのことも検討していただきたいなということを求めていきたいというふうに思います。  コロナ禍で、中小・小規模事業での事業の継続と雇用に大きな影響が出ております。札幌市生活就労支援センターステップの相談件数が、前年度と比較して5〜6倍になっていると。20代から50代の現役世代の相談が多くなっています。今後、失業、休業が増える中で、相談が増えていくことが予想されております。  しかし、働いていたら保護は受けられない、働ける人は受けられない、年金をもらっていたら保護は受けられない、住む場所がなければ受けられないなどの生活保護への誤解があり、申請につながらない実態がまだまだあるのではないかと考えます。生活保護の支給額より下回る給与や年金で暮らされている方がたくさんいると考えています。  そういう方が相談に来やすいようにしていくことが、一層、今後重要となっていると思いますが、認識を伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  生活保護の申請に係る積極的な周知についてということでお答えさせていただきます。  札幌市では、ホームページで、国民の誰もが申請できる旨を周知し、併せて気軽に相談くださいと明記して来所を促しているところでございます。  また、地域で活動する民生委員の方が生活に困っている方を発見した場合には、区保護課に情報提供いただくようにお願いをしているところでもございます。  さらには、電気やガス、水道のライフライン事業者の窓口などにも保護相談を周知するチラシを配架し、できるだけ目につくような形の対応を考えているところでございます。  今後とも、ホームページやチラシを活用し、周知を行うとともに、民生委員やステップなどの関係機関と十分連携を図りながら、生活保護を必要としている方が適切に保護の窓口につながるように努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆池田由美 委員  今後増えていくということで、そういういろいろな誤解がある方たちが相談に来やすいようにということで、今伺って、ホームページなどで相談くださいと、電気やガスの窓口で保護の相談のものを目につくようなところに置いているとか、そういったことがありました。  今定例会の我が党の代表質問において、町田副市長は、貧困対策で、生活保護申請について、今後も生活に困っている方が申請をためらうことがないよう周知を図ってまいりますと答弁をされました。  雇用・くらしSOSネットワーク北海道と反貧困ネット北海道が8月に地下歩行空間で行った相談会では、生活保護Q&Aの大型ポスターの前に多くの方が足を止めて、持家があっても利用できる可能性があるなどの情報に注目が集まっていたと報告されていました。  本市においても、ポスターを作り、多くの市民が目にする地下鉄コンコースの掲示板や地下鉄車両内の広告にポスターを貼るなど、積極的に周知すべきと考えますがいかがか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  ポスターなどを使いながらの積極的な周知ということでございますけれども、広報の在り方は、やはり、様々、いろいろな方法があろうかと思います。  実際に人の多く来るところに掲載するポスターのようなものもあれば、最近は、やはりネットのほうで情報が流れて、それを機に相談に参られる方もいらっしゃいますので、そういった部分でいろいろと工夫しながら、広報活動に努めてまいりたいと考えているところでございます。 ◆池田由美 委員  帯広市などでは、そういった生活保護のポスターを作って貼り出している、そういうことも聞いているところです。様々な方法があってもいいと思うんですけれども、ネットだけではなくて、今までやってきたもの以上に、何ができるのか、どうした周知ができるのか、そういったことをやはり検討していくべきではないのかというふうに思います。  生活保護制度は、生活に困った人は誰でも申請できるという基本を市民が知らないことがないように周知し、プライバシーが守られることが大切です。市が積極的に呼びかけることは、市民に安心を与えることになります。  生活保護を受けやすい制度とするように求めて、質問を終わります。 ◆たけのうち有美 委員  私からは、生活困窮者自立支援制度の中のメニューの一つである家計改善支援事業について、3点伺います。  新型コロナウイルス感染拡大により、雇用情勢は厳しく、生活困窮者は今後ますます増えていくことが予想されます。  我が会派は、さきの代表質問において、生活困窮者への支援について、複合的な要因を抱えている方も少なからず存在し、単なる就職のあっせん機関ではなく、個々の相談者の特性に適したプランの作成及び生活全般のサポートが必要であることを指摘しました。生活困窮者の抱える問題は様々ですが、単に収入が少ないということだけではなく、家計管理に問題を抱えているために困窮している場合も多くあることが考えられます。  先日、会派で札幌市生活就労支援センターステップを視察した際に、昨年10月から、ファイナンシャルプランナーの資格を持った家計改善支援員を配置し、家計改善事業を行っているとお聞きしました。  そこで、質問ですが、家計改善支援事業の実施状況はどのようになっているのかを伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  家計改善支援事業の実施状況についてお答えいたします。  家計改善支援事業では、家計に問題を抱える生活困窮者を対象に、家計改善支援員の助言の下、家計の収入と支出の内容を点検し、支出の優先順位をつけるなどして、まずは家計の問題を見える化しているところでございます。その上で、解決方法を検討し、最終的には、家計を安定させ、生活不安を解消することを目指して支援しているところでございます。  実績につきましては、令和元年10月の開始から令和2年9月まででございますが、45件、支援を開始しておりまして、うち、33件が支援を終了しているところでございます。  初めから家計改善支援を利用しようとする相談者は少なく、生活相談のアセスメントを進めていく中で、本人の意向を踏まえながら、この家計改善支援事業を利用している、そういった方が多いところでございます。 ◆たけのうち有美 委員  実施状況については分かりました。  昨年度の統計によりますと、ステップ利用者の相談内容は、仕事探し、就職が最も多く1,372件、次に収入、生活費が1,039件、続いて家賃やローンの支払いが767件となっています。これは、相談者1人につき、複数選択を前提とした統計となっていることから、仕事探しなどでお悩みの方は、収入や生活費、家賃支払いなど、家計のやりくりについても同時に不安を抱えている方が多いことを表しているのだと思います。  このようなことから、生活相談を進めていく中で、家計管理についても、そこにスポットを当て、専門的な視点で対応していくことは大変重要であると考えます。  そこで、質問ですが、家計改善支援事業について、これまでどのような成果があり、さらに、どのような点が課題だと捉えているのか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  家計改善支援事業の成果と課題についてお答えいたします。  この事業を利用することで、支出の見直し等を行った結果、不要不急な支出を削減したり、また、公共料金の滞納やカード会社への多重債務等の問題が解決するなど、利用者の生活の安定につながっているものと評価しております。  一方で、利用者の中には、公共料金の滞納等の問題が解決した後も、ほかの家計の問題解決が必要であるにもかかわらず、支援を受けなくなる、そういった利用者がおり、そういった方々に対しましてどのように対処していくかといった点が課題と認識しているところでございます。 ◆たけのうち有美 委員  事業からちょうど1年が経過した中での成果と課題については分かりました。
     最後に、質問ですが、その課題を踏まえて、この制度をよりよいものとしていくため、今後どのように事業を進めていくのか、伺います。 ◎野島 保護自立支援担当部長  今後の事業の進め方についてでございます。  利用者に対して、生活を安定させるためには自ら家計を管理する能力を身につけることが重要である、そういったことを丁寧に説明し、理解してもらい、ステップ内の他の専門支援員とも連携しながら、利用者の視点に立って寄り添った支援を今後行ってまいりたいと考えております。  また、新型コロナウイルス感染症の影響により、生活に不安を感じる方も今後増加すると予想されることから、こういった方がステップに確実につながるよう、関係機関との連携を図りながら、より一層、事業の周知を図ってまいりたいと考えているところでございます。 ◆たけのうち有美 委員  自ら家計を管理する能力を身につけることが重要であり、その点について理解を求めていくとのことでした。しっかりと粘り強く寄り添った支援を行っていただきたいと思います。  以前にも、相談から自立まで2年かかることもあるとお聞きしました。高齢や障がいなど、様々な状況の中、家計管理をはじめ、複数の課題を抱えた方に対して粘り強く寄り添った支援を続けていくためには、時間も労力も必要です。自立支援事業において包括的な支援を行うためには、地域の関係機関が連携して対応することが重要です。  限られた人員の中ではありますが、一人一人の相談者への寄り添った支援をしっかりと継続していただくことを要望して、私からの質問を終わります。 ◆前川隆史 委員  私で最後でございますので、もうしばらくお付き合いいただきたいと思います。  私からは、自殺総合対策についてお伺いしたいと思います。  今、コロナ禍が長引く中で、感染への不安ですとか、誰にも会えずに寂しいといったご不安、また、いつまでコロナが続くのかなどといった様々な不安を抱えながら生活を送っている方がたくさんいらっしゃるかと思います。  私の知り合いの元気だった70代の方も、コロナ禍以降、今回のコロナで怖くて外出ができなくなりまして、一人では不安ということで、本州の娘さんのところに一時世話になっているという、こんなようなお話も伺いました。  また、別な方々が言うには、ワイドショーやニュースで、毎日、新型コロナウイルスの画像がニュースやワイドショーに出るんですね。最初は白黒だったんですけど、途中からカラーになってきまして、黄色とか赤のおどろおどろしいウイルス画像が延々と流されていて、今度はまた、芸能人のいろんなニュースも舞い込んできまして、大変、気持ちが暗くなるだとか不安になるといった、そういった声もたくさんいただいてきておりまして、いわゆるコロナ鬱状態になっている方がたくさんいらっしゃるのではないかと、私自身、肌でこれまで感じてきたところでございます。  このコロナの影響を受けまして、精神保健福祉センターにおける心のケアに関する相談の状況も変化してきているんじゃないか、このように推察するところでございます。  そこで、最初の質問でございますが、コロナ禍における心のケアに関する相談状況についてお伺いいたします。 ◎鎌田 精神保健担当部長  コロナ禍における心のケアに関する相談状況についてお答えします。  新型コロナウイルス感染症感染拡大防止を目的とした外出自粛要請等によりまして、不安やストレスを抱えながら生活されている市民も多いと思われます。  精神保健福祉センターでは、心に悩みを抱える市民やそのご家族に対しまして、精神保健福祉に関する相談と、健やかな生活を送るための適切な助言と援助を行うこころの健康づくり電話相談を実施しております。  この電話相談では、今年2月から9月までの8か月間で計6,757件の相談がありまして、そのうち、コロナに関連した相談は360件ありました。全体のおよそ5%に当たります。4月は、新型コロナウイルス感染症の第2波を受けまして、月73件と8か月間で最も多く相談がございましたが、ここ3か月は、月40件から50件のペースで推移しております。  主たる相談の中身といたしましては、感染に対する不安ですとか、外出できないことによる家族関係の悩みに関する相談が多い状況でございました。 ◆前川隆史 委員  4月が一番多かったということで、5月、6月以降、だんだん徐々に減ってきている、こんなお話もございました。  ちょうどその時期に、様々な政府のいろんな支援事業、メニューもだんだん充実してきまして、人々の暮らしですとか、生活を守る、そういった事業も行われるようになりまして、そういった効果も多少あったのかな、このように思うところでございます。  今年8月の自殺者統計の速報値を見てみますと、全国で1,849人の貴い命が失われたということでございました。これは、昨年同月比で246人の増加でございまして、発表同日に、厚生労働大臣から、「生きづらさを感じている方々へ」という異例のメッセージが発信されるなど、大変ゆゆしき事態となっておりまして、早期に自殺につながりかねないメンタルの不調を解消するための心のケアの重要性がますます増しているのではないかと思います。  そこで、質問でございますが、コロナ禍における市民に対する心のケアに関する取組についてお伺いいたします。 ◎鎌田 精神保健担当部長  コロナ禍における市民に対する心のケアに関する取組についてでございます。  新型コロナウイルスの影響が長期化することによりまして、心身の不調を訴える方が増加し、中には、鬱病等の精神疾患の発症につながるおそれもあり、さらには自殺に至ることも危惧されます。  このたびの新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、心の健康に関する正しい知識と必要な支援に結びつく情報を生活支援ガイドやホームページ、公式ツイッターなどを活用して提供しております。また、法律上や経済的な諸問題を抱え、心身に不調を来すおそれのある市民を支援するため、暮らしとこころの相談会を札幌弁護士会と連携して開催したところでございます。  今後は、町内会や介護予防センターと連携したコロナ鬱予防の講座を予定しており、このような取組を通じて、コロナ禍における心の健康づくりに関する知識の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  様々な弁護士会との連携ですとか、ホームページ等を活用した情報提供等々、様々取り組んでいただいているようでございます。  しかしながら、近年、人々のコミュニケーションツールというものが、電話やメールではなく、SNSになってきておりまして、今や、若者だけではなくて、高齢者もSNSの利用が進んできております。  身内の話で大変恐縮なんですけども、田舎で暮らす80代の私の母親も、今回の10万円の特別定額給付金を手にした途端にスマホデビューしまして、同時にタブレットも購入して、Wi−Fi環境も整備して、先日も電話が来て、5ギガまで大丈夫なのよと私に自慢していましたけども、また、義理の母も8月にスマホデビューしまして、私のタイムラインに、いいねとか、コメントとかを寄せるまで急成長しておりまして、一方で、固定電話は解約したという、こんなような動きも身の回りで起きております。  このように、スマートフォンの普及が急速に進んで、人々のコミュニケーションの舞台が、もはや全世代的にSNSに移行しつつあります。そして、このSNS上では、死にたいですとか、消えたいといった声も一方であふれていると。相談できずに独りで悩んでいる方々もたくさんいるのではないか、このように推察しているところでございます。  こういった状況を踏まえますと、やはり相談事業もSNSを活用していく、活用せざるを得ない時代環境になっていると認識しなければいけないのではないかと思います。  既に札幌市においては、男女共同参画のガールズ相談ですとか、子どもアシストセンターのLINE相談ですとか、また、教育委員会等でもSNSを活用した相談事業も検討していただいております。  ただ、これらは、やはり若い世代を対象にした事業ばかりでございまして、先ほど話したように、今や中高年世代にもスマートフォンの普及が進んで、SNSを活用している人も急速に増えてきております。  そういった意味で、札幌こころのセンターに寄せられる相談内容は、深刻なケースも多いでしょうから、話しづらいですとか、恥ずかしいとか、迷惑をかけるなどと感じて、相談をちゅうちょされている方も多いのではないかと思いますので、どうか、こういった気軽に相談できるツールでありますSNSを積極的に活用していくべきではないか、このように思っております。相談へのハードルも低くなりますし、自殺対策の推進に大きく寄与するのではないか、このように考えるものでございます。  そこで、最後の質問でございますが、自殺対策を進めるため、悩みを抱えている人に対するSNS相談の導入について、どのような認識か、お伺いいたします。 ◎鎌田 精神保健担当部長  SNS相談の導入についてのご質問にお答えいたしたいと思います。  SNSを活用した相談は、コミュニケーションが苦手な人にとりましても、安心して相談しやすいといった長所から、一般的な相談ツールの一つとして有益なものと認識しております。  自殺対策におきましては、直接、相談者の言葉に耳を傾けて、その背景にある問題を把握し、解決に向けた必要な支援につなげるということが求められます。しかしながら、SNSは、文字だけのやり取りであることから、お互いの認識がずれたり、漠然としたやり取りで終わってしまうこともあるため、相談者の背景にある問題が解決に至らず、逆に解決を遅らせてしまうといった可能性もございます。  したがいまして、自殺対策におけるSNSの相談の導入は、現時点においては、課題も多く、札幌市で実施することは難しいと考えております。  今後については、他都市の実施状況等も注視していくとともに、これまで重点的に取り組んできましたゲートキーパーなどの人材養成を通じて、市民一人一人の気づきと見守りを促すことで、自殺対策を総合的に推進してまいりたいと考えております。 ◆前川隆史 委員  現時点では、お考えがないということでございました。大変、直接にやり取りしないと難しい問題もあるというお話、SNSですと、文字だけのやり取りで、かえって逆効果になる、そういった懸念もあるといったご指摘もございました。  若い世代のSNS相談につきましても、そういった同じような課題がございまして、学校のいじめ・自殺相談事業も、今ご答弁いただいたことをもう当然のように想定して、今、全国でその導入が進んでおります。  そしてまた、全国の事例を一堂に会して、どのようにしたらいいのかということをいろいろ情報交換しながら、一方で、SNSがもう事実上のコミュニケーションツールのほとんどになっているわけですから、そういったものから目をそらして、直接会うことにこだわり過ぎると、実質的に、結局、つながることができなくなってしまうという。つながらなければ、結局、やり方がいいとか悪いとか以前の問題になってしまいますので、そういった意味では、そういった課題があるということは、今、全国で承知しつつ、いろんな研究もなされておりますので、あまりそういう消極的にならずに、実は、長野県の高校生等を対象とした自殺・いじめ相談も、そういった、今ご指摘のような懸念があったわけですけども、臨床心理士会の皆さんの努力もあって、そういうSNS上でもトラブルが起きづらいやり方はないのかと、今、非常に研究が行われております。  ですので、そういったこともしっかり学んでいただいて、今後の検討をスピード感を持って取り組んでいただきますよう強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。 ○林清治 委員長  以上で、第1項 社会福祉費等の質疑を終了いたします。  以上で、本日の質疑を終了いたします。  次回は、明後日10月14日水曜日午前10時から、保健福祉局関係のうち、高齢保健福祉部、保険医療部、保健所及び衛生研究所の質疑を行いますので、定刻までにご参集ください。  本日は、これをもちまして散会いたします。     ――――――――――――――       散 会 午後4時21分...